IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コナミゲーミング インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特開-ゲーミングマシン 図1
  • 特開-ゲーミングマシン 図2
  • 特開-ゲーミングマシン 図3
  • 特開-ゲーミングマシン 図4
  • 特開-ゲーミングマシン 図5
  • 特開-ゲーミングマシン 図6
  • 特開-ゲーミングマシン 図7
  • 特開-ゲーミングマシン 図8
  • 特開-ゲーミングマシン 図9
  • 特開-ゲーミングマシン 図10
  • 特開-ゲーミングマシン 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133378
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ゲーミングマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/80 20140101AFI20240920BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20240920BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20240920BHJP
【FI】
A63F13/80 H
A63F13/69
A63F13/53
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117895
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2020165768の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】501405122
【氏名又は名称】コナミゲーミング インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】金衛 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 敦史
(57)【要約】
【課題】シンボルを用いたゲームに新たなゲーム性を提供するゲーミングマシンを提供する。
【解決手段】シンボル表示領域を有する表示部、制御部および記憶部を備えるゲーミングマシンであって、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、複数のシンボルを前記シンボル表示領域に表示するシンボル表示機能と、複数の特典のいずれかと関連付けられた特定入賞領域を前記シンボル表示領域に設定する特定入賞領域設定機能と、前記複数のシンボルに含まれる特別シンボルが前記特定入賞領域内に表示されたことに応じて、前記特定入賞領域と関連付けられた特典を付与する特典付与機能とを実現してゲームを提供するように構成される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンボル表示領域を有する表示部、制御部および記憶部を備えるゲーミングマシンであって、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、
複数のシンボルを前記シンボル表示領域に表示するシンボル表示機能と、
複数の特典のいずれかと関連付けられた特定入賞領域を前記シンボル表示領域に設定する特定入賞領域設定機能と、
前記複数のシンボルに含まれる特別シンボルが前記特定入賞領域内に表示されたことに応じて、前記特定入賞領域と関連付けられた特典を付与する特典付与機能と
を実現してゲームを提供するように構成されるゲーミングマシン。
【請求項2】
前記シンボル表示領域は、シンボルを表示可能なセルを複数含み、
前記特定入賞領域は、単独または複数の前記セルを包含する請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記表示部は、前記シンボル表示領域に並設されたオブジェクト表示領域を有し、
前記特定入賞領域設定機能は、前記オブジェクト表示領域に表示された、それぞれ特定の特典と関連付けられている複数のオブジェクトから少なくとも一つを選択し、選択されたオブジェクトに基づいて前記特定入賞領域を設定する請求項1又は2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記シンボル表示機能は、表示しているシンボルを変動および停止させることにより、前記シンボル表示領域にゲーム結果を表示し、
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボルの変動が停止されたことに応じて、前記オブジェクト表示領域に表示されている複数のオブジェクトに関連付けられている特典をランダムに増大または昇格させる請求項3に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記シンボル表示機能は、表示しているシンボルを変動および停止させることにより、前記シンボル表示領域にゲーム結果を表示し、
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボルの変動が停止されたことに応じて、前記オブジェクト表示領域に表示されている複数のオブジェクトの包含するセルの数をランダムに増加させる請求項3または4に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボルの変動中に前記選択されたオブジェクトの表示位置を前記シンボル表示領域上に移動させ、前記シンボル表示領域において前記選択されたオブジェクトが重畳した領域を前記特定入賞領域と設定する請求項3~5のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項7】
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボル表示機能が表示しているシンボルを変動および停止させた際に所定の条件が満たされたことに応じて、前記特定入賞領域を設定して特別ゲームの提供を開始する請求項1~6のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項8】
前記特定入賞領域設定機能は、前記特別ゲーム中に前記シンボルの変動が停止される度に前記特定入賞領域を所定方向へ移動させ、前記特定入賞領域が前記シンボル表示領域から外れたことに応じて、前記特別ゲームの提供を終了する請求項7に記載のゲーミングマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲーミングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スロットゲームを提供するゲーミングマシンを開示する。このゲーミングマシンは、各種機能のいずれかが付与された特定シンボルを用い、リールスピン中にシンボルグリッドに重ねて表示されている特殊シンボルを元の位置から次の位置に移動させ、リール停止時に特殊シンボルが特定シンボルと重なっている場合に特定シンボルの機能を発動させるものである。例えば、ワイルドシンボルを特定シンボルとするとともに、付与する機能をワイルドシンボルへの倍数付与、フルリールワイルド化およびランダムな位置へのワイルドシンボルの追加とすることで、ワイルドと特殊シンボルが重なった場合に、いずれかの機能が発動され、入賞の機会が追加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10467866号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のゲーミングマシンは、ワイルドシンボルなどの特定シンボルが毎回位置を変える特殊シンボルと重なった場合に各種機能が発動されるので、プレイヤーは各種機能が発動して入賞機会が追加されることを期待する。しかしながら、このゲーミングマシンは各種機能が発動した場合も従来通りシンボルの入賞組み合わせに基づいて特典を付与するものであり、新たな特典付与の機構(以下、「入賞ロジック」とも称する)を提案するものではなかった。また、追加される入賞機会は固定的なものであり、追加される入賞機会における入賞確率および獲得可能な特典額を変化させる余地もなかった。このため、より魅力的なゲームをプレイヤーに提供するという観点からは改善の余地がある。
【0005】
本開示は、シンボルを用いたゲームに新たなゲーム性を提供するゲーミングマシンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るゲーミングシステムは、シンボル表示領域を有する表示部、制御部および記憶部を備えるゲーミングマシンであって、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、複数のシンボルをシンボル表示領域に表示するシンボル表示機能と、複数の特典のいずれかと関連付けられた特定入賞領域をシンボル表示領域に設定する特定入賞領域設定機能と、複数のシンボルに含まれる特別シンボルが特定入賞領域内に表示されたことに応じて、特定入賞領域と関連付けられた特典を付与する特典付与機能とを実現してゲームを提供するように構成される。
【0007】
このゲーミングマシンにおいては、複数の特典のいずれかと関連付けられた特定入賞領域がシンボル表示領域に設定される。そして、複数のシンボルに含まれる特別シンボルが特定入賞領域内に表示されたことに応じて特定入賞領域と関連付けられた特典が付与される。このように、このゲーミングマシンは、特定入賞領域内に特別シンボルが表示されるか否かという新たな入賞ロジックを提供することができる。
【0008】
一実施形態においては、シンボル表示領域は、シンボルを表示可能なセルを複数含み、特定入賞領域は、単独または複数のセルを包含してもよい。このように構成されたゲーミングマシンは、特定入賞領域が包含するセルの個数に応じた入賞確率のゲームを提供することができる。
【0009】
一実施形態においては、表示部は、シンボル表示領域に並設されたオブジェクト表示領域を有し、特定入賞領域設定機能は、オブジェクト表示領域に表示された、それぞれ特定の特典と関連付けられている複数のオブジェクトから少なくとも一つを選択し、選択されたオブジェクトに基づいて特定入賞領域を設定してもよい。このように構成されたゲーミングマシンはオブジェクト表示領域に複数のオブジェクトを表示させてプレイヤーに視認させることができるので、プレイヤーはゲームで獲得し得る特典を予め認識することができる。よって、このゲーミングマシンは、プレイヤーにゲームをプレイすること、またはゲームプレイを継続することを促すことができる。
【0010】
一実施形態においては、シンボル表示機能は、表示しているシンボルを変動および停止させることにより、シンボル表示領域にゲーム結果を表示し、特定入賞領域設定機能は、シンボルの変動が停止されたことに応じて、オブジェクト表示領域に表示されている複数のオブジェクトに関連付けられている特典をランダムに増大または昇格させてもよい。このように構成されたゲーミングマシンは次回のゲームにおいて獲得し得る特典が前回のゲームにおいて獲得し得る特典よりも大きいことをプレイヤーに認識させることができる。よって、このゲーミングマシンは、プレイヤーにゲームをプレイすること、またはゲームプレイを継続することを促すことができる。
【0011】
一実施形態においては、シンボル表示機能は、表示しているシンボルを変動および停止させることにより、シンボル表示領域にゲーム結果を表示し、特定入賞領域設定機能は、シンボルの変動が停止されたことに応じて、オブジェクト表示領域に表示されている複数のオブジェクトの包含するセルの数をランダムに増加させてもよい。このように構成されたゲーミングマシンは次回のゲームにおいて獲得し得る特典または入賞確率が前回のゲームにおいて獲得し得る特典または入賞確率よりも大きいことをプレイヤーに認識させることができる。よって、このゲーミングマシンは、プレイヤーにゲームをプレイすること、またはゲームプレイを継続することを促すことができる。
【0012】
一実施形態においては、特定入賞領域設定機能は、シンボルの変動中に選択されたオブジェクトの表示位置をシンボル表示領域上に移動させ、シンボル表示領域において選択されたオブジェクトが重畳した領域を特定入賞領域と設定してもよい。このように構成されたゲーミングマシンはシンボルの変動中にオブジェクトを用いて特定入賞領域をプレイヤーに視認させることができる。
【0013】
一実施形態においては、特定入賞領域設定機能は、シンボル表示機能が表示しているシンボルを変動および停止させた際に所定の条件が満たされたことに応じて、特定入賞領域を設定して特別ゲームの提供を開始してもよい。このように構成されたゲーミングマシンは、通常のスロットゲームに加えて特定入賞領域を用いた特別ゲームを提供することができる。
【0014】
一実施形態においては、特定入賞領域設定機能は、特別ゲーム中にシンボルの変動が停止される度に特定入賞領域を所定方向へ移動させ、特定入賞領域がシンボル表示領域から外れたことに応じて、特別ゲームの提供を終了してもよい。このように構成されたゲーミングマシンは特定入賞領域を移動させることでゲーム性を高めるととともに特別ゲームの終了をプレイヤーに理解しやすい態様で示すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、シンボルを用いたゲームに新たなゲーム性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ゲーミングマシンの一例を示す斜視図である。
図2】ゲーミングマシンの構成の一例を示すブロック図である。
図3】ゲーミングマシンの表示領域の概略図である。
図4】仮想リールセットおよびシンボルを示す図である。
図5図2のメモリに格納されるプログラムおよびデータを示すディレクトリ構成図およびブロック図である。
図6図2のメモリに格納されるプログラムおよびデータを示すディレクトリ構成図およびブロック図である。
図7図6のゲームアプリケーションプログラムのブロック図である。
図8図6のシステムアプリケーションプログラムのブロック図である。
図9】ゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。
図10】ゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。
図11】特別ゲームを説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、実施形態に係るゲーミングマシンの一例を示す斜視図である。図1に示されるゲーミングマシン10は、所定のゲーム価値をプレイヤーから受け付け、ゲーム結果を生成し、ゲーム結果およびペイテーブルに応じてプレイヤーに配当を提供し得る。本実施形態に係るゲーミングマシン10が提供するゲームはビデオスロットゲームであり、ゲーミングマシン10は、例えば、通常ゲーム、フリーゲーム、および特別ゲームを提供する。フリーゲームおよび特別ゲームは、所定の条件が満たされたときに提供される。通常ゲームおよびフリーゲームにおいては、表示領域に表示されるシンボルが、ゲーム結果であるシンボルの組み合わせを構成し、その組合せで入賞が判定される。特別ゲームにおいては、ゲームのルールに関わる特別な条件(以下、フィーチャー機能という)が提供され、フィーチャー機能を発揮した状態でゲームが提供される。特別ゲームの詳細については後述する。
【0019】
図1に示されるように、ゲーミングマシン10は、ディスプレイ16(表示部の一例)およびキャビネット12を備える。キャビネット12は、ゲーミングマシン10の構成要素を制御する制御部22(図2参照)も収容する。
【0020】
ディスプレイ16は、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置などの平面パネルディスプレイ装置である。ディスプレイ16は、制御部22を介して制御されることによって、ゲーム画面をプレイヤーへ提供する。ディスプレイ16の周囲には、装飾的な照明を提供するイルミネーション36が設けられてもよい。
【0021】
キャビネット12は、ディスプレイ16の下側に配置される。キャビネット12には、その前面に前方へ張り出すようにしてコントロールパネル18が設けられる。コントロールパネル18には、プレイヤートラッキングユニット20、スピーカ26、紙幣/チケット識別ユニット28、プリンタユニット30、および、操作部32が設けられる。
【0022】
プレイヤートラッキングユニット20は、プレイヤー識別カードを認識するカードリーダー、データをプレイヤーに提示するディスプレイ、およびプレイヤーによる入力を受け付けるキーパッドを含む。プレイヤートラッキングユニット20は、制御部22または外部システムと共に協調動作することによって、プレイヤーによってカードリーダーに挿入されたプレイヤー識別カードに記録された情報を読み取り、その情報および/または外部システムと通信することによって取得された情報をディスプレイ上に表示する。さらに、プレイヤーからの入力がキーパッドによって受け付けられ、ディスプレイがその入力に従って変更され、必要に応じて外部システムとの通信が実行される。
【0023】
スピーカ26は、コントロールパネル18の左右に設けられる。スピーカ26は、制御部22を介して制御されることによってサウンドをプレイヤーに提供する。
【0024】
紙幣/チケット識別ユニット28は、紙幣/チケットが挿入される挿入開口部を露出させた状態でキャビネット12に収容され得る。挿入口の内側には各種センサで紙幣/チケットを識別する識別部が設けられる。識別部の出力口側には紙幣/チケット貯留部が設けられる。紙幣/チケット識別ユニット28は、ゲーム価値である紙幣/チケット(バウチャーおよびクーポンを含む)を受け付けて、ゲーム価値として識別し、制御部22に通知する。
【0025】
プリンタユニット30は、チケットが出力されるチケット出力口を露出させた状態でキャビネット12に収容され得る。チケット出力口の内側には所定情報を印刷用紙に印刷する印刷部が設けられ、印刷部の用紙入口側には印刷用紙を収容する収容部が設けられる。プリンタユニット30は、制御部22の制御下で、情報を用紙に印刷し、クレジット払い出し処理に従ってゲーミングマシン10からチケットを出力する。出力されたチケットは、別のゲーミングマシンの紙幣/チケット識別ユニット28に挿入されることによって、払い出されたクレジットをゲームプレイに利用することも可能であり、または、カジノ内のキオスク端末またはカジノケージで換金され得る。
【0026】
操作部32は、プレイヤーの操作を受け付ける。操作部32は、ゲーミングマシン10のプレイヤーから種々の指示を受け付けるボタンのグループを含む。例えば、操作部32は、スピンボタンおよび設定ボタンのグループを含んでもよい。スピンボタンは、ゲームのインスタンスを開始する(リールの回転を開始する)ための指示を受け付ける。設定ボタンのグループは、ライン設定ボタンのグループ、ベットボタンのグループおよびキャッシュアウトボタンなどを含む。ベットボタンのグループは、プレイヤーからのベットのクレジット額(ベット額)に関する指示操作を受け付ける。キャッシュアウトボタンは、ゲーミングマシン10に蓄積されたクレジットの払い出しを指示する指示操作を受け付ける。
【0027】
図2は、ゲーミングマシンの構成の一例を示すブロック図である。ゲーミングマシン10は、制御部22を含む。制御部22は、制御部22を構成するプロセッサを含むCPU(Central Processing Unit)38、インターフェイスユニット40、メモリ42、およびストレージ44などを備える。制御部22は、制御ボードとしてキャビネット12の内部に収容され得る。制御部22は、インターフェイスユニット40を介して各部と通信可能に構成され、CPU38のメモリ42(記憶部の一例)またはストレージ44(記憶部の一例)に記録されたプログラムを実行することによって各部の動作を制御し、ゲームをプレイヤーに提供する。
【0028】
インターフェイスユニット40は、CPU38に接続されたメモリバス、各種拡張バス、シリアルインターフェイス、USB(Universal Serial Bus)インターフェイス、イーサネット(登録商標)インターフェイスなどのCPU38の通信機能を提供するチップセットを含む。
【0029】
メモリ42は、揮発性の記憶媒体であるRAM(Random Access Memory)、不揮発性の記憶媒体であるROM(ReadOnly Memory)、および書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であるEEPROM(ElectricallyErasable Programmable Read-Only Memory)を含む構成とすることができる。ストレージ44は、外部記憶装置としての機能を制御部22に提供し、取り外し可能な記憶媒体であるメモリカードおよび光磁気ディスクなどの読み取り装置を使用することができ、ハードディスクを利用することも可能である。
【0030】
インターフェイスユニット40には、紙幣/チケット識別ユニット28、プリンタユニット30、プレイヤートラッキングユニット20、グラフィックコントローラ(GPU:Graphics Processing Unit)50、入力コントローラ52、サウンドコントローラ53、およびイルミネーションコントローラ54が接続される。グラフィックコントローラ50、入力コントローラ52、サウンドコントローラ53、およびイルミネーションコントローラ54は、制御ボードとしてキャビネット12の内部に収容され得る。
【0031】
制御部22は、グラフィックコントローラ50を介してディスプレイ16に接続される。制御部22は、入力コントローラ52を介して操作部32に接続される。制御部22は、イルミネーションコントローラ54を介してイルミネーション36に接続される。
【0032】
制御部22は、メモリ42およびストレージ44に格納されたプログラムを実行することによって各部を制御し、ゲームをプレイヤーに提供する。ここで、例えば、制御部22の基本機能を提供するオペレーティングシステムおよびサブシステムのプログラムおよびデータをメモリ42のEEPROMに格納し、ゲームを提供するアプリケーションのプログラムおよびデータをストレージ44に格納するように構成されてもよい。そのような構成によれば、ストレージ44を交換することによってゲームを簡単に変更または更新することができる。さらに、制御部22は、複数のCPUを含むマルチプロセッサ構成としてもよい。
【0033】
以下、制御部22に接続された各ブロックについて説明する。紙幣/チケット識別ユニット28は、挿入口で紙幣/チケットを受け付け、紙幣種別またはクレジットの払い出し処理に対応する識別情報を制御部22に通知する。制御部22は通知された内容に応じてゲーム内で使用可能なクレジット額を増加させる。プリンタユニット30は、操作部32に含まれるキャッシュアウトボタンの操作を受け付ける制御部22の制御下で、ゲーミングマシン10からのクレジット払い出し処理に対応した情報を、チケットに印刷されて出力される。
【0034】
プレイヤートラッキングユニット20は、制御部22と協調動作し、プレイヤーの情報などをカジノ管理システムとの間で送受信する。グラフィックコントローラ50は、制御部22の制御下でディスプレイ16を制御し、各種グラフィックスデータを含むディスプレイイメージを表示する。サウンドコントローラ53は、制御部22の制御下でスピーカ26を駆動し、アナウンス、効果音、BGMなどの各種サウンドを提供する。イルミネーションコントローラ54は、制御部22の制御下でイルミネーション36の点灯制御を行う。
【0035】
インターフェイスユニット40は、ゲーミングマシン10の外部と通信するための各種通信インターフェイスを含む。インターフェイスユニット40は、一例として、イーサネット55,58,60、およびシリアルインターフェイス62によって外部ネットワークと通信することができる。図2においては、他のゲーミングマシン10、公知のサーバサイドのゲーミングネットワーク(サーバベースゲーミング)、G2Sネットワーク(ゲーム-システム間)、およびスロット情報システム(スロットデータシステム)とそれぞれ通信を行う場合の一例が示される。制御部22は、I/Oボードを介さずにイーサネット55を介して他のゲーミングマシン10の制御部22と通信することにより、他のゲーミングマシン10とゲームに関する情報を共有することができる。
【0036】
図3は、図1のゲーミングマシンの表示領域の概略図である。図3に示されるように、所定のプログラムを実行している制御部22によって、ディスプレイ16には、スロットゲームを表示するシンボル表示領域64および特別ゲームに関する画面を表示するオブジェクト表示領域65を有するゲーム画面が表示される(シンボル表示機能の一例)。シンボル表示領域64は、一例としてゲーム画面の下方の領域に表示される。オブジェクト表示領域65は、シンボル表示領域64に並設され、一例としてゲーム画面の上方の領域に表示される。
【0037】
シンボル表示領域64は、シンボルを表示するためのグリッド68を含んでいる。このような表示領域を使用することによって、ゲーミングマシン10は、シンボル表示領域64のグリッド68に表示されるシンボルの組合せに従って入賞判定を行い、配当を支払うスロットマシンとして動作する。
【0038】
ディスプレイ16は、複数のシンボルをグリッド68に表示する。グリッド68は、複数の行および列を含む。グリッド68は、シンボルの停止位置である複数のセル70によって構成される。図3は5×5のグリッド状に配置された複数のセルを含むゲーム画面を示す。グリッドの行数や列数は、特に限定されず、3-4-4-4-3等の他の構成であってもよく、ゲーム展開および/またはベット額に応じて増減する構成としてもよい。シンボル表示領域64の複数のセル70のそれぞれには、1つのシンボルが停止して表示される。
【0039】
複数のセル70のそれぞれに配置されるシンボルは、仮想リール66を表示するための仮想リールストリップを用いて決定される。図4の(A)は、仮想リールセットを示す図である。仮想リールセットは、複数の仮想リールストリップを含み、仮想リールストリップは、表示領域に表示されるシンボルの序列を示すシンボル配列を含む。図4の(A)に示されるように、グリッド68の各セル70には、仮想リールセット82をなす仮想リールストリップ72、74、76、78、および80を含む仮想リール66のシンボル配列に基づいてシンボルが表示される。つまり、グリッド68のセル70は、列ごとに仮想リールストリップ72~80が対応付けられており、各仮想リールストリップ72~80の所定部分に配置されたシンボルが表示される。さらに、仮想リールストリップ72~80のシンボル配列に基づいて列ごとに各シンボルを移動(スクロールまたはスピン)することによってグリッド68のセル70に表示されるシンボルが変動し、列ごとに移動(スクロールまたはスピン)を停止することによってシンボルが停止される。ここで、仮想リールストリップ72~80はデータであり、制御部22は、メモリ42またはストレージ44に含まれるプログラム、およびセル列ごとに調整されるシンボル配列(すなわち各リールストリップ上のシンボルの並び順)を表示するデータを使用する。仮想リールセット82は、このような仮想リールストリップ72~80の総称である。
【0040】
図4の(A)に示した仮想リールストリップ72~80は、各シンボル位置86にあるシンボル84で構成されており、これらのシンボルはリールごとに定義された順に並ぶ。仮想リールストリップ72~80をなすシンボルの数はこれに限定されず、所望の数とすることができる。また、仮想リールストリップ72~80をなすシンボルの数は同一であってもよいし、互いに相違しても構わない。
【0041】
図4の(B)は、図4の(A)に示されたシンボル84の詳細である。各仮想リールストリップ72~80は、図4の(B)に示された種々のシンボル84のシンボルセット88から選択されたシンボルを含む。シンボルセット88は、標準シンボルとしてトランプを模したカードシンボル(「9」、「10」、「J」、「Q」、「K」および「A」)、ならびにパターンを示す絵柄シンボル(「PicA」、「PicB」、「PicC」、「PicD」および「PicE」)を含む。シンボルセット88は、フリーゲームのトリガであるトリガシンボルとして使用されるスキャッタシンボル(「Scat」)、および特別ゲーム提供時に使用される特別シンボル85(「SP」)を含む。仮想リールセットは、ゲーム内容に応じて複数用意されてもよい。例えば、通常ゲームで使用される仮想リールセットと、フリーゲームまたは特別ゲームで用いられる仮想リールセットとを別にしてもよい。フリーゲーム時の仮想リールセットは通常ゲーム時の仮想リールセットと比較して、絵柄シンボル、ワイルドシンボルまたはスキャッタシンボルを多く含む構成としてもよい。このようにすることで、フリーゲーム時の入賞確率またはトリガ確率を増加させることができ、プレイヤーに価値の高いフリーゲームを提供することができる。また、特別ゲーム時の仮想リールセットは通常ゲーム時の仮想リールセットと比較して、特別シンボル85を多く含む構成としてもよい。このようにすることで特別ゲームにおけるボーナス入賞の確率を増加させることができる。特別ゲーム時の仮想リールセットのみが特別シンボル85を含む構成としてもよい。なお、ここで「特別ゲーム/フリーゲームのトリガ」とは「特別ゲーム/フリーゲームを獲得する契機」を意味し、「トリガシンボル」とは「特別ゲーム/フリーゲームを獲得する契機をなすシンボル」を意味する。なお、特別ゲームは、スキャッタシンボル以外の条件が満たされたことに応じて獲得されてもよい。例えば、特別ゲームはランダムに獲得されてもよいし、通常ゲームが所定回数繰り返されたことを契機として獲得されてもよいし、シンボル組み合わせが所定の組み合わせのときに獲得されても構わない。
【0042】
制御部22は、ゲームを開始し、各仮想リールストリップ72~80の停止位置をランダムに決定する。ディスプレイ16に表示される仮想リールストリップ72~80は、現在の位置から移動(スクロールまたはスピン)し、停止位置に基づいて停止して、ゲームの結果を表す。このため、ディスプレイ16またはグリッド68においては、仮想リールストリップ72~80に含まれるシンボルは、シンボル表示領域64の垂直方向に仮想リールストリップ72~80が連続的に移動(スクロールまたはスピン)することに応じて変動し、仮想リールストリップ72~80に規定されたシンボルの順序に従って1つのセル70に1つのシンボルが停止するように表示される。
【0043】
制御部22は、操作部32によって受け付けられたプレイヤーの操作に従って、前述の方法によりディスプレイ16に表示される複数のシンボルを変動および停止させ、シンボル表示領域64内で停止させたシンボルに従って配当を支払う構成とすることができる。
【0044】
シンボル表示領域64にはペイラインが設定される。ペイラインは、左端の列のセルから右端の列に跨がるように設定される。ペイラインは、プレイヤーに選択されることにより有効化され、入賞ラインとなる。入賞ラインは、複数のセル70を組み合わせて入賞を判定するラインである。入賞ラインの数は、プレイヤー用の操作部32の設定ボタンのグループに含まれるライン設定ボタンのグループの操作によって選択できる。制御部22は、シンボルの組み合わせであるゲームの結果に関して、入賞ライン上で同一シンボルが所定数を超えて揃った場合に入賞と判定し、シンボルのタイプおよび個数に従って配当をプレイヤーに支払う。
【0045】
このゲーミングマシン10においては、シンボル表示領域64内の5行および5列のセルに、所定数のペイライン(88パターンのライン)が予め設定される。入賞を判定するためのシステムは、入賞ライン上で左端の列のセルから所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を決定してもよいし、入賞ライン上で右端の列のセルから所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を判定してもよいし、左端または右端から揃うことに関わらず、所定の入賞ライン上の連続した列で所定数の同一シンボルが揃ったときに入賞を判定するものであっても構わない。加えて、所定数よりも多いスキャッタシンボルは、入賞ラインに関わらず、入賞組み合わせまたはトリガ条件を形成する。
【0046】
図3に戻り、制御部22は、特別ゲームに使用されるオブジェクトOBをオブジェクト表示領域65に表示させる。制御部22は、シンボル表示領域64に表示しているシンボルを変動および停止させた際に所定の条件が満たされたことに応じて特別ゲームを提供する。特別ゲームにおいては、制御部22は、単独または複数のセル70を包含する特定入賞領域69(図11の(B)参照)をシンボル表示領域64に設定する(特定入賞領域設定機能の一例)。そして、制御部22は、特別シンボル85が特定入賞領域69内に表示されたことに応じて、特定入賞領域69と関連付けられた特典を付与する(特典付与機能の一例)。オブジェクトOBは、この特別ゲームに使用される特定入賞領域69を視覚的に示す表示である。つまり、オブジェクトOBは、特定入賞領域69に関連付けられた特典および領域のサイズ(包含するセル数)に対応したランク表示およびサイズを有する。
【0047】
例えば、特定入賞領域69には、「100」、「150」、「300」、「500」、「750」、「MINI BONUS」、「MAJOR BONUS」、「MEGA」、「MAXI」といったランクが異なる特典が関連付けられる。ランクは例えばプライズ額で格付けされる。オブジェクトOBは、これに応じる形で対応する特定入賞領域69のランクを表示する。図3の例では、それぞれのオブジェクトOBが「100」「300」「500」「MINI」「MAXI」といったランクを表示している。また、オブジェクトOBは、対応する特定入賞領域69が包含するセル70の個数に応じたサイズを有する。図3の例では、ランク「MINI」を表示するオブジェクトOBは、6つのセル70を包含するサイズである。ランク「300」を表示するオブジェクトOBは、1つのセル70を包含するサイズである。このように、オブジェクトOBは、特別ゲームで使用される特定入賞領域69を視覚的に表現している。プレイヤーは、オブジェクト表示領域65を視認することで、特別ゲームに使用される特定入賞領域69を認識することができる。
【0048】
通常ゲームにおいてトリガ条件が形成された場合、特別ゲームが開始される。制御部22は、オブジェクト表示領域65に表示されている複数のオブジェクトから少なくとも一つを選択し、選択されたオブジェクトOBに基づいて特定入賞領域69を設定する。例えば、制御部22は、シンボルの変動中に選択されたオブジェクトOBの表示位置をシンボル表示領域64上に移動させ、シンボル表示領域64において選択されたオブジェクトOBが重畳した領域を特定入賞領域69と設定する。重畳させる位置は、オブジェクトOBごとに予め定められていてもよいし、ランダムに決定されてもよい。制御部22は、複数のオブジェクトから特別ゲームに使用するオブジェクトOBをランダムに決定してもよいし、所定の手順に沿って決定してもよい。さらに、オブジェクト表示領域65に表示されている複数のオブジェクトから特別ゲームに使用するオブジェクトOBを選択する構成としてもよい。このように使用するオブジェクトOBを表示されているものから選択することで、特別ゲームにおける特定入賞領域69のサイズと特典のランクは選択されたオブジェクトOBに応じて設定され、多様性の高い特別ゲームをプレイヤーに提供することができる。
【0049】
制御部22は、ゲーム進行にかかわらずオブジェクトOBをオブジェクト表示領域65に表示する。つまり、オブジェクトOBは、通常ゲーム中またはフリーゲーム中であっても表示されている。プレイヤーは、通常ゲーム中またはフリーゲーム中においてオブジェクトOBを視認し、特別ゲームで使用され得る特定入賞領域69を認識することで、特別ゲームで獲得可能なプライズ額および獲得する確率を予見することができる。
【0050】
オブジェクトOBのランク表示およびサイズは、不変であってもよいし可変であってもよい。不変とした場合には、一連の通常ゲームまたはフリーゲームの実行において、オブジェクトOBは一定のランク表示およびサイズを維持することになる。また、可変とした場合には、一連の通常ゲームまたはフリーゲームの実行において、オブジェクトOBのランク表示およびサイズは変化することになる。可変とする場合には、例えば通常ゲームまたはフリーゲームの実行回数を重ねることに応じてオブジェクトOBのランク表示またはサイズが成長、すなわち昇格または増大する態様としてもよい。このような態様では、制御部22は、シンボルの変動が停止されることに応じて、オブジェクト表示領域65に表示されている複数のオブジェクトOBに関連付けられている特典のランクまたはサイズをランダムに昇格または増大させてもよい。これにより、ゲーム結果が表示されて次のゲームを開始する前にオブジェクトOBのランクを変化させることができる。ランクの変化としては、オブジェクトOBのランク表示「100」が「150」に、「150」が「300」に昇格される等である。ランクが昇格することは、そのオブジェクトOBが特別ゲームで使用された場合に与えられる特典が増大することを意味する。したがって、オブジェクトOBのランク昇格によりプレイヤーがゲームに抱く期待感を高めることができ、プレイヤーにゲームを継続してプレイし続ける動機付けを与えることができる。また、オブジェクトOBのランクを降格させる構成としてもよいし、表示されている複数のオブジェクトのうち、一部を昇格させるとともに別の一部を降格させてもよい。
【0051】
また、上述の態様においては、制御部22は、シンボルの変動が停止されることに応じて、オブジェクト表示領域65に表示されている複数のオブジェクトOBのサイズ、すなわち包含するセルの数をランダムに変化させてもよい。これによりゲーム結果が表示されて次のゲームを開始する前にオブジェクトOBのサイズを変化させることができる。サイズの変化としては、セル一個に対応したオブジェクトOBをセル四個に対応したオブジェクトOBに、セル四個に対応したオブジェクトOBをセル九個に対応したオブジェクトOBに変更または更新する等である。サイズまたはセル数が変化することは、そのオブジェクトOBが特別ゲームで使用された場合に特別入賞が発生する確率が変化することを意味する。すなわち、サイズまたはセル数が拡大すれば特別入賞の発生確率は高くなり、縮小すれば特別入賞の確率は低くなる。したがって、オブジェクトOBのサイズを成長させることで、プレイヤーがゲームに抱く期待感を高めることができ、プレイヤーにゲームを継続してプレイし続ける動機付けを与えることができる。オブジェクトOBは、一例としてコインとして表示されてもよい。また、オブジェクトOBのサイズを縮小する構成としてもよいし、表示されている複数のオブジェクトのうち、一部を拡大するとともに別の一部を縮小してもよい。
【0052】
制御部22は、特別ゲーム中にシンボルの変動が停止される度に特定入賞領域69すなわちオブジェクトOBを所定方向へ移動させてもよい。例えば、制御部22は、シンボルの変動が停止される度に特定入賞領域69を下方向に1セルずつスライドさせてもよい。そして、制御部22は、設定した特定入賞領域69がシンボル表示領域64から外れたことに応じて特別ゲームの提供を終了してもよい。特定入賞領域69を移動させることでゲーム性が高まり、かつ、特別ゲームの終了をプレイヤーに理解しやすい態様で示すことができる。オブジェクトOBを移動させる方向は下方向に限られず、上方向、右方向、左方向の何れでも構わない。
【0053】
図5および図6は、図2のメモリに格納されるプログラムおよびデータを示すディレクトリ構成図およびブロック図である。図7は、図6のゲームアプリケーションプログラムのブロック図である。図8は、図6のシステムアプリケーションプログラムのブロック図である。図5図8に示された実施形態においては、メモリ42がコンピュータ実行可能命令を含むゲームアプリケーションプログラム92を格納し、これらのコンピュータ実行可能命令をCPU38で実行することによりゲームの処理が行われ、ゲーミングマシン10のディスプレイ16にゲーム画面が表示される。また、一実施形態においては、ゲームアプリケーションプログラム92は、図9および図10に示されたアルゴリズムを使用してゲームを実装するためのコンピュータ実行可能命令を含むプログラムコード94およびプログラムオブジェクトデータ96を含む。
【0054】
例示的な実施形態においては、メモリ42はコンピュータ実行可能命令を含むゲームアプリケーションプログラム92およびシステムアプリケーションプログラム98を格納し、これらのコンピュータ実行可能命令をCPU38で実行することによりゲームの処理が行われ、ゲーミングマシン10のディスプレイ16にゲーム画面が表示される。ゲームアプリケーションプログラム92はCPUで実行することによりゲーム固有のフロントエンド機能を提供し、システムアプリケーションプログラム98は汎用的なバックエンド機能を提供する。図示した実施例においては、ゲームアプリケーションプログラム92およびシステムアプリケーションプログラム98は、同一のオペレーティングシステム上に実装されている。ただし、これらのプログラムは互いに相違するオペレーティングシステム上に実装してもよいし、互いに相違するプロセッサ上に実装しても構わない。
【0055】
一実施形態においては、ゲームアプリケーションプログラム92は、ベット/ペイラインボタンリスナーモジュール100と、スタートボタンリスナーモジュール102と、クレジット残高マネージャモジュール104と、サンプリングマネージャ106と、ランダムナンバージェネレータ(RNG)108と、比較マネージャ110と、ゲーム結果ジェネレータ112と、入賞評価モジュール114と、ゲームプレゼンテータ116と、ゲームグラフィックスプレゼンテータ118と、ゲームサウンドプレゼンテータ120と、入賞インジケータ122と、特典プロバイダ124と、アプリケーションマネージャ126と、外部コミュニケータ128とを含む複数のソフトウェアモジュールを含む。ゲームアプリケーションプログラム92は、配当表130、リールストリップデータ132、および停止位置テーブル134を含むことができる。
【0056】
ベット/ペイラインボタンリスナーモジュール100は、操作部32のベットボタン34またはライン設定ボタン33から信号を受け付けるためのソフトウェアモジュールであり、この信号は、プレイヤーがボタンを操作してベット額または有効化するペイライン数を選択するときにボタンによって生成される。信号の受信に応じて、ベット/ペイラインボタンリスナーモジュール100は、ゲームのベットまたは有効化するペイラインの構成を変更するために、信号の発生をアプリケーションマネージャ126に伝達する。
【0057】
スタートボタンリスナーモジュール102は、信号をスタートボタンから受け付けるためのソフトウェアモジュールであり、この信号は、プレイヤーがこのボタンを操作してゲームを開始するときに生成される。信号の受信に応じて、スタートボタンリスナーモジュール102は、ゲームを開始するために、信号の発生をアプリケーションマネージャ126に伝達する。
【0058】
スタートボタンリスナーモジュール102からの信号の受信に応じて、アプリケーションマネージャ126はサンプリングマネージャ106に対して、必要な数の乱数をランダムナンバージェネレータ108から取得することを要求する。
【0059】
ランダムナンバージェネレータ108は、所定の乱数生成計算アルゴリズムに基づいて乱数を生成するソフトウェアモジュールである。ランダムナンバージェネレータ108は、疑似乱数を生成する態様としてもよい。ランダムナンバージェネレータ108は、サンプリングマネージャ106からの要求に応じて乱数を返す。ランダムナンバージェネレータ108は、その一部または全部を集積回路またはワイヤードロジックとして実装してもよい。
【0060】
比較マネージャ110は、ゲームの現在の状態および/または各乱数をリールストリップデータ132および停止位置テーブル134と比較し、各乱数に基づいて対応するリールストリップの停止位置を指定する。
【0061】
リールストリップデータ132は、通常ゲーム、フリーゲームおよび特別ゲームのための仮想リールストリップを有する。上述した比較マネージャ110は、アプリケーションマネージャ126に問い合わせてゲームの現在の状態を識別し、仮想リールストリップを選択する。
【0062】
停止位置テーブル134は、仮想リールストリップの各停止位置に関連付けられた乱数の範囲を含む。比較マネージャ110は、対応する乱数および停止位置テーブル134に基づいて各リールの停止位置を決定する。
【0063】
ゲーム結果ジェネレータ112は、選択されたリールレイアウト、各リールの停止位置、内部シンボルの停止位置、および付加する属性に基づいてゲーム結果を生成する。一実施形態においては、ゲーム結果ジェネレータ112は、所定の条件が満たされたときに、ゲーム結果に対して変更を適用してもよい。
【0064】
入賞評価モジュール114は、配当表130を参照してゲーム結果を評価する。具体的には、シンボル表示領域64において入賞ラインとして設定されたペイライン上に、配当表130で入賞組み合わせとして定義されているシンボルが停止しているかに基づいて入賞評価を行う。また、特別ゲームにおいては、特定入賞領域69に停止したシンボルに応じて入賞評価を行う。
【0065】
ゲームプレゼンテータ116は、所定のゲーム結果を最終的に形成するために、ゲームグラフィックスプレゼンテータ118およびゲームサウンドプレゼンテータ120を利用して、映像およびサウンドからなるゲームプレゼンテーションプロセスを提供する。
【0066】
より具体的には、ゲームグラフィックスプレゼンテータ118は、シンボル表示領域64にシンボルを表示し、オブジェクト表示領域65にオブジェクトOBを表示する表示制御機能を実現するソフトウェアモジュールである。ゲームグラフィックスプレゼンテータ118は、所定のゲーム結果を最終的に形成するために、ディスプレイ上の視覚的なゲームプレゼンテーションプロセスを提供する。ゲームグラフィックスプレゼンテータ118は、シンボル表示領域64の入賞ライン上に表示される複数のシンボルを、入賞ラインの先頭から順に表示してもよい。例えば、ゲームグラフィックスプレゼンテータ118は、仮想リールの回転後において、第1リールから第5リールまで順に停止させる。これにより、シンボルは入賞ライン上に左(先頭)から順に表示されることになる。ゲームグラフィックスプレゼンテータ118は、オブジェクトOBのサイズおよびランクを変更してオブジェクト表示領域65に表示させる。
【0067】
ゲームサウンドプレゼンテータ120は、サウンドコントローラ53およびスピーカ26を使用することによってサウンドプレゼンテーションプロセスを提供する。入賞インジケータ122は、ゲーム結果において形成された入賞シンボルの入賞組み合わせおよび支払い条件を示す。特典プロバイダ124は、入賞評価に基づいて特典クレジットを入賞メータに提供する。
【0068】
アプリケーションマネージャ126は、各ソフトウェアモジュールの動作および状態を管理する。加えて、アプリケーションマネージャ126は、ゲームアプリケーションプログラム92の構成、進行、および状態を管理する。外部コミュニケータ128は、システムアプリケーションプログラム98との間で命令およびデータをやりとりする。
【0069】
クレジット残高マネージャモジュール104は、ベット額に応じてクレジット残高をデクリメントするとともに、入賞メータに表示された入賞総数に基づいてクレジット残高のインクリメントを行うためのプロセスを実行する。配当表130は、各入賞組み合わせに関連付けられた配当額または特典額を含む。
【0070】
例示的な実施形態においては、システムアプリケーションプログラム98は、バックグラウンド処理およびゲーム固有の機能以外の機能を提供する。システムアプリケーションプログラム98は、システムマネージャ142と、セキュリティマネージャ144と、スロット管理モジュール146と、デノミネーションマネージャ148と、データロガー150と、通信マネージャ152と、紙幣アクセプタマネージャ154と、メータ管理モジュール156と、キャッシュアウトマネージャ158とを含む複数のソフトウェアモジュールを含む。
【0071】
システムアプリケーションプログラム98は、ゲームリコールファイル160、会計ログ162、およびメータ164を含んでもよい。システムマネージャ142は、システムアプリケーションプログラム98によって実行されるバックグラウンド処理およびゲーム固有の機能以外の機能を全て管理するためのソフトウェアモジュールである。
【0072】
セキュリティマネージャ144は、ゲームの検証の管理、ドアのセキュリティ、およびセキュリティセンサの監視のためのソフトウェアモジュールである。スロット管理モジュール146は、データの蓄積を管理し、外部スロット情報システムと通信するためのソフトウェアモジュールである。
【0073】
デノミネーションマネージャ148は、ゲーミングマシン10のデノミネーション設定を設定するためのソフトウェアモジュールである。デノミネーション設定は、1セント、2セント、5セント、25セント、1ドル、5ドルなどを含むことができる。データロガー150は、各ゲームの結果をゲームリコールに記録するためのソフトウェアモジュールである。加えて、データロガー150は、エラーイベント、紙幣ログ、キャッシュアウトログ、チケットログなどを会計ログに格納する。
【0074】
ゲームリコールファイル160は、各ゲームの結果を含む蓄積データである。ゲームリコールファイル160は、不揮発性メモリに格納される。会計ログ162は、エラーイベント、紙幣ログ、キャッシュアウトログ、チケットログなどを含んでいる蓄積データである。会計ログ162は、不揮発性メモリに格納される。
【0075】
通信マネージャ152は、ゲームアプリケーションプログラム92とシステムアプリケーションプログラム98との間の通信を管理するソフトウェアモジュールである。通信マネージャ152は、システムアプリケーションプログラム98と、他のゲーミングマシン10、外部ネットワーク(スロット管理システムネットワーク、G2Sネットワーク、サーバベースゲーミングネットワーク用のゲーミングサーバ、またはVLTシステムネットワークなど)との間のネットワーク通信をも管理する。
【0076】
紙幣アクセプタマネージャ154は、紙幣アクセプタを管理するためのソフトウェアモジュールであり、紙幣アクセプタに挿入された紙幣の情報を受け付ける。紙幣アクセプタからの情報の受信に応答して、紙幣アクセプタマネージャ154は、挿入された紙幣に基づいてクレジット残高をインクリメントするために、メータ管理モジュールと通信する。
【0077】
メータ管理モジュール156は、通信マネージャ152、紙幣アクセプタマネージャ154、またはキャッシュアウトマネージャ158を介したゲームアプリケーションプログラム92との通信に応答してメータ164の値を調整するためのソフトウェアモジュールである。メータ164は、ゲーミングマシンの現在のクレジット残高を示すためのクレジットメータ、および現在のゲームセッションの入賞総数を示すための入賞メータを含む。メータは、コインイン、コインアウト、トータルドロップ、接客係が支払うジャックポット、および/または紙幣の投入などの、バックグラウンドメータをさらに含む。これらのメータは、不揮発性メモリ上のデータとしてまたはハードウェアメータとして実装されてもよい。
【0078】
キャッシュアウトマネージャ158は、キャッシュアウト手順を管理するためのソフトウェアモジュールである。キャッシュアウトボタンでのプレイヤーの操作に応答して、キャッシュアウトマネージャ158が作動され、ゲーミングマシンが、クレジットメータの総数を現金またはバウチャーの形で支払う。
【0079】
図9および図10は、ゲーミングマシンの動作を説明するフローチャートである。ゲーミングマシンの動作のアルゴリズムは、ゲームアプリケーションプログラム92に実装されており、CPU38がゲームアプリケーションプログラム92を実行することにより具現化される。ゲーミングマシンの動作は複数のステップを含む。各ステップは、独立して実行されてもよく、他のステップと組み合わせて実行されてもよい。
【0080】
ステップS10において、制御部22は、プレイヤーによるゲーム開始操作を受け付ける。制御部22は、プレイヤーからスピンボタンの操作を受け付けると、設定された総ベット額をクレジットから減額するとともに、ステップS12として、ゲームの提供に必要とされる所定の数の乱数を取得する。乱数は、制御部22のランダムナンバージェネレータ108で内部的に生成される。制御部22は、制御部22とは別に設けられたランダムナンバージェネレータから乱数を取得するようにしてもよく、ゲーミングマシン10外に設けられたサーバ等の装置から乱数を取得する構成としてもよい。
【0081】
制御部22は、ステップS14としてリールスピンを開始する。図11の(A)は、シンボルを変動させた表示状態を示す概要図である。図11の(A)に示されるように、シンボル表示領域64においてシンボルが変動される。制御部22は、ステップS16として、フィーチャー提供中であるか否かを判定する。ここでフィーチャー提供中とは、特別ゲームを提供中であることを意味する。制御部22は、フィーチャー提供中でない場合、ステップS18として、メモリ42に記憶されたフィーチャーカウンターをデクリメントする。フィーチャーカウンターは初期値として予め定められた数値が設定されている。制御部22は、ステップS20として、フィーチャーカウンターが0であるか否かを判定する。制御部22は、フィーチャーカウンターが0であると判定した場合、ステップS22としてフィーチャー機能(特別ゲーム)を開始する。制御部22は、ステップS24として、事前に決定されているコイン(オブジェクトOBの一例)をシンボル表示領域64のシンボルアレイ上に移動させる。図11の(B)は、シンボル変動中にオブジェクトOBを移動させた表示状態を示す概要図である。図11の(B)に示されるように、オブジェクト表示領域65に表示されていたコインから事前に決定されているコインが選択され、シンボル表示領域64に移動される。図11の(B)の例では、ランク「MINI」を表示しセル六個分のサイズを有するコインがシンボル表示領域64に移動される。コインの決定手法については、後述するステップS42~S50において説明する。
【0082】
続いて、制御部22は、ステップS26としてリールのスピンを停止する。これにより、シンボル表示領域64において変動中のシンボルが停止される。制御部22は、ステップS28において、シンボル表示領域64に移動したコインと重なる位置に特別シンボル85が停止したか否かを判定する。図11の(C)は、シンボルが停止したときの表示状態を示す概要図である。図11の(C)に示されるように、コイン(オブジェクトOB)と重なる位置に特別シンボル85が停止している場合、制御部22は、ステップS30としてボーナス(特典の一例)を支払う。例えば、制御部22は、保持しているクレジットにボーナス分のクレジット額を加算する。制御部22は、コイン上に特別シンボル85が停止していない場合にはステップS30をスキップする。
【0083】
続いて、制御部22は、ステップS32として、通常入賞があるか否かを判定する。通常入賞とは、通常ゲームにおける当選であり、例えばシンボル組み合わせが入賞組み合わせを含む場合である。通常入賞がある場合、制御部22は、ステップS34として通常入賞に係る特典を支払う。例えば、制御部22は、保持しているクレジットに通常入賞分のクレジット額を加算する。制御部22は、通常入賞がない場合にはステップS34をスキップする。
【0084】
続いて、制御部22は、ステップS36として、シンボル表示領域64において表示されているコインの位置を一段下げる。これにより、コインの位置は、セル一個分だけ下方にスライドされる。制御部22は、ステップS38として、コインの位置がシンボル表示領域64のシンボルアレイから外れたか否かを判定する。コインの位置がシンボルアレイから外れた場合、制御部22は、ステップS40としてフィーチャー機能(特別ゲーム)を終了する。フィーチャー機能の終了後、制御部22は、ステップS42として次回のフィーチャー機能において移動させるコインのサイズを決定し、ステップS44として次回に移動させるコインのランクであるプライズ額を決定する。例えば、制御部22は、コインのサイズをセル四個分として決定し、プライズ額を「300」と決定する。制御部22は、ステップS46として、次回に移動させるコインを決定する。次回とは、次に提供される特別ゲーム時である。制御部22は、オブジェクト表示領域65に表示済のオブジェクトOBを次回に移動させるコインとして決定してもよいし、これからオブジェクト表示領域65に表示するオブジェクトOBを次回に移動させるコインとして決定してもよい。続いて、制御部22は、ステップS48として、フィーチャーカウンターを乱数に基づく値にセットする。これにより、コインの成長回数が決定される。続いて、制御部22は、ステップS50として、次回に移動させるコインの成長シナリオを決定する。成長シナリオとは、コインの外観変化のスケジュールである。例えば、制御部22は、フィーチャーカウンターの値と、乱数と、現在のコインのサイズおよびプライズ額とに基づいて、最終的にコインのサイズがセル四個分、プライズ額が「300」となるように、所定のコインのサイズおよびプライズ額を次に提供するフィーチャー機能(特別ゲーム)までに成長させる成長シナリオを決定する。このような成長シナリオには、新たにコインを出現させるものがあってもよい。ステップS50が終了すると、制御部22は、図9、10のフローチャートを終了する。図9、10のフローチャートが終了すると、制御部22は、図9、10のフローチャートを最初から実行する。
【0085】
ステップS38において、コインの位置がシンボルアレイから外れていない場合、制御部22は、図9、10のフローチャートを終了する。図9、10のフローチャートが終了すると、制御部22は、図9、10のフローチャートを最初から実行する。この場合、制御部22は、ステップS16において、フィーチャー提供中であると判定する。そして、処理はステップS26に移行する。ステップS26~ステップS50までの処理は上述した通りである。
【0086】
ステップS20においてフィーチャーカウンターが0でない場合、制御部22は、フィーチャー機能を提供せずに、ステップS52としてリールのスピンを停止する。制御部22は、ステップS54として、通常入賞があるか否かを判定する。通常入賞がある場合、制御部22は、ステップS56として通常入賞に係る特典を支払う。例えば、制御部22は、保持しているクレジットに通常入賞分のクレジット額を加算する。制御部22は、通常入賞がない場合にはステップS56をスキップする。続いて、制御部22は、ステップS58として、次回に移動させるコインのサイズおよびプライズ額を成長シナリオに基づいて変更し、図9、10のフローチャートを終了する。
【0087】
以上、本実施形態に係るゲーミングマシン10の特別ゲームにおいては、複数の特典のいずれかと関連付けられた特定入賞領域69がシンボル表示領域64に設定される。そして、特別シンボル85が特定入賞領域69内に停止したことに応じて特定入賞領域69と関連付けられた特典が付与される。このように、ゲーミングマシン10は、特定入賞領域69内に特別シンボル85が表示されるか否かという新たな入賞ロジックを提供することができる。
【0088】
また、ゲーミングマシン10は、オブジェクトOBをシンボルアレイ上に移動させて特定入賞領域69を設定し、その過程をプレイヤーに視認させた上で特別ゲームを提供することができる。このように特定入賞領域69を設定することで新たな入賞ロジックを理解容易な形でプレイヤーに提示することができる。さらに、特別ゲーム中にオブジェクトOBを規則的に移動させ、所定位置に達すると特別ゲームを終了させる構成としているので、ゲーム性を高めるととともに特別ゲームの終了をプレイヤーに理解しやすい態様で示すことができる。
【0089】
さらにまた、ゲーミングマシン10は、オブジェクトOBにより設定された特定入賞領域69を使用した特別ゲームを提供することができる。ゲーミングマシン10はオブジェクト表示領域65に表示された複数のオブジェクトOBから選択したオブジェクトOBを特別ゲームで使用するので、多様な特別ゲームをプレイヤーに提供することができる。また、オブジェクトOBを通常ゲーム中のプレイヤーに視認させることができるので、プレイヤーは特別ゲームで獲得し得る特典および当選確率を予め認識することができる。
【0090】
さらにまた、ゲーミングマシン10はオブジェクト表示領域65に表示されているオブジェクトOBを特別ゲームに使用することで、通常ゲーム中でも特別ゲームの特典額および当選確率をプレイヤーに予見させることができ、これによりプレイヤーにゲームを継続してプレイし続ける動機付けを与えることができる。通常ゲーム中にオブジェクトOBを変化させた場合、オブジェクトOBを変化させる態様によってプレイヤーがゲームに抱く期待感を一層高めてより強い動機付けを与えることも可能である。
【0091】
ゲーミングマシンは、クライアントコンピューティングデバイスであってもよく、この場合、ゲームは、ネットワークサーバコンピュータシステムから、通信ネットワークを経由して、1つまたは複数のクライアントコンピューティングデバイスに配信される。クライアントコンピューティングデバイスのプロセッサは、ゲーミングマシン10の制御部22として機能するようにプログラムすることができる。
【0092】
ゲーミングマシンをクライアントコンピューティングデバイスとする場合には、1)ゲーム実行に伴う大部分の処理をクライアント側で行いサーバに結果を送信するリッチクライアント方式としてもよいし、2)最低限の処理のみをクライアント側で行い、サーバ側で主要な処理を行うシンクライアント方式とすることもでき、3)データの記憶や処理の大部分をサーバ側で行い、クライアントは入出力に特化するゼロクライアント方式とすることも可能である。この場合には、実施例に示したソフトウェア構成をクライアントとサーバとに分散して実装することになる。
【0093】
上述した実施形態では、グリッド68のセルの列ごとに仮想リールストリップ72~80が対応付けられている場合を示したが、セルのそれぞれに独立したリールを対応付けることも可能である。
【0094】
上述したゲーミングマシン10の制御部22の機能は、コンピュータによりプログラムが実行されることでも実現され得る。すなわち、1又は複数のコンピュータを、上述した制御部22と同様に機能させるプログラムが作成可能である。プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて、提供され得る。そのようなプログラムは複数のモジュールに分割されていてもよい。
【0095】
また、各実施形態における動作についても種々変形が可能であり、例えば予め必要な数の乱数を取得してリール停止位置を決定し、特別ゲーム当選および入賞有無の判定を済ませてから、それらの内容をディスプレイ上に順次表示する態様であっても構わない。さらに、例えば、制御部22は、ゲーム開始時に、必要な数の乱数を一括で取得し、それぞれの乱数を電源異常時にも消去されないメモリ42またはストレージ44の記憶領域に記憶してもよい。このようにした場合、ゲーム中に電源異常などが発生しても、制御部22は、電源復旧後にゲームを再開する際に、電源異常発生前のゲーム開始時に取得された乱数をメモリ42またはストレージ44から取得することで、ゲームの進行を再現することができる。例えば、高い配当が得られるゲーム結果が形成される直前に電源異常が発生した場合において、電源復旧後に同様のゲームの進行がなされなければ問題となり得る。しかし、上述のようにゲーム開始時に全ての乱数を一括で取得し、これらの乱数をメモリ42またはストレージ44に退避させておくことで、電源復旧後に電源異常発生前と同様のゲームの進行を再現することができるため、このような問題を回避することができる。
【0096】
また、上記実施形態では、遊技価値として紙幣またはチケットを示し、これらを紙幣/チケット識別装置で受け付けて、プリンタユニットでチケットを出力する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。遊技価値は、硬貨、紙幣、コイン、メダル、チケットなどの有体物、又はこれらと同等の価値を有する電子データを含む概念である。例えば、コインアクセプターでコインを受け付けて、コインホッパーからコインを支払う態様であっても構わない。プレイヤーを識別してサーバ上のアカウントに蓄積されたクレジットを使用し、アカウントへクレジットを払い出す態様であってもよく、磁気カード、ICカード等の記憶媒体に記録されたクレジットの情報を読み取って使用し、記憶媒体へ書き込むことでクレジットを払い出す態様であってもよい。さらに、スマートフォンやウエアラブルデバイスとの間で電子的にクレジットを移動させる態様としてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…ゲーミングマシン、22…制御部、42…メモリ(記憶部の一例)、44…ストレージ(記憶部の一例)、64…シンボル表示領域、65…オブジェクト表示領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンボル表示領域を有する表示部、制御部および記憶部を備えるゲーミングマシンであって、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、
複数のシンボルを前記シンボル表示領域に表示するシンボル表示機能と、
複数の特典のいずれかと関連付けられ、ランダムに決定された大きさを有する特定入賞領域を前記シンボル表示領域に設定する特定入賞領域設定機能と、
前記複数のシンボルに含まれる特別シンボルが前記特定入賞領域内に表示されたことに応じて、前記特定入賞領域と関連付けられた特典を付与する特典付与機能と
を実現してゲームを提供するように構成されるゲーミングマシン。
【請求項2】
前記表示部は、前記シンボル表示領域に並設されたオブジェクト表示領域をさらに有し、
前記特定入賞領域設定機能は、前記オブジェクト表示領域に表示された、それぞれ特定の特典と関連付けられている複数のオブジェクトから少なくとも一つを選択し、選択されたオブジェクトを前記シンボル表示領域に移動させ、前記特定入賞領域として設定する請求項1に記載のゲーミングマシン。
【請求項3】
前記シンボル表示領域は、シンボルを表示可能なセルを複数含み、
前記特定入賞領域は、単独または複数の前記セルを包含する請求項2に記載のゲーミングマシン。
【請求項4】
前記シンボル表示機能は、表示しているシンボルを変動および停止させることにより、前記シンボル表示領域にゲーム結果を表示し、
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボルの変動が停止されたことに応じて、前記オブジェクト表示領域に表示されている複数のオブジェクトに関連付けられている特典をランダムに増大または昇格させる請求項3に記載のゲーミングマシン。
【請求項5】
前記シンボル表示機能は、表示しているシンボルを変動および停止させることにより、前記シンボル表示領域にゲーム結果を表示し、
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボルの変動が停止されたことに応じて、前記オブジェクト表示領域に表示されている複数のオブジェクトの包含するセルの数をランダムに増加させる請求項3または4に記載のゲーミングマシン。
【請求項6】
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボルの変動中に前記選択されたオブジェクトの表示位置を前記シンボル表示領域上に移動させ、前記シンボル表示領域において前記選択されたオブジェクトが重畳した領域を前記特定入賞領域と設定する請求項2~5のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項7】
前記特定入賞領域設定機能は、前記シンボル表示機能が表示しているシンボルを変動および停止させた際に所定の条件が満たされたことに応じて、前記特定入賞領域を設定して特別ゲームの提供を開始する請求項1~6のいずれか一項に記載のゲーミングマシン。
【請求項8】
前記特定入賞領域設定機能は、前記特別ゲーム中に前記シンボルの変動が停止される度に前記特定入賞領域を所定方向へ移動させ、前記特定入賞領域が前記シンボル表示領域から外れたことに応じて、前記特別ゲームの提供を終了する請求項7に記載のゲーミングマシン。
【請求項9】
シンボル表示領域を有する表示部、制御部および記憶部を備えるゲーミングマシンにおけるゲーム制御方法であって、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、
複数のシンボルを前記シンボル表示領域に表示するシンボル表示ステップと、
複数の特典のいずれかと関連付けられ、ランダムに決定された大きさを有する特定入賞領域を前記シンボル表示領域に設定する特定入賞領域設定ステップと、
前記複数のシンボルに含まれる特別シンボルが前記特定入賞領域内に表示されたことに応じて、前記特定入賞領域と関連付けられた特典を付与する特典付与ステップと
を実現することを含むゲーム制御方法。
【請求項10】
シンボル表示領域を有する表示部、制御部および記憶部を備えるゲーミングマシンの前記記憶部に記憶され、前記制御部で実行することにより、
複数のシンボルを前記シンボル表示領域に表示するシンボル表示機能と、
複数の特典のいずれかと関連付けられ、ランダムに決定された大きさを有する特定入賞領域を前記シンボル表示領域に設定する特定入賞領域設定機能と、
前記複数のシンボルに含まれる特別シンボルが前記特定入賞領域内に表示されたことに応じて、前記特定入賞領域と関連付けられた特典を付与する特典付与機能と
を実現してゲームを提供するように構成されるゲーム提供プログラム。