(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133453
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240925BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041998
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2023043673
(32)【優先日】2023-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517132913
【氏名又は名称】立花 顕治
(71)【出願人】
【識別番号】309018478
【氏名又は名称】田村 良介
(71)【出願人】
【識別番号】520202854
【氏名又は名称】加島 広基
(71)【出願人】
【識別番号】523089955
【氏名又は名称】松本 文彦
(71)【出願人】
【識別番号】523022561
【氏名又は名称】下井 功介
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100129551
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 良介
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】110003513
【氏名又は名称】kakeruIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】田村 良介
(72)【発明者】
【氏名】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】下井 功介
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC33
(57)【要約】
【課題】特許明細書の作成を補助する新たなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】プログラムは、プロセッサを、情報取得手段と、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能させる。情報取得手段は、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得し、送信手段は、情報取得手段により取得された音声情報またはテキスト情報を言語モデルサーバに送信し、受付手段は、言語モデルサーバにおいてOpenAIにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを、情報取得手段と、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能させるプログラムであって、
前記情報取得手段は、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得し、
前記送信手段は、前記情報取得手段により取得された前記音声情報または前記テキスト情報を言語モデルサーバに送信し、
前記受付手段は、前記言語モデルサーバにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、
前記伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する、プログラム。
【請求項2】
前記情報取得手段は、前記発明に関する情報が記載されたテキスト化された書面及び前記発明に関する図面のうち、少なくとも1つを含む付加情報をさらに取得し、
前記送信手段は、前記音声情報または前記テキスト情報に加え、前記付加情報を前記言語モデルサーバに送信する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
プログラムを実行することにより情報取得手段と、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能するプロセッサを備えたコンピュータであって、
前記情報取得手段は、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得し、
前記送信手段は、前記情報取得手段により取得された前記音声情報または前記テキスト情報を言語モデルサーバに送信し、
前記受付手段は、前記言語モデルサーバにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、
前記伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する、コンピュータ。
【請求項4】
プロセッサを有するコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
前記プロセッサが、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得する工程と、
前記プロセッサが、取得された前記音声情報または前記テキスト情報を言語モデルサーバに送信する工程と、
前記プロセッサが、前記言語モデルサーバにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付ける工程と、
前記プロセッサが、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する工程と、
を備えた、情報処理方法。
【請求項5】
プロセッサを、情報取得手段と、生成手段、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能させるプログラムであって、
前記情報取得手段は、音声情報またはテキスト情報を含む発明に関する情報を取得し、
前記生成手段は、前記発明に関する情報に基づいて、特許明細書を作成するためのプロンプトを含む入力情報を生成し、
前記送信手段は、前記入力情報を言語モデルサーバに送信し、
前記受付手段は、前記言語モデルサーバにおいて演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、
前記伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する、プログラム。
【請求項6】
前記プロンプトは、特許明細書に記載される「クレーム」、「発明の名称」、「技術分野」、「背景技術」、「先行技術文献」、「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「図面の簡単な説明」、「発明の効果」、及び「発明を実施するための形態」のうち、少なくとも1つの項目を生成するために用いられる、請求項5に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、コンピュータおよび情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許明細書の作成を補助するシステムとして、様々なものが提案されている。例えば、特許文献1等には、人が介在せずに特許明細書を作成するような、人が提供した特許請求項に基づいて特許明細書を作成するように、機械学習およびルールベースアルゴリズムを使用するためのシステムならびに方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許明細書の作成を補助する新たなシステムが求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的とするところは、特許明細書の作成を補助する新たなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプログラムは、
プロセッサを、情報取得手段と、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能させるプログラムであって、
前記情報取得手段は、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得し、
前記送信手段は、前記情報取得手段により取得された前記音声情報または前記テキスト情報を言語モデルサーバに送信し、
前記受付手段は、前記言語モデルサーバにおいてOpenAIにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、
前記伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達することを特徴とする。
【0007】
本発明のコンピュータは、
プログラムを実行することにより情報取得手段と、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能するプロセッサを備えたコンピュータであって、
前記情報取得手段は、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得し、
前記送信手段は、前記情報取得手段により取得された前記音声情報または前記テキスト情報を言語モデルサーバに送信し、
前記受付手段は、前記言語モデルサーバにおいてOpenAIにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、
前記伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達することを特徴とする。
【0008】
本発明の情報処理方法は、
プロセッサを有するコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
前記プロセッサが、発明に関する音声情報またはテキスト情報を取得する工程と、
前記プロセッサが、取得された前記音声情報または前記テキスト情報を言語モデルサーバに送信する工程と、
前記プロセッサが、前記言語モデルサーバにおいてOpenAIにより演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付ける工程と、
前記プロセッサが、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明のプログラムは、
プロセッサを、情報取得手段と、生成手段、送信手段と、受付手段と、伝達手段として機能させるプログラムであって、
前記情報取得手段は、音声情報またはテキスト情報を含む発明に関する情報を取得し、
前記生成手段は、前記発明に関する情報に基づいて、特許明細書を作成するためのプロンプトを含む入力情報を生成し、
前記送信手段は、前記入力情報を言語モデルサーバに送信し、
前記受付手段は、前記言語モデルサーバにおいて演算された、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフト情報を前記言語モデルサーバから受け付け、
前記伝達手段は、受け付けたドラフト情報をユーザに伝達する、ことを特徴とする。
前記プロンプトは、特許明細書に記載される「クレーム」、「発明の名称」、「技術分野」、「背景技術」、「先行技術文献」、「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「図面の簡単な説明」、「発明の効果」、及び「発明を実施するための形態」のうち、少なくとも1つの項目を生成するために用いられる、ことを特徴とする。
【0009】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特許明細書の作成を補助する新たなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る明細書作成システムを示す概略図である。
【
図2】
図1に示すユーザ端末を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すサーバ装置を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す言語モデルサーバを示すブロック図である。
【
図5】
図1に示す明細書作成システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第一実施形態)
以下、本発明に係るコンピュータを含む明細書作成システムの第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
第1実施形態に係る明細書作成システムは、特許出願の準備のためのミーティングで取得された情報から、特許出願の明細書及び図面のドラフトのうち、少なくとも一方を生成するシステムである。
図1に示すように、このシステムは、少なくとも1つのユーザ端末1と、サーバ2と、言語モデルサーバ3と、を有している。サーバ2は、本発明のコンピュータに相当する。これらは、インターネット、LAN等のネットワークによって接続されてもよいし、専用の回線によって接続されていてもよい。また、これらは有線又は無線のいずれで接続されていてもよい。
【0014】
このシステムでは、ユーザ端末1の1つで取得されたミーティングに関する情報をサーバ2に送信し、サーバ2からミーティングに関するテキスト情報を言語モデルサーバ3に送信する。言語モデルサーバ3では、テキスト情報から、特許明細書に関するドラフト情報を生成し、これをサーバに送信する。サーバ2は、受信したドラフト情報を、ミーティングに参加した参加者のユーザ端末1に送信する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、ミーティングの音声を取得したユーザ端末1と、ドラフト情報を受信するユーザ端末1を同じ構成にしているが、異なる構成であってもよい。以下、これらについて詳細に説明する。
【0015】
<1.ユーザ端末のハードウェア構成>
図2はユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ユーザ端末1は、制御部11、記憶部12、表示部13、入力部14、マイク15、及び通信インタフェース16が電気的に接続されたコンピュータであり、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどで構成することもできる。なお、
図2では、通信インタフェース17を「通信I/F」と記載している。
【0016】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部12は、例えば、HDD、SSD等の補助記憶装置で構成され、プログラム121、音声情報122、テキスト情報123、ドラフト情報124、及びユーザ端末1を駆動するための種々のデータを記憶する。プログラム121は、後述する各種の処理を行うためのものである。制御部11は、このプログラム121を解釈及び実行することで、後述する各処理を実行するように構成される。
【0017】
音声情報122は、ミーティングの音声に関する情報であり、mp3等の形式の情報である。テキスト情報123は、音声情報122に対して文字起こしを施してテキスト化されたテキスト情報である。ドラフト情報124は、後述するように、言語モデルサーバ3に送信されたテキスト情報に基づいて生成される特許明細書に関する情報であり、サーバ2から送信される。このドラフト情報124には、特許の明細書、特許請求の範囲、要約書に関するテキスト情報、及び図面に関する画像情報が含まれる。但し、ドラフト情報の内容は適宜設定することができ、上記の中の少なくとも1つが含まれるように設定することができる。
【0018】
表示部13は、例えば、ディスプレイであり、入力、出力等を表示するのに利用される。ディスプレイは、公知の液晶ディスプレイ等を用いることができる。入力部14は、キーボードなどであり、上述した入力を行うためのものである。また、表示部13及び入力部14を兼ねたタッチパネルディスプレイを用いることもできる。以下では、一例として、入力部14による入力は、タッチ入力で行うこととする。マイク15は、ミーティングの音声を録音するためのものであり、公知のマイクを用いることができる。
【0019】
通信インタフェース16は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。すなわち、通信インタフェース17は、サーバ2や他の装置と通信を行うように構成された通信部の一例である。
【0020】
なお、ユーザ端末1の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部11は、複数のプロセッサを含んでもよい。制御部11は、FPGAにより構成されてもよい。記憶部12は、制御部11に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。また、ユーザ端末1は、本システム用の専用の端末であってもよいし、汎用のスマートフォンなどに、上述したプログラム121をインストールして使用することもできる。
【0021】
例えば、音声情報の取得は、公知の録音装置で行い、これをユーザ端末1の記憶部12に記憶し、その後、音声情報を直接サーバ2に送信してもよい。あるいは、ユーザ端末1において音声情報をテキスト情報に変換した上で、サーバ2に送信してもよい。
【0022】
<2.ユーザ端末のソフトウェア構成>
ユーザ端末1においては、以下の処理が行われる。すなわち、ユーザ端末1の制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラム121をRAMに展開すると、そのプログラム121をCPUにより解釈及び実行して、
図2に示すように、音声取得部111、テキスト生成部112、送信部113、及び受信部114として機能する。
【0023】
音声取得部111は、ミーティングの音声をマイク15を通じて取得し、音声情報122として記憶部12またはRAMに記憶する。テキスト生成部112は、記憶された音声情報122をテキスト化し、テキスト情報123として記憶部12に記憶する。送信部113は、記憶部12に記憶した音声情報122及びテキスト情報123の少なくとも一方を、通信インタフェース16を介してサーバ2に送信する。受信部114は、サーバ2が言語モデルサーバ3から受信したドラフト情報を、通信インタフェース16を介してサーバ2から受信し、記憶部12に記憶する。
【0024】
<3.サーバのハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ2のハードウェア構成の一例である。このサーバ2は、制御部21(プロセッサ)、記憶部22、外部インタフェース23、及び通信インタフェース24が電気的に接続されたコンピュータであり、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、専用のコンピュータ等で構成することができるほか、タブレットコンピュータなどで構成することもできる。また、サーバ2を複数のコンピュータで構成することもできる。なお、
図3では、外部インタフェース23及び通信インタフェース24を「外部I/F」及び「通信I/F」と記載している。
【0025】
制御部21は、CPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部22は、例えば、HDD、SSD等の補助記憶装置で構成され、プログラム221、音声情報222、テキスト情報223、ドラフト情報224、及びサーバ2を駆動するための種々のデータを記憶する。プログラム221は、後述する各種の処理を行うためのプログラムである。
【0026】
音声情報222は、ユーザ端末1から送信された音声情報である。テキスト情報223は、ユーザ端末1から送信されたテキスト情報、またはユーザ端末1から取得した音声情報122をテキスト化したテキスト情報である。ドラフト情報224は、上述したように、言語モデルサーバ3で生成された特許明細書に関する情報である。
【0027】
外部インタフェース23は、外部装置と接続するためのインタフェースであり、接続する外部装置に応じて適宜構成される。本実施形態では、外部インタフェース23が、表示装置4及び入力装置5に接続されている。表示装置4は、例えば、ディスプレイであり、上述した入力、出力等を表示するのに利用される。ディスプレイは、特には限定されず、公知の液晶ディスプレイ等を用いることができる。入力装置5は、キーボード、マウスなどであり、上述した入力を行うためのものである。その他、外部インタフェース23には、各種の外部装置を適宜接続することができる。例えば、表示装置4及び入力装置5を兼ねたタッチパネルディスプレイを用いることができる。
【0028】
通信インタフェース24は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。すなわち、通信インタフェース24は、ユーザ端末1や言語モデルサーバ3と通信を行うように構成された通信部の一例である。
【0029】
なお、サーバ2の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部21は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、制御部21は、FPGAにより構成されてもよい。記憶部22は、制御部21に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。
【0030】
<4.サーバのソフトウェア構成>
サーバ2においては、以下の処理が行われる。すなわち、サーバ2の制御部21は、記憶部22に記憶されたプログラム221をRAMに展開すると、そのプログラム221をCPUにより解釈及び実行して、
図3に示すようなミーティング情報取得部(情報取得手段)211、送信部(送信手段)212、受信部(受付手段)213、及び伝達部(伝達手段)214として機能する。これに加え、後述する生成手段も含めて機能させることもできる。
【0031】
ミーティング情報取得部211は、ユーザ端末1から送信された音声情報又はテキスト情報を受信し、記憶部22またはRAMに記憶する。ユーザ端末1から音声情報を取得した場合には、これをテキスト化してテキスト情報223を生成し、記憶部22またはRAMに記憶する。送信部212は、記憶部22またはRAMに記憶されたテキスト情報223を、通信インタフェース24を介して言語モデルサーバ3に送信する。受信部213は、言語モデルサーバ3で生成されたドラフト情報224を通信インタフェース24を介して取得する。伝達部214は、ドラフト情報224を通信インタフェース24を介してミーティングの参加者が有するユーザ端末1に送信する。
【0032】
<5.言語モデルサーバのハードウェア構成>
図4は、本実施形態に係る言語モデルサーバ3のハードウェア構成の一例である。この言語モデルサーバ3は、制御部31(プロセッサ)、記憶部32、外部インタフェース33、及び通信インタフェース34が電気的に接続されたコンピュータであり、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、専用のコンピュータ等で構成することができるほか、タブレットコンピュータなどで構成することもできる。また、言語モデルサーバ3を複数のコンピュータで構成することもできる。なお、
図4では、外部インタフェース33及び通信インタフェース34を「外部I/F」及び「通信I/F」と記載している。
【0033】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を含み、プログラム及びデータに基づいて各種情報処理を実行するように構成される。記憶部32は、例えば、HDD、SSD等の補助記憶装置で構成され、プログラム321、及び言語モデルサーバ3を駆動するための種々のデータを記憶する。プログラム321は、後述する各種の処理を行うためのプログラムである。
【0034】
外部インタフェース33は、外部装置と接続するためのインタフェースであり、接続する外部装置に応じて適宜構成される。本実施形態では、外部インタフェース33が、表示装置35及び入力装置36に接続されている。表示装置35は、例えば、ディスプレイであり、上述した入力、出力等を表示するのに利用される。ディスプレイは、特には限定されず、公知の液晶ディスプレイ等を用いることができる。入力装置36は、キーボード、マウスなどであり、上述した入力を行うためのものである。その他、外部インタフェース33には、各種の外部装置を適宜接続することができる。例えば、表示装置35及び入力装置36を兼ねたタッチパネルディスプレイを用いることができる。
【0035】
通信インタフェース34は、例えば、有線LAN(Local Area Network)モジュール、無線LANモジュール等であり、有線又は無線通信を行うためのインタフェースである。すなわち、通信インタフェース34は、ユーザ端末1やサーバ2と通信を行うように構成された通信部の一例である。
【0036】
なお、言語モデルサーバ3の具体的なハードウェア構成は、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部31は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、制御部31は、FPGAにより構成されてもよい。記憶部32は、制御部31に含まれるRAM及びROMにより構成されてもよい。
【0037】
<6.言語モデルサーバ3のソフトウェア構成>
言語モデルサーバ3は、複数のクライアント(サーバ2)からのリクエストに対して、OpenAIにより高速で返答を生成することができるように設計されたサーバである。言語モデルサーバ3は、大規模な自然言語処理タスクに対して使用され、例えば、機械翻訳、文章生成、文書分類、質問応答等を自動で行う。
【0038】
言語モデルサーバ3は、概して、ニューラルネットワークをベースとしたモデルを使用している。このモデルは、膨大な量のデータを学習し、その後、新しい入力に対して予測を行う。言語モデルサーバ3は、モデルをホストし、リクエストに応じてモデルを呼び出し、結果を返す。言語モデルサーバ3は、分散処理を行うことができるため、複数のリクエストに同時に応答することができる。これにより、高いスループットと低いレイテンシーを実現することができる。また、一度学習したモデルを再利用することができるようになっている。
【0039】
本発明の第1実施形態では、言語モデルサーバ3は、サーバ2からミーティングの音声情報またはテキスト情報が送信されると、音声情報またはテキスト情報について情報処理を行うことにより特許明細書のドラフト(具体的には、特許明細書のテキストおよび図面のうち少なくとも一部)の作成を自動で行う。
【0040】
また、言語モデルサーバ3は、サーバ2からミーティングの音声情報またはテキスト情報が送信されると、音声情報またはテキスト情報について情報処理を行うことにより特許出願において不足する実験データ情報を作成してもよい。
【0041】
また、言語モデルサーバ3は、サーバ2から特許明細書のテキスト情報が送信されると、このテキスト情報について情報処理を行うことによりフローチャート等の図面を作成してもよい。
【0042】
また、後述する付加情報が、ユーザ端末1から送信された場合、言語モデルサーバ3は、サーバ2から特許明細書の図面情報が送信されると、この図面情報について情報処理を行うことにより特許明細書のテキストを作成してもよい。
上記のように、特許明細書または図面の欠落している一部の情報を言語モデルサーバによる回答で補うようにしてもよく、他の類型としては以下のようなものが考えられる。
このプログラムは、コンピュータを、上述した生成手段を含むように機能させてよい。生成手段は、言語モデルサーバに入力するための入力情報を生成するものである。入力情報は、以下に示すようなプロンプトを含む。なお、この生成手段は言語モデルサーバにて実行することもできる。
(1)発明に関する情報 → 背景技術
発明に関する情報をもとに、特許明細書に記載する「背景技術」の文章を作成するように求める文章を付加することによってプロンプトを生成し、
生成したプロンプトを言語モデルサーバに送信し、
言語モデルサーバから「背景技術」の文章を受け付け、
受け付けた「背景技術」の文章をユーザに伝達する。
発明に関する情報は、音声情報またはテキスト情報のいずれであってもよい。
発明に関する情報は、他の情報処理装置から取得した情報であってもよく、サーバにて作成した情報であってもよい。
発明に関する情報は、発明の概要に関する情報が含まれていてもよく、請求項に関する情報が含まれていてもよく、発明が解決しようとする課題に関する情報が含まれていてもよく、発明の効果に関する情報のいずれかが含まれていてもよい。また、発明に関する情報には、請求項に関する情報、及び、発明が解決しようとする課題に関する情報が含まれていてもよく、請求項に関する情報、及び、発明の効果に関する情報が含まれていてもよい。
「発明に関する情報」についての上記の記載は、以下にも適用できる。
(2)発明に関する情報+先行技術に関する情報 → 背景技術
発明に関する情報、及び、先行技術に関する情報をもとに、
特許明細書に記載する「背景技術」の文章を作成するように求める文章を付加することによってプロンプトを生成し、
生成したプロンプトを言語モデルサーバに送信し、
言語モデルサーバから「背景技術」の文章を受け付け、
受け付けた「背景技術」の文章をユーザに伝達する。
先行技術に関する情報は、ユーザ端末に入力された情報であってもよく、サーバ装置にて発明に関する情報をもとに、先行技術に関する外部データベースから検索された情報であってもよい。前記検索は、発明に関する情報をもとにベクトル演算を実行し、複数の先行技術に関する情報のそれぞれについてベクトル演算を実行し、得られた値を比較することにより実行されてもよい。
(3)発明に関する情報 → 課題を解決するための手段、付記
発明に関する情報をもとに、特許明細書に記載する「課題を解決するための手段」又は「付記」の文章を、所定のルールにそって作成するように求める文章を付加することによってプロンプトを生成し、
生成したプロンプトを言語モデルサーバに送信し、
言語モデルサーバから「課題を解決するための手段」又は「付記」の文章を受け付け、
受け付けた「課題を解決するための手段」又は「付記」の文章をユーザに伝達する。
所定のルールは、適宜設定することができる。例えば、発明に関する情報に含まれる「請求項」との文字列を別の記号に置き換える、といったルール、発明に関する情報が、マルチマルチクレームとならないように記載されている場合に、マルチマルチクレームとなるように記載をする、といったルールがあげられる。
(4)発明に関する情報+先行技術に関する情報 → 発明を実施するための形態
発明に関する情報及び先行技術に関する情報をもとに、又は、発明に関する情報及び発明と先行技術との相違に関する情報をもとに、特許明細書に記載する「発明を実施するための形態」の文章を作成するように求める文章を付加することによってプロンプトを生成し、
生成したプロンプトを言語モデルサーバに送信し、
言語モデルサーバから「発明を実施するための形態」の文章を受け付け、
受け付けた「発明を実施するための形態」の文章をユーザに伝達する。
発明と先行技術との相違に関する情報は、ユーザ端末に入力された情報であってもよく、発明に関する情報及び先行技術に関する情報をもとにサーバにて特定した情報、又は、言語モデルから取得した情報であってもよい。発明と先行技術との相違に関する情報としては、具体的には、先行技術に関する情報には含まれず、発明に関する情報には含まれている情報をあげることができる。
(5)発明に関する情報 → 発明を実施するための形態(所定のルール)
発明に関する情報をもとに、明細書に記載する「発明を実施するための形態」の文章を、所定のルールに沿って作成するように求める文章を付加することによってプロンプトを生成し、
生成したプロンプトを言語モデルサーバに送信し、
言語モデルサーバから「発明を実施するための形態」の文章を受け付け、
受け付けた「発明を実施するための形態」の文章をユーザに伝達する。
所定のルールには、以下のようなものが含まれる。
a.発明に関する情報をもとに、発明を構成する要素に関する記載と、それぞれの要素、又は、異なる要素の組み合わせにより発揮される機能に関する記載とが含まれた文章を作成する。
b.発明に関する情報をもとに、発明を構成する要素の定義に関する記載が含まれた文章を作成する。
c.発明に関する情報に「数値A~数値B」といった数値範囲に関する記載が含まれるような場合に、数値の下限と上限とをわけて記載した文章を作成する。
d.発明に関する情報に、同じ項目について「数値A以上」、「数値B以下」といった数値の下限と上限に関する記載が含まれるような場合に、「数値A~数値B」といった数値範囲を記載した文章を作成する。
e.発明が、情報処理に関する発明である場合に、実行される情報処理ごとに区分けした記載した文章が含まれた文章を作成する。
(6)1の実施例+他の実施例に関する情報 → 他の実施例
1の実施例を文章化した情報及び他の実施例に関する情報をもとに、他の実施例を文章化した情報を作成するように求める文章を付加することによってプロンプトを生成し、
生成したプロンプトを言語モデルサーバに送信し、
言語モデルサーバから他の実施例を文章化した情報を受け付け、
受け付けた他の実施例を文章化した情報をユーザに伝達する。
(7)図面 → 符号の説明
【0043】
言語モデルサーバ3により生成された様々な情報は当該言語モデルサーバ3からサーバ2に送信される。
【0044】
<7.明細書作成システムの動作>
次に、上記のように構成された明細書作成システムの動作について、
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、特許出願に関するミーティングを行い、その音声をユーザ端末1の少なくとも1つで録音する。このミーティングに先立って、発明者及び知財部員は、発明の概要(図面を含む)、発明の効果、先行文献、先行文献に対する優位性(新規性及び進歩性)をまとめた発明提案書等の書面を準備する。そして、ミーティングにおいては、この書面にしたがって、特許請求の範囲、明細書、及び図面に関する議論を行う。特許請求の範囲については、先行文献との相違が表れるように、発明のカテゴリ、独立項、及び従属項をどのように記載するかを議論する。明細書については、発明の名称、背景技術、先行文献に対する効果、発明の実施の形態(使用する図面を含む)、及び変形例について、どのような記載を行うか議論する。
上記のような、複数の議論、又は、段階的な議論をすることにより、より完成度の高いドラフトを作成することができる。
また、発明提案書等の準備や、ミーティングにおける議論の順序等は、明細書作成システムにより誘導される形としても良い。例えば、明細書作成システムは、ミーティング前に、発明提案書等に記載する項目の入力を促し(ステップ1)、ミーティング中に、入力された項目内容に基づいて、出願書類を構成する項目(特許請求の範囲、明細書、及び、図面等)の作成に寄与し得る内容の入力を促し(ステップ2)、そして、必要に応じて、出願書類を構成する項目の作成に寄与し得る内容の再入力を促す(ステップ3)プログラムを有していても良い。
ステップ1において入力する発明提案書等に記載する項目は、使用者に応じて変更できるようにしても良い。この項目においては、発明の概要(図面を含む)、発明の効果、先行文献、先行文献に対する優位性(新規性及び進歩性)等とすることが好ましいが、このような項目の作成に慣れていない使用者に対しては、発明の概要、及び/又は、図面のみを入力するように促す形としても良い。このようにすることで、使用者のレベルに応じた、明細書作成支援を実施することが可能となる。
発明の概要、及び/又は、図面のみを入力するように促した場合には、その入力内容に基づいて、発明の効果、先行文献、先行文献に対する優位性(新規性及び進歩性)等の他の項目に関する情報を、言語モデルサーバにより、自動で生成し、生成した内容を出力するようにしても良い。そして、他の項目の生成に必要な情報が不足していた場合には、使用者に、不足している情報を入力することを促す出力をしても良い。
ステップ2において入力を促す内容は、使用者に応じて、特定の順序を有するものとしても良い。例えば、使用者によって、特許請求の範囲の議論から促すように設定することもでき、先行文献に対する効果や発明の実施の形態(使用する図面を含む)の議論から促すように設定することもできる。このようにすることで、使用者毎の特徴に合わせることができる。仮に、使用者が、議論の順序に拘りがない場合には、他の議論に影響を及ぼす可能性の多い内容から順に、議論を促すことが好ましい。例えば、特許請求の範囲、発明の実施の形態(使用する図面を含む)、先行文献に対する効果の順での議論を促すことが好ましい。
また、特許請求の範囲の議論等の個別の議論の中においても、他の議論に影響を及ぼす可能性の多い内容から順に、議論を促すことが好ましい。例えば、特許請求の範囲の議論においては、発明のカテゴリ、先行文献との相違点、独立項、従属項の順での議論を促すことが好ましい。
ステップ3においては、ステップ2までの議論をしている中で、修正をする必要が出てきた項目について、再度の議論を促すようにすることが好ましい。例えば、議論の順序が後ろであった発明の実施の形態の議論に基づいて、議論の順序が前であった特許請求の範囲の議論の内容を修正することを促すことが好ましい。このようにすることで、より完成度の高いドラフトを作成することができる。
【0045】
こうして、ミーティングにおいては、特許出願に向けて、特許請求の範囲、明細書、及び図面をどのように記載すべきかを議論し、記載内容を概ね決定する。但し、ミーティングは1回で行わなくてもよく、複数回に分けて上記の議論を行ってもよい。
【0046】
上記ミーティングにおいて、ユーザ端末1の音声取得部111は、ミーティングの音声を録音し、これをMP3等の形式で音声情報として記憶部12またはRAMに記憶する(ステップS11)。次に、テキスト生成部112は、音声情報をテキスト化し、テキスト情報として記憶部12またはRAMに記憶する(ステップS12)。これに続いて、送信部113は、生成されたテキスト情報をサーバ2に送信する(ステップS13)。このとき、テキスト情報ではなく、音声情報をサーバ2に送信し、サーバ2において、テキスト情報を生成しても良い。
【0047】
サーバ2では、ミーティング情報取得部211がユーザ端末から送信されたテキスト情報を受信し(ステップS14)、記憶部22またはRAMに記憶する。次に、送信部212は、テキスト情報を言語モデルサーバ3に送信する(ステップS15)。
【0048】
言語モデルサーバ3は、サーバ2からテキスト情報を受信すると、そのテキスト情報に基づいて、上述したドラフト情報を生成し(ステップS16)、サーバ2に送信する。サーバ2の受信部213は、言語モデルサーバ3から送信されたドラフト情報を受信する(ステップS17)。続いて、サーバ2の伝達部214は、ドラフト情報をユーザ端末1に伝達する(ステップS18)。このとき、ドラフト情報を伝達するユーザ端末1は任意に設定することができる。すなわち、ミーティングに参加した参加者のユーザ端末1のうち、少なくとも1つに送信してもよいし、ユーザ端末1以外の登録された端末に送信することもできる。あるいは、ユーザ端末1等から送信要求があるまでは、ドラフト情報をサーバ2に保持しておくこともできる。
【0049】
こうして、ミーティングによって議論された内容が反映された特許出願の特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書のドラフトを自動で得ることができる。なお上述したように、ドラフト情報は、これらのすべてを含んでいなくてもよく、これらのうちの一部であってもよい。また、ドラフト情報にどのような情報を含めるかを予め設定しておいてもよい。 ドラフト情報に含まれる特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書は、厳密に、特許庁への出願に対応した形式でなくてもよく、概ね対応していればよい。例えば、特許請求の範囲については、独立項のみであってもよく、また、従属関係が特定されていない従属項が含まれていてもよい。明細書については、一般的には、項目として、発明の名称、技術分野、背景技術、発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明の効果、図面の簡単な説明、発明の実施の形態、及び符号の説明が含まれるが、これらが完全に項分けされていなくてもよく、外形的に対応する記載があればよい。また、これらの項目のすべてが含まれていなくてもよく、一部であってもよい。図面についても、例えば、符号が付されていないなど、未完成の図面であったり、一部の図面を後でマニュアルで追加するようになっていてもよい。
【0050】
<8.特徴>
以上のように構成された明細書作成システムによれば、ミーティングで行った議論の内容から、自動的に特許出願の書面のドラフトを作成することができる。したがって、特許出願の書面の作成に要していたコストと時間を大幅に低減することができる。但し、作成されるのはドラフトであるため、内容の精査、修正については別途行うことが好ましい。
【0051】
なお、本実施形態では、ミーティングにおける音声を元にドラフト情報を生成しているが、これ以外に、発明を説明するためのテキスト情報及び図面の少なくとも一方を適宜付加した付加情報を準備しておくこともできる。そして、この付加情報を、テキスト情報または音声情報とともにユーザ端末1からサーバ2に送信し、これらの情報も用いて言語モデルサーバ3でドラフト情報を生成することもできる。
【0052】
例えば、ユーザ端末1にカメラを設けておき、このカメラで図面を撮影し、サーバ2に送信することができる。また、発明を説明するためのテキスト情報をカメラで撮影し、これをサーバ2に送信することもできる。この場合、公知のOCR機能により、画像に含まれるテキストを抽出したテキスト情報を作成し、これをサーバ2に送信することもできる。あるいは、画像からのテキストの抽出をサーバ2で行ってもよい。
【0053】
なお、第一実施形態においては、ミーティングを通して取得した音声情報または、これをテキスト化したテキスト情報を言語モデルサーバ3に送信したが、これに限られるものではなく、ミーティングは必須ではない。例えば、当該特許出願の関係者が、特許出願に関する情報を口頭で発して音声情報を生成し、これをユーザ端末1からサーバ2に送信することもできる。あるいは、音声情報をテキスト化したテキスト情報を生成し、これをユーザ端末1からサーバ2に送信することもできる。
【0054】
また、テキスト情報は、音声情報から生成するのではなく、特許出願に関する情報を予めテキスト化したテキスト情報を準備し、これをユーザ端末1からサーバ2に送信することもできる。
【0055】
このようなテキスト情報は、所定のフォーマットにしたがって作成されたものでもよい。例えば、発明の要旨、発明の効果、先行文献、先行文献との差異、先行文献に対する特許性(新規性、進歩性)、図面等のうちの少なくとも1つを含む情報とすることができる。また、所定のフォーマットにしたがった情報が発明を特定するのに十分ではない場合には、フォーマットにしたがわない、発明に関する情報を記述したテキスト情報を適宜付加することができる。
また、本実施形態では、テキスト情報をサーバ2から言語モデルサーバ3に送信しているが、ユーザ端末1で生成した音声情報をサーバ2を介して言語モデルサーバ3に送信し、上述したように、音声情報からドラフト情報を生成することもできる。この点は、上述したミーティングを行わない場合においても同様である。
【0056】
(第二実施形態)
以下、特許出願及び商標出願等の書面を生成するための態様について説明する。以下の各態様において、第1のコンピュータ装置及び言語モデルサーバは、それぞれ、第一実施形態のサーバ2及び言語モデルサーバ3と同様のハードウエアを利用することができる。
<特許出願1>
請求項と課題を入力すれば、特許出願の明細書の発明の効果に関する情報、発明を実施するための形態に関する情報、及び/又は、図面に関する情報を出力可能なシステム及び方法を提供する。
【0057】
弁理士や知財部員等のユーザが、請求項と課題を入力すれば、その内容にあわせた、特許出願の明細書の発明の効果に関する情報、発明を実施するための形態に関する情報、及び/又は、図面に関する情報が出力される。例えば、同じ請求項を入力した場合であっても、入力する課題が異なれば、アウトプットも変化する。
【0058】
[1]ユーザの操作する第1のコンピュータ装置が、特許出願又は実用新案登録出願の請求項に関する情報、及び、前記請求項に係る発明により解決しようとする課題に関する情報を受け付けるステップと、
言語モデルサーバが、第1のコンピュータ装置にて受け付けた前記請求項に関する情報、及び/又は、前記課題に関する情報に対応する、発明の効果に関する情報、発明を実施するための形態に関する情報、及び/又は、図面に関する情報を演算するステップと
を有する方法;
[2]第1のコンピュータ装置が、言語モデルサーバから、演算された前記発明の効果に関する情報、前記発明を実施するための形態に関する情報、及び/又は、前記図面に関する情報を受け付けるステップと
を有する、前記[1]に記載の方法;
により解決できる。
【0059】
<特許出願2>
弁理士や知財部員等のユーザが、複数の言語モデルを選択して利用できる。選択した言語モデルにあわせたアウトプットが得られる。複数の言語モデルは、1の画面に一覧表示され、ユーザはそこから利用する言語モデルを選択する。
【0060】
例えば、同じ発明であっても、米国出願の明細書を教師データにしたアウトプットを得るか、欧州出願の明細書を教師データにしたアウトプットを得るかをユーザが選択できる。例えば、米国出願を教師データにすると、jepson形式を利用しないクレームが作成され、欧州出願を教師データにすると、jepson形式でクレームが作成される。また、例えば、米国出願を教師データにすると、ソフトウェア関連発明では、プログラムクレームではなく、方法や装置、システム、記憶媒体クレームが採用されるが、日本出願を教師データにすると、プログラムクレームも採用される。
【0061】
化学分野の明細書を教師データにしたアウトプットを得るか、機械分野の明細書を教師データにしたアウトプットを得るかを選択することもできる。例えば、ユーザがIPCやFIなどの特許分類を選択すると、選択した特許分類に関する明細書のみを教師データにすることができる。また特定の企業や代理人の明細書を教師データにしたアウトプットが得られるように選択することもできる。
【0062】
ユーザが1の言語モデルだけでなく、複数の言語モデルを選択してアウトプットをすることも可能。例えば、複数のIPCやFIを選択し、選択された複数のIPCにあわせたアウトプットを得ることができる。また、特定のIPCに特化し、且つ、米国出願にあわせた明細書データのアウトプットが得られる。
【0063】
[1]ユーザの操作する第1のコンピュータ装置が、発明に関する情報を受け付けるステップと、
第1のコンピュータ装置にて、複数の言語モデルの少なくとも1つを選択するステップと、
言語モデルサーバが、第1のコンピュータ装置にて選択された言語モデルを利用して、第1のコンピュータ装置にて受け付けた発明に関する情報に対応する、特許出願又は実用新案登録出願の出願書類に関する情報を演算するステップと
を有する方法;
[2]前記出願書類に関する情報が、特許出願の特許請求の範囲に関する情報、発明の名称に関する情報、背景技術に関する情報、発明が解決しようとする課題に関する情報、課題を解決するための手段に関する情報、発明の効果に関する情報、発明を実施するための形態に関する情報、及び/又は、図面に関する情報である、前記[1]に記載の方法;
[3]複数の言語モデルのそれぞれが、複数の異なる国又は地域のそれぞれの行政機関において提出された特許出願に関する情報を学習データとしたものである、前記[1]又は[2]に記載の方法;
[4]複数の言語モデルのそれぞれが、複数の異なる技術分野に関する情報を学習データとしたものである、前記[1]又は[2]に記載の方法;
[5]複数の言語モデルのそれぞれが、複数の異なる企業又は代理人のそれぞれにより特許出願又は実用新案登録出願された出願書類に関する情報を学習データとしたものである、前記[1]又は[2]に記載の方法;
[6]前記言語モデルを選択するステップにおいて、複数の言語モデルが選択された場合に、前記出願書類に関する情報を演算するステップにおいて、言語モデルサーバが、第1のコンピュータ装置にて選択された複数の言語モデルを利用して、第1のコンピュータ装置にて受け付けた発明に関する情報に対応する、前記出願書類に関する情報を演算する、前記[1]~[5]のいずれかに記載の方法;
[7]前記出願書類に関する情報を演算するステップが、
言語モデルサーバが、選択された複数の言語モデルのうちの1の言語モデルを利用して、第1のコンピュータ装置にて受け付けた発明に関する情報に対応する、出願書類に関する情報を演算する第1ステップと、
選択された複数の言語モデルのうちの未だ利用されていない1の言語モデルを利用して、演算された出願書類に関する情報に対応する、新たな出願書類に関する情報を演算する第2ステップとを有し、
第2ステップが、選択された全ての言語モデルを利用して出願書類に関する情報を演算するまで繰り返される、前記[6]に記載の方法;
により解決できる。
【0064】
<特許出願3>
発明に関する情報を受け付けると、異なる言語の明細書をアウトプットできる。例えば、日本語で発明に関する情報を受け付けても、英語や中国語で記載された明細書を出力することが可能となる。
【0065】
[1]ユーザの操作する第1のコンピュータ装置が、発明に関する情報を受け付けるステップと、
言語モデルサーバが、第1のコンピュータ装置にて受け付けた発明に関する情報に対応する、特許出願又は実用新案登録出願の出願書類に関する情報を、第1のコンピュータ装置が受け付けた発明に関する情報で用いられた言語とは異なる言語で出力できるように演算するステップと
を有する、方法;
[2]第1のコンピュータ装置にて、異なる言語を選択するステップと、
前記異なる言語で出力できるように演算するステップが、出願書類に関する情報を、選択された異なる言語で出力できるように演算する、前記[1]に記載の方法;
[3]前記異なる言語で出力できるように演算するステップが、
言語モデルサーバが、前記発明に関する情報に対応する、異なる言語に翻訳される前の言語で、出願書類に関する情報を演算するステップと、
言語モデルサーバが、前記翻訳される前の言語で演算された出願書類に関する情報に対応する、異なる言語の出願書類に関する情報を演算するステップと
を有する、前記[1]又は[2]に記載の方法;
により解決できる。
【0066】
<特許出願4>
実施例のテキストデータから、AIにより表又はグラフを自動生成。化学系であれば、組成物の組成や化合物の化学構造についての表、また、実施例により最終的に得られた製造物の物性についての表を、作成できる。
【0067】
<特許出願5>
発明に関する情報から、言語モデルサーバで請求項をアウトプット。言語モデルサーバが出力した請求項は、ユーザの操作する第1のコンピュータ装置を操作することで、修正することができる。さらに、言語モデルサーバが出力した請求項や、修正した請求項をもとに、言語モデルサーバが、さらに明細書に関する情報を出力する。
【0068】
ユーザは、ユーザの操作する第1のコンピュータ装置から、発明に関する情報に加え、先行技術文献に関する情報又は相違点にしたい発明特定事項や発明の特徴を入力できる。この入力にあわせて、言語モデルサーバは請求項を出力する。出力される独立請求項には、先行技術文献との相違点が含まれる。この相違点となる発明特定事項は、他の発明特定事項と異なる態様で表示される(例えば、相違点部分は赤字で、それ以外は黒字で表示される)
【0069】
ユーザは、第1のコンピュータ装置を操作して、言語モデルサーバが出力する請求項の数を指定することも可能である。ユーザは、第1のコンピュータ装置を操作して、言語モデルサーバが出力する請求項の発明のカテゴリー(物か、方法か、製造方法か、プログラムか、記憶媒体かなど)を指定することも可能である。
【0070】
<IDS>
AIによるIDSの文献の自動特定と、自動翻訳。
【0071】
<商標登録出願>
商品又はサービスに関するテキスト情報又は音声情報をもとに、これらの商品又はサービスに対応する指定商品又は指定役務が、言語モデルサーバより提案される。ユーザにより選択されたデータ種別(類似商品・役務審査基準、商品・サービス国際分類表、TM5 IDリスト、審査において採用された商品・役務名、WIPO Madrid Goods and Services Manager)にしたがって、言語モデルサーバから、指定商品、指定役務が提案される。
【0072】
[1]言語モデルサーバが、商品又はサービスに関するテキスト情報又は音声情報を受け付けるステップと、
言語モデルサーバが、前記商品又はサービスに関するテキスト情報又は音声情報に対応する、商標登録出願における指定商品に関する情報及び/又は指定役務に関する情報を演算するステップと、
第1のコンピュータ装置が、言語モデルサーバから、演算された前記指定商品に関する情報、及び/又は、前記指定役務に関する情報を受け付けるステップと
を有する、方法;
[2]音声情報が、ミーティングにおける音声情報である、前記[1]に記載の方法;
[3]第1のコンピュータ装置、言語モデルサーバ、又は、第2のコンピュータ装置が、ミーティングにおける音声情報をテキスト化するステップ
を有し、
前記演算するステップが、テキスト化するステップによってテキスト化されたテキスト情報に対応する、前記指定商品に関する情報及び/又は前記指定役務に関する情報を演算する、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記指定商品に関する情報、及び/又は、前記指定役務に関する情報が、指定商品、及びに、指定商品に対応する区分、並びに/若しくは、指定役務、及びに、指定役務に対応する区分である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の方法;
により解決できる。
【0073】
<実務全般>
ミーティング音声、議事録をもとに、言語モデルサーバが、必要な書類(出願審査請求書、早期審査の事情説明書、特許料納付書、国内書面、出願人名義変更届、委任状、登録料納付書、更新登録申請書など)を特定して、音声、議事録から特定できる情報が含まれた書類データが出力される。
【0074】
<その他の実施形態>
発明ヒアリングプログラムは、自然言語処理ステップと、本質抽出ステップと、特許明細書作成ステップと、を備える。
【0075】
自然言語処理ステップでは、発明者からの情報を収集し、解析する。発明者は自由な形式で発明に関する情報を入力し、システムはそれを適切に解析して、発明の概要を抽出する。
【0076】
自然言語処理ステップについて詳述する。
自然言語処理ステップは質問生成ステップと、質問理解ステップと、回答評価ステップと、ダイアログ管理ステップと、応答生成ステップと、意図認識ステップと、エモーション分析ステップと、自動要約ステップと、を備え、発明者が自ら情報を入力しない又は入力することが難しい状況でも対話型の問いかけを行うことができる。
【0077】
質問生成ステップは、発明者に関連する情報を収集するための質問を生成する。質問には、発明のアイデアやコンセプト、使用方法、技術的背景、利点、競合技術などに関するものが含まれる。
【0078】
質問生成ステップにおけるアプローチ方法について説明する。
テンプレートベースのアプローチ:
このアプローチでは、事前に定義された質問テンプレートを使用して質問を生成する。テンプレートは、一般的な発明や技術分野に関する質問から構成され、発明者の回答に応じて適切な質問を選択することができる。これにより、簡単で安定した質問生成が可能である。
【0079】
機械学習ベースのアプローチ:
機械学習アルゴリズムを使用して、発明者の情報や発明のコンテキストに適した質問を生成することができる。具体的には、教師あり学習や教師なし学習、強化学習などの手法を用いて、過去の対話データや特許データを学習し、新しい質問を生成する。このアプローチは、発明者の状況に応じて柔軟な質問生成が可能であることが利点である。
【0080】
オントロジーを利用したアプローチ:
このアプローチでは、特許や技術分野に関するオントロジー(知識表現のための階層的概念モデル)を使用して質問を生成する。オントロジーは、技術分野や概念間の関係を明確に表現し、それに基づいて質問を生成することができる。この方法の利点は、構造化された知識に基づいて質問を生成できることである。
【0081】
これらの手法を組み合わせることで、質問生成ステップは発明者に関連する情報を効果的に収集するための質問を生成することができる。具体的には、テンプレートベースのアプローチで基本的な質問を生成し、機械学習ベースのアプローチやオントロジーを利用したアプローチでより状況に適応した質問を生成することができる。
【0082】
コンテキスト分析:
発明者からの回答や既に収集された情報を分析し、そのコンテキストに適した質問を生成する。例えば、発明者が特定の技術やアプローチについて言及した場合、その情報に基づいて関連する質問を提案することができる。
【0083】
対話戦略の適用:
さまざまな対話戦略(例えば、オープンエンデッドな質問、クローズドエンデッドな質問、逆質問など)を適切に組み合わせることで、質問生成モジュールは発明者に適切な質問を提供することができる。対話戦略は、発明者の回答や状況に応じて動的に変更されることが望ましい。
【0084】
フィードバックループの活用:
回答評価ステップからのフィードバックを用いて、質問生成ステップは質問の精度や適切性を向上させることができる。フィードバックは、質問生成ステップの機械学習アルゴリズムに対する学習データとして使用され、質問生成プロセスの改善に役立つ。
【0085】
これらの手法を組み合わせることで、質問生成ステップは発明者に関連する情報を効果的に収集するための質問を生成し、発明の本質を把握するために必要な情報を効率的に得ることができる。
【0086】
質問理解ステップは、 発明者からの回答を正確に理解するため、質問への回答を解析し、重要な情報を抽出する。このステップは、回答に含まれるキーワードやフレーズを特定し、それらを発明のコンテキストに適切にマッピングする。
【0087】
回答評価ステップは、質問理解ステップから得られた情報を評価し、十分な情報が得られたかどうかを判断する。情報が不十分である場合、質問生成ステップにフィードバックを与え、さらに具体的な質問を生成するように促す。
【0088】
ダイアログ管理ステップは、質問生成ステップ、質問理解ステップ、回答評価ステップを制御し、対話の流れを管理する。発明者とシステム間の対話を自然で効率的なものにするために、質問の順序やタイミングを最適化する。
【0089】
応答生成ステップは、発明者が提供した情報に基づいて、適切な応答やフォローアップ質問を生成する。これにより、システムは発明者との対話を維持し、必要な情報を効率的に収集できる。
【0090】
知識ベース:
システムは、特許法や技術分野に関する知識ベースを持っており、対話の中で適切な情報やアドバイスを提供できる。知識ベースは、継続的にアップデートされ、最新の情報を反映している。
【0091】
意図認識ステップは、発明者の回答から意図やニュアンスを正確に把握するために使用される。これにより、システムは発明者の意図に沿った質問や応答を生成し、対話を円滑に進めることができる。
【0092】
エモーション分析ステップは、発明者の回答から感情や態度を分析し、それに基づいて対話のストラテジーを調整する。例えば、発明者が疲れたりイライラしている場合、システムは質問のペースを遅くするか、質問の内容を変更して対話を円滑に進めることができる。
【0093】
自動要約ステップは、発明者から収集した情報を整理し、発明の概要を自動的に生成する機能を提供する。これにより、発明の本質抽出ステップが効果的に発明の本質を特定するための入力情報を得ることができる。
【0094】
これらの機能を組み込んだ自然言語処理ステップにより、発明者が自ら情報を入力しなくても、システムからの問いかけに対して対応するだけで、発明に関する情報を効率的に収集し、発明の本質を把握することが可能となる。このような対話型の発明ヒアリングシステムは、特許出願プロセスを効率化し、発明者と弁理士の負担を軽減することができる。
【0095】
本質抽出ステップは、自然言語処理ステップから得られた発明の概要に基づいて、発明の本質を特定する。これには、特許に関連するキーワードやコンセプトの抽出、以前に登録された特許との類似性の分析などが含まれる。
【0096】
本質抽出ステップは、発明者から得られた情報を分析し、発明の重要な要素や特徴を明らかにする機能である。以下、本質抽出ステップを実現するための手法や技術を詳しく説明する。
【0097】
キーワード抽出:
自然言語処理技術を用いて、発明者から得られた情報の中からキーワードや重要なフレーズを抽出する。これにより、発明の主要な概念や特徴を特定することができる。キーワード抽出には、TF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)やテキストランキングアルゴリズム(例:TextRank)などの手法が使用される。
【0098】
トピックモデリング:
トピックモデリング技術を利用して、発明者から得られた情報を分析し、発明の主要なトピックや概念を特定する。トピックモデリングには、潜在ディリクレ配分法(LDA: Latent Dirichlet Allocation)や非負値行列因子分解(NMF: Non-negative Matrix Factorization)などの手法が使用される。
【0099】
意味的関係の分析:
発明者から得られた情報に含まれる概念や要素間の意味的関係を分析し、発明の本質を理解するための情報を抽出する。これには、依存構文解析や概念間の類似性を計算する手法(例:Word2Vec, GloVe, BERTなど)が使用される。
【0100】
パターンマッチング:
発明者の情報に対して、事前に定義されたパターンやルールを適用して、発明の本質に関する情報を抽出する。この手法は、特定の技術分野や特許分類に対応するパターンを使用することで、より精度の高い情報抽出が可能となる。
【0101】
機械学習モデル:
教師あり学習や教師なし学習のアルゴリズムを用いて、発明者から得られた情報を分析し、発明の本質を抽出する。これには、過去の特許データや発明に関する情報を学習データとして使用し、新しい発明に対しても適切な情報抽出ができるようにモデルを構築する。深層学習モデル(例:Transformerベースのモデル)や強化学習モデルも、発明の本質抽出に役立つことがある。
【0102】
アンサンブル手法:
複数の情報抽出手法やモデルを組み合わせることで、より正確で信頼性の高い発明の本質抽出が可能になる。アンサンブル手法では、各モデルの予測結果を統合し、最終的な発明の本質を判断する。これには、投票法、バギング、ブースティングなどの手法が使用される。
【0103】
これらの手法を組み合わせることで、発明の本質抽出ステップは発明者から得られた情報を効果的に分析し、発明の重要な要素や特徴を明らかにすることができる。これにより、特許明細書の作成に必要な情報を効率的に収集し、弁理士がより良い特許出願を行うことができる。
【0104】
発明ヒアリングシステム全体として、質問生成ステップや回答評価ステップと協力し、発明の本質抽出ステップは発明者との対話を通じて発明の本質を把握し、特許出願プロセスを効率化することができる。これにより、発明者と弁理士の負担を軽減することができる。
【0105】
特許明細書作成ステップは、発明の本質が特定された後、特許明細書に記載するべき情報を整理し、適切な形式で出力する。これには、発明の目的、効果、実施例などが含まれる。
【0106】
特許明細書作成ステップは、発明の本質抽出ステップから得られた情報を元に、適切な形式で特許明細書を自動生成する。
【0107】
テンプレートベースの生成:
事前に定義された特許明細書のテンプレートを用いて、明細書の構成や形式を整える。発明の本質抽出ステップから得られた情報を、テンプレート内の適切なセクションに挿入し、充実した明細書を作成する。
【0108】
自然言語生成(NLG):
自然言語処理(NLP)技術を用いて、発明の本質抽出ステップから得られた情報を自然な言語表現に変換する。NLG技術は、文法や表現の正確さを保ちつつ、人間が理解しやすい文章を生成する。NLGの手法としては、ルールベースのアプローチや機械学習モデル(例:GPT系列のモデル)がある。
【0109】
クレーム生成:
特許クレームは、発明の範囲を定義する重要な部分である。クレーム生成には、発明の本質抽出ステップから得られた情報をもとに、適切な形式や表現でクレームを自動生成する手法が必要である。これには、ルールベースのアプローチや機械学習モデルを使用できる。
【0110】
構造化データの統合:
特許明細書には、図表や数値データなどの構造化データが含まれることがある。これらのデータを適切に統合し、明細書の中で自然に参照されるようにする手法が必要である。
【0111】
品質評価と改善:
生成された特許明細書の品質を評価し、必要に応じて改善する機能が求められる。品質評価には、自動的なテキスト評価指標(例:BLEU, ROUGEなど)や専門家による評価が用いられる。改善には、フィードバックをもとに自然言語生成モデルを再学習させることができる。また、ルールベースのアプローチを用いる場合は、専門家の意見を取り入れてルールを改善する。
【0112】
アンサンブル手法:
複数の特許明細書生成手法やモデルを組み合わせることで、より高品質な明細書を生成できる。アンサンブル手法では、各モデルの生成結果を統合し、最終的な明細書を作成する。これには、投票法やバギング、ブースティングなどの手法が使用される。
【0113】
イテレーション:
発明者や弁理士との連携を通じて、特許明細書作成ステップは生成された明細書に対するフィードバックを収集し、改善を行う。これにより、システムは継続的に改善され、より高品質な特許明細書の生成が可能となる。
【0114】
これらの手法や技術を組み合わせることで、特許明細書作成ステップは発明の本質抽出ステップから得られた情報を効果的に活用し、適切な形式で特許明細書を自動生成することができる。
【0115】
なお、本発明の実施形態において、言語モデルサーバに入力された情報及び言語モデルサーバにおいて演算された情報は、学習データとして用いられないようにすることもできる。例えば、入力データおよび演算データを教師データとして使用する第1モード、並びに、入力データおよび演算データを教師データとして使用しない第2モードから選択できるようにしてもよい。第2モードを選択できるようにすることで、機密性の高い情報であっても安心して扱うことができる。そして、第2モードを使用する場合には、課金を伴うようにしても良い。
【0116】
なお、本発明の実施形態において、言語モデルサーバに入力された情報に基づいて、特許明細書のテキストおよび図面の少なくとも一方のドラフトを演算するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、先行技術調査、先行商標調査、先行意匠調査、侵害予防調査、知的財産戦略の提案、知的財産教育プログラムの提案などの所定の演算をすることもできる。このように、所定の演算ができるようにすることで、利用者ごとの異なる需要に対応することが可能となる。そして、所定の演算毎に、料金を設定し、利用者に課金をすることも可能である。なお、ミーティングの参加者は、ミーティングの開始時に、これから行なう会議において必要な所定の演算を選択することも可能であり、選択した際に、都度課金を行なうことも可能である。
【0117】
なお、本発明の実施形態において、言語モデルサーバにおいて演算した結果を、所定のタイミングにて提示することも可能である。所定のタイミングとは、例えば、ミーティングにおいて、会話が途切れたタイミングや別の話題に切り替わるタイミング等に、演算結果を提示するようにすることができる。このようにすることで、ミーティング中に、出席者の会話を遮ることなく、演算結果を提示することが可能となる。なお、言語モデルサーバにおいて演算が終わったタイミングで、直ちに結果が提示されるようにしても良いが、直ちに出力させずに、ポップ等により、出席者に通知が行なわれるようにしても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 ユーザ端末
2 サーバ
3 言語モデルサーバ
4 表示装置
5 入力装置
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 入力部
15 マイク
16 通信インタフェース
17 通信インタフェース
21 制御部
22 記憶部
23 外部インタフェース
24 通信インタフェース
31 制御部
32 記憶部
33 外部インタフェース
34 通信インタフェース
35 表示装置
36 入力装置
111 音声取得部
112 テキスト生成部
113 送信部
114 受信部
121 プログラム
122 音声情報
123 テキスト情報
124 ドラフト情報
211 ミーティング情報取得部
212 送信部
213 受信部
214 伝達部
221 プログラム
222 音声情報
223 テキスト情報
224 ドラフト情報
321 プログラム