(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133591
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ヒト化抗C1s抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20240925BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240925BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240925BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
A61K39/395 N
A61P37/06
C07K16/18
C12N15/13
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107843
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022034295の分割
【原出願日】2016-04-05
(31)【優先権主張番号】62/143,636
(32)【優先日】2015-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/200,997
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】515110373
【氏名又は名称】バイオベラティブ・ユーエスエイ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】サンディップ パニカー
(72)【発明者】
【氏名】グラハム パリー
(57)【要約】
【課題】ヒト化抗C1s抗体及びその使用方法の提供。
【解決手段】本開示は、ヒト化抗C1s抗体を提供する。本開示は、ヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸;及び核酸を含む宿主細胞を提供する。本開示は、ヒト化抗C1s抗体を含む組成物を提供する。本開示は、ヒト化抗C1s抗体の使用方法を提供する。本開示は、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる方法を提供し、本方法は、個体に本開示のヒト化抗体、または本開示の組成物を、C1sを阻害し、かつ分解産物のレベルを減少させるのに効果的な量で投与することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2015年4月6日出願の米国特許仮出願第62/143,636号明細書、及び2015年8月4日出願の第62/200,997号明細書の利益を主張し、これらの出願全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
緒言
補体系は、免疫応答の周知のエフェクター機構であり、病原体及びその他の有害な作用物質に対する保護だけでなく、損傷からの回復もまた提供する。補体経路は、典型的には不活性形態で体内に存在する多数のタンパク質を含む。古典的補体経路は、C1複合体と称される補体第1成分の活性化によって誘発され、この複合体はC1q、C1r、及びC1sタンパク質からなる。免疫複合体またはその他の活性化因子にC1が結合すると、C1s成分、すなわちフルオロリン酸ジイソプロピル(DFP)感受性セリンプロテアーゼが、補体成分C4及びC2を切断し、古典的補体経路の活性化を開始させる。古典的補体経路は、多くの疾患及び障害に関与すると思われる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、ヒト化抗C1s抗体を提供する。本開示は、ヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸;及び核酸を含む宿主細胞を提供する。本開示は、ヒト化抗C1s抗体を含む組成物を提供する。本開示は、ヒト化抗C1s抗体の使用方法を提供する。
【0004】
本開示は、補体成分C1sと特異的に結合するヒト化抗体を提供し、ここで抗体は、a)アミノ酸配列:(Q/E)VQL(V/Q)QSGAE(V/L)KKPGASVK(L/V)SC(T/A)ASGFNIKDDYIHWV(K/R)QAPGQGLEWIGRIDPADGHTKYAPKFQVK(V/A)TITADTST(S/N)TAY(L/M)(E/Q)LSSL(R/T)SEDTAVYYCARYGYGREVFDYWGQGTTVTVSS(配列番号:26)を含むVH領域;及びb)アミノ酸配列:DIVLTQSPDSLAVSLGERATISCKASQSVDYDGDSYMNWYQQK(T/P)GQPPK(I/L)LIYDASNLESGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLE(E/P)EDFA(I/V)YYCQQSNEDPWTFGGGTKVEIK(配列番号:27)を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:10を含むVH領域;及びb)配列番号:20を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:10を含むVH領域;及びb)配列番号:22を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:10を含むVH領域;及びb)配列番号:24を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:12を含むVH領域;及びb)配列番号:20を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:12を含むVH領域;及びb)配列番号:22を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:12を含むVH領域;及びb)配列番号:24を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:14を含むVH領域;及びb)配列番号:20を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:14を含むVH領域;及びb)配列番号:22を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:14を含むVH領域;及びb)配列番号:24を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:16を含むVH領域;及びb)配列番号:20を含むVL領域を含む。いくつかの
場合には、抗体は、a)配列番号:16を含むVH領域;及びb)配列番号:22を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:16を含むVH領域;及びb)配列番号:24を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:18を含むVH領域;及びb)配列番号:20を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:18を含むVH領域;及びb)配列番号:22を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、抗体は、a)配列番号:18を含むVH領域;及びb)配列番号:24を含むVL領域を含む。いくつかの場合には、ヒト化抗体は、Fab断片、F(ab’)2断片、scFv、及びFvからなる群から選択される。いくつかの場合には、ヒト化抗体は、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む。
【0005】
本開示は、a)上記及び下記のようなヒト化抗体;ならびにb)薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。いくつかの場合には、組成物は、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、防腐剤、リオプロテクタント、界面活性剤、及び糖のうち1種以上を含む。本開示は、本開示の組成物を含む容器を提供する。いくつかの場合には、容器は滅菌である。いくつかの場合には、容器は、バイアル、ボトル、またはシリンジである。
【0006】
本開示は、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる方法を提供し、本方法は、個体に上記もしくは下記のような本開示のヒト化抗体、または上記もしくは下記のような本開示の組成物を、C1sを阻害し、かつ分解産物のレベルを減少させるのに効果的な量で投与することを含む。いくつかの場合には、補体成分分解産物は、C4分解産物(例えば、C4b)である。いくつかの場合には、補体成分分解産物は、C2分解産物(例えば、C2a)である。いくつかの場合には、補体成分分解産物は、C3分解産物である。いくつかの場合には、個体はヒトである。いくつかの場合には、投与は静脈内投与である。いくつかの場合には、投与は筋肉内投与である。いくつかの場合には、投与は髄腔内投与である。いくつかの場合には、投与は皮下投与である。いくつかの場合には、補体成分分解産物レベルの減少は、補体媒介性障害を処置するのに効果的である。いくつかの場合には、補体媒介性障害は、同種免疫障害である。いくつかの場合には、補体媒介性障害は、自己免疫障害である。
【0007】
本開示は、個体における補体成分のC1s媒介性切断を阻害する方法を提供し、本方法は、個体に上記もしくは下記のような本開示のヒト化抗体、または上記もしくは下記のような本開示の組成物を、補体成分のC1s媒介性切断を阻害するのに効果的な量で投与することを含む。いくつかの場合には、個体はヒトである。いくつかの場合には、投与は静脈内投与である。いくつかの場合には、投与は筋肉内投与である。いくつかの場合には、投与は髄腔内投与である。いくつかの場合には、投与は皮下投与である。いくつかの場合には、補体成分のC1s媒介性切断の阻害は、補体媒介性障害を処置するのに効果的である。いくつかの場合には、補体媒介性障害は、同種免疫障害である。いくつかの場合には、補体媒介性障害は、自己免疫障害である。
【0008】
本開示は、個体における補体媒介性疾患または障害を処置する方法を提供し、本方法は、個体に上記もしくは下記のような本開示のヒト化抗体、または上記もしくは下記のような本開示の組成物を、補体媒介性疾患または障害を処置するのに効果的な量で投与することを含む。いくつかの場合には、補体成分分解産物は、C3分解産物である。いくつかの場合には、個体はヒトである。いくつかの場合には、投与は静脈内投与である。いくつかの場合には、投与は筋肉内投与である。いくつかの場合には、投与は髄腔内投与である。いくつかの場合には、投与は皮下投与である。いくつかの場合には、補体成分分解産物レベルの減少は、補体媒介性障害を処置するのに効果的である。いくつかの場合には、補体媒介性障害は、同種免疫障害である。いくつかの場合には、補体媒介性障害は、自己免疫障害である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ヒト化VHバリアント1のアミノ酸配列(配列番号:10)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:11)を示す。
【
図2】ヒト化VHバリアント2のアミノ酸配列(配列番号:12)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:13)を示す。
【
図3】ヒト化VHバリアント3のアミノ酸配列(配列番号:14)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:15)を示す。
【
図4】ヒト化VHバリアント4のアミノ酸配列(配列番号:16)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:17)を示す。
【
図5】ヒト化VHバリアント5のアミノ酸配列(配列番号:18)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:19)を示す。
【
図6】ヒト化Vκバリアント1のアミノ酸配列(配列番号:20)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:21)を示す。
【
図7】ヒト化Vκバリアント2のアミノ酸配列(配列番号:22)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:23)を示す。
【
図8】ヒト化Vκバリアント5のアミノ酸配列(配列番号:24)及びそれをコードするヌクレオチド配列(配列番号:25)を示す。
【
図9】表2を提供し、これは親TNT005 VHと例示的なヒト化VHバリアントとの間のアミノ酸差異を示す。
【
図10】表3を提供し、これは親TNT005 VLと例示的なヒト化VLバリアントとの間のアミノ酸差異を示す。
【
図11】表4を提供し、これはTNT005のヒト化バリアントの結合特性を示す。活性化C1s(「aC1s」)への直接結合、50pMのビオチン化TNT005(「Biot-005」)との競合結合、及び古典的補体経路の阻害についてのデータを示す。
【
図12】表5を提供し、これはTNT005のヒト化バリアントの結合特性を示す。TNT005のヒト化バリアントと活性ヒトC1sとの結合についての親和性データを提供する。
【
図14】フェーズ1(1日目~43日目)に投与されたカニクイザルにおけるヒト化TNT005バリアントの薬物動態(PK)プロファイルを示す。
【
図15】フェーズ1(32日目~43日目)に投与されたカニクイザルにおけるヒト化TNT005バリアントの薬物動態プロファイルを示す。
【
図16】フェーズ1(1日目~43日目)に投与されたカニクイザルからの血清の古典的経路活性を示す。
【
図17】フェーズ2(7日間、4mg/kgを毎日皮下投与)で投与されたカニクイザルにおけるヒト化TNT005バリアントのPK及び薬力学的(PD)プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
「抗体」及び「免疫グロブリン」という用語は、あらゆるアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、抗原への特異的結合を保持する抗体の断片、例えば、これらに限定されないがFab、Fv、scFv、及びFd断片を含み、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体(scAb)、単一ドメイン抗体(dAb)、単一ドメイン重鎖抗体、単一ドメイン軽鎖抗体、二重特異性抗体、多重特異性抗体、ならびに抗体の抗原-結合(本明細書では抗原結合とも称される)部分及び非抗体タンパク質を含む融合タンパク質を含む。抗体は、例えば、放射性同位体、検出可能な生成物を生成する酵素、蛍光タンパク質などで検出可能なように標識され得る。抗体は、その他の部分、例えば、特異的結合対のメンバーなど、
例えば、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などにさらに複合化され得る。抗体は固体支持体にも結合され得、支持体はポリスチレンプレートまたはポリスチレンビーズなどを含むが、これらに限定されない。また、この用語は、抗原への特異的結合を保持するFab’、Fv、F(ab’)2、及びまたはその他の抗体断片、ならびにモノクローナル抗体も包含する。本明細書で使用される場合、モノクローナル抗体は、同一細胞、すなわち、その全てが細胞複製の反復によって単一細胞から産生された細胞の群により産生される抗体である。すなわち、細胞のクローンは、単一の抗体種のみを産生する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ作製技術を使用して産生され得るが、当業者に既知のその他の産生方法も使用され得る(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリーから誘導される抗体)。抗体は、一価または二価であり得る。抗体はIgモノマーであり得、これは4つのポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって連結された2本の重鎖及び2本の軽鎖からなる「Y字型」分子である。
【0011】
「ヒト化免疫グロブリン」または「ヒト化抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、異なる起源の免疫グロブリン部分を含む免疫グロブリンを指し、少なくとも一部分がヒト起源のアミノ酸配列を含む。例えば、ヒト化抗体は、必要な特異性を有する非ヒト起源の、例えばマウスなどの免疫グロブリンに由来する部分、及びヒト起源の免疫グロブリン配列(例えば、キメラ免疫グロブリン)に由来する部分を含み得、それらは従来技術(例えば、合成)によって化学的に互いに結合される、または遺伝子工学技術を使用して連続ポリペプチドとして調製される(例えば、キメラ抗体のタンパク質部分をコードするDNAを発現させて、連続ポリペプチド鎖を産生させることができる)。ヒト化免疫グロブリンの別の例は、非ヒト起源の抗体に由来するCDRならびにヒト起源の軽鎖及び/または重鎖に由来するフレームワーク領域を含む1本以上の免疫グロブリン鎖を含有する免疫グロブリン(例えば、フレームワーク変化を有するまたは有しないCDRグラフト抗体)である。キメラまたはCDRグラフト一本鎖抗体も、ヒト化免疫グロブリンという用語に包含される。例えば、Cabilly et al.、米国特許第4,816,567号明細書;Cabilly et al.、欧州特許第0,125,023(B1)号明細書;Boss et al.、米国特許第4,816,397号明細書;Boss et
al.、欧州特許第0,120,694(B1)号明細書;Neuberger,M.S.et al.、WO86/01533;Neuberger,M.S.et al.、欧州特許第0,194,276(B1)号明細書;Winter、米国特許第5,225,539号明細書;Winter、欧州特許第0,239,400(B1)号明細書;Padlan,E.A.et al.、欧州特許出願第0,519,596(A1)号明細書を参照のこと。また、一本鎖抗体に関しては、Ladner et al.、米国特許第4,946,778号明細書;Huston、米国特許第5,476,786号明細書;及びBird,R.E.et al.,Science,242:423-426(1988))も参照のこと。
【0012】
例えば、ヒト化免疫グロブリンは、所望のヒト化鎖をコードする遺伝子(例えば、cDNA)を調製するために合成及び/または組換え核酸を使用して作製され得る。例えば、ヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)配列は、ヒト鎖またはヒト化鎖をコードするDNA配列を改変するPCR突然変異誘発法を使用して構築され得、例えば、あらかじめヒト化した可変領域からのDNA鋳型などである(例えば、Kamman,M.,et al.,Nucl.Acids Res.,17:5404(1989));Sato,K.,et al.,Cancer Research,53:851-856(1993);Daugherty,B.L.et al.,Nucleic Acids
Res.,19(9):2471-2476(1991);及びLewis,A.P.and J.S.Crowe,Gene,101:297-302(1991)を参照のこと)。これらの方法またはその他の好適な方法を使用して、バリアントもまた容易に作製され得る。例えば、クローン化可変領域が突然変異誘発され得、所望の特異性を有する
バリアントをコードする配列が選択され得る(例えば、ファージライブラリーから;例えば、Krebber et al.、米国特許第5,514,548号明細書;1993年4月1日公開のHoogenboom et al.,WO93/06213)を参照のこと)。
【0013】
「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部分、例えば、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体(Zapata et al.,Protein
Eng.8(10):1057-1062(1995));ドメイン抗体(dAb;Holt et al.(2003)Trends Biotechnol.21:484);一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる、各々が単一の抗原-結合部位を有する2つの同一抗原-結合断片、及びその名称が容易に結晶化する能力を反映している残りの「Fc」断片が作製される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原を架橋することができるF(ab’)2断片が生じる。
【0014】
「Fv」は、完全な抗原-認識部位及び抗原-結合部位を含有する最小の抗体断片である。この領域は、強固に非共有会合した、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。この構成では、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上に抗原-結合部位を規定する。合わせて、6つのCDRが抗原-結合特異性を抗体に付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、完全な結合部位よりも親和性は低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0015】
「Fab」断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1定常ドメイン(CH1)も含有する。Fab断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む数個の残基が付加されている点でFab’断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は元々、Fab’断片の間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として作製された。抗体断片のその他の化学結合もまた既知である。
【0016】
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる、明らかに異なる2つのタイプのうち一方に割り当てられ得る。免疫グロブリンは、それらの重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのクラスのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に分類され得る。サブクラスは、さらに、例えばIgG2a及びIgG2bというタイプに分類され得る。
【0017】
「一本鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それによりsFvは、抗原結合のために所望の構造を形成することが可能になる。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照のこと。
【0018】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原-結合部位を有する小さな抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖(VH-VL)中に、軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間に、対形成するには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと強制的に対形成し、2つの抗原-結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;及びHollinger et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448でより完全に記載されている。
【0019】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、2つの薬剤(例えば、抗体及び抗原)の可逆的結合についての平衡定数を指し、解離定数(KD)として表される。親和性は、無関係なアミノ酸配列についての抗体の親和性に比べて、少なくとも1倍超、少なくとも2倍超、少なくとも3倍超、少なくとも4倍超、少なくとも5倍超、少なくとも6倍超、少なくとも7倍超、少なくとも8倍超、少なくとも9倍超,少なくとも10倍超、少なくとも20倍超、少なくとも30倍超、少なくとも40倍超、少なくとも50倍超、少なくとも60倍超、少なくとも70倍超、少なくとも80倍超、少なくとも90倍超、少なくとも100倍超、もしくは少なくとも1,000倍超、またはそれを超える親和性であり得る。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル濃度(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル濃度(pM)、もしくは約100nM~約1フェムトモル濃度(fM)またはそれを超える親和性であり得る。本明細書で使用される場合、「アビディティ」という用語は、希釈後の解離に対する、2つ以上の薬剤を含む複合体の抵抗性を指す。「免疫反応性」及び「選択的に結合する」という用語は、抗体及び/または抗原-結合断片に関して、本明細書では同じ意味で使用される。
【0020】
「結合」という用語は、例えば、共有結合、静電結合、疎水結合、ならびに塩橋及び水架橋などの相互作用を含むイオン結合及び/または水素結合相互作用による、2分子間の直接会合を指す。本開示のヒト化抗C1s抗体は、補体C1sタンパク質内のエピトープに特異的に結合する。「特異的結合」は、少なくとも約10-7M以上、例えば、5×10-7M、10-8M、5×10-8M、及びそれを超える親和性を有する結合を指す。「非特異的結合」は、約10-7M未満の親和性を有する結合、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mなどの親和性を有する結合を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見出される非連続抗原結合部位を意味することを意図する。CDRは、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977);Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of proteins of immunological interest」(1991)(本明細書では、Kabat 1991とも称される);Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)(本明細書では、Chothia 1987とも称される);及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)によって記載されていて、その定義は、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体またはそのグラフト抗体もしくはバリアントのCDRを指すいずれの定義の適用も、本明細書で定義及び使用される場合、その用語の範囲内であることを意図する。アミノ酸残基がCDRを包含し、上記引用文献の各々によって定義される場合、以下の表1に比較として記載される。
図1~
図8に示されたCDRは、Kabat
1991に従って定義された。
【表1】
【0022】
本明細書で使用される場合、「CDR-L1」、「CDR-L2」、及び「CDR-L3」という用語は、軽鎖可変領域において、それぞれ第1CDR、第2CDR、及び第3CDRを指す。本明細書で使用される場合、「CDR-H1」、「CDR-H2」、及び「CDR-H3」という用語は、重鎖可変領域において、それぞれ第1CDR、第2CDR、及び第3CDRを指す。本明細書で使用される場合、「CDR-1」、「CDR-2」、及び「CDR-3」という用語は、どちらか一方の鎖の可変領域において、それぞれ第1CDR、第2CDR及び第3CDRを指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「フレームワーク」(「FR」)という用語は、抗体可変領域に関連して使用される場合、抗体の可変領域内におけるCDR領域の外側にある全てのアミノ酸残基を意味することを意図する。可変領域フレームワークは、一般に約100~120アミノ酸長の不連続アミノ酸配列であるが、CDR以外のそれらのアミノ酸のみについて言及することを意図する。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」という用語は、CDRによって分離されるフレームワークの各ドメインを意味することを意図する。軽鎖可変領域(VL領域)は、4つのフレームワーク領域、すなわちFR1、FR2、FR3、及びFR4を有し得る。同様に、重鎖可変領域(VH)は、4つのフレームワーク領域、すなわちFR1、FR2、FR3、及びFR4を有し得る。
【0024】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定、分離かつ/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、抗体の診断的または治療的使用を妨げることになる材料であり、酵素、ホルモン、及びその他のタンパク質様または非タンパク質様溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)ローリー法により決定される場合、抗体の90重量%超、95重量%超、もしくは98重量%超、例えば、99重量%超まで、(2)スピニングカップシークエネーターの使用により、N末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元もしくは非還元条件下でのドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により均一になるまで精製されるだろう。単離された抗体は、組換え細胞内にin situの抗体を含むが、これは抗体の自然環境における少なくとも1種の成分が存在しないことになるからである。いくつかの場合には、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製されることになる。
【0025】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では同じ意味として使用され、任意の長さのアミノ酸ポリマー形態を指し、それらは遺伝的にコードされたアミノ酸及び非遺伝的にコードされたアミノ酸、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、ならびに修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドを含み得る。本用語は、異種アミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基
を有するまたは有しない、異種及び同種リーダー配列を有する融合体;免疫学的にタグ付けされたタンパク質などを含むが、これらに限定されない融合タンパク質を含む。
【0026】
本明細書で使用される場合、「処置」、「処置すること」、「処置する」などの用語は、所望の薬理学的かつ/または生理学的効果を得ることを指す。その効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防する観点から予防的であり得る、かつ/または疾患及び/もしくは疾患に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒の観点から治療的であり得る。「処置」は、本明細書で使用される場合、哺乳動物における、特にヒトにおける疾患のあらゆる処置を網羅し、(a)疾患に至る素因があり得るが、疾患を有するとはまだ診断されていない対象で疾患が生じるのを予防すること;(b)疾患を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること;及び(c)疾患を軽減すること、すなわち疾患の退縮を引き起こすことを含む。
【0027】
「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、本明細書では同じ意味として使用され、哺乳動物を指し、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ科、ネコ科、有蹄動物(例えば、ウマ科、ウシ科、ヒツジ属、ブタ、ヤギ属)などを含むが、これらに限定されない。また、これらの用語は、補体系を有するあらゆる動物、例えば、哺乳動物、魚類、及び一部の無脊椎動物なども包含する。そのため、これらの用語は、補体系を含有する哺乳動物、魚類、及び無脊椎動物の伴侶動物、農業動物、使役動物、動物園の動物、ならびに実験動物を含む。
【0028】
「治療有効量」または「効能量」は、疾患を処置するために哺乳動物またはその他の対象に投与される場合、疾患に対してこのような処置を達成するのに十分な抗補体C1s抗体の量を指す。「治療有効量」は、抗補体C1s抗体、疾患及びその重症度ならびに処置されるべき対象の年齢、体重などに応じて変動することになる。
【0029】
「生体試料」は、個体から得られる様々な試料タイプを包含し、診断アッセイまたはモニタリングアッセイで使用され得る。この定義は、血液及び生体由来のその他の液体試料、固体組織試料、例えば、生検材料または組織培養物またはそれらに由来する細胞及びそれらの子孫などを包含する。この定義は、それらの調達後に任意の方法で、例えば、試薬による処理、可溶化、またはポリヌクレオチドなどのある種の成分の濃縮などにより操作された試料も含む。「生体試料」という用語は臨床試料を包含し、培養細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生体液、及び組織試料も含む。「生体試料」という用語は、尿、唾液、脳脊髄液、間質液、眼液、滑液、血漿及び血清などの血液画分などを含む。「生体試料」という用語は、固体組織試料、組織培養試料、及び細胞試料も含む。
【0030】
本発明をさらに記載する前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、したがって当然変更されてもよいと理解されるべきである。本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態の記載のみを目的とし、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0031】
値の範囲が提供される場合、その範囲及び任意のその他の記載された範囲の上限値と下限値との間またはその記載された範囲内の間の値間における、その範囲間の各値は、その文脈に別段の明確な指示がない限り、下限値の単位の10分の1まで本発明内に包含されると理解される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、独立してより狭い範囲内に含まれてよく、本発明内にも包含されて、記載された範囲における任意の具体的に除外された限度に従う。記載された範囲が上限値及び下限値の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限度のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
【0032】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似のまたは同等の任意の方法及び材料が、本発明の実施または試験でも使用され得るが、好ましい方法及び材料は以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物は、参照によって本明細書に組み込まれ、引用される刊行物に関連して方法及び/または材料を開示かつ記載する。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その文脈に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「ヒト化抗C1s抗体」への言及は、複数のこのような抗体を含み、「フレームワーク領域」への言及は、1つ以上のフレームワーク領域及び当業者に既知のそれらの等価物に対する言及を含む。特許請求の範囲は、任意の随意的要素を除外するために記載されてよいことにさらに留意されたい。そのため、本記載は、請求要素の列挙に関連して「solely(単に)」、「only(のみ)」などの排他的用語の使用、または「negative(消極的な)」限定の使用のための先行詞として機能することを意図とする。
【0034】
明確にするために、個別の実施形態と関連して記載される本発明のある種の特徴は、単一の実施形態と組み合わせて提供されてもよいと理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態と関連して記載される本発明の様々な特徴は、個別にまたは任意の好適なサブコンビネーションで提供されてもよい。本発明に関する実施形態の全ての組合せは、あたかも各々全ての組合せが個別かつ明示的に開示されたかのように、本発明によって具体的に包含されて、本明細書で開示される。加えて、様々な実施形態及びそれらの要素の全てのサブコンビネーションはまた、あたかも各々全てのこのようなサブコンビネーションが個別かつ明示的に本明細書に開示されたかのように、本発明によって具体的に包含されて、本明細書で開示される。
【0035】
本明細書で述べられる刊行物は、本出願の出願日前の、それらの開示のためにのみ提供される。本明細書において、本発明は、先行発明によってこのような刊行物に先行する権利が付与されないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日と異なる場合があり、個別に確認することを必要とする場合もある。
【0036】
(発明を実施するための形態)
本開示は、補体C1sタンパク質と結合するヒト化抗体(すなわち、ヒト化抗補体C1s抗体、本明細書においては「ヒト化抗C1s抗体」、「ヒト化C1s抗体」、及び「本願の抗体」とも称される)ならびにこのような抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本開示はまた、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む組成物を提供する。本開示は、本開示の抗体、核酸、及び組成物を作製する方法及び使用する方法を提供する。本開示は、補体媒介性疾患または障害を処置する方法を提供し、本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することを含む。
【0037】
抗補体C1s抗体
本開示は、ヒト化抗補体C1s抗体及びこのような抗体を含む医薬組成物を提供する。補体C1sは、補体カスケードの上流に存在するような魅力的な標的であり、基質特異性の範囲が狭い。いくつかの場合には、C1sの活性型と特異的に結合する抗体に関心があり、例えば、この抗体はC1sの不活性型とは実質的に結合しない。
【0038】
本開示の抗C1s抗体はヒト化されて、例えば、重鎖可変領域及び/または軽鎖可変領域の1つ以上のフレームワーク領域が、ヒト免疫グロブリンフレームワークに由来する配列を含む。
【0039】
いくつかの場合には、本開示の抗C1s抗体は、例えば、C1sのセリンプロテアーゼドメインの酵素活性を阻害することにより、補体成分C4のC1s媒介性切断を阻害する。いくつかの場合には、本開示の抗C1s抗体は、補体成分C2のC1s媒介性切断を阻害する。いくつかの場合には、本開示の抗C1s抗体は、C4及びC2のC1s媒介性切断を阻害する。
【0040】
フレームワーク領域(複数可)のヒト化は、抗体がヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘発するリスクを減少させる。当該技術分野において認識されている、免疫応答を決定する方法を実施して、特定の患者で、または臨床試験中にHAMA応答をモニターし得る。ヒト化抗体を投与された患者は、療法の開始時点で、かつ療法の実施期間全体を通して免疫原性について評価され得る。HAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)及び/または固相酵素結合免疫吸着法(ELISA)分析を含む、当業者に既知の方法を使用して、患者の血清試料中においてヒト化治療試薬に対する抗体を検出することにより測定される。多くの場合、本願のヒト化抗C1s抗体は、ヒト対象においてHAMA応答を実質的に誘発しない。
【0041】
ヒト可変領域フレームワーク残基からの特定のアミノ酸は、CDRコンフォメーション及び/または結合抗原に対して及ぼす可能性のあるそれらの影響に基づいて、置換のために選択される。ネズミCDR領域とヒト可変フレームワーク領域との不自然な近位は、不自然なコンフォメーション制限をもたらし得、これは、特定のアミノ酸残基の置換により補正されない限り、結合親和性の損失を招く。
【0042】
置換のためのアミノ酸残基の選択は、コンピュータモデリングによって部分的に決定され得る。免疫グロブリン分子の三次元画像を作製するためのコンピュータハードウェア及びソフトウェアは、当該技術分野において既知である。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそのドメインに関する解析済みの構造から出発して作製される。モデル化される鎖は、アミノ酸配列の類似性について解析済み三次元構造の鎖またはドメインと比較され、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインが、分子モデル構築のための出発点として選択される。少なくとも50%の配列同一性を共有している鎖またはドメインがモデリングのために選択され、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の配列同一性またはそれを超える配列同一性を共有している鎖またはドメインがモデリングのために選択される。解析済み出発構造は、モデル化される免疫グロブリン鎖またはドメイン中の実際のアミノ酸と、出発構造中のアミノ酸との間の差異を考慮に入れて改変される。次いで、その改変構造は、複合免疫グロブリンへと組み立てられる。最後に、モデルはエネルギー最小化により、かつ全ての原子が互いに適切な距離内にあること、ならびに結合の長さ及び角度が化学的に許容される限度内にあることを検証することにより精緻化される。
【0043】
CDR領域及びフレームワーク領域は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National
Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991)によって定義される通りである。代替的構造定義が、Chothia
et al.,J.Mol.Biol.196:901(1987);Nature 342:878(1989);及びJ.Mol.Biol.186:651(1989)(総じて「Chothia」と称される)によって提案されている。上記Kabatによって定義されるようなフレームワーク残基が、上記Chothiaによって定義されるような構造的ループ残基を構成する場合、マウス抗体中に存在するアミノ酸が、ヒト化抗体への置換のために選択され得る。「CDR領域に隣接する」残基は、ヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列中におけるCDRのうち1つ以上に直接隣接する位置のアミノ酸残基、例
えば、Kabatによって定義されるようなCDR、またはChothiaによって定義されるようなCDR(例えば、Chothia and Lesk JMB 196:901(1987)を参照のこと)に直接隣接する位置のアミノ酸残基を含む。これらのアミノ酸は特に、CDR中のアミノ酸と相互作用する可能性があり、それらがアクセプターから選択される場合、ドナーCDRを変形させて親和性を減少させる可能性がある。さらに、隣接アミノ酸は、抗原と直接相互作用し得(Amit et al.,Science,233:747(1986))、これらのアミノ酸をドナーから選択することは、元の抗体における親和性を提供する抗原接触部位を全て保持するのに望ましいことであり得る。
【0044】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、少なくとも1つのヒト化VHフレームワーク領域を含む。いくつかの場合には、本開示の抗C1s抗体は、少なくとも1つのヒト化VLフレームワーク領域を含む。いくつかの場合には、本開示の抗C1s抗体は、少なくとも1つのヒト化VHフレームワーク領域及び少なくとも1つのヒト化VLフレームワーク領域を含む。
【0045】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、以下のアミノ酸配列中に存在するVL CDRを含む:DIVLTQSPASLAVSLGQRATISCKASQSVDYDGDSYMNWYQQKTGQPPKILIYDASNLESGIPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAAIYYCQQSNEDPWTFGGGTKLEIK(配列番号:7)。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、以下のアミノ酸配列中に存在するVH CDRを含む:EVQLQQSGAELVRPGASVKLSCTASGFNIKDDYIHWVKQRPEQGLEWIGRIDPADGHTKYAPKFQVKATITADTSSNTAYLQLSSLTSEDTAVYYCARYGYGREVFDYWGQGTTLTVSS(配列番号:8)。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、配列番号:7中に存在するVL CDR及び配列番号:8中に存在するVH CDRを含む。
【0046】
VL CDR1(CDR-L1):配列番号:1:KASQSVDYDGDSYMN
【0047】
VL CDR2(CDR-L2):配列番号:2:DASNLES
【0048】
VL CDR3(CDR-L3):配列番号:3:QQSNEDPWT
【0049】
VH CDR1(CDR-H1):配列番号:4:DDYIH
【0050】
VH CDR2(CDR-H2):配列番号:5:RIDPADGHTKYAPKFQV
【0051】
VH CDR3(CDR-H3):配列番号:6:YGYGREVFDY
【0052】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、CDRアミノ酸配列の配列番号:1、配列番号:2、及び配列番号:3(それぞれCDR-L1、CDR-L2、及びCDR-L3)を含む軽鎖可変領域を含む。
【0053】
いくつかの場合には、本開示の抗C1s抗体は、CDRアミノ酸配列の配列番号:4、配列番号:5、及び配列番号:6(それぞれCDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0054】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、以下の配列を含むVH領域を含む:
【0055】
(Q/E)VQL(V/Q)QSGAE(V/L)KKPGASVK(L/V)SC(T/A)ASGFNIKDDYIHWV(K/R)QAPGQGLEWIGRIDPADGHTKYAPKFQVK(V/A)TITADTST(S/N)TAY(L/M)(E/Q)LSSL(R/T)SEDTAVYYCARYGYGREVFDYWGQGTTVTVSS(配列番号:26)。
【0056】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図1に示されて、かつ配列番号:10で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含み、ここでアミノ酸1はGluであり、アミノ酸5はValであり、アミノ酸11はLeuであり、アミノ酸12はLysであり、アミノ酸13はLysであり、アミノ酸20はLeuであり、アミノ酸23はThrであり、アミノ酸38はLysであり、アミノ酸40はAlaであり、アミノ酸42はGlyであり、アミノ酸67はAlaであり、アミノ酸75はThrであり、アミノ酸76はAsnであり、アミノ酸80はLeuであり、アミノ酸81はGlnであり、アミノ酸83はThrであり、アミノ酸109はValであり、アミノ酸の番号付けは
図1に示される通りである。
【0057】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図1に示されて、かつ配列番号:10で記載されるアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0058】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図2に示されて、かつ配列番号:12で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含み、ここでアミノ酸1はGluであり、アミノ酸5はValであり、アミノ酸11はValであり、アミノ酸12はLysであり、アミノ酸13はLysであり、アミノ酸20はLeuであり、アミノ酸23はThrであり、アミノ酸38はLysであり、アミノ酸40はAlaであり、アミノ酸42はGlyであり、アミノ酸67はAlaであり、アミノ酸75はThrであり、アミノ酸76はAsnであり、アミノ酸80はLeuであり、アミノ酸81はGluであり、アミノ酸83はArgであり、アミノ酸109はValであり、アミノ酸の番号付けは
図2に示される通りである。
【0059】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図2に示されて、かつ配列番号:12で記載されるアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0060】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図3に示されて、かつ配列番号:14で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含み、ここでアミノ酸1はGlnであり、アミノ酸5はValであり、アミノ酸11はValであり、アミノ酸12はLysであり、アミノ酸13はLysであり、アミノ酸20はLeuであり、アミノ酸23はThrであり、アミノ酸38はLysであり、アミノ酸40はAlaであり、アミノ酸42はGlyであり、アミノ酸67はValであり、アミノ酸75はThrであり、アミノ酸76はSerであり、アミノ酸80はLeuであり、アミノ酸81はGluであり、アミノ酸83はArgであり、アミノ酸109はValであり、アミノ酸の番号付けは
図3に示される通りである。
【0061】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図3に示されて、かつ配列番号:14で記載されるアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0062】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図4に示されて、かつ配列番号:
16で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含み、ここでアミノ酸1はGlnであり、アミノ酸5はValであり、アミノ酸11はValであり、アミノ酸12はLysであり、アミノ酸13はLysであり、アミノ酸20はValであり、アミノ酸23はThrであり、アミノ酸38はArgであり、アミノ酸40はAlaであり、アミノ酸42はGlyであり、アミノ酸67はValであり、アミノ酸75はThrであり、アミノ酸76はSerであり、アミノ酸80はMetであり、アミノ酸81はGluであり、アミノ酸83はArgであり、アミノ酸109はValであり、アミノ酸の番号付けは
図4に示される通りである。
【0063】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図4に示されて、かつ配列番号:16で記載されるアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0064】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図5に示されて、かつ配列番号:18で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含み、ここでアミノ酸1はGlnであり、アミノ酸5はValであり、アミノ酸11はValであり、アミノ酸12はLysであり、アミノ酸13はLysであり、アミノ酸20はValであり、アミノ酸23はAlaであり、アミノ酸38はArgであり、アミノ酸40はAlaであり、アミノ酸42はGlyであり、アミノ酸67はValであり、アミノ酸75はThrであり、アミノ酸76はSerであり、アミノ酸80はMetであり、アミノ酸81はGluであり、アミノ酸83はArgであり、アミノ酸109はValであり、アミノ酸の番号付けは
図5に示される通りである。
【0065】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図5に示されて、かつ配列番号:18で記載されるアミノ酸配列を含むVH領域を含む。
【0066】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、以下の配列を含むVL領域を含む:
【0067】
DIVLTQSPDSLAVSLGERATISCKASQSVDYDGDSYMNWYQQK(T/P)GQPPK(I/L)LIYDASNLESGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLE(E/P)EDFA(I/V)YYCQQSNEDPWTFGGGTKVEIK(配列番号:27)。
【0068】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図6に示されて、かつ配列番号:20で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含み、ここでアミノ酸9はAspであり、アミノ酸17はGluであり、アミノ酸40はThrであり、アミノ酸46はIleであり、アミノ酸74はThrであり、アミノ酸76はSerであり、アミノ酸77はSerであり、アミノ酸78はLeuであり、アミノ酸80はGluであり、アミノ酸83はPheであり、アミノ酸85はIleであり、アミノ酸104はValであり、アミノ酸の番号付けは
図6に示される通りである。
【0069】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図6に示されて、かつ配列番号:20で記載されるアミノ酸配列を含むVL領域を含む。
【0070】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98
%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含み、ここでアミノ酸9はAspであり、アミノ酸17はGluであり、アミノ酸40はProであり、アミノ酸46はIleであり、アミノ酸74はThrであり、アミノ酸76はSerであり、アミノ酸77はSerであり、アミノ酸78はLeuであり、アミノ酸80はProであり、アミノ酸83はPheであり、アミノ酸85はIleであり、アミノ酸104はValであり、アミノ酸の番号付けは
図7に示される通りである。
【0071】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるアミノ酸配列を含むVL領域を含む。
【0072】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含み、ここでアミノ酸9はAspであり、アミノ酸17はGluであり、アミノ酸40はProであり、アミノ酸46はLeuであり、アミノ酸74はThrであり、アミノ酸76はSerであり、アミノ酸77はSerであり、アミノ酸78はLeuであり、アミノ酸80はProであり、アミノ酸83はPheであり、アミノ酸85はValであり、アミノ酸104はValであり、アミノ酸の番号付けは
図8に示される通りである。
【0073】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるアミノ酸配列を含むVL領域を含む。
【0074】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図1に示されて、かつ配列番号:10で記載されるようなVHバリアント1アミノ酸配列;及びb)
図6に示されて、かつ配列番号:20で記載されるようなVLバリアント1アミノ酸配列を含む。
【0075】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図1に示されて、かつ配列番号:10で記載されるようなVHバリアント1アミノ酸配列;及びb)
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるようなVLバリアント2アミノ酸配列を含む。
【0076】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図1に示されて、かつ配列番号:10で記載されるようなVHバリアント1アミノ酸配列;及びb)
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるようなVLバリアント5アミノ酸配列を含む。
【0077】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図2に示されて、かつ配列番号:12で記載されるようなVHバリアント2アミノ酸配列;及びb)
図6に示されて、かつ配列番号:20で記載されるようなVLバリアント1アミノ酸配列を含む。
【0078】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図2に示されて、かつ配列番号:12で記載されるようなVHバリアント2アミノ酸配列;及びb)
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるようなVLバリアント2アミノ酸配列を含む。
【0079】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図2に示されて、かつ配列番号:12で記載されるようなVHバリアント2アミノ酸配列;及びb)
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるようなVLバリアント5アミノ酸配列を含む。
【0080】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図3に示されて、かつ配列番号:14で記載されるようなVHバリアント3アミノ酸配列;及びb)
図6に示されて、
かつ配列番号:20で記載されるようなVLバリアント1アミノ酸配列を含む。
【0081】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図3に示されて、かつ配列番号:14で記載されるようなVHバリアント3アミノ酸配列;及びb)
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるVLバリアント2アミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図3に示されて、かつ配列番号:14で記載されるようなVHバリアント3アミノ酸配列;及びb)
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるようなVLバリアント5アミノ酸配列を含む。
【0083】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図4に示されて、かつ配列番号:16で記載されるようなVHバリアント4アミノ酸配列;及びb)
図6に示されて、かつ配列番号:20で記載されるようなVLバリアント1アミノ酸配列を含む。
【0084】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図4に示されて、かつ配列番号:16で記載されるようなVHバリアント4アミノ酸配列;及びb)
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるようなVLバリアント2アミノ酸配列を含む。
【0085】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図4に示されて、かつ配列番号:16で記載されるようなVHバリアント4アミノ酸配列;及びb)
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるようなVLバリアント5アミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図5に示されて、かつ配列番号:18で記載されるようなVHバリアント5アミノ酸配列;及びb)
図6に示されて、かつ配列番号:20で記載されるようなVLバリアント1アミノ酸配列を含む。
【0087】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図5に示されて、かつ配列番号:18で記載されるようなVHバリアント5アミノ酸配列;及びb)
図7に示されて、かつ配列番号:22で記載されるようなVLバリアント2アミノ酸配列を含む。
【0088】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、a)
図5に示されて、かつ配列番号:18で記載されるようなVHバリアント5アミノ酸配列;及びb)
図8に示されて、かつ配列番号:24で記載されるようなVLバリアント5アミノ酸配列を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、補体系を有する個体からの補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、補体系を有する哺乳動物、魚類、または無脊椎動物からの補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、哺乳類の補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、ヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、ラット補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、
図13(配列番号:9)に示されるアミノ酸配列を有する補体C1sタンパク質と結合する。アミノ酸配列の配列番号:9は、Homo sapiens補体C1sタンパク質を表し、
図13に記載されるアミノ酸配列を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、2.5nM以下の解離定数(KD)で補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、2nM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、1nM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.9nM以下、0
.8nM以下、0.7nM以下、0.6nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、0.1nM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.3nM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.2nM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.1nM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。抗体とC1sタンパク質との結合を測定する方法は、当業者によって決定され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下、10pM以下、9pM以下、8pM以下、7pM以下、6pM以下、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下、1pM以下のKDで補体C1sタンパク質と結合する。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、2.5nM以下の解離定数(KD)でヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、2nM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、1nM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.9nM以下、0.8nM以下、0.7nM以下、0.6nM以下、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、0.1nM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.3nM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.2nM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、0.1nM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。抗体とヒトC1sタンパク質との結合を測定する方法は、当業者によって決定され得る。いくつかの実施形態では、実施例に記載されるような結合アッセイを使用して、抗体とヒトC1sタンパク質との間のKDを決定する。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、90pM以下、80pM以下、70pM以下、60pM以下、50pM以下、40pM以下、30pM以下、20pM以下、10pM以下、9pM以下、8pM以下、7pM以下、6pM以下、5pM以下、4pM以下、3pM以下、2pM以下、1pM以下のKDでヒト補体C1sタンパク質と結合する。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、10-8M以下、5×10-9M以下、または10-9M以下の半数阻害濃度(IC50)で古典的補体経路を阻害する。
【0095】
核酸、発現ベクター、及び宿主細胞
本開示は、本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。いくつかの場合には、本開示の核酸は、本開示のヒト化抗C1s抗体のVH領域をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合には、本開示の核酸は、本開示のヒト化抗C1s抗体のVL領域をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの場合には、本開示の核酸は、本開示のヒト化抗C1s抗体のVH領域及びVL領域をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0096】
本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列は、目的の標的細胞(例えば、コードされた抗体を合成するように遺伝子組換えされた細胞)中においてヌクレオチド
配列の発現を可能にする1種以上の調節エレメント、例えば、プロモーター及びエンハンサーなどに作動可能に連結され得る。したがって、いくつかの場合には、本開示は、本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、ここでヌクレオチド配列は、1種以上の調節エレメント、例えば、プロモーター及び/またはエンハンサーに作動可能に連結される。
【0097】
好適なプロモーターエレメント及びエンハンサーエレメントは、当該技術分野において既知である。原核生物宿主細胞での使用に好適なプロモーターとしては、バクテリオファージT7RNAポリメラーゼプロモーター;T3プロモーター;T5プロモーター;ラムダPプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーターなど;gptプロモーター;araBADプロモーター;インビボ調節プロモーター、例えば、ssaGプロモーターまたは関連プロモーターなど(例えば、米国特許公報第20040131637号明細書を参照のこと)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller,J.Bacteriol.,1991:173(1):86-93;Alpuche-Aranda et al.,PNAS,1992;89(21):10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al.(1992)Mol.Micro.6:2805-2813)など(例えば、Dunstan et al.(1999)Infect.Immun.67:5133-5141;McKelvie et al.(2004)Vaccine 22:3243-3255;及びChatfield et al.(1992)Biotechnol.10:888-892を参照のこと);シグマ70プロモーター、例えば、コンセンサスシグマ70プロモーター(例えば、GenBankアクセッション番号AX798980、AX798961、及びAX798183を参照のこと);静止期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーターなど;病原性アイランドSPI-2に由来するプロモーター(例えば、WO96/17951を参照のこと);actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al.(2002)Infect.Immun.70:1087-1096を参照のこと);rpsMプロモーター(例えば、Valdivia and Falkow(1996).Mol.Microbiol.22:367を参照のこと);tetプロモーター(例えば、Hillen,W.and Wissmann,A.(1989)In Saenger,W.and Heinemann,U.(eds),Topics in Molecular and Structural Biology,Protein-Nucleic Acid Interaction.Macmillan,London,UK,Vol.10,pp.143-162を参照のこと);SP6プロモーター(例えば、Melton et al.(1984)Nucl.Acids Res.12:7035を参照のこと)などが挙げられるが、これらに限定されない。Escherichia coliなどの原核生物での使用に好適な、強力なプロモーターとしては、Trc、Tac、T5、T7、及びPラムダが挙げられるが、これらに限定されない。細菌宿主細胞に使用するためのオペレーターの非限定的例としては、ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質がラクトースと接触する場合にコンフォメーションを変化させ、それによってLacIリプレッサータンパク質がオペレーターと結合するのを防止する)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合化される場合、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターと結合するコンフォメーションを有し;トリプトファンの不存在下では、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターと結合しないコンフォメーションを有する)、及びtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21-25を参照のこと)が挙げられる。
【0098】
いくつかの実施形態では、例えば、酵母細胞での発現について、好適なプロモーターは、構成的プロモーター、例えば、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなど;または調節可能なプロモーター、例えば、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、及びAOX1(例えば、ピキア属で使用するための)などである。
【0099】
真核細胞での発現について、好適なプロモーターとしては、軽鎖及び/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーター及びエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス前初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;初期及び後期SV40プロモーター;レトロウイルスからの長末端反復中に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン-Iプロモーター;ならびに様々な当該技術分野において既知の組織特異的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
適切なベクター及びプロモーターの選択は、当業者のレベルの範囲内で十分に行われる。
【0101】
本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、発現ベクター及び/またはクローニングベクター中に存在し得る。本開示は、本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組換えベクターを提供し、この組換えベクターは、クローニングベクターである。本開示は、本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組換えベクターを提供し、この組換えベクターは発現ベクターであり、例えば、このヌクレオチド配列は、コードされた抗体の発現を確実にするために、発現ベクター中の適切な調節配列(複数可)に作動可能に連結される。本願の抗体が2つの別個のポリペプチドを含む場合、この2つのポリペプチドをコードする核酸は、同じベクターまたは別々のベクターにクローニングされ、1種以上の組換えベクターを形成し得る。組換えベクターは、選択可能マーカー、複製起点、ならびに組換えベクター(例えば、組換え発現ベクター)の複製及び/または維持を可能にするその他の特徴を含み得る。
【0102】
多数の好適なベクター及びプロモーターが、当業者には既知であり;多くは、本願の組換えベクターを生成するために市販されている。以下のベクターを例として提供する。細菌:pBs、ファージスクリプト、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene、米国カリフォルニア州ラホヤ);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、及びpRIT5(Pharmacia、スウェーデン国ウプサラ)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Pharmacia)。
【0103】
発現ベクターは一般に、プロモーター配列の近傍に位置する便利な制限部位を有し、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を可能にする。発現宿主中において機能する選択可能マーカーが存在し得る。好適な発現ベクターとしては、ウイルスベクターが挙げられるが、これに限定されない。ウイルスベクターの例としては、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994;Borras et
al.,Gene Ther 6:515 524,1999;Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995;Sakamoto et
al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984及びWO95/00655を参照のこと);アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al.,Hum Gene Ther 9:81 86,1998,Flannery et al.,PNAS 94:6916 6921,1997;Bennett et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863,1997;Jomary et al.,Gene Ther
4:683 690,1997,Rolling et al.,Hum Gene Ther 10:641 648,1999;Ali et al.,Hum Mol Genet 5:591 594,1996;WO93/09239のSrivastava、Samulski et al.,J.Vir.(1989)63:3822-3828;Mendelson et al.,Virol.(1988)166:154-165;及びFlotte et al.,PNAS(1993)90:10613-10617を参照のこと);SV40;単純ヘルペスウイルスに基づくウイルスベクター;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにレトロウイルス、例えば、ラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al.,PNAS 94:10319 23,1997;Takahashi et al.,J Virol
73:7812 7816,1999を参照のこと)、骨髄増殖性肉腫ウイルス、及び乳房腫瘍ウイルスなどに由来するベクター)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
宿主細胞
本開示は、本願の核酸で遺伝子組換えされる単離された遺伝子組換え宿主細胞(例えば、インビトロ細胞)を提供する。いくつかの実施形態では、本願の単離された遺伝子組換え宿主細胞は、本願の抗体を産生し得る。このような細胞は、「組換え細胞」または「遺伝子組換え宿主細胞」と称される。本開示の遺伝子組換え宿主細胞は、本開示のヒト化抗C1s抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。
【0105】
好適な宿主細胞としては、真核生物宿主細胞、例えば、哺乳類細胞、昆虫宿主細胞、酵母細胞など;及び原核細胞、例えば、細菌細胞などが挙げられる。宿主細胞への本願の核酸導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはその他の既知の方法により達成され得る。
【0106】
好適な哺乳類細胞としては、初代細胞及び不死化細胞系が挙げられる。好適な哺乳類細胞系としては、ヒト細胞系、非ヒト霊長類細胞系、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞系などが挙げられる。好適な哺乳類細胞系としては、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの場合には、細胞はHEK細胞である。いくつかの場合には、細胞は、CHO細胞、例えば、CHO-K1細胞(ATCC番号CCL-61)、CHO-M細胞、CHO-DG44細胞(ATCC番号PTA-3356)などである。いくつかの実施形態では、宿主細胞はCOS細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は293細胞である。いくつかの実
施形態では、宿主細胞はCHO細胞である。
【0107】
好適な酵母細胞としては、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、ピキア種、Saccharomyces cerevisiae、サッカロマイセス種、Hansenula polymorpha、クルイベロマイセス種、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、フザリウム種、Fusarium gramineum、Fusarium venenatum、Neurospora crassa、Chlamydomonas reinhardtiiなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、宿主細胞はサッカロマイセス属である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はピキア属である。
【0108】
好適な原核細胞としては、Escherichia coli、バチルス属(例えば、B.subtilis)、ラクトバチルス種などの様々な実験室株のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Carrier et al.(1992)J.Immunol.148:1176-1181;米国特許第6,447,784号明細書;及びSizemore et al.(1995)Science 270:299-302を参照のこと。典型的には、実験室株は非病原性のものである。いくつかの実施形態では、宿主細胞はEscherichia coliである。いくつかの実施形態では、宿主細胞はBacillus subtilisである。
【0109】
医薬組成物
本開示は、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物を含む、組成物を提供する。一般に、医薬組成物は、本明細書では製剤とも称されて、有効量の本開示のヒト化抗C1s抗体を含む。「有効量」は、所望の結果、例えば、補体媒介性疾患または障害と関連する有害症状の減少、補体媒介性疾患または障害の症状の改善、補体媒介性疾患または障害の緩徐進行などをもたらすのに十分な投与量を意味する。一般に、所望の結果は、対照と比較した場合に、補体媒介性疾患または障害の症状を少なくとも減少させることである。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、抗体が血液脳関門を通過できるように製剤化かつ/または改変される。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、血液脳関門を回避するような手法で送達される。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、血液脳関門の通過を容易にする薬剤と共に製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、血液脳関門の通過を促進する化合物に、直接またはリンカーを介して融合される。
【0110】
製剤
本願の方法では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、所望の治療効果または診断効果をもたらすことができる任意の簡便な手段を使用して宿主に投与され得る。したがって、薬剤は、治療的投与のために様々な製剤中に組み込まれ得る。より具体的には、本開示のヒト化抗C1s抗体は、適切な薬学的に許容される担体、薬学的に許容される希釈剤、またはその他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることにより医薬組成物へと製剤化され得、固体、半固体、液体または気体形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤及びエアロゾル剤などへと製剤化され得る。い
くつかの実施形態では、医薬組成物は、本開示のヒト化抗C1s抗体及び薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0111】
医薬剤形では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、それらの薬学的に許容される塩の形態で投与され得る、またはそれらは単独でもしくはその他の薬学的に活性な化合物と適切に関連して、加えてそれらと組み合わせても使用され得る。以下の方法及び賦形剤は、単に例示にすぎず、決して限定するものではない。
【0112】
経口調製物について、本開示のヒト化抗C1s抗体は、錠剤、散剤、顆粒剤またはカプセル剤を作製するために単独で使用され得る、または適切な添加剤と、例えば、従来の添加剤、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンもしくはジャガイモデンプンなどと;結合剤、例えば、結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンもしくはゼラチンなどと;崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンもしくはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどと;潤滑剤、例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどと;ならびに所望される場合、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤及び香味剤と組み合わせて使用され得る。
【0113】
本開示のヒト化抗C1s抗体は、水性溶媒または非水溶媒、例えば、植物油もしくはその他の類似した油、プロピレングリコール、合成脂肪族酸グリセリド、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、高級脂肪族酸もしくはプロピレングリコールのエステルなどの中に抗体を溶解、懸濁または乳化させることにより、注射用調製物へと製剤化され得;所望される場合、従来の添加剤、例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤及び防腐剤などを用いる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、水分及び栄養補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づくものなど)などが挙げられる。さらに、本開示の医薬組成物は、医薬組成物の使用目的に応じて、ドーパミンまたは精神薬理学的薬物などのさらなる薬剤を含み得る。
【0114】
本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物は、所望の純度を有する本開示のヒト化抗C1s抗体を、任意の生理学的に許容される担体、その他の賦形剤、安定剤、界面活性剤、緩衝剤及び/または等張化剤と混合することにより調製される。許容される担体、その他の賦形剤及び/または安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントにとって非毒性であり、これらとしては、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、及びその他の有機酸など;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン及びクエン酸を含む抗酸化剤;防腐剤(エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、もしくはこれらの組合せなど);アミノ酸、例えば、アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン及びこれらの組合せなど;単糖類、二糖類及びその他の炭水化物;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、ゼラチンもしくは血清アルブミンなど;EDTAなどのキレート剤;糖、例えば、トレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、及びノイラミン酸など;ならびに/または非イオン界面活性剤、例えば、Tween、Brij Pluronics、Triton-X、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。
【0115】
医薬組成物は、液体形態、凍結乾燥形態または凍結乾燥形態から再構成された液体形態で
あり得、この凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液で再構成されなければならない。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的な手順は、ある体積の純水(典型的には、凍結乾燥中に除去される体積に等しい)を添加することであるが;抗菌剤を含む溶液が、非経口投与用の医薬組成物の作製に使用され得る;Chen(1992)Drug Dev Ind Pharm 18,1311-54も参照のこと。
【0116】
本願の医薬組成物における例示的な抗体濃度は、約1mg/mL~約200mg/mLまたは約50mg/mL~約200mg/mL、または約150mg/mL~約200mg/mLの範囲であり得る。
【0117】
本開示のヒト化抗C1s抗体の水性製剤は、例えば、pH約4.0~約7.0、または約5.0~約6.0、またはあるいは約5.5の範囲で、pH緩衝溶液中において調製され得る。この範囲内のpHに好適な緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液及びその他の有機酸緩衝液が挙げられる。緩衝液濃度は、例えば、緩衝液及び製剤の所望の張度に応じて、約1mM~約100mM、または約5mM~約50mMであり得る。
【0118】
等張化剤は、製剤の張度を調節するために抗体製剤に含まれ得る。例示的な等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン及びアミノ酸、糖に加えてこれらの組合せの群からの、任意の成分が挙げられる。いくつかの実施形態では、水性製剤は等張であるが、高張液または低張液が好適であり得る。「等張」という用語は、比較されるあるその他の溶液、例えば、生理食塩水または血清などと同じ張度を有する溶液を示す。等張化剤は、約5mM~約350mMの量で、例えば、100mM~350nMの量で使用され得る。
【0119】
界面活性剤もまた抗体製剤に添加されて、製剤化抗体の凝集を減少させ、かつ/または製剤における粒子状物質の形成を最小限に抑え、かつ/または吸着を減少させることができる。例示的な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー、Pluronic)、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好適なポリオキシエチレンソルビタン-脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート20、(Tween20(商標)という商標で販売されている)及びポリソルベート80(Tween80(商標)という商標で販売されている)である。好適なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(商標)という名称で販売されているものである。好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、Brij(商標)という商標で販売されているものである。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%~約1%w/vの範囲であり得る。
【0120】
リオプロテクタントもまた、凍結乾燥プロセス中の不安定化条件から不安定な活性成分(例えば、タンパク質)を保護するために添加され得る。例えば、既知のリオプロテクタントとしては、糖(グルコース及びスクロースを含む);ポリオール(マンニトール、ソルビトール及びグリセロールを含む);ならびにアミノ酸(アラニン、グリシン及びグルタミン酸を含む)が挙げられる。リオプロテクタントは、約10mM~500nMの量で含まれ得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、本願の製剤は、本開示のヒト化抗C1s抗体、及び上で同定された薬剤(例えば、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、等張化剤)のうち1種以上を含み、1種以上の防腐剤、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾー
ル、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及びこれらの組合せなどを実質的に含まない。その他の実施形態では、防腐剤は、例えば、約0.001~約2%(w/v)の範囲の濃度で製剤中に含まれる。
【0122】
例えば、本願の製剤は、非経口投与に好適な液体製剤または凍結乾燥製剤であり得、約1mg/mL~約200mg/mLの本開示のヒト化抗C1s抗体;約0.001%~約1%の少なくとも1種の界面活性剤;約1mM~約100mMの緩衝剤;場合により約10mM~約500mMの安定剤;及び約5mM~約305mMの等張化剤を含み得;約4.0~約7.0のpHを有する。
【0123】
別の例として、本願の非経口製剤は、約1mg/mL~約200mg/mLの本開示のヒト化抗C1s抗体;0.04%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含む液体製剤または凍結乾燥製剤であり;5.5のpHを有する。
【0124】
別の例として、本願の非経口製剤は、1)15mg/mLの本願の抗体;0.04%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含む凍結乾燥製剤を含み;5.5のpHを有する;または2)75mg/mLの本願の抗体;0.04%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含む凍結乾燥製剤を含み;5.5のpHを有する;または3)75mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのスクロースを含む凍結乾燥製剤を含み;5.5のpHを有する;または4)75mg/mLの本願の抗体;0.04%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含む凍結乾燥製剤を含み;5.5のpHを有する;または5)75mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含む凍結乾燥製剤を含み;5.5のpHを有する。
【0125】
別の例として、本願の非経口製剤は、1)7.5mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;120mMのL-ヒスチジン;及び250 125mMのスクロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または2)37.5mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;10mMのL-ヒスチジン;及び125mMのスクロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または3)37.5mg/mLの本願の抗体;0.01%w/vのTween20;10mMのL-ヒスチジン;及び125mMのスクロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または4)37.5mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;10mMのL-ヒスチジン;125mMのトレハロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または5)37.5mg/mLの本願の抗体;0.01%w/vのTween20;10mMのL-ヒスチジン;及び125mMのトレハロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または6)5mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または7)75mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのマンニトールを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または8)75mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのLヒスチジン;及び140mMの塩化ナトリウムを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または9)150mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのトレハロースを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または10)150mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び250mMのマンニトールを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または11
)150mg/mLの本願の抗体;0.02%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び140mMの塩化ナトリウムを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する;または12)10mg/mLの本願の抗体;0.01%w/vのTween20;20mMのL-ヒスチジン;及び40mMの塩化ナトリウムを含む液体製剤であり;5.5のpHを有する。
【0126】
本願の抗体は、吸入により投与されるエアロゾル製剤で利用され得る。本願の抗体は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴射剤へと製剤化され得る。鼻スプレー製剤などのエアロゾル製剤は、活性剤の精製水溶液またはその他の溶液を、防腐剤及び等張剤と共に含む。このような製剤は、鼻粘膜と適合するpH及び等張状態に調整される。
【0127】
経口投与のための単位剤形、例えば、シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁剤などが提供され得、各投与単位、例えば、茶さじ1杯、大さじ1杯、または錠剤は、所定量の組成物を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、生理食塩水または別の薬学的に許容される担体中の溶液として組成物中に本願の抗体を含み得る。
【0128】
「単位剤形」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト及び動物対象のための単一投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体またはビヒクルと関連して所望の効果をもたらすのに十分な量で算出された、所定量の本開示のヒト化抗C1s抗体を含有する。本願の抗体についての仕様は、用いられる特定の抗体及び達成されるべき効果、ならびに宿主中の各抗体と関連する薬力学に依存し得る。
【0129】
その他の投与方法もまた、本開示の方法と共に使用されることになる。例えば、本願の抗体は、坐剤に製剤化され得、いくつかの場合には、エアロゾル及び鼻腔内組成物に製剤化され得る。坐剤について、ビヒクル組成物は、従来の結合剤及び担体、例えば、ポリアルキレングリコール、またはトリグリセリドなどを含むことになる。このような坐剤は、活性成分を約0.5%~約10%(w/w)、例えば、約1%~約2%の範囲で含有する混合物から形成され得る。
【0130】
鼻腔内製剤は、鼻粘膜を刺激することもなく、線毛機能も有意に妨げることのないビヒクルを通常含むことになる。希釈剤、例えば、水、生理食塩水またはその他の既知の物質などが用いられ得る。経鼻製剤はまた、防腐剤、例えば、クロロブタノール及び塩化ベンザルコニウムなどを含有し得るが、これらに限定されない。界面活性剤は、鼻粘膜による本願の抗体の吸収を増強させるために存在し得る。
【0131】
本願の抗体は、注射可能製剤として投与され得る。典型的には、注射可能組成物は、溶液または懸濁液として調製され;注射前の、液体ビヒクル中の溶液、または懸濁液に好適な固体形態も調製され得る。調製物はまた乳化され得る、またはリポソームビヒクル中に封入された抗体であり得る。
【0132】
好適な賦形剤ビヒクルは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、及びこれらの組合せである。加えて、所望される場合にビヒクルは、少量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤などを含有し得る。このような剤形を調製する実際の方法は、当業者には既知である、または当業者には明らかとなる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,17th edition,1985を参照のこと。投与される組成物または製剤は、いずれにしても、処置されている対象において所望の状態を達成するのに十分
な量の本願の抗体を含有するだろう。
【0133】
薬学的に許容される賦形剤、例えば、ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤などは、一般に容易に入手可能である。さらに、薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、安定剤、湿潤剤などが、一般に容易に入手可能である。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、制御放出製剤に製剤化される。持続放出調製物は、当該技術分野において周知の方法を使用して調製され得る。持続放出調製物の好適な例としては、マトリックスが成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられる。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、ヒドロゲル、ポリラクチド、分解性乳酸-グリコール酸コポリマーならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。持続放出調製物に含まれる抗体の、生物活性の起こり得る損失及び免疫原性の起こり得る変化は、適切な添加剤を使用することにより、含水量を制御することにより、かつ特定のポリマーマトリックス組成物を開発することにより防止され得る。
【0135】
本開示の範囲内である制御放出は、多数の延長放出剤形のうちのいずれか1種を意味すると解釈され得る。以下の用語は、本開示では、制御放出と実質的に同等であると考えられ得る:連続放出、制御放出、遅延放出、デポー、延長放出、漸次放出、即時放出、長期放出、プログラム放出、長期的放出、比例放出、長期化放出、リポジトリ、遅滞、緩徐放出、間隔を空けた放出、持続放出、タイムコート、時限放出、遅延作用、延長作用、多層時間作用、長時間作用、長期的作用、反復作用、緩徐作用、持続作用、及び持続作用薬剤。これらの用語に関するさらなる考察は、Lesczek Krowczynski,Extended-Release Dosage Forms,1987(CRC Press,Inc.)中に見出され得る。
【0136】
様々な制御放出技術が、非常に広範囲な薬物剤形を網羅している。制御放出技術としては、物理システム及び化学システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
物理システムとしては、律速膜を有するリザーバシステム、例えば、マイクロカプセル化、マクロカプセル化、及び膜システムなど;律速膜を有しないリザーバシステム、例えば、中空糸、超微多孔性三酢酸セルロース、ならびに多孔性ポリマー基材及び発泡体など;モノリシックシステム、例えば、非多孔性、ポリマー、またはエラストマーマトリックス(例えば、非浸食性、浸食性、環境因子移入性、及び分解性)中に物理的に溶解させたこれらのシステム、ならびに非多孔性、ポリマー、またはエラストマーマトリックス(例えば、非浸食性、浸食性、環境因子移入性、及び分解性)中に物理的に分散させた材料;積層構造、例えば、外側の制御層に化学的に類似したまたは異なるリザーバ層;ならびにその他の物理的方法、例えば、浸透圧ポンプ、またはイオン交換樹脂上への吸着などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
化学システムとしては、ポリマーマトリックスの化学的浸食(例えば、不均一浸食、もしくは均一浸食)、またはポリマーマトリックスの生物学的浸食(例えば、不均一、もしくは均一)が挙げられるが、これらに限定されない。制御放出用システムのカテゴリーに関するさらなる考察は、Agis F.Kydonieus,Controlled Release Technologies:Methods,Theory and Applications,1980(CRC Press,Inc.)中に見出され得る。
【0139】
経口投与用に開発されている多数の制御放出薬物製剤が存在する。これらとしては、浸透圧制御胃腸送達システム;動水圧制御胃腸送達システム;微多孔膜透過制御胃腸送達デバ
イスを含む膜透過制御胃腸送達システム;胃液耐性腸標的制御放出胃腸送達デバイス;ゲル拡散制御胃腸送達システム;ならびにカチオン性及びアニオン性薬物を含むイオン交換制御胃腸送達システムが挙げられるが、これらに限定されない。制御放出薬物送達システムに関するさらなる情報は、Yie W.Chien,Novel Drug Delivery Systems,1992(Marcel Dekker,Inc.)中に見出され得る。
【0140】
投与量
好適な投与量は、様々な臨床因子に基づいて、主治医またはその他の資格のある医療関係者により決定され得る。医療技術分野においては周知の通り、任意の1人の患者に対する投与量は、患者の身体サイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、患者の性別、投与時間、及び投与経路、全身の健康状態、ならびに同時に投与されているその他の薬物を含む、多くの因子に依存する。本願の抗体は、1用量あたり1ng/kg体重~20mg/kg体重、例えば、0.1mg/kg体重~10mg/kg体重、例えば、0.5mg/kg体重~5mg/kg体重の量で投与され得るが;特に上述した因子を考慮すると、この例示的な範囲を下回る、または上回る用量が想定される。レジメンが持続注入である場合、その量はまた、毎分1μg~10mg/キログラム体重の範囲内であり得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体の用量は、0.001μg~1000μgの範囲内であるが;特に上述した因子を考慮すると、この例示的な範囲を下回る、または上回る用量が想定される。いくつかの実施形態では、投与量は、例えば、約0.0001~100mg/kg体重、または約0.01~5mg/kg(例えば、0.02mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、0.75mg/kg、1mg/kg、2mg/kgなど)体重の範囲であり得る。例えば、投与量は、1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重もしくは1~10mg/kgの範囲内、または少なくとも1mg/kgであり得る。上記範囲における中間の用量も、本発明の範囲内であることを意図する。
【0142】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、約1μg/ml~約1mg/ml、例えば、約1μg/ml~約2.5μg/ml、約2.5μg/ml~約5μg/ml、約5μg/ml~約7.5μg/ml、約7.5μg/ml~約10μg/ml、約10μg/ml~約25μg/ml、約25μg/ml~約50μg/ml、約50μg/ml~約100μg/ml、約100μg/ml~約250μg/ml、約250μg/ml~約500μg/ml、約500μg/ml~約750μg/ml、または約750μg/ml~約1000μg/mlのピーク血清濃度を提供する量で投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、1mg/ml超、例えば、約1mg/ml~約2mg/ml、約2mg/ml~約5mg/ml、または約5mg/ml~約10mg/mlのピーク血清濃度を提供する量で投与される。本開示のヒト化抗体は、任意のスケジュールにより、任意の期間で投与され得る。
【0143】
当業者は、用量レベル及び投与スケジュールが、特定の抗体、症状の重症度及び副作用に対する対象の感受性に応じて変更され得ることを容易に理解するだろう。所与の化合物の好ましい投与量及び投与スケジュールは、様々な手段により、当業者によって容易に決定できる。
【0144】
投与経路
本願の抗体は、インビボ及びエクスビボの方法に加えて、全身投与経路及び局所投与経路を含む、薬物送達に好適な任意の利用可能な方法及び経路を使用して個体に投与される。
【0145】
従来の、薬学的に許容される投与経路としては、鼻腔内、筋肉内、気管内、髄腔内、頭蓋
内、皮下、皮内、局所、静脈内、腹腔内、動脈内(例えば、頸動脈を介して)、脊髄または脳への送達、直腸、経鼻、経口、ならびにその他の経腸及び非経口投与経路が挙げられる。投与経路は、抗体及び/または所望の効果に応じて、所望される場合に組み合わされ得る、または調整され得る。本願の抗体組成物は、単回用量で、または複数回用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、吸入経路により投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、鼻腔内に投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、局所的に投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、頭蓋内に投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、皮下に投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、本願の抗体組成物は、髄腔内に投与される。
【0146】
本開示の抗体は、全身経路または局所経路を含む、従来の薬物を送達するのに好適な任意の利用可能な従来の方法及び経路を使用して、宿主に投与され得る。一般に、本発明により意図される投与経路としては、経腸、非経口、または吸入経路が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0147】
吸入投与以外の非経口投与経路としては、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、及び静脈内経路、すなわち、消化管を通るもの以外の任意の投与経路が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。非経口投与は、本願の抗体の全身送達または局所送達を達成するために行われ得る。全身送達が望ましい場合、投与は、典型的には医薬調製物の侵襲的投与または全身吸収性の局所もしくは粘膜投与を含む。
【0148】
本願の抗体はまた、経腸投与により対象に送達され得る。経腸投与経路としては、経口及び直腸(例えば、坐剤を使用する)送達が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0149】
処置とは、宿主を苦しめる病態と関連する症状を少なくとも改善することを意味し、改善は広義に使用され、処置されている病態、例えば、補体媒介性疾患または障害などと関連するパラメータの大きさ、例えば、症状の程度を少なくとも減少させることを指す。したがって、処置はまた、病態、または少なくともそれに関連する症状が完全に阻害される、例えば、発症が予防される、または阻止されて、例えば、終了して、その結果、宿主がその病態、もしくは少なくともその病態を特徴付ける症状にもはや悩まされることはなくなるという状況を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、例えば、脳動脈中の部位に、または脳組織へと直接注射かつ/または送達されることにより投与される。本願のヒト化抗体はまた、標的部位に直接、例えば、標的部位への微粒子銃送達により投与され得る。
【0151】
様々な宿主(ここで「宿主」という用語は、本明細書では「対象」、「個体」、及び「患者」という用語と同じ意味で使用される)が、本願の方法により処置可能である。一般に、このような宿主は「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、肉食動物目(例えば、ネコ)、草食動物目(例えば、ウシ、ウマ、及びヒツジ)、雑食動物目(例えば、イヌ、ヤギ、及びブタ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモット、及びラット)、ならびに霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、及びサル)を含む、哺乳綱クラス内の生物について記載するために広く使用されている。いくつかの実施形態では、宿主は、補体系を有する個体、例えば、哺乳動物、魚類、または無脊椎動物などである。いくつかの実施形態では、宿主は、補体系を含有する哺乳動物、魚類、もしくは無脊椎動物の伴侶動物、農業動物、使役動物、動物園の動物、または実験動物である。いくつかの実施形態では
、宿主はヒトである。
【0152】
実施形態は、個体に投与するための本願の抗C1s抗体を含む組成物を含有するのに好適な容器を含む組成物を含む。例えば、本願の抗体は、医薬組成物を含有するのに好適な容器内に配置され得る。容器は、例えば、ボトル(例えば、キャップなどの閉鎖デバイスを有する)、ブリスターパック(例えば、ブリスター1つあたり1回以上の用量封入を可能にし得る)、バイアル、軟包装(例えば、封止されたMylarまたはプラスチック袋)、アンプル(溶液中における単回用量用)、点滴器、シリンジ、薄膜、管などであり得る。いくつかの実施形態では、減菌容器などの容器は、本願の医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、容器は、ボトルまたはシリンジである。いくつかの実施形態では、容器はボトルである。いくつかの実施形態では、容器はシリンジである。
【0153】
本開示のヒト化抗C1s抗体の単位用量を、例えば、経口用量または注射可能用量で有するキットが提供される。このようなキットには、単位用量を含有する容器に加えて、関心対象の病態を処置する際の、抗体の使用及び付随する利益について記載している情報提供用の添付文書が存在することになる。好ましい化合物及び単位用量は、本明細書で上に記載したものである。
【0154】
補体媒介性疾患または障害を処置する方法
本開示は、補体媒介性疾患または障害を処置する方法を提供する。本方法は一般に、有効量の本開示のヒト化抗C1s抗体、またはこのような抗体を含む医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む。いくつかの場合には、本願の抗C1s抗体の投与により、個体の細胞、組織、体液、または器官における補体C1sの活性が調節されて、補体媒介性疾患または障害が処置される。本開示は、個体における補体成分C4の活性化を阻害する方法を提供し、本方法は、個体に有効量の本開示のヒト化抗C1s抗体またはこのような抗体を含む医薬組成物を投与することを含む。本開示は、個体における補体C1s活性を阻害する方法を提供し、本方法は、個体に有効量の本開示のヒト化抗C1s抗体またはこのような抗体を含む医薬組成物を投与することを含む。本開示は、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる方法を提供し、本方法は、個体に有効量の本開示のヒト化抗C1s抗体またはこのような抗体を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0155】
いくつかの場合には、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置する本開示の方法は、個体に有効量の本開示のヒト化抗C1s抗体またはa)本開示のヒト化抗C1s抗体;及びこのような個体への投与に好適な薬学的に許容される賦形剤を含む有効量の医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与は静脈内投与である。いくつかの実施形態では、投与は髄腔内投与である。いくつかの実施形態では、投与は皮下投与である。いくつかの実施形態では、投与は筋肉内投与である。
【0156】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における補体成分分解産物のレベルと比較して、少なくとも
10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる量である。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与は静脈内投与である。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0157】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性を減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、ヒト化抗C1s抗体の投与から約48時間以内に、約24時間以内に、約12時間以内に、約8時間以内に、または約4時間以内に個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性を、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における古典的補体経路の活性と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる量である。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。古典的補体経路の活性レベルは、様々な方法のいずれかを使用して決定され得る。1つの非限定的例として、古典的補体経路の活性は、例えば、個体から得られた血液、血清、または血漿試料における古典的補体経路の活性レベルを決定することにより、エクスビボで決定され得る。例えば、血液、血清、または血漿試料における古典的補体経路がエクスビボで活性化され得、このような活性化により生成された補体成分分解産物(C5b-9など)の量が決定され得る。
【0158】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性を減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、ヒト化抗C1s抗体の投与から約48時間以内に、約24時間以内に、約12時間以内に、約8時間以内に、または約4時間以内に個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性レベルを、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における古典的補体経路の活性レベルと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる量である。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路によ
り行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0159】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性を減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性レベルの減少を、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における古典的補体経路の活性レベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%維持する量であり、減少は、約4時間~約30日間(例えば、4時間~8時間、8時間~24時間、2日間~4日間、4日間~7日間、7日間~14日間、14日間~21日間、または21日間~30日間)の期間で維持される。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0160】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性を減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)古典的補体経路の活性レベルの減少を、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における古典的補体経路の活性レベルと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%維持する量であり、減少は、約4時間~約21日間(例えば、4時間~8時間、8時間~24時間、2日間~4日間、4日間~7日間、7日間~14日間、または14日間~21日間)の期間で維持される。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0161】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組
成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、ヒト化抗C1s抗体の投与から約48時間以内に、約24時間以内に、約12時間以内に、約8時間以内に、または約4時間以内に個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における補体成分分解産物のレベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる量である。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0162】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、ヒト化抗C1s抗体の投与から約48時間以内に、約24時間以内に、約12時間以内に、約8時間以内に、または約4時間以内に個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における補体成分分解産物のレベルと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる量である。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0163】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物レベルの減少を、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における補体成分分解産物のレベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%維持する量であり、減少は、約4時間~約30日間(例えば、4時間~8時間、8時間~24時間、2日間~4日間、4日間~7日間、7日間~14日間、14日間~21日間、または21日間~30日間)の期間で維持される。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与
は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0164】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物のレベルを減少させる量である。いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、個体における(例えば、個体の体液、組織、または器官における)補体成分分解産物レベルの減少を、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の体液、組織、または器官における補体成分分解産物のレベルと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%維持する量であり、減少は、約4時間~約21日間(例えば、4時間~8時間、8時間~24時間、2日間~4日間、4日間~7日間、7日間~14日間、または14日間~21日間)の期間で維持される。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。ヒト化抗C1s抗体の投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0165】
いくつかの場合には、本開示のヒト化抗C1s抗体の「有効量」、または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む本願の医薬組成物の「有効量」は、それを必要とする個体に1回以上の用量で投与される場合、その個体における(または個体の体液、組織、もしくは器官における)C4b2a(すなわち、補体C4bとC2aとの複合体;「C3転換酵素」としても知られる)の産生を、ヒト化抗C1s抗体による処置の不存在下で、例えば、ヒト化抗C1s抗体による処置前の個体、または体液、組織、もしくは器官において産生されるC4b2aの量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%減少させる量である。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与は静脈内投与である。いくつかの実施形態では、投与経路は髄腔内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は静脈内経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は皮下経路である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0166】
本開示は、補体活性化を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、C4b2aの産生を減少させるために補体活性化を阻害する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体において補体活性化を調節する方法を提供し、本方法は、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示の医薬組成物を投与することを含み、この医薬組成物は、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む。いくつかの実施形態では、このような方法は、補体活性化を阻害する。いくつかの実施形態では、個体は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、個体はヒトである。投与は、本明細書に開示される経路を含む、当業者に既知の任意の経路により行われ得る。いくつかの実施形態では、投与は静脈内投与である。いくつかの実施形態では、投与は髄腔内投与で
ある。いくつかの実施形態では、投与は皮下投与である。いくつかの実施形態では、投与経路は筋肉内経路である。
【0167】
補体媒介性疾患または障害は、個体の細胞、組織、体液、または器官における異常量の補体C1sまたは異常レベルの補体C1sタンパク質分解活性を特徴とする障害である。
【0168】
いくつかの場合には、補体媒介性疾患または障害は、細胞、組織、または体液におけるC1s量の上昇(正常よりも高い)または補体C1s活性レベルの上昇の存在を特徴とする。例えば、いくつかの場合には、補体媒介性疾患または障害は、脳組織及び/または脳脊髄液におけるC1s量の上昇及び/またはC1s活性の上昇の存在を特徴とする。細胞、組織、または体液におけるC1sの「正常よりも高い」量は、その細胞、組織または体液におけるC1s量が、正常な対照レベルよりも高い、例えば、同じ年齢群の個体または個体集団の正常な対照レベルよりも高いことを示す。細胞、組織、器官、または体液におけるC1s活性の「正常よりも高い」レベルは、その細胞、組織、器官、または体液においてC1sにより達成されるタンパク質分解切断が、正常な対照レベルよりも高い、例えば、同じ年齢群の個体または個体集団の正常な対照レベルよりも高いことを示す。いくつかの場合には、補体媒介性疾患または障害を有する個体は、このような疾患または障害のうち1つ以上のさらなる症状を示す。
【0169】
その他の場合には、補体媒介性疾患または障害は、細胞、組織、または体液における正常よりも低いC1s量または低レベルの補体C1s活性の存在を特徴とする。例えば、いくつかの場合には、補体媒介性疾患または障害は、脳組織及び/または脳脊髄液における低いC1s量及び/または低いC1s活性の存在を特徴とする。細胞、組織、または体液におけるC1sの「正常よりも低い」量は、その細胞、組織または体液におけるC1s量が、正常な対照レベルよりも低い、例えば、同じ年齢群の個体または個体集団の正常な対照レベルよりも低いことを示す。細胞、組織、または体液におけるC1s活性の「正常よりも低い」レベルは、その細胞、組織または体液においてC1sにより達成されるタンパク質分解切断が、正常な対照レベルよりも低い、例えば、同じ年齢群の個体または個体集団の正常な対照レベルよりも低いことを示す。いくつかの場合には、補体媒介性疾患または障害を有する個体は、このような疾患または障害のうち1つ以上のさらなる症状を示す。
【0170】
補体媒介性疾患または障害は、補体C1sの量または活性が個体における疾患または障害を引き起こすような疾患または障害である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、同種免疫疾患、自己免疫疾患、癌、血液疾患、感染症、炎症性疾患、虚血再灌流傷害、神経変性疾患、神経変性障害、眼疾患、腎疾患、移植片拒絶、血管疾患、及び血管炎疾患からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、自己免疫疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、同種免疫疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、癌である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、感染症である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、炎症性疾患症である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、血液疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、虚血再灌流傷害である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、眼疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、腎疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、移植片拒絶である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、抗体媒介性移植片拒絶である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、血管疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、血管炎障害である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、神経変性疾患または障害である。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患は、神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、補体媒介性障害は、神経変性障害である。
【0171】
補体媒介性疾患または障害の例としては、加齢黄斑変性症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、嗜銀顆粒性認知症、関節炎(例えば、関節リウマチ)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群、自己免疫疾患(例えば、自己免疫性溶血性貧血(AIHA);温式AIHA;混合型AIHAなどを含む)、バラケル-サイモンズ症候群、ベーチェット病、英国型アミロイド血管症、水疱性類天疱瘡、バージャー病、C1q腎症、癌、劇症型抗リン脂質抗体症候群、脳アミロイド血管症、寒冷凝集素症、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、クローン病、クリオグロブリン血管炎、ボクサー認知症、レビー小体型認知症(DLB)、石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病、円板状エリテマトーデス、ダウン症候群、エバンス症候群、巣状分節性糸球体硬化症、形式的思考障害、前頭側頭型認知症(FTD)、17番染色体に連鎖したパーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症、前頭側頭葉変性症、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ギラン・バレー症候群、ハレルフォルデン・スパッツ病、溶血性尿毒症症候群、遺伝性血管性浮腫、低ホスファターゼ症(hypophosphastasis)、特発性肺炎症候群、免疫複合体病、封入体筋炎、感染症(例えば、細菌(例えば、Neisseria meningitidisもしくはストレプトコッカス属)ウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))、またはその他の感染因子により引き起こされる疾患)、炎症性疾患、虚血/再灌流傷害、軽度認知障害、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、モリブデン補因子欠損症(MoCD)A型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)I型、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)II型(デンスデポジット病)、膜性腎炎、多発脳梗塞性認知症、ループス(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE))、糸球体腎炎、川崎病、多巣性運動ニューロパチー、多発性硬化症、多系統萎縮症、重症筋無力症、心筋梗塞、筋強直性ジストロフィー、視神経脊髄炎、ニーマン・ピック病C型、神経原線維変化を伴う非グアム型運動ニューロン疾患、パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、尋常性天疱瘡、ピック病、脳炎後パーキンソニズム、多発性筋炎、プリオンタンパク質脳アミロイド血管症、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、乾癬、敗血症、志賀毒素E coli(STEC)-HuS、脊髄性筋萎縮症、脳卒中、亜急性硬化性全脳炎、神経原線維変化型認知症、移植片拒絶、血管炎(例えば、ANCA関連血管炎)、ウェゲナー肉芽腫症(Wegner’s granulomatosis)、鎌状赤血球症、クリオグロブリン血症、混合型クリオグロブリン血症、本態性混合型クリオグロブリン血症、II型混合型クリオグロブリン血症、III型混合型クリオグロブリン血症、腎炎、薬物誘発性血小板減少症、ループス腎炎、後天性表皮水疱症、遅発性溶血性輸血反応、低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群、偽水晶体性水疱性角膜症、及び血小板不応状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、アルツハイマー病を含む。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、パーキンソン病を含む。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、移植片拒絶を含む。いくつかの実施形態では、補体媒介性疾患または障害は、抗体媒介性移植片拒絶である。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、個体における補体媒介性疾患または障害のうち少なくとも1つの症状の発症を予防する、または遅延させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗C1s抗体は、個体における補体媒介性疾患または障害のうち少なくとも1つの症状を減少させる、または排除する。症状の例としては、自己免疫疾患、癌、血液疾患、感染症、炎症性疾患、虚血再灌流傷害、神経変性疾患、神経変性障害、腎疾患、移植片拒絶、眼疾患、血管疾患、または血管炎障害と関連する症状が挙げられるが、これらに限定されない。症状は、神経症状、例えば、認知機能障害、記憶障害、運動機能の喪失などであり得る。症状はまた、個体の細胞、組織、または体液におけるC1sタンパク質の活性であり得る。症状はまた、個体の細胞、組織、または体液における補
体活性化の程度であり得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体の細胞、組織、または体液における補体活性化が調節される。いくつかの実施形態では、個体に本願の抗C1s抗体を投与することにより、個体の細胞、組織、または体液における補体活性化が阻害される。例えば、いくつかの実施形態では、本願のヒト化抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体における補体活性化を、抗C1s抗体による処置前の個体における補体活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて阻害する。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、赤血球上へのC3沈着を減少させ;例えば、いくつかの実施形態では、本開示の抗C1s抗体は、RBC)上へのC3b、iC3bなどの沈着を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の抗C1s抗体は、補体媒介性赤血球溶解を阻害する。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、血小板上へのC3沈着を減少させ;例えば、いくつかの実施形態では、本開示の抗C1s抗体は、血小板)上へのC3b、iC3bなどの沈着を減少させる。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、(a)補体活性化の減少;(b)認知機能の改善;(c)ニューロン喪失の減少;(d)グリア細胞活性化の減少;(e)リンパ球浸潤の減少;(f)マクロファージ浸潤の減少;(g)抗体沈着の減少、(h)グリア細胞喪失の減少;(i)オリゴデンドロサイト喪失の減少;(j)樹状細胞浸潤の減少;(k)好中球浸潤の減少;(l)赤血球溶解の減少;(m)赤血球食作用の減少;(n)血小板食作用の減少;(o)血小板溶解の減少;(p)移植片生着の改善;(q)マクロファージ媒介性食作用の減少;(r)視力の改善;(s)運動制御の改善;(t)血栓形成の改善;(u)凝固の改善;(v)腎機能の改善;(w)抗体媒介性補体活性化の減少;(x)自己抗体媒介性補体活性化の減少;(y)貧血の改善;(aa)脱髄の減少;(ab)好酸球増加の減少;(ac)赤血球上のC3沈着の減少(例えば、RBC上へのC3b、iC3bなどの沈着の減少);及び(ad)血小板上のC3沈着の減少(例えば、血小板上へのC3b、iC3bなどの沈着の減少);及び(ae)アナフィラトキシン毒素産生の減少;(af)自己抗体媒介性水疱形成の減少;(ag)自己抗体誘発性掻痒症の減少;(ah)自己抗体誘発性エリテマトーデスの減少;(ai)自己抗体媒介性皮膚びらんの減少;(aj)輸血反応による赤血球破壊の減少;(ak)同種抗体による赤血球溶解の減少;(al)輸血反応による溶血の減少;(am)同種抗体媒介性血小板溶解の減少;(an)輸血反応による血小板溶解の減少;(ao)肥満細胞活性化の減少;(ap)肥満細胞のヒスタミン遊離の減少;(aq)血管透過性の減少;(ar)浮腫の減少;(as)移植片内皮上の補体沈着の減少;(at)移植片内皮におけるアナフィラトキシン生成の減少;(au)真皮-表皮接合部の分離の減少;(av)真皮-表皮接合部におけるアナフィラトキシンの生成の減少;(aw)移植片内皮における同種抗体媒介性補体活性化の減少;(ax)神経筋接合部の抗体媒介性喪失の減少;(ay)神経筋接合部における補体活性化の減少;(az)神経筋接合部におけるアナフィラトキシン生成の減少;(ba)神経筋接合部における補体沈着の減少;(bb)麻痺の減少;(bc)しびれの減少;(bd)膀胱制御の向上;(be)腸制御の向上;(bf)自己抗体と関連する死亡率の減少;ならびに(bg)自己抗体と関連する罹患率の減少からなる群から選択される結果が得られる。
【0178】
いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、次の結果:(a)補体活性化;(b)認知機能の低下;(c)ニューロン喪失;(d)グリア細胞活性化;(e)リンパ球浸潤;(f)マクロファージ浸潤;(g)抗体沈着、(h)グリア細胞喪失;(i)オリゴデンドロサイト喪失;(j)樹状細胞浸潤;(k)好中球浸潤;(l)赤血球溶解;(m)赤血球食作用;(n)血小板食作用;(o)血小板溶解;(p)移植片拒絶;(q)マクロファージ媒介性食作用;(r)視力喪失;(s)抗体媒介性補体活性化;(t)自己抗体媒介性補体活性化;(u)脱髄;(v)好酸球増加のうち1つ以上に関して;抗C1s抗体による処置前の個体における結果のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超える減少を達成するのに有効である。
【0179】
いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、次の結果:a)認知機能;b)移植片生着;c)視力;d)運動制御;e)血栓形成;f)凝固;g)腎機能;及びh)ヘマトクリット(赤血球数)のうち1つ以上に関して、抗C1s抗体による処置前の個体における結果のレベルまたは程度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超える改善を達成するのに有効である。
【0180】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体における補体活性化が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体における補体活性化を、抗C1s抗体による処置前の個体における補体活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体における認知機能が改善する。例えば、いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体における認知機能を、抗C1s抗体による処置前の個体における認知機能と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて改善する。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体における認知機能の低下速度が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体における認知機能の低下速度を、抗C1s抗体による処置前の個体における認知機能の低下速度と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0183】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体におけるニューロン喪失が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体におけるニューロン喪失を、抗C1s抗体による処置前の個体におけるニューロン喪失と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0184】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体におけるグリア細胞活性化が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体におけるグリア活性化を、抗C1s抗体による処置前の個体におけるグリア細胞活性化と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。いくつかの実施形態では、グリア細胞は、アストロサイトまたはミクログリアである。
【0185】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体におけるリンパ球浸潤が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本願の抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体におけるリンパ球浸潤を、抗C1s抗体による処置前の個体におけるリンパ球浸潤と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0186】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体におけるマクロファージ浸潤が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体におけるマクロファージ浸潤を、抗C1s抗体による処置前の個体におけるマクロファージ浸潤と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0187】
いくつかの実施形態では、個体に本開示のヒト化抗C1s抗体を投与することにより、個体における抗体沈着が減少する。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体における抗体沈着を、抗C1s抗体による処置前の個体における抗体沈着と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0188】
いくつかの実施形態では、個体に本開示の抗C1s抗体を投与することにより、個体におけるアナフィラトキシン(例えば、C3a、C4a、C5a)産生が減少する。例えば、
いくつかの実施形態では、本開示のヒト化抗C1s抗体は、補体媒介性疾患または障害を有する個体に単独療法として、または併用療法により1回以上の用量で投与される場合、その個体におけるアナフィラトキシン産生を、抗C1s抗体による処置前の個体におけるアナフィラトキシン産生のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または90%を超えて減少させる。
【0189】
本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための、本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための、本開示のヒト化抗C1s抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤の使用を提供する。
【0190】
本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための薬剤の製造における、本開示のヒト化抗C1s抗体の使用を提供する。
【0191】
本開示は、補体活性化を阻害するための、本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体において補体活性化を阻害するための、本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体において補体活性化を阻害するための、本開示のヒト化抗C1s抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体において補体活性化を阻害するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤の使用を提供する。
【0192】
本開示は、補体活性化を調節するための薬剤の製造における、本開示のヒト化抗C1s抗体の使用を提供する。いくつかの実施形態では、薬剤は、補体活性化を阻害する。いくつかの実施形態では、薬剤は、補体媒介性疾患または障害を有する個体において補体活性化を阻害する。
【0193】
本開示は、薬物療法に使用するための、本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、薬物療法に使用するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、薬物療法に使用するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を提供する。
【0194】
本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための、本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体媒介性疾患または障害を有する個体を処置するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を提供する。
【0195】
本開示は、補体活性化を調節するための、本開示のヒト化抗C1s抗体または本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を提供する。いくつか
の実施形態では、本開示は、補体活性化を調節するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、補体活性化を調節するための、本開示のヒト化抗C1s抗体を含む医薬組成物及び薬学的に許容される賦形剤を提供する。いくつかの実施形態では、抗C1s抗体は、補体活性化を阻害する。
【実施例0196】
以下の実施例は、本発明の作製方法及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するために記述され、発明者が本発明と考えるものの範囲を限定することを意図せず、これらの実施例は、以下の実験が実施される全てであること、または唯一の実験であることを表すことも意図しない。使用した数(例えば、量、温度など)に関して精度を保証するために努力したが、若干の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。標準的な略語、例えば、bp、塩基対(複数可);kb、キロベース(複数可);pl、ピコリットル(複数可);sまたはsec、秒(複数可);min、分(複数可);hまたはhr、時間(複数可);aa、アミノ酸(複数可);kb、キロベース(複数可);bp、塩基対(複数可);nt、ヌクレオチド(複数可);i.m.、筋肉内(に);i.p.、腹腔内(に);s.c.、皮下(に)などを使用してよい。
【0197】
実施例1:ヒト化TNT005バリアント
TNT005のヒト化バリアントを生成した。ヒト化バリアント1~5の重鎖VHドメインのアミノ酸配列;ヒト化バリアントの重鎖VHドメインをコードするヌクレオチド配列もまた提供する。ヒト化バリアント1、2、及び5の軽鎖VLドメインのアミノ酸配列、ならびにヒト化バリアントの軽鎖VLドメインをコードするヌクレオチド配列を
図6~
図8に示す。TNT005のアミノ酸配列(VL配列番号:7;VH配列番号:8)と比較したアミノ酸差異を表2及び表3(それぞれ
図9及び
図10)にまとめる。
【0198】
1文字アミノ酸コードは、以下の通りである(丸括弧内は、3文字アミノ酸コードである):
G-グリシン(Gly)
P-プロリン(Pro)
A-アラニン(Ala)
V-バリン(Val)
L-ロイシン(Leu)
I-イソロイシン(Ile)
M-メチオニン(Met)
C-システイン(Cys)
F-フェニルアラニン(Phe)
Y-チロシン(Tyr)
W-トリプトファン(Trp)
H-ヒスチジン(His)
K-リジン(Lys)
R-アルギニン(Arg)
Q-グルタミン(Gln)
N-アスパラギン(Asn)
E-グルタミン酸(Glu)
D-アスパラギン酸(Asp)
S-セリン(Ser)
T-トレオニン(Thr)
【0199】
実施例2:ヒト化TNT005バリアントの特徴付け
ヒト化TNT005バリアントの結合特性を表4及び表5(それぞれ
図11及び
図12)に提供する。様々なヒト化TNT005バリアントと活性化C1sとの相対的結合親和性を表4(第1データ列)に提供し、これを
図11中に提示する。
【0200】
15の組合せ全て(VHバリアント1+Vkバリアント1;VHバリアント1+Vkバリアント2;VHバリアント1+Vkバリアント5;VHバリアント2+Vkバリアント1;VHバリアント2+Vkバリアント2;VHバリアント2+Vkバリアント5;VHバリアント3+Vkバリアント1;VHバリアント3+Vkバリアント2;VHバリアント3+Vkバリアント5;VHバリアント4+Vkバリアント1;VHバリアント4+Vkバリアント2;VHバリアント4+Vkバリアント5;VHバリアント5+Vkバリアント1;VHバリアント5+Vkバリアント2;VHバリアント5+Vkバリアント5)を作製した。各ヒト化バリアントを、活性C1sへの結合に関するビオチン化TNT005と競合する能力について試験した。データを
図11の第2データ列に示す。
【0201】
各ヒト化バリアントを、補体古典的経路(CP)活性化を測定する市販のアッセイで試験した。結果を
図11の第3データ列に示す。データは、15のヒト化バリアント全てがTNT005のIC
50に類似した値でCP活性化を阻害することを示している。
【0202】
結合親和性の動的特徴付けを、ヒト化TNT005バリアントのうち8つで実施した。データを表5に示し、これを
図12中に提示する。
【0203】
実施例3:カニクイザルにおけるインビボ試験
ヒト化TNT005の薬物動態(PK)及び薬力学的(PD)特性を評価するために、ヒト化TNT005の単回投与及び反復投与試験を、カニクイザル(Macaca fascicularis)において実施した。さらに、様々な投与経路によるヒト化TNT005のバイオアベイラビリティを比較するために、ヒト化TNT005バリアントを血管内(IV)注射または皮下(SC)注射のいずれかにより投与した。ヒト化TNT005の投与後、血漿及び血清試料を指定の時点で採取し、ヒト化TNT005の循環濃度(PK)を決定して、ヒト化TNT005による古典的補体経路の阻害(PD)を評価した。
【0204】
全ての試験動物は、体重が2.4~3.9kgの雌であり、年齢が3~5歳であった。さらに、全ての動物が医薬の投与を受けていなかった。
【0205】
試験は、2つの部からなった:
【0206】
1)フェーズ1-静脈内(IV)投与によるビヒクル対照(薬物投与なし)群、低用量群、及び高用量群、ならびに皮下(SC)に投与された対応する高用量ヒト化TNT005群における、ヒト化TNT005のPK/PDを比較する単回投与試験;ならびに
【0207】
2)フェーズ2-複数回投与(7日間毎日)の低用量SC群。
【0208】
フェーズ1試験設計は、4つの動物群からなり、そのうち3つにはヒト化TNT005を投与し(n=4動物/用量コホート)、4番目にはビヒクル対照(リン酸緩衝生理食塩水;n=3動物)を投与した。IV投与した動物には、末梢静脈にボーラス注射を行ったのに対して、背中の肩甲骨間部にSC注射を行った。群1を対照群に指定し、ビヒクルをIV投与した。群2及び群3には、ヒト化TNT005を、それぞれ10mg/kg及び45mg/kgで単回IV投与した。最後に、群4には45mg/kgで単回SC投与し、SCバイオアベイラビリティを、対応するIV群(群3)と直接比較した。表6は、フェーズ1試験設計についてまとめている。
【表6】
【0209】
全血を、血漿及び血清処理のためにそれぞれK
2EDTA管及び血清分離管中に採取し、すぐに-15℃~-25℃で保存した。試料採取は、表7に記載したスケジュールにより、ヒト化TNT005またはビヒクル対照での投与前後に行った。
【表7】
【0210】
フェーズ2試験を設計し、反復SC投与した低用量ヒト化TNT005のPK/PD関係を評価した。フェーズ2動物には、低用量IV群の動物1匹に加えて、フェーズ1対照群(n=3)の動物を充当した(群1)。フェーズ2の動物に7日間毎日、4mg/kgのヒト化TNT005をSC投与した。フェーズ2動物には、フェーズ1投与後57日間投与した。表8は、フェーズ2試験設計についてまとめている。
【表8】
【0211】
全血を、血漿及び血清処理のためにそれぞれK
2EDTA管及び血清分離管中に採取し、すぐに-15℃~-25℃で保存した。試料採取は、表9に記載したスケジュールにより、ヒト化TNT005での投与前後に行った。
【表9】
【0212】
結果
フェーズ1 薬物動態及び薬力学
フェーズ1においてヒト化TNT005の薬物動態プロファイルを評価するために、表7で指定した時点で採取した血漿試料を希釈し、ELISAを実行してヒト化TNT005血漿濃度を定量化した。簡潔に述べると、希釈した血漿試料を活性化C1sでプレコートした96ウェルプレートに添加した。血漿試料をインキュベートし、続いて洗浄した後、ヒトIgGに特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ複合化検出抗体を添加し、C1s結合ヒト化TNT005を検出した。最後に、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)基質を添加し、比色反応を開始させて分光光度計上で読み取った。血漿試料と並行して実行したヒト化TNT005の標準曲線から補間することにより、ヒト化TNT005血漿濃度を全ての試料について決定した。試験のフェーズ1における薬物動態分析結果を、
図14(1~43日目)及び
図15(32~43日目)に示す。IV投与後、ヒト化TNT005の血漿PKプロファイルは、典型的に高いCmaxに続いて用量依存的なクリアランスを示した。SC投与は、より緩やかな吸収相をもたらし、結果としてCmaxは全体的により低く、対応したIV用量コホートと比較して遅かった。45mg/kgのIV及びSC用量群におけるヒト化TNT005クリアランス速度は、72時間から試験の終了まで同等であった。
【0213】
図14は、フェーズ1(1日目~43日目)に投与されたカニクイザルにおけるヒト化TNT005の薬物動態プロファイルを示す。用量群には、ビヒクル;10mg/kg(MPK)のヒト化TNT005IV;45MPKのヒト化TNT005IV;または45MPKのヒト化TNT005SCを投与した。各用量群(n=4動物/ヒト化TNT005コホート)の平均ヒト化TNT005血漿濃度を、投与後の時間に対してプロットする。
【0214】
図15は、フェーズ1(32日目~43日目)に投与されたカニクイザルにおけるヒト化TNT005の薬物動態プロファイルを示す。用量群は、
図14の通りであった。各用量群(n=4動物/ヒト化TNT005コホート)の平均ヒト化TNT005血漿濃度を、投与後の時間に対してプロットする。
【0215】
ヒト化TNT005の薬力学的効果を、Wieslab(登録商標)古典的補体経路キットを使用して評価した。Wieslab(登録商標)キットは市販されていて、酵素結合
免疫吸着法(ELISA)の使用を含み、この手法は、試料の古典的経路をエクスビボで活性化し、経路の最終分解産物、すなわちC5b-9のエクスビボ生成を測定することにより、血清試料中の古典的補体経路活性の強さを評価するように設計されている。試料を製造業者の指示に従ってアッセイした。簡潔に述べると、表7に示した時点で採取したサルからの血清試料を希釈し、提供した96ウェルプレートのウェルに添加した。インキュベーション後、古典的経路の最終分解産物、すなわちC5b-9に特異的な検出抗体を添加し、比色反応を分光光度計上で測定した。個々のサルについて全ての試料を比較し、同じサルの投与前試料を基準として正規化した(投与前=100%活性)。フェーズ1群における薬力学的測定値の結果を
図16に示す。ヒト化TNT005のIV投与は、結果として投与直後に両方の用量群で古典的経路のほぼ完全な阻害を達成した。古典的経路活性の回復は、漸次的かつ用量依存的であり、45mg/kgの用量コホートにおける動物は、10mg/kgコホートよりも緩やかに回復した。45mg/kgで投与したIV及びSC群は、経路活性について非常に類似した回復時間を示し、これらの群の類似したヒト化TNT005薬物動態プロファイル(
図14)と一致した。
【0216】
図16は、フェーズ1(1日目~43日目)に投与されたカニクイザルからの血清試料の古典的経路活性(PD測定値)を示す。用量群には、ビヒクル;10mg/kg(MPK)のヒト化TNT005IV;45MPKのヒト化TNT005IV;または45MPKのヒト化TNT005SCを投与した。各用量群の古典的経路活性(投与前活性を基準として正規化;n=4動物/ヒト化TNT005群)を、投与後の時間に対してプロットする。
【0217】
フェーズ2 薬物動態(PK)及び薬力学(PD)
フェーズ2におけるヒト化TNT005薬物動態及び薬力学を、フェーズ1に記載したものと同じ手法でアッセイした。試験のフェーズ2における薬物動態及び薬力学分析の結果を
図17に示す。低用量ヒト化TNT005(4mg/kg)のSC投与は、投与から最初の24時間以内に緩やかな吸収相をもたらした(
図17、赤色プロット、右側y軸)。血漿ヒト化TNT005濃度の上昇に伴い、血清古典的経路活性は減少した(
図17、青色プロット、左側y軸)。毎日4mg/kgで反復投与すると、血漿ヒト化TNT005の漸増をもたらし、血清古典的経路活性を7日目までに投与前レベルの10%までさらに減少させた(すなわち、-90%の古典的経路阻害)。
【0218】
図17は、フェーズ2(7日間、4mg/kgを毎日SC投与)で投与されたカニクイザルにおけるヒト化TNT005のPK/PDプロファイルを示す。平均ヒト化TNT005血漿濃度(右側y軸)及び平均血清古典的経路活性(左側y軸)を、フェーズ2の時間に対してプロットした(n=4動物)。
【0219】
本発明は、その特定の実施形態に関して記載されてきたが、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われてよく、かつ等価物に置換されてよいことが、当業者には理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスステップまたはステップを、本発明の目的、趣旨及び範囲に適合させるために、多くの修正が行われてよい。このような修正の全ては、本明細書に添付の特許請求の範囲内であることを意図する。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
補体成分C1sと特異的に結合するヒト化抗体であって、前記抗体が、
a)アミノ酸配列:(Q/E)VQL(V/Q)QSGAE(V/L)KKPGASVK(L/V)SC(T/A)ASGFNIKDDYIHWV(K/R)QAPGQGLEWIGRIDPADGHTKYAPKFQVK(V/A)TITADTST(S/N)TAY(L/M)(E/Q)LSSL(R/T)SEDTAVYYCARYGYGREVFD
YWGQGTTVTVSS(配列番号:26)を含むVH領域と;
b)アミノ酸配列:DIVLTQSPDSLAVSLGERATISCKASQSVDYDGDSYMNWYQQK(T/P)GQPPK(I/L)LIYDASNLESGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLE(E/P)EDFA(I/V)YYCQQSNEDPWTFGGGTKVEIK(配列番号:27)を含むVL領域と
を含む、前記ヒト化抗体。
(項目2)
a)配列番号:10を含むVH領域と;
b)配列番号:20を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目3)
a)配列番号:10を含むVH領域と;
b)配列番号:22を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目4)
a)配列番号:10を含むVH領域と;
b)配列番号:24を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目5)
a)配列番号:12を含むVH領域と;
b)配列番号:20を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目6)
a)配列番号:12を含むVH領域と;
b)配列番号:22を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目7)
a)配列番号:12を含むVH領域と;
b)配列番号:24を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目8)
a)配列番号:14を含むVH領域と;
b)配列番号:20を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目9)
a)配列番号:14を含むVH領域と;
b)配列番号:22を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目10)
a)配列番号:14を含むVH領域と;
b)配列番号:24を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目11)
a)配列番号:16を含むVH領域と;
b)配列番号:20を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目12)
a)配列番号:16を含むVH領域と;
b)配列番号:22を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目13)
a)配列番号:16を含むVH領域と;
b)配列番号:24を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目14)
a)配列番号:18を含むVH領域と;
b)配列番号:20を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目15)
a)配列番号:18を含むVH領域と;
b)配列番号:22を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目16)
a)配列番号:18を含むVH領域と;
b)配列番号:24を含むVL領域と
を含む、項目1に記載のヒト化抗体。
(項目17)
前記ヒト化抗体が、Fab断片、F(ab’)2断片、scFv、及びFvからなる群から選択される、項目1~16のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
(項目18)
前記ヒト化抗体が、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域を含む、項目1~16のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
(項目19)
a)項目1~18のいずれか1項に記載の前記ヒト化抗体と;
b)薬学的に許容される賦形剤と
を含む、組成物。
(項目20)
前記組成物が、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、防腐剤、リオプロテクタント、界面活性剤、及び糖のうち1種以上を含む、項目19に記載の組成物。
(項目21)
項目19または項目20に記載の前記組成物を含む、容器。
(項目22)
前記容器が滅菌である、項目21に記載の容器。
(項目23)
前記容器が、バイアル、ボトル、またはシリンジである、項目21または項目22に記載の容器。
(項目24)
個体における補体成分分解産物レベルの減少方法であって、前記個体に項目1~18のいずれか1項に記載の前記抗体、または項目19もしくは20に記載の前記組成物を、C1sを阻害し、かつ前記分解産物の前記レベルを減少させるのに効果的な量で投与することを含む、前記方法。
(項目25)
前記補体成分分解産物が、C4分解産物である、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記補体成分分解産物が、C2分解産物である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記補体成分分解産物が、C3分解産物である、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記個体がヒトである、項目24~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記投与が静脈内投与である、項目24~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記投与が筋肉内投与である、項目24~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記投与が髄腔内投与である、項目24~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記投与が皮下投与である、項目24~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記減少が、補体媒介性障害を処置するのに効果的である、項目24~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記補体媒介性障害が、同種免疫障害である、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記補体媒介性障害が、自己免疫障害である、項目33に記載の方法。
(項目36)
個体における補体成分のC1s媒介性切断の阻害方法であって、前記個体に項目1~18のいずれか1項に記載の前記抗体、または項目19もしくは20に記載の前記組成物を、補体成分のC1s媒介性切断を阻害するのに効果的な量で投与することを含む、前記方法。
(項目37)
個体における補体媒介性疾患または障害の処置方法であって、前記個体に項目1~18のいずれか1項に記載の前記抗体、または項目19もしくは20に記載の前記組成物を、前記補体媒介性疾患または障害を処置するのに効果的な量で投与することを含む、前記方法。