(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133238
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/493 20140101AFI20240920BHJP
A63F 13/48 20140101ALI20240920BHJP
【FI】
A63F13/493
A63F13/48
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024112475
(22)【出願日】2024-07-12
(62)【分割の表示】P 2022141966の分割
【原出願日】2020-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(57)【要約】
【課題】ゲーム中に中断があった場合であっても、より楽しみやすく、納得感のあるゲームシステムを提供する。
【解決手段】ゲーム情報取得手段60は、プレイヤ装置2のそれぞれから送信されてくるゲーム情報を取得して、その情報をゲーム情報DB300に格納する。ゲーム情報照合手段61は、ゲーム情報取得手段60で取得されたゲーム情報を照合し、進行中のゲームの進行状況を確定する。中断時ゲーム状況取得手段62は、ゲーム情報照合手段61でゲームの中断が決定された場合、その時点でのゲームの進行状況をゲーム情報DB300から取得する。中断時処理実行手段63は、中断した時点における前記進行状況に基づいて、所定の条件に基づく処理を実行する。再開時進行状況生成手段64は、中断時処理実行手段63による評価の結果に基づいて、再開時進行状況を生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが参加可能なゲームにかかる情報処理装置であって、
前記ゲームの進行状況を取得する進行状況取得手段と、
前記進行状況取得手段により取得された前記ゲームの前記進行状況に基づいて、前記ゲームを初めから新たに開始する前記ゲームに関する情報を生成する生成手段と、
を備え、
前記進行状況には、少なくとも前記ゲームの入力操作にかかる操作情報が含まれ、
前記初めから新たに開始する前記ゲームにおける所定のタイミングから、前記ゲームを再開可能な、
情報処理装置。
【請求項2】
前記タイミングは、プレイヤによる入力操作に応じて決定された所定のタイミングである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記タイミングは、前記ゲームの提供者または管理者により決定された所定のタイミングである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ゲームは所定の時間単位で管理され、
前記ゲームを再開する事前の時間単位を基準として、前記ゲームを再開する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ゲームを再開する事前に行われた前記入力操作の内容を反映し、前記ゲームを再開可能な、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数のユーザが参加可能なゲームにかかるコンピュータを、
前記ゲームの進行状況を取得する進行状況取得手段と、
前記進行状況取得手段により取得された前記ゲームの前記進行状況に基づいて、前記ゲームを初めから新たに開始する前記ゲームに関する情報を生成する生成手段と、
として機能させ、
前記進行状況には、少なくとも前記ゲームの入力操作にかかる操作情報が含まれ、
前記初めから新たに開始する前記ゲームにおける所定のタイミングから、前記ゲームを再開可能な、
プログラム。
【請求項7】
複数のユーザが参加可能なゲームにかかる情報処理システムであって、
前記ゲームの進行状況を取得する進行状況取得手段と、
前記進行状況取得手段により取得された前記ゲームの前記進行状況に基づいて、前記ゲームを初めから新たに開始する前記ゲームに関する情報を生成する生成手段と、
を備え、
前記進行状況には、少なくとも前記ゲームの入力操作にかかる操作情報が含まれ、
前記初めから新たに開始する前記ゲームにおける所定のタイミングから、前記ゲームを再開可能な、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネットワークを介して行われるゲームシステムにおいて、ネットワークや機器の接続に異常が生じた場合、ゲームの進行に大きな影響を与えることが知られている。
この点、各端末装置とサーバとの接続に異常が生じた場合に、サーバに対する接続に異常が生じた端末装置のユーザの利益と接続が確保されている他の端末装置のユーザとの利益とを合理的に調和させることが可能なゲームシステムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1に記載の技術をはじめとした従来技術では、あくまでも端末装置とサーバとの接続に異常が生じた時点におけるゲーム状況から、ゲームを中断するのか、代替処理によりゲームを続行するのか等を判断することができるに過ぎず、例えば、よりフェアな条件でゲームを再開させることを目的とするものではない。
特に、対戦型のゲームシステムや賞金のかかったゲーム大会等では、単に代替処理によりゲームの進行を継続することは不可能であり、何らかのアクシデントによりゲームが中断した場合であっても、さらに納得感のある取り扱いが求められる。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ゲーム中に中断があった場合であっても、より楽しみやすく、納得感のあるゲームシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、
複数のユーザが参加可能なゲームにかかる情報処理装置であって、
前記ゲームが中断した場合に、前記ゲームが中断した時点における前記ゲームの進行状況を取得する進行状況取得手段と、
前記進行状況取得手段により取得された前記ゲームが中断した時点における前記進行状況に基づいて、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成する生成手段と、
を含む情報処理装置である。
【0007】
また第1の側面において、
前記生成手段は、中断した時点における前記進行状況に基づいて、所定の条件に基づく処理を実行し、当該処理の結果に基づいて、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成することができる。
【0008】
また第1の側面において、
所定の条件に基づく前記処理とは、中断した時点における前記進行状況の有利不利を評価する評価処理であり、
前記生成手段は、前記評価処理の結果に基づいて、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成することができる。
【0009】
また第1の側面において
前記評価処理による有利不利の評価は、中断した時点における、前記ゲームで採用されている指標または前記ゲームのキャラクタの状態に基づいて決定され、
前記生成手段は、前記指標または前記状態の調整を含む、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成することができる。
【0010】
また第1の側面において、
前記生成手段は、ユーザによる操作をトリガとして前記ゲームを再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成することができる。
【0011】
また第1の側面において、
所定の条件に基づく前記処理とは、前記ゲームが中断した時点で前記ユーザの操作に関わらず前記ゲームが進行する処理が未完であった場合に、当該処理を完了したものとして処理する完了処理であり、
前記生成手段は、前記完了処理の結果に基づいて、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成することができる。
【0012】
また第1の側面において、
前記完了処理は、前記ゲームの勝敗条件、オブジェクトの動作、またはオブジェクトの動作に関する所定の条件に関する処理のいずれかを含むことができる。
【0013】
また第1の側面において、
前記生成手段は、任意の操作または指示に基づいて再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成することができる。
【0014】
第2の側面は、
複数のユーザが参加可能なゲームにかかるコンピュータに、
前記ゲームが中断した場合に、前記ゲームが中断した時点における前記ゲームの進行状況を取得する進行状況取得手段と、
前記進行状況取得手段により取得された前記ゲームが中断した時点における前記進行状況に基づいて、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成する生成手段と、
として機能させるプログラムである。
【0015】
本発明の一態様のプログラムも、本発明の一態様の情報処理装置に対応するプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲーム中に中断があった場合であっても、より楽しみやすく、納得感のあるゲームシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理装置にかかる情報処理システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図2のサーバおよび
図1のプレイヤ装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】ゲーム中断時のキャラクタの状況のイメージを説明するための図である。
【
図5】ゲーム再開時の進行状況を生成する方法の一例を説明するためのイメージ図である。
【
図6】
図3のサーバが実行する処理のうち、進行状況生成処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図7】ゲーム再開時の進行状況を生成する方法の一例を説明するためのイメージ図であり、
図5の例とは異なる例を示す図である。
【
図8】ゲーム再開時の進行状況を生成する方法の一例を説明するためのイメージ図であり、
図5および
図7の例とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
本発明の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)について、図面を参照して説明する。
【0019】
<概要の説明>
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの一例を示すブロック図である。
図1に示す通り、本システムは、本システムの管理者などにより管理されるサーバ1と、第1のプレイヤにより利用されるプレイヤ装置2-A(Aは、1以上の任意の整数値)と、第2のプレイヤにより利用されるプレイヤ装置2-B(Bは、Aとは異なる1以上の任意の整数値)とを含み構成される。サーバ1と、プレイヤ装置2-Aと、プレイヤ装置2-Bとは、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
本実施形態では、プレイヤ装置2-Aおよびプレイヤ装置2-Bの夫々では、いわゆるネットワーク対戦型の格闘ゲームが提供される。
なお、これより後の説明において、プレイヤ装置2-Aおよびプレイヤ装置2-Bについて、特に必要のない場合には合わせてプレイヤ装置2と呼ぶ。
【0020】
ここで、本実施形態にかかるゲームとは、例えば、いわゆる格闘ゲームである。
具体的に例えば、プレイヤの夫々が選択した1のキャラクタを操作して、仮想空間内で戦わせる対戦型の格闘ゲームである。
このようなゲームは、例えば、プレイステーション(登録商標)等の家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)等の携帯用ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器等であるプレイヤ装置2を用いて実行される。
そして、プレイヤ装置2は、プレイヤの操作に基づいて所定のゲームを実行する。さらに、プレイヤ装置2は、サーバ1からゲームの進行に必要となる各種情報を取得する。これにより、プレイヤ装置2は、ゲームに関する各種画像や音声等を後述する出力部102に出力しながら、ゲームを進行させる。
なお、以下、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画画像」の両方を含むものとする。
また、以下、単に「音声」と呼ぶ場合には、人の声帯から発生した声だけでなく、音楽やBGM、効果音などを広く含むものとする。
【0021】
<ハードウェア構成>
図2は、本発明の一実施形態にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サーバ1は、パーソナルコンピュータ等で構成される。
図2に示すように、サーバ1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0022】
制御部11は、CPUやGPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等で構成され、ROM12に記録されているプログラム、または、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上において必要な情報等も適宜記憶される。
【0023】
制御部11、ROM12およびRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20が接続されている。
【0024】
出力部16は、各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
【0025】
入力部17は、各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
【0026】
記憶部18は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成され、各種情報を記憶する。例えば、本実施形態にかかるプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ゲーム情報DB300、評価基準DB400を含む各種情報が記憶されている。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば、プレイヤ装置2の夫々)との間で行う通信を制御する。
【0027】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種情報も、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0028】
ここで、プレイヤ装置2-Aおよびプレイヤ装置2-Bのハードウェア構成は、サーバ1のハードウェア構成と基本的に同様とすることができるので、
図3を参照しつつ、必要な説明のみを行う。
【0029】
プレイヤ装置2-Aの制御部100-Aは、CPUやGPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータ等で構成され、図示せぬ記憶部等に記録されているプログラム、または、図示せぬ記憶部からRAM等にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
【0030】
通信部101-Aは、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば、サーバ1や他のプレイヤ装置2)との間で行う通信を制御する。
【0031】
出力部102-Aは、例えば、ゲームにおける音声等を出力するスピーカーまたはヘッドホンで構成される。具体的に例えば、出力部102-Aは、プログラム等が実行された結果として、そのゲームに関する音声等を外部へと出力する。
また、出力部102-Aは、例えば、ゲームにおける画像等を出力する液晶ディスプレイ等で構成される。具体的に例えば、102-Aは、プログラム等が実行された結果として、そのゲームに関する画像(以下、「ゲーム画像」と呼ぶ)をディスプレイ上に表示する。
【0032】
入力部103-Aは、例えば、ゲーム用のコントローラ等で構成される。プレイヤによるゲームの各種操作を受け付ける。その操作に対応した情報(以下、「操作情報」と呼ぶ)は、制御部100-Aのゲーム処理実行手段120-A等において入力情報として処理される。
なお、プレイヤ装置2-Aおよびプレイヤ装置2-Bは、基本的に同様の構成とすることができる。ただし、説明の便宜上、プレイヤ装置2-Aについては符号の最後に「A」を付し、プレイヤ装置2-Bについては符号の最後に「B」を付している。また、「A」、「B」の区別を特に必要としない場合には、符号の最後の「A」または「B」の表記を省略する。なお、これより後の説明においても同様である。
【0033】
<機能的構成>
図3は、
図2のサーバおよび
図1のプレイヤ装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ1の制御部11は、各種プログラム等を実行することにより、ゲーム情報取得手段60と、ゲーム情報照合手段61と、中断時ゲーム状況取得手段62と、中断時処理実行手段63と、再開時進行状況生成手段64として機能する。
ここで、サーバ1の記憶部18の一領域には、ゲーム情報DB300と、評価基準DB400が設けられている。評価基準DB400には、
図5を参照しつつ後述する中断時のゲームの進行状況の具体的な評価項目や評価基準などの各種情報が格納されている。なお、これらの情報は、本システムの提供者などにより予め決定され、評価基準DB400に格納されているものとする。
【0034】
ここで、詳細については後述するが、プレイヤ装置2のそれぞれでは、各種情報(以下、「ゲーム情報」と呼ぶ)が取得または生成されて、そのゲーム情報は、プレイヤ装置2からサーバ1へと送信される。
そこで、ゲーム情報取得手段60は、プレイヤ装置2のそれぞれから送信されてくるゲーム情報を取得して、その情報をゲーム情報DB300に格納する。
なお、ゲーム情報には、ゲームに関する画像や音声などの情報に加えて、プレイヤによる操作に対応付けられた入力情報(以下、「操作情報」と呼ぶ)および操作情報のそれぞれが入力された時間に関する情報(以下、「時間情報」と呼ぶ)が含まれる。
サーバ1またはプレイヤ装置2では、これらの情報を組み合わせて参照することができる。これにより、サーバ1またはプレイヤ装置2は、プレイヤのそれぞれがゲームの各進行状況(フレーム)において、どのような操作を行っているのかを把握することが可能となるし、リプレイ画像の生成なども可能となる。
【0035】
ゲーム情報照合手段61は、ゲーム情報取得手段60で取得されたゲーム情報を照合し、進行中のゲームの進行状況を確定する。
すなわち、ゲーム情報取得手段60は、プレイヤ装置2-Aおよびプレイヤ装置2-Bのそれぞれから送信されてくるゲーム情報を取得する。ある時点のゲームの進行状況に対して、プレイヤ装置2-Aから送信されてきたゲーム情報とプレイヤ装置2-Bから送信されてきたゲーム情報の両方が取得されて初めて、次の時点のゲームの進行状況が決定する。これに対して、いずれかのプレイヤ装置2からのゲーム情報が接続エラーなどにより取得できない場合は、ゲームは中断する。
つまり、ゲーム情報照合手段61は、ゲーム情報取得手段60で取得されたゲーム情報がプレイヤ装置2のそれぞれから取得されたものを含み、ゲームの進行状況が確定できる場合には、ゲームの進行状況を確定し、その時点のゲームの進行状況を記録する。逆にゲーム情報照合手段61は、ゲーム情報取得手段60で取得されたゲーム情報がプレイヤ装置2のうちの一部から送信されたゲーム情報のみである場合には、ゲームの中断を決定する。なお、ゲーム情報照合手段61は、必要な情報を適宜、ゲーム情報DB300に格納する。
【0036】
中断時ゲーム状況取得手段62は、ゲーム情報照合手段61でゲームの中断が決定された場合、その時点でのゲームの進行状況(ゲーム画像、ゲーム音声、操作情報、時間情報などであり、以下、「中断時ゲーム状況」と呼ぶ)をゲーム情報DB300から取得する。
【0037】
中断時処理実行手段63は、ゲームが中断された時点における進行状況に基づいて、所定の条件に基づく処理(以下、「中断時処理」と呼ぶ)を実行する。
ここで、中断時処理実行手段63が実行する所定の条件に基づく処理とは、例えば、中断時におけるゲームの進行状況のそれぞれのプレイヤの有利不利を評価する処理である。なお、中断時処理実行手段63による具体的な評価の方法については、
図4および
図5を参照しつつ、後述する。
【0038】
再開時進行状況生成手段64は、中断時処理実行手段63による評価の結果に基づいて、再開するゲームの進行状況に関する情報(以下、「再開時進行状況」と呼ぶ)を生成する。また再開時進行状況生成手段64は、生成した再開時進行状況を、通信部19を介して、プレイヤ装置2のそれぞれに送信する。
なお、再開時進行状況生成手段64による再開時進行状況を生成する具体的な方法については、
図4および
図5を参照しつつ、後述する。
【0039】
次に、プレイヤ装置2の機能的構成について、説明する。
なお、プレイヤ装置2-Aとプレイヤ装置2-Bは、いずれも同様の構成とすることができるため、ここではプレイヤ装置2としてAおよびBという符号を省略した上で、合わせて説明する。
図3に示すように、プレイヤ装置2の制御部100は、各種プログラム等を実行することにより、ゲーム処理実行手段120と、入出力制御手段121として機能する。
【0040】
ゲーム処理実行手段120は、ゲームに関する各種処理を実行する。
具体的に例えば、ゲーム処理実行手段120は、プレイヤ等の操作により入力された各種入力情報に従って、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを図示せぬ記憶部等から読みだして、ゲームプログラムを実行しつつ、2次元または3次元のゲームに関する画像や音声等に関する情報(以下、「ゲーム情報」と呼ぶ)を生成する。
また、ゲーム処理実行手段120は、ゲーム画像上に競技者の操作等に従ってキャラクタを配置させ、そのプレイヤの操作等に応じてゲーム空間におけるキャラクタの行動等を制御する。具体的に例えば、ゲーム処理実行手段120は、プレイヤの操作等に応じて、キャラクタの位置やアクション等の制御を実行する。
【0041】
ここで、ゲーム処理実行手段120は、操作情報受付手段140と、時間情報取得手段141と、再開時進行状況取得手段142とを含む。
操作情報受付手段140は、プレイヤの操作に対応する各種入力情報を、ゲーム処理における操作情報として受け付ける。
【0042】
時間情報取得手段141は、操作情報受付手段140で操作情報が受け付けられた時間情報を取得する。
【0043】
再開時進行状況取得手段142は、サーバ1から送信されてきた再開時進行状況を、通信部101を介して、取得する。なお、ゲーム処理実行手段120は、再開時進行状況取得手段142で取得された再開時進行状況に基づいて、ゲームを再開する。
【0044】
入出力制御手段121は、各種プログラム等の処理の実行にあたり、出力部102および入力部103を介した出入力に関する制御を実行する。
【0045】
<具体例>
図4は、ゲーム中断時のキャラクタの状況のイメージを説明するための図である。
図4の例では、予期せぬ接続不良によりゲームが中断した場合のゲーム画像の一例が示されている。
図4の上部の例を見ると、必殺技を放ったキャラクタC1と、その必殺技に対して防御態勢(以下、「ガード」と呼ぶ)を取るキャラクタC2が示されている。
ここで、本実施形態の格闘ゲームでは、対戦の勝敗を決定するためのパラメータとして、例えば、ヒットポイント(以下、「HP」と呼ぶ)や必殺技ゲージと呼ばれるパラメータなどが採用される。HPとは、対戦相手のキャラクタによりなされた攻撃や必殺技などを受けた場合に減少し、0になることで対戦の負けが決定する。必殺技ゲージは、ゲーム中に一定の条件により蓄積し、蓄積したゲージが一定の数値を超えた場合、そのキャラクタは、通常の必殺技よりもさらに強力な必殺技を使用することができる。
これに対して、
図4の下部の例を見ると、必殺技を放ったキャラクタC1と、その必殺技をガードせずにそのまま受けたキャラクタC2が示されている。
【0046】
ここで、本実施形態の格闘ゲームでは、敵の攻撃をガードした場合と、敵の攻撃をガードせずに被弾(以下、「ヒット」と呼ぶ)した場合とを比較して、例えば、HPの減少量や、攻撃を受けた後の硬直時間(プレイヤによるキャラクタ操作を制限する時間)などに差異が設けられる。
なお、硬直時間中のキャラクタは、各種動作を取ることができないため、他の攻撃を含めた多くの攻撃を受けやすい状態となる。格闘ゲームでは、このようなキャラクタの硬直時間を利用して、複数の連続した攻撃(以下、「コンボ」と呼ぶ)をヒットさせる手法が勝敗に大きな影響を与えるため、硬直時間の有無は対戦の有利不利を判断する上で、極めて重要な指標の一つとなる。
【0047】
さらに、本実施形態の格闘ゲームにおけるガードとヒットの硬直時間の差について具体的に説明する。
すなわち、例えば、敵の攻撃をガードした場合、キャラクタは一定時間(硬直が解けるまで)身動きを取ることができないが、引き続きガードを行うことができるなど一部の行動は行うことができる。これに対して、例えば、敵の攻撃がヒットした場合、キャラクタは一定時間(硬直が解けるまで)ガードを含めた一切の行動を行うことができない。
このように、プレイヤに対してガードすることのインセンティブを与えることで、ゲームのゲーム性を高めることができる。
本実施形態における本システムは、このような事情を背景にゲーム中断時の状況から具体的に対戦の有利不利を評価する。続いて、有利不利の評価についてより詳細な方法を示しつつ、再開時の進行状況を生成する方法を、
図5を用いて説明する。
【0048】
図5は、ゲーム再開時の進行状況を生成する方法の一例を説明するためのイメージ図である。
図5の例では、
図4の下部の例であるキャラクタC1が放った必殺技がキャラクタC2にヒットした状況でゲームが中断した場合の具体的な評価と、そこから生成される再開時の進行状況の具体的な例が示されている。
図5を見ると、具体的な評価項目として、「ガードの有無」、「コンボ継続の有無」、「硬直時間(どちらが先に動けるか)」、「位置(ヒットバック等を含む)」、「ダメージ」、「その他」、「HPおよび必殺技ゲージ」、「残り時間(勝っているほうは残り時間が少ないほど有利)」という項目が示されている。
図5の例では、上述のキャラクタC1が放った必殺技がキャラクタC2にヒットした状況におけるキャラクタC1の具体的な評価は、「ガードの有無」がポイント=4、「コンボ継続の有無」がポイント=0、「硬直時間(どちらが先に動けるか)」がポイント=5、「位置(ヒットバック等を含む)」がポイント=3、「ダメージ」がポイント=5、「その他」がポイント=0、「HPおよび必殺技ゲージ」がポイント=3、「残り時間(勝っているほうは残り時間が少ないほど有利)」がポイント=5の合計で25ポイントとなっている。これに対して、図示はしないがキャラクタC2の評価は合計で20ポイントであったとする。つまり、ゲーム中断時の進行状況は、キャラクタC1がキャラクタC2に比べて5ポイント分有利な状況であったと考えることができる。
そして
図5の例では、この評価に基づいて、例えば、「キャラクタC2はHP8割(2割減少)、キャラクタC1は0.5秒のアドバンテージを持って、初めからスタート」という条件によりゲームを再開するための再開時進行状況が生成される。
【0049】
ここで、その他の項目には、例えば、リカバリアブルダメージの有無やコンボによる有利不利に対する補正などが含まれる。
リカバリアブルダメージとは、一定の条件で攻撃を受けた場合に生じる特殊なダメージ形態であり、リカバリアブルダメージを受けた場合には、通常と異なる態様でHPが減少する。そのまま、攻撃を受けずにいた場合に時間経過によりHPが回復するが、敵の攻撃を受けた場合には通常と同様の態様でHPが減少する。換言すれば、リカバリアブルダメージを受けた状態は、一定時間の間、通常よりも大きなHP減少リスクを負った状態で対戦を行わなければならないキャラクタの状態である。
【0050】
<進行状況生成処理の流れ>
図6は、
図3のサーバが実行する処理のうち、進行状況生成処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS1において、サーバ1のゲーム情報取得手段60は、プレイヤ装置2のそれぞれから送信されてくるゲーム情報を取得する。
【0051】
ステップS2において、ゲーム情報照合手段61は、ステップS1で取得されたゲーム情報を照合し、ゲーム情報に不足があるか否かを判定する。
プレイヤ装置2のうち、全てのプレイヤ装置2からゲーム情報が取得されていれば、ステップS2ではNOであると判定されて処理はステップS3に進む。
これに対して、プレイヤ装置2のうち、一部のプレイヤ装置2のみからしかゲーム情報が取得されていなければ、ゲーム情報照合手段61は、ゲームの中断を決定する。この場合、ステップS2ではYESであると判定されて処理はステップS4に進む。
【0052】
ステップS3において、ゲーム情報照合手段61は、ゲームの進行状況を確定し、必要な情報を適宜、ゲーム情報DB300に格納する。
【0053】
ステップS4において、中断時ゲーム状況取得手段62は、ステップS2でゲームの中断が決定された場合、その時点でのゲームの進行状況、すなわち中断時ゲーム状況をゲーム情報DB300から取得する。
【0054】
ステップS5において、中断時処理実行手段63は、ゲームが中断された時点における前記進行状況に基づいて、所定の条件に基づく処理、すなわち中断時処理を実行する。
【0055】
ステップS6において、再開時進行状況生成手段64は、ステップS5で実行された処理(評価)の結果に基づいて、再開時進行状況を生成する。また、再開時進行状況生成手段64は、生成した再開時進行状況をプレイヤ装置2のそれぞれに送信する。
以上で、進行状況生成処理は終了する。
【0056】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0057】
<他の実施形態>
ここで、上述の実施形態において、中断時処理は必ずしも上述した処理に限られず他の態様の中断時処理も採用され得る。
図7を参照しつつ、中断時処理の具体的な変形例を説明する。
図7の変形例では、左側にゲーム中断時のゲーム画像が、右側にゲーム再開時のゲーム画像が示されている。
左側のゲーム中断時の画像を見ると、キャラクタC1がキャラクタC2に対して技を放った状況である。そして、キャラクタC2はその技を防御(ガード)するのが遅れ、その技がキャラクタC2にヒットする直前でゲームが中断されてしまったとする。
そこで、
図7の変形例においては、キャラクタC1が必殺技を放った直後、すなわちキャラクタC2に必殺技がヒットする直前の状況が再開時進行状況として生成される。そして、ユーザの操作により先程必殺技がヒットした状況と同様の状況を再現し、そこからゲームを再開する。
換言すれば、
図7の変形例では、ゲームが中断した直前の進行状況を生成し、ユーザの操作により中断時の状況と同様の状況を再現させることにより、ユーザの操作をトリガとしてゲームを再開する変形例である。これにより、お互いのプレイヤは、中断時の状況とほぼ同等の条件を享受しつつ、自然な流れで新たなゲームに没入することができる。
なお、ゲームを再開するためのユーザの操作は、ゲーム中の操作と同様でもよいし、このようなユーザの操作は単一のユーザの操作でなくともよい。具体的に例えば、敵にパンチ(攻撃)をガードさせた状況で中断したのであれば、防御側がガード操作を行ったうえで、攻撃側がパンチ(攻撃)操作を行うことでゲームを再開してもよい。
【0058】
さらに、
図8を参照しつつ、中断時処理のさらなる変形例を説明する。
図8の変形例では、
図7の例と同様に、左側にゲーム中断時のゲーム画像が、右側にゲーム再開時のゲーム画像が示されている。
左側のゲーム中断時のゲーム画像をみると、これも
図7の例と同様にキャラクタC1がキャラクタC2に対して技を放った状況である。そして、
図7の例と同様に、キャラクタC2はその技を防御(ガード)するのが遅れ、その技がキャラクタC2にヒットする直前でゲームが中断されてしまったとする。
この点、
図7の変形例では、キャラクタC1が必殺技を放った直後、すなわちキャラクタC2に必殺技がヒットする直前の状況が再開時進行状況として生成され、ユーザの操作をトリガとしてゲームが再開された。
これに対して、
図8の変形例では、例えば、キャラクタC1により放たれた必殺技が、キャラクタC2にヒットしたものとして処理を行い、その後の状況を想定し、再開時進行状況が生成される。つまり、中断時に必殺技がキャラクタC2にヒットする処理が未完であった場合であっても、ヒットする確率が極めて高い状況(ガードが間に合わない状況)であれば、強制的に処理を完了し、その後の状態からゲームを再開する。そのため、例えば、
図8の右側に示されたゲーム再開時のゲーム画像においては、キャラクタC2の上部に示されているヒットポイント(HP)が8割程度から6割程度まで減少していることがわかる。これにより、お互いのプレイヤは、完全にフェアな状況を再現できているとは言えないまでも、いずれのプレイヤにとっても大きな不公平感を感じることなく、ゲームを再開することができる。
【0059】
なお、
図8の例における完了させる中断時の処理とは、例えば、<1>攻撃がヒットした場合にHPが0になったか否かといった対戦の勝敗の条件に関する処理、<2>連続して素早く動いた場合、想定される移動距離を移動した後の場所にキャラクタを生成するといったオブジェクトの動作に関する処理、<3>奇襲技の際にガード操作や反撃操作(カウンター)があったか否かなどのオブジェクトの動作に関する所定の条件に関する処理などが含まれる。
【0060】
また例えば、上述の実施形態において説明を省略したが、ゲームの再開する状況は、例えば、本システムの提供者、ゲーム大会の主催者、プレイヤなどによる任意の操作や指示に基づいて決定されてもよい。これにより、例えば、決定の対象者は、ゲーム大会などの会場の状況やその他の条件などを考慮して再開する状況を決定することができるため、より柔軟にゲームの再開をデザインすることができる。
具体的に例えば、ゲーム大会の主催者が再開時の進行状況のうち再開可能な進行状況の候補を提示して、それに対する観客の投票により再開時の進行状況を決定してもよいし、リプレイ画像などを再生しながら観客の投票により再開時の進行状況を決定してもよい。さらに言えば、主催者と観客の意見の割合(例えば、主催者30%、観客70%など)を総合的に勘案し、中断時の状況がどちらのプレイヤにどの程度有利であったかなどを決定してもよい。
【0061】
また例えば、上述の実施形態(特に
図4および
図5)において、説明した評価項目やポイント算出の基準は、あくまでも例示であり限定されない。
ゲームの内容や対戦の目的などによって任意に採用することができるし、詳細なポイントの算出方法も自由に変更することができる。
例えば、ゲームで採用されているHPや必殺技ゲージといった各種パラメータ(指標)やキャラクタの状態などのゲームに関するあらゆる項目も評価項目として採用することができる。
具体的に例えば、ゲームの中には、毒や回復待ちなどの特異なキャラクタの状態が設定されているものや、武器や乗り物などを使用して対戦を行うようなものも存在する。このような場合には、毒や回復待ちなどは勿論、武器、乗り物、アイテムなどの有無もキャラクタの状態を示す項目の一つとして、評価項目として採用することもできる。
なおこの場合、例えば、サーバ1は評価の結果に基づいて、上述の各種パラメータ(指標)およびキャラクタの状態(武器、乗り物、アイテムなどの有無を含む)を調整することにより再開時のゲームの進行状況を生成してもよい。
【0062】
また例えば、上述の実施形態において説明を省略したが、以下、中断時の進行状況の有利不利を評価する際のポイントと、生成する再開時の進行状況を、具体的な事例を踏まえて説明する。
なお、再開時の進行状況を生成する際の基準や考え方については、上述の実施形態において、既に述べた通りである。
(1)HPや必殺技ゲージの状況を評価してもよい。
例えば、減ったHPを評価して必殺技ゲージに反映し、ゲームを再開してもよい。
また例えば、HPや必殺技ゲージが変動する直前の進行状況を生成し、プレイヤの操作をトリガとしてゲームを再開してもよい。
また例えば、HPや必殺技ゲージが変動した後の状況からゲームを再開してもよい。
(2)画面の端までの距離(一般に格闘ゲームでは画面の端を背にしたキャラクタが不利と考えられている)を評価してもよい。
例えば、画面を左右に3分割(左、中央、右)し、お互いに中央のエリアならイーブン、いずれかのプレイヤが左右どちらかのエリアにいた場合にはそのエリアにいない(中央にいる)キャラクタを高く評価してもよい。
また例えば、ガードやヒットバックする直前の進行状況を生成し、プレイヤの操作をトリガとしてゲームを再開してもよい。
また例えば、ガードやヒットの処理後からゲームを再開してもよい。
また例えば、この場合、ガードやヒットバック中の中断であれば、キャラクタが後退(バック)した分も含めて存在するエリアを評価してもよい。
なお、片方のキャラクタが単に画面の端を背にしている場合であっても、もう片方のキャラクタとの距離が離れていれば、有利不利にそれほど影響を与えない場合もある。このような場合には、単に画面の端を背にしているかだけでなく、お互いのキャラクタの位置関係や、画面の端を背にしているキャラクタの稼働可能な範囲(画面の端で動作がしにくい状況であるか否か)などを総合考慮して、有利不利を評価してもよい。
(3)ヒットやガード時のフレームやキャラクタの状況(キャラクタは立っているか、しゃがんでいるのか、カウンターやひざ崩れヒットなのか、ダウンしているか、受け身中なのかなど)を評価してもよい。
例えば、
図5の例と同様に具体的に数値化し、再開時のパラメータなどに還元し、有利な状況から再開してもよい。
また例えば、ガードやヒット前の進行状況を生成し、プレイヤの操作をトリガとしてゲームを再開してもよい。
また例えば、ガードやヒットの処理後からゲームを再開してもよい。
(4)奇襲攻撃に対してガードや反撃の入力操作がされているか、などを評価してもよい。
例えば、反応できなかったフレームだけ高評価、反応できて逆に反撃可能な状況であれば高評価としてもよい。ただし、判断が難しいような状況であれば、イーブンとしてもよい。
また例えば、奇襲技入力後、反応できなかったフレームだけ有利な状況、または奇襲ということを踏まえた追加の有利フレームを付与してゲームを再開してもよい。
また例えば、奇襲技に反応できていた場合には、反撃ヒットや回避行動後にゲームを再開してもよい。
また例えば、奇襲技の処理後にゲームを再開してもよい。
【0063】
また例えば、上述の実施形態において説明を省略したが、格闘ゲームにおけるフレームの概念を、詳細に説明する。フレームとは、動画やアニメなどにおいて、ある一つの時点として表現された画像などを意味する用語として知られるが、格闘ゲームでは多少異なる意味の単語としても利用される。
すなわち、格闘ゲームにおけるフレームとは、ゲーム内の時間経過やゲーム画像の管理のために用いられる、時間の単位を意味する単語としても利用される。なお、一般的に格闘ゲームでは、1秒を60分割した単位で管理され、1フレーム=1/60とされている。
つまり、格闘ゲームにおいては、フレーム毎の単位で各種入力情報が処理され、ゲームが進行することとなる。さらに言えば、格闘ゲームでは、キャラクタの夫々の各種動作に対して、夫々の動作が有効となるまでのフレーム(時間)、その操作の後に、プレイヤによる他の操作入力を受け付けないフレーム、すなわち硬直時間などが設定されている。
そのため、格闘ゲームにおいては、このような動作や技の発生に至るまでのフレーム(時間)、その動作の後に生じる入力不可能なフレームなどの長さを理解した上で対戦することが勝率を向上させるための技術として利用されることがある。
なお、上述の有利フレームが付与されるというアドバンテージは、例えば、アドバンテージを付与されたキャラクタが制限なく操作可能であるのに対して、付与されなかったキャラクタは一部の操作を制限された状態で、12フレーム(約0.2秒)の間ゲームを進行することができるアドバンテージである。
【0064】
また例えば、上述の実施形態において説明を省略したが、格闘ゲームでは、一定の方向のキャラクタ操作を継続して行うことで初めて効果を発揮する技(いわゆる、「溜め技」)なども存在し、通常はゲームの開始前から操作が有効な場合が多い。したがって、本システムの提供者等は、再開時には溜めの操作を有効にしてもよいし、無効にしてもよい。また、サーバ1は、中断時に溜め操作が行われている場合には、再開時にも溜め操作を有効なものとして再開時の進行状況を生成してもよい。
【0065】
同様に、他のゲームジャンルを採用した場合の具体的な事例について簡単に説明する。
(1)野球ゲームの場合
(a)例えば、ボールとランナーの位置からセーフになるかアウトになるかを判定してもよい。
塁と塁の間に挟まれている場合などは、アウトの可能性が高いため低評価となる。逆に、セーフの可能性が高いプレイであれば高評価となる。評価に応じて点数やランナーを付与したり、選手のパラメータを上げた状態でゲームを再開してもよい。
また例えば、ボールを打つ直前でゲームを再開し、プレイヤがバットを振ることでボールが飛ぶ所からゲームを再開してもよい。
また例えば、アウトかセーフかの処理が全て完了した状態でゲームを再開してもよい。
(b)ボールとバットの位置から、ストライク、ボール、ヒットアウトを判定してもよい。
例えば、導かれる結果から評価点を決定し、評価に応じて点数やランナーを付与したり、選手のパラメータを上げた状態でゲームを再開してもよい。
また例えば、投球モーション中に中断したら、同じ球種、同じコースへのピッチング操作からゲームを再開してもよい。
また例えば、ストライクになる可能性が極めて高い状況なら、ストライクとして処理をしてからゲームを再開してもよい。また、ボールがストライクゾーンを通過することが確定しており、そこからバットを振ってもボールに当たらない場合には、ストライクとして、処理をしてからゲームを再開してもよい。
(2)サッカーゲームの場合
(a)例えば、ピッチ内でプレイが継続している状況下、スローインなどでプレイが中断している状況かを判定してもよい。
また例えば、スコア差を評価して、再開時にスコアやパラメータを調整してもよい。
また例えば、シュートやディフェンスの操作からゲームを再開してもよい。
また例えば、どちらのボールか評価し、ドロップボールでゲームを再開してもよい。
(b)さらに例えば、ボールがゴールに入りそうな状況かどうかを判定してもよい。
また例えば、ゴールに入りそうなら高評価して、再開時に恩恵を付与してもよい。また、既に入った得点、警告や退場の有無に応じて恩恵を付与してもよい。
また例えば、シュートやディフェンスの操作からゲームを再開してもよい。
また例えば、シュートが入りそうな状況であれば、入った後からゲームを再開してもよい。また、反則になる可能性の高いプレイ中に中断したら、反則後の警告、退場処理や、それに伴うフリーキックやペナルティキックからゲームを再開してもよい。
【0066】
さらに、上記以外のゲームジャンルについても同様である。すなわち本発明のポイントの一つは、中断時のゲーム内のパラメータおよびゲーム内の状況からプレイヤのそれぞれの有利不利を判断し、その評価に基づいて、再開時の状況を決定し、ゲーム再開のための情報を生成する点にある。
これは例えば、レースゲームであれば、タイム差、順位、周回回数、ゲーム内アイテムの有無などが考慮要素になると考えられる。
同様にパズルゲームであれば、ブロックの積み上がり方、次のブロック、対戦相手の盤面の状況、必殺ゲージなどの蓄積の有無、スキルの使用状況、使用キャラクタの相性などが考慮要素になると考えられる。
同様に、RTS(Real Time Strategy)ジャンルのゲームであれば、戦場(中継地点や本拠地)の状況、キャラクタのレベル、保持アイテムなどが考えられる。
同様に、バトルロワイヤルジャンルのゲームであれば、キル数、残り時間、保持アイテム、(非対称型の場合)捕獲されたキャラクタの状況などが考慮要素になると考えられる。
同様に、カードゲームであれば、ライフ数、手札数、手札の内容やデッキの残りカード、盤面の状況などが考慮要素になると考えられる。
同様に、音楽ゲームであれば、コンボ数、点数などが考慮要素になると考えられる。
【0067】
以上をまとめると、本発明は様々なジャンルのゲームに適用することができる。すなわち、本発明を適用することができるゲームは、例えば、ネットワークを伴わない格闘ゲーム、スポーツゲーム、パズルゲーム、レースゲーム、RTS、FPS(First Person Shooter)、カードゲーム、バトルロワイヤル(対称型、非対称型)、音楽ゲームなどのあらゆるジャンルのゲームであってもよい。
【0068】
ここで、上述の実施形態を含む本発明の重要ポイントについてさらに補足する。特にネットワーク対戦型のゲームでは、通信の切断を理由にゲームが中断することが少なくない。このような場合、従来技術によれば、進行中のゲームを終了し、新たにゲームを最初からやり直すのが通常である。しかし、このような対応は、特に有利な状況でゲームが中断されたプレイヤにとって公平感に欠ける対応であることは否めない。さらに言えば、悪意のあるプレイヤの場合には、不利な状況であった場合に意図的にネットワークを切断するといった不正を働く場合もある。
この点、囲碁や将棋のようなリアルタイムでの進行が速くないゲームの場合には、棋譜などに基づいてゲームの進行状況をそのまま再現して、ゲームを再開することが可能と考えられる。しかし、例えば、特にネットワークを利用した格闘ゲームやアクションゲームにおいては、通信時のラグが生じる中で、短い時間で多くの処理が発生するため、中断時のゲームの進行状況をそのまま再現するということ自体が、簡単ではない。
また、仮に中断時のゲームの進行状況をそのまま再現して、ゲームを再開したとしても、その状況がそれぞれのプレイヤにとって十分に公平で納得感のある状況とは限らない。
すなわち、格闘ゲームやアクションゲームにおいては、限られた短い時間で区切られた環境下において、有効な行動をとることができるか(例えば、相手の硬直に対してどのような動きを取るのか、どのようなコンボを選択するのか)、正確な入力操作を行えるかどうかなども勝敗における大きな要素である。そのため、ゲームの中断により時間的な制約が除去されてしまえば、同一の進行状況でゲームが再開されたとしても、必ずしも公平とは言えないのである。
さらに言えば、あくまでもゲームの流れの中で入力操作が行われることが前提であるにもかかわらず、いきなりゲームが再開されても、プレイヤがゲームの操作感を取り戻しにくいという問題もある。
【0069】
換言すれば、本発明に係る重要なポイントの一つは、「中断時のゲームの進行状況を敢えてそのまま再現するのではなく、それぞれのプレイヤに納得感のあるインセンティブを付与した上で再開するゲームの進行状況を生成する」という点である。
このような思想は、ゲーム中の一時停止機能、電源が遮断された場合などにそのままの状況からゲームを再開するレジューム機能、その他の類似する機能(例えば、スリープ画面からの復旧機能やスマホアプリにおけるアクティブ状態と非アクティブ状態の切り替えなど)とは異なる概念であり、本発明の思想は、あくまでも中断時の状況に基づいて新たなゲームの進行状況を生成する点にある。
なお、例えば、格闘ゲームの大会などにおいては、単に中断時の状況をそのまま再現するのみでは真に公平な対戦が実現しないという理由から、誤操作により一時中断機能を利用した場合(いわゆるスタートボタンを押下してしまった場合)にその対戦自体を無効とし、誤操作をしてしまったプレイヤを負けとみなす運営がなされることがある。しかし、本発明にかかる上述のシステムなどを利用すれば、このような場合であっても誤操作をしたプレイヤが不利な状況からゲームを再開するというような運営を行うこともできる。
また同様に、対戦が不利になった場合に意図的に通信を遮断するような悪意のあるプレイヤに対しても、中断時の不利な状況に基づいて生成された進行状況からゲームを再開するに過ぎない。そのため、本発明にかかる上述のシステムは、このような悪意ある行為に対しても有効に機能する可能性がある。
【0070】
また例えば、上述の実施形態において説明を省略したが、ゲームが中断された種別に応じて再開時の状況を変更などしてもよい。
具体的に例えば、プレイヤの通信環境に依存する通信不全や悪意による通信遮断などが原因であれば、上述の実施形態と同様に中断時の有利不利を評価し、再開時の状況を生成してもよい。他方、サーバやプロバイダのダウンなどのプレイヤの介入しがたいやむを得ない事情による中断であれば、サーバ1は、特段の有利不利の評価を行わず、有利不利のない状況で再開時の状況を生成してもよい。
【0071】
また例えば、上述の実施形態において説明を省略したが、中断時の状況に有利不利の差が大きい場合には、単にゲームを再開せず、対戦の勝敗を決したものとみなしてもよい。具体的に例えば、野球ゲーム7回を終了するまでに一定の得点差以上の差がついている場合には有利側の勝利としてもよい。また、サッカーゲームであれば残りの時間と得点差から一般的に逆転の可能性が極めて低いと考えられる場合には有利側の勝利としてもよい。
【0072】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図3の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図3に特に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0073】
また例えば、本システムを構成する各種ハードウェア(サーバ1およびプレイヤ装置2)の数や使用者は任意であるし、他のハードウェア等を含み構成されてもよい。具体的に例えば、サーバ1とプレイヤ装置2には、同一のコンピュータ等が採用されても構わない。
【0074】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
即ち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェア(サーバ1およびプレイヤ装置2)には、任意のコンピュータ、任意のスマートフォン等の携帯端末、任意のゲーム機等が自由に採用されてもよい。さらに言えば、各種入力部や各種出力部等の種別や内容についても任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0075】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、プレイヤにプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でプレイヤに提供される記録媒体等で構成される。
【0076】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0077】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
すなわち本発明が適用される情報処理装置は、
複数のユーザが参加可能なゲームにかかる情報処理装置(例えば、サーバ1)であって、
前記ゲームが中断した場合に、前記ゲームが中断した時点における前記ゲームの進行状況を取得する進行状況取得手段(例えば、中断時ゲーム状況取得手段62)と、
前記進行状況取得手段により取得された前記ゲームが中断した時点における前記進行状況に基づいて、再開する前記ゲームの進行状況に関する情報を生成する生成手段(例えば、再開時進行状況生成手段64)と、
を含むことができる。
【0078】
<効果>
これにより、ユーザは、ゲーム中に中断があっても、公平で納得感のある進行状況でゲームを再開できるため、よりゲームを楽しむことができる。
【0079】
また、これにより、ユーザは、ゲーム中に中断があっても、さらに公平で納得感のある進行状況でゲームを再開できるため、よりゲームを楽しむことができる。
【0080】
また、これにより、ユーザは、中断時の有利不利に関する評価を加味した進行状況でゲームを再開できるため、さらに公平で納得感のある状態でゲームを再開することができる。
【0081】
また、これにより、ユーザは、中断時の進行状況に関する評価に応じて、ゲーム中のパラメータやキャラクタの状態が調整された進行状況でゲームを再開することができるため、より明確かつ具体的に中断時の戦況を反映した状態でゲームを再開することができる。
【0082】
また、これにより、ユーザは、より明確かつ具体的に中断時の戦況を忠実に再現しつつ、ゲーム再開時に焦ることなくゲームを再開することができる。
【0083】
また、これにより、ユーザは、中断時に未完であった処理を完了した進行状況でゲームを再開することができるため、より中断時の戦況を忠実に再現しつつ、ゲーム再開時に焦ることなくゲームを再開することができる。
【0084】
また、これにより、ユーザは、例えば、大会の運営者などによる任意に指定された進行状況でゲームを再開することができるため、具体的に評価などに反映しづらい観点を加味した状態でゲームを再開することができる。
【0085】
また、これにより、ユーザは、ゲームの流れの中でユーザの操作を行いながらゲームを再開することができるため、より自然な流れでゲームを再開することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 サーバ
11 制御部
60 ゲーム情報取得手段
61 ゲーム情報照合手段
62 中断時ゲーム状況取得手段
63 中断時処理実行手段
64 再開時進行状況生成手段
300 ゲーム情報DB
400 評価基準DB
2-A プレイヤ装置
100-A 制御部
120-A ゲーム処理実行手段
140-A 操作情報受付手段
141-A 時間情報取得手段
142-A 再開時進行状況取得手段
121-A 入出力制御手段
2-B プレイヤ装置
100-B 制御部
120-B ゲーム処理実行手段
140-B 操作情報受付手段
141-B 時間情報取得手段
142-B 再開時進行状況取得手段
121-B 入出力制御手段