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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133291
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】呼吸装置及び呼吸装置制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240920BHJP
   G16H 40/60 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
A61M16/00 380
G16H40/60
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114760
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2023015194の分割
【原出願日】2018-06-29
(31)【優先権主張番号】00857/17
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】504080548
【氏名又は名称】アイエムティー メディカル アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フライベルク ハッリ
(72)【発明者】
【氏名】ダッシャー ヤコブ
(57)【要約】
【課題】オペレータにとり操作しやすく安全に用いうる人工呼吸器を提供する。
【解決手段】本発明は、センサシステム(30)及び制御システム(24)に接続された呼吸装置(15)であって、そのセンサシステム(30)が、少なくとも2項目の計測データ(31)を獲得するよう、且つその獲得計測データ(31)を本呼吸装置(15)又はその制御論理モジュール(25)に送信するよう、構成されたものに関する。制御システム(24)は更に少なくとも1個の表示装置(35)に接続され、当該少なくとも1個の表示装置(35)はコンフィギュラブルスクリーン(33)を有するものとされる。その制御システム(24)はその獲得計測データ(31)に基づく表示データ(62,65)の表現向けに設計されていて、その表示データを少なくとも1個の表示装置(35)上の第1グラフィカルユニット(29)上に表示させうる。本発明は更に呼吸装置(15)を制御する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサシステム(30)及び制御システム(24)に接続された人工呼吸器(15)であって、
上記センサシステム(30)が、少なくとも2項目の計測データ(31)を獲得するよう、且つその獲得計測データ(31)を本人工呼吸器(15)又はその制御論理モジュール(25)に送信するよう、構成されており、
上記制御システム(24)が少なくとも1個の表示手段(35)に接続されており、
上記少なくとも1個の表示手段(35)がコンフィギュラブルスクリーン(33)を備え、
上記制御システム(24)が、上記獲得計測データ(31)に基づき表示データ(62,65)を提供するよう構成されていて、その表示データを上記少なくとも1個の表示手段(35)上の第1グラフィクスユニット(29)上に表示できる人工呼吸器。
【請求項2】
請求項1記載の人工呼吸器であって、上記制御ユニット(24)に制御論理モジュール(25)又はグラフィック論理モジュール(36)が併設されたこと、より有益にはそれらにそれぞれ情報処理ユニット(26,37)が併設されたことを特徴とする人工呼吸器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の人工呼吸器であって、上記コンフィギュラブルスクリーン(33)がタッチ感応スクリーンであることを特徴とする人工呼吸器。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか一項記載の人工呼吸器であって、上記少なくとも1個の表示手段(35)の少なくとも1個の領域(38)を捉えるセンサ(34)が設けられたことを特徴とする人工呼吸器。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項記載の人工呼吸器(15)を制御する方法であって、
a)上記センサシステム(30)で以て少なくとも2項目の計測データ(31)を獲得するステップと、
b)上記獲得計測データ(31)を上記センサシステム(30)から上記人工呼吸器(15)又はその制御システム(24)に送信するステップと、
c)少なくとも個別項目の獲得計測データ(31)を上記人工呼吸器(15)又はその制御システム(24)にて受信するステップ、より有益にはその後にその受信計測データ(31)を同人工呼吸器(15)又はその制御システム(24)により処理するステップと、
d)少なくとも個別項目の受信計測データ(31)に基づき作成された表示データ(62,65)を提供するステップ、より有益にはその表示データ(62,65)を上記制御システム(24)により提供するステップと、
e)少なくとも個別項目の表示データ(62,65)を、呼吸ガス(41)の第1アニメーション化(animated)表現(40)にて、上記少なくとも1個の表示手段(35)の第1グラフィクスユニット(29)上に表示するステップ、より有益にはそれを受け当該少なくとも個別項目の表示データ(62,65)を少なくとも個別の幾何要素(43)により表現するステップと、
を有する方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、ステップc)にて、上記計測データ(31)を上記制御システム(24)の制御論理モジュール(25)にて受信し、その制御システム(24)のグラフィック論理モジュール(36)に送信すること、より有益には少なくとも個別項目の送信計測データ(31)をそのグラフィック論理モジュール(36)により処理して表示データ(62,65)を提供することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5記載の方法であって、ステップc)にて、上記受信計測データ(31)を上記制御システム(24)にて計測データのカテゴリに従い区分し、少なくとも1個の計測データカテゴリに属する少なくとも個別項目の計測データ(31)をその制御システム(24)のグラフィック論理モジュール(36)に送信すること、より有益には当該少なくとも1個の計測データカテゴリに属する計測データ(31)全てをそのグラフィック論理モジュール(36)に送信すること、或いはある計測データカテゴリに属する少なくとも個別項目の計測データ(31)を上記少なくとも1個の表示手段(35)に送信すること、より有益には当該ある計測データカテゴリに属する計測データ(31)全てを当該少なくとも1個の表示手段(35)に送信することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項5~7のうちいずれか一項記載の方法であって、上記少なくとも個別項目の表示データ(62,65)を上記少なくとも1個の表示手段(35)にて更なるアニメーション可能(animatable)表現(50)で以て表示すること、より有益には少なくとも更なる個別の幾何要素(43)であり当該更なるアニメーション可能表現(50)にて表示されるものを用いそうすること、更に有益には当該少なくとも個別項目の表示データ(62,65)を当該少なくとも1個の表示手段(35)の第1グラフィクスユニット(29)内で当該更なるアニメーション可能表現(50)上に表示することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項5~8のうちいずれか一項記載の方法であって、上記制御論理モジュール(25)及び上記グラフィック論理モジュール(36)のうち少なくとも一方の情報処理ユニット(26,37)が、上記呼吸ガス(41)の分布及び配置のうち少なくとも一つを、上記個別項目の受信計測データ(31)を用い算出すること、より有益にはその呼吸ガス(41)の分布又は配置を、少なくともその呼吸ガス(41)の第1アニメーション可能表現(40)にて表示すること、より有益には少なくとも1個の上記個別の幾何要素(43)を用いそうすることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項5~9のうちいずれか一項記載の方法であって、上記少なくとも1個の表示手段(35)の少なくとも第1グラフィクスユニット(29)を少なくとも領域内で修正しうること、より有益にはその第1グラフィクスユニット(29)の少なくとも1個の領域の修正により制御値を生成し、その後にその制御値を上記制御システム(24)に送信すること、より有益にはその制御システム(24)に送信された制御値を用い上記人工呼吸器(15)の呼吸パラメタ(16)のうち少なくとも1個を制御(24)することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の人工呼吸器と、請求項5記載の人工呼吸器制御方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
人工呼吸器は静的な状況(例えば診療又は家庭環境内)でも動的な状況(例えば救急サービス下)でも用いられる。このとき重要なのは、それら人工呼吸器が信頼性良く且つ誤動作なしで動作することである。
【0003】
この種の人工呼吸器に対する更なる要請は操作の容易さである。オペレータが誤りをするようだと、その人工呼吸器を用い換気中の患者にとり悲惨な結果となりかねない。
【0004】
特許文献1にて開示された人工呼吸器は、センサシステム及び制御システムに接続されていて、その制御システムが表示手段に接続されている。そのセンサシステムは、計測データを獲得してそれを人工呼吸器へと送信する。その制御システムによりその獲得計測データに基づき提供される表示データを、アニメーション化グラフィクスユニットとしてその表示手段上に表示させることができる。
【0005】
特許文献2にて開示された人工呼吸器では、肺をかたどったグラフィカル要素が表示手段上に表示される。換気中の肺にて呼吸毎に生じる容積変化が、その肺図形のサイズのアニメーション的変化として表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO02/071933号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1984805号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然るに、本発明の目的は、オペレータにとり操作しやすく安全に用いうる人工呼吸器を提供することにある。その際の獲得計測データをオペレータが質的,量的要領双方で最適形態にて利用しうるようにすべきである。本発明の更なる目的は、この種の人工呼吸器を制御する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は独立形式請求項の特徴事項により達成される。図面及び従属形式請求項には有益な更なる改良点が示されている。
【0009】
以下の記述中、2個の語を結ぶ表現「又は」は「及び/又は」なる意味で以て用いられている。これの意味するところは、第1語「又は」第2語、がその字面通りの意味でありうるだけでなく、第1語「及び」第2語、もそれに包含される、と理解すべきことである。
【0010】
本発明に係る人工呼吸器はセンサシステム及び制御システムに接続される。その制御システムを本人工呼吸器の構成部材としてもよい。
【0011】
上記センサシステムも本人工呼吸器の構成部材とすることができる。同センサシステムは、少なくとも2項目の計測データを獲得するよう、且つその獲得計測データを本人工呼吸器又はその制御論理モジュールに送信するよう、構成される。
【0012】
一例に係るセンサシステムは少なくとも2個の計測センサを備え、各計測センサが1個の源泉から計測データを獲得するものである。それらセンサは、有益にも別々の要領で構成され、別々の計測データを獲得する。別例に係るセンサシステムは計測センサを1個だけ備え、それにより複数の源泉から少なくとも2項目の計測データを獲得するものである。
【0013】
上記制御システムは、コンフィギュラブルスクリーン(構成変更可能画面)を備える表示手段にリンクされる。この文脈での語「コンフィギュラブルスクリーン」が意味するのは、描出された個別部材を視認できるだけでなく、描出された全ての部材及びそれらの配置の総体を観測できるスクリーンのことである。この構成では、そのコンフィギュラブルスクリーンにて、計測データを自律的に、或いはグラフィック論理モジュール又は制御論理モジュールを用い獲得し、それらを幾何要素へと変換した上で表示することができる。更に、そのコンフィギュラブルスクリーンにて、グラフィクスユニット内の既存要素(幾何及び/又はグラフィカル)を変化させること、並びにそのグラフィクスユニットにおける修正をパラメタに変換しそれを用いて制御システムを制御することができる。
【0014】
上記制御システムを然るべく構成することで、上記獲得計測データに基づき表示データを提供し、それを上記少なくとも1個の表示手段上の第1グラフィクスユニット上に表示させることができる。有益には、その第1グラフィクスユニットを、人工呼吸器の影響を受ける肺その他の器官の絵画的表現とする。より有益には、その第1グラフィクスユニットを、アニメーション化表現を含むものとする。
【0015】
その独創的構成及び要素連携によって、操作しやすく信頼性の高い人工呼吸器がオペレータに提供される。コンフィギュラブルスクリーンであるため、既知の人工呼吸器に比べ、オペレータにとり視認性がかなり改善される。これにより、人工呼吸器のオペレータによる質的且つ量的認識が常に保証される。
【0016】
好ましくは、上記制御ユニットに制御論理モジュール又はグラフィック論理モジュールを設け、上記獲得計測データを、それら制御論理モジュール及びグラフィック論理モジュールのうち一方で、或いはそれら制御論理モジュール及びグラフィック論理モジュールの双方で処理させる。更に、それら制御論理モジュール及びグラフィック論理モジュールにより共通ユニットを形成し、例えば本人工呼吸器内に統合してもよい。更に、少なくともその制御論理モジュールにより本人工呼吸器を制御してもよい。
【0017】
上述した諸特徴は皆、それ自体で本人工呼吸器の安定な動作を保証するものであり、それにより高い使用時信頼性がもたらされる。
【0018】
有益なことに、制御論理モジュール及びグラフィック論理モジュールそれぞれに情報処理ユニットを持たせること、ひいては各モジュールにて上記獲得データを処理し更なる使用に供することができる。
【0019】
好ましいことに、上記コンフィギュラブルスクリーンをタッチ感応スクリーンとすることで、それを表示データ出力用に働かせるだけでなく入力手段としても働かせることができる。この種のタッチ感応スクリーンはタッチスクリーンとしても知られている。この種のタッチ感応スクリーンの更なる非限定的な例としてはタッチパッド、スマートフォン及びスマートウォッチ(登録商標)があり、これらは直に、或いはBluetooth(登録商標)、WLAN等の無線接続を介し間接的に、本人工呼吸器又はその構成部分に接続される。
【0020】
好ましいことに、上記少なくとも1個の表示手段の少なくとも1個の領域を捉えるセンサを設けることで、その表示上の不意な変化を容易に検出すること、並びに必要に応じ警報、内部装置試験等の相応手段を発動することが可能となる。例えば表示手段が故障した場合には、そのユーザにメッセージを送ること、例えば彼/彼女のページャや携帯電話上に送り速やかに対処させることができる。
【0021】
更に、上記センサで可視表示を監視できるので、上記制御システムを通じた監視に加え、付加的な独立監視ユニットを提供することができる。これにより本人工呼吸器の安全性が更に増強される。
【0022】
有益なことに、このセンサを上記少なくとも1個の表示手段に対面させること、より有益にはそれに接して直置きすることで、単純な構造的構成を実現することができる。このセンサを上記センサシステムの構成部材とし本人工呼吸器とリンクさせてもよい。
【0023】
本発明に係る方法は上記人工呼吸器を制御するものであり、以下の諸ステップを特徴としている。
【0024】
上記センサシステムで以て少なくとも2項目の計測データを獲得し(ステップa))、その後に、その獲得計測データをそのセンサシステムから上記人工呼吸器又はその制御システムに送信する(ステップb))。
【0025】
その後に、計測データの上記獲得項目のうち少なくとも1個を本人工呼吸器又はその制御システムにて受信する(ステップc))。
【0026】
より有益には、その後、上記獲得計測データの個別項目を上記人工呼吸器又はその制御システムにより処理する。
【0027】
その後に、少なくとも個別項目の受信計測データに基づき作成された表示データを提供する(ステップd))。
【0028】
そして、少なくとも個別項目の表示データを、呼吸ガスの第1アニメーション化表現にて、上記少なくとも1個の表示手段の第1グラフィクスユニット上に表示することで(ステップe))、その表示データをオペレータが視覚的且つ直感的に認識できるようにする。
【0029】
こうすることで、高い信頼性を有する人工呼吸器制御方法が提供される。人工呼吸器のオペレータ(とりわけ医療従事者)は、その人工呼吸器における呼吸パラメタ変化について少なくとも視覚的に通知を受けることで、その人工呼吸器による換気を受けている患者が受傷しないように自ら対処することができる。
【0030】
上記個別の表示データには、獲得計測データ、受信計測データ又は処理計測データを含めること、或いは獲得計測データ、受信計測データ及び処理計測データの何らかの組合せを含めることができる。語「処理計測データ」には獲得計測データに数学的又は論理的修正を施したもの全てが包含される。その獲得計測データは上記センサシステムにより獲得される。これに代え又は加え、当該獲得計測データは上記人工呼吸器のオペレータにより入力手段上で入力される。
【0031】
有益なことに、上記少なくとも個別項目の表示データを少なくとも個別の幾何要素により表現することで、オペレータにとっての視認性が付加的に増強され、そのオペレータが当該個別項目の表示データに対し視覚的に敏感になる。
【0032】
このようにすると、有益なことに、個別項目の表示データのうち同じ呼吸パラメタを記述するものそれぞれが、同一の幾何特性を有する幾何要素で以て表示され、異なる呼吸パラメタを記述するものそれぞれが、異なる幾何特性を伴う幾何要素で以て表示される。
【0033】
幾何要素の「幾何特性」なる語は、その要素の形状、色及びサイズという意味に解されるべきである。その際、要素形状は、二次元形状(円、三角形、楕円、多角形等々)又は三次元形状(球、角錐、円錐、立方体等々)を意味するものと解されるべきである。
【0034】
有益なことに、ステップd)における表示データを上記制御システムにより提供することで、その表示データを容易に提供することができる。一例としてはその表示データが上記制御論理モジュールにて提供される。
【0035】
これに代え又は加え、表示データをグラフィック論理モジュールにより提供することで、その表示データのグラフィカルな表示に加え、同表示データの単純な表示が得られるので、オペレータが上記人工呼吸器の誤動作を迅速に検知でき、しかもそれに対し迅速に対処することができる。
【0036】
有益なことに、上記グラフィック論理モジュールを上記表示手段の構成部材とすることで、上記人工呼吸器を確と単純な構造にすることができる。
【0037】
有益なことに、上記制御システムの制御論理モジュールにて受信された計測データ(ステップc))を上記グラフィック論理モジュールに送信することで、上記少なくとも1個の表示手段上にその計測データを容易にグラフィカル表示させることができる。
【0038】
有益なことに、上記グラフィック論理モジュールにて少なくとも個別項目の送信計測データを処理し表示データを提供することができる。この特徴事項によれば、処理すべき計測データの量を減らすことができる。
【0039】
好ましいことに、ステップc)にて上記受信計測データを上記制御システムにて計測データのカテゴリに従い区分し、少なくとも1個の計測データカテゴリに属する少なくとも個別項目の計測データが、上記グラフィック論理モジュールに送信されるようにすることができる。こうすることで、そのグラフィック論理手段で処理しなければならない計測データの量を減らすことができる。
【0040】
有益なことに、上記少なくとも1個の計測データカテゴリに属する計測データ全てを上記グラフィック論理モジュールに送信することで、それ以後に処理される計測データの量における統計を確と改善することができる。
【0041】
これに代え又は加え、ある計測データカテゴリに属する少なくとも個別項目の計測データを上記少なくとも1個の表示手段に送信することで、例えば、表示データの不正確表示を防ぐことができる。
【0042】
有益なことに、上記ある計測データカテゴリに属する計測データ全てを上記少なくとも1個の表示手段に送信することで、可視化された表示データにおける統計を確と改善することができる。
【0043】
好ましいことに、少なくとも個別項目の表示データを、上記少なくとも1個の表示手段にて、アニメーション可能な更なる表現で以て表示することで、その表示手段上の特定の呼吸パラメタに関し、人工呼吸器オペレータの視覚的受容性における改善を保証することができ、ひいては彼/彼女が必要な決定、とりわけ適正な決定をより容易になすことができる。その際、上記第1グラフィクスユニットに加え、更なるアニメーション化表示を描出することができ、加えてそれをオペレータが容易に視覚認識することができる。
【0044】
有益なことに、上記少なくとも個別項目の表示データを、上記少なくとも1個の表示手段において上記更なるアニメーション可能表現にて、少なくとも更なる個別の幾何要素で以て表示することで、当該個別項目の表示データについての、ひいては上記個別の呼吸パラメタについての、上記人工呼吸器のオペレータによる視覚的弁別性を促進することができる。
【0045】
有益なことに、それらアニメーション可能表現のうち1個にて、個別の幾何要素の幾何特性のうち少なくとも一つを修正することで、上記人工呼吸器のオペレータが、上記個別項目の表示データの、ひいては個別の呼吸パラメタの経時変動を観測しうるようにすることができる。こうすることで、その人工呼吸器のオペレータが修正に対し迅速且つ容易に対処しうることとなる。更に、これによりその人工呼吸器の信頼性を向上させることができる。
【0046】
好ましいことに、上記少なくとも個別項目の表示データを、上記少なくとも1個の表示手段の第1グラフィクスユニット内で、上記更なるアニメーション可能表現上に表示させることで、人工呼吸器オペレータによる当該個別項目の表示データの視覚的弁別性を、更に改善することができる。
【0047】
好ましくは、上記制御論理モジュール又はグラフィック論理モジュールに備わる少なくとも1個の情報処理ユニットにより、上記呼吸ガスの分布を少なくとも一通り、上記受信個別項目の計測データを用い算出する。こうすることで、不正確な計測データが統計的に排除され、ひいては改善された計測データ集合が生成される。
【0048】
これに代え又は加え、上記呼吸ガスの分布算出と併せ、上記受信個別項目の計測データを用いその呼吸ガスの配置を算出することで、その計測データの統計的評価と併せ、上記呼吸ガスの配置であり上記人工呼吸器のオペレータにとり既知なものをも算出することができる。
【0049】
好ましいことに、上記呼吸ガスの分布を、少なくともその呼吸ガスの第1アニメーション可能表現にて表示させることで、上記人工呼吸器のオペレータが呼吸手順の中断やその人工呼吸器の誤動作を迅速に知覚しうるように、することができる。
【0050】
これに代え又は加え、上記呼吸ガスの配置を少なくともその呼吸ガスの第1アニメーション可能表現にて表示させることで、上記人工呼吸器のオペレータがその人工呼吸器の誤動作を容易に知覚しうるように、することができる。
【0051】
有益なことに、上記呼吸ガスのアニメーション可能表現を、上記少なくとも1個の幾何要素を用い表示させることで、上記人工呼吸器のオペレータでありそれら個別の幾何要素について訓練を受けた者が迅速に対処しうるように、することができる。
【0052】
好ましいことに、上記少なくとも1個の表示手段の上記少なくとも第1グラフィクスユニットを少なくとも領域内で修正することができ、それを受け例えばオペレータがそのグラフィクスユニットと能動的に対峙することができる。
【0053】
より有益には、上記第1グラフィクスユニットの少なくとも1個の領域に対する修正により制御値を生成し、その後それを上記制御システムに送信する。この特徴事項によれば、確と、上記人工呼吸器のオペレータが上記少なくとも1個のグラフィクスユニットを介し上記制御システムと直に対峙することができ、従ってその人工呼吸器の動作を確と単純にすること及び信頼性を高めることができる。
【0054】
好ましくは、呼吸ガスの上記少なくとも1個の第1アニメーション可能表現を、上記表示手段の上記少なくとも1個の第1グラフィクスユニットにて描出することで、その呼吸ガスの当該少なくとも1個の第1アニメーション可能表現を、少なくとも個別項目の表示データを用い表現させる。こうすることで、上記表示データに対する上記人工呼吸器のオペレータの視覚的敏感さを確と改善することができる。
【0055】
好ましいことに、上記少なくとも個別の表示幾何要素であり少なくとも個別項目の表示データを表現するものによって、少なくとも1個の呼吸パラメタを記述することで、オペレータが、個別の幾何要素それぞれに関し視覚的な訓練を受けられ且つ当該少なくとも1個の呼吸パラメタをその幾何要素に割り振れるようになる。
【0056】
有益なことに、上記少なくとも個別の表示幾何要素によって、酸素パラメタ、二酸化炭素パラメタ及び肺圧パラメタからなる集合に属する呼吸パラメタのうち少なくとも1個が記述され、また少なくとも個別の表示幾何要素が少なくとも一通りの特徴的幾何特性により表現される。この特徴事項は、上記少なくとも1個の表示手段上にそれら呼吸パラメタを可視表示可能であることを意味している。
【0057】
好ましいことに、呼吸ガスの個々の成分を、相異なる個別の幾何特性を用い表示させることで、その呼吸ガスの上記少なくとも1個の第1アニメーション可能表現にて、呼吸ガスの排出成分を呼吸ガスの新鮮成分と分けて示すことができる。こうすると、上記人工呼吸器のオペレータが、迅速な概観を得てその人工呼吸器における誤動作に迅速に対処することができる。
【0058】
好ましいことに、個別の呼吸パラメタの計測データを、アニメーション可能な要領にて表示させることで、オペレータが、上記人工呼吸器におけるあらゆる誤動作に対し、容易に対処しうるようにすることができる。
【0059】
これに代え又は加え、様々な呼吸パラメタに由来する計測データに係る差分値をアニメーション可能要領にて表示させることで、加えて、様々な呼吸パラメタを上記人工呼吸器上で変化させることが可能となる。
【0060】
好ましくは、少なくとも1個の更なるアニメーション可能表現を上記表示手段にて提示し、それを上記第1グラフィクスユニットの少なくとも一部分で構成し、当該第1グラフィクスユニットの当該少なくとも一部分をその幾何特性と共にハイライトする。こうすることで、個別具体的に重要な呼吸パラメタに対する上記人工呼吸器のオペレータの視覚的知覚が敏感になる。
【0061】
有益なことに、上記第1グラフィクスユニットの上記少なくとも一部分を、それらの幾何特性と共に領域内でハイライトすることで、上記人工呼吸器のオペレータに対し、同グラフィクスユニットの少なくとも一部分における重要領域を指し示すことができる。
【0062】
好ましくは、上記少なくとも1個の表示手段を、グラフィカル要素例えば線を伴うチャート入りの更なるグラフィクスユニットを有するものとし、そのグラフィカル要素により少なくとも表示データの経時変動を表現し、その表示データにより少なくとも1個の呼吸パラメタを表現する。こうすることで、呼吸パラメタの経時変動を遡行観測することが可能となる。
【0063】
有益なことに、上記チャート内の上記グラフィカル要素を、上記アニメーション可能表現のうち1個のなかの、対応する幾何要素の少なくとも一つの幾何特性と整合させることで、上記少なくとも1個の表示手段に対する上記人工呼吸器のオペレータの向きを、改善することができる。
【0064】
好ましくは、上記更なるグラフィクスユニットを、上記人工呼吸器のパラメタのアニメーション可能表現に係るバーチャートを有するものとする。こうすることで、ひときわ関連性のあるパラメタがオペレータに対しグラフィカルな要領で提示されることとなる。
【0065】
とりわけ、上記バーチャートの上限及び下限により、通常は上記パラメタに係る最大許容値及び最小許容値を表現できるので、そのパラメタに係るリスクゾーンをオペレータ向けに描出することができる。
【0066】
好ましいことに、上記人工呼吸器を更なる表示手段にリンクさせ、それにその人工呼吸器から個別項目の表示データを取り込むこと、より有益には上記少なくとも1個の表示手段及び当該更なる表示手段を互いに間隔配置することで、その人工呼吸器のオペレータが、様々な機器からその人工呼吸器に関する情報を得ることができ、更にはある距離を隔てたところからでも迅速に対処できることとなる。
【0067】
好ましいことに、上記人工呼吸器を断層計測装置に接続し、その断層計測装置からの少なくとも個別項目の計測データを上記制御システムに送信し、少なくともその制御システムにてそれを受信し、上記第1グラフィクスユニット内のアニメーション可能表現のうち1個にてそれらを考慮に入れることができる。こうすることで、当該第1グラフィクスユニットにおける上記呼吸ガスの分布又は配置の算出を改善することができる。
【0068】
有益なことに、上記断層計測装置を電気インピーダンス断層計測装置とすることで、上記人工呼吸器に関しひときわ正確な計測データ判別を実行することができ、また上記第1グラフィクスユニットにおける上記呼吸ガスの分布又は配置のひときわ正確な算出が可能となる。
【0069】
本発明の更なる長所、特徴及び詳細については、図面を参照し本発明の例示的諸実施形態を述べる以下の記述から明らかとなろう。
【0070】
参照符号のリストは、特許請求の範囲及び図面の技術的内容と並び、本件開示の一部を形成している。それら図面は一体且つ包括的に記述されている。同一の参照符号は同一の部材を指し示しており、異なる引数を伴う参照符号は同一又は同様の機能を伴う部材を指し示している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図面は以下の通りである。
【0072】
図1】第1実施形態の人工呼吸器であり、本発明に係る呼吸ガスの第1アニメーション可能表現を伴っており、それが表示手段上の第1グラフィクスユニットたる肺内にあるものを示す斜視図である。
図2図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、吸気後の呼吸ガスのアニメーション可能表現を示す斜視図である。
図3図1に従い、第1グラフィクスユニットたる充満した肺における、呼吸ガスのアニメーション可能表現を示す斜視図である。
図4図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す斜視図である。
図5図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図6図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図7図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図8図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図9図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図10図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図11図1に従い、第1グラフィクスユニットたる肺における、呼吸ガスの更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
図12図1に従い、第2グラフィクスユニットたるバーチャートにおける、更なるアニメーション可能表現を示す更なる斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1に示す人工呼吸器15はハウジング17を有しており、そのハウジング壁18上には接続手段20が配置されている。ハウジング前面19上には第1表示手段35が配置されている。制御システムは制御論理モジュール25を有しており、それには情報処理ユニット26(例えばプロセッサ)が備わっており、それと格納手段27とが、情報処理ユニット37(例えばプロセッサ)を備えるグラフィック論理モジュール36と共に、本人工呼吸器15のハウジング17内に配置されている。それら制御論理モジュール25及びグラフィック論理モジュール36は、データライン28を用い電気的に相互接続されている。上記接続手段20は、供給源接続部21(例えば給電部、インターネット接続部、ゲートウェイ接続部等々)に加え、換気管接続部22と、複数個のセンサ接続部23とを備えている。計測データ31は、センサ接続部23及び換気管接続部22により外部のセンサシステム30から獲得され、在来型のデータ接続部32(ケーブル、WLAN、Bluetooth(登録商標)等々)と、例えばA/D変換器(図示せず)とを用い、制御論理モジュール25へと送信される。制御論理モジュール25ではその獲得計測データ31が直に処理され及び/又はグラフィック論理モジュール36へと送信され、そのうち少なくとも一部分が格納手段27内に格納される。制御論理モジュール25はデータライン28を介し第1表示手段35に接続されている。その第1表示手段35上にはセンサ34が設けられていて、それによりその表示手段35のある領域38が捕捉される。第1表示手段35はコンフィギュラブルスクリーン33を有しており、これは第1グラフィクスユニット29及び第2グラフィクスユニット39を伴っている。第1グラフィクスユニット20は、肺42内の呼吸ガス41のアニメーション可能表現40で構成される。第2グラフィクスユニット39にはチャート60(ytチャート)が表示され、それにより、表示データ65の諸項目のうち一つの経時変動と、表示データ62の個別項目の数値的詳細とが表示される。呼吸パラメタ16は、表示データ62,65を用い第1表示手段35上に直に表示されるか、初期的に制御論理モジュール25の情報処理ユニット26内で処理された後、表示データ65として、第1表示手段35上及び/又はその第1グラフィクスユニット29内に、呼吸ガス41に当てはまる分布(均一又は不均一分布、ガウス分布、指数分布等々)と共に表示されることとなろう。ハウジング前面19には更に入力手段70があり、それがデータライン28を用い制御論理モジュール25に電気的に接続されているので、人工呼吸器15のオペレータ90(例えば医療従業者)が個別の呼吸パラメタ16及び患者パラメタ80を入力することができる。
【0074】
例えば人工呼吸器15を断層計測装置(図示せず)に接続すると、そこからそれによる計測データ31が制御論理モジュール25へと送信されてくる。それら計測データ31は呼吸パラメタ16の処理に与るものであり、制御論理モジュール25の情報処理ユニット26では、それを用い例えば肺42内における呼吸ガス43の分布を算出することができ、続いてその結果を呼吸ガス41のアニメーション可能表現40内に入れることができる。電気インピーダンス断層計測装置が好適な断層計測装置であると思われる。
【0075】
以下の図2図11に示すのは、第1グラフィクスユニット29における肺42内呼吸ガス41のアニメーション可能表現40,50の様々な実施形態であり、その肺42は2個の肺断片即ち肺葉44,45で構成されており、またそれらが気管48及びそれぞれの気管支46によって一体にリンクされている。呼吸ガス41を組成する複数の成分(例えば酸素、窒素、貴ガス、二酸化炭素等々)は、様々な呼吸パラメタ16又は表示データ62,65を用い第1表示手段35上に表示されると共に、相互に区別可能な幾何要素43によって表現されている。この場合、それら幾何要素43が二次元的な形態(例えば円、破線、三角形等々)又は三次元的な形態(球、棒、角錐等々)にて示される。アニメーション可能表現40を構成する幾何要素43は、本発明に係る人工呼吸器15の実施形態に左右される様々な要領にて、また様々な要素サイズ、要素形状及び要素色にて表示される。
【0076】
一例としては、全ての呼吸パラメタ16又は表示データ62,65が、その直径が異なる円として、アニメーション可能表現40にて表示される。
【0077】
健康状態では、肺42充満時に、気管48から始まり気管支46を経て2個の肺断片44,45内にかけ、アニメーション可能表現40内に幾何要素43を均一且つ無欠に分布させる(図2及び図3)。このとき、吸入酸素計測値(FiO2_mess)、吸入酸素成分画定値(FiO2_set)及び酸素飽和計測値(SpO2)を用い制御論理モジュール25で求められた酸素濃度パラメタと、CO2センサを用い計測された二酸化炭素パラメタと、近位圧及び気管圧計測値を用い制御論理モジュール25で求められた肺過剰圧パラメタとを、それぞれ、同じ幾何要素43ではあるがその要素色及び/又は要素サイズが異なるもので以て、アニメーション可能表現40内で特徴付けることができる(図3)。
【0078】
図4には肺42内呼吸ガス41のアニメーション可能表現40が示されており、図中の過吸気状態(hyperinflatory)肺42では呼吸ガス41が肺断片43,44の下部肺領域47内に蝟集する。適切なセンサシステム30を用い持続陽呼気圧パラメタ(持続PEEP)を継続的に計測することで、その持続PEEPに係る計測値の上昇が制御論理モジュール25によって評価され、アニメーション可能表現40内に描出される。これを目的にして、そのアニメーション可能表現40内に、排出呼吸ガス成分(例えば飽和二酸化炭素成分又は排出酸素成分)及び新鮮呼吸ガス成分(新規供給された呼吸ガス41)が、同じ幾何要素43で以て相異なる灰色陰影にて示される。
【0079】
PEEP計測時には、それら肺領域47(例えば肺胞)のうちなおも残留呼吸ガス41が内在しているものを、その呼吸ガス41のアニメーション可能表現40を用い描出することができる。気管支46上のそれら肺胞は、それぞれ幾何要素43(円)を用い描出される(図5)。
【0080】
図6に見られるように、気管48における拘束を、更なる表現50を用いアニメーション表示することができる。ここでは、気管壁51及び気管支壁52が太線で、また健康な肺に係るそれとは異なる色で示されている。加えて、幾何要素が線をなし相前後して位置しうるよう、そのアニメーション化表現40内の呼吸ガス41が配置されている。
【0081】
図7には肺コンプライアンスが上昇した肺42が示されている。これは、そのコンプライアンスを呼吸パラメタ16として用い制御論理モジュール25により求め、肺断片44,45における幾何要素43の空間制限分布を示す呼吸ガス41の第1アニメーション可能表現40と、肺葉壁53の有色ハイライトで際立たせた更なるアニメーション可能表現50と、の組合せによって示したものである。その際、肺葉コンプライアンスの度合いは肺葉壁53の有色ハイライト幅により表現される。加えて横隔膜55が別の色にて示され、患者の自発呼吸を計測する際には、その色が制御論理モジュール25にて処理され更なるアニメーション可能表現50内に示される。
【0082】
図8及び図9には肺42における食道圧計測のアニメーション可能表現50が示されており、またその食道圧計測から引き出された結論が、肺42外にある計測バーの形態にて幾何要素43を用い表示されている。この場合、制御論理モジュール25により、肺42における肺圧計測及び胸膜腔内圧計測に係る計測データ31が処理され、その際に例えばその計測データ31に係る差分値が求められ、更にそれが相異なる色の計測バーなる形態にてアニメーション可能表現50内に表示データ62,65として示される。
【0083】
図10及び図11に示されているのは、PEEP値・吸気圧(PINSP)間差分に対するPEEP値の比の表現であり、これらは、制御論理モジュール25により処理された上で、アニメーション可能表現40を用い肺内に描出されている。この比値が高まると幾何要素43の要素色が変更され、計測バーを用い肺42内で有色ハイライトされる。ある好適な実施形態によれば、本発明に従い人工呼吸器15を制御する方法は、以下の諸ステップを有している。
【0084】
センサシステム30によって計測データ31が獲得された後、その計測データ31は、人工呼吸器15及びその制御システム24へと送給された上で、格納手段27内へのその計測データ31の格納及び/又は制御システム24における処理によって、人工呼吸器15により処理される。そこでは、計測データ31が格納手段27からのデータと結合されるか、それらが表示データ62,65として表示される要領にて処理される。その処理プロセスにおいては、制御論理モジュール25の情報処理ユニット26か、グラフィック論理モジュール36の情報処理ユニット37が、その計測データ31(付随的には過去の計測データを伴うそれ)を、入力される呼吸パラメタ16と量的且つ質的に結合させる。呼吸パラメタ16の結合後は、制御論理モジュール25が、呼吸ガス41のアニメーション可能表現40,50のうち1個に示されているそれら呼吸パラメタ16を、幾何要素43へと割り振り、対応する要素形状、要素色及び要素サイズで以て第1グラフィクスユニット29内に表示させる。同時に、制御論理モジュール25又はグラフィック論理モジュール36が、それらと同じ呼吸パラメタ16の経時変動を判別し、それらを同じ色で以て、或いは同じ形状又は要素サイズで以て、チャート60内に表示させる。同時に、表示パラメタ62が第2グラフィクスユニット上に表示される。
【0085】
一例としては、肺収縮領域の開通(肺リクルートメント)をアニメーションとして描出することができる。その場合、最初のステップにて、可制御な呼吸圧(例えばPEEP)をゆっくり上げることで、チャート60におけるその経時変動と、それに関わる幾何要素43とが、アニメーション可能表現40にて同じ色で示されるようにする。次に、換気を停止させ、呼吸圧(例えばPEEP)を再びゆっくりと下げることで、チャート60にその経時変動を表示させると共に、アニメーション可能表現40にてその幾何要素43を同じ色で、但し最初のステップとは区別できるように表示させる。これら2個のステップを、それら2ステップにて最大差分(ヒステリシス)が画定されるまで反復する。こうして求まった呼吸圧(例えばPEEP)を、その後に制御論理モジュール25から制御システム24へと引き渡し、人工呼吸器15における新たな制御値として与える。変化(恐らくは予想外の誤動作)があった場合、オペレータ90は、第1グラフィクスユニット29内の表示データ62,65の項目のうち一つを変化させることで、人工呼吸器15上の制御システムと直に対峙することができる。これにより制御値が生成され、それが制御システム40へと送信される。肺42における個別の呼吸パラメタ16又は表示パラメタ65を表現する上述の幾何要素43は、実施形態によってはその形状、サイズ及び色を互いに違えることができる。
【0086】
図12には、コンフィギュラブルスクリーン33上の第2グラフィクスユニット39たるバーチャート61における、パラメタ66のアニメーション可能表現が示されている。このバーチャート61は上限64及び下限65を有している。一例としては、そのバーチャート61によって、例えばその換気性能、全体性能、経肺性能等、人工呼吸器のパラメタ66のうちとりわけ適切なものが表現される。そのパラメタ66に係る最大許容値又は最小許容値を上限64又は下限65によって示すことで、そのパラメタ66に係るリスクゾーンをオペレータ90向けに示すことができる。同時に、例えばデッドボリューム、呼吸数等、更に重要な表示データ62,65を、上限64及び下限65上に示すことができる。それら上限64及び下限65を換気対象患者75に相応しく決めることができ、それを受けそのパラメタ66をアニメーションとして示すことができる。一例としては、そのパラメタ66に対する変更を表現色のアニメーション的変化で以て示すことができる。第2グラフィクスユニット39の表現と併せ第1グラフィクスユニット29の表現を、アニメーションとして示すことができる。
【符号の説明】
【0087】
15 人工呼吸器、16 呼吸パラメタ、17 ハウジング、18 ハウジング壁、19 ハウジング前面、20 接続手段、21 供給源接続部、22 換気管接続部、23 センサ接続部、24 制御システム、25 制御論理モジュール、26 25用の情報処理ユニット、27 格納手段、28 データライン、29 第1グラフィクスユニット、30 計測データ、31 センサシステム、32 データリンク、33 コンフィギュラブルスクリーン、34 センサ、35 第1表示手段、36 グラフィック論理モジュール、37 36用の情報処理ユニット、38 領域、39 第2グラフィクスユニット、40 アニメーション可能表現、41 呼吸ガス、42 肺、43 幾何要素、44 肺の断片、45 肺の断片、46 気管支、47 肺領域、48 気管、50 更なるアニメーション可能表現、51 気管壁、52 気管支壁、53 肺葉壁、55 横隔膜、60 チャート(ytチャート)、61 バーチャート、62 表示データ(ディジタル)、63 下限、64 上限、65 表示データ(ディジタル)、66 パラメタ、70 入力手段、75 患者、80 患者パラメタ、90 オペレータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサシステム(30)と制御システム(24)と、制御論理モジュール(25)と、コンフィギュラブルスクリーンを有する表示装置(35)とを含む人工呼吸器(15)であって、
前記センサシステム(30)が、少なくとも2項目の空間的に分解された計測データ(31)を獲得するよう、且つ獲得した計測データ(31)を前記制御論理モジュール(25)に送信するよう、構成されており、
前記制御論理モジュールが、前記空間的に分解された計測データに基づいて呼吸ガス(41)の胸腔内空間分布を算出するように構成されており、
呼吸ガスの前記胸腔内空間分布は、前記呼吸ガスの各化学成分の肺全体における空間分布であり、
前記制御システム(24)が、前記胸腔内空間分布の表示データ(62,65)を提供するよう構成されており
前記表示データは、前記表示装置(35)第1グラフィクスユニット(29)おいて、前記呼吸ガス(41)の第1アニメーション可能表現(40)内に表示され個別項目の表示データ(62,65)を少なくとも含み、
前記第1グラフィクスユニットは、肺の絵画的表現であり、前記呼吸ガス(41)の各化学成分の肺全体における前記空間分布は、区別可能な特性を有する幾何要素(43)によって表現される、人工呼吸器。
【請求項2】
請求項1記載の人工呼吸器であって、前記制御システム(24)に制御論理モジュール(25)又はグラフィック論理モジュール(36)が併設されたこと、を特徴とする人工呼吸器。
【請求項3】
請求項2に記載の人工呼吸器であって、前記制御論理モジュール(25)又は前記グラフィック論理モジュール(36)に情報処理ユニット(26,37)が併設されたことを特徴とする人工呼吸器。
【請求項4】
請求項1記載の人工呼吸器であって、前記コンフィギュラブルスクリーン(33)がタッチ感応スクリーンであることを特徴とする人工呼吸器。
【請求項5】
請求項1記載の人工呼吸器であって、前記表示装置(35)の少なくとも1個の領域(38)を捉えるセンサ(34)が設けられたことを特徴とする人工呼吸器。
【請求項6】
請求項1記載の人工呼吸器(15)を制御する方法であって、
a)前記センサシステム(30)で以て少なくとも2項目の空間的に分解された計測データ(31)を獲得するステップであって、前記センサシステム(30)が、呼吸ガスの胸腔内空間分布の算出を可能にする計測データ(31)を提供する、ステップと、
b)前記獲得した計測データ(31)を前記センサシステム(30)から前記制御システム(24)に送信するステップと、
c)前記制御システム(24)において、前記空間的に分解された計測データに基づいて呼吸ガス(41)の胸腔内空間分布を算出するステップであって、呼吸ガスの前記胸腔内空間分布は、前記呼吸ガスの各化学成分の肺全体における空間分布である、ステップと、
d)前記胸腔内空間分布の表示データ(62,65)を提供するステップと、
e)少なくとも個別項目の表示データ(62,65)を、呼吸ガス(41)の第1アニメーション可能(animated)表現(40)にて、前記表示装置(35)の第1グラフィクスユニット(29)上に表示するステップであって前記第1グラフィクスユニット(29)は、肺の絵画的表現であり、前記少なくとも個別項目の表示データ(62,65)は、少なくとも個別の幾何要素(43)によって表現され、前記呼吸ガス(41)の各化学成分の肺全体における空間分布の少なくとも1つを、区別可能な特性を有する幾何要素(43)により表現するステップと、
を有する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、受信した前記計測データ(31)が、後で前記人工呼吸器(15)又は前記制御システム(24)によって処理されること、を特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記表示データ(62,65)が、前記制御システム(24)を利用して提供されること、を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、ステップc)にて、前記制御システム(24)の前記制御論理モジュール(25)から受信した前記計測データ(31)を前記制御システム(24)のグラフィック論理モジュール(36)に送信すること、を特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、少なくとも個別項目の送信計測データ(31)を前記グラフィック論理モジュール(36)により処理して表示データ(62,65)を提供することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記制御論理モジュール(25)又は前記グラフィック論理モジュール(36)の少なくとも1つの情報処理ユニット(26,37)が、前記呼吸ガス(41)の少なくとも1つの分布又は配置を、受信した前記個別項目計測データ(31)を用い算出すること、を特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記呼吸ガス(41)の前記分布又は前記配置を、少なくとも前記呼吸ガス(41)の第1アニメーション可能表現(40)にて表示することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項6に記載の方法であって、ステップc)にて受信した前記計測データ(31)を前記制御システム(24)にて計測データのカテゴリに従い区分し、少なくとも1個の計測データカテゴリに属する少なくとも個別項目の計測データ(31)を前記制御システム(24)の前記グラフィック論理モジュール(36)に送信すること、を特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記少なくとも1個の計測データカテゴリに属する計測データ(31)全てを前記グラフィック論理モジュール(36)に送信すること、又はある計測データカテゴリに属する少なくとも個別項目の計測データ(31)を前記表示装置(35)に送信すること、を特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記1個の計測データカテゴリに属する計測データ(31)全てを前記表示装置(35)に送信することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項6に記載の方法であって、前記少なくとも個別項目の表示データ(62,65)を前記表示装置(35)にて更なるアニメーション可能(animatable)表現(50)で以て表示すること、を特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記更なるアニメーション可能表現(50)にて表示される少なくとも更なる個別の幾何要素(43)を利用して、少なくとも個別項目の前記表示データ(62,65)を表示すること、を特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記表示装置(35)の前記第1グラフィクスユニット(29)内で前記更なるアニメーション可能表現(50)上に、少なくとも個別項目の前記表示データ(62,65)を表示することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項6に記載の方法であって、前記表示装置(35)の少なくとも前記第1グラフィクスユニット(29)を少なくとも領域内で修正しうること前記第1グラフィクスユニット(29)の少なくとも1個の領域の修正により制御値を生成し、その後に、前記制御値を前記制御システム(24)に送信すること前記制御システム(24)に送信された前記制御値を用い前記人工呼吸器(15)の呼吸パラメタ(16)のうち少なくとも1個を制御することとを特徴とする方法。