(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133063
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】股関節置換ナビゲーションシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095903
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2022124776の分割
【原出願日】2013-08-01
(31)【優先権主張番号】61/683,167
(32)【優先日】2012-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/761,617
(32)【優先日】2013-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/800,620
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514284545
【氏名又は名称】オースアライン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ヴァン・ダー・ウォルト
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ニールセン
(57)【要約】
【課題】股関節置換手術中に患者の解剖学的構造と股関節の構成要素の適切な位置合わせを提供するための改善されたシステム及び方法を提供する。
【解決手段】他の実施形態において、骨係合部分を備える解剖学上の接合面を含む股関節ナビゲーション治具が設けられる。解剖学上の接合面と例えば取り外し可能に連結される記録治具も設けられる。治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ記録治具が解剖学上の接合面と連結される場合に、垂直でない軸に関する回転のための回転可能部材が設けられる。解剖学的構造係合プローブは、軸に関する回転のための回転可能部材と連結され、手術中にプローブが複数の解剖学上のランドマークと接触する状態になることができるように並進移動可能である。慣性センサーは、ランドマークに関連した配向を示すためにプローブと連結されており、当該センサーは、プローブがランドマークと接触状態になる場合に、水平方向に対して異なる配向において配置される。
【選択図】
図17A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
股関節手術と関連して配向データを決定するシステムであって、
慣性センサーから慣性データを受け取るためのデータ補足モジュールと、
前記慣性データに基づいて、前方骨盤平面に対する代理の寛骨臼平面の1つ又は複数の角度を提供するように構成された計算モジュールと、
配向データを使用者に通信するように構成されたユーザーインターフェースを出力するように構成されたユーザーインターフェースモジュールと、
を備え、
1つ又は複数の前記モジュールは、1つ又は複数のプロセッサによって実施される、システム。
【請求項2】
慣性センサーをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のプロセッサをさらに備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
配向データを使用者に通信するように構成された物理ディスプレイをさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の角度は、前記股関節の前傾角度及び傾斜角度を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は複数の角度は、リアルタイムで発生する、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
プラットフォームと、
前記プラットフォームに配置されたカニューレ連結装置であって、前記プラットフォームを股関節に隣接する骨と着脱可能に連結するために、カニューレが前記プラットフォームの底面と着脱可能に連結されることを可能にするように構成されたカニューレ連結装置と、
前記プラットフォームに配置された記録治具取付特徴と、
記録治具と、を備え、
前記記録治具は、
前記記録治具取付特徴で前記プラットフォームに着脱可能に連結されるように構成された直立部材と、
前記記録治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ前記直立部材が略垂直に配置される場合に、垂直ではない軸に関する回転のために前記直立部材と連結された回転可能部材と、
前記軸に関する回転のために前記回転可能部材と連結された細長い本体の遠位端部で配置された解剖学的構造係合先端部を有するプローブと、
を備え、
前記プローブの前記細長い本体の配向及び位置は、ランドマーク取得処置中に、前記解剖学的構造係合先端部が複数の解剖学上のランドマークと接触状態になるように調整されることができる、股関節ナビゲーション治具。
【請求項8】
慣性センサーを前記記録治具に取り付けるための前記プローブによる移動のために、前記記録治具に配置されたセンサー取付特徴をさらに備える、請求項7に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項9】
慣性センサーを前記記録治具に取り付けるために、前記プラットフォームに配置されたセンサー取付特徴をさらに備える、請求項7又は8に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項10】
前記プラットフォームは細長く、前記センサー取付特徴が前記プラットフォームの垂直中央平面に関して対称的に配置される、請求項9に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項11】
ナビゲーション手術のための治具システムであって、
請求項7~10のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具と、
前記カニューレ連結装置と連結するように構成された第1の端部と、前記股関節に隣接する骨と連結するように構成された第2の端部と、前記第2の端部に隣接して配置されたホームポイント特徴と、を有するカニューレと、
を備え、前記ホームポイント特徴は、前記プローブの前記細長い部材の予め規定された位置及び配向において前記プローブの解剖学的構造係合先端部を係合するように構成される、治具システム。
【請求項12】
前記カニューレ連結装置及び前記カニューレのうちの一方又は両方は、前記プラットフォームに対して前記カニューレの1つの回転配向のみを可能にする配向特徴を有し、
それにより、前記ホームポイント特徴は、前記プラットフォームの垂直方向の中央平面が上方及び下方に方向付けられる場合に、略下方に面する、請求項11に記載の治具システム。
【請求項13】
請求項7~12のいずれか一項に記載の治具システムと、
センサー取付特徴と連結された傾斜計として構成された第1のセンサーと、
前記プラットフォームと連結されたユーザーインターフェースと、
を備える、ナビゲーションシステム。
【請求項14】
前記カニューレの第2の端部は、前記寛骨臼縁部の上面における又は上面に隣接する骨盤と連結するように構成される、請求項11~13のいずれか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項15】
前記カニューレの前記第2の端部は、上前腸骨棘における又は上前腸骨棘に隣接する骨盤と連結するように構成される、請求項11~13のいずれか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項16】
垂直ではない軸が、水平方向から20度より大きな角度で配置される、請求項7~15のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項17】
垂直ではない軸が、水平方向から約30度で配置される、請求項7~15のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項18】
垂直ではない軸が、水平方向から60度未満の角度で配置される、請求項7~15のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項19】
垂直ではない軸が、水平方向から約45度で配置される、請求項7~15のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項20】
前記直立部材の上端部は、前記プローブの前記細長い部材を載置するためのクレードルを備える、請求項7~19のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項21】
前記プラットフォームに配置された固定ピン固定装置をさらに備える、請求項7~20のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項22】
前記固定ピン固定装置は、圧縮部材及び先細チャネルを備え、前記先細チャネルにおける前記先細部材の垂直方向の移動は、前記圧縮部材と前記プラットフォームの剛体特徴との間の間隙を狭めるために、水平方向に圧縮部材を移動させる、請求項21に記載の股関節ナビゲーションシステム。
【請求項23】
前記固定ピン固定装置は、前記圧縮部材の挟持表面と前記プラットフォームの剛体面との間に設けられた間隙が大きくなる第1の位置から、前記圧縮部材の挟持表面と前記剛体面との間に設けられた間隙が小さくなる第2の位置へ、前記プラットフォームに回動可能に取り付けられた圧縮部材を備える、請求項21に記載の股関節ナビゲーションシステム。
【請求項24】
前記固定ピン固定装置は、前記プラットフォームの上面に配置された先細管状突出部と、前記先細管状突出部内に配置されたコレットとを備え、
前記固定ピン固定装置は、その中に配置されたピンに高い摩擦力を適用するために前記コレットをつぶすように構成される、請求項21に記載の股関節ナビゲーション治具。
【請求項25】
第1の端部と第2の端部とを有するプラットフォームであって、ナビゲーション治具が患者に適用された場合に、前記第1の端部が下方に方向付けられ、前記第2の端部が上方に方向付けられる、プラットフォームと、
前記第1の端部に隣接して配置されたカニューレ連結装置であって、股関節に隣接する骨と前記プラットフォームを着脱可能に連結するために、カニューレが前記プラットフォームの底面と着脱可能に連結されることを可能にするように構成される、カニューレ連結装置と、
前記第1の端部に隣接する前記プラットフォームの上面に配置された記録治具取付特徴と、
記録治具と、
を備えており、前記記録治具は、
前記記録治具取付特徴で、前記プラットフォームに着脱可能に連結されるように構成された直立部材と
前記記録治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ前記直立部材が略垂直に配置された場合に、垂直ではない軸に関する回転のために、前記直立部材と連結された回転可能部材と、
前記軸に関する回転のための回転可能部材と連結された細長い本体の遠位端部で配置された解剖学的構造係合先端部を有するプローブと、
を備え、前記プローブの前記細長い本体の配向及び配向は、前記解剖学的構造係合先端部がランドマーク取得処置中に、複数の解剖学上のランドマークと接触する状態になるように調整されることができる、股関節ナビゲーション治具。
【請求項26】
骨係合部分を備える解剖学上の接合面と、
前記解剖学上の接合面と連結された記録治具であって、
前記記録治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ前記記録治具が前記解剖学上の接合面と連結された場合に、垂直ではない軸に関する回転のための回転可能部材と、
手術中に複数の解剖学上のランドマークと接触状態になることを可能にするために、前記軸に関する回転及び並進移動のための、前記回転可能部材と連結された解剖学的構造係合プローブと、
を備える記録治具と、
前記複数の解剖学上のランドマークに関連した配向を示すために、前記解剖学的構造係合プローブと連結された慣性センサーであって、前記解剖学的構造係合プローブが前記複数の解剖学上のランドマークと接触する場合に、水平方向に対して異なる配向に配置される、慣性センサーと、
を備える、股関節ナビゲーションシステム。
【請求項27】
解剖学上のランドマークに配置されるように適合されたアンカー部分と、前記アンカー部分と連結されたランドマーク取得プローブであって、少なくとも3つの自由度において移動可能であるランドマーク取得プローブと、を有する治具と、
患者の骨盤に移動不能に接続されるように構成された第1の慣性ナビゲーション装置と、
前記ランドマーク取得プローブと連結された第2の慣性ナビゲーション装置と、
を備え、
前記ランドマーク取得プローブは、複数のランドマークに接触するように移動されることができ、
前記慣性ナビゲーション装置は、前記複数のランドマークの位置に基づいて臼蓋窩の平面の配向を決定する、股関節ナビゲーション装置。
【請求項28】
前記自由度のうちの1つは、前記アンカー部分に向けた、又は前記アンカー部分から離れる前記ランドマーク取得プローブの先端部の並進移動に対応しており、
前記ランドマーク取得プローブは、前記アンカー部分に対する前記先端部の位置を反映するスケールを備える、請求項27に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項29】
前記ランドマーク取得プローブを固定するために前記治具に配置されたラッチをさらに備える、請求項27又は28に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項30】
前記ラッチは、前記ランドマーク取得プローブの前記3つの自由度のうちの2つを制限する装置を備える、請求項29に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項31】
前記装置は、前記ランドマーク取得プローブの2つの回転自由度を妨げるチャネルを備える、請求項30に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項32】
前記第1の慣性ナビゲーション装置は、前記治具の前記アンカー部分と連結される、請求項27~31のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項33】
前記第2の慣性ナビゲーション装置は、前記第2の慣性ナビゲーション装置を前記ランドマーク取得プローブに着脱可能に接続するように構成された取付装置を備える、請求項27~32のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項34】
寛骨臼カップに着脱可能に連結するように適合された第1の端部と、前記第2の慣性ナビゲーション装置の取付装置に接続するように適合された取付装置と、を有する寛骨臼カップ配置装置をさらに備える、請求項27~33のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項35】
患者の大腿近位部上のランドマークを確認するための第1の構造と、患者の骨盤上のランドマークを確認するための第2の構造と、を有する、請求項27~34のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項36】
前記第2のランドマーク取得装置は、前記ランドマーク取得プローブの線形位置又は角度位置を示す画像を捕捉するために適合されたカメラを備える、請求項27~35のいずれか一項に記載の股関節ナビゲーション装置。
【請求項37】
股関節置換ための患者特有の治具システムであって、
特定の患者の寛骨臼の骨輪郭と密接に結合するように形成された係合面と、
前記治具が前記特定の患者の寛骨臼の骨輪郭と密接に結合するように連結された場合に、前記患者の前方骨盤平面に対して予め決定された配向になるように構成された記録特徴と、
を備える、特定の患者のための治具システム。
【請求項38】
解剖学上の係合部分と、
前記解剖学上の係合部分の外側に配置された記録部分であって、寛骨臼縁部の外側の領域に配置される記録部分と、
前記記録部分の前方表面から前記記録部分の後方表面に向けて延在する記録チャネルと、
を備える、請求項37に記載の患者特有の治具システム。
【請求項39】
前記係合面が寛骨臼の骨輪郭と係合する場合に、前記記録チャネルを通じて寛骨臼縁部の外側の骨盤の骨内に挿入されるように構成された取付ピンと、
慣性センサー装置と、
を備える、請求項38に記載の患者特有の治具システム。
【請求項40】
股関節置換手術をナビゲートする方法であって、
治具の第1の部分を骨盤の一部分内に進行させるステップと、
少なくとも1つの慣性センサーを前記治具に連結するステップと、
複数の解剖学上のランドマークと結果的に接触するように、第1の部分に対して前記治具の第2の部分を移動させるステップと、
前記少なくとも1つの慣性センサーからのデータに基づいて計算された平面を参照することにより、置換関節のカップ部分を臼蓋窩内に配置するステップと、
を備える、方法。
【請求項41】
前記解剖学上のランドマークは、寛骨臼縁部における又は寛骨臼縁部に隣接する骨盤の腸骨上の位置を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記解剖学上のランドマークは、寛骨臼縁部における又は寛骨臼縁部に隣接する座骨及び恥骨のうちの1つ又は両方上の位置を含む、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記骨盤から大腿骨を分離する前に、前記患者の大腿近位部上の少なくとも1つの解剖学上のランドマークを接触するために、前記治具の前記第2の部分を移動させるステップをさらに備える、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項44】
置換関節のボールを前記置換関節のカップと接続した後で、前記患者の大腿近位部上の少なくとも1つの解剖学上のランドマークと接触するように、前記治具の前記第2の部分を移動させるステップをさらに備える、請求項40~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
各解剖学上のランドマークと接触した後で、直線距離の表示を記録するステップをさらに備える、請求項40及び42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記移動するステップ及び前記位置付けるステップの少なくとも1つの直前に、少なくとも1つの慣性センサーをゼロに設定するステップをさらに備える、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記ゼロに設定するステップは、前記移動するステップ又は前記位置付けるステップのうちの少なくとも1つの前の1分以内に行われる、請求項46の方法。
【請求項48】
その配向が追跡システムによって監視される器具により、臼蓋窩を準備するステップをさらに備える、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
第1の慣性センサーを前記治具の前記第1の部分と連結し、第2の慣性センサーを前記治具の前記第2の部分と連結するステップをさらに備える、請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の慣性センサーは、ユーザーインターフェースを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
股関節置換手術をナビゲートする方法であって、
患者の第1の股関節を手術台上に位置付け、第2の股関節を前記手術台から離れて位置付けるステップであって、前方骨盤平面が直立に配置される、ステップと、
治具を前記第2の股関節に隣接する骨と連結するステップであって、前記治具が、それと連結された慣性センサーを有する移動可能な配向ガイドを備える、ステップと、
前記手術台の平面に実質的に平行である平面において前記配向ガイドを配向するステップと、
前記前方骨盤平面の配向の表示として、前記慣性センサーの前記配向を記録するステップと、
前記慣性センサーの前記配向に基づいて、前記前方骨盤平面の前記配向を参照して人工股関節のカップを前記臼蓋窩内に位置付けるステップと、
を備える、方法。
【請求項52】
慣性センサー及び前記人工関節の前記カップをインパクタに取り付けるステップと、
前記治具に連結された前記慣性センサーからのデータに基づいて、前記臼蓋窩に対するカップを位置合わせするステップと、
を備える、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記配向ガイドと連結された前記慣性センサーを取り除くステップと、
同じ慣性センサーを前記インパクタと連結するステップと、
をさらに備える、請求項52の方法。
【請求項54】
前記治具と連結された前記慣性センサーの移動を防止するステップと、
前記慣性センサーを前記インパクタと連結するステップと、をさらに備え、前記治具と連結された前記慣性センサーからのデータは、前記患者の動きの追跡を可能にする、請求項52の方法。
【請求項55】
前記移動可能な配向ガイドと連結された前記慣性センサーは、傾斜センサーとして構成される、請求項52の方法。
【請求項56】
前記慣性センサーは、ドリフト誤差によって影響されないセンサーに基づいて単独で動作する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記配向の表示は、前記配向の第1の表示であり、
前記臼蓋窩について配置された複数の解剖学上のランドマークと前記配向ガイドのプローブ特徴を接触させることによって、前記配向の第2の表示を確立するステップをさらに備え、
前記接触のポイントは代理の寛骨臼平面を計算するために使用される、請求項51~56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記配向の第1の表示及び前記配向の第2の表示の両方に基づいてカップを位置付けるステップをさらに備える、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
股関節置換手術をナビゲートする方法であって、
後方アプローチ又は後外側アプローチのために患者を位置付けるステップと、
股関節に隣接する骨と治具を連結するステップであって、前記治具がそれと連結された慣性センサーを有するランドマーク取得プローブを備える、ステップと、
患者の状態に基づいて、寛骨臼縁部上に配置された第1の複数のランドマークと寛骨臼縁部から離れて配置された第2の複数のランドマークとの間で選択するステップと、
前記ランドマーク取得プローブが選択された複数のポイントのそれぞれと接触する場合に、前記慣性センサーの配向を記録するステップと、
前記選択された複数のポイントの記録された配向を参照して、臼蓋窩内に人工股関節のカップを位置付けるステップと、
を備える、方法。
【請求項60】
前記第1の複数のランドマークは、前記寛骨臼縁部上に3つのランドマークを備える、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記複数のランドマークは、前記寛骨臼縁部から離れて配置された少なくとも3つのランドマークを備える、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
股関節における手術をナビゲートする方法であって、
前記股関節の少なくとも1つの態様を手術前に特徴付けるステップと、
後方アプローチ又は後外側アプローチのために患者を位置付けるステップと、
前記股関節に隣接する骨と治具を連結するステップであって、前記治具が、それと連結された慣性センサーを有するランドマーク取得プローブを備える、ステップと、
前記ランドマーク取得プローブが複数のランドマークのそれぞれと接触する場合に前記慣性センサーの配向を記録するステップと、
前記ランドマーク取得プローブが前記複数のランドマークのそれぞれと接触する場合に、手術前に記録された前記股関節の特徴付け及び前記慣性センサーの記録された配向に基づいて前傾角度及び傾斜角度のうちの少なくとも1つの推定を参照して臼蓋窩内に人工股関節のカップを位置付けるステップと、
を備える、方法。
【請求項63】
手術前の特徴付けは、X線画像を発生させるステップを備える、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記位置付けるステップは、臼蓋窩について配置された2つの特徴を通じて延在する第1のラインと前記第1のラインに対して横断して延在する第2のラインとの間の角度の計算に基づいて部分的に実施される、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記第1のラインは、A-PのX線により可視とされる寛骨臼切痕の下面を通じて延在する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第2のラインは、前記患者の横断方向の平面に配置された2つの内側-外側ランドマークと交差する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
股関節置換手術をナビゲートする方法であって、
後方アプローチ又は後外側アプローチのために患者を位置付けるステップと、
前記患者の寛骨臼のソケットと治具を連結するステップであって、前記治具は特定の患者の寛骨臼の骨輪郭と密接に結合するように形成された係合面を有し、前記治具は、前記治具がそのように連結される場合に、前記患者の前方骨盤平面に対する所定の配向になるように構成された記録特徴を備える、ステップと、
前記記録特徴と慣性センサーを連結するステップであって、前記慣性センサーが前記前方骨盤平面に対する少なくとも1つの角度を示す信号を発生させる、ステップと、
前記信号に基づく人工関節のカップを配置するステップと、
を備える、方法。
【請求項68】
慣性センサー及び人工関節のカップを備えるインパクタアセンブリを提供するステップと、前記慣性センサーによって発生した信号に基づいて前記前方骨盤平面に対する配向に向けて、前記人工関節のカップを前記臼蓋窩内に進行させるステップと、をさらに備える、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記インパクタアセンブリの前記慣性センサーは、前記記録特徴と連結された前記慣性センサーから分離しており、前記記録特徴と連結された前記慣性センサーに対して移動可能である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記記録特徴と連結された前記慣性センサーは、前記人工関節のカップの進行中に前記患者の動きを追跡し、
前記インパクタアセンブリの前記慣性センサーは、前記記録特徴と連結された慣性センサーに対する前記人工関節のカップの配向における変化を追跡する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
股関節を置換する方法であって、
患者の股関節の一部を形成する肢と追跡可能な部材を連結するステップと、
前記股関節の中立の位置から離れて配置される少なくとも4つのポイントへ前記肢を移動するステップであって、前記4つのポイントは患者の動きの範囲において、少なくとも1つの内側範囲、少なくとも1つの外側範囲、少なくとも1つの前方範囲、及び少なくとも1つの後方範囲を含む、ステップと、
前記移動するステップ中に、前記中立の位置から前記各範囲までの変位を示す、前記追跡可能部材からデータを集めるステップと、
臼蓋窩内に、人工股関節のソケット構成要素を配置するステップと、
大腿近位部内に、前記人工関節の大腿骨構成要素を配置するステップと、
前記ソケット構成要素内に、前記大腿骨構成要素のボールを配置するステップと、
を備え、
前記人工股関節が中立の位置にある場合に、前記ボールの回転中心と前記ソケット構成要素のマウスにおけるステムの重心を接続するステム軸が、少なくとも4つの範囲の間の中央領域にあり、
前記配置するステップのうちの少なくとも1つが、前記中央領域に対する前記ステム軸の位置及び/又は配向の表示を用いて実施される、股関節を置換する方法。
【請求項72】
前記中央領域は、前記4つの範囲のそれぞれの方向における前記4つの範囲の平均的な角変位の小さな割合内にある、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記肢を移動するステップは、前記肢が本来の股関節の回転中心に中心を位置付けられた状態で、少なくとも約360度の円弧を追跡するステップを備える、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
前記中央領域は、前記ソケット構成要素の前記マウスを通じて延在する平面におけるラインによって境界付けられており、前記ラインは、前記ステム軸よりも前記ソケットの前記マウスに近接していない、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記追跡可能部材が連結される前記肢であって、移動される前記肢は、置換されるべき股関節の一部を形成する、請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記追跡可能部材が連結される前記肢であって、移動される前記肢は、置換されるべき股関節に対する反対側の股関節の一部を形成する、請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記追跡可能部材は慣性センサーを備える、請求項71~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記追跡可能部材は大腿遠位部と連結される、請求項71に記載の方法。
【請求項79】
前記追跡可能部材は脛骨遠位部と連結されており、前記肢は、膝の屈曲を最小化させるために支えられる、請求項71に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[先出願を参照することによる組み込み]
外国又は米国の優先権を主張するためのいずれかの出願又は全ての出願は、本願と共に提出された出願データシートで確認されており、この出願は2012年8月14日に提出された米国仮出願第61/683,167号及び2013年2月6日に提出された米国仮出願第61/761,617号を含んでいる。これらの出願は、連邦規則法典第37巻第1.57によって本願に組み込まれる。
【0002】
この出願は、股関節置換の分野に向けられており、特に、外科手術具及び外科手術具と関連して骨の前処理を案内するための方法に向けられる。
【背景技術】
【0003】
股関節置換手術は一般であり、年ごとに一般的になってきている。股関節置換手術とともに存在し続ける一の問題は、人工股関節のカップ構成要素及びボール構成要素の不適切な配置の比較的高い発生率である。例えば、カップ構成要素は、骨盤の臼蓋窩縁部を含む平面との特定の位置合わせにおいて最適に配置される。様々な理由により、複数の患者のうち許容できないほど高い割合の患者は、この平面との位置合わせの範囲外に人工股関節のカップ構成要素を有する。
【0004】
不幸なことに、不整合は、移植手術の一年以内のすぐに股関節の脱臼に導く場合がある。このことは、股関節手術からの回復に何か月も要する場合があるので特に問題となる。最初の移植後すぐに修正を受ける患者は、確実に患者のケアに不満を抱かせ、追加の冗長的な手術を受けるであろう。当然ながら、全ての手術は、ある程度のリスクを持っている。それらの不適切な結果は、患者にとって満足できたものではなく、全体として、健康管理システムにとって役に立たない。
【0005】
また、完全股関節形成術におけるカップ配置において、傾斜角度及び前傾角度は、(2つの上前腸骨棘(ASIS)及び恥骨結合によって形成された平面として規定される)前方骨盤平面に対している。患者が仰臥位である場合に、それらの解剖学上の特徴が可視/触診可能であるのに対して、全股関節置換手術の大部分は、患者が側臥位のいくつかの変形例にある状態で、後外側アプローチを介して遂行される。この場合において、それらのランドマークの多くは、アクセス不可能であり、可視できない。歴史的に、後方アプローチ股関節置換手術のためのナビゲーションは、前方骨盤平面の解剖学上の特徴を記録することによって遂行される。患者が初めに仰臥位であり、この平面がナビゲーションコンピュータによって記録されると、股関節手術を実施するために患者を側臥位に移動させる。それにより、ナビゲーションが直接的に記録された前方骨盤平面に対して実行される。股関節ナビゲーションに対するこのアプローチは、手術の流れにとって次善の方法である。なぜならば、仰臥位から側臥位への患者の余分な動きが、より多くの外科医及びスタッフの時間をとらせ、無菌状態を壊すことを要求し、再度のドレーピングを必要とするからである。このことは、なぜ股関節ナビゲーションが市場の大部分で採用されないかの重要な理由の1つである。
【0006】
さらに、変更された脚長さは、股関節置換手術から生じる一般的な患者の病状であり、股関節置換手術から生じる医療過誤訴訟の一般的な原因とされる。股関節置換手術の一部が、患者の脚長さ及び関節オフセットの正確な測定を要求しており、それらの脚長さ及び関節オフセットが従来の設備を利用して視覚化することが多くの頻度で難しいとされるので、コンピュータ技術を使用してそれらの測定の外科医の能力を改善するための機会が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
股関節置換手術中に患者の解剖学的構造と股関節の構成要素の適切な位置合わせを提供するための改善されたシステム及び方法の必要性が存在する。このことは、例えば別々の解剖学的構造及び/又は複数のポイントを含む平面などの1つ又は複数の解剖学上のランドマークを決めるための技術を含むことができる。このことは、解剖学上のランドマークと人工関節の構成要素の位置合わせを確認するための技術を含むことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一の実施形態において、股関節置換手術をナビゲートする方法が提供される。この方法は、骨盤の一部内に治具の第1の部分を進行させることを含む。骨盤の一部は、いくつかの技術において解剖学上のランドマークである。他の技術においては、骨盤の一部はランドマークではない。少なくとも1つの慣性センサーは治具に連結される。治具の第2の部分は、例えば複数の解剖学上のランドマークと結果的に接触するように第1の部分に対して移動される。このことは、例えば2つ又は3つのランドマークを接触することを含むことができる。置換関節のカップ部分は、複数の慣性センサーの少なくとも1つからのデータに基づいて計算された平面を参照することにより、臼蓋窩内に配置される。
【0009】
他の実施形態において、股関節ナビゲーションシステムが提供される。このシステムは、治具と、第1の慣性ナビゲーション装置と、第2の慣性ナビゲーション装置と、を含む。治具は、例えば解剖学上のランドマークで、股関節上に配置されるように適合されたアンカー部分を有する。この治具はまた、アンカー部分と連結されたランドマーク取得プローブを有する。このプローブは、少なくとも3つの自由度で移動可能とされる。第1の慣性ナビゲーション装置は、骨盤の動きを追跡するために患者の骨盤に固定されるように構成される。第1の慣性ナビゲーション装置は、骨盤に移動不能に接続される。第2の慣性ナビゲーション装置は、ランドマーク取得プローブと連結される。ランドマーク取得プローブは、複数のランドマークと接触するように移動することができる。慣性ナビゲーション装置は、少なくとも部分的に複数の解剖学上のランドマークの位置に基づいて、臼蓋窩の平面の配向を決定する。
【0010】
他の実施形態において、股関節置換手術をナビゲートする方法が提供される。患者の第1の股関節は手術台上に位置付けられ、第2の股関節は手術台から離れて位置付けられ、それによって、前方骨盤平面は直立に(例えば垂直に)配置される。治具は第2の股関節に隣接する骨と連結される。治具は、移動可能な配向ガイドを有する。慣性センサーは、配向ガイドと連結される。配向ガイドは、いくつかの実施形態において記録プローブのアームとされることができる。配向ガイドは、手術台の平面に対して略平行な平面において方向付けられる。慣性センサーの配向は、前方骨盤平面の配向の表示として記録される。前方骨盤平面が垂直である場合に、慣性センサーは、手術台の平面を示すことができ、その手術台の平面は、前方骨盤平面に対して垂直とされる。人工股関節のカップは、慣性センサーの配向に基づいた前方骨盤平面の配向を参照して、臼蓋窩内に配置される。
【0011】
他の実施形態において、股関節手術と関連して配向データを決定するシステムが提供される。このシステムは、データ捕捉モジュール、計算モジュール、及びユーザーインターフェースモジュール、を含む。データ捕捉モジュールは、慣性センサーから慣性データを受け取るように構成される。計算モジュールは、慣性データに基づいて、前方骨盤平面に対する代理の寛骨臼平面(proxy acetabular plane)の1つ又は複数の角度を提供するように構成される。ユーザーインターフェースモジュールは、使用者に配向データを通信するように構成されたユーザーインターフェースを出力するために構成される。1つ又は複数のそれらのモジュールは、1つ又は複数のプロセッサによって実行される。
【0012】
他の実施形態において、股関節置換手術をナビゲートする方法が提供される。患者は、後方アプローチ又は後外側アプローチのために位置付けられる。治具は、股関節に隣接する骨と連結される。治具はランドマーク取得プローブを備え、当該プローブはそれと連結された慣性センサーを有する。患者の状態は評価されることができ、その患者の状態に基づいて、第1の複数のランドマークと第2の組のランドマークとの間で選択が行われることができる。第1の組のランドマークは、寛骨臼縁部上に配置されることができる。複数のランドマークは、寛骨臼縁部から離れて配置されることができる。ランドマーク取得プローブが、選択された複数のポイントのそれぞれと接触状態になる場合に、慣性センサーの配向は記録されることができる。人工股関節のカップは、選択された複数のポイントに対する記録された配向を参照して、臼蓋窩内に位置付けられる。
【0013】
他のアプローチにおいて、股関節上の手術をナビゲートする方法が提供される。股関節の少なくとも1つの態様は、手術前に特徴付けられる。患者は、後方アプローチ又は後外側アプローチのために位置付けられる。治具は、股関節に隣接する骨(例えば骨盤の一部)と連結される。治具は、それと連結した慣性センサーを有するランドマーク取得プローブを有する。ランドマーク取得プローブが複数のランドマークのそれぞれと接触状態になる場合に、この慣性センサーの配向は記録される。人工股関節のカップは、記録された配向並びに前傾角度及び傾斜角度の少なくとも1つの推定を参照して、臼蓋窩内に位置付けられる。それらの角度の推定は、股関節の手術前に記録された特徴付けに基づいていることができる。プローブがランドマークのそれぞれと接触状態にある場合に、記録された配向は慣性センサーの配向とされることができる。
【0014】
他の実施形態において、股関節置換手術をナビゲートする方法が提供される。この方法は、後方アプローチ又は後外側アプローチのために患者を位置付けることを含む。治具は患者の寛骨臼のソケットと連結され、治具は、特定の患者の寛骨臼の骨の輪郭と密接に結合するように形成された係合面を有する。治具は、治具がそのように連結された場合に、患者の前方骨盤平面に対して所定の配向になるように構成された記録特徴を備える。慣性センサーは、慣性センサーが、前方骨盤平面に対する少なくとも1つの角度を示す信号を発生させるように記録特徴と連結される。人工関節のカップは、この信号に基づいて配置される。
【0015】
他の実施形態において、股関節置換手術のための患者特有治具システムが提供される。この治具システムは、係合面と記録特徴とを含む。係合面は、特定の患者の寛骨臼の骨の輪郭と密接に結合するように形成される。記録特徴は、治具が特定の患者の寛骨臼の骨の輪郭と密接に結合するように連結された場合に、患者の前方骨盤平面に対して所定の配向になるように構成される。
【0016】
他の実施形態において、股関節を置換する方法が提供される。この方法は、患者の股関節の一部を形成する肢と追跡可能部材を連結することを含む。この肢は、股関節の中立の位置から離れて配置される少なくとも4つのポイントへ移動する。4つのポイントは、患者の動きの範囲において、少なくとも1つの内側範囲、少なくとも1つの外側範囲、少なくとも1つの前方範囲、及び少なくとも1つの後方範囲を含む。移動ステップ中に、中立の位置から各範囲までの変位を示すデータは、追跡可能部材から集められる。人工股関節のソケット構成要素は、臼蓋窩内に配置される。人工股関節の大腿骨構成要素のステムは、大腿近位部内に配置される。大腿骨構成要素のボールは、ソケット構成要素内に配置される。この方法において、人工股関節が中立の位置にある場合に、ボールの回転中心及びソケット構成要素のマウスにおけるステムの重心を接続するステム軸は、少なくとも4つの範囲の間の中央領域にある。配置ステップの少なくとも1つは、中央領域に対してステムの軸の位置及び/又は配向の表示を用いて実施される。
【0017】
上述したシステムにおいて、慣性ナビゲーション装置は、距離、線形位置、又は角度位置を監視するための1つ又は複数のカメラと置き換えられることができる、又は当該1つ又は複数のカメラによって補足されることができる。
【0018】
上述したシステムにおいて、慣性ナビゲーション装置は、スタイラスなどの器具と連結されたトラッカーの空間位置を決定するための1つ又は複数のカメラと置き換えられることができる、又は当該1つ又は複数のカメラによって補足されることができる。そのようなシステムにおいて、治具は例えば、移動可能部分を必要とすることなく、単純化することができる。
【0019】
本願明細書で議論された方法のいくつかの変形例において、患者のデータは、臼蓋窩の平面などの構成要素の配向の精度を高めるために使用されることができる。患者のデータは、CT、MRI、X線、又は他の手術前の計画データを含むことができる。
【0020】
他の実施形態において、プラットフォームと、カニューレ連結装置と、記録治具取付特徴と、を含む股関節ナビゲーション治具が提供される。カニューレ連結装置はプラットフォーム上に配置され、カニューレがプラットフォームの底面と着脱可能に連結されることを可能にするように構成される。カニューレは、股関節に隣接する骨とプラットフォームを着脱可能に連結するために構成される。記録治具は、プラットフォーム上に配置される。股関節ナビゲーション治具は、記録治具を含む。記録治具は、直立部材と、回転可能部材、及びプローブを含む。直立部材は、記録治具取付特徴でプラットフォームに着脱可能に連結されるように構成される。回転可能部材は、治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ直立部材が略垂直に配置される場合に、垂直ではない軸に関する回転のために直立部材と連結される。プローブは、解剖学的構造と係合するための先端部を有する。解剖学的構造係合先端部は、軸に関する回転のための回転可能部材と連結された細長い本体の遠位端部に配置される。プローブの細長い本体の配向及び位置は、ランドマーク取得処置中に、解剖学的構造係合先端部が複数の解剖学上のランドマークと接触状態になるように調整されることができる。
【0021】
プラットフォームが任意の形状又は構造を有することができるけれども、例えば第1の端部及び第2の端部を含むいくつかの実施形態において細長くなっている。ナビゲーション治具が患者に適用される場合に、第1の端部は下方に方向付けられるように構成されることができ、第2の端部が上方に方向付けられるように構成されることができる。プラットフォームが細長い場合に、カニューレ連結装置は、第1の端部に隣接して配置されることができ、それは、患者に配置される場合に、第2の端部の下方に位置することができる。カニューレ連結装置は、いくつかの実施形態においてプラットフォームの底面と着脱可能に連結されることができる。記録治具取付特徴はプラットフォームの上面に配置され、第1の端部に隣接して位置付けられることができる。また、第1の端部は、手術野にちょうど上方にある下方端部とされることができ、又は、手術野の上方部分における下方端部とされることができる。
【0022】
他の実施形態において、骨係合部分を備える解剖学上の接合面を含む股関節ナビゲーション治具が提供される。解剖学上の接合面と連結される記録治具、例えば解剖学上の接合面と取り外し可能に連結される記録治具も提供される。治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ記録治具が解剖学上の接合面と連結される場合に、垂直ではない軸に関する回転のための回転可能部材が提供される。解剖学的構造係合プローブは、軸に関する回転のための回転可能部材と連結され、且つ、手術中に、プローブが複数の解剖学上のランドマークと接触状態になることを可能にするために、並進移動可能とされる。慣性センサーは、複数のランドマークに関連した配向を示すためにプローブと連結され、プローブが前記複数のランドマークと接触状態になる場合に、センサーは、水平方向に対して異なる配向において配置される。
【0023】
それらの特徴、態様及び利点並びに他の特徴、態様及び利点は、図面を参照して以下に記載される。このことは図示することを意図しているが、本願発明を制限するものではない。図面において、同様の参照符号は、類似の実施形態を通じて一貫して対応する特徴を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】人工股関節の移植の後で、脚長さ及び/又は関節オフセットの測定を図示する、患者に適用された股関節ナビゲーションシステムの斜視図である。
【
図2】
図1のナビゲーションシステムによって人工股関節をナビゲートする方法において使用されることができる、解剖学上のランドマークのいくつかの例を図示する股関節の解剖学的構造のイメージである。
【
図3】第1の解剖学上のランドマーク、この場合患者の骨盤上の腸骨と連結されたナビゲーションベースアセンブリを示す図である。
【
図4】
図3のベースアセンブリと連結された第1の配向検出装置及び第2の配向検出装置を図示する斜視図である。
【
図5】
図1のナビゲーションシステムの複数の配向及び/位置検出装置を同期化させるための技術を図示する、ナビゲーションシステムの斜視図である。
【
図6】大腿骨を切除する前に、大腿骨のランドマークを記録する段階を図示する、骨盤と連結した
図1のナビゲーションシステムの斜視図である。
【
図7】大腿骨骨頭が切除された後の解剖学的構造及びナビゲーションシステムの複数の慣性センサーを同期化させる任意選択的な段階を示す図である。
【
図8】骨盤上の寛骨臼縁部に関して配置された解剖学上のランドマークを記録する段階を図示する図である。
【
図9】骨盤の寛骨臼縁部に関して配置された他の解剖学上のランドマークを記録する段階を図示する図である。
【
図10】臼蓋窩におけるインパクタの初期配置を図示する図である。
【
図11】慣性検知装置を含む人工股関節配置システムを図示する図である。
【
図11A】インパクタアセンブリの実施形態を図示する図である。
【
図11B】インパクタアセンブリの実施形態を図示する図である。
【
図11C】インパクタアセンブリの実施形態を図示する図である。
【
図12】人工股関節のカップ部分の配置をナビゲートする段階を図示する図である。
【
図13】股関節ナビゲーションシステムの他の実施形態の斜視図である。
【
図14】カメラが記録アームの線形位置を記録する状態の
図13のシステムの部分詳細図である。
【
図15】回転方向及び線形位置が、半径方向のスケールを見るカメラによって取得されることができる
図13及び
図14の実施形態の変形例を示す図である。
【
図16】カメラが少なくとも1つの回転位置を追跡することを可能にするために適合された傾斜/回転機構を示すアセンブリの分解図である。
【
図17】後方アプローチの股関節置換手術をナビゲートするために構成された変更システムを図示する図である。
【
図17A】後方アプローチの股関節置換手術をナビゲートするために構成された変更システムを図示する図である。
【
図17B】後方アプローチの股関節置換手術をナビゲートするために構成された変更システムを図示する図である。
【
図17C-1】後方アプローチの股関節置換手術をナビゲートするために構成された変更システムを図示する図である。
【
図17C-2】後方アプローチの股関節置換手術をナビゲートするために構成された変更システムを図示する図である。
【
図18】前方アプローチ股関節置換手術及びそのような手術の様々な態様のために構成された股関節置換ナビゲーションシステムを図示する図である。
【
図19】前方アプローチ股関節置換手術及びそのような手術の様々な態様のために構成された股関節置換ナビゲーションシステムを図示する図である。
【
図20A】前方アプローチ股関節置換手術及びそのような手術の様々な態様のために構成された股関節置換ナビゲーションシステムを図示する図である。
【
図20B】前方アプローチ股関節置換手術及びそのような手術の様々な態様のために構成された股関節置換ナビゲーションシステムを図示する図である。
【
図21A】前方アプローチ股関節置換手術及びそのような手術の様々な態様のために構成された股関節置換ナビゲーションシステムを図示する図である。
【
図21B】前方アプローチ股関節置換手術及びそのような手術の様々な態様のために構成された股関節置換ナビゲーションシステムを図示する図である。
【
図22】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図23】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図24】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図25】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図26】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図27】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図28】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図29】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図30】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図31】カスタマイズされた患者特有の位置付け治具を含む方法の様々な態様を図示する図である。
【
図32】股関節配置手術において患者特有の安全圏を画定する方法を図示する図である。
【
図33】近距離光学的追跡のためのシステムの実施形態を示す図である。
【
図34】ランドマークによってナビゲートすることを含む様々な方法において使用されることができる様々な解剖学上のランドマークを図示する図である。
【
図35】ランドマークによってナビゲートすることを含む様々な方法において使用されることができる様々な解剖学上のランドマークを図示する図である。
【
図36】患者特有のデータを提供することによって、股関節置換手術において位置合わせを高めるように使用されることができる手術前のイメージである。
【
図37】後方アプローチにおいて骨盤に適用された股関節置換手術ナビゲーションシステムの図である。
【
図38】後方アプローチにおいて骨盤に適用された股関節置換手術ナビゲーションシステムの図である。
【
図39】前方アプローチにおいて骨盤に適用された、修正された
図37~38の股関節置換手術ナビゲーションシステムの図である。
【
図40】前方アプローチにおいて骨盤に適用された、修正された
図37~38の股関節置換手術ナビゲーションシステムの図である。
【
図41】ピン固定装置の第1の実施形態を図示する図である。
【
図41A】ピン固定装置の第1の実施形態を図示する図である。
【
図42】ピン固定装置の第2の実施形態を図示する図である。
【
図42A】ピン固定装置の第2の実施形態を図示する図である。
【
図42B】ピン固定装置の第2の実施形態を図示する図である。
【
図43】ピン固定装置の第3の実施形態を図示する図である。
【
図43A】ピン固定装置の第3の実施形態を図示する図である。
【
図43B】ピン固定装置の第3の実施形態を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
股関節の適切な配置の可能性を増加させることによって、患者の結果を改善するために使用されることができる様々なシステム及び方法が以下に議論される。それらのシステムは、慣性ナビゲーション技術、近距離の光学的ナビゲーション、又は、慣性ナビゲーション及び光学的ナビゲーションの組み合わせに焦点を合わせることができる。
【0026】
[I.慣性センサーを使用する股関節ナビゲーション]
以下に記載されたシステム及び方法は、複数の解剖学上のランドマークを参照することに関連して、ナビゲーションを使用して人工股関節の配置を改善することができ、撮像及び手術前の撮像及びランドマーク参照の組み合わせに基づいて手術前の特別に適合された治具を組み込む。それらの股関節置換手術は、カップ又は臼蓋窩の周りの骨上の大腿骨頚部の衝突に起因して、又は人工股関節の次善の配向に関連した他の理由に起因して、脱臼の可能性を最小化させる臼蓋窩内の配向に対する人工股関節を一般的に案内する。様々な技術は、適切な配置の母集団の平均を利用するのに対して、他方は、患者特有の修正を受け入れる。同様に、移植前及び移植後の大腿骨の位置及び/又は配向を記録し、確認するための様々な技術は、本願明細書に議論される。このことは、手術の終りに脚長さ及び関節オフセットを制御するのに役に立つ。
【0027】
[A.複数の慣性センサー及び後方アプローチによる解剖学上のランドマークを参照するための治具を使用するナビゲーション]
現在、多数の股関節置換手術は、後方アプローチから実行される。このアプローチにおいて、患者は、彼又は彼女の側に位置付けられ、前方骨盤平面が垂直に、例えば患者が位置付けられる手術台の平面に対して垂直に方向付けられる。股関節置換手術を実施している多数の外科医は、このアプローチに精通しており、患者がこの位置にある場合に、解剖学的構造の配向に関して高められた革新的な利益をすぐに認識するであろう。
【0028】
[1.後方アプローチ股関節置換手術のための装置及び方法]
図1及び
図4は、股関節ナビゲーションシステム100を示す。この股関節ナビゲーションシステム100は、必ずしも除外する必要はないが、手術前撮像又は以下で議論されるものを除いた他の入力を必要とすることなく、解剖学上のランドマークを参照して股関節手術をナビゲートするように構成される。後方アプローチにおいて骨盤に取り付けられた股関節ナビゲーションシステム100は、
図1に示される。
図4は、関節が脱臼される前であるが、股関節ナビゲーションシステム100が骨盤に取り付けられた後の手術の早期の段階を示す。
図1は、股関節ナビゲーションシステム100が適合される技術のうちのいくつかの変形例の後期を示す。以下にさらに議論されるように、そのような変形例は、大腿骨の相対的な位置及び/又は配向の態様、例えば脚長さ、関節オフセット、及び大腿骨頚部の回転配向を確認するために、関節が置換される前及び後で、大腿骨を記録することを含む。
【0029】
股関節ナビゲーションシステム100は、記録治具104と、位置合わせアセンブリ108と、ランドマーク取得アセンブリ112と、を含む。位置合わせアセンブリ108は、図示した構造において股関節に強固に接続されており、それによって、股関節の動きは、以下で議論されるように、位置合わせアセンブリ108におけるセンサーの対応する動きを引き起こす。この動きを検知することは、股関節ナビゲーションシステム100がナビゲーションにおける誤差の原因として患者の動きを除外することができる。ランドマーク取得アセンブリ112は、最大範囲の制御された動きと、位置合わせアセンブリ108におけるセンサーと共同して、動きを追従することができる最大範囲のセンサーと、を提供する。システム、装置、センサー、及び方法についての追加の詳細は、米国特許第8,118,815号、;米国特許出願第2010/0076505号、及び米国特許第8,057,479号に記載されており、それらは全て、全ての目的のために、全体として参照によって本願に組み込まれる。位置合わせアセンブリ108及びランドマーク取得アセンブリ112におけるセンサーは好ましくは、それらの間でデータを転送しており、いくつかの場合において、Bluetooth(登録商標)、wifi(登録商標)、又は他の標準的なワイヤレステレメトリプロトコルを使用して外部装置及びモニタに無線でデータを転送する。
【0030】
記録治具104は、遠位端部を有する固定カニューレ124を含み、当該遠位端部は、解剖学上の位置又は解剖学上のランドマークもしくは他の選択された位置で骨盤骨へ進行させることができる。図示された技術において、固定カニューレ124は、固定カニューレ124を通じて骨盤上の腸骨内へ駆動されるピン132によって固定される(
図3に見られる)。ピン132の遠位端部128は、
図1に示される。
【0031】
さらに以下に議論するように、固定カニューレ124は、後方アプローチによって、他の技術において他の骨と連結されることができる。例えば、固定カニューレ124は、他の技術において座骨又は恥骨と連結されることができる。いくつかの技術において、固定カニューレ124は、ランドマークではなく骨盤骨に取り付けられる。
図17~
図17Bに関連して以下に議論される股関節ナビゲーションシステム450は、固定部材466が寛骨臼縁部上の最も上方のポイントより上方のポイントで連結されるように使用されることができる。特定の技術において、固定部材466は、寛骨臼縁部上の最も上方のポイントの上方約10mmである。そのような技術において、寛骨臼の周りに配置された3つ又はそれ以上の解剖学上のランドマークは、以下に議論されるように、取得されることができる。固定カニューレ124がランドマークと連結される場合に、2つの追加のランドマークは、以下に議論されるようないくつかの実施形態において取得される。他の変形例において、クランプは、ピン132が固定カニューレ124を通じて骨内に駆動されることを必要とせずに、骨と連結するように使用されることができる。例えば、システム100が固定されるべき領域で骨がより薄くなっている場合、ピンを配置することは不利とされる場合がある。
図2は、座骨上のポイント「A」の下にクランプが使用されることができる領域を示す。ランドマークから離れて固定カニューレ124を取り付ける又は挟持する1つの理由は、股関節を脱臼させる前にランドマークが視認できない又はアクセス可能ではない場合があるからである。臨床医が(以下に議論されるように)大腿骨を参照するためにシステム100を使用したい場合、ランドマークから離れて固定カニューレ124を取り付ける又は挟持することが、必要とされる場合がある。
【0032】
図1は、以下に詳細に議論された、ナビゲートされた股関節移植手術の終りに向けた段階を図示する。いくつかの先行する段階は、以下に詳しく述べるように、置換されるべき関節を除去する段階と、股関節をナビゲートする段階と、人工関節のための移植位置を準備する段階と、関節を配置する段階とを含む。以下にさらに議論されるように、
図1は、それらの段階が適切に実行されることを確認するための技術を図示する。
【0033】
図2は、本願の様々な方法及びシステムに関連したいくつかの解剖学的構造を示す。いくつかの実施形態において、ナビゲーションシステム100は、人工股関節の適切な配置を支援するために、適切な解剖学上の特徴を決めるように構成される。例えば、患者の寛骨臼縁部の少なくとも一部を含む平面は、システム100を使用して位置することができる。実際に、寛骨臼縁部は、骨棘(osteophyte)の発達に起因して平らではない場合がある。つまり、本願に関連して、解剖学上の平面を決めること、例えば平面の推定は、実際の起伏状況(topography)の近似とされることができ、当該平面は、実質的な破片(fraction)、例えば寛骨臼縁部の表面の大部分、又は適切な解剖学上の特徴を推定するいくつかの他の方法を含む。好ましくは、決められた解剖学上のランドマークは、少なくともカップの正確な配置を確認するために、好ましくは完全な人工股関節の正確な配置を確認するために使用される。
【0034】
図2はまた、寛骨臼縁部又は寛骨臼縁部に関連した他の平面を近似するために使用されることができる複数の解剖学上のランドマークの例示を示す。多くの患者において、寛骨臼縁部は怪我、関節炎の進行段階、又は他の状態に起因してうまく画定されていない。それ故に、それらの患者のための寛骨臼縁部を近似することは、システム100において、実際の寛骨臼縁部のほとんど又は全てを参照するが、実際の寛骨臼縁部のほとんど又は全てを含まない場合がある平面を計算することを含む。画定された平面は、寛骨臼縁部に隣接して位置するが、より重要なのは、前方骨盤平面に対して周知の前傾角度及び後傾角度を有することである。例えば、3つのポイントは、寛骨臼縁部の平面を推定するために使用されることができる。一の技術において、
図2に図示された、いくつかのポイント又は全てのポイントは使用される。
【0035】
図2に図示されるように、3つのランドマークは、「A」、「B」、及び「H」で定義される。ランドマーク「H」は、怪我、関節炎の進行段階、又は他の状態に起因して、不規則な骨の成長を避けるのに十分な量だけ、例えば寛骨臼縁部上の最も上方のポイントより1cmだけ上方に寛骨臼縁部から離れて離隔される位置で、腸骨上に位置する。ランドマーク「A」及び「B」は、座骨及び恥骨上にそれぞれ位置することができ、損傷領域/罹患領域を避けるために、寛骨臼縁部から同様に離隔されることができる。それらのランドマークのそれぞれは好ましくは、寛骨臼縁部に十分に近接している。しかしながら、標準的な解放領域、例えば外科的切除によって露出された領域内にあるため、寛骨臼縁部に十分に近接している。使用されることができる他のランドマークは、座骨に対する寛骨臼横靱帯の前方挿入ポイント、寛骨臼切痕の下面の中間ポイント、上前腸骨棘、下前腸骨棘、臼蓋窩及び下前腸骨棘の集合(convergence)、及び、
図34及び
図35に図示された他のランドマークを含む。以下で議論された技術において、腸骨、恥骨、及び座骨の全ては、寛骨臼縁部を決めるために使用される。ナビゲーションシステム100は、データを受け取り、それらのポイントからそれらの(又は他の)解剖学上のランドマークの相対的な位置を決定する1つ又は複数のプロセッサを有する。データは、本願明細書の至る所で議論されるように、複数の慣性センサーによって、又は他の種類のセンサーによって発生することができる。好ましくは、センサーは、携帯式ハウジングに又は当該ハウジング内に取り付けられるのに十分小さく、又は、器具に埋め込まれるのに十分に小さい。
ナビゲーションシステム100は好ましくは、それらのポイントの位置又は適切な配向データを少なくとも一時的に記憶させるために、記録装置も有する。
【0036】
図3は、記録治具104のさらなる詳細及び人工股関節をナビゲートする方法のさらなる態様を示す。ピン132の近位端部は、プラットフォーム136と連結される、又はプラットフォーム136の上方に配置される。このプラットフォーム136は、位置合わせアセンブリ108及び/又はランドマーク取得アセンブリ112と連結するように構成される。
図1に示されるように、プラットフォーム136は、位置合わせアセンブリ108及びランドマーク取得アセンブリ112の両方に同時に接続されることができる。プラットフォーム136は、図示した実施形態において、ピン132及び/又はカニューレ124の近位端部に固定された剛体バーを備える。プラットフォーム136は、複数の取付特徴140A及び140B、例えば、プラットフォームの2つの横方向端部144A及び144Bのそれぞれにおける取付特徴を含む。取付特徴140Aは、位置合わせアセンブリ108に対する回転しない取付を可能にするために構成される。
【0037】
図3は、記録治具104が左側及び右側股関節手術で使用されるように構成されること、例えば、各股関節のための専用取付特徴140Aを有することを図示する。好ましくは、取付特徴140Aは、治療されるべき股関節から離れて離隔されたポストを提供しており、それによって、位置合わせアセンブリ108は、可能な限り股関節から遠くに離れて取り付けられることができる。
図5は、このポスト及び露出された他のポスト上の位置合わせアセンブリ108を示す。露出されたポストは、
図5に図示された股関節の手術中に使用されない。しかしながら、患者の他の股関節が治療される場合に、プラットフォーム136は反対向きとなり、
図5において露出されたポストは、位置合わせアセンブリ108と連結されるであろう。もう1つの方法で述べると、プラットフォーム136の長手方向軸は、2つの取付ポストの間で延在しており、2つの取付ポストのそれぞれは、患者の内側-外側の中央平面の一方の側での股関節に専用とされることができる。
【0038】
取付特徴140Bは、ランドマーク取得アセンブリ112の回転取付を可能にする。例えば、取付特徴140Bは、回動可能に取り付けられた治具148を含むことができる。当該治具148は、以下に議論されるように、配向検知装置と結合するように構成された自由端部まで上向きに突出している。この治具148は、例えば細長い部材224などの、以下に議論されるような記憶アームが異なる高さで複数のランドマークと接触するように、下向きに傾斜されることを可能にする。
【0039】
一の技術において、記録治具104は事前組立されており、適切な解剖学上のランドマーク内、例えば腸骨内で駆動される。他の技術において、アンカー治具は、取得されるべきランドマークからオフセットされて取り付けられることができる。腸骨は、従来の手段によって、例えばX線検査法によって、又は、切除し、骨盤を視認検査することによって、前もって確認されるであろう。一の技術において、カニューレ124、ピン132、及びプラットフォーム136は分離可能であり、それによって、その後になってピンは配置され、プラットフォーム136は、ピンに連結される。カニューレ124は、様々な変形例において他のランドマークと連結されることができる。
【0040】
図4は、様々な技術のさらなる段階を図示する。例えば、位置合わせアセンブリ108は、取付特徴140Aと連結されることができる。一の実施形態において、位置合わせアセンブリ108は剛体延在部160を含み、当該剛体延在部160は、取付特徴140Aに着脱可能に取り付けられるように適合される。剛体延在部160は、第1の端部164及び第2の端部168を有する。第2の端部168は、外科的配向装置172に着脱可能に取り付け可能であり、当該外科的配向装置172は、基準座標系に対して外科的配向装置172の配向及び回転を検出する。外科的配向装置172は好ましくは、少なくとも1つのソースのないセンサー(sourceless sensor)、例えば加速度計、ジャイロスコープ、それらのセンサーと他のセンサーとの組み合わせを備える。一の好ましい実施形態において、配向装置は、重力に対する配向を検出するための3軸の加速度計と、回転を検出するために複数のジャイロスコープと、を含む。他のセンサーは、様々な変更において使用されることができる。具体的なセンサーの組み合わせの例は、数ある中でも、アナログデバイス社のADIS 16445及びインベンセンス社のMPU-6050又はMPU-9150を含む。他のアプローチにおいて、配向装置172は使い捨てとされてもよく、それに故に、センサーは好ましくは、より安いセンサーとされる。ランドマーク取得アセンブリ112上のセンサーは、いくつかの構造において再利用可能であり、それに故に、より高価で、より頑丈な又はより正確なセンサーを組み込んでもよい。
【0041】
着脱可能な延在部の第1の端部164は、様々な機能を提供する。第1の端部164は、確実な方法であるが剥離可能な方法で取付特徴140Aを係合するための装置を有する。剛体延在部160とプラットフォーム136との間の係合は、ナビゲーション手術中に任意の機械的な相対的な動きを避けるために、それらの間の相対的な動きを最小化し、又は妨げる。それによって、配向装置172の動きは、股関節の動きに対応する。第1の端部164はまたドッキング装置を有し、当該ドッキング装置は、以下にさらに議論されるように、配向装置172に対してランドマーク取得アセンブリ112を位置付けるために、安定した且つ制御された方法を提供する。
【0042】
図4はまた、ランドマーク取得アセンブリ112が、例えば取付特徴140Bで、プラットフォーム136にしっかりと連結されることができることを図示する。一の実施形態において、ランドマーク取得アセンブリ112は、ジンバル型治具200と、配向検知装置204と、を含む。ジンバル型治具200は、プラットフォーム136の取付特徴140Bと着脱可能に連結するためのカプラー208を含む。このカプラー208は、スライド支持部212に回動可能に接続される。スライド支持部212は、細長い部材224のスライド可能な延在を可能にするスロットを含む。このスライド可能な延在は、細長い部材の遠位端部228の動きの範囲が複数のランドマークの取得を容易にすることを可能にし、これらのランドマークは、以下にさらに議論されるように、カニューレ124の取付位置から異なる距離にある言い換えると、遠位端部228はスライド支持部212の軸から離れて延在されることができる、又はスライド支持部212の軸に近接する位置まで後退させることができる。
【0043】
図4及び
図6は、2つの位置の間でプラットフォーム136に対するランドマーク取得アセンブリ112の可動性を図示する。
図4において、細長い部材224は、延在部160の第1の端部164から離れて遠位端部228を移動させるように、カニューレ124の長手方向軸に対して平行とされることができる軸回りに揺動される。これは、ジンバル型治具200の可動構造とされる。カプラー208とスライド支持部212との間の回動連結によって可能とされた回転に加えて、回動可能に取り付けられたジョイント148は、細長い部材224がカニューレ124の軸に対して平行ではない軸回りに回動することを可能にする。ジョイント148の回転軸は、スライド支持部212の回転軸に対して垂直とされることができる。この回転可能性は、細長い部材224の遠位残部228が、上記で議論されたように、解剖学上のランドマークと接触するまで下がって回動することを可能にする。さらに、上記で議論されたような、スライド部材212内における細長い部材224のスライド可能性は、同一平面における解剖学上のランドマークに到達するが、カニューレ124又はピン132の遠位端部に近接するように、又は当該遠位端部からさらに遠くなるように遠位端部228が移動することを可能にする。
図6は、より高い高さで又はより近い位置で、例えば大腿骨の外側側面上で、複数のランドマークを参照するためのプラットフォーム136に近接して位置付けられた細長い部材224の遠位端部228を示す。
【0044】
図4はまた、遠位端部228が傾斜した長さを含み、当該傾斜した長さは、細長い部材224が、記録されている解剖学上のランドマークに隣接する高さで、小さな不規則性を避けることを可能にすることも示す。そのような不規則性は、通常の解剖学的構造とされる場合があり、あるいは、骨棘又は様々な種類の不規則な骨成長とされる場合がある。
【0045】
図5は、ランドマーク取得アセンブリ112の停止構造260を図示する。特に、細長い部材224の一部は、直立延在部160の第1の端部164で配置されたラッチ262内に移動される。停止構造260は、ナビゲーションシステム100が、いくつかの慣性センサーで混合することができる誤差を管理することを可能にする。例えば、一の実施形態において、配向装置172及び配向検知装置204におけるジャイロスコープセンサーは、安定した周知の配向が検出される場合に、同期化されることができる。そして、1つ又は複数のジャイロスコープ、例えば配向検知装置204のジャイロスコープは、条件が満たされた後にゼロに設定されることができる。停止構造260に採用されるさらなる技術は、以下にさらに議論されるであろう。システム450と関連して以下にさらに議論されるように、いくつかの治具は、アンカー治具の遠位端部又は骨接続部位に隣接する記録ポイントを有する。システム450は、一のモードにおいて配向検知装置204で動作している加速度計のみに基づいたランドマークの正確な取得を可能にする。そのようなモードにおいて、記録特徴は、例えば、システムにおいて検知装置の精度を高めるために、停止構造に類似機能を提供することができる。
【0046】
システム100の停止構造の他の例示が提供されることができる。例えば、停止構造は有利には、実質的に相対的な動きがないので、配向装置172及び配向検知装置204を安定的に位置付け、且つ保持する能力を含む。1つのアプローチにおいて、配向検知装置204は、剛体延在部160に取り付けられる。他の配置構成は、剛体延在部160に隣接してプラットフォーム136上の取付ポストを含むことができる。
【0047】
誤差管理が問題とならない場合に、停止構造260は、外科手術の分野において望まれていない揺れ又は他の動きを防止するのになお有益とされることができる。
【0048】
一の基本的な方法において、上述された治具は骨盤骨に接続され、システム100は停止構造260となり、センサーは初期化される。初期化は、少なくとも2つのセンサーを同期化することを含むことができる。いくつかの場合において、初期化は、1つ以上のセンサーをゼロに設定することを含むことができる。これに関連して、「ゼロに設定する」は、システムにおける蓄積された誤差を除外する方法、センサーのリセットの任意の形態を含む方法、及び/又は、一の装置で、他の装置からのデータが少なくとも一定の期間、信頼できることを確認する方法を含む広い用語である。
【0049】
図6は、股関節置換手術と関連して大腿骨のランドマークを取得する任意の段階を図示する。股関節は、中立の屈曲/外転位置に位置付けされる。ランドマーク取得アセンブリ112は、例えばプラットフォーム136及び大腿近位部のランドマークから比較的短い距離に適応させるために、スライド支持部212をスライドすることによって、細長い部材224が移動した状態での引込構造266とされる。一の技術において、遠位端部228の先端部は、大転子の一部又は大体近位部上のその他の部分と接触状態になる。ランドマークが発見及び/又は接触された後で、臨床医は、大腿骨Fm上に、ボビーマーク(bovie mark)、ペンによるマーク(pen mark)、縫合糸、又は他の耐久性のある表示などのマークを付けることができる。遠位端部228の先端が所望のランドマークと接触すると、ナビゲーションシステム100は、1つ又は複数のセンサーからのデータを処理し、配向検知装置204における1つ又は複数のセンターの配向を記憶させる。さらに、いくつかの実施形態において、細長い部材224には、例えばカニューレ124に対して、又は、患者又はシステム100の他のいくつかの適切な固定特徴に対して、細長い部材224の先端の位置を示すスケール226が設けられている。臨床医によって読み取られるべきスケール226を提供することによって、システムは単純化され、費用効率が高くなる。
【0050】
図6に図示される任意の段階の後で、大腿近位部は、それに本来のボールを取り除くために切除されることができる。
【0051】
図7は、一の有利な技術において、使用者がシステム100を停止構造260に戻すことを図示する。この段階は任意選択的に、大腿骨の切除のタイミング及びセンサーに応じている場合がある。この位置において、配向検知装置172及び204におけるセンサーは再び初期化されることができる、例えばゼロに設定されることができる。上記で議論されたように、これは、いくつかの慣性センサーにおける誤差の蓄積を最小化するための一の技術である。この任意の段階を提供することによって、安価なセンサーは使用されることができ、これにより、システム100が非常に正確な股関節置換を実現することを可能にするとともに、患者、医療機関、及び健康管理システムにとって費用を一般に管理するのを手助けする。
【0052】
図8は、大腿近位部の切除後に第2の解剖学上のランドマークが取得される又は参照される段階において提供された第1の延在構造264を図示する。特に、細長い部材224は延在されることができ、適切なランドマークと接触状態になるように治具148によって回転されることができる。一の技術において、接触は遠位端部228と座骨との間で行われる。最大限の精度を提供するために、この接触は、短期間内に、例えば停止構造260から解放された20秒間の間に提供される場合がある。接触が行われると、システム100は、検知装置204の配向を記憶させるように構成される。一の構造において、配向は、配向装置172上のボタン又は他の直接的な手段が押された後で記憶される。配向を取得することに加えて、位置の値は、システムに入力される。例えば、細長い部材224上のスケール226は使用者によって読み取られることができ、そのスケールの値はシステムに入力される。スケール226が読み取られ、使用者によって入力される一の技術において、配向装置172は、そのような変数を入力するための入力装置を有するユーザーインターフェースを有する。図面において見られ得るように、スケール226は実際に、2つの異なるスケールとされることができ、それらの2つのスケールは、引込構造266及び延在構造のそれぞれのために使用される。代替的には、スケール226は、
図13及び
図14に示されるように、臨床医又はシステムによって読み取られることができる位置のより広い範囲を提供するために、細長い部材224の全長に亘って延在することができる。
【0053】
延在構造264は、細長い部材224の遠位端部228が、患者の内側の頭側-尾側の平面と骨盤の臼蓋窩との間に位置した解剖学上のランドマークと接触するように構成されるものである。
【0054】
使用したセンサー及び
図8のランドマーク取得段階のタイミングに応じて、使用者はシステム100を停止構造260に戻すことができ、再びシステム100を初期化する、ゼロに設定することもできる。
【0055】
図9は、大腿近位部の切除の後で、第3の解剖学上のランドマークが取得される又は参照される段階で提供される第2の延在構造272を図示する。第3の解剖学上のランドマークはいくつの技術において、第2の解剖学上のランドマークより前に取得されることができる。第2の延在構造において、細長い部材224の遠位端部228は、恥骨などのランドマークと接触するように移動される。最大限の精度を提供するために、この接触は、短期間内に、例えば停止構造260から解放された20秒間の間に提供される場合がある。接触が行われると、システム100は、検知装置204の配向を記憶させることができる。配向は、ボタン又は他のユーザーインターフェース装置を押すことによって記憶されることができる。いくつかの技術において、配向及び位置は、システムに入力される。例えば、細長い部材224上のスケール226は使用者によって読み取られることができ、スケールの値はシステムに入力される。スケール226が読み取られ、使用者によって入力される一の技術において、配向装置172は、そのような変数を入力するためのユーザーインターフェースなどの入力装置を有する。
【0056】
延在構造272は、細長い部材224の遠位端部228が、臼蓋窩の前側に位置した解剖学上のランドマークと接触するように構成されるものである。
【0057】
複数のランドマークが取得されると、システム100は、ピンが適切なランドマークに取り付けられた場合に、カニューレ124の取付位置の挙動(bearing)を含む3つのランドマークの挙動(bearing)を決定することができる。システムは、それらの3つのランドマーク(又は、他の方法において、他のグループの3つ又はそれ以上のランドマーク)を含む平面に対して配向装置172の配向を計算することができる。このことから、様々な後処理が実施されることができる。例えば、配向(前傾及び/又は外転)は、骨盤の解剖学上の基準平面から、それらの3つのランドマーク(又は、使用される場合に、他の3つまたはそれ以上のランドマーク)を含む平面の配向を知る手段に基づいて調整されることができる。
【0058】
システム100の一の変形例は、使用者が、上記の計算における使用のためのランドマークの複数のセットの間で選択することを可能にする。上記で議論された方法は、寛骨臼縁部からの3つのポイントの使用を利用する。それらのポイントは、病気又は変形に起因する場合がある寛骨臼縁部における局所的な突起によってより少ない影響を与えられる。それ故に、それらは、手術中の計画的ではない作業を必要とする低い可能性を有する。一方、ランドマークの他のセットは、寛骨臼縁部が変形から解放されるように選択されることができる。このことは、手術前に確認される場合がある。例えば、2つまたは3つのポイントは、ランドマーク取得のために寛骨臼縁部上で選択されることができる。寛骨臼縁部上のランドマークは、それらが小さな切除を通じてアクセスすることを容易にする点で有利である。例えば、寛骨臼縁部上のポイントは、寛骨臼横靱帯の後方挿入の中心、寛骨臼横靱帯の前方挿入の中心、及び、寛骨臼縁部上の最も上方のポイントを含むことができる。1つ又は複数の寛骨臼以外のランドマークを含む解剖学上のランドマークのグループは、腸骨(記録治具104又は他のアンカー部材が挿入されることができる)、座骨の寛骨臼溝における最下ポイント、及び、上方骨盤枝(superior pelvis ramus)の突起を含むことができる。
【0059】
いくつかの技術は、第4のポイントを参照することを含む。第4のポイントは、患者特有の記録のいくつかの形態と関連して使用されることができる。第4のポイントは、寛骨臼以外とされることができる、又は、寛骨臼縁部上に配置されることができる。解剖学上のランドマークの例は、寛骨臼切痕とされる。例えば
図34及び
図35に関連して他のランドマークは本願明細書で議論される。
【0060】
後方アプローチシステムは、寛骨臼縁部上のポイントと寛骨臼縁部以外のポイントとの間の手術中の選択を可能にするように有利に構成される。例えば、寛骨臼縁部は、手術前に変形がないように見えるが、露出された場合に手術前の状態と違った状態を示しており、外科医は、寛骨臼縁部ではないランドマークのセットを選択することができる。
【0061】
検知された複数のランドマークと、前方骨盤平面又は臼蓋窩の角度などの計算された解剖学上の特徴の位置との間の関係の精度を高めるための様々な技術は、採用されることができる。例えば、治療されるべき股関節が患者の左側であるか又は右側であるか、及び、患者が男性であるか又は女性であるかを示す使用者の入力は、集められることができる。モデルのより正確な推定は、研究グループの特徴付けに基づいて提供されることができる。例えば、30歳以上の患者のグループの股関節は、一のアプローチでアクセスされることができる特徴と、アクセスされることができないより外科的な関連の解剖学上の特徴との間の対応を確認するように研究されることができる。対象のグループは、性別、年齢、体重、身長、又は関連のある人々における他の変化するものなどの複数の人口統計学の特徴について研究されることができる。それらのサブグループにとって、測定されたパラメータと測定されることができないが知ることが望ましいパラメータとの間の相関性又は変換が、生じることができる。そのような相関性又は変換が確立されると、測定した特徴を測定することができないが有益な特徴へ変換することが、プロセッサ上のソフトウェアを操作することによって達成されることができる。このソフトウェアは、1つ又は2つの角度、例えば、代理の寛骨臼平面などの記録された骨盤平面に基づく傾斜及び前傾を計算するようにプログラミングされることができる。そのようなシステムは、股関節のソケット構成要素を配置する際に、解剖学的構造に対する、例えば寛骨臼に対するフリーハンドの器具の角度をリアルタイムで発生させるように使用されることができる。
【0062】
さらに、手術前の撮像又は位置(以下に議論される)の使用からのデータは、それらの計算の精度を高めるために使用されることができる。それ故に、後方アプローチシステムは好ましくは、配向装置172上のボタンを作動させることによって、フラッシュメモリー装置などの補助的なデータ記憶装置をシステムに接続することによって、又は、数ある中でもWifi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)、インターネット接続を含むシステムとの他の通信手段によって、使用者が直接的に入力するように構成される。
【0063】
いくつかの技術において、本願に記載された後方アプローチシステムは、股関節置換において、適切な脚長さ及び関節オフセット結果を決定し、監視し、且つ確認するように適合される。例えば、システム100は、脚長さ測定基準の成分、例えば上方-下方の軸(脚長さ)に沿ったベクトル及び/又は内側-外側の軸(オフセット)に沿ったベクトルを計算し、且つ記憶させることができる。一のアプローチにおいて、装置172は、大腿骨が手術前及び手術後の同一の位置にある場合を示すディスレイを有する。例えば、それは、脚長さにおける変化を引き起こす変位がないことを意味する「ゼロ(0)」を示すことができる。「ゼロ(0)」とは、手術前及び手術後の患者の頭側-尾側の中央平面からさらに離れる大腿骨の移動がないことを示す。向上した精度にとって、複数のポイント、例えば3つのポイントは取得してマーク付けされることができる、及び/又は、大腿骨にマーク付けされることができる。これらのポイントは、増大した精度を提供するのに十分な量だけ離隔されることができる。それらのポイントは、外転、回転、及び屈曲における大腿骨の適切な配置を確認するために使用されることができる。
【0064】
一の改善は、股関節を移植した後で大腿骨が適切に回転して位置付けられることを保証するために、大腿骨頚部を参照することを含む。例えば、大転子などの大腿骨の特徴が、大腿骨骨頭の回転中心を通じて延在する軸であって、臼蓋窩の平面に対して垂直である軸に対して同じ回転配向に存在することを確実にすることが、所望される場合がある。移植後における実質的に変化しない回転配向を保証するために、システム100は、移植前及び移植後の大腿骨頚部上の1つ又は複数のポイント、例えば3つポイントを記録することができる。(
図18~
図21に関連して以下に議論される)後方アプローチ又は前方アプローチのいずれかから使いやすい3つのポイントは、大転子、小転子、及び、外閉鎖筋の挿入とされる。
【0065】
前述したものは、ナビゲートされた股関節置換手術において有益である様々なパラメータを決定し、且つ記憶させるために使用されることができるいくつかの段階である。それらの段階のいくつか又は全てが実施された後で、一の実施形態において、臼蓋窩は、カップを受容するために準備されることができる。例えば、臼蓋窩は、従来の方法で広げられることができる。いくつかの実施形態において、リーマーは、リーミング加工を案内するために慣性センサーを含む配向装置と連結されることができる。これは、2010年3月25日に発行されたUS2010/0076505号においてある程度詳細に議論される。この文献はこの目的及びそこにおける全ての開示のために、その全体を参照することによって本願に組み込まれる。
【0066】
図10は、リーミング後に、インパクタ300が人工股関節のカップを配置するために使用されることができることを示す。インパクタハンドル304は、おおよその正確な配向において位置付けられることができる。例えば、インパクタの長手方向が上方でナビゲートされた平面又はナビゲートされた平面に基づいて決定された平面に対して垂直に配置される。
図10は、システム100が停止構造260とされる場合にその最初の配置が行われることを示す。インパクタ300は、視覚的検査に基づいて、この時点で実質的に位置合わせされることができる。
図10において図示される段階の一部として、又は、その後すぐに、センサーは、上記で議論したように、初期化されることができる、例えば、ゼロに設定されることができる。
【0067】
図11は、その後の段階において、配向検知装置204が細長い部材224の近位端部230から切り離され、その後インパクタ300に連結されることができることを示す。好ましくは、この段階は、適切な位置合わせに近接してインパクタ300が股関節上の適所に配置される間に実施される。他の実施形態において、配向検知装置204に類似する第3の検知装置は、インパクタと連結されることができ、例えばインパクタに事前に取付されることができ、上記で集めたデータが第3の装置へ転送される。インパクタ300及び検知装置204は、カップ配向ナビゲーションシステムを含む。好ましくは、インパクタ300は円筒状のシェル312を有し、その円筒状のシェル312はハンドル304の内部シャフト316に対して移動可能である。シェルはドッキング装置320を有し、そのドッキング装置320は検知装置204のドッキング装置を受容することができる。シェルの可動性は、インパクタ300を通じて伝えられた力から検知装置を分離するのを支援する。それらの力は、マレット(mallet)又は、カップを適所に強制的に移動させるための他の装置によって適用される。シェル312と検知装置との間に少なくともいくつかの力分離(force isolation)を提供することによって、検知装置204におけるセンサーのインパクトは、減少されることができる。検知装置204に適用された過度の力は、例えば、装置172と同期化するまで、検知装置204を非稼働にさせることができる。
【0068】
図11Aはインパクタ300Aのさらなる実施形態を図示する。このさらなる実施形態において、シェル312Aの移動が複数のばね部材340、344によって緩和され、これらのばね部材340、344がインパクタ300Aのインパクトの衝撃の少なくともいくつかを吸収するように構成される。インパクタ300Aはまた、複数の股関節人工関節のいずれかに適するために修正されるように構成される。例えば、複数の先端構成要素348は、各先端構成要素がインパクタ300Aのシャフト316Aの遠位端部に取り付け可能であり、且つ当該遠位端部に着脱可能であるキットにおいて提供されることができる。
【0069】
図11B~
図11Cは、インパクタ300Aの遠位特徴の詳しい詳細を示す。特に、先端構成要素348は、インパクタ300Aのシャフト316Aから取り外し可能である。
図11Cは、先端構成要素348が、その近位側部に形成された凹部352と、その遠位側部に形成された係合装置356と、を有することができることを示す。凹部352は、シャフト316Aの遠位端部上の複数の平坦部350Bに対応する複数の平坦部350Aを備えることができる。複数の平坦部は、シャフト316Aの遠位端部上における凹部352の近位-遠位のスライドを可能にする。好ましくは、戻り止め装置又は他の機構は、先端構成要素348とシャフト316Aとの間に設けられており、それ故に、先端構成要素がシャフトから落下しない。これらの平坦部は、先端構成要素348がシャフト316Aに対して回転することを防止する。係合装置356は、一の実施形態におけるねじ山を備え、それによって、人工股関節のカップ360は、先端構成要素348の遠位端部にねじ止めされることができる。シャフト316A上の先端構成要素348のスライド係合は重要である。なぜならば、インパクタ300Aが様々な製造者の人工股関節とともに使用されるように意図されるからである。多くの場合、カップ360は、準備された臼蓋窩にカップを固定するための孔パターンを有するであろう。この準備された臼蓋窩は、製造者に特有であり、且つ解剖学的構造によって要求される。それらの平坦部は、シャフト316Aに対する先端構成要素348(それ故に、カップ360)の多くの個別の交互に起きる相対的な角度位置(discrete alternate relative angular positions)を可能にする。先端構成要素348の外側表面上の複数の溝部又は長い軸方向のリッジ346は、シャフト316A上に先端構成要素を取り付けるために、且つ当該先端構成要素を取り外すために、使用者が、先端構成要素を確実に把持することを可能にする。
【0070】
図12は、解剖学的構造に隣接する
図11A~
図11Cのカップ配向配置ナビゲーションアセンブリを示す。この図面はまた、フリーハンドナビゲーション構造274を図示する。このナビゲーション274構造において、少なくとも配向装置172及び204が互いに対して6度の動きを可能にする。
図11A~
図11Cの変形例のいずれかは、図示において代わりに用いられることができる。特に、ハンドル304は、所望されるように配向される。一の実施形態において、システム100は、上記で議論したように取得される、ナビゲートされた平面に対するカップの角度をリアルタイムで表示する。表示されることができる角度は例えば、前傾及び外転のうちの1つ又は複数を含む。好ましくは、臨床医は、短い一定時間内に、例えば約20秒間以内に、カップの位置を確認することができる。一の実施形態において、表示された角度は、約40度の外転と約20度の前傾によって調整されることができる。それらの角度は重要ではなく、それらは足の動きの範囲に関連する。外転及び前傾における動きがそれらの角度のいずれかの側面に延在するので、それらの角度に近接することは好ましい。本願で議論されたシステムが、通常それらの角度の10度以内として記載される、それらの角度に近接する「安全圏」における患者の割合を増加させることができると考えられる。対照的に、研究は、従来の技術が、「安全圏」の外側の複数の患者のうちの50%に近接して影響を及ぼすことを示す。
【0071】
センサー及び
図12のカップ配置ステップのタイミングに応じて、使用者は、検知装置204を細長い部材224に再び取り付けることができ、システム100を停止構造260に戻すことができ、またシステム100を初期化又はゼロに設定することができる。
【0072】
システム100は、手術台の角度に対する手術前及び/又は手術後の角度の推定を提供するように構成されることができる。後方アプローチにおいて、患者は彼又は彼女の側に配置される。このアプローチにおいて、手術中にシフトするために患者の位置のためのより多くの機会が存在する。一の実施形態において、位置合わせロッドは、検知装置204と連結されることができ、手術台の平面と位置合わせされることができる。そのように位置合わせされる場合に、検知装置204の配向は、システムに記録される。手術における後期において、一又は複数の角度は、骨盤が移動しない仮定に基づいて計算され、使用者に表示される。そのような後期の段階で、検知装置204の配向は、患者が移動したかどうかについての情報を提供するために、手術に対して再び確認されることができる。移動がないとの仮定が崩れるような著しい移動が起こった場合に、いくつかのランドマーク取得段階又は全てのランドマーク取得段階は、繰り返されることができる。代替的には、骨盤の移動は、検知装置によって追跡されることができ、訂正されることができる。ランドマーク取得による手術台の配向を組み込む方法は、以下により詳細に議論される。
【0073】
使用者は、大腿近位部において置換股関節の人工関節ボールを配置し、その後、カップ内にボールを配置することができ、」上記で議論したような技術を使用して適切に方向付けられる。
【0074】
図1は、その後、使用者がシステム100を使用して配向及び/又は脚長さを任意選択的に確認することができることを示す。組み立てられた人工股関節を有する脚は、中立の屈曲、及び/又は外転、及び/又は回転位置に配置される。取得アセンブリ112は、引込構造266で配置されることができる。細長い部材224の遠位端部228は、
図6において取得された同一のランドマークとされてもよいランドマークと接触する状態になることができる。このランドマーク(例えば、ボビーマーク)との接触が行われると、検知装置204の配向は、システム100によって決定される。また、細長い部材224のスケール226によって示された距離は、上記で議論したような方法(例えば、手動で、又は検知により)のいずれかでシステムに入力される。システム100はその後、S-I軸(脚長さ)又はM-L軸(オフセット)に沿ったベクトルの成分を計算することができる。
【0075】
脚長さ及びオフセットが手術後に決定されると、それらは、股関節置換手術を完成させる前に調整を行うべきかどうか外科医に知らせるために、手術前の測定(
図6)と比較されることができる。
【0076】
図13及び
図14は、上記で議論した複数の特徴のいずれかを含むことができる股関節ナビゲーションシステム400の他の実施形態を示す。さらに、システム400は、一の構造においてフリーハンド配向装置204Aを取り付けるように使用されることができるフリーハンドセンサーマウント404を含む。フリーハンド配向装置204Aは好ましくは、本願明細書の以前に記載した慣性センサーと同様の慣性センサーを含む。配向装置204Aは好ましくは、カメラ412も含む。視野は、フリーハンド配向装置204Aのベースから下向きに投影している円錐によって図示される。
図14は、視野がスライド支持部420における窓418を含むことを示す。窓418は、スケール225がその窓418を通じて見られることを可能にする。
【0077】
股関節置換手術は、露出した組織の実質的な量及び血液の実質的な量と共に開かれた手術野を含むので、スケールに対するカメラ412の視野方向は、遮られた状態になる場合がある。一の実施形態において、フードは、窓418の上方に設けられる。フードは、血液及び組織の大部分を、カメラがスケールを見る空間の外側に維持する。さらに、スクラバー構成要素、例えば薄いゴム製部材は、組織又は流体が視野内に横方向から入ることを防止するために、(以下に議論するように)スケール226及び226Aの上方に設けられることができる。
【0078】
システム400における一の利点は、カメラ412が窓418を通じて捕捉された画像を自動的に加工することができ、それによって、スライド支持部420に対して細長い部材224の位置を決定することができることである。これのさらなる利点は、ナビゲーション工程から一の段階を除外すること、例えば、システム400に長さ寸法を入力する必要性を除外することである。段階の除外は、時間を減少させることができ、及び/又は、手術室における人数も減少させることができる。また、カメラ412は、臨床医によって読み取られることができる解像度よりも非常に高い解像度を読み取るように構成されることができる。このことは、システム全体においてより高精度を提供することができる。それだけではなく、カメラは、位置を読み取る際にわずかに間違えるように、又は全く間違えないように構成されることができる。このことは、結果全体を改善することができる。例えば、小型カメラは、JPEG形式又は他の画像形式のデータを生み出すことができ、配向装置172及び204Aのうちの一方又は両方におけるプロセッサが細い部材224の線形位置を抽出するように処理することができる。
【0079】
さらに変更された実施形態は
図15に記載される。この実施形態は、細長い部材224の下の構造に位置付けられることができる弓状のスケール226A、例えば、ページの外へ延在する軸に対して回転可能に固定された配向装置204Aの下の構造に位置付けられることができる弓状のスケール226Aを示す。
図16は、この配置構成を有する一の構造を示す。回動部440は、スライド支持部420がページの上向きに延在する軸に関して回転することを可能にする。回動部440がこの上向きに延在する軸に固定されるけれども、それは回動部440に関して回転することができる。細長い部材224における窓418Aは、回動部440の弓状の特徴又は円盤状の特徴に配置されたスケール226Aを見るために、カメラが支持部を通じて見ることを可能にする。スケール226Aは、細長い部材224の回転位置の精密測定を提供するために、カメラ412又は第2のカメラによって読み取られることができる。これは、配向装置204Aにおける複数のセンサーのうちの1つが除外される、又は作動させないことを可能にすることができる。他の実施形態において、スケール226Aから得られたカメラデータは、配向装置204Aにおける複数のセンサーからデータを確認するために使用されることができる。好ましくは、スケール226Aは、約15度から約90度の範囲に亘って、例えば、約30度から約60度の範囲に亘って、例えば約40度から約50度の範囲に亘って、マークキングを有する。
【0080】
[2.加速度計の感度のために適合された後方アプローチシステム]
図17~
図17Bは、後方アプローチから股関節置換手術をナビゲートするためのシステム450の他の実施形態を図示する。このシステム450は、アンカー治具454と、位置合わせシステム458と、ランドマーク取得アセンブリ462と、を含む。これらの構成要素は、上記で議論した構成要素に関して同様とされてもよく、その説明は、矛盾がない場合にこの実施形態に組み込まれる。
【0081】
アンカー治具454は、中空固定部材466と、骨盤に複数の装置を連結するためのプラットフォーム468とを含む。プラットフォーム468は略T字状の構造を有し、この略T字状の構造は、中空固定部材466の近位端部と連結された第1の部分468Aと、第1の部分468Aに横断方向に配置された第2の部分468Bと、を含む。第1の部分468Aは、さらに以下で議論されたクレードル476のための支持部を提供する。第2の部分468Bは、配向装置172と直接的に又は間接的に連結するための複数のドッキング装置469を含むことができる。T字状の構造は、ドッキング装置469が、システム100を有する場合より、手術部位からさらに離れて配置されることができるとの利点を提供する。このことは、作業視野内への配向装置172の任意の侵入を減少させる。
【0082】
いくつの場合において、固定部材466は、システム450を骨盤に固定する際に十分な安定性を提供する。他の状況において、アンカー治具454は、第2の部分468Bから骨盤と連結されることができる。例えば、スロット470は、第1の部分468Aが第2の部分468Bから延在する位置の一方の側又は両側で、第2の部分468Bに形成されることができる。スロット470は、第2の部分468Bの横方向縁部から、第1の部分468Aが第2の部分468Bから延在する位置に向けて延在することができる。スロット470は複数のチャネル471を含むことができ、当該チャネル471は、骨盤内に進行させることができる複数の固定ピン(例えば、スタインマンピン)を受容するように構成される。複数のチャネル471は、固定部材466に対して略平行に延在する。複数の固定ピンは、クランプ装置472によって複数のチャネル471において第2の部分468Bにしっかりと固定されることができる。クランプ装置はねじを含むことができ、当該ねじは、互いに向けてスロット470の両側で第2の部分468Bの部分を引き付けるように構成され、それ故に複数のスロット471においてピンに大きな摩擦力を生み出すように構成される。
【0083】
スロット470は好ましくは、平面がそれらの長さに沿った複数のスロット470の両方に沿って延在するように位置合わせされる。複数のスロット470が長く、幅が狭いので、この平面は、X線撮像画像において容易に視覚化されることができる。複数のスロット470に沿って延在する平面が(例えば、内側-外側平面と患者の横断方向中央平面との交差)患者の軸に対して垂直になるように、アンカー治具454が骨盤に位置合わせされることが好ましい。この特徴は、一の実施形態におけるアンカー治具454の適切な位置付けを視覚的に確認する便利な方法を提供する。
【0084】
固定部材466は、記録特徴473と、その遠位端部に隣接する足部474と、プラットフォーム468に接続するためのその近位端部に隣接する連結部475とを含む。足部474は、その遠位端部から延在する複数の離隔したスパイクを含む。それらのスパイクは、固定部分466が骨盤に接続される場合に、アンカー治具454の回転を防止する、又は制限することができる。
図17は、骨盤に治具462を固定することが、固定部材466を通じてピン又は他の骨係合装置を位置付けることを含むことができることを示す。ピン及び足部474から延在する複数のスパイクは、骨盤と接触する3つ又はそれ以上の接触点を提供することができ、治具462の確実な取付を提供することができる。
【0085】
連結部475は一般的に、プラットフォーム468を固定部材466に固定する。いくつかの実施形態において、連結部475は回転能力を有し、この回転能力は、プラットフォームがピン466の長手方向軸に関して選択的な位置で位置付けられることを可能にする、例えば、プラットフォーム468が、正しい配向において最初に位置付けられることを可能にする、又は、他の出術器具のための空間を作り出すために、手術中又は手術後に移動されることを可能にする。一の配置構成は、固定部材466の長手方向軸に対して平行に延在する整合スプライン(matching splines)を提供する。この配置構成は、連結部475の上部上のスプラインが連結部475の下部におけるスプラインから解除されることを可能にするであろう。解除された場合に、プラットフォーム468及び連結部475の上部は、連結部475の下部に対して回転することができる。スプラインはその後、再係合されることができる。
【0086】
治具454はクレードル476を含み、このクレードル476はプローブアーム477を保持するために使用されることができる。クレードル476はU字状の凹部を含み、この凹部は、ランドマーク取得システム462のアーム477の幅に略等しい2つの直立部材の間に幅を有する。
図17は、上記で議論されたように停止構造におけるプローブアーム477を示す。センサー204が蓄積された誤差の原因となりやすい構成要素とともに動作する場合に、停止構造は、そのような誤差を除外するために使用されることができる。上記で議論されるように、システム450は、配向装置172に対するセンサー204の位置及び/又は配向が知られるように構成されることができる。それ故に、アーム477がクレードル476内にある場合に、センサー204の成分の蓄積された誤差は除外されることができる。
【0087】
たとえセンサー204における検知装置が蓄積された誤差の原因の影響下にあったとしても、クレードル476は、他の便利な機能を提供することができる。本願明細書の至る所で議論されるように、システムの精度の確認のために、又はランドマーク取得を必要としない単純化した基準座標系の提供するために、患者が横たわる手術台の平面を推定するために、プローブアーム477及びセンサー204を使用することは、手術のいくつかのポイントにおいて望ましい場合がある。上記で議論したように、治具454が骨盤に取り付けられた場合に、スロット470と交差する平面が、患者の軸に対して垂直に方向付けられる場合、クレードルは、患者の軸に対して平行となるであろう。固定部材466が垂直に方向付けられる場合に、アーム477は、クレードル476内にある場合に手術台の平面に対して平行となるであろう。システム450はそれ故に、ランドマークを記録することなく、カップの配置を案内するための基準座標系として手術台の平面を使用することができる。あるいは、手術台の平面はカップをナビゲートする精度を増加させるために、上記で議論したように寛骨臼縁部に関する解剖学的構造を記録することと組み合わせて使用されることができる。
【0088】
クレードル476はまた、アーム477を他の手術器具の邪魔にならないところに、且つ静止した状態に保つための便利な定位置を提供する。
図17Aは、クレードル476から引き出され、且つランドマークと接触する状態になるように自由に動くプローブアーム477を図示する。
【0089】
治具454はまた、水平方向に配置された回動特徴478を含む。
図17Bは、回動特徴478が2つの水平方向の孔480を含むことを示す。2つの水平方向の孔480のうち一方の孔は、クレードル476を形成する同一構造において形成されるが、クレードル476の下の高さに形成される。他方の孔480は、クレードル476と固定部材466の突出部との間に形成される。
図17Aは、プローブアーム477が、孔を通じて延在するシャフト482によって回動特徴478に接続されることを示す。移動装置は、シャフト482とアーム477との間に設けられ、それによって、アームの遠位先端部が、垂直軸に関して回転させることができ、且つ固定された治具454に対して直線的に進行させることができる。移動装置の一の回転軸Aは、プラットフォーム468に対して平行に配置され、且つプラットフォーム468より上の高さで配置される。他の回転軸Bは、回転軸Aに対して略垂直に配置される。アーム477のスライドは、ハウジングC内において、アームのとまりばめ(snug fit)によって可能とされるが、アームの滑りばめによって可能とされる。この方法で回転軸Aを方向付けることによって、臼蓋窩に関する小さな角運動基準ポイントに対するセンサー204における加速度計の感度は、高くなる、又は最大化される。これは、単に加速度計に基づくシステム450によるランドマークの取得を可能にする。このことは有利には、蓄積された誤差の影響を受けず、ランドマーク取得工程を単純化することができる。単に加速度計に基づくランドマークの取得を可能にするように構成されたシステムのさらなる変形例は、図面に関連して以下に議論される。
【0090】
記録特徴473は、センサー204の精度を高めるための便利な方法である。特に、上記で議論された方法の一の変形例において、プローブアーム477の遠位先端部は、記録特徴473と接触した状態になる。一の実施形態において、記録特徴473は、先端部を受容し、且つ一時的に保持するように構成されたノッチである。その後、使用者は、センサー204内の加速度計を初期化するために、配向装置172と相互に作用することができる。その後、取得されるべき複数のポイントは結果として接触されることができ、センサー204の配向及び位置はシステム450内に結果的に記録されることができる。加速度計が取得されるべき複数のポイントに近接して初期化されるので、加速度計のスケール係数(scale factor)における誤差から生じる角度誤差が記録特徴からの小さな弧に起因して最小化され、それ故に、読み取りの精度は高められる。例えば、治具454は、ランドマーク取得アセンブリ458が、いくつかの実施形態において初期位置又は定位置からの約45度より少なく移動することによって、記録されるべき全てのポイントに到達することを可能にするように構成される。他の実施形態において、治具454は、ランドマーク取得アセンブリ458が、初期位置からの約25度より少なく移動することによって、記録されるべき全てのポイントに到達することを可能にするように構成される。他の実施形態において、治具454は、ランドマーク取得アセンブリ458が、初期位置からの約15度より少なく移動することによって、記録されるべき全てのポイントに到達することを可能にするように構成される。
【0091】
治具454はまた、後方アプローチにおいて手術部位の周りに配置される軟組織とうまく相互に作用するように構成される。このアプローチにおいて、切除が可能な限り小さな状態を保つように、切除は軟組織において行われる。一のアプローチにおいて、固定部材466は、切除の端部に位置付けられる。切除が可能な限り最小になるように行われると、治具454は、開創器として機能することもできる。第2の部分468Bが手のひらにある状態で、プラットフォーム468の第1の部分468Aが使用者の中指と薬指との間に受容されることができるので、T字状の構造は、この機能に特に適している。足部474が骨盤を把持する状態で、治具454は、組織を引っ込めるために、股関節から離れるようにプラットフォーム468から傾斜されることができる。
【0092】
図17C-1及び
図17C-2は、固定部材466Aの遠位端部に隣接して配置された取付装置488を有する後方アプローチ治具454Aのさらなる実施形態を図示する。それらの図面において、それ以外は、固定部材466と同様とされる。固定部材466Aは、固定部材466Aと連結された管状体490を含む。この実施形態において、当該管状体490は、第1の固定部材として作用する。管状体490は、固定部材466Aのルーメンに対して傾斜されたルーメンに沿って延在する。管状体490のルーメンは、
図17C-2に図示されるように、90度の角度で骨内に駆動されることができる固定ピン492を受け入れるために構成される。固定ピン492は、固定部材466Aによって提供された固定を補う。固定ピン492は、例えば腸骨内に、又はこの任意選択のための代替物として、チャネル471を通じて延在する任意選択の長いピンと併せて使用されることができる。固定ピン492は、手術において関節にアクセスするために形成された主切除内に位置するので、肌における追加の孔を必要としないとの利点を有する。固定ピン492は、一の実施形態において骨と係合するようにねじ山を切られることができる。いくつかの実施形態において、ロック装置494は、管状体490のルーメン内に固定ピン492を固定するために設けられることができる。止めねじは、使用されることができるロック装置494の一例である。ロック装置494は、固定ピン492がヘッドレスとされることを可能にする。このことは、固定ピン492が挿入される骨における孔のねじ山のすり減り問題を避ける。
【0093】
[3.後方アプローチのためのワークフロー検討]
上述したように、ワークフロー問題は、典型的な股関節置換手術において発生しており、その問題とは、より容易に参照されることができる解剖学上の特徴が、関節の手術のための伝統的な後方アプローチにおいて利用できないというものである。
【0094】
たくさんの人間の骨盤に関するCTベースの研究を実行することによって、本願の譲受人は、後方アプローチの股関節置換手術中にアクセス可能とされる臼蓋窩における様々なポイント、臼蓋窩上の様々なポイント、又は臼蓋窩の周りの様々なポイントによって生成された複数の平面(各平面、「寛骨臼平面」)と、前方骨盤平面との間の、集団ベースの平均的な関係を計算することができる。本願明細書に開示されたいくつかの実施形態のための後方股関節ナビゲーション複数の重要な特徴のうちの1つは、モジュールの能力であり、例えば、一の基準座標系から他の基準座標系への変換を計算するために、コンピュータとされ得るプロセッサに組み込まれたソフトウェア、又は、配向装置172及びセンサー204のうちの一方又は両方に組み込まれたソフトウェアである。本願明細書の至る所で詳細に記載されるように、様々なポイントは、臼蓋窩において、臼蓋窩上に、又は臼蓋窩の周りで参照され、これらのポイントから、代理の寛骨臼平面(proxy Acetabular Plane)は計算される。
【0095】
次に、本願明細書に記載されるある実施形態において、例えば配向装置172及びセンサー204のうちの一方又は両方におけるソフトウェアを単独で又は別個のコンピュータと共に実行することによって、アルゴリズムを処理するために動作可能であるモジュールは、代理の寛骨臼平面から前方骨盤平面への変換を計算することができる。アプローチは、直接的な仰臥位の記録とその後の患者の動き、並びに標準的なナビゲーションにおける再度のドレーピングの必要性を必要とすることなく、前方骨盤平面を間接的に記録する。本願明細書に記載されたある実施形態におけるモジュールはその結果、前方骨盤平面に対して股関節手術器具(例えば、インパクタ300、300A)の配向のリアルタイムのナビゲーションデータを使用者に提供することができる。
【0096】
本願明細書に記載されたあるシステムにおいて、さらなる利点は、これらのシステムが、外科医が記録するために選択する複数の代理の寛骨臼平面のうちの1つから前方骨盤平面を計算するための平面変換アルゴリズムを実施することができることである。このことは、あるランドマークの性質又はアクセス可能性を考慮するために、外科医が、寛骨臼平面のランドマーク選択におけるより大きな適応性を有することを可能にする。例えば、寛骨臼縁部の周りの最小の変形の場合において、外科医は、寛骨臼縁部の周りの複数のランドマークを記録することを選択することができ、これらのランドマークは、容易にアクセスすることができる。寛骨臼縁部上の大きな変形又は高い骨棘の存在がある場合において、外科医はその代わりに、病気又は以前の股関節置換手術によって変化しない縁部の外側で、寛骨臼以外のランドマーク(もしくは、本願明細書で「縁部ではない」と記載される)に基づく寛骨臼平面を記録することを選択することができる。
【0097】
解剖学上のランドマークの例は、代理の寛骨臼平面を生成するために使用されることができ、
図2に示されるが、以下のものに限定されない。
【0098】
寛骨臼以外のランドマーク(座骨/腸骨/恥骨)
・(A)座骨の寛骨臼溝の最下点
・(B)恥骨上枝の突起
・(G)下前腸骨棘(AIIS)と寛骨臼縁部の外側境界線との合流部
【0099】
寛骨臼縁部ランドマーク
・(E)寛骨臼横靱帯の前方挿入の中心
・(F)寛骨臼横靱帯の後方挿入の中心
・(H)寛骨臼縁部の最も上方のポイント
【0100】
追加的なポイントは、上記のリスト化されたポイントのグループのいずれかと組み合わせることができる。例えば、一の実施形態において、ポイント「D」は使用される。ポイントDは、寛骨臼切痕の下方縁の中間点とされる。以下で
図36と関連して議論されるように、ポイントDは、ライン382を形成するために使用された底部ランドマーク380Bに対応する。ポイントDは、患者特有の改良点を位置付けに提供するためにそのアプローチにおいて使用される。
【0101】
本願明細書で議論されたある実施形態のさらなる重要な利点は、前述の平面変換能力が、使用者が所定の患者特有の情報、例えば性別などを入力することによって、記録された代理の寛骨臼平面と一般的な集団の平均データ上の前方骨盤平面との間の変換の精度を増加させることである。
【0102】
さらに、1つ又は複数の配向装置172、センサー204、又は、別個のコンピュータを含むシステムの所定の実施形態は、使用者が、代理の寛骨臼平面と、外科医が手術前の撮像に基づいて測定された前方骨盤平面との間の角度関係又は平面関係を入力することを可能にするために、例えばソフトウェアを処理することによって動作可能であるモジュールを有してもよく、これにより、集団データというよりもむしろ患者特有のデータに基づいた部分的又は全体的な平面変換を可能にする。例として、外科医は、(a)A/P骨盤x線で両方視ることができ、且つ後方股関節置換手術中に参照されることができる複数のランドマーク、及び、(b)A/P骨盤x線で両方視ることができ、且つ前方骨盤平面における傾斜測定と直接的に関連した複数のランドマーク、によって形成された角度を手術前に測定することを選択することができる。この角度関係が、1つ又は複数の配向装置172、センサー204、又は、別個のコンピュータを含むシステムのモジュールに入力される場合に、このモジュールは、計算処理ソフトウェアによって行うことができ、外科医は(a)において記載されたランドマークを記録し、傾斜ナビゲーションが集団平均というよりも患者特有のデータに基づいているだろう。上記でリスト化されたランドマーク(D)及び(H)は、A/P骨盤x線で両方視ることができ、且つ後方股関節置換手術における代理の寛骨臼平面を形成するために参照されることができるランドマークの例とされる。
【0103】
後方アプローチの股関節置換手術のために適合されたシステムのそれらの態様は、そのような手術においてワークフロー及び精度の両方を非常に高めることができる。
【0104】
[B.前方アプローチによる解剖学上のランドマークを参照するための治具及び慣性センサーを使用するナビゲーション]
[1.前方アプローチの股関節ナビゲーションのための装置]
図18~
図21は、前方アプローチから股関節置換手術をナビゲートするように適合された股関節ナビゲーションシステム500を図示する。股関節置換手術に対する前方アプローチは有利には、後方アプローチより少ない侵襲とされる場合がある。特に、前方アプローチは、小さな切除、軟組織におけるより少ない切開、及び、患者にとっての短い回復期間を可能にする。このシステム500は、アンカーシステム504と、位置合わせアセンブリ508と、ランドマーク取得アセンブリ512と、を含む。
【0105】
図18は、アンカーシステム504をより詳細に示す。このアンカーシステム504は、ナビゲーションシステム500を股関節にしっかりと連結するように構成される。それによって、システムと股関節との間の動きが最小化される、又は除外される。アンカーシステム504はカニューレ516を含み、このカニューレ516は、遠位端部520と、近位端部524と、遠位端部と近位端部との間に延在しているルーメン502と、を有する。カニューレ516の近位端部524は、プラットフォーム536と連結される、例えばプラットフォームにおける一の横方向端部に隣接して連結される。プラットフォーム536は本願明細書において前述されたプラットフォームと類似であり、近位端部524及びプラットフォーム536が接続される位置から離れて配置された複数のドッキング装置538、538Aを有する。
【0106】
ドッキング装置538は、センサーをアンカーシステム504にしっかりと連結するが、センサーをアンカーシステム504に一時的に連結する着脱可能な取付装置と連結するように構成される。プラットフォーム536の上部表面上の2つのドッキング装置538は、アンカーシステム504が、左側股関節手術又は右側股関節手術のいずれかのために使用されることを可能にする。
図18に示されるように、患者の内側平面に最も近いプラットフォーム536の側面におけるドッキング装置538は好ましくは、ドッキングのために使用される。
図18において使用されない上側のドッキング特徴は実際、患者の他の側から手術を実施する際に使用されるであろう。プラットフォーム536の側面におけるドッキング装置538Aは、プラットフォーム536に対するセンサーの手術中の一時的な取付のために設けられる。以下にさらに議論されるように、この一時的な取付は、手術中に互いに対して2つのセンサーの周知な配向及び/又は位置を提供する。このことは、システム500がある種類のセンサーによる誤差の原因を制御することを可能にする。
【0107】
プラットフォーム536はまた、カニューレ516から離れて配置されたチャネル540を有することができる。チャネル540は、カニューレ516のルーメン532に対して実質的な平行な軸に沿って配置されたルーメンを有することができる。一の実施形態において、アンカーシステム504は、2つの離隔したピン544A、544Bの配置によって、プラットフォーム536を股関節にしっかりと連結するために構成される。
図18は、ピン544Aがカニューレ516を通じて進行させ、それによって、ピン544Aの遠位端部が接触し、骨盤の骨隆起を穿孔することができることを示す。一の技術において、ピン544Aは、骨盤の上前腸骨棘(ASIS)に位置付けられ、又は、骨盤の上前腸骨棘(ASIS)にできる限り近づいて位置付けられる。ピン544Bは、上前腸骨棘(ASIS)からオフセットした位置で、チャネル540を通じて骨盤内に進行させる。ピン544Aとピン544Bとの間の距離及びピン544Bの正確な位置付けは重要ではないが、プラットフォーム536に対するカニューレ520の接続の位置及びチャネル540の位置によって決定される。
【0108】
ピン544A、544Bは、適切な形態をとることができるが、好ましくはカニューレ520におけるルーメン及びチャネル540におけるルーメンと同じ断面輪郭を有する。例えば、それらは、円形状の断面とされることができる。ピン544A、544Bは、改良されたスタインマンピン、例えば、プラットフォーム536の上に少なくとも約5cm延在するように構成され、且つ約4mmの直径を有するピンとされることができる。
【0109】
アンカー装置504はまた、プラットフォーム536をピン544A、544Bに固定するためのロック装置556を有する。一の実施形態において、ピンの周りに配置されたプラットフォームの部分は内側部分560M及び外側部分560Lを備え、それらの内側部分560M及び外側部分560Lは、ピン544A、544Bを解放するために互いから離れるように移動することができ、又は、ピンを摩擦係合するために互いに向けて移動することができる。例えば、一対の六角駆動ねじは、それらを互いに向けて又は互いから離れるようにそれぞれ並進移動させるために、内側部分560M及び外側部分560Lを係合することができる。ロック装置556は好ましくは、ピンから素早くかつ容易に取り除かれ、それによって、X線診断装置又は他の診断装置などの他の器具が手術中に手術野の付近に至ることができる。好ましくは、ピン544A、544Bは、それらの長さに沿ったマーキングを有する。それによって、プラットフォーム536が撮像又は他の理由のために取り除かれる場合に、同じ高さで素早く再度位置付けられることができる。
【0110】
カニューレ520はまた、ランドマークが取得される場合に、ランドマーク取得システム512の遠位プローブの位置と比較する場合に、アンカーシステム504の不均一な貫通深さに起因して生じ得る誤差を最小化するために、又は当該誤差を除外するために、遠位端部528に隣接して、又は遠位端部528で足部568を有する。足部568は、カニューレ520の外側に配置された環状突出部を含むことができる。好ましくは、足部568は、カニューレ520の壁厚さと等しい距離又は当該壁厚さより大きい距離だけカニューレ520の外側表面から横方向に延在する。いくつかの実施形態において、足部の下の表面積は、足部568が位置しない位置における断面、例えば、足部568に関する高さにおける断面において見た場合に、カニューレの表面積と等しい、又は当該表面積より大きい。
【0111】
位置合わせアセンブリ508は、前述されたアセンブリと類似とされる。位置合わせアセンブリ508は、ドッキング装置538に配向装置172を着脱可能に固定するように構成された剛体延在部570を有することができる。
【0112】
ランドマーク取得アセンブリ512は、前述されたアセンブリと類似とされるが、患者の骨盤に対して前方の軟組織によって使用時に遮断されないように構成される。一の実施形態において、延在部578は、回動スライド機構582を隆起するように設けられる。回動スライド機構は、プローブアーム584が延在部578から離れて取得されるべきランドマークの位置に向けてスライドすることを可能にする。回動スライド機構582は、上記で議論された機構のいずれかと類似とされることができる。延在端部578の遠位端部(下端部)は、任意の適切な方法でプラットフォーム536に連結されることができる。例えば、遠位端部はピン状の突出部を含むことができ、当該ピン状の突出部は、同じ形状を有する開口部578A内に受容される、例えば当該開口部578A内に摩擦係合(friction fit)される。戻り止め又は他のロック特徴は、開口部578Aにおいて延在部をプラットフォーム536にしっかりと接続するように設けられることができる。
図19は、開口部578Aが、ピン544Aがそれを通じて延在するプラットフォーム536の一部分と比較して隆起されたプラットフォーム536の一部分に形成されることができることを示す。この部分は、遊びを最小化するために、十分な支持係合を提供するように隆起される。それはまた、プラットフォーム536の上部表面に略平行なスロットを有しており、このスロットは、延在部578の下端部にボール状の戻り止めを係合する機能を果たす。
【0113】
プローブアーム584は、以下に議論される、複数のマークキングを有する細長い部材として構成されることができる。プローブアーム584の遠位端部は傾斜先端部586を含むことができ、この傾斜先端部586は、いくつかの技術において、厳密な解剖学的構造を調べることを、例えば、脚長さ及び大腿骨骨頭位置付け確認のための大腿骨の部分を調べることを支援する。後方アプローチにおいて、傾斜先端部586は、解剖学的構造に直接的に接触するために使用される。
【0114】
前方アプローチにおいて、傾斜先端部586は、選択した解剖学的構造と接触するように構成されたプローブ延在部590と連結される。プローブ延在部590は直立部材592を有しており、この直立部材592は、前方アプローチにおいて、プローブ584の高さの間で、調べられるべき組織の高さに向けて下に延在するように構成される。直立部材592の遠位端部(下端部)上の足部594は、ピン544Aの取付ポイントと足部594の取付ポイントとの間の不均一な組織圧縮に起因する誤差を最小化する方法で組織と係合するように構成される。例えば、足部594は、使用時にランドマーク取得システム512によって適用された力又は圧力を広げる十字構造を有することができる。延在部590の近位端部は連結部596を含み、この連結部596は、プローブアーム584の遠位端部を直立部材592と接続する。好ましくは、連結部596は、プローブアーム584に対する接続を修正するために、使用者によって容易に操作可能である。連結部は、プローブアーム584の先端部586を受容するために構成された孔を有するL字状の部材を含むことができる。止めねじは、適所でプローブアーム584を固定するために、L字状の部分を通じて進行させることができる。L字状の部分はプローブアーム584に連結するように構成され、それによって、傾斜先端部586の先端部は、直立部材592の長手方向軸の突出部上に載置する。
【0115】
[2.前方アプローチを使用してナビゲートするための例示的な方法]
システム500は、以下の方法で前方アプローチからナビゲートするために使用されることができる。配向装置172及びセンサー204は、互いに無線通信するように一対にされることができる。このことは、配向装置172及びセンサー204のうちの一方又は他方が他方を制御すること、他方からのデータを記憶させること、且つ/又は他方の信号に基づいて情報を表示することを可能にする。一の方法において、配向装置172はディスプレイを有しており、このディスプレイは、外科医に、センサー204によって検知されたデータに基づいた所定の角度を確認させる。一対にしている配向装置172及びセンサー204は、それらを一緒に連結すること、及び、複数の配向で、例えば水平、垂直、及び30度の角度で、2つの装置の間のセンサー出力を比較すること、を含むことができる。それらの位置のいくつかは、複数の姿勢、例えば左側を上にする状態における垂直姿勢、右側を上にする状態における垂直姿勢、及び、上側を上にする状態における垂直姿勢で、繰り返されることができる。
【0116】
上述したように、本願明細書で議論された構成要素は、外科医が、異なる外科手術的アプローチの間、例えば後方アプローチと前方アプローチとの間で選択することを可能にするキットとして提供されることができる。配向装置172及びセンサー204は、それらの異なるアプローチにおいて異なって操作することができる。それ故に、一の方法において、使用者は、アプローチが使用されている配向装置172及びセンサー204のうちの一方又は両方を考慮する(enter into)であろう。このことは、選択したアプローチに対応する配向装置172におけるソフトウェアモジュールを実行するであろう(又は、センサー204において、ソフトウェアを実行するプロセッサがそこに配置される)。
【0117】
前方アプローチに適している様々な実施形態において、配向装置172及びセンサー204は両方とも、複数の電源不要のセンサーを有することができる。それらの構成要素は、いくつかの実施形態において、加速度計及びジャイロスコープを有することができる。いくつかのジャイロスコープは、それらの方法に関連して時間フレームで重要とされ得る蓄積された誤差の影響を受ける。それに応じて、様々な方法は、そのような誤差が、システム500によって外科医に表示された角度の精度及び信頼性に影響を与えることを防止するために提供される。いくつかのアプローチは、加速度計のみによって実行されることができる。例えば、前方アプローチの変形例は、やや低い精度の加速度計によって実施されることができるが、加速度計のみを使用する場合の精度は許容可能である。加速度計の精度における減少は、いくつかのジャイロスコープによって生じる蓄積された誤差を除外する利益とのバランスを保つ。加速度計の分解能は、ナビゲートされたポイントが比較的離れているので十分である。
【0118】
システム500によって実行された計算は、いくつかの実施形態において治療される股関節に特有とされており、そしてシステムは治療される股関節の入力を受容する。
【0119】
足部568は、選択された解剖学上の位置に、例えば、上記で議論されるような上前腸骨棘に配置される。カニューレ520が略垂直な配向とされた場合に、プラットフォーム536は股関節に固定される。プラットフォーム536を股関節に固定することは、2つの離隔したスタインマンピンなどの任意の適切な方法で行われることができる。その後、配向装置172及びセンサー204は、
図20Aに示される方法でプラットフォーム536に取り付けられる。センサー204において分散された検知装置の本質に応じて、この手術のポイントでセンサーを初期化することは有利とされる場合がある。上記で議論されるように、ある慣性センサー(例えば、いくつかのジャイロスコープ)は、蓄積された誤差の影響を受ける。この誤差の原因を管理するための1つの技術は、この誤差を定期的に初期化すること、又はゼロ設定することである。いくつかの技術は、このポイントで初期化することを含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、手術台の平面に基づく座標系は、システム500内に入力されることができる。手術台座標系は、二次的な座標系とされることができる。一の技術において、センサー204は、
図20Aのプラットフォームドッキング位置から
図18に示されるようなプローブアーム584上のナビゲート位置へ移動される。プローブアーム584はその結果、機構582によって回動される。それによって、アームは、患者の内側-外側の中央平面に対して平行な方向に向けられ、傾斜先端部586は上方に(一般的に患者の頭に向けて)向けられる。プローブアーム584はまた、手術台の平面に対して略平行に保持される。この方向及び配向によって、使用者は、センサー204の配向を捕捉するために、配向システム508へ信号を送るように配向装置172上のユーザーインターフェースと相互作用する。この配向は、前方骨盤平面の配向の推定を提供する。この推定は、システム500において追跡されることができ、肉眼によって案内された個別の操作を含むナビゲートされない股関節置換手術における先行技術に対する改善を単独で提供することができる。
【0121】
外科医の裁量により、システム500は、股関節置換手術の前に大腿骨の状態をナビゲートするために使用されることができる。マークFmは、大腿近位部に形成されることができる。その後、センサー204は、例えば(
図20Aのように)プラットフォーム上のドッキング位置に戻るように配置されることによって、初期化されることができる、又はゼロに設定されることができる。その後、プローブ先端部586は、大腿骨マークFmと接触状態とされることができ、そのような接触状態で適所に固定されることができる。
図21Aを参照する。センサー204は、プローブ584の近位端部に移動されることができ、配向装置172は、センサー204の配向を記録するために信号を送ることができる。カニューレ520の取付ポイントから大腿骨のマークされた位置に対する上前腸骨棘までの距離はその後、配向装置172において記録されることができる。その位置は、プローブ584のメモリ付マークを読み取ることに基づくことができる、又は、カメラシステム又はシステム500内に組み込まれたセンサーによって自動的に捕捉されることができる。一の実施形態において、メモリ付マークは、回動スライド機構582のスライド部分の湾曲部内で、直立縁部598で読み取られる。
【0122】
図20Aは、前方骨盤平面をナビゲートするさらなるステップを図示する。示されるように、センサー204は、プラットフォーム204にドッキングされる。この位置において、いくつかのセンサーと関連した任意の蓄積された誤差は、除外されることができる。前述のステップにおいて、延在部590は、プローブ584の遠位部分と連結される。足部594は、対側性上前腸骨棘(contralateral ASIS)と接触状態になる。その後、センサー204は、
図18に示されるように、プローブ284の近位端部に取り付けられることができる。ランドマーク取得システム512は固定されることができ、センサー204の配向は、配向装置172のメモリ内に記録されることができる。さらに、プローブ584が対側性上前腸骨棘と接触するように延在される距離は、配向装置172内に記録されることができる。上述したように、その距離は、直立縁部598でプローブ584の目盛りから読み取ることができる。
【0123】
対側性上前腸骨棘を記録する工程は、1つ又は複数のさらなるポイントのために繰り返されることができる。センサー204は、蓄積された誤差の原因を除外するために、
図20Aのようなプラットフォームにドッキングされることができる。プローブ584は次いで、足部594を恥骨結節と接触状態にさせるために移動することができる。プローブ584は固定されることができ、
図20Bに示されるように、センサーは近位端部と連結されることができる。その後、センサー204の配向及び恥骨結節までの距離を示すデータは、上記で議論された方法のいずれかで配向装置172に記録される。
【0124】
骨盤の前述のポイントがナビゲートされ、且つデータが配向装置172内に記録されると、前方骨盤平面は、ナビゲートされたポイントを示すデータから計算されることができる。前方骨盤平面の配向は、人工股関節のカップ部分の配置のためのベースラインである。
【0125】
センサー204及び配向装置172は、このポイントで、規定された配向においてカップ360の配置を案内するために使用されることができる。配置の前に、インパクタ300、300Aは提供される。例えば、インパクタ300Aは、シャフト316Aの遠位端部に適切な先端構成要素348を選択することによって提供されることができる。先端構成要素348は、例えば、ねじによって、カップ360と連結される。最も便利な付与された孔パターン及びセンサー204の位置であるシャフト316Aに対するカップ360の回転配向は、必要に応じて、平坦部350A、350Bを組み合わせることによって選択される。インパクタ300を提供する工程中に、センサー204は、プラットフォーム536にドッキングされることができ、蓄積された誤差の原因は、臼蓋窩内の適所にカップ360をナビゲートする寸前に、除外されることができる。
【0126】
一の技術において、カップ360は、臼蓋窩内に挿入され、おおよそ正しい配向に配置される。その後、センサー204は、
図11Aに示されるように、インパクタ上のドッキング装置338に接続される。配向装置172は、カップの配向を示す角度、例えば前方骨盤平面に対して傾斜角度及び前傾角度を表示するために作動される。表示された角度は、上記で議論された手術台の座標系に直接的に反映することができる。表示された角度は、ランドマークの取得から座標系を直接的に反映することができる。いくつかの場合において、手術台座標系とランドマーク座標系との両方を直接的に反映する角度は、表示されることができる。他の実施形態において、手術台座標系は表示されていないが、むしろ、2つの座標系によって発生した角度の間の不一致に起因してランドマークを再度取得するための方向などの取扱説明を配向装置172に表示させる。
【0127】
手術台座標系及びランドマーク座標系の前述の組み合わせのいずれかは、使用者に提供された角度情報が正確で、信頼できることを確実にする冗長性を提供し、それによって、実施されている手術が「安全圏」内に良好に含まれるであろう。
【0128】
正しい角度が達成される場合に、工具は、所望の角度で適所にカップ360をはめ込むようにインパクタ300の近位端部をたたくために使用される。いくつかの技術において、センサー204は、インパクタ300の近位端部をたたくより前に取り除かれる。システム500は、センサー204からの信号を監視するモジュールを含む。読み取りにおける大きな偏差(deviation)が生じた場合に、モジュールは、配向装置のディスプレイ上の角度を変更することを防止する。ディスプレイにおけるこの「フリージング(freezing)」は、衝撃に起因する大きな力がセンサー204の精度に影響を及ぼす場合があるので、安全性及び精度の両方の予防措置とされる。
【0129】
本来の股関節を分離する前に、手術において大腿骨のランドマークが取得された場合に、股関節の置換が患者の胴体からの脚の長さ、脚のオフセット、又はそれらの両方を変化させていないことを確認するために、人工関節が配置された後で同じランドマークは取得されることができる。例えば、センサー204は、
図20Aに示されるように、ドッキング装置538Aにドッキングされることができる。蓄積された誤差の原因は、センサー204を初期化することによって除外されることができる。その後、プローブアーム538は、手術において早期に取得された同じランドマーク(例えばFm)と接触状態になることができる。
図21Bを参照する。プローブアーム538は、適所に固定されることができ、その後、センサー204は、プローブアーム538の近位端部と連結されることができる。センサーの配向及びプローブアーム538までの距離は、配向装置172へ入力されることができる。それらのデータは、配向装置172が脚長さ及び脚オフセットにおける変化量を出力することを可能にする。
【0130】
一の変形例において、複数のポイント、例えば大腿骨における3つのポイントは、関節が置換される前及び後で取得される。このアプローチは、臼蓋窩の平面に対して垂直なカップ360の中心を通じて延在する軸に対する大腿骨頸部の回転配向が手術後に変化していないとのさらなる確認を可能にする。
【0131】
当然ながら、大腿骨記録処置は、本来の股関節における大腿骨頚部の過度の脚長さオフセット、関節オフセット、及び、不良の配向を含む診断された変形の訂正を可能にする。
言い換えると、外科医は、手術後の患者の骨の位置及び/又は配向を改善するために、ある程度のオフセットを追加する又は回転配向を変更する意図で、手術を始めることができる。
【0132】
[C.手術前の撮像又は特徴付けを使用するナビゲーション]
前述のアプローチが現在の配置における治療基準を改善することができるけれども、精度のさらなる増加、より良い成果、及び手術の簡素化は、システムが患者特有の解剖学的変化性を考慮するように構成された場合に提供されることができる。
【0133】
[1.慣性センサー及びカスタム治具を使用するナビゲーション]
図22は、臼蓋窩に隣接するピン732上の股関節移動追跡センサー204の配置を示す。この位置は限定されないが、股関節移動追跡センサー204は骨盤のいずれかの場所に取り付けられることができる。しかし、臼蓋窩に隣接する位置は便利である。ピン732は、患者特有の股関節の手術前特徴付けを用いて配置される。それらの方法において、ピン732は、手術中のランドマーク取得の必要なしに配置される。
【0134】
一のアプローチにおいて、手術前の臼蓋窩の3次元特徴付けは、CTスキャン又はMRIなどの適切な技術を使用して実行される。この手術前の行為は、骨盤、いくつかの場合において大腿近位部を完全に特徴付けるために実行されることができる。その後、臼蓋窩の形状、位置、及び配向は、周知である。同様に、臼蓋窩の周りの骨の特徴も周知である。このデータから、カスタム治具700は、患者特有に製造されることができる。カスタム治具700は、個々の患者の解剖学的構造に特有とされる特徴を有するだけでなく、臼蓋窩の平面及び前方骨盤平面に対する周知の配向とされるであろう記録特徴702を有する。
【0135】
図23は、カスタム治具700の例を示す。カスタム治具700は、前方面704及び後方面708を有する。後方面708は、確実な方法で臼蓋窩の少なくとも1つの特徴と結合するように構成された寛骨臼部分712で形成される。例えば、寛骨臼部分712は、後方面708の中央部分が臼蓋窩内に位置付けられた状態で、寛骨臼縁部に亘ってぴったりと適合することができる。カスタム治具700は好ましくは、一の事前規定された配向のみを有する。治具の後方部分上の表面は、移植後のカップの好ましい配向角度に対応する平面を規定することができる。1つ又は複数のチャネル716は、後方面708に形成されることができ、これらのチャネル716は、カスタム治具700が適切な位置及び配向にある場合に限って、寛骨臼縁部の局所的な骨突出部を受容する。他のアプローチにおいて、カスタム治具700の記録特徴702は、インプラントのシェル又はカップにとって所望された配向において方向付けられる面又は孔を有する。それ故に、カスタム治具700が配置されると、検知装置204は面又は表面に対して位置付けられることができ、ピン732が連結された場合に、ピンが孔内に挿入されることができる。そのように配置された場合に、装置の配向から、寛骨臼縁部の配向又はその代理は、装置172、294のうちの一方又は両方で記録されることができる。孔702は好ましくは、カスタム治具700の前方面704から後方面708へ延在する。前方面704と後方面708の間の距離は、特定の方向に沿った特定の解剖学的構造にピンを案内するのに十分とされる孔702の深さを提供する。
【0136】
図24は、解剖学的構造に対するカスタム治具700の適合によって指示された配向における、臼蓋窩内のカスタム治具700の初期配置を示す。チャネル(複数のチャネル)716を含む後方面708の外観は、臼蓋窩で、及び臼蓋窩の周りで、骨の局所的な突出部及び凹部を含む患者特有の寛骨臼縁部を受容する。孔702は、カスタム治具700の周囲突出部720に位置する。周囲突出部720の構造は、股関節の特定の骨又は骨領域に亘って配置されるようになっている。この例において、周囲突出部720は、臼蓋窩に対して上方の骨に亘って配置されるように構成される。臼蓋窩の周りの骨の他の領域は、手術中に外科医の動作を妨げないように、十分厚く、又は十分強度があり、且つ便利な位置にある場合に使用されることができる。選択された周囲突出部720の正確な位置は、手術前の撮像によって決定されることができ、カスタム治具700の形成に組み込まれることができる。
【0137】
図25は、治具が配置された後で、ピン732が孔702を通じて配置されることができることを示す。ピン732は、治具700の前方面704の上方に延在する長さを有し、それによって、センサー204はそれに取り付けられることができる。センサー204がピンに取り付けられると、センサーは、手術中に骨盤の任意の移動を追跡することができる。臼蓋窩及び/又は前方骨盤平面に対するピンの位置及び配向が手術前の撮像から周知とされるので、この技術においてランドマークの記録の必要はない。
【0138】
図26は、プラグ700が有利には、ピン732上のセンサー204の回転配向を制御するために、位置合わせガイド736を含むことができることを示す。位置合わせガイド736は、記録特徴702に対して特定の方向に沿って延在するラインとされることができる。上述したように、センサー204の内側の検知装置は、重力の方向に対して感応とされることができる。ピン732に関するセンサーの傾斜は、それらの検知装置の読み取りを変更することができる。この感度と関連した誤差の原因を除外するために、センサー204を組み込むナビゲーションシステムは、センサーがピン732の長手方向軸に関する特定の回転位置にあるであろうことを仮定するためにプログラミングされることができる。センサー204は、この仮定が使用時に満足されることを保証するために、ガイドマーク738と機械的に又は視覚的に位置合わせされてもよい。一の変形例において、センサー204は、治具700上に投影するレーザーを有し、位置合わせを容易にするためにマーク736と位置合わせされることができる。代替的には、ピン732は、特有の配向(例えば、非対称の非円形断面)において孔のみに入るように構成され、(非対称の連結特徴を含むことによって)特有の配向においてピンにセンサーを取り付けることを可能にするように構成される。
【0139】
センサー204がピン732に取り付けられると、治具700は、外科手術領域から取り外されることができる。例えば、治具700は、治具の横方向縁部においてライン742に沿って切断されることができる材料から製造されることができる。のこぎり又は骨鉗子は、治具700を通じて切断されるように使用されることができる。その後、治具700の本体の大部分は、外科手術領域から取り外されることができる。
図28は、センサー204の位置及び配向が中断させないように、いくつかの方法において突出部720が適所に残ることを示す。
【0140】
第2のセンサー204は、
図11A~11Cにおけるインパクタと同様のものとされ得る、カップインパクタに取り付けられる。インパクタは、骨盤上のピン732に取り付けられたセンサー204からの信号を参照して、カップの配置を案内する。インパクタ上のセンサーからの信号は、股関節の移動がピン732上のセンサーによって検出された場合に修正されることができる。
【0141】
[2.慣性センサー及びカニューレ式ガイドを使用したナビゲーション]
図29~31は、カニューレ式ガイド供給方法を実施する一の方法を図示する。カニューレ式方法は、ガイド部材が取り付けられると、配向の追跡が単純化される点、及び、蓄積された誤差、センサードリフト又は、関心としての他の種類の間違った読み取りを除外することができるいくつかの場合において、配向の追跡がもはや必要ない場合がある点で有利である。
【0142】
カスタム治具750は、治具700と関連して上記に議論されたプロセスによって形成される。カスタム治具750は、治具700の構成要素と同じ構成要素を多く有しており、前方面754と後方面758との間に延在する記録特徴752を含む。ガイドマーク738は、ピン732に関して回転可能にセンサー204を位置合わせするように前方面754に設けられることができる。カスタム治具750はまた、カスタム治具750において略中央に位置したガイドチャネル762を有する。ガイドチャネル762は、前方面74に前方開口部と、後方面758に後方開口部と、それらの開口部の間に延在する壁と、を有する。壁は、中央軸Aに関して配置される。中央軸Aの位置及び配向は、臼蓋窩の手術前の特徴付けに基づいて決定されることができる。一の実施形態において、MRI又はCTスキャンは、それに沿って人工関節のカップを供給するための最適な軸を明らかにする。
ガイドチャネル762を形成する壁は、軸Aに関して形成されおり、この軸Aは、治具750が特定の患者の臼蓋窩に配置された場合に最適な軸と一致する。
【0143】
図30は、インパクタ300Aが次いで、軸Aに沿ってガイドチャネル762内に進行させることができることを示す。インパクタ300A上の遠位に面するショルダー766は、事前規定された方法で前方面754及びチャネル762に対する入口と結合することができ、そのように結合された場合に、インパクタ300A上のセンサー204の配向が記録されることができる。この技術において、治具750は、インパクタ300Aを受容するために構成されたチャネル762を有するカニューレである。患者の移動が可能とされる場合に、ピン732上のセンサー204は、そのような移動を追跡するために適所に保持されることができる。そうではない場合、ピン732上のセンサー204は取り除かることができる。インパクタ300A上のセンサー204は、メモリ内に軸Aの配向を記憶させるであろう。そして、この軸からインパクタの不一致を使用者に知らせることができるであろう。いくつかのセンサー、例えば、ある程度安価なジャイロスコープ、の蓄積された誤差(例えば、ドリフト)に起因して、短時間において、インパクタ300A上のセンサー204によって記憶された配向のみが正確とされるので、センサー204をピン732上に保持することは、好ましい。
【0144】
一の変形例において、インパクタがガイドチャネル762内に配置され、且つショルダー766が前方面754と当接される場合に、インパクタ300Aは、軸Aと一致する中央チャネルを有する。ガイドピンは、このチャネルを通じて臼蓋窩内に進行させることができる。ガイドピンは、臼蓋窩のベースに埋め込むことができる。ピン732によって骨盤と連結されたセンサー204は、インパクタ300Aのチャネルを通じて配置されたガイドピンが、股関節の動きを追従する機械的な方法を提供するので、取り除かれることができる。その後、それに取り付けられたカップを有するインパクタ300Aは、臼蓋窩において適所までガイドピン上をスライドすることができる。
【0145】
さらなる変形例において、インパクタ300Aと連結されたセンサー204も取り除かれることができる。このさらなる変形例において、ガイドピンは、軸Aに対して人工関節のカップの傾斜を防止するようにカップに沿って構成される。特に、ガイド部材と人工股関節のカップとの間の接合面は、軸Aに沿った十分な長さを有するように形成されることができ、それにより、傾斜はこの接合面によって防止される。いくつかの場合において、カップ360は、インパクタ300、300Aに連結される。インパクタ300、300Aの変形例は管状とされてもよく、例えば骨盤においてガイドピンに沿って追跡することと整合するための他の特徴を有することができる。
【0146】
[3.慣性センサー及び手術前の撮像を使用するナビゲーション]
広範囲ではない撮像(less comprehensive imaging)を使用する他の技術において、1つ以上の長さ寸法と角度との間の対応は、精度を高めるために利用されることができる。例えば、臨床医は、前方骨盤平面の画像を提供するために、X線又は他の標準的な放射線撮像装置を使用することができる。この画像は、前方骨盤平面の位置及び解剖学的構造の寸法を導きさすために読み取られることができる。例えば、臼蓋窩(以下にさらに記載する)及び座骨横断ライン又は他の解剖学的な内側-外側基準ラインの周りの上部ランドマークと底部ランドマークの間の角度は、少なくとも1つの関連ある角度、例えば外転角度における患者間の変化を最小化させるために、有益な患者特有の変数とされることができる。
【0147】
患者特有のデータは、最も良い医療的判断に基づいて、外科医による使用のために提供されることができる。例えば、本願明細書に記載のシステムのいずれかは、幅広い集団研究に基づいたモードで使用されることができる。そのような研究は、現在の世話の基準に対する著しい改善を可能にするのに十分な明確性及び詳細を有する患者の分布を規定することができる。一のモードにおいて、放射線写真又はCTから得られた寸法は、患者特有の調整が考慮されるべきかどうかを外科医に知らせるために使用されることができる。代替的には、患者特有の調整は、医者にとってそれらが明白になるようにシステム100内にコード化されることができる。そのような調整は、装置172、204のうちの一方又は両方に、又は、装置172、204と無線で通信する別個のモニタあるいは制御装置に、ダウンロードされることができる。それ故に、システム100は、患者特有の調整、例えば、前傾、外転、脚長さ、関節オフセット、又は他のパラメータのための調整を完全に実施することができ、又は、外科医がそのような調整を行うかどうかを判断することを可能にすることができる。
【0148】
図36は、一の技術において使用されることができる手術前の撮像の例を図示する。ライン380は、手術中に使用され、且つ前方骨盤放射線画像において視認可能であるランドマークに向けられる。上部ランドマーク380Aは、臼蓋窩の最も上方のポイントに対して約1cm上方である。他のアプローチにおいて、上部ランドマーク380Aは、寛骨臼縁部上の最も上方のポイントとされることができる。底部ランドマーク380Bは、寛骨臼切痕(涙のしずく形状)に隣接する、又は寛骨臼切痕(涙のしずく形状)に位置する。ライン382とライン384との間の角度は、ランドマークによって形成されたラインの患者特有の外転とされ、この角度は、患者特有の座標系を提供するために、手術時にシステム100(又は、本願明細書の他のシステム)のインターフェースに入力されることができる。ライン384は、解剖学上の内側-外側基準ラインとされてもよい。例示は、座骨横断ライン及び(
図36に示される)閉鎖孔の下側縁部を横断するライン含む。
【0149】
[4.ドリフト無感慣性センサーを使用するナビゲーション]
一の変形例において、装置172、204のうちの一方又は両方は、加速度計のみを備えることができ、且つ、傾斜計として構成されることができ、又は、それらの装置は、加速度計のデータが最も信頼されるモードになることができ、又は、そうでなければ、データの統合から生じる蓄積された誤差に対して無感とされるように構成されることができる。患者が再現できる位置及び安定的な位置にあるとき、患者の動き及び誤った配向は除外されることができる。これは、いくつかの方法が速度センサーのデータを使用することなく実行されることを可能にする。この傾斜計アプローチの一の変形例において、センサー172、204のうちの一方又は両方は、上方位置合わせの結果をもたらすであろうランドマーク取得アプローチを示唆する状態が検知されるかどうかを外科医に知らせるように構成されることができる。この方法は有利には、フリーハンドの動きのような複雑な動きを要求しない手術のために使用されることができる。フリーハンドの動きが含まれる場合に、頭部方向のいくつかの表示(ジャイロスコープ、磁力計、又は他の頭部方向の表示)を組み合わせることは有益とされるであろう。
【0150】
[5.患者特有の安全圏を規定するために、動きを追跡するように慣性センサーを使用するナビゲーション]
図32に図示された他の技術において、患者特有の「安全圏」は、1つ又は複数の患者の関節の本来の可動範囲を記録することによって規定される。例えば、股関節置換手術が実施される場合、患者の可動範囲は手術前に記録されることができる。置換されるべき股関節が重度の関節炎ではない場合に、可動範囲は、置換されるべき股関節で決定されることができる。置換されるべき股関節の可動範囲が疾病状態に起因して不自然である場合に、反対側の股関節が特徴付けられることができる。
【0151】
一の股関節置換技術において、センサーSは大腿骨と連結される。センサーは、膝における動きが測定に影響を与えることを防止するために、膝の上方に連結されることができる。センサーSは、膝が固定された場合に、膝の下に接続されることができる。センサーSは初期化されることができ、そうでなければ、正確な読み取りを記録するために準備されることができる。その後、股関節の1つ又は複数の動きは、記録され、且つ処理されたセンサーの出力により実行されることができる。この動きは例えば、可動範囲の最大限の範囲における前方方向及び後方方向(A-P方向)における移動、及び、可動範囲の最大限の範囲まで内側方向及び外側方向(M-L方向)における移動を含むことができる。それらの動きは、それらの平面における患者の本来の可動範囲を規定する。
【0152】
前方-後方方向及び内側-外側方向における動きの範囲に基づいて、円錐状の動きCMは規定されることができる。この円錐状の動きCMは、大腿骨骨頭の回転中心として規定されたポイントで開始するように、且つ臼蓋窩から外側に、センサーの取付ポイントまでの距離と等しい、回転中心からの距離に位置する円形のベースまで延在するように規定されることができる。円形状のベースは、前方-後方方向及び内側-外側方向における平均的な可動範囲に等しい半径を有するように規定されることができる。
図32において、円錐状の動きは、明確性のために反対側に示される。上述したように、円錐状の動きを推定するために集められたデータは、治療されるべき脚又は反対側の脚に基づいていることができる。
【0153】
人工股関節のカップの配置は、円錐状の動き内における中心のいくつかの測定基準(metric)によって影響される。例えば、カップは、カップの入口の平面に対して垂直に延在する軸が円錐の中心における正確な円錐状の動きの円形状のベースを横断するように、中心に配置されることができる。いくつかのシステムにおいて、カップの配向は制御され、それによって、そのように突出している軸の横断ポイントが円形状のベースの周囲より円形状のベースの中心に近くなる。他のシステムにおいて、カップの配向は制御され、それによって、そのように突出している軸の横断ポイントが、円形状のベースの半径の25%未満である中心点からの距離内にある。
【0154】
患者のクラスにおいて、股関節の動きは、前方-後方方向及び内側-外側方向のそれぞれにおいて対称的とされない。それ自体は、円錐状の動きは、より複雑な幾何学形状を有することができる。例えば、円錐状の動きは、大腿骨骨頭の回転中心で始められ、楕円形状を有するベースまで延在することができ、例えばその楕円形状は、内側方向で短くなるが、外側方向、前方方向、及び/又は後方方向で大きくなることができる。「安全圏内」の様々な測定基準は、それらの不規則な形状の円錐に基づいて規定されることができる。例えば、複雑なベース形状の幾何学的な中心は計算されることができ、人工股関節のカップは、カップの入口の平面に対して垂直に延在する軸が円錐の重心の最大距離で、又は当該最大距離内で、円錐状の動きの不規則な形状のベースを横断するように、中心に配置されることができる。
【0155】
動きの任意の適切なセットは、大腿骨頭の回転中心及び/又は円錐状の動きのベースの境界線を得るために使用されることができる。慣性センサーを使用して大腿骨骨頭の回転の中心を決定する方法の例は、米国特許第8,118,815号で議論されており、この文献は、この目的又は他の全ての目的のために参照によって本願明細書に組み込まれる。円錐状の動きのベースのより完全な外周は、位置及び配向の両方を追跡することを可能にするセンサーを使用して直接的に記録されることができる。例えば、前方-後方方向と内側-外側方向との間の様々な他のポイントは、6個、8個、10個、12個、又はそれ以上の個数が記録されるように採用されることができる。他の実施形態において、円錐状の動きの全てのベース又はベースの一部に沿った正確な動きは、追従され、且つ記録されることができる。センサーSの様々な自由度が制約されるので、センサーはいくつかのアプローチにおいて加速度計のみに基づいて動作することができる。このことは、センサーSを単純化し、使い捨て可能にさせ、且つ安価で実現することができる。そのようなアプローチは、垂直軸に関する回転が最小化される又は除外される場合に、最も正確とされてもよい。
【0156】
一の実施形態において、
図32に図示された手術は、カップ配置システムに入力されることができる原点及び方向を発生させる。原点は、大腿骨頭骨の回転中心とされることができ、人工関節のソケットの対応する回転中心とされることができる。方向は、原点及び円錐状の動きのベースと交差するポイントを接続するラインとされることができる。このデータは、カップ配置システム、例えば上述したような配置システムのいずれかに変換される。例えば、インパクタ300Aは、このデータが保存されるセンサー204を含むことができる。その後、インパクタ300Aの動きは、カップの適切な配置を保証するために、この原点及び方向を参照して追跡されることができる。そのような配置は例えば、骨盤にピン留めされた患者の動きを追跡するセンサーを用いることができる。
【0157】
他の実施形態において、カニューレ式システムは、慣性センサーが使用される間のステップの数を最小化するように使用されることができる。例えば、回転中心及び円錐状の動きのベースとの交差に接続する軸の原点及び方向が決定されると、ガイド部材は、カニューレ式インパクタ(又は、他のカニューレ)を介して配置されることができる。ガイド部材は、インパクタに取り付けられたカップとドッキングすることができる。カップは、臼蓋窩内の位置へガイド部材上をスライドすることができる。
図32に図示されたステップで集められた方向情報及び原点情報は、ガイド部材によって、且つガイド部材及び/又は人工関節のカップ上の傾斜防止特徴によって保存される。
【0158】
患者の関節が広範囲に及ぶ疾病の影響を受ける場合、円錐状の動きは、
図32と関連した上記で議論された動きと類似の動きで集められたデータ及び手術前撮像のデータの組み合わせによって確立されることができる。例えば、X線は、円錐状の動きを規定するデータポイントのいくつかを補うために、大腿骨頚部が寛骨臼縁部に近接して移動される場合に得られることができる。それ故に、円錐状の動きは、本来の解剖学的構造を特徴付けるように、慣性検知により部分的に確立されることができ、撮像により部分的に確立されることができる。
【0159】
[D.慣性センサー及び解剖学上のランドマーク取得治具を使用するナビゲーションに対する前方アプローチ又は後方アプローチのためのモジュール式システム]
図37~40は、股関節置換手術をナビゲートするためのシステム900を図示する。システム900は、上記で議論されたシステムのいくつかと類似とされることができる。しかし、前述のシステムのいくつかが特定のアプローチにとって特化されているけれども、システム900は、後方アプローチのために適合された第1のサブシステム900Aと前方アプローチのために適合された第2のサブシステム900Bとを含む。以下にさらに議論されるように、サブシステム900A及び900Bの両方は、蓄積された誤差(ドリフト)の影響を受けるジャイロスコープ又は他のセンサーを必要とすることなく、ナビゲーションが行われることを可能にするように構成される。この改良点は、より多くの患者に幅広い設定で実施し、且つ使用するために、システムをより単純にさせる。
【0160】
サブシステム900Aは、後方アプローチからの股関節ナビゲーションのために適合された治具904Aを含む。この治具904Aは、いくつかの態様において治具454と類似とされており、その矛盾のない説明が本願明細書に組み込まれる。治具904Aは、プラットフォーム908と、カニューレ連結装置912と、記録治具取付特徴914と、を含む。プラットフォーム908は、任意の形状を有することができるが、いくつかの実施例において、細長くされてもよく、例えば第1の端部916及び第2の端部920を有することができる。細長い形状は、治具904Aの少なくとも1部を一の方向において、薄型(low profile)にさせることを可能にし、連結装置のための長さに沿った複数の位置を治具に提供することを可能にする。ナビゲーション治具が患者に適用される場合に、第1の端部916は下方に方向付けられるように構成され、第2の端部920は、上方に方向付けられるように構成される。内側-外側寸法又は範囲は、手術野又は外科医を妨げないように最小化されることができる。
【0161】
カニューレ連結装置912は、第1の端部916に隣接して配置され、カニューレ924がプラットフォーム908の底面に隣接して保持されることを可能にするように構成される。カニューレ924は、プラットフォーム908の底面に接続された上面を有することができる。それらの構成要素の間の接続は、プラットフォーム908内で上方に又はプラットフォーム908の下に配置された装置によって固定されることができる。一の形態において、カニューレ連結装置924の近位の構造は、プラットフォーム908の底部凹部内に受容されることができ、止めねじSなどの圧縮装置によって凹部内に保持されることができる。カニューレ連結装置912の様々な変形例の詳細は、
図41~43Bに関連して以下に議論される。股関節に隣接する骨に対する接続は、カニューレ924を通じて行われる。例えば、ピン928は、プラットフォーム908及びカニューレ924を通じて骨内に配置されることができる。
【0162】
前方アプローチカニューレ926は
図39及び
図40に示され、カニューレ516に類似とされる。この説明は本願明細書に組み込まれる。カニューレ連結装置912の説明は、後方アプローチのためのカニューレ924及び前方アプローチのためのカニューレ926に等しく適用される。
【0163】
記録治具取付特徴914は、第1の端部916に隣接してプラットフォーム908の上面932に配置される。一の形態において、取付特徴914は、プラットフォームの隆起部分を含む。取付特徴は1つ又は複数の凹部、例えば2つの凹部を含むことができ、これらの凹部にピンが受容されることができる。一の実施形態において、隆起部分は、正しい配置を確認にするためにそのようなピンを見るための窓、例えば貫通孔を含む。
図41に図示されるように、一の変形例において、円形状の凹部は、第1のピンのために設けられることができ、U字状のスロットは、他のピン又は部材のために設けられることができる。
【0164】
股関節ナビゲーション治具904Aはまた、記録治具940を含む。この記録治具940は、上記で議論された記録治具と類似のいくつかの特徴を有することができる。記録治具940は、直立部材942と、回転可能部材948と、プローブ952とを含む。直立部材942は、記録治具取付特徴914でプラットフォーム908に着脱可能に連結されるように構成される。例えば、複数のピン(例えば2つのピン)は、直立部材942の下面から突出することができ、これらのピンは、記録治具取付特徴914における対応凹部内に受容されるように構成される。そのようなピンのうちの1つは、
図38に見られるように、記録治具取付特徴914の窓を通じて視認可能である。直立部材942は、第1の部分944と、第1の部分944の上に配置された第2の部分946とを含む。記録治具940が記録治具取付特徴914に取り付けられる場合に、第1の部分944は実質的に垂直とされ、第2の部分946の高さを増加させる。第2の部分946は、第1の部分944の垂直な長手方向軸から離れて傾斜される。第2の部分946の傾斜は、複数の利点を提供する。以下に議論されるように、それは、直立部材942がプローブ952の動きの範囲の邪魔にならないところに存在することを可能にする。プローブ952が複数の解剖学的特徴に容易に且つ迅速に到達することを可能にしなければならないので、このことは重要である。
【0165】
第2の部分946の傾斜はまた、垂直軸に対する回転可能部材948の回転角度を傾斜させるための単純な方法を提供する。回転可能部材948は、軸Aに関する回転のために直立部材942と連結され、この軸Aは、治具が股関節に隣接する骨に取り付けられ、且つ直立部材が略垂直に配置される場合に垂直ではない。この配置構成は、慣性センサーを採用するナビゲーションシステムが、センサードリフトを管理する必要性を除外することを可能にする一の方法である。上述されるように、ジャイロスコープなどの所定のセンサーは、蓄積された誤差(ドリフト)の影響を多く受ける。軸Aの配向は、治具904が、加速度計及び、垂直ではない軸回りに作動され、且つ移動される場合に、十分に感応である他のセンサーを含むシステムで使用されることを可能にする。
【0166】
上述された記録治具のように、回転及び位置の他の自由度は、記録治具940に設けられることができ、そのような説明は本願明細書に組み込まれる。
【0167】
プローブ952は、解剖学的構造と係合するための先端部956を有する。解剖学的構造係合先端部956は、軸に関する回転のための回転可能部材と連結された細長い本体960の遠位端部に配置される。プローブの細長い部材960の配向及び位置は、ランドマーク取得処置中に、解剖学的構造係合先端部が複数の解剖学上のランドマークと接触状態になるように調整されることができる。そのような調整は、前述したそれらと同様のスライド支持部を通じてスライドすることによって行われることができる。
【0168】
直立部材942はクレードル954を含むことができ、当該クレードル954は、手術中に使用されない場合にプローブ952の細長い本体964が適所に保持されることを可能にする。クレードル954は、上述されるように、センサー204をラッチするために使用されることができる。様々な実施例において、しかしながら、センサーが実質的にドリフトに対して無感となるように構成されるので、システム900は、ゼロに設定するステップを必要としない。ドリフトに対する感応性を除外することは、傾斜計としてセンサー204を構成することによって、及び/又は、手術時間中にドリフトに起因する過度の誤差を取り入れないであろう種類の慣性センサーを使用することによって、達成されることができる。それ自体は、手術中にそれらの誤差の蓄積が十分なレベルに到達しない限り、ドリフトを有するセンサーでさえも使用されることができる。クレードル954は、手術が思いがけなく長引いた場合に、又はセンサーがいくつかのドリフトの影響を受ける場合に、誤差をゼロに設定するために使用されることができる。一の有利な実施形態において、センサー204は、加速度計からの信号のみで動作することができる。この加速度計はドリフトに対して無感とされる。
【0169】
図37~
図40は、システム900A、900Bがプローブ952の配向を検出するための1つ又は複数のセンサーを含むことができることを示す。センサーは任意の形態とされることができ、例えば、上述されるような外科的配向装置172及びセンサー204を含むことができる。それ故に、治具904は、プラットフォーム908に配置されたセンサー取付特徴962を含むことができる。プラットフォームが細長い場合、センサー取付特徴962は、第2の端部920に配置されることができる。治具904A、904Bの他の利点は、対称的であり、且つ両方の股関節に使用されることができる点である。治具904A、904Bはそれ故に、対称的な平面に配置された単一のセンサー取付特徴を有することができる。プラットフォーム908が細長い場合、センサー取付特徴962は、プラットフォームの垂直な中央平面に位置することができる。本願における「垂直」とは、後方アプローチ又は前方アプローチにおいて股関節に適用された場合の治具904A、904Bの配向について言及する。
【0170】
記録治具940は、プローブ952と共に移動するために、それに配置されたセンサー取付特徴964を含むことができる。例えば、センサー取付特徴964は、細長い本体960の近位端部に位置することができる。近位端部にセンサー204を配置するこの位置は、好都合なことの1つである。しかしながら、センサー取付特徴964及びセンサー204は、細長い本体960の側面に位置することができる。
【0171】
本願で議論されるように、回転可能部材948の回転軸Aの配向は、センサー204の配向の変化が水平面以外になることを可能にする。このことは、垂直方向以外に軸Aを方向付けることによって達成される。この配置構成により、構成要素の配向を表示する信号、例えばプローブ952の配向を表示する信号を出力するように、主に加速度計を使用する、又は、加速度計のみを使用することで、傾斜計としてセンサー204を少なくとも構成することが可能になる。提供されることができる軸Aの角度の例又は角度の範囲は、水平方向から約20度、水平方向から約30度、水平方向から約45度、及び、水平方向から約60度未満の角度を含む。
【0172】
図38は、治具904A及びカニューレ924を含むシステム900Aのさらなる特徴を示す。カニューレ924は、後方アプローチのために適合され、中空固定部材466と類似又は同一とされる。カニューレ924の上端部又は第1の端部は、例えば上述したような止めねじによって、カニューレ連結装置912と連結するように構成される。カニューレ924の第2の端部は、股関節に隣接する骨と連結するように構成される。骨は、固定部材466又は上記の任意の実施形態において議論された他の類似の構造を連結するために、上記で議論したそれらのいずれかとされることができる。ホームポイント特徴968は、カニューレ924の第2の端部(下端部)と隣接して配置される。ホームポイント特徴968は事前に規定された周知の位置にあり、プローブ952の解剖学的構造係合先端部956を受容することができる。それらの構造が接触した場合に、それらは、事前に規定された位置及び配向とされる。ホームポイント特徴968は、上記で議論した記録特徴473と類似していることができる。
【0173】
システム900が後方アプローチ又は前方アプローチのため(以下に議論される)に適合されることができるので、カニューレ924は、手術室におけるプラットフォーム908から取り除かれるべきであり、又は、外科医の準備のための背面テーブルで取り除かれるべきである。例えば、カニューレ924とプラットフォーム908との間の接続は、特定の配向とされることができる。これは、外科医のエラーの潜在的な原因を減少させる。すなわち、ホームポイント特徴968は、寛骨取付位置から手術野に向けて常に面している、例えば、治具904が手術野の上方位置に取り付けられる場合に下方に面している。例えば、カニューレ924の近位部分における突出部、及びプラットフォーム908の下面の凹部における対応する突出部は、それらの構成要素が連結されることができるプラットフォームに対するカニューレの一の回転配向のみを規定することができる。
【0174】
上記で議論したように、カニューレ926は、外科医が前方アプローチに切り替えることを可能にするために、システム900に設けられる。前方アプローチは、
図18~
図21Bと関連して上記に非常に詳細に議論される。この説明は、同様に本願明細書に組み込まれる。システム900Bは、上記で議論されるように、システム900Bにおける回転軸Aの配向が垂直ではない点でシステム500と異なる。例えば、複数のセンサーは、システム500に比較して非常に単純化されることができる。カニューレ926は、ホームポイント特徴968Bを有する。ホームポイント特徴968Bは、事前に規定された周知の位置にあり、プローブ952の解剖学的構造係合先端部956を受容することができる。それらの構造が接触した場合に、それらは、事前に規定された位置及び配向とされる。ホームポイント特徴968Bは、上記で議論した記録特徴473と類似していることができる。カニューレ926及びプラットフォーム908は、取付の制限された回転位置、例えば1つの回転位置のみのために構成されることができる。これは、治具904Bが手術室又は背面テーブルで組み立てられる場合に、治具904Bが適切に組み立てられるであろうことを確実にする
【0175】
ランドマーク取得の精度を最大化させるための一の方法において、治具904Bは、前方アプローチで患者と連結される。先端部956は、ホームポイント特徴968Bと接触状態になる。その後、ユーザー入力は、先端部956がホームポイント特徴968Bとなることを示すように、外科的配向装置172Aに適用されることができる。その後、システムは、上記で議論した方法で移動及びランドマーク取得を記録する。それらのデータは、上記で議論したように、人工関節のカップの配置を案内するための根拠を提供する。
【0176】
インパクタ300Aなどの装置を使用する人工関節のカップの配置は、複数の慣性センサーから利益を得る動作とされることができ、それらの複数の慣性センサーは、1つ又は複数のドリフト感応センサー、例えばジャイロスコープを含む場合がある。システム900は、外科的配向装置172Aに対する周知で一定の位置及び配向においてセンサー204を連結するためのキャリブレーション取付998を提供する。キャリブレーション取付998は、蓄積された誤差の潜在的な原因を除外するステップ、例えば、ドリフト感応センサーをゼロに設定するステップの直前に、センサー204を位置付けるドッキング装置とされる。
図37~
図38は、それらのシステム900Aが2つのセンサー204を含むことができること、及び、一方のセンサーが記録治具940に取り付けられ、他方のセンサーがキャリブレーション取付998に取り付けられることを示す。それらの2つのセンサー204は同一とされることができる、又は、それらの特定の機能のため専用とされることができる。
図39及び
図40は、1つのセンサー204のみを示す。このシステムにおいて、単一のセンサー204は、寛骨臼インプラントを配置するために、ランドマークデータを収集するために、又はインパクタ300Aと組み合わせて動作するために使用される。
【0177】
図41~
図43Bは、プラットフォーム908に複数の構造を挟持するための様々な特徴を図示する。特に、それらの図面は、プラットフォーム908内に組み込まれた固定ピン固定装置970を示す。固定ピン固定装置970は、手術野における他の工具の邪魔にならないところにあるように、目立たない状態(low profile)を有することができる。
図41~
図41Aは、圧縮部材972を含むピン固定装置970の一の実施形態を示す。カニューレ連結装置912は、カニューレ924を通じて配置されたピンを挟持するために類似の機構を含むことができる。プラットフォーム908は、その表面、例えば上面に形成された1つのスロット又は複数のスロットを含む。スロット974は、少なくとも1つの方向において圧縮部材972より大きくなっている。それにより、圧縮部材は、スロット内に適合することができ、その中における大きな範囲まで移動することができる。圧縮部材972は、先細チャネル976を有する。先細チャネル976における先細部材978の垂直方向の移動は、圧縮部材972とプラットフォームの剛体特徴との間の間隙Gを狭めるために、圧縮部材972を移動させる。この間隙Gは、圧縮部材972の湾曲した側面とプラットフォーム908の湾曲面との間とされることができる。
【0178】
一の方法において、ピン又は他の固定部材は、間隙Gを通じて骨内へ進行させる。プラットフォーム908は、適切な高さで固定部材に位置付けられ、ピン固定装置970は固定部材に固定される。固定部材は、スタインマンピン又は他の類似の装置とされることができる。一の技術において、先細部材978はねじ山付きの細長い本体とされ、このねじ山付きの細長い本体は、間隙Gを狭めるために、圧縮部材972を横方向に移動させるように、その先細表面が先細表面976に作用するまで、プラットフォーム908に形成された雌ねじに沿って進行される。先細部材978のさらなる進行は、固定部材の固定を高めるために、圧縮部材972をさらに移動させる。その方法は、一のピンがカニューレ924を通じて延在し、且つ一のピンがカニューレ924に対して平行に延在するが、患者においてそこから上方にオフセットしている場合に第2のピンのために繰り返されることができる。
【0179】
図42~
図42Bは、固定ピン固定装置970Aに対する他のアプローチを図示する。この固定ピン固定装置970Aは、プラットフォーム908に回動可能に取り付けられた圧縮部材972Aを備える。
図42Aは、2つの圧縮部材972Aを示す。これらの圧縮部材972Aのそれぞれは、ピン又はシャフト980に関して回動するように取り付けられる。
図42Aの左側の固定装置970Aは、固定部材がこの機構において間隙Gを通じて自由に通過することができる構造に対応する。
図42Aの右側の固定装置970Aは、間隙Gが狭くなり、間隙Gに配置された固定部材がしっかりと挟持され、プラットフォーム908に対して移動することができない構造に対応する。圧縮部材と一緒に回動する圧縮部材972の反対側のプラットフォーム908の剛体面は、適所で固定部材を保持する。
【0180】
一の方法において、ピン又は他の固定部材は、固定ピン固定装置970A及びカニューレ連結装置912内に配置される。図示した実施形態において、それらの装置は、類似の挟持機構を採用することができる。その後、ねじ982は、圧縮部材972Aの挟持面とプラットフォーム908の剛体面との間に設けられた間隙Gがより大きくなる第1の位置から、間隙Gがより小さくなる第2の位置へピン又はシャフト980に関して圧縮部材972を回動させるために進行させる。第2の位置は、固定部材のための挟持位置であり、ねじ982が間隙Gを拡大させて引っ込めさせるまで適所にプラットフォーム908を保持するであろう。
【0181】
図43~
図43Bは、固定ピン固定装置が、固定部材における外側表面の複数の区画を挟持するために構成された圧縮部材972Bを備える固定ピン固定装置970Bに対する他のアプローチを図示する。プラットフォーム908は、プラットフォームの上面から上向きに延在する複数の突出部984を含む。複数の突出部はねじ山が切られている。各突出部は、固定部材を受容するために寸法決めされた内部ルーメンを有するそれに配置されたコレット986又は類似の装置を含む。複数のスロットは、コレット986の上面から下向きに延在しており、角度付き表面988は、そのようなスロットのうちの一対のスロットの間に規定された各部材の上端部の間に配置される。対応する角度付き表面990は、カップ992の内側に設けられる。カップ992は雌ねじを有し、これらの雌ねじは、角度付き表面988上で角度付き表面990を進行させるために、突出部984のねじに作用する。さらなる進行は、固定部材の外側表面に関して圧縮を引き起こすコレット986のスロットをつぶす。
図43は、このアプローチが固定ピン固定装置970Bのために、及び/又はカニューレ連結装置912のために使用されることができることを示す。
【0182】
上記で議論されたシステムが特定のアプローチにとって非常に適切とされるけれども、システム900は、後方アプローチ又は前方アプローチのために適合されることができる。これは、外科医に大きな柔軟性を提供し、汎用キットに対する最小限の追加的な構成要素だけを追加する。回転の軸Aの配向(
図38及び
図40に見られる)は、加速度計及び他のセンサードリフト無感構成要素を組み込むシステムの感度を高める。ホームポイント特徴968A、968Bは、ホームポイント位置に対する近距離の複数の解剖学上のランドマークのための位置データ及び配向データの取得を可能にすることによって、外科医が最大限の精度を得ることができる。これは、システムが、精度を高めるために取得されるポイントに隣接するセンサーを初期化させることを可能にする。
【0183】
[II.カメラ追跡を使用する股関節ナビゲーション]
図33は、近距離の光学的追跡能力を含むシステム800の一の実施形態を図示する。この文脈において、「近距離」との用語は、手術台の境界線の内部において、骨盤上の直接的な手術野であって、外科医の頭の下の手術野などの、患者に隣接することを意味する広義語である。この用語は、カメラが手術野の外側にあるシステムを排除するために意図される。近距離は、伝統的な光学ナビゲーションを苦しめる「視線」問題を非常に減少させる、又は除外する。
【0184】
図示された実施形態において、治具システム804は、患者の骨に接続するために提供される。治具システム804は、本願明細書で議論された治具システムのいずれかにおける複数の特徴のいずれかを含むことができる。簡単にするために、治具システムは、
図1のシステムを用いて図示されており、例えばカニューレ124及びプラットフォーム136を含む。外科的配向装置172Aは、プラットフォーム136に取り付けられる。配向装置172Aは、本願明細書に前述されたものと類似していることができるが、1つ又は複数のカメラ812も含む。好ましくは、配向装置172Aは、双眼鏡データ(binocular data)の捕捉を可能にする2つのカメラ812を含む。カメラは好ましくは、小さなカメラとされる。例えば、http://www.aptina.com/products/soc/mt9t111d00stc/のウェブページで議論されるAptina社のMT9T111とされる。配向装置172Aの下側から投影している円錐形状は、カメラ182の視野の方向を概略的に表す。
【0185】
このデータは、スタイラス816の向きを決定するために、及びいくつかの場合においてスタイラス816の6自由度を決定するために少なくとも使用されることができる。このスタイラスは、上述したように、ランドマーク取得処理の一部としてランドマークに接触するように構成された遠方端部828を有する。スタイラス816の近位部分832(又は他の部分)は、トラッカー836のアレイを有する。このトラッカー836のアレイは、配向、位置、向き、姿勢、又は連結されたスタイラス816又は解剖学的構造の一部分の特定の特徴付けの他の組み合わせを提供するためにカメラ812によって追跡されることができる。
【0186】
カメラ812は、任意の追加のセンサーなしで、例えば慣性センサーなしで動作することができる。いくつかの実施形態において、カメラ812は、センサーの精度を確認するために、又は精度を改善するために、慣性センサーと共同して使用される。例えば、速度センサーにおけるドリフト、例えば蓄積された誤差は、カメラから見た位置と速度センサーの出力を比較することによって監視されることができる。システムは、センサーがあまりに多くのドリフトを出力した場合に介在することができる。例えば、速度センサーを再設定することを使用者に知らせる。
【0187】
レーザー放射器又は赤外線放射器814などの他の光学的装置は、配向装置172Aに提供されることができる。赤外線放射器は、手術野における強烈な光の下で、カメラによって非常に容易に着脱可能とされるために、受託者(fiduciaries)に光を当てるのに有益とされることができる。
【0188】
それらの発明が、ある好ましい実施形態及び例示の内容において開示されるけれども、この出願が明確に開示された実施形態を超えて他の代替的な実施形態及び/又は発明の使用、及び自明な変更、並びにそれらの均等物まで拡大することは、当業者によって理解されるであろう。さらに、発明の複数の変形例が示され、詳細に記載されるけれども、発明の技術的範囲内にある他の修正は、この開示に基づいて当業者にとって容易に明白とされるであろう。実施形態における特定の特徴及び態様の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせが、出願の技術的範囲内で行われる場合がある、且つ依然として含まれる場合があることも、熟考される。例えば、出願は、単独で、又は別個の態様を備えることができる他のモジュールのいずれかと組み合わせて、接続ハブを熟考する。あるいは、何れかのモジュール又はモジュールの組み合わせは、別の別個の態様を形成するために、傘状ハブ又はオーバーヘッド支持部に直接的に接続されることができる。それ故に、開示された実施形態の様々な特徴及び態様が開示された実施形態の変更モードを形成するために、互いと組み合わせることができる、又は互いのために取り換えられることができることは、理解されるべきである。それ故に、本願発明の技術的範囲が、上述されたような開示された特定の実施形態によって限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ決定されるべきであることは、意図されている。
【0189】
同様、開示のこの方法は、請求項が、その請求項に明確に記載されるものより多くの特徴を必要とする意図を反映するものとして解釈されるべきではない。それどころか、以下特許請求の範囲が反映されるので、進歩性を有する態様は、単一の前述の実施形態の全ての特徴より少ない組み合わせに置かれる。それ故に、詳細の説明に続く特許請求の範囲は、詳細な説明に本願によって明確に組み込まれており、各クレームが別個の実施形態として独立している。
【符号の説明】
【0190】
100 股関節ナビゲーションシステム
104 記録治具
108 位置合わせアセンブリ
112 ランドマーク取得アセンブリ
124 固定カニューレ
136 プラットフォーム
140 剛体延在部
224 細長い部材
300 インパクタ
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
股関節置換を行うためのシステムであって、
少なくとも1つの慣性センサーを備える配向検出装置であって、前記少なくとも1つの慣性センサーが重力の方向に感応である、配向検出装置、
離隔された構成で骨盤に駆動されるように構成された2つのピン、
手術台に対して配置された患者に支持プラットフォームを連結するために、前記2つのピンを受容するように構成された支持プラットフォームであって、前記患者は臼蓋窩及び大腿骨骨頭を備える股関節を有し、前記支持プラットフォームは前記支持プラットフォームを前記2つのピンに固定するためのロック装置を備え、前記配向検出装置は前記支持プラットフォームに連結するように構成され、使用時に、前記慣性センサーの配向は、前記配向検出装置が前記患者に連結された前記支持プラットフォームに連結された場合に第1の平面及び第2の平面を備える基準座標系の配向の表示として記録されている、支持プラットフォーム、
インパクタドッキング装置であって、前記配向検出装置が、前記患者に連結された前記支持プラットフォームから取り外され、次いで前記インパクタドッキング装置に連結されるように構成される、インパクタドッキング装置、
を備え、
前記配向検出装置は、前記配向検出装置が前記インパクタドッキング装置に連結された場合に、前記配向検出装置の前記慣性センサーの配向に基づいて前記第1の平面及び前記第2の平面を備える前記基準座標系に対してインパクタの配向を提供しており、
前記支持プラットフォームは、前記配向検出装置が前記インパクタドッキング装置に連結され、且つ前記インパクタの配向の表示を提供している間に、前記患者に連結されたままであるように構成される、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの慣性センサーは、少なくとも1つの加速度計を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの慣性センサーは、少なくとも1つのジャイロスコープを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記配向検出装置は、プロセッサ内に組み込まれたソフトウェアを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記配向検出装置は、コンピュータを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記配向検出装置は、一の基準座標系から他の基準座標系への変換を計算するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記配向検出装置は、アルゴリズムを処理するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記配向検出装置は、ソフトウェアを実行するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記配向検出装置は、リアルタイムナビゲーションデータを提供するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
カップの配置は、ランドマークを記録することなく案内される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の平面は、前記手術台に対して平行である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の平面は、前記手術台に対して垂直である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の平面は、前方骨盤平面を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の平面は、前方骨盤平面に対して垂直である、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記患者の第1の股関節は、前記手術台上に位置するように構成され、
前記患者の第2の股関節は、前記手術台から離れた位置に位置するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記インパクタは、前記配向検出装置が前記インパクタドッキング装置に連結された状態で、人工股関節のカップを前記臼蓋窩内に配置するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記配向検出装置は、前記インパクタの軸に対して垂直に延びている、請求項1に記載のシステム。
【外国語明細書】