(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133433
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】検査システム、検査装置、撮像装置、検査プログラム、及び撮像プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240925BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240925BHJP
G01N 35/00 20060101ALI20240925BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/06
G01N35/00 A
G01N35/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043669
(22)【出願日】2023-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】517360701
【氏名又は名称】田島 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100180552
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】田島 和男
【テーマコード(参考)】
2G058
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2G058AA01
2G058CC09
2G058GA01
2G058GB06
2G058GC02
2G058GC06
2G058GC08
5L010AA06
5L049AA06
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることが可能な検査システム、検査装置、撮像装置、検査プログラム、及び撮像プログラムを提供する。
【解決手段】撮像装置において、カメラが使用され、試薬ユニットが撮像される。撮像された試薬ユニットのデータである試薬ユニット画像データが、PCに送信される。送信された試薬ユニット画像データは、PCによって受信される(S104:YES)。S104において受信された試薬ユニット画像データは、SSDに記憶される(S105及びS113)。記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像が、表示部に表示される(S114)。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能な撮像装置と検査装置とを備えた検査システムであって、
前記撮像装置は、
少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットを、撮像部を使用して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信する試薬ユニット画像送信手段と
を備え、
前記検査装置は、
前記試薬ユニット画像送信手段によって送信された前記試薬ユニット画像データを受信する試薬ユニット画像受信手段と、
前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データを記憶部に記憶する試薬ユニット画像記憶手段と、
前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づき、前記試薬ユニット画像を表示部に表示する試薬ユニット画像表示手段と
を備えたことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記検査装置は、
前記試薬ユニットにおける前記試薬の位置のデータである試薬位置データを使用し、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記試薬の画像である試薬画像を取得する試薬画像取得手段と、
前記試薬画像取得手段によって取得された前記試薬画像のデータである試薬画像データを、前記試薬ユニット画像データに対応付けて前記記憶部に記憶する試薬画像記憶手段と、
前記試薬画像記憶手段によって記憶された前記試薬画像データに基づく前記試薬画像を、前記表示部に表示する試薬画像表示手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記検査装置は、
前記試薬位置データの入力を受け付ける試薬位置入力受付手段と、
前記試薬位置入力受付手段によって入力が受け付けられた前記試薬位置データを前記記憶部に記憶する試薬位置記憶手段と
を備え、
前記試薬画像取得手段は、試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データを使用し、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記試薬画像を取得することを特徴とする請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記検査装置は、
前記試薬画像表示手段によって前記表示部に表示された前記試薬画像についての検査結果の値である検査値の入力を受け付ける検査値入力手段と、
前記検査値入力手段によって受け付けられた前記検査値を、前記記憶部に記憶する検査値記憶手段と
を備えたことを特徴とする請求項3記載の検査システム。
【請求項5】
前記試薬ユニットは、前記試薬部材に接続される接続部材を含み、
前記接続部材には、前記試薬ユニットの種類を示す情報を含むコードが設けられ、
前記検査装置は、
前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードに基づき、前記試薬ユニット画像における前記試薬ユニットの種類を特定するユニット種類特定手段を備え、
前記試薬位置記憶手段は、前記試薬ユニットの種類と、前記試薬位置データとを対応付けて前記記憶部に記憶し、
前記試薬画像取得手段は、前記試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データのうち、前記ユニット種類特定手段によって特定された前記試薬ユニットの種類に対応付けられた前記試薬位置データを使用し、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像から、前記試薬画像を取得することを特徴とする請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記コードは、前記試薬ユニットを使用した検査が行われる対象である検査対象を示す情報を含み、
前記検査装置は、
前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードに基づき、前記検査対象を特定する検査対象特定手段を備え、
前記検査値記憶手段は、前記検査対象特定手段によって特定された前記検査対象と、前記検査値入力手段によって受け付けられた前記検査値とを対応付けて、前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記検査装置は、
前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードについて、傾きと位置を特定する特定手段を備え、
前記試薬画像取得手段は、前記試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データを、前記特定手段によって特定された前記コードの傾きと位置とによって補正し、補正した前記試薬位置データに基づいて前記試薬画像を取得することを特徴とする請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記コードは、QRコード(登録商標)であり、
前記試薬位置データは、前記コードからの距離を含み、
前記検査装置は、
前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードの角の座標である角座標を特定する角特定手段を備え、
前記試薬画像取得手段は、前記試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データと、前記角特定手段によって特定された角座標とを用いて、前記試薬画像を取得することを特徴とする請求項6に記載の検査システム。
【請求項9】
前記検査装置は、
前記試薬部材に配置された前記試薬に関する基準色の画像である基準色画像のデータである基準色画像データを前記記憶部に記憶する基準色画像記憶手段と、
前記基準色画像記憶手段によって記憶された前記基準色画像データに基づく前記基準色画像を、前記表示部に表示する基準色画像表示手段と
を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の検査システム。
【請求項10】
前記検査装置は、
前記試薬画像表示手段によって前記表示部に表示された前記試薬画像を選択する試薬画像選択手段を備え、
前記基準色画像表示手段は、前記試薬画像選択手段によって前記試薬画像が選択された場合に、選択された前記試薬画像に対応する前記基準色画像を前記表示部に表示することを特徴とする請求項9に記載の検査システム。
【請求項11】
前記検査装置は、
前記試薬部材に配置された前記試薬に関する前記基準色が一覧で表示された画像である基準色一覧画像のデータである基準色一覧画像データに基づいて、前記基準色一覧画像を前記表示部に表示する一覧画像表示手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載の検査システム。
【請求項12】
前記検査装置は、
前記基準色一覧画像データに基づく前記基準色一覧画像から、前記基準色画像を選択する基準色画像選択手段を備え、
前記基準色画像記憶手段は、前記基準色画像選択手段によって選択された前記基準色画像に基づく前記基準色画像データを、前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項11に記載の検査システム。
【請求項13】
前記試薬ユニットにおいて、
前記試薬部材は、一方向に延び、
前記接続部材は、前記試薬部材の一端に接続され、
前記一方向に直交する直交方向において、前記接続部材は、前記試薬部材よりも長いことを特徴とする請求項12に記載の検査システム。
【請求項14】
前記撮像装置は、
前記試薬ユニットが配置される凹部を有する配置部材を備え、
前記凹部は、前記一方向に延び、前記試薬部材が配置される試薬部材配置部と、
前記試薬部材配置部の一端に接続され、前記直交方向において前記試薬部材配置部より長く、前記接続部材が配置される接続部材配置部と
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
前記接続部材は、粘着面を有する粘着部材と、前記粘着面に剥離可能に貼り合わせられる台紙とを有するシールであり、
前記接続部材の前記粘着部材と前記台紙との間で、前記試薬部材の一端を挟んで接着されたことを特徴とする請求項14に記載の検査システム。
【請求項16】
前記撮像装置は、
前記試薬ユニット画像に対して少なくとも縮尺、位置、及び傾きを補正するための補正値であって前記撮像装置の個体に対応する前記補正値に従って、前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニット画像を補正する第一補正手段を備え、
前記試薬ユニット画像送信手段は、前記第一補正手段によって補正された前記試薬ユニット画像の前記試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信することを特徴とする請求項15に記載の検査システム。
【請求項17】
前記撮像装置は、
基準となる位置に前記試薬ユニットが表示された画像である基準画像と、前記撮像部によって撮像された前記試薬ユニット画像とを重ねた差分画像を生成する差分画像生成手段と、
前記差分画像生成手段によって生成された前記差分画像のデータである差分画像データを、前記検査装置に送信する差分画像送信手段と
を備え、
前記検査装置は、
前記差分画像送信手段によって送信された前記差分画像データを受信する差分画像受信手段と、
前記差分画像受信手段によって受信された前記差分画像データに基づく前記差分画像を、前記表示部に表示する差分画像表示手段と、
前記差分画像に基づいて決定された前記補正値の入力を受け付ける補正値入力手段と、
前記補正値入力手段によって入力が受け付けられた前記補正値を、前記記憶部に記憶する補正値記憶手段と、
前記補正値記憶手段によって記憶された前記補正値を、前記撮像装置に送信する補正値送信手段と
を備え、
前記第一補正手段は、前記補正値送信手段によって送信された前記補正値に従って、前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニット画像を補正することを特徴とする請求項16に記載の検査システム。
【請求項18】
前記検査装置は、
前記試薬ユニット画像に対して少なくとも縮尺、位置、及び傾きを補正するための補正値であって前記撮像装置の個体に対応する前記補正値に従って、前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像を補正する第二補正手段を備え、
前記試薬ユニット画像記憶手段は、前記第二補正手段によって補正された前記試薬ユニット画像の前記試薬ユニット画像データを前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項15に記載の検査システム。
【請求項19】
前記撮像装置は、
基準となる位置に前記試薬ユニットが表示された画像である基準画像と、前記撮像部によって撮像された前記試薬ユニット画像とを重ねた差分画像を生成する差分画像生成手段と、
前記差分画像生成手段によって生成された前記差分画像のデータである差分画像データを、前記検査装置に送信する差分画像送信手段と
を備え、
前記検査装置は、
前記差分画像送信手段によって送信された前記差分画像データを受信する差分画像受信手段と、
前記差分画像受信手段によって受信された前記差分画像データに基づく前記差分画像を、前記表示部に表示する差分画像表示手段と、
前記差分画像に基づいて決定された前記補正値の入力を受け付ける補正値入力手段と、
前記補正値入力手段によって入力が受け付けられた前記補正値を、前記記憶部に記憶する補正値記憶手段と
を備え、
前記第二補正手段は、前記補正値記憶手段によって前記記憶部に記憶された前記補正値に従って、前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像を補正することを特徴とする請求項18に記載の検査システム。
【請求項20】
前記検査装置は、
前記試薬画像記憶手段によって記憶された前記試薬画像を参照し、前記試薬の前記検査値を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記検査値を、前記表示部に表示する推定検査値表示手段と
を備えたことを特徴とする請求項17に記載の検査システム。
【請求項21】
前記検査装置は、
前記検査値記憶手段によって記憶された前記検査値を使用して機械学習し、前記推定手段によって前記検査値を推定するための新たな方法を習得する機械学習手段を備え、
前記推定手段は、前記機械学習手段によって習得された方法を使用して、前記検査値を推定することを特徴とする請求項20に記載の検査システム。
【請求項22】
前記検査装置は、
前記試薬画像記憶手段によって記憶された前記試薬画像を参照し、前記試薬の前記検査値を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記検査値を、前記表示部に表示する推定検査値表示手段と
を備えたことを特徴とする請求項19に記載の検査システム。
【請求項23】
前記検査装置は、
前記検査値記憶手段によって記憶された前記検査値を使用して機械学習し、前記推定手段によって前記検査値を推定するための新たな方法を習得する機械学習手段を備え、
前記推定手段は、前記機械学習手段によって習得された方法を使用して、前記検査値を推定することを特徴とする請求項22に記載の検査システム。
【請求項24】
撮像装置と通信可能な検査装置であって、
撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信する試薬ユニット画像受信手段と、
前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データを記憶部に記憶する試薬ユニット画像記憶手段と、
前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づき、前記試薬ユニット画像を表示部に表示する試薬ユニット画像表示手段と
を備えたことを特徴とする検査装置。
【請求項25】
撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信して記憶し、記憶した前記試薬ユニット画像を表示部に表示する検査装置と通信可能な前記撮像装置であって、
前記試薬ユニットを、撮像部を使用して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニットの画像である前記試薬ユニット画像のデータである前記試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信する試薬ユニット画像送信手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項26】
撮像装置と通信可能な検査装置のコンピュータに、
前記撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信する試薬ユニット画像受信ステップと、
前記試薬ユニット画像受信ステップにおいて受信された前記試薬ユニット画像データを記憶部に記憶する試薬ユニット画像記憶ステップと、
前記試薬ユニット画像記憶ステップにおいて記憶された前記試薬ユニット画像データに基づき、前記試薬ユニット画像を表示部に表示する試薬ユニット画像表示ステップと
を実行させる検査プログラム。
【請求項27】
撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信して記憶し、記憶した前記試薬ユニット画像を表示部に表示する検査装置と通信可能な前記撮像装置のコンピュータに、
前記試薬ユニットを、撮像部を使用して撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された前記試薬ユニットの画像である前記試薬ユニット画像のデータである前記試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信する試薬ユニット画像送信ステップと
を実行させる撮像プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試薬を用いて検査を行う検査システム、検査装置、撮像装置、検査プログラム、及び撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬を用いて、水槽、生け簀、及びプールなどの水質を検査したり、尿など成分を検査したりする技術が知られている。例えば、特許文献1に記載の水質検査装置は、多数の容器を一容器ずつ検査位置に送り、検査位置に送られた容器に被検査液を注入して光を照射する。水質検査装置は、照射された光が容器内を透過した透過光又は容器内で散乱した散乱光を受光して、電気信号に変換し、その電気信号を分析する。また、特許文献2に示すpH試験紙を用いたpH検査用スティックのように、試薬を染み込ませた試薬紙を使用し、検査者の目視によって検査結果を確認する検査方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-280793号公報
【特許文献2】特開2002-116210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の水質検査装置によって検査を行う場合には、発光部、受光部、被検査液を注入する部材等を備えた大規模な装置が必要となり、コストが高くなっていた。また、検査が終わると、容器内の液体は廃棄されるため、検査後に時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができなかった。一方、試薬を染み込ませた試薬紙を使用して、検査者の目視によって検査結果を確認する場合には、時間経過とともに試薬が変色してしまい、検査後に時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることが難しかった。
【0005】
本発明の目的は、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることが可能な検査システム、検査装置、撮像装置、検査プログラム、及び撮像プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る検査システムは、互いに通信可能な撮像装置と検査装置とを備えた検査システムであって、前記撮像装置は、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットを、撮像部を使用して撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信する試薬ユニット画像送信手段とを備え、前記検査装置は、前記試薬ユニット画像送信手段によって送信された前記試薬ユニット画像データを受信する試薬ユニット画像受信手段と、前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データを記憶部に記憶する試薬ユニット画像記憶手段と、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づき、前記試薬ユニット画像を表示部に表示する試薬ユニット画像表示手段とを備えている。この場合、撮像手段によって撮像された時点の試薬ユニット画像データを記憶でき、表示部に表示できる。このため、検査後に時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。また、検査液を用いて、光学的に検査を行う場合のように、大規模な装置は必要ない。よって、コストを低減することができる。すなわち、検査システムは、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。
【0007】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬ユニットにおける前記試薬の位置のデータである試薬位置データを使用し、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記試薬の画像である試薬画像を取得する試薬画像取得手段と、前記試薬画像取得手段によって取得された前記試薬画像のデータである試薬画像データを、前記試薬ユニット画像データに対応付けて前記記憶部に記憶する試薬画像記憶手段と、前記試薬画像記憶手段によって記憶された前記試薬画像データに基づく前記試薬画像を、前記表示部に表示する試薬画像表示手段とを備えている。この場合、試薬ユニット画像における試薬画像の部分を、表示部に表示することができる。よって、ユーザが試薬ユニット画像の全体から、試薬画像の部分を探す必要がない。また、試薬画像によって容易に、検査後の試薬の色を確認することができる。よって、試薬画像が表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0008】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬位置データの入力を受け付ける試薬位置入力受付手段と、前記試薬位置入力受付手段によって入力が受け付けられた前記試薬位置データを前記記憶部に記憶する試薬位置記憶手段とを備え、前記試薬画像取得手段は、試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データを使用し、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記試薬画像を取得してもよい。この場合、試薬位置データの入力が受け付けられるので、ユーザが試薬ユニットにおける試薬の位置を指定することができる。よって、新たな試薬ユニットが使用される場合でも、ユーザが試薬位置データを入力することで、検査装置が試薬画像を自動的に取得し、表示部に表示することができる。
【0009】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬画像表示手段によって前記表示部に表示された前記試薬画像についての検査結果の値である検査値の入力を受け付ける検査値入力手段と、前記検査値入力手段によって受け付けられた前記検査値を、前記記憶部に記憶する検査値記憶手段とを備えてもよい。この場合、ユーザは、試薬ユニット画像を見ながら、検査値を入力して、記憶部に記憶させることができる。試薬ユニット画像は、試薬部材そのものとは異なり、時間が経過しても、試薬部分の色が変化しない。よって、ユーザは、検査から時間が経過した場合に、試薬部材そのものを見ながら検査値を入力する場合に比べて、より正確に、検査値を入力することができる。
【0010】
前記検査システムにおいて、前記試薬ユニットは、前記試薬部材に接続される接続部材を含み、前記接続部材には、前記試薬ユニットの種類を示す情報を含むコードが設けられ、前記検査装置は、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードに基づき、前記試薬ユニット画像における前記試薬ユニットの種類を特定するユニット種類特定手段を備え、前記試薬位置記憶手段は、前記試薬ユニットの種類と、前記試薬位置データとを対応付けて前記記憶部に記憶し、前記試薬画像取得手段は、前記試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データのうち、前記ユニット種類特定手段によって特定された前記試薬ユニットの種類に対応付けられた前記試薬位置データを使用し、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像から、前記試薬画像を取得してもよい。この場合、コードに基づいて、試薬ユニットの種類が特定される。そして、特定された試薬ユニットの種類に対応した試薬位置データが使用されて試薬画像が取得され、試薬画像表示手段によって表示部に表示される。このため、ユーザが試薬ユニットの種類を特定する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0011】
前記検査システムにおいて、前記コードは、前記試薬ユニットを使用した検査が行われる対象である検査対象を示す情報を含み、前記検査装置は、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードに基づき、前記検査対象を特定する検査対象特定手段を備え、前記検査値記憶手段は、前記検査対象特定手段によって特定された前記検査対象と、前記検査値入力手段によって受け付けられた前記検査値とを対応付けて、前記記憶部に記憶してもよい。従来、検査対象と検査値との紐づけを、人間が手で紙に書いたり、人間がPCに手動で入力したりする必要があり、検査対象と検査値とを対応付けることに手間を要していた。本発明では、コードに基づいて検査対象が自動的に特定され、検査値に対応付けられて記憶される。このため、従来は手作業であった工程を自動化することで、省力化を実現することができる。
【0012】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードについて、傾きと位置を特定する特定手段を備え、前記試薬画像取得手段は、前記試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データを、前記特定手段によって特定された前記コードの傾きと位置とによって補正し、補正した前記試薬位置データに基づいて前記試薬画像を取得してもよい。この場合、撮像手段によって試薬ユニットが撮像される場合に、試薬ユニットの位置及び傾きがずれた場合でも、自動的に位置及び傾きが補正され、試薬画像が取得される。よって、試薬ユニットの位置及び傾きがずれた場合に、試薬画像が取得されない可能性を低減できる。
【0013】
前記検査システムにおいて、前記コードは、QRコード(登録商標)であり、前記試薬位置データは、前記コードからの距離を含み、前記検査装置は、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像における前記コードの角の座標である角座標を特定する角特定手段を備え、前記試薬画像取得手段は、前記試薬位置記憶手段によって記憶された前記試薬位置データと、前記角特定手段によって特定された角座標とを用いて、前記試薬画像を取得してもよい。この場合、試薬ユニット画像に含まれるコードの角座標を使用して、試薬画像の位置を特定し、試薬画像を取得することができる。撮像手段によって試薬ユニットが撮像される場合に、試薬ユニットの位置及び傾きがずれた場合でも、試薬画像が取得される。よって、試薬ユニットの位置及び傾きがずれた場合に、試薬画像が取得されない可能性を低減できる。
【0014】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬部材に配置された前記試薬に関する基準色の画像である基準色画像のデータである基準色画像データを前記記憶部に記憶する基準色画像記憶手段と、前記基準色画像記憶手段によって記憶された前記基準色画像データに基づく前記基準色画像を、前記表示部に表示する基準色画像表示手段とを備えてもよい。この場合、基準色画像と、試薬ユニット画像とが表示部に表示される。このため、基準色画像が表示部に表示されない場合に比べて、基準色画像と、試薬画像とを見比べることが容易になり、ユーザの利便性が向上する。
【0015】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬画像表示手段によって前記表示部に表示された前記試薬画像を選択する試薬画像選択手段を備え、前記基準色画像表示手段は、前記試薬画像選択手段によって前記試薬画像が選択された場合に、選択された前記試薬画像に対応する前記基準色画像を前記表示部に表示してもよい。この場合、ユーザが基準色画像と試薬画像とを見比べたい場合に、試薬画像を選択することで、容易に、基準色画像を表示させることができる。よって、基準色画像を表示が表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0016】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬部材に配置された前記試薬に関する前記基準色が一覧で表示された画像である基準色一覧画像のデータである基準色一覧画像データに基づいて、前記基準色一覧画像を前記表示部に表示する一覧画像表示手段を備えてもよい。この場合、基準色一覧画像が表示部に表示されるので、ユーザは、基準色一覧画像と、試薬画像とを見比べることができる。よって、基準色一覧画像が表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0017】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記基準色一覧画像データに基づく前記基準色一覧画像から、前記基準色画像を選択する基準色画像選択手段を備え、前記基準色画像記憶手段は、前記基準色画像選択手段によって選択された前記基準色画像に基づく前記基準色画像データを、前記記憶部に記憶してもよい。この場合、基準色一覧画像から基準色画像を選択することができる。よって、基準色一覧画像とは別に、基準色画像を用意する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0018】
前記検査システムの前記試薬ユニットにおいて、前記試薬部材は、一方向に延び、前記接続部材は、前記試薬部材の一端に接続され、前記一方向に直交する直交方向において、前記接続部材は、前記試薬部材よりも長くてもよい。この場合、直交方向において、接続部材の長さが試薬部材の長さ以下である場合に比べて、接続部材をユーザが把持し易い。
【0019】
前記検査システムにおいて、前記撮像装置は、前記試薬ユニットが配置される凹部を有する配置部材を備え、前記凹部は、前記一方向に延び、前記試薬部材が配置される試薬部材配置部と、前記試薬部材配置部の一端に接続され、前記直交方向において前記試薬部材配置部より長く、前記接続部材が配置される接続部材配置部とを備えてもよい。この場合、配置部材には、試薬部材配置部と接続部材配置部とを備えた配置部材が設けられているので、試薬部材と接続部材とを備えた試薬ユニットを容易に位置決めできる。よって、ユーザの利便性が向上する。また、試薬ユニットが動いて、撮像装置によって撮像される位置がずれる可能性を低減できる。
【0020】
前記検査システムにおいて、前記接続部材は、粘着面を有する粘着部材と、前記粘着面に剥離可能に貼り合わせられる台紙とを有するシールであり、前記接続部材の前記粘着部材と前記台紙との間で、前記試薬部材の一端を挟んで接着されていてもよい。この場合、接続部材が試薬部材に接続される場合に、試薬部材配置部に試薬部材が配置されて位置決めされ、接続部材配置部に接続部材が配置されて位置決めされ、接続部材の粘着部材と台紙との間で、試薬部材の一端を挟んで接着されることで、試薬ユニットが作成される。すなわち、試薬部材と接続部材との両方を位置決めした上で、試薬ユニットを作成することができる。よって、試薬部材と接続部材との少なくとも一方が位置決めされない場合に比べて、試薬ユニットにおける試薬部材と接続部材との位置関係が安定する。よって、撮像手段によってより確実に試薬ユニットを撮像することができる。
【0021】
前記検査システムにおいて、前記撮像装置は、前記試薬ユニット画像に対して少なくとも縮尺、位置、及び傾きを補正するための補正値であって前記撮像装置の個体に対応する前記補正値に従って、前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニット画像を補正する第一補正手段を備え、前記試薬ユニット画像送信手段は、前記第一補正手段によって補正された前記試薬ユニット画像の前記試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信してもよい。撮像装置によって撮像される試薬ユニット画像は、撮像装置の個体によってばらつく場合がある。しかし、撮像装置において、撮像装置の個体に対応する補正値に従って、試薬ユニット画像の縮尺、位置、及び傾きが補正されるので、補正されない場合に比べて、試薬ユニット画像のばらつきを低減できる。よって、補正されない場合に比べて、ユーザが試薬ユニット画像を確認しやすい。
【0022】
前記検査システムにおいて、前記撮像装置は、基準となる位置に前記試薬ユニットが表示された画像である基準画像と、前記撮像部によって撮像された前記試薬ユニット画像とを重ねた差分画像を生成する差分画像生成手段と、前記差分画像生成手段によって生成された前記差分画像のデータである差分画像データを、前記検査装置に送信する差分画像送信手段とを備え、前記検査装置は、前記差分画像送信手段によって送信された前記差分画像データを受信する差分画像受信手段と、前記差分画像受信手段によって受信された前記差分画像データに基づく前記差分画像を、前記表示部に表示する差分画像表示手段と、前記差分画像に基づいて決定された前記補正値の入力を受け付ける補正値入力手段と、前記補正値入力手段によって入力が受け付けられた前記補正値を、前記記憶部に記憶する補正値記憶手段と、前記補正値記憶手段によって記憶された前記補正値を、前記撮像装置に送信する補正値送信手段とを備え、前記第一補正手段は、前記補正値送信手段によって送信された前記補正値に従って、前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニット画像の縮尺、位置、及び傾きを補正してもよい。この場合、差分画像に基づいて決定された補正値によって、撮像手段に撮像された試薬ユニット画像の縮尺、位置、及び傾きを補正することができる。ユーザが補正値を決定して、試薬ユニット画像を補正することができるので、補正されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0023】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬ユニット画像に対して少なくとも縮尺、位置、及び傾きを補正するための補正値であって前記撮像装置の個体に対応する前記補正値に従って、前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像を補正する第二補正手段を備え、前記試薬ユニット画像記憶手段は、前記第二補正手段によって補正された前記試薬ユニット画像の前記試薬ユニット画像データを前記記憶部に記憶してもよい。撮像装置によって撮像される試薬ユニット画像は、撮像装置の個体によってばらつく場合がある。しかし、検査装置において、撮像装置の個体に対応する補正値に従って、試薬ユニット画像の縮尺、位置、及び傾きが補正されるので、補正されない場合に比べて、試薬ユニット画像のばらつきを低減できる。よって、補正されない場合に比べて、ユーザが試薬ユニット画像を確認しやすい。
【0024】
前記検査システムにおいて、前記撮像装置は、基準となる位置に前記試薬ユニットが表示された画像である基準画像と、前記撮像部によって撮像された前記試薬ユニット画像とを重ねた差分画像を生成する差分画像生成手段と、前記差分画像生成手段によって生成された前記差分画像のデータである差分画像データを、前記検査装置に送信する差分画像送信手段とを備え、前記検査装置は、前記差分画像送信手段によって送信された前記差分画像データを受信する差分画像受信手段と、前記差分画像受信手段によって受信された前記差分画像データに基づく前記差分画像を、前記表示部に表示する差分画像表示手段と、前記差分画像に基づいて決定された前記補正値の入力を受け付ける補正値入力手段と、前記補正値入力手段によって入力が受け付けられた前記補正値を、前記記憶部に記憶する補正値記憶手段とを備え、前記第二補正手段は、前記補正値記憶手段によって前記記憶部に記憶された前記補正値に従って、前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データに基づく前記試薬ユニット画像を補正してもよい。この場合、差分画像に基づいて決定された補正値によって、試薬ユニット画像受信手段によって受信された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像の縮尺、位置、及び傾きを補正することができる。ユーザが補正値を決定して、試薬ユニット画像を補正することができるので、補正されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0025】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬画像記憶手段によって記憶された前記試薬画像を参照し、前記試薬の前記検査値を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された前記検査値を、前記表示部に表示する推定検査値表示手段とを備えてもよい。この場合、推定された検査値が、表示部に表示されるので、ユーザは、推定された検査値を参考にして、検査値を決定することができる。よって、推定された検査値が表示部に表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0026】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記検査値記憶手段によって記憶された前記検査値を使用して機械学習し、前記推定手段によって前記検査値を推定するための新たな方法を習得する機械学習手段を備え、前記推定手段は、前記機械学習手段によって習得された方法を使用して、前記検査値を推定してもよい。この場合、入力された検査値によって機械学習されるので、検査値が推定される場合の精度が向上する。
【0027】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記試薬画像記憶手段によって記憶された前記試薬画像を参照し、前記試薬の前記検査値を推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された前記検査値を、前記表示部に表示する推定検査値表示手段とを備えもよい。この場合、推定された検査値が、表示部に表示されるので、ユーザは、推定された検査値を参考にして、検査値を決定することができる。よって、推定された検査値が表示部に表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0028】
前記検査システムにおいて、前記検査装置は、前記検査値記憶手段によって記憶された前記検査値を使用して機械学習し、前記推定手段によって前記検査値を推定するための新たな方法を習得する機械学習手段を備え、前記推定手段は、前記機械学習手段によって習得された方法を使用して、前記検査値を推定してもよい。この場合、入力された検査値によって機械学習されるので、検査値が推定される場合の精度が向上する。
【0029】
本発明の第2の態様に係る検査装置は、撮像装置と通信可能な検査装置であって、
撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信する試薬ユニット画像受信手段と、前記試薬ユニット画像受信手段によって受信された前記試薬ユニット画像データを記憶部に記憶する試薬ユニット画像記憶手段と、前記試薬ユニット画像記憶手段によって記憶された前記試薬ユニット画像データに基づき、前記試薬ユニット画像を表示部に表示する試薬ユニット画像表示手段とを備えている。この場合、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。
【0030】
本発明の第3の態様に係る撮像装置は、撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信して記憶し、記憶した前記試薬ユニット画像を表示部に表示する検査装置と通信可能な前記撮像装置であって、前記試薬ユニットを、撮像部を使用して撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記試薬ユニットの画像である前記試薬ユニット画像のデータである前記試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信する試薬ユニット画像送信手段とを備えている。この場合、検査後に時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。また、コストを低減することができる。この場合、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。
【0031】
本発明の第4の態様に係る検査プログラムは、撮像装置と通信可能な検査装置のコンピュータに、前記撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信する試薬ユニット画像受信ステップと、前記試薬ユニット画像受信ステップにおいて受信された前記試薬ユニット画像データを記憶部に記憶する試薬ユニット画像記憶ステップと、前記試薬ユニット画像記憶ステップにおいて記憶された前記試薬ユニット画像データに基づき、前記試薬ユニット画像を表示部に表示する試薬ユニット画像表示ステップとを実行させる。この場合、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。
【0032】
本発明の第5の態様に係る撮像プログラムは、撮像装置によって送信された、少なくとも1つの試薬が配置された部材である試薬部材を含む試薬ユニットの画像である試薬ユニット画像のデータである試薬ユニット画像データを受信して記憶し、記憶した前記試薬ユニット画像を表示部に表示する検査装置と通信可能な前記撮像装置のコンピュータに、前記試薬部材を含む試薬ユニットを、撮像部を使用して撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにおいて撮像された前記試薬ユニットの画像である前記試薬ユニット画像のデータである前記試薬ユニット画像データを、前記検査装置に送信する試薬ユニット画像送信ステップとを実行させる。この場合、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】検査システム1Aの物理的構成を示す模式図である。
【
図2】試薬ユニット5が配置された配置部材18が、撮像装置10に配置される様子を示す模式図である。
【
図3】検査システム1Aの電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】試薬ユニット5の作成過程を示す状態遷移図である。
【
図7】検査項目データテーブル90のデータ構成図である。
【
図8】補正値データテーブル91のデータ構成図である。
【
図9】試薬ユニットデータテーブル93のデータ構成図である。
【
図10】基準色データテーブル94のデータ構成図である。
【
図11】検査情報データテーブル95のデータ構成図である。
【
図12】検査結果データテーブル96のデータ構成図である。
【
図14】試薬ユニット情報設定画面62を示す図である。
【
図17】差分画像89が作成される過程を示す図である。
【
図24】試薬ユニット画像70が補正される過程を示す図である。
【
図27】吹き出し表示99が表示された、検査結果画面67を示す図である。
【
図28】試薬ユニット5が傾き及び位置がずれた状態で配置部材18に配置された場合の試薬ユニット画像70を示す図である。
【
図29】
図20に示す撮像装置処理のフローチャートの変形例である。
【
図30】
図22に示す情報設定処理のフローチャートの変形例である。
【
図31】
図25に示す検査処理のフローチャートの変形例である。
【
図32】変形例に係る検査システム1Bの電気的構成を示すブロック図である。
【
図33】変形例に係る試薬ユニットデータテーブル93Bのデータ構成図である
【
図34】変形例に係る試薬ユニット5Cが撮像された試薬ユニット画像70を示す図である。
【
図35】
図31に示す検査処理のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を具現化した検査システム1Aについて、図面を参照して説明する。
図1を参照し、検査システム1Aの概要について説明する。
図1に示すように、検査システム1Aは、撮像装置10、PC(Personal Computer)30、及び印刷装置40を備えている。撮像装置10とPC30とは、無線通信によって相互に通信可能である。また、PC30と印刷装置40とは、相互に通信可能である。印刷装置40は、PC30の指示に基づき、後述するコード525(
図5参照)など、種々の印刷を行う。本実施形態では、印刷装置40は、一例として、シール状の接続部材52(
図5参照)を印刷可能なラベルプリンタであるとする。
【0035】
検査システム1Aは、試薬ユニット5を用いて、水槽、生け簀、及びプールなどの水質を検査したり、尿などの成分を検査したりするシステムである。試薬ユニット5は、試薬部材51を含む(
図5(H)参照)。試薬部材51は、少なくとも1つの試薬511が配置された部材である。本実施形態では一例として、試薬部材51には、6つの試薬511が配置されている(
図5(H)参照)。
【0036】
図2を参照し、撮像装置10について詳述する。撮像装置10は、本体部19と、配置部材18(
図4(A)参照)とを備えている。本体部19は、円柱状の外形を有する。本体部19において、
図2における紙面上側の面には、スイッチ17、及び表示部14が設けられている。本体部19の側面には、挿入口191が設けられている。挿入口191から撮像装置10の内側には、後述する配置部材18の形状に沿って形成された、配置部材18を配置可能な部位が形成されている。挿入口191には、試薬ユニット5が配置された配置部材18が挿入される(
図2(B)参照)。本体部19の内部には、カメラ16が設けられている。カメラ16は、挿入口191に挿入された配置部材18に配置された試薬ユニット5を撮像する。
【0037】
図3を参照し、検査システム1Aの電気的構成について説明する。PC30には、CPU31、RAM32、SSD(Solid State Drive)33、表示部34、無線通信回路35、及び操作部36が設けられている。CPU31は、RAM32、SSD33、表示部34、無線通信回路35、及び操作部36と電気的に接続されている。CPU31は、PC30の制御を行う。SSD33には、後述する情報設定処理及び検査処理のプログラム等、種々のプログラムデータが記憶されている。また、RAM32には、種々のデータが記憶される。
【0038】
CPU31は、無線通信回路35と、後述する無線通信回路15とを介して、撮像装置10のCPU11と通信を行う。CPU31は、表示部34に種々の情報を表示する。ユーザは、操作部36を介して、文字入力、クリックによる選択等をすることができる。CPU31は、操作部36を介して入力されるユーザの指示を検出可能である。CPU31は、PC30の外部に配置された印刷装置40に電気的に接続されている。CPU31は、印刷装置40に印刷データを送信する。印刷装置40は、印刷データに基づいて、印刷を行う。
【0039】
撮像装置10には、CPU11、RAM12、フラッシュメモリ13、表示部14、無線通信回路15、カメラ16、及びスイッチ17が設けられている。CPU11は、RAM12、フラッシュメモリ13、表示部14、無線通信回路15、カメラ16、及びスイッチ17に電気的に接続されている。CPU11は、撮像装置10の制御を行う。フラッシュメモリ13には、後述する撮像装置処理のプログラム等、種々のプログラムデータが記憶されている。RAM12には、種々のデータが記憶される。CPU11は、表示部14に種々の情報を表示する。例えば、後述する撮像装置処理が行われている場合に、処理の進捗を表示できる。
【0040】
図4~
図6を参照し、試薬部材51と配置部材18との構成について説明する。
図4及び
図5において、紙面の上側、下側、左側、右側、手前側、奥行き側を、それぞれ、試薬部材51及び配置部材18の上側、下側、左側、右側、前側、後側と定義して説明する。また、左右方向を一方向という場合があり、一方向に直交する上下方向を直交方向という場合がある。
【0041】
図5(H)を参照し、試薬ユニット5について説明する。試薬ユニット5は、試薬部材51と接続部材52とを備えている。試薬部材51は、平面視で、一方向に延びる矩形状である。接続部材52は、試薬部材51の一端である右端に接続されている。接続部材52は、平面視で左右方向に長い矩形状である。接続部材52は、直交方向において、試薬部材51より長い。このため、直交方向において、接続部材52の長さが試薬部材51の長さ以下である場合に比べて、接続部材52をユーザが把持しやすい。
【0042】
試薬部材51は、一例として、可撓性のある厚紙で形成されている。試薬部材51には、複数(本実施形態では一例として6つ)の試薬511が、互いに左右方向に離間して配置されている。なお、試薬511は、例えば、試薬部材51を形成する厚紙に試薬511を染み込ませることで試薬部材51に配置されてもよいし、試薬511を染み込ませた紙を、試薬部材51を形成する厚紙に貼り付けることで、試薬部材51に配置されてもよい。
【0043】
接続部材52は、一例として、可撓性のある紙等のシートである。本実施形態では、一例として、接続部材52は、シールであるとする。より詳細には、接続部材52は、粘着面523を有する粘着部材521と、粘着面523に剥離可能に貼り合わせられる台紙522とを有するシールである(
図4(D)参照)。
【0044】
接続部材52の前面の左下部には、コード525と、検査概要表示526とが印刷されている。コード525と検査概要表示526とは、後述するS84(
図23参照)の処理において印刷される。コード525は、試薬ユニット5の種類を示す情報と、検査対象を示す情報とを含む。本実施形態では、一例として、コード525は、QRコード(登録商標)である。また、検査概要表示526として、「2022/12/14 banaei」と記載されている。
【0045】
図4(A)及び
図6を参照し、配置部材18について説明する。配置部材18は、前後方向に厚みを有する板状である(
図6参照)。配置部材18の左端部において、上下方向の中央部には、左方向に突出する突出部181が設けられている。配置部材18において、上下左右方向の内側には、後方に凹んだ凹部182が設けられている。
【0046】
凹部182は、試薬部材配置部183と接続部材配置部184とを有する。試薬部材配置部183は、配置部材18の左部において一方向に延びる。試薬部材配置部183は、試薬ユニット5の試薬部材51が配置される部位である(
図5(G)参照)。試薬部材配置部183は、平面視で、一方向に延びる矩形状である。接続部材配置部184は、試薬部材配置部183の一端である右端に接続されている。接続部材配置部184は、直交方向において試薬部材配置部183よりも長い。試薬部材配置部183は、平面視で矩形状である。接続部材配置部184は、試薬ユニット5の接続部材52が配置される部位である(
図5(G)参照)。
【0047】
本実施形態では、一例として、試薬ユニット5の接続部材52の左右方向の長さは、接続部材配置部184の左右方向の長さより長い。このため、試薬ユニット5が凹部182に配置された場合、接続部材52の右部は、接続部材配置部184よりも右側に位置する(
図5(G)参照)。
【0048】
図4及び
図5を参照して、試薬ユニット5の作成方法について説明する。
図4(A)及び
図4(B)に示すように、試薬部材51が、試薬部材配置部183に配置されて位置決めされる。このとき、試薬部材51の左端は、試薬部材配置部183の左端に当接する。試薬部材51の右端部は、接続部材配置部184に位置している。なお、試薬部材51は、市場で販売されている試薬部材51を使用してもよいし、ユーザが独自に作成した試薬部材51を使用してもよい。
【0049】
次いで、
図4(C)及び
図4(D)に示すように、接続部材52が用意される。接続部材52は、後述するS84(
図23参照)の処理において作成される。なお、
図4(D)は、接続部材52がシールであることを説明するための図である。このため、接続部材52を接続部材配置部184に配置する前に、粘着部材521の一部を台紙522から剥がす必要はない。
【0050】
次いで、
図5(E)に示すように、接続部材52が、接続部材配置部184に配置されて位置決めされる。このとき、接続部材52は、試薬部材51の右端部の後側に配置される。また、接続部材52の左端は、接続部材配置部184の左端に当接する。
【0051】
次いで、
図5(F)に示すように、接続部材52の粘着部材521の一部(左端部)が台紙522から剥がされ、粘着部材521と台紙522との間に、試薬部材51の右端部が配置される。
【0052】
次いで、
図5(G)に示すように、粘着部材521と台紙522との間で試薬部材51の一端である右端部を挟んだ状態で、粘着部材521と台紙522とが接着される。これによって、
図5(H)に示すように、試薬ユニット5が作成される。
【0053】
このように、試薬部材51と接続部材52との両方を位置決めした上で、試薬ユニット5を作成することができる。このため、試薬部材51と接続部材52との少なくとも一方が位置決めされない場合に比べて、試薬ユニット5における試薬部材51と接続部材52との位置関係が安定する。よって、撮像装置10のカメラ16を使用する後述するS8(
図20参照)の処理によって、より確実に試薬ユニット5を撮像することができる。
【0054】
図7を参照し、検査項目データテーブル90について説明する。検査項目データテーブル90は、SSD33に記憶されている。検査項目データテーブル90には、検査項目と略称とが対応付けられて、記憶されている。
図7においては、検査項目「ペーハー」と略称「PH」とが対応付けられ、検査項目「総硬度」と略称「GH」とが対応付けられている。検査項目「亜硝酸塩」と略称「NO2」とが対応付けられ、検査項目「硝酸塩」と略称「NO3」とが対応付けられている。検査項目「総塩素」と略称「Cl2」とが対応付けられ、検査項目「炭酸塩硬度」に略称「KH」が対応付けられている。
【0055】
図8を参照し、補正値データテーブル91について説明する。補正値データテーブル91は、SSD33に記憶されている。補正値データテーブル91には、個体ID「A001」、回転角度「3」、X方向補正値「-10」、Y方向補正値「-2」、及び縮尺「1」が対応付けられている。その他、
図8に示すように、対応付けられている。個体ID、回転角度、X方向補正値、Y方向補正値、及び縮尺は、補正値である。補正値の使用方法は後述する。
【0056】
図9を参照し、試薬ユニットデータテーブル93について説明する。試薬ユニットデータテーブル93は、SSD33に記憶されている。試薬ユニットデータテーブル93には、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、試薬部材名「第五試験紙」、項目「QR-code」、及び位置データ(座標)「(X11,Y11)~(X12,Y12)」、表示順「0」が対応付けられて記憶されている。その他、
図9に示すように記憶されている。
【0057】
図10を参照し、基準色データテーブル94について説明する。基準色データテーブル94は、SSD33に記憶されている。基準色データテーブル94には、試薬部材名「第五試験紙」、項目「GH」、及び、基準色画像データ「総硬度(GH)の基準色画像データ」、及び基準値「0,75,150,250,350」が対応付けられて記憶されている。基準色画像データは、基準色画像84のデータである。
図10では、わかりやすくするために、記憶されている基準色画像データに基づく基準色画像84の画像も記載している。その他、
図10に示すように記憶されている。
【0058】
図11を参照し、検査情報データテーブル95について説明する。検査情報データテーブル95は、SSD33に記憶されている。検査情報データテーブル95には、検査対象「バナエイエビ水槽」、検査対象の略称「banaei」、基準色のファイル「第五基準色一覧画像」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、及び複数印刷「YES」と記憶されている。その他、
図11に示すように登録されている。
【0059】
図12を参照し、検査結果データテーブル96について説明する。検査結果データテーブル96は、SSD33に記憶されている。検査結果データテーブル96には、日付「2022/12/14」、検査対象「バナエイエビ水槽」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、試薬ユニット画像データ「受信された試薬ユニット画像データ」、基準色一覧画像78のデータである基準色一覧画像データ「取得された基準色一覧画像データ」、項目「GH」、試薬画像データ「GHの試薬画像データ」、推定された検査値「70」、決定された検査値「65」、及び表示順「1」が登録されている。その他、
図12に示すように記憶されている。
【0060】
以下の説明において、
図13~
図19の紙面上側、下側、左側、右側を、夫々、表示部34の上側、下側、左側、右側と定義して説明する。
図13を参照し、検査項目設定画面61について説明する。検査項目設定画面61は、検査項目と略称を設定する画面である。検査項目とは、試薬511の反応を使用した検査の項目である。検査項目設定画面61には、検査項目入力部611と登録ボタン610とが表示されている。ユーザは、操作部36を操作して、表示部34に表示されたカーソル68を動かして、各種の入力欄とボタンとを選択する(後述する各種の画面においても同様)。検査項目入力部611には、検査項目入力欄612と略称入力欄613とが表示されている。ユーザは、操作部36を操作して、検査項目入力欄612に検査項目を入力する。ユーザは、操作部36を操作して、略称入力欄613に、検査項目の略称を入力する。
図13に示す例では、検査項目入力欄612に検査項目「ペーハー」が入力され、略称入力欄613に、ペーハーの略称「PH」が入力されている。
【0061】
検査項目入力部611の上側には、登録ボタン610が表示されている。登録ボタン610が操作されると、検査項目入力部611に入力された情報が、検査項目データテーブル90(
図7参照)に登録される。
【0062】
図14を参照し、試薬ユニット情報設定画面62について説明する。試薬ユニット情報設定画面62は、試薬ユニット5に関する情報を設定するための画面である。試薬ユニット情報設定画面62の左部には、試薬ユニット画像70が表示され、右部には試薬ユニット情報入力部71が表示されている。以下の説明では、試薬ユニット情報設定画面62に表示される試薬ユニット画像70を、試薬ユニット画像701という場合がある。試薬ユニット画像701は、後述するS8(
図20参照)に処理によって撮像され、PC30に送信された画像である。
【0063】
試薬ユニット情報入力部71には、複数の行73が表示されている。それぞれの行73には、試薬ユニット画像701における試薬部材51及び試薬511についての情報が入力される。本実施形態の試薬ユニット画像701には6個の試薬511と1個のコード525が配置されているので、
図14に示す例では、7行の行73が表示されている。それぞれの行73には、番号表示欄731、削除ボタン732、試薬部材名入力欄733、項目入力欄734、表示順入力欄736、及び座標入力ボタン737が設けられている。
【0064】
項目入力欄734の右部には、下矢印が表示されたプルダウン部738が設けられている。ユーザが操作部36を操作して、プルダウン部738が操作されると、項目の一覧739が表示される。ユーザが操作部36を操作して、一覧739の項目から1つの項目を選択すると、選択された項目が、項目入力欄734に入力される。
【0065】
番号表示欄731は、行73の順番が、上から順に表示される欄である。
図14に示す例では、1~7の数字が表示されている。削除ボタン732は、行73を削除するためのボタンである。削除ボタン732が操作されると、CPU31は、操作された削除ボタン732を含む行73を削除する。
【0066】
試薬部材名入力欄733は、試薬部材51の名称を入力する欄である。
図14に示す例では、全ての行73に、「第五試験紙」と表示されている。第五試験紙は、
図5(H)の試薬ユニット5の試薬部材51の名称である。項目入力欄734は、項目を入力する欄である。
図14に示す例では、上の行73から順に、項目「QR-code」、「GH」、「NO2」、「NO3」、「Cl2」、「PH」、「KH」と入力されている。
【0067】
表示順入力欄736は、後述する検査結果画面67の項目553(
図19参照)に表示する場合の表示の順番を入力する欄である。表示順が小さいほど、検査結果画面67における項目553の欄において左側に表示される。なお、コード525を示す項目「QR-code」は、項目553の欄には表示されないので、「0」に設定されている。
【0068】
座標入力ボタン737は、試薬ユニット画像701上での座標を指定するためのボタンである。ユーザは、操作部36を操作して、試薬ユニット画像701において四角形で囲むことによって、位置を指定できる。
【0069】
試薬ユニット情報入力部71の上側には、登録ボタン621、行追加ボタン622、及び撮像ボタン623が設けられている。登録ボタン621が操作されると、試薬ユニット情報入力部71に入力された情報が、試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)に登録される。行追加ボタン622が操作されると、行73が追加される。これによって、ユーザは、登録する試薬511等の数を増やすことができる。撮像ボタン623が操作されると、撮像装置10において試薬ユニット画像701が撮像される。
【0070】
図15を参照し、基準色画像設定画面63について説明する。基準色画像設定画面63の左部には基準色一覧画像78が表示され、右部には基準色情報入力部75が表示されている。基準色一覧画像78は、試薬部材51に配置された試薬511に関する基準色が一覧で表示された画像である。基準色一覧画像78は、例えば、市販されている試薬部材51のメーカーによって、試薬部材51のセットに同封された紙を、スキャナによって取り込んだ画像、又は、カメラで撮影した写真画像である。
【0071】
図15に示す例では、基準色一覧画像78には、試薬名781、基準色79、及び基準値表示80が表示されている。例えば、試薬名781「総硬度(GH)」の右側に、5個の基準色79が表示されている。最も左側の基準色79の上側に基準値表示80「0」が表示され、左から2番目の基準色79の上側に基準値表示80「50-100」が表示されている。左から3番目の基準色79の上側に基準値表示80「150」が表示され、左から4番目の基準色79の上側に基準値表示80「200-300」がされている。最も右側の基準色79の上側に基準値表示80「350」が表示されている。同様に、試薬名781「亜硝酸塩(NO2)」、「硝酸塩(NO3)」、「総塩素(Cl2)」、「pHの値」、「炭酸塩硬度(KH)」についても、基準色79と基準値表示80が表示されている。
【0072】
なお、
図5(H)に示す試薬ユニット5の6つの試薬511は、左から右側に向けて、「総硬度(GH)」、「亜硝酸塩(NO2)」、「硝酸塩(NO3)」、「総塩素(Cl2)」、「ペーハー」、「炭酸塩硬度(KH)」の順に並んでいる。基準色一覧画像78における「pHの値」は、試薬ユニット5の試薬511の「ペーハー」についての基準色である。
【0073】
基準色情報入力部75には、複数の行76が、複数表示されている。それぞれの行76には、試薬部材51についての基準色79についての情報が入力される。
図15に示す例では、基準色一覧画像78には6個の試薬511の基準色79が配置されているので、6行の行76が表示されている。それぞれの行76には、番号表示欄741、削除ボタン742、試薬部材名入力欄743、項目入力欄744、基準値入力欄745、及び座標入力ボタン747が設けられている。
【0074】
項目入力欄744の右部には、下矢印が表示されたプルダウン部748が設けられている。ユーザが操作部36を操作して、プルダウン部748が操作されると、項目の一覧749が表示される。ユーザが操作部36を操作して、一覧749の項目から1つの項目を選択すると、選択された項目が、項目入力欄744に入力される。
【0075】
番号表示欄741は、行76の順番が、上から順に表示される欄である。
図15に示す例では、1~6の数字が表示されている。削除ボタン742は、行76を削除するためのボタンである。削除ボタン742が操作されると、CPU31は、操作された削除ボタン732を含む行76を削除する。
【0076】
試薬部材名入力欄743は、試薬部材51の名称を入力する欄である。
図15に示す例では、全ての行76に、「第五試験紙」と表示されている。項目入力欄744は、項目を入力する欄である。
図15に示す例では、上の行76から順に、項目「GH」、「NO2」、「NO3」、「Cl2」、「PH」、「KH」と入力されている。
【0077】
基準値入力欄745は、機械学習や数値予測にて利用する各試験項目に対応する値を入力する欄である。
図15に示す例では、上の行76から順に、基準値入力欄745に基準値「0,75,150,250,350」、「0,0.375,2,10」「0,7.5,25,50,100」「0,0.8,1.5,3」「6.4,6.8,7.2,7.6,8.0,8.4」「0,40,80,150,250,500」と入力されている。
【0078】
座標入力ボタン747は、基準色一覧画像78上での座標を指定するためのボタンである。ユーザは、操作部36を操作して、基準色一覧画像78において四角形で囲むことによって、位置を指定できる。
【0079】
基準色情報入力部75の上側には、登録ボタン631及び行追加ボタン632が設けられている。登録ボタン631が操作されると、基準色情報入力部75に入力された情報が、基準色データテーブル94(
図10参照)に登録される。行追加ボタン632が操作されると、行76が追加される。これによって、ユーザは、登録する基準色79の画像である基準色画像84の基準色画像データ(
図10参照)の数を増やすことができる。
【0080】
図16を参照し、補正値設定画面64について説明する。補正値設定画面64には、差分画像89、差分画像撮像指示ボタン642、補正値入力部48、及び決定ボタン645が表示されている。差分画像撮像指示ボタン642は、補正値設定画面64の左上部に表示されている。差分画像撮像指示ボタン642が操作されると、差分画像89が生成されて、補正値設定画面64に表示される(
図21のS26参照)。
【0081】
図17に示すように、差分画像89は、基準画像891と、S3(
図20参照)において撮像される実画像892とが重ねられた画像である。基準画像891は、基準となる位置に試薬ユニット5が表示された画像である。試薬ユニット画像70における試薬ユニット5の位置が、基準画像891の試薬ユニット5の位置にあれば、撮像装置10によって、後述する試薬画像59が取得される場合の精度が高くなる。基準画像891においては、四角形のコード525の左右の辺が、上下方向と平行であり、上下の辺が左右方向と平行である。本実施形態では、四角形のコード525の左右の辺が、上下方向に平行であり、上下の辺が左右方向に平行の場合、コード525の傾きは「0」であるとする。基準画像891は、例えば、撮像装置10の製造時に、フラッシュメモリ13に記憶されている。
【0082】
実画像892は、撮像装置10のカメラ16によって撮像された試薬ユニット5の画像である。撮像装置10の個体によって、基準画像891に表示される試薬ユニット5に対して、実画像892に表示される試薬ユニット5の位置、傾き、縮尺等がずれる場合がある。差分画像89が表示されることで、ユーザは、基準画像891と実画像892とのずれを容易に確認できる。
【0083】
以下の説明では、一例として、基準画像891に表示された試薬ユニット5、実画像892に表示された試薬ユニット5、及び
図5(H)に示す試薬ユニット5は、互いに異なる試薬ユニットであるとする。このため、検査概要表示526に記載された文字、及びコード525が、互いに異なる。以下の説明では、基準画像891に表示された試薬ユニット5を試薬ユニット5Aという場合があり、実画像892に表示された試薬ユニット5を試薬ユニット5Bという場合がある。なお、基準画像891に表示された試薬ユニット5、実画像892に表示された試薬ユニット5、及び
図5(H)に示す試薬ユニット5は、互いに同じ試薬ユニットであってもよい。
【0084】
図16に示すように、補正値入力部48には、回転角度入力欄481、X方向補正値入力欄482、Y方向補正値入力欄483、及び縮尺入力欄484が表示されている。回転角度入力欄481は、実画像892の傾きを基準画像891に近づけるための回転角度の補正値を入力する欄である。本実施形態では一例として、回転角度の補正値として、0度から360度の範囲で入力可能である。X方向補正値入力欄482は、実画像892のX方向(
図16では左右方向)の位置を、基準画像891に近づけるためのX方向の補正値を入力する欄である。Y方向補正値入力欄483は、実画像892のY方向(
図16では上下方向)の位置を、基準画像891に近づけるためのY方向の補正値を入力する欄である。縮尺入力欄484は、実画像892の縮尺を基準画像891に近づけるための縮尺の補正値を入力する欄である。本実施形態では一例として、縮尺の補正値として、0.1倍から2倍の範囲で入力可能である。
【0085】
決定ボタン645は、補正値入力部48の下側に表示されている。決定ボタン645が操作されると、補正値入力部48に入力された補正値が、補正値データテーブル91(
図8参照)に記憶される。該補正値は、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きを補正するための補正値であって撮像装置10の個体に対応する補正値である。
【0086】
図18を参照し、検査情報設定画面65について説明する。検査情報設定画面65には、検査情報入力部651と登録ボタン660とが表示されている。検査情報入力部651には、検査対象情報入力欄652、検査対象略称入力欄653、基準色ファイル入力欄654、試薬ユニット入力欄655、及び複数印刷設定入力欄656、変更ボタン657、変更ボタン658、及び変更ボタン659が表示されている。
【0087】
検査対象情報入力欄652は、試薬ユニット5が使用した検査が行われる対象を入力する欄である。例えば、「第一小学校のプール」、「養殖鮎水槽」「山田太郎さんの尿検査」などの情報が入力される。
図18に示す例では、「バナエイエビ水槽」と入力されている。検査対象略称入力欄653は、検査対象情報入力欄652に入力された検査対象の略称が入力される欄である。
図18に示す例では、「banaei」と入力されている。
【0088】
基準色ファイル入力欄654は、基準色一覧画像78の基準色一覧画像データのファイル名が入力される。
図15に示す基準色一覧画像78の基準色一覧画像データのファイル名は、「第五基準色一覧画像」であるとする。
図18に示す例では、基準色ファイル入力欄654に「第五基準色一覧画像」と入力されている。なお、SSD33には、複数の基準色一覧画像78の基準色一覧画像データを記憶可能である。ユーザは、変更ボタン657を操作することで、SSD33に記憶された複数の基準色一覧画像78の基準色一覧画像データのファイルから、1つのファイルを選択できる。選択されたファイルが、基準色ファイル入力欄654に入力される。
【0089】
試薬ユニット入力欄655は、使用される試薬ユニット5の種類が入力される欄である。なお、試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)のファイル名は、SSD33に記憶されている。
図9に示す試薬ユニットデータテーブル93のファイルは、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」についてのファイルである。
図18に示す例では、「第八試薬ユニット」と入力されている。これによって、試薬ユニット5の種類が示されている。なお、SSD33には、試薬ユニット5の種類ごとに、複数の試薬ユニットデータテーブル93を記憶可能である。ユーザは、変更ボタン658を操作することで、SSD33に記憶された複数の試薬ユニットデータテーブル93のファイルから、1つのファイルを選択できる。選択されたファイルが、試薬ユニット入力欄655に入力される。
【0090】
複数印刷設定入力欄656は、コード525を備えた接続部材52を作成する場合に、コード525及び検査概要表示526を複数印刷するか否かを設定する欄である。
図16に示す例では、一例として、複数印刷をすることを示す「YES」と入力されている。なお、ユーザは、変更ボタン659を操作することで、複数印刷を行う「YES」と、1枚のみ印刷する「NO」とを選択できる。登録ボタン660が操作されると、検査情報入力部651に入力された情報が、検査情報データテーブル95(
図11参照)に登録される。
【0091】
図19を参照し、検査結果画面67について説明する。検査結果画面67の左部には、検査結果欄671が表示されている。検査結果欄671の上側には、機械学習ボタン698が表示されている。検査結果画面67の右上部には、基準色一覧画像78が表示され、右下部には、試薬ユニット画像70が表示されている。以下の説明では、検査結果画面67に表示される試薬ユニット画像70を試薬ユニット画像702という場合がある。
【0092】
検査結果欄671には、複数の行55が表示されている。それぞれの行55には、検査情報表示551、検査値登録ボタン552、試薬画像59、項目553、検査結果入力欄554、縮小画像555、再分析ボタン556、及び推定検査値表示559が設けられている。
【0093】
行55は、後述するS114(
図25参照)の処理が行われる度に、一番上に追加され、それまでに表示されていた行55が繰り下げられて表示される。
図19に示す例において、最も上側の行55の左端部に表示された検査値登録ボタン552の上側には、検査情報表示551「2022/12/14 バナエイエビ水槽」と表示されている。検査情報表示551は、検査結果データテーブル96(
図12参照)における「日付」「検査対象」の内容である。
【0094】
最も上側の行55における6つの試薬画像59は、検査結果データテーブル96(
図12参照)に登録された試薬画像59が、左右方向に並べられたものである。試薬画像59の上側には、項目553である「GH」、「NO2」、「NO3」、「Cl2」、「PH」、「KH」が表示されている。項目553は、その下側の試薬画像59に対応する項目について記載されている。項目553は、検査結果データテーブル96(
図12参照)における「項目」の内容である。
【0095】
検査結果入力欄554は、試薬画像59の下側に設けられている。ユーザは、操作部36を操作して、カーソル68によって検査結果入力欄554を選択し、上側の試薬画像59についての検査結果を入力できる。
【0096】
検査結果入力欄554の下側には、推定検査値表示559が表示されている。推定検査値表示559は、検査結果データテーブル96(
図12参照)における「推定された検査値」の数値である。
【0097】
試薬画像59の右側には、縮小画像555が表示されている。縮小画像555には、基準色一覧画像78及び試薬ユニット画像70の縮小された画像が、左右方向に並べて表示されている。
【0098】
縮小画像555の右側には、再分析ボタン556が表示されている。再分析ボタン556が操作されると、後述するS171:YES(
図26参照)の処理が実行され、再検査が行われる。
【0099】
図20を参照し、撮像装置処理について説明する。撮像装置処理は、撮像装置10が画像をPC30に送信する処理である。撮像装置10の電源がONされると、撮像装置10のCPU11は、撮像装置処理のプログラムをフラッシュメモリ13から読み出し、RAM12に展開する。CPU11は、撮像装置処理のプログラムに従って、撮像装置処理を実行する。
【0100】
撮像装置処理では、まず、差分画像89を生成するか否かが判断される(S1)。差分画像89を生成しない場合(S1:NO)、試薬ユニット5を撮像するか否かが判断される(S2)。試薬ユニット5を撮像しない場合(S2:NO)、処理はS1に戻る。
【0101】
ユーザによる操作部36の操作によって、補正値設定画面64の差分画像撮像指示ボタン642(
図16参照)が操作されると、PC30における後述するS24(
図21参照)の処理によって、差分画像89を要求する信号である差分画像要求信号が、撮像装置10に送信される。CPU11は、差分画像要求信号を受信すると、差分画像89を生成すると判断し(S1:YES)、カメラ16を使用して試薬ユニット5の撮像を行う(S3)。S3で撮像される試薬ユニット5の画像は、補正されていない実画像である。一例として、
図17に示す実画像892のデータが生成されたとする。
【0102】
次いで、差分画像89(
図17参照)のデータである差分画像データが生成される(S4)。
図17に示すように、一例として、CPU11は、フラッシュメモリ13に予め記憶された基準画像891と、S3の処理において撮像された試薬ユニット5の画像(すなわち、実画像892)とを重ねて、差分画像89についての差分画像データを生成する。
【0103】
次いで、S4で生成された差分画像89の差分画像データが、PC30に送信される(S5)。送信された差分画像89の差分画像データは、後述するPC30のS25(
図21参照)の処理によって受信され、補正値の決定に使用される。次いで、処理は、S1に戻る。
【0104】
ユーザによってスイッチ17(
図1参照)が押下された場合、又は、PC30のS46(
図22参照)によって送信される撮像指示信号が受信された場合、CPU11は、試薬ユニット5を撮像すると判断し(S2:YES)、撮像装置10の個体に対応する補正値を要求する信号である補正値要求信号を、PC30に送信する(S6)。送信された補正値要求信号は、PC30のS47(
図22参照)の処理によって受信される。
【0105】
次いで、PC30のS49(
図22参照)の処理によって送信される補正値が受信されたか否かが判断される(S7)。補正値が受信されていない場合(S7:NO)、S7の処理が繰り返される。
【0106】
補正値が受信された場合(S7:YES)、カメラ16(
図2参照)が使用され、試薬ユニット5の撮像が行われる(S8)。次いで、S8で撮像された試薬ユニット5の画像である試薬ユニット画像70が、S7で受信された補正値によって補正される(S9)。これによって、S8で撮像された試薬ユニット画像70の縮尺、位置(X方向の位置、Y方向の位置)、及び傾きが補正される。S8において撮像され、S9で補正された画像の例については後述する。次いで、S9において補正された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが、PC30に送信される(S10)。送信された試薬部ユニット画像データは、PC30のS50(
図22参照)の処理によって受信される。次いで、処理はS1に戻る。
【0107】
図22~
図23を参照し、情報設定処理について説明する。情報設定処理は、試薬ユニット5を使用した検査を行う前に、種々の情報を設定する処理である。ユーザによって操作部36が操作され、情報設定処理を行う指示が入力された場合、CPU31は、SSD33に記憶されている情報設定処理のプログラムを読み出し、RAM32に展開する。CPU31は、情報設定処理のプログラムに従って、情報設定処理を実行する。以下の説明においては、適宜具体例を示しながら説明する。
【0108】
情報登録処理では、まず、補正値を設定するか否かが判断される(S21)。補正値を設定しない場合(S21:NO)、検査項目を登録するか否かが判断される(S31)。検査項目を登録しない場合(S31:NO)、
図22に示すように、試薬ユニット5を登録するか否かが判断される(S41)。試薬ユニット5を登録しない場合(S41:NO)、
図23に示すように、基準色画像84の登録を行うか否かが判断される(S61)。基準色画像84の登録を行わない場合(S61:NO)、検査情報を登録するか否かが判断される(S71)。検査情報を登録しない場合(S71:NO)、接続部材52を作成するか否かが判断される(S81)。接続部材52を作成しない場合(S81:NO)、処理は、
図21に示すS21に戻る。
【0109】
前述したように、撮像装置10の個体によって、基準画像891に表示された試薬ユニット5Aに対して、実画像892に表示された試薬ユニット5Bの位置、傾き、縮尺等がずれる場合がある(
図17参照)。ずれた状態のままだと、検査結果画面67(
図19参照)における試薬ユニット画像70の位置、傾き、縮尺等もずれるため、ユーザが試薬ユニット画像70の試薬ユニット5を確認し難くなったり、CPU31が試薬画像59を取得し難かったりする可能性がある。このため、撮像装置10を最初に使用する場合には、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きを補正するための補正値を設定する必要がある。ユーザは、補正値を設定する場合、撮像装置10の配置部材18に試薬ユニット5Bを配置して、撮像装置10の挿入口191から挿入する(
図2(B)参照)。なお、使用される試薬ユニット5Bは、サンプルとして予め作成されているものでもよいし、後述するS84(
図23参照)の処理においてコード525を印刷して作成されたものでもよい。
【0110】
ユーザが操作部36を操作して、補正値を設定する操作を行うと、CPU31は補正値を設定すると判断し(S21:YES)、補正値設定画面64(
図16参照)を開く(S22)。なお、このとき、差分画像89は表示されていなくてもよいし、過去に取得された差分画像89が表示されていてもよい。
【0111】
次いで、差分画像89を撮像するか否かが判断される(S23)。差分画像89を撮像しない場合(S23:NO)、S23の処理が繰り返される。
【0112】
補正値設定画面64(
図16参照)において、差分画像撮像指示ボタン642が操作されると、CPU31は、差分画像を撮像すると判断し(S23:YES)、差分画像89を要求する信号である差分画像要求信号を、撮像装置10に送信する(S24)。
【0113】
次いで、撮像装置10(
図20参照)のS5の処理によって送信される差分画像データが受信されたか否かが判断される(S25)。差分画像データが受信されていない場合(S25:NO)、S25の処理が繰り返される。
【0114】
S24で送信された差分画像要求信号は、撮像装置10のS1(
図20参照)の処理において受信され、差分画像89を生成すると判断される(
図20のS1:YES)。そして、差分画像89(
図17参照)の差分画像データが生成され(
図20のS4)、PC30に送信される(
図20のS5)。
【0115】
差分画像データが受信された場合(S25:YES)、受信された差分画像データに基づく差分画像89が、表示部34に表示される(S26)。これによって、補正値設定画面64に、S23で受信された差分画像89が表示される(
図16参照)。
【0116】
次いで、補正値が決定されたか否かが判断される(S27)。補正値が決定されていない場合(S27:NO)、S27の処理が繰り返される。S27の処理において、差分画像89に基づいて決定された補正値の入力が受け付けられる。
【0117】
ユーザは、補正値設定画面64(
図16参照)の差分画像89を確認して、基準画像891の試薬ユニット5Aと、実画像892の試薬ユニット5Bとの位置、傾き、縮尺等のずれを確認する。そして、ユーザは、実画像892の試薬ユニット5Bを、基準画像891の試薬ユニット5Aに近づけるための補正値を、補正値入力部48に入力する。
図16に示す例では、回転角度入力欄481に「3」と入力され、X方向補正値入力欄482に「-10」と入力されている。Y方向補正値入力欄483に「-2」と入力され、縮尺入力欄484に「1」と入力されている。なお、補正値が入力される度に、補正値に応じて基準画像891に対して実画像892が移動して、ユーザが、基準画像891に実画像892が近づいたか否かを確認できるようにしてもよい。
【0118】
決定ボタン645が操作されると、補正値が決定されたと判断され(S27:YES)、決定された補正値が、SSD33に記憶される(S28)。これによって、S27において入力が受け付けられた補正値が記憶される。S27においては、図示しない、個体ID「A001」の補正値が登録されていない補正値データテーブル91から、
図8に示すように、個体ID「A001」の補正値が新たに登録された補正値データテーブル91に変化する。
図8の補正値データテーブル91では、個体ID「A001」、回転角度「3」、X方向補正値「-10」、Y方向補正値「-2」、縮尺「1」と登録されている。なお、個体IDは、撮像装置10の個体ごとに付与されているIDである。個体IDは、例えば、撮像装置10とPC30との通信が可能な状態となった場合にPC30に認識される。本実施形態の撮像装置10の個体IDは「A001」である。次いで、処理はS21に戻る。なお、S28で生成された補正値が、後述するS49(
図22参照)で撮像装置10に送信され、試薬ユニット画像70が補正される(
図20のS9)。
【0119】
具体例において、新しい試薬部材51が使用される場合、試薬部材51に配置されている試薬511は、PC20のSSD33に記憶されていない。このため、ユーザは、新しい試薬部材51を使用する場合、試薬部材51に配置されている試薬511の名称を、「検査項目」「略称」として、SSD33に記憶させる。
【0120】
ユーザによって操作部36が操作され、検査項目を登録する指示が入力された場合、CPU31は検査項目を登録すると判断し(S31:YES)、検査項目設定画面61(
図13参照)を、表示部34に表示する(S32)。次いで、検査項目の入力が完了したか否かが判断される(S33)。検査項目の入力が完了していない場合(S33:NO)、S33の処理が繰り返される。
【0121】
ユーザは、操作部36を操作して、検査項目設定画面61に入力を行う。例えば、
図13に示すように、検査項目設定画面61において、検査項目入力欄612に検査項目「ペーハー」が入力され、略称入力欄613に略称「PH」が入力されたとする。登録ボタン610が操作されると、CPU31は、検査項目の入力が完了したと判断し(S33:YES)、入力された検査項目が記憶される(S34)。これによって、検査項目データテーブル90(
図7参照)に記憶される。具体例の場合、検査項目「ペーハー」、略称「PH」が、検査項目データテーブル90(
図7参照)に記憶される。検査項目データテーブル90(
図7参照)に登録されている他の検査項目及び略称(例えば、検査項目「総硬度」及び略称「GH」等)は、S34の処理によって記憶されたものである。次いで、処理は、S21に戻る。
【0122】
具体例において、新しい試薬部材51を使用した、新しい試薬ユニット5が使用される場合、PC30のSSD33に試薬ユニット5に関する情報が記憶されていない。このため、ユーザは、新しい試薬ユニット5を使用する場合、コード525及び試薬511が配置されている位置を、SSD33に記憶させる。
【0123】
ユーザによって操作部36が操作され、試薬ユニット5を登録する指示が入力された場合、CPU31は試薬ユニット5を登録すると判断し(S41:YES)、試薬ユニット情報設定画面62(
図14参照)を、表示部34に表示する(S42)。なお、このとき、試薬ユニット画像70は表示されていなくてもよい。また、行73は表示されていなくてもよい。次いで、試薬ユニット5に関する情報の入力が完了したか否かが判断される(S43)。試薬ユニット5に関する情報の入力が完了していない場合(S43:NO)、試薬ユニット画像70を撮像するか否かが判断される(S44)。試薬ユニット画像70を撮像しない場合(S44:NO)、位置を指定するか否かが判断される(S45)。位置を指定しない場合(S45:NO)、処理はS43に戻る。
【0124】
ユーザは、試薬ユニット5を配置部材18に配置し、撮像装置10の挿入口191から挿入する。これによって、試薬ユニット5が撮像装置10に配置される(
図2(B)参照)。なお、一例として、配置される試薬ユニット5は、
図14に示す試薬ユニット5であるとする。しかし、配置される試薬ユニット5は、コード525と試薬511との位置が、第八試薬ユニットの位置にあればよい。このため、例えば、検査概要表示526は、表示されなくてもよいし、コード525に含まれる情報が存在しなくてもよい。この試薬ユニット5の接続部材52は、後述するS83で印刷されたものでもよいし、S83とは異なる処理によって印刷されたテスト用のものでもよい。
【0125】
ユーザによって操作部36が操作され、撮像ボタン623(
図14参照)が操作されると、CPU31は、試薬ユニット画像70を撮像すると判断し(S44:YES)、試薬ユニット画像70の撮像を指示するための撮像指示信号が、撮像装置10に送信される(S46)。次いで、撮像装置10の個体に対応する補正値を要求する補正値要求信号が受信されたか否かが判断される(S47)。撮像装置10から送信される補正値要求信号が受信されていない場合(S47:NO)、S47の処理が繰り返される。
【0126】
S46において送信された撮像指示信号は、撮像装置10のS2(
図20の参照)の処理において受信され(
図20のS2:YES)、補正値要求信号が、PC30に送信される(
図20のS6)。CPU31は補正値要求信号を受信すると(S47:YES)、補正値を特定する(S48)。撮像装置10とPC30との通信が可能な状態となった場合に、撮像装置10の個体を示す個体IDがPC30に認識されている。なお、補正値要求信号に、個体IDが含まれていてもよい。CPU31は、補正値データテーブル91(
図8参照)を参照し、個体IDに対応する補正値を特定する。具体例では、ID「A001」に対応する補正値である回転角度「3」、X方向補正値「-10」、Y方向補正値「-2」、縮尺「1」が特定されたとする。
【0127】
次いで、S48で特定された補正値が、撮像装置10に送信される(S49)。次いで、試薬ユニット画像データが受信されたか否かが判断される(S50)。試薬ユニット画像データが受信されていない場合(S50:NO)、S50の処理が繰り返される。
【0128】
S49において送信された補正値は、撮像装置10に受信され(
図20のS7:YES)、試薬ユニット画像70が撮像され(
図20のS8)、補正値に従って、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される(
図20のS9)。
【0129】
具体例においては、S8(
図20参照)の処理において、
図24(A)のような試薬ユニット画像70が撮像されたとする。S9(
図20参照)の処理が行われると
図24(A)に示す試薬ユニット画像70が補正され、
図24(B)に示す試薬ユニット画像70が得られる。
図24(B)の試薬ユニット画像70は、
図24(A)の試薬ユニット画像70より、基準画像891(
図17参照)に近い。補正された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データがPC30に送信される(
図20のS10)。
【0130】
試薬ユニット画像データが受信されると(S50:YES)、受信された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70(試薬ユニット画像701)が、試薬ユニット情報設定画面62(
図14参照)に表示される(S51)。次いで、処理は、S43に戻る。
【0131】
ユーザは、操作部36を操作して、試薬ユニット情報入力部71に、試薬ユニット5に関する情報の入力を行う。ユーザは、行追加ボタン622を操作して、行73を追加できる。また、ユーザは、操作部36を操作して、試薬511及びコード525の位置を指定する。例えば、
図14に示す例のように、試薬ユニット情報入力部71に入力されたとする。
【0132】
項目入力欄734の右部の下矢印が表示されたプルダウン部738が操作されると、項目の一覧739が表示される。CPU31は「QR-code」を、一覧739に表示する。また、CPU31は、検査項目データテーブル90(
図7参照)に登録されている略称「PH」「GH」「NO2」「NO3」「Cl2」「KH」等を、一覧739に表示する。なお、検査項目データテーブル90の項目「ペーハー」「総硬度」「亜硝酸塩」「硝酸塩」「総塩素」「炭酸塩硬度」を、一覧739に表示してもよい。ユーザが操作部36を操作して、一覧739の項目から1つの項目を選択すると、選択された項目が、項目入力欄734に入力される。なお、項目を、項目入力欄734に直接入力できるようにしてもよい。
【0133】
例えば、最も上の行73において、試薬部材名入力欄733には、試薬ユニット5の試薬部材51の名称として「第五試験紙」と入力されている。項目入力欄734には、一覧739から選択されて「QR-code」と入力されている。また、上から2番目の行73には、試薬ユニット5の試薬部材51の名称として「第五試験紙」と入力されている。項目入力欄734には、一覧739から選択されて「GH」と入力されている。その他、
図14に示すように入力されている。
【0134】
座標入力ボタン737が操作されると、位置を指定すると判断され(S45:YES)、位置が入力されたか否が判断される(S52)。位置が入力されていない場合(S52:NO)、S52の処理が繰り返される。S52の処理によって、試薬ユニット5における試薬511の位置のデータである試薬位置データ、及び、試薬ユニット5におけるコード525の位置データの入力が受け付けられる。
【0135】
ユーザは、操作部36を操作して、試薬ユニット画像701における項目に対応する画像が表示されている範囲を四角形で囲むことによって、位置を指定できる。例えば、ユーザは、項目入力欄734に「QR-code」が入力されている行73の座標入力ボタン737を操作した後、試薬ユニット画像701においてコード525が表示されている範囲を、四角形861で囲む。四角形861で囲まれると、CPU31は、位置が入力されたと判断し(S52:YES)、四角形861で囲まれた位置(すなわち、試薬ユニット画像701における座標)が、SSD33に記憶される(S53)。具体例では、座標「(X11,Y11)~(X12,Y12)」が記憶されたとする。なお、「(X11,Y11)~(X12,Y12)」は、四角形861(
図14参照)によって囲まれた範囲を示す座標である。
【0136】
また、項目入力欄734に「GH」が入力されている、上から2番目の行73の座標入力ボタン737を操作した後、試薬ユニット画像701において「GH」の試薬511(すなわち、総硬度の試薬511。
図7参照)が表示されている範囲(一例として、試薬511の内側)を、四角形862で囲む。四角形862で囲まれると、CPU31は、位置が入力されたと判断し(S52:YES)、四角形862で囲まれた位置(すなわち、試薬ユニット画像701における座標)が、SSD33に記憶される(S53)。具体例では、座標「(X21,Y21)~(X22,Y22)」が記憶されたとする。「(X21,Y21)~(X22,Y22)」は、四角形862(
図14参照)によって囲まれた範囲を示す座標である。上から3番目~7番目の行73についても、同様の操作により、四角形863~867で囲まれた位置が記憶される。次いで処理は、S43に戻る。
【0137】
登録ボタン621が操作されると、試薬ユニット5に関する情報の入力が完了したと判断され(S43:YES)、試薬ユニット5に関する情報が対応付けられてSSD33に記憶される(S54)。具体例では、試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)に、試薬ユニット情報設定画面62(
図14参照)の試薬ユニット情報入力部71を使用して入力された情報が登録される。より詳細には、試薬部材名、項目、及びS53で記憶された位置データ(すなわち、座標)、及び表示順が登録される。例えば、試薬部材名「第五試験紙」、項目「QR-code」、位置データ(座標)「(X11,Y11)~(X12,Y12)」、及び表示順「0」が対応付けられて記憶される。また、例えば、試薬部材名「第五試験紙」、項目「GH」、位置データ(座標)「(X21,Y21)~(X22,Y22)」、及び表示順「1」が対応付けられて記憶される。その他の情報も、同様に記憶される。また、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」が試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)に登録される。本実施形態では、一例として、試薬ユニット5の種類は、CPU31によって自動的に決定されるとする。また、
図9に示す試薬ユニットデータテーブル93のファイル名も、「第八試薬ユニット」と設定されるとする。なお、ユーザが、試薬ユニット5の種類の名称、及び、試薬ユニットデータテーブル93のファイル名を設定できるようにしてもよい。
【0138】
項目「NO2」に対応付けられた座標は、四角形863(
図14参照)の範囲であり、項目「NO3」に対応付けられた座標は、四角形864の範囲である。項目「Cl2」に対応付けられた座標は、四角形865の範囲であり、項目「PH」に対応付けられた座標は、四角形866の範囲である。項目「KH」に対応付けられた座標は、四角形867の範囲である。次いで、処理は、S21(
図21参照)に戻る。
【0139】
図23に示すように、ユーザによって操作部36が操作され、基準色画像84を登録する指示が入力された場合、CPU31は基準色画像84を登録すると判断し(S61:YES)、基準色画像設定画面63(
図15参照)を、表示部34に表示する(S62)。なお、行76は表示されていなくてもよい。また、ユーザは、基準色画像84を登録する指示を入力する場合、SSD33に記憶されている複数の基準色一覧画像78の中から、基準色画像84に関する情報を入力しようとする基準色79が表示された1つの基準色一覧画像78を選択する。ユーザによって選択された基準色一覧画像78が、基準色画像設定画面63に表示される(
図15参照)。本実施形態では、一例として、
図15に表示された基準色一覧画像78のファイル名は、「第五基準色一覧画像」であるとする。
【0140】
次いで、基準色画像84に関する情報の入力が完了したか否かが判断される(S63)。基準色画像84に関する情報の入力が完了していない場合(S63:NO)、基準色画像84を選択するか否かが判断される(S64)。基準色画像84が選択されない場合(S64:NO)、処理はS63に戻る。
【0141】
ユーザは、操作部36を操作して、基準色画像84に関する情報の入力を行う。ユーザは、行追加ボタン632を操作して、行76を追加できる。また、ユーザは、操作部36を操作して、基準色画像84の位置を指定することで、基準色画像84を選択する。例えば、
図15に示す例のように、基準色情報入力部75に入力されたとする。
【0142】
項目入力欄734の右部の下矢印が表示されたプルダウン部748が操作されると、項目の一覧749が表示される。CPU31は、検査項目データテーブル90(
図7参照)に登録されている略称「PH」「GH」「NO2」「NO3」「Cl2」「KH」等を、一覧749に表示する。なお、検査項目データテーブル90の項目「ペーハー」「総硬度」「亜硝酸塩」「硝酸塩」「総塩素」「炭酸塩硬度」を、一覧749に表示してもよい。ユーザが操作部36を操作して、一覧749の項目から1つの項目を選択すると、選択された項目が、項目入力欄744に入力される。なお、項目を、項目入力欄744に直接入力できるようにしてもよい。
【0143】
最も上の行76において、試薬部材名入力欄743には、試薬ユニット5の試薬部材51の名称として「第五試験紙」と入力されている。項目入力欄744には、一覧749から選択されて「GH」と入力されている。また、上から2番目の行76には、試薬ユニット5の試薬部材51の名称として「第五試験紙」と入力されている。項目入力欄744には、一覧749から選択されて「NO2」と入力されている。その他、
図15に示すように入力されている。
【0144】
座標入力ボタン747が操作されると、基準色画像84を選択すると判断され(S64:YES)、基準色画像84が選択されたか否が判断される(S65)。基準色画像84が選択されていない場合(S65:NO)、S65の処理が繰り返される。S65の処理によって、基準色画像84の選択が受け付けられる。
【0145】
ユーザは、操作部36を操作して、基準色一覧画像78における基準色79を含む範囲を四角形で囲むことによって、基準色画像84を選択できる。例えば、ユーザは、項目入力欄734に「GH」が入力されている行76の座標入力ボタン747を操作した後、基準色一覧画像78において「総硬度(GH)」の基準色79を含む範囲を、四角形871で囲む。四角形871で囲まれると、CPU31は、基準色画像84が選択されたと判断し(S65:YES)、四角形871で囲まれた位置(すなわち、基準色一覧画像78における座標)の範囲が、基準色画像84として、SSD33に記憶される(S66)。S66においては、基準色画像84のデータである基準色画像データが記憶される。
【0146】
また、例えば、ユーザは、項目入力欄734に「Cl2」が入力されている、上から4番目の行76の座標入力ボタン747を操作した後、基準色一覧画像78において「総塩素(Cl2)」の基準色79を含む範囲を、四角形872で囲む。四角形872で囲まれると、CPU31は、基準色画像84が選択されたと判断し(S65:YES)、四角形872で囲まれた位置(すなわち、基準色一覧画像78における座標)の範囲が、基準色画像84の基準色画像データとして、SSD33に記憶される(S66)。
【0147】
上から2番目、3番目、5番目、6番目の行76についても、同様の操作により、四角形で囲まれた範囲が、基準色画像84として記憶される。次いで処理は、S63に戻る。
【0148】
試薬部材名入力欄743には、試薬ユニット5の試薬部材51の名称として「第五試験紙」と入力されている。基準値入力欄745には、基準値が入力されている。基準値入力欄745には、S65の処理によって選択された基準色画像84に含まれる基準色79に対応する基準値が入力される。「総硬度(GH)」の基準色画像84に含まれる基準色79の基準値は、基準値表示80に示すように、左から、「0,50-100,150,200-300,350」である。このため、「総硬度(GH)」に関する最も上の行76の基準値入力欄745には、基準値「0,75,150,250,350」が入力されている。なお、基準値「75」は、基準値表示80「50-100」の中央値であり、基準値「250」は、基準値表示80「200-300」の中央値である。その他、上から2番目の行76から順に、「0,0.375,2,10」「0,7.5,25,50,100」「0,0.8,1.5,3」「6.4,6.8,7.2,7.6,8.0,8.4」「0,40,80,150,250,500」と入力されている。これらは、「亜硝酸(NO2)」「硝酸塩(NO3)」「総塩素(Cl2)」「ペーハー(PH)」「炭酸塩硬度(KH)」の基準色画像84に含まれる基準色79の基準値表示80に対応している。
【0149】
登録ボタン631が操作されると、基準色画像84に関する情報の入力が完了したと判断され(S63:YES)、基準色画像84に関する情報がSSD33に記憶される(S67)。具体例では、基準色データテーブル94(
図10参照)に、基準色画像設定画面63(
図15参照)の基準色情報入力部75を使用して入力された情報が登録される。より詳細には、試薬部材名、項目、S66で記憶された基準色画像84の基準色画像データ、及び基準値が登録される。例えば、試薬部材名「第五試験紙」、項目「GH」、総硬度(GH)の基準色画像84の基準色画像データ、及び基準値「0,75,150,250,350」が対応付けられて記憶される。総硬度(GH)の基準色画像84の基準色画像データは、四角形871(
図15参照)で囲まれた範囲である。また、例えば、試薬部材名「第五試験紙」、項目「NO2」、亜硝酸塩(NO2)の基準色画像84の基準色画像データ、及び基準値「0,0.375,2,10」が対応付けられて記憶される。その他の情報も、同様に記憶される。次いで、処理は、S21に戻る。
【0150】
ユーザによって操作部36が操作され、検査情報を登録する指示が入力された場合、CPU31は検査情報を登録すると判断し(S71:YES)、検査情報設定画面65(
図18参照)を、表示部34に表示する(S72)。次いで、検査情報の入力が完了したか否かが判断される(S73)。検査情報の入力が完了していない場合(S73:NO)、S73の処理が繰り返される。
【0151】
ユーザは操作部36を操作して、検査情報設定画面65(
図18参照)の検査情報入力部651に入力する。
図18に示す例では、検査対象情報入力欄652に「バナエイエビ水槽」と入力され、検査対象略称入力欄653に「banaei」と入力されている。基準色ファイル入力欄654に「第五基準色一覧画像」と入力され、試薬ユニット入力欄655に「第八試薬ユニット」と入力されている。複数印刷設定入力欄656に「YES」と入力されている。第五基準色一覧画像は、
図15に示す基準色一覧画像78の基準色一覧画像データのファイル名である。第八試薬ユニットは、
図9に示す試薬ユニットデータテーブル93のファイル名である。
【0152】
登録ボタン660が操作されると、検査情報の入力が完了したと判断され(S73:YES)、検査情報入力部651に入力された検査情報がSSD33に記憶される(S74)。具体例では、検査情報データテーブル95(
図11参照)に、検査情報が登録される。具体例においては、検査対象「バナエイエビ水槽」に対応付けられた情報が登録されていない、図示しない検査情報データテーブル95に、検査対象「バナエイエビ水槽」、検査対象の略称「banaei」、基準色のファイル「第五基準色一覧画像」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、及び複数印刷「YES」が、対応付けられて新たに登録され、
図11に示す検査情報データテーブル95となる。次いで、処理は、S21に戻る。
【0153】
ユーザによって操作部36が操作され、接続部材52を作成する指示が入力された場合、
図23に示すように、CPU31は接続部材52を作成すると判断し(S81:YES)、接続部材52を使用する検査対象の情報の一覧が表示される(S82)。次いで、印刷を開始するか否かが判断される(S83)。印刷を開始しない場合(S83:NO)、S83の処理が繰り返される。
【0154】
図示しないが、S82の処理において、CPU31は検査情報データテーブル95(
図11参照)を参照し、検査対象の一覧を表示する。例えば、検査情報データテーブル95の検査対象「バナエイエビ水槽」「メダカ水槽」「第一水槽」「珪藻」等が表示部34に一覧で表示される。ユーザは、操作部36を操作し、検査対象の一覧から、1つの検査対象を選択する。具体例では、検査対象「バナエイエビ水槽」が選択されたとする。
【0155】
検査対象が選択され、操作部36が操作されて印刷の指示が入力されると、CPU31は、印刷を実行すると判断し(S83:YES)、印刷するコード525が生成される(S84)。CPU31は、検査情報データテーブル95(
図11参照)を参照し、「検査対象」「検査日」「基準色のファイル」「試薬ユニット5の種類」の情報をコード525に含める。具体例では、「バナエイエビ水槽」が選択されているので、検査情報データテーブル95(
図11参照)において、検査対象「バナエイエビ水槽」に対応付けられた基準色のファイル「第五基準色一覧画像」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」と、検査対象「バナエイエビ水槽」とを示す情報がコード525に含まれる。また、印刷が実行された時の日付「2022/12/14」が特定され、検査日の情報として、コード525に含まれる。なお、略称「banaei」を示す情報をコード525に含めてもよい。また、日付は、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0156】
次いで、接続部材52が印刷される(S85)。CPU31は、S84で生成されたコード525、日付、及び検査対象の略称についての印刷データを印刷装置40に送信する。印刷装置40は、送信されたデータに基づき、接続部材52を作成する。
【0157】
具体例では、「バナエイエビ水槽」が選択されているので、検査情報データテーブル95(
図11参照)において、検査対象「バナエイエビ水槽」に対応付けられた検査対象の略称「banaei」と、日付「2022/12/14」とが、検査概要表示526として印刷されている(
図4(C)参照)。また、S84で生成されたコード525が印刷されている(
図4(C)参照)。また、CPU31は、検査情報データテーブル95を参照し、複数印刷の設定が「YES」の場合、複数枚(例えば、3枚)、接続部材52を印刷し、「NO」の場合は1枚印刷する。具体例では、「バナエイエビ水槽」が選択されたので、検査情報データテーブル95において、検査対象「バナエイエビ水槽」に対応付けられた複数印刷「YES」を参照し、複数枚、接続部材52を印刷する。なお、印刷枚数は、任意に設定できるようにしてもよい。次いで処理は、S21(
図21参照)に戻る。
【0158】
ユーザは、S83で印刷された接続部材52を使用して、
図4及び
図5に示す手順により、試薬部材51と接続部材52とを接続し、試薬ユニット5(
図5(H)参照)を作成する。なお、使用される試薬部材51は、「第五試験紙」である。また、作成された試薬ユニット5が、第八試薬ユニットの一例である。
【0159】
次に、
図25及び
図26を参照し、検査処理について説明する。検査処理は、試薬ユニット5を使用した検査の結果を登録する処理である。ユーザによって操作部36が操作され、検査処理を行う指示が入力された場合、CPU31は、SSD33に記憶されている検査処理のプログラムを読み出し、RAM32に展開する。CPU31は、検査処理のプログラムに従って、検査処理を実行する。
【0160】
検査処理では、まず、撮像装置10の個体に対応する補正値を要求する補正値要求信号が受信されたか否かが判断される(S101)。撮像装置10から送信される補正値要求信号が受信されていない場合(S101:NO)、検査結果画面67に表示された試薬画像59が新たに選択されたか否かが判断される(S121)。試薬画像59が新たに選択されていない場合(S121:NO)、試薬画像59の選択が解除されたか否かが判断される(S131)。試薬画像59の選択が解除されていない場合(S131:NO)、
図26に示すように、試薬画像59についての検査結果の値である検査値が決定されたか否かが判断される(S141)、検査値が決定されていない場合(S141:NO)、機械学習を行うか否かが判断される(S151)。機械学習を行わないと判断された場合(S151:NO)、検査結果の再表示を行うか否かが判断される(S161)。検査結果の再表示を行わない場合(S161:NO)、再分析を実行するか否かが判断される(S171)。再分析を実行しない場合(S171:NO)、処理は
図25に示すS101に戻る。
【0161】
具体例において、試薬ユニット5(
図5(H)参照)を作成したユーザは、試薬ユニット5の接続部材52を把持して、試薬部材51をバナエイエビ水槽の水につける。これによって、試薬部材51に配置された6個の試薬511が反応する。ユーザは、試薬511が反応した試薬ユニット5を、配置部材18に配置し、撮像装置10の挿入口191から挿入する。これによって、試薬ユニット5が撮像装置10に配置される(
図2(B)参照)。ユーザによって、撮像装置10のスイッチ17(
図2(B)参照)が押されると、試薬ユニット5を撮像すると判断され(
図20のS2:YES)、補正値要求信号が、PC30に送信される(
図20のS6)。
【0162】
CPU31は補正値要求信号を受信すると(S101:YES)、S48(
図22参照)と同様に、補正値を特定する(S102)。具体例では、補正値データテーブル91(
図8参照)が参照され、ID「A001」に対応する補正値である回転角度「3」、X方向補正値「-10」、Y方向補正値「-2」、及び縮尺「1」が特定される。
【0163】
次いで、S102で特定された補正値が、撮像装置10に送信される(S103)。次いで、S10(
図20参照)において送信される試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが受信されたか否かが判断される(S104)。試薬ユニット画像データが受信されていない場合(S104:NO)、S104の処理が繰り返される。
【0164】
S103において送信された補正値は、撮像装置10のS7の処理で受信され(
図20のS7:YES)。試薬ユニット画像70が撮像され(
図20のS8)、補正値に従って、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される(
図20のS9)。補正された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データがPC30に送信される(
図20のS10)。
【0165】
試薬ユニット画像データが受信されると(S104:YES)、受信された試薬ユニット画像70が、SSD33に記憶される(S105)。なお、記憶されたのは、
図19に示す試薬ユニット画像70(試薬ユニット画像702)の試薬画像データであるとするが、まだ、検査結果画面67に表示されていなくてもよい。
【0166】
次いで、S105で記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像702が参照され、コード525が読み取られ、試薬ユニット画像702の情報が取得される(S106)。具体例においては、コード525に含まれた、基準色のファイル「第五基準色一覧画像」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、日付「2022/12/14」、及び検査対象「バナエイエビ水槽」の情報が取得される。これによって、基準色のファイル、試薬ユニット5の種類、日付、及び、検査対象が特定される。
【0167】
次いで、基準色一覧画像78が取得される(S107)。S106において、基準色のファイル「第五基準色一覧画像」が、コード525から読み取られている。CPU31は、SSD33に記憶されている複数の基準色一覧画像のファイルから、第五基準色一覧画像のファイルを取得することで、基準色一覧画像78を取得する。
【0168】
次いで、S105で記憶された試薬ユニット画像702(
図19参照)おけるコード525の傾きと位置が特定される(S108)。試薬ユニット画像702における四角形のコード525の左右の辺は、上下方向に平行であり、上下の辺が左右方向に平行である。このため、コード525の傾きは「0」であると特定される。また、コード525の位置(座標)は「(X11,Y11)~(X12,Y12)」であると特定される。すなわち、S105において記憶された試薬ユニット画像702(
図19参照)における試薬ユニット5の位置は、S50(
図22参照)で取得された試薬ユニット画像701(
図14参照)における試薬ユニット5の位置と同じである。このため、S108で特定された座標「(X11,Y11)~(X12,Y12)」は、S54(
図22参照)の処理で登録された、試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)における項目「QR-code」に対応付けられた位置データ(座標)「(X11,Y11)~(X12,Y12)」と同じである。
【0169】
次いで、S106において取得された試薬ユニット5の種類に対応する試薬ユニットデータテーブル93が参照され、コード525の位置データと試薬511の試薬位置データが取得される(S109)。具体例においては、S106において、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」が取得されている。このため、SSD31に複数記憶されている試薬ユニットデータテーブルのうち、第八試薬ユニットについての試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)が参照され、コード525の位置データと試薬511との試薬位置データが取得される。
【0170】
具体例では、コード525の位置データとして、項目「QR-code」に対応付けられた位置データ(座標)「(X11,Y11)~(X12,Y12)」が取得される。総硬度(GH)の試薬511の試薬位置データとして、項目「GH」に対応付けられた位置データ(座標)「(X21,Y21)~(X22,Y22)」が取得される。亜硝酸塩(NO2)の試薬511の試薬位置データとして、項目「NO2」に対応付けられた位置データ(座標)「(X31,Y31)~(X32,Y32)」が取得される。硝酸塩(NO3)の試薬511の試薬位置データとして、項目「NO3」に対応付けられた位置データ(座標)「(X41,Y41)~(X42,Y42)」が取得される。総塩素(Cl2)の試薬511の試薬位置データとして、項目「Cl2」に対応付けられた位置データ(座標)「(X51,Y51)~(X52,Y52)」が取得される。ペーハー(PH)の試薬511の試薬位置データとして、項目「PH」に対応付けられた位置データ(座標)「(X61,Y61)~(X62,Y62)」が取得される。炭酸塩硬度(KH)の試薬511の試薬位置データとして、項目「KH」に対応付けられた位置データ(座標)「(X71,Y71)~(X72,Y72)」が取得される。
【0171】
次いで、S109において取得された試薬511の試薬位置データが、S108において特定されたコード525の傾きと位置とによって補正される(S110)。具体例においては、試薬ユニット5が配置部材18に配置される場合の位置がずれておらず、S108において、コード525の傾き「0」であり、座標「(X11,Y11)~(X12,Y12)」が特定されている。一方、S109において、コード525の位置データとして、項目「QR-code」に対応付けられた位置データ(座標)「(X11,Y11)~(X12,Y12)」が取得されている。このため、座標は「(X11,Y11)~(X12,Y12)」で同じであるので、補正しても、試薬511の試薬位置データは変わらない。このため、補正が行われなくてもよい。
【0172】
次いで、S110において補正された試薬511の位置データに基づいて、試薬画像59が取得される(S111)。S111においては、S105で記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像702から、試薬画像59が取得される。具体例では、S110において補正された試薬511の試薬位置データに基づいて、試薬ユニット画像702の四角形421~426(
図19参照)の範囲の画像が、試薬画像59として取得される。四角形421は、総硬度(GH)の試薬511の試薬画像59が取得される範囲である。四角形422は、亜硝酸塩(NO2)の試薬511の試薬画像59が取得される範囲である。四角形423は、硝酸塩(NO3)の試薬511の試薬画像59が取得される範囲である。四角形424は、総塩素(Cl2)の試薬511の試薬画像59が取得される範囲である。四角形425は、ペーハー(PH)の試薬511の試薬画像59が取得される範囲である。四角形426は、炭酸塩硬度(KH)の試薬511の試薬画像59が取得される範囲である。
【0173】
次いで、S111において取得された試薬画像59を参照し、試薬511の検査値が推定される(S112)。S112においては、後述する機械学習(
図26のS152)によって推定方法が設定されていれば、S152において設定された推定方法によって、試薬511の検査値が推定される。後述するS152が実行されていない場合は、予めSSD31に記憶されている推定方法(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、色差計算、その他の種々の推定方法)によって、検査値が推定される。例えば、S67において基準色データテーブル94(
図10参照)に記憶された基準値が用いられ、推定されてもよい。基準色データテーブル94においては、試薬部材名「第五試験紙」、項目「GH」、総硬度(GH)の基準色画像84の基準色画像データ、及び基準値「0,75,150,250,350」が対応付けられて記憶されている。基準値「0,75,150,250,350」は、総硬度(GH)の基準色画像84の5つの基準色79に対応する基準値である。基準値「0,75,150,250,350」に対応する5つの基準色79の色と、総硬度(GH)の試薬511の試薬画像59の色とが比較され、総硬度(GH)の試薬511の検査値が推定される。このとき、畳み込みニューラルネットワーク、色差計算、及びその他の種々の推定方法が用いられてもよい。
【0174】
具体例では、総硬度(GH)の試薬511の試薬画像59が参照され、検査値「70」と推定されたとする。同様に、亜硝酸塩(NO2)は検査値「2」と推定され、硝酸塩(NO3)は検査値「0」と推定されたとする。総塩素(Cl2)は検査値「0.7」と推定され、ペーハー(PH)は検査値「7」と推定されたとする。炭酸塩硬度(KH)は検査値「70」と推定されたとする。
【0175】
次いで、各種の情報が対応付けられてSSD33に記憶される(S113)。より詳細には、S104において受信された試薬ユニット画像70(試薬ユニット画像702)、S106において取得された情報、S107において取得された基準色一覧画像78の基準色一覧画像データ、S111において取得された試薬画像59の試薬画像データ、試薬画像データについての項目、S112において推定された検査値、及び表示順が、対応付けられて検査結果データテーブル96(
図12参照)に記憶される。
【0176】
検査結果データテーブル96は、日付「2022/12/14」、検査対象「バナエイエビ水槽」に対応付けられた各種情報が登録されていない状態から、登録された状態に変化する。より詳細には、
図12に示す検査結果データテーブル96のように、日付「2022/12/14」、検査対象「バナエイエビ水槽」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、試薬ユニット画像データ「受信された試薬ユニット画像データ」、基準色一覧画像78の基準色一覧画像データ「取得された基準色一覧画像データ」、項目「GH」、試薬画像データ「GHの試薬画像データ」、及び推定された検査値「70」が登録される。また、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」に対応する試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)に基づき、項目「GH」に対応する表示順「1」が登録される。その他のデータも、検査結果データテーブル96のように、対応付けて記憶されている。なお、後述するS142(
図26参照)の処理が行われていない場合は、検査結果データテーブル96における「決定された検査値」には、データは入力されない。
【0177】
次いで、検査結果画面67(
図19参照)が表示される(S114)。
図19に示すように、検査結果画面67の検査結果欄671には、検査結果データテーブル96(
図12参照)に基づいて、種々の情報が表示される。具体例において登録された情報は、最も上側の行55に表示されている。検査情報表示551には、検査結果データテーブル96(
図12参照)の日付及び検査対象「2022/12/14 バナエイエビ水槽」が表示される。試薬画像59には、GH、NO2、NO3、Cl2、PH、及びKHの試薬画像データに基づき、試薬画像59が、左から右側に向けて順に表示されている。項目553には、検査結果データテーブル96(
図12参照)における項目に基づき、「GH」、「NO2」、「NO3」、「Cl2」、「PH」、「KH」が左から右側に向けて順に表示されている。なお、検査結果データテーブル96(
図12参照)における「表示順」の順番で、左から右側に向けて順に表示される。また、検査結果入力欄554も表示される。推定検査値表示559には、推定された検査値「70」、「2」、「0」、「0.7」、「7」、「70」が表示される。このように、例えば、項目553「GH」の下に、GHの試薬画像59、GHの検査結果入力欄554、推定検査値表示559が表示されるので、総硬度(GH)に関する試薬画像59、及び、GHの推定検査値表示559「70」が、総硬度(GH)に関するものであることを容易に判断できる。また、検査結果入力欄554には、GHに関する検査値を入力すればよいことを容易に判断できる。なお、S114において検査結果画面67が表示されたときには、最も上の行55の検査結果入力欄554にまだ検査結果が入力されておらず、空欄である。
【0178】
上から2番目から下の行55には、過去に検査結果データテーブル96に登録された情報が表示されている。このため、ユーザは、過去の検査結果も確認することができる。検査結果データテーブル96の「決定された検査値」が参照され、上から2番目から下の行55の検査結果入力欄554には、過去に入力された検査値が表示される。
【0179】
また、検査結果データテーブル96の基準色一覧画像データに基づく基準色一覧画像78が、検査結果画面67に表示される。また、検査結果データテーブル96の試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70(試薬ユニット画像702)が、検査結果画面67に表示される。検査結果データテーブル96の基準色一覧画像データに基づく基準色一覧画像78が縮小された画像と、試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70が縮小された画像とが左右方向に並べられ、縮小画像555として、表示される。次いで、処理はS101に戻る。
【0180】
ユーザは、検査結果画面67に表示された基準色一覧画像78を参照し、試薬511についての、基準色79と基準値表示80を確認できる。しかし、ユーザは、S67(
図23参照)において登録した基準色画像84(
図10参照)を確認したい場合もある。基準色画像84を確認する場合、ユーザは、試薬画像59を選択する。例えば、ユーザが、操作部36を操作して、カーソル68を動かし、試薬画像59の上にカーソル68を合わせると、試薬画像59が新たに選択されたと判断される(S121:YES)。なお、S121の処理においては、試薬画像59が選択されていない状態から、選択された状態に変化した場合に、試薬画像59が新たに選択されたと判断される。
【0181】
試薬画像59が新たに選択された場合(S121:YES)、選択された試薬画像59に対応する基準色画像84の基準色画像データが取得される(S122)。例えば、
図27に示すように、最も左側の試薬画像59(すなわち、総硬度(GH)の試薬画像59)が選択されたとする。CPU31は、基準色データテーブル94(
図10参照)を参照し、項目「GH」に対応する基準色画像84の基準色画像データを取得する。
【0182】
次いで、S122において取得された基準色画像データに基づいて、基準色画像84が、表示部34に表示される(S123)。本実施形態では、一例として、選択された試薬画像59から吹き出し表示99が表示され、基準色画像84が表示される(
図27参照)。これによって、ユーザは、基準色画像84と試薬画像59を容易に見比べることができる。次いで、処理は、S101に戻る。
【0183】
例えば、ユーザが、操作部36を操作して、カーソル68を動かし、試薬画像59の外側にカーソル68を移動させることで、試薬画像59が選択された状態から、選択されていない状態に変化した場合に、試薬画像59の選択が解除されたと判断される。
【0184】
試薬画像59の選択が解除された場合(S131:YES)、S123の処理において表示された基準色画像84(
図27参照)が消去される(S132)。次いで、処理はS101に戻る。
【0185】
図26に示すように、S141においては、試薬画像59についての検査結果の値である検査値が決定されたか否かが判断される(S141)。ユーザは、試薬画像59の色、基準色一覧画像78、基準色画像84、及び推定検査値表示559を見ながら、試薬画像59の検査値を決定する。ユーザは、決定した検査値を、検査結果入力欄554に入力する。すなわち、S141では、検査値の入力が受け付けられている。
【0186】
ユーザは、検査値を検査結果入力欄554に入力した後、検査値を登録する行55に表示されている検査値登録ボタン552を操作する。検査値登録ボタン552が操作されると、検査値が決定されたと判断され(S141:YES)、決定された検査値が、SSD33に記憶される(S142)。
図19に示す検査結果入力欄554には、総硬度(GH)の検査値は「65」と入力され、亜硝酸塩(NO2)の検査値は「3」と入力されている。硝酸塩(NO3)の検査値は「0」と入力され、総塩素(Cl2)の検査値は「0.7」と入力されている。ペーハー「PH」の検査値は「7」と入力され、炭酸塩硬度(KH)の検査値は「70」と入力されている。よって、検査結果データテーブル96(
図12参照)の項目「GH」、「NO2」、「NO3」、「Cl2」、「PH」、「KH」のそれぞれに対応する「決定された検査値」に、検査結果入力欄554に入力された検査値が登録される(S142)。次いで、処理は、S101に戻る。
【0187】
ユーザが操作部36を操作して、機械学習ボタン698(
図19参照)を操作した場合、機械学習を行うと判断され(S151:YES)、機械学習が行われる(S152)。S152においては、S142の処理において記憶された検査値(すなわち、決定された検査値)を使用して機械学習し、S112及びS173(後述)の処理において検査値を推定するための新たな方法が習得される。例えば、畳み込みニューラルネットワーク、色差計算、及びその他の種々の機械学習の処理により機械学習が行われる。このとき、基準色データテーブル94(
図10参照)に記憶された基準値も使用されて、機械学習が行われてもよい。
【0188】
次いで、S152又は後述するS173において機械学習された方法が、記憶される(S153)。これによって、S112又は後述するS173の処理における検査値の推定方法が変更される。次いで、処理はS101に戻る。
【0189】
ユーザが操作部36を操作して、行55が表示されている表示領域(例えば、情報が表示されていない検査情報表示551の右側部分、又は、縮小画像555等)を選択すると、選択された行55の検査結果の再表示を行うと判断される。
【0190】
検査結果の再表示を行うと判断された場合(S161:YES)、選択された行55についての検査結果画面67が表示される(S162)。例えば、上から2番目に表示された行55が選択された場合、検査結果データテーブル96(
図12参照)における日付「2022/12/13」、検査対象「メダカ水槽」に対応付けられたデータが参照され、S114(
図25参照)と同様の処理によって、検査結果画面67が更新される。図示しないが、更新された検査結果画面67には、図示しない試薬ユニット画像と、図示しない基準色一覧画像が表示される。これによって、ユーザは、過去の検査結果を確認することができる。次いで、処理はS101に戻る。
【0191】
ユーザは、検査結果の再分析を行いたい場合、操作部36を操作して、検査結果の再分析を行いたい試薬画像59等が表示された行55の再分析ボタン556を操作する。再分析ボタン556が操作された場合、再検査を実行すると判断され(S171:YES)、検査結果データテーブル96(
図12参照)に記憶された試薬画像59が取得される(S172)。S172においては、操作された再分析ボタン556の行55の試薬画像59が、検査結果データテーブル96から取得される。
【0192】
次いで、S112(
図25参照)と同様の処理によって、S172において取得された試薬画像59が参照され、検査値が推定される(S173)。仮に、S152において機械学習が行われて、推定の方法が変わっていた場合は、S112(
図15参照)において推定された検査値とは異なる検査値になる。次いで、S173において推定された検査値が、検査結果データテーブル96に記憶される(S174)。これによって、推定された検査値が更新される。次いで、S114(
図15参照)と同様に、検査結果画面67が表示される(S175)。これによって、S173において新たに推定された検査値が、検査結果画面67の推定検査値表示559に表示される。次いで、処理はS101に戻る。
【0193】
これによって、ユーザが、新たに推定された検査値を見ながら、検査値を検査結果入力欄554に入力できるようになる。検査値が検査結果入力欄554に入力された後、決定ボタン645が操作された場合(S141:YES)、決定された検査値が、SSD33に記憶される(S142)。これによって、検査結果データテーブル96が更新される。次いで、処理はS101に戻る。
【0194】
ここで、一例として、ユーザが試薬ユニット5を配置部材18に置く場合に、試薬ユニット5が傾き、位置もずれて、
図28に示すような試薬ユニット画像70である試薬ユニット画像705の試薬ユニット画像データが取得されたとする(
図25のS104:YES)。この場合、S108において、試薬ユニット画像70におけるコード525の傾き「5度」、位置「(X91,Y92)~(X93,Y94)」が特定される。そして、S109において取得された試薬511の試薬位置データが、S108において特定されたコード525の傾き「5度」、位置「(X91,Y92)~(X93,Y94)」によって補正される(
図25のS110)。これによって、試薬ユニット画像705における試薬ユニット5の試薬画像59が取得される(
図25のS111)。S111の処理では、
図28における試薬511上の四角形991,992,993,994,995,996の範囲の画像が、試薬ユニット5の試薬画像59として取得される。
【0195】
以上のように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態では、撮像装置10において、カメラ16が使用され、試薬ユニット5が撮像される(
図20のS8)。撮像された試薬ユニット5のデータである試薬ユニット画像データが、PC30に送信される(
図20のS10)。送信された試薬ユニット画像データは、PC30のS104によって、受信される(
図25のS104:YES)。S104において受信された試薬ユニット画像データは、SSD33に記憶される(
図25のS105及びS113)。記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70が、表示部34に表示される(
図25のS114、
図26のS162、S175、及び
図19参照)。
【0196】
仮に、検査液を用いて、光学的に検査を行う装置を使用した場合、発光部、受光部、被検査液を注入する部材等を備えた大規模な装置が必要となり、コストが高くなっていた。また検査が終わると、検査用の容器内の液体は、廃棄されるため、後日、検査結果を再検証することができなかった。また、一般的に、試薬紙が使用される検査方法の場合、試薬の色は、時間の経過とともに変色するため、後日、検査結果を再検証することができなかった。しかし、本実施形態では、
図20のS8において撮像された時点の試薬ユニット画像データを記憶でき、表示部34に表示できる。このため、検査後に時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。また、検査液を用いて、光学的に検査を行う場合のように、大規模な装置は必要ない。よって、コストを低減することができる。すなわち、コストを低減しつつ、時間をおいて検査結果を検証したり、後日、検査結果を再検証したりすることができる。
【0197】
また、試薬511の試薬位置データが使用され、S105(
図25参照)において記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70における試薬画像59が取得される(
図25のS111)。取得された試薬画像59のデータである試薬画像データが、試薬ユニット画像データと対応付けられて、SSD33に記憶される(
図25のS113)。S113において記憶された試薬画像データに基づく試薬画像59が、表示部34に表示される(
図25のS114、
図26のS162、S175、及び
図19参照)。このため、試薬ユニット画像70における試薬画像59の部分を、表示部34に表示することができる。よって、ユーザが試薬ユニット画像70の全体から、試薬画像59の部分を探す必要がない。また、試薬画像59によって容易に、検査後の試薬511の色を確認することができる。よって、試薬画像59が表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0198】
また、試薬511の試薬位置データの入力が受け付けられる(
図22のS52)。入力が受け付けられた試薬位置データが、SSD33に記憶される(
図22のS53及びS54)。S53において記憶された試薬位置データが使用され、試薬ユニット画像データに基づいて試薬画像59が取得される(
図25のS111)。このように、試薬位置データの入力が受け付けられるので、ユーザが試薬ユニット5における試薬511の位置を指定することができる。よって、新たな試薬ユニット5が使用される場合でも、ユーザが試薬位置データを入力することで、PC30が試薬画像59を自動的に取得し、表示部34に表示することができる。
【0199】
また、検査値の入力が受け付けられる(
図26のS141)。入力が受け付けられた検査値が、SSD33に記憶される(
図26のS142)。ユーザは、試薬ユニット画像70を見ながら、試薬511についての検査値を入力して、SSD33に記憶させることができる。試薬ユニット画像70は、試薬部材51そのものとは異なり、時間が経過しても、試薬511の部分の色が変化しない。よって、ユーザは、検査から時間が経過した場合に、試薬部材51そのものを見ながら試薬511の検査値を入力する場合に比べて、より正確に、検査値を入力することができる。
【0200】
また、試薬511の位置データである試薬位置データと、試薬ユニット5の種類とが対応付けられて、試薬ユニットデータテーブル93に記憶される(S54)。試薬ユニット画像70におけるコード525に基づき、試薬ユニット画像70における試薬ユニット5の種類が特定される(
図25のS106)。CPU31は、試薬ユニットデータテーブル93に記憶された試薬位置データのうち、S106において特定された試薬ユニット5の種類に対応付けられた試薬位置データを使用し、試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70から、試薬画像59を取得する(
図25のS109及びS111)。このように、コード525に基づいて、試薬ユニット5の種類が特定される。そして、特定された試薬ユニット5の種類に対応した試薬位置データが使用されて試薬画像59が取得され、S114、S162、及びS175において表示部34に表示される。このため、ユーザが目視によって試薬ユニット5の種類を特定する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
【0201】
また、試薬ユニット画像70におけるコード525に基づき、検査対象が特定される(
図25のS106)。S106において特定された検査対象と、
図26のS141において入力が受け付けられた検査値とが、対応付けられてSSD33に記憶される(
図26のS142)。従来、検査対象と検査値との紐づけを、人間が手で紙に書いたり、人間がPCに手動で入力したりする必要があり、検査対象と検査値とを対応付けることに手間を要していた。本実施形態では、コード525に基づいて検査対象が自動的に特定され、検査値に対応付けられて記憶される。このため、従来は手作業であった工程を自動化することで、省力化を実現することができる。
【0202】
また、試薬ユニット画像70におけるコード525の傾きと位置が特定される(
図25のS108)。試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)に記憶された試薬位置データが、S108において特定されたコード525の傾きと位置とによって補正され(S110)、補正された試薬位置データに基づいて試薬画像59が取得される(S111)。このため、S8(
図20参照)において試薬ユニット5が撮像される場合に、試薬ユニット5の位置及び傾きがずれた場合でも、自動的に位置及び傾きが補正され、試薬画像59が取得される。よって、試薬ユニット5の位置及び傾きがずれた場合に、試薬画像59が取得されない可能性を低減できる。
【0203】
また、基準色画像84の基準色画像データがSSD33に記憶される(
図23のS67)。S67において記億された基準色画像データに基づく基準色画像84が、表示部34に表示される(
図25のS123、及び
図27参照)。この場合、基準色画像84と試薬画像59とが、表示部34に表示される。このため、基準色画像84と試薬画像59とが表示部34に表示されない場合に比べて、基準色画像84と、試薬画像59とを見比べることが容易になり、ユーザの利便性が向上する。
【0204】
S114、S161、及びS175において表示部34に表示された試薬画像59が選択された場合(
図25のS121:YES)、選択された試薬画像59に対応する基準色画像84が、表示部34に表示される(
図25のS123及び
図27参照)。よって、ユーザが基準色画像84と試薬画像59とを見比べたい場合に、試薬画像59を選択することで、容易に、基準色画像84を表示させることができる。よって、基準色画像84が表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0205】
また、基準色一覧画像データに基づいて、基準色一覧画像78が表示部34に表示される(
図25のS114、
図26のS162、S175、及び
図19参照)。基準色一覧画像78が表示部34に表示されるので、ユーザは、基準色一覧画像78と、試薬画像59とを見比べることができる。よって、基準色一覧画像78が表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0206】
また、基準色一覧画像データに基づく基準色一覧画像78から、基準色画像84が選択され(
図23のS65:YES)、選択された基準色画像84に基づく基準色画像データが、SSD33に記憶される(
図23のS66及びS67)。基準色一覧画像78から基準色画像84を選択することができるので、基準色一覧画像78とは別に、基準色画像84を用意する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。また、試薬部材51の製造した会社から、基準色の一覧が記載された紙である基準紙だけ提供され、基準色の部分のみが提供されていなくても、その基準紙をスキャナ等で取り込んで基準色一覧画像78とし、基準色画像84を取得することができる。よって、基準色一覧画像78から基準色画像84を選択できない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0207】
配置部材18には、試薬部材配置部183と、接続部材配置部184とが設けられている(
図4及び
図5参照)。このため、試薬部材51と接続部材52とを備えた試薬ユニット5を容易に位置決めできる。よって、試薬ユニット5が位置決めできない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。また、試薬ユニット5が動いて、撮像装置10によって撮像される位置がずれる可能性を低減できる。
【0208】
また、接続部材52は、粘着面523を有する粘着部材521と、粘着面523に剥離可能に貼り合わせられる台紙522とを有するシールであり、接続部材52の粘着部材521と台紙522との間で、試薬部材51の一端を挟んで接着されている。このように構成されているので、接続部材52が試薬部材51に接続される場合に、試薬部材配置部183に試薬部材51が配置されて位置決めされ、接続部材配置部184に接続部材52が配置されて位置決めされ、接続部材52の粘着部材521と台紙522との間で、試薬部材51の一端を挟んで接着されることで、試薬ユニット5が作成される(
図4及び
図5参照)。すなわち、試薬部材51と接続部材52との両方を位置決めした上で、試薬ユニット5を作成することができる。よって、試薬部材51と接続部材52との少なくとも一方が位置決めされない場合に比べて、試薬ユニット5における試薬部材51と接続部材52との位置関係が安定する。よって、S8の処理においてより確実に試薬ユニット5を撮像することができる。
【0209】
また、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される(
図20のS9)。補正された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが、PC30に送信される(
図20のS10)。カメラ16によって撮像される試薬ユニット画像70は、撮像装置10の個体によってばらつく場合がある。しかし、撮像装置10の個体に対応する補正値に従って、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正されるので、補正されない場合に比べて、試薬ユニット画像70のばらつきを低減できる。よって、補正されない場合に比べて、ユーザが試薬ユニット画像70を確認しやすい。
【0210】
撮像装置10において、差分画像89のデータである差分画像データが生成され(
図20のS4)、PC30に送信される(
図20のS5)。PC30において、差分画像データが受信されると(
図21のS25:YES)、受信された差分画像データに基づく差分画像89が、表示部34に表示される(
図21のS26)。差分画像89に基づいて決定された補正値の入力が受け付けられ(
図21のS27)、S27において入力が受け付けられた補正値が、SSD33に記憶される(
図21のS28)。試薬ユニット画像70が撮像される場合、補正値が、PC30から撮像装置10に送信され(
図22のS49及び
図25のS103)、S8で撮像された試薬ユニット画像70の縮尺、位置(X方向の位置、Y方向の位置)、及び傾きが補正される(
図20のS9)。このように、差分画像89に基づいて決定された補正値によって、
図20のS8において撮像された試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きを補正することができる。ユーザが補正値を決定して、試薬ユニット画像70を補正することができるので、補正されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0211】
また、試薬511の検査値が推定され(
図25のS112、
図26のS173)、推定された検査値の表示である推定検査値表示559が表示部34に表示される(
図25のS114、
図26のS162、S175、及び
図19参照)。推定された検査値が、表示部34に表示されるので、ユーザは、推定された検査値を参考にして、検査値を決定することができる。よって、推定された検査値が表示部34に表示されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0212】
また、S142(
図26参照)の処理において記憶された検査値を使用して機械学習し、S112(
図25参照)及びS173(
図26参照)の処理において検査値を推定するための新たな方法が習得される(
図26のS152)。S152において習得された方法を使用して、検査値を推定される(
図25のS112、及び
図26のS173)。入力された検査値によって機械学習されるので、検査値が推定される場合の精度が向上する。
【0213】
本実施形態において、PC30は本発明の「検査装置」の一例である。カメラ16は本発明の「撮像部」の一例である。S8の処理を行うCPU11は本発明の「撮像手段」の一例である。S10の処理を行うCPU11は本発明の「試薬ユニット画像送信手段」の一例である。S104の処理を行うCPU31は本発明の「試薬ユニット画像受信手段」の一例である。S105及びS113の処理を行うCPU31は本発明の「試薬ユニット画像記憶手段」の一例である。S114、S162、及びS175の処理を行うCPU31は本発明の「試薬ユニット画像表示手段」の一例である。S110及びS111の処理を行うCPU31は本発明の「試薬画像取得手段」の一例である。S113の処理を行うCPU31は本発明の「試薬画像記憶手段」の一例である。S114、S162、
及びS175の処理を行うCPU31は本発明の「試薬画像表示手段」の一例である。S52の処理を行うCPU31は本発明の「試薬位置入力手段」の一例である。S53及びS54の処理を行うCPU31は本発明の「試薬位置記憶手段」の一例である。S141の処理を行うCPU31は本発明の「検査値入力手段」の一例である。S142の処理を行うCPU31は本発明の「検査値記憶手段」の一例である。S106において検査対象を特定する処理を行うCPU31は本発明の「検査対象特定手段」の一例である。
【0214】
S106において試薬ユニット5の種類を特定する処理を行うCPU31は本発明の「ユニット種類特定手段」の一例である。S108の処理を行うCPU31は本発明の「特定手段」の一例である。S67の処理を行うCPU31は本発明の「基準色画像記憶手段」の一例である。S123の処理を行うCPU31は本発明の「基準色画像表示手段」の一例である。S121:YESの処理を行うCPU31は本発明の「試薬画像選択手段」の一例である。S114、S162、及びS175の処理を行うCPU31は本発明の「一覧画像表示手段」の一例である。S65:YESの処理を行うCPU31は本発明の「基準色画像選択手段」の一例である。S9の処理を行うCPU11は本発明の「第一補正手段」の一例である。S4の処理を行うCPU11は本発明の「差分画像生成手段」の一例である。S5の処理を行うCPU11は本発明の「差分画像送信手段」の一例である。S25の処理を行うCPU31は本発明の「差分画像受信手段」の一例である。S26の処理を行うCPU31は本発明の「差分画像表示手段」の一例である。S27の処理を行うCPU31は本発明の「補正値入力手段」の一例である。S28の処理を行うCPU31は本発明の「補正値記憶手段」の一例である。S49及びS103の処理を行うCPU31は本発明の「補正値送信手段」の一例である。S112及びS173の処理を行うCPU31は本発明の「推定手段」の一例である。S114、S162、及びS175の処理を行うCPU31は本発明の「推定検査値表示手段」の一例である。S152の処理を行うCPU31は本発明の「機械学習手段」の一例である。S104の処理は本発明の「試薬ユニット画像受信ステップ」の一例である。S105及びS113の処理は本発明の「試薬ユニット画像記憶ステップ」の一例である。S114、S162、及びS175の処理は本発明の「試薬ユニット画像表示ステップ」の一例である。S8の処理は本発明の「撮像ステップ」の一例である。S10の処理は本発明の「試薬ユニット画像送信ステップ」の一例である。
【0215】
なお、本実施形態は、上記実施形態に限定されることなく、種々の変更が可能である。例えば、機械学習によって検査値を推定するための新たな方法が習得されていたが(
図26のS152)、これに限定されない。機械学習が行われなくてもよい。
【0216】
また、試薬511の検査値が推定され(
図25のS112、及び
図26のS173)、表示部34に表示されていたが(S114、S162、及びS175)、これに限定されない。例えば、検査値が推定されなくてもよい。
【0217】
また、差分画像89のデータである差分画像データが生成され(
図20のS4)、差分画像89に基づいて決定された補正値が入力されていた(
図21のS27)。そして、入力された補正値によって、
図20のS8で撮像された試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正されていたが(
図20のS9)、これに限定されない。例えば、補正値は、撮像装置10の個体ごとに予め設定されており、差分画像89に基づいて決定されなくてもよい。また、補正値によって試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正されなくてもよい。なお、S9(
図20参照)の処理が行われると
図24(A)に示す試薬ユニット画像70が補正され、
図24(B)に示す試薬ユニット画像70が得られていた。このとき、コード525と、試薬511とが、
図24(B)に示す試薬ユニット画像70に表示されていればよく、例えば、補正されたことで、試薬ユニット5の上下左右方向の周囲の一部が、試薬ユニット画像70に表示されなくなってもよい。
【0218】
配置部材18には、試薬部材配置部183と接続部材配置部184とが設けられていたが(
図4及び
図5参照)、これに限定されない。例えば、試薬部材配置部183と接続部材配置部184との少なくとも一方が設けられなくてもよい。また、配置部材18には、試薬ユニット5の一部に当接して、試薬ユニット5の動きを規制する部分が設けられてもよい。また、配置部材18が設けられなくてもよい。例えば、試薬ユニット5のみが撮像装置10に配置され、カメラ16によって撮像されてもよい。
【0219】
また、基準色一覧画像データに基づく基準色一覧画像78から、基準色画像84が選択され(
図23のS65:YES)、選択された基準色画像84に基づく基準色画像データが、SSD33に記憶されていた(S66及びS67)。そして、基準色画像データに基づいて、基準色画像84が表示部34に表示されていたが(
図25のS123)。これに限定されない。例えば、基準色一覧画像78から、基準色画像84が選択されなくてもよい。基準色画像84は、他の方法によって取得されてもよい。例えば、基準色画像84のみが、スキャナから取り込まれて取得されてもよい。また、基準色画像84は使用されず、表示部34に表示されなくてもよい。また、基準色一覧画像78が、表示部34に表示されなくてもよい。
【0220】
また、試薬ユニット画像70におけるコード525の傾きと位置が特定され(
図25のS108)、試薬位置データが、S108において特定されたコード525の傾きと位置とによって補正されていた(S110)。そして、補正された試薬位置データに基づいて試薬画像59を取得されていたが(S111)、これに限定されない。例えば、試薬部材51の傾きと位置が特定され、試薬位置データが、特定された試薬部材51の傾きと位置とによって補正されてもよい。
【0221】
また、S108及びS110(
図25参照)の処理が実行されず、試薬位置データが補正されなくてもよい。例えば、S52(
図22参照)の処理において入力が受け付けられた試薬位置データが、SSD33に記憶され(
図22のS53及びS54)、記憶された試薬位置データが使用されて、試薬ユニット画像データに基づいて試薬画像59が取得されてもよい。(
図25のS111)。このとき、S111の処理では、補正されていない試薬位置データが使用されて、試薬画像59が取得されてもよい。この場合でも、試薬ユニット画像70における試薬画像59の部分を、表示部34に表示することができる。よって、ユーザが試薬ユニット画像70の全体から、試薬画像59の部分を探す必要がない。また、試薬画像59によって容易に、検査後の試薬511の色を確認することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
【0222】
また、試薬ユニット画像70におけるコード525に基づき、試薬ユニット画像70における試薬ユニット5の種類が特定されていた(
図25のS106)。そして、S106において特定された試薬ユニット5の種類に対応付けられた試薬位置データが使用され、試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70から、試薬画像59が取得されていたが(S109及びS111)、これに限定されない。例えば、コード525ではなく、ユーザが試薬ユニット5の種類を指定することで、試薬ユニット5の種類が特定されてもよい。また、試薬画像59が取得されなくてもよい。例えば、試薬ユニット画像70のみが表示部34に表示され、試薬画像59は表示されなくてもよい。
【0223】
また、検査値の入力が受け付けられ(
図26のS141)、入力が受け付けられた検査値が、SSD33に記憶されていたが(S142)、これに限定されない。例えば、検査値の入力は受け付けられなくてもよい。また、検査値が記憶されなくてもよい。
【0224】
また、1つの試薬ユニット5が、配置部材18に配置されて、カメラ16によって撮像されていたが、これに限定されない。例えば、複数の試薬ユニット5が配置部材18に配置されて、カメラ16に撮像されてもよい。この場合、複数の試薬ユニット5が撮像された試薬ユニット画像70が使用され、複数の試薬ユニット5に対して、CPU11及びCPU31が実行する撮像装置処理、情報設定処理、及び検査処理が実行されてもよい。また、試薬ユニット5は、試薬部材51が含まれればよく、接続部材52が接続されなくてもよい。また、試薬画像59が取得されなくてもよい。
【0225】
また、撮像装置10のスイッチ17が押された場合に、試薬ユニット5を撮像すると判断され(
図20のS2:YES)、試薬ユニット5が撮像されていたが(S8)、これに限定されない。例えば、ユーザがPC30の操作部36を操作して、撮像を開始する指示を入力した場合に、該指示を示す信号が撮像装置10に送信されて、該指示を示す信号を撮像装置10が受信した場合に、試薬ユニット5を撮像すると判断されてもよい。
【0226】
また、撮像装置10において、撮像装置10の個体に対応する補正値に従って、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正されていたが(
図20のS9)、これに限定されない。撮像装置10の個体に対応する補正値に従って、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される処理は、PC30において実施されてもよい。以下、補正がPC30において実行される変形例について説明する。
【0227】
図29は、
図20に示す撮像装置処理のフローチャートの変形例である。
図30は、
図22に示す情報設定処理のフローチャートの変形例である。
図31は、
図25に示す検査処理のフローチャートの変形例である。以下の説明では、上述の処理と同じ処理、及び、同じ構成は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0228】
図30に示すように、ユーザによって操作部36が操作され、撮像ボタン623(
図14参照)が操作されると、CPU31は、試薬ユニット画像70を撮像すると判断し(S44:YES)、試薬ユニット画像70の撮像を指示するための撮像指示信号が、撮像装置10に送信される(S46)。
図29に示すように、撮像装置10において、PC30のS46(
図22参照)によって送信される撮像指示信号が受信された場合、CPU11は、試薬ユニット5を撮像すると判断し(S2:YES)、カメラ16(
図2参照)が使用され、試薬ユニット5の撮像が行われる(S8)。次いで、S8において撮像された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが、PC30に送信される(S810)。
【0229】
図30に示すように、S46の実行後、S50の処理が実行される。S810(
図29参照)において送信された試薬ユニット画像データが受信されると(S50:YES)、補正値が特定される(S48)。撮像装置10とPC30との通信が可能な状態となった場合に、撮像装置10の個体を示す個体IDがPC30に認識されている。なお、S810(
図29参照)で試薬ユニット画像データが送信されると同時に、個体IDが送信されていてもよい。CPU31は、補正値データテーブル91(
図8参照)を参照し、個体IDに対応する補正値を特定する。具体例では、ID「A001」に対応する補正値である回転角度「3」、X方向補正値「-10」、Y方向補正値「-2」、縮尺「1」が特定されたとする。
【0230】
次いで、S48において特定された補正値に従って、S9(
図20参照)と同様に、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される(
図30のS809)。具体例においては、S8(
図29参照)の処理において撮像され、S50の処理において受信された画像は、
図24(A)のような試薬ユニット画像70であるとする。S809の処理が行われると
図24(A)に示す試薬ユニット画像70が補正され、
図24(B)に示す試薬ユニット画像70が得られる。S809において補正された試薬ユニット画像70(試薬ユニット画像701)の試薬ユニット画像データが、試薬ユニット情報設定画面62(
図14参照)に表示される(S851)。次いで、処理は、S43に戻る。このように、補正後の試薬ユニット画像70が、試薬ユニット情報設定画面62に表示される。
【0231】
図31に示すように、変形例に係る検査処理では、まず、S810(
図29参照)において送信される試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが受信されたか否かが判断される(S901)。試薬ユニット画像データが受信されていない場合(S901:NO)、処理はS121に進む。なお、
図25におけるS101に戻る処理は、
図31においては、S901に戻る処理となる。
【0232】
ユーザによってスイッチ17(
図1参照)が押下された場合、CPU11は、試薬ユニット5を撮像すると判断し(
図29のS2:YES)、カメラ16(
図2参照)が使用され、試薬ユニット5の撮像が行われる(S8)。次いで、S8において撮像された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが、PC30に送信される(S810)。
【0233】
試薬ユニット画像データが受信された場合(S901:YES)、S48(
図30参照)と同様に、補正値が特定される(S902)。次いで、S809(
図30参照)と同様に、S902において特定された補正値に従って、試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される(S903)。
【0234】
次いで、S903において補正された試薬ユニット画像70が、SSD33に記憶される(S904)。なお、記憶されるのは、例えば、
図19に示す補正後の試薬ユニット画像70(試薬ユニット画像702)の試薬画像データであるが、まだ、検査結果画面67に表示されていなくてもよい。次いで、処理はS106に進む。S106以降の処理では、S904で記憶された試薬ユニット画像70が使用され、上述した各種の処理が行われる。
【0235】
以上のように、本変形例における処理が行われる。本変形例においては、S901において受信された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正される(S903)。補正された試薬ユニット画像70の試薬ユニット画像データが、SSD33に記憶される(S904)。カメラ16によって撮像される試薬ユニット画像70は、撮像装置10の個体によってばらつく場合がある。しかし、撮像装置10の個体に対応する補正値に従って、PC30において試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きが補正されるので、補正されない場合に比べて、試薬ユニット画像70のばらつきを低減できる。よって、補正されない場合に比べて、ユーザが試薬ユニット画像70を確認しやすい。
【0236】
また、撮像装置10において、差分画像89のデータである差分画像データが生成され(
図29のS4)、PC30に送信される(
図29のS5)。PC30において、差分画像データが受信されると(
図21のS25:YES)、受信された差分画像データに基づく差分画像89が、表示部34に表示される(
図21のS26)。差分画像89に基づいて決定された補正値の入力が受け付けられ(
図21のS27)、S27において入力が受け付けられた補正値が、SSD33に記憶される(
図21のS28)。S28で記憶された補正値に従って、
図31のS901において受信された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70の縮尺、位置(X方向の位置、Y方向の位置)、及び傾きが補正される(
図31のS903)。このように、差分画像89に基づいて決定された補正値によって、S901において受信された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70の縮尺、位置、及び傾きを補正することができる。ユーザが補正値を決定して、試薬ユニット画像70を補正することができるので、補正されない場合に比べて、ユーザの利便性が向上する。
【0237】
本変形例において、S903の処理を行うCPU31は、本発明の「第二補正手段」の一例である。S904及びS113の処理を行うCPU31は、本発明の「試薬ユニット画像記憶手段」の一例である。
【0238】
なお、上記実施形態において、補正値によって、縮尺、位置、及び傾きが補正されていたが、これに限定されない。補正値は、試薬ユニット画像70に対して少なくとも縮尺、位置、及び傾きを補正する値であればよい。例えば、補正値は、縮尺、位置、及び傾きに加え、明暗、コントラストを補正するものであってもよい。また、補正値によって補正されなくてもよい。また、撮像装置10は、円柱状であったが、これに限定されない。例えば、立法体状であってもよい。
【0239】
また、試薬ユニット5の接続部材52の態様は、上記実施形態に限定されない。例えば、検査概要表示526(
図5(H)参照)は、表示されなくてもよい。また、
図34に示す試薬ユニット5Cの接続部材52Cのように、QRコード(登録商標)であるコード525Cが、接続部材52Cの前面の全体に印刷されていてもよい。撮像装置10は、上記実施形態の機器に限定されない。例えば、スマートフォン等のように、カメラを有する携帯情報端末であってもよい。試薬511の位置データである試薬位置データは、座標であったが、これに限定されない。例えば、試薬位置データは、コード525B(
図34参照)からの距離であってもよい。
【0240】
図32~
図35を参照し、変形例について説明する。
図32に示すように、検査システム1A(
図1参照)の変形例である検査システム1Bは、撮像装置10(
図1参照)の変形例である撮像装置10Bを備えている。撮像装置10Bは、スマートフォンである。
図32に示す検査システム1Bの電気的構成において、撮像装置10Bの紙面左上部には、撮像装置10Bの概形を記載している。撮像装置10Bは、CPU11B、RAM12B、フラッシュメモリ13B、表示部14B、無線通信回路15B、カメラ16B、及び操作部17Bを備えている。操作部17Bは、タッチパネルであり、表示部14Bに表示された画像をユーザが指定、操作することができる。例えば、ユーザは、撮像装置10(
図3参照)のスイッチ17(
図3参照)の操作と同様の指示を、操作部17Bを介して、入力することができる。
【0241】
図33は、試薬ユニットデータテーブル93(
図9参照)の変形例である試薬ユニットデータテーブル93Bである。試薬ユニットデータテーブル93Bでは、位置データ(試薬位置データ)として、コード525Cからの距離が登録されている。例えば、項目「GH」の試薬位置データは距離「L1」である。その他、
図33に示すように登録されている。
【0242】
CPU11Bは、撮像装置処理(
図20及び
図29参照)を実行する。例えば、ユーザは、試薬ユニット5Cの接続部材52Cを把持して、試薬部材51をバナエイエビ水槽につける。これによって、試薬部材51に配置された6個の試薬511が反応する。ユーザは、スマートフォンである撮像装置10Bの背面に設けられたカメラ16Bを試薬ユニット5C(
図34参照)に向ける。
【0243】
なお、本変形例では、一例として、カメラ16Bと試薬ユニット5Cとの距離は、S3で撮像される場合と、S8で撮像される場合とで、互いに同じ距離であるとする。カメラ16Bと試薬ユニット5Cとの距離を一定にするために、例えば、スマートフォンである撮像装置10Bと試薬ユニット5Cとを所定の位置に配置する道具を用いてもよい。例えば、所定の高さの台を机の上に設置し、この台の下側(重力方向側)の机の上に、試薬ユニット5を配置し、台の天板の上に撮像装置10Bを配置する。台の天板には、孔が設けられ、該孔を介して、カメラ16が試薬ユニット5を撮像できるようにする。これによって、カメラ16Bと試薬ユニット5Cとの距離を一定になる。また、試薬ユニット5Cが配置される位置及び傾きは、予め決められていてもよい。
【0244】
一例として、
図29等を参照して説明する。ユーザは、操作部17Bを操作して、試薬ユニット5Cを撮像する操作を実行する。
図29において、試薬ユニット画像70を撮像する操作が実行されると(S2:YES)、試薬ユニット画像70が撮像される(S8)。
【0245】
撮像された試薬ユニット画像70に基づく試薬ユニット画像データが、PC30に送信される(S810)。
図35は、
図31に示す検査処理のフローチャートの変形例である。
図35に示すように、PC30において試薬ユニット画像データが受信されると(S901:YES)、S902、S903、S904、S106、及びS107の処理が実行される。
【0246】
一例として、S904において、
図34に示す試薬ユニット画像70の試薬画像データが記憶されたとする。
図34に示す試薬ユニット5Cは、本変形例における「第八試薬ユニット」であるとする。試薬ユニット5Cは、試薬部材51に接続部材52Cが接続されて形成されている。なお、本変形例では、配置部材18が設けられていないとする。このため、試薬ユニット5Cは、配置部材18には配置されない。しかし、試薬ユニット5Cを位置決めする部材に、試薬ユニット5Cを配置してもよい。
【0247】
S106においては、S904で記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70が参照され、コード525Cが読み取られ、試薬ユニット画像70の情報が取得される(S106)。具体例においては、コード525Cに含まれた、基準色のファイル「第五基準色一覧画像」、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」、日付「2022/12/14」、及び検査対象「バナエイエビ水槽」の情報が取得される。これによって、基準色のファイル、試薬ユニット5の種類、日付、及び、検査対象が特定される。
【0248】
次いで、S106において取得された試薬ユニット5の種類に対応する試薬ユニットデータテーブル93B(
図33参照)が参照され、試薬511の試薬位置データが取得される(S951)。具体例においては、S106において、試薬ユニット5の種類「第八試薬ユニット」が取得されている。このため、第八試薬ユニットについての試薬ユニットデータテーブル93B(
図33参照)が参照され、試薬511の試薬位置データが取得される。
【0249】
具体例では、総硬度(GH)の試薬511の試薬位置データとして、項目「GH」に対応付けられた試薬位置データ(距離)「L1」が取得される。亜硝酸塩(NO2)の試薬511の試薬位置データとして、項目「NO2」に対応付けられた試薬位置データ(距離)「L2」が取得される。硝酸塩(NO3)の試薬511の試薬位置データとして、項目「NO3」に対応付けられた試薬位置データ(距離)「L3」が取得される。総塩素(Cl2)の試薬511の試薬位置データとして、項目「Cl2」に対応付けられた試薬位置データ(距離)「L4」が取得される。ペーハー(PH)の試薬511の試薬位置データとして、項目「PH」に対応付けられた位置データ(距離)「L5」が取得される。炭酸塩硬度(KH)の試薬511の試薬位置データとして、項目「KH」に対応付けられた尺位置データ(距離)「L6」が取得される。
【0250】
次いで、S904において記憶された試薬ユニット画像データに基づく試薬ユニット画像70におけるコード525Cの角の座標である角座標が特定される(S952)。
図34に示す例では、コード525Cの左上の角座標(X91,Y91)、右上の角座標(X92,Y92)、左下の角座標(X93,Y93)、右下の角座標(X94,Y94)が特定される。なお、右下の角座標(X94,Y94)は後述するS953において説明する例では使用されないので、S952で特定されなくてもよい。
【0251】
次いで、S951において取得された試薬位置データと、S952において特定された角座標とが用いられ、試薬画像59が取得される(S953)。S953においては、四角形991,992,993,994,995,996(
図34参照)の範囲の画像が、試薬ユニット5Cの試薬画像59として取得される(S953)。
【0252】
S953における処理の一例について説明する。
図34に示すように、コード525Cの左上の角座標(X91,Y91)と、右上の角座標(X92,Y92)とから、コード525Cの上側の辺771の傾きが算出される。そして、上下方向の仮想線77Aと、辺771との間の角度775Aが算出される。
【0253】
また、コード525Cの左上の角座標(X91,Y91)と、左下の角座標(X93,Y93)とから、コード525Cの左の辺772の中点775の座標が算出される。中点775を通る仮想線77Bは、中点775を通る上下方向の仮想線77Cと仮想線77Bとの間の角度775Bが、角度775Aと同じとなる仮想線である。例えば、総硬度(GH)の試薬511の試薬画像59を取得する場合、中点775の座標から、上記で算出された角度775Aと同じ角度775B分、傾いた仮想線77Bの方向に、S951で特定された試薬位置データ(距離)「L1」だけ離れた位置にある試薬画像59が取得される。なお、距離L1だけ離れた位置を中心とする四角形991の範囲が試薬画像59として取得される。試薬画像59として取得される範囲は、ユーザが指定できるようにしてもよいし、予め決定されていてもよい。
【0254】
同様に、試薬位置データ(距離)「L2」「L3」「L4」「L5」「L6」の位置にある四角形992,993,994,995,996の範囲の画像が、亜硝酸塩(NO2)、硝酸塩(NO3)、総塩素(Cl2)、ペーハー(PH)、及び炭酸塩硬度(KH)の試薬画像59として取得される。次いで、S953で取得された試薬画像59が用いられ、S112~S114の処理が実行される。
【0255】
なお、試薬ユニットデータテーブル93B(
図33参照)には、S45、S52、及びS53(
図22及び
図30参照)の処理によって、データが入力される。例えば、ユーザは、操作部36を操作して、試薬ユニット画像70における項目に対応する画像と、コード525Cの中点775とを仮想線で結ぶと、試薬511とコード525との間の距離「L1」「L2」「L3」「L4」「L5」「L6」を指定できる。例えば、操作部36が操作され、試薬ユニット画像70における「GH」の試薬511の中心と、コード525Cの左側の辺772の中点775の位置とを仮想線で結ぶと、位置が入力されたと判断され(S52:YES)、「GH」の試薬511とコード525との間の距離「L1」が、SSD33に記憶される(S53)。登録ボタン621(
図12参照)が操作されると、例えば、試薬部材名「第五試験紙」、項目「GH」、試薬位置データ(距離)「L1」が、対応付けられて、試薬ユニットデータテーブル93Bに登録される(S54)。その他の試薬位置データ(距離)「L2」「L3」「L4」「L5」「L6」も同様に記憶される。
【0256】
上記では、
図31の検査処理を変形した
図35を用いて説明した。
図25に示す検査処理を変形する場合には、
図35と同様に、
図25のS107の処理の後、S951、S952、及びS953(
図35参照)の処理を実行し、S112以降の処理を実施すればよい。
【0257】
本変形例では、S53(
図22及び
図30参照)において記憶された試薬位置データと、S952において特定された角座標とが用いられ、試薬画像59が取得される(S953)。このように、試薬ユニット画像70に含まれるコード525Cの角座標を使用して、試薬画像59の位置を特定し、試薬画像59を取得することができる。このため、S8(
図20及び
図29参照)において試薬ユニット5が撮像される場合に、試薬ユニット5が予め決められた位置及び傾きからずれた場合でも、試薬画像59を取得できる。よって、試薬ユニット5の位置及び傾きがずれた場合に、試薬画像59が取得されない可能性を低減できる。
【0258】
本変形例において、S952の処理を行うCPU31は、本発明の「角特定手段」の一例である。S953の処理を行うCPU31は、本発明の「試薬画像取得手段」の一例である。
【0259】
なお、角座標が用いられる補正の方法は一例であり、他の方法によって、角座標を用いて補正をおこなってもよい。また、カメラ16Bと試薬ユニット5Cとの距離は、S3で撮像される場合と、S8で撮像される場合とで、互いに同じ距離でなくてもよい。この場合、S952において、試薬画像59が取得される場合に、縮尺も調整されてもよい。例えば、基準となる試薬ユニット画像70におけるコード525Cの上側の辺771の長さを予め記憶しておく。検査時に撮像された試薬ユニット画像70におけるコード525Cの左上の角座標(X91,Y91)と右上の角座標(X92,Y92)との距離を算出して、辺771の長さを算出する。算出した辺771の長さと、予め記憶しておいた基準となる試薬ユニット画像70におけるコード525Cの辺771の長さとを比較し、縮尺を算出する。算出した縮尺に応じて、S951で取得された試薬位置データ(距離)を補正する。例えば、基準となるコード525Cの辺771の長さを100とし、算出した辺771の長さが120であるとする。この場合、縮尺が1.2倍であると特定される。S951で取得された試薬位置データ(距離)「L1」が180あるとすると、距離「180」と、算出された縮尺「1.2倍」とから、距離「216」に補正される。中点775から、距離「216」分、離れた位置にある四角形991の範囲の画像が、試薬画像59として取得される。
【0260】
上記実施形態において、PC30が行う処理を、複数の装置に分散させてもよい。例えば、PC30、サーバ、その他遠隔地に設けられたPC等に分けて、PC30が行う処理を、分散させて実行してもよい。例えば、遠隔地に設けられた、ユーザを管理する管理者側のPC等において、S162(
図26参照)の処理が実行され、管理者側のPCの表示部に検査結果画面67が再表示される。そして、管理者側のPCにおいて、検査値が修正されてもよい(
図26のS142)。修正された検査値は、PC30、サーバ、その他遠隔地に設けられたPCから読みだして、どの装置においても使用できるようにしてもよい。この例のように、本発明の表示部、記憶部等、及び、CPUが行う各種の処理等、全ての本発明の構成は、複数の装置における表示部、記憶部、CPUが行う処理に分散させる態様を含むものである。
【0261】
また、PC30と撮像装置10との構成及び処理を、1つの装置の構成及び処理にまとめてもよい。同様に、PC30と撮像装置10Bとの構成及び処理を、1つの装置の構成及び処理にまとめてもよい。この場合、PC30と撮像装置10,10Bとの相互間で情報を送受信する処理は、1つの装置内で情報を送受信する処理(例えば、CPU31がSSD33,33Bから情報を読み出す処理など)となる。すなわち、本発明の検査システムに含まれる検査装置及び撮像装置は、1つの装置内の構成部品によって形成されてもよい。例えば、カメラ16をPC30に設け、撮像装置処理、情報設定処理、及び検査処理を、PC30のCPU11が実行してもよい。このように、本発明の検査システムは、全ての構成、処理を、1つの装置が備えた態様も含むものである。
【符号の説明】
【0262】
1A,1B 検査システム
5,5A,5B,5C 試薬ユニット
10,10B 撮像装置
11,11B,31 CPU
12,12B,32 RAM
13,13B フラッシュメモリ
14,14B 表示部
16,16B カメラ
33 SSD
40 印刷装置
51 試薬部材
52,52B,52C 接続部材
59 試薬画像
70,701,702,705 試薬ユニット画像
99 吹き出し表示
182 凹部
183 試薬部材配置部
184 接続部材配置部
511 試薬
522 台紙
523 粘着面
525,525B,525C コード
701,702,705 試薬ユニット画像
891 基準画像
892 実画像