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特開2024-133363カメラユニットおよび乗員監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133363
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】カメラユニットおよび乗員監視システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60R11/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117366
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2023529256の分割
【原出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 秀行
(57)【要約】
【課題】 車両のピラーの内部空間に収容して組み付けることができるカメラユニットを提供する。
【解決手段】 カメラユニット(1)は、ピラー(100)の内部空間に組み付けられる、階段状の取り付け部(13A)と、ピラー(100)を構成するカバーに設けられた車内側の開口を介して、車内側を撮影するカメラモジュール(11)と、開口を介して車内側を照明する照明モジュール(12)と、を備える。取り付け部(13A)は、車内側を向いた第1平面を有する第1段差面と、第1平面の車外側かつ下方に位置する第2平面を有する第2段差面と、第1段差面の下端から第2段差面の上端に至る平面と、を有し、照明モジュール(12)が第1平面に、カメラモジュール(11)が第2平面にそれぞれ設けられ、照明モジュール(12)の車内側端部がカメラモジュール(11)の車内側端部に比べて、上方、かつ、車内側に位置し、照明モジュール(12)の車内側端部は、第1段差面の車内側に位置している。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のピラーの内部空間に収容されて組み付けられるカメラユニットであって、
前記ピラーの前記内部空間に組み付けられる、階段状の取り付け部と、
前記ピラーを構成するカバーに設けられた車内側の開口を介して、車内側を撮影するカメラモジュールと、
前記開口を介して車内側を照明する照明モジュールと、を備え、
前記取り付け部は、
車内側を向いた第1平面を有する第1段差面と、
前記第1平面の車外側かつ下方に位置する第2平面を有する第2段差面と、
前記第1段差面の下端から前記第2段差面の上端に至る平面と、を有し、
前記照明モジュールが前記第1平面に、前記カメラモジュールが前記第2平面にそれぞれ設けられ、
前記照明モジュールの車内側端部が前記カメラモジュールの車内側端部に比べて、上方、かつ、車内側に位置し、
前記照明モジュールの車内側端部は、前記第1段差面の車内側に位置している
ことを特徴とするカメラユニット。
【請求項2】
車両のピラーの内部空間に収容されて組み付けられるカメラユニットであって、
前記ピラーの前記内部空間に組み付けられる、階段状の取り付け部と、
前記ピラーを構成するカバーに設けられた車内側の開口を介して、車内側を撮影するカメラモジュールと、
前記開口を介して車内側を照明する照明モジュールと、を備え、
前記取り付け部は、
車内側を向いた第1平面を有する第1段差面と、
前記第1平面の車両外側かつ下方に位置する第2平面を有する第2段差面と、
前記第1段差面の下端から前記第2段差面の上端に至る平面と、を有し、
前記照明モジュールが前記第1平面に、前記カメラモジュールが前記第2平面にそれぞれ設けられ、
前記照明モジュールの車内側端部が前記カメラモジュールの車内側端部に比べて、上方、かつ、車内側に位置し、
前記カメラモジュールの車内側端部は、前記第1段差面の下端から前記第2段差面の上端に至る平面の下方、かつ、前記第2段差面の車内側に位置している
ことを特徴とするカメラユニット。
【請求項3】
前記第1平面は、第1縦面であり、
前記第2平面は、第2縦面であり、
前記第1段差面の下端から前記第2段差面の上端に至る平面は、横面である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラユニット。
【請求項4】
前記カメラモジュールおよび前記照明モジュールは、
前記ピラーの車両外側の部材と車両内側の部材とを組み合わせた内部の空間に配置される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラユニット。
【請求項5】
前記第1段差面の下端から前記第2段差面の上端に至る平面は、横面であり、
前記横面は、前記ピラーの車両外側の部材と車両内側の部材とを組み合わせた内部の空間に配置される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラユニット。
【請求項6】
前記ピラーの車両外側の部材と車両内側の部材とを組み合わせた内部の空間に、前記カメラモジュールと前記照明モジュールとをそれぞれ外部装置と接続するインタフェースモジュールが収容されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のカメラユニットと、
前記カメラユニットによって撮影された車両の乗員の撮影情報を用いて前記乗員を監視する制御部と、を備えた
ことを特徴とする乗員監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラユニットおよびこれを備えた乗員監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内に取り付けられたカメラユニットが撮影した乗員の映像情報に基づいて、乗員の状態を監視する乗員監視システムが普及している。車室内に取り付けられるカメラユニットとして、例えば、特許文献1に記載されるカメラユニットがある。このカメラユニットは、第1のプリント配線板と第2のプリント配線板を有し、第1のプリント配線板には、光学撮像センサを有した第1の構成部品が設けられ、第2のプリント配線板には、第1の構成部品以外の第2の構成部品が設けられている。第1のプリント配線板および第2のプリント配線板は、金属製基板上に設けられ、金属製基板は、第2のプリント配線板に対して第1のプリント配線板が任意の角度で傾くように曲げられている。
特許文献1に記載されるカメラユニットは、金属製基板の曲げ角度を車両のルーフ領域における屈曲した部分に合わせた角度にすることにより、ルーフライナー内に取り付けることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006-510322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来のカメラユニットは、金属製基板が曲げられて長手方向に対する厚みが大きくなるため、細長い収容空間である車両のピラーの内部空間に収容して組み付けられないという課題があった。
【0005】
本開示は上記課題を解決するものであり、車両のピラーの内部空間に収容して組み付けることができるカメラユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るカメラユニットは、車両のピラーの内部空間に収容されて組み付けられるカメラユニットであって、ピラーの内部空間に組み付けられる、階段状の取り付け部と、ピラーを構成するカバーに設けられた車内側の開口を介して、車内側を撮影するカメラモジュールと、開口を介して車内側を照明する照明モジュールと、を備え、取り付け部は、車内側を向いた第1平面を有する第1段差面と、第1平面の車外側かつ下方に位置する第2平面を有する第2段差面と、第1段差面の下端から第2段差面の上端に至る平面と、を有し、照明モジュールが第1平面に、カメラモジュールが第2平面にそれぞれ設けられ、照明モジュールの車内側端部がカメラモジュールの車内側端部に比べて、上方、かつ、車内側に位置し、照明モジュールの車内側端部は、第1段差面の車内側に位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、筐体が車両のピラーの内部空間に収まる寸法を有し、カメラ撮影に関する各種機能を機能ごとに実行する複数のモジュールは、筐体の長手方向周りの外形から突出せずに取り付けられる。車両のピラーの内部空間に収まる筐体の外形寸法からモジュールが突出しないので、本開示に係るカメラユニットは、車両のピラーの内部空間に収容して組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るカメラユニットが組み付けられたピラーを示す斜視図である。
図2図1のA-A線で切ったピラーを模式的に示す断面矢示図である。
図3】車両のピラーの内部空間に収容された実施の形態1に係るカメラユニットを示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係るカメラユニットの構成例を示す分解斜視図である。
図5】実施の形態1に係るカメラユニットにおけるカメラモジュールおよび照明モジュールの取り付け状態を模式的に示す模式図である。
図6】実施の形態1に係るカメラユニットにおけるインタフェースモジュールの取り付け状態を模式的に示す模式図である。
図7】実施の形態1に係る乗員監視システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るカメラユニット1が組み付けられたピラー100を示す斜視図である。ピラー100(Aピラー)は、フロントガラス101とドアガラス102との間に設けられる。カメラユニット1は、例えば図1に示すように、ピラー100に組み付けられる。ピラー100に組み付けられたカメラユニット1は、車室内の座席に座った乗員を撮影視野に含めることができる。ピラー100が運転席側のAピラーである場合、カメラユニット1は、運転席に座った運転者を撮影することができる。
【0010】
図2は、図1のA-A線で切ったピラー100を模式的に示す断面矢示図である。図2に示すように、ピラー100は、車両内側の部材と車両外側の部材とを組み合わせた構造を有したピラーであり、破線で示す内部空間Bを有する。内部空間Bは、ピラー100の長手方向に沿って細長い空間であり、カメラユニット1が収容されて組み付けられる。
【0011】
図3は、車両のピラー100の内部空間Bに収容されたカメラユニット1を示す斜視図である。図4は、カメラユニット1の構成例を示す分解斜視図である。カメラユニット1は、図3に示すように、ピラー100の内部空間Bに収容される。カメラユニット1は、カメラ撮影に関する各種機能を機能ごとに実行する複数のモジュールを備える。例えば、図4に示すように、カメラユニット1は、カメラモジュール11、照明モジュール12、筐体13、赤外線透過スクリーン14およびインタフェースモジュール15を備える。
【0012】
カメラ撮影に関する各種機能には、例えば、撮影機能、撮影範囲の照明機能および撮影機能によって得られた撮影情報のインタフェース機能がある。カメラモジュール11は、撮影機能を有したモジュールであり、例えば、赤外線カメラ11Aを備えている。赤外線カメラ11Aは、受光した赤外線の強度に応じた赤外線画像を撮影する撮影機能を有し、カメラモジュール11に対して個別に設けられた基板に実装される。カメラモジュール11は、当該基板および赤外線カメラ11Aによって構成される。
【0013】
照明モジュール12は、カメラモジュール11の撮影範囲を照明する発光素子を有するモジュールであり、例えば、赤外線発光ダイオード(LED)12Aを備えている。赤外線LED12Aは、赤外線カメラ11Aの撮影範囲に赤外光を照射する照明機能を有し、照明モジュール12に対して個別に設けられた基板に実装される。
【0014】
インタフェースモジュール15は、カメラモジュール11が撮影した撮影情報(静止画像または動画像)を外部装置に出力するモジュールである。インタフェースモジュール15は、コネクタ16Aを備える。コネクタ16Aは、インタフェース機能を有し、インタフェースモジュール15に対して個別に設けられた基板に実装される。
【0015】
コネクタ16Aを実装する基板は、例えば信号線を介して、赤外線カメラ11Aを実装する基板と接続されている。コネクタ16Aには、コネクタ16Bが装着される。カメラモジュール11が撮影した撮影情報は、コネクタ16Aとコネクタ16Bとが装着された状態で、コネクタ16Bに接続された車両ケーブル17を通じて外部装置に出力される。
【0016】
筐体13は、図3および図4に示すように、細長い形状を有した部材である。筐体13の長手方向周りの外形は、ピラー100の内部空間Bに収まる寸法を有している。カメラモジュール11、照明モジュール12およびインタフェースモジュール15は、筐体13の長手方向周りの外形から突出しないように取り付けられる。
【0017】
例えば、筐体13は、図4に示すように、長手方向周りの外形の内側で、かつ長手方向に沿って階段状に形成された取り付け部13Aを有する。取り付け部13Aは、段差面13A1と、段差面13A1の手前の段差面13A2を有する。さらに、筐体13は、取り付け部13Aが設けられた側を「表側」とした場合に、取り付け部13Aとは反対側、すなわち「裏側」に取り付け用の凹部を有する。
【0018】
カメラモジュール11は、筐体13の長手方向周りの外形から赤外線カメラ11Aが突出しないように、取り付け部13Aの段差面13A1に取り付けられる。照明モジュール12は、筐体13の長手方向周りの外形から赤外線LED12Aが突出しないように、取り付け部13Aの段差面13A2に取り付けられる。インタフェースモジュール15は、筐体13の長手方向周りの外形からコネクタ16Aが突出しないように、筐体13の裏側に設けられた凹部に取り付けられる。
【0019】
ピラー100の内部空間Bのように細長い収容空間に収まる外形寸法からカメラモジュール11、照明モジュール12およびインタフェースモジュール15が突出しないので、カメラユニット1は、細長い収容空間内に収容して組み付けることができる。
【0020】
赤外線透過スクリーン14は、赤外光を透過するが、可視光は透過しない部材であり、筐体13においてカメラモジュール11および照明モジュール12の手前に設けられる。赤外線透過スクリーン14を設けることにより、赤外線カメラ11Aおよび赤外線LED12Aからの赤外線は透過されるが、カメラモジュール11および照明モジュール12は外部から見えなくなる。これにより、カメラユニット1の意匠性が向上する。
【0021】
リアカバー18は、筐体13に取り付けられたインタフェースモジュール15を被覆する金属製カバー部材である。リアカバー18は、例えば、車両のアースに電気的に接続されて接地電位になっている。カメラユニット1の外部から到来した電磁ノイズは、リアカバー18によって遮断される。これにより、インタフェースモジュール15から外部装置へ伝搬される信号に電磁ノイズが重畳することを防止できる。
【0022】
意匠パネル19は、赤外線透過スクリーン14の前方に配置される。例えば、カメラユニット1は、ピラー100に設けられた開口部から赤外線透過スクリーン14が露出した状態で取り付けられる。意匠パネル19は、ピラー100に開口部から露出した赤外線透過スクリーン14の前方に配置されてピラー100に取り付けられる。これにより、カメラユニット1の意匠性が向上する。
【0023】
車室内の撮影において、赤外線LED12Aから出射された光は、赤外線カメラ11Aの撮影範囲に照射される必要がある。しかしながら、カメラユニット1において、赤外線カメラ11Aは、赤外線LED12Aとは異なる位置に取り付けられている。このため、筐体13にそれぞれ配置された赤外線カメラ11Aの向きと赤外線LED12Aの向きを適切に設定する必要がある。また、赤外線LED12Aから出射された光が赤外線カメラ11Aに直接入射すると、赤外線カメラ11Aにより撮影された映像に白飛びが発生する可能性がある。
【0024】
これに対して、カメラユニット1は、カメラモジュール11が取り付け部13Aの段差面13A1に取り付けられ、照明モジュール12が取り付け部13Aの段差面13A2に取り付けられる。これにより、赤外線LED12Aから出射された光は、赤外線カメラ11Aの撮影範囲に適切に照射される。さらに、赤外線LED12Aから出射された光が、赤外線カメラ11Aに直接入射することが防止される。
【0025】
図5は、カメラユニット1におけるカメラモジュール11および照明モジュール12の取り付け状態を模式的に示す模式図であり、取り付け部13Aが設けられた筐体13の表側の構造を示している。図5において、筐体13の表側に設けられた構成要素は、実線で記載され、筐体13の裏側に設けられた構成要素は、破線で記載されている。
【0026】
図6は、カメラユニット1におけるインタフェースモジュール15の取り付け状態を模式的に示す模式図であり、インタフェースモジュール15を組み付ける凹部13Bが設けられた筐体13の裏側の構造を示している。図6において、筐体13の裏側に設けられた構成要素は、実線で記載され、筐体13の表側に設けられた構成要素は、破線で記載されている。また、図6は、リアカバー18が被覆する構成要素を視認可能とするために、リアカバー18が透明に記載されている。
【0027】
取り付け部13Aにおいて、段差面13A1および段差面13A2は、平面的に見たときに隣接した平面部となる。このため、赤外線カメラ11Aの光軸と赤外線LED12Aの光軸は、ほぼ平行である。すなわち、赤外線カメラ11Aの発光部と赤外線LED12Aの発光部とをほぼ同じ向きに設定することができる。これにより、カメラユニット1では、赤外線LED12Aからの光が赤外線カメラ11Aの撮影範囲に適切に照射される。
【0028】
なお、取り付け部13Aでは、カメラモジュール11および照明モジュール12が共通の平面ではなく、それぞれ別々の平面部に取り付けられる。これにより、取り付け部13Aは、カメラモジュール11が取り付けられる段差面13A1の傾斜角度と照明モジュール12が取り付けられる段差面13A2の傾斜角度とを個別に設定することができる。
【0029】
例えば、カメラモジュール11および照明モジュール12が取り付け部13Aに取り付けられた状態で、赤外線カメラ11Aの光軸と赤外線LED12Aの光軸が正確に平行になるように、段差面13A1の傾斜角度と段差面13A2の傾斜角度とを揃えてもよい。また、段差面13A1の傾斜角度と段差面13A2の傾斜角度とを異なる角度に設定することで、赤外線カメラ11Aおよび赤外線LED12Aのいずれか一方の光軸は、他方の光軸と赤外線カメラ11Aの撮影範囲内で交差してもよい。
【0030】
さらに、カメラユニット1では、取り付け部13Aにおいて、図5に示すように、照明モジュール12がカメラモジュール11よりも手前の段差面13A2に取り付けられる。カメラモジュール11および照明モジュール12が、上記のように配置されているので、赤外線LED12Aから出射された光は、赤外線カメラ11Aに直接入射することなく、赤外線カメラ11Aの撮影範囲に照射される。これにより、カメラユニット1は、赤外線カメラ11Aの映像に白飛びが発生することを防止できる。
【0031】
カメラユニット1の撮影対象が運転者である場合、カメラユニット1は、例えば、運転席側のAピラーに取り付けられる。また、取り付け部13Aにおいて、段差面13A2は段差面13A1よりも手前に位置する。カメラユニット1が運転席側のAピラーに組み付けられた場合に、段差面13A2に設けられた赤外線LED12Aは、段差面13A1に設けられた赤外線カメラ11Aよりも運転者側に配置される。これにより、赤外線LED12Aからの光が赤外線カメラ11Aに直接入射されず、また、赤外線LED12Aは、カメラモジュール11に遮蔽されることなく、運転者に赤外線を照射することができる。
【0032】
図6に示すように、筐体13の裏側には、インタフェースモジュール15を取り付けるための凹部13Bが設けられている。凹部13Bには、コネクタ16Aにコネクタ16Bが装着された状態のインタフェースモジュール15を収容することができる。このため、インタフェースモジュール15は、筐体13の長手方向周りの外形から突出しないように凹部13Bに取り付けられる。
【0033】
なお、筐体13の表側は、筐体13の長手方向周りの外形から突出しない範囲で、裏側の凹部13Bの深さ分だけ突出している。これに対し、取り付け部13Aにおいて、段差面13A1および段差面13A2は、カメラユニット1がピラー100に組み付けられた状態で、当該突出した部分を避けつつ、赤外線カメラ11Aおよび赤外線LED12Aが撮影対象に向くように構成されている。カメラモジュール11および照明モジュール12は、赤外線カメラ11Aの撮影視野および赤外線LED12Aの照射範囲が筐体13の表側で突出した部分に重ならないので、撮影対象を適切に撮影および照明することが可能である。
【0034】
さらに、筐体13の裏側には、図6に示すように、金属製カバー部材であるリアカバー18が、インタフェースモジュール15を被覆するように設けられている。カメラユニット1の外部から伝搬してきた電磁ノイズは、リアカバー18によって遮断される。これにより、インタフェースモジュール15から外部装置へ伝搬される信号に電磁ノイズが重畳することを防止できる。
【0035】
図7は、実施の形態1に係る乗員監視システム20の構成例を示すブロック図である。図7において、乗員監視システム20は、車両のピラー100に組み付けられたカメラユニット1が撮影した乗員Cの撮影情報を用いて車両の乗員Cの状態を監視する。乗員監視システム20は、カメラユニット1に加えて、制御部21、音声出力装置22および表示装置23を備える。
【0036】
制御部21は、乗員Cの撮影情報を用いて乗員Cの状態を監視する。音声出力装置22は、車室内に音声を出力する装置であり、例えば、制御部21から出力された制御情報に基づいて音声情報を出力する。音声出力装置22は、車載スピーカであってもよいし、車室内に持ち込まれた情報端末が備えるスピーカであってもよい。
【0037】
表示装置23は、制御部21から出力された情報を表示する装置であり、例えば、制御部21により判定された乗員Cの状態を示す情報または乗員Cの状態に応じた警告情報を表示する。表示装置23は、車室内に備え付けられたディスプレイであってもよいし、車室内に持ち込まれた情報端末が備えるディスプレイであってもよい。
【0038】
また、制御部21は、図7に示すように、画像取得部211、状態判定部212および警告処理部213を備える。画像取得部211は、カメラユニット1によって撮影された乗員Cの撮影情報を取得する。状態判定部212は、乗員Cが撮影された画像を解析して乗員Cの視線方向を含む顔情報を取得し、乗員Cの顔情報を用いて、乗員Cが脇見をしているか否かまたは乗員Cが居眠りをしているか否かといった、乗員Cの状態を判定する。
【0039】
警告処理部213は、状態判定部212による乗員Cの状態の判定結果に基づいて警告処理を行う。例えば、警告処理部213は、運転者である乗員Cの顔情報に基づいて運転者が脇見をしていると判定されると、音声出力装置22および表示装置23の両方またはいずれか一方を用いて運転者に対して警告を行う。また、警告処理部213は、乗員Cが閉眼していることを示す顔情報に基づいて乗員Cが居眠りをしていると判定された場合、音声出力装置22および表示装置23の両方またはいずれか一方を用いて乗員Cに対して警告を行う。
【0040】
例えば、撮影対象が運転者であり、カメラユニットが運転者の手前のダッシュボードの上に設けられた場合に、運転者とカメラユニットとの間には車両のハンドルが存在する。このため、ハンドルがカメラユニットの撮影視野を遮ると、カメラユニットは、運転者を適切に撮影できない。また、ハンドルを避けてダッシュボードの中央部にカメラユニットを配置した場合、カメラユニットは、下側から運転者を見上げる状態で撮影することになるので、運転者の目が開いているか否かを適切に撮影できない場合がある。同様に、カメラユニットが車室内のバックミラー周辺に設けられた場合、カメラユニットは、上側から運転者を見下ろす状態で撮影することになるので、運転者の目が開いているか否かを適切に撮影できない可能性がある。
【0041】
これに対して、乗員監視システム20においては、カメラユニット1がピラー100に組み付けられている。ピラー100に組み付けられたカメラユニット1は、運転者との間にハンドルなどの遮蔽物がなく、また運転者の頭とほぼ同じ高さから撮影することが可能である。このため、カメラユニット1が、運転者の顔、特に視線を解析し易い画像を撮影することができるので、乗員監視システム20は、運転者の状態を正確に判定することができる。
【0042】
乗員監視システム20における画像取得部211、状態判定部212および警告処理部213の機能は、処理回路によって実現される。すなわち、乗員監視システム20は、車両の乗員の状態を監視する一連の処理を実行するための処理回路を備えている。処理回路は、ハードウェアの処理回路であってもよいし、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
【0043】
以上のように、実施の形態1に係るカメラユニット1は、カメラモジュール11、照明モジュール12、インタフェースモジュール15、および筐体13を備える。筐体13が長手方向周りの外形が細長いピラー100の内部空間Bに収まる寸法を有し、モジュール11、12および15は、筐体13の長手方向周りの外形から突出せずに取り付けられている。ピラー100の内部空間Bに収まる外形寸法からモジュール11、12および15が突出しないので、カメラユニット1は、ピラー100の内部空間Bに収容して組み付けることができる。
【0044】
実施の形態1に係るカメラユニット1において、筐体13は、階段状の取り付け部13Aを有する。照明モジュール12は、取り付け部13Aにおいて、カメラモジュール11よりも手前の段差面13A2に取り付けられる。これにより、カメラユニット1は、赤外線LED12Aからの光が赤外線カメラ11Aに直接入射することを防止できる。
【0045】
実施の形態1に係るカメラユニット1において、カメラモジュール11は、赤外線カメラ11Aを有したモジュールであり、照明モジュール12は、赤外光を照明光として照射する赤外線LED12Aを有したモジュールである。筐体13においてカメラモジュール11および照明モジュール12の手前には、赤外線透過スクリーン14が設けられる。
赤外線透過スクリーン14によって赤外線カメラ11Aおよび赤外線LED12Aからの赤外線は透過されるが、カメラモジュール11および照明モジュール12は、外部から見えなくなる。これにより、カメラユニット1の意匠性が向上する。
【0046】
実施の形態1に係るカメラユニット1は、インタフェースモジュール15を被覆するリアカバー18を備える。リアカバー18が、カメラユニット1の外部から到来してきた電磁ノイズを遮断するので、インタフェースモジュール15から外部装置へ伝搬される信号に電磁ノイズが重畳することを防止できる。
【0047】
実施の形態1に係るカメラユニット1は、赤外線透過スクリーン14の前方に配置された意匠パネル19を備える。意匠パネル19がピラー100に開口部の周囲を覆うので、カメラユニット1の意匠性が向上する。
【0048】
実施の形態1に係る乗員監視システム20は、カメラユニット1と、カメラユニット1によって撮影された車両の乗員Cの撮影情報を用いて乗員Cを監視する制御部21を備える。カメラユニット1が、運転者の状態を解析し易い画像を撮影することができるので、乗員監視システム20は、運転者の状態を正確に判定することができる。
【0049】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示に係るカメラユニットは、例えば、運転者の状態を監視する運転者監視システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 カメラユニット、11 カメラモジュール、11A 赤外線カメラ、12 照明モジュール、12A 赤外線LED、13 筐体、13A 取り付け部、13B 凹部、13A1,13A2 段差面、14 赤外線透過スクリーン、15 インタフェースモジュール、16A,16B コネクタ、17 車両ケーブル、18 リアカバー、19 意匠パネル、20 乗員監視システム、21 制御部、22 音声出力装置、23 表示装置、211 画像取得部、212 状態判定部、213 警告処理部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7