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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133573
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/51 20060101AFI20240925BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20240925BHJP
   G01S 17/86 20200101ALI20240925BHJP
【FI】
G01S7/51
G01S17/89
G01S17/86
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107264
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2023507041の分割
【原出願日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2021042241
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】細井 研一郎
(57)【要約】
【課題】距離測定装置からの光がどのように照射されているか把握しやすいように点群データを表示することが一例として挙げられる。
【解決手段】情報処理装置(20)は、生成部(210)を備える。生成部(210)は、複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する。また、生成部(210)は、基準点からデータ点までの距離が長いほど大きくなるよう、データ点の表示サイズを決定する。点群データに含まれる位置情報は、たとえば距離測定装置の測定結果に基づく情報であり、基準点は距離測定装置の位置を示す。また、たとえば距離測定装置は、パルス光を出射し、対象物で反射されたパルス光を受光することにより対象物までの距離を測定する装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する生成部を備え、
前記生成部は、基準点から前記データ点までの距離が長いほど大きくなるよう、前記データ点の表示サイズを決定する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の自動運転等に用いることができる距離測定装置の開発が行われている。距離測定装置の一例としては、出射した光が物体に反射されて戻るまでの時間を測定して、周囲の物体との距離を測定するものが挙げられる。
【0003】
このような測定装置では、測定結果を示す点群データが生成される。点群データにより、測定された物体の三次元空間内での位置が表される。
【0004】
特許文献1には、点群データを表示する際、物体の形状や存否を直感的に把握しやすくするために、表示する図形の大きさを視点座標に近くなるほど大きくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-210670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、距離測定装置を移動体等に取り付ける場合には、取り付け位置や角度を調整する必要がある。その際には、特定のターゲットに対して、距離測定装置から出射された光がどのようにあたっているのかが分からないと、調整作業が難しい。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、距離測定装置からの光がどのように照射されているか把握しやすいように点群データを表示することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、
複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する生成部を備え、
前記生成部は、基準点から前記データ点までの距離が長いほど大きくなるよう、前記データ点の表示サイズを決定する
情報処理装置である。
【0009】
第2の発明は、
複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する生成ステップを含み、
前記生成ステップでは、基準点から前記データ点までの距離が長いほど大きくなるよう、前記データ点の表示サイズを決定する
情報処理方法である。
【0010】
第3の発明は、
第2の発明に係る情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る情報処理装置の構成を例示するブロック図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置の使用環境を例示する図である。
図3】実施形態に係る距離測定装置の構成を例示する図である。
図4】ターゲットを用いて距離測定装置の位置および角度を調整する様子を例示する図である。
図5】比較例の方法で点群データを表示させた例を示す図である。
図6】実施形態に係る点群データの表示例を示す図である。
図7】光照射領域とターゲットとの関係の例、および、比較例に係る点群データの表示例を示す図である。
図8】光照射領域とターゲットとの関係の例、および、実施形態に係る点群データの表示例を示す図である。
図9】情報処理装置を実現するための計算機を例示する図である。
図10】パルス光の拡がり角θと、距離Dと、パルス光のスポットの大きさwとの関係を示す図である。
図11】カメラで撮影した画像と、複数のデータ点とを重ね合わせて表示させた画像を例示する図である。
図12】生成部で生成された表示用データで表示される画像の例を示す図である。
図13】生成部で生成された表示用データで表示される画像の例を示す図である。
図14】データ点を中心ほど透明度が低い表示マークで表示させた画像を例示する図である。
図15】実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
以下に示す説明において、情報処理装置20の生成部210、および距離測定装置10の測定制御部17はそれぞれ、特に説明する場合を除き、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。情報処理装置20の生成部210、および距離測定装置10の測定制御部17はそれぞれ、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0014】
(実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置20の構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る情報処理装置20は、生成部210を備える。生成部210は、複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する。また、生成部210は、基準点からデータ点までの距離が長いほど大きくなるよう、データ点の表示サイズを決定する。以下に詳しく説明する。
【0015】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置20の使用環境を例示する図である。本実施形態において、点群データに含まれる位置情報は、距離測定装置10の測定結果に基づく情報である。そして、基準点は距離測定装置10の位置を示す。また、距離測定装置10は、パルス光を出射し、対象物で反射されたパルス光を受光することにより対象物までの距離を測定する装置である。本図は情報処理装置20が距離測定装置10とは別途の装置として設けられている例を示しているが、情報処理装置20は、距離測定装置10の一部であってもよい。
【0016】
図3は、本実施形態に係る距離測定装置10の構成を例示する図である。本図中、光の経路を破線矢印で示している。本図を参照して距離測定装置10について詳しく説明する。本図の例において距離測定装置10は、集光レンズ13、発光素子14、孔付きミラー15、可動ミラー16、測定制御部17、受光素子18、駆動回路141、駆動回路161、および検出回路181を備える。
【0017】
距離測定装置10は、たとえばパルス光の出射タイミングと反射光(反射したパルス光)の受光タイミングとの差に基づいて、距離測定装置10から走査範囲170内にある物体(対象物)までの距離を測定する装置である。パルス光はたとえば赤外光等の光である。また、パルス光はたとえばレーザパルスである。距離測定装置10に備えられた発光素子14から出力され、距離測定装置10の外部へ出射されたパルス光は物体で反射されて少なくとも一部が距離測定装置10に向かって戻る。そして、反射光が距離測定装置10に入射する。距離測定装置10に入射した反射光は受光素子18で受光され、強度が検出される。ここで、距離測定装置10では発光素子14からパルス光が出射されてから反射光が受光素子18で検出されるまでの時間が測定される。そして、測定制御部17は、測定された時間とパルス光の伝搬速さを用いて距離測定装置10と物体との距離を算出する。距離測定装置10はたとえばライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging, Laser Illuminated Detection and Ranging またはLiDAR:Light Detection and Ranging)装置である。
【0018】
発光素子14はパルス光を出射する。発光素子14は、たとえばレーザーダイオードである。駆動回路141は、測定制御部17からの制御信号に基づき駆動信号を生成して、発光素子14を発光させるための回路であり、たとえばスイッチング回路や容量素子を含んで構成される。
【0019】
受光素子18は距離測定装置10に入射したパルス光を受光する。受光素子18は、たとえばアバランシェフォトダイオード(APD)等のフォトダイオードである。検出回路181は、I-VコンバータやA/D変換回路を含み、受光素子18による光の検出強度を示す信号を出力する。
【0020】
可動ミラー16は、たとえば一軸可動または二軸可動のMEMSミラーである。駆動回路161は測定制御部17からの制御信号に基づいて可動ミラー16を駆動するための駆動信号を生成する。駆動信号により可動ミラー16の反射面の向きを変えることにより、距離測定装置10から出射されるパルス光の出射方向を変化させることができる。可動ミラー16が二軸可動のMEMSミラーである場合、可動ミラー16を二軸駆動する事により、所定の範囲内をパルス光でラスタスキャンすることができる。
【0021】
測定制御部17は、複数のパルス光による測定結果を含む点群データを生成する。たとえば、走査範囲170内をラスタスキャンする場合、第1の方向171に光の出射方向を変化させる事によりライン状の走査を行う。そして、第2の方向172に光の出射方向を変化させながら複数のライン状走査を行う事により、走査範囲170内の複数の測定結果を含む点群データを生成する事ができる。本図の例において、第1の方向171と第2の方向172とは直交している。
【0022】
一度のラスタスキャンで生成される点群データの単位をフレームと呼ぶ。ひとつのフレームについて測定が終わると、光の出射方向は初期位置に戻り、次のフレームの測定が行われる。こうして、繰り返しフレームが生成される。点群データにおいては、パルス光で測定された距離と、そのパルス光の出射方向を示す情報とが関連付けられている。または、点群データは、パルス光の反射点を示す三次元座標を含んでもよい。測定制御部17は、算出された距離と、各パルス光を出射する時の可動ミラー16の角度を示す情報とを用いて点群データを生成する。生成された点群データは距離測定装置10の外部に出力されても良いし、測定制御部17からアクセス可能な記憶装置に保持されても良い。
【0023】
発光素子14から出力されたパルス光は孔付きミラー15の孔を通過し、可動ミラー16で反射された後に距離測定装置10から出射される。また、距離測定装置10に入射した反射光は可動ミラー16および孔付きミラー15で反射された後、集光レンズ13を介して受光素子18に入射する。なお、距離測定装置10は、コリメートレンズやミラー等をさらに含んでもよい。
【0024】
測定制御部17は、発光素子14、受光素子18および可動ミラー16を制御する。また、測定制御部17は、検出回路181から受光信号を受信し、上述したように距離測定装置10から走査範囲170内の物体までの距離を算出する。なお、距離測定装置10の構成は本図の例に限定されない。
【0025】
図4は、ターゲット40を用いて距離測定装置10の位置および角度を調整する様子を例示する図である。距離測定装置10はたとえば車両等の移動体に搭載される。距離測定装置10を移動体等の取付対象物42に取り付ける際には、所望の領域を測定できるよう、取付対象物42に対する距離測定装置10の取付位置や取付角度を調整する作業が生じる。たとえば、距離測定装置10は、取付対象物42に対し所定の位置に配置されたターゲット40が適切に測定できるように調整される。調整の作業においては、距離測定装置10で得られる点群データを表示させ、距離測定装置10の走査範囲170とターゲット40との位置関係を把握する必要がある。詳しく後述するように、生成部210は、カメラで撮影した画像と、複数のデータ点とを重ね合わせて表示させるための表示用データを生成する。このような表示用データで表示された画像を見ながら、ユーザは距離測定装置10の調整作業を行うことができる。
【0026】
なお、距離測定装置10の位置および角度の調整要素としては、互いに直交する三軸方向(鉛直方向、水平方向、およびセンシング方向)の位置と、これら三軸のそれぞれを軸とする回転角度がある。ここで、距離測定装置10の調整自由度は必ずしもこれら6要素にあるとは限らない。たとえば距離測定装置10の調整自由度はこれら6要素のうちの一部のみにあってもよい。また、本図に示した矢印は調整要素の一例であり、距離測定装置10の調整は本図の例に限定されない。
【0027】
点群データの表示方法の比較例として、点群データに含まれる各点を、予め定められた同一サイズのマークとして表示する方法がある。
【0028】
図5は、比較例の方法で点群データを表示させた例を示す図である。本図において、この点群データを取得した距離測定装置の位置は図中左下である。本図に示すように、距離測定装置から離れるほど、測定点の間隔、すなわち点群データ中のデータ点の距離間隔は大きくなる。一方、表示されるマークの大きさは全て同一であるため、距離測定装置から離れるほど、マークの表示は粗になる。
【0029】
図6は、本実施形態に係る点群データの表示例を示す図である。なお、本実施形態に係る点群データの表示例とは、本実施形態に係る情報処理装置20で生成される表示用データで表示される画像の例である。本図においても、この点群データを取得した距離測定装置10の位置は図中左下である。本例でも、距離測定装置から離れるほど、測定点の中心間隔、すなわち点群データ中のデータ点の中心距離間隔は大きくなる。ただし一方で、距離測定装置から離れるほど、データ点の表示サイズが大きくなっている。実際、距離測定装置10から離れるほどパルス光のスポットは大きくなるため、各パルス光の光照射領域は大きくなる。したがって、図5の例よりも、図6の例の方が、実際のパルス光による光照射領域を正確に表しているといえる。
【0030】
図7は、光照射領域51とターゲット40との関係の例、および、比較例に係る点群データの表示例を示す図である。距離測定装置による測定において、実際のパルス光のスポット形状はたとえば本図左側に示すような矩形である。本図の例では、ターゲット40に対して、光照射領域51が重なっている。すなわち、ターゲット40にパルス光が照射され、反射光が検出されている状態である。各光照射領域51の一部はターゲット40からはみ出しているが、一部の光が反射され、距離測定装置10で検出されれば距離測定がなされ、ターゲット40を測定したデータ点として現れる。なお、本図において、パルス光が照射されたものの、ターゲット40にあたらず反射光が検出されなかった非反射領域52を破線の矩形で示している。
【0031】
また、本図右側の比較例に係る表示例では、ターゲット40の画像が、データ点を示す複数のマーク60と合わせて表示されている。比較例に係る表示例では、マーク60が粗であり、マーク60同士の間の間隙が、実際の光照射領域51同士の間の間隙よりも大きく表示されている。そして、マーク60が光照射領域51の位置のみを反映しているため、本図上側に示す状態ではターゲット40がマーク60とマーク60の間隙に表示されてしまっている。この表示を見ると、直感的にはパルス光はターゲット40にほとんどあたっていないと感じられ、実際の状況との乖離が激しい。
【0032】
また、距離測定装置を右上にずらし、一つのパルス光をターゲット40のほぼ中心に照射させると本図下側に示す状態となる。実際には中心のパルス光の他、40の周囲に照射されたパルス光の一部が40で反射されて検出される。この状態で、比較例に係る表示例では、ターゲット40から外れた位置にマーク60が表示されており、実際のパルス光の照射状況が直感的に把握しにくい。
【0033】
図8は、光照射領域51とターゲット40との関係の例、および、本実施形態に係る点群データの表示例を示す図である。光照射領域51とターゲット40との関係は、図7と同様である。本図の本実施形態に係る表示例では、ターゲット40の画像が、データ点を示す複数のマーク61と合わせて表示されている。本実施形態に係る表示例では、マーク61が基準点からの距離に応じたサイズで表示される。すなわち遠くにあるターゲット40の測定結果は大きなマーク61で表示されるため、マーク61同士の間の隙間の大きさが、実際の光照射領域51同士の間の隙間の大きさに対応している。つまり、マークの表示面積が、実際の光照射領域の面積に対応している。したがって、ターゲット40とマーク61との関係から、実際のターゲット40と光照射領域51との関係を直感的に把握しやすい。距離測定装置10を右上に移動させた後の状態を示す本図下側の例においても、本実施形態に係る表示例では、パルス光の一部がターゲット40で反射されていることを把握できる。
【0034】
本実施形態に係る情報処理装置20について以下に詳しく説明する。
【0035】
情報処理装置20のハードウエア構成について以下に説明する。情報処理装置20の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、情報処理装置20の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0036】
図9は、情報処理装置20を実現するための計算機1000を例示する図である。計算機1000は任意の計算機である。例えば計算機1000は、SoC(System On Chip)、Personal Computer(PC)、サーバマシン、タブレット端末、又はスマートフォンなどである。計算機1000は、情報処理装置20を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。
【0037】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0038】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。また、本実施形態において、入出力インタフェース1100には距離測定装置10が接続されても良い。
【0039】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000をネットワークに接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1120がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0040】
ストレージデバイス1080は、情報処理装置20の各機能構成部を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムモジュールをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムモジュールに対応する機能を実現する。
【0041】
図2に戻り、情報処理装置20が行う処理について説明する。情報処理装置20は、たとえば距離測定装置10から点群データを取得する。ただし、情報処理装置20は、情報処理装置20からアクセス可能な記憶装置に保持された点群データを読み出して取得しても良い。点群データには、複数のデータ点の三次元空間における位置を示す位置情報が含まれる。各データ点は距離測定装置10の各測定点に対応する。位置情報は、三次元直交座標または三次元極座標でありえる。位置情報の三次元座標の原点は基準点であってもよいし、基準点以外の点であっても良い。位置情報の三次元座標の原点が基準点以外の点である場合、情報処理装置20は、その三次元座標における基準点の位置(座標)を示す情報を、距離測定装置10から取得する、または情報処理装置20からアクセス可能な記憶装置から取得する。また、距離測定装置10は、基準点の位置を示す情報を含む点群データを生成してもよい。そして情報処理装置20は、基準点の位置を示す情報を含む点群データを取得しても良い。
【0042】
上述したとおり、情報処理装置20は生成部210を備える。生成部210は、複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する。表示用データは、点群データに含まれる複数のデータ点が複数のマークで示された画像を表示させるためのデータである。画像中の一つのマークは、一つのデータ点に対応する。具体的には生成部210は以下のような処理を行う。生成部210は、点群データに含まれる各データ点の基準点からの距離を算出する。すなわち、生成部210は、データ点のそれぞれについて、データ点の位置情報と基準点の位置情報とに基づいて、データ点の距離を算出する。位置情報の三次元座標の原点が基準点である場合、生成部210は、原点からのデータ点までの距離を、基準点からのデータ点までの距離とすることができる。
【0043】
次いで生成部210は、算出した距離に基づいて、表示用データにおけるデータ点を示すマークの表示サイズを決定する。たとえば生成部210からアクセス可能な記憶部220には、距離と表示サイズとの関係を示すサイズ情報が予め保持されている。図2の例において、記憶部220は情報処理装置20に備えられている。サイズ情報はたとえば、距離と表示サイズとの関係を示すテーブル、または数式である。生成部210は、サイズ情報を記憶部220から読み出して取得する。そして、算出した距離に対応する表示サイズを、サイズ情報を用いて導出する。サイズ情報によれば、基準点からデータ点までの距離が長いほど、データ点の表示サイズが大きくなる。
【0044】
ここで、生成部210は、各データ点の表示サイズを、距離測定装置10からのパルス光の拡がり角θにさらに基づいて決定することができる。
【0045】
図10は、パルス光の拡がり角θと、距離Dと、パルス光のスポットの大きさwとの関係を示す図である。本図に示すように、パルス光のスポットの大きさwは、距離測定装置10からの距離D、すなわち基準点からの距離Dが長くなるほど、大きくなる。具体的には、w=2D×tan(θ/2)が成り立つ。
【0046】
情報処理装置20は、距離測定装置10のパルス光の拡がり角θを示す拡がり角情報を、距離測定装置10から取得することができる。または、距離測定装置10が拡がり角情報を含む点群データを生成し、情報処理装置20が点群データを取得することにより拡がり角情報を取得しても良い。または、情報処理装置20のユーザが拡がり角情報を情報処理装置20に対して入力し、情報処理装置20がその入力を受け付けることにより拡がり角情報を取得しても良い。
【0047】
たとえばサイズ情報がテーブルである場合、記憶部220には、複数の拡がり角θのそれぞれに対応するサイズ情報が保持されている。生成部210は、記憶部220に保持された複数のサイズ情報から、取得した拡がり角情報に示された拡がり角θに対応するサイズ情報を取得する。そして、取得したサイズ情報を用いて、上述したとおり表示サイズを導出する。
【0048】
サイズ情報が数式である場合、その数式はθを変数として含む。生成部210は、その数式に取得した拡がり角情報に示された拡がり角θおよび算出した距離を代入することで、表示サイズを導出する。サイズ情報はたとえばw=2D×tan(θ/2)という数式である。
【0049】
また、生成部210は、複数のデータ点の表示位置を位置情報に基づいて決定する。すなわち生成部210は、各データ点の位置情報に従って複数のデータ点のマークを配置した表示用データを生成する。
【0050】
図2に戻り、距離測定装置10の近辺にはカメラ30が設けられている。カメラ30が撮影する撮影領域には、距離測定装置10の走査範囲170が含まれる。情報処理装置20はカメラ30から、カメラ30で得られた画像を取得する。そして生成部210は、カメラ30で撮影した画像と、複数のデータ点とを重ね合わせて表示させるための表示用データを生成する。カメラ30で得られた画像と、点群データの座標との位置関係は予め定められており、生成部210は、その位置関係に基づいて、カメラ30で撮影した画像と、複数のデータ点とを重ね合わせることができる。なお、カメラ30で得られた画像内に参照点を示す物体が含まれており、その参照点が予め定められた座標位置になるように、生成部210がカメラ30で撮影した画像と、複数のデータ点とを重ね合わせてもよい。
【0051】
ここで、カメラ30は可視光カメラである。距離測定装置10から出射されるパルス光が赤外光である場合、パルス光の物体での反射状況を直接撮影するためには赤外線カメラが必要である。一方、本実施形態に係る情報処理装置20によれば、点群データのデータ点を実際の照射領域に模したマークを、可視光カメラで得た画像に重ねて表示させることにより、反射領域を直接見るのと近い感覚で状況を確認することができる。
【0052】
図11は、カメラ30で撮影した画像と、複数のデータ点とを重ね合わせて表示させた画像を例示する図である。画像には、ターゲット40と、ターゲット40を測定したデータ点を示すマーク61とが表示されている。このような画像により、実際の空間内にある物体に、パルス光がどのように照射されたのかを、容易に把握することができる。
【0053】
マークの形状は特に限定されず、円形、矩形、その他の多角形、クロスマーク、Xマーク等であり得る。なかでも、生成部210は、各データ点を、距離測定装置10からのパルス光の実際の照射領域の形状および大きさに模して表示させる表示用データを生成することが好ましい。すなわち、生成部210は、複数のデータ点の表示形状をパルス光の形状の相似形とすることが好ましい。
【0054】
図12は、生成部210で生成された表示用データで表示される画像の例を示す図である。ターゲット40の画像が、データ点を示す複数のマーク61と合わせて表示されている。本例において、距離測定装置10で出射されるパルス光が矩形であるとする。本図の画像では、パルス光と同じく矩形のマーク61が表示されている。マーク61はパルス光の形状の相似形である。図8に示した例と同様、本図の上段に示す状況から、距離測定装置10を右上にずらすことにより本図の中段に示す状況になる。さらに、距離測定装置10を反時計回りに回転させることにより、本図の下段に示す状況になる。このように、マーク61がパルス光の形状の相似形であることにより、実際のパルス光の照射領域を直感的に把握し、距離測定装置10の取付角度も含めた調整を容易に行える。
【0055】
図13は、生成部210で生成された表示用データで表示される画像の例を示す図である。本図において、この点群データを取得した距離測定装置10の位置は図中左下である。本図の例では、距離測定装置10から離れるほど、データ点の表示サイズが大きくなっている。さらに、マークの形状が、距離測定装置10のパルス光のスポット形状と同様、矩形である。したがって、距離測定装置10で測定された物体のイメージを直感的に把握しやすい。
【0056】
情報処理装置20は、距離測定装置10のパルス光の形状を示す形状情報を、距離測定装置10から取得することができる。または、距離測定装置10が形状情報を含む点群データを生成し、情報処理装置20が点群データを取得することにより形状情報を取得しても良い。または、情報処理装置20のユーザが形状情報を情報処理装置20に対して入力し、情報処理装置20がその入力を受け付けることにより形状情報を取得しても良い。生成部210は、形状情報に示された形状でマークを表示するよう、表示用データを生成する。なお、情報処理装置20では、ユーザの入力に応じて、マークの形状を切替可能であっても良い。
【0057】
表示用データで表示される画像において、マークは、輪郭線のみで表示されてもよいし、予め定められた色で塗りつぶされた図形で表示されても良い。また、マークは受光素子18で受光された反射光の強度を示す色で示されても良い。ただし、カメラ30で撮影された画像に重ねてマークが表示される場合、画像がある程度見えるように、マークは透明度を有することが好ましい。
【0058】
生成部210は、複数のデータ点を、中心ほど透明度が低い表示マーク(マーク)で表示させる表示用データを生成してもよい。
【0059】
図14は、データ点を中心ほど透明度が低い表示マークで表示させた画像を例示する図である。このように、カメラ30で撮像された画像に重ねるマークの透明度にグラデーションを設けることにより、実際のパルス光の輝度の分布を再現することができる。
【0060】
生成部210は、生成した表示用データを出力する。たとえば情報処理装置20は表示用データを表示装置22に対して出力し、表示装置22に画像を表示させることができる。なお、情報処理装置20は表示用データを情報処理装置20からアクセス可能な記憶装置に保持させても良い。
【0061】
生成部210はたとえば、距離測定装置10が点群データを生成する度に、その点群データを用いて表示用データを生成する。そして、表示用データが生成される度に、表示装置22に表示される画像が最新の表示用データで更新される。ユーザは、表示された画像を見ながら距離測定装置10の位置および角度の調整作業を行える。なお、上述した拡がり角情報の取得および形状情報の取得は、初めに一度行われればよく、表示用データの生成の度に行われる必要はない。
【0062】
なお、情報処理装置20では、データ点の位置情報に基づいて決定された表示サイズで各データ点を表示させる表示用データを生成する第1の表示モードと、複数のデータ点を同一の表示サイズで表示させる表示用データを生成する第2の表示モードとを切替可能であってもよい。表示モードの選択は情報処理装置20のユーザにより行われる。情報処理装置20は、ユーザによる表示モードの選択操作を受け付ける。そして、選択された表示モードに対応する表示用データを出力する。第1の表示モードでは生成部210は少なくとも上述したサイズ情報および算出した基準点からの距離を用いて、各データ点の表示サイズを決定する。そして、決定された表示サイズでマーカーを表示させた表示用データを生成して出力する。一方、第2の表示モードでは生成部210は、予め定められたサイズで、全てのデータ点を表示させる表示用データを生成して出力する。
【0063】
図15は、本実施形態に係る情報処理装置20が行う情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。本実施形態に係る情報処理方法は、生成ステップS210を含む。生成ステップS210では、複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データが生成される。また、生成ステップS210では、基準点からデータ点までの距離が長いほど大きくなるよう、データ点の表示サイズを決定する。
【0064】
以上、本実施形態によれば、生成部210は、基準点からデータ点までの距離が長いほど大きくなるよう、データ点の表示サイズを決定する。したがって、距離測定装置からの光がどのように照射されているか把握しやすいように点群データを表示させることができる。
【0065】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する生成部を備え、
前記生成部は、基準点から前記データ点までの距離が長いほど大きくなるよう、前記データ点の表示サイズを決定する
情報処理装置。
2. 1.に記載の情報処理装置において、
前記点群データに含まれる前記位置情報は、距離測定装置の測定結果に基づく情報であり、
前記基準点は前記距離測定装置の位置を示す
情報処理装置。
3. 2.に記載の情報処理装置において、
前記距離測定装置は、パルス光を出射し、対象物で反射された前記パルス光を受光することにより前記対象物までの距離を測定する装置である
情報処理装置。
4. 3.に記載の情報処理装置において、
前記生成部は、各前記データ点の表示サイズを、前記距離測定装置からの前記パルス光の拡がり角にさらに基づいて決定する
情報処理装置。
5. 3.または4.に記載の情報処理装置において、
前記生成部は、前記複数のデータ点の表示形状を前記パルス光の形状の相似形とする
情報処理装置。
6. 3.~5.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記生成部は、各前記データ点を、前記距離測定装置からの前記パルス光の実際の照射領域の形状および大きさに模して表示させる前記表示用データを生成する
情報処理装置。
7. 1.~6.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記生成部は、カメラで撮影した画像と、前記複数のデータ点とを重ね合わせて表示させるための前記表示用データを生成する
情報処理装置。
8. 1.~7.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記生成部は、前記複数のデータ点を、中心ほど透明度が低い表示マークで表示させる前記表示用データを生成する
情報処理装置。
9. 1.~8.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記データ点の前記位置情報に基づいて決定された表示サイズで各前記データ点を表示させる前記表示用データを生成する第1の表示モードと、前記複数のデータ点を同一の表示サイズで表示させる前記表示用データを生成する第2の表示モードとを切替可能である
情報処理装置。
10. 1.~9.のいずれか一つに記載の情報処理装置において、
前記生成部は、前記複数のデータ点の表示位置を前記位置情報に基づいて決定する
情報処理装置。
11. 複数のデータ点の位置情報を含む点群データの表示用データを生成する生成ステップを含み、
前記生成ステップでは、基準点から前記データ点までの距離が長いほど大きくなるよう、前記データ点の表示サイズを決定する
情報処理方法。
12. 11.に記載の情報処理方法の各ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
【0066】
この出願は、2021年3月16日に出願された日本出願特願2021-042241号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0067】
10 距離測定装置
14 発光素子
17 測定制御部
18 受光素子
20 情報処理装置
30 カメラ
40 ターゲット
42 取付対象物
51 光照射領域
52 非反射領域
170 走査範囲
210 生成部
220 記憶部
1000 計算機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15