(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133078
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/003 20210101AFI20240920BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240920BHJP
F24F 1/0038 20190101ALI20240920BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20240920BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20240920BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20240920BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240920BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20240920BHJP
【FI】
F24F7/003
F24F7/007 B
F24F1/0038
F24F8/22
F24F11/77
F24F110:12
F24F110:10
F24F120:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105870
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2024029294の分割
【原出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2023043493
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 千佳
(72)【発明者】
【氏名】中澤 武馬
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BE01
3L260AB15
3L260BA09
3L260BA12
3L260BA16
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA32
3L260CB53
3L260CB55
3L260FC02
3L260FC03
(57)【要約】
【課題】対象空間のウィルスや菌を適切に処理できる換気装置を提供する。
【解決手段】換気装置(90)は、対象空間(I)を換気する換気ユニット(50)と、紫外線によって前記対象空間(I)の空気を殺菌する照射ユニット(60)と、換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する制御部(C)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(I)を換気する換気ユニット(50)と、
紫外線によって前記対象空間(I)の空気を殺菌する照射ユニット(60)と、
前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する制御部(C)とを備える
換気装置。
【請求項2】
前記制御部(C)は、前記換気ユニット(50)の換気量が小さくなるほど、前記照射ユニット(60)の出力が大きくなるように、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する
請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記制御部(C)は、前記照射ユニット(60)の出力に対応する前記対象空間(I)の換気量である相当換気量に基づき、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する
請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
前記制御部(C)は、前記照射ユニット(60)の出力に対応する前記相当換気量と、前記換気ユニット(50)の換気量との和に基づく総換気量が、前記対象空間(I)の必要換気量以上となるように、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する
請求項3に記載の換気装置。
【請求項5】
前記制御部(C)は、
前記換気ユニット(50)の換気量が目標換気量になるように該換気ユニット(50)を制御し、
前記照射ユニット(60)の出力に対応する前記相当換気量と、前記換気ユニット(50)の目標換気量との和に基づく前記総換気量が、前記必要換気量以上となるように、前記照射ユニット(60)の出力を制御する
請求項4に記載の換気装置。
【請求項6】
前記制御部(C)は、
前記照射ユニット(60)の出力が目標出力になるように該照射ユニット(60)を制御し、
前記照射ユニット(60)の目標出力に対応する前記相当換気量と、前記換気ユニット(50)の換気量との和に基づく前記総換気量が、前記必要換気量以上になるように、前記換気ユニット(50)の換気量を制御する
請求項4に記載の換気装置。
【請求項7】
前記制御部(C)は、前記対象空間(I)の在室者の数に基づいて前記必要換気量を決定する
請求項4に記載の換気装置。
【請求項8】
前記制御部(C)は、前記照射ユニット(60)の劣化度が大きくなるほど、前記換気ユニット(50)の換気量を大きくする
請求項1に記載の換気装置。
【請求項9】
前記対象空間(I)の空気が流れる空気通路(43)が形成される第1ケーシング(30a)と、
前記空気通路(43)に配置される第1熱交換器(32)とをさらに備え、
前記換気ユニット(50)は、室外空間(O)と前記空気通路(43)とを連通するダクト(51)とを有し、
前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)または前記ダクト(51)に配置される
請求項1~8のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項10】
前記換気ユニット(50)は、前記空気通路(43)の空気を前記ダクト(51)を介して前記室外空間(O)に排出するように構成され、
前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される
請求項9に記載の換気装置。
【請求項11】
前記換気ユニット(50)は、前記室外空間(O)の空気を前記ダクト(51)を介して前記空気通路(43)に供給するように構成され、
前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの上流側に配置される
請求項9に記載の換気装置。
【請求項12】
前記換気ユニット(50)は、前記室外空間(O)の空気を前記ダクト(51)を介して前記空気通路(43)に供給するように構成され、
前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される
請求項9に記載の換気装置。
【請求項13】
前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)と並列に配置される
請求項9に記載の換気装置。
【請求項14】
室外空気を対象空間(I)へ供給するための給気通路(103)と、対象空間(I)の空気を前記室外空間へ排出するための排気通路(104)とが形成される第2ケーシング(91)と、
前記給気通路(103)の空気と前記排気通路(104)の空気とを熱交換させる第2熱交換器(94)とをさらに備え、
前記照射ユニット(60)は、前記給気通路(103)に配置される
請求項1~8のいずれか1つに記載の換気装置。
【請求項15】
前記第2ケーシング(91)には、前記対象空間(I)の空気を前記対象空間(I)に送る循環通路(107)が形成され、
前記照射ユニット(60)は、前記循環通路(107)に配置される
請求項14に記載の換気装置。
【請求項16】
前記対象空間(I)の空気を調和するとともに前記照射ユニット(60)を有する空調ユニット(120)を備え、
前記換気ユニット(50)は、前記空調ユニット(120)と別置きに構成される
請求項1~8のいずれか1つに記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内空気を室外に排出する吸排気装置を備えた空気調和装置が開示されている。つまり、空気調和装置は、対象空間である室内空間の換気を行う換気装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような吸排気装置(換気ユニット)による換気だけでは、対象空間のウィルスや菌を十分に低減できない可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、対象空間のウィルスや菌を適切に処理できる換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、換気装置であり、対象空間(I)を換気する換気ユニット(50)と、紫外線によって前記対象空間(I)の空気を殺菌する照射ユニット(60)と、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する制御部(C)とを備える。
【0007】
換気ユニット(50)の換気量と、照射ユニット(60)の出力とは、いずれも対象空間(I)のウィルスや菌の低減に影響する。第1の態様では、制御部(C)が換気ユニット(50)の換気量と、照射ユニット(60)の出力とを連携して制御するので、対象空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部(C)は、前記換気ユニット(50)の換気量が小さくなるほど、前記照射ユニット(60)の出力が大きくなるように、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する。
【0009】
第2の態様では、制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気量を小さくするときに、照射ユニット(60)の出力を大きくする。換気ユニット(50)の換気量を大きくするときに、照射ユニット(60)の出力を小さくする。照射ユニット(60)の出力を大きくするときに、換気ユニット(50)の換気量を小さくする。制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力を小さくするときに、換気ユニット(50)の換気量を大きくする。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記制御部(C)は、前記照射ユニット(60)の出力に対応する前記対象空間(I)の換気量である相当換気量に基づき、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する。
【0011】
照射ユニット(60)の出力は、対象空間(I)のウィルスや菌の低減に影響するので、この出力を対象空間(I)の換気量(相当換気量)に換算できる。そこで、第3の態様の制御部(C)は、照射ユニット(60)の相当換気量に基づき、換気ユニット(50)の換気量および照射ユニット(60)の出力を連携して制御する。これにより、対象空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。
【0012】
第4の態様は、第3の態様において、前記制御部(C)は、前記照射ユニット(60)の出力に対応する前記相当換気量と、前記換気ユニット(50)の換気量との和に基づく総換気量が、前記対象空間(I)の必要換気量以上となるように、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する。
【0013】
第4の態様では、照射ユニット(60)による相当換気量と、換気ユニット(50)の換気量との和に基づく総換気量が、対象空間(I)に必要換気量以上となるので、対象空間(I)のウィルスや菌を十分に低減できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、前記制御部(C)は、前記換気ユニット(50)の換気量が目標換気量になるように該換気ユニット(50)を制御し、前記照射ユニット(60)の出力に対応する前記相当換気量と、前記換気ユニット(50)の目標換気量との和に基づく前記総換気量が、前記必要換気量以上となるように、前記照射ユニット(60)の出力を制御する。
【0015】
第5の態様では、制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気量が目標換気量に近づくように換気ユニット(50)を制御する。制御部(C)は、照射ユニット(60)の相当換気量と、換気ユニット(50)の目標換気量との和に基づく推定換気量が必要換気量以上になるための、照射ユニット(60)の出力を決定する。制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力が、決定した出力に近づくように、照射ユニット(60)を制御する。
【0016】
第6の態様は、第4の態様において、前記照射ユニット(60)の出力が目標出力になるように該照射ユニット(60)を制御し、前記照射ユニット(60)の目標出力に対応する前記相当換気量と、前記換気ユニット(50)の換気量との和に基づく前記総換気量が、前記必要換気量以上になるように、前記換気ユニット(50)の換気量を制御する。
【0017】
第6の態様では、制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力が目標能力に近づくように照射ユニット(60)を制御する。制御部(C)は、この目標出力に応じた相当換気量と、換気ユニット(50)の換気量との和に基づく推定換気量が必要換気量以上になるための、換気ユニット(50)の換気量を決定する。制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気量が、決定した換気量に近づくように、換気ユニット(50)を制御する。
【0018】
第7の態様は、第4~第6のいずれか1つの態様において、前記制御部(C)は、前記対象空間(I)の在室者の数に基づいて前記必要換気量を決定する。
【0019】
第7の態様では、対象空間(I)の在室者の数に基づいて、照射ユニット(60)の殺菌応力や換気ユニット(50)の換気量を制御できる。
【0020】
第8の態様は、前記制御部(C)は、前記照射ユニット(60)の劣化度が大きくなるほど、前記換気ユニット(50)の換気量を大きくする。
【0021】
照射ユニット(60)が劣化すると、照射ユニット(60)の実際の出力が低下してしまう。制御部(C)は、照射ユニット(60)の劣化度が大きくなるほど、換気ユニット(50)の換気量を大きくするので、照射ユニット(60)が劣化しても対象空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、換気装置は、前記対象空間(I)の空気が流れる空気通路(43)が形成される第1ケーシング(30a)と、前記空気通路(43)に配置される第1熱交換器(32)とをさらに備える。換気ユニット(50)は、室外空間(O)と空気通路(43)とを連通するダクト(51)とを有する。照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)または前記ダクト(51)に配置される。
【0023】
第9の態様では、第1熱交換器(32)が、空気通路(43)の空気を冷却したり加熱したりする。換気ユニット(50)は、空気通路(43)の空気をダクト(51)を通じて室外に排出する、または室外空気をダクト(51)を通じて対象空間(I)へ供給する。これにより、対象空間(I)を換気できる。照射ユニット(60)は、空気通路(43)やダクト(51)に配置されることで、これらを流れる空気を紫外線により殺菌する。
【0024】
第10の態様は、第9の態様において、前記換気ユニット(50)は、前記空気通路(43)の空気を前記ダクト(51)を介して前記室外空間(O)に排出するように構成される。前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される。
【0025】
第10の態様では、対象空間(I)の空気が空気通路(43)およびダクト(51)を通じて室外空間(O)に排出されることで、換気ユニット(50)は対象空間(I)を換気する。照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側にあるので、照射ユニット(60)により殺菌された後の空気が、ダクト(51)を通じて室外空間(O)に排出されることを抑制できる。言い換えると、照射ユニット(60)は、対象空間(I)の空気の殺菌に利用される。
【0026】
第11の態様は、第9の態様において、前記換気ユニット(50)は、前記室外空間(O)の空気を前記ダクト(51)を介して前記空気通路(43)に供給するように構成される。前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの上流側に配置される。
【0027】
第11の態様では、室外空間(O)の室外空気がダクト(51)および空気通路(43)を通じて対象空間(I)へ供給されることで、換気ユニット(50)は対象空間(I)を換気する。照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの上流側にあるので、照射ユニット(60)は、空気通路(43)で室外空気と合流する前の空気を殺菌できる。言い換えると、照射ユニット(60)は、対象空間(I)の空気の殺菌に利用される。
【0028】
第12の態様は、第9の態様において、前記換気ユニット(50)は、前記室外空間(O)の空気を前記ダクト(51)を介して前記空気通路(43)に供給するように構成される。前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される。
【0029】
第12の態様では、照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側にあるので、照射ユニット(60)は、室外空気中に不含まれる菌(カビや細菌)を紫外線により殺菌できる。
【0030】
第13の態様は、第9の態様において、前記照射ユニット(60)は、前記空気通路(43)において、前記ダクト(51)の接続口(44)と並列に配置される。
【0031】
第13の態様では、空気通路(43)において照射ユニット(60)により空気が殺菌される領域が、ダクト(51)を流れる空気の影響を受けにくくなる。
【0032】
第14の態様は、第1~第8のいずれか1つの態様において、換気装置は、室外空気を対象空間(I)へ供給するための給気通路(103)と、対象空間(I)の空気を前記室外空間へ排出するための排気通路(104)とが形成される第2ケーシング(91)と、前記給気通路(103)の空気と前記排気通路(104)の空気とを熱交換させる第2熱交換器(94)とをさらに備える。前記照射ユニット(60)は、前記給気通路(103)に配置される。
【0033】
第14の態様では、第2熱交換器(94)が、給気通路(103)を流れる空気と、排気通路(104)を流れる空気とを熱交換させる。これにより、第2熱交換器(94)は、給気通路(103)から対象空間(I)へ供給される空気を加熱したり、冷却したりする。照射ユニット(60)は、給気通路(103)から対象空間(I)へ供給される空気を、紫外線により殺菌する。
【0034】
第15の態様は、第14の態様において、前記第2ケーシング(91)には、前記対象空間(I)の空気を前記対象空間(I)に送る循環通路(107)が形成される。前記照射ユニット(60)は、前記循環通路(107)に配置される。
【0035】
第15の態様では、対象空間(I)の空気が循環通路(107)を通じて対象空間(I)へ供給される。照射ユニット(60)は、循環通路(107)から対象空間(I)へ供給される空気を、紫外線により殺菌する。
【0036】
第16の態様は、第1~第8のいずれか1つにおいて、換気装置(90)は、前記対象空間(I)の空気を調和するとともに前記照射ユニット(60)を有する空調ユニット(120)を備える。前記換気ユニット(50)は、前記空調ユニット(120)と別置きに構成される。
【0037】
第16の態様では、照射ユニット(60)を有する空調ユニット(120)と、換気ユニット(50)とが別置きとなる換気システムが構成される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、空気調和装置の概略の配管系統図である。
【
図3】
図3は、室内機の内部構造を示す構成図である。
【
図4】
図4は、空気調和装置の主要機器を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、変形例1Aに係るフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例1Bに係るフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例1Cに係るフローチャートである。
【
図12】
図12は、変形例3に係る換気装置の全体構成図であり、換気運転の空気流れを表す。
【
図13】
図13は、変形例3に係る換気装置の全体構成図であり、循環運転の空気流れを表す。
【
図14】
図14は、変形例4に係る換気システムの概略の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0040】
(1)換気装置の構成
本実施形態の換気装置は、空気調和装置(10)を構成する。空気調和装置(10)は、対象空間である室内空間(I)の空気の温度を調節する。空気調和装置(10)は、室内空間(I)を換気する換気ユニット(50)と、紫外線により室内空間(I)の空気を殺菌する照射ユニット(60)とを備える。空気調和装置(10)は、換気ユニット(50)の換気量と、照射ユニット(60)の出力とを連携して制御する制御部(C)とを備える。
【0041】
(1-1)全体構成
図1および
図2に示すように、空気調和装置(10)は、室外機(20)と、室内機(30)と、2つの連絡配管(12,13)とを有する。室外機(20)と室内機(30)とが、2つの連絡配管(12,13)を介して互いに接続されることで、冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)は、冷媒を循環させることにより冷凍サイクルを行う。
【0042】
(1-2)室外機
室外機(20)は、室外に設置される。室外機(20)は、室外ケーシング(20a)と、圧縮機(21)と、室外熱交換器(22)と、膨張弁(23)と、四方切換弁(24)と、室外ファン(25)とを有する。
【0043】
四方切換弁(24)は、第1状態(
図2の実線で示す状態)と第2状態(
図2の破線で示す状態)とに切り換わる。
【0044】
(1-3)室内機
図1および
図2に示すように、室内機(30)は、室内空間(I)に設置される。室内機(30)は、第1ケーシングである室内ケーシング(30a)と、第1熱交換器である室内熱交換器(32)と、室内ファン(33)と、フラップ(35)とを有する。室内機(30)は、紫外線を照射する照射ユニット(60)を有する。
【0045】
室内ケーシング(30a)は、室内熱交換器(32)と、室内ファン(33)とを収容する。室内ケーシング(30a)には、吸込口(41)および吹出口(42)が形成される。吸込口(41)は、室内ケーシング(30a)の上部に形成される。吹出口(42)は、室内ケーシング(30a)の下部の前側寄りに形成される。吸込口(41)から吹出口(42)までの間に空気通路(43)が形成される。
【0046】
室内熱交換器(32)は、空気通路(43)における室内ファン(33)の上流側に配置される。室内熱交換器(32)は、その内部を流れる冷媒と、室内ファン(33)によって搬送される空気とを熱交させる。
【0047】
室内ファン(33)は、ファンモータ(33a)によって回転駆動される。室内ファン(33)は、空気通路(43)の空気を搬送する。室内ファン(33)は、吹出口(42)から室内空間(I)へ供給される吹出空気の風量を調節可能に構成される。ファンモータ(33a)の回転数が調節されることで、吹出空気の風量が調節される。
【0048】
(1-3)換気ユニット
図1および
図2に示すように、換気ユニット(50)は、ダクト(51)と、ダクト(51)に接続する換気ケーシング(52)と、換気ケーシング(52)に収容される換気ファン(53)とを有する。
【0049】
ダクト(51)は、室内空間(I)と室外空間(O)とを連通するための連通路を形成する。ダクト(51)は、空気が流れる流路を形成する部材であり、柔軟なホースやチューブも含む。室内空間(I)と室外空間(O)とを仕切る壁(W)には、貫通穴(5)が形成される。ダクト(51)は、連絡配管(12,13)とともに貫通穴(5)を通る。ダクト(51)の一端は、室内ケーシング(30a)内の空気通路(43)に接続する。
図3に示すように、空気通路(43)には、ダクト(51)の一端が接続する接続口(44)が形成される。接続口(44)は、室内ケーシング(30a)に形成される。ダクト(51)の他端は、室外空間(O)と連通する。
【0050】
換気ケーシング(52)は、室外に設置される。換気ケーシング(52)には、第1開口(52a)と第2開口(52b)とが形成される。第1開口(52a)には、ダクト(51)の他端が接続する。第2開口(52b)は、室外空間(O)に向かって開口する。換気ケーシング(52)の内部には、空気が流れる流路が形成される。
【0051】
換気ファン(53)は、換気ケーシング(52)の内部に配置される。換気ファン(53)は、ダクト(51)の空気を搬送する。本実施形態の換気ファン(53)は、ダクト(51)の空気を室外空間(O)に向かって搬送する排気ファンである。換気ファン(53)は、風量が可変に構成される。具体的には、換気ファン(53)の第1モータ(53a)は、その回転数が可変に構成される。
【0052】
図2に模式的に示すように、換気ユニット(50)は開閉機構(54)を有する。開閉機構(54)は、ダクト(51)内の流路を開閉する。開閉機構(54)は、ダンパ、シャッタ、開閉弁などで構成される。開閉機構(54)は、ダクト(51)の接続口(44)を開閉する。
【0053】
(1-4)照射ユニット
照射ユニット(60)は、空気中に紫外線を照射することで空気中のウィルスや菌を不活化する。
図2および
図4に示すように、照射ユニット(60)は、LED(Light Emitting Diode)(61)と、LED(61)を制御する回路基板(62)とを有する。
【0054】
LED(61)は、紫外線を照射する発光源である。LED(61)が照射する紫外線のピーク波長は、280nm以下である。これにより、空気の殺菌効果を向上できる。LED(61)が照射する紫外線のピーク波長は、255nm以上275nm以下であることが好ましい。これにより、特に空気の殺菌効果を向上できる。LED(61)が照射する紫外線のピーク波長は、230nm以下であってもよい。これにより、紫外線が室内ケーシング(30a)の外部に漏れた場合において、人体に対する曝露の安全性を向上できる。
【0055】
回路基板(62)は、LED(61)を制御するための制御基板を含む。具体的には、回路基板(62)は、LED(61)のON/OFFの切り換えやLED(61)の出力(具体気には、LED(61)の照度)を調節するための制御装置を含む。回路基板(62)の制御装置は、空気調和装置(10)を制御するための制御部(C)に設けられてもよい。
【0056】
図3に示すように、本実施形態の照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される。照射ユニット(60)は、室内熱交換器(32)と室内ファン(33)の間に配置される。照射ユニット(60)は、接続口(44)と室内熱交換器(32)の間に配置されてもよい。
【0057】
(1-5)リモートコントローラ
図2および
図4に示すように、空気調和装置(10)は、リモートコントローラ(70)を有する。リモートコントローラ(70)は、操作部(71)と表示部(72)とを有する。操作部(71)は、ユーザが空気調和装置(10)に対する各種の指示を入力するために用いられる。操作部(71)は、ボタン、スイッチ、またはタッチパネルなどで構成される。ここでいう指示は、空気調和装置(10)のONとOFFの切り換え、空気調和装置(10)の運転モードの選択、室内空間(I)の設定温度の変更を含む。表示部(72)は、空気調和装置(10)の状態や運転に関する情報を表示する。この情報は、空気調和装置(10)の運転モードや設定温度を含む。
【0058】
本実施形態では、ユーザは、操作部(71)を操作することにより、換気ユニット(50)の目標換気量や、照射ユニット(60)の目標出力を設定できる。ここで、照射ユニット(60)の出力は、LED(61)の強度、あるいは照度に相当する。
【0059】
(1-6)センサ
図4に示すように、空気調和装置(10)は、複数のセンサを有する。本実施形態では、複数のセンサは、室内温度センサ(80)、赤外線センサ(81)、および室外温度センサ(82)を含む。室内温度センサ(80)は、室内空間(I)の室内空気の温度を検出する。室内温度センサ(80)は、例えば吸込口(41)の近傍に配置される。赤外線センサ(81)は、室内空間(I)に存在する人の数を検知する人検知部である。赤外線センサ(81)は、室内ケーシング(30a)の前面に配置される。室外温度センサ(82)は、室外空間(O)の室外空気の温度を検出する。室外温度センサ(82)は、室外機(20)に設けられる。
【0060】
(1-7)制御部
制御部(C)は、換気装置である空気調和装置(10)を制御する。
図4に示すように、制御部(C)は、室内制御部(IC)、室外制御部(OC)、および操作制御部(RC)を有する。室内制御部(IC)、室外制御部(OC)、および操作制御部(RC)は、有線または無線を介して互いに通信可能に構成される。室内制御部(IC)、室外制御部(OC)、および操作制御部(RC)のそれぞれは、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0061】
室外制御部(OC)は、室外機(20)に設けられる。室外制御部(OC)は、室外ケーシング(20a)の内部に配置される。室外制御部(OC)は、室外機(20)に設けられる機械要素を制御する。室外制御部(OC)は、換気ユニット(50)の換気量を制御する。具体的には、室外制御部(OC)は、換気ファン(53)のON/OFFを切り換えたり、換気ファン(53)の風量を調節したりする。ここで、換気ファン(53)の風量は、換気ユニット(50)の換気量に相当する。室外制御部(OC)は、換気ユニット(50)の風量を調節するように、第1モータ(53a)の回転数を制御する。室外制御部(OC)には、室外温度センサ(82)の検出信号が入力される。
【0062】
室内制御部(IC)は、室内機(30)に設けられる。室内制御部(IC)は、室内ケーシング(30a)の内部に配置される。室内制御部(IC)は、室内機(30)に設けられる機械要素を制御する。室内制御部(IC)は、照射ユニット(60)の出力を制御する。ここで、本実施形態の照射ユニット(60)の出力は、LED(61)の照度(紫外線強度)である。室内制御部(IC)は、照射ユニット(60)のLED(61)のON/OFFを切り換えたり、LED(61)の出力(紫外線強度)を調節したりする。室内制御部(IC)には、室内温度センサ(80)および赤外線センサ(81)の検出信号が入力される。
【0063】
操作制御部(RC)は、ユーザが操作部(71)により入力した運転モードや設定温度に関する指令を室内制御部(IC)に送信する。この指令は、室内制御部(IC)から室外制御部(OC)に送信される。
【0064】
(2)運転動作
空気調和装置(10)は、冷房運転と、暖房運転、および換気運転を行う。
【0065】
(2-1)冷房運転
冷房運転は、室内空間(I)の空気を冷却し、設定温度(目標温度)に近づける運転である。冷房運転では、制御部(C)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、室内ファン(33)を運転させ、四方切換弁(24)を第1状態とし、膨張弁(23)の開度を調節する。制御部(C)は、開閉機構(54)を閉状態とし、換気ファン(53)および照射ユニット(60)を停止させる。
【0066】
冷房運転では、圧縮機(21)で圧縮した冷媒は室外熱交換器(22)で放熱した後、膨張弁(23)で減圧する。減圧した冷媒は、室内熱交換器(32)で蒸発する。室内熱交換器(32)によって冷却された空気は室内空間(I)へ供給される。室内熱交換器(32)で蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入される。
【0067】
(2-2)暖房運転
暖房運転は、室内空間(I)の空気を加熱し、設定温度(目標温度)に近づける運転である。暖房運転では、制御部(C)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、室内ファン(33)を運転させ、四方切換弁(24)を第2状態とし、膨張弁(23)の開度を調節する。制御部(C)は、開閉機構(54)を閉状態とし、換気ファン(53)を停止させる。制御部(C)は、開閉機構(54)を閉状態とし、換気ファン(53)および照射ユニット(60)を停止させる。
【0068】
暖房運転では、圧縮機(21)で圧縮した冷媒が室内熱交換器(32)で放熱した後、膨張弁(23)で減圧する。室内熱交換器(32)によって加熱された空気は室内空間(I)へ供給される。減圧した冷媒は、室外熱交換器(22)で蒸発した後、圧縮機(21)に吸入される。
【0069】
(2-3)換気運転
換気運転は、室内空間(I)の空気を換気する運転である。本実施形態の換気運転は、室内空間(I)の室内空気を室外空間(O)へ排出する。換気運転では、換気ユニット(50)および照射ユニット(60)を動作させることで、室内空間(I)のウィルスや菌を低減する。換気運転は、単独換気運転、冷房換気運転、および暖房換気運転を含む。
【0070】
単独換気運転では、制御部(C)は、圧縮機(21)および室外ファン(25)を停止させ、室内ファン(33)を運転させる。制御部(C)は、開閉機構(54)を開状態とし、換気ファン(53)を運転させる。制御部(C)は、運転条件に応じて照射ユニット(60)を適宜ONさせる。
【0071】
単独換気運転では、室内空間(I)の室内空気が吸込口(41)を通じて空気通路(43)に流入する。空気通路(43)の一部の空気は、接続口(44)からダクト(51)に流入する(
図3の実線矢印を参照)。ダクト(51)に流入した空気は、室外空間(O)に排出される。空気通路(43)の残りの空気は、ON状態の照射ユニット(60)を通過する。
【0072】
照射ユニット(60)のLED(61)は、空気に向かって紫外線を照射する。これにより、空気中のウィルスや菌が不活化される。照射ユニット(60)を通過した空気は、吹出口(42)から室内空間(I)に供給される。
【0073】
冷房換気運転では、制御部(C)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、室内ファン(33)を運転させ、四方切換弁(24)を第1状態とし、膨張弁(23)の開度を調節する。同時に、制御部(C)は、開閉機構(54)を開け、照射ユニット(60)および換気ユニット(50)を動作させる。これにより、室内空間(I)の冷房と換気とが同時に行われる。
【0074】
暖房換気運転では、制御部(C)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、室内ファン(33)を運転させ、四方切換弁(24)を第2状態とし、膨張弁(23)の開度を調節する。同時に、制御部(C)は、開閉機構(54)を開け、照射ユニット(60)および換気ユニット(50)を動作させる。これにより、室内空間(I)の暖房と換気とが同時に行われる。
【0075】
(3)連携制御
上述した換気運転は、制御部(C)は、照射ユニット(60)と換気ユニット(50)とを連携して制御する。
図5を参照しながら連携制御の詳細を説明する。本実施形態の空気調和装置(10)では、換気ユニット(50)の換気量が、照射ユニット(60)の出力よりも優先して決定される。
【0076】
換気運転の開始指令が制御部(C)に入力されると、ステップST1において、制御部(C)は、対象空間である室内空間(I)に存在する人の数を特定する。具体的には、制御部(C)は、赤外線センサ(81)で検出された信号に基づき、室内空間(I)の人の数を特定する。
【0077】
ステップST2において、制御部(C)は、室内空間(I)の必要換気量Vnを算出する。必要換気量Vnは、ウィルス感染対策に必要な換気量を意味する。必要換気量Vnは、例えば以下の(1)式で表される。
【0078】
Vn=α×n・・・(1)
ここで、αは室内空間(I)の一人当たりに必要な換気量であり、例えば30[m3/h/人]である。nは室内空間(I)に存在する人の数である。
【0079】
ステップST3において、制御部(C)は、換気ユニット(50)の目標換気量を決定する。目標換気量は、例えばユーザが予め設定した設定換気量に相当する。
【0080】
ステップST4において、制御部(C)は、空気調和装置(10)の総換気量Vtが、必要換気量Vn以上となる照射ユニット(60)の相当換気量を決定する。
【0081】
ここで、総換気量Vtは、以下の(2)式で表される。
【0082】
総換気量Vt=換気ユニットの換気量V1+強制換気量V2+相当換気量Ve・・・(2)
総換気量Vtは、感染リスク低減のための室内空間(I)全体としての換気量である。したがって、総換気量Vtが、必要換気量Vn以上になると、室内空間(I)のウィルスや菌を十分に処理できる。
【0083】
換気ユニット(50)の換気量V1は、換気ユニット(50)により室内空間(I)の換気量である。本実施形態では、換気量V1として、ステップST3で決定した目標換気量が用いられる。
【0084】
強制換気量V2は、建築基準法で義務づけられる換気回数(強制換気)に、室内空間(I)の容積を掛け合わせたものである。例えば据え付け業者やユーザ等は、リモートコントローラ(70)などを介して制御部(C)に強制換気量V2や、室内空間(I)の容積を設定する。
【0085】
相当換気量Veは、照射ユニット(60)の出力に対応する室内空間(I)の換気量である。相当換気量Veは、照射ユニット(60)による殺菌効果を室内空間(I)の換気量に置き換えたものである。照射ユニット(60)により空気に紫外線が照射されると、ウィルスや菌が不活化されるため、空気感染、飛沫感染、エアロゾル感染などの感染リスクを低減できる。相当換気量Veは、照射ユニット(60)の出力に応じた換気回数ACH[1/h]と、室内空間(I)の容積の積により求めることができる。ここで、換気回数ACHは、照射ユニット(60)によるウィルスや菌の減衰速度(殺菌能力)に相当し、照射ユニット(60)の出力に応じた指標である。
【0086】
制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力と、相当換気量とを関連付けた第1データを記憶する。このデータは、照射ユニット(60)の出力と、相当換気量Veとの関数であってもよいし、複数の照射ユニット(60)の出力と、これらの照射ユニット(60)の出力毎に対応する相当換気量Veとを有するデータテーブルであってもよい。
【0087】
ステップST4では、制御部(C)は、上記(2)式で得られる総換気量Vtが、必要換気量Vn以上となるための、照射ユニット(60)の相当換気量Veを求める。本実施形態では、制御部(C)は、総換気量Vtが、必要換気量Vnと等しくなる相当換気量Veを求める。換気ユニット(50)の換気量V1と強制換気量V3との和が、総換気量Vt以上となる場合、相当換気量Veはゼロとなる。
【0088】
ステップST5では、制御部(C)は、第1データに基づき、相当換気量Veに対応する照射ユニット(60)の目標出力を決定する。相当換気量Veがゼロとなる場合、照射ユニット(60)の目標出力はゼロとなる。
【0089】
ステップST6では、制御部(C)は、ステップST2で決定した換気目標量と、ステップST5で決定した照射ユニット(60)の目標出力とを制御指令として、換気ユニット(50)および照射ユニット(60)を制御する。具体的には、制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気ファン(53)の風量が目標換気量に近づくように、換気ファン(53)を制御する。制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力が目標出力に近づくように、照射ユニット(60)を制御する。照射ユニット(60)の目標出力がゼロの場合、制御部(C)は、照射ユニット(60)をOFFさせる。
【0090】
以上の制御により、換気運転では、総換気量Vtが必要換気量Vn以上となる。その結果、室内空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。
【0091】
その後、対象空間(I)の人数が例多くなる場合、ステップST2で決定される必要換気量Vnが大きくなる。この場合、ステップST4で決定される相当換気量Veが大きくなり、さらにはステップST5で決定される照射ユニット(60)の目標出力が大きくなる。
【0092】
逆に、対象空間(I)の人数が少なくなる場合、ステップST2で決定される必要換気量Vnが小さくなる。この場合、ステップST4で決定される相当換気量Veが小さくなり、さらにはステップST5で決定される照射ユニット(60)の目標出力が小さくなる。
【0093】
ユーザなどが設定を切り換えることにより、ステップST3での換気ユニット(50)の目標換気量(換気量V1)が大きくなる場合もある。この場合、ステップST4で決定される相当換気量Veが小さくなり、さらにはステップST5で決定される照射ユニット(60)の目標出力が小さくなる。
【0094】
逆に、ユーザなどが設定を切り換えることにより、ステップST3での換気ユニット(50)の目標換気量(換気量V1)が小さくなる場合もある。この場合、ステップST4で決定される相当換気量Veが大きくなり、さらにはステップST5で決定される照射ユニット(60)の目標出力が大きくなる。
【0095】
(4)実施形態の効果
制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気量および照射ユニット(60)の出力を連携して制御するので、室内空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。
【0096】
制御部(C)は、前記換気ユニット(50)の換気量が小さくなるほど、前記照射ユニット(60)の出力が大きくなるように、前記換気ユニット(50)の換気量および前記照射ユニット(60)の出力を連携して制御する
この構成では、換気ユニット(50)の換気量が不足する場合には、照射ユニット(60)の出力を大きくさせることで、室内空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。逆に、換気ユニット(50)の換気量が十分に大きい場合には、照射ユニット(60)の出力を小さくさせることで、照射ユニット(60)の消費電力を削減できる。
【0097】
制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力に対応する室内空間(I)の換気量である相当換気量Veに基づき、換気ユニット(50)の換気量および照射ユニット(60)の出力を連携して制御する。
【0098】
この構成では、照射ユニット(60)の出力に対応する相当換気量Veを求めることで、照射ユニット(60)による感染リスクの低減効果を考慮しつた換気を実現できる。
【0099】
制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力に対応する相当換気量Veと、換気ユニット(50)の換気量との和に基づく総換気量Vtが、室内空間(I)の必要換気量Vn以上となるように、換気ユニット(50)の換気量および照射ユニット(60)の出力を連携して制御する。
【0100】
この構成では、総換気量Vtを必要換気量Vn以上とすることで、室内空間(I)のウィルスや菌を確実に処理できる。
【0101】
制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気量が目標換気量になるように換気ユニット(50)を制御する。制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力に応じた相当換気量Veと、換気ユニット(50)の目標換気量との和に基づく総換気量Vtが、必要換気量Vn以上となるように、照射ユニット(60)の出力を制御する。
【0102】
この構成では、換気ユニット(50)の換気量を、設定した目標換気量とした換気運転を行うことができる。換気ユニット(50)の目標換気量が必要換気量に対して不足する場合には、照射ユニット(60)をONさせる、あるいは照射ユニット(60)の出力を増大させることで、これを補うことができる。換気ユニット(50)の目標換気量が必要換気量に対して過剰である場合には、照射ユニット(60)をOFFさせる、あるいは照射ユニット(60)の出力を低下させることで、照射ユニット(60)の消費電力を削減できる。
【0103】
制御部(C)は、室内空間(I)の在室者の数に基づいて必要換気量を決定する。
【0104】
この構成では、在室者の数に応じた感染リスクを考慮した換気を実現できる。
【0105】
空気調和装置(10)は、室内空間(I)の空気が流れる空気通路(43)が形成される室内ケーシング(30a)と、空気通路(43)に配置される室内熱交換器(32)とを備える。換気ユニット(50)は、室外空間(O)と空気通路(43)とを連通するダクト(51)とを有する。照射ユニット(60)は、空気通路(43)またはダクト(51)に配置される。
【0106】
この構成では、空気調和装置(10)に換気ユニット(50)による換気機能を付加できる。加えて、空気調和装置(10)に照射ユニット(60)の殺菌機能、さらには感染リスク低減に寄与する換気機能を付加できる。
【0107】
換気ユニット(50)は、空気通路(43)の空気を、ダクト(51)を介して室外空間(O)に排出するように構成される。照射ユニット(60)は、空気通路(43)において、ダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される。
【0108】
この構成では、照射ユニット(60)により殺菌された空気が、ダクト(51)を通じて室外に排出されることを抑制できる。これにより、照射ユニット(60)の実際の相当換気量が、決定した相当換気量Veよりも小さくなることを抑制できる。
【0109】
(5)実施形態の変形例
上記実施形態においては、以下の変形例の構成としてもよい。以下では、上記実施形態と異なる点について説明する。
【0110】
(5-1)変形例1:連携制御の変形例
上記実施形態の連携制御は、以下のような変形例としてもよい。
【0111】
(5-1A)変形例1A
変形例1Aの連携制御では、制御部(C)は、室外空気と室内空気との温度差が大きい場合に、換気ユニット(50)の換気量を低減させる。制御部(C)は、上記実施形態で説明した
図5のステップST2とST3との間に、
図6に示す制御を行う。ステップST11では、制御部(C)は、室内温度Tiを取得する。室内温度Tiは、室内温度センサ(80)によって検出される。検出された室内温度Tiは制御部(C)に入力される。ステップST12では、制御部(C)は、室外温度Toを取得する。室外温度Toは、室外温度センサ(82)によって検出される。検出された室外温度Toは制御部(C)に入力される。
【0112】
ステップST13では、制御部(C)は室内温度Tiと室外温度Toとの差ΔTが、所定値以上か否かを判断する。ΔTが大きい場合に換気を行うと、室内空間(I)の空調負荷が増大する。特に、詳細は後述するように、室外空間(O)の室外空気を室内空間(I)に供給する換気や、室外空間(O)の室外空気を室内空間(I)に供給すると同時に室内空間(I)の室内空気を室外空間(O)に排出する換気では、この問題が顕著になる。そこで、制御部(C)は、ステップST13においてΔTが所定値以上である場合、ステップST15において換気ユニット(50)の目標換気量を低減する。制御部(C)は、ステップST13においてΔTが所定値以上でない場合、ステップS14において換気ユニット(50)の目標換気量を維持する。
【0113】
ステップST15において換気ユニット(50)の目標換気量が小さくなる場合、ステップST3で決定される目標換気量(換気量V1)が小さくなる。その結果、ステップST4では、照射ユニット(60)の相当換気量Veが大きくなり、ステップST5では、照射ユニット(60)の目標出力が大きくなる。その結果、室内空間(I)の外気の侵入に起因して室内空間(I)の空調負荷が増大することを抑制しつつ、室内空間(I)のウィルスや菌を十分に処理できる。
【0114】
なお、ステップST11において、室内空気の温度を検出する室内温度センサ(80)は、吹出口(42)の近傍や、室内空間(I)の所定位置や、リモートコントローラ(70)に配置されてもよい。ステップST11において、室内空気の温度に代わって、冷房換気運転や暖房換気運転における室内空間(I)の設定温度を用いてもよい。室内空気の温度は、設定温度に収束するためである。制御部(C)は、気象情報などに含まれる室外温度をネットワークを介して外部のデータサーバから取得してもよい。
【0115】
制御部(C)は、ステップST13においてΔTが所定値以下である場合、ステップST15において換気ユニット(50)の目標換気量を増大してもよい。この構成では、制御部(C)は、ステップST15においてΔTが所定値以下でない場合、ステップS14において換気ユニット(50)の目標換気量を維持する。
【0116】
ステップST15において換気ユニット(50)の目標換気量が大きくなる場合、ステップST3で決定される目標換気量(換気量V1)が大きくなる。その結果、ステップST4では、照射ユニット(60)の相当換気量Veが小さくなり、ステップST5では、照射ユニット(60)の目標出力が小さくなる。その結果、照射ユニット(60)の出力が過剰に大きくなることに起因して、LED(61)の劣化が促進されてしまうことを抑制できる。加えて、LED(61)の消費電力を低減できる。
【0117】
制御部(C)は、ステップST13においてΔTが大きくなるほど、換気ユニット(50)の目標換気量を減少させ、ΔTが小さくなるほど、換気ユニット(50)の目標換気量を増大させてもよい。
【0118】
(5-1B)変形例1B
変形例1Bの連携制御では、照射ユニット(60)の出力が、換気ユニット(50)の換気量がよりも優先的に決定される。
【0119】
図7に示すように、ステップST21において、制御部(C)は、対象空間(I)の人数を特定し、ステップST22において、必要換気量Vnを決定する。次いで、ステップST23では、制御部(C)は、照射ユニット(60)の目標出力を決定する。照射ユニット(60)の目標出力は、ユーザ等の設定などによって決まる照射ユニット(60)の設定出力である。
【0120】
ステップST24では、制御部(C)は、照射ユニット(60)の目標出力に応じた相当換気量Veを決定する。制御部(C)は、照射ユニット(60)の目標出力と、上述した第1データとに基づき、目標能力に対応する相当換気量Veを決定する。
【0121】
ステップST25では、制御部(C)は、上述した(2)式の基づき、総換気量Vtが必要換気量Vn以上となる換気ユニット(50)の換気量V1を求める。本例では、制御部(C)は、総換気量Vtが必要換気量Vnと等しくなる換気量V1を求め、この換気量V1を換気ユニット(50)の目標換気量とする。
【0122】
ステップST26では、制御部(C)は、ステップST23で決定した照射ユニット(60)の目標出力と、ステップST25で決定した目標換気量とを制御指令として、換気ユニット(50)および照射ユニット(60)を制御する。具体的には、制御部(C)は、照射ユニット(60)の出力が目標出力に近づくように、照射ユニット(60)を制御する。制御部(C)は、換気ユニット(50)の換気ファン(53)の風量が目標換気量に近づくように、換気ファン(53)を制御する。
【0123】
以上の制御により、換気運転では、総換気量Vtが必要換気量Vn以上となる。その結果、室内空間(I)のウィルスや菌を適切に処理できる。
【0124】
ステップST23において、制御部(100)は、室内温度Tiと室外温度Toとの差ΔTが所定値より小さい場合に、照射ユニット(60)の目標出力を低減してもよい。この場合、目標出力が小さくなることに伴い換気ユニット(50)の目標換気量が大きくなる。しかし、ΔTはさほど大きくないので、室内の空調負荷が増大してしまうことを抑制できる。照射ユニット(60)の消費電力も削減できる。制御部(100)は、ΔTが所定値より大きい場合に、照射ユニット(60)の目標出力を増大させてもよい。制御部(100)は、ΔTが大きくなるほど照射ユニット(60)の目標出力を増大させ、ΔTが小さくなるほど照射ユニット(60)の目標出力を減少させてもよい。
【0125】
ステップST23において、制御部(100)は、LED(61)の劣化度が大きくなるほど、照射ユニット(60)の目標出力、具体的にはLED(61)の照度を低減してもよい。この場合、目標出力が小さくなることに伴い換気ユニット(50)の目標換気量が大きくなる。LED(61)の照度を低くすることで、LED(61)の劣化の促進を抑制できる。
【0126】
ここで、LED(61)の劣化度とは、初期状態のLED(61)の出力に対して、現在のLED(61)の出力がどれだけ低下したかの度合いを示す指標である。具体的には、ある制御指令値に対する初期状態のLED(61)の照度をI1、同じ制御指令値に対する現在のLED(61)の照度をI2とする場合に、劣化度(%)は、以下の式で表すことができる。
【0127】
劣化度(%)=(I1-I2)/I1×100
制御部(100)は、LED(61)がON状態である時間の累積値と、劣化度との相関に関するデータ(データテーブルや相関式など)に基づいて、LED(61)の劣化度を推定する。このデータは、制御部(100)の記憶部に記憶される。制御部(100)は、詳細は後述する出力センサ(84)の検出値と、LED(61)の制御出力値とに基づきLED(61)の劣化度を推定してもよい。
【0128】
(5-1C)変形例1C
変形例1Cでは、変形例1Bに連携制御において、制御部(C)は、照射ユニット(60)の劣化度を考慮した制御を行う。
図8に示すように、変形例1Cの空気調和装置(10)には、劣化度推定部(83)が設けられる。劣化度推定部(83)は、LED(61)の使用に伴う劣化の度合いを推定する。
【0129】
本例の劣化度推定部(83)は、出力センサ(84)と、制御部(C)に設けられた演算部(85)とを含む。出力センサ(84)は、LED(61)から出力される紫外線の強度を検出する照度センサなどで構成される。演算部(85)は、制御部(C)から照射ユニット(60)に送信するLED(61)の制御出力値と、出力センサ(84)の検出値とに基づきLED(61)の劣化度を求める。
【0130】
変形例1Cの連携制御では、
図7のステップST24において、制御部(C)は、劣化度に基づいて相当換気量を決定する。具体的には、LED(61)の劣化度が大きい場合、照射ユニット(60)による実際の出力(具体的には、LED(61)の照度)が小さくなり、殺菌による換気回数(ACH)も小さくなる。そこで、制御部(C)は、LED(61)の劣化度が大きくなると相当換気量Veを小さくする補正を行う。その結果、ステップST25で決定される換気ユニット(50)の目標換気量は大きくなる。
【0131】
以上のように、変形例1Cでは、制御部(C)が、照射ユニット(60)の劣化度が大きくなるほど、換気ユニット(50)の換気量を大きくする。その結果、照射ユニット(60)の劣化に起因して、室内空間(I)の感染リスクを増大してしまうことを抑制できる。
【0132】
劣化度推定部(83)は、上述したように、LED(61)がON状態である時間の累積値と、劣化度との相関に関するデータに基づいて、LED(61)の劣化度を推定してもよい。
【0133】
(5-2)変形例2:換気ユニットおよび照射ユニットの変形例
上記実施形態の空気調和装置(10)においては、換気ユニット(50)および照射ユニット(60)を以下のように構成してもよい。
【0134】
(5-2A)変形例2A
変形例2Aでは、換気ファン(53)は、室外空間(O)の室外空気をダクト(51)を通じて第1ケーシング(30a)内の空気通路(43)に搬送する。言い換えると、換気ファン(53)は、室外空気を室内空間(I)に供給する給気ファンである。
【0135】
図9に示すように、照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの上流側に配置される。接続口(44)は、照射ユニット(60)と第1熱交換器(32)の間に配置される。
【0136】
換気運転では、室内空間(I)の室内空気が吸込口(41)を通じて空気通路(43)に流入する。空気通路(43)の空気は、接続口(44)を流れる前に照射ユニット(60)を通過する。一方、室外空間(O)の室外空気は、ダクト(51)を通じて接続口(44)から空気通路(43)に流入する。空気通路(43)では、照射ユニット(60)を通過した空気と、ダクト(51)から流入した空気とが合流した後、室内空間(I)に供給される。
【0137】
変形例2Aでは、ダクト(51)から接続口(44)に流入した空気が、照射ユニット(60)を通過しないので、照射ユニット(60)の紫外線は、室内空気の殺菌のみに利用される。これにより、照射ユニット(60)の実際の相当換気量が、決定した相当換気量Veよりも小さくなることを抑制できる。
【0138】
図10に示すように、照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)よりも空気流れの下流側に配置される。接続口(44)は、照射ユニット(60)と第1熱交換器(32)の間に配置される。室外空間(O)の室外空気は、ダクト(51)を通じて接続口(44)から空気通路(43)に流入する。この室外空気は、照射ユニット(60)を通過してから、室内空間(I)に供給される。この構成では、室外空気中に含まれる菌(細菌やカビ)を照射ユニット(60)で殺菌することができる。
【0139】
(5-2B)変形例2B
変形例2Bでは、換気ユニット(50)は、ダクト(51)を流れる空気の向きを正逆反転可能に構成される。換気ユニット(50)は、例えば一方向に空気を搬送する換気ファン(53)と、ダクト(51)を流れる空気の向きを反転させる流路切換機構(図示省略)を有する。あるいは、換気ファン(53)は、第1モータ(53a)の回転方向が可逆である方式であってもよい。
【0140】
換気ユニット(50)は、空気通路(43)の空気をダクト(51)を通じて室外空間(O)に排出する第1動作と、室外空間(O)の室外空気をダクト(51)を通じて空気通路(43)に供給する第2動作とを切り換えて行う。
【0141】
図11に示すように、照射ユニット(60)は、空気通路(43)においてダクト(51)の接続口(44)と並列に配置される。空気通路(43)の空気は、ダクト(51)の接続口(44)と照射ユニット(60)とを並列に流れる。具体的には、接続口(44)と照射ユニット(60)とは、空気流れと直交する方向に沿って配列される。
【0142】
変形例2Bでは、第1動作において、照射ユニット(60)を通過した空気が接続口(44)から室外空間(O)に流出してしまうことを抑制できる。第2動作において、接続口(44)から空気通路(43)に流入した空気が、照射ユニット(60)を流れることを抑制できる。このように、変形例2Bでは、照射ユニット(60)の殺菌機能を、室内空間(I)の室内空気に対して十分に利用できる。その結果、照射ユニット(60)の実際の相当換気量が、決定した相当換気量Veよりも小さくなることを抑制できる。
【0143】
換気ユニット(50)が第1動作のみ、または第2動作のみを行う空気調和装置(10)に、本構成を適用してもよい。
【0144】
(5-3)変形例3:全熱交換式の換気装置の例
図12に示す変形例3の換気装置(90)は、室内空間(I)の給気と排気とを同時に行うことで、室内空間(I)を換気する。換気装置(90)は、室内に供給する空気と、室外に排出する空気とを熱交換させる。換気装置(90)は、例えば天井裏に設置され、空気を搬送するためのダクトに接続される。
【0145】
(5-3-1)全体構成
換気装置(90)は、第2ケーシングであるケーシング(91)と、給気ファン(92)と、排気ファン(93)と、第2熱交換器である全熱交換器(94)と、照射ユニット(60)とを備える。給気ファン(92)および排気ファン(93)は、室内空間(I)を換気するための換気ユニット(50)を構成する。
【0146】
ケーシング(91)の第1側壁(91a)には、室内吸込口(95)と給気口(96)とが形成される。ケーシング(91)の第2側壁(91b)には、室外吸込口(97)と排気口(98)とが形成される。室内吸込口(95)と給気口(96)とは、それぞれダクトを介して室内空間(I)と連通する。室外吸込口(97)と排気口(98)とは、それぞれダクトを介して室外空間(O)と連通する。
【0147】
ケーシング(91)の内部には、第1仕切板(101)と第2仕切板(102)とが設けられる。第1仕切板(101)、第2仕切板(102)、および全熱交換器(94)により、ケーシング(91)の内部に第1通路(P1)、第2通路(P2)、第3通路(P3)、および第4通路(P4)が区画される。第1通路(P1)および第2通路(P2)は、給気通路(103)を構成する。第3通路(P3)および第4通路(P4)は、排気通路(104)を構成する。給気通路(103)は、室外空気(OA)を供給空気(SA)として室内空間(I)に供給するための通路である。排気通路(104)は、室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外空間(O)へ排出するための通路である。
【0148】
給気ファン(92)は、給気通路(103)に配置される。給気ファン(92)は、第2通路(P2)に配置される。排気ファン(93)は、第4通路(P4)に配置される。
【0149】
全熱交換器(94)は、給気通路(103)の空気と、排気通路(104)の空気とを熱交換させる。全熱交換器(94)には、給気通路(103)に連通する第1熱交換流路(94a)と、排気通路(104)に連通する第2熱交換流路(94b)とが形成される。全熱交換器(94)は、第1熱交換流路(94a)の空気と、第2熱交換流路(94b)の空気の顕熱および潜熱を互いに熱交換させる。第2熱交換器は、全熱交換器(94)ではなく、両者の空気の顕熱のみを熱交換させてもよい。
【0150】
第3通路(P3)と第2通路(P2)とを仕切る第1仕切板(101)には、ダンパ(105)が設けられる。ダンパ(105)は、第1仕切板(101)に形成されるダンパ口(106)を開閉する。
図13に示すように、ダンパ(105)が開状態になると、第3通路(P3)と第2通路(P2)とがダンパ口(106)を通じて連通する。第3通路(P3)、ダンパ口(106)、および第2通路(P2)により、室内空間(I)の室内空気を室内空間(I)に送る循環通路(107)が形成される。
【0151】
照射ユニット(60)は、給気通路(103)に配置される。具体的には、照射ユニット(60)は、第2通路(P2)に配置される。言い換えると、照射ユニット(60)は、循環通路(107)に配置される。照射ユニット(60)は、給気通路(103)、あるいは循環通路(107)を流れる空気に紫外線を照射し、この空気を殺菌する。
【0152】
(5-3-2)換気運転
変形例3の換気装置(90)の換気運転では、制御部(C)が給気ファン(92)および排気ファン(93)を運転させる。制御部(C)は、照射ユニット(60)を適宜ONさせる。制御部(C)は、ダンパ(105)を閉状態とする。室外吸込口(97)から給気通路(103)に流入する。給気通路(103)の空気は、全熱交換器(94)の第1熱交換流路(94a)を流れる。室内空間(I)の室内空気は、ダクトを介して室内吸込口(95)から排気通路(104)に流入する。排気通路(104)の空気は、全熱交換器(94)の第2熱交換流路(94b)を流れる。全熱交換器(94)は、第1熱交換流路(94a)の空気と第2熱交換流路(94b)の空気とを熱交換させる。
【0153】
例えば夏季であれば、空調される状態の室内空間(I)の室内空気の温度は、室外空気の温度よりも低く、室内空気の湿度は、室外空気の湿度よりも低い。このため、全熱交換器(94)では、第1熱交換流路(94a)の空気が冷却および除湿される。例えば冬季であれば、空調される状態の室内空間(I)の室内空気の温度は、室外空気の温度よりも高く、室内空気の湿度は、室外空気の湿度よりも高い。このため、全熱交換器(94)では、第1熱交換流路(94a)の空気が加熱および加湿される。
【0154】
以上のようにして、第1熱交換流路(94a)で温度および湿度が調節された空気は、照射ユニット(60)を通過する。照射ユニット(60)のLEDから紫外線が照射されることで、この空気が殺菌される。照射ユニット(60)を通過した空気は、給気通路(103)、給気口(96)、およびダクトを介して室内空間(I)へ供給される。第2熱交換流路(94b)の空気は、排気通路(104)、排気口(98)、およびダクトを介して室外空間(O)へ排出される。
【0155】
換気運転では、上述した実施形態や変形例と同様にして、制御部(C)が、換気ユニット(50)と照射ユニット(60)とを連携して制御する。制御部(C)は、給気ファン(92)および排気ファン(93)の風量を同等に制御する。つまり、換気ユニット(50)の換気量は、給気ファン(92)の風量、および排気ファン(93)の風量に相当する。
【0156】
(5-3-3)循環運転
換気装置(90)は、室内空気を循環させながら、この空気を殺菌する循環運転を実行する。循環運転では、制御部(C)は、給気ファン(92)を運転し、排気ファン(93)を停止し、照射ユニット(60)をONさせ、ダンパ(105)を開状態とする。
【0157】
図12に示すように、循環運転では、室内空間(I)の室内空気が、ダクト、室内吸込口(95)を通じて第3通路(P3)に流入する。第3通路(P3)の空気は、ダンパ口(106)を通じて第2通路(P2)に流入する。第2通路(P2)の空気は、照射ユニット(60)を通過する。照射ユニット(60)のLEDから紫外線が照射されることで、この空気が殺菌される。照射ユニット(60)を通過した空気は、給気通路(103)、給気口(96)、およびダクトを介して室内空間(I)へ供給される。
【0158】
以上のように、換気装置(90)では、換気運転だけでなく循環運転においても、照射ユニット(60)により空気を殺菌できる。
【0159】
(5-4)変形例4:空調ユニットを有する換気システムの例
図13に示す変形例4の換気装置は、換気システム(110)を構成する。換気システム(110)は、室内空間(I)を換気する換気ユニット(50)と、照射ユニット(60)を有する空調ユニット(120)とを備える。換気ユニット(50)と空調ユニット(120)とは、互いに別体のユニットを構成する。空調ユニット(120)は、室内空間(I)の空気を調和する。
【0160】
空調ユニット(120)は、複数の室内機(30)を有する、いわゆる室内マルチ式である。空調ユニット(120)は、1つの室外機(20)を有するが、複数の室外機(20)を有する、いわゆる室外マルチ式であってもよい。
【0161】
各室内機(30)は、例えば天井裏に設置され、室内空間(I)の空気の温度を調節する。上述した実施形態と同様、各室内機(30)には、照射ユニット(60)および室内制御部(IC)が設けられる。照射ユニット(60)は、室内機(30)の内部を流れる室内空気に紫外線を照射し、この空気を殺菌する。
【0162】
室外機(20)は、室外に設置される。室外機(20)には、実施形態と同様、圧縮機(21)などの機器を制御する室外制御部(OC)が設けられる。室外制御部(OC)および室内制御部(IC)により、空調ユニット(120)を制御する空調制御部(AC)が構成される。
【0163】
換気ユニット(50)は、室内空間(I)の給気と排気とを同時に行う。換気ユニット(50)は、室外空間(O)の室外空気を室内空間(I)に供給する給気のみを行ってもよいし、室内空間(I)の室内空気を室外空間(O)に排出する排気のみを行ってもよい。換気ユニット(50)には、給気や排気を行うための換気ファン(53)と、換気制御部(VC)とが設けられる。換気制御部(VC)は、換気ファン(53)を制御する。
【0164】
変形例4の制御部(C)は、空調制御部(AC)および換気制御部(VC)と有線または無線を介して互いに通信可能に構成される。制御部(C)は、ネットワークに接続されるサーバ装置、ビルなどの集中管理装置などに設けられる。制御部(C)は、上述した実施形態や変形例と同様、換気ユニット(50)および空調ユニット(120)を連携して制御させる。
【0165】
変形例4の換気システム(110)において、制御部(C)は、換気ユニット(50)に設けられてもよい。言い換えると、制御部(C)は、換気制御部(VC)に一体に設けられてもよい。制御部(C)は、空調ユニット(120)に設けられてもよい。言い換えると、制御部(C)は、空調制御部(AC)に一体に設けられてもよい。
【0166】
(6)その他の実施形態
上記実施形態や変形例においては、以下のような構成としてもよい。
【0167】
制御部(100)は、照射ユニット(60)の照射量、LED(61)の照射領域における空気の通過時間、LED(61)の照射領域における空気の風量、LED(61)の照射時間などを、照射ユニット(60)の出力として制御してもよい。
【0168】
ここで、LED(61)の照射量は、LED(61)の照度と、LED(61)の照射領域における空気の通過時間との積である。空気の通過時間は、照射領域を流れる空気の風速(線速度)の逆数である。空気の風速は、照射領域を流れる空気の風量を、この空気が流れる流路の断面積で除した値である。例えばLED(61)の照射量、通過時間、または照射時間が大きくなったり、空気の風量が小さくなったりすると、照射ユニット(60)の出力が増大する。例えばLED(61)の照射量、通過時間、または照射時間が小さくなったり、空気の風量が大きくなったりすると、照射ユニット(60)の出力が減少する。
【0169】
制御部(100)は、周期的にON/OFFを繰り返すLED(61)を制御してもよい。この場合、制御部(100)は、LED(61)をON状態(点灯状態)とするON時間、LED(61)をOFF状態(消灯状態)とするOFF時間、LED(61)を周期的にON/OFFさせる周期、LED(61)のデューティー比(ON/OFFさせる周期に対するON時間)などを制御値として、照射ユニット(60)の出力を制御する。
【0170】
制御部(100)は、循環式の空気調和装置の空気の循環風量を調整することで、照射ユニット(60)の出力を制御してもよい。空気調和装置は、対象空間から吸い込まれて照射ユニット(60)を通過した空気を、対象空間に再び供給する。空気の循環風量が大きくなると、照射ユニット(60)を通過する空気の循環回数が多くなり、照射ユニット(60)の出力が大きくなる。逆に、空気の循環風量が小さくなると、照射ユニット(60)を通過する空気の循環回数が少なくなり、照射ユニット(60)の出力が小さくなる。空気の循環風量は、具体的には、空気調和装置に設けられるファンの風量である。ここでいう空気調和装置は、温度や湿度を調節する装置だけでなく、空気清浄機を含む。
【0171】
制御部(C)により算出される総換気量Vtは、強制換気量V2に基づかず、相当換気量Veと換気ユニット(50)の換気量V1との和としてもよい。
【0172】
制御部(C)は、総換気量Vtが、必要換気量Vnよりも大きい所定値となるように、換気ユニット(50)および照射ユニット(60)を制御してもよい。
【0173】
制御部(C)は、CO2センサで検出される室内空間(I)のCO2濃度から室内空間(I)の人数を推定して、必要換気量Vnを決定してもよい。
【0174】
制御部(C)は、センサで検出した室内空間(I)のウィルス濃度に応じて必要換気量Vnを補正してもよい。制御部(C)は、ウィルス濃度が高い場合に必要換気量Vnを大きくしたり、ウィルス濃度が低い場合に必要換気量と小さくしたりする。
【0175】
換気ユニット(50)は、水分を吸着する吸着部材を有し、吸着部材で加湿または除湿した室外空気を室内空間(I)に供給してもよい。
【0176】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0177】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0178】
以上に説明したように、本開示は、換気装置について有用である。
【符号の説明】
【0179】
10 空気調和装置(換気装置)
30a 室内ケーシング(第1ケーシング)
32 室内熱交換器(第1熱交換器)
43 空気通路
44 接続口
50 換気ユニット
51 ダクト
60 照射ユニット
90 換気装置
94 全熱交換器(第2熱交換器)
103 給気通路
104 排気通路
107 循環通路
110 換気システム(換気装置)
120 空調ユニット
C 制御部
I 室内空間(対象空間)
O 室外空間