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特開2024-133286CARおよび転写因子を発現する細胞、ならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133286
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】CARおよび転写因子を発現する細胞、ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240920BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240920BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240920BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240920BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240920BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240920BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
A61K35/17
A61K35/12
A61P35/00
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114672
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2022126972の分割
【原出願日】2017-12-20
(31)【優先権主張番号】1621889.3
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】517215973
【氏名又は名称】オートラス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マーティン プーレ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ショーン コルドバ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン チェアン リム
(57)【要約】
【課題】CARおよび転写因子を発現する細胞、ならびにその使用の提供。
【解決手段】本発明者らは、細胞内で転写因子とCARを共発現させることにより、細胞の分化および/または疲弊の予防あるいは低減が可能になるということを見出した。これは、免疫治療のための細胞組成物内でナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、および幹細胞様メモリー細胞の割合を増やすほど、in vivoでの当該細胞の持続性および拡張がより有効になるという結果をもたらす。本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の外因性核酸分子および転写因子をコードする第2の外因性核酸分子を含む細胞を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)および転写因子を共発現する細胞に関する。当該転写因子の発現は、in vitroおよび/またはin vivoにおいて、細胞の分化および/または疲弊を防ぐか、あるいは低減し得る。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
キメラ抗原受容体は、モノクローナル抗体(mAb)の特異性をT細胞のエフェクター機能へと移植するタンパク質である。その通常の形は、抗原を認識するアミノ末端、スペーサー、膜貫通ドメイン、および細胞内T細胞シグナリングドメインを有するI型膜貫通ドメインタンパク質である。CAR技術は、任意の表面抗原に対して特異的な多数のT細胞の生成を可能にする。細胞は、例えば末梢血T細胞集団の、ex vivoなウイルスベクター形質導入によって作られる。形質導入された細胞は、CARを発現し、そして疾患の治療のための養子免疫治療のために用いられ得る。
【0003】
臨床上有効な、治療量のT細胞を生成するためには、形質導入および拡張に先立ってT細胞の活性化が必要である。既存のT細胞の活性化/拡張法は通常、かなりのT細胞の分化を伴い、そして移植されたT細胞の、一時的な生存、持続性の欠如、およびin vivoでの拡張の欠如を含む一時的な効果をもたらし得る。これまで、CAR-T細胞免疫治療の臨床上の有効性は、不十分なT細胞拡張、および患者内への注入後の不十分な持続性によって限定されている。したがって、in vivoで生存し、拡張し、そして持続する、改善された治療用CAR-T細胞組成物が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】各細胞タイプと関連する発現マーカーを示す、T細胞分化の直線モデルを例示する模式図。APC-抗原提示細胞;TCM-セントラルメモリーT細胞;TEFF-エフェクターT細胞;TEM-エフェクターメモリーT細胞;TN-ナイーブT細胞;TSCM-Tメモリー幹細胞。
図2】形質導入後(0日目)、およびCD19を発現する標的細胞との24時間の共培養から6日後(7日目)での、エフェクター細胞、エフェクターメモリー(EM)細胞、セントラルメモリー(CM)細胞、およびナイーブ細胞の割合を示すグラフ。T細胞は、非形質導入(NT)であるか、CARのみを発現するベクター(HD37)を用いて形質導入されたか、またはCARおよび転写因子FOXO1を発現するベクター(HD37-FOXO1)を用いて形質導入されたかのいずれか(wither)であった。CD4+およびCD8+の部分集団が、別々に解析された。
図3】CD19を発現する標的細胞との24時間の共培養から6日後での、CD4+T細胞およびCD8+T細胞における、CD27およびCD62Lの発現を示すグラフ。T細胞は、非形質導入(NT)であるか、CARのみを発現するベクター(HD37)を用いて形質導入されたか、CARおよび転写因子EOMESを発現するベクター(HD37-EOMES)を用いて形質導入されたか、またはCARおよび転写因子FOXO1を発現するベクター(HD37-FOXO1)を用いて形質導入されたかのいずれか(wither)であった。
図4】CD19を発現する標的細胞との24時間の共培養から6日後での、CD4+T細胞およびCD8+T細胞における、CD62Lの発現を示すグラフ。T細胞は、非形質導入(NT)であるか、CARのみを発現するベクター(HD37)を用いて形質導入されたか、またはCARと転写因子Runx3およびCBFベータとを発現するベクター(HD37-Runx3_CBFベータ)を用いて形質導入されたかのいずれか(wither)であった。
図5】形質導入後(0日目)、およびCD19を発現する標的細胞との24時間の共培養から6日後(7日目)での、エフェクター細胞、エフェクターメモリー(EM細胞)、セントラルメモリー(CM)細胞およびナイーブ細胞の割合を示すグラフ。T細胞は、非形質導入(NT)であるか、CARのみを発現するベクター(HD37)を用いて形質導入されたか、CARおよび転写因子BACH2を発現するベクター(HD37-BACH2)を用いて形質導入されたか、またはCARおよび転写因子BACH2の変異バージョンを発現するベクター(HD37-BACH2_S520A)を用いて形質導入されたかのいずれか(wither)であった。CD4+およびCD8+の部分集団が、別々に解析された。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の側面の要約
CAR-T細胞を有効なものとするためには、当該細胞がin vivoで持続および拡張することと、過度に急速な分化および疲弊に抵抗することとが重要である。CAR T細胞の持続性および生着性は、投与されるナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、およびT幹細胞様メモリーT細胞の割合と関連する。
【0006】
本発明者らは、細胞内で転写因子とCARを共発現させることにより、細胞の分化および/または疲弊の予防あるいは低減が可能になるということを見出した。これは、免疫治療のための細胞組成物内でナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、および幹細胞様メモリー細胞の割合を増やすほど、in vivoでの当該細胞の持続性および拡張がより有効になるという結果をもたらす。
【0007】
したがって第1の側面において本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の外因性核酸分子および転写因子をコードする第2の外因性核酸分子を含む細胞を提供する。
【0008】
当該転写因子は、細胞の分化および/または疲弊を予防あるいは低減させ得る。
【0009】
当該転写因子は、BLIMP-1などのエフェクターメモリーリプレッサーであり得る。
【0010】
代替として当該転写因子は、BCL6またはBach2などのセントラルメモリーリプレッサーであり得る。
【0011】
当該転写因子は、Bach2、またはALKによってリン酸化される能力を減ぜられているか、もしくは取り除かれている改変されたバージョンのBach2であるか、あるいはこれらを含み得る。例えば改変Bach2は、配列番号2で示されるアミノ酸配列を参照して次の位置:Ser-535、Ser-509、Ser-520のうちの1つまたはそれより多くにおいて変異を含み得る。
【0012】
当該転写因子は、FOXO1であり得る。
【0013】
当該転写因子は、EOMESであり得る。
【0014】
当該転写因子は、Runx3および/またはCBFベータを含み得る。
【0015】
第2の側面において本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列、および本発明の第1の側面において定義される転写因子をコードする第2の核酸配列を含む核酸コンストラクトを提供する。
【0016】
当該核酸コンストラクトは、以下の構造:
CAR-coexpr-TF;または
TF-coexpr-CAR
を有し得、式中:
CARが当該CARをコードする核酸配列であり;
coexprがCARおよび転写因子の共発現を可能にする核酸配列であり;そして
TFが転写因子をコードする核酸配列である、核酸コンストラクトである。
【0017】
核酸配列”coexpr”は、自己切断ペプチドを含む配列をコードし得る。
【0018】
第3の側面において本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列、および本発明の第1の側面において定義される転写因子をコードする第2の核酸配列を含む核酸配列のキットを提供する。
【0019】
第4の側面において本発明は、本発明の第2の側面に記載される核酸コンストラクトを含むベクターを提供する。
【0020】
第5の側面において本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列を含む第1のベクターと;本発明の第1の側面において定義される転写因子をコードする第2の核酸配列を含む第2のベクターとを含む、ベクターのキットを提供する。
【0021】
第6の側面において本発明は、本発明の第1の側面に記載の細胞を作るための方法であって、本発明の第2の側面に記載の核酸コンストラクトか、本発明の第3の側面に記載の核酸配列のキットか、本発明の第4の側面に記載のベクターか、または本発明の第5の側面に記載のベクターのキットを、細胞内に導入するステップを含む方法を提供する。
【0022】
当該細胞は、被験体から単離される試料に由来し得る。
【0023】
第7の側面において本発明は、本発明の第1の側面に記載の複数種の細胞を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
第8の側面において本発明は、疾患の処置および/または予防のための方法であって、本発明の第7の側面に記載の医薬組成物を被験体へと投与するステップを含む方法を提供する。
【0025】
当該方法は、以下のステップを含み得る:
(i)被験体から細胞を含む試料を単離することと;
(ii)本発明の第2の側面に記載の核酸コンストラクトか、本発明の第3の側面に記載の核酸配列のキットか、本発明の第4の側面に記載のベクターか、または本発明の第5の側面に記載のベクターのキットを用いて、細胞の形質導入またはトランスフェクションをすることと;
(iii)(ii)に由来する細胞を被験体に投与すること。
【0026】
第9の側面において本発明は、疾患の処置および/または予防における使用のための、本発明の第7の側面に記載の医薬組成物を提供する。
【0027】
第10の側面において、疾患の処置および/または予防のための医薬の製造における、本発明の第1の側面に記載の細胞の使用が提供される。
【0028】
本発明の第8、第9、第10の側面に関して、当該疾患はがんであり得る。
【0029】
詳細な記載
キメラ抗原受容体(CAR)
本発明の細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性核酸分子を含む。
【0030】
古典的なCARは、細胞外抗原認識ドメイン(バインダー)を細胞内シグナリングドメイン(エンドドメイン)へとつなぐ、キメラのI型膜貫通タンパク質である。バインダーは典型的に、モノクローナル抗体(mAb)に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)であるが、抗体様の抗原結合部位を含む他の形式にも基づき得る。スペーサードメインは通常、バインダーを細胞膜から単離するために、そしてそれを適切に配向させるために必要である。一般的に用いられるスペーサードメインは、IgG1のFcである。抗原に依っては、さらにコンパクトなスペーサー(例えば、CD8α由来の軸およびIgG1のヒンジのみ)が十分であり得る。膜貫通ドメインは当該タンパク質を細胞膜内に係留し、そしてエンドドメインにスペーサーをつなぐ。
【0031】
初期のCAR設計は、FcεR1またはCD3ζいずれかのγ鎖の細胞内部分に由来するエンドドメインを有した。結果としてこれらの第1世代の受容体は、T細胞による同源の標的細胞の殺滅を誘発するに足るが、T細胞が増殖して生存するようにT細胞を完全には活性化できない免疫シグナル1を伝達した。この制限を克服するために、混成エンドドメインが構築された:T細胞共刺激分子の細胞内部位とCD3ζの細胞内部位との融合体は、抗原認識後に活性化シグナルおよび共刺激シグナルを同時に伝達し得る第2世代の受容体をもたらす。もっとも一般的に用いられる共刺激ドメインは、CD28のものである。これは、もっとも強力な共刺激シグナル-T細胞増殖を誘発するいわゆる免疫シグナル2を供給する。TNF受容体ファミリー(生存シグナルを伝達し、密接に関係するOX40および41BBなど)のエンドドメインを含むいくつかの受容体も、記載されている。活性化シグナル、増殖シグナル、および生存シグナルを伝達し得るエンドドメインを有する、さらにいっそう強力な第3世代のCARも、現在記載されている。
【0032】
CARをコードする核酸は、例えばレトロウイルスベクターを用いて、T細胞に輸送され得る。レンチウイルスベクターも使用され得る。この方法において、多数のがん特異的T細胞が養子細胞移植のために生成され得る。CARが標的抗原に結合すると、これは、CARが発現されるT細胞への活性化シグナルの伝達をもたらす。したがってCARは、標的抗原を発現する腫瘍細胞に対するT細胞の特異性及び細胞傷害性を導く。
【0033】
したがって、典型的にCARは、(i)抗原結合ドメインと;(ii)スペーサーと;(iii)膜貫通ドメインと;(iii)シグナリングドメインを含むか、またはそれと関連する細胞内ドメインとを含む。
【0034】
抗原結合ドメイン
抗原結合ドメインは、抗原を認識するCARの部分である。多数の抗原結合ドメイン(抗体、抗体模倣物、およびT細胞受容体の抗原結合部位に基づくものを含む)が本分野で既知である。抗原結合ドメインは例えば、モノクローナル抗体に由来する一本鎖可変フラグメント(scFv)か;標的抗原の天然リガンドか;標的に対して十分な親和性を有するペプチドか;シングルドメイン抗体か;Darpin(設計アンキリンリピートタンパク質)などの人工的なシングルバインダーか;またはT細胞受容体に由来する一本鎖を含み得る。
【0035】
抗原結合ドメインは、抗体の抗原結合部位に基づかないドメインを含み得る。抗原結合ドメインは例えば、腫瘍細胞の表面受容体に対する可溶性リガンドであるタンパク質/ペプチド(例えば、サイトカインまたはケモカインなどの可溶性ペプチド)に基づくドメインか;膜に係留されるリガンドもしくは受容体の細胞外ドメインであって、これと結合するペア対応物が腫瘍細胞上で発現される細胞外ドメインを含み得る。
【0036】
抗原結合ドメインは、抗原の天然リガンドに基づき得る。
【0037】
抗原結合ドメインは、コンビナトリアルライブラリーに由来する親和性ペプチド、または新規に設計された親和性タンパク質/ペプチドを含み得る。
【0038】
スペーサードメイン
CARは、抗原結合ドメインを膜貫通ドメインとつなぎ、そして抗原結合ドメインをエンドドメインから空間的に分離するためのスペーサー配列を含む。柔軟なスペーサーは、結合を促進するために抗原結合ドメインが異なる方向に配位することを可能にする。
【0039】
膜貫通ドメイン
膜貫通ドメインは、膜を渡るCARの配列である。
【0040】
膜貫通ドメインは、膜内において熱力学的に安定な任意のタンパク質構造であり得る。典型的にこれは、いくつかの疎水性残基を含むアルファヘリックスである。任意の膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインが、本発明の膜貫通部分を供給するために用いられ得る。タンパク質の膜貫通ドメインの存在および幅は、当業者によりTMHMMアルゴリズム(http://www.cbs.dtu.dk/services/TMHMM-2.0/)を用いて判別され得る。さらに、タンパク質の膜貫通ドメインが相対的に単純な構造(すなわち、膜を渡るために十分な長さの疎水性アルファヘリックスを作ると予想されるポリペプチド配列)であるとすると、人工的に設計されたTMドメインも用いられ得る(米国特許第7052906B1号は、合成膜貫通コンポーネントについて記載している)。
【0041】
膜貫通ドメインはCD28に由来し得、これは優れた受容体安定性を与える。
【0042】
エンドドメイン
エンドドメインは、CARのシグナル伝達部分である。それはCARの細胞内ドメインの一部であるか、またはそれと関連し得る。抗原認識後に受容体はクラスターを形成し、天然のCD45およびCD148がシナプスから除外され、そして細胞にシグナルが伝達される。もっとも一般的に用いられるエンドドメインのコンポーネントは、3つのITAMを含むCD3ゼータのものである。これは抗原の結合後、活性化シグナルをT細胞へと伝達する。CD3ゼータは、完全に適格(competent)な活性化シグナルを提供し得ず、追加の共刺激シグナルが必要となり得る。例えば、キメラのCD28およびOX40が、CD3ゼータと共に増殖/生存シグナルを伝達するために用いられ得、または3つすべてが一緒に用いられ得る。
【0043】
本発明のCARまたはTanCARのエンドドメインは、CD28のエンドドメインならびにOX40およびCD3ゼータのエンドドメインを含み得る。
【0044】
当該エンドドメインは:
(i)CD3ゼータ由来のエンドドメインなどのITAMを含むエンドドメイン;および/または
(ii)CD28由来のエンドドメインなどの共刺激ドメイン;および/または
(iii)例えばTNF受容体ファミリー(OX-40または4-1BBなど)のエンドドメインといった生存シグナルを伝達するドメイン
を含み得る。
【0045】
抗原認識部分がシグナル伝達部分とは別個の分子上にある、多数の系が記述されている(国際公開第015/150771号;国際公開第2016/124930号および国際公開第2016/030691号に記載のものなど)。したがって本発明の細胞に発現されたCARは、抗原結合ドメインおよび膜貫通ドメインを含む抗原結合コンポーネントを含み得る;この抗原結合コンポーネントは、シグナリグドメインを含む別個の細胞内シグナリングコンポーネントと相互作用し得る。本発明の細胞は、抗原結合コンポーネントおよび細胞内シグナリングコンポーネントなどを含むCARシグナリング系を含み得る。
【0046】
シグナルペプチド
本発明の細胞はシグナルペプチドを含み得、そのためCARが細胞内で発現されるとき、新生タンパク質は小胞体へと、その後にその発現場所である細胞表面へと導かれる。
【0047】
シグナルペプチドは、分子のアミノ末端にあり得る。
【0048】
本発明のCARは、一般式:
シグナルペプチド-抗原結合ドメイン-スペーサードメイン-膜貫通ドメイン-細胞内T細胞シグナリングドメイン(エンドドメイン)
を有し得る。
【0049】
転写因子
本発明の細胞は、転写因子をコードする外因性核酸分子を含む。
【0050】
転写因子は特定のDNA配列に結合して、その配列を含むかまたは隣接する遺伝子の発現を調節することで、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝情報の転写速度を制御するタンパク質である。
【0051】
転写因子は、RNAポリメラーゼの動員を促進(アクチベーターとして)するか、または妨害(リプレッサーとして)することで働く。
【0052】
転写因子は、DNAのエンハンサー領域またはプロモーター領域のいずれかに取りつく、少なくとも1つのDNA結合ドメイン(DBD)を含む。転写因子に依存して、隣接する遺伝子の転写が上方または下方調節される。転写因子は、他のタンパク質(転写コレギュレーターなど)のための結合部位を有するトランス活性化ドメイン(TAD)も含む。
【0053】
遺伝子発現の調節のために転写因子は様々な手段を用い、この手段としてRNAポリメラーゼのDNAへの結合の安定化もしくは妨害、またはヒストンタンパク質のアセチル化もしくは脱アセチル化の触媒が挙げられる。転写因子は、ヒストンタンパク質をアセチル化してDNAとヒストンとの結合を弱め、そしてDNAを転写しやすくし、これにより転写が上方調節される、ヒストンアセチル基転移酵素(HAT)としての活性を有し得る。あるいは転写因子は、ヒストンタンパク質を脱アセチル化してDNAとヒストンの結合を強め、そしてDNAを転写しにくくし、これにより転写が下方調節される、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)としての活性を有し得る。転写因子が機能し得る別の機構は、転写因子DNA複合体へのコアクチベーターまたはコリプレッサータンパク質の動員による。
【0054】
基本転写因子または上流転写因子という、2つの機構クラスの転写因子がある。
【0055】
基本転写因子は、転写開始前複合体の形成にかかわる。もっとも一般的なものは、TFIIA,TFIIB,TFIID,TFIIE,TFIIF,およびTFIIHと略される。これらは遍在し、全てのクラスII遺伝子の転写開始部位(複数可)を囲むコアプロモーター領域と相互作用する。
【0056】
上流転写因子は、転写を刺激または抑制するために開始部位の上流に結合するタンパク質である。上流転写因子は、遺伝子の近くにどのような認識配列が存在するかに依存して相当に多様であるゆえに、これらは特定の転写因子と同義である。
【0057】
特定の転写因子のいくつかの例を、以下の表において示す:
【表1】
【0058】
転写因子はしばしば、配列の類似性、およびこれによるそのDNA結合ドメインの三次構造に基づいて分類される。
【0059】
ベーシックドメインを有する転写因子として、ロイシンジッパー因子(例えば、bZIP,c-Fos/c-Jun,CREB,および植物のGボックス結合因子)と;ヘリックスループヘリックス因子(例えば、ユビキタス(クラスA)因子;筋原性転写因子(MyoD);Achaete-ScuteおよびTal/Twist/Atonal/Hen)と;ヘリックスループヘリックス/ロイシンジッパー因子(例えば、bHLH-ZIP,c-Myc,NF-1(A,B,C,X),RF-X(1,2,3,4,5,ANK),およびbHSH)とが挙げられる。
【0060】
亜鉛配位DNA結合ドメインを有する転写因子として、核内受容体型のCys4ジンクフィンガー(ステロイドホルモン受容体および甲状腺ホルモン受容体類似因子など)と;ダイバースCys4ジンクフィンガー(GATA因子など)と;Cys2His2ジンクフィンガードメイン(TFIIIAおよびSp1を含むユビキタス因子など)と;Kruppelを含む発生/細胞周期調節因子と;NF-6B類似結合特性を有する大型因子と;Cys6システイン-亜鉛クラスターおよび交互配置型ジンクフィンガーとが挙げられる。
【0061】
ヘリックスターンヘリックスドメインを有する転写因子として、ホメオドメインを持つものと;ペアードボックスと;フォークヘッド/ウィングドヘリックスと;熱ショック因子と;トリプトファンクラスターと;TEAD1,TEAD2,TEAD3,TEAD4などのTEA(転写エンハンサー因子)ドメインとが挙げられる。
【0062】
最後に、副構との接触を伴うベータスキャフォールド因子があり、RHR(Rel相同領域)クラスと;STATと;p53と;MADSボックスと;ベータバレルアルファヘリックス転写因子と;TATA結合タンパク質と;HMGボックスと;ヘテロメリックCCAAT因子と;Grainyheadと;低温ショックドメイン因子と;Runtとが挙げられる。
【0063】
本発明の転写因子は、恒常的活性化型であるか、または条件的活性化型(すなわち、活性化を要する)であり得る。
【0064】
転写因子は天然由来であるか、または人工的であり得る。
【0065】
T細胞分化の抑制
活性化の後にT細胞は、図1に示す様々なT細胞サブタイプへと分化する。本発明者らは、CAR T細胞の被験体内での持続性および生着性は、被験体へと投与されるナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、および幹細胞様メモリーT細胞の割合に関連する、ということを示す。
【0066】
本発明の細胞は、患者へと投与するための組成物内におけるナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、および/または幹細胞様メモリーT細胞の割合を効果的に増やす転写因子をコードする外因性核酸分子を含み得る。
【0067】
当該転写因子は例えば、セントラルメモリーをリプレスする転写因子(BCL6またはBACH2など)であり得る。セントラルメモリーリプレッサーは、T細胞のエフェクターメモリー細胞への分化を阻害し、そのためT細胞が、あまり分化していないT細胞サブタイプのもの(ナイーブT細胞および幹細胞様メモリーT細胞など)として残る。これらのリプレッサーは、図1に示す様々なステージを通してT細胞の分化速度を妨害または減少させ、T細胞集団をよりナイーブな表現型へとバイアスする。
【0068】
あるいは、当該転写因子はエフェクターメモリーをリプレスする転写因子(BLIMP-1など)であり得る。
【0069】
BCL6
B細胞リンフォーマタンパク質(BCL6)は、N末にPOZ/BTBドメインを含む、進化的に保存されたジンクフィンガー転写因子である。BCL6は配列特異的な転写のリプレッサーとして働き、B細胞のSTAT依存的なインターロイキン4(IL-4)応答を調整することが示されている。BCL6は、いくつかのコリプレッサー複合体と相互作用して転写を阻害する。
【0070】
BCL6のアミノ酸配列はUniProt(アクセッション番号P41182)から入手でき、配列番号1として以下に示す。
配列番号1-BCL6
【化1】
【化2】
【0071】
BCL6は、以下のアミノ酸位置:518-541,546-568,574-596,602-624,630-652,658-681に、6つのジンクフィンガーを含む。
【0072】
BACH2
Broad complex and cap’n’collar homology(Bach)2タンパク質は、bric-a-brac and tramtrackとしても知られる、92kDaの転写因子である。Bach2タンパク質はベーシックロイシンジッパードメインを介して、musculoaponeurotic fibrosarcoma(Maf)ファミリーのタンパク質とヘテロ二量体を形成する。Bach2の遺伝子座はスーパーエンハンサー(SE)内にあり、そしてSEに調節される遺伝子の発現を調節する。SEは細胞系列遺伝子の発現に重要である。T細胞においては、SEに調節される遺伝子の大部分が、サイトカインおよびサイトカイン受容体の遺伝子である。Bach2は、全てのT細胞系列においてSEと関連する、主要な遺伝子である。
【0073】
Bach2タンパク質は、72のリン酸化部位からなる。これらの部位のうちSer-335は、Aktの標的となるコンセンサス配列(RXRXX(S/T)X)からなる。11の部位(Ser-260,Ser-314,Thr-318,Thr-321,Ser-336,Ser-408,Thr-442,Ser-509,Ser-535,Ser-547,およびSer-718)は、mTORの標的コンセンサス配列(+1位のプロリン)を生ずる。Ser-535およびSer-509のAlaへの置換は、Bach2の核局在を増やし、その標的遺伝子の下方調節を増強する。
【0074】
Ser-520部位は、リン酸化についてのAktの基質として同定された。Ser-520のAlaへの置換は、Bach2のリプレッサー能力も増加する。WTまたは変異型Bach2へのeGFPの融合により、S520A Bach2の核局在の増強が明らかになった。T細胞活性化の際のBach2のリン酸化は、細胞質へのBach2の分離をもたらす。リン酸化部位での変異は、このような分離に対してBach2に抵抗性を与え、したがって、その核への局在を増やす。
【0075】
本発明の細胞は、野生型タンパク質と比較して核局在の増えたBach2バリアントを発現する、外因性核酸分子を含み得る。当該バリアントは、配列番号2で示される配列を参照してSer-535,Ser-520,またはSer-509において変異を有し得る。当該変異は、SerからAlaへの置換などの置換であり得る。
【0076】
Bach2はコンセンサスモチーフ(5’-TGA(C/G)TCAGC-3’)に結合し、このモチーフはAP-1ファミリーによって認識されるモチーフ(5’-TGA(C/G)TCA-3’)の一部である。転写因子であるAP-1ファミリーは、TCR活性化の下流の遺伝子の発現の誘導に関与する。AP-1転写因子ファミリーとしてc-Jun,JunBおよびc-Fosが挙げられる。AP-1因子は、TCR活性化に際してリン酸化され、その後エフェクターへの分化に関与する遺伝子を調節する。Bach2は、重複するモチーフへの結合についてAP-1と競合することで、これらの遺伝子の活性化をリプレスする。
【0077】
Bach2のmRNAの発現はナイーブCD8T細胞において高く、そしてセントラルメモリー細胞(CD62L+KLRG1-)、エフェクター細胞(CD62L-KLRG1-)、および終末分化したエフェクター細胞(CD62L-KLRG1+)において、徐々に下方調節される。Bach2の欠損は終末分化したT細胞をもたらし、アポトーシスを増加させる。
【0078】
Bac2のアミノ酸配列はUniProt(アクセッション番号Q9BYV9)から入手でき、配列番号2として以下に示す。
配列番号2-Bach-2野生型
【化3】
【0079】
520位においてSからAへの置換を有する変異型Bach2の配列を、配列番号3として示す。S520A置換は、太字で下線を引かれている。
配列番号3-S520A Bach2変異体(AKTに対して非感受的)
【化4】
【0080】
BLIMP-1
B-lymphocyte-induced maturation protein
1(BLIMP1)は、ベータインターフェロン(β-IFN)遺伝子発現のリプレッサーとして働く。このタンパク質は、β-IFN遺伝子プロモーターのPRDI(positive regulatory domain I element)と特異的に結合する。
【0081】
Bリンパ球、Tリンパ球、NK細胞および他の免疫系細胞内でBlimp-1タンパク質の発現が増加すると、抗体を分泌するプラズマ細胞の増殖および分化を介して免疫反応が起こる。Blimp-1は、造血幹細胞の「マスターレギュレーター」であるとも考えられている。
【0082】
BLIMP-1は抗体分泌細胞(ASC)の終末分化制御に関与し、エフェクターT細胞の恒常性の維持において重要な役割を果たす。
【0083】
BLIMP-1のアミノ酸配列はUniProt(アクセッション番号O75626)から入手でき、配列番号4として以下に示す。
配列番号4-BLIMP-1
【化5】
【0084】
FOXO1
フォークヘッドボックスタンパク質O1(FOXO1)は、横紋筋肉腫におけるフォークヘッドとしても知られ、ヒトにおいてはFOXO1遺伝子によってコードされるタンパク質である。FOXO1はインスリンシグナリングによる糖新生およびグリコーゲン分解の調節において重要な役割を果たす転写因子であり、そして前脂肪細胞の脂肪生成への関与決定の中心でもある。FOXO1は主に、複数の残基におけるリン酸化によって調節される;FOXO1の転写活性は、そのリン酸化状態に依存する。
【0085】
FOXO1のアミノ酸配列はUniProt(アクセッション番号Q12778)から入手でき、配列番号5として以下に示す。
配列番号5-FOXO1
【化6】
【化7】
【0086】
EOMES
EOMESは、Eomesodermin、およびT-box brain protein 2(Tbr2)としても知られ、ヒトにおいてはEOMES遺伝子によってコードされるタンパク質である。EOMESは、共通したDNA結合ドメイン(Tボックス)を分け合う保存されたタンパク質ファミリーのメンバーである。Tボックス遺伝子は、発生プロセスの調節に関与する遺伝子発現を制御する転写因子をコードする。Eomes自体は、放射状グリアおよび他の関連する細胞の調節を制御する。Eomesが免疫応答に関与することが見出されており、他の系における関連についていくつかの弱い証拠が存在している。
【0087】
EOMESのアミノ酸配列はUniProt(アクセッション番号095936)から入手でき、配列番号6として以下に示す。
配列番号6-EOMES
【化8】
【0088】
RUNX3
Runx3、またはRunt関連転写因子3は、runtドメインを含む転写因子ファミリーのメンバーである。このタンパク質とベータサブユニットのヘテロ二量体は、多数のエンハンサーおよびプロモーター内に見いだされるコアDNA配列(5’-YGYGGT-3’)に結合して複合体を形成し、転写を活性化または抑制し得る。Runx3は他の転写因子とも相互作用する。Runx3は腫瘍の抑制因子として機能し、この遺伝子はがんにおいて頻繁に欠失するか、または転写をサイレンスされる。様々なアイソフォームをコードする複数種の転写バリアントが、この遺伝子について見出されている。
【0089】
RUNX3のアミノ酸配列はUniProt(アクセッション番号Q13761)から入手でき、配列番号7として以下に示す。
配列番号7-RUNX3
【化9】
【0090】
CBFベータ
コア結合因子サブユニットベータ(CBFベータ)はヘテロ二量体型コア結合転写因子のベータサブユニットであり、造血(例えばRUNX1)および骨形成(例えばRUNX2)に特異的な多数の遺伝子をマスターレギュレートするPEBP2/CBF転写因子ファミリーに属する。このベータサブユニットは、DNA非結合調節サブユニットである;複合体が様々なエンハンサーおよびプロモーター(ネズミ白血病ウイルス、ポリオーマウイルスエンハンサー、T細胞受容体エンハンサー、およびGM-CSFプロモーターが挙げられる)のコア部位に結合するときに、このベータサブユニットはアルファサブユニットによるDNA結合をアロステリックに増強する。選択的スプライシングにより、異なるカルボキシル末端をコードする2つのmRNAバリアントが生成される。
【0091】
CBFベータのアミノ酸配列は(アクセッション番号Q13951)から入手でき、配列番号8として以下に示す。
配列番号8-CBFベータ
【化10】
【0092】
外因性核酸分子
本発明は、転写因子をコードする外因性核酸分子を含む細胞を提供する。用語「外因性」は、当該核酸分子が組換え手法によって作られ、ベクターを用いて細胞内に導入されるということを意味する。細胞は核酸分子を含み、そして転写因子を発現(または過剰発現)するために操作される。
【0093】
核酸
本明細書において使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、および「核酸」は、互いに同義であるように意図される。
【0094】
多数の異なるポリヌクレオチドおよび核酸が、遺伝子コードの縮退の結果として同一のポリペプチドをコードし得るということが、当業者により理解される。さらに、当業者が常用技術を用いて、ポリペプチドが発現される特定のホスト生物のコドン使用頻度を反映するために、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの配列に影響しないヌクレオチドの置換を作り得る、ということも理解される。
【0095】
本発明による核酸は、DNAまたはRNAを含み得る。この核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。この核酸は、その中に合成または改変されたヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドに対する多数の異なるタイプの改変が、本分野において知られている。この改変として、メチルホスホネートおよびホスホロチオエート骨格、当該分子の3’末端および/または5’末端におけるアクリジンまたはポリリジン鎖の付加が挙げられる。本明細書中に記載の使用目的のために、ポリヌクレオチドが本分野において利用できる任意の方法を用いて改変され得ることが理解される。このような改変は、対象ポリヌクレオチドのin vivo活性または寿命を増強するために行われ得る。
【0096】
用語「バリアント」、「ホモログ」、または「派生物」はヌクレオチド配列との関連において、配列からのまたは配列への、1つ(またはそれを超える)の核酸の任意の置換、バリエーション、改変、交換、欠失、または付加を含む。
【0097】
核酸コンストラクト
本発明は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列、および転写因子をコードする第2の核酸配列を含む核酸コンストラクトを提供する。
【0098】
核酸コンストラクトは、2つ以上のタンパク質を発現できる核酸配列も含み得る。例えば核酸コンストラクトは、2つの核酸配列間に切断部位をコードする配列を含み得る。当該切断部位は自己切断性であり得、そのため、新生ポリペプチドが産生されると、このポリペプチドはただちに、いかなる外部の切断活性をも要さずに2つのタンパク質に切断される。
【0099】
様々な自己切断部位が知られており、以下の配列を有する口蹄疫ウイルス(FMDV)2aの自己切断ペプチドが挙げられる:
配列番号9
RAEGRGSLLTCGDVEENPGP
または
配列番号10
QCTNYALLKLAGDVESNPGP
【0100】
あるいは共発現配列は、内部リボソーム侵入配列(IRES)または内部プロモーターであり得る。
【0101】
ベクター
本発明は、本発明による1つ以上の核酸配列(複数可)もしくはコンストラクト(複数可)を含む、ベクターまたはベクターのキットも提供する。このようなベクターは、核酸配列(複数可)またはコンストラクト(複数可)をホスト細胞内へと導入するために用いられ得、その結果、ホスト細胞は核酸配列またはコンストラクトによってコードされるタンパク質を発現する。
【0102】
当該ベクターは例えば、プラスミド、ウイルスベクター(レトロウイルスベクターもしくはレンチウイルスベクターなど)、トランスポゾンベースのベクター、または合成mRNAであり得る。
【0103】
当該ベクターは、T細胞にトランスフェクションまたは形質導入し得る。
【0104】
細胞
本発明は、CAR、転写因子を共発現する細胞を提供する。
【0105】
当該細胞は、細胞溶解性免疫細胞であり得る。
【0106】
細胞溶解性免疫細胞は、細胞性免疫において中心的な役割を果たすタイプのリンパ球であるT細胞またはTリンパ球であり得る。細胞溶解性免疫細胞は、細胞表面上のT細胞受容体(TCR)の存在により、B細胞およびナチュラルキラー細胞(NK細胞)などの他のリンパ球から区別され得る。以下に要約するように、T細胞には様々なタイプがある。
【0107】
ヘルパーTヘルパー細胞(TH細胞)は、B細胞からのプラズマ細胞およびメモリーB細胞への成熟と、細胞傷害性T細胞およびマクロファージの活性化などの免疫プロセスにおいて、他の白血球を支援する。TH細胞はその表面にCD4を発現する。TH細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上にあるMHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示されると、活性化状態になる。このTH細胞は、TH1,TH2,TH3,TH17,Th9,またはTFHを含むいくつかのサブタイプ(これらは、異なるタイプの免疫応答を促進するために異なるサイトカインを分泌する)のうちの1つへと分化し得る。
【0108】
細胞溶解性T細胞(TC細胞またはCTL)は、ウイルスに感染された細胞および腫瘍細胞を破壊し、そして移植拒絶反応にも関与する。CTLはその表面にCD8を発現する。この細胞は、MHCクラスI(すべての有核細胞の表面に存在する)に会合される抗原への結合により標的を認識する。レギュラトリーT細胞によって分泌されるIL-10,アデノシン,および他の分子によってCD8+細胞はアネルギー状態へと不活化され得、実験的自己免疫性脳脊髄炎などの自己免疫疾患を防ぐ。
【0109】
メモリーT細胞は抗原特異的T細胞のサブセットであり、感染が回復した後であっても長期的に存続する。メモリーT細胞はその同種抗原への再暴露に際して、ただちに多数のエフェクターT細胞へと拡張し、したがって免疫系に、過去の感染に対する「メモリー」を提供する。メモリーT細胞は、3つのサブタイプを含む:セントラルメモリーT細胞(TCM細胞)および2タイプのエフェクターメモリーT細胞(TEM細胞およびTEMRA細胞)。メモリー細胞は、CD4+またはCD8+のいずれかであり得る。典型的にメモリーT細胞は、細胞表面タンパク質CD45ROを発現する。
【0110】
レギュラトリーT細胞(Treg細胞)は、以前はサプレッサーT細胞として知られており、免疫寛容の維持のために重要である。この細胞の主要な役割は、T細胞性免疫を免疫応答の終わりに向けてシャットダウンすることと、胸腺における負の選択のプロセスを逃れた自己反応性T細胞を抑制することである。
【0111】
2つの主要なクラスのCD4+Treg細胞が、記載されている-内在性Treg細胞およびアダプティブTreg細胞。
【0112】
内在性Treg細胞(CD4+CD25+FoxP3+のTreg細胞としても知られる)は胸腺において生じ、成長途上のT細胞と、TSLPによって活性化されている骨髄系(CD11c+)および形質細胞様(CD123+)樹状細胞の両方との間の相互作用に関連付けられる。内在性Treg細胞は、FoxP3と呼ばれる細胞内分子の存在により他のT細胞から区別され得る。FOXP3遺伝子の変異は、レギュラトリーT細胞の発生を防ぎ、致死的な免疫疾患であるIPEXを引き起こし得る。
【0113】
アダプティブTreg細胞(Tr1細胞またはTh3細胞としても知られる)は、通常の免疫応答の間に生じ得る。
【0114】
ナチュラルキラー細胞(またはNK細胞)は細胞溶解性細胞の1つのタイプであり、自然免疫系の一部を形成する。NK細胞は、ウイルスに感染した細胞からの自然シグナルに対する急速な応答を、MHCに依存しない様式により提供する。
【0115】
NK細胞(自然リンパ球のグループに属する)は大顆粒リンパ球(LGL)として定義され、Bリンパ球およびTリンパ球を産生するリンパ系共通前駆細胞から分化する第3種の細胞を構成する。NK細胞は骨髄、リンパ節、脾臓、扁桃および胸腺において分化および成熟し、その後これらから循環内へと入ることが知られている。
【0116】
本発明の細胞は、上記の細胞タイプのいずれかであり得る。
【0117】
転写因子がT細胞の分化または疲弊を低減させるか、あるいは阻害する場合、当該細胞は優先的に、以下のT細胞サブタイプの1つであり得る:ナイーブT細胞;幹細胞様メモリーT細胞;およびセントラルメモリーT細胞。
【0118】
本発明の細胞は、患者自身の末梢血(ファーストパーティー)からか、ドナー末梢血からの造血幹細胞移植の状況(セカンドパーティー)においてか、または縁故関係のないドナー由来の末梢血(サードパーティー)から、ex vivoに作られ得る。
【0119】
あるいは細胞は、誘導前駆細胞または胚性前駆細胞から、例えばT細胞へのex vivoな分化に由来し得る。あるいは、溶解機能を維持して治療上の細胞として働き得る不死化細胞系列が用いられる。
【0120】
これらすべての実施形態において細胞は、CARおよび転写因子をコードするDNAまたはRNAの導入であって、ウイルスベクターを用いる形質導入、DNAまたはRNAを用いるトランスフェクションを含む様々な手法の1つによる導入によって生成され得る。
【0121】
本発明の細胞は、被験体由来のex vivo細胞であり得る。当該細胞は末梢血単核細胞(PBMC)試料由来であり得る。細胞は、本発明の核酸配列またはコンストラクトで形質導入される前に、例えば抗CD3モノクローナル抗体を用いる処置によって活性化および/または拡張され得る。
【0122】
本発明の細胞は:
(i)被験体または上記の他の供給源から細胞を含む試料を単離することと;
(ii)本発明による核酸配列またはコンストラクトを用いて細胞の形質導入またはトランスフェクションすることと
によって作られ得る。
【0123】
組成物
本発明は、本発明の複数種の細胞を含む医薬組成物にも関連する。当該医薬組成物はさらに、薬学的に許容されるキャリアー、希釈剤、または賦形剤を含み得る。当該医薬組成物は必要に応じて、1つ以上のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または医薬活性化合物を含み得る。このような製剤は、例えば静脈内注入のために適した形態であり得る。
【0124】
処置方法
本発明の細胞は、がん細胞などの標的細胞を殺す能力を有し得る。
【0125】
本発明の細胞は、ウイルス感染などの感染の処置のために用いられ得る。
【0126】
本発明の細胞は、病原となる免疫反応(例えば、自己免疫疾患、アレルギー、および移植片対ホスト拒絶反応)の制御にも用いられ得る。
【0127】
本発明の細胞は、膀胱がん、乳がん、結腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん(腎細胞)、白血病、肺がん、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、すい臓がん、前立腺がん、および甲状腺がんなどの、がん性疾患の処置にも用いられ得る
【0128】
本発明の細胞は、以下の処置に用いられ得る:舌、口、および咽頭のがんを含む口腔ならびに咽頭のがん;食道、胃、および直腸結腸のがんを含む消化器系のがん;肝細胞癌および胆管癌を含む肝臓ならびに胆管(biliary tree)のがん;気管支がんおよび喉頭のがんを含む呼吸器系のがん;骨肉腫を含む骨および関節のがん;メラノーマを含む皮膚のがん;乳がん;女性において子宮、卵巣および子宮頸部のがん、男性において前立腺および精巣のがんを含む生殖器のがん;腎細胞癌、および子宮(utterer)または膀胱の移行上皮細胞癌を含む腎尿路のがん;神経膠腫、多型膠芽腫、および髄芽腫を含む脳のがん;甲状腺がん、副腎がん、および多発性内分泌腫瘍症候群に関連するがんを含む内分泌系のがん;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫;多発性骨髄腫および形質細胞腫;急性および慢性の両方の白血病(骨髄性またはリンパ性);ならびに、他および部位不特定のがん(神経芽腫を含む)。
【0129】
本発明は目下、実施例によってさらに記載される。実施例は、本発明を実施する当業者の支援に役立つことを意図し、いかなる方法においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例0130】
実施例
実施例1-キメラ抗原受容体(CARおよび転写因子(TF)の共発現
BW5T細胞内で、バイシストロニックコンストラクトを単一の転写物として発現した。この転写物は2A部位において自己切断して、キメラ抗原受容体(CAR);および転写因子(TF)を生み出す。2A部位および転写因子を欠くか(「CARのみ」)、またはCARおよび2A部位を欠く(「TFのみ」)コントロールコンストラクトも生成した。
【0131】
当該CARは、CD3ゼータおよび共刺激受容体41BBに由来するエンドドメインを含む抗CD19CARであった。
【0132】
以下の表に示す転写因子を含むコンストラクトが試験された:
【表2】
【0133】
実施例2-表現型アッセイ
T細胞の表面上での様々なCARの発現は、CAR抗原の非存在下におけるT細胞のメモリー状態に影響し得る。さらに、CARがその同種抗原へと結合するとそのT細胞が活性化し、よりナイーブなセントラルメモリー表現型から、より分化したエフェクターメモリー表現型/エフェクター表現型へのさらなる分化をもたらす。適切な転写因子/リプレッサーの発現により、このCARを介する分化が様々な程度に防がれると予想される。
【0134】
様々な組み合わせのCAR-TFを発現するT細胞、ならびに関連するCARのみのコントロールおよびTFのみのコントロールを、24時間に渡ってCD19陽性のSKOV3標的細胞と共培養し、その後、当該T細胞を回収して7日目まで培養した。細胞をセントラルメモリーへとバイアスする因子を発現している細胞が、形質導入後によりナイーブであるか、そして抗原を有する標的細胞を用いた刺激に際してもよりナイーブなままであるかについて見るために、共培養から0日目、および7日目において、下記のメモリーマーカーをフローサイトメトリーによって解析した。
メモリーマーカー-CCR7,CD45RA,CD62L,CD27
【0135】
FOXO1についてのデータを図2に示す。FOXO1とCAR(HD37)の共発現により、CD4+およびCD8+部分集団の両方について0日目および7日目のいずれにおいても、ナイーブ細胞およびセントラルメモリー細胞(CM)の割合が増加した。これは、FOXO1が、形質導入後および標的細胞との共培養後のいずれにおいても、細胞をナイーブ表現型/セントラルメモリー表現型へとバイアスするということを示す。
【0136】
図3は、標的細胞との24時間の共培養から6日後における、CD27およびCD62Lの発現についてのデータを示す。転写因子EOMESは、CD4+およびCD8+T細胞部分集団の両方において、CD27の有意な上方調節を引き起こした。FOXO1は、特にCD8+細胞において、CD27の上方調節を引き起こした。転写因子FOXO1は、CD4+およびCD8+部分集団の両方において、CD62Lの有意な上方調節を引き起こした。CD62Lはナイーブ細胞/セントラルメモリー細胞のマーカーであり、メモリーの表現型決定はFOX01について、CD62Lレベルと相関する:より多くのナイーブ細胞およびメモリー細胞。CD27は完全に分化したエフェクター細胞以外のすべての細胞のマーカーであるため、EOMESを発現する細胞は主に、CD62Lの有意な上方調節を示さない、より分化していないエフェクターメモリーのサブタイプであり得る。
【0137】
図4に示すように、形質導入後(0日目)および24時間の共培養の6日後において、Runx3およびCBFベータのいずれの存在もCD62Lの上方調節を引き起こした。
【0138】
BACH2およびBACH2変異体S520Aについてのデータを図5に示す。BACH2およびBACH2S520Aのいずれも、0日目および7日目においてナイーブ細胞およびセントラルメモリー細胞(CM)の割合を増加させる。
【0139】
別個のアッセイにおいて、様々な組み合わせのCAR-TFを発現するT細胞、ならびに関連するCARのみを有するT細胞を、CD19陽性のSupT1標的細胞と共培養した。刺激に際して細胞が、より弱い程度に「疲弊」マーカーを発現しているかについて見るために、下記の疲弊マーカーの発現を、フローサイトメトリーによって共培養から0日目、2日目、4日目、および7日目において解析した。
疲弊マーカー-PD1,Tim3,Lag3
【0140】
細胞を、CAR発現(RQR8形質導入マーカーを介して)、ならびに対象の部分集団に依存して、様々なT細胞およびT細胞サブセットのマーカー(CD3およびCD8)によりゲートした。
【0141】
実施例3-機能アッセイ
細胞は分化するにつれ、in vitroにおいて標的細胞を溶解するより強力な能力を獲得し、そしてより多くのIFN-γを分泌するが、増殖能を失っていく。本研究は、表現型をバイアスすることがこれらの能力を変えるかどうかについて調べる。
【0142】
SupT1細胞(CD19陰性である)をCD19陽性であるように操作し、標的の陰性細胞系列および陽性細胞系列とする。形質導入された、および形質導入されなかったT細胞、ならびにコントロールコンストラクトを形質導入されたT細胞を、SupT1細胞またはSupT1.CD19細胞のどちらかで1:1に暴露する。標的細胞の殺滅を、24時間および72時間後にFACSにより解析する。殺滅はIncucyteアッセイによってもモニターし、このアッセイは、それぞれのCAR抗原を発現している蛍光標識された接着細胞の単層上で、共培養している形質導入されたT細胞を伴う。CARを介する細胞傷害は、蛍光を発する標的細胞(CARを介する細胞傷害のキネティクスの測定を可能にするために、絶えず経時的にモニターされ得る)の数の減少をもたらす。
【0143】
サイトカインの放出をモニターするために、暴露から48時間後に上清を採取し、サイトカインのビーズアレイを用いて以下のサイトカインについてアッセイする:IL2,IL4,IL6,IL10,TNF-a,IFN-g,GzmB。
【0144】
増殖を測定するために、T細胞を蛍光色素Cell Trace Violetで20分間標識する。標識後、1:1(標的細胞:形質導入されたT細胞)の比率で共培養をセットアップする。連続した娘細胞生成の間に色素が分配されるため、CARを介するT細胞の増殖はCell Trace violetの蛍光の減少をもたらす。この希釈が起きる程度、したがって増幅の程度を、共培養から4日目および7日目におけるフローサイトメトリーによって測定し得る。
【0145】
上記の明細書中に記載される刊行物のすべてが、参照により本明細書に援用される。本発明の記載の方法およびシステムの様々な改変およびバリエーションが、当業者にとって、本発明の範囲及び精神から離れることなく自明である。本発明は特定の好ましい実施形態と関連して記載されたが、請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されてはならない、ということが理解されなければならない。実際、本発明を実施するための、記載の様式の、分子生物学または関連する分野における当業者にとって自明な様々な改変が、下記の請求項の範囲内であることが意図される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の外因性核酸分子および転写因子をコードする第2の外因性核酸分子を含む、細胞。
(項目2)
前記転写因子が、前記細胞の分化および/または疲弊を防ぐか、あるいは低減させる、項目1に記載の細胞。
(項目3)
前記転写因子が、エフェクターメモリーリプレッサーである、項目1または2に記載の細胞。
(項目4)
前記転写因子が、BLIMP-1である、項目3に記載の細胞。
(項目5)
前記転写因子が、セントラルメモリーリプレッサーである、項目1または2に記載の細胞。
(項目6)
前記転写因子が、BCL6またはBach2である、項目5に記載の細胞。
(項目7)
前記転写因子が、Bach2であるか、またはBach2を含む、項目6に記載の細胞。(項目8)
前記転写因子が、ALKによってリン酸化される能力を、減ぜられているか、または取り除かれている、改変されたバージョンのBach2を含む、項目5に記載の細胞。
(項目9)
前記転写因子が、配列番号2で示されるアミノ酸配列を参照して次の位置:Ser-535、Ser-509、Ser-520のうちの1つまたはそれより多くにおいて変異を有する、改変されたバージョンのBach2を含む、項目8に記載の細胞。
(項目10)
キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列、および前記のいずれかの項目において定義される転写因子をコードする第2の核酸配列を含む、核酸コンストラクト。(項目11)
項目10に記載の核酸コンストラクトであって、以下の構造:
CAR-coexpr-TF;または
TF-coexpr-CAR
を有し、式中:
CARが前記CARをコードする核酸配列であり;
coexprが該CARおよび前記転写因子の共発現を可能にする核酸配列であり;そして
TFが該転写因子をコードする核酸配列である、核酸コンストラクト。
(項目12)
coexprが自己切断ペプチドを含む配列をコードする、項目11に記載の核酸コンストラクト。
(項目13)
キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列、および項目1から9のいずれかにおいて定義される転写因子をコードする第2の核酸配列を含む、核酸配列のキット。(項目14)
項目10から12のいずれかに記載の核酸コンストラクトを含む、ベクター。
(項目15)
キメラ抗原受容体(CAR)をコードする第1の核酸配列を含む第1のベクターと;項目1から9のいずれにおいて定義される転写因子をコードする第2の核酸配列を含む第2のベクターとを含む、ベクターのキット。
(項目16)
項目1から9のいずれかに記載の細胞を作るための方法であって、項目10から12のいずれかに記載の核酸コンストラクトか、項目13に記載の核酸配列のキットか、項目14に記載のベクターか、または項目15に記載のベクターのキットを、細胞内に導入するステップを含む、方法。
(項目17)
前記細胞が、被験体から単離される試料に由来する、項目16に記載の方法。
(項目18)
項目1から9のいずれかに記載の複数種の細胞を含む、医薬組成物。
(項目19)
疾患の処置および/または予防のための方法であって、項目18に記載の医薬組成物を被験体へと投与するステップを含む、方法。
(項目20)
以下のステップ:
(i)被験体から細胞を含む試料を単離することと;
(ii)項目10から12のいずれかに記載の核酸コンストラクトか、項目13に記載の核酸配列のキットか、項目14に記載のベクターか、または項目15に記載のベクターのキットを用いて、該細胞の形質導入またはトランスフェクションをすることと;(iii)(ii)に由来する該細胞を該被験体に投与することと
を含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記疾患が、がんである、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
疾患の処置および/または予防における使用のための、項目18に記載の医薬組成物。
(項目23)
疾患の処置および/または予防のための医薬の製造における、項目1から9のいずれかに記載の細胞の使用。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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【外国語明細書】