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特開2024-133444面外振動を低減するために回転可撓性ガイドを有する振動子機構を作り出す方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133444
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】面外振動を低減するために回転可撓性ガイドを有する振動子機構を作り出す方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/04 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G04B17/04
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024032987
(22)【出願日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】23162547.6
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ディ ドメニコ、 ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】カロバイヤン、 モハマド フセイン
(72)【発明者】
【氏名】ルショト、 ドミニク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二次振動周波数が基準周波数の倍数と異なることが可能な時計用振動子機構のセットアップ方法を提供する。
【解決手段】構造体と、可撓性サスペンションにより構造体から吊り下げられるアンカブロックとを備える時計用振動子機構のセットアップ方法は、XY平面でZ方向を中心とする慣性要素の基準振動周波数を測定する第1ステップ、YZ平面でX方向又はXZ平面でY方向を中心とする慣性要素の二次振動周波数を測定する第2ステップ、二次振動周波数を基準振動周波数と比較し、二次振動周波数が基準振動周波数の倍数と実質的に異なる値を有することを確認する第3ステップ、二次振動周波数が基準振動周波数の倍数に近いか又は実質的に等しい値を有する場合、可撓性サスペンションの構成を変更して二次振動周波数が基準振動周波数の倍数と実質的に異なるようにするために可撓性サスペンションを適合させ又は他のものと置換する第4ステップを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計用の振動子機構(100)をセットアップする方法(40)であって、前記振動子機構(100)は、構造体(1)と、アンカブロック(30)とを備え、前記アンカブロック(30)から少なくとも1つの慣性要素(2)が吊り下げられ、第1の方向Zに延びるピボット軸(D)を中心に第1の回転自由度RZで振動するように構成され、前記慣性要素(2)は、複数の実質的に縦方向の弾性ブレード(3)を備える可撓性ピボット(200)によって加えられる復帰力を受け、各弾性ブレードは第1の端部で前記可撓性ピボット(200)に固定され、各弾性ブレードは第1の端部で前記アンカブロック(30)に固定され、第2の端部で前記慣性要素(2)に固定され、各前記弾性ブレード(3)は本質的に、前記第1の方向Zに垂直な平面XY内で変形可能であり、前記アンカブロック(30)は、前記アンカブロック(30)の移動を可能にするように構成された可撓性サスペンション(300)によって前記構造体(1)から吊り下げられ、それは、
・前記XY平面における前記Z方向を中心とする前記慣性要素(2)の基準振動周波数を測定する第1のステップ(41)と、
・前記YZ平面における前記X方向を中心とする前記慣性要素(2)の少なくとも1つの二次振動周波数又は前記XZ平面における前記Y方向を中心とする前記慣性要素(2)の少なくとも1つの二次振動周波数を測定する第2のステップ(42)と、
・前記二次振動周波数を前記基準振動周波数と比較し、前記二次振動周波数が前記基準振動周波数の倍数と実質的に異なる値を有することを確認する第3のステップ(43)と、
・前記二次振動周波数が前記基準振動周波数の倍数に近いか又は実質的に等しい値を有する場合、前記可撓性サスペンション(300)の構成を変更して前記二次振動周波数が前記基準振動周波数の倍数と実質的に異なるようにするために、前記可撓性サスペンション(300)を適合させるか又は前記可撓性サスペンション(300)を他の可撓性サスペンションと置換する第4のステップ(44)と
を含むことを特徴とする、セットアップ方法。
【請求項2】
前記可撓性サスペンション(300)は、前記アンカブロック(30)と、前記構造体(1)に直接又は前記第1の方向Zに可撓性のあるプレート(301)を用いて固定された第1の中間質量(303)との間に、可撓性ガイドを備えた横方向移動テーブル(32)を備え、前記横方向移動テーブル(32)は、好ましくは直線状でありかつ前記第2の方向Xに前記ピボット軸(D)と交差する横軸(D2)を中心に対称的に延びる少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッド(320)を備え、前記第2のステップ(42)で測定される前記第1の二次振動周波数が、前記平面XZにおいて前記方向Yを中心とすることを特徴とする、請求項1に記載のセットアップ方法。
【請求項3】
前記第4のステップ(44)は、前記横方向移動テーブル(32)の横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の数を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにある、請求項2に記載の調整方法。
【請求項4】
前記第4のステップ(44)は、前記横方向移動テーブル(32)の横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにあることを特徴とする、請求項2に記載の調整方法。
【請求項5】
前記横方向移動テーブル(32)の横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の厚さ又は長さを変更することにより、前記横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の剛性が変更されることを特徴とする、請求項4に記載の設定方法。
【請求項6】
前記第4のステップ(44)は、前記横方向移動テーブル(32)の少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の間又は前記横方向移動テーブル(32)のすべての横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の間の距離(d_y)を増大させることにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにあることを特徴とする、請求項2に記載の設定方法。
【請求項7】
前記可撓性サスペンション(300)は、前記アンカブロック(30)と第2の中間質量(305)との間に、可撓性ガイドを備えた縦方向移動テーブル(31)を備え、前記縦方向移動テーブル(31)は、好ましくは直線状でありかつ前記第3の方向Yに前記ピボット軸(D)と交差する縦軸(D1)を中心に対称的に延びる少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)を備え、前記第2のステップ(42)で測定される前記二次振動周波数は、前記平面YZにおいて前記方向Xを中心とすることを特徴とする、請求項1に記載の調整方法。
【請求項8】
前記第4のステップ(44)は、前記縦方向移動テーブル(31)の縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の数を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにある、請求項7に記載の調整方法。
【請求項9】
前記第4のステップ(44)は、前記縦方向移動テーブル(31)の縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにある、請求項7に記載の調整方法。
【請求項10】
前記縦方向移動テーブル(31)の縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の厚さ又は長さを変更することにより、前記縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の剛性が変更されることを特徴とする、請求項9に記載の設定方法。
【請求項11】
前記第4のステップ(44)は、前記縦方向移動テーブル(31)の少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)間又はすべての縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)間の距離(d_X)を増大させることにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにあることを特徴とする、請求項7に記載の設定方法。
【請求項12】
前記第4のステップ(44)において、前記第1のステップ(41)で測定されたものと同じ基準振動周波数が維持されることを特徴とする、請求項1に記載の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体と、少なくとも1つの慣性要素が吊り下げられるアンカブロックと、各々が第1の端部で前記アンカブロックに固定され、第2の端部で前記慣性要素に固定される、複数の実質的に縦方向の弾性ブレードを備え仮想ピボットとを備える、時計用振動子を開発する方法に関する。
【0002】
本発明は、時計振動子の分野、特に振動子の復帰手段として機能する弾性ブレードを備える時計振動子の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
サスペンションのねじり剛性は、少なくとも1つのコイルばね又は可撓性ガイドを構成する弾性ブレードを備えた大部分の時計振動子にとって、特に交差ブレードを備えた振動子にとってデリケートな点である。耐衝撃性もこのねじり剛性によって決まる。実際、衝撃の間、ブレードが受ける応力は急速に非常に高い値に達し、これにより部品が降伏するまでに移動できる距離が短くなる。時計用のショックアブソーバには多くのバリエーションがある。しかしながら、それらの主な目的は、振動子軸の壊れやすいピボットを保護することであり、従来のコイルばねなどの弾性要素を保護することではない。
【0004】
ETA Manufacture Horlogere Suisse名義の特許文献1及びその派生物(それらの教示は本発明において直接使用可能である)によれば、新しい機構アーキテクチャにより、非常に小さいリフト角を有するレバー脱進機を使用した可撓性ガイドを使用することで、振動子の品質係数を最大化することが可能になり、その振動子は、ある特定の方向の衝撃に対する感度に関してさらに改良することができる。したがって、目的は、衝撃の際にブレードを破損から保護することである。可撓性ガイドを有する振動子に対して今日までに提案された耐衝撃システムは、ブレードを特定の方向の衝撃からのみ保護するが、すべての方向の衝撃から保護するわけではなく、もしくは仮想ピボットがその振動回転に応じてわずかに移動することを可能にするという欠陥を有しており、これは可能な限り回避されるべきである。
【0005】
ETA Manufacture Horlogere Suisse名義の特許文献2又は特許文献3には、時計振動子機構であって、可撓性サスペンションによってアンカブロックを支持する構造体を備え、アンカブロックから慣性要素が吊り下げられ、慣性要素は、それぞれが前記慣性要素及び前記アンカブロックに固定された第1の弾性ブレードを備える仮想ピボットによって加えられる復帰力の作用下で第1の回転自由度RZに従って振動し、可撓性サスペンションは、その振動の乱れを回避するために慣性要素のみが可動である第1の回転自由度RZ以外のすべての自由度においてアンカブロックのいくらかの可動性を許容するように構成され、第1の回転自由度RZにおけるサスペンションの剛性は、この同じ第1の回転自由度RZにおける仮想ピボットの剛性よりもはるかに大きい、時計振動子機構が記載されている。
【0006】
ETA Manufacture Horlogere Suisse名義の特許文献4又は特許文献5には、時計振動子機構であって、構造体と、第1の方向Zに延びるピボット軸を中心に第1の回転自由度RZで振動するように構成された少なくとも1つの慣性要素が吊り下げられたアンカブロックとを備え、前記慣性要素は、それぞれが第1の端部で前記アンカブロックに固定されかつ第2の端部で前記慣性要素に固定された複数の実質的に縦方向の弾性ブレードを備える仮想ピボットによって加えられる復帰力を受け、各前記弾性ブレードは本質的に、前記第1の方向Zに垂直な平面XY内で変形可能である、時計振動子機構が記載されている。
【0007】
振動子機構が動作しているとき、慣性要素は、基準振動周波数でXY平面においてZ方向を中心に振動運動を行う。さらに、慣性要素は、一方ではX方向を中心に、他方ではY方向を中心に回転二次振動を行う。これらの二次振動は、「面外」、すなわちXY平面の外側として知られる振動モードである。
【0008】
これらの「面外」二次振動は、調速機構の動きに多かれ少なかれ限定的な影響を与える。
しかしながら、これらの二次振動の周波数がXY平面における慣性要素の基準周波数の倍数である場合、二次振動は大きくなり、振動子の動作を妨げる。したがって、二次振動の周波数が基準周波数の倍数によって異なるようにすることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】スイス国特許出願第01544/2016号明細書
【特許文献2】スイス国特許出願第00518/2018号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第18168765号明細書
【特許文献4】スイス国特許出願公開第715526号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3561607号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、可撓性サスペンションを改良し、上記の欠点を回避するために、ETA Manufacture Horlogere Suisse名義の特許文献4又は特許文献5の振動子機構を改良することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、時計用の振動子機構を作り出す方法であって、振動子機構は、構造体と、アンカブロックとを備え、アンカブロックから少なくとも1つの慣性要素が吊り下げられ、第1の方向Zに延びるピボット軸を中心に第1の回転自由度RZで振動するように構成され、前記慣性要素は、それぞれが第1の端部で前記アンカブロックに固定されかつ第2の端部で前記慣性要素に固定された複数の実質的に縦方向の弾性ブレードを備える仮想ピボットによって加えられる復帰力を受け、各前記弾性ブレードは本質的に、前記第1の方向Zに垂直な平面XY内で変形可能であり、前記アンカブロックは、前記アンカブロックの移動を可能にするように構成された可撓性サスペンションによって前記構造体から吊り下げられる方法に関する。
【0012】
本発明の特徴は、方法が、
・XY平面におけるZ方向を中心とする慣性要素の基準振動周波数を測定する第1のステップと、
・YZ平面におけるX方向を中心とする慣性要素の少なくとも1つの二次振動周波数又はXZ平面におけるY方向を中心とする慣性要素の少なくとも1つの二次振動周波数を測定する第2のステップと、
・二次振動周波数を基準振動周波数と比較し、二次振動周波数が基準振動周波数の倍数と実質的に異なる値を有することを確認する第3のステップと、
・二次振動周波数が基準振動周波数の倍数に近いか又は実質的に等しい値を有する場合、可撓性サスペンションの構成を変更して二次振動周波数が基準振動周波数の倍数と実質的に異なるようにするために、可撓性サスペンションを適合させるか又は可撓性サスペンションを別の可撓性サスペンションと置換する第4のステップと
を含む点で注目に値する。
【0013】
この方法により、XZ平面又はYZ平面などのXY振動平面に垂直な平面におけるX方向及びY方向を中心とする大きな二次振動を抑制及び回避する振動子機構が作り出される。これにより、振動子機構の精度が向上する。
【0014】
さらに、この方法に記載される可撓性サスペンションの変更又は置換は、Z方向を中心とする基準振動には明らかな影響を及ぼさない。
【0015】
本発明の特定の実施形態によれば、前記可撓性サスペンションは、前記アンカブロックと、前記構造体に直接又は前記第1の方向Zに可撓性のあるプレートを用いて固定された第1の中間質量との間に、可撓性ガイドを有する横方向移動テーブルを備え、横方向移動テーブルは、前記第2の方向Xに前記ピボット軸と交差する横軸を中心に対称的に延びる、好ましくは直線状の少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッドを備え、第2のステップで測定される第1の二次振動周波数は、平面XZにおいて方向Yを中心とする。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、第4のステップは、横方向移動テーブルの横方向可撓性ブレード又はロッドの数を変更することにより、前記可撓性サスペンションを置換するか又は適合させることにある。
【0017】
本発明の特定の実施形態によれば、第4のステップは、横方向移動テーブルの横方向可撓性ブレード又はロッドの剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンションを置換するか又は適合させることにある。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、剛性は、横方向移動テーブルの横方向可撓性ブレード又はロッドの厚さ又は長さを変更することによって変更される。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、第4のステップは、横方向移動テーブルの少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッドの間又は横方向移動テーブルのすべての横方向可撓性ブレード又はロッドの間の距離を増大させることにより、前記可撓性サスペンションを置換するか又は適合させることにある。
【0020】
本発明の特定の実施形態によれば、前記可撓性サスペンションは、前記アンカブロックと第2の中間質量との間に、撓み可能に案内された縦方向移動テーブルを備え、好ましくは直線状でありかつ前記第3の方向Yに前記ピボット軸と交差する縦軸を中心に対称的に延びる少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッドを備え、第2のステップで測定される二次振動周波数は、平面YZにおいて方向Xを中心とする。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、第4のステップは、縦方向移動テーブルの縦方向可撓性ブレード又はロッドの数を変更することにより、前記可撓性サスペンションを置換するか又は適合させることにある。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、第4のステップは、縦方向移動テーブルの縦方向可撓性ブレード又はロッドの剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンションを置換するか又は適合させることにある。
【0023】
本発明の特定の実施形態によれば、剛性は、縦方向移動テーブルの縦方向可撓性ブレード又はロッドの厚さ又は長さを変更することによって変更される。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、第4のステップは、縦方向移動テーブルの少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッドの間又はすべての縦方向可撓性ブレード又はロッドの間の距離を増大させることにより、前記可撓性サスペンションを置換するか又は適合させることにある。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、第4の段階において、第1の段階で測定されたものと同じ基準振動周波数が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】仮想ピボットによってアンカブロックから吊り下げられた慣性質量を備える、弾性ブレードを有する振動子機構の概略斜視図を示す。
図2図1の振動子機構に含まれる慣性質量の異なる自由度を有する機構を概略形状及び斜視図で示す。てん輪を取り外して、2つの突出した交差弾性ブレードを有する可撓性ガイド及び2つの移動テーブルを示す。
図3図2に示すスプリングリーフ振動子機構の一部、特に可撓性サスペンション及び可撓性ピボットを示す。
図4】本発明による振動子機構を作り出すプロセスにおけるステップの概略図を示す。
図5】本発明によるプロセスで使用される可能性がある可撓性サスペンションの第1の実施形態を示す。
図6】本発明によるプロセスで使用される可能性がある可撓性サスペンションの第2の実施形態を示す。
図7】本発明によるプロセスで使用される可能性がある可撓性サスペンションの第3の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、例えば図1から図3に示すような時計振動子機構を調整する方法40に関する。本発明による調整プロセス40については、明細書の後半で詳細に説明する。
【0028】
図1から図3に示すように、時計振動子機構100のこの実施形態は、構造体1と、アンカブロック30とを備え、アンカブロック30から少なくとも1つの慣性要素2が吊り下げられ、第1の方向Zに延びるピボット軸Dを中心に第1の回転自由度RZで振動するように構成される。慣性要素2は、テンプ20を備える。振り子は、骨の形をしており、振り子は、両端に球状部を有する直線部分を備える。各球状部は、慣性要素2の慣性を調整するための小さな重り29を備えることができる。この慣性要素2は、それぞれが第1の端部でアンカブロック30に固定され、第2の端部で慣性要素2に固定される、複数の実質的に縦方向の弾性ブレード3を備える仮想ピボット200によって加えられる復帰力を受ける。各弾性ブレード3は本質的に、第1の方向Zに垂直な平面XY内で変形可能である。
【0029】
アンカブロック30は、可撓性サスペンション300によって構造体1から吊り下げられ、可撓性サスペンションは、サスペンションの5つのフレキシブルな自由度に従ってアンカブロック30の移動を可能にするように構成され、5つのフレキシブルな自由度は、
・第1の方向Zに沿った平行移動の第1の自由度、
・第1の方向Zに直交する第2の方向Xに沿った平行移動の第2の自由度、
・第2の方向X及び第1の方向Zに直交する第3の方向Yに沿った平行移動の第3の自由度、
・第2の方向Xに延びる軸を中心とする第2の回転自由度RX、及び
・第3の方向Yに延びる軸を中心とする第3の回転自由度RY
である。
【0030】
原理は、サスペンションのねじり剛性をよりよく管理するために移動テーブルのねじり可撓性を使用することである。このために、XYテーブルのブレードは、最大のねじり可撓性の方向が振動子の回転軸に向くように配向される。それらのねじり可撓性は、ブレードを互いに近づけることによって管理される。
【0031】
したがって、可撓性サスペンション300は、アンカブロック30と、構造体1に直接又は第1の方向Zに可撓性のあるプレート301を用いて固定された第1の中間質量303との間に、撓み可能に案内された横方向移動テーブル32を備え、横方向移動テーブル32は、直線状でありかつ第2の方向Xに延びる横方向ブレード320又は横方向可撓性ロッドを備える。
【0032】
特定の非限定的な実施形態では、図に示すように、可撓性サスペンション300はまた、アンカブロック30と第2の中間質量305との間に、撓み可能に案内された縦方向移動テーブル31を備え、縦方向移動テーブル31は、直線状でありかつ第3の方向Yに延びる縦方向ブレード310又は縦方向可撓性ロッドを備える。また、第2の中間質量305と第1の中間質量303との間に、撓み可能に案内された横方向移動テーブル32は、直線状でありかつ第2の方向Xに延びる横方向ブレード320又は横方向可撓性ロッドを備える。
【0033】
より具体的には、縦軸D1は横軸D2と交差し、特に、縦軸D1、横軸D2及びピボット軸Dは同一の点を通る。
【0034】
より詳細には、縦方向移動テーブル31及び横方向移動テーブル32はそれぞれ、少なくとも2つの可撓性ブレード又はロッドを備え、各ブレード又はロッドは、ブレード又はロッドが第3の方向Yに延びる場合の第2の方向Xにおけるその厚さ又はその逆の場合のその厚さ、第1の方向Zにおけるその高さ、及びストリップ又はロッドが延びる方向におけるその長さによって特徴付けられ、長さは、例えば高さよりも少なくとも5倍大きく、高さは、少なくとも厚さと同じ大きさであり、より詳細にはこの厚さよりも少なくとも5倍大きく、さらに詳細にはこの厚さよりも少なくとも7倍大きい。
【0035】
より詳細には、横方向移動テーブル32は、互いに平行で同じ長さの少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッドを備える。図1から図3は、4つの平行な横方向スラットを有する非限定的な変形例を示しており、より詳細には、各スラットは、重なり合う2つのレベルに配置されかつ第1の方向Zに互いに延長して延びる2つの半スラットで構成される。これらの半ブレードは、完全に互いから離れていてもよいし、接着などによって、又はシリコンバージョンの場合にSiO2の成長などによって互いに結合されていてもよい。当然ながら、縦方向移動テーブル31は、任意であるため存在する場合には、同じ構成原理に従うことができる。これらのブレード又はロッドの数、配置及び断面は、本発明から逸脱することなく変更することができる。
【0036】
原理は、サスペンションのねじれ剛性をよりよく管理するために移動テーブルのねじり可撓性を使用することである。このために、XYテーブルのブレードは、最大のねじり可撓性の方向が振動子の回転軸に向くように配向される。それらのねじり可撓性は、ブレードを互いに近づけたり遠ざけたりすることによって管理される。
【0037】
したがって、可撓性サスペンション300は、アンカブロック30と、構造体1に直接又は第1の方向Zに可撓性のあるプレート301を用いて固定された第1の中間質量303との間に、撓み可能に案内された横方向移動テーブル32を備え、横方向移動テーブル32は、直線状でありかつ第2の方向Xに延びる横方向ブレード320又は横方向可撓性ロッドを備える。
【0038】
特定の非限定的な実施形態では、図に示すように、可撓性サスペンション300はまた、アンカブロック30と第2の中間質量305との間に、可撓性ガイドを有する撓み可能に案内された縦方向移動テーブル31を備え、縦方向移動テーブルは、直線状でありかつ第3の方向Yに延びる縦方向ブレード310又は縦方向可撓性ロッドを備える。また、第2の中間質量305と第1の中間質量303との間に、撓み可能に案内された横方向移動テーブル32は、直線状でありかつ第2の方向Xに延びる横方向ブレード320又は横方向可撓性ロッドを備える。
【0039】
より具体的には、縦軸D1は横軸D2と交差し、特に、縦軸D1、横軸D2及びピボット軸Dは同一の点を通る。
【0040】
より詳細には、縦方向移動テーブル31及び横方向移動テーブル32はそれぞれ、少なくとも2つの可撓性ブレード又はロッドを備え、各ブレード又はロッドは、ブレード又はロッドが第3の方向Yに延びる場合の第2の方向Xにおけるその厚さ又はその逆の場合のその厚さ、第1の方向Zにおけるその高さ、及びストリップ又はロッドが延びる方向におけるその長さによって特徴付けられ、長さは、例えば高さよりも少なくとも5倍大きく、高さは、少なくとも厚さと同じ大きさであり、より詳細にはこの厚さよりも少なくとも5倍大きく、さらに詳細にはこの厚さよりも少なくとも7倍大きい。
【0041】
より詳細には、横方向移動テーブル32は、互いに平行で同じ長さの少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッドを備える。図1から図3は、4つの平行な横方向スラットを有する非限定的な変形例を示しており、より詳細には、各スラットは、重なり合う2つのレベルに配置されかつ第1の方向Zに互いに延長して延びる2つの半スラットで構成される。これらの半ブレードは、完全に互いから離れていてもよいし、接着などによって、又はシリコンバージョンの場合にSiO2の成長などによって互いに結合されていてもよい。当然ながら、縦方向移動テーブル31は、任意であるため存在する場合には、同じ構成原理に従うことができる。これらのブレード又はロッドの数、配置及び断面は、本発明から逸脱することなく変更することができる。
【0042】
より詳細には、横方向移動テーブル32の横方向ブレード又はロッドは、横軸D2に平行でありかつピボット軸Dを通る、第1の対称面を有する。
【0043】
より詳細には、横方向移動テーブル32の横方向ブレード又はロッドは、横軸D2に平行でありかつピボット軸Dに直交する、第2の対称面を有する。
【0044】
図示されていない一変形例では、縦方向ブレード又は直線状可撓性ロッド310は、正方形又は円形の断面を有するロッドであり、その高さは厚さに等しい。
【0045】
特定の変形例では、振動子機構100は、ピボット軸Dに垂直な平面内に延びる少なくとも1つの可撓性ブレード302を備えかつ構造体1及び第1の中間質量303に固定されたプレート301を備え、プレート301は、第1の中間質量303の第1の方向Zにおける移動を可能にするように構成される。より詳細には、プレート301は、少なくとも2つの同一平面上にある可撓性ブレード302を備える。しかしながら、XY移動テーブルのブレードの高さが可撓性ブレード3の高さに比べて小さい場合、特に可撓性ブレード3の高さの3分の1未満である場合、このようなプレート301は任意である。
【0046】
特定の一変形例では、可撓性サスペンション300は、好ましくはシリコーンから、一体に作られる。
【0047】
有利な実施形態では、振動子機構100は、少なくともアンカブロック30、少なくとも1つの慣性要素2のベース、可撓性ピボット200、可撓性サスペンション300、第1の中間質量303、及び横方向移動テーブル32をまとめてグループ化したモノブロックアセンブリを備え、モノブロックアセンブリの構成要素を、それらの構造体1への組み付け中に固定するように構成された少なくとも1つの破壊可能要素319を備え、破壊可能要素319の破壊により、モノブロックアセンブリのすべての可動構成要素が解放される。
【0048】
より詳細には、モノブロックアセンブリはまた、少なくとも第2の中間質量305及び縦方向移動テーブル31を備える。
【0049】
上述したように、製造に使用される技術は、シリコンウエハの高さに2つの別個のブレードを得ることを可能にし、これは、移動のためにテーブルを柔らかくすることなく、テーブルのねじり可撓性に有利に働く。また、振動子機構100は、このようにして有利には、少なくとも2つの重ね合わせられた基本モノブロックアセンブリを備えることができ、基本モノブロックアセンブリはそれぞれ、あるレベルのアンカブロック30、及び/又は少なくとも1つの慣性要素2のベース、及び/又は可撓性ピボット200、及び/又は可撓性サスペンション300、及び/又は第1の中間質量303、及び/又は横方向移動テーブル32、及び/又は破壊可能要素319をまとめてグループ化する。各基本モノブロックアセンブリは、接着などによって、機械的接合によって、又はシリコンバージョンの場合にSiO2の成長などによって、少なくとも1つの他の基本モノブロックアセンブリに接合することができる。
【0050】
より詳細には、このような基本モノブロックアセンブリはまた、少なくとも1つのレベルの第2の中間質量305及び/又は縦方向移動テーブル31を備える。
【0051】
本発明によれば、時計振動子機構の調整方法40が、XY平面に垂直な平面における大きな二次振動を回避するために使用される。
【0052】
図4に示すように、方法40は、XY平面におけるZ方向を中心とする慣性要素2の基準振動周波数を測定する第1のステップ41を含む。このために、慣性要素2の1秒当たりの振動数が測定される。例えば、当業者に知られているレーザシステムを用いた測定方法が使用される。
【0053】
第2のステップ42では、慣性要素2の二次振動周波数が、XY平面に実質的に垂直な平面で測定される。例えば、慣性要素2の振動周波数は、YZ平面においてX方向を中心に、又はXZ平面においてY方向を中心に測定される。好ましくは、二次振動周波数は、XZ平面及びYZ平面の両方においてX方向及びY方向を中心に測定される。
【0054】
第3のステップ43は、二次振動周波数を基準振動周波数と比較することから成る。より具体的には、二次振動周波数が基準振動周波数の倍数と実質的に異なる値を有するか否かが確認される。二次振動周波数が基準振動周波数の倍数と実質的に異なる値を有する場合、可撓性サスペンション300を変更又は置換する必要はない。
【0055】
一方、二次振動周波数が基準振動周波数の倍数に近いか又は実質的に等しい値を有する場合、方法40は第4のステップ44を含む。第4のステップ44は、可撓性サスペンション300とは異なる幾何学的形状を有するように、可撓性サスペンション300を適合させるか又は可撓性サスペンション300を別の可撓性サスペンションと置換することにある。
【0056】
この新しい幾何学的形状のおかげで、基準振動周波数の倍数と実質的に異なる二次振動周波数を選択できるように、二次振動周波数が変化する。
【0057】
好ましくは、第4のステップにおいて、第1のステップで測定されたものと同じ基準振動周波数が維持される。言い換えれば、二次振動周波数のみが可撓性サスペンションの変更又は置換によって変更され、基準周波数は変更されないままである。
【0058】
好ましくは、置換の場合、可撓性サスペンション300は、その振動特性、特に二次振動の周波数が既に分かっている別の可撓性サスペンションと置換される。
【0059】
したがって、方法40は、異なる構成又は幾何学的形状を有する複数の可撓性サスペンションの基準周波数及び二次振動周波数を測定する予備ステップ39を含むことができる。可撓性サスペンションは、例えば、それらの振動特性に従って、特にそれらの二次振動周波数に従って分類される。
【0060】
方法40はまた、可撓性サスペンション300が適合又は置換された後に二次振動周波数を測定し、基準振動周波数の倍数以外の値が得られることを確認するために、第5の確認ステップ45を含むことができる。したがって、必要に応じて、可撓性サスペンション300は、測定された二次振動周波数が満足できるものでない場合に再び変更又は置換することができる。
【0061】
可撓性サスペンション300を適合させる変形例では、可撓性サスペンション300の幾何学的形状は、例えば、可撓性ブレード又は可撓性ロッドに作用することによって変更される。
【0062】
第1の実施形態では、第4のステップは、横方向可撓性ブレード又はロッド320及び/又は縦方向可撓性ブレード又はロッド310の数を変更することにより、前記可撓性サスペンション300を置換するか又は適合させることから成る。各移動テーブル31、32には、可撓性サスペンション300の元の構成よりも多いか又は少ない可撓性ブレード又はロッド310、320が存在することができる。
【0063】
二次振動周波数がXZ平面にある場合、横方向移動テーブル32のブレード又は横方向可撓性ロッド320の数が変更される。二次振動周波数がYZ平面にある場合、縦方向移動テーブル31のブレード又は縦方向可撓性ロッド310の数が変更される。
【0064】
図5は、アンカブロック30と第2の中間質量305との間に6つの縦方向可撓性ブレード又はロッド310を備える縦方向移動テーブル31が設けられている可撓性サスペンション300を示す。可撓性サスペンション300にはまた、第1の中間質量303と第2の中間質量305との間に6つの横方向可撓性ブレード又はロッド320を備える横方向移動テーブル32が設けられている。したがって、各移動テーブル31、32は、図3に示す元の可撓性サスペンションに加えて、1つ又は2つの可撓性ブレード又はロッド310、320を備える。
【0065】
第4のステップ44を実施する第2の方法は、可撓性サスペンション300の縦方向可撓性ブレード又はロッド310又は横方向可撓性ブレード又はロッド320の剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンション300を置換するか又は適合させることにある。
【0066】
例えば、縦方向可撓性ブレード又はロッド310又は横方向可撓性ブレード又はロッド320の厚さを適合させてそれらの剛性を変更することができ、又は縦方向可撓性ブレード又はロッド310又は横方向可撓性ブレード又はロッド320の長さを適合させてそれらの剛性を変更することができる。図6では、可撓性サスペンション300の可撓性ブレード又はロッド310、320は、元の可撓性サスペンションの可撓性ブレードよりも厚い。
【0067】
第3の実施形態では、第4のステップ44は、可撓性サスペンション300の縦方向移動テーブル31及び/又は横方向移動テーブル32の少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッド310及び/又は横方向可撓性ブレード又はロッド320の間の距離を増大させることにある。2つの可撓性ブレード又はロッド310、320を互いに遠ざけることにより、二次振動周波数が変更される。
【0068】
例えば、図7では、可撓性サスペンション300は、縦方向移動テーブル31又は横方向移動テーブル32ごとに、互いに離れた2つのグループの可撓性ブレード又はロッド310、320を備える。最初の3つのスラット又はロッドは、等しい第1の距離だけ離して配置され、最後の3つのスラットは、同じ第1の距離だけ離して配置される。
【0069】
2つのブレードのグループを分離するために、第3可撓性ブレード及び第4の可撓性ブレードは、それぞれ、第1の距離よりも大きい第2の距離d_X及び/又はd_yだけ離れている。可撓性サスペンション300の他の構成も当然ながら可能である。例えば、すべてのブレード間の距離は等しいが、元の構成よりも大きい距離又は小さい距離である。
【0070】
どのような設計であっても、これらの適合又は置換により、二次振動周波数がXY平面における慣性要素の基準振動周波数の倍数の値から離れるように、二次振動周波数が変更される。
【0071】
当然ながら、本発明は、図面を参照して説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく変形例を想定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計用の振動子機構(100)の調整方法(40)であって、前記振動子機構(100)は、構造体(1)と、アンカブロック(30)とを備え、前記アンカブロック(30)から少なくとも1つの慣性要素(2)が吊り下げられ、Z方向に延びるピボット軸(D)を中心に第1の回転自由度RZで振動するように構成され、前記慣性要素(2)は、複数の実質的に縦方向の弾性ブレード(3)を備える可撓性ピボット(200)によって加えられる復帰力を受け、各弾性ブレードは第1の端部で前記アンカブロック(30)に固定され、第2の端部で前記慣性要素(2)に固定され、各弾性ブレード(3)は本質的に、前記Z方向に垂直なXY平面内で変形可能であり、前記アンカブロック(30)は、前記アンカブロック(30)の移動を可能にするように構成された可撓性サスペンション(300)によって前記構造体(1)から吊り下げられ、調整方法は、
・前記XY平面における前記Z方向を中心とする前記慣性要素(2)の基準振動周波数を測定する第1のステップ(41)と、
・YZ平面におけるX方向を中心とする前記慣性要素(2)の少なくとも1つの二次振動周波数又はXZ平面におけるY方向を中心とする前記慣性要素(2)の少なくとも1つの二次振動周波数を測定する第2のステップ(42)と、
・前記二次振動周波数を前記基準振動周波数と比較し、前記二次振動周波数が前記基準振動周波数の倍数と実質的に異なる値を有することを確認する第3のステップ(43)と、
・前記二次振動周波数が前記基準振動周波数の倍数に近いか又は実質的に等しい値を有する場合、前記可撓性サスペンション(300)の構成を変更して前記二次振動周波数が前記基準振動周波数の倍数と実質的に異なるようにするために、前記可撓性サスペンション(300)を適合させるか又は前記可撓性サスペンション(300)を他の可撓性サスペンションと置換する第4のステップ(44)と
を含むことを特徴とする、調整方法。
【請求項2】
前記可撓性サスペンション(300)は、前記アンカブロック(30)と、前記構造体(1)に直接又は前記Z方向に可撓性のあるプレート(301)を用いて固定された第1の中間質量(303)との間に、可撓性ガイドを備えた横方向移動テーブル(32)を備え、前記横方向移動テーブル(32)は、好ましくは直線状でありかつ前記X方向に前記ピボット軸(D)と交差する横軸(D2)を中心に対称的に延びる少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッド(320)を備え、前記第2のステップ(42)で測定される前記二次振動周波数が、前記XZ平面において前記Y方向を中心とすることを特徴とする、請求項1に記載の調整方法。
【請求項3】
前記第4のステップ(44)は、前記横方向移動テーブル(32)の横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の数を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにある、請求項2に記載の調整方法。
【請求項4】
前記第4のステップ(44)は、前記横方向移動テーブル(32)の横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにあることを特徴とする、請求項2に記載の調整方法。
【請求項5】
前記横方向移動テーブル(32)の横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の厚さ又は長さを変更することにより、前記横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の剛性が変更されることを特徴とする、請求項4に記載の調整方法。
【請求項6】
前記第4のステップ(44)は、前記横方向移動テーブル(32)の少なくとも2つの横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の間又は前記横方向移動テーブル(32)のすべての横方向可撓性ブレード又はロッド(320)の間の距離(d_y)を増大させることにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにあることを特徴とする、請求項2に記載の調整方法。
【請求項7】
前記可撓性サスペンション(300)は、前記アンカブロック(30)と第2の中間質量(305)との間に、可撓性ガイドを備えた縦方向移動テーブル(31)を備え、前記縦方向移動テーブル(31)は、好ましくは直線状でありかつ前記Y方向に前記ピボット軸(D)と交差する縦軸(D1)を中心に対称的に延びる少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)を備え、前記第2のステップ(42)で測定される前記二次振動周波数は、前記YZ平面において前記X方向を中心とすることを特徴とする、請求項1に記載の調整方法。
【請求項8】
前記第4のステップ(44)は、前記縦方向移動テーブル(31)の縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の数を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにある、請求項7に記載の調整方法。
【請求項9】
前記第4のステップ(44)は、前記縦方向移動テーブル(31)の縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の剛性を変更することにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにある、請求項7に記載の調整方法。
【請求項10】
前記縦方向移動テーブル(31)の縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の厚さ又は長さを変更することにより、前記縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)の剛性が変更されることを特徴とする、請求項9に記載の調整方法。
【請求項11】
前記第4のステップ(44)は、前記縦方向移動テーブル(31)の少なくとも2つの縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)間又はすべての縦方向可撓性ブレード又はロッド(310)間の距離(d_X)を増大させることにより、前記可撓性サスペンション(300)を置換するか又は適合させることにあることを特徴とする、請求項7に記載の調整方法。
【請求項12】
前記第4のステップ(44)において、前記第1のステップ(41)で測定されたものと同じ基準振動周波数が維持されることを特徴とする、請求項1に記載の調整方法。
【外国語明細書】