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特開2024-133452セラミド様脂質ベースの送達ビヒクルおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133452
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】セラミド様脂質ベースの送達ビヒクルおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/54 20170101AFI20240925BHJP
【FI】
A61K47/54
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040785
(22)【出願日】2024-03-15
(62)【分割の表示】P 2020555881の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】62/656,474
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レンサー,ウェイン,アイ.
(72)【発明者】
【氏名】チナペン,ダニエル,ジェイエフ
(72)【発明者】
【氏名】デュクロ,リチャード アイ.
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単独で送達される剤と比較してより長い半減期を呈する、セラミドとセラミドに付着している送達される剤とを含む送達ビヒクルを提供する。
【解決手段】提供されるのは、いくつかの側面において、セラミドとセラミドに付着している送達される剤とを含む送達ビヒクルである。いくつかの態様において、セラミドは、脂肪酸を含まない(すなわち、スフィンゴシンである)。いくつかの態様において、セラミドは、脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、グリコセラミドである。いくつかの態様において、剤は、セラミドに、共有結合的に付着している。いくつかの態様において、送達される剤は、治療剤である。セラミドは、剤を、細胞または細胞コンパートメントに、ならびに、粘膜バリアを横切って、送達することを可能とする。
【選択図】図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミドおよび送達される剤を含み、セラミドは、(a)脂肪酸を含まないか、または(b)C1~C28の脂肪酸を含み、および、剤は、セラミドに付着している、送達ビヒクル。
【請求項2】
セラミドが、セラミド類似体である、請求項1に記載の送達ビヒクル。
【請求項3】
セラミド類似体が、2-ヒドロキシセラミド、ジエン-デオキシ-セラミド、ジヒドロセラミド、リン酸ジヒドロセラミド、o-アシル-セラミド、リン酸セラミド、スフィンガニン、およびメチル-スフィンゴシンからなる群から選択される、請求項2に記載の送達ビヒクル。
【請求項4】
セラミド類似体が、オルニチン、チロシン、グリシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、またはタウリンに付着した不飽和炭化水素鎖を含む、請求項2に記載の送達ビヒクル。
【請求項5】
セラミドが、グリコセラミドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項6】
グリコセラミドが、グルコース、ガラクトース、フルクトース、およびGalNacからなる群から選択される糖を含む、請求項5に記載の送達ビヒクル。
【請求項7】
送達される剤が、糖に付着している、請求項6に記載の送達ビヒクル。
【請求項8】
セラミドに、糖が付着していない、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項9】
セラミドが、スフィンゴシンである、請求項8に記載の送達ビヒクル。
【請求項10】
送達される剤が、セラミドの一級または二級ヒドロキシル基に付着している、請求項8または9に記載の送達ビヒクル。
【請求項11】
送達される剤が、セラミドに、リンカーを介して付着している、請求項1~10のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項12】
リンカーが、疑似糖ペプチドリンカーである、請求項11に記載の送達ビヒクル。
【請求項13】
疑似糖ペプチドリンカーが、アミノ酸骨格に付着している少なくとも1つの糖を含む、請求項12に記載の送達ビヒクル。
【請求項14】
少なくとも1つの糖が、グルコース、ガラクトース、およびN-アセチルガラクトサミンからなる群から選択される、請求項13に記載の送達ビヒクル。
【請求項15】
少なくとも1つの糖が、アミノ酸骨格に、セリン側鎖を介して付着している、請求項14に記載の送達ビヒクル。
【請求項16】
リンカーが、切断可能リンカーである、請求項11に記載の送達ビヒクル。
【請求項17】
切断可能リンカーが、エステル結合を含む、請求項16に記載の送達ビヒクル。
【請求項18】
切断可能リンカーが、エステル結合を含むペプチドリンカーである、請求項17に記載の送達ビヒクル。
【請求項19】
切断可能リンカーが、エンドソームプロテアーゼについての切断モチーフを含む、請求項16に記載の送達ビヒクル。
【請求項20】
エンドソームプロテアーゼが、フーリンまたはマトリプターゼである、請求項19に記載の送達ビヒクル。
【請求項21】
リンカーが、ジスルフィド結合である、請求項11に記載の送達ビヒクル。
【請求項22】
セラミドが、C1~C6の脂肪酸を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項23】
セラミドが、C4の脂肪酸を含む、請求項22に記載の送達ビヒクル。
【請求項24】
セラミドが、C6の脂肪酸を含む、請求項22に記載の送達ビヒクル。
【請求項25】
脂肪酸が、2つの炭素原子の間に二重結合を有しない、請求項22~24のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項26】
セラミドが、C7~C28の脂肪酸を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項27】
セラミドが、C8の脂肪酸を含む、請求項22に記載の送達ビヒクル。
【請求項28】
脂肪酸が、2つの炭素原子の間に少なくとも1つのシス二重結合を有する、請求項26または27に記載の送達ビヒクル。
【請求項29】
少なくとも1つのシス二重結合が、C1~C18領域にある、請求項28に記載の送達ビヒクル。
【請求項30】
脂肪酸が、C1~C18領域に化学部分を有する、請求項26に記載の送達ビヒクル。
【請求項31】
セラミドが、脂肪酸を含まない、請求項1~21のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項32】
送達される剤が、タンパク質、ペプチド、核酸、多糖および炭水化物、脂質、糖タンパク質、小分子、合成の有機および無機の薬物であって対象へ投与したときに生物学的効果を奏するもの、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1~31のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項33】
送達される剤が、治療剤である、請求項1~32のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項34】
治療剤が、抗炎症剤、ワクチン抗原、小分子薬、抗がん薬または化学療法薬、凝固因子、ホルモン、ステロイド、サイトカイン、抗生物質、抗体、ScFv、ナノボディ、ワクチンアジュバント、免疫寛容を誘導する剤、または、心血管疾患、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、血液障害、代謝障害、皮膚疾患、眼疾患、リソソーム蓄積症もしくは神経疾患の処置のための薬物である、請求項33に記載の送達ビヒクル。
【請求項35】
送達される剤が、タンパク質またはペプチドである、請求項1~31のいずれか一項に記載の送達ビヒクル。
【請求項36】
タンパク質またはペプチドが、ワクチン抗原である、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項37】
タンパク質またはペプチドが、抗体、ScFv、またはナノボディである、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項38】
タンパク質またはペプチドが、酵素である、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項39】
タンパク質またはペプチドが、ホルモンである、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項40】
タンパク質またはペプチドが、神経伝達物質である、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項41】
タンパク質またはペプチドが、GLP-1、またはその機能性フラグメントである、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項42】
タンパク質またはペプチドが、Exendin-4、またはその機能性フラグメントである、請求項35に記載の送達ビヒクル。
【請求項43】
治療剤が、GLP-1またはその機能性フラグメント、およびExendin-4またはその機能性フラグメントを含む、請求項33に記載の送達ビヒクル。
【請求項44】
治療剤が、細胞受容体に対するリガンドを含む、請求項33に記載の送達ビヒクル。
【請求項45】
細胞受容体が、成長因子受容体、Gタンパク質共役受容体、またはToll様受容体である、請求項44に記載の送達ビヒクル。
【請求項46】
治療剤が、核酸である、請求項33に記載の送達ビヒクル。
【請求項47】
セラミドおよび送達される剤を含み、セラミドは、(a)脂肪酸を含まないか、または(b)C1~C28の脂肪酸を含み、および、剤は、セラミドに付着している、セラミド-治療剤複合体。
【請求項48】
セラミドが、セラミド類似体である、請求項47に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項49】
セラミド類似体が、2-ヒドロキシセラミド、ジエン-デオキシ-Cer、ジヒドロセラミド、リン酸ジヒドロセラミド、o-アシル-セラミド、リン酸セラミド、スフィンガニン、およびメチル-スフィンゴシンからなる群から選択される、請求項48に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項50】
セラミド類似体が、オルニチン、チロシン、グリシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、またはタウリンに付着した不飽和炭化水素鎖を含む、請求項48に記載の送達ビヒクル。
【請求項51】
セラミドが、グリコセラミドである、請求項47~50のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項52】
グリコセラミドが、グルコース、ガラクトース、フルクトース、およびGalNacからなる群から選択される糖を含む、請求項51に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項53】
送達される剤が、糖に付着している、請求項52に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項54】
セラミドに、糖が付着していない、請求項47~50のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項55】
セラミドが、スフィンゴシンである、請求項54に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項56】
送達される剤が、セラミドの一級または二級ヒドロキシル基に付着している、請求項54または55に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項57】
送達される剤が、セラミドに、リンカーを介して付着している、請求項47~56のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項58】
リンカーが、疑似糖ペプチドリンカーである、請求項57に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項59】
疑似糖ペプチドリンカーが、アミノ酸骨格に付着している少なくとも1つの糖を含む、請求項58に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項60】
少なくとも1つの糖が、グルコース、ガラクトース、およびN-アセチルガラクトサミンからなる群から選択される、請求項59に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項61】
少なくとも1つの糖が、アミノ酸骨格に、セリン側鎖を介して付着している、請求項60に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項62】
リンカーが、切断可能リンカーである、請求項57に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項63】
切断可能リンカーが、エステル結合を含む、請求項62に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項64】
切断可能リンカーが、エステル結合を含むペプチドリンカーである、請求項63に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項65】
切断可能リンカーが、エンドソームプロテアーゼについての切断モチーフを含む、請求項62に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項66】
エンドソームプロテアーゼが、フーリンまたはマトリプターゼである、請求項65に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項67】
リンカーが、ジスルフィド結合である、請求項57に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項68】
セラミドが、C1~C6の脂肪酸を含む、請求項47~67のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項69】
セラミドが、C4の脂肪酸を含む、請求項68に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項70】
セラミドが、C6の脂肪酸を含む、請求項68に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項71】
脂肪酸が、2つの炭素原子の間に二重結合を有しない、請求項68~70のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項72】
セラミドが、C7~C28の脂肪酸を含む、請求項47~67のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項73】
セラミドが、C8の脂肪酸を含む、請求項72に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項74】
脂肪酸が、2つの炭素原子の間に少なくとも1つのシス二重結合を有する、請求項72または73に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項75】
少なくとも1つのシス二重結合が、C1~C18領域にある、請求項74に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項76】
脂肪酸が、C1~C18領域に化学部分を有する、請求項72に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項77】
セラミドが、脂肪酸を含まない、請求項47~67のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項78】
治療剤が、タンパク質、ペプチド、核酸、多糖および炭水化物、脂質、糖タンパク質、小分子、合成の有機および無機の薬物であって対象へ投与したときに生物学的効果を奏するもの、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項47~77のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項79】
治療剤が、抗炎症剤、ワクチン抗原、小分子薬、抗がん薬または化学療法薬、凝固因子、ホルモン、ステロイド、サイトカイン、抗生物質、抗体、ScFv、ナノボディ、ワクチンアジュバント、免疫寛容を誘導する剤、または、心血管疾患、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、血液障害、代謝障害、皮膚疾患、眼疾患、リソソーム蓄積症もしくは神経疾患の処置のための薬物である、請求項78に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項80】
治療剤が、タンパク質またはペプチドである、請求項47~77のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項81】
タンパク質またはペプチドが、ワクチン抗原である、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項82】
タンパク質またはペプチドが、抗体、ScFv、またはナノボディである、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項83】
タンパク質またはペプチドが、酵素である、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項84】
タンパク質またはペプチドが、ホルモンである、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項85】
タンパク質またはペプチドが、神経伝達物質である、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項86】
タンパク質またはペプチドが、GLP-1、またはその機能性フラグメントである、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項87】
タンパク質またはペプチドが、Exendin-4、またはその機能性フラグメントである、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項88】
治療剤が、GLP-1またはその機能性フラグメント、およびExendin-4またはその機能性フラグメントを含む、請求項80に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項89】
治療剤が、細胞受容体に対するリガンドを含む、請求項79に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項90】
細胞受容体が、成長因子受容体、Gタンパク質共役受容体、またはToll様受容体である、請求項89に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項91】
治療剤が、核酸である、請求項79に記載のセラミド-治療剤複合体。
【請求項92】
請求項1~46のいずれか一項に記載の送達ビヒクルまたは請求項47~91のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体を含む、組成物。
【請求項93】
薬学的に許容し得る担体をさらに含む、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
細胞内へと、粘膜表面を横切って、または内皮バリアを横切って剤を送達する方法であって、細胞内への送達ビヒクルもしくは剤の取り込みまたは粘膜表面もしくは内皮表面を横切る送達ビヒクルもしくは剤の吸収に適した条件下で、請求項1~23のいずれか一項に記載の送達ビヒクルを細胞、粘膜表面、または内皮ルーメン表面と接触させることを含む、前記方法。
【請求項95】
細胞内へと、粘膜表面を横切って、または内皮バリアを横切って剤を送達する方法であって、細胞内へのセラミド-治療剤複合体もしくは剤の取り込みまたは粘膜表面もしくは内皮バリアを横切るセラミド-治療剤複合体もしくは剤の吸収に適した条件下で、請求項47~91のいずれか一項に記載のセラミド-治療薬複合体を細胞、粘膜表面、または内皮ルーメン表面と接触させることを含む、前記方法。
【請求項96】
細胞内へと、粘膜表面を横切って、または内皮バリアを横切って剤を送達する方法であって、細胞内へのセラミド-治療剤複合体もしくは剤の取り込みまたは粘膜表面もしくは内皮バリアを横切るセラミド-治療剤複合体もしくは剤の吸収に適した条件下で、請求項92または93に記載の組成物を細胞、粘膜表面、または内皮ルーメン表面と接触させることを含む、前記方法。
【請求項97】
対象において細胞内へと、粘膜表面を横切って、または内皮バリアを横切って剤を送達する方法であって、請求項1~46のいずれか一項に記載の送達ビヒクル、請求項47~91のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体、または請求項92または請求項93に記載の組成物を対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項98】
対象において剤の半減期を向上させる方法であって、請求項1~46のいずれか一項に記載の送達ビヒクル、請求項47~91のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体、または請求項92または請求項93に記載の組成物を対象へ投与することを含む、前記方法。
【請求項99】
それを必要とする対象において疾患または状態を処置する方法であって、有効量の請求項1~46のいずれか一項に記載の送達ビヒクル、請求項47~91のいずれか一項に記載のセラミド-治療剤複合体、または請求項92または請求項93に記載の組成物を対象へ投与することを含み、ここで有効量は、対象において疾患または状態が起こる度合いを改善/低減するのに十分な量である、前記方法。
【請求項100】
送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物が、非経口的に投与される、請求項97~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物が、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、髄腔内に、腹腔内に、動脈内に、心臓内に、骨内に、硝子体内に、鼻腔内に、または胸膜内に投与される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物が、非経口的でなく投与される、請求項97~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物が、経口で、舌下で、局所的に、経直腸的に、または吸入を介して投与される、請求項102に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、その内容全体が参照によって本明細書中に組み込まれる「CERAMIDE-LIKE LIPID-BASED DELIVERY VEHICLES AND USES THEREOF」という表題の2018年4月12日に出願された米国仮特許出願第62/656474号に対する米国特許法第119条(e)の利益を主張する。
【0002】
政府支援
この出願は、アメリカ国立衛生研究所から認可第R37 DK048106号、第RO1 DK104868号、第R21 DK090603号および第P30 DK034854号のもとで授与された政府支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
臨床医学にタンパク質およびペプチド生物学的製剤を適用するための主要な難題の1つは、大きな分子を標的組織から分離させる上皮および内皮細胞バリアをくぐり抜ける合理的かつ効率的な方法の欠如である。粘膜表面の内壁を覆う上皮細胞の場合には、大きな溶質(例として、バイオ医薬品)の吸収のための経路は、細胞の1つの表面を他と接続する経細胞エンドソームトラフィッキングのプロセスであるトランスサイトーシスによる。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、いくつかの側面において、細胞中へとまたは上皮および/または内皮バリアを横切って剤(例として、治療剤)を送達するための送達ビヒクルとしてセラミド(例として、自然に生じるセラミドおよびセラミド類似体またはセラミド様分子)を使用することに関する。異なるエンドサイトーシス経路を介した剤の選別は、セラミドの構造に関連する。いくつかの態様において、セラミドは、例として、対象において疾患を処置するために、標的とする部位に剤を送達するために使用される。
【0005】
本開示のいくつかの側面は、セラミドおよび送達される剤を含み、セラミドは、(a)脂肪酸を含有しないか、または(b)C1~C28の脂肪酸を含み、および、剤は、セラミドに付着している、送達ビヒクルを提供する。
いくつかの態様において、セラミドは、セラミド類似体である。いくつかの態様において、セラミド類似体は、2-ヒドロキシセラミド、ジエン-デオキシ-セラミド、ジヒドロセラミド、リン酸ジヒドロセラミド、o-アシル-セラミド、リン酸セラミド、スフィンガニン、およびメチル-スフィンゴシンからなる群から選択される。いくつかの態様において、セラミド類似体は、オルニチン、チロシン、グリシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、またはタウリンに付着した不飽和炭化水素鎖を含む。
【0006】
いくつかの態様において、セラミドは、グリコセラミドである。いくつかの態様において、グリコセラミドは、グルコース、ガラクトース、フルクトース、およびGalNacからなる群から選択される糖を含む。いくつかの態様において、送達される剤は、糖に付着している。いくつかの態様において、セラミドには、糖が付着していない。いくつかの態様において、セラミドは、スフィンゴシンである。いくつかの態様において、送達される剤は、セラミドの一級ヒドロキシル基に付着している。いくつかの態様において、送達される剤は、セラミドの二級ヒドロキシル基に付着している。
【0007】
いくつかの態様において、送達される剤は、セラミドに、リンカーを介して付着している。いくつかの態様において、リンカーは、疑似糖ペプチドリンカーである。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーは、アミノ酸骨格に付着している少なくとも1つの糖を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの糖が、グルコース、ガラクトース、およびN-アセチルガラクトサミンからなる群から選択される。いくつかの態様において、少なくとも1つの糖は、アミノ酸骨格に、セリン側鎖を介して付着している。
【0008】
いくつかの態様において、リンカーは、切断可能リンカーである。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エステル結合を含む。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エステル結合を含むペプチドリンカーである。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エンドソームプロテアーゼについての切断モチーフを含む。いくつかの態様において、エンドソームプロテアーゼは、フーリンまたはマトリプターゼである。いくつかの態様において、リンカーは、ジスルフィド結合である。
【0009】
いくつかの態様において、セラミドは、C1~C6の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C4の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C6の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、2つの炭素原子の間に二重結合を有しない。いくつかの態様において、セラミドは、C7~C28の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C8の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つのシス二重結合を有する。いくつかの態様において、少なくとも1つのシス二重結合は、C1~C18領域にある。いくつかの態様において、脂肪酸は、C1~C18領域に化学部分を有する。 いくつかの態様において、セラミドは、脂肪酸を含まない。
いくつかの態様において、セラミドは、C1~C12の脂肪酸を含む。
【0010】
いくつかの態様において、送達される剤は、タンパク質、ペプチド、核酸、多糖および炭水化物、脂質、糖タンパク質、小分子、合成の有機および無機の薬物であって対象へ投与したときに生物学的効果を奏するもの、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの態様において、送達される剤は、治療剤である。いくつかの態様において、治療剤は、抗炎症剤、ワクチン抗原、小分子薬、抗がん薬または化学療法薬、凝固因子、ホルモン、ステロイド、サイトカイン、抗生物質、抗体、ScFv、ナノボディ、ワクチンアジュバント、免疫寛容を誘導する剤、または、心血管疾患、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、血液障害、代謝障害、皮膚疾患、眼疾患、リソソーム蓄積症もしくは神経疾患の処置のための薬物である。
【0011】
いくつかの態様において、送達される剤は、タンパク質またはペプチドである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、ワクチン抗原である。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、抗体、ScFv、またはナノボディである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、酵素である。いくつかの態様において、酵素は、リソソーム補充酵素(lysosomal replacement enzyme)である。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、ホルモンである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、神経伝達物質である。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、GLP-1、またはその機能性フラグメントである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、Exendin-4、またはその機能性フラグメントである。いくつかの態様において、治療剤は、GLP-1またはその機能性フラグメント、およびExendin-4またはその機能性フラグメントを含む。いくつかの態様において、治療剤は、細胞受容体に対するリガンドを含む。いくつかの態様において、細胞受容体は、成長因子受容体、Gタンパク質共役受容体、またはToll様受容体である。
いくつかの態様において、治療剤は、核酸である。
【0012】
本開示の他の側面は、セラミドおよび送達される剤を含み、セラミドは、(a)脂肪酸を含まないか、または(b)C1~C28の脂肪酸を含み、および、剤は、セラミドに付着している、セラミド-治療剤複合体を提供する。
いくつかの態様において、セラミドは、セラミド類似体である。いくつかの態様において、セラミド類似体は、2-ヒドロキシセラミド、ジエン-デオキシ-セラミド、ジヒドロセラミド、リン酸ジヒドロセラミド、o-アシル-セラミド、リン酸セラミド、スフィンガニン、およびメチル-スフィンゴシンからなる群から選択される。いくつかの態様において、セラミド類似体は、オルニチン、チロシン、グリシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、またはタウリンに付着した不飽和炭化水素鎖を含む。
【0013】
いくつかの態様において、セラミドは、グリコセラミドである。いくつかの態様において、グルコース、ガラクトース、フルクトース、およびGalNacからなる群から選択される糖を含む。いくつかの態様において、送達される剤は、糖に付着している。いくつかの態様において、セラミドには、糖が付着していない。いくつかの態様において、セラミドは、スフィンゴシンである。いくつかの態様において、送達される剤は、セラミドの一級ヒドロキシル基に付着している。いくつかの態様において、送達される剤は、セラミドの二級ヒドロキシル基に付着している。
【0014】
いくつかの態様において、送達される剤は、セラミドに、リンカーを介して付着している。いくつかの態様において、リンカーは、疑似糖ペプチドリンカーである。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーは、アミノ酸骨格に付着している少なくとも1つの糖を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの糖は、選択されるいくつかの態様において、少なくとも1つの糖は、アミノ酸骨格に、セリン側鎖を介して付着している。
いくつかの態様において、リンカーは、切断可能リンカーである。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エステル結合を含む。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エステル結合を含むペプチドリンカーである。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エンドソームプロテアーゼについての切断モチーフを含む。いくつかの態様において、エンドソームプロテアーゼは、フーリンまたはマトリプターゼである。いくつかの態様において、リンカーは、ジスルフィド結合である。
【0015】
いくつかの態様において、セラミドは、C1~C6の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C4の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C6の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、2つの炭素原子の間に二重結合を有しない。いくつかの態様において、セラミドは、C7~C28の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C8の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つのシス二重結合を有する。いくつかの態様において、少なくとも1つのシス二重結合は、C1~C18領域にある。いくつかの態様において、脂肪酸は、C1~C18領域に化学部分を有する。いくつかの態様において、セラミドは、脂肪酸を含まない。
いくつかの態様において、セラミドは、C1~C12の脂肪酸を含む。
【0016】
いくつかの態様において、治療剤は、タンパク質、ペプチド、核酸、多糖および炭水化物、脂質、糖タンパク質、小分子、合成の有機および無機の薬物であって対象へ投与したときに生物学的効果を奏するもの、およびそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの態様において、治療剤は、抗炎症剤、ワクチン抗原、小分子薬、抗がん薬または化学療法薬、凝固因子、ホルモン、ステロイド、サイトカイン、抗生物質、抗体、ScFv、ナノボディ、ワクチンアジュバント、免疫寛容を誘導する剤、または、心血管疾患、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、血液障害、代謝障害、皮膚疾患、眼疾患、リソソーム蓄積症もしくは神経疾患の処置のための薬物である。いくつかの態様において、治療剤は、タンパク質またはペプチドである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、ワクチン抗原である。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、抗体、ScFv、またはナノボディである。
【0017】
いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、酵素である。いくつかの態様において、酵素は、リソソーム補充酵素である。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、ホルモンである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、神経伝達物質である。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、GLP-1、またはその機能性フラグメントである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、Exendin-4、またはその機能性フラグメントである。いくつかの態様において、治療剤は、GLP-1またはその機能性フラグメント、およびExendin-4またはその機能性フラグメントを含む。いくつかの態様において、治療剤は、細胞受容体に対するリガンドを含む。いくつかの態様において、細胞受容体は、成長因子受容体、Gタンパク質共役受容体、またはToll様受容体である。
いくつかの態様において、治療剤は、核酸である。
【0018】
本明細書中でさらに提供されるのは、本明細書中に記載された送達ビヒクルまたはセラミド-治療剤複合体を含む、組成物である。
いくつかの態様において、組成物は、薬学的に許容し得る担体をさらに含む。
本開示の他の側面は、細胞内へと、粘膜表面を横切って、または内皮バリアを横切って剤を送達する方法であって、細胞内への送達ビヒクルもしくは剤の取り込みまたは粘膜表面もしくは内皮バリアを横切る送達ビヒクルもしくは剤の吸収に適した条件下で、送達ビヒクルまたはセラミド-治療剤複合体を細胞、粘膜表面、または内皮ルーメン表面と接触させることを含む、方法を提供する。
【0019】
本開示の他の側面は、細胞内へと、または粘膜表面もしくは内皮バリアを横切って、剤を送達する方法であって、細胞内への組成物もしくは剤の取り込みまたは粘膜表面もしくは内皮バリアを横切る組成物もしくは剤の吸収に適した条件下で、本明細書中に記載された組成物を細胞、粘膜表面、または内皮ルーメン表面と接触させることを含む、方法を提供する。
【0020】
本開示の他の側面は、対象において細胞内へと、粘膜表面を横切って、または内皮バリアを横切って剤を送達する方法であって、本明細書中に記載された送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物を対象へ投与することを含む、方法を提供する。
本開示の他の側面は、対象において剤の半減期を向上させる方法であって、本明細書中に記載された送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物を対象へ投与することを含む、方法を提供する。
【0021】
本開示の他の側面は、それを必要とする対象において疾患または状態を処置する方法であって、有効量の、本明細書中に記載された送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物を対象へ投与することを含み、ここで有効量は、対象において疾患または状態が起こる度合いを改善/低減するのに十分な量である、方法を提供する。いくつかの態様において、送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物は、非経口的に投与される。いくつかの態様において、送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物は、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、髄腔内に、腹腔内に、動脈内に、心臓内に、骨内に、硝子体内に、鼻腔内に、または胸膜内に投与される。いくつかの態様において、送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物は、非経口的でなく投与されるいくつかの態様において、送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物は、経口で、舌下で、局所的に、経直腸的に、または吸入を介して投与される。緊密な内皮バリアを横切る送達のためには、いくつかの態様において、セラミド-治療剤複合体が、静脈内で、筋肉内で、または皮下で送達される。
【0022】
上の概要は、本明細書中に開示された技術の態様、利点、特色および使用のいくつかを非限定的な様式で例示する意味を持つものである。本明細書中に開示された技術の他の態様、利点、特色および使用は、詳細な説明、図面、例、および請求の範囲から明らかになる。
【0023】
図面の簡単な説明
添付図面は、縮尺どおりに描かれたことを意図していない。図面において、種々の図で例示されている各々の同一または同一に近い構成要素は、似たような数字符号によって表される。明確さの目的のため、全部の図面中で全部の構成要素に標識を付しているわけではないことがある。図面においては、以下:
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】緊密な上皮および内皮バリアを横切るペプチドまたはタンパク質薬物の送達のためのトラフィッキング経路についての略図。
図2-1】グリコセラミドGM1へ融合しているレポーターペプチド(アミノ酸配列:GSGYGRGSGK、配列番号1)の略図。
図2-2】グリコセラミドGM1へ融合しているレポーターペプチド(アミノ酸配列:GSGYGRGSGK、配列番号1)の略図。
図3】GM1セラミドドメインの構造機能研究。in vitroでの上皮バリアを横切る増幅したトランスサイトーシスを伴う非天然性GM1種を同定した。ペプチド単独と比較した融合分子の経時変化研究および用量依存性が示される。
【0025】
図4A-4B】In vivoマウス研究。胃強制飼養の15および30分分後のGM融合分子についての腸から血液中への吸収(図4A)、および胃強制飼養の1時間後のGM融合分子についての腸から肝臓中への吸収(図4B)が示されている。ペプチド単独では吸収されなかった。
図4C-4D】血液中への吸収についての経時変化をプロットした(図4C)。N=3での独立した研究。GM融合分子の略図は、図4Dに示されている。
図5A-5B】in vitroでの、モデル上皮バリアを横切る、GM1輸送ビヒクルに融合されているときのインクレチンホルモンGLP-1のトランスサイトーシス。GLP-1インクレチン機能は、GM1のオリゴ糖ドメインへの融合後、保持された(図5B)(活性における半対数損失(half-log loss))。in vitroで試験したとき、GLP-1は、短鎖GM1種によって、ペプチド単独について観察されたそれを100倍近く上回って上皮バリアを横切り輸送された(図5A)。
【0026】
図6】マウスに胃強制飼養(経口)により送達されたGLP-1-GM1融合分子のin vivo腸管吸収は、腹腔内注射(IP)によって投与されたほぼ同じの用量でグルコースチャレンジ(耐糖能試験)後に血清グルコースレベルを是正した。N=6での独立した実験。
図7】セラミドおよびグルコシルセラミド上へのペプチドの化学合成。セラミド上(またはGlc-Cerの糖上)に位置する一級ヒドロキシル(丸)は、臭化銅、(2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)および2,2ビピリジンに触媒されて、酸化されることでアルデヒドを形成する。反応は、塩基であるカリウムtert-ブトキシド(KOtBu)の存在下で向上する。これは、安定した結合(囲み枠)を形成するようにペプチドを含有しているアミノオキシへの反応を可能にする。
図8】GM1オリゴ糖ドメイン構造および近似されるペプチド-糖リンカーでの置き換え。GM1頭部基の構造(左)、カーゴ分子への共役のためのシアル酸部位を持つ(青い線)。リンカーペプチドは、異なる糖タイプに付着したセリンの前駆体構築ブロックを介して合成される。要求される最小限の構造を試験するために、3つの異なるリンカーが設計される。
【0027】
図9】GM1-カーゴリンカーペプチドへの組み込みのためのフーリン切断モチーフの最適化。蛍光エネルギー移動(FRET)ベースのアッセイは、試験されるペプチドの各端にペアになったフルオロフォアを付加することによって設計された。緩衝液を単独でネガティブコントロール(切断なし)として、および高用量トリプシンをポジティブコントロール(フーリンモチーフは他のセリンプロテアーゼによって切断されることができる)として使用し、組み換え精製フーリンによるペプチドの切断をin vitroでの蛍光の増加(FRETクエンチングの減少)として測定した。FRET 7と称されたモチーフが、最も効率的であった。
図10】糖なしのセラミドへの連結は、in vitroでの上皮バリアを横切るトランスサイトーシスへ導いた。脂肪酸単独(ドデシル-C12)への連結は、そうしなかった。ペプチド単独では、予測したとおり、上皮バリアを横切らなかった。
図11】C2-セラミドの酸化。「パリック・デーリング(Parikh-Doering)」酸化と呼ばれている方法を使用して、セラミドの頭部基を有機溶媒中で反応性アルデヒドへ酸化させた。
【0028】
図12】アミノオキシを含有するペプチドの、アルデヒド基への反応。オキシムに媒介される還元的アミノ化を使用して、「LC9」(D異性体)リンカーペプチドを共役させた。LC9-配列:[アルキン]-[lys-bio]-GSGYGRGSG-[lys-aoa]。
図13A-13B】図12で生成した生産物のHPLCクロマトグラム。(図13A)対照ペプチド。(図13B)セラミドの、ペプチドへの粗反応。
図13C-13D】(図13C)精製後。(図13D)質量分析法での分析は、セラミドに連結したペプチドの存在を確認した(2+および3+に荷電した種)。
【0029】
図14-1】Alexa Fluor 488の、セラミド-ペプチド抱合体への銅クリック反応。
図14-2】Alexa Fluor 488の、セラミド-ペプチド抱合体への銅クリック反応。
図15図14で調製した抱合したセラミド-ペプチドのHPLCクロマトグラム。
図16-1】脂質充填および後続する分別エンドソーム選別における、セラミド脂肪酸の二重結合位置決定および炭化水素鎖長の役割を調査。系統的に長さおよび二重結合位置を増加させたことによって(C12:0~C26:1)、同一のオリゴ糖頭部基を持つがしかし異なる内在構造のセラミドを持つGM1アイソフォームを合成した。参照によって本明細書中に組み込まれるArumugam et al., Essays in Biochemistry 57(1):109-119から部分的に採用した。
図16-2】脂質充填および後続する分別エンドソーム選別における、セラミド脂肪酸の二重結合位置決定および炭化水素鎖長の役割を調査。系統的に長さおよび二重結合位置を増加させたことによって(C12:0~C26:1)、同一のオリゴ糖頭部基を持つがしかし異なる内在構造のセラミドを持つGM1アイソフォームを合成した。参照によって本明細書中に組み込まれるArumugam et al., Essays in Biochemistry 57(1):109-119から部分的に採用した。
【0030】
図17】GM1種の機能化。
図18】GM1の細胞内脂質トラフィッキング-原形質膜枯渇動態は、いくつかのGM1種についてリソソームへの輸送を示す。
図19】選別エンドソームおよび選別エンドソーム細管における異なるGM1種の生細胞直接蛍光画像。表は、異なるGM1種について選別細管(sorting tubules)への進入度を定量化する。
【0031】
図20】細胞内脂質選別トランスサイトーシスおよび逆行性トラフィッキング。トランスサイトーシスによって細胞を横切って通行またはER内へと逆行するエンドソーム選別細管への進入に、二重結合の位置がどのように影響するかを示す。
図21】MDCK極性化細胞におけるトランスサイトーシスの共焦点蛍光画像。短鎖GM1 C12:0種のみがトランスサイトーシスされた。
図22】Dyngo-4a化学阻害によるトランスサイトーシスに関与する細胞機構のノックダウンまたは阻害(ダイナミンについて、左パネル)、および、exocyst複合体のためのExocyst2に対するsiRNAによる遺伝子ノックダウン(右パネル)。
【0032】
図23】2光子顕微鏡によるマウスの鼻上皮を横切って輸送されたC6-GM1ペプチドまたはペプチド単独の免疫染色画像(左)およびストレプトアビジンプルダウンアッセイによる血液の分析(右。
図24A-24H】セラミド類似体。(図24A)N-アシルオキシアシル-オルニチン。(図24B)セリリピン。(図24C)臭素化モロリピド。R1、R2=C14~C20脂肪酸。(図24D)イソ-3-ヒドロキシヘプタデカン酸含有脂質。(図24E)リプスタチン。(図24F)N-ステアロイルプロリン。(図24G)ヴォリシチン。(図24H)N-アシルタウリン。
【0033】
図25A-25C】GM1-ペプチドのリソソーム輸送の共焦点蛍光顕微鏡画像。(図25A)ヒト微小血管内皮細胞(HMECs)におけるエンドソーム選別の略図。(図25B)C16:0-GM1-ペプチドとともに(上部パネル)またはペプチド単独(下部パネル)のいずれかでインキュベートされたHMECsの画像。2μMの蛍光緑色標識された化合物で細胞を1時間、カバースリップ上で継続的な取り込みのために処置し、およびLysotracker-Red(赤色)の存在下で撮像した。C16-GM1脂質は、主にリソソームへ共局在化したが(黄色の斑点)、他方、ペプチド単独では、細胞内へと進入しなかった(図25C)。C12-GM1(緑色)を1時間継続的な取り込みのためにHMEC細胞とともにインキュベートしたところ、原形質膜局在化に加えて、リソソームへ共局在化しており(黄色)、この脂質は、再循環およびリソソーム経路の両方に選別されることができるということが示唆された。左のマージされた画像はズームインされ、および、マージ、緑色、および赤色のチャネルとして右に表示されている。スケールバー=10μm。
図26図26は、GM1-6に融合しているペプチドの鼻腔バイオアベイラビリティを示す。GM1-C6:0に融合しているペプチドについての見掛け上のバイオアベイラビリティは、腹腔内注射された同じ分子と比較して24.4%であった。ペプチド単独のバイオアベイラビリティは、腹腔内注射されたGM1-C6:0に融合しているペプチドについてのそれと比較して1.3%であった。
【0034】
図27図27は、セラミドおよびセラミド類似体(ジエン-デオキシ-Cerおよびジヒドロ-Cer)のパネルの構造を示す。
図28図28は、MDCKII細胞を横切るGlc-Cer-C8およびCer-C6のトランスサイトーシスを示す。トランスサイトーシスの効率は、GM1またはGM3種へ融合しているペプチドについてよりも高い。
図29図29は、T84腸管細胞を横切るGlc-Cer-C8およびCer-C6のトランスサイトーシスを示す。トランスサイトーシスの効率は、GM1またはGM3種へ融合しているペプチドについてよりも高い。
【0035】
図30図30は、セラミド様分子へ融合しているペプチドのトランスサイトーシスを示す。それらは、セラミド単独のビヒクルと同じだけ効率的である。図はまた、指定されたセラミドまたはセラミド類似体のMDCKII細胞層を横切る輸送を低温(4℃)が遮断するということをも示し、輸送がトランスサイトーシスを介したものであるということを示唆する。
図31図31は、セラミド-C2に融合しているペプチドは、MDCK単分子層を横切って輸送するということを示す。C12脂肪酸単独へのペプチド融合物は、トランスサイトーシスによってはMDCK細胞を横切って輸送しなかった。
図32A-32C】図32A~32Cは、GM1-C4:0への融合によって血清半減期が強力に延ばされたということを示す。(図32A)マウスにおける融合分子の検証。(図38B)静脈内に投与されたGM1-ペプチド融合物またはペプチド単独の投与1日後の血清レベル。(図32C)静脈内に投与されたGM1-ペプチド融合物またはペプチド単独の投与1日後の血清レベル。
【0036】
図33図33は、複数のセラミドまたはセラミド類似体がMDCK細胞を横切って輸送されることができるということ、および、輸送がトランスサイトーシスを介したものであるということを示す。
図34図34は、カーゴへ抱合されるスフィンゴ糖脂質、セラミドまたはセラミド類似体のパネルの構造を示す。
図35-1】図35は、試験したセラミド、リンカーセラミド、LC9-リンカーセラミド、およびAF488-LC9-リンカーセラミドを示す。
図35-2】図35は、試験したセラミド、リンカーセラミド、LC9-リンカーセラミド、およびAF488-LC9-リンカーセラミドを示す。
図35-3】図35は、試験したセラミド、リンカーセラミド、LC9-リンカーセラミド、およびAF488-LC9-リンカーセラミドを示す。
図36-1】図36は、LC9オキシムを示す。
図36-2】図36は、LC9オキシムを示す。
図36-3】図36は、LC9オキシムを示す。
図37A図37は、AF488-LC9オキシムを示す。
図37B図37は、AF488-LC9オキシムを示す。
図37C図37は、AF488-LC9オキシムを示す。
図38図38は、セラミドC6(Cer0C6)がマウスにおいて投薬の15分後に鼻を介して吸収されるということを示す。
【0037】
ある態様の詳細な記載
緊密な粘膜上皮バリアを横切る生物学的に活性な分子の送達は、経口薬物送達のための大半の治療用ペプチドの適用を妨げる主要な難題である。選別エンドソームは、カーゴを4つの別々の経路へと選別する:リソソーム経路、ゴルジおよびERへの逆行性経路(retrograde pathway)、原形質膜へ戻る再循環経路(recycling pathway)、および(上皮および内皮細胞のような極性細胞においては)、1つの細胞表面を他と接続し、吸着(adsorption)を可能にする、トランスサイトーシス経路へ。経路ははっきりと分かれており、互いに交わらない(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるSaslowsky et al., J Biol Chem. Sep 6;288(36):25804-9に記載されたとおりである)。これらの異なる経路へと選別される脂質は、脂質の分子形状によって調節され得、再循環、逆行性およびトランスサイトーシス経路の役割を担う高度に湾曲した膜の芽(membrane buds)および細管中へとそれらが移動することを許容する可能性がある。加えて、はっきりした選別メカニズムを介した異なる経路中への特異的な選別があると考えることができる。
【0038】
スフィンゴ糖脂質は、細胞膜の外膜葉内に存在する。それらは、細胞が異空間に面しているリガンド連結オリゴ糖ドメイン、および膜二重層中に脂質をアンカーするセラミドドメインを含有する。セラミドは、多様な構造を有することができる脂肪酸へ共役しているスフィンゴシン鎖(典型的にはC18:1またはC20:1)からなる。オリゴ糖ドメインは、膜葉の間の脂質フリップフロップを防ぎ、ベシクルトラフィッキングのみによって全てのスフィンゴ糖脂質を細胞内コンパートメントにわたり分布させることを引き起こす。タンパク質およびあるスフィンゴ脂質の、真核細胞の様々な細胞内コンパートメントへの選別は、ベシクル担体による分泌およびエンドサイトーシス経路を通じた膜の動きに依存する。タンパク質については、これは、タンパク質そのものの内にまたは関連付けられる受容体またはシャペロンの構造内に構造的にコードされた、多重かつ階層的に秩序化された選別決定要因に従って起こる。細胞内へとまたは粘膜バリアを横切って剤(例として、治療剤)を送達するための、異なる構造の脂肪酸(例として、異なる脂肪酸鎖長、二重結合を持つかまたは持たない)を含むセラミドを含有するスフィンゴ糖脂質アイソフォームを使用する方法が、記載されている(例として、参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第9,457,097号における)。
【0039】
脂質担体を単純化することは、それらの合成を単純化し得、バイオ医薬品の輸送におけるそれらの活性を増幅し得、およびそれらの臨床解釈を促進し得る。セラミド単独(例として、オリゴ糖基なしの、または単にグリコセラミド)は、1つの膜葉からもう1つへとフリップフロップすることができるということが知られている(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるLopez-Montero et al., Biochim Biophys Acta. Jul;1798(7):1348-56に記載されたとおりである)。本明細書で提供されるのは、いくつかの側面においては、細胞内にまたは上皮もしくは内皮バリアを横切って剤(例として、治療剤)をトラフィッキングするためのセラミド(例として、セラミド単独またはグリコセラミド)の使用である。
【0040】
したがって、本開示のいくつかの側面は、セラミドおよび送達される剤を含み、セラミドは、(a)脂肪酸を含まないか、または(b)C1~C28の脂肪酸を含み、および、剤は、セラミドに付着している、送達ビヒクルを提供する。送達ビヒクル」は、所望の場所へ、例として、限定なしに、細胞に進入するようにまたは所望の細胞コンパートメント(例として、小胞体)に到達するように、対象の所望の部分(例として、器官)に到達するように、または対象における罹患部位(例として、腫瘍部位)に到達するように、剤(例として、治療剤)を送達する分子またはシステムを指す。いくつかの態様において、送達ビヒクルは、送達される剤を包含する。いくつかの態様において、送達ビヒクルは、送達される剤と会合(またはこれに付着)する。これらの状況では、送達ビヒクルと送達される剤とを含む複合体が形成されており、本明細書中では「セラミド-薬剤複合体」と称される。いくつかの態様において、剤は治療剤であり、および、送達ビヒクルと送達される治療剤とを含む複合体は、本明細書中では「セラミド-治療剤複合体」と称される。
【0041】
本明細書中で使用するとおりの「セラミド」は、スフィンゴシンコア構造を含む分子を指す。スフィンゴシンは、スフィンゴ脂質(例として、セラミド)の最重要部分を形成する、典型的には長さ18炭素または20炭素の不飽和炭化水素鎖を持つアミノアルコールである。不飽和炭化水素鎖は、アミノ酸セリンに付着することでスフィンゴシンを形成する。用語「セラミド」は、自然のセラミドおよびセラミド類似体(例として、合成または自然のセラミド類似体)を網羅する。いくつかの態様において、セラミドは、スフィンゴシンと脂質とで構成されたスフィンゴ脂質である。いくつかの態様において、本開示のセラミドは、セラミド類似体である。例えば、本開示のセラミドは、自然のセラミドへ付加された追加の化学部分を含有し得、または自然のセラミドと比較しての修飾を含有し得る。本開示に従って使用され得るセラミド類似体の非限定的な例は、以下を包含する:2-ヒドロキシセラミド、ジエン-デオキシ-セラミド、ジヒドロセラミド、リン酸ジヒドロセラミド、o-アシル-セラミド、リン酸セラミド、スフィンガニン、およびメチル-スフィンゴシン。
【0042】
いくつかの態様において、本開示のセラミドは、セリン以外のアミノ酸の上に築き上げられたコア構造を持つ(すなわち、スフィンゴシン以外のコア構造を有する)セラミド類似体を網羅する。例えば、いくつかの態様において、本明細書中に記載されたセラミドは、オルニチン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるKawai et al., FEMS Immunol Med Microbiol 1999, 23, 67、およびTahara et al., Agric Biol Chem 1976, 40, 243に記載されたとおりの、N-アシルオキシアシル-オルニチン、および細菌セリリピン(bacterial cerilipin))、チロシン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるRoss et al., J Nat Prod 2000, 63, 501に記載されたとおりの、海綿からの臭素化モロリピド(Brominated mololipids))、グリシン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるKawazoe et al., J Bacteriol 1991, 173, 5470に記載されたとおりの、Cytophaga johnsonaeからのイソ-3-ヒドロキシヘプタデカン酸含有脂質)、ロイシン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるWeibel et al., J Antibiot 1987, 1081に記載されたとおりの、膵プロテアーゼの阻害剤であるリプスタチン)、プロリン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるSivasamy et al., JAOCS 2001, 78, 897に記載されたとおりの、N-ステアロイルプロリン)、グルタミン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるPare et al., PNAS 1998, 95, 13971に記載されたとおりの、ヴォリシチン(Volicitin)、N-(17-ヒドロキシリノレノイル)-1-グルタミン)またはタウリン(例として、参照によって本明細書中に組み込まれるSaghatelian et al., Biochemistry 2006, 45, 9007に記載されたとおりの、N-アシルタウリン)を含有するアミノ酸骨格を含む。非限定的な、例示のこれらのセラミド類似体の構造は、図24A~24G中に提供されている。
【0043】
「脂肪酸」は、脂肪族鎖を持つカルボン酸であって、これは飽和または不飽和のいずれかである。骨格炭素の間に二重結合を有する脂肪酸は、不飽和として知られている。骨格炭素の間の二重結合を有しない脂肪酸は、飽和として知られている。脂肪酸鎖の長さは、本明細書中では、脂肪酸鎖中の骨格炭素原子の数を使用して呼ばれる。例えば、骨格炭素の数Xを持つ脂肪酸鎖は、本明細書中でCXとして表現され、ここでXは整数である。いくつかの態様において、Xは0であり、これはセラミドが脂肪酸を含まないことを意味する。脂肪酸を有しないセラミドは、スフィンゴシンである(本明細書中では「リソセラミド」ともまた呼ばれる)。本明細書中でスフィンゴシンと呼ぶとき、それは、分子が糖部分を有しないということもまた意味する。いくつかの態様において、Xは、1~30の間の整数(例として、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)である。いくつかの態様において、本開示のセラミドは、長さC1~C28(例として、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、またはC28)の脂肪酸を含む。
【0044】
骨格炭素の数Xを持つ脂肪酸鎖の間の二重結合の数は、CX:Yとして表現され、ここでYは、骨格炭素の間の二重結合の数であり、および整数である。例えば、20の骨格炭素および1つの二重結合を持つ脂肪酸鎖は、本明細書中で「C20:1」として表現される。いくつかの態様において、Yは0であり、これは脂肪酸が骨格炭素の間に二重結合を含有しないこと(すなわち、飽和脂肪酸)を意味する。本開示のセラミド鎖は、いくつかの態様において、骨格炭素の間に1つ以上(例として、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上)の二重結合を有する。いくつかの態様において、二重結合は、シス二重結合である。「シス-二重結合」は、2つの炭素原子の間に形成された二重結合のアイソフォームを指す。二重結合に加えて、他の化学基(例として、-H、-CH3、-COOH)もまた、シス-二重結合に関与する炭素原子と結合を形成し、および、「シス」は、H以外の化学基が炭素鎖の同じ側にあることを指定する。当業者は、これらの用語に精通している。
【0045】
いくつかの態様において、セラミドは、C1~C12の脂肪酸(例として、トランスサイトーシスへの適用のため)を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C13~C28の脂肪酸(例として、トランスサイトーシスでない適用のため)を含む。
いくつかの態様において、セラミドは、長さC1~C6(例として、C1、C2、C3、C4、C5、またはC6)の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、C1~C6の脂肪酸は、2つの炭素原子(例として、骨格炭素のいずれか)の間に二重結合を有しない。いくつかの態様において、セラミドは、C4の脂肪酸鎖を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C6の脂肪酸鎖を含む。いくつかの態様において、C1~C6の脂肪酸は、少なくとも1つのシス二重結合(例として、1つ、2つ、またはそれ以上のシス二重結合)を含む。
【0046】
いくつかの態様において、セラミドは、長さC7~C28(例として、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、またはC28)の脂肪酸を含む。いくつかの態様において、セラミドは、C8の脂肪酸鎖を含む。いくつかの態様において、C7~C28の脂肪酸は、2つの炭素原子(例として、骨格炭素のいずれか)の間に少なくとも1つのシス二重結合を含む。例えば、C7~C28の脂肪酸は、1~10のシス-二重結合を含み得る。いくつかの態様において、C7~C28の脂肪酸は、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~10、または9~10のシス-二重結合を含む。いくつかの態様において、C7~C28の脂肪酸は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上のシス-二重結合を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、C7~C16であり、および、少なくとも1つのシス二重結合を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、C17~C28であり、および、脂肪酸のC1~C18領域に少なくとも1つのシス二重結合を含む。
【0047】
例えば、少なくとも1つのシス-二重結合は、脂肪酸のC1~C18、C1~C17、C1~C16、C1~C15、C1~C14、C1~C13、C1~C12、C1~C11、C1~C10、C1~C9、C1~C8、C1~C7、C1~C6、C1~C5、C1~C4、C1~C3、C1~C2、C2~C18、C2~C17、C2~C16、C2~C15、C2~C14、C2~C13、C2~C12、C2~C11、C2~C10、C2~C9、C2~C8、C2~C7、C2~C6、C2~C5、C2~C4、C2~C3、C3~C18、C3~C17、C3~C16、C3~C15、C3~C14、C3~C13、C3~C12、C3~C11、C3~C10、C3~C9、C3~C8、C3~C7、C3~C6、C3~C5、C3~C4、C4~C18、C4~C17、C4~C16、C4~C15、C4~C14、C4~C13、C4~C12、C4~C11、C4~C10、C4~C9、C4~C8、C4~C7、C4~C6、C4~C5、C5~C18、C5~C17、C5~C16、C5~C15、C5~C14、C5~C13、C5~C12、C5~C11、C5~C10、C5~C9、C5~C8、C5~C7、C5~C6、C6~C18、C6~C17、C6~C16、C6~C15、C6~C14、C6~C13、C6~C12、C6~C11、C6~C10、C6~C9、C6~C8、C6~C7、C7~C18、C7~C17、C7~C16、C7~C15、C7~C14、C7~C13、C7~C12、C7~C11、C7~C10、C7~C9、C7~C8、C8~C18、C8~C17、C8~C16、C8~C15、C8~C14、C8~C13、C8~C12、C8~C11、C8~C10、C8~C9、C9~C18、C9~C17、C9~C16、C9~C15、C9~C14、C9~C13、C9~C12、C9~C11、C9~C10、C10~C18、C10~C17、C10~C16、C10~C15、C10~C14、C10~C13、C10~C12、C10~C11、C11~C18、C11~C17、C11~C16、C11~C15、C11~C14、C11~C13、C11~C12、C12~C18、C12~C17、C12~C16、C12~C15、C12~C14、C12~C13、C13~C18、C13~C17、C13~C16、C13~C15、C13~C14、C14~C18、C14~C17、C14~C16、C14~C15、C15~C18、C15~C17、C15~C16、C16~C18、C16~C17、またはC17~C18領域にあり得る。
【0048】
いくつかの態様において、脂肪酸は、C17~C28であり、および、少なくとも1つのシス二重結合は、脂肪酸のC1~C16領域にある。いくつかの態様において、脂肪酸は、C17~C28であり、および、少なくとも1つのシス二重結合は、脂肪酸のC1~C14領域にある。いくつかの態様において、C7~C28の脂肪酸は、2つの炭素原子(例として、骨格炭素のいずれか)の間に二重結合を有しない。
【0049】
いくつかの態様において、C7~C28の脂肪酸は、脂肪酸鎖へ付加された(例として、共有結合的に付着した)1つ以上(例として、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上)の化学部分(例として、塊状の(bulky)化学部分)を含む。本明細書中に記載されたセラミドのC7~C28脂肪酸鎖へ付加され得る化学部分の非限定的な例は、以下を包含する:分枝したメチル化またはアシル化、BODIPYなどの塊状の非極性フルオロフォア、芳香環、ステロール、プレニル化、ハロゲン化(例として、フッ素化)、および、完全に飽和した炭化水素鎖の直鎖構造から逸脱するあらゆる化合物。いくつかの態様において、脂肪酸は、C7~C16であり、および、脂肪酸鎖へ付加された少なくとも1つの化学部分(例として、塊状の化学部分)を含む。いくつかの態様において、脂肪酸は、C17~C28であり、および、脂肪酸のC1~C18領域において脂肪酸鎖へ付加された少なくとも1つの化学部分(例として、塊状の化学部分)を含む。
【0050】
例えば、少なくとも1つの化学部分(例として、塊状の化学部分)は、脂肪酸のC1~C18、C1~C17、C1~C16、C1~C15、C1~C14、C1~C13、C1~C12、C1~C11、C1~C10、C1~C9、C1~C8、C1~C7、C1~C6、C1~C5、C1~C4、C1~C3、C1~C2、C2~C18、C2~C17、C2~C16、C2~C15、C2~C14、C2~C13、C2~C12、C2~C11、C2~C10、C2~C9、C2~C8、C2~C7、C2~C6、C2~C5、C2~C4、C2~C3、C3~C18、C3~C17、C3~C16、C3~C15、C3~C14、C3~C13、C3~C12、C3~C11、C3~C10、C3~C9、C3~C8、C3~C7、C3~C6、C3~C5、C3~C4、C4~C18、C4~C17、C4~C16、C4~C15、C4~C14、C4~C13、C4~C12、C4~C11、C4~C10、C4~C9、C4~C8、C4~C7、C4~C6、C4~C5、C5~C18、C5~C17、C5~C16、C5~C15、C5~C14、C5~C13、C5~C12、C5~C11、C5~C10、C5~C9、C5~C8、C5~C7、C5~C6、C6~C18、C6~C17、C6~C16、C6~C15、C6~C14、C6~C13、C6~C12、C6~C11、C6~C10、C6~C9、C6~C8、C6~C7、C7~C18、C7~C17、C7~C16、C7~C15、C7~C14、C7~C13、C7~C12、C7~C11、C7~C10、C7~C9、C7~C8、C8~C18、C8~C17、C8~C16、C8~C15、C8~C14、C8~C13、C8~C12、C8~C11、C8~C10、C8~C9、C9~C18、C9~C17、C9~C16、C9~C15、C9~C14、C9~C13、C9~C12、C9~C11、C9~C10、C10~C18、C10~C17、C10~C16、C10~C15、C10~C14、C10~C13、C10~C12、C10~C11、C11~C18、C11~C17、C11~C16、C11~C15、C11~C14、C11~C13、C11~C12、C12~C18、C12~C17、C12~C16、C12~C15、C12~C14、C12~C13、C13~C18、C13~C17、C13~C16、C13~C15、C13~C14、C14~C18、C14~C17、C14~C16、C14~C15、C15~C18、C15~C17、C15~C16、C16~C18、C16~C17、またはC17~C18領域へ付加されていてもよい。
【0051】
いくつかの態様において、脂肪酸は、C17~C28であり、および、少なくとも1つの化学部分(例として、塊状の化学部分)は、脂肪酸のC1~C16領域へ付加されている。いくつかの態様において、脂肪酸は、C17~C28であり、および、少なくとも1つの化学部分(例として、塊状の化学部分)は、脂肪酸のC1~C14領域へ付加されている。
【0052】
いくつかの態様において、本開示のセラミドのいずれか(例として、脂肪酸鎖を持つかまたは持たないセラミド)は、糖(例として、グリコセラミド)をさらに含む。いくつかの態様において、いくつかの態様において、セラミドは、C1~C6の脂肪酸鎖を含み、および、糖をさらに含む。いくつかの態様において、セラミドは、C7~C28の脂肪酸鎖を含み、および、糖をさらに含む。いくつかの態様において、セラミドは、脂肪酸鎖を含まず(すなわち、スフィンゴシンまたはリソセラミド)、および、糖をさらに含む。脂肪酸鎖を含有しないが糖を含むセラミドは、本明細書中では、「グリコスフィンゴシン」または「リソグリコセラミド」ともまた称される。
【0053】
「グリコセラミド」は、その一級ヒドロキシル基に付着している糖を含むセラミドを指す(図7)。いくつかの態様において、糖は、単糖である。「単糖」は、単一の糖分子から作られる単糖類(monosaccharide)である。単糖の非限定的な例は、以下を包含する:グルコース、フルクトース、およびガラクトース。よって、いくつかの態様において、本開示のセラミドは、グルコースセラミド(Glc-Cer)、フルクトースセラミド、またはガラクトースセラミドである。いくつかの態様において、糖は、オリゴ糖である。いくつかの態様において、セラミドは、グリコセラミドであり、および、送達される剤は、グリコセラミドの糖に付着している。
【0054】
いくつかの態様において、本開示のセラミドは、糖を含まない。いくつかの態様において、剤は、セラミドに(例として、セラミドの一級ヒドロキシル基に、図7を参照)付着している。
剤は、セラミドに、当該技術分野において知られるあらゆる方法によって付着し得る。いくつかの態様において、剤は、非共有結合的に、例として、限定なしに、ファン・デル・ワールス力、疎水性相互作用、水素結合相互作用、またはイオン相互作用によって、付着している。
【0055】
いくつかの態様において、剤は、共有結合的に付着している。例えば、いくつかの態様において、セラミド(例として、セラミドの一級ヒドロキシル基)またはグリコセラミドの糖は、反応性の化学基によって官能化されていてもよい。かかる反応基の一例は、「クリック化学ハンドル」である。クリック化学は、小さい単位を一緒につなぎ合わせることにより物質を素早くかつ確実に生成するために合わせた化学を記載している、導入された科学的アプローチである。例として、Kolb, Finn and Sharpless Angewandte Chemie International Edition (2001) 40: 2004-2021; Evans, Australian Journal of Chemistry (2007) 60: 384-395を参照。例示のカップリング反応(そのいくつかは「クリック化学」として分類され得る)は、活性化した酸またはハロゲン化アシルからのエステル、チオエステル、アミド(例として、ペプチド結合などの)の形成;求核置換(例として、ハロゲン化物の求核置換または歪環系の開環などの);アジド-アルキンHuisgon環化付加;チオール-イン付加;イミン形成;およびMichael付加(例として、マレイミド付加)を包含するがこれらに限定されない。
【0056】
クリック化学ハンドルの非限定的な例は、アジドハンドル、アルキンハンドル、またはアジリジンハンドルを包含する。アジドは、式N3-を持つアニオンである。これは、アジ化水素酸(HN3)のコンジュゲート塩基である。N3-は、CO2、NCO-、N2O、NO2+およびNCFと等電子数である直線状アニオンである。アジドは、数個の共鳴構造によって記載することができ、重要な1つは-N=N+=N-である。アルキンは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する不飽和炭化水素である。1つのみの三重結合を持ち他の官能基を持たない最も単純な非環式アルキンは、一般化学式CnH2n-2を持つ同族列を形成する。アルキンは伝統的にはアセチレンとして知られているが、ただし、アセチレンという名称はまた、特定的には、IUPAC命名法を使用して正式にはエチレンとして知られているC2H2も指す。他の炭化水素のように、アルキンは、一般的には疎水性であるが、より反応性である傾向がある。アジリジンは、1つのアミン基(-NH-)および2つのメチレン橋(-CH2-)を持つ3員の複素環であるアジリジン官能基を含有する有機化合物である。親化合物は、分子式C2H5Nを持つアジリジン(またはエチレンイミン)である。
【0057】
他の非限定的な、例示の反応基は、以下を包含する:アセタール、ケタール、ヘミアセタール、およびヘミケタール、カルボン酸、強い非酸化酸、強い酸化酸、弱酸、アクリラートおよびアクリル酸、ハロゲン化アシル、ハロゲン化スルホニル、クロロホルマート、アルコールおよびポリオール、アルデヒド、アセチレン水素アミドもしくはイミドを持つかまたは持たないアルキン、アミン、芳香族、アミン、ホスフィン、ピリジン、無水物、ハロゲン化アリール、アゾ、ジアゾ、アジド、ヒドラジン、およびアジド化合物、強塩基、弱塩基、カルバマート、炭酸塩、クロロシラン、共役(conjugated)ジエン、シアン化物、無機物、ジアゾニウム塩、エポキシド、エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、チオリン酸エステル、ホウ酸エステル、エーテル、可溶性フッ化物塩、フッ化有機化合物、ハロゲン化有機化合物、ハロゲン化剤、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、炭化水素、芳香族、分類には情報が不十分であるもの、イソシアナートおよびイソチオシアナート、ケトン、金属水素化物、アルキル金属、アリール金属、およびシラン、アルカリ金属、硝酸塩および亜硝酸塩化合物、無機物、窒化物、リン化物、炭化物、およびケイ化物、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、硝酸塩、亜硝酸塩化合物、有機物、非レドックス活性無機化合物、有機金属、オキシム、過酸化物、有機物、フェノール塩、フェノールおよびクレゾール、重合可能な化合物、第四級アンモニウムおよびホスホニウム塩、強還元剤、弱還元剤、酸性塩、塩基性塩、シロキサン、無機硫化物、有機硫化物、亜硫酸およびチオ硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、有機チオホスホン酸塩、チオカルバマートのエステルおよび塩、およびジチオカルバマートのエステルおよび塩。
【0058】
セラミドに付着する剤(例として、反応性化学基を介して)は、オリゴ糖またはセラミドと反応する対応する化学基を含有し得、よって共有結合(covalent attachment)を結果としてもたらす。例えば、タンパク質またはポリペプチドである剤は、そのN-またはC-末端を介して、または内在する残基(例として、リシン)を介して、化学的架橋によって共役し得る。
【0059】
いくつかの態様において、剤は、セラミドに、リンカーを介して付着している。いくつかの態様において、リンカーは、疑似糖ペプチドリンカーである(例として、図8を参照)。「疑似糖ペプチドリンカー」は、アミノ酸骨格(ぺプチド)を、骨格中のアミノ酸の側鎖を介して共有結合的に付着させた、少なくとも1つ(例として、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上)の糖(炭化水素)を含むリンカーを指す。アミノ酸骨格に付着し得る糖の非限定的な例は、以下を包含する:フルクトース、グルコース、ガラクトース、シアル酸、およびN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーにおける糖は、アミノ酸骨格に、セリン、スレオニン、またはアスパラギンを介して付着している。1つ以上の糖を含有する疑似糖ペプチドについては、糖は、アミノ酸骨格に、同じかまたは異なるアミノ酸側鎖を介して付着し得る。
【0060】
いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、1~30アミノ酸を含む。例えば、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、1~30、1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、5~10、5~25、5~20、5~15、5~10、10~30、10~25、10~20、10~15、15~30、15~25、15~20、20~30、20~25、または25~30アミノ酸を含み得る。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15,16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29,または30アミノ酸を含む。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、1~10アミノ酸を含む。例えば、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~10、または9~10アミノ酸を含み得る。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸を含む。いくつかの態様において、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、10よりも多いアミノ酸(例として、11~30アミノ酸)を含む。例えば、疑似糖ペプチドリンカーのアミノ酸骨格は、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸を含み得る。
【0061】
いくつかの態様において、リンカーは、ペプチドリンカーである。いくつかの態様において、剤は、タンパク質またはペプチドである。かかる事例において、タンパク質またはペプチドのアミノ酸の1つ以上は、炭化水素基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、オリゴ糖に付着するためのリンカー、などの化学エンティティを包含するように修飾されてもよい。
いくつかの態様において、リンカーは、切断可能リンカーである。「切断可能リンカー」は、化学剤または酵素によって切断されることができ、および、よって剤をセラミド担体から放出することができる、リンカーを指す。いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エステル結合を含む(例として、リンカーは、エステル結合を含むペプチドリンカーとすることができる)。いくつかの態様において、エステル結合は、エステラーゼ(例として、炎症の部位でそのレベルが上昇する白血球エステラーゼ、または、胃腸のエンドソームに特異的なカルボキシルエステラーゼhCE-2)によって切断されることができる。
【0062】
いくつかの態様において、切断可能リンカーは、エンドソームプロテアーゼについての切断モチーフを含む。「エンドソームプロテアーゼ」は、エンドソーム中に存在するプロテアーゼを指す。それは、本明細書中では、言い換え可能に「リソソームプロテアーゼ」と呼ばれる。エンドソームプロテアーゼは、加水分解酵素のアスコルビン酸、システイン、またはセリンプロテイナーゼファミリーに属する。エンドソームプロテアーゼは、普遍的に、および組織もしくは細胞のタイプに特異的な様式で発現し、および、通常はエンドサイトーシス経路の全てのベシクル内で検出される。エンドソームプロテアーゼの参照および分類は、当該技術分野において利用可能である。例えば、既知のエンドソームプロテアーゼのリストを、MEROPSデータベース(merops.sanger.ac.uk)において見出すことができる。いくつかの態様において、エンドソームプロテアーゼは、フーリンまたはマトリプターゼである。フーリンは、そのペアになった塩基性アミノ酸プロセシング部位で前駆体タンパク質を効率的に切断することができるカルシウム依存性セリンエンドプロテアーゼである。フーリンは、塩基性アミノ酸標的配列(規範的には、Arg-X-(Arg/Lys)-Arg’)の下流のタンパク質を切断する。マトリプターゼは、トリプシン様膜内在性セリンペプチダーゼであり、および、P1位置にてArgまたはLysで基質を切断し、および、P2位置での、AlaおよびGlyなどの小さい側鎖のアミノ酸をより好む。
【0063】
いくつかの態様において、切断可能リンカーは、ジスルフィド結合を含む。「ジスルフィド結合(disulfide linkage)」は、ジスルフィド結合(disulfide bond)またはS-S結合ともまた呼ばれ、これは2つのチオール基に由来する共有結合(covalent bond)である。ジスルフィド結合(disulfide bond)は、スルフヒドリル基の酸化によって形成されることができ、および、還元を介して(例として、tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、2-メルカプトエタノール(β-ME)またはジチオトレイトール(DTT)などの還元剤を使用することを介して)切断されることができる。
【0064】
本明細書中に記載されたセラミドは、細胞膜を横切ってまたは粘膜バリアを横切って剤を送達しおよび剤の細胞内トラフィッキングを指示するための、送達ビヒクルとして動作することを可能とする。例えば、いくつかの態様において、セラミド-薬剤複合体は、セラミドによって、所望の細胞内の場所、例として、小胞体(ER)へ、方向付けられる。いくつかの態様において、セラミド-薬剤複合体は、セラミドによって、分解経路(例として、リソソーム)から離れるように方向付けられる。そうすると、いくつかの態様において、剤がセラミド-薬剤複合体の一部であるとき、剤の細胞内半減期は、剤が単独で細胞内へと送達されたときと比較して延びる。
【0065】
いくつかの態様において、剤がセラミド-薬剤複合体の一部であるとき、剤の細胞内半減期は、剤が単独で細胞内へと送達されたときと比較して少なくとも20%延びる。いくつかの態様において、剤がセラミド-薬剤複合体の一部であるとき、剤の細胞内半減期は、剤が単独で細胞内へと送達されたときと比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍またはそれ以上延びる。いくつかの態様において、剤がセラミド-薬剤複合体の一部であるとき、剤の細胞内半減期は、剤が単独で細胞内へと送達されたときと比較して20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、500倍、1000倍またはそれ以上延びる。
【0066】
いくつかの態様において、剤がセラミドに付着したことでセラミド-薬剤複合体を形成しているとき、剤は、トランスサイトーシスによって外皮または内皮バリア(例として、粘膜バリア)を横切って送達される。粘膜バリアは、緻密な上皮細胞の内壁で構成される(例として、胃の中または腸の中)。腸管バリアともまた呼ばれる腸粘膜バリアは、栄養を吸収する能力を保ちながら腸内での望ましくないルーメン内容物の妥当な閉じ込めを確実にするという腸粘膜の特性を指す。胃粘膜バリアは、消化のために要求される胃酸を安全に収容することが可能であるという胃の特性である。
【0067】
いくつかの態様において、剤は、単独では上皮または内皮バリア(例として、粘膜バリア)を横切ることを可能としないが、本明細書中に記載されたセラミドと複合すると粘膜バリアを横切ることを可能とする。いくつかの態様において、剤が本明細書中に記載されたセラミドと複合しているとき、上皮または内皮バリア(例として、粘膜バリア)を横切る剤の送達は、剤が単独で送達されるときと比較して向上する(例として、少なくとも20%)。例えば、剤が本明細書中に記載されたセラミドと複合しているとき、上皮または内皮バリア(例として、粘膜バリア)を横切る剤の送達は、剤が単独で送達されるときと比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍またはそれ以上向上する。いくつかの態様において、剤が本明細書中に記載されたセラミドと複合しているとき、上皮または内皮バリア(例として、粘膜バリア)を横切る剤の送達は、剤が単独で送達されるときと比較して20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、500倍、1000倍またはそれ以上向上する。
【0068】
本開示の他の側面は、本明細書中に記載されたセラミドによって送達され得る剤を提供する。剤は、あらゆる生物活性剤または治療剤であり得る。「治療剤」は、疾患または障害に対し治療的効果を有する剤を指す。セラミドと治療剤との間の複合は、本明細書中では、「セラミド-治療剤複合体」と称される。治療剤は、限定なしに、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子薬、多糖および炭水化物、脂質、糖タンパク質、小分子、合成の有機および無機の薬物であって対象へ投与したときに生物学的効果を奏するもの、およびそれらの組み合わせ、であり得る。
【0069】
いくつかの態様において、治療剤は、抗炎症剤、ワクチン抗原、ワクチンアジュバント、抗体、ScFv、ナノボディ、および酵素、抗がん薬または化学療法薬、凝固因子、ホルモン、ステロイド、サイトカイン、抗生物質、または、心血管疾患、感染性疾患、自己免疫疾患、アレルギー、血液障害、代謝障害、皮膚疾患、眼疾患、リソソーム蓄積症もしくは神経疾患の処置のための薬物、である。いくつかの態様において、治療剤は、タンパク質またはペプチドである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、またはその機能性フラグメントである。いくつかの態様において、タンパク質またはペプチドは、Exendin-4、またはその機能性フラグメントである。
【0070】
「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」は、プログルカゴン遺伝子の組織特異的な翻訳後プロセッシングに由来する30アミノ酸長さのペプチドホルモンである。これは、腸管内の腸内分泌L細胞および脳幹中の孤束核内のあるニューロンによって、食物消費の際に生産されおよび分泌される。初期生成物GLP-1(1-37)はアミド化およびタンパク質分解的切断を受けやすく、これは2つの切断型のおよび等電位の生物学的に活性な形態、GLP-1(7-36)アミドおよびGLP-1(7-37)を生じさせる。活性なGLP-1は、リンカー領域によって分離されたアミノ酸位置13~20および24~35からの2つのαらせんを構成する。GLP-1は、それを(およびその機能的アナログを)真性糖尿病の潜在的な処置法として徹底的な調査の対象にさせるような数種の生理学的特性を持ち合わせている。さらに、GLP-1は、インスリンの分泌を向上させることによりグルコース依存的な様式で血糖レベルを減少させる能力を有する。よって、GLP-1は、数多の調節および保護効果と関連付けられている。GLP-1に基づいた処置は、糖尿病を持つ生活の2つの極めて重要な側面である、体重減少およびより低い低血糖リスクと関連付けられている。
【0071】
「Exendin-4」は、インスリン分泌を促進するグルカゴン様ペプチド(GLP)受容体のペプチドアゴニストである。Exendin-4は、無傷のヒトグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)にGLP-1に類似のやり方で結合し、および、GLP-1に対する50%のアミノ酸相同性を保有する。Exendin-4は、食事を摂ることに応答した膵臓応答の増大(例として、インスリン分泌を増加させる)を介してグルコース制御を円滑化し、摂食に応答したグルカゴンの膵臓放出を抑制し、胃を空にする速度を低減させ、食欲を抑制し、および肝臓脂肪含有量を低減させる。いくつかの態様において、治療剤は、GLP-1またはその機能性フラグメント、およびExendin-4またはその機能性フラグメントを含む、融合タンパク質である。
【0072】
いくつかの態様において、治療剤は、ワクチン抗原である。「ワクチン抗原」は、対象へ投与されたときに、抗原を特異的に結合する抗体の生産を活性化または増加させる分子または部分である。いくつかの態様において、抗原は、タンパク質または多糖である。病原体の抗原は、当業者によく知られており、および、細菌、ウイルスおよび他の微生物の一部分(コート、カプセル、細胞壁、鞭毛、線毛、および毒素)を包含するがこれらに限定されない。ワクチンは、典型的には抗原を含み、および、レシピエントの対象において免疫応答を誘導するために意図的に対象へ投与される。抗原は、病原性ウイルス、細菌、または真菌からのものであり得る。
【0073】
病原性ウイルスの例は、限定なしに、以下を包含する:Retroviridae(例として、HIV-1(HTLV-III、LAVまたはHTLV-III/LAVともまた呼ばれる)またはHIV-IIIなどのヒト免疫不全ウイルス;および、HIV-LPなどの、他の単離体);Picornaviridae(例として、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(例として、胃腸炎を引き起こす菌株);Togaviridae(例として、馬脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例として、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);Coronaviridae(例として、コロナウイルス);Rhabdoviridae(例として、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例として、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例として、パラインフルエンザウイルス、おたふく風邪ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);Orthomyxoviridae(例として、インフルエンザウイルス);Bungaviridae(例として、ハンタンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス);Arena viridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例として、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvoviridae(パルボウイルス);Papovaviridae(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);Poxviridae(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびIridoviridae(例として、アフリカ豚熱ウイルス);および分類されていないウイルス(例として、海綿状脳症の病因剤、デルタ肝炎の剤(B型肝炎ウイルスの、欠陥のあるサテライトであると思われる)、非A型、非B型肝炎の剤(クラス1=内部的に伝達される;クラス2=非経口的に伝達される(すなわち、C型肝炎);Norwalkおよび関連するウイルス、およびアストロウイルス)。
【0074】
病原性細菌の例は、限定なしに、以下を包含する:Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria spp.(例として、M. tuberculosis、M. avium、M. intracellulare、M. kansasii、M. gordonae)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Streptococcus(ビリダンス連鎖球菌群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性株)、Streptococcus pneumoniae、pathogenic Campylobacter sp.、Enterococcus sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracis、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidum、Treponema pertenue、Leptospira、およびActinomyces israelli。
【0075】
病原性真菌の例は、限定なしに、以下を包含する:Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、Chlamydia trachomatis、Candida albicans。他の感染性生物(すなわち、原生生物)は、以下を包含する:Plasmodium falciparumおよびToxoplasma gondii。
いくつかの態様において、治療剤は、免疫寛容を誘導する剤である。免疫寛容は、特定の抗原または抗原のセットに特異的な免疫非応答の状態であって、その抗原またはセットへの以前の曝露によって誘導されたものである。いくつかの態様において、免疫寛容は、経口的寛容である。経口的寛容は、食物タンパク質などの無害な抗原の経口投与によって誘導される局所および全身の免疫非応答の状態である。いくつかの態様において、治療剤は、アレルギーまたは自己免疫疾患(例として、多発性硬化症)の処置のための免疫寛容を誘導するための剤である。
【0076】
本明細書中に記載されたセラミドを使用して送達され得る剤の他の非限定的な例が提供される。
本開示のリポソーム薬物送達系に使用され得る、非限定的な、例示の化学医薬組成物は、アクチノマイシン、全トランスレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビンを包含する。
【0077】
抗新生物化合物の例は、限定なしに、以下を包含する:ニトロソウレア、例として、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプゾトシン;メチルヒドラジン、例として、プロカルバジン、ダカルバジン;ステロイドホルモン、例として、グルココルチコイド、エストロゲン、プロゲスチン、アンドロゲン、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(tetrahydrodesoxycaricosterone)、サイトカインおよび成長因子;アスパラギナーゼ。
免疫活性化合物の例は、限定なしに、以下を包含する:免疫抑制剤、例として、ピリメタミン、トリメトプテリン、ペニシラミン、シクロスポリン、アザチオプリン;免疫刺激剤、例として、レバミゾール、ジチオカルバミン酸ジエチル、エンケファリン、エンドルフィン。
【0078】
抗微生物化合物の例は、限定なしに、以下を包含する:抗生物質、例として、ベータラクタム、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム(carbapenims)およびモノバクタム、ベータラクタマーゼインヒビター、アミノグリコシド、マクロライド、テトラサイクリン、スペクチノマイシン;抗マラリア薬、殺アメーバ薬、抗原虫薬、抗真菌薬、例として、アムホテリシンベータ、抗ウイルス薬、例として、アシクロビル、イドクスウリジン、リバビリン、トリフルリジン、ビダルビン、ガンシクロビル。
寄生虫駆除剤の例は、限定なしに、以下を包含する:抗駆虫薬、放射性医薬品、胃腸薬。
血液作用化合物の例は、限定なしに、以下を包含する:免疫グロブリン;血液凝固タンパク質;例として、抗血友病因子、第IX因子複合体;抗凝固薬、例として、ジクマロール、ヘパリンNa;フィブロリジンインヒビター、トラネキサム酸。
【0079】
心血管薬の例は、限定なしに、以下を包含する:末梢性抗アドレナリン作動薬、中枢作用性降圧薬、例として、メチルドーパ、メチルドーパHCl;降圧直接血管拡張剤薬、例として、ジアゾキシド、ヒドララジンHCl;レニン-アンジオテンシン系に影響を及ぼす薬物;末梢血管拡張薬、フェントラミン;抗狭心症薬;強心薬配糖体;強心性血管拡張薬;例として、アムリノン、ミルリノン、エノキシモン、フェノキシモン、イマゾダン、スルマゾール;抗不整脈薬;カルシウム流入阻害薬;血液脂質に影響を及ぼす薬物;ラニチジン、ボセンタン、レズリン。
呼吸器薬の例は、限定なしに、以下を包含する:交感神経様作用薬(交感神経興奮薬):アルブテロール、メシル酸ビトルテロール、ドブタミンHCl、ドーパミンHCl、エフェドリンSO、エピネフリン、フェンフルラミンHCl、イソプロテレノールHCl、メトキサミンHCl、ノルエピネフリン重酒石酸塩、フェニレフリンHCl、リトドリンHCl;コリン模倣薬、例として、アセチルコリンCl;抗コリンエステラーゼ、例として、エドロフォニウムCl;コリンエステラーゼ再活性化因子;アドレナリン遮断薬、例として、アセブトロールHCl、アテノロール、エスモロールHCl、ラベタロールHCl、メトプロロール、ナドロール、メシル酸フェントラミン、プロプラノロールHCl;抗ムスカリン薬、例として、アニソトロピンメチルブロミド、アトロピンSO4、クリニジウムBr、グリコピロラート、イプラトロピウムBr、スコポラミンHBr。
【0080】
神経筋遮断薬の例は、限定なしに、以下を包含する:脱分極、例として、ベシル酸アトラクリウム、ヘキサフルオレニウムBr、ヨウ化メトクリン、スクシニルコリンCl、ツボクラリンCl、ベクロニウムBr;中枢作用筋弛緩薬、例として、バクロフェン。
神経伝達物質および神経伝達剤の例は、限定なしに、以下を包含する:アセチルコリン、アデノシン、アデノシン三リン酸、アミノ酸神経伝達物質、例として、興奮性アミノ酸、GABA、グリシン;生体アミン神経伝達物質、例として、ドーパミン、エピネフリン、ヒスタミン、ノルエピネフリン、オクトパミン、セロトニン、チラミン;神経ペプチド、一酸化窒素、K+チャネル毒素、
【0081】
抗パーキンソン病薬の例は、限定なしに、以下を包含する:アマンタジン (amaltidine)HCl、メシル酸ベンズトロピン、例として、カルビドパ。
利尿薬の例は、限定なしに、以下を包含する:ジクロルフェナミド、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、ポリチアジド。
子宮抗片頭痛薬の例は、限定なしに、以下を包含する:カルボプロストトロメタミン、メシル酸塩、メチセルギドマレイン酸塩。
【0082】
ホルモンの例は、限定なしに、以下を包含する:下垂体ホルモン、例として、絨毛性ゴナドトロピン、コシントロピン、メノトロピン、ソマトトロピン、コルチコトロピン(iorticotropin)、プロチレリン、チロトロピン、バソプレシン、リプレシン;副腎ホルモン、例として、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン;膵臓ホルモン、例として、グルカゴン、インスリン;副甲状腺ホルモン、例として、ジヒドロタキステロール(dihydrochysterol);甲状腺ホルモン、例として、カルシトニンエチドロン酸二ナトリウム、レボチロキシンNa、リオチロニンNa、リオトリックス、チログロブリン、酢酸テリパラチド;抗甲状腺薬;エストロゲンホルモン;プロゲスチンおよびアンタゴニスト、ホルモン避妊薬、精巣ホルモン;消化管ホルモン:コレシストキニン、エンテログリカン、ガラニン、胃抑制ポリペプチド、上皮成長因子ウロガストロン、胃抑制ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、ガストリン、ペンタガストリン、テトラガストリン、モチリン、ペプチドYY、セクレチン、血管作動性腸管ペプチド、シンカリド。
【0083】
酵素の例は、限定なしに、以下を包含する:ヒアルロニダーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、PGEアデノシンデアミナーゼ、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、シンターゼ、イソメラーゼ、およびリガーゼ、消化酵素(例として、プロテアーゼ、リパーゼ、カルボヒドラーゼ、およびヌクレアーゼ)。いくつかの態様において、酵素は、ラクターゼ、ベータガラクトシダーゼ、膵酵素、油分解酵素、ムチナーゼ、セルラーゼ、イソマルターゼ、アルギナーゼ、消化リパーゼ(例として、舌リパーゼ、膵リパーゼ、ホスホリパーゼ)、アミラーゼ、セルラーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ(例として、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、エラスターゼ)、エステラーゼ(例として、ステロールエステラーゼ)、二糖類分解酵素(例として、スクラーゼ、ラクターゼ、ベータガラクトシダーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ)、DNA分解酵素、およびRNA分解酵素からなる群から選択される。
【0084】
静脈麻酔薬の例は、限定なしに、以下を包含する:ドロペリドール、エトミダート、クエン酸フェンタニル(fetanyl)/ドロペリドール、ヘキソバルビタール、塩酸ケタミン、メトヘキシタールNa、チアミラールNa、チオペンタールNa。
抗てんかん薬の例は、限定なしに、カルバマゼピン、クロナゼパム、ジバルプロエクスNa、エトスクシミド、メフェニトイン、パラメタジオン、フェニトイン、プリミドンを包含する。
【0085】
治療剤として使用され得るペプチドおよびタンパク質の例は、限定なしに、以下を包含する:アンキリン、アレスチン、細菌膜タンパク質、クラスリン、コネキシン、ジストロフィン、エンドセリン受容体、スペクトリン、セレクチン、サイトカイン;ケモカイン;成長因子、インスリン、エリスロポエチン(EPO)、腫瘍壊死因子(TNF)、ニューロペプチド、ニューロペプチドY、ニューロテンシン、トランスフォーミング増殖因子アルファ、トランスフォーミング増殖因子ベータ、インターフェロン(IFN)、およびホルモン、成長阻害剤、例として、ゲニステイン、ステロイド等々;糖タンパク質、例として、ABCトランスポーター、血小板糖タンパク質、GPIb-IX複合体、GPIIb-IIIa複合体、ビトロネクチン、トロンボモジュリン、CD4、CD55、CD58、CD59、CD44、リンパ球機能関連抗原、細胞間接着分子、血管細胞接着分子、Thy-1、アンチポーター、CA-15-3抗原、フィブロネクチン、ラミニン、ミエリン関連糖タンパク質、GAP、GAP-43、Exendin-4、およびGLP-1。
【0086】
サイトカインおよびサイトカイン受容体の例は、限定なしに、以下を包含する:インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-1受容体、IL-2受容体、IL-3受容体、IL-4受容体、IL-5受容体、IL-6受容体、IL-7受容体、IL-8受容体、IL-9受容体、IL-10受容体、IL-11受容体、IL-12受容体、IL-13受容体、IL-14受容体、IL-15受容体、IL-16受容体、IL-17受容体、IL-18受容体、リンホカイン阻害因子、マクロファージコロニー刺激因子、血小板由来成長因子、幹細胞因子、腫瘍成長因子ベータ、腫瘍壊死因子、リンホトキシン、Fas、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ。
【0087】
成長因子およびタンパク質ホルモンの例は、限定なしに、以下を包含する:エリスロポエチン、アンギオジェニン、肝細胞成長因子、線維芽細胞成長因子、ケラチノサイト成長因子、神経成長因子、腫瘍成長因子アルファ、トロンボポエチン、甲状腺刺激因子、甲状腺放出ホルモン、ニューロトロフィン、上皮成長因子、VEGF、毛様体神経栄養因子、LDL、ソマトメジン、インスリン成長因子、インスリン様成長因子IおよびII。
ケモカインの例は、限定なしに、以下を包含する:ENA-78、ELC、GRO-アルファ、GRO-ベータ、GRO-ガンマ、HRG、LIF、IP-10、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MIP-1アルファ、MIP-1ベータ、MIG、MDC、NT-3、NT-4、SCF、LIF、レプチン、RANTES、リンホタクチン、エオタキシン-1、エオタキシン-2、TARC、TECK、WAP-1、WAP-2、GCP-1、GCP-2;アルファ-ケモカイン受容体:CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7;ベータ-ケモカイン受容体:CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7。
【0088】
いくつかの態様において、本明細書中に記載された送達ビヒクルを使用して送達され得る抗体は、限定なしに、以下を包含する抗原を標的とする:(a)分化抗原CD-1~CD-166およびこれらの分子に対するリガンドまたは対抗受容体の抗クラスター;(b)抗サイトカイン抗体、例として、抗IL-1~抗IL-18およびこれらの分子に対する受容体;(c)抗免疫受容体抗体、T細胞受容体、主組織適合複合体IおよびII、B細胞受容体、セレクチンキラー阻害性受容体、キラー活性化受容体、OX-40、MadCAM-1、Gly-CAM1、インテグリン、カドヘリン(cadherens)、シアロアドヘリン(sialoadherens)、Fas、CTLA-4、Fcガンマ受容体、Fcアルファ受容体、Fcイプシロン受容体、Fcミュー受容体、およびこれらのリガンド、に対する抗体;(d)抗メタロプロテイナーゼ抗体、例として、コラゲナーゼ、MMP-1~MMP-8、TIMP-1、TIMP-2;抗細胞溶解/炎症誘発性分子、例として、パーフォリン、補体構成成分、プロスタノイド、窒素酸化物(nitron oxide)、トロンボキサン;ならびに抗接着分子、例として、癌胎児性抗原、ラミン、フィブロネクチン。
【0089】
非限定的な、例示の抗体およびそのフラグメントは、以下を包含する:ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、B細胞慢性リンパ性白血病に適応される)、ゲムツズマブ(MYLOTARG(登録商標)、hP67.6、抗CD33、急性骨髄性白血病などの白血病に適応される)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標)、抗CD20、B細胞悪性腫瘍に適応される)、MDX-210(HER-2/neuがん遺伝子産物および免疫グロブリンG(IgG)のためのI型Fc受容体(FcガンマRI)へ同時に結合する二重特異性抗体)、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標)、卵巣がんに適応される)、エドレコロマブ(PANOREX(登録商標))、ダクリズマブ(ZENAPAX(登録商標))、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標)、RSV感染などの呼吸器の状態に適応される)、イブリツモマブ チウキセタン(ZEVALIN(登録商標)、非ホジキンリンパ腫に適応される)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、MDX-447、MDX-22、MDX-220(抗TAG-72)、IOR-C5、IOR-T6(抗CD1)、IOR EGF/R3、セロゴバブ(celogovab)(ONCOSCINT(登録商標)OV103)、エプラツズマブ(LYMPHOCIDE(登録商標))、ペムツモマブ(THERAGYN(登録商標))およびグリオマブ-H(脳がん、メラノーマに適応される)。他の抗体および抗体フラグメントは企図され、および本開示に従って使用され得る。
いくつかの態様において、治療剤は、ナノボディである。「ナノボディ」は、自然に生じる重鎖のみの抗体の独特の構造的および機能的特性を含有する単一ドメイン抗体フラグメントに基づいた治療タンパク質である。いくつかの態様において、ナノボディは、抗炎症薬である。いくつかの態様において、ナノボディは、病原体(例として、炭疽菌)に対するものである。
【0090】
いくつかの態様において、治療剤は、細胞受容体(例として、限定なしに、成長因子受容体、Gタンパク質共役受容体、またはToll様受容体)に対するリガンドである。
調節タンパク質は、いくつかの態様において、転写因子または免疫調節タンパク質であり得る。非限定的な、例示の転写因子は、以下を包含する:Rel-A、c-Rel、Rel-B、p50およびp52などのNFkBファミリーのもの;Fos、FosB、Fra-1、Fra-2、Jun、JunBおよびJunDなどのAP-1ファミリーのもの;ATF;CREB;STAT-1、-2、-3、-4、-5および-6;NFAT-1、-2および-4;MAF;甲状腺因子;IRF;Oct-1および-2;NF-Y;Egr-1;およびUSF-43、EGR1、Sp1、およびE2F1。
抗ウイルス剤の例は、限定なしに、以下を包含する:逆転写酵素インヒビターおよびヌクレオシドアナログ、例として、ddI、ddC、3TC、ddA、AZT;プロテアーゼインヒビター、例として、インビラーゼ;ABT-538;RNAプロセッシングにおけるインヒビター、例として、リバビリン。
【0091】
本明細書中に記載されたセラミドへ共役させることによって送達され得る他の知られている治療薬の非限定的な例は、以下を包含する:
(a)カポテン(Capoten)、モノプリル(Monopril)、プラバコール(Pravachol)、アバプロ(Avapro)、プラビックス(Plavix)、セフジル(Cefzil)、デュリセフ(Duricef)/ウルトラセフ(Ultracef)、アザクタム(Azactam)、ヴァイデックス(Videx)、ゼリット(Zerit)、マキシピーム(Maxipime)、ベプシド(VePesid)、パラプラチン(Paraplatin)、プラチノール(Platinol)、タキソール(Taxol)、UFT、バスパー(Buspar)、セルゾン(Serzone)、スタドール(Stadol)NS、エストレース(Estrace)、グルコファージ(Glucophage)(Bristol-Myers Squibb);
(b)セクロール(Ceclor)、ロラビド(Lorabid)、ジナバク(Dynabac)、プロザック(Prozac)、ダルボン(Darvon)、ペルマックス(Permax)、ジプレキサ(Zyprexa)、ヒューマログ(Humalog)、アキシッド(Axid)、ジェムザール(Gemzar)、エビスタ(Evista)(Eli Lily);
(c)バソテック(Vasotec)/バセレティック(Vaseretic)、メバコール(Mevacor)、ゾコール(Zocor)、プリニビル(Prinivil)/プリンザイド(Prinizide)、プレンジル(Plendil)、コザール(Cozaar)/ハイザール(Hyzaar)、ペプシド(Pepcid)、プリロセック(Prilosec)、プリマキシン(Primaxin)、ノロキシン(Noroxin)、リコンビバックス(Recombivax)HB、バリバックス(Varivax)、チモプティク(Timoptic)/XE、トルソプト(Trusopt)、プロスカー(Proscar)、フォサマックス(Fosamax)、シネメット(Sinemet)、クリキシバン(Crixivan)、プロペシア(Propecia)、ビオックス(Vioxx)、シングレア(Singulair)、マクサルト(Maxalt)、イベルメクチン(Ivermectin)(Merck&Co.);
(d)ジフルカン(Diflucan)、ユナシン(Unasyn)、スルペラゾン(Sulperazon)、ジスロマック(Zithromax)、トロバン(Trovan)、プロカジア(Procardia)XL、カルデュラ(Cardura)、ノルバスク(Norvasc)、ドフェチリド(Dofetilide)、フェルデン(Feldene)、ゾロフト(Zoloft)、ゼルドックス(Zeldox)、グルコトロール(Glucotrol)XL、ジルテック(Zyrtec)、エレトリプタン(Eletriptan)、バイアグラ(Viagra)、ドロロキシフェン(Droloxifene)、アリセプト(Aricept)、リピトール(Lipitor)(Pfizer);
(e)バンチン(Vantin)、レスクリプター(Rescriptor)、ビスタイド(Vistide)、ジェノトロピン(Genotropin)、ミクロナーゼ(Micronase)/グリン.(Glyn.)/グリブ.(Glyb.)、フラグルニン(Fragrnin)、トータルメドロール(Total Medrol)、ザナックス(Xanax)/アルプラゾラム、サーミオン(Sermion)、ハルシオン(Halcion)/トリアゾラム、フリードックス(Freedox)、ドスティネックス(Dostinex)、エドロナックス(Edronax)、ミラペックス(Mirapex)、ファルモルビシン(Pharmorubicin)、アドリアマイシン(Adriamycin)、カルンプトサー(Carnptosar)、レミサール(Remisar)、デポ・プロベラ(Depo-Provera)、カバージェクト(Caverject)、デトルシトール(Detrusitol)、エストリング(Estring)、ヒアロン(Healon)、キサラタン(Xalatan)、ロゲイン(Rogaine)(Phannacia & Upjohn);
(f)ロピッド(Lopid)、アキュプリル(Accrupil)、ディランティン(Dilantin)、コグネックス(Cognex)、ニューロンティン(Neurontin)、ロエストリン(Loestrin)、ディルゼム(Dilzem)、フェムパッチ(Fempatch)、エストロステップ(Estrostep)、レズリン(Rezulin)、リピトール(Lipitor)、オムニセフ(Omnicef)、フェムハート(FemHRT)、スラミン(Suramin)およびクリナフロキサシン(Clinafloxacin)(Warner Lambert)。
【0092】
眼疾患のための治療剤の非限定的な例は、以下を包含する:抗感染薬物(例として、アシクロビル、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ポリミキシンB);抗炎症薬物(例として、ベタメタゾン、デキサメタゾン、エメダスチン、ネドクロミルナトリウム、プレドニゾロン、クロモグリク酸ナトリウム);人工涙液(例として、カルメロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール);および散瞳薬(例として、アトロピン、シクロペントラート、フェニレフリン)。
本発明のセラミド-治療剤複合体によって送達され得る治療剤のさらなる非限定的な例は:Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics. 9th ed. McGraw-Hill 1996において見出され得る。
【0093】
セラミドおよび送達される剤を含む送達ビヒクル、またはセラミド-薬剤複合体(例として、セラミド-治療剤)複合体は、医薬組成物へと製剤化されていてもよい。いくつかの態様において、医薬組成物は、薬学的に許容し得る担体をさらに含む。「薬学的に許容し得る」は、健全な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比で釣り合っているそれらの化合物、材料、組成物および/または投薬形態を指す。「薬学的に許容し得る担体」は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤またはカプセル化材料などの、薬学的に許容し得る材料、化合物またはビヒクルであって、1つの器官または身体の一部分から物の器官または身体の一部分へと対象とする剤を運ぶことまたは輸送することに関与するものであり得る。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、および患者の組織に傷害性でない(例として、生理学的に適合性、滅菌されている、生理学的pH、等々)という意味で「許容し得る」ものでなくてはならない。用語「担体」は、適用を円滑化するために活性成分と組み合わせられる自然または合成の、有機もしくは無機の成分を指し示す。医薬組成物の構成成分はまた、本開示の分子とともにまたは互いに、所望の薬効を実質的に損なう相互作用がないような様式で混じり合う能力も持つ。
【0094】
薬学的に許容し得る担体をして役立つことができる材料のいくつかの例は、以下を包含する:(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロースおよび酢酸セルロースなどの、セルロースおよびその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑沢剤;(8)ココアバターおよび坐剤ロウなどの賦形剤;(9)落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物資非含水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボナートおよび/またはポリ無水物;(22)ポリペプチドおよびアミノ酸などの増量剤;(23)血清アルブミン、HDLおよびLDLなどの血清構成要素;(22)エタノールなどのC2~C12アルコール;および(23)医薬製剤において用いられる他の非毒性の適合性物質。湿潤剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、フレーバー剤、香り付与剤、防腐剤および抗酸化剤もまた、製剤中に存在することができる。
【0095】
医薬組成物は、便利に単位用量形態で提示されてもよく、また、薬学の技術分野においてよく知られている方法のあらゆるものによって調製されてもよい。用語「単位用量」は、本開示の医薬組成物への参照において使用されるときには、各々の単位が、要求される希釈剤;すなわち、担体またはビヒクル、と関連して所望の治療効果を生み出すために算出された所定の量の活性材料を含有する、対象への1単位の投薬として好適である物理的に孤立した単位を指す。
【0096】
医薬組成物の剤形は、投与のルートに依存的なものであり得る。非経口投与、または腫瘍内、腫瘍周囲、病変内もしくは病変周囲投与のために好適な注射可能な調製物は、例えば、滅菌された注射可能な水性または油性の懸濁物を包含し、および、知られている技術により、好適な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して、製剤化され得る。滅菌された注射可能な調製物はまた、例えば、1,3プロパンジオールまたは1,3ブタンジオール中における溶液のような、無毒の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中における、滅菌された溶液、懸濁物またはエマルションであってもよい。許容し得るビヒクルおよび溶媒の中でも、採用され得るものは、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌された固定油が、慣用的に溶媒または懸濁媒体として採用される。この目的のために、あらゆる低刺激性固定性油が採用され得、これには合成モノまたはジ-グリセリドが包含される。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も、注射剤での使用が見出される。注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または、滅菌水または他の滅菌された注射可能な媒体中に使用前に溶解または分散されることができる滅菌された固体組成物の形態である滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0097】
経口投与に適切である組成物は、所定の量の抗炎症剤を各々が含有する、カプセル、錠剤、トローチなどの孤立した単位として提示され得る。他の組成物は、シロップ、エリキシルまたはエマルションなどの、水性液体または非水性液体中における懸濁物を包含する。
他の送達系は、時間放出、遅延放出または持続放出送達系を包含することができる。かかる系は、抗炎症剤の繰り返し投与を回避することができ、対象および医師に対する利便性を増加させる。多数のタイプの放出送達系が利用可能であり、および当業者に知られている。それらは、ポリ(ラクチド-グリコリド)、コポリシュウ酸塩、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸、およびポリ無水物などのポリマー基剤系を包含する。薬物を含有する前述のポリマーのマイクロカプセルは、例えば、米国特許第5,075,109号に記載されている。
【0098】
送達系はまた、以下の非ポリマー系を包含する:コレステロールなどのステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸またはモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドなどの中性脂肪、を包含する脂質;ヒドロゲル放出系;シラスチック系;ペプチドに基づいた系;ワックスコーティング;慣用のバインダーおよび賦形剤;部分的に融合されたインプラント;等。特定的な例は、これらに限定されるものでないが、以下を包含する:(a)米国特許第4,452,775号、4,667,014号、4,748,034号および5,239,660号に記載されたものなどの、マトリックス内の形態で抗炎症剤が含有される侵食系、および(b)米国特許第3,832,253号および3,854,480号に記載されているなどの、ポリマーから制御された速度で活性な構成成分が透過する拡散系。加えて、ポンプに基づいたハードウェア送達系を使用することができ、そのいくつかはインプラントに適合される。
【0099】
長期持続型放出インプラントの使用は、慢性状態の処置のために特に好適であり得る。長期放出は、本明細書中で使用され、インプラントが少なくとも30日間、および好ましくは60日間、活性成分の治療的レベルを送達するように構築および配置されることを意味する。長期持続型放出インプラントは、当業者によく知られており、および、上に記載された放出系のいくつかを包含する。
いくつかの態様において、治療的投与のために使用される医薬組成物は、滅菌されていなければならない。滅菌性は、滅菌濾過膜(例として、0.2ミクロン膜)を通した濾過によって容易に成し遂げられる。代替的に、防腐剤を、微生物の成長または作用を予防するために使用することができる。様々な防腐剤がよく知られており、および、例えば、フェノールおよびアスコルビン酸を包含する。医薬組成物は、通常、凍結乾燥された形態でまたはそれが熱および酸化変性に対して高度に安定であれば水性溶液として、保管されることになる。調製物のpHは、典型的には、約6~8になるが、ただし、ある事例では、より高いかまたはより低いpH値もまた適当であるとすることができる。
【0100】
本開示の他の側面は、細胞内へとまたは粘膜表面または内皮バリアを横切って剤(例として、治療剤)を送達する方法であって、送達ビヒクルもしくは剤の取り込みまたは粘膜表面または内皮バリアを横切る送達ビヒクルもしくは剤の吸収(例として、トランスサイトーシスを介して)に適した条件下で、送達ビヒクル、セラミド-薬剤複合体(例として、セラミド-治療剤複合体)、または、送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体(例として、セラミド-治療剤複合体)を含む医薬組成物を細胞または粘膜表面または内皮ルーメン表面と接触させることを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、送達ビヒクル、セラミド-薬剤複合体、または、送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体(例として、セラミド-治療剤複合体)を含む医薬組成物が、対象へ投与される。
【0101】
送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体の静脈内注入を介して異なる器官へ、剤(例として、治療剤)を送達する方法もまた提供される。かかる器官は、例えば、限定なしに、骨格、関節、筋肉、腱、様々な種類の腺、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺、横隔膜、腎臓、尿管、膀胱、尿道、卵巣、子宮、前立腺、心臓、リンパ節、骨髄、胸腺、脾臓、脳および脊髄であり得る。いくつかの態様において、送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体は、それが静脈内注入後に器官に到達するときに、内皮バリア(例として、心臓または脳における内皮バリア)を横切って送達される。いくつかの態様において、静脈内注入された送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体は、異なる器官へ送達され、リソソーム(例として、リソソーム補充療法のため)またはER(例として、タンパク質フォールディングの問題に対処するため)などの細胞内コンパートメント中へと選別される.送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体の静脈内注入後の肝臓への送達は、剤の肝臓への送達を、剤を単独で送達するときと比較して大きく向上させる(例として、少なくとも20%)。
【0102】
対照において剤の半減期を向上させる方法が提供され、方法は、本明細書中に記載された送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物を対象へ投与することを含む。
それを必要とする対象において疾患または状態を処置する方法が提供され、方法は、有効量の、本明細書中に記載された送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、または組成物を対象へ投与することを含み、ここで有効量は、対象において疾患または状態が起こる度合いを改善/低減するのに十分な量である。疾患は、本明細書中に記載された剤によって処置することができるあらゆる疾患であり得る。いくつかの態様において、疾患は、感染症、アレルギー、自己免疫疾患(例として、多発性硬化症)、肝疾患、肺疾患、神経疾患,眼疾患またはがんである。
【0103】
「有効量」は、対象において所望の効果を有するのに必要または十分な量である。有効量は、処置される特定の状態、処置される対象の年齢および体調、状態の重症度、処置の期間、併用療法(もしあれば)の性質、特定的な投与の経路、ならびに医療従事者の知識および専門技能の内にある他の要因により、変動し得る。例えば、有効量は、腫瘍、がん、または細菌、ウイルスもしくは真菌感染を解消するのに必要な量とすることができる。この量は、個体間で変動することになり、および、当業者に知られている方法を使用して経験的に決定することができる。
【0104】
送達ビヒクル、セラミド-薬剤複合体、または、送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体(例として、セラミド-治療剤複合体)を含む医薬組成物は、あらゆるルートによって投与され得る。投与のルートは、経口および胃腸管が関与するあらゆる他の手段などの経腸ルート、および、注射(皮下、静脈内、筋肉内注射)によるものまたは注入(典型的には静脈内ルートによる)などの非経口ルートを包含する。いくつかの態様において、投与は、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、髄腔内に、腹腔内に、動脈内に、心臓内に、骨内に、眼内に、硝子体内に、胸膜内に、鼻腔内になされるか、または、関節内への注射である。注射は、ボーラスでのもの、または継続的注入とすることができる。いくつかの態様において、投与は、非経口的になされる(例として、経口で、舌下で、局所的に、経直腸的に、吸入を介して、経鼻で、点眼薬として、眼帯として、子宮頸部へ、または皮膚へなされる)。緊密な内皮バリアを横切る送達のためには、いくつかの態様において、セラミド-治療剤複合体が、静脈内で、筋肉内で、または皮下で送達される。
【0105】
疾患または障害を処置する方法もまた提供される。送達ビヒクル、セラミド-薬剤複合体、または、送達ビヒクルまたはセラミド-薬剤複合体(例として、セラミド-治療剤複合体)を含む医薬組成物は、処置を要するかもしくはその恩恵が得られる1以上の状態/疾患を、有するか、有していたかまたは発症しやすい対象へ投与され得る。例えば、本明細書中に記載された組成物は、免疫系欠損、感染性疾患(ウイルス、真菌、細菌、または寄生生物)、自己免疫疾患、糖尿病、血液障害、がん、代謝障害、アレルギー、炎症性腸疾患および皮膚障害を、処置するか、予防するかまたは改善するために使用され得る。加えて、抗原に付着したガングリオシドは、対象のワクチンに対する応答を刺激するために投与されることができる。抗原は、以下からなる群から選択される:病原体に特徴的である抗原、自己免疫疾患に特徴的である抗原、アレルゲンに特徴的である抗原および腫瘍に特徴的である抗原。いくつかの態様において、処置される疾患または障害は、糖尿病である。いくつかの態様において、処置される疾患または障害は、感染症、例として、病原性ウイルス、細菌、または真菌によるものである。いくつかの態様において、疾患または障害は、がんである。
【0106】
免疫系欠損は、対象の免疫系が正常に機能していないか、またはそれが、対象の免疫応答をブーストするのに、例えば腫瘍またはがん(例として、脳、肺(例として、小細胞および非小細胞)、卵巣、乳房、前立腺、結腸、の腫瘍ならびに他の癌および肉腫)または対象における感染を解消するのに有用となるようには機能していない、あらゆる疾患または障害を包含する。
自己免疫疾患の例は、限定なしに、以下を包含する:アジソン病、真性糖尿病(1型)、グレーブス病、間質性膀胱炎、エリテマトーデス、多発性硬化症および橋本甲状腺炎。アレルギー状態は、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、花粉症、気管支喘息、蕁麻疹(じんましん)および食物アレルギー、および他のアトピー状態を包含する。
【0107】
非限定的な例示のがんは、以下を包含する:新生物、悪性腫瘍、転移、またはがん性と見なされるような制御されない細胞成長によって特徴づけられるあらゆる疾患もしくは障害。がんは、原発性または転移がんであり得る。
がんは、成人および小児の急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、AIDS関連がん、肛門がん、虫垂のがん、星状細胞腫、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん、胆道がん、骨肉腫、線維性組織球腫、脳がん、脳幹神経膠腫、小脳星状細胞腫、悪性神経膠腫、膠芽腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視床下部神経膠腫、乳房がん、男性乳房がん、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、起源不明の癌、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、悪性神経膠腫、子宮頸部のがん、小児がん、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ球性および骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、大腸がん、皮膚T細胞性リンパ腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、
【0108】
ユーイングファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝臓外胆管がん、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃がん、消化管間質腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞性白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部および視経路神経膠腫、眼内黒色腫、島細胞腫、カポジ肉腫、腎臓がん、腎細胞がん、喉頭がん、口唇および口腔がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、悪性線維性組織球腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫、扁平上皮頸部がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉腫、
【0109】
骨髄異形成症候群、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄増殖性疾患、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体芽細胞腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体がん、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽細胞腫、前立腺がん、直腸がん、横紋筋肉腫、唾液腺がん、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非黒色腫皮膚がん、小腸がん、扁平上皮癌、扁平上皮頸部がん、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣がん、咽喉がん、胸腺腫および胸腺がん、甲状腺がん、移行上皮がん、絨毛性腫瘍、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣のがん、外陰部がん、絨毛癌、血液腫瘍、成人T細胞白血病、リンパ腫、リンパ球性リンパ腫、間質性腫瘍および胚細胞腫瘍、またはウィルムス腫瘍、を包含するがこれらに限定されない。
【0110】
いくつかの態様において、がんは、肺がん、乳房がん、前立腺がん、大腸がん、胃がん、肝がん、膵臓がん、脳および中枢神経系のがん、皮膚がん、卵巣がん、白血病、子宮内膜がん、骨、軟骨および軟組織肉腫、リンパ腫、神経芽細胞腫、腎芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または生殖腺胚細胞腫瘍である。
【0111】
本明細書中で使用される、用語「処置する」は、送達ビヒクル、セラミド-治療剤複合体、またはかかるものを含む組成物の、それを必要とする対象への適用または投与を指す。「それを必要とする対象」は、疾患、疾患の症状、または疾患にかかりやすい素因を治癒する、修復する、軽減する、緩和する、変える、救済する、改善する、良くする、またはこれに影響を及ぼすという目的が伴う、疾患、疾患の症状、または疾患にかかりやすい素因を有する個体を指す。
【0112】
投与が企図される「対象」は、ヒト(すなわち、あらゆる年齢グループの男性または女性、例として、小児の対象(例として、幼児、子ども、または青年)または成人の対象(例として、若年成人、中年成人、または高齢者))、または非ヒト動物を指す。いくつかの態様において、非ヒト動物は、ほ乳類(例として、げっ歯動物(例として、マウスまたはラット)、霊長類(例として、カニクイザルまたはアカゲザル)、商業に関連する哺乳動物(例として、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、またはイヌ)、または鳥類(例として、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、またはシチメンチョウなどの商業に関連する鳥類))である。非ヒト動物は、あらゆる発育段階の雄または雌であり得る。非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子操作された動物であってもよい。
【0113】
いくつかの態様において、対象は、コンパニオン動物(ペット)である。本明細書中で使用するとおりの「コンパニオン動物」は、ペットおよび他の家畜を指す。コンパニオン動物の非限定的な例は、イヌおよびネコ;ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、オヨビニワトリなどの家畜類;およびマウス、ラット、モルモット、およびハムスターなどの他の動物を包含する。いくつかの態様において、対象は、研究動物である。研究動物の非限定的な例は、以下を包含する:げっ歯動物(例として、ラット、マウス、モルモット、およびハムスター)、ウサギ、または非ヒト霊長類。
いくつかの態様において、「それを必要とする対象」は、本明細書中に記載された疾患の処置を必要とする対象を指す。
【0114】
疾患を軽減することは、疾患の発症もしくは進行を遅延させること、または疾患の重症度を低減させることを包含する。疾患を軽減することは、必ずしも治癒的な結果を要求しない。その中で使用される、疾患の発症を「遅延させること」は、疾患の進行を先延ばしにすること、妨害すること、減速させること、遅らせること、安定させること、および/または先送りすることを意味する。この遅延は、疾患の履歴および/または処置される個体に依存して、時間の長さを変えるものとすることができる。疾患の発症を「遅延させる」かもしくは緩和するか、または疾患の発病を遅延させる方法は、方法を使用しないのと比較したとき、与えられた時間枠内で疾患の1つ以上の症状を発症する確率を低減させる、および/または与えられた時間枠内で症状の度合いを低減させる方法である。かかる比較は、典型的には、統計的に有意な結果を生じさせるのに十分な数多くの対象を使用した臨床研究に基づく。
【0115】
疾患の「発症」または「進行」は、疾患の最初の兆候および/またはその後の進行を意味する。疾患の発症は、検出可能であり得、当該技術分野において周知のとおり標準的な臨床技法を使用して評価することができる。しかしながら、発症はまた、検出不可能であり得る進行をもまた指す。この開示の目的のために、発症または進行は、症状の生物学的過程を指す。「発症」は、発生、再発、および発病を包含する。本明細書中で使用される、疾患の「発病」または「発生」は、最初の発病および/または再発を包含する。
【0116】
処置される疾患のタイプまたは疾患の部位に依存して、医学の分野における当業者に知られている慣用的な方法を、単離されたポリペプチドまたは医薬組成物を対象へ投与するために使用することができる。この組成物はまた、他の慣用のルートを介して投与されることもでき、例として、経口で、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、経直腸的に、経鼻的に、頬側に、経膣的に、またはインプラントされたリザーバを介して投与される。本明細書中で使用するとおりの用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、動脈内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病変内、および頭蓋内への、注射または注入の技法を包含する。加えて、それは、1、3、または6か月のデポ用の注射可能もしくは生物分解可能な材料および方法を使用するなどの、注射可能なデポでの投与のルートを介して、対象へ投与されることができる。
【0117】
本明細書中に開示された技術の態様、利点、特色および使用のいくつかは、下記の例から、より充分に理解される。例は、本開示の利益のいくつかを例示して具体的な態様を記載することを意図するが、本開示の全範囲の実例を示すことを意図してはおらず、したがって、本開示の範囲を限定しない。
【0118】

例1.細胞内トラフィッキングおよびカーゴ輸送のためにGM1のオリゴ糖ドメインが必須であるかを試験する
粘膜表面は、タンパク質および小ペプチドに対してさえも不透過性であるタイトジャンクションによって繋ぎ合わせられた、繊細であるが高度に効果的である円柱上皮細胞の単層のみによって宿主組織が環境から分離される広大なエリアを表す。エンドサイトーシスによって上皮細胞内へと直接非特異的に取り込まれるタンパク質は、一般的に分解のためにリソソームへ輸送される。ここまでのところ、このバリアをくぐり抜ける合理的かつ効率的な方法の欠如が、粘膜薬物送達のための大半の治療タンパク質およびペプチドの適用を妨げてきている。
【0119】
内皮細胞もまた、広大で、および高度に制限的な、大半の組織を血流から分離させる単細胞の厚いバリアを形成する。腸内、糸球体内、および肝臓内の血管系を除いて、健康な、炎症のない内皮バリアは、大きな分子の透過性を強力に規制する;よって、多数の組織の細胞への多数のタンパク質ベースのバイオ医薬品のアクセスを -治療タンパク質が経静脈内で適用されるときでさえ、妨げている。
【0120】
大きな溶質(例として、タンパク質およびペプチドバイオ医薬品)が高度に抵抗性である細胞間タイトジャンクションを持つ単純な上皮および内皮バリアを横切るための経路は、トランスサイトーシス - 極性化された細胞の1つの表面を他と接続する細胞間膜トラフィッキングのプロセスによる(図1)。GM1スフィンゴ糖脂質は、上皮バリアをトランスサイトーシスによって横切り、および、そのセラミドドメインの構造は、この経路を通じた輸送を決定づけるということが記載されている。非天然性「短鎖」脂肪酸をセラミドドメイン中に含有するGM1種は、より効率的な、単純な上皮バリアを横切る輸送を可能にし、および、いくつかのものは、トランスサイトーシスの後に溶液中へと細胞膜から戻って放出されることができる。「短鎖」GM1スフィンゴ糖脂質は、治療ペプチド(GLP-1)を、これらを全身に送達するために腸管上皮バリアを横切って運搬することができるということもまた見出された。これらのin vivo研究は、バイオ医薬品の経口送達について現在達成されている最良のものをはるかに上回る吸収を示す。
【0121】
「ねじれた」シス不飽和C18:1もしくはC16:1脂肪酸、または非天然性「短鎖」C12:0~C4:0脂肪酸を含有するGM1-セラミドは、細胞内の様々な行先(再循環経路、およびゴルジおよびERへの逆行性経路を包含する)への輸送のための上皮細胞の選別/再循環エンドソームに進入するということが、非極性細胞において見出された。これらの脂質は、後期エンドソーム経路中へは通行しない。対照的に、長い飽和脂肪酸鎖(C16:0またはそれよりも長い)を持つGM1-スフィンゴ脂質は、効率的に後期エンドソームおよびリソソーム中へと選別される(図19)。結果は、分子形状および膜ドメインによる脂質選別についてのモデルと一貫している。
【0122】
極性化された上皮細胞においては、別の選別事象が選別エンドソームから出現し、およびトランスサイトーシス経路中へと導く。この経路は、短いまたは不飽和のGM1-セラミドが細胞を反対側の細胞表面まで横切ることを許容し、よってトランスサイトーシスにより上皮バリアに隙間を作る(breeching)(図1)。GM1糖脂質は、培養における腸管上皮細胞の極性化された単分子層を完全に横切って80kDaのタンパク質であるコレラ毒素を運搬することができるということが見出されており、in vivoでの腸管を横切るタンパク質吸収における機能が暗示される。
【0123】
これらの結果に基づいて、バイオ医薬品の薬物送達のためのトラフィッキングビヒクルとしてスフィンゴ糖脂質を活用し得るという構想を試験した。グリコセラミドGM1のシアル酸への共役のための反応性アミノオキシC-末端残基、迅速かつ高親和性の単離のためのビオチン基、およびカーゴへの共役のための(例として、Fluor 488を介した検出のための)アルキン基、を持っている全D異性体アミノ酸レポーターペプチドを開発した(図2)。
構造機能研究は、生化学的に(図3)および形態学的に(図21)評価したとおり、ある新規な短鎖セラミド種が、in vitroでの上皮単分子層を横切るペプチド-GM1融合分子の経細胞輸送(トランスサイトーシス)を可能にしたということを示した。化学阻害剤、および、トランスサイトーシスのために要求される遺伝子の遺伝子枯渇を使用した研究は、ペプチド-GM1融合分子が、傍細胞「漏出」により細胞の周りにではなくトランスサイトーシスにより細胞を通ることによって上皮単分子層を横切るということを示した(図22)。
【0124】
血液中および肝組織中で評価したとおり、経口で(胃強制飼養により)マウスにin vivo適用したとき、ペプチド-GM1融合分子は、腸管を横切って血液循環中へと吸収された(図4A~4D)。共役していないペプチドは、しかしながら、吸収されない。血中で生化学的に、および、撮像によって形態学的に評価したとおり、鼻腔上皮におけるペプチド-GM1融合分子の吸収が観察された(図23)。
インクレチンホルモンGLP-1をカーゴとして使用して、橋渡し研究(translational research)を実施した。ヒトGLP1は、膵臓または腸内分泌細胞で生産されるプログルカゴンの切断産物である。天然のGLP-1は、それをII型糖尿病のための効果的な処置にさせるようなグルコース代謝に対する複数の生理的特性を保有する。
【0125】
脳にもまたGLP-1に対する受容体があり、および、分子が食欲制御において動作し得る証拠があり、これは他の臨床適用も提案する。この場合には、上皮バリアを横切る輸送は、GLP-1ペプチド単独をほぼ100倍上回る。右へのパネルに示された用量反応によって評価したとおり、脂質担体へのペプチドホルモンの融合は、極めて控えめなホルモン機能の損失を引き起こす(REDで表された融合分子は約半対数(half-log)効力が少ないが、しかしそれでもなおピコモーラーの範囲でも機能的である)。GM1のオリゴ糖ドメインへの融合後に、GLP-1インクレチン機能は保持されるということが見出された(図5A)(活性における半対数損失)。in vitroで試験したとき、GLP-1は、短鎖GM1種によって、ペプチド単独について観察されたそれを100倍近く上回って上皮バリアを横切り輸送された(図5B)。
【0126】
レポーターペプチド-GM1融合分子を使用したin vivo研究と一貫して、マウスに胃強制飼養を介して適用されたとき、GLP-1-GM1融合分子は吸収され、およびグルコース代謝に対する効果を有したということが、耐糖能試験における血糖を正常化させるのにかかる低減された時間によって裏付けられて見出された(図6)。GLP-1-GM1融合分子が血液中へと吸収されることを生化学的に確認するためのアッセイを、最近開発した(図示せず)。GLP-1ペプチド単独では吸収されず、およびグルコース代謝に対する検出可能な効果を有しない。
トラフィッキングにおいて役割を果たし得たかもしれないGM1の別の構造的特徴は、細胞外オリゴ糖頭部基である。本明細書中にさらに記載されるのは、細胞内トラフィッキングおよびカーゴ輸送のためにGM1のオリゴ糖ドメインが必須であるかを試験するために設計された研究である。脂質担体を単純化することは、臨床解釈に重要であり得る。乳脂肪から簡単に収穫される単純なグリコセラミドをGM1の代わりに使用することができるか、およびGM1のオリゴ糖ドメインを完全に解消することができるかを本明細書中で試験し、よって完全にかつ実際的に合成することができる単純化されたコア送達分子を定義する。
【0127】
グリコセラミド構造を単純化することは、2つの主要な重要性を有し得る。第一に、これは分子の全面的な化学合成を可能にし、およびより簡単な臨床への橋渡しを許す。第二に、トラフィッキングに影響を及ぼすオリゴ糖頭部基の構造的要素が同定され得、これはスフィンゴ糖脂質についての構造活性相関の理解を向上させ、および、失われた機能性を取り戻す新規なペプチドリンカーの設計の助けになる。
【0128】
糖頭部基のいくらかの機能性が予期される。最低でも、GM1のオリゴ糖ドメインは、セラミドを外側膜葉中に捕捉することにより、フリップフロップを防ぎおよび分子を細胞内および細胞間の分布のための膜トラフィッキングに依存性にすることによって、あるいは、分子を整形することによって、機能すると予測される。かかる機能は、しかしながら、単純にペプチドまたはタンパク質カーゴのセラミドドメインへの付着により再現され得たかもしれない。それでもなお、GM1のオリゴ糖頭部基は、GM1トラフィッキングを駆り立てる選別反応にもまた参加し得たかもしれない。そうであれば、かかるトラフィッキング機能を回復させるペプチドリンカーを設計することが可能であり得る。オリゴ糖ドメインおよびその損失への順応を試験することが、この狙いの議題である。
【0129】
初めに、GM1の2つの単純化された構造的類似体を試験する:グルコシルセラミド(Glc-Cer - 1つの糖残基)、およびセラミド単独(糖なし)。これらの脂質は、異なるセラミド構造を持つものが市販で入手可能である(Avanti Polar Lipids)。セラミド(Cer)およびGlc-Cerはシアル酸を欠くので、これはセラミド頭部基上へとペプチドを連結させるための代替的な化学戦略を必要にする。全ての脂質は、銅に触媒される「クリック」化学を使用してレポーターペプチドへ共役させられる。CerおよびGlc-Cerはシアル酸を欠くので、これはセラミド頭部基上へとペプチドを連結させるための代替的な化学戦略を必要にする。化学反応の詳細が、図7に示されている。セラミド上(またはGlc-Cerのグルコース環上)に位置する一級ヒドロキシル基は、酸化されることで、アミノオキシ反応基を含有するペプチドと反応し、確立された方法(12、13)におけるとおりである。全ての化合物は、MALDI質量分析(またはLC-MS)およびNMRによって、質量を確認される。
【0130】
極性化された細胞株T84、Caco2およびMDCKを使用してin vitroでGlc-CerおよびCerのトランスサイトーシスを試験した。図5に記載された同じ方法を使用してトランスサイトーシスのための新しいペプチド-セラミド融合分子を試験する。より溶解性に乏しい可能性があることに起因して、脂質はPagano et al.(43)に記載されているとおりBSA(1:1)に複合させられる。
【0131】
もしもセラミド単独に対するレポーターペプチド融合物がGM1-トラフィッキングプラットフォームを模倣するのであれば、おそらくはペプチドリンカーおよびカーゴによって順応した機能である、内葉への膜フリップフロップからスフィンゴ脂質を遮断するためというのを多分除いて、糖基はなくてもよい、ということを結論付けることができる。もしもオリゴ糖ドメインがトラフィッキング機能に決定的に寄与する(および、よって要求される)のであれば、トラフィッキングにおけるオリゴ糖ドメインの機能性を置き換えるペプチドリンカーを設計することができる。複雑なO-連結されたオリゴ糖を脂質上へと合成することの固有の困難性に起因して、疑似糖ペプチドリンカーは、セリン側鎖を介してグルコース、ガラクトースまたはガラクトース-N-アセチル残基へ共役している骨格アミノ酸を使用して合成される(44)。単糖類を含有する、FMoc-保護された構築ブロックアミノ酸は、市販で入手可能であり、および、各4~5つの糖残基を含有する短い直鎖ペプチドの固相ペプチド合成に使用される(図8)。糖基を加えることは、「塊(bulk)」全体、および内在するGM1オリゴ糖によって付与された強い親水性を再現し得るか、または、脂質選別事象に参加することができる細胞外レクチンについてのリガンドとしてグルコースまたはガラクトースを表示するように機能し得る - クラスリンに媒介されないエンドサイトーシスにおけるガレクチン3について提言されたもの(41)などのように。必要であれば、追加のペプチドが分枝された様式で(自然のシアル酸残基で観察されるように)合成されるか、またはGM1オリゴ糖に近似するように頭部形状を変えるために環化される。トランスサイトーシスアッセイは、中スループットの様式で行われることができ、よって多数の異なるペプチドコンストラクトを一緒に評価することができる。
【0132】
もしもグリコセラミド(単一の糖)がGM1-脂質での結果を模倣し、しかしセラミド単独ではそうしないのであれば、糖基は、主として、膜の外葉において分子をアンカーすることでスフィンゴ糖脂質選別に寄与するということを結論付けることができる。両方の場合において、単純化されたスフィンゴ脂質は、GM1に対して(または再設計したペプチド-糖リンカーで)置き換わることができるという可能性がある。
これらの分子は合成することができ、または乳脂肪から容易に精製することができるので、GM1-脂質プラットフォームとして機能するセラミド単独でのまたはGlc-Cerの能力は、臨床応用へのより急速な橋渡しを許容する。
【0133】
例2.GM1とカーゴとの間のペプチドリンカーを、トランスサイトーシスの後または最中にカーゴを放出するように設計することができるかを試験する
本明細書中に記載されるのは、輸送後にカーゴを放出する送達ビヒクルの設計である。事例として、GM1の、より小さいペプチドホルモンGLP-1への融合は、3~8倍の機能の損失を引き起こす。依然として高度に効力があり(pM活性)および生理的に適していながら、GLP-1-GM1融合分子は、それでもなお天然のペプチドより効力が少なかった。ここでは、細胞内への取り込みの後または基底外側エンドソーム内に到着した後でGM1からカーゴを放出することができるようにペプチドリンカーを設計するための、2つのアプローチを試験した。1つのアプローチは、エステル結合の、ペプチドリンカー(炎症の部位で増加したエステラーゼ、例として、白血球エステラーゼ、または胃腸のエンドソームに特異的なカルボキシルエステラーゼhCE-2、に対する標的として)への組み込みが関与するものであり(1、45);および、他のものは、エンドソームプロテアーゼフーリンについての切断モチーフの組み込みが関与するものであった(2~4)。
【0134】
異なるフーリン切断モチーフを、短いペプチドリンカーの文脈の中での活性について試験した。アッセイは、試験されるペプチドの各端にペアになったフルオロフォアを付加することによって、蛍光エネルギー移動(FRET)を使用した高スループットとして設計された。図9は、さらなる試験のための最適配列(FRET 7)の同定を示す。このモチーフが、本明細書中に記載されたリンカー系内へと組み込まれ、および、ペプチドが合成され、精製され、および多くの量で質量分析計によって検証される。それはin vitroおよびin vivoでの試験のためのカーゴおよびGM1への共役がすぐに可能である。
【0135】
FRET 7フーリン切断モチーフまたは切断可能エステル結合はレポーターペプチドリンカー中へと組み込まれ、および、カーゴとして組み込まれるGLP-1もまた伴う。GM1-C12:0種は、この脂質が膜から容易に放出されないため融合パートナーとして使用され、およびこの技術を試験するためのより高感度のアプローチを提供することになる。切断についての効率は、最初に組み換えエステラーゼまたは組み換えフーリンを使用してin vitroで試験され、およびHPLCによって分析される。切断が確認されたら、融合分子を、高度に抵抗性であるT84上皮バリアを横切るカーゴ輸送の効率について試験する(図5に記載されたとおり)。対照カーゴは、切断可能でないリンカーを使用してGM1-C12:0に融合される。融合分子は、セリンプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼの囮としてのBSA、およびエステル結合されたペプチドの囮の存在下で、T84細胞の頂端表面に適用される。経上皮輸送の速度は、切断可能でないペプチドリンカーを対照として使用して比較される。上皮輸送(またはカーゴの細胞質送達)の、切断可能でないペプチドリンカーによって達成されるそれを超えての増加は、切断可能リンカーの技法が実行可能であるということを提案する。
【0136】
参考文献
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0137】
例3.脂肪酸長および二重結合位置決定は、スフィンゴ糖脂質のエンドソーム選別を決定づける
セラミド構造は、エンドサイトーシス後にスフィンゴ糖脂質の細胞内運命を決定するうえで決定的な役割を果たす - 選別エンドソームから出現する高度に湾曲した細管および芽の中へと選別されるそれらの傾向によって説明される。本明細書中では、スフィンゴ糖脂質選別が分子形状またはナノドメイン中への集合(あるいはそれらの両方)に依存するものであるか否かを試験した。飽和長鎖脂肪酸を持つGM1種は、ナノドメイン中へとコレステロールと自己集合する傾向がより高いかもしれない。これらのドメインは細胞性因子によって認識され得、および、再循環エンドソーム細管に進入することを防ぎ分解経路中へと選別され得たかもしれない。
【0138】
脂質充填および後続する分別エンドソーム選別における、セラミド脂肪酸の二重結合位置決定および炭化水素鎖長の役割を調査するために、系統的に長さおよび二重結合位置を増加させたことによって(C12:0~C26:1)、同一のオリゴ糖頭部基を持つがしかし異なる内在構造のセラミドを持つGM1アイソフォームを合成した。
異なるセラミド構造を持つGM1種を、ビオチンおよびフルオロフォア基を含有するD-アミノ酸レポーターペプチドで機能化させた。代替的に、フルオロフォアは、糖頭部基のシアル酸上へと直接であった。脂質をHPLCによって精製し、および、構造をLC/MSによって検証した(図17)。
【0139】
安定な状態での表面GM1は、再循環経路の高度に湾曲した細管中への脂質選別に依存し、および、これは蛍光アビジンプローブを使用して検出されることができる。飽和したより長い(>C14:0)脂肪酸または長鎖不飽和脂肪酸(>C24:1)を持つGM1は、おそらくはリソソームへ選別されて、原形質膜から枯渇し、これは選別細管中への不十分な進入を提案する。C14:0またはC24:1脂肪酸を持つセラミドを含有するGM1は、中間表現型を有する(図18)。
初期エンドソームから出現した選別細管における蛍光標識されたGM1(デキストランおよびTFnRで標識された)を、A431細胞内において直接測定し、および定量化した。短い(<C14:0)または不飽和の(<C24:1)脂肪酸を持つGM1は、分解経路を逃れおよび再循環エンドソーム細管に進入した。MbCDによる細胞コレステロールの枯渇は、長い(>C14:0,≧C24:1)脂肪酸を持つGM1を再循環エンドソーム細管中へと放出する(図19)。
【0140】
2つの追加のエンドサイトーシス経路は、高度に湾曲した細管への選別に依存する-トランスサイトーシスおよび逆行であり、選別細管へのGM1進入についての他の定量的尺度を提供する。個々のGM1種のトランスサイトーシスを、極性化されたMDCK細胞において、蛍光アビジンプローブを使用して頂端から基底外側までのGM1の輸送を検出して測定した。GM1ネガティブ細胞株において読み出したものとして、コレラ毒素による中毒の後でcAMPを使用して個々のGM1種の逆行性トラフィッキングを測定した。毒素は、cAMPを誘導するためにERへ逆行して通行しなければならない。より長い脂肪酸(≧C14:0)、またはモノ不飽和脂肪酸(≧C22:1)を含有するセラミド、を持つGM1は、選別細管に非効率的に進入し、および(おそらくは)リソソーム経路中に保持される(図20)。不飽和結合の位置は、決定的要因がコレステロールとの相互作用であり得るということを提案する。
【0141】
例1~3の方法
ペプチド-GM1抱合体の合成
短いレポーターペプチド(全D異性体)を合成し、および、C2:0脂肪酸尾部を含有するセラミド脂質の頭部基上へと化学的に連結させた。構成要素の性質および標準的な溶媒への不溶性に起因して、これを行うための化学は極めて困難であった。多数の異なるアプローチが試されてきており、うまく機能した戦略が見出された。3ステップの合成のアプローチが、本明細書中に記載される。
【0142】
ステップ1:C2-セラミドの酸化。
「パリック・デーリング(Parikh-Doering)」酸化と呼ばれている方法を使用して、セラミドの頭部基を有機溶媒中で反応性アルデヒドへ酸化させた。反応混合物は以下を含有する:(1)SO3Py:乾燥DMSO中に190~400mg/mL;(2)C8グルコシルセラミド:トリエチルアミン入りの乾燥DMSO中の0.2~0.6M溶液;および(3)トリエチルアミン:7~17当量。結果としてもたらされた生産物を、溶媒抽出により精製し、およびspeed vac中で乾燥させた(図11)。
【0143】
ステップ2:アミノオキシを含有するペプチドの、アルデヒド基への反応
500μLでの20% PBS pH6.9中の80%DMF中で、オキシムに媒介される還元的アミノ化を使用して、「LC9」(D異性体)リンカーペプチドを共役させた(図12)。反応混合物は、471nmolesのペプチド、1,642nmolesの酸化したセラミド、および1μLのアニリンを含有した。終夜のインキュベーション後、形成されたオキシム結合を還元しそれを恒久的に安定した結合にするために5mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムを加えた。
結果としてもたらされた粗製のペプチド-セラミド抱合体または精製された抱合体(収率60%)を、HPLCによって分析した(図13A~13C)。ペプチド-セラミド抱合体の存在を確認するため、生産物を、質量分析計によってもまた分析した(図13D)。
【0144】
ステップ3:Alexa Fluor 488の、セラミド-ペプチド抱合体への銅クリック反応
アジド反応基を含有するAlexaフルオロフォアを、ヒュスゲン(Huisgen)の銅に触媒される環化付加化学を使用してN-末端アルキンを介してペプチド-セラミド抱合体に反応させた(図14)。手短にいうと、186nmolesでのセラミド-ペプチド抱合体を、100mMアスコルビン酸、5mM硫酸銅、0.06mM TBTAおよび1mM TCEPを含有する50mM Tris-Cl pH8中の279nmolesのフルオロフォアに反応させた。生産物を分析し、および、セミ分取HPLCによって精製した(図15)。生産の最終分子量は、2,425.1Daであった。
【0145】
MDCK細胞におけるトランスサイトーシス
MDCK細胞の単分子層を横切るペプチド-GM1抱合体のin vivo輸送(トランスサイトーシス)、および血中への腸管および鼻腔バリアを横切るin vivo輸送を評価した。ペプチド単独をネガティブコントロールとして、およびGM1類似体をポジティブコントロールとして使用する。セラミドのC6およびC12脂肪酸類似体もまた、GM1およびGM3種に対する直接比較として実験に包含させた。
MDCK細胞をHBSSおよび100mMの脱脂BSAを含有する媒体中に、3日前に、0.33cmインサートにて播種した。実験の日に電気抵抗をチェックした。
【0146】
試験試料
1) ペプチド対照
2) GM1-C6:0-ペプチド
3) ペプチド-C12脂肪酸
4) セラミド-C2-
媒体調製:
作製:27mL T84-SF プラス1%dfBSA(270mgのdfBSAを27mLに加える)
作製:500μL×50試料=25mL T84-SF プラス0.1%dfBSA(25mgを25mLに加える)
【0147】
トランスウェルアッセイ
1) EVOMにより電気抵抗をチェックする。
2) 上記の原液を調製する。
3) 頂端および基底外側細胞をHBSSで、FBSなしで洗浄する。(浸漬法(dunk method))
4) 細胞をEVOM測定する。
5) 頂端をHBSS+0.1μM dfBSAで、基底外側をHBSS+1% dfBSAで置き換える。
6) 再び20分間インキュベートする。EVOMを再チェックする。
7) もう20分間待ち、および頂端を200□Lの化合物で除去し/置き換える。
8) 合計3時間、インキュベーションを継続する。
9) 頂端の媒体をチューブへ移す。
10) 頂端の媒体で置き換え、および最終EVOMを再チェックする。
11) 基底外側の媒体を氷上のエッペンドルフチューブへ移す。
【0148】
プルダウンアッセイ:
1) アジドを除去するために、ストレプトアビジンビーズをTBS-T 4×とともに洗浄した。
2) 800μLのTBS中にビーズを再懸濁させ、および次いで50μLを各チューブに分注した。
3) 1000μLをストレプトアビジンビーズに加える(終夜4℃にてホイルで被覆して回転O/Nとともに)。
4) 媒体を除去し、および3× TBS-T洗浄する。
5) 220μlの95%ホルムアミド、10mM EDTA 0.4mg/ml ビオチンの添加による溶出 - 2分@65℃
6) 100μLの各試料×2を96ウェルプレート上にピペッティングした。
7) 蛍光をマイクロプレートリーダーで、フルオレセインチャネルに対して、および標準曲線に対して読み出した。
【0149】
例4.ペプチド-GM1-C6:0融合物の薬物動態およびバイオアベイラビリティ
マウスに経鼻的に適用したときのペプチド-GM1-C6:0融合分子のバイオアベイラビリティおよび薬物動態が、図26に示されている(2回の独立した実験の平均)。用量は、10μLの鼻腔内投与体積および200μLの腹腔内注射体積で7週齢のC57BL/6Jに対して2.5nmol/kgであった。C6-GM1の鼻腔バイオアベイラビリティ24.4%であり、および、ペプチド単独での鼻腔バイオアベイラビリティは1.3%である。24%吸収は、同じ分子の腹腔内注射と比較して、治療ペプチドの粘膜吸収にしては高い。
【0150】
次に、GM-C4:0に融合しているペプチドのバイオアベイラビリティおよび薬物動態をラットにおいてin vivoで試験した。実験前にマウスにおいて融合分子について検証した(図32A)。ペプチド単独または抱合されたペプチド-GM1-C4:0を、胃内ルートを介してまたは静脈注射を介してラットへ投与した。結果は、胃でのペプチド-GM1-C4:0抱合体の吸収がなかったということを示した。しかしながら、ペプチドの血清半減期は、ペプチドをGM1-C4:0へ融合させたことによって強力に延ばされており、これは、内皮および他の細胞タイプ(肝臓、リンパ球、脾臓、等々)の再循環エンドソーム中へのGM1依存性トラフィッキングによる分解または分泌に対する保護と一貫する。結果は、静脈注射後第1日目には、ラットの血清中のペプチド-GM1-C4融合物のレベルは5.6nmol/kgであり、およびラットの血清中のペプチド単独のレベルは10.8nmol/kgであったということを示した(図32B)。静脈注射後第2日目には、ラットの血清中のペプチド-GM1-C4融合物のレベルは14.4nmol/kgであり、およびラットの血清中のペプチド単独のレベルは12.8.8nmol/kgであった(図32C)。
【0151】
例5.送達ビヒクルとしてのセラミドおよび類似体
セラミドおよびセラミド類似体のパネルを合成した(図27)。MDCKII細胞におけるセラミドおよびセラミド類似体のトランスサイトーシスを査定したところ、見掛け上の透過係数(Papp)値は図28に示されている。T84腸管細胞におけるセラミドおよびセラミド類似体のトランスサイトーシスもまた査定したところ、見掛け上の透過係数(Papp)値は図29に示されている。結果は、糖セラミド(glucoceramide)およびセラミド単独は送達プラットフォームとして機能的であり、およびGM1よりもさらに高効率を呈したということを示している。
【0152】
トランスサイトーシスによる輸送のメカニズムの証拠を実証するためにCer-C6を4℃の温度ブロックとともに試験した。セラミド類似体ジエンC6(構造を図27に示す)もまた、同じ実験においてともに試験した。結果は、低温がMDCKII細胞によるCer-C6およびジエンC6セラミド類似体の取り込みを低減させたということを示しており、輸送が4℃の温度ブロックでのトランスサイトーシスを介したものであるということを示唆する(図30)。この実験を、異なる脂肪酸鎖長(C4、C6、C8(C8の結果は図示せず)のセラミドを用いて、および糖部分ありまたはなしで繰り返した。結果は、セラミドCer-C6:0担体(糖なし)およびセラミド類似体ジエン担体(C6:0)がトランスサイトーシスを介したMDCKII細胞を横切る輸送において効果的であるとともに、Cer-C6:0がより効果的であるということを示している。糖セラミドC8:0担体もまた、トランスサイトーシスを介して効率的に輸送した(今示されているデータ)。
【0153】
次に、C2脂肪酸鎖を持ち、および糖部分を持っていない、セラミド(Cer-C2)を試験した。Cer-C2へ融合しているペプチドは、MDCKIIの単分子層を横切って輸送することが可能であった(図31)。GM1-C6:0分子をポジティブコントロールとして使用し、および、脂肪酸ドデシル-C12に融合しているペプチドをネガティブコントロールとして使用した。ドデシル-C12は、トランスサイトーシスIIによるMDCK細胞を横切る輸送を可能にしなかった(図31)。
MDCK細胞におけるトランスサイトーシスの反復実験が、図33に示されている。トランスサイトーシスによる輸送(および、傍細胞漏出ではないこと)について試験するために、37℃でのPappを4℃とペアリングした。セラミド単独Cer-C6:0担体が有効であることを示す別の独立した実験。セラミド様ジエン担体(C6:0)もまたうまく機能するが、しかしそれはセラミド-C6:0種と比較して効果が少ない。糖セラミドC8:0担体もまたうまく機能するところ、それはセラミドC6:0単独と同じくらい効果的なようである。両方とも、当初のGM1 C6:0を使用した融合分子よりも効果的である。
【0154】
さらに、セラミドが鼻を介して吸収されることができるか否かが試験される。レポーターペプチドを、セラミド-C6(Cer-C6)へ抱合させ、および、C57BL/6Jマウス(n=1、Jackson Labsからのもの)へ2nmol/kgの用量で投与した。同じ報告されたペプチドへ抱合したGM1-C6を対照として使用した。鼻孔あたり合計5μlをイソフルラン下で5分間にわたって投与した。投薬15分後に心穿刺を介して血液を採取し、および、磁性ストレプトアビジンビーズでプルダウンすることによって抱合体の量を査定し、溶出およびプレート蛍光測定がこれに続いた。データは、マウスにおいて鼻を介してセラミド-C6-レポーターペプチド抱合体が吸収されることができるということ、および、Cer-C6へ抱合したペプチドは、GM1-C6へ抱合したペプチドよりもより効率的に吸収されるということを示した(図38)。
【0155】
例6.タンパク質薬物送達のためのプラットフォームとしてのペプチド-セラミド抱合体の合成。
セラミドのジエン-類似体(脱水に起因する)およびジヒドロ-類似体は、本開示では明確性のために下線を付されている。オキシムは、シスおよびトランス幾何異性体のミックスであり得る。オキシムは、シス-異性体として図35に、およびトランス-異性体(優勢型の異性体のようである)として図36および図37に、恣意的に描かれている。いくつかのオキシムは、対応するO-アルキルヒドロキシルアミンへ還元されている(データは図示せず。)反応は、別様に述べていない限り、三角型磁石を用いてWheatonバイアル中で実行した。別様に述べていない限り、35℃でフラッシュシリカゲル60(230~400メッシュ)上のクロマトグラフィー。分析的薄層クロマトグラフィー(TLC)は、ガラスプレート上のシリカゲル60を利用し、それは、UV254によって、および240℃にてホットプレート上でチャーリングしたリン酸によって可視化された。0.1%ギ酸を含有するアセトニトリル/水で溶出させるRP-C3カラム上のHPLC精製。Agilent Technologies 6120四重極LC-MSからのマススペクトルデータ。
【0156】
セラミドのリンカー化学および「ジエン」-類似体(脱水化合物)
(2S,3R,4E)-1-(O-トリフェニルメチル)-2-(N-ヘキサノイルアミノ)-4-オクタデセン-1,3-ジオール [1-トリチル-C6-セラミド 2 (R=-C11)]。500μLの乾燥CHCl中のC6-セラミド 1 (R=-C11)(30.3mg、7.62×10-5mol)、エチルジイソプロピルアミン(18μL、13mg、1.0×10-4mol)、およびDMAP(1.1mg、9.0×10-6mol)の激しく攪拌された溶液に、200μLのCHCl中の塩化トリチル(23.4mg、8.4×10-5mol)を室温で5分間にわたって加えた。反応混合物を3日間攪拌した。混合物を濃縮し、および、クロマトグラフしたことで、1-トリチル-C6-セラミド 2 (R=-C11)(32.0mg、5.00×10-5mol、66%)を透明で無色な粘性の液体として生じさせ、それはTLCによると均質であった(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA R0.42):H NMR(DMSO-d)。
【0157】
(2S,3R,4E)-3-O-ベンゾイル-1-(O-トリフェニルメチル)-2-(N-ヘキサノイルアミノ)-4-オクタデセン-1,3-ジオール [1-トリチル-3-ベンゾイル-C6-セラミド 3 (R=-C11)]。500μLの乾燥トルエン中の1-トリチル-C6-セラミド 2 (R=-C11)(9.5mg、1.5×10-5mol)、エチルジイソプロピルアミン(13.1μL、9.7mg、7.5×10-5mol、500mol%)、および触媒性DMAPの激しく攪拌された溶液に、塩化ベンゾイル(2.5mg、1.8×10-5mol)を加えた。1日後、追加のエチルジイソプロピルアミン(13.1μL)および塩化ベンゾイル(2.5mg)を加えた。反応を、CHCl/EtOAc/TEA(97:3:0.1 CHCl/EtOAc/TEA)で溶出させて0.2gシリカゲルの栓を通して濾過した。生産物を含有する濾液をクロマトグラフしたことで(97:3:0.1 CHCl/EtOAc/TEA)、1-トリチル-3-ベンゾイル-C6-セラミド 3 (R=-C11)(10.0mg、1.34×10-5mol、89%)を透明で無色な粘性の液体として生じさせ、それはTLCによると均質であった(97:3:0.1 CHCl/EtOAc/TEA R0.45):H NMR(DMSO-d)。
【0158】
(2S,3R,4E)-3-O-ベンゾイル-2-(N-ヘキサノイルアミノ)-4-オクタデセン-1,3-ジオール [3-ベンゾイル-C6-セラミド 4a (R=-C11)]。2mLのCHCl/MeOH(1:1)中の1-トリチル-3-ベンゾイル-C6-セラミド 3 (R=-C11)(10.mg、1.3×10-5mol)の攪拌された溶液に、0.5mLのMeOH中のp-トルエンスルホン酸一水和物(3.8mg、2.0×10-5mol)の溶液を加えた。3日後、CHClを加え、および、溶媒を8.5mg/mL水性NaHCOの1mLの分量で2回洗浄した。有機層を次いでHOで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、およびクロマトグラフしたことで(96:4 CHCl/MeOH)、3-ベンゾイル-C6-セラミド 4a (R=-C11)(6.5mg、1.3×10-5mol、100%)を白色固体として生じさせ、それはTLCによると均質に近かった(96:4 CHCl/MeOH、R0.20):H NMR(DMSO-d);マススペクトル C3152NO : m/z 計算値 502.4、実測値 502.5。
【0159】
リンカー
(2S,3R,4E)-3-O-ベンゾイル-1-O-(2-(2-(2-(4-ホルミルベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エタン-1-カルバモイル)-2-(N-ヘキサノイルアミノ)-4-オクタデセン-1,3-ジオール [1-(Ald-PEG2-カルバモイル)-C6-セラミド-3-ベンゾアート 6a (R=-C11)]。0.2mLの無水CHCl中のトリホスゲン(5.9mg、2.0×10-5mol、20当量)の攪拌された溶液に、エチルジイソプロピルアミン(22μL、16mg、3.0×10-5mol、43当量)を含有する0.2mLの無水CHCl中の3-ベンゾイル-C6-セラミド 4a (R=-C11)(1.5mg、3.0×10-5mol、1当量)の溶液を2分間にわたって滴加した。2時間後、反応混合物上に吹き付ける窒素ガスの流れを使用して反応混合物を蒸留し、そして水性水酸化アンモニウム/HO/i-PrOH(1:1:1)の溶液に通した。残渣を0.1mLの無水CHClに溶解させたことで、薄黄色の溶液を生じさせた。この粗製クロロギ酸 5a (R=-C11)の溶液に、エチルジイソプロピルアミン(12μL、8.9mg、6.9×10-5mol、7当量)を含有する0.1mLの乾燥CHCl中のAld-PEG2-トリフルオロ酢酸アンモニウム(3.9mg、9.9×10-6mol、3.3当量、Broadpharm、CAS 2055013-56-2)の調製したての溶液を迅速に滴加した。1時間15分後、溶液を除去したことで黄色の半固体を生じさせ、それをクロマトグラフしたことで(96:4:0.1 CHCl/EtOAc/TEA)、定量的収率に近い1-(Ald-PEG2-カルバモイル)-C6-セラミド-3-ベンゾアート 6a(R=-C11)を淡黄色の半固体として生じさせ、それはTLCによると均質に近かった(96:4:0.1 CHCl/EtOAc/TEA、R0.18):H NMR(DMSO-d)。
【0160】
リンカー
リンカーは既にアルデヒド機能を有する。
オキシムを生じさせるためのLC9との共役。
LC9-オキシム-PEG2-カルバモイル-C6-セラミド-3-ベンゾアート 8a (R=-C11)。800μLのDMF中の1-(Ald-PEG2-カルバモイル)-C6-セラミド-3-ベンゾアート 6a (R=-C11)(1.5mg、1.9×10-6mol)およびLC9(2.7mg、1.9×10-6mol)の溶液に、1μLのアニリンを加え、および反応を終夜攪拌した。反応混合物のHPLC精製は、LC9-オキシム-PEG2-カルバモイル-C6-セラミド-3-ベンゾアート 8a (R=-C11)を生じさせた;マススペクトル C10616324: m/z (M+2H)+2についての計算値 1118.6、実測値 1118.9。
対応する優勢には1,4-置換-1,2,3-トリアゾール(図37に描かれたとおりであるが、しかしいくらかの1,5-置換トリアゾールを含有し得る)を生じさせるための、銅(I)に触媒されるアジド-アルキン環状付加(CuAAC反応)であるAF488-アジドでの「クリック反応」。
AF488-LC9-オキシム-PEG2-カルバモイル-C6-セラミド-3 ベンゾアート 9a (R=-C11)。マススペクトル m/z (M+2H)+2についての計算値、実測値。
【0161】
ジエン
一級アルコールのアルデヒドへの酸化。
0.2mLの乾燥CHCl中のC6-セラミド-3-ベンゾアート 4a (R=-C11)(1mg、2×10-6mol)の溶液に、デス・マーチン(Dess-Martin)ペルヨージナンの0.30M溶液(13μL、4×10-6mol)を1分間にわたって滴加し、この時間の間、溶液は均質なままであった。10分後、40μLのCHCl中のHO(0.04μL、0.04mg、2×10-6mol)のボルテックス混合された溶液を10分間にわたって滴加し、この時間の間、反応混合物は濁っていった。反応混合物反応混合物を、追加の1.5時間激しく攪拌した。反応混合物を、次いで0.2mLの1:1飽和水性NaHCO/15% Naで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、0.45μm GHP濾過カートリッジを通じて濾過し、および、溶媒を除去したことで、TLC(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA、R0.66)によると対応するアルデヒドを含有した薄黄色の粘性の油を生じさせ、およびこれを即座に使用した。
【0162】
ジエン
オキシムを生じさせるためのLC9との共役。
LC9-オキシム-C6-セラミド-ジエン 10 (R=-C11)。1mLのDMF中の粗製アルデヒド(0.5mg、1×10-6mol)およびLC9(1.7mg、1.2×10-6mol)の溶液に、1μLのアニリンを加え、および反応を終夜攪拌した。反応混合物のHPLC精製は、LC9-オキシム-C6-セラミド-ジエン 類似体 10 (R=-C11)(0.4mg、2×10-7mol)を生じさせた:マススペクトル C841372220: m/z (M+2H)+2についての計算値 903.5、実測値 903.8、(M+3H)+3についての計算値 602.7、実測値 603.1。
【0163】
ジエン
対応する優勢には1,4-置換-1,2,3-トリアゾール(図37に描かれたとおりであるが、しかしいくらかの1,5-置換トリアゾールを含有し得る)を生じさせるための、銅(I)に触媒されるアジド-アルキン環状付加(CuAAC反応)であるAF488-アジドでの「クリック反応」。
AF488-LC9-オキシム-C6-セラミド-ジエン類似体 13 (R=-C11)。1mLの8:2 DMSO/Tris緩衝液 pH8中のLC9-オキシム-C6-セラミド-ジエン類似体 10 (R=-C5H11) (0.4mg、2×10-7mol)、Alexa Fluor(登録商標)488(0.38mg、4.4×10-7mol)、tris[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン(6×10-8mol)、tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン(1×10-6mol)、アスコルビン酸(1×10-4mol)、Cu(II)SO(5×10-6mol)の溶液を、光から保護して終夜攪拌した。反応混合物を遠心分離し、および色のついた沈殿をHPLCによって精製したことで、AF488-LC9-オキシム-C6-セラミド-ジエン類似体 13 (R=-C11)(14μg、5.7×10-9mol、収率2.8%)を生じさせた;マススペクトル C1111632830 : m/z (M+2H)+2についての計算値 1232.6、実測値 1232.5、(M+3H)+3についての計算値 822.1、実測値 822.2。
【0164】
AF488-LC9-オキシム-C6セラミド
C6
(2S,3R,4E)-3-O-トリエチルシリル-2-(N-ヘキサノイルアミノ)-4-オクタデセン-1,3-ジオール [3-TES-C6-セラミド 4b (R=-C11)]。1.5mLの乾燥CHCl,中のC6-セラミド 1 (R=-C11)(30.3mg、7.62×10-5mol)、エチルジイソプロピルアミン(150μL、111mg、8.5×10-4mol)、およびDMAP(9.5mg、7.8×10-5mol)の攪拌された溶液に、塩化トリエチルシリル(12μL、11mg、7.3×10-5mol)を室温で2分間にわたって滴加した。反応混合物を1.5時間攪拌した。混合物を濃縮し、および、クロマトグラフして(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA)、最初に1,3-ジTES-C6-セラミド (R=-C11)を溶出させ、1-TES-C6-セラミド (R=-C11)がこれに続き、次いで、所望の3-TES-C6-セラミド 4b (R=-C11)が、マイナーな生産物(3.7mg、7.2×10-6mol、9.4%)として、無色の粘性の液体として得られ、それはTLCによると均質であった(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA R0.15):H NMR(DMSO-d);マススペクトル C3062NOSi: m/z 計算値 512.5、実測値 512.4。
【0165】
C6
ステップ1は、一級アルコールのアルデヒドへの酸化である。0.2mLの乾燥CHCl中のC6-セラミド-3-TES 4b (R=-C11)(2.2mg、4.3×10-6mol)の溶液に、デス・マーチン(Dess-Martin)ペルヨージナンの0.30M溶液(22μL、5.7×10-6mol、1.5当量)を1分間にわたって滴加し、この時間の間、溶液は均質なままであった。10分後、130μLのCHCl中のHO(0.13μL、0.13mg、7.2×10-6mol)のボルテックス混合された溶液を10分間にわたって滴加し、この時間の間、反応混合物は濁っていった。反応混合物を、追加の15分間激しく攪拌した。反応混合物を、次いで0.2mLの1:1飽和水性NaHCO/15% Naで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、0.45μm GHP濾過カートリッジを通じて濾過し、および、溶媒を除去したことで、TLC(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA、R0.62)によると対応するアルデヒドを含有した薄黄色の粘性の油を生じさせ、およびこれを即座に使用した。
【0166】
C6
ステップ2は、オキシムを生じさせるためのLC9との共役である。LC9-オキシム-C6-セラミド-3-TES 11a (R=-C11)。1mLのDMF中の粗製アルデヒド(2mg、4×10-6mol)およびLC9(6.2mg、4.3×10-6mol)の溶液に、1μLのアニリンを加え、および反応を終夜攪拌した。反応混合物のHPLC精製は、LC9-オキシム-C6-セラミド-3-TES 11a (R=-C11)を生じさせた;マススペクトル C901532221SSi: m/z (M+2H)+2についての計算値 969.6、実測値 970.5、(M+3H)+3についての計算値 646.7、実測値 647.2。
【0167】
C6
ステップ3は、TESの除去である。LC9-オキシム-C6-セラミド 11b (R=-C11)。80:20 酢酸/HO中のLC9-オキシム-C6-セラミド-3-TES 11a (R=-C11)の溶液を、2時間攪拌した。溶媒を凍結乾燥によって除去した。反応混合物のHPLC精製は、LC9-オキシム-C6-セラミド 11b (R=-C11)(1.0mg、5.5×10-7mol)を生じさせた;マススペクトル C841392221: m/z (M+2H)+2についての計算値 912.5、実測値 912.7、(M+3H)+3についての計算値 608.7、実測値 609.1。
【0168】
C6
ステップ4は、対応する優勢には1,4-置換-1,2,3-トリアゾール(図37に描かれたとおりであるが、しかしいくらかの1,5-置換トリアゾールを含有し得る)を生じさせるための、銅(I)に触媒されるアジド-アルキン環状付加(CuAAC反応)であるAF488-アジドでの「クリック反応」である。
AF488-LC9-オキシム-C6-セラミド 14b (R=-C11)。1mLの8:2 DMSO/Tris緩衝液 pH8中のLC9-オキシム-C6-セラミド 11b (R=-C11)(1.0mg、5.5×10-7mol)、Alexa Fluor(登録商標)488(0.71mg、8.2×10-7mol)、tris[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン(6×10-8mol)、tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン(1×10-6mol)、アスコルビン酸(1×10-4mol)、Cu(II)SO(5×10-6mol)の溶液を、光から保護して終夜攪拌した。反応混合物を遠心分離し、および、色のついた沈殿をHPLCによって精製することでAF488-LC9-オキシム-C6-セラミド 14a (R=-C11)(100□g、6.2 10-8mol)を生じさせ、マススペクトル C1111652831 : m/z (M+2H)+2についての計算値 1241.1、実測値 1241.6、(M+3H)+3についての計算値 827.7、実測値 828.2。
【0169】
AF488-LC9-オキシム-C18セラミド
C18
(2S,3R,4E)-3-O-トリエチルシリル-2-(N-オクタデカノイルアミノ)-4-オクタデセン-1,3-ジオール [3-TES-C18-セラミド 4b (R=-C1735)]。1.5mLの乾燥CHCl中のC18-セラミド 1 (R=-C1735)(41.2mg、7.28×10-5mol)、エチルジイソプロピルアミン(150μL、111mg、8.5×10-4mol)、およびDMAP(12.7mg、1.04×10-5mol)の攪拌された溶液に、塩化トリエチルシリル(14μL、13mg、8.6×10-5mol)を室温で2分間にわたって滴加した。反応混合物を1.5時間攪拌した。混合物を濃縮し、および、クロマトグラフして(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA)、最初に1,3-ジTES-C18-セラミド (R=-C1735)を溶出させ、1-TES-C18-セラミド(R=-C1735)がこれに続き、次いで、所望の3-TES-C18-セラミド 4b (R=-C1735)が、マイナーな生産物(2.5mg、3.7×10-6mol、5.1%)として、アモルファスの白色固体として得られ、それはTLCによると均質であった(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA R0.15):H NMR(DMSO-d)。
【0170】
C18
ステップ1は、一級アルコールのアルデヒドへの酸化である。0.2mLの乾燥CHCl中の3-TES-C18-セラミド 4b (R=-C1735)(2.5mg、3.7×10-6mol)の溶液に、デス・マーチン(Dess-Martin)ペルヨージナンの0.30M溶液(19μL、5.7×10-6mol、1.5当量)を1分間にわたって滴加し、この時間の間、溶液は濁っていった。10分後、110μLのCHClの中のHO(0.11μL、0.11mg、6.1×10-6mol)のボルテックス混合された溶液を、10分間にわたって滴加した。反応混合物を、追加の15分間激しく攪拌した。反応混合物を、次いで0.2mLの1:1飽和水性NaHCO/15% Naで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、0.45μm GHP濾過カートリッジを通じて濾過し、および、溶媒を除去したことで、TLC(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA、R0.59)によると高度に均質なアルデヒドであった黄色の粘性の油を生じさせ、およびこれを即座に使用した。
【0171】
C18
ステップ2は、保護基除去を伴うオキシムを生じさせるためのLC9との共役である。
LC9-オキシム-C18-セラミド 11e (R=-C1735)。1mLのDMF中の粗製アルデヒド(2.5mg、3.7×10-6mol)およびLC9(5.3mg、3.7×10-6mol)の溶液に、1μLのアニリンを加え、および反応を終夜攪拌した。反応混合物のHPLC精製は、少量のみのLC9-オキシム-C18-セラミド-3-TES 11d (R=-C1735)を生じさせたが、しかし、大部分のTESが脱落して、LC9-オキシム-C18-セラミド 11e (R=-C1735)(3.9mg、2.0×10-6mol、収率54%)を白色固体として生じさせた:H NMR(DMSO-d);マススペクトル C961632221: m/z (M+2H)+2についての計算値 996.6、実測値 996.9、(M+3H)+3についての計算値 664.7、実測値 665.1。
【0172】
C18
最後に、対応する優勢には1,4-置換-1,2,3-トリアゾール(図37に描かれたとおりであるが、しかしいくらかの1,5-置換トリアゾールを含有し得る)を生じさせるための、銅(I)に触媒されるアジド-アルキン環状付加(CuAAC反応)であるAF488-アジドでの「クリック反応」。
AF488-LC9-オキシム-C18-セラミド 14b (R=-C1735)。1mLの8:2 DMSO/Tris緩衝液 pH8中のLC9-オキシム-C18-セラミド 11e (R=-C1735)(0.64mg、5.5×10-7mol)、Alexa Fluor(登録商標)488(0.71mg、4.9×10-7mol)、tris[(1-ベンジル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]アミン(6×10-8mol)、tris(2-カルボキシエチル)ホスフィン(1×10-6mol)、アスコルビン酸(1×10-4mol)、Cu(II)SO(5×10-6mol)の溶液を、光から保護して終夜攪拌した。反応混合物を遠心分離し、および、色のついた沈殿をHPLCによって精製することでAF488-LC9-オキシム-C18-セラミド 14b (R=-C1735)を生じさせた;マススペクトル C1231892831 : m/z (M+2H)+2についての計算値 1325.7、実測値 1325.6、(M+3H)+3についての計算値 884.1、実測値 884.8。
【0173】
AF488-LC9-オキシム-ジヒドロセラミド
ジヒドロ
(2S,3R)-3-O-トリエチルシリル-2-(N-ヘキサノイルアミノ)-オクタデカン-1,3-ジオール [3-TES-C6-ジヒドロセラミド 7b (R=-C11)]。1.5mLの乾燥CHCl中のC6-ジヒドロセラミド 7a (R=-C11)(27.8mg、6.96×10-5mol)、エチルジイソプロピルアミン(280μL、208mg、1.61×10-3mol)、およびDMAP(12mg、9.8×10-5mol)の攪拌された溶液に、塩化トリエチルシリル(14μL、13mg、8.6×10-5mol)を室温で2分間にわたって滴加した。反応混合物を1.5時間攪拌した。混合物を濃縮し、および、クロマトグラフして(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA)、最初に1,3-ジTES-C6-ジヒドロセラミド(R=-C11)を溶出させ、1-TES-C6-ジヒドロセラミド(R=-C11)がこれに続き、次いで、所望の3-TES-C6-ジヒドロセラミド7b(R=-C11)が、マイナーな生産物(2.7mg、5.2×10-6mol、7.5%)として、白色ロウ状固体として得られ、それはTLCによると均質であった((90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA R0.14):H NMR(DMSO-d)。
【0174】
ジヒドロ
ステップ1は、一級アルコールのアルデヒドへの酸化である。0.2mLの乾燥CHCl中のC6-ジヒドロセラミド-3-TES 7b (R=-C11)(2mg、4×10-6mol)の溶液に、デス・マーチン(Dess-Martin)ペルヨージナンの0.30M溶液(13μL、3.9×10-6mol、1.5当量)を1分間にわたって滴加し、この時間の間、溶液は均質なままであった。10分後、10μLのCHCl中のHO(0.079μL、0.079mg、4.4×10-6mol)のボルテックス混合された溶液を10分間にわたって滴加し、この時間の間、反応混合物は濁っていった。反応混合物を、追加の30分間激しく攪拌した。反応混合物を、次いで0.2mLの1:1飽和水性NaHCO/15% Naで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、0.45μm GHP濾過カートリッジを通じて濾過し、および、溶媒を除去したことで、TLC(90:10:0.1 CHCl/EtOAc/TEA、R0.71)によると対応するアルデヒドを含有した薄黄色の粘性の油を生じさせ、およびこれを即座に使用した。
【0175】
ジヒドロ
ステップ2は、保護基除去を伴うオキシムを生じさせるためのLC9との共役である。LC9-オキシム-C6-ジヒドロセラミド 12b (R=-C11)。1mLのDMF中の粗製アルデヒド(2mg、4×10-6mol)およびLC9(5.6mg、3.9×10-6mol)の溶液に、1μLのアニリンを加え、および反応を終夜攪拌した。反応混合物のHPLC精製は、少量のみの、保護基が除去されたLC9-オキシム-C6-ジヒドロセラミド 12b (R=-C11)を生じさせた;マススペクトル C841412221: m/z (M+2H)+2についての計算値 913.5、実測値 913.7、(M+3H)+3についての計算値 609.4、実測値 609.7。
【0176】
本明細書中、例として、背景、概要、詳細な説明、例、および/または参考文献のセクションで言及した全ての刊行物、特許、特許出願、公報、およびデータベースエントリ(例として、配列データベースエントリ)は、各個の刊行物、特許、特許出願、公報、およびデータベースエントリが特定的におよび個別的に参照によって本明細書中に組み込まれたものであったかのように、本明細書によってそれらの全体が参照により組み込まれる。対立がある場合には、本明細書中のあらゆる定義を含めて、本願が支配する。
【0177】
均等物および範囲
当業者は、本明細書中に記載された態様の多数の均等物を、認識するか、または、慣行的な実験を使用するだけで確かめることを可能とする。本開示の範囲は、上の記載に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付した請求の範囲に規定されるとおりである。
「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、それに反することが示されない限り、または文脈から別様に明白でない限り、1または1よりも多いことを意味し得る。群の2つ以上のメンバーの間に「または」を包含する請求項または説明は、それに反することが示されない限り、または文脈から別様に明白でない限り、群のメンバーの1つ、複数、または全てが存在すれば満たされると見なされる。2つ以上の群のメンバーの間に「または」を包含する群の開示は、グループのちょうど1つのメンバーが存在する態様、グループの1より多いメンバーが存在する態様、およびグループの全てのメンバーが存在する態様を提供する。簡潔化の目的のために、それらの態様は本明細書中においては個別的に書き出されてはいないが、これらの態様の各々が本明細書中で提供されており、特定的に請求の範囲とされるかもしくは排除されることがあり得る。
【0178】
本開示は、1以上の限定、要素、節、または説明的な用語が、請求項の1以上から、または1以上の関係する説明の部分から、別の請求項中へと導入された、全てのバリエーション、組合せ、および並び替えを網羅するということが理解されるべきである。例えば、他の1つの請求項に従属する請求項を、同じ基礎とした請求項に従属する他のいずれかの請求項中に見いだされる限定の1以上を包含するように改変することができる。さらにまた、請求項が組成物について謳っている場合、別様に示されない限り、または矛盾もしくは不一致が生じるであろうことが当該技術分野における通常の技能を有する者に明白でない限り、本明細書中に開示された作製もしくは使用する方法のいずれかによる、または、もしあれば、当該技術分野において知られる方法による、組成物を作製もしくは使用する方法が包含されるということが、理解されるべきである。
【0179】
要素がリストとして、例として、マーカッシュグループ形式にて提示される場合、要素の全部の考えられるサブグループもまた開示されるということ、および、いずれかの要素または要素のサブグループを群から取り除くことができる、ということが理解されるべきである。用語「含む」はオープンであり、および追加の要素およびステップの包含を許すことを意図しているということにもまた留意すべきである。一般的に、態様、物、または方法が、具体的な要素、特徴、またはステップを含むものとして呼ばれる場合、かかる要素、特徴、またはステップからなるか本質的にそれらからなる態様、物、または方法も、また同様に提供されるということが、理解されなければならない。簡潔化の目的のために、それらの態様は本明細書中においては個別的に書き出されてはいないが、これらの態様の各々が本明細書中で提供されており、特定的に請求の範囲とされるかもしくは排除されることがあり得る。
【0180】
範囲が与えられている場合、端点は包含される。さらにまた、別様に示されない限り、または文脈および/または当該技術分野における通常の技能を有する者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現された値は、いくつかの態様において記述された範囲内の、あらゆる特定の値を、文脈が明確に別様に書き記すものでない限り、範囲の下限の単位の10分の1までを想定することができるということが、理解されるべきである。簡潔化の目的のために、各範囲中の値は本明細書中においては個別的に書き出されてはいないが、これらの態様の各々が本明細書中で提供されており、特定的に請求の範囲とされるかもしくは排除されることがあり得る。別様に示されない限り、または文脈および/または当該技術分野における通常の技能を有する者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現された値は、与えられた範囲内のあらゆる部分範囲を想定することができ、ここで部分範囲の端点は、範囲の下限の単位の10分の1と同じ精度まで表現される、ということもまた理解されるべきである。
【0181】
ウェブサイトが提供されている場合、URLアドレスは、ブラウザ実行可能ではないコード(non-browser-executable codes)として提供され、それぞれのウェブアドレスのピリオド(periods)を括弧で表している。実際のウェブアドレスは、ピリオドを含有しない。
加えて、本開示のいずれかのある特定の態様が、請求項のいずれか1以上から明示的に除外されることがあり得る、ということが理解されるべきである。範囲が与えられている場合、範囲内にあるいずれかの値が、請求項のいずれか1以上から明示的に除外されることがあり得る。本開示の組成物および/または方法の、いずれかの態様、要素、特徴、応用、または側面を、請求項のいずれか1以上から除外することができる。簡潔化の目的のために、1以上の要素、特徴、目的、または側面が除外された全ての態様は、本明細書中において明示的に規定されてはいない。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4A-4B】
図4C-4D】
図5A-5B】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A-13B】
図13C-13D】
図14-1】
図14-2】
図15
図16-1】
図16-2】
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A-24H】
図25A-25C】
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32A-32C】
図33
図34
図35-1】
図35-2】
図35-3】
図36-1】
図36-2】
図36-3】
図37A
図37B
図37C
図38
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミドおよび送達される剤を含み、セラミドは、(a)脂肪酸を含まないか、または(b)C1~C28の脂肪酸を含み、および、剤は、セラミドに付着している、送達ビヒクル。
【外国語明細書】