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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133512
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20240925BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20240925BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20240925BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65B13/18 A
E04G21/12 105E
B21F15/06
B25B25/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098622
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2020021027の分割
【原出願日】2020-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】森村 好一郎
(72)【発明者】
【氏名】草刈 一郎
(57)【要約】
【課題】ワイヤの搬送不良、結束機内の搬送経路等の摩耗を防止する。
【解決手段】鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを第1方向及び第2方向に送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3により送られたワイヤWに巻き癖を付けるカール形成部5と、カール形成部5により巻き癖が付けられたワイヤWを捩じり軸72の回転により捩る結束部7と、結束部7とワイヤ送り部3との間に設けられる第1経路90aと、ワイヤ送り部3から本体10の後方側に向かって延びる第2経路90bと、を備える。第1経路90aは、ワイヤ送り部3によって送られるワイヤWの送り方向からカール形成部5に向かって曲がる曲げ部を含み、曲げ部はワイヤWの負荷を低減する硬質ピン120a、120b,120c等の負荷低減部を有する。
【選択図】図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを第1方向に送って巻き癖を付けて結束物を前記ワイヤで囲んだ後、当該ワイヤを第1方向とは反対側の第2方向に戻して前記ワイヤを前記結束物に巻き付け、当該ワイヤを捩ることで前記結束物を結束する鉄筋結束機であって、
本体と、
前記本体内に設けられ、前記ワイヤを第1方向及び第2方向に送るワイヤ送り部と、
前記本体の先端側に設けられ、前記ワイヤ送り部により送られた前記ワイヤに巻き癖を付けるカール形成部と、
前記本体の先端側と後端側とに渡って延びる捩じり軸を含み、前記カール形成部により巻き癖が付けられた前記ワイヤを前記捩じり軸の回転により捩る結束部と、
前記結束部と前記ワイヤ送り部との間に設けられる第1搬送経路と、
前記ワイヤ送り部から前記本体の後方側に向かって延びる第2搬送経路と、
を備え、
前記第1搬送経路は、前記ワイヤ送り部によって送られる前記ワイヤの送り方向から前記カール形成部に向かって曲がる曲げ部を含み、
前記曲げ部は、前記ワイヤの負荷を低減する負荷低減部を有する
結束機。
【請求項2】
前記本体内に設けられ、前記ワイヤ送り部により前記結束物に巻き付けられた前記ワイヤを切断する切断部を備え、
前記曲げ部は、前記切断部と前記ワイヤ送り部との間に設けられる
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記負荷低減部は、ピン又はローラーを含む
請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記ピン又は前記ローラーは、前記曲げ部の内側に設けられ、周面の一部が第1搬送経路内に露出する
請求項3に記載の結束機。
【請求項5】
前記ピン又は前記ローラーは、前記曲げ部に複数個設けられ、前記第1搬送経路を挟むように配置され、前記曲げ部の外側に設けられる個数よりも少ない個数が内側に設けられる
請求項4に記載の結束機。
【請求項6】
前記ピン又は前記ローラーは、前記曲げ部の外側に2個配置され、前記曲げ部の内側に1個配置され、前記外側に配置された2個の間の位置に前記内側に配置された1個が配置される
請求項5に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にコンクリート構造物には、引張力の強度補強のために鉄筋等の結束物が使用されている。コンクリート構造物の打設前には、鉄筋が所定の位置からずれないようワイヤ等で結束物を結束する処理が施される。この場合、ワイヤによる結束が緩いと、結束物の位置がずれてしまい、結束物による適切な強度が得られないという問題がある。そのため、結束物をワイヤにより強固に結束することが要求されている。
【0003】
このような課題に対し、以下に示す技術が提案されている。例えば、特許文献1には、ワイヤをループ状に送り出して鉄筋に巻回し、そのワイヤの先端を保持した状態でワイヤを引き戻して鉄筋の周囲にワイヤを巻き付け、その後、ワイヤを捩ることにより鉄筋をワイヤで締結する鉄筋結束機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-34305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の特許文献1等に開示される鉄筋結束機では、ワイヤリールが本体の前方側に配置されているため、複雑な構造物の結束物を結束しようとした場合、リール収容部が本体の前側にあることが原因で結束物に鉄筋結束機が入らず、結束物を結束できないという問題がある。また、ワイヤを結束物に巻き付けた後にワイヤを引き戻さない結束機においては、リール収容部を本体の後側に配置するものがあるが、ワイヤの送り時にワイヤの搬送不良が発生したり、ワイヤとの摩擦により結束機内の搬送経路が摩耗してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、ワイヤの搬送不良、結束機内の搬送経路等の摩耗を防止することが可能な結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、ワイヤを第1方向に送って巻き癖を付けて結束物を前記ワイヤで囲んだ後、当該ワイヤを第1方向とは反対側の第2方向に戻して前記ワイヤを前記結束物に巻き付け、当該ワイヤを捩ることで前記結束物を結束する鉄筋結束機であって、本体と、前記本体内に設けられ、前記ワイヤを第1方向及び第2方向に送るワイヤ送り部と、前記本体の先端側に設けられ、前記ワイヤ送り部により送られた前記ワイヤに巻き癖を付けるカール形成部と、前記本体の先端側と後端側とに渡って延びる捩じり軸を含み、前記カール形成部により巻き癖が付けられた前記ワイヤを前記捩じり軸の回転により捩る結束部と、前記結束部と前記ワイヤ送り部との間に設けられる第1搬送経路と、前記ワイヤ送り部から前記本体の後方側に向かって延びる第2搬送経路と、を備え、前記第1搬送経路は、前記ワイヤ送り部によって送られる前記ワイヤの送り方向から前記カール形成部に向かって曲がる曲げ部を含み、前記曲げ部は、前記ワイヤの負荷を低減する負荷低減部を有する、結束機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、第1搬送経路に負荷低減部を有する曲げ部を設けるので、ワイヤを送る際又は戻す際のワイヤ又はリール収容部に対する負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る鉄筋結束機の側面図である。
図2】本実施の形態に係る鉄筋結束機の斜視図である。
図3】本実施の形態に係る鉄筋結束機のリール収容部の蓋体を開いた状態を示す側面図である。
図4】本実施の形態に係る鉄筋結束機のリール収容部の蓋体を開いた状態を示す斜視図である。
図5A】本実施の形態に係る鉄筋結束機の内部構成の側面図である。
図5B】本実施の形態に係る鉄筋結束機の内部構成の断面図である。
図6A】本実施の形態に係るリール収容部の蓋体を示す図である。
図6B】リール収容部の変形例を示す図である。
図7】本実施の形態に係るガイド部を示す断面図である。
図8A図3に示す鉄筋結束機の座屈防止部のA-A線の断面図である。
図8B図3に示す座屈防止部がない場合の鉄筋結束機のA-A線の断面図である。
図9A】第1変形例に係る鉄筋結束機のガイド部の断面図である。
図9B】第2変形例に係る鉄筋結束機のガイド部の断面図である。
図10A】第3変形例に係る鉄筋結束機のガイド部及びワイヤ送り部の配置例を示す図である。
図10B】第4変形例に係る鉄筋結束機のガイド部及びワイヤ送り部の配置例を示す図である。
図10C】第5変形例に係る鉄筋結束機のガイド部及びワイヤ送り部の配置例を示す図である。
図10D】第6変形例に係る鉄筋結束機のガイド部及びワイヤ送り部の配置例を示す図である。
図10E】第7変形例に係る鉄筋結束機のガイド部及びワイヤ送り部の配置例を示す図である。
図11】第8変形例に係る鉄筋結束機の側面図である。
図12】第8変形例に係る鉄筋結束機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
<鉄筋結束機1Aの構成例>
図1は、本実施の形態に係る鉄筋結束機1Aの側面図、図2は鉄筋結束機1Aの斜視図、図3は鉄筋結束機1Aのリール収容部2の蓋体22を開いた状態を示す側面図、図4は鉄筋結束機1Aのリール収容部2の蓋体22を開いた状態を示す斜視図、図5Aは鉄筋結束機1Aの内部構成の側面図、図5Bは鉄筋結束機1Aの内部構成の断面図、図6Aはリール収容部2の蓋体22を示す図、図6Bはリール収容部2の変形例を示す図である。
【0012】
なお、本実施の形態において、本体10の長手方向(図1の左右方向に相当する方向)を前後方向とし、カール形成部5が設けられる側を鉄筋結束機1Aの前側又は先端側とし、リール収容部2が設けられる側を鉄筋結束機1Aの後側とする。また、前後方向に直交する方向であって、バッテリ15が設けられる側を鉄筋結束機1Aの下側とし、その反対側を鉄筋結束機1Aの上側とする。さらに、鉄筋結束機1Aの前後方向及び上下方向に直交する方向であって、捩じりモータ80が設けられる側(図1の紙面奥側)を鉄筋結束機1Aの右側とし、リール収容部2が設けられる側(図1の紙面手前側)を鉄筋結束機1Aの左側とする。
【0013】
また、本実施の形態において、送りモータ30を正回転させて例えばワイヤ送り部3側からカール形成部5側にワイヤWを送る方向を正方向(第1方向)とし、送りモータ30を逆回転させて例えばカール形成部5側からワイヤ送り部3側にワイヤWを送る方向を逆方向(第2方向)とする。
【0014】
鉄筋結束機1Aは、図1図5B等に示すように、細長の略直方体状をなす本体10と、ワイヤWが収容されるリール収容部2と、ワイヤWを正方向及び逆方向に送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回すカール形成部5とを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3により鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6と、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7と、結束部7を駆動する駆動部8とを備える。鉄筋結束機1Aによれば、ワイヤWを正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じることで鉄筋SをワイヤWで結束できる。
【0015】
本体10内には、図1等に示すように、ワイヤWを正方向又は逆方向に送るための搬送経路90が設けられる。搬送経路90は、本体10の先端側と後端側とに渡って延びる捩じり軸72よりも下側、より具体的には本体10内の下側であって、本体10内のリール収容部2とカール形成部5との間に渡って形成される。
【0016】
図1図6Aに示すように、リール収容部2は、ワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール26を回転可能に収容すると共に、リール26を本体10に対して着脱及び交換可能に収容する。リール収容部2は、トリガ12よりも後方の本体10の後部に配置される。また、リール収容部2は、ワイヤ送り部3に対して、捩じり軸72の軸方向に直交する左側の方向にオフセットした位置に配置される。
【0017】
リール収容部2は、本体10の左側壁10aに形成される凹部20と、凹部20を開閉する蓋体22とを有する。凹部20は、略円柱状のリール26の一方側のフランジ部26b(図6A参照)を収容可能な大きさに形成され、リール26を回転可能に支持するリール支持部21を有する。
【0018】
蓋体22は、図6Aに示すように、円筒状をなす周壁22aと、周壁22aの一方側の開口を覆う端壁22bと、周壁22aの一部に形成されるワイヤWの出入口22cと、出入口22cに連通して搬送経路90の一部(後述する第2経路90b)を覆う経路カバー22dとを有する。周壁22aの上端部には、蓋体22を本体10に回転可能に取り付けるための回転部22eが設けられる。蓋体22の回転部22eが本体10に形成された取付部10e(図2参照)に取り付けられることで、蓋体22が回転部22eを支点として回転可能となっている。蓋体22が開いたとき、凹部20にリール26をセットできると共に、凹部20にセットされたリール26を取り出すことができる。なお、蓋体22が閉じたとき、図示しないロック機構により蓋体22が本体10にロックされる。
【0019】
なお、本実施形態の蓋体22は、図2等では回転部22eの回転軸が本体10の長手方向に沿って配置されているが、図6Bに示すように、リール26を本体10の後方からセットできるように、回転部22eの回転軸が本体10の短手方向(左右方向)に配置され、蓋体22が本体10の後方に対して開閉可能となるようにしても良い。この場合、例えば取付部10eを本体10の下面側の後端部に設け、蓋体22の回転部22eの回転軸を支点として蓋体22を回転可能に構成する。また、蓋体22の上端部にロック機構23を設け、蓋体22を本体10に対してロックするようにしても良い。また、回転部22e及び取付部10eを、図6Bとは反対の本体10の上側に設けるようにしても良い。さらに、回転部22eを図1等に示す長手方向に沿って設けた状態で、リール収容部2を捩じりモータ80よりも後方にずらした位置に配置するようにしても良い。この場合、リール収容部2を捩じりモータ80に対してオフセットさせて配置しても良いし、オフセットさせずに配置しても良い。
【0020】
リール26は、図4に示すように、ワイヤWが巻かれる筒状のハブ部26aと、ハブ部26aの軸方向両端側に一体に設けられた一対のフランジ部26b,26bとを備える。リール26のハブ部26aには1本又は複数本のワイヤWが巻かれており、リール26からワイヤWを引き出せるようになっている。ワイヤWは、例えば、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。
【0021】
グリップ11は、図1等に示すように、本体10の長手方向の略中間部であってかつ本体10の周面の一部である下面から略下方に向かって延びる。言い換えると、グリップ11は、本体10の前後方向に延びる捩じり軸72よりも下側に設けられる。グリップ11の上端部であってかつその前面には、起動部の一例であるトリガ12が設けられる。電源がオン状態でユーザーによりトリガ12が引き操作されると、結束動作が実行されるようになっている。グリップ11の下部には、電源部を構成するバッテリ15が着脱可能に取り付けられる。
【0022】
ワイヤ送り部3は、図5A及び図5Bに示すように、一対の第1及び第2送りギアを有し、第1送りギアのギア歯に形成された溝と第2送りギアのギア歯に形成された溝との間にワイヤWを挟持することでワイヤWを送る。ワイヤ送り部3の第1送りギアは例えば送りモータ30に接続され、送りモータ30の駆動により回転する。ワイヤ送り部3の第2送りギアは、第1送りギアの回転に伴って従動回転する。ワイヤ送り部3は、送りモータ30の回転方向が正回転の場合、ワイヤWを正方向に送り、送りモータ30の回転方向が逆回転に切り替わった場合、ワイヤWを逆方向に送る。
【0023】
カール形成部5は、図1及び図5Bに示すように、本体10の先端側であって、捩じり軸72よりも上側に設けられる。カール形成部5は、ワイヤ送り部3により送られるワイヤWに巻き癖を付けるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7に誘導する誘導ガイド51とを備える。
【0024】
カールガイド50は、図5B等に示すように、ワイヤWの送り経路を構成するガイド溝52と、ガイド溝52との協働でワイヤWに巻き癖を付ける第1ガイドピン53a及び第2ガイドピン53bとを有する。第1ガイドピン53aは、カールガイド50の正方向の上流側、つまりワイヤWの導入側であって、通過するワイヤWの内側に配置される。第2ガイドピン53bは、カールガイド50の正方向の下流側、つまりワイヤWの排出側であって、通過するワイヤWの外側に配置される。
【0025】
カール形成部5は、第1ガイドピン53aを退避させる退避機構53を備える。退避機構53は、ワイヤ送り部3でワイヤWを逆方向に送る場合に、鉄筋Sに巻き付けられるワイヤWが移動する搬送経路から第1ガイドピン53aを退避させる。
【0026】
切断部6は、図5A及び図5Bに示すように、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7の動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62とを備える。可動刃部61は、伝達機構62により伝達される結束部7の動作により固定刃部60を支点軸として回転することで、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する。
【0027】
結束部7は、図5A及び図5Bに示すように、ワイヤWが係止される係止部材70と、係止部材70を開閉する作動部材71と、係止部材70及び作動部材71を作動させる捩じり軸72を備える。係止部材70は、作動部材71の移動に伴って動作し、カール形成部5を通過する前のワイヤWの一部を移動可能な状態で掴むと共に、カール形成部5を通過した後のワイヤWの一部を係止部材70から抜けない状態で掴む。作動部材71は、前方に移動することで、係止部材70の先端側で掴まれたワイヤWの端部のそれぞれを鉄筋S側へ曲げる。
【0028】
駆動部8は、図5A及び図5Bに示すように、捩じりモータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81とを備える。捩じり軸72と捩じりモータ80とが減速機81を介して連結され、捩じり軸72が減速機81を介して捩じりモータ80の駆動によって回転する。
【0029】
また、本実施の形態に係る鉄筋結束機1Aは、負荷軽減部の一例であるガイド部100A、座屈防止部200及び摩耗防止部300を備える。
【0030】
まず、ガイド部100Aについて説明する。図7は、本実施の形態に係るガイド部100Aを示す断面図である。図7に示すように、ガイド部100Aは、ワイヤ送り部3(図5A参照)と切断部6との間に渡って設けられ、ワイヤWをカール形成部5に送る際及びカール形成部5に送ったワイヤWを引き戻す際にワイヤWをガイドする。ここで、ガイド部100Aの説明をする前に、リール収容部2を本体10の後部に配置した場合における搬送経路90で生じる問題について説明する。
【0031】
リール収容部2を本体10の後部に配置した場合、ワイヤWは、本体10内の捩じり軸72に対して上側又は下側に形成される搬送経路を通過してカール形成部5に送られる。ワイヤWで鉄筋Sを囲んだ後にワイヤWを戻すタイプの鉄筋結束機では、結束部7でワイヤWを交差させる必要があるため、カール形成部5はワイヤWの搬送経路とは反対側に配置される。本実施の形態の鉄筋結束機1Aでは、図1に示すように、ワイヤWが本体10内の下側に搬送経路90が設けられる場合、捩じり軸72よりも上側にカール形成部5が配置される。
【0032】
そのため、本体10の下側の搬送経路90から上側のカール形成部5にワイヤWを送るためには、ワイヤ送り部3とカール形成部5との間に曲げ部を有する搬送経路を設けなければならない。この場合、ワイヤWの搬送経路の曲率が小さくなるため、ワイヤWの正方向又は逆方向の送り時に、ワイヤWが搬送経路内の曲げ部に接触し、ワイヤWに対する負荷抵抗が増加することで、ワイヤWの搬送不良が発生してしまう場合があった。そこで、本実施の形態では、ワイヤ送り部3とカール形成部5との間に、ワイヤWの送り時及び戻し時の負荷抵抗を低減するためのガイド部100Aを設けている。なお、本実施の形態において、搬送経路90のうち、ワイヤ送り部3とカール形成部5との間に設けられる曲げ部を有する搬送経路を第1経路90aという。
【0033】
本実施の形態においてガイド部100Aは、図7に示すように、ワイヤWの径よりも大きい径を有するパイプ110を含む。パイプ110は、ワイヤ送り部3からカール形成部5(切断部6)に向かって湾曲しており、ワイヤ送り部3とカール形成部5との間におけるワイヤWの第1経路90aとして機能する。パイプ110の下流側の端部は、例えば、切断部6を構成するプレート63に取り付けられる。パイプ110の上流側の端部は、ワイヤ送り部3の前方まで延在しており、ワイヤWが挿入され易いように他の部位よりも幅広の径で構成され、開口面積が大きくなっている。パイプ110は、ワイヤ送り部3により送られるワイヤWとの接触時の負荷抵抗を軽減できる低摩擦材料により形成される。低摩擦材料としては、例えば、ドライベアリング等の自己潤滑複合材料や硬質クロムメッキやバナジウムカーバイドコーティング等の表面処理を用いることができる。更にパイプ110は、耐摩耗性が高ければなお良い。
【0034】
次に、座屈防止部200について説明する。図8A図3に示す鉄筋結束機1AのA-A線の断面図であって、本実施の形態に係る座屈防止部200を示す図である。図8Bは、座屈防止部200を設けない場合のワイヤWの状態を示す図である。なお、搬送経路90のうち、リール収容部2とワイヤ送り部3との間の搬送経路を第2経路90bという。
【0035】
座屈防止部200は、図8Aに示すように、リール収容部2とワイヤ送り部3との間を結ぶ第2経路90bに設けられ、ワイヤWの戻し時にワイヤWの一部を支持することによりワイヤWの座屈を防止する。ここで、座屈防止部200の説明をする前に、リール収容部2を本体10の後部に配置した場合における第2経路90bで生じるワイヤWの座屈の問題について説明する。
【0036】
ワイヤWを戻す場合、リール26は、従動部材であるため、ワイヤWの戻し時の戻り量(付勢力)では若干回転するか又はほぼ回転しない。そのため、ワイヤWは、戻し時に、図3の破線のワイヤWに示すように、第2経路90bの底壁10b側に広がると共に、リール収容部2の上流側に押されながら送られる。これにより、ワイヤWの戻し時には、底壁10b側に広がったワイヤWに対してワイヤ送り部3側からリール収容部2側に向かって圧縮力が働き、ワイヤWが座屈してしまうという問題がある。なお、ワイヤWは、送り時において、ワイヤ送り部3の駆動により張った状態でリール26から送られるため、図3の実線で示すワイヤ経路を通る。
【0037】
ここで、ワイヤWが座屈する理論について説明する。座屈とは、構造物(結束物)に加える荷重を次第に増加すると、ある荷重で急に変形の模様が変化し、大きなたわみ又は折れを生ずる現象をいう。構造物に座屈現象を引き起こす荷重をその構造の座屈荷重という。座屈荷重は、以下に示す式(1)で与えられる。
【0038】
【数1】
【0039】
上記式(1)において、Pkは座屈荷重(座屈耐力ともいう)であり、Eはヤング率であり、Iは断面二次モーメントであり、Lは座屈長さ(支点間距離)である。
【0040】
座屈荷重Pkは、座屈荷重Pkを受けた場合でも構造物に座屈が起きないことを意味している。そのため、座屈長さLが短い方が座屈荷重Pkが大きくなり、ワイヤWの座屈が発生し難い。したがって、図8Bに示すように、ワイヤ送り部3とリール26との間の支点間を座屈長さLとした場合、座屈荷重Pkが小さくなるため、ワイヤWの戻し時に座屈が発生し易くなるという問題がある。
【0041】
これに対し、本実施の形態では、図8Aに示すように、リール収容部2とワイヤ送り部3との間の第2経路90bの底壁10b等に、ワイヤWの戻し時にワイヤWの一部を支持する座屈防止部200を設けている。座屈防止部200は、例えば、戻し時のワイヤWの傾きよりも大きい傾斜を有する第1面201と、ワイヤWの傾斜よりも小さい傾斜を有する第2面202とを少なくとも含む。第1面201の上流側の端辺と第2面202の下流側の端辺とが接続されており、その接続部がワイヤWに当接する支持部203を構成している。
【0042】
ワイヤ送り部3とリール26との間の第2経路90bの途中に座屈防止部200を設けることで、図8Bに示す座屈長さLを、図8Aに示すように、ワイヤ送り部3と支持部203と間の座屈長さL1と、支持部203とリール26との間の座屈長さL2とに分割できる。したがって、図8Bに示す座屈長さLを実質的に短く設定することができ、座屈長さL1、L2の各区間での上記式(1)の座屈荷重Pkを大きくできる。これにより、第2経路90bでのワイヤWの戻し時の座屈を防止できる。
【0043】
次に、摩耗防止部300について説明する。図4及び図6A等に示すように、摩耗防止部300は、ワイヤWの戻し時に発生するワイヤWとリール収容部2との摩擦を低減する又は硬質部材でリール収容部2を保護することでリール収容部2の摩耗を防止する。まず、摩耗防止部300の説明をする前に、リール収容部2を本体10の後部に配置した場合におけるリール収容部2で生じる摩耗の問題について説明する。
【0044】
ワイヤWを戻す場合、リール26は、従動部材であるため、ワイヤWの戻り時の戻り量(付勢力)ではほぼ回転しないか又は若干回転する。そのため、ワイヤWは、戻し時に、図3の破線のワイヤで示すように、リール収容部2の例えば蓋体22の周壁22aの外周方向に広がりながら送られる。これにより、ワイヤWがリール収容部2内に接触することで、リール収容部2の所定部位が擦れて摩耗してしまうという問題があった。
【0045】
ここで、摩耗の論理式は以下に示す式(2)で与えられる。
W=K・P・V・T・・・(2)
【0046】
上記式(2)において、Wは推定摩耗寸法であり、Kは比摩耗量であり、Pは負荷面圧であり、Vは摺動速度であり、Tは摩擦時間である。
【0047】
上記式(2)から明らかなように、摩耗量Kは、負荷面圧Pと摺動速度Vに相関する。これにより、負荷面圧P×摺動速度V(以下、PV値という)が高い部分ほどリール収容部2等を含む機械の摩耗が発生し易いことが分かる。そこで、本実施の形態では、リール収容部2内の摩耗しやすい位置に摩耗防止部300を設けて保護している。リール収容部2内の摩耗し易い位置は、例えば以下の通りである。
【0048】
図3及び図6Aに示すように、リール収容部2の出入口22c付近の位置P1では、ワイヤWの移動速度は速いが、戻り方向の力が大きく、ワイヤWがリール収容部2に接触する圧力、負荷面圧Pは相対的に小さくなる。しかし、ワイヤWがリール収容部2に接触することで、リール収容部2等で若干の摩耗が生じる。
【0049】
また、リール収容部2内の位置P1よりも上流側、具体的にはリール収容部2内の下部側の位置P2では、ワイヤWが、リール26の外周方向に広がり、リール収容部2の内周面22a1等に接触する。また、位置P2では、ワイヤWの戻り時の移動速度も速い。そのため、PV値が最も大きく、リール収容部2等での摩耗量も多くなる。
【0050】
また、リール収容部2内の位置P2よりも上流側、具体的にはリール収容部2内のリール26のハブ部26aと略同一高さの位置P3では、ワイヤWの戻り速度が徐々に低下する。そのため、PV値が減少するため、第2位置P2よりはリール収容部2等での摩耗量は少ない。
【0051】
そこで、本実施の形態では、第2経路90b、リール収容部2内の第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3を含む位置に、例えば硬質プレートで構成される摩耗防止部300を設けている。摩耗防止部300は、図4及び図6Aに示すように、リール収容部2の内周面22a1に設けられる第1プレート301と、第2経路90bを構成する側壁10cに設けられる第2プレート302と、第2経路90bを構成する底壁10b及びリール収容部2内に渡って設けられる第3プレート303とを有する。
【0052】
なお、摩耗防止部300は、摩耗量の多い第2位置P2のみに設けても良いし、摩耗量が1番目、2番目に多い第2位置P2及び第3位置P3のみに設けても良い。また、摩耗量の多い順番で摩耗防止部300の厚みが段階的に薄くなるように調整しても良い。また、本実施の形態では、摩耗防止部300の材料を硬質プレートで構成したが、これに限定されることはなく、ワイヤWによる摩耗を防止できる部材であれば適宜採用できる。さらに、摩耗防止部300をリール収容部2とは別部材で構成したが、リール収容部2自体を硬度の高い材料で形成しても良い。
【0053】
<鉄筋結束機1Aの動作例>
次に、各図を参照して、鉄筋結束機1Aにより鉄筋Sを1本のワイヤWで結束する動作について説明する。なお、鉄筋結束機1Aにおいて、ワイヤWがワイヤ送り部3で挟持され、この挟持されたワイヤWの先端部がワイヤ送り部3と切断部6との間に位置した状態、又はワイヤWの先端が切断部6に位置した状態に位置した状態が待機状態となる。
【0054】
結束物である鉄筋Sがカール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51との間に挿入され、トリガ12が操作されると、送りモータ30が正回転方向に駆動され、ワイヤ送り部3が正転する。これにより、ワイヤWが正方向に送られる。本実施の形態では、ワイヤ送り部3とカール形成部5との間にガイド部100Aを設けるので、送り時のワイヤWとガイド部100Aとの摩擦を低減することができ、ワイヤWの負荷抵抗が低減される。
【0055】
ワイヤWが正方向に送られると、ワイヤWは係止部材70の先端部を通過し、さらにカール形成部5のカールガイド50を通過する。これにより、ワイヤWは、第1ガイドピン53a及び第2ガイドピン53b等により巻き癖が付けられる。
【0056】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、さらにワイヤ送り部3により正方向に送られることで係止部材70の先端部を通過して送り規制部9に突き当てられる。送りモータ30の駆動は停止される。
【0057】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、捩じりモータ80が正回転で駆動される。捩じりモータ80の回転が捩じり軸72等を介して直線移動に変換され、作動部材71が前方に移動する。作動部材71が前方に移動すると、係止部材70によりカール形成部5を通過する前のワイヤWの一部が移動可能な状態で掴まれると共に、係止部材70によりカール形成部5を通過した後のワイヤWが係止部材70から抜けない状態で掴まれる。
【0058】
さらに、作動部材71が前方に移動すると、作動部材71の動作が退避機構53に伝達され、第1ガイドピン53aが退避する。
【0059】
続けて、捩じりモータ80の回転を一時停止し、送りモータ30が逆回転で駆動される。これにより、ワイヤ送り部3が逆回転し、ワイヤ送り部3に挟持されたワイヤWが逆方向に送られる。ワイヤWの先端部が係止部材70によって掴まれているので、ワイヤWは鉄筋Sに密着するようにして巻き付けられる。
【0060】
本実施の形態では、第2経路90bに座屈防止部200を設けるので、ワイヤWの戻り時に逆方向に送られるワイヤWの一部が支持部203に支持される。これにより、ワイヤWの座屈荷重を大きくすることができるので、第2経路90bでのワイヤWの座屈が防止される。また、リール収容部2に摩耗防止部300を設けるので、逆方向に送られるワイヤWがリール26の外周方向に広がった場合でも、ワイヤWの接触によるリール収容部2での摩耗が防止される。
【0061】
送りモータ30を停止した後、捩じりモータ80が正回転で駆動されることで、作動部材71が前方に移動し、係止部材70で掴まれているワイヤWが固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0062】
ワイヤWが切断された後、ワイヤWの端部のそれぞれが鉄筋S側に曲がられる。ワイヤWの端部が折り曲げられた後、捩じりモータ80がさらに正回転で駆動されることで、捩じり軸72と連動して作動部材71が回転すると共に、ワイヤWを保持している係止部材70が作動部材71と一体に回転し、ワイヤWが捩じられる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、リール収容部2をトリガ12よりも後方、具体的には本体10の後部に設けるので、例えば複雑な構造の結束物を結束する場合でも、リール収容部2が障害となることもなく、カールガイド50と誘導ガイド51との間に円滑に結束物を挿入できる。これにより、様々な構造の結束物にも鉄筋結束機1Aを利用できる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、リール収容部2を本体10の後部に設けた場合であっても、曲げ部を有する第1経路90aをガイド部100Aで構成するので、ワイヤWの送り時及び戻し時に、ワイヤWの第1経路90aに対する負荷抵抗を低減できる。これにより、ワイヤ送り部3でワイヤWが滑ってしまうことを防止でき、ワイヤWの搬送不良を防止できる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、第2経路90bに座屈防止部200を設けるので、ワイヤWの戻し時に、ワイヤWの一部を支持部203で支持できる。これにより、ワイヤWに付与される荷重を分散、低減できるので、ワイヤWの戻し時における鉄筋結束機1A内での座屈を防止でき、結束不良及び機械の故障を回避できる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、リール収容部2内に摩耗防止部300を設けるので、ワイヤWの戻し時に、ワイヤWがリール収容部2の内周面22a1等に接触することで生じる摩耗を防止できる。これにより、リール収容部2を含む鉄筋結束機1Aの耐久性を向上させることができる。
【0067】
さらに、本実施の形態によれば、リール収容部2をワイヤ送り部3に対してリール26の軸方向、捩じりモータ80の左側にオフセットさせるので、ワイヤWの搬送経路がワイヤ送り部3からリール26に向かう斜め方向となり、ワイヤWの戻し時の軌道を一定方向にすることができる。これにより、ワイヤWの座屈箇所、リール収容部2等の摩耗箇所を限定することができ、座屈防止部200及び摩耗防止部300の配置箇所を特定できる。
【0068】
<第1変形例>
次に、第1変形例に係る鉄筋結束機1Aのガイド部100Bについて説明する。図9Aは、第1変形例に係るガイド部100Bを示す図である。
【0069】
図9Aに示すように、ガイド部100Bは、ワイヤ送り部3と切断部6との間に形成される第1経路90aに設けられ、ワイヤWをカール形成部5に送る際及びカール形成部5に送ったワイヤWを引き戻す際にワイヤWをガイドする。第1経路90aは、例えば樹脂材料又は金属材料等の側壁で構成され、ワイヤ送り部3から切断部6に向かって湾曲する曲げ部を有する。なお、第1経路90aは、上述したガイド部100Aと同様に、パイプで構成しても良い。
【0070】
ガイド部100Bは、第1経路90aに設けられた硬質ピン120a,120b,120cを有する。硬質ピン120a,120b,120cは、例えば円柱体であって、例えばステンレス鋼等の硬質材料で形成される。硬質ピン120a,120b,120cの長手方向の両端部のそれぞれは、本体10の図示しない左右の側壁に取り付けられる。なお、硬質ピン120a等の材料はステンレス鋼に限定されることはなく、硬質材料であれば公知の材料を適宜使用できる。
【0071】
硬質ピン120a,120bは、第1経路90aの下面側に所定の間隔をあけて配置される。硬質ピン120cは、第1経路90aの上面側であって、硬質ピン120aと硬質ピン120bとの間に位置する。硬質ピン120a,120b,120cの周面の一部は、第1経路90a内に露出しており、第1経路90a内を通るワイヤWに接触可能となっている。ガイド部100Bによっても、上述したガイド部100Aと同様の効果を奏することができる。
【0072】
<第2変形例>
次に、第2変形例に係る鉄筋結束機1Aのガイド部100Cについて説明する。図9Bは、第2変形例に係るガイド部100Cを示す図である。なお、上述した第1変形例と共通する内容については詳細を省略する。
【0073】
図9Bに示すように、ガイド部100Cは、ワイヤ送り部3と切断部6との間に形成される第1経路90aに設けられ、ワイヤWをカール形成部5に送る際及びカール形成部5に送ったワイヤWを引き戻す際にワイヤWをガイドする。ガイド部100Cは、第1経路90aに設けられたローラー130a,130b,130cを有する。ローラー130a,130b,130cは例えば円柱体であって、例えば鋼材やステンレス鋼等の硬質材料からなる。ローラー130a,130b,130cは軸を含み、軸の長手方向の両端部のそれぞれが本体10の左右の側壁に回転可能に支持される。
【0074】
ローラー130a,130bは、第1経路90aの下側に所定の間隔をあけて配置される。ローラー130cは、第1経路90aの上側であって、ローラー130aとローラー130bとの間に位置する。ローラー130a,130b,130cの周面の一部は、第1経路90a内に露出しており、第1経路90a内を通るワイヤWに接触可能となっている。ガイド部100Cによっても、上述したガイド部100Aと同様の効果を奏することができる。
【0075】
<第3変形例>
次に、第3変形例に係る鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例について説明する。図10Aは、第3変形例に係るワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例を示す図である。図10Aにおいて、リール収容部2から本体10内の下側を通る搬送経路を下側経路90dと呼び、下側経路90dの下流側に設けられると共に曲げ部を有する搬送経路を湾曲経路90eと呼び、湾曲経路90eの下流側と切断部6との間の搬送経路を中間経路90fと呼ぶ。
【0076】
図10Aに示すように、ガイド部100Aは、下側経路90dの下流側と湾曲経路90eとの間に渡って配置される。ワイヤ送り部3は、ガイド部100Aよりも下流側の中間経路90fに配置される。なお、ガイド部100Aに代えて、ガイド部100B又はガイド部100Cを適用することもできる。
【0077】
<第4変形例>
次に、第4変形例に係る鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例について説明する。図10Bは、第4変形例に係るワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例を示す図である。なお、第3変形例と共通する内容については詳細を省略する。
【0078】
図10Bに示すように、ガイド部100Aは、2箇所に配置されており、下側経路90dの下流側と、中間経路90fのそれぞれに配置される。ワイヤ送り部3は、上述した2箇所のガイド部100A,100A間であって、湾曲経路90eに配置される。なお、ガイド部100Aに代えて、ガイド部100B又はガイド部100Cを適用することもできる。
【0079】
<第5変形例>
次に、第5変形例に係る鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例について説明する。図10Cは、第5変形例に係るワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例を示す図である。なお、第3変形例と共通する内容については詳細を省略する。
【0080】
図10Cに示すように、ガイド部100Aは、2箇所に配置されており、湾曲経路90eと中間経路90fとの間に渡って配置されると共に、下側経路90dの一部に配置される。ワイヤ送り部3は、下側経路90dの下流側であって、2箇所のガイド部100A,100A間に配置される。なお、ガイド部100Aに代えて、ガイド部100B又はガイド部100Cを適用することもできる。
【0081】
<第6変形例>
次に、第6変形例に係る鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例について説明する。図10Dは、第6変形例に係るワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例を示す図である。なお、第3変形例と共通する内容については詳細を省略する。
【0082】
図10Dに示すように、ガイド部100Aは、2箇所に配置されており、下側経路90dの上流側に配置されると共に、下側経路90dの略中間位置から湾曲経路90eを介して中間経路90fの間に渡って配置される。ワイヤ送り部3は、下側経路90dであって、2箇所に配置されるガイド部100A,100A間に配置される。なお、ガイド部100Aに代えて、ガイド部100B又はガイド部100Cを適用することもできる。
【0083】
<第7変形例>
次に、第7変形例に係る鉄筋結束機1Aのワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例について説明する。図10Eは、第7変形例に係るワイヤ送り部3及びガイド部100Aの配置例を示す図である。なお、第3変形例と共通する内容については詳細を省略する。
【0084】
図10Eに示すように、ガイド部100Aは、2箇所に配置されており、下側経路90dの下流側に配置されると共に、湾曲経路90eに配置される。ワイヤ送り部3は、2箇所に配置されており、下側経路90dの下流側であって2箇所のガイド部100A,100A間に配置されると共に、中間経路90fに配置される。なお、ガイド部100Aに代えて、ガイド部100B又はガイド部100Cを適用することもできる。
【0085】
<第8変形例>
図11は、第8変形例に係る鉄筋結束機1Bを示す側面図、図12は鉄筋結束機1Bを示す斜視図である。なお、上述した鉄筋結束機1Aと実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、第8変形例において、本体10の長手方向を前後方向とし、カール形成部5が設けられる側を鉄筋結束機1Bの前側又は先端側とし、リール収容部2が設けられる側を鉄筋結束機1Bの後側とする。また、前後方向に直交する方向であって、バッテリ15が設けられる側を鉄筋結束機1Bの下側とし、その反対側を鉄筋結束機1Bの上側とする。
【0086】
グリップ11は、本体10の長手方向の略中間部でかつ本体10の周面の一部である下面から略下方に向かって延びる。言い換えると、グリップ11は、本体10の前後方向に延びる捩じり軸72よりも下側に設けられ、本体10内に設けられるワイヤWの搬送経路90とは捩じり軸72を介して反対側に配置される。また、カールガイド50は、捩じり軸72の下側に配置され、グリップ11とは捩じり軸72を基準として同一側に配置される。搬送経路90は、捩じり軸72の上側であって、本体10内の上側に配置される。
【0087】
搬送経路90には、上述した鉄筋結束機1Aと同様に、ガイド部100A,100B,100C、座屈防止部200及び摩耗防止部300を設けることができる。第8変形例に係る鉄筋結束機1Bによっても、上述した鉄筋結束機1Aと同様の作用効果を奏することができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されることはない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得る技術的思想は本開示の技術的範囲に属するものとする。
【0089】
例えば、上述した実施の形態では、癖付けしたワイヤWにより結束物を囲んだ後に、ワイヤWを引き戻すタイプの鉄筋結束機1A等について説明したが、これに限定されることはない。例えば、癖付けしたワイヤWを結束物の周囲に巻き付けた後に、ワイヤWを引き戻さないタイプの鉄筋結束機に、本実施の形態である、リール収容部を本体の後部に配置する技術等を適用することもできる。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B 鉄筋結束機(結束機)
2 リール収容部
3 ワイヤ送り部
5 カール形成部
7 結束部
10 本体
11 グリップ
12 トリガ(起動部)
26 リール
72 捩じり軸
90 搬送経路
90a 第1経路(第1搬送経路)
90b 第2経路(第2搬送経路)
100A,100B,100C ガイド部(負荷軽減部)
200 座屈防止部(負荷軽減部)
300 摩耗防止部(負荷軽減部)
S 鉄筋(結束物)
W ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12