(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133314
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール及び燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240920BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240920BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
H01M8/04014
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115103
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020161186の分割
【原出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】内 一隆
(57)【要約】
【課題】安定的に取扱い可能な燃料電池モジュールを提供する。
【解決手段】燃料電池モジュール10は改質器12と燃料電池セルスタック13と燃焼器14とハウジング11とを有する。改質器12は原燃料ガスを改質して燃料ガスを生成する。燃料電池セルスタック13は複数の燃料電池セルを有する。燃料電池セルは燃料ガス及び酸化剤の電気化学反応により発電する。燃焼器14は燃料電池セルスタック13において未反応の燃料ガスを燃焼させることにより改質器12を加熱する。ハウジング11は第1室部R1と第2室部R2とを有する。第1室部R1は燃料電池セルスタック13を収容する。第2室部R2は改質器12と燃焼器14とを収容する。第2室部R2の外壁及び内壁の間に酸化剤の流路CHを形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成する改質器と、
前記改質器が生成した燃料ガス及び酸化剤の電気化学反応により発電する複数の燃料電池セルを有する燃料電池セルスタックと、
前記燃料電池セルスタックにおいて未反応の燃料ガスを燃焼させることにより、前記改質器を加熱する燃焼器と、
前記燃料電池セルスタックを収容する第1室部と、前記改質器及び前記燃焼器を収容し、外壁及び内壁の間に前記燃料電池セルスタックに供給する酸化剤の流路が形成される第2室部とを有するハウジングと、を備える
燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記第1室部の内壁と前記燃料電池セルスタックとの間には断熱材が介在し、
前記第2室部の内壁と前記改質器又は前記燃焼器との間には断熱材が介在しない
燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記ハウジングにおいて、前記第1室部及び前記第2室部の配列方向に垂直な第1の方向側の面に、バスバー又は配管のうち少なくとも一方が設けられ、
前記燃料電池セルスタックと前記改質器又は前記燃焼器とを接続する配管の少なくとも1つは、前記配列方向から見た前記ハウジングの重心よりも前記第1の方向側に位置する
燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記第1室部及び前記第2室部の配列方向から見た前記ハウジングは略正方形状である
燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記配列方向から見た前記燃焼器は、ハウジングの外縁の4辺に平行な略矩形であり、
前記燃焼器には、前記配列方向から見て少なくとも3辺の近傍に、それぞれの辺に沿って前記未反応の燃料ガスを噴射する複数の噴射口が配置される
燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記燃焼器には、前記配列方向から見て4辺の近傍に、それぞれの辺に沿って複数の前記噴射口が配置される
燃料電池モジュール。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記改質器は、前記配列方向から見て、前記燃焼器内に含まれ、前記燃焼器に平行な4辺を有する略矩形であり、
前記配列方向から見て、前記改質器から前記燃料電池セルスタックに前記燃料ガスを供給する燃料ガス配管は前記改質器の矩形の1辺の近傍に位置し、前記燃料電池セルスタックから前記燃焼器に前記未反応の燃料ガスを排出する燃料オフガス配管は該1辺の対辺の近傍に位置する
燃料電池モジュール。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記改質器は、前記配列方向から見てU字形の内部流路を有し、
前記配列方向から見て、前記改質器への前記原燃料の供給管、及び前記改質器から前記燃料電池セルスタックに前記燃料ガスを供給する燃料ガス配管は、前記内部流路の両端近傍に位置する
燃料電池モジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールを備える
燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池モジュール及び燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
改質器、燃焼器及び燃料電池セルスタックを備える燃料電池モジュールが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池モジュールでは、燃料電池装置の製造時に安定的に取り扱われることが好ましい。
【0005】
従って、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、安定的に取り扱い可能な燃料電池モジュール及び燃料電池装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による燃料電池モジュールは、
原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成する改質器と、
前記改質器が生成した燃料ガス及び酸化剤の電気化学反応により発電する複数の燃料電池セルを有する燃料電池セルスタックと、
前記燃料電池セルスタックにおいて未反応の燃料ガスを燃焼させることにより、前記改質器を加熱する燃焼器と、
前記燃料電池セルスタックを収容する第1室部と、前記改質器及び前記燃焼器を収容し、外壁及び内壁の間に前記燃料電池セルスタックに供給する酸化剤の流路が形成される第2室部とを有するハウジングと、を備える。
【0007】
第2の観点による燃料電池装置は、
原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成する改質器と、前記改質器が生成した燃料ガス及び酸化剤の電気化学反応により発電する複数の燃料電池セルを有する燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックにおいて未反応の燃料ガスを燃焼させることにより、前記改質器を加熱する燃焼器と、前記燃料電池セルスタックを収容する第1室部と、前記改質器及び前記燃焼器を収容し、外壁及び内壁の間に前記燃料電池セルスタックに供給する酸化剤の流路が形成される第2室部とを有するハウジングと、を有する燃料電池モジュールを備える。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成された本開示に係る燃料電池モジュール及び燃料電池装置によれば、安定的な取り扱いが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る燃料電池モジュールの斜視図である。
【
図2】
図1におけるII―II線に沿った燃料電池モジュールの断面図である。
【
図3】
図2におけるIII―III線に沿った燃料電池モジュールの断面図である。
【
図4】
図3におけるIV―IV線に沿った燃料電池モジュールの断面図である。
【
図5】
図1の燃料電池モジュールを上方から見た上面図である。
【
図6】
図1の燃料電池モジュールの製造方法における改質器及び燃焼器を形成する工程を説明するために、ハウジング箱状部を第1の方向から見た図である。
【
図7】
図1の燃料電池モジュールの製造方法における燃料電池セルスタックを配置する工程を説明するために、ハウジング箱状部を第1の方向から見た図である。
【
図8】
図1の燃料電池モジュールの製造方法におけるハウジング箱状部を密封する工程を説明するために、第2の方向に垂直な平面に沿った改質器、燃焼器、燃料電池セルスタック、ハウジング箱状部及び蓋状部の断面図である。
【
図10】ハウジングの第2の方向に平行な辺が短辺である参照例の燃料電池モジュールにおける改質器の形状を示す、配列方向に垂直な平面に沿った断面図である。
【
図11】変形例の燃料電池モジュールの、配列方向に垂直な平面に沿った断面図である。
【
図12】別の変形例の燃料電池モジュールの、配列方向に垂直な平面に沿った断面図である。
【
図13】別の変形例の燃料電池モジュールの、配列方向に垂直な平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を適用した燃料電池モジュールの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る燃料電池モジュール10は、ハウジング11を含んで構成される。さらに、
図2に示すように、燃料電池モジュール10は、改質器12、燃料電池セルスタック13及び燃焼器14を含んで構成される。
【0012】
燃料電池モジュール10を含む燃料電池装置では、設置時における地表に対する姿勢が定められている。本願明細書において、地表に対して定められた姿勢において鉛直上方となる燃料電池装置内の燃料電池モジュール10における方向を、上方向と呼ぶ。本願明細書において、地表に対して定められた姿勢において鉛直下方となる燃料電池装置内の燃料電池モジュール10における方向を、下方向と呼ぶ。本願明細書において、燃料電池モジュール10の上下方向に垂直且つ互いに垂直な2方向を第1の方向及び第2の方向と呼ぶ。
【0013】
図1に示すように、ハウジング11は、例えば、略直方体状であってよい。直方体状のハウジング11は、上下方向に垂直な略正方形の面、第1の方向に垂直な略矩形の面及び第2の方向に平行な略矩形の面によって形成されてよい。
【0014】
ハウジング11には、第1の方向側の面S1に、バスバー15及び配管16の少なくとも1つが設けられてよい。バスバー15は、ハウジング11の第1の方向側の壁を貫通しており、燃料電池セルスタック13に接続される。バスバー15は、燃料電池セルスタック13が発電する電力を燃料電池モジュール10から出力させる。配管16は、例えば、原燃料ガス及び水の供給管17、又は排出管18であってよい。原燃料ガス及び水の供給管17は、ハウジング11の第1の方向側の壁を貫通しており、改質器12に接続される。原燃料ガス及び水の供給管17は、改質器12に原燃料ガス及び水を供給する。排出管18は、内空がハウジング11の内部と連通する。排出管18は、燃焼器14における燃焼により生じる排気ガスを排出する。
【0015】
ハウジング11には、第1の方向側の面S1からハウジング11内部に延びる、熱電対19及び着火ヒータ20が設けられてよい。熱電対19は、後述する燃焼室の温度を検出する。着火ヒータ20は、後述する燃焼器14に着火する。ハウジング11には、上面USに酸化剤ガス供給管21が設けられてよい。酸化剤ガス供給管21は、ハウジング11の上方側の外壁を貫通しておりハウジング11における酸化剤ガスの供給路に接続される。
【0016】
ハウジング11は、第1室部R1及び第2室部R2を有する。第1室部R1及び第2室部R2は、配列方向に沿って並んでよい。本実施形態において、配列方向は上下方向に平行である。ハウジング11は、上下方向に内部を分割する隔壁22により、ハウジング11内に第1室部R1及び第2室部R2を画定してよい。
【0017】
ハウジング11は、燃料電池セルスタック13を第1室部R1に収容する。第1室部R1の内壁と燃料電池セルスタック13との間には断熱材23が介在してよい。燃料電池セルスタック13の下方にも断熱材23が介在してよい。ハウジング11は、改質器12及び燃焼器14を第2室部R2に収容する。第2室部R2の内壁と、改質器12又は燃焼器14との間には断熱材23が介在しなくてよい。
【0018】
図2、3に示すように、ハウジング11の第2室部R2の外壁及び内壁の間には、酸化剤の流路CHが形成される。流路CHは、酸化剤ガス供給管21から燃料電池セルスタック13の酸化剤ガス供給口を連結する。流路CHは、例えば、ハウジング11の上面US、並びに第2室部R2の側面及び下面それぞれにおける外壁及び内壁によって画定される内空により形成されてよい。流路CHが形成される第2室部R2の側面は、第2の方向に垂直な2面であってよい。流路CHが形成される第2室部R2の下面は、隔壁22の下面であってよい。流路CHは、酸化剤ガス供給管21から送出される酸素などの酸化剤を含むガス(例えば、空気)を燃料電池セルスタック13に供給する。
【0019】
図2に示すように、改質器12は、原燃料ガス及び水の供給管17を介して、原燃料ガス及び水が内部に供給される。改質器12は、改質触媒を収容しており、原燃料ガスを、水を用いて改質することにより水素を含む燃料ガスを生成する。改質器12には、燃料電池モジュール10の外部の気化器において気化された原燃料ガス及び水蒸気が供給されてよい。または、改質器12が気化器を含み、原燃料ガス及び液状の水が改質器12に供給されてもよい。
図4に示すように、改質器12は、配列方向(上下方向)から見て、第1の方向及び第2の方向に平行な長辺及び短辺を有する略矩形であってよい。改質器12は、内部が中空である略直方体形であってよい。
【0020】
図2に示すように、燃料電池セルスタック13には、酸化剤ガス配管24を介して、流路CHから酸化剤ガスが供給される。また、
図3に示すように、燃料電池セルスタック13には、燃料ガス配管25を介して、改質器12から燃料ガスが供給される。燃料電池セルスタック13は、複数の燃料電池セルを含む。燃料電池セルは、燃料ガス及び酸化剤ガスの電気化学反応により発電する。燃料電池セルでは、供給される燃料ガスの全量及び酸化剤ガスの全量が電気化学反応を起こすわけではなく、未反応の燃料ガス及び酸化剤ガスを排出する。
【0021】
図2に示すように、燃焼器14には、酸化剤オフガス配管26を介して、燃料電池セルスタック13から未反応の酸化剤ガスが排出される。また、
図3に示すように、燃焼器14には、燃料オフガス配管27を介して、燃料電池セルスタック13から未反応の燃料ガスが排出される。燃焼器14は、燃料電池セルスタック13において未反応の燃焼ガスを、未反応の酸化剤ガスを用いて燃焼させることにより、改質器12を加熱する。燃焼器14は、改質器12の加熱により、改質器12における水蒸気改質反応に必要な熱を付与す
る。
【0022】
図2から4に示すように、燃焼器14は、酸化剤オフガス燃焼器30及び燃料オフガス燃焼器31を含んでよい。
【0023】
図2、3に示すように、燃焼器14は、第2室部R2において、改質器12より下方に設けられてよい。燃焼器14は、第2室部R2内の隔壁22側の内面に当接してよい。さらに具体的には、酸化剤オフガス燃焼器30が当該内面に当接してよい。燃料オフガス燃焼器31が酸化剤オフガス燃焼器30の上方において当接してよい。
【0024】
図4に示すように、燃焼器14の上面に、酸化剤オフガス噴射口28、及び燃料オフガス噴射口29が形成されてよい。
図2、3に示すように、酸化剤オフガス噴射口28は、改質器12及び燃焼器14が収容される屋内空間ISに未反応の酸化剤ガスを噴射してよい。燃料オフガス噴射口29は、屋内空間ISに未反応の燃料ガスを噴射してよい。燃焼器14には、複数の酸化剤オフガス噴射口28及び複数の燃料オフガス噴射口29が形成されてよい。さらに具体的には、酸化剤オフガス燃焼器30に、酸化剤オフガス噴射口28が形成されてよい。また、燃料オフガス燃焼器31に、燃料オフガス噴射口29が形成されてよい。
【0025】
図4に示すように、燃焼器14は、配列方向(上下方向)から見て、改質器12より大きくてよい。燃焼器14は、配列方向から見て、改質器12の周囲の少なくとも一部において、改質器12の外縁からはみ出してよい。さらに具体的には、酸化剤オフガス燃焼器30及び燃料オフガス燃焼器31は、配列方向から見て、改質器12の周囲の少なくとも一部において、改質器12の外縁からはみ出してよい。さらには、酸化剤オフガス燃焼器30は、配列方向から見て、改質器12の周囲の少なくとも一部において、燃料オフガス燃焼器31の外縁からはみ出してよい。
【0026】
燃焼器14は、例えば、配列方向(上下方向)から見て略矩形であって、外縁を構成する辺が第1の方向又は第2の方向に平行になるように配置されてよい。さらに具体的には、酸化剤オフガス燃焼器30及び燃料オフガス燃焼器31は、配列方向(上下方向)から見て、略矩形であって、外縁を構成する辺が第1の方向又は第2の方向に平行になるように配置されてよい。
【0027】
燃焼器14は、内部が中空である略直方体形であってよい。さらに、具体的には、
図2から4に示すように、酸化剤オフガス燃焼器30は、内部が中空である略直方体形であってよい。また、燃料オフガス燃焼器31は、内部が中空で略直方体形であってよい。さらに、燃料オフガス燃焼器31は、上方の一部を陥凹させて、当該陥凹部分の壁を改質器12と共有してよい。
【0028】
燃焼器14は、第1の方向に平行な2辺近傍及び第2の方向に平行な1辺近傍が、配列方向(上下方向)から見て、改質器12からはみ出してよい。さらに具体的には、酸化剤オフガス燃焼器30は、第1の方向に平行な2辺近傍が、配列方向から見て燃料オフガス燃焼器31からはみ出してよい。また、燃料オフガス燃焼器31は、第1の方向に平行な2辺近傍及び第2の方向に平行な1辺近傍が、配列方向から見て、改質器12からはみ出してよい。
【0029】
酸化剤オフガス燃焼器30における、配列方向(上下方向)から見て燃料オフガス燃焼器31からはみ出している、第1の方向に平行な2辺近傍に、それぞれの辺に沿って複数の酸化剤オフガス噴射口28が配置されてよい。酸化剤オフガス噴出口28は、それぞれの辺に沿って端から端まで設けられてよい。燃料オフガス燃焼器31における、配列方向
から見て改質器12からはみ出している、第1の方向に平行な2辺近傍及び第2の方向に平行な1辺近傍に、それぞれの辺に沿って複数の燃料オフガス噴射口29が配置されてよい。燃料オフガス噴射口29は、それぞれの辺に沿って端から端まで設けられてよい。複数の酸化剤オフガス噴射口28及び複数の燃料オフガス噴射口29は等間隔で並んでよい。
【0030】
図2に示すように、燃焼器14は、酸化剤オフガス燃焼器30において酸化剤オフガス配管26に接続されてよい。
図3に示すように、燃焼器14は、燃料オフガス燃焼器31において燃料オフガス配管27に接続されてよい。
図5に示すように、燃料電池セルスタック13と、改質器12又は燃焼器14とを接続する配管、言換えると、酸化剤ガス配管24、燃料ガス配管25、酸化剤オフガス配管26及び燃料オフガス配管27の少なくとも1つは、配列方向(上下方向)から見たハウジング11の重心よりも第1の方向側に位置してよい。本実施形態において、酸化剤オフガス配管26が、配列方向から見たハウジング11の重心よりも第1の方向側に位置する。燃料ガス配管25及び燃料オフガス配管27は、改質器12の、第1の方向の逆側の辺の近傍において、第1の方向における同じ位置に位置してよい。さらに、燃料ガス配管25及び燃料オフガス配管27は、第2の方向における異なる位置に位置してよい。酸化剤ガス配管24は、配列方向から見たハウジング11の、第1の方向及び第2の方向における中央位置に位置してよい。
【0031】
以上のような構成の本実施形態の燃料電池モジュール10では、燃料電池セルスタック13を収容する第1室部R1と、改質器12及び燃焼器14を収容するハウジング11を備える。このような構成により、燃料電池モジュール10は、改質器12、燃料電池セルスタック13及び燃焼器14が単一のハウジング11に収容されるので、安定的に取り扱われ得る。また、燃料電池モジュール10では、改質器12、燃料電池セルスタック13及び燃焼器14の位置決めが容易であるため、製造コストが低減され得る。また、燃料電池モジュール10では、単一のハウジング11を用いながら、内部から加熱可能な第2室部R2のみにおいて外壁及び内壁の間に流路CHを有するので、燃料電池セルスタック13に供給する酸化剤ガスを十分に昇温し得る。したがって、燃料電池モジュール10は、燃料電池セルスタック13における発電の効率を向上し得る。
【0032】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、第1室部R1の内壁と燃料電池セルスタック13との間に断熱材23が介在する。このような構成により、燃料電池モジュール10は、燃焼器14からの燃料電池セルスタック13への伝熱を抑制するので、燃焼器14の輻射熱に起因する燃料電池セルスタック13に発生させる温度ムラを低減し得る。また、燃料電池モジュール10では、第2室部R2と改質器12又は燃焼器14との間には断熱材が介在しない。このような構成により、燃料電池モジュール10は、ハウジング11の内壁全面に断熱材が介在されず、酸化剤の流路CHを燃焼器14における燃焼により加熱し得る。
【0033】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、第1の方向側の面S1にバスバー15及び配管16の少なくとも1つが設けられ、燃料電池セルスタック13と改質器12又は燃焼器14とを接続する配管24、25、26、27の少なくとも1つは、配列方向から見たハウジング11の重心よりも第1の方向側に位置する。このような構成により、燃料電池モジュール10は、以下に説明するように、容易に製造され得、製造コストを低減し得る。
【0034】
図6に示すように、直方体における第1の方向側の一面が開放されたハウジング箱状部32において、第1の方向側から、改質器12及び燃焼器14が、隔壁22により画定される第2室部R2に形成される。改質器12の形成に際して、隔壁22は、改質器12側の配管33に挿通される。酸化剤オフガス燃焼器30の形成に際して、隔壁22は、酸化
剤オフガス燃焼器30側の配管34に挿通される。燃料オフガス燃焼器31の形成に際して、隔壁22は、燃料オフガス燃焼器31側の配管35に挿通される。
【0035】
図7に示すように、ハウジング箱状部32において、第1の方向側から、燃料電池セルスタック13が、第1室部R1に配置される。燃料電池セルスタック13の載置に際して、燃料電池セルスタック13側の配管と、改質器12又は燃焼器14側の配管とが連結される。配管の連結は、ハウジング箱状部32において開放された第1の方向とは反対方向側から行われる。先に第1室部R1に燃料電池セルスタック13を載置して、その後第2室部R2に改質器12及び燃焼器14を載置してもよい。
【0036】
本実施形態においては、燃料電池セルスタック13の載置に際して、燃料電池セルスタック13における燃料ガス供給用の配管36が改質器12側の配管33に連結され、燃料ガス配管25が形成される。また、燃料電池セルスタック13の載置に際して、燃料電池セルスタック13における燃料オフガス排出用の配管38が燃料オフガス燃焼器31側の配管35に連結され、燃料オフガス配管27が形成される。次に、燃料電池セルスタック13の載置に際して、燃料電池セルスタック13における酸化剤供給用の配管が流路CH側の配管に連結され、酸化剤ガス配管24が形成される。次に、燃料電池セルスタック13の載置に際して、燃料電池セルスタック13における酸化剤オフガス排出用の配管37が酸化剤オフガス燃焼器30側の配管34に連結され、酸化剤オフガス配管26が形成される。さらに、第1室部R1の内壁と燃料電池セルスタック13との間に、さらに断熱材23が配置されてよい。
【0037】
図8に示すように、第1の方向側から蓋状部39によりハウジング箱状部32の開放された部分が密封される。
図9に示すように、蓋状部39は、ハウジング箱状部32の開放部分を覆う矩形である。蓋状部39には、原燃料ガス及び水の供給管17を挿通させる第1の孔部HL1、及びバスバー15を挿通させる第2の孔部HL2が形成される。蓋状部39には、裏面に貫通する排出管18が設けられる。蓋状部39には、裏面の内部にまで挿通されるように、熱電対19及び着火ヒータ20が設けられる。
【0038】
上述のような製造方法において、燃料電池セルスタック13側の配管と、改質器12又は燃焼器14側の配管との連結の工程は、ハウジング箱状部32の開放された方向側に近いほど容易になる。したがって、上述の構成を有するので、燃料電池モジュール10は、容易に製造され得る。
【0039】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、配列方向(上下方向)から見たハウジング11は略正方形状である。このような構成により、燃料電池モジュール10は、改質器12の形状の自由度を向上させ得るので、製造コストを低減させ得る。例えば、燃料ガス配管25及び燃料オフガス配管27を第2の方向に沿って並ばせて配置する構成では、燃料ガス配管25及び燃料オフガス配管27の間隔をある程度の間隔にする必要がある。第2の方向が短辺となる形状のハウジング11’においては、燃料ガス配管25及び燃料オフガス配管27を第2の方向に沿って並ばせて配置する構成を採用すると、
図10に示すように、改質器12’をT字型に形成する必要があり得る。一方で上述の構成によれば、改質器12を矩形に形成できるので、T字型の改質器12’よりも製造が容易となり得る。
【0040】
また、本実施形態の燃料電池モジュール10では、配列方向(上下方向)から見た燃焼器14はハウジング11の外縁の4辺に平行な略矩形であり、少なくとも3辺の近傍にそれぞれの辺に沿って複数の燃料オフガス噴射口29が配置される。このような構成により、燃料電池モジュール10は、燃料オフガス噴射口29の配置の改質器12の周囲に沿った均等性を向上する。したがって、燃料電池モジュール10は、燃焼器14による加熱効
率を向上し得る。
【0041】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0042】
例えば、本実施形態では、燃料オフガス燃焼器31における、第1の方向に平行な2辺近傍及び第2の方向に平行な1辺近傍に、それぞれの辺に沿って端から端まで複数の燃料オフガス噴射口29が配置されているが、燃料オフガス噴射口29の配置はこのような構成に限定されない。
図11に示すように、燃焼器14、言換えると酸化剤オフガス燃焼器30及び燃料オフガス燃焼器31は、4辺近傍が、配列方向(上下方向)から見て、改質器12からはみ出してよい。さらに、燃料オフガス燃焼器31における、配列方向から見て改質器12からはみ出している、4辺近傍に、それぞれの辺に沿って端から端まで複数の燃料オフガス噴射口29が配置されてよい。このような構成により、燃料電池モジュール10は、燃料オフガス噴射口29の配置の改質器120の周囲に沿った均等性を向上する。したがって、燃料電池モジュール10は、燃焼器14による加熱効率を向上し得る。
【0043】
また、本実施形態では、燃料ガス配管25及び燃料オフガス配管27は、改質器12の、第1の方向の逆側の辺の近傍において、第1の方向における同じ位置に位置するが、このような配置に限定されない。
図12に示すように、燃料ガス配管25は、配列方向(上下方向)から見て、改質器12の矩形の1辺の近傍に位置してよく、燃料オフガス配管27は、配列方向から見て、燃料ガス配管25が近傍に位置する当該1辺の対辺の近傍に位置してよい。より具体的には、燃料ガス配管25は、改質器12の第1の方向の反対側の1辺近傍に位置してよく、燃料オフガス配管27は、改質器12の第1の方向の1辺近傍に位置してよい。
【0044】
また、本実施形態では、改質器12は、内部全体が中空であり、単一の方向に向かう内部流路のみを有する構成であるが、このような構成に限定されない。
図13に示すように、改質器12は配列方向(上下方向)から見て、U字形の内部流路を有してよい。より具体的には、改質器12は、中空の内部において、第1の方向側の端から、第1の方向の反対側の端の途中まで延びる隔壁40を有してよい。さらに、配列方向から見て、原燃料ガス及び水の供給管17及び燃料ガス配管25は、内部流路の両端近傍に位置してよい。このような構成により、燃料電池モジュール10は、改質器12における原燃料ガス及び水の流路を長くし得るので、改質反応をより実施でき、未改質の原燃料ガスが燃料電池セルスタック13に供給されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0045】
10 燃料電池モジュール
11、11’ ハウジング
12、12’ 改質器
13 燃料電池セルスタック
14 燃焼器
15 バスバー
16 配管
17 原燃料ガス及び水の供給管
18 排出管
19 熱電対
20 着火ヒータ
21 酸化剤ガス供給管
22 隔壁
23 断熱材
24 酸化剤ガス配管
25 燃料ガス配管
26 酸化剤オフガス配管
27 燃料オフガス配管
28 酸化剤オフガス噴射口
29 燃料オフガス噴射口
30 酸化剤オフガス燃焼器
31 燃料オフガス燃焼器
32 ハウジング箱状部
33 改質器側の配管
34 酸化剤オフガス燃焼器側の配管
35 燃料オフガス燃焼器側の配管
36 燃料ガス供給用の配管
37 酸化剤オフガス排出用の配管
38 燃料オフガス排出用の配管
39 蓋状部
402 隔壁
HL1 第1の孔部
IS 屋内空間
R1 第1室部
R2 第2室部
S1 第1の方向側の面
US 上面
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成する改質器と、
前記改質器が生成した燃料ガス及び酸化剤の電気化学反応により発電する複数の燃料電池セルを有する燃料電池セルスタックと、
前記燃料電池セルスタックにおいて未反応の燃料ガスを燃焼させることにより、前記改質器を加熱する燃焼器と、を収納するハウジングと、を備え、
前記改質器から前記燃料電池セルスタックに前記燃料ガスを供給する燃料ガス配管と、前記燃料電池セルスタックから前記燃焼器に前記未反応の燃料ガスを排出する燃料オフガス配管と、前記燃料電池セルスタックに酸化剤を供給する酸化剤配管と、前記燃料電池セルスタックから前記燃焼器に酸化剤オフガスを排出する酸化剤オフガス配管と、を備え、
前記燃料ガス配管、燃料オフガス配管、酸化剤配管及び酸化剤オフガス配管の内、少なくとも3つは、上方から見て一列に並んでいる
燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記ハウジングは、前記燃料電池セルスタックを収容する第1室部と、前記改質器及び前記燃焼器を収容する第2室部とを有し、
前記燃料ガス配管、燃料オフガス配管、酸化剤配管及び酸化剤オフガス配管は、前記第1室部と第2室部の間を貫通する部分が、上方から見て一列に並んでいる
燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記第1室部の内壁と前記燃料電池セルスタックとの間には断熱材が介在し、
前記第2室部の内壁と前記改質器又は前記燃焼器との間には断熱材が介在しない
燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記ハウジングにおいて、前記第1室部及び前記第2室部の配列方向に垂直な第1の方向側の面に、バスバー又は配管のうち少なくとも一方が設けられ、
前記燃料電池セルスタックと前記改質器又は前記燃焼器とを接続する配管の少なくとも1つは、前記配列方向から見た前記ハウジングの重心よりも前記第1の方向側に位置する
燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記第1室部及び前記第2室部の配列方向から見た前記ハウジングは略正方形状である
燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記配列方向から見た前記燃焼器は、ハウジングの外縁の4辺に平行な略矩形であり、
前記燃焼器には、前記配列方向から見て少なくとも3辺の近傍に、それぞれの辺に沿って前記未反応の燃料ガスを噴射する複数の噴射口が配置される
燃料電池モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記燃焼器には、前記配列方向から見て4辺の近傍に、それぞれの辺に沿って複数の前記噴射口が配置される
燃料電池モジュール。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記改質器は、前記配列方向から見て、前記燃焼器内に含まれ、前記燃焼器に平行な4辺を有する略矩形であり、
前記配列方向から見て、前記改質器から前記燃料電池セルスタックに前記燃料ガスを供給する燃料ガス配管は前記改質器の矩形の1辺の近傍に位置し、前記燃料電池セルスタックから前記燃焼器に前記未反応の燃料ガスを排出する燃料オフガス配管は該1辺の対辺の近傍に位置する
燃料電池モジュール。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記改質器は、前記配列方向から見てU字形の内部流路を有し、
前記配列方向から見て、前記改質器への前記原燃料ガスの供給管、及び前記改質器から前記燃料電池セルスタックに前記燃料ガスを供給する燃料ガス配管は、前記内部流路の両端近傍に位置する
燃料電池モジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の燃料電池モジュールを備える
燃料電池装置。