(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013342
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】制御装置、頭部装着型表示装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240125BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20240125BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240125BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240125BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/00 510A
G09G5/38 A
G09G5/00 550B
G09G5/00 550H
G09G5/00 555G
G06F3/01 510
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115363
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸一
【テーマコード(参考)】
2H199
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA25
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2H199CA47
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2H199CA96
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(57)【要約】
【課題】使用者の負担を軽減した制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置300は、使用者Uの視線と、使用者Uの頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、画像表示部20が表示する複数の画像のうち、使用者Uが視認する画像を判定する判定部355と、画像表示部20が表示する複数の画像のうち、使用者Uが視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する設定部356と、第1画像と第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように第2画像の表示位置を変更する表示制御部354と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置を制御する制御装置であって、
前記使用者の視線の方向を検出する第1検出部と、
前記使用者の頭部の向きを検出する第2検出部と、
前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する判定部と、
前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記判定部により前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、
前記判定部により前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する設定部と、
前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する表示制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記使用者が視認する画像であると前記判定部が判定した単位時間当たりの判定回数を、前記複数の画像の各々で計数し、前記単位時間当たりの判定回数が予め設定された設定回数以上であって、前記単位時間当たりの判定回数が最も多い画像を前記第1画像に設定し、
前記単位時間当たりの判定回数が予め設定された設定回数以上であって、前記第1画像に設定した画像以外の画像を前記第2画像に設定する、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、前記設定距離よりも大きい場合に、前記第1画像との表示距離が前記設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する、請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1画像の表示位置に対する第2画像の表示位置の優先度を設定した設定情報を記憶する記憶部を備え、
前記表示制御部は、前記第1画像の表示位置と、前記設定情報とに基づいて、前記第2画像の表示位置を変更する、請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
外景を撮像する撮像部と、
前記撮像部が生成した撮像画像から前記使用者が視認する対象物を検出する第3検出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像とが、前記対象物の上下又は左右の両側に表示される場合に、前記第1画像と同一の側に表示されるように前記第2画像の表示位置を変更する、請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記第3検出部が検出した前記対象物に対応づけられた画像を表示する、請求項5記載の制御装置。
【請求項7】
前記対象物までの距離を検出する第4検出部を備え、
前記表示部は、前記第4検出部が検出した距離に対応する位置に前記複数の画像を表示する、請求項5記載の制御装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記使用者が頭部を回転させながら視線の方向を変更して画像を視認したか否かを判定し、
前記設定部は、前記使用者が視認した回数を前記複数の画像の各々で計数した計数値を登録した計数テーブルを生成し、
前記使用者が頭部を回転させながら視線の方向を変更して画像を視認した場合に、前記計数テーブルの前記視認した画像に対応する計数値に加算する値を、前記使用者が頭部を回転させずに視線の方向を変更して画像を視認した場合に、前記計数テーブルの前記視認した画像に対応する計数値に加算する値よりも多くする、請求項1記載の制御装置。
【請求項9】
使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置の制御方法であって、
前記使用者の視線の方向を検出する第1ステップと、
前記使用者の頭部の向きを検出する第2ステップと、
前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する第3ステップと、
前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記第3ステップにより前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、
前記第3ステップにより前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する第4ステップと、
前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する第5ステップと、
を含む、頭部装着型表示装置の制御方法。
【請求項10】
使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置を制御する制御装置に搭載されたコンピューターに実行させるプログラムであって、
前記コンピューターに、
前記使用者の視線の方向を検出する第1手順と、
前記使用者の頭部の向きを検出する第2手順と、
前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する第3手順と、
前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記第3手順により前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、
前記第3手順により前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する第4手順と、
前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する第5手順と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、頭部装着型表示装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者Uの頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置において、使用者Uの頭部の動きにより表示部が表示する画像を変更する技術が知られている。
特許文献1は、外景を視認可能な頭部装着型の表示装置であって、画像表示部の表示を制御する表示制御部を備える。表示制御部は、使用者Uの頭部の動きが、第1方向への動きであって予め定めた第1閾値を超えたときには第1態様で、第2方向への動きであって予め定めた第2閾値を超えたときには第2態様で、画像表示部の表示を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示の態様を切り替えるために頭部を動かす必要があり、表示部が表示する画像を使用状況に応じた表示に変更することができる技術が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置を制御する制御装置であって、前記使用者の視線の方向を検出する第1検出部と、前記使用者の頭部の向きを検出する第2検出部と、前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する判定部と、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記判定部により前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、前記判定部により前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する設定部と、前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する表示制御部と、を備える、制御装置である。
【0006】
本開示は、使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置の制御方法であって、前記使用者の視線の方向を検出する第1ステップと、前記使用者の頭部の向きを検出する第2ステップと、前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する第3ステップと、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記第3ステップにより前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、前記第3ステップにより前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する第4ステップと、前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する第5ステップと、を含む、頭部装着型表示装置の制御方法である。
【0007】
本開示は、使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置を制御する制御装置に搭載されたコンピューターに実行させるプログラムであって、前記コンピューターに、前記使用者の視線の方向を検出する第1手順と、前記使用者の頭部の向きを検出する第2手順と、前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する第3手順と、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記第3手順により前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、前記第3手順により前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する第4手順と、前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する第5手順と、を実行させる、プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】画像表示部の光学系の構成を示す要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.表示システムの構成
図1は、表示システム1の概略構成を示す図である。
表示システム1は、頭部装着型表示装置に相当するHMD100と、制御装置300とを備える。HMD100は、使用者Uの頭部に装着される画像表示部20を備え、使用者Uに画像や映像を視認させる頭部装着型表示装置である。HMDは、Head Mounted Displayを略して表記したものである。画像表示部20は表示部に相当する。
【0010】
図1に示すX軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する3軸方向であり、Z軸方向が鉛直方向に対応し、X軸方向が使用者Uの頭部の左右方向に対応し、Y軸方向が使用者Uの頭部の前後方向に対応する。
【0011】
HMD100は、画像表示部20に接続された接続装置10を有する。接続装置10は、HMD100を、HMD100とは異なる装置に接続するインターフェイスとして機能する。表示システム1では、接続装置10に制御装置300が接続される。
以下の説明及び図面においては、説明の便宜のため、HMD100を構成するいくつかの機能部の名称に接頭辞DPを付し、制御装置300を構成するいくつかの機能部の名称に接頭辞COを付す。
【0012】
制御装置300は、文字や画像を表示する表示画面、及び、タッチ操作や押圧操作を検出する操作部として機能するタッチパネル323を備え、携帯可能なサイズの端末装置であり、例えばスマートフォンを用いることができる。制御装置300は、デスクトップ型パーソナルコンピューター、ノート型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター等であってもよい。
【0013】
接続装置10は、箱形のケースに、コネクター11A及びコネクター11Dを備える。コネクター11Aには接続ケーブル40を介して画像表示部20が接続され、コネクター11DにはUSBケーブル46を介して制御装置300が接続される。これにより、画像表示部20と制御装置300は相互にデータを送受信可能に接続される。例えば、制御装置300は、画像表示部20が画像を表示するための画像データや、音声データを画像表示部20に出力する。例えば、画像表示部20は、後述するように画像表示部20が備える各種センサーのセンサーデータを制御装置300に送信する。制御装置300は、画像表示部20に対して電力を供給可能であってもよい。USBは、Universal Serial Busを略して表記したものである。
【0014】
USBケーブル46を用いて接続装置10と制御装置300とを接続する構成は一例にすぎず、接続装置10と制御装置300との具体的な接続形態は制限されない。例えば、他の種類のケーブルを用いて有線接続してもよいし、無線通信を介して接続してもよい。例えば、USBケーブル46がUSB-TypeC規格のコネクター11Dに接続される構成では、USBケーブル46により20ボルトの直流電流の供給が可能であり、USB-TypeCの代替モードの機能としてHDMI規格の画像データ等を伝送できる。HDMIは登録商標である。
【0015】
画像表示部20は、右保持部21と、左保持部23と、前部フレーム27とを有する本体に、右表示部22、左表示部24、右導光板26及び左導光板28を備える。
【0016】
右保持部21及び左保持部23は、前部フレーム27の両端部から後方に延び、使用者Uの頭部に画像表示部20を保持する。右保持部21は、前部フレーム27において使用者Uの右側に位置する端部ERに連結され、左保持部23は使用者Uの左側に位置する端部ELに連結される。
【0017】
右導光板26及び左導光板28は、前部フレーム27に設けられる。右導光板26は、画像表示部20の装着状態において使用者Uの右眼の眼前に位置し、右眼に画像を視認させる。左導光板28は、画像表示部20の装着状態において使用者Uの左眼の眼前に位置し、左眼に画像を視認させる。右導光板26及び左導光板28は、光透過性の樹脂等によって形成される光学部であり、右表示部22及び左表示部24が出力する画像光を、使用者Uの眼に導く。右導光板26及び左導光板28は、例えばプリズムである。
【0018】
前部フレーム27は、右導光板26の一端と左導光板28の一端とを互いに連結した形状を有し、この連結位置は、使用者Uが画像表示部20を装着する装着状態で、使用者Uの眉間に対応する。前部フレーム27は、画像表示部20の装着状態で使用者Uの鼻に当接する鼻当て部を備えてもよく、右保持部21及び左保持部23にベルトを連結して、ベルトによって画像表示部20を使用者Uの頭部に保持する構成であってもよい。
【0019】
右表示部22及び左表示部24は、それぞれ、光学ユニット及び周辺回路をユニット化したモジュールである。右表示部22は、右導光板26により画像を表示させ、左表示部24は左導光板28により画像を表示させる。右表示部22は右保持部21に設けられ、左表示部24は左保持部23に設けられる。
【0020】
使用者Uの右眼には、右導光板26により導かれた画像光と、右導光板26を透過した外光とが入射する。同様に、左眼には、左導光板28により導かれた画像光と、左導光板28を透過した外光とが入射する。使用者Uの眼には、右導光板26及び左導光板28からの画像光と、右導光板26及び左導光板28を透過する外光とが入射する。これにより、使用者Uは画像表示部20が表示する画像と、右導光板26及び左導光板28を透過する外景とを重ねて視認する。
【0021】
前部フレーム27には、DP照度センサー65が配置される。DP照度センサー65は、画像表示部20を装着する使用者Uの前方からの外光を受光するセンサーである。DP照度センサー65によって、右導光板26及び左導光板28を透過して使用者Uの眼に入射する外光の照度や光量を検出できる。
【0022】
DP外側カメラ61は、前部フレーム27において、右導光板26及び左導光板28を透過する外光を遮らない位置に設けられる。DP外側カメラ61は、CCDやCMOS等の撮像素子及び撮像レンズ等を備えるデジタルカメラであり、単眼カメラであってもよいし、ステレオカメラであってもよい。DP外側カメラ61の画角は、画像表示部20を装着した使用者Uが右導光板26及び左導光板28を透過して視認する外景の範囲の少なくとも一部を含む。DP外側カメラ61は広角カメラであってもよく、画像表示部20を装着した使用者Uが視認する外景の全体を撮像可能なものであってもよい。CCDは、Charge Coupled Deviceの略であり、CMOSは、Complementary Metal Oxide Semiconductorの略である。
前部フレーム27には、DP外側カメラ61の動作中に点灯するLEDインジケーター67が配置される。
【0023】
前部フレーム27には、予め設定された測定方向に位置する測定対象物までの距離を検出する距離センサー64が設けられる。距離センサー64は、例えば、LEDやレーザーダイオード等を用いた光反射式距離センサー、赤外線式深度センサー、超音波式の距離センサー、或いは、レーザーレンジスキャナーである。距離センサー64は、画像検出と音声検出とを組み合わせた距離検出ユニットや、カメラによるステレオ撮像で得られる画像を処理して距離を検出する装置であってもよい。距離センサー64の測定方向は、例えば、右導光板26及び左導光板28を透過して使用者Uが視認する外景の方向である。
【0024】
右表示部22及び左表示部24は、それぞれ、接続ケーブル40により接続装置10に接続される。接続ケーブル40は、オーディオコネクター36を備える。オーディオコネクター36には、ステレオヘッドホンを構成する右イヤホン32及び左イヤホン34と、マイク62とを有するヘッドセット30が接続される。右イヤホン32及び左イヤホン34は、接続装置10が出力する音声信号に基づき音声を出力する。マイク62は、音声を集音して音声信号を接続装置10に出力する。
【0025】
2.画像表示部の光学系の構成
図2は、画像表示部20の光学系の構成を示す要部平面図である。
図2には説明のため使用者Uの左眼LE及び右眼REを図示する。
右表示部22と左表示部24とは、例えば、左右対称に構成される。
右眼REに画像を視認させる構成として、右表示部22は、画像光を発するOLEDユニット221、及び、OLEDユニット221が発する画像光Lを右導光板26に導く右光学系251を備える。OLEDはOrganic Light Emitting Diodeの略である。
【0026】
OLEDユニット221は、OLEDパネル223と、OLEDパネル223を駆動するOLED駆動回路225とを有する。OLEDパネル223は、例えばR、G、Bの色光をそれぞれ発する発光素子を配置した自発光型の表示パネルである。OLED駆動回路225は、DP制御部120の制御に従ってOLEDパネル223を駆動する。OLED駆動回路225は、例えばOLEDパネル223の裏面に固定される不図示の基板に実装され、この基板に、
図3に示す温度センサー217が実装される。
【0027】
右光学系251は、OLEDパネル223から射出された画像光Lをコリメートレンズによって並行状態の光束にし、右導光板26に入射させる。右導光板26の内部において画像光Lは複数の反射面で反射し、右眼REの眼前に位置するハーフミラー261で反射して、右眼REに向けて右導光板26から射出される。
【0028】
左眼LEに画像を視認させる構成として、右表示部22は、画像光を発するOLEDユニット241、及び、OLEDユニット241が発する画像光Lを左導光板28に導く左光学系252を備える。
【0029】
OLEDユニット241は、OLEDパネル243と、OLEDパネル243を駆動するOLED駆動回路245とを有する。OLEDパネル243は、例えばR、G、Bの色光をそれぞれ発する発光素子を配置した自発光型の表示パネルである。OLED駆動回路245は、DP制御部120の制御に従ってOLEDパネル243を駆動する。OLED駆動回路245は、例えばOLEDパネル243の裏面に固定される不図示の基板に実装され、この基板には
図3に示す温度センサー239が実装される。
【0030】
左光学系252は、OLEDパネル243から射出された画像光Lをコリメートレンズによって並行状態の光束にし、左導光板28に入射させる。左導光板28の内部において画像光Lは複数の反射面で反射し、左眼LEの眼前に位置するハーフミラー261で反射して、左眼LEに向けて左導光板28から射出される。
【0031】
HMD100は、透過型の表示装置として機能する。すなわち、使用者Uの右眼REには、ハーフミラー261で反射した画像光Lと右導光板26を透過した外光OLとが入射する。左眼LEには、ハーフミラー281で反射した画像光Lと、ハーフミラー281を透過した外光OLとが入射する。HMD100は、内部で処理した画像の画像光Lと外光OLとを重ねて使用者Uの眼に入射させる。このため、使用者Uには、右導光板26及び左導光板28を透かして外景が見え、この外景に重ねて、画像光Lによる画像が視認される。ハーフミラー261、281は、右表示部22及び左表示部24がそれぞれ出力する画像光を反射して画像を取り出す画像取り出し部であり、表示部を構成する。
【0032】
3.HMDの制御系
図3は、表示システム1のブロック図であり、特に、HMD100の構成を詳細に示す。
画像表示部20において、右表示部22は、右表示部基板210を有する。右表示部基板210には、接続ケーブル40に接続される右I/F部211、右I/F部211を介して接続装置10から入力されるデータを受信する受信部213、及び、EEPROM215が実装される。右I/F部211は、受信部213、EEPROM215、温度センサー217、DP外側カメラ61、距離センサー64、DP照度センサー65、及びLEDインジケーター67を、接続装置10に接続する。受信部213は、OLEDユニット221を接続装置10に接続する。
【0033】
左表示部24は、左表示部基板230を有する。左表示部基板230には、接続ケーブル40に接続される左I/F部231、及び、左I/F部231を介して接続装置10から入力されるデータを受信する受信部233が実装される。左表示部基板230には、DP6軸センサー235及びDP地磁気センサー237が実装される。
左I/F部231は、受信部233、DP6軸センサー235、DP地磁気センサー237及び温度センサー239を、接続装置10に接続する。受信部233は、OLEDユニット241を接続装置10に接続する。また、左I/F部231は、右I/F部211と同等の機能させることも可能であり、つまり、左I/F部231は、受信部213、EEPROM215、温度センサー217、DP外側カメラ61、距離センサー64、DP照度センサー65及びLEDインジケーター67を、接続装置10に接続する。この場合、右I/F部211は、受信部233、DP6軸センサー235、DP地磁気センサー237及び温度センサー239を、接続装置10に接続する。この他にも、左I/F部231は、右I/F部211が接続装置10に接続しているセンサー及び構成を、右I/F部211の代わりに接続装置10に接続することも可能である。
【0034】
EEPROMはElectrically Erasable Programmable Read-Only Memoryの略記である。また、受信部213及び受信部233の各々を、Rx213、Rx233と記載する場合がある。
【0035】
EEPROM215は、各種のデータを不揮発的に記憶する。EEPROM215は、例えば、画像表示部20が備えるOLEDユニット221、241の発光特性や表示特性に関するデータ、右表示部22又は左表示部24が備えるセンサーの特性に関するデータなどを記憶する。具体的には、OLEDユニット221、241のガンマ補正に係るパラメーター、温度センサー217、239の検出値を補償するデータ等をDP制御部120により読取り可能に記憶する。
【0036】
DP外側カメラ61は、右I/F部211を介して入力される信号に従って撮像を実行し、撮像画像を、右I/F部211に出力する。DP照度センサー65は、外光を受光し、受光量又は受光強度に対応した検出値を出力する。LEDインジケーター67は、右I/F部211を介して入力される制御信号又は駆動電流に従って点灯する。
温度センサー217は、OLEDユニット221の温度を検出し、検出温度に対応する電圧値あるいは抵抗値を、検出値として出力する。
【0037】
距離センサー64は、距離を検出した検出結果を示す信号を、右I/F部211を介して接続装置10に出力する。
【0038】
受信部213は、右I/F部211を介して接続装置10から伝送される表示用の画像データを受信し、OLEDユニット221に出力する。OLEDユニット221は、接続装置10が伝送する画像データに基づく映像を表示する。
受信部233は、左I/F部231を介して接続装置10から伝送される表示用の画像データを受信し、OLEDユニット241に出力する。OLEDユニット221、241は、接続装置10が伝送する画像データに基づく画像を表示する。
【0039】
DP6軸センサー235は、3軸加速度センサー、及び、3軸ジャイロセンサーを備えるモーションセンサーである。DP地磁気センサー237は、例えば、3軸の地磁気センサーである。DP6軸センサー235及びDP地磁気センサー237は、上記の各センサーがモジュール化されたIMUであってもよく、DP6軸センサー235及びDP地磁気センサー237を一体化したモジュールであってもよい。IMUは、Inertial Measurement Unitの略記である。温度センサー239は、OLEDユニット241の温度を検出する。DP6軸センサー235、DP地磁気センサー237、及び温度センサー239は、それぞれ、検出値を接続装置10に出力する。
【0040】
画像表示部20の各部は、接続ケーブル40により接続装置10から供給される電力により動作する。画像表示部20は、右表示部22に電源部229を備え、左表示部24に電源部249を備える。電源部229は、接続装置10が接続ケーブル40を介して供給する電力を、右表示部基板210を含む右表示部22の各部に分配し、供給する。電源部249は、接続装置10が接続ケーブル40を介して供給する電力を、左表示部基板230を含む左表示部24の各部に分配し、供給する。電源部229、249は、電圧を変換する変換回路等を備えてもよい。電源部229、249は、電源制御部126と共に電力供給部に相当する。
【0041】
接続装置10は、I/F部110、DP制御部120、センサー制御部122、表示制御部124、電源制御部126、不揮発性記憶部130、操作部140、接続部145及び音声処理部147を備える。
【0042】
I/F部110は、コネクター11D、及び各種通信規格に準拠した通信プロトコルを実行するインターフェイス回路を備える。I/F部110は、例えば、コネクター11D及びインターフェイス回路を実装したインターフェイス基板である。I/F部110は、外部の記憶装置や記憶媒体を接続可能なメモリーカード用インターフェイス等を備えてもよいし、I/F部110を無線通信インターフェイスで構成してもよい。
【0043】
DP制御部120は、制御部に相当する。DP制御部120は、CPUやマイコン等のプロセッサーを備え、このプロセッサーがプログラムを実行することにより、接続装置10の各部を制御する。DP制御部120は、プロセッサーのワークエリアを構成するRAMを備えてもよい。RAMは、Random Access Memoryを省略した表記である。CPUは、Central Processing Unitを省略した表記である。
【0044】
DP制御部120には、不揮発性記憶部130、操作部140、接続部145、及び音声処理部147が接続される。不揮発性記憶部130は、DP制御部120が実行するプログラムやデータを不揮発的に記憶するROMである。ROMは、Read Only Memoryの略記である。不揮発性記憶部130は、デバイスドライバーを記憶する。
【0045】
DP制御部120は、予め設定された設定時間ごとにHMD100が備えるデバイスの異常を検出する異常検出処理を実行する。異常検出処理の対象となるデバイスには、例えば、DP照度センサー65、温度センサー217、239、距離センサー64、DP6軸センサー235、DP地磁気センサー239等のセンサーや、DP外側カメラ61、音声処理部147等が含まれる。
【0046】
DP制御部120は、デバイスを駆動するドライバーにアクセス可能であるか否か、及び、ドライバーの状態を示す値が書き込まれるレジスターに、異常を示す値が書き込まれているか否かを判定して異常検出処理を実行する。
また、DP制御部120は、異常検出処理の対象となるデバイスがセンサーである場合、センサーから入力されるセンサー値が異常値を示しているか否かを判定してデバイスの異常を検出する。
【0047】
DP制御部120は、異常が検出された場合、異常が検出されたデバイスのドライバーを再起動させる。例えば、DP制御部120は、OLEDユニット221、241を駆動するディスプレイドライバーの異常が検出された場合、ディスプレイドライバーを再起動させる。
また、DP制御部120は、DP照度センサー65、距離センサー64、DP6軸センサー235、DP地磁気センサー239等のセンサーの異常が検出された場合、異常を検出したセンサーを駆動するデバイスドライバーを、まず、再起動させる。その後、DP制御部120は、ディスプレイドライバーを再起動させる。
ディスプレイドライバーの再起動に要する時間は、例えば、2秒である。また、デバイスドライバーを再起動させた後に、ディスプレイドライバーを再起動させた場合、再起動に要する時間は、例えば、4秒である。4秒は第1時間に相当し、2秒は第2時間に相当する。
【0048】
センサー制御部122は、画像表示部20が備えるセンサー群を動作させる。センサー群には、DP外側カメラ61、距離センサー64、DP照度センサー65、温度センサー217、DP6軸センサー235、DP地磁気センサー237及び温度センサー239が含まれる。センサー制御部122は、DP制御部120の制御に従って各センサーのサンプリング周期の設定及び初期化を行い、各センサーのサンプリング周期に合わせて、各センサーへの通電、制御データの送信、検出値の取得等を実行する。
【0049】
センサー制御部122は、各センサーの検出値や検出結果を示すセンサーデータを、予め設定されたタイミングで、I/F部110に出力する。センサー制御部122は、アナログ信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバーターを備えてもよい。この場合、センサー制御部122は、画像表示部20のセンサーから取得した検出値や検出結果のアナログ信号をセンサーデータに変換して出力する。センサー制御部122は、画像表示部20のセンサーから検出値や検出結果のデジタルデータを取得し、データフォーマットの変換や出力タイミングの調整等を行って、センサーデータをI/F部110に出力してもよい。
【0050】
センサー制御部122の動作により、I/F部110に接続された制御装置300は、HMD100の各センサーの検出値や、DP外側カメラ61の撮像画像を取得できる。
【0051】
センサー制御部122は、上述した各センサーの検出値をもとに演算処理した結果を、センサーデータとして出力してもよい。例えば、センサー制御部122は、複数のセンサーの検出値や検出結果を統合的に処理し、いわゆるセンサーフュージョン処理部として機能してもよい。この場合、センサー制御部122は、センサーフュージョンによって、画像表示部20の各センサーに含まれない仮想のセンサーのセンサーデータを生成してもよい。例えば、センサー制御部122は、画像表示部20が移動した軌跡を示す軌跡データ、画像表示部20の3次元空間における位置を示す座標データ、画像表示部20の方向を示す方向データを、センサーデータとして出力してもよい。ここで、座標データは、接続装置10の位置を基準とする相対座標を示すデータであってもよいし、画像表示部20が存在する空間に設定された基準位置に対する位置を示すデータであってもよい。方向データは、接続装置10の位置や方向を基準とする方向を示すデータであってもよいし、画像表示部20が存在する空間に設定された基準位置に対する方向を示すデータであってもよい。
センサー制御部122は、コネクター11DにUSBケーブル46により接続された装置との間で通信プロトコルを実行し、センサーデータを出力する。
【0052】
表示制御部124は、I/F部110に入力される再生信号に含まれる画像データ、或いは表示データに基づき、画像表示部20に画像を表示させるための各種処理を実行する。本実施形態では、USB-TypeCコネクターで構成されるコネクター11Dを通じて、USB-TypeCの代替モードで画像データが伝送される。表示制御部124は、例えば、フレームの切り出し、解像度変換、スケーリング、中間フレーム生成、フレームレート変換等の各種処理を実行する。表示制御部124は、OLEDユニット221、241に対応する画像データを接続部145に出力する。接続部145に入力された画像データは、コネクター11Aから、画像データ201として右I/F部211及び左I/F部231に伝送される。表示制御部124は、I/F部110に入力される表示制御データに従って、画像表示部20の表示状態を調整し、また、変更する。
【0053】
センサー制御部122と表示制御部124との少なくとも一方は、プロセッサーがプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。すなわち、センサー制御部122及び表示制御部124は、プロセッサーにより構成され、プログラムを実行することで上記の動作を実行する。この例で、センサー制御部122及び表示制御部124は、DP制御部120を構成するプロセッサーがプログラムを実行することで実現されてもよい。言い換えれば、プロセッサーがプログラムを実行することで、DP制御部120、表示制御部124、及びセンサー制御部122として機能してもよい。ここで、プロセッサーは、コンピューターと言い換えることができる。センサー制御部122及び表示制御部124は、データ処理を行うためのワークメモリーを具備してもよく、DP制御部120のメモリーを利用して処理を行ってもよい。
【0054】
表示制御部124、及び、センサー制御部122は、DSPやFPGA等、プログラムされたハードウェアにより構成されてもよい。センサー制御部122及び表示制御部124を統合して、SoC-FPGAとして構成してもよい。DSPは、Digital Signal Processorを略して表記したものである。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayを略して表記したものである。SoCはSystem-on-a-Chipを略して表記したものである。
【0055】
電源制御部126は、コネクター11Dに接続され、コネクター11Dから供給される電力に基づき接続装置10の各部及び画像表示部20に電源を供給する回路である。
電源制御部126は、電源部229、249と共に電力供給部に相当する。
【0056】
操作部140は、接続装置10が備えるスイッチ等の操作を検出し、操作内容を示すデータをDP制御部120に出力する。
【0057】
音声処理部147は、DP制御部120から入力される音声データに従って、音声信号を生成する。この音声データには、制御装置300から入力される再生信号に含まれる音声データも含まれる。また、音声処理部147は、アンプを備え、生成した音声信号を増幅して接続部145に出力する。この音声信号は接続部145からオーディオコネクター36を介して右イヤホン32及び左イヤホン34に出力される。音声処理部147は、マイク62が集音した音声の音声データを生成し、DP制御部120に出力する。音声処理部147が出力する音声データは、画像表示部20が備えるセンサーのセンサーデータと同様に、センサー制御部122により処理されてもよい。
【0058】
4.制御装置の構成
図4は、制御装置300のブロック図である。
制御装置300は、GNSS311、COカメラ312、CO6軸センサー313、CO磁気センサー314、CO照度センサー315、音声出力部316、CO表示部321、バッテリー325、通信部327、I/F部329及びCO制御部330を備える。
【0059】
CO制御部330には、GNSS311、COカメラ312、CO6軸センサー313、CO磁気センサー314、CO照度センサー315、音声出力部316、CO表示部321、バッテリー325、通信部327及びI/F部329が接続される。
【0060】
GNSS311は、衛星測位システムを利用して測位を行い、制御装置300の位置をCO制御部330に出力する。GNSSは、Global Navigation Satellite Systemを省略した表記である。
【0061】
COカメラ312は、制御装置300の本体に設けられるデジタルカメラであり、例えば、タッチパネル323に隣接して配置され、タッチパネル323に対向する方向を撮像する。COカメラ312は、CO制御部330の制御に従って撮像を実行し、撮像画像をCO制御部330に出力する。
【0062】
CO6軸センサー313は、3軸加速度センサー及び3軸ジャイロセンサーを備えるモーションセンサーであり、検出値を示すセンサーデータをCO制御部330に出力する。CO磁気センサー314は、例えば、3軸の地磁気センサーであり、検出値を示すセンサーデータをCO制御部330に出力する。CO6軸センサー313及びCO磁気センサー314は、上記の各センサーがモジュール化されたIMUであってもよく、CO6軸センサー313及びCO磁気センサー314を一体化したモジュールであってもよい。
CO照度センサー315は、外光を受光し、受光量又は受光強度に対応する検出値を示すセンサーデータをCO制御部330に出力する。
【0063】
音声出力部316は、スピーカーを備え、CO制御部330の制御に従ってスピーカーから音声を出力する。音声出力部316は、CO制御部330が出力する音声信号を増幅してスピーカーに出力するアンプを備えてもよい。CO制御部330がデジタル音声データを出力する構成である場合、音声出力部316は、デジタル音声データをアナログ音声信号に変換するD/Aコンバーターを備えてもよい。
【0064】
CO表示部321は、タッチパネル323を有し、CO制御部330の制御に従ってタッチパネル323に文字や画像を表示させる。
【0065】
バッテリー325は、制御装置300の本体に内蔵される二次電池であり、制御装置300の各部に電力を供給すると共に、接続されたHMD100に電力を供給する。
CO制御部330は、I/F部329にHMD100が接続されると、HMD100とのネゴシエーションを行い、HMD100に供給する電力を決定する。ネゴシエーションとは、例えば、電力ロールの設定、授受する電力量の設定などを行う処理である。電力ロールとは、電力を供給する供給源として機能する電力ソース、又は電力ソースから電力を受電する電力シンクである。
CO制御部330は、ネゴシエーションにより決定した電力を、I/F部329を介してHMD100に供給させる。
バッテリー325及びCO制御部330は、第1供給部に相当する。
【0066】
通信部327は、BluetoothやWi-Fi等の無線通信プロトコルに対応し、表示システム1の外部の装置と無線通信を実行する。Bluetooth及びWi-Fiは登録商標である。通信部327は、LTEや第5世代移動体通信システム等の移動体通信ネットワークを利用して、モバイルデータ通信を実行する構成であってもよい。LTEは登録商標である。
【0067】
I/F部329は、データ通信ケーブルが接続される不図示のコネクター、及び、コネクターにより各種通信規格に準拠した通信プロトコルを実行するインターフェイス回路を備える。例えば、I/F部329は、USB規格に準拠したコネクター及びインターフェイス回路を備え、USBケーブル46を通じてデータを送受信し、また、HMD100に電力を供給する。
【0068】
CO制御部330は、メモリー340及びプロセッサー350を備えるコンピューター装置である。メモリー340は、RAM及びROMを備える。ROMは、Read Only Memoryを省略した表記である。RAMは、プロセッサー350のワークエリアを形成する。ROMは、プロセッサー350が実行するプログラムや、プロセッサー350により処理される各種データを不揮発的に記憶する。
【0069】
ROMは、プロセッサー350が実行する基本制御プログラムとしてのOS341、APP342、対象物画像343、参照画像80、視認回数テーブル344及び設定情報345を不揮発的に記憶する。OSは、Operating Systemを省略した表記である。APPは、Application Programを省略した表記である。APP342には、制御装置300が画像表示部20により表示させる画像を制御するAPPが含まれる。
【0070】
対象物画像343は、予め設定された対象物70の画像であり、外側カメラ61の撮像画像から対象物70を特定するときに使用される。
参照画像80は、画像表示部20により表示領域55に表示させる画像であり、画像表示部20を頭部に装着した使用者Uに視認させる画像である。表示領域55は、画像表示部20が画像を表示可能な領域である。
視認回数テーブル344は、画像表示部20によって表示された参照画像80を使用者Uが視認する視認回数を計数するテーブルである。視認回数テーブル344は、計数テーブルに相当する。
設定情報345には、制御装置300の動作設定の情報が含まれる。動作設定には、画像表示部20に表示させる参照画像80の表示位置に関する設定等が含まれる。
【0071】
プロセッサー350は、CPUやMPU等のプロセッサーを備える演算処理装置である。プロセッサー350は、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能である。また、プロセッサー350は、メモリー340の一部又は全部や、その他の回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、プロセッサー350は、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSPとの組合せにより構成してもよい。さらに、プロセッサー350の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。MPUは、Micro-Processing Unitを省略した表記である。DSPはDigital Signal Processorを省略した表記である。
【0072】
CO制御部330は、第1検出部351、第2検出部352、第3検出部353、表示制御部354、判定部355及び設定部356を機能的構成として備える。
これらの機能的構成は、プロセッサー350がOS341やAPP342等の制御プログラムを実行して演算を行うことで実現される機能である。
【0073】
第1検出部351は、使用者Uの視線の方向を検出する。
第1検出部351は、メモリー340から内側カメラ63の撮像画像を取得する。
第1検出部351は、取得した内側カメラ63の撮像画像を解析して使用者Uの視線方向を検出する。具体的には、第1検出部351は、内側カメラ63の撮像画像から右眼RE及び左眼LEの眼球表面における反射光や瞳孔の画像を検出して使用者Uの視線方向を特定する。また、第1検出部351は、右眼RE及び左眼LEのそれぞれの眼球運動を検出することで、使用者Uの視線方向の変化を求めてもよい。第1検出部351は、検出した視線方向を示す情報を判定部355に出力する。また、第1検出部351は、内側カメラ63の撮像画像から検出した右眼RE及び左眼LEの瞳孔の位置に基づいて視線の中心を設定してもよい。
【0074】
第2検出部352は、使用者Uの頭部の向きを検出する。
第2検出部352は、メモリー340からDP6軸センサー235及びDP地磁気センサー237のセンシング結果を示すセンサーデータを取得する。
第2検出部352は、取得したDP地磁気センサー237のセンサーデータに基づき、使用者Uの頭部が向く方向である方位角を検出する。また、第2検出部352は、DP6軸センサー235に含まれるジャイロセンサーのセンサーデータに基づき、頭部のY軸周りの回転角であるロール角や、X軸周りの回転角であるピッチ角を検出する。第2検出部352は、検出した方位角や、ピッチ角、ロール角の情報を判定部355に出力する。
【0075】
第3検出部353は、対象物70を検出する。
第3検出部353は、メモリー340から外側カメラ61の撮像画像を取得する。また、第3検出部353は、メモリー340から対象物画像343を取得する。
第3検出部353は、対象物画像343に含まれる特徴点と、撮像画像に含まれる特徴点とのパターンマッチングにより、撮像画像に対象物画像343が含まれるか否かを判定する。第3検出部353は、撮像画像から対象物70を検出すると、対象物70を検出したことを通知する検出通知を表示制御部354に出力する。
【0076】
表示制御部354には、第3検出部353から検出通知が入力される。表示制御部354は、検出通知が入力されると、距離センサー64のセンサーデータをメモリー340から取得する。表示制御部354は、取得したセンサーデータに基づき、HMD100から対象物70までの距離を算出する。距離センサー64は、第4検出部に相当する。例えば、表示制御部354は、距離センサー64が検出した距離センサー64から対象物70までの距離をそのままHMD100から対象物70までの距離として使用してもよい。また、表示制御部354は、距離センサー64が検出した距離センサー64から対象物70までの距離に、所定の値を加算又は減算してHMD100から対象物70までの距離を算出してもよい。
【0077】
次に、表示制御部354は、第3検出部353が検出した対象物70に対応づけられた参照画像80をメモリー340から取得し、取得した参照画像80を画像表示部20によって表示領域55に表示させる。
参照画像80は、使用者Uが対象物70に対して作業を行うときに、使用者Uが参照する画像である。参照画像80には、例えば、作業の手順や注意点等が記載された画像が含まれる。また、参照画像80には、例えば、使用者Uがタッチパネル323等の操作デバイスを操作して作業記録を記入可能なドキュメントファイル等の画像が含まれる。
【0078】
図5は、使用者Uが視認する視野範囲50を示す図である。
視野範囲50には、画像表示部20が参照画像80を表示可能な領域である表示領域55が含まれる。表示領域55は外景に重畳され、使用者Uは、画像表示部20が表示する参照画像80と外景とを同時に視認することが可能である。また、表示領域55は、3次元空間の領域である。
図5に示すX軸方向は表示領域55の水平方向に対応し、Y軸方向は表示領域55の前後方向に対応し、Z軸方向は表示領域55の鉛直方向に対応する。参照画像80の前後方向、つまりY軸方向における仮想的な表示位置は、右導光板26に表示する参照画像80と、左導光板28に表示する参照画像80との輻輳角を調整することによって変更が可能となる。
【0079】
使用者Uは、画像表示部20を頭部に装着して、作業を行う対象となる対象物70に近づく。表示制御部354は、予め設定された対象物70を検出すると、この対象物70に対応づけられた参照画像80、又は使用者Uがタッチパネル323を操作して選択した参照画像80をメモリー340から読み出す。表示制御部354は、読み出した参照画像80を画像表示部20により表示領域55に表示させる。使用者Uには、対象物70と、画像表示部20が表示する参照画像80とを同時に視認可能となる。
【0080】
表示制御部354は、距離センサー64のセンサーデータにより算出したHMD100から対象物70までの距離に基づき、参照画像80を表示するY軸方向の距離を調整する。つまり、表示制御部354は、Y軸方向において、HMD100から対象物70までの距離と、HMD100から参照画像80までの距離とが同一、又は略同一となるように参照画像80のY軸方向の表示位置を調整する。
【0081】
また、表示領域55において、参照画像80を表示するX軸及びZ軸方向の位置は任意であるが、対象物70の周囲に表示するのが好ましい。例えば、対象物70の周囲であって、上側、下側、左側及び右側の4方向に表示位置を設定し、さらに各表示位置に優先度を設定してもよい。優先度の設定は、設定情報345に含まれる情報である。表示制御部354は、参照画像80が選択されると、優先度の設定に従って参照画像80を表示する表示位置を決定する。例えば、表示制御部354は、最初に選択した参照画像80を優先度が第1位の表示位置に表示させ、次に選択された参照画像80を優先度が第2位の表示位置に表示させる。
【0082】
次に、判定部355は、使用者Uが視認する参照画像80を判定する。
判定部355には、第1検出部351が検出した使用者Uの視線方向を示す情報と、第2検出部352が検出した使用者Uの頭部の向きを示す情報とが入力される。
判定部355は、入力される使用者Uの視線方向と、使用者Uの頭部の向きとの少なくとも一方に基づいて、使用者Uが参照する参照画像80を判定する。
例えば、判定部355は、使用者Uの視線が、予め設定された設定時間以上、参照画像80に向いている場合に、使用者Uは参照画像80を視認していると判定する。
判定部355は、使用者Uが視認していると判定した参照画像80を識別する識別情報を設定部356に出力する。
【0083】
設定部356には、使用者Uが視認していると判定された参照画像80の識別情報が入力される。設定部356は、入力される識別情報に基づいて視認回数テーブル344を生成する。
視認回数テーブル344は、参照画像80の識別情報と、使用者Uの視認回数とを対応づけて登録したテーブルである。視認回数テーブル344に識別情報が登録される参照画像80は、表示制御部354の制御によって表示領域55に表示中の参照画像80である。設定部356は、判定部355から参照画像80の識別情報が入力されると、入力された識別情報に一致する参照画像80の視認回数を1加算する。
視認回数テーブル344の登録情報は、予め設定された単位時間ごとにリセットされる。この単位時間は、使用者Uの操作により変更が可能である。
【0084】
次に、設定部356は、視認回数テーブル344を参照して第1画像及び第2画像を設定する。
第1画像及び第2画像は、単位時間内での使用者Uの視認回数が、予め設定された設定回数以上の参照画像80である。また、第1画像は、単位時間内での視認回数が最多の参照画像80である。第2画像は、視認回数が予め設定された設定回数以上の参照画像80のうち、第1画像に設定された参照画像80を除く画像である。第1画像に設定される参照画像80は1つであり、第2画像に設定される参照画像80は1つ又は複数である。
【0085】
図5は、表示位置を変更前の参照画像80を示す図である。
図5には、対象物70の一例として空調装置を示す。また、使用者Uから見て対象物70の右側には参照画像80の例として参照画像80Aが表示され、使用者Uから見て対象物70の左側には参照画像80の例として参照画像80Bが表示されている。また、使用者Uの視認回数に基づき、参照画像80Aが第1画像に設定され、参照画像80Bが第2画像に設定されていると仮定する。また、
図5には、使用者Uが参照画像80Aを視認するときの使用者Uの視線方向L1と、使用者Uが参照画像80Bを視認するときの使用者Uの視線方向L2とを示す。
【0086】
判定部355は、検出された使用者Uの頭部の向きや、視線方向に基づいて、使用者Uが第1画像である参照画像80Aを視認しているか否かを判定する。
判定部355は、使用者Uが参照画像80Aを視認していると判定すると、第2画像である参照画像80Bの表示位置を変更するか否かを判定する。
判定部355は、第1画像である参照画像80Aと、第2画像である参照画像80Bとの表示位置が、予め設定された変更条件を満たす位置にあるか否かを判定する。
判定部355は、予め設定された変更条件を満たす場合に、第2画像である参照画像80Bの表示位置を、第1画像である参照画像80Aの表示位置に基づいて変更する。
【0087】
変更条件には、以下の条件が含まれる。
変更条件には、例えば、参照画像80Aと参照画像80Bとが対象物70を挟んで左右、又は上下の両側に表示される場合が含まれる。参照画像80Aと参照画像80Bとが対象物70を挟んで左右、又は上下の両側に表示される場合、使用者Uの視線の移動距離が大きくなる。このため、判定部355は、参照画像80Aと参照画像80Bとが対象物70を挟んで左右、又は上下の両側に表示される場合、第2画像である参照画像80Bの表示位置を変更する。
【0088】
また、変更条件には、表示領域55において、参照画像80Aと参照画像80Bとの表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも大きい場合が含まれる。表示距離は、表示領域50でのX軸方向及びZ軸方向の距離である。また、参照画像80Aと参照画像80Bとの表示距離は、例えば、参照画像80Aの中心と、参照画像80Bの中心との距離であってもよいし、参照画像80Aと参照画像80BとのX軸方向等の予め設定された方向での距離であってもよい。
【0089】
図6は、使用者Uの視野範囲50を示す図であり、表示位置を変更後の参照画像80Bを示す図である。
次に、第2画像である参照画像80Bの変更後の表示位置について説明する。
表示制御部354は、参照画像80Bの変更前よりも、変更後の参照画像80Bと参照画像80Aとの表示距離が近づくように、参照画像80Bの表示位置を変更する。より詳細には、使用者Uが参照画像80Aと参照画像80Bとを交互に視認する場合に、使用者Uの視線の移動距離が短くなるように参照画像80Bの表示位置を変更する。また、
図6には、使用者Uが参照画像80Aを視認するときの使用者Uの視線方向L3と、使用者Uが参照画像80Bを視認するときの使用者Uの視線方向L4とを示す。
図5と
図6とを比較すると明らかなように、参照画像80Bの表示位置を変更した後の視線の移動距離は、参照画像80Bの表示位置を変更する前の視線の移動距離よりも小さい。
【0090】
表示制御部354は、参照画像80Aと参照画像80Bとが対象物70を挟んで左右、又は上下の両側に表示される場合、参照画像80Bを、参照画像80Aと同じ側に表示させる。つまり、
図5に示すように、使用者Uから見て参照画像80Aが対象物70の右側に表示され、参照画像80Bが対象物70の左側に表示されている場合、第2画像である参照画像80Bを、対象物70の右側に表示させる。
また、使用者Uから見て参照画像80Aが対象物70の下側に表示され、参照画像80Bが対象物70の上側に表示されている場合、第2画像である参照画像80Bを、参照画像80Aと同じ対象物70の下側に表示させる。
【0091】
図7及び
図8は、使用者Uの視野範囲50を示す図である。特に、
図7は、表示位置を変更前の参照画像80Bを示す図であり、
図8は、示位置を変更後の参照画像80Bを示す図である。
図7は、使用者Uから見て、参照画像80Aと参照画像80Bとが対象物70の同じ側である右側に表示されている場合を示す。表示制御部354は、このような場合であっても、参照画像80Aと参照画像80Bとの距離が予め設定された距離よりも大きい場合、参照画像80Bの表示位置を、参照画像80Aの表示位置を基準として移動させる。
図8には、参照画像80Bを、参照画像80Aの直上に表示した例を示す。
【0092】
図9~
図11は、使用者Uの視野範囲50を示す図である。特に、
図9~
図11は、参照画像80の例として、参照画像80A~参照画像80Eの5つを表示領域55に表示した状態を示す図である。また、
図9は、表示位置を変更前の参照画像80A~参照画像80Eを示す図である。また、
図10~
図11は、表示位置を変更後の参照画像80A~参照画像80Eを示す図である。
図9に示すように、参照画像80A~参照画像80Eの5つの参照画像80が表示領域55に表示されていると仮定する。判定部355は、使用者Uの頭部の向きや視線方向に基づいて使用者Uが視認する参照画像80を判定し、設定部356は、視認回数テーブルを生成して、単位時間内に使用者Uが視認した視認回数を参照画像80ごとに算出する。設定部356は、算出した視認回数に基づき、第1画像と、第2画像とをそれぞれ設定する。
図9の表示状態において、参照画像80Aが第1画像に設定され、参照画像80Bが第2画像に設定されたと仮定する。また、
図9には、使用者Uが参照画像80Aを視認するときの使用者Uの視線方向L1と、使用者Uが参照画像80Bを視認するときの使用者Uの視線方向L2とを示す。
【0093】
図10は、第2画像に設定された参照画像80Bの変更後の表示位置を示す図である。
表示制御部354は、第2画像に設定された参照画像80Bの表示位置を変更する。表示制御部354は、対象物70を挟んで参照画像80Aとは反対側に表示された参照画像80Bを、参照画像80Aと同じ側に表示させる。表示制御部354は、第1画像及び第2画像に設定されていない参照画像80Cの表示位置に、第2画像である参照画像80Bを表示させる。このとき、表示制御部354は、第2画像に設定されていない参照画像80Cを、参照画像80Bを表示していた表示位置に表示させる。
図10には、使用者Uが参照画像80Aを視認するときの使用者Uの視線方向L3と、使用者Uが参照画像80Bを視認するときの使用者Uの視線方向L4とを示す。
図9と
図10とを比較すると明らかなように、参照画像80Bの表示位置を変更した後の視線の移動距離は、参照画像80Bの表示位置を変更する前の視線の移動距離よりも小さい。
【0094】
図11は、第2画像に設定された参照画像80Bの変更後の表示位置を示す図である。
図10に示す例では、第2画像に設定された参照画像80Bと、第2画像に設定されていない参照画像80Cとの表示位置を変更する例を示した。
図11に示す例では、表示領域55のうち、参照画像80が表示されていない表示位置に、第2画像に設定された参照画像80Bを移動させた例を示す。
表示制御部354は、第2画像に設定された参照画像80Bの表示位置を変更する場合に、他の参照画像80が表示されていない表示領域55の表示位置を選択し、選択した表示位置に参照画像80Bを表示させる。
図11に示す例では、使用者Uから見て第1画像である参照画像80Aの右側及び下側に他の参照画像80が表示されていないため、表示制御部354は、この参照画像80Aの右側及び下側のいずれかに参照画像80Bを表示させる。
【0095】
また、参照画像80を表示させる表示位置に優先度を設定してもよい。
表示位置の優先度は、設定情報345に含まれる情報であり、使用者Uによって事前に設定される。表示位置の優先度は、例えば、第1画像に設定された参照画像80の上側、下側、左側及び右側の4方向における優先度の設定である。例えば、表示位置の優先度として、使用者Uから見て参照画像80の下側の優先度が第1位に設定され、参照画像80の左側の優先度が第2位に設定されていると仮定する。また、表示位置の優先度として、参照画像80の右側が第3位に設定され、参照画像80の上側の優先度が第4位に設定されていると仮定する。
図9に示す例では、使用者Uから見て第1画像である参照画像80Aの下側と、右側とに参照画像80を表示していないスペースがある。表示制御部354は、参照画像80Aの下側と、参照画像80Aの右側とでは、参照画像80Aの下側が表示位置の優先度が高く設定されている。このため、表示制御部354は、第2画像に設定された参照画像80Bを、第1画像である参照画像80Aの下側に表示させる。
【0096】
また、複数の参照画像80が第2画像に設定された場合、複数の参照画像80の優先度にも優先度を設定してもよい。表示制御部354は、参照画像80の優先度と、表示位置の優先度とに基づいて、第2画像に設定された複数の参照画像80の表示位置を変更する。
参照画像80の優先度は、例えば、第2画像に設定した複数の参照画像80のうち、視認回数が最も多い参照画像80の優先度を最も高く設定してもよい。また、第2画像に設定した複数の参照画像80のうち、使用者Uが単位時間内の最後に視認した参照画像80の優先度を最も高く設定してもよい。
表示制御部354は、複数の参照画像80の表示位置を変更する場合、参照画像80の優先度と、表示位置の優先度とに基づき、優先度が高く設定された参照画像80を、表示位置の優先度が高く設定された表示位置に表示させる。
【0097】
図12は、複数の参照画像80が第2画像に設定された場合の複数の参照画像80の変更後の表示位置を示す図である。例えば、参照画像80Bと、参照画像80Eとが第2画像に設定されたと仮定する。また、第2画像に設定された参照画像80Bと、参照画像80Eとには、参照画像80の優先度が設定されており、参照画像80Bの優先度が、参照画像80Eの優先度よりも高く設定されている。さらに、表示位置の優先度も設定されており、第1画像に設定された参照画像80Aの上側の優先度が第1位に設定されていると仮定する。
この場合、表示制御部354は、第2画像に設定された参照画像80B及び80Eの表示位置を、表示位置の優先度が第1位である参照画像80Aの上側に変更する。このとき、表示制御部354は、参照画像80Bの参照画像80の優先度が、参照画像80Eの参照画像80の優先度よりも高いため、参照画像80Bを参照画像80EよりもY軸方向の前側に表示させる。また、表示制御部354は、参照画像80Eを参照画像80BよりもY軸方向の後ろ側に表示する。また、表示制御部354は、参照画像80Cを、参照画像80B又は参照画像80Eを表示していた表示位置に表示させる。
【0098】
5.制御装置の動作
図13は、制御装置300の動作を示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートを参照しながら制御装置300の動作を説明する。
まず、CO制御部330は、制御装置300が接続装置10に接続され、APP342の起動操作を受け付けると、この起動操作を受け付けたAPP342を起動させる(ステップS1)。次に、CO制御部330は、DP外側カメラ61が撮像した撮像画像をメモリー340から取得する(ステップS2)。
【0099】
CO制御部330は、取得した撮像画像を解析して対象物70を検出する(ステップS3)。CO制御部330は、対象物画像343に含まれる特徴点と、撮像画像に含まれる特徴点とのパターンマッチングにより、撮像画像に対象物画像343が含まれるか否かを判定して対象物70を検出する。CO制御部330は、撮像画像から対象物70を検出することができなかった場合(ステップS3/NO)、ステップS2に戻り、メモリー340から次の撮像画像を取得する。
【0100】
CO制御部330は、撮像画像から対象物70を検出した場合(ステップS3/YES)、検出した対象物70までの距離を検出する(ステップS4)。CO制御部330は、距離センサー64の測定結果を示すセンサーデータに基づいてHMD100から対象物70までの距離を検出する。また、CO制御部330は、DP外側カメラ61がステレオカメラである場合、このDP外側カメラ61の撮像画像に基づいて検出してもよい。
【0101】
次に、CO制御部330は、検出した対象物70までの距離に基づき、複数の参照画像80を画像表示部20により表示領域55に表示させる(ステップS5)。CO制御部330は、Y軸方向において、HMD100から対象物70までの距離と、HMD100から参照画像80までの距離とが同一、又は略同一となるように参照画像80のY軸方向の表示位置を調整する。
【0102】
次に、CO制御部330は、DP6軸センサー235のセンサーデータに基づいて、使用者Uの頭部の向きを検出し、DP内側カメラ63の撮像画像を解析して使用者Uの視線方向を検出する(ステップS6)。
【0103】
次に、CO制御部330は、検出した頭部の向き及び視線方向の少なくとも一方に基づき、使用者Uが参照画像80を視認しているか否かを判定する(ステップS7)。CO制御部330は、使用者Uが参照画像80を視認していないと判定すると(ステップS7/NO)、ステップS6の処理に戻る。
【0104】
また、CO制御部330は、使用者Uが参照画像80を視認していると判定すると(ステップS7/YES)、使用者Uの視認回数が設定回数以上の参照画像80が複数検出されたか否かを判定する(ステップS8)。
【0105】
CO制御部330は、視認回数が設定回数以上の参照画像80を複数検出していない場合(ステップS8/NO)、ステップS6の処理に戻る。また、CO制御部330は、視認回数が設定回数以上の参照画像80を複数検出した場合(ステップS8/YES)、これら複数の参照画像80の中から第1画像と、第2画像とを設定する(ステップS9)。
【0106】
CO制御部330は、視認回数が設定回数以上の参照画像80のうち、視認回数が最多の参照画像80を第1画像に設定する。また、CO制御部330は、第1画像に設定した参照画像80以外の参照画像80を、第2画像に設定する。CO制御部330は、複数の参照画像80を第2画像に設定した場合、第2画像に設定した各参照画像80の参照回数に基づき、各参照画像80に優先度を設定してもよい。
【0107】
次に、CO制御部330は、ステップS6と同様に、使用者Uの頭部の向きと、使用者Uの視線方向とを再度、検出する(ステップS10)。CO制御部330は、検出した使用者Uの頭部の向きと、視線方向との少なくとも一方に基づき、使用者Uが第1画像に設定した参照画像80を視認しているか否かを判定する(ステップS11)。
【0108】
CO制御部330は、使用者Uが第1画像に設定した参照画像80を視認していないと判定した場合(ステップS11/NO)、ステップS10の処理に戻る。
また、CO制御部330は、使用者Uが第1画像に設定した参照画像80を視認していると判定した場合(ステップS11/YES)、第2画像に設定した参照画像80の表示位置を変更する(ステップS12)。例えば、CO制御部330は、第1画像と第2画像とに設定した参照画像80の距離が、予め設定された設定距離よりも大きいや、第1画像と第2画像とに設定した参照画像80が、対象物70を挟んで上下又は左右の両側に表示されている場合に、第2画像の表示位置を変更する。例えば、使用者Uから見て、第1画像と第2画像とに設定した参照画像80が、対象物70の左右両側に表示されている場合、第2画像に設定した参照画像80の表示位置を、第1画像に設定した参照画像80と同一の側に表示する。
【0109】
その後、CO制御部330は、ステップS6と同様に、使用者Uの頭部の向きと、使用者Uの視線方向とを再度、検出し(ステップS13)、使用者Uが参照画像80を視認しているか否かを判定する(ステップS14)。CO制御部330は、使用者Uが参照画像80を視認していない場合(ステップS14/NO)、ステップS16の処理に移行する。
【0110】
また、CO制御部330は、使用者Uが参照画像80を視認している場合(ステップS14/YES)、第1画像及び第2画像に設定した参照画像80の少なくとも一方に変更があるか否かを判定する(ステップS15)。CO制御部330は、第1画像及び第2画像に設定した参照画像80に変更がない場合(ステップS15/NO)、外側カメラ61の撮像画像をメモリー340から取得する(ステップS16)。また、CO制御部330は、使用者Uが参照画像80を視認していない場合(ステップS14/NO)も、外側カメラ61の撮像画像をメモリー340から取得する(ステップS16)。CO制御部330は、取得した撮像画像を解析して、使用者Uが視認する対象物70が変更されたか否かを判定する(ステップS17)。
【0111】
CO制御部330は、使用者Uが視認する対象物70が変更されていない場合(ステップS17/NO)、APP342を終了させる終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS18)。CO制御部330は、APP342の終了操作を受け付けていない場合(ステップS18/NO)、ステップS13の処理に戻る。また、CO制御部330は、APP342の終了操作を受け付けた場合(ステップS18/YES)、この処理フローを終了させる。
【0112】
CO制御部330は、第1画像及び第2画像に設定した参照画像80の少なくとも一方に変更があると判定すると(ステップS15/YES)、ステップS9の処理に移行して第1画像と、第2画像とを再度、設定する。その後、CO制御部330は、ステップS10以降の処理を繰り返す。また、CO制御部330は、使用者Uが視認する対象物70が変更された場合(ステップS17/YES)、ステップS4の処理に戻り、対象物70までの距離を検出する(ステップS4)。
【0113】
6.本開示のまとめ
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)
使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置を制御する制御装置であって、
前記使用者の視線の方向を検出する第1検出部と、
前記使用者の頭部の向きを検出する第2検出部と、
前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する判定部と、
前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記判定部により前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、
前記判定部により前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する設定部と、
前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する表示制御部と、
を備える、制御装置。
【0114】
この構成によれば、第1画像との表示距離が設定距離よりも小さくなるように第2画像の表示位置が変更される。このため、使用者の視線の移動距離が短くなり、使用者の負担を軽減することができる。
【0115】
(付記2)
前記設定部は、前記使用者が視認する画像であると前記判定部が判定した単位時間当たりの判定回数を、前記複数の画像の各々で計数し、前記単位時間当たりの判定回数が予め設定された設定回数以上であって、前記単位時間当たりの判定回数が最も多い画像を前記第1画像に設定し、
前記単位時間当たりの判定回数が予め設定された設定回数以上であって、前記第1画像に設定した画像以外の画像を前記第2画像に設定する、付記1記載の制御装置。
【0116】
この構成によれば、単位時間ごとに判定回数が計数されるため、第1画像及び第2画像を単位時間ごとに変更することができる。このため、使用者の使用状況に応じて第1画像及び第2画像を変更することができる。
【0117】
(付記3)
前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、前記設定距離よりも大きい場合に、前記第1画像との表示距離が前記設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する、付記1又は2記載の制御装置。
【0118】
この構成によれば、第1画像と第2画像との表示距離が、予め設定された設定距離よりも大きい場合に、第1画像との表示距離が設定距離よりも小さくなるように第2画像の表示位置が変更される。このため、使用者の視線の移動距離が短くなり、使用者の負担を軽減することができる。
【0119】
(付記4)
前記第1画像の表示位置に対する第2画像の表示位置の優先度を設定した設定情報を記憶する記憶部を備え、
前記表示制御部は、前記第1画像の表示位置と、前記設定情報とに基づいて、前記第2画像の表示位置を変更する、付記1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【0120】
この構成によれば、第1画像の表示位置と、設定情報とに基づいて、第2画像の表示位置が変更される。このため、第2画像を優先度の高い位置に表示させることができる。
【0121】
(付記5)
外景を撮像する撮像部と、
前記撮像部が生成した撮像画像から前記使用者が視認する対象物を検出する第3検出部と、を備え、
前記表示制御部は、前記第1画像と前記第2画像とが、前記対象物の上下又は左右の両側に表示される場合に、前記第1画像と同一の側に表示されるように前記第2画像の表示位置を変更する、付記1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【0122】
この構成によれば、第2画像が第1画像と同一の側に表示される。このため、使用者が対象物に対して作業を行うときの視線の移動距離を短くし、作業性を向上させることができる。
【0123】
(付記6)
前記表示部は、前記第3検出部が検出した前記対象物に対応づけられた画像を表示する、付記5記載の制御装置。
【0124】
この構成によれば、表示された画像を視認しながら対象物に対して作業を行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0125】
(付記7)
前記対象物までの距離を検出する第4検出部を備え、
前記表示部は、前記第4検出部が検出した距離に対応する位置に前記複数の画像を表示する、付記5又は6記載の制御装置。
【0126】
この構成によれば、対象物と複数の画像とが頭部装着型表示装置から同一の距離に表示されるため、視線の移動量を減らして使用者の負担を軽減することができる。
【0127】
(付記8)
前記判定部は、前記使用者が頭部を回転させながら視線の方向を変更して画像を視認したか否かを判定し、
前記設定部は、前記使用者が視認した回数を前記複数の画像の各々で計数した計数値を登録した計数テーブルを生成し、
前記使用者が頭部を回転させながら視線の方向を変更して画像を視認した場合に、前記計数テーブルの前記視認した画像に対応する計数値に加算する値を、前記使用者が頭部を回転させずに視線の方向を変更して画像を視認した場合に、前記計数テーブルの前記視認した画像に対応する計数値に加算する値よりも多くする、付記1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【0128】
この構成によれば、使用者が頭部を回転させずに視線方向を変更して視認した画像よりも、使用者が頭部を回転させながら視線の方向を変更して視認した画像が第1画像又は第2画像として選択される確率を高めることができる。
このため、使用者が頭部を回転させて視認する画像の表示位置を変更することができる。
【0129】
(付記9)
使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置の制御方法であって、
前記使用者の視線の方向を検出する第1ステップと、
前記使用者の頭部の向きを検出する第2ステップと、
前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する第3ステップと、
前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記第3ステップにより前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、
前記第3ステップにより前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する第4ステップと、
前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する第5ステップと、
を含む、頭部装着型表示装置の制御方法。
【0130】
この構成によれば、第1画像との表示距離が設定距離よりも小さくなるように第2画像の表示位置が変更される。このため、使用者の視線の移動距離が短くなり、使用者の負担を軽減することができる。
【0131】
(付記10)
使用者の頭部に装着され、外景を視認可能に画像を表示する表示部を備える頭部装着型表示装置を制御する制御装置に搭載されたコンピューターに実行させるプログラムであって、
前記コンピューターに、
前記使用者の視線の方向を検出する第1手順と、
前記使用者の頭部の向きを検出する第2手順と、
前記使用者の視線と、前記使用者の頭部の向きと、の少なくとも一方に基づき、前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記使用者が視認する画像を判定する第3手順と、
前記表示部が表示する複数の画像のうち、前記第3手順により前記使用者が視認する画像であると判定された判定回数が最も多い画像を第1画像に設定し、
前記第3手順により前記使用者が視認する画像と判定された判定回数が前記第1画像の次に多い画像を第2画像に設定する第4手順と、
前記第1画像と前記第2画像との表示上の距離である表示距離が、予め設定された設定距離よりも小さくなるように前記第2画像の表示位置を変更する第5手順と、
を実行させる、プログラム。
【0132】
この構成によれば、第1画像との表示距離が設定距離よりも小さくなるように第2画像の表示位置が変更される。このため、使用者の視線の移動距離が短くなり、使用者の負担を軽減することができる。
【0133】
本発明は上記各実施形態で説明した構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、HMD100と、制御装置300とがそれぞれ別体である表示システム1を例示したが、この表示システム1に限定されない。例えば、HMD100が制御装置300を内蔵する構成であってもよい。つまり、接続装置10を、制御装置300として動作させてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、画像表示部20と接続装置10とが分離された構成を例に挙げて説明したが、接続装置10と画像表示部20とが一体に構成され、使用者Uの頭部に装着される構成とすることも可能である。また、画像表示部20の光学系の構成は任意であり、例えば、使用者Uの眼の前方に位置して使用者Uの視界の一部又は全部に重なる光学部材を用いてもよい。或いは、レーザー光等を走査させて画像光とする走査方式の光学系を採用してもよい。或いは、光学部材の内部で画像光を導光させるものに限らず、使用者Uの眼に向けて画像光を屈折又は反射させて導く機能のみを有するものであってもよい。
【0135】
また、例えば、
図3に示したHMD100において、接続装置10を、USB-TypeCコネクター、USB-TypeCコントローラー、及び、USBハブを利用して構成してもよい。この場合、DP外側カメラ61や、その他のセンサーを、USBハブに接続してもよい。また、画像表示部20における右表示部22と左表示部24の表示を制御するコントローラーとして、表示データを右表示部22及び左表示部24に出力するFPGAを、右表示部22又は左表示部24のいずれかに配置してもよい。この場合、接続装置10は、USB-TypeCコントローラーとFPGAとを接続するブリッジコントローラーを備えてもよい。また、画像表示部20において、DP6軸センサー235、DP地磁気センサー237、EEPROM215等をFPGAと同じ基板に実装した構成としてもよい。その他のセンサーの配置についても適宜に変更可能である。例えば、距離センサー64やDP照度センサー65は、測定又は検出に適した位置に配置されて、FPGAやUSBType-Cコントローラーに接続される構成としてもよい。
また、OLEDユニット221、241を含む画像表示装置の具体的な仕様についても制限はなく、例えば、OLEDユニット221、241が共通の構成を有していてもよい。
【0136】
また、
図3に示したHMD100、
図4に示した制御装置300の各機能部は、機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、また、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、プロジェクターの他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0137】
また、
図13に示すフローチャートの処理単位は、制御装置300の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。
図13のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。また、制御装置300の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0138】
また、上述した実施形態では、使用者Uが視認する画像であると判定部355が判定した単位時間当たりの回数に基づいて第1画像と第2画像とを決定したが、使用者Uの視線の移動角度や、視線の移動速度である角速度を考慮して第1画像と第2画像とを決定してもよい。
【0139】
また、内側カメラ63の撮像画像から使用者Uの視線方向と、使用者Uが注視する注視点の奥行き方向の位置とを検出してもよい。CO制御部330は、使用者Uの両眼の視線方向として、左眼の視線方向と右眼の視線方向とのそれぞれを検出する。CO制御部330は、左眼の視線方向と右眼の視線方向とが交差する点から、注視点の奥行き方向の位置を検出する。左眼の視線方向と、右眼の視線方向とが交差する点が、注視点の奥行き方向の位置に対応する。CO制御部330は、検出した注視点の奥行き方向の位置に基づき、使用者Uに認識させる画像の奥行き方向の位置を算出し、算出した奥行き方向の位置に仮想的な画像が見えるように、両眼視の視差を演算し、視差を有する右左の画像をHMD100に送信する。また、CO制御部330は、注視点の奥行き方向の位置を含めて、第1画像との表示距離が設定距離よりも小さくなるように第2画像の表示位置を変更する。
【0140】
また、設定部356は、判定部355が参照画像80を参照したと判定した場合に、視認回数テーブル344の視認回数に加算する加算値を、使用者Uが頭部を回転させながら視線の方向を変更して参照画像80を視認した場合と、頭部を回転させずに視線の方向を変更して参照画像80を視認した場合とで変更してもよい。
例えば、設定部356は、使用者Uが頭部を回転させながら視線の方向を変更して参照画像80を視認した場合、視認回数テーブル344の視認回数に値「2」を加算し、頭部を回転させずに視線の方向を変更して参照画像80を視認した場合、視認回数テーブル344の視認回数に値「1」を加算する。
これにより、使用者Uが頭部を回転させながら視線の方向を変更して参照した参照画像80が第1画像又は第2画像に選択される確率を高めることができる。
【符号の説明】
【0141】
1…表示システム、10…接続装置、11A、11Dコネクター、20…画像表示部、21…右保持部、22…右表示部、23…左保持部、24…左表示部、26…右導光板、27…前部フレーム、28…左導光板、30…ヘッドセット、32…右イヤホン、34…左イヤホン、36…オーディオコネクター、40…接続ケーブル、46…USBケーブル、50…視野範囲、61…DP外側カメラ、62…マイク、63…DP内側カメラ、64…距離センサー、65…DP照度センサー、67…LEDインジケーター、70…対象物、80、80A、80B、80C、80D、80E…参照画像、100…HMD、110…I/F部、120…DP制御部、122…センサー制御部、126…電源制御部、130…不揮発性記憶部、140…操作部、145…接続部、147…音声処理部、201…画像データ、210…右表示部基板、211…右I/F部、213…受信部、215…EEPROM、217…温度センサー、221…OLEDユニット、223…OLEDパネル、225…OLED駆動回路、229…電源部、230…左表示部基板、231…左I/F部、233…受信部、235…DP6軸センサー、237…DP地磁気センサー、239…温度センサー、241…OLEDユニット、243…OLEDパネル、245…OLED駆動回路、249…電源部、251…右光学系、252…左光学系、261、281ハーフミラー、300…制御装置、311…GNSS、312…COカメラ、313…CO6軸センサー、314…CO磁気センサー、315…CO照度センサー、316…音声出力部、321…CO表示部、323…タッチパネル、325…バッテリー、327…通信部、328…タッチパネル、329…I/F部、330…CO制御部、340…メモリー、341…OS、342…APP、343…対象物画像、344…視認回数テーブル、345…対象物画像、345…設定情報、350…プロセッサー、351…第1検出部、352…第2検出部、353…第3検出部、354…表示制御部、355…判定部、356…設定部。