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特開2024-133298浮上式ステープルカートリッジを有する外科用ステープル留め装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133298
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】浮上式ステープルカートリッジを有する外科用ステープル留め装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114811
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2022178013の分割
【原出願日】2018-08-16
(31)【優先権主張番号】15/684,223
(32)【優先日】2017-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ビアーズリー
(72)【発明者】
【氏名】スタニスロウ コストシェフスキー
(57)【要約】
【課題】浮上式ステープルカートリッジを有する外科用ステープル留め装置の提供。
【解決手段】外科用ステープル留め装置は、アンビル組立体と、カートリッジチャネル及びカートリッジチャネル内に支持されたステープルカートリッジを含むカートリッジ組立体と、を有するツール組立体を含む。カートリッジチャネルは、一対の離間した側壁部及び底壁部を有する。カートリッジ組立体は、側壁部の上縁部上に支持されており、かつステープルカートリッジを支持するように位置付けられている圧縮ストリップを含む。実施形態において、圧縮ストリップの各々は、接続部分を含み、側壁部の各々の上縁部は、圧縮ストリップをカートリッジチャネルの側壁部に固定するように、それぞれの圧縮ストリップの接続部分を受容するように構成されているスロットを画定している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
本開示は、外科用ステープル留め装置を対象とし、より具体的には、異なる厚さの組織を収容するために圧縮可能な基部上に支持されているステープルカートリッジを有するツール組立体を含む外科用ステープル留め装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
様々な外科的処置、例えば、吻合処置において、組織または組織区画を迅速かつ効率的に接合するために、ステープルを放出するための外科用ステープル留め装置が、公知である。外科用ステープル留め装置は、カートリッジ組立体及びアンビル組立体を有するツール組立体を含む。カートリッジ組立体及びアンビル組立体は、ツール組立体が締め付け位置にあるときに組織の間隙を画定する組織接触面を画定している。組織の間隙は、止血を行うために所与の厚さ範囲の組織を受容するように寸法決めされている。顎部間に位置付けられた組織が、過度に厚いか、または過度に薄いかのいずれかで、規定の範囲外にある場合、カートリッジ組立体及びアンビル組立体の組織接触面は、効果的な止血を提供するためのステープル留め装置の発射中に、適切に位置付けられない場合がある。加えて、臨床医が組織の厚さを誤認した場合、または組織の厚さが所与のステープルの大きさに対する範囲の外縁部近くに該当する場合、非効果的な止血の可能性が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、縫合技術において、より大きい範囲の組織の厚さに対して効果的な止血を提供することができる外科用ステープル留め装置に対する継続的な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様において、カートリッジ組立体は、凹部を画定している底壁部及び側壁部を有するカートリッジチャネルを含む。側壁部の各々は、底壁部に固定された第1の端部と、細長いスロットを画定している底壁部から離間している第2の端部とを有する。ステープルカートリッジは、長手方向軸を画定しており、かつ組織接触面を画定している上壁部及び側壁部を含む。上壁部は、ステープルカートリッジの側壁部の各々に隣接して位置付けられた長手方向に延在している肩部を画定するように、ステープルカートリッジの側壁部の径方向に外方に延在している。ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジの肩部がカートリッジチャネルの側壁部の上部に位置するように、カートリッジチャネルの凹部内に受容されるように寸法決めされている。圧縮ストリップは、カートリッジチャネルの側壁部の第2の端部内に画定された細長いスロットの各々内に支持されている。細長いスロット及び圧縮ストリップは、圧縮ストリップをカートリッジチャネルに固定するように噛み合うように構成されている。
【0005】
本開示の別の態様において、カートリッジ組立体は、凹部を画定している底壁部及び側壁部を有するカートリッジチャネルと、長手方向軸を画定しており、かつ複数のステープル及び複数のプッシャを支持しているステープルカートリッジとを含む。ステープルカートリッジは、カートリッジチャネルの凹部内に受容されている。ステープルカートリッジは、組織接触面を画定している上壁部及び複数のステープル保持スロットを有する。圧縮パッドは、カートリッジチャネルの底壁部とステープルカートリッジとの間に位置付けられている。
【0006】
実施形態において、圧縮ストリップの各々は、長手方向スロット内に受容される接続部分を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、圧縮ストリップの各々の接続部分及び細長いスロットは、鳩尾形状である。
【0008】
一定の実施形態において、カートリッジチャネルの側壁部の各々の第2の端部は、切り欠きを含み、切り欠きは、細長いスロットを複数の区画へと分割するように細長いスロットに交差している。
【0009】
実施形態において、圧縮ストリップの各々は、複数の区画から形成されており、圧縮ストリップの複数の区画の各々は、細長いスロットの複数の区画のうちの1つの長さに対応する長さを有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、圧縮ストリップの各々は、弾性材料から形成されている。
【0011】
一定の実施形態において、カートリッジ組立体は、支持プレートを含み、ステープルカートリッジは、ステープル及びプッシャを含み、かつ上壁部に対向する開口端部を画定している。支持プレートは、ステープル及びプッシャをステープルカートリッジ内に保持するように、ステープルカートリッジの開口端部上で支持されている。
【0012】
実施形態において、ステープルカートリッジ及び支持プレートは、カートリッジチャネルの底壁部との間隙を画定している。
【0013】
いくつかの実施形態において、圧縮パッドは、ステープルカートリッジとカートリッジチャネルの底壁部との間の間隙内に位置付けられている。
【0014】
一定の実施形態において、カートリッジチャネル及びステープルカートリッジは、ナイフスロットを各々画定しており、圧縮パッドは、ナイフスロットの一方の側上の第1の半体と、ナイフスロットの他方の側上に位置付けられた第2の半体とを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、圧縮パッドは、接着剤を使用してカートリッジチャネルの底壁部に固定されている。
【0016】
実施形態において、圧縮パッドは、弾性材料から形成されている。
例えば本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
カートリッジ組立体であって、
凹部を画定している底壁部及び側壁部を含むカートリッジチャネルであって、上記側壁部の各々が、上記底壁部に固定された第1の端部、及び上記底壁部から離間している第2の端部を有し、上記側壁部の各々の上記第2の端部が、細長いスロットを画定している、カートリッジチャネルと、
長手方向軸を画定しており、かつ組織接触面を画定している上壁部及び側壁部を含むステープルカートリッジであって、上記上壁部が、上記ステープルカートリッジの各側壁部に隣接する長手方向に延在している肩部を画定するように、上記ステープルカートリッジの上記側壁部の径方向に外方に延在しており、上記ステープルカートリッジが、上記肩部が上記カートリッジチャネルの上記側壁部の上部に位置するように、上記カートリッジチャネルの上記凹部内に受容されるように寸法決めされている、ステープルカートリッジと、
上記カートリッジチャネルの上記側壁部の上記第2の端部内に画定された上記細長いスロットの各々内に支持された圧縮ストリップであって、上記細長いスロット及び上記圧縮ストリップが、上記圧縮ストリップを上記カートリッジチャネルに固定するように噛み合うように構成されている、圧縮ストリップと、を備える、カートリッジ組立体。
(項目2)
上記圧縮ストリップが、接続部分を含み、上記圧縮ストリップの上記接続部分及び上記細長いスロットが、鳩尾形状である、上記項目に記載のカートリッジ組立体。
(項目3)
上記カートリッジチャネルの上記側壁部の各々の上記第2の端部が、切り欠きを含み、上記切り欠きが、上記細長いスロットを複数の区画へと分割するように、上記細長いスロットに交差している、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目4)
上記圧縮ストリップの各々が、複数の区画から形成されており、上記圧縮ストリップの上記複数の区画の各々が、上記細長いスロットの上記複数の区画のそれぞれの1つの長さに対応する長さを有する、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目5)
上記圧縮ストリップの各々が、弾性材料から形成されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目6)
支持プレートをさらに含み、上記ステープルカートリッジが、ステープル及びプッシャを含み、かつ上記上壁部に対向する開口端部を画定しており、上記支持プレートが、上記ステープル及び上記プッシャを上記ステープルカートリッジ内に保持するように、上記ステープルカートリッジの上記開口端部上に支持されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目7)
上記ステープルカートリッジ及び上記支持プレートが、上記カートリッジチャネルの上記底壁部との間隙を画定している、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目8)
上記ステープルカートリッジと上記カートリッジチャネルの上記底壁部との間に位置付けられた圧縮パッドを上記間隙内にさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目9)
カートリッジチャネル及び上記ステープルカートリッジが、ぞれぞれのナイフスロットを画定しており、上記圧縮パッドが、上記ナイフスロットの一方の側上に位置付けられた第1の半体と、上記ナイフスロットの他方の側上に位置付けられた第2の半体とを含む、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目10)
上記圧縮パッドが、弾性材料から形成されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目11)
上記圧縮パッドが、接着剤を使用して上記カートリッジチャネルの上記底壁部に固定されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目12)
カートリッジ組立体であって、
凹部を画定している底壁部及び側壁部を含むカートリッジチャネルと、
長手方向軸を画定しており、かつ複数のステープル及び複数のプッシャを支持しているステープルカートリッジであって、上記ステープルカートリッジが、組織接触面及び複数のステープル保持スロットを画定している上壁部を有し、上記ステープルカートリッジが、上記カートリッジチャネルの上記凹部内に受容されている、ステープルカートリッジと、
上記カートリッジチャネルの上記底壁部と上記ステープルカートリッジとの間に位置付けられた圧縮パッドと、を備える、カートリッジ組立体。
(項目13)
上記圧縮パッドが、弾性材料から形成されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目14)
上記カートリッジチャネル及び上記ステープルカートリッジが、それぞれのナイフスロットを画定しており、上記圧縮パッドが、上記ナイフスロットの一方の側上に位置付けられた第1の半体と、上記ナイフスロットの他方の側上に位置付けられた第2の半体とを含む、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目15)
上記圧縮パッドが、接着剤を使用して上記カートリッジチャネルの上記底壁部に固定されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目16)
上記カートリッジチャネルの上記側壁部の各々が、上記底壁部に固定された第1の端部と、上記底壁部から離間した第2の端部とを有し、上記カートリッジチャネルの上記側壁部の各々の上記第2の端部が、細長いスロットを画定しており、上記ステープルカートリッジが、上記上壁部の各端部に沿って長手方向に延在している側壁部をさらに含み、上記上壁部が、上記ステープルカートリッジの上記側壁部の各々に隣接する長手方向に延在している肩部を画定するように上記側壁部の径方向に外方に延在しており、上記ステープルカートリッジが、上記肩部が上記カートリッジチャネルの上記側壁部の上部に位置するように、上記カートリッジチャネルの上記凹部内に受容されるように寸法決めされており、
上記カートリッジチャネルの上記側壁部の上記第2の端部内に画定された上記細長いスロット内に支持された圧縮ストリップをさらに含み、上記細長いスロット及び上記圧縮ストリップが、上記圧縮ストリップを上記カートリッジチャネルに固定するように噛み合うように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目17)
上記圧縮ストリップが、接続部分を含み、上記圧縮ストリップの上記接続部分及び上記細長いスロットが、鳩尾形状である、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目18)
上記カートリッジチャネルの上記側壁部の各々の上記第2の端部が、切り欠きを含み、上記切り欠きが、上記細長いスロットを複数の区画へと分割するように上記細長いスロットに交差している、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目19)
上記圧縮ストリップの各々が、複数の区画から形成されており、上記圧縮ストリップの上記複数の区画の各々が、上記細長いスロットの上記複数の区画のそれぞれの1つの長さに対応する長さを有する、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(項目20)
支持プレートをさらに含み、上記ステープルカートリッジが、上記上壁部に対向する開口端部を含み、上記支持プレートが、上記ステープル及び上記プッシャを上記ステープルカートリッジ内に保持するように、上記ステープルカートリッジの上記開口端部上に支持されている、上記項目のいずれか一項に記載のカートリッジ組立体。
(摘要)
外科用ステープル留め装置は、アンビル組立体と、カートリッジチャネル及びカートリッジチャネル内に支持されたステープルカートリッジを含むカートリッジ組立体と、を有するツール組立体を含む。カートリッジチャネルは、一対の離間した側壁部及び底壁部を有する。カートリッジ組立体は、側壁部の上縁部上に支持されており、かつステープルカートリッジを支持するように位置付けられている圧縮ストリップを含む。実施形態において、圧縮ストリップの各々は、接続部分を含み、側壁部の各々の上縁部は、圧縮ストリップをカートリッジチャネルの側壁部に固定するように、それぞれの圧縮ストリップの接続部分を受容するように構成されているスロットを画定している。いくつかの実施形態において、ツール組立体はまた、カートリッジチャネルの底部とステープルカートリッジとの間のカートリッジチャネルの底壁部上に支持されている圧縮可能なパッドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示のツール組立体の種々の実施形態を、図を参照して本明細書の下に記載する。
【0018】
図1】締め付け位置での本開示のツール組立体の例示的な実施形態を含む外科用ステープル留め装置の側面斜視図である。
図1A図1に図示されている詳細の指定領域の拡大図である。
図2】仮想線で図示されているツール組立体のアンビル組立体を有する、非締め付け位置での図1のツール組立体の側面斜視図である。
図3図2に図示されているツール組立体のカートリッジ組立体の側面斜視分解図である。
図3A】切断線3A-3Aに沿って切り取られた断面図である。
図4】チャネル部材の側壁部に取り付けられた圧縮ストリップを有する、図3に図示されているカートリッジ組立体のチャネル部材の側面斜視図である。
図5】チャネル部材上に支持された圧縮ストリップ及び圧縮パッドを有する、図4に図示されているカートリッジ組立体のチャネル部材の側面斜視図である。
図6図2に図示されている詳細の指定領域の拡大図である。
図7図3に図示されている詳細の指定領域の拡大図である。
図8図3に図示されている詳細の指定領域の拡大図である。
図9】圧縮ストリップがチャネル部材の側壁部に取り付けられたときの、図8に図示されている詳細の指定領域の斜視図である。
図10図1Aの切断線10-10に沿って切り取られた断面図である。
図11図10の切断線11-11に沿って切り取られた断面図である。
図12】比較的薄い組織上に締め付けられたツール組立体を有する、図10の切断線11-11に沿って切り取られた断面図である。
図13】ステープルが薄い組織内で変形された後の、図12のカートリッジ組立体のステープルの側面図である。
図14】比較的適度な厚さを有する組織上に締め付けられたツール組立体を有する、図10の切断線11-11に沿って切り取られた断面図である。
図15】ステープルが比較的適度な厚さを有する組織内で変形された後の、図14のカートリッジ組立体のステープルの側面図である。
図16】比較的厚い組織上で締め付けられたツール組立体を有する、図10の切断線11-11に沿って切り取られた断面図である。
図17】ステープルが比較的厚い組織内で変形された後の、図16のカートリッジ組立体のステープルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、浮上式ステープルカートリッジを有するツール組立体を含む本開示の外科用ステープル留め装置を、いくつかの図の各々において同様の符号が同一または対応する要素を指定している図を参照して詳細に記載する。この説明において、「近位」という用語は、概して、臨床医により近い装置の当該部分を指すために使用されており、「遠位」という用語は、概して、臨床医からより遠い装置の当該部分を指すために使用されている。加えて、「内視鏡的」という用語は、概して、内視鏡的処置、腹腔鏡的処置、関節鏡的処置、及び/または小径切開もしくはカニューレを通して行われる任意の他の処置を指すために使用されている。加えて、臨床医という用語は、概して、医師、看護師、及び支援人員を含む医療人員を指すために使用されている。
【0020】
本開示の外科用ステープル留め装置は、アンビル組立体と、カートリッジチャネル及びカートリッジチャネル内に支持されたステープルカートリッジを含むカートリッジ組立体と、を有する、ツール組立体を含む。カートリッジ組立体は、一対の離間した側壁部及び底壁部を有するカートリッジチャネルを含む。カートリッジ組立体は、カートリッジチャネルの側壁部の上縁部上に支持されており、かつステープルカートリッジを支持するように位置付けられている圧縮ストリップを含む。実施形態において、圧縮ストリップの各々は、接続部分を含み、側壁部の各々の上縁部は、圧縮ストリップをカートリッジチャネルの側壁部に固定するように、それぞれの圧縮ストリップの接続部分を受容するように構成されたスロットを画定している。圧縮ストリップは、異なる厚さの組織を収容するように、ステープルカートリッジがツール組立体のアンビル組立体に対して移動または浮上することを可能にする。
【0021】
いくつかの実施形態において、ツール組立体はまた、チャネルの底壁部上に支持された圧縮可能なパッドを含む。ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジがカートリッジチャネル内で移動または浮上することができるように、カートリッジチャネル内で圧縮可能なパッド上に支持されている。
【0022】
図1は、概して10として図示されている本開示の外科用ステープル留め装置の例示的な実施形態を例証している。ステープル留め装置10は、ハンドル組立体12と、長手方向軸「X」を画定しており、かつハンドル組立体12の遠位部分から延在している本体部分14と、本体部分14の遠位部分上に支持されたツール組立体100と、を含む。実施形態において、ハンドル組立体12は、固定把持部16、発射トリガ18、回転ノブ20、及び関節レバー22を含む。発射トリガ18は、非締め付け位置(図2)と締め付け位置(図1A)との間でツール組立体100を移動させ、ステープル留め装置10を発射するように作動可能である。関節レバー22は、長手方向軸「X」に対して横断する軸の周りで本体部分14に対してツール組立体100を枢動させるように回転可能である。回転ノブ20は、ハンドル組立体12の遠位部分上で、本体部分14及びツール組立体100を枢動可能に支持している。ハンドル組立体12に対する回転ノブ20の回転により、ハンドル組立体12に対する本体部分14及びツール組立体100の対応する回転を生じる。
【0023】
発射トリガ18、回転ノブ20、及び関節レバー22を含むハンドル組立体12と、本体部分14とを含むステープル留め装置10の他の構成要素についての詳細な説明については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,418,904号(「‘904特許」)を参照されたい。本開示のツール組立体100は、手動式外科用ステープル留め装置10の一部分として例証されているが、ツール組立体100は、それらの全体も参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,055,943号、及び同第8,806,973号、ならびに米国特許出願公開第2015/0076206号に開示されているもの等、電動式外科用ステープル留め装置内に組み込まれる可能性があるということも想定される。
【0024】
図1A及び2を参照すると、ツール組立体100は、アンビル組立体102と、カートリッジ組立体104とを含む。アンビル組立体102の近位部分は、アンビル組立体102がカートリッジ組立体104に対する枢軸となり、非締め付け位置(図2)と締め付け位置(図1A)との間でツール組立体100を移動させるように、一対の枢軸部材105によりカートリッジ組立体104の近位部分に枢動可能に連結されている。カートリッジ組立体はまた、アンビル組立体102に枢動可能に支持され得るということが想定される。図示されていないが、アンビル組立体102は、複数のステープル変形押し下げ部を含む組織接触面を含む。例えば、‘904特許に開示されているアンビル組立体を参照されたい。
【0025】
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、カートリッジ組立体104は、複数のステープル108及び複数のプッシャ110を支持しているステープルカートリッジ106と、カートリッジチャネル112と、ステープルカートリッジ支持プレート114と、圧縮ストリップ116と、圧縮パッド118と、作動スレッド120とを含む。カートリッジ組立体104は、下にさらに詳細に考察されるように、圧縮ストリップ116または圧縮パッド118のみを含んでもよいということが想定される。ステープルカートリッジ106は、組織接触面124内に、中心ナイフスロット106a及び複数列の横方向に離間したステープル保持スロット124aを画定している組織接触面124(図3)を含む。実施形態において、組織接触面124は、中心ナイフスロット106aからステープルカートリッジ106の外縁部に向かって下方に階段状になっている。または、ステープルカートリッジ106の組織接触面124は、平坦であり得る。各ステープル保持スロット124aは、ステープル108及びそれぞれのプッシャ110のうちの1つを受容する。
【0026】
カートリッジ組立体104の支持プレート114は、スナップフィット型接続または他の型の接続により組織接触面124に対向するステープルカートリッジ106の開口下端部に固定されている。支持プレート114は、ステープル108及びプッシャ110をステープルカートリッジ106内に保持するように、ステープルカートリッジ106の開口下端部を被覆している。ステープルカートリッジ106はまた、複数の長手方向スロット130(図11)を画定している。長手方向スロット130は、ステープルプッシャ110を収容し、かつステープルカートリッジ106を通した作動スレッド120の通過を容易にするように、ステープルカートリッジ106の開口下端部及びステープル保持スロット124aと連通している。当該技術分野で知られているように、ステープルカートリッジ106を通した作動スレッド120の前進により、プッシャ110が保持スロット124a内で持ち上り、保持スロット124aからステープル108が放出される。作動スレッド120及びプッシャ110の動作及び相互作用についての詳細な説明については、例えば、‘904特許を参照されたい。
【0027】
ステープルカートリッジ106は、対向する側壁部132と、組織接触面124及びステープル保持スロット124aを画定している上壁部134とを含む。上壁部134は、肩部136(図3A)を画定するように、側壁部132の径方向に外方に延在している。ステープルカートリッジ106はまた、ステープルカートリッジ106の側壁部132の各々の径方向に外方に延在しており、かつカートリッジチャネル112内でのステープルカートリッジ106の固定を容易にする突出部140(図3)を含む。
【0028】
図4及び5も参照すると、カートリッジチャネル112は、ステープルカートリッジ106及び支持プレート114が組み立てられたときに、ステープルカートリッジ106及び支持プレート114を受容するように寸法決めされた凹部148を共に画定している底壁部144及び離間した側壁部146を含む。底壁部144は、ステープルカートリッジ106内に画定された中心ナイフスロット106aと整列された中心長手方向ナイフスロット150、ならびに支持プレート114により画定された長手方向ナイフスロット152を画定している。ナイフスロット106a、150、及び152は、ステープルカートリッジ106を通した駆動部材及びナイフ(図示せず)の通過を容易にするように寸法決めされている。外科用ステープル留め装置の駆動部材及びナイフの例示的な実施形態についての詳細な説明については、例えば、‘904特許を参照されたい。
【0029】
図3及び6~9も参照すると、圧縮ストリップ116は、圧縮可能及び/または弾性材料から形成されている。圧縮ストリップ116の各々は、支持部分156及び接続部分158を含む。実施形態において、圧縮ストリップ116の各々の支持部分156は、ステープルカートリッジ106(図3A)の肩部136を支持するように位置付け及び構成された平坦な表面156aを画定している。
【0030】
実施形態において、カートリッジチャネル112の離間した側壁部146は、圧縮ストリップ116の接続部分158を受容するように構成された保持スロット160(図8)を各々画定している。実施形態において、保持スロット160及び圧縮ストリップ116の接続部分158は、圧縮ストリップ116を保持スロット160内にしっかりと締め付けるように合致する噛み合い構成を有する。いくつかの実施形態において、各々が含む保持スロット160及び圧縮ストリップ116の接続部分は、鳩尾構成を有するが、例えば、T字形状のスロット等の他の噛み合い構成が想定される。圧縮ストリップ116の接続部分158は、圧縮ストリップ116をカートリッジチャネル112の側壁部146の上縁部に固定するように、保持スロット160内にスライド可能に受容される。加えて、接着剤、溶接、摩擦嵌合、または同様のものを使用して、スロット160内で軸方向に移動することから圧縮ストリップを固定することができる。
【0031】
図4及び5に戻って簡単に参照すると、カートリッジチャネル112の側壁部146は、複数の刻み目170を各々含む。刻み目170は、圧縮ストリップ116の接続部分158を、側壁部146に沿った複数の場所で保持スロット160内に挿入することを可能にするように、カートリッジチャネル112の側壁部146に沿った複数の場所で保持スロット160の端部へのアクセスを提供する。
【0032】
図3~5、10及び11を再び参照すると、実施形態において、圧縮パッド118は、ナイフスロット150の対向する側上のカートリッジ組立体104(図11)の底壁部144と支持プレート114との間のカートリッジチャネル112の底壁部144上で支持されている。圧縮ストリップ116に関して上で考察されているように、圧縮パッド118は、弾性及び/または圧縮可能な材料から形成されており、外科用ステープル留め装置10の締め付け及び発射中、アンビル組立体102に対するステープルカートリッジ106の移動を容易にするようにステープルカートリッジ106を支持している。実施形態において、圧縮パッド118は、発射中に圧縮パッド118を拡張させるための空間を提供する切り欠き118aを含む。円形として図示されているが、切り欠き118aは、任意の構成であり得る。
【0033】
図10~13を参照すると、薄い組織T1がステープルカートリッジ106の組織接触面124とアンビル組立体102の組織接触面102aとの間に締め付けられ、外科用ステープル留め装置10が発射されたとき、圧縮ストリップ116及び圧縮パッド118に適用される力は最小であり、そのため圧縮可能なストリップ116及びパッド118は、最小の変形または圧縮を被る。このように、アンビル組立体102に対するステープルカートリッジ106の移動は、非常に小さい。よって、ステープルカートリッジ106は、アンビル組立体102と密着したままであり、ステープル108a(図13)は、実質的な変形を被る。
【0034】
図14及び15を参照すると、より厚い組織T2がステープルカートリッジ106の組織接触面124とアンビル組立体102の組織接触面102aとの間で締め付けられ、外科用ステープル留め装置10が発射されたとき、圧縮ストリップ116及び圧縮パッド118に適用される力は増加し、そのため圧縮可能なストリップ116及び圧縮パッド118は、より実質的な変形または圧縮を被る。このように、ステープルカートリッジ106は、より厚い組織T2を補うように、アンビル組立体102からさらに下方に離れるように移動する。よって、ステープルカートリッジ106は、アンビル組立体102からさらに離間し、ステープル108bは、より実質的な変形を被る。
【0035】
図16及び17を参照すると、よりいっそう厚い組織T3がステープルカートリッジ106の組織接触面124とアンビル組立体102の組織接触面102aとの間に締め付けられ、外科用ステープル留め装置10が発射されたとき、圧縮ストリップ116及び圧縮パッド118に適用される力はよりいっそう増加し、そのため圧縮可能なストリップ116及びパッド118は、よりいっそう実質的な変形または圧縮を被る。このように、ステープルカートリッジ106は、より厚い組織T3を補うように、アンビル組立体102からさらに下方に離れるように移動する。よって、ステープルカートリッジ106は、アンビル組立体102からよりいっそう離間し、ステープル108bは、よりいっそう実質的な変形を被る。
【0036】
外科用ステープル留め装置10は、圧縮ストリップ116及び圧縮パッド118の両方を含むものとして例証されているが、外科用ステープル留め装置は、ストリップ116またはパッド118のみを含む必要があるということが想定される。
【0037】
当業者であれば、本明細書に具体的に記載されており、かつ添付の図に例証されている装置及び方法は、非限定的で例示的な実施形態であることを理解するだろう。1つの例示的な実施形態と関連して例証または記載されている要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の要素及び特徴と組み合わされ得るということが想定される。同様に、当業者であれば、上に記載されている実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴及び利点を理解するだろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲により示されているものを除いて、具体的に図示及び記載されているものにより限定されるべきではない。
図1
図1A
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17