(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133505
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240925BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240925BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240925BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240925BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240925BHJP
G11C 19/28 20060101ALI20240925BHJP
H03K 19/0175 20060101ALN20240925BHJP
H03K 19/096 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
H01L29/78 614
G09G3/36
G09G3/20 622F
G09G3/20 622Q
G02F1/1368
G02F1/133 550
G11C19/28 230
H03K19/0175
H03K19/096
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097850
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2022115780の分割
【原出願日】2010-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2009214096
(32)【優先日】2009-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】梅崎 敦司
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 麻衣
(57)【要約】
【課題】信頼性が高い半導体表示装置の提供を課題の一とする。また、消費電力を抑える
ことができる半導体表示装置の提供を課題の一とする。
【解決手段】走査線駆動回路にデコーダを設けて、走査線駆動回路に入力される信号に従
って、表示を行うラインの画素が有する走査線にのみ順にパルスを入力し、それ以外の表
示を行わないラインの画素が有する走査線にはパルスの入力を行わないように動作させる
。そして、パルスにより選択されたライン全ての画素、または選択されたラインの一部の
画素に、信号線駆動回路からビデオ信号を供給することで、画素部の特定のエリアに配置
されている画素においてのみ画像の表示を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第8のトランジスタと、第1の配線と、第2の配線と、第3の配線と、を有し、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方と常に導通し、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第3のトランジスタのソース及びドレインの一方と常に導通し、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第1の配線と常に導通し、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第2の配線と常に導通し、
前記第6のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第5のトランジスタのソース及びドレインの一方と常に導通し、
前記第6のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第4のトランジスタのソース及びドレインの一方と常に導通し、
前記第6のトランジスタのソース及びドレインの一方は、前記第1のトランジスタのゲートと電気的に接続し、
前記第6のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第3の配線と常に導通し、
前記第5のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第8のトランジスタのソース及びドレインの一方と常に導通し、
前記第5のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第7のトランジスタのソース及びドレインの一方と常に導通し、
前記第5のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第4のトランジスタのソース及びドレインの他方と常に導通し、
前記第5のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第3のトランジスタのソース及びドレインの他方と常に導通し、
前記第5のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソース及びドレインの他方と常に導通し、
前記第8のトランジスタのゲートは、前記第7のトランジスタのゲートと常に導通し、
前記第5のトランジスタのゲートは、前記第3のトランジスタのゲートと常に導通し、
前記第4のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタのゲートと常に導通し、
前記第1のトランジスタがオンときに、前記第2の配線の電位が前記第1のトランジスタのチャネル形成領域を介して前記第1の配線に入力される、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
画素領域と、前記画素領域に選択信号を入力する走査線駆動回路と、を有し、
前記走査線駆動回路は、前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、前記第3のトランジスタ、前記第4のトランジスタ、前記第5のトランジスタ、前記第6のトランジスタ、前記第7のトランジスタ及び前記第8のトランジスタを有し、
前記画素領域は、第9のトランジスタと、前記第9のトランジスタの上方の液晶層と、を有する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクス型の半導体表示装置及びその
駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁表面上に形成される半導体膜を用いた薄膜トランジスタは、アクティブマトリクス型
の半導体表示装置が有する駆動回路または画素部にとって、必要不可欠な半導体素子であ
る。薄膜トランジスタの製造には基板の耐熱温度という制約があるため、比較的低温での
成膜が可能なアモルファスシリコン、レーザ光または触媒元素を用いた結晶化により得ら
れるポリシリコンなどを活性層に有する薄膜トランジスタが、半導体表示装置に用いられ
るトランジスタの主流となっている。
【0003】
近年では、ポリシリコンによって得られる高い移動度と、アモルファスシリコンによって
得られる均一な素子特性とを兼ね備えた新たな半導体材料として、酸化物半導体と呼ばれ
る、半導体特性を示す金属酸化物に注目が集まっている。金属酸化物は様々な用途に用い
られており、例えば、よく知られた金属酸化物である酸化インジウムは、液晶表示装置な
どで透明電極材料として用いられている。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば
、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体
特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域に用いる薄膜トランジスタが、既に知られてい
る(特許文献1乃至4、非特許文献1)。
【0004】
金属酸化物は一元系酸化物のみでなく多元系酸化物も知られている。例えば、ホモロガス
相を有するInGaO3(ZnO)m(m:自然数)は、In、Ga及びZnを有する多
元系酸化物半導体として知られている(非特許文献2乃至4)。そして、上記のようなI
n-Ga-Zn系酸化物で構成される酸化物半導体は、薄膜トランジスタのチャネル層に
適用可能であることが確認されている(特許文献5、非特許文献5及び6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-198861号公報
【特許文献2】特開平8-264794号公報
【特許文献3】特表平11-505377号公報
【特許文献4】特開2000-150900号公報
【特許文献5】特開2004-103957号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】M. W. Prins, K. O. Grosse-Holz, G. Muller, J. F. M. Cillessen, J. B. Giesbers, R. P. Weening, and R. M. Wolf、「A ferroelectric transparent thin-film transistor」、 Appl. Phys. Lett.、17 June 1996、 Vol.68 p.3652
【非特許文献2】M. Nakamura, N. Kimizuka, and T. Mohri、「The Phase Relations in the In2O3-Ga2ZnO4-ZnO System at 1350℃」、J. Solid State Chem.、1991、Vol.93, p.298-315
【非特許文献3】N. Kimizuka, M. Isobe, and M. Nakamura、「Syntheses and Single-Crystal Data of Homologous Compounds, In2O3(ZnO)m(m=3,4, and 5), InGaO3(ZnO)3, and Ga2O3(ZnO)m(m=7,8,9, and 16) in the In2O3-ZnGa2O4-ZnO System」、 J. Solid State Chem.、1995、Vol.116, p.170-178
【非特許文献4】中村真佐樹、君塚昇、毛利尚彦、磯部光正、「ホモロガス相、InFeO3(ZnO)m(m:自然数)とその同型化合物の合成および結晶構造」、固体物理、1993年、Vol.28、No.5、p.317-327
【非特許文献5】K. Nomura, H. Ohta, K. Ueda, T. Kamiya, M. Hirano, and H. Hosono、「Thin-film transistor fabricated in single-crystalline transparent oxide semiconductor」、SCIENCE、2003、Vol.300、p.1269-1272
【非特許文献6】K. Nomura, H. Ohta, A. Takagi, T. Kamiya, M. Hirano, and H. Hosono、「Room-temperature fabrication of transparent flexible thin-film transistors using amorphous oxide semiconductors」、NATURE、2004、Vol.432 p.488-492
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、アクティブマトリクス型の半導体表示装置は、より高精細、高解像度の画像を
表示するために、画素数が増える傾向にある。そのため、走査線駆動回路と信号線駆動回
路には、高速での駆動が要求されており、駆動周波数の高さに起因する高消費電力化の問
題が浮上している。また、半導体表示装置は、長時間に渡る連続使用に耐えうるように、
信頼性の高さも要求されている。例えば、半導体表示装置に表示する映像を固定させると
、特定の画素において半導体素子または表示素子の劣化が進む、焼き付きという現象が生
じる。焼き付きは半導体表示装置全般に見られる現象であるが、液晶表示装置、有機発光
素子を用いた発光装置、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)などの半導体表
示装置において、特に顕著に起こりやすい。
【0008】
これら半導体表示装置に要求されている高い信頼性と、低消費電力駆動を実現するために
は、半導体素子または表示素子の特性の向上を図るだけではなく、駆動方法にも工夫を凝
らすことが必要である。半導体表示装置の長時間に渡る連続使用により、半導体素子また
は表示素子が劣化するのを防ぎ、さらに、消費電力が嵩むのを防ぐための駆動方法の一つ
として、パーシャル駆動が挙げられる。パーシャル駆動とは、画面に表示される画像に一
定時間変化がない場合などに、画素部の一部エリアのみに限定して画像の表示を行い、そ
の他のエリアにおいて画像の表示を停止する駆動方法である。
【0009】
しかし、パーシャル駆動を用いる場合においても駆動回路は動作を続けており、その消費
電力は、通常動作時に比べてさほど低減されているとは言えなかった。
【0010】
上述した課題に鑑み、信頼性が高い半導体表示装置の提供を課題の一とする。或いは、消
費電力を抑えることができる半導体表示装置の提供を課題の一とする。
【0011】
或いは、信頼性を高めることができる半導体表示装置の駆動方法の提供を課題の一とする
。或いは、消費電力を抑えることができる半導体表示装置の駆動方法の提供を課題の一と
する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、表示を行うラインの画素のみを順に選択する走査線駆動回路
を、半導体表示装置に設ける。具体的には、走査線駆動回路にデコーダを設けて、走査線
駆動回路に入力される信号に従って、表示を行うラインの画素が有する走査線にのみ順に
パルスを入力し、それ以外の表示を行わないラインの画素が有する走査線にはパルスの入
力を行わないように動作させる。そして、パルスにより選択されたライン全ての画素、ま
たは選択されたラインの一部の画素に、信号線駆動回路からビデオ信号を供給することで
、画素部の特定のエリアに配置されている画素においてのみ画像の表示を行う。
【0013】
なお、画素部全体での画像の表示と、画素部の一部エリアにおける画像の表示とは、デコ
ーダに入力する信号により制御することができる。画素部の一部エリアにおいて画像を表
示する際は、デコーダに入力する信号により、画素部が有する複数の画素のうち、特定の
ラインの画素が有する走査線にのみパルスを順に入力すれば良い。また、画素部全体で画
像を表示する際は、デコーダに入力する信号により、全てのラインの画素が有する走査線
にパルスを順に入力すれば良い。
【0014】
また、画素は、走査線に入力される信号のパルスに従ってスイッチングが制御される、少
なくとも一つの薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタがオンになると信号線駆動回路
から与えられるビデオ信号に従ってその動作が制御される表示素子とを有する。そして、
上記薄膜トランジスタは、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いる。さらに、走査線駆
動回路、信号線駆動回路の一部、またはその全てにおいて、酸化物半導体を用いている半
導体素子、例えばチャネル形成領域に酸化物半導体が用いられている薄膜トランジスタが
、設けられていても良い。
【0015】
なお、酸化物半導体は、四元系金属酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn-O系酸化物半
導体や、三元系金属酸化物であるIn-Ga-Zn-O系酸化物半導体、In-Sn-Z
n-O系酸化物半導体、In-Al-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Ga-Zn-O系
酸化物半導体、Al-Ga-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Al-Zn-O系酸化物半
導体や、二元系金属酸化物であるIn-Zn-O系酸化物半導体、Sn-Zn-O系酸化
物半導体、Al-Zn-O系酸化物半導体、Zn-Mg-O系酸化物半導体、Sn-Mg
-O系酸化物半導体、In-Mg-O系酸化物半導体、In-Ga-O系酸化物半導体や
、In-O系酸化物半導体、Sn-O系酸化物半導体、Zn-O系酸化物半導体などを用
いることができる。なお、本明細書においては、例えば、In-Sn-Ga-Zn-O系
酸化物半導体とは、インジウム(In)、錫(Sn)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)
を有する金属酸化物、という意味であり、その化学量論組成比は特に問わない。また、上
記酸化物半導体は、珪素を含んでいてもよい。
【0016】
或いは、酸化物半導体は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0)で表記することがで
きる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素
を示す。
【0017】
なお、酸化物半導体膜を形成した後、減圧雰囲気下または不活性ガス雰囲気下において加
熱処理を行うことで、酸化物半導体膜の表面や内部に吸着されている水分、ヒドロキシ基
、または水素などを取り除く。加熱処理の温度範囲は、400℃以上700℃以下、好ま
しくは450℃以上650℃以下とする。上記加熱処理を行うことで、酸化物半導体膜内
、ゲート絶縁膜内、或いは、酸化物半導体膜と他の絶縁膜の界面とその近傍に存在する水
分、ヒドロキシ基、または水素などの不純物が除去される。よって、上記不純物がトラン
ジスタの特性の劣化に繋がるのを防ぐことができる。
【0018】
また、薄膜トランジスタは、ボトムゲート型であっても良いし、トップゲート型であって
も良いし、ボトムコンタクト型であっても良い。ボトムゲート型トランジスタは、絶縁表
面上のゲート電極と、ゲート電極上のゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上においてゲート電
極と重なる酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜上のソース電極、ドレイン電極と、酸化物
半導体膜、ソース電極、ドレイン電極上の酸化物絶縁膜と、酸化物絶縁膜上において酸化
物半導体膜と重なる導電膜とを有する。トップゲート型トランジスタは、絶縁表面上の酸
化物半導体膜と、酸化物半導体膜上の酸化物絶縁膜であるゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜
上において酸化物半導体膜と重なり、なおかつ導電膜として機能するゲート電極とを有す
る。ボトムコンタクト型トランジスタは、絶縁表面上のゲート電極と、ゲート電極上のゲ
ート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上のソース電極、ドレイン電極と、ソース電極、ドレイン電
極上にあり、なおかつゲート絶縁膜上においてゲート電極と重なる酸化物半導体膜と、酸
化物半導体膜上の酸化物絶縁膜と、酸化物絶縁膜上において酸化物半導体膜と重なる導電
膜とを有する。
【発明の効果】
【0019】
指定されたラインの画素にのみパルスの入力を行うよう走査線駆動回路を動作させるので
、指定されたライン以外の走査線において電力が消費されるのを防ぐことができ、酸化物
半導体を用いた半導体表示装置の消費電力を低減することができる。また、指定されたラ
インの画素にのみパルスの入力を行うよう走査線駆動回路を動作させることで、半導体表
示装置の長時間に渡る連続使用を防ぎ、酸化物半導体を用いた半導体素子または表示素子
が劣化するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】半導体表示装置のブロック図と、画素部の構成を示す図。
【
図4】画素部における、画像の表示を行うエリアの配置を示す図。
【
図15】一部のエリアにおいて表示される画像の一例を示す図。
【
図16】初期化期間、書込期間、保持期間の順序を示す模式図。
【
図17】画素電極に印加される電圧と、各走査線に入力される選択信号の電圧の、タイミングチャート。
【
図20】パルス出力回路の構成と、シフトレジスタの動作を説明するタイミングチャート。
【
図29】液晶表示装置のモジュールの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明
は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
なお本発明の半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表され
る発光素子を各画素に備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Mic
romirror Device)、PDP(Plasma Display Pane
l)、SED(Surface-conduction Electron-emitt
er Display)などのFED(Field Emission Display
)等や、半導体膜を用いた回路素子を駆動回路に有しているその他の半導体表示装置が、
その範疇に含まれる。
【0023】
(実施の形態1)
図1(A)に、本発明の一態様に係る半導体表示装置のブロック図を、一例として示す。
【0024】
図1(A)に示す半導体表示装置は、表示素子及び薄膜トランジスタを備えた画素を複数
有する画素部100と、各画素をラインごとに選択する走査線駆動回路101と、選択さ
れたラインの画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路102とを有する。ま
た、
図1(B)に示すように、画素部100には、走査線駆動回路101から引き延ばさ
れた複数の走査線G1~Gyと、信号線駆動回路102から引き延ばされた複数の信号線
S1~Sxとが、交差するように設けられている。各画素105には、複数の走査線の少
なくとも1つと、複数の信号線の少なくとも1つが設けられており、走査線に入力される
信号と、信号線に入力される信号とにより、各画素105の表示素子及び薄膜トランジス
タの動作が制御される。
【0025】
走査線駆動回路101はデコーダ103を有しており、走査線駆動回路101に入力され
るnビットの制御信号D1~Dnにより、その動作が制御されている。具体的には、制御
信号D1~Dnの、各ビットの値の組み合わせによって、デコーダ103から走査線G1
~Gyに、パルスを有する選択信号を順に入力することができる。また、制御信号D1~
Dnの、各ビットの値の組み合わせによって、表示を行うラインの画素が有する走査線に
のみ順にパルスを入力し、それ以外の表示を行わないラインの画素が有する走査線にはパ
ルスの入力を行わないように、走査線駆動回路101を動作させることができる。
【0026】
例えば、
図1(B)に示す画素部100のうち、エリア104においてのみ、画像の表示
を行うものとする。この場合、エリア104内の画素が有する走査線G1~Gt-1にの
み順にパルスを入力し、それ以外の表示を行わないラインの画素が有する走査線Gt~G
yにはパルスの入力を行わないように、制御信号D1~Dnの、各ビットの値の組み合わ
せによって、走査線駆動回路101を動作させる。
【0027】
そして、信号線駆動回路102にはビデオ信号と、信号線駆動回路102の駆動を制御す
る駆動用信号が入力されている。パルスにより選択されたライン全ての画素、または選択
されたラインの一部の画素に、信号線駆動回路102からビデオ信号が供給されることで
、画素部100の特定のエリア104に配置されている画素においてのみ、画像の表示を
行うことができる。具体的に、
図1(B)では、信号線駆動回路102から、信号線S1
~Sq-1(qは2より大きくxより小さい自然数)にのみ画像情報を有するビデオ信号
を入力し、信号線Sq~Sxには、画像の表示に寄与しないビデオ信号を入力することで
、エリア104に配置されている画素においてのみ、画像の表示を行う。
【0028】
なお、画像の表示に寄与しないビデオ信号とは、画素の有する表示素子への、電流又は電
圧の供与を妨げるビデオ信号である。画像の表示に寄与しないビデオ信号が画素に入力さ
れると、画素内の表示素子への電流または電圧の供与が妨げられる、または連続する複数
のフレーム期間に渡って表示素子により表示される階調が保持されるため、当該画素にお
いて画像の表示は行われない。
【0029】
また、信号線駆動回路102から画像情報を有するビデオ信号が、選択されているライン
の一部の画素にのみ入力されている場合、具体的に該ビデオ信号は、特定のエリア104
内の画素が有する信号線S1~Sq-1にのみ、供与される。フレーム周波数が一定であ
るならば、選択されているラインの全ての画素に画像情報を有するビデオ信号を入力する
場合よりも、選択されているラインの一部の画素に画像情報を有するビデオ信号を入力す
る場合の方が、信号線駆動回路102の駆動周波数を低く抑えることができるので、消費
電力を抑えることができる。
【0030】
なお、
図1(B)では、画像の表示を行う一部のエリア104が、信号線S1~Sq-1
と、走査線G1~Gt-1を有する画素群であり、画素部100の左上に位置している場
合を例示している。しかし、本発明はこの構成に限定されず、例えば
図4(A)に示すよ
うに、画像の表示を行う一部のエリア104が、画素部100の右上に位置していても良
いし、
図4(B)に示すように画素部100の中央に位置していても良いし、
図4(C)
に示すように、画素部100の左下に位置していても良い。画像の表示を行う一部のエリ
ア104の位置及びその範囲は、走査線駆動回路101により選択されるラインの位置と
、信号線駆動回路102から画像情報を有するビデオ信号が入力される信号線の位置によ
って、適宜決めることが出来る。
【0031】
次に、デコーダ103の具体的な構成の一例を、
図5に回路図で示す。
図5に示すデコー
ダは、複数のNOR回路106-1~106-2
nを有しており、各NOR回路にはnビ
ットの制御信号が入力されている。なお、
図5に示すNOR回路の数は単なる一例であり
、必ずしも2
nである必要はなく、NOR回路の数は制御信号のビット数に拘束されない
。
【0032】
nビットの制御信号は、制御信号D1~Dn、または制御信号D1~Dnの極性を反転さ
せることで得られる制御信号Db1~Dbnから選ばれており、NOR回路106-1~
106-2nどうしは互いに入力される制御信号が異なる。例えば、NOR回路106-
1は、制御信号D1~Dnが入力されている。NOR回路106-2は、制御信号D2~
Dn、制御信号Db1が入力されている。NOR回路106-3は、制御信号D1、D3
~Dn、制御信号Db2が入力されている。このように、NOR回路106-1~106
-2nどうし互いに入力される制御信号が異なることで、NOR回路106-1~106
-2nのいずれか一つから出力される信号のみを、他から出力される信号とは異なる高さ
の電圧にすることが出来る。具体的には、NOR回路106-1~106-2nのいずれ
か一つから出力される信号のみ、高いレベル(Hi)の電圧でそれ以外は低いレベル(L
o)の電圧とすることができる。そして、制御信号D1~Dnと制御信号Db1~Dbn
の値を所定の時間ごとに変えていくことで、NOR回路106-1~106-2nから高
いレベルの電圧のパルスがシフトする信号を出力することが出来る。
【0033】
NOR回路106-1~106-2nから出力された信号は、選択信号として走査線G1
~Gyに入力される。走査線G1~Gyのうち、選択信号のパルスにあたる電圧が入力さ
れている走査線が、いわゆる選択された走査線に相当する。
【0034】
なお、制御信号Db1~Dbnは、走査線駆動回路101の内部で、インバータなどによ
り制御信号D1~Dnの極性を反転させることで生成されていても良いし、走査線駆動回
路101の外部、例えばコントローラなどから制御信号D1~Dnと共に、走査線駆動回
路101に入力されていても良い。
【0035】
画素部100の全てにおいて画像の表示を行う場合は、走査線G1~Gyに順に選択信号
のパルスが入力されるように、制御信号D1~Dnと制御信号Db1~Dbnの値を定め
る。エリア104においてのみ画像の表示を行う場合は、走査線G1~Gt-1に順に選
択信号のパルスが入力され、走査線Gt~Gyにはパルスが入力されないように、制御信
号D1~Dnと制御信号Db1~Dbnの値を定める。
【0036】
なお、
図5に示すデコーダは、nビットの制御信号を入力することで、少なくともいずれ
か1つのNOR回路から、パルスを有する選択信号が出力される。全ての走査線にパルス
を有さない選択信号を入力する必要がある場合は、走査線の総数がNOR回路の総数より
も少なくなるように設計する。もしくは、nビットの制御信号に対し、NOR回路の総数
を2
n-aとし、なおかつNOR回路の総数2
n-aを走査線の総数y同じかそれ以上と
する。もしくは、nビットの制御信号に加えて、高いレベル(Hi)の電圧を全てのNO
R回路に一斉に与えられる構成とし、全てのNOR回路からの出力を強制的に低いレベル
(Lo)の電圧となるようにしても良い。
【0037】
図2に、画素部100の全てにおいて画像の表示を行う場合の、走査線G1~Gyに入力
される選択信号と、信号線S1~Sxに入力されるビデオ信号のタイミングチャートを示
す。
図2に示すように、画素部100の全てにおいて画像の表示を行う場合、1フレーム
期間において、走査線G1~Gyには順に電圧のパルスがシフトしている選択信号が入力
される。よって、全てのラインの画素は、表示を行う表示ラインとなる。そして、各走査
線に入力されている選択信号にパルスが出現している1ライン期間内において、信号線S
1~Sxに画像情報を有するビデオ信号が入力される。
【0038】
また、
図3に、画素部100の一部のエリア104においてのみ画像の表示を行う場合の
、走査線G1~Gyに入力される選択信号と、信号線S1~Sxに入力されるビデオ信号
のタイミングチャートを示す。
図3に示すように、エリア104においてのみ画像の表示
を行う場合、1フレーム期間において、走査線G1~Gt-1には順に電圧のパルスがシ
フトしている選択信号が入力され、走査線Gt~Gyにはパルスを有さない、すなわち、
フラットな高さの電圧を有する選択信号が入力される。よって、走査線G1~Gt-1を
有するラインの画素は表示を行う表示ラインとなり、走査線Gt~Gyを有するラインの
画素は表示を行わない非表示ラインとなる。そして、選択信号にパルスが出現している1
ライン期間内において、信号線S1~Sxにビデオ信号が入力されることで、走査線G1
~Gt-1を有する表示ラインの画素にのみ、ビデオ信号が入力される。また、エリア1
04の画素が有する信号線S1~Sq-1に入力されるビデオ信号は画像情報を有し、信
号線Sq~Sxに入力されるビデオ信号は画像の表示に寄与しない。従って、
図3に示す
駆動方法により、エリア104の画素においてのみ、画像の表示を行うことが出来る。
【0039】
なお、走査線Gt-1までの走査が終了した後、信号線S1~Sq-1に入力されるビデ
オ信号を画像の表示に寄与しない一定の電圧とする、もしくはビデオ信号の入力を行わず
に信号線S1~Sq-1を浮遊状態とすることもできる。上記構成により、走査線Gt-
1までの走査が終了した後は、信号線S1~Sq-1の充放電がなくなるので、信号線駆
動回路の消費電力の削減を図ることができる。
【0040】
なお、信号線S1~Sq-1にのみビデオ信号の入力を行うように、信号線駆動回路10
2を動作させても良い。この場合、画素部100の全てにおいて画像の表示を行う場合よ
りも、信号線駆動回路102の駆動周波数を低くし、消費電力を抑えることが出来る。
【0041】
なお、
図2と
図3では、信号線S1~Sxに入力されるビデオ信号をパルスで表示してい
るが、ビデオ信号の有する画像情報によってはパルスが出現しない場合も当然あり得る。
【0042】
また、
図2と
図3では、信号線駆動回路102から各信号線に順にビデオ信号を入力する
点順次駆動の場合のタイミングチャートを例示している。しかし、本発明はこの構成に限
定されず、信号線駆動回路102から全ての信号線に並行してビデオ信号を入力する線順
次駆動であっても良い。
【0043】
また、一部のエリア104のみで画像の表示を行う場合、画素部100全体で画像の表示
を行う場合よりも敢えてフレーム周波数を低くし、一定期間内に走査線駆動回路101に
よって走査線が順に選択される走査回数を少なくすることで、走査線駆動回路の消費電力
を低くするようにしても良い。
【0044】
また、時間階調駆動の場合は、フレーム周波数を低くすることで走査回数を少なくするよ
うにしても良いし、あるいは、階調数を低くすることで、走査回数を少なくし、走査線駆
動回路の消費電力を低くするようにしても良い。なお時間階調駆動とは、1フレーム期間
中において画素が白を表示する時間を制御することで、階調を表示する駆動方法である。
【0045】
本発明の一態様に係る半導体表示装置は、指定されたラインの画素にのみパルスの入力を
行うよう走査線駆動回路を動作させるので、指定されたライン以外の走査線において電力
が消費されるのを防ぐことができ、半導体表示装置の消費電力を低減することができる。
また、指定されたラインの画素にのみパルスの入力を行うよう走査線駆動回路を動作させ
ることで、画素部100のうち、一部のエリア104以外の領域において、長時間に渡る
連続使用を防ぎ、薄膜トランジスタなどの半導体素子または表示素子が劣化するのを防ぐ
ことができる。
【0046】
なお、
図1(A)に示す半導体表示装置は、画素部100、走査線駆動回路101または
信号線駆動回路102を一基板上に形成するシステムオンパネルであっても良い。システ
ムオンパネルとすることで、走査線駆動回路101または信号線駆動回路102などの駆
動回路と、画素部100とを接続するためのピン数を削減し、駆動回路と画素部の接続不
良に起因する歩留まり低下、ピンを用いた接続箇所における機械的強度の低さなどを、回
避することが可能となる。さらに、表示装置の小型化のみならず、組立工程や検査工程の
削減によるコストダウンも、システムオンパネルの実現により可能になる。システムオン
パネルの場合、FPC(Flexible Printed Circuit)等の接続
部を介して、コントローラから制御信号、ビデオ信号、駆動用信号などの各種信号と、電
源電圧とが、画素部100、走査線駆動回路101または信号線駆動回路102に供給さ
れる。
【0047】
また、本発明の半導体表示装置は、システムオンパネルに限定されない。駆動周波数の低
い回路、例えば、走査線駆動回路101や、信号線駆動回路102の出力部に用いられて
いるアナログスイッチなどを、画素部100と共に一基板上に形成し、残りの、駆動周波
数が比較的高い回路を別の基板上に形成するようにしても良い。この場合、駆動周波数が
高い回路を、単結晶半導体を用いた半導体素子で形成し、画素部100及び駆動周波数の
低い回路を、酸化物半導体を用いた半導体素子で形成することができる。このように、部
分的にシステムオンパネルを採用することで、上述した接続不良に起因する歩留まり低下
、ピンを用いた接続箇所における機械的強度の低さなどを回避する、あるいは、組立工程
や検査工程の削減によるコストダウン、といったシステムオンパネルのメリットをある程
度享受できる。さらに、画素部100、走査線駆動回路101及び信号線駆動回路102
を全て一基板上に形成するシステムオンパネルに比べて、駆動周波数が高い回路の性能を
より高めることができ、なおかつ、単結晶半導体を用いた場合は実現することが難しい、
面積の広い画素部を形成することができる。
【0048】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体表示装置の画素または駆動回路に用いられる、酸化物半導体膜
をチャネル形成領域に有する薄膜トランジスタの構成について、チャネルエッチ構造のボ
トムゲート型を例に挙げて説明する。
【0049】
図6(A)に薄膜トランジスタ201の断面図を、
図6(B)に、
図6(A)に示す薄膜
トランジスタ201の上面図を、それぞれ示す。なお、
図6(B)の破線A1-A2にお
ける断面図が、
図6(A)に相当する。
【0050】
薄膜トランジスタ201は、基板202上に形成されたゲート電極203と、ゲート電極
203上に形成されたゲート絶縁膜204と、ゲート電極203と重なる位置においてゲ
ート絶縁膜204上に形成された島状の酸化物半導体膜205と、島状の酸化物半導体膜
205上に形成されたソース電極206及びドレイン電極207と、酸化物半導体膜20
5、ソース電極206及びドレイン電極207上に形成された酸化物絶縁膜208とを有
している。
【0051】
ゲート電極203と基板202の間には、下地膜となる絶縁膜が設けられていても良い。
下地膜は、基板202からの不純物元素の拡散を防止する絶縁膜、具体的には、窒化珪素
膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜、又は酸化窒化珪素膜のうちの一を単層で用いるか、又
は選択した複数の膜を積層させて用いることができる。ゲート電極203の材料は、モリ
ブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等の金属材
料、これら金属材料を主成分とする合金材料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物
を、単層で又は積層で用いることができる。なお、後の工程において行われる加熱処理の
温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミニウム、銅を用いることも出来る
。
【0052】
例えば、ゲート電極203の二層の積層構造としては、窒化チタン膜とモリブデン膜とを
積層した二層構造とすることが好ましい。三層の積層構造としては、タングステン膜また
は窒化タングステン膜と、アルミニウムと珪素の合金膜またはアルミニウムとチタンの合
金膜と、窒化チタン膜またはチタン膜とを積層した三層構造とすることが好ましい。
【0053】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多
い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
物質をいう。
【0054】
ゲート電極203の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nm
とする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150n
mのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工
(パターニング)することで、ゲート電極203を形成する。
【0055】
ゲート絶縁膜204は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素膜
、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜又は窒化酸化珪素膜を単層で又は積層させて形成すること
ができる。例えば、成膜ガスとして、シラン(例えばモノシラン)、酸素及び窒素を用い
てプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を形成すれば良い。本実施の形態では、プラズ
マCVD法により形成される膜厚200nmの絶縁膜を、ゲート絶縁膜204として用い
る。成膜条件は、シランガスの流量4sccmとし、一酸化二窒素(N2O)の流量80
0sccmとし、基板温度400℃とする。
【0056】
島状の酸化物半導体膜205は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法によ
り酸化物半導体膜を形成した後、エッチングなどで該膜を所望の形状に加工することで、
形成される。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気
下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。
【0057】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズ
マを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜204の表面に付着しているゴミを除去
することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲
気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改
質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。
また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、ア
ルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0058】
チャネル形成領域を形成するための酸化物半導体膜には、上述したような半導体特性を有
する酸化物材料を用いればよい。
【0059】
本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、及び
Zn(亜鉛)を含む酸化物半導体ターゲット(In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1
:1)を用いたスパッタ法により得られる、In-Ga-Zn-O系非単結晶膜を用いる
。本実施の形態では、DCスパッタ法を用い、アルゴンの流量30sccmとし、酸素の
流量15sccmとし、基板温度は室温とする。
【0060】
ゲート絶縁膜204及び酸化物半導体膜を大気に触れさせることなく連続的に形成しても
よい。大気に触れさせることなく連続成膜することで、界面が、水やハイドロカーボンな
どの、大気成分や大気中に浮遊する不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成す
ることができるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
【0061】
また、酸化物半導体膜205に含まれる水分、水素、ヒドロキシ基を脱離させるように、
減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾
燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定
した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下、好ましくは1ppm以下、
好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下において、400℃以上700℃以下、好ま
しくは450℃以上650℃以下の温度範囲で、島状の酸化物半導体膜205に加熱処理
を施し、その後、不活性雰囲気下で室温以上100℃未満の範囲まで徐冷を行うことが望
ましい。酸化物半導体膜205を上記雰囲気下で加熱処理することにより、酸化物半導体
膜205は、膜内に含まれる水分、水素、ヒドロキシ基が脱離する。
【0062】
加熱処理は、電気炉を用いた加熱方法、加熱した気体を用いるGRTA(Gas Rap
id Thermal Anneal)法またはランプ光を用いるLRTA(Lamp
Rapid Thermal Anneal)法などの瞬間加熱方法などを用いることが
できる。例えば、電気炉を用いて加熱処理を行う場合、昇温特性を0.1℃/min以上
20℃/min以下、降温特性を0.1℃/min以上15℃/min以下とすることが
好ましい。
【0063】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水
分、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、また
はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好
ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましく
は0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0064】
加熱処理後の、島状の酸化物半導体膜205は、一部あるいは全部が結晶化していても良
い。
【0065】
なお、酸化物半導体膜205に加熱処理を行った後に、酸素雰囲気下で該酸化物半導体膜
205に加熱処理を施してもよい。上記加熱処理により、酸化物半導体膜205に含まれ
る水分などの不純物を除去することができる。そして、酸素雰囲気下での加熱処理により
、酸化物半導体膜205を酸素が過剰な状態とすることで、高抵抗化できる。酸素雰囲気
下での加熱処理の温度は、酸化物半導体を構成しているZnなどの融点の低い金属が気化
しにくい温度、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満
で行う。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水分、水素などが含ま
れないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99
.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純
物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0066】
また、ソース電極206、ドレイン電極207は、島状の酸化物半導体膜205上に、ソ
ース電極ドレイン電極用の導電膜を形成した後、エッチング等によりパターニングするこ
とで形成される。上記パターニングにより、ソース電極206とドレイン電極207を形
成する際に、島状の酸化物半導体膜205の露出した部分が一部エッチングされる。
【0067】
ソース電極ドレイン電極用の導電膜として、例えば、アルミニウム、クロム、タンタル、
チタン、マンガン、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、ベリリウ
ム、イットリウムから選ばれた元素、または上記元素を1つまたは複数成分として含む合
金等を用いることが出来る。なお、導電膜の形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱
処理に対する耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。アルミニウム単体では耐熱性が
劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので、導電膜の形成後に加熱処理を行う場合は
、耐熱性導電性材料と組み合わせて導電膜を形成する。アルミニウムと組み合わせる耐熱
性導電性材料としては、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジ
ム、スカンジウムから選ばれた元素、または上記元素を1つまたは複数成分として含む合
金、または上記元素を成分として含む窒化物などが好ましい。
【0068】
ソース電極206、ドレイン電極207の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは1
00nm~200nmとする。本実施の形態では、モリブデンターゲットを用いたスパッ
タ法によりソース電極ドレイン電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングによ
り所望の形状に加工(パターニング)することで、ソース電極206、ドレイン電極20
7を形成する。
【0069】
また、酸化物絶縁膜208は、島状の酸化物半導体膜205、ソース電極206及びドレ
イン電極207に接するように、スパッタ法で形成される。低抵抗化した島状の酸化物半
導体膜205に接して形成する酸化物絶縁膜208は、水分や、水素、酸素、ヒドロキシ
基などの不純物を極力含まず、これらが外部から侵入することをブロックする、酸化珪素
膜、窒化酸化珪素膜などの無機絶縁膜を用いる。
【0070】
本実施の形態では、酸化物絶縁膜208として膜厚300nmの酸化珪素膜を成膜する。
成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃と
する。酸化珪素膜のスパッタ法による成膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素
雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素雰囲気下において行うことができる。
また、ターゲットとして酸化珪素ターゲットを用いても珪素ターゲットを用いてもよい。
例えば珪素ターゲットを用いて、酸素雰囲気下でスパッタ法により酸化珪素を形成するこ
とができる。
【0071】
低抵抗化した酸化物半導体膜205に接してスパッタ法またはPCVD法などにより酸化
物絶縁膜208を形成すると、低抵抗化した酸化物半導体膜205において少なくとも酸
化物絶縁膜208と接する領域が、キャリア濃度が好ましくは1×1018/cm3未満
まで低くなることにより高抵抗化し、高抵抗化酸化物半導体領域となる。酸化物絶縁膜2
08の形成により、酸化物半導体膜205は、酸化物絶縁膜208との界面近傍に高抵抗
化酸化物半導体領域を有する。
【0072】
なお、ソース電極206、ドレイン電極207を形成した後、酸化物絶縁膜208を形成
する前または形成した後に、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸
素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法
)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下
、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下において、酸化
物半導体膜205に再び加熱処理を施し、酸化物半導体膜205に含まれる水分、水素、
ヒドロキシ基を脱離させるようにしても良い。ソース電極206、ドレイン電極207を
形成した後の加熱処理は、ソース電極206、ドレイン電極207の耐熱性を考慮し、ソ
ース電極206、ドレイン電極207を形成する前に行う加熱処理よりも低い温度で行う
ことが望ましい。具体的には、350℃以上650℃以下、好ましくは400℃以上60
0℃以下の温度範囲で行うと良い。
【0073】
なお、
図6(C)に示すように、薄膜トランジスタ201は、酸化物絶縁膜208上に、
さらに導電膜209を有していても良い。導電膜209は、ソース電極206またはドレ
イン電極207と同様の材料または同様の積層構造を用いることが出来る。導電膜209
の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nmとする。そして、
フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、所望の形状に加工(パターニング
)する。導電膜209を、酸化物半導体膜205のチャネル形成領域と重なるように形成
する。導電膜209は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっても良いし、
電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、導電膜209には、ゲート電極20
3と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位が与えられて
いても良い。導電膜209に与える電位の高さを制御することで、薄膜トランジスタ20
1の閾値電圧を制御することができる。
【0074】
そして、上記導電膜209を形成する場合、導電膜209を覆うように絶縁膜210を形
成するとよい。絶縁膜210は、水分や、水素、酸素、ヒドロキシ基などの不純物を極力
含まず、これらが外部から侵入することをブロックする、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜な
どの無機絶縁膜を用いるとよい。
【0075】
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジ
スタよりも高い移動度を有し、なおかつアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ
と同様に均一な素子特性を有している。よって、画素部のみならず、画素部よりも駆動周
波数の高い駆動回路を構成する半導体素子に、酸化物半導体を用いることができ、レーザ
ー結晶化などのプロセスを用いずともシステムオンパネルを実現することができる。
【0076】
また、加熱処理の温度に耐えうるように、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、また
は酸化物絶縁膜上の導電膜として、抵抗の高い金属材料を用いた場合でも、表示を行うラ
インの画素が有する走査線にのみ順にパルスを入力し、画素部の特定のエリアにおいての
み画像の表示を行うことで、半導体表示装置全体の消費電力を抑えることができ、信頼性
を高めることができる。
【0077】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0078】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2で示した薄膜トランジスタ201とは構造が異なるボト
ムコンタクト型の薄膜トランジスタの構成について説明する。なお、実施の形態2と同一
部分又は同様な機能を有する部分、及び工程は、実施の形態2と同様に行うことができる
ため、繰り返しの説明は省略する。
【0079】
図7(A)に薄膜トランジスタ211の断面図を、
図7(B)に、
図7(A)に示す薄膜
トランジスタ211の上面図を、それぞれ示す。なお、
図7(B)の破線B1-B2にお
ける断面図が、
図7(A)に相当する。
【0080】
薄膜トランジスタ211は、基板212上に形成されたゲート電極213と、ゲート電極
213上に形成されたゲート絶縁膜214と、ゲート絶縁膜214上に形成されたソース
電極216及びドレイン電極217と、ゲート電極213と重なる位置においてゲート絶
縁膜214と接するようにソース電極216及びドレイン電極217上に形成された島状
の酸化物半導体膜215と、酸化物半導体膜215上に形成された酸化物絶縁膜218と
を有している。
【0081】
ゲート電極213と基板212の間には、下地膜となる絶縁膜が設けられていても良い。
下地膜は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用することができる。また、ゲー
ト電極213の材料は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用することができる
。
【0082】
ゲート電極213の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nm
とする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150n
mのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工
(パターニング)することで、ゲート電極213を形成する。
【0083】
ゲート絶縁膜214は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用し、実施の形態2
に示した作製方法を用いて形成することができる。本実施の形態では、プラズマCVD法
により形成される膜厚200nmの絶縁膜を、ゲート絶縁膜214として用いる。成膜条
件は、シランガスの流量4sccmとし、一酸化二窒素(N2O)の流量800sccm
とし、基板温度400℃とする。
【0084】
また、ソース電極216、ドレイン電極217は、ゲート絶縁膜214上に、ソース電極
ドレイン電極用の導電膜を形成した後、エッチング等によりパターニングすることで形成
される。ソース電極ドレイン電極用の導電膜として、実施の形態2と同様の材料及び積層
構造を採用することができる。
【0085】
なお、ボトムコンタクト型の場合、ソース電極216、ドレイン電極217の膜厚は、後
に形成される酸化物半導体膜215が段切れを起こすのを防ぐために、実施の形態2で示
したボトムゲート型に比べて薄くするのが望ましい。具体的には、10nm~200nm
、好ましくは50nm~75nmとする。本実施の形態では、モリブデンターゲットを用
いたスパッタ法によりソース電極ドレイン電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッ
チングにより所望の形状に加工(パターニング)することで、ソース電極216、ドレイ
ン電極217を形成する。
【0086】
島状の酸化物半導体膜215は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用し、実施
の形態2に示した作製方法を用いて、ゲート電極213と重なる位置においてゲート絶縁
膜214と接するようにソース電極216及びドレイン電極217上に形成することがで
きる。
【0087】
本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、及び
Zn(亜鉛)を含む酸化物半導体ターゲット(In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1
:1)を用いたスパッタ法により得られる、In-Ga-Zn-O系非単結晶膜を用いる
。本実施の形態では、DCスパッタ法を用い、アルゴンの流量30sccmとし、酸素の
流量15sccmとし、基板温度は室温とする。
【0088】
また、酸化物半導体膜215に含まれる水分、水素、ヒドロキシ基を脱離させるように、
不活性ガス雰囲気(窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等)下において、加熱処理
を施しておく。加熱処理の条件については、実施の形態2を参照することができる。酸化
物半導体膜215を加熱処理することにより、酸化物半導体膜215は、膜内に含まれる
水分、水素、ヒドロキシ基が脱離する。
【0089】
また、酸化物絶縁膜218は、島状の酸化物半導体膜215に接するように、スパッタ法
で形成される。酸化物絶縁膜218は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用し
、実施の形態2に示した作製方法を用いて形成することができる。
【0090】
なお、酸化物絶縁膜218を形成した後に、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガ
ス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウン
レーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で
-55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下
において、酸化物半導体膜215に再び加熱処理を施し、酸化物半導体膜215に含まれ
る水分、水素、ヒドロキシ基を脱離させるようにしても良い。加熱処理の条件については
、実施の形態2を参照することができる。
【0091】
なお、
図7(C)に示すように、薄膜トランジスタ211は、酸化物絶縁膜218上に、
さらに導電膜219を有していても良い。該導電膜219は、ソース電極216またはド
レイン電極217と同様の材料または同様の積層構造を用いることが出来る。導電膜21
9の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nmとする。そして
、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、所望の形状に加工(パターニン
グ)することで、導電膜219を、酸化物半導体膜215のチャネル形成領域と重なるよ
うに形成する。上記導電膜219は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっ
ても良いし、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、導電膜219には、ゲ
ート電極213と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位
が与えられていても良い。導電膜219に与える電位の高さを制御することで、薄膜トラ
ンジスタ211の閾値電圧を制御することができる。
【0092】
そして、導電膜219を形成する場合、導電膜219を覆うように絶縁膜220を形成す
る。絶縁膜220は、水分や、水素、酸素、ヒドロキシ基などの不純物を極力含まず、こ
れらが外部から侵入することをブロックする、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機絶
縁膜を用いる。
【0093】
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジ
スタよりも高い移動度を有し、なおかつアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ
と同様に均一な素子特性を有している。よって、画素部のみならず、画素部よりも駆動周
波数の高い駆動回路を構成する半導体素子に、酸化物半導体を用いることができ、レーザ
結晶化などのプロセスを用いずともシステムオンパネルを実現することができる。
【0094】
また、加熱処理の温度に耐えうるように、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、また
は酸化物絶縁膜上の導電膜として、抵抗の高い金属材料を用いた場合でも、実施の形態1
で説明したように、表示を行うラインの画素が有する走査線にのみ順にパルスを入力し、
画素部の特定のエリアにおいてのみ画像の表示を行うことで、半導体表示装置全体の消費
電力を抑えることができ、信頼性を高めることができる。
【0095】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0096】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2で示した薄膜トランジスタ201または実施の形態3で
示した薄膜トランジスタ221とは構造が異なる、チャネル保護構造のボトムゲート型の
薄膜トランジスタの構成について説明する。なお、実施の形態2と同一部分又は同様な機
能を有する部分、及び工程は、実施の形態2と同様に行うことができるため、繰り返しの
説明は省略する。
【0097】
図8(A)に薄膜トランジスタ221の断面図を、
図8(B)に、
図8(A)に示す薄膜
トランジスタ221の上面図を、それぞれ示す。なお、
図8(B)の破線C1-C2にお
ける断面図が、
図8(A)に相当する。
【0098】
薄膜トランジスタ221は、基板222上に形成されたゲート電極223と、ゲート電極
223上に形成されたゲート絶縁膜224と、ゲート電極223と重なる位置においてゲ
ート絶縁膜224上に形成された島状の酸化物半導体膜225と、島状の酸化物半導体膜
225のうち、チャネル形成領域となる部分と重なるように、島状の酸化物半導体膜22
5上に形成されたチャネル保護膜231と、島状の酸化物半導体膜225上に形成された
ソース電極226及びドレイン電極227と、チャネル保護膜231、ソース電極226
及びドレイン電極227上に形成された酸化物絶縁膜228と、を有している。
【0099】
ゲート電極223と基板222の間には、下地膜となる絶縁膜が設けられていても良い。
下地膜は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用することができる。また、ゲー
ト電極223の材料は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用することができる
。
【0100】
ゲート電極223の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nm
とする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150n
mのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工
(パターニング)することで、ゲート電極223を形成する。
【0101】
ゲート絶縁膜224は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用し、実施の形態2
に示した作製方法を用いて形成することができる。本実施の形態では、プラズマCVD法
により形成される膜厚200nmの絶縁膜を、ゲート絶縁膜224として用いる。成膜条
件は、シランガスの流量4sccmとし、一酸化二窒素(N2O)の流量800sccm
とし、基板温度400℃とする。
【0102】
島状の酸化物半導体膜225は、実施の形態2と同様の材料及び積層構造を採用し、実施
の形態2に示した作製方法を用いて、ゲート電極223と重なる位置においてゲート絶縁
膜224上に形成することができる。
【0103】
本実施の形態では、酸化物半導体膜としてIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、及び
Zn(亜鉛)を含む酸化物半導体ターゲット(In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1
:1)を用いたスパッタ法により得られる、In-Ga-Zn-O系非単結晶膜を用いる
。本実施の形態では、DCスパッタ法を用い、アルゴンの流量30sccmとし、酸素の
流量15sccmとし、基板温度は室温とする。
【0104】
また、酸化物半導体膜225に含まれる水分、水素、ヒドロキシ基を脱離させるように、
減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、または超乾
燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定
した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下、好ましくは1ppm以下、
好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下において、加熱処理を施しておく。加熱処理
の条件については、実施の形態2を参照することができる。酸化物半導体膜225を加熱
処理することにより、酸化物半導体膜225は、膜内に含まれる水分、水素、ヒドロキシ
基が脱離する。
【0105】
チャネル保護膜231は、島状の酸化物半導体膜225のうち、後にチャネル形成領域と
なる部分と重なるように、島状の酸化物半導体膜225上に形成する。チャネル保護膜2
31を設けることによって、酸化物半導体膜225のチャネル形成領域となる部分に対す
る、後の工程時におけるダメージ(エッチング時のプラズマやエッチング剤による膜減り
など)を防ぐことができる。従って薄膜トランジスタの信頼性を向上させることができる
。
【0106】
チャネル保護膜231には、酸素を含む無機材料(酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪
素など)を用いることができる。チャネル保護膜231は、プラズマCVD法や熱CVD
法などの気相成長法やスパッタリング法を用いて形成することができる。チャネル保護膜
231は成膜後にエッチングにより形状を加工する。ここでは、スパッタ法により酸化珪
素膜を形成し、フォトリソグラフィによるマスクを用いてエッチング加工することでチャ
ネル保護膜231を形成する。
【0107】
また、島状の酸化物半導体膜225に接してスパッタ法またはPCVD法などにより酸化
物絶縁膜であるチャネル保護膜231を形成すると、チャネル保護膜231より酸素が供
給され、島状の酸化物半導体膜225において少なくともチャネル保護膜231と接する
領域が、キャリア濃度が好ましくは1×1018/cm3未満、さらに好ましくは1×1
014/cm3以下まで低くなることにより高抵抗化し、高抵抗化酸化物半導体領域とな
る。チャネル保護膜231の形成により、酸化物半導体膜225は、チャネル保護膜23
1との界面近傍に高抵抗化酸化物半導体領域を有することができる。
【0108】
また、ソース電極226、ドレイン電極227は、島状の酸化物半導体膜225及びチャ
ネル保護膜231上に、ソース電極ドレイン電極用の導電膜を形成した後、エッチング等
によりパターニングすることで形成される。ソース電極ドレイン電極用の導電膜として、
実施の形態2と同様の材料、積層構造及び膜厚を採用することができる。
【0109】
本実施の形態では、モリブデンターゲットを用いたスパッタ法によりソース電極ドレイン
電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工(パターニ
ング)することで、島状の酸化物半導体膜225上にソース電極226、ドレイン電極2
27を形成する。
【0110】
また、酸化物絶縁膜228は、島状の酸化物半導体膜225、ソース電極226、ドレイ
ン電極227に接するように、スパッタ法で形成される。酸化物絶縁膜228は、実施の
形態2と同様の材料及び積層構造を採用し、実施の形態2に示した作製方法を用いて形成
することができる。なお、チャネル保護膜231を形成した場合、必ずしも酸化物絶縁膜
228を形成する必要はない。
【0111】
なお、ソース電極226、ドレイン電極227を形成した後、酸化物絶縁膜228を形成
する前または形成した後に、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸
素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法
)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)以下
、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下において、酸化
物半導体膜225に再び加熱処理を施し、酸化物半導体膜225に含まれる水分、水素、
ヒドロキシ基を脱離させるようにしても良い。加熱処理の条件については、実施の形態2
を参照することができる。
【0112】
なお、
図8(C)に示すように、薄膜トランジスタ221は、酸化物絶縁膜228上に、
さらに導電膜229を有していても良い。該導電膜229は、ソース電極226またはド
レイン電極227と同様の材料または同様の積層構造を用いることが出来る。導電膜22
9の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nmとする。そして
、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、所望の形状に加工(パターニン
グ)することで、導電膜229を、酸化物半導体膜225のチャネル形成領域と重なるよ
うに形成する。上記導電膜229は、電気的に絶縁しているフローティングの状態であっ
ても良いし、電位が与えられる状態であっても良い。後者の場合、導電膜229には、ゲ
ート電極223と同じ高さの電位が与えられていても良いし、グラウンドなどの固定電位
が与えられていても良い。導電膜229に与える電位の高さを制御することで、薄膜トラ
ンジスタ221の閾値電圧を制御することができる。
【0113】
そして、導電膜229を形成する場合、導電膜229を覆うように絶縁膜230を形成す
る。絶縁膜230は、水分や、水素、ヒドロキシ基などの不純物を極力含まず、これらが
外部から侵入することをブロックする、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機絶縁膜を
用いる。
【0114】
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタは、アモルファスシリコンを用いた薄膜トランジ
スタよりも高い移動度を有し、なおかつアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタ
と同様に均一な素子特性を有している。よって、画素部のみならず、画素部よりも駆動周
波数の高い駆動回路を構成する半導体素子に、酸化物半導体を用いることができ、レーザ
結晶化などのプロセスを用いずともシステムオンパネルを実現することができる。
【0115】
また、加熱処理の温度に耐えうるように、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、また
は酸化物絶縁膜上の導電膜として、抵抗の高い金属材料を用いた場合でも、表示を行うラ
インの画素が有する走査線にのみ順にパルスを入力し、画素部の特定のエリアにおいての
み画像の表示を行うことで、半導体表示装置全体の消費電力を抑えることができ、信頼性
を高めることができる。
【0116】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0117】
(実施の形態5)
本実施の形態では、デコーダに用いられているNOR回路の、具体的な構成の一例につい
て説明する。
【0118】
図9に、NOR回路の回路図の一例を示す。
図9に示すNOR回路は、全てnチャネル型
の薄膜トランジスタを用いて形成されている。
【0119】
また、
図9に示すNOR回路は、そのソース電極とドレイン電極が互いに接続されたn個
のトランジスタ911-1~911-nと、トランジスタ912とを有している。なお、
本明細書において接続とは、2つの電極間において電気信号が伝達される状態の接続を意
味し、電極間に配線などの別の導体が存在していても良い。
【0120】
n個のトランジスタ911-1~911-nのソース電極には、低レベルの電源電圧VS
Sが与えられている。またn個のトランジスタ911-1~911-nのドレイン電極は
、トランジスタ912のソース電極に接続されており、該ソース電極の電圧が走査線に電
圧Voutとして与えられる。トランジスタ912のドレイン電極及びゲート電極には、
高レベルの電源電圧VDDが与えられている。
【0121】
NOR回路には、制御信号D1~Dn、制御信号Db1~Dbnから選ばれたnビットの
制御信号が入力されている。NOR回路に入力される制御信号の少なくとも1つが、高い
レベル(Hi)の電圧のとき、トランジスタ911-1~911-nの一つがオンになり
、低レベルの電源電圧VSSが、電圧Voutとして走査線に与えられる。
【0122】
次に、NOR回路に入力される制御信号が全て低レベル(Lo)の電圧になると、トラン
ジスタ911-1~911-nは全てオフになる。また、トランジスタ912はオンであ
るため、高レベルの電源電圧VDDが、電圧Voutとして走査線に与えられる。
【0123】
次に、
図10に、NOR回路の回路図の別の一例を示す。
図10に示すNOR回路は、全
てnチャネル型の薄膜トランジスタを用いて形成されている。
【0124】
また、
図10に示すNOR回路は、そのソース電極とドレイン電極が互いに接続されたn
個のトランジスタ901-1~901-nと、ソース電極とドレイン電極が互いに接続さ
れたn個のトランジスタ902-1~902-nと、トランジスタ903と、トランジス
タ904とを有している。
【0125】
トランジスタ901-1~901-nと、トランジスタ902-1~902-nとは、1
つずつ、ゲート電極が互いに接続されている。言い換えると、iが1乃至nから選ばれた
任意の数と定義すると、トランジスタ901-iとトランジスタ902-iのゲート電極
が接続されている。また、n個のトランジスタ901-1~901-nのソース電極と、
n個のトランジスタ902-1~902-nのソース電極には、低レベルの電源電圧VS
Sが与えられている。またn個のトランジスタ901-1~901-nのドレイン電極は
、トランジスタ903のソース電極及びトランジスタ904のゲート電極に接続されてい
る。トランジスタ903のドレイン電極及びゲート電極と、トランジスタ904のドレイ
ン電極には、高レベルの電源電圧VDDが与えられている。トランジスタ904のソース
電極と、n個のトランジスタ902-1~902-nのドレイン電極とは接続されており
、これらの電極の電圧が、走査線に電圧Voutとして与えられる。
【0126】
NOR回路には、制御信号D1~Dn、制御信号Db1~Dbnから選ばれたnビットの
制御信号が入力されている。NOR回路に入力される制御信号の少なくとも1つが、高い
レベル(Hi)の電圧のとき、トランジスタ901-1~901-nの一つ、及びトラン
ジスタ902-1~902-nの一つがオンになる。よって、オンのトランジスタを介し
て、低レベルの電圧VSSが、電圧Voutとして走査線に与えられる。また、オンのト
ランジスタを介して、トランジスタ903のソース電極及びトランジスタ904のゲート
電極にも、低レベルの電圧VSSが与えられる。
【0127】
次に、NOR回路に入力される制御信号が全て低レベル(Lo)の電圧になると、トラン
ジスタ901-1~901-n及びトランジスタ902-1~902-nが全てオフにな
る。また、トランジスタ903はオンであるため、電源電圧VDDからトランジスタ90
3に電流が流れはじめ、トランジスタ903のソース電極及びトランジスタ904のゲー
ト電極の電圧が上昇を始める。
【0128】
そして、トランジスタ904のゲート電極とソース電極間の電圧、すなわちゲート電圧が
、電源電圧VSS+トランジスタ904の閾値電圧Vthを超えると、トランジスタ90
4がオンになる。トランジスタ904がオンになると、電源電圧VDDからトランジスタ
904を介して電流が流れはじめ、トランジスタ904のソース電極の電圧である電圧V
outも、トランジスタ903のソース電極及びトランジスタ904のゲート電極の電圧
に追随するように、上昇を始める。
【0129】
次いで、トランジスタ903のソース電極が、電源電圧VDD-トランジスタ903の閾
値電圧Vthに時間の経過と共に近づくと、トランジスタ903は自動的にオフになる。
また、トランジスタ902-1~902-nも全てオフであるため、トランジスタ904
のゲート電極は浮遊状態となる。よって、トランジスタ904のゲート電極とソース電極
間の電圧差は、トランジスタ904のゲート容量により保持される。
【0130】
一方、トランジスタ903がオフした後もトランジスタ904はオンの状態を維持してい
るため、トランジスタ904のソース電極の電圧である電圧Voutは、上昇を続ける。
そのため、トランジスタ904のゲート電極の電圧は、電圧Voutが上昇すると共に、
ゲート電極とソース電極間の電圧差を保持しながら上昇を続ける。そして、トランジスタ
904のソース電極及び電圧Voutが電源電圧VDDに近づくと、電圧Voutの上昇
は停止し、電圧VDDに保たれる。
【0131】
このように、
図10に示すNOR回路のように、トランジスタ904のゲート電極を浮遊
状態とすることで、ブートストラップ動作を行うと、トランジスタ903及びトランジス
タ904の閾値電圧に係わらず、電圧Voutを電圧VDDに等しくすることができる。
【0132】
なお、
図10に示すNOR回路はブートストラップ動作を行うため、上述したようにトラ
ンジスタ904のゲート電極を浮遊状態にする必要がある。そして、トランジスタ904
のゲート電極を浮遊状態にする際に、トランジスタ904のゲート電極からリークする電
荷の量が大きいほど、ブートストラップ動作による上記ゲート電極における電位の上昇が
抑えられ、上記ゲート電極の電位は低くなってしまう。特に、
図10に示すNOR回路で
は、トランジスタ904のゲート電極にトランジスタ901-1~901-nが接続され
ており、トランジスタ904のゲート電極に接続されているトランジスタの数が多い。そ
のため、上記トランジスタからの電荷の漏れにより、トランジスタ904のゲート電極の
電位が低くなりやすい。
【0133】
そこで、
図10に示すNOR回路を構成するトランジスタとして、酸化物半導体をチャネ
ル形成領域に有するトランジスタを用いる。酸化物半導体をチャネル形成領域に有するト
ランジスタはオフ電流が低いため、トランジスタ904のゲート電極から漏れる電荷の量
を小さく抑えることができる。その結果、ブートストラップ動作を行った際に、トランジ
スタ904のゲート電極の電位を高くすることができる。したがって、トランジスタ90
4のゲート電圧を大きくすることができるので、電圧Voutの立ち上がり時間を短くす
ることができる。また、制御信号D1~Dn、制御信号Db1~Dbnの電位の振幅を小
さくすることができるので、NOR回路の消費電力を低減させることができる。
【0134】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0135】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の半導体表示装置の全体的な構成の一例について説明する。図
11に、本発明の半導体表示装置のブロック図を示す。
【0136】
図11(A)に示す半導体表示装置は、表示素子及び薄膜トランジスタを備えた画素を複
数有する画素部300と、各画素をラインごとに選択する走査線駆動回路301と、選択
されたラインの画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路302とを有する。
【0137】
図11(A)において、走査線駆動回路301はデコーダ303を有しており、走査線駆
動回路301に入力されるnビットの制御信号D1~Dnにより、その動作が制御されて
いる。具体的には、制御信号D1~Dnの、各ビットの値の組み合わせによって、デコー
ダ303から走査線を介して、画素部300にパルスを有する選択信号を順に入力するこ
とができる。また、制御信号D1~Dnの、各ビットの値の組み合わせによって、表示を
行うラインの画素にのみ順にパルスを入力し、それ以外の表示を行わないラインの画素に
はパルスの入力を行わないように、走査線駆動回路301を動作させることができる。
【0138】
また、信号線駆動回路302は、シフトレジスタ304と、サンプリング回路305とを
少なくとも有する。シフトレジスタ304に、シフトレジスタ304の動作を制御する駆
動用信号、具体的には、クロック信号S-CLKと、スタートパルス信号S-SPが入力
されると、これらの駆動用信号に従って、パルスが順次シフトするタイミング信号を生成
し、サンプリング回路305に入力する。サンプリング回路305では、入力されたタイ
ミング信号に従って、信号線駆動回路302に入力された1ライン期間分のビデオ信号が
サンプリングされ、そして、サンプリングされたビデオ信号は信号線を介して画素部30
0に順次入力される。
【0139】
一方、走査線駆動回路301は、入力される制御信号D1~Dnに従って、デコーダ30
3においてパルスを有する選択信号を生成し、各走査線に入力する。パルスにより選択さ
れた走査線を有する画素では、信号線を介してビデオ信号が入力される。
【0140】
なお、全ての信号線へのビデオ信号の書き込みが一通り終了するまでの時間を、ライン期
間と呼ぶ。実際には、上記ライン期間に水平帰線期間が加えられた期間をライン期間に含
むことがある。
【0141】
なお、ビデオ信号のサンプリングは対応する画素毎に順に行っても良いし、1ライン内の
画素をいくつかのグループに分け、各グループに対応する画素ごとに並行して行っても良
い。
【0142】
なお、
図11(A)では、サンプリング回路305の後段に直接画素部300が接続され
ているが、本発明はこの構成に限定されない。画素部300の前段に、サンプリング回路
305から出力されたビデオ信号に信号処理を施す回路を設けることができる。信号処理
を施す回路の一例として、例えば波形を整形することができるバッファなどが挙げられる
。
【0143】
また、
図11(A)では、ビデオ信号をサンプリングするためのタイミング信号を、シフ
トレジスタ304を用いて生成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、
図11(B)に示すように、シフトレジスタ304の代わりにデコーダ306を用いて、
タイミング信号を生成するようにしても良い。この場合、デコーダ306の動作を制御す
るための制御信号DS1~DSmを、駆動用信号として信号線駆動回路302に入力する
。
【0144】
デコーダ306を用いることで、信号線駆動回路302からビデオ信号を、一部エリアの
画素が有する信号線にのみ、サンプリングして入力することができる。フレーム周波数が
一定であるならば、選択されているラインの全ての画素にビデオ信号を入力するよりも、
選択されているラインの一部の画素にビデオ信号を入力する方が、信号線駆動回路302
の駆動周波数を低く抑えることができるので、消費電力を抑えることができる。
【0145】
なお、
図11に示す半導体表示装置は、画素部300、走査線駆動回路301または信号
線駆動回路302を一基板上に形成するシステムオンパネルであっても良い。システムオ
ンパネルとすることで、走査線駆動回路301または信号線駆動回路302などの駆動回
路と、画素部300とを接続するためのピン数を削減し、駆動回路と画素部の接続不良に
起因する歩留まり低下、ピンを用いた接続箇所における機械的強度の低さなどを、回避す
ることが可能となる。さらに、表示装置の小型化のみならず、組立工程や検査工程の削減
によるコストダウンも、システムオンパネルの実現により可能になる。システムオンパネ
ルの場合、FPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を
介して、コントローラから制御信号、ビデオ信号、駆動用信号などの各種信号と、電源電
圧とが、画素部300、走査線駆動回路301または信号線駆動回路302に供給される
。
【0146】
また、
図11に示す半導体表示装置は、システムオンパネルに限定されない。駆動周波数
の低い回路、例えば、走査線駆動回路301や、信号線駆動回路302のサンプリング回
路305に用いられているアナログスイッチなどを、画素部300と共に一基板上に形成
し、残りの、駆動周波数が比較的高いシフトレジスタ304やデコーダ306を、別の基
板上に形成する用にしても良い。この場合、駆動周波数が高い回路を、単結晶半導体を用
いた半導体素子で形成し、画素部300及び駆動周波数の低い回路を、酸化物半導体を用
いた半導体素子で形成することができる。このように、部分的にシステムオンパネルを採
用することで、上述した接続不良に起因する歩留まり低下、ピンを用いた接続箇所におけ
る機械的強度の低さなどを回避する、組立工程や検査工程の削減によるコストダウン、と
いったシステムオンパネルのメリットをある程度享受できる。さらに、画素部300、走
査線駆動回路301及び信号線駆動回路302を全て一基板上に形成するシステムオンパ
ネルに比べて、駆動周波数が高い回路の性能をより高めることができ、なおかつ、単結晶
半導体を用いた場合は実現することが難しい、面積の広い画素部を形成することができる
。
【0147】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0148】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体表示装置が有する、画素部の具体的な構
成の一例について説明する。
【0149】
図12は、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置の
、画素部の回路図である。
図12に示す画素部は、複数の信号線S1~Sx、複数の電源
線V1~Vx、複数の走査線G1~Gyを有している。複数の各画素310は、信号線S
1~Sxの一つと、電源線V1~Vxの一つと、走査線G1~Gyの一つとを、少なくと
も有している。
【0150】
各画素310は、発光素子313と、画素310へのビデオ信号の入力を制御するスイッ
チング用トランジスタ311と、発光素子313に供給する電流値を制御する駆動用トラ
ンジスタ312とを有している。スイッチング用トランジスタ311のゲート電極は、走
査線G1~走査線Gyの1つと接続されており、スイッチング用トランジスタ311のソ
ース電極とドレイン電極は、一方が信号線S1~信号線Sxの1つに接続され、他方が駆
動用トランジスタ312のゲート電極に接続されている。駆動用トランジスタ312のソ
ース電極とドレイン電極は、一方が電源線V1~電源線Vxの1つに接続され、他方が発
光素子313の画素電極に接続されている。また、画素310は保持容量314を有して
おり、該保持容量314は、一方の電極が電源線V1~電源線Vxの1つに接続され、他
方の電極が駆動用トランジスタ312のゲート電極に接続されている。
【0151】
発光素子313は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられた電界発光層とを有してい
る。陽極と陰極は、いずれか一方を画素電極、他方を対向電極として用いる。陽極が駆動
用トランジスタ312のソース電極またはドレイン電極と接続している場合、陽極が画素
電極、陰極が対向電極となる。逆に陰極が駆動用トランジスタ312のソース電極または
ドレイン電極と接続している場合、陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0152】
発光素子313の対向電極と、電源線には、それぞれ電源から電圧が与えられている。そ
して対向電極と電源線の電圧差は、駆動用トランジスタ312がオンになったときに発光
素子に順方向バイアスの電圧が印加されるような値に保たれている。
【0153】
走査線に入力される選択信号のパルスにより、スイッチング用トランジスタ311がオン
になると、信号線に入力されたビデオ信号の電圧が、駆動用トランジスタ312のゲート
電極に与えられる。この入力されたビデオ信号の電圧に従って、駆動用トランジスタ31
2のゲート電圧(ゲート電極とソース電極間の電圧差)が定まる。そして、該ゲート電圧
に従って流れる駆動用トランジスタ312のドレイン電流が発光素子313に供給される
ことで、発光素子313は発光する。
【0154】
特定のエリアにおいて画像を表示する場合、該エリアの画素が有する走査線にのみ、パル
スを有する選択信号を順次入力する。そして、該エリアの画素が有する信号線にのみ、画
像情報を有するビデオ信号を入力することで、特定のエリアにおいてのみ、画像を表示す
ることができる。
【0155】
なお、発光装置は、1フレーム期間中において画素が白を表示する時間を制御することで
階調を表示する時間階調駆動であっても良いし、アナログの画像情報を有するビデオ信号
を用いたアナログ階調駆動であっても良い。
【0156】
図12に示す画素310の構成は、本発明の半導体表示装置が有する画素のほんの一例で
あり、本発明は
図12に示す画素の構成に限定されない。
【0157】
図13は、液晶素子を各画素に備えた液晶表示装置の、画素部の回路図である。
図13に
示す画素部は、複数の信号線S1~Sx、複数の走査線G1~Gyを有している。複数の
各画素320は、信号線S1~Sxの一つと、走査線G1~Gyの一つとを、少なくとも
有している。
【0158】
画素320は、スイッチング素子として機能するトランジスタ321と、液晶素子322
と、保持容量323とを有している。トランジスタ321のゲート電極は、走査線G1~
走査線Gyの1つと接続されており、トランジスタ321のソース電極とドレイン電極は
、一方が信号線S1~信号線Sxの1つに接続され、他方が液晶素子322の画素電極に
接続されている。液晶素子322は、画素電極と、対向電極と、画素電極と対向電極の間
に挟まれた液晶とを有している。保持容量323は、液晶素子322の画素電極と対向電
極の間に印加された電圧を保持するために設けられている。具体的に保持容量323が有
する一対の電極のうち、一方は液晶素子322の画素電極に接続され、他方には一定の電
圧が与えられている。
【0159】
走査線G1~Gyが順に選択されると、選択された走査線を有する画素320において、
トランジスタ321がオンになる。そして、信号線S1~Sxに入力されたビデオ信号の
電圧が、オンのトランジスタ321を介して、液晶素子322の画素電極に与えられる。
液晶素子322では、電圧が印加されると液晶分子の配向が変化し、それに伴い液晶の屈
折率が変化する。よって、ビデオ信号の電圧に応じてその透過率が変化するため、液晶素
子322において階調を表現することができる。
【0160】
特定のエリアにおいて画像を表示する場合、該エリアの画素が有する走査線にのみ、パル
スを有する選択信号を順次入力する。そして、該エリアの画素が有する信号線にのみ、画
像情報を有するビデオ信号を入力することで、特定のエリアにおいてのみ、画像を表示す
ることができる。
【0161】
図13に示す画素320の構成は、本発明の半導体表示装置が有する画素のほんの一例で
あり、本発明は
図13に示す画素の構成に限定されない。
【0162】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体表示装置の一つである、電子ペーパー或いはデジタル
ペーパーと呼ばれる半導体表示装置について説明する。
【0163】
電子ペーパーは、電圧の印加により階調を制御することができ、なおかつメモリ性を有す
る表示素子を用いる。具体的に、電子ペーパーに用いられる表示素子には、非水系電気泳
動型の表示素子、2つの電極間の高分子材料中に液晶のドロップレットを分散させたPD
LC(polymer dispersed liquid crystal)方式の表
示素子、2つの電極間にカイラルネマチック液晶またはコレステリック液晶を有する表示
素子、2つの電極間に帯電した微粒子を有し、該微粒子を電界により粉体中で移動させる
粉体移動方式の表示素子などを用いることができる。また非水系電気泳動型の表示素子に
は、2つの電極間に帯電した微粒子を分散させた分散液を挟み込んだ表示素子、帯電した
微粒子を分散させた分散液を、絶縁膜を間に挟んだ2つの電極上に有する表示素子、それ
ぞれ異なる電荷に帯電する二色の半球を有するツイスティングボールを、2つの電極間に
おいて溶媒中に分散させた表示素子、溶液中に帯電した微粒子が複数分散されているマイ
クロカプセルを2つの電極間に有する表示素子などが含まれる。
【0164】
図14(A)に、電子ペーパーの画素部700と、信号線駆動回路701と、走査線駆動
回路702の上面図を示す。
【0165】
画素部700は複数の画素703を有している。また、信号線駆動回路701から複数の
信号線707が、画素部700内まで引き回されている。走査線駆動回路702から複数
の走査線708が、画素部700内まで引き回されている。
【0166】
各画素703はトランジスタ704と、表示素子705と、保持容量706とを有してい
る。トランジスタ704のゲート電極は、走査線708の一つに接続されている。またト
ランジスタ704のソース電極とドレイン電極は、一方が信号線707の一つに、他方が
表示素子705の画素電極に接続されている。
【0167】
なお
図14(A)では、表示素子705の画素電極と対向電極の間に印加された電圧を保
持するために、表示素子705と並列に保持容量706が接続されているが、表示素子7
05のメモリ性の高さが表示を維持するのに十分な程度に高いのであれば、保持容量70
6を必ずしも設ける必要はない。
【0168】
なお、
図14(A)では、各画素にスイッチング素子として機能するトランジスタを一つ
設けたアクティブマトリクス型の画素部の構成について説明したが、本発明の一態様に係
る電子ペーパーは、この構成に限定されない。画素に設けるトランジスタの数は複数であ
っても良いし、トランジスタと容量以外に、抵抗、コイルなどの素子が接続されていても
良い。
【0169】
図14(B)に、マイクロカプセルを有する電気泳動型の電子ペーパーを例に挙げ、各画
素703に設けられた表示素子705の断面図を示す。
【0170】
表示素子705は、画素電極710と、対向電極711と、画素電極710及び対向電極
711によって電圧が印加されるマイクロカプセル712とを有する。トランジスタ70
4のソース電極またはドレイン電極713の一方は、画素電極710に接続されている。
【0171】
マイクロカプセル712内には、酸化チタンなどのプラスに帯電した白色顔料と、カーボ
ンブラックなどのマイナスに帯電した黒色顔料とが、オイルなどの分散媒と共に封入され
ている。画素電極710に印加されるビデオ信号の電圧に従って、画素電極と対向電極の
間に電圧を印加し、正の電極側に黒色顔料を、負の電極側に白色顔料を引き寄せることで
、階調の表示を行うことができる。
【0172】
また、
図14(B)では、マイクロカプセル712が、画素電極710と対向電極711
の間において透光性を有する樹脂714により固定されている。しかし、本発明はこの構
成に限定されず、マイクロカプセル712、画素電極710、対向電極711によって形
成される空間には、空気、不活性ガスなどの気体が充填されていても良い。ただし、この
場合、マイクロカプセル712は、接着剤などにより画素電極710と対向電極711の
両方、或いはいずれか一方に、固定しておくことが望ましい。
【0173】
また、表示素子705が有するマイクロカプセル712の数は、
図14(B)に示すよう
に複数であるとは限らない。1つの表示素子705が複数のマイクロカプセル712を有
していても良いし、複数の表示素子705が1つのマイクロカプセル712を有していて
も良い。例えば2つの表示素子705が1つのマイクロカプセル712を共有し、一方の
表示素子705が有する画素電極710にプラスの電圧が、他方の表示素子705が有す
る画素電極710にマイナスの電圧が印加されていたとする。この場合、プラスの電圧が
印加された画素電極710と重なる領域において、マイクロカプセル712内では黒色顔
料が画素電極710側に引き寄せられ、白色顔料が対向電極711側に引き寄せられる。
逆に、マイナスの電圧が印加された画素電極710と重なる領域において、マイクロカプ
セル712内では白色顔料が画素電極710側に引き寄せられ、黒色顔料が対向電極71
1側に引き寄せられる。
【0174】
次に、電子ペーパーの具体的な駆動方法について、上述した電気泳動型の電子ペーパーを
例に挙げて説明する。
【0175】
電子ペーパーの動作は、初期化期間と、書込期間と、保持期間とに分けて説明することが
出来る。
【0176】
表示する画像を切り替える前に、まず初期化期間において画素部内の各画素の階調を一旦
統一することで、表示素子を初期化する。表示素子を初期化することで、残像が残るのを
防ぐことが出来る。具体的に、電気泳動型では、各画素の表示が白または黒となるように
、表示素子705が有するマイクロカプセル712によって表示される階調を調整する。
【0177】
本実施の形態では、黒を表示するような初期化用ビデオ信号を画素に入力した後、白を表
示するような初期化用ビデオ信号を画素に入力する場合の、初期化の動作について説明す
る。例えば、画像の表示を対向電極711側に向かって行う電気泳動型の電子ペーパーの
場合、まず、マイクロカプセル712内の黒色顔料が対向電極711側に、白色顔料が画
素電極710側に向くように、表示素子705に電圧を印加する。次いで、マイクロカプ
セル712内の白色顔料が対向電極711側に、黒色顔料が画素電極710側に向くよう
に、表示素子705に電圧を印加する。
【0178】
また、画素への初期化用ビデオ信号の入力が1回のみだと、初期化期間の前に表示されて
いた階調によっては、マイクロカプセル712内の白色顔料と黒色顔料の移動が中途半端
に終わってしまい、初期化期間が終了した後においても画素間において表示される階調に
差が生じてしまう可能性もある。そのため、共通電圧Vcomに対してマイナスの電圧-
Vpを、複数回、画素電極710に印加することで黒を表示し、共通電圧Vcomに対し
てプラスの電圧Vpを、複数回、画素電極710に印加することで白を表示することが望
ましい。
【0179】
なお、初期化期間前に各画素の表示素子によって表示されていた階調が異なると、初期化
用ビデオ信号を入力する必要最低限の回数も異なってくる。よって、初期化期間前に表示
されていた階調に合わせて、画素間で、初期化用ビデオ信号を入力する回数を変えるよう
にしても良い。この場合、初期化用ビデオ信号を入力する必要がなくなった画素には、共
通電圧Vcomを入力しておくと良い。
【0180】
なお、画素電極710に初期化用ビデオ信号の電圧Vpまたは電圧-Vpを複数回印加す
るためには、選択信号のパルスが各走査線に与えられている期間において、当該走査線を
有するラインの画素に、初期化用ビデオ信号を入力するという一連の動作を、複数回行う
。初期化用ビデオ信号の電圧Vpまたは電圧-Vpを画素電極710に複数回印加するこ
とで、マイクロカプセル712内における白色顔料と黒色顔料の移動を収束させて画素間
に階調の差が生じるのを防ぎ、画素部の画素を初期化することができる。
【0181】
なお、初期化期間では、各画素において黒を表示した後に白を表示するのではなく、白を
表示した後に黒を表示するようにしても良い。或いは、初期化期間では、各画素において
白を表示した後に黒を表示し、更にその後、白を表示しするようにしても良い。
【0182】
また、初期化期間の開始されるタイミングは、画素部内の全ての画素において同じである
必要はない。例えば、画素ごと、或いは同じラインに属する画素ごと、といったように、
初期化期間の開始されるタイミングを異ならせるようにしても良い。
【0183】
次に、書込期間では、画素に画像情報を有するビデオ信号を入力する。
【0184】
画素部全体で画像の表示を行う場合は、1フレーム期間において、全ての走査線に順に電
圧のパルスがシフトしている選択信号が入力される。そして、選択信号にパルスが出現し
ている1ライン期間内において、全ての信号線に画像情報を有するビデオ信号が入力され
る。
【0185】
画素電極710に印加されるビデオ信号の電圧に従って、マイクロカプセル712内の白
色顔料と黒色顔料が画素電極710側または対向電極711側に移動することで、表示素
子705は階調を表示する。
【0186】
なお、書込期間でも、初期化期間と同様に、画素電極710にビデオ信号の電圧を複数回
印加することが望ましい。よって、選択信号のパルスが各走査線に与えられている期間に
おいて、当該走査線を有するラインの画素にビデオ信号を入力するという一連の動作を、
複数回行う。
【0187】
次に、保持期間では、全ての画素に信号線を介して共通電圧Vcomを入力した後、走査
線への選択信号の入力または信号線へのビデオ信号の入力は行わない。よって、表示素子
705が有するマイクロカプセル712内の白色顔料と黒色顔料は、画素電極710と対
向電極711の間にプラスまたはマイナスの電圧が印加されない限りその配置は保持され
るので、表示素子705の表示する階調は保たれる。よって、書込期間において書き込ま
れた画像は、保持期間においても表示が維持される。
【0188】
なお、一部エリアにおいてのみ画像の表示を行う場合は、上述した初期化期間と、書込期
間と、保持期間のうち、初期化期間を省略するようにしても良い。
図16(A)に、1フ
レーム期間における、黒表示の初期化期間Taと、白表示の初期化期間Tbと、書込期間
Tcと、保持期間Tdの出現する順序を模式的に示す。初期化期間Taと初期化期間Tb
の順序は、逆であっても良い。また、
図16(B)に、一部エリアにおいてのみ画像の表
示を行う際に、初期化期間を省略した場合の、書込期間Tcと、保持期間Tdの出現する
順序を模式的に示す。初期化期間を省略する、或いは初期化の回数を減らすことで、走査
回数を削減し、走査線駆動回路の消費電力を抑えることが出来る。
【0189】
一部のエリアの画素においてのみ画像の表示を行う場合は、書込期間において、当該エリ
アの画素が有する走査線にのみ順に電圧のパルスがシフトしている選択信号を入力し、そ
の他の走査線にはパルスを有さない、すなわちフラットな高さの電圧を有する選択信号が
入力する。そして、選択信号にパルスが出現している1ライン期間内において、当該エリ
アの画素が有する信号線にのみ画像情報を有するビデオ信号を入力し、その他の信号線に
は画像の表示に寄与しないビデオ信号を入力する。
【0190】
なお、一部エリアにおいて画像を表示する場合でも、書込期間において、画素電極710
にビデオ信号の電圧を複数回印加することが望ましい。よって、選択信号のパルスが各走
査線に与えられている期間において、当該走査線を有するラインの画素にビデオ信号を入
力するという一連の動作を、複数回行う。
【0191】
また、電子ペーパーに用いられる表示素子705はメモリ性が高いため、初期化を行わな
い場合、連続するフレーム期間に渡って階調に変化がない画素では、表示素子に電圧を印
加せずに済ますことも可能である。例えば、
図15(A)に示すように、白地の中に黒丸
が描かれた画像を表示させた後、
図15(B)に示すように、黒丸の位置が
図15(A)
に示す画像と異なる画像を表示する場合、表示素子705が表示する階調は、領域Aでは
白から白のまま、領域Bでは黒から白、領域Cでは黒から黒のまま、領域Dでは白から黒
となる。
図17に、領域A~領域Dの画素において、画素電極710に印加される電圧と
、各走査線に入力される選択信号の電圧の、タイミングチャートを示す。
【0192】
領域Aでは、画像が切り替わっても階調に変化がないため、画素電極710に共通電圧V
comが印加される。共通電圧Vcomは対向電極711にも印加されているため、領域
Aの表示素子は、階調が変化せず、引き続き白を表示する。領域Bでは、画像が切り替わ
る際に黒から白へ階調が変化するため、画素電極710に電圧-Vpが印加される。よっ
て、領域Bの表示素子は、黒が表示される。領域Cでは、画像が切り替わっても階調に変
化がないため、画素電極710に共通電圧Vcomが印加される。共通電圧Vcomは対
向電極711間にも印加されているため、領域Cの表示素子は、階調が変化せず、引き続
き黒を表示する。領域Dでは、画像が切り替わる際に白から黒へ階調が変化するため、画
素電極710に電圧Vpが印加される。よって、領域Dの表示素子は、白が表示される。
【0193】
このように、連続するフレーム期間に渡って階調に変化がない画素において、表示素子に
電圧を印加しない場合、信号線駆動回路の消費電力を抑えることができる。
【0194】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0195】
(実施の形態9)
本実施の形態では、nチャネル型トランジスタを用いた信号線駆動回路の構成について説
明する。
【0196】
図18(A)に示す信号線駆動回路は、シフトレジスタ5601、及びサンプリング回路
5602を有する。サンプリング回路5602は、複数のスイッチング回路5602_1
~5602_N(Nは自然数)を有する。スイッチング回路5602_1~5602_N
は、各々、複数のnチャネル型トランジスタ5603_1~5603_k(kは自然数)
を有する。
【0197】
信号線駆動回路の接続関係について、スイッチング回路5602_1を例に挙げて説明す
る。なお、トランジスタが有するソース電極とドレイン電極のうち、いずれか一方を第1
端子、他方を第2端子として、以下、記述する。
【0198】
トランジスタ5603_1~5603_kの第1端子は、各々、配線5604_1~56
04_kと接続されている。配線5604_1~5604_kには、各々、ビデオ信号が
入力される。トランジスタ5603_1~5603_kの第2端子は、各々、信号線S1
~Skと接続されている。トランジスタ5603_1~5603_kのゲート電極は、配
線5605_1と接続される。
【0199】
シフトレジスタ5601は、配線5605_1~5605_Nに順番に高いレベルの電圧
(Hレベル)を有するタイミング信号を出力し、スイッチング回路5602_1~560
2_Nを順番に選択する機能を有する。
【0200】
スイッチング回路5602_1は、トランジスタ5603_1~5603_Nのスイッチ
ングにより、配線5604_1~5604_kと信号線S1~Skとの導通状態(第1端
子と第2端子との間の導通)を制御する機能、即ち配線5604_1~5604_kの電
位を信号線S1~Skに供給するか否かを制御する機能を有する。
【0201】
次に、
図18(A)の信号線駆動回路の動作について、
図18(B)のタイミングチャー
トを参照して説明する。
図18(B)には、シフトレジスタ5601から配線5605_
1~5605_Nにそれぞれ入力されるタイミング信号Sout_1~Sout_Nと、
配線5604_1~5604_kにそれぞれ入力されるビデオ信号Vdata_1~Vd
ata_kのタイミングチャートを一例として示す。
【0202】
なお、信号線駆動回路の1動作期間は、表示装置における1ライン期間に相当する。
図1
8(B)では、1ライン期間を期間T1~期間TNに分割する場合を例示している。期間
T1~TNは、各々、選択された行に属する一画素に、ビデオ信号を書き込むための期間
である。
【0203】
期間T1~期間TNにおいて、シフトレジスタ5601は、Hレベルのタイミング信号を
配線5605_1~5605_Nに順番に出力する。例えば、期間T1において、シフト
レジスタ5601は、Hレベルの信号を配線5605_1に出力する。すると、スイッチ
ング回路5602_1が有するトランジスタ5603_1~5603_kはオンになるの
で、配線5604_1~5604_kと、信号線S1~Skとが導通状態になる。このと
き、配線5604_1~5604_kには、Data(S1)~Data(Sk)が入力
される。Data(S1)~Data(Sk)は、各々、トランジスタ5603_1~5
603_kを介して、選択される行に属する画素のうち、1列目~k列目の画素に書き込
まれる。こうして、期間T1~TNにおいて、選択された行に属する画素に、k列ずつ順
番にビデオ信号が書き込まれる。
【0204】
以上のように、ビデオ信号が複数の列ずつ画素に書き込まれることによって、ビデオ信号
の数、又は配線の数を減らすことができる。よって、コントローラなどの外部回路との接
続数を減らすことができる。また、ビデオ信号が複数の列ずつ画素に書き込まれることに
よって、書き込み時間を長くすることができ、ビデオ信号の書き込み不足を防止すること
ができる。
【0205】
次に、信号線駆動回路に用いるシフトレジスタの一形態について
図19及び
図20を用い
て説明する。
【0206】
シフトレジスタは、第1のパルス出力回路10_1乃至第Nのパルス出力回路10_N(
N≧3の自然数)を有している(
図19(A)参照)。第1のパルス出力回路10_1乃
至第Nのパルス出力回路10_Nには、第1の配線11より第1のクロック信号CK1、
第2の配線12より第2のクロック信号CK2、第3の配線13より第3のクロック信号
CK3、第4の配線14より第4のクロック信号CK4が供給される。また第1のパルス
出力回路10_1では、第5の配線15からのスタートパルスSP1(第1のスタートパ
ルス)が入力される。また2段目以降の第nのパルス出力回路10_n(nは、2≦n≦
Nの自然数)では、一段前段のパルス出力回路からの信号(前段信号OUT(n-1)と
いう)(n≧2の自然数)が入力される。また第1のパルス出力回路10_1では、2段
後段の第3のパルス出力回路10_3からの信号が入力される。同様に、2段目以降の第
nのパルス出力回路10_nでは、2段後段の第(n+2)のパルス出力回路10_(n
+2)からの信号(後段信号OUT(n+2)という)が入力される。したがって、各段
のパルス出力回路からは、後段及び/または2つ前段のパルス出力回路に入力するための
第1の出力信号(OUT(1)(SR)~OUT(N))、別の配線等に電気的に接続さ
れる第2の出力信号(OUT(1)~OUT(N))が出力される。なお、
図19(A)
に示すように、シフトレジスタの最終段の2つの段には、後段信号OUT(n+2)が入
力されないため、一例としては、別途第2のスタートパルスSP2、第3のスタートパル
スSP3をそれぞれ入力する構成とすればよい。
【0207】
なお、クロック信号(CK)は、一定の間隔でHレベルとLレベル(低いレベルの電圧)
を繰り返す信号である。ここで、第1のクロック信号(CK1)~第4のクロック信号(
CK4)は、順に1/4周期分遅延している。本実施の形態では、第1のクロック信号(
CK1)~第4のクロック信号(CK4)を利用して、パルス出力回路の駆動の制御等を
行う。
【0208】
第1の入力端子21、第2の入力端子22及び第3の入力端子23は、第1の配線11~
第4の配線14のいずれかと電気的に接続されている。例えば、
図19(A)において、
第1のパルス出力回路10_1は、第1の入力端子21が第1の配線11と電気的に接続
され、第2の入力端子22が第2の配線12と電気的に接続され、第3の入力端子23が
第3の配線13と電気的に接続されている。また、第2のパルス出力回路10_2は、第
1の入力端子21が第2の配線12と電気的に接続され、第2の入力端子22が第3の配
線13と電気的に接続され、第3の入力端子23が第4の配線14と電気的に接続されて
いる。
【0209】
第1のパルス出力回路10_1~第Nのパルス出力回路10_Nの各々は、第1の入力端
子21、第2の入力端子22、第3の入力端子23、第4の入力端子24、第5の入力端
子25、第1の出力端子26、第2の出力端子27を有しているとする(
図19(B)参
照)。第1のパルス出力回路10_1において、第1の入力端子21に第1のクロック信
号CK1が入力され、第2の入力端子22に第2のクロック信号CK2が入力され、第3
の入力端子23に第3のクロック信号CK3が入力され、第4の入力端子24にスタート
パルスが入力され、第5の入力端子25に後段信号OUT(3)が入力され、第1の出力
端子26より第1の出力信号OUT(1)(SR)が出力され、第2の出力端子27より
第2の出力信号OUT(1)が出力されていることとなる。
【0210】
次に、パルス出力回路の具体的な回路構成の一例を、
図20(A)に示す。
【0211】
各パルス出力回路は、第1のトランジスタ31~第13のトランジスタ43を有している
(
図20(A)参照)。また、上述した第1の入力端子21~第5の入力端子25、及び
第1の出力端子26、第2の出力端子27に加え、第1の高電源電位VDDが供給される
電源線51、第2の高電源電位VCCが供給される電源線52、低電源電位VSSが供給
される電源線53から、第1のトランジスタ31~第13のトランジスタ43に信号、ま
たは電源電位が供給される。ここで
図20(A)の各電源線の電源電位の高さの関係は、
第1の電源電位VDD>第2の電源電位VCC>第3の電源電位VSSとする。なお、第
1のクロック信号(CK1)~第4のクロック信号(CK4)は、一定の間隔でHレベル
とLレベルを繰り返す信号であるが、HレベルのときVDD、LレベルのときVSSであ
るとする。なお電源線51の電位VDDを、電源線52の電位VCCより高くすることに
より、動作に影響を与えることなく、トランジスタのゲート電極に印加される電位を低く
抑えることができ、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減し、劣化を抑制すること
ができる。
【0212】
図20(A)において、第1のトランジスタ31は、第1端子が電源線51に電気的に接
続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気的に接続され、ゲート電極
が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第2のトランジスタ32は、第1端子
が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第9のトランジスタ39の第1端子に電気
的に接続され、ゲート電極が第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されて
いる。第3のトランジスタ33は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、
第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続されている。第4のトランジスタ34は、
第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接
続されている。第5のトランジスタ35は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、
第2端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電
極に電気的に接続され、ゲート電極が第4の入力端子24に電気的に接続されている。第
6のトランジスタ36は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第2の
トランジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続
され、ゲート電極が第5の入力端子25に電気的に接続されている。第7のトランジスタ
37は、第1端子が電源線52に電気的に接続され、第2端子が第8のトランジスタ38
の第2端子に電気的に接続され、ゲート電極が第3の入力端子23に電気的に接続されて
いる。第8のトランジスタ38は、第1端子が第2のトランジスタ32のゲート電極及び
第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続され、ゲート電極が第2の入力端子
22に電気的に接続されている。第9のトランジスタ39は、第1端子が第1のトランジ
スタ31の第2端子及び第2のトランジスタ32の第2端子に電気的に接続され、第2端
子が第3のトランジスタ33のゲート電極及び第10のトランジスタ40のゲート電極に
電気的に接続され、ゲート電極が電源線52に電気的に接続されている。第10のトラン
ジスタ40は、第1端子が第1の入力端子21に電気的に接続され、第2端子が第2の出
力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第9のトランジスタ39の第2端子に電気
的に接続されている。第11のトランジスタ41は、第1端子が電源線53に電気的に接
続され、第2端子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第2のトラン
ジスタ32のゲート電極及び第4のトランジスタ34のゲート電極に電気的に接続されて
いる。第12のトランジスタ42は、第1端子が電源線53に電気的に接続され、第2端
子が第2の出力端子27に電気的に接続され、ゲート電極が第7のトランジスタ37のゲ
ート電極に電気的に接続されている。第13のトランジスタ43は、第1端子が電源線5
3に電気的に接続され、第2端子が第1の出力端子26に電気的に接続され、ゲート電極
が第7のトランジスタ37のゲート電極に電気的に接続されている。
【0213】
図20(A)において、第3のトランジスタ33のゲート電極、第10のトランジスタ4
0のゲート電極、及び第9のトランジスタ39の第2端子の接続箇所をノードAとする。
また、第2のトランジスタ32のゲート電極、第4のトランジスタ34のゲート電極、第
5のトランジスタ35の第2端子、第6のトランジスタ36の第2端子、第8のトランジ
スタ38の第1端子、及び第11のトランジスタ41のゲート電極の接続箇所をノードB
とする(
図20(A)参照)。
【0214】
図20(A)に示したパルス出力回路を複数具備するシフトレジスタのタイミングチャー
トについて、
図20(B)に示す。
【0215】
なお、
図20(A)に示すように、ゲート電極に第2の電源電位VCCが印加される第9
のトランジスタ39を設けておくことにより、ブートストラップ動作の前後において、以
下のような利点がある。
【0216】
ゲート電極に第2の電位VCCが印加される第9のトランジスタ39がない場合、ブート
ストラップ動作によりノードAの電位が上昇すると、第1のトランジスタ31の第2端子
であるソース電極の電位が上昇していき、第1の電源電位VDDより高くなる。そして、
第1のトランジスタ31のソース電極が第1端子側、即ち電源線51側に切り替わる。そ
のため、第1のトランジスタ31においては、ゲート電極とソース電極の間、ゲート電極
とドレイン電極の間ともに、大きなバイアス電圧が印加されるために大きなストレスがか
かり、トランジスタの劣化の要因となりうる。そこで、ゲート電極に第2の電源電位VC
Cが印加される第9のトランジスタ39を設けておくことにより、ブートストラップ動作
によりノードAの電位は上昇するものの、第1のトランジスタ31の第2端子の電位の上
昇を生じないようにすることができる。つまり、第9のトランジスタ39を設けることに
より、第1のトランジスタ31のゲート電極とソース電極の間に印加される負のバイアス
電圧の値を小さくすることができる。よって、本実施の形態の回路構成とすることにより
、第1のトランジスタ31のゲート電極とソース電極の間に印加される負のバイアス電圧
も小さくできるため、ストレスによる第1のトランジスタ31の劣化を抑制することがで
きる。
【0217】
なお、第9のトランジスタ39を設ける箇所については、第1のトランジスタ31の第2
端子と第3のトランジスタ33のゲート電極との間に第1端子と第2端子を介して接続さ
れるように設ける構成であればよい。なお、本実施形態でのパルス出力回路を複数具備す
るシフトレジスタの場合、走査線駆動回路より段数の多い信号線駆動回路では、第9のト
ランジスタ39を省略してもよく、トランジスタ数を削減できるという利点がある。
【0218】
なお第1のトランジスタ31乃至第13のトランジスタ43の半導体層として、酸化物半
導体を用いることにより、トランジスタのオフ電流を低減すると共に、オン電流及び電界
効果移動度を高めることができ、さらに劣化の度合いを低減することが出来るため、回路
内の誤動作を低減することができる。また酸化物半導体を用いたトランジスタは、アモル
ファスシリコンを用いたトランジスタに比べ、ゲート電極に高電位が印加されることによ
るトランジスタの劣化の程度が小さい。そのため、第2の電源電位VCCを供給する電源
線に、第1の電源電位VDDを供給しても同様の動作が得られ、且つ回路間を引き回す電
源線の数を低減することができるため、回路の小型化を図ることが出来る。
【0219】
なお、第7のトランジスタ37のゲート電極に第3の入力端子23によって供給されるク
ロック信号、第8のトランジスタ38のゲート電極に第2の入力端子22によって供給さ
れるクロック信号は、第7のトランジスタ37のゲート電極に第2の入力端子22によっ
て供給されるクロック信号、第8のトランジスタ38のゲート電極に第3の入力端子23
によって供給されるクロック信号となるように、結線関係を入れ替えても同様の作用を奏
する。このとき、
図20(A)に示すシフトレジスタにおいて、第7のトランジスタ37
及び第8のトランジスタ38が共にオンの状態から、第7のトランジスタ37がオフ、第
8のトランジスタ38がオンの状態、次いで第7のトランジスタ37がオフ、第8のトラ
ンジスタ38がオフの状態とすることによって、第2の入力端子22及び第3の入力端子
23の電位が低下することで生じる、ノードBの電位の低下が第7のトランジスタ37の
ゲート電極の電位の低下、及び第8のトランジスタ38のゲート電極の電位の低下に起因
して2回生じることとなる。一方、
図20(A)に示すシフトレジスタを
図20(B)の
期間のように、第7のトランジスタ37及び第8のトランジスタ38が共にオンの状態か
ら、第7のトランジスタ37がオン、第8のトランジスタ38がオフの状態、次いで、第
7のトランジスタ37がオフ、第8のトランジスタ38がオフの状態とすることによって
、第2の入力端子22及び第3の入力端子23の電位が低下することで生じるノードBの
電位の低下を、第8のトランジスタ38のゲート電極の電位の低下による一回に低減する
ことができる。そのため、第7のトランジスタ37のゲート電極に第3の入力端子23か
らクロック信号が供給され、第8のトランジスタ38のゲート電極に第2の入力端子22
からクロック信号が供給される結線関係とすることが好適である。なぜなら、ノードBの
電位の変動回数が低減され、またノイズを低減することができるからである。
【0220】
このように、第1の出力端子26及び第2の出力端子27の電位をLレベルに保持する期
間に、ノードBに定期的にHレベルの信号が供給される構成とすることにより、パルス出
力回路の誤動作を抑制することができる。
【0221】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0222】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体表示装置の作製方法について、
図21乃
至
図26を用いて説明する。
【0223】
図21(A)において、透光性を有する基板400には、アルミノシリケートガラス、バ
リウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどの電子工業用に使われる各種ガ
ラス基板を用いることができる。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からな
る基板は、耐熱温度が一般的に低い傾向にあるが、後の作製工程における処理温度に耐え
得るのであれば、基板400として用いることが可能である。プラスチック基板として、
ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル、ポリエーテルスルホ
ン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(
PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイ
ミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポ
リ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0224】
次いで、導電膜を基板400全面に形成した後、第1のフォトリソグラフィ工程を行い、
レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して配線及び電極(ゲート
電極401を含むゲート配線、容量配線408、及び第1の端子421)を形成する。こ
のとき少なくともゲート電極401の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチング
する。
【0225】
上記導電膜の材料として、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオ
ジム、スカンジウム等の金属材料、これら金属材料を主成分とする合金材料、或いはこれ
ら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いることができる。なお、後の工程において行わ
れる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上記金属材料としてアルミニウム、銅を用い
ることも出来る。
【0226】
例えば、二層の積層構造を有する導電膜として、窒化チタン膜とモリブデン膜とを積層し
た二層構造とすることが好ましい。三層の積層構造としては、タングステン膜または窒化
タングステン膜と、アルミニウムと珪素の合金膜またはアルミニウムとチタンの合金膜と
、窒化チタン膜またはチタン膜とを積層した三層構造とすることが好ましい。
【0227】
次いで、
図21(B)に示すように、ゲート電極401、容量配線408、第1の端子4
21上にゲート絶縁膜402を形成する。ゲート絶縁膜402はスパッタ法、PCVD法
などを用い、膜厚を50~250nmとする。
【0228】
例えば、ゲート絶縁膜402としてスパッタ法により酸化珪素膜を用い、100nmの厚
さで形成する。勿論、ゲート絶縁膜402はこのような酸化珪素膜に限定されるものでな
く、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、酸化アルミニウム、酸化タンタル膜などの他の絶縁膜
を用い、これらの材料から成る単層または積層構造として形成しても良い。
【0229】
次に、ゲート絶縁膜402上に、酸化物半導体膜403(In-Ga-Zn-O系非単結
晶膜)を成膜する。プラズマ処理後、大気に曝すことなくIn-Ga-Zn-O系非単結
晶膜を成膜することは、ゲート絶縁膜402と酸化物半導体膜403の界面にゴミや水分
を付着させない点で有用である。ここでは、直径8インチのIn、Ga、及びZnを含む
酸化物半導体ターゲット(In-Ga-Zn-O系酸化物半導体ターゲット(In2O3
:Ga2O3:ZnO=1:1:1))を用いて、基板400とターゲットの間の距離を
170mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素のみ、アルゴンのみ、
又はアルゴン及び酸素雰囲気下で成膜する。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、
成膜によって生じるごみが軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。In-Ga
-Zn-O系非単結晶膜の膜厚は、5nm~200nmとする。本実施の形態では、膜厚
50nmのIn-Ga-Zn-O系非単結晶膜を成膜する。
【0230】
チャネル形成領域を形成するための酸化物半導体膜403には、上述したような半導体特
性を有する酸化物材料を用いればよい。
【0231】
スパッタ法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタ法と、DCスパッタ法
があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ法もある。RFスパッタ
法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタ法は主に金属膜を成膜する場合
に用いられる。
【0232】
また、材料の異なるターゲットを複数設置できる多元スパッタ装置もある。多元スパッタ
装置は、同一チャンバーで異なる材料膜を積層成膜することも、同一チャンバーで複数種
類の材料を同時に放電させて成膜することもできる。
【0233】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタ法を用いるスパッタ装置
や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRスパッタ
法を用いるスパッタ装置がある。
【0234】
また、スパッタ法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガス成分
とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタ法や、成膜中に
基板にも電圧をかけるバイアススパッタ法もある。
【0235】
次に、
図21(C)に示すように、第2のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマス
クを形成し、酸化物半導体膜403をエッチングする。例えば燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた
溶液を用いたウェットエッチングにより、不要な部分を除去して島状の酸化物半導体膜4
04をゲート電極401と重なるように形成する。なお、ここでのエッチングは、ウェッ
トエッチングに限定されずドライエッチングを用いてもよい。
【0236】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例え
ば塩素(Cl2)、塩化硼素(BCl3)、塩化珪素(SiCl4)、四塩化炭素(CC
l4)など)が好ましい。
【0237】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF4)、弗化硫黄(SF
6)、弗化窒素(NF3)、トリフルオロメタン(CHF3)など)、臭化水素(HBr
)、酸素(O2)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを
添加したガス、などを用いることができる。
【0238】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の加工形状にエッチングでき
るように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加さ
れる電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0239】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、I
TO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0240】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体膜に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる
。
【0241】
所望の形状に加工できるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング液、エッチ
ング時間、温度等)を適宜調節する。
【0242】
次に、
図22(A)に示すように、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気
下、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー
分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃
)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下において
、酸化物半導体膜404に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜405が形成される。
具体的には、不活性ガス雰囲気(窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等)下におい
て、400℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下の温度範囲で、島
状の酸化物半導体膜404に加熱処理を施し、その後、不活性雰囲気下で室温以上100
℃未満の範囲まで徐冷を行う。酸化物半導体膜404を上記雰囲気下で加熱処理すること
により、酸化物半導体膜404の膜内に含まれる水分、水素、ヒドロキシ基が脱離する。
従って、上記酸化物半導体膜405を用いてチャネル形成領域が形成された薄膜トランジ
スタは、高いオン電流が得られる。
【0243】
加熱処理は、電気炉を用いた加熱方法、加熱した気体を用いるGRTA(Gas Rap
id Thermal Anneal)法またはランプ光を用いるLRTA(Lamp
Rapid Thermal Anneal)法などの瞬間加熱方法などを用いることが
できる。例えば、電気炉を用いて加熱処理を行う場合、昇温特性を0.1℃/min以上
20℃/min以下、降温特性を0.1℃/min以上15℃/min以下とすることが
好ましい。
【0244】
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水
分、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、また
はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好
ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましく
は0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0245】
加熱処理後の、島状の酸化物半導体膜405は、一部あるいは全部が結晶化していても良
い。
【0246】
なお、酸化物半導体膜405に加熱処理を行った後に、酸素雰囲気下で該酸化物半導体膜
405に加熱処理を施すことで、酸化物半導体膜405に含まれる水分などの不純物を除
去することができる。そして、酸素雰囲気下での加熱処理により、酸化物半導体膜405
を酸素が過剰な状態とすることで、高抵抗化できる。酸素雰囲気下での加熱処理の温度は
、酸化物半導体を構成しているZnなどの融点の低い金属が気化しにくい温度、例えば1
00℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満で行う。上記酸素雰囲気
下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水分、水素などが含まれないことが好ましい。
または、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好
ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1ppm以下、
好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0247】
なお、
図22(A)の破線C1-C2の範囲内の断面図と、破線D1-D2の範囲内の断
面図は、
図24に示す平面図の、破線C1-C2における断面図と、破線D1-D2にお
ける断面図に相当する。
【0248】
次に、
図22(B)に示すように、酸化物半導体膜405上に金属材料からなる導電膜4
06をスパッタ法や真空蒸着法で形成する。導電膜406の材料としては、アルミニウム
、クロム、タンタル、チタン、マンガン、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ジ
ルコニウム、ベリリウム、イットリウムから選ばれた元素、または上記元素を1つまたは
複数成分として含む合金等を用いることが出来る。なお、導電膜406の形成後に加熱処
理を行う場合には、この加熱処理に対する耐熱性を導電膜406に持たせることが好まし
い。アルミニウム単体では耐熱性が劣り、また腐蝕しやすい等の問題点があるので、導電
膜406の形成後に加熱処理を行う場合は、耐熱性導電性材料と組み合わせて導電膜40
6を形成する。アルミニウムと組み合わせる耐熱性導電性材料としては、チタン、タンタ
ル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素、ま
たは上記元素を1つまたは複数成分として含む合金、または上記元素を成分として含む窒
化物などが好ましい。
【0249】
次に、
図22(C)に示すように、第3のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマス
クを形成し、エッチングにより不要な部分を除去してソース電極407a又はドレイン電
極407b、及び第2の端子420を形成する。この際のエッチング方法としてウェット
エッチングまたはドライエッチングを用いる。例えば導電膜406としてアルミニウム膜
、又はアルミニウム合金膜を用いる場合は、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液を用いたウェ
ットエッチングを行うことができる。また、アンモニア過水を用いたウェットエッチング
により、導電膜406をエッチングしてソース電極407a又はドレイン電極407bを
形成してもよい。
【0250】
このエッチング工程において、酸化物半導体膜405の露出領域も一部エッチングされる
ことがある。この場合、ソース電極407a又はドレイン電極407bの間の酸化物半導
体膜409は膜厚の薄い領域となる。
【0251】
この第3のフォトリソグラフィ工程において、ソース電極407a又はドレイン電極40
7bと同じ材料である第2の端子420を端子部に残す。なお、第2の端子420はソー
ス配線(ソース電極407a又はドレイン電極407bを含むソース配線)と電気的に接
続されている。
【0252】
また、多階調マスクにより形成した複数(例えば二種類)の厚さの領域を有するレジスト
マスクを用いると、レジストマスクの数を減らすことができるため、工程簡略化、低コス
ト化が図れる。
【0253】
次に、レジストマスクを除去し、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下
、酸素ガス雰囲気下、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分
光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃)
以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下において、
酸化物半導体膜409に再び加熱処理を施し、酸化物半導体膜409に含まれる水分、水
素、ヒドロキシ基を脱離させるようにしても良い。ソース電極407a又はドレイン電極
407bを形成した後の加熱処理は、ソース電極407a又はドレイン電極407bの耐
熱性を考慮し、ソース電極407a又はドレイン電極407bを形成する前に行う加熱処
理よりも低い温度で行うことが望ましい。具体的には、350℃以上650℃以下、好ま
しくは400℃以上600℃以下の温度範囲で行うと良い。
【0254】
なお、
図22(C)の破線C1-C2の範囲内の断面図と、破線D1-D2の範囲内の断
面図は、
図25に示す平面図の、破線C1-C2における断面図と、破線D1-D2にお
ける断面図に相当する。
【0255】
次に、
図23(A)に示すように、ゲート絶縁膜402、酸化物半導体膜409、ソース
電極407a又はドレイン電極407bを覆う酸化物絶縁膜411を形成する。酸化物絶
縁膜411はPCVD法により形成する酸化窒化珪素膜を用いる。ソース電極407a又
はドレイン電極407bの間に設けられた酸化物半導体膜409の露出領域と酸化物絶縁
膜411である酸化窒化珪素膜が接して設けられることによって、酸素が供給され、酸化
物絶縁膜411と接する酸化物半導体膜409の領域が高抵抗化(キャリア濃度が低まる
、好ましくは1×10
18/cm
3未満)し、高抵抗化したチャネル形成領域を有する酸
化物半導体膜412を形成することができる。
【0256】
次いで、酸化物絶縁膜411を形成した後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は大気雰
囲気下、又は窒素雰囲気下において、350℃以上650℃以下、好ましくは400℃以
上600℃以下の温度範囲で行うと良い。該加熱処理を行うと、酸化物半導体膜412が
酸化物絶縁膜411と接した状態で加熱されることになり、さらに酸化物半導体膜412
を高抵抗化させてトランジスタの電気特性の向上および、電気特性のばらつきを軽減する
ことができる。この加熱処理は、酸化物絶縁膜411の形成後であれば特に限定されず、
他の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透明導電膜を低抵抗化させるための加熱処
理と兼ねることで、工程数を増やすことなく行うことができる。
【0257】
以上の工程で薄膜トランジスタ413が作製できる。
【0258】
次に、第4のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、酸化物絶縁膜4
11及びゲート絶縁膜402のエッチングによりコンタクトホールを形成し、ドレイン電
極407bの一部、第1の端子421の一部、第2の端子420の一部を露出させる。次
いで、レジストマスクを除去した後、透明導電膜を成膜する。透明導電膜の材料としては
、酸化インジウム(In2O3)や酸化インジウムスズ(In2O3―SnO2、ITO
と略記する)などをスパッタ法や真空蒸着法などを用いて形成する。このような材料のエ
ッチング処理は塩酸系の溶液により行う。しかし、特にITOのエッチングは残渣が発生
しやすいので、エッチング加工性を改善するために酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2
O3―ZnO)を用いても良い。また、透明導電膜を低抵抗化させるための加熱処理を行
う場合、酸化物半導体膜412を高抵抗化させてトランジスタの電気特性の向上および、
電気特性のばらつきを軽減する熱処理と兼ねることができる。
【0259】
次に、第5のフォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングによ
り不要な部分を除去してドレイン電極407bに接続された画素電極414と、第1の端
子421に接続された透明導電膜415と、第2の端子420に接続された透明導電膜4
16とを形成する。
【0260】
透明導電膜415、416はFPCとの接続に用いられる電極または配線となる。第1の
端子421上に形成された透明導電膜415は、ゲート配線の入力端子として機能する接
続用の端子電極となる。第2の端子420上に形成された透明導電膜416は、ソース配
線の入力端子として機能する接続用の端子電極である。
【0261】
この第5のフォトリソグラフィ工程において、ゲート絶縁膜402及び酸化物絶縁膜41
1を誘電体として、容量配線408と画素電極414とで保持容量が形成される。
【0262】
レジストマスクを除去した段階での断面図を
図23(C)に示す。なお、
図23(C)の
破線C1-C2の範囲内の断面図と、破線D1-D2の範囲内の断面図は、
図26に示す
平面図の、破線C1-C2における断面図と、破線D1-D2における断面図に相当する
。
【0263】
こうして5回のフォトリソグラフィ工程により、5枚のフォトマスクを使用して、ボトム
ゲート型のスタガ構造の薄膜トランジスタ413、保持容量を完成させることができる。
そして、これらを個々の画素に対応してマトリクス状に配置して画素部を構成することに
よりアクティブマトリクス型の表示装置を作製するための一方の基板とすることができる
。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0264】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置を作製する場合には、アクティブマトリクス基板
と、対向電極が設けられた対向基板との間に液晶層を設け、アクティブマトリクス基板と
対向基板とを固定する。
【0265】
また、容量配線を設けず、画素電極を隣り合う画素のゲート配線と酸化物絶縁膜及びゲー
ト絶縁膜を介して重ねて保持容量を形成してもよい。
【0266】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、マトリクス状に配置された画素電極
を駆動することによって、画面上に表示パターンが形成される。詳しくは選択された画素
電極と該画素電極に対応する対向電極との間に電圧が印加されることによって、画素電極
と対向電極との間に配置された液晶層の光学変調が行われ、この光学変調が表示パターン
として観察者に認識される。
【0267】
発光表示装置を作製する場合は、各有機発光素子の間に有機樹脂膜を用いた隔壁を設ける
場合がある。その場合には、有機樹脂膜を加熱処理するので、上記有機樹脂膜への加熱処
理と、酸化物半導体膜412を高抵抗化させてトランジスタの電気特性の向上および、電
気特性のばらつきを軽減する加熱処理とを兼ねることができる。
【0268】
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタで形成することにより、製造コストを低減するこ
とができる。特に、加熱処理による水分、水素、OHなどの不純物の低減によって酸化物
半導体膜の純度を高めるため、電気特性が良好で信頼性のよい薄膜トランジスタを有する
半導体表示装置を作製することができる。
【0269】
チャネル形成領域の半導体膜は高抵抗化領域であるので、薄膜トランジスタの電気特性は
安定化し、オフ電流の増加などを防止することができる。よって、電気特性が良好で信頼
性のよい薄膜トランジスタを有する半導体表示装置とすることが可能となる。
【0270】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【0271】
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る液晶表示装置の構成について説明する。
【0272】
図27に、本発明の一態様に係る液晶表示装置の断面図を一例として示す。
図27に示す
薄膜トランジスタ1401は、絶縁表面上に形成されたゲート電極1402と、ゲート電
極1402を覆うように形成されたゲート絶縁膜1403と、ゲート絶縁膜1403を間
に挟んでゲート電極1402と重なるように形成された、酸化物半導体膜1404と、酸
化物半導体膜1404上に形成されたソース領域またはドレイン領域として機能する一対
の半導体膜1405と、一対の半導体膜1405上に形成されたソース電極またはドレイ
ン電極として機能する、一対の導電膜1406と、酸化物絶縁膜1407とを有する。酸
化物絶縁膜1407は、少なくとも酸化物半導体膜1404と接しており、ゲート電極1
402と、ゲート絶縁膜1403と、酸化物半導体膜1404と、一対の半導体膜140
5と、一対の導電膜1406とを覆うように形成されている。
【0273】
酸化物絶縁膜1407上には絶縁膜1408が形成されている。酸化物絶縁膜1407、
絶縁膜1408の一部には開口部が設けられており、該開口部において導電膜1406の
一つと接するように、画素電極1410が形成されている。
【0274】
また、絶縁膜1408上には、液晶素子のセルギャップを制御するためのスペーサ141
7が形成されている。スペーサ1417は絶縁膜を所望の形状にエッチングすることで形
成することが可能であるが、フィラーを絶縁膜1408上に分散させることでセルギャッ
プを制御するようにしても良い。
【0275】
そして、画素電極1410上には、配向膜1411が形成されている。配向膜1411は
、例えば絶縁膜にラビング処理を施すことで、形成することができる。また画素電極14
10と対峙する位置には、対向電極1413が設けられており、対向電極1413の画素
電極1410に近い側には配向膜1414が形成されている。そして、画素電極1410
と、対向電極1413の間においてシール材1416に囲まれた領域には、液晶1415
が設けられている。なおシール材1416にはフィラーが混入されていても良い。
【0276】
画素電極1410と対向電極1413は、例えば酸化珪素を含む酸化インジウムスズ(I
TSO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(
IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などの透明導電材料を用いることがで
きる。なお、本実施の形態では、画素電極1410及び対向電極1413に光を透過する
導電膜を用い、透過型の液晶素子を作製する例を示すが、本発明はこの構成に限定されな
い。本発明の一態様に係る液晶表示装置は、半透過型または反射型であっても良い。
【0277】
カラーフィルタや、ディスクリネーションを防ぐための遮蔽膜(ブラックマトリクス)な
どが、
図27に示した液晶表示装置に設けられていても良い。
【0278】
なお、本実施の形態では、液晶表示装置として、TN(Twisted Nematic
)型を示したが、VA(Vertical Alignment)型、OCB(opti
cally compensated Birefringence)型、IPS(In
-Plane Switching)型等の、その他の液晶表示装置にも、本発明の薄膜
トランジスタを用いることができる。
【0279】
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、信頼性が高い。
【0280】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0281】
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る薄膜トランジスタを画素に用いた、発光装置の
構成について説明する。本実施の形態では、発光素子を駆動させるためのトランジスタが
n型の場合における、画素の断面構造について、
図28を用いて説明する。なお
図28で
は、第1の電極が陰極、第2の電極が陽極の場合について説明するが、第1の電極が陽極
、第2の電極が陰極であっても良い。
【0282】
図28(A)に、トランジスタ6031がn型で、発光素子6033から発せられる光を
第1の電極6034側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。トランジスタ6031
は絶縁膜6037で覆われており、絶縁膜6037上には開口部を有する隔壁6038が
形成されている。隔壁6038の開口部において第1の電極6034が一部露出しており
、該開口部において第1の電極6034、電界発光層6035、第2の電極6036が順
に積層されている。
【0283】
第1の電極6034は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ仕事関数の小さ
い金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成することができる。
具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金
属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化
合物(フッ化カルシウム、窒化カルシウム)の他、YbやEr等の希土類金属を用いるこ
とができる。また電子注入層を設ける場合、アルミニウムなどの他の導電層を用いること
も可能である。そして第1の電極6034を、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5
nm~30nm程度)で形成する。さらに、光が透過する程度の膜厚を有する上記導電層
の上または下に接するように、透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電層を形
成し、第1の電極6034のシート抵抗を抑えるようにしても良い。なお、インジウム錫
酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添
加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いた導電層だけを用い
ることも可能である。また、第1の電極6034に、ITO及び酸化珪素を含むインジウ
ム錫酸化物(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2
~20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。透光性酸化物導電材料を
用いる場合、電界発光層6035に電子注入層を設けるのが望ましい。
【0284】
また第2の電極6036は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ
陽極として用いるのに適する材料で形成する。例えば、窒化チタン、窒化ジルコニウム、
チタン、タングステン、ニッケル、白金、クロム、銀、アルミニウム等の1つまたは複数
からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン
膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を第2の電極6036
に用いることができる。
【0285】
電界発光層6035は、単数または複数の層で構成されている。複数の層で構成されてい
る場合、これらの層は、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、
電子輸送層、電子注入層などに分類することができる。電界発光層6035が発光層の他
に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれかを有している場合、第
1の電極6034から、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層の順
に積層する。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している
材料が一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。各層には、有機系の材料、無
機系の材料を用いることが可能である。有機系の材料として、高分子系、中分子系、低分
子系のいずれの材料も用いることが可能である。なお中分子系の材料とは、構造単位の繰
返しの数(重合度)が2から20程度の低重合体に相当する。正孔注入層と正孔輸送層と
の区別は必ずしも厳密なものではなく、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な
特性である意味において同じである。便宜上正孔注入層は陽極に接する側の層であり、正
孔注入層に接する層を正孔輸送層と呼んで区別する。電子輸送層、電子注入層についても
同様であり、陰極に接する層を電子注入層と呼び、電子注入層に接する層を電子輸送層と
呼んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。
【0286】
図28(A)に示した画素の場合、発光素子6033から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第1の電極6034側から取り出すことができる。
【0287】
次に
図28(B)に、トランジスタ6041がn型で、発光素子6043から発せられる
光を第2の電極6046側から取り出す場合の、画素の断面図を示す。トランジスタ60
41は絶縁膜6047で覆われており、絶縁膜6047上には開口部を有する隔壁604
8が形成されている。隔壁6048の開口部において第1の電極6044が一部露出して
おり、該開口部において第1の電極6044、電界発光層6045、第2の電極6046
が順に積層されている。
【0288】
第1の電極6044は、光を反射もしくは遮蔽する材料及び膜厚で形成し、なおかつ仕事
関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成すること
ができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアル
カリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、および
これらの化合物(フッ化カルシウム、窒化カルシウム)の他、YbやEr等の希土類金属
を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、アルミニウムなどの他の導電層を
用いることも可能である。
【0289】
また第2の電極6046は、光を透過する材料または膜厚で形成し、なおかつ陽極として
用いるのに適する材料で形成する。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(
ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)など
その他の透光性酸化物導電材料を第2の電極6046に用いることが可能である。またI
TO及び酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(以下、ITSOとする)や、酸化珪素を含
んだ酸化インジウムに、さらに2~20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを第2の
電極6046に用いても良い。また上記透光性酸化物導電材料の他に、例えば窒化チタン
、窒化ジルコニウム、チタン、タングステン、ニッケル、白金、クロム、銀、アルミニウ
ム等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜
との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等
を第2の電極6046に用いることもできる。ただし透光性酸化物導電材料以外の材料を
用いる場合、光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm~30nm程度)で第2の電
極6046を形成する。
【0290】
電界発光層6045は、
図28(A)の電界発光層6035と同様に形成することができ
る。
【0291】
図28(B)に示した画素の場合、発光素子6043から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第2の電極6046側から取り出すことができる。
【0292】
次に
図28(C)に、トランジスタ6051がn型で、発光素子6053から発せられる
光を第1の電極6054側及び第2の電極6056側から取り出す場合の、画素の断面図
を示す。トランジスタ6051は絶縁膜6057で覆われており、絶縁膜6057上には
開口部を有する隔壁6058が形成されている。隔壁6058の開口部において第1の電
極6054が一部露出しており、該開口部において第1の電極6054、電界発光層60
55、第2の電極6056が順に積層されている。
【0293】
第1の電極6054は、
図28(A)の第1の電極6034と同様に形成することができ
る。また第2の電極6056は、
図28(B)の第2の電極6046と同様に形成するこ
とができる。電界発光層6055は、
図28(A)の電界発光層6035と同様に形成す
ることができる。
【0294】
図28(C)に示した画素の場合、発光素子6053から発せられる光を、白抜きの矢印
で示すように第1の電極6054側及び第2の電極6056側から取り出すことができる
。
【0295】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが出来る。
【0296】
(実施の形態13)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る液晶表示装置の構成について説明する。
【0297】
図29は、本発明の液晶表示装置の構造を示す斜視図の一例である。
図29に示す液晶表
示装置は、一対の基板間に液晶素子が形成された液晶パネル1601と、第1の拡散板1
602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、反
射板1606と、光源1607と、回路基板1608とを有している。
【0298】
液晶パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡
散板1604と、導光板1605と、反射板1606とは、順に積層されている。光源1
607は導光板1605の端部に設けられており、導光板1605内部に拡散された光源
1607からの光は、第1の拡散板1602、プリズムシート1603及び第2の拡散板
1604によって、均一に液晶パネル1601に照射される。
【0299】
なお、本実施の形態では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いている
が、拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡
散板は導光板1605と液晶パネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリ
ズムシート1603よりも液晶パネル1601に近い側にのみ拡散板が設けられていても
良いし、プリズムシート1603よりも導光板1605に近い側にのみ拡散板が設けられ
ていても良い。
【0300】
またプリズムシート1603は、
図29に示した断面が鋸歯状の形状に限定されず、導光
板1605からの光を液晶パネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0301】
回路基板1608には、液晶パネル1601に入力される各種信号を生成する回路、また
はこれら信号に処理を施す回路などが設けられている。そして
図29では、回路基板16
08と液晶パネル1601とが、FPC(Flexible Printed Circ
uit)1609を介して接続されている。なお、上記回路は、COG(Chip On
Glass)法を用いて液晶パネル1601に接続されていても良いし、上記回路の一
部がFPC1609にCOF(Chip On Film)法を用いて接続されていても
良い。
【0302】
図29では、光源1607の駆動を制御する制御系の回路が回路基板1608に設けられ
ており、該制御系の回路と光源1607とがFPC1610を介して接続されている例を
示している。ただし、上記制御系の回路は液晶パネル1601に形成されていても良く、
この場合は液晶パネル1601と光源1607とがFPCなどにより接続されるようにす
る。
【0303】
なお、
図29は、液晶パネル1601の端に光源1607を配置するエッジライト型の光
源を例示しているが、本発明の液晶表示装置は光源1607が液晶パネル1601の直下
に配置される直下型であっても良い。
【0304】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【実施例0305】
本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、信頼性が高く、低消費電力の電子
機器を提供することが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電
子機器の場合、本発明の一態様に係る半導体表示装置をその構成要素に追加することによ
り、連続使用時間が長くなるといったメリットも得られる。
【0306】
また、本発明の半導体表示装置では、作製工程における加熱処理の温度を抑えることがで
きるので、ガラスよりも耐熱性の劣る、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からな
る基板上においても、特性が優れており、信頼性が高い薄膜トランジスタを作製すること
が可能である。従って、本発明の一態様に係る作製方法を用いることで、信頼性が高く、
低消費電力で、軽量かつフレキシブルな半導体表示装置を提供することが可能である。プ
ラスチック基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステ
ル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)
、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレ
ート(PBT)、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0307】
本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、
記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatil
e Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)
に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることが
できる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカ
メラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)
、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイ
ヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払
い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を
図30に示す
。
【0308】
図30(A)は電子書籍であり、筐体7001、表示部7002等を有する。本発明の一
態様に係る半導体表示装置は、表示部7002に用いることができる。表示部7002に
本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、信頼性が高く、低消費電力の電子
書籍を提供することができる。また、可撓性を有する基板を用いることで、表示部700
2に用いられる半導体表示装置に可撓性を持たせることができるので、信頼性が高く、低
消費電力で、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍を提供することができる。
【0309】
図30(B)は表示装置であり、筐体7011、表示部7012、支持台7013等を有
する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7012に用いることができる。
表示部7012に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、信頼性が高く、
低消費電力の表示装置を提供することができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピ
ュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0310】
図30(C)は表示装置であり、筐体7021、表示部7022等を有する。本発明の一
態様に係る半導体表示装置は、表示部7022に用いることができる。表示部7022に
本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、信頼性が高く、低消費電力の表示
装置を提供することができる。また、可撓性を有する基板を用いることで、表示部702
2に用いられる半導体表示装置や、その他の信号処理回路に可撓性を持たせることができ
るので、信頼性が高く、低消費電力で、フレキシブルかつ軽量の表示装置を実現すること
ができる。よって、
図30(C)に示すように、布地などに固定させて表示装置を使用す
ることができ、半導体表示装置の応用の幅が格段に広がる。
【0311】
図30(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、
表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタ
イラス7038等を有する。本発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7033、
表示部7034に用いることができる。表示部7033、表示部7034に本発明の一態
様に係る半導体表示装置を用いることで、信頼性が高く、低消費電力の携帯型ゲーム機を
提供することができる。なお、
図30(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7
033と表示部7034とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これ
に限定されない。
【0312】
図30(E)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、
音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046に
おいて受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本
発明の一態様に係る半導体表示装置は、表示部7042に用いることができる。表示部7
042に本発明の一態様に係る半導体表示装置を用いることで、信頼性が高く、低消費電
力の携帯電話を提供することができる。
【0313】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。