(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133541
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105114
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2022509302の分割
【原出願日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2020058885
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥子
(72)【発明者】
【氏名】大石 智也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動時間の効率的な利用を提案すること。
【解決手段】取得部221は、車両の走行ルートに関する情報を取得する。また、動作決定部224は、取得部221によって取得された情報に応じて、車両の乗員であって運転中でない乗員に推奨する動作を決定する。また、通知部226は、動作決定部224によって決定された動作に関する情報を通知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の走行ルートに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された情報に応じて、前記移動体の乗員であって運転中でない乗員に推奨する動作を決定する動作決定部と、
前記動作決定部によって決定された動作に関する情報を通知する通知部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転機能を備え、低床、箱型デザインによる広大な室内空間を持ち、様々なサービスに応じた設備を搭載可能な自動車が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「トヨタ自動車、モビリティサービス専用EV“e-Palette Concept”をCESで発表」(https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/20508200.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、乗員が移動時間を効率的に利用できない場合があるという問題がある。例えば、目的地まで自動運転で移動する間、乗員は運転に関する操作を行う必要がなくなる場合があるが、その移動中の時間及び広大な室内空間を有効活用できないことがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動時間の効率的な利用を提案できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の情報処理装置は、移動体の走行ルートに関する情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された情報に応じて、前記移動体の乗員であって運転中でない乗員に推奨する動作を決定する動作決定部と、前記動作決定部によって決定された動作に関する情報を通知する通知部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、車両制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、乗員DBのデータ構造の例を示す図である。
【
図5】
図5は、履歴DBのデータ構造の例を示す図である。
【
図6】
図6は、動作DBのデータ構造の例を示す図である。
【
図8】
図8は、エージェントと乗員との間の会話の例を示す図である。
【
図9】
図9は、エージェントと乗員との間の会話の例を示す図である。
【
図10】
図10は、エージェントと乗員との間の会話の例を示す図である。
【
図11】
図11は、情報処理方法の例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、情報処理方法の例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、情報処理方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0009】
〔情報処理システムの概略構成〕
図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。情報処理システム1は、移動体である車両VEの移動に関する情報を基に、車両VEの乗員に動作に関する情報を提供する。また、情報処理システム1は、乗員の動作に応じて車両VEを制御する。なお、本実施の形態における車両VEは、非特許文献1に記載されているような広大な室内空間を持つ車両であるものとする。
【0010】
情報処理システム1は、
図1に示すように、車両制御装置10と、情報処理装置20とを備える。また、車両制御装置10及び情報処理装置20は、ネットワークNEを介して通信可能に接続されている。ネットワークNEは、例えばインターネットである。
【0011】
なお、情報処理システム1に含まれる情報処理装置20及び車両VEの数は、
図1に示すものに限られない。例えば、情報処理装置20は、複数の車両VEのそれぞれに備えられた車両制御装置10と接続されていてもよい。
【0012】
[車両制御装置の構成]
図2は、車両制御装置の構成例を示すブロック図である。車両制御装置10は、例えば、ECU(Engine Control Unit)としての機能を備えたコンピュータである。また、車両制御装置10は、例えば、車両VEに設置される据え置き型のナビゲーション装置又はドライブレコーダであってもよい。また、車両制御装置10は、据え置き型の装置と乗員が利用するスマートフォン等の端末装置を組み合わせて実現されるシステムであってもよい。
図2に示すように、車両制御装置10は、通信部11、制御部12、記憶部13、入力部14、出力部15、撮像部16、センサ部17を有する。
【0013】
通信部11は、制御部12による制御の下、ネットワークNEを介して情報処理装置20との間で情報の送受信を行う。
【0014】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のコントローラによって、記憶部13に記憶された各種プログラムが実行されることにより実現され、車両制御装置10全体の動作を制御する。なお、制御部12は、CPUやMPUに限らず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって実現されてもよい。
【0015】
記憶部13は、制御部12が実行する各種のプログラムや、制御部12による処理の実行に必要なデータ等を記憶する。
【0016】
入力部14は、入力装置を介してデータの入力を受け付けるためのインタフェースである。入力部14は、テキスト及び音声等により入力を受け付けることができる。本実施の形態では、入力部14は、音声による入力を受け付けるものとする。入力部14は、車両VEに備えられたマイクロフォンを介して入力された電気信号にA/D(Analog/Digital)変換等を行うことにより音声情報を生成する。入力部14にて生成された音声情報は、デジタル信号であるものとする。
【0017】
出力部15は、出力装置に対してデータを出力するためのインタフェースである。例えば、出力部15は、制御部12によって生成されたデジタルの音声信号をD/A(Digital/Analog)変換によってアナログの音声信号に変換し、スピーカに対して出力する。また、出力部15は、制御部12によって生成された画像やテキスト等の視覚的情報を車両VEに備えられたディスプレイ等に出力してもよい。
【0018】
撮像部16は、車両VEの周囲及び室内を撮影し画像を生成する。撮像部16は、例えばカメラである。
【0019】
センサ部17は、
図2に示すように、GPS(Global Positioning System)センサ171、ジャイロセンサ172、路面検出センサ173、天候センサ174、生体センサ175を有する。各センサは、検出した信号を基に所定の形式のデータを生成する。
【0020】
GPSセンサ171は、衛星から送信された測位用データを含む電波を受信し、車両VEの現在の位置を検出する。ジャイロセンサ172は、車両VEの向きや回転を検出する。また、路面検出センサ173は、路面の画像や車両VEの振動から、路面の凹凸等の状態を検出する。また、天候センサ174は、湿度や温度等の天候に関する情報を検出する。また、生体センサ175は、乗員の心拍、脈波、呼吸、体動、及び脳波等の生体情報を検出する。生体センサ175は、車両VEの座席に内蔵されるものであってもよいし、乗員が身に着けるウェアラブル機器であってもよい。
【0021】
ここで、出力部15は、制御部12による制御信号を車両VEの駆動系に伝達し自動運転を実現する。また、制御部12は、指定された走行ルートに従って走行するように車両VEを制御することができる。走行ルートには、少なくとも目的地が設定される。記憶部13は、設定された走行ルートを記憶する。走行ルートは、乗員が手動で入力したものであってもよいし、車両制御装置10又は情報処理装置20により自動的に設定されたものであってもよい。
【0022】
[情報処理装置の構成]
図3は、情報処理装置の構成例を示すブロック図である。情報処理装置20は、例えばサーバである。
図3に示すように、情報処理装置20は、通信部21、制御部22、記憶部23を有する。
【0023】
通信部21は、制御部22による制御の下、ネットワークNEを介して情報処理装置20との間で情報の送受信を行う。
【0024】
制御部22は、CPUやMPU等のコントローラによって、記憶部23に記憶された各種プログラムが実行されることにより実現され、情報処理装置20全体の動作を制御する。なお、制御部22は、CPUやMPUに限らず、ASICやFPGA等の集積回路によって実現されてもよい。
【0025】
記憶部23は、制御部22が実行する各種のプログラムや、制御部22による処理の実行に必要なデータ等を記憶する。制御部22は、取得部221、更新部222、姿勢検出部223、動作決定部224、ルート決定部225、通知部226及びエージェント制御部227を有する。
【0026】
取得部221は、制御部22の各部の処理で使用される情報を取得する。取得部221は、通信部21を介して、車両制御装置10によって生成されるデータを取得することができる。例えば、取得部221は、車両制御装置10の撮像部16で生成された画像を取得する。また、例えば、取得部221は、車両制御装置10のセンサ部17で生成されたデータを取得することができる。
【0027】
さらに、取得部221は、通信部21を介して、外部のサーバ等から道路交通情報を取得することができる。VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから取得する渋滞情報や交通情報等の道路交通情報である。特に、取得部221は、GPSセンサ171によって検出された現在の位置及び、設定された走行ルートの目的地の道路交通情報を取得する。
【0028】
取得部221は、車両VEの走行ルートに関する情報を取得する。なお、車両VEは移動体の一例である。例えば、取得部221は、設定された目的地に到着するまでの走行時間を取得する。また、例えば、取得部221は、設定された目的地に到着するまでの走行ルートの種別又は形状に関する情報を取得する。走行ルートの種別には、高速道路であるか否か等が含まれる。また、例えば、走行ルートの形状は、線形度合いによって表される。つまり、取得部221は、走行ルートの形状の線形度合いを取得する。
【0029】
さらに、取得部221は、記憶部23から情報を取得することができる。例えば、後述する動作決定部224によって決定された一連の動作は、記憶部23に記憶される。このとき、取得部221は、動作決定部224によって決定された一連の動作を記憶部23から取得することができる。つまり、取得部221は、車両VEの乗員であって運転中でない乗員が実行する一連の動作に関する情報を取得することができる。
【0030】
ここで、運転中であるか否かは、運転席に座っているか否かだけでなく、自動運転中であるか否かによって決まるものであってもよい。例えば、乗員が一人でかつ車両が走行中であっても、自動運転中であれば、その乗員は運転中でないとみなせる場合がある。また、本実施の形態では、一連の動作には、例えばハンドル操作のような運転に関する操作は含まれないものとする。動作には、筋力トレーニングのような運転と無関係なものが含まれる。
【0031】
更新部222は、記憶部23の各DBのデータの更新を行う。各DBのデータ構成については後述する。
【0032】
姿勢検出部223は、車両VEの乗員の姿勢を検出する。当該乗員の姿勢は、当該乗員が無意識にとった姿勢を含む。本実施の形態では、姿勢検出部223は、骨格検知により当該姿勢を検出する。
【0033】
例えば、姿勢検出部223は、以下に示す学習モデルを用いた画像認識(AIを用いた画像認識)により、取得部221によって取得された画像内に被写体として含まれる車両VEの乗員の骨格を検知することで当該乗員の姿勢を検出する。当該学習モデルは、人が撮影された撮影画像に対して当該人の関節点の位置があらかじめラベリングされた画像を教師画像とし、当該教師画像に基づいて当該関節点の位置を機械学習(例えば深層学習等)することにより得られたモデルである。
【0034】
動作決定部224は、取得部221によって取得された情報に応じて、車両VEの乗員であって運転中でない乗員に推奨する動作を決定する。動作決定部224は、あらかじめ定められた動作を組み合わせた一連の動作を決定する。
【0035】
ここで、動作決定部224は、車両VEの走行状態の推移を基に動作を決定することができる。このとき、取得部221は、設定された目的地に到着するまでの車両VEの走行状態の推移に関する情報を取得する。例えば、取得部221は、センサ部17からの情報を取得する。
【0036】
例えば、取得部221は、センサ部17から、加減速の度合い及び発生頻度、天候、路面のアスファルトの凹凸、周囲の歩行者や手動運転の自動車等の不規則な動きをする物体の状況を取得する。さらに、動作決定部224は、取得した情報を基に走行状態の推移を推定し、一連の動作を決定する。
【0037】
例えば、動作決定部224は、取得した各種の情報から総合的な判定を行い、走行状態の推移が悪化、良化のいずれであるかを推定し、一連の動作を決定してもよい。なお、悪化は、乗員の姿勢の安定性が低下するような走行状態の推移の態様であり、急な加減速、急な方向転換、揺れや振動、スリップ等が発生しやすくなる。逆に、良化は、乗員の姿勢の安定性が向上するような走行状態の推移の態様であり、急な加減速、急な方向転換、揺れや振動、スリップ等が発生しにくくなる。例えば、動作決定部224は、悪化の場合は「座り」の姿勢で行われる動作を決定し、良化の場合は「立ち」の姿勢で行われる動作を決定する。
【0038】
悪化は、加減速の度合い及び頻度が大きいこと、天候が雨であること、路面の凹凸が大きいこと、周囲に歩行者が多いこと等により起こると考えられる。逆に、良化は、乗員の姿勢の安定性が向上するような走行状態の推移の態様であり、加減速の度合い及び頻度が小さいこと、天候が晴れ又は曇りであること、路面の凹凸が小さいこと、周囲に歩行者が少ないこと等により起こると考えられる。
【0039】
ルート決定部225は、取得部221によって取得された情報に応じて、車両VEの走行ルートを決定する。
【0040】
通知部226は、車両VEの乗員に対し、各情報を通知する。例えば、通知部226は、車両制御装置10の出力部15を介して、情報を、音声、画像、テキスト等の形式で通知することができる。例えば、通知部226は、動作決定部224によって決定された動作に関する情報を通知する。
【0041】
エージェント制御部227は、乗員との間で情報のやり取りを行うためのエージェントと呼ばれるプログラムを実行する。エージェントは、乗員との間で擬似的な会話を行うことにより情報の入出力を行う。例えば、エージェントは、入力部14を介して、音声やテキストの入力を受け付ける。また、エージェントは、出力部15を介して、音声やテキストを出力する。
【0042】
記憶部23は、乗員DB231、履歴DB232及び動作DB233を有する。
【0043】
図4は、乗員DBのデータ構造の例を示す図である。乗員DB231は、登録された乗員の情報を記憶する。
図4に示すように、乗員DB231は、「乗員ID」、「氏名」、「性別」、「年齢」及び「顔画像情報」を記憶する。「乗員ID」は、乗員を識別するためのIDである。また、「顔画像情報」は、乗員の顔画像の特徴量等であり、顔画像の認識に使われる情報である。例えば、
図4の例では、乗員IDが「U001」の乗員の氏名が「山田太郎」であり、性別が「男」であり、年齢が「25」であることが示されている。
【0044】
図5は、履歴DBのデータ構造の例を示す図である。履歴DB232は、乗員ごとの一連の動作の履歴を記憶する。ここでは、一連の動作をメニューと呼ぶ。
図5に示すように、履歴DB232は、「乗員ID」、「日時」、「メニュー」を記憶する。例えば、
図5の例では、乗員IDが「U001」の乗員が「2020/2/11 14:35」に、「M001→M002」というメニューを実施したことが示されている。ここで、「M001」及び「M002」は、メニューに含まれる個別の動作を識別するためのIDである。
【0045】
図6は、動作DBのデータ構造の例を示す図である。動作DB233は、メニューに含まれる各動作の情報を記憶する。
図6に示すように、動作DB233は、「動作ID」、「名称」、「姿勢」及び「部位」を記憶する。例えば、
図6の例では、動作IDが「M001」の動作の名称は「スクワット」であり、「立ち」の姿勢で行われ、「足」に関する動作であることが示されている。一方、動作IDが「M002」の動作の名称は「シットアップ」であり、「座り」の姿勢で行われ、「腹」に関する動作であることが示されている。
【0046】
[第1の実施例]
情報処理装置20は、走行ルートの形状に応じて、乗員に通知する動作を決定することができる。例えば、動作決定部224は、走行ルートのうち、線形度合いが所定値以上である領域には、立った状態で行われる動作が対応し、線形度合いが所定値以上でない領域に対しては、座った状態で行われる動作が対応するように、動作を決定する。
【0047】
図7は、ルートの形状の例を示す図である。
図7に示すように、現在地31(Start)から目的地32(Goal)までの間に、道路の形状の傾向が異なる領域311及び領域312が存在するものとする。領域311は、ほぼ直線で構成されている。一方、領域312は、大部分が曲がり角や曲線で構成されている。つまり、領域312は、領域311と比べて線形度合いが大きいということができる。
【0048】
このような場合、車両VEが領域311を走行している間、乗員は立った姿勢を容易に保つことができると考えられる。一方、車両VEが領域312を走行している間は、乗員は立った姿勢を保つことが困難であると考えられる。また、領域312を車両VEが走行している間は、乗員が立っていると転倒の恐れがあり危険である。そのため、情報処理装置20は、乗員の安全性を確保しかつ移動時間を有効に使えるようなメニューを提示する。
【0049】
図6に示すように、動作「スクワット」は「立ち」の姿勢で行われる。また、動作「ダンベル」は「座り」の姿勢で行われる。そこで、動作決定部224は、領域311を走行中には動作「スクワット」を行い、領域312を走行中には動作「ダンベル」を行うメニューを決定する。そして、通知部226は、動作決定部224によって決定されたメニューを乗員に通知する。
【0050】
また、動作決定部224は、走行ルートの線形度合いだけでなく、走行ルートの種別によってメニューを決定してもよい。この場合、例えば、走行ルートが高速道路であれば、加減速や方向転換が少ないため、乗員は容易に立った姿勢を保つことができる。そのため、動作決定部224は、走行ルートが高速道路であれば、「立ち」の姿勢で行われる動作を決定する。
【0051】
さらに、動作決定部224は、目的地に到着するまでの走行状況の変化に応じて動作を決定してもよい。例えば、目的地に到着するまでに、信号待ち等により加減速を繰り返すことが予想される場合、乗員は容易に立った姿勢を保つことが困難である。そのため、動作決定部224は、加減速の頻度が一定値以上であることが予想される領域に対しては、「座り」の姿勢で行われる動作を決定する。
【0052】
[第2の実施例]
乗員は、自身が希望するメニューを車両制御装置10の入力部14を介して指定することができる。この場合、情報処理装置20は、乗員によって指定されたメニューに応じて走行ルートを決定してもよい。例えば、ルート決定部225は、一連の動作のうち、立った状態で行われる動作が、走行ルートのうち線形度合いが所定値以上である領域に対応し、座った状態で行われる動作が、走行ルートのうち線形度合いが所定値以上でない領域に対応するように、走行ルートを決定する。
【0053】
例えば、乗員が、動作「スクワット」を5分間行った後、動作「ダンベル」を10分間行うメニューを指定した場合を考える。この場合、ルート決定部225は、領域311を5分間走行し、領域312を10分間走行する走行ルートを決定する。
【0054】
[第3の実施例]
図8は、エージェントと乗員との間の会話の例を示す図である。エージェント227aは、エージェント制御部227によって実行されるエージェントの一例である。エージェント227aは、テキスト又は音声によるチャットによって実現されてもよい。
【0055】
図8に示すように、乗員の顔の画像が乗員DB231の顔画像情報と一致しない場合、エージェント227aは、「新しい人ですね。お名前と鍛えたい部分を教えてください。」のように、新規登録であることを確認し、乗員の情報を取得する。そして、乗員は、自身の情報をエージェント227aに入力する。更新部222は、エージェント227aを介して乗員から取得した情報を乗員DB231に保存する。
【0056】
図9は、エージェントと乗員との間の会話の例を示す図である。
図9に示すように、乗員の顔の画像が乗員DB231の顔画像情報と一致した場合、エージェント227aは、「山田さん、今日はどうしますか?」のように、登録済みであることを示唆し、乗員によるメニューの指定を促す。ここで、乗員が「エージェントのおまかせで。」のように、特にメニューを指定しなかった場合、動作決定部224が走行ルートの情報に基づいてメニューを決定する。
【0057】
図10は、エージェントと乗員との間の会話の例を示す図である。
図10に示すように、エージェント227aは、車両速度が変化するため、メニューを変更することを乗員に通知する。このとき、動作決定部224は、例えば「座り」の姿勢で行う動作を決定する。
【0058】
[情報処理方法]
図11は、情報処理方法の例を示すフローチャートである。例えば、
図11に示す処理は、乗員の登録の確認及び新規登録のための処理の例であり、車両VEの走行前に行われる。
図11に示すように、まず、取得部221は、乗員の顔の画像を取得し認識を行う(ステップS101)。乗員の顔の画像が乗員DB231に登録済みであれば(ステップS102、Yes)、情報処理装置20は処理を終了する。
【0059】
一方、乗員の顔の画像が乗員DB231に登録済みでない場合(ステップS102、No)、更新部222は、取得部221が取得した乗員の情報を乗員DBに新規登録する(ステップS103)。
【0060】
さらに、取得部221は、乗員の生体情報を取得する(ステップS104)。そして、動作決定部224は、取得した情報を基にメニューを決定する(ステップS105)。例えば、動作決定部224は、乗員の心拍数が所定値以上である場合、初めに休憩を行うメニューを決定する。その場合、通知部226は、「心拍数が上がっているので、最初の5分は休憩しましょう。」のように発話する。更新部222は、動作決定部224が決定したメニューを履歴DB232に保存する(ステップS106)。
【0061】
図12は、情報処理方法の例を示すフローチャートである。
図12に示す処理は、乗員が自らメニューを指定した場合に情報処理装置20によって行われる処理の例である。
図12に示すように、まず、取得部221は、入力された情報を取得する(ステップS201)。入力された情報とは、乗員が指定したメニューに関する情報である。
【0062】
次に、取得部221は、乗員DB231から乗員の情報を取得する(ステップS202)。また、取得部221は、センサ部17からの情報を取得する(ステップS203)。動作決定部224は、取得部221が取得した情報を基にメニューを決定する(ステップS204)。そして、更新部222は、動作決定部224が決定したメニューを履歴DB232に保存する(ステップS205)。
【0063】
ここで、ルート決定部225は、動作決定部224が決定したメニューを基に走行ルートを決定する(ステップS206)。通知部226は、動作決定部224が決定したメニューを通知する(ステップS207)。
【0064】
なお、ここでは乗員が自らメニューを指定しているので、動作決定部224は、単に指定されたメニューに関する情報を更新部222に受け渡すだけでもよい。また、
図8のように、「足を鍛えたい」のようにあいまいに指定される場合がある。その場合、動作決定部224は、例えば動作DB233の中で部位が「足」である動作の中からいずれかを決定する。
【0065】
図13は、情報処理方法の例を示すフローチャートである。
図13に示す処理は、乗員がメニューを指定しない場合に情報処理装置20によって行われる処理の例である。
図13に示すように、まず、取得部221は、目的地までのルートの情報を取得する(ステップS301)。動作決定部224は、取得部221が取得した情報を基にメニューを決定する(ステップS302)。
【0066】
更新部222は、動作決定部224が決定したメニューを履歴DB232に保存する(ステップS303)。通知部226は、動作決定部224が決定したメニューを通知する(ステップS304)。
【0067】
[効果]
これまで説明してきたように、取得部221は、車両VEの走行ルートに関する情報を取得する。また、動作決定部224は、取得部221によって取得された情報に応じて、車両VEの乗員であって運転中でない乗員に推奨する動作を決定する。また、通知部226は、動作決定部224によって決定された動作に関する情報を通知する。これにより、乗員は自ら指定することなく、走行ルートに応じた動作を決定でき、走行ルートに適した動作の通知を受けることができる。このように、本実施の形態によれば、移動時間の効率的な利用を提案できる。
【0068】
動作決定部224は、あらかじめ定められた動作を組み合わせた一連の動作を決定する。このように、走行ルートの状況は、走行中、時間の経過とともに変化する。これに対し、本実施の形態によれば、走行ルートの変化に適応した動作を組み合わせて提案することができる。
【0069】
取得部221は、設定された目的地に到着するまでの走行時間を取得する。このため、本実施の形態によれば、各動作の実行時間を含めて提案することができる。
【0070】
取得部221は、設定された目的地に到着するまでの走行ルートの種別又は形状に関する情報を取得する。走行ルートの種別及び形状に応じて、適する動作は異なると考えられる。これに対し、本実施の形態によれば、各動作の実行時間を含めて提案することができる。
【0071】
取得部221は、走行ルートの形状の線形度合いを取得する。走行ルートの形状によって、乗員が取り得る姿勢は異なる。これに対し、本実施の形態によれば、走行ルートの形状に適応した動作を提案することができる。
【0072】
動作決定部224は、走行ルートのうち、線形度合いが所定値以上である領域には、立った状態で行われる動作が対応し、線形度合いが所定値以上でない領域に対しては、座った状態で行われる動作が対応するように、動作を決定する。例えば、直線が多い道路では、乗員は立った状態の動作を行うことができる。一方、曲線が多い道路では、乗員は立った状態の動作を行うことが困難である。これに対し、本実施の形態によれば、乗員の安全を確保した上で動作を提案することができる。
【0073】
取得部221は、設定された目的地に到着するまでの車両VEの走行状態の推移に関する情報を取得する。走行中、加減速等の発生頻度、天候、路面の状況、周囲の移動物体の状況等により走行状態が推移していく場合がある。これに対し、本実施の形態によれば、走行状況に適応した動作を提案することができる。
【0074】
取得部221は、車両VEの乗員であって運転中でない乗員が実行する一連の動作に関する情報を取得する。また、ルート決定部225は、取得部221によって取得された情報に応じて、車両VEの走行ルートを決定する。このように、本実施の形態によれば、乗員の希望する動作に適したルートで移動体を走行させることができる。
【0075】
ルート決定部225は、一連の動作のうち、立った状態で行われる動作が、走行ルートのうち線形度合いが所定値以上である領域に対応し、座った状態で行われる動作が、走行ルートのうち線形度合いが所定値以上でない領域に対応するように、走行ルートを決定する。このように、本実施の形態によれば、乗員の希望する動作に合わせ、かつ乗員の安全が確保されるような走行ルートを決定することができる。
【0076】
[その他の実施の形態]
本発明は、これまでに説明してきた実施の形態によって限定されるものではない。例えば、動作には、これまでに例として挙げたもの以外にも様々なものが考えられる。例えば、動作には、ダンス、ストレッチ等のエクササイズに関するものだけでなく、食事、着替え等の身体を使ったあらゆる動作が含まれる。
【0077】
情報処理装置20は、それらの動作がどのような姿勢で行われるものであるか、また、どのような目的で行われるものであるかを記憶しておき、走行ルートに応じて動作を組み合わせた一連の動作、すなわちメニューを決定する。
【0078】
例えば、目的地に到着するまでの間に乗員が着替えを行うことが考えられる。着替えにおいて、ズボンを履く動作は、片足が地面から離れることがあるため、姿勢が不安定になることが考えられる。一方、シャツを着る動作は、常に両足が地面についているため、姿勢が安定している。このため、情報処理装置20は、直線の道路に対してはズボンを履く動作を決定し、曲線が多い道路に対してはシャツを着る動作を決定することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理システム
10 車両制御装置
11、21 通信部
12、22 制御部
13、23 記憶部
14 入力部
15 出力部
16 撮像部
17 センサ部
20 情報処理装置
31 現在地
32 目的地
171 GPSセンサ
172 ジャイロセンサ
173 路面検出センサ
174 天候センサ
175 生体センサ
221 取得部
222 更新部
223 姿勢検出部
224 動作決定部
225 ルート決定部
226 通知部
227 エージェント制御部
227a エージェント
231 乗員DB
232 履歴DB
233 動作DB
311、312 領域
VE 車両
NE ネットワーク