(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133231
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】容量素子
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240920BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240920BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240920BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H10B12/00 671Z
H10B12/00 621B
H10B12/00 801
H01L29/78 371
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L27/092 G
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024112334
(22)【出願日】2024-07-12
(62)【分割の表示】P 2023016641の分割
【原出願日】2016-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2015214050
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 豊
(57)【要約】
【課題】微細なトランジスタを提供する。または、寄生容量の小さいトランジスタを提供
する。または、周波数特性の高いトランジスタを提供する。またはオン電流の大きなトラ
ンジスタを提供する。または、該トランジスタを有する半導体装置を提供する。または、
集積度の高い半導体装置を提供する。または、新規な容量素子を提供する。
【解決手段】第1の導電体と、第2の導電体と、絶縁体と、を有し、第1の導電体は、第
2の導電体と、絶縁体を介して互いに重なる領域を有し、第1の導電体は、タングステン
およびシリコンを有し、絶縁体は、第1の導電体を酸化することによって形成される酸化
シリコン膜を有する容量素子。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電体と、第2の導電体と、絶縁体と、を有し、
前記第1の導電体と、前記第2の導電体と、は前記絶縁体を介して互いに重なる領域を有し、
前記第1の導電体は、タングステンおよびシリコンを有し、
前記絶縁体は、前記第1の導電体を酸化することによって形成される酸化シリコン膜を有することを特徴とする容量素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置、ならびにそれらの製造方法に関す
る。または、本発明は、例えば、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、
プロセッサ、電子機器に関する。または、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置
、電子機器の製造方法に関する。または、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装
置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発
明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション
・オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、半導体回路および電子機
器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年は、酸化物半導体を用いたトランジスタが注目されている。酸化物半導体は、スパ
ッタリング法などを用いて成膜できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半
導体に用いることができる。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非晶質シリコ
ンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設
備投資を抑えられるメリットもある。
【0005】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が
小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が
小さいという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献1参照
。)。
【0006】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタで、ゲート電極を開口部に埋め込んで作製す
る方法などが開示されている(特許文献2および特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-257187号公報
【特許文献2】特開2014-241407号公報
【特許文献3】特開2014-240833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
微細なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、寄生容量の小さいトラ
ンジスタを提供することを課題の一とする。または、周波数特性の高いトランジスタを提
供することを課題の一とする。または、電気特性の良好なトランジスタを提供することを
課題の一とする。または、電気特性の安定したトランジスタを提供することを課題の一と
する。または、オン時の電流の大きいトランジスタを提供することを課題の一とする。ま
たは、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供することを課題の一とする。または、新
規なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、該トランジスタを有する半
導体装置を提供することを課題の一とする。または、動作速度の速い半導体装置を提供す
ることを課題の一とする。または、集積度の高い半導体装置を提供することを課題の一と
する。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、該半導体装
置を有するモジュールを提供することを課題の一とする。または、該半導体装置、または
該モジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げることはない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなることであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
本発明の一態様は、第1の導電体と、第2の導電体と、絶縁体と、を有し、第1の導電
体は、第2の導電体と、前絶縁体を介して互いに重なる領域を有し、第1の導電体は、タ
ングステンおよびシリコンを有し、絶縁体は、第1の導電体を酸化することによって形成
される酸化シリコン膜を有することを特徴とする容量素子である。
【0011】
(2)
本発明の一態様は、タングステンおよびシリコンを有する第1の導電体と、第2の導電
体と、第1の導電体と接する絶縁体と、を有し、第1の導電体は、第2の導電体と、前絶
縁体を介して互いに重なる領域を有し、第2の導電体と絶縁体は、互いに接する領域を有
し、絶縁体は、酸化シリコン膜であり、15nm以下の膜厚であることを特徴とする容量
素子である。
【0012】
(3)
本発明の一態様は、半導体装置は、容量素子およびトランジスタを有し、トランジスタ
は、ドレイン電極を有し、容量素子は、第1の電極および第2の電極を有し、容量素子の
第1の電極とドレイン電極は電気的に接続され、容量素子は、(1)または(2)に記載
の容量素子であることを特徴とする半導体装置である。
【0013】
(4)
本発明の一態様は、モジュールは、(1)または(2)に記載の容量素子、(3)に記
載の半導体装置、およびプリント基板を有することを特徴とするモジュールである。
【0014】
(5)
本発明の一態様は、電子機器は、(1)または(2)に記載の容量素子、(3)に記載
の半導体装置、(4)に記載のモジュール、およびスピーカーまたは操作キーを有するこ
とを特徴とする電子機器である。
【0015】
(6)
本発明の一態様は、第1の導電体を成膜し、第1の導電体に、酸素を含むプラズマ処理
を行うことで、第1の導電体の表面に酸化シリコン膜を形成し、酸化シリコン膜上に、第
2の導電体を成膜し、第1の導電体は、タングステンおよびシリコンを有することを特徴
とする容量素子の作製方法である。
【0016】
(7)
本発明の一態様は、プラズマ処理は、高密度プラズマを用いた処理を含むことを特徴と
する(6)に記載の容量素子の作製方法である。
【0017】
(8)
本発明の一態様は、半導体装置の作製方法であって、半導体装置は、容量素子およびト
ランジスタを有し、トランジスタは、ドレイン電極を有し、容量素子は、第1の電極およ
び第2の電極を有し、容量素子の第1の電極、とドレイン電極は電気的に接続され、容量
素子は、(6)または(7)のいずれか一に記載の容量素子の作製方法を用いて作製され
ていることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0018】
(9)
本発明の一態様は、モジュールの作製方法であって、モジュールは、(6)または(7
)のいずれか一に記載の容量素子の作製方法を用いて作製された容量素子、(8)に記載
の半導体装置の作製方法を用いて作製された半導体装置、およびプリント基板を有するこ
とを特徴とするモジュールの作製方法である。
【0019】
(10)
本発明の一態様は、電子機器の作製方法であって、電子機器は、(6)または(7)の
いずれか一に記載の容量素子の作製方法を用いて作製された容量素子、(8)に記載の半
導体装置の作製方法を用いて作製された半導体装置、(9)に記載のモジュールの作製方
法を用いて作製されたモジュール、およびスピーカーまたは操作キーを有することを特徴
とする電子機器の作製方法である。
【0020】
(11)
本発明の一態様は、第1の絶縁体上に第2の絶縁体を成膜し、第2の絶縁体上に、半導
体を成膜し、半導体上に、第1の導電体を成膜し、第1の導電体を第1のリソグラフィー
法により、第1の導電体の一部をエッチングし、第1の導電体、半導体および第2の絶縁
体を第2のリソグラフィー法により、第1の導電体、半導体および第2の絶縁体の一部を
エッチングすることで、第1の導電体を第2の導電体と第3の導電体とに分離し、第2の
導電体、第3の導電体、半導体および第2の絶縁体からなる多層膜を形成し、第2の導電
体および第3の導電体に、酸素を含むプラズマ処理を行うことによって、第2の導電体の
側面、第2の導電体の上面、第3の導電体の側面および第3の導電体の上面に酸化シリコ
ン膜を形成し、酸化シリコン膜上、第1の絶縁体上、第2の絶縁体の側面および半導体の
側面を覆うように、第3の絶縁体を成膜し、第3の絶縁体上に、第4の絶縁体を成膜し、
第4の絶縁体上に第4の導電体を成膜し、第4の導電体を第3のリソグラフィー法により
、第4の導電体の一部をエッチングし、第1の導電体は、タングステンおよびシリコンを
含むことを特徴とするトランジスタの作製方法である。
【0021】
(12)
本発明の一態様は、プラズマ処理は、高密度プラズマを用いた処理を含むことを特徴と
する(11)に記載のトランジスタの作製方法である。
【0022】
(13)
本発明の一態様は、半導体装置の作製方法であって、半導体装置は、(11)または(
12)のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法を用いて作製されたトランジスタを
有することを特徴とした半導体装置の作製方法である。
【0023】
(14)
本発明の一態様は、モジュールの作製方法であって、(11)または(12)のいずれ
か一に記載のトランジスタの作製方法を用いて作製されたトランジスタ、(13)に記載
の半導体装置の作製方法を用いて作製された半導体装置、およびプリント基板を有するこ
とを特徴とするモジュールの作製方法である。
【0024】
(15)
本発明の一態様は、電子機器の作製方法であって、電子機器は、(11)または(12
)のいずれか一に記載のトランジスタの作製方法を用いて作製されたトランジスタ、(1
3)に記載の半導体装置の作製方法を用いて作製された半導体装置、(14)に記載のモ
ジュールの作製方法を用いて作製されたモジュール、およびスピーカーまたは操作キーを
有することを特徴とする電子機器の作製方法である。
【0025】
なお、本発明の一態様に係る半導体装置において、酸化物半導体を他の半導体に置き換
えても構わない。
【発明の効果】
【0026】
微細なトランジスタを提供することができる。または、寄生容量の小さいトランジスタ
を提供することができる。または、周波数特性の高いトランジスタを提供することができ
る。または、電気特性の良好なトランジスタを提供することができる。または、電気特性
の安定したトランジスタを提供することができる。または、オン時の電流の大きいトラン
ジスタを提供することができる。または、オフ時の電流の小さいトランジスタを提供する
ことができる。または、新規なトランジスタを提供することができる。または、該トラン
ジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、動作速度の速い半導体装置
を提供することができる。または、集積度の高い半導体装置を提供することができる。ま
たは、新規な半導体装置を提供することができる。または、該半導体装置を有するモジュ
ールを提供することができる。または、該半導体装置、または該モジュールを有する電子
機器を提供することができる。
【0027】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げない。なお、本発明の一態様は、
これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請
求項などの記載から、自ずと明らかとなることであり、明細書、図面、請求項などの記載
から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本発明の一態様に係る容量素子の作製方法を示す断面図。
【
図3】本発明の一態様に係る容量素子の作製方法を示す断面図。
【
図4】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
【
図5】本発明の一態様に係るトランジスタを示す上面図および断面図。
【
図6】本発明の一態様に係るトランジスタを示す断面図。
【
図7】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図、ならびにCAAC-OSの制限視野電子回折パターンを示す図。
【
図8】CAAC-OSの断面TEM像、ならびに平面TEM像およびその画像解析像。
【
図9】nc-OSの電子回折パターンを示す図、およびnc-OSの断面TEM像。
【
図11】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
【
図12】本発明に係る酸化物の原子数比の範囲を説明する図。
【
図15】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図16】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図17】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図18】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図19】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図20】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図21】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図22】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図23】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図24】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図25】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図26】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図27】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図28】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図29】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図30】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図31】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図32】本発明の一態様に係るトランジスタの作製方法を示す上面図および断面図。
【
図34】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
【
図35】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図。
【
図36】本発明の一態様に係る半導体装置を示す回路図および断面図。
【
図37】本発明の一態様に係るCPUを示すブロック図。
【
図44】本発明の一態様に係る、半導体装置を示す回路図、上面図および断面図。
【
図45】本発明の一態様に係る、半導体装置を示す回路図および断面図。
【
図46】本発明の一態様を説明するためのブロック図、回路図および波形図。
【
図47】本発明の一態様を説明するための回路図およびタイミングチャート。
【
図54】リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を表す斜視図および携帯電話のモジュールの構成を表す平面図。
【
図58】本発明の一態様に係る、RFタグの使用例。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の
説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易
に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されない
。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面
間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に
符号を付さない場合がある。なお、異なる符号の構成要素の記載を参照する場合、参照さ
れた構成要素の厚さ、組成、構造または形状などについての記載を適宜用いることができ
る。
【0030】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張され
ている場合がある。
【0031】
なお、本明細書において、「膜」という表記と、「層」という表記と、を互いに入れ替
えることが可能である。
【0032】
なお、本明細書において、例えば、物体の形状を「径」、「粒径」、「大きさ」、「サ
イズ」、「幅」などで規定する場合、物体が収まる最小の立方体における一辺の長さ、ま
たは物体の一断面における円相当径と読み替えてもよい。物体の一断面における円相当径
とは、物体の一断面と等しい面積となる正円の直径をいう。
【0033】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位
)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能であ
る。一般的に、電位(電圧)は、相対的であり、基準の電位からの相対的な大きさによっ
て決定される。したがって、「接地電位」などと記載されている場合であっても、電位が
0Vであるとは限らない。例えば、回路で最も低い電位が、「接地電位」となる場合もあ
る。または、回路で中間くらいの電位が、「接地電位」となる場合もある。その場合には
、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定される。
【0034】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積
層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」
などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞
と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0035】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃
度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半
導体のDOS(Density of States)が形成されることや、キャリア移
動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物
半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第
2族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例え
ば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、
窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損
を形成する場合がある。また、半導体がシリコン膜である場合、半導体の特性を変化させ
る不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、
第15族元素などがある。ただし、不純物以外にも、過剰に含まれた主成分の元素がDO
Sの原因となる場合もある。その場合、微量(例えば0.001原子%以上3原子%未満
)の添加物によってDOSを低くできる場合がある。なお、該添加物としては、上述した
不純物となりうる元素を用いることもできる。
【0036】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重
なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース
電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つ
のトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、
一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明
細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値
、最小値または平均値とする。
【0037】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中
で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される
領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つの
トランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、
一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明
細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値
、最小値または平均値とする。
【0038】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示され
るチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば
、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面
図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくな
る場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面
に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において
示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅
の方が大きくなる。
【0039】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実
測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見
積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形
状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である
。
【0040】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互い
に重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ
上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Chann
el Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載し
た場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または
、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合が
ある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲
い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどに
よって、値を決定することができる。
【0041】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求
める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチ
ャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0042】
なお、本明細書において、AがBより迫り出した形状を有すると記載する場合、上面図
または断面図において、Aの少なくとも一端が、Bの少なくとも一端よりも外側にある形
状を有することを示す場合がある。したがって、AがBより迫り出した形状を有すると記
載されている場合、例えば上面図において、Aの一端が、Bの一端よりも外側にある形状
を有すると読み替えることができる。
【0043】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度
で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また
、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態を
いう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されてい
る状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」
とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0044】
なお、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0045】
なお、明細書において、単に半導体と記載される場合、様々な半導体に置き換えること
ができる場合がある。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの第14族半導体、酸化物半
導体、炭化シリコン、ケイ化ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、セレン化
亜鉛、硫化カドミウムなどの化合物半導体、および有機半導体に置き換えることができる
。
【0046】
ここで、本発明の一態様に係る半導体装置を作製する際に、リソグラフィー法を用いて
構成要素の一部をエッチングする方法の一例を説明する。まず、構成要素上に感光性を有
する有機物または無機物の層を、スピンコート法などを用いて形成する。次に、フォトマ
スクを用いて、感光性を有する有機物または無機物の層に光を照射する。当該光としては
、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ult
raviolet)光などを用いればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例え
ば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、感光性を有する有機物また
は無機物の層に照射する光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、
電子ビームやイオンビームを用いる場合には、フォトマスクは不要となる。次に、現像液
を用いて、感光性を有する有機物または無機物の層の露光された領域を、除去または残存
させてレジストなどを有するエッチングマスクを形成する。
【0047】
なお、エッチングマスクの下には、反射防止層(BARC:Bottom Anti
Reflective Coating)を形成してもよい。BARCを用いる場合、ま
ずエッチングマスクによってBARCをエッチングする。次に、エッチングマスクおよび
BARCを用いて、構成要素をエッチングする。ただし、BARCに代えて、反射防止層
の機能を有さない有機物または無機物を用いてもよい場合がある。構成要素のエッチング
は、プラズマエッチング装置を用いることができる。
【0048】
構成要素のエッチング後には、用いたエッチングマスクなどを除去する。エッチングマ
スクなどの除去には、プラズマ処理または/およびウェットエッチングを用いる。なお、
プラズマ処理としては、プラズマアッシングが好適である。エッチングマスクなどの除去
が不十分な場合、0.001volume%以上1volume%以下の濃度のフッ化水
素酸または/およびオゾン水などによって取り残したエッチングマスクなどを除去しても
よい。
【0049】
プラズマ処理およびプラズマエッチングに使用する装置としては、平行平板型電極を有
する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Pla
sma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラ
ズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよ
い。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なる高周波電源を印加する構成でもよ
い。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。
または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。ま
たは高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラ
ズマ源を有するドライエッチング装置としては、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:
Inductively Coupled Plasma)エッチング装置、電子サイク
ロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)
プラズマエッチング装置、ヘリコン波プラズマ(HWP:Helicon Wave P
lasma)エッチング装置、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave P
lasma)エッチング装置またはマグネトロンプラズマ(Magnetron Pla
sma)エッチング装置などを用いることができる。
【0050】
また、本明細書において、導電体、絶縁体および半導体の成膜は、スパッタリング法、
化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分
子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法または
パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原
子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、熱酸化法ま
たはプラズマ酸化法などを用いて行うことができる。
【0051】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma
Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal C
VD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用
いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD
(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0052】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラ
ズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法
である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など
)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき
、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合
がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生
じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成
膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0053】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法
である。また、ALD法も、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜
が得られる。
【0054】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法と
は異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがっ
て、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特
に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比
の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜
速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いること
が好ましい場合もある。
【0055】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御する
ことができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意
の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜
しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜
することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用
いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間の分、成膜に掛かる時間を短く
することができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0056】
(実施の形態1)
本実施の形態では本発明の一態様に係る容量素子の構成とその作製方法について説明す
る。
【0057】
図1は、本発明の一態様に係る容量素子の断面図である。容量素子は、導電体105と
、導電体105上にあって、導電体105の上面に達する開口部を有する絶縁体110と
、該開口部において絶縁体110の側面および導電体105と接する導電体160と、導
電体160上の絶縁体120と、導電体160と絶縁体120を介して互いに重なる領域
を有する導電体170と、を有する。また、導電体105と導電体160とは電気的に接
続されている。
【0058】
導電体105は、容量素子の一方の電極としての機能を有し、導電体170は、他方の
電極としての機能を有する。また、絶縁体120は、容量素子の誘電体としての機能を有
する。
【0059】
導電体105および導電体170としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シ
リコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜
鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、プラチナ、銀、
インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、また
は積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウムを含む
導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、ス
ズおよび酸素を含む導電体、またはチタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0060】
導電体160としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アル
ミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イッ
トリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、プラチナ、銀、インジウム、スズ、
タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよ
い。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチ
タンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む
導電体、またはチタンおよび窒素を含む導電体、タングステンおよびシリコンを含む導電
体などを用いてもよい。
【0061】
絶縁体120としては、導電体160を酸化することにより形成した酸化膜を絶縁体1
20として用いても良い。該酸化膜は、熱酸化法またはプラズマ酸化法で形成し、その他
の酸化法または自然酸化による酸化膜は除く。また、絶縁体120は酸化アルミニウム、
酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニ
ウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化
物、酸化シリコン、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどから複数の絶縁体を適宜選
択して、多層膜とすることもできる。
【0062】
絶縁体110としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲ
ルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化
ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒
化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0063】
ここからは、本発明の一態様に係る
図1の容量素子の作製方法について
図2から
図3を
用いて説明する。
【0064】
まず、導電体105を成膜する。導電体105の成膜は、基板上に限定されず、絶縁層
上または半導体装置上に成膜することができる。
【0065】
次に、導電体105上に絶縁体110となる絶縁体を成膜する。次に、絶縁体110と
なる絶縁体をリソグラフィー法を用いて加工し、導電体105の上面に達する開口部を有
する絶縁体110を形成する(
図2(A)参照。)。
【0066】
次に、絶縁体110上および開口部に導電体115を成膜する。導電体115としては
、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロ
ム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム
、モリブデン、ルテニウム、プラチナ、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングス
テンを一種以上含む導電体を用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、
アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電
体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、またはチタンおよび窒素を含む導電体、
タングステンおよびシリコンを含む導電体などを用いてもよい。(
図2(B)参照。)。
【0067】
次に、導電体115を酸化し、導電体115表面に絶縁体125を形成する。酸化の方
法としては、熱酸化法または酸素を含むプラズマ処理による酸化法を用いればよい。また
、酸素を含む高密度プラズマ処理による酸化がより好ましい。例えば、導電体115をタ
ングステンおよびシリコンを含む導電体とした場合、導電体115に酸素を含む高密度プ
ラズマ処理を行うことで、酸化シリコン膜を形成することができる。
【0068】
絶縁体125は、導電体115の表面を酸化することで形成するので、導電体115上
に均一の膜厚で形成することができるので、容量素子の容量値のばらつきを小さくするこ
とができて好ましい(
図3(A)参照。)。
【0069】
また、絶縁体125は、絶縁体125上に絶縁体を成膜して2層以上の多層膜とするこ
ともできる。多層膜とすることで、容量素子の電極間のリーク電流を低減することができ
る。または、容量素子の電極間の耐電圧性を向上することができて好適である。
【0070】
次に、導電体165を成膜する。導電体165は、絶縁体110に形成された開口部を
埋めるように成膜する。したがって、CVD法(特にMCVD法)を用いることが好まし
い。また、MCVD法で成膜する導電体と絶縁体との密着性を高めるために、ALD法な
どによって成膜した導電体と、MCVD法で成膜した導電体との多層膜にすると好ましい
場合がある。例えば、窒化チタンまたは窒化タンタルと、タングステンとがこの順に成膜
された多層膜などを用いればよい(
図3(B)参照。)。
【0071】
次に、導電体165、絶縁体125および導電体115を絶縁体110の上面に達する
まで化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polish
ing)処理を行う。これにより、絶縁体110の開口部には導電体160、絶縁体12
0および導電体170が埋め込まれる。以上により、一方の電極は導電体105であり、
他方の電極は導電体170であり、誘電体は絶縁体120である容量素子を作製すること
ができる(
図1参照。)。
【0072】
(実施の形態2)
<トランジスタ構造1>
以下では、本発明の一態様に係る半導体装置が有するトランジスタの構造について説明
する。
【0073】
図4(A)、(B)および(C)は、本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および
断面図である。
図4(A)は上面図である。
図4(B)は、
図4(A)に示す一点鎖線A
1-A2に対応する断面図である。
図4(C)は、
図4(A)に示す一点鎖線A3-A4
に対応する断面図である。なお、
図4(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要
素を省いて図示している。
【0074】
図4(B)および(C)において、本トランジスタは、基板400上の絶縁体401と
、絶縁体401上の絶縁体301と、を有している。絶縁体301は開口部を有していて
、開口部内に導電体310aおよび導電体310bが配置されている。また、本トランジ
スタは、絶縁体301上および導電体310aおよび導電体310b上の絶縁体302と
、絶縁体302上の絶縁体303と、絶縁体303上の絶縁体402と、絶縁体402上
の絶縁体406aと、絶縁体406a上の半導体406bと、半導体406bの上面と接
する領域を有する導電体416a1および導電体416a2と、導電体416a1の側面
および上面を覆う絶縁体424a1と、導電体416a2の側面および上面を覆う絶縁体
424a2と、絶縁体402上、絶縁体406aの側面、半導体406bの側面、半導体
406bの上面、絶縁体424a1の側面、絶縁体424a1の上面、絶縁体424a2
の側面および絶縁体424a2の上面と接する領域を有する絶縁体406cと、絶縁体4
06c上の絶縁体412と、半導体406bと絶縁体412および絶縁体406cを介し
て互いに重なる領域を有する導電体404と、絶縁体412上および導電体404上の絶
縁体410と、絶縁体410上の絶縁体408と、絶縁体408、絶縁体410、絶縁体
412、絶縁体406c、絶縁体402、絶縁体303および絶縁体302を通り導電体
310bに達する第1の開口部と、絶縁体408、絶縁体410、絶縁体412、絶縁体
406c、絶縁体424a1を通り導電体416a1に達する第2の開口部と、絶縁体4
08、絶縁体410、絶縁体412、絶縁体406cおよび絶縁体424a2を通り導電
体416a2に達する第3の開口部と、絶縁体408および絶縁体410を通り導電体4
04に達する第4の開口部と、を有する。第1の開口部に導電体433が埋め込まれ、第
2の開口部に導電体431が埋め込まれ、第3の開口部に導電体429が埋め込まれ、第
4の開口部にまたは導電体437が埋め込まれる。また、絶縁体408上にあって、導電
体433と接する領域を有する導電体434と、絶縁体408上にあり、導電体431と
接する領域を有する導電体432と、絶縁体408上にあり、導電体429と接する領域
を有する導電体430と、絶縁体408上にあり、導電体437と接する領域を有する導
電体438と、を有する。
【0075】
なお、半導体406bは、半導体406bの上面と導電体416a1および導電体41
6a2と接する領域407を有する。
【0076】
本トランジスタにおいて、導電体404は第1のゲート電極としての機能を有する。ま
た、導電体404は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体と積層構造とすることが
できる。例えば酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を下層に成膜することで導電体
404の酸化による電気抵抗値の増加を防ぐことができる。絶縁体412はゲート絶縁体
としての機能を有する。なお、導電体の電気抵抗値の測定は、2端子法などを用いて測定
することができる。
【0077】
導電体404に印加する電位によって、半導体406bの抵抗を制御することができる
。即ち、導電体404に印加する電位によって、導電体416a1と導電体416a2と
の間の導通・非導通を制御することができる。
【0078】
導電体416a1および導電体416a2は、それぞれ、ソース電極またはドレイン電
極としての機能を有する。導電体416a1の側面および上面は絶縁体424a1に覆わ
れている。また、導電体416a2の側面および上面は絶縁体424a2に覆われている
。導電体416a1と導電体404とは、絶縁体412、絶縁体406cおよび絶縁体4
24a1を介して重なる領域を有する。および、導電体416a2と導電体404とは、
絶縁体412、絶縁体406cおよび絶縁体424a2を介して重なる領域を有する。従
って、本トランジスタの構造は、導電体416a1と導電体404間の寄生容量および導
電体416a2と導電体404間の寄生容量を低減することができる。よって、本トラン
ジスタは周波数特性の高いトランジスタ、言い換えると高速動作に適したトランジスタと
なる。
【0079】
図4(B)および(C)に示すように、半導体406bの上面は、導電体416a1お
よび導電体416a2と接する。また、第1のゲート電極としての機能を有する導電体4
04の電界によって、半導体406bを電気的に取り囲むことができる。ゲート電極の電
界によって、半導体を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded
channel(s-channel)構造とよぶ。そのため、半導体406bの全体に
チャネルが形成される場合がある。s-channel構造では、トランジスタのソース
-ドレイン間に大電流を流すことができ、導通時の電流(オン電流)を大きくすることが
できる。また、半導体406bが、導電体404の電界によって取り囲まれていることか
ら、非導通時の電流(オフ電流)を小さくすることができる。
【0080】
また、導電体310aは、第2のゲート電極としての機能を有する。また、導電体31
0aは酸素の透過を抑制する機能を有する導電体と積層構造とすることができる。例えば
酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を下層に成膜することで導電体310aの酸化
による導電率の低下を防ぐことができる。絶縁体302、絶縁体303および絶縁体40
2はゲート絶縁膜としての機能を有する。導電体310aへ印加する電位によって、本ト
ランジスタのしきい値電圧を制御することができる。また、導電体310aに印加する電
位により、絶縁体303へ電子を注入させ本トランジスタのしきい値電圧を制御すること
ができる。さらに第1のゲート電極と第2のゲート電極を電気的に接続することで、導通
時の電流(オン電流)を大きくすることができる。なお、第1のゲート電極の機能と、第
2のゲート電極の機能と、が入れ替わっても構わない。
【0081】
図6(A)に第1のゲート電極と第2のゲート電極を電気的に接続した一例を示す。絶
縁体408および絶縁体410を通って導電体404に達する開口部には、導電体440
が埋め込まれており、導電体440の上面と絶縁体408上に形成した導電体444とは
、電気的に接続されている。一方、絶縁体410、絶縁体408、絶縁体412、絶縁体
406c、絶縁体402、絶縁体303および絶縁体302を通って導電体310cに達
する開口部には、導電体442が埋め込まれており、導電体442の上面と導電体444
とは、電気的に接続されている。つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体
404は、導電体440、導電体444および導電体442を通して、第2のゲート電極
としての機能を有する導電体310cと、電気的に接続される。
【0082】
なお、トランジスタを、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁
体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。例えば絶縁
体408として、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を用い
ればよい。
【0083】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホ
ウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素
、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジ
ム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0084】
また、例えば、絶縁体408としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガ
リウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化
ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまた
は窒化シリコンなどを用いればよい。なお、絶縁体408は、酸化アルミニウムを有する
ことが好ましい。例えば、絶縁体408は酸素を有するプラズマを用いて成膜すると絶縁
体408の下地層となる絶縁体412へ酸素を添加することができる。添加された酸素は
絶縁体412中で過剰酸素となる。絶縁体408が酸化アルミニウムを有することで、半
導体406bに水素などの不純物が混入することを抑制することができる。また、例えば
、絶縁体408が酸化アルミニウムを有することで、上述の絶縁体412へ添加した過剰
酸素の外方拡散を低減することができる。
【0085】
絶縁体401としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化酸化シリコン、窒
化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、
酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルを用いればよい。なお
、絶縁体401は、酸化アルミニウムまたは窒化シリコンを有することが好ましい。例え
ば、絶縁体401が酸化アルミニウムまたは窒化シリコンを有することで、半導体406
bに水素などの不純物が混入することを抑制することができる。また、例えば、絶縁体4
01が酸化アルミニウムまたは窒化シリコンを有することで、酸素の外方拡散を低減する
ことができる。
【0086】
絶縁体301としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、
アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単
層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体301としては、酸化シリコンまたは
酸化窒化シリコンを有することが好ましい。
【0087】
絶縁体303としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、
アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体または
金属酸化膜を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体303としては、窒
化シリコン、酸化ハフニウムまたは酸化アルミニウムを有することが好ましい。
【0088】
絶縁体302および絶縁体402としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ
素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマ
ニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタル
を含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体402としては、
酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを有することが好ましい。
【0089】
なお、絶縁体410は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁
体410は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ
素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸
化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または
、絶縁体410は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン
、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加
した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有すること
が好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組
み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂と
しては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど
)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
【0090】
絶縁体412としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、
アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウ
ム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単
層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体412としては、酸化シリコンまたは
酸化窒化シリコンを有することが好ましい。
【0091】
なお、絶縁体412は、比誘電率の高い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁
体412は、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸
化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを
有する酸化物、またはシリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物などを有することが
好ましい。または、絶縁体412は、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンと、比誘電率
の高い絶縁体と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリ
コンは、熱的に安定であるため、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安
定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。例えば、酸化アルミニウム、酸化ガ
リウムまたは酸化ハフニウムを絶縁体406c側に有することで、酸化シリコンまたは酸
化窒化シリコンに含まれるシリコンが、半導体406bに混入することを抑制することが
できる。また、例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを絶縁体406c側に有す
ることで、酸化アルミニウム、酸化ガリウムまたは酸化ハフニウムと、酸化シリコンまた
は酸化窒化シリコンと、の界面にトラップセンターが形成される場合がある。該トラップ
センターは、電子を捕獲することでトランジスタのしきい値電圧をプラス方向に変動させ
ることができる場合がある。
【0092】
絶縁体424a1および絶縁体424a2としては、導電体416a1または導電体4
16a2を酸化して形成した絶縁体を用いても良い。また、該絶縁体と酸化アルミニウム
、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコ
ニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸
化物、酸化シリコン、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどとの多層膜とすることも
できる。
【0093】
導電体416a1および導電体416a2としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フ
ッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル
、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、プラチ
ナ、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層
で、または積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく、アルミニウ
ムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジ
ウム、スズおよび酸素を含む導電体、またはチタンおよび窒素を含む導電体、タングステ
ンおよびシリコンを含む導電体などを用いてもよい。
【0094】
導電体310a、導電体310b、導電体310c、導電体404、導電体429、導
電体430、導電体431、導電体432、導電体433、導電体434、導電体437
、導電体438、導電体440、導電体442、および導電体444としては、例えば、
ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガ
ン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデ
ン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導
電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金膜や化合物膜であってもよく
、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導
電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、またはチタンおよび窒素を含む導電体
などを用いてもよい。
【0095】
半導体406bとしては、酸化物半導体を用いることが好ましい。ただし、シリコン(
歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素
、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウムまたは有機半導体などを用
いても構わない場合がある。
【0096】
絶縁体406aおよび絶縁体406cとしては、半導体406bを構成する酸素以外の
元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物を用いることが望ましい。ただし、
シリコン(歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガ
リウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウムまたは有機半導
体などを用いても構わない場合がある。
【0097】
<トランジスタ構造2>
ここでは、
図4と異なる構成のトランジスタについて、
図5を用いて説明する。
図5(
A)、(B)および(C)は、本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図で
ある。
図5(A)は上面図である。
図5(B)は、
図5(A)に示す一点鎖線A1-A2
に対応する断面図である。
図5(C)は、
図5(A)に示す一点鎖線A3-A4に対応す
る断面図である。なお、
図5(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省い
て図示している。
【0098】
図5(B)および(C)において、本トランジスタは、基板400上の絶縁体401と
、絶縁体401上の絶縁体301と、を有している。絶縁体301が開口部を有していて
、開口部内に導電体310aおよび導電体310bが配置されている。また、本トランジ
スタは、絶縁体301上および導電体310aおよび導電体310b上の絶縁体302と
、絶縁体302上の絶縁体303と、絶縁体303上の絶縁体402と、絶縁体402上
の絶縁体406aと、絶縁体406a上の半導体406bと、半導体406bの上面と接
する領域を有する導電体416a1および導電体416a2と、導電体416a1の側面
であって絶縁体406cと接する領域に配する絶縁体424a1と、導電体416a2の
側面であって絶縁体406cと接する領域に配する絶縁体424a2と、導電体416a
1の上面および導電体416a2の上面と接する絶縁体410と、半導体406bの上面
と接する絶縁体406cと、絶縁体406c上の絶縁体412と、絶縁体412および絶
縁体406cを介して半導体406b上に配置する導電体404と、絶縁体410上、導
電体404上、絶縁体412上および絶縁体406c上の絶縁体418と、絶縁体418
上の絶縁体408と、絶縁体408上の絶縁体428と、絶縁体428、絶縁体408、
絶縁体418、絶縁体410、絶縁体402、絶縁体303および絶縁体302を通り導
電体310bに達する第1の開口部と、絶縁体428、絶縁体408、絶縁体418およ
び絶縁体410を通り導電体416a1に達する第2の開口部と、絶縁体428、絶縁体
408、絶縁体418および絶縁体410を通り導電体416a2に達する第3の開口部
と、絶縁体428、絶縁体408および絶縁体418を通り導電体404に達する第4の
開口部と、を有する。第1の開口部は導電体433が埋め込まれ、第2の開口部は導電体
431が埋め込まれ、第3の開口部は導電体429が埋め込まれ、第4の開口部は導電体
437が埋め込まれる。また、絶縁体428上にあって、導電体433と接する領域を有
する導電体434と、絶縁体428上にあり、導電体431と接する領域を有する導電体
432と、絶縁体428上にあり、導電体429と接する領域を有する導電体430と、
絶縁体428上にあり、導電体437と接する領域を有する導電体438と、を有する。
【0099】
なお、半導体406bは、半導体406bの上面と導電体416a1および導電体41
6a2と接する領域407を有する。
【0100】
本トランジスタにおいて、導電体404は第1のゲート電極としての機能を有する。ま
た、導電体404は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体と積層構造とすることが
できる。例えば酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を下層に成膜することで導電体
404の酸化による電気抵抗値の増加を防ぐことができる。絶縁体412はゲート絶縁体
としての機能を有する。
【0101】
また、導電体416a1および導電体416a2は、ソース電極またはドレイン電極と
しての機能を有する。また、導電体416a1および導電体416a2は、酸素の透過を
抑制する機能を有する導電体と積層構造とすることができる。例えば酸素の透過を抑制す
る機能を有する導電体を上層に成膜することで導電体416a1および導電体416a2
の酸化による電気抵抗値の増加を防ぐことができる。
【0102】
導電体404に印加する電位によって、半導体406bの抵抗を制御することができる
。即ち、導電体404に印加する電位によって、導電体416a1と導電体416a2と
の間の導通・非導通を制御することができる。
【0103】
本トランジスタは、ゲート電極として機能する領域が、絶縁体410などに形成される
開口部を埋めるように自己整合(self align)的に形成されるので、TGSA
s-channel FET(Trench Gate Self Align s-
channel FET)と呼ぶこともできる。
【0104】
図5(B)において、第1のゲート電極としての機能を有する導電体404の底面が、
絶縁体412および絶縁体406cを介して、半導体406bの上面と平行に面する領域
の長さをゲート線幅と定義する。該ゲート線幅は、絶縁体410等が半導体406bに達
する開口部よりも小さくすることができる。即ち、ゲート線幅を最小加工寸法よりも小さ
くすることができる。具体的には、ゲート線幅を、5nm以上60nm以下、好ましくは
5nm以上30nm以下とすることができる。
【0105】
なお、第1のゲート電極からの電界が他の導電体によって遮られると、トランジスタの
スイッチング特性が悪化する場合がある。本トランジスタは、絶縁体406cおよび絶縁
体412の膜厚によって導電体404と、導電体416a1および導電体416a2と、
の位置関係が変化する。即ち、ソース電極およびドレイン電極としての機能を有する導電
体416a1および導電体416a2の膜厚とゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁体
412の膜厚の関係は、本トランジスタの電気特性に影響をおよぼすことがわかる。
【0106】
図5(B)において導電体416a1と、導電体416a2の間の領域における絶縁体
412の厚さが導電体416a1の厚さまたは導電体416a2の厚さ以下とすることで
、ゲート電極からの電界がチャネル形成領域全体に掛かるのでトランジスタの動作が良好
となり好ましい。導電体416a1と、導電体416a2の間の領域における絶縁体41
2の厚さは、30nm以下、好ましくは10nm以下とする。
【0107】
また、本トランジスタの構成は、導電体416a1の厚さまたは導電体416a2の厚
さを小さい値とすることが可能である。導電体416a1の端部は絶縁体406c、絶縁
体412および絶縁体424a1を介して、導電体404と向かい合う領域を有する。ま
たは、導電体416a2の端部は絶縁体406c、絶縁体412および絶縁体424a2
を介して、導電体404と向かい合う領域を有するが、これらの領域の面積はより小さく
抑えられる。また、絶縁体424a1および絶縁体424a2が配されることでこれらの
領域の絶縁体の膜厚が厚くなる。したがって本トランジスタは、これらの領域の寄生容量
は小さく抑えられている構成となっている。
【0108】
また、本トランジスタの構成は、上述のように導電体416a1の側面の絶縁体406
cと接する領域に絶縁体424a1が配されている。また、導電体416a2の側面の絶
縁体406cと接する領域に絶縁体424a2が配されている。このため、第1のゲート
電極としての機能を有する導電体404と、ソース電極またはドレイン電極としての機能
を有する導電体416a1または導電体416a2と、の間には、絶縁体412および絶
縁体406cに、絶縁体424a1または絶縁体424a2が加わる構成となる。従って
、第1のゲート電極としての機能を有する導電体404と、ソース電極またはドレイン電
極としての機能を有する導電体416a1または導電体416a2と、の間の電界を緩和
することができるのでトランジスタのショートチャネル効果の影響を受けにくくすること
ができる。
【0109】
また、導電体310aは、第2のゲート電極としての機能を有する。また、導電体31
0aは酸素の透過を抑制する機能を有する導電膜を含む多層膜とすることもできる。酸素
の透過を抑制する機能を有する導電膜を含む多層膜とすることで導電体310aの酸化に
よる導電率の低下を防ぐことができる。絶縁体302、絶縁体303および絶縁体402
はゲート絶縁膜としての機能を有する。導電体310aへ印加する電位によって、本トラ
ンジスタのしきい値電圧を制御することができる。また、導電体310cに印加する電位
により、絶縁体303へ電子を注入させ本トランジスタのしきい値電圧を制御することが
できる。さらに第1のゲート電極と第2のゲート電極を電気的に接続することで、導通時
の電流(オン電流)を大きくすることができる。なお、第1のゲート電極の機能と、第2
のゲート電極の機能と、が入れ替わっても構わない。
【0110】
図6(B)に第1のゲート電極と第2のゲート電極を電気的に接続した一例を示す。絶
縁体428、絶縁体408および絶縁体418を通って導電体404に達する開口部には
、導電体440が埋め込まれており、導電体440の上面と絶縁体428上に形成した導
電体444とは、電気的に接続されている。一方、絶縁体428、絶縁体408、絶縁体
418、絶縁体410、絶縁体402、絶縁体303および絶縁体302を通って導電体
310cに達する開口部には、導電体442が埋め込まれており、導電体442の上面と
導電体444とは、電気的に接続されている。つまり、第1のゲート電極としての機能を
有する導電体404は、導電体440、導電体444および導電体442を通して、第2
のゲート電極としての機能を有する導電体310cとは、電気的に接続される。
【0111】
絶縁体418および絶縁体428としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ
素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマ
ニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタル
を含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、絶縁体418および絶縁
体428としては、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを有することが好ましい。その
他の構成は上述を参酌する。
【0112】
(実施の形態3)
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0113】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分け
られる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(c-axis-aligne
d crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化
物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semicon
ductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-
like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などが
ある。
【0114】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物
半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC
-OS、多結晶酸化物半導体およびnc-OSなどがある。
【0115】
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配
置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さ
ない、などといわれている。
【0116】
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphou
s)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期
構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a-l
ike OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である
。不安定であるという点では、a-like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近
い。
【0117】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0118】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体の一種である。
【0119】
CAAC-OSをX線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって
解析した場合について説明する。例えば、空間群R-3mに分類されるInGaZnO
4
の結晶を有するCAAC-OSに対し、out-of-plane法による構造解析を行
うと、
図7(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピー
クは、InGaZnO
4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSで
は、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともい
う。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°
近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近
傍のピークは、空間群Fd-3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC
-OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
【0120】
一方、CAAC-OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin-pl
ane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、
InGaZnO
4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定
し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)
を行っても、
図7(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZ
nO
4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、
図7(C)に示すよう
に(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XR
Dを用いた構造解析から、CAAC-OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であること
が確認できる。
【0121】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGa
ZnO
4の結晶を有するCAAC-OSに対し、CAAC-OSの被形成面に平行にプロ
ーブ径が300nmの電子線を入射させると、
図7(D)に示すような回折パターン(制
限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、In
GaZnO
4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回
折によっても、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面
または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に
垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを
図7(E)に
示す。
図7(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径
が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC-OSに含まれるペレット
のa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、
図7(E)における第1リン
グは、InGaZnO
4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考え
られる。また、
図7(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられ
る。
【0122】
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron M
icroscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析
像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができ
る。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバ
ウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAA
C-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0123】
図8(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能T
EM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Ab
erration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分
解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、
例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによ
って観察することができる。
【0124】
図8(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することが
できる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわ
かる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこと
もできる。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nan
ocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC
-OSの被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上
面と平行となる。
【0125】
また、
図8(B)および
図8(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-
OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。
図8(D)および
図8(E)は、それぞ
れ
図8(B)および
図8(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法につ
いて説明する。まず、
図8(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourie
r Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像
において原点を基準に、2.8nm
-1から5.0nm
-1の間の範囲を残すマスク処理
する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Invers
e Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を
取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング
像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示して
いる。
【0126】
図8(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、
一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部であ
る。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレ
ットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
【0127】
図8(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間を点線
で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近
傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角
形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制して
いることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において原子配列が稠密で
ないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、
歪みを許容することができるためと考えられる。
【0128】
以上に示すように、CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において
複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、C
AAC-OSを、CAA crystal(c-axis-aligned a-b-p
lane-anchored crystal)を有する酸化物半導体と称することもで
きる。
【0129】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の
混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥
(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0130】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金
属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸
素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、
二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0131】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合が
ある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャ
リア発生源となる場合がある。例えば、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップ
となる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0132】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体で
ある。具体的には、8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、
さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキャリ
ア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性また
は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠
陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0133】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0134】
nc-OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc-OSに対
し、out-of-plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れな
い。即ち、nc-OSの結晶は配向性を有さない。
【0135】
また、例えば、InGaZnO
4の結晶を有するnc-OSを薄片化し、厚さが34n
mの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、
図9
(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測され
る。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナ
ノビーム電子回折パターン)を
図9(B)に示す。
図9(B)より、リング状の領域内に
複数のスポットが観測される。したがって、nc-OSは、プローブ径が50nmの電子
線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射さ
せることでは秩序性が確認される。
【0136】
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると
、
図9(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測
される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc-OSが秩序
性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているた
め、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
【0137】
図9(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc-OSの断面のCs補正高分
解能TEM像を示す。nc-OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所など
のように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない
領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさで
あり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが1
0nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(micro
crystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがあ
る。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合
がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性
がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
【0138】
このように、nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特
に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS
は、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見
られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶
質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0139】
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc-OSを
、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化
物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystals)を有
する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0140】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため
、nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くな
る。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのた
め、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0141】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物
半導体である。
【0142】
図10に、a-like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、
図10(A)
は電子照射開始時におけるa-like OSの高分解能断面TEM像である。
図10(
B)は4.3×10
8e
-/nm
2の電子(e
-)照射後におけるa-like OSの
高分解能断面TEM像である。
図10(A)および
図10(B)より、a-like O
Sは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。ま
た、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低
密度領域と推測される。
【0143】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-lik
e OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すた
め、電子照射による構造の変化を示す。
【0144】
試料として、a-like OS、nc-OSおよびCAAC-OSを準備する。いず
れの試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0145】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試
料は、いずれも結晶部を有する。
【0146】
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn
-O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られてい
る。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と
同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、
以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZ
nO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa-b面に対応
する。
【0147】
図11は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例であ
る。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。
図11より、a-lik
e OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなって
いくことがわかる。
図11より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大き
さだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e
-)の累積照射量が4.2×10
8e
-/nm
2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、n
c-OSおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
8e
-/nm
2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。
図11
より、電子の累積照射量によらず、nc-OSおよびCAAC-OSの結晶部の大きさは
、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射
およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H-9000NARを用いた。電子線照射条
件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×10
5e
-/(nm
2・s)、照射領
域の直径を230nmとした。
【0148】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合が
ある。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとん
ど見られない。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて
、不安定な構造であることがわかる。
【0149】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比
べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結
晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc-OSの密度およびCAA
C-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結
晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0150】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よ
って、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体におい
て、a-like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。ま
た、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm
3未満である。
【0151】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合
わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。
所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して
、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を
組み合わせて見積もることが好ましい。
【0152】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS
、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0153】
絶縁体406a、半導体406b、絶縁体406cなどに適用可能な酸化物について説
明する。
【0154】
酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムお
よび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イッ
トリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタ
ン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネ
オジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一
種、または複数種が含まれていてもよい。
【0155】
ここで、酸化物が、インジウム、元素M及び亜鉛を有する場合を考える。なお、元素M
は、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに
適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジ
ルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タン
グステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わ
せても構わない場合がある。
【0156】
まず、
図12(A)、
図12(B)、および
図12(C)を用いて、本発明に係る酸化
物が有するインジウム、元素M及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。な
お、
図12には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物が有するインジウ
ム、元素M、及び亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]と
する。
【0157】
図12(A)、
図12(B)、および
図12(C)において、破線は、[In]:[M
]:[Zn]=(1+α):(1-α):1の原子数比(-1≦α≦1)となるライン、
[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):2の原子数比となるライン、[
In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):3の原子数比となるライン、[I
n]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):4の原子数比となるライン、および
[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1-α):5の原子数比となるラインを表
す。
【0158】
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比(β≧0)と
なるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In
]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn
]=1:4:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原
子数比となるライン、及び[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比となるラ
インを表す。
【0159】
また、
図12に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比またはその
近傍値の酸化物は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
【0160】
図12(A)および
図12(B)では、本発明の一態様の酸化物が有する、インジウム
、元素M、及び亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
【0161】
一例として、
図13に、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1である、InMZn
O
4の結晶構造を示す。また、
図13は、b軸に平行な方向から観察した場合のInMZ
nO
4の結晶構造である。なお、
図13に示すMZnO
2層における金属元素は、元素M
または亜鉛を表している。この場合、元素Mと亜鉛の割合が等しいとする。元素Mと亜鉛
とは、置換が可能であり、配列は不規則である。
【0162】
InMZnO
4は、層状の結晶構造(層状構造ともいう)をとり、
図13に示すように
、インジウムを有するInO
2層が1に対し、元素Mおよび亜鉛を有するMZnO
2層が
2となる。
【0163】
また、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。そのため、(M,Zn)層の元素
Mがインジウムと置換し、(In,M,Zn)層と表すこともできる。その場合、In層
が1に対し、(In,M,Zn)層が2である層状構造をとる。
【0164】
[In]:[M]:[Zn]=1:1:2となる原子数比の酸化物は、In層が1に対し
、(M,Zn)層が3である層状構造をとる。つまり、[In]および[M]に対し[Z
n]が大きくなると、酸化物が結晶化した場合、In層に対する(M,Zn)層の割合が
増加する。
【0165】
ただし、酸化物中において、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が非整数である
場合、In層が1層に対し、(M,Zn)層の層数が整数である層状構造を複数種有する
場合がある。例えば、[In]:[M]:[Zn]=1:1:1.5である場合、In層
が1に対し、(M,Zn)層が2である層状構造と、(M,Zn)層が3である層状構造
とが混在する層状構造となる場合がある。
【0166】
例えば、酸化物をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれ
た原子数比の膜が形成される。特に、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn
]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。
【0167】
また、酸化物中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、
[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比の近傍値である原子数比では、スピ
ネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、[In]:[M]:
[Zn]=1:0:0を示す原子数比の近傍値である原子数比では、ビックスバイト型の
結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物中に複数の相が共存する場合
、異なる結晶構造の間において、粒界(グレインバウンダリーともいう)が形成される場
合がある。
【0168】
また、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物のキャリア移動度(電子移動度)
を高くすることができる。これは、インジウム、元素M及び亜鉛を有する酸化物では、主
として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を高くするこ
とにより、s軌道が重なる領域がより大きくなるため、インジウムの含有率が高い酸化物
はインジウムの含有率が低い酸化物と比較してキャリア移動度が高くなるためである。
【0169】
一方、酸化物中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低く
なる。従って、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0を示す原子数比、およびその近
傍値である原子数比(例えば
図12(C)に示す領域C)では、絶縁性が高くなる。
【0170】
従って、本発明の一態様の酸化物は、キャリア移動度が高く、かつ、粒界が少ない層状
構造となりやすい、
図12(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
【0171】
また、
図12(B)に示す領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4
.1、およびその近傍値を示している。近傍値には、例えば、原子数比が[In]:[M
]:[Zn]=5:3:4が含まれる。領域Bで示される原子数比を有する酸化物は、特
に、結晶性が高く、キャリア移動度も高い優れた酸化物である。
【0172】
なお、酸化物が、層状構造を形成する条件は、原子数比によって一義的に定まらない。
原子数比により、層状構造を形成するための難易の差はある。一方、同じ原子数比であっ
ても、形成条件により、層状構造になる場合も層状構造にならない場合もある。従って、
図示する領域は、酸化物が層状構造を有する原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域
Cの境界は厳密ではない。
【0173】
続いて、上記酸化物をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0174】
なお、上記酸化物をトランジスタに用いることで、粒界におけるキャリア散乱等を減少
させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0175】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物を用いることが好ましい。例えば
、酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm
3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上
とすればよい。
【0176】
なお、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物は、キャリア発生源が少ない
ため、キャリア密度を低くすることができる。また、高純度真性または実質的に高純度真
性である酸化物は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0177】
また、酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、
あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化
物にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0178】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物中の不純物濃度を低減
することが有効である。また、酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中
の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、
アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0179】
ここで、酸化物中における各不純物の影響について説明する。
【0180】
酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物にお
いて欠陥準位が形成される。このため、酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物
との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Second
ary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×
1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とす
る。
【0181】
また、酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し
、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含ま
れている酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸
化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的
には、SIMSにより得られる酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を
、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以
下にする。
【0182】
また、酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度
が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物を半導体に用いたトラ
ンジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物において、窒素はできる
限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて
、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以
下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×101
7atoms/cm3以下とする。
【0183】
また、酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸
素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生
成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリア
である電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物を用いたトランジ
スタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物中の水素はできる限り低減さ
れていることが好ましい。具体的には、酸化物において、SIMSにより得られる水素濃
度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm
3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1
018atoms/cm3未満とする。
【0184】
不純物が十分に低減された酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、
安定した電気特性を付与することができる。
【0185】
続いて、該酸化物を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。絶縁体S1
、半導体S2、および絶縁体S3の積層構造に接する絶縁体のバンド図と、半導体S2お
よび絶縁体S3の積層構造に接する絶縁体のバンド図と、について、
図14を用いて説明
する。
【0186】
図14(A)は、絶縁体I1、絶縁体S1、半導体S2、絶縁体S3、及び絶縁体I2
を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、
図14(B)は、絶縁体I
1、半導体S2、絶縁体S3、及び絶縁体I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の
一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁体I1、絶縁体S1、半導体
S2、絶縁体S3、及び絶縁体I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
【0187】
絶縁体S1、絶縁体S3は、半導体S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位
に近く、代表的には、半導体S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、絶縁体S1、絶縁体
S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上
、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、絶縁体S1、絶
縁体S3の電子親和力よりも、半導体S2の電子親和力が、大きく、絶縁体S1、絶縁体
S3の電子親和力と、半導体S2の電子親和力との差は、0.15eV以上、または0.
5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
【0188】
図14(A)、および
図14(B)に示すように、絶縁体S1、半導体S2、絶縁体S
3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に
変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、
絶縁体S1と半導体S2との界面、または半導体S2と絶縁体S3との界面において形成
される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0189】
具体的には、絶縁体S1と半導体S2、半導体S2と絶縁体S3が、酸素以外に共通の
元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができ
る。例えば、半導体S2がIn-Ga-Zn酸化物の場合、絶縁体S1、絶縁体S3とし
て、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0190】
このとき、キャリアの主たる経路は半導体S2となる。絶縁体S1と半導体S2との界
面、および半導体S2と絶縁体S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができ
るため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
【0191】
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞う
ため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。絶縁体S1、絶縁
体S3を設けることにより、トラップ準位を半導体S2より遠ざけることができる。当該
構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止す
ることができる。
【0192】
絶縁体S1、絶縁体S3は、半導体S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる
。このとき、半導体S2、半導体S2と絶縁体S1との界面、および半導体S2と絶縁体
S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、絶縁体S1、絶縁体S3に
は、
図12(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物を用いれば
よい。なお、
図12(C)に示す領域Cは、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、
またはその近傍値である原子数比を示している。
【0193】
特に、半導体S2に領域Aで示される原子数比の酸化物を用いる場合、絶縁体S1およ
び絶縁体S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上である酸化物を用いる
ことが好ましい。また、絶縁体S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]
/([Zn]+[In])が1以上である酸化物を用いることが好適である。
【0194】
基板400としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよ
い。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジル
コニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導
体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、または炭化シ
リコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリ
ウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領
域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基
板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板な
どがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。
さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体また
は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがあ
る。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素
子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0195】
また、基板400として、可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトラ
ンジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トラ
ンジスタを剥離し、可とう性基板である基板400に転置する方法もある。その場合には
、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板400とし
て、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板400
が伸縮性を有してもよい。また、基板400は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の
形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板
400は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下
、さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板400
を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板
400を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げ
や引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下など
によって基板400上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈
夫な半導体装置を提供することができる。
【0196】
可とう性基板である基板400としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、
またはそれらの繊維などを用いることができる。可とう性基板である基板400は、線膨
張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可とう性基板である基板400と
しては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×
10-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポ
リオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート
、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可とう性基板である基
板400として好適である。
【0197】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実
施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0198】
(実施の形態4)
<トランジスタの作製方法1>
以下では、本発明に係る
図4のトランジスタの作製方法を
図15から
図21を用いて説
明する。
【0199】
まず、基板400を準備する。
【0200】
次に、絶縁体401を成膜し、絶縁体401上に絶縁体301となる絶縁体を成膜する
。次に、絶縁体301となる絶縁体に絶縁体401に達する溝を形成する。溝とは、たと
えば穴や開口部なども含まれる。溝の形成はウエットエッチングを用いてもよいが、ドラ
イエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体401は、絶縁体30
1となる絶縁体をエッチングして溝を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する
絶縁体を選択することが好ましい。例えば、溝を形成する絶縁体301となる絶縁体に酸
化シリコン膜を用いた場合は、絶縁体401は窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、ま
たは酸化ハフニウム膜を用いるとよい。
【0201】
溝の形成後に、導電体310aまたは導電体310bとなる導電体を成膜する。導電体
310aまたは導電体310bとなる導電体は酸素の透過を抑制する機能を有する導電体
を含むことが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを
用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウ
ム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。
【0202】
次に、CMPを行うことで、絶縁体301上の導電体310aまたは導電体310bと
なる導電体を除去する。その結果、溝部のみに、導電体310aおよび導電体310bが
残存することで上面が平坦な配線層を形成することができる。
【0203】
または、絶縁体301上に導電体310aまたは導電体310bとなる導電体を成膜し
、リソグラフィー法などを用いて導電体310aおよび導電体310bを形成してもよい
。
【0204】
次に、絶縁体301上、導電体310aおよび導電体310b上に絶縁体302を成膜
する。絶縁体302上に絶縁体303を成膜する。絶縁体303は好ましくは、水素など
の不純物および酸素の透過を抑制する機能を有することが望ましい。たとえば、窒化シリ
コン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いるとよい。絶縁体303の成膜は
、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うこ
とができる。
【0205】
次に、絶縁体303上に絶縁体402を成膜する。次に、絶縁体402に酸素を添加す
る処理を行っても構わない。酸素を添加する処理としては、例えば、イオン注入法、プラ
ズマ処理法などがある。または、酸化性ガスによる熱処理を行ってもよい。なお、絶縁体
402に添加された酸素は、過剰酸素となる。
【0206】
次に、絶縁体402上に絶縁体306aを成膜する。次に、絶縁体306aに酸素を添
加する処理を行っても構わない。酸素を添加する処理としては、例えば、イオン注入法、
プラズマ処理法などがある。なお、絶縁体306aに添加された酸素は、過剰酸素となる
。次に絶縁体306a上に半導体306bを成膜する。
【0207】
次に、第1の加熱処理を行うと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃以
下、好ましくは450℃以上600℃以下、さらに好ましくは520℃以上570℃以下
で行えばよい。第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以
上、1%以上もしくは10%以上含む雰囲気で行う。第1の加熱処理は減圧状態で行って
もよい。または、第1の加熱処理は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸
素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上または10%以上含む雰囲気で加
熱処理を行ってもよい。第1の加熱処理によって、半導体の結晶性を高めることや、水素
や水などの不純物を除去することなどができる。または、第1の加熱処理は、減圧状態で
酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波
を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または
、基板側にRF(Radio Frequency)を印加するプラズマ電源を有しても
よい。高密度プラズマを用いることより高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基
板側にRFを印加することで高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく
半導体306b内に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラ
ズマ処理を行った後に脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい
。
【0208】
次に、半導体306b上に導電体414を成膜する(
図15(A)、(B)および(C
)参照。)。
【0209】
次に、導電体414をリソグラフィー法などによって加工し、導電体415を形成する
(
図16(A)、(B)および(C)参照。)。
【0210】
次に、絶縁体306a、半導体306bおよび導電体415をリソグラフィー法などに
よって加工し、絶縁体406a、半導体406b、導電体416a1および導電体416
a2を有する多層膜を形成する。導電体414の成膜時に、半導体306bの上面にダメ
ージを与えることで領域407が形成される。領域407は、半導体306bが低抵抗化
された領域を有するので、導電体415と半導体306b間のコンタクト抵抗が低抵抗化
される。なお、多層膜を形成する際、絶縁体402もエッチングされ、一部の領域が薄く
なる場合がある。即ち、絶縁体402は、多層膜と接する領域に凸部を有する形状となる
場合がある(
図17(A)、(B)および(C)参照。)。
【0211】
次に、酸素を含むプラズマ処理を行う。酸素を含むプラズマ処理を行うことで、導電体
416a1の側面および導電体416a1の上面を酸化させ絶縁体424a1を形成する
。また、導電体416a2の側面および導電体416a2の上面を酸化させ、絶縁体42
4a2を形成する。例えば、導電体416a1および導電体416a2として、タングス
テンおよびシリコンを含む導電体を用いた場合は、酸素を含むプラズマ処理を行うことで
、絶縁体424a1および絶縁体424a2は、酸化シリコンとなる。
【0212】
酸素を含むプラズマ処理は、高密度プラズマを用いても良い。酸素を含む高密度プラズ
マ処理を行うことで、導電体416a1の側面、導電体416a1の上面、導電体416
a2の側面および導電体416a2の上面を効率よく酸化することができる。
【0213】
また、酸素を含むプラズマ処理を行うことで、酸素ラジカルが生成され、半導体406
bの上面、半導体406bの側面および絶縁体406aの側面が露出している領域、つま
りチャネル形成領域を含む領域に過剰酸素を取り込むことができ、チャネル形成領域の酸
素欠損を低減することができる(
図18(A)、(B)および(C)参照。)。
【0214】
次に、絶縁体406cを成膜する。次に、絶縁体406c上に絶縁体412を成膜する
。
【0215】
次に、導電体404となる導電体を成膜する。次に、導電体404となる導電体をリソ
グラフィー法などを用いて加工し、導電体404を形成する(
図19(A)、(B)およ
び(C)参照。)。
【0216】
なお、ここでは、絶縁体412および絶縁体406cを加工しない一例を示しているが
、本発明の一態様に係るトランジスタは、これに限定されない。例えば、導電体404の
加工時に、絶縁体412および絶縁体406cをエッチングして加工してもよい。または
、導電体404の加工と、絶縁体412および絶縁体406cのエッチングと、を異なる
リソグラフィー法による工程で行っても構わない。異なるリソグラフィー法による工程で
加工を行うことで、それぞれ独立した形状とすることがたやすくなる場合がある。
【0217】
次に、絶縁体412上および導電体404上に絶縁体410を成膜する。絶縁体410
は、上面が平坦性を有するように形成してもよい。例えば、絶縁体410は、成膜直後に
上面が平坦性を有していてもよい。または、例えば、絶縁体410は、成膜後に基板裏面
などの基準面と平行になるよう絶縁体などを上面から除去していくことで平坦性を有して
もよい。このような処理を、平坦化処理と呼ぶ。平坦化処理としては、CMP処理、ドラ
イエッチング処理などがある。ただし、絶縁体410の上面が平坦性を有さなくても構わ
ない。なお、絶縁体410は、多層構造としてもよい。例えば、酸素を有するプラズマを
用いて酸化アルミニウム膜などを成膜して積層することができる。酸素を有するプラズマ
を用いて酸化アルミニウムを成膜することで、該プラズマ中の酸素を過剰酸素として、絶
縁体412の側面、絶縁体406cの側面、半導体406bの側面および絶縁体406a
の側面などへ添加することができる。
【0218】
次に、絶縁体410上に、絶縁体408を成膜する。絶縁体408は、酸素を有するプ
ラズマを用いて酸化アルミニウムを成膜することで、該プラズマ中の酸素を過剰酸素とし
て、絶縁体410などへ添加することができる(
図20(A)、(B)および(C)参照
。)。
【0219】
尚、絶縁体408は多層構造とすることができる。例えば、1層目はスパッタ法による
酸化アルミニウムを成膜し、2層目はALD法による酸化アルミニウムを成膜してもよい
。1層目をスパッタ法による酸化アルミニウムを成膜することで、絶縁体410へ過剰酸
素を添加し、2層目をALD法による酸化アルミニウムを成膜することで、絶縁体410
へ添加した過剰酸素を上方へ拡散するのを防ぐことができる。
【0220】
絶縁体408の成膜より後のいずれかのタイミングにおいて、第2の加熱処理を行って
も構わない。第2の加熱処理を行うことで、絶縁体410などに含まれる過剰酸素が絶縁
体412、絶縁体406cおよび絶縁体406aを通過して半導体406bまで移動する
ため、半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減することができる。
【0221】
なお、第2の加熱処理は、絶縁体410などに含まれる過剰酸素(酸素)が半導体40
6bまで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照して
も構わない。または、第2の加熱処理は、第1の加熱処理よりも同じか低い温度が好まし
い。第1の加熱処理と第2の加熱処理の温度差は、0℃以上150℃以下、好ましくは4
0℃以上100℃以下とする。これにより、絶縁体402から余分に過剰酸素(酸素)が
放出することを抑えることができる。なお、第2の加熱処理は、同等の加熱処理を各層の
成膜時の加熱によって兼ねることができる場合、行わなくてもよい場合がある。
【0222】
次に、リソグラフィー法を用いて、絶縁体408、絶縁体410、絶縁体412、絶縁
体406c、絶縁体402、絶縁体303および絶縁体302を通り導電体310bに達
する開口部と、絶縁体408、絶縁体410、絶縁体412、絶縁体406cおよび絶縁
体424a1または絶縁体424a2を通り導電体416a1および導電体416a2に
達する開口部と、絶縁体408および絶縁体410を通り導電体404に達する開口部と
、を形成する。
【0223】
他の開口部の形成方法として、絶縁体408上に、導電体を形成し、該導電体上に絶縁
体を形成し、リソグラフィー法を用いて、該導電体および該絶縁体を加工することによっ
て、該導電体および該絶縁体を有するハードマスクを形成し、該ハードマスクをエッチン
グマスクとして、開口部を形成してもよい。該ハードマスクをエッチングマスクとして用
いることによって、開口部の横への広がりまたは変形などを防ぐことができる。尚、該ハ
ードマスクは、絶縁体または導電体の単層とすることもできる。
【0224】
また、1回のリソグラフィー法で、それぞれの開口部を一括形成することができるが、
複数回のリソグラフィー法を用いて、それぞれの開口部を形成してもよい。
【0225】
次に、各開口部に、導電体433、導電体431、導電体429および導電体437を
埋め込む(
図21(A)、(B)および(C)参照。)。
【0226】
次に、絶縁体408上、導電体433上、導電体431上、導電体429上および導電
体437上に、導電体を成膜し、該導電体をリソグラフィー法などにより加工することで
、導電体434、導電体432、導電体430および導電体438を形成する。以上によ
り、
図4に示すトランジスタを作製することができる(
図4(A)、(B)および(C)
参照。)。
【0227】
<トランジスタの作製方法2>
以下では、本発明に係る
図5のトランジスタの作製方法を
図22から
図32を用いて説
明する。なお、導電体414を成膜するところまでは、上述のトランジスタの作製方法1
と同様である(
図22(A)、(B)および(C)参照。)。
【0228】
次に、絶縁体306a、半導体306bおよび導電体414をリソグラフィー法などに
よって加工し、絶縁体406a、半導体406bおよび導電体415を有する多層膜を形
成する。ここで、導電体414の成膜時に、半導体306bの上面にダメージを与えるこ
とで領域407が形成される。領域407は、半導体406bが低抵抗化された領域を有
するので、導電体415と半導体406b間のコンタクト抵抗が低抵抗化される。なお、
多層膜を形成する際、絶縁体402もエッチングされ、一部の領域が薄くなる場合がある
。即ち、絶縁体402は、多層膜と接する領域に凸部を有する形状となる場合がある(図
23(A)、(B)および(C)参照。)。
【0229】
次に、絶縁体446を成膜し、絶縁体446上に導電体426を成膜する。導電体42
6は、絶縁体446上面の段差部を埋めるように成膜する。したがって、CVD法(特に
MCVD法)を用いることが好ましい。また、MCVD法で成膜する導電体426と絶縁
体446との密着性を高めるために、導電体426をALD法によって成膜した導電体と
、MCVD法で成膜した導電体との多層膜にすると好ましい場合がある。例えば、窒化チ
タンをALD法によって成膜し、次にMCVD法によってタングステンを成膜してもよい
。
【0230】
次に、導電体426上に絶縁体427を成膜する(
図24(A)、(B)および(C)
参照。)。
【0231】
次に絶縁体427および導電体426に導電体426の膜厚が約半分になるまで第1の
CMP処理を行う。第1のCMP処理で用いるスラリー(砥粒を含む薬液)は、該絶縁体
に適したスラリーを用いることが望ましい(
図25(A)、(B)および(C)参照。)
。
【0232】
次に、残存している導電体426および絶縁体446に、絶縁体446が露出し、絶縁
体446の表面が平坦化されるまで第2のCMP処理を行うことで絶縁体409を形成す
る。第2のCMP処理では、導電体426の研磨速度に対して、絶縁体446の研磨速度
が出来る限り遅くなるように調合したスラリーを用いることが望ましい。該スラリーを用
いることで、絶縁体446表面の平坦性がより向上することがあるので好ましい。また、
CMP処理装置は、第2のCMP処理において絶縁体446が露出したことを知らせる終
点検出機能を有するとさらに好ましい。終点検出機能を有することで、第2のCMP処理
後の絶縁体446の膜厚制御性が向上することがあるので好ましい(
図26(A)、(B
)および(C)参照。)。
【0233】
または、絶縁体446上に導電体と、導電体上に絶縁体と、を成膜することなく、絶縁
体446に、CMP処理など行って上面が平坦になるように絶縁体409を形成してもよ
い。または、絶縁体446は、成膜直後に上面が平坦性を有していてもよい。ただし、絶
縁体446の上面が平坦性を有さなくても構わない。
【0234】
次に、絶縁体409上にリソグラフィー法などによってレジストマスク423を形成す
る。ここで絶縁体409の上面とレジストマスクとの間の密着性を向上するために、例え
ば、有機物膜を絶縁体409上とレジストマスク423の間に設けてもよい。または、絶
縁体409上に導電体を単層または導電体および絶縁体の積層膜を成膜し、リソグラフィ
ー法によってハードマスクを形成してもよい(
図27(A)、(B)および(C)参照。
)。
【0235】
次に、絶縁体409をドライエッチング法により絶縁体402に達するまで加工を行い
、絶縁体410を形成する。この時、絶縁体402が絶縁体303上に達するまでエッチ
ングされることがある。
【0236】
次に、導電体415をドライエッチング法により加工をすることで、導電体416a1
と導電体416a2に分離する。
【0237】
このとき、半導体406bは、露出した領域を有する。半導体406bの露出した領域
の領域407は、上述の導電体415のエッチングにより除去されることがある(
図28
(A)、(B)および(C)参照。)。
【0238】
上述の加工をドライエッチング法で行う場合、半導体406bの露出領域にエッチング
ガスの残留成分などの不純物が付着する場合がある。例えば、エッチングガスとして塩素
系ガスを用いると、塩素などが付着する場合がある。また、エッチングガスとして炭化水
素系ガスを用いると、炭素や水素などが付着する場合がある。ドライエッチングによる加
工後に基板を大気に晒すと半導体406bの露出領域などが腐蝕することがある。そのた
めドライエッチングによる加工後に連続して酸素ガスを用いたプラズマ処理を行うと上記
不純物を除去することができて半導体406bの露出領域などの腐蝕を防ぐことができて
好ましい。
【0239】
または、不純物の除去は、例えば、希釈フッ化水素酸などを用いた洗浄処理またはオゾ
ンなどを用いた洗浄処理を行ってもよい。なお、複数の洗浄処理を組み合わせてもよい。
これにより、半導体406bの露出した領域、言い換えるとチャネル形成領域は高抵抗と
なる。
【0240】
一方、導電体416a1および導電体416a2と、半導体406bの上面とが、互い
に重なる領域407は、上述のように導電体416a1および導電体416a2と半導体
406b間のコンタクト抵抗値が低くなり良好なトランジスタ特性を得ることができて好
ましい。
【0241】
次に、酸素を含むプラズマ処理を行う。酸素を含むプラズマ処理を行うことで、導電体
416a1の側面を酸化させ絶縁体424a1を形成する。また、導電体416a2の側
面を酸化させ、絶縁体424a2を形成する。例えば、導電体416a1および導電体4
16a2として、タングステンおよびシリコンを含む導電体を用いた場合は、酸素を含む
プラズマ処理を行うことで、絶縁体424a1および絶縁体424a2は、酸化シリコン
となる。
【0242】
酸素を含むプラズマ処理は、高密度プラズマを用いても良い。酸素を含む高密度プラズ
マ処理を行うことで、導電体416a1の側面および導電体416a2の側面を効率よく
酸化することができる。
【0243】
また、酸素を含むプラズマ処理を行うことで、酸素ラジカルが生成され、半導体406
bの上面、半導体406bの側面および絶縁体406aの側面が露出している領域、つま
りチャネル形成領域を含む領域に過剰酸素を取り込むことができ、チャネル形成領域の酸
素欠損を低減することができる(
図29(A)、(B)および(C)参照。)。
【0244】
次に、絶縁体406cとなる絶縁体を成膜し、絶縁体406cとなる絶縁体上に絶縁体
412となる絶縁体を成膜する。絶縁体406cとなる絶縁体および絶縁体412となる
絶縁体は、絶縁体410、導電体416a1および導電体416a2によって形成される
開口部の側面および底面に均一な厚さで成膜する。したがって、ALD法を用いることが
好ましい。
【0245】
次に、導電体404となる導電体を成膜する。導電体404となる導電体の成膜は、ス
パッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことが
できる。導電体404となる導電体は、絶縁体410などによって形成される開口部を埋
めるように成膜する。したがって、CVD法(特にMCVD法)を用いることが好ましい
。また、導電体404となる導電体と絶縁体410などとの密着性を高めるために、AL
D法などによって成膜した導電体と、MCVD法で成膜した導電体との多層膜にすると好
ましい場合がある。例えば、窒化チタンまたは窒化タンタルをALD法によって成膜し、
次にMCVD法によってタングステンを成膜すればよい。
【0246】
次に導電体404となる導電体の上面から、導電体404となる導電体、絶縁体412
となる絶縁体および絶縁体406cとなる絶縁体をCMPなどを用いて絶縁体410の上
面に達するまで研磨および平坦化し、導電体404、絶縁体412および絶縁体406c
を形成する。これにより、ゲート電極として機能を有する導電体404は、リソグラフィ
ー法を用いることなく自己整合的に形成できる。また、ゲート電極として機能を有する導
電体404とソース電極またはドレイン電極としての機能を有する導電体416a1およ
び導電体416a2との合わせ精度を考慮することなくゲート電極として機能を有する導
電体404を形成できるので半導体装置の面積を小さくすることができる。また、リソグ
ラフィー工程が不要となるので工程簡略化による生産性の向上が見込まれる(
図30(A
)、(B)および(C)参照。)。
【0247】
次に、絶縁体410上、絶縁体412上および絶縁体406c上に絶縁体418を成膜
し、絶縁体418上に絶縁体408を成膜する。絶縁体408の成膜は、例えば酸素を有
するプラズマを用いて酸化アルミニウムを成膜することで、該プラズマ中の酸素を過剰酸
素として、絶縁体418の上面に添加することができる。
【0248】
絶縁体408となる絶縁体の成膜より後のいずれかのタイミングにおいて、第2の加熱
処理を行っても構わない。第2の加熱処理を行うことで、絶縁体418に含まれる過剰酸
素が絶縁体410、絶縁体402および絶縁体406aを通過して半導体406bまで移
動する。また、絶縁体418に含まれる過剰酸素が絶縁体412を通過して半導体406
bまで移動する。また、絶縁体418に含まれる過剰酸素が絶縁体406cを通過して半
導体406bまで移動する。このように3つの経路を通って過剰酸素が半導体406bま
で移動するため、半導体406bの欠陥(酸素欠損)を低減することができる。
【0249】
なお、第2の加熱処理は、絶縁体418に含まれる過剰酸素(酸素)が半導体406b
まで拡散する温度で行えばよい。例えば、第1の加熱処理についての記載を参照しても構
わない。または、第2の加熱処理は、第1の加熱処理よりも低い温度が好ましい。第1の
加熱処理と第2の加熱処理の温度差は、20℃以上150℃以下、好ましくは40℃以上
100℃以下とする。これにより、絶縁体402から余分に過剰酸素(酸素)が放出する
ことを抑えることができる。なお、第2の加熱処理は、同等の加熱処理を各層の成膜時の
加熱によって兼ねることができる場合、行わなくてもよい場合がある。
【0250】
次に絶縁体408上に絶縁体428を成膜する。絶縁体428の成膜はスパッタリング
法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる(図
31(A)、(B)および(C)参照。)。
【0251】
次に、リソグラフィー法を用いて、絶縁体428、絶縁体408、絶縁体418、絶縁
体410、絶縁体402、絶縁体303および絶縁体302を通り導電体310bに達す
る開口部と、絶縁体428、絶縁体408、絶縁体418および絶縁体410を通り導電
体416a1および導電体416a2に達する開口部と、絶縁体428、絶縁体408お
よび絶縁体418を通り導電体404に達する開口部と、を形成する。
【0252】
他の開口部の形成方法として、絶縁体428上に、導電体を形成し、該導電体上に絶縁
体を形成し、リソグラフィー法を用いて、該導電体および該絶縁体を加工することによっ
て、該導電体および該絶縁体を有するハードマスクを形成し、該ハードマスクをエッチン
グマスクとして、開口部を形成してもよい。該ハードマスクをエッチングマスクとして用
いることによって、開口部の横への広がりまたは変形などを防ぐことができる。尚、該ハ
ードマスクは、絶縁体または導電体の単層とすることもできる。
【0253】
また、1回のリソグラフィー法で、それぞれの開口部を一括形成することができるが、
複数回のリソグラフィー法を用いて、それぞれの開口部を形成してもよい。
【0254】
次に、各開口部に、導電体433、導電体431、導電体429および導電体437を
埋め込む(
図32(A)、(B)および(C)参照。)。
【0255】
次に、絶縁体428上、導電体433上、導電体431上、導電体429上および導電
体437上に、導電体を成膜し、該導電体をリソグラフィー法などにより加工することで
、導電体434、導電体432、導電体430および導電体438を形成する。以上によ
り、
図5に示すトランジスタを作製することができる(
図5(A)、(B)および(C)
参照。)。
【0256】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実
施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0257】
(実施の形態5)
<記憶装置1>
本発明の一態様に係るトランジスタを用いた、電力が供給されない状況でも記憶内容の
保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を
図3
3に示す。
【0258】
図33(A)に示す半導体装置は、第1の半導体を用いたトランジスタ3200と第2
の半導体を用いたトランジスタ3300、および容量素子3400を有している。なお、
トランジスタ3300としては、上述したトランジスタを用いることができる。
【0259】
トランジスタ3300は、オフ電流の小さいトランジスタが好ましい。トランジスタ3
300は、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。トランジ
スタ3300のオフ電流が小さいことにより、半導体装置の特定のノードに長期にわたり
記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、また
はリフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い半
導体装置となる。
【0260】
図33(A)において、第1の配線3001はトランジスタ3200のソースと電気的
に接続され、第2の配線3002はトランジスタ3200のドレインと電気的に接続され
る。また、第3の配線3003はトランジスタ3300のソース、ドレインの一方と電気
的に接続され、第4の配線3004はトランジスタ3300のゲートと電気的に接続され
ている。そして、トランジスタ3200のゲート、およびトランジスタ3300のソース
、ドレインの他方は、容量素子3400の一方の電極と電気的に接続され、第5の配線3
005は容量素子3400の他方の電極と電気的に接続されている。
【0261】
図33(A)に示す半導体装置は、トランジスタ3200のゲートの電位が保持可能と
いう特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能で
ある。
【0262】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線3004の電位を、ト
ランジスタ3300が導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を導通状態とす
る。これにより、第3の配線3003の電位が、トランジスタ3200のゲート、および
容量素子3400の一方の電極と電気的に接続するノードFGに与えられる。即ち、トラ
ンジスタ3200のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異な
る二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という。
)のどちらかが与えられる。その後、第4の配線3004の電位を、トランジスタ330
0が非導通状態となる電位にして、トランジスタ3300を非導通状態とすることにより
、ノードFGに電荷が保持される(保持)。
【0263】
トランジスタ3300のオフ電流が小さいため、ノードFGの電荷は長期間にわたって
保持される。
【0264】
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線3001に所定の電位(定電位)を
与えた状態で、第5の配線3005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、第2の配
線3002は、ノードFGに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジス
タ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲートにHighレベル電
荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ3200
のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_L
より低くなるためである。ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ3200
を「導通状態」とするために必要な第5の配線3005の電位をいう。したがって、第5
の配線3005の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノー
ドFGに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、ノードFGにHig
hレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(>Vth_
H)となれば、トランジスタ3200は「導通状態」となる。一方、ノードFGにLow
レベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線3005の電位がV0(<Vth_L
)となっても、トランジスタ3200は「非導通状態」のままである。このため、第2の
配線3002の電位を判別することで、ノードFGに保持されている情報を読み出すこと
ができる。
【0265】
なお、メモリセルをアレイ状に配置する場合、読み出し時には、所望のメモリセルの情
報を読み出さなくてはならない。例えば、情報を読み出さないメモリセルにおいては、ノ
ードFGに与えられた電位によらずトランジスタ3200が「非導通状態」となる電位、
つまり、Vth_Hより低い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメモリセル
の情報のみを読み出せる構成とすればよい。または、情報を読み出さないメモリセルにお
いては、ノードFGに与えられた電位によらずトランジスタ3200が「導通状態」とな
る電位、つまり、Vth_Lより高い電位を第5の配線3005に与えることで所望のメ
モリセルの情報のみを読み出せる構成とすればよい。
【0266】
<半導体装置の構造1>
図34は、
図33(A)に対応する半導体装置の断面図である。
図34に示す半導体装
置は、トランジスタ3200と、トランジスタ3300と、容量素子3400と、を有す
る。また、トランジスタ3300および容量素子3400は、トランジスタ3200の上
方に配置する。なお、トランジスタ3300としては、
図4に示したトランジスタを用い
た例を示し、容量素子3400は、
図1に示した容量素子を用いた例を示しているが、本
発明の一態様に係る半導体装置は、これに限定されない。よって適宜上述したトランジス
タおよび容量素子についての記載を参酌する。
【0267】
また、
図34に示す半導体装置は、トランジスタ3200がFin型である場合を示し
ている。トランジスタ3200をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大
することによりトランジスタ3200のオン特性を向上させることができる。また、ゲー
ト電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ3200のオフ特性を向
上させることができる。トランジスタ3200は、半導体基板450を用いたトランジス
タである。トランジスタ3200は、半導体基板450中の領域474aと、半導体基板
450中の領域474bと、絶縁体462と、導電体454と、を有する。
【0268】
トランジスタ3200において、領域474aおよび領域474bは、ソース領域およ
びドレイン領域としての機能を有する。また、絶縁体462は、ゲート絶縁体としての機
能を有する。また、導電体454は、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導
電体454に印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる。
即ち、導電体454に印加する電位によって、領域474aと領域474bとの間の導通
・非導通を制御することができる。
【0269】
半導体基板450としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの単体半導体基板、
または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜
鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体基
板450として単結晶シリコン基板を用いる。
【0270】
半導体基板450は、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。た
だし、半導体基板450として、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用
いても構わない。その場合、トランジスタ3200となる領域には、n型の導電型を付与
する不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板450がi型であって
も構わない。
【0271】
半導体基板450の上面は、(110)面を有することが好ましい。こうすることで、
トランジスタ3200のオン特性を向上させることができる。
【0272】
領域474aおよび領域474bは、p型の導電型を付与する不純物を有する領域であ
る。このようにして、トランジスタ3200はpチャネル型トランジスタを構成する。
【0273】
トランジスタ3200がpチャネル型トランジスタである場合について説明したが、ト
ランジスタ3200がnチャネル型トランジスタであっても構わない。
【0274】
なお、トランジスタ3200は、領域460などによって隣接するトランジスタと分離
される。領域460は、絶縁性を有する領域である。
【0275】
図34に示す半導体装置は、絶縁体464と、絶縁体466と、絶縁体468と、絶縁
体470と、絶縁体472と、絶縁体475と、絶縁体402と、絶縁体410と、絶縁
体408と、絶縁体428と、絶縁体465と、絶縁体467と、絶縁体469と、絶縁
体498と、導電体480aと、導電体480bと、導電体480cと、導電体478a
と、導電体478bと、導電体478cと、導電体476aと、導電体476bと、導電
体476cと、導電体479aと、導電体479bと、導電体479cと、導電体477
aと、導電体477bと、導電体477cと、導電体484aと、導電体484bと、導
電体484cと、導電体484dと、導電体483aと、導電体483bと、導電体48
3cと、導電体483dと、導電体483eと、導電体483fと、導電体485aと、
導電体485bと、導電体485cと、導電体485dと、導電体487aと、導電体4
87bと、導電体487cと、導電体488aと、導電体488bと、導電体488cと
、導電体490aと、導電体490bと、導電体489aと、導電体489bと、導電体
491aと、導電体491bと、導電体491cと、導電体492aと、導電体492b
と、導電体492cと、導電体494と、導電体496と、絶縁体406a、半導体40
6b、絶縁体406cと、を有する。
【0276】
絶縁体464は、トランジスタ3200上に配置する。また、絶縁体466は、絶縁体
464上に配置する。また、絶縁体468は、絶縁体466上に配置する。また、絶縁体
470は、絶縁体468上に配置する。また、絶縁体472は、絶縁体470上に配置す
る。また、絶縁体475は、絶縁体472上に配置する。また、トランジスタ3300は
、絶縁体475上に配置する。また、絶縁体408は、トランジスタ3300上に配置す
る。また、絶縁体428は、絶縁体408上に配置する。また、絶縁体465は、絶縁体
428上に配置される。また、容量素子3400は、絶縁体465上に配置される。また
、絶縁体469は、容量素子3400上に配置される。
【0277】
絶縁体464は、領域474aに達する開口部と、領域474bに達する開口部と、導
電体454に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体480a、
導電体480bまたは導電体480cが埋め込まれている。
【0278】
また、絶縁体466は、導電体480aに達する開口部と、導電体480bに達する開
口部と、導電体480cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電
体478a、導電体478bまたは導電体478cが埋め込まれている。
【0279】
また、絶縁体468は、導電体478aに達する開口部と、導電体478bに達する開
口部と、導電体478cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電
体476a、導電体476bまたは導電体476cが埋め込まれている。
【0280】
また、絶縁体468上に、導電体476aと接する導電体479aと、導電体476b
と接する導電体479bと、導電体476cと接する導電体479cと、を有する。また
、絶縁体472は、絶縁体470を通って導電体479aに達する開口部と、絶縁体47
0通って導電体479bに達する開口部と、絶縁体470を通って導電体479cに達す
る開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体477a、477bまたは4
77cが埋め込まれている。
【0281】
また、絶縁体475は、トランジスタ3300のチャネル形成領域と重なる開口部と、
導電体477aに達する開口部と、導電体477bに達する開口部と、導電体477cに
達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体484d、導電体484
a、導電体484bまたは導電体484cが埋め込まれている。
【0282】
また、導電体484dは、トランジスタ3300のボトムゲート電極としての機能を有
しても構わない。または、例えば、導電体484dに一定の電位を印加することで、トラ
ンジスタ3300のしきい値電圧などの電気特性を制御しても構わない。または、例えば
、導電体484dとトランジスタ3300のトップゲート電極とを電気的に接続しても構
わない。こうすることで、トランジスタ3300のオン電流を大きくすることができる。
また、パンチスルー現象を抑制することができるため、トランジスタ3300の飽和領域
における電気特性を安定にすることができる。
【0283】
また、絶縁体402は、導電体484aに達する開口部と、導電体484cに達する開
口部と、導電体484bに達する開口部と、を有する。
【0284】
また、絶縁体428は、絶縁体408、絶縁体410および絶縁体402を通って導電
体484a、導電体484bおよび導電体484cに達する3つの開口部と、絶縁体40
8絶縁体410および絶縁体402を通ってトランジスタ3300のソース電極またはド
レイン電極の一方の導電体に達する2つの開口部と、絶縁体408および絶縁体410通
ってトランジスタ3300のゲート電極の導電体に達する開口部と、を有する。また、開
口部には、それぞれ導電体483a、導電体483b、導電体483c、導電体483e
、導電体483fまたは導電体483dが埋め込まれている。
【0285】
また、絶縁体428上に、導電体483aおよび483eと接する導電体485aと、
導電体483bと接する導電体485bと、導電体483cおよび導電体483fと接す
る導電体485cと、導電体483dと接する導電体485dと、を有する。また、絶縁
体465は、導電体485aに達する開口部と、導電体485bに達する開口部と、導電
体485cに達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体487a、
導電体487bまたは導電体487cが埋め込まれている。
【0286】
また絶縁体465上に、導電体487aと接する導電体488aと、導電体487bと
接する導電体488bと、導電体487cと接する導電体488cと、を有する。また、
絶縁体467は、導電体488aに達する開口部と、導電体488bに達する開口部と、
を有する。また、開口部には、それぞれ導電体490aまたは導電体490bが埋め込ま
れている。また、導電体488cは容量素子3400の一方の電極の導電体494と接し
ている。
【0287】
また、絶縁体467上に、導電体490aと接する導電体489aと、導電体490b
と接する導電体489bと、を有する。また、絶縁体469は、導電体489aに達する
開口部と、導電体489bに達する開口部と、容量素子3400の他方の電極である導電
体496に達する開口部と、を有する。また、開口部には、それぞれ導電体491a、導
電体491bまたは導電体491cが埋め込まれている。
【0288】
また、絶縁体469上には、導電体491aと接する導電体492aと、導電体491
bと接する導電体492bと、導電体491cと接する導電体492cと、を有する。
【0289】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体470、絶縁体472、絶縁体4
75、絶縁体402、絶縁体410、絶縁体408、絶縁体428、絶縁体465、絶縁
体467、絶縁体469および絶縁体498としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸
素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム
、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたは
タンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。特に、絶縁体498とし
ては、例えば導電体494を酸化して形成した絶縁体を用いても良い。また、該絶縁体と
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タン
タルなどの金属酸化物、酸化シリコン、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどとの多
層膜とすることもできる。
【0290】
絶縁体464、絶縁体466、絶縁体468、絶縁体470、絶縁体472、絶縁体4
75、絶縁体402、絶縁体410、絶縁体408、絶縁体428、絶縁体465、絶縁
体467、絶縁体469または絶縁体498の一以上は、水素などの不純物および酸素を
ブロックする機能を有する絶縁体を有することが好ましい。トランジスタ3300の近傍
に、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を配置することによ
って、トランジスタ3300の電気特性を安定にすることができる。
【0291】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホ
ウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素
、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジ
ム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0292】
導電体480a、導電体480bと、導電体480c、導電体478a、導電体478
b、導電体478c、導電体476a、導電体476b、導電体476c、導電体479
a、導電体479b、導電体479c、導電体477a、導電体477b、導電体477
c、導電体484a、導電体484b、導電体484c、導電体484d、導電体483
a、導電体483bと、導電体483c、導電体483d、導電体483e、導電体48
3f、導電体485a、導電体485b、導電体485c、導電体485d、導電体48
7a、導電体487b、導電体487c、導電体488a、導電体488b、導電体48
8c、導電体490a、導電体490bと、導電体489a、導電体489bと、導電体
491a、導電体491b、導電体491c、導電体492a、導電体492b、導電体
492c、導電体494および導電体496としては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フ
ッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル
、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、イ
ンジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または
積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体
、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよ
び酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体、タングステンおよびシリコンを含
む導電体などを用いてもよい。
【0293】
半導体406bとしては、酸化物半導体を用いることが好ましい。ただし、シリコン(
歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素
、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウムまたは有機半導体などを用
いても構わない場合がある。
【0294】
絶縁体406aおよび絶縁体406cとしては、半導体406bを構成する酸素以外の
元素一種以上、または二種以上から構成される酸化物を用いることが望ましい。ただし、
シリコン(歪シリコン含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガ
リウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウムまたは有機半導
体などを用いても構わない場合がある。
【0295】
トランジスタ3200のソースまたはドレインは、導電体480aと、導電体478a
と、導電体476aと、導電体479aと、導電体477aと、導電体484aと、導電
体483aと、導電体485aと、導電体483eと、を介してトランジスタ3300の
ソース電極またはドレイン電極の一方である導電体と電気的に接続する。また、トランジ
スタ3200のゲート電極である導電体454は、導電体480cと、導電体478cと
、導電体476cと、導電体479cと、導電体477cと、導電体484cと、導電体
483cと、導電体485cと、導電体483fと、を介してトランジスタ3300のソ
ース電極またはドレイン電極の他方である導電体と電気的に接続する。
【0296】
容量素子3400は、トランジスタ3300のソース電極またはドレイン電極の一方の
電極と、導電体483fと、導電体485cと、導電体487cと、導電体488cと、
を介して電気的に接続する、容量素子3400の一方の電極である導電体494と、絶縁
体498と、容量素子3400の他方の電極である導電体496と、を有する。なお、容
量素子3400は、トランジスタ3300の上方または下方に形成することで、半導体装
置の大きさを縮小することができて好適である。
【0297】
本実施の形態では、トランジスタ3200上にトランジスタ3300を有し、トランジ
スタ3300上に容量素子3400を有する半導体装置の一例を示したが、トランジスタ
3200上にトランジスタ3300と同様の半導体を有するトランジスタを一以上有する
構成としても構わない。または、トランジスタ3200の上に容量素子3400を有し、
容量素子3400上にトランジスタ3300を有してもよい。このような構成とすること
で半導体装置の集積度をより高めることができる(
図35参照。)。
【0298】
そのほかの構造については、適宜
図4などについての記載を参酌することができる。
【0299】
<記憶装置2>
図33(B)に示す半導体装置は、トランジスタ3200を有さない点で
図33(A)
に示した半導体装置と異なる。この場合も
図33(A)に示した半導体装置と同様の動作
により情報の書き込みおよび保持動作が可能である。
【0300】
図33(B)に示す半導体装置における、情報の読み出しについて説明する。トランジ
スタ3300が導通状態になると、浮遊状態である第3の配線3003と容量素子340
0とが導通し、第3の配線3003と容量素子3400の間で電荷が再分配される。その
結果、第3の配線3003の電位が変化する。第3の配線3003の電位の変化量は、容
量素子3400の一方の電極の電位(または容量素子3400に蓄積された電荷)によっ
て、異なる値をとる。
【0301】
例えば、容量素子3400の一方の電極の電位をV、容量素子3400の容量をC、第
3の配線3003が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の第3の配線3003
の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の第3の配線3003の電位は、(CB
×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、容量
素子3400の一方の電極の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとする
と、電位V1を保持している場合の第3の配線3003の電位(=(CB×VB0+C×
V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の第3の配線3003の電位(
=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
【0302】
そして、第3の配線3003の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すこ
とができる。
【0303】
この場合、メモリセルを駆動させるための駆動回路に上記第1の半導体が適用されたト
ランジスタを用い、トランジスタ3300として第2の半導体が適用されたトランジスタ
を駆動回路上に積層して配置する構成とすればよい。
【0304】
以上に示した半導体装置は、酸化物半導体を用いたオフ電流の小さいトランジスタを適
用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッ
シュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能と
なるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない
場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶
内容を保持することが可能である。
【0305】
また、該半導体装置は、情報の書き込みに高い電圧が不要であるため、素子の劣化が起
こりにくい。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の
注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行わないため、絶縁体の劣化とい
った問題が生じない。即ち、本発明の一態様に係る半導体装置は、従来の不揮発性メモリ
で問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上した半導体装
置である。さらに、トランジスタの導通状態、非導通状態によって、情報の書き込みが行
われるため、高速な動作が可能となる。本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書
中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0306】
(実施の形態6)
<半導体装置の構造2>
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを利用した回路の一例について図面
を参照して説明する。
<断面構造>
図36(A)および(B)に本発明の一態様の半導体装置の断面図を示す。
図36(A
)において、X1-X2方向はチャネル長方向、
図36(B)において、Y1-Y2方向
はチャネル幅方向を示す。
図36(A)および(B)に示す半導体装置は、下部に第1の
半導体材料を用いたトランジスタ2200を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトラ
ンジスタ2100を有している。
図36(A)および(B)では、第2の半導体材料を用
いたトランジスタ2100として、
図4に例示したトランジスタを適用した例を示してい
る。
【0307】
第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが好まし
い。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコン(歪シリコン
含む)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、ヒ化アル
ミニウムガリウム、リン化インジウム、窒化ガリウム、有機半導体など)とし、第2の半
導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料として単結晶シリ
コンなどを用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用い
たトランジスタは、先の実施の形態で例示したトランジスタを適用することで、優れたサ
ブスレッショルド特性が得られ、微細なトランジスタとすることが可能である。また、ス
イッチ速度が速いため高速動作が可能であり、オフ電流が低いためリーク電流が小さい。
【0308】
トランジスタ2200は、nチャネル型のトランジスタまたはpチャネル型のトランジ
スタのいずれであってもよく、回路によって適切なトランジスタを用いればよい。また、
酸化物半導体を用いた本発明の一態様のトランジスタを用いるほかは、用いる材料や構造
など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
【0309】
図36(A)および(B)に示す構成では、トランジスタ2200の上部に、絶縁体2
201、絶縁体2207および絶縁体2208を介してトランジスタ2100が設けられ
ている。また、トランジスタ2200とトランジスタ2100の間には、複数の配線22
02が設けられている。また、各種絶縁体に埋め込まれた複数のプラグ2203により、
上層と下層にそれぞれ設けられた配線や電極が電気的に接続されている。また、トランジ
スタ2100を覆う絶縁体2204と、絶縁体2204上に配線2205と、が設けられ
ている。
【0310】
このように、2種類のトランジスタを積層することにより、回路の占有面積が低減され
、より高密度に複数の回路を配置することができる。
【0311】
ここで、下層に設けられるトランジスタ2200にシリコン系半導体材料を用いた場合
、トランジスタ2200の半導体膜の近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンのダン
グリングボンドを終端し、トランジスタ2200の信頼性を向上させる効果がある。一方
、上層に設けられるトランジスタ2100に酸化物半導体を用いた場合、トランジスタ2
100の半導体膜の近傍に設けられる絶縁体中の水素は、酸化物半導体中にキャリアを生
成する要因の一つとなるため、トランジスタ2100の信頼性を低下させる要因となる場
合がある。したがって、シリコン系半導体材料を用いたトランジスタ2200の上層に酸
化物半導体を用いたトランジスタ2100を積層して設ける場合、これらの間に水素の拡
散を防止する機能を有する絶縁体2207を設けることは特に効果的である。絶縁体22
07により、下層に水素を閉じ込めることでトランジスタ2200の信頼性が向上するこ
とに加え、下層から上層に水素が拡散することが抑制されることでトランジスタ2100
の信頼性も同時に向上させることができる。
【0312】
絶縁体2207としては、例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリ
ウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、
酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を用いることができる。
【0313】
また、酸化物半導体膜を含んで構成されるトランジスタ2100を覆うように、トラン
ジスタ2100上に水素の拡散を防止する機能を有するブロック膜を形成することが好ま
しい。当該ブロック膜としては、絶縁体2207と同様の材料を用いることができ、特に
酸化アルミニウムを適用することが好ましい。酸化アルミ膜は、その成膜中に下層の絶縁
体に過剰酸素を添加することができ、熱工程によって、過剰酸素がトランジスタ2100
の酸化物半導体層に移動し、酸化物半導体層中の欠陥を修復する効果がある。さらに酸化
アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物および酸素の双方に対して膜を透過させない
遮断(ブロッキング)効果が高い。したがって、トランジスタ2100を覆う当該ブロッ
ク膜として酸化アルミニウム膜を用いることで、トランジスタ2100に含まれる酸化物
半導体膜からの酸素の脱離を防止するとともに、酸化物半導体膜への水および水素の混入
を防止することができる。なお、当該ブロック膜は、絶縁体2204を積層にすることで
用いてもよいし、絶縁体2204の下側に設けてもよい。
【0314】
なお、トランジスタ2200は、プレーナ型のトランジスタだけでなく、様々なタイプ
のトランジスタとすることができる。例えば、FIN(フィン)型、TRI-GATE(
トライゲート)型などのトランジスタなどとすることができる。その場合の断面図の例を
、
図36(E)および(F)に示す。半導体基板2211の上に、絶縁体2212が設け
られている。半導体基板2211は、先端の細い凸部(フィンともいう)を有する。なお
、凸部の上には、絶縁体が設けられていてもよい。その絶縁体は、凸部を形成するときに
、半導体基板2211がエッチングされないようにするためのマスクとして機能する。な
お、凸部は、先端が細くなくてもよく、例えば、略直方体の凸部であってもよいし、先端
が太い凸部であってもよい。半導体基板2211の凸部の上には、ゲート絶縁体2214
が設けられ、その上には、ゲート電極2213が設けられている。半導体基板2211に
は、ソース領域およびドレイン領域2215が形成されている。なお、ここでは、半導体
基板2211が、凸部を有する例を示したが、本発明の一態様に係る半導体装置は、これ
に限定されない。例えば、SOI基板を加工して、凸部を有する半導体領域を形成しても
構わない。
【0315】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実
施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0316】
(実施の形態7)
〔CMOS回路〕
図36(C)に示す回路図は、pチャネル型のトランジスタ2200とnチャネル型の
トランジスタ2100を直列に接続し、かつそれぞれのゲートを接続した、いわゆるCM
OS回路の構成を示している。
【0317】
〔アナログスイッチ〕
また
図36(D)に示す回路図は、トランジスタ2100とトランジスタ2200のそ
れぞれのソースとドレインを接続した構成を示している。このような構成とすることで、
いわゆるアナログスイッチとして機能させることができる。本実施の形態は、少なくとも
その一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせて実施す
ることができる。
【0318】
(実施の形態8)
<CPU>
以下では、上述したトランジスタや上述した記憶装置などの半導体装置を含むCPUに
ついて説明する。
【0319】
図37は、上述したトランジスタを一部に用いたCPUの一例の構成を示すブロック図
である。
【0320】
図37に示すCPUは、基板1190上に、ALU1191(ALU:Arithme
tic logic unit、演算回路)、ALUコントローラ1192、インストラ
クションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントロー
ラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース
1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース1189を有
している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM
1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん
、
図37に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはそ
の用途によって多種多様な構成を有している。例えば、
図37に示すCPUまたは演算回
路を含む構成を一つのコアとし、当該コアを複数含み、それぞれのコアが並列で動作する
構成としてもよい。また、CPUが内部演算回路やデータバスで扱えるビット数は、例え
ば8ビット、16ビット、32ビット、64ビットなどとすることができる。
【0321】
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクショ
ンデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、イン
タラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントロー
ラ1195に入力される。
【0322】
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントロ
ーラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種
制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御す
るための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログ
ラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマス
ク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のア
ドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう
。
【0323】
図37に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジス
タ1196のメモリセルとして、上述したトランジスタや記憶装置などを用いることがで
きる。
【0324】
図37に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191から
の指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。即ち、レジスタ119
6が有するメモリセルにおいて、フリップフロップによるデータの保持を行うか、容量素
子によるデータの保持を行うかを、選択する。フリップフロップによるデータの保持が選
択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。
容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが
行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
【0325】
図38は、レジスタ1196として用いることのできる記憶素子の回路図の一例である
。記憶素子1200は、電源遮断で記憶データが揮発する回路1201と、電源遮断で記
憶データが揮発しない回路1202と、スイッチ1203と、スイッチ1204と、論理
素子1206と、容量素子1207と、選択機能を有する回路1220と、を有する。回
路1202は、容量素子1208と、トランジスタ1209と、トランジスタ1210と
、を有する。なお、記憶素子1200は、必要に応じて、ダイオード、抵抗素子、インダ
クタなどのその他の素子をさらに有していてもよい。
【0326】
ここで、回路1202には、上述した記憶装置を用いることができる。記憶素子120
0への電源電圧の供給が停止した際、回路1202のトランジスタ1209のゲートには
GND(0V)、またはトランジスタ1209がオフする電位が入力され続ける構成とす
る。例えば、トランジスタ1209のゲートが抵抗等の負荷を介して接地される構成とす
る。
【0327】
スイッチ1203は、一導電型(例えば、nチャネル型)のトランジスタ1213を用
いて構成され、スイッチ1204は、一導電型とは逆の導電型(例えば、pチャネル型)
のトランジスタ1214を用いて構成した例を示す。ここで、スイッチ1203の第1の
端子はトランジスタ1213のソースとドレインの一方に対応し、スイッチ1203の第
2の端子はトランジスタ1213のソースとドレインの他方に対応し、スイッチ1203
はトランジスタ1213のゲートに入力される制御信号RDによって、第1の端子と第2
の端子の間の導通または非導通(つまり、トランジスタ1213の導通状態または非導通
状態)が選択される。スイッチ1204の第1の端子はトランジスタ1214のソースと
ドレインの一方に対応し、スイッチ1204の第2の端子はトランジスタ1214のソー
スとドレインの他方に対応し、スイッチ1204はトランジスタ1214のゲートに入力
される制御信号RDによって、第1の端子と第2の端子の間の導通または非導通(つまり
、トランジスタ1214の導通状態または非導通状態)が選択される。
【0328】
トランジスタ1209のソースとドレインの一方は、容量素子1208の一対の電極の
うちの一方、およびトランジスタ1210のゲートと電気的に接続される。ここで、接続
部分をノードN2とする。トランジスタ1210のソースとドレインの一方は、低電源電
位を供給することのできる配線(例えばGND線)に電気的に接続され、他方は、スイッ
チ1203の第1の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの一方)と電気的に
接続される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレイン
の他方)はスイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの
一方)と電気的に接続される。スイッチ1204の第2の端子(トランジスタ1214の
ソースとドレインの他方)は電源電位VDDを供給することのできる配線と電気的に接続
される。スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他
方)と、スイッチ1204の第1の端子(トランジスタ1214のソースとドレインの一
方)と、論理素子1206の入力端子と、容量素子1207の一対の電極のうちの一方と
、は電気的に接続される。ここで、接続部分をノードN1とする。容量素子1207の一
対の電極のうちの他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低
電源電位(GND等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができ
る。容量素子1207の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる
配線(例えばGND線)と電気的に接続される。容量素子1208の一対の電極のうちの
他方は、一定の電位が入力される構成とすることができる。例えば、低電源電位(GND
等)または高電源電位(VDD等)が入力される構成とすることができる。容量素子12
08の一対の電極のうちの他方は、低電源電位を供給することのできる配線(例えばGN
D線)と電気的に接続される。
【0329】
なお、容量素子1207および容量素子1208は、トランジスタや配線の寄生容量等
を積極的に利用することによって省略することも可能である。
【0330】
トランジスタ1209の第1ゲート(第1のゲート電極)には、制御信号WEが入力さ
れる。スイッチ1203およびスイッチ1204は、制御信号WEとは異なる制御信号R
Dによって第1の端子と第2の端子の間の導通状態または非導通状態を選択され、一方の
スイッチの第1の端子と第2の端子の間が導通状態のとき他方のスイッチの第1の端子と
第2の端子の間は非導通状態となる。
【0331】
トランジスタ1209のソースとドレインの他方には、回路1201に保持されたデー
タに対応する信号が入力される。
図38では、回路1201から出力された信号が、トラ
ンジスタ1209のソースとドレインの他方に入力される例を示した。スイッチ1203
の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号は
、論理素子1206によってその論理値が反転された反転信号となり、回路1220を介
して回路1201に入力される。
【0332】
なお、
図38では、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースと
ドレインの他方)から出力される信号は、論理素子1206および回路1220を介して
回路1201に入力する例を示したがこれに限定されない。スイッチ1203の第2の端
子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方)から出力される信号が、論理値を
反転させられることなく、回路1201に入力されてもよい。例えば、回路1201内に
、入力端子から入力された信号の論理値が反転した信号が保持されるノードが存在する場
合に、スイッチ1203の第2の端子(トランジスタ1213のソースとドレインの他方
)から出力される信号を当該ノードに入力することができる。
【0333】
また、
図38において、記憶素子1200に用いられるトランジスタのうち、トランジ
スタ1209以外のトランジスタは、酸化物半導体以外の半導体でなる膜または基板11
90にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン膜また
はシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、記憶素
子1200に用いられるトランジスタ全てを、チャネルが酸化物半導体で形成されるトラ
ンジスタとすることもできる。または、記憶素子1200は、トランジスタ1209以外
にも、チャネルが酸化物半導体で形成されるトランジスタを含んでいてもよく、残りのト
ランジスタは酸化物半導体以外の半導体でなる膜または基板1190にチャネルが形成さ
れるトランジスタとすることもできる。
【0334】
図38における回路1201には、例えばフリップフロップ回路を用いることができる
。また、論理素子1206としては、例えばインバータやクロックドインバータ等を用い
ることができる。
【0335】
本発明の一態様に係る半導体装置では、記憶素子1200に電源電圧が供給されない間
は、回路1201に記憶されていたデータを、回路1202に設けられた容量素子120
8によって保持することができる。
【0336】
また、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタはオフ電流が極めて小さい。
例えば、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流は、結晶性を有す
るシリコンにチャネルが形成されるトランジスタのオフ電流に比べて著しく低い。そのた
め、当該トランジスタをトランジスタ1209として用いることによって、記憶素子12
00に電源電圧が供給されない間も容量素子1208に保持された信号は長期間にわたり
保たれる。こうして、記憶素子1200は電源電圧の供給が停止した間も記憶内容(デー
タ)を保持することが可能である。
【0337】
また、スイッチ1203およびスイッチ1204を設けることによって、プリチャージ
動作を行うことを特徴とする記憶素子であるため、電源電圧供給再開後に、回路1201
が元のデータを保持しなおすまでの時間を短くすることができる。
【0338】
また、回路1202において、容量素子1208によって保持された信号はトランジス
タ1210のゲートに入力される。そのため、記憶素子1200への電源電圧の供給が再
開された後、容量素子1208によって保持された信号に応じてトランジスタ1210の
状態(導通状態、または非導通状態)が決まり、回路1202から読み出すことができる
。それ故、容量素子1208に保持された信号に対応する電位が多少変動していても、元
の信号を正確に読み出すことが可能である。
【0339】
このような記憶素子1200を、プロセッサが有するレジスタやキャッシュメモリなど
の記憶装置に用いることで、電源電圧の供給停止による記憶装置内のデータの消失を防ぐ
ことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復
帰することができる。よって、プロセッサ全体、もしくはプロセッサを構成する一つ、ま
たは複数の論理回路において、短い時間でも電源停止を行うことができるため、消費電力
を抑えることができる。
【0340】
記憶素子1200をCPUに用いる例として説明したが、記憶素子1200は、DSP
(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、PLD(P
rogrammable Logic Device)等のLSI、RF-Tag(Ra
dio Frequency Tag)にも応用可能である。
【0341】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実
施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0342】
(実施の形態9)
<撮像装置>
図39(A)は、本発明の一態様に係る撮像装置200の例を示す上面図である。撮像
装置200は、画素部210と、画素部210を駆動するための周辺回路260と、周辺
回路270、周辺回路280と、周辺回路290と、を有する。画素部210は、p行q
列(pおよびqは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素211を有する
。周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路290は、それぞれ
複数の画素211に接続し、複数の画素211を駆動するための信号を供給する機能を有
する。なお、本明細書等において、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280お
よび周辺回路290などの全てを指して「周辺回路」または「駆動回路」と呼ぶ場合があ
る。例えば、周辺回路260は周辺回路の一部といえる。
【0343】
また、撮像装置200は、光源291を有することが好ましい。光源291は、検出光
P1を放射することができる。
【0344】
また、周辺回路は、少なくとも、論理回路、スイッチ、バッファ、増幅回路、または変
換回路の1つを有する。また、周辺回路は、画素部210を形成する基板上に作製しても
よい。また、周辺回路の一部または全部にICチップ等の半導体装置を用いてもよい。な
お、周辺回路は、周辺回路260、周辺回路270、周辺回路280および周辺回路29
0のいずれか一以上を省略してもよい。
【0345】
また、
図39(B)に示すように、撮像装置200が有する画素部210において、画
素211を傾けて配置してもよい。画素211を傾けて配置することにより、行方向およ
び列方向の画素間隔(ピッチ)を短くすることができる。これにより、撮像装置200に
おける撮像の品質をより高めることができる。
【0346】
<画素の構成例1>
撮像装置200が有する1つの画素211を複数の副画素212で構成し、それぞれの
副画素212に特定の波長帯域の光を透過するフィルタ(カラーフィルタ)を組み合わせ
ることで、カラー画像表示を実現するための情報を取得することができる。
【0347】
図40(A)は、カラー画像を取得するための画素211の一例を示す上面図である。
図40(A)に示す画素211は、赤(R)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが
設けられた副画素212(以下、「副画素212R」ともいう)、緑(G)の波長帯域の
光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212(以下、「副画素212G」とも
いう)および青(B)の波長帯域の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素21
2(以下、「副画素212B」ともいう)を有する。副画素212は、フォトセンサとし
て機能させることができる。
【0348】
副画素212(副画素212R、副画素212G、および副画素212B)は、配線2
31、配線247、配線248、配線249、配線250と電気的に接続される。また、
副画素212R、副画素212G、および副画素212Bは、それぞれが独立した配線2
53に接続している。また、本明細書等において、例えばn行目の画素211に接続され
た配線248および配線249、および配線250を、それぞれ配線248[n]、配線
249[n]、および配線250[n]と記載する。また、例えばm列目の画素211に
接続された配線253を、配線253[m]と記載する。なお、
図40(A)において、
m列目の画素211が有する副画素212Rに接続する配線253を配線253[m]R
、副画素212Gに接続する配線253を配線253[m]G、および副画素212Bに
接続する配線253を配線253[m]Bと記載している。副画素212は、上記配線を
介して周辺回路と電気的に接続される。
【0349】
また、撮像装置200は、隣接する画素211の、同じ波長帯域の光を透過するカラー
フィルタが設けられた副画素212同士がスイッチを介して電気的に接続する構成を有す
る。
図40(B)に、n行(nは1以上p以下の整数)m列(mは1以上q以下の整数)
に配置された画素211が有する副画素212と、該画素211に隣接するn+1行m列
に配置された画素211が有する副画素212の接続例を示す。
図40(B)において、
n行m列に配置された副画素212Rと、n+1行m列に配置された副画素212Rがス
イッチ201を介して接続されている。また、n行m列に配置された副画素212Gと、
n+1行m列に配置された副画素212Gがスイッチ202を介して接続されている。ま
た、n行m列に配置された副画素212Bと、n+1行m列に配置された副画素212B
がスイッチ203を介して接続されている。
【0350】
なお、副画素212に用いるカラーフィルタは、赤(R)、緑(G)、青(B)に限定
されず、それぞれシアン(C)、黄(Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフ
ィルタを用いてもよい。1つの画素211に3種類の異なる波長帯域の光を検出する副画
素212を設けることで、フルカラー画像を取得することができる。
【0351】
または、それぞれ赤(R)、緑(G)および青(B)の光を透過するカラーフィルタが
設けられた副画素212に加えて、黄(Y)の光を透過するカラーフィルタが設けられた
副画素212を有する画素211を用いてもよい。または、それぞれシアン(C)、黄(
Y)およびマゼンダ(M)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212に加
えて、青(B)の光を透過するカラーフィルタが設けられた副画素212を有する画素2
11を用いてもよい。1つの画素211に4種類の異なる波長帯域の光を検出する副画素
212を設けることで、取得した画像の色の再現性をさらに高めることができる。
【0352】
また、例えば、
図40(A)において、赤の波長帯域の光を検出する副画素212、緑
の波長帯域の光を検出する副画素212、および青の波長帯域の光を検出する副画素21
2の画素数比(または受光面積比)は、1:1:1でなくても構わない。例えば、画素数
比(受光面積比)を赤:緑:青=1:2:1とするBayer配列としてもよい。または
、画素数比(受光面積比)を赤:緑:青=1:6:1としてもよい。
【0353】
なお、画素211に設ける副画素212は1つでもよいが、2つ以上が好ましい。例え
ば、同じ波長帯域の光を検出する副画素212を2つ以上設けることで、冗長性を高め、
撮像装置200の信頼性を高めることができる。
【0354】
また、可視光を吸収または反射して、赤外光を透過するIR(IR:Infrared
)フィルタを用いることで、赤外光を検出する撮像装置200を実現することができる。
【0355】
また、ND(ND:Neutral Density)フィルタ(減光フィルタ)を用
いることで、光電変換素子(受光素子)に大光量光が入射した時に生じる出力飽和するこ
とを防ぐことができる。減光量の異なるNDフィルタを組み合わせて用いることで、撮像
装置のダイナミックレンジを大きくすることができる。
【0356】
また、前述したフィルタ以外に、画素211にレンズを設けてもよい。ここで、
図41
の断面図を用いて、画素211、フィルタ254、レンズ255の配置例を説明する。レ
ンズ255を設けることで、副画素212中に設けられた光電変換素子が入射光を効率よ
く受光することができる。具体的には、
図41(A)に示すように、画素211に形成し
たレンズ255、フィルタ254(フィルタ254R、フィルタ254Gおよびフィルタ
254B)、および画素回路230等を通して光256を光電変換素子220に入射させ
る構造とすることができる。
【0357】
ただし、一点鎖線で囲んだ領域に示すように、矢印で示す光256の一部が配線257
の一部によって遮光されてしまうことがある。したがって、
図41(B)に示すように光
電変換素子220側にレンズ255およびフィルタ254を配置して、光電変換素子22
0が光256を効率良く受光させる構造が好ましい。光電変換素子220側から光256
を光電変換素子220に入射させることで、検出感度の高い撮像装置200を提供するこ
とができる。
【0358】
図41に示す光電変換素子220として、pn型接合またはpin型の接合が形成され
た光電変換素子を用いてもよい。
【0359】
また、光電変換素子220を、放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質を
用いて形成してもよい。放射線を吸収して電荷を発生させる機能を有する物質としては、
セレン、ヨウ化鉛、ヨウ化水銀、ヒ化ガリウム、テルル化カドミウム、カドミウム亜鉛合
金等がある。
【0360】
例えば、光電変換素子220にセレンを用いると、可視光や、紫外光、赤外光に加えて
、X線や、ガンマ線といった幅広い波長帯域にわたって光吸収係数を有する光電変換素子
220を実現できる。
【0361】
ここで、撮像装置200が有する1つの画素211は、
図41に示す副画素212に加
えて、第1のフィルタを有する副画素212を有してもよい。
【0362】
<画素の構成例2>
以下では、シリコンを用いたトランジスタと、本発明の一態様に係る酸化物半導体を用
いたトランジスタと、を用いて画素を構成する一例について説明する。
【0363】
図42(A)および(B)は、撮像装置を構成する素子の断面図である。
【0364】
図42(A)に示す撮像装置は、シリコン基板300に設けられたシリコンをチャネル
形成領域として用いたトランジスタ351上に積層して配置された酸化物半導体をチャネ
ル形成領域として用いたトランジスタ353およびトランジスタ354、ならびにシリコ
ン基板300に設けられた、アノード361と、カソード362を有するフォトダイオー
ド360を含む。各トランジスタおよびフォトダイオード360は、種々のプラグ370
および配線371と電気的な接続を有する。また、フォトダイオード360のアノード3
61は、低抵抗領域363を介してプラグ370と電気的に接続を有する。
【0365】
また撮像装置は、シリコン基板300に設けられたトランジスタ351およびフォトダ
イオード360を有する層305と、層305と接して設けられ、配線371を有する層
320と、層320と接して設けられ、トランジスタ353およびトランジスタ354を
有する層331と、層331と接して設けられ、配線372および配線373を有する層
340を備えている。
【0366】
なお、
図42(A)の断面図の一例では、シリコン基板300において、トランジスタ
351が形成された面とは逆側の面にフォトダイオード360の受光面を有する構成とす
る。該構成とすることで、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光路を確保する
ことができる。そのため、高開口率の画素を形成することができる。なお、フォトダイオ
ード360の受光面をトランジスタ351が形成された面と同じとすることもできる。
【0367】
なお、シリコンをチャネル形成領域として用いたトランジスタを用いて画素を構成する
場合には、層305を、トランジスタを有する層とすればよい。または層305を省略し
、酸化物半導体をチャネル形成領域として用いたトランジスタのみで画素を構成してもよ
い。
【0368】
また、
図42(A)の断面図において、層305に設けるフォトダイオード360と、
層331に設けるトランジスタとを重なるように形成することができる。そうすると、画
素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。
【0369】
また、
図42(B)は、撮像装置は層340側にフォトダイオード365をトランジス
タの上に配置した構造とすることができる。
図42(B)において、例えば層305には
、シリコンをチャネル形成領域として用いたトランジスタ351およびトランジスタ35
2を有し、層320には配線371を有し、層331には酸化物半導体をチャネル形成領
域として用いたトランジスタ353およびトランジスタ354を有し、層340にはフォ
トダイオード365を有しており、フォトダイオード365は半導体層366、半導体層
367、半導体層368で構成されており、配線373と、プラグ370を介した配線3
74と電気的に接続している。
【0370】
図42(B)に示す素子構成とすることで、開口率を広くすることができる。
【0371】
また、フォトダイオード365には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用い
たpin型ダイオード素子などを用いてもよい。フォトダイオード365は、n型の半導
体層368、i型の半導体層367、およびp型の半導体層366が順に積層された構成
を有している。i型の半導体層367には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また
、p型の半導体層366およびn型の半導体層368には、それぞれの導電型を付与する
ドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶
質シリコンを光電変換層とするフォトダイオード365は可視光の波長領域における感度
が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
【0372】
ここで、トランジスタ351およびフォトダイオード360を有する層305と、トラ
ンジスタ353およびトランジスタ354を有する層331と、の間には絶縁体380が
設けられる。ただし、絶縁体380の位置は限定されない。
【0373】
トランジスタ351のチャネル形成領域近傍に設けられる絶縁体中の水素はシリコンの
ダングリングボンドを終端し、トランジスタ351の信頼性を向上させる効果がある。一
方、トランジスタ353およびトランジスタ354などの近傍に設けられる絶縁体中の水
素は、酸化物半導体中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、トランジスタ
353およびトランジスタ354などの信頼性を低下させる要因となる場合がある。した
がって、シリコン系半導体を用いたトランジスタの上層に酸化物半導体を用いたトランジ
スタを積層して設ける場合、これらの間に水素をブロックする機能を有する絶縁体380
を設けることが好ましい。絶縁体380より下層に水素を閉じ込めることで、トランジス
タ351の信頼性が向上させることができる。さらに、絶縁体380より下層から、絶縁
体380より上層に水素が拡散することを抑制できるため、トランジスタ353およびト
ランジスタ354などの信頼性を向上させることができる。また、トランジスタ353お
よびトランジスタ354上に絶縁体381を設けることにより、酸化物半導体中の酸素の
拡散を防ぐことができて好ましい。
【0374】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実
施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0375】
(実施の形態10)
<RFタグ>
本実施の形態では、先の実施の形態で説明したトランジスタ、または記憶装置を含むR
Fタグについて、
図43を参照して説明する。
【0376】
本実施の形態におけるRFタグは、内部に記憶回路を有し、記憶回路に必要な情報を記
憶し、非接触手段、例えば無線通信を用いて外部と情報の授受を行うものである。このよ
うな特徴から、RFタグは、物品などの個体情報を読み取ることにより物品の識別を行う
個体認証システムなどに用いることが可能である。なお、これらの用途に用いるためには
極めて高い信頼性が要求される。
【0377】
RFタグの構成について
図43を用いて説明する。
図43は、RFタグの構成例を示す
ブロック図である。
【0378】
図43に示すようにRFタグ800は、通信器801(質問器、リーダ/ライタなどと
もいう)に接続されたアンテナ802から送信される無線信号803を受信するアンテナ
804を有する。またRFタグ800は、整流回路805、定電圧回路806、復調回路
807、変調回路808、論理回路809、記憶回路810、ROM811を有している
。なお、復調回路807に含まれる整流作用を示すトランジスタに逆方向電流を十分に抑
制することが可能な材料、例えば、酸化物半導体、が用いられた構成としてもよい。これ
により、逆方向電流に起因する整流作用の低下を抑制し、復調回路の出力が飽和すること
を防止できる。つまり、復調回路の入力に対する復調回路の出力を線形に近づけることが
できる。なお、データの伝送形式は、一対のコイルを対向配置して相互誘導によって交信
を行う電磁結合方式、誘導電磁界によって交信する電磁誘導方式、電波を利用して交信す
る電波方式の3つに大別される。本実施の形態に示すRFタグ800は、そのいずれの方
式に用いることも可能である。
【0379】
次に各回路の構成について説明する。アンテナ804は、通信器801に接続されたア
ンテナ802との間で無線信号803の送受信を行うためのものである。また、整流回路
805は、アンテナ804で無線信号を受信することにより生成される入力交流信号を整
流、例えば、半波2倍圧整流し、後段に設けられた容量素子により、整流された信号を平
滑化することで入力電位を生成するための回路である。なお、整流回路805の入力側ま
たは出力側には、リミッタ回路を設けてもよい。リミッタ回路とは、入力交流信号の振幅
が大きく、内部生成電圧が大きい場合に、ある電力以上の電力を後段の回路に入力しない
ように制御するための回路である。
【0380】
定電圧回路806は、入力電位から安定した電源電圧を生成し、各回路に供給するため
の回路である。なお、定電圧回路806は、内部にリセット信号生成回路を有していても
よい。リセット信号生成回路は、安定した電源電圧の立ち上がりを利用して、論理回路8
09のリセット信号を生成するための回路である。
【0381】
復調回路807は、入力交流信号を包絡線検出することにより復調し、復調信号を生成
するための回路である。また、変調回路808は、アンテナ804より出力するデータに
応じて変調を行うための回路である。
【0382】
論理回路809は復調信号を解析し、処理を行うための回路である。記憶回路810は
、入力された情報を保持する回路であり、ロウデコーダ、カラムデコーダ、記憶領域など
を有する。また、ROM811は、固有番号(ID)などを格納し、処理に応じて出力を
行うための回路である。
【0383】
なお、上述の各回路は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
【0384】
ここで、先の実施の形態で説明した記憶回路を、記憶回路810に用いることができる
。本発明の一態様の記憶回路は、電源が遮断された状態であっても情報を保持できるため
、RFタグに好適に用いることができる。さらに本発明の一態様の記憶回路は、データの
書き込みに必要な電力(電圧)が従来の不揮発性メモリに比べて著しく小さいため、デー
タの読み出し時と書込み時の最大通信距離の差を生じさせないことも可能である。さらに
、データの書き込み時に電力が不足し、誤動作または誤書込みが生じることを抑制するこ
とができる。
【0385】
また、本発明の一態様の記憶回路は、不揮発性のメモリとして用いることが可能である
ため、ROM811に適用することもできる。その場合には、生産者がROM811にデ
ータを書き込むためのコマンドを別途用意し、ユーザーが自由に書き換えできないように
しておくことが好ましい。生産者が出荷前に固有番号を書込んだのちに製品を出荷するこ
とで、作製したRFタグすべてについて固有番号を付与するのではなく、出荷する良品に
のみ固有番号を割り当てることが可能となり、出荷後の製品の固有番号が不連続になるこ
とがなく出荷後の製品に対応した顧客管理が容易となる。
【0386】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【0387】
(実施の形態11)
<表示装置>
以下では、本発明の一態様に係る表示装置について、
図44および
図45を用いて説明
する。
【0388】
表示装置に用いられる表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう。)、発光素
子(発光表示素子ともいう。)などを用いることができる。発光素子は、電流または電圧
によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Elec
troluminescence)、有機ELなどを含む。以下では、表示装置の一例と
してEL素子を用いた表示装置(EL表示装置)および液晶素子を用いた表示装置(液晶
表示装置)について説明する。
【0389】
なお、以下に示す表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルに
コントローラを含むICなどを実装した状態にあるモジュールとを含む。
【0390】
また、以下に示す表示装置は画像表示デバイス、または光源(照明装置含む)を指す。
また、コネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit
s)、TCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュー
ル、TCPの先にプリント配線板を有するモジュールまたは表示素子にCOG(Chip
on Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表
示装置に含むまれる。
【0391】
図44は、本発明の一態様に係るEL表示装置の一例である。
図44(A)に、EL表
示装置の画素の回路図を示す。
図44(B)は、EL表示装置全体を示す上面図である。
また、
図44(C)は、
図44(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するM-N断面であ
る。
【0392】
図44(A)は、EL表示装置に用いられる画素の回路図の一例である。
【0393】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子
(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しな
くても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接
続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であるといえる。そして、接続先が特定され
た内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明
細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先として
複数の箇所が想定される場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない
。したがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗
素子など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、
発明の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0394】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当
業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少
なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。
つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であるといえる。そして、機能が特定さ
れた発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。
したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一
態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。また
は、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様とし
て開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0395】
図44(A)に示すEL表示装置は、スイッチ素子743と、トランジスタ741と、
容量素子742と、発光素子719と、を有する。
【0396】
なお、
図44(A)などは、回路構成の一例であるため、さらに、トランジスタを追加
することが可能である。逆に、
図44(A)の各ノードにおいて、トランジスタ、スイッ
チ、受動素子などを追加しないようにすることも可能である。
【0397】
トランジスタ741のゲートはスイッチ素子743の一端および容量素子742の一方
の電極と電気的に接続される。トランジスタ741のソースは容量素子742の他方の電
極と電気的に接続され、発光素子719の一方の電極と電気的に接続される。トランジス
タ741のドレインには電源電位VDDが与えられる。スイッチ素子743の他端は信号
線744と電気的に接続される。発光素子719の他方の電極は定電位が与えられる。な
お、定電位は接地電位GNDまたはそれより小さい電位とする。
【0398】
スイッチ素子743としては、トランジスタを用いると好ましい。トランジスタを用い
ることで、画素の面積を小さくでき、解像度の高いEL表示装置とすることができる。ま
た、スイッチ素子743として、トランジスタ741と同一工程を経て作製されたトラン
ジスタを用いると、EL表示装置の生産性を高めることができる。なお、トランジスタ7
41または/およびスイッチ素子743としては、例えば、
図4に示すトランジスタを適
用することができる。
【0399】
図44(B)は、EL表示装置の上面図である。EL表示装置は、基板700と、基板
750と、シール材734と、駆動回路735と、駆動回路736と、画素737と、F
PC732と、を有する。シール材734は、画素737、駆動回路735および駆動回
路736を囲むように基板700と基板750との間に配置される。なお、駆動回路73
5または/および駆動回路736をシール材734の外側に配置しても構わない。
【0400】
図44(C)は、
図44(B)の一点鎖線M-Nの一部に対応するEL表示装置の断面
図である。
【0401】
図44(C)には、トランジスタ741として、基板700上の絶縁体712aと、導
電体704aと、を有し、絶縁体712aおよび導電体704a上にあり導電体704a
と一部が重なる領域を有する絶縁体706aと、絶縁体706a上の半導体706bと、
半導体706bの上面と接する導電体716a1および導電体716a2と、導電体71
6a1の上面および側面を覆う絶縁体724a1と、導電体716a2の上面および側面
を覆う絶縁体724a2と、絶縁体712a上、絶縁体724a1の上面および絶縁体7
24a2の上面と接する領域を有する絶縁体706cと、絶縁体706c上の絶縁体71
8bと、絶縁体718b上の絶縁体710と、絶縁体718bおよび絶縁体706cを介
して半導体706b上に配置する導電体714aと、を有する構造を示す。なお、トラン
ジスタ741の構造は一例であり、
図44(C)に示す構造と異なる構造であっても構わ
ない。
【0402】
図44(C)に示すトランジスタ741において、導電体704aはゲート電極として
の機能を有し、絶縁体712aはゲート絶縁体としての機能を有し、導電体716a1は
ドレイン電極としての機能を有し、導電体716a2はソース電極としての機能を有し、
絶縁体718bはゲート絶縁体としての機能を有し、導電体714aはゲート電極として
の機能を有する。なお、絶縁体706a、半導体706bおよび絶縁体706cは、光が
当たることで電気特性が変動する場合がある。したがって、導電体704a、導電体71
6a1、導電体716a2または導電体714aのいずれか一以上が遮光性を有すると好
ましい。
【0403】
図44(C)には、容量素子742として、基板700上の絶縁体712aと、絶縁体
712a上の絶縁体706cと、絶縁体706c上の絶縁体718と、絶縁体718上の
導電体722と、導電体722の表面を覆うように配された絶縁体723と、を有し、導
電体722と絶縁体723を介して互いに重なる領域を有する導電体714bと、を有す
る構造を示す。
【0404】
容量素子742において、導電体722は一方の電極として機能し、導電体714bは
他方の電極として機能する。
【0405】
容量素子742は、トランジスタ741と共通する膜を用いて作製することができる。
導電体714aおよび導電体714bを同種の導電体とすると好ましい。その場合、導電
体714aおよび導電体714bは、同一工程を経て形成することができる。
【0406】
図44(C)に示す容量素子742は、占有面積当たりの容量が大きい容量素子である
。したがって、
図44(C)は表示品位の高いEL表示装置である。なお、なお、容量素
子742の構造は一例であり、
図44(C)に示す構造と異なる構造であっても構わない
。例えば、実施の形態1に示す構造を用いることができる。
【0407】
トランジスタ741および容量素子742上には、絶縁体728が配置され、絶縁体7
28上には絶縁体720が配置される。ここで、絶縁体728および絶縁体720は、ト
ランジスタ741のソース電極として機能する導電体716a2に達する開口部を有して
もよい。絶縁体720上には、導電体781が配置される。導電体781は、絶縁体72
8および絶縁体720の開口部を介してトランジスタ741と電気的に接続してもよい。
また、導電体781は、絶縁体728および絶縁体720の開口部を介して容量素子74
2の一方の電極と電気的に接続してもよい。
【0408】
導電体781上には、導電体781に達する開口部を有する隔壁784が配置される。
隔壁784上には、隔壁784の開口部で導電体781と接する発光層782が配置され
る。発光層782上には、導電体783が配置される。導電体781、発光層782およ
び導電体783の重なる領域が、発光素子719となる。
図44(C)において、FPC
732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線733aは、トラ
ンジスタ741を構成する導電体または半導体のいずれかと同種の導電体または半導体を
用いてもよい。
【0409】
ここまでは、EL表示装置の例について説明した。次に、液晶表示装置の例について説
明する。
【0410】
図45(A)は、液晶表示装置の画素の構成例を示す回路図である。
図45(A)に示
す画素は、トランジスタ751と、容量素子752と、一対の電極間に液晶の充填された
素子(液晶素子)753とを有する。
【0411】
トランジスタ751では、ソース、ドレインの一方が信号線755に電気的に接続され
、ゲートが走査線754に電気的に接続されている。
【0412】
容量素子752では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電
気的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。
【0413】
液晶素子753では、一方の電極がトランジスタ751のソース、ドレインの他方に電
気的に接続され、他方の電極が共通電位を供給する配線に電気的に接続されている。なお
、上述した容量素子752の他方の電極が電気的に接続する配線に与えられる共通電位と
、液晶素子753の他方の電極に与えられる共通電位とが異なる電位であってもよい。
【0414】
なお、液晶表示装置も、上面図はEL表示装置と同様として説明する。
図44(B)の
一点鎖線M-Nに対応する液晶表示装置の断面図を
図45(B)に示す。
図45(B)に
おいて、FPC732は、端子731を介して配線733aと接続される。なお、配線7
33aは、トランジスタ751を構成する導電体または半導体のいずれかと同種の導電体
または半導体を用いてもよい。
【0415】
トランジスタ751は、トランジスタ741についての記載を参照する。また、容量素
子752は、容量素子742についての記載を参照する。なお、
図45(B)には、
図4
4(C)の容量素子742に対応した容量素子752の構造を示したが、これに限定され
ない。
【0416】
なお、トランジスタ751の半導体に酸化物半導体を用いた場合、極めてオフ電流の小
さいトランジスタとすることができる。したがって、容量素子752に保持された電荷が
リークしにくく、長期間に渡って液晶素子753に印加される電圧を維持することができ
る。そのため、動きの少ない動画や静止画の表示の際に、トランジスタ751をオフ状態
とすることで、トランジスタ751の動作のための電力が不要となり、消費電力の小さい
液晶表示装置とすることができる。また、容量素子752の占有面積を小さくできるため
、開口率の高い液晶表示装置、または高精細化した液晶表示装置を提供することができる
。
【0417】
トランジスタ751および容量素子752上には、絶縁体721および絶縁体728が
配置される。ここで、絶縁体721および絶縁体728は、トランジスタ751に達する
開口部を有する。絶縁体721上には、導電体791が配置される。導電体791は、絶
縁体721および絶縁体728の開口部を介してトランジスタ751と電気的に接続する
。また、導電体791は、絶縁体721および絶縁体728の開口部を介して容量素子7
52の一方の電極と電気的に接続する。
【0418】
導電体791上には、配向膜として機能する絶縁体792が配置される。絶縁体792
上には、液晶層793が配置される。液晶層793上には、配向膜として機能する絶縁体
794が配置される。絶縁体794上には、スペーサ795が配置される。スペーサ79
5および絶縁体794上には、導電体796が配置される。導電体796上には、基板7
97が配置される。
【0419】
上述した構造を有することで、占有面積の小さい容量素子を有する表示装置を提供する
ことができる、または、表示品位の高い表示装置を提供することができる。または、高精
細の表示装置を提供することができる。
【0420】
例えば、本明細書等において、表示素子、表示素子を有する装置である表示装置、発光
素子、および発光素子を有する装置である発光装置は、様々な形態を用いること、または
様々な素子を有することができる。表示素子、表示装置、発光素子、または発光装置は、
例えば、EL素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子)、
LED(白色LED、赤色LED、緑色LED、青色LEDなど)、トランジスタ(電流
に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク、電気泳動素子
、グレーティングライトバルブ(GLV)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、M
EMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子、デジタルマ
イクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、IMO
D(インターフェロメトリック・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表
示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、エレクトロウェッティング素子、圧電セラミッ
クディスプレイ、カーボンナノチューブを用いた表示素子などの少なくとも一つを有して
いる。これらの他にも、電気的または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、
透過率などが変化する表示媒体を有していてもよい。
【0421】
EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素
子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)ま
たはSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface-conduction
Electron-emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表
示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディ
スプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ
)などがある。電子インクまたは電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペ
ーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現す
る場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにす
ればよい。例えば、画素電極の一部または全部が、アルミニウム、銀、などを有するよう
にすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けるこ
とも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
【0422】
なお、LEDを用いる場合、LEDの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラフ
ァイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜とし
てもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化
物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体などを容易に成膜することができる。
さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体などを設けて、LEDを構成すること
ができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体との間に
、AlN層を設けてもよい。なお、LEDが有するGaN半導体は、MOCVDで成膜し
てもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDが有するGaN半導体は、ス
パッタリング法で成膜することも可能である。
【0423】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【0424】
(実施の形態12)
<単一電源回路>
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明した酸化物半導体を用いたトランジスタ(
OSトランジスタ)を有する複数の回路を有する半導体装置の一例について、
図46乃至
54を用いて説明する。
【0425】
図46(A)は、半導体装置900のブロック図である。半導体装置900は、電源回
路901、回路902、電圧生成回路903、回路904、電圧生成回路905および回
路906を有する。
【0426】
電源回路901は、基準となる電圧VORGを生成する回路である。電圧VORGは、
単一の電圧ではなく、複数の電圧でもよい。電圧VORGは、半導体装置900の外部か
ら与えられる電圧V0を基に生成することができる。半導体装置900は、外部から与え
られる単一の電源電圧を基に電圧VORGを生成できる。そのため半導体装置900は、
外部から電源電圧を複数与えることなく動作することができる。
【0427】
回路902、904および906は、異なる電源電圧で動作する回路である。例えば回
路902の電源電圧は、電圧VORGと電圧VSS(VORG>VSS)とを基に印加さ
れる電圧である。また、例えば回路904の電源電圧は、電圧VPOGと電圧VSS(V
POG>VORG)とを基に印加される電圧である。また、例えば回路906の電源電圧
は、電圧VORGと電圧VSSと電圧VNEG(VORG>VSS>VNEG)とを基に
印加される電圧である。なお電圧VSSは、グラウンド電位(GND)と等電位とすれば
、電源回路901で生成する電圧の種類を削減できる。
【0428】
電圧生成回路903は、電圧VPOGを生成する回路である。電圧生成回路903は、
電源回路901から与えられる電圧VORGを基に電圧VPOGを生成できる。そのため
、回路904を有する半導体装置900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に動
作することができる。
【0429】
電圧生成回路905は、電圧VNEGを生成する回路である。電圧生成回路905は、
電源回路901から与えられる電圧VORGを基に電圧VNEGを生成できる。そのため
、回路906を有する半導体装置900は、外部から与えられる単一の電源電圧を基に動
作することができる。
【0430】
図46(B)は電圧V
POGで動作する回路904の一例、
図46(C)は回路904
を動作させるための信号の波形の一例である。
【0431】
図46(B)では、トランジスタ911を示している。トランジスタ911のゲートに
与える信号は、例えば、電圧V
POGと電圧V
SSを基に生成される。当該信号は、トラ
ンジスタ911を導通状態とする動作時に電圧V
POG、非導通状態とする動作時に電圧
V
SSとする。電圧V
POGは、
図46(C)に図示するように、電圧V
ORGより大き
い。そのため、トランジスタ911は、ソース(S)とドレイン(D)との間をより確実
に導通状態にできる。その結果、回路904は、誤動作が低減された回路とすることがで
きる。
【0432】
図46(D)は電圧V
NEGで動作する回路906の一例、
図46(E)は回路906
を動作させるための信号の波形の一例である。
【0433】
図46(D)では、バックゲートを有するトランジスタ912を示している。トランジ
スタ912のゲートに与える信号は、例えば、電圧V
ORGと電圧V
SSを基にして生成
される。当該信号は、トランジスタ912を導通状態とする動作時に電圧V
ORG、非導
通状態とする動作時に電圧V
SSを基に生成される。また、トランジスタ912のバック
ゲートに与える信号は、電圧V
NEGを基に生成される。電圧V
NEGは、
図46(E)
に図示するように、電圧V
SS(GND)より小さい。そのため、トランジスタ912の
閾値電圧は、プラスシフトするように制御することができる。そのため、トランジスタ9
12をより確実に非導通状態とすることができ、ソース(S)とドレイン(D)との間を
流れる電流を小さくできる。その結果、回路906は、誤動作が低減され、且つ低消費電
力化が図られた回路とすることができる。
【0434】
なお電圧VNEGは、トランジスタ912のバックゲートに直接与える構成としてもよ
い。あるいは、電圧VORGと電圧VNEGを基に、トランジスタ912のゲートに与え
る信号を生成し、当該信号をトランジスタ912のバックゲートに与える構成としてもよ
い。
【0435】
また
図47(A)、(B)には、
図46(D)、(E)の変形例を示す。
【0436】
図47(A)に示す回路図では、電圧生成回路905と、回路906と、の間に制御回
路921によって導通状態が制御できるトランジスタ922を示す。トランジスタ922
は、nチャネル型のOSトランジスタとする。制御回路921が出力する制御信号S
BG
は、トランジスタ922の導通状態を制御する信号である。また回路906が有するトラ
ンジスタ912A、912Bは、トランジスタ922と同じOSトランジスタである。
【0437】
図47(B)のタイミングチャートには、制御信号S
BGの電位の変化を示し、トラン
ジスタ912A、912Bのバックゲートの電位の状態をノードN
BGの電位の変化で示
す。制御信号S
BGがハイレベルのときにトランジスタ922が導通状態となり、ノード
N
BGが電圧V
NEGとなる。その後、制御信号S
BGがローレベルのときにノードN
B
Gが電気的にフローティングとなる。トランジスタ922は、OSトランジスタであるた
め、オフ電流が小さい。そのため、ノードN
BGが電気的にフローティングであっても、
一旦与えた電圧V
NEGを保持することができる。
【0438】
また
図48(A)には、上述した電圧生成回路903に適用可能な回路構成の一例を示
す。
図48(A)に示す電圧生成回路903は、ダイオードD1乃至D5、キャパシタC
1乃至C5、およびインバータINVを有する5段のチャージポンプである。クロック信
号CLKは、キャパシタC1乃至C5に直接、あるいはインバータINVを介して与えら
れる。インバータINVの電源電圧を、電圧V
ORGと電圧V
SSとを基に印加される電
圧とすると、クロック信号CLKを与えることによって、電圧V
ORGの5倍の正電圧に
昇圧された電圧V
POGを得ることができる。なお、ダイオードD1乃至D5の順方向電
圧は0Vとしている。また、チャージポンプの段数を変更することで、所望の電圧V
PO
Gを得ることができる。
【0439】
また
図48(B)には、上述した電圧生成回路905に適用可能な回路構成の一例を示
す。
図48(B)に示す電圧生成回路905は、ダイオードD1乃至D5、キャパシタC
1乃至C5、およびインバータINVを有する4段のチャージポンプである。クロック信
号CLKは、キャパシタC1乃至C5に直接、あるいはインバータINVを介して与えら
れる。インバータINVの電源電圧を、電圧V
ORGと電圧V
SSとを基に印加される電
圧とすると、クロック信号CLKを与えることによって、グラウンド、すなわち電圧V
S
Sから電圧V
ORGの4倍の負電圧に降圧された電圧V
NEGを得ることができる。なお
、ダイオードD1乃至D5の順方向電圧は0Vとしている。また、チャージポンプの段数
を変更することで、所望の電圧V
NEGを得ることができる。
【0440】
なお上述した電圧生成回路903の回路構成は、
図48(A)で示す回路図の構成に限
らない。電圧生成回路903の変形例を
図49(A)乃至(C)、
図50(A)、(B)
に示す。
【0441】
図49(A)に示す電圧生成回路903Aは、トランジスタM1乃至M10、キャパシ
タC11乃至C14、およびインバータINV1を有する。クロック信号CLKは、トラ
ンジスタM1乃至M10のゲートに直接、あるいはインバータINV1を介して与えられ
る。クロック信号CLKを与えることによって、電圧V
ORGの4倍の正電圧に昇圧され
た電圧V
POGを得ることができる。なお、段数を変更することで、所望の電圧V
POG
を得ることができる。
図49(A)に示す電圧生成回路903Aは、トランジスタM1乃
至M10をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC11乃至
C14に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧V
ORGから電圧V
POGへの昇圧を図ることができる。
【0442】
また
図49(B)に示す電圧生成回路903Bは、トランジスタM11乃至M14、キ
ャパシタC15、C16、およびインバータINV2を有する。クロック信号CLKは、
トランジスタM11乃至M14のゲートに直接、あるいはインバータINV2を介して与
えられる。クロック信号CLKを与えることによって、電圧V
ORGの2倍の正電圧に昇
圧された電圧V
POGを得ることができる。
図49(B)に示す電圧生成回路903Bは
、トランジスタM11乃至M14をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき
、キャパシタC15、C16に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電
圧V
ORGから電圧V
POGへの昇圧を図ることができる。
【0443】
また
図49(C)に示す電圧生成回路903Cは、インダクタIn1、トランジスタM
15、ダイオードD6、およびキャパシタC17を有する。トランジスタM15は、制御
信号ENによって、導通状態が制御される。制御信号ENによって、電圧V
ORGが昇圧
された電圧V
POGを得ることができる。
図49(C)に示す電圧生成回路903Cは、
インダクタIn1を用いて電圧の昇圧を行うため、変換効率の高い電圧の昇圧を行うこと
ができる。
【0444】
また
図50(A)に示す電圧生成回路903Dは、
図48(A)に示す電圧生成回路9
03のダイオードD1乃至D5をダイオード接続したトランジスタM16乃至M20に置
き換えた構成に相当する。
図50(A)に示す電圧生成回路903Dは、トランジスタM
16乃至M20をOSトランジスタとすることでオフ電流を小さくでき、キャパシタC1
乃至C5に保持した電荷の漏れを抑制できる。そのため、効率的に電圧V
ORGから電圧
V
POGへの昇圧を図ることができる。
【0445】
また
図50(B)に示す電圧生成回路903Eは、
図50(A)に示す電圧生成回路9
03DのトランジスタM16乃至M20を、バックゲートを有するトランジスタM21乃
至M25に置き換えた構成に相当する。
図50(B)に示す電圧生成回路903Eは、バ
ックゲートにゲートと同じ電圧を与えることができるため、トランジスタを流れる電流量
を増やすことができる。そのため、効率的に電圧V
ORGから電圧V
POGへの昇圧を図
ることができる。
【0446】
なお電圧生成回路903の変形例は、
図48(B)に示した電圧生成回路905にも適
用可能である。この場合の回路図の構成を
図51(A)乃至(C)、
図52(A)、(B
)に示す。
図51(A)に示す電圧生成回路905Aは、クロック信号CLKを与えるこ
とによって、電圧V
SSから電圧V
ORGの3倍の負電圧に降圧された電圧V
NEGを得
ることができる。また
図51(B)に示す電圧生成回路905Bは、クロック信号CLK
を与えることによって、電圧V
SSから電圧V
ORGの2倍の負電圧に降圧された電圧V
NEGを得ることができる。
【0447】
図51(A)乃至(C)、
図52(A)、(B)に示す電圧生成回路905A乃至90
5Eでは、
図49(A)乃至(C)、
図50(A)、(B)に示す電圧生成回路903A
乃至903Eにおいて、各配線に与える電圧を変更すること、あるいは素子の配置を変更
した構成に相当する。
図51(A)乃至(C)、
図52(A)、(B)に示す電圧生成回
路905A乃至905Eは、電圧生成回路903A乃至903Eと同様に、効率的に電圧
V
SSから電圧V
NEGへの降圧を図ることができる。
【0448】
以上説明したように本実施の形態の構成では、半導体装置が有する回路に必要な電圧を
内部で生成することができる。そのため半導体装置は、外部から与える電源電圧の種類を
削減できる。
【0449】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【0450】
(実施の形態13)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用した表示モジュールについて、
図53を用いて説明を行う。
【0451】
<表示モジュール>
図53に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002と
の間に、FPC6003に接続されたタッチパネル6004、FPC6005に接続され
た表示パネル6006、バックライトユニット6007、フレーム6009、プリント基
板6010、バッテリー6011を有する。なお、バックライトユニット6007、バッ
テリー6011、タッチパネル6004などは、設けられない場合もある。
【0452】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示パネル6006またはプリント基板に実
装された集積回路などに用いることができる。
【0453】
上部カバー6001および下部カバー6002は、タッチパネル6004および表示パ
ネル6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
【0454】
タッチパネル6004は、抵抗膜方式または静電容量方式のタッチパネルを表示パネル
6006に重畳して用いることができる。また、表示パネル6006の対向基板(封止基
板)に、タッチパネル機能を持たせるようにすることも可能である。または、表示パネル
6006の各画素内に光センサを設け、光学式のタッチパネル機能を付加することも可能
である。または、表示パネル6006の各画素内にタッチセンサ用電極を設け、静電容量
方式のタッチパネル機能を付加することも可能である。
【0455】
バックライトユニット6007は、光源6008を有する。光源6008をバックライ
トユニット6007の端部に設け、光拡散板を用いる構成としてもよい。
【0456】
フレーム6009は、表示パネル6006の保護機能の他、プリント基板6010から
発生する電磁波を遮断するための電磁シールドとしての機能を有する。またフレーム60
09は、放熱板としての機能を有していてもよい。
【0457】
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号およびクロック信号を出力するための
信号処理回路を有する。電源回路に電力を供給する電源としては、外部の商用電源であっ
てもよいし、別途設けたバッテリー6011であってもよい。なお、商用電源を用いる場
合には、バッテリー6011を省略することができる。
【0458】
また、表示モジュール6000には、偏光板、位相差板、プリズムシートなどの部材を
追加して設けてもよい。
【0459】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【0460】
(実施の形態14)
<リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージ>
図54(A)に、リードフレーム型のインターポーザを用いたパッケージの断面構造を
表す斜視図を示す。
図54(A)に示すパッケージは、本発明の一態様に係る半導体装置
に相当するチップ551が、ワイヤボンディング法により、インターポーザ550上の端
子552と接続されている。端子552は、インターポーザ550のチップ551がマウ
ントされている面上に配置されている。そしてチップ551はモールド樹脂553によっ
て封止されていてもよいが、各端子552の一部が露出した状態で封止されるようにする
。
【0461】
パッケージが回路基板に実装されている電子機器(携帯電話)のモジュールの構成を、
図54(B)に示す。
図54(B)に示す携帯電話のモジュールは、プリント配線基板6
01に、パッケージ602と、バッテリー604とが実装されている。また、表示素子が
設けられたパネル600に、プリント配線基板601がFPC603によって実装されて
いる。
【0462】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【0463】
(実施の形態15)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器及び照明装置について、図面を用いて説
明する。
【0464】
<電子機器>
本発明の一態様の半導体装置を用いて、電子機器や照明装置を作製できる。また、本発
明の一態様の半導体装置を用いて、信頼性の高い電子機器や照明装置を作製できる。また
本発明の一態様の半導体装置を用いて、タッチセンサの検出感度が向上した電子機器や照
明装置を作製できる。
【0465】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機と
もいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジ
タルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機
、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0466】
また、本発明の一態様の電子機器または照明装置は可撓性を有する場合、家屋やビルの
内壁もしくは外壁、または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことも可
能である。
【0467】
また、本発明の一態様の電子機器は、二次電池を有していてもよく、非接触電力伝送を
用いて、二次電池を充電することができると好ましい。
【0468】
二次電池としては、例えば、ゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池(リチウムイ
オンポリマー電池)等のリチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニカド電池、有機
ラジカル電池、鉛蓄電池、空気二次電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられ
る。
【0469】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信す
ることで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器が二次電池
を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0470】
図55(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体7101、筐体7102、表示部7103
、表示部7104、マイク7105、スピーカー7106、操作キー7107、スタイラ
ス7108等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体7101に内蔵されて
いる集積回路、CPUなどに用いることができる。表示部7103または表示部7104
に本発明の一態様に係る発光装置を用いることで、ユーザーの使用感に優れ、品質の低下
が起こりにくい携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、
図55(A)に示した携
帯型ゲーム機は、2つの表示部7103と表示部7104とを有しているが、携帯型ゲー
ム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0471】
図55(B)は、スマートウオッチであり、筐体7302、表示部7304、7305
および7306、操作ボタン7311および操作ボタン7312、接続端子7313、バ
ンド7321、留め金7322、等を有する。本発明の一態様に係る半導体装置は筐体7
302に内蔵されているメモリ、CPUなどに用いることができる。
【0472】
図55(C)は、携帯情報端末であり、筐体7501に組み込まれた表示部7502の
他、操作ボタン7503、外部接続ポート7504、スピーカー7505、マイク750
6などを備えている。本発明の一態様に係る半導体装置は、筐体7501に内蔵されてい
るモバイル用メモリ、CPUなどに用いることができる。なお、表示部7502は、非常
に高精細とすることができるため、中小型でありながらフルハイビジョン、4k、または
8kなど、様々な表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
【0473】
図55(D)はビデオカメラであり、第1筐体7701、第2筐体7702、表示部7
703、操作キー7704、レンズ7705、接続部7706等を有する。操作キー77
04およびレンズ7705は第1筐体7701に設けられており、表示部7703は第2
筐体7702に設けられている。そして、第1筐体7701と第2筐体7702とは、接
続部7706により接続されており、第1筐体7701と第2筐体7702の間の角度は
、接続部7706により変更が可能である。表示部7703における映像を、接続部77
06における第1筐体7701と第2筐体7702との間の角度にしたがって切り替える
構成としてもよい。レンズ7705の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備
えることができる。本発明の一態様に係る半導体装置は、第1筐体7701に内蔵されて
いる集積回路、CPUなどに用いることができる。
【0474】
図55(E)は、デジタルサイネージであり、電柱7921に設置された表示部792
2を備えている。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部7922の制御回路に用いる
ことができる。
【0475】
図56(A)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体8121、表示部812
2、キーボード8123、ポインティングデバイス8124等を有する。本発明の一態様
に係る半導体装置は、筐体8121内に内蔵されているCPUや、メモリに適用すること
ができる。なお、表示部8122は、非常に高精細とすることができるため、中小型であ
りながら8kの表示を行うことができ、非常に鮮明な画像を得ることができる。
【0476】
図56(B)に自動車9700の外観を示す。
図56(C)に自動車9700の運転席
を示す。自動車9700は、車体9701、車輪9702、ダッシュボード9703、ラ
イト9704等を有する。本発明の一態様の半導体装置は、自動車9700の表示部、お
よび制御用の集積回路に用いることができる。例えば、
図56(C)に示す表示部971
0乃至表示部9715に本発明の一態様の半導体装置を設けることができる。
【0477】
表示部9710と表示部9711は、自動車のフロントガラスに設けられた表示装置、
または入出力装置である。本発明の一態様の表示装置、または入出力装置は、表示装置、
または入出力装置が有する電極を、透光性を有する導電性材料で作製することによって、
反対側が透けて見える、いわゆるシースルー状態の表示装置、または入出力装置とするこ
とができる。シースルー状態の表示装置、または入出力装置であれば、自動車9700の
運転時にも視界の妨げになることがない。よって、本発明の一態様の表示装置、または入
出力装置を自動車9700のフロントガラスに設置することができる。なお、表示装置、
または入出力装置に、表示装置、または入出力装置を駆動するためのトランジスタなどを
設ける場合には、有機半導体材料を用いた有機トランジスタや、酸化物半導体を用いたト
ランジスタなど、透光性を有するトランジスタを用いるとよい。
【0478】
表示部9712はピラー部分に設けられた表示装置である。例えば、車体に設けられた
撮像手段からの映像を表示部9712に映し出すことによって、ピラーで遮られた視界を
補完することができる。表示部9713はダッシュボード部分に設けられた表示装置であ
る。例えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9713に映し出すことによ
って、ダッシュボードで遮られた視界を補完することができる。すなわち、自動車の外側
に設けられた撮像手段からの映像を映し出すことによって、死角を補い、安全性を高める
ことができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和
感なく安全確認を行うことができる。
【0479】
また、
図56(D)は、運転席と助手席にベンチシートを採用した自動車の室内を示し
ている。表示部9721は、ドア部に設けられた表示装置、または入出力装置である。例
えば、車体に設けられた撮像手段からの映像を表示部9721に映し出すことによって、
ドアで遮られた視界を補完することができる。また、表示部9722は、ハンドルに設け
られた表示装置である。表示部9723は、ベンチシートの座面の中央部に設けられた表
示装置である。なお、表示装置を座面や背もたれ部分などに設置して、当該表示装置を、
当該表示装置の発熱を熱源としたシートヒーターとして利用することもできる。
【0480】
表示部9714、表示部9715、または表示部9722はナビゲーション情報、スピ
ードメーターやタコメーター、走行距離、給油量、ギア状態、エアコンの設定など、その
他様々な情報を提供することができる。また、表示部に表示される表示項目やレイアウト
などは、使用者の好みに合わせて適宜変更することができる。なお、上記情報は、表示部
9710乃至表示部9713、表示部9721、表示部9723にも表示することができ
る。また、表示部9710乃至表示部9715、表示部9721乃至表示部9723は照
明装置として用いることも可能である。また、表示部9710乃至表示部9715、表示
部9721乃至表示部9723は加熱装置として用いることも可能である。
【0481】
また、
図57(A)に、カメラ8000の外観を示す。カメラ8000は、筐体800
1、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004、結合部8005
等を有する。またカメラ8000には、レンズ8006を取り付けることができる。
【0482】
結合部8005は、電極を有し、後述するファインダー8100のほか、ストロボ装置
等を接続することができる。
【0483】
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換す
ることが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体が一体となっていてもよい。
【0484】
シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8
002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像
することも可能である。
【0485】
表示部8002に、本発明の一態様の表示装置、または入出力装置を適用することがで
きる。
【0486】
図57(B)には、カメラ8000にファインダー8100を取り付けた場合の例を示
している。
【0487】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する
。
【0488】
筐体8101には、カメラ8000の結合部8005と係合する結合部を有しており、
ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該結合部には
電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表
示させることができる。
【0489】
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部
8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
【0490】
筐体8101の中にある、集積回路、イメージセンサに本発明の一態様の半導体装置を
適用することができる。
【0491】
なお、
図57(A)(B)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子
機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、本発明
の一態様の表示装置、または入出力装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
【0492】
また、
図57(C)には、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示している。
【0493】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体82
03、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バ
ッテリー8206が内蔵されている。
【0494】
ケーブル8205は、バッテリー8206から本体8203に電力を供給する。本体8
203は無線受信機等を備え、受信した画像データ等の映像情報を表示部8204に表示
させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの
動きを捉え、その情報をもとに使用者の視点の座標を算出することにより、使用者の視点
を入力手段として用いることができる。
【0495】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい
。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、
使用者の視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知す
ることにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部820
1には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使
用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭
部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させて
もよい。
【0496】
本体8203の内部の集積回路に、本発明の一態様の半導体装置を適用することができ
る。
【0497】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態および実
施例と適宜組み合わせて実施することができる。
【0498】
(実施の形態16)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置を用いたRFタグの使用例につい
て
図58を用いながら説明する。
【0499】
<RFタグの使用例>
RFタグの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、
証書類(運転免許証や住民票等、
図58(A)参照)、乗り物類(自転車等、
図58(B
)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、
図58(C)参照)、記録媒体(DVDや
ビデオテープ等、
図58(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動
物類、人体、衣類、生活用品類、薬品や薬剤を含む医療品、または電子機器(液晶表示装
置、EL表示装置、テレビジョン装置、または携帯電話)等の物品、若しくは各物品に取
り付ける荷札(
図58(E)、
図58(F)参照)等に設けて使用することができる。
【0500】
本発明の一態様に係るRFタグ4000は、表面に貼る、または埋め込むことにより、
物品に固定される。例えば、本であれば紙に埋め込み、有機樹脂からなるパッケージであ
れば当該有機樹脂の内部に埋め込み、各物品に固定される。本発明の一態様に係るRFタ
グ4000は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後もその物品自体のデ
ザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、または証
書類等に本発明の一態様に係るRFタグ4000を設けることにより、認証機能を設ける
ことができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容
器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、または電子機器等に本発明の
一態様に係るRFタグを取り付けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図
ることができる。また、乗り物類であっても、本発明の一態様に係るRFタグを取り付け
ることにより、盗難などに対するセキュリティ性を高めることができる。
【0501】
以上のように、本発明の一態様に係わる半導体装置を用いたRFタグを、本実施の形態
に挙げた各用途に用いることにより、情報の書込みや読み出しを含む動作電力を低減でき
るため、最大通信距離を長くとることが可能となる。また、電力が遮断された状態であっ
ても情報を極めて長い期間保持可能であるため、書き込みや読み出しの頻度が低い用途に
も好適に用いることができる。
【0502】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態および実施例と適宜組み合わせ
ることができる。
【実施例0503】
本実施例では、本発明に係る容量素子を有する試料を作製し、該容量素子の容量を測定
した。
【0504】
試料の作製は、まず単結晶シリコンウエハ上に、熱酸化法を用いて第1の酸化シリコン
膜を400nmの膜厚で成膜した。次に、第1の酸化シリコン膜上に、スパッタリング法
を用いてタングステンシリコン合金膜を50nmの膜厚で成膜した。次に、タングステン
シリコン合金膜上に、リソグラフィー法を用いてレジストマスクを形成した。
【0505】
次に、レジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング法により、タング
ステンシリコン合金膜を加工して、タングステンシリコン合金膜を有する第1の電極を形
成した。
【0506】
次に、酸素ガスを含むプラズマ処理を行うことで、タングステンシリコン合金膜を有す
る第1の電極の表面を酸化し、タングステンシリコン合金膜を有する第1の電極の表面に
タングステンシリコン合金膜の酸化膜を成膜した。タングステンシリコン合金膜の酸化は
、高密度プラズマ源を有する装置(High Density Plasma装置)を用
いて、Arガス(流量900sccm)および酸素ガス(流量40sccm)の混合ガス
を使用し、666.65Paの圧力にて、4000Wのマイクロ波電力を印加し、温度4
00℃にて、処理時間3600secで行った。
【0507】
次に、タングステンシリコン合金膜の酸化膜上にスパッタ法を用いて、窒化タンタル膜
を30nmの膜厚で成膜し、連続してタングステン膜を170nmの膜厚で成膜した。次
に、該タングステン膜上に、リソグラフィー法を用いてレジストマスクを形成した。
【0508】
次に、レジストマスクをエッチングマスクとして、ドライエッチング法により、タング
ステン膜および窒化タンタル膜を加工して、タングステン膜および窒化タンタル膜を有す
る第2の電極を形成した。
【0509】
次に、CVD法を用いて、第2の酸化シリコン膜を300nmの膜厚で成膜した。次に
、リソグラフィー法を用いて第2のシリコン酸化膜およびタングステンシリコン合金膜の
酸化膜を通り、第1の電極に上面に達するコンタクトホールおよび第2のシリコン酸化膜
を通り、第2の電極の上面に達するコンタクトホールを形成した。
【0510】
次に、スパッタ法を用いて、チタン膜を50nmの膜厚、アルミニウム膜を200nm
の膜厚およびチタン膜を50nmの膜厚で連続成膜した。
【0511】
次に、チタン膜、アルミニウム膜およびチタン膜をリソグラフィー法を用いて加工し、
チタン膜、アルミニウム膜およびチタン膜を有する引き回し配線および測定電極を形成し
た。以上のように容量素子を作製した。
【0512】
次に、作製した容量素子の容量―電圧測定(C-V測定)を行った。測定電圧の範囲は
、-3Vから+3V、測定周波数は、1kHz、10kHzおよび100kHzとした。
大きさ380μm×110μmの設計の容量素子を測定した。C-V測定の結果を
図59
に示す。C-V測定の結果、容量素子の容量の測定値は、1.01×10
-10〔F〕で
あった。
【0513】
また、タングステンシリコン合金膜の酸化膜の膜厚を測定するために、上記試料と同じ
酸化条件で作製した試料の断面観察をSTEM(Scanning Transmiss
ion Electron Microscopy)を用いて行った。
図60にSTEM
断面像を示す。
図60より、タングステンシリコン合金膜の酸化膜の膜厚は、約14nm
であることが解った。
【0514】
次に、タングステンシリコン合金膜の酸化膜が、酸化シリコン膜であると推定して容量
値を算出した。酸化膜の容量Cox、真空中の誘電率をε0、酸化膜の比誘電率をε、酸
化膜の膜厚をtoxとすると、Cox=(ε×ε0)/toxである。酸化シリコン膜の
比誘電率ε=3.8、ε0=8.854×10-12、tox=14×10-9として算
出すると、Cox=2.4×10-3〔F/m2〕となる。
【0515】
従って、380μm×110μmの設計の容量素子の容量Cは、C=2.4×10-3
×380×10-6×110×10-6=1.00×10-10〔F〕となり、上記のC
―V測定値である、1.01×10-10〔F〕とほぼ等しい結果となった。このことか
ら、タングステンシリコン合金膜の酸化膜は、酸化シリコン膜とほぼ同じ比誘電率である
と推定される結果となった。