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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133383
(43)【公開日】2024-10-01
(54)【発明の名称】サセプタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240920BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/205
C23C16/458
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117988
(22)【出願日】2024-07-23
(62)【分割の表示】P 2020550416の分割
【原出願日】2019-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018188952
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222842
【氏名又は名称】東洋炭素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池尻 貴宏
(57)【要約】
【課題】ウエハから作製される半導体チップの歩留まりを向上させることができる、チッピング(欠け)が発生し難い、寿命が長いサセプタを提供する。
【解決手段】ウエハ(10)を載置するポケット(2)を備えたサセプタであって、ポケット(2)のうちの少なくとも一つは、ウエハ(10)を支持する複数の支持部(3)、ウエハ(10)の側面(10a)と接触する複数の接触部(4)、およびウエハ(10)の側面(10a)と接触しない複数の非接触部(5)を備えている。接触部(4)および非接触部(5)は、ポケット(2)の内周壁に交互に形成され、支持部(3)のうちの少なくとも二つは、サセプタを上方から見たときにポケット(2)の中心(O)と非接触部(5)とを結ぶ線上に形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを載置するポケットを備えたサセプタであって、
上記ポケットのうちの少なくとも一つは、ウエハを支持する複数の支持部、ウエハの側面と接触する複数の接触部、およびウエハの側面と接触しない複数の非接触部を備え、
上記接触部および非接触部は、ポケットの内周壁に交互に形成され、
上記支持部のうちの少なくとも二つは、サセプタを上方から見たときにポケットの中心と非接触部とを結ぶ線上に形成されている、サセプタ。
【請求項2】
一つの接触部の周方向の長さが2mm以上である、請求項1に記載のサセプタ。
【請求項3】
ポケットの円周における、上記複数の接触部の周方向の長さの合計の割合が1.5~50%である、請求項1または2に記載のサセプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造に用いられるサセプタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、良好なLEDを製造するには、半導体チップとなるウエハの表面に積層される薄膜結晶層のエピタキシャル成長を均一に行わせることが重要である。このため、半導体の製造に用いられるサセプタは、エピタキシャル成長を行わせて均一な膜厚の薄膜結晶層を製膜するために、ウエハに対して伝導熱および輻射熱を加えて均一に加熱する必要がある。ところが、サセプタのポケットに載置されたウエハには、ポケットと接触している部分から伝導熱が加わるため、ポケットに接触している外周部分と接触していない中央部分との間でウエハの温度が不均一になり易い。具体的には、ウエハの外周から内側に向かって3mm程度の領域は、温度差が生じ易いため、半導体チップの歩留まりが悪い。
【0003】
それゆえ、特許文献1に記載のウエハキャリア(サセプタ)等、ポケットの形状に関する種々の提案が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-138224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載のウエハキャリアは、ポケットに載置されたウエハを支持する支持部分と、ウエハの側面と接触している接触部分とが隣接して形成されているため、ウエハに対して伝導熱が局所的に加わり易いことが分かった。このため、ポケットに接触している外周部分と接触していない中央部分との間でウエハに温度差が生じ、半導体チップの歩留まりが悪くなるという課題があることが分かった。
【0006】
また、半導体の製造時にサセプタは回転する。このため、サセプタとウエハとの接触部分を小さくし過ぎると、各種処理時にサセプタを回転させたときに、ポケットに載置されたウエハとの接触部分(衝突部分)に遠心力による応力が集中する。それゆえ、特許文献1に記載のウエハキャリア(サセプタ)では、当該接触部分においてサセプタやウエハにチッピング(欠け)が生じるおそれがあるという課題も存在することが分かった。
【0007】
本発明の一態様は、ウエハから作製される半導体チップの歩留まりを向上させることができるサセプタを提供することを目的とする。また、本発明の一態様は、チッピング(欠け)が発生し難い、寿命が長いサセプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、下記<1>~<3>で示される発明を包含している。
<1> ウエハを載置するポケットを備えたサセプタであって、上記ポケットのうちの少なくとも一つは、ウエハを支持する複数の支持部、ウエハの側面と接触する複数の接触部、およびウエハの側面と接触しない複数の非接触部を備え、上記接触部および非接触部は、ポケットの内周壁に交互に形成され、上記支持部のうちの少なくとも二つは、サセプタを上方から見たときにポケットの中心と非接触部とを結ぶ線上に形成されている、サセプタ。
<2> 一つの接触部の周方向の長さが2mm以上である、<1>に記載のサセプタ。
<3> ポケットの円周における、上記複数の接触部の周方向の長さの合計の割合が1.5~50%である、<1>または<2>に記載のサセプタ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、サセプタには、ポケットの内周壁に交互に接触部および非接触部が形成され、サセプタを上方から見たときにポケットの中心と非接触部とを結ぶ線上に支持部のうちの少なくとも二つが形成されている。従って、ウエハは、ポケットに接触している外周部分と接触していない中央部分との間で温度差が生じ難いので、品質が向上する。それゆえ、ウエハから作製される半導体チップの歩留まりを向上させることができるサセプタを提供することができるという効果を奏する。また、複数の接触部および複数の非接触部が、ポケットの内周壁に交互に形成されているので、ポケットに載置されたウエハとの接触部分(衝突部分)への遠心力による応力集中が低減する。それゆえ、サセプタやウエハにチッピング(欠け)が発生し難い、寿命が長いサセプタを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るサセプタの一例を示す、(a),(b)共に概略の平面図である。
図2】上記サセプタに形成されたポケットの内の一つ(実施例1、比較例1,2)を示す図であり、(a)は上記ポケットの概略の平面図であり、(b)は(a)のA-A線矢視断面図である。
図3】上記ポケット(実施例1)の要部を示す図であり、(a)~(c)は支持部の概略の平面図であり、(d)~(f)は接触部の概略の断面図である。
図4】本発明の他の実施形態であって、上記ポケットの変形例および実施例2を示す図であり、(a)は上記ポケットの概略の平面図であり、(b)は(a)のA-A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各実施形態や各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。尚、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、以下に説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係るサセプタは、ウエハを載置するポケットを備えたサセプタであって、上記ポケットのうちの少なくとも一つは、ウエハを支持する複数の支持部、ウエハの側面と接触する複数の接触部、およびウエハの側面と接触しない複数の非接触部を備え、上記接触部および非接触部は、ポケットの内周壁に交互に形成され、上記支持部のうちの少なくとも二つは、サセプタを上方から見たときにポケットの中心と非接触部とを結ぶ線上に形成されている。
【0014】
図1に示すように、円盤状のサセプタ(「台座」、「基板支持体」、「ウエハキャリア」等とも称される)1は、半導体の製造に用いられる例えばMOCVD装置等の製造装置に取り付けられる部材であり、高純度の等方性黒鉛や炭化ケイ素焼結体等の炭素系材料から形成されている。具体的には、例えば、高純度の等方性黒鉛の表面にSiCがコーティングされたサセプタが好適である。サセプタ1の直径は、半導体の製造装置に応じて適宜設定されるため、特に限定されない。
【0015】
サセプタ1は、半導体製造工程においてサファイアウエハ、窒化ガリウムウエハ、シリコンウエハ等の半導体ウエハ(以下、単にウエハと記す)を載置し、加熱すると共に水平方向に回転して、当該ウエハの表面に薄膜結晶層をエピタキシャル成長させて積層するために使用される。また、サセプタ1は、ウエハの表面に酸化物層や窒化物層を形成する表面改質、ウエハの表面に付着した汚染物を除去する表面清浄、或いはアニーリングを行うときにも使用される。
【0016】
サセプタ1の上面には少なくとも一つ、または複数のポケット(「凹部」、「ザグリ」等とも称される)2が形成されており、当該ポケット2にウエハを載置して各種処理を行う。サセプタ1の下方には、当該サセプタ1を加熱するヒータや高周波誘導コイル等の加熱装置(図示しない)が設置されている。サセプタ1は、載置する全てのウエハに対して均等に加熱を行うことができるように、ポケット2の個数および配置、並びに加熱装置の配置が設計されている。尚、ポケット2の個数および配置は、サセプタ1およびウエハの大きさに応じて、最も多くのポケット2が形成されるように決定すればよく、特に限定されない。従って、図1に示されているサセプタ1に形成されているポケット2の個数、配置、および大きさ(サイズ)は、一例に過ぎない。
【0017】
ポケット2の直径(φ)は、接触部4が形成されている部分の内周壁の直径を指す(非接触部5が形成されている部分の内周壁の直径ではない)。尚、ポケット2の直径を100としたとき、当該ポケット2に載置される最も小さいウエハ10の直径は、通常、98以上、100未満である。ウエハ10の直径が98未満であると、サセプタ1の回転開始時や回転終了時等に、サセプタ1やウエハ10に、衝突によるチッピング(欠け)が発生し易くなる場合がある。また、本明細書において単に「内周壁」と記載した場合には、接触部4が形成されている部分の内周壁を指す。
【0018】
複数のポケット2は、サセプタ1を上方から見たときに略円形状であり、図1の(a)に示すように、互いに独立して形成されていてもよく、図1の(b)に示すように、互いに連通するように形成されていてもよい。ポケット2は、ウエハを載置した状態でのガスの流れや温度分布を考慮して、ポケット2ごとにその深さを深くしたり浅くしたりすることによって形成されている。
【0019】
ポケット2が互いに独立して形成されている場合を例に挙げてさらに説明する。実施例1として図2に示すように、ポケット2のうちの少なくとも一つは、ウエハ10を支持する複数の支持部3、ウエハ10の側面10aと接触する複数の接触部4、およびウエハ10の側面10aと接触しない複数の非接触部5を備えている。上記接触部4および非接触部5は、ポケット2の内周壁に交互に形成され、上記支持部3のうちの少なくとも二つは、サセプタ1を上方から見たときにポケット2の中心Oと非接触部5とを結ぶ線上に形成されている。尚、支持部3、接触部4、および非接触部5の個数および配置は、サセプタ1におけるポケット2の形成位置、加熱装置の位置等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。従って、図2に示されている、支持部3、接触部4、および非接触部5が各6個で等間隔に配置されているポケット2(実施例1)は、一例に過ぎない。
【0020】
支持部(「タブ」とも称される)3は、一つのサセプタ1に複数形成され、ポケット2に載置されたウエハ10を、当該ウエハ10の下面と接して、支持するようになっている。支持部3の個数は、載置したウエハ10を安定に支持することができるように、少なくとも三つあればよく、特に限定されない。ポケット2の底面2aからの支持部3の高さは、ウエハ10の反りを考慮して、底面2aからの輻射熱がウエハ10に適度に加わる程度の高さであればよく、例えば0.02~1.5mmの範囲内、好ましくは0.02~0.5mmの範囲内とすればよい。但し、ポケット2の底面2aからの支持部3の高さは、ウエハ10と底部2aとが接触しない高さであればよく、特に限定されない。支持部3におけるウエハ10との接触面積は、ウエハ10が支持部3に安定に支持されると共に、支持部3からも伝導熱があるため、当該支持部3からの伝導熱ができる限り少なくなる面積であればよく、特に限定されない。
【0021】
支持部3の形状(ポケット2を上方から見たときの形状)は、図3の(a)~(c)に示すように、山型等の種々の形状があるものの、特に限定されない。また、図3の(a)~(c)では、支持部3は、底面2aから突出し、非接触部5に接触して形成されているものの、非接触部5に接触しないで、ポケット2における、非接触部5の形成位置に隣接した位置に形成されていてもよい。即ち、支持部3のうちの少なくとも二つ、特に好ましくは複数の支持部3の全ては、サセプタ1を上方から見たときにポケット2の中心Oと非接触部5とを結ぶ線上に形成されていればよく、非接触部5に接触している必要は無い。また、支持部3は、サセプタ1を上方から見たときに、非接触部5の中心部分に位置していなくてもよい。
【0022】
接触部4は、ポケット2の内周壁を構成し、少なくともサセプタ1の回転時にウエハ10の側面10aと接触し、好ましくは、ウエハ10の側面10aと面接触する。つまり、ポケット2においては、接触部4と、ポケット2に載置したウエハ10の側面10aとが接触し、好ましくは面接触するようになっている。ここで、「面接触する」とは、実質的に面接触している状態を包含する。具体的には、ポケット2の直径(接触部4が形成されている部分の内周壁の直径)を基準として、ウエハ10と接触している接触部4上の任意の点とポケット2に載置されるウエハ10の側面10aとの最短距離が、0(接触部4がウエハ10の側面10aに物理的に接触している状態)から、上記直径の2%以下までの距離、好ましくは1%以下までの距離に接近している状態を指す。従って、接触部4全体にわたって当該接触部4がウエハ10の側面10aに物理的に接触している必要は無い。
【0023】
一つの接触部4の周方向の長さ(ポケット2を上方から見たときの周方向の長さ)は、ウエハ10の接触部分への遠心力による応力集中を低減するために、2mm以上であることが好ましい。接触部4の個数および個々の接触部4の周方向の長さは、ウエハ10の温度を均一にすることができるように設定すればよく、特に限定されない。また、ポケット2の円周(接触部4が形成されている箇所の円の円周)における、上記複数の接触部4の周方向の長さの合計の割合は、1.5~50%であることが好ましい。
【0024】
ポケット2における、接触部4が形成されている部分の内周壁の断面形状は、図3の(d)に示すように、底面2aから上に向かって垂直となっていてもよく、図3の(e)に示すように、底面2aから上に向かって拡がるような傾斜が設けられていてもよく、図3の(f)に示すように、底面2aから上に向かって狭まるような傾斜が設けられていてもよい。尚、上記傾斜の角度は、底面2aから上に向かって垂直に内周壁が形成されている場合を0°として、-10°~10°程度が好適である。
【0025】
非接触部5は、ポケット2の内周壁における、支持部3の形成位置に隣接した位置に形成されている。従って、支持部3が形成されているところに接触部4は形成されていない。このため、ポケット2においては、支持部3と接触部4とが隣接して形成されていないので、ウエハ10に対して伝導熱が局所的に加わらないようになっている。
【0026】
非接触部5は、当該非接触部5からのウエハ10に対する伝導熱の影響が無いように、ウエハ10から離間している。つまり、非接触部5は、接触部4よりも、ポケット2の中心Oから離れた位置に形成されていればよい。
【0027】
非接触部5は、接触部4の分割等を行うために、必要に応じて、支持部3の形成位置に隣接しない位置(支持部3が形成されていないところ)に形成されていてもよい。また、図1の(b)に示すように、複数のポケット2が互いに連通している場合には、連通部分aも非接触部に相当し、当該連通部分aには、支持部3が形成されていなくてもよい。
【0028】
また、ポケット2には、本実施の形態に係る配置で支持部3、接触部4および非接触部5が形成されている箇所が複数存在していればよい。即ち、本実施の形態に係るポケット2には、従来の配置で支持部、接触部および非接触部が形成されている箇所が存在していてもよい。さらに、サセプタ1に複数のポケット2が設けられている場合において、当該サセプタ1には、本実施の形態に係るポケット2が少なくとも一つ形成されていればよい。即ち、本実施の形態に係るポケット2が少なくとも一つ形成されているサセプタ1には、従来の個数および配置で支持部、接触部および非接触部が形成されたポケットがさらに形成されていてもよい。従って、ウエハ10を載置するポケット2を複数備え、これらポケット2の内の少なくとも一つが、上述した構成の支持部3、接触部4、および非接触部5を備えるサセプタも、本発明の実施形態に包含される。
【0029】
本発明の一実施形態に係るサセプタは、半導体の製造に用いられる。半導体の製造装置は、排気口を有するチャンバ、チャンバ内に収容されるサセプタ、チャンバ内に原料ガスを供給する原料ガス供給装置、チャンバ内にキャリアガスを供給するキャリアガス供給装置、サセプタを回転させる回転装置、およびチャンバ内を加熱するチャンバ加熱装置を少なくとも備えている。半導体の製造装置は、サセプタを回転させながら、当該サセプタに載置したウエハの表面に薄膜結晶層を製膜して積層し、半導体を製造する。つまり、半導体は、サセプタを回転させ、当該サセプタに載置したウエハを加熱し、表面に薄膜結晶層を製膜して積層する方法によって製造される。
【0030】
上記製造装置によって各種処理が施されたウエハは、チップ化、パッケージ(モジュール)化されて半導体デバイスとされ、例えばLED等の各種製品とされる。
【0031】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。尚、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0032】
実施形態1において説明した支持部3、接触部4および非接触部5は、ポケット2内に等間隔に(例えばポケット2を上方から見たときに線対称または点対称となるように)形成されている必要はなく、サセプタ1における当該ポケット2の形成位置、加熱装置の位置等に応じて、ウエハ10に対して伝導熱を均一に加えることができるように、その個数、配置、および大きさ(長さ)が適宜設定される。従って、サセプタ1に複数のポケット2が設けられている場合において、個々のポケット2の支持部3、接触部4および非接触部5の個数、配置、および大きさ(長さ)は、互いに異なっていてもよい。
【0033】
具体的には、実施形態1における説明を行うのに用いた、支持部3、接触部4、および非接触部5が各6個(偶数)で等間隔に配置されているポケット2(図2の実施例1)は、一例に過ぎない。本発明の他の実施形態であって、上記ポケット2の変形例(パターン)としては、図4に示すように、例えば、支持部3、接触部4、および非接触部5が各5個(奇数)で配置されているポケット2(変形例1)、支持部3、接触部4、および非接触部5が各6個で、等間隔でない間隔で配置されているポケット2(変形例2)等、種々の例が挙げられる。
【実施例0034】
次に、本発明に係るサセプタに関して、実施例および比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は係る実施例のみに制限されるものではない。
【0035】
〔実施例1〕
サセプタに、独立して形成されたポケットである、実施例1として図2の(a),(b)に示すポケット2を作製した。即ち、高純度の等方性黒鉛の表面にSiCがコーティングされたサセプタであって、ポケット2の直径(φ)は50mmであり、ポケット2に六つの支持部3を備え、当該支持部3の形成位置に隣接するポケット2の内周壁に、非接触部5が六つ形成され、当該非接触部5間に、一つの長さ(ポケットを上方から見たときの周方向の長さ)が13mmの接触部4が六つ形成された、円周における接触部4の周方向の長さの合計の割合が約50%のサセプタを作製した。そして、図2の(b)に示すように、ポケット2にウエハ10を載置した上記サセプタを用いて半導体を製造した。
【0036】
〔実施例2〕
実施例2として図4の(a),(b)に示すように、ポケット2の直径(φ)を200mmとし、各接触部4の長さを2mmとした以外は、実施例1と同様にして、円周における接触部4の周方向の長さの合計の割合が約1.9%のサセプタを作製し、半導体を製造した。
【0037】
〔比較例1〕
サセプタに、独立して形成されたポケットである、比較例1として図2の(a)に示すポケット2’を作製した。即ち、高純度の等方性黒鉛の表面にSiCがコーティングされたサセプタであって、ポケット2’に六つの支持部3’を備え、当該支持部3’の形成位置に隣接するポケット2’の内周壁に、一つの長さ(ポケットを上方から見たときの周方向の長さ)が1mmの接触部4’が六つ形成され、当該接触部4’間に非接触部5’が六つ形成されたサセプタを作製した。そして、図2の(b)に示すように、ポケット2’にウエハ10を載置した上記サセプタを用いて半導体を製造した。
【0038】
〔比較例2〕
サセプタに、独立して形成されたポケットである、比較例2として図2の(a)に示すポケット2''を作製した。即ち、高純度の等方性黒鉛の表面にSiCがコーティングされたサセプタであって、ポケット2''に六つの支持部3''を備え、ポケット2''の内周壁全周にわたって接触部4''が形成されたサセプタを作製した。そして、図2の(b)に示すように、ポケット2''にウエハ10を載置した上記サセプタを用いて半導体を製造した。
【0039】
(結果)
比較例1のサセプタと比較して、実施例1のサセプタの寿命は二倍となった。また、ウエハから作製される半導体チップの歩留まりが10%向上した。
【0040】
比較例2のサセプタと比較して、実施例1のサセプタの寿命は同程度であったものの、ウエハから作製される半導体チップの歩留まりが20%向上した。
【0041】
比較例1のサセプタと比較して、実施例2のサセプタの寿命は二倍となった。また、ウエハから作製される半導体チップの歩留まりが15%向上した。
【0042】
比較例2のサセプタと比較して、実施例2のサセプタの寿命は同程度であったものの、ウエハから作製される半導体チップの歩留まりが25%向上した。
【0043】
比較例1のサセプタは、一つの接触部4’の長さが1mmと短く、また、支持部3’が形成されているところに接触部4’も形成されているので、ウエハ10に対して伝導熱が局所的に加わり易い。このため、ポケット2’に接触している外周部分と接触していない中央部分との間でウエハ10に温度差が生じ、半導体チップの歩留まりが悪くなった。また、一つの接触部4’の長さが1mmと短いため、各種処理時にサセプタを回転させたときに当該接触部4’に遠心力による応力が集中し、サセプタやウエハ10にチッピングが生じ易くなった。
【0044】
比較例2のサセプタは、ポケット2''の内周壁全周にわたって接触部4''が形成されているので、ウエハ10の全周にわたって伝導熱が多く加わるだけでなく、支持部3''の近傍では当該支持部3''からの伝導熱も加わり、ポケット2''に接触している外周部分と接触していない中央部分との間でウエハ10に大きな温度差が生じ、半導体チップの歩留まりが悪くなった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るサセプタは、半導体の製造に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 サセプタ
2 ポケット
3 支持部
4 接触部
5 非接触部
10 ウエハ
図1
図2
図3
図4