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特開2024-133559検体情報検出装置、及び検体情報検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133559
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】検体情報検出装置、及び検体情報検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G01N35/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106907
(22)【出願日】2024-07-02
(62)【分割の表示】P 2020119101の分割
【原出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】309007184
【氏名又は名称】あおい精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 照明
(57)【要約】
【課題】高精度かつ高効率で検体の状態を検出することが可能となる検体情報検出装置、及び検体情報検出方法を提供する。
【解決手段】実施形態にかかる検体情報検出装置は、検体を収容する検体容器を撮像する撮像装置と、前記撮像の際に撮像方向と交差する方向から前記検体容器に光を照射する照明装置と、前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の状態を検出する、情報処理部と、を備える。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容する検体容器を撮像する撮像装置と、
前記撮像の際に撮像方向と交差する方向から前記検体容器に光を照射する照明装置と、 前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の状態を検出する、情報処理部と、を備える検体情報検出装置。
【請求項2】
前記照明装置は撮像の際の画像検出軸と前記検体容器とが並ぶ方向である撮像方向と交差する光照射方向の両側から、前記検体容器に光を照射し、
前記撮像時に前記検体容器を収容し外部の光を遮断するチャンバと、
前記撮像に先立って前記検体容器の外周面に貼付けられるラベルの向きを調整する位置調整装置と、を備える請求項1に記載の検体情報検出装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、検体の検査処理に先立って前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報から画像処理により対象領域における画像の濃淡情報を検出し、前記濃淡情報に基づいて前記検体の乳び状態を検出し、
前記画像情報から画像処理により前記検体の色情報を検出し、前記色情報に基づいて前記検体の溶血状態を検出する、請求項1または2に記載の検体情報検出装置。
【請求項4】
前記画像情報から画像処理により対象領域におけるコントラストを検出し、前記コントラストに基づいて前記検体の異物物含有状態を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の検体情報検出装置。
【請求項5】
検体を収容する検体容器を撮像することと、
前記撮像の際に撮像方向と交差する方向から前記検体容器に光を照射することと、
前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の状態を検出することと、を備える検体情報検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体情報検出装置、及び検体情報検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば生化学分析等の各種血液検査などの処理において、前処理として検体容器の画像を取得し、当該画像に基づいて検査前の検体の状態を検出することが行われる。検体容器は例えばガラス等の透明な材料で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-76185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの検体容器の外周面には、識別情報等の検体の情報が表示されたラベルが付されているが、この場合、検体容器の外観を撮影した画像から容器内の検体の状態を検出することが困難となる。
【0005】
このような検査前の前処理において、高精度かつ高効率で検体の状態を検出することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかる検体情報検出装置は、検体を収容する検体容器を撮像する撮像装置と、前記撮像の際に撮像方向と交差する方向から前記検体容器に光を照射する照明装置と、前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の状態を検出する、情報処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる検体情報検出装置、及び検体情報検出方法によれば、高精度かつ高効率で検体の状態を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る検体情報検出装置の構成を示す平面図。
図2】同検体情報検出装置の構成を示す側面図。
図3】同実施形態にかかる試験管及び検体を示す説明図。
図4】同実施形態にかかる検体情報検出装置の一部を示す斜視図。
図5】同実施形態にかかる検体処理方法の処理手順を示す説明図。
図6】同検体情報検出方法における撮像処理における位置関係を示す説明図。
図7】同検体情報検出方法における撮像処理における位置関係を示す説明図。
図8】同検体情報検出装置の試験管のサイドライト画像及び比較例としてのバックライト画像の説明図。
図9】同検体情報検出方法の説明図。
図10】他の実施形態にかかる分析装置の構成を示す説明図。
図11】同分析装置の処理工程を示す工程説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態にかかる検体情報検出装置10、及び検体情報検出方法について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、各図において適宜構成を拡大、縮小、省略して示している。各図中の矢印X,Y,Zはそれぞれ直交する3方向を示している。
【0010】
図1図2は、本実施形態にかかる検体情報検出装置10を概略的に示す説明図である。図3は検体容器である試験管及び検体を示す説明図である。検体情報検出装置10は、検体の生化学分析等の各種検査処理に先立って予め検体の状態を検出する検査前処理装置であり、例えば分析装置の前処理装置の1つとして用いられる。本実施形態においては検査阻害要因として、乳び、溶血、に加え、フィブリンや血餅不良などの異物含有状態を検出する。
【0011】
検体情報検出装置10は、装置本体11と、所定の搬送経路20a(搬送路)に沿って試験管25(検体容器)を搬送する搬送部12と、検体を撮像して画像情報を取得する画像取得部14と、画像取得部14にて取得した各種画像に基づいて検査阻害要因検出処理を行う検査阻害要因検出部15と、を備えて構成される。
【0012】
図1及び図2に示すように、搬送部12は、装置本体11の上部に設けられたコンベヤ式のホルダ搬送機構であり、図中X軸方向に延びる搬送経路20aに沿って一定幅に設置された一対のガイドレール21と、ガイドレール21間において搬送経路20aにわたって配置された搬送ベルト22と、搬送ベルト22の裏側で回転駆動して搬送ベルト22を送る搬送ローラ等の駆動部と、を備えて構成されている。また、検体情報検出装置10は、搬送経路20aのピックアップ位置P0に配される読取ユニット30と、搬送経路20a上のピックアップポイントP0(ピックアップ位置)と撮像ポイントP1(撮像位置)との間で試験管25を移載する移載装置35と、を備える。
【0013】
読取ユニット30は、試験管25に貼付けられたラベル27に付された情報を検出するバーコードリーダ31と、ラベル27の位置を検出するラベルセンサ32と、試験管25を回転させる位置調整装置としての回転装置33と、試験管25の有無を検知する位置センサ34と、を備える。
【0014】
バーコードリーダ31は、例えば搬送経路20a上にある試験管25のラベル27に表された識別情報を読み取る。
【0015】
ラベルセンサ32は、試験管25のラベル27のエッジ27dの位置を検出することにより、試験管25の向きを検出する。
【0016】
回転装置33は、搬送経路20a上にある試験管25を回転させることで、ラベル読取処理の間に試験管25の外周面を移動させる。また、回転装置33は回転量を調整することで、次工程の撮像に適した向きに試験管25の向きを調整する。
【0017】
例えば回転装置33は、試験管25の外面またはホルダ24の外面に当接した状態で回転するローラ33aを備え、ローラ33aの回転によって試験管25を回転させる。回転装置33は制御部18によって制御され、所定のタイミング及び回転量にて回転することで、読取ユニット30での読み取り処理の間に試験管25の全周が順次読み取られるように、回転させるとともに、撮像方向に適した姿勢に試験管25の姿勢を調整する。
【0018】
移載装置35は、ロボットアームを備える。移載装置35は、搬送経路20aの試験管25を立位状態のまま保持して画像取得部14のチャンバ45内の撮像ポイントP1に移載し、あるいは撮像後に試験管25をチャンバ45から取り出して搬送経路20aに戻す。
【0019】
検体25aを収容する検体容器としての試験管25は、ホルダ24に保持され立位状態で搬送経路20aに沿って搬送される。ホルダ24は一対のガイドレール21間に係合して支持され、搬送ベルト22の移動に伴って搬送される。搬送経路20aに沿って設けられる各処理装置によって試験管25または検体25aに各種の処理が行われる。試験管25は移載装置35により立位状態のまま搬送経路20aからチャンバ45内の撮像ポイントP1に移載され、チャンバ45内において撮像処理(撮影処理)が行われる。撮像後の試験管45は再び移載装置35により搬送経路20a上に戻され、下流側へ送られる。
【0020】
図3に示すように、試験管25は透明なガラス等から構成され、外方から内部の検体が視認可能に構成されている。試験管25は内部に検体を収容する円柱状の空間を有する有底の円筒形状を成している。試験管25の外周側面には例えばラベル27が接着貼付されている。
【0021】
ラベル27は検体25aの識別情報等の各種情報を示すバーコード等の印字部27aを有する。ラベル27は試験管25の外周の一部に貼付けられ、試験管25の周面の所定領域を覆う。ラベル27の周方向両端である一対のエッジ27dは離間しており、試験管25は外周の少なくとも一部においてラベル27が貼付けられていない部位である露呈部27bが設けられている。露呈部27bにおいて透明な試験管25を介して試験管25内部の検体を外側から視認可能である。
【0022】
試験管25の内部の検体25aは、血餅層25b、分離剤(シリコン)層25c、及び血清層25dの3層が分離して下から順番に配置されている。血餅層25bと分離剤層25cとの間に第1の境界面25e、分離剤層25cと血清層25dとの間に第2の境界面25f、血清層25d上に第3の境界面となる検体液面25gが形成される。
【0023】
試験管25の側周において所定の幅で血清層25dの領域が露呈している。ここでは一例として予め一部にラベル27が貼られていない部位に露呈部27bを有する試験管25を対象とした例を示すが、この他、予め他の前処理によりラベル27の所定領域が剥離されて露呈部27bを形成していてもよい。
【0024】
図1及び図2に示すように、画像取得部14は、試験管25の側部を撮像して検体の画像情報を取得する撮像装置である撮像部41(画像検出手段)と、撮像方向の側方から光を照射する照明装置であるサイドライト42と、これらを収容するチャンバ45と、を備えている。
【0025】
サイドライト42は撮像部41を正面側として試験管25の両側方に配置された一対の白色LEDで構成され、試験管25の撮像方向である画像検出軸と交差する側方から試験管25を照射する。一例として本実施形態において画像検出軸がY方向に、照射方向がX方向にそれぞれ沿い、互いに直交している。サイドライト42は例えば白色LEDで構成され、試験管25の側方から光を照射する。なお撮像ポイントP1においては撮像の背面に露呈部27bが位置するように試験管25がセットされる。
【0026】
撮像部41(画像検出手段)は、例えば画像センサを備えるCCDカメラであり、搬送経路における撮像ポイントP1の側部に設けられている。撮像部41は、撮像ポイントP1に立位状態に保持された試験管25の搬送経路の側部から試験管25の周面を撮像し、画像情報を取得する。取得した画像情報は、記憶部16に記録され、データ処理部17へ送られる。
【0027】
チャンバ45は例えば搬送経路20aの側部に設けられている。チャンバ45内底部の所定位置には撮像ポイントP1が設けられ、ホルダ24が設置されている。チャンバ45の上面には試験管25の出し入れの際に開閉可能なリッドが設けられている。
【0028】
画像情報取得部14は制御部18の制御に応じて動作し、撮像方向とは異なる方向の両側から光を照射しながら撮像するサイドライト撮像を所定のタイミングで行う。
【0029】
撮像部41は、サイドライト撮像の際に試験管25aに側方から光を照射して正面から撮像を行うことにより透明な試験管25の内部の検体25aの画像情報を取得する。このとき、撮像部41の光軸はY方向に沿うのに対して、照明の光軸はX方向に沿っている。したがって、撮像部41の光軸と照明の光軸が異なる方向である。例えば撮像部41の光軸と照明の光軸が成す角度は60度以上90度以下である。
【0030】
撮像部41及びサイドライト42は、例えばサイドライト42の光が試験管25の露呈部27bを通じて内部に入り込み、入射した光が試験管25の内壁に反射することで、ラベル27の印字部27aを透過せずに、撮像部41に入射する位置関係に設定される。一例として、サイドライト42は撮像方向との、試験管25の中心位置を基準とした中心角度が、45度以上90度以下となる範囲に配置される。好ましくは、サイドライト42は、撮像方向との、試験管25の中心位置とした中心角度が、60度以上90度以下、となる範囲に配置される。このような位置関係とすることにより、サイドライト42から照射された光が露呈部27bを通って試験管25に入り込み、試験管25の周面に貼られたラベル27の裏面を反射板として光が反射して回り込むことで、ラベル27の表面の印字部27aを通らない光を検出して撮像することができる。
【0031】
検査阻害要因検出部15は、上記画像取得部14に加え、画像情報を含む各種データを記憶する記憶部16(記憶手段)と、各種データに基づき画像処理を含む演算・判定などのデータ処理を行うデータ処理部17(情報処理部)と、各部の動作を制御する制御部18(制御手段)と、を備えて構成されている。
【0032】
以下、本実施形態にかかる検体情報検出方法について図4及び図5のフローを参照して説明する。図4は検体情報検出装置の一部を示す斜視図である。図5は検体処理方法の処理手順を示す説明図である。図6及び図7は撮像処理における位置関係を示す説明図である。
【0033】
制御部18はステップST1として、移載装置35により搬送経路20aを流れる試験管25をピックアップポイントP0で保持し、チャンバ45内の撮像ポイントP1に設置する。セット工程の前処理として、制御部18はまず、バーコードリーダ31によるラベル27の識別情報の読取処理と、ラベルセンサ32によるエッジ位置の検出と、回転装置33による試験管25の回転処理を行う。例えば、バーコードリーダ31による読み取りの際、制御部18は、ラベルセンサ32によって搬送経路20a上の試験管25のラベル27のエッジ27dの位置を検出し、検出したエッジ27dの位置情報に基づき、回転装置33の回転量を調整することで、試験管25の向きを調整する。
【0034】
このとき、後の撮像工程においてサイドライト42の光が露呈部27bから試験管25内部に入り込むとともに、入射した光が試験管25の内壁に反射してラベル27の印字部27aを透過せずに撮像部41に入射することができる向きに、試験管25をセットする。一例として、制御部18は、露呈部27bがカメラに向くとともに、撮像方向の背面側にラベル27の印字部27aが向く姿勢に、試験管25をセットする。そして、移載装置35による移載を行うことで、チャンバ45の撮像位置において、試験管25が、露呈部27bがカメラに対向する向きに、配置される。なお、チャンバ45に試験管25を出し入れする所定のタイミングでリッドを開閉させ、撮像時にはリッドを閉じた状態として外部の光の侵入を遮断する。
【0035】
制御部18は、ステップST2として、画像取得部14を制御してサイドライト撮像を行わせる。サイドライト撮像時には、サイドライト42により撮像面の側方、すなわち本実施形態においてはX方向において、両側から試験管25に光を照射し立位状態の試験管25をY方向の正面側から撮像して画像情報を取得する。
【0036】
制御部18は、ステップST2で取得した画像を第1画像として記憶部16に記憶させる。
【0037】
サイドライト撮像では、予め設定した設定光量で、サイドライト42により側方から光照射し、検体25a及び検体25を透過した光を受光して撮像を行う。図6に示すように、サイドライト42によって照射された光は露呈部27bから試験管25内に入り込み、ラベル27の裏面が貼付けられた透明な周壁面で反射する。すなわち、ラベル27の裏面、つまり印字されておらず粘着層が形成された内側の湾曲面が、リフレクタとして機能し、当該ラベル27の裏面にて反射した光が、血清内を透過する。そして撮像部41が血清内を透過した光を検出し、画像を得る。
【0038】
このようなサイドライト撮像処理によって取得した画像は、例えば図6に示すように、照明用の光を透過するところに印字部27aが無いことから、印字部27aによる画像への影響が低減されている。図7に、一対のサイドライト42によるサイドライト撮像で得られた第1の画像Im1と、比較例として背面側から光を照射したバックライト撮像で得られるバックライト画像Im2と、を示す。図7に示すように、バックライト撮像では照明の方向と撮像方向が同じ方向であることからラベル印字が画像に映り込むが、サイドライト撮像は照明の方向と撮像方向を異ならせることで、ラベル印字の映り込みを抑制でき、異物のみが浮き上がった画像となる。したがって、バックライト撮像と比べて各種測定項目の検出を高精度に行える。
【0039】
次に、制御部18は、第1の画像情報に基づいて、画像処理により境界位置検出処理を行い、判定対象領域ARを特定する(ステップST3)。具体的にはデータ処理部17において、図7に示すように、検体液面25gを示すラインB1と、第1の境界面25eを示すラインB2と、第2の境界面25fを示すラインB3と、試験管25のエッジを示す一対のラインB4を検出し、各ラインの位置情報としての座標を検出する。そして、制御部18は、求めた各種位置情報に基づいて、判定対象領域ARを特定する。
【0040】
すなわち、図7及び図8に示すように、検体液面25gのラインB1と第2の境界面25fのラインB2と試験管25のエッジのラインB4に囲まれた領域を、乳び及び溶血の検査領域AR1とする。また検体液面25gのラインB1,第2の境界面25fのラインB3,一対のエッジのラインB4で囲まれた第2判定対象領域AR2を、異物含有の有無を判定する対象領域とする。
【0041】
次に画像処理により、判定対象領域AR2における周囲とのコントラストより、フィブリンや血餅不良など正常な血清以外のもの(異物)を含有しているか否かを判定する(ステップST4)。
【0042】
「フィブリン」とは血液が凝固する際、最終的にできる産物でタンパク繊維(フィブリノーゲン)がのり状に固まったものである。血液検査では遠心分離して赤血球+フィブリンを沈め、上清である血清を得る。しかし凝固が通常より遅延するような状態では遠心分離時にはフィブリン析出が完了していなく、血清を分離した後になっても析出が続く場合がある。この場合、血清中に寒天状の半固体のものができることになり、自動分注の妨げとなる。フィブリンは肉眼で確認できるものや確認できないものもあり、さまざまな形状がある。フィブリンは血清内に浮かぶ半透明のものであり、フィブリンがある場合には判定対象領域の血清に濃淡の差が出る。
【0043】
「血餅不良」とは遠心分離後、分離剤の十分な移動が起こらなかったため血清(血清・血漿)層と血餅(血餅・血球)層の中間において分離剤層が形成せず、完全に分離されない状態となる。この場合にはフィブリン析出と同じく自動分注の妨げとなる。
【0044】
これらの異物含有状態では、周囲とのコントラストが生じる。このため、ステップST4では、異物含有状態判定処理として、第1の画像情報に基づいて、画像解析により判定対象領域AR2におけるコントラストを検出し、このコントラストに基づいて、コントラストが所定値以上である場合に異物含有状態であるとして判定する。
【0045】
さらに、データ処理部17では、ステップST5として、第1の画像から画像解析により溶血判定を行う。「溶血」とは、赤血球の崩壊により、赤血球内のヘモグロビンが細胞外に溶出する現象であり、このとき赤血球内の他の成分も溶出するため検査値等に影響を及ぼす。この実施形態では溶血することで血清が赤く変色する特性を利用して溶血状態の判定を行う。
【0046】
溶血判定としては、データ処理部17にて、判定対象領域AR1の色情報を検出する。色情報として例えばHSV方式で色相値(H)を計測する。そして、データ処理部17は、検出した色情報に基づいて溶血状態であるか否かを判定する。
【0047】
さらに、ステップST6として、データ処理部17は、検体が乳び状態であるか否かを判定する。「乳び」とは脂肪が細分化され白濁した状態を呈するもの、脂肪が吸収されて白濁した状態のものである。この乳びによって一部の血液検査項目が正確に測れないことがある。
【0048】
乳び状態では、血清層が白濁して血清層における濃淡が正常時よりも濃くなる。このため、検査阻害物含有状態判定処理として、第1の画像に基づいて、画像解析により判定対象領域AR1における濃淡値(濃淡情報)を計測し、この濃淡値が所定以上である場合に、乳び状態であるとして判定する。
【0049】
さらにデータ処理部17において、ステップST4~ステップST6において判定した各種検査阻害要因の判定結果に基づいて総合最終判定を行う(ステップST7)。総合最終判定として、例えば異物含有判定の結果、溶血判定の結果、及び乳び判定の結果に基づき、各項目のレベルが一定レベル以上である場合に検査不可とし、一定レベルに達しない場合に検査可能とし、あるいは予め定めた範囲内の場合には検査可能であるが検査結果の補正要等とする。
【0050】
本実施形態にかかる検体情報検出装置10によれば以下のような効果が得られる。
【0051】
撮像の光軸と照明の光軸を異ならせたため、ラベル27の印字部27aの影響を低減し、高精度で判定を行うことができる。すなわち、サイドライト42を試験管25の両サイドに配置し照射することで、すなわち、撮像の光軸と照明の光軸が異なる方向とし、光を露呈部27bから試験管25内に入射させてラベル27の裏面で反射させることができ、印字部27aを通さずに撮像部41へ入射させることができる。例えばバックライト画像の場合、撮像の光軸と照明の光軸が印字部を通るために印字部の映り込みの影響が大きくなるが、上記実施形態によれば側方から光を照射することにより、印字部27aを通さずに光を露呈部27bから試験管25内に廻り込ませて撮像することができ、ラベル27の印字の影響を低減して撮影出来るようになる。したがって、このサイドライト画像を処理・解析することで、臨床検査血液検体の検査阻害要因の検知精度が向上できる。また、上記実施形態によれば共通の画像を複数種類の判定に共通して用いることとしたため複数種類の検査阻害要因の判定を高速かつ高精度に処理できる。
【0052】
また、上記実施形態によれば、ラベル27のエッジの位置を検出するラベルセンサ32を用い、ラベル27の位置の検出を行って撮像用の向きにセットすることで、処理効率をより向上することができる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態として、検体情報検出装置10を備える検体処理装置としての分析装置1について図9を参照して説明する。図9は、検体情報検出装置10を備える分析装置1の概略的に示す平面図である。分析装置は個別に構成された複数の装置をそれぞれの搬送経路が連続するように並列配置して構成される。
【0053】
分析装置1は、所定の搬送経路の上流側から下流側に向かって、搬入装置63と、検体情報検出装置10と、仕分装置(仕分手段)64と、搬出装置65と、分取・分注装置(分取・分注手段)66と、分析装置61と、が処理順に配置されて構成されている。各装置に試験管25を搬送するコンベヤ式の搬送部がそれぞれ設けられておりこれら複数の搬送部の搬送経路が連続するように配置されている。
【0054】
搬入装置63は搬送経路に沿ってホルダ24を搬送する搬送部と、ロボットアーム等の移載機構を備え、例えば側部に設けられたラック架設部68の試験管25を搬送経路上に移載する。
【0055】
検体情報検出装置10は上記第1実施形態と同様に構成されている。この検体情報検出装置10において、上記第1実施形態と同様にステップST1~ステップST7までの処理工程を行い、試験管25の側部から撮像した画像情報に基づいて画像処理により各種検査阻害要因検出処理を行う。
【0056】
仕分装置64は、ホルダ24を搬送する搬送部と、制御部18の制御に応じて検査阻害要因検出結果に基づいてホルダ24の搬送方向を案内する案内手段としてのゲート部71と、を備えている。
【0057】
搬送経路の途中には分岐部が設けられ、搬送経路から分岐して異なる経路を構成する分岐路が設けられている。ゲート部71は、制御部18の制御に応じて検査不可と判定された試験管25を分岐路に振り分けるよう切り替え動作をする。例えば、検査阻害要因があって検査不可と判別された検体25aを収容する試験管25については分岐路へ案内し、正常な試験管25は搬送経路に沿って下流側の分取・分注装置66に送られるように案内される。分岐路の下流側は乳び・溶血状態の検体用に正常な検体とは別工程を行う搬出装置65へ連続している。一方、乳び状態でも溶血状態でもない正常な検体は、搬送経路に沿って下流側の分取・分注装置66に案内される。
【0058】
搬出装置65は、例えば、検査阻害要因があって検査不可と判別された検体25aを収容する試験管25を搬出して分取・分注の対象から外す。
【0059】
分取・分注装置66は、搬送経路20aに沿ってホルダ24を搬送する搬送部と、試験管25の開口に対向するように配置された昇降可能な分取・分注チップを備えている。搬送経路上の所定位置に検体入り試験管25が配置され停止したとき、分取・分注チップによって検体入り試験管25から所定量の血清を分取し、別に送られてきたサンプルカップに分注する。血清が分注されたサンプルカップは、下流側の分析装置61に搬入され、分析処理が行われる。
【0060】
以下、図10を参照して分析装置1における処理手順を説明する。図10は分析装置1の処理の流れを示す。まず、上流側に設けられた搬入装置63により、試験管ラック68aに収納されている検体入り試験管25を把持し搬送経路上に移載する搬入処理が行われる(ステップST31)。搬送経路上にはホルダ24が待機しており、試験管25はホルダ24にセットされる。移載された試験管25はホルダ24に保持された状態で搬送経路に沿って下流側の検体情報検出装置10に送られる。
【0061】
検体情報検出装置10において、上記第1実施形態と同様にステップST1~ステップST7の処理が行われる。検査阻害要因検出処理が終了した試験管25はホルダ24に立位状態で保持されたまま下流側の仕分け装置64に送られる。
【0062】
次に、検体情報検出装置10の下流側に設けられた仕分装置64において、制御部18の制御により、ステップST7における総合判定結果に応じてゲート部71が切り替えられ、試験管25を振り分ける処理が成される(ステップST33)。例えば、検査不可と判別された検体25aを収容する試験管25は、ゲート部71が切り替えられることにより、分岐路へ案内され下流側の搬出装置65に案内される。一方、乳び状態でも溶血状態でもない正常な検体は、搬送経路に沿って下流側の分取・分注装置66に案内される。
【0063】
分岐路の下流側の搬出装置65では、検査阻害要因があって検査不可と判別された検体25aを収容する試験管25を搬出して分取・分注の対象から外す(ステップST34)。
【0064】
分取・分注装置66では、分取・分注チップによって正常な検体入りの試験管25から所定量の血清を分取し別に送られてきたサンプルカップに分注する分取・分注処理が行われる(ステップST35)。血清が分注されたサンプルカップは、下流側の搬出装置から搬出され、下流側の連結路を通って分析装置61に搬入される。そして、分析装置61において各種反応を検査する分析処理が行われる(ステップST36)。
【0065】
本実施形態にかかる分析装置1によれば、予め検査前処理として検査阻害要因を検出することにより、分析処理を行う前に検査阻害要因に応じて試薬の希釈倍率や検査条件を変更し、あるいは検査の対象から外すことにより、検査処理の無駄や試薬の無駄を防止することができる。また、複数の検査阻害要因について共通の画像を用いて画像解析を行うことで高速かつ高精度に検出することができる。また、上記実施形態によれば共通の画像を複数種類の判定に共通して用いることとしたため複数種類の検査阻害要因の判定を高速かつ高精度に処理できる。
【0066】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば上述の実施形態では1つの試験管25毎に検体処理を行う場合について例示したが、複数の試験管25について同時に処理を行ってもよい。
【0067】
上記実施形態では乳び、溶血に加え、血餅不良やフィブリンなどの異物物含有状態を含む複数の検査阻害要因について検出する場合を例示したが、このうちいずれかを省略してもよいし、他の項目を追加してもよい。例えば、検査阻害要因として、さらに黄疸状態を検出してもよい。「黄疸」は、血液中のビリルビンが増加して、そのビリルビンによって皮膚や粘膜などの組織が黄色く沈着した状態であり、血清の場合にはビリルビンの増加で黄色成分が濃くなる傾向があるため、例えばRGB方式により黄疸状態を検出できる。
【0068】
また、第1の画像の解析により乳び、溶血、異物含有状態などを検出する方法は上記に限られるものではなく、種々の画像解析を適用できる。例えば、溶血判定において、色情報として、色相値(H)に基づいて溶血を判定する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、画像処理によりRGB方式で判定対象領域の赤色(R)の色成分を抽出して赤色の成分の値に基づいて、例えばRの成分が所定以上である場合に溶血状態であると判定してもよい。
【0069】
例えば乳び判定については濃淡値から判定した例を示したが、これに限られるものではない。例えば光の透過率を元に、乳び状態を判定してもよい。例えば透過率の指標の具体例として、HSV方式の色相環のV(明度)の値を用い、あるいは撮像部41のカメラのシャッタースピードを調整可能とし、所定の明度が得られるシャッタースピードの値を透過率の指標としてもよい。
【0070】
上記実施形態では予め所定領域において露呈部27bが形成された試験管25を対象とした例を示したが、これに限られるものではない。例えば画像取得前に試験管25のラベル27を剥離するラベル剥離装置を搬送経路の上流側、あるいは別装置として設けることにより、撮像の前処理として所定の位置に露呈部27bが形成されていない場合に撮像に必要な所定の領域を剥離するようにしてもよい。
【0071】
上記実施形態において、ラベルセンサ32及び回転装置33を移載装置35の上流側に配置した例を示したが、これに限られるものではない。また、ラベルの向きを調整する処理を移載前に行う例を示したがこれに限られるものではない。例えばラベル27のエッジの位置を検出するラベルセンサ32や、試験管25を回転させる回転装置33を、画像取得部14の一部としてチャンバ45内に設けてもよい。この場合、移載装置35によってチャンバ45内に移載した後に、回転装置33及びラベルセンサ32によってラベル27の位置検出や、試験管25の向きの調整を行ってもよい。
【0072】
また、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造、材質等を変更してもよい。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0073】
A…搬送経路、AR1、AR2…判定対象領域、1…分析装置(検体処理装置)、10…検体情報検出装置、11…装置本体、12…搬送部、14…画像取得部、15…検査阻害要因検出部、16…記憶部、17…データ処理部、18…制御部、20a…搬送経路、20…搬送部、24…ホルダ、25…試験管、25a…検体、25b…血餅層、25c…分離剤層、25d…血清層、25e…第1の境界面、25f…第2の境界面、25g…検体液面、27…ラベル、27a…印字部(印刷部)、27b…露呈部、30…読取ユニット、31…バーコードリーダ、32…ラベルセンサ、33…回転装置、34…位置センサ、41…撮像部、42…サイドライト、45…チャンバ、61…分析装置、62…ラベル剥離装置、63…搬入装置、64…仕分装置、65…搬出装置、66…分取・分注装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収容する検体容器を撮像する撮像装置と、
前記撮像の際に撮像方向と異なる方向から前記検体容器に光を照射するサイドライトと、を備える画像取得部と、
前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の乳び状態、溶血状態、または異物含有状態を検出する、情報処理部と、
前記検体容器の印字部を有するラベルのエッジの位置を検出することにより、前記検体容器の向きを検出するラベルセンサと、
前記撮像に先立って前記検体容器の外周面に貼付けられる前記ラベルの向きを調整することで、前記ラベルの印字部を前記撮像方向の背面側に向かせる位置調整装置と、
前記撮像時に前記検体容器を収容し外部の光を遮断するチャンバと、
を備え
前記検体容器は、前記ラベルと、外周の少なくとも一部において前記ラベルが貼り付けられていない露呈部と、を備え、
前記サイドライトは、撮像位置の検体容器の側方の両側に配される一対のLEDで構成され、
前記画像取得部は、前記チャンバ内において前記一対のLEDにより、撮像方向とは異なる方向の両側から光を照射しながら撮像するサイドライト撮像を行い、一対の前記LEDから照射された光を、前記検体容器内に入射させて、前記ラベルの裏面で反射させ、検体を透過した光を、前記印字部を透過せずに、前記撮像装置で受光させる、
検体情報検出装置。
【請求項2】
前記検体容器を順次搬送する搬送経路と、
前記搬送経路にある立位状態の検体容器について、前記ラベルセンサにおいてラベルを検出し、前記位置調整装置により検体容器の向きを調整した後に、移載装置により前記検体容器を前記チャンバ内に移載し、前記チャンバ内にて前記サイドライト撮像を行う、制御部を備える、請求項1に記載の検体情報検出装置。
【請求項3】
前記サイドライトからの照射光は、前記撮像方向に対する検体容器の中心位置を基準とした中心角度が60度以上90度以下であり、
撮像時に照明用の光が透過するところに、前記印字部が無い、請求項1に記載の検体情報検出装置。
【請求項4】
前記情報処理部は、検体の検査処理に先立って前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報から画像処理により対象領域における画像の濃淡情報を検出し、前記濃淡情報に基づいて前記検体の乳び状態を検出し、
前記画像情報から画像処理により前記検体の色情報を検出し、前記色情報に基づいて前記検体の溶血状態を検出する、請求項1に記載の検体情報検出装置。
【請求項5】
前記情報処理部は、検体の検査処理に先立って前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報から画像処理により対象領域における画像の濃淡情報を検出し、前記濃淡情報に基づいて前記検体の乳び状態を検出し、
前記画像情報から画像処理により前記検体の色情報を検出し、前記色情報に基づいて前記検体の溶血状態を検出する、請求項2に記載の検体情報検出装置。
【請求項6】
前記画像情報から画像処理により対象領域におけるコントラストを検出し、前記コントラストに基づいて前記検体の異物物含有状態を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の検体情報検出装置。
【請求項7】
検体を収容し、印字部を有するラベルと、外周の少なくとも一部において前記ラベルが貼り付けられていない露呈部と、を備える検体容器の、前記ラベルのエッジの位置を検出することにより、前記検体容器の向きを検出することと、
前記検体容器の外周面に貼付けられる前記ラベルの向きを調整することで、前記ラベルの前記印字部を撮像方向の背面側に向かせることと、
前記ラベルの検出及び向きの調整の後、前記検体容器を、外部の光を遮断するチャンバ内に収容し、一対のLEDにより検体容器の撮像方向と異なる方向の両側から光を照射しながら撮像装置で撮像する、サイドライト撮像を行うことと、
前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の乳び状態、溶血状態、または異物含有状態を検出することと、
を備え、
前記サイドライト撮像において、検体容器の両側側方に配置された一対のLEDによって、撮像方向との前記検体容器の中心位置を基準とした中心角度が60度以上90度以下であり、前記撮像の際の画像検出軸と異なる方向の両側から、前記検体容器に光を照射し、前記光を前記検体容器内に入射させ、前記ラベルの裏面に反射させ、検体を透過した光を、前記印字部を透過せずに前記撮像装置に入射させる、検体情報検出方法。
【請求項8】
検体の検査処理に先立って前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報から画像処理により対象領域における画像の濃淡情報を検出し、前記濃淡情報に基づいて前記検体の乳び状態を検出し、
前記画像情報から画像処理により前記検体の色情報を検出し、前記色情報に基づいて前記検体の溶血状態を検出する、請求項に記載の検体情報検出方法。
【請求項9】
前記画像情報から画像処理により対象領域におけるコントラストを検出し、前記コントラストに基づいて前記検体の異物物含有状態を検出する、請求項に記載の検体情報検出方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
実施形態にかかる検体情報検出装置は、検体を収容する検体容器を撮像する撮像装置と、前記撮像の際に撮像方向と異なる方向から前記検体容器に光を照射するサイドライトと、を備える画像取得部と、前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の乳び状態、溶血状態、または異物含有状態を検出する、情報処理部と、前記検体容器の印字部を有するラベルのエッジの位置を検出することにより、前記検体容器の向きを検出するラベルセンサと、前記撮像に先立って前記検体容器の外周面に貼付けられる前記ラベルの向きを調整することで、前記ラベルの印字部を前記撮像方向の背面側に向かせる位置調整装置と、前記撮像時に前記検体容器を収容し外部の光を遮断するチャンバと、を備え、前記検体容器は、前記ラベルと、外周の少なくとも一部において前記ラベルが貼り付けられていない露呈部と、を備え、前記サイドライトは、撮像位置の検体容器の側方の両側に配される一対のLEDで構成され、前記画像取得部は、前記チャンバ内において前記一対のLEDにより、撮像方向とは異なる方向の両側から光を照射しながら撮像するサイドライト撮像を行い、一対の前記LEDから照射された光を、前記検体容器内に入射させて、前記ラベルの裏面で反射させ、検体を透過した光を、前記印字部を透過せずに、前記撮像装置で受光させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
また、上記実施形態に例示された各構成要素を削除してもよく、各構成要素の形状、構造、材質等を変更してもよい。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
(1)
検体を収容する検体容器を撮像する撮像装置と、
前記撮像の際に撮像方向と交差する方向から前記検体容器に光を照射する照明装置と、 前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の状態を検出する、情報処理部と、を備える検体情報検出装置。
(2)
前記照明装置は撮像の際の画像検出軸と前記検体容器とが並ぶ方向である撮像方向と交差する光照射方向の両側から、前記検体容器に光を照射し、
前記撮像時に前記検体容器を収容し外部の光を遮断するチャンバと、
前記撮像に先立って前記検体容器の外周面に貼付けられるラベルの向きを調整する位置調整装置と、を備える(1)に記載の検体情報検出装置。
(3)
前記情報処理部は、検体の検査処理に先立って前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報から画像処理により対象領域における画像の濃淡情報を検出し、前記濃淡情報に基づいて前記検体の乳び状態を検出し、
前記画像情報から画像処理により前記検体の色情報を検出し、前記色情報に基づいて前記検体の溶血状態を検出する、(1)または(2)に記載の検体情報検出装置。
(4)
前記画像情報から画像処理により対象領域におけるコントラストを検出し、前記コントラストに基づいて前記検体の異物物含有状態を検出することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか記載の検体情報検出装置。
(5)
検体を収容する検体容器を撮像することと、
前記撮像の際に撮像方向と交差する方向から前記検体容器に光を照射することと、
前記検体容器を撮像して取得した前記検体容器の画像情報に基づき、画像処理により前記検体容器内の状態を検出することと、を備える検体情報検出方法。