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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133203
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】物品収容装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 10/06 20060101AFI20240920BHJP
   E05B 65/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47F10/06
E05B65/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111755
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2020140757の分割
【原出願日】2020-08-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年5月21日 ウェブサイト(アドレス「https://www.youtube.com/ https://youtu.be/hDqnngwECUY」)にて公開 [刊行物等] 令和2年7月31日 株式会社エフビー発行「フードビズ106号」3頁にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】水野 享洋
(72)【発明者】
【氏名】三森 克紀
(72)【発明者】
【氏名】千田 和明
(57)【要約】
【課題】効率的に物品を受け渡すことのできる物品収容装置を提供する。
【解決手段】物品収容装置1は、物品の収容部11と、収容部11内に収容された物品を引き取るための引取口12と、収容部11に物品を差し入れるための差入口13と、引取口12を開閉する扉14と、差入口13側から扉14を操作するための操作部142とを有する。また、扉14は、収容部11との間に設けられた軸15周りに回動して開閉する。また、操作部142は、軸15の近傍に設けられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の収容部と、
前記収容部内に収容された物品を引き取るための引取口と、
前記収容部に物品を差し入れるための差入口と、
前記引取口を開閉する開閉部と、
前記差入口側から前記開閉部を操作するための操作部と、を有する、
物品収容装置。
【請求項2】
前記開閉部は、前記収容部との間に設けられた軸周りに回動して開閉する扉によって構成される、
請求項1記載の物品収容装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記軸の近傍に設けられている、
請求項2記載の物品収容装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記開閉部の内側に設けられている、
請求項1乃至3いずれかの項に記載の物品収容装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容する物品収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食店では、店外の顧客が専用アプリケーション等を使って予約注文をしておき、予約時間に訪店すると調理を待たずに、完成した予約商品を受け取ることができるサービスが提供されている。
【0003】
この点、物品の受け渡しの観点からは、特許文献1において、宅配物を収納する施錠可能な宅配物収納ロッカが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開第3354666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、飲食店等では、予約注文の運用において、直接来店している客と予約注文をした客の両方に対応しなければいけない状況は効率が悪い。
【0006】
そこで本発明は、効率的に物品を受け渡すことのできる物品収容装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る物品収容装置は、物品の収容部と、前記収容部内に収容された物品を引き取るための引取口と、前記収容部に物品を差し入れるための差入口と、前記引取口を開閉する開閉部と、前記差入口側から前記開閉部を操作するための操作部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る物品収容装置を引取口側から見た外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る物品収容装置を差入口側から見た外観斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る物品収容装置の収容ユニットについて、扉が開いている状態を示す外観斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る物品収容装置の収容ユニットについて、扉が開いている状態を示す外観斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る物品収容装置の収容部内を表す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る物品収容装置に設けられる扉の一例を示す外観斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る物品収容装置が備える機能を示す機能ブロック図である。
図8】本発明の実施形態に係る物品収容装置、及び当該物品収容装置と連携する注文受付装置が備える機能を示す機能ブロック図である。
図9】本発明の実施形態に係る物品収容装置において、設定情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係る物品収容装置と連携する注文受付装置において、注文情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る物品収容装置と注文受付装置を用いて提供されるサービスの流れ、及び当該サービスの流れに応じて実行される処理の流れを示すシーケンス図である。
図12】本発明の実施形態に係る物品収容装置と注文受付装置を用いて提供されるサービスにおいて、店員が物品収容装置に商品をセットして設定情報を入力する際の画面の一例を示す図である。
図13】本発明の別の実施形態に係る物品収容装置を引取口側から見た外観斜視図である。
図14】本発明の別の実施形態に係る物品収容装置を引取口側から見た外観斜視図である。
図15】本発明の実施形態に係る物品収容装置に設けられる扉の別の例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
●概要
以下、本発明の実施形態に係る物品収容装置について、図を参照して説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係る物品収容装置1を示している。
物品収容装置1は、所定の店舗等において、顧客が予約注文した所定の物品を収容しておき、当該店舗を訪れた顧客自ら、当該所定の物品を取り出すことのできる装置である。
【0010】
なお、本実施形態に係る物品収容装置1についての以下の説明では、持ち帰り用の飲食物を提供する飲食店等の店舗において、店員が所定の物品としての商品を物品収容装置1に差し入れ、顧客が当該商品を引き取る場合を例にとって説明する。もっとも、本実施形態に係る物品収容装置1の利用場面はこのような例に限られることなく、何かしらの物品を二者間で引き渡す際に利用することができる。
【0011】
また、物品収容装置1は、店舗に設置される場合、店員が顧客から注文を受け付けるカウンターに設置されることが想定される。このとき、カウンター上の物品収容装置1は、物品の差入口13側を店員のいるカウンターの内側に向け、物品の引取口12側を顧客のいるカウンターの外側に向けた状態に設置される。これにより、顧客は通常来店時と同じ要領で、カウンター近傍で商品を受け取ることができる。また、差入口13側がカウンターの内側になるため、店員はカウンター内に居ながらにして物品収容装置1に商品Мを差し入れることができる。多くの場合、カウンター内に調理場などが設けられているため、店員はカウンターを回り込んだりすることなく、調理された商品Мを最適な経路で物品収容装置1にアクセスできる。これに対して、差入口13が設けられていないと、店員はカウンター内から物品収容装置1にアクセスできず、カウンター外へ回り込み、引取口12から商品Мを投入する必要がある。
以下の説明においても、物品収容装置1がこのように設置されている場合を前提とするが、カウンターに一体的に設置したり、床に自立させたりすることもできるし、壁面に埋め込むなど、カウンター以外の場所に設置することもできる。
【0012】
●物品収容装置1の構成
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る物品収容装置1は、縦横に一体的に配設された6つの収容ユニット1aと情報処理ユニット10からなる。
【0013】
収容ユニット1aは、収容部11と操作部142が取り付けられた扉14を備え、扉14が設けられている側は、顧客が商品Mを引き取るための引取口12を構成し、当該引取口12の反対側は、店員が商品Mを差し入れるための差入口13を構成する。
なお、本実施形態に係る収容装置は、6つの収容ユニット1aからなるが、後述する他の実施形態に示されるように、1つ又は2つ以上の複数の収容ユニット1aによって構成することができる。
また、説明の便宜のため、各収容ユニット1aを区別して言及する場合には、図1及び図2に示すように、収容ユニット1a-1、1a-2、1a-3、1a-4、1a-5、1a-6と指称することがある。
【0014】
この収容ユニット1aの利用においては、一つの注文に対して一の収容ユニット1aが利用されるとは限らず、一つの注文に対して複数の収容ユニット1aが同時に利用される場合もある。即ち、一つの注文で、一つの収容ユニット1aに収まりきらない量やサイズの商品Mを顧客に提供する場合、温かい商品Mと冷たい商品Mを分けて収容する場合には、複数の収容ユニット1aが利用される。なお、一つの注文に応じて一つの収容ユニット1aが利用される場合であっても、当該一つの収容ユニット1aに収容される商品M自体は、商品Mの量や、温かいものと冷たいものを分けるために、複数の袋に分けられている場合もある。
【0015】
収容部11は、図3及び図4に示されるように、商品Mを収容することのできる空間であって、少なくとも、物品を載置することのできる載置面111を有している。本実施形態では、長さ方向の両端が平面視矩形状に開口した筒型形状からなり、引取口12を構成する一端側開口部は扉14によって開閉し、差入口13を構成する他端側開口部は開放されている。
【0016】
なお、図中の収容部11は、開口部を正面視略正方形とした形状からなるが、これに限らず、横長や縦長の長方形、円形など、収容する商品が安定する形状にすることができる。例えば、ピザやすし皿等を収容する場合は、低背でよく、その分面積を必要とするため横長形状とするのが好適である。また、ドリンクをメインで取り扱っている業態では、ドリンクに合わせて縦長形状とするのが好適である。このように、収容する商品Mに応じて収容部11の形状を決め、さらに、収容部11の形状に基づいて収容部11の数や配置を決定するとよい。物品収容装置1全体の形状も、このような収容部11の形状に応じたものとなり、収容部11に無駄なスペースなく、商品Mを効率よく収めることができると共に、物品収容装置1自体の省スペース化も実現できる。
【0017】
収容部11の内側の上面には、図5に示されるように、収容部11内を照らす照明17が設けられている。
この照明17は、本実施形態では幅方向に並んだ複数のLED照明によって構成され、引取口12側に偏った位置に設けられている。
このように偏った位置に設けた理由は、照明17が引取口12と差入口13との中間位置にあった場合、商品Мが収容されている状況において、商品Мの高さが収容部11の天面まで届く様な高い商品であった場合、商品Мにより照明17の光が引取口12側から視認し辛いという問題を防ぐためである。
また、照明17が引取口12に偏った位置に設けられていることから、収容部11内に商品Mを収容した状態で照明17を点灯させた場合、引取口12側から商品Mを見ると、商品Мの正面に照明を当てることができるため、商品Мの見栄えを良くする効果も奏する。
【0018】
さらに、照明17を利用することの利点として、複数ある収容ユニット1aの扉14が同時に開状態となっている場合であっても、顧客による引き取り漏れを未然に防ぐことができる。同様に複数の収容ユニット1aの扉14が開状態となっている場合、具体的には収容ユニット1a―1と収容ユニット1a-2とが開状態となっている場合に、入出力部18や読取部19側に立っていると考えられる顧客からは手前の収容ユニット1a-2の開状態は認識できても、収容ユニット1a-2に意識が傾いてしまい、または収容ユニット1a-2の扉14の陰に隠れることで収容ユニット1a-1の開状態を認識できない可能性がある。そういった場合であっても扉14の開状態と共に照明17が点滅していることで、収容ユニット1a-1の開状態にも意識を向けてもらうことができる。
さらに、載置面111は反射率の高い材質が好ましい。照明17の点滅に応じた載置面111の光の反射の態様により、載置面111に忘れ物がないか否かを容易に特定することができる。反射率の異なる部分が視認できた場合、そこには載置面111以外の物体が載置されていると認識できるからである。
【0019】
また、照明17は後述するとおり、制御部104による制御のもと点灯、点滅、又は消灯するが、常時点灯させておくこともできるし、扉14が開いたときにのみ点灯させたり、点滅させたりすることもでき、収容ユニット1aの状況に常用に応じて適宜に照明17による照らし方を変えるこができる。例えば、顧客が認証情報によって、所定の商品Mが収容されている収容ユニット1aから商品Mを引き取る権限を証したときに、当該収容ユニット1aの照明17を消灯状態から点灯又は点滅させることもできる。
また、収容ユニット1aごとに照明17の照らし方を変えることもできる。例えば、入出力部18や読取部19側に立っていると考えられる顧客から視認しやすい収容ユニット1a-2については照明17を点灯させ、収容ユニット1a-2の扉14の陰になって隠れやすい収容ユニット1a-1の照明17は点滅させてもよい。
このように、収容ユニット1aの位置や利用状況、あるいは扉14の開閉状況等に応じて照明17の照らし方を制御することで、顧客は、自らの商品Mがいずれの収容ユニット1aに収容されているかを把握しやすい。
なお、本実施形態にかかわらず、照明17は、収容部11の側面等に設けることもできるし、蛍光灯等の他の種類の照明17によって構成することもできる。
【0020】
扉14は、図3及び図4に示されるように、引取口12を開閉する開閉部を構成する。
この扉14は、収容部11との間に設けられた軸15周りに回動して開閉する。
軸15は、所謂ダンパーヒンジ等によって構成され、内部に備えられたスプリング等の付勢部(不図示)により、扉14を開放状態に付勢する。扉14は、施解錠部16によって施錠されていない状態では、この付勢部による付勢力を受けて開いた状態を維持する。
なお、本実施形態では、扉14は閉じた状態から略90度、軸15周りに回動して開き、外力を受けない限り、軸15周りに略90度、開いた状態で静止している。扉14がこのような角度で開いて静止するため、顧客は扉14に触れることなく、収容部11内の商品Mを取り出すことができるし、開いた状態の扉14が隣り合う収容ユニット1aの扉14の開閉を妨げることもない。
【0021】
施解錠部16は、扉14を施解錠する。
この施解錠部16は、扉14に設けられた係合部161と、収容部11の対応する位置に設けられた被係合部162とによって構成される。扉14が閉じられ、係合部161が被係合部162に係合すると扉14は施錠された状態となり、係合部161と被係合部162の係合が解除されることによって扉14は解錠された状態となる。
なお、この施解錠部16は後述するとおり、制御部104による制御のもと解錠動作を実行するが、図5に示されるように、収容部11の内側面には、手動で解錠するための解錠レバー163が設けられている。解錠レバー163は係合部161と被係合部162の係合状態を物理的に解除するための機構を備えており、店員が解錠レバー163を操作することによって係合状態を解き、扉14を解錠させることができる。
【0022】
扉14には、外側から収容部11内を視認可能な透明又は半透明の窓141が設けられている。これにより、顧客は収容部11内の商品Mを窓141越しに視認することができる。また、窓141が透明又は半透明であることから、照明17による光も透過し、例えば、商品Mが収容された収容ユニット1aのみ照明17を点灯させることで、商品Mが収容されている収容ユニット1aを外側から判別することもできる。
【0023】
なお、本実施形態に係る物品収容装置1は、顧客による扉14の開け閉めを不要とするものであるため、扉14の外側には把手や摘み等が設けられていない。そのため、扉14を閉じた状態では、扉14と収容部11の引取口12側の面は略面一に構成される。これにより、扉14が閉じている状態において、物品収容装置1の扉14に顧客の服などが引っかかるようなことがないし、意匠的にも優れた外観を呈する。
【0024】
扉14の内側又は差入口13側には、図6に示されるように、店員が差入口13側から扉14を操作するための操作部142が設けられている。
操作部142は本実施形態において、鉤爪状からなり、扉14に取り付けられる取付片1421、当該取付片1421の端部から所定の角度で折曲して延び出した突出片1422、及び、取付片1421と突出片1422の上端及び下端から互いに対して平行に僅かに延び出した一対の延設片1423から構成される。
この操作部142は、扉14が開いた状態において突出片1422が差入口13から遠い側に設けられるよう、扉14の内側に取り付けられる。
【0025】
突出片1422は、開いた扉14を店員が閉じる際に摘まんだり、指を引っかけたりする部分であり、操作部142が扉14の内側に取り付けられた状態において、扉14の表面から離れるように突出している。
延設片1423は、店員が操作部142を差入口13側から引っ張る力に対し、操作部142がその形状を維持できるように補強すると共に、店員が操作部142を摘まんだり、指を引っかけたりする際、突出片1422の縁端で指を怪我しないようにしている。
なお、突出片1422や延設片1423のように、店員が指で触れる部分は適宜、その角や隅を面取りし、店員が指を怪我することのないようにしておくとよい。
【0026】
店員が開いている扉14を閉じる際には、店員は差入口13から収容部11内に手を入れて、そのまま扉14へと手を伸ばし、突出片1422を摘まんだり、突出片1422に指を引っかけたりして差入口13側へ扉14を引く。これにより、扉14が軸15周りに回動して閉じる。
【0027】
なお、操作部142は、軸15の近傍に設けられている。その結果、扉14が開いている状態又は閉じている状態のいずれの状態においても、操作部142は差入口13側にいる店員に近く、店員は難なく手を伸ばして操作部142を操作でき、店員が扉14を閉じる際の負担を軽減できる。これに対し、操作部142が係合部161近傍に設けられていると、扉14は軸15を支点に回動するため、扉14が開状態にある場合には、扉14が閉状態のときに比べて操作部142の位置が差入口13から遠くなる。そのため、店員が扉14を閉めにくく、不便である。
また、操作部142が軸15から離れた位置に設けられる場合と異なり、扉14が開いた状態において、操作部142が収容部11内の商品Mを引き取ろうとする顧客の邪魔になりにくい。
【0028】
さらに、操作部142は、載置面111から一定の高さだけ高い位置に設けられている。この高さは収容部11に収容される商品Mのサイズに鑑みたものであり、最も流通する商品Mのサイズよりも高い位置に設けることで、収容した商品Mに操作部142がぶつからないようになっている。特に、物品収容装置1をカフェ等に設定する場合には、収容されるドリンクの容器よりも高い位置に設けることで、扉14を閉じた状態においてドリンクの容器と操作部142が直接触れることを避けられる。
【0029】
入出力部18は、情報の入力と出力を行うための機能部であり、タッチパネル式ディスプレイ等によって構成される。
この入出力部18により、顧客は認証情報をコード化した二次元コードを読取部19に読み取らせるのに代えて、認証情報を入出力部18から入力することもでき、この場合、入出力部は顧客から認証情報を受け付ける認証情報受付部を構成する。また、認証情報を二次元コードとして顧客に提供せず、注文番号やパスワードを受け付ける場合にも、この入出力部18から当該注文番号やパスワードを受け付けることができる。さらに、この入出力部18により、物品収容装置1のメンテンナンスを行うための情報の入出力が行われるようになっていてもよい。
【0030】
なお、物品収容装置1の利用においては後述のとおり、この入出力部18とは別に、物品収容装置1や注文受付装置2と連携し、店員が情報を入出力するためのタブレット端末等からなる店員端末1Aが適宜に用いられる。店員は商品Mを収容部11にセットする際、店員端末1Aにより、商品Mを収容する収容ユニット1aを識別可能な情報と注文情報を関連付ける。
【0031】
読取部19は、顧客から顧客を認証可能な認証情報を受け付ける認証情報受付部を構成し、認証情報をコード化した二次元コードを読み取ることができる。
この読取部19は、二次元コードを撮像するカメラや、二次元コードをデコードする手段によって構成される。この読取部19により、顧客が収容部11内の商品Mを引き取る際、顧客が所持する顧客端末3等に表示された二次元コードを読み取り、コード化された認証情報を取得することができる。
【0032】
なお、本実施形態において、物品収容装置1には、閉じた状態の扉14と共に構成される物品収容装置1の前面から背面側へ凹むように奥まった凹部が設けられており、読取部19は、この凹部に設けられている。このように読取部19を設けているのは、以下の理由による。即ち、読取部19は、顧客の認証情報、主には顧客端末3に表示される二次元コードを読取るスキャナであるため、顧客端末3のディスプレイ面とスキャナ面とをある程度平行にする必要がある。仮に読取部19が物品収容装置1の前面から奥まった位置に設けられていない場合、例えば入出力部18のように、物品収容装置1の前面において閉じた扉14と面一となるように設けられた場合、読取部19による読取光は水平方向の成分が強いため、顧客端末3を起立させた状態とし、物品収容装置1の前面と平行にしなければ上手く読み取れない。しかしながら、このように顧客端末3を起立させて読取部19にかざす姿勢は、腕と手首に無理がかかりやすく、顧客にとって負担を強いることになる。
これに対し、本実施形態では、読取部19が物品収容装置1の前面から奥まった位置に設けられると共に、読取面が鉛直方向及び水平方向のいずれに対しても角度をなすように設けられているため、読取光を垂直方向の成分の強いものにできる。これに応じて、顧客端末3の画面を読み取らせる際にも、顧客端末3は寝かせた状態でよく、顧客端末3を読取部19にかざす際の姿勢に無理がなく、顧客の読み取り操作への負担を小さいものにできる。
【0033】
なお、読取部19がこのように設けられているのに対し、入出力部18は、物品収容装置1の前面に設けられている。入出力部18は表示部としての機能面からみると、一定の高さにあることで視認し易くなり、また、奥まった位置では視認性が落ちることから、読取部19が配置される奥まった位置とは異なる前面であって、一定の高さの位置に設けられている。
【0034】
物品収容装置1にはこのほか、付加的な機能を適宜に設けることができる。例えば、冷蔵機能や保温機能を設けてもよいし、抗菌処理などを施してもよい。
【0035】
●機能部
続いて、顧客から商品Mの予約注文を受け付け、物品収容装置1により、当該予約注文された商品Mの受け渡しを行うために必要とされる機能構成の一例について説明する。
物品収容装置1は、図7に示されるように、ハードウェア資源として、情報処理を実行するためのCPU(Central Processing Unit)などの演算装置、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶装置を備え、インターフェース回路を介して、施解錠部16、照明17、入出力部18、読取部19が接続されている。
【0036】
この物品収容装置1は、ソフトウェア資源として少なくとも、図8に示されるように、設定処理部101、設定情報記憶部102、認証処理部103、制御部104、及び通信処理部105を備える。
また、物品収容装置1は、店員が情報の入出力を行うための店員端末1A、及び顧客から予約注文を受け付け、当該予約注文に基づいた処理を実行するための注文受付装置2とLAN等の通信網を介して通信可能に接続されている。さらに、物品収容装置1は、インターネット等のネットワークNWにも接続し、ネットワークNWに接続する端末や装置とも通信を行うことができる。
なお、物品収容装置1、店員端末1A、及び注文受付装置2の間の通信は有線又は無線のいずれであってもよく、また物品収容装置1がネットワークNWに接続する手段についても有線又は無線のいずれであってもよい。
【0037】
なお、ネットワークNWにはさらに、店舗端末1Bが接続されている。店舗端末1Bとは主にはPOS端末であり、来店客の商品登録や決済を行うことができる端末であって、店員が操作する。この店舗端末1Bは、店員端末1Aと同等の機能を有し、物品収容装置1の管理や商品Mの収容指示等を行うこともできる。
【0038】
また、ネットワークNWにはさらに、店舗端末1Cが接続されている。店舗端末1Cは主には券売機であり、これにより来店客自身が商品登録や決済を行うことができる。物品収容装置1に収容されている商品Мは、基本的には事前に決済を終えているが、決済をせずに予約だけを受け付け、商品Mを調理等し、物品収容装置1へ収容するような運用も可能である。この場合は、商品Mの予約は済んでいるが、未決済の状態の顧客は、店舗を訪れると、自身が予約した商品Mの予約時番号や予約時に発行された所定の二次元コードを店舗端末1Cに読み取らせることで、決済画面を起動し、予約商品の決済を行う。決済が完了すると、店舗端末1Cから識別番号や二次元コードが印刷された紙が発券され、当該番号や二次元コードを物品収容装置1の読取部19に読取らせることにより、予約していた商品を引き取ることができる。
【0039】
設定処理部101は、店員が商品Mを物品収容装置1の収容ユニット1aに差し入れた際、差し入れた収容ユニット1aの情報、商品Mの注文情報、及び当該注文情報に応じて生成した認証情報を設定情報として関連付ける処理を実行する。
【0040】
設定情報記憶部102は、設定処理部101によって設定された設定情報が記憶される。具体的な例では、図9に示されるように、設定処理部101によって関連付けられた商品Mが差し入れられた収容ユニット1aを識別可能な情報、商品Mの注文情報、及び認証情報が記憶される。
この設定情報を参照することにより、顧客からコード化された認証情報を受け付けた際、扉14を開放すべき収容ユニット1aを特定することができる。
【0041】
認証処理部103は、読取部19により、顧客から二次元コードとして取得した認証情報に基づき、当該顧客が収容部11内に収容されている商品Mを引き取る権限を有するか否かを認証する。
認証に成功した場合には、顧客が予約注文した商品Mが収容されている収容ユニット1aの扉14を開く。
【0042】
制御部104は、施解錠部16、照明17、入出力部18、及び読取部19を制御し、所定の動作を実行させる。
例えば、読取部19によって認証情報を受け付けると、これに応じて施解錠部16を制御して扉14を解錠させ、扉14を開く。
【0043】
なお、本実施形態にかかわらず、図8において示した、物品収容装置1が備える設定処理部101、設定情報記憶部102、認証処理部103、制御部104は、注文受付装置2など、物品収容装置1の上位の装置が備えるものとしてもよい。この場合、物品収容装置1は、注文受付装置2等の上位の装置からの命令に基づいて動作する。ただし、このように構成される場合であっても、物品収容装置1は、物品収容装置1が備えるハードウェアの動作の制御、及びこれに付随する処理を実行する。例えば、上位の装置からの命令に応じて、所定の収容ユニット1aの扉14を解錠したり、読取部19によって読み取った二次元コードの情報を上位の装置へ送信したりする。
【0044】
店員端末1Aは、店員が利用する端末である。この店員端末1Aは、データの入出力が可能な端末によって実現され、タブレット端末等、可搬性を有するものが好適に用いられる。
店員は、商品Mを所定の収容ユニット1aに収容する際、この店員端末1Aを用いて、入力済みの設定情報を確認したり、新たな設定情報を入力したりする。
【0045】
注文受付装置2は、物品収容装置1や店員端末1AとLAN等のネットワークを介して通信可能に構成されると共に、顧客が利用する顧客端末3とインターネット等のネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
この注文受付装置2は、所謂サーバコンピュータ等によって実現され、ソフトウェア資源として、注文処理部201、注文情報記憶部202、認証情報生成部203、コード生成部204、及び通信処理部205を有する。
【0046】
注文処理部201は、顧客端末3から商品Mの予約注文を受け付けると共に、予約注文の受け付けに応じて必要な処理を実行する。この処理には例えば、予約注文の決済処理、予約注文の内容に係る情報を注文情報記憶部202に登録する処理などが含まれる。
【0047】
注文情報記憶部202は、顧客端末3から受け付けた予約注文の内容に係る注文情報を記憶する記憶部である。具体的な例では、図10に示されるように、顧客の注文を識別する注文番号に関連付けて、顧客が予約注文した商品Mの内容、顧客が商品Mを受け取るために来店する時刻に係る来店予約時刻などの情報が記憶される。
店員はこの注文情報記憶部202を参照して、顧客の来店時刻に合わせて商品Mを用意する。
【0048】
認証情報生成部203は、顧客が予約注文した商品Mを受け取る際、予約注文した顧客であって、予約注文した商品Mを受け取る権限を証することのできる認証情報を生成する。
認証情報は例えば、ランダムな英数字等の組み合わせからなるユニークな識別情報であり、予約注文を行った顧客に対して通知される。顧客は来店時にこの認証情報を物品収容装置1に入力し、予約注文した商品Mを受け取る権限を示す。
【0049】
コード生成部204は、認証情報を所定の形式からなるコードに変換する。コードは例えば、QRコード(登録商標)等、読取部19によって読取可能な二次元コードであり、予約注文の完了時に顧客端末3を介して顧客に提供される。
【0050】
通信処理部205は、インターネット等のネットワークNWを介して顧客端末3とデータの送受信を実行するための機能部である。
注文受付装置2は、この通信処理部205により、顧客が利用するスマートデバイス等の顧客端末3から予約注文を受け付けたり、認証情報をコード化した二次元コードを顧客端末3に対して提供したりすることができる。
【0051】
なお、上述した物品収容装置1や注文受付装置2が有するソフトウェア資源は、適宜の設計によりいずれかのハードウェア資源に分散又は集約させることができるし、ハードウェア資源も物理的に一体をなす装置あるいは別体をなす装置として構成することもできる。
【0052】
●処理の流れ
続いて、本実施形態に係る物品収容装置1を用いたサービスの流れの一例について、図11を参照して説明する。
まず、顧客は顧客端末3により、商品Mの予約注文が可能な所定のウェブサイトにアクセスし、予約注文を行う(S101)。
【0053】
注文受付装置2は、所定のウェブサイト上において、顧客から商品Mの予約注文を受け付けると、注文処理部201により、注文内容に基づいた決済処理等を実行すると共に、予約注文の内容に係る注文情報を注文情報記憶部202に登録する(S102)。
【0054】
また、注文受付装置2は認証情報生成部203により、顧客が予約注文した商品Mを受け取るための認証情報を生成すると共に、当該認証情報をコード生成部204によりコード化して、これにより生成された二次元コードを顧客端末3に提供する(S103)。
【0055】
一方、予約注文の入った店舗では、店員が注文情報を参照し、予約注文された料理を作るなど、予約注文の内容に応じた商品Mを所定の時刻に合わせて用意し、用意した商品Mを物品収容装置1に差し入れる(S104)。
店員は商品Mを物品収容装置1に差し入れる際、入出力部18、あるいは物品収容装置1や注文受付装置2と連携する店員端末1Aを介して、用意した商品Mに対応する注文情報に関連付けて、空いている収容ユニット1aから、当該用意した商品Mを収容する収容ユニット1aを指定する。そして、当該指定した収容ユニット1aの収容部11に用意した商品Mを差し入れる。
【0056】
ここで、店員が店員端末1Aにより、商品Mを差し入れる収容ユニット1aを指定する際に当該店員端末1A上に表示される画面の一例を図12に示す。
画面上では、設定情報記憶部102に記憶されている設定情報に基づき、各収容ユニット1aの状況が把握可能に示されている。注文状況表示欄G11には、注文番号に関連付けて、注文された商品Mに関する収容状況、来店予約時刻、保管期限、注文数などの情報が表示されている。また、収容ユニット情報表示欄G12には、各収容ユニット1aの現在の状況が表示されており、これを参照することにより、各収容ユニット1aが使用されているかどうか、使用されている場合には注文内容を把握できるように注文情報が表示されている。
【0057】
店員が商品Mを物品収容装置1に収容する際には、収容ユニット情報表示欄G12を参照して、空いている収容ユニット1aを把握する。収容ユニット情報表示欄G12は例えば、各収容ユニット1aの表示が押下可能となっており、店員が空いている収容ユニット1aの表示を押下すると、押下された収容ユニット1aが指定され、店員は指定した収容ユニット1aに関連付ける注文番号を入力する
これにより、所定の収容ユニット1aに注文情報が関連付けられる。
【0058】
なお、店員はこの際、指定した収容ユニット1aの扉14が開いている場合にはこれを閉じる。
また、店員が、商品Mを差し入れる収容ユニット1aを指定した際には、制御部104は指定された収容ユニット1aの照明17を点灯させてもよい。これにより、店員が商品Mを差し入れるべき収容ユニット1aを間違えるのを防ぐことができる。
【0059】
予約注文をした顧客は、所定の時刻に店舗に訪れると、認証情報をコード化した二次元コードを顧客端末3のディスプレイ上に展開するなどして、当該二次元コードを読取部19に読み取らせる(S105)。
物品収容装置1はこれに応じて、二次元コードをデコードして得られた認証情報により顧客を認証し(S106)、認証に成功すると、制御部104に対して対応する収容ユニット1aの扉14を解錠させる(S107)。
制御部104による制御のもと解錠された扉14は、軸15周りに略90度回動して顧客が支障なく収容部11内の商品Mを取り出せる程度に開き、さらに軸15の内部に備えれたスプリング等の付勢部によって開放状態に維持される。これにより顧客は、扉14に触れることなく、容易に収容部11内の商品Mを取り出すことができる(S108)。
【0060】
店員は適宜のタイミングで、顧客によって商品Mが取り出された収容ユニット1aについて、開いたままとなっている扉14を閉める(S109)。
扉14を閉める場合、店員は差入口13から収容部11内に手を入れると共に、扉14まで手を伸ばして操作部142を摘む。そして、操作部142を差入口13側へ引っ張る。これにより扉14が閉まり、また、係合部161が被係合部162に係合して扉14が施錠される。
【0061】
なお、以上の本実施形態に関して、飲食店では、店舗自身による宅配サービスや、店舗が契約する外部の宅配業者による宅配サービス等も一般的になっている。これを踏まえて、宅配サービス品を収容するものとして物品収容装置1を利用することもできる。特に、宅配業者が予約商品を引き取る際には、直接来店した顧客と同じ列に並んで商品Mの受け取りを待っていたのでは効率が悪い。そのため、物品収容装置1に顧客が予約した商品Mを収容し、それを宅配業者が引き取り、顧客宅へ運ぶようにすることが望ましい。宅配業者は、予約商品に基づく注文番号の置数や、自らが利用する業者端末に表示される二次元コードを物品収容装置1に読み取らせ、対応する収容ユニット1aから商品Mを引き取り、顧客に届ける。
この場合、宅配サービスをより効率的に行えるよう、物品収容装置1を店頭や直接来店する顧客の邪魔にならないカウンターやテーブル周り以外の場所に設置するとよい。これにより、宅配業者による商品Mの引き取りがスムーズになる。
【0062】
●物品収容装置1の変形例
図13は、本発明の別の実施形態に係る物品収容装置4Aを示している。
この物品収容装置4Aは、上述した物品収容装置1と異なり、縦横に並んだ二つの収容ユニット1aによって構成される。
上述のとおり、本発明の実施において、収容ユニット1aの数は特に限定されないが、2つの収容ユニット1aから構成される物品収容装置4は、6つの収容ユニット1aから構成される物品収容装置1と異なり、スペースを取らず、狭いカウンター上にも設置できる。
【0063】
また、図14は、本発明のさらに別の実施形態に係る物品収容装置4Bを示している。
この物品収容装置4Bは、上述した物品収容装置1や物品収容装置4Aと異なり、縦に4列、横に2列並んだ計8つの収容ユニット1aによって構成される。
この物品収容装置4Bは、自立型であり、床の上に直接、設置される。なお、自立型の場合、スペースや安定的な設置のため、差入口13のある背面を壁につけ、差入口13を塞いだ状態で利用されることもある。この場合には、引取口12は差入口13としての機能を兼ね、引取口12より商品Mの差し入れと商品の引き取りが行われる。
このような自立型の物品収容装置4Bは、カウンターに余裕のない店舗に設置する場合のほか、店頭や店外に設置した場合に有用であり、多くの商品Mを収容することができる。
なお、この例に関わらず、上述した物品収容装置1や物品収容装置4Aについても、自立型としたり、背面を壁につけて設置したりすることができる。
【0064】
●操作部142の変形例
以上の本実施形態に係る物品収容装置1を構成した操作部142は、店員が差入口13側から手を伸ばして摘まんだり、指を引っかけたりして扉14を閉じることができる限り、他の形状を採用することができる。
【0065】
図15は、上述した操作部142の変形例に係る操作部542を備えた扉54を示している。
操作部542は、鉤爪状からなり、扉54に取り付けられる取付片5421、当該取付片5421の端部から所定の角度で折曲して延び出した突出片5422、及び、当該突出片5422の端部からさらに所定の角度で折曲し、取付片5421と略平行に延び出した延設片5423から構成される。
この操作部542も操作部142と同様、扉54が開いた状態において突出片5422が差入口13から遠い側に設けられるよう、扉54の内側に取り付けられる。
【0066】
突出片5422と延設片5423は、開いた扉54を店員が閉じる際に摘まんだり、指を引っかけたりする部分を一体的に構成しており、店員がより確実に、操作部542を摘まんだり、指を引っかけたりして扉54を閉められるようになっている。
【0067】
また、上述した操作部142、542は、扉14、54を閉める際、店員によって直接、指で摘ままれたり、指を引っかけられたりするものであったが、例えば、操作部142、542が取り付けられる位置に紐状の部材の一端を取り付け、当該紐状の部材の他端を差入口13に設けるようにしてもよい。これにより、店員が当該紐状の部材の他端を引くことで、扉14、54を閉めることができる。
【0068】
なお、以上の本発明の実施形態に係る物品収容装置1、4においては、扉14そのものの形状や構造についても他のものを採用することができ、少なくとも、顧客の合理的な行動を前提として、収容ユニット1aごとに収容部11内の商品Mの引き取りを規制したり、許容したりできるものは本発明の射程範囲にあると言える。
したがって、例えば、引取口12を部分的に遮蔽する跳ね上げ式のバーなどによって構成することもできる。
【0069】
●実施形態総括
本発明は、物品を収容する物品収容装置に関する。
【0070】
近時、飲食店では、店外の顧客が専用アプリケーション等を使って予約注文をしておき、予約時間に訪店すると調理を待たずに、完成した予約商品を受け取ることができるサービスが提供されている。
【0071】
この点、物品の受け渡しの観点からは、特開第3354666号公報において、宅配物を収納する施錠可能な宅配物収納ロッカにおいて、前記宅配物の重量により傾きが変移するように本体ケース内に取り付けられる底板と、前記底板に連結され、前記底板の傾きの変移の力を受けて前記本体ケースに対してドアを施錠状態にする施錠機構部と、前記収納された宅配物を受取人側のみで取り出すことのできる取り出し用ドアと、を備え前記施錠機構部は、前記本体ケース内で上下方向に回動可能に、かつ先端部が前記ドア側に突き出るように前記底板に取り付けられる錠部材と、前記ドア側に形成され、前記底板の変移が所定角度となったときの前記錠部材と係合する切り欠きと、を有することを特徴とする宅配物収納ロッカが提案されている。
【0072】
一方、飲食店等では、予約注文の運用において、直接来店している客と予約注文をした客の両方に対応しなければいけない状況は効率が悪い。例えば、注文を受け付ける店員が一人しかおらず、店舗で注文する顧客が列をなしている状況で予約注文していた客が来店した場合、列をなしている顧客への対応を一時中断し、列に並んでいない予約注文客へ対応しなければならない。列をなしていた顧客にとっては良い印象がなく、一方で、予約注文していた顧客を列に並ばせるとなると、せっかく予約時刻に訪店したにもかかわらずその時間に受け取れないという問題が起こってしまう。
【0073】
そこで本発明は、効率的に物品を受け渡すことのできる物品収容装置を提供することを目的の一つとする。
【0074】
上記目的を達成するため、本発明に係る物品収容装置は、物品の収容部と、前記収容部内に収容された物品を引き取るための引取口と、前記収容部に物品を差し入れるための差入口と、前記引取口を開閉する開閉部と、前記差入口側から前記開閉部を操作するための操作部と、を有する。
【0075】
また、前記開閉部は、前記収容部との間に設けられた軸周りに回動して開閉する扉によって構成されるものとしてもよい。
【0076】
また、前記操作部は、前記軸の近傍に設けられているものとしてもよい。
【0077】
また、前記操作部は、前記開閉部の内側に設けられているものとしてもよい。
【0078】
また、前記開閉部と前記収容部は、前記開閉部が閉じている状態において、前記引取口側の面が略面一に構成されるものとしてもよい。
【0079】
また、前記収容部、前記引取口、前記差入口、前記開閉部、及び前記操作部から構成された収容ユニットを複数、備えるものとしてもよい。
【0080】
また、前記開閉部を施解錠する施開錠部と、前記開閉部が解錠されたとき、前記開閉部を開放状態に付勢する付勢部と、をさらに有するものとしてもよい。
【0081】
また、前記開閉部を開放するための認証情報を受け付ける認証情報受付部と、前記認証情報を受け付けると、前記施開錠部を制御して前記開閉部を解錠する制御部と、をさらに有するものとしてもよい。
【0082】
本発明によれば、店員が対応する必要なく、顧客が予約注文した物品を効率的に受け渡すことができる。特に、顧客は扉に触れることなく収容装置内の物品を取り出すことができるし、店員も物品の引取口側にまわらなくても、扉を閉めることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 物品収容装置
1a 収容ユニット
10 情報処理ユニット
101 設定処理部
102 設定情報記憶部
103 認証処理部
104 制御部
105 通信処理部
11 収容部
111 載置面
12 引取口
13 差入口
14 扉
141 窓
142 操作部
1421 取付片
1422 突出片
15 軸
16 施解錠部
161 係合部
162 被係合部
163 解錠レバー
17 照明
18 入出力部
19 読取部
1A 店員端末
2 注文受付装置
201 注文処理部
202 注文情報記憶部
203 認証情報生成部
204 コード生成部
205 通信処理部
3 顧客端末
4A 物品収容装置
4B 物品収容装置
54 扉
542 操作部
5421 取付片
5422 突出片
5423 延設片
M 商品
NW ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15