(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133237
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法およびプログラム ~デジタルツイン環境を支援する技術~
(51)【国際特許分類】
A63F 13/58 20140101AFI20240920BHJP
A63F 13/21 20140101ALI20240920BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20240920BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20240920BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240920BHJP
G06F 3/0487 20130101ALI20240920BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A63F13/58
A63F13/21
A63F13/79
A63F13/53
G06Q50/10
G06F3/0487
G06F3/01 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024112474
(22)【出願日】2024-07-12
(62)【分割の表示】P 2023034310の分割
【原出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(71)【出願人】
【識別番号】521286422
【氏名又は名称】株式会社知財図鑑
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】奥山 幹樹
(72)【発明者】
【氏名】荒井 亮
(72)【発明者】
【氏名】足立 章太郎
(72)【発明者】
【氏名】澤邊 元太
(72)【発明者】
【氏名】アンドラディティア・レスパティ・ダヌ
(72)【発明者】
【氏名】永井 歩
(72)【発明者】
【氏名】福島 由香
(72)【発明者】
【氏名】松岡 真吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝
(72)【発明者】
【氏名】能勢 武
(57)【要約】
【課題】より興趣性の高い体験をユーザに提供可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様によれば、少なくとも1つの装置を備える、デジタルツイン環境を支援する情報処理システムが提供される。この情報処理システムでは、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える。取得ステップでは、第1ユーザの生体に関する第1情報を継続的に取得する。決定ステップでは、第1情報に基づいて推定される第1ユーザの健康状態に対応するように、第1ユーザに関連付けられたアバターの状態を決定する。アバターは、仮想空間でのイベントにおいて活動するキャラクタとして使用される。アバターの状態は、イベント中に、第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される第1情報に応じて逐次変化可能に構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの装置を備える、デジタルツイン環境を支援する情報処理システムであって、
次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備え、
取得ステップでは、第1ユーザの生体に関する第1情報を継続的に取得し、
決定ステップでは、前記第1情報に基づいて推定される前記第1ユーザの健康状態に対応するように、前記第1ユーザに関連付けられたアバターの状態を決定し、ここで
前記アバターは、仮想空間でのイベントにおいて活動するキャラクタとして使用され、
前記アバターの状態は、前記イベント中に、前記第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される前記第1情報に応じて逐次変化可能に構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム、特に『デジタルツイン環境を支援する技術』に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが良い睡眠習慣を送ることで仮想生命体を育成し、ユーザに仮想生命体の育成を楽しみながら、良い睡眠習慣を送ることへのモチベーションを維持させるゲームサーバが開示されている。
【0003】
このゲームサーバは、仮想生命体の育成ゲームの進行を管理し、ユーザの就寝時間および起床時間を示す睡眠パターンを少なくとも含む睡眠情報を取得する取得部と、取得した睡眠情報を睡眠履歴として記憶する睡眠履歴記憶部と、睡眠履歴の睡眠パターンに基づいて、育成ゲームに関する処理を実行する処理部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記公知技術に係る機能には、未だ改善の余地がある。
【0006】
本開示では上記事情に鑑み、より興趣性の高い体験をユーザに提供可能な技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、少なくとも1つの装置を備える、デジタルツイン環境を支援する情報処理システムが提供される。この情報処理システムでは、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える。取得ステップでは、第1ユーザの生体に関する第1情報を継続的に取得する。決定ステップでは、第1情報に基づいて推定される第1ユーザの健康状態に対応するように、第1ユーザに関連付けられたアバターの状態を決定する。アバターは、仮想空間でのイベントにおいて活動するキャラクタとして使用される。アバターの状態は、イベント中に、第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される第1情報に応じて逐次変化可能に構成される。
【0008】
本開示によれば、より興趣性の高い体験をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る第1情報処理装置2aの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。
【
図4】第2情報処理装置2bにより提供される仮想空間VS内で活動するアバターABの一例を示す概要図である。
【
図5】第1ユーザがゲーム画面5a(ゲーム画面5の一例)を介してイベントの参加申請を行う態様を示す概要図である。
【
図6】対戦型ゲームイベントにおいて使用されるトーナメントTの一例を示している。
【
図7】対戦型ゲームイベントに参加申請した第1ユーザの自分自身の基本能力値S0を視認可能なゲーム画面5b(ゲーム画面5の他の一例)の概要図である。
【
図8】対戦型ゲームイベントに参加申請した第1ユーザの自分自身の基本能力値S0を視認可能なゲーム画面5b(ゲーム画面5の他の一例)の概要図である。
【
図9】対戦型ゲームイベントに参加申請した第1ユーザの自分自身の基本能力値S0を視認可能なゲーム画面5b(ゲーム画面5の他の一例)の概要図である。
【
図10】対戦型ゲームイベントに参加申請した第1ユーザの自分自身の基本能力値S0を視認可能なゲーム画面5b(ゲーム画面5の他の一例)の概要図である。
【
図11】対戦型ゲームイベントに参加申請した第1ユーザの自分自身の基本能力値S0を視認可能なゲーム画面5b(ゲーム画面5の他の一例)の概要図である。
【
図12】第2ユーザを介した社会貢献または支援に関する情報処理を説明するためのアクティビティ図である。
【
図13】第2ユーザが作成したアドバイスADを含む画面6の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0011】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0012】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0013】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0014】
1.ゲームの説明
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成を示すブロック図である。
図1に示す情報処理システム1では、複数の情報処理装置2および複数の端末3が通信ネットワーク11を介して互いに通信可能に接続され、端末3のうち、特にゲーム端末3aにおいてゲームが実行される。すなわち、情報処理システム1は、少なくとも1つの装置からなる。
【0015】
本実施形態に係るゲームは、情報処理システム1にて実行されるオンラインのゲームである。このゲームでは、端末3のユーザ、特にゲーム端末3aを使用する第1ユーザは、1または複数のプレイヤキャラクタを仮想ゲーム空間で活動させたり、プレイヤキャラクタを、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと対戦させたりする。また、キャラクタは、オブジェクトの一例である。
【0016】
上記のようなゲームは、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器であるゲーム端末3aを用いて実行される。
【0017】
2.情報処理システム1の概要
図1に示されるように、情報処理システム1は、複数の情報処理装置2(特に第1情報処理装置2aを含む)および複数の端末3(特にゲーム端末3aを含む)にて構成される。複数の情報処理装置2のうち、第1情報処理装置2aは、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム端末3aの(下記のアカウント情報ごとの)ゲームデータの管理を行う。情報処理装置2は、例えばサーバにより構成される。複数の端末3のうち、特にゲームをプレイするためのゲーム端末3aそれぞれは、互いに同じ構成を有する。なお、本実施形態において、システムとは、1つまたはそれ以上の装置または構成要素からなるものである。したがって、例えば後述の情報処理装置2や端末3単体であっても情報処理システム1の一例となりうる。
【0018】
ゲーム端末3aは、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム端末3aは、通信ネットワーク11を介して、第1情報処理装置2aからゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。各ユーザには、ゲーム端末3aに対応づけて、識別情報およびパスワードを含むアカウント情報が、ユーザごとに割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時、ゲーム端末3aから第1情報処理装置2aに送信され、第1情報処理装置2aにおけるユーザ認証に利用される。
【0019】
ユーザ認証を経て、第1情報処理装置2aとゲーム端末3aとの相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム端末3aは、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)を第1情報処理装置2aから受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をディスプレイ4aおよびスピーカ4bに出力しながら、ゲームを進行させる。
【0020】
2.1 ハードウェア構成
以下、
図1を参照して、情報処理システム1の各ハードウェア構成について説明する。
【0021】
<情報処理装置2>
図1に示されるように、情報処理装置2は、主にゲームを制作する者によって管理される第1情報処理装置2aと、主にデジタルツイン環境(オープン環境またはクローズド環境を含む仮想空間VS)を提供する者によって管理される第2情報処理装置2bとを備え、何れも略同様の構成を有する。換言すると、第1情報処理装置2aはゲームサーバであり、第2情報処理装置2bは仮想空間VSを管理するサーバである。情報処理装置2は、通信部21、記憶部22および制御部23を有する。通信部21および記憶部22は、通信バス20を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0022】
通信部21は、インターネットおよびLAN等の通信ネットワーク11を介して各ゲーム端末3a等の端末3と通信可能に接続される、いわゆるネットワークインターフェースである。情報処理装置2のうち第1情報処理装置2aが通信部21を介して受信する主な情報としては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、クエスト実行要求、オートプレイの実行/終了の要求、アカウント情報、ゲームデータ等が挙げられる。第1情報処理装置2aが通信部21を介して送信する主な情報としては、ゲームプログラムをゲーム端末3aが受信したことを確認するための情報、ガチャにて得られたゲーム媒体に関する情報等が挙げられる。
【0023】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)等で構成される。記憶部22には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムやゲームに関する各種データ等が記憶されている。
【0024】
具体的には例えば、第1情報処理装置2aの記憶部22は、ユーザDBや抽選リスト等を記憶している。ユーザDBには、ゲームをプレイするユーザの識別番号(アカウント情報)ごとに、ユーザ名、ユーザランク、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに関するステータス等の情報、仮想ゲーム空間内にて使用可能な消費媒体の額、パラメータに関する情報等が、対応付けられて記憶されている。抽選リストは、一般にガチャと呼ばれる抽選処理に用いるものであって、選択対象となるゲーム媒体に関する情報を複数含む。抽選リストには、ゲーム媒体に関する情報(名称、能力パラメータ、レアリティ、レベル等)と、抽選による選択割合とが、対応づけられている。また能力パラメータとは、例えば、ゲーム媒体がプレイヤキャラクタの場合、戦力、HP、攻撃力、防御力、賢さ、または速さ等を含む。
【0025】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置である情報処理装置2の動作を制御する。特に、制御部23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、自装置である情報処理装置2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、後述の各機能部が実行されうる。なお、制御部23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。換言すると、情報処理システム1は、制御部23に例示されるように、後述の各部が機能するようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える。
【0026】
制御部23によって実行される情報処理として、例えば、課金の決済処理、ユーザアカウントの認証処理、ガチャの抽選選択処理等が挙げられる。課金の決済処理は、例えばゲーム中のパラメータを所定量回復するために必要な課金の要求に基づいて実行される。ユーザアカウントの認証処理は、例えばゲーム端末3aから受信したユーザの識別情報を用いて実行される。ガチャの抽選選択処理は、ガチャの抽選要求に伴って、抽選リストの中から、ゲーム媒体ごとの選択確率に基づいて1以上のゲーム媒体を抽選により選択する処理である。ガチャの抽選選択処理によれば、選択したゲーム媒体に関する情報と、抽選要求の送信元となる操作を行ったユーザの識別情報とが、ユーザDBにて関連付けられ、これにより、当該ユーザには、自身でガチャを引いた結果当選したゲーム媒体が付与される。
【0027】
ここで、上記をさらに補足すると、「ゲーム媒体」とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、プレイヤキャラクタとして使用するキャラクタの名称、プレイヤキャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(武器、防具、道具)等が含まれる。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による直接購入やクエストクリアの他、ガチャと呼ばれる抽選方法によって入手することができる。入手したゲーム媒体は、そのゲーム媒体を所有することとなったユーザの識別情報と対応づけて、ユーザDBに記憶され管理される。さらに、「ガチャ」とは、情報処理装置2にて、抽選リストの中から、所定の選択割合に基づき任意のゲーム媒体を抽選により選択する方法である。選択された任意のゲーム媒体は、ユーザのゲーム端末3aに付与される(アカウント情報に対応付けて記憶される)。「ガチャで選択したゲーム媒体を、ユーザに付与する/ユーザが所有する」とは、「抽選処理で選択されたゲーム媒体を、ユーザを示す識別情報と関連づける/関連づけられている」ことと同義である。
【0028】
<端末3>
図1に示されるように、端末3は、第1ユーザがゲームをプレイする際に使用するゲーム端末3aと、同じく第1ユーザが身体に身につけているウェアラブル端末3bと、第1ユーザとは異なる第2ユーザが使用するサードパーティ端末3cとを備える。以下、端末3として共通する構成について説明する。端末3には、ディスプレイ4a、スピーカ4bおよび入力デバイス4cが外部接続または内蔵される。また、端末3は、通信部31、記憶部32、制御部33、グラフィック処理部34a、オーディオ処理部34bおよび操作部34cを有する。通信部31、記憶部32、グラフィック処理部34a、オーディオ処理部34bおよび操作部34cは、通信バス30を介して制御部33と電気的に接続されている。
【0029】
通信部31は、端末3と情報処理装置2との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク11に通信可能に接続される、いわゆるネットワークインターフェースである。端末3のうち特にゲーム端末3aが通信部31を介して受信する主な情報としては、アカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報、ガチャ実行要求、クエスト実行要求等が挙げられる。端末3のうち特にゲーム端末3aが通信部31を介して送信する主な情報としては、ダウンロード要求情報に応じて情報処理装置2から送られてきた新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたゲーム媒体に関する情報等が挙げられる。
【0030】
記憶部32は、HDD、SSD、RAMおよびROM等で構成される。記憶部32には、第1情報処理装置2aからダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、自装置であるゲーム端末3aのアカウント情報、ユーザ情報等が格納されている。なお、ユーザ情報は、第1情報処理装置2aの記憶部22で記憶するユーザDBの少なくとも一部の情報である。ユーザDBでユーザ情報のマスタを管理し、ゲーム端末3aの記憶部32は、このマスタの少なくとも一部の情報が第1情報処理装置2aから配信され、これを記憶する。
【0031】
制御部33は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置であるゲーム端末3aの動作を制御する。特に、制御部33は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、自装置であるゲーム端末3aに係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部32に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部33によって具体的に実現されることで、後述の各機能部が実行されうる。なお、制御部33は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部33を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0032】
特に、制御部33は、自装置であるゲーム端末3aのユーザによる入力デバイス4cの操作に従って、ゲームを実行するように構成される。具体的には、制御部33は、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャ等のデータを記憶部32から読み出すか、または第1情報処理装置2aから受信したデータを用いて、2次元または3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部34aによって処理されることにより、ディスプレイ4aには処理後のゲーム画像が逐次表示される。換言すると、制御部33は、ゲームの実行にあたり、自装置であるゲーム端末3aのユーザの操作等に応じてディスプレイ4aの表示制御およびスピーカ4bの音声出力制御を行うように構成される。
【0033】
グラフィック処理部34aは、制御部33から出力されるゲーム画像情報に従って、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部34aは、例えば液晶型であるディスプレイ4aと接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ4a上に表示される。オーディオ処理部34bは、スピーカ4bと接続され、制御部33の指示に従ってゲーム音声を再生および合成すると、これをスピーカ4bから出力させる。操作部34cは、入力デバイス4cと接続され、操作入力に関するデータを入力デバイス4cとの間で送受信する。ユーザは、入力デバイス4cを操作することで、ゲーム端末3aに操作信号を入力する。なお、入力デバイス4cは、ディスプレイ4aと一体化されたタッチパネル、外付けのゲームパッド、マウスやキーボード等の総称である。
【0034】
ところで、端末3のうちウェアラブル端末3bは、第1ユーザによって身につけられ、不図示のセンサを介して、第1ユーザの生体に関する情報である第1情報IF1を継続的に計測可能に構成されている。不図示のセンサは、温度センサ、赤外線センサ、光センサ、圧力センサ、電位センサ、化学センサ等を含みうる。第1情報IF1の詳細については後に詳述する。なお、ウェアラブル端末3bには、例えば、スマートウォッチ、スマートリング、スマートグラス、スマートイヤホン等が含まれうる。
【0035】
2.2 機能構成
続いて、
図2を参照して、情報処理システム1の第1情報処理装置2aにおける各機能構成について説明する。
【0036】
図2は、本実施形態に係る第1情報処理装置2aの機能構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、制御部23(プロセッサ)は、記憶部22に記憶された各種プログラムを実行することにより、演算処理部230、受付部231、取得部232、イベント制御部233、決定部234、補正部235、制限部236、特定部237、表示制御部238および送信部239として機能する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部23によって具体的に実現されることで、制御部23に含まれる各機能部として実行されうる。
【0037】
演算処理部230は、演算処理ステップとして、第1情報処理装置2aに係る種々の情報処理演算を実行するように構成される。
【0038】
受付部231は、受付ステップとして、種々の情報を受け付けるように構成される。一例として、受付部231は、ユーザのアカウント情報、ゲームデータ、ユーザからの入力等を、記憶部22、ゲーム端末3a、または他の外部装置から受け付ける。本実施形態では、受付部231が受け付けた種々の情報は、記憶部22に記憶されるものとして説明する。
【0039】
取得部232は、取得ステップとして、種々の情報を取得するように構成される。好ましくは、取得部232は、第1ユーザの生体に関する第1情報IF1を継続的に取得する。詳細は後述する。
【0040】
イベント制御部233は、イベント制御ステップとして、種々のイベントの進行を制御するように構成される。ここでのイベントには、少なくともゲームイベントが含まれる。詳細は後述する。
【0041】
決定部234は、決定ステップとして、種々の事項を決定するように構成される。好ましくは、決定部234は、第1情報IF1に基づいて推定される第1ユーザの健康状態に対応するように、第1ユーザに関連付けられたアバターABの状態Sを決定する。詳細は後述する。
【0042】
補正部235は、補正ステップとして、種々の入力または制御を補正するように構成される。好ましくは、補正部235は、プレイヤキャラクタが状態異常を有する場合に、プレイヤキャラクタの操作の少なくとも一部が指示入力の通りに実行されないように、指示入力に基づくプレイヤキャラクタの制御を補正する。詳細は後述する。
【0043】
制限部236は、制限ステップとして、種々の情報処理を制限するように構成される。好ましくは、制限部236は、アバターABの状態Sが予め定められた基準状態以下である場合、第1ユーザの仮想空間VSでの活動を制限する処理を実行する。詳細は後述する。
【0044】
特定部237は、特定ステップとして、種々の情報を特定するように構成される。好ましくは、特定部237は、第1ユーザのうち、推定される健康状態が所定条件を満たす注目ユーザを特定する。詳細は後述する。
【0045】
表示制御部238は、表示ステップとして、記憶部32に記憶された種々の情報またはこれらを含む画面等を、視認可能な態様でゲーム端末3aのディスプレイ4aに表示させるための処理を実行するように構成される。一例として、表示制御部238は、画面、画像(例えば、静止画または動画)、アイコン、テキスト等といった、ヒトが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものを生成してもよいし、例えばディスプレイ4aに視覚情報を表示させるためのレンダリング情報を生成し、これを送信するようにしてもよい。
【0046】
送信部239は、送信ステップとして、種々の情報を送信するように構成される。好ましくは、送信部239は、推定される健康状態を、第1ユーザとは異なる第2ユーザに送信し、これにより、第2ユーザによる第1ユーザの健康状態に対するアドバイスADを第1ユーザに提示可能とする。詳細は後述する。
【0047】
3.情報処理の概要
図3は、情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示すアクティビティ図である。以下、このアクティビティ図に沿って、情報処理の流れを概説する。
【0048】
本実施形態に係る情報処理システム1は、少なくとも1つの装置を備える、デジタルツイン環境を支援する情報処理システム1である。また、前述のハードウェア構成において既述の通り、第1情報処理装置2aはゲームサーバであり、第2情報処理装置2bは仮想空間VSを提供するサーバであるとする。また、仮想空間VSは、現実空間を再現したデジタルツイン環境であるとする。例えば、現実空間の東京には、東京駅、東京スカイツリー、浅草寺、六本木ヒルズ、特許庁、弁理士会館等が実存するが、デジタルツイン環境を実現した仮想空間VSにも、同様にこれらのデジタルツインと呼ばれる場所が存在する。また、主たるユーザである第1ユーザは、常日頃からウェアラブル端末3bを装着しているとともに、ゲーム端末3aを用いてアバターABを仮想空間VS内で操作する者であるとする。また、第1情報IF1には、バイタル情報(生体情報)、生体電位および化学物質に関する情報が少なくとも含まれ、より詳細には、第1情報IF1は、第1ユーザの生体に関する情報である。具体的には例えば、睡眠の質および量を定量化した睡眠スコア、血圧、脈拍、心拍数、血中酸素濃度、呼吸数、体温、心電図、脳波、血糖、アルコール、乳酸、意識レベル、歩行数、歩行距離、運動量、これらの情報の少なくとも1つから求められる生体スコア等が第1情報IF1に含まれうる。
【0049】
まず、第1ユーザが装着しているウェアラブル端末3bが備える不図示のセンサは、第1ユーザの第1情報IF1を取得する(アクティビティA101)。続いて、ウェアラブル端末3bにおける制御部33は、第1ユーザが仮想空間VSにおいて開催されるイベントに参加申請をしているか否かを判定する(アクティビティA102)。参加申請の是非は、例えば、制御部33がウェアラブル端末3bにおける記憶部32を参照することで把握可能である。ここで第1ユーザがイベントの参加申請をしていた場合には、第1ユーザの第1情報IF1が、通信ネットワーク11を介して第1情報処理装置2aに共有される(アクティビティA103)。
【0050】
なお、図示の通り、参加申請がされているか否かに関わらず、ウェアラブル端末3bは、その後も定常的に第1ユーザの第1情報IF1を取得している。特に参加申請がされている場合は、第1ユーザの第1情報IF1が定常的に第1情報処理装置2aに共有されることとなる。第1ユーザは複数いるため(アカウントが複数あるため)、第1情報処理装置2aは、第1情報IF1それぞれを、記憶部22に記憶させて第1ユーザ(アカウント情報)ごとに管理している(アクティビティA104)。換言すると、第1情報処理装置2aにおける取得部232は、第1ユーザの生体に関する第1情報IF1を継続的に取得する。
【0051】
続いて、第1情報処理装置2aにおける決定部234は、第1情報IF1に基づいて推定される第1ユーザの健康状態に対応するように、アバターABの基本能力値S0を決定する(アクティビティA105)。アバターABには、キャラクタとしての基本能力値S0が関連付けられている。アバターABの基本能力値S0には、例えば、キャラクタとしてのレベル、HP、MP、攻撃力、防御力、魔力、状態異常、スキル、所有アイテム、外観表示等が含まれうる。第1情報IF1に基づき第1ユーザが健康な状態であれば、そのような健康な状態に対応する良好な基本能力値S0が決定されるとよい。あるいは、第1情報IF1に基づき第1ユーザが不健康な状態であれば、そのような不健康な状態に対応する不良な基本能力値S0が決定されるとよい。
【0052】
すなわち、アバターABに関連付けられた基本能力値S0とは、アバターABの状態Sの一例であるといえる。換言すると、第1情報処理装置2aにおける決定部234は、第1情報IF1に基づいて推定される第1ユーザの健康状態に対応するように、第1ユーザに関連付けられたアバターABの状態Sを決定する。定常的に更新されている第1情報IF1に応じて、アバターABの状態Sの一例である基本能力値S0も逐次更新されることとなる。なお、前述した、第1ユーザが参加申請をするイベントには、参加資格として、アバターABの状態Sに関する基準値、好ましくは基本能力値S0の基準値が設定されているとする。また、参加したイベントにおいて自身のアバターABの外観および状態Sの一部は、他人に見られることになる。したがって、第1ユーザは、イベントに参加すべく、日頃から良い第1情報IF1が得られるように健康的な生活を意識することとなる。
【0053】
続いて、アクティビティA104~A105に係る情報処理と並行して、第1ユーザは、ゲーム端末3aを用いて、第2情報処理装置2bにより提供される仮想空間VS内でアバターABを操作しようとしている。換言すると、アバターABは、第1ユーザから受け付けた指示入力により制御されるプレイヤキャラクタである。第1情報処理装置2aにおける受付部231は、通信ネットワーク11を介して、ゲーム端末3aよりアバターABの操作入力を受け付ける(アクティビティA106)。
【0054】
続いて、第1情報処理装置2aにおける演算処理部230は、第1ユーザのアバターABが状態異常を有するか否かを判定する処理を実行する(アクティビティA107)。状態異常は、基本能力値S0に含まれる1つのパラメータによって規定され、毒、麻痺、眠り、呪い、混乱、風邪、怪我、病気等を含みうる。換言すると、基本能力値S0は、プレイヤキャラクタの状態異常を規定するパラメータを含む。
【0055】
ここで、状態異常を有すると判定された場合は、第1情報処理装置2aにおける補正部235は、アクティビティA106において入力された操作入力を補正する(アクティビティA108)。これにより、アバターABは、第1ユーザが意図した動作とは異なる動作をすることとなる。すなわち操作入力の補正は、アバターABの制御の補正ともいえる。つまり、補正部235は、プレイヤキャラクタが状態異常を有する場合に、プレイヤキャラクタの操作の少なくとも一部が指示入力の通りに実行されないように、指示入力に基づくプレイヤキャラクタの制御を補正する。もちろん、状態異常を有しない場合は、かかる補正は実行されない。なお、状態異常を有する場合には、操作入力の一部が補正されるだけでなく、他の能力値S0、例えば、HPの最大値、攻撃力、魔力等が補正されてもよい。
【0056】
続いて、アクティビティA106~A108の情報処理に基づき、アバターABが仮想空間VS内で制御される(アクティビティA109)。かかる制御は、仮想空間VS内での歩行、走行、ジャンプ、ワープ等を含みうる。仮に操作入力の補正(アクティビティA107参照)がなされている場合には、例えば、第1ユーザがアバターABを所定方向に歩行させようとしても、その所定方向とは異なる方向に歩き出す、左右にふらつく、途中で停止してしまう等の、第1ユーザが意図しない制御結果が得られる。その他、操作入力の上下左右が反転してアバターABの制御に反映されたり、アバターABのモーションデータを通常状態(状態異常ではない状態)と異ならせたりする。例えば、プレイ中にあくびをするモーションデータを再生し、再生中にはユーザの操作入力を受け付けないように(反映させないように補正)してもよい。
【0057】
続いて、第1ユーザは、事前に参加申請をした、仮想空間VS内で開催されるイベントへの参加に必要な操作を入力する(参加要求を送信する)。これにあたり、第1情報処理装置2aにおける演算処理部230は、アバターABの基本能力値S0のうちの少なくとも1つが基準値以上か否かを判定する処理を実行する(アクティビティA107)。
【0058】
基本能力値S0が基準値以上の場合に、第1情報処理装置2aにおける決定部234は、第1ユーザのイベントへの参加を決定するとともに、そのイベントでの第1ユーザに関連付けられる条件等を決定する(アクティビティA111)。すなわち、第1情報処理装置2aにおける記憶部22に、許可および条件等に関する情報が第1ユーザに関連付けられて記憶される。かかる条件等については、後にさらに詳述する。換言すると、第1情報処理装置2aにおける決定部234は、アバターABの状態Sに基づいて、第1ユーザのイベントへの参加の可否をさらに決定する。このような態様によれば、イベントへの参加をモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。その後、第1ユーザは、アクティビティA111において関連付けられた条件等の下、イベントに参加することができる(アクティビティA112)。換言すると、第1情報処理装置2aにおけるイベント制御部233は、仮想空間VS内で開催されるイベントの進行を制御する。このような態様によれば、より興趣性の高いイベントを直接第1ユーザに提供することができる。イベントの内容については、別途例示する。
【0059】
一方、アクティビティA110における判定において、基本能力値S0が基準値未満である場合は、イベントへの参加資格を満たしておらず、参加することができない。すなわち、第1情報処理装置2aにおける制限部236は、第1ユーザのイベントへの参加を不許可とする処理を実行する(アクティビティA113)。すなわち、第1情報処理装置2aにおける記憶部22に、イベントに参加不能な旨の情報が第1ユーザに関連付けられて記憶される。換言すると、第1情報処理装置2aにおける制限部236は、基本能力値S0に例示されるアバターABの状態Sが予め定められた基準状態以下である場合、第1ユーザの仮想空間VSでの活動を制限する処理を実行する。このような態様によれば、仮想空間VSでの活動制限を受けたくないという気持ちをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0060】
なお、アクティビティA110における判定に関して、基準値以上か未満かに変えて基準値を超えるか基準値以下かとしてもよい。
【0061】
このように、第1ユーザが操作するアバターABは、仮想空間VSでのイベントにおいて活動するキャラクタとして使用される。そして、アクティビティA104およびA105における情報処理が繰り返されることで、基本能力値S0に例示されるアバターABの状態Sは、イベント中に、第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される第1情報IF1に応じて逐次変化可能に構成されるとよい。基本能力値S0が可変する態様については、別途例示する。
【0062】
以上をまとめると、本実施形態に係る情報処理方法は、デジタルツイン環境を支援する情報処理方法であり、次の各ステップを備える。取得ステップでは、第1ユーザの生体に関する第1情報IF1を継続的に取得する。決定ステップでは、第1情報IF1に基づいて推定される第1ユーザの健康状態に対応するように、第1ユーザに関連付けられたアバターABの状態Sを決定する。アバターABは、仮想空間VSでのイベントにおいて活動するキャラクタとして使用される。アバターABの状態Sは、イベント中に、第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される第1情報IF1に応じて逐次変化可能に構成される。また、デジタルツイン環境を支援するプログラムとして、少なくとも1つのコンピュータに、上記各ステップを実行させるプログラムが提供されてもよい。このような態様によれば、より興趣性の高い体験を第1ユーザに提供することができる。
【0063】
特に、アクティビティA108として例示された、状態異常に基づくアバターABの制御補正を導入することで、プレイヤキャラクタであるアバターABが指示通りに操作されることをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0064】
なお、
図3においては不図示であるが、好ましくは、取得部232は、第1ユーザの生体に関する第1情報IF1だけでなく、第1ユーザの身体または生活習慣に関する第2情報IF2を取得してもよい。第2情報IF2は、ゲーム端末3aまたはウェアラブル端末3bから通信ネットワーク11を介して第1情報処理装置2aに共有されるとよい。第2情報IF2は、例えば、身長、体重、腹囲、胸囲、筋肉量、体脂肪、骨密度等の身体に関する情報と、運動、食事、排便、歩数、歩いた距離、消費カロリー、スマートフォンを閲覧していた総時間等の生活習慣に関する情報とが含まれうる。第2情報IF2は、第1情報IF1のように自動的に取得された情報とは限らず、第1ユーザによって手動で入力された情報であってもよい。すなわち、アバターABの状態Sが、第1情報IF1だけでなく第2情報IF2にも影響を受けて決定されることとなる。換言すると、決定部234は、第1ユーザの身体または生活習慣に関する第2情報IF2にさらに基づいて、アバターABの状態Sを決定してもよい。このような態様によれば、より高い精度で第1ユーザの健康状態に応じたアバターABの状態Sを提供することができる。
【0065】
また、好ましくは、第1情報処理装置2aは、ゲームイベントにおけるアバターABの育成とは別異に、ウェアラブル端末3bから送信される第1ユーザの第1情報IF1等を常に受信することもできる。このような第1情報IF1を蓄積することで、健康状態等が好ましくない少なくとも1人の第1ユーザ(注目ユーザと称する)を特定することもできる。さらに、このような注目ユーザの第1情報IF1等が、サードパーティ端末3cを管理する第2ユーザに送信されてもよい。これらについては、後にさらに詳述する。
【0066】
4.情報処理の詳細
本節では、前節で概説した情報処理の詳細部分を、別図等を用いて説明する。
【0067】
4.1 アバターAB
図4は、第2情報処理装置2bにより提供される仮想空間VS内で活動するアバターABの一例を示す概要図である。好ましくは、アバターABは、デジタルツイン環境においては、第1ユーザの自分自身の容姿を模した外観表示を有する。一方、第1ユーザは、アバターABであるからこそ性別、国籍、年齢等も関係なくなりたい姿になることができ、現実にはあまり着ることのないファッション等を仮想空間VS内において楽しむことも可能である。また、アバターABは人だけに限らず動物やロボット等色々な外観(属性)のアバターABを選択することができる。アバターABの外観は、ユーザ操作に応じてカスタマイズできてもよいし、予め用意されたアバターから任意のものを選択可能としてもよい。なお、アバターABは、アニメやゲームのキャラクタを模したものであってもよいし、芸能人やスポーツ選手等の有名人を模したものであってもよい。このような態様によれば、第1ユーザが推している有名人アバターABの状態を良くしようというモチベーションを与えることができる。例えば、
図4に示されるアバターAB1,AB2は、所定のユーザ(例えば30代の男性)が普段現実にはほとんど着る機会がない、レトロできらびやかなドレス(仮想オブジェクト)に身を包んでいる。
【0068】
複数の第1ユーザどうしは、自身のアバターABを介して、仮想空間VS内で互いにコミュニケーションをとることができる。例えば、
図4に示されるように、必要に応じて自身のユーザIDをアバターABの上方に表示させてもよい。アバターAB1の上方領域VS1には「Suzu」というユーザIDが表示されている。アバターAB2の上方領域VS2には、「Ai」というユーザIDが表示されている。換言すると、第1情報処理装置2aにおける表示制御部238は、第1ユーザそれぞれの所有するゲーム端末3aのディスプレイ4aに、仮想空間VS内での、第1ユーザそれぞれのアバターABとユーザIDとを表示させている。以後、ユーザIDが「Ai」である第1ユーザの、アバターAB2を取り上げて説明を続ける。
【0069】
4.2 仮想空間VS内でのイベント
図5は、第1ユーザがゲーム画面5a(ゲーム画面5の一例)を介してイベントの参加申請を行う態様を示す概要図である。ゲーム画面5aは、予め定められたURLに第1ユーザがアクセスすることで表示されてもよいし、仮想空間VS内において、UIとして合成表示される仮想ボタンを選択することで表示されてもよいし、第1ユーザがアバターAB2を介して所定の動作を行うことで表示されてもよい。所定の動作とは、例えば、仮想空間VS内で表示可能な不図示のユーザインタフェースの画面を遷移することでもよいし、当該イベントを開催している会社の仮想空間VSにおいて、運営スタッフのアバターABに話しかけることでもよい。
【0070】
具体的には、ゲーム画面5aは、領域501~505と、ボタン506とを含んでいる。領域501には、ユーザIDとして「Ai」という文字が描画されている。領域502には、AiのアバターAB2が描画されている。なお、領域502に描画されているアバターAB2は、
図4に示されるアバターAB2とは同一のアバターABであるものの、ここでは異なる衣装オブジェクトを着せられている。領域502によって、第1ユーザは、アバターAB2の外観表示を視認することができる。領域503には、イベントの名称として「カプカプクエストバトル~君の育てたキャラでトーナメントバトルに参加!~」という文字が描画されている。領域504には、イベント日時として「2023/04/27」という文字が描画されている。
【0071】
さらに、領域505には、チェックボックス505aとともに「あなたの生体情報を共有することに同意します」という文字が描画されている。生体情報は、第1情報IF1の慣用表現の一例であり、これに限定されるものではない。チェックボックス505aは、第1ユーザによってチェックのオンオフを選択可能に構成されている。ボタン506には、「申し込む」という文字が描画されており、チェックボックス505aにチェックが入った状態で、第1ユーザがボタン506を押下することで、イベントへの参加申請がなされる。すなわち、第1情報処理装置2aにおける演算処理部230は、第1ユーザが参加申請をした旨の情報を記憶部22に記憶させる。
【0072】
領域503に描画されている「カプカプクエストバトル」は、各第1ユーザが育てたアバターABをプレイヤキャラクタとして、互いに対戦させる対戦型ゲームイベントである。
図6は、対戦型ゲームイベントにおいて使用されるトーナメントTの一例を示している。かかるトーナメントTでは、参加申請を行った第1ユーザのうち基本能力値S0の基準値を満たす者が対戦の舞台に登場する。例えば、レベル25以上のアバターABを操作する10名の第1ユーザが許可されたとする。つまり、基本能力値S0の基準値の一例がレベル25である。トーナメントTを構成する座席は、シード席T1と、通常席T2とからなる。シード席T1は、図中の○で囲まれた1および10の座席であり、シード席T1から出場する者は、ベスト4入りが確定している。通常席T2は、図中の○で囲まれた2~8の座席である。
【0073】
もちろん、10名という人数はあくまでも一例であり、人数は、20名でも100名でもよい。レベル25という基準値はあくまでも一例であり、基準値は、レベル20でもレベル30でもよいし、レベル以外のパラメータとして、HPの最大値、MPの最大値、攻撃力、防御力、魔力、外観表示に基づく美しさ(衣装オブジェクトに基づくスコア)やドレスコード(特定の衣装オブジェクトを身に着けていること)等があってもよい。また、トーナメントTの開催形式として、複数の予選トーナメントとその後に続く決勝トーナメントとが開催されてもよい。あるいは、総当たり戦や団体戦が開催されてもよい。
【0074】
4.3 基本能力値S0の具体例
図7~
図11は、対戦型ゲームイベントに参加申請した第1ユーザの自分自身の基本能力値S0を視認可能なゲーム画面5b(ゲーム画面5の他の一例)の概要図である。
図7~
図11に示されるように、ゲーム画面5bは、領域501,502と、領域507~515とを含んでいる。領域501には、ユーザIDとして「Ai」という文字が描画されている。領域502には、AiのアバターAB2が描画されている。領域502によって、第1ユーザは、アバターAB2の外観表示を視認することができる。
【0075】
続いて、
図7を例に取り、領域507~515を説明する。領域507には、条件として「通常席から」という文字が描画されている。条件とは、
図3のアクティビティA111として前述した、条件等の一例であり、
図6に示されるトーナメントTの通常席T2を意味している。すなわち、
図7に示される場合には、ユーザIDがAiである第1ユーザは、通常席T2に含まれる何れかの座席からゲームイベントに出場することとなる。
【0076】
さらに、領域508には、プレイヤキャラクタとしての「レベル」が描画されており、ここでは「28」である。領域509には、プレイヤキャラクタとしての「HP」が描画されており、ここではHPの最大値が「255」であり、現在のHPが「155」である。領域510には、プレイヤキャラクタとしての「MP」が描画されており、ここではMPの最大値が「144」であり、現在のMPが「88」である。領域511には、プレイヤキャラクタとしての「攻撃力」が描画されており、ここでは「203」である。領域512には、プレイヤキャラクタとしての「防御力」が描画されており、ここでは「125」である。領域513には、プレイヤキャラクタとしての「魔力」が描画されており、ここでは「110」である。領域514には、プレイヤキャラクタとしての「状態」が描画されており、ここでは「正常」である。なお、ここでの「状態」は、前述した状態異常か否かを示すパラメータの一例である。領域515には、イベントに関するコメントとして、「イベントを楽しみましょう」という文字が描画されている。
【0077】
なお、領域508~514に示されたレベル、HP、MP、攻撃力、防御力、魔力および状態と、領域502に示されるアバターAB2の外観表示とは、基本能力値S0の一例である。換言すると、基本能力値S0は、アバターABの外観表示を規定するパラメータを含む。前述の通り、基本能力値S0は、第1ユーザが装着しているウェアラブル端末3bから取得された第1情報IF1に基づいて決定されており、健康状態が良好であるほどより高い基本能力値S0を得ることができる。例えば、基本能力値S0は、第1情報IF1の中でも特に、睡眠の量および質を定量的に表した睡眠スコアに影響する。かかる場合、参加申請直後からイベント当日までの睡眠スコアの累積によって、基本能力値S0が決定される。
【0078】
例えば、
図7における基本能力値S0を基準として、より高い睡眠スコアが累積された場合には、
図8に示されるように、
図7に示される場合よりも、高い基本能力値S0が設定されうる。具体的には、
図8の、領域508~513に示されたレベル、HP、MP、攻撃力、防御力および魔力は、
図7の、領域508~513に示されたレベル、HP、MP、攻撃力、防御力および魔力よりも何れも高い数値を有している。また、
図8の領域507に示される条件は、「シード席から」となっており、第1ユーザは、健康状態を良好にすることで、ゲームイベントをより有利に進行させることができる。また、この際の領域515に示されるコメントは、「ここ数日睡眠スコアが素晴らしく基本能力値が高くなりました」とあり、基本能力値S0が通常想定される水準よりも高い結果となっていることを、第1ユーザが把握可能に構成されている。さらに、かかる基本能力値S0に応じてアバターAB2の外観表示が変化するとよい。例えば、
図8の領域502に描画されるアバターAB2は、
図7の領域502に描画されるアバターAB2よりも活力的な外観表示を有している。このような態様によれば、アバターABの外観維持または向上をモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0079】
逆に、
図7における基本能力値S0を基準として、より低い睡眠スコアが累積された場合には、
図9に示されるように、
図7に示される場合よりも、低い基本能力値S0が設定されうる。具体的には、
図9の、領域508~513に示されたレベル、HP、MP、攻撃力、防御力および魔力は、
図7の、領域508~513に示されたレベル、HP、MP、攻撃力、防御力および魔力よりも何れも低い数値を有している。また、
図9の領域508に示されるレベルは15であり、基準値であるレベル25を満たしていない。したがって、
図9の領域507に示される条件は、「満たしていない」となっており、第1ユーザはイベントに参加することができない。また、この際の領域515に示されるコメントは、「観戦を楽しみましょう」とあり、イベントに参加することができなかった第1ユーザであっても、イベントを楽しむことができるようになっている。また、外観表示についても、
図9の領域502に描画されるアバターAB2は、
図7の領域502に描画されるアバターAB2よりも活力に欠ける外観表示を有している。
【0080】
前述のごとく、
図8および
図9に示される例では、第1情報IF1の一例である睡眠スコアの累積によって、
図7の場合と比べて、差異が生じたものとして説明をした。さらに、睡眠スコアのような累積的なパラメータに加えて、日々変化するパラメータによって基本能力値S0が影響を受けてもよい。換言すると、基本能力値S0は、継続的に取得される第1情報IF1に応じて逐次変化するアバターABの状態Sに応じて、可変に設定される。例えば、
図10および
図11に示される例では、
図7に示される場合と同一の睡眠スコアの累積を経て、基本能力値S0が決定されたものとする。
【0081】
例えば、第1ユーザがイベント当日に風邪をひいて、微熱を発症していた場合、当日の第1情報IF1に含まれる体温の情報に基づき、領域514に示される状態異常を示すパラメータが「正常」から「微熱」へと変化する(
図10参照)。これに応じて、基本能力値S0のうちの少なくとも一部のパラメータが下方修正される。例えば、
図10に示される例では、領域509に示されるHPの最大値が「255」から「40」減少して「215」となっており、微熱を発症したことによる数値の低下が視認可能に示されている。同様に、領域510に示されるMPの最大値が「144」から「16」減少して「128」となっており、微熱を発症したことによる数値の低下が視認可能に示されている。また、第1ユーザの健康状態を考慮して、領域515に示されるコメントとして「ゲームの継続はオススメしない」という文字が描画されている。このように、ユーザの健康状態を第一に優先したユーザインタフェースが提供されることが好ましい。また、領域502に描画されるアバターAB2は、状態異常である「微熱」を反映させた外観表示を有している。このような態様によれば、第1ユーザの健康状態に応じたキャラクタでイベントに参加することが可能となり、よりリアルなデジタルツイン環境を第1ユーザに提供することができる。
【0082】
さらに、より重症な場合(より高熱な場合や医療機関への受信履歴がある場合)には、
図11に示されるように、イベントへの参加を不能としてもよい。かかる例では、領域514の状態異常として「高熱・心拍数高」が示されており、領域509,510に示される最大HPおよび最大MPがともに0となっている。第1ユーザの健康状態を踏まえて、基本能力値S0が、実質的にイベントへ参加不能な値に決定されている。領域515に示されるコメントとして「要安静!ゲーム参加禁止!」という文字が描画されている。領域502に描画されるアバターAB2は、状態異常である「高熱・心拍数高」を反映させた外観表示を有している。このような態様によれば、現実に体調の悪い第1ユーザが無理をしてゲームイベントに参加することを防止することができ、第1ユーザの健康を最優先とすることができる。
【0083】
4.4 第2ユーザを介した社会貢献または支援
前述の通り、デジタルツイン環境を実現する仮想空間VSによれば、第1ユーザの現実の健康状態や外観を反映させたアバターAB(例えば、アバターAB2)を用いて、より興趣性の高い体験を第1ユーザに提供することができる。これに加えて、デジタルツイン環境を実現する仮想空間VSを用いて、社会貢献または支援を行うことも可能である。
図12は、第2ユーザを介した社会貢献または支援に関する情報処理を説明するためのアクティビティ図である。一例として、第2ユーザは、市町村の生活支援課に務める公務員であるとする。以下、このアクティビティ図に沿って、情報処理の流れを概説する。
【0084】
まず、第1ユーザが装着しているウェアラブル端末3bが備える不図示のセンサは、第1ユーザの第1情報IF1を取得する(アクティビティA201)。続いて、ウェアラブル端末3bは、第1ユーザの第2情報IF2を取得する(アクティビティA202)。ここでは、第2情報IF2は、例えば、運動、食事、排便、歩数、歩いた距離、スマートフォンを閲覧していた総時間等が含まれうる。また、第2情報IF2は、第1情報IF1のように自動的に取得された情報とは限らず、第1ユーザによって手動で入力された情報を含みうる。
【0085】
続いて、第1ユーザの第1情報IF1および第2情報IF2が、通信ネットワーク11を介して第1情報処理装置2aに定常的に共有される(アクティビティA203)。なお、第1ユーザは、複数のユーザであるため、第1情報処理装置2aは、第1情報IF1および第2情報IF2それぞれを、例えば記憶部22に記憶させて第1ユーザごとに管理している(アクティビティA204)。記憶部22は一例であって、他の記憶装置でもよい。さらに、第1情報IF1または第2情報IF2を直接管理することに代えて、第1情報IF1または第2情報IF2に基づき、推定される第1ユーザの健康状態が第1情報処理装置2aに管理されていてもよい。すなわち換言すると、第1ユーザそれぞれの、第1情報IF1または健康状態は、内部または外部の記憶装置において管理される。
【0086】
続いて、第1情報処理装置2aにおける演算処理部230は、少なくとも1人の第1ユーザについて、第1情報IF1、第2情報IF2または推定される健康状態が所定基準を超えていないかを判定する(アクティビティA205)。万一、所定基準を超える場合には、第1情報処理装置2aにおける特定部237は、かかる第1ユーザに関する情報を要注意情報として特定する。換言すると、特定部237は、第1ユーザのうち、推定される健康状態が所定条件を満たす注目ユーザを特定する。その後、かかる要注意情報は、通信ネットワーク11を介してサードパーティ端末3cを管理する第2ユーザに共有される(アクティビティA206)。好ましくは、健康状態または生活習慣が良好ではない第1ユーザに関する情報が、要注意情報として特定される。
【0087】
続いて、第2ユーザが管理するサードパーティ端末3cにおけるディスプレイ4aには、第1情報処理装置2aから共有された要注意情報が表示される(アクティビティA207)。例えば、要注意情報には、第1ユーザの氏名、住所、年齢、職業、推定される健康状態、第1情報IF1および第2情報IF2のうちの任意の組合せが含まれる。ここでは、要注意情報には、第1ユーザの氏名も住所も含まれず、一方で、年齢、職業、健康状態、第1情報IF1および第2情報IF2が含まれる場合を想定する。
【0088】
ここで、サードパーティ端末3cを介して要注意情報を閲覧した第2ユーザは、第1ユーザの健康状態または生活習慣が良好ではないことを確認した上で、適切なアドバイスADを作成することができる。
図13は、第2ユーザが作成したアドバイスADを含む画面6の概要図である。画面6には、アドバイスADとして、「深夜ずっとゲームをしている兆候が見られます。健康面・素行面ともに好ましくありません。高校生という身分である以上、学業を疎かにせず、節度ある行動をとるように心がけてください。自らのコンディションとアバターのコンディションを整えることもゲーマー(アスリート)としてとても重要です!」という文章が描画されている。
【0089】
画面6は、サードパーティ端末3cに表示可能であるとともに、該当する第1ユーザに適切に届けられることが好ましい。例えば、
図12に示される例では、作成されたアドバイスADを含む情報が、サードパーティ端末3cから通信ネットワーク11を介して、第1情報処理装置2aに送信される(アクティビティA208)。続いて、第1情報処理装置2aにおける受付部231がアドバイスADを含む情報を受信する(アクティビティA209)。その後、アドバイスADを含む情報がさらに該当する第1ユーザに送信され(アクティビティA210)、これを例えばウェアラブル端末3bが受信することで(アクティビティA211)、第1ユーザがアドバイスADを確認することができる。
【0090】
換言すると、第1情報処理装置2aにおける送信部239は、推定される健康状態を、第1ユーザとは異なる第2ユーザに送信し、これにより、第2ユーザによる第1ユーザの健康状態に対するアドバイスADを第1ユーザに提示可能とする。このような態様によれば、複数の第1ユーザの中から特に気にすべき注目ユーザを特定し、社会全体の健康維持に貢献することができる。さらには、適切なアドバイスADが第1ユーザになされ、健康状態を維持または促進することができる。
【0091】
このように、第1ユーザに代表される個人の健康状態を改善することで、個人のQOL(Quality of Life)を向上させ、例えば将来への不安等を解消することができる。例えば、本実施形態によれば、健康を理由にした欠勤、遅刻、早退、早期退職、生産性の低下等を防止し、積極的な就労の拡大や労働生産性の向上を通じて、経済成長に寄与することができる。特に近年では、疾病の中心が生活習慣病に変化している中で、このような生活習慣の改善や早期予防を通じて、疾病の医療需要の適正化に資することができる。さらには、高齢化および認知症の増加等により介護需要の拡大が見込まれる中で、介護および認知症予防を通じて、拡大が見込まれる介護需要の適正化に資することができる。
【0092】
[その他]
前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、以下のような態様を採用してもよい。
【0093】
情報処理システム1に含まれる装置のうちの少なくとも1つは、日本国外に設置されていてもよい。例えば、第1情報処理装置2aが日本国内に設置され、第2情報処理装置2bが日本国外に設置されていてもよい。同様に、第1ユーザまたは第2ユーザが日本国外から自身の端末3を用いて、種々の情報処理装置2にアクセスしていてもよい。このような態様によれば、様々な管理形態によって、より興趣性の高い体験をユーザに提供することができる。
【0094】
本実施形態では、演算処理部230、受付部231、取得部232、イベント制御部233、決定部234、補正部235、制限部236、特定部237、表示制御部238および送信部239を、第1情報処理装置2aの制御部23によって実現される機能部として説明しているが、この少なくとも一部を、第2情報処理装置2bの制御部23によって実現される機能部として実施してもよい。あるいは、ゲーム端末3aの制御部33によって実現される機能部として実施してもよい。さらには、上記の例で説明した種々の情報が、第1情報処理装置2aの記憶部22だけでなく、他の外部装置に分散的に記憶されていてもよい。かかる場合、ブロックチェーン等を基盤とした分散台帳管理がなされていてもよい。
【0095】
前述の実施形態では、第1ユーザが装着しているウェアラブル端末3bから第1情報IF1を取得しているが、ウェアラブル端末3bに代えてゲーム端末3aまたはその他の端末3によって第1情報IF1が取得されてもよい。例えば、その他の端末3には、スマートフォンと、体組成計と、体温計と、MRI、CTスキャナ、レントゲン等の医療機器と、サーモグラフィと、血圧計と、肌年齢測定装置と、血糖値測定測とが少なくとも含まれうる。
【0096】
条件等の一例として、トーナメントTに含まれる座席を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、条件等は、ゲームイベントにおける第1ユーザのロール(ゲームでの役割、立場または役職)でもよい。例えば、ゲームイベントがスポーツゲームである場合には、ロールとは、ポジション、例えば、野球におけるピッチャー、キャッチャー、内野手、外野手等であり、サッカーにおけるフォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダー、キーパー等である。あるいは、ロールには、先発、補欠(控え)、打順等が含まれうる。例えば、ゲームイベントが団体戦の格闘ゲームである場合には、ロールとは、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将等であり、オンラインRPGゲームである場合は、ロールとは、ジョブと称されるゲーム内での職業等である。何れの場合においても、決定部234は、基本能力値S0に例示されるアバターABの状態Sに基づいて、イベントでの第1ユーザの役割、立場、条件または役職をさらに決定する。このような態様によれば、イベントにおいて所望する役割、立場、条件または役職を得ることをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0097】
前述の状態異常の例は、第1ユーザの第1情報IF1に基づく状態異常であったが、第1情報IF1と無関係な状態異常が採用されてもよい。例えば、毒、猛毒、麻痺、眠り、呪い、混乱等が挙げられる。また、状態異常は、正常または異常の2値で表されてもよいし、段階的に表されてもよい。例えば、前述した微熱または高熱は、段階的に表される状態異常の一例である。
【0098】
基本能力値S0の1つに含まれる外観表示は、複数のパラメータからなってよい。例えば、かかるパラメータには、身長、体重、肌のツヤ、肌年齢、体脂肪量、筋肉量等が含まれうる。また、現実の身体の外観よりもデフォルメされた外観表示が採用されてもよい。例えば、自身の外観については気づきづらいことが多いとされているが、デフォルメされた外観表示を有するアバターABを視認可能とすることで、第1ユーザがより健康に対する意識を高く維持することに寄与する。また、仮想空間VSにおいて外観表示が他人に見られることから、第1ユーザがより健康に対する意識を高く維持することに寄与する。さらに、アバターABの外観表示に関連し、アバターABのモデルのサイズが変化してもよく、アバターABに着せる衣装オブジェクトには、予め定められたサイズが規定されていてもよい。かかるサイズは、現実の第1ユーザの服のサイズであってもよい。すなわち、第1ユーザが現実にダイエット(ある時点からの体重や体脂肪が低下したとの判定)に成功することで、第1ユーザのアバターABに規定のサイズの衣装オブジェクトを着せることが可能となるようにしてもよい。
【0099】
前述の実施形態におけるアバターABは、第1ユーザの要望に基づいて変更可能に構成されてもよい。アバターABを途中で変更した場合に、元のアバターABに関連付けられていた基本能力値S0の少なくとも一部が新たなアバターABに引き継がれるように実施してもよい。例えば、基本能力値S0のうち外観表示に基づくパラメータ以外のすべてを引き継ぐようにしてもよいし、微熱や高熱等の当日の体調に基づく基本能力値S0の変化分だけを引き継ぐようにしてもよいし、基本能力値S0そのものを引き継ぐようにしてもよいし、レベルを1にリセットして、その他の基本能力値S0に所定の重み付け係数をかけた値を引き継いでもよい。重み付け係数は、好ましくは0.1~1.0であり、さらに好ましくは0.2~0.8であり、最も好ましくは0.3~0.6であり、具体的には例えば、0.1,0.15,0.2,0.25,0.3,0.35,0.4,0.45,0.5,0.55,0.6,0.65,0.7,0.75,0.8,0.85,0.9,0.95,1であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。また、上記の例に限らず、性別のみを変更したい等を第1ユーザの要望または選択に基づいて、種々の情報を可変に設定可能としてもよい。
【0100】
前述の通り、第2情報IF2は、例えば、身長、体重、腹囲、胸囲、筋肉量、体脂肪、骨密度等の身体に関する情報と、運動、食事、排便、歩数、歩いた距離、消費カロリー、スマートフォンを閲覧していた総時間等の生活習慣に関する情報とが含まれうるが、第2情報IF2のうち身体に関する情報のみが基本能力値S0に影響を与えるように実施してもよい。例えば、いくら運動をしていても、体重に変化がない場合は基本能力値S0を変化させない等の態様が考えられる。逆に、第2情報IF2のうち生活習慣に関する情報を重視して基本能力値S0に影響を与えるように実施してもよい。例えば、体重に変化がないものの運動記録がある場合には、基本能力値S0を向上させる等の態様が考えられる。
【0101】
第1ユーザの第1情報IF1、第2情報IF2またはその他健康に関連しうる個人情報が、通信ネットワーク11を介して他の情報処理装置2から取得されてもよい。例えば、他の情報処理装置2は、官公庁によって管理されるサーバであり、情報処理装置2が第1ユーザに割り振られたマイナンバーと、マイナンバーに紐づく個人情報とを管理し、これらの情報が適宜取得されるとよい。マイナンバーに紐づく個人情報には、持病、過去の病歴、通院歴、過去の処方箋や投薬情報等が含まれうる。このような態様であっても、基本能力値S0に例示されるアバターABの状態Sが取得された種々の情報に基づいて可変に構成されるとよい。
【0102】
第1情報IF1または第2情報IF2が、第1ユーザによって与えられた情報から間接的に算出されるように実施してもよい。例えば、第1ユーザが日々の食事をゲーム端末3a、ウェアラブル端末3b等の端末3を用いて撮影し、これらの写真が通信ネットワーク11を介して他の情報処理装置2に共有され且つ予め設定された学習済みモデル等の参照情報に入力されることで、第1情報IF1または第2情報IF2として、摂取カロリーや栄養素等が推定されてもよい。
【0103】
制限部236は、イベントへの参加に限らず、仮想空間VSの活動全般を制限してもよい。特に、第2ユーザによって生成されたアドバイスADの内容に応じて、制限部236が第1ユーザの仮想空間VSでの活動を制限することが好ましい。例えば、制限には、仮想空間VSへのログインそのもの、仮想空間VSでの移動範囲制限(例えば、地元周辺限定等)、参加可能なイベントの種別制限、購入可能なアイテムの制限等が含まれうる。
【0104】
前述の実施形態では、第2ユーザから第1ユーザへ送信されるアドバイスADは、匿名性を配慮して、第1情報処理装置2aを介して送信されることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第2ユーザが管理するサードパーティ端末3cから、第1ユーザが管理するゲーム端末3aまたはウェアラブル端末3bに通信ネットワーク11を介して直接アドバイスADが送信されてもよい。あるいは、第2ユーザが生成したアドバイスADが、第1ユーザ以外の第1ユーザに関係する者、例えば両親、学校、職場等に送信されてもよい。アドバイスADは、仮想空間VS内で第1ユーザが閲覧可能としてもよいし、逆に、第1ユーザの自宅に紙面として郵送されるようにしてもよい。
【0105】
基本能力値S0に含まれる情報をより細分化して実施することで、第1ユーザの第1情報IF1や第2情報IF2に基づく、種々のアバターABの制御が実施されてもよい。例えば、第1ユーザが規則正しく起床および就寝(例えば、10時に就寝して6時に起床する)している場合には、アバターABの動作を機敏にし、そうでない場合にはアバターABの動作を遅くしてもよい。睡眠時間が十分でない(例えば、睡眠時間が4時間未満)と、アバターABの動作がふらつく等、アバターABの集中力が低下するような演出を行ってもよい。これは例えばレースゲーム等に適用可能である。睡眠時間や食事等の第1情報IF1に応じて、アバターABの背が伸びる等成長してもよいし(モデルデータが変化してもよい)、肌艶が綺麗になってもよい(肌のテクスチャが変化してもよい)。睡眠時間等の第1情報IF1に応じて、ゲームのストーリーが変化する演出を行ってもよい。睡眠時間等の第1情報IF1に応じて、ゲーム内で使用可能な仮想通貨を取得可能としてもよい。また、仮想通貨以外の何らかの報酬、インセンティブであってもよい。連続した規則正しい睡眠で、HPが増加するようにしてもよいし、睡眠が乱れた場合(十分ではない場合)はHPが減少するようにしてもよい。睡眠時間等の第1情報IF1に応じて、アバターABが進化または変身するようにしてもよい。例えば、深い睡眠がとれている場合は、アバターABが別のキャラクタに進化し、深い睡眠がとれていない場合は、かかる進化をさせないことが好ましい。睡眠スコア等の第1情報IF1に応じて、ゲームのプレイ可能時間を可変としてもよい。例えば、睡眠スコアが高さに応じて、プレイ時間が可変に提供されてもよい。睡眠スコアは、例えばウェアラブル端末3bにインストールされたプログラム等により、睡眠時間、眠りの深さ、中断回数、いびきの有無、心拍数等を心拍センサや加速度センサから検出および計算することができる。
【0106】
睡眠スコア等の第1情報IF1に応じて、ゲームのプレイ可能なステージを可変としてもよい。例えば、睡眠スコアが高いほど、より先の階層のステージに進むことが可能な階層型ゲームが提供されてもよい。また、プレイできる権利であるスタミナの量または時間によって回復するスタミナの回復量を睡眠スコアに応じて決定してもよい。前述のアドバイスADの提供に関連し、アドバイスAD等に含まれる指定の病院で健康診断を受け、診断結果を情報処理システム1を介して情報提供した第1ユーザに対して、健康状態または健康状態の改善状況に応じたアバターABの強化を行ってもよい。これにより、定期検診を促進することができる。また、献血に協力することによってアバターABの強化を行ってもよい。第1ユーザの年代によって、睡眠スコア等の第1情報IF1に応じたインセンティブ(例えば、アバターABの基本能力値S0の上昇等)を変化させてもよい。例えば、睡眠時間を確保することが難しい世代(例えば、30~40代)の第1ユーザは、基本能力値S0の上昇値が他の世代に比してより高くなるようにしてもよい。あるいは、成長の観点から睡眠を十分とるべき子供が規則正しい豊富な睡眠時間をとることで、基本能力値S0の上昇値が他の世代に比してより高くなるようにしてもよい。前述のアドバイスADとは別に、睡眠スコア等の第1情報IF1に基づいて、簡単な助言が高頻度に第1ユーザに送信されるように実施してもよい。例えば、規則正しく寝るように促すメッセージが毎晩送信されてもよい。睡眠の種類に応じて、基本能力値S0の上昇に傾斜がかかるように実施してもよい。例えば、睡眠の種類には、昼寝、日向ぼっこ、仮眠、夜の睡眠等が含まれる。なお、夜勤等、仕事の属性によって生活スタイルを区分けし、この生活スタイルに応じて睡眠スコア等が判定されてもよい。
【0107】
仮想空間VSで実施されるゲームにはオートプレイ機能が設けられ、オートプレイがされる時間帯に応じて基本能力値S0の上昇値を変化させてもよい。オートプレイとは、ユーザの操作を必要とせずにアバターABが仮想空間VSで制御されることであり、制御のシミュレーションを実行して結果を出力すればよく、必ずしも仮想空間VSにおける表示を必要としない。例えば、第1情報処理装置2aは、ウェアラブル端末3bから送信される第1情報IF1を取得することで、現在睡眠中であることを把握することができる。且つその場合にオートプレイが行われることで、基本能力値S0の上昇値がより高くなるように実施してもよい。具体的には、睡眠中にモンスターを自動で狩っていく、畑を耕してくれる、雑巾を縫ってくれる、花の蜜を回収してくれる、寝た分のプレイ時間が回復する(例えば、制限時間を有するパズルゲーム)等の処理が想定されうる。オートプレイの有無やオートプレイの内容については、ユーザが設定することができる。第1情報IF1または第2情報IF2に限らず、睡眠中の第1ユーザの言動を例えばウェアラブル端末3bが取得し、その他の情報処理装置2等に格納されたAIシステムに通信ネットワーク11経由で、取得された言動に係る情報を入力することで、種々の情報処理が実行されてもよい。例えば、寝言に応じたAIイラスト、アイテム等のオブジェクトが仮想空間VS内に新たに生成されてもよい。睡眠スコア等の第1情報IF1が相対的に不良な傾向を有する場合に、第1情報処理装置2aにおけるイベント制御部233が、ゲームの難易度を下げる等といった、第1ユーザへの負担を軽減するような処理を実行してもよい。ウェアラブル端末3bが第1情報IF1としていびきの量および時間を計測し、いびきの量および時間に応じて、第1情報処理装置2aにおけるイベント制御部233が、ゲーム内のメッセージの少なくとも一部を第1ユーザにとって視聴不能とする処理を実行してもよい。予め設定された時刻になると、イベント制御部233がキャラクタであるアバターABを眠らせる処理を実行してもよい。さらに、第1ユーザの実際の睡眠に関する第1情報IF1がウェアラブル端末3bによって取得され、第1情報処理装置2aに送信されることで、眠ったアバターABが覚醒するように実施してもよい。これにより、ユーザは睡眠をとることに集中でき、健康状態をよい状態へと導くモチベーションを向上させることができる。
【0108】
複数の第1ユーザのうち、早起きを好む朝型の生活スタイルのユーザと、夜更かしを好む夜型の生活スタイルのユーザとが対戦や協力してプレイするようなクエストが提供されてもよい。本来、生活スタイルが異なるユーザ同士や時差がある海外のユーザとは一緒にプレイすることが難しかった。また、このような生活スタイルが異なるユーザとゲームをするために、ユーザが夜更かし等をすることがあった。本開示では、このような夜更かしを是正することができるとともに、オートプレイを利用して生活スタイルが異なるユーザとゲームをすることができる。
【0109】
また、生活スタイルに関わらず対戦や協力プレイ中にユーザが寝てしまって反応がなくなったり、インターネット回線の不具合が起こったり、自らの行為でゲームを強制終了する等で中断させることがある。ゲームのプレイ中における第1ユーザが無反応となる頻度や中断行為の頻度を計測して、例えば高頻度で寝てしまう第1ユーザのアバターABの基本能力値S0を低下させる処理が実行されてもよい。第1情報IF1には、第1ユーザの寝返りまたは寝相に関する情報が含まれてもよい。例えば寝相が良いほど、アバターABの輪郭がはっきりする等の視覚的なエフェクトがかけられてもよい。あるいは、NFT等の報酬が付与されてもよい。第1情報IF1に応じて、第1情報処理装置2a、ゲーム端末3aまたはウェアラブル端末3bが、より良い睡眠を実現させるための音楽を再生するように実施してもよい。ウェアラブル端末3bが、睡眠中の夢に関する第1情報IF1を取得し、夢の内容に応じてゲーム内のエフェクトを変化させる処理が実行されてもよい。このように、睡眠の状態によって変化するアバターABを視認可能とすることで、第1ユーザがより健康に対する意識を高く維持することに寄与する。
【0110】
第1ユーザ自身ではなく、第1ユーザの子供、特に乳児または幼児の睡眠に関する第1情報IF1を取得し、第1ユーザのアバターABの基本能力値S0に影響するように実施してもよい。寝かしつけがよくできている場合には、ポイントが蓄積される等の報酬制度が実施されてもよい。睡眠の深さに応じて、睡眠中にオートプレイがなされるゲームで得られるアイテムが異なるように実施してもよい。すなわち、睡眠に関する情報はユーザ本人に関わらず、ユーザが世話をする子供やペット等の情報が利用されてもよい。
【0111】
仕事等の都合で、自身でコントロールすることが困難な状況等(生活スタイル)によってはどうしても寝られない(十分な睡眠時間を確保できない)ことも想定されるため、これによりゲームのアバターABの基本能力値S0が低くなることを防止するためのアイテムが仮想空間VS内で販売されていてもよい。例えば、起床時間を「睡眠時間に変換する」アイテムや「十分な睡眠をとらなくても影響がでないで済む」アイテムが想定されうる。また、家族や友人等でギルドを作成し、ギルド内で睡眠時間を合計する等してもよい。同じオートプレイがなされるゲーム内で、同じ時刻に睡眠をとっている第1ユーザどうしでギルドを生成する等関連を持たせ、少なくとも一方のユーザになんらかのインタラクション(ゲーム内の効果)が発生するようにゲームを実施してもよい。
【0112】
前述の各種報酬には、就業中に30分程度の昼寝を推奨する企業の、現実空間または仮想空間VS内での商品が含まれる。第1ユーザの職業に応じて、第1情報IF1に基づく基本能力値S0の決定に重み付けを行ってもよい。例えば、医療関係者、配送業者、運転手や警察官等、生活スタイルの影響により睡眠課題が多い職業の第1ユーザには、スコアが低い第1情報IF1であっても基本能力値S0をスコアが高い第1情報IF1から相対的によくする処理が実行されてもよい。
【0113】
時間制限付きやスタミナ制限付きのゲームにおいては、睡眠スコア等の第1情報IF1に応じて、翌日プレイ可能なプレイ時間が可変としてもよい。ロールプレイングゲーム等において、睡眠スコア等の第1情報IF1に応じて、イベント制御部233が、アイテムのスペックを上昇させるように実施してもよい。一方、例えば本来仕事をすべき時間帯に睡眠をした場合はスペックを悪化させるように実施してもよい。睡眠時の脳波をウェアラブル端末3bにおいて取得して、これを第1情報IF1としてもよい。脳波をビジュアル化した模様等が、アバターABの衣装等に反映されてもよい。第1ユーザの睡眠中に、もう1人の自分が本来の自分の意思とは別にゲームを進行する多重人格サスペンスゲームが提供されてもよい。複数の第1ユーザから構成されるゲームのチームにおいて、チーム内でプレイ中に寝てしまった第1ユーザから特殊技が発動されるように実施してもよい。仮想空間VS内で複数の第1ユーザどうしが集い、自分以外の他者を寝させること(いわゆる寝落ち)で勝敗を定めるゲームが提供されてもよい。いびきの音が翌日の攻撃力に反映されゲーム内で発動可能となってもよい。例えば睡眠中のオートプレイにおいて、レム睡眠とノンレム睡眠とで異なるように第1ユーザの基本能力値S0を変化させてもよい。例えば、レム睡眠では魔力を上昇させ、ノンレム睡眠では防御力を上昇させる等が想定されうる。
【0114】
第1情報IF1が所定以上の良好な状態(高いスコア)である場合に、第1ユーザにレアアイテム(基本能力値S0の一例)が付与されてもよい。第1ユーザの自身の睡眠または覚醒と、第1ユーザのアバターABの睡眠または覚醒とが、常に逆となるように実施してもよい。例えば、第1ユーザの睡眠中には、アバターABが活動可能となり、第1ユーザの覚醒中には、アバターABは睡眠状態となる。これにより、自身の睡眠中でも自身の分身であるアバターABが仮想空間VSで活動させることができる。アバターABはノンプレイヤキャラクタとして自動で制御され、アイテムの取得や対戦を実施してもよい。第1ユーザの現実の睡眠に関する第1情報IF1と食事に関する第2情報IF2とに応じて、アバターABがどんどん大きくまたは強くなるキャラ育成ゲームが提供されてもよい。第1ユーザの睡眠時間を削れば削るほど、アバターABが強くなるゲーム、例えば麻雀ゲーム等が提供されてもよい。第2情報IF2には、睡眠に使用する寝具の種類が含まれる。寝具の種類には、布団、マットレス、ベッド等だけでなく、恋人の腕枕が含まれる。第2情報IF2には、尿意に起因する第1ユーザの夜間の覚醒回数を含みうる。第1情報IF1には、第1ユーザのあくびが含まれる。第1ユーザのあくびをトリガとしてゲームをオンオフする制御が実行されてもよい。第1ユーザの睡眠スコアに応じて、アバターABが装備する武器や防具等が変更されてもよい。
【0115】
「睡眠経験値」という、基本能力値S0におけるレベルと関連する睡眠時間のパラメータが規定されてもよい。すなわち、眠ることによってアバターABのレベルがアップするゲームが提供されてもよい。浅い睡眠、すなわち体は休んでいても脳が活動している状態であれば、何かの夢を見やすいという傾向がある。かかる傾向に基づき、第1情報IF1として推定される睡眠の質から夢の内容を推測し、例えば「レム睡眠経験値」を貯めることができるように実施してもよい。また、睡眠中に関わらず、第1ユーザの操作を必要とせずにアバターABが仮想空間VSにおいて制御される場合に、オートプレイが実行され、アイテムを集める、クエストを実行する等が実施されるとよい。例えば、ブロックチェーンゲームにおいて、アイテムを集めたりクエストを実行したりすることでトークン等の仮想価値を稼ぐことが可能となる。これにより、第1ユーザは、自身の健康状態を良い状態(高い状態)にするというモチベーションが高まり、第1ユーザがより健康に対する意識を高く維持することに寄与する。
【0116】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0117】
(1)少なくとも1つの装置を備える、デジタルツイン環境を支援する情報処理システムであって、次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備え、取得ステップでは、第1ユーザの生体に関する第1情報を継続的に取得し、決定ステップでは、前記第1情報に基づいて推定される前記第1ユーザの健康状態に対応するように、前記第1ユーザに関連付けられたアバターの状態を決定し、ここで前記アバターは、仮想空間でのイベントにおいて活動するキャラクタとして使用され、前記アバターの状態は、前記イベント中に、前記第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される前記第1情報に応じて逐次変化可能に構成される、システム。
【0118】
このような態様によれば、より興趣性の高い体験をユーザに提供することができる。
【0119】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記アバターには、前記キャラクタとしての基本能力値が関連付けられ、前記基本能力値は、継続的に取得される前記第1情報に応じて逐次変化する前記アバターの状態に応じて、可変に設定される、システム。
【0120】
このような態様によれば、第1ユーザの健康状態に応じたキャラクタでイベントに参加することが可能となり、よりリアルなデジタルツイン環境を第1ユーザに提供することができる。
【0121】
(3)上記(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記アバターは、前記第1ユーザから受け付けた指示入力により制御されるプレイヤキャラクタであり、前記基本能力値は、前記プレイヤキャラクタの状態異常を規定するパラメータを含み、さらに、補正ステップでは、前記プレイヤキャラクタが前記状態異常を有する場合に、前記プレイヤキャラクタの操作の少なくとも一部が前記指示入力の通りに実行されないように、前記指示入力に基づく前記プレイヤキャラクタの制御を補正する、システム。
【0122】
このような態様によれば、プレイヤキャラクタであるアバターが指示通りに操作されることをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0123】
(4)上記(2)または(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記基本能力値は、前記アバターの外観表示を規定するパラメータを含む、システム。
【0124】
このような態様によれば、アバターの外観維持または向上をモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0125】
(5)上記(2)~(4)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、さらに、制限ステップでは、前記基本能力値が閾値以下である場合に、前記第1ユーザの前記仮想空間での活動を制限する処理を実行する、システム。
【0126】
このような態様によれば、仮想空間での活動制限を受けたくないという気持ちをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0127】
(6)上記(1)~(5)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記決定ステップでは、前記第1ユーザの身体または生活習慣に関する第2情報にさらに基づいて、前記アバターの状態を決定する、システム。
【0128】
このような態様によれば、より高い精度で第1ユーザの健康状態に応じたアバターの状態を提供することができる。
【0129】
(7)上記(1)~(6)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記決定ステップでは、前記アバターの状態に基づいて、前記第1ユーザの前記イベントへの参加の可否をさらに決定する、システム。
【0130】
このような態様によれば、イベントへの参加をモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0131】
(8)上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記決定ステップでは、前記アバターの状態に基づいて、前記イベントでの前記第1ユーザの役割、立場、条件または役職をさらに決定する、システム。
【0132】
このような態様によれば、イベントにおいて所望する役割、立場または役職を得ることをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0133】
(9)上記(1)~(8)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、さらに、制限ステップでは、前記アバターの状態が予め定められた基準状態以下である場合、前記第1ユーザの前記仮想空間での活動を制限する処理を実行する、システム。
【0134】
このような態様によれば、仮想空間での活動制限を受けたくないという気持ちをモチベーションとして、第1ユーザの、自身の健康状態に対する関心を高めることができる。
【0135】
(10)上記(1)~(9)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、さらに、送信ステップでは、推定される前記健康状態を、前記第1ユーザとは異なる第2ユーザに送信し、これにより、前記第2ユーザによる前記第1ユーザの前記健康状態に対するアドバイスを前記第1ユーザに提示可能とする、システム。
【0136】
このような態様によれば、適切なアドバイスが第1ユーザになされ、健康状態を維持または促進することができる。
【0137】
(11)上記(1)~(10)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記第1ユーザは、複数のユーザであり、前記第1ユーザそれぞれの、前記第1情報または前記健康状態は、内部または外部の記憶装置において管理され、さらに、特定ステップでは、前記第1ユーザのうち、推定される前記健康状態が所定条件を満たす注目ユーザを特定する、システム。
【0138】
このような態様によれば、複数の第1ユーザの中から特に気にすべき注目ユーザを特定し、社会全体の健康維持に貢献することができる。
【0139】
(12)上記(1)~(11)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、さらに、イベント制御ステップでは、前記仮想空間内で開催されるイベントの進行を制御する、システム。
【0140】
このような態様によれば、より興趣性の高いイベントを直接第1ユーザに提供することができる。
【0141】
(13)上記(1)~(12)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記装置のうちの少なくとも1つは、日本国外に設置されている、システム。
【0142】
このような態様によれば、様々な管理形態によって、より興趣性の高い体験をユーザに提供することができる。
【0143】
(14)デジタルツイン環境を支援する情報処理方法であって、上記(1)~(13)の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを備える、方法。
【0144】
このような態様によれば、より興趣性の高い体験をユーザに提供することができる。
【0145】
(15)デジタルツイン環境を支援するプログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、上記(1)~(13)の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、プログラム。
【0146】
このような態様によれば、より興趣性の高い体験をユーザに提供することができる。
もちろん、この限りではない。
【0147】
最後に、本開示に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、開示の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された開示とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0148】
1 :情報処理システム
11 :通信ネットワーク
2 :情報処理装置
2a :第1情報処理装置
2b :第2情報処理装置
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :制御部
230 :演算処理部
231 :受付部
232 :取得部
233 :イベント制御部
234 :決定部
235 :補正部
236 :制限部
237 :特定部
238 :表示制御部
239 :送信部
3 :端末
3a :ゲーム端末
3b :ウェアラブル端末
3c :サードパーティ端末
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :制御部
34a :グラフィック処理部
34b :オーディオ処理部
34c :操作部
4a :ディスプレイ
4b :スピーカ
4c :入力デバイス
5 :ゲーム画面
5a :ゲーム画面
5b :ゲーム画面
501 :領域
502 :領域
503 :領域
504 :領域
505 :領域
505a :チェックボックス
506 :ボタン
507 :領域
508 :領域
509 :領域
510 :領域
511 :領域
512 :領域
513 :領域
514 :領域
515 :領域
6 :画面
AB :アバター
AB1 :アバター
AB2 :アバター
AD :アドバイス
IF1 :第1情報
IF2 :第2情報
S :状態
S0 :基本能力値
T :トーナメント
T1 :シード席
T2 :通常席
VS :仮想空間
VS1 :上方領域
VS2 :上方領域
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
次の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備え、
取得ステップでは、第1ユーザの生体に関する第1情報を、現実空間の情報として継続的に取得し、
決定ステップでは、前記第1情報に基づいて推定される前記第1ユーザの健康状態に対応するように、前記第1ユーザに関連付けられたアバターの状態を決定し、
前記アバターの状態は、仮想空間において、前記第1ユーザが視認可能であり且つ継続的に取得される前記第1情報に応じて逐次変化可能に構成され、これにより前記現実空間の情報が前記仮想空間に継続的に反映される、システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
少なくとも1つの装置を備え、
前記装置のうちの少なくとも1つは、日本国外に設置されている、システム。
【請求項3】
情報処理方法であって、
請求項1又は2に記載の情報処理システムの各ステップを備える、方法。
【請求項4】
プログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、請求項1又は2に記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、プログラム。