(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133269
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113326
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2022140770の分割
【原出願日】2014-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2013161577
(32)【優先日】2013-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】平形 吉晴
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
(72)【発明者】
【氏名】井上 聖子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(57)【要約】
【課題】消費電力が低減された表示装置を提供する。または、折り畳まれた状態で使用可
能な領域に画像を表示する表示装置を提供する。
【解決手段】展開および折り畳み可能な表示部と、その折り畳まれた状態を検知する検知
部と、折り畳まれた状態に応じて表示部の一部に黒画像を表示する画像を生成する画像処
理部を有する構成に想到した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能で且つ第1の領域および第2の領域を備える表示部と、
前記表示部の折り畳まれた状態を検知して、折り畳み信号を供給する検知部と、
前記折り畳み信号が供給され、画像制御信号および同期制御信号を供給する制御部と、
前記画像制御信号が供給され、第1の画像信号および第2の画像信号を生成し且つ供給する画像処理部と、
前記同期制御信号が供給され、第1の同期信号および第2の同期信号を供給する同期信号供給部と、
前記第1の画像信号および前記第1の同期信号が供給され、前記第1の領域を駆動する第1の駆動回路と、
前記第2の画像信号および前記第2の同期信号が供給され、前記第2の領域を駆動する第2の駆動回路と、
前記第1の駆動回路に電源電位を供給する第1の電源と、
前記第2の駆動回路に電源電位を供給する第2の電源と、を有し、
前記制御部は、前記折り畳み信号に応じて、前記第2の電源に電源制御信号を供給し、
前記第2の電源は、前記電源制御信号に応じて前記第2の駆動回路への前記電源電位の供給を停止する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン
、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に
、本発明は、例えば、ヒューマンインターフェース、半導体装置、表示装置、発光装置、
蓄電装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法に関する。特に、本発明は、例
えば表示装置に関する。特に本発明の一態様は、折り畳むことができる表示装置に関する
。
【背景技術】
【0002】
情報伝達手段に係る社会基盤が充実されている。これにより、多様で潤沢な情報を職場や
自宅だけでなく外出先でも情報処理装置を用いて取得、加工または発信できるようになっ
ている。
【0003】
このような背景において、携帯可能な情報処理装置が盛んに開発されている。
【0004】
例えば、携帯可能な情報処理装置は屋外で使用されることが多く、落下により思わぬ力が
情報処理装置およびそれに用いられる表示装置に加わることがある。破壊されにくい表示
装置の一例として、発光層を分離する構造体と第2の電極層との密着性が高められた構成
が知られている(特許文献1)。
【0005】
また、電子デバイスの第1の部分に結合された第1のセンサから第1の加速度データを受
信する機能を含むマルチパネル電子デバイスが知られている。また、電子デバイスの第2
の部分に結合された第2のセンサから第2の加速度データを受信する機能をさらに含み、
第1の部分の位置は第2の部分の位置に対して可動であるマルチパネル電子デバイスが知
られている。また、第1の加速度データと第2の加速度データとに少なくとも部分的に基
づいて電子デバイスの構成を判断する機能をさらに含むマルチパネル電子デバイスが知ら
れている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-190794号公報
【特許文献2】特開2012-502372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、消費電力が低減された表示装置を提供することを課題の一とする。ま
たは、折り畳まれた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供することを課
題の一とする。または、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、折り畳み可能で且つ第1の領域および第2の領域を備える表示部と、
表示部の折り畳まれた状態を検知して、折り畳み信号を供給する検知部と、折り畳み信号
が供給され、画像制御信号を供給する制御部と、画像制御信号が供給され、画像信号を生
成し且つ供給する画像処理部と、画像信号が供給され、表示部を駆動する駆動回路と、を
有する表示装置である。そして、制御部は、折り畳まれた状態の表示部の第2の領域に黒
画像を表示する画像を画像処理部に生成させる画像制御信号を供給する。
【0010】
また、本発明の一態様は、制御部は、演算部および演算部に実行させるプログラムを記憶
する記憶部を備え、プログラムは、割り込み処理を許可する第1のステップと、表示部が
展開された状態であれば第3のステップに、折り畳まれた状態であれば第4のステップに
進む第2のステップと、第1の領域と第2の領域に表示する画像を生成する第3のステッ
プと、第2の領域に黒画像を表示する画像を生成する第4のステップと、表示部に画像を
表示する第5のステップと、割り込み処理で終了命令が供給された場合は第7のステップ
に進み、終了命令が供給されない場合は第2のステップに戻る第6のステップと、終了す
る第7のステップと、を有する。そして、割り込み処理が、操作を許可する第8のステッ
プと、割り込み処理から復帰する第9のステップと、を備える上記の表示装置である。
【0011】
上記本発明の一態様の表示装置は、展開および折り畳み可能な表示部と、その折り畳まれ
た状態を検知する検知部と、折り畳まれた状態に応じて表示部の一部に黒画像を表示する
画像を生成する画像処理部を含んで構成される。これにより、表示部の一部が折り畳まれ
て表示に不要になった領域に、黒画像を表示することができる。その結果、消費電力が低
減された表示装置を提供できる。または、折り畳まれた状態で使用可能な領域に画像を表
示する表示装置を提供できる。
【0012】
本発明の一態様は、折り畳み可能で且つ第1の領域および第2の領域を備える表示部と、
表示部の折り畳まれた状態を検知して、折り畳み信号を供給する検知部と、折り畳み信号
が供給され、画像制御信号および同期制御信号を供給する制御部と、画像制御信号が供給
され、第1の画像信号および第2の画像信号を生成し且つ供給する画像処理部と、同期制
御信号が供給され、第1の同期信号および第2の同期信号を供給する同期信号供給部と、
第1の画像信号および第1の同期信号が供給され、第1の領域を駆動する第1の駆動回路
と、第2の画像信号および第2の同期信号が供給され、第2の領域を駆動する第2の駆動
回路と、を有する表示装置である。そして、制御部は、折り畳まれた状態の表示部の第2
の領域に黒画像を表示する画像を生成させる画像制御信号および折り畳まれた状態の表示
部の第2の領域の走査線の選択を停止させる同期制御信号を供給する。
【0013】
また、本発明の一態様は、制御部は、演算部および演算部に実行させるプログラムを記憶
する記憶部を備え、プログラムは、割り込み処理を許可する第1のステップと、表示部が
展開された状態であれば第3のステップに、折り畳まれた状態であれば第4のステップに
進む第2のステップと、展開された状態に変化がない場合は第5のステップに、展開され
た状態から折り畳まれた状態に変化する場合は第6のステップに進む、第3のステップと
、折り畳まれた状態に変化がない場合は第7のステップに、折り畳まれた状態から展開さ
れた状態に変化する場合は第8のステップに進む、第4のステップと、処理1を実行する
第5のステップと、処理2を実行する第6のステップと、処理3を実行する第7のステッ
プと、処理4を実行する第8のステップと、割り込み処理で終了命令が供給された場合は
第10のステップに進み、終了命令が供給されない場合は第2のステップに戻る第9のス
テップと、終了する第10のステップと、を有する。そして、割り込み処理が、操作を許
可する第11のステップと、割り込み処理から復帰する第12のステップと、を備える上
記の表示装置である。
【0014】
また、本発明の一態様は、以下の4つの処理を備える上記の表示装置である。処理1は、
同期信号供給部に同期信号を第1の駆動回路および第2の駆動回路に供給させる第1のス
テップと、画像処理部に第1の領域および第2の領域に表示する画像を生成させる第2の
ステップと、表示部に画像を表示させる第3のステップと、処理1から復帰する第4のス
テップと、を備える。第2の処理は、同期信号供給部に同期信号を第1の駆動回路および
第2の駆動回路に供給させる第1のステップと、画像処理部に黒画像を第2の領域に表示
する画像を生成させる第2のステップと、表示部に画像を表示させる第3のステップと、
同期信号供給部に第2の駆動回路への同期信号の供給を順番に停止させる第4のステップ
と、処理2から復帰する第5のステップと、を備える。第3の処理は、同期信号供給部に
同期信号を第1の駆動回路に供給させる第1のステップと、画像処理部に第1の領域に表
示する画像を生成させる第2のステップと、表示部に画像を第1の領域に表示させる第3
のステップと、処理3から復帰する第4のステップと、を備える。第4の処理は、同期信
号供給部に同期信号を第2の駆動回路に順番に供給させる第1のステップと、画像処理部
に第1の領域および第2の領域に表示する画像を生成させる第2のステップと、表示部に
画像を表示させる第3のステップと、処理4から復帰する第4のステップと、を備える。
【0015】
上記本発明の一態様の表示装置は、展開および折り畳み可能な表示部と、その折り畳まれ
た状態を検知する検知部と、折り畳まれた状態に応じて表示部の一部に黒画像を表示する
画像を生成する画像処理部と、黒画像を表示する部分に用いる同期信号の供給を停止する
ことができる同期信号供給部と、を含んで構成される。これにより、表示部の一部が折り
畳まれて表示に不要になった領域への表示を停止することができる。その結果、消費電力
が低減された表示装置を提供できる。または、折り畳まれた状態で使用可能な領域に画像
を表示する表示装置を提供できる。
【0016】
また、本発明の一態様は、第1の駆動回路に電源電位を供給する第1の電源と、第2の駆
動回路に電源電位を供給する第2の電源と、を有し、制御部は、折り畳み信号に応じて、
第2の電源に電源制御信号を供給し、第2の電源は、電源制御信号に応じて電源電位の供
給を停止する、上記の表示装置である。
【0017】
上記本発明の一態様の表示装置は、展開および折り畳み可能な表示部と、黒画像を表示す
る部分に用いる同期信号の供給を停止することができる同期信号供給部と、黒画像を表示
する部分に用いる電源電位の供給を停止することができる電源と、を含んで構成される。
これにより、表示部の一部が折り畳まれて表示に不要になった領域への表示を停止するこ
とができる。その結果、消費電力が低減された表示装置を提供できる。または、折り畳ま
れた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。
【0018】
また、本発明の一態様は、磁石を有し、検知部は、磁気センサを備え、磁石は、磁気セン
サが表示部の展開または折り畳まれた状態を検知できる位置に配置される、上記の表示装
置である。
【0019】
上記本発明の一態様の表示装置は、展開および折り畳み可能な表示部と、その折り畳まれ
た状態を検知するように配置された磁石および磁気センサを備える検知部と、折り畳まれ
た状態に応じて表示部の一部に黒画像を表示する画像を生成する画像処理部を含んで構成
される。これにより、表示部の一部が折り畳まれて表示に不要になった領域に、黒画像を
表示することができる。また、磁石の磁力を用いて折り畳まれた状態を保持することがで
きる。その結果、消費電力が低減された表示装置を提供できる。または、折り畳まれた状
態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、消費電力が低減された表示装置を提供できる。または、折り畳
まれた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態に係る表示装置の構成を説明するブロック図および模式図。
【
図2】実施の形態に係る表示装置の表示部の構成を説明するブロック図および回路図。
【
図3】実施の形態に係る表示装置の制御部の動作を説明するフロー図。
【
図4】実施の形態に係る表示装置の構成を説明するブロック図。
【
図5】実施の形態に係る表示装置の制御部の動作を説明するフロー図。
【
図6】実施の形態に係る表示装置の制御部がする処理を説明するフロー図。
【
図7】実施の形態に係る表示装置の構成を説明する外観図。
【
図8】実施の形態に係る表示装置の構成を説明する図。
【
図9】実施の形態に係る表示装置に適用可能な表示パネルの構成を説明する図。
【
図10】実施の形態に係る表示装置に適用可能なトランジスタの構成を説明する図。
【
図11】実施の形態に係る表示装置に適用可能な表示パネルの構成を説明する図。
【
図12】実施の形態に係る表示装置に適用可能な表示パネルの構成を説明する図。
【
図13】実施の形態に係る表示装置に適用可能な表示パネルの構成を説明する図。
【
図14】実施の形態に係る表示装置の表示部の構成を説明するブロック図。
【
図15】実施の形態に係る表示装置の表示部の構成を説明するブロック図および回路図。
【
図16】実施の形態に係る表示装置の構成を説明するブロック図。
【
図17】実施の形態に係る表示装置の構成を説明するブロック図。
【
図18】実施の形態に係る表示装置の構成を説明するブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定さ
れず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し
得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において
、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、
その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成について、
図1乃至
図3を参照しな
がら説明する。
【0024】
図1は本発明の一態様の表示装置の構成を説明するブロック図および模式図である。
【0025】
図2は本発明の一態様の表示装置に用いることができる表示部を説明する図である。
図2
(A)は、表示部の構成を説明するブロック図であり、
図2(B)は、EL(Elect
roluminescence)素子が表示素子に適用された場合の画素回路を説明する
回路図である。
【0026】
図3は本発明の一態様の表示装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
図3(A)
は、主要な処理を説明するフロー図であり、
図3(B)は、割り込み処理を説明するフロ
ー図である。
【0027】
本実施の形態で説明する表示装置200は、折り畳み可能で且つ第1の領域230(1)
および第2の領域230(2)を備える表示部230と、表示部230の折り畳まれた状
態を検知して、折り畳み信号Fを供給する検知部240と、折り畳み信号Fが供給され、
画像制御信号VCを供給する制御部210と、画像制御信号VCが供給され、画像信号V
IDEOを供給する画像処理部220と、画像信号VIDEOが供給され、表示部230
を駆動する駆動回路232と、を有する(
図1参照)。なお、第1の領域230(1)と
は表示装置200が展開された状態と折り畳まれた状態のいずれにおいても使用者によっ
て視認される領域である。また、第2の領域230(2)とは表示装置200が折り畳ま
れた状態において内側となり、使用者によって視認されない領域である。
【0028】
そして、制御部210は、折り畳まれた状態の表示部230の第2の領域230(2)に
黒画像を表示する画像を画像処理部220に生成させる画像制御信号VCを供給する。
【0029】
また、本実施の形態で説明する表示装置200の制御部210は、演算部および演算部に
実行させるプログラムを記憶する記憶部を備える。そして、プログラムは、以下のステッ
プを備える。
【0030】
第1のステップにおいて、割り込み処理を許可する(
図3(A)(Q1))。なお、割り
込み処理が許可された演算部は、割り込み処理を実行する命令を受けつけることができる
。そして、割り込み処理を実行する命令を受けつけた演算部は、主の処理を中断し、割り
込み処理を実行する。例えば、割り込み処理を実行する命令に関連付けられたイベントを
供給された演算部は、主の処理を中断し、割り込み処理を実行し、割り込み処理の実行結
果を記憶部に記憶する。その後、割り込み処理から主の処理に復帰した演算部は、割り込
み処理の実行結果に基づいて、主の処理を再開することができる。
【0031】
第2のステップにおいて、表示部230が展開された状態であれば第3のステップに、折
り畳まれた状態であれば第4のステップに進む(
図3(A)(Q2))。具体的には、折
り畳み信号Fを取得し、取得した折り畳み信号Fに基づいて判断する。
【0032】
第3のステップにおいて、第1の領域230(1)と第2の領域230(2)に表示する
画像を生成する(
図3(A)(Q3))。なお、表示部230は展開されているため、表
示部230の全面、言い換えると第1の領域230(1)および第2の領域230(2)
を使用して、画像を表示することができる。
【0033】
第4のステップにおいて、第2の領域230(2)に黒画像を表示する画像を生成する(
図3(A)(Q4))。なお、表示部230は折り畳まれているため、表示部230の一
部、言い換えると第1の領域230(1)のみを使用して、画像を表示することができる
。
【0034】
第5のステップにおいて、表示部230に画像を表示する(
図3(A)(Q5))。
【0035】
第6のステップにおいて、割り込み処理で終了命令が供給された場合は第7のステップに
進み、終了命令が供給されない場合は第2のステップに戻る(
図3(A)(Q6))。
【0036】
第7のステップにおいて、終了する(
図3(A)(Q7))。
【0037】
また、割り込み処理が、操作を許可する第8のステップと、割り込み処理から復帰する第
9のステップと、を備える(
図3(B)(R8)および(R9))。なお、さまざまな操
作を割り込み処理においてすることができる。例えば、表示装置200の使用者は、表示
させる画像を選択する命令や、プログラムを終了する命令を供給することができる。
【0038】
上記本発明の一態様の表示装置200は、展開および折り畳み可能な表示部230と、そ
の折り畳まれた状態を検知する検知部240と、折り畳まれた状態に応じて表示部230
の一部に黒画像を表示する画像を生成する画像処理部220を含んで構成される。これに
より、表示部230の一部が折り畳まれて表示に不要になった領域に、黒画像を表示する
ことができる。その結果、消費電力が低減された表示装置を提供できる。または、折り畳
まれた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。
【0039】
また、本実施の形態で例示して説明する表示装置200は、駆動回路232に電源電位を
供給する電源部214と、駆動回路232に同期信号SYNCを供給する同期信号供給部
212と、を有する。
【0040】
駆動回路232は、走査線駆動回路232Gと信号線駆動回路232Sとを備える。なお
、
図14に示すように、
図1(A)とは、走査線駆動回路232Gと信号線駆動回路23
2Sが逆の位置に配置されていてもよい。同様に、
図15(A)に示すように、
図2(A
)とは、走査線駆動回路232Gと信号線駆動回路232Sが逆の位置に配置されていて
もよい。その場合、
図15(B)に示すように、画素631pも90度回転した配置とな
る。
【0041】
検知部240は、標識239を検知して表示部230の折り畳まれた状態を検知する。
【0042】
表示部230の折り畳まれた状態に応じて、標識239と検知部240の相互の配置が変
化するように、例えば表示部230の近傍に標識239を配置する。これにより、検知部
240は、表示部230の折り畳まれた状態を検知して折り畳み信号Fを供給することが
できる。
【0043】
以下に、本発明の一態様の表示装置200を構成する個々の要素について説明する。
【0044】
《折り畳み可能な表示部》
折り畳むことができる表示部230は、第1の領域230(1)と第2の領域230(2
)を有する。また、表示部230は、表示素子を備える表示パネルと、当該表示パネルを
支持する筐体と、を有する。
【0045】
表示パネルは、第1の領域230(1)と第2の領域230(2)に画素部を有する。第
1の領域230(1)と第2の領域230(2)に連続して画像が表示されるように、画
素を配置する。例えば、使用者が第1の領域230(1)と第2の領域230(2)の境
界230b(1)を識別できないように、第1の領域から第2の領域まで同じ間隔で画素
を配置する(
図1(A)参照)。
【0046】
画素部は、複数の画素、複数の走査線および複数の信号線を有する。
【0047】
各画素は、一の走査線と一の信号線に電気的に接続される画素回路および当該画素回路に
電気的に接続される表示素子を有する。
【0048】
折り畳むことができる表示部230に適用可能な表示パネルは、例えば可撓性を有する基
板と、当該基板上に表示素子と、を備える。例えば、表示パネルは、表示をすることがで
きる一の面を内側にしても外側にしても、1mm以上100mm以下の曲率半径で曲げる
ことができる。具体的には、可撓性を有するフィルムの間に、画素が形成された無機膜が
挟み込まれた構成を適用することができる。
【0049】
折り畳むことができる表示部230に適用可能な筐体は、例えば境界230b(1)で折
り畳むことができるヒンジを備える(
図1(B-1)および
図1(B-2)参照)。
【0050】
本実施の形態で説明する表示部230は、3つに折り畳むことができるがこれに限られな
い。具体的には、表示部230は、2つに折り畳むことができる構成であっても、4つ以
上に折り畳むことができる構成であってもよい。折り畳むことができる数が多いほど、折
り畳まれた状態の外形を小さくすることができるため、可搬性を高められる。
【0051】
表示部230は、第1の領域230(1)と第2の領域230(2)の境界230b(1
)で折り畳むことができる。
【0052】
表示部230が展開され、平面状に広げられた状態を
図1(B-1)に示す。
【0053】
表示部230が折り畳まれた状態を
図1(B-2)に示す。具体的には、表示部230が
、境界230b(1)で山折りにされ、境界230b(2)で谷折りにされて、三つ折り
にされた状態を示す。
【0054】
特に、表示装置200が折り畳まれた状態において、第1の領域230(1)が表示装置
200の外側に配置されると好ましい。これにより、使用者は、折り畳まれた状態で、第
1の領域230(1)にされた表示を視認することができる。
【0055】
なお、折り畳むことができる表示部230の構成の一例を、実施の形態3で詳細に説明す
る。
【0056】
《駆動回路》
駆動回路232は、走査線駆動回路232Gおよび信号線駆動回路232Sを備える。な
お、駆動回路232は、例えばシフトレジスタ等の様々な順序回路等を用いて構成するこ
とができる。また、可撓性を有する表示部にLSIで構成された駆動回路を配置する場合
は、折り曲げ部分を避けて配置する。なお、画素回路と同一の工程で形成することができ
る駆動回路は、可撓性を有する表示部の折り曲げ部分に配置することができるため、配置
についての制約が少なく好ましい。
【0057】
走査線駆動回路232Gは、電源電位および同期信号SYNCが供給され走査線選択信号
を供給する。
【0058】
信号線駆動回路232Sは、電源電位、同期信号SYNCおよび画像信号VIDEOが供
給され、画像信号を供給する。
【0059】
表示部230は走査線選択信号が供給され、一の走査線とそれに接続された画素が選択さ
れる。
【0060】
走査線選択信号が供給された画素は、画像信号が供給され、その画素に配置された画素回
路は画像信号を記憶する。また、その画素に配置された表示素子は画像信号に応じて表示
をする。
【0061】
《同期信号供給部》
同期信号供給部212は、同期信号SYNCを供給する。同期信号SYNCは、駆動回路
232が同期して動作するために用いる信号であり、例えば、垂直同期信号および水平同
期信号の他、スタートパルス信号SP、ラッチ信号LP、パルス幅制御信号PWC、クロ
ック信号CLK等をその例に挙げることができる。
【0062】
《電源部》
電源部214は、電源電位を供給する。なお、電源電位としては、高電位側の電源電位(
例えば、VDD)と、低電位側の電源電位(例えば、VSS、GND)との、少なくとも
一方、または両方を供給することが出来る。さらに、複数の電位(例えば、VDD1、V
DD2)を供給する場合もある。
【0063】
《画像処理部》
画像処理部220は、画像制御信号VCが供給され、画像を生成し、生成した画像の画像
信号VIDEOを供給する。
【0064】
画像信号VIDEOは、表示部230の第1の領域230(1)および第2の領域230
(2)に表示する画像の情報を含む。
【0065】
例えば、画像処理部220は、画像制御信号VCに応じて、第1の領域230(1)およ
び第2の領域230(2)に表示する一の画像を生成することができる。また、画像制御
信号VCに応じて、第2の領域230(2)に例えば黒画像を表示する一の画像を生成す
ることができる。例えば、表示素子が表示をすることができる階調の最も暗い階調を含む
画像を黒画像という。
【0066】
表示素子が黒画像を表示することにより、他の画像(例えば白画像、灰色画像等)を表示
する際に消費する電力より少なくすることができ、表示装置200の消費する電力を低減
できる。
【0067】
具体的には、表示を視認できないように折り畳まれた第2の領域230(2)が消費する
電力を削減することができる。
【0068】
黒画像を表示する際に消費する電力が、他の画像を表示する場合に比べて少ない表示素子
としては、発光素子をその例に挙げることができる。なお、表示素子が表示をすることが
できる最も暗い階調とは異なる階調において、表示素子の消費する電力が最も小さくなる
場合は、黒画像に替えてその階調を含む画像を表示してもよい。
【0069】
《検知部および標識》
検知部240は、表示部230の折り畳まれた状態を検知して折り畳み信号Fを供給する
。なお、折り畳み信号Fは折り畳まれた状態を示す情報または展開された状態を示す情報
を含む。
【0070】
検知部240は、近接する標識239を検知するセンサを備える。センサが、表示部23
0の近傍に配置された標識239を検知することにより、検知部240は、表示部230
の折り畳まれた状態に応じた折り畳み信号Fを供給することができる。
【0071】
標識239に用いることができるものは、例えば、突起物等の物の形状や配置、光、電波
または磁力等の電磁波等を挙げることができる。具体的には、異なる極性(例えば磁石の
S極とN極)を有するもの、異なる信号(例えば異なる方法で変調された電磁波)を有す
るもの等が挙げられる。
【0072】
検知部240に用いることができるセンサは、標識239を識別できるものを選択して用
いる。
【0073】
具体的には、標識239に形状または配置が異なる構造(例えば突起物)を用いる場合は
、その構造を識別できるように異なる形状または配置を備える開閉器等をセンサに用いる
ことができる。または、標識239に光を用いる場合は、光電変換素子等をセンサに用い
ることができる。または、標識239に電波を用いる場合は、アンテナ等をセンサに用い
ることができる。または、標識239に磁石を用いる場合は、磁気センサ等を用いること
ができる。
【0074】
なお、検知部240は、折り畳み信号Fとは別に、加速度、方位、GPS(Global
positioning System)信号、温度または湿度等を検知して、その情
報を供給してもよい。
【0075】
標識239に磁石を用い、検知部240に磁石の磁力を検知する磁気センサを用いる構成
について、説明する。
【0076】
表示装置200は、磁石を標識239として有し、検知部240は磁気センサを備え、磁
石は、磁気センサが表示部230の展開または折り畳まれた状態を検知できる位置に配置
される。
【0077】
本実施の形態で説明する表示装置200は、展開および折り畳み可能な表示部230と、
その折り畳まれた状態を検知するように配置された磁石(標識239)および磁気センサ
を備える検知部240と、折り畳まれた状態に応じて表示部230の一部(具体的には第
2の領域)に黒画像を表示する画像を生成する画像処理部220を含んで構成される。こ
れにより、表示部230の一部が折り畳まれて表示に不要になった領域(具体的には第2
の領域)に、黒画像を表示することができる。また、磁石の磁力を用いて折り畳まれた状
態を保持することができる。その結果、消費電力が低減された表示装置を提供できる。ま
たは、折り畳まれた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。また
は、意図せず折り畳まれた状態から展開された状態になる不具合が防止された表示装置を
提供できる。
【0078】
《制御部》
制御部210は、折り畳み信号Fを供給され、画像制御信号VCを供給することができる
。また、電源部214および同期信号供給部212を制御する信号を供給してもよい。
【0079】
画像制御信号VCは、画像処理部220を制御するための信号である。例えば、表示部2
30が折り畳まれた状態に応じて、画像処理部220に異なる画像を生成させる信号を含
む。
【0080】
《タイミング発生器》
タイミング発生器は、表示装置200が必要とする基準クロック信号等を生成し、供給す
る。
【0081】
《表示部230の構成》
表示部230は、複数の画素631pおよび当該複数の画素631pを接続する配線を有
する(
図2(A)および
図15(A)参照)。なお、配線の種類及びその数は、画素63
1pの構成、数及び配置に応じて適宜決定すればよい。
【0082】
それぞれの画素631pは、少なくとも一の走査線および一の信号線と電気的に接続され
ている。
【0083】
例えば、画素631pが、x列×y行のマトリクス状に表示部230に配置されている場
合、信号線S1乃至信号線Sx並びに走査線G1乃至走査線Gyを、表示部230に配置
する(
図2(A)および
図15(A)参照)。走査線G1乃至走査線Gyは走査線選択信
号を行毎に供給することができる。信号線S1乃至信号線Sxは、走査線選択信号が供給
された画素に画像信号を供給することができる。
【0084】
《画素631pの構成》
画素631pは、表示素子と当該表示素子を含む画素回路を備える。
【0085】
画素回路は供給される画像信号を保持し、表示素子に表示する。なお、画素回路の構成は
、表示素子の種類または駆動方法に応じて適宜選択して用いる。
【0086】
表示素子は、EL素子、電気泳動を用いる電子インク、液晶素子等を適用できる。
【0087】
画素回路の一例として、表示素子にEL素子を適用する構成を
図2(B)および
図15(
B)に示す。
【0088】
画素回路634ELは、走査線選択信号を供給することができる走査線Gと電気的に接続
されるゲート電極と、画像信号を供給することができる信号線Sと電気的に接続される第
1の電極と、容量素子634cの第1の電極と電気的に接続される第2の電極と、を有す
る第1のトランジスタ634t_1を有する。
【0089】
また、第1のトランジスタ634t_1の第2の電極に電気的に接続されるゲート電極と
、容量素子634cの第2の電極と電気的に接続される第1の電極と、EL素子635E
Lの第1の電極と電気的に接続される第2の電極と、を有する第2のトランジスタ634
t_2を有する。
【0090】
また、容量素子634cの第2の電極と、第2のトランジスタ634t_2の第1の電極
は、電源電位や、EL素子635ELを発光させるために必要な電位を供給することがで
きる配線Aと電気的に接続される。なお、配線Aの電位は、一定でもよいし、所定の期間
ごとにパルス状に変化してもよい。EL素子635ELの第2の電極は、共通電位を供給
することができる配線Cと電気的に接続される。なお、電源電位と共通電位の電位差は、
EL素子635ELの発光開始電圧よりも大きい。
【0091】
EL素子635ELは、一対の電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する。
【0092】
《トランジスタ》
第2のトランジスタ634t_2は、信号線Sの電位に応じた電流を供給し、EL素子6
35ELの発光を制御する。第2のトランジスタ634t_2は、チャネルが形成される
領域にシリコンや酸化物半導体等を備える。
【0093】
第1のトランジスタ634t_1や第2のトランジスタ634t_2に好適なトランジス
タの一例として、酸化物半導体を用いたトランジスタを挙げることができる。
【0094】
酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流
(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとする
ことができる。第1のトランジスタ634t_1や第2のトランジスタ634t_2に好
適なトランジスタの構成の一例を、実施の形態4で説明する。
【0095】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成について、
図4乃至
図6を参照しな
がら説明する。
【0097】
図4は本発明の一態様の表示装置の構成を説明するブロック図である。
【0098】
図5は本発明の一態様の表示装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
図5(A)
は、主要な処理を説明するフロー図であり、
図5(B)は、割り込み処理を説明するフロ
ー図である。
【0099】
図6(A)乃至
図6(D)は本発明の一態様の表示装置の制御部がする処理1乃至処理4
を説明するフロー図である。
【0100】
本実施の形態で説明する表示装置200Bは、折り畳み可能で且つ第1の領域230(1
)および第2の領域230(2)を備える表示部230と、表示部230の折り畳まれた
状態を検知して、折り畳み信号Fを供給する検知部240と、折り畳み信号Fが供給され
、画像制御信号VCおよび同期制御信号SCを供給する制御部210Bと、画像制御信号
VCが供給され、第1の画像信号VIDEO(1)および第2の画像信号VIDEO(2
)を供給する画像処理部220と、同期制御信号SCが供給され、第1の同期信号SYN
C(1)および第2の同期信号SYNC(2)を供給する同期信号供給部212と、第1
の画像信号VIDEO(1)および第1の同期信号SYNC(1)が供給され、第1の領
域230(1)を駆動する第1の駆動回路232(1)と、第2の画像信号VIDEO(
2)および第2の同期信号SYNC(2)が供給され、第2の領域230(2)を駆動す
る第2の駆動回路232(2)と、を有する。
【0101】
そして、制御部210Bは、折り畳まれた状態の表示部230の第2の領域230(2)
に黒画像を表示する画像を生成させる画像制御信号VCおよび折り畳まれた状態の表示部
230の第2の領域230(2)の走査線の選択を停止させる同期制御信号SCを供給す
る。
【0102】
また、本実施の形態で説明する表示装置200Bの制御部210Bは、演算部および演算
部に実行させるプログラムを記憶する記憶部を備える。そして、プログラムは、以下のス
テップを備える。
【0103】
第1のステップにおいて、割り込み処理を許可する(
図5(A)(S1))。
【0104】
第2のステップにおいて、表示部230が展開された状態であれば第3のステップに、折
り畳まれた状態であれば第4のステップに進む(
図5(A)(S2))。具体的には、折
り畳み信号Fを取得し、取得した折り畳み信号Fに基づいて判断する。
【0105】
第3のステップにおいて、表示部230の展開された状態に変化がない場合は第5のステ
ップに、展開された状態から折り畳まれた状態に変化する場合は第6のステップに進む(
図5(A)(S3))。なお、直前の第2のステップにおいて取得した折り畳み信号Fと
、それより前に記憶部に記憶された折り畳み信号Fを比較して、状態に変化があるか否か
を判断する。また、表示部230の展開された状態に変化がある場合は、折り畳み信号F
を記憶しなおし、記憶部の記憶を更新する。
【0106】
第4のステップにおいて、表示部230の折り畳まれた状態に変化がない場合は第7のス
テップに、折り畳まれた状態から展開された状態に変化する場合は第8のステップに進む
(
図5(A)(S4))。なお、直前の第2のステップにおいて取得した折り畳み信号F
と、それより前に記憶部に記憶された折り畳み信号Fを比較して、状態に変化があるか否
かを判断する。また、表示部230の折り畳まれた状態に変化がある場合は、折り畳み信
号Fを記憶しなおし、記憶部の記憶を更新する。
【0107】
第5のステップにおいて、処理1を実行する(
図5(A)(S5))。
【0108】
第6のステップにおいて、処理2を実行する(
図5(A)(S6))。
【0109】
第7のステップにおいて、処理3を実行する(
図5(A)(S7))。
【0110】
第8のステップにおいて、処理4を実行する(
図5(A)(S8))。
【0111】
第9のステップにおいて、割り込み処理で終了命令が供給された場合は第10のステップ
に進み、終了命令が供給されない場合は第2のステップに戻る(
図5(A)(S9))。
【0112】
第10のステップにおいて、終了する(
図5(A)(S10))。
【0113】
また、割り込み処理が、操作を許可する第11のステップと、割り込み処理から復帰する
第12のステップと、を備える(
図5(B)(T11)および(T12))。
【0114】
また、本実施の形態で説明する表示装置200Bの制御部210Bは、4つの処理を実行
するプログラムを記憶する記憶部を備える。そして、4つの処理を実行するプログラムは
、以下のステップを備える。
【0115】
《処理1》
処理1は、第1のステップにおいて、同期信号供給部212に第1の同期信号SYNC(
1)を第1の駆動回路232(1)に供給させ、第2の同期信号SYNC(2)を第2の
駆動回路232(2)に供給させる(
図6(A)(U1))。
【0116】
第2のステップにおいて、画像処理部220に第1の領域230(1)および第2の領域
230(2)に表示する画像を生成させる(
図6(A)(U2))。
【0117】
第3のステップにおいて、表示部230に当該画像を表示させる(
図6(A)(U3))
。
【0118】
第4のステップにおいて、処理1から復帰する(
図6(A)(U4))。
【0119】
《処理2》
処理2は、第1のステップにおいて、同期信号供給部212に第1の同期信号SYNC(
1)を第1の駆動回路232(1)に供給させ、第2の同期信号SYNC(2)を第2の
駆動回路232(2)に供給させる(
図6(B)(V1))。
【0120】
第2のステップにおいて、画像処理部220に黒画像を第2の領域230(2)に表示す
る画像を生成させる(
図6(B)(V2))。
【0121】
第3のステップにおいて、表示部230に画像を表示させる(
図6(B)(V3))。
【0122】
第4のステップにおいて、同期信号供給部212に第2の駆動回路232(2)への第2
の同期信号SYNC(2)の供給を順番に停止させる(
図6(B)(V4))。
【0123】
同期信号を停止する順番としては、例えば、スタートパルス信号の電位をロウに固定し、
クロック信号の電位をロウに固定し、電源電位をロウに固定する。
【0124】
第5のステップにおいて、処理2から復帰する(
図6(B)(V5))。
【0125】
《処理3》
処理3は、第1のステップにおいて、同期信号供給部212に第1の同期信号SYNC(
1)を第1の駆動回路232(1)に供給させる(
図6(C)(W1))。
【0126】
第2のステップにおいて、画像処理部220に第1の領域230(1)に表示する画像を
生成させる(
図6(C)(W2))。
【0127】
第3のステップにおいて、表示部230に画像を第1の領域230(1)に表示させる(
図6(C)(W3))。
【0128】
第4のステップにおいて、処理3から復帰する(
図6(C)(W4))。
【0129】
《処理4》
処理4において、第1のステップにおいて、同期信号供給部212に第2の同期信号SY
NC(2)を第2の駆動回路232(2)に順番に供給させる(
図6(D)(X1))。
【0130】
同期信号の供給を再開する順番としては、例えば、所定の電源電位を供給し、クロック信
号を供給し、スタートパルス信号を供給する。
【0131】
第2のステップにおいて、画像処理部220に第1の領域230(1)および第2の領域
230(2)に表示する画像を生成させる(
図6(D)(X2))。
【0132】
第3のステップにおいて、表示部230に画像を表示させる(
図6(D)(X3))。
【0133】
第4のステップにおいて、処理4から復帰する(
図6(D)(X4))。
【0134】
上記本発明の一態様の表示装置200Bは、展開および折り畳み可能な表示部230と、
その折り畳まれた状態を検知する検知部240と、折り畳まれた状態に応じて表示部23
0の一部に黒画像を表示する画像を生成する画像処理部220と、黒画像を表示する部分
に用いる第2の同期信号SYNC(2)の供給を停止することができる同期信号供給部2
12と、を含んで構成される。これにより、表示部の一部が折り畳まれて表示に不要にな
った領域への表示を停止することができる。その結果、消費電力が低減された表示装置を
提供できる。または、折り畳まれた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提
供できる。
【0135】
以下に、本発明の一態様の表示装置200Bを構成する個々の要素について説明する。な
お、実施の形態1で説明する表示装置200と同様のものを適用できる要素については、
実施の形態1の説明を援用する。
【0136】
《折り畳み可能な表示部》
表示装置200Bに用いることができる表示部230は、第1の領域230(1)が第1
の駆動回路232(1)で駆動され、第2の領域230(2)が第2の駆動回路232(
2)で駆動される点が異なる他は、実施の形態1で説明する表示部230と同様のものを
適用できる。
【0137】
なお、第1の領域230(1)に配置される走査線と、第2の領域230(2)に配置さ
れる走査線は、第1の領域230(1)と第2の領域230(2)の境界230b(1)
で電気的に絶縁される。なお、
図16に示すように、走査線駆動回路232Gを片側にの
み配置する場合には、走査線は、第1の領域230(1)と第2の領域230(2)とで
つながっていてもよい。その場合には、第2の領域230(2)の走査線も選択されるた
め、第2の領域230(2)を黒表示にしたい場合には、信号線駆動回路232S(2)
からは、黒表示を行うのに必要な信号が供給されている必要がある。ただし、黒表示のみ
であるので、一定の電圧が供給されればよいだけなので、消費電力を低減することが出来
る。
【0138】
《駆動回路》
表示装置200Bは、第1の駆動回路232(1)および第2の駆動回路232(2)を
有する。
【0139】
第1の駆動回路232(1)は、走査線駆動回路232G(1)および信号線駆動回路2
32S(1)を備える。
【0140】
第2の駆動回路232(2)は、走査線駆動回路232G(2)および信号線駆動回路2
32S(2)を備える。
【0141】
なお、
図14、
図15と同様に、
図4に対して、走査線駆動回路と信号線駆動回路とを入
れ替えた場合を
図17に示す。この場合には、第1の領域230(1)に配置される信号
線と、第2の領域230(2)に配置される信号線は、第1の領域230(1)と第2の
領域230(2)の境界230b(1)で電気的に絶縁される。なお、
図18に示すよう
に、信号線駆動回路232Sを片側にのみ配置する場合には、信号線は、第1の領域23
0(1)と第2の領域230(2)とでつながっていてもよい。その場合には、第2の領
域230(2)の信号線にも画像信号が供給されるため、第2の領域230(2)を黒表
示にしたい場合には、走査線駆動回路232G(2)からは、画素を選択しないような信
号が供給されている必要がある。ただし、非選択状態のみであるので、一定の電圧が供給
されればよいだけなので、消費電力を低減することが出来る。
【0142】
走査線駆動回路232G(1)は、電源電位および第1の同期信号SYNC(1)が供給
され、第1の領域230(1)に設けられた走査線に走査線選択信号を供給する。
【0143】
走査線駆動回路232G(2)は、電源電位および第2の同期信号SYNC(2)が供給
され、第2の領域230(2)に設けられた走査線に走査線選択信号を供給する。
【0144】
信号線駆動回路232S(1)は、電源電位、第1の同期信号SYNC(1)および第1
の画像信号VIDEO(1)が供給され、画像信号を供給する。
【0145】
信号線駆動回路232S(2)は、電源電位、第2の同期信号SYNC(2)および第2
の画像信号VIDEO(2)が供給され、画像信号を供給する。
【0146】
表示部230の第1の領域230(1)は走査線選択信号が供給され、一の走査線とそれ
に接続された画素が選択される。また、表示部230の第2の領域230(2)は走査線
選択信号が供給され、一の走査線とそれに接続された画素が選択される。
【0147】
走査線選択信号が供給された画素は、画像信号が供給され、その画素に配置された画素回
路は画像信号を記憶する。また、その画素に配置された表示素子は画像信号に応じて表示
をする。
【0148】
《同期信号供給部》
同期信号供給部212は、同期制御信号SCが供給され、第1の同期信号SYNC(1)
および第2の同期信号SYNC(2)を供給する。
【0149】
第1の同期信号SYNC(1)は、第1の駆動回路232(1)が同期して動作するため
に用いる信号である。第2の同期信号SYNC(2)は、第2の駆動回路232(2)が
同期して動作するために用いる信号である。同期信号としては、例えば、垂直同期信号お
よび水平同期信号の他、スタートパルス信号SP、ラッチ信号LP、パルス幅制御信号P
WC、クロック信号CLK等をその例に挙げることができる。
【0150】
同期信号供給部212は、供給される同期制御信号SCに応じて第2の同期信号SYNC
(2)を供給し、または供給を停止する。なお、第2の同期信号SYNC(2)の供給を
停止すると、第2の領域230(2)の動作を停止することができる。なお、「動作を停
止する」、とは、各部の配線がハイインピーダンス状態(またはフローティング状態)と
なる場合を指すこともあれば、所定の電位が供給され、その電位が変化せず、同じ状態を
保っている場合を指すこともある。
【0151】
《画像処理部》
画像処理部220は、画像制御信号VCが供給され、画像を生成し、生成した画像の第1
の画像信号VIDEO(1)および第2の画像信号VIDEO(2)を供給する。
【0152】
第1の画像信号VIDEO(1)は、表示部230の第1の領域230(1)に表示する
画像の情報を含む。第2の画像信号VIDEO(2)は、表示部230の第2の領域23
0(2)に表示する画像の情報を含む。
【0153】
例えば、画像処理部220は、画像制御信号VCに応じて、第1の領域230(1)およ
び第2の領域230(2)に表示する一の画像を生成することができる。
【0154】
また、画像制御信号VCに応じて、第2の領域230(2)に例えば黒画像を表示する一
の画像を生成することができる。
【0155】
また、画像制御信号VCに応じて、第1の領域230(1)に表示する一の画像のみを生
成することができる。
【0156】
これにより、表示装置200Bが消費する電力を低減できる。
【0157】
具体的には、表示を視認できないように折り畳まれた第2の領域230(2)が消費する
電力を削減することができる。
【0158】
黒画像を表示する際に消費する電力が、他の画像を表示する場合に比べて少ない表示素子
としては、発光素子をその例に挙げることができる。
【0159】
《検知部および標識》
検知部240は、表示部230の折り畳まれた状態を検知して折り畳み信号Fを供給する
。なお、実施の形態1と同様の構成を適用することができる。
【0160】
《制御部》
制御部210Bは、折り畳み信号Fを供給され、画像制御信号VC、同期制御信号SCお
よび電源制御信号PCを供給することができる。
【0161】
画像制御信号VCは、画像処理部220を制御するための信号である。例えば、表示部2
30が折り畳まれた状態に応じて、画像処理部220に異なる画像を生成させる信号を含
む。
【0162】
《タイミング発生器》
タイミング発生器は、表示装置200Bが必要とする基準クロック信号等を生成し、供給
する。
【0163】
《電源部》
電源部214は、電源制御信号PCが供給され、電源電位を供給する。
【0164】
電源部214は、供給される電源制御信号PCに応じて電源電位を供給し、または供給を
停止する。なお、電源電位の第2の駆動回路232(2)への供給を停止すると、第2の
駆動回路232(2)が消費する電力を低減することができる。
【0165】
なお、電源電位の供給を停止する、とは、高電位側の電源電位(例えば、VDD)と、低
電位側の電源電位(例えば、VSS、GND)との、少なくとも一方の電源電位について
、ハイインピーダンス状態として、エネルギーを供給せず、他方の電源電位についてはエ
ネルギーを供給する場合を指すこともある。この場合、駆動回路からは、他方の電源電位
のみが供給されることとなる。その結果、駆動回路と接続された各部の配線に、所定の電
位が供給され、その電位が変化せず、同じ状態を保っている状態となる。
【0166】
例えば、走査線駆動回路232G(2)から、非選択信号のみを供給する場合には、非選
択信号の電位に相当する電源電位のみが、電源部214から走査線駆動回路232G(2
)に供給される。その結果、走査線駆動回路232G(2)では、ほとんど電流が流れな
いため、消費電力を低減することが出来る。または、信号線駆動回路232S(2)から
、黒表示に必要な電位のみを供給する場合には、黒表示するのに必要な電位に相当する電
源電位のみが、電源部214から信号線駆動回路232S(2)に供給される。その結果
、信号線駆動回路232S(2)では、ほとんど電流が流れないため、消費電力を低減す
ることが出来る。
【0167】
または、電源電位の供給を停止する、とは、高電位側の電源電位(例えば、VDD)と、
低電位側の電源電位(例えば、VSS、GND)との、両方の電源電位について、ハイイ
ンピーダンス状態として、エネルギーを供給しない場合を指すこともある。この場合、駆
動回路からは、エネルギーが供給されないこととなる。その結果、駆動回路と接続された
各部の配線は、ハイインピーダンス状態(フローティング状態)となる。その結果、黒表
示を行っていた場合には、その状態が維持され、消費電力を低減することが出来る。また
、駆動回路では電流が流れないため、消費電力を低減することが出来る。
【0168】
なお、電源部214は複数の電源、具体的には第1の電源および第2の電源を有していて
もよい。
【0169】
本実施の形態で説明する表示装置200Bの変形例は、第1の駆動回路232(1)に電
源電位を供給する第1の電源と、第2の駆動回路232(2)に電源電位を供給する第2
の電源と、を有する。そして、制御部210Bは、折り畳み信号Fに応じて、第2の電源
に電源制御信号PCを供給し、第2の電源は、電源制御信号PCに応じて電源電位の供給
を停止する。
【0170】
上記本発明の一態様の表示装置は、展開および折り畳み可能な表示部と、黒画像を表示す
る部分に用いる同期信号の供給を停止することができる同期信号供給部と、黒画像を表示
する部分に用いる電源電位の供給を停止することができる電源と、を含んで構成される。
これにより、表示部の一部が折り畳まれて表示に不要になった領域への表示を停止するこ
とができる。その結果、消費電力が低減された表示装置を提供できる。または、折り畳ま
れた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。
【0171】
<変形例>
本実施の形態の変形例で例示する表示装置200Dについて、
図4の表示装置200Bを
表示装置200Dと読み替えて、
図4を参照しながら説明する。
【0172】
本実施の形態の変形例で説明する表示装置200Dは、表示部を書き換える頻度を変える
ことができる。
【0173】
具体的には、画素を選択する走査線選択信号を30Hz(1秒間に30回)以上の頻度、
好ましくは60Hz(1秒間に60回)以上960Hz(1秒間に960回)未満の頻度
で出力する第1のモードと、11.6μHz(1日に1回)以上0.1Hz(1秒間に0
.1回)未満の頻度、好ましくは0.28mHz(1時間に1回)以上1Hz(1秒間に
1回)未満の頻度で出力する第2のモードを備える表示装置について説明する。
【0174】
本実施の形態の変形例で例示する表示装置200Dを用いて静止画を表示すると、リフレ
ッシュレートを1Hz未満、好ましくは0.2Hz以下とすることができ、使用者の目に
与える負担を軽減して表示をすることができる。また、表示部に表示する画像の性質に応
じて最適な頻度で表示画像をリフレッシュすることができる。具体的には、動画をなめら
かに表示する場合に比べて、リフレッシュを低い頻度で行うことにより、フリッカーの少
ない静止画を表示することができる。加えて、消費電力を低減する効果も奏する。
【0175】
なお、本実施の形態の変形例で説明する表示装置200Dは、制御部、駆動回路および表
示部の構成が異なる他は、表示装置200Bと同じ構成を有する。
【0176】
《駆動回路》
走査線駆動回路232G(1)および走査線駆動回路232G(2)は、供給される第1
の同期信号SYNC(1)および第2の同期信号SYNC(2)に従って、走査線選択信
号を異なる頻度で供給する。
【0177】
例えば、駆動回路が走査線選択信号を30Hz(1秒間に30回)以上の頻度、好ましく
は60Hz(1秒間に60回)以上960Hz(1秒間に960回)未満の頻度で出力す
る第1のモードと、11.6μHz(1日に1回)以上0.1Hz(1秒間に0.1回)
未満の頻度、好ましくは0.28mHz(1時間に1回)以上1Hz(1秒間に1回)未
満の頻度で出力する第2のモードで、走査線選択信号を供給する。
【0178】
《同期信号供給部》
同期信号供給部212は、供給される同期制御信号SCに従って、駆動回路に異なる頻度
で走査線選択信号を供給させるための第1の同期信号SYNC(1)および第2の同期信
号SYNC(2)を供給する。
【0179】
例えば、走査線駆動回路に供給するスタートパルス信号の出力頻度を制御して、走査線選
択信号を異なる頻度で供給することができる。
【0180】
《制御部》
制御部210Dは、同期信号供給部212に同期制御信号SCを供給し、駆動回路に異な
る頻度で走査線選択信号を供給させる。例えば、動画を表示する際には、高い頻度で走査
線選択信号を供給させる同期制御信号SCを供給し、静止画を表示する際には、低い頻度
で走査線選択信号を供給させる同期制御信号SCを供給する。
【0181】
《トランジスタ》
第2のトランジスタ634t_2は、信号線Sの電位に応じた電流を供給し、EL素子6
35ELの発光を制御する。
【0182】
第1のトランジスタ634t_1や第2のトランジスタ634t_2に好適なトランジス
タの一例として、酸化物半導体を用いたトランジスタを挙げることができる。
【0183】
酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流
(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとする
ことができる。
【0184】
オフ電流が極めて小さいトランジスタを表示部の画素部に用いることにより、フリッカー
の発生を抑制しつつ、フレーム周波数を下げることができる。
【0185】
また、本実施の形態の処理2において、オフ電流が極めて小さい酸化物半導体を用いたト
ランジスタが適用された第2の領域230(2)にある画素は、第2の領域230(2)
に供給された黒画像を表示するための画像信号を、シリコンを用いたトランジスタと比較
して長期間保持することができる。これにより、表示に不要になった領域への表示を停止
することができる。その結果、消費電力が低減された表示装置を提供できる。または、折
り畳まれた状態で使用可能な領域に画像を表示する表示装置を提供できる。
【0186】
第1のトランジスタ634t_1や第2のトランジスタ634t_2に好適なトランジス
タの構成の一例を、実施の形態4で説明する。
【0187】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0188】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置200Cの構成について
図7乃至
図9を用
いて説明する。
【0189】
図7は本発明の一態様の表示装置200Cの構成を説明する斜視図である。
図7(A)は
、展開された状態の表示装置200Cを説明する図であり、
図7(B)は、折り曲げられ
た状態の表示装置200Cを説明する図であり、
図7(C)は、折り畳まれた状態の表示
装置200Cを説明する図である。
【0190】
図8は本発明の一態様の表示装置200Cの構成を説明する図である。
図8(A)は、展
開された表示装置200Cの上面図であり、
図8(B)は、展開された表示装置200C
の下面図である。
図8(C)は、展開された表示装置200Cの側面図であり、
図8(D
)は、
図8(A)における一点鎖線A-B間の断面図である。
【0191】
図9は本発明の一態様の表示装置200Cの表示パネルの構成を説明する図である。
図9
(A)は、折り畳まれた状態の表示装置200Cの中央部分の断面図であり、
図9(B)
は、展開された状態の表示パネルの上面図である。
【0192】
本実施の形態で説明する表示装置200Cは、折り畳み可能で且つ第1の領域230(1
)および第2の領域230(2)を備える表示部と、表示部を駆動する駆動回路と、駆動
回路に画像信号を供給する画像処理部と、表示部の折り畳まれた状態を検知して、折り畳
み信号を供給する検知部240と、折り畳み信号が供給される制御部と、を有する(
図7
(A))。
【0193】
そして、制御部は、折り畳み信号に応じて画像制御信号を供給し、画像処理部は、画像制
御信号に応じて、第2の領域230(2)に黒画像を表示する画像を生成する。
【0194】
なお、駆動回路、画像処理部および制御部は、支持パネル15aと支持パネル15bの間
に設けられている。
【0195】
表示装置200Cは、帯状の可撓性の高い領域E1と帯状の可撓性の低い領域E2とを、
交互に、言い換えると縞状に有する(
図8(A))。なお、各領域が平行に配置される構
成に限られない。
【0196】
接続部材13aの一部が、離間する二つの支持パネル15aの間に露出する。また、接続
部材13bの一部が、離間する二つの支持パネル15bの間に露出する(
図8(A)およ
び
図8(B))。
【0197】
可撓性の高い領域E1で折り曲げることで、表示装置200Cを折り畳むことができる(
図7(B)および
図7(C)参照)。
【0198】
《可撓性の高い領域》
可撓性の高い領域E1は、ヒンジとして機能する。可撓性の高い領域E1は、少なくとも
可撓性を有する表示パネルを有する。
【0199】
可撓性の高い領域E1は、表示パネルの画像が表示される側に接続部材13aと、それに
対向する側に接続部材13bを有する(
図8(A)および
図8(B)参照)。接続部材1
3aと接続部材13bは、表示パネルを挟持する(
図7(A)、
図8(C)および
図8(
D)参照)。
【0200】
《可撓性の低い領域》
可撓性の低い領域E2は、表示パネルの画像が表示される側に支持パネル15aと、それ
に対向する側に支持パネル15bを有する。表示パネルは、支持パネル15aと支持パネ
ル15bの間に挟持される。
【0201】
支持パネル15aおよび支持パネル15bが重ねられた積層体は、表示パネルに比べて可
撓性が低い。
【0202】
支持パネル15aおよび支持パネル15bは、表示パネルを支持して機械的強度を高め、
表示パネルの破損を防止することができる。
【0203】
支持パネル15aおよび支持パネル15bは、走査線駆動回路232G(1)および走査
線駆動回路232G(2)ならびに信号線駆動回路232S(1)を挟持する。これによ
り、駆動回路を外部から加わる応力から保護することができる(
図9(A)および
図9(
B)参照)。
【0204】
なお、支持パネルは、表示パネルの表示面側またはそれに対向する面側の一方のみに配置
してもよい。例えば、複数の支持パネル15aを用いず、複数の支持パネル15bのみを
有する表示装置としてもよい。これにより、表示装置を薄く又は、軽くすることができる
。
【0205】
《接続部材および支持パネル》
接続部材13a、接続部材13b、支持パネル15aおよび支持パネル15bに、プラス
チック、金属、合金または/およびゴム等を用いることができる。
【0206】
プラスチックやゴム等を用いることで、軽量であり、破損しにくい接続部材や支持パネル
を得られるため、好ましい。例えば、接続部材としてシリコーンゴム、支持パネルとして
ステンレスやアルミニウムを用いればよい。
【0207】
表示パネルの表示面側に接続部材や支持パネルを配置する場合、表示パネルの表示がされ
る領域、第1の領域230(1)および第2の領域230(2)に重なる部分に、透光性
を有する材料を適用する。
【0208】
接続部材、支持パネルおよび表示パネルから選ばれた2つを固定する方法としては、例え
ば接着剤、貫通するネジ・ピン、挟持するクリップ等を適用できる。
【0209】
《検知部および標識》
表示部230の折り畳まれた状態を検知することができるように、標識239および検知
部240が支持パネル15aに設けられている(
図7(A)、
図7(B)、
図8(A)お
よび
図8(C)参照)。
【0210】
表示部230が展開された状態において、標識239は検知部240から離れた位置にあ
る(
図7(A)参照)。
【0211】
表示部230が接続部材13aで折り曲げられると、標識239が検知部240接近する
(
図7(B)参照)。
【0212】
表示部230が接続部材13aで折り畳まれると、標識239が検知部240に向かい合
う(
図7(C)参照)。検知部240は、向かい合う標識239を検知して、折り畳まれ
た状態と認識し、折り畳まれた状態を示す折り畳み信号Fを供給する。
【0213】
《表示パネル》
表示パネルは、表示部並びに第1の駆動回路および第2の駆動回路を有する(
図9(A)
および
図9(B)参照)。
【0214】
表示部は、第1の領域230(1)および第2の領域230(2)を備える。
【0215】
第1の駆動回路は、走査線駆動回路232G(1)および信号線駆動回路232S(1)
を備え、第2の駆動回路は、走査線駆動回路232G(2)並びに信号線駆動回路232
S(2a)および信号線駆動回路232S(2b)を備える。
【0216】
第1の駆動回路は第1の領域230(1)を駆動する。第2の駆動回路は第2の領域23
0(2)を駆動する。信号線駆動回路232S(2a)および信号線駆動回路232S(
2b)は、画像信号を走査線駆動回路232G(2)が選択信号を供給した画素に供給す
る。
【0217】
第1の領域230(1)と第2の領域230(2)の間に境界230b(1)があり、領
域230(1)Sが、境界230b(1)に近接して第1の領域230(1)にある(図
9(B)参照)。領域230(1)Sは、折り畳まれた状態において表示装置200Cの
側面にある(
図9(A)参照)。
【0218】
第1の領域230(1)は領域230(1)Sを含む。表示装置200Cの第2の領域2
30(2)の駆動を、折り畳まれた状態で停止する場合であっても、第1の領域230(
1)の駆動をすることにより、領域230(1)Sに画像を表示することができる。これ
により、表示装置200Cの側面に表示をして、当該側面を有効に利用することができる
。
【0219】
なお、可撓性を有する表示パネルの構成については実施の形態6および実施の形態7で説
明する。
【0220】
表示装置200Cは、折り畳まれた状態で可搬性に優れる。表示部の第1の領域230(
1)を外側にして折り畳み、第1の領域230(1)のみを使用することができる(
図7
(C)参照)。例えば、表示部にタッチパネルを設け、折り畳まれた状態の大きさを片手
で支持することができる大きさにすることにより、支持する手の親指でタッチパネルを操
作することができる。これにより、折り畳まれた状態において片手で操作をすることがで
きる表示装置を提供することができる。
【0221】
折り畳まれた状態で使用者が見ることができない第2の領域230(2)を、折り畳まれ
た状態で駆動しないことで、表示装置200Cが消費する電力を低減できる。また、第2
の領域230(2)を内側になるように折り畳むことで、傷付きまたは汚れの付着を防止
することができる。
【0222】
また、表示装置200Cは、展開された状態で、継ぎ目のない広い領域に表示をすること
ができる。これにより、一覧性に優れた表示をすることができる。
【0223】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0224】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に用いることのできるトランジスタ151
の構造について、
図10を用いて説明する。
【0225】
図10(A)乃至
図10(C)に、トランジスタ151の上面図及び断面図を示す。
図1
0(A)はトランジスタ151の上面図であり、
図10(B)は、
図10(A)の一点鎖
線A-B間の切断面の断面図に相当し、
図10(C)は、
図10(A)の一点鎖線C-D
間の切断面の断面図に相当する。なお、
図10(A)では、明瞭化のため、構成要素の一
部を省略して図示している。
【0226】
なお、本実施の形態において、第1の電極はトランジスタのソース電極またはドレイン電
極の一方を、第2の電極は他方を指すものとする。
【0227】
トランジスタ151は、チャネルエッチ型のトランジスタであり、基板102上に設けら
れるゲート電極104aと、基板102及びゲート電極104a上に形成される絶縁膜1
06及び絶縁膜107を含む第1の絶縁膜108と、第1の絶縁膜108を介して、ゲー
ト電極104aと重なる酸化物半導体膜110と、酸化物半導体膜110に接する第1の
電極112a及び第2の電極112bとを有する。また、第1の絶縁膜108、酸化物半
導体膜110、第1の電極112a及び第2の電極112b上に、絶縁膜114、116
、118を含む第2の絶縁膜120と、第2の絶縁膜120上に形成されるゲート電極1
22cとを有する。ゲート電極122cは、第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120
に設けられる開口142d、142eにおいて、ゲート電極104aと接続する。また、
絶縁膜118上に画素電極として機能する導電膜122aが形成され、導電膜122aは
、第2の絶縁膜120に設けられる開口142aにおいて、第2の電極112bと接続す
る。
【0228】
なお、第1の絶縁膜108は、トランジスタ151の第1のゲート絶縁膜として機能し、
第2の絶縁膜120は、トランジスタ151の第2のゲート絶縁膜として機能する。また
、導電膜122aは、画素電極として機能する。
【0229】
本実施の形態に示すトランジスタ151は、チャネル幅方向において、ゲート電極104
a及びゲート電極122cの間に、第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120を介して
酸化物半導体膜110が設けられている。また、ゲート電極104aは
図10(A)に示
すように、上面形状において、第1の絶縁膜108を介して酸化物半導体膜110の側面
と重なる。
【0230】
第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120には複数の開口を有する。代表的には、
図1
0(B)に示すように、第2の電極112bの一部が露出する開口142aを有する。ま
た、
図10(C)に示すように、チャネル幅方向において、酸化物半導体膜110を挟む
開口142d、142eを有する。すなわち、酸化物半導体膜110の側面の外側に開口
142d、142eを有する。
【0231】
開口142aにおいて、第2の電極112bと導電膜122aが接続する。
【0232】
また、開口142d、142eにおいて、ゲート電極104a及びゲート電極122cが
接続する。すなわち、チャネル幅方向において、ゲート電極104a及びゲート電極12
2cは、第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120を介して酸化物半導体膜110を囲
む。また、開口142d、142eの側面において、ゲート電極122cは酸化物半導体
膜110の側面と対向する。
【0233】
ゲート電極104a及びゲート電極122cを有し、且つゲート電極104a及びゲート
電極122cを同電位とし、且つ酸化物半導体膜110の側面がゲート電極122cと対
向することで、さらには、チャネル幅方向において、ゲート電極104a及びゲート電極
122cが、第1の絶縁膜108及び第2の絶縁膜120を介して酸化物半導体膜110
を囲むことで、酸化物半導体膜110においてキャリアの流れる領域が、第1の絶縁膜1
08と酸化物半導体膜110との界面、及び第2の絶縁膜120と酸化物半導体膜110
との界面のみでなく、酸化物半導体膜110の広い範囲においてキャリアが流れるため、
トランジスタ151におけるキャリアの移動量が増加する。
【0234】
この結果、トランジスタ151のオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなり
、代表的には電界効果移動度が10cm2/V・s以上、さらには20cm2/V・s以
上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の
近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけ上の
電界効果移動度である。なお、トランジスタのチャネル長(L長ともいう。)を0.5μ
m以上6.5μm以下、好ましくは1μmより大きく6μm未満、より好ましくは1μm
より大きく4μm以下、より好ましくは1μmより大きく3.5μm以下、より好ましく
は1μmより大きく2.5μm以下とすることで、電界効果移動度の増加が顕著である。
また、チャネル長が0.5μm以上6.5μm以下のように小さいことで、チャネル幅も
小さくすることが可能である。
【0235】
このため、ゲート電極104a及びゲート電極122cの接続部となる領域を、複数設け
ても、トランジスタ151の面積を縮小することが可能である。
【0236】
また、エッチング等で加工された酸化物半導体膜110の端部においては、加工における
ダメージにより欠陥が形成されると共に、不純物付着などにより汚染される。このため、
トランジスタ151においてゲート電極104a及びゲート電極122cの一方のみ形成
される場合、酸化物半導体膜110が真性または実質的に真性であっても、電界などのス
トレスが与えられることによって酸化物半導体膜110の端部は活性化され、n型(低抵
抗領域)となりやすい。
【0237】
また、上記n型の端部が、第1の電極112aと第2の電極112bの間に設けられると
、n型の領域がキャリアのパスとなってしまい、寄生チャネルが形成される。この結果、
しきい値電圧におけるドレイン電流の上昇が段階的であり、且つしきい値電圧がマイナス
シフトしたトランジスタとなってしまう。しかしながら、
図10(C)に示すように、同
電位であるゲート電極104a及びゲート電極122cを有し、チャネル幅方向において
、ゲート電極122cが、第2の絶縁膜120の側面において、酸化物半導体膜110の
側面と対向することで、ゲート電極122cの電界が酸化物半導体膜110の側面からも
影響する。この結果、酸化物半導体膜110の側面、または側面及びその近傍を含む端部
における寄生チャネルの発生が抑制される。この結果、しきい値電圧におけるドレイン電
流の上昇が急峻である、電気特性の優れたトランジスタとなる。
【0238】
また、ゲート電極104a及びゲート電極122cを有することで、それぞれが外部から
の電界を遮蔽する機能を有するため、基板102及びゲート電極104aの間、ゲート電
極122c上に設けられる荷電粒子等の電荷が、酸化物半導体膜110に影響しない。こ
の結果、ストレス試験(例えば、ゲート電極にマイナスの電位を印加する-GBT(Ga
te Bias-Temperature)ストレス試験)の劣化が抑制されると共に、
異なるドレイン電圧におけるオン電流の立ち上がり電圧の変動を抑制することができる。
【0239】
なお、BTストレス試験は加速試験の一種であり、長期間の使用によって起こるトランジ
スタの特性変化(即ち、経年変化)を、短時間で評価することができる。特に、BTスト
レス試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧の変動量は、信頼性を調べるための重
要な指標となる。BTストレス試験前後において、しきい値電圧の変動量が少ないほど、
信頼性が高いトランジスタであるといえる。
【0240】
以下に、トランジスタ151を構成する個々の要素について説明する。
【0241】
《基板102》
基板102としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウム
ホウケイ酸ガラスなどのガラス材料を用いる。量産する上では、基板102は、第8世代
(2160mm×2460mm)、第9世代(2400mm×2800mm、または24
50mm×3050mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等のマザーガラ
スを用いることが好ましい。マザーガラスは、処理温度が高く、処理時間が長いと大幅に
収縮するため、マザーガラスを使用して量産を行う場合、作製工程の加熱処理は、好まし
くは600℃以下、さらに好ましくは450℃以下、さらに好ましくは350℃以下とす
ることが望ましい。
【0242】
《ゲート電極104a》
ゲート電極104aに用いる材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタ
ン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分と
する合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。ま
た、ゲート電極104aは、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、
アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する
二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または
窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜
上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。ま
た、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム
、スカンジウムから選ばれた元素の膜、または複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜
を用いてもよい。また、ゲート電極104aは、例えば、スパッタリング法を用いて形成
することができる。
【0243】
《第1の絶縁膜108》
第1の絶縁膜108は、絶縁膜106と絶縁膜107の2層の積層構造を例示している。
なお、第1の絶縁膜108の構造はこれに限定されず、例えば、単層構造または3層以上
の積層構造としてもよい。
【0244】
絶縁膜106としては、例えば、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウ
ム膜などを用いればよく、PE-CVD装置を用いて積層または単層で設ける。また、絶
縁膜106を積層構造とした場合、第1の窒化シリコン膜として、欠陥が少ない窒化シリ
コン膜とし、第1の窒化シリコン膜上に、第2の窒化シリコン膜として、水素放出量及び
アンモニア放出量の少ない窒化シリコン膜を設けると好適である。この結果、絶縁膜10
6に含まれる水素及び窒素が、後に形成される酸化物半導体膜110へ移動または拡散す
ることを抑制できる。
【0245】
絶縁膜107としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などを用いればよく、PE
-CVD装置を用いて積層または単層で設ける。
【0246】
また、第1の絶縁膜108としては、絶縁膜106として、例えば、厚さ400nmの窒
化シリコン膜を形成し、その後、絶縁膜107として、厚さ50nmの酸化窒化シリコン
膜を形成する積層構造を用いることができる。該窒化シリコン膜と、該酸化窒化シリコン
膜は、真空中で連続して形成すると不純物の混入が抑制され好ましい。なお、ゲート電極
104aと重畳する位置の第1の絶縁膜108は、トランジスタ151のゲート絶縁膜と
して機能する。また、窒化酸化シリコンとは、窒素の含有量が酸素の含有量より大きい絶
縁材料であり、他方、酸化窒化シリコンとは、酸素の含有量が窒素の含有量より大きな絶
縁材料のことをいう。
【0247】
《酸化物半導体膜110》
酸化物半導体膜110としては、少なくともインジウム(In)、亜鉛(Zn)及びM(
Al、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn-M-
Zn酸化物で表記される膜を含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むこと
が好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らす
ため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0248】
スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、アル
ミニウム(Al)、またはジルコニウム(Zr)等がある。また、他のスタビライザーと
しては、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(P
r)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(
Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウ
ム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等がある
。
【0249】
酸化物半導体膜110を構成する酸化物半導体として、例えば、In-Ga-Zn系酸化
物、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物
、In-La-Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、
In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、I
n-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In
-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-
Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、I
n-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-
Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用
いることができる。
【0250】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する
酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn
以外の金属元素が入っていてもよい。
【0251】
酸化物半導体膜110の成膜方法は、スパッタリング法、MBE(Molecular
Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic
Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。とくに、酸化物
半導体膜110を成膜する際、スパッタリング法を用いると緻密な膜が形成されるため、
好適である。
【0252】
酸化物半導体膜110として、酸化物半導体膜を成膜する際、できる限り膜中に含まれる
水素濃度を低減させることが好ましい。水素濃度を低減させるには、例えば、スパッタリ
ング法を用いて成膜を行う場合には、成膜室内を高真空排気するのみならずスパッタガス
の高純度化も必要である。スパッタガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスは、露点が
-40℃以下、好ましくは-80℃以下、より好ましくは-100℃以下、より好ましく
は-120℃以下にまで高純度化したガスを用いることで酸化物半導体膜に水分等が取り
込まれることを可能な限り防ぐことができる。
【0253】
また、成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオ
ポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、
ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプは、
例えば、水素分子、水(H2O)など水素原子を含む化合物、炭素原子を含む化合物等の
排気能力が高いため、クライオポンプを用いて排気した成膜室で成膜した膜中に含まれる
不純物の濃度を低減できる。
【0254】
また、酸化物半導体膜110として、酸化物半導体膜をスパッタリング法で成膜する場合
、成膜に用いる金属酸化物ターゲットの相対密度(充填率)は90%以上100%以下、
好ましくは95%以上100%以下とする。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用い
ることにより、成膜される膜を緻密な膜とすることができる。
【0255】
なお、基板102を高温に保持した状態で酸化物半導体膜110として、酸化物半導体膜
を形成することも、酸化物半導体膜中に含まれうる不純物濃度を低減するのに有効である
。基板102を加熱する温度としては、150℃以上450℃以下とすればよく、好まし
くは基板温度が200℃以上350℃以下とすればよい。
【0256】
次に、第1の加熱処理を行うこがと好ましい。第1の加熱処理は、250℃以上650℃
以下、好ましくは300℃以上500℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気、酸化性ガスを
10ppm以上含む雰囲気、または減圧状態で行えばよい。また、第1の加熱処理の雰囲
気は、不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを1
0ppm以上含む雰囲気で行ってもよい。第1の加熱処理によって、酸化物半導体膜11
0に用いる酸化物半導体の結晶性を高め、さらに第1の絶縁膜108及び酸化物半導体膜
110から水素や水などの不純物を除去することができる。なお、酸化物半導体膜110
を島状に加工する前に第1の加熱工程を行ってもよい。
【0257】
《第1の電極、第2の電極》
第1の電極112aおよび第2の電極112bに用いることのできる導電膜112の材料
としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム
、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成
分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。とくに、アルミニウ
ム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンの中から選択される一以
上の元素を含むと好ましい。例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、
タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒
化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜また
は窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリ
ブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらに
その上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化
インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。また、導電膜は
、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0258】
《絶縁膜114、116、118》
第2の絶縁膜120は、絶縁膜114、116、118の3層の積層構造を例示している
。なお、第2の絶縁膜120の構造はこれに限定されず、例えば、単層構造、2層の積層
構造、または4層以上の積層構造としてもよい。
【0259】
絶縁膜114、116としては、酸化物半導体膜110として用いる酸化物半導体との界
面特性を向上させるため、酸素を含む無機絶縁材料を用いることができる。酸素を含む無
機絶縁材料としては、例えば酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜等が挙げられる
。また、絶縁膜114、116としては、例えば、PE-CVD法を用いて形成すること
ができる。
【0260】
絶縁膜114の厚さは、5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下
、好ましくは10nm以上30nm以下とすることができる。絶縁膜116の厚さは、3
0nm以上500nm以下、好ましくは150nm以上400nm以下とすることができ
る。
【0261】
また、絶縁膜114、116は、同種の材料の絶縁膜を用いることができるため、絶縁膜
114と絶縁膜116の界面が明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形
態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の界面は、破線で図示している。なお、本実
施の形態においては、絶縁膜114と絶縁膜116の2層構造について、説明したが、こ
れに限定されず、例えば、絶縁膜114の単層構造、絶縁膜116の単層構造、または3
層以上の積層構造としてもよい。
【0262】
絶縁膜118は、外部からの不純物、例えば、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が
、酸化物半導体膜110へ拡散するのを防ぐ材料で形成される膜であり、更には水素を含
む。
【0263】
絶縁膜118の一例としては、厚さ150nm以上400nm以下の窒化シリコン膜、窒
化酸化シリコン膜等を用いることができる。本実施の形態においては、絶縁膜118とし
て、厚さ150nmの窒化シリコン膜を用いる。
【0264】
また、上記窒化シリコン膜は、不純物等からのブロック性を高めるために、高温で成膜さ
れることが好ましく、例えば基板温度100℃以上基板の歪み点以下、より好ましくは3
00℃以上400℃以下の温度で加熱して成膜することが好ましい。また高温で成膜する
場合は、酸化物半導体膜110として用いる酸化物半導体から酸素が脱離し、キャリア濃
度が上昇する現象が発生することがあるため、このような現象が発生しない温度とする。
【0265】
《導電膜122a、ゲート電極122c》
導電膜122a、ゲート電極122cに用いることのできる導電膜としては、インジウム
を含む酸化物を用いればよい。例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化
タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チ
タンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジ
ウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性
材料を用いることができる。また、導電膜122a、ゲート電極122cに用いることの
できる導電膜としては、例えば、スパッタリング法を用いて形成することができる。
【0266】
なお、本実施の形態に示す構成及び方法などは、他の実施の形態に示す構成及び方法など
と適宜組み合わせて用いることができる。
【0267】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4のトランジスタ151に適用可能な酸化物半導体膜の一
例について説明する。
【0268】
<酸化物半導体膜の結晶性>
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
【0269】
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非
単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC-OS(C Axis Aligned Crys
talline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜
、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
【0270】
まずは、CAAC-OS膜について説明する。
【0271】
CAAC-OS膜は、複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つであり、ほとんどの結
晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC-O
S膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内
に収まる大きさの場合も含まれる。
【0272】
CAAC-OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Elect
ron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結
晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CA
AC-OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0273】
CAAC-OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察
)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子
の各層は、CAAC-OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸
を反映した形状であり、CAAC-OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
【0274】
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で
配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂
直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従
って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0275】
一方、CAAC-OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TE
M観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列しているこ
とを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られな
い。
【0276】
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC-OS膜の結晶部は配向性を有して
いることがわかる。
【0277】
CAAC-OS膜に対し、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)装
置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC-OS膜
のout-of-plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが
現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属される
ことから、CAAC-OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概
略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0278】
一方、CAAC-OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin-pl
ane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは
、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化
物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)と
して試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に
帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC-OS膜の場合は、2θを5
6°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
【0279】
以上のことから、CAAC-OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不
規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行
な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配
列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
【0280】
なお、結晶部は、CAAC-OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行
った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面また
は上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC-OS膜の形
状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC-OS膜の被形成面
または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
【0281】
また、CAAC-OS膜中の結晶化度が均一でなくてもよい。例えば、CAAC-OS膜
の結晶部が、CAAC-OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面
近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりも結晶化度が高くなることがある。また、CAA
C-OS膜に不純物を添加する場合、不純物が添加された領域の結晶化度が変化し、部分
的に結晶化度の異なる領域が形成されることもある。
【0282】
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC-OS膜のout-of-plane法
による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れ
る場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC-OS膜中の一部に、c軸配向性
を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC-OS膜は、2θが31°近傍に
ピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
【0283】
なお、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す
。
【0284】
CAAC-OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、
シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコ
ンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化
物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる
要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径
(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の
原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純
物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
【0285】
また、CAAC-OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。
【0286】
また、CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性
の変動が小さい。
【0287】
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
【0288】
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができ
ない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下
、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm
以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocryst
al)を有する酸化物半導体膜を、nc-OS(nanocrystalline Ox
ide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc-OS膜は、例えば、TE
Mによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
【0289】
nc-OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OS膜は、異なる
結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従
って、nc-OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場
合がある。例えば、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装
置を用いて構造解析を行うと、out-of-plane法による解析では、結晶面を示
すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(
例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を
行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し
、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下
)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、スポット
が観測される。また、nc-OS膜に対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くよう
に(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc-OS膜に対しナ
ノビーム電子線回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合があ
る。
【0290】
nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。その
ため、nc-OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、
nc-OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc-O
S膜は、CAAC-OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0291】
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CA
AC-OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0292】
<CAAC-OS膜の成膜方法>
CAAC-OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを
用い、スパッタリング法によって成膜する。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが
衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa-b面から劈開し、a
-b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離する
ことがある。この場合、当該平板状またはペレット状のスパッタリング粒子が、結晶状態
を維持したまま基板に到達することで、CAAC-OS膜を成膜することができる。
【0293】
平板状またはペレット状のスパッタリング粒子は、例えば、a-b面に平行な面の円相当
径が3nm以上10nm以下、厚さ(a-b面に垂直な方向の長さ)が0.7nm以上1
nm未満である。なお、平板状またはペレット状のスパッタリング粒子は、a-b面に平
行な面が正三角形または正六角形であってもよい。ここで、面の円相当径とは、面の面積
と等しい正円の直径をいう。
【0294】
また、CAAC-OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0295】
成膜時の基板温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグレーション
が起こる。具体的には、基板温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上
500℃以下として成膜する。成膜時の基板温度を高めることで、平板状またはペレット
状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、ス
パッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。このとき、スパッタリング粒子が正に帯
電することで、スパッタリング粒子同士が反発しながら基板に付着するため、スパッタリ
ング粒子が偏って不均一に重なることがなく、厚さの均一なCAAC-OS膜を成膜する
ことができる。
【0296】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制でき
る。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素及び窒素など)を低
減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が-
80℃以下、好ましくは-100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0297】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージ
を軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体
積%とする。
【0298】
または、CAAC-OS膜は、以下の方法により形成する。
【0299】
まず、第1の酸化物半導体膜を1nm以上10nm未満の厚さで成膜する。第1の酸化物
半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する。具体的には、基板温度を100℃以上5
00℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体
積%以上、好ましくは100体積%として成膜する。
【0300】
次に、加熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜を結晶性の高い第1のCAAC-OS膜と
する。加熱処理の温度は、350℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃
以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間
以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好まし
くは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲
気での加熱処理により、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することがで
きる。一方、不活性雰囲気での加熱処理により第1の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成さ
れることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減するこ
とができる。なお、加熱処理は1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または
1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度を
さらに短時間で低減することができる。
【0301】
第1の酸化物半導体膜は、厚さが1nm以上10nm未満であることにより、厚さが10
nm以上である場合と比べ、加熱処理によって容易に結晶化させることができる。
【0302】
次に、第1の酸化物半導体膜と同じ組成である第2の酸化物半導体膜を10nm以上50
nm以下の厚さで成膜する。第2の酸化物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する
。具体的には、基板温度を100℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃
以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体積%以上、好ましくは100体積%として成膜
する。
【0303】
次に、加熱処理を行い、第2の酸化物半導体膜を第1のCAAC-OS膜から固相成長さ
せることで、結晶性の高い第2のCAAC-OS膜とする。加熱処理の温度は、350℃
以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下とする。また、加熱処理の時間
は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不
活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行
った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、第2の酸化
物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱
処理により第2の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性
雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は10
00Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または1Pa以下の減圧下で行ってもよい
。減圧下では、第2の酸化物半導体膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができ
る。
【0304】
以上のようにして、合計の厚さが10nm以上であるCAAC-OS膜を形成することが
できる。当該CAAC-OS膜を、酸化物積層における酸化物半導体膜として好適に用い
ることができる。
【0305】
次に、例えば、基板加熱しないことなどにより被形成面が低温(例えば、130℃未満、
100℃未満、70℃未満または室温(20℃~25℃)程度)である場合の酸化物膜の
形成方法について説明する。
【0306】
被形成面が低温の場合、スパッタ粒子は被成膜面に不規則に降り注ぐ。スパッタ粒子は、
例えば、マイグレーションをしないため、既に他のスパッタ粒子が堆積している領域も含
め、無秩序に堆積していく。即ち、堆積して得られる酸化物膜は、例えば、厚さが均一で
なく、結晶の配向も無秩序になる場合がある。このようにして得られた酸化物膜は、スパ
ッタ粒子の結晶性を、ある程度維持するため、結晶部(ナノ結晶)を有する。
【0307】
また、例えば、成膜時の圧力が高い場合、飛翔中のスパッタ粒子は、アルゴンなどの他の
粒子(原子、分子、イオン、ラジカルなど)と衝突する頻度が高まる。スパッタ粒子は、
飛翔中に他の粒子と衝突する(再スパッタされる)ことで、結晶構造が崩れる場合がある
。例えば、スパッタ粒子は、他の粒子と衝突することで、平板状またはペレット状の形状
を維持することができず、細分化(例えば各原子に分かれた状態)される場合がある。こ
のとき、スパッタ粒子から分かれた各原子が被形成面に堆積していくことで、非晶質酸化
物膜が形成される場合がある。
【0308】
また、出発点に多結晶酸化物を有するターゲットを用いたスパッタリング法ではなく、液
体を用いて成膜する方法の場合、またはターゲットなどの固体を気体化することで成膜す
る方法の場合、各原子に分かれた状態で飛翔して被形成面に堆積するため、非晶質酸化物
膜が形成される場合がある。また、例えば、レーザアブレーション法では、ターゲットか
ら放出された原子、分子、イオン、ラジカル、クラスターなどが飛翔して被形成面に堆積
するため、非晶質酸化物膜が形成される場合がある。
【0309】
本発明の一態様の抵抗素子及びトランジスタに含まれる酸化物半導体膜は、上述のいずれ
の結晶状態の酸化物半導体膜を適用してもよい。また、積層構造の酸化物半導体膜を含む
場合、各酸化物半導体膜の結晶状態が異なっていてもよい。但し、トランジスタのチャネ
ルとして機能する酸化物半導体膜には、CAAC-OS膜を適用することが好ましい。ま
た、抵抗素子に含まれる酸化物半導体膜は、トランジスタに含まれる酸化物半導体膜より
も不純物濃度が高いため、結晶性が低減する場合がある。
【0310】
以上、本実施の形態で示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0311】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用することができる表示パネルの構成
について、
図11を参照しながら説明する。なお、本実施の形態で説明する表示パネルは
、タッチセンサ(接触検出装置)を表示部に重ねて備えるため、タッチパネル(入出力装
置)ということができる。
【0312】
図11(A)は本発明の一態様の表示装置に適用可能な表示パネルの構造を説明する上面
図である。
【0313】
図11(B)は
図11(A)の切断線A-Bおよび切断線C-Dにおける断面図である。
【0314】
図11(C)は
図11(A)の切断線E-Fにおける断面図である。
【0315】
<上面図の説明>
本実施の形態で例示する入出力装置300は表示部301を有する(
図11(A)参照)
。
【0316】
表示部301は、複数の画素302と複数の撮像画素308を備える。撮像画素308は
表示部301に触れる指等を検知することができる。これにより、撮像画素308を用い
てタッチセンサを構成することができる。
【0317】
画素302は、複数の副画素(例えば副画素302R)を備え、副画素は発光素子および
発光素子を駆動する電力を供給することができる画素回路を備える。
【0318】
画素回路は、選択信号を供給することができる配線および画像信号を供給することができ
る配線と、電気的に接続される。
【0319】
また、入出力装置300は選択信号を画素302に供給することができる走査線駆動回路
303g(1)と、画像信号を画素302に供給することができる画像信号線駆動回路3
03s(1)を備える。なお、折り曲げられる部分を避けて画像信号線駆動回路303s
(1)を配置すると、不具合の発生を低減できる。
【0320】
撮像画素308は、光電変換素子および光電変換素子を駆動する撮像画素回路を備える。
【0321】
撮像画素回路は、制御信号を供給することができる配線および電源電位を供給することが
できる配線と電気的に接続される。
【0322】
制御信号としては、例えば記録された撮像信号を読み出す撮像画素回路を選択することが
できる信号、撮像画素回路を初期化することができる信号、および撮像画素回路が光を検
知する時間を決定することができる信号などを挙げることができる。
【0323】
入出力装置300は制御信号を撮像画素308に供給することができる撮像画素駆動回路
303g(2)と、撮像信号を読み出す撮像信号線駆動回路303s(2)を備える。な
お、撮像信号線駆動回路303s(2)を折り曲げられる部分を避けて配置すると、不具
合の発生を低減できる。
【0324】
<断面図の説明>
入出力装置300は、基板310および基板310に対向する対向基板370を有する(
図11(B)参照)。
【0325】
基板310は、可撓性を有する基板310b、意図しない不純物の発光素子への拡散を防
ぐバリア膜310aおよび基板310bとバリア膜310aを貼り合わせる接着層310
cが積層された積層体である。
【0326】
対向基板370は、可撓性を有する基板370b、意図しない不純物の発光素子への拡散
を防ぐバリア膜370aおよび基板370bとバリア膜370aを貼り合わせる接着層3
70cの積層体である(
図11(B)参照)。
【0327】
封止材360は対向基板370と基板310を貼り合わせている。また、封止材360は
空気より大きい屈折率を備え、光学接合層を兼ねる。画素回路および発光素子(例えば第
1の発光素子350R)並びに撮像画素回路および光電変換素子(例えば光電変換素子3
08p)は基板310と対向基板370の間にある。
【0328】
《画素の構成》
画素302は、副画素302R、副画素302Gおよび副画素302Bを有する(
図11
(C)参照)。また、副画素302Rは発光モジュール380Rを備え、副画素302G
は発光モジュール380Gを備え、副画素302Bは発光モジュール380Bを備える。
【0329】
例えば副画素302Rは、第1の発光素子350Rおよび第1の発光素子350Rに電力
を供給することができるトランジスタ302tを含む画素回路を備える(
図11(B)参
照)。また、発光モジュール380Rは第1の発光素子350Rおよび光学素子(例えば
第1の着色層367R)を備える。
【0330】
第1の発光素子350Rは、第1の下部電極351R、上部電極352、第1の下部電極
351Rと上部電極352の間に発光性の有機化合物を含む層353を有する(
図11(
C)参照)。
【0331】
発光性の有機化合物を含む層353は、発光ユニット353a、発光ユニット353bお
よび発光ユニット353aと発光ユニット353bの間に中間層354を備える。
【0332】
発光モジュール380Rは、第1の着色層367Rを対向基板370に有する。着色層は
特定の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色または青色等を呈
する光を選択的に透過するものを用いることができる。または、発光素子の発する光をそ
のまま透過する領域を設けてもよい。
【0333】
例えば、発光モジュール380Rは、第1の発光素子350Rと第1の着色層367Rに
接する封止材360を有する。
【0334】
第1の着色層367Rは第1の発光素子350Rと重なる位置にある。これにより、第1
の発光素子350Rが発する光の一部は、光学接合層を兼ねる封止材360および第1の
着色層367Rを透過して、図中の矢印に示すように発光モジュール380Rの外部に射
出される。
【0335】
《入出力装置の構成》
入出力装置300は、遮光層367BMを対向基板370に有する。遮光層367BMは
、着色層(例えば第1の着色層367R)を囲むように設けられている。
【0336】
入出力装置300は、反射防止層367pを表示部301に重なる位置に備える。反射防
止層367pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
【0337】
入出力装置300は、絶縁膜321を備える。絶縁膜321はトランジスタ302tを覆
っている。なお、絶縁膜321は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用
いることができる。また、不純物のトランジスタ302t等への拡散を抑制することがで
きる層が積層された絶縁膜を、絶縁膜321に適用することができる。
【0338】
入出力装置300は、発光素子(例えば第1の発光素子350R)を絶縁膜321上に有
する。
【0339】
入出力装置300は、第1の下部電極351Rの端部に重なる隔壁328を絶縁膜321
上に有する(
図11(C)参照)。また、基板310と対向基板370の間隔を制御する
スペーサ329を、隔壁328上に有する。
【0340】
《画像信号線駆動回路の構成》
画像信号線駆動回路303s(1)は、トランジスタ303tおよび容量303cを含む
。なお、画像信号線駆動回路303s(1)は画素回路と同一の工程で同一基板上に形成
することができる。
【0341】
《撮像画素の構成》
撮像画素308は、光電変換素子308pおよび光電変換素子308pに照射された光を
検知するための撮像画素回路を備える。また、撮像画素回路は、トランジスタ308tを
含む。
【0342】
例えばpin型のフォトダイオードを光電変換素子308pに用いることができる。
【0343】
《他の構成》
入出力装置300は、信号を供給することができる配線311を備え、端子319が配線
311に設けられている。なお、画像信号および同期信号等の信号を供給することができ
るFPC309(1)が端子319に電気的に接続されている。また、好ましくは、入出
力装置300の折り曲げられる部分を避けてFPC309(1)を配置する。また、表示
部301を囲む領域から選ばれた一辺、特に折り畳まれる辺(図では長い辺)のおよそ中
央にFPC309(1)を配置すると好ましい。これにより、入出力装置300と入出力
装置300を駆動する外部回路の距離を短くすることができ、接続が容易になる。また、
外部回路の重心を入出力装置300の重心におよそ一致させることができる。その結果、
情報処理装置の取り扱いが容易になり、誤って落としてしまう等の不具合の発生を予防す
ることができる。
【0344】
なお、FPC309(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い
。
【0345】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【0346】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用することができる表示パネルの構成
について、
図12および
図13を参照しながら説明する。なお、本実施の形態で説明する
表示パネルは、タッチセンサ(接触検出装置)を表示部に重ねて備えるため、タッチパネ
ル(入出力装置)ということができる。
【0347】
図12(A)は、本実施の形態で例示するタッチパネル500の斜視概略図である。なお
明瞭化のため、代表的な構成要素を
図12に示す。
図12(B)は、タッチパネル500
を展開した斜視概略図である。
【0348】
図13は、
図12(A)に示すタッチパネル500のX1-X2における断面図である。
【0349】
タッチパネル500は、表示部501とタッチセンサ595を備える(
図12(B)参照
)。また、タッチパネル500は、基板510、基板570および基板590を有する。
なお、基板510、基板570および基板590はいずれも可撓性を有する。
【0350】
表示部501は、基板510、基板510上に複数の画素および画素に信号を供給するこ
とができる複数の配線511を備える。複数の配線511は、基板510の外周部にまで
引き回され、その一部が端子519を構成している。端子519はFPC509(1)と
電気的に接続する。
【0351】
<タッチセンサ>
基板590には、タッチセンサ595と、タッチセンサ595と電気的に接続する複数の
配線598を備える。複数の配線598は基板590の外周部に引き回され、その一部が
FPC509(2)と電気的に接続するための端子を構成している。なお、
図12(B)
では明瞭化のため、基板590の裏面側(紙面奥側)に設けられるタッチセンサ595の
電極や配線等を実線で示している。
【0352】
タッチセンサ595に用いるタッチセンサとしては、静電容量方式のタッチセンサが好ま
しい。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等があり、投影
型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがあ
る。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0353】
以下では、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用する場合について、
図12(B)を
用いて説明するが、指等の検知対象の近接または接触を検知することができるさまざまな
センサを適用することができる。
【0354】
投影型静電容量方式のタッチセンサ595は、電極591と電極592を有する。電極5
91は複数の配線598のいずれかと電気的に接続し、電極592は複数の配線598の
他のいずれかと電気的に接続する。
【0355】
電極592は、
図12(A)、(B)に示すように、複数の四辺形が一方向に連続した形
状を有する。また、電極591は四辺形である。配線594は、電極592が延在する方
向と交差する方向に並んだ二つの電極591を電気的に接続している。このとき、電極5
92と配線594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、
電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のムラを低減できる。その結果、
タッチセンサ595を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
【0356】
なお、電極591、電極592の形状はこれに限られず、様々な形状を取りうる。例えば
、複数の電極591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極59
2を、電極591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい
。このとき、隣接する2つの電極592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電
極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
【0357】
タッチパネル500の構成を、
図13を用いて説明する。
【0358】
タッチセンサ595は、基板590、基板590上に千鳥状に配置された電極591及び
電極592、電極591及び電極592を覆う絶縁層593並びに隣り合う電極591を
電気的に接続する配線594を備える。
【0359】
接着層597は、タッチセンサ595と表示部501が重なるように基板590と基板5
70を貼り合わせている。
【0360】
電極591及び電極592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有す
る導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、
酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。
【0361】
透光性を有する導電性材料を基板590上にスパッタリング法により成膜した後、フォト
リソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極591
及び電極592を形成することができる。
【0362】
また、絶縁層593は電極591及び電極592を覆う。絶縁層593に用いる材料とし
ては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化
シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもでき
る。
【0363】
また、電極591に達する開口が絶縁層593に設けられ、配線594が隣接する電極5
91を電気的に接続する。透光性の導電性材料を用いて形成された配線594は、タッチ
パネルの開口率を高まることができるため好ましい。また、電極591及び電極592よ
り導電性の高い材料を配線594に用いることが好ましい。
【0364】
一の電極592は一方向に延在し、複数の電極592がストライプ状に設けられている。
【0365】
配線594は電極592と交差して設けられている。
【0366】
一対の電極591が一の電極592を挟んで設けられ、配線594に電気的に接続されて
いる。
【0367】
なお、複数の電極591は、一の電極592と必ずしも直交する方向に配置される必要は
なく、90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
【0368】
一の配線598は、電極591又は電極592と電気的に接続される。配線598の一部
は、端子として機能する。配線598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、
ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジ
ウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0369】
なお、絶縁層593及び配線594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ595を保護す
ることができる。
【0370】
また、接続層599は、配線598とFPC509(2)を電気的に接続する。
【0371】
接続層599としては、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic
Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotro
pic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0372】
接着層597は、透光性を有する。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂を用いること
ができ、具体的には、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結合を有する樹
脂などの樹脂を用いることができる。
【0373】
<表示部>
タッチパネル500は、マトリクス状に配置された複数の画素を備える。画素は表示素子
と表示素子を駆動する画素回路を備える。
【0374】
本実施の形態では、白色の有機エレクトロルミネッセンス素子を表示素子に適用する場合
について説明するが、表示素子はこれに限られない。
【0375】
例えば、表示素子として、有機エレクトロルミネッセンス素子の他、電気泳動方式や電子
粉流体方式などにより表示を行う表示素子(電子インクともいう)、シャッター方式のM
EMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子など、様々な表示素子を用いることがで
きる。なお、適用する表示素子に好適な構成を、様々な画素回路から選択して用いること
ができる。
【0376】
基板510は、可撓性を有する基板510b、意図しない不純物の発光素子への拡散を防
ぐバリア膜510aおよび基板510bとバリア膜510aを貼り合わせる接着層510
cが積層された積層体である。
【0377】
基板570は、可撓性を有する基板570b、意図しない不純物の発光素子への拡散を防
ぐバリア膜570aおよび基板570bとバリア膜570aを貼り合わせる接着層570
cの積層体である。
【0378】
封止材560は基板570と基板510を貼り合わせている。また、封止材560は空気
より大きい屈折率を備え、光学接合層を兼ねる。画素回路および発光素子(例えば第1の
発光素子550R)は基板510と基板570の間にある。
【0379】
《画素の構成》
画素は、副画素502Rを含み、副画素502Rは発光モジュール580Rを備える。
【0380】
副画素502Rは、第1の発光素子550Rおよび第1の発光素子550Rに電力を供給
することができるトランジスタ502tを含む画素回路を備える。また、発光モジュール
580Rは第1の発光素子550Rおよび光学素子(例えば第1の着色層567R)を備
える。
【0381】
第1の発光素子550Rは、下部電極、上部電極、下部電極と上部電極の間に発光性の有
機化合物を含む層を有する。
【0382】
発光モジュール580Rは、第1の着色層567Rを基板570に有する。着色層は特定
の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色または青色等を呈する
光を選択的に透過するものを用いることができる。または、発光素子の発する光をそのま
ま透過する領域を設けてもよい。
【0383】
発光モジュール580Rは、第1の発光素子550Rと第1の着色層567Rに接する封
止材560を有する。
【0384】
第1の着色層567Rは第1の発光素子550Rと重なる位置にある。これにより、第1
の発光素子550Rが発する光の一部は、光学接合層を兼ねる封止材560および第1の
着色層567Rを透過して、図中の矢印に示すように発光モジュール580Rの外部に射
出される。
【0385】
《表示部の構成》
表示部501は、遮光層567BMを基板570に有する。遮光層567BMは、着色層
(例えば第1の着色層567R)を囲むように設けられている。
【0386】
表示部501は、反射防止層567pを画素に重なる位置に備える。反射防止層567p
として、例えば円偏光板を用いることができる。
【0387】
表示部501は、絶縁膜521を備える。絶縁膜521はトランジスタ502tを覆って
いる。なお、絶縁膜521は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用いる
ことができる。また、不純物のトランジスタ502t等への拡散を抑制することができる
層が積層された絶縁膜を、絶縁膜521に適用することができる。
【0388】
表示部501は、発光素子(例えば第1の発光素子550R)を絶縁膜521上に有する
。
【0389】
表示部501は、下部電極の端部に重なる隔壁528を絶縁膜521上に有する。また、
基板510と基板570の間隔を制御するスペーサを、隔壁528上に有する。
【0390】
《画像信号線駆動回路の構成》
画像信号線駆動回路503s(1)は、トランジスタ503tおよび容量503cを含む
。なお、画像信号線駆動回路503s(1)は画素回路と同一の工程で同一基板上に形成
することができる。
【0391】
《他の構成》
表示部501は、信号を供給することができる配線511を備え、端子519が配線51
1に設けられている。なお、画像信号および同期信号等の信号を供給することができるF
PC509(1)が端子519に電気的に接続されている。
【0392】
なお、FPC509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い
。
【0393】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる
。
【符号の説明】
【0394】
13a 接続部材
13b 接続部材
15a 支持パネル
15b 支持パネル
102 基板
104a ゲート電極
106 絶縁膜
107 絶縁膜
108 絶縁膜
110 酸化物半導体膜
112 導電膜
112a 第1の電極
112b 第2の電極
114 絶縁膜
116 絶縁膜
118 絶縁膜
120 絶縁膜
122a 導電膜
122b 導電膜
122c ゲート電極
142a 開口
142d 開口
142e 開口
151 トランジスタ
200 表示装置
200B 表示装置
200C 表示装置
200D 表示装置
210 制御部
210B 制御部
212 同期信号供給部
214 電源部
220 画像処理部
230 表示部
230(1) 第1の領域
230(2) 第2の領域
230(1)S 領域
230b(1) 境界
230b(2) 境界
232 駆動回路
232G 走査線駆動回路
232S 信号線駆動回路
239 標識
240 検知部
300 入出力装置
301 表示部
302 画素
302B 副画素
302G 副画素
302R 副画素
302t トランジスタ
303c 容量
303g(1) 走査線駆動回路
303g(2) 撮像画素駆動回路
303s(1) 画像信号線駆動回路
303s(2) 撮像信号線駆動回路
303t トランジスタ
308 撮像画素
308p 光電変換素子
308t トランジスタ
309 FPC
310 基板
310a バリア膜
310b 基板
310c 接着層
311 配線
319 端子
321 絶縁膜
328 隔壁
329 スペーサ
350R 発光素子
351R 下部電極
352 上部電極
353 層
353a 発光ユニット
353b 発光ユニット
354 中間層
360 封止材
367BM 遮光層
367p 反射防止層
367R 着色層
370 対向基板
370a バリア膜
370b 基板
370c 接着層
380B 発光モジュール
380G 発光モジュール
380R 発光モジュール
500 タッチパネル
501 表示部
502R 副画素
502t トランジスタ
503c 容量
503s 画像信号線駆動回路
503t トランジスタ
509 FPC
510 基板
510a バリア膜
510b 基板
510c 接着層
511 配線
519 端子
521 絶縁膜
528 隔壁
550R 発光素子
560 封止材
567BM 遮光層
567p 反射防止層
567R 着色層
570 基板
570a バリア膜
570b 基板
570c 接着層
580R 発光モジュール
590 基板
591 電極
592 電極
593 絶縁層
594 配線
595 タッチセンサ
597 接着層
598 配線
599 接続層
631p 画素
634c 容量素子
634EL 画素回路
634t トランジスタ
634t_1 トランジスタ
634t_2 トランジスタ
635EL EL素子
E1 可撓性の高い領域
E2 可撓性の低い領域