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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013314
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】薬剤配置確認システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61J7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115307
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】小濱 章臣
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN01
4C047NN03
4C047NN20
(57)【要約】
【課題】薬剤包装が正確に収容されているか否かを確認する薬剤配置確認システムを開発することを課題とする。
【解決手段】薬剤セット具1には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識30が付されており、薬剤包装帯は、薬剤包装7に薬包識別標識15が付されており、薬剤が収容されていない部位に情報表示12が付されており、情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能であり、前記薬剤包装帯から前記情報表示を切り離して前記薬剤セット具の所定の位置に装着し、個々の薬剤包装を切り離して前記薬剤セット具の所定の薬剤収容部に収容し、薬剤包装を収容後の薬剤セット具を前記撮影手段で撮影し、前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬剤包装が帯状に繋がった薬剤包装帯と、薬剤セット具と、撮影手段と、判定手段を有し、前記薬剤セット具は、複数の薬剤収容部を有し、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、
前記薬剤包装帯から個々の薬剤包装を切り離して作業者によって薬剤セット具の所定の薬剤収容部に収容し、薬剤包装を収容後の薬剤セット具を撮影手段で撮影し、前記判定手段で各薬剤包装が正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認システムにおいて、
前記薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、
前記薬剤包装帯は、前記薬剤包装に薬包識別標識が付されており、薬剤が収容されていない部位に情報表示が付されており、
前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能であり、
前記薬剤包装帯から前記情報表示を切り離して前記薬剤セット具の所定の位置に装着し、個々の薬剤包装を切り離して前記薬剤セット具の所定の薬剤収容部に収容し、薬剤包装を収容済の薬剤セット具を前記撮影手段で撮影し、
前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認システム。
【請求項2】
薬剤セット具は、使用者を特定することなく、各薬剤収容部の近傍に収容部識別標識が印刷されたものである請求項1に記載の薬剤配置確認システム。
【請求項3】
情報表示は二次元コードであり、収容部識別標識及び薬包識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であって前記二次元コードよりも記録できる情報量が少ないものである請求項1に記載の薬剤配置確認システム。
【請求項4】
収容部識別標識及び薬包識別標識がarucoマーカーである請求項1に記載の薬剤配置確認システム。
【請求項5】
複数の薬剤収容部を有する薬剤セット具に、薬剤包装が正確に収容されているか否かを判断する薬剤配置確認装置において、
前記薬剤セット具は、複数の薬剤収容部を有し、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、さらに情報表示があり、
薬剤収容部に収容された薬剤包装には薬包識別標識が付されており、
薬剤配置確認装置は、撮影手段と、情報取得手段と、標識認識手段と、判定手段を有し、前記情報取得手段は、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得るものであり、
前記撮影手段によって薬剤セット具を撮影し、撮影された情報表示から前記情報取得手段によって収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、
前記標識認識手段によって個々の収容部識別標識と薬包識別標識を認識し、
前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認装置。
【請求項6】
複数の薬剤包装が帯状に繋がった薬剤包装帯であって、前記薬剤包装に薬包識別標識が印刷されており、薬剤が収容されていない部位に情報表示が印刷された薬剤包装帯を製作する工程と、
複数の薬剤収容部を有する薬剤セット具であって、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されている薬剤セット具を準備し、各薬剤収容部に、薬剤包装帯から切り離された薬剤包装を収容する工程と、
薬剤セット具の所定の位置に、薬剤包装帯から切り離された情報表示を取り付ける工程と、
薬剤セット具を撮影し、撮影された情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認方法。
【請求項7】
撮影手段とコンピュータを備えた端末に少なくとも一部が格納されるコンピュータプログラムであって、前記端末単独あるいは他のコンピュータと連動して薬剤セット具に対する薬剤包装の配置を確認する薬剤配置確認プログラムにおいて、
薬剤セット具は、複数の薬剤収容部を有し、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、さらに情報表示があり、
薬剤収容部に収容された薬剤包装には薬包識別標識が付されており、
薬剤配置確認プログラムは、情報取得手段と、標識認識手段と、判定手段を実現するものであり、前記情報取得手段は、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得るものであり、
撮影手段によって薬剤セット具を撮影し、撮影された情報表示から前記情報取得手段によって収容部識別識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、
前記標識認識手段によって個々の収容部識別標識と薬包識別標識を認識し、
前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認プログラム。
【請求項8】
複数の薬剤包装が帯状に繋がった薬剤包装帯であって、個々の薬剤包装が切り離されて、薬剤セット具の薬剤収容部に収容される薬剤包装帯において、
前記薬剤セット具は、前記複数の薬剤収容部が平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、前記薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、前記収容部識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、
前記薬剤包装帯の薬剤包装には、薬包識別標識が印刷されており、前記薬包識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、
前記薬剤包装帯の薬剤が収容されていない部位に情報表示が印刷されており、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能である薬剤包装帯。
【請求項9】
分包紙がロール状に巻かれた分包紙ロールであって、薬剤分包装置に装着されて分包紙が引き出され、所定の箇所が接着されて袋を形成し、当該袋に薬剤が収容され、さらに薬包識別標識と情報表示が印刷されて、請求項8に記載の薬剤包装体を構成することが可能である分包紙ロール。
【請求項10】
請求項8に記載の薬剤包装帯を排出することができる薬剤分包装置。
【請求項11】
薬剤包装帯に情報を付する印字装置において、
前記薬剤包装帯は、複数の薬剤包装が帯状に繋がった領域と、薬剤が収容されていない領域を有し、個々の薬剤包装が切り離されて、薬剤セット具の薬剤収容部に収容される薬剤包装帯であり、
前記薬剤セット具は、前記複数の薬剤収容部が平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、前記薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、前記収容部識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、
前記印字装置は、前記薬剤包装帯の薬剤包装に薬包識別標識を付し、前記薬剤包装帯の薬剤が収容されていない領域に情報表示を付するものであり、
前記薬包識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、
前記情報表示は、前記収容部識別標識と前記薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能な表示である印字装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お薬カレンダーや投薬カレンダー等の薬剤セット具に薬剤包装が正確に収容されているか否かを確認する薬剤配置確認システムに関するものである。また本発明は、薬剤配置確認装置、薬剤配置確認方法、薬剤配置確認プログラムに関するものである。また本発明は、薬剤配置確認システムに使用される、薬剤包装帯、薬剤分包装置、印字装置、分包紙ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢の患者(服用者)や、症状が急性期を脱した患者は、在宅で療養する場合が多い。また高血圧症や高脂血圧の様な緊急性を要しない患者についても、在宅で療養する場合が多い。在宅で療養する患者は、自己管理に基づいて服薬を行う必要がある。
例えば医師の処方の内、その用法が、朝にA薬とB薬を服用し、昼にB薬を服用し、夕食後に朝の倍量のA薬とC薬を服用するものであるならば、患者自らが決められた時刻に決められた種類の薬剤を決められた量だけ薬箱等から取り出し、服用する必要がある。
しかしながら、現実問題として、飲むべき薬の種類や量を間違ったり、飲み忘れることがある。また逆に重複して服用してしまうこともある。
特に、高齢者や気力が低下した患者にとっては、決められた種類の薬剤を決められた量だけ薬箱等から取り出すことが困難であり、正確に薬剤を服用できていない場合もある。
【0003】
この問題を解決する手段として、投薬カレンダー又はお薬カレンダーと称される器具が特許文献1,2に提案されている。
特許文献1に開示された発明は、カレンダーに薬剤を収容する薬剤収容部を設けたものである。
特許文献1に開示された発明では、日付けの下方に、それぞれ4個の薬剤収容部が並べられている。4個の薬剤収容部は、それぞれ服用のタイミング(用法)に対応するものであり、特許文献1の記載に基づけば、「朝」「昼」「夜」「ネル前」と表示されている。
そして投薬カレンダー(お薬カレンダー)の薬剤収容部に、服用のタイミングに対応した薬剤を収容しておく。服用のタイミングが到来すると、該当する薬剤収容部から薬剤を取り出して服用する。
【0004】
前記した投薬カレンダーは、個人宅のみならず、高齢者の介護施設等や、入院施設を有する病院でも採用される傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-258999号公報
【特許文献2】特開2013-248873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された投薬カレンダーは、薬剤をセットする薬剤セット具であり、患者の自宅や介護施設等に設置される。
そして訪問薬局の薬剤師が、患者の自宅や介護施設を巡回訪問して投薬カレンダーの薬剤収容部に薬剤を補充する場合がある。
また薬剤師が自己の薬局(調剤室)で投薬カレンダーの薬剤収容部に薬剤を収容し、薬剤が収容された状態の投薬カレンダーを患者の自宅や介護施設に持ち込む場合もある。
ここで投薬カレンダーの形式であるが、特に法律の定めはなく、各施設によって各種のものが使用されている。
いずれの形式にしても、投薬カレンダーは複数の薬剤収容部を有し、当該複数の薬剤収容部が平面的に分布されており、当該薬剤収容部は、服用者と服用のタイミングに基づいて定められる特定の位置にある。
代表的な投薬カレンダー(図の表示は「お薬カレンダー」)の形式は、図19、20、21に記載の3種類である。
【0007】
第一の形式は、図19の様な個人用投薬カレンダー100であり、曜日軸と、服用のタイミング軸によって構成されるマトリックス形状(行列状)である。
具体的には、月、火、水、木、金、土、日の7曜を縦軸とし、朝、昼、夜、寝る前を横軸とする行列状である。
個人用投薬カレンダー100は、一人の服用者が専用に使用するものであり、例えば服用者の村松が一週間に服用する薬剤が、曜日と服用のタイミングごとに収容される。
例えば、水曜日の昼食後には、水曜列の昼用の位置に収容された薬剤を服用者たる村松が服用する。
個人用投薬カレンダー100は、一週間を一つの単位とするものが多いが、何日を一単位とするのかは任意であり、10日単位や、二週間単位、28日単位等であってもよい。
【0008】
第二の形式は、図20の様な複数の服用者を対象とする一日用投薬カレンダー(図の表示は「お薬カレンダー」)101である。一日用投薬カレンダー101は、日めくりカレンダーのごとく、服用すべき曜日が大きく記載されている。また 一日用投薬カレンダー101は、服用者名と服用のタイミング軸によって構成される行列状に薬剤収容部が配置されている。
具体的には、村松、早田、嵐、富士、井手、霧島、諸星の七名の名前を縦軸とし、朝、昼、夜、寝る前を横軸とする行列形状である。
一日用投薬カレンダー101は、複数の服用者が共同で使用するものであり、例えば7人の服用者が一日に服用する薬剤が、服用者名と服用のタイミングごとに収容される。
例えば、当日の朝には、村松、早田、嵐、富士、井手、霧島、諸星の七名が、それぞれの「朝」の薬剤収容部に収容された薬剤を服用する。昼食を終えれば前記した七名が、それぞれの「昼」の薬剤収容部に収容された薬剤を服用する。
複数の服用者を対象とする一日用投薬カレンダー101は、介護施設や病院で使用される。一日用投薬カレンダー101において、何名の服用者を一単位とするかは任意であり、5名であっても10名であってもよい。
【0009】
第三の形式は、図21の様な複数の服用者を対象とする服用時点別投薬カレンダー(図の表示は「お薬カレンダー」)102である。
具体的には、上部に大きく「朝」という様に服用のタイミングが記され、本郷、一文字、・・・・東條、佐野の28名の名前が並べられている。
服用時点別投薬カレンダー102は、複数の服用者が共同で使用するものであり、介護施設や病院で使用される。例えば28人の服用者それぞれが、一日の特定時期に服用する薬剤が、服用者名別に収容される。
例えば、当日の朝には、カレンダーに名前のある28名が、それぞれの名前が付された薬剤収容部に収容された薬剤を服用する。
全員が服用を終えると、服用時点別投薬カレンダー102を外し、昼用の服用時点別投薬カレンダー102を用意する。
服用時点別投薬カレンダー102において、何名の服用者を一単位とするかは任意であり、10名であっても30名であってもよい。
【0010】
前記した様に投薬カレンダー100,101,102には複数の形式のものがある。
例えば特許文献1に開示された投薬カレンダーは、服用者の自宅や介護施設に設置されるものであり、訪問薬局の薬剤師が服用者の自宅や介護施設を巡回訪問して薬剤収容部に薬剤を補充する。
また薬剤師が自己の薬局(調剤室)で投薬カレンダー100,101,102の薬剤収容部に薬剤を収容し、薬剤が収容された状態の投薬カレンダー100,101,102を服用者の自宅や介護施設に持ち込む場合であれば、薬剤師は投薬カレンダー100,101,102の形式に沿って各薬剤収容部に所定の薬剤を入れてゆく。
しかしながら、前記した様に投薬カレンダー100,101,102には複数の形式のものがあるので、まぎらわしく、入れ間違える場合もある。
【0011】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題に注目し、投薬カレンダー等の薬剤セット具に薬剤包装が正確に収容されているか否かを確認する薬剤配置確認システム、薬剤配置確認装置、薬剤配置確認方法、薬剤配置確認プログラムを開発することを課題とするものである。
また本発明は薬剤配置確認システム等で使用される薬剤包装帯及び薬剤分包装置、印字装置、分包紙ロールを開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するため態様は、複数の薬剤包装が帯状に繋がった薬剤包装帯と、薬剤セット具と、撮影手段と、判定手段を有し、前記薬剤セット具は、複数の薬剤収容部を有し、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、前記薬剤包装帯から個々の薬剤包装を切り離して作業者によって薬剤セット具の所定の薬剤収容部に収容し、薬剤包装を収容後の薬剤セット具を撮影手段で撮影し、前記判定手段で各薬剤包装が正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認システムにおいて、前記薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、前記薬剤包装帯は、前記薬剤包装に薬包識別標識が付されており、薬剤が収容されていない部位に情報表示が付されており、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能であり、前記薬剤包装帯から前記情報表示を切り離して前記薬剤セット具の所定の位置に装着し、個々の薬剤包装を切り離して前記薬剤セット具の所定の薬剤収容部に収容し、薬剤包装と収容後の薬剤セット具を前記撮影手段で撮影し、前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認システムである。
【0013】
本態様の薬剤配置確認システムで使用される薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されている。
収容部識別標識は、単なる図形であって、他と区別することができる機能を有するだけのものであってもよい。また収容部識別標識は、例えば、1235といった単なる数字情報や、abcdといった単なる文字情報等を読み取ることができるものであってもよい。また収容部識別標識は、薬剤収容部の位置を具体的に特定することができるものであってもよい。
本態様の薬剤配置確認システムで使用される薬剤包装帯では、薬剤包装に薬包識別標識が印刷等によって付されている。また本態様の薬剤配置確認システムで使用される薬剤包装帯では、薬剤包装以外に、情報表示が印刷等によって付されている部位がある。
薬包識別標識についても、単なる図形であって、他と区別することができる機能を有するだけのものであってもよい。薬包識別標識は、例えば、1235といった単なる数字情報や、abcdといった単なる文字情報等を読み取ることができるものであってもよい。また薬包識別標識は、当該薬剤を服用する患者と、収容されるべき薬剤収容部の位置及び/又は薬剤の服用時期を特定する情報を含むものであってもよい。
薬剤包装帯の情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることができる。
本態様の薬剤配置確認システムにおいては、薬剤包装帯から前記情報表示を切り離して前記薬剤セット具の所定の位置に装着し、個々の薬剤包装を切り離して薬剤セット具の所定の薬剤収容部に収容する。そして薬剤包装を収容後の薬剤セット具を撮影手段で撮影する。
判定手段は、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較し、その組み合わせの正否を判断する。
判断手段による判断は、単に図形の組み合わせの正否を判断するものであってもよい。例えば特定の領域の収容部識別標識が図形番号3の図形であり、薬包識別標識が図形番号5の図形である場合が正であり、他の組み合わせの場合は否である。即ち図形を直接的に比較してもよい。
また収容部識別標識から特定される情報が例えば1235(ID番号等)であって、薬包識別標識から特定される情報が例えばabcd(ID記号等)である場合が正であり、それ以外の組合せを否と判定することもできる。即ち、収容部識別標識及び薬包識別標識から情報を得たり、何らかの変換を行って比較してもよい。
またさらに具体的な情報によって組み合わせの正否を判断してもよい。
本態様では、判定手段によって、撮影された薬剤セット具に保持された各薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する。
本態様の薬剤配置確認システムでは、薬剤包装帯に薬包識別標識と情報表示があり、一つの薬剤セット具に、同じ薬剤包装帯に付されていた薬包識別標識と情報表示が使われる。
本態様の薬剤配置確認システムでは、薬剤セット具に薬剤包装帯から切り離された情報表示が付されることにより、当該薬剤セット具が他の薬剤セット具と区別される。即ち特定の薬剤包装帯から切り離された情報表示が付され、当該薬剤セットが撮影手段で撮影される。特定の薬剤包装帯から切り離された情報表示が付された薬剤セットは、ただ一つであるから、撮影された薬剤セット具は他の薬剤セット具と区別可能である。
本態様の薬剤配置確認システムでは、薬剤セット具に薬剤包装帯から切り離された情報表示が付されることにより、初めて当該薬剤セット具が他の薬剤セット具と区別されるから、情報表示が付される以前の薬剤セット具は、そもそも任意のものである。言い換えれば本実施形態で使用する薬剤セット具は、個人用に作られたり個人用に印刷されたものである必要は無く、汎用品を使用することができる。
そのため薬剤セット具を他人のものと取り違えるということ自体が起こりにくい。
【0014】
上記した態様において、薬剤セット具は、使用者を特定することなく、各薬剤収容部の近傍に収容部識別標識が印刷されたものであることが望ましい。
【0015】
上記した態様において情報表示は二次元コードであり、収容部識別標識及び薬包識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であって前記二次元コードよりも記録できる情報量が少ないものであることが望ましい。
【0016】
上記した態様において収容部識別標識及び薬包識別標識がarucoマーカーであることが望ましい。
【0017】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、複数の薬剤収容部を有する薬剤セット具に、薬剤包装が正確に収容されているか否かを判断する薬剤配置確認装置において、前記薬剤セット具は、複数の薬剤収容部を有し、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、さらに情報表示があり、薬剤収容部に収容された薬剤包装には薬包識別標識が付されており、薬剤配置確認装置は、撮影手段と、情報取得手段と、標識認識手段と、判定手段を有し、前記情報取得手段は、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得るものであり、前記撮影手段によって薬剤セット具を撮影し、撮影された情報表示から前記情報取得手段によって収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、前記標識認識手段によって個々の収容部識別標識と薬包識別標識を認識し、前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定することを特徴とする薬剤配置確認装置である。
【0018】
本態様の薬剤配置確認装置は、判定手段を有し、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較する機能を有するものであり、撮影された薬剤セット具に保持された各薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する。
【0019】
上記した課題を解決するためのもう一つの態様は、複数の薬剤包装が帯状に繋がった薬剤包装帯であって、前記薬剤包装に薬包識別標識が印刷されており、薬剤が収容されていない部位に情報表示が印刷された薬剤包装帯を製作する工程と、複数の薬剤収容部を有する薬剤セット具であって、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されている薬剤セット具を準備し、各薬剤収容部に、薬剤包装帯から切り離された薬剤包装を収容する工程と、薬剤セット具の所定の位置に、薬剤包装帯から切り離された情報表示を取り付ける工程と、薬剤セット具を撮影し、撮影された情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定することを特徴とする薬剤配置確認方法である。
【0020】
本態様の薬剤配置確認方法では、撮影された情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、撮影された薬剤セット具に保持された各薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する。
本態様の薬剤配置確認方法では、薬剤セット具に薬剤包装帯から切り離された情報表示が付されることにより、初めて当該薬剤セット具が他の薬剤セット具と区別されるから、情報表示が付される以前の薬剤セット具はそもそも任意のものである。言い換えれば本実施形態で使用する薬剤セット具は、個人用に作られたり個人用に印刷されたものである必要は無く、汎用品を使用することができる。
【0021】
上記した課題を解決するためのもう一つの態様は、撮影手段とコンピュータを備えた端末に少なくとも一部が格納されるコンピュータプログラムであって、前記端末単独あるいは他のコンピュータと連動して薬剤セット具に対する薬剤包装の配置を確認する薬剤配置確認プログラムにおいて、薬剤セット具は、複数の薬剤収容部を有し、前記複数の薬剤収容部は平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、さらに情報表示があり、薬剤収容部に収容された薬剤包装には薬包識別標識が付されており、薬剤配置確認プログラムは、情報取得手段と、標識認識手段と、判定手段を実現するものであり、前記情報取得手段は、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得るものであり、撮影手段によって薬剤セット具を撮影し、撮影された情報表示から前記情報取得手段によって収容部識別識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を取得し、前記標識認識手段によって個々の収容部識別標識と薬包識別標識を認識し、前記判定手段で、撮影された個々の収容部識別標識と個々の薬包識別標識との組合せと、前記情報表示に基づいて得られた収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせを比較して、薬剤包装が、薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する薬剤配置確認プログラムである。
【0022】
上記したシステム等で使用される薬剤包装帯の態様は、複数の薬剤包装が帯状に繋がった薬剤包装帯であって、個々の薬剤包装が切り離されて、薬剤セット具の薬剤収容部に収容される薬剤包装帯において、前記薬剤セット具は、前記複数の薬剤収容部が平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、前記薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、前記収容部識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、前記薬剤包装帯の薬剤包装には、薬包識別標識が印刷されており、前記薬包識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、前記薬剤包装帯の薬剤が収容されていない部位に情報表示が印刷されており、前記情報表示から収容部識別標識と薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能である薬剤包装帯である。
【0023】
薬剤包装帯は、分包紙がロール状に巻かれた分包紙ロールであって、薬剤分包装置に装着されて分包紙が引き出され、所定の箇所が接着されて袋を形成し、当該袋に薬剤が収容され、さらに薬包識別標識と情報表示が印刷されて構成されることが望ましい。
【0024】
薬剤分包装置の態様は、上記した薬剤包装帯を排出することができるものである。
【0025】
上記した課題を解決するためのもう一つの態様は、薬剤包装帯に情報を付する印字装置において、前記薬剤包装は、複数の薬剤包装が帯状に繋がった領域と、薬剤が収容されていない領域を有し、個々の薬剤包装が切り離されて、薬剤セット具の薬剤収容部に収容される薬剤包装帯であり、前記薬剤セット具は、前記複数の薬剤収容部が平面的に分布されていて薬剤収容部に対応する服用者及び服用タイミングの薬剤包装が保持されるものであり、前記薬剤セット具には、各薬剤収容部に対応する収容部識別標識が付されており、前記収容部識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、前記印字装置は、前記薬剤包装帯の薬剤包装に薬包識別標識を付し、前記薬剤包装帯の薬剤が収容されていない領域に情報表示を付するものであり、前記薬包識別標識は、記号化され読み取り可能な文様であり、前記情報表示は、前記収容部識別標識と前記薬包識別標識との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることが可能な表示である印字装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の薬剤配置確認システム、薬剤配置確認装置、薬剤配置確認方法、薬剤配置確認プログラムによると、薬剤セット具に薬剤包装が正確に収容されているか否かを確認することができる。
また本発明の薬剤包装帯を使用すると、薬剤包装の入れ間違いが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態の薬剤配置確認システムの構成を示す説明図である。
図2】(a)は本発明の実施形態で使用する個人用投薬カレンダーの正面図であって薬剤包装が保持されていない状態を示し、(b)は薬剤包装の正面図であり、(c)はカレンダー包の正面図である。
図3】薬剤分包装置から払い出された薬剤包装帯の斜視図である。
図4】(a)は情報表示の一例たる二次元コードであり、(b)は薬包識別標識の一例たるarucoマーカーであり、(c)は収容部識別標識の一例たるarucoマーカーである。
図5】携帯端末のブロック図である。
図6】(a)は図2の個人用投薬カレンダーを対象として、薬剤包装が正規の薬剤セット具に正しく収容されているか否かを判定する際の状況を示す説明図であり、薬剤包装が保持された状態の個人用投薬カレンダーの正面図を含み、(b)は薬剤収容部の拡大図であり、(c)はカレンダー包収容部の拡大図である。
図7】(a)は本発明の他の実施形態で使用する多人数用投薬カレンダーの正面図であって薬剤包装が保持されていない状態を示し、(b)は薬剤包装の正面図であり、(c)はカレンダー包の正面図である。
図8】(a)は図7の多人数用投薬カレンダーの正面図であって薬剤包装が保持された状態を示し、(b)は薬剤収容部の拡大図であり、(c)はカレンダー包収容部の拡大図である。
図9】(a)は本発明のさらに他の実施形態で使用する多人数用投薬カレンダーの正面図であって薬剤包装が保持されていない状態を示し、(b)は薬剤包装の正面図であり、(c)はカレンダー包の正面図である。
図10】(a)は図9の多人数用投薬カレンダーの正面図であって薬剤包装が保持された状態を示し、(b)は薬剤収容部の拡大図であり、(c)はカレンダー包収容部17の拡大図である。
図11】多数のarucoマーカーを例示し、便宜的に番号を付した説明図である。
図12】情報表示から直接的に又は間接的に読み取られる情報を示す説明図である。
図13】判定手段の判定方法を説明する説明図である。
図14】薬剤分包装置から払い出された薬剤包装帯の変形例を示す正面図である。
図15】(a),(b),(c)は携帯端末で対応可能な投薬カレンダーの正面図である。
図16】携帯端末の表示画面の一つであり、投薬カレンダーの種類を選択する選択画面を示す。
図17】(a)は、情報表示の撮影方法を概念的に説明する説明図であり、(b)は、情報表示から読み出されて情報を示す説明図である。
図18】携帯端末の表示画面の一つであり、(a)は、投薬カレンダーを撮影した直後の確認画面であり、(b)は、判定後の画面である。
図19】従来技術の個人用投薬カレンダーの正面図である。
図20】従来技術の一日用投薬カレンダーの正面図である。
図21】従来技術の服用時点別投薬カレンダーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
第一実施形態の薬剤配置確認システム16は、投薬カレンダー1等の薬剤セット具に薬剤包装7が正確に収容されているか否かを確認するものである。
薬剤配置確認システム16は、図1の様に、投薬カレンダー1と、携帯端末20と、薬剤分包装置6から排出される薬剤包装帯8によって構成されている。
投薬カレンダー1は、例えば図2に示す様な「お薬カレンダー」である。以下、図面の表示に係わらず「投薬カレンダー」と称する。
投薬カレンダー(薬剤セット具)1は、第一の形式たる個人用投薬カレンダーであり、平面状の基材2に薬剤収容部3が多数、設けられたものである。
【0029】
本実施形態で採用する投薬カレンダー1は、定まった形式に則って量産されるものであり、特定の使用者に限定して作られたものではない。本実施形態で採用する投薬カレンダー1自体は汎用品であり、対象者を選ばず、だれでも使用することができる。
薬剤収容部3は、平面的且つ行列状に分布されていてそれぞれ服用のタイミングに基づいて定められる特定の位置にあり、薬剤収容部3に対応する服用タイミングの薬剤包装7が保持されるものである。
【0030】
本実施形態では、薬剤収容部3は、曜日軸と、服用のタイミング軸によって構成されるマトリックス形状(行列状)に配列されたものである。
具体的には、月、火、水、木、金、土、日の7曜を縦軸とし、朝、昼、夜、寝る前を横軸とする行列状である。
投薬カレンダー(薬剤セット具)1は、第一の形式のものであって、一人の服用者を対象として使用するものであり、例えば一人の服用者が一週間に服用する薬剤が、曜日と服用のタイミングごとに薬剤収容部3に収容されるものである。
即ち薬剤収容部3は、服用者が一人であり、服用のタイミングが「月朝、月昼・・・」等の表示に基づいて定められる特定の位置にあり、薬剤収容部3は、服用者と服用のタイミングに基づいて定められる特定の位置にある。
【0031】
薬剤収容部3は、シート状の基材2に、小型の透明シート5が取り付けられてポケット状の袋を構成したものである。
具体的には、薬剤収容部3は、透明シート5の左右辺と下辺が基材2に接着され、上辺から内部に物を入れることができる構造である。
薬剤収容部3は、透明シート5で作られた一種のポケットであるから、内部が透けて見える。
【0032】
本実施形態で採用する投薬カレンダー(薬剤セット具)1では、全ての薬剤収容部3の近傍に、収容部識別標識30が付されている。前記した様に、投薬カレンダー1は、定まった形式に則って量産されたものであり、全ての薬剤収容部3の近傍に、収容部識別標識30が印刷されている。
本実施形態では収容部識別標識30は、薬剤収容部3の左側に設けられているが、収容部識別標識30の位置は、薬剤収容部3に対応する位置であれば足り、薬剤収容部3の上下の位置や右側であってもよい。また薬剤収容部3の透明シート5に収容部識別標識30が付されていてもよい。ただし、薬剤収容部3に薬剤包装7を入れた際に薬剤包装7の薬包識別標識15と重ならない場所であることが必要である。後記するように、薬包識別標識15は薬剤包装7に印刷されるものであるから、薬剤収容部3の透明シート5に収容部識別標識30が付されている場合は、薬包識別標識15を収容部識別標識30から外れた位置に印刷することが必要である。
【0033】
収容部識別標識30は、例えばarucoマーカー等の記号化され読み取り可能な文様であって二次元コードよりも記録できる情報量が少ないものである。
収容部識別標識30の形式は限定されるものでないが、「位置」と「姿勢(向き)」が分かるマーカーであることが望ましい。
例えば収容部識別標識30としてARマーカーを使用することが可能であり、本実施形態では、ARマーカーの中のarucoマーカーが採用されている。
arucoマーカーは、図4(b)(c)、図11の様に単純な図形であって、静止画や動画で撮影しても識別が容易であり、1000通り程度の識別が可能である。
arucoマーカーは、オープンソースであり、自由に使用することができる。OpenCVに含まれるマーカーを印刷したり識別する機能がAruCoライブラリーの中に含まれているので、それを使用することができる。
【0034】
収容部識別標識30は、意味や情報を持たない単なる識別可能な図形であってもよい。収容部識別標識30は、画像との組み合わせによって位置と姿勢(向き)の情報が取得できるものであることが望ましい。また収容部識別標識30は、何らかの読み取り可能な情報を含むものであってもよい。収容部識別標識30から読み出すことができる情報は、単純なもので足り、例えば、1235といった単なる数字列や、abcdといった単なる文字列であってもよい。収容部識別標識30の画像を他のコンピュータに送信して、当該他のコンピュータから情報を読み出すものであってもよい、即ち、撮影された収容部識別標識30の画像を使用して間接的に情報を得てもよい。
また特に読み出せる具体的な情報は無く、単に他のarucoマーカー等と区別することができるだけのものであってもよい。
本実施形態では、収容部識別標識30にarucoマーカーが採用されている。本実施形態では、収容部識別標識30のarucoマーカーからIDを読み取ることができる。
【0035】
なお変形例として、収容部識別標識30は、逆に多くの情報を読み出すことができるものであってもよい。例えば、収容部識別標識30は対応する薬剤収容部3の位置を特定する情報を含む識別標識であってもよい。例えば、3列の2行め、というような薬剤収容部3の位置を特定する情報を含んでいてもよい。或いは月曜昼、というような薬剤収容部3に収容される薬剤の服用時期を特定する情報を含んでいてもよい。もちろん薬剤収容部3の位置を特定する情報と服用時期を特定する情報の双方を含んでいてもよい。
【0036】
シート状の基材2には、左上部の視認可能な位置に、カレンダー包収容部17が設けられている。カレンダー包収容部17の構造は、薬剤収容部3と同じであり、シート状の基材2に、小型の透明シート5が取り付けられてポケット状の袋を構成したものである。
カレンダー包収容部17も、透明シート5で作られた一種のポケットであるから、内部が透けて見える。
【0037】
投薬カレンダー1の薬剤収容部3には、特定の患者の薬剤であって、該当する服用タイミングの薬剤を包装した薬剤包装7が保持される。
各薬剤包装7の中には、特定の服用者が服用する薬剤が内包されている。一つの薬剤包装7に封入された薬剤は、一種類の固形薬剤である場合もあれば、複数種類の固形薬剤である場合もある。また固形薬剤と散薬とが同一包装内に内蔵されている場合もある。
各薬剤包装7の中には、特定の服用者が一回に服用する薬剤が原則的に全て内包されているが、色が混じる場合や一つの包装の中に入りきれない場合は複数包に分かれることもある。
【0038】
本実施形態の薬剤包装7は、薬剤分包装置6によって薬剤を一服用分ずつ包装したものである。薬剤分包装置6は、入力された処方データに基づき、散薬供給部や固形薬剤供給部から散薬や固形薬剤を払い出して分包することができるものである。
また薬剤分包装置6には、図1の様に印字装置50が内蔵されており、薬剤包装帯8に必要な情報が印刷される。
薬剤分包装置6には、分包紙がロール状に巻かれた分包紙ロールが装着され、薬剤分包装置6内に装着されて分包紙が引き出され、所定の箇所が接着されて袋を形成し、当該袋に薬剤が収容され、さらに薬包識別標識と情報表示が印刷されて、薬剤包装帯8が構成される。
【0039】
本実施形態の薬剤分包装置6は、投薬カレンダー1の情報についても記憶又は入力されていることが望ましいが、投薬カレンダー1の情報については必ずしも保有している必要はない。
即ち、投薬カレンダー1は、定まった形式に則って量産されるものであり、例えば投薬カレンダー1が一種類しかないのであれば、薬剤分包装置6が投薬カレンダー1の情報を持つ必要はない。逆に、投薬カレンダー1が複数種類ある場合には、これらを区別する情報を持っていることが望ましい。
【0040】
薬剤包装7は、包装紙が折り曲げられ、所定の箇所が接着されて袋状を呈したものであり、当該袋に薬剤が一服用分ずつ収容されている。また薬剤包装7には所定の印刷がなされている。
薬剤包装7は、図3の様に帯状に長く繋がった薬剤包装帯8として薬剤分包装置6から排出される。
薬剤包装帯8は、先頭に情報表示12等が印刷されたカレンダー包13があり、それに続いて多数の薬剤包装7が繋がっている。なおカレンダー包13の位置は、先頭に限定されるものではなく、末端側であってもよい。薬剤包装帯8は、複数の薬剤包装7が帯状に繋がった領域と、薬剤が収容されていない領域があり、カレンダー包13は、薬剤が収容されていない領域であればいずれの箇所にあってもよい。
【0041】
各薬剤包装7には、各薬剤包装7を特定する薬剤包装特定情報が付されている。即ち、各薬剤包装7には、薬剤包装特定情報として視認可能な位置に服用者を特定する服用者特定表示23と、服用日を表示する服用日表示45と、服用のタイミングを特定する服用タイミング特定表示25が文字で記載されている。
具体的には、服用者特定表示23として服用者の名前たる「村松」の文字が印字されている。服用日表示45として、7/4等の表示が付されている。また服用タイミング特定表示25として「朝」「昼」等の文字が表示されている。これらの文字等によって、各薬剤包装7が他と区別される。
【0042】
さらに本実施形態では、各薬剤包装7に、薬包識別標識15が表示されている。
薬包識別標識15は、例えばarucoマーカー等の記号化され読み取り可能な文様であって二次元コードよりも記録できる情報量が少ないものである。本実施形態では、薬包識別標識15としてarucoマーカーが採用されている。
薬包識別標識15の機能は前記した収容部識別標識30と同様であり、意味や情報を持たない単なる識別可能な図形であってもよい。
また薬包識別標識15は、何らかの読み取り可能な情報を含むものであってもよい。薬包識別標識15から読み出すことができる情報は、単純なもので足り、例えば、1235といった単なる数字列や、abcdといった単なる文字列であってもよい。また特に読み出せる具体的な情報は無く、単に他のarucoマーカーと区別することができるだけのものであってもよい。
【0043】
本実施形態では、薬包識別標識15にarucoマーカーが採用されている。本実施形態では、薬包識別標識15のarucoマーカーからIDを読み取ることができる。
【0044】
なお変形例として、薬包識別標識15は、逆に多くの情報を読み出すことができるものであってもよい。例えば、薬包識別標識15は薬剤包装7が収容されるべき薬剤収容部3の位置を特定する情報を含む識別標識であってもよい。例えば、3列の2行め、というような薬剤収容部3の位置を特定する情報を含んでいてもよい。或いは月曜昼、というような薬剤包装7が収容されるべき薬剤収容部3に収容される薬剤の服用時期を特定する情報を含んでいてもよい。もちろん薬剤収容部3の位置を特定する情報と服用時期を特定する情報の双方を含んでいてもよい。
【0045】
カレンダー包13は、包装紙が折り曲げられて袋状に接着されたものであるが、薬剤は収容されていない。
カレンダー包13には、服用者特定表示42と、服用期間を表示する期間表示43と、情報表示12が印刷されている。
具体的には、服用者特定表示42として服用者の名前たる「村松」の文字が印字されている。期間表示43として、7/4~7/10の表示が付されている。
カレンダー包13には、情報表示12が印刷されている。情報表示12は、薬剤包装7と一連に排出されるものであって、薬剤が収容されていない部位に印刷されておればよく、袋に印刷されていることは必須ではない。
情報表示12には処方特定コードが記録されている。また情報表示12は、投薬カレンダー(薬剤セット具)1に付された収容部識別標識30と、薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることができる表示である。即ち後記する携帯端末20で情報表示12を撮影し、その画像を解析することによって、収容部識別標識30と、薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得ることができる。
情報表示12を撮影した画像からこれらの情報が直接読み出されてもよい。また組み合わせに関連する情報が他の記憶手段に記憶されており、情報表示12の画像から読み出された情報をキーとして検索し、他の記憶手段に記憶されていた組み合わせに関連する情報を取得してもよい。
【0046】
ここで、投薬カレンダー(薬剤セット具)1に付された収容部識別標識30と、薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報とは、各収容部識別標識30と各薬剤包装7に付された薬包識別標識15の組み合わせに関連する情報である。
カレンダー包13の情報表示12は、当該カレンダー1に収容される全部または、各行や列ごとの各薬包と各位置の組み合わせを示す情報である。
即ち、投薬カレンダー1に印刷された収容部識別標識30によって、薬剤収容部3が特定され、薬包識別標識15によって収容されるべき薬剤包装7が特定される。情報表示12には、各収容部識別標識30と各薬剤包装7に付された薬包識別標識15の組み合わせが記憶されている。
【0047】
薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報とは、例えば、図11の図形番号20番の薬包識別標識15と、図形番号18番の組合せが正であり、図形番号20番の薬包識別標識15と、他の図形番号の組合せが否であるという情報である。図11では、便宜上arucoマーカーに番号を付しているが、arucoマーカーの図形そのものを比較するものであってもよい。
また前記した情報は、収容部識別標識30の画像から読み出される識別番号(ID番号)や識別記号(ID記号)と、薬包識別標識15の画像から読み出される識別番号(ID番号)や識別記号(ID記号)の組合せの正否を判断する情報を含むものであってもよい。
識別番号や識別記号という概念がなく、単に図形の組合せの正否を判断する情報であってもよい。即ち、収容部識別標識30たるarucoマーカーの図形と、薬包識別標識15たるarucoマーカーの図形の組合せの情報であってもよい。
前記した情報は、収容部識別標識30から読み出される薬剤収容部3の位置や服用時期と、薬包識別標識15から特定される薬剤包装7が収容されるべき薬剤収容部3の位置や服用時期とを比較して正否を判断する情報であってもよい。
【0048】
本実施形態では、薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報は、図12に示す様に、単に薬剤包装7に付された薬包識別標識15から読み取られるID番号(図では薬包ID)と、投薬カレンダー1に印刷された収容部識別標識30から読み取られるID番号(図では位置ID)の関係である。本実施形態では、図12に示す情報を、情報表示12の画像から読み取ることができる。
また情報表示12に書き込まれるべき情報が多いので、本実施形態では、情報表示12として図4(a)の様な二次元コードが採用されている。
【0049】
本実施形態の薬剤分包装置6は、薬剤包装7が装着される投薬カレンダー1の収容部識別標識30が何であるかという情報を持っている。
また薬剤分包装置6は、多数のarucoマーカー等の図形パターンが記憶されており、arucoマーカー等の図形を包装紙に印刷する機能を備えている。
本実施形態の薬剤分包装置6では各薬剤包装7に、arucoマーカー等からなる薬包識別標識15を印刷する。また薬剤分包装置6は、各薬剤包装7に印刷した薬包識別標識15と、投薬カレンダー1の収容部識別標識30の関係を示す情報(図12に示す情報)を含む二次元コードを情報表示12としてカレンダー包13に印刷する。
【0050】
携帯端末20は、ノートパソコン等の携帯コンピュータや、スマートフォン、携帯電話機等の使用者が携行可能な電子端末である。またこれらに付属品が外付けされていてもよい。例えばノートパソコンや、スマートフォン、携帯電話器等にバーコードリーダが外付けされたものを携帯端末20として使用してもよい。
携帯端末20には、カメラ(撮影手段)18が内蔵又は外付けされており、撮影機能を持っている。また携帯端末20には、コンピュータが内蔵されている。携帯端末20が内蔵するコンピュータには、CPUと、記憶手段が内蔵されている。
【0051】
携帯端末20の記憶手段には、画像処理手段31、標識認識手段32、判定手段33、コード解析手段(情報取得手段)35として機能するコンピュータプログラムが格納されている。また携帯端末20は、インターネット等を通じて外部と通信する通信手段36を備えている。
【0052】
本実施形態では、画像処理手段31、標識認識手段32及びコード解析手段(情報取得手段)35によってカメラ(撮影手段)18で撮影された画像から必要な情報を取得する。
即ちこれらの手段によって、撮影された情報表示12の画像から収容部識別標識30と薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報を取得する。またこれらの手段によって、撮影された収容部識別標識30の画像からID番号(図12図13では位置ID)を取得し、撮影された薬包識別標識15の画像からID番号(図12図13では薬包ID)を取得する。
【0053】
画像処理手段31は、カメラ(撮影手段)18で撮影した情報表示12の二次元コードや、収容部識別標識30のarucoマーカー、薬包識別標識15のarucoマーカーの画像を処理するものである。即ち画像処理手段31で余分な背景や、映り込んだ無駄な光線を除き、必要な画像を明確にする。即ち画像処理手段31でノイズを取り除く。
標識認識手段32は、画像処理手段31によって画像処理された収容部識別標識30のarucoマーカーと、薬包識別標識15のarucoマーカーを認識し、特定するものである。
本実施形態では、標識認識手段32は、撮影された収容部識別標識30のarucoマーカーの画像からID番号(図12図13では位置ID)を読み取る。また本実施形態では、標識認識手段32は、撮影された薬包識別標識15の画像からarucoマーカーからID番号(図12図13では薬包ID)を読み取る。
【0054】
コード解析手段(情報取得手段)35は、撮影された情報表示12の二次元コードの画像から情報を読み出すものである。即ちコード解析手段35は、情報表示12から収容部識別標識30と薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報を直接的に又は間接的に得るものである。
【0055】
判定手段33は、撮影され、標識認識手段32によって認識された個々の収容部識別標識30と個々の薬包識別標識15との組合せと、情報表示12に基づいて得られた収容部識別標識30と薬包識別標識15との組み合わせとを比較する機能を有するものであり、撮影された投薬カレンダー(薬剤セット具)1に保持された各薬剤包装7が、投薬カレンダー1に正しく収容されているか否かを判定するものである。
本実施形態では、情報表示12から読み出された位置IDと薬包IDの組合せと、薬剤包装7が装着済みの投薬カレンダー1を撮影することによって得られた現実の位置IDと薬包IDの組合せを比較して、各薬剤包装7が、投薬カレンダー1に正しく収容されているか否かを判定する。
【0056】
次に、投薬カレンダー1に薬剤包装7等を装着する手順について説明する。
なおその前段階の工程として、薬剤包装帯8を製作する工程と、投薬カレンダー(薬剤セット具)1を準備する工程がある。
【0057】
薬剤包装7及びカレンダー包13は、作業者によって薬剤包装帯8から切り分けられ、薬剤師等の手によって投薬カレンダー1の所定の位置に収容される。
具体的には、カレンダー包13は、薬剤包装帯8から切り取られて、投薬カレンダー1のカレンダー包収容部17に収容される。薬剤包装7は、一つずつ薬剤包装帯8から切り分けられ、該当する薬剤収容部3に収容される。
前記した様に、カレンダー包収容部17は透明であるから、投薬カレンダー1のカレンダー包収容部17にカレンダー包13が入れられた状態で、図6の様にカレンダー包13に印刷された情報表示(二次元コード)12を外部から確認することができる。
薬包識別標識(arucoマーカー)15は、薬剤包装7の上方に印刷されており、薬剤収容部3から露出しているので、図6(b)の様に薬包識別標識(arucoマーカー)15を外部から確認することができる。
なお薬剤収容部3は透明であるから、薬包識別標識15の位置に係らず、薬剤収容部3に薬剤包装7が入れられた状態で、薬包識別標識(arucoマーカー)15を外部から確認することができる。
また収容部識別標識(arucoマーカー)30は投薬カレンダー1に直接印刷されたものであるから、外部から確認することができる。
【0058】
次に、投薬カレンダー1に薬剤包装7が正しく収容されているか否かを確認する手順について説明する。
使用者(薬剤師)は、自己の薬局内で薬剤包装7を投薬カレンダー1に装着し、患者の自宅や、病院、施設等に、薬剤包装7が収容済の投薬カレンダー1を運ぶ。
あるいは、薬局から必要な薬剤を患者の自宅等に持ち込み、既に患者宅等に備え付けの投薬カレンダー1に薬剤包装7を装着する。また調剤工場で投薬カレンダー1に薬剤包装7が装着されたものが郵送で患者宅や、委託元の調剤薬局に発送することもある。
使用者(薬剤師)は、携帯端末20を携行して、患者宅等に向かう。
そして使用者は、最初に投薬カレンダー1のカレンダー包収容部17に収容されている情報表示(二次元コード)12を撮影する。
【0059】
携帯端末20のコンピュータは、撮影された情報表示12の二次元コードを標識認識手段32で画像を認識し、コード解析手段(情報取得手段)35で情報表示12の二次元コードを解析し、二次元コードに含まれる情報を読み出す。
具体的には、情報表示12から投薬カレンダー(薬剤セット具)1に付された収容部識別標識30と、薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報を読み出す。本実施形態に即すると、各収容部識別標識30に書き込まれている位置IDと、各薬剤包装7に付された薬包識別標識15に書き込まれている薬包IDの組み合わせを
読み出す。
なお情報の読み出しは、二次元コードから読み出された識別子や識別情報によって処方情報等を特定し、その処方情報情等を携帯端末20の通信手段36よって他のコンピュータに送信して、当該他のコンピュータから読み出してもよい。即ち、撮影された情報表示12を使用して間接的に情報を得てもよい。
【0060】
次に、図6(a)の様に、携帯端末20の撮影手段18を使用して薬剤包装7が収容済の投薬カレンダー1を全体的に撮影する。
撮影は、原則として投薬カレンダー1の全体を一画面として、正面から撮影する。
そして、携帯端末20の画像処理手段31によって、各薬剤収容部3の横に付された収容部識別標識30のarucoマーカーと、各薬剤収容部3に収容された薬剤包装7の薬包識別標識15のarucoマーカーの画像を処理し、標識認識手段32でこれらを認識させる。
なお、画像処理の段階で、薬剤収容部3と収容部識別標識30の組を個々に切り取り、28組の収容部識別標識30と薬包識別標識15の組に切り分ける。
そして、個々の組の収容部識別標識30のarucoマーカーの画像から位置IDを読み出し、個々の組の包識別標識15のarucoマーカーの画像から薬包IDを読み出す。
【0061】
ついで、携帯端末20の判定手段33によって、撮影された情報表示12の二次元コードから得られた収容部識別標識30と薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報と、撮影によって得られた実際の収容部識別標識30と薬包識別標識15との組合せを図13の様に個別に比較する。具体的には、薬包IDと位置IDの組合せを個別に比較する。
本実施形態に即して説明すると、情報表示12の二次元コードから得られた情報として、月曜朝の薬包IDと位置IDの組合せは、図12の様に、[薬包ID=100:位置ID=1]である。
【0062】
そして実際に撮影された月曜朝の薬剤収容部3に対応する位置に付された収容部識別標識30が図11の図形番号100のarucoマーカーであり、当該薬剤収容部3に収容されている薬剤包装7の薬包識別標識15に付された収容部識別標識30が図11の図形番号1のarucoマーカーであったと仮定する。なお、図形番号100のarucoマーカーのID番号は100であり、図形番号1のarucoマーカーのID番号は1である。
即ち、実際に撮影された月曜朝の薬包IDと位置IDの組合せは、図12の様に、[薬包ID=100:位置ID=1]である。
この場合は、実際に撮影された月曜朝の薬包IDと位置IDの組合せが、情報表示12の二次元コードから得られた情報として、月曜朝の薬包IDと位置IDの組合せと同じであるから、正と判定する。これ以外の組合せであれば、否と判定する。
【0063】
携帯端末20は、全ての薬剤収容部3について正否を判別する。
そして、全ての現実の組合せが、情報表示12の二次元コードから得られた情報と一致する場合は、合格の判定を行う。例えば携帯端末20の表示にその旨を表示する。
逆にいずれかの現実の組合せが、情報表示12の二次元コードから得られた情報と異なっている場合には、不合格の判定を行う。例えば携帯端末20の表示にその旨を表示する。そして異なっている箇所を具体的に表示する。
【0064】
次に、携帯端末20の機能および使用方法の一例について説明する。
以下に示す携帯端末20は、図15に示す様に3種類の投薬カレンダー60、61、62に対応することができるものである。3種類の投薬カレンダー60、61、62は、いずれも個人用投薬カレンダーであるが、一日の服用回数が異なる。
投薬カレンダー60は、一日の服用回数が4回であり、朝、昼、夜、寝る前に服用する。投薬カレンダー61は、一日の服用回数が3回であり、朝、昼、夜に服用する。投薬カレンダー62は、一日の服用回数が2回であり、朝、夜に服用する。
【0065】
携帯端末20には、投薬カレンダー60、61、62に薬剤包装7が正確に収容されているか否かを確認するアプリケーション(薬剤配置確認プログラム)が格納されている。 当該アプリケーションを起動すると、最初に図16の様な画面が表示される。
図16に示す表示画面は、投薬カレンダー60、61、62の種類を選択する選択画面であり、「7x4」、「7x3」、「7x2」の文字が現れる、前の数字の7は、曜日の数を表し、後の数字4、3、2は、一日の服用回数を表している。
即ち、「7x4」は投薬カレンダー60を示し、「7x3」は投薬カレンダー61を示し、「7x2」は投薬カレンダー62を示している。
使用者は、対象の、投薬カレンダー60、61、62に応じて、「7x4」、「7x3」、「7x2」のいずれかを選択する。
設例として、投薬カレンダー60を使用していることとし、「7x4」を選ぶ。
【0066】
続いて、図17(a)の様に、カレンダー包収容部17に収容されているカレンダー包13の情報表示(二次元コード)12に焦点を合わせ、情報表示12を撮影する。
その結果、図17(b)の様な、一週間に服用すべき薬剤包装と、それを収容すべき薬剤収容部3の位置の組合せに関する情報が得られる。即ち、一週間に服用すべき薬剤包装の薬包IDと、それを収容すべき薬剤収容部3の位置IDの組合せに関する情報が得られる。
【0067】
その後、作業者は、図18(a)の様に、投薬カレンダー60全体を撮影する。具体的には、投薬カレンダー60全体を画面に入れ、所定の操作を行って投薬カレンダー60全体を撮影し、記録する。
【0068】
その後、自動的に、或いは何らかの操作を経ることにより、携帯端末20内でアプリケーションによる処理が行われる。
最初に、撮影され、記録された投薬カレンダー60が、図16の画面で選択された形式の投薬カレンダー60であるか否かが判定される。仮に、撮影された投薬カレンダーが図16の画面で選択されたものとは異なる形式のものであれば、エラーが表示される。
【0069】
設例の図18(a)の画像は、一日の服用回数が4回の投薬カレンダー60であり、図16の画面で選択された「7x4」であり、記録された投薬カレンダー60は図16の画面で選択された形式の投薬カレンダー60であるから次の工程に移行する。
【0070】
続く工程では、薬包IDと位置IDの組合せを個別に比較する。即ち、情報表示(二次元コード)12から得られた薬包IDと位置IDの組合せと、実際に撮影された投薬カレンダー60の収容部識別標識30から得られた薬包IDと、実際に撮影された投薬カレンダー60の薬包識別標識15から得られた位置IDの組合せを比較する。
そして比較した結果が、図18(b)の様に表示される。
具体的には、薬包IDと位置IDの組合せが正しい部位には、丸が付され、誤っている部位にはバツが表示される。また所定の操作を行うことにより、判定結果が携帯端末20に記録される。通信手段36によって外部のコンピュータ等に判定結果を送信し、記録することも推奨される。
誤りがある場合には、薬剤包装7を入れ直し、先の工程を繰り返す。
上記した実施形態は推奨すべき構成について説明したものに過ぎず、本発明がこの構成に限定されるものではない。例えば、図18(b)の丸、バツ表示は、なされなくてもよい。
【0071】
以上説明した第一実施形態は、第一の形式たる個人用投薬カレンダーを薬剤セット具とするものであるが、前記した第二の形式や、第三の形式の薬剤セット具を利用することもできる。
図7図8は、第二の形式たる一日用投薬カレンダーを利用した薬剤セット具(投薬カレンダー40)である。
投薬カレンダー40の形式は、複数の服用者を対象とする一日用投薬カレンダーであり、服用すべき曜日が大きく記載されている。また投薬カレンダー40では、カレンダー包収容部17と服用のタイミング軸によって構成される行列状に薬剤収容部3が配置されており、薬剤収容部3は、服用者と服用のタイミングに基づいて定められる特定の位置にある。
投薬カレンダー40では、各服用者名の横に、それぞれカレンダー包収容部17がある。
また投薬カレンダー40でも、全ての薬剤収容部3の近傍に、収容部識別標識30が付されている。
【0072】
投薬カレンダー40を使用する際には、例えば図14に示される様な薬剤包装帯51を使用する。薬剤包装帯51は、分包機等の調剤機器から複数の患者用の薬剤包装を一日ずつ繋げて連続的に排出させたものである。
薬剤包装帯51は、患者の区切りごとにカレンダー包13がある。
図14に示す薬剤包装帯51では、先頭に第1患者たる村松の7月4日のカレンダー包13があり、それに続いて村松が服用する一日分の薬剤包装7がある。即ち村松が7月4日に服用する朝と昼と夜と寝る前の薬剤包装7が、村松の7月4日のカレンダー包13の後に繋がっている。
そしてその次に、第2患者たる早田の7月4日のカレンダー包13があり、それに続いて早田が同じ7月4日に服用する一日分の薬剤包装7がある。即ち早田が7月4日に服用する朝と昼と夜用と寝る前の薬剤包装7が、早田の7月4日のカレンダー包13の後に繋がっている。
その後は、第3患者たる嵐の7月4日のカレンダー包13等が続き、さらにそれに第4患者たる富士、第5患者たる井手の7月4日のカレンダー包13等が続く。
【0073】
この様に患者ごとに処方に基づいて一連の薬剤包装帯51が払い出され、患者の区切りごとにカレンダー包13が入る。
この場合であれば、当該患者の服用日(月曜日)の位置IDと薬包IDに関する情報がカレンダー包13の情報表示12の二次元コードに記録される。なお、分包機側のシステムでは、複数の服用者の処方を受信した後、月曜日のみの処方を該当服用者分切りだして、分包動作を出力することで、一連の薬剤包装帯51に上記患者ごとのカレンダー包13を含めながら分包することができる。
【0074】
投薬カレンダー40を使用する場合においては、前記した薬剤包装帯51を使用し、図8に示す様に、各患者の薬剤包装帯8のカレンダー包13をカレンダー包収容部17に入れる。
投薬カレンダー40を使用する場合は、一人の服用者について、先に左端のカレンダー包13の情報表示12(二次元コード)を撮影して当該服用者の投薬カレンダー(薬剤セット具)40に付された収容部識別標識30と薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報を取得し、その後に、当該服用者の行にある容部識別標識30と、各薬剤収容部3に収容された薬剤包装7の薬包識別標識15を撮影し、薬包IDと位置IDの組合せを比較する。
投薬カレンダー40の撮影は、服用者ごとの列または行が一括で撮影できる範囲であればよい。
【0075】
図14に示す薬剤包装帯51は、日付(設例では7月4日)を固定して、各患者のその日(設例では7月4日)に服用する薬剤の包装を繋げたものであると言え、患者の薬剤包装7の先頭に、それぞれの患者のカレンダー包13がある。
薬剤包装帯の他の態様として、患者を固定して薬剤包装7を繋げていく構成のものが考えられる。
例えば先頭に患者村松の7月4日のカレンダー包13があり、それに続いて村松が服用する一日分の薬剤包装7がある。即ち村松が7月4日に服用する朝と昼と夜と寝る前の薬剤包装7が、村松の7月4日のカレンダー包13の後に繋がっている。
そしてその次に、同一の患者たる村松の翌7月5日のカレンダー包13があり、それに続いて村松が同じ7月5日に服用する一日分の薬剤包装7がある。即ち村松が翌7月5日に服用する朝と昼と夜用と寝る前の薬剤包装7が、村松の翌7月5日のカレンダー包13の後に繋がっている。
その後は、同じ村松の翌翌日たる7月6日のカレンダー包13等が続き、さらにそれに第4日たる7月7日のカレンダー包13等が続いてゆく。
例えば一周間分の薬剤包装7を排出し終わると、第2患者たる早田の7月4日のカレンダー包13等が排出される。
【0076】
図9図10は、第三の形式たる服用時点別投薬カレンダーを利用した薬剤セット具(投薬カレンダー41)である。
投薬カレンダー41についても複数の薬剤収容部3が行列状に配置されている。
投薬カレンダー41では、左上部の視認可能な位置に、カレンダー包収容部17がある。
また投薬カレンダー41でも、全ての薬剤収容部3の近傍に、収容部識別標識30が付されている。
投薬カレンダー41を使用する際には、同日の同服用時期に服用する28名の服用者用の収容部情報を含んだ二次元コードを印刷したラベルまたは分包紙への印字を別途用意する。
またシステム上は、28名分の処方を受信した後、例えば2022年7月4日の朝に服用する患者の処方だけを集めて、分包した薬剤包装帯を使用することが推奨される。
なお、この薬剤包装帯は、例えば先頭にカレンダー包があり、これに続いて28名が同時期に服用する薬剤が収容された薬剤包装が繋がっているものであることが望ましい。
カレンダー包の情報表示は、投薬カレンダー(薬剤セット具)41に付された収容部識別標識30と、薬剤包装7に付された薬包識別標識15との組み合わせに関連する情報が直接的に又は間接的に得ることができる表示である。
また情報表示を別途作成し、カレンダー包収容部17に入れてもよい。
【0077】
本実施形態の薬剤配置確認システム16では、情報表示12が印刷されたカレンダー包13と薬剤包装7が一連に繋がった薬剤包装帯8を使用し、薬剤包装帯8からカレンダー包13を切り取って投薬カレンダー1、40に装着し、同じ薬剤包装帯8から薬剤包装7を切り取って、同じ投薬カレンダー1、40に装着する。
本実施形態の薬剤配置確認システム16では、投薬カレンダー1、40が汎用品であり、カレンダー包収容部17にカレンダー包13を入れることによってはじめて特定の個人用のものとなる。そのため、投薬カレンダー1、40を取り違える間違いが起きにくい。
【0078】
投薬カレンダー1、40、41に付された収容部識別標識30は、薬剤収容部3ごとに異なることが望ましい。例えば図2に示す投薬カレンダー1では、薬剤収容部3が28個あるから、収容部識別標識30は28通りの異なるものであることが望ましい。薬包識別標識15についても同様であり、28通りの異なるものであることが望ましい。
しかしながら、毎日服用する朝用の薬剤は同じものである場合が多く、毎日服用する昼用、夜用、寝る前についても同じものである場合が多い。
そこで、服用タイミングが同じである薬剤収容部3の収容部識別標識30は、同じ図形であってもよい。同様に、服用タイミングが同じである薬剤包装7に付された薬包識別標識15は、同じ図形であってもよい。
また同じ図形を90度ずつ回転させて印刷しても良い。
【0079】
以上説明した実施形態では、薬剤収容部3及びカレンダー包収容部17が共にポケットであるが、他の方策によって薬剤包装7やカレンダー包13を保持するものであってもよい。例えば粘着剤やテープ、クリップ等で薬剤包装7やカレンダー包13を保持するものであってもよい。
本実施形態では、薬包識別標識15及び収容部識別標識30として、arucoマーカーを採用した。arucoマーカーは読み取りミスが少なく、一度(一画面)に多数のarucoマーカーを撮影しても個々のarucoマーカーを識別することができる。また識別に要する時間も短い。そのため薬包識別標識15及び収容部識別標識30として、arucoマーカーを採用することが推奨されるが、バーコード等の他の識別標識を採用してもよい。
【0080】
以上説明した実施形態では、薬剤分包装置6に印字装置50が内蔵されており、薬剤包装帯8に必要な情報が印刷されるが、印字装置50が別途に独立したものであってもよい。
例えば、薬剤分包装置から無地の状態の薬剤包装帯を排出させ、監査の際に所定の情報を薬剤包装帯に印字する場合がある。あるいは、必要な情報を印字したラベルを作成し、監査の後に、当該ラベルを自動的に薬剤包装帯に貼付する場合がある。
このような使用方法による場合であっても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本願発明は在宅療養や、高齢者の介護施設や、入院施設、調剤工場等で使用されるシステムや装置であり、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。
【符号の説明】
【0082】
1:投薬カレンダー(薬剤セット具)、2:基材、3:薬剤収容部、6:薬剤分包装置
7:薬剤包装、8:薬剤包装帯、12:情報表示、13:カレンダー包、
15:薬包識別標識、16:薬剤配置確認システム、17:カレンダー包収容部
18:撮影手段、20:携帯端末、23:服用者特定表示、
25:服用タイミング特定表示、30:収容部識別標識、
31:画像処理手段、32:標識認識手段、33:判定手段、
35:コード解析手段(情報取得手段)、36:通信手段、
40:投薬カレンダー(薬剤セット具)
41:投薬カレンダー(薬剤セット具)
50:印字装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21