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特開2024-133114神経刺激性ステロイドおよびそれらの使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133114
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】神経刺激性ステロイドおよびそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20240920BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61K31/58
A61P25/00
A61P43/00 111
A61P25/18
A61P25/02
A61P25/24
A61P25/16
A61P25/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110117
(22)【出願日】2024-07-09
(62)【分割の表示】P 2023005761の分割
【原出願日】2018-09-07
(31)【優先権主張番号】62/555,404
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/595,998
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514058913
【氏名又は名称】セージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イーサン ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ノミコス
(72)【発明者】
【氏名】ハンダン グンドゥーズ-ブルース
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ ケインズ
(57)【要約】
【課題】神経刺激性ステロイドおよびそれらの使用方法の提供。
【解決手段】本開示は、CNS関連障害、例えば、振顫、例えば、本態性振顫;うつ病;および不安障害を処置するための、化合物(I)、その薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な組成物、ならびに前記CNS関連障害を処置するための化合物1の投与の有効性を改善するための方法に関する。本開示は、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能な組成物のバイオアベイラビリティを上昇させる方法にも関する。一部の実施形態において、化合物1は、食物なしでまたは食物と実質的に同時に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、食物と実質的に同時に投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年9月7日出願の米国特許出願第62/555,404号および2017年12月7日出願の米国特許出願第62/595,998号に対して優先権を主張する。これらの各米国出願の内容は、それらの全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
脳内の最大40%のニューロンが、γ-アミノ酪酸であるGABAを神経伝達物質として利用するので、GABAは、脳全体の興奮性に対して著しい影響を及ぼす。GABAは、GRC(GABA受容体複合体)上の認識部位と相互作用することにより、塩素イオンがGRCの電気化学勾配の下方に向かって細胞内に流れるのを促進する。このアニオンのレベルの細胞内上昇は、膜内外電位の過分極を引き起こし、興奮性入力に対するニューロンの感受性を低下させる(すなわち、ニューロンの興奮性が低下する)。換言すれば、ニューロン内の塩素イオン濃度が高いほど、脳の興奮性(覚醒レベル)は低下する。GRCは、不安、発作活動および鎮静の媒介に関与することが充分証明されている。従って、GABA、およびGABAのように作用する薬物(例えば、治療的に有用なバルビツレートおよびベンゾジアゼピン(BZ)、例えば、Valium(登録商標))は、GRC上の特異的な制御部位と相互作用することによってその治療的に有用な効果をもたらす。
【0003】
蓄積された証拠から、GRCは、神経刺激性ステロイドのための別個の部位を含むと示唆されている(Lan,N.C.ら、Neuwchem.Res.16:347-356(1991)。神経刺激性ステロイドは、内因的に生じ得る。最も強力な内因性神経刺激性ステロイドは、3α-ヒドロキシ-5-還元型プレグナン-20-オンおよび3cc-21-ジヒドロキシ-5-還元型プレグナン-20-オン(それぞれ、ホルモン性ステロイドであるプロゲステロンおよびデオキシコルチコステロンの代謝産物)である。これらのステロイド代謝産物が脳の興奮性を変化させる能力は、1986年に認識された(Majewska,M.D.ら,Science 232:1004-1007(1986);Harrison,N.L.ら,J Pharmacol.Exp.Ther.241:346-353(1987))。
本明細書中に記載される神経刺激性ステロイドである化合物1は、GABAシナプスレセプターおよびGABAシナプス外レセプターを標的化する、GABAレセプターのポジティブアロステリックモジュレーターであると示されている。GABAレセプターのポジティブアロステリックモジュレーターとして、化合物1は、CNS関連障害、例えば、振顫、例えば、本態性振顫;うつ病、例えば、産後うつ病;および不安障害を処置する治療薬として役立つ。治療薬を投与するために多くの経路が使用され得るが、その便利さに起因して、経口経路が好ましい。しかしながら、多くの治療的活性剤は、吸収が悪いことまたは初回通過代謝の影響を受けやすいということをはじめとした無数の問題に起因して、経口投与後に、低バイオアベイラビリティを示す。さらに、固形剤形、例えば、錠剤およびカプセル剤は、患者によって経口的に摂取され、便利かつ安全な薬物投与方法であるので、他の剤形よりも好ましく、固形剤形は、液体よりも安定している(物理的および化学的安定性)。しかし、経口投与される固形剤形は、低バイオアベイラビリティに悩まされている。化合物1が、特に固形剤形の、CNS関連障害に対する治療薬として経口投与されるためには、受容可能なバイオアベイラビリティが達成されなければならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Majewska,M.D.ら,Science 232:1004-1007(1986)
【非特許文献2】Harrison,N.L.ら,J Pharmacol.Exp.Ther.241:346-353(1987)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、CNS関連障害の処置を必要とする被験体において、治療有効量の、式
【化1】
を有する化合物1、すなわち1-(2-((3R,5R,8R,9R,10S,13S,14S,17S)-3-ヒドロキシ-3,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリルを投与することによって、CNS関連障害を処置する方法を提供する。化合物1は、SAGE-217という化合物としても知られる。
【0006】
一部の実施形態において、化合物1は、食物なしでまたは食物と実質的に同時に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、食物と実質的に同時に投与される。
【0007】
一部の実施形態において、本方法は、治療有効量の化合物1またはその薬学的に受容可能な塩を被験体に投与することによってCNS関連障害を処置する方法を含み、ここで、治療有効量の化合物1は、食物と実質的に同時に投与される。
【0008】
一部の実施形態において、治療有効量は、固形剤形中にある。固形剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、サシェ剤、再構成可能な散剤、ドライパウダー吸入剤およびチュアブル錠が挙げられる。
【0009】
本開示のある局面において、治療有効量の化合物1は、化合物1が食物なしで投与されるときと比べて化合物1のバイオアベイラビリティを上昇させるために食物と実質的に同時に投与される。化合物1のバイオアベイラビリティは、血漿中濃度時間曲線、詳細にはその曲線下面積(AUC)から求めることができる。例えば、バイオアベイラビリティまたはその上昇は、食物とともに投与された化合物1の製剤に対するAUC0-t(投薬時点から最後の定量可能な濃度までのAUC)を食物なしの化合物1の製剤に対するAUC0-tと比較することによって求めることができる。
【0010】
一部の実施形態において、治療有効量の化合物1(またはその薬学的に受容可能な塩)は、CNS関連障害を処置するための化合物1のバイオアベイラビリティを上昇させるために食物と実質的に同時に投与され、治療有効量の化合物1は、錠剤またはカプセル剤などの固形剤形中にある。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、食物と実質的に同時に投与され、そのバイオアベイラビリティは、化合物1が食物なしで投与されたときのバイオアベイラビリティと比べて、約10%もしくはそれを超えて;約20%もしくはそれを超えて;約30%もしくはそれを超えて;約40%もしくはそれを超えて;約50%もしくはそれを超えて;または約55%もしくはそれを超えて上昇する。
【0011】
一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、1日1回、食物と実質的に同時に投与される。他の実施形態において、治療有効量の化合物1は、1日2回、食物と実質的に同時に投与される。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、1日1回、1つのカプセル剤として、食物と実質的に同時に投与される。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、1日1回、2つのカプセル剤として、食物と実質的に同時に投与される。
【0012】
一部の実施形態において、化合物1の治療有効量は、約20mg~約60mgであり、食物と実質的に同時に投与される。他の実施形態において、化合物1の治療有効量は、約25mg~約50mgであり、食物と実質的に同時に投与される。他の実施形態において、化合物1の治療有効量は、約25mg~約35mgであり、食物と実質的に同時に投与される。他の実施形態において、化合物1の治療有効量は、約30mg、例えば、30mgであり、食物と実質的に同時に投与される。
【0013】
本開示のある局面において、治療有効量の化合物1は、食物と実質的に同時に、例えば、食物の経口摂取前または経口摂取後の約60分以内に投与される。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、食物と実質的に同時に、例えば、食物の経口摂取前または経口摂取後の約45分以内、約30分以内、約15分以内または約5分以内に投与される。一部の実施形態において、食物は、本明細書中で定義されるような高脂肪食であるか、または食物は、本明細書中で論じられるような通常食である。他の実施形態において、食物は、少なくとも50カロリー、少なくとも100カロリー、少なくとも200カロリーまたは少なくとも300カロリーである。
【0014】
本開示は、とりわけ、CNS関連障害、例えば、気分障害または運動障害を処置するために、下記に記載されるように治療有効量の化合物1を被験体に投与する工程を含む方法を特徴とする。本開示は、CNS関連障害、例えば、振顫、例えば、本態性振顫;うつ病、例えば、産後うつ病;および不安障害を有する被験体を処置する方法、化合物1を含む本明細書中に記載される組成物を特徴とする。一部の実施形態において、化合物1は、食物と実質的に同時に(contemporeously)または食物なしで投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1は、食物と実質的に同時に投与される。本開示はまた、とりわけ、例えば、GABA関連疾患または障害、例えば、気分障害、運動障害、産後うつ病、大うつ病性障害、本態性振顫またはパーキンソン病を特徴とする。
【0015】
一部の実施形態において、CNS関連障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、被験体は、軽度のうつ病性障害、例えば、軽度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、中程度のうつ病性障害、例えば、中程度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、重度のうつ病性障害、例えば、重度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、非常に重度のうつ病性障害、例えば、非常に重度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコア(すなわち、化合物1による処置の前)は、少なくとも24である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、少なくとも18である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、14および18を含む14と18との間である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、19および22を含む19と22との間である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、23を超えるかまたは23と等しい。一部の実施形態において、ベースラインスコアは、少なくとも10、15または20である。一部の実施形態において、化合物1で処置した後の被験体のHAM-D総スコアは、約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2または1.8)である。一部の実施形態において、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアは、10、7、5または3未満である。一部の実施形態において、HAM-D総スコアの低下は、約20~30(例えば、22~28、23~27、24~27、25~27、26~27)のベースラインスコアから、化合物1で処置した後の約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2または1.8)のHAM-D総スコアへの低下である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアから、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアへの低下は、少なくとも1、2、3、4、5、7、10、25、40、50または100倍)である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアから、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアへの減少率は、少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%または90%)である。一部の実施形態において、治療効果は、ベースラインHAM-D総スコアと比較した、化合物1で処置した後(例えば、投与の12、24、48時間後;または24、48、72、96時間後もしくはそれを超えた後;または1日、2日、14日後もしくはそれを超えた後)のHAM-D総スコアの減少として測定され、少なくとも10、15または20ポイントである。
【0016】
一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の1日または2日目以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から14日未満または14日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から21日未満または21日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から28日未満または28日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、化合物1による処置(例えば、14日間にわたる1日1回の化合物1による処置)の後の、HAM-D総スコアのベースラインからの減少である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、少なくとも24である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、少なくとも18である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、14および18を含む14と18との間である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアと比較して、被験体を化合物1で処置した後のHAM-D総スコアの低下は、少なくとも10である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアと比較して、被験体を化合物1で処置した後のHAM-D総スコアの低下は、少なくとも15(例えば、少なくとも17)である。一部の実施形態において、化合物1による被験体の処置に関連するHAM-D総スコアは、6~8の範囲の数値以下である。一部の実施形態において、化合物1による被験体の処置に関連するHAM-D総スコアは、7以下である。
【0017】
一部の実施形態において、本方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、臨床全般印象改善尺度(CGI)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、CNS障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、処置期間の2日目以内に治療効果を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、処置期間終了時点(例えば、投与の14日後)における、ベースラインからのCGIスコアの低下である。
【0018】
一部の実施形態において、本方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、モントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、CNS障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、処置期間の2日目以内に治療効果を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、処置期間終了時点(例えば、投与の14日後)における、ベースラインからのMADRSスコアの低下である。
【0019】
本開示は、とりわけ、治療有効量の化合物1、包装材料、およびその治療有効量の化合物が食物とともに摂取されるべきであることを示す、その包装材料に貼付されたラベル、またはその治療有効量の化合物1が食物とともに摂取されるべきであることを示す、その包装材料内に含められている添付文書を備える製造品を特徴とする。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、錠剤またはカプセル剤などの固形剤形中にある。一部の実施形態において、ラベルまたは添付文書は、治療有効量の化合物1が1日1回投与されることをさらに示す。一部の実施形態において、ラベルまたは添付文書は、化合物1の治療有効量が、約20mg~約60mg;約25mg~約50mg;または約25mg~約35mg;約30mg、例えば、30mgであることをさらに示す。一部の実施形態において、ラベルまたは添付文書は、治療有効量の化合物1が、高脂肪食または通常食である食物とともに摂取されるべきであることをさらに示す。一部の実施形態において、ラベルまたは添付文書は、治療有効量の化合物1が、化合物1のバイオアベイラビリティを上昇させるために食物とともに摂取されるべきであることをさらに示す。一部の実施形態において、ラベルまたは添付文書は、治療有効量の化合物1が、CNS関連障害を処置するためのものであることをさらに示す。
【0020】
一部の実施形態において、本方法は、治療有効量の化合物1を投与することによってCNS関連障害を処置する方法を含み、ここで、化合物1の治療有効量は、約30mg、例えば、30mgであり、食物と実質的に同時に投与される。
【0021】
本開示のある局面において、とりわけ、GABAレセプターの正のアロステリック調節を必要とする患者においてGABAレセプターの正のアロステリック調節をもたらすための方法が提供され、ここで、その方法は、治療有効量の化合物1を食物と実質的に同時にその患者に投与する工程を含む。一部の実施形態において、治療有効量は、錠剤またはカプセル剤などの固形剤形中にある。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、1日1回投与される。一部の実施形態において、化合物1の治療有効量は、約20mg~約60mg;約25mg~約50mg;または約25mg~約35mg;または約30mg、例えば、30mgである。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1は、食物と実質的に同時に、例えば、食物の経口摂取前または経口摂取後の約45分以内、約30分以内、約15分以内または約5分以内に投与される。一部の実施形態において、食物は、本明細書中で定義されるような高脂肪食であるか、または食物は、本明細書中で論じられるような通常食である。他の実施形態において、食物は、少なくとも50カロリー、少なくとも100カロリー、少なくとも200カロリーまたは少なくとも300カロリーである。一部の実施形態において、治療有効量の化合物1を食物と同時に投与することにより、食物なしでの投与と比べて、その化合物のバイオアベイラビリティが上昇する。一部の実施形態において、バイオアベイラビリティは、AUC値の比較に基づく。一部の実施形態において、バイオアベイラビリティは、約10%もしくはそれを超えて;約20%もしくはそれを超えて;約30%もしくはそれを超えて;約40%もしくはそれを超えて;約50%もしくはそれを超えて;または約55%もしくはそれを超えて上昇する。
【0022】
本開示のある局面において、とりわけ、被験体におけるCNS関連障害、例えば、GABA関連疾患または障害、例えば、気分障害、運動障害、産後うつ病、大うつ病性障害、本態性振顫またはパーキンソン病を処置する方法が提供され、その方法は、治療有効量の化合物1を食物と実質的に同時に被験体に投与する工程を含み、その投与は、食物なしでの投与と比べて、化合物1のバイオアベイラビリティの上昇をもたらす。一部の実施形態において、バイオアベイラビリティは、AUC値の比較に基づく。一部の実施形態において、バイオアベイラビリティは、AUC0-t値に基づく。一部の実施形態において、ある製剤における化合物1についてのバイオアベイラビリティまたはAUC0-t値は、別の製剤における化合物1についてのAUC0-t値と比較される。一部の実施形態において、その製剤は、食物とともに投与されるカプセル剤中の化合物1であり、他方の製剤は、食物なしで投与されるカプセル剤中の化合物1である。一部の実施形態において、これらのAUC0-t値が比較され、食物とともに投与されるカプセル剤中の化合物1の製剤についてのAUC0-t値は、食物なしで投与されるカプセル剤中の化合物1の製剤についてのAUC0-t値より高い。一部の実施形態において、食物とともに投与されるカプセル剤中の化合物1の製剤についてのAUC0-t値は、食物なしで投与されるカプセル剤中の化合物1の製剤についてのAUC0-t値と比べたとき、少なくとも10%またはそれを超える増加率を有する。他の実施形態において、この増加率は、少なくとも20%もしくはそれを超え;少なくとも30%もしくはそれを超え;少なくとも40%もしくはそれを超え;少なくとも40%もしくはそれを超え;または少なくとも55%もしくはそれを超える。
【0023】
一部の実施形態において、CNS関連障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の低下によって測定した場合)を提供する。
【0024】
一部の実施形態において、CNS関連障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、被験体は、軽度のうつ病性障害、例えば、軽度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、中程度のうつ病性障害、例えば、中程度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、重度のうつ病性障害、例えば、重度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、非常に重度のうつ病性障害、例えば、非常に重度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、少なくとも24である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、少なくとも18である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、14および18を含む14と18との間である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、19および22を含む19と22との間である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、23を超えるかまたは23と等しい。一部の実施形態において、ベースラインスコアは、少なくとも10、15または20である。一部の実施形態において、化合物1で処置した後の被験体のHAM-D総スコアは、約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2または1.8)である。一部の実施形態において、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアは、10、7、5または3未満である。一部の実施形態において、HAM-D総スコアの低下は、約20~30(例えば、22~28、23~27、24~27、25~27、26~27)のベースラインスコアから、化合物1で処置した後の約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2または1.8)のHAM-D総スコアへの低下である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアから、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアへの低下は、少なくとも1、2、3、4、5、7、10、25、40、50または100倍)である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアから、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアへの減少率は、少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%または90%)である。一部の実施形態において、治療効果は、ベースラインHAM-D総スコアと比較した、化合物1で処置した後(例えば、投与の12、24、48時間後;または24、48、72、96時間後もしくはそれを超えた後;または1日、2日、14日後もしくはそれを超えた後)のHAM-D総スコアの減少として測定され、少なくとも10、15または20ポイントである。
【0025】
一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の1日または2日目以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から14日未満または14日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から21日未満または21日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から28日未満または28日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、化合物1による処置(例えば、14日間にわたる1日1回の化合物1による処置)の後の、HAM-D総スコアのベースラインからの減少である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、少なくとも24である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、少なくとも18である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、14および18を含む14と18との間である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアと比較して、被験体を化合物1で処置した後のHAM-D総スコアの低下は、少なくとも10である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアと比較して、被験体を化合物1で処置した後のHAM-D総スコアの低下は、少なくとも15(例えば、少なくとも17)である。一部の実施形態において、化合物1による被験体の処置に関連するHAM-D総スコアは、6~8の範囲の数値以下である。一部の実施形態において、化合物1による被験体の処置に関連するHAM-D総スコアは、7以下である。
【0026】
一部の実施形態において、本方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、臨床全般印象改善尺度(CGI)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、処置期間の2日目以内に治療効果を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、処置期間終了時点(例えば、投与の14日後)における、ベースラインからのCGIスコアの低下である。
【0027】
一部の実施形態において、本方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、モントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、処置期間の2日目以内に治療効果を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、処置期間終了時点(例えば、投与の14日後)における、ベースラインからのMADRSスコアの低下である。
【0028】
前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、2週間未満にわたって1日1回、被験体に投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、1日間にわたって1日1回、被験体に投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、2日間にわたって1日1回、被験体に投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、少なくとも14日間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、少なくとも28日間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、少なくとも6ヶ月間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、少なくとも1年間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、生涯にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、夜に被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、被験体が眠る前の1時間以内に被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、被験体が眠る前の15分以内に前記被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、慢性的に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、化合物1の血漿中濃度の平均値(±標準偏差)を投薬条件ごとに経時的に示している(線形目盛)。
【0030】
図2図2は、化合物1の血漿中濃度の平均値(±標準偏差)を投薬条件ごとに経時的に示している(片対数目盛)。
【0031】
図3A図3Aは、形態Aの例示的なXRPDパターンを示している。
【0032】
図3B図3Bは、b軸に沿った形態Aの例示的な単位格子を示している。
【0033】
図3C図3Cは、形態Aの例示的なTGA曲線(上)およびDSC曲線(下)を示している。
【0034】
図3D図3Dは、選択された温度における形態Aの例示的なVT-XRPDパターンと形態Kの例示的なXRPDパターンとのオーバーレイを示している。
【0035】
図3E図3Eは、25℃における形態Aの例示的なDVS等温線を示している。
【0036】
図3F図3Fは、25℃における例示的なDVS測定前および測定後の形態Aの例示的なXRPDパターンを示している。
【0037】
図4A図4Aは、形態Cの例示的なXRPDパターンを示している。
【0038】
図4B図4Bは、b軸に沿った形態Cの例示的な単位格子を示している。
【0039】
図4C図4Cは、形態Cの例示的なTGA曲線(上)およびDSC曲線(下)を示している。
【0040】
図4D図4Dは、選択された温度における形態Cの例示的なXRPDパターンならびに形態Kの例示的なXRPDパターンのオーバーレイを示している。
【0041】
図4E図4Eは、N2雰囲気の存在下または非存在下での選択された温度における形態Cの例示的なXRPDパターンのオーバーレイを示している。
【0042】
図4F図4Fは、25℃における形態Cの例示的なDVS等温線を示している。
【0043】
図4G図4Gは、25℃におけるDVS測定前および測定後の形態Cの例示的なXRPDパターンのオーバーレイを示している。
【0044】
図5図5は、形態Kの例示的なXRPDパターンを示している。
【0045】
図6図6は、形態Cの種結晶の存在下、高温における酢酸エチル中での形態Aから形態Cへの時間依存的変換を示している例示的なXRPDパターンのオーバーレイを示している。
【0046】
図7A図7A図7Bおよび図7Cは、大うつ病性障害を有する被験体において化合物1を評価する第2相オープンラベル試験における化合物1に対する例示的なHAM-D平均(SE)総スコア、MADRS平均(SE)スコアおよびHAM-A平均(SE)総スコアを示している。
図7B図7A図7Bおよび図7Cは、大うつ病性障害を有する被験体において化合物1を評価する第2相オープンラベル試験における化合物1に対する例示的なHAM-D平均(SE)総スコア、MADRS平均(SE)スコアおよびHAM-A平均(SE)総スコアを示している。
図7C図7A図7Bおよび図7Cは、大うつ病性障害を有する被験体において化合物1を評価する第2相オープンラベル試験における化合物1に対する例示的なHAM-D平均(SE)総スコア、MADRS平均(SE)スコアおよびHAM-A平均(SE)総スコアを示している。
【0047】
図8図8は、大うつ病性障害を有する被験体において化合物1を評価する第2相オープンラベル試験における化合物1に対する例示的なHAM-D奏効率およびHAM-D緩解率を示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、式
【化2】
を有する化合物1、すなわち1-(2-((3R,5R,8R,9R,10S,13S,14S,17S)-3-ヒドロキシ-3,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル、CNS関連障害の処置において化合物1を使用する方法、および前記CNS関連障害の処置に対する化合物1の投与の有効性を改善するための方法に関する。
【0049】
1つの局面において、本開示は、被験体に対する化合物1の治療有効性を高めるレジメンにおいて、そのような被験体に化合物1を投与し得る方法に関する。好都合なことに、化合物1は、食物とともに経口投与されたとき、被験体において化合物1の高いバイオアベイラビリティを示す。
【0050】
一部の実施形態において、記載の方法、例えば、化合物1の投与の有効性を改善するための方法が、CNS関連障害(例えば、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害であるがこれに限定されない)を処置するための化合物1の薬学的に受容可能な塩に関し得ることが認識されるべきである。
【0051】
定義
用語「AUC」とは、薬学的組成物を投与した後の時間/血漿中濃度曲線下面積のことを指す。AUC0-無限大は、時間0から無限大までの血漿中濃度対時間曲線下面積を表し;AUC0-tは、時間0から時間tまでの血漿中濃度対時間曲線下面積を表す。本明細書中で使用されるとき、AUC0-tは、投薬時点から最後の定量可能な濃度までの血漿中濃度対時間曲線下面積である。AUC値は、当該分野で公知の方法によって測定され得ることが認識されるべきである。
【0052】
本明細書中で使用されるとき、用語「バイオアベイラビリティ」は、一般に、活性成分またはその活性型が製剤から吸収されて作用部位において利用可能になる速度および程度を意味する。U.S.Code of Federal Regulations,Title 21,Part 320.1(2001 ed.)を参照のこと。経口剤形の場合、バイオアベイラビリティは、活性成分が、経口剤形、例えば、錠剤から放出され、活性型に変換され(活性成分がまだ活性型でない場合)、作用部位に移動する、例えば、体循環に吸収されるプロセスに関する。例えば、バイオアベイラビリティは、血漿中濃度-時間曲線下面積(例えば、AUC0-t)に基づく。化合物1を含む異なる製剤間のバイオアベイラビリティを比較するために、各製剤のAUC0-t値が比較され得る(例えば、食物とともに投与されたカプセル剤としての化合物1の製剤と、食物なしで投与されたカプセル剤としての化合物1の製剤との比較)。AUC値は、増加率または減少率として比較され得ることが認識されるべきである。増加率または減少率は、当該分野で公知であるように計算されることがさらに認識されるべきである。
【0053】
用語「食物なしで」または「絶食状態で」は、化合物1の投与の約2時間前から化合物1の投与の約2時間後までの期間内に食物を消費しなかった条件を意味するように定義される。
【0054】
本明細書中で使用されるとき、用語「単位剤形」は、化合物1が被験体に投与される形態のことを指すように定義される。詳細には、単位剤形は、例えば、丸剤、カプセル剤または錠剤であり得る。好ましくは、単位剤形は、カプセル剤である。本発明において有用な単位剤形における化合物1の典型的な量は、約10mg~約100mg、好ましくは、約20mg~約50mg(例えば、約30mg、例えば、30mg)である。本発明の好ましい実施形態において、単位剤形は、約30mg、例えば、30mgの化合物1を含み、カプセル剤の形態で存在する。好ましくは、約30mg、例えば、30mgの化合物1を含むカプセル剤は、1日あたり1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、2つのカプセル剤が、合わせて30mgの化合物1を含む。一部の実施形態において、1つのカプセル剤が、30mgの化合物1を含む。
【0055】
本明細書中で使用されるとき、「食物と実質的に同時に」または「実質的に同時」は、本発明の組成物、例えば、治療有効量の化合物1の経口摂取(または採り入れ)の前または後の5、10、15、30、45、60、75または90分以内に、ある物質を含む食物(例えば、高脂肪食、標準食もしくは通常食、少なくとも50カロリーを含む食物、少なくとも100カロリーを含む食物、少なくとも200カロリーを含む食物または少なくとも300カロリーを含む食物)を経口摂取すること(または採り入れること)を意味する。
【0056】
用語「Cmax」とは、薬学的組成物を投与した後の、血液(例えば、血漿)中における治療薬(例えば、化合物1)の最高濃度のことを指す。
【0057】
用語「tmax」とは、治療薬(例えば、化合物1)を含む薬学的組成物を投与した後にCmaxが達成されたときの、時を単位とする時間のことを指す。
【0058】
本明細書中で使用されるとき、「固形剤形」は、固形、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、サシェ剤、再構成可能な散剤、ドライパウダー吸入剤およびチュアブル剤における薬学的用量を意味する。
【0059】
本明細書中で使用されるとき、「高脂肪食」は、高脂肪および高カロリーの食事を意味し、その食事の総カロリー含有量のおよそ50パーセントが、脂肪由来であり、その食事は、およそ800~1000カロリーである。その食事のおよそ150、250および500~600カロリーが、それぞれタンパク質、炭水化物および脂肪に由来することもある。例示的な高脂肪食としては、2002年12月に発行されたGuidance for Industry,Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies,U.S.Department of Health and Human Services Food and Drug Administration,Center for Drug Evaluation and Research(CDER),Center for Biologics Evaluation and Research(CBER)という文書に開示されている試験食が挙げられる。例示的な高脂肪食は、その食事の総カロリー含有量のおよそ50パーセントを脂肪として含み、およそ800~1000カロリーを含み;500~600カロリーが脂肪に由来する。本明細書中で使用されるとき、用語「脂肪」は、当該分野で認められた従来の意味で使用される。
【0060】
本明細書中で使用されるとき、「通常食」または「標準食」は、およそ300~800カロリーである食事を意味する。
【0061】
用語「約」が、定量値の前で使用される場合、本教示は、別段具体的に述べられていない限り、その特定の定量的値自体も含む。本明細書中で使用されるとき、用語「約」は、別段示されないかまたは推測されない限り、公称値からの±10%の変動のことを指す。
【0062】
本明細書中で使用されるとき、障害、例えば、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害について被験体を評価するために使用される、本明細書中に記載される尺度、例えば、ハミルトンうつ病尺度、モントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度または臨床全般印象改善尺度の「ベースラインの」総スコアは、前記障害を処置するための治療剤、例えば、化合物1で処置する前に測定された被験体の総スコアである。
【0063】
化学的定義
特定の官能基および化学的用語の定義を下記で詳細に説明する。化学元素は、元素周期表(CASバージョン,Handbook of Chemistry and Physics,第75版,内表紙)に従って特定され、特定の官能基は、一般に、その中に記載されているとおりに定義される。さらに、有機化学の通則、ならびに特定の官能性部分および反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999;SmithおよびMarch,March’s Advanced Organic Chemistry,第5版,John Wiley & Sons,Inc.,New
York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;およびCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,第3版,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。
【0064】
本明細書中に記載される化合物は、1つまたはそれを超える不斉中心を含み得るので、様々な異性体、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーにおいて存在し得る。例えば、本明細書中に記載される化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体の形態で存在することができ、または立体異性体の混合物(ラセミ混合物および1つまたはそれを超える立体異性体が濃縮された混合物を含む)の形態であることもできる。異性体は、当業者に公知の方法(キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む)によって混合物から単離され得るか;または好ましい異性体が、不斉合成によって調製され得る。例えば、Jacquesら、Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilenら、Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);およびWilen,Tables of Resolving
Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel編者,Univ.of Notre Dame Press,Notre
Dame,IN 1972)を参照のこと。本発明はさらに、本明細書中に記載される化合物を、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、およびあるいは様々な異性体の混合物として、含む。
【0065】
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の目的語が1つまたはそれより多い(すなわち、少なくとも1つである)ことを指すために本明細書中で使用され得る。例として、「アナログ(an analogue)」は、1つのアナログまたは1つより多いアナログを意味する。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「調節」とは、GABAレセプター機能の阻害または相乗作用のことを指す。「調節因子」(例えば、調節因子化合物)は、例えば、GABAレセプターのアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストであり得る。
【0067】
「薬学的に受容可能な」とは、連邦もしくは州政府の規制当局、または米国以外の国の対応する当局によって承認されているかまたは承認可能であること、あるいは米国薬局方または動物(より具体的には、ヒト)で使用するための他の一般に認められている薬局方に記載されていることを意味する。
【0068】
「薬学的に受容可能な塩」とは、薬学的に受容可能であり、そして親化合物の所望の薬理活性を有する、本発明の化合物の塩のことを指す。特に、このような塩は非毒性であり、無機酸付加塩または有機酸付加塩および無機塩基付加塩または有機塩基付加塩であり得る。具体的には、このような塩としては、(1)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などと形成される;もしくは有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などと形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンで置き換えられるか;または有機塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどと配位する場合に形成される塩が挙げられる。塩としてはさらに、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;および化合物が塩基性官能基を含む場合には、非毒性有機酸または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが挙げられる。用語「薬学的に受容可能なカチオン」とは、酸性官能基の受容可能なカチオン性対イオンのことを指す。このようなカチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、アンモニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどによって例示される。例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.(1977)66(1):1-79を参照のこと。
【0069】
投与が企図された「被験体」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群、例えば、小児被験体(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験体(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人)の男性または女性)および/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌ)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、被験体は、ヒトである。ある特定の実施形態において、被験体は、非ヒト動物である。用語「ヒト」、「患者」および「被験体」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0070】
疾患、障害、および状態は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0071】
本明細書中で使用される場合、他に特定されない限り、用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」および「処置(treatment)」は、被験体が特定の疾患、障害または状態を罹患している間に行われ、その疾患、障害または状態の重篤度を低下させるか、あるいは疾患、障害または状態の進行を遅延させるかまたは遅くする行為(「治療処置」)を想定し、そしてまた、被験体が特定の疾患、障害または状態を罹患し始める前に行われる行為(「予防処置」)を想定する。
【0072】
本明細書中で使用されるとき、および別段特定されない限り、「処置のサイクル」は、第1の用量の神経刺激性ステロイドの投与、第2の用量の神経刺激性ステロイドの投与、および第3の用量の神経刺激性ステロイドの投与を含み、前記神経刺激性ステロイドの用量は、前記被験体を処置するのに十分な用量である。
【0073】
一般に、化合物の「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量、例えば、CNS関連障害、例えば、本明細書中に記載されるような障害(例えば、振顫(例えば、本態性振顫);うつ病(例えば、産後うつ病);または不安障害)を処置するのに十分な量のことを指す。当業者によって理解されるように、本発明の化合物の有効量は、所望の生物学的目標、化合物の薬物動態学、処置される疾患、投与様式、ならびに被験体の年齢、体重、健康状態、および状態などの要因に依存して、変わり得る。有効量とは、治療処置および予防処置を包含する。
【0074】
本明細書中で使用される場合、他に特定されない限り、化合物の「治療有効量」とは、疾患、障害または状態の処置において治療上の利点を提供するか、あるいはその疾患、障害または状態に関連する1つまたはそれより多くの症状を遅延させるかまたは最小にするために充分な量である。化合物の治療有効量とは、その疾患、障害または状態の処置において治療上の利点を提供する、単独でかまたは他の治療と組み合わせての、治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、治療全体を改善させる量、疾患または状態の症状または原因を減少させるかまたは回避する量、あるいは別の治療剤の治療効力を増強する量を包含し得る。
【0075】
本明細書中で使用される場合、他に特定されない限り、化合物の「予防有効量」とは、疾患、障害もしくは状態、またはその疾患、障害もしくは状態に関連する1つもしくはそれより多くの症状を予防するため、あるいはその再発を予防するために充分な量である。化合物の予防有効量とは、その疾患、障害または状態の予防において予防上の利点を提供する、単独でかまたは他の剤と組み合わせての、治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、予防全体を改善させる量、または別の予防剤の予防効力を増強する量を包含し得る。
【0076】
本明細書中で使用されるとき、「結晶性」とは、高度に規則的な化学構造を有する固体、すなわち、結晶格子において長距離の構造秩序を有する固体のことを指す。それらの分子は、格子の3次元空間に規則的かつ周期的な様式で配置される。特に、結晶形態は、1つまたはそれを超える単一の結晶形態として生成され得る。本願において、用語「結晶形態」、「単一の結晶形態」、「結晶性固体形態」、「固体形態」および「多形」は、同義であり、交換可能に使用され;これらの用語は、異なる特性(例えば、異なるXRPDパターンおよび/または異なるDSC走査結果)を有する結晶を区別する。
【0077】
用語「実質的に結晶性」とは、少なくとも特定の重量パーセントの結晶性であり得る形態のことを指す。特定の重量パーセントは、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または70%~100%の任意のパーセンテージである。ある特定の実施形態において、結晶化度の特定の重量パーセントは、少なくとも90%である。ある特定の他の実施形態において、結晶化度の特定の重量パーセントは、少なくとも95%である。一部の実施形態において、化合物1は、本明細書中に記載される結晶性固体形態(例えば、形態A、CまたはK)のうちのいずれかの実質的に結晶性のサンプルであり得る。
【0078】
用語「実質的に純粋な」は、不純物および/または化合物1の他の固体形態を含まない少なくとも特定の重量パーセントであり得る化合物1の特定の結晶性固体形態の組成に関する。特定の重量パーセントは、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または70%~100%の任意のパーセンテージである。一部の実施形態において、化合物1は、本明細書中に記載される結晶性固体形態(例えば、形態A、CまたはK)のうちのいずれかの実質的に純粋なサンプルであり得る。一部の実施形態において、化合物1は、実質的に純粋な形態Aであり得る。一部の実施形態において、化合物1は、実質的に純粋な形態Cであり得る。
【0079】
本明細書中で使用されるとき、用語「無水」または「無水物(anhydrate)」は、化合物1の結晶形態について言及しているとき、溶媒分子(水の分子を含む)が、結晶形態の単位格子の一部を形成しないことを意味する。それにもかかわらず、無水結晶形態のサンプルは、その無水結晶形態の単位格子の一部を形成しない溶媒分子を、例えば、結晶形態の生成から残された残留溶媒分子として、含むことがある。好ましい実施形態において、溶媒は、無水型のサンプルの全組成の0.5重量%を構成し得る。より好ましい実施形態において、溶媒は、無水型のサンプルの全組成の0.2重量%を構成し得る。一部の実施形態において、無水結晶形態の化合物1のサンプルは、溶媒分子を含まず、例えば、検出可能な量の溶媒を含まない。用語「溶媒和物」は、結晶形態の化合物1について言及しているとき、溶媒分子、例えば、有機溶媒および水が、その結晶形態の単位格子の一部を形成することを意味する。水を溶媒として含む溶媒和物は、本明細書中で「水和物」とも称される。用語「同形」は、結晶形態の化合物1について言及しているとき、その形態が、異なる化学的構成物を含み得る、例えば、単位格子の中に異なる溶媒分子を含み得るが、同一のXRPDパターンを有することを意味する。同形の結晶形態は、時折、本明細書中で「同形」と称される。
【0080】
用語「特徴的なピーク」は、結晶形態の化合物1のXRPDパターンにおけるピークについて言及しているとき、特定のピークの集合のことを指し、それらのピークの0°~40°の範囲に及ぶ2θの値は、全体として、化合物1の結晶形態のうちの1つに一意的に割り当てられる。
【0081】
バイオアベイラビリティおよび食物
食物は、薬物または化合物のバイオアベイラビリティを変化させ得、臨床的に有意な因果関係を有し得る。食物は、胃内容排出を遅らせること、胆汁の流動を刺激すること、胃腸(GI)のpHを変化させること、内臓の血流を増加させること、原薬の管腔代謝を変化させること、ならびに/または剤形もしくは原薬と物理的および化学的に相互作用することをはじめとした様々な手段によって、予測不可能な様式でバイオアベイラビリティを変化させ得る。食事の栄養分およびカロリー量、食事量ならびに食事の温度は、製剤の通過時間、管腔での溶解、薬物透過性および全身アベイラビリティに影響するように、消化管において生理学的変化を引き起こし得る。食物を伴う薬物または化合物の投与は、原薬または製剤に影響することによって、バイオアベイラビリティを変化させ得る。食物が薬物または化合物のバイオアベイラビリティを変化させる機構を特定することは困難である。
【0082】
本開示は、その治療効果を必要とする被験体の血流中で達成される濃度によって経時的に測定される化合物1の吸収の程度を高める方法を提供する。この方法は、治療有効量の化合物1を食物とともに被験体に経口投与する工程を含む。血流中の濃度は、化合物1の血漿中濃度(例えば、ng/mL)として測定される。血漿中濃度の測定に関わる薬物動態パラメータとしては、血漿中濃度の最大測定値(Cmax)、時間ゼロから最後の定量可能な濃度までの血漿中濃度時間曲線下面積(AUC)(AUC0-t)および時間ゼロから無限大までのAUC(AUC0-∞)が挙げられる。化合物1を食物とともに被験体に投与することにより、絶食(または食物なしの)条件下での薬物の投与と比べたときの、前述の薬物動態パラメータのうちの1つまたはそれを超える値の増加によって測定されるバイオアベイラビリティが上昇する。一部の実施形態において、食物とともに投与されるカプセル剤としての化合物1の製剤に対するAUC0-t値は、食物なしで投与されるカプセル剤としての化合物1の製剤に対するAUC0-t値と比べたとき、少なくとも10%またはそれを超える増加率を有する。他の実施形態において、この増加率は、少なくとも20%もしくはそれを超えるか;少なくとも30%もしくはそれを超えるか;少なくとも40%もしくはそれを超えるか;少なくとも40%もしくはそれを超えるか;または少なくとも55%もしくそれを超える。
【0083】
被験体は、絶食状態または摂食状態で、すなわち食物ありまたは食物なしで、化合物または薬物を摂取し得る。絶食状態では、被験体は、例えば一晩、少なくとも10時間、絶食し得る。次いで、その被験体は、薬物または化合物を摂取し得、その被験体は、投与後少なくとも4時間、食物を摂取しない。さらに、被験体は、例えば2時間、絶食し得、次いで、薬物または化合物を摂取し得、その被験体は、投与後少なくとも2時間、食物を摂取しない。摂食状態、すなわち薬物を食物とともに摂取する場合、被験体は、薬物または化合物の投与の30分前に食事(高脂肪または通常)を食べ始め得る。次いで、その被験体は、この食事を30分またはそれ未満で食べ得るが;しかしながら、薬物または化合物は、食事開始の30分後に投与され得る。したがって、バイオアベイラビリティが最大になり得るように化合物1などの化合物を投与することが望ましい。
【0084】
本開示の1つの局面は、化合物1を治療有効量で食物とともに投与することによって、被験体において化合物1のバイオアベイラビリティを上昇させる方法である。本開示の1つの局面において、治療有効量の化合物1が、食物と実質的に同時に被験体に投与される。その食物は、高脂肪食または通常食であり得る。高脂肪食は、食事の総カロリー含有量の約50パーセントを脂肪として含み得、約800~1000カロリーを含み得る。例示的な高脂肪食としては、2002年12月に発行されたGuidance for Industry,Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies,U.S.Department
of Health and Human Services Food and Drug Administration,Center for Drug Evaluation and Research(CDER),Center for Biologics Evaluation and Research(CBER)という文書に開示されている試験食が挙げられる。例示的な高脂肪食は、その食事の総カロリー含有量のおよそ50パーセントを脂肪として含み、およそ800~1000カロリーを含み;500~600カロリーが脂肪に由来する。本明細書中で使用されるとき、用語「脂肪」は、当該分野で認められた従来の意味で使用される。例えば、高脂肪食は、バターで焼いた2つの卵、2枚のベーコン、バターを塗った2枚のトースト、4オンスのハッシュブラウンポテトおよび8オンスの全乳であり得る。通常食または標準食は、300~800カロリーのカロリーを有する、朝食、昼食または夕食等の食事であり得る。例えば、被験体は、夕食を食べ得るが、その夕食は30分以内に食べ終え、次いで、その夕食を食べ終わった直後に治療有効量の化合物1を摂取(経口摂取)し得る。
【0085】
本開示の方法は、治療有効量の化合物1を食物と実質的に同時に投与する工程を含み、ここで、その食物は、軽食、すなわち、食事未満のものであり得る。例えば、化合物1は、食物と実質的に同時に投与され得、ここで、その食物は、約50カロリーを含む。さらに、化合物1は、食物と実質的に同時に投与され得、ここで、その食物は、約100カロリーを含む。化合物1は、食物と実質的に同時に投与され得、ここで、その食物は、約200または約300カロリーを含む。例えば、被験体は、食物(例えば、軽食)(例えば、果物、グラノーラ、クラッカー、チーズなど)を経口摂取し得、次いで、その被験体は、治療有効量の化合物1を摂取(経口摂取)し得る。
【0086】
本開示の別の局面では、治療有効量の化合物1が、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪食、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)と実質的に同時に被験体に投与され、ここで、食物と実質的に同時は、治療有効量の化合物1を、食物の経口摂取または摂取の前または後の5、10、15、30、45、60、75または90分以内に投与することを意味する。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ90分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ75分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ60分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ45分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ30分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ15分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ10分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。例えば、食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)の経口摂取または摂取の前または後のおよそ5分以内に治療有効量の化合物1を投与すること。
【0087】
化合物1は、1日のうちの任意の時間に食物とともに、例えば、1日のうちの任意の時間に食物(例えば、本明細書中で論じられるような、高脂肪、通常食または約50~約300カロリーを含む食物)と実質的に同時に投与され得る。例えば、被験体は、治療有効量の化合物1を朝食と実質的に同時に投与され得る(または自己投与し得る)。例えば、被験体は、治療有効量の化合物1を昼食と実質的に同時に投与され得る(または自己投与し得る)。例えば、被験体は、治療有効量の化合物1を夕食と実質的に同時に投与され得る(または自己投与し得る)。
【0088】
化合物1を投与された被験体にとっての化合物1のバイオアベイラビリティの上昇は、任意の好適な様式で証明され得る。望ましくは、食物を伴う化合物1の経口投与は、食物なしでの化合物1のAUC0-t値と比べたときの化合物1のAUC0-t値の増加によって証明される化合物1のバイオアベイラビリティの上昇をもたらす。
【0089】
製造品
本開示の組成物はまた、治療有効量の化合物1を含む製造品として包装され得る。本開示の成分を分解しない、錠剤、カプレット剤、または経口投与に適した他の固形剤形を包装するための、当業者に公知の様々な方法のいずれもが、包装において使用するために適している。
【0090】
一部の局面において、製造品は、治療有効量の化合物1、包装材料、およびその包装材料に貼付されたラベルまたはその包装材料内に含められている添付文書を備える。
【0091】
一部の実施形態において、包装材料は、少なくとも1つの容器を含む。一部の実施形態において、包装材料は、複数の容器を含む。本明細書中で使用されるとき、容器は、治療有効量の化合物1を保持する物体である。例えば、その容器は、ボトル、ブリスター包装、箱、カートン、ストリップ包装、カートリッジまたは単回用量容器であり得る。一部の実施形態において、その容器は、治療有効量の化合物1を保持するボトルである。一部の実施形態において、箱は、治療有効量の化合物1を保持するボトルを含む。一部の実施形態において、その容器は、治療有効量の化合物1を保持するブリスター包装である。
【0092】
包装材料は、単一の材料または様々な材料を含み得ることが認識されるべきである。例えば、包装材料は、ガラス、紙、プラスチックまたは金属材料を含み得る。一部の実施形態において、包装材料は、ガラス、プラスチックおよび金属材料から構成される。一部の実施形態において、包装材料は、ガラスおよびプラスチックから構成される。一部の実施形態において、包装材料は、ガラスおよび金属材料から構成される。一部の実施形態において、包装材料は、プラスチックおよび金属材料から構成される。一部の実施形態において、包装材料は、ガラス材料から構成される。例えば、包装材料は、ガラスボトルである。一部の実施形態において、包装材料は、プラスチック材料から構成される。例えば、包装材料は、プラスチックボトルまたはプラスチックブリスター包装である。一部の実施形態において、包装材料は、金属材料から構成される。例えば、包装材料は、金属(例えば、アルミニウム)ブリスター包装である。
【0093】
一部の実施形態において、容器は、覆い(closure)を有する。覆いは、化合物1を含む固形剤形で容器を満たした後の薬物の容器を覆う目的で使用される。容器のタイプに応じて、覆いは、種々の形状およびサイズを有し得る。覆いは、ゴムであり得、キャップまたはオーバーシール(overseal)であり得、不正開封防止機能付きの(tamper-evident)覆いであり得、子供がいたずらできない(child-resistant)覆いなどであり得る。本開示の包装材料は、1、2、3、4または5つのタイプの覆いを有し得る。例えば、容器がガラスボトルである場合、そのガラスボトルは、ゴムのシールおよびプラスチックのキャップを有し得る。
【0094】
包装材料は、その上に印刷された、薬学的組成物に関するラベリングおよび情報も有し得る。さらに、製造品は、製品情報を含むパンフレット、レポート、お知らせ、パンフレットまたはリーフレットを含み得る。この形態の医薬品の情報は、製薬業界では「添付文書」と称される。添付文書は、製造品に添付され得るか、または製造品とともに含められ得る。添付文書および任意の製造品のラベリングは、治療有効量の化合物1に関する情報を提供する。その情報およびラベリングは、医療専門家および患者が利用する様々な形態の情報を提供し、その情報は、治療有効量の化合物1、その投薬量、およびUnited
States Food and Drug Agenciesなどの規制当局が要求する様々な他のパラメータについて説明している。
【0095】
化合物1は、望ましくは、化合物1を食物とともに経口投与するように被験体に勧める処方情報を伴う製造品として被験体に提供される。その製造品は、そのようにすることにより、化合物1のバイオアベイラビリティが上昇することも説明し得る。化合物1は、好ましくは、上記用量の化合物1を食物とともに投与することにより、絶食条件下での薬物の投与と比べたときの化合物1のAUC0-t値の上昇によって反映される化合物1の吸収の程度が高まることを被験体に教える処方情報を伴う製造品として被験体に提供される。一部の実施形態において、化合物1は、包装材料の中に存在し、治療有効量の化合物1が食物とともに摂取されるべきであることを示すラベルがその包装材料に貼付されているか、または治療有効量の化合物1が食物とともに摂取されるべきであることを示す添付文書がその包装材料内に含められている。そのラベリングの指示は、本明細書中に記載されるような処置方法と整合性が取れている。そのラベリングは、そのラベリングと容器との物理的近接を維持する任意に手段によって、容器に関連付けられている場合があり、非限定的な例として、それらは、両方とも箱またはプラスチック収縮包装などの包装材料の中に含められ得るか、あるいはラベリングの指示を覆い隠さない接着剤または他の接着手段もしくは保持手段などで容器に接着された指示を伴い得る。
【0096】
薬学的組成物
1つの局面において、本開示は、本発明の化合物(「有効成分」とも称される)、例えば化合物1、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態において、薬学的組成物は、有効量の有効成分を含む。特定の実施形態において、薬学的組成物は、治療有効量の有効成分を含む。特定の実施形態において、薬学的組成物は、予防有効量の有効成分を含む。
【0097】
本明細書中に提供される薬学的組成物は、種々の経路(経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、鞘内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与、および鼻内投与が挙げられるが、これらに限定されない)によって投与され得る。好ましい実施形態では、化合物1は、被験体に経口投与される。
【0098】
一般的に、本明細書中に提供される化合物は、有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、関連する状況(処置される症状、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、患者の症候の重症度などを含む)に照らして、医師によって決定される。
【0099】
CNS障害の発生を予防するために使用されるとき、本明細書中に提供される化合物は、典型的には、医師の助言によりおよび医師の監視下において、上に記載された投与量レベルで、その症状を発症する危険がある被験体に投与され得る。特定の症状を発症する危険がある被験体としては、一般に、その症状の家族歴を有する被験体、またはその症状の発症の影響を特に受けやすいと遺伝子検査もしくはスクリーニングによって特定された被験体が挙げられる。
【0100】
本明細書中に提供される薬学的組成物は、慢性的にも投与される(「慢性投与」)。慢性投与とは、長期間、例えば、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などにわたるか、または例えば、被験体の寿命の残りの期間にわたって無期限に継続され得る、化合物またはその薬学的組成物の投与のことを指す。ある特定の実施形態において、慢性投与は、長期間にわたって血中に一定レベルの、例えば、治療濃度域(therapeutic window)内の化合物を提供するように意図されている。
【0101】
本発明の薬学的組成物はさらに、種々の投薬方法を使用して送達され得る。例えば、特定の実施形態において、この薬学的組成物は、ボーラスとして、例えば、血液中でその化合物の濃度を有効レベルまで上昇させる目的で、与えられ得る。ボーラス用量の配置は、身体全体で望まれる活性成分の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下のボーラス用量は、活性成分のゆっくりとした放出を可能にし、一方で、静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV滴注による)は、より速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルまで迅速に上昇させる。他の実施形態において、この薬学的組成物は、連続注入として、例えば、IV滴注によって投与されて、被験体の身体内での、活性成分の定常状態濃度の維持を提供し得る。さらに、なおさらに他の実施形態において、この薬学的組成物は、最初にボーラス用量として投与され得、その後、連続注入が行われ得る。
【0102】
経口投与用の組成物は、バルクの液体の溶液もしくは懸濁液またはバルクの粉末の形態をとり得る。しかしながら、より一般的には、組成物は、正確な投薬を促進する単位剤形で提供される。用語「単位剤形」とは、ヒト被験体および他の哺乳動物に対する単位投与量として好適な物理的に不連続の単位のことを指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤とともに所望の治療効果をもたらすと計算される所定量の活性な材料を含む。典型的な単位剤形としては、液体組成物の予め測定され予め充填されたアンプルもしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物では、化合物は、通常、少量の成分(約0.1~約50重量%または好ましくは約1~約40重量%)であり、残りは、様々なビヒクルまたは賦形剤および所望の投薬形態を形成するのに役立つ加工助剤である。
【0103】
経口投与可能、注射可能または局所的に投与可能な組成物について上に記載された成分は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,1985のPart 8,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(参照により本明細書中に援用される)に示されている。
【0104】
本発明の化合物は、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0105】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に受容可能な酸付加塩にも関する。薬学的に受容可能な塩を調製するために使用され得る酸は、無毒性の酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容され得るアニオンを含む塩(例えば、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩など)を形成する酸である。
【0106】
一部の実施形態において、化合物1は、固体形態または結晶形態で存在する。例えば、化合物1は、形態A(本明細書中で論じられるようなもの)、形態C(本明細書中で論じられるようなもの)または形態K(本明細書中で論じられるようなもの)であり得る。
【0107】
形態Aは、粗化合物1を10℃未満の酢酸エチル中のスラリーとして撹拌し、次いで、濾過し、真空下で乾燥させることによって、または粗化合物1をジクロロメタンに溶解し、次いで、その溶液を、酢酸エチルを用いて2回、真空下で再度濃縮乾固することによって、調製され得る。形態Aは、XRPDによって化合物1の結晶形態であると測定され得る。単結晶構造の形態Aとともに、TGAを用いることにより、形態Aが無水であると結論付けることができる。DSCを用いることにより、300℃未満の温度で生じる2つの吸熱の存在を示すことができる:一方の吸熱は、形態Aから形態Kへの転移に相当する157.2℃のTonsetを伴い、もう一方は、形態Kの融点に相当する203.8℃のTonsetを伴う。DVSを用いることにより、形態Aが、95%未満または95%に等しい相対湿度(RH)において0.30重量パーセント未満の水分取り込みを示すことを実証することができる。
【0108】
一部の実施形態において、形態Aは、実質的に図3Aに示されているようなXRPDパターンを有し得る。さらに、形態AのXRPDパターンのうちの代表的なピークは、例えば、下記の表1におけるような、2θ、d-間隔および相対強度の値によって示され得る:
【表1】
【0109】
一部の実施形態において、形態Aは、以下の値の2θ(単位は度)の間(それらの値も含む)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有する:9.3~9.7(例えば、9.5)、10.6~11.0(例えば、10.8)、13.0~13.4(例えば、13.2)、14.7~15.1(例えば、14.9)、15.8~16.2(例えば、16.0)、18.1~18.5(例えば、18.3)、18.7~19.1(例えば、18.9)、20.9~21.3(例えば、21.1)、21.4~21.8(例えば、21.6)および23.3~23.7(例えば、23.5)。一部の実施形態において、形態Aは、以下の値の2θ(単位は度)の間(それらの値も含む)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有する:9.3~9.7(例えば、9.5)、10.6~11.0(例えば、10.8)、13.0~13.4(例えば、13.2)、18.7~19.1(例えば、18.9)および21.4~21.8(例えば、21.6)。一部の実施形態において、形態Aは、以下の値の2θ(単位は度)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有する:9.5、10.8、13.2、14.9、16.0、18.3、18.9、21.1、21.6および23.5。一部の実施形態において、形態Aは、以下の値の2θ(単位は度)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有する:9.5、10.8、13.2、18.9および21.6。
【0110】
選択されたピークについてのXRPDデータの計算値は、下記の表2に提供されるような形態Aの単結晶のX線回折データから得ることができ、これらは、表1における実験データを補足する。
【表2】
【0111】
形態Cは、XRPDによって判定した場合、化合物1の結晶性の無水物であり、50℃のイソプロピルアルコールおよび酢酸イソプロピルにおけるスラリー変換結晶化法を用いて形態Aから調製することができる。TGAおよび単結晶X線結晶構造解析を用いることにより、形態Cに溶媒が存在しないことを確かめることができる。DSCを用いることにより、300℃未満の2つの吸熱:形態Cの形態Kへの転移に対応する183.8℃のTonsetを有する広範なピーク、および形態Kの融解に対応する211.0℃のTonsetを有する鋭いピークを示すことができる。DVSを用いることにより、形態Cが、95%未満または95%と等しいRHにおいて0.32重量パーセント未満の水分取り込みを呈することを実証することができる。
【0112】
一部の実施形態において、形態Cは、実質的に図4Aに示されているようなXRPDパターンを有し得る。さらに、形態CのXRPDパターンのうちの代表的なピークは、例えば、下記の表3におけるような、2θ、d-間隔および相対強度の値によって示され得る:
【表3】
【0113】
一部の実施形態において、形態Cは、以下の値の2θ(単位は度)の間(それらの値も含む)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:9.7~10.1(例えば、9.9)、11.6~12.0(例えば、11.8)、13.2~13.6(例えば、13.4)、14.2~14.6(例えば、14.4)、14.6~15.0(例えば、14.8)、16.8~17.2(例えば、17.0)、20.5~20.9(例えば、20.7)、21.3~21.7(例えば、21.5)、21.4~21.8(例えば、21.6)、および22.4~22.8(例えば、22.6)。一部の実施形態において、形態Cは、以下の値の2θ(単位は度)の間(それらの値も含む)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:9.7~10.1(例えば、9.9)、14.6~15.0(例えば、14.8)、16.8~17.2(例えば、17.0)、20.5~20.9(例えば、20.7)、および21.3~21.7(例えば、21.5)。一部の実施形態において、形態Cは、以下の値の2θ(単位は度)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:9.9、11.8、13.4、14.4、14.8、17.0、20.7、21.5、21.6および22.6。一部の実施形態において、形態Cは、以下の値の2θ(単位は度)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:9.9、14.8、17.0、20.7および21.5。
【0114】
選択されたピークについてのXRPDデータの計算値は、下記の表4に提供されるような形態Cの単結晶のX線回折データを使用して得ることができる。これらのシミュレートされたピークは、表3における実験データを補足し得る。
【表4】
【0115】
形態Kは、様々な形態の化合物1、例えば、形態Aまたは形態Cを高温に加熱することによって調製することができる。この形態の解析サンプルは、XRPD解析によって結晶性であると判定され得る。TGAを用いることにより、分解温度まで重量減少がないことを示すことができ、形態Kが無水であることを実証する。DSCを用いることにより、形態Kが、解析サンプルの融点に対応する211.6℃のTonsetを有する単一の吸熱を呈し得ることを実証することができる。DVS測定を行うことにより、形態Kが、95%未満または95%に等しいRHにおいて0.35重量パーセント未満の水分取り込みを呈することが実証された。
【0116】
一部の実施形態において、形態Kは、実質的に図5に示されているようなXRPDパターンを有し得る。さらに、形態KのXRPDパターンのうちの代表的なピークは、例えば、下記の表5におけるような、2θおよび相対強度の値によって示され得る:
【表5】
【0117】
一部の実施形態において、形態Kは、以下の値の2θ(単位は度)の間(それらの値も含む)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:11.6~12.0(例えば、11.8)、13.7~14.1(例えば、13.9)、14.0~14.4(例えば、14.2)、16.6~17.0(例えば、16.8)、18.9~19.3(例えば、19.1)、19.1~19.5(例えば、19.3)、19.9~20.3(例えば、20.1)、21.1~21.5(例えば、21.3)、21.9~22.3(例えば、22.1)および23.0~23.4(例えば、23.2)。一部の実施形態において、形態Kは、以下の値の2θ(単位は度)の間(それらの値も含む)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:11.6~12.0(例えば、11.8)、16.6~17.0(例えば、16.8)、18.9~19.3(例えば、19.1)、19.9~20.3(例えば、20.1)および23.0~23.4(例えば、23.2)。一部の実施形態において、形態Kは、以下の値の2θ(単位は度)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:11.8、13.9、14.2、16.8、19.1、19.3、20.1、21.3、22.1および23.2。一部の実施形態において、形態Kは、以下の値の2θ(単位は度)に、特徴的なピークを有するXRPDパターンを有し得る:11.8、16.8、19.1、20.1および23.2。
【0118】
固体組成物、例えば、固形剤形は、例えば、以下の成分のうちのいずれかまたは同様の性質の固形の化合物1を含み得る:結合剤、界面活性物質、希釈剤または充填剤、緩衝剤、接着防止剤(antiadherents)、滑剤、親水性または疎水性ポリマー、遅延剤、安定化剤または安定剤、崩壊剤または超崩壊剤(superdisintegrants)、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、充填剤、香料、着色料、滑沢剤、吸着剤、保存剤、可塑剤、コーティングまたは甘味料あるいはそれらの混合物。例えば、賦形剤は、結合剤(例えば、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシルプロピルセルロース、低粘性ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);希釈剤(例えば、マンニトール、微結晶性セルロース、マルトデキストリン、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogel、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンまたはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたはベヘン酸グリセリル);滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);保存剤(例えば、ソルビン酸カリウムまたはメチルパラベン)、界面活性物質(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ポリソルベート(poysorbate)20、ポリソルベート80、臭化セチルトリエチルアンモニウム、ポリエチレン(polyethyelene)オキシド-ポリプロピレンオキシド共重合体またはCremophor EL)、酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、トコフェロールもしくは酢酸トコフェロール、亜硫酸ナトリウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウム)、コーティング(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropykmethylcellulose)、ポリビニルアルコール、メタクリレート共重合体、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、シェラックなどのうちの1つまたはそれを超えるものを含む)、甘味剤(例えば、スクロース、スクラロース、アセスルファムK、アスパルテームナトリウムまたはサッカリン);または香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料)であり得る。任意の周知の薬学的賦形剤が、上記剤形に組み込まれてよく、FDA’s Inactive Ingredients Guide,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Twenty-first Ed.,(Pharmaceutical Press,2005);Handbook of Pharmaceutical
Excipients,Sixth Ed.(Pharmaceutical Press,2009)(これらのすべてが参照により援用される)に見出されることがある。
【0119】
経皮的組成物は、典型的には、活性成分(単数または複数)を含む局所的軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化されるとき、活性成分は、典型的には、パラフィン軟膏基剤または水混和性軟膏基剤と混和される。あるいは、活性成分は、例えば、水中油型クリーム基剤を含む、クリームとして製剤化され得る。そのような経皮的製剤は、当該分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の皮膚浸透力および安定性を高めるさらなる成分を含む。そのような公知の経皮的製剤および成分のすべてが、本明細書中に提供される範囲内に含まれる。目的の局所送達組成物には、液体製剤(例えば、ローション(外用を意図した、懸濁液またはエマルジョンの形態の、不溶性材料を含む液体(スプレーローションを含む))および水溶液)、半固体製剤(例えば、ゲル(ゼリーなどの半固体材料を生成するために分散相が分散媒と組み合わされたコロイド)、クリーム(軟らかい固体または粘稠な液体)および軟膏(軟らかい油質の調製物))および固形製剤(例えば、局所パッチ)が含まれる。したがって、目的の送達ビヒクル成分としては、水中油型(O/W)および油中水型(W/O)のエマルジョン、ミルク調製物、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、セラム、パウダー、マスク、パック、スプレー、エアロゾル、スティックならびにパッチが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
本明細書中に提供される化合物1は、経皮デバイスによっても投与され得る。したがって、経皮投与は、レザバータイプもしくは膜タイプのパッチまたは接着マトリックスもしくは他のマトリックス種のパッチを用いて達成され得る。目的の送達組成物には、液体製剤(例えば、ローション(外用を意図した、懸濁液またはエマルジョンの形態の、不溶性材料を含む液体(スプレーローションを含む))および水溶液)、半固体製剤(例えば、ゲル(ゼリーなどの半固体材料を生成するために分散相が分散媒と組み合わされたコロイド)、クリーム(軟らかい固体または粘稠な液体)および軟膏(軟らかい油質の調製物))および固形製剤(例えば、局所パッチ)が含まれる。したがって、目的の送達ビヒクル成分としては、水中油型(O/W)および油中水型(W/O)のエマルジョン、ミルク調製物、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、セラム、パウダー、マスク、パック、スプレー、エアロゾル、スティックならびにパッチが挙げられるが、これらに限定されない。経皮パッチの場合、活性剤の層は、1つまたはそれを超える活性剤を含み、それらのうちの1つが、化合物Iである。ある特定の実施形態において、上記マトリックスは、接着マトリックスである。上記マトリックスは、ポリマー材料を含み得る。接着マトリックスに適したポリマーとしては、ポリウレタン、アクリレート、スチレンブロック共重合体、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、接着マトリックスとしては、アクリレートポリマー、ポリシロキサン、ポリイソブチレン(PIB)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレンブロックポリマー、それらの組み合わせなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。接着剤のさらなる例は、Satas,“Acrylic Adhesives,”Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology,2nd ed.,pp.396-456(D.Satas,ed.),Van Nostrand Reinhold,New York(1989)(この開示は、参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0121】
ある特定の実施形態において、活性剤の層は、透過促進剤を含む。その透過促進剤には、以下が含まれ得るが、これらに限定されない:脂肪族アルコール(例えば、12~22個の炭素原子を有する飽和または不飽和の高級アルコール(例えば、オレイルアルコールおよびラウリルアルコール)であるがこれらに限定されない);脂肪酸(例えば、リノール酸、オレイン酸、リノレン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびパルミチン酸であるがこれらに限定されない);脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルであるがこれらに限定されない);アルコールアミン(例えば、トリエタノールアミン、トリエタノールアミン塩酸塩およびジイソプロパノールアミンであるがこれらに限定されない);多価アルコールアルキルエーテル(例えば、多価アルコール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジグリセロール、ポリグリセロール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビタン、ソルビトール、イソソルビド、メチルグルコシド、オリゴ糖および還元オリゴ糖)のアルキルエーテル(ここで、その多価アルコールアルキルエーテルにおけるアルキル基部分の炭素原子数は、好ましくは、6~20である)であるがこれらに限定されない);ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、アルキル基部分の炭素原子数が6~20であり、ポリオキシエチレン鎖の繰り返し単位(例えば、-OCHCH-)の数が1~9である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレンオレイルエーテルであるがこれらに限定されない)であるがこれらに限定されない);グリセリド(すなわち、グリセロールの脂肪酸エステル)(例えば、6~18個の炭素原子を有する脂肪酸のグリセロールエステルであるがこれらに限定されない)、ジグリセリド、トリグリセリドまたはそれらの組み合わせ)。一部の実施形態において、ポリマーマトリックスには、ポリビニルピロリドンが含まれる。上記組成物は、1つもしくはそれを超える充填剤または1つもしくはそれを超える酸化防止剤をさらに含み得る。一部の実施形態において、記載される経皮製剤は、多層構造を有し得る。例えば、経皮製剤は、接着マトリックスおよび裏材を有し得る。
【0122】
経口投与可能か、注射可能かまたは局所的に投与可能な組成物に対して上に記載された成分は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,1985のPart 8,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(参照により本明細書中に援用される)に示されている。
【0123】
固形の本発明の化合物1はまた、徐放性の形態で投与され得るか、または徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0124】
一般に、本明細書中で提供される化合物は、有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、典型的には、関連する状況(処置される症状、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、応答、患者の症候の重症度などを含む)に照らして、医師によって決定される。
【0125】
本明細書中で提供される化合物は、単一の活性剤として投与され得るか、または他の活性剤と組み合わせて投与され得る。1つの局面において、本発明は、本発明の化合物と、別の薬理学的に活性な薬剤との組み合わせ物を提供する。組み合わせでの投与は、当業者に明らかである任意の技術(例えば、別々の投与、逐次投与、同時投与、および交互投与が挙げられる)によって進行し得る。
【0126】
本明細書中で提供される薬学的組成物の説明は、ヒトへの投与に適切な薬学的組成物を主に対象とするが、このような組成物は、一般に、全ての種類の動物への投与に適切であることを当業者は理解するであろう。ヒトへの投与に適切な薬学的組成物を様々な動物への投与に適切な組成物とするための改変は充分に理解されており、そして通常の知識を有する獣医薬理学者は、通常の実験でこのような改変を設計および/または実施し得る。薬学的組成物の製剤化および/または製造における一般的な考察は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy
第21版,Lippincott Williams&Wilkins,2005に見出すことができる。
【0127】
投与用、例えば、経口投与用の製剤
約10mg~約100mgという総1日量の化合物1
【化3】
またはその薬学的に受容可能な塩もしくはアイソトポログ(isotopologue)あるいはその薬学的組成物を、本明細書中に記載される障害の処置または予防を必要とする被験体に経口投与する工程を含む、本明細書中に記載される障害を処置または予防するための方法が、本明細書中に提供される。
【0128】
約30mg、例えば、30mgという総1日量の化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくはアイソトポログあるいはその薬学的組成物を、本明細書中に記載される障害の処置または予防を必要とする被験体に経口投与する工程を含む、本明細書中に記載される障害を処置または予防するための方法も、本明細書中に提供される。
【0129】
約30mg、例えば、30mgという総1日量の化合物1を、本明細書中に記載される障害の処置または予防を必要とする被験体に経口投与する工程を含む、本明細書中に記載される障害を処置または予防するための方法も、本明細書中に提供される。
【0130】
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくはアイソトポログあるいはその薬学的組成物は、経口投与用に製剤化され得る。本開示の一部の実施形態において、薬学的組成物は、経口投与、例えば、口によって(経口(P.O.))投与され得る投薬形態に形成される。経口投与は、錠剤、カプセル剤、チュアブルカプセル剤、持効性もしくは徐放性の錠剤およびカプセル剤ならびに/または散剤もしくは顆粒剤の形態であり得る。経口投与は、典型的には嚥下を必要とし得、その結果、化合物が消化管(GIT)に入る。経口投与用のさらなる剤形または投薬単位としては、固体製剤、例えば、錠剤、微粒子または粉末を含むカプセル剤、サシェ剤、バイアル、散剤、顆粒剤、ロゼンジ、再構成可能な散剤および液体調製物(例えば、懸濁液、エマルジョンおよびエリキシル剤)が挙げられる。
【0131】
経口剤形は、さらなる賦形剤、例えば、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、デンプン、PVP、HPMCおよびトラガント);充填剤(例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールおよびグリシン);打錠滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑剤(例えば、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルクおよび第三リン酸カルシウム)および崩壊剤(例えば、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウムおよび微結晶性セルロース)を含み得る。さらに、経口剤形は、保存剤、酸化防止剤、香料、顆粒結合剤、湿潤剤および着色剤を含み得る。
【0132】
使用される各タイプの添加物、例えば、滑剤、結合剤、崩壊剤、充填剤または希釈剤および滑沢剤の量は、当該分野における従来の範囲内で変動し得る。したがって、例えば、滑剤の量は、0.1~10重量%、特に0.1~5重量%、例えば、0.1~0.5重量%の範囲内で変動し得;結合剤の量は、約10~45重量%、例えば、20~30重量%の範囲内で変動し得;崩壊剤の量は、2~20重量%の範囲内で変動し得、例えば、15重量%であり;充填剤または希釈剤の量は、15~40重量%の範囲内で変動し得る;一方で、滑沢剤の量は、0.1~5.0重量%の範囲内で変動し得る。
【0133】
経口剤形は、当該分野で公知の手法を用いて調製され得ることが認識されるべきである。各添加物の絶対量および他の添加物に対する相対量は、同じように固体経口剤形の所望の特性に依存し、当業者によって選択され得る。
【0134】
一部の実施形態において、化合物1は、固形剤形(例えば、カプセル剤または錠剤)に製剤化される。カプセル剤は、ハードシェルカプセル剤またはソフトシェルカプセル剤であり得る。これらのクラスのカプセル剤の両方が、ゲル化剤(例えば、動物性タンパク質(主にゼラチン)または植物性多糖類もしくはそれらの誘導体(例えば、カラギナン、ならびにデンプンおよびセルロースの変性型))の水溶液から作製され得る。カプセル剤の硬度を低下させる可塑剤(例えば、グリセリンまたはソルビトール)、着色剤、保存剤、崩壊剤、滑沢剤および表面処理をはじめとした他の成分が、ゲル化剤溶液に加えられ得る。錠剤は、好適な賦形剤を含むまたは含まない医薬の固形の単位剤形として定義され得、成形または圧縮によって調製され得る。それは、粉末から固形の用量に加圧または圧縮された、活性な物質と賦形剤との混合物(通常は粉末の形態)を含み得る。賦形剤としては、希釈剤、結合剤または造粒剤、効率的な打錠を保証するための滑剤(流動助剤)および滑沢剤;消化管で錠剤が崩壊するのを促進するための崩壊剤;食味を向上させるための甘味料または香料;および錠剤を視覚的に魅力的にするためのまたは見分けられない錠剤の視覚的識別を助けるための色素が挙げられ得る。錠剤をより滑らかにして嚥下しやすくするため、活性成分の放出速度を制御するため、環境に対してより抵抗性にするため(有効期間を延長させるため)または錠剤の外観を向上させるために、ポリマーコーティングを適用してもよい。
【0135】
一部の実施形態において、化合物1は、固形の単位用量、すなわち固形剤形に製剤化される。一部の実施形態において、その固形剤形は、約0.1~約10mgの化合物1を含む。一部の実施形態において、化合物1は、約5mg~約50mgを含む固形剤形として提供される。一部の実施形態において、化合物1は、約10mg~約100mgを含む固形剤形として提供される。一部の実施形態において、化合物1は、約0.5mg、約1mg、約3mg、約5mg、約10mg、約12mg、約15mg、約18mg、約20mg、約25mg、約28mg、約30mg、例えば、30mg、約33mg、約35mg、約40mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mgまたは約110mgの化合物1を含む固形剤形として提供される。一部の実施形態において、固形剤形は、約30mg、例えば、30mgの化合物1を含む。
【0136】
投与量および薬物動態
本明細書中に記載される組成物は、治療有効量の、経口投与に適した剤形として提供される神経刺激性ステロイド(例えば、化合物1)を含む。一部の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、治療有効量の、経口投与に適した固形剤形として提供される神経刺激性ステロイド(例えば、化合物1)を含む。一部の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、治療有効量の、経口投与に適した固形剤形として提供される神経刺激性ステロイド(例えば、化合物1)を含み、それは、本明細書中に記載されるように、食物と実質的に同時に投与される。
【0137】
曲線下面積(AUC)とは、参照の神経刺激性ステロイド標準物質の経口投与後に所与の時間にわたって神経刺激性ステロイドの血清濃度(例えば、ngl/mL)を追跡する曲線下面積のことを指す。「参照の神経刺激性ステロイド」は、所望の正の効果、すなわち、神経刺激性ステロイドの投与なしで観察されるものと比較して改善された正の治療反応を達成するために、振顫(例えば、本態性振顫)、うつ病(例えば、産後うつ病)または不安障害を有するヒト被験体に投与される1時間ごとの神経刺激性ステロイドの総用量の決定に対する基準として働く神経刺激性ステロイドの製剤を意図している。ある実施形態において、投与される神経刺激性ステロイドの用量は、約100ng/mL~約1000ng/mL、約1100ng/mL~約1450ng/mL、100ng/mL~約250ng/mL、約200ng/mL~約350ng/mL、約300ng/mL~約450ng/mL、約350ng/mL~約450ng/mL、約400ng/mL~約550ng/mL、約500ng/mL~約650ng/mL、約600ng/mL~約750ng/mL、約700ng/mL~約850ng/mL、約800ng/mL~約950ng/mL、約900ng/mL~約1050ng/mL、約1000ng/mL~約1150ng/mL、約100ng/mL~約1250ng/mL、約1200ng/mL~約1350ng/mL、約1300ng/mL~約1500ng/mという最終的な血清レベルの神経刺激性ステロイドを提供する。特定の実施形態において、神経刺激性ステロイドの血清レベルは、約100ng/mL、250ng/mL、300ng/mL、350ng/mL、360ng/mL、370ng/mL、380ng/mL、390ng/mL、400ng/mL、410ng/mL、420ng/mL、430ng/mL、440ng/mL、450ng/mL、500ng/mL、750ng/mL、900ng/mL、1200ng/mL、1400ng/mLまたは1600ng/mLである。
【0138】
ある実施形態において、投与される神経刺激性ステロイドの用量は、約100nmol/L~約5000nmol/L、約100nmol/L~約2500nmol/L、約100nmol/L~約1000nmol/L、100nmol/L~約500nmol/L、約100nmol/L~約250nmol/L、約100nmol/L~約200nmol/L、約125nmol/L~約175nmol/Lまたは約140nmol/L~約160nmol/Lという最終的な血清レベルの神経刺激性ステロイドを提供する。特定の実施形態において、神経刺激性ステロイドの血清レベルは、約100nmol/L、125nmol/L、150nmol/L、175nmol/L、200nmol/L、250nmol/L、300nmol/L、350nmol/L、500nmol/L、750nmol/L、1000nmol/L、1500nmol/L、2000nmol/L、2500nmol/Lまたは5000nmol/Lである。
【0139】
使用方法
障害、例えば、CNS関連障害の処置を必要とする被験体において、そのような障害を処置する方法が、本明細書中に提供され、その方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物をその被験体に投与する工程を含む。ある特定の実施形態において、その障害は、睡眠障害、気分障害、統合失調症スペクトラム障害、痙攣障害、記憶および/または認知の障害、運動障害、人格障害、自閉症スペクトラム障害、疼痛、外傷性脳損傷、脈管疾患、物質乱用障害および/または離脱症候群、ならびに耳鳴からなる群より選択されるCNS関連障害である。一部の実施形態において、その障害は、うつ病、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、その障害は、併存障害(例えば、人格障害と併存するうつ病または人格障害と併存する睡眠障害)である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような神経障害である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような神経障害である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような精神障害である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような発作性障害である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような神経炎症性障害である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような緑内障または代謝障害である。一部の実施形態において、その障害は、本明細書中に記載されるような感覚消失障害である。化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的組成物を神経保護薬として使用する方法も、本明細書中に提供される。化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的組成物を鎮痛薬または疼痛管理のための他の薬剤として使用する方法も、本明細書中に提供される。
【0140】
神経障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、神経障害などの本明細書中に記載される障害の処置において、使用され得る。例示的な神経障害としては、本明細書中に記載されるような、神経変性障害、神経発達障害、神経内分泌障害および神経内分泌機能不全、運動障害ならびに睡眠障害が挙げられるが、これらに限定されない。
神経変性障害
【0141】
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、神経変性障害の処置において、使用され得る。
【0142】
用語「神経変性疾患」は、ニューロンの構造もしくは機能の進行性の喪失、またはニューロンの死に関連する、疾患および障害を含む。神経変性疾患および障害としては、アルツハイマー病(軽症、中等度または重篤な認知機能障害の関連する症状を含む);筋萎縮性側索硬化症(ALS);無酸素性および虚血性の損傷;良性健忘;脳水腫;小脳性運動失調(マクラウド神経有棘赤血球症症候群(MLS)が挙げられる);閉鎖性頭部外傷;昏睡;挫傷による損傷(例えば、脊椎損傷および頭部損傷);痴呆(多発脳梗塞性痴呆および老年痴呆が挙げられる);意識の障害;ダウン症候群;脆弱X症候群;ジル・ド・ラ・ツレット症候群;頭部外傷;聴覚障害および聴覚損失;ハンティングトン病;レノックス症候群;精神遅滞;ニューロン損傷(眼の損傷、眼の網膜症または黄斑変性が挙げられる);脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、出血性卒中、脳虚血、脳血管痙攣、低血糖症、健忘症、低酸素症、無酸素症、周産期仮死および心拍停止の後の神経毒性障害;パーキンソン病;脳卒中;耳鳴;尿細管硬化症、ならびにウイルス感染により誘導される神経変性(例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)および脳障害により引き起こされるもの)が挙げられるが、これらに限定されない。神経変性疾患としてはまた、脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、出血性卒中、脳虚血、脳血管痙攣、低血糖症、健忘症、低酸素症、無酸素症、周産期仮死および心拍停止の後の神経毒性障害が挙げられるが、これらに限定されない。神経変性疾患を処置または予防する方法はまた、神経変性障害に特徴的であるニューロン機能の喪失を処置または予防する工程を含む。
【0143】
神経発達障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、神経発達障害などの本明細書中に記載される障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、神経発達障害は、自閉症スペクトラム障害である。一部の実施形態において、神経発達障害は、スミス・レムリ・オピッツ症候群である。
【0144】
神経内分泌障害
神経内分泌障害および機能不全を処置するために使用され得る方法が、本明細書中に提供される。本明細書中で使用される場合、「神経内分泌障害」または「神経内分泌機能不全」とは、脳に直接関連する身体のホルモン産生の不均衡によって引き起こされる種々の状態のことを指す。神経内分泌障害には、神経系と内分泌系との間の相互作用が関わる。視床下部および脳下垂体は、ホルモンの産生を制御する脳の2つの領域であるので、例えば外傷性脳損傷による、視床下部または脳下垂体への損傷は、ホルモンの産生および脳の他の神経内分泌機能に影響し得る。一部の実施形態において、神経内分泌障害または機能不全は、女性の健康障害または状態(例えば、本明細書中に記載される女性の健康障害または状態)と関連する。一部の実施形態において、女性の健康障害または状態と
関連する神経内分泌障害または機能不全は、多嚢胞性卵巣症候群である。
【0145】
神経内分泌障害の症状としては、行動性、情動性および睡眠関連の症状、生殖機能に関連する症状、ならびに身体症状が挙げられるが、これらに限定されず、それらの症状としては、疲労、記憶不良、不安、うつ、体重増加または減少、情動不安定、集中力欠如、注意困難、性欲減退、不妊、無月経、筋肉量の低下、腹部体脂肪の増加、低血圧、低心拍数、脱毛、貧血、便秘、寒冷不耐性および皮膚乾燥が挙げられるが、これらに限定されない。
【0146】
運動障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、運動障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、運動障害は、本態性振顫、全身硬直症候群、痙性、Freidrich運動失調、小脳性運動失調、ジストニー、トゥーレット症候群、脆弱X関連振顫または運動失調症候群、薬物により誘導されるかまたは薬剤により誘導される振顫麻痺(例えば、精神遮断薬により誘導される急性静座不能、急性失調症、振顫麻痺もしくは遅発性ジスキネジー、神経弛緩薬性悪性症候群、または薬剤により誘導される姿勢振顫)、運動失調、小脳性運動失調(マクラウド神経有棘赤血球症症候群(MLS)が挙げられる)、レボドパにより誘導されるジスキネジー、運動不能症および無動(硬直)症候群を含む運動障害(脳幹神経石灰化、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、振顫麻痺-ALS痴呆複合症、パーキンソン病、脳炎後振顫麻痺および進行性核上性麻痺が挙げられる);筋肉の痙縮および筋肉の痙性または虚弱に関連する障害(舞踏病(例えば、良性遺伝性舞踏病、薬物により誘導される舞踏病、片側バリスム、ハンティングトン病、神経有棘赤血球症、シドナム舞踏病および症候性舞踏病)、ジスキネジー(複合チック、単純チックおよび症候性チックなどのチックが挙げられる)、ミオクローヌス(全身性ミオクローヌスおよび限局性シロクローヌス(focal cyloclonus)が挙げられる)、振顫(例えば、安静時振顫、姿勢振顫および企図振顫)あるいは失調症(軸性失調症、ジストニー性書痙、片麻痺性失調症、発作性失調症および限局性失調症(例えば、眼瞼痙攣、口顎ジストニア(oromandibular dystonia)、ならびに痙攣性発声障害および斜頚)が挙げられる)が挙げられる)である。
【0147】
本明細書中で使用される場合、「運動障害」とは、運動過剰障害および関係する筋肉制御の異常に関連する種々の疾患および障害のことを指す。例示的な運動障害としては、パーキンソン病および振顫麻痺(特に運動緩徐によって定義される)、ジストニー、舞踏病およびハンティングトン病、運動失調、振顫(例えば、本態性振顫)、ミオクローヌスおよび驚愕、チックおよびトゥーレット症候群、下肢静止不能症候群、スティッフパーソン症候群ならびに歩行障害が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な運動障害としては、パーキンソン病および振顫麻痺(特に運動緩徐によって定義される)、ジストニー、舞踏病およびハンティングトン病、運動失調、振顫(例えば、本態性振顫)、ミオクローヌスおよび驚愕、チックおよびトゥーレット症候群、下肢静止不能症候群、スティッフパーソン症候群ならびに歩行障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
振顫
本明細書中に記載される方法は、振顫を処置するために使用され得、例えば、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、例えば、小脳性振顫または企図振顫、ジストニー性振顫、本態性振顫、起立性振顫、パーキンソン振顫、生理的振顫、心因性振顫または赤核振顫(rubral tremor)を処置するために使用され得る。振顫には、遺伝性、変性および特発性の障害、例えば、それぞれウィルソン病、パーキンソン病および本態性振顫;代謝疾患(例えば、甲状腺(thyoid)-副甲状腺疾患、肝疾患および低血糖症);末梢神経障害(シャルコー・マリー・トゥース病、ルシー・レヴィ病、真性糖尿病、複合性局所性疼痛症候群に関連する);毒素(ニコチン、水銀、鉛、CO、マンガン、ヒ素、トルエン)により誘導される障害;薬物(睡眠薬、三環系抗うつ薬(tricyclics)、リチウム、コカイン、アルコール、アドレナリン、気管支拡張薬、テオフィリン、カフェイン、ステロイド、バルプロエート、アミオダロン、甲状腺ホルモン、ビンクリスチン)により誘導される障害;ならびに心因性障害が含まれる。臨床上の振顫は、生理的振顫、疲労誘発性生理的振顫(enhanced physiologic tremor)、本態性振顫症候群(古典的本態性振顫、原発性起立性振顫ならびにタスク特異的および体位特異的振顫を包含する)、ジストニー性振顫、パーキンソン振顫、小脳性振顫、ホームズ振顫(すなわち、赤核振顫)、口蓋振顫、神経障害性振顫、中毒性または薬剤性振顫および心因性振顫に分類され得る。
【0149】
振顫は、1つまたはそれを超える身体部分(例えば、手、腕、眼、顔面、頭部、声帯ヒダ、体幹、および脚)の振動または攣縮を伴い得る、不随意の、時にリズミカルな、筋肉の収縮および弛緩である。
【0150】
小脳性振顫または企図振顫は、意図的動作の後に起きる四肢のゆっくりとした広範な振顫である。小脳性振顫は、例えば、腫瘍、脳卒中、疾患(例えば、多発性硬化症、遺伝性変性障害)に起因する、小脳における病変または小脳への損傷によって引き起こされる。
【0151】
ジストニー性振顫は、持続性の不随意筋収縮がねじりおよび反復の運動ならびに/または有痛性の異常な姿勢もしくは体位を引き起こす運動障害であるジストニーを患っている個体において生じる。ジストニー性振顫は、身体の任意の筋肉に影響し得る。ジストニー性振顫は、不規則に起こり、しばしば絶対安静によって緩和し得る。
【0152】
本態性振顫または良性本態性振顫は、最も一般的なタイプの振顫である。本態性振顫は、一部では軽症かつ非進行性である場合もあり、身体の片側から始まるが3年以内に両側が影響を受けるゆっくりとした進行性である場合もある。最も頻繁に影響を受けるのは手であるが、頭部、声、舌、脚および体幹も関与し得る。振顫の頻度は、歳を取るにつれて減少し得るが、重症度は高まり得る。感情の高ぶり、ストレス、発熱、肉体疲労または低血糖が、振顫を引き起こし得、かつ/またはその重症度を高め得る。症状は、一般に、長期に亘って発展していき、発症後に目に見えるようになり、かつ持続し得る。
【0153】
起立性振顫は、起立直後の脚および体幹に起きる速い(例えば、12Hz超の)リズミカルな筋収縮により特徴付けられる。痙攣は、大腿および脚に感じ、患者は、一点で起立するように求められた場合に抑え切れずに震えることがある。起立性振顫は、本態性振顫を有する患者に起こることがある。
【0154】
パーキンソン振顫は、運動を制御する脳内の構造に対する損傷によって引き起こされる。パーキンソン振顫は、パーキンソン病の前兆であることが多く、典型的には、手の「丸薬丸め」運動として見られ、おとがい、口唇、脚および体幹にも影響し得る。パーキンソン振顫の発症は、典型的には、60歳以降に開始する。運動は、片肢または身体の片側で始まり、進行して、もう片側にも及び得る。
【0155】
生理的振顫は、正常な個体に生じ得、臨床的有意性を有しない。生理的振顫は、全ての随意筋群に見られ得る。生理的振顫は、特定の薬物、アルコール離脱(alcohol withdrawl)、または甲状腺機能亢進および低血糖症を含む病状によって引き起こされ得る。この振顫は、古典的に約10Hzの周波数を有する。
【0156】
心因性振顫またはヒステリー性振顫は、安静時または姿勢運動中もしくは活動的運動中に生じ得る。心因性振顫を有する患者は、転換性障害または別の精神医学的疾患を有し得る。
【0157】
赤核振顫は、安静時、姿勢時および意図したときに顕れ得るゆっくりとした粗大振顫により特徴付けられる。この振顫は、中脳の古典的な珍しい脳卒中において赤核に影響する状態に関連し得る。
【0158】
パーキンソン病は、ドーパミンを産生する脳の神経細胞に影響する。症状としては、筋硬直、振顫ならびに発語および歩行の変化が挙げられる。振顫麻痺は、振顫、運動緩徐、硬直および体位不安定により特徴付けられる。振顫麻痺は、パーキンソン病に見られる症状(symptons)を共有するが、進行性の神経変性疾患ではなく症状群である。
【0159】
ジストニーは、異常であってしばしば反復性の運動または姿勢を引き起こす持続的または断続的な筋収縮により特徴付けられる運動障害である。ジストニー運動は、パターン化し得、ねじりであり得、振顫性であり得る。ジストニーは、随意運動によって惹起または悪化することが多く、筋肉の活性化のオーバーフローに関連することが多い。
【0160】
舞踏病は、典型的には肩、臀部および顔面に影響する律動性不随意運動により特徴付けられる神経障害である。
【0161】
ハンティングトン病は、脳の神経細胞を衰弱させる遺伝性疾患である。症状としては、制御不可能な運動、不器用および平衡障害が挙げられる。ハンティングトン病は、歩行、談話および嚥下を妨げ得る。
【0162】
運動失調とは、身体運動の完全制御の喪失のことを指し、指、手、腕、脚、身体、言語および眼球運動に影響し得る。
【0163】
ミオクローヌス(Myloclonus)および驚愕は、聴覚性、触覚性、視覚性または前庭性であり得る突然かつ予想外の刺激に対する反応である。
【0164】
チックは、通常突然に発症し、短い反復性であるがリズミカルでない、典型的には、正常な行動を模倣し、正常な活動のバックグラウンドの範囲外で生じることが多い、不随意運動である。チックは、運動チックまたは音声チックに分類され得、運動チックは運動に関連し、音声チックは音に関連する。チックは、単純型または複合型として特徴付けられ得る。例えば、単純型運動チックは、特定の身体部分に限定されたいくつかの筋肉だけが関わっている。トゥーレット症候群は、小児期に発症する遺伝性の神経精神障害であり、複数の運動チックおよび少なくとも1つの音声チックにより特徴付けられる。
【0165】
下肢静止不能症候群は、安静時に脚を動かそうとする抗しがたい衝動により特徴付けられる神経性の感覚運動障害である。
【0166】
スティッフパーソン症候群は、通常、腰および脚が関与する、不随意の有痛性攣縮および筋肉の硬直により特徴付けられる進行性の運動障害である。典型的には、腰部の過度の脊柱前弯過度を伴う強直性歩行が生じる。典型的には、傍脊椎の体軸筋の連続的な運動単位活動のEMG記録における特徴的な異常が認められる。異型としては、限局性硬直をもたらす、典型的には脚の遠位部および足に影響する、「四肢硬直(stiff-limb)症候群」が挙げられる。
【0167】
歩行障害とは、神経筋の、関節炎の、または他の身体の変化に起因する、歩行の様式またはスタイルにおける異常(abnormalitiy)のことを指す。歩行は、異常な歩行運動に関する体系に従って分類され、歩行には、片麻痺歩行、両麻痺歩行(diplegic gait)、神経障害性歩行、筋障害性歩行、パーキンソン病様歩行、舞踏病様歩行、失調性歩行および感覚性歩行が含まれる。
【0168】
睡眠障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、睡眠障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、睡眠障害は、別の障害と併存する(例えば、人格障害と併存する睡眠障害)。
【0169】
精神障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、精神障害などの本明細書中に記載される障害の処置において、使用され得る。例示的な精神障害としては、本明細書中に記載されるような、気分障害、不安障害、精神病性障害および衝動制御障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
気分障害
気分障害、例えば臨床的うつ病、産後うつ病もしくは産後うつ、周産期うつ病、非定型うつ病、メランコリー型うつ病、心因性大うつ病、緊張性うつ病、季節性情動障害、気分変調、二重抑うつ症、抑うつ性格障害、再発性短期うつ病、小うつ病性障害、双極性障害もしくは躁うつ病性障害、慢性病状によって引き起こされるうつ病、併存うつ病(comorbid depression)、処置抵抗性うつ病、難治性うつ病、自殺、自殺念慮または自殺行動を処置するための方法もまた、本明細書中に提供される。一部の実施形態において、本明細書中に記載の方法は、うつ病(例えば、中程度または重度のうつ病)に罹患している被験体に対して治療効果を提供する。一部の実施形態において、気分障害は、本明細書中に記載の疾患または障害(例えば、神経内分泌疾患および障害、神経変性疾患および障害(例えば、てんかん)、運動障害、振顫(例えば、パーキンソン病)、女性の健康障害または健康状態)に関連する。
【0171】
臨床的うつ病は、大うつ病、大うつ病性障害(MDD)、単極性うつ病、単極性障害および反復性うつ病としても知られ、低い自尊心および通常は楽しめる活動への興味または喜びの喪失を伴う広汎性および持続性の落ち込んだ気分により特徴付けられる精神障害のことを指す。臨床的うつ病を有する一部の人は、睡眠が難しく、やせて、概して動揺を感じ、被刺激性になる。臨床的うつ病は、個体がどのように感じるか、考えるかおよび振る舞うかに影響し、種々の情動的および肉体的な問題に至り得る。臨床的うつ病を有する個体は、日々の活動を行うのに苦労することがあり、生きていく価値がないかのように感じることがある。
【0172】
周産期うつ病は、妊娠中のうつ病を指す。症状には、被刺激性、号泣、焦燥感、睡眠困難、極度の疲労(情動的および/または肉体的)、食欲の変化、集中困難、不安および/または心配の増加、乳児および/または胎児から離れたいという感情、ならびに以前楽しかった活動への興味喪失が含まれる。
【0173】
産後うつ病(PND)は、産後うつ(PPD)とも称され、出産後の女性が罹る臨床的うつ病の一種のことを指す。症状としては、悲哀、疲労、睡眠および食習慣の変化、性的願望の低下、号泣エピソード、不安ならびに被刺激性が挙げられ得る。一部の実施形態において、PNDは、処置抵抗性うつ病(例えば、本明細書中に記載される処置抵抗性うつ病)である。一部の実施形態において、PNDは、難治性うつ病(例えば、本明細書中に記載される難治性うつ病)である。
【0174】
一部の実施形態において、PNDを有する被験体はまた、妊娠中にうつ病またはうつ病の症候を経験している。このうつ病は、本明細書中では周産期うつ病と称される。ある実施形態において、周産期うつ病を経験している被験体は、PNDを経験するリスクが高い。
【0175】
非定型うつ病(AD)は、気分反応性(例えば、逆説的快感消失(paradoxical anhedonia))および積極性、著しい体重増加または食欲亢進により特徴付けられる。ADに罹患している患者は、過剰な睡眠または傾眠(睡眠過剰)、四肢重感、および認知される対人拒絶への過敏性の結果としての著しい社会的障害も有し得る。
【0176】
メランコリーうつ病は、ほとんどまたは全ての活動に対する喜びの喪失(快感消失)、楽しい刺激に反応しないこと、悲嘆もしくは喪失の気分よりも明白な抑うつ気分、過剰な体重減少、または過度の罪悪感により特徴付けられる。
【0177】
精神病性大うつ病(PMD)または精神病性うつ病とは、個体が妄想および幻覚などの精神病性の症状を経験する、大うつ病エピソード、特に、メランコリー性質の大うつ病エピソードのことを指す。
【0178】
緊張性うつ病とは、運動行動の障害および他の症状を伴う大うつ病のことを指す。個体は、口がきけなくなり、昏迷状態になることがあり、動けなくなるか、または目的のない運動もしくは奇異な運動を示す。
【0179】
季節性感情障害(SAD)とは、個体が秋または冬に生じ始める季節性のパターンのうつ病エピソードを有する季節性うつ病の一種のことを指す。
【0180】
気分変調とは、単極性うつ病に関連する状態のことを指し、同じ身体的および認知的な問題が、明らかである。それらは、それほど重篤ではなく、長く(例えば、少なくとも2年)続く傾向がある。
【0181】
二重うつ病とは、少なくとも2年続き、大うつ病の期間によって時々中断する、かなり抑うつの気分(気分変調)のことを指す。
【0182】
抑うつ性人格障害(DPD)とは、うつ病性の特徴を有する人格障害のことを指す。
【0183】
反復性短期うつ病(Recurrent Brief Depression)(RBD)とは、個体が1ヶ月に約1回、うつ病エピソードを有する状態のことを指し、その各エピソードは、2週間またはより短期間、典型的には、2~3日未満続く。
【0184】
小うつ病性障害または小うつ病とは、少なくとも2つの症状が2週間存在するうつ病のことを指す。
【0185】
慢性病状によって引き起こされるうつ病とは、がんまたは慢性疼痛、化学療法、慢性ストレスなどの慢性病状によって引き起こされるうつ病のことを指す。
【0186】
処置抵抗性うつ病とは、個体がうつ病の処置を受けているが症状が改善しない状態のことを指す。例えば、抗うつ薬または心理学的カウンセリング(精神療法)は、処置抵抗性うつ病を有する個体のうつ症状を和らげない。いくつかの症例では、処置抵抗性うつ病を有する個体は、症状を改善するが、戻ってしまう。難治性うつ病は、三環系抗うつ薬、MAOI、SSRIならびに二重および三重取り込み阻害薬、ならびに/または抗不安薬を含む標準的な薬理学的処置、ならびに非薬理学的処置(例えば、精神療法、電気ショック治療、迷走神経刺激および/または経頭蓋磁気刺激)に抵抗性のうつ病に罹患している患者において生じる。
【0187】
術後うつ病は、(例えば、死への直面の結果としての)外科的処置に続くうつ状態を指す。例えば、個体は、持続的な悲しみもしくは空虚感、普段楽しんでいた趣味および活動への喜びまたは興味の喪失、または持続的な無価値感もしくは絶望感を感じ得る。
【0188】
女性の健康状態または健康障害に関連する気分障害は、女性の健康状態または健康障害(例えば、本明細書中に記載のもの)に関連する(例えば、起因する)気分障害(例えば、うつ病)を指す。
【0189】
自殺傾向、希死念慮、自殺行動とは、個体が自殺を犯す傾向のことを指す。希死念慮は、自殺に関する考えまたは自殺への異常な執着に関係する。希死念慮の範囲は、例えば、瞬間的な考えから広範な考え、詳細な計画、ロールプレイング、不完全な試みまで、大きく異なる。症状としては、自殺について話すこと、自殺を犯す手段を入手すること、社会的接触を断つこと、死のことばかり考えていること、身動きが取れないまたはある状況について望みがないと感じること、アルコールまたは薬物の使用が増えること、危険なまたは自滅的なことを行うこと、二度と会えないかのように人々に別れを告げることが挙げられる。
【0190】
うつ病または人格障害は、また、別の障害と併存し得る。例えば、うつ病は、人格障害と併存し得る。別の例では、人格障害は、睡眠障害と併存し得る。
【0191】
うつ病の症状としては、持続的な不安なまたは悲しい感情、無力な感情、無希望、悲観主義、無価値、低エネルギー、焦燥感、睡眠困難、不眠、被刺激性、疲労、運動の問題(motor challenges)、愉快な活動または趣味への興味喪失、集中力の低下、エネルギーの低下、低い自尊心、前向きな考えまたは計画が無いこと、過剰な睡眠、過食、食欲の喪失、不眠症、自傷、自殺の考えおよび自殺の試みが挙げられる。症状の存在、重症度、頻度および持続時間は、場合によって異なり得る。うつ病の症状およびその緩和は、医師または心理学者(例えば、精神状態の検査)によって確かめられ得る。
【0192】
不安障害
不安障害(例えば、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、恐怖症、心的外傷後ストレス障害)を処置する方法が本明細書中に提供される。不安障害とは、数種の異なる形態の、異常なおよび病理学的な恐怖および不安を網羅する、総括的な用語である。現在の精神医学的診断基準は、広範な種々の不安障害を認識している。
【0193】
全般性不安障害とは、いずれの1つの対象にも状況にも焦点を合わせられない、長期にわたる不安によって特徴付けられる、一般的な慢性障害である。全般性不安に苦しむ人々は、非特異的な持続性の恐怖および心配を経験し、そして平凡な事態を過剰に心配するようになる。全般性不安障害は、高齢の成人に影響を与える最も一般的な不安障害である。
【0194】
パニック障害において、ヒトは、強い恐怖および気がかりの短時間の発作に苦しみ、しばしば、振顫、震え、錯乱、眩暈感、悪心、呼吸困難により特徴付けられる。これらのパニック発作(APAにより、不意に起こり、10分未満でピークに達する恐怖または不快と定義される)は、数時間持続し得、そしてストレス、恐怖、または運動によってさえも誘発され得るが、特定の原因が常に明らかであるわけではない。再発性の予測できないパニック発作に加えて、恐怖性障害の診断はまた、その発作が慢性的な結果(その発作の潜在的な意味に対する心配、将来の発作に対する持続的な恐怖、またはその発作に関する行動の有意な変化のいずれか)を有することを必要とする。従って、恐怖性障害の患者は、特定のパニックエピソードの範囲外でさえも、症状を経験する。しばしば、心拍動の通常の変化が、パニックに苦しむ人により気付かれ、心臓がどこか具合が悪い、または別のパニック発作に罹っているところであると考えさせる。いくつかの症例において、身体機能の高まった知覚(過剰覚醒(hypervigilance))が、パニック発作中に起こり、この場合、何らかの知覚される生理学的変化が、生命を脅かす可能な疾病と解釈される(すなわち、過度の心気症)。
【0195】
強迫性障害とは、不安障害の1つの型であり、反復的な強迫観念(窮迫した、持続性の、侵害的な思考または心像)および脅迫行為(特定の動作または儀式を行う衝動)により主として特徴付けられる。OCDの思考パターンは、そのヒトが現実には存在していない原因的関係を信じることを包含する限り、迷信に結び付けられ得る。しばしば、そのプロセスは完全に非論理的である。例えば、特定のパターンでの歩行という強迫行為は、切迫した危険の強迫観念を軽減するために使用され得る。そして多くの症例において、この強迫行為は完全に説明不可能ではなく、単に、神経質により誘発される儀式を完遂することの衝動である。症例のうちの少数において、OCDの患者は、明白な強迫行為なしに強迫観念を経験するのみであり得、より少数の患者は、強迫行為のみを経験する。
【0196】
不安障害の1つの最も大きいカテゴリーは、恐怖症のものであり、これは、恐怖および不安が特定の刺激または状況によって誘発される、全ての症例を包含する。患者は代表的に、自分の恐怖の対象(これは、動物、場所、体液に及ぶ何かであり得る)に遭遇することからの恐ろしい結果を予期する。
【0197】
心的外傷後ストレス障害またはPTSDとは、外傷性の経験から生じる不安障害である。外傷後ストレスは、極端な状況(例えば、戦争、強姦、人質の状況、または重大な災難でさえも)から生じ得る。これはまた、重篤なストレッサーへの長期間の(慢性的な)曝露から生じ得る(例えば、個々の戦闘には耐えるが連続的な戦争にはうまく対処できない兵士)。一般的な症状としては、フラッシュバック、回避行動、およびうつ病が挙げられる。
【0198】
精神病性障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、精神病性障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、衝動制御障害は、統合失調症または双極性障害である。一部の実施形態において、精神病性障害は、統合失調症である。一部の実施形態において、精神病性障害は、双極性障害である。
【0199】
双極性障害または躁うつ病性障害は、ハイ(highs)の情動(躁病または軽躁病)およびロー(lows)の情動(うつ病)を含む極端な気分変動を引き起こす。
衝動制御障害
【0200】
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、衝動制御障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、衝動制御障害は、神経性食欲不振またはアルコール離脱である。一部の実施形態において、衝動制御障害は、神経性食欲不振である。一部の実施形態において、衝動制御障害は、神経性食欲不振である。
発作性障害
【0201】
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、発作性障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、発作性障害は、てんかんである。一部の実施形態において、発作性障害は、てんかん発作重積状態、例えば、痙攣性てんかん発作重積状態、例えば、早期てんかん発作重積状態、確立したてんかん発作重積状態、難治性てんかん発作重積状態または超難治性てんかん発作重積状態である。一部の実施形態において、発作性障害は、運動起始(自動症、無緊張、間代、てんかん性痙攣、運動過剰、ミオクローヌスおよび緊張)または非運動起始(自律神経、行動停止、認知、情動性および感覚性)の焦点性発作、運動起始(強直間代性、間代、ミオクローヌス、ミオクローヌス-強直間代性、ミオクローヌス-無緊張、無緊張、てんかん性痙攣)または非運動起始(無し)の全般発作、不明な運動起始(強直間代性、てんかん性痙攣)または非運動起始(行動停止)の発作、臨床症候群(例えば、ドラベ症候群、レット症候群、レノックスガストー(Lennox Gasteau)症候群、結節性硬化症、アンジェルマン症候群、月経随伴性てんかん)に関連する発作である。一部の実施形態において、発作性障害は、統合失調感情障害、または統合失調症を処置するために使用される薬物によって引き起こされる発作である。
【0202】
てんかん
てんかんは、長期に亘って繰り返される発作によって特徴付けられる脳障害である。てんかんのタイプには、これらに限定されないが、全般性てんかん、例えば、小児欠神てんかん、若年性のミオクローヌス(nyoclonic)てんかん、覚醒時大発作の発作を伴うてんかん、ウエスト症候群、レノックス-ガストー症候群、部分てんかん、例えば、側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、小児期の良性の焦点性てんかんが含まれることができる。
【0203】
てんかん発作重積状態(SE)
てんかん発作重積状態(SE)には、例えば、痙攣性てんかん発作重積状態、例えば、早期てんかん発作重積状態、確立したてんかん発作重積状態、難治性てんかん発作重積状態、超難治性てんかん発作重積状態;非痙攣性てんかん発作重積状態、例えば、全般性てんかん発作重積状態、複雑性部分てんかん発作重積状態;全般性周期性てんかん型放電;および周期性一側性てんかん型放電を含むことができる。痙攣性てんかん発作重積状態は、痙攣性てんかん重積発作の存在によって特徴付けられ、早期てんかん発作重積状態、確立したてんかん発作重積状態、難治性てんかん発作重積状態、超難治性てんかん発作重積状態を含むことができる。早期てんかん発作重積状態は、第一選択治療で処置される。確立したてんかん発作重積状態は、第一選択治療による処置にも関わらず持続するてんかん重積発作によって特徴付けられ、第二選択治療が行われる。難治性てんかん発作重積状態は、第一選択治療および第二選択治療による処置にも関わらず持続するてんかん重積発作によって特徴付けられ、全身麻酔剤が一般に投与される。超難治性てんかん発作重積状態は、第一選択治療、第二選択治療および24時間またはそれを超える全身麻酔剤による処置にも関わらず持続するてんかん重積発作によって特徴付けられる。
【0204】
非痙攣性てんかん発作重積状態は、例えば、焦点性非痙攣性てんかん発作重積状態、例えば、複雑性部分非痙攣性てんかん発作重積状態、単純部分非痙攣性てんかん発作重積状態、微細非痙攣性てんかん発作重積状態;全般性非痙攣性てんかん発作重積状態、例えば、晩期発症型欠神非痙攣性てんかん発作重積状態、非定型欠神非痙攣性てんかん発作重積状態、または定型欠神非痙攣性てんかん発作重積状態を含むことができる。
【0205】
発作
発作とは、脳内の異常な電気活性のエピソードの後に起こる、行動の身体的知見または変化である。用語「発作」はしばしば、「痙攣」と交換可能に使用される。痙攣は、ヒトの身体が急速に制御不可能に震える場合である。痙攣中に、そのヒトの筋肉は、収縮と弛緩とを繰り返す。
【0206】
行動および脳の活性の型に基づいて、発作は、2つの広いカテゴリー、すなわち、全身および部分(局所または限局性とも呼ばれる)に分けられる。発作の型を分類することは、患者がてんかんを有するか否かを医師が診断することを補助する。
【0207】
全身発作は、脳全体からの電気インパルスにより発生し、一方で、部分発作は、脳の比較的小さい部分の電気インパルスによって(少なくとも最初は)発生する。発作を発生させる脳の部分は時々、病巣と呼ばれる。全身発作には、6つの型が存在する。最も一般的かつ劇的であり、従って最も周知であるものは、全身痙攣(大発作とも呼ばれる)である。この型の発作において、患者は意識を失い、そして通常、虚脱する。この意識消失の後に、全身の身体硬直(発作の「緊張」段階と呼ばれる)が30~60秒間起こり、次いで激しい攣縮(「間代」段階)が30~60秒間起こり、その後、この患者は深い睡眠に落ちる(「発作後(postictal)」または発作後(after-seizure)段階)。大発作中に、障害および事故(例えば、舌を噛むことおよび尿失禁)が起こり得る。
【0208】
アブサンス発作は、症状がほとんどまたは全くない、短時間(ほんの数秒間)の意識消失を引き起こす。患者(最も頻繁には小児である)は代表的に、活動を中断し、そしてぼんやりと見つめる。これらの発作は、不意に開始して終了し、1日に数回起こり得る。患者は通常、「時間を失うこと」に気付き得る場合を除いて、自分が発作を有するとは気付かない。
【0209】
ミオクローヌス発作は、通常は身体の両側での、散発性攣縮からなる。患者は時々、これらの攣縮を、短い電気ショックと説明する。激しい場合、これらの発作は、物体を落とすこと、または不随意に投げることをもたらし得る。
【0210】
間代発作は、同時に身体の両側が関与する、反復性の律動性攣縮である。
【0211】
強直発作は、筋肉の硬直により特徴付けられる。
【0212】
無緊張発作は、突然の全身(特に、腕および脚)の筋緊張の低下からなり、しばしば、転倒をもたらす。
【0213】
本明細書に記載される発作は、てんかん発作;急性反復性発作;群発性発作;連続発作;間断のない発作;持続性発作;再発性発作;てんかん重積発作、例えば、難治性痙攣性てんかん発作重積状態、非痙攣性てんかん重積発作;難治性発作;ミオクローヌス発作;強直発作;強直間代発作;単純性部分発作;複雑性部分発作;二次性全般性発作;非定型欠神発作;欠神発作;無緊張発作;良性のローランド発作;熱性発作;情動発作;焦点性発作;笑い発作;全般性発症発作;点頭痙攣;ジャックソン発作;汎発性両側性ミオクローヌス発作;多焦点性発作;新生児期発症発作;夜間発作;後頭葉発作;外傷後発作;微細発作;シルヴァン発作(Sylvan seizures);視覚性反射発作;または離脱発作を含むことができる。一部の実施形態において、発作は、ドラベ症候群、レノックス-ガストー症候群、複合結節性硬化症、レット症候群またはPCDH19女児てんかんと関連する全身発作である。
【0214】
神経炎症性障害
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、神経炎症性障害などの本明細書中に記載される障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、神経炎症性障害は、多発性硬化症または連鎖球菌感染性小児自己免疫神経精神障害(PANDAS)である。
痛覚消失/疼痛管理
【0215】
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、鎮痛薬または疼痛管理のための他の薬剤として使用され得る。一部の実施形態において、固形の化合物1またはその薬学的に受容可能な組成物は、炎症性疼痛、神経因性疼痛、線維筋痛症または末梢神経障害を処置するために、鎮痛薬または疼痛管理のための他の薬剤として使用され得る。
感覚消失障害
【0216】
化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは薬学的に受容可能な組成物は、本明細書中に記載される方法において、例えば、感覚消失障害などの本明細書中に記載される障害の処置において、使用され得る。一部の実施形態において、感覚消失障害は、耳鳴または共感覚である。一部の実施形態において、感覚消失障害は、聴覚障害および/または聴覚損失である。
【0217】
障害、例えば、大うつ病性障害のための処置を評価する方法
治療薬、例えば、化合物1による処置を受ける前および受けた後に、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を有する被験体を評価するための方法も、本明細書中に提供される。一部の実施形態において、その方法は、公知のうつ病尺度、例えば、ハミルトンうつ病(HAM-D)尺度、臨床全般印象改善尺度(CGI)およびモントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)を用いて被験体をモニターする工程を含む。一部の実施形態において、治療効果は、被験体が示すハミルトンうつ病(HAM-D)総スコアの低下によって測定され得る。そのHAM-D総スコアの低下は、4、3、2もしくは1日以内;または96、84、72、60、48、24、20、16、12、10、8時間以内もしくはそれ未満以内に生じ得る。治療効果は、特定の処置期間にわたって評価され得る。例えば、治療効果は、化合物1を投与した後(例えば、投与の12、24もしくは48時間後;または24、48、72もしくは96時間後またはそれを超えた後;または1日、2日、14日、21日もしくは28日;または1週間、2週間、3週間もしくは4週間;または1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月または10ヶ月;または1年、2年もしくは生涯にわたって)、ベースラインからのHAM-D総スコアの低下によって測定され得る。
【0218】
一部の実施形態において、被験体は、軽度のうつ病性障害、例えば、軽度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、中程度のうつ病性障害、例えば、中程度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、重度のうつ病性障害、例えば、重度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体は、非常に重度のうつ病性障害、例えば、非常に重度の大うつ病性障害を有する。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコア(すなわち、化合物1による処置の前)は、少なくとも24である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、少なくとも18である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、14および18を含む14と18との間である。一部の実施形態において、被験体のベースラインHAM-D総スコアは、19および22を含む19と22との間である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、23を超えるかまたは23と等しい。一部の実施形態において、ベースラインスコアは、少なくとも10、15または20である。一部の実施形態において、化合物1で処置した後の被験体のHAM-D総スコアは、約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2または1.8)である。一部の実施形態において、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアは、10、7、5または3未満である。一部の実施形態において、HAM-D総スコアの低下は、約20~30(例えば、22~28、23~27、24~27、25~27、26~27)のベースラインスコアから、化合物1で処置した後の約0~10(例えば、10未満;0~10、0~6、0~4、0~3、0~2または1.8)のHAM-D総スコアへの低下である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアから、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアへの低下は、少なくとも1、2、3、4、5、7、10、25、40、50または100倍)である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアから、化合物1で処置した後のHAM-D総スコアへの減少率は、少なくとも50%(例えば、60%、70%、80%または90%)である。一部の実施形態において、治療効果は、ベースラインHAM-D総スコアと比較した、化合物1で処置した後(例えば、投与の12、24、48時間後;または24、48、72、96時間後もしくはそれを超えた後;または1日、2日、14日後もしくはそれを超えた後)のHAM-D総スコアの減少として測定され、少なくとも10、15または20ポイントである。
【0219】
一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の1日または2日目以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から14日未満または14日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から21日未満または21日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、化合物1での処置の開始から28日未満または28日と等しい期間以内に治療効果(例えば、HAM-D総スコアの統計学的に有意な減少によって判定した場合)を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、化合物1による処置(例えば、14日間にわたる1日1回の化合物1による処置)の後の、HAM-D総スコアのベースラインからの減少である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、少なくとも24である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、少なくとも18である。一部の実施形態において、化合物1で処置する前の被験体のHAM-D総スコアは、14および18を含む14と18との間である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアと比較して、被験体を化合物1で処置した後のHAM-D総スコアの低下は、少なくとも10である。一部の実施形態において、ベースラインHAM-D総スコアと比較して、被験体を化合物1で処置した後のHAM-D総スコアの低下は、少なくとも15(例えば、少なくとも17)である。一部の実施形態において、化合物1による被験体の処置に関連するHAM-D総スコアは、6~8の範囲の数値以下である。一部の実施形態において、化合物1による被験体の処置に関連するHAM-D総スコアは、7以下である。
【0220】
一部の実施形態において、本方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、臨床全般印象改善尺度(CGI)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、CNS障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、処置期間の2日目以内に治療効果を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、処置期間終了時点(例えば、投与の14日後)における、ベースラインからのCGIスコアの低下である。
【0221】
一部の実施形態において、本方法は、14、10、4、3、2もしくは1日以内または24、20、16、12、10もしくは8時間以内またはそれ未満以内に治療効果(例えば、モントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低下によって測定した場合)を提供する。一部の実施形態において、CNS障害は、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害である。一部の実施形態において、うつ病性障害、例えば、大うつ病性障害を処置する方法は、処置期間の2日目以内に治療効果を提供する。一部の実施形態において、治療効果は、処置期間終了時点(例えば、投与の14日後)における、ベースラインからのMADRSスコアの低下である。
【0222】
大うつ病性障害に対する治療効果は、被験体が示すモントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)スコアの低下によって判定され得る。例えば、MADRSスコアは、4、3、2もしくは1日以内;または96、84、72、60、48、24、20、16、12、10、8時間以内もしくはそれ未満以内に低下し得る。モントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、気分障害を有する患者におけるうつ病エピソードの重症度を測定するために精神科医が使用する10項目の診断質問表(外見に表出される悲しみ、言葉で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、倦怠、感情を持てないこと、悲観的思考、および自殺思考に関する)である。
【0223】
前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、2週間未満にわたって1日1回、被験体に投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、1日間にわたって1日1回、被験体に投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、2日間にわたって1日1回、被験体に投与される。前述のうちのいずれかの一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量の化合物1、例えば、30mgの用量の化合物1が、少なくとも14日間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、少なくとも28日間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、少なくとも6ヶ月間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、少なくとも1年間にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1、例えば、約30mgの用量、例えば、30mgの用量が、生涯にわたって1日1回、被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、夜に被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、被験体が眠る前の1時間以内に被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、被験体が眠る前の15分以内に前記被験体に投与される。一部の実施形態において、化合物1は、慢性的に投与される。
【実施例0224】
本明細書中に記載される本発明がより充分に理解され得る目的で、以下の実施例を示す。本願に記載される合成の実施例および生物学的な実施例は、本明細書中に提供される化合物、薬学的組成物および方法を例証するために提供されるものであって、決してその範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0225】
実施例1
化合物1を、健常な被験体に化合物1カプセル剤として投与して、安全性および耐容性について評価した。化合物1経口液剤と比較した化合物1カプセル剤の相対バイオアベイラビリティについても、化合物1を評価した。
【0226】
第1相単施設オープンラベル4期2投与順クロスオーバー研究において、化合物1カプセル剤を、安全性、耐容性および相対バイオアベイラビリティについて評価した。12人の被験体が、この試験の4期すべてを完了し;中止した被験体の代わりの被験体は、中止した被験体と同じランダム化順序に割り当てた。最大24人の被験体が、この試験に採用された。
この試験は、4期からなった:
【0227】
第1期:被験体(N=20)を1:1基準でランダム化して、1日目に30mgという単回用量の化合物1カプセル剤または30mgという単回用量の化合物1経口液剤を投与した。試験薬を絶食状態で投与した。被験体を、-1日目から3日目に開放されるまで、入院施設に収容した。
【0228】
第2期:ウォッシュアウト期間(7日目に終了する)の後、第1期と同じ被験体(N=20)を、第1期で投与されなかった投与形態にクロスオーバーさせた。8日目に、試験薬を絶食状態で投与した。被験体を、7日目から10日目に開放されるまで、入院施設に収容した。
【0229】
第3期:食物の効果(高脂肪):15日目に、すべての被験体に30mgという単回用量の化合物1カプセル剤を投与した。試験薬を高脂肪食の後に投与した。被験体を、14日目から17日目に開放されるまで、入院施設に収容した。
【0230】
第4期:食物の効果(標準):22日目に、すべての被験体に30mgという単回用量の化合物1カプセル剤を投与した。試験薬を標準食の後に投与した。被験体を、21日目から24日目に開放されるまで、入院施設に収容した。
【0231】
投与前の評価を受けるために、投与が予定されている前日(すなわち、-1日目、7日目、14日目および21日目)に、被験体を入院させた。被験体は、28日目に治療終了時の来院、および最後の投与の13日後(35日目)に追跡評価を受けた。
【0232】
化合物1カプセル剤の用量は、2つのカプセルとして、8オンス(240mL)の水とともに投与された。両方のカプセルが、できるだけ早く嚥下されるべきであった。化合物1経口液剤は、およそ40mLとして調製され、その全部が一度に嚥下され、その後、その投与ボトルをおよそ5回すすぐために使用されたおよそ200mLの水が嚥下された。最初の40mLの液剤またはカプセルを嚥下する時点が、すべての評価において時間ゼロであった。
【0233】
被験体は、投薬中に消費される水を除いて、投薬の前後1時間、水を消費することは許されなかった。投与後1時間が経過した後は、水を自由に飲むことが許された。被験体は、予定された投薬の前に一晩(最低10時間)絶食しなければならなかった。第1期および第2期において、被験体は、投薬の4時間後またはそれを超えた後に、標準食を投与された。
【0234】
第3期(高脂肪食の食物効果)において、被験体は、化合物1カプセル剤の投与の30分前に高脂肪食を投与された。被験体は、この食事を30分またはそれ未満で食べなければならず、食事開始の30分後に化合物1の用量が投与された。投与前の少なくとも4時間、他の食物を食べることは許されなかった。
【0235】
第4期(標準食の食物効果)において、被験体は、化合物1カプセル剤の投与の30分前に標準食を投与された。被験体は、この食事を30分またはそれ未満で食べなければならず、食事開始の30分後に化合物1の用量が投与された。投与前の少なくとも4時間、他の食物を食べることは許されなかった。
【0236】
化合物1のPK解析に向けて、血漿サンプルを、各期における投薬を基準とした以下のサンプリング時間に回収した:1日目における投与前、ならびに投与の15および30分後、ならびに1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、16、24時間(2日目)および48時間後(3日目)。
【0237】
血漿サンプルは、解析されるまでおよそ-70~-80℃で凍結維持した。それらは、輸送中の破損を回避するように指示どおりに、かつ少なくとも72時間、解凍を防ぐのに十分なドライアイスとともに包装された。検体識別用紙または等価物を完成させ、各サンプルセットとともに研究室に送付した。
【0238】
化合物1を測定するための血漿サンプルのバイオ分析を、有効なLC-MS/MS法を利用してAgilux Laboratories,Worcester,MAにおいて行った。
【0239】
化合物1の場合、以下のPKパラメータを、必要に応じて個々の血漿中濃度から、Phoenix(登録商標)WinNonLin(登録商標)6.3またはそれを超えるものをこれらのガイドラインに従って使用して計算した:
・名目上の時間ではなく、投薬を基準とした実際のサンプリング時間を、導き出されるすべてのPKパラメータの計算において使用した。
・欠測データの補完は行わなかった。
・少なくともCmaxおよびAUC0-tが信頼性をもって計算されたという条件で、欠測濃度データを有するいずれの被験体もPK解析セットに含めた。
・AUC0-tの計算には、測定可能な血漿中濃度を有する少なくとも3つの時点が必要であり、λzの計算には、tmaxの後に測定可能な血漿中濃度を有する少なくとも3つの時点が必要であった。
・濃度が最初に報告されるより前の吸収相における定量下限未満(BLQ)のサンプルの値は、ゼロで代用した。評価可能な濃度と末端のBLQ値との間のBLQ値を、「欠測」と設定した。これらの基準は、AUC0-tおよびAUC0-infの過大推定を防ぐために採用した。
・「受け取ったサンプルなし」(NS)、「解析にとって不十分なサンプル」(IS)または「報告されず」(NR)という投与後の値は、PK解析から除外した。NS、ISまたはNRが、tmax推定値に近い時点に対して報告された場合、その被験体は、PK目的では評価可能でなかった可能性がある。NS、ISまたはNRが、2つを超える連続した時点に対して報告された場合、その被験体は、PK目的では評価可能でないとみなされた可能性がある。表6は、薬物動態パラメータに対する定義および単位を提供している。
【表6】
【0240】
化合物1のパラメータであるAUC0-inf、AUC0-tおよびCmaxに適用された線形混合モデル、ならびに投薬条件に対する固定効果の用語(絶食状態における液剤、絶食状態におけるカプセル剤、摂食状態におけるカプセル剤[高脂肪食]、摂食状態におけるカプセル剤[標準食])を使用することにより、吸収の速度および程度に対する条件の影響を試験した。薬物動態パラメータを、解析の前に自然対数変換した。等しくない投薬条件の分散を考慮に入れるため、およびSAS PROC MIXEDにおけるREPEATEDステートメントによって各被験体内の投薬条件の測定間の相関関係をモデル化するために、無構造共分散行列を用いた。KenwardおよびRogerの方法を用いることにより、固定効果に対する分母の自由度を計算した(DDFM=KR)。
【0241】
AUCおよびCmaxの場合、処置手段間の差の真数をとることによって、処置比「試験/参照」を計算した。この解析では、絶食状態における化合物1液剤という条件を参照とみなし、絶食状態における化合物1カプセル剤という条件を試験処置とみなした。AUCとCmaxの両方に対する試験対参照の幾何平均比について、90%信頼区間を構築した。AUCおよびCmaxに対する90%信頼区間が、その区間内に含まれた場合(0.80、1.25)、投薬条件の影響が無いという証拠が結論付けられた。食物効果解析の場合、摂食状態におけるカプセル剤という条件(標準食、高脂肪食)を試験処置とみなし、絶食状態におけるカプセル剤という条件を参照とした。
【0242】
化合物1の血漿中濃度の平均値(±SD)-時間曲線を図1(線形目盛)および図2(片対数目盛)に示す。
【0243】
絶食状態において化合物1液剤を単回経口投与した後、Cmaxの算術平均値(CV%)は、119.77ng/mL(32.087%)であった。tmaxの中央値(最小値-最大値)は、1.00時間(0.50時間-4.00時間)であった。AUC0-tの算術平均値(CV%)およびAUC0-infの算術平均値(CV%)は、それぞれ795.4hng/mL(22.42%)および798.4hng/mL(28.60%)であった。t1/2の算術平均値(CV%)は、13.50時間(21.713%)であった。
【0244】
絶食状態において化合物1カプセル剤を単回経口投与した後、Cmaxの算術平均値(CV%)は、22.98ng/mL(35.653%)であった。tmaxの中央値(最小値-最大値)は、4.02時間(1.50時間-24.28時間)であった。AUC0-tの算術平均値(CV%)およびAUC0-infの算術平均値(CV%)は、それぞれ543.7hng/mL(22.03%)および642.1hng/mL(9.60%)であった。t1/2の算術平均値(CV%)は、15.60時間(11.939%)であった。
【0245】
高脂肪食と同時に化合物1カプセル剤を単回経口投与した後、Cmaxの算術平均値(CV%)は、64.37ng/mL(21.814%)であった。tmaxの中央値(最小値-最大値)は、5.97時間(2.00時間-10.00時間)であった。AUC0-tの算術平均値(CV%)およびAUC0-infの算術平均値(CV%)は、それぞれ846.5hng/mL(17.51%)および895.7hng/mL(29.16%)であった。t1/2の算術平均値(CV%)は、12.94時間(12.507%)であった。
【0246】
標準食と同時に化合物1カプセル剤を単回経口投与した後、Cmaxの算術平均値(CV%)は、65.16ng/mL(25.715%)であった。tmaxの中央値(最小値-最大値)は、4.00時間(1.00時間-8.00時間)であった。AUC0-tの算術平均値(CV%)およびAUC0-infの算術平均値(CV%)は、それぞれ851.8hng/mL(18.03%)および1020hng/mL(12.92%)であった。t1/2の算術平均値(CV%)は、14.90時間(16.115%)であった。
【0247】
上記の結果を表8に要約する:
【表8】
AUC=曲線下面積;Cmax=最高濃度;G.=幾何;tmax=最高濃度の時間;
1/2=半減期
中央値、最小値および最大値ごとに要約した
【0248】
絶食状態におけるカプセル剤と比較した、絶食状態において液剤で投与されたときの化合物1の血漿薬物動態の統計解析(表9)は、カプセル剤の場合のCmaxの低下を示し;幾何平均比(90%CI)は、0.191(0.17、0.22)であった。化合物1のAUC0-tも低下し;幾何平均比(90%CI)は、0.682(0.62、0.75)であった。AUC0-infを正確に捕捉しているプロファイルを有する被験体の数が不十分であったので、幾何平均比だけを示した(0.830)。
【0249】
絶食状態におけるカプセル剤と比較した、摂食状態(高脂肪食)においてカプセル剤で投与されたときの化合物1の血漿薬物動態の統計解析(表10)は、摂食状態の場合のCmaxの上昇を示し;幾何平均比(90%CI)は、2.879(2.56、3.28)であった。化合物1のAUC0-tも上昇し;幾何平均比(90%CI)は、1.575(1.45、1.69)であった。AUC0-infを正確に捕捉しているプロファイルを有する被験体の数が不十分であったので、幾何平均比だけを示している(1.355)。
【0250】
絶食状態におけるカプセル剤と比較した、摂食状態(標準食)においてカプセル剤で投与されたときの化合物1の血漿薬物動態の統計解析(表11)は、摂食状態の場合のCmaxの上昇を示し;幾何平均比(90%CI)は、2.894(2.64、3.25)であった。化合物1のAUC0-tも上昇し;幾何平均比(90%CI)は、1.581(1.43、1.72)であった。AUC0-infを正確に捕捉しているプロファイルを有する被験体の数が不十分であったので、幾何平均比だけを示している(1.584)。
【0251】
絶食状態における液剤と比較した、摂食状態(高脂肪食)においてカプセル剤で投与されたときの化合物1の血漿薬物動態の統計解析(表12)は、摂食状態の場合のCmaxの低下を示し;幾何平均比(90%CI)は、0.549(0.48、0.63)であった。化合物1のAUC0-t値は、同等であり;幾何平均比(90%CI)は、1.074(1.02、1.12)であった。AUC0-infを正確に捕捉しているプロファイルを有する被験体の数が不十分であったので、幾何平均比だけを示している(1.125)。
【0252】
絶食状態における液剤と比較した、摂食状態(標準食)においてカプセル剤で投与されたときの化合物1の血漿薬物動態の統計解析(表13)は、摂食状態の場合のCmaxの低下を示し;幾何平均比(90%CI)は、0.552(0.49、0.64)であった。化合物1のAUC0-t値は、同等であり;幾何平均比(90%CI)は、1.079(1.02、1.13)であった。AUC0-infを正確に捕捉しているプロファイルを有する被験体の数が不十分であったので、幾何平均比だけを示している(1.315)。
【表9】
この解析では、絶食状態の固定効果期間とともに化合物1のPKパラメータであるAUC0-inf、AUC0-tおよびCmaxに適用した線形混合モデルを使用して、吸収の速度および程度に対する投薬形態(液剤およびカプセル剤)の影響を試験する。無構造共分散行列を使用する。絶食状態における化合物1液剤の条件を参照とみなし、絶食状態における化合物1カプセル剤の条件が試験処置である。AUCおよびCmaxについての90%CIが、区間(0.8、1.25)内に含まれる場合、投薬条件の影響が無いという証拠を結論付ける。
[1]は、混合モデルにおいて使用した各処置条件に曝露した被験体の数を示している。GM=幾何平均値、GMR=幾何平均値の比
:AUC0-infが疎データであることに起因して収束せず
【表10】
【0253】
この解析では、投薬形態(カプセル剤)の固定効果期間とともに化合物1のPKパラメータであるAUC0-inf、AUC0-tおよびCmaxに適用した線形混合モデルを使用して、吸収の速度および程度に対する高脂肪食の影響を試験する。無構造共分散行列を使用する。絶食状態における化合物1カプセル剤の条件を参照とみなし、摂食状態における化合物1カプセル剤[高脂肪食]が試験処置である。AUCおよびCmaxについての90%CIが、区間(0.8、1.25)内に含まれる場合、高脂肪食の影響が無いという証拠を結論付ける。
[1]は、混合モデルにおいて使用した各処置条件に曝露した被験体の数を示している。GM=幾何平均値、GMR=幾何平均値の比
:AUC0-infが疎データであることに起因して収束せず
【表11】
【0254】
この解析では、投薬形態(カプセル剤)の固定効果期間とともに化合物1のPKパラメータであるAUC0-inf、AUC0-tおよびCmaxに適用した線形混合モデルを使用して、吸収の速度および程度に対する標準脂肪食の影響を試験する。無構造共分散行列を使用する。絶食状態における化合物1カプセル剤の条件を参照とみなし、摂食状態における化合物1カプセル剤[標準脂肪食]が試験処置である。AUCおよびCmaxについての90%CIが、区間(0.8、1.25)内に含まれる場合、標準脂肪食の影響が無いという証拠を結論付ける。
[1]は、混合モデルにおいて使用した各処置条件に曝露した被験体の数を示している。GM=幾何平均値、GMR=幾何平均値の比
:AUC0-infが疎データであることに起因して収束せず
【表12】
【0255】
この解析では、化合物1のPKパラメータであるAUC0-inf、AUC0-tおよびCmaxに適用した線形混合モデルを使用して、吸収の速度および程度に対する高脂肪食および投薬条件の影響を試験する。無構造共分散行列を使用する。絶食状態における化合物1液剤の条件を参照とみなし、摂食状態における化合物1カプセル剤[高脂肪食]が試験処置である。AUCおよびCmaxについての90%CIが、区間(0.8、1.25)内に含まれる場合、投薬条件および高脂肪食の影響が無いという証拠を結論付ける。
[1]は、混合モデルにおいて使用した各処置条件に曝露した被験体の数を示している。GM=幾何平均値、GMR=幾何平均値の比
:AUC0-infが疎データであることに起因して収束せず
【表13】
【0256】
この解析では、化合物1のPKパラメータであるAUC0-inf、AUC0-tおよびCmaxに適用した線形混合モデルを使用して、吸収の速度および程度に対する標準脂肪食および投薬条件の影響を試験する。無構造共分散行列を使用する。絶食状態における化合物1液剤の条件を参照とみなし、摂食状態における化合物1カプセル剤[標準脂肪食]が試験処置である。AUCおよびCmaxについての90%CIが、区間(0.8、1.25)内に含まれる場合、投薬条件および高脂肪食の影響が無いという証拠を結論付ける。
[1]は、混合モデルにおいて使用した各処置条件に曝露した被験体の数を示している。GM=幾何平均値、GMR=幾何平均値の比
:AUC0-infが疎データであることに起因して収束せず
【0257】
絶食状態において、化合物1の曝露の速度および程度は、カプセル剤よりも液剤のほうが大きかった。CmaxおよびAUCに対する幾何平均比(カプセル剤/液剤)は、0.191および0.682であり、それぞれ(0.17、0.22)および(0.62、0.75)という90%CIであった。
【0258】
化合物1の曝露の速度は、絶食状態における液剤と比べて、摂食状態(高脂肪食)におけるカプセル剤のほうが遅かった。Cmaxに対する幾何平均比(90%CI)(摂食/絶食)は、0.549(0.48、0.63)であった。摂食状態(高脂肪食)におけるカプセル剤の場合の曝露の程度は、絶食状態における液剤の曝露の程度と同程度であった。AUC0-tに対する幾何平均比(90%CI)は、1.074(1.02、1.12)であった。
【0259】
化合物1の曝露の程度は、絶食状態における液剤と比べて、摂食状態(標準食)において投与されたカプセル剤の場合のほうが低かった。Cmaxに対する幾何平均比(90%CI)(摂食/絶食)は、0.552(0.49、0.64)であった。摂食状態(高脂肪食)におけるカプセル剤に対する曝露の程度は、絶食状態における液剤の曝露の程度と同程度であった。
【0260】
図1および図2に示されているように、摂食状態(高脂肪食)における化合物1カプセル剤は、摂食状態(標準食)における化合物1カプセル剤と比べて、かなりよく似たAUC曲線を有する。これは、表8に示されるデータによってさらに裏付けられ、そのデータでは、摂食状態(高脂肪食)における化合物1カプセル剤に対する平均AUC0-tは、846.5hng/mLであり、摂食状態(標準食)における化合物1カプセル剤に対する平均AUC0-tは、851.8hng/mLである。それに対して、絶食状態における化合物1カプセル剤に対する平均AUC0-tは、543.7hng/mLである。
【0261】
化合物1カプセル剤の曝露の速度および程度は、絶食状態と比べて、摂食状態(高脂肪食)において高かった。CmaxおよびAUCの幾何平均比(摂食/絶食)は、2.879および1.575であり、それぞれ(2.56、3.28)および(1.45、1.69)という90%CIであった。
【0262】
化合物1カプセル剤の曝露の速度および程度は、絶食状態と比べて、摂食状態(標準食)において高かった。CmaxおよびAUCの幾何平均比(摂食/絶食)は、2.894および1.581であり、それぞれ(2.64、3.25)および(1.43、1.72)という90%CIであった。
【0263】
実施例2:固形形態Aの調製
粗化合物1を10℃未満の酢酸エチル中のスラリーとして撹拌し、次いで、濾過し、真空下で乾燥させることによって、形態Aを調製した。それは、粗化合物1をジクロロメタンに溶解し、次いで、その溶液を真空下において酢酸エチルで2回、再度濃縮乾固することによっても形成された。
【0264】
実施例3:本発明の他の固形を得るための結晶化の様々な湿式法
新しい結晶形態を見つけるために、出発物質として形態Aを用いて種々の結晶化方法を評価した。形態Aに加えて、形態Cを、これらの方法を用いて特定した。
低速蒸発
【0265】
低速蒸発結晶化実験を、8つの異なる溶媒系において行った。各実験において、およそ10mgの形態Aを、1.5mLガラスバイアル内で0.4~1.0mLの溶媒に溶解した。それらのガラスバイアルを、溶媒の蒸発を可能にするために3~5つの穴を開けたParafilm(登録商標)で密封した。
スラリー変換
【0266】
各実験において、およそ10~20mgの形態Aを0.5mLの溶媒または溶媒混合物に懸濁した。RTまたは50℃で48時間撹拌した後、固体を解析に向けて遠心分離によって単離した(湿潤サンプル)。その懸濁液が、透明の溶液に変化した場合、その透明の溶液を、低速蒸発に向けて周囲条件で維持した。
貧溶媒(anti-solvent)の添加
【0267】
各実験において、およそ10mgの形態Aを0.1~1mLの各溶媒に溶解して、透明の溶液を得た。沈殿が観察されるまで、または貧溶媒の総体積が溶媒体積の20倍に達するまで、貧溶媒を50μLずつ加えた。次いで、解析に向けて、沈殿物を遠心分離によって単離した(湿潤サンプル)。透明の溶液が観察された場合、低速蒸発実験を行った。
【0268】
徐冷
各実験において、およそ10mgの形態Aを、50℃の0.8~1.0mLの各溶媒混合物に懸濁した。得られた懸濁液を直ちに0.2μmフィルターで濾過し、濾液を回収し、0.1℃/分の速度で50℃から5℃に冷却した。次いで、解析に向けて、沈殿物を3~5分間の10,000rpmにおける遠心分離によって単離した(湿潤サンプル)。
【0269】
溶液蒸気拡散
各実験において、およそ10mgの形態Aを、適切な溶媒に溶解して、3mLガラスバイアルにおいて透明の溶液を得た。次いで、そのバイアルを、3mLの貧溶媒を含む20mLガラスバイアルに入れ、密封した。その系をRTで7日間維持し、固体の沈殿にとって十分な時間を確保した。それらの固体を、10,000rpmでの3~5分間の遠心分離によって単離し、解析した(湿潤サンプル)。沈殿が観察されなかった場合、それらのサンプルを、低速蒸発に向けて周囲条件で維持した。
【0270】
固体蒸気拡散
各実験において、およそ10mgの形態Aを3mLガラスバイアルに入れ、次いでそれを、3mLの特定の溶媒を含む20mLガラスバイアルに入れて密封した。その系をRTで7日間維持し、有機蒸気が固体と相互作用するのに十分な時間を確保した。次いで、それらの固体を解析した(湿潤サンプル)。
【0271】
高速蒸発
各実験において、およそ10mgの形態Aを、1.5mLガラスバイアル内の0.5~1.0mLの各溶媒に溶解した。視覚的に透明の溶液を、高速蒸発のために蓋を開けた状態で、周囲条件で維持した。次いで、蒸発によって得られた固体を解析した(乾燥サンプル)。
貧溶媒の逆添加
【0272】
各実験において、およそ20mgの形態Aを0.2~0.6mLの各溶媒に溶解して、透明の溶液を得た。その溶液を、2.0mLの各貧溶媒を含むガラスバイアルにRT条件において加えた。形成した沈殿物を、解析に向けて10,000rpmで3~5分間、遠心した(湿潤サンプル)。沈殿が観察されなかった場合、残りの溶液に対して低速蒸発実験を行った。
水分活性実験
【0273】
水分活性実験(0~1水分活性(aw)にわたって0.2間隔)を、H2Oおよびアセトニトリルを用いて行った。約10mgの形態Aを1.5mLバイアルに量り入れ、0.5mLの溶媒混合物を加えた。その懸濁液を、室温において1000rpmの速度で撹拌した。遠心分離(10000rpm、3分間)によって、そのサンプルから残留溶媒を除去した。
【0274】
実施例4.固形形態Cの調製
50℃のイソプロピルアルコール(IPA)および酢酸イソプロピル(IPAc)におけるスラリー変換結晶化法によって、形態Cを形態Aから調製した。
【0275】
実施例5.固形形態Kの調製
形態A、B、C、EまたはFを高温に加熱することによって、形態Kを調製した。解析された形態Kのサンプルは、形態Fを100℃に加熱することによって調製した。
【0276】
実施例6.XRPDによる固形形態Aおよび固形形態Cの特徴付け
12ウェルオートサンプラーステージを備えるPANalytical Empyrean粉末X線回折計を、この試験全体にわたって解析に使用した。使用したXRPDパラメータを表14に列挙する。この装置の分解能較正は、6ヶ月ごとに行い、感度測定は、サンプルステージを交換した後に行った。ケイ素(Si)圧粉サンプルを標準品として使用した。
【表14】
形態A:形態Aは、図3Aに示されているように、XRPDによって結晶性であると観察された。
形態C:図4AにおけるXRPDパターンは、形態Cが結晶性であることを示している。
【0277】
実施例7.形態Aおよび形態Cの単結晶を生成する方法
形態A:構造決定に適した単結晶を、イソプロピルアルコール中での50℃から5℃への徐冷によって得た。
【0278】
形態C:構造決定に適した単結晶を、形態C種晶を含む酢酸イソプロピル/アセトン(6:1,v/v)共溶媒中での25℃から5℃への0.01℃/分の速度の徐冷によって得た。
【0279】
実施例8.形態Aおよび形態Cの単結晶X線回折データ
形態A(表15)および形態C(表16)のプリズム様結晶からのX線強度データを、Bruker D8 Venture回折計(Mo Kα線,λ=0.71073Å)を用いて290(2)Kにおいて収集した。得られたデータから形態Aおよび形態Cの結晶構造を解析した。
【表15-1】
【表15-2】
【表16-1】
【表16-2】
【0280】
実施例9.形態Aおよび形態Cの単結晶構造の単位格子
b軸に沿った形態Aの単位格子を図3Bに示す。b軸に沿った形態Cの単位格子を図4Bに示す。
【0281】
実施例10.装置による温度依存的方法(TGA、DSCおよびVT-XRPD)による固形形態A、CおよびKの特徴付け
熱重量分析(TGA)データを、TA Instruments製のTA Q500/Q5000TGAを用いて収集し、示差走査熱量測定(DSC)を、TA Instruments製のTA Q200/Q2000DSCを用いて行った。使用した装置パラメータを表17に提供する。
【表17】
【0282】
温度依存的試験を補完するため、および固形の溶媒和状態を確認するために、溶液NMRを、Bruker 400MHz NMR分光計において、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)を溶媒として用いて収集した。
【0283】
形態A:TGAおよびDSCを行った。詳細を図3Cに提供する。形態Aの熱重量分析によって、200℃まで1.0%の重量減少がもたらされた。DSC曲線上の157.2℃(開始温度)において観察された吸熱(形態Aから形態Kへの転移を表している)の後に、203.8℃(開始温度)に形態Kの急激な融解ピークが現れた。形態Kへの転移の検証を、図3Dに示されているようにVT-XRPDによって行った。
【0284】
形態C:TGAおよびDSCを行った。それらのそれぞれの曲線を図4Cに提供する。TGA曲線は、4.3%の重量減少が50℃未満で生じることから、おそらく不十分な乾燥に起因して存在する、緩く保持された溶媒または偶発的な溶媒が示唆されることを示している。DSC曲線は、183.8℃および211.0℃(開始温度)に2つの吸熱ピークを示す。183.8℃における吸熱のさらなる調査を、形態Cを185℃に加熱することによって行い、それにより、図4Dに示されているように、形態Kへの結晶形の転移が生じた。VT-XRPDによる解析を、窒素(N)流ありおよびなしで形態Cに対して行うことにより、大気からの再水和の可能性を調べた。図4Eに示されているように、Nありとなしに差は観察されなかったことから、形態Cが無水物であることが示唆された。
【0285】
実施例11.DVSによって測定した形態A、形態Cおよび形態Kの吸湿性
動的蒸気収着(DVS)を、SMS(Surface Measurement Systems)DVS Intrinsicシステムによって測定した。25℃における相対湿度を、LiCl、Mg(NOおよびKClの潮解点に対して較正した。この試験全体にわたって使用したDVSシステムの装置パラメータを表18に列挙する。
【表18】
【0286】
形態A、形態Cおよび形態Kの吸湿性を、DVSを用いて25℃において調べた。何らかの形態変化が起こり得るかを調べるために、DVSの前後の各サンプルのXRPDパターンを比較した。
【0287】
図3Eに示された形態AのDVS等温線プロットは、80%RHにおいて0.06重量%の水分取り込み、および95%RHにおいて0.12重量%未満の水分取り込みを示しており、形態Aが非吸湿性であることを明らかにしている。図3FにおけるXRPDパターンは、形態Aに対するDVSの前後で形態変化が生じていないことを示している。
【0288】
同様に、図4Fに示された形態CのDVS等温線プロットは、80%RHにおいて0.12重量%の水分取り込み、および95%RHにおいて0.30重量%未満の水分取り込みを示しており、形態Cが非吸湿性であることを示唆している。図4GにおけるXRPDパターンは、形態Cに対するDVSの前後で形態変化が生じていないことを示している。
【0289】
実施例12.スラリー変換による形態A、形態Cおよび形態Kの相互変換
1つの実施形態において、形態A、形態Cおよび形態Kの間の相互変換を、室温(RT)と50℃の両方における酢酸エチル、n-ブタノールおよびメチルtert-ブチルエーテル(MBTE)中で行われる一連のスラリー変換実験において研究することができる。化合物1は、中程度の溶解度を示し得、これらのスクリーニング実験中に溶媒和の形態を生じ得る。スラリー変換実験の結果を表19に要約する。形態Aと形態Cとの間の転移温度は、約17℃であると推定され、形態Kと形態Cとの間の転移温度は、100℃超であった。
【表19】
【0290】
実施例13.形態C種結晶を用いた形態Aから形態Cへの変換
およそ200g/L~225g/Lの、酢酸エチルに可溶化された化合物1(最初は形態A)を、0.2%~1.0%の形態C種結晶の存在下において1~3時間、65℃の温度に加熱した。次いで、そのバッチを、3時間以上にわたって25℃~30℃の温度にゆっくり冷却することにより、形態Cを得ることができる。形態Cの種結晶は、実施例4に記載された手順を用いて得ることができる。
【0291】
XRPDを、Rigaku MiniFlex600(40kVの管電圧および15mAの管電流におけるCu Kα線)ならびに2θについて2°~40°のスキャン範囲、0.01°の刻み幅および1°または2°/分のスキャン速度を用いて行った。図6に示されているように、1.0%の形態C種結晶を使用し、65℃の酢酸エチル中における225g/Lの形態Aから形態Cへの変換を、XRPDを用いて経時的にモニターした。
【0292】
実施例14.大うつ病性障害を有する被験体において化合物1を評価する第2相オープンラベル試験におけるうつ病性症状の迅速かつ持続的な改善(「パートA」)
この多施設オープンラベル第2相臨床治験では、1~14日目に30mgの化合物1を被験体に投与し、28日目まで被験体を評価した。うつ病性症状および不安症状の低減を、うつ病および不安に対するハミルトン評価尺度(HAM-DおよびHAM-A)ならびにモントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)によって評価した。安全性および耐容性を、標準的な安全性パラメータによって評価した。薬物動態パラメータも評価した。
【0293】
方法および材料:
試験デザインおよび参加者:
この第2相治験の多施設オープンラベル部分を、米国の2ヶ所において、各箇所でIRB承認を受けて行った。Sage Therapeutics,Inc.は、この治験のデザインにおいて試験責任医師(RR)と協力し、この治験の実施およびデータの収集においてすべての試験担当医師と協力した。すべての著者が、データの精度および完全性、データ解析、ならびに試験プロトコルに対するこの発表の忠実度を保証する。
【0294】
試験集団:
書面によるインフォームドコンセントが、スクリーニング時に行われ、登録に必須であった。MDDの診断を、有資格のヘルスケア専門家によって実施される、Structured Clinical Interview for Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition(DSM-5)Axis I Disorders(SCID-I)を用いて行った。少なくとも22という症状重症度を保証するために、17項目のハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)も用いて被験体をスクリーニングした。ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)、モントゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)および臨床全般印象重症度(CGI-S)尺度も用いた。17項目のHAM-D尺度を用いたとき、17~23という合計スコアを有する患者を、中程度のうつ病を有するとみなし;≧24という合計スコアを重度のうつ病とみなした。患者の病歴および併用薬の情報を収集した。この試験集団には、18歳~65歳(両端を含む)の男女の被験体が含まれた(下記の選択規準/除外規準)。被験体は、試験期間の最初の7日間およびその後は試験担当医師の判断に従って、入院患者として残った。被験体には、MDDと診断された成人入院患者に対する標準治療を施し、スクリーニングの少なくとも14日前に開始した安定用量の向精神薬を続けることを許可した。
【0295】
除外規準には、自殺企図の履歴、処置抵抗性うつ病の病歴、他の急性または慢性状態の最近の履歴または活動性の臨床的に有意な所見、妊娠検査陽性、発作の履歴、双極性障害、統合失調症および/または統合失調感情障害の病歴が含まれた。除外規準の完全なリストを補遺に提供する。
手順:
【0296】
化合物1を6mg/mLストック水溶液として提供し、それをさらに滅菌水で希釈して、経口液剤として投与される選択された用量を達成した。1~14日目に、参加者にオープンラベルの30mgという経口量の化合物1を食物とともに8:00PM(+/-15分)に投与した。30mg用量の試験薬を投与されている間に、薬物関連の中程度または重度の有害事象(試験担当医師によって判断された)を経験した被験体では、残りの処置期間中、20mgまで用量を低下させた。20mgの用量を許容しない被験体は、この試験を終了した。バイタルサインを毎日収集した。他の試験手順およびPKパラメータのための血漿回収を、14日間のオープンラベル処置期間中の様々な時点において行った(補遺に手順の詳細)。処置の追跡調査を外来ベースで行い、その調査には、試験薬の最後の投与の1週間後(21+/-1日)および2週間後(28+/-1日)における追跡調査来院が含まれた。
【0297】
アウトカム:
化合物1の安全性および耐容性の主要エンドポイントを、有害事象の頻度および重症度、バイタルサイン、臨床検査測定値の変化、理学的検査、心電図(ECG)、スタンフォード眠気尺度(SSS)スコア、ならびにコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS、補足表1)を用いた自殺念慮によって評価した。副次有効性エンドポイントには、HAM-D総スコアのベースラインからの変化、HAM-D奏効(HAM-D総スコアのベースラインからの50%またはそれを超える減少を有すると定義される)、HAM-D緩解(≦7というHAM-D総スコアを有すると定義される)、ベースラインからのHAM-Aの変化、およびベースラインからのMADRSスコアの変化が含まれた。化合物1のPKプロファイルも血漿サンプルから測定した。
【0298】
統計解析:
連続パラメータをn、平均値および標準偏差として要約し、分類変数を頻度数およびパーセンテージとして要約した。HAM-D、HAM-AおよびMADRS総スコアについては、ベースライン総スコアに対して調整して、固定効果として来院を用いた反復測定混合効果モデルに基づいて、ベースライン値からの変化に対するp値を計算した。すべての統計解析を、SAS(登録商標)統計ソフトウェア,バージョン9.3(SAS Institute Inc,Cary,NC)を用いて行った。
【0299】
結果:
被験体
この試験には、13人の被験体が登録され、それらの被験体は、48.0(12.8)歳という平均値(SD)および20歳~64歳という範囲を有した。HAM-D、HAM-AおよびMADRSに対する被験体のベースライン平均(SD)値は、それぞれ27.2(3.1)、23.2(5.7)および36.9(5.2)であった(表20)。この試験に登録した13人すべての被験体が、この試験を終えた。被験体の人口統計的特性を表20に要約する。
【表20】
【0300】
有効性
化合物1の投与によって、すべてのうつ病エンドポイントにわたって迅速かつ持続的な減少がもたらされた。化合物1は、HAM-D総スコアによって評価されたうつ病性症状を有意に低減し、ベースラインにおける27.2という平均総スコアから15日目には7.3に減少し、19.9ポイントという平均減少量であった(p<0.0001)(図1A)。うつ病性症状の有意な低減は、早くも2日目に見られた(p<0.05)(図1A)。これらの変化は、試験薬の中止の2週間後であるこの試験の終わりまで維持された(28日目、p<0.0001)(図1A)。MADRS総スコアによって評価されたうつ病性症状の低減は、HAM-Dについて観察されたパターンと一致し、ベースラインにおける36.9という平均総スコアから15日目には10.5に減少し、26.4ポイントという平均減少量であった(p<0.0001)(図1B)。MADRSの低下は、28日目まで持続した(p<0.0001)(図1B)。化合物1は、HAM-A総スコアによって評価される不安の症状も低減し、ベースラインにおける23.2という平均総スコアから15日目には7.7に減少し、15.5ポイントという平均減少量であった(p<0.0001)(図1C)。これらの変化は、この試験の終わりまで持続した(28日目、p<0.0001)(図1C)。
【0301】
13人の被験体のうち11人(85%)において、HAM-D総スコアが、15日目に少なくとも50%低下し(HAM-D奏効として定義される)(図2)、このHAM-D奏効は、28日目まで持続した。変化が、処置期間全体にわたって維持され、処置中止後も維持されたので、この処置効果は、永続的であった。15および28日目におけるHAM-D奏効率は、登録時の抗うつ病薬の存在(5/5、100%、15日目;4/5、80%、28日目)または非存在(6/8;75.0%、15日目;6/8、75%、28日目)を問わず、高かった。
【0302】
13人の被験体のうち8人(62%)において、HAM-D総スコアが、処置期間の終わりに≦7であり(HAM-D緩解として定義される)、このHAM-D緩解は、28日目まで持続した(図2)。緩解は、6日目までに39%であり、緩解率は、15日目から28日目の間の、処置が中止された後も安定したままであった(図2)。
【0303】
安全性および薬物動態
化合物1は、概して耐容性がよく、重篤な有害事象(SAE)は無かったか、またはAEに起因する中止は無かった。ほぼすべての被験体が、少なくとも1つの、治療下で発現した有害事象(TEAE)を経験した(12/13;92.3%;表2)。最も一般的なAEは、鎮静(6人の被験体)、頭痛(4人の被験体)、傾眠(3人の被験体)、眩暈(3人の被験体)および筋痛(3人の被験体)であった(表21)。希死念慮をコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)によって評価した。10~13日目に、1人の被験体が、最後の来院以後、致命的でない自傷行動を起こした(補足図1)。臨床的に関連性のある、臨床血液学、尿検査、バイタルサインまたはECGの変化は無かった。ALT、ASTおよびアルカリホスファターゼの軽度かつ一過性の上昇(これらは解決し、いかなる臨床所見にも関連せず、試験薬の用量調整または中止をもたらさなかった)を示した1人の被験体を除いて、臨床的に関連性のある臨床化学の変化は無かった。
【表21】
【0304】
薬物動態学的(PK)パラメータを血漿サンプルから得た(表22)。PKおよび曝露データは、健常志願者における化合物1の第1相試験において以前に観察されたデータ(SAD/MAD参照)と一致した。化合物1の血漿中濃度の平均値は、化合物1の投与の1.1時間後というTmax中央値において最大値に達し、半減期は10.3時間であった。定常状態では、幾何平均CmaxおよびCavg,ssは、それぞれ101.0ng/mLおよび41.4ng/mLであった。同様に、定常状態では、AUC0-tおよびAUCinfに対する幾何平均値は、それぞれ992.5h・ng/mLおよび1150.7h・ng/mLであった。
【表22】
【0305】
選択規準:
1.何らかの試験特異的手順が行われる前にICFに署名した被験体。
2.18歳~65歳(両端を含む)の歩行可能な男性または女性である被験体。
3.身体的健康が良好であり、試験担当医師が測定したとき、理学的検査、12誘導ECGまたは臨床検査において、臨床的に有意な所見を有しない被験体。
4.試験の要求に従うことに同意する被験体。
5.MDDの診断を受けた被験体であって、そのMDDが、SCID-Iによって診断され、少なくとも4週間にわたって存在している、被験体。
6.スクリーニング時および1日目(投薬前)に≧22というHAM-D総スコアを有する被験体。
7.スクリーニング中および処置期間中、他の抗うつ病薬または抗不安薬および任意の新しい薬物療法レジメン(必要に応じたベンゾジアゼピン抗不安薬を含む)の開始を遅らせる意思がある被験体。
8.スクリーニング時および試験参加中全体にわたって、非常に効果的な受胎調節の受容可能な方法を実践することに同意する被験体。非常に効果的な受胎調節の方法としては、禁欲(男性および女性の場合);精管切除術;または女性パートナーの非常に効果的な方法と併用した殺精子薬付きコンドーム(男性の場合);およびホルモンによる避妊方法(すなわち、経口、植え込み型、注射剤または経皮的なホルモンの確立された使用);子宮内避妊具の留置;子宮内システムの留置;および避妊の機械的方法/バリア法(すなわち、殺精子薬[フォーム、ゲル、フィルム、クリームまたは坐剤]と併用したコンドームまたは閉鎖キャップ[ペッサリーまたは子宮頸キャップ/膣円蓋キャップ])(女性の場合)が挙げられる。
【0306】
除外規準:
1.自殺企図の履歴を有する被験体。
2.代謝障害、肝障害、腎障害、血液疾患、肺障害、心血管障害、胃腸障害、筋骨格障害、皮膚障害、尿生殖器障害、神経障害もしくは眼障害、耳障害、鼻障害および咽喉障害または他の任意の急性もしくは慢性状態(試験担当医師の意見において、被験体がこの臨床試験を完了する能力またはこの臨床試験に参加する能力を制限し得るもの)の最近の履歴または活動性の臨床的に有意な所見を有する被験体。
3.十分な用量の2つの異なるクラスの抗うつ病薬による処置を十分な長さの時間にわたって受けた(すなわち、少なくとも4週間の処置)にもかかわらず持続性のうつ病性症状として定義される処置抵抗性うつ病の病歴を有する被験体。
4.化合物1、アロプレグナノロンまたは関連化合物に対する既知のアレルギーを有する被験体。
5.スクリーニング時または試験薬投与開始前の1日目に妊娠テストが陽性である被験体。
6.スクリーニング時にB型肝炎表面抗原(HBsAg)、抗C型肝炎ウイルス(HCV)またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗体が検出可能である被験体。
7.試験担当医師の評価によると活動性の精神病を有する被験体。
8.発作の病歴を有する被験体。
9.双極性障害、統合失調症および/または統合失調感情障害の病歴を有する被験体。
10.スクリーニング前の12ヶ月の間にアルコール依存または薬物依存(ベンゾジアゼピンを含む)の履歴を有する被験体。
11.スクリーニング前の30日以内に別の試験薬または試験デバイスに接していた被験体。
12.以前にこの試験(例えば、パートA)または化合物1を使用する他の任意の試験において処置されたまたはランダム化された被験体(すなわち、試験薬を投与されず、再登録し得る被験体)。
13.スクリーニング前の14日以内に開始された、かつ/または安定用量で服用していない、向精神薬を投与された被験体。
14.最初の試験薬の投与前の14日以内もしくは5半減期以内(いずれか長い方)におけるシトクロムP450(CYP)3A4の任意の公知の強力な阻害剤および/もしくは誘導因子の使用、または最初の試験薬の投与前の30日以内におけるブドウ果汁、グレープフルーツ、ダイダイもしくはセイヨウオトギリソウまたはこれらを含む製品の消費。
15.スクリーニング時または投薬前の1日目に薬物検査および/またはアルコール検査が陽性である被験体。
【0307】
手順の詳細:
本試験のパートAは、最大7日間のスクリーニング期間(-7~-1日目)、14日間の処置期間および2週間の追跡調査期間(28日目まで)からなった。スクリーニング期間中(-7日目から-1日目)、被験体は、インフォームドコンセント用紙(ICF)に署名した後、試験適格性について評価され、HAM-Dを用いて各被験体のMDDの重症度が評価された。スクリーニング期間中の評価は、外来ベースで行った。
【0308】
遡及的に収集されるスクリーニング評価のための要件が完全に満たされる限り、該当する場合、インフォームドコンセントを得る前に収集された標準治療のデータには、適切である場合、その直前の48時間以内に行われた、臨床検査、ECG、理学的検査およびバイタルサインなどが、スクリーニングデータとして含められた。該当する場合、プロトコルの遵守を保証するために、スクリーニングデータとして含めるのにふさわしい任意の標準治療のデータには、データ収集の厳格な性質およびタイミングが含まれなければならない。
【0309】
14日間の試験処置期間中、被験体は、最低でも最初の7日間およびその後は試験担当医師の判断に従って、入院患者のままであった。追跡調査期間の評価は、外来ベースで行った。
【0310】
本試験は、以下のとおり行った:
1日目から開始し、オープンラベルの化合物1経口液剤を8:00PM(±15分)に食物とともに被験体に投与した(9.2.1の項に概説したように)。被験体が耐容性を示すとき、化合物1経口液剤30mgを1日目から14日目まで被験体に投与した。試験薬(化合物1経口液剤または対応するプラセボ)を、1日目の試験薬投与から14日目における試験薬投与の完了までを含む処置期間の少なくとも最初の7日間にわたって、試験施設において投与した。最低でも7日間入院患者として滞在させた後、7日目の評価の完了後に、被験体を退院させた。患者の臨床状態が、退院を許さなかった場合、試験担当医師は、より長い時間にわたって被験体を入院患者として維持した。入院患者病棟から退院した被験体は、14日間の処置期間の残りの期間にわたって、外来患者として試験薬で処置された。外来の段階では、投薬を臨床の場で行うか、または適切な仕組みを構築できる場合は、現地の法規が許す在宅投与で行う。試験薬の在宅投与は、試験薬のプロトコルおよび送達について訓練されたヘルスケア専門家によって、地域特異的な計画に従って行われた。
【0311】
処置期間中および追跡調査期間中に被験体を安全性についてモニターした(有害事象/重篤な有害事象、通例の臨床検査評価、理学的検査、バイタルサインおよびECGのモニタリングを含む)。処置期間中、用量を制限する安全性/耐容性の懸念が無ければ、被験体に試験薬を投与した。
【0312】
【表23】
【0313】
実施例15.中程度から重度の大うつ病性障害(MDD)を有する成人患者の処置における化合物1の第2相二重盲検プラセボ比較臨床試験(「パートB」)
ランダム化二重盲検並行群プラセボ対照治験において、適格患者(ハミルトンうつ病評価尺度において22という最小総スコアを有する)を、抗うつ病薬処置の使用(現在使用中/安定または≧30日間非処置/休薬)に基づいて層別化し、1:1の比でランダム化して、化合物1カプセル剤(30mg)または対応するプラセボを投与した。全用量の試験薬を、食物とともに夜に投与した。本試験は、14日間の処置期間および4週間の追跡調査期間からなった。ベースライン時の平均HAM-D総スコアは、化合物1群では25.2、プラセボ群では25.7(全体の範囲は22~33)であり、患者が中程度から重度のMDDを有することを表していた。各群の患者のおよそ90パーセントが、本試験を完了した。
【0314】
この治験では、化合物1による14日間の処置は、10.7ポイントという、プラセボと関連するハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)総スコアの平均減少量と比べて、17.6ポイントという、ベースラインから15日目(主要エンドポイントの時間)までのHAM-D総スコアの統計学的に有意な平均減少量と関連した(-7.0というプラセボからの最小二乗平均差;p<0.0001)。プラセボと比較したHAM-D総スコアの改善は、1回目の投与後の朝(2日目)まで有意であり、6週目の追跡調査の終わりまで永続的であり、統計的有意性は、4週目まで顕著だった。15日目に、プラセボを投与された患者の23パーセントと比べて、化合物1を投与されたの患者の64パーセントが、HAM-D総スコアにおいて多くとも7と定義される緩解を達成した(p=0.0005)。他の副次エンドポイントもすべて、同様に15日目において高度に有意であった(p<0.0021)。
【0315】
化合物1は、重篤または重度の有害事象がなく、概して耐容性がよく;最も一般的なAEは、頭痛、眩暈、悪心および傾眠であった。有害事象(AE)に起因する低い中止率が報告され;AEの全体的な報告が、薬物(53%)とプラセボ(46%)とで似ており、安全性プロファイルも、以前の治験で見られたものと一致した。
【0316】
プラセボ対照第2相治験の最も重要な結果の要約
処置終了(15日目)までのうつ病性症状に対する効果:
・化合物1による処置は、プラセボに関連するハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)総スコアの10.7ポイントという平均減少量に比べて、17.6ポイントという15日目におけるHAM-D総スコアのベースラインからの統計学的に有意な平均減少量に関連した(p<0.0001)。
・化合物1を投与された患者の大部分(64%)が、7未満または7に等しいHAM-D総スコアによって判定される緩解を15日目に達成した(プラセボを投与された患者の23%と比べて。p=0.0005)。
・他の副次エンドポイント(例えば、MADRS、CGI-I)も、同様に15日目において高度に有意であった(p<0.0021)。
【0317】
長い期間にわたるうつ病性症状に対する効果:
・ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)総スコアのベースラインからの統計学的に有意な平均減少量が、1回目の投与後(2日目)に観察され、処置終了の2週間後である4週目まで維持された(p<0.0318)。
・4週目に、HAM-D総スコアのベースラインからの平均減少量は、化合物1群では15.6、プラセボ群では11.9であった(p=0.0243)。
・6週目に、化合物1群のHAM-D総スコアの平均減少量は、15.0であり、13.0というプラセボ群の減少と比べて、統計的ではなく数値的に改善された。
・化合物1で処置された患者の場合の4週目および6週目の緩解率は、プラセボの場合の28パーセントおよび33パーセントに対して、52パーセントおよび45パーセントであり、統計的有意性は、6週目ではなく4週目において維持されていた(p=0.0221)。
【0318】
安全性および耐容性:
・化合物1は、概して本治験において耐容性がよかった。有害事象を経験した患者の全発生率は、化合物1処置群では53パーセント、プラセボ群では46パーセントであった。・死亡、重篤または重度の有害事象は存在しなかった。
・有害事象に起因する試験薬投与の中止率は低く;化合物1で処置された2人の患者(4.4%)およびプラセボで処置された0人の患者。
【0319】
選択規準:
・DSM-IV I軸障害のための構造化臨床面接法(Structured Clinical Interview for DSM-IV Axis I Disorders)(SCID-I)によって診断したとき、大うつ病性障害の診断を受け、それが少なくとも4週間にわたって存在した被験体
【0320】
除外規準:
・自殺企図の履歴を有する被験体
・十分な用量の2つの異なるクラスの抗うつ病薬による十分な長さの時間にわたる処置にもかかわらず持続性のうつ病性症状として定義される処置抵抗性うつ病の病歴を有する被験体
・活動性の精神病
・発作の病歴
・双極性障害、統合失調症および/または統合失調感情障害の病歴
【0321】
等価物および範囲
請求項において、冠詞(例えば、「a」、「an」および「the」)は、反対のことが示されていないかまたは別段文脈から明らかでない限り、1つまたはそれより多いことを意味し得る。反対のことが示されていないかまたは別段文脈から明らかでない限り、ある群の1つ以上のメンバー間に「または」を含む請求項または説明は、1つの、1つより多いまたはすべての群メンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、使用されているか、または別途関連していることを満たすと考えられる。本発明は、その群の厳密に1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、使用されているか、または別途関連している実施形態を含む。本発明は、1つより多いまたはすべての群メンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在するか、使用されているか、または別途関連している実施形態を含む。
【0322】
さらに、本発明は、列挙される請求項の1つ以上からの1つ以上の制限、エレメント、節および記述用語が別の請求項に導入されているすべてのバリエーション、組み合わせおよび順列を包含する。例えば、別の請求項に従属している任意の請求項は、同じ基本請求項に従属している他の任意の請求項に見られる1つ以上の制限を含むように改変され得る。エレメントが、例えば、マーカッシュ群の形式でリストとして提示される場合、そのエレメントの各部分群もまた開示され、任意のエレメントが、その群から除去され得る。一般に、本発明または本発明の局面が、特定のエレメントおよび/または特徴を含むと言及される場合、本発明または本発明の局面のある特定の実施形態は、そのようなエレメントおよび/もしくは特徴からなるかまたはそれらから本質的になると理解されるべきである。単純にする目的で、それらの実施形態は、この通りの言葉で本明細書中に明確に示されていない。用語「含む(comprising)」および「含む(containing)」は、オープンであるように意図されており、さらなるエレメントまたは工程を含むことを許容することも注意されたい。範囲が与えられている場合、終点は含まれる。さらに、別段示されないかまたは別段文脈および当業者の理解から明らかでない限り、範囲として表現された値は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、本発明の種々の実施形態において述べられた範囲内の任意の特定の値または部分範囲をその範囲の下限の単位の10分の1まで想定し得る。
【0323】
本願は、様々な発行済特許、公開特許出願、学術論文、および他の刊行物(これらのすべてが、参照により本明細書中に援用される)について言及する。援用される任意の参考文献と本明細書との間に矛盾が存在する場合、本明細書が支配するものとする。さらに、従来技術の範囲内に含まれる本発明の任意の特定の実施形態は、請求項の任意の1つ以上から明白に除外され得る。そのような実施形態は、当業者に公知であると見なされるので、それらは、その除外が本明細書中に明示的に示されなかったとしても、除外され得る。本発明の任意の特定の実施形態は、従来技術の存在に関係しているか否かを問わず、任意の請求項から、任意の理由で除外され得る。
【0324】
当業者は、単なる慣用的な実験法を使用して、本明細書中に記載される特定の実施形態に対する多くの等価物を認識し得るかまたは確かめることができるだろう。本明細書中に記載される本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されると意図されておらず、それは、添付の特許請求の範囲に示されるとおりである。当業者は、以下の特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神または範囲から逸脱することなく、この説明に対する様々な変更および改変が行われ得ることを認識するだろう。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
CNS関連障害の処置を必要とする被験体においてCNS関連障害を処置する方法であって、前記方法は、治療有効量の、式
【化4】
を有する化合物を前記被験体に投与する工程を含む、方法。
(項目2)
前記化合物が、食物なしでまたは食物と実質的に同時に投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記化合物が、食物と実質的に同時に投与される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記治療有効量が、固形剤形中にある、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記固形剤形が、錠剤またはカプセル剤である、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記治療有効量の前記化合物を食物と実質的に同時に投与する工程が、食物なしでの投与と比べて前記化合物のバイオアベイラビリティを上昇させ、ここで、バイオアベイラビリティは、AUC値の比較に基づく、項目2~5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記バイオアベイラビリティが、約10%またはそれを超えて上昇する、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記バイオアベイラビリティが、約20%またはそれを超えて上昇する、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記バイオアベイラビリティが、約30%またはそれを超えて上昇する、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記バイオアベイラビリティが、約40%またはそれを超えて上昇する、項目6に記載の方法。
(項目11)
前記バイオアベイラビリティが、約50%またはそれを超えて上昇する、項目6に記載の方法。
(項目12)
前記バイオアベイラビリティが、約55%またはそれを超えて上昇する、項目6に記載の方法。
(項目13)
前記治療有効量が、1日1回投与される、項目1~12のうちのいずれか1つの項目に記載の方法。
(項目14)
前記治療有効量が、約20mg~約60mgの前記化合物である、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記治療有効量が、約25mg~約50mgの前記化合物である、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
前記治療有効量が、約25mg~約35mgの前記化合物である、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記治療有効量が、約30mg、例えば、30mgである、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記食物の経口摂取前または経口摂取後の60分以内に、前記治療有効量の前記化合物が前記被験体に投与される、項目2~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記食物の経口摂取前または経口摂取後の45分以内に、前記治療有効量の前記化合物が前記被験体に投与される、項目2~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記食物の経口摂取前または経口摂取後の30分以内に、前記治療有効量の前記化合物が前記被験体に投与される、項目2~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記食物の経口摂取前または経口摂取後の15分以内に、前記治療有効量の前記化合物が前記被験体に投与される、項目2~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記食物の経口摂取前または経口摂取後の5分以内に、前記治療有効量の前記化合物が前記被験体に投与される、項目2~17のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記食物が、高脂肪食を含む、項目2~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記食物が、通常食を含む、項目2~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記食物が、少なくとも50カロリーを含む、項目2~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
前記食物が、少なくとも100カロリーを含む、項目2~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記食物が、少なくとも200カロリーを含む、項目2~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記食物が、少なくとも300カロリーを含む、項目2~22のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記CNS関連障害が、GABA関連疾患または障害である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記CNS関連障害が、気分障害である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記CNS関連障害が、運動障害である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記CNS関連障害が、産後うつ病である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。(項目33)
前記CNS関連障害が、大うつ病性障害である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記CNS関連障害が、本態性振顫である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。(項目35)
前記運動障害が、パーキンソン病である、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、少なくとも24である、項目33に記載の方法。
(項目37)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、少なくとも18である、項目33に記載の方法。
(項目38)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、19および22を含む19と22との間である、項目33に記載の方法。
(項目39)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、14および18を含む14と18との間である、項目33に記載の方法。
(項目40)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、23を超えるかまたは23と等しい、項目33に記載の方法。
(項目41)
前記化合物が、少なくとも14日間にわたって1日1回、前記被験体に投与される、項目36~40のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
前記前記化合物による前記被験体の処置に関連する前記HAM-D総スコアが、6~8の範囲の数値以下である、項目36~41のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記前記化合物による前記被験体の処置に関連する前記HAM-D総スコアが、7以下である、項目36~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記ベースラインHAM-D総スコアと比較して、化合物1で前記被験体を処置した後のHAM-D総スコアの低下が、少なくとも15である、項目36~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記ベースラインHAM-D総スコアと比較して、化合物1で前記被験体を処置した後のHAM-D総スコアの低下が、少なくとも17である、項目36~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記化合物が、夜に前記被験体に投与される、項目1~45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記化合物が、前記被験体が眠る前の1時間以内に前記被験体に投与される、項目1~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記化合物が、前記被験体が眠る前の15分以内に前記被験体に投与される、項目1~48のいずれか1項に記載の方法。
(項目49)
前記化合物が、慢性的に投与される、項目1~48のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
治療有効量の、式
【化5】
を有する化合物;
包装材料;および
前記治療有効量の前記化合物が食物とともに摂取されるべきであることを示す、前記包装材料に貼付されたラベル、または前記治療有効量の前記化合物が食物とともに摂取されるべきであることを示す、前記包装材料内に含められている添付文書
を備える、製造品。
(項目51)
前記治療有効量の前記化合物が、固形剤形中にある、項目50に記載の製造品。
(項目52)
前記固形剤形が、錠剤またはカプセル剤である、項目51に記載の製造品。
(項目53)
前記ラベルまたは添付文書が、前記治療有効量の前記化合物が1日1回投与されることをさらに示す、項目50に記載の製造品。
(項目54)
前記化合物の前記治療有効量が、約20mg~約60mgである、項目50~53のいずれか1項に記載の製造品。
(項目55)
前記化合物の前記治療有効量が、約25mg~約50mgである、項目50~53のいずれか1項に記載の製造品。
(項目56)
前記化合物の前記治療有効量が、約25mg~約35mgである、項目50~53のいずれか1項に記載の製造品。
(項目57)
前記化合物の前記治療有効量が、約30mg、例えば、30mgである、項目50~53のいずれか1項に記載の製造品。
(項目58)
前記食物が、高脂肪食を含む、項目50~57のいずれか1項に記載の製造品。
(項目59)
前記食物が、通常食を含む、項目50~57のいずれか1項に記載の製造品。
(項目60)
前記ラベルが、前記治療有効量の前記化合物が、バイオアベイラビリティを上昇させるために食物とともに摂取されるべきであることをさらに示す、項目50~59のいずれか1項に記載の製造品。
(項目61)
前記ラベルまたは添付文書が、前記治療有効量の前記化合物が、CNS関連障害を処置するためであることをさらに示す、項目50~60のいずれか1項に記載の製造品。
(項目62)
GABAレセプターの正のアロステリック調節を必要とする患者においてGABAレセプターの正のアロステリック調節をもたらす方法であって、治療有効量の化合物を食物と実質的に同時に前記患者に投与する工程を含み、前記化合物は、式
【化6】
を有する、方法。
(項目63)
前記治療有効量が、固形剤形中にある、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記固形剤形が、錠剤またはカプセル剤である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記治療有効量が、1日1回投与される、項目62に記載の方法。
(項目66)
前記治療有効量が、約20mg~約60mgの前記化合物である、項目62~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
前記治療有効量が、約25mg~約50mgの前記化合物である、項目62~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目68)
前記治療有効量が、約25mg~約35mgの前記化合物である、項目62~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目69)
前記治療有効量が、約30mg、例えば、30mgである、項目62~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目70)
前記治療有効量の前記化合物が、前記食物の経口摂取前または経口摂取後の60分以内に前記被験体に投与される、項目62~69のいずれか1項に記載の方法。
(項目71)
前記治療有効量の前記化合物が、前記食物の経口摂取前または経口摂取後の45分以内に前記被験体に投与される、項目62~69のいずれか1項に記載の方法。
(項目72)
前記治療有効量の前記化合物が、前記食物の経口摂取前または経口摂取後の30分以内に前記被験体に投与される、項目62~69のいずれか1項に記載の方法。
(項目73)
前記治療有効量の前記化合物が、前記食物の経口摂取前または経口摂取後の15分以内に前記被験体に投与される、項目62~69のいずれか1項に記載の方法。
(項目74)
前記治療有効量の前記化合物が、前記食物の経口摂取前または経口摂取後の5分以内に前記被験体に投与される、項目62~69のいずれか1項に記載の方法。
(項目75)
前記食物が、高脂肪食を含む、項目62~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目76)
前記食物が、通常食を含む、項目62~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記食物が、少なくとも50カロリーを含む、項目62~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目78)
前記食物が、少なくとも100カロリーを含む、項目62~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記食物が、少なくとも200カロリーを含む、項目62~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記食物が、少なくとも300カロリーを含む、項目62~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目81)
前記治療有効量の前記化合物を食物と実質的に同時に投与することにより、食物なしでの投与と比べて、前記化合物のバイオアベイラビリティが上昇し、ここで、バイオアベイラビリティは、AUC値の比較に基づく、項目62~80のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
前記バイオアベイラビリティが、約10%またはそれを超えて上昇する、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記バイオアベイラビリティが、約20%またはそれを超えて上昇する、項目81に記載の方法。
(項目84)
前記バイオアベイラビリティが、約30%またはそれを超えて上昇する、項目81に記載の方法。
(項目85)
前記バイオアベイラビリティが、約40%またはそれを超えて上昇する、項目81に記載の方法。
(項目86)
前記バイオアベイラビリティが、約50%またはそれを超えて上昇する、項目81に記載の方法。
(項目87)
前記バイオアベイラビリティが、約55%またはそれを超えて上昇する、項目81に記載の方法。
(項目88)
被験体におけるCNS関連障害を処置する方法であって、前記方法は、治療有効量の化合物を食物と実質的に同時に前記被験体に投与する工程を含み、前記化合物は、式:
【化7】
を有し、前記投与は、食物なしでの投与と比べて、前記化合物のバイオアベイラビリティの上昇をもたらし、ここで、バイオアベイラビリティは、AUC値の比較に基づく、方法。
(項目89)
前記治療有効量が、固形剤形中にある、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記固形剤形が、錠剤またはカプセル剤である、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記バイオアベイラビリティが、約10%またはそれを超えて上昇する、項目87~89のいずれか1項に記載の方法。
(項目92)
前記バイオアベイラビリティが、約20%またはそれを超えて上昇する、項目87~89のいずれか1項に記載の方法。
(項目93)
前記バイオアベイラビリティが、約30%またはそれを超えて上昇する、項目87~89のいずれか1項に記載の方法。
(項目94)
前記バイオアベイラビリティが、約40%またはそれを超えて上昇する、項目87~89のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
前記バイオアベイラビリティが、約50%またはそれを超えて上昇する、項目87~89のいずれか1項に記載の方法。
(項目96)
前記バイオアベイラビリティが、約55%またはそれを超えて上昇する、項目87~89のいずれか1項に記載の方法。
(項目97)
前記AUC値が、AUC0-tであり、AUC0-tは、投薬時点から最後の定量可能な濃度までのAUCである、項目87~96のいずれか1項に記載の方法。
(項目98)
前記CNS関連障害が、GABA関連疾患または障害である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
前記CNS関連障害が、気分障害である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。(項目100)
前記CNS関連障害が、運動障害である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。(項目101)
前記CNS関連障害が、産後うつ病である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記CNS関連障害が、大うつ病性障害である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記CNS関連障害が、本態性振顫である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
前記運動障害が、パーキンソン病である、項目87~97のいずれか1項に記載の方法。(項目105)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、少なくとも24である、項目102に記載の方法。
(項目106)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、少なくとも18である、項目102に記載の方法。
(項目107)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、19および22を含む19と22との間である、項目102に記載の方法。
(項目108)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、14および18を含む14と18との間である、項目102に記載の方法。
(項目109)
前記被験体のベースラインHAM-D総スコアが、23を超えるかまたは23と等しい、項目102に記載の方法。
(項目110)
前記化合物が、少なくとも14日間にわたって1日1回、前記被験体に投与される、項目102に記載の方法。
(項目111)
前記前記化合物による前記被験体の処置に関連する前記HAM-D総スコアが、6~8の範囲の数値以下である、項目105~110のいずれか1項に記載の方法。
(項目112)
前記前記化合物による前記被験体の処置に関連する前記HAM-D総スコアが、7以下である、項目105~111のいずれか1項に記載の方法。
(項目113)
前記ベースラインHAM-D総スコアと比較して、化合物1で前記被験体を処置した後のHAM-D総スコアの低下が、少なくとも15である、項目105~112のいずれか1項に記載の方法。
(項目114)
前記ベースラインHAM-D総スコアと比較して、化合物1で前記被験体を処置した後のHAM-D総スコアの低下が、少なくとも17である、項目105~113のいずれか1項に記載の方法。
(項目115)
前記化合物が、夜に前記被験体に投与される、項目105~114のいずれか1項に記載の方法。
(項目116)
前記化合物が、前記被験体が眠る前の1時間以内に前記被験体に投与される、項目105~115のいずれか1項に記載の方法。
(項目117)
前記化合物が、前記被験体が眠る前の15分以内に前記被験体に投与される、項目105~116のいずれか1項に記載の方法。
(項目118)
前記化合物が、慢性的に投与される、項目105~117のいずれか1項に記載の方法。
(項目119)
化合物1が、形態Cとして存在する、項目1~49または88~118のいずれか1項に記載の方法。
(項目120)
前記化合物1が、形態Cとして存在する、項目50~61のいずれか1項に記載の製造品。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【外国語明細書】