(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133455
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】カテーテル器具を選択的に展開するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240925BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61B18/12
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024078420
(22)【出願日】2024-05-14
(62)【分割の表示】P 2020561818の分割
【原出願日】2019-05-03
(31)【優先権主張番号】15/970,543
(32)【優先日】2018-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】313009648
【氏名又は名称】サーメディカル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーレイ、マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】キム、フレドリック、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハワード、マイケル、ティー.
(72)【発明者】
【氏名】デリー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】エバール、グレゴリー、アール.
(72)【発明者】
【氏名】レシカ、ジェフリー、ジェイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】展開型カテーテル器具の位置を制御するためのデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】カテーテルは、カテーテルの内腔内に摺動可能に配設され、少なくとも1つの突起118に結合されている器具、ならびにカテーテルに結合されている後退停止部120を含むことができる。カテーテルは、少なくとも1つの突起が後退停止部に当接するように、器具を近位方向に押し出すことができる、器具に結合されている付勢要素122、および器具と選択的に係合して、遠位方向に押し出す前進機構124をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、付勢要素は省略し得、展開停止部を後退停止部の遠位に含めることができる。これらの構成により、意図しない器具の展開を防ぎ、器具の展開中に、さらに精度の高い位置付けを行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションデバイスであって、
それを通って延出している内腔を有し、それを通って延出している1または複数の制御ケーブルを使用して操縦可能であるカテーテルであって、前記内腔が、前記1または複数の制御ケーブルの遠位終端の遠位方向に形成されている後退停止部を含むカテーテルと、
前記カテーテルの前記内腔内に摺動可能に配設されている針であって、前記針が、内腔、その遠位部分に形成されている少なくとも1つの出口ポート、および前記少なくとも1つの出口ポートの近位および前記カテーテルの内腔の前記後退停止部の遠位であるその外面に形成されている少なくとも1つの突起を含み、前記針の遠位部分は、組織を焼灼するように構成されている、針と、
前記針に結合され、前記針上の前記少なくとも1つの突起が前記カテーテルの内腔の前記後退停止部に当接するように前記針を近位方向に押し出すように構成されている付勢要素と、
前記カテーテルに対して遠位方向に前記針を選択的に押し出すように構成されている前進機構と、を備えるアブレーションデバイス。
【請求項2】
前記前進機構が、前記針に選択的に結合するためのクラッチを含む、請求項1に記載のアブレーションデバイス。
【請求項3】
前記クラッチは、ハンドルアセンブリ内の前記カテーテルの近位部分に位置付けられる、請求項2に記載のアブレーションデバイス。
【請求項4】
前記付勢要素は、ハンドルアセンブリ内の前記カテーテルの近位部分に位置付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のアブレーションデバイス。
【請求項5】
前記後退停止部は、前記少なくとも1つの突起が前記後退停止部に当接しているときに、前記針の遠位先端が前記カテーテルの遠位先端に近位になるように位置付けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載のアブレーションデバイス。
【請求項6】
前記前進機構は、前記針の前記遠位先端が前記カテーテルの前記遠位先端に対して遠位になるように、前記針を遠位方向に前進させるように構成されている、請求項5に記載のアブレーションデバイス。
【請求項7】
前記針上の前記少なくとも1つの突起は、それを通って流体が流れることができるようにするために内部に形成されている1または複数の流体チャネルを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のアブレーションデバイス。
【請求項8】
前記針の前記内腔内に配設され、前記少なくとも1つの出口ポートに近位であるその前記遠位部分内に位置付けられている少なくとも1つの加熱要素をさらに備え、前記少なくとも1つの加熱要素は、前記針の前記内腔内を通って流れる流体を加熱させるように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のアブレーションデバイス。
【請求項9】
前記後退停止部は、前記カテーテルに対して固定された長手方向位置を有する請求項1から8のいずれか一項に記載のアブレーションデバイス。
【請求項10】
前記クラッチは、前記針を前記カテーテルに対して遠位方向に選択的に付勢するまで、前記針と離間して接触しないように構成されている、請求項2に記載のアブレーションデバイス。
【請求項11】
前記前進機構は、前記針を前記カテーテルに対して遠位方向に付勢するように移動するように構成されており、前記針が前記カテーテルの遠位端から延出する距離に対応する1つまたは複数のノッチを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のアブレーションデバイス。
【請求項12】
前記前進機構は、前記1つまたは複数のノッチに対して選択的にロックして、前記カテーテルの前記遠位端に対して前記針の位置を維持するように構成されている、請求項11に記載のアブレーションデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年5月3日に出願の米国特許出願第15/970,543号名称「Devices and Methods for Selectively Deploying Catheter Instruments」の優先権を主張する。本出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、手術器具、より具体的には、外科的処置で使用するための展開型器具を有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、患者の身体内の特定の位置に器具および医薬品を送達するための外科処置において広く利用されている。例えば、カテーテルは、患者の循環器系に導入させ、患者の血管を介して身体の様々な領域(例えば、心臓)まで先導させ得る。カテーテルを使用することにより、患者の身体の内部にアクセスするために他の方法において必要とされる手順よりも侵襲性がより最小である処置を提供できる。
【0004】
カテーテルは、例えば、患者の循環系の多くの場合蛇行している経路を先導できるようにするために、カテーテルを手術部位に向かって前進させるときに、患者の身体の外側から操縦できる構成部品を備えることができる。カテーテルを操縦するための様々な既知の機序があるが、そのほとんどは、カテーテルの遠位部分から患者の身体の外側のハンドルまたは他の制御アセンブリまでカテーテルの側壁を長手方向に通過する1または複数の操縦ケーブルを使用することを含む。1または複数の操縦ケーブル上で押すことまたは引くことにより、カテーテルが一方向または別の方向に屈曲し得る。
【0005】
カテーテルは、手術中に様々な手術器具のいずれかを送達するために利用することができる。1つの一般的な例は、治療部位において組織に浸透し、治療液、エネルギーなどを送達するように構成できる、針などの展開型の細長い本体である。展開型針は、カテーテルの内腔内に摺動可能に配設させ得、手術部位への送達中にカテーテルの遠位部分に後退させ得る。次に、カテーテルが手術部位に位置付けられた後、展開型針を選択的に展開することができる。
【0006】
針、他の細長い本体、または他の手術器具の選択的な後退および展開は、典型的には、患者の身体の外側にあるハンドルまたは他の制御アセンブリに針を接続することによって(接続部材、例えば、可撓性であり、実質的に非圧縮性の管などを介して)可能になる。使用者は、ハンドルまたは制御アセンブリにおいて、アクセス可能である針(または接続部材)の一部分を操作することによって、カテーテルの遠位端における針の位置を制御することができる。結果として、カテーテルに対する針の位置は、デバイスの近位端に設定される。
【0007】
これらのデバイスにおいて遭遇する問題の1つは、操縦中のカテーテルの短縮により、針、他の細長い本体、または他の手術器具が、不慮により展開することである。上記のとおり、カテーテルの操縦は、カテーテルの側壁を通って延出している1または複数のワイヤを押すことまたは引くことによって達成される。この操作により、カテーテルの一部分が後退するかまたは圧縮されて方向が変わり、それによってカテーテルの全長が短縮する。この短縮は、カテーテルの遠位部分に沿って生じるが、上記のとおり、カテーテルに対する針または他の細長い本体の位置は、デバイスの近位端に設定される。結果として、カテーテルの遠位部分が圧縮されて屈曲するときに、カテーテルの内腔内の針の浮いている遠位先端が露出し得る。
【0008】
針、他の細長い本体、または組織を貫通するように構成された他の器具が、不慮により露出することにより、外科処置中に合併症が引き起こされ得る。例えば、露出した針は、カテーテルが手術部位の所定の位置に操縦されたときに、意図せずに組織に損傷を与えるおそれがある。
【0009】
また、操縦中のカテーテルと針との間の相対的な移動では、カテーテルが手術部位に位置付けられたときに、針または他の細長い本体が、カテーテルの遠位端からどのぐらい延出されたかを正確に知ることは、使用者にとって困難になる。これも、カテーテルに対する針の位置が、患者の身体の外側のデバイスの近位端に設定されているためである。この位置は、いずれの操縦も、行う前に針を特定量、カテーテルの内腔内に引っ込ませるように最初に設定できるが、使用者は、カテーテルが操縦されている状態にあるときに、針を前進させている間、針がカテーテルの遠位端に対してどのように移動したかを知ることができない。したがって、使用者は、手術部位での針の前進を正確に制御することはできない(例えば、カテーテルの遠位端から針を特定の距離、延出させるためなど)。
【0010】
これらの問題に対処するためのこれまでの試みでは、操縦中に針の先端が不慮により露出することを防ぐために、カテーテルの内腔内に針または他の細長い本体をさらに引っ込ませることに焦点を合わせてきた。しかし、これは、任意の操縦機構の遠位であり、細長い本体または他の器具を収容するカテーテルの遠位部分がより長くなることとなり、カテーテルの操作性を低下させるため、問題である。さらに、針が手術部位に位置付けられた後、針を正確に展開するという問題に対処するものはない。これらの問題に対処する他の試みでは、カテーテルに硬いサポートワイヤを追加して、圧縮性を低下させているが、これによりカテーテルの操縦性能も低下する。
【0011】
したがって、カテーテル針または他の手術器具を選択的に展開するための改善されたデバイスおよび方法が必要とされている。特に、カテーテルの操縦中にそのような器具が不慮により露出するのを防ぎ、カテーテルが手術部位に位置付けられたときにそのような器具をより正確に延出させ得るようにする改善されたデバイスおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、一般に、とりわけ、当技術分野における上記の必要性に対処する、カテーテル針または他の手術器具を選択的に展開するためのデバイスおよび方法を提供する。本明細書に記載のデバイスおよび方法は、一般に、針または他の器具の一部分がカテーテルに結合されている後退停止部に対して保持されるように、展開型針または他の手術器具を近位方向に付勢させることを含む。後退停止部は、カテーテルの遠位端に近い所定の位置に形成することができ、それにより、カテーテルの操縦が困難な場合であっても、カテーテルの遠位端に対する針または他の器具の正確な位置を維持できるようになる。本明細書に記載のデバイスおよび方法は、カテーテルの遠位端から器具を強制的に展開するために、付勢力に対して針または他の器具を遠位方向に選択的に押し出すことができる前進機構をさらに備えることができる。結果として、本明細書に記載のデバイスおよび方法では、操縦操作中にカテーテル内で保持されている器具の不慮による展開を防ぐことができ、カテーテルが手術部位に位置付けられると、器具を正確に展開できるようになる。
【0013】
一態様では、カテーテルの内腔内に摺動可能に配設されている器具を含むカテーテルが提供され、器具は、少なくとも1つの突起に結合されている。カテーテルは、少なくとも1つの突起の近位にあるカテーテルに結合されている後退停止部をさらに含むことができる。器具に結合され、少なくとも1つの突起が後退停止部に当接するように、器具を近位方向に押し出すように構成されている付勢要素も存在し得る。カテーテルは、器具を選択的に係合し、器具をカテーテルに対して遠位方向に押し出すように構成されている前進機構をさらに備えることができる。
【0014】
上記のカテーテルは、本開示の範囲内にある様々な修正および/または追加の特徴を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルを通って延出する1または複数の制御ケーブルを使用して操縦可能であり得る。1または複数の制御ケーブルは、いくつかの実施形態では、後退停止部の近位の所定の位置で終端させることができる。これにより、後退停止部を超えたカテーテルの遠位部分が操縦中に変形するのを防ぐことができ、これにより、カテーテルの操縦中に遠位部分の短縮が生じることはない。
【0015】
いくつかの実施形態では、前進機構は、器具の近位部分に結合されているタブまたは他の使用者作動式ハンドルを備えることができる。いくつかの実施形態では、タブまたはハンドルを器具に堅固に結合させ得る。他の実施形態では、前進機構は、器具を選択的に係合するためのクラッチを含むことができる。例えば、針の場合、使用者がカテーテルの内腔から針を展開することを所望する場合、クラッチは、針、または針に結合されている中間部品と係合することができる。展開することが望ましくない場合、クラッチは、針または中間部品から係脱させることができ、これにより、付勢要素によって後退停止部に対して針を近位方向に引き寄せることができる。特定の実施形態では、クラッチは、ハンドルアセンブリ内のカテーテルの近位部分に位置付けることができる。さらに、いくつかの実施形態では、前進機構は、所定の距離分、器具を遠位方向に押し出すように選択することができる1または複数の所定の距離増分を含むことができる。
【0016】
特定の実施形態では、カテーテルは、前進機構が器具と係合したときに起動するように構成されている少なくとも1つの表示灯を備えることができ、それにより、カテーテル内の器具の位置が付勢要素によってそれ以上制御されなくなるため、器具がカテーテルの遠位端から延出し得るか、または不慮により展開し得ることを使用者に警告する。表示灯は、クラッチの起動、タブまたはハンドルの移動、または任意の他の種類の前進機構の作動時に使用することができる。
【0017】
付勢要素は、いくつかの実施形態では、ハンドルアセンブリ内のカテーテルの近位部分に位置付けられ得る。しかし、他の実施形態では、付勢要素は、カテーテルの遠位端に位置付けられ得る。付勢要素は、様々な形態を有することができ、器具、または器具に結合させた中間部品をカテーテルの近位端に向かって押すかまたは引くように構成することができる。
【0018】
特定の実施形態では、後退停止部は、少なくとも1つの突起が後退停止部に当接しているときに、器具の遠位先端がカテーテルの遠位先端に近位になるように位置付けることができる。他の実施形態では、後退停止部は、少なくとも1つの突起が後退停止部に当接しているときに、器具の遠位先端がカテーテルの遠位先端と均一であるように位置付けることができる。そのような位置付けを行うことにより、カテーテルが操縦されるか、または身体を通って移動させるときに、確実に器具の遠位端が組織を損傷できないようにすることができる。さらに、前進機構は、器具の遠位先端がカテーテルの遠位先端に対して遠位になるように、器具を遠位方向に前進させるように構成することができる。換言すれば、付勢要素により、前進機構を使用して、器具をカテーテルから延出させるまで、器具をカテーテルの内腔内に確実に引っ込ませることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの突起は、その内部を通って流体が流れることができるようにするために内部に形成されている1または複数の流体チャネルを含むことができる。これにより、使用中にカテーテルの内腔から体液または他の汚染物質をきれいに洗流すことができる。流体通路は、単一のチャネルから少なくとも1つの突起にわたって延出する複数のチャネルまでの範囲の様々な形状およびサイズを有することができる。
【0020】
別の態様では、内部を通って延出する内腔を有するカテーテルを含むアブレーションデバイスが提供され、内腔は、その遠位部分に形成されている後退停止部を含む。アブレーションデバイスは、カテーテルの内腔内に摺動可能に配設されている針をさらに含むことができ、針は、内腔、その遠位部分に形成されている少なくとも1つの出口ポート、および少なくとも1つの出口ポートに近位であり、かつカテーテル内腔の後退停止部の遠位であるその外面に形成されている少なくとも1つの突起を含む。アブレーションデバイスはまた、針の遠位部分に配設され、組織を焼灼するように構成されているアブレーション要素、ならびに針に結合され、針上の少なくとも1つの突起が、カテーテルの内腔の後退停止部に当接するように、針を近位方向に押し出すように構成されている付勢要素を含むことができる。さらに、アブレーションデバイスは、カテーテルに対して遠位方向に針を選択的に押し出すように構成されている前進機構を含むことができる。
【0021】
上記のカテーテルと同様に、アブレーションデバイスは、様々な修正および/または追加の特徴を有することができ、それらはすべて、本開示の範囲内であると見なされる。例えば、特定の実施形態では、アブレーションデバイスのカテーテルは、カテーテル内を通って延出する1または複数のケーブルを使用して操縦可能であり得る。他の実施形態では、付勢要素は、ハンドルアセンブリ内のカテーテルの近位部分に位置付けられ得る。
【0022】
他の実施形態では、前進機構は、針または針に結合されている中間部品に選択的に結合するためのクラッチを含むことができる。特定の実施形態では、クラッチは、ハンドルアセンブリ内のカテーテルの近位部分に位置付けることができる。
【0023】
さらに他の実施形態では、後退停止部は、少なくとも1つの突起が後退停止部に当接しているときに、針の遠位先端がカテーテルの遠位先端に近位になるように位置付けることができる。他の実施形態では、後退停止部は、少なくとも1つの突起が後退停止部に当接しているときに、針の遠位先端がカテーテルの遠位先端と均一であるように位置付けることができる。さらに、いくつかの実施形態では、前進機構は、針の遠位先端がカテーテルの遠位先端に対して遠位になるように、針を前進させるように構成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、針上の少なくとも1つの突起は、その内部を通って流体が流れることができるようにするために内部に形成されている1または複数の流体チャネルを含むことができる。
【0024】
特定の実施形態では、アブレーションデバイスは、針の内腔内に配設され、少なくとも1つの出口ポートに近位であるその遠位部分内に位置付けられた少なくとも1つの加熱要素をさらに含むことができる。少なくとも1つの加熱要素は、針の内腔を通って流れる流体を加熱させるように構成され得る。
【0025】
別の態様では、カテーテルから器具を選択的に展開するための方法が提供され、この方法は、カテーテルの内腔内に摺動可能に配設されている器具を、カテーテルの近位端に向かって押し出す段階を含み、これにより、器具に結合されている少なくとも1つの突起が、カテーテルの遠位部分に結合されている後退停止部に当接するようになる。この方法はさらに、カテーテル内での器具の移動を制御するために、前進機構を器具に結合する段階と、前進機構を作動させてカテーテルに対して遠位方向に器具を押し出す段階と、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、カテーテルに対して器具を遠位方向に押し出す段階は、器具を第1の位置から第2の位置に前進させる段階を含むことができ、第1の位置では、器具の遠位先端が、カテーテルの遠位先端の近位にあり、第2の位置では、器具の遠位先端が、カテーテルの遠位先端の遠位にある。他の実施形態では、カテーテルに対して器具を遠位方向に押し出す段階は、器具を第1の位置から第2の位置に前進させる段階を含むことができ、第1の位置では、器具の遠位先端が、カテーテルの遠位先端と均一であり、第2の位置では、器具の遠位先端が、カテーテルの遠位先端の遠位にある。器具がカテーテルの遠位方向に延出している様々な距離となるように、任意の数の追加の位置を含めることができることにも留意されたい。
【0027】
特定の実施形態では、この方法は、カテーテルを患者の身体内の所定の位置に操縦する段階をさらに含むことができる。この段階は、例えば、上記の1または複数の制御ケーブルを使用して行うことができる。
【0028】
さらに他の実施形態では、器具は針であり得、この方法は、針の内腔および針の遠位部分内に形成されている少なくとも1つの出口ポート内を通って組織に流体を送達させる段階をさらに含み得る。さらに他の実施形態では、この方法は、少なくとも1つの出口ポートの近位にある針の内腔内に位置付けした加熱要素を使用して、組織に送達される流体を加熱させる段階をさらに含むことができる。この方法はまた、針の遠位部分に配設されているアブレーション要素から組織にアブレーションエネルギーを送達する段階を含み得る。
【0029】
特定の実施形態では、この方法は、前進機構が器具に結合されたときに、少なくとも1つの表示灯を起動させる段階をさらに含むことができる。そのような表示灯は、器具がカテーテルの遠位端から延出している可能性がある、または例えばカテーテルの操縦中などに不慮により展開する可能性があるというフィードバックを使用者に提供することができる。
【0030】
別の態様では、カテーテルの内腔内に摺動可能に配設されている器具を含むことができるカテーテルが提供され、器具は、少なくとも1つの突起に結合されている。カテーテルは、カテーテルに結合されている後退停止部、およびカテーテルに結合され、後退停止部の遠位に配設されている展開停止部をさらに含むことができる。カテーテルは、カテーテルに対して器具を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成されている前進機構をさらに含むことができ、第1の位置では、少なくとも1つの突起が、後退停止部に接触し、第2の位置では、少なくとも1つの突起が、展開停止部に接触する。
【0031】
上記の態様および実施形態と同様に、複数の変形および/または置換が可能である。いくつかの実施形態では、例えば、展開停止部は、少なくとも1つの突起を受け入れるために構成され、カテーテルの側壁に形成されている溝の遠位端であり得る。特定の実施形態では、カテーテルは、カテーテルの側壁に形成されている第2の溝の遠位端に、第2の展開停止部をさらに含むことができる。そのような実施形態では、その長手方向軸を中心に器具を回転させることにより、少なくとも1つの突起を受け入れる溝を選択することができる。いくつかの実施形態では、溝は蛇行し得、または少なくとも1つの移行部によって接続されている複数の長手方向に延出している部分を含むことができる。そのような実施形態では、器具の近位および遠位の並進のいずれかが、複数の長手方向に延出している部分のうちの1つを通って少なくとも1つの突起を移動させることができ、器具を回転させることにより、少なくとも1つの移行部を通って少なくとも1つの突起を移動させることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、展開停止部は、少なくとも1つの突起を受け入れるためにその内部に形成されている貫通穴を有する隔壁であり得る。さらに、少なくとも1つの突起および貫通穴は、第1の配向で貫通穴内を通って少なくとも1つの突起を通過させ得るように、かつ第2の配向で貫通穴内を通って少なくとも1つの突起が通過するのを防止するように、相補的形状を有することができる。
【0033】
特定の実施形態では、後退停止部に対する展開停止部の位置を調節することができる。例えば、いくつかの実施形態では、展開停止部は、器具を中心として、カテーテルの内腔内に配設されている中間シャフトに結合することができる。例えば、ねじ式結合などにより、カテーテルに対して中間シャフトを移動させることにより、後退停止部に対する展開停止部の位置を調節することができる。
【0034】
さらに別の実施形態では、展開停止部は、カテーテルの側壁に形成されている戻り止めであり得、少なくとも1つの突起は、停止部と位置調整させたときに戻り止め内に延出するように付勢され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、異なる距離でのカテーテルに対する器具の前進または後退を可能にするために、追加の展開停止部を含むことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、器具に結合されている付勢要素をさらに含むことができる。そのような要素は、例えば、カテーテルに対する器具の移動を制御するために後退停止部および展開停止部の両方が利用される場合には必要ではないが、任意により使用され得る。
【0036】
上記の特徴または変形のいずれかは、複数の異なる組み合わせにおいて、本開示の任意の特定の態様または実施形態に適用することができる。特定の組み合わせの明示的な引用がないのは、本発明の概要での繰り返しを回避するためのみによる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
上記の本開示の態様および実施形態は、添付の図面と併せて行われる以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【0038】
【
図1】選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの一実施形態を示す図である。
【0039】
【
図2】選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態を示す斜視図である。
【0040】
【0041】
【0042】
【
図5A】
図2のカテーテルデバイスの遠位端の後退させた構成での斜視図である。
【0043】
【0044】
【0045】
【
図6A】部分展開構成での
図2のカテーテルデバイスの遠位端の斜視切欠図である。
【0046】
【0047】
【
図7A】完全に展開された構成での
図2のカテーテルデバイスの遠位端の斜視図である。
【0048】
【0049】
【0050】
【
図8A】後退させた構成での
図2のカテーテルデバイスの遠位端の代替的切欠図である。
【0051】
【0052】
【
図9】
図2のカテーテルデバイスの近位端の部分図である。
【0053】
【
図10】
図2のカテーテルデバイスの近位端の代替的部分図である。
【0054】
【0055】
【
図11】
図2のカテーテルデバイスの近位部分の別の代替図である。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【
図16】前進機構内で利用できるクラッチ機構の一実施形態の斜視図である。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【
図19A】軸受アセンブリの一実施形態の斜視図である。
【0067】
【0068】
【
図20A】係脱構成の
図2のカテーテルデバイスの近位部分の斜視図である。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【
図23】選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態の近位端を示す部分図である。
【0079】
【
図24】
図23のカテーテルデバイスの前進機構の斜視図である。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【
図28】カテーテルデバイスハウジング内の係脱構成の
図24の前進機構の正面図である。
【0085】
【
図29】複数の展開停止部を含む選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの一実施形態の部分斜視図である。
【0086】
【
図30】複数の展開停止部を含む選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態の部分斜視図である。
【0087】
【
図31】複数の展開停止部を含む選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態の部分斜視図である。
【0088】
【
図32】複数の展開停止部を含む選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態の部分斜視図である。
【0089】
【
図33】調節可能展開停止部を含む選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態の断面図である。
【0090】
【
図34】複数の展開停止部を含む選択的展開型器具を有するカテーテルデバイスの別の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
ここでは、特定の例示的な実施形態を記載して、本明細書に開示されるデバイスおよび方法の原理の全体的な理解をもたらす。これらの実施形態の1または複数の実施例が、添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示されているデバイスおよび方法が非限定的な例示的実施形態であり、本開示の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示されるかまたは記載されている特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正および変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0092】
上記のように、選択的展開型手術器具(例えば、針などの細長い本体)を有するカテーテルは、現在の医学において一般的に使用されている。さらに、これらの器具を保持しているカテーテルは、多くの場合、カテーテルの側壁を通って延出している1または複数のワイヤを使用して操縦可能であり、カテーテルの方向を変更するためにこのワイヤを押すことまたは引くことができる。しかし、この操縦作用により、カテーテルの長さを短縮させるが、カテーテルの遠位端から針または他の器具が、不慮により突出する可能性がある。これは、針または他の器具が、デバイスの近位端、典型的には、患者の身体の外側でのみカテーテル本体を参照しているためである。屈曲および圧縮により短縮が生じているカテーテルの遠位部分に沿って、針は、自由に浮動しており、多くの場合、カテーテルの側壁と同じ短縮を針が経験することはない。カテーテルの遠位端から針または他の器具の先端が不慮により突出していることにより、周囲の組織に損傷を与え得る。
【0093】
さらに、カテーテルが所定の位置にある場合、カテーテルの遠位端に対する針または他の器具の位置を正確に決定することが困難であり得る。これもまた、器具とカテーテルとの相対位置が、患者の身体の外側のデバイスの近位端にのみ設定されているためである。この設定では、操縦されていない構成にある場合、カテーテルの遠位端に対する針または他の器具の正確な位置を示すことができるが、操縦中にカテーテルおよび針の遠位部分を移動させることにより、それらの相対位置を変えることができる。その結果、デバイスの近位端で針または他の器具を特定の距離(例えば、5mm)分延出させることにより、その距離分、器具が実際にカテーテルの遠位端から延出することを、外科医または他の使用者が確実に知ることはできない。カテーテルの遠位端から針または他の器具を延出させる際の精度および正確が不十分である場合もまた、手術部位での組織が極端に薄い可能性があるため、合併症を引き起こし得る。
【0094】
本明細書に記載のデバイスおよび方法では、カテーテルの遠位部分に沿って位置付ける、針または他の手術器具の参照基準を提供することによって、これまでの設計のこれらおよび他の欠点に対処する。針または他の器具は、カテーテルの遠位部分に沿って形成されている後退停止部と接合するように構成されている特徴を含み得、それにより、針または他の器具およびカテーテルの遠位先端の関係がわかる基準位置となる。この基準位置は、カテーテル本体内の任意の柔軟性(すなわち、操縦により短縮させることができる)が基準位置の近位方向に生じるように、任意の操縦機構の遠位に配置することができる。したがって、基準位置においてカテーテルの後退停止部に対して針または他の器具を引くときは常に、カテーテルの最遠位部分に沿った針または他の器具およびカテーテルの相対位置が、確実に認識されている。
【0095】
操縦操作中に、針または他の手術器具およびカテーテルの相対位置が確実に変化しないようにするために、針または他の手術器具を近位方向に付勢させ得る。カテーテルが手術部位の所定の位置にある場合、針または他の手術器具は、針に選択的に係合できる前進機構を使用して、例えばクラッチ機構を使用して、付勢力に対して選択的に遠位方向に前進させることができる。
【0096】
図1は、本開示の教示による、選択的展開型器具(この実施形態では針)を有するカテーテルデバイス100の一実施形態を例示している。デバイス100は、一般に、患者の身体内に位置付けられている遠位部分102と、患者の身体の外側に留置し、外科医または他の使用者によって操作される近位部分104とに分割することができる。カテーテルデバイス100は、側壁106および内腔108を含む。遠位部分102は、側壁106を通って延出しているケーブル110、112を使用して操縦可能であり得る。例えば、遠位部分102は、下部ケーブル112上で近位方向に引くことによって、図の下部に配向させ得る。
【0097】
細長い本体、例えば、針114は、カテーテル遠位部分102の内腔108内に位置付けることができる。針114は、カテーテルデバイス100の全長に延出させ得るか、または針114とデバイスの近位部分104との間に延出している接続部材116に結合させ得る。針114は、また、フランジ、リブ、棚部、肩部などの1または複数の突起118を針上に形成させ得る(または接続部材116の一部に形成させる)。突起118は、カテーテル内腔108の側壁に形成される、対応するフランジ、リブ、棚部、肩部、または他の特徴など、後退停止部120の遠位方向に位置付けることができる。突起118および後退停止部120は、後退停止部を通って突起を近位方向に通過させることはできないが、代わりにそれに当接するように構成することができる。さらに、後退停止部120は、操縦ケーブル110、112の遠位端の遠位方向に位置付けることができ、それにより、確実に、操縦中の遠位部分102のあらゆる屈曲は後退停止部120の近位方向に生じるようになる。
【0098】
突起118が針114上に形成されている(または、例えば、接続部材116上に形成され、このため、針に結合されている)と仮定すると、後退停止部120が、特定の場所において内腔108の側壁に形成され(または、例えば、別の構成部品上に形成され、カテーテルに結合され)、遠位方向に配置されている基準位置121において後退停止部120に対して突起118を引くときは常に、針114の遠位先端とデバイス100の遠位先端との相対位置が認識される。付勢要素122は、針114および接続部材116をデバイス100の近位端に向かって押し出すことができる。これにより、使用中にカテーテルデバイス100の全長を操縦により縮小させた場合であっても、突起118が基準位置121において後退停止部120に対して確実に押し付けられた状態を維持することができる。
【0099】
また、カテーテルデバイス100は、針114または他の器具をカテーテルに対して遠位方向に選択的に押し出すために使用することができる前進機構124を含む。前進機構124は、様々な形態を有することができるが、いくつかの実施形態では、針の展開が望まれる場合にのみ、針114またはそれに結合されている接続部材116に選択的に結合するクラッチ機構を含むことができる。例えば、
図1は、上部クラッチ部材126および下部クラッチ部材128を含むものとして前進機構124を示している。操縦操作中、または針114の展開が望ましくない他の時間中、クラッチ部材126、128は、分離され、針114または接続部材116(存在する場合)と接触していない状態であり得る。結果として、付勢要素122は、突起118が後退停止部120に対して当接するように、針114を近位方向に押し出すことができる。
【0100】
カテーテルデバイス100の遠位端からの針114の展開が望まれる場合、前進機構124は、クラッチ部材126、128が互いに向かって移動して、針114または接続部材116(存在する場合)に接触し、確実にこれらを把持するように作動させ得る。次に、クラッチ部材126、128は、針114または接続部材116を把持しながら遠位方向に並進させて、付勢要素122の力に対して針114を遠位方向に押し出すことができる。前進機構124は、突起118が後退停止部120に当接している間(すなわち、遠位方向に配置されている基準位置121において)、針114または接続部材116と係合するので、カテーテルの遠位先端に対する針の位置は、常に正確に認識される。
【0101】
場合によっては、完全に後退させた位置にあるとき、針の遠位先端が遠位部分102の遠位端と均一になるように、針114および/または接続部材116に沿って突起118を位置付けることが望ましい場合がある。他の実施形態では、完全に後退させた位置にあるときに、距離D1分、針の遠位先端を内腔108内に引っ込ませるように、突起118を位置付けることが望ましい場合がある。間隙距離D1を利用する場合、使用者は、所望の延出距離プラス間隙距離、前進機構124を移動させなければならないことが通知され得る。あるいは、デバイスの近位部分104の外面に記されたグラデーション、または針の展開距離の他の表示は、間隙距離D1、ならびに接続部材116の任意の伸長およびカテーテル側壁106の圧縮を含むように較正させ得る。
【0102】
針114または他の手術器具の使用が完了した後、前進機構を近位方向に後退させて、針114をカテーテルの内腔108に引き戻すことができる。あるいは、クラッチ部材126、128は、係脱させ得(すなわち、互いから離れるように移動させ)、付勢要素122の力により、突起118が後退停止部120に対して当接する基準位置121に針114を後退させることができる。
【0103】
図1に示すカテーテルデバイスは、複数の利点を有し得る。例えば、本デバイスは、デバイスの近位端近くの位置からカテーテルおよび展開型針または他の器具の相対位置を参照することに関連する問題を解決する。代わりに、デバイスの遠位端(すなわち、操縦中に屈曲または関節運動するデバイスの任意の部分の遠位)近くの基準位置が利用され、展開型針または器具を近位方向に付勢させて、基準位置に確実に配置させるようにする。これにより、針の位置に関する不確実性がなくなり、カテーテルが手術部位に位置付けられると、正確に展開できるようになる。
【0104】
さらに、選択的に係合可能なクラッチを有する前進機構を使用することで、クラッチを係脱させたときに、確実に針または他の器具が意図せずに移動することのないようにする。さらに、クラッチは、作動されるときにその任意の部分を確実に把持するように構成することができるので、接続部材またはデバイスの近位部分に延出している針本体の一部分に特別なインターフェース機能を形成する必要はない。そのようなデバイスは、最も困難な操縦操作中であっても針または他の器具が不慮により展開しないように、安全に確実にすることができ、カテーテルを所定の位置に先導した後、患者の身体の外側から正確な展開の制御をもたらすこともできる。しかし、特定の実施形態では、インターフェース特徴を使用して、接続部材と、選択的に係合可能なクラッチなどの前進機構との結合を容易にすることができる。
【0105】
当然のことながら、
図1に示すカテーテルデバイスは、本開示の範囲内で考慮される様々な可能な構成のうちの1つである。例えば、突起118および後退停止部120は、様々な相補的形態のいずれか、例えば、全周フランジ、肩部、または棚部、および1または複数のバンプ、リブ、または基準位置を超えて針114のさらなる近位運動を停止するために互いに対して当接させ得る他の形成などを有し得る。同様に、針114を近位方向に押し出すために使用される付勢要素122は、デバイスの近位または遠位部分に沿って位置付けられたコイルまたは他のタイプの引張ばね、または同様にデバイスの近位または遠位部分に沿って位置付けられた圧縮ばねであり得る。例えば、電磁付勢アセンブリなど、他の既知の形態の付勢要素も利用することができる。
【0106】
前進機構は、同様に様々な異なる構成のいずれかを有し得る。例えば、前進機構は、接続部材116(または針がデバイスの全長に延出している場合は、針本体)上に形成され、単に針114に沿って近位方向または遠位方向に並進する突出タブまたはハンドルなど、非常に簡素な機構であり得る。そのような構成では、前進機構は、針114が、付勢要素122からの力に応答して基準位置121に到達する前に、近位停止部(例えば、タブまたはハンドルが延出しているデバイスハウジング内に形成されているスロットの近位端)に到達しないように、十分なクリアランスを有するべきである。これは、カテーテルの遠位端に対する針の正確な位置の決定を妨げるおそれがあるためである。
【0107】
さらに他の実施形態では、前進機構は、接続部材116または針114との選択的係合を容易にするために、当技術分野において公知である様々な異なるクラッチ機構のいずれかを含むことができる。これらとして、接続部材116または針114を物理的に把持する機械的クラッチ機構、物理的に接触することなく、接続部材または針に力を付与する電磁クラッチ機構、または当技術分野で公知である他の機構を挙げることができる。
【0108】
さらに、付勢要素122の力に対して針114を遠位方向に押し出すための様々な既知の機構のいずれかを利用することができる。これらは、
図1に関連して記載されているように、使用者による並進遠位力を単純に適用することから、様々なギア、ベルト、またはラックドライブシステムを使用すること、または電動ソレノイドを使用することまでの範囲であり得る。
【0109】
図2および3は、遠位端に選択的展開型器具を有するカテーテルデバイス200の代替的実施形態を示す。本明細書に記載のデバイスおよび方法は、様々な外科用カテーテルデバイスのいずれかと共に使用することができるが、デバイス200は、例えば、使用者の心臓に流体補助アブレーション治療法を送達するように構成されている。流体補助アブレーション療法は、組織を選択的に破壊するために、治療的に加熱させた生理食塩水(例えば、約40℃を超える生理食塩水)または他の流体の送達と同時に治療エネルギー(例えば、高周波電気エネルギー)を送達することを伴う。この治療法は、例えば、心室頻拍などの心不整脈などの様々な病状を治療するために使用できる。流体補助アブレーション療法のさらなる情報は、米国特許第6,328,735号名称「Thermal Ablation System」、米国特許第8,702,697号名称「Devices and Methods for Shaping Therapy in Fluid Enhanced Ablation」、および米国特許公開第2012/0265199号名称「Methods and Devices for Use of Degassed Fluids with Fluid Enhanced Ablation Devices」に見出すことができる。これらの刊行物の全内容は、本明細書に転載されているように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
デバイス200は、一般に、遠位部分202および可撓性部分204を有するカテーテル201を含む。デバイスの近位部分206は、ハンドル208、操縦制御部210、操縦張力ノブ211、および前進機構212を含む。デバイスの近位端から延出しているのは、治療中および器具を洗い流している間にそれぞれ送達するための流体を受け入れるチューブ214、216である。デバイスの近位端にある追加の入口218は、任意の数の電力および制御ケーブルを受け入れることができる。
【0111】
デバイス200は、その使用目的に応じて、様々な異なるサイズを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル201は、約120cmの長さおよび約8フレンチの直径を有することができる(「フレンチ」は、カテーテル業界において、カテーテルのサイズを説明するために使用される測定単位であり、カテーテルの直径(単位ミリメートル)の3倍に等しい)。そのようなカテーテルは、循環器系を介して患者の心臓に導入するのに非常に適し得る。カテーテルは、例えば、ポリウレタン、ナイロン、およびPEBAX(登録商標)などのポリエーテルアミドなど、当技術分野において公知である様々な材料のいずれかから形成され得る。カテーテル201は、以下でより詳細に説明するように、1または複数の操縦ケーブルを使用して、身体内の蛇行経路を通って操縦できるように可撓性であり得る。
【0112】
デバイス200の近位部分206はまた、様々な異なる形状およびサイズを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、近位部分206の全長は約25cmであり得、幅および高さは両方とも、約5cmであり得る(上記の様々な寸法を考えると、図は必ずしも、特にカテーテル201の長さに関して、縮尺どおりではないことは明らかであるものとする)。近位部分206の様々な構成部品は、例えば、様々な金属およびポリマーなど、当技術分野において公知である様々な材料から形成することができる。
【0113】
図4は、デバイス200の近位部分206の分解図を示している。この図において見ることができるのは、ハンドル208の下部ハウジング402、上部ハウジング404、プリント回路基板406、カテーテル操縦制御部210、および前進機構212である。また、図には、デバイスの近位部分206を通って延出し、展開型針(以下に記載する)を前進機構212に接続する接続部材408(上記の接続部材116の実施形態であり得る)も示されている。接続部材は、様々な材料のいずれかから形成することができ、いくつかの実施形態では、カテーテル201の遠位先端からデバイスの近位部分206まで延出する針本体に代わって省略することができる。いくつかの実施形態では、接続部材408は、ポリイミドチューブから形成することができ、治療用流体ライン214と連通できる内腔および展開型針の内腔(以下に記載する)を含むことができる。
【0114】
図5Aから
図5Cは、完全に後退している(すなわち、展開していない)構成のデバイス200の遠位部分202を示す。デバイスの遠位部分202は、デバイスの近位部分206に延出する可撓性部分204に結合されている端部502を含む。端部502は、デバイス200の任意の操縦部品の遠位に位置付けられているため、操縦中に経験する張力または圧縮によって寸法が変わることはない。端部502は、内部で保持されている任意の展開型器具の長さに応じて、様々な異なる長さおよび直径を有することができる。端部502はまた、デバイスの動作を支援するための様々な他の特徴またはデバイスのいずれかを含むことができる。例えば、例示している端部502は、端部の外面を中心に配設されているマッピングリング電極506を含む。リング電極506は、カテーテルを、例えば、患者の心臓内の所定の位置に誘導するのを助けるために使用することができる。遠位先端508は、端部502を覆っており、カテーテル201の内腔511に接続する先端の遠位面上に形成されている開口部510を含む。
【0115】
図5Bおよび
図5Cの切欠図および断面図は、完全に後退させた構成での手術器具の位置を示している。例示した実施形態では、手術器具は、組織内に貫通し、流体補助アブレーション治療を送達させるように構成されている針512である。上記のとおり、流体補助アブレーション療法は、生理食塩水などの治療的に加熱させた流体と組み合わせて、無線周波数(RF)電気または他の治療エネルギーを送達することを伴う。したがって、針512は、その遠位部分に沿って配設されている1または複数の出口ポート514を含み得、これにより、針の内腔を通って流れる流体を隣接する組織に送達させ得るようになる。針512は、カテーテル201の可撓性部分204を通ってデバイスの近位部分206に延出している接続部材408に結合することができる。針の内腔は、接続部材408の内腔と連通することができ、次いで、治療用流体ライン214と連通して、リザーバまたは他の外部供給源から流体を受け入れることができる。
【0116】
針512は、様々な異なる材料から形成することができ、多くの異なる直径、長さ、側壁の厚さなどを有することができる。いくつかの実施形態では、針512は、約0.4mmの内腔直径を有する25ゲージの薄壁ステンレス鋼針であり得る。針は、治療用の電気的エネルギーまたは他のエネルギーを周囲組織に送達するように構成されている少なくとも1つのアブレーション要素をその上に配設することができる。アブレーション要素は、針512に結合されている個別の要素であり得るか、またはいくつかの実施形態では、針自体の全部または一部が、アブレーション要素として使用され得る。例えば、導電性針512は、針が例えば心臓壁内で展開された後、組織へのRFエネルギーの送達を容易にするために、例えば、入口218を通って延出しているケーブルを介して、電源または他の制御部品に電気的に結合させ得る。針512はまた、生理食塩水(例えば、通常または濃縮生理食塩水)、リンゲル液、またはこの治療法で利用される任意の他の流体を、1または複数の出口ポート514を介して、隣接する組織に送達する前に、治療レベルまで加熱するために、その内腔内に配設されている加熱要素520を含むことができる。加熱要素520は、例えば、針を通って流れるときに流体にRF電気エネルギーを通過させる、針512の内腔内に懸架させた1または複数のワイヤであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、加熱要素520は、針512の内腔内に懸架されている単一のワイヤであり得、内腔を通って流れる流体は、ワイヤと針本体との間を通過する電気エネルギーによって加熱され得る。他の実施形態では、加熱要素520は、その間に電気エネルギーを通過させることができる針512の内腔内に懸架されている2つのワイヤを含み、内腔を通って流れる流体を加熱させることができる。そのような実施形態のいずれかにおいて、1または複数のワイヤは、1または複数のスペーサー内に通過させることで、ワイヤと針512との間の不慮による接触を防止することができる。流体補助アブレーション療法で使用するための加熱アセンブリに関するさらなる情報は、「Methods and Devices for Heating Fluid in Fluid Enhanced Ablation Therapy」と題する米国特許公開第2012/0265190号に見出すことができ、その全体は、本明細書に転載されているように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
針512は、カテーテルの内腔511上に形成されている後退停止部に当接し、針の最近位位置(上記で基準位置と呼ばれる)を画定するように構成されている1または複数の突起または他の特徴をその上に形成させることができる。針上に形成されている突起または他の特徴、およびカテーテルの内腔側壁に形成されている後退停止部は、様々な構成のいずれかを有し得る。例えば、1または複数のリブ、肩部、フランジ、または他の特徴は、それらが互いに干渉するように、針およびカテーテルの内腔側壁の周囲部を中心に位置付けることができる。さらに、針512上の突起または他の特徴、および内腔511上に形成されている後退停止部は、2つの構成部品が互いに接触したとき、針512の遠位端513が、カテーテル端部502の遠位端515(すなわち、カテーテル201の遠位端)と均一になるように、または近位にあるように位置付けることができる。そのような構成では、針512は、カテーテル内腔511内に引っ込ませることができる。さらに、特定の実施形態では、突起または他の特徴および後退内腔の位置は、距離D1の間隙が針の遠位端513とカテーテル201の遠位端515との間に存在するように、選択することができる。
【0118】
例示した実施形態では、針512は、内腔511の直径と実質的に同様の外径を有する、その上に形成されている全周フランジ516を含む。フランジ516の近位には、カテーテル内腔511の内側側壁に結合されているカラーから形成されている後退停止部518がある。フランジ516は、針512が展開されるかまたは後退されるときに内腔511内で並進させることができるが、後退停止部518は、端部502に対して並進せず、したがって、針512の近位停止部を形成する。
図5Cに見られるように、フランジ516の近位面は、針が完全に後退された(すなわち、展開されていない)構成にあるとき、後退停止部518の遠位面に当接する。
【0119】
図6Aおよび
図6Bは、部分展開構成にあるときのデバイス200の遠位部分202を示している。この構成では、使用者は、前進機構212(以下により詳細に記載する)を使用して、デバイスの近位部分206から遠位方向に針を前進させ始めている。デバイスの近位端において接続部材408を遠位方向に並進させることにより、針512が遠位方向に並進することとなり、それによって、針の遠位組織穿刺先端513が露出し、フランジ516が後退停止部518から分離する。換言すると、針512を遠位方向に前進させて、針の遠位先端513がカテーテル201の遠位端515に対して遠位になるようにする。
【0120】
図6Aはまた、後退停止部518のカラーは、接続部材408がカラーを通って摺動移動できるように、ある程度のクリアランスを有して、接続部材408を取り囲んでいることを示している。流体でカテーテルの内腔511を洗い流して、空気、凝固剤、または他の異物をデバイスから除去することが必要な場合もある。後退停止部518の内径と接続部材408の外径との間のクリアランスにより、そのような流体を流すことができる。フランジ516は、内腔511の直径にわたって延出するようにサイズ決めすることができるため、流体がフランジ516を通って流れることができるようにするために内部に形成されている1または複数の流体チャネル602を含むことができる。例示した実施形態では、流体チャネルは、フランジ516の周囲部の周りに延出している複数の円形通路を含む。他の実施形態では、流体通路は、様々な数、形状、サイズなどで形成することができる。例えば、1または複数のスロットおよび/または溝形状の通路を、フランジ516などの周囲部の周りに延出している様々な位置に形成することができる。
【0121】
流体チャネル602により、流体が、デバイスの近位端から導入され、かつデバイスの遠位端から出て患者の身体内に入るように洗い流し得るようになる。この様式でデバイスを洗い流すと、血液が遠位端からデバイスに入り、内腔内で血栓を形成し、遠位端から戻って脳卒中または他の合併症を引き起こし得ることを防ぐことができる。また、デバイスの内腔を流体で満たすことにより、デバイスの遠位端からあらゆる空気が出て、血栓と同様の問題が発生し得るのを防ぐ。実際、いくつかの実施形態では、ヘパリンなどの抗凝血剤は、内腔内を通して洗い流させる流体中に含めさせて、凝固する可能性をさらに低下させることができる。
【0122】
図7A、
図7Bおよび
図7Cは、完全に展開された構成にあるときのデバイス20の遠位部分202を示している。そのような構成では、前進機構212は、フランジ516の遠位面がカテーテル遠位先端508の近位面に当接するように、最大量分、遠位方向に延出されている。当然のことながら、針512または他の手術器具は、治療法を送達させるために、この完全に展開された構成まで延出させる必要はない。むしろ、針512は、所望の治療法を実施するために必要な任意の距離で展開させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、針は数ミリメートルの全長を有することができるが、治療対象の組織は、この全長よりも実質的に薄くすることができる。そのような実施形態では、使用者は、確実に針が組織内を完全に通過しないようにするために、その全長の一部によってのみ針を展開することができる。さらなる例として、いくつかの実施形態では、針512は、全長約13mmを有することができ、完全に延出させたときにカテーテルの遠位端から約8mm延出するように構成することができる。しかし、他の実施形態では、最大延出約4mmのみが望まれる場合がある。または、より厚い組織を治療するときなどのように、最大延出ははるかに長くてもよく、例えば約20mmであり得る。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテルの内腔内の針の一部分を長くすることにより、カテーテルの遠位端を超えて延出する針の一部分の補強を助けることができるため、カテーテルの遠位端を超える針の最大延出長さを長くすることなく、カテーテル内の針の長さを長くすることが望ましい場合がある。したがって、様々な実施形態において、様々な針の長さおよび延出長さが可能である。
【0123】
図8Aおよび
図8Bは、針512、フランジ516、および後退停止部518の間の相互作用の切欠図を例示している。図示されるとおり、針512の近位端は、接続部材408の遠位端に結合され、接続部材408は、次に、デバイス200の近位部分206の遠位端802まで近位方向に延出する。単一の構成部品またはいくつかの介在する構成部品の組み合わせであり得る接続部材408は、使用者によって加えられた力を針512に伝達する。カテーテル201に沿って固定された長手方向位置を有する後退停止部518は、針512の近位停止部を提供し、針512とカテーテル201との相対位置がわかっているデバイスの遠位端近くの基準位置を画定する。
【0124】
また、図には、カテーテル201の操縦を制御する操縦リング804および操縦ケーブル806が示されている。特に、操縦リング804はカテーテル201に結合され、操縦ケーブル806は操縦リング804に結合される。デバイス200の近位端から操縦ケーブル806を押すかまたは引くと(すなわち、操縦制御部210を使用して)、可撓性部分204が屈曲して、端部502の向きを変えることができる。
【0125】
可撓性部分204が上記のように屈曲することにより、カテーテル201の長さが短縮する可能性があり、これは、従来のデバイスでは、針または他の手術器具の遠位先端の不慮による露出を引き起こし得る。例示した実施形態では、フランジ516と後退停止部518とのインターフェースによって画定される基準位置は、操縦リング804および操縦ケーブル806の終端点の遠位方向に位置付けられる。したがって、すべての撓みまたは屈曲は、基準位置の近位で生じる。フランジ516が後退停止部518に押し付けられた状態を維持する限り、針512およびカテーテル201の端部502の相対位置が既知である。
【0126】
可撓性部分204のゆがみに関係なくこの位置を維持するために、針512を近位方向に付勢させ得る。針の遠位への前進が望ましくないときは常に、この付勢力により、フランジ516が後退停止部518に確実に押し付けられている状態を維持することができる。以下でより詳細に説明するように、前進機構212を使用して、付勢力を選択的に克服し、カテーテルを手術部位に先導させた後、針を遠位方向に前進させることができる。
【0127】
図9は、デバイス200の近位部分206の部分図を例示している。付勢要素902は、この図において、前進機構212の遠位にあることが確認できる。付勢要素902は、様々な異なる形態を有することができるが、いくつかの実施形態では、接続部材408の一部分と、下部ハウジング402または上部ハウジング404などの参照構造との間で圧縮されるコイルまたは他の圧縮ばねであり得る。以下でより詳細に説明するとおり、例示した実施形態の付勢要素902は、接続部材408に堅固に結合されているフランジ1006(
図10Aに示す)と下部ハウジング402上に形成されている停止部1102(
図11に示す)との間で圧縮されるコイルばねである。そのような実施形態では、ばねは、接続部材408を下部ハウジング402に対して近位方向に押し出すことができ、前進機構212は、接続部材408を把持して、遠位方向に押し出すように構成され得、それによってばねがさらに圧縮する。しかし、他の実施形態では、例えば、引張ばね、電磁付勢アセンブリなどを含む、異なる付勢要素を使用することができる。さらに、特定の実施形態では、付勢要素の位置を変更することができ、例えば、圧縮ばねまたは他の付勢要素を、針512のフランジ516とカテーテル201の遠位先端508との間のデバイスの遠位端に位置付けることができる。あるいは、引張ばねまたは他の付勢要素を、
図1および上記に例示される構成と同様に、デバイスの近位端に位置付けることができる。
【0128】
図9には、近位部分206の遠位端にあるインジケータレンズ904も見ることができる。インジケータレンズ904は、透明または半透明の材料から形成することができ、使用者にフィードバックを提供するために利用できる1または複数の表示灯1104(
図11を参照)を覆うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、前進機構212が接続部材408と係合しているときは常に、1または複数の表示灯を起動させることができる。これは、針512または他の器具がデバイスの遠位端から前進し得るため、カテーテル201の操縦を慎重に行うべきであることを使用者に示すインジケータとして機能し得る。1または複数の表示灯1104は、例えば、発光ダイオード、白熱電球などであり得る。
【0129】
図10は、デバイス200の近位部分206の代替的部分図を示している。この図は、治療ラインおよび器具洗い流し流体ライン(instrument flushing fluid line)214、216の経路、ならびに付勢要素902をより明確に示している。また、器具洗い流しライン216からカテーテル内腔511内の接続部材408を取り囲む環状空間に流体の流れを配向する分岐ベース1002も見られる。分岐ベース1002は、1または複数の表示灯1104の取り付け場所としても機能し得る(
図11を参照)。
【0130】
図10Aは、付勢要素902および接続部材408の近位部分をより詳細に示している。図に見られるように、接続部材408は、その遠位端で結合されているスリーブ1004を含む。スリーブ1004は、様々な材料から形成され得るが、いくつかの実施形態では、ステンレス鋼または別の金属などの剛性導電性材料から形成され得る。スリーブ1004は、例えば、エポキシまたは他の結合剤を使用して、スリーブに対する移動ができないように、接続部材408に結合することができる。スリーブ1004は、前進機構212が接続部材408を把持するためのより大きい剛性を付与することができる(これは、いくつかの実施形態では、例えば、以下に記載するクラッチ機構1301によってクランプされたときに変形し得る材料から形成され得る)。材料の導電特性はまた、以下でより詳細に記載するように、1または複数の表示灯1104(
図11を参照)を起動させるための電気回路の構築を補助することができる。
【0131】
スリーブ1004は、付勢要素902の近位端に当接するように構成されているフランジ1006または他の特徴を含むことができる。フランジ1006は、接続部材408を近位方向に付勢させる際に作用する付勢要素902のための表面を提供することができる。
図11に示すとおり、付勢要素902の遠位端は、デバイス200の下部ハウジング402上に形成されているばね止め1102に当接させることができる。結果として、接続部材408は、デバイスハウジング402、404およびカテーテル201に対して近位方向に付勢させることができる。
【0132】
図12から
図19は、前進機構212をより詳細に示している。上記のように、前進機構212は、使用者によって望まれるときに針512または他の手術器具の遠位の移動をもたらすために、接続部材408と選択的に係合する。前進機構212は、使用者が力を加えることができる、接続部材408上に形成されている簡素なタブまたは他の特徴から、作動させたときに接続部材408に選択的に結合するクラッチ機構などのより複雑なアセンブリまで、様々な異なる形態を有することができる。
【0133】
例示した前進機構212は、以下に記載するように、使用者が操作できる上部および下部作動用突起1204、1206を有するクラッチハウジング1202を含む。クラッチキャップ1208は、接続部材408を取り囲む前進機構212の遠位端を形成する。遠位および近位回転防止停止部1210、1212は、それぞれ、クラッチキャップ1208およびクラッチハウジング1202に結合され、下部ハウジング402(図示せず)に形成されているトラック内に乗るように構成されているポスト1211、1213を含む。下部ハウジング402に形成されているトラックは、回転防止停止部1210、1212が下部ハウジング402に対して近位方向および遠位方向に並進することができるが、それを横切って移動することができないように、デバイスの長手方向軸に沿って延出している。図には、下部および上部ハウジング402、404に対する前進機構212の回転運動を容易にする軸受アセンブリ1214が見える。
【0134】
図13Aおよび
図13Bは、それぞれ、前進機構212の係脱された構成および係合された構成を示している。これらの図はまた、クラッチハウジング1202内のクラッチ機構1301を示している。クラッチ機構1301は、クラッチシャフト1306によって互いに枢動可能に結合されている第1のクラッチ部材1302および第2のクラッチ部材1304を含む。第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、
図13Aに示すとおり、開放構成に向かって付勢され、第1および第2のクラッチ部材1302、1304の外面はそれぞれ、軸受アセンブリ1214に当接している。接続部材408は、クラッチ部材1302、1304の間の空間に位置付けられている。
【0135】
図13Aの係脱された構成では、クラッチ部材1302、1304は、接続部材408に接触していない。したがって、前進機構212は、接続部材408にいかなる力も及ぼさず、付勢要素902のみが接続部材に作用する。しかし、
図13Bの係合構成では、クラッチ部材1302、1304は、軸受アセンブリ1214によって加えられる力によって互いに向かって枢動される。この構成では、クラッチ部材1302、1304は、接続部材408(
図13Bには示されていない)に接触し、それを挟持して、前進機構212を接続部材408に結合させる。次に、前進機構212を使用して(例えば、作動用突起1204、1206に加えられる力を介して)、接続部材408(したがって、針512または他の器具)を、付勢要素902の力に対して遠位方向に押し出すことができる。
【0136】
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、
図13Aおよび
図13Bの係脱および係合構成での前進機構212を示しているが、デバイス200の下部および上部ハウジング402、404に関連する前進機構も示している。特に、
図14Aおよび
図14Bは、前進機構がハウジングに対して回転するとき に、下部および上部ハウジング402、404の一部分が、係脱された構成と係合された構成との間で前進機構212を移動させるために使用されることを例示している。
【0137】
図14Aでは、例えば、前進機構212は、クラッチハウジング1202の対向する両側から延出している軸受アセンブリ1214が、下部および上部ハウジングに形成されている凹部1402内にあるように、デバイス200の下部および上部ハウジング402、404内に位置付けられている。凹部1402により、軸受アセンブリ1214は半径方向外向きに延出でき、それにより、第1および第2のクラッチ部材1302、1304が、クラッチシャフト1306を中心にして互いから離れるように枢動できるようになる(例えば、
図16に示すばね1602によって及ぼされる付勢力のために)。上記のとおり、そのような構成では、クラッチ部材1302、1304は、接続部材408に接触すること、または接続部材408に力を加えることはない。接続部材408は、前進機構212に対して近位方向または遠位方向に自由に並進することができる。
【0138】
前進機構212を移動させて
図14Bの係合構成にするためには、使用者は、作動用突起1204、1206に力を加えることによって前進機構を回転させることができる(例えば、例示した実施形態では、図の観点から前進機構を反時計回りに回転させることによる)。前進機構212を反時計回りに回転させると、クラッチハウジング1202の対向する両側から延出している軸受アセンブリ1214が、凹部1402から、下部および上部ハウジング402、404の平坦部分1404に移動する。この移動は、軸受アセンブリ1214を半径方向内側に押し付け、第1および第2のクラッチ部材1302、1304を、クラッチシャフト1306を中心として互いに向かって枢動させる。この係合構成では、第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、接続部材408に結合することができ、これにより、接続部材が前進機構212に対して並進できないようになる。換言すれば、前進機構212は、
図14Bの係合構成にあるとき、デバイスに対する接続部材の近位/遠位位置を制御することができる。
【0139】
図15は、前進機構212の分解図を例示しており、様々な構成部品をより明確に示している。特に、図は、
図13Aおよび
図14Aの係脱された構成に向けて前進機構を付勢させる第1および第2の付勢ばね1502、1504を示している。第1の付勢ばね1502は、遠位回転防止停止部1210とクラッチキャップ1208との間に位置付けられ、それらに当接することができる。同様に、第2の付勢ばね1504は、クラッチハウジング1202と近位回転防止停止部1212との間に位置付けられ、それらに当接することができる。回転防止停止部1210、1212から延出し、下部ハウジング402に形成されているトラック(図示せず)内に乗るポスト1211、1213は、回転防止停止部が下部ハウジング402に対して回転するのを防ぐ(しかし、依然として長手方向に並進できる)。結果として、第1および第2の付勢ばね1502、1504は、前進機構212に回転付勢力をもたらすことができる。
【0140】
図16には、クラッチ機構1301をより詳細に例示している。上記のとおり、第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、クラッチシャフト1306によって互いに枢動可能に結合される。さらに、第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、クラッチシャフト1306の周りに配設されている1または複数の付勢ばね1602によって開放構成に向かって付勢される。第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、デバイス内の他の構成部品のサイズ、接続部材408の大きさなどに応じて、様々な異なる形状およびサイズを有することができる。さらに、第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、例えば、ステンレス鋼、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチックまたは他の好適なポリマー、さらにはより柔らかく、より適合性のある材料、例えば、ゴム(例えば、65Aデュロメータゴム)、シリコーンまたはシリコーンブレンドなどを含む様々な材料から形成され得る。さらに、第1および第2のクラッチ部材1302、1304は、接続部材408の把持を補助するために、機械的な歯または他の特徴を含むことができる。例えば、コイル形態の(すなわち、スレッド状の)機械的歯を各部材上に形成して、接続部材の把持を補助し得る。
【0141】
第1および第2のクラッチ部材1302、1304はまた、前進機構212が係合構成にあるときに1または複数の表示灯1104を起動させる電気回路の一部を形成するように構成されている。特に、各クラッチ部材は、第1の遠位電気コネクタ1604Aおよび第2の遠位電気コネクタ1604B、ならびに第1の近位電気コネクタ1606Aおよび第2の近位電気コネクタ1606Bを含む。各クラッチ部材において、第1および第2の遠位電気コネクタ1604A、1604Bは互いに電気的に結合され、第1および第2の近位電気コネクタ1606A、1606Bは互いに電気的に結合されるが、遠位および近位電気コネクタのセット(すなわち、1604A、1604Bおよび1606A、1606B)は、互いから電気的に絶縁されている。さらに、第2の遠位電気コネクタ1604Bおよび第2の近位電気コネクタ1606Bは、クラッチ部材が接続部材と接触しているときに接続部材408に接触するように構成されている。
【0142】
前進機構212が係合構成にある場合にのみ1または複数の表示灯1104を起動させる電気回路を作製するために、1または複数の表示灯1104は、第1の遠位電気コネクタ1604Aに電気的に結合することができ、電源(図示せず)は、第1の近位電気コネクタ1606Aに電気的に結合することができる。クラッチ部材1302、1304が係脱された構成にあるとき(すなわち、接続部材408に接触していないとき)、1または複数の表示灯1104は、電源に接続されない。しかし、クラッチ部材1302、1304が係合して接続部材408に接触したときに、接続部材は、第2の遠位電気コネクタ1604Bおよび第2の近位電気コネクタ1606Bの両方に接触して、回路を完成させ、1または複数の表示灯1104に電気を伝導することができる。そのような回路を動作させるために、接続要素408は、2つの電気コネクタ1604B、1606Bの間で電気を伝導できなければならないが、いくつかの実施形態では、非導電性材料(例えば、ポリマー)を使用して、接続部材を形成する。そのような実施形態では、接続部材408の周りに配設され、ステンレス鋼または別の導電性材料から形成されているスリーブ1004は、クラッチ部材1302、1304に接触し得る接続部材の任意の部分に沿って延出し得る。
【0143】
前進機構212の作動時の電気回路の完成は、いくつかの異なる方法で使用者にフィードバックを提供するために利用することができる。前進機構が係合していることを使用者に視覚的に思い出させるために1または複数の表示灯1104を起動させることは、単なる1つの可能な選択肢である。他の実施形態では、回路は、参照により組み込まれる上記特許および特許刊行物に記載されるとおり、デバイス200内に配置されるか、または外部コントローラ、例えば、流体補充アブレーション治療コントローラに組み込まれる、コントローラまたはシステムの他の構成部品に結合され得る。そのようなコントローラ、または他の外部インターフェースデバイスは、視覚的、聴覚的、触覚的、または他の方法で使用者に同様のフィードバックを提供できる。さらに、電気回路からのフィードバックを利用して、治療法の送達(例えば、針512からのRF電気エネルギーの送達)を制御することができる。しかし、例示した実施形態では、表示灯1104は、少なくとも、前進機構が係合していることを使用者に思い出させるものとして機能し得、針512または他の器具がデバイスの遠位端から延出し得るため、カテーテルの操縦操作は、慎重に行うべきである。
【0144】
図17Aおよび
図17Bは、クラッチ機構1301および軸受アセンブリ1214の係脱させた構成および係合させた構成を分離して示している。また、クラッチ部材の各々の第1の遠位電気コネクタ1604Aが示され、第2の遠位電気コネクタ1604Bは、この図には示していない。
図18には、
図17Aおよび
図17Bに分解図で示されている構成要素を例示している。
図18は、クラッチ部材1302、1304が、いくつかの実施形態では、接続部材408(またはその周りに配設されているスリーブ1004)を確実に把持するように構成されている形状を有するインサート1802をそれぞれ含むことができることを示している。インサート1802は、クラッチ部材1302、1304と同じまたは異なる材料で形成することができ、様々な形状およびサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、例えば、インサート1802は、ステンレス鋼、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチックまたは他の好適なポリマー、ならびにさらに柔らかく、より適合性のある材料、例えば、ゴム(例えば、65Aデュロメータゴム)、シリコーン、またはシリコーンブレンドなどから形成され得る。さらに、インサートを利用する場合、これらは、接続部材408の把持を補助できる上記の機械的歯または他の特徴を含むことができる。例えば、コイル形態の(すなわち、スレッド状の)機械的歯を各部材上に形成して、接続部材の把持を補助し得る。
【0145】
図19Aおよび
図19Bは、軸受アセンブリ1214をより詳細に例示している。各軸受アセンブリ1214は、クラッチ部材1302、1304のうちの1つの外面に当接するように構成されているベース1902を含む。ベースはまた、ボール軸受1906を着座させることができる1または複数の隆起部分1904、ならびに各ボール軸受1906および隆起部分1904の周りに延出する1または複数のキャップ1908を含む。キャップ1908は、ボール軸受1906がキャップ1908上で部分的に延出し得る開口部を含むことができる。結果として、ボール軸受1906は、例えば、上部または下部ハウジング402、404の凹部1402または平坦部分1404に当接させることができ、また、前進機構212がデバイスの長手方向軸を中心に回転するかまたは並進するときに、この軸受により、ハウジングのこれらの部分に沿った滑らかな移動を容易に行うことができる。
【0146】
図20、
図21および
図22は、前進機構212を上記の係脱構成から係合構成に移動させ、かつこの機構を利用して、
図5に示す構成から
図7に示す構成まで針512を前進させるときの、デバイス200の近位部分206の様々な図を例示している。これらの図には、以下に提供されるデバイス200を使用するための方法の説明を伴う。
【0147】
デバイス200が使用される外科処置、例えば、心室頻拍を治療するための流体補助アブレーション治療処置(fluid enhanced ablation therapy procedure)の開始時に、前進機構212を、
図20A、
図21Aおよび
図22Aに示すように位置させ得る。すなわち、前進機構212は、作動用突起1204が上部ハウジング404内の開口部2001の近位端に当接するように、最も近位の場所に位置付けることができる(
図3、4、および14の図から理解できるように、作動用突起1206は、同様に、下部ハウジング402の開口部から延出できる)。開口部2001は、その近位端にノッチ2002を含むことができ、これは、前進機構212がデバイスに対して近位または遠位方向に並進するのを防ぐ。ノッチ2002は、第1および第2の付勢ばね1502、1504が、前進機構をノッチ内、およびクラッチ部材1302、1304が接続部材408と接触していない係脱構成に押し出すように位置付けることができる。
【0148】
図20A、
図21A、および
図22Aの構成では、付勢要素902は、
図5Aから
図5Cに示すとおり、フランジ516が後退停止部518に当接するまで、接続部材408を近位方向に押し出すことができる。上記のとおり、針512に沿ったフランジ516およびカテーテル201の内腔511内の後退停止部518の位置は、フランジが後退停止部に当接するとき(すなわち、基準位置にあるとき)に、針の遠位先端513がカテーテル201の遠位先端515と均一であるか、または近接するように選択される。特定の実施形態では、これらの構成部品の場所は、この構成にあるとき、針512の遠位先端513とカテーテル201の遠位先端515との間に所望の間隙D
1を維持するように選択することができる。任意の所望の間隙距離を利用することができ、いくつかの実施形態では、距離は約2mmであり得る。
【0149】
この構成では、カテーテル201を患者の身体内の所定の位置に操縦することができる。特に、カテーテルは、例えば、患者の循環系に導入することができ、操縦制御部210を利用して、カテーテルを、患者の身体内を通して、手術部位、例えば、患者の心臓まで操縦することができる。針512の近位方向への付勢、および操縦ケーブル806の終端点に対して遠位にフランジ/後退停止部インターフェースを位置付けることにより、針は、カテーテル内腔511内に確実に留置される。したがって、使用者は、カテーテル201の可撓性部分204が、操縦されて所定の位置に入るときに激しく屈曲しても、確実に針512がカテーテルの遠位先端から不慮により延出しないようにすることができる。
【0150】
カテーテル201が手術部位の所定の位置まで先導されると、使用者は、前進機構212を
図13A、
図14A、
図20A、
図21A、および
図22Aに示す係脱構成から
図13B、
図14B、
図20B、
図21B、および
図22Bに示す係合構成に移動させることができる。これは、前進機構212を回転させて、作動用突起1204(および同様に、デバイスの反対側にある作動用突起1206)をノッチ2002から移動させることによって達成される。前進機構212の回転により、軸受アセンブリがハウジングの凹部1402から平坦部分1404に移動し、それにより、クラッチ部材1302、1304を一緒に押し付けて、接続部材408を確実に把持する。さらに、スリーブ1004は、クラッチ部材上の電気コネクタ1604B、1606Bに接触し、インジケータレンズ904を通して光る1または複数の表示灯1104を起動させて、前進機構212が針512に結合したことを使用者に通知する。
【0151】
カテーテル201の遠位先端から針512を展開するために、使用者は、
図20C、
図21C、および
図22Cに示すとおり、前進機構212を遠位方向に並進させることができる。このように前進機構212を並進させることは、同様に、
図6Aおよび
図6Bに示す位置を通って、最終的には
図7Aから
図7Cに示す位置まで針512を遠位方向に前進させる。そのような構成では、付勢要素902は、
図22Cに示すとおり圧縮され、前進機構212は、開口部2001の遠位端の近くに位置付けられている。
【0152】
針512は常に、フランジ516が後退停止部518に当接している基準位置から、遠位方向に前進し始めるので、正確に制御され得る。付勢要素を使用することにより、カテーテル本体に若干の圧縮ひずみが付与され、若干の張力が接続部材408に付与され得(これらは、針が後退停止部518に対して移動を始める前に軽減される必要がある)るが、例えば、以下に記載するノッチ2004の位置を設定する場合、これは特徴付けられ、補償され得る。最終結果は、前進機構212を、例えば5mm(さらに、上記の付勢要素のひずみを補償するために必要な距離)遠位方向に移動させることは、針512を基準位置から5mm遠位方向に移動させることである。そのような精度は、カテーテルの遠位先端に対する針または他の器具の開始位置を保証することのないこれまでのデバイスでは不可能である。
【0153】
針が展開されると使用者が手を自由にできるようにするために、開口部2001は、特定の展開距離で形成されている1または複数の追加のノッチ2004を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ノッチ2004は、
図20Dに示すとおり、2mm、5mm、および8mmの針展開距離に提供され得る。ノッチは、前進機構212が第1および第2の付勢ばね1502、1504によってノッチ内の所定の位置に押し出されるように位置付けることができる。しかし、ノッチ2002とは異なり、ノッチ2004は、前進機構が、着座したときに係合構成に留まるように、接続部材408が付勢要素902の力に抗して確実に把持され、所定の位置に保持されるように位置付けることができる。さらに、ノッチ2004によって表される任意の距離は、針512がカテーテル201の遠位先端から延出する距離を表すことができ、完全に後退させた構成のときに、針の遠位先端とカテーテルの遠位先端との間に維持される任意の間隙距離D
1、また、接続部材408の上記の張力および付勢要素によって付与されるカテーテル本体内の圧縮を緩和するために必要な任意の追加の前進距離を考慮に入れることができる。任意の数のノッチを任意の様々な距離で提供することができ、いくつかの実施形態では、ノッチ2004は、止めねじ、ロッキングピンなど、前進機構212の並進および回転位置を維持するための複数の他の既知の機構の代わりに使用しなくてもよい。
【0154】
針512がカテーテル201の端部から展開されて組織に挿入されると、使用者は、流体補充アブレーション療法の送達を開始することができる。これは、治療用流体送達ライン214、ならびに接続部材408および針512の内腔を通して流体を送り込むことによって、リザーバまたは他の供給源から組織に流体を送達させる段階を含み得る。流体は、針512の1または複数の出口ポート514を介して組織に送達することができる。さらに、流体は、針512の内腔内に配設されている加熱要素520(
図5Cを参照)を使用して、周囲組織に送達される前に加熱させることができる。上記のように、加熱要素520の長さは、例えば、流体を通って針512の側壁までRF電気エネルギーを通過させ、それによって、その固有の抵抗率により、針の内腔を通って流れる流体を加熱させる、露出されたワイヤの長さであり得る。展開型針512と共に使用するのに好適である加熱要素に関するさらなる詳細は、上記の参照により組み込まれた特許および公開出願において利用可能である。
【0155】
流体補助アブレーション療法はまた、針512の外面に配設されているアブレーション要素を使用して、組織へRF電気または他のエネルギーを送達する段階を含み得る。例示した実施形態では、例えば、針512は、ステンレス鋼などの導電性材料から形成することができ、その表面全体を電極として利用することができる。しかし、他の実施形態では、針512の一部分のみをアブレーション要素として使用することができ(例えば、針の残りの部分を絶縁材料で覆うことによって)、または個別のアブレーション要素を針に結合することができる。アブレーション要素のさらなる詳細は、上記の参照により組み込まれた特許および公開出願に記載されている。
【0156】
手術中にカテーテル201を再度位置付ける必要がある場合、使用者は、上で詳述した展開ステップを逆にすることによって針512を後退させることができる。すなわち、前進機構212は、ノッチ2004から外れて回転し、近位方向に並進し、回転して、新しいノッチ、例えば、ノッチ2002に入ることができる。針は、任意の所望の量、近位方向または遠位方向に移動させることができ、カテーテルの操縦は常に可能である。しかし、表示灯1104は、針512が展開状態にあることを使用者に思い出させるために、前進機構212のクラッチ部材1302、1304が接続部材408から分離するまで起動させたままであり得る。上記のように、特定の実施形態では、表示灯1104を起動させる信号を使用して、針が後退するまで操縦制御がロックされ得、針が展開などするまで治療開始を防止できるなど、デバイスの他の態様を制御することができる。
【0157】
前述の説明は、本開示の特定の実施形態の詳細を提供する。これらの実施形態に関して記載された特定の特徴は、本開示の範囲を限定するものではない。例えば、上記のデバイス200は、流体およびアブレーションエネルギーを組織に送達するように構成されている中空針512を含む。しかし、本開示は、カテーテル内で手術部位に送達され、使用するために選択的に展開させ得る任意の手術器具(針またはその他)に適用可能であり得る。さらに、本明細書に開示される特定の付勢要素は、限定することを意味するものではない。一例として、圧縮コイルばね902は、デバイスの近位部分206ではなく、カテーテル201の遠位部分202など、デバイス200内の様々な位置に置くことができる。さらに、引張ばね、電磁付勢アセンブリなど、異なるタイプの付勢要素を使用することができる。
【0158】
さらに、前進機構212は、様々な異なる構成を有することができる。例えば、クラッチ機構1301は、複数の異なる可能な機械的、電気機械的、または電磁クラッチ機構と交換できる。枢動クラッチ部材1302、1304は、いくつかの実施形態では、接続部材408の周りに延出し、前進機構212の回転によって接続部材と接触するように押し付けられるシリコーンまたは他のコンプライアント部材によって置き換えることができる。接続部材と接触すると、摩擦により、コンプライアント部材と接続部材408との間での移動を防ぐことができ、それにより、前進機構を利用して、付勢要素902の力に対して遠位方向に針512を並進させ得るようになる。
【0159】
図23~28は、代替的前進機構2312を含むカテーテルデバイス2300の別の実施形態の近位部分を示している。デバイス2300は、
図9に示すデバイス200とほぼ同じであり、前進機構2312は、接続部材408を選択的に把持し、針または他の手術器具の遠位前進をもたらすように同様に機能する。しかし、前進機構2312は、
図24および25に詳細に示されている代替的機械的設計を含む。
【0160】
前進機構2312は、この機構の他の構成部品を協動的に囲む上部クラッチハウジング2314および下部クラッチハウジング2316を含む。上部および下部クラッチハウジング2314、2316はそれぞれ、機構を作動させて接続部材408の遠位運動をもたらすために、使用者が操作できる作動用突起2318、2320(それぞれ)を含む。遠位および近位回転防止停止部2322、2324は、デバイスの下部ハウジング402(図示せず)に形成されているトラック内に乗るように構成されている上部および下部クラッチハウジング2314、2316およびポスト2326、2328に結合される。下部ハウジング402に形成されているトラックは、回転防止停止部2322、2324が下部ハウジング402に対して近位方向および遠位方向に並進することができるが、下部ハウジングに対して横方向に移動できないように、デバイスの長手方向軸に沿って延出させることができる。遠位および近位付勢ばね2330、2332は、回転防止停止部2322、2324のうちの1つ(それぞれ、ポスト2329、2331を介して)、ならびに上部および下部クラッチハウジング2314、2316のうちの1つに結合させて、上記の前進機構212と同様に、係脱構成に対してクラッチハウジングを回転により付勢させる。
【0161】
図25の分解図は、クラッチハウジング2314、2316の間に収容されている様々な構成部品を例示している。特に、クラッチ機構2501は、上部クラッチハウジング2314と下部クラッチハウジング2316の間、ならびに、遠位回転防止停止部2322と近位回転防止停止部2324との間に配設される。以下でより詳細に論じるクラッチ機構2501は、遠位および近位回転防止停止部2322、2324の間に延出しているクラッチシャフトによって互いに枢動可能に結合される第1および第2のクラッチ部材を含む。さらに、一対の軸受シャフト2503は、遠位および近位回転防止停止部2322、2324内に形成されているスロットに乗り、クラッチ機構2501の第1および第2のクラッチ部材から半径方向外側に位置付けられる。軸受シャフト2503は、回転防止停止部2322、2324のスロット内で半径方向に回転および移動することができる。1または複数の安定化シャフト2505はまた、前進機構2312の剛性を改善するために、遠位および近位回転防止停止部2322、2324の間に延出している。
【0162】
図26には、クラッチ機構2501をより詳細に例示している。
図18に示すクラッチ機構1301と同様に、クラッチ機構2501は、クラッチシャフト2606によって互いに枢動可能に結合している第1および第2のクラッチ部材2602、2604を含む。さらに、第1および第2のクラッチ部材2602、2604は、クラッチシャフト2606の周りに配設されている1または複数の付勢ばね2608によって開放構成に向かって付勢される。上記のクラッチ機構1301と同様に、第1および第2のクラッチ部材2602、2604は、様々な異なる形状およびサイズを有することができ、付勢構成部品の代替的配置を含むことができる。さらに、第1および第2のクラッチ部材2602、2604はそれぞれ、クラッチ機構2501の作動時に接続部材408に接触するように構成されているインサート2610を含むことができる。インサート2610は、様々な形状およびサイズを有することができ、第1および第2のクラッチ部材2602、2604を形成するために使用される材料と同じまたは異なる材料から形成することができる。インサート2610は、インサートが必ず摩耗する場合、または異なるサイズの接続部材408が利用された場合などに交換を容易にするために、対応するクラッチ部材から選択的に分離することができる。
【0163】
また、上記のクラッチ機構1301と同様に、前進機構2312が係合構成にあるときに、クラッチ機構2501が、1または複数の使用者フィードバック機構(例えば、表示灯1104)を起動させる電気回路の一部を形成するように構成することができる。特に、第1のクラッチ部材2602は、第1の電気コネクタ2612を含むことができ、第2のクラッチ部材2604は、第2の電気コネクタ2614を含むことができる。リード線(図示せず)は、ポスト2616、2618(それぞれ)を介して第1および第2の電気コネクタに電気的に結合され、1または複数の表示灯1104および電源(図示せず)まで延出させ得る。これにより、第1および第2の電気コネクタ2612、2614は、電源を1または複数の表示灯1104に接続している回路内にスイッチを形成することができる。クラッチ機構2501が作動し、第1および第2のクラッチ部材2602、2604が接続部材408に接触したときに、第1および第2の電気コネクタ2612、2614も、接続部材408に接触して、例えば、上記のように、接続部材408の導電性材料を介してスイッチを閉じることができる。結果として、1または複数の表示灯1104は、クラッチ機構2501が接続部材408に接触しているときにのみ電源を入れることができる。上記のように、1または複数の表示灯1104の電源を入れることは、そのようなスイッチによって提供され得るフィードバックの一例である。他の実施形態では、スイッチの開位置または閉位置は、コントローラまたはシステムの他の構成部品に伝達することができる。そのようなコントローラは、視覚的、聴覚的、触覚的、または他の方法で使用者にフィードバックを提供することができるか、または治療法の送達(例えば、針512または他の器具からのRF電気エネルギーの送達)を制御することができる。
【0164】
図27Aおよび27Bは、クラッチ機構と前進機構2312の他の構成部品との間の相互作用と共に、クラッチ機構2501の係脱構成および係合構成を示している。近位回転防止停止部2324は、下部ハウジング402(図示せず)上に形成されているトラック内に延出しているポスト2328(
図24および25を参照)によって回転が防止されているため、
図27Aおよび27Bに示す動きは、回転防止停止部2324の周りのクラッチハウジング2314、2316の回転である。安定化シャフト2505およびクラッチシャフト2606は、遠位および近位回転防止停止部2322、2324に形成されている凹部の間に延出しているため、同じ理由で図の平面内で移動することはない。しかし、軸704は、半径方向内側または外側に移動することができる。これは、軸受シャフト2503が、そのような移動を可能にする回転防止停止部2322、2324に形成されているスロット内に受け入れられるためである。
【0165】
図27Aの係脱構成では、クラッチハウジング2314、2316は、凹部2702が各軸受シャフト2503と位置調整されるように位置付けられ、これにより、軸受シャフトが半径方向外向きに移動できるようになる。この構成では、クラッチ機構2501の力により、付勢ばね2608(
図26を参照)が、第1および第2のクラッチ部材2602、2604を分離させ、軸受シャフト2503をそれらの最も外側の位置に押し出す。さらに、クラッチ部材2602、2604は、デバイスの接続部材408(図示せず)に接触していない状態を維持する。
【0166】
前進機構2312と係合させるには、使用者は、例えば、作動用突起2318、2320の操作を介して、クラッチハウジング2314、2316を回転させて、
図27Bに示す構成にすることができる。クラッチハウジング2314、2316が回転すると、凹部2702が移動して、軸受シャフト2503と位置が合わなくなり、クラッチハウジングの平坦(または突出)部分2704が軸受シャフトと位置調整され得る。クラッチハウジング2314、2316のこのような回転運動により、軸受シャフト2503が半径方向内向きに移動し、これにより、付勢ばね2608の力を上回り、第1および第2のクラッチ部材2602、2604を互いに向かって移動させる。
図27Bに示す構成では、第1および第2のクラッチ部材2602、2604の間に配設されている接続部材(図示せず)が、確実に把持される。次に、使用者は、前進機構2312を近位方向または遠位方向に並進させて、上記のとおり、接続部材に結合されている針または他の手術器具の同様の移動をもたらすことができる。
【0167】
図28は、下部ハウジング402、上部ハウジング404、および接続部材408に対する前進機構2312を例示している。係脱構成の前進機構が、
図27Aに示されており、接続部材408と接触していない。
図28を
図14Aおよび14Bと比較することによって見られるように、前進機構2312は、クラッチハウジング2314、2316内に完全に含まれ、クラッチ部材2602、2604の移動をもたらすために、下部および上部ハウジング402、404と軸受アセンブリ1214との間の相互作用に依存することはない。
【0168】
上記の前進機構212および2312は、単なる2つの可能な実施形態である。さらに、両方の実施形態は、枢動接続を介して互いに向かって、または互いから離れて移動するクラッチ部材を利用する。他の実施形態では、クラッチ部材1302、1304(または2602、2604)は、互いから線形に分離することができる。例えば、クラッチ部材1302、1304およびクラッチハウジング1202上の先細りの表面は、前進機構212が回転または並進するときに、クラッチ部材を互いに向かって押し付けることができる。さらに他の実施形態では、前進機構212は、接続部材408への機構の係合およびデバイスに対する機構の並進を制御するための別個の機構を含むことができるか、または前進機構212は、単一の動き(例えば、遠位並進)が、接続部材408との係合および遠位前進の両方を引き起こすように構成できる。さらに、本開示の教示によるデバイスは、前進機構を支援するかまたは完全に動力により移動させるために、任意の方法のギアリングシステム(例えば、ウォームギアなど)およびアクチュエータ(例えば、ソレノイドなど)を利用することができる。
【0169】
図29~34は、既知の基準位置を使用して、カテーテルの遠位部分内に配設されている針または他の手術器具の遠位前進を制限することができる前進機構の追加の実施形態を例示している。したがって、カテーテル内の針または他の器具の位置は、上記の後退停止部に対して近位方向に後退させたときのみでなく、以下に記載するように、展開停止部に対して遠位方向に展開されたときも確実に知ることができる。カテーテルの遠位端に対する展開停止部の既知の位置付けは、器具に形成されている突起または他の配置特徴が展開停止部と接触しているときに、カテーテルの遠位端を超えて一定の長さの針または器具の展開を確実に行うことができる。さらに、一連の展開停止部を利用して、様々な長さの器具の展開、例えば、2mm、5mm、8mmなどをもたらすことができる。さらに、そのような実施形態は、任意により付勢要素を使用することができる。特定の実施形態において、付勢要素がないことにより、付勢要素が付与し得る接続部材の張力およびカテーテルの圧縮を補償する必要がなくなり得る。
【0170】
図29に示す第1の実施形態では、一連のトラック2902、2904、2906は、カテーテル2910の内腔2908の側壁に形成され得る。細長い本体2912、例えば、針または別の手術器具は、内腔2908内に位置付けられ、そのトラックのいずれかに対して並進および回転するように構成され得る。細長い本体2912は、その外面に形成されている突起2914を含むことができる。突起2914は、トラック2902、2904、2906と相補的な形状を有することができ、それにより、トラックは、カテーテル2910に対する細長い本体2912の突起および誘導運動を受け入れることができるようになる。例えば、近位位置で、細長い本体2912を長手方向軸Lを中心に回転させて、突起2914をトラック2902、2904、2906のうちの1つと位置調整させることができる。次に、細長い本体2912は、突起2914がトラック2902、2904、2906のうちの1つに入るように、カテーテルに対して前進させることができる。配設されるトラックの遠位端によって形成されている展開停止部に突起が到達するまで、細長い本体2912を前進させることができる。その時点で、突起2914とトラックの遠位端との間の干渉により、カテーテル2910に対する細長い本体2912のさらなる前進を妨げることができる。カテーテル2910の遠位端から特定の距離でトラック2902、2904、2906を終端させることにより、カテーテル2910の遠位端から特定の距離において、細長い本体の展開を制限することができる。
【0171】
一例として、
図29に示すとおり、第1のトラック2902は、第2のトラック2904よりも短くすることができ、第3のトラック2906よりも短くすることができる。突起2914が第1のトラック2902と位置調整されるように細長い本体2912を近位位置で回転させ、次に細長い本体を遠位方向に前進させることにより、第1のトラックの長さにより、細長い本体がカテーテルに対して前進できる距離を制限することができる。より長い距離が望まれる場合、細長い本体2912は、近位位置まで後退させ、より長いトラック2904、2906のうちの1つと位置調整させるように回転させ、選択したトラックの端部まで遠位方向に前進させ得る。
【0172】
そのような構成であれば、上記のとおり細長い本体を後退停止部に対して近位方向に後退させたとき、ならびに様々な展開位置において、双方とも、カテーテル内に配設されている細長い本体の相対的な位置付けを使用者に確実にもたらすことができる。ここで、細長い本体は、トラック2902、2904、2906のうちの1つの遠位端に対して前進する。また、トラック2902、2904、2906は、任意の操縦機構の遠位にあるカテーテルの一部分に沿ってカテーテル2910の側壁に形成されているため、使用者は、操縦などによるカテーテルの任意の近位変形を保証することができ、細長い本体がカテーテルの遠位端から延出する距離に影響を与えることはない。
【0173】
図29には、異なる長さの3つのトラック2902、2904、2906を例示している。しかし、他の実施形態では、任意の数のトラックを使用して、様々な距離の細長い本体の前進または展開をもたらすことができる。カテーテル2910に対する細長い本体2912の回転を制御することにより、デバイスの近位端で様々なトラックのいずれかを選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ノブまたは他の作動特徴は、その近位部分に沿って細長い本体に結合することができ、細長い本体2912を回転させるために使用することができる。例えば、細長い本体2912を中心として配設されているハウジング上のマーキング、戻り止め、または他の識別機能は、突起2914がいずれのトラックと位置調整されているかを、例えば、そのトラックによって可能である遠位前進を示す(例えば、2mm、5mm、8mmなど)ことによって、使用者に示すことができる。
【0174】
図30は、細長い本体3004上に形成されているフランジ3002または他の特徴が、カテーテル3008に形成されている相補的な貫通穴3006と組み合わせて利用され、正しく鍵型に合わせる(keyed)配向に回転させたときに、細長い本体3004の前進が選択的に可能になる第2の実施形態を例示している。例えば、
図30に示すとおり、細長い本体3004は、フランジ3002が穴3006を通って前進するように位置調整させた位置または鍵型に合わせる位置まで回転させたものを示している。しかし、この回転位置では、細長い本体は、より遠位の貫通穴3010を超えて前進することが妨げられる。そのようなさらなる遠位前進を達成するためには、細長い本体3004は、貫通穴3006内を通過させた後、90°回転させる必要がある。
【0175】
長手方向軸Lを中心として異なる回転方向にある鍵型フランジおよび貫通穴のそのようなシステムでは、上記の様々なトラックと同じ方法で、カテーテル3008に対して細長い本体3004の既知の選択的に制限された前進をもたらし得る。例えば、貫通穴3006の位置がカテーテル3008の遠位端に対して既知であり、フランジ3002の位置が細長い本体3004の遠位端に対して既知である場合、細長い本体が、貫通穴3006に当接するが、その中を通過しないように前進するとき(例えば、穴3006を通過できないように、軸Lを中心に細長い本体を回転させる場合など)は常に、細長い本体3004およびカテーテル3008の遠位端の既知の相対位置を決定することができる。さらに、穴3006の位置は、カテーテル3008の任意の操縦機構の遠位にあり得、例えば、その遠位部分に沿った、カテーテルの操縦によって生じるカテーテル3008および/または細長い本体3004の近位方向への変形または移動はいずれも、上記のように、カテーテルと細長い本体の遠位端との相対的な位置付けに影響を与えることはない。
【0176】
さらに、カテーテルの遠位端に対して様々な距離でカテーテルの長さに沿って一連の貫通穴(例えば、穴3006、3010など)を配設することによって、細長い本体3004は、回転させることによって様々な距離を選択的に前進させて、フランジ3002を様々な貫通穴と選択的に位置調整することができる。特定の貫通穴とずれている場合、細長い本体の遠位方向への前進は、貫通穴を取り囲む隔壁(例えば、貫通穴3006を取り囲む隔壁3007または貫通穴3010を取り囲む隔壁3009)に対してフランジ3002を押し付けられ、それによって展開停止部が形成され、あらゆる意図しないさらなる前進を防ぐことができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、上記の構成を、細長い本体3004の近位付勢と組み合わせて使用して、細長い本体をカテーテルに対して所望の位置に維持できることに留意されたい。例えば、細長い本体のフランジを穴に通過させた後、細長い本体を回転させて穴から引き出されることがないようにし、次に、ちょうど通過した隔壁に対してフランジを押し付けるように近位方向に押し出すことができる。例えば、細長い本体3004は、
図30に示す位置から遠位方向に前進させることができ、これにより、フランジが穴3006を通過するようになり、次に、細長い本体を90°回転させて、穴3010を通過するように位置調整することができるが、例えば、付勢機構によって近位方向に引き出すことができる。こうして近位方向へ引き出すことにより、隔壁3007と接触させた状態にフランジ3002を維持し、カテーテルに対する細長い本体の位置を維持することができる。そのような構成は、事実上、カテーテルの遠位部分の長さに沿って一連の後退停止部(上記の停止部518のような)を提供する。
【0178】
フランジ3002および貫通穴3006、3010の一実施形態を
図30に示しており、様々な異なる構成のいずれかが可能である。例えば、フランジ3002は、様々な形状およびサイズの1または複数の半径方向に延出している突起の形態であり得、貫通穴3006、3010は、相補的であり、様々な回転位置のいずれかに配設され得る。上記のアクチュエータを利用して、回転、および細長い本体の近位部分からの遠位前進または近位後退を制御することができる。
【0179】
図31には、単一の蛇行しているまたは迷路状のトラック3102がカテーテル3104の側壁に形成されて、カテーテルに対する細長い本体3106の移動を誘導する前進機構のさらに別の実施形態を例示している。上記のように、細長い本体3106上に形成されている突起3108は、トラック3102内に受け入れられるように構成することができる。突起3108がトラック3102の第1の部分3110内に受け入れられると、細長い本体3106が、カテーテル3104に対して回転するのを防ぐことができ、かつ突起3108がトラックの第1の部分の遠位端に当接するまでのみ遠位方向に前進することを制限することができ、これによって第1の展開停止部に到達する。上記のとおり、トラック3102の第1の部分3110の遠位端は、カテーテルの遠位端から既知の距離に位置付けることができる。こうした固定距離を突起3108と細長い本体3106の遠位端との間の固定距離と組み合わせて使用して、カテーテルの遠位端と細長い本体との間の相対位置を決定することができる。
【0180】
細長い本体3106をカテーテル3104に対してさらに前進させ続けるために、突起3108がトラック3102の第1の移行部3112を通過するように、細長い本体を回転させることができる。突起3108をトラック3102の第2の部分3114と位置調整すると、細長い本体3106は、突起がトラックの第2の部分の遠位端に当接するまで遠位方向に前進し、それによって第2の展開停止部に到達することができる。さらに遠位への前進が望まれる場合、細長い本体3106を回転させて、突起3108を第2の移行部3116を通って移動させて、トラック3102の第3の部分3118と位置調整することができる。様々な実施形態において、任意の数のトラック部分および移行部を利用して、カテーテルに対する細長い本体の様々な段階的前進をもたらすことができる。
【0181】
さらに、細長い本体3106は、トラック3102の各部分の遠位端に対して前進するか、またはカテーテル3104に対する細長い本体の位置付けを制御するために各部分の近位端に対して近位方向に引き出すことができる。これは、
図31に示す実施形態において、フランジ3002を隔壁に遠位に前進させることまたは近位方向へ引き出すことと概念的に類似している。それ以外に、最終的には、近位後退または遠位前進のいずれかに対する一連の効果的な後退または展開停止部であり得、これらは、例えば、カテーテル操縦などからの変形による、より近位の部分に沿ったこれらの構成部品間の相対的な動きに関係なく、カテーテルに対する細長い本体の位置を検証可能に達成し、維持するために使用できる。
【0182】
図32は、一連のトラック3202、3204が、カテーテルの長手方向軸Lを中心として異なる角度位置でカテーテル3206の側壁に形成されているさらに別の実施形態を例示している。カテーテル3206の内腔内に配設されている細長い本体3208は、カテーテルに対する細長い本体の移動を誘導するために、トラック3202、3204内に受け入れられ得る、細長い本体の外面に形成されている突起、鍵、または他の特徴3210を含むことができる。長手方向軸Lを中心として異なる角度位置にトラック3202、3204を位置付けることにより、細長い本体3208をある程度回転させて、例えば第1のトラック3202と位置調整したところから、例えば、第2のトラック3204と位置調整したところまで鍵3210を移動させる必要があり得る。これは、このような回転の前に、カテーテル内に配設されているトラックの遠位端に鍵3210が当接したときに、カテーテル3206に対する細長い本体3208の遠位前進が、正の展開停止部に到達できることを意味する。上記のように、トラック3202、3204は、任意の操縦部分などの遠位に配置されているカテーテル3206の遠位部分に形成され得る。したがって、任意のトラックの最遠位端とカテーテルの遠位端との間の距離を知ることができ、これは変化しない。鍵3210または他の特徴は、同様に、細長い本体3208の遠位端に対して固定することができ、これにより、細長い本体3208の遠位端とカテーテル3206の遠位端との間の相対位置(例えば、細長い本体の遠位端がカテーテルの遠位端を超えてどのぐらい延出しているか)は、鍵3210が、トラックの遠位端に当接するときに知ることができるようになる。
【0183】
トラック3202、3204間での鍵3210の移行は、様々な方法で達成することができる。例えば、移行トラック部分(例えば、上記の移行部分3112、3116など)を使用して、異なるトラック間を橋渡しすることができる。代替的には、細長い本体の360°回転が可能になり、各トラック3202、3204と交差する環状移行部分を提供することができる。図には2つのトラックのみ示しているが、カテーテルの長さに沿って任意の数を使用できる。さらに、いくつかの実施形態では、所与の移行領域から複数のトラックに入ることが可能であり得る。例えば、
図29に示すものと同様の構成を使用して、鍵3210を所望のトラックと位置調整させるために、細長い本体の回転に基づいて複数のトラック(例えば、異なる長さなどを有する)を選択することができる。
【0184】
図33は、中間シャフト3302が、細長い本体3306上のカテーテル3304内に配設されて、カテーテルに対して細長い本体3306を遠位へ前進させるための積極的な停止部となる実施形態を例示している。上記の構成と同様に、細長い本体3306は、フランジ3308またはその上に形成されている他の特徴を含むことができ、これらは、固定された後退停止部3310と組み合わせて使用して、カテーテル3304内の既知の場所に細長い本体を確実に維持させることができ、また、カテーテルを留置する間などに、カテーテルの遠位端を超えて細長い本体が不慮により延出することを回避できる。中間シャフト3302は、細長い本体3306および後退停止部3310を中心として配設され得、カテーテルの長手方向軸Lに沿って位置を調節するためにそれらに対して移動可能であり得る。中間シャフト3302は、細長い本体3306がシャフト3302の遠位端内を通過できるがフランジ3308は通過できないように、直径が減少した内腔を有する遠位端3312を含むことができる。
【0185】
この構成の結果として、フランジ3308が中間シャフト3302の遠位端3312に当接するとき、細長い本体が、カテーテル3304に対して遠位方向に前進するのを確実に停止させる。さらに、細長い本体3306のフランジ3308を停止部に対して後退させ、細長い本体の遠位端をカテーテル3304の遠位端と位置調整させたときに(例えば、
図33に示すとおり)、中間シャフト3302の遠位端3312と後退停止部3310との間の距離Xを設定することによって、フランジ3308をシャフト3302の遠位端3312に当接させるように細長い本体を遠位方向に前進させるとき、使用者は、確実に、カテーテルの遠位端から同じ距離X分細長い本体を延出させることができる。当然のことながら、他の実施形態では、フランジ3308の任意の相当な厚さ、および例えば、後退状態にあるときのカテーテル3304内での細長い本体3306の所望の安全な戻りに対応するように、
図33に示す構成を調節することが可能であり得る。
【0186】
カテーテル3304および後退停止部3310に対する中間シャフト3302の位置は、複数の方法で調節することができる。例えば、いくつかの実施形態では、シャフト3302を回転させることにより、カテーテルの長手方向軸Lに沿ってその位置を調節できるように、中間シャフト3302をカテーテル3304とねじ込み式で係合することができる。他の実施形態では、シャフト3302は、ばね式または固定爪様特徴を備えた一連の戻り止めを使用して、または他の任意の既知の構成を使用して、カテーテル3304に対して指標を付けることができる。いくつかの実施形態では、シャフト3302は、カテーテルの任意の操縦部分の遠位の所定の位置でカテーテル3304に指標を付けて、シャフトの遠位端3312と固定後退停止部3310との間の距離Xに変動がもたらされ得るシャフト3302とカテーテル3304との間の任意の不慮による移動を回避することができる。
【0187】
さらなる構成が
図34に示されており、ここでは、カテーテル3404に対する細長い本体3402の位置は、カテーテルの内腔の側壁に形成されている一連の戻り止め3406、3408、3410、3412を使用して制御される。細長い本体3402は、その外面に形成されている突起3414を含むことができ、これは、戻り止め3406、3408、3410、3412と接合して、カテーテルに対する細長い本体の位置を維持することができる。戻り止め3406、3408、3410、3412の位置は、カテーテル3404の遠位端に対して既知であり、突起3414の位置は、細長い本体3402の遠位端に対して既知であるため、細長い本体とカテーテルの遠位端との相対位置は、戻り止めのそれぞれについて知ることができる。さらに、突起3414は、突起を隣接する戻り止めに対して押すのに十分な力が加えられるまで、カテーテル3404に対する細長い本体3402の近位および遠位の両方の移動を防ぐ方法で、各戻り止めと接合することができる。
【0188】
突起3414は、十分な力が加えられた後、隣接する戻り止め間で移行できるようにするために様々な構成を有し得る。例えば、突起3414は、十分な力が加えられるまで変形に抵抗するのに十分な剛性を有する単一の変形可能な材料(例えば、複数のポリマーなどのいずれか)から形成することができる。他の実施形態では、突起3414は、ばね球機構であり得る。さらに他の実施形態では、突起3414は剛性材料から形成され得、戻り止め3406、3408、3410、3412は、細長い本体の選択的な移動を可能にするのに十分に変形可能な材料から形成され得る。
【0189】
突起3414は、細長い本体3402の片側に形成することができ、または
図34に示すように、細長い本体3402の反対側に形成することができる。さらに他の実施形態では、複数の突起および戻り止めは、細長い本体3402の周囲部の周りに離間させ得、または単一の特徴を、その周囲部の周りに環状に延出させて、カテーテル3404内に形成されている環状の戻り止めと接合させ得る。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル3404上に形成されている突起が細長い本体3402上に形成されている戻り止めと接合できるように、または細長い本体およびカテーテルのうちのいずれか上に形成されている単一の戻り止めが、他の構成部品の長さに沿って形成されている一連の突起のうちの1つと接合するように構成され得るように、例示している配置を逆にすることができる。
【0190】
本明細書に開示のデバイスは、単回使用後に廃棄されるように設計することができるか、または複数回使用するために設計することができる。しかし、いずれの場合も、デバイスは、少なくとも1回使用した後、再利用するように再調整できる。再調整する段階には、デバイスの分解、その後の特定の部品の清掃または交換、およびその後の再組み立ての段階の任意の組み合わせが含まれ得る。特に、デバイスは分解することができ、デバイスの任意の数の特定の片または部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するかまたは取り外すことができる。特定の部品を清掃するかつ/または交換すると、デバイスは、再調整施設で、または外科手術の直前に外科チームが後に使用するために再度組み立てることができる。当業者であれば、デバイスの再調整では、分解、清掃/交換、および再組み立てのための様々な技術を利用できることを理解するであろう。そのような技術の使用、および結果として生じる再調整されたデバイスは、すべて本開示の範囲内である。
【0191】
本明細書に記載のデバイスは、外科処置で使用する前に処理することができる。最初に、新品または中古の器具を入手し、必要に応じて清掃することができる。その後、器具を滅菌させ得る。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックまたはTYVEKバッグなどの密閉され封印された容器に入れることができる。次に、容器およびその内容物を、ガンマ線、X線、高エネルギー電子など、容器を透過できる放射線のフィールドに配置できる。放射線により、器具および容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌させた器具は、滅菌容器内に保管することができる。封印させた容器は、医療施設で開梱されるまで器具を無菌状態に維持できる。当技術分野において公知である他の形態の滅菌も可能である。これには、ベータまたは他の形態の放射線、エチレンオキシド、蒸気、または液体浴(例えば、低温浸漬)が含まれ得る。特定の形態の滅菌は、使用される材料、電気部品の存在などにより、デバイスの様々な部分での使用により適している場合がある。
【0192】
本明細書において引用されたすべての論文および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者であれば、上記の実施形態に基づく本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、特に示され、記載されたものによって限定されるべきではない。
【外国語明細書】