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特開2024-133451プロセス蒸気を生成するためのプロセスおよび蒸気生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133451
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プロセス蒸気を生成するためのプロセスおよび蒸気生成装置
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/06 20060101AFI20240925BHJP
   F22D 1/28 20060101ALI20240925BHJP
   F22B 3/04 20060101ALI20240925BHJP
   F22B 1/02 20060101ALI20240925BHJP
   F24T 10/10 20180101ALI20240925BHJP
【FI】
F22D11/06
F22D1/28 Z
F22B3/04
F22B1/02 Z
F24T10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040421
(22)【出願日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10 2023 106 382.0
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502155482
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツァー フェルデルング デア アンゲヴァンテン フォーシャング アインゲトラーゲナー フェアアイン
【氏名又は名称原語表記】FRAUNHOFER-GESELLSCHAFT ZUR FORDERUNG DER ANGEWANDTEN FORSCHUNG E.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ブット
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン クルート
(57)【要約】      (修正有)
【課題】給水(11)の形態で戻された復水(4)を使用してプロセス蒸気(3)を生成するための蒸気生成装置に関する。
【解決手段】プロセス蒸気(3)の少なくとも部分的な凝縮によって復水(4)を形成するために、プロセス蒸気(3)を消費装置に送出することと、消費装置からの復水(4)を、処理のために、給水処理システム(7)に供給することと、給水処理システム(7)からの給水(11)をフラッシュタンク(12)において蒸気相(13)と液相(14)とに分離することと、生蒸気(21)を形成するために、蒸発器(19)において給水(11)の液相(14)を蒸発させることと、プロセス蒸気(3)を形成するために、少なくとも1つの圧縮器(15)において給水(11)の蒸気相(13)と生蒸気(21)とを圧縮することと、が提案される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水(11)の形態で戻された復水(4)を使用してプロセス蒸気(3)を生成するための方法であって、
- 前記プロセス蒸気(3)の少なくとも部分的な凝縮によって復水(4)を形成するために、前記プロセス蒸気(3)を消費装置(V)に送出し、
- 処理のために、前記復水(4)を前記消費装置(V)から給水処理システム(7)に供給し、
- 前記給水処理システム(7)からの給水(11)をフラッシュタンク(12)において蒸気相(13)と液相(14)とに分離し、
- 生蒸気(21)を形成するために、蒸発器(19)において前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させ、
- プロセス蒸気(3)を形成するために、少なくとも1つの圧縮器(15)において前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)とを圧縮する、
方法。
【請求項2】
- 特に酸素(O)および/または二酸化炭素(CO)を分離することによって、給水(11)を形成するために、前記給水処理システム(7)において前記復水(4)を少なくとも部分的に脱気し、
- 前記復水(4)を、特に直接、加熱するために、好ましくは、前記復水(4)を加熱用蒸気(8)と共に前記給水処理システム(7)に供給する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記復水(4)を60°と100℃の間、好ましくは70℃と80℃の間、特に少なくともほぼ80℃、の温度で前記給水処理システム(7)に供給する、および/または、
- 前記給水処理システム(7)において、前記復水(4)を1バールと2バールの間、好ましくは1.1バールと1.5バールの間、特に少なくとも基本的に1.2バール、の圧力で、および/または100℃より高い温度、好ましくは102℃と108℃の間、特に少なくとも基本的に105℃、の温度で、脱気する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記フラッシュタンク(12)を0.07バールと0.9バールの間、好ましくは0.12バールと0.8バールの間、特に少なくとも基本的に0.2バールまたは0.6バール、の圧力で作動させる、および/または、
- 前記フラッシュタンク(12)を40℃と96℃の間、好ましくは50℃と93.5℃の間、特に少なくともほぼ60℃または85.9℃、の温度で作動させる、
請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
- 前記圧縮器(15)は、少なくとも前記給水処理システム(7)内の圧力に比べ、前記フラッシュタンク内を負圧にする、および/または、
- 前記少なくとも1つの圧縮器(15)は、プロセス蒸気(3)を100℃と450℃の間、好ましくは100℃と250℃の間、特に少なくともほぼ200℃、の温度で生成する、
請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
- 特にスロットル(25)によって絞られた、プロセス蒸気(3)および/または生蒸気(21)によって、前記給水処理システム(7)の前記加熱用蒸気(8)を少なくとも部分的に提供する、
請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
- 前記蒸発器(19)において、伝熱媒体(20)、特に給水(11)、バイオマスプラントおよび/またはヒートポンプからの熱流、廃熱流、および/または地熱流体(G)、との熱交換によって、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させ、
- 好ましくは、前記地熱流体(G)は、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃、特に少なくとも80℃、の温度を有する、
請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
- プロセス蒸気(3)を形成するために、前記フラッシュタンク(12)からの前記給水(11)、特に前記給水(11)の前記液相(14)、を少なくとも1つの蒸気ボイラ(17)に部分的に供給し、前記少なくとも1つの蒸気ボイラ(17)において蒸発させ、
- 好ましくは、前記少なくとも1つの蒸気ボイラ(17)からの前記プロセス蒸気(3)と前記少なくとも1つの圧縮器(15)からの前記プロセス蒸気(3)とを少なくとも部分的に組み合わせ、前記送出装置(2)を介して前記消費装置(V)に送出する、
請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
好ましくは請求項1~8の何れか一項に記載の方法によって、給水(11)の形態で戻された復水(4)を使用してプロセス蒸気(3)を生成するための蒸気生成装置(1)であって、前記給水(11)を蒸気相(13)と液相(14)とに分離するためのフラッシュタンク(12)と、生蒸気(21)を形成するために、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるための蒸発器(19)と、プロセス蒸気(3)を形成するために、前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)とを圧縮するための少なくとも1つの圧縮器(15)と、前記プロセス蒸気(3)の凝縮によって復水(4)を形成するための消費装置(V)への送出装置(2)と、復水(4)を供給するための返送装置(5)と、前記給水(11)を形成するために、前記復水(4)を処理するための給水処理システム(7)と、を備えた蒸気生成装置。
【請求項10】
前記給水処理システム(7)は、前記復水(4)を、特に直接、加熱するための加熱用蒸気供給ライン(26)、および/または前記復水(4)から放出された気体を排出するための排蒸気排出ライン(10)、を有することと、好ましくは、プロセス蒸気(3)を絞ることによって加熱用蒸気(8)を形成するためのスロットル(25)が前記加熱用蒸気供給ライン(26)に割り当てられていることと、を特徴とする、請求項9に記載の蒸気生成装置。
【請求項11】
前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)との合流手段(28)が設けられていることと、好ましくは、前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)とを一緒に圧縮するための少なくとも1つの圧縮器(15)が前記合流手段(28)の後に設けられていることと、を特徴とする、請求項9または10に記載の蒸気生成装置。
【請求項12】
前記蒸発器(19)は、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、復水(4)用の供給ラインを有し、前記供給ラインから供給された前記復水(4)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるように構成されていること、および/または前記蒸発器(19)は、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、給水(11)用の供給ラインを有し、前記供給ラインから供給された前記給水(11)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるように構成されていること、および/または前記蒸発器(19)は、前記供給ラインから供給された前記給水(11)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、給水(11)用の供給ラインを有すること、および/または前記蒸発器(19)は、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、地熱流体(G)用の供給ラインを有し、前記供給ラインから供給された前記地熱流体(G)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるように構成されていること、を特徴とする、請求項9~11の何れか一項に記載の蒸気生成装置。
【請求項13】
前記地熱流体(G)は、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃、特に少なくとも80℃、の温度を有することを特徴とする、請求項9~12の何れか一項に記載の蒸気生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水の形態で戻された復水を使用してプロセス蒸気を生成するための方法に関する。更に、本発明は、このような方法により、給水の形態で戻された復水を使用してプロセス蒸気を生成するための蒸気生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気生成装置は、通常、蒸気タービンを駆動できる、または工業プロセスの加熱に使用できる、プロセス蒸気を生成するために使用される。このような工業プロセスは、特定の位置で、または特定のプロセスステップを実施するために、熱を必要とする化学プロセスまたは他の製造プロセスであり得る。これらは、例えば、単に、乾燥プロセスまたはこれに類するものであり得る。
【0003】
原則として、蒸気生成装置は、化石または再生燃料を燃やす、所謂蒸気ボイラの形態の、蒸気生成器を1つ以上備えている。これによって放出された燃焼エネルギーと得られた高温の排煙とは、蒸気ボイラに供給された給水を蒸発させるために使用される。通常、給水はパイプを介して工業用蒸気ボイラに過圧で供給されるので、接続されている消費装置に基本的に一定圧力および一定温度で連続的且つ効率的にプロセス蒸気を供給できる。上記のように、消費装置の種類は、大きく異なり得る。消費装置の種類に拘らず、プロセス蒸気は、消費装置における放熱によって凝縮される。復水は、通常、返送装置を介して戻され、蒸気生成装置の給水処理システムに供給され、そこで復水は脱気される。こうして生成された給水は、その後、蒸気ボイラにおいて再び蒸発させられ、プロセス蒸気として消費装置に供給される。
【0004】
排煙のエネルギーを蒸気生成器においてできる限り効果的に利用し、これを給水に伝達するには、給水をできる限り低温で蒸気生成器に供給することが望ましい。ただし、特定レベル未満への温度低下に対する他の理由が複数存在し得る。例えば、腐食を回避するために、給水は、排煙の酸露点未満への温度低下を防止する十分な温度である必要がある。さもなければ、排煙は蒸気生成器から相対的に高温で出るので、相対的に大量の未利用熱が存在することになる。ただし、給水処理システムにおける加熱脱気の場合、給水は100℃より僅かに高い温度レベルでもたらされる。脱気後の給水温度を下げるために、熱交換器が公知である。熱交換器において、給水は、例えば新鮮な水によって、冷却される。この新鮮な水は、その後、復水の損失を埋め合わせるために、給水処理システムに供給され得る。復水の損失が発生し得るのは、例えば、水回路内に蓄積した不揮発性の不純物質を除去するために、復水の一部が排出された場合である。
【0005】
蒸気生成器とは、通常、特に、給水を予熱または加熱するためのエコノマイザと、予熱および/または加熱された給水を蒸発させるための蒸発器と、蒸気を所望の温度に、または少なくとも飽和蒸気温度より高い温度に、加熱するための過熱器とを有し得るものと理解される。ただし、場合によっては、エコノマイザおよび/または過熱器を省くことができる。蒸気生成器は、燃料を燃やして必要な熱を発生させるための炉を更に含み得る。ただし、これは必須ではない。給水は、好ましくは、予熱、加熱、蒸発、および/または過熱用の伝熱媒体に対する対向流として供給される。この場合、伝熱媒体は排煙でもよいが、そうである必要はない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、冒頭で言及した、およびより大きな効率を実現できるように上で詳細に説明した種類のプロセスおよび蒸気生成装置を設計し、更に発展させるという目的に基づく。
【0007】
この課題は、請求項1によると、給水の形態で戻された復水を使用してプロセス蒸気を生成するためのプロセスによって、解決される。このプロセスにおいては、
- プロセス蒸気の少なくとも部分的な凝縮によって復水を形成するために、プロセス蒸気を消費装置に送出し、
- 処理のために、復水を、消費装置から給水処理システムに供給し、
- 給水処理システムからの給水を、フラッシュタンクにおいて蒸気相と液相とに分離し、
- 生蒸気を形成するために、蒸発器において給水の液相を蒸発させ、
- プロセス蒸気を形成するために、少なくとも1つの圧縮器において給水の蒸気相と生蒸気とを圧縮する。
【0008】
前記目的は、更に、請求項9によると、給水の形態で戻された復水を使用して、好ましくは請求項1~8の何れか一項に記載の方法により、プロセス蒸気を生成するための蒸気生成装置によって解決される。本蒸気生成装置は、給水を蒸気相と液相とに分離するためのフラッシュタンクと、生蒸気を形成するために、給水の液相を蒸発させるための蒸発器と、プロセス蒸気を形成するために、給水の蒸気相と生蒸気とを圧縮するための少なくとも1つの圧縮器と、プロセス蒸気の凝縮によって復水を形成するための消費装置への送出装置と、復水を供給するための返送装置と、給水を形成するために、復水を処理するための給水処理システムと、を有する。
【0009】
したがって、プロセスの観点から、プロセス蒸気は蒸気生成装置において形成され、消費装置に送出され、そこでプロセス蒸気の熱が使用され、その結果、プロセス蒸気は凝縮される。消費装置におけるプロセス蒸気の凝縮時に生じた復水を蒸気生成装置に戻すことができ、そこで復水は、その後、給水処理システムに供給される。復水は、給水処理システムにおいて処理される。そうしないと、望ましくない量の不純物質が復水中に蓄積している可能性があり得る。この不純物質は、特に、しかし必ずしもそうでないが、復水中に溶存している気体であり、その後、給水を再蒸発させるときに問題を引き起こし得る。溶存気体の代わりに、またはこれに加え、本給水処理システムにおいては、必要であれば復水の一部と共に、液体または固体を分離することもできる。これにより発生した復水の損失は、例えば、新鮮な水を給水処理システムに追加することによって、埋め合わせることができる。
【0010】
したがって、給水処理システムにおいて処理された復水は給水と称され、給水処理システムからフラッシュタンクに供給され、そこで給水の圧力が低減される。その結果、処理された給水の一部がフラッシュタンク内で蒸発し、蒸気相を形成する。給水の非蒸発部分は、フラッシュタンク内で液相を形成する。給水の部分的蒸発によって給水から熱が除去されるので、給水の蒸気相および液相は、給水処理システム内の給水の温度より著しく低い温度を有する。蒸発器における液相の蒸発が低温度レベルの熱源によって可能になるまで、フラッシュタンク内の給水の温度を下げることができる。簡素化のために、蒸発器は、熱交換器、特に管束型熱交換器またはプレート式熱交換器、の形態を取り得る。この場合、熱源は、液体および/または気体によって形成され得る。これは、低温度レベルの故に、その熱を他の如何なる合理的方法でも使用できないプロセス流であり得る。ただし、このプロセス流の熱は、給水の液相を蒸発させるために使用できる。給水の液相は、フラッシュタンク内で、特定の温度に、特に熱源の温度未満に、冷却可能である。
【0011】
給水の液相を蒸発させることによって、そうでなければ使用不能な、または効果的に使用できない、熱を吸収できる。ただし、得られた生蒸気は、生蒸気の効果的使用も妨げる温度レベルを有する。この理由により、生蒸気は、少なくとも1つの圧縮器において圧縮される。これにより、必然的に生蒸気の加熱がもたらされる。この生蒸気は、圧縮器を出ると、エネルギー的に使用可能なプロセス蒸気として利用可能である。
【0012】
フラッシュタンクからの給水の蒸気相も、この蒸気相の圧力レベルおよび温度レベルを上げて、エネルギーを発生させるために使用可能な、プロセス蒸気を生成するために、少なくとも1つの圧縮器に供給される。フラッシュタンクからの給水の蒸気相と蒸発器からの生蒸気とを最初に組み合わせ、その後、少なくとも1つの圧縮器において一緒に圧縮できる。ただし、フラッシュタンクからの給水の蒸気相および蒸発器からの生蒸気を、それぞれ異なる圧縮器において、別々に圧縮することもできる。ここで、どの変形例が好適であるかは、とりわけ、フラッシュタンクおよび蒸発器において形成される蒸気の量による。
【0013】
特に、上記プロセスを実施するために、蒸気生成装置は、給水を蒸気相と液相とに分離するためのフラッシュタンクを有する。蒸気相は、処理された給水をフラッシュタンク内で膨張させることによって、形成される。フラッシュタンク内で冷却された給水の残りの液相は、蒸発器において、フラッシュタンクからの液相の温度より高い温度レベルの熱源との熱交換によって、蒸発させられ、生蒸気を形成する。加えて、フラッシュタンクからの蒸気相と蒸発器からの生蒸気とを圧縮および加熱するための圧縮器が少なくとも1つ設けられている。蒸気相と生蒸気とは、1つの圧縮器またはいくつかの圧縮器において、少なくとも部分的に一緒に圧縮され得る、および/または少なくとも部分的に互いに別個に圧縮され得る。したがって、少なくとも1つの圧縮器は、少なくとも1つのプロセス蒸気を形成するために使用される。蒸気生成装置は、少なくとも1つのプロセス蒸気を消費装置に送出するための送出装置と、消費装置からの復水を蒸発装置に供給するための返送装置とを更に備える。最後に、給水処理システムが更に設けられている。給水処理システムは、戻された復水を、蒸発装置において再蒸発させる前に、処理し、ひいては給水を形成するために使用される。
【0014】
本主題によると、全ての公知の種類の圧縮器が原則として考慮され得る。特に、これら圧縮器は、ターボ圧縮機、ピストン圧縮器、およびスクリュー圧縮器である。
【0015】
以下においては、本方法および本蒸気生成装置を一緒に、本方法と本蒸気生成装置とを必ずしも詳細に区別せずに、説明する。ただし、どの特徴が本方法および本蒸気生成装置に関して特に好適であるかは、当業者にはそれぞれの文脈から明らかであろう。
【0016】
本プロセスの特に好適な第1の実施形態において、復水は、給水処理システムにおいて、少なくとも部分的に脱気される。給水に含まれている気体は、蒸気生成器を損傷し得る。特に、酸素(O)および/または二酸化炭素(CO)は、問題を引き起こし得る、またはプロセス蒸気の凝縮液中に大量に存在し得る。したがって、多くの場合、酸素(O)および/または二酸化炭素(CO)は、給水処理システムにおいて復水から放出されることが好ましい。
【0017】
給水処理システムにおいて復水を脱気するには、放出すべき気体に拘わらず、復水を加熱用蒸気と共に給水処理システムに供給することが有用であり得る。加熱用蒸気は、復水を、特に直接、加熱する。高温の結果として、気体は給水から放出され、好ましくは、加熱用蒸気からの排蒸気と共に、および/または蒸発させた復水と共に、給水処理システムから除去される。
【0018】
プロセス蒸気による工業プロセスの加熱と同様に、給水を得るための復水の処理をエネルギー効率良く行うには、60℃と100℃の間、好ましくは70℃と80℃の間、特に少なくとも基本的に80℃、の温度で復水を給水処理システムに供給することが得策である。復水の温度が高い程、その処理に必要な加熱用蒸気が減る。復水の温度が低い程、加熱対象の工業プロセスに伝達され得る熱の量が増える。更に、パイプの長さに沿った熱損失を考慮に入れる必要がある。
【0019】
代わりに、または加えて、同じ理由により、給水処理システムにおける復水の処理は、1バールと2バールの間、好ましくは1.1バールと1.5バールの間、特に少なくとも基本的に1.2バール、の圧力で行える。この圧力が低い程、より多くの熱が工業プロセスに伝達され得る。ただし、復水を十分に脱気するには、およびフラッシュタンク内の給水の十分な膨張を保証するには、特定の圧力が必要とされる。この理由により、給水処理システムにおける給水の温度は、100℃より高いことが好ましい。102℃と108℃の間、特に少なくとも基本的に105℃、の温度では、少ない加熱用蒸気で済む。同時に、フラッシュタンクにおいては、十分な膨張および温度低下が保証され得る。
【0020】
総合的に経済的な方法で給水の液相を十分に冷却するには、フラッシュタンクを0.07バールと0.9バールの間の絶対圧力で作動させることが通常得策である。この圧力が低い程、蒸発器における給水の液相の蒸発のために、より低温の熱源を使用できる。フラッシュタンクを0.12バールと0.8バールの間の圧力で作動させることが特に好適であり得るが、多くの場合、少なくとも基本的に0.2バールまたは0.6バールの圧力がかなり良好な妥協点であろう。圧力に関する上記の理由により、およびフラッシュタンク内の圧力と温度とが互いに依存するという事実に鑑みて、代わりに、または加えて、フラッシュタンクを40℃と96℃の間、好ましくは50℃と93.5℃の間、の温度で作動させることが適切であろう。低い温度レベルでの給水の液相の蒸発は、多くの場合、少なくとも基本的に60℃または85.9℃の温度で経済的に実現可能であろう。
【0021】
フラッシュタンク内の圧力を給水処理システム内の圧力レベル未満に、特に周囲圧力未満に、下げるには、圧縮器によってフラッシュタンク内を適した負圧にすることが簡素化のために得策である。フラッシュタンク内の圧力は、少なくとも給水処理システム内の圧力未満に設定する必要がある。さもなければ、給水の部分的蒸発とフラッシュタンク内の給水の同時冷却とが保証され得ない。
【0022】
このことに関係なく、多くの用途のために有用であるのは、圧縮器が100℃と450℃の間の温度でプロセス蒸気を生成する場合である。このような場合、当該プロセスの上記諸利点も効力を発揮する。このことは、プロセス蒸気の温度が100℃と250℃の間である場合に一層当てはまる。蒸気生成装置の効率的使用を可能にする良好な妥協点は、多くの場合、少なくとも基本的に200℃のプロセス蒸気の温度であろう。
【0023】
少なくとも1つのプロセス蒸気および/または生蒸気を使用して復水を簡単且つ経済的に、特に直接、加熱するために、加熱用蒸気を給水処理システムに提供できる。この場合、外部熱源は不要である。これが特に当てはまるのは、加熱用蒸気を形成するために、少なくとも1つのプロセス蒸気、および/または少なくとも1つの生蒸気、がスロットルを介して少なくとも部分的に絞られる場合である。
【0024】
工業システム、特に工業プロセス、においては、多くの場合、流体が生成される温度レベルが低いので、その流体に含まれている熱を合理的な方法では殆ど利用できない。したがって、フラッシュタンク内の液相の温度レベルより高く、給水処理システム内の給水の温度レベルより低い、温度レベルを有する、特に伝熱媒体の形態の、熱源との熱交換によって蒸発器内で給水の液相を蒸発させることは理に適っている。特に、処理された給水、バイオマスプラントおよび/またはヒートポンプからの媒体、および/または地熱流体は、適した伝熱媒体である。原則として、特に過去においては通常、使用不能であった廃熱流を有用な方法で利用できる。地熱流体とは、その熱が、特に地熱エネルギーを使用して提供される流体であると理解されたい。この地熱流体は、自然に発生する地下水とすることも、またはその後に地上から導入される媒体とすることもできる。どちらの場合も、媒体は、地下貯留槽によって加熱され、地上で熱利用され、その過程で冷却される。加熱は、流体が岩を通って流れるときに直接、または閉じた別個のシステムを介して間接的に、行われ得る。給水の液相を蒸発させるために地熱流体の使用が特に好適であり得る理由は、多くの場所で地熱蓄熱体の利用が可能であるが、これらの温度レベルが相対的に低いからである。そうでなければ、給水の蒸発は、地熱流体の加熱によってのみ可能であろう。ただし、地熱流体を使用すると、伝達される熱が限定される。その理由は、地熱流体はほぼ給水の温度にしか冷却され得ないからである。
【0025】
したがって、地熱エネルギーによって少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃、の温度に加熱された地熱流体が特に適している。他の方法に比べ、このような地熱流体は、プロセス蒸気を生成するために、極めて効率的且つ経済的に使用可能である。これが特に当てはまるのは、少なくとも80℃の温度を有する地熱流体の場合である。地熱流体は、熱輸送の故に、液体であることも好ましい。
【0026】
必要であれば、少なくとも1つの圧縮器によって提供されるプロセス蒸気に加え、少なくとも1つの蒸気ボイラ、および/または少なくとも1つの廃熱ボイラ、を使用して蒸発装置においてプロセス蒸気を生成することもできる。蒸気ボイラは、一般に、給水を予熱または加熱するためのエコノマイザと、予熱および/または加熱された給水を蒸発させるための蒸発器と、蒸気を所望の温度に、または少なくとも飽和蒸気温度より高い温度に、加熱するための過熱器と、を備えている。ただし、場合によっては、エコノマイザおよび/または過熱器を省くことができる。蒸気ボイラは、排煙を形成するために燃料が燃やされる炉によっても加熱される。給水は、予熱、加熱、蒸発、および/または過熱用の排煙に対する対向流として供給されることが好ましい。給水を予熱または加熱するためのエコノマイザと、予熱および/または加熱された給水を蒸発させるための蒸発器と、蒸気を所望の温度、または少なくとも飽和蒸気温度より高い温度、に加熱するための過熱器とを廃熱ボイラに更に設けることもできる。ただし、廃熱ボイラは、蒸気ボイラのように、蒸気ボイラを作動させるために発生させた排煙によっては加熱されず、上流プロセスからの高温の排気によって、または、例えば廃熱を輸送する廃熱流として、上流プロセスで何れかの方法で生成された別の高温流体によって、加熱される。
【0027】
給水処理システムにおいて処理された給水の一部が蒸気ボイラに供給され得る。ただし、蒸気ボイラにおいて給水を加熱する排煙の熱をできる限り完全に利用するために、特に有用であるのは、フラッシュタンクからの給水の液相の一部が、蒸発のために、蒸気ボイラに供給される場合である。したがって、特に、排煙とフラッシュタンクからの給水の液相とが対向流として供給される場合は、フラッシュタンク内で冷却された液相は、蒸気ボイラにおいてより多くの熱を排煙から抽出できる。
【0028】
蒸気ボイラにおいて形成されたプロセス蒸気は、その後、少なくとも1つの圧縮器において形成されたプロセス蒸気と組み合わされ得る。組み合わされた蒸気は、その後、送出装置を介して、消費装置に送出され得る。ただし、蒸気ボイラによって形成されたプロセス蒸気と少なくとも1つの圧縮器によって形成されたプロセス蒸気とを別々に消費装置に送出することもできる。ただし、上記のプロセス蒸気の各々をスロットルによって少なくとも部分的に絞り、その後、加熱用蒸気として給水処理システムに供給することもできる。通常、得策であるのは、少なくとも1つの蒸気ボイラにおいて形成されたプロセス蒸気が、工場の消費装置において適切に使用され得るように、少なくとも140℃、好ましくは少なくとも150℃、特に少なくとも160℃、の温度を有することである。代わりに、または加えて、消費装置のための熱を特に経済的に提供できるように、少なくとも1つの蒸気ボイラにおいて生成されたプロセス蒸気の温度は、450℃未満、好ましくは250℃未満、特に200℃未満、である。
【0029】
蒸気生成装置の特に好適な第1の実施形態において、給水処理システムは、加熱用蒸気を供給をするための加熱用蒸気供給ラインを有する。この供給ラインを介して、給水処理システムにおける復水の加熱および復水の処理のための加熱用蒸気を供給できる。この加熱用蒸気によって復水を直接加熱するように給水処理システムが設計されている場合、処理および加熱は特に簡素且つ効果的である。代わりに、または加えて、給水処理システムは排蒸気排出ラインを備え得る。この排出ラインを介して、給水処理システムにおいて復水から放出された気体を排出できる。復水が加熱用蒸気によって直接加熱される場合は特に、この排出は蒸気、すなわち排蒸気、と一緒に行える。ただし、これは必須ではない。
【0030】
このことに関係なく、プロセス蒸気を絞ることによって加熱用蒸気を形成するために、スロットルを加熱用蒸気供給ラインに割り当てることができる。これにより、十分な量の加熱用蒸気を給水処理システムに容易且つ経済的に供給できる。
【0031】
蒸気生成装置の設備を簡素化するには、フラッシュタンクからの給水の蒸気相と蒸発器からの生蒸気とを組み合わせるための合流器を設けることも得策であり得る。この場合、プロセス蒸気を生成するために、蒸気相と生蒸気とを一緒に少なくとも1つの圧縮器に供給できる。
【0032】
蒸発器は、復水用の供給ラインを有し得る。この供給ラインから供給された復水との熱交換によって、給水の液相を蒸発させるためである。この場合、蒸発器において液相を蒸発させるためにも、復水を簡単且つ効果的に使用できる。代わりに、または加えて、蒸発器は、給水用の供給ラインを有する。この供給ラインから供給された給水との熱交換によって、給水の液相を蒸発させるためである。この場合、復水に比べ、給水のより高い温度レベルを利用できる。ただし、既に上で規定したように、蒸発器は、地熱流体用の供給ラインも有し得る。この場合、地熱流体の温度レベルがフラッシュタンクからの給水の液相の温度レベルより十分高い場合は、フラッシュタンクからの給水の液相を蒸発させるために、地熱流体をエネルギー的に使用できる。
【0033】
給水の液相を蒸発させるために地熱流体を使用することが特に好適であり得る理由は、多くの場所で地熱蓄熱体の利用が可能であるが、これら地熱蓄熱体の温度レベルが相対的に低いからである。この温度レベルは、通常、130℃より特に著しく低い。したがって、複数の経済的条件の下で、これら蓄熱体は、他の方法を使用したプロセス蒸気の生成には適さないか、またはごく限られた程度にしか適さない。
【0034】
したがって、地熱エネルギーによって少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃、の温度に加熱された地熱流体が特に適している。このような地熱流体は、他の方法に比べ、プロセス蒸気の生成のために極めて効率的且つ経済的に使用可能である。これが特に当てはまるのは、少なくとも80℃の温度を有する地熱流体の場合である。この地熱流体は、熱輸送の故に、液体であることが更に好ましい。
【0035】
以下においては、一実施形態のみを示す図面の助けを借りて、本発明をより詳細に説明する。図面には以下の図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による蒸気生成装置によって工業プロセスを実施するための工場の概略図である。
図2図1の蒸気生成装置の概略詳細図である。
図3】一代替蒸気生成装置の概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、工業プロセスPを実施するための工場Aの一例が示されている。この点に関して好適な図示の工場Aは、製紙工業プロセスPが実施される製紙工場である。ただし、代わりに、本発明に関連して、さまざまな工業プロセスPを実施するための他の多くの工場Aも考えられる。これらの工業プロセスPは、特に、無視できない熱需要を有するプロセスである。製紙が特に高い熱需要を特徴とするのは、製紙は基本的に極めてエネルギー集約型であることによる。工場Aは、地熱エネルギーを使用して部分的に加熱される。地下貯留槽Wにおいて熱を吸収した地熱流体Gが地下貯留槽Wから汲み上げられる。工場Aでの熱の利用後、地熱流体Gは地下貯留槽に戻される。熱の利用とは、工場A内の熱交換器における放熱を意味すると理解されたい。この場合、地熱流体Gは、このケースにおいてはその熱の少なくとも一部を地熱エネルギーから得ていることから地熱流体と称されているが、工場Aにおいて工業プロセスPの加熱に使用され得る。ただし、地熱流体が最初にその熱の一部を輸送流体に伝達し、この輸送流体が、地熱流体自体の代わりに、工場Aにおいて熱的に使用されることも考えられる。その結果、輸送流体が使用される場合、熱は地熱流体から工場Aに間接的に伝達される。
【0038】
図2は、必要とされる熱を工場Aの消費装置Vに送出装置2を介して提供する蒸気生成装置1を示す。この熱は、製紙工業プロセスPにおいて、プロセス蒸気3の形態で使用される。工業プロセスPの対応する消費装置Vにおいてプロセス蒸気3を熱源として使用することによって、プロセス蒸気3は少なくとも部分的に凝縮され、得られた復水4は返送装置5を介して蒸気生成装置1に戻される。したがって、プロセス蒸気3または復水4は、それぞれ異なる凝集状態であるにも拘らず、少なくとも基本的に循環される。この点に関して好適な図示の蒸気生成装置1において、送出装置2および返送装置5は、ラインの形態で、具体的には送出ラインおよび返送ラインの形態で、設計されている。本主題によると、消費装置Vの詳細設計は特に重要でないので、消費装置Vは図2に示されていない。
【0039】
返送装置5を介して戻された復水4は、復水ポンプ6を介して給水処理システム7に供給される。そこで、復水4は、同じく供給された、このケースでは80℃から105℃の、加熱用蒸気8との直接熱交換によって加熱される。給水処理システム7内の圧力は、給水処理システム7内で蒸気相9が優勢であるようになっており、そこに、復水中の溶存気体、特に酸素(O)および二酸化炭素(CO)、が放出される。蒸気相9は、放出された気体と共に、排蒸気排出ライン10を介して排出される。給水11の形態に適切に処理された復水4は、給水処理システム7に留まる。この給水11が給水処理システム7からフラッシュタンク12に送出され、そこで給水11は膨張されるので、処理された給水11の一部がフラッシュタンク12内で蒸発して給水11を冷却する。これにより、給水11の蒸気相13と給水11の液相14とがフラッシュタンク12内で形成される。両相は、給水処理システム7内の処理された給水11より極めて低い温度を有する。
【0040】
この点に関して好適な図示の蒸気生成装置1においては、圧縮器15によってフラッシュタンク12内に負圧を生じさせる。したがって、フラッシュタンク12は、圧縮器15の吸入側に位置している。フラッシュタンク12内の圧力は、給水処理システム7内の圧力より低いばかりでなく、周囲圧力よりも低い。したがって、1バール未満の絶対圧力である。この場合、フラッシュタンク12内に留まっている給水11の液相14は、返送ライン27に設けられた給水ポンプ16によって蒸気ボイラ17に注入される。蒸気ボイラ17において、給水11は、それ自体は公知の方法で蒸発させられる。勿論、2つ以上の蒸気ボイラ17を設けることもできる。この場合、これらの蒸気ボイラ17は、並列運転されることが好ましい。
【0041】
排煙を形成するために、蒸気ボイラ17において燃料が燃やされる。この排煙は、複数のパイプに沿って供給される。これらパイプに、排煙に対する対向流として給水11が供給され、これにより、給水11は最初に加熱され、その後に蒸発させられ、必要であれば、過熱される。給水11は絶対過圧下にあるので、給水11は蒸気生成器17においてプロセス蒸気18に変換される。このプロセス蒸気18を消費装置Vにおいて工業プロセスPを加熱するための熱源として使用できる。
【0042】
フラッシュタンク12からの給水の液相14は、蒸発器19に送出される。そこで、液相14は、伝熱媒体20との熱交換によって蒸発し、ひいては生蒸気21を形成する。伝熱媒体20は、地熱流体、別の廃熱流、給水、および/またはバイオマスプラント、および/またはこの点に関して好適な図示の加圧装置のヒートポンプ、からの伝熱媒体、から形成されることが好ましい。
【0043】
処理された給水11がスロットル22を介して膨張された結果としてフラッシュタンク12内に形成された給水11の蒸気相13は、合流器28において生蒸気と一緒にされる。その後、生蒸気21と給水11の蒸気相13とで構成された蒸気は、圧縮器15において圧縮される。これにより、この蒸気は圧縮されるばかりでなく、加熱もされるので、圧縮器は更なるプロセス蒸気23を形成する。このプロセス蒸気23は、合流器24によって、この点に関して好適な図示の圧力発生装置の蒸気ボイラ17からのプロセス蒸気18と組み合わされる。この点に関して好適な図示の方法において、蒸気ボイラ17からのプロセス蒸気18と圧縮器15からのプロセス蒸気23とはほぼ同じ圧力を有する。両蒸気の温度もほぼ同じであり得る。復水4を加熱するために、適切に組み合わされたプロセス蒸気3の一部を、スロットル25と加熱用蒸気供給ライン26とを介して、加熱用蒸気8の形態で給水処理システム7に供給できる。この場合、加熱用蒸気8の形成に不要なプロセス蒸気3の部分は、送出ラインの形態の送出装置2を介して、消費装置Vに送出される。その後、凝縮されたプロセス蒸気3は、復水4として返送装置を介して蒸気生成装置1に戻される。
【0044】
一代替蒸気生成装置30が図3に示されている。図2の蒸気生成装置1と異なり、蒸気生成装置30では、返送ライン27、蒸気ボイラ17、蒸気ボイラ17で生成されたプロセス蒸気18、およびプロセス蒸気18と圧縮器15で生成されたプロセス蒸気23との合流器24が省かれている。したがって、蒸気生成装置30のプロセス蒸気3は、専ら圧縮器15によって形成される。ただし、原則として、いくつかの圧縮器15を設けることもできる。このような場合、フラッシュタンク12からの給水11の蒸気相13を少なくとも1つの圧縮器15において圧縮し、生蒸気21を他の少なくとも1つの圧縮器15において圧縮する、すなわち互いに独立に圧縮する、こともできる。ただし、これは、例えば極めて大量の生蒸気21と給水11の極めて大きな質量流量の蒸気相13とが生じる場合、または複数の異なる圧力レベル/蒸気ネットワークにプロセス蒸気を供給する場合、設備の観点からより複雑になるであろう。
【符号の説明】
【0045】
1 蒸気生成装置
2 送出装置
3 プロセス蒸気
4 復水
5 返送装置
6 復水ポンプ
7 給水処理システム
8 加熱用蒸気
9 蒸気相
10 排蒸気排出ライン
11 給水
12 フラッシュタンク
13 蒸気相
14 液相
15 圧縮器
16 給水ポンプ
17 蒸気ボイラ
18 蒸気ボイラからのプロセス蒸気
19 蒸発器
20 伝熱媒体
21 生蒸気
22 スロットル
23 プロセス蒸気圧縮器
24 合流器
25 スロットル
26 加熱用蒸気供給ライン
27 返送ライン
28 合流器
30 蒸気生成装置
A 工場
G 地熱流体
P 工業プロセス
V 消費設備
W 蓄熱体
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水(11)の形態で戻された復水(4)を使用してプロセス蒸気(3)を生成するための方法であって、
- 前記プロセス蒸気(3)の少なくとも部分的な凝縮によって復水(4)を形成するために、前記プロセス蒸気(3)を消費装置(V)に送出し、
- 処理のために、前記復水(4)を前記消費装置(V)から給水処理システム(7)に供給し、
- 前記給水処理システム(7)からの給水(11)をフラッシュタンク(12)において蒸気相(13)と液相(14)とに分離し、
- 生蒸気(21)を形成するために、蒸発器(19)において前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させ、
- プロセス蒸気(3)を形成するために、少なくとも1つの圧縮器(15)において前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)とを圧縮する、
方法。
【請求項2】
- 特に酸素(O)および/または二酸化炭素(CO)を分離することによって、給水(11)を形成するために、前記給水処理システム(7)において前記復水(4)を少なくとも部分的に脱気し、
- 前記復水(4)を、特に直接、加熱するために、好ましくは、前記復水(4)を加熱用蒸気(8)と共に前記給水処理システム(7)に供給する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
- 前記復水(4)を60°と100℃の間、好ましくは70℃と80℃の間、特に少なくともほぼ80℃、の温度で前記給水処理システム(7)に供給する、および/または、
- 前記給水処理システム(7)において、前記復水(4)を1バールと2バールの間、好ましくは1.1バールと1.5バールの間、特に少なくとも基本的に1.2バール、の圧力で、および/または100℃より高い温度、好ましくは102℃と108℃の間、特に少なくとも基本的に105℃、の温度で、脱気する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
- 前記フラッシュタンク(12)を0.07バールと0.9バールの間、好ましくは0.12バールと0.8バールの間、特に少なくとも基本的に0.2バールまたは0.6バール、の圧力で作動させる、および/または、
- 前記フラッシュタンク(12)を40℃と96℃の間、好ましくは50℃と93.5℃の間、特に少なくともほぼ60℃または85.9℃、の温度で作動させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
- 前記圧縮器(15)は、少なくとも前記給水処理システム(7)内の圧力に比べ、前記フラッシュタンク内を負圧にする、および/または、
- 前記少なくとも1つの圧縮器(15)は、プロセス蒸気(3)を100℃と450℃の間、好ましくは100℃と250℃の間、特に少なくともほぼ200℃、の温度で生成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
- 特にスロットル(25)によって絞られた、プロセス蒸気(3)および/または生蒸気(21)によって、前記給水処理システム(7)の前記加熱用蒸気(8)を少なくとも部分的に提供する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
- 前記蒸発器(19)において、伝熱媒体(20)、特に給水(11)、バイオマスプラントおよび/またはヒートポンプからの熱流、廃熱流、および/または地熱流体(G)、との熱交換によって、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させ、
- 好ましくは、前記地熱流体(G)は、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃、特に少なくとも80℃、の温度を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
- プロセス蒸気(3)を形成するために、前記フラッシュタンク(12)からの前記給水(11)、特に前記給水(11)の前記液相(14)、を少なくとも1つの蒸気ボイラ(17)に部分的に供給し、前記少なくとも1つの蒸気ボイラ(17)において蒸発させ、
- 好ましくは、前記少なくとも1つの蒸気ボイラ(17)からの前記プロセス蒸気(3)と前記少なくとも1つの圧縮器(15)からの前記プロセス蒸気(3)とを少なくとも部分的に組み合わせ、前記送出装置(2)を介して前記消費装置(V)に送出する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
好ましくは請求項1に記載の方法によって、給水(11)の形態で戻された復水(4)を使用してプロセス蒸気(3)を生成するための蒸気生成装置(1)であって、前記給水(11)を蒸気相(13)と液相(14)とに分離するためのフラッシュタンク(12)と、生蒸気(21)を形成するために、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるための蒸発器(19)と、プロセス蒸気(3)を形成するために、前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)とを圧縮するための少なくとも1つの圧縮器(15)と、前記プロセス蒸気(3)の凝縮によって復水(4)を形成するための消費装置(V)への送出装置(2)と、復水(4)を供給するための返送装置(5)と、前記給水(11)を形成するために、前記復水(4)を処理するための給水処理システム(7)と、を備えた蒸気生成装置。
【請求項10】
前記給水処理システム(7)は、前記復水(4)を、特に直接、加熱するための加熱用蒸気供給ライン(26)、および/または前記復水(4)から放出された気体を排出するための排蒸気排出ライン(10)、を有することと、好ましくは、プロセス蒸気(3)を絞ることによって加熱用蒸気(8)を形成するためのスロットル(25)が前記加熱用蒸気供給ライン(26)に割り当てられていることと、を特徴とする、請求項9に記載の蒸気生成装置。
【請求項11】
前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)との合流手段(28)が設けられていることと、好ましくは、前記給水(11)の前記蒸気相(13)と前記生蒸気(21)とを一緒に圧縮するための少なくとも1つの圧縮器(15)が前記合流手段(28)の後に設けられていることと、を特徴とする、請求項9または10に記載の蒸気生成装置。
【請求項12】
前記蒸発器(19)は、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、復水(4)用の供給ラインを有し、前記供給ラインから供給された前記復水(4)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるように構成されていること、および/または前記蒸発器(19)は、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、給水(11)用の供給ラインを有し、前記供給ラインから供給された前記給水(11)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるように構成されていること、および/または前記蒸発器(19)は、前記供給ラインから供給された前記給水(11)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、給水(11)用の供給ラインを有すること、および/または前記蒸発器(19)は、前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるために、地熱流体(G)用の供給ラインを有し、前記供給ラインから供給された前記地熱流体(G)との熱交換によって前記給水(11)の前記液相(14)を蒸発させるように構成されていること、を特徴とする、請求項9に記載の蒸気生成装置。
【請求項13】
前記地熱流体(G)は、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃、特に少なくとも80℃、の温度を有することを特徴とする、請求項9に記載の蒸気生成装置。
【外国語明細書】