(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133264
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】複数の検出能力を有する統合試料処理システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01N35/02 G
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024113092
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2023037413の分割
【原出願日】2018-05-22
(31)【優先権主張番号】62/509,601
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/607,773
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ハドソン
(72)【発明者】
【氏名】水谷 貴行
(72)【発明者】
【氏名】サブハシシュ プルカヤスタ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダブリュー. ロスコー
(57)【要約】
【課題】好適な複数の検出能力を有する統合試料処理システムを提供すること。
【解決手段】分析器と、質量分析計とを含んでいる統合試料処理システムが開示されている。当該統合試料処理システムは、複数の異なる種類の検出を実施し、それによって、試料の処理において、改善された柔軟性及びより良い正確性を提供することができる。当該試料処理システム内の検出システムは、光学検出システムと、質量分析計とを含んでいるものでもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年5月22日に出願された米国特許出願第62/509,601号及び2017年12月19日に出願された同第62/607,773号の非仮出願であり、これらの出願の出願日の利益を主張する。同出願は、全ての目的について、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
質量分析法(MS)は、試料の元素組成を決定し、粒子及び分子の質量を定量化し、分子の化学構造を解明するために使用される分析技術である。液体クロマトグラフィ(LC-MS)、ガスクロマトグラフィ(GC-MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離/イオン化/飛行時間型(MALDI-TOF MS)などの高い特異性を有する様々なタイプのMSが、臨床診断において使用されてきている。これらのMS技術は、イムノアッセイ(例えば、分析物の非特異的結合及び交差反応性)の制限の多くを克服し、多くの利点をもたらす)。
【0003】
今日まで、MS技術は、試料調製、オンライン抽出、スループット、オートメーション、実験室情報システムインターフェイス、計器間標準化及び調和などの課題のため、広範な臨床用途を見出せなかった。
【0004】
本発明の実施形態は、これら及び他の課題を、個々に又はまとめて解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のいくつかの実施形態は、質量分析計と一体化された化学分析器又は免疫分析器などの分析器を含み得る統合試料処理システムを含み得る。本発明の実施形態は、複数の検出システムを使用する選択肢と共に、共通の試料調製ステーションを有するという利点を提供する。このような検出システムは、質量分析計及び分析器内に存在し得る光学検出システムを含んでもよい。光学検出システムは、化学発光又は蛍光などのイムノアッセイ検出プロセスを使用して動作してもよい。
【0006】
本発明の実施形態はまた、小分子及び大分子(タンパク質)を分析するための質量分析システム及び方法を含み得る。いくつかの実施形態では、試料調製から検出へのワークフローは、従来の試料調製方法と比較して簡略化される。本発明の実施形態による簡略化された試料調製方法では、遠心分離システム及び/又はLCシステムを使用する必要はない。試料処理システム内の遠心分離機及びLCシステムを排除することにより、複雑性が低減され、全体的な試料分析プロセスの堅牢性が改善され、処理される試料のTAT(ターンアラウンド時間)が改善され、かつ/又は処理される試料の分析の正確性が改善若しくは維持される。
【0007】
本発明の一実施形態は、試料処理システムであって、分析器であって、(i)試料を収容する複数の試料管を保持するように構成されている試料提示ユニットと、(ii)ピペッタを含み、複数の試料管内の試料管にある試料アリコートを反応容器に提供するように構成されているアリコートステーションと、(iii)ピペッタを使用して、反応容器内の試料の第1の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するように構成されている光学検出ステーションと、を含む、分析器を備える、試料処理システムに関する。質量分析計は、分析器に連結され得る。質量分析計は、分析器から第2の処理済み試料アリコートを受け取り、受け取った第2の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するように構成される。試料処理システムは、分析器及び質量分析計を制御するように構成されている制御システムを含み得る。
【0008】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションを含む分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法に関する。制御システムは、分析器、質量分析計、及び試料導入装置に動作可能に連結され得る。この方法は、アリコートステーションの少なくとも1つのピペッタによって、試料の第1の試料アリコート、及び試料の第2の試料アリコートを提供することと、分析器内の複数の処理装置によって、試料の第1の試料アリコートを処理して第1の処理済み試料アリコートを形成することと、分析器内の複数の処理装置によって、試料の第2の試料アリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成することと、分析器によって、免疫分析器を使用して、第1の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するためのプロセスを実施することと、試料導入装置によって、第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移すことと、質量分析計を使用して、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物を検出することと、を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションを含む分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、制御システムは、分析器、質量分析計、試料導入装置、及び制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法に関する。本方法は、アリコートステーションの少なくとも1つのピペッタによって、試料の第1の試料アリコート、及び試料の第2の試料アリコートを提供することと、分析器によって、反応容器内の試料の第1の試料アリコートから導出された第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施することと、試料導入装置によって、試料の第2の試料アリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移すことと、
質量分析計によって、二次分析において、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態は、アリコートステーションを含む分析器と、分析器に連結された質量分析計と、分析器及び質量分析計に連結された試料導入装置と、分析器、質量分析計、及び試料導入装置に連結された制御システムと、を備える、試料処理システムに関し、制御システムは、プロセッサ及びコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、方法であって、少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションに、試料の第1の試料アリコート及び試料の第2の試料アリコートを提供するように指示することと、分析器に、試料の第1の試料アリコートを収容する反応容器を処理して第1の処理済み試料アリコートを形成するように指示することと、分析器に、第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施するように指示することと、分析器に、試料の第2のアリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成するように指示することと、試料導入装置に、試料の第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移すように指示することと、質量分析計に、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施するように指示することと、を含む、方法を実施するために、プロセッサによって実行可能なコードを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態は、分析を実施する方法であって、方法は、分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、制御システムは、分析器、質量分析計、試料導入装置、及び制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される、方法に関する。この方法は、分析器によって、反応容器内の試料の第1の試料アリコートから導出される第1の処理済み試料アリコート中の疾患の第1のバイオマーカーの一次分析を実施することと、試料導入装置によって、試料の第2の試料アリコートから導出される第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移すことと、質量分析計によって、二次分析において、第2の処理済み試料アリコート中の当該疾患の第2のバイオマーカーの二次分析を実施することと、を含む。
【0012】
本発明の別の実施形態は、試料処理システムであって、分析器であって、(i)試料を収容する複数の試料管を保持するように構成されている試料提示ユニットと、(ii)複数の試料管内の試料管にある分析物を含む試料の第1のアリコートを反応容器に提供し、かつ第2のアリコートを提供するように構成されているアリコートステーションと、(iii)反応容器内の試料の第1の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するように構成されている光学検出ステーションと、を含む、分析器と、分析器に連結された質量分析計であって、質量分析計は、分析器から第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを受け取り、受け取った第2の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するように構成されている、質量分析計と、分析器及び質量分析計を制御するように構成されている制御システムと、を備える、試料処理システムに関する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、制御システムは、分析器、質量分析計、試料導入装置、及び制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法に関する。この方法は、分析器によって、反応容器内の試料の第1の試料アリコートから導出された第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施することと、第1の処理済み試料アリコート中の分析物の濃度が、所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいかを決定することと、試料導入装置によって、試料の第2の試料アリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移すことと、質量分析計によって、二次分析において、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態は、試料処理システムであって、分析器であって、(i)試料を収容する複数の試料管を保持するように構成されている試料提示ユニットと、(ii)複数の試料管内の試料管にある分析物を含む試料アリコートを反応容器に提供するように構成されているアリコートステーションと、(iii)反応容器内の試料の第1の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するように構成されている光学検出ステーションと、を含む、分析器と、分析器に連結された質量分析計であって、質量分析計は、分析器から第1の処理済み試料アリコート及び/又は第2の処理済み試料アリコートを受け取り、第1の処理済み試料アリコート及び/又は第2の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するように構成されている、質量分析計と、分析器及び質量分析計を制御するように構成された制御システムと、を備える、試料処理システムに関する。制御システムは、データプロセッサと、コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ可読媒体は、方法を実施するためにデータプロセッサによって実行可能なコードを含む、コンピュータ可読媒体と、を含む。この方法は、光学検出ステーションからのデータを使用して、光学検出ステーションにおける第1の処理済み試料アリコート中の分析物の検出が、所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいかを決定することと、決定に応答して、分析器に、第2の試料アリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成させ、試料導入装置に、第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移させることと、質量分析計に、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の存在を検出させることと、を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態は、少なくとも質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、制御システムは、質量分析計及び試料導入装置に動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法に関する。この方法は、質量分析計によって、試料の第1の試料アリコートの第1の処理済み試料アリコートから分析物の一次分析を実施することと、一次分析を実施した後に、試料処理システム内の質量分析計又は分析器によって、試料の第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む。
【0016】
本発明の別の実施形態は、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムと、を備える試料処理システムに関し、制御システムは、質量分析計及び試料導入装置の動作を制御し、かつ制御システムは、プロセッサ及びコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、方法であって、質量分析計によって、試料の第1の試料アリコートの第1の処理済み試料アリコートから分析物の一次分析を実施することと、一次分析を実施した後に、試料処理システム内の質量分析計又は分析器によって、試料の第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む、方法を実施するために、プロセッサによって実行可能なコードを含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
分析器であって、(i)試料を収容する複数の試料管を保持するように構成されている試料提示ユニットと、(ii)少なくとも1つのピペッタを含み、前記複数の試料管内の試料管にある分析物を含む試料の第1の試料アリコートを反応容器に提供し、かつ第2のアリコートを提供するように構成されているアリコートステーションと、(iii)前記反応容器内の前記試料の第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されている光学検出ステーションと、を含む、分析器と、
前記分析器に連結された質量分析計であって、前記質量分析計は、前記第2の試料アリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から受け取り、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されている、質量分析計と、
前記分析器及び前記質量分析計を制御するように構成されている制御システムと、を備える、試料処理システム。
(項目2)
前記試料の前記アリコートが第1の試料アリコートであり、前記試料処理システムは、
前記分析器内の複数の試料アリコート処理装置であって、前記複数の試料アリコート処理装置は、前記第1の試料アリコートを処理して前記第1の処理済み試料アリコートを形成することができ、かつ前記試料の第2の試料アリコートを処理して前記第2の処理済み試料アリコートを形成することができる、複数の試料アリコート処理装置と、
前記制御システム、前記分析器、及び前記質量分析計に連結された試料導入装置であって、前記試料導入装置は、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すように構成されている、試料導入装置と、を更に備える、項目1に記載の試料処理システム。
(項目3)
前記試料アリコートが第1の試料アリコートであり、前記制御システムは、
データプロセッサと、
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、方法であって、
前記光学検出ステーションからのデータを使用して、前記光学検出ステーションにおける前記第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物の検出が、所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいかを決定することと、
決定に応答して、前記分析器に、前記第2の試料アリコートを処理して前記第2の処理済み試料アリコートを形成させ、かつ前記試料導入装置に、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移させることと、
前記質量分析計に、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の存在を検出させることと、を含む、方法を実施するために、前記データプロセッサによって実行可能なコードを含む、コンピュータ可読媒体と、を含む、項目2に記載の試料処理システム。
(項目4)
前記試料導入装置が、ピックアンドプレース装置、移動シャトル、トラップ及び溶出装置、開ポート装置、又はダイレクトインジェクション装置を備える、項目2に記載の試料処理システム。
(項目5)
前記分析器が、前記試料の別のアリコートを収容する別の反応容器を貯蔵するように構成されている試料貯蔵ユニットを更に含む、項目1に記載の試料処理システム。
(項目6)
前記質量分析計、前記分析器、及び前記制御システムが、単一の器具内で一体的に接続されている、項目1に記載の試料処理システム。
(項目7)
前記分析器が試薬貯蔵部を更に含み、前記試薬貯蔵部は、イムノアッセイを実施するための試薬を含む第1の複数の試薬パックと、前記質量分析計において質量分析を実施するための試薬を含む第2の複数の試薬パックと、を含む、複数の試薬パックを含む、項目1に記載の試料処理システム。
(項目8)
前記分析器が免疫化学分析器であり、前記分析器は、
前記試料アリコートを収容する前記反応容器内に1つ以上の試薬を分配するように構成されている試薬分配ステーションを更に含む、項目1に記載の試料処理システム。
(項目9)
前記分析器が、磁石を含む分離ステーションを更に含み、前記磁石は、前記反応容器内の前記試料中の他の成分から前記分析物を分離するためのものである、項目1に記載の試料処理システム。
(項目10)
前記試料アリコートが第1の試料アリコートであり、前記反応容器が第1の反応容器であり、前記試料処理システムは、
前記分析器内の複数の試料アリコート処理装置であって、前記複数の試料アリコート処理装置は、前記第1の試料アリコートを処理して前記第1の処理済み試料アリコートを形成することができ、かつ前記試料の第2の試料アリコートを処理して前記第2の処理済み試料アリコートを形成することができる、複数の試料アリコート処理装置を更に備え、
前記制御システムは、
データプロセッサと、
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、方法であって、
前記光学検出ステーションに、前記第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出させることと、
前記質量分析計に、前記分析器から移された前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出させることと、を含む、方法を実施するために、前記データプロセッサによって実行可能なコードを含む、コンピュータ可読媒体と、を含む、項目1に記載の試料処理システム。
(項目11)
少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションを含む分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、前記制御システムは、前記分析器、及び前記質量分析計、前記試料導入装置、及び前記制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法であって、前記方法は、
前記アリコートステーションの前記少なくとも1つのピペッタにより、試料の第1の試料アリコート、及び前記試料の第2の試料アリコートを提供することと、
前記分析器内の複数の処理装置のうちの1つ以上によって、試料の前記第1の試料アリコートを処理して第1の処理済み試料アリコートを形成することと、
前記分析器内の前記複数の処理装置のうちの1つ以上によって、前記試料の前記第2の試料アリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成することと、
前記分析器によって、前記分析器を使用して、前記第1の処理済み試料アリコート中の分析物を検出するためのプロセスを実施することと、
前記試料導入装置によって、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すことと、
前記質量分析計を使用して、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物を検出することと、を含む、方法。
(項目12)
前記複数の処理装置が、ピペッティングステーション、試薬分配ステーション、インキュベータ、並びに洗浄及び分離ステーションのうちの2つ以上を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
検出するための前記プロセスが、前記分析器を使用して、前記分析物の量又は存在を検出することを含み、前記質量分析計によって前記分析物を検出する前記プロセスも、前記分析物の量又は存在を検出することを含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記第1の試料アリコートを処理することが、
試薬を、前記第1の試料アリコートを収容する反応容器内に分配することと、
前記試薬及び前記試料アリコートを収容する前記反応容器をインキュベートすることと、
洗浄及び磁気分離プロセスを使用して、前記第1の試料アリコート中の他の成分から前記分析物を分離することと、を含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記試料が生体液である、項目11に記載の方法。
(項目16)
前記試料を前記分析器から前記質量分析計に移すことが、前記試料導入装置によって、前記試料を前記質量分析計に注入することを含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すことが、前記試料導入装置によって、トラップ及び溶出システムを使用して前記第2の処理済み試料アリコートを移すことを含む、項目11に記載の方法。
(項目18)
前記分析器によって、前記第2の処理済み試料アリコートを処理することが、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物を誘導体化することを含む、項目11に記載の方法。
(項目19)
試料貯蔵ユニット内の反応容器内に前記第2の試料アリコートを貯蔵することを更に含む、項目11に記載の方法。
(項目20)
前記方法が、高圧液体クロマトグラフィカラム又は遠心分離器を利用しない、項目11に記載の方法。
(項目21)
少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションを含む分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、前記制御システムは、前記分析器、前記質量分析計、前記試料導入装置、及び前記制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法であって、前記方法は、
前記アリコートステーションの前記少なくとも1つのピペッタにより、試料の第1の試料アリコート、及び前記試料の第2の試料アリコートを提供することと、
前記分析器によって、反応容器内の試料の前記第1の試料アリコートから導出された第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施することと、
前記試料導入装置によって、前記試料の前記第2の試料アリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すことと、
質量分析計によって、二次分析において、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む、方法。
(項目22)
前記一次分析が実施され得るように、前記分析器によって、前記第1の試料アリコートを第1の反応容器内で処理することを更に含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記分析器によって、前記第2の試料アリコートを第2の反応容器内で処理して、前記第2の試料アリコートを前記質量分析計用に調製することを更に含む、項目21に記載の方法。
(項目24)
前記試料導入装置によって、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移す前に、前記方法は、
前記制御システムによって、前記第2の処理済み試料アリコートを作製する前に、前記第1の処理済み試料アリコート中の分析物の濃度が、所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいかを決定することを更に含む、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物の濃度が、所定の閾値以下である、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記第2の試料アリコートに対して免疫精製プロセスを実施することを更に含む、項目22に記載の方法。
(項目27)
前記試料から追加の試料アリコートを取得し、前記追加の試料アリコートを試料貯蔵ユニット内に貯蔵することを更に含む、項目22に記載の方法。
(項目28)
前記分析器が磁気洗浄ステーションを含む、項目23に記載の方法。
(項目29)
前記第2の試料アリコートを処理することが、前記第2の試料アリコート中の他の成分から前記分析物を分離するために、前記磁気洗浄ステーションにおいて磁気分離プロセスを使用することを含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記試料導入装置がトラップ及び溶出システムを含む、項目21に記載の方法。
(項目31)
前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すことが、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に注入することを含む、項目21に記載の方法。
(項目32)
前記試料導入装置が開ポート試料採取インターフェースを含む、項目21に記載の方法。
(項目33)
アリコートステーションを含む分析器と、
前記分析器に連結された質量分析計と、
前記分析器及び前記質量分析計に連結された試料導入装置と、
前記分析器、前記質量分析計、及び前記試料導入装置に連結された制御システムであって、前記制御システムは、プロセッサと、コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、方法であって、
少なくとも1つのピペッタを含む前記アリコートステーションに、試料の第1の試料アリコート及び前記試料の第2の試料アリコートを提供するように指示することと、
前記分析器に、試料の前記第1の試料アリコートを収容する反応容器を処理して第1の処理済み試料アリコートを形成するように指示することと、
前記分析器に、前記第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施するように指示することと、
前記分析器に、前記試料の前記第2のアリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成するように指示することと、
前記試料導入装置に、前記試料の前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すように指示することと、
前記質量分析計に、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の二次分析を実施するように指示することと、を含む、方法を実施するために、前記プロセッサによって実行可能なコードを含む、コンピュータ可読媒体と、を含む、制御システムと、を備える、試料処理システム。
(項目34)
前記方法が、
前記制御システムによって、前記一次分析が所定の閾値に従って前記分析物の存在を検出するか、又は不在を検出するかを決定することを更に含む、項目33に記載の試料処理システム。
(項目35)
前記所定の閾値が、前記処理された第1の試料アリコート中の前記分析物の所定の量又は所定の濃度に対応している、項目34に記載の試料処理システム。
(項目36)
前記分析器に、前記第2の試料アリコートを処理するように指示することが、前記分析器に、反応容器内の前記第2の試料アリコートに対して免疫精製プロセスを実施するように指示することを含む、項目33に記載の試料処理システム。
(項目37)
前記免疫精製プロセスが、磁気分離プロセスを使用して、前記分析物を前記第2の試料アリコート中の他の成分から分離する、項目36に記載の試料処理システム。
(項目38)
前記分析器に、前記第2の試料アリコートを処理するように指示することが、前記分析器に、前記第2の試料アリコートに対してタンパク質沈殿プロセスを実施するように指示することを含む、項目33に記載の試料処理システム。
(項目39)
前記タンパク質沈殿プロセスが、磁気分離プロセスを使用して、前記分析物を前記第2の試料アリコート中の他の成分から分離する、項目38に記載の試料処理システム。
(項目40)
前記試料導入装置がトラップ及び溶出システムを含む、項目33に記載の試料処理システム。
(項目41)
前記試料導入装置に、前記試料の前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すように指示することが、前記試料導入装置に、前記試料の前記第2の処理済み試料アリコートを、前記第2の処理済み試料アリコートを注入することによって前記分析器から前記質量分析計に移すように指示することを含む、項目33に記載の試料処理システム。
(項目42)
前記試料導入装置が開ポート試料採取インターフェースを含む、項目33に記載の試料処理システム。
(項目43)
分析を実施する方法であって、前記方法は、分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、前記制御システムは、前記分析器、前記質量分析計、前記試料導入装置、及び前記制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施され、前記方法は、
前記分析器によって、反応容器内の試料の第1の試料アリコートから導出される第1の処理済み試料アリコート中の疾患の第1のバイオマーカーに対する一次分析を実施することと、
前記試料導入装置によって、前記試料の第2の試料アリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すことと、
質量分析計によって、二次分析において、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記疾患の第2のバイオマーカーに対する二次分析を実施することと、を含む、方法。
(項目44)
前記分析器が免疫分析器を含み、前記一次分析が、光学検出プロセスを使用して免疫分析を実施することを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記質量分析計が、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から受け取り、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されており、前記質量分析計は、前記第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されていない、項目1に記載の試料処理システム。
(項目46)
分析器であって、(i)試料を収容する複数の試料管を保持するように構成されている試料提示ユニットと、(ii)前記複数の試料管内の試料管にある分析物を含む試料の第1の試料アリコートを反応容器に提供し、かつ第2のアリコートを提供するように構成されているアリコートステーションと、(iii)前記反応容器内の前記試料の第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されている光学検出ステーションと、を含む、分析器と、
前記分析器に連結された質量分析計であって、前記質量分析計は、前記第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から受け取り、前記受け取った第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されている、質量分析計と、
前記分析器及び前記質量分析計を制御するように構成されている制御システムと、を備える、試料処理システム。
(項目47)
分析器と、質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、前記制御システムは、前記分析器、前記質量分析計、前記試料導入装置、及び前記制御システムに動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法であって、前記方法は、
前記分析器によって、反応容器内の試料の第1の試料アリコートから導出された第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施することと、
前記第1の処理済み試料アリコート中の分析物の濃度が所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいかを決定することと、
前記試料導入装置によって、前記試料の第2の試料アリコートから導出された第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すことと、
質量分析計によって、二次分析において、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む、方法。
(項目48)
前記分析器が、ピペッティングステーション、試薬分配ステーション、インキュベータ、並びに洗浄及び分離ステーションのうちの2つ以上を含む、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記分析器が免疫分析器である、項目47に記載の方法。
(項目50)
前記第1の試料アリコートを処理することが、
試薬を、前記第1の試料アリコートを収容する反応容器内に分配することと、
前記試薬及び前記試料アリコートを収容する前記反応容器をインキュベートすることと、
洗浄及び磁気分離プロセスを使用して、前記第1の試料アリコート中の他の成分から前記分析物を分離することと、を含む、項目47に記載の方法。
(項目51)
分析器であって、(i)試料を収容する複数の試料管を保持するように構成されている試料提示ユニットと、(ii)前記複数の試料管内の試料管にある分析物を含む試料のアリコートを反応容器に提供するように構成されているアリコートステーションと、(iii)前記反応容器内の前記試料の第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されている光学検出ステーションと、を含む、分析器と、
前記分析器に連結された質量分析計であって、前記質量分析計は、前記分析器から第1の処理済み試料アリコート及び/又は第2の処理済み試料アリコートを受け取り、前記第1の処理済み試料アリコート及び/又は前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物を検出するように構成されている、質量分析計と、
試料導入装置と、
前記分析器、前記試料導入装置、及び前記質量分析計を制御するように構成されている制御システムであって、前記制御システムは、
データプロセッサと、
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、方法であって、
前記光学検出ステーションからのデータを使用して、前記光学検出ステーションにおける第1の処理済み試料アリコート中の前記分析物の検出が、所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいかを決定することと、
決定に応答して、前記分析器に、前記第2の試料アリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成させ、かつ前記試料導入装置に、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移させることと、
前記質量分析計に、前記第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の存在を検出させることと、を含む、方法を実施するために、前記データプロセッサによって実行可能なコードを含む、コンピュータ可読媒体と、を含む、制御システムと、を備える、試料処理システム。
(項目52)
前記試料処理システムが、
前記分析器内の複数の試料アリコート処理装置であって、前記複数の試料アリコート処理装置は、前記第1の試料アリコートを処理して前記第1の処理済み試料アリコートを形成することができ、かつ前記試料の第2の試料アリコートを処理して前記第2の処理済み試料アリコートを形成することができる、複数の試料アリコート処理装置と、
前記分析器及び前記質量分析計であって、前記試料導入装置は、前記第2の処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に移すように構成されている、分析器及び質量分析計と、を更に備える、項目51に記載の試料処理システム。
(項目53)
前記試料導入装置が、ピックアンドプレース装置、移動シャトル、トラップ及び溶出装置、開ポート装置、又はダイレクトインジェクション装置を含む、項目52に記載の試料処理システム。
(項目54)
前記質量分析計、前記分析器、及び前記制御システムが、単一の器具内で一体的に接続されている、項目52に記載の試料処理システム。
(項目55)
前記分析器が試薬貯蔵部を更に含み、前記試薬貯蔵部は、イムノアッセイを実施するための試薬を含む第1の複数の試薬パックと、前記質量分析計において質量分析を実施するための試薬を含む第2の複数の試薬パックと、を含む、複数の試薬パックを含む、項目52に記載の試料処理システム。
(項目56)
少なくとも質量分析計と、試料導入装置と、制御システムであって、前記制御システムは、前記質量分析計及び前記試料導入装置に動作可能に連結されている、制御システムと、を備える試料処理システムによって実施される方法であって、前記方法は、
前記質量分析計によって、前記試料の第1の試料アリコートの第1の処理済み試料アリコートからの分析物の一次分析を実施することと、
前記一次分析を実施した後、前記試料処理システム内の前記質量分析計又は分析器によって、前記試料の第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む、方法。
(項目57)
前記試料処理システムが、免疫分析器を含む分析器を更に備える、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記分析物又は前記別の分析物が、ステロイド又は依存性薬物を含む、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記試料処理システムが分析器を更に含み、前記分析器はアリコートステーションを含む、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記分析物が、前記第1の分析において前記第1の処理済み試料アリコート中で同定されることが可能な、分析物のパネル内の多くの分析物のうちの1つである、項目56に記載の方法。
(項目61)
前記試料処理システムが前記分析器を更に含み、前記二次分析は前記分析器によって実施される、項目56に記載の方法。
(項目62)
前記二次分析が前記質量分析計によって実施される、項目56に記載の方法。
(項目63)
質量分析計と、
試料導入装置と、
制御システムであって、前記制御システムは、前記質量分析計及び前記試料導入装置の動作を制御し、前記制御システムは、プロセッサと、コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、方法であって、
前記質量分析計によって、前記試料の第1の試料アリコートの第1の処理済み試料アリコートからの分析物の一次分析を実施することと、
前記一次分析を実施した後、前記試料処理システム内の前記質量分析計又は分析器によって、前記試料の第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコート中の前記分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む、方法を実施するために、前記プロセッサによって実行可能なコードを含む、コンピュータ可読媒体と、を含む、制御システムと、を備える、試料処理システム。
(項目64)
前記試料処理システムが、前記分析器を更に備え、前記分析器は、免疫分析器又は化学分析器である、項目63に記載の試料処理システム。
(項目65)
前記分析器がアリコートステーションを含む、項目64に記載の試料処理システム。
(項目66)
前記分析器が、質量分析を実施するための試薬と、イムノアッセイ分析を実施するための試薬と、を含む、項目64に記載の試料処理システム。
(項目67)
前記試料導入装置が、処理済み試料アリコートを前記分析器から前記質量分析計に提供するように構成されている、項目64に記載の試料処理システム。
(項目68)
前記分析物が、前記第1の分析において前記第1の処理済み試料アリコート中で同定されることが可能な、分析物のパネル内の多くの分析物のうちの1つである、項目63に記載の試料処理システム。
(項目69)
前記分析器を更に備え、前記二次分析が前記分析器によって実施される、項目63に記載の試料処理システム。
(項目70)
前記二次分析が前記質量分析計によって実施される、項目63に記載の試料処理システム。
【0017】
本発明のこれら及び他の実施形態は、図面を参照することにより、以下に更に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による、試料処理システムのブロック図を示す。
【0019】
【
図2】本発明の実施形態による、試料処理システムにおいて取られ得る異なる処理経路を例示する図を示す。
【0020】
【
図3A】本発明の実施形態による、試料処理システムによって実施される処理工程を例示する高レベルのフローチャートを示す。フローチャートは、試料処理システムにおいて実施され得る異なる検出動作を例示する。
【
図3B】本発明の実施形態による、試料処理システムによって実施される処理工程を例示する高レベルのフローチャートを示す。フローチャートは、試料処理システムにおいて実施され得る異なる検出動作を例示する。
【0021】
【
図4A】本発明の一実施形態による、試料処理システム内の分析器の図を示す。
【0022】
【
図4B】分析器を動作させるための動作手順を示す例示的なフローチャート図を示す。
【0023】
【
図4C】主試料ピペッティングステーションの配置及び分析器の試料貯蔵部を示す斜視図を示す。
【0024】
【
図5A】本発明の一実施形態による、インキュベーションカルーセルの上面/側面断面図を示す。
【0025】
【
図5B】
図5Aのインキュベーションカルーセルの一部の上面/側面斜視図及び断面図を示す。
【0026】
【
図5C】
図5Aのインキュベーションカルーセルの一部の上面斜視図を示す。
【0027】
【0028】
【
図6B】電子噴霧方法を使用する質量分析計の一部を示す。
【0029】
【
図6C】質量分析計で使用されるイオン検出器の構造を示す。
【0030】
【
図7A】本発明の一実施形態による、トラップ及び溶出システムの図を第1の構成で示す。
【0031】
【
図7B】本発明の一実施形態による、トラップ及び溶出システムの図を第2の構成で示す。
【0032】
【
図8】本発明の一実施形態による、免疫精製プロセスを例示するフローチャートを示す。
【0033】
【
図9】本発明の一実施形態による、タンパク質沈殿プロセスを例示するフローチャートを示す。
【0034】
【
図10】本発明の一実施形態による、別の免疫精製プロセスを例示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態は、生体試料又は化学試料中の分析物の存在、不在、又は濃度を検出するのに使用され得る。生体液などの生体試料は、限定するものではないが、血液、血漿、血清、又は他の体液若しくは排泄物、例えば、限定するものではないが、唾液、尿、脳脊髄液、涙液、汗、胃腸液、羊水、粘膜流体、胸膜液、皮脂油、呼気などが挙げられ得る。化学試料は、水試料を含む化学物質を含む任意の好適なタイプの試料を含み得る。
【0036】
本発明の実施形態を考察する前に、いくつかの用語を更に詳細に説明することができる。
【0037】
用語「分析器」は、生体試料などの試料を分析することができる任意の好適な器具を含んでもよい。分析器の例としては、質量分析計、免疫分析器、血液分析器、微生物分析器、及び/又は分子生物学分析器が挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、分析器は、免疫分析器(典型的には、標識(化学発光、電気化学発光蛍光、放射性、同位体、DNAなどを検出する、又は非標識システム)であり得る。他のタイプの分析器としては、血液分析器、微生物分析器、化学分析器、尿分析器、生化学分析器、及び/又は分子生物学分析器が挙げられ得る。生体試料を分析するとき、これらのタイプの分析器のうちの1つ以上を任意の好適な組み合わせで使用して、生体試料を分析してもよい。
【0039】
血液分析器は、完全な血液算定、赤血球沈降速度(ESR)、及び/又は凝固試験を実施するために使用され得る。自動化された細胞カウンタは、血液から試料を採取し、電気的及び光学的手法の両方を使用して細胞集団を定量化し、分類し、記述する。
【0040】
微生物学分析器は、生物有機体の同一性を決定するための診断ツールとして機能し得る。いくつかの実施形態では、微生物分析器は、感染微生物を同定し得る。このような分析器は、実施される試験のタイプに応じて、異なる基質を含有する遠心ローター、又はマルチウェルパネル内の複数の小試料試験マイクロウェル内で生化学物質を使用し得る。
【0041】
分子生物学分析器は、生体試料をその分子レベルで分析し得るデバイスであり得る。分子生物学分析器の例としては、DNA分析器などの核酸分析器が挙げられ得る。
【0042】
化学分析器は、血清、血漿、尿、及び脳脊髄液などの臨床試料上でアッセイを実行して、疾患又は薬物に関する分析物の存在を検出し得る。化学分析器は、測光法を使用してもよい。測光法では、試料を適切な試薬と混合して、色をもたらす反応を生成する。分析物の濃度は、生成される色の強度を決定する。測光器は、試料における適切な波長の光を照らし、試料中の分析物の濃度と直接相関する、吸収された光の量を測定する。化学分析器で使用される別の分析方法は、Na+、K+、Cl-、及びLi+などのイオンを測定するためのイオン選択電極(ISE)の使用である。ISEは、イオン選択膜を通る電流の流れを測定することによって、溶液中のイオン濃度を決定するセンサである。
【0043】
用語「分析物」は、本発明の実施形態によって、存在、不在、又は濃度が決定される基材を含んでもよい。典型的な分析物としては、限定するものではないが、有機分子、ホルモン(甲状腺ホルモン、エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、エストロゲン)、代謝産物(グルコース又はエタノールなど)、タンパク質、脂質、炭水化物及び糖、ステロイド(ビタミンDなど)、ペプチド(プロカルシトニンなど)、核酸セグメント、バイオマーカー(抗生物質、ベンゾジアゼピンなどの医薬品)、薬物(免疫抑制薬、麻薬、オピオイドなど)、例えば、プロモーター、活性化因子、阻害剤、又は補因子などの酵素的プロセスで調整効果を有する分子、微生物(EBV、HPV、HIV、HCV、HBV、インフルエンザ、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどを含むウイルスなど)、細菌(ヘリコバクター・ピロリ、ストレプトコッカス、MRSA、クロストリジウム・ディフィシル、リジネラなど)、真菌、寄生虫(プラモウムなど)、細胞、細胞成分(細胞膜など)、胞子、核酸(DNA及びRNAなど)などが挙げられ得る。本発明の実施形態はまた、同じクラス又は異なるクラスにおける複数の分析物の同時分析(例えば、代謝産物及びタンパク質の同時分析)を可能にし得る。本発明の実施形態では、バイオマーカーなどの特定の分析物の分析は、特定の条件(例えば、疾患)が分析物を含有する試料と関連付けられていることを示し得る。
【0044】
用語「イムノアッセイ」は、試料中の分析物の量を決定するために使用される実験室方法であり得る。これは、抗体と抗原との相互作用に基づき得、分析物(抗原又は抗体のいずれか)の選択性の程度のため、イムノアッセイは、試験試料中の分析物の非常に低い濃度を定量的に決定するために使用され得る。「免疫分析器」は、イムノアッセイが自動化された器具を含み得る。DxI(商標)システム(Beckman Coulter,CA)、ADVIA(商標)及びCENTAUR(商標)システム(Siemens Healthcare,Germany)、COBAS(商標)システム(Roche Diagnostic,Germany)、ARCHITEC(商標)システム(Abbott,IL)、VITROS(商標)システム(Ortho-clinical Diagnostic,NJ)、及びVIDAS(商標)システム(Biomerieux,France)を含む様々な免疫分析器が市販されている。
【0045】
「質量分析計」は、原子及び分子の質量及び相対濃度を測定し得る器具である。質量分析計の一例は、移動する荷電粒子上の基本磁力を使用する。基本的に、器具は試料をイオン化し、次いで、イオンの質量対電荷比に基づいて磁界を介してイオンを偏向させる。次いで、質量スペクトルを使用して、試料の元素又は同位体シグネチャ、粒子の質量及び分子の質量を決定し、ペプチド及び他の化学化合物などの分子の化学構造を解明し得る。市販の質量分析計は、飛行時間、四重極MS、イオントラップ(3D四重極、円筒形イオントラップ、線形四重極イオントラップ、オービトラップを含む)、フーリエ変換イオンサイクロトロン発振(FTMS)などを含む、それらの質量分析計がどのように質量選択を区分するかに基づいて分類され得る。あるいは、それらは、イオン源(レーザー脱着、マトリックス支援レーザー脱着、熱イオン化、プラズマ、スパーク源など)又は検出器(電子増倍装置(ファラデーカップ及びイオン対光子検出器など)、誘導検出器など)に基づいて区分され得る。好ましい実施形態では、質量分析計は、三連四重極型質量分析計であり得る。
【0046】
以下に提供される特定の実施例で、免疫分析器及び質量分析計を含む試料処理システムについて詳細に説明する。しかしながら、本発明の実施形態は、これに限定されない。免疫分析器の代わりに、化学分析器などの別のタイプの分析器を免疫分析器の代わりに使用することができる。免疫分析器内の機能及び特徴の多くはまた、化学分析器(例えば、試薬貯蔵部、アリコートステーション、試料調製ステーションなど)に存在してもよい。更に、試料導入装置などの追加の構成要素もまた、試料処理システムにおいて化学分析器及び質量分析計と共に使用されてもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態は、質量分析計(質量の測定)及び免疫分析器(典型的には、標識(化学発光、電気化学発光蛍光、放射性、同位体、DNAなど)を検出する、又は非標識システム)と完全に統合されたプラットフォームを含み得る。システムは、免疫分析器とは別個であるか又は免疫分析器と共有され得る、少なくとも1つの試料調製ステーションを有し得る。システムは、追跡システムと統合され得、(1)免疫分析器若しくは質量分析計のいずれかによる独立した分析、又は(2)免疫分析器及び質量分析計による連続分析若しくは平行分析の能力を有し得る。シリアル分析は、再試験(例えば、両方の分析器で試験された同じ分析物)又は反射試験(例えば、第1の分析物が1つの分析器(典型的には免疫分析器)で試験され、第2又はそれ以上の分析物が他の分析器(典型的には質量分析計)で試験される)のいずれかを含み得る。
【0048】
より具体的には、本発明の実施形態は、質量分析計に統合する免疫分析器を含み得る。試料調製ステーション及び試料導入も存在する。システムはまた、質量分析計、免疫分析器、少なくとも1つの試料調製ステーション、及び少なくとも1つの試料導入システムを制御し得る制御システムを備える。
【0049】
場合によっては、単一の試料調製ステーションは、免疫分析器及び質量分析計の両方に使用される。他の実施形態では、2つの試料調製ステーションが存在し、免疫分析器及び質量分析計によって排他的に又は相互に使用され得る。試料調製システムは、少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションなど、試料を分取するための手段(アリコッタなど)、イムノアッセイ及び/又は質量分析計に必要とされる試薬を含む少なくとも1つの試薬パックを保持するための手段、並びに試薬パックから分取された試料に試薬を移すための手段を含む。いくつかの実施形態では、試料調製ステーションは、少なくとも2つの試薬パックを保持するための手段(すなわち、免疫分析器の試料調製に1つ、及び質量分析計の試料調製に1つ)を保持するための手段を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、試料導入システムは、試料調製システムのうちの少なくとも1つに流体連結される。試料導入システムは、ダイレクトフローインジェクション、トラップ及び溶出システム(例えば、2つのポンプ及び6ポート切換弁を含むトラップ及び溶出システム)の使用、開ポートプローブなどの開ポート装置の使用を含んでもよい。
【0051】
制御システムは、試料処理システムに一次試料を処理させ、一次試料中の特定の分析物の存在、不在、又は量に関する結果を提供させ得る。制御システムは更に、試料処理システムに、第2の試料を処理させ、第2の試料中の1つ以上の分析物の存在、不在、又は量に関する結果を提供させ得る。第1及び第2の試料は、同じ器具(免疫分析器又は質量分析計)又は異なる器具(免疫分析器及び質量分析計)によって処理され得る。制御システムは、試料を処理するためにどの試薬パックを使用するかを制御し得る(例えば、質量タグを使用することが望ましい場合、制御システムは、試料調製システムに、第1の試料アリコートを有する第1の試薬パックと、第2の試料アリコートを有する質量タグを含有する異なる第2の試薬パックと、を使用するように指示し得る。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、質量分析は、免疫分析器を使用して試料の初期試験後に実施され得る。すなわち、質量分析計を使用して、免疫分析器によって以前に処理された試料の反射試験が実施され得る。本発明の実施形態による、システム及び方法はまた、インテリジェントソフトウェアを実行する制御システムを使用して、所定の基準に基づいた自動反射試験を実施する能力を提供する。一次イムノアッセイからの結果が特定の基準を満たすかどうかに基づいて、ソフトウェアは、試料が免疫分析器によって再試験されるべきか、又は質量分析計によって反射試験されるべきかを決定し得る。一次試料は、依然として免疫分析器内で待機中であり得るため、制御システムが再試験又は反射試験が望ましいか又は必要であると決定した場合、質量分析アッセイのための試料調製が開始され得る。試料処理システムは、有利には、光学検出プロセス及び質量分析プロセスの両方のための試薬カートリッジを有し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、一次試料の2つ以上のアリコート、すなわち、イムノアッセイ分析用に1つ及び質量分析用に1つが調整され得る。いくつかの実施形態では、磁性粒子に結合した抗体から一次試料中に元々存在する分析物を溶出させた後、分析物を含有する溶離液は、元の試料アリコートから導出されているため、処理済み試料アリコートとして特徴付けられ得る。処理済み試料アリコートは次いで、質量分析計によって分析され得る。制御システムが、質量分析が必要であるかどうかを決定する間、一次試料及び処理済み試料アリコート、並びに任意の追加の試料アリコートは、試料貯蔵ユニット(任意選択的に、冷却されたユニット)内に一時的に保持され得る。
【0054】
制御システムが、再試験又は反射プロセスが必要であるか又は望ましいと決定した場合、試料は、質量分析計によって処理される必要があり、一次試料又は処理済み試料アリコートのいずれかが使用され得る。一次分析が、制御システム又は他のエンティティによって、決定的でないか、それ自体が不十分であるか、又は不完全であると見なされる場合、再試験プロセスが必要であるか又は望ましくあり得る。第1の分析物の一次分析が、1つ以上の他の分析物の更なる試験が望ましいことを示す場合、反射試験が必要であるか又は望ましくあり得る。
【0055】
本発明の実施形態は、試料分析プロセスの感度、特異性、及び精度を改善するために、複数の選択肢を用いて、試料調製から最終分析結果への簡易化されたワークフローを提供し得る。上述のように、本発明の実施形態は、質量分析計による分析の前に遠心分離及び/又はHPLC(高圧液体クロマトグラフィ)(すなわち、高圧液体クロマトグラフィカラムを使用する)を利用する必要性を排除し得る。いくつかの実施形態では、遠心分離器及びHPLC装置は試料処理システム内に存在しない。
【0056】
試料調製システムによって実施され得る第1の例示的な試料調製手順は、常磁性粒子に付着したモノクローナル又はポリクローナル抗体を使用した、一次試料からの標的分析物の免疫精製を含んでもよい。免疫精製プロセスにおいて、分析物が抗体によって捕捉された後、任意の非結合分子が洗浄プロセスで洗い流される。後続の溶出工程では、分析物は続いて、緩衝液及び溶離液を使用して抗体から放出される。「精製された」標的を含有する溶離液は、処理済み試料アリコートとして特徴付けられ得、次いで、質量分析計によって収集され、分析される。
【0057】
免疫精製プロセスで典型的に使用される抗体は、代替物、例えばアプタマー、ナノ粒子、結合タンパク質などに置き換えられ得る。免疫捕捉試薬は、特定の分析物又は特定の分析物パネル、例えば、薬物パネル又は内分泌腺パネルなどを捕捉するように設計され得る。本発明の実施形態では、特定の親娘イオン遷移がそれぞれの分析物に存在する、三連四重極型質量分析計を使用したMRM(多重反応モニタリング)ワークフローを利用して、パネル内の特定の分析物を正確に分析することができる。タンデム質量分析法又はMS2(典型的には異性体又は同重体の場合)に区別化遷移が存在しない場合、MS3における固有の遷移を利用してそれらの間が区別され得る。
【0058】
試料調製システムにおいて実施される第2の例示的な手順では、タンパク質沈殿が、小分子からタンパク質を分離させるために使用される。試料アリコート中のタンパク質は、沈殿試薬を使用して沈殿させられ、その後、沈殿したタンパク質が常磁性ビーズに結合させられる。ビーズに結合したタンパク質は、磁気洗浄プロセスを用いて上清から物理的に分離され得る。処理済み試料アリコートとして特徴付けられ得る上清液は、分析のために収集され、質量分析計に移され得る。このワークフローを使用して、決定的試験又は独立型試験のための薬物クラスが分析され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、質量タグ(例えば、Amplifex(商標)質量タグ)などの質量分析試薬が試料調製プロセス中に使用されて、信号が強化され、感度が改善され得る。質量タグは、典型的には、分析物の特定のクラスに共通する官能基、例えば、ステロイドクラスに存在するケト官能基又はビタミンDクラスに存在するジエン官能基などと特異的に反応するように設計される。質量タグは、分子の断片化に影響を及ぼし、特異的な断片を生成して、固有の遷移を提供し得、より正確な結果をもたらし得る。場合によっては、気相中のイオンの微分型電気移動度も、異性体又は同重体化合物を分離するために使用されてもよい。このような試薬は、質量分析のために処理される第2の試料アリコートと共に使用され得る。
【0060】
質量タグは、多数の方法で正確性を提供するように設計され得る。第1に、質量タグは、気相中のタグ付きイオン(標的分析物及び干渉化合物)の微分型電気移動度を修正し、それらの電気移動度特性の差異に基づいてそれらの分離を単純化するために使用されてもよい。検出前に異性体/同重体化合物(干渉化合物と称される)を分離させることは、任意の分析結果の正確性を改善するのに役立ち得る。第2に、質量タグはまた、感度を改善するために標的分析物の信号増強を提供し得る。第3に、質量タグは、分析物及び干渉化合物を区別するのを助けるために、タグ付き分子の断片化に影響を及ぼし得る。
【0061】
本発明の実施形態では、分析物(複数可)の内標準物質が、質量分析計による分析の前に試料に添加され得る。内標準物質は、分析物(複数可)の同位体バージョンであり得、試料調製プロセス中の損失を補償し得る。内標準物質対分析物のピーク比率は、定量化に使用され得る。定量化は、必要に応じて、外部較正曲線を使用して実施され得る。
【0062】
加えて、本発明の実施形態は、ユニバーサルトラップカラム及び溶媒、並びに自動化をあまり複雑にし得ないユニバーサル質量分析法ソースを使用し得る。ユニバーサルトラップカラム及びソースは、ほとんどのアッセイに作用し得、異なるアッセイ間の切り換えを必要としない。制御システム内のソフトウェアは、ユニバーサルトラップカラムが寿命に達し、交換を必要とするときを示し得る。
【0063】
図1は、本発明の一実施形態による、試料処理システムの高レベルのブロック図を示す。試料処理システム100は、分析器(例えば、免疫分析器)102、質量分析計106、及び試料導入装置104を備える。試料導入装置104は、分析器102及び質量分析計106に物理的に、かつ/又は動作可能に連結されてもよく、いくつかの実施形態では、単一の器具を形成してもよい。試料導入装置104は、処理済み試料又は試料アリコートを分析器102から質量分析計106に移す働きをし得る。例えば、試料導入装置104は、第1又は第2の処理済み試料アリコートを分析器102から質量分析計106に移すように構成され得る。
【0064】
分析器102は、分析用の処理済み試料アリコートを形成するために、多数の試料アリコート処理装置を含んでもよい。このような処理装置は、任意の好適な方法で試料又は試料アリコートを処理してもよい。試料アリコート処理装置の例としては、試薬添加ステーション(例えば、試薬ピペッティングステーション)、試料ピペッティングステーション、インキュベータ、洗浄ステーション(例えば、磁気洗浄ステーション)、試料貯蔵ユニットなどが挙げられる。複数の試料アリコート処理装置は、第1の試料アリコートを処理して第1の処理済み試料アリコートを形成することができ、第2の試料アリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成することができる。「処理済み試料アリコート」は、任意の好適な数の処理装置によって任意の好適な回数処理される試料アリコートを含んでもよい。
【0065】
制御システム108はまた、試料処理システム100内に存在し得る。制御システム108は、分析器102、試料導入装置104、及び/又は質量分析計106を制御し得る。制御システム108は、データプロセッサ108Aと、非一時的コンピュータ可読媒体108Bと、データプロセッサ108Aに連結されたデータ記憶装置108Cと、を含んでもよい。非一時的コンピュータ可読媒体108Bは、本明細書に記載される機能を実施するため、プロセッサ108Aによって実行可能なコードを含んでもよい。データ記憶装置108Cは、試料を処理するためのデータ、試料データ、又は試料データを分析するためのデータを記憶し得る。
【0066】
データプロセッサ108Aは、任意の好適なデータ計算デバイス又はそのようなデバイスの組み合わせを含んでもよい。例示的なデータプロセッサは、協働して所望の機能を達成する1つ以上のマイクロプロセッサを含んでもよい。データプロセッサ108Aは、ユーザーの要求及び/又はシステムで生成された要求を実行するためのプログラム構成要素を実行するのに十分な、少なくとも1つの高速データプロセッサを含むCPUを含んでもよい。CPUは、AMDのAthlon、Duron、及び/若しくはOpteron、IBM及び/若しくはMotorolaのPowerPC、IBM及びSonyのセルプロセッサ、IntelのCeleron、Itanium、Pentium(登録商標)、Xeon、及び/若しくはXScale、並びに/又は同様のプロセッサなどのマイクロプロセッサであってもよい。
【0067】
コンピュータ可読媒体108B及びデータ記憶装置108Cは、電子データを記憶し得る任意の好適なデバイス(複数可)であってもよい。メモリの例としては、1つ以上のメモリチップ、ディスクドライブ等が挙げられ得る。このようなメモリは、任意の好適な電気的、光学的、及び/又は磁気的な動作モードを使用して動作してもよい。
【0068】
コンピュータ可読媒体108Bは、任意の好適な方法を実施するため、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを含んでもよい。例えば、コンピュータ可読媒体108Bは、試料処理システムに、免疫分析器からのデータを使用して、免疫分析器における第1の処理済み試料アリコート中の分析物の検出が既定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいことを決定することと、決定に応答して、分析器に、試料の第2のアリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成させ、かつ、試料導入装置に、第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移させることと、質量分析計に、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の存在を検出させることと、を含む方法を実施させるため、プロセッサ108Aによって実行可能なコードを含んでもよい。他の実施形態では、コンピュータ可読媒体108Bは、免疫分析器に、第1の処理済み試料アリコート中の分析物を検出させることと、質量分析計に、分析器から移された第2の処理済み試料アリコート中の分析物を検出させることと、を含む方法を、試料処理システムに実施させるため、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを含んでもよい。本発明の更に他の実施形態では、コンピュータ可読媒体108Bは、試料処理システムに、免疫分析器からのデータを使用して、免疫分析器における第1の処理済み試料アリコート中に検出された分析物が所定の閾値を下回っている又は上回っていることを決定することと、決定に応答して、分析器に、試料の第2のアリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成させ、かつ試料導入装置に、第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移させることと、質量分析計に、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の存在を検出させることと、を含む方法を実施させるために、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを含んでもよい。本発明の更に他の実施形態では、コンピュータ可読媒体108Bは、少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションに、試料の第1の試料アリコート及び試料の第2の試料アリコートを提供するように指示することと、分析器に、第1の処理済み試料アリコートを形成するために試料の第1の試料アリコートと、第2の処理済み試料ありコードを形成するために試料の第2の試料アリコートと、を収容する反応容器を処理するように指示することと、分析器に、第1の処理済み試料アリコート中の分析物の一次分析を実施するように指示することと、試料導入装置に、試料の第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移すように指示することと、質量分析計に、第2のプロセスにおいて、第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施するように指示することと、を含む方法を実施するために、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを含んでもよい。更に他の実施形態では、コンピュータ可読媒体108Bは、質量分析計によって、試料の第1の試料アリコートの第1の処理済み試料アリコートから分析物の一次分析を実施することと、一次分析を実施した後に、試料処理システム内の質量分析計又は分析器によって、試料の第2のアリコートから導出された第2の処理済み試料アリコート中の分析物又は別の分析物の二次分析を実施することと、を含む方法を実施するために、データプロセッサ108Aによって実行可能なコードを含み得る。
【0069】
分析物の濃度が、免疫分析器によって検出されるように、所定の閾値を上回っているか、下回っているか、又はそれに等しいとき、質量分析計での再試験によって、存在する分析物の量を確認及び/又は定量化することができる。所定の閾値は、処理された第1の試料アリコート中の分析物の所定の量又は所定の濃度に対応し得る。質量分析計による再試験は、試料中の分析物濃度が検出の制限値を上回っているが、免疫分析器の定量化の制限値を下回っているとき、特に有用である。質量分析計による反射試験は、分析物の量が他の分析物の更なる試験を行うべきであることを示すときに特に有用である(例えば、1つの麻薬代謝産物が発見されたときは、他の麻薬のパネルが実行されることが望ましい場合がある)。
【0070】
図2は、本発明の実施形態による、試料処理システムにおいて取られ得る異なる処理経路を例示する図を示す。高レベルのプロセスフローは、試料調製処理モジュール210、試料導入処理モジュール230、及び試料検出処理モジュール240を含んでもよい。
【0071】
試料調製処理モジュール210は、試料検出処理モジュール240中に検出され得るように、分析物を含有する試料を処理するプロセス工程を含んでもよい。本発明の実施形態では、試料調製処理モジュール210は、免疫沈降又は免疫精製プロセスを含んでもよい。試料調製処理モジュール210の工程は、分析器102で行われてもよい。試料導入プロセスモジュールの工程は、分析器102若しくは質量分析計106で行われてもよく、又は分析器102及び質量分析計106とは別の、そこから離れた別個の独立型装置であってもよい。試料検出プロセスモジュール240は、質量分析計106及び/又は免疫分析器102で実施され得る。
【0072】
試料導入プロセスモジュール230は、分析物を含有する試料を分析器102から質量分析計106に移し得るプロセス工程を含む。また、試料導入プロセスモジュール230は、更なる分離232を伴わない、及び更なる分離234を伴う試料の移動を含んでもよい。更なる分離232を含まない特定の試料導入プロセスとしては、フローインジェクション232A又はSPME(固相マイクロ抽出)/OPP(開ポートプローブ)232Bが挙げられ得る。更なる分離を含み得る試料導入プロセスとしては、トラップ及び溶出プロセスモジュール234Aが挙げられ得る。任意のDMS(微分型電気移動度分析法)プロセスモジュール238は、試料がイオン化された後、但し試料が質量分析される前に、試料導入プロセスモジュール230の下流で行われてもよい。
【0073】
ダイレクトフローインジェクションプロセスモジュール232Aは、処理済み試料を分析器から質量分析計に直接注入し得るダイレクトインジェクション装置を含み得る装置を利用してもよい。装置は、処理済み試料を質量分析計に運ぶために使用され得るキャリア溶液源を含んでもよい。蠕動ポンプなどのポンプは、ダイレクトフローインジェクション装置に含まれてもよい。
【0074】
SPME/OPPプロセスモジュール232Bは、開ポート試料採取インターフェースを含み得る、SPMEデバイス及びOPP装置を利用し得る。SPMEは、試料採取、試料調整、及び単一の無溶媒工程への抽出を統合し得る。一般に、SPMEデバイスは、デバイスが試料アリコート又は処理済み試料アリコートに挿入されたときに、試料内の分析物が優先的に吸着され得る抽出相でコーティングされた繊維又は他の表面(例えば、ブレード、マイクロチップ、ピン、又はメッシュ)を利用する。SPMEデバイスは、OPPに近接することができ、管環状体を介して試料採取端部(開ポート)に溶媒を送達することと、ネブライザガスによって駆動される、中心管を下ってイオン源に吸引させることと、を可能にする、垂直に整列された同軸管配置であり得る。
【0075】
トラップ及び溶出プロセスモジュール234Aは、トラップ及び溶出装置を利用してもよい。トラップ及び溶出プロセスモジュール234Aは、対象となる分析物が質量分析計への溶出前に濃縮される、小容量カラムへの試料の注入を含み得る。トラッピングプロセスは、感度及び選択性を最適化し、堅牢性を向上させる。例示的なトラップ及び溶出装置の概略図が
図7A及び
図7Bに示されており、これらについて以下に更に詳細に説明する。
【0076】
他の実施形態では、トラップ及び溶出プロセスモジュールの代わりに、炭化水素(例えば、C18)でコーティングされた先端部が使用され得る。このような先端部は市販されている。
【0077】
試料導入プロセスモジュール230はまた、機械的反応容器輸送デバイスを含み得る。このような輸送デバイスとしては、ピックアンドプレース移動ガントリなどのピックアンドプレース装置、延長線形反応シャトルなどの移動シャトル、又はピックアンドプレース移動ガントリと延長線形反応シャトルとの組み合わせが挙げられ得る。
【0078】
試料検出プロセスモジュール240は、試料中の特定の分析物の存在、不在、及び/又は量を検出するために使用される工程を含んでもよい。試料検出プロセスモジュール240は、質量分析プロセスモジュール240A及び/又は光学検出プロセスモジュール240Bの使用を含んでもよい。光学検出プロセスモジュール240Bは、化学発光又は蛍光ベースの検出プロセスを使用してもよい。質量分析プロセスモジュール240A及び光学検出プロセスモジュール240Bに関する他の詳細は、以下に提供される。
【0079】
図3Aは、本発明の実施形態による、試料処理システムを使用して実施され得る異なるタイプの検出プロセスを例示する高レベルのフローチャート300を示す。フローチャート300では、光学検出プロセス及び質量分析プロセスを使用して、特定の分析物の存在、不在、及び/又は濃度を検出する能力が示されている。本発明の実施形態は、分析物が特定の試料中に存在するか又は存在しないかを決定する際に、多大な柔軟性を有することが明らかである。
【0080】
工程302では、分析器内の少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションは、試料の2つ以上又はより多くの試料アリコートを取得し得、2つ以上の反応容器内に分配し得る。アリコートステーション内の少なくとも1つのピペッタは、試料の第1の試料アリコートを第1の反応容器に提供(例えば、分配)し得る。工程304において、試料アリコートのうちの1つは、イムノアッセイ試験(一次分析の一例)に供されてもよい。第1の試料アリコートを含む第1の反応容器は、免疫分析器によって処理されて、第1の処理済み試料アリコートが形成されてもよい。次いで、免疫分析器は、反応容器内の第1の処理済み試料アリコート中に特定の分析物が存在するか又は存在しないかを検出するために使用されてもよい。
【0081】
イムノアッセイ試験が第1の処理済み試料アリコートに対して実施された後、試料処理システム内の制御システムは、工程306において確認試験が所望されるかどうかに関する決定を行い得る。確認試験が所望される場合、少なくとも1つのピペッタを含むアリコートステーションは、試料の第2の試料アリコートを提供し得る。第2の反応容器内の第2の試料アリコートは次いで、分析器によって処理されて、第2の処理済み試料アリコートが形成され得る。第2の処理済み試料アリコートは、適切な試料導入装置を介して、工程314において分析器から質量分析計に移されてもよい。処理された第2のアリコートが質量分析計内に入ると、質量分析計は、工程310において、処理された第2のアリコートに対する質量分析(二次分析の一例)を実施してもよい。処理された第2の試料アリコートに対する質量分析が実施された後、工程312において報告が生成されてもよい。確認試験が所望されない場合は、次いで、工程310において質量分析を実施せずに、工程308において報告が生成されてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、免疫分析器からのデータは、第1の処理済み試料アリコート中の分析物の濃度が、一次分析において所定の閾値を下回っているか、上回っているか、又はそれに等しいことを示し得る。次いで、制御システムは、試料に対する反射プロセスが望ましいか又は必要であり得ることを決定し得る。次いで、この方法は、分析器に、試料の第2のアリコートを処理して第2の処理済み試料アリコートを形成させることを更に含んでもよい。試料導入装置は、第2の処理済み試料アリコートを分析器から質量分析計に移してもよい。次いで、制御システムは、質量分析計に、二次分析において第2の処理済み試料アリコート中の1つ以上の他の分析物の存在を検出させてもよい。
【0083】
場合によっては、一次分析における分析物の検出は、特定の条件(例えば、病状)が存在し得ることを示し得る。しかしながら、特定の条件が存在することを確認するために、二次分析で、質量分析法を使用して第2の分析物について分析してもよい。同時に、第1及び第2の分析物の存在又は不在は、特定の条件の存在があることを示し得る。
【0084】
上記の閾値は、任意の好適な値であってもよい。例えば、閾値とは、分析物が処理済み試料アリコート中に存在するか又は存在しないかをある程度の自信をもって結論付け得る前に、特定の分析物(複数可)の所定の量(quantity)(例えば、量(amount))又は濃度が、処理済み試料アリコート中に存在する必要があることであり得る。
【0085】
反射プロセスにおいては質量分析の使用が望ましい。場合によっては、従来の免疫分析器内の分析物について試料を試験すると、抗体及び/又はそれらが付着される磁気ビーズ上で非特異的結合が生じ得る。これは、実施される分析の正確性に影響を及ぼし得る。質量分析は、非特異的結合に関連する問題に影響されず、ゆえに、反射試験又は一般的な試験のための有効な機構として役立ち得る。
【0086】
他の方法もまた、
図3Bを参照して説明することができる。第1の例示的な方法の実施形態では、試料処理システム内の試料調整モジュール(例えば、分析器内)は、工程322において試料の複数の試料アリコートを生成し得る。工程322では、少なくとも1つのピペッタ又は他の分配デバイスを含むアリコートステーションは、1つ以上の試料の試料アリコートを1つ以上の反応容器に取得し得る。これらの試料アリコートは、本明細書に記載されるように処理されて、処理済み試料アリコートが形成され得る。
【0087】
工程324では、質量分析試験を含む一次分析が、工程322において取得された処理済み試料アリコートに対して実施され得る。一次分析が実施された後、分析の工程322における一次分析に応答して、報告が試料処理システムによって生成されてもよい。試料中の特定の分析物の存在、不在、又は濃度が決定され得る。いくつかの実施形態では、処理済み試料アリコートは、分析物が試料中に存在する場合に、分析物のパネル内に1つ以上の分析物が検出され得るように処理されてもよい。質量分析試験324は、試料中の分析物のパネル内の1つ以上の分析物(例えば、複数の潜在的な依存性薬物、パネルを形成する複数のタンパク質、又はパネルを形成する複数のステロイド)を同定し、かつ/又は試料中の1つ以上の分析物の特定の量を決定し得る。試料処理システムは、試料中の1つ以上の同定された分析物を選択し得る。この時点で、試料処理システムの制御システムは、試料処理システムに、二次分析に従って選択された1つ以上の試料を試験させ得る。
【0088】
他の実施形態では、二次分析は、工程326において質量分析計での別の確認試験であってもよい。試料調製モジュールは、試料の試料アリコートを処理し、処理済み試料アリコートを質量分析計に戻して、第2の質量分析試験326を含む二次分析を実施し得る。二次分析は、一次分析で同定された試料中に、特定の1つ以上の分析物の存在を確認し得る。二次分析が完了した後、工程334において報告が生成されてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、二次分析は、選択された1つ以上の試料に対するイムノアッセイ試験(工程328)であってもよい。試料調製モジュールは、試料の試料アリコートを処理し得、処理済み試料アリコートは、イムノアッセイ試験328を実施するように、免疫分析器内で処理され得る。イムノアッセイ試験は、一次分析で同定された1つ以上の分析物の存在又は量を確認し得る。二次分析後、工程330において報告が生成されてもよい。
【0090】
図3Bに関して記載されたプロセスは、質量分析試験を使用して試料を初期スクリーニングして、特定の分析物又は分析物のセットが特定の試料中に存在し得るかどうかを決定することができる。初期スクリーニングプロセスが完了した後は、一次分析の結果に関する確認を提供するために、二次分析が実施されてもよい。これは、実施される一次分析が、適切な認可団体(例えば、FDA、すなわちFood nad Drug Adminstration)によってまだ承認されていない手順である場合に有用であり得る。このように、本方法は、対象となる分析物の試料の試験の迅速な実施をもたらすために使用され得る。
【0091】
図4Aは、本発明の実施形態による、自動試料処理システムで使用され得る自動免疫化学分析器400のブロック図を示す。自動免疫化学分析器400の基本構造及び機能モジュールは、試料提示ユニット401と、主試料ピペッティングステーション402を含むアリコートステーションと、バルク容器フィーダー403と、第1の二重試薬ピペッティングステーション404及び405と、第2の二重試薬ピペッティングステーション406及び407と、第1のピックアンドプレースグリッパ408と、第2のピックアンドプレースグリッパ409と、第3のピックアンドプレースグリッパ410と、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412と、試料貯蔵部411と、試薬貯蔵部413と、を含み得る。任意選択的に、試料及び/又は試薬貯蔵部は冷却され得る。
【0092】
試料提示ユニット401は、必要な試験試料全体を主試料ピペッティングステーション402に、及びそこから輸送するために使用され得る。試料提示ユニット401の構成及び機能の詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2001年5月3日に出願された米国特許第6,790,413号に提供されている。
【0093】
主試料ピペッティングステーション402は、試料を試料管から吸引し、それらをバルク容器フィーダー403によって供給される反応容器内に分配するために使用され得る。バルク容器フィーダー403の構成及び機能の詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2001年2月6日に出願された米国特許第6,790,412号に提供されている。
【0094】
4つの試薬ピペットステーション404、405、406、及び407は、後続のアッセイのために試料を試薬と混合するために使用され得る。4つの試薬ピペッティングステーション404、405、406、及び407は、2つの二重ピペッティングステーションとして配置され得、互いに独立し得る。4つの試薬ピペットステーション404、405、406、及び407のそれぞれは、それ自体の流体ポンプ及び弁、洗浄塔、反応容器可動台、及びピペッタ(複数可)を有し得る。4つのピペッティングステーション404、406、406、407が例示されているが、本発明の実施形態は、より多い又はより少ないピペッティングステーションを含み得ることが理解される。
【0095】
3つの容器ピックアンドプレースグリッパ408、409、410は、分析器の様々なモジュール間で試料及び反応容器を輸送するために使用され得る。第1のピックアンドプレースグリッパ408は、バルク容器フィーダー403又は試料貯蔵部411と試薬ピペッティングステーション404、405、406、407との間で反応容器を輸送するために使用され得る。第2のピックアンドプレースグリッパ409は、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407とインキュベータ/洗浄/読取りステーション412のインキュベータとの間で反応容器を輸送するために使用され得る。第3のピックアンドプレースグリッパ410は、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412のインキュベータと洗浄ホイール(洗浄ステーションの一例)との間で反応容器を輸送するために使用される。容器ピックアンドプレースグリッパ408、409、及び410の構成及び機能の詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,128,874号に提供されている。本発明の実施形態は、より多い又はより少ないピックアンドプレースグリッパを有し得ることが理解される。
【0096】
試料貯蔵部411は、試料を再試験又は反射試験に使用し得るように、一定時間、例えば、最大3時間、低温度で反応容器内に収容された試料を貯蔵するために使用され得る。試験が患者試料に対して要求されるとき、その試験結果が追加試験の要求を駆動する場合がある。上述のように、追加の試験に対するこの自動要求が反射試験である。別の試験が開始されるかどうかを知るための第1の吸引からの時間遅延は、45分以上の範囲であり得る。このような期間にわたって試料管を保持するために、試料が他の場所で使用されることを防止する。管が他の器具に渡されると、管を見つけ、反射試験を要求する器具にその器具を再装填することは、実験技術者にとって困難であり得る。反射試験を必要とし得る試料管上の単一の迅速な試料の抜き取りを可能にするために、可能な反射試験(複数可)に対して十分な試験材料を用いた単一の吸引(アリコート)が行われ得る。しかしながら、試験材料が蒸発又は劣化しないことを確実にするために、アリコートは、分析器上で冷蔵される必要がある場合がある。
【0097】
試料貯蔵部411は、一次分析で処理されている試料の試料アリコートを収容する1つ以上の反応容器であり得る。試料貯蔵部411に貯蔵された試料アリコートは、分析器又は質量分析計のいずれかで二次分析(例えば、反射試験)を実施するために使用され得る。
【0098】
図4Cを参照すると、自動免疫化学分析器の主試料ピペッティングステーション402及び試料貯蔵部411の配置が示されている。主試料ピペッティングステーション402のピペッタは、まず、試料管から試料を吸引し、次いで、試料貯蔵部411より上の位置に移動する。一方、試料貯蔵部411は、まず、ピックアンドプレースグリッパ417によってバルク容器フィーダー403から空の反応容器を受け取り、次いで、空の反応容器を主試料ピペッティングステーション402のピペッタの下に移動させる。吸引された試料は、次いで、冷却された反応容器内に分配される。絶縁体及びドア418は、試料貯蔵部411内の環境を制御するために提供される。試料貯蔵部411は、試料材料のための又は試料材料で満たされた反応容器を受け取り、移すことができる複数の貯蔵場所419を有する、精密に制御された冷蔵庫であり得る。試料アリコートは、試料貯蔵部411内に貯蔵される反応容器内に存在し得る。これらの試料は、免疫分析器又は質量分析計における再試験又は反射試験に使用され得る。
【0099】
インキュベータ/洗浄/読取りステーション412は、アッセイのインキュベート、洗浄、及び読取り工程に使用され得る。いくつかの実施形態では、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412は、総称的に分離ステーションとして特徴付けられてもよい。これは、1つ以上のインキュベータ、1つ以上のアッセイ洗浄ステーション、及び光電子増倍管(PMT)検出器などの1つ以上の読取り器、又は他の光学検出システムを含んでもよい。インキュベータ/洗浄/読取りステーションの構成及び機能の詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2001年3月16日に出願された米国特許出願第7,217,391号に提供されている。
【0100】
過剰又は非結合材料からのバックグラウンド信号を最小化する方法として、イムノアッセイは、一般に、反応容器内で行われる1つ以上の分離相を使用する。分離又は洗浄プロセスを容易にするために、限定するものではないが、ウェルコーティング技術、ビーズコーティング技術、又は常磁性粒子の使用を含む様々な技術が使用され得る。これらの分離媒体のそれぞれは、試料中の対象となる分析物分子を結合する捕捉試薬(例えば、抗体)でコーティングされる。常磁性粒子が分離媒体として使用されるとき、常磁性粒子は、洗浄プロセス中に磁石によって反応容器の壁に引っ張られ、上清は吸引される。次いで、発光ラベルがこれらの分析物分子に結合される。発光試薬又は基材は、反応容器に添加されると、発光ラベルと反応して、分析器の光学検出ステーションによって検出可能な光を生成する。
【0101】
試薬貯蔵部413は、イムノアッセイ並びに質量分析プロセスに使用される試薬を貯蔵するために使用され得る。いくつかの実施形態では、試薬貯蔵部は、イムノアッセイを実施するための試薬を含む第1の複数の試薬パックと、質量分析計において質量分析を実施するための試薬を含む第2の複数の試薬パックと、を含む、複数の試薬パックを含んでもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、試薬貯蔵部413内の試薬パックは、液体又は固体形態の試薬を含んでもよい。試薬貯蔵部413は、使用を要求されるまで冷蔵環境内に試薬パックを貯蔵し、使用を要求されると、パックを適切な試薬ピペッティングステーションに移し、ピペッティングが完了したときにパックを貯蔵部に戻し得る。また、要求されたときに、完全に又は部分的に使用されたパックを操作者に戻し、空のパックを自動的に処分し得る。試薬貯蔵部413内の温度は、ペルチエデバイスによって制御され、サーミスタで監視され得る。
【0103】
イムノアッセイの場合、試薬のいくつかのタイプとしては、抗体若しくは抗原のコーティング付き又はコーティングなしの常磁性粒子、遮断薬、抗体、アッセイ緩衝剤、酵素に共役された抗体(化学発光用)、酸、塩基、又は放出剤などの試料の前処理試薬が挙げられ得る。
【0104】
質量分析法の場合、質量タグ(例えば、Amplifex(商標)質量タグ)などの質量分析試薬が、信号を強化し、感度を向上させるために試料調製プロセス中に使用され得る。上述したように、このような試薬は、質量分析のために処理される第2の試料アリコートと共に使用され得る。
【0105】
試薬パックは、以下のように試薬貯蔵部413に装填され得る。(a)操作者によって投入トレイカバーが開けられ、必要に応じて、操作者が試薬パックをトレイ内に配置できるように投入トレイが位置付けられる。(b)投入トレイカバーが閉じられ、投入トレイが閉じて、試薬パックが試薬貯蔵部413内に運ばれる。(c)投入トレイが閉じると、それぞれの試薬パック位置がバーコードリーダー(BCR)を通過し、4つのパック位置のそれぞれが読み取られ、同定される。(d)試薬パック輸送及び仕分け機構の試薬パックグリッパが、投入トレイからバーコードリーダーによって同定されたパックを得るために移動する。(e)試薬パック輸送及び仕分け機構の試薬パックグリッパが、試薬パックを貯蔵場所又はピペッティング場所(必要に応じて)のいずれかに移動させ、試薬パックを落下させる。(f)上記工程(d)~(e)は、全ての試薬パックが投入トレイから除去されるまで繰り返され得る。
【0106】
試薬貯蔵部413は、複数の試薬パックの輸送及び仕分けのための機構を含む。複数の試薬パックを輸送及び仕分けするためのかかる機構の構成及び機能の詳細な説明は、2000年6月15日に出願された米国特許出願第6,746,648号に提供されている。試薬貯蔵部413の他の構造及び機能は、当業者に既知の既存の配置に適合するため、ここでは詳細に説明しない。
【0107】
図4Bは、自動免疫化学分析の方法の基本動作手順を示す例示的なフローチャート図を示す。
【0108】
自動免疫化学分析の基本動作手順は、試料が試料管から吸引され、反応容器に分配される試料採取セクション414と、試料が試薬と混合される試薬ピペッティングセクション415と、混合試料がインキュベートされ、洗浄され、粒子から分離され、かつ光電子増倍管(PMT)検出器又は他の光学検出ステーションによって読み取られるインキュベート/洗浄/読取りセクション416と、の自動免疫化学分析器の3つの主要セクションで行われる。
【0109】
試料アリコートセクション414及びインキュベート/洗浄/読取りセクション416はそれぞれ、1組のユニットを有し、1サイクル(一実施形態では、9秒サイクル)で作動する。試薬ピペッティングセクション415は、独立して作動する4つの試薬ピペッティングステーションを有し得、それぞれの試薬ピペッティングステーションは、第2のサイクル(一実施形態では、36秒サイクル)で作動する。
【0110】
しかしながら、4つの試薬ピペッティングステーションのスケジューリングは、ずれが生じ得る(一例では、9秒の違い)。例えば、分析器は、9秒毎に1つの試験試料を受け入れ得る。すなわち、分析器は、9秒の有効サイクルを有する。したがって、分析器は、高速スループット(例えば、1時間当たり400回の試験)を有し得る。本発明の実施形態は、これらのタイミング又は値に限定されない。
【0111】
図4A及び
図4Bを参照すると、試料アリコートセクション414、試薬ピペッティングセクション415、及びインキュベータ/洗浄/読取りセクション416の基本動作手順であり、これらについて以下に説明する。
【0112】
A.試料アリコートセクション414の動作サイクル
【0113】
1.ユーザーが、試料提示ユニット401に、最大4つの試料管を収容する試料ラックを装填する。
【0114】
2.ラックは、主試料ピペッティングステーション402内へと前進させられ、試料は、バーコードリーダー(BCR)によって同定され、主試料ピペッティングステーション402に提示されてもよい。
【0115】
3.同時に、バルク容器フィーダー403が、試験に必要な反応容器を試料反応容器可動台に提示し、そこから第1のピックアンドプレースグリッパ408が反応容器を取り上げ、試料貯蔵部411及び/又は利用可能な試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のいずれか1つの反応容器可動台に貯蔵する。
【0116】
4.主試料ピペッティングステーション402が、必要とされる量の試料を吸引し、それを試料貯蔵部411内の反応容器に分取する。その後、プローブが、その専用の洗浄ステーションで洗浄される。試料プローブを洗浄することで、試料のキャリーオーバーが、他の試料に悪影響を及ぼさないレベルまで低減され得る。
【0117】
B.試薬ピペッティングセクション415の動作サイクル
【0118】
1.第1のピックアンドプレースグリッパ408が、分取された試料を収容している反応容器を取り上げ、それを利用可能な試薬ピペッティングステーションに移動させる。
【0119】
以下に、このプロセスについて説明する。(a)試料貯蔵部411内の要求された反応容器が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の動作位置の下に位置付けられる。(b)利用可能な試薬ピペッティングステーションの反応容器可動台が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の別の動作位置の下に位置付けられる。(c)第1のピックアンドプレースグリッパ408が、要求された反応容器を試料貯蔵部411から利用可能な試薬ピペッティングステーションの反応容器可動台に移す。
【0120】
2.同時に、試薬貯蔵部413が、必要な試薬パックを同じ試薬ピペッティングステーションに運ぶ。
【0121】
3.試薬パック及び反応容器が適切な位置にある状態で、当該の試薬ピペッティングステーションの試薬ピペッタは、試料反応容器から必要な量の試料を吸引し、それをアッセイ反応容器内に分配し、また試薬パックから必要量の試薬を回収し、それをアッセイ反応容器に分配する。その後、プローブが、その専用の洗浄ステーションで洗浄される。
【0122】
以下に、試料吸引のプロセスについて説明する。(a)試薬ピペッティングステーションの試薬ピペッタが反応容器の上に位置付けられる。(b)超音波レベル検知回路を使用して、試料の表面が検出され、その表面が見つかると、ピペッタの下降が停止され、ピペッタは、必要な試料容量を抜き取るのに十分な深さとなる(したがって、キャリーオーバーが低減される)。(c)試料が、精密ポンプ及び弁を使用して抜き取られ、試料吸引中に圧力センサを使用することによってインライン圧力プロファイルが収集され、このプロファイルを使用して適切な試料のピックアップが検証され得る。本明細書で使用される精密ポンプ及び弁の構成及び機能の詳細な説明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,520,755号及び同第6,843,481号に提供されている。
【0123】
以下に、試薬吸引のプロセスについて説明する。(a)試薬ピペッティングステーションの試薬ピペッタが、試薬パックの適切な試薬ウェルの場所まで移動する。(b)試薬ピペッタは試薬パックウェル内へと下降し、これが粒子ウェルである場合、超音波混合回路が、吸引前に粒子を混合するように有効化される(かつ、適切な動作を確実にするためにロック信号がチェックされる)。(c)試薬が、精密ポンプ及び弁を使用して抜き取られ、試薬吸引中に圧力センサを使用することによってインライン圧力プロファイルが収集され、このプロファイルを使用して適切な試薬のピックアップが検証される。
【0124】
以下に、試料又は試薬送達のプロセスについて説明する。(a)試薬ピペッティングステーションの試薬ピペッタが、ピペッティングステーションの反応容器可動台内のアッセイ反応容器の場所に移動する。(b)試薬ピペッタがアッセイ反応容器内へと下降し、試料又は試薬が分配された後にちょうどプローブに触れるように、正確な分配高さが計算される(プローブの先端部に残された試料又は試薬の滴がないことを確実にするため)。(c)試料又は試薬は、精密ピストンポンプ及び弁を使用して分配され、試料送達中に圧力センサを使用することによってインライン圧力プロファイルが収集され、このプロファイルを使用して適切な試料又は試薬送達が検証される。
【0125】
以下に、試料希釈のプロセスについて説明する。(a)ピペッティングに適切な試料反応容器が回収される。(b)利用可能な試薬ピペッティングステーションの試薬容器可動台内の希釈場所が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の動作位置の下に位置付けられる。(c)バルク容器フィーダーが、2つの空の容器(反応容器及び希釈容器)を供給する。(d)第1のピックアンドプレースグリッパ408が、両方の容器を、利用可能な試薬ピペッティングステーションの試薬容器可動台に同時に移す。(e)試料が吸引され、精密ピストンポンプ及び弁を使用して、追加容量の緩衝液と共に希釈容器に送達され、希釈された試料が分配された後にプローブにちょうど触れるように(プローブの先端部に残された試料滴がないことを確実にするため)、又は混合が要求された場合にわずかに深くなるように(そのような場合、適切な動作を確実にするため、超音波混合回路が有効になり、ロック信号がチェックされる)、正確な分配高さが計算される。(f)この希釈済み試料の特定の容量が、精密ポンプ及び弁を使用して吸引され、吸引中に圧力センサを使用することによってインライン圧力プロファイルが収集され、このプロファイルを使用して適切な希釈済み試料のピックアップが検証される。(g)元の反応容器は、試料が残っている場合には試料貯蔵部411に戻され、空である場合には処分される。(h)希釈済み試料を収容する容器は、この時点で、後続のアッセイを処理するための反応容器となる。
【0126】
以下に、試料及び試薬添加のプロセスについて説明する。(a)要求された試料を試料貯蔵部411から回収する。(b)バルク容器フィーダーが、容器供給可動台に空の反応容器を供給する。(c)容器供給可動台が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の動作位置の下に位置付けられる。(d)利用可能な試薬ピペッティングステーションの試薬容器可動台が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の他の動作位置の下に位置付けられる。(e)第1のピックアンドプレースグリッパ408が、空の反応容器を利用可能な試薬ピペッティングステーションの試薬容器可動台に移す。(f)試薬容器可動台が、ピペッティング用に位置付けられる。(g)要求された試薬パックもピペッティング用に位置付けられる。(h)試薬ピペッティングステーションの試薬ピペッタが、プローブを洗浄するため、試薬洗浄塔に移動し、次いで試薬洗浄塔内へと下降する。(i)試料が吸引され、反応容器に送達される。(j)試薬ピペッタが試薬洗浄塔に移動し、次いで試薬洗浄塔内に下降し、プローブを洗浄する。(k)試薬ピペッタが、適切な量の試薬を吸引し、それを反応容器に送達する。(l)上記工程(j)及び(k)は、試薬の全てが反応容器に送達されるまで繰り返される。(m)反応容器混合が所望される場合、プローブはわずかに下方に移動し、超音波混合回路が有効になり、適切な動作を確実にするためにロック信号がチェックされる。(n)試薬容器可動台が、第2のピックアンドプレースグリッパ409の動作位置の下に位置付けられる。(o)試薬容器インキュベータホイール上の空の位置が、第2のピックアンドプレースグリッパ409の別の動作位置の下に位置付けられる。(p)第2のピックアンドプレースグリッパ409が、反応容器をインキュベート/洗浄/読取りステーション412のインキュベータ内に移す。(q)2工程又は3工程アッセイの場合、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、反応容器をピペッティング場所に戻し、追加の試薬が添加され、次いで、第2又は第3のインキュベーションのために、第2のピックアンドプレースグリッパ409によって容器がインキュベート/洗浄/読取りステーション412に戻される。
【0127】
試薬プローブを洗浄することで、試料及び試薬のキャリーオーバーが、他の試料又は試薬に悪影響を及ぼさないレベルまで低減され得る。以下に、このプロセスについて説明する。(a)超音波回路が、試薬プローブを洗浄するように有効化される。(b)真空ポンプが塔を排気させる一方、塔が適切に排出していることを確認するために塔の排気ライン圧力が監視される。(c)プローブは、精密ポンプ及び精密弁を使用して緩衝液で内部的にフラッシュされ、蠕動ポンプを使用して外部的にシャワーが掛けられる。(d)プローブが確実に乾燥されるように、真空ポンプ及び超音波回路がわずかに長く動作する間、緩衝液の流れが停止される。
【0128】
4.第2のピックアンドプレースグリッパ409は、試料と試薬との混合物を収容するアッセイ反応容器を取り上げ、それをインキュベータ/洗浄/読取りステーション412のインキュベータホイールに移動させる。
【0129】
5.第1のピックアンドプレースグリッパ408は、残りの分取された試料を収容する試料反応容器を取り上げ、反射試験が必要とされるか又はそれを廃棄物入れに排出する場合に、その試料反応容器を試料貯蔵部411に戻す。
【0130】
以下に、このプロセスについて説明する。(a)試料貯蔵部411内の試料貯蔵場所が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の動作位置の下に位置付けられる。(b)試薬ピペッティングステーションの反応容器可動台が、第1のピックアンドプレースグリッパ408の他の動作位置の下に位置付けられる。(c)第1のピックアンドプレースグリッパ408が、試料反応容器を、利用可能な試薬ピペッティングステーションの反応容器可動台から試料貯蔵部411に移す。
【0131】
C.インキュベーション/洗浄/読取りセクション416の動作サイクル
【0132】
1.アッセイ容器は、加熱素子を用いて制御温度でプログラムされた時間にわたってインキュベータホイール内に残留し、サーミスタで監視され、次いで、洗浄のために第3のピックアンドプレースグリッパ410によって取り上げられる。
【0133】
2.洗浄/読取りリングは、複数の吸引ステーション及び複数の分配ステーションを有し、アッセイ反応容器は、加熱素子を用いた制御温度下において、サーミスタで監視された状態で、粒子洗浄、基質添加、及びインキュベーションなどを含むいくつかの動作を経る。
【0134】
3.アッセイ反応容器は、読取り器/検出器によって読み取られ、その後、第3のピックアンドプレースグリッパ410によってインキュベータに戻され、その後、第2のピックアンドプレースグリッパ409によって取り上げられて廃棄物入れの中に処分される。
【0135】
分析器の動作は、様々なセンサ及びマイクロコントローラ(複数可)、電源ユニット、モータ、並びに駆動機構、並びに機械的構造を含む、流体システム、電子制御ハードウェア、及びソフトウェアによって支持され、好適な材料及び構造の決定は、当業者の範囲内である。
【0136】
自動免疫化学分析において実施される方法はまた、(a)少なくとも2つの手順のうちの1つが第1の期間の動作サイクルを有し、少なくとも2つの手順のうちの別の1つが第2の期間の動作サイクルを有し、第2の期間を第1の期間で割った商が整数であるように、少なくとも2つの手順のうちの少なくとも1つのそれぞれのサイクルを調整する工程と、(b)少なくとも2つの手順のうちの他の1つを実施するための複数の独立した作業ステーションを提供する工程であって、それぞれの作業ステーションは、そのようなステーションの数が整数に等しくなるように、第2の期間のサイクルで動作する、工程と、(c)作業ステーションのうちの少なくとも1つが、第1の期間のそれぞれの動作サイクルに利用可能であるように、第1の期間によって独立した作業ステーションのそれぞれのサイクルをずらす工程と、を含み得る。
【0137】
分析器は、多くの特有の特徴及び利点を有する。第1に、分析器は、1時間当たり400回の試験など、高スループットを有することができ得る。第2に、分析器は、モジュールのうちの1つが機能不全であっても、中断されない分析を確実にするために独立して作動し得る、複数のピペッティングモジュールを提供することができ得る。第3に、分析器は、大容量の試料貯蔵区域を用いて再試験又は反射試験を実施し得る。
【0138】
図5Aは、本発明の一実施形態による、インキュベーションカルーセル500の断面図を示す。
図5Bは、インキュベーションカルーセル500の一部の断面図を示す。
図5Cは、インキュベーションカルーセル500の一部の上面斜視図を示す。
【0139】
図5Aを参照すると、インキュベーションカルーセル500は、処理される試料を有する反応容器を受容するための孔504のアレイを有する円形プレートの形態の上部502を含む、本体を含み得る。それぞれの孔504は、反応容器がインキュベーションプロセスに供され得る、別個のインキュベーション領域に対応し得る。上部502は、複数の同心壁503A(
図5Bに示す)を含む底部503の上面に設置される。本体は、インキュベーションカルーセル500を回転させ得る軸510上に位置する。必要に応じて、孔504内の試料が加熱され得るように、必要に応じて、薄膜加熱素子などの加熱器を本体内に組み込むことができる。インキュベータカルーセル500は、具体的に例示されるもの以外の形状、又はそれよりも多い又は少ない孔を有し得る。
【0140】
磁石508は、インキュベーションカルーセル500の本体の底部503内に存在し得る。
図5A~
図5Cに示されるように、磁石508は、インキュベーション領域の最も内側の円に存在するが、それらは任意の好適な数のインキュベーション領域の一部である。磁石は、下流質量分析に好適な任意の上清が実施され得るように、磁性粒子を結合するために使用されてもよい。磁石は、永久磁石又は電磁石であってもよい。ピペッタなどの吸引装置(図示せず)は、任意の上清を除去してもよく、質量分析計への最終的な移動のために、上清を試料導入装置に移してもよい。
【0141】
質量分析計の一部を形成し得る多様な質量分析器システムを、本発明の実施形態による試料処理システムで使用することができる。好適な質量分析器システムは、2つの質量分離器を含み、この2つの質量分離器の間のイオン飛行経路に、イオンフラグメンタが配設される。好適な質量分離器の例としては、限定するものではないが、四重極、RF多重極、イオントラップ、飛行時間(TOF)、及び時限イオンセレクタを伴うTOFが挙げられる。好適なイオンフラグメンタとしては、限定するものではないが、衝突誘起解離(CID、衝突支援解離(CAD)とも呼ばれる)、光誘起解離(PID)、表面誘起解離(SID)、ポストソース分解、電子ビームとの相互作用(例えば、電子誘導解離(EID)、電子捕獲解離(ECD))、熱放射との相互作用(例えば、熱/黒体赤外線放射解離(BIRD))、ポストソース分解、又はこれらの組み合わせの原理で動作するものが挙げられる。
【0142】
好適な質量分析計の例としては、限定するものではないが、三連四重極、線形四重極イオントラップ(例えば、4000 Q TRAP(登録商標)LC/MS/MS System、Q TRAP(登録商標)LC/MS/MS System)、四重極TOF(例えば、QSTAR(登録商標)LC/MS/MS System)、及びTOF-TOFのうちの1つ以上を含むものが挙げられる。
【0143】
様々な実施形態では、質量分析計は、MALDIイオン源を含む。様々な実施形態では、併合試料の少なくとも一部は、MALDIマトリックス材料と混合され、MALDIイオン源を用いて質量分析器を使用した親娘イオン遷移モニタリングに供される。
【0144】
質量分析計は、親イオンを選択し、そのフラグメント娘イオンを検出するための三連四重極質量分析計を含み得る。この実施形態では、第1の四重極は親イオンを選択する。第2の四重極は、複数の低エネルギー衝突が発生して親イオンの一部をフラグメント化させるように、十分に高い圧力及び電圧に維持される。第3の四重極は、選択された娘イオンを検出器に送信するように選択される。様々な実施形態では、三連四重極質量分析計は、イオン源と三連四重極との間に配設されたイオントラップを含み得る。イオントラップは、イオン(例えば、全てのイオン、特定のm/z範囲を有するイオンなど)を収集し、充填時間後、選択されたイオンがイオントラップから出ることを可能にするために、端部電極をパルス駆動することによって、選択されたイオンを第1の四重極に送信するように設定され得る。所望の充填時間は、例えば、イオンの数、イオントラップ内の電荷密度、異なるシグネチャペプチドの溶出間の時間、衝撃係数、励起状態種若しくは多価イオンの減衰率、又はこれらの組み合わせに基づいて決定され得る。
【0145】
三連四重極質量分析計内の四重極のうちの1つ以上は、リニアイオントラップとして(例えば、端部電極を追加して、四重極内に実質的に細長い円筒形トラップ容積を提供することによって)構成可能であり得る。様々な実施形態では、第1の四重極は親イオンを選択する。第2の四重極は、複数の低エネルギー衝突が発生して親イオンの一部をフラグメント化させるように、十分に高い衝突ガス圧力及び電圧に維持される。第3の四重極は、フラグメントイオンを捕捉し、充填時間の後に、選択された娘イオンがイオントラップを出ることを可能にするため、端部電極をパルス駆動することにより、選択された娘イオンを検出器に送信するために選択される。所望の充填時間は、例えば、フラグメントイオンの数、イオントラップ内の電荷密度、異なるシグネチャペプチドの溶出間の時間、衝撃係数、励起状態種若しくは多価イオンの減衰率、又はこれらの組み合わせに基づいて決定され得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、質量分析計は、親イオンを選択し、そのフラグメント娘イオンを検出するための2つの四重極質量分離器及びTOF質量分析計を含み得る。様々な実施形態では、第1の四重極は親イオンを選択する。第2の四重極は、複数の低エネルギー衝突が発生して、いくつかのイオンをフラグメント化させるように、十分に高い圧力及び電圧に維持され、TOF質量分析計は、例えば、対象となる娘イオン及び生成される抽出イオンクロマトグラムを包含する質量範囲にわたってイオンを監視するか、選択された娘イオンの時間枠外に現れるイオンを検出器から離れるように偏向させるか、選択された娘イオンの到着時間枠に検出器のタイムゲーティングを行うか、又はこれらの組み合わせによって、検出する娘イオンを選択する。
【0147】
いくつかの実施形態では、質量分析計は、2つのTOF質量分析器及びイオンフラグメンタ(例えば、CID又はSIDなど)を含み得る。様々な実施形態では、第1のTOFは、イオンフラグメンタにおいて導入する親イオンを選択し(例えば、選択された親イオンの時間枠外に現れるイオンをフラグメンタから離れるように偏向させることによって)、第2のTOF質量分析計は、例えば、対象となる娘イオン及び生成される抽出イオンクロマトグラムを包含する質量範囲にわたってイオンを監視するか、選択された娘イオンの時間枠外に現れるイオンを検出器から離れるように偏向させるか、選択された娘イオンの到着時間枠に検出器のタイムゲーティングを行うか、又はこれらの組み合わせによって、検出する娘イオンを選択する。TOF分析器は、リニア又は反射型分析器であり得る。
【0148】
質量分析計は、対象となる親イオンを選択するための時限イオンセレクタを有する第1のフィールドフリードリフト領域と、娘イオンを生成するためのフラグメンテーションチャンバ(又はイオンフラグメンタ)と、検出用に選択された娘イオンを送信する質量セパレータと、を含む、タンデムMS-MS器具を含み得る。様々な実施形態では、時限イオンセレクタは、パルスイオン偏向板を含む。様々な実施形態では、イオン偏向板は、パルスイオン偏向板として使用され得る。質量セパレータは、イオン反射器を含み得る。様々な実施形態では、フラグメンテーションチャンバは、イオンのフラグメンテーションを引き起こし、抽出を遅延させるように設計された衝突セルである。様々な実施形態において、フラグメンテーションチャンバはまた、飛行時間質量分析法によるフラグメントイオンの分析のための遅延抽出イオン源として役立ち得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、イオン化は、構造的に特異的なフラグメントイオン及びQ3
MRMイオンを生成するために使用され得る。標識試薬は、構造的に特異的なフラグメントイオン中に完全に又は部分的に含有され得る。この方法は、Q3 MRMイオンに対する感受性及び特異性の両方を提供し得る。いくつかの実施形態では、イオン化は、Q3内で選択され、次いでフラグメント化されて構造的に特異的なイオンを生成し得る、優性のニュートラルロスフラグメントイオンを生成するために使用され得る。これらのフラグメントイオンは、次いで、MS3と称される手順における同定及び定量化に使用され得る。
【0150】
図6Aは、例示的な質量分析計600及び質量分析計に連結された試料導入装置601のブロック図を示す。試料溶液は、分析器から試料導入装置601に移されていてもよい。いくつかの実施形態では、試料導入装置601は分析器内にあり得る。試料導入装置601は、接続管602を介して質量分析計600に連結されてもよい。試料導入装置601は、接続管602を介して試料溶液をイオン源603に導入してもよい。イオン源603は、信号線605Aを介してイオン源電源604によって制御され得る。イオン源603によって生成される試料分子に関するイオンは、質量分析領域606に導入され、質量分析される。質量分析領域606は、真空システム607によって真空まで排気される。このように質量分析されたイオンは、イオン検出器608によって検出される。検出信号は、信号線605Bを介してデータ処理ユニット609に供給される。データ処理ユニット609は、別個のユニットであってもよく、又は前述の制御システムの一部であってもよい。
【0151】
図6Bは、電子噴霧方法を使用する質量分析計の一部の図を示す。
図6Bは、電子噴霧イオン源に連結された試料導入装置619の構造を示す断面図である。試料導入装置619から提供される試料溶液は、接続管622及びコネクタ630を介して、噴霧のためにキャピラリ621内に導入される。噴霧キャピラリ612と対電極632との間にkVのオーダーの電圧を印加することにより、試料溶液の小荷電液滴は、噴霧キャピラリの端部から円錐状に噴霧される。つまり、いわゆる電子噴霧現象が発生する。電子噴霧方法では、窒素ガスなどのガスが噴霧キャピラリ621の周囲から注がれ、それによって小荷電液滴の気化が加速されるように、ガスの噴霧用の排出口623が提供される。更に、窒素ガスなどのガスは、対電極632側に提供される、ガスを気化させるための排気口624から、生成された小荷電液滴に向かって吹き付けられ、それによって小荷電液滴の気化が加速される。このように生成されたイオンは、イオン試料採取開口625を通って真空626に導入され、質量分析領域626によって高真空下で質量分析される。
【0152】
図6Cは、イオン検出器の構造を示す。
図6Cに示される構造は、質量分析計における信号対雑音比(SIN)を改善するために使用され得る。イオン偏向電極646は、質量分離イオンを偏向させるために、高周波電界下での質量分離に対応する質量分析領域648の後部に提供され得る。偏向されたイオンは、kVのオーダーの電圧で加速され、ダイノード657と衝突して二次電子を生成する。二次電子は、イオンが衝突する二次電子生成ダイノード657から放出される。放出された二次電子は、電子増倍器などの電子検出器658によって検出される。
図6Cに示す構造により、電荷を有さない中性分子、荷電液滴、又は電荷を有さない液滴は、イオン検出器648によって信号として検出されることを防止され、その結果、S/Nの改善が達成される。
【0153】
上述したように、試料導入装置は、分析器と質量分析計との間に配設されてもよい。試料導入装置の1つのタイプは、トラップ及び溶出装置であり得る。好適なトラップ及び溶出装置の詳細は、
図7A及び
図7Bを参照して説明することができる。
【0154】
図7Aは、本発明の一実施形態による、トラップ及び溶出装置700の構成要素の図を第1の構成で示す。
図7Bは、本発明の一実施形態による、トラップ及び溶出システム700を第2の構成で示す。
【0155】
トラップ及び溶出装置700は、ミキサ706と流体連通している第1のポンプ702及び第2のポンプ704を含む。インジェクタ708は、ミキサ706の下流にあり、ミキサ706と流体連通している。インジェクタ708は、一連の弁710と連動し得る。一連の弁の接続点は、1~6とラベル付けされてもよい。一連の弁は、トラップ712に接続し得る切換弁デバイス710内に存在してもよく、下流の廃棄物ステーション718又は下流の質量分析計720からトラップ712と接続又は接続解除してもよい。トラップ712は、C18材料などの任意の好適な材料を含有し得る。
【0156】
図7Aでは、質量分析計720内で処理される試料は、ポンプA702によってミキサ706内に、及びインジェクタ708内にポンプ圧送されてもよい。次いで、試料は、切換弁デバイス710内の一連の弁(接続点1-2、3-4、及び5-6が接続され得る)に注入されてもよく、トラップを通って廃棄物ステーションまで流れてもよい。対象となる任意の分析物は、トラップ712内に捕捉されてもよく、対象とならない試料の任意の液体成分は、廃棄物ステーション718に移されてもよい。
【0157】
図7Bでは、切換弁デバイス710内の一連の弁の接続点が切り換えられている。この時点で、接続点2-3、1-6、及び4-5が接続される。図示のように、質量分析計720と適合する緩衝液は、第2のポンプ704からミキサ706に、及びインジェクタ708にポンプ圧送されてもよい。インジェクタ708は、次いで、トラップ712に緩衝液を注入してもよく、緩衝液は、対象となる任意の分析物をトラップ712から質量分析計720内へ溶出する。
【0158】
試料処理システムは、任意の好適な試料中の任意の好適な分析物に対して任意の好適な分析を実施することができ得る。このような分析としては、免疫精製及び検出プロセス、タンパク質沈殿及び検出プロセス、並びにSISCAPA型の処理方法が挙げられ得る。完全なタンパク質を質量分析法によって直接測定するのではなく、SISCAPAは、タンパク質分解(例えば、酵素トリプシンによる)を使用して、試料タンパク質を、質量分析法による定量化に理想的に適したより小さいペプチドに分裂させる。配列が選択された標的タンパク質(いわゆる「プロテオタイプ」ペプチド)のみに生じる標的ペプチドを選択することによって、標的ペプチドは、標的タンパク質の直接定量サロゲートとして役立ち得る。安定した同位体標識を含有する標的ペプチドの合成バージョンは、消化試料に既知の量で添加されることで、内標準(SIS)として役立ち得る。標的ペプチド及びSISはワークフロー全体を通して化学的に区別できないため、安定した同位体標識の質量差により、質量分析計によって別個に測定され得るため、それらの比は、標的ペプチド量の所望の量的推計をもたらす。
【0159】
図8~
図10は、質量分析のための試料を調製するために分析器を利用するプロセス、及び質量分析計によって実施される後続の質量分析を示す。
【0160】
図8は、本発明の一実施形態による、免疫精製プロセスを例示するフローチャートを示す。上述の
図4Aの分析器図に関して参照することができる。
【0161】
工程802では、試料管内の試料が分析器400内の試料提示ユニット401に装填される。試料管は、試料管ラック又は他の試料管キャリア内の複数の他の試料管と共に存在してもよい。
【0162】
工程804では、主試料ピペッティングステーション402は、次いで、試料管内の試料の1つ以上のアリコートを、バルク容器フィーダー403によって提供される1つ以上の反応容器にピペットで移してもよい。この時点で、第1のピックアンドプレースグリッパ408は、反応容器を試薬ピペッティングステーション404、405、406、407に移送してもよい。2つの試料アリコートが2つの反応容器内に存在する場合、反応容器のうちの1つは、免疫分析器又は質量分析計のいずれかによる可能な更なる反射試験又は再試験のために、第1のピックアンドプレースグリッパ40によって試料貯蔵部412に輸送されてもよい。場合によっては、試料アリコートを有する単一の反応容器が、試料貯蔵部412に貯蔵されてもよく、複数の試験に(例えば、反応容器から二次アリコートを取り、第3の容器に移すことによって)使用されてもよい。場合によっては、5~10回の試験が、反応容器内の初期アリコートから実行され得る。
【0163】
工程806では、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つにおいて、分析物特異的捕捉抗体でコーティングされた磁気ビーズを、任意の他の好適な試薬と共に反応容器内の試料アリコートに添加してもよい。試薬及び試料アリコートは、次いで、試薬ピペッティングステーションで混合されてもよい。混合は、ピペッタを使用して、反応容器内の流体を吸引して分配することによって、又は任意の他の好適な混合プロセスによって行われ得る。また、試薬は、この実施例及び他の実施例においてピペットで移されるものとして記載されているが、試薬を任意の好適な方法で反応容器に添加してもよいことが理解されることに留意されたい。例えば、乾燥試薬は、試料アリコートがそれらに添加される前又は後に、反応容器に存在するか又は添加されてもよい。
【0164】
適切な試薬が試料アリコートを収容する反応容器に添加された後、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、反応容器をインキュベータ/洗浄/読取りステーション412に移してもよい。
【0165】
工程808では、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータにおいて、磁気ビーズ及び試料を収容する反応容器は、磁性粒子に付着した抗体で対象となる任意の分析物を捕捉するためにインキュベートされてもよい。反応容器内の混合物は、任意の好適な時間量(例えば、60分)にわたってインキュベートされてもよい。
【0166】
工程810では、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412の洗浄装置において、磁気ビーズは、洗浄液で洗浄され、上清から磁気的に分離されてもよい。洗浄装置内のピペッタは、このプロセスを実施するため、反応容器から任意の流体を分配及び除去するために使用され得る。
【0167】
洗浄プロセスが完了すると、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、次いで、反応容器を試薬ピペットステーション404、405、406、407に輸送してもよい。対象となる分析物が磁性粒子上の抗体に結合されると、制御システムは、イムノアッセイ検出プロセス又は質量分析プロセスが実施されるかどうかを決定し得る。場合によっては、イムノアッセイ検出プロセス又は質量分析プロセスが実施されるかどうかに関する決定は、プロセスの早期に行われ得る。
【0168】
イムノアッセイ検出プロセスが実施される場合、ピペッティングステーション404、406、406、407のうちの1つが、化学発光基質又は他の光学基質を反応容器内に分配してもよい。あるいは、基質は、洗浄システム内の専用ピペッタによって反応容器に添加され得る。反応容器は、次いで、第2のピックアンドプレースグリッパ409によって、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータに移されてもよい。インキュベータにおいて、化学発光基質は、依然として磁気ビーズに結合されている対象となる分析物に結合し得る。反応容器は、次いで、第3のピックアンドプレースグリッパ410を使用して、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータから読取り器に移されてもよい。読取り器は、次いで、分析物が存在するかどうか、及び/又は分析物の濃度を検出し得る。
【0169】
本発明のいくつかの実施形態では、検出プロセスは、質量分析計によって実施されてもよい。工程812、814、816、822、824、826、及び828は、質量分析計を使用して試料中の分析物の存在又は濃度を検出するときに実施され得る。
【0170】
工程812では、1つ以上の光学検出試薬(例えば、化学発光基質)を反応容器内に添加する代わりに、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つが、処理された試料を収容する反応容器に溶出緩衝液を添加してもよい。試薬ピペッティングステーションは、次いで、結合した溶出緩衝液を、結合分析物を含む磁性粒子と混合してもよい。この工程が実施された後、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、次いで、反応容器をインキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータに移してもよい。
【0171】
工程814では、インキュベータにおいて、インキュベーションプロセスが、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータで実施されてもよい。反応容器内の混合物は、任意の好適な期間にわたってインキュベートされてもよい。
【0172】
工程816では、磁気分離プロセスが、上清を磁性粒子から分離するために、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内の洗浄ステーションで実施され得る。あるいは、上述のように、インキュベータが磁石を有するインキュベーション領域を含む場合、磁気分離プロセスは、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータで実施され得る。他の場合には、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内の洗浄ステーション若しくはインキュベータ内のいずれか、又は更にはピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つにある磁石は、磁性粒子を反応容器内の場所に閉じ込め得る。
【0173】
工程S822では、反応容器内に対象となる分析物を含有する上清が、磁性粒子を第1の反応容器内に残したまま、インキュベータ/洗浄/読取りステーションに近接したピペッタ又は任意の他の好適な場所にあるピペッタを使用して第2の反応容器に移されてもよい。
【0174】
工程824では、第2の反応容器、又は対象となる分析物を含有する上清が、試料導入装置のうちの1つ以上を使用して質量分析計に移されてもよい。
【0175】
必要に応じて、プロセスのこの時点で、1つ以上の質量タグ又は誘導化剤が、対象となる分析物を含有する上清に添加されてもよい。質量タグ又は誘導化剤は、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つ以上によって添加され得る。
【0176】
工程826では、対象となる分析物を含有する上清が質量分析計内に入ると、質量分析が実施され得る。
【0177】
工程828では、上述のように、データ分析が質量分析計によって実施されてもよい。
【0178】
図9は、本発明の一実施形態による、タンパク質沈殿プロセスを例示するフローチャートを示す。タンパク質沈殿プロセスでは、対象としない試料中のタンパク質が磁性粒子に結合され得る。磁性粒子は、反応容器内の対象となる分析物を含有する上清から分離されてもよい。
図9に例示する分析は、イムノアッセイプロセスの代わりに、又は前のイムノアッセイプロセスの反射試験として実施され得る。
【0179】
工程902では、試料管内の試料が分析器400内の試料提示ユニット401に装填される。試料管は、試料管ラック又は他の試料管キャリア内の複数の他の試料管と共に存在してもよい。
【0180】
工程904では、主試料ピペッティングステーション402は、次いで、バルク容器フィーダー403によって提供される反応容器内に常磁性微小粒子を含有する試料アリコート、アッセイ標準、及び沈殿緩衝液の混合物をピペットで移してもよい。反応容器内の混合物は、次いで、複数の分配及び吸引工程を使用して、又は任意の他の好適な混合プロセスを使用して、主試料ピペッティングステーションで混合されてもよい。
【0181】
この時点で、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、反応容器をインキュベータ/洗浄/読取りステーション412に移してもよい。
【0182】
工程906では、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータにおいて、試料アリコート内の任意のタンパク質マトリックスが常磁性微小粒子に結合するように、混合物を収容する反応容器がインキュベートされてもよい。
【0183】
工程908では、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内の洗浄装置において、結合タンパク質マトリックスを有する常磁性微小粒子が、対象となる分析物を含有する上清から磁気的に分離される。あるいは、上述のように、インキュベータが磁石を有するインキュベーション領域を含む場合、磁気分離プロセスは、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータで実施され得る。
【0184】
工程910では、反応容器内の対象となる分析物を含有する上清が、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412に近接したピペッタを使用して、バルク容器フィーダー403によって提供される第2の反応容器に移されてもよい。
【0185】
工程914では、対象となる分析物を含有する上清が質量分析計内に入ると、質量分析が実施され得る。
【0186】
工程916では、質量分析計によってデータ分析が実施されてもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、工程908、910、及び912を実施する代わりに、分析器は、反応容器を遠心モジュール(分析器、質量分析計内に位置してもよく、又はそれらと分離していてもよい)に移し、回転させ、次いで分析器に戻し得る。
【0188】
図10は、本発明の一実施形態による、別の免疫精製プロセスを例示するフローチャートを示す。
図10に例示するプロセスは、上述のSISCAPA型の処理方法であってもよい。
【0189】
工程1002では、試料管内の試料が分析器400内の試料提示ユニット401に装填される。試料管は、試料管ラック又は他の試料管キャリア内の複数の他の試料管と共に存在してもよい。
【0190】
工程1004では、主試料ピペッティングステーション402は、次いで、試料管内の試料アリコート、及び変性試薬/アルキル化試薬を、バルク容器フィーダー403によって提供される反応容器にピペットで移してもよい。次いで、第1のピックアンドプレースグリッパ408は、インキュベーションプロセスが実施され得るように、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータに反応容器を移してもよい。
【0191】
工程1006では、試料を収容する反応容器がインキュベートされる。
【0192】
インキュベーション後、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407に反応容器を移してもよい。
【0193】
工程1008では、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つが、トリプシンを添加してもよく、得られた混合物を反応容器内で混合してもよい。第2のピックアンドプレースグリッパ409は、次いで、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータに反応容器を移してもよい。
【0194】
工程1010では、インキュベータにおいて、インキュベーションプロセスが、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータで実施されてもよい。この時点で、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、反応容器を試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つに移してもよい。
【0195】
工程1012では、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つが、抗体及びSISペプチドでコーティングされた磁性微粒子を添加してもよい。この工程が実施された後、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、次いで、反応容器をインキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータに移してもよい。
【0196】
工程1014では、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内の洗浄装置において、磁気分離及び洗浄プロセスが実施されてもよい。このプロセス工程が実施されると、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、次いで、反応容器を試薬ピペットステーション404、405、406、407に輸送してもよい。
【0197】
工程1016では、試薬ピペッティングステーション404、405、406、407のうちの1つが、溶出緩衝液を添加してもよく、次いで、溶出緩衝液を、結合分析物を含む磁性粒子と混合してもよい。この工程が実施された後、第2のピックアンドプレースグリッパ409は、次いで、反応容器をインキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータに移してもよい。
【0198】
工程1018では、インキュベータにおいて、インキュベーションプロセスが、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータで実施されてもよい。
【0199】
工程1020では、磁気分離プロセスが、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内の洗浄ステーションで実施され得る。あるいは、上述のように、インキュベータが磁石を有するインキュベーション領域を含む場合、磁気分離プロセスは、インキュベータ/洗浄/読取りステーション412内のインキュベータで実施され得る。
【0200】
工程1022では、反応容器内の対象となる分析物を含有する上清が、インキュベータ/洗浄/読取りステーションに近接したピペッタを使用して、第2の反応容器に移されてもよい。
【0201】
工程1024では、第2の反応容器、又は対象となる分析物を含有する上清が、1つ以上の試料導入装置を使用して質量分析計に移されてもよい。
【0202】
工程1026では、対象となる分析物を含有する上清が質量分析計内に入ると、質量分析が実施され得る。
【0203】
工程1028では、質量分析計によってデータ分析が実施されてもよい。
【0204】
本発明の実施形態による統合試料処理システムは、1つ以上の試料中のホルモン、依存性薬物、及び腫瘍マーカーなど、様々な分析物の存在を測定又は決定するために使用され得る。
【0205】
測定され得る依存性薬物の非限定的な例としては、アンフェタミン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、阿片剤、オキシコドン、コカイン、メタドン、EDDP、THC、及びブプレノルフィンが挙げられ得る。薬物試験のための試料は、典型的には尿、又は唾液などの口腔流体である。いくつかの実施形態では、試料は、最初に、化学分析器又は免疫分析器などの分析器において測定されて測定結果が生成される。この結果は次いで、結果を1つ以上の所定のアッセイ閾値と比較する制御システムに入力される。測定結果が1つ以上の閾値を超える(例えば、それを超える)場合、制御システムは、対象となる薬物を含有する試料を決定し得る。測定結果が1つ以上の閾値を超えない場合、制御システムは、検体が薬物を含有しないと決定し得る。いくつかの実施形態では、分析器からの結果が特定の薬物に対して陽性である場合、制御システムは次いで、採取される試料の第2のアリコート及び質量分析計(MS)による確認試験を要求する。1つ以上の薬物が上記の薬物である場合、Substance Abuse and Mental Health Services Administration(SAMHSA)Federal Registerによって発行されたMandatory Guidelines for Federal Workplace Drug Testing Program(82 FR Vol.82,7920,7942(2017))に指定された基準が使用され得る。
【0206】
試料中で分析され得るホルモンの非限定的な例としては、アルドステロン、血漿レニン活性(plasmarenin aitivty)、助剤、コルチゾン、コルチコステロン、黄体ホルモン、コルチゾール、アンドロステンジオン(androsternedione)、メチルマロン酸、ホモシスチン、プロゲステロン、DHEAS、エストラジオール/17-β-エストラジオール、エストロン、テストステロン、11-デオキシコルチゾール、17-ヒドロキシプロゲステロン、プレグネノロン、及び17-ヒドロキシプレグネノロンが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、特定のホルモンのレベルは、性別及び年齢に応じて有意に異なり得る。例えば、テストステロンの量は、女性よりも男性において10倍高い。免疫分析器は、典型的には、質量分析法と比較して感度が制限されるため、標的ホルモンが低濃度であることが知られている特定の人口統計群については、これらのホルモンは、質量分析計で直接試験され得る。いくつかの実施形態では、患者の人口統計情報が利用できない場合、典型的には、免疫分析器などの分析器が初期試験として使用され得る。非常に低いレベルの(例えば、所定の閾値よりも低く、免疫分析器が濃度を正確に測定できない)標的ホルモンを有することが示される試料の場合、制御システムは、試料中の標的ホルモンの濃度を正確に測定するために、質量分析計による反射試験を要求し得る。
【0207】
本明細書に開示される統合試料処理システムを使用して測定され得る腫瘍マーカーの非限定的な例としては、リパーゼ、α-胎児性タンパク質、CA 125、CA 15-3、CA19-9、CA 27-29、CEA、β hCG+hCG、副甲状腺ホルモンが挙げられる。いくつかの実施形態では、パネルは、10~500、例えば、20~100、30~400、又は50~200の既知の腫瘍マーカーを含み得る。腫瘍マーカーなど、分析物の大きいパネルをアッセイするため、質量分析法が最初にスクリーニングアッセイとして使用されて、試料に対して陽性であるマーカーのサブセットが同定され、次いで、これらのマーカーが陽性であることを確認するために化学/免疫分析器が使用される。質量分析計は、多重試験に特に好適であり得るが、政府(例えば、FDA)承認の診断方法ではない場合があり、イムノアッセイ試験は、政府(例えば、FDA)承認の試験であり得るが、その質量分析法を実行するコストが低い場合があるため、これら2つの技術の組み合わせは、迅速なマーカー同定及び認証の固有の利点をもたらす。
【0208】
実施例
【0209】
例示的な試料収集方法
【0210】
本明細書に開示される統合試料処理システムは、血清、血漿、及び尿などの様々な体液からの分析物を測定するために使用され得る。以下の説明は、いくつかの試料採取方法の詳細を含み、例示であり、限定的ではない。
【0211】
血清試料は、被験体から採取した全血から調製され得る。血液試料は、室温で15~30分間静置されて凝固可能になり得る。試料は、次いで、冷却遠心機において1,000~2,000gで少なくとも15分間遠心分離される。血清である上清は、無菌ピペットで直ちに清潔なバイアルに移され得る。血清試料は、取り扱い中、2~8℃に維持され得る。血清が直ちに分析されない場合、血清は、使用するまで-20℃以下で貯蔵され得る。繰り返される凍結-融解サイクルは、多くの血清成分に有害であり得、アッセイの精度に影響を及ぼし得るため、回避され得る。
【0212】
血漿試料は、また、被験体からの全血試料から調製され得る。全血は、ヘパリンなどの抗凝固物質で処理された管に採取及び収集され得る。細胞は、冷却遠心分離機を使用して、1,000~2,000×gで10分間遠心分離されることによって、血漿から除去され得る。得られた上清は血漿であり、無菌ピペットで直ちに清潔なバイアル瓶に移され得る。プラズマ試料の取り扱い及び貯蔵は、上述のように、血清試料と同じであり得る。
【0213】
尿試料は、https://www.samhsa.gov/sites/default/files/specimen-collection-handbook-2014.pdfで入手可能なSAMHSAガイドライン(Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Prevention)に従って収集され得る。
【0214】
実施例1:テストステロン
【0215】
本発明の実施形態による試料処理システムは、生体流体試料中のテストステロンを測定するために使用され得る。男性のテストステロンは、成人のライジッヒ細胞によって分泌され、黄体形成ホルモン(LH)によって制御される。男性の異常に低い総テストステロンレベルは、性腺機能低下症、下垂体低下症、高プロラクチン血症、腎不全、肝硬変症、又はクラインフェルター症候群を示し得る。男性の高い総テストステロン値は、副腎及び精巣腫瘍、先天性副腎過形成、又は視床下部-下垂体-精巣軸の異常が原因であり得る。女性では、テストステロンは、卵巣、副腎、及び末梢脂肪組織で生成される。増加した女性の総テストステロンレベルは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、間質莢膜細胞過形成、卵巣及び副腎腫瘍、先天性副腎過形成、並びに視床下部-下垂体-卵巣軸の他の疾患を示し得る。このように、男性及び女性の両方においてテストステロンレベルを監視する必要がある。女性は、典型的に、男性よりも約10倍低い血清濃度を有し、免疫分析器は、多くの場合、非常に低いレベルのテストステロンを確実に測定するには感度が不十分であるため、MSは、多くの場合、女性におけるテストステロンを測定するために好ましい方法である。しかしながら、場合によっては、人口統計情報(例えば、被験体の性別)を試験時に利用できない。よって、いくつかの実施形態では、初期試験が免疫分析器によって実施される。免疫分析器が、特定の試料中に検出範囲未満の低テストステロンレベルを示す場合、制御システムは、次いで、MSを使用した確認試験を要求し得る。
【0216】
生体試料中のテストステロンの初期試験には、Access Testosteroneアッセイキット(Beckman Coulter,Inc.(Brea,CA)から市販されている)を使用することができる。アッセイは、試料処理システムの免疫分析器上で実行され得る。Access Testosteroneアッセイは、マウスモノクローナル抗テストステロン抗体、テストステロンアルカリホスファターゼ共役体、及びヤギ抗マウスポリクローナル抗体でコーティングされた常磁性粒子を使用する、競合的結合免疫酵素アッセイである。試料中のテストステロンは、担体タンパク質から放出され、限られた量の特定の抗テストステロンモノクローナル抗体上の結合部を求めてテストステロンアルカリホスファターゼ共役体と競合する。得られた抗原抗体複合体は、次いで、捕捉抗体によって固相に結合される。反応容器内でインキュベートした後、固相に結合している材料は磁場に保持されるが、結合していない材料は洗い流される。次いで、化学発光基質Lumi-Phos*530が容器に添加され、反応によって生成される光が照度計で測定される。光生成は、試料中のテストステロンの濃度に逆比例する。試料中の分析物の量は、貯蔵された多点較正曲線から決定される。
【0217】
第1の試験では、血清試料は、利用可能な人口統計情報(年齢、性別など)がない第1の被験体から得られ、免疫分析器内のシステム試料調整モジュールに装填され、上述のAccess Testosteroneアッセイキットを使用して調製される。イムノアッセイが、免疫分析器上で実行される。血清テストステロン量を含み得るイムノアッセイの結果は、測定値を血清テストステロンの基準範囲、すなわち、健康な個体における濃度範囲と比較する免疫分析器の制御システムに送信される。18~66歳の男性に関しては、基準血清テストステロンレベルは、典型的に1.75~7.81ng/mLであり、女性に関しては、基準血清テストステロンレベルは、典型的に0.1~0.75ng/mL未満である。主治医は、閾値を決定することができ、免疫分析器からの結果は、その閾値より上であれば正確であると見なされる。患者が閾値を下回る量のテストステロンを有する場合、免疫分析器内の制御システムは、次いで、試料からの第2のアリコートを上述のように調製させ得る。閾値は、試験に必要とされる精度及び正確性のレベルに応じて変化し得るが、典型的に2~0.1ng/mL、例えば、1.75ng/mL又は0.8ng/mLの範囲内の値である。試料の第2のアリコートは、次いで、(上記のように)処理されてもよい。処理された試料は、次いで、試料処理システム内の質量分析計に移され、質量分析計内に注入される。質量分析計は、次いで、血清試料中のテストステロンの量又は濃度を決定する。次いで、免疫分析器及び質量分析計によって実施される試験の結果が報告され得る。
【0218】
第2の例示的な試験では、血清試料は、第2の被験体から得られ得る。第2の被験体の医療記録はアクセス可能であり得、被験体が女性であることを示し得る。この情報は、試料処理システム内の制御システムに送信され得、制御システムは、試料が質量分析計のみで分析されるべきであり、免疫分析器によって分析される必要はないことを決定する。制御システムは、次いで、試料アリコートが調製及び処理されるようにする。処理された試料アリコートは、次いで、上述のように質量分析計内に注入される。質量分析計は、次いで、第2の被験体の血清試料中のテストステロン量を測定する。次いで、質量分析計からの測定値が報告される。
【0219】
実施例2:アンフェタミン
【0220】
本発明の実施形態による試料処理システムを使用して、依存性薬物を試験することができる。1つの例示的な依存性薬物種は、アンフェタミンである。アンフェタミンは、覚醒、敏捷、エネルギーの増加、飢餓の低減、及び全体的な幸福感をもたらす中枢神経系刺激剤である。
【0221】
アンフェタミンは、任意のタイプの投与後3時間以内に尿中に現れ、最後の服用から24~48時間ほどの間は、このEMIT(登録商標)II+アンフェタミンアッセイ(Backman Coulter,Inc.(Brea,CA)から市販されている)によって検出され得る。EMIT(登録商標)II+アンフェタミンアッセイは、均質酵素イムノアッセイである。アッセイは、抗体結合部を求める検体中の薬物と酵素グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)で標識された薬物との間の競合に基づく。酵素活性は、抗体に結合すると減少するため、検体中の薬物濃度は、酵素活性に関して測定され得る。活性酵素はニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NAD)をNADHに変換し、分光光度法で測定される吸光度の変化をもたらす。補酵素NADは、アッセイに用いられる細菌(ロイコノストック・メセンテロイデス)酵素のみと機能するため、内因性血清G6PDHは干渉しない。
【0222】
試験に使用される試薬としては、d-アンフェタミン(61μg/mL)及びd-メタンフェタミン(10μg/mL)に対するマウスモノクローナル抗体、グルコース-6-リン酸(5.5mM)、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(3.5mM)、ウシ血清アルブミン、細菌G6PDHで標識されたアンフェタミン(0.72U/mL)、トリス緩衝液、防腐剤、並びに安定剤が挙げられ得る。
【0223】
薬物試験のために、尿試料は、https://www.samhsa.gov/sites/default/files/specimen-collection-handbook-2014.pdfで入手可能なSAMHSAガイドライン(Substance Abuse and Mental Health Services Administration Center for Substance Abuse Prevention)に従って収集することができる。尿試料は、典型的に、収集後24時間以内に認定された実験室に提出される。尿試料は、試料処理システム内の試料調製モジュールで調製される。試薬が試験される試料に添加され、イムノアッセイが免疫分析器上で実施される。次いで、結果が試料処理システム内の制御システムに入力される。制御システムは、次いで、結果をアッセイ閾値と比較する。例えば、300ng/mLなど、量が閾値を超える場合、制御システムは、予備読取り値として、試料がアンフェタミンを含有していることを決定する。量が閾値よりも低い場合、制御システムは、検体がアンフェタミンを含有していないことを決定する。
【0224】
分析器からの結果が陽性である場合、制御システムは、次いで、質量分析計によって実施される確認試験を要求する。次いで、試料の第2のアリコートが採取され、上述のように質量分析計用に調製される。アンフェタミンを含有する較正標準及びコントロールは、Cerilliant,Inc.及びUtak Laboratories,Inc.から購入される。質量分析測定値が、第2の処理済み試料アリコートがアンフェタミンを含有することを示す場合、被験体は、アンフェタミンに対して陽性と同定され、報告が生成される。
【0225】
実施例3腫瘍マーカーパネル
【0226】
統合試料処理システムは、癌診断に使用することもできる。質量分析法は、多重試験に有用であり、ゆえに、数百の既知の腫瘍マーカーを有するパネルなどの腫瘍抗原の大パネルを試験するために使用することができる。一例では、腫瘍パネルとしては、リパーゼ、α-胎児性タンパク質、CA125、CA15-3、CA19-9、CA27-29、CEA、Beta hCG+hCG、副甲状腺ホルモンが挙げられる。しかしながら、質量分析法は、一部の管轄において政府が承認した診断方法ではない場合がある。そのような場合、質量分析計によって作製された初期決定を確認するために、確認試験が試料処理システム内の免疫分析器によって実行され得る。
【0227】
腫瘍パネルを試験するために、上述のように血漿試料が調製される。プラズマ試料の第1のアリコートは、上述のように調製され、質量分析計に送られる。結果は、試料処理システム内の制御システムに戻され、制御システムは、測定値を所定の閾値と比較して、腫瘍マーカーのいずれかが試料中で陽性である(すなわち、測定値(複数可)が、特定のマーカー(複数可)の閾値(複数可)を上回る)かどうかを決定する。
【0228】
腫瘍マーカーの小さいサブセットが質量分析計データに従って陽性であると示されている場合、試料処理システム内の制御システムは、次いで、免疫分析器内の試料調製モジュールに、試料の第2のアリコートを調製及び処理するように指示する。免疫分析器は、次いで、多重蛍光系サンドイッチイムノアッセイを使用して腫瘍マーカーのサブセットを検出する。アッセイは、サブセット内のそれぞれの腫瘍マーカーに特異的な試料アリコート一次抗体、及び蛍光色素分子に共役している検出抗体への添加を伴い得、一次抗体のそれぞれを認識し得る。蛍光色素分子は、検出抗体からの蛍光シグナルが互いに干渉しないように、異なる励起及び発光波長を有する。検出抗体のそれぞれから、試料中の対応する腫瘍マーカーのそれぞれの量を表す蛍光シグナルが測定される。次いで、免疫分析器によって陽性であると決定された腫瘍マーカーの結果が報告される。
【0229】
上の説明は、例示であり、限定的ではない。本発明の多くの変更は、本開示のレビューに基づいて、当業者に明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、上の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲を参照して、その完全な範囲又は均等物に沿って決定されるべきである。
【0230】
任意の実施形態からの1つ以上の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせられ得る。
【0231】
「a」、「an」又は「the」の詳細説明は、特に反対に示さない限り、「1つ以上(one or more)」を意味することを意図する。
【0232】
全ての特許、特許出願、刊行物及び上記説明は、その内容全体が参照により、本明細書に組み込まれる。
【外国語明細書】