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特開2024-133076生分解性ポリマー組成物及びその製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133076
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】生分解性ポリマー組成物及びその製造法
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20240920BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20240920BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20240920BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20240920BHJP
   C08L 3/00 20060101ALI20240920BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20240920BHJP
   C08K 5/11 20060101ALI20240920BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20240920BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
C08L67/04
C12P1/04
C08L101/16 ZBP
C08L1/02
C08L3/00
C08K5/09
C08K5/11
C08K5/29
C08L101/16
C08L67/04 ZBP
C12N1/21
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024104637
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2021534400の分割
【原出願日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】62/722,535
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521077163
【氏名又は名称】モハラム ベンチャーズ インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モハラム,タレク
(72)【発明者】
【氏名】ハミード,ファイサル サフル
(72)【発明者】
【氏名】シン,アーシュディープ
(72)【発明者】
【氏名】パテール,パティーク ダクセシュクマール
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,デヴォン ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】コッハー,ニコル リンジィ
(72)【発明者】
【氏名】ハーティン,マシュー ダグラス チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ゼビアン,ナジュア
(57)【要約】
【課題】
本発明は、生分解性ポリマー、特に、生分解性ポリマー組成物及び炭素源としてアサ属廃棄物を用いて生分解性ポリマーを製造する方法に関する。
【解決手段】
本発明による生分解性ポリマー組成物は、ポリヒドロキシブチレート、かつ、熱可塑性デンプン、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム及び無水マレイン酸からなる群から選択される1つ以上の相容化剤、並びに微結晶性セルロース及びセルロースからなる群から選択される1つ以上の添加剤とブレンドされた、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)を含む。生分解性ポリマーの製造方法は、加工されたアサ属廃棄物を炭素源として用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5質量%~70質量%のポリヒドロキシブチレート、5質量%~70質量%のポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、5質量%~45質量%の熱可塑性デンプン、0.5質量%~35質量%の1つ以上の相容化剤、及び0.5質量%~15質量%の1つ以上の添加剤を含む、生分解性ポリマー。
【請求項2】
(i)1つ以上の相容化剤は、コハク酸ジヘキシル、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、無水マレイン酸、メチレンジフェニルイソシアネート及びフマル酸ジオクチルからなる群から選択され、かつ、
(ii)1つ以上の添加剤は、微結晶セルロース及びセルロースからなる群から選択される、請求項1に記載の生分解性ポリマー。
【請求項3】
熱可塑性デンプンが、約30質量%のグリセロール及び約20質量%の水を含む、可塑化天然ポリマーである、請求項1に記載の生分解性ポリマー。
【請求項4】
20質量%以上60質量%以下のポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、10質量%以上30質量%以下の熱可塑性デンプン、10質量%以上20質量%以下の1つ以上の相容化剤、および1質量%以上10質量%以下の1つ以上の添加剤を含む、請求項3に記載の生分解性ポリマー。
【請求項5】
20質量%のポリヒドロキシブチレート、40質量%のポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、20質量%の熱可塑性デンプン、15質量%の1つ以上の相容化剤、及び5質量%の1つ以上の添加剤を含む、請求項3に記載の生分解性ポリマー。
【請求項6】
アサ属廃棄物を炭素源として用いる、請求項1に記載の生分解性ポリマーの製造方法であって、以下の:
a)アサ属廃棄物を鉱酸溶液中で少なくとも121℃の温度で25分間加熱してアサ属/酸溶液を生成する工程;
b)前記アサ属/酸溶液を濾過して濾液を生成する工程;
c)前記濾液を無機塩媒体と1:1~1:2の比で混合して調製培地を生成する工程;かつ、
d)前記調製培地を、枯草菌(Bacillus subtilis)、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、セレウス菌(Bacillus cereus)、ブレビス菌(Bacillus brevis)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter cresentus)、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・サーキュランド(Bacilllus circulands)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、大腸菌(Escherichia coli)、ミクロラナツス・ホスホボラス(Microlanatus phosphovorous)、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)、ヘアリーベッチ根粒菌ビキアエ(Rhizobium viciae)、ダイズ根粒菌ジャポニカム(Bredyrhizobium japonicum)、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、ブルクホルデリア・サッカリ(Burkholderia sacchari)、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necactor)、ネプトゥナモナス・アンタークティカ(Neptunamonas Antarctica)、アゾトバクター・ビネランジイ(Azobacter vinelandii)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エアロモナス・キャビアエ(Aeromonas caviae)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エアロモナス・パンクテート(Aeromonas punctate)、アルカリゲネス・レータス(Alcaligenes latus)、ハロモナス・ボリビエンシス(Halomonas boliviensis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、及びフィルミクテス門(Fermicutes bacterium)の天然株及び遺伝子操作された株からなる群から選択される微生物の開始培養物に接種し、かつ、少なくとも30℃で48~72時間培養して培養物を産生する工程、
を含む、方法。
【請求項7】
さらに、以下の:
a.培養物を濾過して微生物の細胞を分離する工程;
b.前記細胞をNaOH溶液中に懸濁させ、かつ、少なくとも30℃の温度で少なくとも1.5時間インキュベートして、前記細胞から生分解性ポリマーを放出させる工程;
c.前記生分解性ポリマーをNaOH溶液から分離して、水中に再懸濁する工程;
d.前記生分解性ポリマーを前記水から分離して、エタノール溶液中に再懸濁する工程;かつ、
e.前記生分解性ポリマーを前記エタノール溶液から分離する工程;
を含む、前記生分解性ポリマーを培養物から抽出する工程を含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
微生物は、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ、アセチルCoAレダクターゼ、及びポリヒドロキシ酪酸ポリメラーゼをコードする1つ以上の遺伝子を発現する枯草菌の遺伝子操作株である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の遺伝子は、phaA、phaB、phaC、phaJ、phaPからなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
微生物は大腸菌の代謝改変株である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
生分解性ポリマーが、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
生分解性ポリマーが、ポリ(グリコレート-コ-ラクテート-コ-3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
微生物が遺伝子組換え大腸菌株である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
生分解性ポリマーがプロリル-4-ヒドロキシラーゼを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生分解性ポリマーがポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の生分解性ポリマーの製造用炭素源としてのアサ属廃棄物の使用。
【請求項17】
アサ属廃棄物は、アサ属植物の、根、トリミング(trimmings)、葉、柄(stalks)及び茎(stems)の1つ以上からなる、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリマー、特に、生分解性ポリマー組成物及び炭素源としてアサ属廃棄物を用いて生分解性ポリマーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは軽く、耐久性があり、汎用性のある素材であり、建設から医療、消費財から包装材まで、多くの産業に欠かせない要素である。プラスチック材料の生産の多くは、再生不能な資源に依存しており、経済的、環境的、長期的に持続不能である。また、当該問題は、多くの種類のプラスチックが環境破壊をもたらす時間により悪化している。一般に、プラスチックストロー等の消費財に用いられるプラスチックは、環境中で分解されるのに約200年かかる。漁場で用いられるような耐久性の高いプラスチックは、破損に600年もかかる場合がある。
【0003】
その結果、プラスチック廃棄物の環境への負荷は高まり、ストローを含むプラスチックの単回使用品目の禁止等、プラスチック廃棄物の削減に向けた取り組みが急務となっている。プラスチックの再利用プログラムの増加等の他の取組みは、コストの問題や、ほとんどのプラスチックは、物理的特性がそれ以上の使用に適さなくなる前に、限られた回数しか再利用できず、制限されている。プラスチック廃棄物の環境への蓄積の問題に取り組む、もう一つの選択肢は、環境中でより速く分解するプラスチックの製造である。
【0004】
生分解性プラスチックは、微生物によって水、二酸化炭素、メタン等の単分子に分解され、バイオマスになる時間が、一般的なプラスチックに必要な時間よりもはるかに短い。多くの生分解性プラスチックは、再生不能な石油化学的資源でなく、再生可能な資源から生産されうる。しかしながら、生分解性プラスチックは、脆弱であるか、熱安定性が低い等、多くの望ましくない特性が知られている。他の既知の生分解性プラスチックは、製造コストが法外に高く、そのため、広範な適用が阻害される。
【0005】
従って、機械的特性が改良された新規な生分解性プラスチックの要望がある。さらに、生産コストを下げるための、再生可能な原料から生分解性プラスチックを製造する新規な方法の要望がある。
【0006】
アサ属(Cannabis)廃棄物とその処分は、様々な法域でアサ属の嗜好使用が合法化され始めていることから、当業界の重要な課題となると予測される。消費者用にアサ属を1キログラム生産する場合、8キログラムの廃棄物が生じる。アサ属廃棄物の現行の処分方法は、アサ属廃棄物を化学薬品やその他の廃棄材料と混合することを含め、厳格に規制されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、この新産業における生成量が増加するアサ属廃棄物の有用な用途を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による生分解性ポリマー組成物は、ポリヒドロキシブチレートかつ、熱可塑性デンプン、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム及び無水マレイン酸からなる群から選択される1つ以上の相容化剤、並びに微結晶性セルロース及びセルロースからなる群から選択される1つ以上の添加剤とブレンドされた、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)を含む。
【0009】
他の実施形態では、当該生分解性ポリマー組成物は、5質量%~70質量%のポリヒドロキシブチレート、5質量%~70質量%のポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、5質量%~45質量%の熱可塑性デンプン、0.5質量%~35質量%の1つ以上の相容化剤、及び0.5質量%~15質量%の1つ以上の添加剤を含む。
【0010】
他の実施形態では、当該生分解性ポリマー組成物は、10質量%~30質量%のポリヒドロキシブチレート、20質量%~60質量%のポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、10質量%~30質量%の熱可塑性デンプン、10質量%~20質量%の1つ以上の相容化剤、及び1質量%~10質量%の1つ以上の添加剤を含む。
【0011】
他の実施形態では、当該生分解性ポリマー組成物は、20質量%のポリヒドロキシブチレート、40質量%のポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、20質量%の熱可塑性デンプン、15質量%の1つ以上の相容化剤、及び5質量%の1つ以上の添加剤を含む。
【0012】
本発明の他の態様では、アサ属廃棄物を炭素源として用いる生分解性ポリマーの製造方法であって、以下の:a)アサ属廃棄物の機械的破壊処理工程;b)前記アサ属廃棄物を無機酸溶液中で少なくとも121℃の温度で25分間加熱してアサ属/酸溶液を生成する工程;c)前記アサ属/酸溶液を冷却、中和、及び濾過して濾液を生成する工程;d)前記濾液を無機塩媒体と1:1~1:2の比で混合して調製培地を生成する工程;e)前記調製培地を、枯草菌(Bacillus subtilis)、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)、セレウス菌(Bacillus cereus)、ブレビス菌(Bacillus brevis)、カウロバクター・クレセンタス(Caulobacter cresentus)、バチルス・スフェリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・サーキュランド(Bacilllus circulands)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、大腸菌(Escherichia coli)、ミクロラナツス・ホスホボラス(Microlanatus phosphovorous)、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)、ヘアリーベッチ根粒菌ビキアエ(Rhizobium viciae)、ダイズ根粒菌ジャポニカム(Bredyrhizobium japonicum)、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、ブルクホルデリア・サッカリ(Burkholderia sacchari)、カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necactor)、ネプトゥナモナス・アンタークティカ(Neptunamonas Antarctica)、アゾトバクター・ビネランジイ(Azobacter vinelandii)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、エアロモナス・キャビアエ(Aeromonas caviae)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エアロモナス・パンクテート(Aeromonas punctate)、アルカリゲネス・レータス(Alcaligenes latus)、ハロモナス・ボリビエンシス(Halomonas boliviensis)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、及びフィルミクテス門(Fermicutes bacterium)の天然株及び遺伝子操作された株からなる群から選択される微生物の開始培養物に接種し、かつ、少なくとも30℃で48~72時間培養して培養物を産生する工程;かつf)前記培養物から生分解性ポリマーを抽出する工程;を含む。
【0013】
他の実施形態では、前記生分解性ポリマーを培養物から抽出する工程は、以下の:a)孔径約1mmのメンブレンを通して培養物を濾過する工程;b)前記濾過された培養物から前記微生物の細胞を分離する工程;c)前記細胞をNaOH溶液中に懸濁させ、かつ、少なくとも30℃の温度で少なくとも1.5時間インキュベートして、前記細胞から生分解性ポリマーを放出させる工程;d)前記生分解性ポリマーをNaOH溶液から分離して、水中に再懸濁する工程;e)前記生分解性ポリマーを前記水から分離して、エタノール溶液中に再懸濁する工程;かつ、f)前記生分解性ポリマーを前記エタノール溶液から分離する工程;を含む。
【0014】
本発明の他の態様では、生分解性ポリマーの産生に用いられるアサ属廃棄物から調製培地を製造する方法であって、以下の:a)アサ属廃棄物の機械的破壊処理工程;b)前記アサ属廃棄物を無機酸溶液中で少なくとも121℃の温度で25分間加熱してアサ属/酸溶液を生成する工程;c)前記アサ属/酸溶液を冷却、中和、及び濾過して濾液を生成する工程;かつ、d)前記濾液を無機塩媒体と1:1~1:2の比で混合して調製培地を生成する工程;を含む。
【0015】
他の実施形態では、本方法は、さらに、処理済みアサ属廃棄物を水中で撹拌し、当該アサ属廃棄物を分解する工程を含む。得られた混合物をろ過し、その後、当該ろ液を水酸化ナトリウム及び過酸化水素中で加熱及び攪拌する。得られたスラリーをろ過し、pHを中和し、乾燥バイオマスを生成させ、当該アサ属廃棄物を鉱酸溶液中で加熱する工程の前に行う。
【0016】
他の実施形態では、アサ属/酸溶液を冷却、中和、及び濾過する工程は、冷脱イオン水を添加して反応を停止させる工程を含む。得られた混合物を遠心分離し、中性pHに達するまで脱イオン水で沈殿を洗浄する。0.5M、70℃、67%塩化亜鉛中で酸加水分解によりセルロースを加水分解し、最終生成物を滅菌リン酸緩衝生理食塩水で希釈する。
【0017】
本発明の他の態様では、生分解性ポリマーの製造方法であって、以下の:a)処理された植物性廃棄物を炭素源として含む窒素制限調製培地に、枯草菌、カプリアビダス・ネカトール、セレウス菌、ブレビス菌、カウロバクター・クレセンタス、バチルス・スフェリカス、バチルス・コアグランス、バシラス・メガテリウム、バチルス・サーキュランド、バシラス・リケニフォルミス、大腸菌、ミクロラナツス・ホスホボラス、リゾビウム・メリロティ、ヘアリーベッチ根粒菌ビキアエ、ダイズ根粒菌ジャポニカム、ブルクホルデリア・セパシア、ブルクホルデリア・サッカリ、カプリアビダス・ネカトール、ネプトゥナモナス・アンタークティカ、アゾトバクター・ビネランジイ、シュードモナス・プチダ、緑膿菌、エアロモナス・キャビアエ、エロモナス・ハイドロフィラ、エアロモナス・パンクテート、アルカリゲネス・レータス、ハロモナス・ボリビエンシス、ラクトバチルス・ラムノサス、及びフィルミクテス門の天然株及び遺伝子操作された株からなる群から選択される微生物の開始培養物に接種し、かつ、少なくとも30℃で48~72時間培養して培養物を産生する工程;b)孔径約1mmのメンブレンを通して培養物を濾過する工程;c)前記濾過された培養物から前記微生物の細胞を分離する工程;d)前記細胞をNaOH溶液中に懸濁させ、少なくとも30℃の温度で少なくとも1.5時間インキュベートして、前記細胞から生分解性ポリマーを放出させる工程;e)前記生分解性ポリマーをNaOH溶液から分離して、水中に再懸濁する工程;f)前記生分解性ポリマーを前記水から分離して、エタノール溶液中に再懸濁する工程;g)前記生分解性ポリマーを前記エタノール溶液から分離する工程;を含む。
【0018】
他の実施形態では、本方法は、アサ属廃棄物から製造された調製培地を用いてPHBを製造し、ストックから栄養培地中でPHBを製造しうる、1つ以上の微生物を増殖させる工程を含む。当該調製培地に1つ以上の微生物を接種する工程。当該調製培地に制限された窒素源を補充し、1つ以上の微生物を調製培地中で増殖させる工程。当該調製培地を遠心分離して、1つ以上の微生物の細胞を当該調製培地から分離し、細胞を乾燥させる工程。乾燥細胞を再度蒸留水に懸濁し、水酸化ナトリウムを加えて当該細胞からPHBを抽出する工程。pHを7.0に調整し、得られた混合物を遠心分離してPHB顆粒を懸濁液から分離し、反応を停止させる工程。必要に応じて、蒸留水で顆粒をすすぎ、得られた混合物を再度遠心分離する工程。鉱酸を加えて顆粒を分離し、混合物を遠心分離する工程。液相を捨て、アルカリ浴で製品を洗浄して、PHBを精製する工程。必要に応じて、PHBを水ですすぎ遠心する工程。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、生分解性ポリマー組成物及びその製造方法に関する。当該生分解性ポリマー組成物は、ポリヒドロキシブチレート(PHB)並びに、熱可塑性デンプン(TPS)、1つ以上の相容化剤、及び1つ以上の添加剤とブレンドされた、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBHx)を含む。
【0020】
本願明細書に記載される生分解性ポリマー組成物で用いられるPHB及びPHBHxのいずれか又はいずれも、好ましくは、PHB及び/又はPHBHxを生成するように天然存在するか又は遺伝子操作された微生物により、産生される。当該PHBHxは、PHB及びHHxモノマーのランダム又は非ランダム共ポリマーでありうる。好ましくは、生合成されたPHBHx共ポリマーの3ヒドロキシヘキサン酸単位は、半結晶性PHBHxの非晶質相に留まる。
【0021】
PHB及び/又はPHBHHxを含む、生分解性ポリマーの産生に適する微生物としては、枯草菌、カプリアビダス・ネカトール、セレウス菌、ブレビス菌、カウロバクター・クレセンタス、バチルス・スフェリカス、バチルス・コアグランス、バシラス・メガテリウム、バチルス・サーキュランド、バシラス・リケニフォルミス、大腸菌、ミクロラナツス・ホスホボラス、リゾビウム・メリロティ、ヘアリーベッチ根粒菌ビキアエ、ダイズ根粒菌ジャポニカム、ブルクホルデリア・セパシア、ブルクホルデリア・サッカリ、カプリアビダス・ネカトール、ネプトゥナモナス・アンタークティカ、アゾトバクター・ビネランジイ、シュードモナス・プチダ、緑膿菌、エアロモナス・キャビアエ、エロモナス・ハイドロフィラ、エアロモナス・パンクテート、アルカリゲネス・レータス、ハロモナス・ボリビエンシス、ラクトバチルス・ラムノサス、及びフィルミクテス門の遺伝子操作された菌株は、本明細書中に記載される、生分解性ポリマー組成物用のPHB及びPHBHxの産生に用いられる。枯草菌は、グラム陽性細菌であり、したがって、グラム陰性細菌に存在する毒性リピドAを含まず、好ましい。リピドAによる生分解性ポリマーの汚染は、食品包装、医療機器又は包装、衛生的包装、及び幼児用製品等の特定の用途では望ましくない。
【0022】
本願明細書に記載される方法で用いられる遺伝子組換え微生物は、1つ以上の生分解性ポリマーの生産に必要な、導入遺伝子を含む遺伝子を発現するように遺伝子改変される。好ましくは、製造される生分解性ポリマーはPHBである。適当な遺伝子としては、アセチルCoAアセチルトランスフェラーゼ、アセチルCoAレダクターゼ、及びPHBポリメラーゼをコードするphaA、phaB、phaC、phaJ、及びphaP遺伝子の1つ以上があげられる。多くの微生物は、当該遺伝子の1つ以上を自然に発現する。ある微生物はまた、PHBを含む1つ以上の生分解性ポリマーを分解する1つ以上のデポリメラーゼをコードする遺伝子を発現しうる。好ましくは、本願明細書に記載される方法で用いられる遺伝子操作された微生物は、PHBの産生に必要な遺伝子を発現し、選択された微生物によって産生されるPHB又は他のいかなる所望の生分解性ポリマーを分解しうるデポリメラーゼをコードする遺伝子を発現しない。
【0023】
例えば、本明細書に記載された方法の1つにより、ひとたび合成及び抽出されると、PHBは、PHBHx、熱可塑性デンプン、1つ以上の相容化剤、及び1つ以上の添加剤とブレンドされる。本発明の生分解性プラスチック組成物に用いられる熱可塑性デンプンは、好ましくは低濃度のアスコルビン酸及びクエン酸、可塑剤としての30%グリセロール、及びデンプンに対して約20質量%の水を有する可塑化天然ポリマーである。当該熱可塑性デンプンは、生分解性ポリマー組成物の45質量%までの量で存在しうる。
【0024】
熱可塑性デンプンは、天然デンプンを可塑剤と混合し、約30℃~約200℃の高温で、二軸スクリュー押出機中で可塑剤を調製する等、可塑化された天然ポリマーを調製するいかなる適当な方法でも調製しうる。好ましくは、水とグリセロールの混合物が可塑剤として用いられる。熱可塑性デンプンの可塑化は、熱可塑性デンプンを生分解性ポリマー組成物中に混合する前に、又は全ての成分(すなわち、デンプン、グリセロール、水、生分解性ポリマー組成物の他の成分)を一度に添加して最終ブレンドを生成することによって達成しうる。
【0025】
相容化剤としては、コハク酸ジヘキシル、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム、無水マレイン酸、メチレンジフェニルイソシアネート及びフマル酸ジオクチル又は他の極性モノマーグラフト化ポリオレフィンの1つ以上があげられうる。好ましくは、スルホコハク酸ジヘキシルナトリウム及び無水マレイン酸がともに0.5~35質量%の量で存在する。
【0026】
添加剤としては、1つ以上の微結晶性セルロース又はセルロースがあげられうる。好ましくは、微結晶性セルロース及びセルロースがともに0.5~35質量%の量で存在する。
【0027】
生分解性ポリマー組成物の分解に必要な時間は、組成物中の熱可塑性デンプン、微結晶性セルロース、及び/又はセルロースの量を操作して選択的に増加又は減少させうる。熱可塑性デンプン、微結晶性セルロース、及び/又はセルロースの相対量が高まるにつれて、組成物の分解に必要な時間は低下する。好ましくは、熱可塑性デンプンの相対量は、微結晶性セルロース又はセルロースの相対量でなく、組成物の分解時間を選択的に増加又は減少させるために調整される。さらに、生分解性ポリマー組成物の分解に必要な時間は、組成物中のPHBHx量を操作して選択的に増加又は減少させうる。PHBHxの相対量が高まるにつれて、組成物の分解に必要な時間が高まる。
【0028】
生分解性ポリマーの産生に用いられる炭素源としては、アサ属廃棄物、葉、魚固形廃棄物、メープル液、カボチャ種子、ブドウ搾り場又はブドウマルク、又はワイン製造/醸造/蒸留の廃棄物があげられる。好ましくは、アサ属廃棄物材料は、PHB製造の炭素源として用いられる。アサ属廃棄物は、アサ属植物の、根、トリミング(trimmings)、葉、柄(stalks)及び茎(stems)からなり、本質的には、Cannabis sativa L. plantの花芽を除くすべての部分である。
【0029】
アサ属廃棄物は特に微生物によるPHBの生産における炭素源としての使用に適する。なぜなら、アサ属植物はバイオマス含量が高く、適度な水と肥料しか必要でなく、ほとんどの気候で急速に生育するからである。アサ属廃棄物には、農業バイオマス、森林バイオマス、石炭、石油残渣、骨等の他の潜在的な炭素源と比較して、独特の階層的な孔構造と連結したマクロ孔がある。その結果、アサ属廃棄物には、その多孔性、吸着容量、及び表面反応性の程度を含む、炭素源として用いるのに望ましい特性がある。他の潜在的な炭素源と比較して、アサ属廃棄物は炭素濃度が高く、窒素、カリウム、リンの含有量が低く、これは微生物によるPHBの生産に適する。
【0030】
アサ属廃棄物は、機械的破壊によるPHBの製造に用いるため、以下の方法により最初に処理される。未加工のアサ属廃棄物は、細断、粉砕、プレス、又は他の適当な機械的破壊手段により処理されて、セルロース及び脂肪酸の除去に利用可能な表面積を高めうる。その後、加工されたアサ属廃棄物から脂肪酸を分離し、PHB合成用の炭素源を提供する。
【実施例0031】
〔調製培地1〕
処理されたアサ属廃棄物は、酸性溶液100mL当たり10gの割合で1%硫酸溶液に混合される。溶液を、好ましくはオートクレーブ中で、121℃で25分間加熱した後、室温に冷却する。その後、溶液を2M NaOH溶液で中和し、ふるいを通して濾過し、植物性廃棄物のより大きな粒子を除去する。その後、溶液を1500gで20分間遠心分離し、上清を孔径約1mmのメンブレンを通して濾過する。得られた濾液、すなわちアサ属廃棄物加水分解物は、直ちに用いるか、又は必要になるまで4℃で保存しうる。
【0032】
調製培地1は、濾液を2X無機塩培地(0.9gの(NHS0、0.3gのKHP0、1.32gのNaHP0、0.06gのMgS0・7H0、300uLの微量元素溶液(0.1M HC1 100mL中、0.97gのFeCl、0.78gのCaCl、0.0156gのCuS0・5H0、0.326gのNiCl・6H0))と、1:1の比で混合することによって調製される。培地を直ちに121℃で10分間高圧蒸気滅菌する。
【実施例0033】
〔抽出1〕
生分解性ポリマーの合成及び抽出は、以下の方法により行ってよい。30℃、毎分150回転で72時間振盪したストックから、適当な微生物を栄養培地中で増殖させ、開始培養物を作製する。72時間後、開始培養物を調製培地1に1/10(v/v)で接種し、150rpmで72時間、30℃で振盪して培養物を作製する。
【0034】
その後、培養物を、孔径が約1mmの膜を通して濾過し、不溶性の植物性物質を除去する。その後、微生物細胞を、1500gで20分間遠心分離することにより、濾過された培養物から分離する。上清を除去した後、無機塩培地中に細胞を再懸濁し、遠心を繰り返し、再び上清を除去することにより、細胞を洗浄する。
【0035】
その後、細胞を150mLの0.2M NaOH溶液に再懸濁し、溶液を激しくボルテックスしてホモジナイズした後、30℃で1.5時間インキュベートした。これにより、細胞は溶解し、生分解性プラスチックをNaOH溶液中に放出する。その後、生分解性ポリマーを、1500gで20分間遠心分離し、上清を除去することにより、NaOH溶液から分離する。
【0036】
生分解性ポリマーを150mLのミリQ水中に再懸濁した後、1500gで20分間遠心分離して、水から分離する。上清を除去して不純物を除去する。その後、生分解性ポリマーを150mLの1%エタノール溶液中に再懸濁し、1500gで20分間遠心分離することによりエタノール溶液から分離する。上清を再度廃棄し、さらに不純物を除去する。
【実施例0037】
〔調製培地2〕
工場廃棄物5gに脱イオン水300mLを加え、室温で音波処理する。WhatmanNo.1ろ紙でろ過し、水酸化ナトリウム(5%、w/v)と過酸化水素(1.1%、v/v)の溶液100mLを用いて55℃で90分間激しく撹拌する。スラリーをろ過し、pHを中和し、50℃で乾燥させる。乾燥したバイオマス5gを、6M硫酸100mLに加えて、30分間激しく攪拌し、500mLの冷脱イオン水を加えて反応を停止させる。10,000rpmで10分間遠心分離し、中性pHに達するまで脱イオン水で洗浄する。67%の塩化亜鉛と0.5M及び70℃での酸加水分解により、セルロースから単モノマーを獲得し、これは理想的には可溶性糖の収率は>80%となる。その後、最終グルコース生成物を1Lの滅菌リン酸緩衝生理食塩水pH 7.0中で希釈し、それにより、調製培地2(最終濃度:8g/L NaCl、0.2g/L KC1、1.44g/L NaHP0、0.24g/L KHP0)を製造する。
【実施例0038】
〔抽出2〕
本発明の生分解性ポリマー組成物に用いるPHBの合成及び抽出は、以下の方法により行ってよい。適当なバシラス種を、120rpmで37℃で振盪しながら、一晩、ストックから栄養培地中で増殖させる。1.5×10細胞/mLの密度を、Com Steep Liquor(CSL)又はアンモニウム塩等の限定窒素源が補足された調製培地2に、0.05% NHC1に相当する濃度で1/10 v/vで添加し、120rpmで72時間振盪しながら37℃で増殖させうる。その後、細胞を6500gで10分間遠心分離し、50℃で乾燥させる。
【0039】
乾細胞量を測定し、水酸化ナトリウム抽出、選択的溶解によりPHBを抽出しうる。細胞を蒸留水に再懸濁し、NaOH(0.2N NaOH、30℃、1~5時間)を添加して水酸化ナトリウム抽出を行う。HC1でpHを7.0に調整し、反応を停止させる。2500gで20分間遠心分離する。PHB顆粒を蒸留水で穏やかにすすぎ、再度遠心分離し、風乾する。
【0040】
選択的溶解は、混合物に硫酸等の鉱酸を加えて達成され、その結果、顆粒が固相中で分離し、一方、望ましくない物質が液相中で分離される。これらの相は、5000gでの遠心分離によってさらに分離しうる。不要な上清(液相)は、処理中に固相の進行中に廃棄される。無機酸は混合物からPHBをうまく単離するが、純度は使用前に改善されるのが好ましい。これは、生成物をNaOH(pH 10)等のアルカリ性の浴中で洗浄することにより達成される。洗浄後、得られる収率と純度は高い(>97%)。製品の脱色には、市販の漂白剤を用いることができる。最終的な遠心分離及び水ですすぎの後、PHB生成物を用いる準備が整う。
【0041】
PHBの産生を測定するため、ペレットを遠心分離し、アルコールで洗浄する。ペレットをクロロホルムに溶解し、予め秤量した清潔な血清チューブに移す。クロロホルムを蒸発させ、チューブの質量を測定し、PHB量を算出する。本方法は、7~9g/Lの細胞塊から収率で2~5g/LのPHBを生成しうる。この増殖方法は、培養培地の容量が少なく、時間も短いため、バシラス種を用いたPHBの大量産生にも適用できる。あるいは、かわりに、同様に遺伝子操作したカプリアビダス・ネカトール株を用いうる。
【実施例0042】
〔抽出3〕
他の実施形態では、以下の方法でPHBを合成及び抽出しうる。次の方法に従い、微生物としてのカプリアビダス・ネカトールと炭素源としてのアサ属廃棄物を用いて、PHBを産生しうる。カプリアビダス・ネカトールはAlcaligenes eutrophusH16(カプリアビダス・ネカトールは、以前、Alcaligenes eutrophusとして知られていた)という。A.euthrophusH16を、1%(v/v)アサ属油及び0.05%(w/v)NHClを含む窒素制限無機塩培地中で30℃72時間培養する。カナマイシン(50mg/L)を添加して、A.euthrophusH16に挿入された広宿主域プラスミドを維持する。増殖後、細胞を回収し、蒸留水で2回洗浄し、凍結乾燥する。PHBはソックスレー装置中の熱クロロホルムを用いて抽出され、メタノール再沈殿によって精製される。
【0043】
PHBは、1時間当たりの麻油1g当たりのPHB約0.0128gの速度で抽出3の方法により製造しうる。
【実施例0044】
〔抽出4〕
他の実施形態では、カプリアビダス・ネカトールを微生物、アサ属廃棄物を炭素源として用いて、以下の方法により、PHBを合成及び抽出しうる。場合によっては、界面活性剤アラビアゴムを反応媒体に添加して、アサ属油と相互作用/利用するカプリアビダス・ネカトールの能力を高めうる。なぜなら、アサ属油は毒性がなく、カプリアビダス・ネカトールの増殖を阻害しないからである。カプリアビダス・ネカトールは、2%フルクトース及び0.1% NHCl(16g/L)、NaHP0(4g/L)、NaHP0(4.6g/L)、KS0(0.45g/L)、MgS0(0.39g/L)、CaCl(62mg/L)、及び1ml/Lの微量元素溶液(15g/L FeS0・7H0、2.4g/L MnS0・H0、2.4g/L ZnS0・7H0、及び0.1M塩酸に溶解した0.48g/L CuS0・5H0)を含む最小培地中で増殖させうる。最小培地由来の細胞を用いて、各発酵槽に接種し、OD600が0.1に達するようにする。各反応容器は、400mLの乳化アサ属油培地を含有する。0.1%のNHClを含む最小培地では、約2%のアサ属油を用いる。培地調製には、水に混和したアラビアゴムの10倍溶液を用いて、急速攪拌する。10,500gで遠心分離し、不溶性粒子を分離する。水、アラビアゴム透明液、アサ属油をリン酸ナトリウム(4.0g/L)及びKS0(0.45g/L)と混合する。均質化又は超音波処理により混合物を乳化する。乳化前に添加される水の量は、エマルジョン製造に用いられる特定の装置に依存する。乳化後、高圧蒸気滅菌し、冷却後、MgS0(0.39g/L)、CaCl(62mg/L)、微量元素(15g/L FeS0・7H0、2.4g/L MnS0・H0、2.4g/L ZnS0・7H0、及び0.1M塩酸に溶解した0.48g/L CuS0・5H0)、及びゲンタマイシン(10pg/mL)を添加する。各反応容器をpH6.8(2M NaOHで制御)で30℃に維持し、溶存酸素濃度40%で500~900rpmの速度で72時間撹拌する。好ましくは、PHB生産を増加させるため、過剰炭素を維持するために、供給バッチ培養技術が用いられる。
【0045】
PHBは、アサ属油1g当たりPHBを約0.2415gの速度で抽出4の方法により製造しうる。
【実施例0046】
〔抽出5〕
他の実施形態では、次の方法により、微生物及びアサ属廃棄物として、カプリアビダス・ネカトール及び大腸菌の遺伝子操作株、及び場合によっては、phbA及びphbB遺伝子を有するAeromonas hydrophilaの遺伝子操作株を用いて、PHBを合成及び抽出しうる。まず、アサ属廃棄物を破砕し、約2%(w/v)及び約30℃の温度で水中に投入する。アサ属-水混合物にカプリアビダス・ネカトールと大腸菌の混合培養物を接種し、場合によっては、A. hydrophilaと肥料、例えば米ぬか抽出物を0.1%添加する。
その後、反応培地を20時間撹拌し、増殖させる。初回増殖期間の後、反応培地をさらに15時間撹拌するが、窒素欠乏状態を誘導し、PHBの産生を促進するために、それ以上の肥料は添加しない。
【0047】
PHBの抽出は、約35時間後に反応媒体に硫酸等の無機酸を添加して、達成される。PHB顆粒を、5000gで遠心分離して分離する。不要な上清(液相)は、処理中の固相進行中に廃棄される。無機酸により混合物からPHBが単離される。化合物の純度は、NaOH(pH10)等のアルカリ性浴中で洗浄後、最終的な遠心分離及び水ですすぐことによって改善しうる。この方法により、得られるPHBの収率と純度は高い(>97%)。場合によっては、市販の漂白剤を用いて生成物を脱色しうる。
【実施例0048】
〔調製培地3〕
他の実施形態では、Pseudomonas putida GPpl04を微生物、アサ属廃棄物を炭素源とし、以下の方法により、PHBを合成及び抽出しうる。P.putidaは、カナマイシン50mg/Lを含むLB培地中、30℃、200rpmで振盪しながら一晩増殖させる。この菌株を培養するためのリン酸塩緩衝生理食塩液は、9.0g/L NaHP0・12H0、1.5g/L KHPO、1.0g/L (NHS0、0.4g/L MgS0・7H0からなり、pHは7.0である。
【実施例0049】
〔抽出6〕
密度1.5×10 細胞/mLの一晩培養したP. putidaを、1/10 v/v~1Lの調製培地3に添加し、200rpmで72時間振盪しながら30℃で増殖させた。PHBは次亜塩素酸ナトリウムを用いて以下のように抽出しうる。バイオマス8gに次亜塩素酸ナトリウム100mL(30%)を加え、37℃で90分間インキュベートする。ペレットを遠心分離し、アルコールで洗浄する。ペレットをクロロホルムに溶解し、必要に応じて、予め秤量した清潔な血清チューブに移す。クロロホルムを蒸発させ、チューブの質量を量り、PHBの量を算出する。
【0050】
本発明を、例示的な実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変を行うことができ、その要素を等価物で置換しうることができることが理解されるであろう。すなわち、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されないことが意図される。
【外国語明細書】