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特開2024-133489光学的雨センサおよび最小雨滴サイズを決定するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133489
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】光学的雨センサおよび最小雨滴サイズを決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/14 20060101AFI20240925BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240925BHJP
   B60S 1/08 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01W1/14 B
G01N21/17 E
B60S1/08 H
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024094177
(22)【出願日】2024-06-11
(62)【分割の表示】P 2019124922の分割
【原出願日】2019-07-04
(31)【優先権主張番号】18305904.7
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517220508
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ センサーズ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】デュリュプ,エミリアン
(72)【発明者】
【氏名】フージェール,トム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】雨強度は多くの場合、運転者の視界を精確に評価するには十分ではない。
【解決手段】家屋の窓における窓ガラスの第1の表面上に装着されて窓ガラスの反対側の第2の表面上の雨滴のサイズを検出する雨センサである。雨センサは、前記第1の表面から前記第2の表面へと導かれる電磁放射を放射して、前記第2の表面上に少なくとも1つの雨感知エリアを形成するための、少なくとも1つの放射器と;前記放射器が放射した前記雨感知エリアの内部で反射された放射を感知するための、および前記雨感知エリア上の前記雨滴の有無および前記雨滴の前記サイズに相関する情報を示す出力信号を生成するための、少なくとも1つの受信機と;前記雨感知エリア上に前記雨滴が有る場合には、前記出力信号に基づいて前記雨滴の前記サイズを示す最小雨粒半径を計算し、前記家屋の窓を閉めるのを制御するように動作可能な制御ユニットと;を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋の窓における窓ガラス(100)の第1の表面(102)上に装着されて前記窓ガラスの反対側の第2の表面(104)上の雨滴(115)のサイズを検出する雨センサであって、
前記雨センサは、
前記第1の表面(102)から前記第2の表面(104)へと導かれる電磁放射を放射して、前記第2の表面上に少なくとも1つの雨感知エリア(118)を形成するための、少なくとも1つの放射器(110)と、
前記放射器が放射した前記雨感知エリアの内部で反射された放射を感知するための、および前記雨感知エリア(118)上の前記雨滴(115)の有無および前記雨滴(115)の前記サイズに相関する情報を示す出力信号を生成するための、少なくとも1つの受信機(112)と、
前記雨感知エリア(118)上に前記雨滴(115)が有る場合には、前記出力信号に基づいて前記雨滴(115)の前記サイズを示す最小雨粒半径(Rmin)を計算し、前記家屋の窓を閉めるのを制御するように動作可能な制御ユニット(120)と、を備えるとともに、
前記雨センサは、前記電磁放射を案内するための平坦な板状の放射集束手段(106)を更に備え、
前記平坦な板状の放射集束手段(106)は、前記窓ガラス(100)と平行に延び、
前記平坦な板状の放射集束手段(106)における、前記窓ガラス(100)に対向する面とは反対側の平坦な面上に、前記放射器(110)および前記受信機(112)が配置される、
雨センサ。
【請求項2】
前記家屋の窓は屋根窓である、
請求項1に記載の雨センサ。
【請求項3】
車両のフロントガラス(100)の第1の表面(102)上に装着されて前記フロントガラスの反対側の第2の表面(104)上の雨滴(115)のサイズを検出する雨センサであって、
前記雨センサは、
前記第1の表面(102)から前記第2の表面(104)へと導かれる電磁放射を放射して、前記第2の表面上に少なくとも1つの雨感知エリア(118)を形成するための、少なくとも1つの放射器(110)と、
前記放射器が放射した前記雨感知エリアの内部で反射された放射を感知するための、および前記雨感知エリア(118)上の前記雨滴(115)の有無および前記雨滴(115)の前記サイズに相関する情報を示す出力信号を生成するための、少なくとも1つの受信機(112)と、
前記雨感知エリア(118)上に前記雨滴(115)が有る場合には、前記出力信号に基づいて前記雨滴(115)の前記サイズを示す最小雨粒半径(Rmin)を計算するように動作可能な制御ユニット(120)と、を備えるとともに、
前記雨センサは、前記電磁放射を案内するための板状の放射集束手段(106)と、
前記フロントガラス(100)と前記放射集束手段(106)との間に配置される、光カプリングとしての軟質の層(108)を更に備え、

前記板状の放射集束手段(106)および前記軟質の層(108)は、前記フロントガラス(100)と同じ方向に延び、
前記板状の放射集束手段(106)における、前記フロントガラス(100)に対向する面とは反対側の面上に、前記放射器(110)および前記受信機(112)が配置される、
雨センサ。
【請求項4】
n≧1であるn個の放射器(110)を備え、前記放射器はn個の別々の雨感知エリア(118)に向けて放射を発し、前記雨感知エリア(118)は直線状の連なり(119)を形成している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の雨センサ。
【請求項5】
m≧2であるm個の放射器(110)を備え、前記放射器(110)はm個の別々の雨感知エリア(118)に向けて放射を発し、前記雨感知エリア(118)は二次配列を形成している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の雨センサ。
【請求項6】
半径がrの円形の複数の雨感知エリアが直線状に配列され、隣り合った前記雨感知エリアの縁部の間の距離がδであり、雨滴がn個の雨感知エリアに触れ、ここでn≧2であり、前記最小雨粒半径(Rmin)はRmin=[(n-2)(2r+δ)+δ]/2により計算される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の雨センサ。
【請求項7】
前記窓ガラス(100)と前記放射集束手段(106)との間に配置される光カプリング(108)を更に備える、
請求項1または2に記載の雨センサ。
【請求項8】
雨センサの出力信号から雨滴(115)のサイズを決定するための方法であって、

前記雨センサは窓ガラス(100)の第1の表面(102)上に装着されて前記窓ガラス(100)の反対側の第2の表面(104)上の雨滴(115)のサイズを検出し、前記雨センサは、電磁放射を放射するための少なくとも1つの放射器(110)と、放射を感知するための少なくとも1つの受信機(112)と、制御ユニット(120)と、前記電磁放射を案内するための板状の放射集束手段(106)とを備え、
前記板状の放射集束手段(106)は、前記窓ガラス(100)と同じ方向 に延び、
前記板状の放射集束手段(106)における、前記窓ガラス(100)に対向する面とは反対側の面上に、前記放射器(110)および前記受信機(112)が配置されており、

前記方法は:
前記電磁放射を前記第1の表面(102)から前記第2の表面(104)へと導いて、前記第2の表面(104)上に少なくとも2つの雨感知エリア(118)を形成するステップと、
前記放射器(110)が放射した前記電磁放射を検出するステップであって、前記放射は前記雨感知エリア(118)の内部で反射されている、検出するステップと、
前記雨感知エリア(118)上の前記雨滴(115)の有無および前記雨滴(115)の前記サイズに相関する情報を表す出力信号を前記受信機(112)が生成するステップと、
前記雨感知エリア(118)上に前記雨滴(115)が有る場合には、前記制御ユニット(120)が前記出力信号に基づいて、前記雨滴(115)の前記サイズを示す最小雨粒半径(Rmin)を計算するステップと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの雨感知エリア(118)は円形の輪郭をそれぞれ有する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
rとして表される単一の前記雨感知エリア(118)の半径、および前記単一の雨感知エリアにおける前記最小雨粒半径(Rmin)を用いて、相対的信号低下ΔSは、ΔS=Rmin /r、ただしRmin≦r、によって与えられ、したがってRmin=ΔS1/2rである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
同一半径rを有する複数の雨感知エリア(118)が生成される、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記雨感知エリア(118)は直線状の配列(119)を形成する、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
隣接する雨感知エリア(118)の中心は、前記同一半径の2倍(2r)だけ離間されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記最小雨粒半径(Rmin)を計算するステップでは、隣り合った雨感知エリアの縁部の間の距離がδであり、雨粒によって完全に覆われた雨感知エリアの数はkであり、それぞれの前記雨感知エリアの直径がDであり、
前記直線状の配列(119)を形成する前記雨感知エリア(118)における前記最小雨粒半径(Rmin)はRmin=[k(D+δ)-δ]/2により計算される、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記雨感知エリア(118)はm × mの二次配列を形成する、
請求項10に記載の方法。
【請求項16】
隣り合った雨感知エリア(118)は等しい距離だけ互いから距離を置かれている、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的効果に基づいて雨滴のサイズを検出する雨センサに関する。本発明は更に、光学的効果に基づいて最小雨滴サイズを決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなセンサの1つの可能な用途は、降雨を検出し、続いて降雨中に開いている窓を閉めるように、屋根窓などの窓を制御することである。別の用途は、雨センサを、自動車のフロントガラスのフロントガラスワイパーの領域上に装着するものである。フロントガラス上のセンサの動作エリア上に存在する水滴の量に応じて、これらの雨センサは、フロントガラスワイパーを制御するために使用される信号を評価回路に提供する。
【0003】
いくつかの原理に基づく雨センサが存在する。あるものはピエゾ効果に基づいている(例えばWO 2009/003473 A1に示されているもの)。またあるもの、例えばDE10 2005 006 861 A1に示されているものは、共振回路に相当する誘導性構成要素および容量性構成要素を有する導体構造を使用し、この場合、フロントガラスが濡れることにより、導体構成の周波数挙動が変化する。これにより、DE10127990 A1によって開示されているように、共振周波数の変動を、センサ素子の近くで凝結した水分の量の尺度として採用することが可能になる。
【0004】
別の部類の雨センサでは、水滴によって埋めることができる絶縁ギャップによって分離された導電性の電極に基づいている。これらのセンサは抵抗性のものであってもよく、その場合電極は水滴が直接接触することになる窓の外面に設置され、または容量性のものであってもよく、その場合電極は誘電性コーティングもしくはガラスの層によって水滴から分離され、水滴が電極同士の間の容量を変化させるようになっている。EP 2 883 034 B1に示されている概念は、導電ストリップを使用する。US5659294 Aからは、互いに平行な導電経路部分を有し、互いにくし状の様式で係合するが互いに電気接続されていない、2つの導電経路を採用することが知られている。暴風雨の間、導電性のストリップまたは経路は水の滴によって橋渡しされ、結果的な電気特性は電気測定グラフによって記述可能である。
【0005】
他のセンサは、US 2007/0272884 A1に開示されているように、車両フロントガラスを撮像しこの画像を周波数分析にかけることに基づいている。この場合、高周波成分が検出されると、画像プロセッサが、画像の目盛の変化が生じている変化領域の幅を検出する。変化領域の幅が雨滴の直径に対応する所定の範囲内であるとき、画像プロセッサは雨滴がフロントガラス上にあると判定する。
【0006】
多くの雨センサ(例えば、EP1257444 B1、DE197 01 258 A1、およびUS 2011/0242540 A1に示されているもの)は、フロントガラスの外面における光の内部全反射を利用する。フロントガラスの内面に取り付けられたハウジングに入った放射器が放射を発し、これが外面で反射され、この結果同じハウジング内にある受信機を介して検出される。水滴で覆われた外面の領域は内部全反射を呈さず、したがって受信機は、外面上の水の量の尺度として信号の喪失を検出することになる。
【0007】
そのような雨センサが経時的に検出した信号の突然の変化は、フロントガラスに個々の雨滴が当たっていることに対応している。したがって、時間分解された信号および雨センサによって探査された表面積のサイズから、雨強度として表される、単位時間あたりの表面単位あたりの水滴の数を推測できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、雨強度は多くの場合、運転者の視界を精確に評価するには十分ではない。結論として、本発明の根底にある目的は、運転者の視界をより精確に判定し、同時に堅牢かつ経済的に製造(factorize)できる雨センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は独立請求項の主題によって解決される。本発明の代替の実施形態が、従属請求項の主題である。
【0010】
したがって、ワイパーのより良好な制御を可能にするような全体像を得るために、本発明は、雨滴のサイズを決定することも提案する。本発明は、特に、窓ガラスの第1の表面上に装着されて窓ガラスの反対側の第2の表面上の水分の量を検出する雨センサ、第1の表面から第2の表面へと向けられて第2の表面上に少なくとも1つの雨感知エリアを形成する電磁放射を放射するための、少なくとも1つの放射器、放射器が放射した雨感知エリアの内部で反射された放射を感知するための、および雨感知エリア上の水分の量を表す出力信号を生成するための、少なくとも1つの受信機、および、出力信号に基づいて最小水滴サイズを計算するように動作可能な制御ユニット、に関する。
【0011】
ある実施例では、雨センサはn≧1であるn個の放射器を備え、これらの放射器はn個の別々の雨感知エリアに向けて放射を発し、雨感知エリアは直線状の連なりを形成しており、隣接する雨感知エリア間の距離は等しいかまたは等しくない。
【0012】
別の実施形態では、雨は、m≧2であるm個の放射器を備え、これらの放射器はm個の別々の雨感知エリアに向けて放射を発し、雨感知エリアは二次配列を形成している。各構成は、光信号の変化が最小雨滴サイズに応じて増減するので、最小雨滴サイズを光信号の変化から容易に決定できるようになる、という利点を有する。各構成は、光信号と最小雨滴サイズとの間で特定の関係を有する。
【0013】
雨センサは更に、電磁放射を案内するための放射集束手段と、窓ガラスと光集束手段との間に配置されることになる光カプリングとを備えてもよい。これにより放射を効果的に使用して、損失を回避できる。
【0014】
本発明は更に、雨センサの信号から最小雨粒半径(Rmin)を決定するための方法を含む。この方法において、雨センサは窓ガラスの第1の表面上に装着されて窓ガラスの反対側の第2の表面上の水分の量を検出し、雨センサは、電磁放射を放射するための少なくとも1つの放射器と、放射を感知するための少なくとも1つの受信機と、制御ユニットと、を備える。方法は、電磁放射を第1の表面から第2の表面へと導いて第2の表面上に少なくとも1つの雨感知エリアを形成するステップと、放射器が放射した電磁放射を検出するステップであって、放射は雨感知エリアの内部で反射されている、検出するステップと、雨感知エリア上の水分の量を表す出力信号を生成するステップと、出力信号に基づいて最小水滴サイズを計算するステップと、を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの雨感知エリアは、本質的に円形の輪郭を有する。直線状の輪郭もまた可能である。本発明のいくつかの実施形態では、同一半径r(および直径D=2r)を有する複数の雨感知エリアが生成される。本発明のいくつかの実施形態では、雨感知エリアは、円形のまたは直線状の配列を形成する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、隣接する雨感知エリアの縁部は距離δだけ離間されている。この場合、相対的信号低下(relative signal drop)ΔSが計算され、上記最小水滴サイズはRmin=f(n、D、δ、ΔS)として計算される。この等式は、センサの動作表面の幾何形状(円、正方形、直線状の連なり、二次配列…)に、および水滴の形状に依存する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、単一の雨感知エリアしか存在しない。この場合、最小水滴半径は、相対的信号低下の平方根に合わせて増減する。
【0018】
添付の図面は明細書に組み込まれて明細書の一部を形成しており、本発明のいくつかの実施形態を例示している。これらの図面はその説明と併せて、本発明の原理を説明する役割を果たす。図面は単に本発明を製作および使用する方法の好ましい例および代替の例を説明することを目的としたものであり、本発明を図示され記載された実施形態のみに限定するものと見なされるべきではない。更に、実施形態のいくつかの態様は-個々にまたは様々な組み合わせで-本発明による解決法を形成し得る。以下に記載する実施形態はしたがって、単独でまたはそれらを任意に組み合わせて検討することができる。更なる特徴および利点が、本発明の様々な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。それらは同様の参照符号が同様の要素を指している、以下の添付の図面に例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】単一の放射器が放射した放射の内部全反射に基づく、雨センサの原理的な構成を描いた図である。
図2】連続的な戦略および離散的な戦略から成る、最小雨滴サイズを評価するための2つの手法を説明する図である。
図3】単一の雨感知エリアが部分的に雨粒によって覆われている3つのシナリオを、最小限の半径を有するそれぞれの水滴と比較して示す図である。
図4図4Aから図4Eは、雨感知エリアを覆う雨滴の幾何形状および対応する光信号を概略的に示す図である。
図5】様々な雨滴サイズに対する相対的光信号の分布および雨滴サイズに相関するものとして観察される相対的光信号を示す図である。
図6】雨感知エリアの第1の有利な構成を示す図である。
図7】雨感知エリアの代替の構成を示す図である。
図8】雨感知エリアの第2の代替の構成を示す図である。
図9】雨感知エリアの第3の代替の構成を示す図である。
図10】雨感知エリアの第4の代替の構成を示す図である。
図11図7に描写した雨感知エリアの代替の構成に関する、雨滴サイズに相関するものとして観察される相対的光信号を示す図である。
図12】別の実施形態に係る、2つの隣接する雨感知エリアを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで本発明について、図を参照し、まず図1を参照してより詳細に説明する。図1に示すように、窓ガラス100は、第1の表面102と第2の表面104とを有する。車両のフロントガラスワイパーを制御する雨センサという文脈では、第1の表面102は車両の内部を向いている。家屋の屋根窓を閉めるのを制御する雨センサという文脈では、第1の表面102は家屋の内部を向いている。
【0021】
窓ガラス100の第1の表面102には、ゲルから成っていてもよい中間の軟質の層108を介して、硬質の層106が結合されている。軟質の層とは反対側の硬質の層106の面には、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)110および少なくとも1つの光ダイオード112が装着されている。放射器は可視光または赤外光を放射できる。硬質の層106および軟質の層108、ならびにフロントガラス100は、放射器が放射した光を透過する。
【0022】
光学素子は、放射器が放射した光をコリメートする。このコリメータは、放射器110からの入射光線114が、光線が法平面と臨界角(フロントガラスの光学指数および大気の光学指数による)よりも大きい角度を成すようにしてフロントガラス100に入るように構成されている。したがって、第2の表面104が乾燥していて汚れていないとき、光は内部全反射に起因して、フロントガラスの外面で反射されて検出器112に戻ることになる。
【0023】
第2の表面104における放射器110が放射した光によって照射されるエリアは、雨感知エリア118として表される。
【0024】
光線が当たる窓ガラスの第2の表面上のエリアが雨滴115によって覆われているとき、光は反射されず、代わりに第2の表面の上方の片側の空間117内へと透過される。放射器110および受信機112は、光ダイオード112から出力信号を受信し更にLED110を駆動する、電力および測定回路120に接続されている。
【0025】
図1に描かれた構成は、単一の雨感知エリア118しか含んでいない。複数の放射器および/またはセンサが採用され、光が光学素子によって好適に案内される場合、複数の雨感知エリア118が得られる。
【0026】
図2は最小雨粒サイズを決定するための2つの手法を示しており、これらの手法は連続的な戦略および離散的な戦略から成る。連続的な戦略は、雨感知エリアの雨滴によって覆われた部分を決定するものである。離散的な戦略は、雨滴が触れた雨感知エリアの数を決定するものである。
【0027】
図3は、単一の雨感知エリアに適用された、連続的な戦略による最小雨滴サイズの尺度の原理を示す。左側の列は、部分的に雨粒によって覆われている(暗色の円)単一の雨感知エリア(白色の円)の3つのシナリオを示す。右側の列は、最小限の半径を有する水滴の面積が実際の水滴によって覆われた雨感知エリアの面積に等しくなるように定められた、最小限の半径を有するそれぞれの水滴を示す。雨感知エリアの半径がrとして、および最小水滴半径がRminとして表される場合、相対的信号低下ΔSは、ΔS=Rmin /r、ここでRmin≦r、によって与えられる。したがって、Rmin=ΔS1/2rである。この原理は、複数の雨感知エリアと適合させることができる。
【0028】
図4(上側のパネル)は、フロントガラスに対して垂直に見たときの、連なり119として配置された4つの雨感知エリア118を示す。雨感知エリアは全て等しいサイズのものであり、0.2mmから10mmの典型的な半径rを呈する。隣接する雨感知エリア118の中心の間の典型的な距離Dは、0から10mmである。
【0029】
図4Aに示すように、全ての雨感知エリア118が乾燥している。図4Bには、単一の雨滴115が雨感知エリアのうちの1つを覆っている構成が示されている。更に、図4C図4Eは、雨滴がそれぞれ2つ、3つ、または4つの雨感知エリア118を覆っている構成を示している。下側のパネルには、対応する光信号が示されている。雨粒によって覆われている雨感知エリア118が無いとき、光信号は可能な最大値である100%をとる。単一の雨感知エリアが雨粒によって覆われているとき、相対的光信号は75%である。更に、2つの雨感知エリアが雨粒によって覆われているとき、相対的光信号は50%である。3つの雨感知エリアが雨粒によって覆われているとき、相対的光信号は25%である。最後に、4つの雨感知エリアが雨粒によって覆われているとき、相対的光信号は0%である。
【0030】
図4B図4Eでは、水滴サイズに応じて、1つ、2つ、3つ、または4つのいずれかの雨感知エリアが、完全に水滴で覆われている。ただし、中間の水滴サイズについては、または水滴が垂直方向または水平方向に位置を変える場合、水滴はやはり雨感知エリアを覆う場合があるが、部分的にのみである。
【0031】
i=1、…、nであるAが雨感知エリアiのサイズを、およびΔAが雨粒によって覆われた雨感知エリアiのサイズを表す場合、割合Δa=Σ ΔA/Σは、水滴によって覆われる雨感知エリアの相対的なサイズである。右辺は相対的信号低下に等しく、すなわちΔa=ΔSである。
【0032】
所与の雨滴サイズについて観察可能な信号強度の分布は、モンテカルロシミュレーションから得ることができる。この場合、各水滴サイズに関して、水滴は全て無作為に配置され、それらの中心は4つの雨感知エリアを包囲する矩形のエリア内で均一に分布される。各位置について、雨感知エリアの水滴で覆われた部分の相対的なサイズ、およびしたがって対応する相対的な信号が決定される。
【0033】
そのようなシミュレーションから得られた、所与の雨滴サイズについて観察可能な信号強度の分布が、図5に示されている。水滴サイズが消失する極限では、放射器から放射され雨感知エリアの任意の部分の外面に当たる放射の最大値が、受信機によって検出されることになり、最大信号強度である1に達する。雨感知エリアの一部が雨粒によって覆われている場合、100%から雨粒のサイズによって決まるそれより低い境界値の間の信号が観察される。様々な水滴サイズに対する相対的信号の分布が、図5に示されている(下部)。
【0034】
図5(上部)は、図4に示す雨感知エリア118の直線状の構成に関して、信号低下ΔSの最大変化ΔSmaxが、雨粒Rの半径に合わせて線形に増大することを示している。
【0035】
図7から図10に示すように、(図6に描かれた直線状の構成と対照される)代替の実施形態では、雨感知エリア118は正方形、ひし形、もしくは六角形の角に位置付けられてもよく、または矩形を形成してもよい。
【0036】
図11は、雨感知エリアが正方形の角にある場合、すなわち最小の二次配列を形成している場合に、最大信号低下ΔSmaxが水滴サイズに合わせて増減することを示している。実際には、感知エリアの各構成について、ΔSと最小雨滴サイズとの間の関係はそれぞれであり、必ずしも線形ではない。対照的に、上に示したように、雨感知エリアが直線状の連なりを形成している場合は、RminはΔSにおいて線形である。したがって、後者の場合、RminはΔSに対してより敏感である。この理由から、Rminを正確に決定するためには、雨感知エリアが二次配列を形成する実施形態iよりも、雨感知エリアが直線状の連なりを形成する実施形態の方が好ましい。
【0037】
まとめれば、再び図2を参照すると、最小雨滴サイズは、雨粒が触れる感知エリアの数から推測することができる。言い換えれば、最小雨滴サイズはまた、覆われた感知エリアの割合は利用できないがそれらが(部分的にまたは完全に)覆われているという事実だけは利用できる場合に、離散的な観点から定義することもできる。
【0038】
ここで、図12に示す用語を使用すると、δは隣接する雨感知エリアの縁部の間の距離を表し、Dは感知エリアの直径を表す(rは半径である;D=2r)。ここで、次の等式に関する用語としては、i=1、…、nであるAは雨感知エリアiのサイズを、ΔAは雨粒によって覆われた雨感知エリアiのサイズを表し、ΔS=Σ ΔA/Σは水滴によって覆われた雨感知エリアの相対的なサイズを、nはセンサ上の感知エリアの数を表している。
【0039】
最小雨滴サイズの決定は2つの戦略を用いて演算することができる:
(1)相対的信号低下ΔAが(各雨感知エリア上で)測定され、上記最小水滴サイズはEq.1により計算される;
(2)水滴が衝突した雨感知エリアの数がカウントされ、上記最小水滴サイズがEq.2として計算される。
【0040】
Eq.1によれば、最小水滴サイズの半径は、以下のように記述される:
min=f(n、D、δ、ΔA) (Eq.1)
単一の円形の雨感知エリアでは、最小雨滴半径はEq.1Aによって与えられる:
min=ΔS1/2r (Eq.1A)
複数の雨感知エリアを用いる場合、この等式は(例えばモンテカルロシミュレーションを用いて)別様に定義する必要がある。この等式は、センサの動作表面の幾何形状(円、正方形、直線状の連なり、二次配列…)に、および水滴の形状に依存する。
【0041】
しかしながら、1つの特別な場合をモデル化することができる。雨感知エリアが、図4(上側のパネル)または図6に示す実施形態のように直線状の連なりとして配置されており、所与の雨感知エリアが水滴によって完全に覆われているまたはどのような水滴も完全に存在しないと見なすと、この等式は以下のようになる。
min=[k(D+δ)-δ]/2 (Eq.1B)
上記の等式は単に単純化したものであり、特定の場合にのみ有効である。
【0042】
等式2は以下の通りである。
min=[(k-2)*(D+δ)+δ]/2 ここで(k>1) (Eq.2)
【符号の説明】
【0043】
100 窓ガラス
102 第1の表面
104 第2の表面
106 平坦な硬質の層;第1の光学結合手段
108 中間の軟質の層;第2の光学結合手段
110 発光ダイオード(LED)
112 光ダイオード
114 入射光線
115 雨滴
117 窓ガラスの第2の表面の上方の片側の空間
118 雨感知エリア
120 電力および測定回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12