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特開2024-133527評価装置、評価方法、および、評価装置用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133527
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、および、評価装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   B60W 40/09 20120101ALI20240925BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B60W40/09
B60W40/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102093
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2020058380の分割
【原出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康悟
(72)【発明者】
【氏名】相馬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】村田 一夫
(72)【発明者】
【氏名】柏尾 将太
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転者の判断能力に基づく運転適合性の評価が可能な評価装置等を提供する。
【解決手段】移動体と移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体との間の距離、および他の移動体の進行速度に関する第1情報を取得し(S7)、第1情報に基づいて、移動体の進路への進行が可能な機会の有無を判定し(S8)、進行が可能と判定された進行可能回数と、移動体が進路へ進行しなかった非進行回数とに基づいて移動体の運転者の運転適合性を評価する(S9、S11)。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と前記移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体との間の距離、および前記他の移動体の進行速度に関する第1情報を取得する情報取得部と、
前記第1情報に基づいて、前記移動体の前記進路への進行が可能な機会の有無を判定する判定部と、
前記判定部により前記進行が可能と判定された進行可能回数と、前記移動体が前記進路へ進行しなかった非進行回数とに基づいて前記移動体の運転者の運転適合性を評価する評価部と、
を備えることを特徴とする評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、評価装置、評価方法、および、評価装置用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会において、高齢者の運転を支援することが有用である。下記特許文献1には、車両のブレーキ操作開始から車両停止までの車両の減速挙動を表す減速挙動データ、または車両のステアリングハンドル操作開始からステアリングハンドル操作終了までのステアリングハンドル操作の挙動を表すハンドル操作データ、を学習し、車両のブレーキ操作開始時またはステアリングハンドル操作時に、最新の期間における減速挙動データまたはハンドル操作データと、最新の期間よりも過去の期間における減速挙動データまたはハンドル操作データとを比較し、その比較結果に基づいて、運転者の運転能力が所定基準以上に衰えているか否かを判定する車両運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-254694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、運転行動は「認知」「判断」「操作」の3要素で成り立っていると言われている。判断の能力は、加齢等に伴って顕著に低下すると言われており、判断機能の低下の自覚不足が重大事故につながる場合が少なくない。しかし、先行技術では、「操作」の衰えしか判定することができなかった。
【0005】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、運転者の判断能力に基づく運転適合性の評価が可能な評価装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、移動体と前記移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体との間の距離、および前記他の移動体の進行速度に関する第1情報を取得する情報取得部と、前記第1情報に基づいて、前記移動体の前記進路への進行が可能な機会の有無を判定する判定部と、前記判定部により前記進行が可能と判定された進行可能回数と、前記移動体が前記進路へ進行しなかった非進行回数とに基づいて前記移動体の運転者の運転適合性を評価する評価部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また請求項9に記載の発明は、移動体の運転者の運転適合性を評価する評価装置の評価方法において、前記移動体と前記移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体との間の距離、および前記他の移動体の進行速度に関する第1情報を取得する情報取得ステップと、
前記第1情報に基づいて、前記移動体の前記進路への進行が可能な機会の有無を判定する判定ステップと、前記判定部により前記進行が可能と判定された進行可能回数と、前記移動体が前記進路へ進行しなかった非進行回数とに基づいて前記移動体の運転者の運転適合性を評価する評価ステップと、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る評価装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図2】移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
図3】移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
図4】移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
図5】移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
図6】実施例に係る評価システムの概要構成の一例を示す模式図である。
図7図6の車載装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図8図6のサーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図9】実施例に係るためらいスコアの測定時の評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図10】移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
図11】実施例に係る評価時の評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係る評価装置の概要構成の一例を示すブロック図である。図2から図5は、移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
【0010】
図1に示すように、評価装置1は、情報取得部1aと、判定部1bと、評価部1cと、を備えて構成されている。
【0011】
評価装置1は、例えば、移動体に搭載されたナビゲーション装置、端末装置等とネットワークを介して接続可能なサーバ装置等が挙げられる。ここで、移動体の一例として、例えば、自動車、自転車、人、鉄道、船舶、航空機等が挙げられる。携帯端末装置は、例えば、スマートフォンを含む携帯型無線電話機、PDA、ドライブレコーダ等が挙げられる。
【0012】
この構成において情報取得部1aは、移動体と移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体との間の距離、および他の移動体の進行速度に関する第1情報を取得する。
【0013】
移動体が進行する予定の進路の一例として、ナビゲーション装置により、出発地および目的地から算出された経路、移動体の現在位置、地図情報、移動体の方向指示器等から予想される移動体の進路等が挙げられる。
【0014】
移動体2が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体3は、例えば、移動体2の道路の右折の障害となる他の移動体、移動体2の道路への合流の障害となる他の移動体、移動体2の道路の横断の障害となる他の移動体等である。
【0015】
図2に示すように、移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例として、道路r1から左折して道路r2に合流しようとする移動体2が進行する予定の進路cに向かって、道路r2を右側から進行してくる移動体3が挙げられる。なお、この場合の道路の通行に関する規制状況としては、移動体2の前方には信号機は存在せず、移動体2は、道路r2を進行する他の移動体の往来が途絶えたタイミングで、道路r2への合流が可能な状況とする。移動体と他の移動体との間の距離の一例として、移動体2の前を移動体4が通り過ぎた直後における移動体2と他の移動体3との間の距離dが挙げられる。他の移動体の進行速度の一例として、移動体2の前を移動体4が通り過ぎた直後における他の移動体3の進行速度vが挙げられる。なお、道路r2は、道路へ合流する際に障害となる道路の一例である。
【0016】
図3に示すように、移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例として、道路r3から道路4へ右折しようとする移動体2が進行する予定の進路cに向かって、道路r3の反対車線を進行する移動体3が挙げられる。なお、この場合の道路の通行に関する規制状況としては、移動体2の前方には信号機は存在せず、または、移動体2の前方には信号機が存在するが当該信号機は青を示しており、移動体2は、道路r3の反対車線を進行する他の移動体の往来が途絶えたタイミングで、道路r4への右折が可能な状況とする。移動体と他の移動体との間の距離の一例として、移動体2の横を移動体4が通り過ぎた直後における移動体2と他の移動体3との間の距離dが挙げられる。他の移動体の進行速度の一例として、移動体2の横を移動体4が通り過ぎた直後における他の移動体3の進行速度vが挙げられる。なお、道路r4は、道路を右折する際に障害となる道路の一例である。
【0017】
図4に示すように、移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例として、道路r5を横断(直進)しようとする移動体2が進行する予定の進路cに向かって、道路r6を移動体2の右側から進行してくる移動体3A、および、道路r5を横断(直進)しようとする移動体2が進行する予定の進路cに向かって、道路r6を移動体2の左側から進行してくる移動体3Bが挙げられる。なお、この場合の道路の通行に関する規制状況としては、移動体2の前方には信号機は存在せず、移動体2は、道路r6を進行する他の移動体の往来が途絶えたタイミングで、道路r6への横断が可能な状況とする。移動体と他の移動体との間の距離の一例として、移動体2の前を移動体4Aまたは移動体4Bが通り過ぎた直後における、移動体2と他の移動体3Aとの間の距離d1、および、移動体2と他の移動体3Bとの間の距離d2が挙げられる。他の移動体の進行速度の一例として、移動体2の前を移動体4Aまたは移動体4Bが通り過ぎた直後における他の移動体3Aの進行速度v1および他の移動体3Bの進行速度v2が挙げられる。なお、道路r6は、道路を横断する際に障害となる道路の一例である。
【0018】
図5に示すように、移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例として、道路r5から道路6へ右折しようとする移動体2が進行する予定の進路cに向かって、道路r6を移動体2の右側から進行してくる移動体3A、および、道路r5を横断(直進)しようとする移動体2が進行する予定の進路cに向かって、道路r6を移動体2の左側から進行してくる移動体3Bが挙げられる。なお、この場合の道路の通行に関する規制状況としては、移動体2の前方には信号機は存在せず、移動体2は、道路r6を進行する他の移動体の往来が途絶えたタイミングで、道路r6への合流が可能な状況とする。移動体と他の移動体との間の距離の一例として、移動体2の前を横に移動体4Aまたは移動体4Bが通り過ぎた直後における、移動体2と他の移動体3Aとの間の距離d1、および、移動体2と他の移動体3Bとの間の距離d2が挙げられる。他の移動体の進行速度の一例として、移動体2の前を横に移動体4Aまたは移動体4Bが通り過ぎた直後における他の移動体3Aの進行速度v1および他の移動体3Bの進行速度v2が挙げられる。なお、道路r6は、道路を右折する際に障害となる道路の一例である。
【0019】
第1情報には、距離、進行速度に加えて、他の移動体の加速度が含まれてもよい。第1情報には、他の移動体4とは異なる物体であって、移動体2の右折先または合流先等の道路上に存在する物体(例えば、横断歩道を渡ろうとする人等)の存在を示す情報が含まれてもよい。道路上に存在する物体が、移動体2の進行障害となると判定された場合、移動体2の進行が不可能と判定される。
【0020】
判定部1bは、第1情報に基づいて、移動体の進路への進行が可能な機会の有無を判定する。
【0021】
移動体の進路への進行が可能な機会の一例として、図2に示すように、合流の場合、優先道路である道路r2を移動体2の合流方向に走行する移動体4が、移動体2の前を通過し、合流の進路cが開けたタイミング、図3に示すように、右折の場合、移動体4が、移動体2の横を通過し、右折の進路cが開けたタイミングが挙げられる。
【0022】
また、移動体の進路への進行が可能な機会の一例として、図4に示すように、横断(直進通過)の場合、右からの移動体4が移動体2の前を通過し、直進通過の進路cが開けたタイミング、左からの移動体4が移動体2の前を通過し、直進通過の進路cが開けたタイミング、右からの移動体4、または、左からの移動体4が移動体2の前を通過し、直進通過の進路cが開けたタイミング等が挙げられる。
【0023】
また、移動体の進路への進行が可能な機会の一例として、図5に示すように、右折の場合、右からの移動体4が移動体2の前を通過し、右折の進路cが開けたタイミング、左からの移動体4が移動体2の前を通過し、右折の進路cが開けたタイミング、右からの移動体4、または、左からの移動体4が移動体2の前を通過し、右折の進路cが開けたタイミング等が挙げられる。
【0024】
評価部1cは、判定部1bにより進行が可能と判定された進行可能回数と、移動体が進路へ進行しなかった非進行回数とに基づいて移動体の運転者の運転適合性を評価する。ここで、非進行回数の一例として、非進行回数として、移動体2が安全に通行可能な機会があったにも関わらず、躊躇して進行しなかった回数等が挙げられる。進行可能回数と非進行回数とに基づいて運転適合性を評価する一例として、進行可能回数に対する非進行回数を示す非進行指数に応じて運転適合性を評価する、非進行指数と基準の非進行指数とを比較して運転適合性を評価する等が挙げられる。
【0025】
以上説明したように、実施形態に係る評価装置1の動作によれば、移動体の進行が可能と判定された進行可能回数と移動体が進路への進行しなかった非進行回数とに基づく評価なので、運転者の判断能力に基づく運転適合性の評価ができる。
【実施例0026】
[1.評価システム、車載装置およびサーバ装置の構成および機能概要]
(1.1 評価システムの構成および機能概要)
【0027】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、移動体の一例である車両における評価システムSに対して、本願を適用した場合の実施例である。
【0028】
図6は、実施例に係る評価システムの概要構成の一例を示す模式図である。
【0029】
図6に示すように、実施形態に係る評価システムSは、複数の車両5(移動体の一例)と、車両5に搭載された車載装置10と、車両5から情報を取得して各種処理を行うサーバ装置20と、を含んで構成される。なお、各車両5の車載装置10は、ネットワーク6を介してサーバ装置20と通信できればよいので、全く同じ装置でなくてもよい。各車両5の車載装置10は、互いに車車間通信できてもよい。
【0030】
車載装置10は、例えば、ナビゲーション装置である。車載装置10は、車両5の各センサに基づいた車両5の位置情報、進行速度の情報、経路情報等をサーバ装置20に送信する。
【0031】
サーバ装置20は、各車載装置10から各車両5の位置情報等を収集し、車両5の進路への進行が可能な機会の有無を判定したり、進行が可能と判定された進行可能回数と、車両5が進路への進行しなかった回数とに基づいて車両5の運転者の運転適合性を評価したりする。
【0032】
車載装置10およびサーバ装置20は、ネットワーク6を介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワーク6は、例えば、インターネット、専用通信回線、移動体通信網(基地局等を含む)、およびゲートウェイ等により構築されている。
【0033】
(1.2 車載装置10の構成および機能)
次に、車載装置10の構成および機能について、図7を用いて説明する。
【0034】
図7に示すように、コンピュータとして機能する車載装置10は、通信部11と、記憶部12と、出力部13と、操作部14と、センサ部15と、制御部16と、を有する。
【0035】
通信部11は、無線通信機能を有する。通信部11は、ネットワーク6の移動体通信網に接続してサーバ装置20等との通信状態を制御する。
【0036】
記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブ、シリコンディスクドライブ等により構成されており、地図情報等を記憶している。記憶部12は、車載装置10を制御するための各種プログラム等を記憶したりする。各種プログラムは、オペレーティングシステム、ナビゲーションや、音楽再生用のアプリケーションソフト等が挙げられる。なお、各種プログラムは、例えば、無線通信網等のネットワーク6を介して取得されるようにしてもよいし、CD、DVD等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0037】
出力部13は、カーナビゲーション装置の表示部であり、例えば、液晶表示素子またはEL素子等によって構成されている。出力部13は、車両5の運転者に視認可能にサーバ装置20から取得した地図等の画像を表示する。出力部13は、サーバ装置20から運転能力評価結果を受信した場合はその内容を表示する。また、出力部13は、スピーカであり、経路案内などを音声、楽曲、音声等の音等を出力してもよい。出力部13は、サーバ装置20から運転能力評価結果を受信した場合はその内容を音声出力してもよい。
【0038】
操作部14は、例えば、電源ボタン、音量ボタン等の各種ボタン等によって構成されている。操作部14は、例えば、経路設定の操作の入力を取得する。なお、出力部13がタッチパネルのようなタッチスイッチ方式の表示パネルの場合、操作部14は、ユーザが接触または近接した出力部13の位置情報を取得する。
【0039】
センサ部15は、車両自体の走行状態等を計測する車両5に搭載されたセンサ(内界センサ)や、車両5の外界を測定するセンサであって、自動運転に必要な情報を取得するセンサ(外界センサ)等を有する。
【0040】
例えば、内界センサは、車両5の加速度、速度、進行方向、傾き等を検出することが挙げられる。また、内界センサは、ステアリングホイールの角度、ブレーキ、ギア、ワイパー等の操作状態、方向指示器の指示方向、ライトのオン・オフ状態等を検出するセンサである。さらに、内界センサとして、具体的には、ジャイロセンサ、加速度センサ、速度センサ、車輪回転角センサ、舵角センサ等が挙げられる。なお、車両5の絶対位置を取得するGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)測位システムを、内界センサに含めてもよい。
【0041】
また、外界センサの一例として、レーダ、走行空間センサ(LIDAR:Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、車両の周囲を撮影するカメラ等が挙げられる。カメラは、CMOSイメージセンサ等の撮影素子を有する。
【0042】
また、センサ部15は、道路交通情報通信システム(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)が提供する交通情報を受信するセンサを有してもよい。センサ情報取得部15は、現在時刻を測定するタイマを有する。
【0043】
制御部16は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、を有する。制御部16は、CPUが、ROMや、RAMや、記憶部12に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。
【0044】
制御部16は、車両5の自己位置データ、車速データに、これらのデータに車載装置10を識別するための端末IDを付した情報を、通信部11を介して、常時、サーバ装置20に送信させる。
【0045】
(1.3 サーバ装置20の構成および機能)
次に、サーバ装置20の構成および機能について、図8を用いて説明する。
【0046】
図8は、サーバ装置20の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
図8に示すように、コンピュータとして機能するサーバ装置20は、通信部21と、記憶部22と、表示部23と、操作部24と、入出力インターフェース部25と、制御部26と、を有する。制御部26と入出力インターフェース部25とは、システムバス27を介して接続されている。
【0048】
通信部21は、ネットワーク6に接続して、各車載装置10との通信状態を制御するように構成される。サーバ装置20は、通信部21を介して、車載装置10から車載装置10の位置(緯度・経度)、移動方向の情報、速度情報を取得する。
【0049】
記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ、シリコンディスクドライブ等により構成されている。
【0050】
記憶部22は、地図データベース22a、スコアデータベース22b等と、を有する。
【0051】
地図データベース22aは、道路、施設、交差点、交通規制の位置等のナビゲーションに必要な情報が記憶されている。例えば、道路の情報として、各リンクの位置情報(例えば、リンクの両端のノードの位置座標等)、リンクの距離、道幅、道路名等が挙げられる。
【0052】
スコアデータベース22aは、車両5の各車載装置10に割り当てられた車載装置IDに関連付けて、進行可能回数、ためらいスコア(移動体が進路への進行しなかった非進行回数の一例)等が記憶されている。ここで、ためらいスコアは、自車両5が安全に通行可能な機会があったにも関わらず、判断に躊躇して進行しなかったことを点数化したものである。
【0053】
また、記憶部22は、オペレーティングシステムおよびサーバプログラム等の各種プログラム等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワーク6を介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0054】
表示部23は、例えば、液晶表示素子またはEL素子等によって構成されている。
【0055】
操作部24は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。
【0056】
制御部26は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有する。制御部25は、サーバ装置20の各部の動作を制御する。制御部26は、記憶部22に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより、各種処理等を実行する。
【0057】
制御部26は、ナビゲーション手段、ためらい判定手段、運転適合性評価手段と、して機能する。ナビゲーション手段は、車両5の自己位置データと地図情報とに基づいて、対象の車両5の地図上の位置を取得するとともに、車両5の車載装置10からの経路設定要求に応じて経路を探索し、経路案内データを生成する。運転適合性評価手段は、ためらい判定手段により進行が可能と判定された進行可能回数と、車両が進路へ進行しなかった非進行回数とに基づいて車両5の運転者の運転適合性を評価する。
【0058】
[2.評価システムSの動作]
次に、実施例に係る評価システムSの動作について図を用いて説明する。
【0059】
(2.1 ためらいスコア計算時の評価システムSの動作の一例)
まず、ためらいスコア計算時の評価システムSの動作の一例について図9および図10を用いて説明する。
【0060】
図9は、実施例に係るためらいスコアの測定時の評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。図10は、移動体が進行する予定の進路に向かって進行する他の移動体の一例を示す模式図である。
【0061】
図9に示すように、評価システムSは、進行可能回数・ためらいスコアを読み出す(ステップS1)。具体的には、対象の車両5の車載装置10から端末IDおよび対象の車両5の現在位置の情報を取得すると、サーバ装置20の制御部26が、端末IDに基づき、スコアデータベース22bを参照して、進行可能回数NおよびためらいスコアSCを読み出す。
【0062】
次に、評価システムSは、車両5が所定の地点に到着したか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、制御部26は、対象の車両5の現在位置に基づき、地図データベース22aを参照して、車両5が所定の地点に到着したか否かを判定する。例えば、図2に示すように、対象の車両5(移動体2)が、非優先道路(道路r1)における合流地点に到達したか否かを判定する。または、図3に示すように、対象の車両5(移動体2)が、右折地点に到達したか否かを判定する。または、図4に示すように、対象の車両5(移動体2)が、非優先道路(道路r5)における通過地点に到達したか否かを判定する。または、図5に示すように、対象の車両5(移動体2)が、非優先道路(道路r5)における通過地点に到達したか否かを判定する。なお、ここで、非優先道路の合流地点、右折地点、非優先道路における通過地点、及び非優先道路における通過地点は、所定の地点の一例である。
【0063】
車両5が所定の地点に到着していない場合(ステップS2;NO)、サーバ装置20が、ステップS2の処理を繰り返す。
【0064】
車両5が所定の地点に到着した場合(ステップS2;YES)、評価システムSは、予定の進路に向かって進行する他車両との車間距離および当該他車両の車速の測定を要求する(ステップS3)。
【0065】
図2に示すように、対象の車両5(移動体2)が、非優先道路(道路r1)における合流地点に到達した場合、サーバ装置20の制御部26は、優先道路(道路r2)を走行する側方車(移動体3)までの車間距離dおよび側方車(移動体3)の車速vの測定を、車載装置10に要求する。図3に示すように、対象の車両5(移動体2)が、右折地点に到達した場合、制御部26は、対向する他車両(移動体3)までの車間距離dおよび他車両(移動体3)の車速vの測定を、車載装置10に要求する。図4に示すように、対象の車両5(移動体2)が、非優先道路(道路r5)における通過地点に到達した場合、制御部26は、優先道路(道路r6)を走行する各車両5(移動体3Aおよび移動体3B)までの車間距離d1、d2および各車両5(移動体3Aおよび移動体3B)の車速v1、v2の測定を、車載装置10に要求する。図5に示すように、対象の車両5(移動体2)が、非優先道路(道路r5)における右折地点に到達した場合、制御部26は、優先道路(道路r6)を走行する各車両5(移動体3Aおよび移動体3B)までの車間距離d1、d2および各車両5(移動体3Aおよび移動体3B)の車速v1、v2の測定を、車載装置10に要求する。
【0066】
次に、評価システムSは、サーバ装置20から測定要求を受信した否か判定する(ステップS4)。具体的には、車載装置10の制御部16が、サーバ装置20から測定要求を受信した否か判定する。
【0067】
測定要求を受信していない場合(ステップS4;NO)、車載装置10が、ステップS4の処理を繰り返す。
【0068】
測定要求を受信した場合(ステップS4;YES)、評価システムSは、予定の進路に向かって進行する車両との車間距離および車速を測定する(ステップS5)。
【0069】
具体的には、図2に示すように、サーバ装置20からの測定要求に基づいて、合流時の側方の他車両(移動体3)と、対象の車両5(移動体2)との車間距離d、および、他車両(移動体3)の車速vを、制御部16が、センサ部15からの車載カメラ画像(または、Lidarの点群画像)を解析して測定する。
【0070】
図3に示すように、制御部16は、右折時の対向する他車両(移動体3)と対象の車両5(移動体2)との車間距離d、および他車両(移動体3)の車速vを、センサ部15からの車載カメラ画像等を解析して測定する。
【0071】
図4に示すように、制御部16は、通過時の対象の車両5(移動体2)から、優先道路(道路r6)を走行する各車両5(移動体3Aおよび移動体3B)までの車間距離d1、d2および各車両5の車速v1、v2の測定を、センサ部15からの車載カメラ画像等を解析して測定する。
【0072】
図5に示すように、制御部16は、右折時の対象の車両5(移動体2)から、優先道路(道路r6)を走行する各車両5(移動体3Aおよび移動体3B)までの車間距離d1、d2および各車両5の車速v1、v2の測定を、センサ部15からの車載カメラ画像等を解析して測定する。
【0073】
なお、図2に示すように、合流の場合、優先道路(道路r2)を対象の車両5(移動体2)の合流方向に走行する他車両(移動体4)が、車両5(移動体2)の前を通過し、合流の進路cが開けたタイミングで、続く他車両(移動体3)までの車間距離dと他車両(移動体3)の車速vとを、制御部16が測定する。
【0074】
図3に示すように、右折の場合、対向する他車両(移動体4)が、対象の車両5(移動体2)の横を通過し、右折の進路cが開けたタイミングで、続く対向する他車両(移動体3)までの車間距離dおよび他車両(移動体3)の車速vを、制御部16が測定する。
【0075】
図4に示すように、直進通過の場合、右からの他車両(移動体4A)、または、左からの他車両(移動体4B)が対象の車両5(移動体2)の前を通過し、直進通過の進路cが開けたタイミングで、右からの他車両(移動体3A)までの車間距離d1および左からの他車両(移動体3B)までの車間距離d2、並びに、右からの他車両(移動体3A)の車速v1および左からの他車両(移動体3B)の車速v2を測定、制御部16が測定する。
【0076】
図5に示すように、右折の場合、右からの他車両(移動体4A)、または、左からの他車両(移動体4B)が対象の車両5(移動体2)の前を通過し、右折の進路cが開けたタイミングで、右からの他車両(移動体3A)までの車間距離d1および左からの他車両(移動体3B)までの車間距離d2、並びに、右からの他車両(移動体3A)の車速v1および左からの他車両(移動体3B)の車速v2を、制御部16が測定する。
【0077】
また、いずれの場合も他車両(移動体3)の加速度を測定してもよい。車両5(移動体2)の車載装置10が、他車両(移動体3)と車車間通信を行い、他車両(移動体3)の位置情報、車速、加速度等のデータを取得してもよい。
【0078】
次に、評価システムSは、車間距離および車速を送信する(ステップS6)。具体的には、車載装置10の制御部16が、車間距離および車速の測定データを、上記タイミングで、測定の都度、サーバ装置20に送信する。
【0079】
なお、図10に示すように、右折先の進路cに歩行者p等が存在する場合は、通行障害ありの旨を示す情報を測定データに付して送信する。なお、進路の先に進行障害の一例として、交通信号が、黄色や赤色になった場合でもよい。
【0080】
次に、評価システムSは、進行可能の時間を計算する(ステップS7)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、車載装置10から、測定データを受信すると、車間距離d、d1、d2と、車速v、v1、v2とに基づいて、進行可能の時間を計算する。さらに、具体的に、制御部26が、進行可能の時間として、車間距離d、d1、d2を車速v、v1、v2でそれぞれ除して、他車両(移動体3、3A、3B)が車両(移動体2)に到達する時間を計算する。なお、制御部26が、車間距離、車速、加速度も基づいて、進行可能の時間を計算してもよい。
【0081】
次に、評価システムSは、進行可能か否かを判定する(ステップS8)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、進行可能の時間に基づいて、対象の車両5(移動体2)が進行可能か否かを判定する。進行可能の時間が、安全に通行が可能とみなされるための所定時間以上の場合、制御部26が、進行可能と判定する。進行可能の時間が、所定時間より短い場合、制御部26が、進行可能と判定しない。所定時間は、道路形状に基づいて個別の時間が設定されていてもよい。例えば、記憶部12に記憶された地図情報には、リンクの両端のノードの位置座標に関連付けて、当該所定時間が記憶されていてもよい。また、通行障害ありの旨を示す情報が測定データに付されている場合は、制御部26が、いかなる時も、進行可能と判定しない。
【0082】
この時、制御部26が、進行における余裕度を算出してもよい。例えば、余裕度は、進行可能の時間が所定時間よりも長いほど、大きくなるように算出される。
【0083】
進行可能でない場合(ステップS8;NO)、制御部26が、ステップS7の処理を行う。
【0084】
進行可能である場合(ステップS8;YES)、評価システムSは、進行可能回数をインクリメントする(ステップS9)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、進行が可能と判断される度に、進行可能回数Nを1つインクリメントする。
【0085】
次に、評価システムSは、進行が終了したか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、地図上における位置に基づいて、右折、合流、または、直進等が終了したと判定する。より具体的には、制御部26が、対象の車両5(移動体2)の位置情報に基づき、所定の地点から所定の距離を離れたか否かを判定する。
【0086】
進行が終了していない場合(ステップS10;NO)、評価システムSは、ためらいスコアを加算する(ステップS11)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、ためらいスコアSCに対して、1回の機会を逸すると1を加算する。すなわち、通行が可能な機会があっても、対象車両が右折、合流、直進等を行わなければ、ためらいスコアSCを加算する。なお、制御部26が、車両5が進路cへの進行しなかった非進行回数を増加させる値を、余裕度に応じて変えてもよい。例えば、制御部26が、余裕度が大きいほど、ためらいスコアSCに対して、加算する値を1より大きくしてもよい。通行するための時間的な余裕が少ない場合よりも、余裕が十分にあるにも関わらず、実際に通行をしなかった場合の方が、対象運転者の判断能力は衰えていると考えられるため、このように、余裕度に応じてためらいスコアSCに重み付けを行うことで、より精度よく運転者の判断能力を評価することができる。
【0087】
ステップS11の処理の後、ステップS7の処理に戻り、引き続き、車載装置10から、次の他車両(移動体3、3A,3B)に関する測定データが送信され、進行可能か否かの判定が繰り返され、その度、進行可能回数Nがインクリメントされる。
【0088】
進行が終了した場合(ステップS10;YES)、評価システムSは、測定の停止指示を送信する(ステップS12)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、測定の停止指示の信号を車載装置10に送信する。
【0089】
次に、評価システムSは、測定の停止指示を受信したか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、車載装置10の制御部16が、測定の停止指示を受信したか否かを判定する。
【0090】
測定の停止指示を受信していない場合(ステップS13;NO)、車載装置10が、ステップS5の処理を行う。サーバから測定停止指示があるまで、車載装置10が、ステップS5からステップS13の処理を繰り返す。
【0091】
評価システムSは、ためらいスコアの計算が終了か否かを判定する(ステップS14)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、測定の停止指示を送信した後、目的地に到着したか、または、運転が終了したか否かを判定する。
【0092】
ためらいスコアの計算が終了していない場合(ステップS14;NO)、サーバ装置20が、ステップS2の処理に戻る。
【0093】
ためらいスコアの計算が終了した場合(ステップS14;YES)、評価システムSは、進行可能回数・ためらいスコアを記憶する(ステップS15)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、今回更新した進行可能回数N、ためらいスコアSCを端末IDと関連付けて記憶部に記憶させる。
【0094】
(2.2 の評価時の評価システムSの動作の一例)
まず、評価時の評価システムSの動作の一例について図11を用いて説明する。
【0095】
図11は、実施例に係る評価時の評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0096】
図11に示すように、評価システムSは、対象端末IDについての、最近の所定期間内に取得された進行可能回数、ためらいスコアを読み出す(ステップS20)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、所定のタイミング(例えば、半年に一度や1年に一度)で、端末IDに基づき、スコアデータベース22aを参照して、最新の所定期間に取得された進行可能回数N、ためらいスコアSCを読み出す。最新の所定期間は、例えば、毎日、毎月、半年、1年等である。
【0097】
次に、評価システムSは、最近のためらい指数を算出する(ステップS21)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、最近のためらい指数T(=SC/N)を算出する。ここで、ためらい指数Tは、右折や合流等を実行する機会の回数に占める右折や合流等を実行しなかった回数の割合である。ためらい指数Tは、右折や合流等を実行する機会があったにも関わらず、判断に迷い実行をためらう回数が多いほど大きい値を示す。ためらい指数は、進行可能回数に対する前記非進行回数を示す非進行指数の一例である。ためらい指数は、対象運転者の判断能力を示す指数である。
【0098】
次に、評価システムSは、最近のためらい指数Tと標準指数Tsを比較して劣位量を算出する(ステップS22)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、最新のためらい指数Tと標準のためらい指数Tsとの比較を行い、差分量を計算する。標準指数に関する劣位量は、例えば、標準のためらい指数Tsから、最新のためらい指数Tを差し引く。
【0099】
ここで、標準のためらい指数Tsは、例えば、不特定多数の運転者のデータに基づいて算出された平均的な運転者のためらい指数である。標準のためらい指数は、基準の非進行指数の一例である。したがって、この劣位量は、対象運転者の判断能力に対応し、標準、すなわち、平均的な運転者よりより劣位を量的に表した指標である。なお、劣位量は、差分量でなく、比率でもよい。
【0100】
次に、評価システムSは、劣位量が所定値を超えたか否かを判定する(ステップS23)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、標準指数に関する劣位量が、標準指数に対して設定された所定値(第1基準)を超えたか否かを判定する。すなわち、制御部26が、一般的な運転適合性からの低下が第1基準を超えたか否かを判定する。
【0101】
劣位量が所定値を超えた場合(ステップS23;YES)、評価システムSは、運転免許返納の検討を促すメッセージを生成する(ステップS24)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、対象運転者に対して運転免許返納の検討を促すメッセージを生成する。
【0102】
劣位量が所定値を超えていない場合(ステップS23;NO)、評価システムSは、対象の端末IDについての、過去の所定期間内に取得された進行可能回数Na、および、ためらいスコアSCaを読み出す(ステップS25)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、対象の端末IDに基づき、スコアデータベース22aを参照して、過去の所定期間内に取得された進行可能回数Na、および、ためらいスコアSCaを読み出す。
【0103】
次に、評価システムSは、過去のためらい指数を算出する(ステップS26)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、過去の所定期間内に取得された進行可能回数Na、および、過去の所定期間内のためらいスコアSCaから、自己の過去のためらい指数Ta(=ためらいスコアSCa/進行可能回数Na)を算出する。自己の過去のためらい指数Taは、運転者自身の過去の所定期間(例えば、1年前から2年前の期間)に取得されたデータに基づいて算出された、ためらい指数である。進行可能回数Naは、例えば、過去の所定期間内に取得された進行可能回数の合計である。過去の所定期間内のためらいスコアSCaは、過去の所定期間内のためらいスコアの合計である。過去のためらい指数は、基準の非進行指数の一例である。
【0104】
次に、評価システムSは、過去のためらい指数Taと最新のためらい指数Tを比較して劣位量を算出する(ステップS27)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、最新のためらい指数Tと自己の過去のためらい指数Taとの比較を行い、差分量を計算する。自己の過去に関する劣位量は、例えば、自己の過去のためらい指数Taから、最新のためらい指数Tを差し引く。自己の過去に関する劣位量は、対象運転者の判断能力に対応し、自己の過去より劣位を量的に表した指標である。なお、劣位量は、差分量でなく、比率でもよい。
【0105】
次に、評価システムSは、劣位量が所定値を超えているか否かを判定する(ステップS28)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、自己の過去に関する劣位量が、過去のためらい指数に対して設定された所定値(第2基準)を超えたか否かを判定する。すなわち、制御部26が、運転者の過去の運転適合性からの低下が第2基準を超えたか否かを判定する。
【0106】
劣位量が所定値を超えていない場合(ステップS28;NO)、評価システムSは、判断能力の変化がないことを示すメッセージを生成する(ステップS29)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、判断能力の変化がないことを示すメッセージを生成する。なお、劣位量が、判断能力の向上用の所定値よりマイナスの場合、制御部26が、判断能力が向上したことを示すメッセージを生成してもよい。
【0107】
劣位量が所定値を超えている場合(ステップS28;YES)、評価システムSは、判断能力の過去より衰えたことを示すメッセージを生成する(ステップS30)。具体的には、サーバ装置20の制御部26が、判断能力の過去より衰えたことを示すメッセージを生成する。
【0108】
次に、評価システムSは、メッセージを車載装置10に送信する(ステップS31)。具体的には、制御部26が、ステップS24の処理を経た場合、対象運転者に対して運転免許返納の検討を促すメッセージを、端末IDに対応する車載装置10に送信する。制御部26が、ステップS29の処理を経た場合、判断能力の変化がないことを示すメッセージ、または、判断能力の向上したことを示すメッセージを、端末IDに対応する車載装置10に送信する。制御部26が、ステップS30の処理を経た場合、判断能力の過去より衰えたことを示すメッセージを、端末IDに対応する車載装置10に送信する。
【0109】
車載装置10は、警告として、受信したメッセージを出力部13に表示または音声で通知する。
【0110】
なお、車載装置10が、サーバ装置20の代わりに、進路への進行が可能な機会の有無を判定、運転者の運転適合性の評価等の処理を行ってもよい。この場合、車載装置10は、地図情報を自装置内に記憶し、車載装置10の制御部16を、ナビゲーション手段、ためらい判定手段、運転適合性評価手段と、して機能させればよい。また、車載装置10が、ネットワーク6を介して、標準のためらい指数を取得するようにしてもよい。
【0111】
以上説明したように、実施例に係る動作によれば、自車両5の進行が可能と判定された進行可能回数と自車両5が進路への進行しなかった非進行回数とに基づく評価なので、運転者の判断能力に基づく運転適合性の評価ができる。
【0112】
自車両5の通行が非優先の状況下において、自車両5が安全に通行可能な機会があった際に、機会を逸することなく通行したか否かに基づいて、運転者の運転適合性を評価することができる。
【0113】
進行可能回数に対する非進行回数を示す非進行指数に応じて、運転者の運転適合性を評価する場合、運転者の判断能力を示す非進行指数化により、運転者の判断能力に基づく運転適合性の評価がより正確にできる。
【0114】
非進行指数と基準の非進行指数とを比較して、運転者の運転適合性を評価する場合、標準のためらい指数、過去のためらい指数等の基準の非進行指数より正確に評価できる。
【0115】
進路の先に進行障害が存在する場合は、進行が不可能と判定するため、運転者の判断能力に基づく運転適合性を、より正確に評価できる。
【0116】
評価された運転適合性に応じたメッセージを生成する場合、一般的な運転適合性からの低下したとき運転免許返納の検討を促すメッセージ、運転者の過去の運転適合性からの低下したときは、判断能力の過去より衰えたメッセージ等、運転適合性に応じた運転者に気づきを通知することができる。
【0117】
なお、本発明は、本発明の各実施の形態で説明した発明の本旨を逸しない範囲で自由に設計変更可能であり、本発明の各実施の形態で説明した内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0118】
1:評価装置
2:移動体
3:他の移動体
5:車両
10:車載装置(評価装置)
20:サーバ装置(評価装置)
S:評価システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11