(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133283
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】台車および台車用手押し棒
(51)【国際特許分類】
B62B 5/06 20060101AFI20240920BHJP
B65D 19/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B62B5/06 Z
B65D19/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114573
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2019205997の分割
【原出願日】2019-11-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)販売日 令和1年9月28日 (2)販売した場所 ▲1▼株式会社アクティオ EG関西テクノパーク建材工場(兵庫県三木市志染町戸田1838-259) ▲2▼株式会社アクティオ EG九州営業所(福岡県筑後市大字長浜426-10) (3)公開者 長谷川工業株式会社 (4)販売した物の内容 長谷川工業株式会社は、株式会社アクティオ EG関西テクノパーク建材工場およびEG九州営業所に、相田憲秀が発明した「台車および台車用手押し棒」を納品した。
(71)【出願人】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】相田 憲秀
(57)【要約】
【課題】比較的単純な部品構成により吊り台車として使用することができ、また、構成部品の組み合わせを適宜変更することにより、平台車や手押し台車等としても使用可能な台車を低コストで提供する。
【解決手段】台車1Aは、四隅部に上方に開口した挿入孔2aを有している平面より見て略方形の平坦な台車本体2と、台車本体2の下面に取り付けられている複数のキャスター3と、台車本体2の各挿入孔2aに下端部が挿入されて台車本体2に固定されている4本の手押し棒4と、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒4どうしの間に渡し止められている前後左右のサイドパネル5と、各手押し棒4の上部に取り付けられている台車吊上げ用連結金具6とを備えている。手押し棒4の前後方向内側部分および左右方向内側部分に、サイドパネル5の端部よりなる嵌合凸部5aが嵌め入れられる嵌合凹溝4aが全長にわたって形成され、サイドパネル5の端部が手押し棒4に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅部に上方に開口した挿入孔を有している平面より見て略方形の平坦な台車本体と、
台車本体の下面に取り付けられている複数のキャスターと、
台車本体の各挿入孔に下端部が挿入されて台車本体に固定されている4本の手押し棒と、
前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒の立ち上がり部分のうち少なくとも上部どうしの間または長さ中間部どうしの間に渡し止められている前後左右の横架材と、
各手押し棒の上部に取り付けられている台車吊上げ用連結金具とを備えており、
各手押し棒における横架材の端部と向かい合う前後方向内側部分および左右方向内側部分に、互いに嵌め合わせられる嵌合凹部および嵌合凸部のうちいずれか一方が形成され、同他方が各横架材の両端部に形成されているとともに、嵌合凹部および嵌合凸部の嵌合状態が保持されるように、横架材の端部が手押し棒に固定されている、台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を積載して運搬するための台車、および同台車に用いられる手押し棒に関する。
【背景技術】
【0002】
台車には、その用途や積載物品等に応じて種々の形態のものがあり、例えば、平坦な台車本体の下面に複数のキャスターを取り付けてなる平台車、キャスター付き台車本体の隅部に手押し棒を立設してなる手押し台車、キャスター付き台車本体の縁部にメッシュパネル等よりなる囲いを立設してなる囲い付き台車(かご台車)等が一般に知られている。
また、台車本体の上面に物品を載置した状態で、台車ごとクレーン等で吊り上げて搬送することが可能な吊り台車も知られている。
吊り台車としては、例えば、キャスター付き台車本体の四隅部にコーナー支柱が立設され、前後左右に隣り合うコーナー支柱の上端部どうしの間に上枠材が渡し止められ、台車本体の縁部、前後左右に隣り合うコーナー支柱および上枠材によって形成された方形枠にメッシュパネル等よりなる側壁を取り付け、各コーナー支柱の上端部または上枠材に台車吊上げ用連結金具を取り付けてなるものが挙げられる。
【0003】
上述した各種台車は、通常、それぞれの形態に応じた個別の構造を有しており、形態の変更はできないようになっている。
ここで、下記の特許文献1には、平面より見て方形の載置部を有する台車本体と、台車本体の下面に取り付けられたキャスターと、台車本体の四隅部に垂直に立てられた4本の単管パイプ製の手押し棒と、各手押し棒の上下両端部を除いた長さ中間部に取り付けられかつ前後方向内方および左右方向内方に開口した溝形の横断面を有する2つの支持部を有している支持部材と、前後または左右に隣り合う手押し棒に取り付けられた支持部材の互いに向かい合う支持部に両端部が嵌め入れられている側壁とを備えている運搬台車が開示されている。
上記の運搬台車によれば、構成部品の組み合わせを変えることによって、複数の形態の台車とすることができる。すなわち、同運搬台車は、台車本体およびキャスターの組み合わせによって平台車の形態となされ、同平台車に手押し棒を組み合わせることにより手押し台車の形態となされ、同手押し台車に支持部材および側壁を組み合わせることにより囲い付き台車の形態となされる。したがって、上記の運搬台車によれば、部品の共通化が可能となり、コストが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の運搬台車の場合、囲い付き台車の形態とするためには支持部材を使用する必要があり、それだけ部品点数が増加するという問題があった。
また、同運搬台車の場合、吊り台車として使用することは想定されておらず、構造的に見て、吊り台車として要求される耐荷重強度が得られないと考えられる。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、比較的単純な部品構成により吊り台車として使用することができ、また、構成部品の組み合わせを適宜変更することにより、平台車や手押し台車等としても使用可能な台車を低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)四隅部に上方に開口した挿入孔を有している平面より見て略方形の平坦な台車本体と、
台車本体の下面に取り付けられている複数のキャスターと、
台車本体の各挿入孔に下端部が挿入されて台車本体に固定されている4本の手押し棒と、
前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒の立ち上がり部分のうち少なくとも上部どうしの間または長さ中間部どうしの間に渡し止められている前後左右の横架材と、
各手押し棒の上部に取り付けられている台車吊上げ用連結金具とを備えており、
各手押し棒における横架材の端部と向かい合う前後方向内側部分および左右方向内側部分に、互いに嵌め合わせられる嵌合凹部および嵌合凸部のうちいずれか一方が形成され、同他方が各横架材の両端部に形成されているとともに、嵌合凹部および嵌合凸部の嵌合状態が保持されるように、横架材の端部が手押し棒に固定されている、台車。
【0009】
2)前後左右の各横架材が垂直なサイドパネルよりなり、1枚のサイドパネルまたは上下に並んだ複数枚のサイドパネルによって、前後左右の各側壁が形成されている、上記1)の台車。
【0010】
3)各手押し棒におけるサイドパネルの端部と向かい合う前後方向内側部分および左右方向内側部分に、サイドパネルの端部よりなる嵌合凸部を嵌め入れうる横断面略U形の嵌合凹溝が全長にわたって形成されており、
サイドパネルが中空状のものであって、その両端部内にパネル固定用レバーがそれぞれ配置されており、
パネル固定用レバーは、サイドパネルの内側壁の内面に当接しうるように長さ中間部に設けられた支点を中心として水平方向に揺動自在となされ、その一端部に、サイドパネルの内側壁に形成された貫通孔を通じて、嵌合凹溝の内側面に形成された係合孔に挿入される係合凸部を有しているとともに、その他端部に、サイドパネルの外側壁に形成された貫通孔を通じてサイドパネルの外方に突出させられる操作凸部を有しており、
さらに、サイドパネルの両端部内に、係合凸部が係合孔に挿入されるとともに操作凸部がサイドパネルの外方に突出させられる揺動方向にパネル固定用レバーを付勢する付勢部材が配置されている、上記2)の台車。
【0011】
4)サイドパネルの上縁部に、複数枚のサイドパネルが上下に並べられた際に互いに嵌め合わせられる嵌合突起および嵌合孔のうちいずれか一方が形成されているとともに、同他方がサイドパネルの下縁部に形成されている、上記2)または3)の台車。
【0012】
5)台車本体の四隅部に、複数の台車が上下に積み重ねられた際に下位の台車の各手押し棒の上端部に側方から当接または近接させられて、積み重ねられた台車どうしの水平方向相対移動を阻止しうるスタック用コーナーガイド部が垂下状に設けられている、上記1)~4)のいずれか1つの台車。
【0013】
6)前後左右の最上位の横架材にまたがって載置される平面より見て略方形の蓋板と、
上端部が蓋板の前後縁部または左右縁部に揺動自在に連結されているとともに、下端部に台車本体下面の前後縁部または左右縁部に掛け止められる鉤部を有している2本の蓋板固定用バーと、
鉤部が台車本体下面の前後縁部または左右縁部から外れる方向に蓋板固定用バーが揺動するのを阻止しうるロック手段とを備えている、上記1)~5)のいずれか1つの台車。
【0014】
7)台車における平面より見て略方形の平坦な台車本体の四隅部に立設される手押し棒であって、台車本体の四隅部に上方に開口するように形成された挿入孔に下端部を挿入しうる垂直な形材よりなり、その前後方向内側部および左右方向内側部に、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒に横架材を渡し止めるために、横架材の端部に形成された嵌合凸部または嵌合凹部と嵌め合わせられる嵌合凹部または嵌合凸部が全長にわたって形成されている、台車用手押し棒。
【発明の効果】
【0015】
上記1)の台車にあっては、台車本体の四隅部に手押し棒の下端部が固定され、4本の手押し棒の立ち上がり部分のうち少なくとも上部どうしまたは長さ中間部どうしが前後左右の横架材によって連結一体化されているので、物品を積載した状態で台車を吊り上げるのに必要な耐荷重強度が確実に得られる。また、各手押し棒の上部の台車吊上げ用連結金具に、例えばチェーンやワイヤロープ等の一端部を連結するとともに、同他端部をクレーンの吊り上げフック等に引っ掛けた状態で、クレーン等の吊り上げ手段により、上記1)の台車を安定した状態で吊り上げることができる。
また、上記1)の台車では、各手押し棒に横架材の端部を接続するために、上記特許文献1記載の運搬台車のような支持部材を使用する必要がないので、それだけ部品点数が少なくてすむ。
さらに、上記1)の台車にあっては、台車本体およびキャスターを組み合わせて使用することにより、平台車の形態とすることができ、また、台車本体、キャスターおよび少なくとも1本の手押し棒を組み合わせて使用することにより、手押し台車の形態とすることができる。
したがって、上記1)の台車によれば、吊り台車として支障なく使用することができる上、コストも抑えられ、また、構成部品の組み合わせを適宜変更することにより、平台車や手押し台車としても使用することができる。
【0016】
上記2)の台車によれば、横架材を構成するサイドパネルによって前後左右の各側壁が形成されているため、囲い付き台車としても使用することが可能となる。
【0017】
上記3)の台車によれば、パネル固定用レバーによってサイドパネルの端部が手押し棒に固定されているので、固定操作および固定解除操作を簡単に行うことができる。
【0018】
上記4)の台車によれば、上下に積み重ねられたサイドパネルよりなる側壁の剛性が高められる。
【0019】
上記5)の台車によれば、複数の台車を安全に積み重ねておくことができる。
【0020】
上記6)の台車によれば、台車本体に積載された物品を蓋板によって覆うことができるので、物品の破損や劣化等が効果的に抑制される。
また、上記6)の台車によれば、蓋材固定用バーおよびロック手段によって蓋板が外れないロック状態とすることができるため、優れた盗難防止効果も得られる。
【0021】
上記7)の台車用手押し棒によれば、横架材の端部を接続するための嵌合凹部または嵌合凸部を有する垂直な形材よりなるので、上記特許文献1記載の運搬台車のような支持部材を使用することなく、コストを抑えながら、囲い付き台車や吊り台車を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る台車の斜視図である。
【
図5】
図3のV-V線に沿う部分拡大断面図である。
【
図6】
図3のVI-VI線に沿う部分拡大断面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線に沿う部分拡大断面図である。
【
図8】同台車を2台積み重ねた状態を示す正面図である。
【
図9】この発明の第2の実施形態に係る台車の左側面図である。
【
図11】同台車に用いられるサイドパネルの詳細を示すものであって、(a)は中間省略した平面図であり、(b)は中間省略した正面図であり、(c)は(a)のc-c線に沿う断面図であり、(d)は同サイドパネルに収容されたパネル固定用レバーの拡大平面図である。
【
図12】同サイドパネルの端部と手押し棒との連結構造を示す部分拡大左側面である。
【
図13】同連結構造を示す部分拡大水平断面図である。
【
図14】この発明の第3の実施形態に係る台車を示すものであって、(a)は平面図であり、(b)は左側面図である。
【
図15】この発明の第4の実施形態に係る台車の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、
図1ないし
図19を参照して、この発明の実施形態を説明する。
なお、以下の説明において、
図3,9,14,16の各右を「前」、同左を「後」といい、「左右」は前から見た場合の左右(
図4,8,10,17の各左右)をいうものとする。
【0024】
[第1の実施形態]
図1ないし
図8は、この発明の第1の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1A)は、四隅部に上方に開口した挿入孔(2a)を有している平面より見て略方形の平坦な台車本体(2)と、台車本体(2)の下面に取り付けられている複数のキャスター(3)と、台車本体(2)の各挿入孔(2a)に下端部が挿入されて台車本体(2)に固定されている4本の手押し棒(4)と、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち少なくとも上部どうしの間または長さ中間部どうしの間に渡し止められている前後左右の横架材(5)と、各手押し棒(4)の上部に取り付けられている台車吊上げ用連結金具(6)とを備えている。
【0025】
台車本体(2)は、平面より見て前後に長い方形をしており、縦横格子状に組み立てられたフレーム(21)と、フレーム(21)の上面側における四隅部を除く部分に取り付けられた複数の天板(22a)(22b)と、フレーム(21)の下面側の四隅部に取り付けられた4枚のキャスター取付板(23)とを有している。
台車本体(2)の上面の四隅部には、
図14に示す平台車の形態とした場合において、複数の台車(1C)を上下に積み重ねた際に上位の台車(1C)のキャスター(3)が収容される平面より見て略方形のキャスター収容凹所(24)が形成されている。
フレーム(21)は、格子状に連結される各複数本の縦フレーム材(21a)および横フレーム材(21b)と、コーナー部において外周部を構成する縦フレーム材(21a)と横フレーム材(21b)とを連結するコーナー用連結材(21c)とよりなる。縦フレーム材(21a)と横フレーム材(21b)、ならびに、コーナー用連結材(21c)と縦フレーム材(21a)および横フレーム材(21b)とは、それぞれボルト・ナットにより組立分解可能に連結されている(
図2,5等参照)。
コーナー用連結材(21c)は、
図5に示すように、前後左右の4つの側壁を有するとともに出隅側および入隅側のコーナー部が斜めに面取りされた横断面略六角形の垂直筒部(211)と、垂直筒部(211)の前後方向内側壁から前後方向内方に向かって突出した互いに平行な2つの垂直壁よりなる第1連結部(212)と、垂直筒部(211)の左右方向内側壁から左右方向内方に向かって突出した互いに平行な2つの垂直壁よりなる第2連結部(213)とを有している。そして、垂直筒部(211)の内部によって、上下に開口した貫通状の挿入孔(2a)が形成されている。従って、この実施形態では、台車本体(2)の四隅部の挿入孔(2a)は、横断面略六角形となされている。なお、垂直筒部(211)の下端部に、手押し棒(4)の下端を受けるための底部が設けられていてもよい。同底部があれば、後述するように手押し台車の形態で使用する際に、手押し棒(4)の下端部を台車本体(2)の挿入孔(2a)に挿入するだけで、手押し棒(4)を台車本体(2)の隅部に立設することができるので、組立が容易となる。上記の底部は、例えば、垂直筒部(211)における出隅部および入隅部の内面にそれぞれボルト・ナットで取り付けられた1対の垂直板状の底部材(214)によって構成することができる(
図14参照)。
天板には、左右外側の縦フレーム材(21a)の長さ中間部に渡し止められている長尺の天板(22a)と、前後各外側の横フレーム材(21b)とこれらの内側に位置する中間の横フレーム材(21b)の長さ中間部に渡し止められている短尺の天板(22b)とが含まれている。各天板(22a)(22b)は、例えばリベットによって、所要のフレーム材(21a)(21b)の上面に固定されている。
各キャスター取付板(23)は、平面より見て略方形状であって、ボルト・ナットによりフレーム(2)に取り付けられている。各キャスター取付板(23)によって、キャスター収容凹所(24)の底部が構成されている。
台車本体(2)を構成している上記の各フレーム材(21a)(21b)(21c)、天板(22a)(22b)、キャスター取付板(23)は、それぞれ軽金属製の形材によって形成されているのが好ましく、より好ましくは、軽量で強度があって加工性、耐食性にも優れているアルミニウム合金製の形材により形成される。
なお、台車本体の構成は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。
【0026】
キャスター(3)は、その上部に設けられた水平なベース板(31)が、キャスター取付板(23)の下面にボルト・ナットで固着されることにより、台車本体(2)下面の四隅部に取り付けられている(
図2〜4参照)。また、各キャスター(3)には、車輪(32)の回転を阻止するレバー型のストッパ(33)が揺動自在に取り付けられている(
図1,3等参照)。
なお、キャスターの個数、配置、構造および取付手段は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。
【0027】
手押し棒(4)は、台車本体(2)の四隅部の挿入孔(2a)に下端部を挿入しうる垂直な形材よりなる。手押し棒(4)の材質は特に限定されないが、好ましくは軽金属製の形材よりなり、さらに好ましくはアルミニウム合金製の形材よりなる。
より詳細には、手押し棒(4)は、
図5等に示すように、前後左右の4つの側壁(41)(42)(43)(44)を有するとともに、出隅側のコーナー部に溝形凹部(45)を有し、さらに入隅側のコーナー部に凸円弧状の面取り部(46)を有している中空状のものである。手押し棒(4)の前後方向内側壁(41)には、前後方向内側に開口した横断面略U形の嵌合凹溝(4a)が形成されている。また、手押し棒(4)の左右方向内側壁(43)には、左右方向内側に開口した横断面略U形の嵌合凹溝(4a)が形成されている。手押し棒(4)の内部には、2つの嵌合凹溝(4a)と出隅側の溝形凹部(45)との間の部分に、それぞれナット収容用内部拡大溝(47)が形成されている。また、面取り部(46)の内側および溝形凹部(45)には、それぞれ横断面略C形のビス取付部(48)が形成されている。
一般に、手押し棒は単管パイプ等によって構成されるが、この実施形態の手押し棒(4)の場合、後述するサイドパネル(5)(横架材)の端部(嵌合凸部)(5a)を嵌め入れるための嵌合凹溝(4a)が形成されているため、上記特許文献1記載の手押し棒のような支持部材を使用する必要がないので、それだけ部品点数が少なくなり、コストが抑えられる。また、この実施形態の手押し棒(4)は、手で持った際に手を圧迫するような凸部を有しないため、持ち易く、取扱性にも優れている。
手押し棒(4)の下端部は、台車本体(2)の四隅部の挿入孔(2a)に挿入されて、後述するスペーサ板(7)およびコーナーガイド部材(7)ととともに、計4組のボルト・ナットによって、コーナー用連結材(21c)の垂直筒状部(211)に取り外し可能に固定されている。
手押し棒(4)の上端部には、平面より見て略六角形のエンドキャップ(4b)がタッピングビスで取り付けられており、それによって手押し棒(4)の上方開口が塞がれている。
【0028】
横架材は、この実施形態では、垂直なサイドパネル(5)により構成されている。サイドパネル(5)は、前後または左右に長い中空形材、好ましくは軽金属製の中空形材よりなり、さらに好ましくはアルミニウム合金製の中空形材よりなる。
より詳細には、サイドパネル(5)は、垂直な内側壁(51)および外側壁(52)、ならびに、水平な上壁(53)および下壁(54)を有しているとともに、その内部に、上下2つの水平な補強壁(55)(56)を有しているものである(
図7参照)。
サイドパネル(5)は、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒(4)に、上下に並んで複数枚ずつ(ここでは5枚ずつ)渡し止められており、これらのサイドパネル(5)によって、前後左右の側壁(50)が構成されている。したがって、台車本体(2)の上に小さな物品を載置する場合でも、メッシュパネルよりなる側壁のように物品が外部にこぼれ落ちるおそれがない。最上位のサイドパネル(5)は、4本の手押し棒(4)を強固に連結して吊り台車としての強度を確保できる範囲で、前後または左右に隣り合う手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち上部または高さ中間部の任意の高さ位置に渡し止めればよく、この実施形態では、隣り合う手押し棒(4)の上端よりもやや下方位置に渡し止められている。最上位のサイドパネル(5)は、例えば、水平筒状の中空形材等で代替することも可能である。最上位のサイドパネル(5)よりも下方のサイドパネル(5)は、その全部または一部を省略することが可能であり、それによって例えば長尺の物品を台車本体(2)に載置して運搬することも可能となる。また、最上位のサイドパネル(5)よりも下方のサイドパネル(5)については、メッシュパネル等に変更することも可能である。
図7に詳しく示すように、サイドパネル(5)の下縁部、より詳細には下壁(54)の長さ中央部に、ビスが下方からねじ込まれて取り付けられており、同ビスの頭部によって嵌合突起(5b)が構成されている。一方、サイドパネル(5)の上縁部、より詳細には上壁(53)の長さ中央部に、ビスの頭部よりなる嵌合突起(5b)を嵌め入れうる嵌合孔(5c)が形成されている。以上の構成により、上下に並べられたサイドパネル(5)どうしの連結強度が高められ、ひいては側壁(50)の剛性が高められる。最上位のサイドパネル(5)の嵌合孔(5c)は、同孔(5c)に嵌め込まれたキャップ(5d)によって塞がれている。なお、嵌合突起(5b)および嵌合孔(5c)は、上記構成とは上下逆になるように、サイドパネル(5)の上下縁部に形成してもよい。
この実施形態の場合、サイドパネル(5)の端部よりなる嵌合凸部(5a)は、これと向かい合う手押し棒(4)の嵌合凹溝(4a)に嵌め込まれて、リベット(R)により手押し棒(4)に固定されている(
図6参照)。これにより、4本の手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち上端部を除いた部分が前後左右の各複数枚のサイドパネル(5)によって強固に連結一体化されるので、物品を積載した状態で台車(1A)を吊り上げるのに必要な耐荷重強度が得られる。
【0029】
台車吊上げ用連結金具(6)は、台車(1A)を吊り上げる際に、チェーン(C)やワイヤロープ等の一端部を連結するために使用されるものである。この実施形態では、同連結金具は、シャックル(6)よりなる。シャックル(6)のピン(62)(またはボルト)は、手押し棒(4)の上部に2つの嵌合凹溝(4a)を避けて対角線方向にのびる水平貫通状の挿通孔(図示略)に挿通されている(
図6参照)。挿通孔は、シャックル(6)のU形本体(61)を上向きに回動させた際に手押し棒(4)と干渉しないような高さ位置に形成されているのが好ましい。
なお、台車吊上げ用連結金具は、上記のようなシャックル(6)には限定されず、適宜変更可能である。
【0030】
台車本体(2)の四隅部には、スタック用コーナーガイド部(7)が設けられている。
コーナーガイド部は、横断面L形の垂直なコーナーガイド部材(7)よりなる。コーナーガイド部材(7)は、台車本体(2)のコーナー用連結材(21c)の出隅側部分に、横断面L形の垂直なスペーサ板(25)を介して、手押し棒(4)の下端部とともに、ボルト・ナットにより垂下状に取り付けられている。
図8に示すように、複数の台車(1A)が上下に積み重ねられた際、下位の台車(1A)の4本の手押し棒(4)の上端部に、上位の台車(1A)における台車本体(2)の四隅部のコーナー用連結材(21c)の下面が載置されるが、そのままでは上下の台車(1A)どうしが水平方向にずれるおそれがある。そこで、上記のように台車本体(2)の四隅部にスタック用コーナーガイド部(7)を垂下状に設けておけば、上位の台車(1A)の四隅部のコーナーガイド部(7)が、下位の台車(1A)の各手押し棒(4)の上端部に外側から当接または近接させられて、積み重ねられた台車(1A)どうしの水平方向相対移動が阻止されるので、積み重ね時の安全性が確保される。
なお、コーナーガイド部は、上記のようにコーナーガイド部材(7)によって構成する他、台車本体(2)のコーナーフレーム材(21c)自体にコーナーガイド部を一体に設けたものとしてもよい。
【0031】
上記第1の実施形態の台車(1A)によれば、台車本体(2)の四隅部に手押し棒(4)の下端部が固定され、4本の手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち上端部を除く部分が、前後左右のサイドパネル(5)によって連結一体化されているので、台車本体(2)に物品を積載した状態で台車(1A)を吊り上げるのに必要な耐荷重強度が確実に得られる。
そして、各手押し棒(4)の上部の台車吊上げ用連結金具(6)に、例えばチェーン(C)やワイヤロープ等の一端部を連結するとともに、同他端部をクレーンの吊り上げフック等に引っ掛け、この状態でクレーン等の吊り上げ手段により台車(1A)を安定した状態で吊り上げることができる。
また、上記台車(1A)の場合、各手押し棒(4)にサイドパネル(5)の端部(5a)よりなる嵌合凸部を接続するための嵌合凹溝(4a)が形成されており、上記特許文献1記載の運搬台車のような支持部材を使用する必要がないので、それだけ部品点数が少なくてすむ。しかも、上記台車(1A)によれば、手押し棒(4)とサイドパネル(5)との嵌合構造が単純化される。
従って、上記台車(1A)によれば、吊り台車として支障なく使用することができる上、製造コストも抑えられるので、比較的安価で提供することが可能である。
また、上記台車(1A)の場合、各構成部品をアルミニウム合金製とすることにより、吊り台車として必要な耐荷重強度を確保しながら、軽量化が図られるので、移動負担が大幅に低減され、取扱性が向上する。
【0032】
[第2の実施形態]
図9ないし
図13は、この発明の第2の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1B)は、以下の点を除いて、
図1ないし
図8に示す第1の実施形態の台車(1B)と実質的に同一である。
すなわち、この実施形態の台車(1B)では、各サイドパネル(5)の両端部内にそれぞれパネル固定用レバー(8)が配置されている。
パネル固定用レバー(8)は、平面より見て長さ中間部で略クランク状に折れ曲がった形状を有するものであって、サイドパネル(5)の内側壁(51)の内面に当接しうるように長さ中間部に設けられた内方凸状の支点(8a)を中心として、水平方向に揺動自在となされている。
パネル固定用レバー(8)は、その一端部に、サイドパネル(5)の内側壁(51)に形成された貫通孔(51a)を通じて、手押し棒(4)の嵌合凹溝(4a)の内側面に形成された係合孔(4c)に挿入される係合凸部(8b)を有しているとともに、その他端部に、サイドパネル(5)の外側壁(52)に形成された貫通孔(52a)を通じてサイドパネル(5)の外方に突出させられる操作凸部(8c)を有している。
【0033】
さらに、サイドパネル(5)の両端部内には、係合凸部(8b)が係合孔(4c)に挿入されるとともに操作凸部(8c)がサイドパネル(5)の外方に突出させられる揺動方向にパネル固定用レバー(8)を付勢するスプリング(付勢部材)(9)が配置されている。
スプリング(9)は、その一端部がパネル固定用レバー(8)の一端部に設けられたスプリング保持用突起(8d)に嵌められた状態で、パネル固定用レバー(8)の一端部とサイドパネル(5)の外側壁との間に介在されている。
【0034】
上記第2の実施形態の台車(1B)によれば、手押し棒(4)とサイドパネル(5)の端部との固定操作および固定解除操作を、パネル固定用レバー(8)によって簡単に行うことができる。
すなわち、例えば、前後または左右に隣り合う手押し棒(4)の嵌合凹溝(4a)に、サイドパネル(5)の端部(5a)を、片手の指でパネル固定用レバー(8)の操作凸部(8c)を押しながら、上方から嵌め込む。そして、サイドパネル(5)の端部(5a)が所定高さ位置に来た時点で、操作凸部(8c)から指を離すと、スプリング(9)のばね弾性力によってパネル固定用レバー(8)が所定方向に揺動させられ、パネル固定用レバー(8)の係合凸部(8b)が手押し棒(4)の係合孔(4c)に挿入される。これにより、サイドパネル(5)の端部(5a)が手押し棒(4)に固定される。一方、固定状態を解除して、サイドパネル(5)を手押し棒(4)から取り外す場合には、上記と逆の操作を行えばよい。
従って、この実施形態の台車(1B)は、例えば、積載物品の種類や運搬方法等に応じて、全部または一部のサイドパネル(5)を着脱する機会が比較的多い場合に好適に用いることができる。
【0035】
[第3の実施形態]
図14は、この発明の第3の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1C)は、
図1ないし
図8に示す第1の実施形態の台車(1A)または
図9ないし
図13に示す第2の実施形態の台車(1B)を、平台車として使用する形態に変更したものである。
すなわち、図示の台車(1C)は、第1または第2の実施形態の台車(1A)(1B)から、台車吊上げ用連結金具(6)、サイドパネル(5)および手押し棒(4)、ならびにコーナーガイド部材(7)およびスペーサ板(25)を取り外したものである。
また、図示は省略したが、第1または第2の実施形態の台車(1A)(1B)から、台車吊上げ用連結金具(6)およびサイドパネル(5)を取り外すことにより、台車本体(2)の四隅部に手押し棒(4)が立設された手押し台車の形態とすることも勿論可能である。この場合、4本のうち一部の手押し棒(4)を取り外しても構わない。
さらには、第1または第2の実施形態の台車(1A)(1B)から、台車吊上げ用連結金具(6)を取り外すことにより、台車本体(2)の外周部が前後左右の側壁(50)で囲まれた囲い付き台車として使用することも可能である。この場合、前後左右の側壁(50)のうち一部の側壁(50)を構成するサイドパネル(5)を取り外しても構わない。
以上から明らかなように、この発明の台車によれば、吊り台車(1A)(1B)として好適に使用可能であることは勿論、平台車(1C)、手押し台車、さらには囲い付き台車の形態に簡単に変更して使用することができ、きわめて使い勝手がよい。
【0036】
[第4の実施形態]
図15ないし
図19は、この発明の第4の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1D)は、以下の点を除いて、
図1ないし
図8に示す第1の実施形態の台車と実質的に同一である。
すなわち、この実施形態の台車(1D)は、前後左右の最上位のサイドパネル(横架材)(5)にまたがって載置される平面より見て略方形の蓋板(10)を備えている。蓋板は、樹脂や金属等の板材よりなる蓋板本体(10a)と、蓋板本体(10a)の裏面に接合された格子状の補強フレーム(10b)とを備えている。蓋板(10)の四隅部は、4本の手押し棒(4)の上部と干渉しないように、平面より見てL形に切り欠かれている。
【0037】
蓋材(10)の前後縁部には、それらの長さ中間位置に、蓋板固定用バー(11)の上端部が揺動自在に連結されている。この実施形態では、蓋板固定用バー(11)は、前後方向外方に開口した横断面略U形の形材よりなり、その上端部が、蓋材(10)の前後縁部に設けられた連結部(10c)にヒンジ結合されている。各蓋板固定用バー(11)の下端部には、台車本体(2)下面の前後縁部に掛け止められる鉤部(11a)が前後方向内方に向かって突出するように形成されている。なお、蓋板固定用バー(11)は、蓋材(10)の前後縁部に代えて、または同前後縁部に加えて、蓋材(10)の左右縁部に取り付けるようにしてもよい。
【0038】
また、この実施形態の台車(1D)は、鉤部(11a)が台車本体(2)下面の前後縁部から外れる方向に蓋板固定用バー(11)が揺動するのを阻止しうるロック手段を備えている。
ロック手段は、蓋板(10)の前後縁部における連結部(10c)の下方位置に取り付けられたU形フック(12)と、U形フック(12)に掛け止められる南京錠(13)とよりなる。U形フック(12)は、その先端側部分が、蓋板固定用バー(11)の上端部に形成された縦長のスリット(図示略)を通じて、蓋板固定用バー(11)の外側に突出させられるようになっている。
なお、ロック手段は、上記構成には限定されず、適宜変更可能である。
【0039】
この実施形態の台車(1D)によれば、台車本体(2)に積載された物品を蓋板(10)によって覆うことができるので、積載された物品の破損や劣化等が効果的に抑制される。また、上記台車(1D)によれば、蓋材固定用バー(11)およびロック手段(12)(13)によって蓋板(10)が外れないロック状態とすることができるため、優れた盗難防止効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、物品を積載して運搬するための台車であって、特に吊り台車として好適に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
(1A)(1B)(1C)(1D):台車
(2):台車本体
(3):キャスター
(4):手押し棒
(4a):嵌合凹溝(嵌合凹部)
(4c):係合孔
(50):側壁
(5):サイドパネル(横架材)
(5a):嵌合凸部(サイドパネルの端部)
(5b):嵌合突起
(5c):嵌合孔
(51):内側壁
(51a):貫通孔
(52):外側壁
(52a):貫通孔
(6):台車吊上げ用連結金具
(7):スタック用コーナーガイド部
(8):パネル固定用レバー
(8a):支点
(8b):係合凸部
(8c):操作凸部
(9):スプリング(付勢部材)
(10):蓋板
(11):蓋板固定用バー
(11a):鉤部
(12):U形フック(ロック手段)
(13):南京錠(ロック手段)
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面より見て略方形の平坦な台車本体を有しかつ台車本体の四隅部に上方に開口するように挿入孔が形成されている台車において、台車本体の挿入孔内に下端部が挿入されて立設される手押し棒であって、
平面より見て全体が挿入孔内に収まるような同一の横断面形状を全長にわたって有している単一の垂直な形材よりなり、
前後方向内側部および左右方向内側部に、台車本体の四隅部に立設された前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒に垂直なサイドパネルよりなる横架材を渡し止めるために、同サイドパネルの端部よりなる嵌合凸部を嵌め入れうる嵌合凹溝が、手押し棒の全長にわたって形成されている、台車用手押し棒。
【請求項2】
台車本体の挿入孔に挿入される下端部を除いた立ち上がり部分が、いずれの高さ位置においても、手で持つ部分またはサイドパネルの端部を支持する部分として選択的に機能しうる、請求項1記載の台車用手押し棒。
【請求項3】
前後左右の4つの側壁を有する中空状の垂直な形材よりなり、4つの側壁のうち前後方向内側壁および左右方向内側壁に前記嵌合凹溝が形成されている、請求項1または2記載の台車用手押し棒。
【請求項4】
台車本体の中心側に位置するコーナー部に、面取り部が設けられている、請求項3記載の台車用手押し棒。
【請求項5】
台車本体の中心と反対側に位置するコーナー部に、溝形凹部が設けられている、請求項3または4記載の台車。
【請求項6】
前後方向内側壁に形成された嵌合凹溝の一方の開口縁が、左右方向外側壁の前後方向内側縁によって構成されているとともに、同嵌合凹溝の他方の開口縁よりも前後方向外側に配置されており、
また、左右方向内側壁に形成された嵌合凹溝の一方の開口縁が、前後方向外側壁の左右方向内側縁によって構成されているとともに、同嵌合凹溝の他方の開口縁よりも左右方向外側に配置されている、請求項3~5のいずれか1つに記載の台車用手押し棒。
【請求項7】
四隅部に上方に開口した挿入孔を有している平面より見て略方形の平坦な台車本体と、
台車本体の下面に取り付けられている複数のキャスターと、
台車本体の各挿入孔に下端部が挿入されて立設されている4本の手押し棒とを備えており、
各手押し棒が、請求項1~6のいずれか1つに記載の台車用手押し棒からなる、台車。
【請求項8】
さらに、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒の立ち上がり部分どうしの間に渡し止められている前後左右の横架材を備えており、
前後左右の各横架材が垂直なサイドパネルよりなり、
サイドパネルの端部よりなる嵌合凸部が、手押し棒の嵌合凹溝に嵌め入れられており、
1枚のサイドパネルまたは上下に並んだ複数枚のサイドパネルによって、前後左右の各側壁が形成されている、請求項7記載の台車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品を積載して運搬するための台車、および同台車に用いられる手押し棒に関する。
【背景技術】
【0002】
台車には、その用途や積載物品等に応じて種々の形態のものがあり、例えば、平坦な台車本体の下面に複数のキャスターを取り付けてなる平台車、キャスター付き台車本体の隅部に手押し棒を立設してなる手押し台車、キャスター付き台車本体の縁部にメッシュパネル等よりなる囲いを立設してなる囲い付き台車(かご台車)等が一般に知られている。
また、台車本体の上面に物品を載置した状態で、台車ごとクレーン等で吊り上げて搬送することが可能な吊り台車も知られている。
吊り台車としては、例えば、キャスター付き台車本体の四隅部にコーナー支柱が立設され、前後左右に隣り合うコーナー支柱の上端部どうしの間に上枠材が渡し止められ、台車本体の縁部、前後左右に隣り合うコーナー支柱および上枠材によって形成された方形枠にメッシュパネル等よりなる側壁を取り付け、各コーナー支柱の上端部または上枠材に台車吊上げ用連結金具を取り付けてなるものが挙げられる。
【0003】
上述した各種台車は、通常、それぞれの形態に応じた個別の構造を有しており、形態の変更はできないようになっている。
ここで、下記の特許文献1には、平面より見て方形の載置部を有する台車本体と、台車本体の下面に取り付けられたキャスターと、台車本体の四隅部に垂直に立てられた4本の単管パイプ製の手押し棒と、各手押し棒の上下両端部を除いた長さ中間部に取り付けられかつ前後方向内方および左右方向内方に開口した溝形の横断面を有する2つの支持部を有している支持部材と、前後または左右に隣り合う手押し棒に取り付けられた支持部材の互いに向かい合う支持部に両端部が嵌め入れられている側壁とを備えている運搬台車が開示されている。
上記の運搬台車によれば、構成部品の組み合わせを変えることによって、複数の形態の台車とすることができる。すなわち、同運搬台車は、台車本体およびキャスターの組み合わせによって平台車の形態となされ、同平台車に手押し棒を組み合わせることにより手押し台車の形態となされ、同手押し台車に支持部材および側壁を組み合わせることにより囲い付き台車の形態となされる。したがって、上記の運搬台車によれば、部品の共通化が可能となり、コストが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の運搬台車の場合、囲い付き台車の形態とするためには支持部材を使用する必要があり、それだけ部品点数が増加するという問題があった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、囲い付き台車の形態とするために支持部材を使用する必要がなく、また、構成部品の組み合わせを適宜変更することにより、平台車や手押し台車等としても使用可能な台車を低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)平面より見て略方形の平坦な台車本体を有しかつ台車本体の四隅部に上方に開口するように挿入孔が形成されている台車において、台車本体の挿入孔内に下端部が挿入されて立設される手押し棒であって、
平面より見て全体が挿入孔内に収まるような同一の横断面形状を全長にわたって有している単一の垂直な形材よりなり、
前後方向内側部および左右方向内側部に、台車本体の四隅部に立設された前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒に垂直なサイドパネルよりなる横架材を渡し止めるために、同サイドパネルの端部よりなる嵌合凸部を嵌め入れうる嵌合凹溝が、手押し棒の全長にわたって形成されている、台車用手押し棒。
【0009】
2)台車本体の挿入孔に挿入される下端部を除いた立ち上がり部分が、いずれの高さ位置においても、手で持つ部分またはサイドパネルの端部を支持する部分として選択的に機能しうる、上記1)の台車用手押し棒。
【0010】
3)前後左右の4つの側壁を有する中空状の垂直な形材よりなり、4つの側壁のうち前後方向内側壁および左右方向内側壁に前記嵌合凹溝が形成されている、上記1)または2)の台車用手押し棒。
【0011】
4)台車本体の中心側に位置するコーナー部に、面取り部が設けられている、上記3)の台車用手押し棒。
【0012】
5)台車本体の中心と反対側に位置するコーナー部に、溝形凹部が設けられている、上記3)または4)の台車。
【0013】
6)前後方向内側壁に形成された嵌合凹溝の一方の開口縁が、左右方向外側壁の前後方向内側縁によって構成されているとともに、同嵌合凹溝の他方の開口縁よりも前後方向外側に配置されており、
また、左右方向内側壁に形成された嵌合凹溝の一方の開口縁が、前後方向外側壁の左右方向内側縁によって構成されているとともに、同嵌合凹溝の他方の開口縁よりも左右方向外側に配置されている、上記3)~5)のいずれか1つの台車用手押し棒。
【0014】
7)四隅部に上方に開口した挿入孔を有している平面より見て略方形の平坦な台車本体と、
台車本体の下面に取り付けられている複数のキャスターと、
台車本体の各挿入孔に下端部が挿入されて立設されている4本の手押し棒とを備えており、
各手押し棒が、上記1)~6)のいずれか1つの台車用手押し棒からなる、台車。
【0015】
8)さらに、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒の立ち上がり部分どうしの間に渡し止められている前後左右の横架材を備えており、
前後左右の各横架材が垂直なサイドパネルよりなり、
サイドパネルの端部よりなる嵌合凸部が、手押し棒の嵌合凹溝に嵌め入れられており、
1枚のサイドパネルまたは上下に並んだ複数枚のサイドパネルによって、前後左右の各側壁が形成されている、上記7)の台車。
【発明の効果】
【0016】
この発明の台車用手押し棒によれば、横架材の端部を接続するための嵌合凹部を有する垂直な形材よりなるので、上記特許文献1記載の運搬台車のような支持部材を使用することなく、コストを抑えながら、囲い付き台車や吊り台車を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る台車の斜視図である。
【
図5】
図3のV-V線に沿う部分拡大断面図である。
【
図6】
図3のVI-VI線に沿う部分拡大断面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線に沿う部分拡大断面図である。
【
図8】同台車を2台積み重ねた状態を示す正面図である。
【
図9】この発明の第2の実施形態に係る台車の左側面図である。
【
図11】同台車に用いられるサイドパネルの詳細を示すものであって、(a)は中間省略した平面図であり、(b)は中間省略した正面図であり、(c)は(a)のc-c線に沿う断面図であり、(d)は同サイドパネルに収容されたパネル固定用レバーの拡大平面図である。
【
図12】同サイドパネルの端部と手押し棒との連結構造を示す部分拡大左側面である。
【
図13】同連結構造を示す部分拡大水平断面図である。
【
図14】この発明の第3の実施形態に係る台車を示すものであって、(a)は平面図であり、(b)は左側面図である。
【
図15】この発明の第4の実施形態に係る台車の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、
図1ないし
図19を参照して、この発明の実施形態を説明する。
なお、以下の説明において、
図3,9,14,16の各右を「前」、同左を「後」といい、「左右」は前から見た場合の左右(
図4,8,10,17の各左右)をいうものとする。
【0019】
[第1の実施形態]
図1ないし
図8は、この発明の第1の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1A)は、四隅部に上方に開口した挿入孔(2a)を有している平面より見て略方形の平坦な台車本体(2)と、台車本体(2)の下面に取り付けられている複数のキャスター(3)と、台車本体(2)の各挿入孔(2a)に下端部が挿入されて台車本体(2)に固定されている4本の手押し棒(4)と、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち少なくとも上部どうしの間または長さ中間部どうしの間に渡し止められている前後左右の横架材(5)と、各手押し棒(4)の上部に取り付けられている台車吊上げ用連結金具(6)とを備えている。
【0020】
台車本体(2)は、平面より見て前後に長い方形をしており、縦横格子状に組み立てられたフレーム(21)と、フレーム(21)の上面側における四隅部を除く部分に取り付けられた複数の天板(22a)(22b)と、フレーム(21)の下面側の四隅部に取り付けられた4枚のキャスター取付板(23)とを有している。
台車本体(2)の上面の四隅部には、
図14に示す平台車の形態とした場合において、複数の台車(1C)を上下に積み重ねた際に上位の台車(1C)のキャスター(3)が収容される平面より見て略方形のキャスター収容凹所(24)が形成されている。
フレーム(21)は、格子状に連結される各複数本の縦フレーム材(21a)および横フレーム材(21b)と、コーナー部において外周部を構成する縦フレーム材(21a)と横フレーム材(21b)とを連結するコーナー用連結材(21c)とよりなる。縦フレーム材(21a)と横フレーム材(21b)、ならびに、コーナー用連結材(21c)と縦フレーム材(21a)および横フレーム材(21b)とは、それぞれボルト・ナットにより組立分解可能に連結されている(
図2,5等参照)。
コーナー用連結材(21c)は、
図5に示すように、前後左右の4つの側壁を有するとともに出隅側および入隅側のコーナー部が斜めに面取りされた横断面略六角形の垂直筒部(211)と、垂直筒部(211)の前後方向内側壁から前後方向内方に向かって突出した互いに平行な2つの垂直壁よりなる第1連結部(212)と、垂直筒部(211)の左右方向内側壁から左右方向内方に向かって突出した互いに平行な2つの垂直壁よりなる第2連結部(213)とを有している。そして、垂直筒部(211)の内部によって、上下に開口した貫通状の挿入孔(2a)が形成されている。従って、この実施形態では、台車本体(2)の四隅部の挿入孔(2a)は、横断面略六角形となされている。なお、垂直筒部(211)の下端部に、手押し棒(4)の下端を受けるための底部が設けられていてもよい。同底部があれば、後述するように手押し台車の形態で使用する際に、手押し棒(4)の下端部を台車本体(2)の挿入孔(2a)に挿入するだけで、手押し棒(4)を台車本体(2)の隅部に立設することができるので、組立が容易となる。上記の底部は、例えば、垂直筒部(211)における出隅部および入隅部の内面にそれぞれボルト・ナットで取り付けられた1対の垂直板状の底部材(214)によって構成することができる(
図14参照)。
天板には、左右外側の縦フレーム材(21a)の長さ中間部に渡し止められている長尺の天板(22a)と、前後各外側の横フレーム材(21b)とこれらの内側に位置する中間の横フレーム材(21b)の長さ中間部に渡し止められている短尺の天板(22b)とが含まれている。各天板(22a)(22b)は、例えばリベットによって、所要のフレーム材(21a)(21b)の上面に固定されている。
各キャスター取付板(23)は、平面より見て略方形状であって、ボルト・ナットによりフレーム(2)に取り付けられている。各キャスター取付板(23)によって、キャスター収容凹所(24)の底部が構成されている。
台車本体(2)を構成している上記の各フレーム材(21a)(21b)(21c)、天板(22a)(22b)、キャスター取付板(23)は、それぞれ軽金属製の形材によって形成されているのが好ましく、より好ましくは、軽量で強度があって加工性、耐食性にも優れているアルミニウム合金製の形材により形成される。
なお、台車本体の構成は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。
【0021】
キャスター(3)は、その上部に設けられた水平なベース板(31)が、キャスター取付板(23)の下面にボルト・ナットで固着されることにより、台車本体(2)下面の四隅部に取り付けられている(
図2~4参照)。また、各キャスター(3)には、車輪(32)の回転を阻止するレバー型のストッパ(33)が揺動自在に取り付けられている(
図1,3等参照)。
なお、キャスターの個数、配置、構造および取付手段は、上記態様には限定されず、適宜変更可能である。
【0022】
手押し棒(4)は、台車本体(2)の四隅部の挿入孔(2a)に下端部を挿入しうる垂直な形材よりなる。手押し棒(4)の材質は特に限定されないが、好ましくは軽金属製の形材よりなり、さらに好ましくはアルミニウム合金製の形材よりなる。
より詳細には、手押し棒(4)は、
図5等に示すように、前後左右の4つの側壁(41)(42)(43)(44)を有するとともに、出隅側のコーナー部に溝形凹部(45)を有し、さらに入隅側のコーナー部に凸円弧状の面取り部(46)を有している中空状のものである。手押し棒(4)の前後方向内側壁(41)には、前後方向内側に開口した横断面略U形の嵌合凹溝(4a)が形成されている。また、手押し棒(4)の左右方向内側壁(43)には、左右方向内側に開口した横断面略U形の嵌合凹溝(4a)が形成されている。手押し棒(4)の内部には、2つの嵌合凹溝(4a)と出隅側の溝形凹部(45)との間の部分に、それぞれナット収容用内部拡大溝(47)が形成されている。また、面取り部(46)の内側および溝形凹部(45)には、それぞれ横断面略C形のビス取付部(48)が形成されている。
手押し棒(4)の前後方向内側壁(41)に形成された嵌合凹溝(4a)の一方の開口縁(401)が、手押し棒(4)の左右方向外側壁(44)の前後方向内側縁によって構成されているとともに、同嵌合凹溝(4a)の他方の開口縁(402)よりも前後方向外側に配置されている(図5参照)。
また、手押し棒(4)の左右方向内側壁(43)に形成された嵌合凹溝(4a)の一方の開口縁(403)が、手押し棒(4)の前後方向外側壁(42)の左右方向内側縁によって構成されているとともに、同嵌合凹溝(4a)の他方の開口縁(404)よりも左右方向外側に配置されている(図5参照)。
一般に、手押し棒は単管パイプ等によって構成されるが、この実施形態の手押し棒(4)の場合、後述するサイドパネル(5)(横架材)の端部(嵌合凸部)(5a)を嵌め入れるための嵌合凹溝(4a)が形成されているため、上記特許文献1記載の手押し棒のような支持部材を使用する必要がないので、それだけ部品点数が少なくなり、コストが抑えられる。また、この実施形態の手押し棒(4)は、手で持った際に手を圧迫するような凸部を有しないため、持ち易く、取扱性にも優れている。
手押し棒(4)の下端部は、台車本体(2)の四隅部の挿入孔(2a)に挿入されて、後述するスペーサ板(7)およびコーナーガイド部材(7)ととともに、計4組のボルト・ナットによって、コーナー用連結材(21c)の垂直筒状部(211)に取り外し可能に固定されている。
手押し棒(4)の上端部には、平面より見て略六角形のエンドキャップ(4b)がタッピングビスで取り付けられており、それによって手押し棒(4)の上方開口が塞がれている。
【0023】
横架材は、この実施形態では、垂直なサイドパネル(5)により構成されている。サイドパネル(5)は、前後または左右に長い中空形材、好ましくは軽金属製の中空形材よりなり、さらに好ましくはアルミニウム合金製の中空形材よりなる。
より詳細には、サイドパネル(5)は、垂直な内側壁(51)および外側壁(52)、ならびに、水平な上壁(53)および下壁(54)を有しているとともに、その内部に、上下2つの水平な補強壁(55)(56)を有しているものである(
図7参照)。
サイドパネル(5)は、前後および左右にそれぞれ隣り合う手押し棒(4)に、上下に並んで複数枚ずつ(ここでは5枚ずつ)渡し止められており、これらのサイドパネル(5)によって、前後左右の側壁(50)が構成されている。したがって、台車本体(2)の上に小さな物品を載置する場合でも、メッシュパネルよりなる側壁のように物品が外部にこぼれ落ちるおそれがない。最上位のサイドパネル(5)は、4本の手押し棒(4)を強固に連結して吊り台車としての強度を確保できる範囲で、前後または左右に隣り合う手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち上部または高さ中間部の任意の高さ位置に渡し止めればよく、この実施形態では、隣り合う手押し棒(4)の上端よりもやや下方位置に渡し止められている。最上位のサイドパネル(5)は、例えば、水平筒状の中空形材等で代替することも可能である。最上位のサイドパネル(5)よりも下方のサイドパネル(5)は、その全部または一部を省略することが可能であり、それによって例えば長尺の物品を台車本体(2)に載置して運搬することも可能となる。また、最上位のサイドパネル(5)よりも下方のサイドパネル(5)については、メッシュパネル等に変更することも可能である。
図7に詳しく示すように、サイドパネル(5)の下縁部、より詳細には下壁(54)の長さ中央部に、ビスが下方からねじ込まれて取り付けられており、同ビスの頭部によって嵌合突起(5b)が構成されている。一方、サイドパネル(5)の上縁部、より詳細には上壁(53)の長さ中央部に、ビスの頭部よりなる嵌合突起(5b)を嵌め入れうる嵌合孔(5c)が形成されている。以上の構成により、上下に並べられたサイドパネル(5)どうしの連結強度が高められ、ひいては側壁(50)の剛性が高められる。最上位のサイドパネル(5)の嵌合孔(5c)は、同孔(5c)に嵌め込まれたキャップ(5d)によって塞がれている。なお、嵌合突起(5b)および嵌合孔(5c)は、上記構成とは上下逆になるように、サイドパネル(5)の上下縁部に形成してもよい。
この実施形態の場合、サイドパネル(5)の端部よりなる嵌合凸部(5a)は、これと向かい合う手押し棒(4)の嵌合凹溝(4a)に嵌め込まれて、リベット(R)により手押し棒(4)に固定されている(
図6参照)。これにより、4本の手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち上端部を除いた部分が前後左右の各複数枚のサイドパネル(5)によって強固に連結一体化されるので、物品を積載した状態で台車(1A)を吊り上げるのに必要な耐荷重強度が得られる。
【0024】
台車吊上げ用連結金具(6)は、台車(1A)を吊り上げる際に、チェーン(C)やワイヤロープ等の一端部を連結するために使用されるものである。この実施形態では、同連結金具は、シャックル(6)よりなる。シャックル(6)のピン(62)(またはボルト)は、手押し棒(4)の上部に2つの嵌合凹溝(4a)を避けて対角線方向にのびる水平貫通状の挿通孔(図示略)に挿通されている(
図6参照)。挿通孔は、シャックル(6)のU形本体(61)を上向きに回動させた際に手押し棒(4)と干渉しないような高さ位置に形成されているのが好ましい。
なお、台車吊上げ用連結金具は、上記のようなシャックル(6)には限定されず、適宜変更可能である。
【0025】
台車本体(2)の四隅部には、スタック用コーナーガイド部(7)が設けられている。
コーナーガイド部は、横断面L形の垂直なコーナーガイド部材(7)よりなる。コーナーガイド部材(7)は、台車本体(2)のコーナー用連結材(21c)の出隅側部分に、横断面L形の垂直なスペーサ板(25)を介して、手押し棒(4)の下端部とともに、ボルト・ナットにより垂下状に取り付けられている。
図8に示すように、複数の台車(1A)が上下に積み重ねられた際、下位の台車(1A)の4本の手押し棒(4)の上端部に、上位の台車(1A)における台車本体(2)の四隅部のコーナー用連結材(21c)の下面が載置されるが、そのままでは上下の台車(1A)どうしが水平方向にずれるおそれがある。そこで、上記のように台車本体(2)の四隅部にスタック用コーナーガイド部(7)を垂下状に設けておけば、上位の台車(1A)の四隅部のコーナーガイド部(7)が、下位の台車(1A)の各手押し棒(4)の上端部に外側から当接または近接させられて、積み重ねられた台車(1A)どうしの水平方向相対移動が阻止されるので、積み重ね時の安全性が確保される。
なお、コーナーガイド部は、上記のようにコーナーガイド部材(7)によって構成する他、台車本体(2)のコーナーフレーム材(21c)自体にコーナーガイド部を一体に設けたものとしてもよい。
【0026】
上記第1の実施形態の台車(1A)によれば、台車本体(2)の四隅部に手押し棒(4)の下端部が固定され、4本の手押し棒(4)の立ち上がり部分のうち上端部を除く部分が、前後左右のサイドパネル(5)によって連結一体化されているので、台車本体(2)に物品を積載した状態で台車(1A)を吊り上げるのに必要な耐荷重強度が確実に得られる。
そして、各手押し棒(4)の上部の台車吊上げ用連結金具(6)に、例えばチェーン(C)やワイヤロープ等の一端部を連結するとともに、同他端部をクレーンの吊り上げフック等に引っ掛け、この状態でクレーン等の吊り上げ手段により台車(1A)を安定した状態で吊り上げることができる。
また、上記台車(1A)の場合、各手押し棒(4)にサイドパネル(5)の端部(5a)よりなる嵌合凸部を接続するための嵌合凹溝(4a)が形成されており、上記特許文献1記載の運搬台車のような支持部材を使用する必要がないので、それだけ部品点数が少なくてすむ。しかも、上記台車(1A)によれば、手押し棒(4)とサイドパネル(5)との嵌合構造が単純化される。
従って、上記台車(1A)によれば、吊り台車として支障なく使用することができる上、製造コストも抑えられるので、比較的安価で提供することが可能である。
また、上記台車(1A)の場合、各構成部品をアルミニウム合金製とすることにより、吊り台車として必要な耐荷重強度を確保しながら、軽量化が図られるので、移動負担が大幅に低減され、取扱性が向上する。
【0027】
[第2の実施形態]
図9ないし
図13は、この発明の第2の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1B)は、以下の点を除いて、
図1ないし
図8に示す第1の実施形態の台車(1B)と実質的に同一である。
すなわち、この実施形態の台車(1B)では、各サイドパネル(5)の両端部内にそれぞれパネル固定用レバー(8)が配置されている。
パネル固定用レバー(8)は、平面より見て長さ中間部で略クランク状に折れ曲がった形状を有するものであって、サイドパネル(5)の内側壁(51)の内面に当接しうるように長さ中間部に設けられた内方凸状の支点(8a)を中心として、水平方向に揺動自在となされている。
パネル固定用レバー(8)は、その一端部に、サイドパネル(5)の内側壁(51)に形成された貫通孔(51a)を通じて、手押し棒(4)の嵌合凹溝(4a)の内側面に形成された係合孔(4c)に挿入される係合凸部(8b)を有しているとともに、その他端部に、サイドパネル(5)の外側壁(52)に形成された貫通孔(52a)を通じてサイドパネル(5)の外方に突出させられる操作凸部(8c)を有している。
【0028】
さらに、サイドパネル(5)の両端部内には、係合凸部(8b)が係合孔(4c)に挿入されるとともに操作凸部(8c)がサイドパネル(5)の外方に突出させられる揺動方向にパネル固定用レバー(8)を付勢するスプリング(付勢部材)(9)が配置されている。
スプリング(9)は、その一端部がパネル固定用レバー(8)の一端部に設けられたスプリング保持用突起(8d)に嵌められた状態で、パネル固定用レバー(8)の一端部とサイドパネル(5)の外側壁との間に介在されている。
【0029】
上記第2の実施形態の台車(1B)によれば、手押し棒(4)とサイドパネル(5)の端部との固定操作および固定解除操作を、パネル固定用レバー(8)によって簡単に行うことができる。
すなわち、例えば、前後または左右に隣り合う手押し棒(4)の嵌合凹溝(4a)に、サイドパネル(5)の端部(5a)を、片手の指でパネル固定用レバー(8)の操作凸部(8c)を押しながら、上方から嵌め込む。そして、サイドパネル(5)の端部(5a)が所定高さ位置に来た時点で、操作凸部(8c)から指を離すと、スプリング(9)のばね弾性力によってパネル固定用レバー(8)が所定方向に揺動させられ、パネル固定用レバー(8)の係合凸部(8b)が手押し棒(4)の係合孔(4c)に挿入される。これにより、サイドパネル(5)の端部(5a)が手押し棒(4)に固定される。一方、固定状態を解除して、サイドパネル(5)を手押し棒(4)から取り外す場合には、上記と逆の操作を行えばよい。
従って、この実施形態の台車(1B)は、例えば、積載物品の種類や運搬方法等に応じて、全部または一部のサイドパネル(5)を着脱する機会が比較的多い場合に好適に用いることができる。
【0030】
[第3の実施形態]
図14は、この発明の第3の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1C)は、
図1ないし
図8に示す第1の実施形態の台車(1A)または
図9ないし
図13に示す第2の実施形態の台車(1B)を、平台車として使用する形態に変更したものである。
すなわち、図示の台車(1C)は、第1または第2の実施形態の台車(1A)(1B)から、台車吊上げ用連結金具(6)、サイドパネル(5)および手押し棒(4)、ならびにコーナーガイド部材(7)およびスペーサ板(25)を取り外したものである。
また、図示は省略したが、第1または第2の実施形態の台車(1A)(1B)から、台車吊上げ用連結金具(6)およびサイドパネル(5)を取り外すことにより、台車本体(2)の四隅部に手押し棒(4)が立設された手押し台車の形態とすることも勿論可能である。この場合、4本のうち一部の手押し棒(4)を取り外しても構わない。
さらには、第1または第2の実施形態の台車(1A)(1B)から、台車吊上げ用連結金具(6)を取り外すことにより、台車本体(2)の外周部が前後左右の側壁(50)で囲まれた囲い付き台車として使用することも可能である。この場合、前後左右の側壁(50)のうち一部の側壁(50)を構成するサイドパネル(5)を取り外しても構わない。
以上から明らかなように、この発明の台車によれば、吊り台車(1A)(1B)として好適に使用可能であることは勿論、平台車(1C)、手押し台車、さらには囲い付き台車の形態に簡単に変更して使用することができ、きわめて使い勝手がよい。
【0031】
[第4の実施形態]
図15ないし
図19は、この発明の第4の実施形態に係る台車を示したものである。
この実施形態に係る台車(1D)は、以下の点を除いて、
図1ないし
図8に示す第1の実施形態の台車と実質的に同一である。
すなわち、この実施形態の台車(1D)は、前後左右の最上位のサイドパネル(横架材)(5)にまたがって載置される平面より見て略方形の蓋板(10)を備えている。蓋板は、樹脂や金属等の板材よりなる蓋板本体(10a)と、蓋板本体(10a)の裏面に接合された格子状の補強フレーム(10b)とを備えている。蓋板(10)の四隅部は、4本の手押し棒(4)の上部と干渉しないように、平面より見てL形に切り欠かれている。
【0032】
蓋材(10)の前後縁部には、それらの長さ中間位置に、蓋板固定用バー(11)の上端部が揺動自在に連結されている。この実施形態では、蓋板固定用バー(11)は、前後方向外方に開口した横断面略U形の形材よりなり、その上端部が、蓋材(10)の前後縁部に設けられた連結部(10c)にヒンジ結合されている。各蓋板固定用バー(11)の下端部には、台車本体(2)下面の前後縁部に掛け止められる鉤部(11a)が前後方向内方に向かって突出するように形成されている。なお、蓋板固定用バー(11)は、蓋材(10)の前後縁部に代えて、または同前後縁部に加えて、蓋材(10)の左右縁部に取り付けるようにしてもよい。
【0033】
また、この実施形態の台車(1D)は、鉤部(11a)が台車本体(2)下面の前後縁部から外れる方向に蓋板固定用バー(11)が揺動するのを阻止しうるロック手段を備えている。
ロック手段は、蓋板(10)の前後縁部における連結部(10c)の下方位置に取り付けられたU形フック(12)と、U形フック(12)に掛け止められる南京錠(13)とよりなる。U形フック(12)は、その先端側部分が、蓋板固定用バー(11)の上端部に形成された縦長のスリット(図示略)を通じて、蓋板固定用バー(11)の外側に突出させられるようになっている。
なお、ロック手段は、上記構成には限定されず、適宜変更可能である。
【0034】
この実施形態の台車(1D)によれば、台車本体(2)に積載された物品を蓋板(10)によって覆うことができるので、積載された物品の破損や劣化等が効果的に抑制される。また、上記台車(1D)によれば、蓋材固定用バー(11)およびロック手段(12)(13)によって蓋板(10)が外れないロック状態とすることができるため、優れた盗難防止効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、物品を積載して運搬するための台車であって、特に吊り台車として好適に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
(1A)(1B)(1C)(1D):台車
(2):台車本体
(3):キャスター
(4):手押し棒
(4a):嵌合凹溝(嵌合凹部)
(4c):係合孔
(50):側壁
(5):サイドパネル(横架材)
(5a):嵌合凸部(サイドパネルの端部)
(5b):嵌合突起
(5c):嵌合孔
(51):内側壁
(51a):貫通孔
(52):外側壁
(52a):貫通孔
(6):台車吊上げ用連結金具
(7):スタック用コーナーガイド部
(8):パネル固定用レバー
(8a):支点
(8b):係合凸部
(8c):操作凸部
(9):スプリング(付勢部材)
(10):蓋板
(11):蓋板固定用バー
(11a):鉤部
(12):U形フック(ロック手段)
(13):南京錠(ロック手段)
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】