(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133449
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電力線通信の信頼性を向上させる回路構造
(51)【国際特許分類】
H04B 3/54 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
H04B3/54
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040099
(22)【出願日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】112109611
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112117026
(32)【優先日】2023-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112121141
(32)【優先日】2023-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524099382
【氏名又は名称】香港龍雲科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HK Oceancomm Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】RM A 12F ZJ300, 300 LOCKHART ROAD, WAN CHAI HONG KONG
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】李信賢
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、電力線通信の信頼性を向上させる回路構造を提供する。
【解決手段】回路構造は、電力線を有し、電力線上で電気エネルギー波及びネットワーク信号が伝送される。回路構造は、第1のアイソレータ201と第1のカプラ202と、を含む。第1のアイソレータは、回路構造の各電力消費端Eまたは一部の電力消費端の入口に配置され、電力線を電力消費端と送信端Tに分離し、電気エネルギー波が電力消費端に入るようにネットワーク信号を除去するために使用される。第1のカプラは、第1の結合経路P1を生成するために使用され、第1の結合経路により、ネットワーク信号は第1のアイソレータを通過せず、第1の結合経路を経由して送信端に入る。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信の信頼性を向上させる回路構造であって、
前記回路構造は電力線を有し、前記電力線上で電気エネルギー波およびネットワーク信号が伝送され、
前記回路構造は、第1のアイソレータと第1のカプラとを含み、
前記第1のアイソレータは、前記回路構造の各電力消費端または一部の電力消費端の入口に配置され、前記電力線を前記電力消費端と送信端に分離し、前記電気エネルギー波が前記電力消費端に入るように前記ネットワーク信号を除去するために使用され、
前記第1のカプラは、第1の結合経路を生成するために使用され、前記第1の結合経路により、前記ネットワーク信号が前記第1のアイソレータを通過せず、前記第1の結合経路を経由して前記送信端に入り、
前記送信端の電力線インピーダンスは前記電力消費端側の影響を受けない、
回路構造。
【請求項2】
前記電力消費端で発生する時変ノイズとインピーダンスは、通常前記電力消費端で隔離され、前記送信端に入らない、請求項1に記載の回路構造。
【請求項3】
前記第1のアイソレータのカットオフ周波数は、前記ネットワーク信号の伝送周波数よりも低く、前記電気エネルギー波の周波数よりも高い、請求項2に記載の回路構造。
【請求項4】
前記第1のアイソレータは、
前記電力線に直列に接続されたインダクタと、
前記電力線に並列に接続されたコンデンサと、
を含み、
前記インダクタは、前記第1のアイソレータの入力端子の入口に配置され、または前記コンデンサの外側に配置されることで、前記電気エネルギー波は、前記インダクタを通過してから前記電力消費端に伝送される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項5】
前記第1のアイソレータは、
前記電力線に直列に接続された変圧器と、
前記電力線に並列に接続されたコンデンサと、
を含み、
前記変圧器は、前記第1のアイソレータの入力端子の入口に配置され、または前記コンデンサの外側に配置されることで、前記電気エネルギー波は、前記変圧器を通過してから前記電力消費端に伝送される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項6】
前記第1のアイソレータは、
それぞれ前記電力線に直列に接続された4つのインダクタと、
前記電力線に並列に接続されたコンデンサと、
を含み、
前記4つのインダクタは、前記第1のアイソレータの入力端子の入口に配置され、または前記4つのインダクタのうちの2つは、前記コンデンサの外側に配置されることで、前記電気エネルギー波は、前記インダクタを通過してから前記電力消費端に伝送される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項7】
前記第1のアイソレータは、
それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器と、
前記電力線、および前記2つの変圧器の間に並列に接続されたコンデンサと、
を含み、
前記2つの変圧器は、前記第1のアイソレータの入力端子の入口に配置され、または前記2つの変圧器のうちの1つは、前記コンデンサの外側に配置されることで、前記電気エネルギー波は、前記変圧器を通過してから前記電力消費端に伝送される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項8】
前記第1のアイソレータは、
前記電力線に直列に接続されたインダクタと、
前記インダクタの両側に接続された増幅器と、
を含み、
前記増幅器の非反転入力端子は前記インダクタの始端に接続され、前記増幅器の出力端子は前記増幅器の反転入力端子および前記インダクタの終端に接続される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項9】
前記第1のアイソレータは、
前記電力線に直列に接続された変圧器と、
それぞれ前記変圧器の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続された2つの増幅器と、
を含み、
前記2つの増幅器の出力端子は、それぞれ前記2つの増幅器の反転入力端子、前記変圧器の一次側コイルの終端または二次側コイルの終端に接続され、前記2つの増幅器の非反転入力端子は、それぞれ前記変圧器の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項10】
前記第1のアイソレータは、
それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器と、
それぞれ前記2つの変圧器のうちの第1の変圧器の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続された2つの増幅器と、
それぞれ前記第1の変圧器の一次側コイルの始端または二次側コイルの始端、前記2つの増幅器の非反転入力端子および前記電力線の間、および前記第1の変圧器の一次側コイルの終端または二次側コイルの終端、前記2つの増幅器の反転入力端子、出力端子および前記電力線の間に並列に接続された複数のコンデンサと、
を含み、
前記2つの増幅器の出力端子は、それぞれ前記2つの増幅器の反転入力端子、および前記2つの変圧器の間に接続され、前記2つの増幅器の非反転入力端子は、それぞれ前記第1の変圧器の一次側コイルの始端または二次側コイルの始端に接続され、
高電圧側の前記電力線には別のコンデンサが並列に接続されている、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項11】
前記第1のアイソレータは、
それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器と、
それぞれ前記2つの変圧器のうちの第1の変圧器の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続された2つの増幅器と、
高電圧側の前記電力線、前記2つの変圧器のうちの第2の変圧器の一次側コイルの終端、二次側コイルの終端および前記電力線の間に並列に接続されたコンデンサと、
前記第1の変圧器の始端、終端および前記2つの増幅器の出力端子、非反転入力端子および反転入力端子に接続され、前記2つの増幅器と前記第1の変圧器との間に配置された第2のカプラと、
を含み、
前記2つの増幅器の出力端子は、それぞれ前記2つの増幅器の反転入力端子、および前記2つの変圧器の間に接続され、前記2つの増幅器の非反転入力端子は、それぞれ前記第1の変圧器の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続され、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項12】
前記第1のアイソレータは、
前記電力線の同じ側に直列に接続された2つのインダクタと、
増幅器と、
前記増幅器の非反転入力端子および前記2つのインダクタのうちの第1のインダクタの始端に接続された第2のカプラと、
前記電力線に並列に接続されたコンデンサと、
を含み、
前記増幅器の入力端子は前記第1のインダクタの始端に接続され、前記増幅器の出力端子は前記増幅器の反転入力端子および前記第1のインダクタの終端に接続され、
前記第2のカプラは、前記増幅器の反転入力端子および出力端子、前記第1のインダクタの終端に接続される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項13】
前記第1のアイソレータは、
それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器と、
第1の非反転入力端子、第2の非反転入力端子、第1の反転入力端子、および第2の反転入力端子を有する増幅器と、
前記2つの変圧器のうちの第2の変圧器と前記電力線との間に並列に接続されたコンデンサと、
2つの第2のカプラと、
を含み、
前記増幅器は、前記2つの変圧器のうちの第1の変圧器の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続され、前記増幅器の出力端子は、前記増幅器の前記第2の非反転入力端子および前記第2の反転入力端子、および前記2つの変圧器の間に接続され、
前記2つの第2のカプラのうちの一方は、前記第1の変圧器の始端、前記増幅器の前記第1の非反転入力端子および前記第1の反転入力端子に接続され、他方は前記第1の変圧器の終端、前記増幅器の第2の非反転入力端子および前記第2の反転入力端子、および出力端子に接続され、前記増幅器と前記第1の変圧器との間に配置される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項14】
前記第1のアイソレータは、
それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器と、
インピーダンス整合としてそれぞれ前記2つの変圧器のうちの第1の変圧器の始端と終端との間に接続された4つの整合抵抗と、
ラインドライバと、
前記電力線に並列に接続されたコンデンサと、
2つの第2のカプラと、
を含み、
前記ラインドライバの入力端子は前記第1の変圧器の始端および前記4つの整合抵抗に接続され、出力端子は前記ラインドライバの2つの入力端子および前記第1の変圧器に接続され、前記電力線の順方向信号端は前記ラインドライバの逆方向出力端に接続され、前記電力線の逆方向信号端は前記ラインドライバの順方向出力端に接続され、
前記2つの第2のカプラのうちの一方は、前記第1の変圧器の始端および前記ラインドライバの入力端子に接続され、他方は前記第1の変圧器の終端および前記ラインドライバの出力端子に接続される、
請求項3に記載の回路構造。
【請求項15】
前記回路構造は家庭用屋内電力網で使用され、
前記家庭用屋内電力網は、
第2のアイソレータに接続された配電盤と、
前記電力線に接続されたソケットと、
を含み、
前記第2のアイソレータは、他のフィールドまたは他の家電機器からの高周波ノイズとクラッタを除去し、前記電気エネルギー波を供給し、
前記ソケットと前記電力線との間に、前記第1のアイソレータが配置され、
前記第2のアイソレータによってフィルタリングされた前記電気エネルギー波は、前記回路構造に入る、
請求項4~14のいずれか1項に記載の回路構造。
【請求項16】
前記回路構造は電力計で使用され、
前記電力計は、高圧交流-低圧直流(AC-DC)電力供給ユニットを含み、
前記高圧交流-低圧直流(AC-DC)電力供給ユニットは、前記電力消費端に接続され、前記電力消費端の前記電気エネルギー波を抽出して、課金ユニットおよび前記送信端の通信ユニットに必要な直流電力を供給する、
請求項4~14のいずれか1項に記載の回路構造。
【請求項17】
前記回路構造は屋外電力網で使用され、
前記屋外電力網は、配電変圧器を含み、
前記配電変圧器は、第2のアイソレータに接続され、前記電気エネルギー波を供給し、前記第2のアイソレータは他のフィールドからの高周波ノイズとクラッタを除去し、
前記第2のアイソレータによってフィルタリングされた前記電気エネルギー波は、前記回路構造に入る、
請求項4~14のいずれか1項に記載の回路構造。
【請求項18】
前記回路構造は車載電力網で使用され、
前記車載電力網は、直流電源を含み、
前記直流電源は、第2のアイソレータに接続され、前記電気エネルギー波を供給し、前記第2のアイソレータは、他のフィールドからの高周波ノイズとクラッタを除去し、
前記第2のアイソレータによってフィルタリングされた前記電気エネルギー波は、前記回路構造に入る、
請求項4~14のいずれか1項に記載の回路構造。
【請求項19】
前記車載電力網は伝送線を有し、前記伝送線は差動信号線を使用し、前記差動信号線は前記車載電力網の直流電源線として機能し、前記車載電力網のアース線は車両シェルに接続される、請求項18に記載の回路構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信(Power Line Communication、PLC)に関し、特に、電力線通信を最適化する装置およびその動作方法に関するものである。関連する方法は、ツイストペアや同軸ケーブルなどの有線通信アプリケーションにも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
電力線通信は、1990年末以降、多くの分野で広く利用されており、例えば、HPA(HomePlug Powerline Alliance)によって策定されたHomePlug AV規格、G3-PLC(Generation 3th Power Line Communication)、HPLC(High speed PLC)などがある。電力網には通常、時間の経過とともに変化する高ノイズやインピーダンスなどの問題があるため、通信品質は全般的に劣る。そこで、本発明は、上記の問題を大幅に改善できる新しいアーキテクチャを提案する。
【0003】
以前、一部のアプリケーションでは、電力消費機器の影響範囲を低減するために、ローパスフィルタやアイソレータを用いて電力線をいくつかのセグメントに分離するが、分離された電力線には依然として電力消費ユニットと通信ユニットの両方が存在しており、電力消費ユニットによって発生するノイズとインピーダンスの変化は、依然としてこのセグメントの電力線の通信品質に影響を及ぼす。また、
図1は、従来のスマート電力計の回路構造10の概略図を示しており、通信ユニット11はカプラを介して電力線信号を送受信し、課金ユニット12は、電力線信号に基づいて関連する電力消費データを計算および分析し、高圧交流-低圧直流(AC-DC)電力供給ユニット15は、電力線から電気エネルギー波を抽出して、通信ユニットと課金ユニットに必要な直流電力を供給するため、従来の電力消費ユニット13およびAC-DCユニット15のノイズやインピーダンスの変化は、通信ユニット11の通信品質に影響を与える。すなわち、従来の電力線通信では、高周波の通信信号、低周波の電気エネルギー波、および電気の使用に起因するノイズや電力線インピーダンスの変化を区別していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電力線通信の信頼性を向上させる回路構造を開示するものであり、電力線の通信品質を大幅に向上させることができる。電力線は、電力網における末端電力消費機器に電力を供給するために必要なチャネルであるため、電力供給周波数(直流または50/60Hz)よりもはるかに高い周波数帯域を使用して通信信号を伝送することもできる。しかし、現在、電力線通信には一般的に通信品質の低下につながる2つの大きな問題があることが知られている。(1)電力消費機器(モデム自体を含む)によって発生するノイズが電力線に混入し、電力線に時変ノイズが多くあり、安定した信頼できる通信品質が得られない。(2)電力消費設備の電力消費パターンの変化に伴い、電力線のインピーダンスも時間の経過とともに変化し、一旦重負荷(低インピーダンス)状態になると、電力線に送られる伝送信号も減衰が大きくなり、長距離まで伝送することが困難である。
【0005】
本発明の概念としては、電力消費ユニット(モデム自体を含む)の前にローパスフィルタまたはアイソレータを設置することであり、このフィルタのローパス3dB周波数転換点は通信信号よりもはるかに低く、電力供給に影響を与えることなく通信信号をブロックし、電力線を2つのセグメント(1つは送信端、もう1つは電力消費端である)に分離することができる。送信端のモデム(通信ユニット)の通信信号はカプラを通過し、フィルタをバイパスして電力線の送信端に入力される。これにより、通信ユニットの通信信号が使用する周波数帯域において、時変ノイズと時変インピーダンスが電力消費端で隔離され、送信端は安定したインピーダンスと低ノイズの伝送媒体となり、通信効果を大幅に向上させることができる。また、電力網における電力供給設備が通信周波数帯域でノイズや低インピーダンスを発生する場合、通信信号の干渉や電力線の大きな減衰を防ぐために、電力供給設備の入口と出口に同様のフィルタを設置する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電力線通信の信頼性を向上させる回路構造を開示する。前記回路構造は電力線を有し、前記電力線上で電気エネルギー波およびネットワーク信号が伝送される。前記回路構造は、第1のアイソレータと第1のカプラとを含む。前記第1のアイソレータは、前記回路構造の各電力消費端または一部の電力消費端の入口に配置される。前記第1のアイソレータは、前記電力線を前記電力消費端と送信端に分離し、前記電気エネルギー波が前記電力消費端に入るように前記ネットワーク信号を除去するために使用される。前記第1のカプラは、第1の結合経路を生成するために使用され、前記第1の結合経路により、前記ネットワーク信号が前記第1のアイソレータを通過せず、前記第1の結合経路を経由して前記送信端に入る。前記送信端側の電力線インピーダンスは前記電力消費端側の電力消費の影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3A】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3A1】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3B】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3B1】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3C】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3D】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3E】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3F】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3G】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3H】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図3I】アイソレータ201または14の概略図を示す。
【
図4A】家庭用屋内電力網400Aにおける本発明の概略図を示す。
【
図4B】屋外電力網400Bにおける本発明の概略図を示す。
【
図5】車載電力網500における本発明の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2Aを参照する。
図2Aは、電力計20に使用される本発明の概略図である。現在スマートグリッド上で最も多く配置されている低圧電力供給網としては、電力計20は各電力需要家への入り口であり、電力計に改良を加えれば、低圧電力供給網の通信成功率を効果的に向上させることができる。本発明の電力計20は、アイソレータ201と、課金ユニット12と、カプラ202と、通信ユニット17Nと、高圧交流-低圧直流(AC-DC)電力供給ユニット15とを備える。課金ユニット12は、電力線信号に基づいて関連する電力消費データを計算および分析し、高圧交流-低圧直流(AC-DC)電力供給ユニット15は、電力消費端に接続されて、電力消費端から電気エネルギー波を抽出して、課金ユニット12および送信端の通信ユニット17Nに必要な直流電力を供給する。なお、通信ユニット17Nの通信信号がカプラ202を通過することにより、通信信号は結合経路P1を介してアイソレータ201をバイパスし、電力線上の通信ユニット17Nに入る。
【0009】
一実施形態では、電力計20は課金ユニット12を備える。課金ユニット12は、第1のアイソレータ201と電力消費ユニット30Nとの間に配置され、第1のアイソレータ201によってネットワーク信号を除去した後の電気エネルギー波に基づいて課金を行う。
【0010】
一実施形態では、課金ユニット12は通信ユニット17Nに接続されており、エネルギー使用量および課金をより効果的に管理するために、通信ユニットにより電力計20の課金ユニット12のデータをクラウドにアップロードすることができる。インターネット技術とクラウドコンピューティングを利用することにより、電力計20は、電力消費量、電力消費時間、負荷ピークなどの情報を含むデータをクラウドデータセンター(変電所)にリアルタイムで送信することができる。
【0011】
図2Bを参照する。
図2Bは、本発明の一実施形態によるアイソレータ201およびカプラ202の概略図を示す。アイソレータ14は、電源端に近いアイソレータであり、低周波ローパスフィルタやアクティブアイソレータによって実装することができる。ネットワーク信号は、結合経路P1を経由して通信ユニット171~17N(または送信端T)の入口に伝送されるが、アイソレータ201を通って電力消費端E側に入ることができない。低周波の電気エネルギー波の場合、アイソレータ201を通ってから電力消費端E側に入ることができる。電気エネルギー波は、電力消費ユニット301~30Nにエネルギーを供給する。本実施形態では、アイソレータ201は低周波ローパスフィルタまたはアクティブアイソレータによって実装することができる。
【0012】
本発明によって提案される新たなアーキテクチャでは、電力線通信装置の各電力消費ユニット30Nまたは一部の電力消費ユニット30Nの入口にローパスフィルタ(アクティブアイソレータはローパスフィルタと見なすこともできる)を設置する。このフィルタの3dBカットオフ周波数は、通信信号に比べて非常に低い周波数にある(
図2Aおよび2Bを参照)。一実施形態では、アイソレータ201のカットオフ周波数は、前記ネットワーク信号の伝送周波数よりも低く、前記電気エネルギー波の周波数よりも高いため、電力消費ユニット30Nによって発生するノイズのうち、アイソレータ201を通って通信信号の周波数帯域に入ることができるのはごく一部だけであり、通信信号自体は、結合経路P1を介してアイソレータ201をバイパスし、通信ユニット17Nに出入りする必要がある。言い換えると、電力消費ユニット30Nによって発生する時変ノイズとインピーダンスは、通信に影響を与えることはない。
【0013】
このアーキテクチャの別の利点としては、このアイソレータ201が、通信周波数帯域においてトランシーバに対して直列に接続にされた高インピーダンス回路となるように設計されているため、トランシーバによって電力線に伝送される通信信号が減衰しにくく、時間変動が少なく、安定した良好な通信品質を維持できることである。
図3Aを参照する。
図3Aは、アイソレータ201が低周波ローパスフィルタである実施形態を示す。本実施形態では、アイソレータ201は、2つのインダクタL1およびL2と、コンデンサCとを含む。電力線には、インダクタL1およびL2が直列に接続され、コンデンサCが並列に接続されている。
【0014】
なお、インダクタL1およびL2は、アイソレータ201の入力端子の入口に配置されており、言い換えると、インダクタL1およびL2は、コンデンサCの外側に配置され、つまり、コンデンサCは、インダクタL1またはL2と電力消費ユニット30Nとの間に配置されている。これにより、角周波数ωでは、送信端Tが出力する信号に面する電力消費端Eのインピーダンスは、ωL1+ωL2に近づき、この値はほとんど変化しません。言い換えると、送信端T側の電力線インピーダンスは電力消費端E側の電力消費挙動によって変化せず、送信端T側が安定した伝送媒体となり、送信端T側の通信信号の減衰も、電力消費端Eの電力消費挙動の影響を受けない。
【0015】
インダクタL1およびL2のインダクタンス値が100μH、容量値が1.27μFであると仮定すると、交流電力信号の周波数が60Hzの場合、ローパスフィルタ(アイソレータ201)のインダクタの等価インピーダンスは0.075ohmになり、通常の電力の使用に影響を与えない。ネットワーク信号が5MHz付近にある場合、ネットワーク信号は約6280ohmのインピーダンスに直面し、ネットワーク信号は電力消費ユニット30NのインピーダンスR
Lの影響を受けないとともに、電力消費ユニット30Nによって発生するノイズ等価電圧Vnのうち、低周波ローパスフィルタ(アイソレータ201)を通過してネットワーク信号に影響を与えることができるのはごく一部だけである。電力線に電源ユニットがある場合、ノイズを低減し、伝送線路のインピーダンスを高めるために、電源出力端子に低周波ローパスフィルタ(アイソレータ14)を設置するのが一般的である(
図2B)。
【0016】
図3Bを参照する。
図3Bは、アイソレータ201が低周波ローパスフィルタである別の実施形態である。本実施形態では、アイソレータ201は、4つのインダクタL1、L2、L3およびL4と、コンデンサCとを含む。インダクタL1およびL3は電力線に直列に接続され、インダクタL2およびL4は電力線に直列に接続され、インダクタL1およびL2は、コンデンサCの外側に配置され、コンデンサCは、電力線に並列に接続され、インダクタL1、L2と電力消費ユニット30Nとの間に配置され、その他の原理は上記と同様である。電力消費側のノイズ源のエネルギーが非常に強く、内部抵抗が比較的低い場合は、
図3Bの低周波ローパスフィルタまたはそれ以上のフィルタの遮断効果がさらに高くなる。
【0017】
なお、前記アイソレータはローパスフィルタによって実装でき、設計が容易であるという利点がある。しかし、電力計などの大電流を伴うアプリケーションの場合、必要なインダクタの体積が大きくて高価であり、必要な高圧コンデンサにも同様の問題がある。従って、低コストの解決策は、
図3A1および
図3B1に示すように、インダクタの代わりに逆接続変圧器を使用することである。
図3A1および
図3B1は、それぞれ一実施形態におけるアイソレータの概略図を示す。
図3A1では、変圧器K1は電力線に直列に接続され、コンデンサは電力線に並列に接続される。変圧器K1は、アイソレータ201の入力端子の入口に配置され、または変圧器K1は、コンデンサCの外側に配置されることで、電気エネルギー波は、変圧器K1を通過してから電力消費端Eに伝送される。
図3B1では、変圧器K1およびK2は、それぞれ電力線に直列に接続され、コンデンサCは、電力線、および変圧器K1とK2との間に並列に接続される。変圧器K1およびK2は、アイソレータ201の入力端子の入口に配置され、または変圧器K1は、コンデンサCの外側に配置されることで、電気エネルギー波は、変圧器K1およびK2を通過してから電力消費端Eに伝送される。
【0018】
アイソレーション効果を大幅に向上させる別の方法は、
図3C~3Iに示すように、アクティブアイソレータを使用して変圧器またはインダクタンス値に対する要件を低減することである。
図3Cは、アクティブアイソレータの基本概念であり、各アイソレータ201は、インダクタL1、L2と増幅器A1、A2を含む。インダクタL1、L2は、それぞれ電力線に直列に接続され、増幅器A1およびA2は、それぞれインダクタL1およびL2の両側に接続され、増幅器A1およびA2の非反転入力端子は、それぞれインダクタL1およびL2の始端に接続され、増幅器A1およびA2の出力端子は、それぞれ増幅器A1およびA2の反転入力端子、およびインダクタL1およびL2の終端に接続され、増幅器A1およびA2の非反転入力端子は、インダクタL1およびL2の始端に接続される。インダクタL1およびL2は、低周波数でより大きな電流を流すことができ、通信周波数帯域では電位変化を検出するために使用される。ゲイン値Aの増幅器A1およびA2により、インダクタの両側の電圧差を1/Aに低減することで、このアイソレータ201の等価インピーダンスはA倍に増加することができ、小さなインダクタで必要な効果を得ることができる。一実施形態では、増幅器A1およびA2は、ボルテージフォロワ(Voltage Follower)によって実装されている。また、インダクタL1およびL2の下方側(すなわち、電力消費端E側)は低インピーダンスとなっており、電力消費端側で発生するノイズ電流を吸収して、ノイズを遮断し、インダクタL1およびL2の上方側(すなわち、送信端T側)の高インピーダンスを維持する効果が得られる。
【0019】
図3Dでは、インダクタの代わりに変圧器K1を使用しており、磁気コアを共用しているため、コストをさらに下げることができる。さらに、逆相互インダクタにより、実際のインピーダンスが単純なインダクタよりも高くなることがある。本実施形態のアイソレータは、電力線に直列に接続された変圧器K1と、変圧器K1の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端にそれぞれに接続された2つの増幅器A1およびA2と、を備える。増幅器A1およびA2の出力端子は、それぞれ増幅器A1およびA2の反転入力端子、変圧器K1の一次側コイルの終端または二次側コイルの終端に接続され、増幅器A1およびA2の非反転入力端子は、それぞれ変圧器K1の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続されている。
【0020】
実際の使用においては、
図3Eに示すように、増幅器A1およびA2の出力端子と電力消費端E側との間に別の変圧器K2またはローパスフィルタを設置することで、増幅器A1およびA2の最大電流出力の仕様要件を低減することができる。本実施形態のアイソレータは、それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器K1およびK2と、それぞれ変圧器K1の一次側コイルの始端及び二次側コイルの始端に接続された2つの増幅器A1およびA2と、を備える。増幅器A1およびA2の出力端子は、それぞれ増幅器A1およびA2の反転入力端子、および2つの変圧器K1とK2との間に接続され、増幅器A1およびA2の非反転入力端子は、それぞれ変圧器K1の一次側コイルの始端及び二次側コイルの始端に接続されている。電力計に使用されるため、高電圧側の電力線に、高圧コンデンサCが並列に接続され、すなわち、高圧コンデンサCは、変圧器K2の一次側コイルの終端、二次側コイルの終端、および前記電力線の間に並列に接続されている。変圧器K1の一次側コイルの始端または二次側コイル始端、増幅器A1およびA2の非反転入力端子、および前記電力線の間、および変圧器K1の一次側コイルの終端または二次側コイル終端、増幅器A1およびA2の反転入力端子、出力端子、および前記電力線の間に、コンデンサCが並列に接続されている。
【0021】
また、実際の応用においては、電力線に電圧が存在することを考慮すると、増幅回路と変圧器(またはインダクタ)との間には結合回路が必要である。本実施形態では、結合回路の経路はカプラ202aを介して生成され、
図3Fに示すように、本実施形態のアイソレータは、それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器K1およびK2と、それぞれ変圧器K1の一次側コイルの始端及び二次側コイルの始端に接続された2つの増幅器A1およびA2と、を備える。増幅器A1およびA2の出力端子は、それぞれ増幅器A1およびA2の反転入力端子、および2つの変圧器K1とK2との間に接続され、増幅器A1およびA2の非反転入力端子は、それぞれ変圧器K1の一次側コイルの始端及び二次側コイルの始端に接続されている。高電圧側の電力線には、高圧コンデンサCが並列に接続されており、すなわち、高圧コンデンサCは、変圧器K2の一次側コイルの終端、二次側コイルの終端、および前記電力線の間に並列に接続されている。2つのカプラ202aは、それぞれ変圧器K1の始端、終端、増幅器A1およびA2の出力端子、非反転入力端子および反転入力端子に接続され、それぞれ増幅器A1、A2と変圧器K1との間に配置されている。
【0022】
車両内の低圧電力線では、結合回路はコンデンサによって完成することができる。電力計用途では、結合回路は変圧器によって完成することが多く、元の送信端E側の結合変圧器を増幅器の入力端子として使用でき、結合変圧器を1つ追加すれば完成することができ、増幅器A1も差動増幅器によって完成できるため、本実施形態では、カプラ202aが1つだけ必要となる(
図3Gに示すように)。本実施形態では、2つのインダクタL1およびL2は電力線の同じ側に直列に接続されており、増幅器A1の入力端子は第1のインダクタL1の始端に接続され、増幅器A1の出力端子は増幅器A1の反転入力端子および第1のインダクタの終端に接続されている。カプラ202aはインダクタL1の始端および終端に接続され、増幅器A1とインダクタL1との間に配置されている。カプラ202aは、増幅器A1の非反転入力端子およびインダクタL1の始端に接続され、増幅器A1の反転入力端子および出力端子、インダクタL1の終端に接続され、コンデンサCは前記電力線に並列に接続され、すなわち、コンデンサCはインダクタL2の終端と前記電力線との間に並列に接続されている。
【0023】
図3Hを参照する。一実施形態では、変圧器K1およびK2は増幅器A1を共有することができるため、本実施形態では、2つのカプラ202aにより、両側の電力線がそれぞれ結合経路を介して同じ増幅器A1に接続される。増幅器A1は、第1の非反転入力端子P
+、第2の非反転入力端子P
-、第1の反転入力端子N
+、および第2の反転入力端子N
-を有し、アイソレータ201は、それぞれ前記電力線に直列に接続された2つの変圧器K1およびK2を備える。増幅器A1は、変圧器K1の一次側コイルの始端および二次側コイルの始端に接続され、増幅器A1の2つの出力端子は、それぞれ増幅器A1の第2の非反転入力端子P
-および第2の反転入力端子N
-、および変圧器K1とK2との間に接続される。コンデンサCは変圧器K2の終端と前記電力線との間に並列に接続され、一方のカプラ202aは、変圧器K1の始端、増幅器A1の第1の非反転入力端子P
+、および第1の反転入力端子N
+に接続され、他方のカプラ202aは、変圧器K1の終端、増幅器A1の出力端子、第2の非反転入力端子P
-、および第2の反転入力端子N
-に接続され、2つの第2のカプラ202aは、増幅器A1と変圧器K1との間に配置されている。
【0024】
図3Iを参照する。一実施形態では、ラインドライバ(line driver)LDは電力線に接続され、整合抵抗Rsは、ラインドライバLDの入力端子および出力端子のフィードバック回路に配置される。アイソレータ201は、それぞれ電力線に直列に接続された変圧器K1およびK2と、インピーダンス整合として変圧器K1の始端と終端との間に接続された整合抵抗Rsと、ラインドライバLDと、電力線の間に並列に接続されたコンデンサCと、カプラ202aと、を備える。ラインドライバLDの入力端子は、変圧器K1の始端および整合抵抗Rsに接続され、出力端子はラインドライバLDの2つの入力端子および変圧器K1に接続され、電力線の順方向信号端はラインドライバLDの逆方向出力端に接続され、電力線の逆方向信号端はラインドライバLDの順方向出力端に接続される。一方のカプラ202aは変圧器K1の始端およびラインドライバLDの入力端子に接続され、他方のカプラ202aは変圧器K1の終端およびラインドライバLDの出力端子に接続されている。
【0025】
一実施形態では、アイソレータ14は、
図3C~3Iのアクティブアイソレータによって実装することができ、その原理は前述と同様である。
【0026】
本発明のアーキテクチャは、長距離電力網、家庭用/商業用屋内電力網、およびバッテリー電力供給システム網(車載電力網や太陽光電力網など)などに適用できるが、これらに限定されない。
【0027】
図4Aを参照する。
図4Aは、家庭用屋内電力網400Aにおける本発明の概略図を示す。家庭用屋内電力網400Aは、本発明の回路構造を採用しており、電気エネルギー波は、電力会社から家庭に入り、電力計で計測された後、受電開閉器に入り、その後、電線を通って配電盤4に伝送される。家庭用屋内電力網400Aは、複数の家電機器401~406を有する。家電機器401~406は、前述した電力消費ユニットとみなすことができ、各家電機器は、対応する通信ユニット171~176を有する。さらに、家庭用屋内電力網400Aは、アイソレータ41を含む。アイソレータ41は、他のフィールドや他の家電機器からの高周波ノイズやクラッタを除去して、家電機器401~406の干渉やノイズを低減し、家電機器401~406や回路の安定した動作を保護することができる。
【0028】
一実施形態では、アイソレータ41は、定格電流60Aのローパスフィルタによって実装することができる。家庭用屋内電力網400Aには、各フィールドの前に保護スイッチ42を設けることができる。保護スイッチ42は、電力線の異常な電流、電圧、電力などの問題を検出し、必要に応じて電力線回路を自動的に遮断して、機器の過負荷、短絡、漏電などの問題を防止することができる。一実施形態では、アイソレータ41は、
図3C~3Iのアクティブアイソレータによって実装することができ、その原理は前述と同様である。
【0029】
なお、上述したように、各家電機器401~406のそれぞれは、前記アイソレータ201に接続され、家電機器401~406の通信ユニット171~176もカプラ202に接続されているため、家庭用屋内電力網400Aの電気エネルギー波とネットワーク信号は、それぞれ電力消費端と送信端に入ることができる。これにより、ネットワーク信号は、結合経路を経由して通信ユニット171~176(または送信端)の入口に伝送されるが、アイソレータ201を通って電力消費端側に入ることができない。低周波の電気エネルギー波は、アイソレータ201を通過してから電力消費端側に入ることができ、電気エネルギー波は家電機器401~406にエネルギーを供給する。その他の原理は前述と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0030】
さらに、フィールド内にソケットSを設けることができる。ソケットSは前記電力線に接続され、ソケットSと電力線との間にアイソレータ201を設けることで、ソケットSに起因するノイズやインピーダンスを低減する。
【0031】
図4Bを参照する。
図4Bは、屋外電力網400Bにおける本発明の概略図を示す。屋外電力網400Bは、本発明の回路構造を採用しており、電気エネルギー波は、配電変圧器5から電力計20を通過し、その後、電力線を通じて電力需要者U1~UNに伝送される。屋外電力網400Bはアイソレータ41を含む。アイソレータ41は、他のフィールドからの高周波ノイズやクラッタを除去することができる。上述したように、本発明のアイソレータ201は、電力計20の入口に配置され、通信ユニット171~17Nも、カプラ202に接続されている。これにより、ネットワーク信号は結合経路を経由して通信ユニット171~17N(または送信端)の入口に伝送されるが、アイソレータ201を通って電力計20に入ることができない。
【0032】
図5を参照する。
図5は、車載電力網500における本発明の概略図を示す。車載電力網500は、本発明の回路構造を採用しており、直流電源は、車両のアプリケーションモジュール501~506によって使用される。各アプリケーションモジュール501~506は、いずれも対応する車載電力消費ユニット5A_1~5A_6と、アプリケーションモジュール501~506に対応する通信ユニット171~176とを有する。
【0033】
なお、アプリケーションモジュール501~506は、エンジンコントロールユニット(Engine control unit、 ECU)、トランスミッションシステムコントロールユニット(Transmission control unit)、車体動的安定性システム(Electronic Stability Program)、アダプティブクルーズコントロール(Adaptive Cruise Control、ACC)、カーアクセスシステム(Car access system)、車のドアモジュール(Car Door module)、車のウィンドウモジュール(Car window module)、バックミラー(Mirror)モジュール、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)、無線モジュール(Radio)などによって実装することができる。
【0034】
本実施形態では、直流電源により車両用アプリケーションモジュール501~506に電力を供給することについて、前述と同様である。車載電力網500において、車載電力消費ユニット5A_1~5A_6は、前記電力消費端または電力消費ユニットであってもよく、車載電力消費ユニット5A_1~5A_6の入口に、いずれもアイソレータ201が接続されており、各通信ユニット171~176または送信端に、いずれもカプラ202が接続されている。これにより、ネットワーク信号は結合経路を経由して通信ユニット171~176(または送信端)の入口に伝送されるが、アイソレータ201を通って電力消費端側に入ることができない。低周波の電気エネルギー波は、アイソレータ201を通過してから電力消費端側に入ることができ、電気エネルギー波は、車載電力消費ユニット5A_1~5A_6にエネルギーを供給する。その他の原理は前述と同様であるため、ここでは繰り返さない。
【0035】
また、車両のアース線は一般的に車両シェルに置き換えられるため、直流電力は通常、電源線(活線)から各アプリケーションモジュールに供給され、その後、直流電力は、車両シェルのアース線からバッテリーに逆流する。ネットワーク信号も同じ回路を通ると、信号が放射されやすくなり、かつ外部からの干渉ノイズも伝送路に吸収されやすくなる。従って、差動信号伝送には、ツイストペアのような線を使用することがより適切である。つまり、直流電流回路は元の車両シェルの回路を踏襲するが、ネットワーク信号はツイストペア回路を介して返される。このとき、差動信号伝送線は、同一組の直流電源線または2組の電源線(例えば、一方は3.3V、もう一方は24V)として使用でき、各アプリケーションモジュールの電源チップの需要を適度に削減することもできる。
【0036】
本発明は、非電力線通信、すなわち、通信信号を搬送するためのツイストペアまたは同軸線のような任意の線にも適用することができる。また、上記の図は、主に差動信号伝送を示しているが、シングルエンド信号線やシングルエンド伝送線にも適用できる。
【0037】
上記のように、本発明では、低周波電力線と高周波通信信号の伝送経路に別の結合経路を設けることで、低周波電力線と高周波通信信号の伝送経路を分離して、電力線通信を改善する。
【符号の説明】
【0038】
12:課金ユニット
400A:家庭用屋内電力網
400B:屋外電力網
5:配電変圧器
500:車載電力網
15:高圧交流-低圧直流(AC-DC)電力供給ユニット
14、201、41:アイソレータ
202、202a:カプラ
P1:結合経路
11、171~17N:通信ユニット
13、301~30N:電力消費ユニット
RL:負荷
Vn:等価電圧
L1、L2、L3、L4:インダクタ
C:コンデンサ
10、20:電力計
401~406:家電機器
4:配電盤
42:保護スイッチ
501~506:アプリケーションモジュール
5A_1~5A_6:車載電力消費ユニット
U1~UN:電力需要者
A1~A2:増幅器
P+、P-、N-、N+:増幅器入力端子
Vs:電源
S:ソケット
E:電力消費端
T:送信端
K1、K2:変圧器
LD:ラインドライバ
Rs:整合抵抗
【外国語明細書】