(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013352
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】非接触式スイッチシステム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240125BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240125BHJP
H05B 47/175 20200101ALI20240125BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
H05B47/125
H05B47/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115383
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】大久保 舞
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康太
(72)【発明者】
【氏名】竹原 渓吾
【テーマコード(参考)】
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA29
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA15
3K273TA22
5K048AA04
5K048BA07
5K048EB02
5K048FB10
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】ユーザの検知対象身体部分の状態を画像センサ部で検知し、その検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する非接触式スイッチシステムにおいて、低廉で簡素な画像センサ部を採用した場合でもユーザの検知対象身体部分の状態を正確に検知することができ、更には室内の利用の幅を制限せずにユーザに対して検知エリアの場所を正確に指示することができる技術を提供する。
【解決手段】室内Rの検知エリアAにおけるユーザUの検知対象身体部分Uaの状態を検知する画像センサ部2と、画像センサ部2の検知結果に基づいて制御対象機器10の作動を制御する機器制御部3と、を備えると共に、ユーザUに対して検知エリアAの場所を指示する検知エリア指示部5を備え、検知エリア指示部5が、室内Rの内装材Mを利用して設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の所定の検知エリアにおけるユーザの検知対象身体部分の状態を検知する画像センサ部と、
前記画像センサ部の検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する機器制御部と、を備えると共に、
前記ユーザに対して前記検知エリアの場所を指示する検知エリア指示部を備えた非接触式スイッチシステムであって、
前記検知エリア指示部が、前記室内の内装材を利用して設けられている非接触式スイッチシステム。
【請求項2】
前記室内の内装材のうち、前記画像センサ部による撮像範囲の背景となる検知エリア内装材が、当該検知エリア内装材に隣接する他の内装材とは異なるものとされて、前記検知エリア指示部として機能する請求項1に記載の非接触式スイッチシステム。
【請求項3】
前記検知エリア内装材の色調が、前記他の内装材よりも高輝度に前記画像センサ部に撮像されるものに設定されている請求項2に記載の非接触式スイッチシステム。
【請求項4】
前記画像センサ部が、前記検知対象身体部分の状態としてユーザの手のひらの停止状態を検知する請求項1~3の何れか1項に記載の非接触式スイッチシステム。
【請求項5】
前記検知エリアがユーザの肩付近の所定高さよりも上方の位置に設定されている請求項1~3の何れか1項に記載の非接触式スイッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の所定の検知エリアにおけるユーザの検知対象身体部分の状態を検知する画像センサ部と、前記画像センサ部の検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する機器制御部と、を備えると共に、前記ユーザに対して前記検知エリアの場所を指示する検知エリア指示部を備えた非接触式スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明機器や空調機器などの制御対象機器の作動制御のための操作を非接触式とすることは、感染症の感染経路の一つである接触を防ぐ効果的な方法であり、コロナ禍の現状においてその有用性が注視されている。
従来、制御対象機器の作動制御のための操作を非接触式で行うシステムとして、ユーザの検知対象身体部分の状態を画像センサ部で検知し、その検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する非接触式スイッチシステム(例えば特許文献1を参照。)が提案されている。
特許文献1記載の非接触式スイッチシステムは、室内に入室したユーザが、スポット照明されたテーブルに近付いた状態で、伸ばした手を床面と平行に一定時間維持した場合には照明機器を消灯し、その手を床面に対して傾斜させ一定時間同じ状態に保ちつつ傾斜状態を上下に変化させた場合には照明機器の明るさを調整するように構成されている。即ち、この非接触式スイッチシステムでは、テーブルの周囲が画像センサ部の検知エリアに設定されており、スポット照明されたテーブルが、ユーザに対して検知エリアを指示するための検知エリア指示具として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の非接触式スイッチシステムでは、比較的広範囲なテーブルの周囲を検知エリアとしていることから、画像センサ部は、広角又は魚眼レンズを搭載するなどしてより広い範囲を俯瞰するように構成する必要があり、高価且つ煩雑なものとなる。
更に、ユーザに対して検知エリアの場所を指示するためのテーブルなどの検知エリア指示具が、室内の利用用途を制約する障害物となって、空間の利用用途を固定又は制約する要因となる。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ユーザの検知対象身体部分の状態を画像センサ部で検知し、その検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する非接触式スイッチシステムにおいて、低廉で簡素な画像センサ部を採用した場合でもユーザの検知対象身体部分の状態を正確に検知することができ、更には室内の利用の幅を制限せずにユーザに対して検知エリアの場所を正確に指示することができる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、室内の所定の検知エリアにおけるユーザの検知対象身体部分の状態を検知する画像センサ部と、
前記画像センサ部の検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する機器制御部と、を備えると共に、
前記ユーザに対して前記検知エリアの場所を指示する検知エリア指示部を備えた非接触式スイッチシステムであって、
前記検知エリア指示部が、前記室内の内装材を利用して設けられている点にある。
【0006】
本構成によれば、ユーザに対して検知エリアの場所を指示する検知エリア指示部が、室内の内装材を利用したものとして構成されているので、室内の利用用途を制約するような検知エリア指示具の設置を必要とせずに、室内の内装材を利用して検知エリアの場所をユーザに対して比較的正確に指示することができる。
従って、本発明により、ユーザの検知対象身体部分の状態を画像センサ部で検知し、その検知結果に基づいて制御対象機器の作動を制御する非接触式スイッチシステムにおいて、低廉で簡素な画像センサ部を採用した場合でもユーザの検知対象身体部分の状態を正確に検知することができ、更には室内の利用の幅を制限せずにユーザに対して検知エリアの場所を正確に指示することができる技術を提供することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記室内の内装材のうち、前記画像センサ部による撮像範囲の背景となる検知エリア内装材が、当該検知エリア内装材に隣接する他の内装材とは異なるものとされて、前記検知エリア指示部として機能する点にある。
【0008】
本構成によれば、検知エリア内装材がそれに隣接する他の内装材とは異なるので、ユーザに対して検知エリア内装材を正確に視認させて、当該ユーザを正確に検知エリアに誘導することができる。更に、室内の内装材を利用した凹凸が少なくシンプルな検知エリア内装材が、画像センサ部による撮像範囲の背景となるので、比較的低廉で簡素な画像センサ部を採用した場合であっても、当該ユーザの検知対象身体部分の状態を正確に検知することができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記検知エリア内装材の色調が、前記他の内装材よりも高輝度に前記画像センサ部に撮像されるものに設定されている点にある。
【0010】
本構成によれば、検知エリア内装材の色調が、その周囲の他の内装材よりも高輝度に画像センサ部に撮像されるものに設定されているので、当該検知エリア内装材を背景にして画像センサ部により得られる撮像画像データにおいて、ユーザの手のひらなどの検知対象身体部分の輪郭や皺や陰影などが明確に描画されることになるので、当該画像センサ部の検知精度を一層向上することができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記画像センサ部が、前記検知対象身体部分の状態としてユーザの手のひらの停止状態を検知する点にある。
【0012】
本構成によれば、画像センサ部により検知する検知対象身体部分の状態がユーザの手のひらの停止状態であるので、画像センサ部は、ユーザの手のひらが当該画像センサ部に向けて正対させて広げられてないときには、当該手のひらの状態を検知体対象身体部分として検知せず、ユーザの手のひらが当該画像センサ部に向けて正対させて広げた状態で停止しているときのみ、当該手のひらの状態を検知体対象身体部分として検知することができる。よって、画像センサ部により得られる撮像画像データにおいて処理すべき情報量をできるだけ少なくして、システムの構成を一層簡素化しながら、ユーザの意に反して当該ユーザの検知対象身体部分の状態が画像センサ部により誤検知されることを抑制することができる。
【0013】
本発明の第5特徴構成は、前記検知エリアがユーザの肩付近の所定高さよりも上方の位置に設定されている点にある。
【0014】
本構成によれば、ユーザの手のひらを検知対象身体部分とする場合において、画像センサ部による撮像範囲の背景となる検知エリアがユーザの肩付近の所定高さよりも上方の位置に設定されているので、ユーザが手のひらを肩付近よりも低く下げているときには、画像センサ部は当該手のひらの状態を検知対象身体部分の状態として検知せず、ユーザが手のひらを肩付近よりも高く上げたときのみ、画像センサ部は当該手のひらの状態を検知対象身体部分の状態として検知することができる。よって、ユーザの意に反して当該ユーザの手のひらの状態が画像センサ部により誤検知されることを一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の非接触式スイッチシステムの概略構成を示す説明図
【
図2】第1実施形態における検知エリア床仕上げ材の一例を示す平面図
【
図3】第1実施形態における検知エリア床仕上げ材の一例を示す平面図
【
図4】第2実施形態の非接触式スイッチシステムの概略構成を示す説明図
【
図5】第3実施形態の非接触式スイッチシステムの概略構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る非接触式スイッチシステムの実施形態について図面に基づいて説明する。
まず、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態の非接触式スイッチシステム(以下「本システム」と呼ぶ)1A,1B,1Cの共通構成について説明する。
図1、
図4、及び
図5に示す本システム1A,1B,1Cは、居室や通路などの室内Rの所定の検知エリアAにおけるユーザUの検知対象身体部分Uaの状態を検知する画像センサ部2と、画像センサ部2の検知結果に基づいて制御対象機器10の作動を制御する機器制御部3と、を備えたシステムとして構成されている。
【0017】
画像センサ部2は、撮像して得た撮像画像データを解析して、当該撮像画像データにユーザUの検知対象身体部分Uaの特定の状態が含まれていると判定したときに、当該特定の状態に対応付けられた検知結果情報を機器制御部3に出力するものとして構成されている。また、上記検知対象身体部分Uaの特定の状態は、ユーザUの手のひらU1の特定の停止状態とされており、制御対象機器10に対する複数種の操作毎に、手のひらU1の特定の停止状態が対応付けられている。このように、画像センサ部2により得られる撮像画像データにおいて解析すべきユーザUの検知対象身体部分Uaの状態が、ユーザUの手のひらU1の停止状態とされていることで、画像センサ部2が処理すべき情報量を、手のひらU1を識別できるだけの輪郭や皺や中心位置などに関連する最小限のものに限定して、本システム1A,1B,1Cの構成の簡素化が図られている。
【0018】
上記機器制御部3は、ユーザUの手のひらU1の特定の停止状態を検知した画像センサ部2から停止位置などの検知結果情報を受信すると、当該検知結果情報に対応する制御指令信号を制御対象機器10に出力して、当該制御対象機器10の作動を制御する。
即ち、制御対象機器10の非接触操作を希望するユーザUは、画像センサ部2の検知エリアAにおいて手のひらU1の状態を所望の操作に対応付けられた特定の状態で停止させる。すると、そのユーザUの手のひらU1の特定の停止状態が画像センサ部2により検知され、画像センサ部2から停止位置などの検知結果情報が機器制御部3に出力されて、制御対象機器10が機器制御部3によりユーザUが希望するように操作されることになる。
【0019】
本システム1A,1B,1Cには、ユーザUに対して画像センサ部2の検知エリアAの場所を指示する検知エリア指示部5が設けられている。即ち、ユーザUは、この検知エリア指示部5を視認して、検知エリアAの場所を把握することができる。
更に、ユーザUに対して検知エリアAの場所を指示する検知エリア指示部5は、室内Rの床面や壁面などに施工される内装材Mを利用して設けられている。このことで、ユーザUに対して検知エリアAの場所を指示するために、室内Rの利用用途を制約するようなテーブルなどの検知エリア指示具の設置は不要となる。そして、室内Rの内装材Mを利用して検知エリアAの場所をユーザUに対して比較的正確に指示することができる。
【0020】
以上が、本システム1A,1B,1Cの共通構成であるが、以下に、第1実施形態の本システム1A、第2実施形態の本システム1B、第3実施形態の本システム1Cの夫々の特徴構成について説明を加える。
【0021】
〔第1実施形態〕
第1実施形態の本システム1Aの特徴構成について
図1に基づいて説明する。
本システム1Aは、制御対象機器10の一例として、室内Rの照明を行う照明装置10Aなどを非接触式で操作するためのシステムとして構成されている。
本システム1Aは、画像センサ部2が撮像方向を室内Rの床面に向かう下向きとする姿勢で室内Rの天井に設置されている。即ち、画像センサ部2の検知エリアAは、床面を撮像範囲の背景とし、当該背景となる床面と画像センサ部2との間のエリアとなる。そして、本実施形態において、ユーザUに対して上記検知エリアAの場所を指示する検知エリア指示部5は、室内Rの内装材Mとして床面に施工されるタイルカーペットなどの床仕上げ材M1を利用して設けられている。具体的には、床仕上げ材M1として複数のタイルカーペットが床面に敷設されており、当該複数のタイルカーペットの一部が、ユーザUにより視認可能なように周囲のタイルカーペットとは異なる色調とされて、上記検知エリア指示部5とされている。
このように、画像センサ部2が天井に設置されており、更には検知エリア指示部5が床仕上げ材M1を利用して設けられているので、室内Rの床面の利用用途を制約する障害物がなくなる。
【0022】
床仕上げ材M1の一部である上記検知エリア指示部5は、その上空の検知エリアAをユーザUに示すべく、画像センサ部2による撮像範囲の背景となる矩形の検知エリア床仕上げ材M1a(検知エリア内装材の一例)とされている。即ち、検知エリア床仕上げ材M1aは、当該検知エリア床仕上げ材M1aに隣接する他の床仕上げ材M1bとは色調等が異なるものとされることで、検知エリア指示部5として機能している。
【0023】
そして、照明装置10Aなどの制御対象機器10の非接触操作を希望するユーザUは、検知エリア指示部5として機能する検知エリア床仕上げ材M1aを視認して当該検知エリア床仕上げ材M1aに近寄り、その検知エリア床仕上げ材M1aの上空の検知エリアAに手のひらU1を画像センサ部2に向けて正対するように上向きに差し出し、その手のひらU1の状態を所望の操作に対応付けられた特定の状態で停止させる。すると、そのユーザUの手のひらU1の特定の停止状態が画像センサ部2により検知され、画像センサ部2から停止位置などの検知結果情報が機器制御部3に出力されて、照明装置10Aなどの制御対象機器10が機器制御部3によりユーザUが希望するように操作されることになる。
【0024】
検知エリア床仕上げ材M1aの周囲の他の床仕上げ材M1bの色調は、床の汚れなどが目立ち難い一般的な暗調子のものとされているが、画像センサ部2の撮像範囲の背景となる検知エリア床仕上げ材M1aの色調は、他の床仕上げ材M1bよりも高輝度に画像センサ部2に撮像される明調子のものとされている。すると、検知エリア床仕上げ材M1aを背景にして画像センサ部2により得られる撮像画像データにおいて、ユーザUの手のひらU1の輪郭や皺や陰影などが明確に描画されることになる。このことで、画像センサ部2の検知精度が一層向上されることになる。
【0025】
更に、上記検知エリアAにおいて、制御対象機器10に対する複数種の操作毎に手のひらU1の停止位置が設定されている場合には、これら複数の停止位置の夫々をユーザUが識別可能なように検知エリア床仕上げ材M1aを構成することができる。
例えば、
図2に示すように、検知エリア床仕上げ材M1aを構成する複数のタイルカーペットM1a1,M1a2の夫々を隣接したものとは異なる色として、それら夫々のタイルカーペットM1a1,M1a2の位置を、制御対象機器10に対する複数種の操作毎に設定された手のひらU1の停止位置とすることができる。この場合、ユーザUは、検知エリア指示部5であるこれら複数のタイルカーペットM1a1,M1a2の夫々の位置を視認し、それら複数のタイルカーペットM1a1,M1a2の夫々の位置のうちの希望する操作に対応する位置の上方で手のひらU1を画像センサ部2に正対した状態で停止させることで、制御対象機器10に対して所望の操作を実行させることができる。尚、
図2では、2種類の色のタイルカーペットM1a1,M1a2を千鳥状に配置することで、複数のタイルカーペットM1a1,M1a2の夫々を隣接したものとは異なる色としている。
【0026】
また、
図3に示すように、検知エリア床仕上げ材M1aにおいて、全体的には同じ色としながら、所定箇所にはその色とは異なるマークM1a3を付して、そのマークM1a3の例えば前後及び左右の夫々の位置を、制御対象機器10に対する複数種の操作毎に設定された手のひらU1の停止位置とすることもできる。この場合、ユーザUは、検知エリア指示部5であるマークM1a3の位置を視認し、そのマークM1a3の前後及び左右の夫々の位置のうちの希望する操作に対応する位置の上方で手のひらU1を画像センサ部2に正対した状態で停止させることで、制御対象機器10に対して所望の操作を実行させることができる。
【0027】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の本システム1Bの特徴構成について
図4に基づいて説明する。
本システム1Bは、制御対象機器10の一例として、室内Rの照明を行う照明装置10Aなどを非接触式で操作するためのシステムとして構成されている。
本システム1Bは、画像センサ部2が撮像方向を室内Rの壁面に向かう斜め下向きとする姿勢で室内Rの天井に設置されている。即ち、画像センサ部2の検知エリアAは、壁面を撮像範囲の背景とし、当該背景となる壁面と画像センサ部2との間のエリアとなる。そして、本実施形態において、ユーザUに対して上記検知エリアAの場所を指示する検知エリア指示部5は、室内Rの内装材Mとして壁面に施工される壁紙や壁紙上に貼り付けられるシールなどの壁仕上げ材M2を利用して設けられている。具体的には、壁仕上げ材M2として壁紙が壁面に敷設されており、当該壁紙の一部が、ユーザUにより視認可能なように周囲の壁紙とは異なる色調とされて、上記検知エリア指示部5とされている。
このように、画像センサ部2が天井に設置されており、更には検知エリア指示部5が壁仕上げ材M2を利用して設けられているので、室内Rの壁面の利用用途を制約する障害物がなくなる。
【0028】
壁仕上げ材M2の一部である上記検知エリア指示部5は、その手前側の検知エリアAをユーザUに示すべく、検知エリアAの奥側の壁面部分において水平方向に複数並設された円形の検知エリア壁仕上げ材M2aで構成されている。そして、これら複数が並設された検知エリア壁仕上げ材M2aは、当該検知エリア壁仕上げ材M2aに隣接する他の壁仕上げ材M2bとは色調等が異なるものとされることで、その手前側に位置する検知エリアAをユーザUに示す検知エリア指示部5として機能している。
【0029】
そして、照明装置10Aなどの制御対象機器10の非接触操作を希望するユーザUは、検知エリア指示部5として機能する検知エリア壁仕上げ材M2aを視認して当該検知エリア壁仕上げ材M2aに近寄り、その検知エリア壁仕上げ材M2aの手前側の検知エリアAに手のひらU1を画像センサ部2に正対するように斜め上向きに差し出し、その手のひらU1の状態を所望の操作に対応付けられた特定の状態で停止させる。すると、そのユーザUの手のひらU1の特定の停止状態が画像センサ部2により検知され、画像センサ部2から停止位置などの検知結果情報が機器制御部3に出力されて、照明装置10Aなどの制御対象機器10が機器制御部3によりユーザUが希望するように操作されることになる。
【0030】
更に、上記検知エリアAにおいて、制御対象機器10に対する複数種の操作毎に手のひらU1の停止位置が設定されている場合には、これら複数の停止位置の夫々をユーザUが識別可能なように検知エリア壁仕上げ材M2aを構成することができる。
例えば、
図4に示すように、複数の停止位置の夫々の近傍に、複数の検知エリア壁仕上げ材M2aの夫々を配置し、これら複数の検知エリア壁仕上げ材M2aの夫々の位置を、制御対象機器10に対する複数種の操作の夫々に対応付けることができる。この場合、ユーザUは、これら複数の検知エリア壁仕上げ材M2aの夫々の位置を視認し、それら複数の検知エリア壁仕上げ材M2aの夫々の位置のうちの希望する操作に対応する位置の近傍で手のひらU1を画像センサ部2に正対した状態で停止させることで、制御対象機器10に対して所望の操作を実行させることができる。
【0031】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の本システム1Cの特徴構成について
図5に基づいて説明する。
本システム1Cは、制御対象機器10の一例として、壁面の投影範囲Bに所定の画像を投影する投影装置10Bなどを非接触式で操作するためのシステムとして構成されている。
本システム1Cは、画像センサ部2が撮像方向を室内Rの壁面に向かう斜め下向きとする姿勢で室内Rの天井に設置されている。即ち、画像センサ部2の検知エリアAは、壁面を撮像範囲の背景とし、当該背景となる壁面と画像センサ部2との間のエリアとなる。そして、本実施形態において、ユーザUに対して上記検知エリアAの場所を指示する検知エリア指示部5は、室内Rの内装材Mとして壁面に施工される壁紙や壁紙上に貼り付けられるシールなどの壁仕上げ材M3を利用して設けられている。具体的には、壁仕上げ材M3として壁紙が壁面に敷設されており、当該壁紙の一部が、ユーザUにより視認可能なように周囲の壁紙とは異なる色調とされて、上記検知エリア指示部5とされている。
このように、画像センサ部2が天井に設置されており、更には検知エリア指示部5が壁仕上げ材M3を利用して設けられているので、室内Rの壁面の利用用途を制約する障害物がなくなる。
【0032】
壁仕上げ材M3の一部である上記検知エリア指示部5は、その手前上方側の検知エリアAをユーザUに示すべく、例えば検知エリアAの下端の左右両端に配置された三角形の検知エリア壁仕上げ材M3aで構成されている。そして、左右両側に配置された検知エリア壁仕上げ材M3aは、当該検知エリア壁仕上げ材M3aに隣接する他の壁仕上げ材M3bとは色調等が異なるものとされることで、それらに挟まれた範囲内においてその上方側に位置する検知エリアAをユーザUに示す検知エリア指示部5として機能している。
【0033】
そして、投影装置10Bなどの制御対象機器10の非接触操作を希望するユーザUは、検知エリア指示部5として機能する検知エリア壁仕上げ材M3aを視認して当該検知エリア壁仕上げ材M3aに近寄り、その検知エリア壁仕上げ材M3aの手前上方側の検知エリアAに手のひらU1を画像センサ部2に正対するように斜め上向きに差し出し、その手のひらU1の状態を所望の操作に対応付けられた特定の状態で停止させる。すると、そのユーザUの手のひらU1の特定の停止状態が画像センサ部2により検知され、画像センサ部2から停止位置などの検知結果情報が機器制御部3に出力されて、投影装置10Bなどの制御対象機器10が機器制御部3によりユーザUが希望するように操作されることになる。
【0034】
更に、本実施形態において、検知エリアAは、ユーザUの肩U2付近の所定高さよりも上方の位置に設定されている。具体的には、左右両側に配置された検知エリア壁仕上げ材M3aがユーザUの肩U2付近の高さに設けられており、これら両検知エリア壁仕上げ材M3aを結ぶ境界線よりも上方の位置に、検知エリアAが設定されている。このことで、ユーザUが手のひらU1を肩U2付近よりも低く下げているときには、当該手のひらU1の状態が画像センサ部2により検知されず、一方、ユーザUが手のひらU1を肩U2付近よりも高く上げたときのみ、当該手のひらU1の状態が画像センサ部2により検知される。よって、ユーザUの意に反して当該ユーザUの手のひらU1の状態が画像センサ部2により誤検知されることが抑制される。
【0035】
更に、上記検知エリアAにおいて、制御対象機器10に対する複数種の操作毎に手のひらU1の停止位置が設定されている場合には、これら複数の停止位置の夫々をユーザUが識別可能なように検知エリア壁仕上げ材M3aを構成することができる。
例えば、
図5に示すように、左右両側に配置された検知エリア壁仕上げ材M3aを結ぶ境界線の上下の領域を検知エリアAとし、当該境界線の上下夫々の位置を、制御対象機器10に対する2種の操作の夫々に対応付けることができる。この場合、ユーザUは、左右両側に配置された検知エリア壁仕上げ材M3aを結ぶ境界線の上下夫々の検知エリアAのうちの希望する操作に対応する検知エリアAで手のひらU1を画像センサ部2に正対した状態で停止させることで、制御対象機器10に対して所望の操作を実行させることができる。
尚、本実施形態において、夫々の画像センサ部2のカメラ画角を組み合わせたものが壁面の水平幅全体を包含するように複数の画像センサ部2を設置して、壁面の水平幅全体を検知エリアAとして設定することも可能である。
【0036】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0037】
(1)上記実施形態では、操作対象となる制御対象機器10を照明装置10A(
図1及び
図4を参照。)や投影装置10B(
図5を参照。)などとしたが、他の機器を制御対象機器10として採用することもできる。
【0038】
(2)上記実施形態では、検知エリア内装材M1a,M2a,M3aを、周囲の他の内装材M1b,M2b,M3bとは色調が異なるものとすることで、ユーザUにより視認可能な検知エリア指示部5として機能させたが、検知エリア内装材M1a,M2a,M3aの色調以外の模様などの状態を他の内装材M1b,M2b,M3bとは異なるものとして検知エリア指示部5として機能させるように構成しても構わない。
【0039】
(3)上記実施形態では、ユーザUの手のひらU1の停止状態を、画像センサ部2により検知する検知対象身体部分Uaの状態としたが、ユーザUの手のひらU1以外の身体部分(例えば手の甲など)を検知対象身体部分Uaとしても構わない。また、検知対象身体部分Uaの静的な状態変化であるポーズ(例えば、指を立てる本数など)を画像センサ部2により検知するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0040】
1A 非接触式スイッチシステム
1B 非接触式スイッチシステム
1C 非接触式スイッチシステム
2 画像センサ部
3 機器制御部
5 検知エリア指示部
10 制御対象機器
10A 照明装置(制御対象機器)
10B 投影装置(制御対象機器)
A 検知エリア
M 内装材
M1 床仕上げ材(内装材)
M1a 検知エリア床仕上げ材(検知エリア内装材)
M1a1 タイルカーペット(検知エリア内装材)
M1a2 タイルカーペット(検知エリア内装材)
M1a3 マーク(検知エリア内装材)
M1b 床仕上げ材(他の内装材)
M2 壁仕上げ材(内装材)
M2a 検知エリア壁仕上げ材(検知エリア内装材)
M2b 壁仕上げ材(他の内装材)
M3 壁仕上げ材(内装材)
M3a 検知エリア壁仕上げ材(検知エリア内装材)
M3b 壁仕上げ材(他の内装材)
R 室内
U ユーザ
U2 肩
Ua 検知対象身体部分