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特開2024-133492ダパグリフロジンを使用してHFpEFを処置する方法、及びダパグリフロジンを含む組成物
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  • 特開-ダパグリフロジンを使用してHFpEFを処置する方法、及びダパグリフロジンを含む組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133492
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ダパグリフロジンを使用してHFpEFを処置する方法、及びダパグリフロジンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/351 20060101AFI20240925BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61K31/351
A61P9/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094819
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2021502478の分割
【原出願日】2019-07-18
(31)【優先権主張番号】62/700,463
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アンナ・マリア・ラングキルデ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非糖尿病患者において拡張性心不全(HFpEF)を処置する方法を提供する。
【解決手段】下式(I)に示されるダパグリフロジン、及びそのプロドラッグから選択される、治療に有効な量を含む医薬組成物を投与する方法である。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFpEF、並びに/又はこれと関連する少なくとも1つの疾患、障害、若しくは症状を処置且つ/又は予防する方法であって、前記方法は、前記処置及び/又は予防を必要とする非糖尿病患者に、式(I)
【化1】
の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、HFpEFを処置する方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医薬組成物はさらに、少なくとも1つの他の治療剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物は、少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて投与される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの他の治療剤は、前記医薬組成物の前に、後に、又は前記医薬組成物と同時に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの他の治療剤は、抗糖尿病剤、抗肥満剤、抗高脂血症剤、抗アテローム性動脈硬化症剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗血栓剤、及び抗凝固剤から選択される、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの他の治療剤は、ビグアナイド及び/又はDPP4インヒビタから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ビグアナイドは、メトホルミン又はその薬学的に許容される塩である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記DPP4インヒビタは、サキサグリプチン又はその薬学的に許容される塩である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの他の治療剤は、メトホルミン又はその薬学的に許容される塩、及びサキサグリプチン又はその薬学的に許容される塩である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記医薬組成物は、経口投与に適している、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記医薬組成物は、タブレットの形態である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの化合物は、式(I)の化合物から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの化合物は、薬学的に許容される溶媒和物、混合溶媒和物、又は複合体の形態である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの化合物は、非結晶性の固体の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの化合物は、結晶性の固体の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの化合物は、
【化2】
の構造を有する(S)-プロピレングリコール((S)-PG)溶媒和物の形態である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物は、約2.5mg/日、5mg/日、又は10mg/日のダパグリフロジンの用量当量を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物は、約10mg/日のダパグリフロジンの用量当量を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記医薬組成物は、1日1回投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
HFpEFと関連する前記少なくとも1つの疾患、障害、及び/又は症状は、骨格筋機能不全、血管機能不全、高血圧、肺高血圧、腎不全、貧血、心房細動、及び主要有害心血管系事象から選択される、請求項1及び3~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記主要有害心血管系事象は、心筋梗塞、発作、心血管死、及び心血管入院から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記心血管入院は、不安定狭心症若しくは安定狭心症、心不全、及び/又は冠状動脈血管再生に関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記非糖尿病患者は、以下の条件:
(a)前記非糖尿病患者は、HbA1cが<7%である;
(b)前記非糖尿病患者は、≧40歳である;
(c)前記非糖尿病患者は、処置の前に、症候的心不全のNYHAクラスII~IVの診断が明らかになった;
(d)前記非糖尿病患者は、≧6週の心不全の病徴及び/若しくは徴候の病歴があり、処置の前に、利尿処置を少なくとも断続的に必要とする;
(e)前記非糖尿病患者は、処置前の12ヵ月以内に心エコー図及び/若しくは心臓核磁気共鳴画像法によって明らかにされた構造心疾患の証拠がある;又は
(f)前記非糖尿病患者は、NT-proBNPが≧300pg/mlであり、継続中の心房細動/粗動がない、若しくは処置の前に、NT-proBNPが≧600pg/mlであり、継続中の心房細動/粗動がある
の少なくとも1つを満たす、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
心不全の少なくとも1つの病徴及び/又は徴候は、息切れ、起坐呼吸、発作性夜間性呼吸困難、運動耐性の低下、倦怠感、疲労、運動後回復時間の増大、くるぶし腫脹、頸静脈圧の上昇、肝頸静脈逆流、第3心音、横変位心尖拍動、週あたり>2kgの体重増加、進行性HFにおける体重減少、悪液質、食欲低下、心雑音、末梢浮腫、肺クレピティション、空気侵入の低下及び肺底部での打診に対する濁音、頻脈、不規則な脈動、頻呼吸、チェーンストークス呼吸、肝腫大、腹水、四肢の冷え、乏尿、並びに/又は脈圧狭小から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
構造心疾患の前記証拠は、左室肥大及び/又は左房拡大を含む、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
左室肥大は、隔壁厚さ又は後壁厚さ≧1.1cmによって定義される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
左房拡大は、左房幅(直径)≧3.8cm、左房長さ≧5.0cm、左房面積≧20cm、左房容積≧55mL、及び/又は左房容積指数≧29mL/mによって定義される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記非糖尿病患者は、請求項24に記載の各条件(a)~(f)を満たす、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記非糖尿病患者は、以下の条件:
(a)前記非糖尿病患者は、処置前の少なくとも12時間、利尿剤を含む静脈内心不全治療を受けていない;
(b)前記非糖尿病患者は、処置前の4週以内に、SGLT2インヒビタによる治療を受けていない;
(c)前記非糖尿病患者は、eGFRが<25mL/min/1.73mでない;
(d)前記非糖尿病患者は、処置前の5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期血圧(BP)が<95mmHgでない;
(e)前記非糖尿病患者は、処置前の5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期BPが、≧3つの血圧降下薬物による処置直後でなければ≧160mmHgでなく、又は処置に関係なく≧180mmHgでない;
(f)前記非糖尿病患者は、処置前の12週以内に、心筋梗塞も、不安定狭心症も、冠状動脈血管再生も、心房粗動/細動のアブレーションも、弁修復/置換もなかった;
(g)前記非糖尿病患者は、冠状動脈血管再生も、心房粗動/細動のアブレーションも、弁修復/置換も計画していない;
(h)前記非糖尿病患者は、処置前の12週以内に、発作も一過性虚血発作もなかった;
(i)前記非糖尿病患者は、処置医師のオピニオンにおいて、患者のHFの病徴及び徴候を説明し得る、可能性のある代替診断も同時診断もない;
(j)前記非糖尿病患者は、肥満度指数が>50kg/mでない;
(k)前記非糖尿病患者は、原発性肺高血圧症も、慢性肺塞栓症も、重度の肺疾患も患っていない;
(l)前記非糖尿病患者は、知られている浸潤性心筋症、活性心筋炎、収縮性心膜炎、心タンポナーデ、知られている遺伝的肥大性心筋症若しくは閉塞性肥大性心筋症、催不整脈性右室心筋症/異形成症、又は矯正されてない原発性心臓弁膜症に起因するHFを患っていない;
(m)前記非糖尿病患者は、処置医師の臨床判断に基づいて、あらゆる非心血管症状に起因して、余命が2年未満でない;
(n)前記非糖尿病患者は、処置を必要とする活性悪性腫瘍(皮膚の基底細胞癌又は扁平上皮細胞癌を除く)を患っていない;或いは
(o)前記非糖尿病患者は、肝機能の重度の障害を伴う、急性肝疾患又は慢性肝疾患を患っていない
の少なくとも1つを満たす、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記非糖尿病患者は、請求項30に記載の各条件(a)~(o)を満たす、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記非糖尿病患者は、HbA1cが<6.5%である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記非糖尿病患者は、HbA1cが<6%である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記非糖尿病患者は、HbA1cが<5.7%である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記非糖尿病患者は、HbA1cが約6.0~約6.9%の範囲内である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記非糖尿病患者は、HbA1cが約5.7~約6.5%の範囲内である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記非糖尿病患者は、左心室駆出率が≧45%である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記非糖尿病患者は、左心室駆出率が≧50%である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記非糖尿病患者は、左心室駆出率が約40~約49%の範囲内である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、プラセボと比較して、CV死が最初に起こる時期を遅らせる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
CV死が最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記方法は、プラセボと比較して、HFのための入院が最初に起こる時期を遅らせる、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
HFのための入院が最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記方法は、プラセボと比較して、緊急のHF来院が最初に起こる時期を遅らせる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
緊急のHFが最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記緊急のHF来院は、救急部来院及び/又は外来患者来院である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は、プラセボと比較して、HFのための入院の総数及びCV死を少なくする、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
入院の前記総数は、最初の入院及び/又は再発の入院についてである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
HFのための入院の前記総数及び前記CV死は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記方法は、KCCQによって測定される患者報告アウトカムの1つ以上を向上させる、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記方法は、プラセボと比較して、KCCQによって測定される患者報告アウトカムの1つ以上を向上させる、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
KCCQによって測定される前記患者報告アウトカムは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
KCCQによって測定される前記患者報告アウトカムは、8ヵ月目に測定される、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項54】
前記方法は、前記KCCQの総病徴スコアを向上させる、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記方法は、プラセボと比較して、前記KCCQの総病徴スコアにおいて、ベースラインからの変化を向上させる、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記KCCQの前記総病徴スコアは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
前記KCCQの前記総病徴スコアは、8ヵ月目に測定される、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項58】
前記方法は、前記患者の前記NYHAクラスをベースラインから向上させる、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法は、プラセボと比較して、NYHAクラスが悪化した患者の割合をベースラインから引き下げる、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記患者の前記NYHAクラスは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
前記患者の前記NYHAクラスは、8ヵ月目に測定される、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項62】
前記方法は、プラセボと比較して、何らかの原因による死亡が起こる時期を遅らせる、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
何らかの原因による死亡が起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記方法は、プラセボと比較して、何らかの原因による入院が最初に起こる時期を遅らせる、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
何らかの原因による入院が最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記方法は、EQ-5D-5Lアンケートによって評価される前記患者の健康状態を向上させる、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記方法は、プラセボと比較して、EQ-5D-5Lアンケートによって評価される前記健康状態を向上させる、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
EQ-5D-5Lアンケートによって評価される前記患者の前記健康状態は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
前記方法は、PGISアンケートによって評価される前記患者の前記健康状態を向上させる、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記方法は、プラセボと比較して、PGISアンケートによって評価される前記健康状態を向上させる、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
PGISアンケートによって評価される前記患者の前記健康状態は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項69又は70に記載の方法。
【請求項72】
前記方法は、前記患者の収縮期BPをベースラインから向上させる、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記方法は、プラセボと比較して、ベースラインからの収縮期BPの変化を向上させる、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記患者の収縮期BPは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項75】
前記方法は、前記患者の体重をベースラインから向上させる、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記方法は、プラセボと比較して、ベースラインからの体重の変化を向上させる、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記患者の体重は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項75又は76に記載の方法。
【請求項78】
前記方法は、前記患者のeGFRをベースラインから引き下げない、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記方法は、プラセボと比較して、ベースラインからのeGFRの変化を向上させる、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記患者のeGFRは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項81】
前記方法は、KCCQ概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又は前記患者のQoLスコアを向上させる、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記方法は、プラセボと比較して、KCCQ概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアを向上させる、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記KCCQ概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、請求項81又は82に記載の方法。
【請求項84】
標準治療療法に加えて前記医薬組成物を投与することを含む、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記標準治療療法は、共存症を制御する処置、並びに/又はCV死及び心不全事象を複合したものを和らげる処置を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記心不全事象は、HFのための入院及び/又は緊急のHF来院から選択される、請求項85に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の簡単な説明
非糖尿病患者において拡張性心不全(HFpEF)を処置する化合物、組成物、及び方法が、本明細書中で開示される。
【背景技術】
【0002】
心不全(HF)は、世界中で約3800万人を襲う複合性心臓症候群であり(非特許文献1)、毎年、米国及び欧州の双方における入院が100万を超える(非特許文献2)。HFは、血液で満たす、又は血液を拍出する心臓の能力を弱める、構造機能異常及び/又は心機能異常によって特徴付けられる。HFの臨床症候群は、左室(LV)心筋症に、又はLV機能異常に由来し得る。HFの主要な徴候として、呼吸困難、疲労、及び/又は体液貯留が挙げられ得、これらは肺欝血及び/又は末梢浮腫の原因となる虞がある(非特許文献3)。
【0003】
HFは、2つのサブタイプ、収縮性HF(HFrEF)及び拡張性HF(HFpEF)に分類することができる。駆出率(EF又はLVEF)は、鼓動毎にLVから拍出される血液の拡張末期容量のパーセンテージであり、したがって心機能の定量的尺度である。HFpEFは、全てのHF症例のおおよそ半分を占めており、心血管(CV)の罹患率及び死亡率の主因である(非特許文献4)。HFpEF死のリスクは高く、年間死亡率は、社会環境において、最大15%である(非特許文献5)。また、疫学研究によれば、HFpEF患者は、高血圧、冠状動脈疾患(CAD)、真性糖尿病(DM)、肥満、貧血、慢性腎疾患(CKD)、心房細動、及び慢性閉塞性肺疾患等の共存症の罹患率が高い、主に高齢の女性であることが見出されてきた(非特許文献6)。
【0004】
HFpEF患者の診断及び評価として、通常、心臓の画像化及び身体検査が挙げられ、これらは、構造異常及び/又は心臓異常の重症度に関する重要な情報を提供し得る。HFpEF患者は、構造心疾患を患い、EFが>40%である(非特許文献7)。EFは、心エコー検査法によって求めることができる。加えて、循環B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)及びN末端proBNP(NT-proBNP)の、他の共存症と組み合わせた測定は、HFpEFの診断を補助し得る。なぜなら、心神経ホルモンが、LV伸展(stretch)に応答して心筋細胞によって放出されるからである(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)。
【0005】
ナトリウム-糖共輸送体2型(SGLT2)インヒビタは、低血糖症のリスクが低く、インスリン分泌から独立した、血糖制御を向上させる糖降下剤の一クラスであり、血圧、体重、及び尿酸レベルを引き下げる(非特許文献11)。SGLT2インヒビタは、腎臓の糖再吸収を引き下げることによって、尿糖排泄(Id.)を増大させる。また、SGLT2インヒビタは、血管の硬化を引き下げて、内皮機能を向上させる。
【0006】
ダパグリフロジンは、強力な、高度に選択的な、経口的に活性の、ヒト腎臓SGLT2のインヒビタであり、これは、HbA1cを効果的に降下させ、低血糖症を誘導するリスクが低い。ダパグリフロジン処置は、重量、収縮期血圧、血中尿酸、アルブミン尿を引き下げ、そして動脈の剛性を引き下げることが示されてきた(症状は全て、CVリスクの増大と関連する)(非特許文献12)。ダパグリフロジンの化学構造は、以下の通りである:
【化1】
【0007】
SGLT2インヒビタであるエンパグリフロジン及びカナグリフロジンのCVアウトカム治験由来の最近のデータ、並びにダパグリフロジンで処置した患者を含む実際の研究は、SGLT2インヒビタが、2型糖尿病(T2D)及びHFの患者において、HFに起因するCV死及び入院のリスクを引き下げることができることを示しているが、SGLT2インヒビタが有し得る、非糖尿病患者集団に及ぼす影響については、ほとんど知られていない(非特許文献13)。ランダム化した臨床治験、及び観察に基づく研究に付随する制限は、T2D患者しか研究されなかったこと、そして収縮性患者(HFrEF)及びHFpEF患者の割合が、それぞれ知られていないことである。
【0008】
HFに由来する、入院又は死亡のような結末のリスクを引き下げる、HFpEFの証明された有効な処置はない。現在の標準治療は、血圧、心拍数、血液量、及び心筋虚血等の生理学的要因を制御することを含む(非特許文献14;非特許文献15)。ゆえに、HFpEFを処置する化合物、組成物、及び方法の向上が必要とされている。本発明は、これらの満たされていないニーズに対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Braunwald,Lancet,385(9970):812-824(Feb 28 2015)
【非特許文献2】Ambrosy et al.,Journal of the American College of Cardiology,63(2):1123-1133(April 1 2014)
【非特許文献3】Yancy et al.,Circulation,136:e137-e161.(2017)
【非特許文献4】Oktay,Rich,and Shaw,Curr Heart Fail Rep.,10(4):10.1007/s11897-013-0155-7(2013)
【非特許文献5】Lam et al.,Eur J.Heart Failure,13:18-28(2011)
【非特許文献6】Fonarow et al.,J Am College of Cardiology,5(8):768-777(2007)
【非特許文献7】Yancy et al.J Am Coll Cardiol,62(16):1495-539(2013)
【非特許文献8】Lam & Lim,Cardiology Advisor(2016)
【非特許文献9】Grantham & Burnett,Circulation,96:388-390(1997)
【非特許文献10】Maisel et al.,N Engl J Med,347:161-7(2002)
【非特許文献11】Inzucchi et al.,Diabetes & Vascular Dis Res.,12(2):90-100(2015)
【非特許文献12】Shigiyama et al.,Cardiovasc Diabetol,16:84(2017)
【非特許文献13】Packer,Diabetes Obes Metab,20:1361-1366(2018)
【非特許文献14】Yancy et al.,Circulation,136:e137-e161.(2017)
【非特許文献15】Litwin and Grossman,JACC,22(4):49A-55A(1993)
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の一般的な研究設計を説明するダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
手短に言うと、HFpEF、並びに/又はこれと関連する少なくとも1つの疾患、障害、及び/若しくは症状を処置且つ/又は予防する方法が開示され、当該方法は、当該処置及び/又は予防を必要とする患者に、式(I)
【化2】
の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を投与することを含む。
【0012】
一部の実施形態において、当該方法は、HFpEFを処置する方法である。
【0013】
一部の実施形態において、少なくとも1つの化合物は、式(I)の化合物から選択される。一部の実施形態において、少なくとも1つの化合物は、薬学的に許容される溶媒和物、混合溶媒和物、又は複合体の形態である。一部の実施形態において、少なくとも1つの化合物は、非結晶性の固体の形態である。一部の実施形態において、少なくとも1つの化合物は、結晶性の固体の形態である。
【0014】
一部の実施形態において、少なくとも1つの化合物は、以下に示される構造を有する(S)-プロピレングリコール((S)-PG)溶媒和物の形態である:
【化3】
【0015】
一部の実施形態において、少なくとも1つの化合物は、結晶性のS-PG溶媒和物の形態である。結晶性のS-PG溶媒和物が挙げられるダパグリフロジンの(S)-PG溶媒和物を調製する方法が、米国特許第7,919,598号明細書に提供されている。
【0016】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を単独で、又は少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて投与することを含む。
【0017】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、(1)式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物、並びに(2)少なくとも1つの他の治療剤を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0018】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗糖尿病剤、抗肥満剤、抗高脂血症剤、抗アテローム性動脈硬化症剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗血栓剤、及び抗凝固剤から選択される。
【0019】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗糖尿病剤から選択される。一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、SGLT2インヒビタ、ビグアナイド、スルホニル尿素、グルコシダーゼインヒビタ、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニスト、aP2インヒビタ、DPP4インヒビタ、インスリン感作物質、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニスト、グルコキナーゼアクティベータ、DGATインヒビタ、CCR2アンタゴニスト、11-β-HSD(ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)、インスリン、メグリチニド、PTP1Bインヒビタ、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビタ、及びグルコース-6-ホスファターゼインヒビタから選択される。一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、ビグアナイド及びDPP4インヒビタから選択される。
【0020】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、SGLT2インヒビタから選択される。一部の実施形態において、SGLT2インヒビタは、米国特許第6,515,177号明細書、国際出願PCT/US03/15591号明細書、米国特許出願第11/233,617号明細書、米国特許出願公開第2006/0194809号明細書、米国特許出願公開第2006/0063722A1号明細書、国際出願PCT/US02/11066号明細書、米国特許出願公開第2003/0064935号明細書、米国特許第6,774,112号明細書、米国特許出願公開第2005/0209166号明細書、米国特許出願公開第2006/0074031号明細書、米国特許出願公開第2006/0035841号明細書、米国特許出願公開第2006/0009400号明細書、米国特許出願公開第2006/0025349号明細書、米国特許出願公開第2006/0122126号明細書、米国特許出願公開第2006/0019948号明細書、米国特許出願公開第2006/0194809号明細書、国際公開第03/01180号パンフレット、米国特許第6,908,905号明細書、米国特許第6,815,428号明細書、米国特許第6,555,519号明細書、米国特許第6,683,056号明細書、欧州特許出願公開第598359A1号明細書(日本特許第035988号公報及び米国特許第5,731,292号明細書)、欧州特許出願公開第0850948A1号明細書(米国特許第6,048,842号明細書)、特開平09-188625号公報、特開平09-124685号公報、特開平09-124684号公報、欧州特許出願公開第773226A1号明細書(米国特許第5,767,094号明細書)、特開平08-027006号公報、欧州特許出願公開第684254A1号明細書、特開平10-245391号公報(大日本インキ化学工業株式会社)、米国特許出願公開第2005/0233982号明細書(Boehringer Ingelheim Corp.)、米国特許出願公開第2005/0119192号明細書(Kissei Pharmaceutical Co.)、国際公開第2006/035796号パンフレット(Kissei Pharmaceutical Co.)、特開2006-117651号公報(大正製薬株式会社)、特開2004-4359630号公報(山之内製薬株式会社)、国際公開第2006/080421号パンフレット(中外製薬株式会社)、米国特許出願公開第2005/0233988号明細書(田辺製薬株式会社)、国際公開第2005/012321号パンフレット(田辺製薬株式会社)、米国特許第7,015,201号明細書(味の素株式会社)、国際公開第2006/058597号パンフレット(Merck Patent GmbH)、国際公開第2006/011469号パンフレット(中外製薬株式会社)、米国特許出願公開第2003/0195235号明細書(Johnson & Johnson)、及び国際公開第2006/037537号パンフレット(Boehringer Ingelheim)に開示されているものから選択される。
【0021】
一部の実施形態において、SGLT2インヒビタは、Tsujihara,K.et al.,Chem.Pharm.Bull.,44:1174-1180(1996);Hongu,M.et al.,Chem.Pharm.Bull.,46:22-33(1998);Hongu,M.et al.,Chem.Pharm.Bull.,46:1545-1555(1998);及びOku,A.et al.,Diabetes,48:1794-1800(1999)に開示されているものから選択される。
【0022】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、ビグアナイドから選択される。一部の実施形態において、ビグアナイドは、メトホルミン又はその薬学的に許容される塩である。一部の実施形態において、ビグアナイドは、メトホルミンHClである。一部の実施形態において、ビグアナイドは、フェンホルミンである。
【0023】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、スルホニル尿素から選択される。一部の実施形態において、スルホニル尿素は、グリブリド、グリメピリド、グリピジド、グリクラジド、及びクロルプロパミドから選択される。一部の実施形態において、スルホニル尿素は、グリブリドである。一部の実施形態において、スルホニル尿素は、グリピジドである。
【0024】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、グルコシダーゼインヒビタから選択される。一部の実施形態において、グルコシダーゼインヒビタは、アカルボース及びミグリトールから選択される。
【0025】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、PPARγアゴニストから選択される。一部の実施形態において、PPARγアゴニストは、チアゾリジンジオンから選択される。一部の実施形態において、チアゾリジンジオンは、トログリタゾン(Warner-LambertのREZULIN(登録商標)、米国特許第4,572,912号明細書に開示されている)、ロシグリタゾン(SKB)、ピオグリタゾン(武田テバ薬品株式会社)、三菱化学株式会社のMCC-555(米国特許第5,594,016号明細書に開示されている)、Glaxo-WellcomeのGL-262570、エングリタゾン(CP-68722、Pfizer)若しくはダルグリタゾン(CP-86325、Pfizer)、イサグリタゾン(MIT/J&J)、JTT-501(JPNT/P&U)、L-895645(Merck)、R-119702(Sankyo/WL)、N,N-2344(Dr.Reddy/NN)、又はYM-440(山之内製薬株式会社)から選択される。
【0026】
一部の実施形態において、チアゾリジンジオンは、ピオグリタゾン及びロシグリタゾンから選択される。一部の実施形態において、チアゾリジンジオンは、ピオグリタゾンである。一部の実施形態において、チアゾリジンジオンは、ロシグリタゾンである。
【0027】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、PPARα/γデュアルアゴニストから選択される。一部の実施形態において、PPARα/γデュアルアゴニストは、AR-HO39242(Astra/Zeneca)、GW-409544(Glaxo-Wellcome)、KRP297(Kyorin Merck)、並びにMurakami et al.,“A Novel Insulin Sensitizer Acts As a Coligand for Peroxisome Proliferation-Activated Receptor Alpha(PPAR alpha)and PPAR gamma.Effect on PPAR alpha Activation on Abnormal Lipid Metabolism in Liver of Zucker Fatty Rats”,Diabetes,47:1841-1847(1998)によって、そして米国特許第6,414,002号明細書に開示されているものから選択される。
【0028】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、aP2インヒビタから選択される。一部の実施形態において、aP2インヒビタは、米国特許第6,548,529号明細書に開示されているものから選択される。
【0029】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、DPP4インヒビタから選択される。一部の実施形態において、DPP4インヒビタは、米国特許第6,395,767号明細書、国際公開第99/38501号パンフレット、国際公開第99/46272号パンフレット、国際公開第99/67279号パンフレット(PROBIODRUG)、国際公開第99/67278号パンフレット(PROBIODRUG)、国際公開第99/61431号パンフレット(PROBIODRUG)に開示されているもの、NVP-DPP728A(1-[[[2-[(5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル]アミノ]アセチル]-2-シアノ-(S)-ピロリジン)(Novartis)(Hughes et al.,Biochemistry,38(36):11597-11603(1999)によって開示されている)、TSL-225(トリプトフィル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Yamada et al.,Bioorg.& Med.Chem.Lett.,8:1537-1540(1998)によって開示されている;2-シアノピロリジド及び4-シアノピロリジド(Ashworth et al,Bioorg.& Med.Chem.Lett.,6(22):1163-1166及び2745-2748(1996)によって開示されている)から選択される。
【0030】
一部の実施形態において、DPP4インヒビタは、サキサグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、及びシタグリプチンから選択される。一部の実施形態において、DPP4インヒビタは、サキサグリプチン及びその薬学的に許容される塩から選択される。一部の実施形態において、DPP4インヒビタは、サキサグリプチンである。一部の実施形態において、DPP4インヒビタは、サキサグリプチンHClである。
【0031】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、メグリチニドから選択される。一部の実施形態において、メグリチニドは、レパグリニド、ナテグリニド(Novartis)、及びKAD1229(PF/Kissei)から選択される。一部の実施形態において、メグリチニドは、レパグリニドである。
【0032】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、グルコキナーゼアクティベータ及び/又はDGAT-1インヒビタから選択される。一部の実施形態において、グルコキナーゼアクティベータは、国際公開第2008/005964号パンフレットに開示されているものから選択される。一部の実施形態において、DGAT-1インヒビタは、米国特許出願公開第2008/0090876A1号明細書に開示されているものから選択される。
【0033】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、インスリン及びGLP-1受容体アゴニストから選択される。一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、インスリンである。
【0034】
一部の実施形態において、抗糖尿病剤は、メトホルミン、フェンホルミン、グリブリド、グリメピリド、グリピリド、グリピジド、エキセナチド、クロルプロパミド、グリクラジド、サキサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アカルボース、ミグリトール、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、MCC-555、インスリン、GL-262570、イサグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾン、JTT-501、N,N-2344、L895645、YM-440、R-119702、N,N-2344、YM-440、AJ9677、レパグリニド、ナテグリニド、KAD1129、AR-HO39242、GW-409544、KRP297、AC2993、LY315902、及びNVP-DPP-728Aから選択される。
【0035】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗肥満剤から選択される。一部の実施形態において、抗肥満剤は、ベータ3アドレナリンアゴニスト、リパーゼインヒビタ、セロトニン(及びドーパミン)再摂取インヒビタ、甲状腺受容体ベータモジュレータ、MCH-1受容体アンタゴニスト、5-HT2c受容体のアゴニスト、食欲抑制剤、ニューロペプチドY(NPY)アンタゴニスト、レプチン類似体、MC4受容体アゴニスト、及びカンナビノイド受容体のアンタゴニストから選択される。
【0036】
一部の実施形態において、ベータ3アドレナリンアゴニストは、AJ9677(武田薬品工業株式会社/大日本製薬株式会社)、SB-418790、L750355(Merck)、CP331648(Pfizer)、並びに米国特許第5,541,204号明細書、米国特許第5,770,615号明細書、米国特許第5,491,134号明細書、米国特許第5,776,983号明細書、及び米国特許第5,488,064号明細書に開示されている他の知られているベータ3アゴニストから選択される。一部の実施形態において、ベータ3アドレナリンアゴニストは、AJ9677、L750355、及びCP331648から選択される。
【0037】
一部の実施形態において、リパーゼインヒビタは、オルリスタット及びATL-962(Alizyme)から選択される。一部の実施形態において、リパーゼインヒビタは、オルリスタットである。
【0038】
一部の実施形態において、セロトニン(及びドーパミン)再摂取インヒビタは、トピラマート(Johnson & Johnson)、AXOKINE(登録商標)(Regeneron)、及びテトラヒドロリポスタチン(tetrahydrolipostatin)から選択される。一部の実施形態において、セロトニン(及びドーパミン)再摂取インヒビタは、トピラマートである。
【0039】
一部の実施形態において、甲状腺受容体ベータモジュレータは、国際公開第97/21993号パンフレット(U.Cal SF)、国際公開第99/00353号パンフレット(KaroBio)、及び国際公開第00/039077号パンフレット(KaroBio)に開示されている甲状腺受容体リガンドから選択される。一部の実施形態において、甲状腺受容体ベータモジュレータは、国際公開第99/00353号パンフレット及び国際公開第00/039077号パンフレットに開示されている化合物から選択される。
【0040】
一部の実施形態において、食欲抑制剤は、フェニルプロパノラミン及びマジンドールから選択される。
【0041】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗高脂血症剤から選択される。一部の実施形態において、高脂血症剤は、HMG CoAリダクターゼインヒビタから選択される。一部の実施形態において、HMG-CoAリダクターゼインヒビタは、メバスタチン及び関連化合物(米国特許第3,983,140号明細書に開示されている)、ロバスタチン(メビノリン)及び関連化合物(米国特許第4,231,938号明細書に開示されている)、プラバスタチン及び関連化合物(例えば米国特許第4,346,227号明細書に開示されている)、シンバスタチン及び関連化合物(米国特許第4,448,784号明細書及び米国特許第4,450,171号明細書に開示されている)、並びにロスバスタチン及び関連スタチン化合物(米国特許第5,753,675号明細書に開示されている)から選択される。
【0042】
一部の実施形態において、HMG-CoAリダクターゼインヒビタは、メバロノラクトン誘導体のピラゾール類似体(米国特許第4,613,610号明細書に開示されている)、メバロノラクトン誘導体のインデン類似体(国際公開第86/03488号パンフレットに開示されている)、6[2-(置換-ピロール-1-イル)-アルキル)ピラン-2-オン及びその誘導体(米国特許第4,647,576号明細書に開示されている)、SearleのSC-45355(3-置換ペンタン二酸誘導体)ジクロロアセタート、メバロノラクトンのイミダゾール類似体(国際公開第86/07054号パンフレットに開示されている)、3-カルボキシ-2-ヒドロキシ-プロパン-ホスホン酸誘導体(仏国特許第2,596,393号明細書に開示されている)、2,3-二置換ピロール、フラン、及びチオフェン誘導体(欧州特許出願公開第0221025号明細書に開示されている)、メバロノラクトンのナフチル類似体(米国特許第4,686,237号明細書に開示されている)、オクタヒドロナフタレン(例えば米国特許第4,499,289号明細書に開示されている)、メビノリン(ロバスタチン)のケト類似体(欧州特許出願公開第0142146A2号明細書に開示されている)、キノリン及びピリジン誘導体(米国特許第5,506,219号明細書及び米国特許第5,691,322号明細書に開示されている)、並びにホスフィン酸化合物(GB2205837号明細書に開示されている)から選択される。
【0043】
一部の実施形態において、HMG-CoAリダクターゼインヒビタは、メバスタチン、ロバスタチン(メビノリン)、プラバスタチン、シンバスタチン、フラバスタチン、セリバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン、ニスバスタチン、イタバスタチン、及びロスバスタチンから選択される。
【0044】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗高血圧剤から選択される。一部の実施形態において、抗高血圧剤は、ベータアドレナリンブロッカ、カルシウムチャネルブロッカ(L型及び/又はT型)、利尿剤、レニンインヒビタ、ACEインヒビタ、AT-1受容体アンタゴニスト、ET受容体アンタゴニスト(例えば米国特許第5,612,359号明細書及び米国特許第6,043,265号明細書に開示されている)、デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば国際公開第00/01389号パンフレットに開示されている)、中性エンドペプチターゼ(NEP)インヒビタ、バソペプシダーゼインヒビタ、並びにニトラートから選択される。
【0045】
一部の実施形態において、抗高血圧剤は、ビソプロロール、カルベジロール、コハク酸メトプロロール、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、アムロジピン、ミベフラジル、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズサイアザイド、エタクリン酸トリクリナフェン(ethacrynic acid tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、スピロノラクトン、トラセミド、インダパミド、メトラゾン、トリアムテレン、エプレレノン、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラザプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、トランドラプリル、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、シタクスセンタン、アトラセンタン、オマパトリラト、ゲモパトリラト、ヒドララジン、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、及びニトロプルシドから選択される。
【0046】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗血小板剤から選択される。一部の実施形態において、抗血小板剤は、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、及びアスピリンから選択される。
【0047】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗血栓剤及び抗凝固剤から選択される。一部の実施形態において、抗血栓剤及び/又は抗凝固剤は、トロンビンインヒビタ、血小板凝集インヒビタ、PAI-1インヒビタ、α2抗プラスミンのインヒビタ、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、プロスタシクリン模擬物、及びホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビタから選択される。
【0048】
一部の実施形態において、抗血栓剤及び/又は抗凝固剤は、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル(Eli Lilly)、XR-330、T-686、抗α2-抗プラスミン抗体、イフェトロバン、ジピリダモール、シロスタゾール、アスピリン、イフェトロバン、ピコタミド、及びケタンセリンから選択される。
【0049】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、HMG CoAリダクターゼインヒビタ、スクアレンシンセターゼインヒビタ、フィブリン酸誘導体、アスピリン、胆汁酸吸着剤、ACATインヒビタ、LDL受容体活性のアップレギュレータ、コレステロール吸収インヒビタ、コレステリル転移タンパク質(CETP)インヒビタ、回腸Na+/胆汁酸共輸送体インヒビタ、フィトエストロゲン、ベータ-ラクタムコレステロール吸収インヒビタ、HDLアップレギュレータ、PPARα-アゴニスト、FXRアゴニスト、LDL異化プロモータ、LDL受容体インデューサ、ステロイドグリコシド、抗酸化剤、抗ホモシステイン剤、イソニアジド、HMG-CoAシンターゼインヒビタ、ラノステロールデメチラーゼインヒビタ、PPARδアゴニスト、ステロール調節要素結合タンパク質-I(SREBP-1)、ベータアドレナリンブロッカ、カルシウムチャネルブロッカ(L型及び/又はT型)、利尿剤、レニンインヒビタ、ACEインヒビタ、AT-1受容体アンタゴニスト、ET受容体アンタゴニスト、デュアルET/AIIアンタゴニスト、中性エンドペプチターゼ(NEP)インヒビタ、バソペプチダーゼインヒビタ(デュアルNEP-ACEインヒビタ)、及びニトラートから選択される。
【0050】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、スクアレンシンセターゼインヒビタから選択される。一部の実施形態において、スクアレンシンセターゼインヒビタは、α-ホスホノ-スルホナート(米国特許第5,712,396号明細書に開示されている)、Biller et al.,J.Med.Chem.,31:1869-1871(1998)によって開示されているもの(イソプレノイド(ホスフィニル-メチル)ホスホナートが挙げられる)、並びに他の知られているスクアレンシンセターゼインヒビタ(例えば、米国特許第4,871,721号明細書及び米国特許第4,924,024号明細書に、そしてBiller,S.A.et al.,Current Pharmaceutical Design,2:1-40(1996)に開示されている)から選択される。
【0051】
一部の実施形態において、スクアレンシンセターゼインヒビタは、テルペノイドピロリン酸(Ortiz de Montellano,P.et al.,J.Med.Chem.,20:243-249(1977)によって開示されている)、ファルネシル二リン酸類似体A及びプレスクアレンピロリン酸(PSQ-PP)類似体(Corey et al.,J.Am.Chem.Soc.,98:1291-1293(1976)によって開示されている)、ホスフィニルホスホン酸(McClard,R.W.et al.,J.Am.Chem.Soc.,109:5544(1987)によって報告されている)、並びにシクロプロパン(Capson,T.L.,Ph.D.dissertation,June,1987,Dept.Med.Chem.U of Utah,Abstract,Table of Contents,pp.16,17,40-43,48-51,Summaryによって報告されている)から選択される。
【0052】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、フィブリン酸誘導体から選択される。一部の実施形態において、フィブリン酸誘導体は、米国特許第3,674,836号明細書に開示されているもの、胆汁酸吸着剤、ポリ(ジアリルメチルアミン)誘導剤(例えば米国特許第4,759,923号明細書に開示されている)、四級アミンポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)及びイオネン(例えば米国特許第4,027,009号明細書に開示されている)から選択される。
【0053】
一部の実施形態において、フィブリン酸誘導体は、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、クリノフィブラート、プロブコール、コレスチラミン、コレスチポール、DEAE-Sephadex(SECHOLEX(登録商標)、Policexide)、コレスタゲル(Sankyo/Geltex)、LIPOSTABIL(登録商標)(Rhone-Poulenc)、エーザイ株式会社(登録商標)E-5050(N-置換エタノールアミン誘導体)、イマニキシル(HOE-402)、テトラヒドロリプスタチン(THL)、イスチグマスタニルホスホリルコリン(istigmastanylphosphorylcholine)(SPC、Roche)、アミノシクロデキストリン(田辺製薬株式会社)、味の素株式会社AJ-814(アズレン誘導体)、メリナミド(Sumitomo)、Sandoz 58-035、American Cyanamid CL-277,082及びCL-283,546(二置換尿素誘導体)、ニコチン酸(ナイアシン)、アシピモクス、アシフラン、ネオマイシン、p-アミノサリチル酸、アスピリンから選択される。一部の実施形態において、フィブリン酸誘導体は、プロブコール及びゲムフィブロジルから選択される。
【0054】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、アシルCoA:コレステロールO-アシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビタから選択される。一部の実施形態において、ACATインヒビタは、Drugs of the Future,24:9-15(1999)(Avasimibe);Nicolosi et al.,“The ACAT inhibitor,Cl-1011 is effective in the prevention and regression of aortic fatty streak area in hamsters”,Atherosclerosis(Shannon,Irel.),137(1):77-85(1998);Ghiselli,G.,“The pharmacological profile of FCE 27677:a novel ACAT inhibitor with potent hypolipidemic activity mediated by selective suppression of the hepatic secretion of ApoB100-containing lipoprotein”,Cardiovasc.Drug Rev.,16(1):16-30(1998);Smith,C.et al.,“RP 73163:a bioavailable alkylsulfinyl-diphenylimidazole ACAT inhibitor”,Bioorg.Med.Chem.Lett.,6(1):47-50(1996);Krause,B.R.et al.,Chapter 6:“ACAT Inhibitors:Physiologic Mechanisms for Hypolipidemic and Anti-Atherosclerotic Activities in Experimental Animals”,Inflammation:Mediators and Pathways,CRC Press,Inc.,publ.,Ruffolo,Jr.,R.R.et al.,eds.,pp.173-198(1995);Sliskovic et al.,“ACAT inhibitors:potential anti-atherosclerotic agents”,Curr.Med.Chem.,1(3):204-225(1994);Stout et al.,“Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol O-acyl transferase(ACAT)as hypocholesterolemic agents.6.The first water-soluble ACAT inhibitor with lipid-regulating activity.Inhibitors of acyl-CoA:cholesterol acyltransferase(ACAT).7.Development of a series of substituted N-phenyl-N’-[(1-phenylcyclopentyl)-methyl]ureas with enhanced hypocholesterolemic activity”,Chemtracts:Org.Chem.,8(6):359-362(1995)に開示されているもの、又はTS-962(大正製薬株式会社)、並びにF-1394、CS-505,F-12511、HL-004,K-10085、及びYIC-C8-434から選択される。
【0055】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、LDL受容体のアップレギュレータから選択される。一部の実施形態において、LDL受容体のアップレギュレータは、MD-700(大正製薬株式会社)及びLY295427(Eli Lilly)から選択される。
【0056】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、コレステロール吸収インヒビタから選択される。一部の実施形態において、コレステロール吸収インヒビタは、Schering-PloughのSCH48461(エゼチミブ)、並びにAtherosclerosis,115:45-63(1995)及びJ.Med.Chem.,41:973(1998)に開示されているものから選択される。
【0057】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、コレステリル転移タンパク質インヒビタ(CETP)から選択される。一部の実施形態において、コレステリル転移タンパク質インヒビタ(CETP)は、PfizerのCP-529,414、並びに国際公開第00/38722号パンフレットに、そしてEP818448号明細書(Bayer)及びEP992496号明細書に開示されているもの、PharmaciaのSC-744及びSC-795、並びにCETi-1及びJTT-705から選択される。
【0058】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、フィトエストロゲン化合物から選択される。一部の実施形態において、フィトエストロゲン化合物は、国際公開第00/30665号パンフレットに開示されているもの(単離されたダイズタンパク質、ダイズタンパク質濃縮物、又はダイズ粉が挙げられる)、並びにイソフラボン、例えば、ゲニステイン、ダイドゼイン、グリシテイン若しくはエクオール、又はフィトステロール、フィトスタノール若しくはトコトリエノール(国際公開第2000/015201号パンフレットに開示されている)から選択される。
【0059】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、ベータ-ラクタムコレステロール吸収インヒビタから選択される。一部の実施形態において、ベータ-ラクタムコレステロール吸収インヒビタは、EP675714号明細書に開示されているものから選択される。
【0060】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、HDLアップレギュレータから選択される。一部の実施形態において、HDLアップレギュレータは、LXRアゴニストから選択される。
【0061】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、PPARα-アゴニスト及びFXRアゴニストから選択される。
【0062】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、LDL異化プロモータから選択される。一部の実施形態において、LDL異化プロモータは、EP1022272号明細書に開示されているものから選択される。
【0063】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、ナトリウムプロトン交換インヒビタから選択される。一部の実施形態において、ナトリウムプロトン交換インヒビタは、DE19622222号明細書に開示されているものから選択される。
【0064】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、LDL受容体インデューサ及びステロイドグリコシドから選択される。一部の実施形態において、LDL受容体インデューサ及びステロイドグリコシドは、米国特許第5,698,527号明細書及びGB2304106号明細書に開示されているものから選択される。
【0065】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗酸化剤から選択される。一部の実施形態において、抗酸化剤は、ベータ-カロテン、アスコルビン酸、α-トコフェロール、レチノール、及びビタミンCから選択される。
【0066】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、抗ホモシステイン剤から選択される。一部の実施形態において、抗ホモシステイン剤は、葉酸、ホラート、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、及びイソニアジドから選択される。
【0067】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、ラノステロールデメチラーゼインヒビタから選択される。一部の実施形態において、ラノステロールデメチラーゼインヒビタは、国際公開第97/48701号パンフレットに開示されているものから選択される。
【0068】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、PPARδアゴニストから選択される。
【0069】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、要素結合タンパク質-I(SREBP-1)を調節するステロールから選択される。一部の実施形態において、SREBP-1は、国際公開第2000/050574号パンフレットに開示されているもの、スフィンゴ脂質、並びに中性スフィンゴミエリナーゼ(N-SMase)及びそのフラグメントから選択される。一部の実施形態において、SREBP-1は、セラミドである。
【0070】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フラバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、エゼチミブ、ナイアシン、及びコレスタゲルから選択される。
【0071】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、(1)式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物、並びに(2)少なくとも1つのビグアナイド及び/又は少なくとも1つのDPP4インヒビタを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0072】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を単独で、又は少なくとも1つのビグアナイド及び/若しくは少なくとも1つのDPP4インヒビタと組み合わせて投与することを含む。
【0073】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、(1)式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物、並びに(2)メトホルミンを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0074】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を単独で、又はメトホルミンと組み合わせて投与することを含む。
【0075】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、(1)式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物、並びに(2)サキサグリプチンを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0076】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を単独で、又はサキサグリプチンと組み合わせて投与することを含む。
【0077】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、(1)式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物、並びに(2)メトホルミン及び(3)サキサグリプチンを含む医薬組成物を投与することを含む。
【0078】
一部の実施形態において、当該方法は、それを必要とする患者に、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を単独で、又はメトホルミン及びサキサグリプチンと組み合わせて投与することを含む。
【0079】
一部の実施形態において、HFpEFと関連する少なくとも1つの疾患、障害、及び/又は症状は、骨格筋機能不全、血管機能不全、高血圧、肺高血圧、腎不全、貧血、心房細動、及び主要有害心血管系事象から選択される。
【0080】
一部の実施形態において、主要有害心血管系事象は、心筋梗塞、発作、心血管死、及び心血管入院から選択される。一部の実施形態において、心血管入院は、不安定狭心症若しくは安定狭心症、心不全、及び/又は冠状動脈血管再生に関連する。
【0081】
一部の実施形態において、当該方法は、心臓拡張機能を向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、心臓拡張機能を向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、心臓拡張機能を向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、心筋線維症を緩和する。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、心筋線維症を緩和する。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、心筋線維症を緩和する。一部の実施形態において、当該方法は、肥大を和らげる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、肥大を和らげる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、肥大を和らげる。
【0082】
一部の実施形態において、患者は、糖尿病患者である。一部の実施形態において、患者は、非糖尿病患者である。一部の実施形態において、患者は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が>11%である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが7.0~11%の範囲内である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが<7.0%である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが<6.5%である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが<6%である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが<5.7%である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが6.0~6.9%の範囲内である。一部の実施形態において、患者は、HbA1cが5.7~6.5%である。
【0083】
一部の実施形態において、患者は男性である。一部の実施形態において、患者は女性である。一部の実施形態において、患者は≧40歳である。
【0084】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置の前に、症候性心不全の診断(ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)又はNYHA、クラスII~IV)を明らかにした。一部の実施形態において、患者は、≧6週の心不全の病徴及び/又は徴候の病歴があり、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置の前に、利尿処置を少なくとも断続的に必要とする。
【0085】
一部の実施形態において、心不全の少なくとも1つの病徴及び/又は徴候は、息切れ、起坐呼吸、発作性夜間性呼吸困難、運動耐性の低下、倦怠感、疲労、運動後回復時間の増大、くるぶし腫脹、頸静脈圧の上昇、肝頸静脈逆流、第3心音(奔馬律動)、横変位心尖拍動、体重増加(>2kg/週)、体重減少(進行性HFにおいて)、組織の消耗(悪液質)、食欲低下、心雑音、末梢浮腫(足首、仙骨、陰嚢)、肺クレピティション、空気侵入の低下及び肺底部での打診に対する濁音(胸水)、頻脈、不規則な脈動、頻呼吸、チェーンストークス呼吸、肝腫大、腹水、四肢の冷え、乏尿、並びに/又は脈圧狭小から選択される。
【0086】
一部の実施形態において、患者は、左心室駆出率が≧45%である。一部の実施形態において、患者は、左心室駆出率が≧50%である。一部の実施形態において、患者は、左心室駆出率が約40~約49%の範囲内である。
【0087】
一部の実施形態において、構造心疾患の証拠は、左室肥大及び/又は左房拡大を含む。一部の実施形態において、左室肥大は、隔壁厚さ又は後壁厚さ≧1.1cmによって定義される。一部の実施形態において、左房拡大は、左房幅(直径)≧3.8cm、左房長さ≧5.0cm、左房面積≧20cm、左房容積≧55mL、及び/又は左房容積指数≧29mL/mによって定義される。
【0088】
一部の実施形態において、構造心疾患の証拠は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の12ヵ月以内の心エコー図及び/又は心臓核磁気共鳴画像法によって明らかにされる。
【0089】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置の前に、NT-proBNPが≧300pg/mlであり、継続中の心房細動/粗動がない。一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置の前に、NT-proBNPが≧600pg/mlであり、継続中の心房細動/粗動がある。
【0090】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の少なくとも12時間、利尿剤を含む静脈内心不全治療を受けていない。一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の少なくとも24時間、利尿剤を含む静脈内心不全治療を受けていない。
【0091】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の4週以内に、SGLT2インヒビタによる治療を受けていない。
【0092】
一部の実施形態において、患者は、1型真性糖尿病を患っていない。
【0093】
一部の実施形態において、患者は、eGFRが<25mL/min/1.73m(CKD-EPI式)でない(Levey AS,Stevens LA,Schmid CH,Zhang YL,Castro AF 3rd,Feldman HI et al.A new equation to estimate glomerular filtration rate.Ann Intern Med.2009 May 5;150(9):604-12参照)。
【0094】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期血圧(BP)が<95mmHgでない。
【0095】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期BPが、≧3つの血圧降下薬物による処置直後でなければ≧160mmHgでなく、又は処置に関係なく≧180mmHgでない。
【0096】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の12週以内に、心筋梗塞(MI)も、不安定狭心症(UA)も、冠状動脈血管再生(経皮的冠動脈介入(PCI)も冠状動脈バイパス移植(CABG))も、心房粗動/細動のアブレーションも、弁修復/置換もなかった。
【0097】
一部の実施形態において、患者は、冠状動脈血管再生も、心房粗動/細動のアブレーションも、弁修復/置換も計画していない。
【0098】
一部の実施形態において、患者は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の12週以内に、発作も一過性虚血発作(TIA)もなかった。
【0099】
一部の実施形態において、患者は、処置医師のオピニオンで、患者のHFの病徴及び徴候(例えば、貧血、甲状腺機能低下)を説明し得る、可能性のある代替診断も同時診断もない。
【0100】
一部の実施形態において、患者は、肥満度指数が>50kg/mでない。
【0101】
一部の実施形態において、患者は、原発性肺高血圧症も、慢性肺塞栓症も、COPDが挙げられる重度の肺疾患(すなわち、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置前の12ヵ月以内に、換気補助を必要とするCOPDの悪化について、在宅酸素療法、長期間にわたるネブライザ療法、若しくは長期間にわたる経口ステロイド療法、又は入院を必要とする)も患っていない。
【0102】
一部の実施形態において、患者は、以前に心臓移植も、複合先天性心疾患(complex congenital heart disease)もなく、そして心臓再同期療法を計画してもいない。
【0103】
一部の実施形態において、患者は、知られている浸潤性心筋症(例えば、アミロイド、類肉腫症、リンパ腫、心内膜心筋線維症)、活性心筋炎、収縮性心膜炎、心タンポナーデ、知られている遺伝的肥大性心筋症若しくは閉塞性肥大性心筋症、催不整脈性右室心筋症/異形成症(ARVC/D)、又は矯正されてない(uncorrected)原発性心臓弁膜症に起因するHFを患っていない。
【0104】
一部の実施形態において、患者は、処置医師の臨床判断に基づいて、あらゆる非心血管症状に起因して、余命が2年未満でない。
【0105】
一部の実施形態において、患者は、処置を必要とする活性悪性腫瘍(皮膚の基底細胞癌又は扁平上皮細胞癌を除く)を患っていない。
【0106】
一部の実施形態において、患者は、肝機能の重度の障害(例えば、腹水、食道静脈瘤、凝固障害)を伴う、急性肝疾患又は慢性肝疾患を患っていない。
【0107】
一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、CV死が最初に起こる時期を遅らせる(reduce the time to first occurrence)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、CV死が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、HFのための入院が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、HFのための入院が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、緊急のHF来院が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、緊急のHF来院が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、緊急のHF来院は、救急部来院及び/又は外来患者来院である。一部の実施形態において、CV死が最初に起こる時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。一部の実施形態において、HFのための入院が最初に起こる時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。一部の実施形態において、緊急のHF来院が最初に起こる時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0108】
一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、HFのための入院の総数及びCV死を少なくする。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、HFのための入院の総数及びCV死を少なくする。一部の実施形態において、入院の総数は、最初の入院及び/又は再発の入院についてである。一部の実施形態において、HFのための入院の総数及びCV死は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0109】
一部の実施形態において、当該方法は、Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)によって測定される患者報告アウトカムを向上させる(すなわち、KCCQスコアを増大させる)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、KCCQによって測定される患者報告アウトカムを向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、KCCQによって測定される患者報告アウトカムを向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな増大又はより小さな減少を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、KCCQによって測定される患者報告アウトカムを向上させる。一部の実施形態において、KCCQによって測定される患者報告アウトカムは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0110】
一部の実施形態において、当該方法は、8ヵ月目に、KCCQの総病徴スコア(TSS)を向上させる(すなわち、TSSスコアを増大させる)。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、8ヵ月目に、KCCQのTSSを向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな増大又はより小さな減少を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、8ヵ月目に、KCCQのTSSを向上させる。一部の実施形態において、KCCQのTSSは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0111】
一部の実施形態において、当該方法は、患者のNYHAクラスを向上させる(すなわち、減少させる)(例えば、NYHAクラスIIIは、クラスIIに減少する)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、患者のNYHAクラスを向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、ベースラインから8ヵ月まで、患者のNYHAクラスを向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、ベースラインから8ヵ月まで、患者のNYHAクラスを向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、NYHAクラスが悪化した患者の割合を引き下げる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな減少又はより小さな増大を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、ベースラインから、NYHAクラスが悪化した患者の割合を引き下げる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、ベースラインから8ヵ月まで、NYHAクラスが悪化した患者の割合を引き下げる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、ベースラインから8ヵ月まで、NYHAクラスが悪化した患者の割合を引き下げる。一部の実施形態において、患者のNYHAクラスは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0112】
一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、何らかの原因による死亡が起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、何らかの原因による死亡が起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、何らかの原因による入院が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、何らかの原因による入院が最初に起こる時期を遅らせる。一部の実施形態において、何らかの原因による死亡の発生までの時間は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。一部の実施形態において、何らかの原因による入院が最初に起こる時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0113】
一部の実施形態において、当該方法は、EuroQol five-dimensional five-levelアンケート(EQ-5D-5L)によって評価される患者の健康状態を向上させる(すなわち、EQ-5D-5Lスコアを増大させる)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、EQ-5D-5Lによって評価される患者の健康状態を向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、EQ-5D-5Lによって評価される健康状態を向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな増大又はより小さな減少を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、EQ-5D-5Lによって評価される健康状態を向上させる。一部の実施形態において、EQ-5D-5Lによって評価される患者の健康状態は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0114】
一部の実施形態において、当該方法は、Patient Global Impression of Severity(PGIS)アンケートによって評価される患者の健康状態を向上させる(すなわち、病徴の重症度を引き下げる)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、PGISアンケートによって評価される患者の健康状態を向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、PGISアンケートによって評価される健康状態を向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな減少又はより小さな増大を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、PGISアンケートによって評価される健康状態を向上させる。一部の実施形態において、PGISアンケートによって評価される患者の健康状態は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0115】
一部の実施形態において、当該方法は、患者の収縮期BPを、ベースラインから向上させる(すなわち、引き下げる)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、収縮期BPをベースラインから向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、ベースラインからの収縮期BPの変化を向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな引下げ又はより小さな増大を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、ベースラインからの収縮期BPの変化を向上させる。一部の実施形態において、患者の収縮期BPは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0116】
一部の実施形態において、当該方法は、患者の体重をベースラインから向上させる(すなわち、引き下げる)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、患者の体重をベースラインから引き下げる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、ベースラインからの体重の変化を向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな引下げ又はより小さな増大を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、ベースラインからの体重の変化を向上させる。一部の実施形態において、患者の体重は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0117】
一部の実施形態において、当該方法は、患者のeGFRをベースラインから引き下げない。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、患者のeGFRをベースラインから引き下げない。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、ベースラインからのeGFRの変化を向上させる(すなわち、プラセボと比較して、より大きな増大又はより小さな減少を引き起こす)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、ベースラインからのeGFRの変化を向上させる。一部の実施形態において、患者のeGFRは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0118】
一部の実施形態において、当該方法は、患者のKCCQ臨床概要スコア(すなわち、総病徴スコア及び身体機能スコアの合計)、総合概要スコア(すなわち、総病徴スコア、身体機能スコア、社会的制限スコア、及びクオリティ・オブ・ライフスコアの合計)、TSS、及び/又はクオリティ・オブ・ライフ(QoL)スコアを向上させる(すなわち、増大させる)。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、患者のKCCQ臨床概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアを向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、プラセボと比較して、KCCQ臨床概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアを向上させる。一部の実施形態において、当該方法は、標準治療に加えた場合に、プラセボと比較して、KCCQ臨床概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアを向上させる。一部の実施形態において、KCCQ臨床概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される。
【0119】
一部の実施形態において、標準治療は、共存症を制御する処置、並びに/又はCV死及び心不全事象を複合したものを和らげる処置を含む。一部の実施形態において、心不全事象は、HFのための入院及び/又は緊急のHF来院から選択される。一部の実施形態において、標準治療は、血圧、心拍数、血液量、及び心筋虚血を制御することを含む。一部の実施形態において、標準治療は、処置の経過中に変わる。
【0120】
本出願に記載される全ての刊行物、特許、及び公開特許公報は、参照によって本明細書に具体的に組み込まれる。
【0121】
用語「処置する」又は「処置」は、診断された病理学的疾患、障害、若しくは症状を治療し、減速させ、その病徴を軽減し、且つ/又はその進行を停止する治療措置を指す。処置は、症状の全治に終わる必要はない;処置されている症状の部分的な阻害又は緩和が、この用語によって包含される。
【0122】
用語「予防する」又は「予防」は、少なくとも1つの統計学的、生物学的、且つ/又は臨床的に重要な方法で、標的とする病理学的疾患、障害、又は症状を予防且つ/又は阻害し、その進行が起こる可能性を低下させ、且つ/又は引き下げる予防的な(prophylactic or preventative)措置を指す。
【0123】
本明細書中で用いられる用語「約」は、所定の値又は範囲の20%以内、例えば10%以内、さらに例えば5%以内を指す。
【0124】
用語「又は」は、文脈上明らかに別異に解される場合を除き、本明細書中で、用語「及び/又は」を意味するのに用いられ、そしてこれと互換的に用いられる。
【0125】
本明細書中で用いられる用語「HFpEF」は、EFが>40%であり、そして構造的な心臓疾患の証拠がある拡張性心不全を指す。
【0126】
本明細書中で用いられる用語「非糖尿病患者」は、本明細書中で開示される化合物、組成物、及び方法による処置の前に、1型糖尿病又は2型糖尿病が明らかにされていない患者を指す。
【0127】
本明細書中で用いられる用語「他の治療剤」は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物以外の治療剤を指す。
【0128】
本明細書中で用いられる用語「プロドラッグエステル」は、例えば、生理学的条件下で、又は加溶媒分解によって、ダパグリフロジンに変換され得るエステル及びカルボナートを含む。ゆえに、用語プロドラッグエステルは、薬学的に許容されるダパグリフロジンの代謝前駆体を含む。また、用語プロドラッグエステルは、そのようなプロドラッグが患者に投与された場合に、ダパグリフロジンをインビボで放出する、共有結合されたキャリアを含む。プロドラッグエステルの非限定的な例として、アセタート、ピバラート、メチルカルボナート、及びベンゾアート等を生成するのに当業者に知られている手順を使用して、ダパグリフロジンの1つ以上のヒドロキシル基を、アルキル、アルコキシ、又はアリール置換アシル化剤と反応させることによって形成されるエステル及びカルボナートが挙げられる。
【0129】
プロドラッグの種々の形態が、当該技術において知られている。そのようなプロドラッグ誘導体の例として、以下を参照:(1)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985)及びMethods in Enzymology,Vol.42,p.309-396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);(2)A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard-Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5“Design and Application of Prodrugs”,by H.Bundgaard p.113-191(1991);(3)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,8,1-38(1992);(4)H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,77,285(1988);並びに(5)N.Kakeya,et al.,Chem Pharm Bull,32,692(1984)。
【0130】
一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物の前に、後に、又はそれと同時に投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物の前に投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物の後に投与される。一部の実施形態において、少なくとも1つの他の治療剤は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物と同時に投与される。
【0131】
HFpEF、並びに/又はこれと関連する疾患、障害、及び/若しくは症状を処置且つ/又は予防する、本開示の化合物の有効性は、関連技術の当業者によって容易に判定され得る。また、適切な投薬レジメンの決定及び調整(例えば、用量あたりの化合物の量、並びに/又は服用回数及び投薬頻度の調整)は、関連技術の当業者によって容易に実行され得る。身体検査、臨床病徴の評価及び監視、並びに本明細書中に記載される分析試験及び分析方法の性能が挙げられる診断方法の1つ又はあらゆる組合せが、患者の健康状態を監視するのに用いられてもよい。
【0132】
有効な量又は治療的に有効な量は、患者に、単一用量として、又は一連の用量の一部として投与した場合に、少なくとも1つの治療効果を生じさせるのに有効な、本開示の少なくとも1つの化合物、又は少なくとも1つのそのような化合物を含む医薬組成物の量を指す。最適な用量は、通常、実験モデル及び/又は臨床治験を用いて決定することができる。本明細書中に記載される治療薬(予防的利益のために投与される場合を含む)のそれぞれについての前臨床研究及び臨床研究の設計及び実行は十分、関連技術の当業者の技術の範囲内である。治療薬の最適な用量は、患者のボディマス、体重、及び/又は血液量によって決まり得る。患者は、通常、治療有効性について、処置又は予防されることとなる疾患、障害、及び/又は症状に適したアッセイを用いて監視されてもよく、当該アッセイは、当業者によく知られており、本明細書中に記載されている。患者に投与される化合物のレベルは、患者由来の生体液、例えば、血液、血液画分(例えば血清)、及び/若しくは尿、並びに/又は他の生体サンプル中の化合物(又は化合物の代謝物質)のレベルを判定することによって監視されてもよい。化合物、又はその代謝物質を検出するために、当該技術において行われるあらゆる方法が、治療レジメンの過程において化合物のレベルを測定するのに用いられてもよい。
【0133】
本明細書中に記載される化合物の用量は、患者の状態、すなわち、疾患のステージ、疾患によって引き起こされる病徴の重症度、健康状態、並びに年齢、性別、及び体重、並びに医療の当業者に明らかである他の要因によって決まり得る。同様に、疾患、障害、及び/又は症状を処置するための治療薬の用量は、医療の当業者によって理解されるパラメータに従って決定されてもよい。
【0134】
一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約1~約1000mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約0.5~約200mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約2~約400mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約1~約100mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約2.5~約75mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約2.5~約50mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約1~約50mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約1~約20mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約2.5~約20mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約2.5~約10mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約10mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約5mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、約2.5mg/日のダパグリフロジンの用量当量にて投与される。
【0135】
一部の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの他の治療剤に対する重量比で、約0.01:1~約300:1の範囲内で含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの他の治療剤に対する重量比で、0.1:1~200:1の範囲内で含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物を、少なくとも1つの他の治療剤に対する重量比で、約0.2:1~約100:1の範囲内で含む。
【0136】
一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの他の治療剤との組合せについての重量比は、約0.01:1~約300:1の範囲内である。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの他の治療剤との組合せについての重量比は、約0.1:1~約200:1の範囲内である。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つの他の治療剤との組合せについての重量比は、約0.2:1~約100:1の範囲内である。
【0137】
医薬組成物は、医療の当業者によって決定される、処置されることとなる疾患、障害、及び/又は症状に適したあらゆる様式で、投与されてもよい。適切な用量、並びに投与の適切な期間及び頻度は、本明細書中で考察されるような要因によって決定されることとなり、患者の症状、患者の疾患のタイプ及び重症度、活性成分の特定の形態、及び投与の方法が挙げられる。一般に、適切な用量(又は有効な用量)及び処置レジメンは、本明細書中に記載される組成物を、治療利益及び/又は予防的利益(例えば、臨床アウトカムの向上、例えば、より頻繁な完全寛解もしく部分寛解、又はより長い無病生存率及び/若しくは全生存率、又は病徴重症度の軽減、或いは先で詳細に記載される他の利益)をもたらすのに十分な量で提供する。
【0138】
医薬組成物は、所望の投与モードに適した、従来の固体ビヒクル又は液体ビヒクル、希釈剤、及び医薬添加物を使用して製剤化することができる。医薬組成物は、種々の経路によって投与することができ、例えば、タブレット、カプセル、顆粒、粉末等の形態で経口的に、注射可能な調製物の形態で非経口的に、鼻腔内に、経直腸的に、そしてパッチの形態で経皮的に投与することが挙げられる。
【0139】
また、先の剤型は、必須の生理的に許容可能なキャリア(すなわち、あらゆるタイプの非毒性の、不活性な固体、半固体、又は液体のフィラー、希釈剤、カプセル化材料、又は製剤化助剤)、賦形剤、潤滑剤、バッファ、抗菌剤、増量剤(例えばマンニトール)、アジュバント等を含んでもよい。
【0140】
薬学的に許容されるキャリアとして機能し得る材料の一部の例として、糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えばコーンスターチ及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;粉末トラガカントゴム;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばカカオバター及び坐薬ワックス;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;グリコール、例えばプロピレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;アガー;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸バッファ溶液、並びに他の非毒性の相溶性の潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム;着色剤;放出剤;コーティング剤;甘味料;香料;芳香剤;保存剤;並びに抗酸化剤がある。
【0141】
適切な水性の、そして非水性のキャリア、希釈剤、溶媒、又はビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの適切な混合液、植物油(オリーブ油等)、及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンを用いて、分散系の場合には、必要とされる粒径の維持によって、そして界面活性剤を用いて、維持することができる。
【0142】
アジュバントの例として、保存剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、甘味料、香料、及び芳香剤が挙げられる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、及びソルビン酸等によって、確実にすることができる。また、等張剤、例えば糖及び塩化ナトリウム等を含むことが所望されてもよい。注射可能な医薬形態の長期間にわたる吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを用いてもたらすことができる。懸濁化剤として、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、ソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカントゴム、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0143】
本発明の方法に使用される種々の医薬組成物は、場合によっては、1つ以上のフィラー又は賦形剤を、約0重量%~約90重量%、そして一部の実施形態において、約1重量%~約80重量%の範囲内の量で含んでもよい。適切なフィラー又は賦形剤の例として、以下に限定されないが、ラクトース、糖、コーンスターチ、加工コーンスターチ、マンニトール、ソルビトール、無機塩、例えば炭酸カルシウム、並びにセルロース誘導体、例えば木材セルロース及び微結晶セルロースが挙げられる。
【0144】
1つ以上のバインダーが、フィラーに加えて、又はフィラーの代わりに、約0%~約35%の範囲内の量で存在してもよい。一部の実施形態において、バインダーは、組成物の約0.5重量%~約30重量%の量で存在する。適切なバインダーの例として、ポリビニルピロリドン(分子量が、約5000~約80,000に及び、そして一部の実施形態において、約40,000である)、ラクトース、デンプン、例えば、コーンスターチ、加工コーンスターチ、糖、及びアラビアゴム等、並びに微細に粉末にされた形態のワックスバインダ(500ミクロン未満)、例えば、カルナバワックス、パラフィン、鯨蝋、ポリエチレン、及び微結晶ワックスが挙げられる。
【0145】
一部の実施形態において、医薬組成物は、タブレットの形態であり、タブレットは、1つ以上の錠剤成形潤滑剤(tableting lubricant)を、組成物の約0.2重量%~約8重量%の範囲内の量で含む。一部の実施形態において、錠剤成形潤滑剤は、組成物の約0.5重量%~約2重量%の範囲内の量である。適切な錠剤成形潤滑剤の例として、以下に限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、及びカルナバワックス等が挙げられる。他の成分は、場合によっては存在してもよく、例えば、保存剤、安定化剤、着色剤、抗粘着剤(anti-adherents)、及びシリカフローコンディショナ又は滑剤、例えばSyloidの商標の二酸化ケイ素が挙げられる。
【0146】
一部の実施形態において、医薬組成物は、タブレットの形態であり、タブレットは、タブレット組成物の約0重量%~約15重量%を含むことができるコーティング層を含む。コーティング層は、例えば、1つ以上の被膜形成剤若しくはバインダー、及び/又は1つ以上の可塑剤を挙げることができる、従来のあらゆるコーティング製剤を含んでもよい。適切な被膜形成剤又はバインダーの例として、以下に限定されないが、親水性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水性ポリマー、例えばメタクリル酸エステル、中性ポリマー、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール-無水マレイン酸コポリマー、β-ピネンポリマー、及び木材樹脂のグリセリルエステル等が挙げられる。適切な可塑剤の例として、以下に限定されないが、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール、グリセリン、フタル酸ブチル、及びヒマシ油等が挙げられる。コアタブレット及びコーティング製剤は双方とも、色を与えるためにアルミニウムレーキを含有してもよい。
【0147】
一部の実施形態において、医薬組成物は、タブレットの形態であり、被膜形成剤は、水、アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、及びイソプロピルアルコール、ケトン、例えばアセトン及びエチルメチルケトン、並びに塩素化炭化水素、例えば、塩化メチレン、ジクロロエタン、及び1,1,1-トリクロロエタンが挙げられる1つ以上の溶媒を含有する溶媒系から、タブレットに塗布される。
【0148】
一部の実施形態において、医薬組成物は、タブレットの形態であり、色が、被膜形成剤、可塑剤、及び溶媒組成物と一緒に塗られる。
【0149】
一部の実施形態において、本発明の方法においてタブレットの形態で用いられる医薬組成物は、以下の工程を含むプロセスによって得ることができる:
a)不活性成分を、式(I)の少なくとも1つの化合物と混合する工程;
b)顆粒を製剤化する工程;
c)顆粒を乾燥させ、且つ/又はスクリーニングする工程;
d)顆粒をブレンドする工程;並びに
e)(d)で得られた混合物をタブレットに錠剤成形する工程。
【0150】
一部の実施形態において、プロセスの工程a)は、インパクトブレンディング装置若しくはミリング装置、及び/又はサイジング装置を使用する。一部の実施形態において、プロセスの工程b)における顆粒は、乾式顆粒形成、湿式顆粒形成、又は直接圧縮によって製剤化される。一部の実施形態において、顆粒は、乾式顆粒形成によって製剤化される。一部の実施形態において、プロセスの工程d)における顆粒は、錠剤成形助剤、又は潤滑剤、及びフィラーとブレンドされる。
【0151】
一部の実施形態において、カプセルの形態の医薬組成物は、以下の工程を含むプロセスによって得ることができる:
a)不活性成分を、式(I)の少なくとも1つの化合物と、ブレンディングプロセスとミリングプロセスの組合せを用いて混合する工程;
b)顆粒を製剤化する工程;
c)顆粒を乾燥させ、且つ/又はスクリーニングする工程;及び
d)顆粒をカプセル中にロードする工程。
【0152】
一部の実施形態において、プロセスの工程a)は、インパクトミリング装置若しくはブレンディング装置、及び/又はサイジング装置を使用する。一部の実施形態において、プロセスの工程b)における顆粒は、乾式顆粒形成、湿式顆粒形成、又は直接圧縮によって製剤化される。一部の実施形態において、顆粒は、乾式顆粒形成によって製剤化される。
【0153】
また、一部の実施形態において、医薬組成物は、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含有してもよい。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、及びソルビン酸等の包含によって、確実にすることができる。また、等張剤、例えば糖及び塩化ナトリウム等を含むことが所望されてもよい。注射可能な医薬形態の長期間にわたる吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの包含によってもたらすことができる。
【0154】
一部の実施形態において、皮下注射又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが所望される。一部の実施形態において、これは、水可溶性が不十分な結晶性材料又は非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成される。薬物の吸収速度は、その溶解速度によって決まり、これは次に、結晶サイズ及び結晶形態によって決まり得る。一部の実施形態において、吸収遅延は、薬物を油ビヒクル中に溶解又は懸濁させることによって達成される。
【0155】
一部の実施形態において、医薬組成物は、注射可能なデポー形態である。一部の実施形態において、注射可能なデポー形態は、薬物のマイクロカプセル化マトリックスを、生物分解性ポリマー、例えばポリラクチド-ポリグリコリド内に含む。薬物の、ポリマーに対する比率、及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。本明細書中での使用に適した他の生物分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。一部の実施形態において、デポー注射可能な製剤は、体内組織と適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン内に薬物をトラップすることによって調製される。
【0156】
一部の実施形態において、医薬組成物は、注射可能な製剤であり、注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルタによる濾過によって、又は使用の直前に滅菌水若しくは他の滅菌注射可能な媒体中に溶解若しくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されてもよい。
【0157】
一部の実施形態において、医薬組成物は、経口投与に適した固体剤型である。経口投与用の固体剤型として、カプセル、タブレット、ピル、粉末、及び顆粒が挙げられる。一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、少なくとも1つの不活性の、薬学的に許容される賦形剤又はキャリア、例えば、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、並びに/或いはa)フィラー若しくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸;b)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及びアラビアゴム;c)湿潤剤、例えばグリセロール;d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリカート、及び炭酸ナトリウム;e)溶解遅延剤、例えばパラフィン;f)吸収促進剤、例えば四級アンモニウム化合物;g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール;h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレイ、並びに/又はi)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、並びにそれらの混合物と混合される。また、一部の実施形態において、剤型は緩衝剤を含んでもよい。
【0158】
また、類似のタイプの固体組成物が、軟充填ゼラチンカプセル及び硬充填ゼラチンカプセル内のフィラーとして、ラクトース又は乳糖のような賦形剤、及び高分子量ポリエチレングリコール等を用いて使用されてもよい。
【0159】
一部の実施形態において、タブレット、ドラジェ、カプセル、ピル、及び顆粒が、コーティング及び殻、例えば、腸溶コーティング、及び医薬製剤化技術において周知である他のコーティングと共に調製されてもよい。これらは、場合によっては、乳白剤を含有してもよく、そしてまた、活性成分のみを、又は優先的に、腸管の特定の部分において、場合によっては遅延させて、放出するような組成物であってもよい。用いることができる埋込み組成物の例として、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。
【0160】
一部の実施形態において、式(I)の化合物及びそのプロドラッグから選択される少なくとも1つの化合物は、適切であれば、上記の賦形剤の1つ以上と共に、微カプセル化された形態であってもよい。
【0161】
一部の実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルを含む経口投与に適した液体剤型であってもよい。一部の実施形態において、液体剤型は、当該技術において一般的に用いられる不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含有してもよい。
【0162】
以下の実施例は、本開示の実例となる実施形態を提供する。当業者であれば、本開示の精神又は範囲を変更することなく実行され得る多数の修飾及び変形を認識するであろう。そのような修飾及び変形は、本開示の範囲内に包含される。提供される実施例は、本開示をいかなる形であれ限定しない。
【実施例0163】
実施例1
ダパグリフロジンの、CV死の引下げ、又は拡張性心不全(HFpEF)患者における心不全の悪化に及ぼす作用を評価するための二重盲検ランダム化プラセボ対照相III研究
【0164】
研究設計:全体的な設計
これは、HFpEF患者における、国際的な、マルチセンターの、並行群間の、イベント駆動型の、ランダム化された、二重盲検プラセボ対照研究であり、ダパグリフロジン10mg対プラセボの作用を評価し、地域のバックグラウンド標準治療療法に加えて毎日一回行い、CV死又は心不全事象を複合したものを緩和する、共存症を制御する処置を含むものである。
【0165】
≧40歳の成人の、HFpEF(この研究のために、LVEF>40%であり、且つ構造的心疾患の証拠があるものと定義する)であり、そしてNYHAクラスがII~IV(別表Aを参照)であり、採用基準を満たし、そして除外基準のいずれも満たさない患者を、ダパグリフロジン10mg又はプラセボを受けるように、1:1の比率でランダム化することとなる。ランダム化した処置を、できるだけ早く、ランダム化後の24時間以内に開始することとなる。患者を、おおよそ4700人のランダム化した患者の目標に達するように登録することとなる。
【0166】
予め定めた数のプライマリエンドポイントが生じた(n=844)と予測されたとき、すなわち一次分析打切り期日(PACD)に、研究終了手順を開始することとなる。患者は、PACDの6週以内に、研究終了来院(SCV)を予定することとなる。ランダム化率又は事象率が、予想と異なるならば、研究期間、及び患者数を変えてもよい。研究は、早くに終了してもよい。
【0167】
ベースライン特徴、エンドポイント、及びAEに関するデータを収集することとなる。
【0168】
研究設計:研究設計についての科学的原理
これは、ランダム化された、マルチセンターの、二重盲検の、並行群間研究である。標的集団は、成人(≧40歳)の男性及び女性のHFpEF患者を含み、HFpEFは、この研究において、心不全の診断が確立され、LVEFが>40%であり、且つ構造的心疾患を患う、ナトリウム利尿ペプチド閾値を満たす個体と定義される。患者は、心不全についての外来患者であるか、入院中に登録されてランダム化されるか、又は心不全についての入院から退院21日以内(亜急性サブグループ)である。
【0169】
研究集団は、T2Dあり患者及びT2Dなし患者の双方を含むこととなる。研究における登録は、(特定のLVEFカテゴリーでの、各NYHAクラスでの)T2Dあり/なし、心房細動あり/なし(HF入院中又は入院後早期(亜急性サブグループ)中にランダム化)患者の割合、そして地理的領域に基づいて、キャッピングしてもよい。
【0170】
対照群は、プラセボを受けることとなる。全ての患者は、HF病徴の処置(例えば利尿剤)及び共存症の処置(高血圧、虚血性心疾患、心房細動の処置が挙げられる)に焦点を合わせた、HFpEF患者用の標準治療処置に関するローカルガイドラインに従って処置することとなる。
【0171】
研究集団は、eGFRが≧25ml/min/1.73m(CKD-EPI式)の患者を含むこととなる。
【0172】
研究のプライマリ有効性エンドポイントを、CV死及びHF事象(HFについての入院又は緊急のHF来院)と決める。心不全事象は、HF入院、及びHFの悪化が入院に至るかとは独立して緊急の処置を必要とする、計画されてないHF来院の双方を含む(CDISC definitions;Hicks et al.,Draft Definitions for CDISC,August 20,2014;Hicks et al.,J Am Coll Cardiol,71:1021-34(2018)に従う)。
【0173】
CV死及びHF入院が、患者及び医療システムにとって重要である一方、患者の病徴及び身体/社会的機能に及ぼすHFの影響もまた重要であり得る。HFの影響のこれらの態様に及ぼす処置作用を評価するために、発明者らは、Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)(慢性HF患者用に開発された疾患特異的患者報告アウトカム(PRO)尺度)を用いることとなる。KCCQは、HF患者にとって有効な、信頼性が高い、敏感な尺度であることが示されてきた(Greene at al.,JAMA Cardiol.,3(3):252-59(2018);Spertus et al.,J Am Heart,150(4)707-15(2005))。
【0174】
研究設計:用量についての調整
ダパグリフロジンの10mg用量は、T2D臨床開発計画において十分に特徴付けられた有効性及び安全性プロファイルを有し、そして世界中の大部分の国々において推奨されている用量である。
【0175】
研究集団
このプロトコルにおいて、「登録された」患者は、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名して、Eコードを受けた人々と定義する。「ランダム化された」患者は、ランダム化を経て、ランダム化コードを受けている人々と定義する。
【0176】
以下の採用基準の全てがあてはまり、且つ除外基準のいずれもあてはまらない場合にだけ、患者は、研究においてランダム化される資格がある。何らかの理由のためにランダム化されない登録患者は、スクリーニング不適格とみなす。
【0177】
研究集団:採用基準
以下の採用基準の全てがあてはまり、且つ除外基準のいずれもあてはまらない場合にだけ、対象は、研究においてランダム化される資格がある。
1.あらゆる研究特異的手順よりも前の、署名されたインフォームドコンセントの用意。
2.≧40歳の男性又は女性の患者。
3.登録時の症候性心不全(NYHAクラスII~IV)の明らかにされた診断、及び利尿処置を少なくとも断続的に必要とする、登録≧6週前の心不全の典型的な病徴/徴候の病歴。
4.左室駆出率(LVEF)>40%、並びに登録よりも前の最近12ヵ月以内の一番最近の心エコー図及び/又は心臓MRによって明らかにされる構造心疾患(すなわち、左室肥大又は左房拡大)の証拠。以前に急性冠動脈事象があった患者、又は、例えば排除基準6において定義する、LVEFを引き下げ得る手順が要る患者について、手順/事象後の少なくとも12週での有効な心臓画像化評価が必要とされる。
5.継続中の心房細動/粗動のない患者について、来院1にてNT-pro BNPが≧300pg/ml。来院1にて継続中の心房細動/粗動があれば、NT-pro BNPは≧600pg/mLでなければならない。
6.患者は、通院であっても入院していてもよい;患者は、登録前の少なくとも12時間、そしてランダム化前の24時間、静脈内心不全治療(利尿剤を含む)を絶っていなければならない。
【0178】
研究集団:除外基準
1.ランダム化前の4週以内にSGLT2インヒビタによる治療を受けている、又はSGLT2インヒビタに対して以前に不耐性
2.1型糖尿病(T1D)
3.来院1にてeGFRが<25mL/min/1.73m(CKD-EPI式)
4.来院1にて、又は来院2にて、5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期血圧(BP)が<95mmHg
5.来院1にて、又は来院2にて、5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期BPが、≧3つの血圧降下薬物による処置直後でなければ≧160mmHgであり、又は処置に関係なく≧180mmHgである。
6.登録前の12週以内に、MI、不安定狭心症、冠状動脈血管再生(経皮的冠動脈介入(PCI)又は冠状動脈バイパス移植(CABG))、心房粗動/細動のアブレーション、弁修復/置換。登録の前に、当該患者は、事象の少なくとも12週後に、認可を受けている心エコー検査法及び/又は心臓MRI調査がなければならない。
7.冠状動脈血管再生、心房粗動/細動のアブレーション、及び弁修復/置換を計画。
8.登録前の12週以内に発作又は一過性虚血発作(TIA)
9.調査者のオピニオンで、患者のHF病徴及び徴候(例えば、貧血、甲状腺機能低下)を説明し得る、可能性のある代替診断又は同時診断
10.肥満度指数が>50kg/m
11.原発性肺高血圧症、慢性肺塞栓症、COPDが挙げられる重度の肺疾患(すなわち、登録前の12ヵ月以内に、換気補助を必要とするCOPDの悪化について、在宅酸素療法、長期間にわたるネブライザ療法、若しくは長期間にわたる経口ステロイド療法、又は入院を必要とする)
12.以前に心臓移植、又は複合先天性心疾患。心臓再同期療法を計画。
13.以下のいずれかに起因するHF:知られている浸潤性心筋症(例えば、アミロイド、類肉腫症、リンパ腫、心内膜心筋線維症)、活性心筋炎、収縮性心膜炎、心タンポナーデ、知られている遺伝的肥大性心筋症若しくは閉塞性肥大性心筋症、催不整脈性右室心筋症/異形成症(ARVC/D)、又は矯正されてない原発性心臓弁膜症
14.調査者の臨床判断に基づいて、あらゆる非心血管症状に起因して、余命が2年未満
15.調査者のオピニオンで、患者が、研究薬物、手順、及び/若しくは追跡調査を理解且つ/若しくは遵守することができない、又は、調査者のオピニオンで、研究を完了することを患者にできなくさせ得るあらゆる症状
16.処置を必要とする活性悪性腫瘍(皮膚の基底細胞癌又は扁平上皮細胞癌を除く)。
17.肝機能の重度の障害(例えば、腹水、食道静脈瘤、凝固障害)を伴う、急性肝疾患又は慢性肝疾患
18.調査者の判断で、信頼性が高いと思われる避妊の医学的に受け入れられた方法を用いる気がない、出産能がある(すなわち、化学的にも外科的にも不妊化されていない、又は閉経後でない)、又はランダム化時に妊娠試験が陽性である、又は授乳している女性
19.研究の計画及び/又は実施に関与
20.本研究において以前にランダム化
21.登録までのひと月の間に、治験薬(IP)又は治験医療機器による別の臨床研究に参加
【0179】
研究処置
この研究における研究処置は、ダパグリフロジン又はマッチするプラセボを指す。
【0180】
研究処置:施した処置
【0181】
【表1】
【0182】
研究処置:併用療法-禁止薬物
非盲検SGLT2インヒビタ、例えば、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、エルツグリフロジン、トホグリフロジン、及びルセオグリフロジン、並びにこれらの薬物を含有する多剤混合薬による併用処置は、用いないこととなる。
【0183】
研究処置:併用療法-心不全バックグラウンド標準治療
患者は、病徴及び容量過負荷を制御するのに必要とされる場合の利尿剤、並びに共存症、例えば高血圧及び虚血性心疾患の十分な処置を含むローカルガイドラインに従って、HFpEF患者用のバックグラウンド標準治療で治療されていてもよい。
【0184】
研究処置:併用療法-抗糖尿病処置
糖尿病の処置は、例えば、米国糖尿病協会(American Diabetes Association:ADA)及びEuropean Association for the Study of Diabetes(EASD)によって、joint Position Statement(Inzucchi et al.,Diabetes Care,35(6):1364-79(2012);Inzucchi et al.,Diabetes Care,38(1):140-49(2015))において推奨される血糖目標に従う、確立されたガイドラインに従ってもよい。
【0185】
必要であれば、T2D処置は、調査者又は糖尿病医療供給者の裁量で調整してもよい。
【0186】
研究処置:併用療法-他の併用処置
患者の安全及び健康に必須であると思われる、先に記載したもの以外の薬物を、調査者の裁量で与えてもよい。
【0187】
処置の中断
患者がIPを一時的に、又は恒久的に中断するならば、患者は、研究中のままであってもよく、研究来院及びデータ収集は、研究プロトコルに従って、研究終了まで続けてもよい。
【0188】
患者は、以下の状況において、IPから中断してもよい:
・調査者のオピニオンにおける、IPの更なる投薬に対する禁忌、例えば、有害事象又は他の安全性の理由。
・研究プロトコルのひどい不遵守。
・糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)。
・妊娠試験陽性。
・患者の判断。
【0189】
研究の評価及び手順:登録期間(来院1、登録(-21日目~-1日目))
入院患者の登録を認める。
【0190】
登録時に、以下の評価及び手順を完了することとなる:
・患者は、ICFに署名する
-遺伝的調査のための任意の血液サンプリングに同意する患者は、同意(consent)を示すこととなる
・調査者は、採用基準及び除外基準を再検討する
・採用基準/除外基準が満たされるならば、患者を登録して、IxRSでEコードを割り当てることとなる
・人口統計学及び関連する病歴(先の心臓画像化評価を含む)を記録することとなる
・身体検査を行うこととなる
・NYHA機能分類を評価して、記録することとなる
・12誘導ECGを記録することとなる
・バイタルサイン(BP、脈動)、身長、及び体重を評価して、記録することとなる
・血液サンプルを、NT-proBNP、クレアチニン(eGFRの算出用)、及びHbA1c評価(中枢ラボ)のために採ることとなる。
【0191】
研究の評価及び手順:処置期間(来院2、ランダム化(1日目))
来院2の前に、調査者は、来院1由来の中枢ラボの評価に基づいて、適格基準を評価することとなる。資格がない患者は、スクリーニング不適格とみなすことになり、来院2まで継続するべきでない。
【0192】
入院患者のランダム化を認める。
【0193】
ランダム化時に、以下の評価及び手順を完了することとなる:
・病歴(心臓画像化評価を含む)を再評価することとなる
・身体検査を行うこととなる
・出産能がある女性についての妊娠試験をローカルで、中枢ラボによって提供されるディップスティックで行って、結果を、医療記録に記録することとなる
・バイタルサイン(BP、脈動)を評価して、記録することとなる
・NYHA機能分類を評価して、記録することとなる
・調査者は、採用基準及び除外基準を再評価することとなる
・KCCQ、PGIS、及びEQ-5D-5Lのアンケートを完了することとなる
・併用薬物の再検討、及び関連薬物の記録
・患者が、最近の来院から何らかのSAEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる
・IP(10mgのダパグリフロジン又はプラセボのいずれか)に対する1:1比率のランダム化を、IxRSですることとなる
・IPを、IxRSを介して患者に調合(dispense)することとなる。患者に、プロトコルに従って、中断なしでIPをとって、全調合ボトルを全研究来院に持ってくるように指図することとなる
・遺伝的調査のためのサンプリングに同意した患者は、血液サンプルを提供することとなる。
【0194】
研究の評価及び手順:処置期間(来院3(30日目;±7日))
来院3にて、以下の評価及び手順を行うこととなる:
・KCCQ及びPGISのアンケートを完了することとなる
・NYHA機能分類を評価して、記録することとなる
・バイタルサイン(BP、脈動)を評価して、記録することとなる
・併用薬物の再検討及び更新、並びに関連薬物の記録
・あらゆる心臓関連手順及びHF関連手順の再検討及び記録
・潜在的有効性及び安全性事象の再検討。
・患者が、最近の来院から、あらゆる潜在的エンドポイント、SAE、DAE、及び/又は切断手術、切断手術に至る有害事象(AE)、並びに下肢に影響を与える切断手術についての潜在的リスク因子AEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる
・血液サンプルを、クレアチニン(eGFRの算出用)評価(中枢ラボ)のために採ることとなる。
【0195】
研究の評価及び手順:処置期間(来院4(120日目;±7日))
来院4にて、以下の評価及び手順を行うこととなる:
・KCCQ及びPGISのアンケートを完了することとなる
・NYHA機能分類を評価して、記録することとなる
・併用薬物の再検討及び更新、並びに関連薬物の記録
・あらゆる心臓関連手順及びHF関連手順の再検討及び記録
・潜在的有効性及び安全性事象の再検討。
・患者が、最近の来院から、あらゆる潜在的エンドポイント、SAE、DAE、及び/又は切断手術、切断手術に至る有害事象(AE)、並びに下肢に影響を与える切断手術についての潜在的リスク因子AEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる
・血液サンプルを、クレアチニン(eGFRの算出用)評価(中枢ラボ)のために採ることとなる。
・IPを、IxRSを介して患者に調合することとなる。戻されたIPの薬物使用記録をチェックすることとなる。患者に、プロトコルに従って、中断なしでIPを摂るように指図することとなる。
【0196】
研究の評価及び手順:処置期間(来院5(240日目;±7日))
来院5にて、以下の評価及び手順を行うこととなる:
・KCCQ、PGIS、及びEQ-5D-5Lのアンケートを完了することとなる
・NYHA機能分類を評価して、記録することとなる
・併用薬物の再検討及び更新、並びに関連薬物の記録
・あらゆる心臓関連手順及びHF関連手順の再検討及び記録
・潜在的有効性及び安全性事象の再検討
・患者が、最近の来院から、あらゆる潜在的エンドポイント、SAE、DAE、及び/又は切断手術、切断手術に至る有害事象(AE)、並びに下肢に影響を与える切断手術についての潜在的リスク因子AEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる。
・IPを、IxRSを介して患者に調合することとなる。戻されたIPの薬物使用記録をチェックすることとなる。患者に、プロトコルに従って、中断なしでIPを摂るように指図することとなる。
【0197】
研究評価及び手順:処置期間(来院6(360日目;±7日))
来院6にて、以下の評価及び手順を行うこととなる:
・バイタルサイン(BP、脈動)及び体重を評価して、記録することとなる
・併用薬物の再検討及び更新、並びに関連薬物の記録
・あらゆる心臓関連手順及びHF関連手順の再検討及び記録
・潜在的有効性及び安全性事象の再検討。
・患者が、最近の来院から、あらゆる潜在的エンドポイント、SAE、DAE、及び/又は切断手術、切断手術に至る有害事象(AE)、並びに下肢に影響を与える切断手術についての潜在的リスク因子AEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる。
・IPを、IxRSを介して患者に調合することとなる。戻されたIPの薬物使用記録をチェックすることとなる。患者に、プロトコルに従って、中断なしでIPを摂るように指図することとなる。
・血液サンプルを、クレアチニン(eGFRの算出用)評価(中枢ラボ)のために採ることとなる。
【0198】
研究の評価及び手順:処置期間(来院7、そしてそれ以降(480日目、及び120日毎;±14日))
来院7にて、そして以降の来院時に、以下の評価及び手順を行うこととなる:
・バイタルサイン(BP、脈動)及び体重を、12ヵ月毎に評価して、記録することとなる
・併用薬物の再検討及び更新、並びに関連薬物の記録
・あらゆる心臓関連手順及びHF関連手順の再検討及び記録
・潜在的有効性及び安全性事象の再検討
・患者が、最近の来院から、あらゆる潜在的エンドポイント、SAE、DAE、及び/又は切断手術、切断手術に至る有害事象(AE)、並びに下肢に影響を与える切断手術についての潜在的リスク因子AEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる。
・IPを、IxRSを介して患者に調合することとなる。戻されたIPの薬物使用記録をチェックすることとなる。患者に、プロトコルに従って、中断なしでIPを摂るように指図することとなる。
・血液サンプルを、12ヵ月毎に、クレアチニン(eGFRの算出用)評価(中枢ラボ)のために採ることとなる。
【0199】
研究の評価及び手順:処置期間(研究終了来院)
一次分析打切り期日(PACD)を、発生したエンドポイントの進度に基づいて宣言することとなる。研究終了来院(SCV)を、PACDの6週以内に予定することとなる。
【0200】
患者は、SCVにてIPを摂るのを止めることとなる。以下の評価及び手順を行うこととなる:
・KCCQ、PGIS、及びEQ-5D-5Lのアンケートを完了することとなる
・NYHA機能分類を評価することとなる
・身体検査を行うこととなる
・バイタルサイン(BP、脈動)及び体重を評価して、記録することとなる。
・併用薬物の再検討及び更新、並びに関連薬物の記録
・あらゆる心臓関連手順及びHF関連手順の再検討及び記録
・潜在的有効性及び安全性事象の再検討
・患者が、最近の来院から、あらゆる潜在的エンドポイント、SAE、DAE、及び/又は切断手術、切断手術に至る有害事象(AE)、並びに下肢に影響を与える切断手術についての潜在的リスク因子AEを経験したならば、これをeCRFに記録することとなる
・戻されたIPの薬物使用記録をチェックすることとなる。
【0201】
研究の評価及び手順:有効性評価(臨床アウトカム評価(COA))
COAは、ヒトの選択、判断、又は動機によって影響され得、そして処置の利点の直接的又は間接的な証拠を補助し得るあらゆる評価である。患者報告アウトカム(PRO)は、COAのタイプの1つである。PROは、患者に直接由来する患者の健康状態のあらゆる報告であり、他の誰の解釈もない。PROは、臨床治験において処置の利点/リスクを評価する場合に、重要なエンドポイントとなった。以下のPROを収集することとなる:KCCQ、PGIS、及びEQ-5D-5L(別表B、別表C、別表Dを参照)。
【0202】
研究の評価及び手順:有効性評価(COA:KCCQ)
Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)は、23項目の、自己管理疾患特異的評価票(self-administered disease specific instrument)であり、HF患者にとって有効な、信頼性が高い、敏感な尺度であることが示されてきた(Greene at al.,JAMA Cardiol.,3(3):252-59(2018);Spertus et al.,J Am Heart,150(4)707-15(2005))。KCCQは、患者の健康状態の知覚を独立して測定するために開発され、心不全関連病徴(頻度、重症度、及び最近の変化)、身体機能及び社会的機能に及ぼす影響、自己効力感及び自己認識、並びに心不全がクオリティ・オブ・ライフ(QOL)に如何に影響及ぼすかを含む。スコアは、0~100の範囲に変換される。スコアが高いほど、良好なアウトカムを表す。
【0203】
KCCQツールは、以下の6つの互いに異なるドメイン、及び2つの概要スコアを定量化する
・KCCQ病徴ドメインは、倦怠感、息切れ、発作性夜間性呼吸困難、及び患者の浮腫/腫脹が挙げられる、心不全における臨床病徴の頻度及び負担を定量化する。通常、全体的な病徴スコアを分析に用いる;また、頻度及び重症度の双方についてのサブスケールスコアも利用可能である。総病徴スコアは、病徴ドメインを単一スコアに組み込む
・KCCQ身体機能ドメインは、心不全病徴に起因して、日常活動を実行する際に患者が経験する制限を測定する。活動は、文化を超えて共通であり、性的に中立であり、且つ一般化できる一方、広範な労作性要件(exertional requirement)もキャプチャする
・KCCQクオリティ・オブ・ライフドメインは、心不全の現在の状態を考えて、患者のクオリティ・オブ・ライフの評価を反映するように設計されている
・KCCQ社会的制限ドメインは、いくつかの性的に中立な社会的活動において相互作用する患者の能力を心不全病徴が損なう程度を定量化する
・KCCQ自己効力感ドメインは、心不全増悪を如何に予防するかの患者の知覚を定量化して、増悪が生じた場合の複雑化の要因(complication)を管理する。このスケールは、概要スコアに含めない
・KCCQ病徴安定性ドメインは、患者の病徴;息切れ、倦怠感、又は腫脹の最近の変化を測定する。これは、KCCQを完了した時点での心不全病徴の患者頻度を、2週前の頻度と比較する。変化の尺度として、これは、処置に対する急性的な応答の尺度としての、研究の開始時の、そしてその後まもなくの患者の病徴の安定性のベースライン評価として、最もよく解釈可能である。このドメインは、概要スコアに含めない。
・臨床概要スコアは、NYHA分類と一致させるために、総病徴スコア及び身体機能スコアを含む
・総合概要スコアは、総病徴スコア、身体機能スコア、社会的制限スコア、及びクオリティ・オブ・ライフスコアを含む。
【0204】
研究の評価及び手順:有効性評価(COA:PGIS)
PGIS項目は、患者が、自身の心不全病徴の現在の全体的な重症度を如何に知覚するかを評価するために含まれる。患者は、「病徴なし」から「非常に重度」までの応答選択肢から選択することとなる。
【0205】
研究の評価及び手順:有効性評価(COA:EQ-5D-5L)
EQ-5D-5Lは、健康状態の標準化された尺度(ユーティリティスコアとも呼ばれる)を導き出すのに用いられる自己申告アンケートである。EQ-5D-5Lユーティリティスコアは、償還当局によって広く受け入れられており、医療経済的評価を補助するのに用いられることとなる。
【0206】
研究の評価及び手順:安全性評価(身体検査)
身体検査を実行して、以下の評価:全身外観、呼吸器系及び心血管系(浮腫を含む)、並びに腹部を含めることとなる。
【0207】
評価日時を、eCRFに記録することとなる。
【0208】
研究の評価及び手順:安全性評価(バイタルサイン)
脈動及びBPを、適用可能な全ての来院時に測定することとなり、そして全ての測定値を、eCRFに記録することとなる。
【0209】
研究の評価及び手順:安全性評価(心電図)
12誘導ECG(少なくとも6回の連続して起こる拍動をカバーする25~50mm/秒の紙速度である標準的なECG)を、ベースライン(来院1)時に、患者が横になって少なくとも5分間静止した後に記録して、登録時の心房細動/粗動の有無を確認することとなる。
【0210】
研究の評価及び手順:安全性評価(安全性ラボ評価)
血清クレアチニンを、CKD-EPI式を用いたeGFRの算出のために収集することとなる(Levey at al.,Ann Intern Med,150(9):604-12(2009))。
【0211】
統計的考察:統計的仮説
プライマリエンドポイント及びセカンダリエンドポイントについて、以下の仮説を、4.980%両側レベルにて試験することとなる:
H0:HR[ダパグリフロジン:プラセボ]=1

H1:HR[ダパグリフロジン:プラセボ]≠1。
【0212】
統計考慮点:統計分析(有効性分析:主要変数の分析)
主要変数は、ランダム化から、プライマリ合成エンドポイントに含まれる第1の事象までの時間である。一次分析は、CEA委員会によって決められた、PACD直後に、又はPACD前に起こる事象を含む、FASを用いるITT原理に基づくこととなる。
【0213】
プライマリ合成エンドポイントの分析において、処置(ダパグリフロジン対プラセボ)を、Cox比例ハザードモデルを用いて、ランダム化時にT2D状態によって階層化した処置群についての因子と比較することとなる。p値、HR、及び95%の信頼区間を報告することとなる。
【0214】
処置効果全体に対するプライマリ合成エンドポイントの各成分の寄与を調査することとなる。一次分析について記載したものと類似する方法を用いて、ランダム化から、プライマリ合成エンドポイントの各成分の第1の出現までの時間を別々に分析することとなる。HR及び95%の信頼区間を報告することとなる。
【0215】
プライマリエンドポイントにおけるあらゆる事象の第1の出現に対する累積出現率のKaplan-Meier推定値を、全体的分析について、そして個々の成分について算出して、プロットすることとなる。
【0216】
統計的考察:統計分析(有効性分析:副次変数の分析)
全てのHF入院(最初の入院、そして再発しての入院)及びCV死のアウトカムを、セミパラメトリック比例レートモデル(Lin et al 2000)によって分析して、処置効果を試験し、且つ処置差異を定量化することとなる。率比及びその95%の信頼区間、並びに対応する両側p値を示すこととなる。
【0217】
ベースラインから8ヵ月まででNYHA分類が悪化した患者の割合を、因子としてのランダム化時の処置群、ベースラインNYHA、及びT2Dとのロジスティック回帰によって分析することとなる。処置群間のオッズ比、その95%の信頼区間、及び対応する両側p値を示すこととなる。
【0218】
8ヵ月時点でのKCCQ総病徴スコアについてのベースラインからの変化の分析を、統計分析計画書に、例えば死亡した患者の扱いを考慮して、さらに詳述することとなる。二次エンドポイントに加えて、総病徴スコア、総合概要スコア、臨床概要スコア、及びドメインスコアを分析することとなる。また、応答者分析を実行する(より詳細には、SAPに示す)こととなる。
【0219】
全死因死亡率に対するランダム化からの時間の分析を、プライマリ変数として同様に分析することとなる。
【0220】
統計的考察:統計分析(有効性分析:サブグループ分析)
プライマリ有効性エンドポイントについてのサブグループ変数は、人口統計学、ベースライン病性、ベースライン併用薬物その他を含む。処置群についての因子、サブグループ変数、及び処置とサブグループ間の相互作用によりT2Dについて階層化したCox比例ハザードモデルを用いて、関連サブグループ内の処置効果を別々に調査することとなる。ランダム化した処置群とサブグループ変数間の相互作用の試験を、各Coxモデルで実行することとなる。サブグループ分析についてのp値は、多重比較用に調整しない。というのも、試験は探索的であり、記述的に解釈することとなるからである。95%の信頼区間での処置の差異を、サブグループ毎に報告することとなる。全体的分析及びサブグループについてのHR及びCIを、同様に、フォレストプロットで示すこととなる。サブグループ分析の更なる詳細(サブグループ変数のリストを含む)を、SAPに提供することとなる。
【0221】
【表2】
【0222】
【表3】
【0223】
【表4】
【0224】
【表5】
【0225】
【表6】
【0226】
【表7】
【0227】
【表8】
【0228】
【表9】
【0229】
・調査者らは、今日の健康がどれくらい良好であるか悪いかを知りたい。
・このスケールでは、0~100まで数字を付けられる。
・100は、想像し得る最良の健康を意味する。
0は、想像し得る最悪の健康を意味する。
・今日がどれくらい健康であるかを示すために、Xをスケールでマークせよ。
・次に、以下のボックスに、スケールでマークした数字を記入されたい。
【0230】
【表10】
【0231】
別表D(心不全病徴についてのPatient Global Impression of Severity)
心不全病徴についてのPatient Global Impression of Severity
【0232】
全体的に、今日の心不全病徴の重症度をどのように評価するか?
□病徴なし
□非常に軽度
□軽度
□中程度
□重度
□非常に重度
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFpEF、並びに/又はこれと関連する少なくとも1つの疾患、障害、若しくは症状を処置且つ/又は予防する方法であって、前記方法は、前記処置及び/又は予防を必要とする非糖尿病患者に、式(I)
【化1】
の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0232
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0232】
全体的に、今日の心不全病徴の重症度をどのように評価するか?
□病徴なし
□非常に軽度
□軽度
□中程度
□重度
□非常に重度
本発明は以下の態様を包含する。
1. HFpEF、並びに/又はこれと関連する少なくとも1つの疾患、障害、若しくは症状を処置且つ/又は予防する方法であって、前記方法は、前記処置及び/又は予防を必要とする非糖尿病患者に、式(I)
【化4】
の化合物及びそのプロドラッグから選択される、治療的に有効な量の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
2. 前記方法は、HFpEFを処置する方法である、項1に記載の方法。
3. 前記医薬組成物はさらに、少なくとも1つの他の治療剤を含む、項1又は2に記載の方法。
4. 前記医薬組成物は、少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて投与される、項1又は2に記載の方法。
5. 前記少なくとも1つの他の治療剤は、前記医薬組成物の前に、後に、又は前記医薬組成物と同時に投与される、項4に記載の方法。
6. 前記少なくとも1つの他の治療剤は、抗糖尿病剤、抗肥満剤、抗高脂血症剤、抗アテローム性動脈硬化症剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗血栓剤、及び抗凝固剤から選択される、項3~5のいずれか一項に記載の方法。
7. 前記少なくとも1つの他の治療剤は、ビグアナイド及び/又はDPP4インヒビタから選択される、項6に記載の方法。
8. 前記ビグアナイドは、メトホルミン又はその薬学的に許容される塩である、項7に記載の方法。
9. 前記DPP4インヒビタは、サキサグリプチン又はその薬学的に許容される塩である、項7に記載の方法。
10. 前記少なくとも1つの他の治療剤は、メトホルミン又はその薬学的に許容される塩、及びサキサグリプチン又はその薬学的に許容される塩である、項7に記載の方法。
11. 前記医薬組成物は、経口投与に適している、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
12. 前記医薬組成物は、タブレットの形態である、項11に記載の方法。
13. 前記少なくとも1つの化合物は、式(I)の化合物から選択される、項1~12のいずれか一項に記載の方法。
14. 前記少なくとも1つの化合物は、薬学的に許容される溶媒和物、混合溶媒和物、又は複合体の形態である、項1~13のいずれか一項に記載の方法。
15. 前記少なくとも1つの化合物は、非結晶性の固体の形態である、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
16. 前記少なくとも1つの化合物は、結晶性の固体の形態である、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
17. 前記少なくとも1つの化合物は、
【化5】
の構造を有する(S)-プロピレングリコール((S)-PG)溶媒和物の形態である、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
18. 前記医薬組成物は、約2.5mg/日、5mg/日、又は10mg/日のダパグリフロジンの用量当量を含む、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
19. 前記医薬組成物は、約10mg/日のダパグリフロジンの用量当量を含む、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
20. 前記医薬組成物は、1日1回投与される、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
21. HFpEFと関連する前記少なくとも1つの疾患、障害、及び/又は症状は、骨格筋機能不全、血管機能不全、高血圧、肺高血圧、腎不全、貧血、心房細動、及び主要有害心血管系事象から選択される、項1及び3~20のいずれか一項に記載の方法。
22. 前記主要有害心血管系事象は、心筋梗塞、発作、心血管死、及び心血管入院から選択される、項21に記載の方法。
23. 前記心血管入院は、不安定狭心症若しくは安定狭心症、心不全、及び/又は冠状動脈血管再生に関連する、項22に記載の方法。
24. 前記非糖尿病患者は、以下の条件:
(a)前記非糖尿病患者は、HbA1cが<7%である;
(b)前記非糖尿病患者は、≧40歳である;
(c)前記非糖尿病患者は、処置の前に、症候的心不全のNYHAクラスII~IVの診断が明らかになった;
(d)前記非糖尿病患者は、≧6週の心不全の病徴及び/若しくは徴候の病歴があり、処置の前に、利尿処置を少なくとも断続的に必要とする;
(e)前記非糖尿病患者は、処置前の12ヵ月以内に心エコー図及び/若しくは心臓核磁気共鳴画像法によって明らかにされた構造心疾患の証拠がある;又は
(f)前記非糖尿病患者は、NT-proBNPが≧300pg/mlであり、継続中の心房細動/粗動がない、若しくは処置の前に、NT-proBNPが≧600pg/mlであり、継続中の心房細動/粗動がある
の少なくとも1つを満たす、項1~23のいずれか一項に記載の方法。
25. 心不全の少なくとも1つの病徴及び/又は徴候は、息切れ、起坐呼吸、発作性夜間性呼吸困難、運動耐性の低下、倦怠感、疲労、運動後回復時間の増大、くるぶし腫脹、頸静脈圧の上昇、肝頸静脈逆流、第3心音、横変位心尖拍動、週あたり>2kgの体重増加、進行性HFにおける体重減少、悪液質、食欲低下、心雑音、末梢浮腫、肺クレピティション、空気侵入の低下及び肺底部での打診に対する濁音、頻脈、不規則な脈動、頻呼吸、チェーンストークス呼吸、肝腫大、腹水、四肢の冷え、乏尿、並びに/又は脈圧狭小から選択される、項24に記載の方法。
26. 構造心疾患の前記証拠は、左室肥大及び/又は左房拡大を含む、項24又は25に記載の方法。
27. 左室肥大は、隔壁厚さ又は後壁厚さ≧1.1cmによって定義される、項26に記載の方法。
28. 左房拡大は、左房幅(直径)≧3.8cm、左房長さ≧5.0cm、左房面積≧20cm 、左房容積≧55mL、及び/又は左房容積指数≧29mL/m によって定義される、項26に記載の方法。
29. 前記非糖尿病患者は、項24に記載の各条件(a)~(f)を満たす、項24~28のいずれか一項に記載の方法。
30. 前記非糖尿病患者は、以下の条件:
(a)前記非糖尿病患者は、処置前の少なくとも12時間、利尿剤を含む静脈内心不全治療を受けていない;
(b)前記非糖尿病患者は、処置前の4週以内に、SGLT2インヒビタによる治療を受けていない;
(c)前記非糖尿病患者は、eGFRが<25mL/min/1.73m でない;
(d)前記非糖尿病患者は、処置前の5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期血圧(BP)が<95mmHgでない;
(e)前記非糖尿病患者は、処置前の5分間隔の2回の連続測定に関して、収縮期BPが、≧3つの血圧降下薬物による処置直後でなければ≧160mmHgでなく、又は処置に関係なく≧180mmHgでない;
(f)前記非糖尿病患者は、処置前の12週以内に、心筋梗塞も、不安定狭心症も、冠状動脈血管再生も、心房粗動/細動のアブレーションも、弁修復/置換もなかった;
(g)前記非糖尿病患者は、冠状動脈血管再生も、心房粗動/細動のアブレーションも、弁修復/置換も計画していない;
(h)前記非糖尿病患者は、処置前の12週以内に、発作も一過性虚血発作もなかった;
(i)前記非糖尿病患者は、処置医師のオピニオンにおいて、患者のHFの病徴及び徴候を説明し得る、可能性のある代替診断も同時診断もない;
(j)前記非糖尿病患者は、肥満度指数が>50kg/m でない;
(k)前記非糖尿病患者は、原発性肺高血圧症も、慢性肺塞栓症も、重度の肺疾患も患っていない;
(l)前記非糖尿病患者は、知られている浸潤性心筋症、活性心筋炎、収縮性心膜炎、心タンポナーデ、知られている遺伝的肥大性心筋症若しくは閉塞性肥大性心筋症、催不整脈性右室心筋症/異形成症、又は矯正されてない原発性心臓弁膜症に起因するHFを患っていない;
(m)前記非糖尿病患者は、処置医師の臨床判断に基づいて、あらゆる非心血管症状に起因して、余命が2年未満でない;
(n)前記非糖尿病患者は、処置を必要とする活性悪性腫瘍(皮膚の基底細胞癌又は扁平上皮細胞癌を除く)を患っていない;或いは
(o)前記非糖尿病患者は、肝機能の重度の障害を伴う、急性肝疾患又は慢性肝疾患を患っていない
の少なくとも1つを満たす、項1~29のいずれか一項に記載の方法。
31. 前記非糖尿病患者は、項30に記載の各条件(a)~(o)を満たす、項30に記載の方法。
32. 前記非糖尿病患者は、HbA1cが<6.5%である、項1~31のいずれか一項に記載の方法。
33. 前記非糖尿病患者は、HbA1cが<6%である、項1~31のいずれか一項に記載の方法。
34. 前記非糖尿病患者は、HbA1cが<5.7%である、項1~31のいずれか一項に記載の方法。
35. 前記非糖尿病患者は、HbA1cが約6.0~約6.9%の範囲内である、項1~31のいずれか一項に記載の方法。
36. 前記非糖尿病患者は、HbA1cが約5.7~約6.5%の範囲内である、項1~31のいずれか一項に記載の方法。
37. 前記非糖尿病患者は、左心室駆出率が≧45%である、項1~36のいずれか一項に記載の方法。
38. 前記非糖尿病患者は、左心室駆出率が≧50%である、項1~36のいずれか一項に記載の方法。
39. 前記非糖尿病患者は、左心室駆出率が約40~約49%の範囲内である、項1~36のいずれか一項に記載の方法。
40. 前記方法は、プラセボと比較して、CV死が最初に起こる時期を遅らせる、項1~39のいずれか一項に記載の方法。
41. CV死が最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項40に記載の方法。
42. 前記方法は、プラセボと比較して、HFのための入院が最初に起こる時期を遅らせる、項1~41のいずれか一項に記載の方法。
43. HFのための入院が最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項42に記載の方法。
44. 前記方法は、プラセボと比較して、緊急のHF来院が最初に起こる時期を遅らせる、項1~43のいずれか一項に記載の方法。
45. 緊急のHFが最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項44に記載の方法。
46. 前記緊急のHF来院は、救急部来院及び/又は外来患者来院である、項45に記載の方法。
47. 前記方法は、プラセボと比較して、HFのための入院の総数及びCV死を少なくする、項1~46のいずれか一項に記載の方法。
48. 入院の前記総数は、最初の入院及び/又は再発の入院についてである、項47に記載の方法。
49. HFのための入院の前記総数及び前記CV死は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項47又は48に記載の方法。
50. 前記方法は、KCCQによって測定される患者報告アウトカムの1つ以上を向上させる、項1~49のいずれか一項に記載の方法。
51. 前記方法は、プラセボと比較して、KCCQによって測定される患者報告アウトカムの1つ以上を向上させる、項1~49のいずれか一項に記載の方法。
52. KCCQによって測定される前記患者報告アウトカムは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項50又は51に記載の方法。
53. KCCQによって測定される前記患者報告アウトカムは、8ヵ月目に測定される、項50又は51に記載の方法。
54. 前記方法は、前記KCCQの総病徴スコアを向上させる、項1~53のいずれか一項に記載の方法。
55. 前記方法は、プラセボと比較して、前記KCCQの総病徴スコアにおいて、ベースラインからの変化を向上させる、項1~53のいずれか一項に記載の方法。
56. 前記KCCQの前記総病徴スコアは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項54又は55に記載の方法。
57. 前記KCCQの前記総病徴スコアは、8ヵ月目に測定される、項54又は55に記載の方法。
58. 前記方法は、前記患者の前記NYHAクラスをベースラインから向上させる、項1~57のいずれか一項に記載の方法。
59. 前記方法は、プラセボと比較して、NYHAクラスが悪化した患者の割合をベースラインから引き下げる、項1~57のいずれか一項に記載の方法。
60. 前記患者の前記NYHAクラスは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項58又は59に記載の方法。
61. 前記患者の前記NYHAクラスは、8ヵ月目に測定される、項58又は59に記載の方法。
62. 前記方法は、プラセボと比較して、何らかの原因による死亡が起こる時期を遅らせる、項1~61のいずれか一項に記載の方法。
63. 何らかの原因による死亡が起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項62に記載の方法。
64. 前記方法は、プラセボと比較して、何らかの原因による入院が最初に起こる時期を遅らせる、項1~63のいずれか一項に記載の方法。
65. 何らかの原因による入院が最初に起こる前記時期は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項64に記載の方法。
66. 前記方法は、EQ-5D-5Lアンケートによって評価される前記患者の健康状態を向上させる、項1~65のいずれか一項に記載の方法。
67. 前記方法は、プラセボと比較して、EQ-5D-5Lアンケートによって評価される前記健康状態を向上させる、項1~66のいずれか一項に記載の方法。
68. EQ-5D-5Lアンケートによって評価される前記患者の前記健康状態は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項66又は67に記載の方法。
69. 前記方法は、PGISアンケートによって評価される前記患者の前記健康状態を向上させる、項1~68のいずれか一項に記載の方法。
70. 前記方法は、プラセボと比較して、PGISアンケートによって評価される前記健康状態を向上させる、項1~68のいずれか一項に記載の方法。
71. PGISアンケートによって評価される前記患者の前記健康状態は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項69又は70に記載の方法。
72. 前記方法は、前記患者の収縮期BPをベースラインから向上させる、項1~72のいずれか一項に記載の方法。
73. 前記方法は、プラセボと比較して、ベースラインからの収縮期BPの変化を向上させる、項1~72のいずれか一項に記載の方法。
74. 前記患者の収縮期BPは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項72又は73に記載の方法。
75. 前記方法は、前記患者の体重をベースラインから向上させる、項1~74のいずれか一項に記載の方法。
76. 前記方法は、プラセボと比較して、ベースラインからの体重の変化を向上させる、項1~74のいずれか一項に記載の方法。
77. 前記患者の体重は、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項75又は76に記載の方法。
78. 前記方法は、前記患者のeGFRをベースラインから引き下げない、項1~77のいずれか一項に記載の方法。
79. 前記方法は、プラセボと比較して、ベースラインからのeGFRの変化を向上させる、項1~77のいずれか一項に記載の方法。
80. 前記患者のeGFRは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項78又は79に記載の方法。
81. 前記方法は、KCCQ概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又は前記患者のQoLスコアを向上させる、項1~80のいずれか一項に記載の方法。
82. 前記方法は、プラセボと比較して、KCCQ概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアを向上させる、項1~80のいずれか一項に記載の方法。
83. 前記KCCQ概要スコア、総合概要スコア、TSS、及び/又はQoLスコアは、30(±7)日目、120(±7)日目、240(±7)日目、360(±7)日目、480(±14)日目、及び/又は600(±14)日目に測定される、項81又は82に記載の方法。
84. 標準治療療法に加えて前記医薬組成物を投与することを含む、項1~83のいずれか一項に記載の方法。
85. 前記標準治療療法は、共存症を制御する処置、並びに/又はCV死及び心不全事象を複合したものを和らげる処置を含む、項84に記載の方法。
86. 前記心不全事象は、HFのための入院及び/又は緊急のHF来院から選択される、項85に記載の方法。
【外国語明細書】