(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013337
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】保護素子
(51)【国際特許分類】
H01H 37/76 20060101AFI20240125BHJP
H01H 85/06 20060101ALI20240125BHJP
H01M 50/583 20210101ALN20240125BHJP
【FI】
H01H37/76 Q
H01H37/76 F
H01H85/06
H01M50/583
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115341
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】小森 千智
【テーマコード(参考)】
5G502
5H043
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA02
5G502BA08
5G502BB01
5G502BB13
5G502BD02
5G502CC04
5G502EE06
5G502FF08
5H043AA04
5H043BA19
5H043GA03
(57)【要約】
【課題】環境負荷を回避し、リフロー実装によるヒューズエレメントの速溶断性への影響を防止でき、低コスト化も図ることができる保護素子を提供する。
【解決手段】保護素子1は、絶縁基板2と、絶縁基板2に設けられた第1の電極4及び第2の電極5と、第1の電極4及び第2の電極5の面上に配置されて、第1の電極4と第2の電極5との間を電気的に接続するヒューズエレメント7と、第1の電極4及び第2の電極5とヒューズエレメント7とを接続する接続導体8とを備え、ヒューズエレメント7は、鉛フリーの導体からなり、且つ液相点がリフロー加熱温度よりも高く、接続導体8は、ヒューズエレメント7の液相点より液相点が低く、且つリフロー加熱温度を下回る固相点を持つ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板に設けられた第1の電極及び第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極の面上に配置されて、前記第1の電極と前記第2の電極との間を電気的に接続するヒューズエレメントと、
前記第1の電極及び前記第2の電極と前記ヒューズエレメントとを接続する接続導体とを備え、
前記ヒューズエレメントは、鉛フリーの導体からなり、且つ液相点がリフロー加熱温度よりも高く、
前記接続導体は、前記ヒューズエレメントの液相点より液相点が低く、且つリフロー加熱温度を下回る固相点を持つ、
保護素子。
【請求項2】
前記ヒューズエレメントは、液相線温度が400℃以下である、請求項1に記載の保護素子。
【請求項3】
前記ヒューズエレメントは、Sn-Cu系又はSn-Sb-Ag-Cu系の合金である、請求項2に記載の保護素子。
【請求項4】
前記接続導体は、Sn-Cu-Ag系、Sn-Cu系又はSn-Sb-Ag-Cu系のはんだ合金である、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
【請求項5】
前記絶縁基板に設けられた発熱体と、
前記発熱体の一端と接続された発熱体電極と、
前記発熱体の他端と接続された中間電極と、
少なくとも前記発熱体を被覆する絶縁保護層と、
前記第1の電極と前記第2の電極の間に設けられ、前記中間電極と接続された発熱体引出電極とを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
【請求項6】
外部回路基板に設けられた端子に接続される外部接続電極を有し、前記外部回路基板に表面実装可能とされている、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電流経路上に実装され、異常時にヒューズエレメントを溶断し当該電流経路を遮断する保護素子に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン2次電池(LiB)は高出力・高エネルギー密度を有する電池であり、電池の性能向上と共に、様々なアプリケーションへ適用されている。しかしながら、LiBは、何らかの影響で充放電を制御するICやFET等が故障することで、過充電状態になった場合に、発煙発火のリスクを有する電池であり、その2次的な保護対策として、発熱体を内蔵する保護素子が採用されている。LiB搭載アプリケーションの拡大と共に、LiBの生産数量も増加し、LiBを保護する保護素子の需要も高まっている。
【0003】
LiBの制御に用いられる先述したICやFETを含む多くの部品は、表面実装工程に対応するため、保護素子にも表面実装に対応することが求められる。また、内蔵する発熱体で安全にヒューズエレメントの溶断動作を完了させるために、ヒューズエレメントの融点は出来る限り低融点であることが望ましく、理想的には、リフローの温度(260℃)にぎりぎり耐える融点(280℃~300℃近辺)が望ましい。
【0004】
この要求に対応するため、ヒューズエレメントにはコストの観点から、一般的には鉛を多く含んだ合金が用いられている。一方で、環境負荷軽減の要求の高まりに伴って、鉛を用いない新構造のヒューズエレメントも提案されている。
【0005】
図10は、保護素子の一構成例を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
図10に示す保護素子100は、絶縁基板101と、絶縁基板101の表面上に形成された第1、第2の電極102、103と、絶縁基板101の表面に形成された発熱体104と、発熱体104を被覆する絶縁層105と、絶縁層105上に積層されるとともに発熱体104と接続された発熱体引出電極106と、第1の電極102、発熱体引出電極106、及び第2の電極103にわたって接続材料110を介して搭載される可溶導体であるヒューズエレメント107とを備える。
【0006】
接続材料110としては、ヒューズエレメント107と同種の材料を用いることができ、例えばPb-Sn、Au-Sn、Sn-Cu-Agといったスズベースの各種ソルダーペーストが用いられている。
【0007】
第1、第2の電極102,103は、保護素子100が接続される外部回路の電流経路上に接続される端子部であり、それぞれ絶縁基板101の裏面に形成された第1、第2の外部接続電極102a,103aとキャスタレーションを介して接続されている。保護素子100は、第1、第2の外部接続電極102a,103aが、保護素子100が実装される外部回路基板に設けられた接続電極に接続されることにより、ヒューズエレメント107が外部回路基板上に形成された電流経路の一部に組み込まれる。
【0008】
発熱体104は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、例えばニクロム、W、Mo、Ru等又はこれらを含む材料からなる。また、発熱体104は、絶縁基板101の表面上に形成された発熱体電極108と接続されている。発熱体電極108は、絶縁基板101の裏面に形成された第3の外部接続電極108aとキャスタレーションを介して接続されている。保護素子100は、第3の外部接続電極108aが、保護素子100が実装される外部回路基板に設けられた接続電極に接続されることにより、発熱体104が外部回路に設けられた外部電源と接続されている。そして、発熱体104は、図示しないスイッチ素子等により常時、通電が制御されている。
【0009】
発熱体104は、ガラス層等からなる絶縁層105によって被覆されるとともに、絶縁層105上に発熱体引出電極106が形成されることにより、絶縁層105を介して発熱体引出電極106と重畳されている。また、発熱体引出電極106上には第1、第2の電極102,103間にわたって接続されたヒューズエレメント107が接続材料110を介して接続されている。
【0010】
これにより、保護素子100は、発熱体104とヒューズエレメント107が重畳されることにより熱的に接続され、発熱体104が通電によって発熱するとヒューズエレメント107を溶断することができる。
【0011】
ヒューズエレメント107は、第1の電極102から発熱体引出電極106を経て第2の電極103にかけて接続されることにより、保護素子100が組み込まれた外部回路の電流経路の一部を構成する。そして、ヒューズエレメント107は、定格を超える電流が通電することによって自己発熱(ジュール熱)により溶断し、あるいは発熱体104の発熱により溶断し、第1、第2の電極102,103間を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第2790433号公報
【特許文献2】特開2015-035281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ヒューズエレメント107としては、例えばPb-Sn等の鉛を85wt%以上含んだ高融点はんだにより形成することができる。しかし、上述したように、環境負荷軽減の要求の高まりに伴って、RoHS指令等においては、鉛含有ハンダの使用は、限定的に認められているに過ぎず、今後Pbフリー化の要求は、強まるものと考えられる。
【0014】
ヒューズエレメント107として、鉛フリーはんだを用いた場合、鉛含有はんだよりも融点が高くなり、発熱体104の発熱により速やかに溶断することが困難となる。また、ヒューズエレメント107として、例えばAu-Sn等の金を80wt%以上含んだ高融点はんだを使用した場合は、環境負荷物質を含有しないメリットを有する反面、高コスト化を招く。
【0015】
ヒューズエレメント107として、例えばSn-Ag-Cu等のスズベースの低融点(融点:220℃近辺)金属107aをAg等の高融点(融点:600℃以上)金属107bで被覆した構造を用いた場合には、環境負荷、及びコスト上の問題を両立させることができる。しかし、
図11に示すように、表面実装工程における加熱温度(260℃近辺)で溶融した低融点金属107aが流動し、偏在することにより、ヒューズエレメント107の断面形状が変化すると、抵抗値がばらつく等により、速溶断性を損なうことが懸念される。低融点金属107aを被覆する高融点金属107bを厚くすることで低融点金属107aの偏りを抑制することもできるが、発熱体104の発熱による溶断時間が延びる、ヒューズエレメント107の溶断前に発熱体104が損傷するといったリスクが生じる。ヒューズエレメント107の変形対策として、ヒューズエレメント107内に高融点金属107bの支柱を形成することも提案されているが、製造コストの上昇を招いてしまう。
【0016】
そこで、本技術は、環境負荷を回避し、リフロー実装によるヒューズエレメントの速溶断性への影響を防止でき、低コスト化も図ることができる保護素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するために、本技術に係る保護素子は、絶縁基板と、前記絶縁基板に設けられた第1の電極及び第2の電極と、前記第1の電極及び前記第2の電極の面上に配置されて、前記第1の電極と前記第2の電極との間を電気的に接続するヒューズエレメントと、前記第1の電極及び前記第2の電極と前記ヒューズエレメントとを接続する接続導体とを備え、前記ヒューズエレメントは、鉛フリーの導体からなり、且つ液相点がリフロー加熱温度よりも高く、前記接続導体は、前記ヒューズエレメントの液相点より液相点が低く、且つリフロー加熱温度を下回る固相点を持つものである。
【発明の効果】
【0018】
本技術によれば、環境負荷を回避し、リフロー実装によっても電気特性の変動を防止でき、低コスト化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本技術が適用された保護素子を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
【
図2】
図2は、ヒューズエレメントが溶断した状態を示す平面図である。
【
図3】
図3は、第1の電極と発熱体引出電極との間、及び発熱体引出電極と第2の電極の間に、それぞれヒューズエレメントを搭載した保護素子をカバー部材を省略して示す平面図である。
【
図4】
図4は、本技術が適用された保護素子が実装されたバッテリパックの構成例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、本技術が適用された保護素子の回路図である。
【
図6】
図6は、本技術が適用された変形例に係る保護素子を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
【
図7】
図7は、本技術が適用された変形例に係る保護素子を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る保護素子の回路図である。
【
図9】
図9は、本技術が適用された変形例に係る保護素子を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
【
図10】
図10は、保護素子の一構成例を示す図であり、(A)はカバー部材を省略して示す平面図であり、(B)は断面図であり、(C)は底面図である。
【
図11】
図11は、表面実装工程における加熱温度(260℃近辺)で溶融した低融点金属が流動し、偏在することにより、ヒューズエレメントの断面形状が変化した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本技術が適用された保護素子について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
図1に示すように、本技術が適用された保護素子1は、絶縁基板2と、絶縁基板2に設けられた第1の電極4及び第2の電極5と、第1の電極4及び第2の電極5の面上に配置されて、第1の電極4と第2の電極5との間を電気的に接続する可溶導体であるヒューズエレメント7と、第1の電極4及び第2の電極5とヒューズエレメント7とを接続する接続導体8とを備える。
【0022】
ヒューズエレメント7は、鉛を含有せず、且つ液相点がリフロー加熱温度よりも高い材料組成の合金により形成されている。すなわち、ヒューズエレメント7は、リフロー加熱温度において溶融しない。したがって、ヒューズエレメント7は、リフロー工程においても溶断することなく、第1、第2の電極4,5上にリフロー実装することができる。また、ヒューズエレメント7がリフロー工程において溶断しないため、保護素子1をリフローにより外部回路基板に実装することができる。
【0023】
また、接続導体8は、ヒューズエレメント7の液相点より液相点が低く、且つリフロー加熱温度を下回る固相点を持つ。すなわち、接続導体8は、ヒューズエレメント7よりも融点が低い。これにより、接続導体8は、リフロー加熱温度において少なくともある程度溶融した状態で、ヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5との接続に供される。また、接続導体8は、ヒューズエレメント7よりも溶融が進んでいるため、第1、第2の電極4,5上に濡れ広がるとともに、ヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5との間に充填され、両者を電気的、機械的に接続することができる。
【0024】
なお、接続導体8の液相点は、リフロー加熱温度よりも高くてもよいが、低い方が好ましい。完全に溶融した状態でヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5の接続に供することが、良好な電気的、機械的接続を図るうえで好ましいためである。
【0025】
このように、保護素子1は、ヒューズエレメント7として、鉛を用いず、且つ液相点がリフロー加熱温度よりも高い材料組成の合金を用いることで、環境負荷の低減を図りつつ、速溶断性にも優れる。また、ヒューズエレメント7として、金などの高価な金属を使用することなく、環境負荷の低減と速溶断性の維持の両立が可能となり、低コスト化も図ることができる。
【0026】
このような保護素子1は、外部回路に組み込まれることにより、ヒューズエレメント7が当該外部回路の電流経路の一部を構成し、所定の条件下で溶断することにより電流経路を遮断する(
図2参照)。以下、保護素子1の各構成について詳細に説明する。
【0027】
図1に示す保護素子1は、発熱体3を備え、ヒューズエレメント7が発熱体3の発熱あるいは定格を超える過電流によって溶断するものである。すなわち、保護素子1は、絶縁基板2と、絶縁基板2に設けられた発熱体3と、絶縁基板2に設けられた第1の電極4及び第2の電極5と、第1の電極4と第2の電極5との間に配置されると共に、発熱体3の一端側と電気的に接続された発熱体引出電極6と、第1の電極4、第2の電極5及び発熱体引出電極6の面上に配置されて、第1の電極4と発熱体引出電極6との間及び第2の電極5と発熱体引出電極6との間を電気的に接続するヒューズエレメント7とを備える。
【0028】
[絶縁基板]
絶縁基板2は、例えばアルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材によって形成される。その他、絶縁基板2は、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよい。また、絶縁基板2は、絶縁や接続導体8及びヒューズエレメント7の位置制御などを目的として、所定の位置にガラス又はソルダーレジストを設けてもよい。なお、本明細書では、絶縁基板2のヒューズエレメント7が搭載される面を表面2aとし、ヒューズエレメント7が搭載される面と反対側の面を裏面2bとする。
【0029】
[第1、第2の電極]
絶縁基板2の表面2aの相対向する両端部には、第1の電極4及び第2の電極5が形成されている。第1の電極4及び第2の電極5は、それぞれ、Ag、Cu又はこれらの合金等の導電パターンによって形成されている。第1の電極4及び第2の電極5は、例えばAgペーストをスクリーン印刷により所定のパターンで印刷した後、所定の温度で焼成することにより形成することができる。
【0030】
第1の電極4は、絶縁基板2の表面2aより、キャスタレーションを介して裏面2bに形成された第1の外部接続電極11と連続されている。また、第2の電極5は、絶縁基板2の表面2aより、キャスタレーションを介して裏面2bに形成された第2の外部接続電極12と連続されている。保護素子1が外部回路基板に実装されると、第1、第2の外部接続電極11,12が、当該外部回路基板に設けられた接続電極に接続されることにより、ヒューズエレメント7が当該外部回路基板上に形成された電流経路の一部に組み込まれる。
【0031】
第1、第2の電極4,5は、接続導体8を介してヒューズエレメント7が搭載されることにより、ヒューズエレメント7を介して電気的に接続されている。また、
図2に示すように、第1、第2の電極4,5は、発熱体3が通電に伴って発熱しヒューズエレメント7が溶断することにより、あるいは保護素子1に定格を超える大電流が流れヒューズエレメント7が自己発熱(ジュール熱)によって溶断することにより、接続遮断される。
【0032】
[発熱体引出電極]
発熱体引出電極6は、第1の電極4と第2の電極5の間の領域に設けられ、一端が後述する中間電極14と接続されている。また、発熱体引出電極6は、後述する絶縁保護層9上に積層され、絶縁保護層9を介して発熱体3と重畳されている。
【0033】
発熱体引出電極6は、第1、第2の電極4,5と同様に、AgやCu等の導電ペーストを印刷、焼成することによって形成することができる。また、発熱体引出電極6は、接続導体8を介して、第1、第2の電極4,5間において、ヒューズエレメント7が接続されている。
【0034】
[接続導体]
接続導体8は、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6とヒューズエレメント7とを接続するものであり、ペースト状のはんだ合金等で形成される。具体的に、接続導体8は、ヒューズエレメント7の液相点よりも液相点が低く、且つリフロー加熱温度(260℃)を下回る固相点を持つ金属接合材料であり、例えば、スズベースの合金やインジウムベースの合金が例示される。このなかでも、Sn-Ag3-Cu0.5(固相点:217℃/液相点:220℃)、Sn-Ag3.5(固相点:221℃/液相点:223℃)や、Sn-Cu系はんだ又はSn-Sb-Ag-Cu系はんだが好適に用いられる。特にSbを含むことで液相点及び固相点を所望の範囲に調整することが容易となる。
【0035】
接続導体8は、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6上のヒューズエレメント7が搭載される位置に、スクリーン印刷等の公知の方法により供給され、ヒューズエレメント7が搭載された後、リフロー工程に付される。接続導体8は、ヒューズエレメント7の液相点より液相点が低く、且つリフロー加熱温度を下回る固相点を持つ材料であるため、リフロー加熱温度において少なくともある程度溶融した状態で、好ましくは完全に溶融した状態で、ヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5との接続に供される。これにより、接続導体8は、第1、第2の電極4,5上に濡れ広がるとともに、ヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5との間に充填され、両者を電気的、機械的に接続することができる。
【0036】
なお、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6の表面上には、Ni/Auメッキ、Ni/Pdメッキ、Ni/Pd/Auメッキ等の被膜が、メッキ処理等の公知の手法によりコーティングされていることが好ましい。これにより、保護素子1は、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6の酸化を防止し、導通抵抗の上昇に伴う定格の変動を防止することができる。また、保護素子1をリフロー実装する場合に、ヒューズエレメント7を接続する接続導体8が溶融することにより第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6を溶食(ハンダ食われ)することを防ぐことができる。
【0037】
なお、第1、第2の電極4,5は、第1、第2の外部接続電極11,12と接続される外部回路基板の電極に設けられた接続用ハンダがリフロー実装等において溶融し、キャスタレーションを介して第1、第2の電極4,5上に這い上がり、濡れ拡がることを防止する規制壁を設けてもよい。規制壁は、例えばガラスやソルダーレジスト、絶縁性接着剤等ハンダに対する濡れ性を有しない絶縁材料を用いて形成することができ、第1、第2の電極4,5上に印刷等により形成することができる。規制壁を設けることにより、溶融した接続用ハンダが第1、第2の電極4,5まで濡れ広がることを防止し、保護素子1と外部回路基板との接続性を維持することができる。
【0038】
[発熱体]
図1に示すように、絶縁基板2の表面2aには発熱体3が形成されている。発熱体3は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、例えばニクロム、W、Mo、Ru等又はこれらを含む材料からなる。発熱体3は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板2上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成することができる。一例として、発熱体3は、酸化ルテニウム系ペーストと銀とガラスペーストの混合ペーストを所定の電圧に応じて調整し、絶縁基板2の表面2aの所定の位置に所定の面積で製膜し、その後、適正条件にて焼成処理を行うことにより形成することができる。また、発熱体3の形状は適宜設計できるが、
図1(A)に示すように、絶縁基板2の形状に応じて略矩形状とすることが発熱面積を最大化するうえで好ましい。
【0039】
また、発熱体3は、一端部3aが発熱体電極17と接続され、他端部3bが中間電極14と接続されている。発熱体電極17及び中間電極14は、絶縁基板2の第1、第2の電極4,5が設けられた側縁と異なる相対向する側縁に形成されている。発熱体電極17は、発熱体3への給電電極であり、発熱体3の一端部3aと接続されるとともに、キャスタレーションを介して絶縁基板2の裏面2bに形成された第3の外部接続電極13と連続されている。
【0040】
中間電極14は、発熱体3と絶縁保護層9上に積層される発熱体引出電極6との間に設けられる電極であり、発熱体3の他端部3bと接続されるとともに、発熱体引出電極6と接続されている。
【0041】
発熱体電極17、及び中間電極14は、第1、第2の電極4,5と同様に、AgやCu又はこれらの合金等の導電ペーストを印刷、焼成することによって形成することができる。また、絶縁基板2の表面2a上に形成されるこれら各電極を同一の材料により構成することで、一度の印刷及び焼成工程で形成することができる。
【0042】
[絶縁保護層]
また、発熱体3は、絶縁保護層9で被覆されている。絶縁保護層9は、発熱体3の保護及び絶縁を図るとともに、発熱体3の熱を効率よく発熱体引出電極6及びヒューズエレメント7へ伝えるために設けられ、発熱体3の発熱温度に対する耐熱性を有するガラス等の絶縁材料により構成される。絶縁材料9を構成するガラス原料としては、例えばシリカ系ガラスのオーバーコート用ガラスペーストや絶縁用ガラスペーストがある。
【0043】
絶縁保護層9は、これらガラス系のペーストをスクリーン印刷等により塗布、焼成することにより形成することができる。
図1に示す保護素子1では、絶縁保護層9は、絶縁基板2の表面2aに形成された発熱体3を覆うように形成されている。
【0044】
絶縁保護層9の厚さは、ガラスペースト等の材料の塗布性や、求められるヒューズエレメント7の遮断時間に応じて適宜設定され、例えば10μm以上40μm以下とされ、好ましくは20μm以上40μm以下とされる。
【0045】
[ヒューズエレメント]
次いで、ヒューズエレメント7について説明する。ヒューズエレメント7は、第1及び第2の電極4,5間にわたって実装され、発熱体3の通電による発熱、又は定格を超える電流が通電することによって自己発熱(ジュール熱)により溶断し、第1の電極4と第2の電極5との間の電流経路を遮断するものである。ヒューズエレメント7は、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6上に接続導体8を介して接続される。
【0046】
ヒューズエレメント7は、発熱体3の通電による発熱、又は過電流状態によって溶融する導電性の材料により形成される。また、上述したように、ヒューズエレメント7は、鉛を含有せず、且つ液相点がリフロー加熱温度(260℃)よりも高い材料組成の合金により形成されている。すなわち、ヒューズエレメント7は、リフロー加熱温度において溶融しない。したがって、ヒューズエレメント7は、リフロー工程においても溶断することなく、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6とヒューズエレメント7との接続や保護素子1の外部回路基板上への実装を、リフローによって効率よく行うことができる。
【0047】
また、ヒューズエレメント7は、液相点がリフロー加熱温度(260℃)よりも高い材料組成の合金により形成されているが、液相点がリフロー温度よりも低い低融点金属を高融点金属で被覆する構造と異なり、リフロー工程において高融点金属層に被覆された低融点金属が流動して変形が生じることもなく、変形に伴う速溶断特性への影響もない。
【0048】
ヒューズエレメント7の材料としては、例えばSn-Cu系はんだやSn-Sb-Ag-Cu系はんだ等のスズベースの合金が挙げられ、具体的には、Sn-Sb10(固相点:246℃/液相点272℃)、Sn-Cu7.0(固相点:227℃/液相点:約400℃)、Sn-Sb35-Cu5-Ag5(固相点:300℃/液相点:約350℃)を好適に用いることができる。特にSbを含むことで液相点及び固相点を所望の範囲に調整することが容易となる。
【0049】
ヒューズエレメント7は、液相線温度が400℃以下であることが好ましい。液相線温度が400℃を超えると、溶断するまでに要する時間が延びてしまう他、発熱体3がヒューズエレメント7の溶断よりも先に損傷する恐れが生じ得る。
【0050】
なお、ヒューズエレメント7は任意の形状を採り得るが、小型化と定格の向上の観点から、
図1に示すように矩形板状に形成されることが好ましい。また、保護素子1は、第1の電極4~第2の電極5にかけて1つのヒューズエレメント7を搭載してもよく、
図3に示すように、第1の電極4と発熱体引出電極6との間及び発熱体引出電極6と第2の電極5との間にそれぞれヒューズエレメント7を搭載してもよい。さらに、第1の電極4~第2の電極5にかけて複数のヒューズエレメント7を並列して搭載してもよく、第1の電極4と発熱体引出電極6との間、発熱体引出電極6と第2の電極5との間にそれぞれ複数のヒューズエレメント7を並列して搭載してもよい。
【0051】
ヒューズエレメント7は、所定の定格電流が流れている間は、自己発熱によっても溶断することがない。そして、ヒューズエレメント7は、定格よりも高い値の電流が流れると、自己発熱によって溶断し、第1、第2の電極4,5間の電流経路を遮断する。また、ヒューズエレメント7は、発熱体3が通電され発熱することにより溶融し、第1、第2の電極4,5及び発熱体引出電極6上に溶融導体の引き込み作用を伴って凝集することにより、各電極間で溶断するため、第1、第2の電極4,5間の電流経路を遮断する。
【0052】
なお、ヒューズエレメント7は、酸化防止、及び溶断時の濡れ性の向上等のため、フラックスを塗布してもよい。また、保護素子1は、絶縁基板2がケース30に覆われることによりその内部が保護されている。ケース30は、例えば、各種エンジニアリングプラスチック、熱可塑性プラスチック、セラミックス、ガラスエポキシ基板等の絶縁性を有する部材を用いて形成することができる。また、ケース30は、絶縁基板2の表面2a上に、ヒューズエレメント7が溶融時に球状に膨張し、溶融導体7aが発熱体引出電極6や第1、第2の電極4,5上に凝集するのに十分な内部空間を有する。
【0053】
[回路構成例]
次いで、保護素子1が適用されたリチウムイオン二次電池の回路構成例について説明する。なお、本技術は以下の構成に限定されるものではない。保護素子1は、例えばリチウムイオン二次電池のバッテリパック20内の回路に組み込まれて用いられる。バッテリパック20は、複数の、例えば
図4に示すように、合計4個のリチウムイオン二次電池のバッテリセル21a~21dからなるバッテリスタック25を有する。
【0054】
バッテリパック20は、バッテリスタック25と、バッテリスタック25の充放電を制御する充放電制御回路26と、バッテリスタック25の異常時に充放電経路を遮断する本発明が適用された保護素子1と、各バッテリセル21a~21dの電圧を検出する検出回路27と、検出回路27の検出結果に応じて保護素子1の動作を制御するスイッチ素子となる電流制御素子28とを備える。
【0055】
バッテリスタック25は、過充電及び過放電状態から保護するための制御を要するバッテリセル21a~21dが直列接続されたものであり、バッテリパック20の正極端子20a、負極端子20bを介して、着脱可能に充電装置22に接続され、充電装置22からの充電電圧が印加される。充電装置22により充電されたバッテリパック20は、正極端子20a、負極端子20bをバッテリで動作する電子機器に接続することによって、この電子機器を動作させることができる。
【0056】
充放電制御回路26は、バッテリスタック25と充電装置22との間の電流経路に直列接続された2つの電流制御素子23a、23bと、これらの電流制御素子23a、23bの動作を制御する制御部24とを備える。電流制御素子23a、23bは、たとえば電界効果トランジスタ(以下、FETという。)により構成され、制御部24によりゲート電圧を制御することによって、バッテリスタック25の電流経路の充電方向及び/又は放電方向への導通と遮断とを制御する。制御部24は、充電装置22から電力供給を受けて動作し、検出回路27による検出結果に応じて、バッテリスタック25が過放電又は過充電であるとき、電流経路を遮断するように、電流制御素子23a、23bの動作を制御する。
【0057】
保護素子1は、例えば、バッテリスタック25と充放電制御回路26との間の充放電電流経路上に接続され、その動作が電流制御素子28によって制御される。
【0058】
検出回路27は、各バッテリセル21a~21dと接続され、各バッテリセル21a~21dの電圧値を検出して、各電圧値を充放電制御回路26の制御部24に供給する。また、検出回路27は、バッテリセル21a~21dのいずれか1つが過充電電圧又は過放電電圧になったときに電流制御素子28を制御する制御信号を出力する。
【0059】
電流制御素子28は、たとえばFETにより構成され、検出回路27から出力される検出信号によって、バッテリセル21a~21dの電圧値が所定の過放電又は過充電状態を超える電圧になったとき、保護素子1を動作させて、バッテリスタック25の充放電電流経路を電流制御素子23a、23bのスイッチ動作によらず遮断するように制御する。
【0060】
以上のような構成からなるバッテリパック20に用いられる、本発明が適用された保護素子1は、
図5に示すような回路構成を有する。すなわち、保護素子1は、第1の外部接続電極11がバッテリスタック25側と接続され、第2の外部接続電極12が正極端子20a側と接続され、これによりヒューズエレメント7がバッテリスタック25の充放電経路上に直列に接続される。また、保護素子1は、発熱体3が発熱体電極17及び第3の外部接続電極13を介して電流制御素子28と接続されるとともに、発熱体3がバッテリスタック25と接続される。このように、発熱体3は、一端を発熱体引出電極6を介してヒューズエレメント7及びバッテリスタック25の一端と接続され、他端を発熱体電極17及び第3の外部接続電極13を介して電流制御素子28及びバッテリスタック25の他端と接続される。これにより電流制御素子28によって通電が制御可能な発熱体3への給電経路が形成される。
【0061】
[保護素子の動作]
検出回路27がバッテリセル21a~21dのいずれかの異常電圧を検出すると、電流制御素子28へ遮断信号を出力する。すると、電流制御素子28は、発熱体3に通電するよう電流を制御する。保護素子1は、バッテリスタック25から、発熱体3に電流が流れ、これにより発熱体3が発熱を開始する。保護素子1は、発熱体3の発熱によりヒューズエレメント7が溶断し、バッテリスタック25の充放電経路を遮断する。
【0062】
ヒューズエレメント7の溶融導体7aは、第1の電極4、第2の電極5、及び発熱体引出電極6に形成された接続部8に凝集し、各電極間が遮断される(
図2)。このとき、溶融導体7aは、第1の電極4、第2の電極5、及び発熱体引出電極6上に凝集するように、積極的に張力が作用し、速やかに第1の電極4と発熱体引出電極6との間、及び第2の電極5と発熱体引出電極6との間を溶断することができる。
【0063】
また、ヒューズエレメント7は、液相点がリフロー加熱温度(260℃)よりも高い材料組成の合金により形成されているため、液相点がリフロー温度よりも低い低融点金属を高融点金属で被覆する構造と異なり、リフローによってもヒューズエレメント7の変形に伴う速溶断特性への影響もなく、所定の時間内で溶断し、電流経路を遮断することができる。このように、ヒューズエレメント7の速やかな溶断が可能となることで、発熱体3がヒューズエレメント7の溶断よりも先に損傷することも防止することができ、安全かつ速やかに電流経路を遮断できる。
【0064】
保護素子1は、ヒューズエレメント7が溶断することにより、発熱体3への給電経路も遮断されるため、発熱体3の発熱が停止される。
【0065】
なお、保護素子1は、バッテリパック20に定格を超える過電流が通電された場合にも、ヒューズエレメント7が自己発熱により溶融し、バッテリパック20の充放電経路を遮断することができる。
【0066】
本発明に係る保護素子1は、リチウムイオン二次電池のバッテリパックに用いる場合に限らず、電気信号による電流経路の遮断を必要とする様々な用途にももちろん応用可能である。
【0067】
[変形例1]
本技術が適用された保護素子の変形例について説明する。なお、以下の説明において上述した保護素子1と同じ部材については同一の符号を付してその詳細を省略することがある。
図6に示す保護素子40は、絶縁基板2の裏面2bに発熱体3、発熱体電極17、中間電極14、及び絶縁保護層9を形成したものであり、その他の構成は上述した保護素子1と同様である。
【0068】
発熱体電極17及び中間電極14は、絶縁基板2の裏面2bの第1、第2の電極4,5が設けられた側縁と異なる相対向する側縁に形成されている。発熱体電極17は、発熱体3への給電電極であるとともに外部接続電極として機能し、保護素子40が外部回路に実装されることにより、電流制御素子28と接続される。
【0069】
中間電極14は、発熱体3と絶縁基板2の表面2aに設けられた発熱体引出電極6との間に設けられる電極であり、発熱体3の他端部3bと接続されるとともに、キャスタレーションを介して絶縁基板2の表面2aに形成された発熱体引出電極6と接続されている。
【0070】
なお、
図7に示すように、保護素子は、絶縁基板2の裏面2bに発熱体3を設けるとともに、発熱体3への給電経路とヒューズエレメント7の電流経路を独立して形成してもよい。
図7(A)に示す保護素子50は、発熱体引出電極6を省略しているが、中間電極14と非接続の発熱体引出電極6を形成してもよい。保護素子50は、発熱体引出電極6を省略することにより、ヒューズエレメント7の通電経路と、発熱体3の通電経路を分けている。絶縁基板2の裏面2bに設けられた発熱体3は、一端を発熱体電極17と接続され、他端を中間電極14と接続されている。
【0071】
図8は、保護素子50の回路構成を示す図である。保護素子50は、外部回路に実装されることにより、第1の外部接続電極11がバッテリスタック25側と接続され、第2の外部接続電極12が正極端子20a側と接続され、これによりヒューズエレメント7がバッテリスタック25の充放電経路上に直列に接続される。発熱体3は、発熱体電極17を介して電流制御素子28と接続されるとともに、バッテリスタック25と接続される。また、発熱体3は、中間電極14を介して図示しないアースと接続される。これにより電流制御素子28によって通電が制御可能な発熱体3への給電経路が形成される。保護素子50は、ヒューズエレメント7が溶断すると、これを検知した検出回路27及び電流制御素子28によって発熱体3への通電が停止される。
【0072】
[変形例2]
次いで、本技術が適用された保護素子の他の変形例について説明する。なお、以下の説明において上述した保護素子1,40,50と同じ部材については同一の符号を付してその詳細を省略することがある。
図9に示すように、本技術が適用された保護素子60は、発熱体3を形成せずに、過電流によるヒューズエレメント7の自己発熱によって電流経路を遮断するものである。
【0073】
保護素子60は、外部回路基板にリフロー実装されることにより、第1の外部接続電極11がバッテリスタック25側と接続され、第2の外部接続電極12が正極端子20a側と接続され、これによりヒューズエレメント7がバッテリスタック25の充放電経路上に直列に接続される。
【0074】
上述した保護素子40,50,60においても、接続導体8は、ヒューズエレメント7の液相点より液相点が低く、且つリフロー加熱温度を下回る固相点を持つ材料であるため、リフロー加熱温度において少なくともある程度溶融した状態で、好ましくは完全に溶融した状態で、ヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5や発熱体引出電極6との接続に供される。これにより、接続導体8は、第1、第2の電極4,5上や発熱体引出電極6上に濡れ広がるとともに、ヒューズエレメント7と第1、第2の電極4,5や発熱体引出電極6との間に充填され、電気的、機械的に接続することができる。
【0075】
また、保護素子40,50,60においても、ヒューズエレメント7として、鉛を用いず、且つ液相点がリフロー加熱温度よりも高い材料組成の合金を用いることで、環境負荷の低減を図りつつ、速溶断性にも優れる。また、ヒューズエレメント7として、金などの高価な金属を使用することなく、環境負荷の低減と速溶断性の維持の両立が可能となり、低コスト化も図ることができる。
【符号の説明】
【0076】
1 保護素子、2 絶縁基板、3 発熱体、4 第1の電極、5 第2の電極、6 発熱体引出電極、7 ヒューズエレメント、8 接続導体、9 絶縁保護層、11 第1の外部接続電極、12 第2の外部接続電極、13 第3の外部接続電極、14 中間電極、17 発熱体電極、20 バッテリパック、21 バッテリセル、22 充電装置、23 電流制御素子、24 制御部、25 バッテリスタック、26 充放電制御回路、27 検出回路、28 電流制御素子、30 ケース、40 保護素子、50 保護素子、60 保護素子