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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133441
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】クロスパワーマネジメント集積回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20240925BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H02M3/00 W
H02M3/00 H
H02M3/155 W
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030934
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】63/488,461
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤショヴァルダン・ラオ・ポトラパリ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・リー・アレン
(72)【発明者】
【氏名】メフル・ディリップ・シャー
(72)【発明者】
【氏名】アクシャット・シェノイ
(72)【発明者】
【氏名】ミリンド・プラカシュ・タイル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力変換のシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】パワーコンバータは、PMICから第1の負荷電流を供給する低電力モードで動作することができる。パワーコンバータは、外部パワーモジュール内の少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、PMICをトライステートモードにすること、およびPMICと外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることのうちの1つによって、低電力モードから高電力モードに遷移することができる。外部パワーモジュールとPMICは、別のチップにあることができる。パワーコンバータは、外部パワーモジュールから第2の負荷電流を供給する高電力モードで動作することができる。第2の負荷電流を第1の負荷電流よりも大きい。パワーコンバータは、PMICをアクティブ化する前に、外部パワーモジュール内の相を非アクティブ化して、高電力モードから低電力モードに遷移することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相を含む外部パワーモジュールと、PMIC(パワーマネジメント集積回路)と、を備えるシステムであって、
前記複数の相の各々は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成された第1の電力段を備え、
前記PMICは、
前記入力電圧を前記出力電圧に変換するように構成された第2の電力段と、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記外部パワーモジュールから負荷に第1の負荷電流で前記出力電圧を供給するために、前記システムを高電力モードで動作させ、
前記PMICから前記負荷に、前記第1の負荷電流よりも小さい第2の負荷電流で前記出力電圧を供給するために、前記システムを低電力モードで動作させ、
前記出力電圧を前記第2の負荷電流で供給するために、前記PMIC内の前記第2の電力段をアクティブ化する前に、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することで、前記高電力モードから前記低電力モードに遷移し、
前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、前記PMICのトライステートモードをアクティブ化すること、および前記PMICと前記外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることのうちの少なくとも1つを実行することで、前記低電力モードから前記高電力モードに遷移するように構成される、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記PMICの周囲温度が所定の温度閾値よりも大きいと判定し、
前記PMICの周囲温度が前記所定の温度閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記システムを前記高電力モードで動作させるように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移するために、前記コントローラは、前記外部パワーモジュールが1相モードで動作するまで前記相を1つずつ非アクティブ化することで、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化するように構成され、前記1相モードは、前記複数の相のうちの1つのアクティブな相を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移するために、前記コントローラは、前記複数の相内のアクティブな相のうちの1つのアクティブな相を除くすべての相を非アクティブ化することで、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移するために、前記コントローラは、
前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化して、前記外部パワーモジュールを、前記複数の相のうちの1つのアクティブな相を含む1相モードで動作させ、
前記外部パワーモジュールが前記1相モードで動作したままである持続時間が所定のタイマーを上回ると判定し、
前記外部パワーモジュールが前記1相モードで動作したままである前記持続時間が前記所定のタイマーを上回ると判定したことに応答して、前記PMIC内の前記第2の電力段をアクティブ化し、前記外部パワーモジュールの前記1相モードにおける前記1つのアクティブな相を非アクティブ化するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記低電力モードから前記高電力モードに遷移するために、前記コントローラは、
前記外部パワーモジュールのトライステートモードをアクティブ化し、
前記第2の電力段に接続された出力インダクタのインダクタ電流がゼロに駆動されたと判定し、
前記第2の電力段に接続された前記出力インダクタの前記インダクタ電流がゼロに駆動されたと判定したことに応答して、前記PMIC内の前記第2の電力段を非アクティブ化するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、所定のタイマーの経過を判定することで、前記第2の電力段に接続された前記出力インダクタの前記インダクタ電流がゼロに駆動されたと判定するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
入力電圧を出力電圧に変換するように構成された第1の電力段と、コントローラと、を備える半導体装置であって、
前記コントローラは、
前記第1の電力段から負荷に第1の負荷電流で前記出力電圧を供給するために、電力変換を低電力モードで実行し、
外部パワーモジュールから前記負荷に、前記第1の負荷電流よりも大きい第2の負荷電流で前記出力電圧を供給するために、電力変換を高電力モードで実行するように構成され、
前記外部パワーモジュールは、複数の相を含み、前記相の各々は、前記入力電圧を前記出力電圧に変換するように構成された第2の電力段を備え、
前記コントローラは、
前記出力電圧を前記負荷に供給するために、PMIC内の前記第1の電力段をアクティブ化する前に、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することで、前記高電力モードから前記低電力モードに遷移し、
前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、前記PMICのトライステートモードをアクティブ化すること、および前記PMICと前記外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることのうちの少なくとも1つを実行することで、前記低電力モードから前記高電力モードに遷移するように構成される、
半導体装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記PMICの周囲温度が所定の温度閾値よりも大きいと判定し、
前記PMICの周囲温度が前記所定の温度閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記電力変換を前記高電力モードで実行するように構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移するために、前記コントローラは、前記外部パワーモジュールが1相モードで動作するまで前記相を1つずつ非アクティブ化することで、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化するように構成され、前記1相モードは、前記複数の相のうちの1つのアクティブな相を含む、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移するために、前記コントローラは、前記複数の相内のアクティブな相のうちの1つのアクティブな相を除くすべての相を非アクティブ化することで、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化するように構成される、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移するために、前記コントローラは、
前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化して、前記外部パワーモジュールを、前記複数の相のうちの1つのアクティブな相を含む1相モードで動作させ、
前記外部パワーモジュールが前記1相モードで動作したままである持続時間が所定のタイマーを上回ると判定し、
前記外部パワーモジュールが前記1相モードで動作したままである前記持続時間が前記所定のタイマーを上回ると判定したことに応答して、前記PMIC内の前記第1の電力段をアクティブ化し、前記外部パワーモジュールの前記1相モード内の前記1つのアクティブな相を非アクティブ化するように構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記低電力モードから前記高電力モードに遷移するために、前記コントローラは、
前記外部パワーモジュールのトライステートモードをアクティブ化し、
前記第1の電力段に接続された出力インダクタのインダクタ電流がゼロに駆動されたと判定し、
前記第1の電力段に接続された前記出力インダクタの前記インダクタ電流がゼロに駆動されたと判定したことに応答して、前記PMIC内の前記第1の電力段を非アクティブ化するように構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記コントローラは、所定のタイマーの経過を判定することで、前記第1の電力段に接続された前記出力インダクタの前記インダクタ電流がゼロに駆動されたと判定するように構成される、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
入力電圧を出力電圧に変換してPMIC(パワーマネジメント集積回路)から負荷に第1の負荷電流で前記出力電圧を供給するために、パワーコンバータを低電力モードで動作させるステップと、
前記パワーコンバータを前記低電力モードから高電力モードに遷移させるステップであって、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、前記PMICのトライステートモードをアクティブ化するステップであって、前記外部パワーモジュールおよび前記PMICは別個のチップにある、ステップと、前記PMICと前記外部パワーモジュールの前記少なくとも1つの相を同時に動作させるステップと、のうちの少なくとも1つを実行することで、前記パワーコンバータを前記低電力モードから高電力モードに遷移させるステップと、
前記入力電圧を前記出力電圧に変換して前記外部パワーモジュールから前記負荷に第2の負荷電流で前記出力電圧を供給するために、前記パワーコンバータを前記高電力モードで動作させるステップであって、前記第2の負荷電流は、前記第1の負荷電流よりも大きい、ステップと、
前記負荷に前記出力電圧を供給するために、前記PMIC内の電力段をアクティブ化する前に、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化するステップを行うことで、前記パワーコンバータを前記高電力モードから前記低電力モードに遷移させるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記PMICの周囲温度が所定の温度閾値よりも大きいと判定するステップと、
前記PMICの周囲温度が前記所定の温度閾値よりも大きいと判定したことに応答して、前記パワーコンバータを前記高電力モードで動作させるステップと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化する前記ステップは、前記外部パワーモジュールが1相モードで動作するまで前記相を1つずつ非アクティブ化するステップを含み、前記1相モードは、前記複数の相のうちの1つのアクティブな相を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化する前記ステップは、前記複数の相内のアクティブな相のうちの1つのアクティブな相を除くすべての相を非アクティブ化するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記高電力モードから前記低電力モードに遷移させる前記ステップは、
前記外部パワーモジュールを、前記複数の相のうちの1つのアクティブな相を含む1相モードで動作させるために、前記外部パワーモジュール内の前記複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化するステップと、
前記外部パワーモジュールが前記1相モードで動作したままである持続時間が所定のタイマーを上回ると判定するステップと、
前記外部パワーモジュールが前記1相モードで動作したままである前記持続時間が前記所定のタイマーを上回ると判定したことに応答して、前記PMIC内の前記電力段をアクティブ化し、前記外部パワーモジュールの前記1相モード内の前記1つのアクティブな相を非アクティブ化するステップと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記低電力モードから前記高電力モードに遷移させるステップは、
前記外部パワーモジュールのトライステートモードをアクティブ化するステップと、
前記電力段に接続された出力インダクタのインダクタ電流がゼロに駆動されたと判定するステップと、
前記PMIC内の前記電力段に接続された前記出力インダクタの前記インダクタ電流がゼロに駆動されたと判定したことに応答して、前記PMIC内の前記電力段を非アクティブ化するステップと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2023年3月3日に出願された「Cross Power Management Integrated Circuit(XPMIC)Baby Phase Architecture」と題する米国特許出願第63/488,461号の優先権を主張する。その全文は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本明細書に明示されない限り、本項に記載される資料は、本願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、本項の記載によって先行技術であることを認めるものではない。本開示は、一般に、半導体装置を制御するシステムおよび方法に関し、より詳細には、パワーコンバータの制御に関する。
【背景技術】
【0003】
バックコンバータやブーストコンバータなどのパワーコンバータや電圧コンバータは、入力電圧を、電圧レベルが異なる出力電圧に変換するために使用され得る。バックコンバータや降圧コンバータは、入力電圧をより低い電圧に変換することができる。ブーストコンバータや昇圧コンバータは、入力電圧をより高い電圧に変換することができる。バック/ブーストコンバータは、入力電圧を昇圧または降圧することができる。電圧コンバータは、PWM(パルス幅変調)制御信号によってオンおよびオフされる複数のスイッチを含むことができる。PWM制御信号のデューティサイクルは、電圧コンバータの出力電圧を決定することができる。電圧コンバータが負荷に接続されると、負荷は特定量の電力を要求することができ、電圧コンバータは電圧変換を実行して、負荷が要求する電力を供給できる出力電圧を生成することができる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、一般に、電力変換のためのシステムが提供される。該システムは、複数の相を含む外部パワーモジュールを含むことができる。相の各々は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成された第1の電力段を含むことができる。さらに、該システムは、PMIC(パワーマネジメント集積回路)を含むことができる。PMICは、入力電圧を出力電圧に変換するように構成された第2の電力段を含む。さらに、PMICは、外部パワーモジュールから負荷に第1の負荷電流で出力電圧を供給するために、システムを高電力モードで動作させるように構成されたコントローラを含むことができる。さらに、コントローラは、PMICから負荷に第2の負荷電流で出力電圧を供給するために、システムを低電力モードで動作させるように構成され得る。ここで、第2の負荷電流を第1の負荷電流よりも小さくすることができる。さらに、コントローラは、第2の負荷電流で出力電圧を供給するために、PMIC内の第2の電力段をアクティブ化する前に、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することで、高電力モードから低電力モードに遷移するように構成され得る。さらに、コントローラは、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、PMICのトライステートモードをアクティブ化すること、およびPMICと外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることのうちの少なくとも1つを実行することで、低電力モードから高電力モードに遷移するように構成され得る。
【0005】
一実施形態において、一般に、電力変換のための半導体装置が提供される。半導体装置は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成された第1の電力段を含むことができる。さらに、半導体装置は、第1の電力段から負荷に第1の負荷電流で出力電圧を供給するために、電力変換を低電力モードで実行するように構成されたコントローラをさらに含むことができる。さらに、コントローラは、外部パワーモジュールから負荷に第2の負荷電流で出力電圧を供給するために、電力変換を高電力モードで実行するように構成され得る。外部パワーモジュールは、複数の相を含むことができ、相の各々は、入力電圧を出力電圧に変換するように構成された第2の電力段を含むことができる。ここで、第2の負荷電流を第1の負荷電流よりも小さくすることができる。さらに、コントローラは、負荷に出力電圧を供給するために、PMIC内の第1の電力段をアクティブ化する前に、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することで、高電力モードから低電力モードに遷移するように構成され得る。さらに、コントローラは、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、PMICのトライステートモードをアクティブ化すること、およびPMICと外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることのうちの少なくとも1つを実行することで、低電力モードから高電力モードに遷移するように構成され得る。
【0006】
一実施形態において、一般に、パワーコンバータを動作させるための方法が提供される。該方法は、入力電圧を出力電圧に変換してPMIC(パワーマネジメント集積回路)から負荷に第1の負荷電流で出力電圧を供給するために、パワーコンバータを低電力モードで動作させるステップを含むことができる。さらに、該方法は、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、PMICのトライステートモードをアクティブ化すること(この場合、外部パワーモジュールおよびPMICは別個のチップ上にあることができる)、およびPMICと外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることのうちの少なくとも1つを実行することで、パワーコンバータを低電力モードから高電力モードに遷移させるステップを含むことができる。さらに、該方法は、入力電圧を出力電圧に変換して外部パワーモジュールから負荷に第2の負荷電流で出力電圧を供給するために、パワーコンバータを高電力モードで動作させるステップを含むことができる。ここで、第2の負荷電流を第1の負荷電流よりも小さくすることができる。さらに、該方法は、出力電圧を負荷に供給するために、PMIC内の電力段をアクティブ化する前に、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することで、パワーコンバータを高電力モードから低電力モードに遷移させるステップを含むことができる。
【0007】
上記の要約は例示であり、いかなる意味においても限定することを意図していない。上述した態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、添付の図を参照して、且つ以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図において、同様の参照符号は、同一または機能的に同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における、クロスパワーマネジメント集積回路を実現することができるシステムの一例を示す図である。
図2図1に示す一実施形態におけるシステムの実装例を示す図である。
図3図1に示す一実施形態におけるシステムの別の実装例を示す図である。
図4】一実施形態におけるクロスパワーマネジメント集積回路を実現するプロセスを示すフロー図である。
図5】一実施形態におけるクロスパワーマネジメント集積回路を実現するプロセスを示す別のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本願の様々な実施形態の理解を促すために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップ、および技術などを含む多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本願の様々な実施形態が、これらの具体的な詳細なしに実現され得ることを理解するであろう。場合によっては、本願を不明瞭にしないために、既知の構造または処理ステップの詳細に関する説明を省略する。
【0010】
パワーコンバータは、負荷に電力を供給するための出力電圧を生成するためにスイッチング可能なFET(電界効果トランジスタ)などのパワーデバイスを含むことができる。パワーコンバータのコントローラは、PWM(パルス幅変調)信号を生成するように構成された変調器を含むことができる。また、パワーコンバータは、PWM信号を受信し、そのPWM信号を使用して電圧信号を生成することができるドライバ回路を含むことができる。ドライバ回路は、電圧信号をパワーデバイスのゲート端子に印加してパワーデバイスを駆動して、パワーデバイスをオン/オフすることができる。一態様において、パワーコンバータに供給される入力電圧は、負荷が要求する電力の電圧よりも高い電圧をもつことができる。バックコンバータであり得るパワーコンバータは、入力電圧を降圧して、負荷が要求する電圧レベルをもつ出力電圧を生成することができる。
【0011】
一態様において、パワーコンバータは、レベルが異なる電力を要求する異なる負荷に接続され得る。重負荷は、比較的大きな電力または大きな負荷電流を要求することができ、軽負荷は、比較的小さな電力または小さな負荷電流を要求することができる。パワーコンバータは、重負荷および軽負荷に対応するために、異なる電力レベルまたは異なる負荷電流を供給するように設計および構成され得る。パワーデバイスのスイッチングを制御して、パワーコンバータが異なる電力量を異なる負荷に供給することができる。一態様において、パワーコンバータが軽負荷で効率的になるように設計されている場合、重負荷動作時の効率が影響を受ける可能性があり、逆に重負荷の最適化では軽負荷の効率が影響を受ける可能性がある。パワーコンバータが異なる電力段の間でスイッチングされるように設計されている場合、異なる負荷の間に最適な効率性能を達成することができる。
【0012】
例えば、パワーコンバータは、複数の相を含むことができる。ここで、相は、電力段(例えば、インダクタに接続されたパワーFET)である。複数の電力段は、異なる電力レベルまたは異なる負荷電流、および重負荷用の高電力を比較的効率よく供給するように、並列に接続され得る。パワーコンバータのコントローラは、電力変換を可能な限り効率よくするために、負荷に基づいてアクティブな相の数を管理することができる。例えば、コントローラは、重負荷に電力を供給するためにより多くの相をアクティブ化することができ、軽負荷に電力を供給するためにより少ない数の相、あるいは1つの相だけをアクティブ化することができる。一態様において、重負荷および軽負荷の両方を供給することができるパワーコンバータは、より大きい電力容量とより高い電圧をもつなど、より大きい電力能力をもつパワーデバイスまたはパワーFETを含むことができる。したがって、軽負荷に電力を供給する場合、そのようなパワーコンバータの効率は最適でない可能性がある。これは、より大きい電力能力をもつパワーデバイスは、電力供給およびスイッチングに比較的多くの静止電流を必要とする可能性があるからである。
【0013】
後述するように、電力変換システムは、PMIC(パワーマネジメント集積回路)に集積された電力段と、PMICの外部にある外部電力段と、を含むことができる。コントローラは、PMIC内の電力段をスイッチングしてVoutをより低い負荷電流で軽負荷に供給することで、電力変換システムを低電力モードで動作させることができる。また、コントローラは、外部電力段をスイッチングしてVoutをより高い負荷電流で重負荷に供給することで、電力変換システムを高電力モードで動作させることができる。また、コントローラは、低電力モードの開始と終了が電力変換システムの動作を妨げないようにシームレスに高電力モードと低電力モードとの間をスイッチングし、高電力モードと低電力モードとの間を除去し、PMIC内の電力段を過剰な電力消費または破壊から保護することができる。一部の実施例において、低電力モードのためにPMICに集積された電力段は、ベビーフェーズとも呼ばれる場合がある。
【0014】
図1は、一実施形態における、クロスパワーマネジメント集積回路(XPMIC)を実現することができるシステム100の実施例を示している。非限定的な例によれば、システム100は、パワーコンバータシステム100であり得る。本明細書において、ブロック、モジュール、回路、およびシステムなどの用語は、様々なハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェア要素、またはそれらの組み合わせを意味する場合がある。
【0015】
システム100は、PMIC102と、ホストコンピュータ104と、外部パワーモジュール106と、を含むことができる。PMIC102は、パワーコンバータシステム100のためにより低い負荷電流で低電力出力を供給するように構成され得るクロスパワーマネジメント集積回路(XPMIC)であり得、XPMICまたはクロスPMICと称する場合がある。ホストコンピュータ104は、PMIC102を制御し、PMIC102からステータスを受信するように構成され得る。外部パワーモジュール106は、複数の電力段からより高い負荷電流で高電力出力を供給するように構成され得る。PMIC102は、外部パワーモジュール106に制御信号を供給し、外部パワーモジュール106から電流信号および電圧信号を受信するように構成され得る。
【0016】
PMIC102は、コントローラ124と、複数の格納先または記憶場所120(例えば、アドレス)と、ドライバ回路(またはLPドライバ)130と、電力段132(またはLP電力段132)と、温度センサ148などの他の構成要素と、を少なくとも含むことができる。記憶場所120は、例えば、命令や構成データを格納し、ホストコンピュータ104との通信のためのステータスを保持する機器構成レジスタ、制御レジスタ、およびステータスレジスタを含むことができる。コントローラ124は、例えば、様々なアナログおよびデジタル回路要素などのハードウェアを含むマイクロコントローラを実装する1つまたは複数の半導体装置を含むことができる。コントローラ124は、例えば、プロセッサ、CPU(中央処理装置)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、または電力段152の様々な側面を制御および動作するように構成された任意の他の回路を含むことができる。コントローラ124は、PMIC102の様々な側面を制御するように構成され得る。電力段132は、コントローラ124と同じダイ上に含まれ得る(例えば、同じ半導体チップに集積されることができる)。
【0017】
コントローラ124は、メモリ120内に埋め込まれるか、またはメモリ120によってアクセス可能であるか、ホストコンピュータ104から少なくとも部分的にダウンロード可能なファームウェア、ソフトウェア、および構成データを含む場合がある命令を実行するように構成され得る。さらに、コントローラ124は、電力段132内のスイッチをオンまたはオフするための制御信号126(例えば、PWM信号)を生成し、その制御信号126をドライバ回路130に送信するように構成され得る。ドライバ回路130は、制御信号を受信し、制御信号を、電力段132内のスイッチを駆動するためのゲート電圧であり得る駆動信号に変換することができる。さらに、コントローラ124は、システム100の動作に関連する様々なパラメータを監視し、監視されたパラメータに基づいて、負荷156などの1つまたは複数の負荷に異なる電力レベルを供給するために、システム100を高電力モードで動作させるか低電力モードで動作させるかを決定するように構成され得る。
【0018】
電力段132は、少なくとも1対のスイッチQ1、Q2を含むことができる。スイッチQ1、Q2は、例えば、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)であり得る。スイッチQ1は、入力電圧Vin1とスイッチノードSWとの間に直列に配置され得る。一実施形態において、入力電圧Vin1は、バッテリパックまたは電源から供給される直流(DC)電圧であり得る。スイッチQ2は、スイッチノードSWと接地との間に直列に配置され得る。スイッチQ1、Q2の各々は、N型(例えば、N型チャネル)MOSFETまたはP型(例えば、P型チャネル)MOSFETであり得る。ドライバ回路130は、制御信号126を使用して駆動信号134を生成し、駆動信号134を使用してスイッチQ1を駆動し、駆動信号136を生成し、駆動信号136を使用してスイッチQ2を駆動することができる。ドライバ回路130は、コントローラ124から供給されたPWM制御信号に従って、駆動信号134、136をスイッチQ1、Q2のゲート端子に交互に印加することができる。駆動信号134、136を使用してスイッチQ1、Q2を駆動した結果、出力電圧Vout_PHをスイッチノードSWから出力することができる。インダクタンスL1をもつインダクタ140は、スイッチノードSWとシステム100の出力144との間に接続され得る。出力144からの出力電圧Voutは、負荷156に電力を供給することができる。負荷156は、例えば、CPU(中央処理装置)、MPU(マルチプロセッサユニット)、コンピュータ、または動作するのに電力を必要とする他の電子要素であり得る。
【0019】
温度センサ148は、PMIC102の周囲温度を感知するように構成され得る。PMIC102の周囲温度が、所定の温度閾値を上回る(例えば、ダイ温度が85℃、185°Fを上回る)など比較的高い場合、温度センサ148は、(例えば、アナログまたはデジタル信号として)フラグをコントローラ124に出力することができる。フラグの受信に応答して、コントローラ124は、PMIC102が過剰な熱にさらされている可能性があると判定し、PMIC102および/またはシステム100の他の構成要素を損傷しないように、PMIC102を一時停止または無効にすることができる。他の温度閾値が課されてもよく、閾値は、システム100の様々な動作条件および環境条件に基づいて調整されてもよい。
【0020】
また、PMIC102は、出力144から出力電圧Voutのフィードバックを受信するように構成された電圧感知回路142を含むことができ、Voutが少なくとも1つの所定の電圧閾値よりも大きいか、小さいか、または等しいかを示すフラグ(例えば、アナログまたはデジタル信号)をコントローラ124に出力することができる。コントローラ124は、電圧感知回路142からのフラグを使用して、システム100の様々な側面を動作させることができる。また、PMIC102は、システム100内のインダクタ140、170、180などのインダクタにわたるインダクタ電流のフィードバックを受信するように構成された電流感知回路146を含むことができる。電流感知回路146は、感知したインダクタ電流が少なくとも1つの所定のインダクタ電流閾値よりも大きいか、小さいか、または等しいかを示すフラグ(例えば、アナログまたはデジタル信号)をコントローラ124に出力することができる。コントローラ124は、電流感知回路146からのフラグを使用して、システム100の様々な側面を動作させることができる。一実施形態において、電流感知回路146は、誘導ピックアップセンサ接続のような非損失接続を使用してシステム100内のインダクタに接続され得る。
【0021】
ホストコンピュータ104は、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)、フラッシュドライブ、メモリカード/メモリスティック、およびソリッドステート記憶デバイスなどの非一時的なコンピュータ可読媒体114に格納されたコンピュータ命令112(例えば、コンピュータ実装コード)を読み出しおよび実行するように構成されたプロセッサ110を有するマイクロコントローラまたはマイクロコンピュータを含むことができる。これらは、コンピュータ命令112の改訂および/または更新を容易にするために、再書き込み可能、取り外し可能、または交換可能であり得る。ホストコンピュータ104は、双方向バス116を介してPMIC102と通信することができる。
【0022】
外部パワーモジュール106は、複数のドライバ回路150と、複数の電力段152(「HP電力段」)と、を含むことができる。ドライバ回路150は、PMIC102内のコントローラ124から制御信号158を受信することができ、制御信号158を使用して、電力段152内のスイッチを駆動するためのゲート電圧であり得る駆動信号を生成することができる。電力段152の各々は、少なくとも1対のスイッチM1、M2を含むことができる。スイッチM1、M2は、例えば、MOSFETであり得る。スイッチM1は、入力電圧Vin2とスイッチノードとの間に直列に配置され得る。スイッチM2は、スイッチノードSWと接地との間に直列に配置され得る。スイッチM1、M2の各々は、N型MOSFETまたはP型MOSFETであり得る。一実施形態において、入力電圧Vin2は、バッテリパックまたは電源から供給された直流(DC)電圧であり得る。一実施形態において、外部パワーモジュール106に供給されている入力電圧Vin2は、PMIC102に供給される入力電圧Vin1と同じ(例えば、同じ電圧源)であり得る。別の実施形態において、Vin2は、Vin1とは異なることができる。例えば、Vin2は、PMIC102内の電力段132に供給されている入力電圧Vin1よりも大きくなり得る。例えば、Vin1は5ボルト(V)、Vin2は10V~100Vであり得る。
【0023】
図1に示す実施形態において、N個のドライバ回路150とN個の電力段152が存在するように、N個の相が存在する。図1に示すN個の相のうちの1つを例として使用すると、相1は、ドライバ回路160と、電力段162と、を含むことができる。ドライバ回路160は、制御信号158を使用して駆動信号164を生成し、駆動信号164を使用して電力段162内のスイッチM1を駆動し、駆動信号166を生成し、駆動信号166を使用して電力段162内のスイッチM2を駆動することができる。ドライバ回路160は、コントローラ124から供給されたPWM制御信号に従って、駆動信号164、166をスイッチM1、M2のゲート端子に交互に印加することができる。駆動信号164、166を使用してスイッチM1、M2を駆動した結果、スイッチM1、M2の間のスイッチノードSW1から出力電圧Vout_PH1を出力することができる。インダクタンスL2をもつインダクタ170は、スイッチノードSW1とシステム100の出力144との間に接続され得る。
【0024】
一実施形態において、外部パワーモジュール106内の複数の相のうちの各相は、互いに同一であり得る。図1に示す相Nを例として使用すると、相Nは、ドライバ回路190と、電力段192と、を含むことができる。ドライバ回路190は、制御信号158を使用して駆動信号194を生成し、駆動信号194を使用して電力段192内のスイッチM1を駆動し、駆動信号196を生成し、駆動信号196を使用して電力段192内のスイッチM2を駆動することができる。ドライバ回路190は、コントローラ124から供給されたPWM制御信号に従って、駆動信号194、196をスイッチM1、M2のゲート端子に交互に印加することができる。駆動信号194、196を使用してスイッチM1、M2を駆動した結果、スイッチM1、M2の間のスイッチノードSWNから出力電圧Vout_PHNを出力することができる。インダクタンスL2をもつインダクタ180は、スイッチノードSWNとシステム100の出力144との間に接続され得る。
【0025】
一実施形態において、PMIC102の電力段132内のスイッチQ1、Q2は、外部パワーモジュール106の電力段152内のスイッチM1、M2と比較して、より小さく、より低い電力で制御可能であり得る。換言すると、スイッチM1、M2は、スイッチQ1、Q2と比較して、より大きく、より高い電力で制御可能であり得る。一実施形態において、インダクタンスL1は、インダクタンスL2とは異なることができ、インダクタ140は、インダクタ170、180など、外部パワーモジュール106と出力144との間に接続されたインダクタと比較して、異なるフットプリント、異なる電力処理能力、および異なるスペース要件を有することができる。インダクタンスおよびインダクタのフットプリントの値L1、L2は、システム100の効率を最適化する目的に基づいて選択されてもよい。例えば、L1は470ナノヘンリー(nH)、L2は110nHであり得る。一実施形態において、外部パワーモジュール106内の相の数は、システム100の意図された電力供給能力に依存することができる。外部パワーモジュール106内の相の数は、1~Nの間で変化することができる。ここで、Nは、1、1、4、10、16であってもよく、システム100の電力供給要件に基づく任意の数であってもよい。
【0026】
後述するように、コントローラ124は、高電力モードと低電力モード(例えば、ベビーフェーズモード)との間でシステム100の動作モードをスイッチングして、異なる電力レベルを供給するために異なる負荷電流を出力するように構成され得る。コントローラ124は、方向バス116上の信号を監視することができる。これらの監視された信号は、コントローラ124がシステム100の動作モードをスイッチングすべきかどうかを示すコマンドおよび/または命令を符号化することができる。コントローラ124は、外部パワーモジュール106および電力段132を選択的にアクティブ化および非アクティブ化し、また、外部パワーモジュール106内の電力段152を選択的にアクティブ化および非アクティブ化することで、システム100の動作モードをスイッチングすることができる。選択的なアクティブ化および非アクティブ化により、Voutから供給される電力供給が中断されないように、動作モード間のシームレスなスイッチングを提供することができる。さらに、コントローラ124は、PMIC102の周囲温度に基づいて動作モードをスイッチングして、PMIC102の損傷を防止することができる。
【0027】
図2は、図1に示す一実施形態におけるシステムの実装例を示す図である。図2に示す実施形態において、コントローラ124は、電力段132を非アクティブ化し、外部パワーモジュール106をアクティブ化することで、システム100を高電力モードで動作させることができる。一実施形態において、コントローラ124は、ドライバ回路130をコントローラ124から切り離すか、またはコントローラ124とドライバ回路130とを接続する信号トレース上に制御信号126を供給しない(例えば、電圧を印加しない)ことで、電力段132を非アクティブ化することができる。一実施形態において、コントローラ124は、ドライバ回路150の内の少なくとも1つのドライバ回路とコントローラ124とを接続するか、またはコントローラ124と外部パワーモジュール106内のドライバ回路150のうちの少なくとも1つのドライバ回路とを接続する信号トレース上に制御信号158を供給する(例えば、電圧を印加する)ことで、外部パワーモジュール106をアクティブ化することができる。
【0028】
一実施形態において、ホストコンピュータ104は、方向バス116を介してコマンド202をコントローラ124に送信することができる。コマンド202は、システム100を高電力モードで動作させる必要性を示すことができる。一実施形態において、コマンド202は、出力144に接続された負荷156による電力要求量が、低電力モードがサポートできる電力量よりも大きい場合などのイベントに応答して、低電力モードの終了を要求することができる。別の実施形態において、コマンド202は、シャットダウン、スリープモード、アイドルモード、または出力144でVoutを生成しないその他のモードなどの様々なモードからシステム100をウェイクアップする要求であり得る。なお、システム100をウェイクアップするには、1つまたは複数の出力インダクタ(例えば、140、170、180)と出力144との間に接続された出力キャパシタ(図示せず)を充電するために比較的大きな電流を生成するように出力電圧Voutをランプアップする必要がある場合があるため、高電力モードが必要とされる場合があることに留意されたい。
【0029】
別の実施形態において、コントローラ124は、電圧感知回路142、電流感知回路146、および温度センサ148から出力されたフラグを監視することができる。一実施形態において、電圧感知回路142が、Voutが所定の電圧閾値を上回ることを示すフラグを出力した場合、コントローラ124は、出力144に接続された負荷156が要求する電力が増加しており、システム100を高電力モードで動作させる必要があると判定することができる。別の実施形態において、電流感知回路146が、インダクタ140をわたるインダクタ電流が所定のインダクタ電流閾値を上回ることを示すフラグを出力した場合、コントローラ124は、出力144に接続された負荷156が要求する電力が増加しており、システム100を高電力モードで動作させる必要があると判定することができる。別の実施形態において、温度センサ148が、PMIC102の周囲温度が所定の温度閾値を上回る(例えば、PMIC102がホットであると考えられる)ことを示すフラグを出力した場合、コントローラ124は、PMIC102の損傷を防止するために電力段132を非アクティブ化し、出力144に接続された負荷156に電力を供給し続けるために外部パワーモジュール106をアクティブ化することを決定することができる。
【0030】
一実施形態において、システム100の高電力モードは、2つ以上の電力状態に分類され得る。本開示において、電力状態PS0は、システム100が、出力144に接続された負荷156に最大電力を供給するように動作されるフル性能を示し、電力状態PS1は、負荷156に供給される電力が、電力状態PS0よりも低いが、電力段132によって供給され得る最大電力よりも高い(例えば、低電力モードの最大電力出力よりも高い)ライトスロットルを示すことができる。一実施形態において、システム100を高電力モードで動作させるためにホストコンピュータ104からコマンドコントローラ124に供給されたコマンド202は、電力状態PS0およびPS1の一方を示すことができる。一態様において、負荷156がより多くの電力を要求するにつれて、電圧レベルVoutを維持することができ、外部パワーモジュール106は、負荷電流をランプアップするために、N個の相のうちのアクティブな相を選択的にスイッチングすることができる。
【0031】
図3は、図1に示す一実施形態におけるシステムの別の実装例を示す図である。図3に示す実施形態において、コントローラ124は、外部パワーモジュール106を非アクティブ化し、電力段132をアクティブ化することで、システム100を低電力モードで動作させることができる。一実施形態において、コントローラ124は、外部パワーモジュール106をコントローラ124から切り離すか、またはコントローラ124と外部パワーモジュール106とを接続する信号トレース上に制御信号158を供給しない(例えば、電圧を印加しない)ことで、外部パワーモジュール106を非アクティブ化することができる。一実施形態において、コントローラ124は、ドライバ回路130と接続することで、またはコントローラ124とドライバ回路130とを接続する信号トレース上に制御信号126を供給する(例えば、電圧を印加する)ことで、電力段132をアクティブ化することができる。
【0032】
一実施形態において、ホストコンピュータ104は、方向バス116を介してコマンド302をコントローラ124に送信することができる。コマンド302は、システム100を低電力モードで動作させる必要性を示すことができる。一実施形態において、コマンド302は、出力144に接続された負荷156による電力要求量が、外部パワーモジュール106によって供給され得る最小電力量を下回る場合などのイベントに応答して、高電力モードを終了するための要求であり得る。例えば、外部パワーモジュール106によって供給され得る最小電力量は、外部パワーモジュール106において1つの相がアクティブ化されるとき(例えば、1相モードまたは1-PHモード)のものであり得る。
【0033】
別の実施形態において、システム100を低電力モードで動作させる要求を示すコマンド302を受信したことに応答して、コントローラ124は、温度センサ148からフラグを受信したかどうかを検出することができる。温度センサ148からフラグが受信されていない場合、コントローラ124は、電力段132を使用してシステム100を低電力モードで動作させることができる。PMIC102がホットであることを示すフラグを温度センサ148から受信した場合、コントローラ124は、コマンド302によって示された低電力モードの要求にもかかわらず、電力段132をアクティブ化しないことができる。
【0034】
一実施形態において、高電力モードから低電力モードに遷移するために、コントローラ124は、外部パワーモジュール106内の相が1つずつ停止されるか非アクティブになる低速パスを使用して、低電力モードに遷移することができる。例えば、相1、相2、相3を含む3つの相が高電力モードでアクティブ化される場合、コントローラ124は、第1のサイクルで相3を非アクティブ化し、第2のサイクルで相2を非アクティブ化して、システム100を1-PHモードに遷移させることができる。システム100が1-PHモードで動作することに応答して、コントローラ124は、相1を非アクティブ化する前、および電力段132をアクティブ化する前に、温度センサ148からフラグを受信したかどうかをチェックすることができる。温度センサ148からフラグを受信した場合、コントローラ124は、PMIC102の周囲温度が安全なレベル(例えば、所定の温度閾値未満)に戻るまで、システム100を1-PHモードで動作し続けることができる。一実施形態において、温度センサ148からフラグを受信していない場合、コントローラ124は、相1を非アクティブ化し、電力段132をアクティブ化することができる。一実施形態において、高電力モードから低電力モードに遷移するために、コントローラ124は、外部パワーモジュール106内のすべての相が停止または非アクティブ化にされる高速パスを使用して、低電力モードに遷移することができる。
【0035】
別の実施形態において、負荷156が要求する電力が増加している場合、コントローラ124は、電力の要求が減少するまで、外部パワーモジュール106内の1つの追加相をアクティブ化することができる。同様に、負荷156が要求する電力が減少している場合、コントローラ124は、電力の要求が増加するまで、外部パワーモジュール106内の1つの相を非アクティブ化することができる。したがって、負荷156による電力の要求が不安定な場合(例えば、連続するサイクル間で交互に増加および減少する場合)、コントローラ124は、外部パワーモジュール106のアクティブな相を交互に増加および減少させ続けることもできる。電力の要求の交互の増加および減少が、電力の要求を高電力モードと低電力モードとの間で区別する所定の電力要求閾値を超える場合、コントローラ124は、PMIC102を連続的にアクティブ化および非アクティブ化することができ、PMIC102の周囲温度を増加させる可能性がある。これは、PMIC102の損傷のリスクを増大させる。一実施形態において、システム100の不安定な動作条件下で、PMIC102を連続的に過剰にアクティブ化および非アクティブ化することを防止するために、コントローラ124は、外部パワーモジュール106を非アクティブ化する前、および電力段132をアクティブ化する前に、所定のタイマーが経過するのを待つことができる。所定のタイマーが経過するのを待つことで、低電力モードに遷移する前に、システム100を安定させることができる。
【0036】
一実施形態において、システム100の低電力モードは、2つ以上の電力状態に分類され得る。本開示において、電力状態PS2は、重いスロットリングを意味する場合がある。ここで、電圧レベルVoutは、電力段132によって生成され得る最大電圧よりも低く(例えば、低電力モードの最大電圧出力よりも低く)、システム100の非動作時急速回復モードの電圧出力よりも高い。システム100の非動作時急速回復モードは、高電力モードから低電力モードへの即時遷移であり得る。電力状態PS3は、システム100の非動作時急速回復モードでの動作を意味する場合がある。ここで、電圧レベルVoutは、電力状態PS2の電圧出力よりも低いが、ゼロよりも大きい。また、一実施形態において、システム100は、システム100の非動作時低速回復モードでの動作を意味する電力状態PS4にあり得る。システム100の非動作時低速回復モードは、非動作時急速回復モードよりも遅い遷移であるより低い電力モードへの自動遷移であり得る。非動作時低速回復モードでは、システム100をシャットダウンすることができるように、電力段132および外部パワーモジュール106の両方を非アクティブ化することができる。なお、システム100の低電力モード下では、外部パワーモジュール106は、負荷156に供給される電力が負荷要求に依存するので、依然として比較的高い電圧レベルでVoutを供給することができることに留意されたい。例えば、1-PHモードに遷移するための上述した低速パスにより、外部パワーモジュール106は、アクティブな状態を維持し、低電力モードに寄与することができる。
【0037】
別の実施形態において、コントローラは、低電力モードに遷移するための自動エントリ機構を実行することができる。例えば、負荷156によって引き出される電流がリップル電流の半分未満である場合、コントローラは、ハイサイド(例えば、Q1)、ローサイド(例えば、Q2)、トライステートのパターンで電力段132をスイッチングすることができる不連続伝導モード(DCM)に遷移することができ、スイッチング周波数は、連続伝導モード(CCM)周波数と、負荷156の電流とリップル電流の半分との比(例えば、CCM周波数×(負荷電流/リップル電流の半分))との積の等価になる。したがって、コントローラが、CCM周波数(アプリケーションのニーズに応じてレジスタ設定として格納される場合がある)、Vin1、スイッチノードSWからのVout、インダクタ140のインダクタンスL1、およびDCM周波数(オンチップクロックを使用して測定される場合がある)にアクセスできる場合、コントローラは、負荷電流(例えば、負荷156によって引き出される電流)を決定し、負荷電流が低電力モードでサポート可能な最大電流未満であると推定されるときにDCMに入ることができる。
【0038】
図4は、一実施形態におけるクロスパワーマネジメント集積回路を実現するプロセス400を示すフロー図である。該プロセスは、図4に示す1つまたは複数のブロックによって示される1つまたは複数の操作、動作、または機能を含むことができる。個別のブロックとして図に示されているが、所望の用途に応じて、様々なブロックを追加のブロックに分割したり、より少ない数のブロックに組み合わせたり、省略したり、異なる順序で実行したり、並行して実行したりすることができる。
【0039】
プロセス400は、本明細書に記載のシステム100のコントローラ124など、電力変換システム内のコントローラによって実行され得る。一実施形態において、プロセス400は、低電力モードに入るための高速エントリ機構のための動作を含むことができる。ここで、高速エントリ機構は、図3に関して上述した自動エントリ機構の代替であり得る。図4の説明は、図1図3に示す構成要素を参照することができる。プロセス400は、ブロック402で開始することができる。ブロック402では、コントローラ(例えば、コントローラ124)は、電力変換システム(例えば、システム100)を高電力(HP)モードで動作させて、システム100の出力(例えば、出力144)に接続された負荷(例えば、負荷156)に比較的大きな電圧量を供給することができる。ブロック402では、電力変換システムが高電力モードで動作しているときに、コントローラ124は、様々な機能を実行して、高電力モードから低電力(LP)モードに遷移するためのイベント発生を検出することができる。図4に示す実施例において、コントローラは、ブロック406、410、414でチェックを実行することができる。
【0040】
ブロック406では、コントローラは、電力変換システムを電力状態PS2、PS3で動作させることをコントローラに要求するコマンド(例えば、コマンド302)を受信することができる(図3参照)。ブロック406では、コマンドを受信したことに応答して、コントローラは、PMICの周囲温度が所定の閾値よりも大きいかどうかを判定するなど、低電力モード用のPMIC(例えば、PMIC102)がホットであるかどうかをチェックすることができる。コントローラが電力状態PS2またはPS3を要求するコマンドを受信し、PMICがホットであることを検出した場合(406:FALSE)、プロセス400は、ブロック402に戻ることができる。コントローラが電力状態PS2またはPS3を要求するコマンドを受信し、PMICがホットでないことを検出した場合(406:TRUE)、プロセス400は、ブロック418に進むことができる。
【0041】
ブロック418では、負荷による電力の要求の増加に応答して、コントローラは、相を追加することを優先しながら、外部パワーモジュール106内の相を1つずつ低下または非アクティブ化するために、段階的な相低下を実行することができる。例えば、ブロック402で相1、相2、相3がアクティブ化されている場合、ブロック418では、コントローラは、相3を第1のサイクルで低下させることができる。第1のサイクルの後、第2のサイクルの開始時に、負荷による電力の要求が同じままであるか低減している場合、コントローラは、電力変換システムが1-PHモードで動作するように、相2を低下させることができる。その一方で、第1のサイクルの後、第2のサイクルの開始時に、負荷による電力の要求が増加している場合、コントローラは、電力変換システムが相1、相2、相3を使用して電力の要求の増加に対応するように、相3を追加またはアクティブ化することができる。コントローラは、電力の要求サイクルをサイクルごとに監視し、電力変換システムを1-PHモードで動作させるために1つの相だけがアクティブ化されたままになるまで、相を追加するか低下させることができる。
【0042】
プロセス400は、ブロック418からブロック422に進むことができる。ブロック422では、コントローラは、出力電圧Voutを(例えば、電圧感知回路142を介して)監視して、電力変換システムが電力状態PS2またはPS3で動作しているかどうかを判定することができる。電力変換システムが電力段PS2またはPS3で動作していない場合、これは、ブロック418において1-PHモードが発生するのを待っている間に、高電力モードに分類される電力状態PS0またはPS1に電力変換システムを戻すイベントが発生した可能性があることを示している場合がある。したがって、ブロック422で電力変換システムが電力状態PS2またはPS3で動作していない場合(422:FALSE)、プロセス400は、ブロック402に戻ることができる。ブロック422で電力変換システムが電力状態PS2またはPS3で動作している場合(422:TRUE)、プロセス400は、ブロック426に進むことができる。
【0043】
ブロック426では、コントローラは、所定のタイマーの間、電力変換システムが1-PHモードで動作しているかどうかを判定することができる。所定のタイマーの持続時間は、5マイクロ秒(μs)など、任意のものであり得る。電力変換システムが1-PHモードで所定の時間の持続時間未満(例えば、5μs未満)動作し、コントローラによって少なくとも1つの相が追加された場合、コントローラは、電力変換システムが不安定であると判定することができる。電力変換システムが不安定であると判定した(426:FALSE)ことに応答して、プロセス400は、ブロック418に戻ることができる。電力変換システムが1-PHモードで所定の時間の持続時間(例えば、5μs)動作する場合、コントローラは、1-PHモードに入った後、電力変換システムが安定していると判定することができる。電力変換システムが安定していると判定した(426:TRUE)ことに応答して、プロセス400は、ブロック434に進むことができる。
【0044】
ブロック434では、コントローラは、高電力モードから低電力モードに遷移するために、外部パワーモジュール106内のすべての相を非アクティブ化し、PMIC102内の電力段132をアクティブ化する。
【0045】
ブロック410では、コントローラは、電力変換システムをディケイモードで動作させることをコントローラに要求するコマンド(例えば、コマンド302)を受信することができる。ブロック406では、コマンドを受信したことに応答して、コントローラは、PMIC(例えば、PMIC102)がホットであるかどうかをチェックすることができる。コントローラがディケイモードを要求するコマンドを受信し、PMICがホットである場合(410:FALSE)、プロセス400は、ブロック418に進むことができる。ここで、コントローラは、電力の要求の増加に対応するために相を追加することを優先しながら、相を1つずつ低下させることができる。コントローラがディケイモードを要求するコマンドを受信し、PMICがホットでない場合(410:TRUE)、プロセス400は、ブロック430に進むことができる。
【0046】
ブロック430では、コントローラは、電力変換システムをディケイモードで動作させることができる。ディケイモードにおいて、コントローラは、1-PHモードに入る1つの相を除いて、外部パワーモジュール106内のすべての相を(同時に)低下させることができる。一実施形態において、ブロック418における相の段階的な低下は、相を低下させる低速パスであり得、ブロック430における相の瞬間的な低下は、電力変換システムが不連続伝導モード(DCM)に瞬時に入ることを可能にする高速パスであり得る。一態様において、ディケイモードは、出力インダクタと負荷との間に接続された出力キャパシタを比較的遅い速度で減衰させる負荷のためのものである。ブロック418における低速パスが低速減衰を達成できない場合がある一方で、ブロック430における高速パスは、コントローラがディケイモードの要求を満たすことを可能にする。1つの相を除くすべての相を低下させた後、電力変換システムは、1-PHモードに入ることができ、プロセス400は、ブロック430からブロック434に進むことができる。ここで、コントローラは、電力変換システムを低電力モードで動作させることができる。
【0047】
ブロック414では、コントローラは、電力変換システムを1-PHモードで動作させることをコントローラに要求するコマンド(例えば、コマンド302)を受信することができる。一実施形態において、1-PHモードの要求は、外部パワーモジュール106のスイッチング周波数(例えば、ブロック402における高電力モード)が特定のシステムクロック数を下回る状況下で、コントローラに行うことができる。ブロック406では、コマンドを受信したことに応答して、コントローラは、PMIC(例えば、PMIC102)がホットであるかどうかをチェックすることができる。コントローラが1-PHモードを要求するコマンドを受信し、PMICがホットである場合(414:FALSE)、プロセス400は、ブロック402に戻ることができる。コントローラが1-PHモードを要求するコマンドを受信し、PMICがホットでない場合(414:TRUE)、プロセス400は、ブロック434に進むことができる。ここで、コントローラは、電力変換システムを低電力モードで動作させることができる。
【0048】
ブロック434では、コントローラは、PMIC102内の電力段132をアクティブ化し、電力段132内のスイッチQ1、Q2をスイッチングして、電力変換システムを低電力モードで動作させることができる。一実施形態において、低電力モードでの電力変換システムの効率を改善するために、コントローラは、特定の制御方式でスイッチQ1、Q2を動作させることができる。ここでは、スイッチQ1、Q2のオン時間が各スイッチングサイクルの正電流制限によって制限されてもよく、ローサイド側(例えば、Q2)のオン時間が所望のデューティサイクルを維持するために延長され得る。特定の制御方式は、電力変換システムの動作をDCMまたはより遅いスイッチング周波数に向けて調整することができる。これにより、支配的な損失がゲート電流と出力容量である場合に、さらなる効率向上をもたらすことができる。さらに、特定の制御方式は、低電力モードがDCMに入ったときにトリガーされ得、低電力モード中にいつでもトリガーされ得る。
【0049】
コントローラが電力変換システムを低電力モードで動作させる場合、コントローラは、電力変換システムの様々な側面を監視し続けて、動作を高電力モードに戻す必要があるかどうかを判定することができる。一実施形態において、コントローラは、電流感知回路146からのフラグを監視することができる。一実施形態において、電流感知回路146は、インダクタ巻線の寄生抵抗がインダクタ140のインダクタ電流を測定するために使用されるインダクタDC抵抗(DCR)電流感知を実現することができる。DCR電流は、高電力モードでは比較的小さくなり得るが、低電力モードでは比較的大きくなり得る。電流感知回路146は、異なるモード(例えば、高電力モードおよび低電力モード)に適した電流情報を生成するために、DCR電流をスケーリングするアナログ減衰器を含むことができる。一方、減衰されていないDCR電流は、電流を制限する用途のためにコントローラによって依然として使用され得る。また、電流感知回路146は、PMIC102内のコントローラ124および電力段132に集積されているので、負荷線または電流制限の精度を向上させる集積された電流感知機構を実現することができる。
【0050】
別の実施形態において、低電力モードにおいて、プロセス400は、ブロック438に進むことができる。ブロック438では、コントローラは、高電力モード(例えば、電力状態PS0、PS1)、システムシャットダウン(例えば、電力状態PS4)、および/またはPMICがホットであることに起因する高電力モードへの遷移を要求するコマンドを(例えば、ホストコンピュータ104から)受信することができる。コントローラが高電力モードに遷移するためのコマンドまたは要求、あるいは電力変換システムをシャットダウンするためのコマンドまたは要求を受信しない場合(438:FALSE)、プロセス400は、ブロック434に戻り、低電力モード動作を継続することができる。コントローラが高電力モードに遷移するためのコマンドまたは要求、あるいは電力変換システムをシャットダウンするためのコマンドまたは要求を受信した場合(438:TRUE)、プロセス400は、ブロック442に進むことができる。
【0051】
ブロック442では、コントローラは、外部パワーモジュール106の強制連続導通モード(FCCM)を中間レベル(例えば、トライステート)に設定して、外部パワーモジュール106のウェイクアッププロセスを開始することができる。さらに、ブロック442では、コントローラは、(例えば、電圧感知回路142を介して)電力段132によって出力されるVoutが電力状態PS2またはPS3に対応するかどうかを判定する。例えば、ブロック442では、電力状態PS2に対応する電力段132によって出力されているVoutは、外部パワーモジュール106が、完全にウェイクアップするためにその出力電圧をランプアップするのを待つ必要がない可能性があることを示すことができる。電力状態PS3に対応する電力段132によって出力されているVoutは、外部パワーモジュール106が、完全にウェイクアップするために所定のウェイクアップ時間が経過するのを待つ必要がある可能性があることを示すことができる。電力段132によって出力されているVoutが電力状態PS2に対応する場合(442:FALSE)、プロセス400は、コントローラが外部パワーモジュール106をFCCMに設定した後、ブロック454に進むことができる。電力段132によって出力されているVoutが電力状態PS3に対応する場合(442:TRUE)、プロセス400は、コントローラが外部パワーモジュール106をFCCMに設定した後、ブロック446に進むことができる。電力段132を非アクティブ化する前に(低電力モードを終了する前に)、所定のウェイクアップ時間が経過するのを待つことで、負荷への電力供給の中断を防止することができる。所定のウェイクアップ時間は、任意のものであり得る。一実施形態において、所定のウェイクアップ時間は、5μsであり得る。
【0052】
外部パワーモジュール106がブロック442で設定されたFCCMの下にある場合(442:TRUE)、プロセス400は、ブロック446に進むことができる。ブロック446では、コントローラは、所定のウェイクアップ時間が経過するのを待つためにタイマーを開始することができる。プロセス400は、ブロック446からブロック450に進むことができる。ブロック450では、タイマーが終了していない場合(450:FALSE)、プロセス400は、ブロック446に戻ることができる。ブロック450でタイマーが終了した場合(450:TRUE)、プロセス400は、ブロック454に進むことができる。
【0053】
ブロック454では、コントローラは、ゼロ復帰タイマーを開始することができる。一態様において、インダクタのエネルギーがローサイドFETボディダイオードで捨てられる可能性があるので、(インダクタ140上に)正のインダクタ電流があるときに電力段132をオフにするのは非効率的である。インダクタ電流がゼロ(例えば、ゼロアンペア)になるまでローサイドFET(例えば、Q2)をオンに維持しながら、インダクタ電流を出力に転送する方がより効率的であり得る。さらに、電力段132によって駆動されるインダクタにまだ電流が流れている間に、電力段132がトライステート(例えば、オフ)されると、電力段132が損傷する可能性がある。低電力モードを終了するには、電力段132は、最終的にトライステートされて電力供給を停止する。したがって、ブロック458では、コントローラは、ゼロ復帰タイマーを開始して、電力段132をトライステートする前にインダクタ電流がゼロになるようにすることができる。ゼロ復帰タイマーの持続時間は、任意のものであり得、プログラム可能である。ゼロ復帰タイマーにより、コントローラは、電力段132をトライステートさせる前にインダクタ電流がゼロに駆動されるのに十分な時間を提供する、所定の持続時間待つことができる。ゼロ復帰タイマーが経過するのを待つことで、高電力モードに戻るときに負荷に供給される電力供給の中断を防止することができ、電力段132の損傷を防止することができる。PMIC102は、外部パワーモジュール106のウェイクアッププロセス中に電力を低電力モードで負荷に供給し続けることができる。
【0054】
プロセス400は、ブロック454からブロック458に進むことができる。ブロック458では、コントローラは、低電力モードを終了することができ、プロセス400は、ブロック402に戻ることができる。ここで、コントローラは、覚醒された外部パワーモジュール106を動作させて、電力変換システムを高電力モードで動作させることができる。さらに、低電力モードおよび高電力モードのためのインダクタの選択は異なり得るので(例えば、インダクタ140は、インダクタ170、180とは異なるサイズおよび/またはインダクタンスを有することができる)、コントローラは、低電力モードに遷移するときにPMIC102に特定の補償を実行するように構成され得る。異なる電力モードに対して異なるハードウェアに特定の補償を実行することで、出力144の妨害を防止することができる。
【0055】
本開示に示すように、プロセス400は、PMIC102内の電力段132も外部パワーモジュール106も電力を供給していない時間を最小限に抑えることができる。また、プロセス400は、PMIC102内の電力段132および外部パワーモジュール106の両方の重複動作を防止することができる。重複動作は、例えば、両方のハイサイドFET(例えば、M1、Q1)または両方のローサイドFET(例えば、Q2、M2)がオンであるときであり得、これは、大きな出力リップルを生じさせ、また、ハイサイドFET(例えば、Q1またはM1)のうちの1つおよび他のローサイドFET(例えば、M2、またはQ2)がオンであるときであり得、これは、一部の電力が出力に供給されないので効率を低下させる。
【0056】
図5は、一実施形態におけるクロスパワーマネジメント集積回路を実現するプロセス500を示すフロー図である。該プロセスは、図5に示す1つまたは複数のブロックによって示される1つまたは複数の操作、動作、または機能を含むことができる。個別のブロックとして図に示されているが、所望の用途に応じて、様々なブロックを追加のブロックに分割したり、より少ない数のブロックに組み合わせたり、省略したり、異なる順序で実行したり、並行して実行したりすることができる。
【0057】
プロセス500は、本明細書に記載のコントローラ124など、電力変換システム内のコントローラによって実行され得る。プロセス500は、ブロック502で開始することができる。ブロック502では、コントローラは、入力電圧を出力電圧に変換してPMIC(パワーマネジメント集積回路)から負荷に第1の負荷電流で出力電圧を供給するために、パワーコンバータを低電力モードで動作させることができる。
【0058】
プロセス500は、ブロック504からブロック502に進むことができる。ブロック504では、コントローラは、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの少なくとも1つの相をアクティブ化する前に、PMICのトライステートモードをアクティブ化すること(この場合、外部パワーモジュールおよびPMICは別個のチップ上にあることができる)、およびPMICと外部パワーモジュールの少なくとも1つの相を同時に動作させることの少なくとも1つを実行することで、パワーコンバータを低電力モードから高電力モードに遷移させることができる。
【0059】
プロセス500は、ブロック504からブロック506に進むことができる。ブロック506では、コントローラは、入力電圧を出力電圧に変換して外部パワーモジュールから負荷に第2の負荷電流で出力電圧を供給するために、パワーコンバータを高電力モードで動作させることができる。ここで、第2の負荷電流を第1の負荷電流よりも小さくすることができる。
【0060】
プロセス500は、ブロック506からブロック508に進むことができる。ブロック508では、コントローラは、負荷に出力電圧を供給するために、PMIC内の電力段をアクティブ化する前に、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することで、パワーコンバータを高電力モードから低電力モードに遷移させることができる。
【0061】
一実施形態において、コントローラは、PMICの周囲温度が所定の温度閾値よりも大きいと判定することができる。PMICの周囲温度が所定の温度閾値よりも大きいと判定したことに応答して、コントローラは、パワーコンバータを高電力モードで動作させることができる。
【0062】
一実施形態において、コントローラは、外部パワーモジュールが1相モードで動作するまで相を1つずつ非アクティブ化することで、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することができる。1相モードは、複数の相のうちの1つのアクティブな相を含むことができる。
【0063】
一実施形態において、コントローラは、複数の相内のアクティブな相のうちの1つのアクティブな相を除くすべての相を非アクティブ化することで、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化することができる。
【0064】
一実施形態において、コントローラは、高電力モードから低電力モードに遷移するために、外部パワーモジュール内の複数の相のうちの一部の相を選択的に非アクティブ化して外部パワーモジュールを1相モードで動作させることができる。1相モードは、複数の相のうちの1つのアクティブな相を含むことができる。コントローラは、外部パワーモジュールが1相モードで動作したままである持続時間が所定のタイマーを上回ると判定することができる。外部パワーモジュールが1相モードで動作したままである持続時間が所定のタイマーを上回ると判定したことに応答して、コントローラは、PMIC内の電力段をアクティブ化し、外部パワーモジュールの1相モードにおける1つのアクティブな相を非アクティブ化にすることができる。
【0065】
一実施形態において、外部パワーモジュールのトライステートモードをアクティブ化し、電力段に接続された出力インダクタのインダクタ電流がゼロに駆動されたと判定し、PMIC内の電力段に接続された出力インダクタのインダクタ電流がゼロに駆動されたと判定したことに応答して、コントローラは、PMIC内の電力段を非アクティブ化することで、低電力モードから高電力モードに遷移することができる。
【0066】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実現するための1つまたは複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント、またはその一部を表すことができる。いくつかの代替的な実装例において、ブロックに示された機能は、図に示す順序からはずれて発生してもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実現されてもよく、関係する機能に応じて、場合によっては逆の順序で実現されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、ならびにそれらのブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行する、または特別な目的のハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する、特別な目的のハードウェアベースのシステムよって実現され得ることに留意されたい。
【0067】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用されており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される単数を表す用語は、特に明示されない限り、その複数を含むことも意図している。また、本明細書で使用される「含む」や「備える」という用語は、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を画定するが、1つまたは複数の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことに留意されたい。
【0068】
添付の特許請求の範囲に記載のすべての手段またはステップと機能要素の対応する構造、材料、操作、およびそれらの等価物は、具体的に記載されている他の要素と組み合わせて機能を実現するための任意の構造、材料、または操作を包含することを意図している。本発明の開示されている実施形態の説明は、例示および説明のために提供されているが、網羅的であること、あるいは開示された形態に限定されることを意図していない。当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形を適用することができることが明らかであろう。上述した実施形態は、本発明の原理および実用化を最適に説明するために、また、検討される特定の用途に適するように種々の修正を伴う様々な実施形態について本発明を当業者が理解できるように、選択および説明されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】