(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133106
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】眼科撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109964
(22)【出願日】2024-07-09
(62)【分割の表示】P 2022190238の分割
【原出願日】2018-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】山口 達夫
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 僚一
(57)【要約】
【課題】広角のOCTスキャンを高速で行いつつ高品質のOCT画像を取得する。
【解決手段】実施形態の眼科撮影装置は、2以上のBスキャンを含む準備的OCTスキャンで構築された準備的画像に基づきフォーカス制御パラメータを設定した後、黄斑中心からOCTスキャン適用エリアの外縁まで渦巻状スキャンパターン又は外縁から黄斑中心への渦巻状スキャンパターンにしたがうOCTスキャンを実行しつつ、フォーカス制御パラメータに基づき焦点位置変更部の制御を行う。この制御は、渦巻状スキャンパターンの開始点と終了点とを接続する滑らかな曲線状、階段状、及び折れ線状のいずれかのパターンにしたがって実行される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に光コヒーレンストモグラフィ(OCT)スキャンを適用してデータを収集するデータ収集部と、
前記データ収集部により収集された前記データから画像を構築する画像構築部と、
前記データ収集部により前記被検眼に投射される測定光の光路に設けられた焦点位置変更部と、
OCTスキャン適用エリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンにしたがって前記データ収集部を制御するスキャン制御部と、
前記第1部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置を適用し、且つ、前記第2部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して前記第1焦点位置と異なる第2焦点位置を適用するように前記焦点位置変更部を制御するフォーカス制御部と、
前記フォーカス制御部に提供されるフォーカス制御パラメータを設定するパラメータ設定部と
を含み、
前記スキャンパターンにしたがうOCTスキャンの前に、前記データ収集部は、2以上のBスキャンを含む準備的OCTスキャンを前記被検眼に適用し、
前記画像構築部は、前記準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像を構築し、
前記パラメータ設定部は、前記画像構築部により構築された前記準備的画像に基づいて1以上のフォーカス制御パラメータを設定し、
前記パラメータ設定部による前記1以上のフォーカス制御パラメータの設定の後に、前記スキャン制御部は、前記スキャンパターンにしたがう前記OCTスキャンとして、前記中心領域内の黄斑中心をスキャン開始点とし且つ偏角の変化とともに動径を増加しながら前記周縁領域を通過して前記OCTスキャン適用エリアの外縁のスキャン終了点に至る渦巻状スキャンパターンにしたがうOCTスキャン、及び、前記OCTスキャン適用エリアの外縁をスキャン開始点とし且つ偏角の変化とともに動径を減少しながら前記周縁領域を通過して前記中心領域内の黄斑中心に設定されたスキャン終了点に至る渦巻状スキャンパターンにしたがうOCTスキャンの一方を、前記データ収集部に実行させ、
前記スキャンパターンにしたがう前記OCTスキャンと並行して、前記フォーカス制御部は、前記パラメータ設定部により設定された前記1以上のフォーカス制御パラメータに基づく前記スキャン開始点と前記スキャン終了点とを接続する滑らかな曲線状、階段状、及び折れ線状のいずれかのパターンにしたがって前記焦点位置変更部の制御を実行する
ことを特徴とする眼科撮影装置。
【請求項2】
前記準備的OCTスキャンは、互いに直交する2つのBスキャンを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
【請求項3】
前記準備的OCTスキャンに含まれるBスキャンは、前記中心領域及び前記周縁領域の双方を通過する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の眼科撮影装置。
【請求項4】
前記1以上のフォーカス制御パラメータは、前記第1焦点位置及び前記第2焦点位置を含む焦点位置変更範囲を含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の眼科撮影装置。
【請求項5】
前記1以上のフォーカス制御パラメータは、焦点位置の移動速度及び移動加速度の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の眼科撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科診療において、画像診断や画像解析の重要性が増してきている。特に、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の眼科への応用が、その傾向に拍車をかけている。OCTは被検眼の3次元イメージングや3次元的な構造解析・機能解析を可能とし、例えば様々な計測値の分布を取得するために威力を発揮している。
【0003】
近年、OCTスキャン範囲の拡大、つまりOCTの広画角化、が進められている。例えば、眼底の中心から周辺までの広い範囲をスキャンするために、光スキャナ(ガルバノミラー等)の偏向角度の拡大や、それに応じた構造・制御・画像化の最適化が施された装置が開発されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【0004】
眼底の広い範囲にOCTスキャン(一般にラスタースキャン)を適用すると、眼球光学系の収差の影響により、特に眼底中心部から離れた箇所(周辺部と呼ばれる)において画質が劣化する。これは、眼底中心部よりも周辺部において眼球の収差が大きいことに起因する(例えば、非特許文献1を参照)。
【0005】
このような画質劣化を解消するためにフォーカス制御を行うことが考えられる。しかし、フォーカス制御の速度はOCTスキャンの速度(例えば、Aスキャンの繰り返しレート)よりもかなり遅いため、眼底の広い範囲に高速でラスタースキャンを適用しつつフォーカス制御を行うことは現実的とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-086311号公報
【特許文献2】特開2017-047113号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】JAMES POLANS、外4名、「Wide-field optical model of the human eye with asymmetrically tilted and decentered lens that reproduces measured ocular aberrations」、Optica、2015年2月、Vol.2、No.2、p.124-134
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的は、広角のOCTスキャンを高速で行いつつ高品質のOCT画像を取得することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な実施形態の第1の態様は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィ(OCT)スキャンを適用してデータを収集するデータ収集部と、前記データ収集部により収集された前記データから画像を構築する画像構築部と、前記データ収集部により前記被検眼に投射される測定光の光路に設けられた焦点位置変更部と、OCTスキャン適用エリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンにしたがって前記データ収集部を制御するスキャン制御部と、前記第1部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置を適用し、且つ、前記第2部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して前記第1焦点位置と異なる第2焦点位置を適用するように前記焦点位置変更部を制御するフォーカス制御部とを含む眼科撮影装置である。
【0010】
例示的な実施形態の第2の態様は、第1の態様の眼科撮影装置であって、前記スキャンパターンは、前記OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状スキャンパターンを含む。
【0011】
例示的な実施形態の第3の態様は、第2の態様の眼科撮影装置であって、前記曲線状スキャンパターンは、前記OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターン、及び、前記OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンのいずれかである。
【0012】
例示的な実施形態の第4の態様は、第2又は第3の態様の眼科撮影装置であって、前記画像構築部は、前記曲線状スキャンパターンにしたがって前記被検眼に適用されたOCTスキャンにより収集されたデータから前記極座標系で定義された画像を形成し、且つ、前記極座標系で定義された当該画像を3次元直交座標系で定義された画像に変換する。
【0013】
例示的な実施形態の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれかの眼科撮影装置であって、前記第1焦点位置に対応する第1焦点距離は、前記第2焦点位置に対応する第2焦点距離よりも長い。
【0014】
例示的な実施形態の第6の態様は、第1~第5の態様のいずれかの眼科撮影装置であって、前記スキャンパターンにしたがうOCTスキャンの前に、前記データ収集部は、前記被検眼に対して準備的OCTスキャンを適用し、前記画像構築部は、前記準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像を構築し、前記画像構築部により構築された前記準備的画像に基づいて1以上のフォーカス制御パラメータを設定するパラメータ設定部を更に含み、前記フォーカス制御部は、前記パラメータ設定部により設定された前記1以上のフォーカス制御パラメータにしたがって前記焦点位置変更部の制御を実行する。
【0015】
例示的な実施形態の第7の態様は、第6の態様の眼科撮影装置であって、前記1以上のフォーカス制御パラメータは、前記第1焦点位置及び前記第2焦点位置を含む焦点位置変更範囲を含む。
【0016】
例示的な実施形態の第8の態様は、第6又は第7の態様の眼科撮影装置であって、前記1以上のフォーカス制御パラメータは、焦点位置の移動速度及び移動加速度の少なくとも一方を含む。
【0017】
例示的な実施形態の第9の態様は、第1~第8の態様のいずれかの眼科撮影装置であって、前記被検眼を繰り返し撮影する撮影部と、前記撮影部により取得された時系列画像を解析して前記被検眼の移動を検出する移動検出部とを更に含み、前記データ収集部は、OCTスキャンのための光を偏向する光スキャナを含み、前記スキャン制御部は、前記スキャンパターンにしたがって前記データ収集部を制御しつつ、前記移動検出部からの出力に基づき前記光スキャナを制御する。
【0018】
例示的な実施形態の第10の態様は、被検眼に光コヒーレンストモグラフィ(OCT)スキャンを適用してデータを収集するデータ収集部と、前記データ収集部により収集された前記データから画像を構築する画像構築部と、前記データ収集部により前記被検眼に投射される測定光の光路に設けられた焦点位置変更部とを含む眼科撮影装置を制御する方法であって、OCTスキャン適用エリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンにしたがって前記データ収集部を制御するスキャン制御ステップと、前記第1部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置を適用し、且つ、前記第2部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して前記第1焦点位置と異なる第2焦点位置を適用するように前記焦点位置変更部を制御するフォーカス制御ステップとを含む。
【0019】
例示的な実施形態の第11の態様は、第10の態様の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0020】
例示的な実施形態の第12の態様は、第11の態様のプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【発明の効果】
【0021】
例示的な実施形態によれば、広角のOCTスキャンを高速で行いつつ高品質のOCT画像を取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
【
図2】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
【
図3】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
【
図4】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の構成の一例を表す概略図である。
【
図5A】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図5B】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図6A】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図6B】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図6C】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図7】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図8A】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図8B】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図9A】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図9B】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図9C】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図9D】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置が実行する処理の一例を説明するための概略図である。
【
図10】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図11】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の動作の一例を説明するための概略図である。
【
図12】例示的な実施形態に係る眼科撮影装置の動作の一例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的な実施形態に係る眼科撮影装置、その制御方法、プログラム、及び記録媒体について図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書にて引用された文献の開示内容や、その他の任意の公知技術を、実施形態に援用することが可能である。また、特に言及しない限り、「画像データ」とそれに基づく「画像」とを区別しない。同様に、特に言及しない限り、被検眼の「部位」とその「画像」とを区別しない。
【0024】
例示的な実施形態に係る眼科撮影装置は、フーリエドメインOCT(例えば、スウェプトソースOCT)を利用して生体眼の眼底を計測することが可能である。実施形態に適用可能なOCTのタイプは、スウェプトソースOCTに限定されず、例えばスペクトラルドメインOCT又はタイムドメインOCTであってもよい。また、OCTの適用対象は眼底には限定されず、前眼部や硝子体など眼の任意の部位であってよい。
【0025】
例示的な実施形態は、OCT以外のモダリティにより取得された画像を処理可能であってよい。例えば、例示的な実施形態は、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、及び眼科手術用顕微鏡のいずれかにより取得された画像を処理可能であってよい。例示的な実施形態に係る眼科撮影装置は、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、及び眼科手術用顕微鏡のいずれかを含んでいてよい。
【0026】
例示的な実施形態により処理可能な被検眼の画像は、任意のモダリティにより取得された画像を解析して得られた画像を含んでいてもよい。このような解析画像の例として、擬似カラー化された画像(セグメント化された擬似カラー画像等)、元画像の一部のみからなる画像(セグメント画像等)、OCT画像を解析して得られた組織の厚み分布を表す画像(層厚マップ、層厚グラフ等)、組織の形状を表す画像(曲率マップ等)、病変の分布を表す画像(病変マップ等)などがある。
【0027】
〈構成〉
図1に示す例示的な実施形態の眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼の正面画像を取得するための光学系や機構が設けられている。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系や機構の一部が設けられている。OCTを実行するための光学系や機構の他の一部は、眼底カメラユニット2に設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行する1以上のプロセッサを含む。これらに加え、被検者の顔を支持するための部材(顎受け、額当て等)や、OCTの対象部位を切り替えるためのレンズユニット(例えば、前眼部OCT用アタッチメント)等の任意の要素やユニットが眼科撮影装置1に設けられてもよい。
【0028】
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0029】
〈眼底カメラユニット2〉
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efの画像(眼底像、眼底写真等と呼ばれる)は、観察画像、撮影画像等の正面画像である。観察画像は、例えば近赤外光を用いた動画撮影により得られ、アライメント、フォーカシング、トラッキングなどに利用される。撮影画像は、例えば可視領域又は赤外領域のフラッシュ光を用いた静止画像である。
【0030】
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出する。OCTユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれ、その戻り光は、同じ光路を通じてOCTユニット100に導かれる。
【0031】
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、凹面鏡12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ系17、リレーレンズ18、絞り19、及びリレーレンズ系20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)を照明する。観察照明光の被検眼Eからの戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によりイメージセンサ35の受光面に結像される。イメージセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。なお、撮影光学系30のフォーカス(焦点位置)は、眼底Ef又は前眼部に合致するように調整される。
【0032】
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの撮影照明光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、結像レンズ37によりイメージセンサ38の受光面に結像される。
【0033】
液晶ディスプレイ(LCD)39は固視標(固視標画像)を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aに反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。
【0034】
LCD39の画面上における固視標画像の表示位置を変更することにより、固視標による被検眼Eの固視位置を変更できる。固視位置の例として、黄斑を中心とする画像を取得するための固視位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑と視神経乳頭との間の位置を中心とする画像を取得するための固視位置や、黄斑から大きく離れた部位(眼底周辺部)の画像を取得するための固視位置などがある。このような典型的な固視位置の少なくとも1つを指定するためのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)等を設けることができる。また、固視位置(固視標の表示位置)をマニュアルで移動するためのGUI等を設けることができる。
【0035】
固視位置を変更可能な固視標を被検眼Eに提示するための構成はLCD等の表示デバイスには限定されない。例えば、複数の発光部(発光ダイオード等)がマトリクス状(アレイ状)に配列された固視マトリクスを表示デバイスの代わりに採用することができる。この場合、複数の発光部を選択的に点灯させることにより、固視標による被検眼Eの固視位置を変更することができる。他の例として、移動可能な1以上の発光部によって、固視位置を変更可能な固視標を生成することができる。
【0036】
アライメント光学系50は、被検眼Eに対する光学系のアライメントに用いられるアライメント指標を生成する。発光ダイオード(LED)51から出力されたアライメント光は、絞り52、絞り53、及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。アライメント光の被検眼Eからの戻り光(角膜反射光等)は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(アライメント指標像)に基づいてマニュアルアライメントやオートアライメントを実行できる。
【0037】
従来と同様に、本例のアライメント指標像は、アライメント状態により位置が変化する2つの輝点像からなる。被検眼Eと光学系との相対位置がxy方向に変化すると、2つの輝点像が一体的にxy方向に変位する。被検眼Eと光学系との相対位置がz方向に変化すると、2つの輝点像の間の相対位置(距離)が変化する。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離が既定のワーキングディスタンスに一致すると、2つの輝点像が重なり合う。xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、所定のアライメントターゲット内又はその近傍に2つの輝点像が提示される。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離がワーキングディスタンスに一致し、且つ、xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、2つの輝点像が重なり合ってアライメントターゲット内に提示される。
【0038】
オートアライメントでは、データ処理部230が、2つの輝点像の位置を検出し、主制御部211が、2つの輝点像とアライメントターゲットとの位置関係に基づいて後述の移動機構150を制御する。マニュアルアライメントでは、主制御部211が、被検眼Eの観察画像とともに2つの輝点像を表示部241に表示させ、ユーザーが、表示された2つの輝点像を参照しながら操作部242を用いて移動機構150を動作させる。
【0039】
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調整に用いられるスプリット指標を生成する。撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、フォーカス光学系60は照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱される。フォーカス調整を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。フォーカス光の被検眼Eからの戻り光(眼底反射光等)は、アライメント光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカシングやオートフォーカシングを実行できる。
【0040】
孔開きミラー21とダイクロイックミラー55との間の撮影光路に、視度補正レンズ70及び71を選択的に挿入することができる。視度補正レンズ70は、強度遠視を補正するためのプラスレンズ(凸レンズ)である。視度補正レンズ71は、強度近視を補正するためのマイナスレンズ(凹レンズ)である。
【0041】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用光路とOCT用光路(測定アーム)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。測定アームには、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、及びリレーレンズ45が設けられている。
【0042】
リトロリフレクタ41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、それにより測定アームの長さが変更される。測定アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
【0043】
分散補償部材42は、参照アームに配置された分散補償部材113(後述)とともに、測定光LSの分散特性と参照光LRの分散特性とを合わせるよう作用する。
【0044】
OCT合焦レンズ43は、測定アームのフォーカス調整を行うために測定アームに沿って移動される。撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。
【0045】
光スキャナ44は、実質的に、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。光スキャナ44は、測定アームにより導かれる測定光LSを偏向する。光スキャナ44は、例えば、x方向のスキャンを行うためのガルバノミラーと、y方向のスキャンを行うためのガルバノミラーとを含む、2次元スキャンが可能なガルバノスキャナである。
【0046】
〈OCTユニット100〉
図2に例示するように、OCTユニット100には、スウェプトソースOCTを適用するための光学系が設けられている。この光学系は干渉光学系を含む。この干渉光学系は、波長可変光源(波長掃引型光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光を検出する。干渉光学系により得られた検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを表す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
【0047】
光源ユニット101は、例えば、出射光の波長を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。更に、光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。測定光LSの光路は測定アームなどと呼ばれ、参照光LRの光路は参照アームなどと呼ばれる。
【0048】
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、リトロリフレクタ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、測定アームに配置された分散補償部材42とともに、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。リトロリフレクタ114は、これに入射する参照光LRの光路に沿って移動可能であり、それにより参照アームの長さが変更される。参照アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
【0049】
リトロリフレクタ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ119を通じてアッテネータ120に導かれてその光量が調整され、光ファイバ121を通じてファイバカプラ122に導かれる。
【0050】
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれてコリメータレンズユニット40により平行光束に変換され、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44及びリレーレンズ45を経由し、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに投射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。測定光LSの被検眼Eからの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
【0051】
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、生成された干渉光を所定の分岐比(例えば1:1)で分岐することで一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123及び124を通じて検出器125に導かれる。
【0052】
検出器125は、例えばバランスドフォトダイオードを含む。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらにより得られた一対の検出結果の差分を出力する。検出器125は、この出力(検出信号)をデータ収集システム(DAQ)130に送る。
【0053】
データ収集システム130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐して2つの分岐光を生成し、これら分岐光の一方を光学的に遅延させ、これら分岐光を合成し、得られた合成光を検出し、その検出結果に基づいてクロックKCを生成する。データ収集システム130は、検出器125から入力される検出信号のサンプリングをクロックKCに基づいて実行する。データ収集システム130は、このサンプリングの結果を演算制御ユニット200に送る。
【0054】
本例では、測定アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ41)と、参照アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ114、又は参照ミラー)との双方が設けられているが、一方の要素のみが設けられていてもよい。また、測定アーム長と参照アーム長との間の差(光路長差)を変更するための要素はこれらに限定されず、任意の要素(光学部材、機構など)であってよい。
【0055】
〈制御系・処理系〉
眼科撮影装置1の制御系及び処理系の構成例を
図3及び
図4に示す。制御部210、画像構築部220及びデータ処理部230は、例えば演算制御ユニット200に設けられる。眼科撮影装置1は、外部装置との間でデータ通信をおこなうための通信デバイスを含んでいてもよい。眼科撮影装置1は、記録媒体からデータを読み出す処理や、記録媒体にデータを書き込む処理を行うためのドライブ装置(リーダ/ライタ)を含んでいてもよい。
【0056】
〈制御部210〉
制御部210は、各種の制御を実行する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。また、
図4に示すように、本実施形態の制御部210は、スキャン制御部213とフォーカス制御部214とを含む。
【0057】
〈主制御部211〉
主制御部211は、プロセッサを含み、眼科撮影装置1の各要素(
図1~
図4に示された要素を含む)を制御する。主制御部211は、プロセッサを含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0058】
主制御部211は、スキャン制御部213とフォーカス制御部214とを連係的に(同期的に)動作させることができる。これにより、OCTスキャンとフォーカス調整とが連係的に(同期的に)実行される。
【0059】
撮影合焦駆動部31Aは、主制御部211の制御の下に、撮影光路に配置された撮影合焦レンズ31と照明光路に配置されたフォーカス光学系60とを移動する。リトロリフレクタ(RR)駆動部41Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに設けられたリトロリフレクタ41を移動する。OCT合焦駆動部43Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに配置されたOCT合焦レンズ43を移動する。測定アームに設けられた光スキャナ44は、主制御部211の制御の下に動作する。リトロリフレクタ(RR)駆動部114Aは、主制御部211の制御の下に、参照アームに配置されたリトロリフレクタ114を移動する。上記した駆動部のそれぞれは、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
【0060】
移動機構150は、例えば、少なくとも眼底カメラユニット2を3次元的に移動する。典型的な例において、移動機構150は、±x方向(左右方向)に移動可能なxステージと、xステージを移動するx移動機構と、±y方向(上下方向)に移動可能なyステージと、yステージを移動するy移動機構と、±z方向(奥行き方向)に移動可能なzステージと、zステージを移動するz移動機構とを含む。これら移動機構のそれぞれは、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
【0061】
〈記憶部212〉
記憶部212は各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、OCT画像、眼底像、被検眼情報、制御パラメータなどがある。
【0062】
被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者情報や、左眼/右眼の識別情報や、電子カルテ情報などを含む。
【0063】
制御パラメータは、例えば、OCTスキャンの制御に用いられるパラメータ(スキャン制御パラメータ)と、フォーカス(焦点位置)制御に用いられるパラメータ(フォーカス制御パラメータ)とを含む。
【0064】
スキャン制御パラメータは、光スキャナ44に対する制御の内容を示すパラメータである。スキャン制御パラメータの例として、スキャンパターンを示すパラメータ、スキャン速度を示すパラメータ、スキャン間隔を示すパラメータなどがある。スキャン速度は、例えば、Aスキャンの繰り返しレートとして定義される。スキャン間隔は、例えば、隣接するAスキャンの間隔、つまりスキャン点の配列間隔、として定義される。スキャンパターンについては後述する。
【0065】
フォーカス制御パラメータは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御の内容を示すパラメータである。フォーカス制御パラメータの例として、測定アームの焦点位置を示すパラメータ、焦点位置の移動速度を示すパラメータ、焦点位置の移動加速度を示すパラメータなどがある。焦点位置を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の位置を示すパラメータである。焦点位置の移動速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動速度を示すパラメータである。焦点位置の移動加速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動加速度を示すパラメータである。移動速度は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。移動加速度についても同様である。
【0066】
〈スキャン制御部213〉
スキャン制御部213は、スキャン制御パラメータに基づいて光スキャナ44を制御する。スキャン制御部213は、光源ユニット101の制御を更に実行してもよい。スキャン制御部213が実行する処理の内容については後述する。スキャン制御部213は主制御部211に含まれる。スキャン制御部213は、プロセッサを含むハードウェアと、スキャン制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0067】
〈フォーカス制御部214〉
フォーカス制御部214は、フォーカス制御パラメータに基づいてOCT合焦駆動部43Aを制御する。フォーカス制御部214が実行する処理の内容については後述する。フォーカス制御部214は主制御部211に含まれる。フォーカス制御部214は、プロセッサを含むハードウェアと、フォーカス制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0068】
〈画像構築部220〉
画像構築部220は、プロセッサを含み、データ収集システム130から入力された信号(サンプリングデータ)に基づいて、眼底EfのOCT画像データを形成する。OCT画像データは、例えば、Bスキャン画像データ(2次元断層像データ)である。
【0069】
OCT画像データを形成する処理は、従来のフーリエドメインOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、高速フーリエ変換(FFT)などを含む。他のタイプのOCT装置の場合、画像構築部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
【0070】
画像構築部220は、データ収集システム130から入力された信号に基づいて、眼底Efの3次元データを形成する。この3次元データは、眼底Efの3次元領域(ボリューム)を表現した3次元画像データである。この3次元画像データは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像データの例として、スタックデータやボリュームデータがある。
【0071】
スタックデータは、複数のスキャンラインに沿って得られた複数の断層像を、これらスキャンラインの位置関係に基づき3次元的に配列して得られた画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり、1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られた画像データである。或いは、スタックデータは、2次元的に配列された複数のスキャン点(スキャン点アレイ)についてそれぞれ取得された複数のAスキャンデータを、これらスキャン点の位置関係に基づき3次元的に配列して得られた画像データである。
【0072】
ボリュームデータは、3次元的に配列されたボクセルを画素とする画像データであり、ボクセルデータとも呼ばれる。ボリュームデータは、スタックデータに補間処理やボクセル化処理などを適用することによって形成される。
【0073】
画像構築部220は、3次元画像データにレンダリングを施して表示用画像を形成する。適用可能なレンダリング法の例として、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、最大値投影(MIP)、最小値投影(MinIP)、多断面再構成(MPR)などがある。
【0074】
画像構築部220は、3次元画像データに基づいてOCT正面画像(OCT en-face画像)を形成することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元画像データをz方向(Aライン方向、深さ方向)に投影してプロジェクションデータを構築することができる。また、画像構築部220は、3次元画像データの一部をz方向に投影してシャドウグラムを構築することができる。
【0075】
シャドウグラムを構築するために投影される部分的3次元画像データは、例えば、セグメンテーションを利用して設定される。セグメンテーションは、画像中の部分領域を特定する処理である。典型的には、セグメンテーションは、眼底Efの所定組織に相当する画像領域を特定するために利用される。セグメンテーションは、例えば、画像構築部220又はデータ処理部230により実行される。
【0076】
眼科撮影装置1は、OCT血管造影(OCT-Angiography)を実施可能であってよい。OCT血管造影は、網膜血管や脈絡膜血管が強調された画像を構築するイメージング技術である(例えば、特表2015-515894号公報を参照)。一般に、眼底組織(構造)は時間的に変化しないが、血管内部の血流部分は時間的に変化する。OCT血管造影では、このような時間的変化が存在する部分(血流信号)を強調して画像を生成する。なお、OCT血管造影は、OCTモーションコントラスト撮影(motion contrast imaging)などとも呼ばれる。また、OCT血管造影により取得される画像は、血管造影画像、アンジオグラム、モーションコントラスト画像などと呼ばれる。
【0077】
OCT血管造影が実施される場合、眼科撮影装置1は、眼底Efの同じ領域を所定回数だけ繰り返しスキャンする。例えば、所定のスキャンパターン(例えば渦巻状スキャンパターン)上の2点間の軌跡に沿って繰り返しスキャンを行うことができる。画像構築部220は、繰り返しスキャンにおいてデータ収集システム130により収集されたデータセットからモーションコントラスト画像を構築することができる。このモーションコントラスト画像は、眼底Efの血流に起因する干渉信号の時間的変化を強調して画像化した血管造影画像である。典型的には、眼底Efの3次元領域に対してOCT血管造影が適用され、眼底Efの血管の3次元的な分布を表す画像が得られる。
【0078】
OCT血管造影が実施された場合、画像構築部220は、3次元血管造影画像データから、任意の2次元血管造影画像データ及び/又は任意の擬似的3次元血管造影画像データを構築することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元血管造影画像データに多断面再構成を適用することにより、眼底Efの任意の断面を表す2次元血管造影画像データを構築することができる。
【0079】
画像構築部220は、プロセッサを含むハードウェアと、画像構築ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0080】
〈データ処理部230〉
データ処理部230は、プロセッサを含み、被検眼Eの画像に対して各種のデータ処理を適用する。例えば、データ処理部230は、プロセッサを含むハードウェアと、データ処理ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0081】
データ処理部230は、眼底Efについて取得された2つの画像の間の位置合わせ(レジストレーション)を行うことができる。例えば、データ処理部230は、OCTで取得された3次元画像データと、眼底カメラユニット2により取得された正面画像との間のレジストレーションを行うことができる。また、データ処理部230は、OCTで取得された2つのOCT画像の間のレジストレーションを行うことができる。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により取得された2つの正面画像の間のレジストレーションを行うことができる。また、OCT画像の解析結果や、正面画像の解析結果に対してレジストレーションを適用することも可能である。レジストレーションは、公知の手法によって実行可能であり、例えば特徴点抽出とアフィン変換とを含む。
【0082】
図4に例示するように、本実施形態のデータ処理部230は、パラメータ設定部231と移動検出部232とを含む。
【0083】
〈パラメータ設定部231〉
パラメータ設定部231は、予め取得された眼底EfのOCT画像に基づいてフォーカス制御パラメータを設定する。このOCT画像(準備的画像)は、広角OCTスキャンの適用エリアの大まかな形状を検出するために用いられ、これにより検出された形状に基づいてフォーカス制御パラメータが設定される。
【0084】
眼科撮影装置1は、フォーカス制御パラメータの設定に用いられるOCT画像を取得することができる。例えば、眼科撮影装置1は、広角OCTスキャンを被検眼Eに適用する前に、被検眼Eに対して準備的OCTスキャンを適用することができる。
【0085】
準備的OCTスキャンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心領域と周縁領域との双方を通過するように実行される。例えば、眼底Efの広角OCTスキャンのための準備的OCTスキャンにおいて、黄斑領域(及びその近傍領域)を眼底Efの中心領域に設定し、且つ、黄斑から所定距離以上離れた領域を周縁領域に設定することができる。また、前眼部の広角OCTスキャンのための準備的OCTスキャンにおいては、角膜頂点及びその近傍領域を前眼部の中心領域に設定し、且つ、角膜頂点から所定距離以上離れた領域を周縁領域に設定することができる。より一般に、被検眼Eの眼軸及びその近傍領域を中心領域に設定し、且つ、眼軸から所定距離以上離れた領域を周縁領域に設定することが可能である。
【0086】
準備的OCTスキャンのパターンは、3次元スキャン(ラスタースキャン)のように多数のスキャン点を含むスキャンパターンであってもよいが、準備的OCTスキャンの目的が広角OCTスキャン適用エリアの大まかな形状の把握であることを考慮すると、Bスキャン(ラインスキャン)、クロススキャン、ラジアルスキャンのように比較的シンプルなスキャンパターンで十分である。
【0087】
画像構築部220は、準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像を構築する。準備的画像は、典型的には、広角OCTスキャン適用エリアの中心領域の1以上の断面と周縁領域の1以上の断面とを表す1以上のBスキャン画像を含む。
【0088】
なお、以下の例では、中心領域の外縁並びに周縁領域の外縁及び内縁がいずれも円形状であるが、中心領域の形状及び周縁領域の形状はこれらに限定されない。例えば、中心領域の外縁並びに周縁領域の外縁及び内縁のいずれかが矩形状であってよく、また、任意形状であってよい。また、周縁領域の外縁形状と内縁形状とが同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0089】
図5Aに示す準備的OCTスキャンの例は、眼底Efの黄斑Emを含む中心領域310と、黄斑Emから離れた周縁領域320(斜線で示す領域)とを通過する、1つのBスキャン330である。符号Edは視神経乳頭を示す。本例では、Bスキャン330が適用された断面を表す1つのBスキャン画像が得られる。本例のBスキャン画像は、中心領域310の深さ位置(z位置)と周縁領域320の深さ位置との間の相対的な関係を表している。本例では、Bスキャン330が適用された方向についてのみ、中心領域310と周縁領域320との間の相対的深さ位置関係が得られる。
【0090】
図5Bに示す準備的OCTスキャンの例は、中心領域310と周縁領域320とをそれぞれが通過する2つのBスキャン341及び342である。2つのBスキャン341及び342は、互いに直交している。つまり、本例の準備的OCTスキャンはクロススキャンである。本例では、Bスキャン341が適用された断面を表すBスキャン画像と、Bスキャン342が適用された断面を表すBスキャン画像とが得られる。本例の2つのBスキャン画像のそれぞれは、中心領域310の深さ位置(z位置)と周縁領域320の深さ位置との間の相対的な関係を表している。本例では、Bスキャン341が適用された方向とBスキャン342が適用された方向とについて、つまり互いに直交する2方向について、中心領域310と周縁領域320との間の相対的深さ位置関係が得られる。
【0091】
図示は省略するが、準備的OCTスキャンとしてラジアルスキャン(等角度間隔で配置された複数のBスキャン)が適用される場合、互いに等角度間隔で配置された複数の方向について、中心領域と周縁領域との間の相対的深さ位置関係が得られる。また、同じく図示は省略するが、準備的OCTスキャンとして3次元スキャン(例えばラスタースキャン)が適用される場合、xy面における任意の方向について、中心領域と周縁領域との間の相対的深さ位置関係が得られる。他のスキャンパターンが適用される場合においても、そのスキャンパターンに応じた1以上の方向について、中心領域と周縁領域との間の相対的深さ位置関係が得られる。
【0092】
このように準備的OCTスキャンのパターンは、相対的深さ位置関係として取得される情報の内容(方向等)や量(角度間隔等)を決定する。逆に、相対的深さ位置関係として取得したい情報の内容や量に応じて準備的OCTスキャンのパターンを決定することができる。準備的OCTスキャンパターンの決定は、例えば、事前に又は検査毎に行われる。
【0093】
準備的OCTスキャンにより収集されたデータは画像構築部220に送られ、準備的画像が構築される。パラメータ設定部231は、この準備的画像に基づいて1以上のフォーカス制御パラメータを設定する。前述したように、フォーカス制御パラメータは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御の内容を示すパラメータであり、その例として、測定アームの焦点位置を示すパラメータ、焦点位置の移動速度を示すパラメータ、焦点位置の移動加速度を示すパラメータがある。
【0094】
パラメータ設定部231が実行する処理の例を説明する。準備的画像の例を
図6Aに示す。準備的画像Gは、例えば、
図5Aに示すBスキャン330(又は、
図5Bに示すBスキャン341若しくは同様のBスキャン)で収集されたデータから構築された画像である。符号310が付された点線を輪郭とする領域は、
図5Aに示す中心領域310とBスキャン330との交差領域(共通領域)に相当する。符号320が付された斜線で示す領域は、
図5Aに示す周縁領域320とBスキャン330との交差領域(共通領域)に相当する。なお、準備的画像Gには周縁領域320が2つ存在する。また、符号Emは黄斑の画像領域であり、符号Edは視神経乳頭の画像領域である。
【0095】
パラメータ設定部231は、準備的画像Gの中心領域310を解析して黄斑領域Emを検出し、その深さ位置(z座標)を特定する。そのために、パラメータ設定部231は、例えば、内境界膜(ILM)の画像領域を特定するセグメンテーションと、特定された内境界膜領域の形状(凹み)から黄斑領域Emを検出する形状解析と、検出された黄斑領域Emの代表点の画素のz座標を求める処理とを含む。黄斑領域Emの代表点は、例えば、黄斑中心(中心窩、凹みの最深部)であってよい。本例により求められた黄斑中心のz座標をz
1とする(
図6Bを参照)。なお、z座標が特定される部位は黄斑中心に限定されず、中心領域310内の任意の代表点であってよい。
【0096】
また、パラメータ設定部231は、準備的画像Gの周縁領域320を解析して所定組織(例えば内境界膜)の画像領域を検出し、その深さ位置(z座標)を特定する。そのために、パラメータ設定部231は、例えば、所定組織の画像領域を特定するセグメンテーションと、特定された画像領域の代表点の画素のz座標を求める処理とを含む。所定組織の画像領域の代表点は、例えば、Bスキャン方向における周縁領域320の中心位置、又は、周縁領域320の端点であってよい。準備的画像Gの2つの周縁領域320のそれぞれの中心位置が代表点である場合に本例により求められた内境界膜のz座標をz
21及びz
22とする(
図6Cを参照)。
【0097】
更に、パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)と、周縁領域320の代表点のz座標(z21、z22)とに基づいて、フォーカス制御パラメータを設定する。
【0098】
例えば、パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)に対応するOCT合焦レンズ43の位置と、周縁領域320の代表点のz座標(z21及びz22のそれぞれ)に対応するOCT合焦レンズ43の位置とを求めることができる。OCT合焦レンズ43の位置は、測定アームの焦点位置に対応する。本例は、OCT合焦レンズ43の絶対位置を求める処理と言える。本例の処理は、例えば、準備的画像Gが取得されたときのコヒーレンスゲート位置(アーム長、リトロリフレクタ41の位置、リトロリフレクタ114の位置)と、z軸のスケール(例えば、1ピクセル当たりの距離)とに基づいて実行される。
【0099】
パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)と、周縁領域320の代表点のz座標(z21及びz22のそれぞれ)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)との間の差分を求めることができる。換言すると、本例は、OCT合焦レンズ43の相対位置を求める処理と言える。本例の処理は、例えば、z軸のスケールに基づいて実行される。
【0100】
パラメータ設定部231は、中心領域310の代表点のz座標(z1)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)と、周縁領域320の代表点のz座標(z21及びz22のそれぞれ)に対応するOCT合焦レンズ43の位置(焦点位置)とを含む、焦点位置変更範囲を求めることができる。焦点位置変更範囲は、フォーカス制御によって変更される焦点位置の範囲であり、例えばOCT合焦レンズ43の移動範囲として定義される。本例の処理は、例えば、準備的画像Gが取得されたときのコヒーレンスゲート位置と、z軸のスケールとに基づいて実行される。
【0101】
パラメータ設定部231は、測定アームの焦点位置を移動する速度を設定することができる。本例の処理は、例えば、前述したOCT合焦レンズ43の絶対位置若しくは相対位置に基づいて、又は、OCT合焦レンズ43の移動範囲に基づいて、実行される。
【0102】
パラメータ設定部231は、測定アームの焦点位置を移動する加速度を設定することができる。本例の処理は、例えば、OCT合焦レンズ43の絶対位置若しくは相対位置に基づいて、又は、OCT合焦レンズ43の移動範囲に基づいて、或いは、OCT合焦レンズ43の移動速度に基づいて、実行される。
【0103】
準備的画像Gが得られた場合、例えば、
図7に示すように、左側の周縁領域320側から中心領域310側に向かうにつれて焦点位置が+z方向に移動し、且つ、中心領域310側から右側の周縁領域320側に向かうにつれて焦点位置が-z方向に移動するように、パラメータ設定部231はフォーカス制御パラメータを設定する。
【0104】
パラメータ設定部231は、例えば上記したフォーカス制御パラメータの例のいずれかに基づいて、スキャン制御パラメータとフォーカス制御パラメータとの関係を表す情報を設定することができる。
【0105】
その前提として、広角OCTスキャンのためのスキャンパターンが設定される。広角OCTスキャンパターンは、例えば、事前に又は検査毎に設定される。
【0106】
本実施形態において、広角OCTスキャンパターンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと,周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンとを含む。第1部分パターンは、中心領域の少なくとも一部を連続的にスキャンするためのパターンであり、第2部分パターンは、周縁領域の少なくとも一部を連続的にスキャンするためのパターンである。ここで、「連続的にスキャンする」とは、例えば、所定パターンで配列された複数のスキャン点をその配列順序にしたがって順次にスキャンすることを意味する。
【0107】
広角OCTスキャンパターンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状スキャンパターンを含んでいてよい。広角OCTスキャン適用エリアの中心は、例えば黄斑中心であってよく、眼底の他の部位であってもよい。このように被検眼の部位や組織を基準として広角OCTスキャン適用エリアの中心が定義されてもよいが、眼科撮影装置1を基準としてこれを定義することも可能である。例えば、広角OCTスキャン適用エリアの中心は、光スキャナ44の向き可変ミラー(ガルバノミラー等)のニュートラル位置(ニュートラル向き)として定義されてもよいし、測定アームの光軸(対物レンズ22の光軸)の位置として定義されてもよい。広角OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状の広角OCTスキャンパターンの例として、渦巻状パターン、同心円状パターンなどがある。
【0108】
広角OCTスキャンパターンが上記の曲線状スキャンパターンである場合、この広角OCTスキャンパターンは、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターン(
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510を参照)、又は、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターン(
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520を参照)であってよい。
【0109】
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510は、中心領域(図示せず)内の黄斑中心をスキャン開始点とし、偏角の変化とともに動径を増加しながら周縁領域(図示せず)を通過して外縁(付近)のスキャン終了点に至る。
【0110】
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520は、外縁(付近)をスキャン開始点とし、偏角の変化とともに動径を減少しながら周縁領域(図示せず)を通過して中心領域(図示せず)内の黄斑中心に設定されたスキャン終了点に至る。
【0111】
なお、渦巻状スキャンパターン510及び520のそれぞれでは、図解のために、渦巻の間隔が実際よりも粗に描かれている。実際は、例えば、3次元画像データを構築可能な程度に渦巻の間隔が密であってよい。
【0112】
広角OCTスキャンパターンが前述の曲線状スキャンパターン(例えば渦巻状スキャンパターン)である場合にパラメータ設定部231により設定可能なフォーカス制御パラメータの幾つかの例を
図9A~
図9Dを参照しつつ説明する。
【0113】
なお、パラメータ設定部231により設定可能なフォーカス制御パラメータはこれらの例に限定されず、本実施形態において要求される条件を満足する任意のフォーカス制御パラメータであってよい。
【0114】
図9Aに示す例において、座標系の横軸はスキャン位置を示し、縦軸は焦点位置を示す。横軸のスキャン位置は、適用されるスキャンパターンにしたがって順序付けされたN個のスキャン点の番号n(n=0,1,2,・・・,N-1)として定義されている。また、縦軸の焦点位置はz座標として定義されている。
図9Aのフォーカス制御パラメータは、例えば
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510のように、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン510とともに説明する。
【0115】
図9Aにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン開始点(黄斑中心)に相当し、最後のスキャン位置n=N-1は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン終了点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当する。
【0116】
スキャン開始位置n=0に割り当てられた焦点位置ζ
11は、例えば
図6Bに示す中心領域310(例えば黄斑中心)のz座標z
1に基づき設定される。例えば、ζ
11はz
1に等しく設定されるか、或いはζ
11はz
1にほぼ等しい値に設定される。
【0117】
スキャン終了位置n=N-1に割り当てられた焦点位置ζ
12は、例えば
図6Cに示す周縁領域320のz座標z
21及びz
22の少なくとも一方に基づき設定される。例えば、ζ
12はz
21に等しく設定されるか、ζ
12はz
21にほぼ等しい値に設定されるか、ζ
12はz
22に等しく設定されるか、ζ
12はz
22にほぼ等しい値に設定されるか、或いは、ζ
12はz
21及びz
22の双方から得られた値に設定される。z
21及びz
22の双方からζ
12を求める場合の例として、z
21とz
22との平均を算出することや、z
21とz
22との加重平均を算出することや、z
21とz
22とのうち大きい方の値又は小さい方の値を選択することなど、任意の統計処理を用いることが可能である。
【0118】
図9Aに示すフォーカス制御パラメータは、2次元座標系(n,z)においてスキャン開始点に対応する座標(0,ζ
11)とスキャン終了点に対応する座標(N-1,ζ
12)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)として設定可能である。
【0119】
図9Bに示す例における2次元座標系(n,z)は、
図9Aに示す例のそれと同じである。
図9Bのフォーカス制御パラメータは、例えば
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン520とともに説明する。
【0120】
図9Bにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン520におけるスキャン開始点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当し、最後のスキャン位置n=N-1は、渦巻状スキャンパターン520におけるスキャン終了点(黄斑中心)に相当する。
【0121】
スキャン開始位置n=0に割り当てられた焦点位置ζ
21は、例えば、
図9Aの焦点位置ζ
12と同じ要領で設定可能である。また、スキャン終了位置n=N-1に割り当てられた焦点位置ζ
22は、例えば、
図9Aの焦点位置ζ
11と同じ要領で設定可能である。
【0122】
図9Bに示すフォーカス制御パラメータは、2次元座標系(n,z)においてスキャン開始点に対応する座標(0,ζ
21)とスキャン終了点に対応する座標(N-1,ζ
22)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)として設定可能である。
【0123】
図9Cに示す例における2次元座標系(n,z)は、
図9Aに示す例のそれと同じである。
図9Cのフォーカス制御パラメータは、例えば
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510のように、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン510とともに説明する。
【0124】
図9Cにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン開始点(黄斑中心)に相当し、最後のスキャン位置n=N-1は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン終了点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当する。
【0125】
スキャン位置の区間n=[0,n
31]に割り当てられた焦点位置ζ
31は、例えば、
図9Aの焦点位置ζ
11と同じ要領で設定可能である。また、スキャン位置の区間n=[n
32,N-1]に割り当てられた焦点位置ζ
33は、例えば、
図9Aの焦点位置ζ
12と同じ要領で設定可能である。更に、スキャン位置の区間n=(n
31,n
32)=[n
31+1,n
32-1]に割り当てられた焦点位置ζ
32は、例えば、焦点位置ζ
31及びζ
33に基づき設定可能である。典型的には、焦点位置ζ
32は、例えば任意の統計処理により求められる。求められる統計値の例として、ζ
31とζ
33との平均、ζ
31とζ
33との加重平均、ζ
31とζ
33とのうちの大きい方の値、ζ
31とζ
33とのうちの小さい方の値などがある。
【0126】
図9Aに示すフォーカス制御パラメータと
図9Bに示すフォーカス制御パラメータとの間の関係と同様に、
図9Cに示す階段状のフォーカス制御パラメータを反転することができる。反転により得られたフォーカス制御パラメータは、例えば
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。
【0127】
また、
図9Cに示すフォーカス制御パラメータに変形を施すことが可能である。例えば、スキャン位置の区間n=[0,n
31]に、座標(0,ζ
31)と座標(n
31,ζ
32)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)を割り当てることができる。また、スキャン位置の区間n=[n
32,N-1]に、座標(n
32,ζ
32)と座標(N-1,ζ
33)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)を割り当てることができる。例えば
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合、このように一部が曲線に置換されたフォーカス制御パラメータを反転することが可能である。
【0128】
或いは、スキャン位置の区間n=[0,n
31]に、座標(0,ζ
31)と座標(n
31,ζ
32)とを接続する直線(斜線)を割り当てることができる。また、スキャン位置の区間n=[n
32,N-1]に、座標(n
32,ζ
32)と座標(N-1,ζ
33)とを接続する直線(斜線)を割り当てることができる。例えば
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合、このように一部が斜線に置換されたフォーカス制御パラメータを反転することが可能である。
【0129】
図9Dに示す例における2次元座標系(n,z)は、
図9Aに示す例のそれと同じである。
図9Dのフォーカス制御パラメータは、例えば
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510のように、広角OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。以下、例示として、渦巻状スキャンパターン510とともに説明する。
【0130】
図9Dにおける最初のスキャン位置n=0は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン開始点(黄斑中心)に相当し、最後のスキャン位置n=N-1は、渦巻状スキャンパターン510におけるスキャン終了点(外縁上の位置又は外縁の近傍位置)に相当する。
【0131】
スキャン位置の区間n=[0,n
41]に割り当てられた焦点位置ζ
41は、例えば、
図9Aの焦点位置ζ
11と同じ要領で設定可能である。また、スキャン位置の区間n=[n
42,N-1]に割り当てられた焦点位置ζ
42は、例えば、
図9Aの焦点位置ζ
12と同じ要領で設定可能である。更に、スキャン位置の区間n=(n
41,n
42)=[n
41+1,n
42-1]には、座標(n
41,ζ
41)と座標(n
42,ζ
42)とを接続する直線が割り当てられている。
【0132】
図9Aに示すフォーカス制御パラメータと
図9Bに示すフォーカス制御パラメータとの間の関係と同様に、
図9Dに示すフォーカス制御パラメータを反転することができる。反転により得られたフォーカス制御パラメータは、例えば
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合に適用可能である。
【0133】
また、
図9Dに示すフォーカス制御パラメータに変形を施すことが可能である。例えば、スキャン位置の区間n=(n
41,n
42)=[n
41+1,n
42-1]に、座標(n
41,ζ
41)と座標(n
42,ζ
42)とを接続する滑らかな曲線(例えば、スプライン曲線、ベジエ曲線)を割り当てることができる。例えば
図8Bに示す渦巻状スキャンパターン520のように、広角OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンが採用される場合、このように一部が曲線に置換されたフォーカス制御パラメータを反転することが可能である。
【0134】
パラメータ設定部231が実行する処理の例と、それにより作成されるフォーカス制御パラメータの例とを以上に説明したが、これらは限定を意図するものではなく、各種の変形が許容される。
【0135】
例えば、
図6Bに示す例では、中心領域310内の1つの代表点(黄斑中心)の深さ位置(z座標)を求め、これを中心領域310の深さ位置として用いている。一方、中心領域内の2以上の点のそれぞれの深さ位置を求め、求められた2以上の深さ位置から中心領域の深さ位置を求めることが可能である。例えば、2以上の深さ位置に統計処理を適用して中心領域の深さ位置を求めることができる。2以上の深さ位置から得られる統計値は、例えば、平均値、加重平均値、中間値、最頻値、最大値、及び最小値のいずれかであってよい。周縁領域の深さ位置を求める場合においても、同様の処理を適用することが可能である。
【0136】
中心領域内の2以上の深さ位置を求める場合において、上記のようにこれら深さ位置から単一の統計値を算出してこれを中心領域の深さ位置として用いる代わりに、これら深さ位置から中心領域内における深さ位置の変化を表す情報を求めることができる。例えば、これら深さ位置に基づいて、中心領域における深さ位置の曲線的、直線的、又は階段的な変化を表すグラフ(フォーカス制御パラメータ)を求めることができる。
図9A及び
図9Bは、曲線的な変化の例である。図示は省略するが、中心領域における深さ位置の直線的な変化の例として、
図9Cに示す2次元座標系において、座標(0,ζ
31)と座標(n
31,ζ
32)とを結ぶ直線を求めることが可能である。また、図示は省略するが、中心領域における深さ位置の階段的な変化の例として、
図9Cに示す2次元座標系において、スキャン位置の区間n=[0,n
31]に、焦点位置の値がζ
31からζ
32まで段階的に変化するフォーカス制御パラメータを設定することが可能である。周縁領域のフォーカス制御パラメータを求める場合においても、同様の処理を適用することが可能である。
【0137】
以上のように、中心領域内の2以上の深さ位置を求めてフォーカス制御パラメータを設定する処理は、例えば、中心領域の幅(z方向に直交する方向における長さ)が比較的広い場合や、中心領域内における深さ位置の変化が大きい場合(例えば、中心領域内における最大深さ位置と最小深さ位置との差が大きい場合)などに有効と考えられる。パラメータ設定部231は、中心領域の幅の大きさに応じて、及び/又は、中心領域内における深さ位置の変化の大きさに応じて、深さ領域が求められる中心領域内の点の個数(及び位置)を決定するように構成されていてよい。周縁領域のフォーカス制御パラメータを求める場合においても、同様の処理を適用することが可能である。
【0138】
以上に説明した例では、中心領域(310)と周縁領域(320)とが互いに離間している。換言すると、以上に説明した例では、中心領域の外縁と周縁領域の内縁との間に環帯(アニュラス)状の中間領域が存在する。他の例において、中心領域の外縁と周縁領域の内縁とが一致していてもよい。
【0139】
より一般に、本実施形態において、中心領域及び周縁領域は任意に定義可能である。例えば、中心領域及び周縁領域は、眼底の部位に応じて定義されてよい。その具体例として、眼底の所定部位(例えば、黄斑中心)を中心とし、且つ、この中心から所定の第1距離以内の領域を、中心領域に設定することができる。更に、この中心から所定の第2距離(第1距離以上の距離である)以上の領域を周縁領域に設定することができる。ここで、周縁領域の外縁を表す第3距離を更に設定してもよいし、広角OCTスキャン適用エリアの外縁を周縁領域の外縁に設定してもよい。本例における距離は、眼底における距離でもよいし、光学的に算出される距離でもよいし、模型眼や臨床データから得られる標準的な距離でもよい。
【0140】
中心領域及び周縁領域の他の定義として、OCTスキャンに応じた定義がある。例えば、広角OCTスキャン適用エリアにおける所定の第1領域を中心領域に設定し、且つ、第2領域と異なる所定の第2領域を周縁領域に設定することが可能である。典型的には、広角OCTスキャン適用エリアの中心を含む第1領域が中心領域に設定され、且つ、この第1領域の外側に位置する第2領域が周縁領域に設定される。
【0141】
以上に説明した例では、渦巻状スキャンパターンのように曲線からなるスキャンパターンについて特に説明したが、少なくとも一部が直線からなるスキャンパターンを採用することも可能である。例えば、x方向のラインスキャンとy方向のラインスキャンとを交互に組み合わせることによって、複数の直線からなる渦巻状のスキャンパターンを適用することができる。
【0142】
以上に例示した広角OCTスキャンパターン及びフォーカス制御パラメータ(並びにスキャン速度)の設定は、焦点位置の移動速度及び/又は移動加速度の設定を含む。例えば、
図9A~
図9Dのそれぞれに例示されたフォーカス制御パラメータにおいて、フォーカス制御パラメータを示すグラフの傾きは移動速度に対応し、グラフの傾きの変化率は移動加速度に対応する。逆に、焦点位置の移動速度及び/又は移動加速度の設定を通じてフォーカス制御パラメータの設定を行うことが可能である。
【0143】
図9A~
図9Dのそれぞれに例示されたフォーカス制御パラメータでは、中心領域に適用される焦点位置(第1焦点位置)は、周縁領域に適用される焦点位置(第2焦点位置)よりも+z側に位置する。つまり、第1焦点位置に対応する焦点距離(第1焦点距離)は、第2焦点位置に対応する焦点距離(第2焦点距離)よりも長く設定されている。これは、被検眼(眼底)の形状に応じたものである。ただし、第1焦点距離が第2焦点距離よりも長い必要はない。
【0144】
以上のような処理を実行可能なパラメータ設定部231は、プロセッサを含むハードウェアと、パラメータ設定ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0145】
〈移動検出部232〉
眼科撮影装置1は、被検眼Eを繰り返し撮影して時系列画像を取得する眼底カメラユニット2を備える。眼底カメラユニット2により取得される時系列画像は、例えば、前述した観察画像である。
【0146】
移動検出部232は、眼底カメラユニット2により取得された観察画像を解析して被検眼Eの移動を検出する。例えば、移動検出部232は、観察画像に含まれる各画像を解析して特徴点を検出し、特徴点の位置の時系列変化を求める。特徴点は、例えば、瞳孔の中心・重心・輪郭、虹彩の中心・重心・輪郭などであってよい。
【0147】
スキャン制御部213は、広角OCTスキャンパターンにしたがって光スキャナ44及びOCTユニット100を制御しつつ、移動検出部213からの出力に基づき光スキャナ44を制御することができる。移動検出部213からの出力に基づく光スキャナ44の制御は、いわゆるトラッキング制御である。
【0148】
トラッキングは、例えば特開2017-153543号公報に開示された次の一連の処理により実行される。まず、移動検出部232は、眼底カメラユニット2により取得された観察画像のいずれかのフレーム(正面画像)を基準画像として登録する。
【0149】
更に、移動検出部232は、基準画像における特徴点の位置に対する、他のフレームにおける特徴点の位置の変化を求める。これは、特徴点の位置の時系列変化を求めること、つまり、基準画像と他のフレームとの間の変位を求めることに相当する。なお、瞬きや固視ズレによって変位が閾値を超えた場合や変位の検知が不可能になった場合、移動検出部232は、その後に取得されたフレームを新たな基準画像として登録することができる。また、特徴点の位置の時系列変化を求める手法はこれに限定されず、例えば、連続する2つのフレームの間における特徴点の変位を順次に求めるようにしてもよい。
【0150】
移動検出部232は、特徴点の位置の時系列変化が求められる度に、この時系列変化をキャンセルするための制御情報をスキャン制御部213に送る。スキャン制御部213は、逐次に入力される制御情報に基づいて光スキャナ44の向きを補正する。
【0151】
移動検出部232は、プロセッサを含むハードウェアと、移動検出ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0152】
〈ユーザーインターフェイス240〉
ユーザーインターフェイス240は表示部241と操作部242とを含む。表示部241は表示装置3を含む。操作部242は各種の操作デバイスや入力デバイスを含む。ユーザーインターフェイス240は、例えばタッチパネルのような表示機能と操作機能とが一体となったデバイスを含んでいてもよい。ユーザーインターフェイス240の少なくとも一部を含まない実施形態を構築することも可能である。例えば、表示デバイスは、眼科撮影装置に接続された外部装置であってよい。
【0153】
〈動作〉
眼科撮影装置1の動作について説明する。なお、患者IDの入力、固視標の提示、固視位置の調整、アライメント、フォーカス調整、OCT光路長調整など、従来と同様の準備的な処理は、既になされたものとする。
【0154】
図10を参照しつつ眼科撮影装置1の動作の例を説明する。
【0155】
(S1:準備的OCTスキャンを眼底に適用して準備的画像を取得)
まず、眼科撮影装置1は、光スキャナ44やOCTユニット100を用いて、眼底Efに準備的OCTスキャンを適用する。画像構築部220は、準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像を構築する。準備的画像は、パラメータ設定部231に送られる。
【0156】
(S2:制御パラメータを設定)
パラメータ設定部231は、ステップS1で得られた準備的画像に基づいてフォーカス制御パラメータを設定する。設定された制御パラメータは、例えば記憶部212に保存される。
【0157】
なお、ステップS2又はそれより前の段階において、眼科撮影装置1は、広角OCTスキャン適用エリアの設定、中心領域の設定、周縁領域の設定、スキャン制御パラメータの設定などを行ってもよい。なお、これら条件のいずれかは、固定された条件であってもよいし、複数の選択肢から選択された条件であってもよいし、ユーザーが手動で設定した条件であってもよい。パラメータ設定部231は、これら設定の結果と準備的画像とに基づいてフォーカス制御パラメータの設定を実行してもよい。
【0158】
本例では、
図5Aに示す中心領域310及び周縁領域320と、
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510と、
図9Aに示すフォーカス制御パラメータとが適用されるものとする。また、周縁領域320の外縁が広角OCTスキャン適用エリアの外縁を定義しているものとする。
【0159】
(S3:スキャン開始位置に基づき光スキャナを制御)
スキャン制御部213は、ステップS2又はそれより前の段階において設定されたスキャン制御パラメータに基づいてスキャン開始位置を特定し、このスキャン開始位置に基づき光スキャナ44を制御する。これにより、光スキャナ44に含まれる各ガルバノミラーが、スキャン開始位置に対応する向きに配置される。
【0160】
本例では、典型的には、黄斑を中心とする画像を取得するための固視位置に対応する固視標がLCD39に表示され、且つ、広角OCTスキャン適用エリアの中心が黄斑中心に設定される。被検眼Eのアライメント状態及び固視状態が好適であると仮定すると、測定アームの光軸上に黄斑中心が配置される。よって、本例では、光スキャナ44の各ガルバノミラーはニュートラル位置に配置される。
【0161】
(S4:初期焦点位置に基づきOCT合焦レンズを移動)
フォーカス制御部214は、ステップS2で設定されたフォーカス制御パラメータに基づいてフォーカス制御における初期焦点位置を特定し、この初期焦点位置に基づきOCT合焦駆動部43Aを制御してOCT合焦レンズ43を移動させる。
【0162】
本例では、
図9Aに示すスキャン開始位置n=0に対応する焦点位置ζ
11が初期焦点位置として特定され、この初期焦点位置ζ
11に対応する位置にOCT合焦レンズ43を配置させるようにOCT合焦駆動部43Aの制御が実行される。
【0163】
なお、ステップS3に係る制御の前にステップS4に係る制御を実行してもよい。また、ステップS3に係る制御とステップS4に係る制御とを並行して行ってもよい。
【0164】
(S5:広角OCTスキャンの開始指示)
ステップS3に係る制御とステップS4に係る制御とが終了した後、広角OCTスキャンの開始指示がスキャン制御部213及びフォーカス制御部214に入力される。この指示は、ユーザーが手動で行ってもよいし、所定の条件が満足されたこと(例えば、ステップS3に係る制御とステップS4に係る制御とが完了したこと)を受けて主制御部211が自動で行ってもよい。
【0165】
(S6:スキャン制御とフォーカス制御との連係的実行を開始)
ステップS5の開始指示を受けて、スキャン制御部213とフォーカス制御部214とが連係的に制御を開始することで、広角OCTスキャンが開始される。
【0166】
本例では、
図9Aに示すフォーカス制御パラメータ(スキャン位置nと焦点位置zとの関係を表すグラフ)に基づいて、スキャン制御部213によるスキャン制御とフォーカス制御部214によるフォーカス制御とが実行される。
【0167】
より詳細に説明すると、スキャン制御部213は、
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510に沿って配列された複数のスキャン点(
図9Aに示すスキャン位置n=0~N-1)に対して順次にAスキャンを適用するように、光スキャナ44及びOCTユニット100の制御を行う。
【0168】
これと並行して、フォーカス制御部214は、
図9Aに示す各スキャン位置nにAスキャンが適用されるときに、このスキャン位置nに対応する焦点位置z=ζ(n)に応じた位置にOCT合焦レンズ43が配置されるように、OCT合焦駆動部43Aの制御を行う。
【0169】
これにより、
図9Aに示すフォーカス制御パラメータにしたがって焦点位置を移動しつつ、
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510にしたがって眼底Efをスキャンすることができる。
【0170】
(S7:トラッキングを開始)
ステップS6で連係的制御が開始されたことを受けて、又は、この連係的制御の開始前の任意のタイミングで、被検眼Eの動きに合わせて測定光LSの投射位置(Aスキャンの適用位置)を補正するためのトラッキングが開始される。トラッキングは、眼底カメラユニット2、移動検出部232、スキャン制御部213等によって前述した要領で実行される。これにより、広角OCTスキャンの実行中に被検眼Eが動いた場合であっても、
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510を適用することが可能である。
【0171】
(S8:広角OCTスキャン終了)
ステップS6で開始された広角OCTスキャンは、例えば
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510に沿ったOCTスキャンが行われたことを受けて終了となる。
【0172】
なお、広角OCTスキャンパターンに沿ったOCTスキャンは、1回以上の所定回数だけ実行される。例えば、渦巻状スキャンパターン510に沿ったOCTスキャンを2回以上実行することができる。この場合、次のステップS9において、これら2回以上のOCTスキャンにより収集された2以上のデータセットから2以上のOCT画像を構築し、且つ、これら2以上のOCT画像を合成(加算平均)することができる。
【0173】
(S9:広角OCTスキャンパターンに応じたOCT画像を構築)
画像構築部220は、ステップS6~S8で実行された広角OCTスキャンにより収集されたデータからOCT画像を構築する。
【0174】
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510は、典型的には、2次元極座標系(r,θ)を用いて定義される。2次元極座標系(r,θ)を用いると、渦巻状スキャンパターン510は、例えば次式により定義される:x=cosθ-θ×sinθ、y=sinθ+θ×cosθ。
【0175】
この場合、ステップS9で構築されるOCT画像も2次元極座標系(r,θ)を用いて定義される。つまり、ステップS9で構築されるOCT画像を構成する複数のAスキャン画像の位置は、2次元極座標系(r,θ)を用いて定義される。
【0176】
本例では、
図8Aに示す渦巻状スキャンパターン510を構成する複数のAスキャンの位置が、それぞれ、
図9Aに示す複数のスキャン位置n=0~N-1に対応するので、ステップS9で構築される複数のAスキャン画像の位置も、それぞれ、複数のスキャン位置n=0~N-1に対応する。例えば、ステップS9によって、
図11に示すOCT画像H
1が構築される。OCT画像H
1は、各スキャン位置n=n
pに割り当てられたAスキャン画像A(n
p)により構成されている。なお、各スキャン位置n=n
pは2次元極座標系(r,θ)を用いて定義されている。
【0177】
なお、渦巻状スキャンパターンの定義式は本例に限定されず、また、広角OCTスキャンパターンやOCT画像を定義する座標系は2次元極座標系には限定されない。
【0178】
(S10:OCT画像に座標変換を適用)
画像構築部220は、ステップS9で構築されたOCT画像に座標変換を適用する。
【0179】
例えば、OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義された曲線状スキャンパターンを含む広角OCTスキャンパターンが適用される場合、画像構築部220は、この曲線状スキャンパターンにしたがって被検眼Eに適用されたOCTスキャンにより収集されたデータから極座標系で定義されたOCT画像を形成し(S9)、このOCT画像を3次元直交座標系で定義された画像に変換する(S10)。
【0180】
ステップS9において
図11に示すOCT画像H
1が構築された場合、画像構築部220は、2次元極座標系(r,θ)と2次元直交座標系(x,y)との間の座標変換式にしたがって、2次元極座標系(r,θ)で定義された各スキャン位置n=n
pの座標を、2次元直交座標系(x、y)で定義された座標に変換する。この座標変換式は、例えば、前述した(x=cosθ-θ×sinθ、y=sinθ+θ×cosθ)である。
【0181】
このような座標変換により、例えば、
図12に示す一群のOCT画像H
2(m)(m=1,2,・・・,M)が得られる。各OCT画像H
2(m)は、x方向に沿ったBスキャン画像であり、2次元直交座標系(x,z)を用いて定義されている。更に、M枚のOCT画像H
2(1)~H
2(M)は、y方向に沿って配列されている。このように、M枚のOCT画像H
2(1)~H
2(M)は、3次元直交座標系(x,y,z)を用いて定義されている。
【0182】
(S11:座標変換されたOCT画像から3次元画像を構築)
画像構築部220は、ステップS10において得られた座標変換後のOCT画像から3次元画像を構築することができる。
【0183】
本例では、ステップS10により、例えば、スタックデータであるM枚のOCT画像H2(1)~H2(M)が得られる。画像構築部220は、M枚のOCT画像H2(1)~H2(M)をボクセル化してボリュームデータを構築することができる。
【0184】
(S12:3次元画像のレンダリング画像を表示)
画像構築部220は、ステップS11において構築された3次元画像をレンダリングすることができる。主制御部211は、これにより得られたレンダリング画像を表示部241に表示させることができる。
【0185】
〈作用・効果〉
例示的な実施形態の作用及び効果について説明する。
【0186】
例示的な実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、データ収集部と、画像構築部と、焦点位置変更部と、スキャン制御部と、フォーカス制御部とを含む。
【0187】
データ収集部は、被検眼(E)にOCTスキャンを適用してデータを収集する。上記の例において、データ収集部は、OCTユニット100と、測定アームを構成する眼底カメラユニット2内の要素(リトロリフレクタ41、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、対物レンズ22等)とを含む。
【0188】
画像構築部は、データ収集部により収集されたデータから画像を構築する。上記の例において、画像構築部は画像構築部220を含む。
【0189】
焦点位置変更部は、データ収集部により被検眼(E)に投射される測定光の光路(測定アーム)に設けられ、測定アームの焦点の位置を変更する。上記の例において、焦点位置変更部は、OCT合焦レンズ43と、OCT合焦駆動部43Aとを含む。
【0190】
スキャン制御部は、OCTスキャン適用エリア(広角OCTスキャン適用エリア)の中心領域(310)に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域(320)に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターン(広角OCTスキャンパターン)にしたがってデータ収集部を制御する。上記の例において、スキャン制御部はスキャン制御部213を含む。
【0191】
フォーカス制御部は、第1部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置を適用するように焦点位置変更部を制御する。更に、フォーカス制御部は、第2部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置と異なる第2焦点位置を適用するように焦点位置変更部を制御する。上記の例において、フォーカス制御部はフォーカス制御部214を含む。また、上記の例において、第1部分パターンの少なくとも一部は、中心領域310の少なくとも一部に対応し、且つ、第1焦点位置は、例えば
図9Aのz座標ζ
11に対応する。更に、上記の例において、第2部分パターンの少なくとも一部は、周縁領域320の少なくとも一部に対応し、且つ、第2焦点位置は、例えば
図9Aのz座標ζ
12に対応する。
【0192】
このような実施形態によれば、中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンを適用することができる。眼球の形状(眼底の凹状の湾曲形状)を考慮すると、中心領域は眼球の比較的深い位置に配置され、周縁領域は比較的浅い位置に配置される。よって、中心領域に対して好適な焦点位置と、周縁領域に対して好適な焦点位置とは異なっている。本実施形態は、上記スキャンパターンにしたがうスキャン制御に加え、中心領域(第1部分パターン)に対して第1焦点位置を適用し、周縁領域(第2部分パターン)に対して第2焦点位置を適用することが可能である。これにより、実用的な速さで焦点位置を移動しつつ広角OCTスキャンを行うことが可能になる。したがって、本実施形態によれば、広角OCTスキャンを高速で行いつつ高品質のOCT画像を取得することが可能である。
【0193】
なお、従来のように広角OCTスキャンにラスタースキャンを適用する場合、中心領域及び周縁領域の双方を幾つかのBスキャンが通過する。このようなBスキャンを高速で行いつつ、第1焦点位置及び第2焦点位置を含む2以上の焦点位置を切り替えて適用することは、実用上不可能である。
【0194】
本実施形態において、スキャンパターンは、OCTスキャン適用エリアの中心を原点とする極座標系で定義される曲線状スキャンパターンを含んでいてよい。
【0195】
曲線状スキャンパターンの設定には、例えば、光スキャナ(44)の構造特性や制御特性、要求されるスキャン速度、要求されるスキャン密度などを考慮することができる。
【0196】
本実施形態において、曲線状スキャンパターンは、OCTスキャン適用エリアの中心から外縁に向かう渦巻状スキャンパターン(510)であってよい。或いは、曲線状スキャンパターンは、OCTスキャン適用エリアの外縁から中心に向かう渦巻状スキャンパターンであってよい(520)。
【0197】
曲線状スキャンパターンの他の例として、同心円状スキャンパターンがある。
【0198】
本実施形態において、画像構築部(220)は、曲線状スキャンパターンにしたがって被検眼(E)に適用されたOCTスキャンにより収集されたデータから極座標系で定義された画像(OCT画像H1)を形成することができる。更に、画像構築部(220)は、この極座標系で定義された画像(OCT画像H1)を、3次元直交座標系で定義された画像(OCT画像H2(m))に変換することができる。
【0199】
このような構成によれば、曲線状スキャンパターンを用いて得られたOCT画像から、画像処理や解析を容易に実施可能な3次元直交座標系で定義されたOCT画像を構築することが可能である。
【0200】
本実施形態において、中心領域(第1部分パターン)に適用される第1焦点位置に対応する第1焦点距離は、周縁領域(第2部分パターン)に適用される第2焦点位置に対応する第2焦点距離よりも長く設定されていてよい。
【0201】
このような構成によれば、眼球の形状に合わせて焦点位置を変更しつつ広角OCTスキャンを高速で実施することができ、高品質のOCT画像を取得することが可能となる。
【0202】
本実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、広角OCTスキャンパターンにしたがう広角OCTスキャンの前に、データ収集部により、被検眼(E)に対して準備的OCTスキャンを適用してもよい。準備的OCTスキャンが実施された場合、画像構築部(220)は、準備的OCTスキャンにより収集されたデータから準備的画像(G)を構築することができる。更に、本実施形態に係る眼科撮影装置(1)のパラメータ設定部(231)は、画像構築部(220)により構築された準備的画像(G)に基づいて1以上のフォーカス制御パラメータを設定することができる。加えて、フォーカス制御部(214)は、パラメータ設定部(231)により設定された1以上のフォーカス制御パラメータにしたがって焦点位置変更部の制御を実行することができる。
【0203】
ここで、フォーカス制御パラメータは、例えば
図9Aのようなグラフであってもよいし、1以上の数値であってもよい。後者の例として、焦点位置を示す数値(例えば、z座標ζ
11及びζ
12)であってよい。
【0204】
このような構成によれば、被検眼(例えば眼底)の実際の形状に基づいてフォーカス制御パラメータを設定することができる。それにより、取得されるOCT画像の品質の更なる向上を図ることが可能である。
【0205】
本実施形態において、準備的画像により構築される1以上のフォーカス制御パラメータは、第1焦点位置及び第2焦点位置を含む焦点位置変更範囲を含んでいてよい。上記の例では、例えば
図9Aのフォーカス制御パラメータは、焦点位置変更範囲[ζ
12,ζ
11]を情報として含んでいる。
【0206】
このような構成によれば、焦点位置を変更する範囲を、準備的画像に基づいて(つまり、被検眼の実際の形状に基づいて)設定することが可能である。
【0207】
本実施形態において、準備的画像により構築される1以上のフォーカス制御パラメータは、焦点位置の移動速度及び移動加速度の少なくとも一方を含んでいてよい。上記の例では、例えば
図9Aに示す滑らかな曲線からなるフォーカス制御パラメータは、測定アームの焦点位置の移動速度や移動加速度を情報として含んでいる。
【0208】
このような構成によれば、焦点位置の移動速度や移動加速度を、準備的画像に基づいて(つまり、被検眼の実際の形状に基づいて)設定することが可能である。
【0209】
本実施形態に係る眼科撮影装置(1)は、被検眼(E)を繰り返し撮影する撮影部(眼底カメラユニット2)と、撮影部により取得された時系列画像を解析して被検眼の移動を検出する移動検出部(232)とを更に含んでいてよい。また、データ収集部は、OCTスキャンのための光を偏向する光スキャナ(44)を含んでいてよい。更に、スキャン制御部(213)は、広角OCTスキャンパターンにしたがってデータ収集部を制御しつつ、移動検出部(232)からの出力に基づき光スキャナ(44)を制御することができる。
【0210】
このような構成によれば、被検眼の動きに合わせて測定光の投射位置を補正するためのトラッキングを行いつつ広角OCTスキャンを実施することが可能である。これにより、広角OCTスキャン中に被検眼が動いたとしても、広角OCTスキャンパターンに応じたスキャンを好適に行うことができる。また、スキャンの中断ややり直しを回避することができる。
【0211】
上記の例では眼底(Ef)にOCTスキャンを適用する場合を説明しているが、前眼部(角膜、水晶体、虹彩、隅角等)に対して同様の作用及び効果を奏することが可能な実施形態を構成することができる。フォーカス制御パラメータは、OCTスキャンの対象となる部位の形状にしたがって設定される。
【0212】
例示的な実施形態は、眼科撮影装置を制御する方法を提供する。この制御方法が適用される眼科撮影装置は、被検眼にOCTスキャンを適用してデータを収集するデータ収集部と、収集されたデータから画像を構築する画像構築部と、データ収集部により被検眼に投射される測定光の光路に設けられた焦点位置変更部とを含む。
【0213】
この制御方法は、スキャン制御ステップと、フォーカス制御ステップとを含む。スキャン制御ステップは、OCTスキャン適用エリアの中心領域に対する連続的な第1部分パターンと周縁領域に対する連続的な第2部分パターンとを含むスキャンパターンにしたがってデータ収集部を制御する。フォーカス制御ステップは、第1部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置を適用し、且つ、第2部分パターンの少なくとも一部へのOCTスキャンの適用と並行して第1焦点位置と異なる第2焦点位置を適用するように焦点位置変更部を制御する。
【0214】
このような眼科撮影装置の制御方法に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
【0215】
例示的な実施形態は、このような制御方法を眼科撮影装置に実行させるプログラムを提供する。このプログラムに対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
【0216】
また、このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この記録媒体に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
【0217】
例示的な実施形態に係る方法、プログラム、又は記録媒体によれば、広角OCTスキャンを高速で行いつつ高品質のOCT画像を取得することが可能である。また、例示的な実施形態に係る方法、プログラム、又は記録媒体に組み合わされる事項に応じた作用及び効果が奏される。
【0218】
以上に説明した構成は、この発明の実施態様の例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0219】
1 眼科撮影装置
100 OCTユニット
210 制御部
211 主制御部
212 記憶部
213 スキャン制御部
214 フォーカス制御部
220 画像構築部
230 データ処理部
231 パラメータ設定部
232 移動検出部
240 ユーザーインターフェイス
241 表示部
242 操作部