(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133607
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ペプチド精製のためのトレースレスな還元的切断可能なリンカー分子
(51)【国際特許分類】
C07C 271/66 20060101AFI20240925BHJP
C07D 295/185 20060101ALI20240925BHJP
C07D 213/75 20060101ALI20240925BHJP
C07K 1/14 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C07C271/66 CSP
C07D295/185 ZNA
C07D213/75
C07K1/14
C07D295/185
C07C271/66 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108076
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2021510463の分割
【原出願日】2019-08-27
(31)【優先権主張番号】18191038.1
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18212487.5
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523430870
【氏名又は名称】ギロス プロテイン テクノロジーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】ツィッターバルト,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】レイマン,オリバー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】固相ペプチド合成によって生成されるペプチド又はペプチド核酸を精製する、安価で不良傾向の少ない方法、及び前記精製に使用するリンカー分子を提供する。
【解決手段】本発明は、式(1)、X-Tb-Va-U-Y-Z(1)のリンカー分子、及び前記リンカー分子を使用してペプチドを精製する方法に関する。リンカー分子は、部分Xを介して精製樹脂にカップリングし、脱離基Zの放出下で部分Yを介してペプチドにカップリングすることができる。Tは任意のスペーサー部分であり、Vは任意の電子吸引性部分である。Uは、少なくとも1つの電子求引性部分V、W、又はEに結合されるアリール又は5員若しくは6員のヘテロアリールの部分である。リンカーは酸性条件下で安定しており、還元剤の添加時にペプチドを放出する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1、X-T
b-V
a-U-Y-Z(1)の化合物であって、式中、
- Xは、式2、2a、3、3a又は4の、特に式2、2a、3又は3aの、より特に式2又は2aの部分から選択され、
【化1】
式中、
- 各R
1及びR
2は、互いに独立して、H又はBから選択され、少なくともR
1又はR
2は、Bであり、
- R
3は、H又はBから選択され、
- R
4は、H、C
1~C
12アルキル又はアリールから選択され、アルデヒド基又はケト基は、酸に不安定な保護基によって保護され得、
- Bは、酸に不安定なアミン保護基であり、
- Tは、部分、-C
1~12アルキル-、(-C
2H
4O-)
1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR
9-、-JR
9-C(=O)-、-JR
9-、フェニル、5員若しくは6員ヘテロアリールのうちの少なくとも1つ、特に1~5つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、
Jは、CH又はNであり、特にNであり、
特にTは:
-C
1~C
12アルキル-から、特にC
1~6アルキルから、より特にC
1~3アルキル、-R
5-C(=O)-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-、-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’C(=O)-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-、-R
5-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-R
6-、-R
5-C(=O)-O-R
6-、-C(=O)-O-R
6-、-R
5-フェニル-R
6-、-R
5-フェニル-、-フェニル-R
6-、-フェニル-、-R
5-ピロイル、-R
5-ピラゾイル、-R
5-イミダゾイル、R
5-ピペラジニル-、-R
5-ピリジニル、-R
5-ピリミジニル、-R
5-ピラジニル、-R
5-ピリダジニル、-R
5-ピロイル-R
6-、-R
5-ピラゾイル-R
6-、-R
5-イミダゾイル-R
6-、-R
5-ピペラジニル-R
6-、-R
5-ピリジニル-R
6-、-R
5-ピリミジニル-R
6-、-R
5-ピラジニル-R
6-、-R
5-ピリダジニル-R
6-、ピロイル-R
6-、ピラゾイル-R
6-、イミダゾイル-R
6-ピパラジニル-R
6-、ピリジニル-R
6-、ピリミジニル-R
6-、ピラジニル-R
6-、ピリダジニル-R
6-、ピロイル、ピラゾイル、イミダゾイル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニル、
から選択されるスペーサーであり、式中、
R
5、R
5’及びR
6は、互いに独立して、C
1~C
12アルキル又は(-C
2H
4O-)
1~12から、特にC
1~C
6アルキルから、特にC
1~C
3アルキルから選択され、かつ、式中、
R
9及びR
9’は、互いに独立して、H、C
1~4アルキル、-C
1~6アルキル-NH
2、-C
1~6アルキル-NHB、-C
1~6アルキル-NB
2、-R
15、-C
1~6アルキル-R
15、-C
1~6アルキル-NH-R
15から、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
9はHであり、式中、
Bは、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基であり、
R
15は、アルデヒド部分と反応することができるブロッキング剤であり、特にR
15は、システイニル、スレオニニル、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから、特にシステイニル及びN-メチルヒドロキシルアミンから、より特にシステイニルから選択され、ここで、
ブロッキング剤のアミン部分及び/又はチオール部分は、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基Bによって、特にBoc、及び/又は酸に不安定なチオール保護基によって、特にトリチルによって保護され得、
- bは、0又は1であり、特に1であり、
- Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化2】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から、特に-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル-、ピリミジニルから、より特に-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH
3)-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子求引性部分であり、式中、
R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11はHであり、
R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12はメチルであり、
pは、0、1又は2であり、特に0又は1であり、
- aは、0又は1であり、aとbとの合計は、1又は2であり、
- Uは、フェニル又は5員若しくは6員のヘテロアリール部分であり、特にフェニル又は6員ヘテロアリール部分であり、より特にフェニルであり、これは部分V、W
q及びE
nの少なくとも1つに結合し、かつC
1~6アルキルによって、特にC
1~3アルキルによって任意に置換され得、式中、
Vは、上記のとおり定義され、
Wは、-N
3、-NO
2、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-O-CH
2-N
3、-O-C(=O)-O-CH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-R
8、
【化3】
から、特に-N
3、-N=N-R
8、-O-CH
2-N
3、-S-S-R
8から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C
1~C
6アルキル又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、特にピリジル又は-C
1~C
6アルキルであり、pは、1、2、3又は4であり、
Eは、酸性条件下で電子吸引基であり、
nは、0~4の間の整数であり、特に0~2の間、より特に0又は1の整数であり、qは、0~4の間の整数であり、特に0~2の間、より特に0及び1の間の整数であり、nとqとの合計は、4以下であり、式中、
Uがフェニル部分であり、かつYが-(CH
2)
m-O-C(=O)-である場合に、酸性条件下でのV、W、Eのハメット定数の合計は、0.45より大きく、かつ式中、
Wは、Yに対してオルト位又はパラ位にあり、
- Yは、-(CH
2)
m-C(=O)-又は-(CH
2)
m-O-C(=O)-であり、mは、1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1であり、
- Zは、電子吸引性脱離基である、
前記化合物。
【請求項2】
Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-N(C2H4)2NH2、-N(C2H4)2N-B、-N=N-フェニル、-N=N-R8、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2H、-C(=O)NH2、-SO2Me、-SOMe、-SO2Et、-SOEtから、特に、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-N=N-フェニル、-N=N-R8、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2Hから、より特に、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又は-Brから選択され、
R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C1~C6アルキル又は-(CH2)p-NMe2であり、特にピリジル又は-C1~C6アルキルであり、pは、1、2、3又は4であり、かつ
Bは、酸に不安定なアミン保護基であり、かつ
rは、0、1、2、3又は4であり、特に0、1又は2である、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
- Bは、Boc(-C(=O)OtBu)、Eei(=CMeOEt,1-エトキシエチリデン)トリチル(-C(Ph)
3)、-C(=O)CPh
3、Mmt(-C(Ph)
2C
6H
4OMe)、DMT(-C(Ph)(C
6H
4OMe)
2)、Cbz(-C(=O)OCH
2Ph)、ベンジリデンアミン(=CPh)、フタリミド(=(CO)
2C
6H
4)、p-トルエンスルホンアミド(-SO
2C
6H
4Me)、ベンジルアミン(-CH
2Ph)、アセトアミド(-COMe)、トリフルオロアセトアミド(-COCF
3)、Dde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-エチル)及び1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)から選択され、特にBは、Boc又はEeiであり、より特にBは、Bocであり、及び/又は
- アセタール又はケタールの保護基は、
【化4】
から選択され、
式中、rは、0~12であり、特に0~6であり、より特に0、1又は2であり、かつ
R
10は、-C
1~C
12アルキル-であり、特にC
1~6アルキルであり、より特にC
1~3アルキルである、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-、-R5-C(=O)-NR9-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’C(=O)-R6-から、特に、C1~3アルキル、-R5-C(=O)-NR9-、-R5-NR9-C(=O)-R6-から、より特に、C1~3アルキル又は-R5-C(=O)-NR9-から選択され、
R5、R5’、R6、R9’及びR9は、上記で定義されたとおりである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
部分Uの5員若しくは6員のヘテロアリール部分は、1又は2個のヘテロ原子を含み、特に、部分Uの5員ヘテロアリール部分は、ピラゾール、イミダゾールから選択され、かつ部分Uの6員ヘテロアリール部分は、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンから、特にピリジンから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Uは、式5、6、7又は8の、特に式5又は6の部分から選択され、
【化5】
式中、
T、V、Y、W、及びEは、上記のとおり定義され、
式5及び6の場合、Uは、部分T又はV(T or V)に結合され、
式7及び8の場合、Uは、部分Vに結合され、
A
1、A
2、A
3、A
4及びD
1、D
2、D
3、D
4は、互いに独立して、C、N、S及びOから、特にC及びNから選択され、A
1、A
2、A
3及びA
4、又はD
1、D
2、D
3及びD
4の2~4個の部分は、Cであり、特にA
1、A
2、A
3及びA
4、又はD
1、D
2、D
3及びD
4の3又は4個の部分は、Cであり、より特にA
1、A
2、A
3及びA
4、又はD
1、D
2、D
3及びD
4のすべての部分は、Cであり、
nは、
式5及び6の場合、0~3の間の、特に0~2の間の整数であり、
式7及び8の場合、0~4の間の、特に0~2の間の、より特に0~1の間の整数であり、
qは、0~4の間の、特に0~2の間の、より特に0~1の間の整数であり、nとqとの合計は、4以下である、
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Uは、式9、10、11又は12の、特に式9又は10の部分から選択され、
【化6】
式中、
T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式9及び10の場合、Uは部分T又はV(T or V)に結合され、
式11及び12の場合、Uは部分Vに結合され、
すべての部分A
2、A
3及びA
4は、Cである、又はA
2、A
3及びA
4のうちの2つはCであり、かつA
2、A
3及びA
4のうちの他の2つはNであり、特にA
2及びA
3はともにCであり、かつ
D
2は、C又はNであり、特にCである、
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Uは、式13、14、15、16、17、18、19、20又は21の、特に式13~19の、より特に式15又は19の部分から選択され、
【化7】
式中、
T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式13、14及び15の場合、Uは、部分T又はV(T or V)に結合され、
式16、17及び18の場合、Uは、部分Vに結合され、
A
2、A
3及びA
4は、C又はNであり、特にCであり、
D
2は、C又はNである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Zは、-F、-Cl、-Br、-I、-N
3、-OH、-O(C=O)CH
2(C=O)OH、-SR
14、-OCF
3、-OCH
2CF
3、-OSO
2CF
3、-SO
2C
6H
4CH
3、-SO
2CF
3、-SO
2CH
3、
【化8】
から、特に、-OH、-Cl、
【化9】
から、特に、-OH、
【化10】
から選択され、
式中、R
14は、C
1~C
6アルキル、アリール(arylic)又はベンジルの置換基である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
ペプチドを精製する方法であって、以下のステップ:
- 粗リンカー修飾ペプチドを提供するステップであり、粗ペプチドは、請求項1に記載のリンカー分子に共有結合される、前記ステップ、
- カップリングステップにおいて、リンカー修飾ペプチドを固体支持体にカップリングして、固定化リンカー修飾ペプチドを得る、前記ステップ、
- 放出ステップにおいて、ペプチドを、特に酸性条件下で還元剤を加えることによって、放出する、前記ステップ、
を含む、前記方法。
【請求項11】
放出ステップにおいて、固定化リンカー修飾ペプチドの還元されたリンカー部分によって特徴付けられる還元中間体が達成され、引き金によって、特に、温度及び/又はpHの変化によって、より特に、アミンスイッチの場合にpHを還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaに増加させることによって、又はカルバメートスイッチの場合にpHをカルバメートのpKaに対してpH<pKaに減少させることによって、ペプチドは前記還元中間体から放出される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
リンカー修飾ペプチドは、合成樹脂にさらに結合され、かつ合成樹脂は、カップリングステップが実行される前に切断される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載のリンカー分子は、アジド部分を含む部分W及び/又はEを含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
固体支持体の非反応アルデヒド部分は、ステップ(b)を実行した後にブロッキング剤を使用して、特に、システイン、スレオニン、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから選択されるブロッキング剤を使用することによって、より特に、システイン及びN-メチルヒドロキシルアミンから選択されるブロッキング剤を使用することによってブロッキングされる、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
還元剤は、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、ジエチルホスファイト、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、エタンジチオール、プロパンジチオール、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール、Na2S、NaSH、グルタチオン、2,2’-ジチオジピリジン、BH3、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、カテコールボラン、ボランテトラヒドロフラン、ボランジメチルスルフィド、ボランジメチルアミン錯体、ボラントリフェニルホスフィン錯体、ボランtert-ブチルアミン、LiAlH4、LiBH4、NaBH4、NaBH3CN、NaBH(OMe)3、NaBH(OCCH3)3、LiAlH(OCMe3)3、ヒドロキノン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、KIを含むアスコルビン酸、ヒドラジン、NH=NH、ホルムアルデヒドから、特に、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール、トリフェニルホスフィン、KIを含むアスコルビン酸、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ボランジメチルスルフィド、ボラントリフェニルホスフィン錯体、NaBH4、アスコルビン酸から、より特にトリフェニルホスフィン及びトリメチルホスフィンから選択される、
請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相ペプチド合成(SPPS)によって生成されるペプチド又はペプチド核酸を精製する方法、及び前記精製に使用するリンカー分子に関する。
【背景技術】
【0002】
固相ペプチド合成は、ペプチドの合成の方法として確立されている。標準的な手順は、第1のN末端で保護されたアミノ酸を合成樹脂にカップリングした後、N末端の脱保護のサイクルを繰り返し、次のN末端で保護されたアミノ酸をカップリングし、未反応のペプチド配列をキャッピングすることである。最後に、合成されたペプチドは合成樹脂から切断され、精製される。
【0003】
ペプチドの精製に広く使用されている方法は、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。この方法の欠点は、所望の生産量に関するスケーラビリティが低いことであり、そのため、1つの同じシステムで様々な量を生産することはできない。これにより、対応する複合デバイスの取得費用が比較的高くなる。さらなる欠点は、個々の断片を正しく分析評価するためには、比較的広範な知識を必要とするということである。さらに、HPLC精製では、実行中に溶媒、及び時にはカラム材(固相)を大量に消費することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0552368(A1)号
【特許文献2】欧州特許第2501711(B1)号
【特許文献3】WO2017129818(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、安価で不良傾向の少ない方法は、ペプチド製造の費用削減に有利である。
【0006】
代替的な方法では、ペプチドに結合できるリンカー分子を使用し、その後、精製時に使用される官能化固相にカップリングする。
【0007】
欧州特許第0552368(A1)号には、精製支持体に共有結合できるチオールを有するリンカー分子が記載されている。ただし、この方法は、アミノ酸のシステイン又はペニシラミンを含むようなチオール含有ペプチドには適していない。
【0008】
欧州特許第2501711(B1)号では、銅の存在を必要とするアジド(-N3)とアルキンとの間の1,3-双極性環化付加反応によってリンカーを固相に結合させる類似の方法が提案されている。しかし、メチオニン、システイン、アルギニン、リジンを含むペプチドは、銅と複合化して除去が困難になる場合がある。銅の毒性のため、このようなペプチドは、医薬品用途のようなすべての適用に適していない。
【0009】
WO2017129818(A1)は、SPPS後に合成樹脂になお結合したままのペプチドに結合し得るリンカー分子を開示している。一般的に使用されているTFA条件を適用して、ペプチドはその後に合成から切断される。しかし、WO2017129818(A1)に開示されるとおり、ペプチドとベンジルカルバメートを形成するリンカー分子の欠点は、酸性処理に対する不安定性である(TFA>50%、水の存在下でpH<0)。リンカー分子の早期分解は、精製ペプチドの収量の大幅な低下を引き起こす。
【0010】
N末端にThr、Ser、又はCysを含有するペプチドとの望ましくない副反応もまた発生し、これは、ペプチドの放出に使用される塩基性条件(pH>9)の下で、リンカーのスルホ・エチレン・カルバメート部分に対するβ-ヒドロキシル基又はβ-チオール基の求核攻撃に起因する。WO2017129818(A1)に開示されているリンカー分子のさらなる副反応は、アスパルチミド形成及びArg-Glu配列でのアルギニンのシトルリンへの変換、並びに塩基性条件下での内部Cys残基によるジスルフィド形成及び求核性副反応である。
【0011】
さらに、WO2017129818(A1)に記載されているスルホンリンカーは、固体レポートに残り、かつ追加の消光ステップを必要とする反応性ビニルスルホン部分に悩まされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
塩基性条件下での副反応及び酸性条件下でのリンカーの早期分解の欠点を克服するために、本発明は、TFA条件下で安定であり、かつ穏やかな酸性条件下、特にpH≦7でペプチド放出を可能にするリンカー分子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、X-T
b-V
a-U(W)-Y-Z型(式中、WはN
3である)のリンカーの使用による本発明のペプチド精製の模式図であり、この方法は請求項10に記載されている。SR=合成樹脂、PB=精製ビーズ;1.)4当量のX-Tb-Va-U(W)-Y-Z、6当量のオキシマ、6当量のDIEA、2時間、3.)DMSOによる粗ペプチドの溶解及び10体積%のクエン酸Na pH 4.5の添加、90分、4.)洗浄、5.)MeCN/AcOH 9:1中のPPh3、15分、6.)MeCNで洗浄、7.)H2O/TFAによる加水分解、8.)1,6-又は1,4-脱離、9.)最終的なエーテル沈殿。
【
図2-1】
図2は、本発明のリンカー分子X1及びX2の使用による、ペプチドP1(H-ARTKQTARKSTGGKA-OH)の本発明のペプチド精製の例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)P1へのリンカーカップリング前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX1の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のP1のクロマトグラム、3.)リンカーX2の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のP1のクロマトグラム。
【
図2-2】
図2は、本発明のリンカー分子X1及びX2の使用による、ペプチドP1(H-ARTKQTARKSTGGKA-OH)の本発明のペプチド精製の例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)P1へのリンカーカップリング前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX1の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のP1のクロマトグラム、3.)リンカーX2の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のP1のクロマトグラム。
【
図3-1】
図3は、本発明のリンカー分子X2の使用による、ペプチドP2(H-AKADEVSLHKWYG-NH
2)の本発明のペプチド精製の例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)P2にリンカーカップリングする前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX2の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のP2のクロマトグラム。約3-アミノ安息香酸は、ペプチドの定量化のための内部標準として使用した。
【
図3-2】
図3は、本発明のリンカー分子X2の使用による、ペプチドP2(H-AKADEVSLHKWYG-NH
2)の本発明のペプチド精製の例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)P2にリンカーカップリングする前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX2の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のP2のクロマトグラム。約3-アミノ安息香酸は、ペプチドの定量化のための内部標準として使用した。
【
図4-1】
図4は、本発明のリンカー分子X1の使用による、ペプチドP3(H-YFTGSEVENVSVNVH-NH
2)、ペプチドP4(H-PSNPFYEALST-NH
2)、ペプチドP5(H-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFF-NH
2)及びペプチドP6(H-CKADEVSMHKWYG-NH
2)の本発明のペプチド精製の4つの例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)ペプチドへのリンカーカップリングの前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX1の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のペプチドのクロマトグラム。
【
図4-2】
図4は、本発明のリンカー分子X1の使用による、ペプチドP3(H-YFTGSEVENVSVNVH-NH
2)、ペプチドP4(H-PSNPFYEALST-NH
2)、ペプチドP5(H-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFF-NH
2)及びペプチドP6(H-CKADEVSMHKWYG-NH
2)の本発明のペプチド精製の4つの例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)ペプチドへのリンカーカップリングの前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX1の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のペプチドのクロマトグラム。
【
図4-3】
図4は、本発明のリンカー分子X1の使用による、ペプチドP3(H-YFTGSEVENVSVNVH-NH
2)、ペプチドP4(H-PSNPFYEALST-NH
2)、ペプチドP5(H-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFF-NH
2)及びペプチドP6(H-CKADEVSMHKWYG-NH
2)の本発明のペプチド精製の4つの例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)ペプチドへのリンカーカップリングの前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX1の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のペプチドのクロマトグラム。
【
図4-4】
図4は、本発明のリンカー分子X1の使用による、ペプチドP3(H-YFTGSEVENVSVNVH-NH
2)、ペプチドP4(H-PSNPFYEALST-NH
2)、ペプチドP5(H-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFF-NH
2)及びペプチドP6(H-CKADEVSMHKWYG-NH
2)の本発明のペプチド精製の4つの例を示す。A=吸収(210nm)、B=時間/分;1.)ペプチドへのリンカーカップリングの前の粗ペプチド試料のクロマトグラム、2.)リンカーX1の使用及び請求項10に記載の方法による精製後のペプチドのクロマトグラム。
【
図5】
図5~
図8の総論:
図5~
図8では、以下のような略語が使用される:P=ペプチド、E=矢印は電子吸引又は電子供与の方向を示す、a)リンカー修飾ペプチドを得るための合成樹脂(SR)のTFA切断、b)リンカー修飾ペプチドを精製ビーズ(PB)に固定化するためのアルデヒド官能化固体支持体とのインキュベーション、c)合成不純物を除去するためのビーズの洗浄、d)還元剤を添加することによる還元、e)還元剤の洗浄、f)放出の電子構造をもたらすためのpHの調整、g)1,6-、1,4-脱離又は求核攻撃のいずれかによるリンカー分子の自然な分解。
図5は、アジド還元型セーフティロックを有するアミンスイッチ(タイプ1)である。切断可能な芳香族のコアと共役している塩基性窒素原子は、プロトン化される場合に電子を引き抜く(E:矢印)。構造1の正電荷は、溶解性を高め、合成樹脂(SR)のリンカー-ペプチド構造の酸性切断時にTFAの安定性を提供する。ペプチドの放出は2つのステップで行われる。最初に、アジド(部分W)が-NH
2に還元されることで、放出の安全ロックが除去される。リンカーの安定性は、pHが最も塩基性の高い窒素のpKaより低い場合、プロトン化されたアミン基の電子吸引性により、構造2の還元後もなお保持される。これにより、還元剤の除去及び酸性条件下での洗浄を可能にする。第2のステップでは、pHを、最も塩基性の高い窒素のpKaに対してpH>pKaに上昇させることによって、精製されたペプチドが放出される。pHの増加は、1,6-脱離反応を誘導する。リンカーはCO
2の放出下で分解する。このペプチドは、遊離N末端を有して得られる。
【
図6】
図5~
図8の総論:
図5~
図8では、以下のような略語が使用される:P=ペプチド、E=矢印は電子吸引又は電子供与の方向を示す、a)リンカー修飾ペプチドを得るための合成樹脂(SR)のTFA切断、b)リンカー修飾ペプチドを精製ビーズ(PB)に固定化するためのアルデヒド官能化固体支持体とのインキュベーション、c)合成不純物を除去するためのビーズの洗浄、d)還元剤を添加することによる還元、e)還元剤の洗浄、f)放出の電子構造をもたらすためのpHの調整、g)1,6-、1,4-脱離又は求核攻撃のいずれかによるリンカー分子の自然な分解。
図6は、アジドではなく、ニトロ基、ジスルフィド基、又はアゾ基などの他の還元性部分を持つ還元的安全ロックを有するアミンスイッチ(タイプ2)を示す。切断可能な芳香族のコアと共役している塩基性窒素原子は、プロトン化される場合に電子を引き抜く(E:矢印)。構造1の正電荷は、溶解性を高め、合成樹脂(SR)のリンカー-ペプチド構造の酸性切断時にTFAの安定性を提供する。ペプチドの放出は2つのステップで行われる。最初に、ニトロ(部分W)が-NH
2に還元されることで、放出の安全ロックが除去される。リンカーの安定性は、pHが最も塩基性の高い窒素のpKaより低い場合、プロトン化されたアミン基の電子吸引性により、構造2の還元後もなお保持される。これにより、還元剤の除去及び酸性条件下での洗浄を可能にする。第2のステップでは、pHを、最も塩基性の高い窒素のpKaに対してpH>pKaに上昇させることによって、精製されたペプチドが放出される。pHの増加は、1,6-脱離反応を誘導する。リンカーはCO
2の放出下で分解する。このペプチドは、遊離N末端を有して得られる。
【
図7】
図5~
図8の総論:
図5~
図8では、以下のような略語が使用される:P=ペプチド、E=矢印は電子吸引又は電子供与の方向を示す、a)リンカー修飾ペプチドを得るための合成樹脂(SR)のTFA切断、b)リンカー修飾ペプチドを精製ビーズ(PB)に固定化するためのアルデヒド官能化固体支持体とのインキュベーション、c)合成不純物を除去するためのビーズの洗浄、d)還元剤を添加することによる還元、e)還元剤の洗浄、f)放出の電子構造をもたらすためのpHの調整、g)1,6-、1,4-脱離又は求核攻撃のいずれかによるリンカー分子の自然な分解。
図7は、求核的放出を有するアミンスイッチ(タイプ3)を示す。求核的放出を介してペプチドを放出することが可能なリンカーは、カーボネート部分(Y=-O-C(=O)、Z=O-R)の代わりに、カルボキシレート(Y=C(=O)、Z=OH)を含む。炭酸塩なしに、リンカーは溶液中及び保存中に高い安定性を示す。ペプチドへのカップリングは、カルバメート結合の代わりにアミド結合を生じる一般的なアミノ酸カップリングとして行うことができる。カルバメート結合の欠如により、リンカーはTFAなどの酸性条件下で安定している。また、ここではペプチドの放出は2つのステップで行われる。最初に、還元性部分(-N
3)がアミンに還元されるため、放出の安全ロックが除去される。pHが最も塩基性の高い窒素のpKaよりも高い場合、還元後もなおリンカーの安定性が保たれる。これにより、還元剤の除去及び酸性条件下での洗浄を可能にする。第2のステップでは、pHを、最も塩基性の高い窒素のpKaに対してpH>pKaに上昇させることによって、精製されたペプチドが放出される。pHの増加により求核的放出が誘導され、遊離N末端を有するペプチドが得られる。pHがカルバメートのpKaよりも高い場合、還元後もなおリンカーの安定性が保たれる。
【
図8】
図5~
図8の総論:
図5~
図8では、以下のような略語が使用される:P=ペプチド、E=矢印は電子吸引又は電子供与の方向を示す、a)リンカー修飾ペプチドを得るための合成樹脂(SR)のTFA切断、b)リンカー修飾ペプチドを精製ビーズ(PB)に固定化するためのアルデヒド官能化固体支持体とのインキュベーション、c)合成不純物を除去するためのビーズの洗浄、d)還元剤を添加することによる還元、e)還元剤の洗浄、f)放出の電子構造をもたらすためのpHの調整、g)1,6-、1,4-脱離又は求核攻撃のいずれかによるリンカー分子の自然な分解。
図8は、カルバメートスイッチ(タイプ4)を示す。カルバメートスイッチを介してペプチドを放出することができるリンカーは、部分Y=-O-(=O)-を含む。さらに、リンカーは、電子吸引性部分E、例えば-Br、及び還元性部分W、例えば-N
3を含む。TFAの安定性は、TFA切断中の電子求引性部分-Brによって、固体支持体、例えば精製樹脂へのリンカー-ペプチド構造の固定化によって、及びその後の酸性条件下での洗浄ステップによって媒介される。還元性部分-N
3を-NH
2に還元すると、放出のための安全ロックが除去される。pHがこのカルバメートのpKaよりも高い場合リンカー分子は安定している。これにより、還元剤の除去と洗浄が可能となる。最後に、1,6-又は1,4-脱離及びCO
2の放出によって、カルバメートのpKaに対してpH<pKaまでpHを減少させることによって、精製されたペプチドが放出される。このペプチドは、遊離N末端を有して得られる。
【
図9】
図9は、3つの本発明リンカー分子の使用によるペプチドP2(H-AKADEVSLHKWYG-NH
2)の本発明ペプチド精製のそれぞれの例を示す。2.)アジドの還元的安全ロックを有するタイプ1のアミンスイッチのX9、3.)他の還元的安全ロックを有するタイプ2のアミンスイッチのX13、4.)求核的放出を有するタイプ3のアミンスイッチのX22。A=吸収(210nm)、B=時間/分;単離されたペプチドの同一性は常にUPLC-ESI/MS分析によって確認した。同定されたP2生成物には
*でマークされている。1.)P2(
*)にリンカーカップリングする前の粗製ペプチド試料のクロマトグラム。2.)以下の実施例のセクションに記載されるとおり、タイプ1のリンカーX9の使用、及び対応する方法による精製の後のP2(
*)のクロマトグラム。3.)以下の実施例のセクションに記載されるとおり、タイプ2のリンカーX13の使用、及び対応する方法による精製の後のP2(
*)のクロマトグラム。4.)以下の実施例のセクションに記載されるとおり、タイプ3のリンカーX22の使用、及び対応する方法による精製の後のP2(
*)のクロマトグラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
説明
本発明の第1の態様によれば、式1、X-T
b-V
a-U-Y-Z(1)の化合物が提供され、
式中、
- Xは、式2、2a、3、3a又は4の、特に式2、2a、3又は3aの、より特に式2又は2aの部分から選択され、
【化1】
式中、
- 各R
1及びR
2は、互いに独立して、H又はBから選択され、少なくともR
1又はR
2は、Bであり、
- R
3は、H又はBから選択され、
- R
4は、H、C
1~C
12アルキル又はアリールから選択され、アルデヒド基又はケト基は、酸に不安定な保護基で保護され得、
- Bは、酸に不安定なアミン保護基であり、
- Tは、部分、-C
1~12アルキル-、(-C
2H
4O-)
1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR
9-、-JR
9-C(=O)-、-JR
9-、フェニル、5又は6員ヘテロアリールの、特に-C
1-12アルキル-、(-C
2H
4O-)
1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR
9-、-JR
9-C(=O)-、-JR
9-のうちの少なくとも1つ、特に1~5、より特に1~3を含む直鎖状又は分岐状スペーサーであり、式中、
Jは、CH又はNであり、特にNであり、
特にTは:
-C
1~C
12アルキル-から、特に-C
1~6アルキル-から、より特に-C
1~3アルキル-、-R
5-C(=O)-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-、-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’C(=O)-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-、-R
5-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-R
6-、-R
5-C(=O)-O-R
6-、-C(=O)-O-R
6-、-R
5-フェニル-R
6-、-R
5-フェニル-、-フェニル-R
6-、-フェニル-、-R
5-ピロリル、-R
5-ピラゾイル、-R
5-イミダゾイル、R
5-ピペラジニル-、-R
5-ピリジニル、-R
5-ピリミジニル、-R
5-ピラジニル、-R
5-ピリダジニル、-R
5-ピロリル-R
6-、-R
5-ピラゾイル-R
6-、-R
5-イミダゾイル-R
6-、-R
5-ピペラジニル-R
6-、-R
5-ピリジニル-R
6-、-R
5-ピリミジニル-R
6-、-R
5-ピラジニル-R
6-、-R
5-ピリダジニル-R
6-、ピロリル-R
6-、ピラゾイル-R
6-、イミダゾイル-R
6-ピパラジニル-R
6-、ピリジニル-R
6-、ピリミジニル-R
6-、ピラジニル-R
6-、ピリダジニル-R
6-、ピロイル(pyrroyl)、ピラゾイル、イミダゾイル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニル、
から選択されるスペーサーであり、式中、
R
5、R
5’及びR
6は、互いに独立して、C
1~C
12アルキル又は(-C
2H
4O-)
1~12から、特にC
1~C
6アルキルから、特にC
1~C
3アルキルから選択され、かつ、式中、
R
9及びR
9’は、互いに独立して、H、C
1~4アルキル、-C
1~6アルキル-NH
2、-C
1~6アルキル-NHB、-C
1~6アルキル-NB
2、-R
15、-C
1~6アルキル-R
15、-C
1~6アルキル-NH-R
15から、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
9は、Hであり、式中、
Bは、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基であり、
R
15は、アルデヒド部分と反応することができるブロッキング剤であり、特にR
15は、システイニル、スレオニニル、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから、特にシステイニル及びN-メチルヒドロキシルアミンから、より特にシステイニルから選択され、式中、
ブロッキング剤のアミン部分及び/又はチオール部分は、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基Bによって、特にBoc、及び/又は酸に不安定なチオール保護基によって、特にトリチルによって保護され得、
- bは、0又は1であり、特に1であり、
- Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化2】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から、特に-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル-、ピリミジニルから、より特に-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH
3)-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子求引性部分であり、式中、
R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11はHであり、
R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12はメチルであり、
pは、0、1又は2であり、特に0又は1であり、
- aは0又は1であり、aとbとの合計は、1又は2であり、
- Uは、フェニル又は5員若しくは6員のヘテロアリール部分であり、特にフェニル又は6員のヘテロアリール部分であり、より特にフェニルであり、これは部分V、W
q及びE
nの少なくとも1つに結合され、かつC
1~6アルキルによって、特にC
1~3アルキルによって任意に置換され得、式中、
Vは上記のとおり定義され、
Wは、-N
3、-NO
2、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-O-CH
2-N
3、-O-C(=O)-O-CH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-R
8、
【化3】
から、特に-N
3、-N=N-R
8、-O-CH
2-N
3、-S-S-R
8から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C
1~C
6アルキル又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、特にピリジル又は-C
1~C
6アルキルであり、pは、1、2、3又は4であり、
Eは、酸性条件下で電子吸引基であり、
nは0~4の間の整数であり、特に0~2の間、より特に0又は1の整数であり、かつqは0~4の間の整数であり、特に0~2の間、より特に0及び1の整数であり、nとqとの合計は、4以下であり、式中、
Uがフェニル部分であり、かつYが-(CH
2)
m-O-C(=O)-である場合、酸性条件下でのV、W、Eのハメット定数の合計が0.45より大きく、かつ
式中、
Wは、Yに対してオルト位又はパラ位にあり、
- Yは、-(CH
2)
m-C(=O)-又は-(CH
2)
m-O-C(=O)-であり、mは1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1であり、
- Zは、電子吸引性脱離基である。
【0015】
特定の実施形態では、
- Xは、式2、2a、3、3a又は4の、特に式2、2a、3又は3aの、より特に式2又は2aの部分から選択され、
【化4】
式中、
- 各R
1及びR
2は、互いに独立して、H又はBから選択され、少なくともR
1又はR
2は、Bであり、
- R
3は、H又はBから選択され、
- R
4は、H、C
1~C
12アルキル又はアリールから選択され、アルデヒド基又はケト基は、酸に不安定な保護基で保護され得、
- Bは、酸に不安定なアミン保護基であり、
- Tは、部分、-C
1~12アルキル-、(-C
2H
4O-)
1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR
9-、-JR
9-C(=O)-、-JR
9-のうちの少なくとも1つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、
Jは、C又はNであり、特にNであり、
特にTは:
-C
1~C
12アルキル-から、特にC
1~6アルキルから、より特にC
1~3アルキル、-R
5-C(=O)-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-、-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’C(=O)-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-、-R
5-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-R
6-、-R
5-C(=O)-O-R
6-、-C(=O)-O-R
6-、-R
5-フェニル-R
6-、-R
5-フェニル-、-フェニル-R
6-、-フェニル-、
から選択されるスペーサーであり、式中、
R
5、R
5’及びR
6は、互いに独立して、C
1~C
12アルキル又は(-C
2H
4O-)
1~12から、特にC
1~C
6アルキルから、特にC
1~C
3アルキルから選択され、かつ、
R
9及びR
9’は、互いに独立して、H、C
1~4アルキル、-C
1~6アルキル-NH
2、-C
1~6アルキル-NHB、-C
1~6アルキル-NB
2、-R
15、-C
1~6アルキル-R
15、-C
1~6アルキル-NH-R
15から、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
9は、Hであり、式中、
Bは、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基であり、
R
15は、アルデヒド部分と反応することができるブロッキング剤であり、特にR
15は、システイニル、スレオニニル、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから、特にシステイニル及びN-メチルヒドロキシルアミンから、より特にシステイニルから選択され、式中、
ブロッキング剤のアミン部分及び/又はチオール部分は、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基Bによって、特にBoc、及び/又は酸に不安定なチオール保護基によって、特にトリチルによって保護され得、
- bは、0又は1であり、特に1であり、
- Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化5】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から、特に、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから、より特に-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH
3)-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子吸引性部分であり、式中、
R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11はHであり、
R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12はメチルであり、
- aは0又は1であり、aとbとの合計は、1又は2であり、
- Uは、フェニル又は5員若しくは6員のヘテロアリール部分であり、特にフェニル又は6員のヘテロアリール部分であり、より特にフェニルであり、これは部分V、W
q及びE
nの少なくとも1つに結合し、かつC
1~6アルキルによって、特にC
1~3アルキルによって任意に置換され得、式中、
Vは上記のとおり定義され、
Wは、-N
3、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-O-CH
2-N
3、-O-C(=O)-O-CH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-R
8、
【化6】
から、特に-N
3、-N=N-R
8、-O-CH
2-N
3、-S-S-R
8から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C
1~C
6アルキル又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、特に、ピリジル又は-C
1~C
6アルキルであり、pは、1、2、3又は4であり、
Eは、酸性条件下で電子吸引基であり、
nは、0~4の間、特に0~2の間の整数であり、より特に0又は1の整数であり、かつqは、0~4の間の、特に0~2の間の整数であり、より特に0及び1の整数であり、nとqとの合計は、4以下であり、式中、
Uがフェニル部分であり、かつYが-(CH
2)
m-O-C(=O)-である場合、酸性条件下でのV、W、Eのハメット定数の合計が0.45より大きく、
- Yは、-(CH
2)
m-C(=O)-又は-(CH
2)
m-O-C(=O)-であり、mは、1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1であり、
- Zは、電子吸引性脱離基である。
【0016】
特定の実施形態では、
- Xは、式2、2a、3、3a又は4の、特に式2、2a、3又は3aの、より特に式2又は2aの部分から選択され、
【化7】
式中、
- 各R
1及びR
2は、互いに独立して、H又はBから選択され、少なくともR
1又はR
2は、Bであり、
- R
3は、H又はBから選択され、
- R
4は、H、C
1~C
12アルキル又はアリールから選択され、アルデヒド基又はケト基は、酸に不安定な保護基によって保護され得、
- Bは、酸に不安定なアミン保護基であり、
- Tは:
-C
1~C
12アルキル-から、特にC
1~6アルキルから、より特にC
1~3アルキル、-R
5-C(=O)-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-、-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-R
5’-NR
9’C(=O)-R
6-、-R
5-C(=O)-NR
9-R
5’-NR
9’-C(=O)-R
6-、-R
5-C(=O)-O-R
6-、-C(=O)-O-R
6-、-R
5-フェニル-R
6-、-R
5-フェニル-、-フェニル-R
6-、-フェニル-、
から選択されるスペーサーであり、式中、
R
5、R
5’及びR
6は、互いに独立して、C
1~C
12アルキルから、特にC
1~C
6アルキルから、特にC
1~C
3アルキルから選択され、R
9及びR
9’は、互いに独立して、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
9は、Hであり、
- bは、0又は1であり、特に1であり、
- Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化8】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から、特に、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、S(=O)-、-NR
12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから、より特に-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH
3)-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子吸引性部分であり、式中、
R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11は、Hであり、
R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12は、メチルであり、
- aは、0又は1であり、aとbとの合計は、1又は2であり、
- Uは、フェニル又は5員若しくは6員のヘテロアリール部分であり、特にフェニル又は6員のヘテロアリール部分であり、より特にフェニルであり、これは部分V、W
q及びE
nの少なくとも1つに結合し、かつC
1~6アルキルによって、特にC
1~3アルキルによって任意に置換され得、式中、
Vは、上記のとおり定義され、
Wは、-N
3、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-O-CH
2-N
3、-O-C(=O)-O-CH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-R
8、
【化9】
から、特に、-N
3、-N=N-R
8、-O-CH
2-N
3、-S-S-R
8から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C
1~C
6アルキル又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、特に、ピリジル又は-C
1~C
6アルキルであり、pは、1、2、3又は4であり、
Eは、酸性条件下で電子吸引基であり、
nは0~4の間の、特に0~2の間の整数であり、より特に0又は1の整数であり、かつqは0~4の間の、特に0~2の間の整数である、より特に0及び1の整数であり、nとqとの合計は4以下であり、かつ式中、
Uがフェニル部分であり、かつYが-(CH
2)
m-O-C(=O)-である場合、酸性条件下でのV、W、Eのハメット定数の合計が0.45より大きく、かつ式中、
特に、WはYに対してオルト位又はパラ位にあり、
- Yは、-(CH
2)
m-C(=O)-又は-(CH
2)
m-O-C(=O)-であり、mは、1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1であり、
- Zは、電子吸引性脱離基である。
【0017】
特定の実施形態では、
- Xは、式2、2a、3、3a又は4の、特に、式2、2a、3又は3aの、より特に、式2又は2aの、最も特に式2の部分から選択され、
【化10】
式中、
- 各R
1及びR
2は、互いに独立して、H又はBから選択され、少なくともR
1又はR
2は、Bであり、
- R
3は、H又はBから選択され、
- R
4は、H、C
1~C
12アルキル又はアリールから選択され、アルデヒド基又はケト基は、酸に不安定な保護基で保護され得、
- Bは、酸に不安定なアミン保護基であり、
- Tは:
-C
1~C
12アルキル-から、特にC
1~6アルキルから、より特にC
1~3アルキル、-R
5-C(=O)-NR
9-R
6-、-C(=O)-NR
9-R
6-、-R
5-NR
9-R
5-NR
9C(=O)-R
6-、-R
5-NR
9-C(=O)-R
6-、-R
5-C(=O)-O-R
6-、-C(=O)-O-R
6-、-R
5-フェニル-R
6-、-R
5-フェニル-、-フェニル-R
6-、-フェニル-、
から選択されるスペーサーであり、式中、
R
5及びR
6は、互いに独立して、C
1~C
12アルキルから、特にC
1~C
6アルキルから、特にC
1~C
3アルキルから選択され、R
9は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
9は、Hであり、
- bは、0又は1であり、特に1であり、
- Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C(=O)-、-C(=O)-O-から、特に-NR
11-C(=O)-、S(=O)-、-NR
12-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子吸引性部分であり、式中、
R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11は、Hであり、
R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12は、メチルであり、
- aは0又は1であり、aとbとの合計は、1又は2であり、
- Uは、フェニル又は5員若しくは6員のヘテロアリール部分であり、特にフェニル又は6員のヘテロアリール部分であり、これは、部分V、W及びEのうちの少なくとも1つに結合しており、式中、
Vは、上記のとおり定義され、
Wは、-N
3、-S(=O)-R
8、-SSR
8、-OCH
2N
3、-OC(=O)OCH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-ピリジン、
【化11】
から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C
1~C
6アルキル、又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、pは、1、2、3又は4であり、
Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO
2、-N
3、-CF
3、-SO
3H、-CO
2H、-C(=O)NH
2、-SO
2Me、-SOMe、-SO
2Et、-SOEtから、特に、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO
2、-N
3、-CF
3、-SO
3H、-CO
2Hから選択され、
R
13は、-F、-Cl、-Br、-I、-PF
6から選択され、かつ式中、
Uがフェニル部分であり、かつYが-(CH
2)
m-O-C(=O)-である場合、酸性条件下でのV、W、Eのハメット定数の合計が0.45より大きく、かつ式中、
特に、Wは、Yに対してオルト位又はパラ位にあり、
- Yは、-(CH
2)
m-C(=O)-又は-(CH
2)
m-O-C(=O)-であり、mは、1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1であり、
- Zは、電子吸引性脱離基である。
【0018】
式1のリンカー分子は、固相ペプチド合成(SPPS)後のペプチドの精製に適している。
【0019】
リンカー分子を使用してSPPS後にペプチドを精製する一般的なアプローチは、最後のカップリングのステップでリンカー分子をペプチドのN末端にカップリングさせるアプローチである。このカップリングのステップでは、ペプチドのN末端がリンカー分子を求核攻撃して、このリンカーの部分Yと共有結合性カルバメート結合又はアミド結合を形成する一方で、電子吸引性の脱離基Zが放出される。その後、TFAを加えることによってペプチドリンカー構築物が合成樹脂から切断される。
【0020】
本発明によるリンカーは、例えばTFAを使用することによってペプチドリンカー構築物が切断される場合に酸性条件下で安定している。
【0021】
リンカーの部分Xは、精製時に使用される樹脂などの官能化固相にカップリングされ得る。部分Xは、アルデヒド、ケトン、アミノオキシ、ヒドラジンなどの官能化固相の適切な部分と反応することで、ヒドラゾン結合又はオキシム結合を形成し得る。
【0022】
部分Tは、一般的に適用される精製条件で非反応性のスペーサーを表す。
【0023】
部分Tは、部分Uに直接結合している、又は部分Vを介して結合している。
【0024】
部分Uは、酸性条件下、特にTFA>50%、水の存在下、pH<0でのリンカー分子の安定性に寄与する。これは、電子吸引性部分E、W、Vの少なくとも1つに結合している複素環部分又はフェニル部分を使用することのいずれかによって達成される。
【0025】
電子吸引部分(E、W、V)がフェニル部分に結合される場合、ペプチドに結合したリンカー分子のベンジル位は電子密度が低くなるため、酸触媒による分解の影響を受けにくくなる。酸性条件下での本発明のリンカー分子の十分な安定性のために、電子吸引の特定の閾値が満たされる必要がある。この閾値は、0.45より大きい酸性条件下でのV、W、Eのハメット定数(σm及びσp)の合計として表される。Hammett定数はHansch and Taft(1991)、Chem.Rev.91:165-195に従って計算される。正のハメット定数は、置換基がフェニル部分に電子吸引効果を発揮する能力を反映し、負の値は、置換基が電子供与効果を発揮することを示している。
【0026】
ハメット定数は、メタ位(σm)及びパラ位(σp)の安息香酸誘導体のフェニルのコアの置換基について経験的に決定された定数であり、異なる酸性度(pKa)をもたらす。本発明の文脈において、この位置は、部分Yの結合に関連して決定される。オルト位の置換基については、パラ位のハメット値は良好な近似であり、したがって、本発明の文脈において置換基V、W、及びEのハメット値の合計を計算するために使用される。
【0027】
留意すべきことに、ハメット定数は、酸性条件下で置換基V、W、及びEについて計算される。例えば、中性pHのアミン部分は、ハメット定数がσm=-0.16及びσp=-0.66であり、したがって電子を押し出す置換基により特徴付けられる。酸性条件下では、アミン部分がプロトン化される。プロトン化アミンについては、ハメット定数はσm=+0.86及びσp=+0.60であり、プロトン化アミンが電子吸引性置換基であることを示し、これはまた、U上の置換基として直接であれ、又はUのπ共役であれ、プロトン化形態におけるUから共役π系を介して電子を吸引することができる芳香族アミンも含む。
【0028】
0.45より大きいハメット定数の合計の閾値は、Uがフェニル部分であり、かつYが-(CH2)m-O-C(=O)-であり、m=1である場合に適用され、これは、-O-C(=O)-がベンジル位に良好な脱離を含み、酸触媒による分解を促進するためである。したがって、芳香環の電子密度は、Yのベンジル位のカチオンの安定化を防ぐのに十分に低い必要がある。
【0029】
【0030】
部分Yが-(CH2)m-C(=O)-の場合、-C(=O)-はベンジル位における良好な脱離基ではないため、この閾値は必要ではない。
【0031】
複素環式部分Uを含む酸性条件下でのリンカー分子の安定性のために、特定の部分V、W及びEを選択するためのそのような余剰の閾値は必要ではない。複素環式部分自体はフェニル部分と比較して電子不足であるため、酸性条件下でのリンカー分子の安定性には、V、W、及びEの任意の組み合わせで十分であるようである。特に、Uが窒素含有複素環である場合、ペプチドの酸性放出中に窒素がプロトン化され、Uの芳香族系の電子密度が特に低くなる。したがって、ベンジルカチオンを安定化することができない。
【0032】
酸性条件下でのリンカー分子の安定性を媒介することは別として、部分V、W及びEは、ペプチドの放出メカニズムに関して重要である。さらに、それらは酸性条件下でのリンカー分子の溶解性に寄与することができる。
【0033】
部分Wは、リンカーの崩壊、したがってペプチドの放出を引き起こす還元可能な置換基である。還元部分Wを含むリンカーは、還元中間体とも呼ばれる。安定したリンカー分子とは対照的に、還元中間体は不安定である。還元中間体の不安定性は、pHに依存する。部分Wがプロトン化可能である場合(例えば、ピリジル)、それはまた、酸性条件下でのリンカー分子の溶解性にも寄与する。
【0034】
部分Eは電子求引性置換基であり、これは酸性条件下で電子求引性効果を示す。例えば、酸性条件下で正のハメット定数を有する部分は、特にpH3~6、より特にpH4.5にて、電子吸引性である。部分Eがプロトン化可能である場合、それは酸性条件下でのリンカー分子の溶解性にも寄与する。
【0035】
部分Eに加えて、又は代替的に、部分Vは、酸性条件下で電子吸引効果を示し得る。また、部分Vは、酸性条件下でのリンカーの安定性及び溶解性に寄与し得る。
【0036】
本発明によるリンカー分子は、アミンスイッチメカニズム(
図5、6及び7を参照)又はカルバメートスイッチメカニズム(
図8を参照)を介してペプチドを放出し得る。
【0037】
部分Yは、-C(=O)-部分又は-O-C(=O)-部分のいずれかである。リンカー分子がカップリングすると、アミド(-C(=O)-NH-)部分又はカルバメート(-O-C(=O)-NH-)部分がリンカー分子とペプチドのN末端との間に形成される。精製後、このペプチドは1.4又は1.6の脱離又は求核攻撃のいずれかによる還元条件下でのリンカー分子から、よって精製媒体から放出される。この還元刺激はWを還元型に変換し、電子供与基及び求核試薬として機能するようになり、よってペプチドの放出が可能になる。
【0038】
特定の実施形態では、Xは、式2又は3の部分から選択される。
【0039】
特定の実施形態では、Xは、式2の部分から選択される。
【0040】
ヒドラゾン又はオキシム結合の形成による部分Xの官能化固相へのカップリングに必要な反応時間は、式4の部分を有するリンカーを使用する場合は長く、式2又は3の部分を有するリンカーを使用する場合は短くなる。固体支持体のアルデヒド又はケトン部分と、式3の部分Xとの間のヒドラゾン結合の形成は可逆的である。この可逆性により、発明者は、精製中の各洗浄ステップ後にペプチド材料の最大約10%の損失を観察した。これとは対照的に、式2の部分を有するリンカーを使用した場合、ペプチド材料の損失はほとんど観察されなかった。
【0041】
特定の実施形態では、UはC1~6アルキルで置換されている。
【0042】
特定の実施形態では、UはC1~3アルキルで置換されている。
【0043】
特定の実施形態では、Uはメチルで置換されている。
【0044】
Uが1つ以上のアルキル部分でさらに置換されている場合は、アルキル部分のハメット値が考慮される。Uがさらにフェニル部分又はヘテロ原子で置換されている場合には、V、W、E及び任意にアルキル置換基のハメット値の合計が0.45より大きい。特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-N(C2H4)2NH2、-N(C2H4)2N-B、-N=N-フェニル、-N=N-R8、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2H、-C(=O)NH2、-SO2Me、-SOMe、-SO2Et、-SOEtから選択され、
R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C1~C6アルキル又は-(CH2)p-NMe2であり、特にピリジル又は-C1~C6アルキルであり、pは1、2、3又は4であり、かつ
Bは、本明細書で定義されるとおり酸に不安定なアミン保護基であり、特に-C(=O)OtBu(Boc)又はC(=O)CPh3であり、かつ
rは、0、1、2、3又は4であり、特に0、1又は2である。
【0045】
特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-、-N=N-フェニル、-N=N-R8、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2Hから選択され、rは、0、1、2、3又は4であり、特に0、1又は2である。
【0046】
特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル-NH-C1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2-、-N=N-ピリジニル又は-Brから選択される。
【0047】
特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル-NH-C1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2-、又は-Brから選択される。
【0048】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル-NH-C1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2-、又は-Brから選択される。
【0049】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-N=N-フェニル、-N=N-R8、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2H、-C(=O)NH2、-SO2Me、-SOMe、-SO2Et、-SOEtから選択され、R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C1~C6アルキル又は-(CH2)p-NMe2であり、特にピリジル又は-C1~C6アルキルであり、pは1、2、3又は4である。
【0050】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-N=N-フェニル、-N=N-R8、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2Hから選択され、R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C1~C6アルキル又は-(CH2)p-NMe2であり、特にピリジル又は-C1~C6アルキルであり、pは1、2、3又は4である。
【0051】
特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6-アルキル)2-から選択され、特に-(CH2)r-NH-C1~3-アルキル、-(CH2)r-N(C1~3アルキル)2-、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2H、-C(=O)NH2、-SO2Me、-SOMe、-SO2Et、-SOEtから選択され、rは0、1又は2であり、特に0である。
【0052】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2H、-C(=O)NH2、-SO2Me、-SOMe、-SO2Et、-SOEtから選択される。
【0053】
特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-から選択され、特に-(CH2)r-NH-C1~3アルキル、-(CH2)r-N(C1~3アルキル)2-、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2Hから選択される。
【0054】
特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2Hから選択され、rは、0、1又は2であり、特に0である。
【0055】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-F、-Cl、-Br、-I、-CN、-NO2、-N3、-CF3、-SO3H、-CO2Hから選択される。
【0056】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、-NH-C1~6アルキル、-N(C1~6アルキル)2-、特に-NH-C1-3アルキル、-N(C1-3アルキル)2-、又は-Brから選択される。
【0057】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル又は-Brから選択される。
【0058】
特定の実施形態では、nは、0、1又は2である。
【0059】
特定の実施形態では、Eは、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルから選択され、かつnは1である、又はEは-Brであり、かつnは1又は2である。
【0060】
アミンスイッチを介するペプチド放出(
図5、
図6、
図7)には、プロトン化することができる塩基性窒素を必要とする。そのような塩基性窒素は、部分Eによって提供され得る。
【0061】
特定の実施形態では、Eは、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-から選択され、特に-(CH2)r-NH-C1~3アルキル、-(CH2)r-N(C1~3アルキル)2-、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル及びピリダジニルから選択され、rは0、1又は2であり、特に0であり、ここで特にnは、1である。
【0062】
特定の実施形態では、Eは、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-から選択され、特に-(CH2)r-NH-C1~3アルキル、-(CH2)r-N(C1~3アルキル)2-、ピリジル、ピリミジニル及びピリダジニルから選択され、rは0、1又は2であり、特に0であり、かつnは1である。
【0063】
特に、カルバメートスイッチ(
図8)によってペプチドを放出するリンカー分子は、部分Wの還元に用いられる還元剤によって還元されない電子吸引部分を含む。カルバメートスイッチに適した置換基Eは、ハロゲン又はニトロ置換基などの非プロトン性であり得る。また、0未満である対応する酸のpKaによって特徴付けられる置換基もまた、カルバメートスイッチに適した置換基Eである。
【0064】
特定の実施形態では、Eは、-F、-Cl、-Br、-I、-NO2、-CF3、-CN、-NC、BF2、-PF4、-OCF3、-SOCF3、-SOR8、-SO2R8である。
【0065】
特定の実施形態では、Eは、-Brである。
【0066】
特定の実施形態では、Eは-Brであり、nは1又は2である。
【0067】
例えば疎水性ペプチドの精製のために、酸性条件下でのリンカーの溶解性を高める必要がある場合、Eはプロトン化可能な部分から選択され得る。特定の実施形態では、Eは、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-N(C2H4)2NH2、-N(C2H4)2N-B、-N=N-R8、-(CH2)r-NH-C1~6アルキル、-(CH2)r-N(C1~6アルキル)2-、-SO3H、-CO2H、-C(=O)NH2、-SO2Me、-SOMe、-SO2Et、-SOEtから選択され、R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-(CH2)p-NMe2から選択され、ここでpは1、2、3又は4であり、特に1又は2である。
【0068】
特定の実施形態では、Bは、
- Boc(-C(=O)OtBu)、Eei(=CMeOEt、1-エトキシエチリデン)、トリチル(-C(Ph)
3)、-C(=O)CPh
3、Mmt(-C(Ph)
2C
6H
4OMe)、DMT(-C(Ph)(C
6H
4OMe)
2)、Cbz(-C(=O)OCH
2Ph)、ベンジリデンアミン(=CPh)、フタリミド(=(CO)
2C
6H
4)、p-トルエンスルホンアミド(-SO
2C
6H
4Me)、ベンジルアミン(-CH
2Ph)、アセトアミド(-COMe)、トリフルオロアセトアミド(-COCF
3)、Dde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシ-1-イリデン)-3-エチル)、及び1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)から選択され、特にBは、Boc又はEeiであり、ここでより特にBは、Bocである、又は
- 以下から選択されるアセタール又はケタールの保護基から選択され、
【化12】
式中、rは0~12であり、特に0~6、より特に0、1又は2であり、かつR
10は、-C
1~C
12アルキル-であり、特にC
1~6アルキル、より特にC
1~3アルキルである。
【0069】
特定の実施形態では、Bは
- Boc(-C(=O)OtBu)、Eei(=CMeOEt,1-エトキシエチリデン)、トリチル(-C(Ph)
3)、Mmt(-C(Ph)
2C
6H
4OMe)、DMT(-C(Ph)(C
6H
4OMe)
2)、Cbz(-C(=O)OCH
2Ph)、ベンジリデンアミン(=CPh)、フタリミド(=(CO)
2C
6H
4)、p-トルエンスルホンアミド(-SO
2C
6H
4Me)、ベンジルアミン(-CH
2Ph)、アセトアミド(-COMe)、トリフルオロアセトアミド(-COCF
3)、Dde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-エチル)及び1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)特にBはBoc又はEeiであり、より特にBはBocである、又は
- 以下から選択されるアセタール又はケタールの保護基から選択され、
【化13】
式中、rは0~12であり、特に0~6であり、より特に0、1又は2であり、かつ
R
10は、-C
1~C
12アルキル-であり、特にC
1~6アルキルであり、より特にC
1~3アルキルである。
【0070】
特定の実施形態では、Bは、Boc(-C(=O)OtBu)、Eei(=CMeOEt,1-エトキシエチリデン)、トリチル(-C(Ph)3)、Mmt(-C(Ph)2C6H4OMe)、DMT(-C(Ph)(C6H4OMe)2)、Cbz(-C(=O)OCH2Ph)、ベンジリデンアミン(=CPh)、フタリミド(=(CO)2C6H4)、p-トルエンスルホンアミド(-SO2C6H4Me)、ベンジルアミン(-CH2Ph)、アセトアミド(-COMe)、トリフルオロアセトアミド(-COCF3)、Dde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-エチル)及び1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)から選択される。
【0071】
特定の実施形態では、Bは、Boc又はEei(=CMeOEt,1-エトキシエチリデン)である。
【0072】
特定の実施形態では、Bは、Bocである。
【0073】
特定の実施形態では、Bは、以下から選択されるアセタール又はケタールの保護基から選択され、
【化14】
式中、rは0~12であり、特に0~6であり、より特に0、1又は2であり、R
10は、-C
1~C
12アルキル-であり、特にC
1~6アルキルである。
【0074】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、(-C2H4O-)1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR9-、-JR9-C(=O)-、-JR9-、フェニル、5員若しくは6員のヘテロアリールのうちの少なくとも1つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、JはCH又はNであり、特にNであり、式中、R9は、H、C1~4アルキル、-C1~6アルキル-NH2、-C1~6アルキル-NHB、-C1~6アルキル-NB2から、特にH及びC1~2アルキルから独立して選択され、より特にR9は、Hであり、式中、Bは、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基である。
【0075】
特定の実施形態では、Tは、-C1~12アルキル-、(-C2H4O-)1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR9-、-JR9-C(=O)-、-JR9-、フェニル、5員若しくは6員のヘテロアリールから独立して選択される1~5個の部分を含む直鎖状又は分岐状のスペーサー、特に直鎖状のスペーサーである。
【0076】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-、フェニル、ピペラジニル、ピロイル、ピラゾイル、イミダゾイル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニルの少なくとも1つ、特に1~5つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーである。
【0077】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-、フェニル、イミダゾイル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニルの少なくとも1つ、特に1~5つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーである。
【0078】
特定の実施形態では、Tは直鎖状のスペーサーである。
【0079】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、(-C2H4O-)1~12、-C(=O)-、-C(=O)-JR9-、-JR9-C(=O)-、-JR9-の少なくとも1つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、JはC又はNであり、特にNであり、式中、R9は、H、C1~4アルキル、-C1~6アルキル-NH2、-C1~6アルキル-NHB、-C1~6アルキル-NB2から、特にH及びC1~2アルキルから独立して選択され、より特にR9は、Hであり、式中、Bは、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基である。
【0080】
特定の実施形態では、スペーサーTの全長は、0.5~100nmの間である。
【0081】
特定の実施形態では、Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-C(=O)-NR9-、-C(=O)-NR9-R6-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-C(=O)-R6-、-R5-NR9-、-R5-NR9-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-O-R6-、-C(=O)-O-R6-、-R5-フェニル-R6、-R5-フェニル、-フェニル-R6-、-フェニル-、-R5-ピロイル、-R5-ピラゾイル、-R5-イミダゾイル、R5-ピペラジニル-、-R5-ピリジニル、-R5-ピリミジニル、-R5-ピラジニル、-R5-ピリダジニル、-R5-ピロイル-R6-、-R5-ピラゾイル-R6-、-R5-イミダゾイル-R6-、-R5-ピペラジニル-R6-、-R5-ピリジニル-R6-、-R5-ピリミジニル-R6-、-R5-ピラジニル-R6-、-R5-ピリダジニル-R6-、ピロイル-R6-、ピラゾイル-R6-、イミダゾイル-R6-ピパラジニル-R6-、ピリジニル-R6-、ピリミジニル-R6-、ピラジニル-R6-、ピリダジニル-R6-、ピロイル、ピラゾイル、イミダゾイル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニルから選択される。
【0082】
特定の実施形態では、Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-C(=O)-NR9-、-C(=O)-NR9-R6-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-C(=O)-R6-、-R5-NR9-、-R5-NR9-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-O-R6-、-C(=O)-O-R6-、-R5-フェニル-R6-、-R5-フェニル-、-フェニル-R6-、-フェニル-、-R5-イミダゾイル、-R5-イミダゾイル-R6-、イミダゾイル-R6-、イミダゾイルから選択される。
【0083】
特定の実施形態では、Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-C(=O)-NR9-、-C(=O)-NR9-R6-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-C(=O)-R6-、-R5-NR9-、-R5-NR9-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-O-R6-、-C(=O)-O-R6-、-R5-イミダゾイル、-R5-イミダゾイル-R6-、-イミダゾイル-R6-、イミダゾイルから選択される。
【0084】
特定の実施形態では、Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-C(=O)-NR9-、-C(=O)-NR9-R6-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-C(=O)-R6-、-R5-NR9-、-R5-NR9-R6-、-R5-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’-R6-、-R5-C(=O)-O-R6-、-C(=O)-O-R6-から選択される。
【0085】
特定の実施形態では、Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-、-R5-C(=O)-NR9-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R5’-NR9’C(=O)-R6-から選択され、特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-NR9-、-R5-NR9-C(=O)-R6-から、より特にC1~3アルキル又は-R5-C(=O)-NR9-から選択され、R5、R5’、R6、R9’及びR9は上記で定義されるとおりである。
【0086】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-、フェニル、5~6員ヘテロアリールの少なくとも1つ、特に1~5つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、R9は、H、C1~4アルキル、-C1~6アルキル-NH2、-C1~6アルキル-NHB、-C1~6アルキル-NB2、-R15、-C1~6アルキル-R15、-C1~6アルキル-NH-R15から、特にH及びC1~2アルキルから独立して選択され、特にR9はHであり、式中、Bは独立して選択される酸に不安定なアミン保護基であり、式中、
R15は、アルデヒド部分と反応することができるブロッキング剤であり、特にR15は、システイニル、スレオニニル、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから、特にシステイニル及びN-メチルヒドロキシルアミンから、より特にシステイニルから選択され、式中、
ブロッキング剤のアミン部分及び/又はチオール部分は、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基Bによって、特にBoc、及び/又は酸に不安定なチオール保護基によって、特にトリチルによって保護され得る。
【0087】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-、フェニル、ピロイル、ピラゾイル、イミダゾイル、ピペラジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルの少なくとも1つ、特に1~5つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーである。
【0088】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-、フェニル、イミダゾイル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニルの少なくとも1つ、特に1~5つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーである。
【0089】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-の少なくとも1つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、R9は、H、C1~4アルキル、-C1~6アルキル-NH2、-C1~6アルキル-NHB、-C1~6アルキル-NB2、-R15、-C1~6アルキル-R15、-C1~6アルキル-NH-R15から、特にH及びC1~2アルキルから独立して選択され、より特にR9はHであり、式中、Bは独立して選択される酸に不安定なアミン保護基であり、
R15は、アルデヒド部分と反応することができるブロッキング剤であり、特にR15は、システイニル、スレオニニル、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから、特にシステイニル及びN-メチルヒドロキシルアミンから、より特にシステイニルから選択され、ここで、
ブロッキング剤のアミン部分及び/又はチオール部分は、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基Bによって、特にBoc、及び/又は酸に不安定なチオール保護基によって、特にトリチルによって保護され得る。
【0090】
上記のとおり、スペーサーTは、酸性条件下での保護基の除去を除いて、一般的に適用される精製条件では全般的に非反応性である。スペーサーTは、リンカー分子の溶解性を増強し得る。特に、R9にて保護又は非保護のアミン部分を含む分岐状スペーサーは、溶解性の増強に寄与する。酸性条件下では、アミン保護基Bが除去され、アミンがプロトン化される。
【0091】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-の少なくとも1つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、R9は、H、C1~4アルキル、-C1~6アルキル-NH2、-C1~6アルキル-NHB、-C1~6アルキル-NB2から、特に、H及びC1~2アルキルから独立して選択され、より特にR9はHであり、式中、Bは独立して選択される酸に不安定なアミン保護基である。
【0092】
スペーサーTはまた、ブロッキング機能を含み得る。特に、分岐状スペーサーは、アルデヒド部分に結合するのに適したブロッキング剤を含み得る。ペプチド精製に使用される固相がアルデヒド部分を含む場合(例えばアガロースビーズ)、リンカー化合物の部分Xは、例えばオキシム結合の形成によって固相に共有結合することができる。未反応のアルデヒド部分は、その後の精製時に不要な副反応を引き起こし得る。このような副反応を防ぐために、固相の非反応アルデヒド部分をスペーサーのブロッキング機能、例えばシステイニル部分によってブロックすることができる。
【0093】
特定の実施形態では、Tは、部分-C1~12アルキル-、-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR9-C(=O)-、-NR9-の少なくとも1つを含む直鎖状又は分岐状のスペーサーであり、式中、R9は、H、C1~4アルキル、-R15、-C1~6アルキル-R15、-C1~6アルキル-NH-R15から、特にH及びC1~2アルキルから独立して選択され、より特にR9はHであり、式中、Bは独立して選択される酸に不安定なアミン保護基であり、
R15は、アルデヒド部分と反応することができるブロッキング剤であり、特にR15は、システイニル、スレオニニル、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから、特にシステイニル及びN-メチルヒドロキシルアミンから、より特にシステイニルから選択され、ここで、
ブロッキング剤のアミン部分及び/又はチオール部分は、独立して選択される酸に不安定なアミン保護基Bによって、特にBoc、及び/又は酸に不安定なチオール保護基、特にトリチルによって保護され得る。
【0094】
特定の実施形態では、Tは、-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-C(=O)-NR9-R6-、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-O-R6-、-C(=O)-O-R6-、-R5-NR9-R5-NR9C(=O)-R6-から、特に-C1~C12アルキル-から、特にC1~6アルキルから、より特にC1~3アルキル、-R5-NR9-C(=O)-R6-、-R5-C(=O)-NR9-R6-、-R5-NR9-R5-NR9C(=O)-R6-、最も特に-R5-NR9-C(=O)-R6-から選択され、R5、R6及びR9は上記で定義したとおりである。
【0095】
上記のとおり、部分U、V、W、Eは、酸性条件下でリンカーの安定性に寄与する。例えば、アミン又はピリジンなどの複素環を含む部分U又はVを含むリンカーは、アミン又は複素環がプロトン化されるため、酸性条件下、特にTFA>50%、水の存在下pH<0で安定である。さらに、プロトン化リンカーは、リンカー-ペプチド複合体の溶解性を向上させる。pHがリンカーのpKaより高い場合、最後のステップのとおり、所望のペプチドの放出の際にリンカーが急速に分解するであろう。
【0096】
特定の実施形態では、Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化15】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から選択される電子吸引性部分であり、式中、
R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11はHであり、
R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12はメチルであり、
pは0、1又は2であり、特に0又は1である。
【0097】
特定の実施形態では、Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化16】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から選択される電子吸引性部分であり、式中、ピリジニル部分は、3位にてUに接続される。
【0098】
特定の実施形態では、Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-S(=O)-、-NR12-(CH2)p-、-ピペラジニル-(CH2)p-から選択される。
【0099】
特定の実施形態では、Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-NR12-(CH2)p-、-ピペラジニル-(CH2)p-から選択される。
【0100】
特定の実施形態では、Vは、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH3)-、-NH-、-ピペラジニル-(CH2)p-から選択される。
【0101】
特定の実施形態では、Vは、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH3)-、-ピペラジニル-(CH2)p-から選択される。
【0102】
特定の実施形態では、Vは、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-N-(CH3)-、-ピペラジニル-(CH2)p-から選択され、pは、0又は1である。
【0103】
特定の実施形態では、Vは、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-及び-ピペラジニル-(CH2)p-から選択され、pは、0又は1であり、特にpは0である。
【0104】
特に、カルバメートスイッチを介してペプチドを放出するリンカー分子(
図8)は、塩基性窒素原子を含んでおらず、そのような原子は対応する酸のpKaが2未満である。特定の実施形態では、Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-及び-S(=O)-から、特に-NH-C(=O)-及び-C(O=)-NH-から選択され、より特にVは、-NH-C(=O)-である。
【0105】
Vは、-NR
11-C(=O)-、-C(=O)-NR
11-、-S(=O)-、-NR
12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化17】
、
-C(=O)-、-C(=O)-O-から選択される電子吸引性部分であり、式中、R
11は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
11はHであり、R
12は、H及びC
1~4アルキルから、特にH及びC
1~2アルキルから選択され、より特にR
12はメチルである。
【0106】
Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-S(=O)-、-NR12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、-C(=O)-、-C(=O)-O-から選択される電子吸引性部分であり、式中、R11は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR11はHであり、R12は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR12はメチルである。
【0107】
Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-S(=O)-、-NR12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子吸引性部分であり、式中、R11は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR11はHであり、R12は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR12はメチルである。
【0108】
Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-NR12-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子吸引性部分であり、式中、R11は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR11は、Hであり、R12は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR12はメチルである。
【0109】
Vは、-NH-C(=O)-、-C(=O)-HN-、-N-(CH3)-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルから選択される電子吸引性部分である。
【0110】
Vは、-NH-C(=O)-、-C(=O)-HN-、-N-(CH3)-、-ピペラジニル-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される電子吸引性部分である。
【0111】
特定の実施形態では、Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-S(=O)-、-NR12-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C(=O)-、-C(=O)-O-から選択される電子吸引性部分である。
【0112】
特定の実施形態では、Vは、-NR11-C(=O)-、-C(=O)-NR11-、-S(=O)-、-NR12-及び-ピリジニル-、ピリミジニルから選択され、式中、R11は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR11はHであり、かつR12は、H及びC1~4アルキルから、特にH及びC1~2アルキルから選択され、より特にR12はメチルである。
【0113】
特定の実施形態では、Vは、-NR11-C(=O)-、S(=O)-、-NR12-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択され、式中、R11は、H及びC1~4アルキルから選択され、かつR12は、H及びC1~4アルキルから選択される。
【0114】
特定の実施形態では、Vは、-NR11-C(=O)-、S(=O)-、-NR12-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択され、式中、R11は、H及びC1~2アルキルから選択され、かつR12は、H及びC1~2アルキルから選択される。
【0115】
特定の実施形態では、Vは、-NH-C(=O)-、-N-(CH3)-、-ピリジニル-、ピリミジニルから選択される。
【0116】
特に、アミンスイッチを介してペプチドを放出するリンカー分子は、塩基性窒素原子を必要とする。塩基性窒素原子は、部分V、E又はU(U=ヘテロアリール)を介して提供され得る。Uがフェニルである場合、塩基性窒素原子は、部分V又はEを介して提供され得る。
【0117】
特定の実施形態では、E及びVは上記のとおり選択され、Uがフェニルである場合には、少なくとも1つの部分E又はVは以下から選択される:
- E:ピペリジニル、ピペラジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-N(C
2H
4)
2NH
2、-N(C
2H
4)
2N-B、-N=N-R
8、-(CH
2)
r-NH-C
1~6アルキル、-(CH
2)
r-N(C
1~6アルキル)
2-、-N
3、-SO
3H、-CO
2H、-C(=O)NH
2、-SO
2Me、-SOMe、-SO
2Et、-SOEtであって、R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-(CH
2)
p-NMe
2から選択され、p及びBは、本明細書に記載されるとおり定義されている、及び
- V:-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、
【化18】
であって、特に-NR
12-(CH
2)
p-、-ピペラジニル-(CH
2)
p-、-ピリジニル、ピリミジニルであり、R
12及びpは本明細書に記載されてとおり定義される。
【0118】
上記のとおり、Wは、還元可能な部分である。Wの還元時に、還元中間体はpH依存的様式においてさらに分解し、遊離N末端を有するペプチドを放出する。
【0119】
特定の実施形態では、Wは、-N
3、-NO
2、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-O-CH
2-N
3、-O-C(=O)-O-CH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-R
8、
【化19】
から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C
1~C
6アルキル又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、特にピリジル又は-C
1~C
6アルキルであり、pは1、2、3又は4である。C
1~6アルキルは直鎖状又は分岐状であり得、例えばブチル又はtert-ブチルであり得る。
【0120】
特定の実施形態では、Wは、-N
3、-NO
2、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-O-CH
2-N
3、-O-C(=O)-O-CH
2-N
3、-N=N-フェニル、-N=N-R
8、
【化20】
から選択される。
【0121】
特定の実施形態では、Wは、-N3、-S(=O)-R8、-S-S-R8、-O-CH2-N3、-N=N-R8から、特に-N3、-N=N-R8、-O-CH2-N3、-S-S-R8から選択され、式中、R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C1~C6アルキル、又は-(CH2)p-NMe2であり、特にピリジル又は-C1~C6アルキルであり、pは1、2、3又は4である。
【0122】
特定の実施形態では、Wは、-N3、-S(=O)-R8、-S-S-R8、-O-CH2-N3、-N=N-R8から、特に-N3、-N=N-R8、-O-CH2-N3、-S-S-R8から選択され、式中、R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-C1~C6アルキル、又は-(CH2)p-NMe2であり、特にピリジル又は-C1~C6アルキルであり、pは1、2、3又は4である。
【0123】
R8がC1~6アルキルである場合、アルキル部分は直鎖状又は分岐状であり得、例えばtert-ブチルであり得る。特にWが-S-S-R8である場合、R8は、ピリジル又は-C1~C4アルキルであり得、特にピリジル又はtert-ブチルであり得る。
【0124】
部分W=-S-S-R8を含むリンカーは、チオールを用いて切断され得る。したがって、酸性条件下(例えば、TFA>50%、水の存在下pH<0)でSPPSの際に使用される合成樹脂からのペプチド-リンカー複合体の切断は、このようなリンカーがペプチドの精製に使用される場合、チオールなしで行うことができる。
【0125】
特定の実施形態では、Wは、-N3、-S(=O)-R8、-S-S-R8、-O-CH2-N3、-N=N-R8から、特に-N3、-N=N-R8、-O-CH2-N3、-S-S-R8から選択され、式中、R8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル若しくは-C1~C6アルキルであり、又は特にピリミジニル、ピリジル若しくは-C1~C6アルキルであり、より特にピリジル又は-C1~C6アルキルである。
【0126】
特定の実施形態では、Wは、-N3、-S-S-R8(R8は、-C1~C6アルキルである)、及びNO2から選択される。
【0127】
アジド還元的安全ロックを有するアミンスイッチ(
図5)又はカルバメートスイッチ(
図8)を介してペプチドを放出するリンカー分子は、還元可能な部分N
3を含む。特定の実施形態では、Wは、-N
3である。
【0128】
アジドを含まない還元的安全ロックを有するアミンスイッチを介してペプチドを放出するリンカー分子(
図6)は、-NO
2又は-S-tert-ブチルなどの還元可能な部分を含む。特定の実施形態では、Wは、-S-S-R
8(R8が-C
1~C
6アルキルである)、-NO
2、
【化21】
-N=N-R
8(R
8がピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジルである)から選択される。
【0129】
特定の実施形態では、Wは、-S-S-R8(R8が-C1~C6アルキルである)、-NO2、-N=N-R8(R8がピリジル、ピリミジニル、ピラジニル又はピリダジルである)から選択され、特に-NO2又は-S-S-R8(R8が-C1~C6アルキルである)から選択される。
【0130】
アミンスイッチを介してペプチドを求核的放出により放出するリンカー分子(
図7)は、-N
3、-S-S-R
8(R
8はC
1~6アルキル、特にtertブチルである、又はR
8はピリジニルである)などの還元可能な部分を含む。
【0131】
上記のとおり、リンカー分子は、酸性条件下、特に疎水性ペプチド精製時に、リンカー-ペプチド構築物の溶解性に寄与することができる。溶解性はまた、部分Wによっても媒介され得、すなわち、Wは、0~7のpH範囲で精製されるペプチドに対して溶解性の増強をもたらす基から選択される。
【0132】
特定の実施形態では、Wは、-S(=O)-R
8、-S-S-R
8、-N=N-R
8、
【化22】
から選択され、式中、
R
8は、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジル、-(CH
2)
p-NHBoc又は-(CH
2)
p-NMe
2であり、特にピリジル又は-(CH
2)
p-NHBoc-であり、pは1、2、3又は4である。
【0133】
特定の実施形態では、Uは、フェニル又は5員若しくは6員の複素環から選択され、5員若しくは6員の複素環は、1又は2個のヘテロ原子を含む。
【0134】
特定の実施形態では、Uは、フェニル又は5員若しくは6員の複素環から選択され、5員若しくは6員の複素環は1個のヘテロ原子を含む。
【0135】
特定の実施形態では、Uは、フェニル又は6員の複素環から選択される。
【0136】
特定の実施形態では、Uは、フェニル又は6員の複素環から選択され、6員の複素環は、1又は2個のヘテロ原子を含む。
【0137】
特定の実施形態では、Uの5員若しくは6員のヘテロアリール部分は、1又は2個のヘテロ原子を含み、特に、部分Uの5員ヘテロアリール部分は、ピラゾール、イミダゾールから選択され、部分Uの6員ヘテロアリール部分は、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンから、特にピリジンから選択される。
【0138】
特定の実施形態では、Uは、フェニル又は6員の複素環から選択され、6員の複素環は、1個のヘテロ原子を含む。特定の実施形態では、部分Uの5員の複素環はピラゾール、イミダゾールから選択され、部分Uの6員の複素環はピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンから選択される。
【0139】
特定の実施形態では、Uは、フェニル、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンから、特にフェニル又はピリジンから、より特にフェニルから選択される。
【0140】
本発明によるリンカーは、アミンスイッチ(
図5~7)又はカルバメートスイッチ(
図8)によってペプチドを放出することができる。これらの放出メカニズムは、部分Yに対してオルト位又はパラ位にある還元可能な置換基Wを必要とする。
【0141】
特定の実施形態では、Uは、式5又は6の部分から選択され、
【化23】
式中、
T、V、Y、W、及びEは、上記のとおり定義され、
Uは、部分T又はV(T or V)に結合され、
A
1、A
2、A
3、A
4及びD
1、D
2、D
3、D
4は、互いに独立して、C、N、S及びOから、特にC及びNから選択され、かつ
nは、0~3の間の、特に0、1又は2の整数である。
【0142】
特定の実施形態では、A1、A2、A3及びA4、又はD1、D2、D3及びD4の2~4個の部分は、Cであり、特にA1、A2、A3及びA4、又はD1、D2、D3及びD4の3又は4個の部分は、Cである。
【0143】
特定の実施形態では、すべての部分A1、A2、A3及びA4又はD1、D2、D3及びD4の部分は、Cである。
【0144】
特定の実施形態では、Uは、式5、6、7又は8の部分から選択され、
【化24】
式中、
T、V、Y、W、及びEは、上記のとおり定義され、
式5及び6の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式7及び8の場合、Uは部分Vに結合され、
A
1、A
2、A
3、A
4及びD
1、D
2、D
3、D
4は、互いに独立して、C、N、S及びOから、特にC及びNから選択され、A
1、A
2、A
3及びA
4、又はD
1、D
2、D
3及びD
4の2~4個の部分は、Cであり、特にA
1、A
2、A
3及びA
4、又はD
1、D
2、D
3及びD
4の3又は4個の部分は、Cであり、より特にA
1、A
2、A
3及びA
4、又はD
1、D
2、D
3及びD
4のすべての部分は、Cであり、
nは、
式5及び6の場合、0~3の間の整数であり、
式7及び8の場合、0~4の間の整数であり、
qは、0~4の間の整数であり、nとqとの合計は4以下である。
【0145】
特定の実施形態では、Uは、式5又は6の部分から選択される。
【0146】
特定の実施形態では、Uは、式5、6、7又は8の部分から選択され、式中、
T、V、Y、W、及びEは、上記のとおり定義され、
式5及び6の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式7及び8の場合、Uは部分Vに結合され、
A1、A2、A3、A4及びD1、D2、D3、D4は、互いに独立して、C、N、S及びOから、特にC及びNから選択され、
nは、
式5及び6の場合、0~2の間の整数であり、
式7及び8の場合、0~2の間の、特に0~1の間の整数であり、
qは0~2の間の、特に0~1の間の整数である。
【0147】
特定の実施形態では、Uは、式9、10、11又は12の、特に式9又は10の部分から選択され、
【化25】
式中、
T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式9及び10の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式11及び12の場合、Uは部分Vに結合され、
すべての部分A
2、A
3及びA
4はCである、又はA
2、A
3及びA
4のうちの2つはCであり、かつA
2、A
3及びA
4のうちの他の2つがNであり、特にA
2及びA
3がともにCであり、かつ
D
2は、C又はNであり、特にCである。
【0148】
特定の実施形態では、Uは、式9、10、11又は12の、特に式9又は10の部分から選択され、
【化26】
式中、
T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式9及び10の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式11及び12の場合、Uは部分Vに結合され、
A
2及びA
3がともにCである、又はA
2及びA
3の一方がCであり、かつA
2及びA
3の他方がNであり、
D
2は、C又はNである。
【0149】
部分UがN含有ヘテロアリールを含む場合、N原子は酸性条件下でプロトン化され、したがってリンカー分子の溶解性が増加する。
【0150】
特定の実施形態では、Uは、式13、14、15、16、17、18、19、20又は21の、特に式13~19の、より特に式15又は19の部分から選択され、
【化27】
式中、
T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式13、14及び15の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式16、17及び18の場合、Uは部分Vに結合され、
A
2、A
3及びA
4は、C、N又はN
+Meであり、特にCであり、
D
2は、C又はNである。
【0151】
特定の実施形態では、Uは、式13、14、15、16、17、18、19、20、21又は22の部分から選択され、
【化28】
式中、T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式13、14、15、19、20、21及び22の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式16、17及び18の場合、Uは部分Vに結合され、
A
2、A
3及びA
4は、C又はNであり、特にCであり、
D
2はC又はNである。
【0152】
特定の実施形態では、Uは、式13、14、15、16、17又は18の部分から選択され、
【化29】
式中、
T、V、Y、W、E、q及びnは、上記のとおり定義され、
式13、14及び15の場合、Uは部分T又はVに結合され、
式16、17及び18の場合、Uは部分Vに結合され、
A
3は、C又はNであり、
D
2は、C又はNである。
【0153】
特定の実施形態では、Uは、式13、14、15、21又は22の部分から選択され、式中、
T、V、Y、W、E及びnは、上記のとおり定義され、
Uは、部分T又はVに結合され、
A3及びA4は、C又はNであり、特にCであり、
D2は、C又はNである、
【0154】
特定の実施形態では、Uは、式13、21又は22の部分から選択される。
【0155】
特に、カルバメートスイッチを介してペプチドを放出するリンカー分子について、Uはフェニルである。特定の実施形態では、Uは上記のとおり選択され、かつすべてのA及びすべてのDはCである。
【0156】
還元的安全ロックを有するアミンスイッチ(
図5、6)及びカルバメートスイッチ(
図8)について、部分Yは、特に、pHの変化によってリンカーの崩壊が引き起こされ、遊離N末端を有するペプチドが放出される場合に、CO
2を放出することができる-(CH
2)
m-O-C(=O)-である。
【0157】
特定の実施形態では、Uは式13、14、15、16、17、18、19、20、21又は22の部分であり、かつYは-(CH2)m-O-C(=O)-である。
【0158】
特定の実施形態では、Uは式13、14、15、21又は22の部分であり、かつYは-(CH2)m-O-C(=O)-である。
【0159】
特定の実施形態では、Uは式13又は21の部分であり、かつYは-(CH2)m-O-C(=O)-である。
【0160】
求核的放出を伴うアミンスイッチについて(
図7)、リンカーは、部分Yがペプチドとアミド結合を形成する場合、酸性条件下でのみ安定である。特定の実施形態では、Yは-(CH
2)
m-C(=O)-である。
【0161】
リンカー分子の末端が-COOHを有する場合、ペプチドは、一般的なアミノ酸カップリングを介してペプチドとカップリングされ得る。特定の実施形態では、Yは-(CH2)m-C(=O)-であり、かつZは-OHである。
【0162】
求核性放出を伴うアミンスイッチについては、Uは特に式22の部分であり、Yは-(CH2)m-C(=O)-であり、Zは-OHである。
【0163】
特定の実施形態では、Zは以下:-F、-Cl、-Br、-I、-N
3、-OH、-O(C=O)CH
2(C=O)OH、-SR
14、-OCF
3、-OCH
2CF
3、-OSO
2CF
3、-SO
2C
6H
4CH
3、-SO
2CF
3、-SO
2CH
3、
【化30】
から選択され、特に、-OH、-Cl、
【化31】
から選択され、特に-OH、
【化32】
から選択され、式中、R
14は、C
1~C
6アルキル-、アリール(arylic)-又はベンジル-置換基である。
【0164】
アジド還元的安全ロックを有するアミンスイッチによるペプチドの放出に適したタイプ1のリンカー分子(
図5)は、以下の部分から構成され得る:
Uは、フェニル又はピリミジルであり、特にUは、式13、14、15、21又は22であり、
Wは、-N
3であり、
Eのnは、1であり、かつEはピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、-N(CH
3)
2、-N=N-ピリジルから選択され、又はnは0であり、特にnは0であり、
Vのaは、1であり、かつVは、-ピペラジニル-、-ピペラジニル-CH
2-、-N(CH
3)-、ピリミジニル、ピリジルから、特に-ピペラジニル-、-ピペラジニル-CH
2-、-N(CH
3)-から選択され、かつ
Yは、-(CH
2)m-O-C(=O)-であり、mは1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1である。
【0165】
ピリジル部分は、3位又は5位でUに接続される。
【0166】
特定の実施形態では、Uは、式13、14、15、21又は22の部分から選択される。
【0167】
アジドなしのアミンスイッチによるペプチドの放出に適したタイプ2のリンカー分子(
図6)は、以下の部分から構成され得る:
Uは、ピリジニル又はフェニルであり、特にUは式13、14又は21であり、
Wは、-S-S-tertブチル、-NO
2、-N=N-ピリジル、
【化33】
から選択され、特に-S-S-tertブチル,-NO
2から選択され、
Eのnは、0であり、
Vのaは、1であり、かつVは-C(=O)-NH-及びピペラジニルから選択され、かつ
Yは、-(CH
2)m-O-C(=O)-であり、mは1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1である。
【0168】
特定の実施形態では、Uは、式13、14又は21の部分から選択される。
【0169】
求核的放出を伴うアミンスイッチによるペプチドの放出に適したタイプ3のリンカー分子(
図7)は、以下の部分から構成され得る:
Uは、フェニル又はピリジニルであり、特にフェニルであり、より特にUは、式13又は14の部分であり、
Wは-N
3、-S-S-tertブチル、-S-S-ピリジルであり、特に-N
3であり、
Eのnは、0であり、
Vのaは、1であり、かつVはピペラジニル、-NH-、-C(=O)-NH-であり、特にピペラジニルであり、かつ
Yは、-(CH
2)m-C(=O)-であり、mは1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1である。
【0170】
特定の実施形態では、Uは、式13又は14の部分から選択され、特にすべての部分D及びAは、Cである。
【0171】
カルバメートスイッチによるペプチドの放出に適したタイプ4のリンカー分子(
図8)は、以下の部分から構成され得る:
Uはフェニルであり、特にUは、式13又は15であり、特に部分AはCであり、
Wは、-N
3であり、
Eのnは、1又は2であり、Eは-Brであり、
Vのaは、1であり、かつVは、-NH-C(=O)-であり、かつ
Yは、-(CH
2)m-O-C(=O)-であり、mは1、2又は3であり、特に1又は2であり、より特に1である。
【0172】
特定の実施形態では、Uは、式13又は15の部分から選択され、特に部分Aは、Cである。
【0173】
特定の実施形態では、Zは以下:-F、-Cl、-Br、-I、-N
3、-OH、-SR
14、-OCF
3、-OCH
2CF
3、-OSO
2CF
3、-SO
2C
6H
4CH
3、-SO
2CF
3、-SO
2CH
3、
【化34】
から選択され、特に、-OH、-Cl、
【化35】
から選択され、特に-OH、
【化36】
から選択され、式中、R
14は、C
1~C
6アルキル、アリール又はベンジルの置換基である。
【0174】
Zが-OHである場合、-OH部分は、固相ペプチド合成などで一般的に使用されるとおりのカップリング試薬によって活性化され、脱離基として機能する。
【0175】
特定の実施形態では、式1の化合物は、式:X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X21、X22、X23、X24、X25、X26、X27、x28、X29、X30、X31、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39、X40、X41、X42、X43、X44、X45、X46又はX47の化合物から選択される。
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【0176】
本発明の第2の態様は、ペプチドを精製する方法を目的とする。
【0177】
本発明の第2の態様によれば、ペプチドを精製する方法が提供される。この方法は、以下のステップを含む:
- 粗リンカー修飾ペプチドを提供するステップであって、粗ペプチドは、本発明の第1の態様によるリンカー分子に共有結合される、前記ステップ、
- カップリングステップにおいて、リンカー修飾ペプチドを固体支持体にカップリングして、固定化リンカー修飾ペプチドを得る、前記ステップ、
- 放出ステップにおいて、酸性条件下で還元剤を加えてペプチドを放出する、前記ステップ。
【0178】
本発明の第1の態様に従うリンカー分子は、ペプチドを精製する方法に使用することができる。第1のステップでは、粗ペプチド混合物は、本発明の第1の態様に従うリンカー分子と接触し、かつ粗ペプチドは、リンカー分子にカップリングされて、粗リンカー修飾ペプチドが得られる。この粗ペプチドは、化学、生化学、薬学の分野の一般的な専門家に一般的に知られている標準的な方法でリンカー分子にカップリングされる。精製時には、pHを調整することでリンカー分子の安定性を図ることができる。酸性条件下(特に、リンカー分子の最も塩基性のヘテロ原子のpKaより低いpH)では、このヘテロ原子がプロトン化されて電子を吸引することに起因して、リンカー分子は安定する(
図5、6、7)。リンカーがペプチドに結合して固体支持体に固定化されると、例えば、酸性条件下でトリフェニルホスフィンなどの還元剤を添加するなど、還元条件下で還元中間体を介してペプチドが放出される。還元中間体は、還元リンカー部分、例えばアザイリド(azaylide)によって特徴付けられる。還元中間体のリンカー部分は、時間の経過とともに、又はpHの上昇など、特に還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaとなる引き金によって分解する。したがって、ペプチドを放出する前のすべてのステップ(カップリング、任意の洗浄、及びリンカーの還元)は、酸性条件下で行われる。還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaを超えるpHにpHが上昇すると、還元中間体のリンカー部分は、1.4/1.6の脱離反応又は求核攻撃によって分解し、ペプチドが放出される。
【0179】
還元中間体のリンカー分子/リンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子は、以下に関連する:例えば、部分Uは、-N3で置換されたピリジンからなる。ピリジンのヘテロ原子Nは、-N3部分又は還元された-N3部分のpKaよりも高いpKaであるpKa約5を有する(-NH3のpKaは約4.6)。したがって、最も塩基性のヘテロ原子は、ピリジン部分のNである。pHをpH>5にシフトすることで、還元中間体のリンカー部分が脱離反応を起こし、ペプチドが放出される。このメカニズムはアミンスイッチと呼ばれている。
【0180】
あるいは、リンカー分子は、カルバメートスイッチによって分解することができる(
図8)。適切なリンカー分子は、-Brなどの電子吸引性部分及び-N
3などの還元性部分を含む。このリンカー分子は、この電子求引性に起因して、TFA条件下で安定している。還元されると、pHがこのカルバメートのpKaよりも高い場合リンカー分子は安定している。最後に、このカルバメートのpKaに対してpH<pKaになるようにpHを減少することによって、1.6-脱離を介してペプチドが放出される。
【0181】
特定の実施形態では、還元剤を添加する前のすべてのステップにおけるpHでは、リンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH<pKaである。
【0182】
ある実施形態では、ペプチドは中間体を介して放出される。
【0183】
特定の実施形態では、酸性条件下で還元剤を添加することによる、固定化されたリンカー修飾ペプチドの還元されたリンカー部分を特徴とする還元中間体を介してペプチドが放出される。
【0184】
特定の実施形態では、放出ステップにおいて、固定化されたリンカー修飾ペプチドの還元されたリンカー部分を特徴とする還元中間体が達成され、ペプチドが引き金によって、特に温度及び/又はpHの変化によって、より特に、pHをアミンスイッチの場合は還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaへ増加させることによって、又はカルバメートスイッチの場合はカルバメートのpKaに対してpH<pKaへpHを減少させることによって、ペプチドが前記還元中間体から放出される。
【0185】
特定の実施形態では、固定化リンカー修飾ペプチドの還元されたリンカー部分を特徴とする還元中間体は、放出ステップで達成され、ペプチドは、引き金によって、特に、温度及び/又はpHの変化によって、より特に、pHを還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaに増加させることによって前記還元中間体から放出される。
【0186】
ペプチドは自発的に、あるいは引き金によって中間体から放出される。
【0187】
特定の実施形態では、温度及び/又はpHの変化が引き金となる。
【0188】
特定の実施形態では、温度の変化は、周囲温度(20℃~30℃)からより高い温度への上昇であり、より高い温度は100℃を超えず、特に70℃、より特に50℃を超えない。
【0189】
上記のとおり、アミンスイッチに適したリンカーは、-還元される場合-最も塩基性の高いヘテロ原子のpKaを超えるpHまでpHが上昇される場合、分解する。
【0190】
特定の実施形態では、引き金はpHのシフト、特にpHの上昇である。
【0191】
特定の実施形態では、pHを、還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaに上昇させることにより、ペプチドが還元された中間体から放出される。
【0192】
カルバメートスイッチに適したリンカーは、カルバメートのpKa未満のpHにpHが減少する場合-還元される場合-分解する。
【0193】
特定の実施形態では、引き金はpHのシフトであり、特にpHの減少である。
【0194】
特定の実施形態では、リンカー部分のカルバメートのpKaに対してpH<pKaまでpHを減少させることにより、ペプチドが還元中間体から放出される。
【0195】
還元中間体が酸性条件下で安定している場合(アミンスイッチ)、又はカルバメートのpKaに対してpH>pKaで安定している場合(カルバメートスイッチ)、過剰な還元剤を除去するために追加の洗浄ステップを行うことができる。還元剤はリンカー部分だけでなく、ペプチドとも反応する可能性があるため、洗浄ステップを追加することで、還元剤とペプチドとの間の不要な副反応が低減される。さらに、不揮発性還元剤又はそれらの使用の生成物もまた不純物であり、追加の精製ステップによって除去する必要があるであろう。
【0196】
特定の実施形態では、還元中間体が形成された後、並びにペプチドが還元中間体から放出される前に、洗浄によって還元剤が除去される。
【0197】
特定の実施形態では、MeCNを用いて還元剤が除去される。
【0198】
特定の実施形態では、本発明の第1の態様によるリンカー分子は、アジド(-N3)部分を含む部分W及び/又はEを含む。
【0199】
特定の実施形態では、リンカー修飾ペプチドは合成樹脂に付加的に結合され、カップリングステップを実行する前に、特にリンカー分子の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH<pKaにて、合成樹脂が切断される。
【0200】
合成支持体からのペプチドの切断は、TFAを使用して達成され、最後にTFA混合物からペプチドを沈殿させて(例えば、2-8時間後)、粗ペプチド混合物を得る。沈殿には、冷エーテル(Et2O、iPr2O、MeOtBu、THF/ヘキサン(1:1))が使用され得る。
【0201】
粗ペプチド混合物を適切な有機溶媒、特にDMSOに溶解し、緩衝系、特に10体積%のクエン酸ナトリウム緩衝液0.1M、pH4.5が添加される。
【0202】
カップリングステップのための固体支持体は、アルデヒド修飾固体支持体、特にアガロースビーズ、ポリリジン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリスチレン及びそれらのコポリマーであり、そこに溶解した粗ペプチド混合物が添加される。
【0203】
特定の実施形態では、固体支持体はアルデヒド部分を含む。
【0204】
特定の実施形態では、カップリングステップを実行した後、固体支持体の非反応アルデヒド部分がブロッキング剤を用いてブロックされる。
【0205】
特定の実施形態では、ブロッキング剤は、固体支持体のアルデヒド部分と反応し、チオール及び/又はアミン部分を含む。
【0206】
特定の実施形態では、ブロッキング剤は、システイン、スレオニン、2-メルカプトエタノール、システアミン、エタンジチオール、ヒドロキシルアミン、O-メチルヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン、ジチオスレイトール、ヒドラジンから選択される。
【0207】
特定の実施形態では、ブロッキング剤は、システイン及びN-メチルヒドロキシルアミンから選択される。
【0208】
カップリングした生成物は、特にDMSO、6Mの塩酸グアニジウム、0.1MのNaClを有するEtOH/水(7:3)、水、MeCNで洗浄される。
【0209】
特定の実施形態では、放出ステップは、リンカー分子の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH<pKaで行われる。
【0210】
特定の実施形態では、放出ステップは、リンカー分子のカルバメートのpKaに対してpH<pKaで行われる。
【0211】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスフィン、ジエチルホスファイト、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、エタンジチオール、プロパンジチオール、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール、Na2S、NaSH、グルタチオン、2,2’-ジチオジピリジン、BH3、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、カテコールボラン、ボランテトラヒドロフラン、ボランジメチルスルフィド、ボランジメチルアミン錯体、ボラントリフェニルホスフィン錯体、ボランtert-ブチルアミン、LiAlH4、LiBH4、NaBH4、NaBH3CN、NaBH(OMe)3、NaBH(OCCH3)3、LiAlH(OCMe3)3、ヒドロキノン、アスコルビン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸、KI含有アスコルビン酸、ヒドラジン、NH=NH、ホルムアルデヒドから選択される。
【0212】
特定の実施形態では、還元剤は、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール、トリフェニルホスフィン、KI含有アスコルビン酸、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ボランジメチルスルフィド、ボラントリフェニルホスフィン錯体、NaBH4、アスコルビン酸から選択される。
【0213】
特定の実施形態では、還元剤は、ジチオエリスリトール、ジチオスレイトール、KI含有アスコルビン酸、トリフェニルホスフィン及びトリメチルホスフィンから選択される。
【0214】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスフィン、ジエチルホスファイト、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、エタンジチオール、プロパンジチオール、ジチオスレイトール、Na2S、NaSH、グルタチオン、2,2’-ジチオジピリジン、BH3、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、カテコールボラン、ボランテトラヒドロフラン、ボランジメチルスルフィド、ボランジメチルアミン錯体、ボラントリフェニルホスフィン錯体、ボランtert-ブチルアミン、LiAlH4、LiBH4、NaBH4、NaBH3CN、NaBH(OMe)3、NaBH(OCCH3)3、LiAlH(OCMe3)3、ヒドロキノン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ヒドラジン、NH=NH、ホルムアルデヒドから選択される。
【0215】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ボランジメチルスルフィド、ボラントリフェニルホスフィン錯体、NaBH4、アスコルビン酸から選択される。
【0216】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ボランジメチルスルフィド、ボラントリフェニルホスフィン錯体、NaBH4、アスコルビン酸から選択される。
【0217】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィン、亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ボランジメチルスルフィド、ボラントリフェニルホスフィン錯体、NaBH4、アスコルビン酸から選択される。
【0218】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィン及びトリメチルホスフィンから選択される。
【0219】
特定の実施形態では、還元剤は、トリフェニルホスフィンである。
【0220】
特定の実施形態では、方法は以下のステップを含む:
- 粗リンカー修飾ペプチドを提供するステップであって、粗ペプチドは、本発明の第1の態様に従うリンカー分子に共有結合され、リンカー分子は、アジド部分を含む部分W及び/又はEを含む、前記ステップ、
- カップリングステップにおいて、リンカー修飾ペプチドを固体支持体にカップリングして、固定化リンカー修飾ペプチドを得る、前記ステップ、
- 放出ステップにおいて、酸性条件下で還元剤を加えることによってペプチドを放出させる、前記ステップ。
【0221】
特定の実施形態では、方法は以下のステップを含む:
- 粗リンカー修飾ペプチドを提供するステップであって、粗ペプチドは、本発明の第1の態様に従うリンカー分子に共有結合され、リンカー分子は、アジド部分を含む部分W及び/又はEを含む、前記ステップ、
- カップリングステップにおいて、リンカー修飾ペプチドを固体支持体にカップリングして、固定化リンカー修飾ペプチドを得る、前記ステップ、
- 放出ステップにおいて、酸性条件下で還元剤を添加し、還元中間体を得た後に、還元中間体のリンカー部分の最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaになるようにpHを上昇させることによりペプチドを放出させる、前記ステップ。
-
【0222】
特定の実施形態では、方法は以下のステップを含む:
- 粗リンカー修飾ペプチドを提供するステップであって、粗ペプチドは、本発明の第1の態様に従うリンカー分子に共有結合され、リンカー分子は、アジド部分を含む部分W及び/又はEを含む、前記ステップ、
- カップリングステップにおいて、リンカー修飾ペプチドを固体支持体にカップリングして、固定化リンカー修飾ペプチドを得る、前記ステップ、
- 放出ステップにおいて、酸性条件下でトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンを、特にトリフェニルホスフィンを添加し、還元中間体を生成した後に、最も塩基性のヘテロ原子のpKaに対してpH>pKaとなるようにpHを増加させることによってペプチドを放出させる、前記ステップ。
【0223】
本発明の第2の態様の副態様によれば、固相ペプチド合成によって調製される粗ペプチドを精製する方法が提供される。
【0224】
特定の実施形態では、ペプチドを精製する方法は、以下のステップを含む:
a) 合成樹脂に結合されたペプチドを提供するステップであって、該ペプチドが請求項1に記載のリンカー分子にさらに共有結合され、該リンカー分子がアジド部分を含む部分W及び/又はEを含む、前記ステップ、
b) 合成樹脂からペプチドを切断するステップ、
c) 切断されたペプチド混合物を固体支持体とカップリングするステップ、
d) ペプチドをトリフェニルホスフィン、又はトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンを、特にトリフェニルホスフィンを用いて放出するステップ。
【0225】
合成支持体からのペプチドの切断は、TFAを使用して達成され、最後にTFA混合物からペプチドを沈殿させて(例えば、2-8時間後)、粗ペプチド混合物を得る。沈殿には、冷エーテル(Et2O、iPr2O、MeOtBu、THF/ヘキサン(1:1))が使用され得る。
【0226】
粗ペプチド混合物を適切な有機溶媒、特にDMSOに溶解し、緩衝系、特に10体積%のクエン酸ナトリウム緩衝液0.1M、pH4.5が添加される。
【0227】
カップリングステップのための固体支持体は、アルデヒド修飾固体支持体であり、特にアガロースビーズ、ポリリジン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリスチレン及びそれらのコポリマーであり、そこに溶解した粗ペプチド混合物が添加される。
【0228】
カップリングした生成物は、特にDMSO、6Mの塩酸グアニジウム、0.1MのNaClを有するEtOH/水(7:3)、水、MeCNで洗浄される。
【0229】
特定の実施形態では、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンが、特にトリフェニルホスフィンが、MeCN/AcOH(9:1)に添加される。特定の実施形態では、添加は15分間行われる。
【0230】
特定の実施形態では、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンを、MeCN/AcOH/H2O(90:5:5)に添加し、及び/又はトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンを、特にトリフェニルホスフィンを添加した後、形成されるアザイリドが、特にMeCN又はMeCN/H2O(9:1)を用いて洗浄される。
【0231】
特定の実施形態では、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンは、特にトリフェニルホスフィンは、MeCN/AcOH/H2O(90:5:5)に添加される。特定の実施形態では、添加は15分間行われる。
【0232】
特定の実施形態では、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの添加後、形成されるアザイリドは、特にMeCN又はMeCN/H2O(9:1)を用いて洗浄される。
【0233】
特定の実施形態では、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンの添加後、形成されるアザイリドは、特にMeCNを用いて洗浄される。
【0234】
特定の実施形態では、形成されるアザイリドは、特にH2O/TFAを用いて加水分解される。その比率は、水が99.95%~50%であり得る。
【0235】
リンカー、特にU、E、W又はVが窒素含有複素環である場合、pHは複素環部分のpKaを超える必要があり、これはTFAと水の加水分解混合物の場合にすでにそうなっている、又は所望のpHの緩衝液を加えることで可能となる。
【0236】
特定の実施形態では、加水分解の後に、特にTFA/H2Oを用いて、特に9:1の比率で溶出ステップが行われる。
【0237】
特定の実施形態では、加水分解の後に、特にTFA/H2Oを用いて、特に95:5の比率で溶出ステップが行われる。
【0238】
特定の実施形態では、加水分解生成物は、特に冷エーテル、より特にはEt2O、iPr2O、MeOtBu、THF/ヘキサン(1:1)を添加することによって沈殿する。
【0239】
用語及び定義
本発明の文脈において、「電子吸引基」又は「EWG」は、誘導効果又はメソメリー効果を介して、その接続された原子又はアリール系から電子を引き離すことができる任意の化学基である。
【0240】
本発明の文脈において、ハメット定数は、Hansch及びTaft(1991)、Chem.Rev.91:165-195で計算及び記載されるとおりの定数である。正のハメット定数は、置換基がフェニル部分に電子吸引効果を発揮する能力を反映し、負の値は、置換基が電子供与効果を発揮することを示している。電子吸引効果は、ハメット定数が大きいほど強くなる。ハメット定数とは、メタ位(σm)及びパラ位(σp)のフェニル部分の置換基について経験的に決定された定数である。本発明の文脈において、この位置は、部分Yの結合に関連して決定される。オルト位の置換基については、パラ位のハメット値は良好な近似であり、したがって、本発明の文脈において置換基V、W、及びEのハメット値の合計を計算するために使用される。
【0241】
本発明の文脈において、「酸性条件下で」という用語は、pH7未満のpH、特にリンカーのpKa未満のpH、より特にTFA>50%、水の存在下でpH<0に関する。
【0242】
本発明の文脈では、アルキルという用語は、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素を意味する。例えば、C1~12アルキルという用語は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子を有する飽和の直鎖状又は分枝状の炭化水素を指す。C1~C4アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、2-メチルプロピル、 tert-ブチルが挙げられる。
【実施例0243】
リンカータイプ4の実施例1:天然由来及び研究用ペプチド、P1及びP2の精製
本発明のペプチドの精製方法を、極性の異なる2つのペプチドに適用した。これらはヒストンH3タンパク質のH-ARTKQTARKSTGGKA-OH(配列番号:1)(P1)断片2~16であり、かつH-AKADEVSLHKWYG-NH2(配列番号:2)(P2)は研究用のペプチド配列であった。
【0244】
ペプチド配列は、標準的な固相ペプチド合成条件下で合成し、それによって、合成樹脂は、各アミノ酸カップリングの後に無水酢酸及びピリジンで処理し、未反応のアミノ基をブロックした。リンカーX1は、DMF中で4当量のリンカー、6当量のオキシマ、6当量のジイソプロピルアミン(DIEA)を2時間使用することにより、樹脂上のP1へカップリングした。本発明の方法を
図1に示す。リンカーX2は、4当量のリンカー、6当量のオキシマ、6当量のDIEAを使用することによって樹脂上のP1及びP2に2時間カップリングした。その後、ペプチドをTFA/PhOH/PhSH/H
2O/エタンジチオール(EDT,82.5:5:5:2.5)の混合物によって合成樹脂から切断した。粗ペプチド混合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。アルデヒド修飾アガロースビーズを水及びクエン酸Na緩衝液0.1M(pH4.5にて)で各3回洗浄した。ペプチドのDMSO溶液に10体積%のクエンNa酸緩衝液を加え、次いで、この溶液をアガロースビーズに90分かけて適用して、目的のペプチドがアガロースビーズに定量的に固定化された。その後、アセチル化した末端配列及びその他の不純物を除去するために、8Mの尿素、DMSO、EtOH/水(7:3)、0.1MのNaCl、水、MeCNで各3回の洗浄を行った。固定化されたリンカーの切断は、アガロース樹脂を1mLのMeCN/AcOH(9:1)あたり50mgのPPh
3で処理することで行った。その後、支持体をMeCNで4回リンスし、H
2O/MeCN/TFA(70:29:1)の溶液を180分間で加えた。その後、上清を遠心チューブに濾過し、支持体をTFA/H
2O(9:1)で3回、同じチューブにリンスした。Et
2Oを10倍添加して沈殿を起こし、チューブを遠心分離して有機の上清を処理することによってペプチドを得た。
【0245】
UPLC-MSを用いて各フェーズの純度を確認した。非精製(リンカー分子なし)及び精製のペプチドのUPLCクロマトグラムを
図2及び
図3に示し、さらに結果を表2にまとめた。ペプチドの同一性はESI-MSで確認した。100μmolのP1の精製において、純度93%のX1を使用することで、26mgの量(回収率62%)のペプチドP1を得た(元は41%)。X2リンカーの使用により、21mg(回収率50%)が93%の純度で得られた。P2はX2リンカーの試料によって5μmolスケールで精製し、それにより、4mg(回収率73%)が、純度95%で得られた(元は55%)。
【0246】
【0247】
リンカータイプ4の実施例2:天然由来及び研究用ペプチド、P3、P4、P5及びP6の精製
第2のセットでは、5つのペプチドを合成した。これらは、以下である:H-YFTGSEVENVSVNVH-NH2(配列番号:3)(P3)ヒトサイトメガロウイルス低マトリックスリン酸化タンパク質(lower matrix phosphoprotein)(CMV)の断片81~95、H-PSNPFYEALST-NH2(配列番号:4)(P4)ヒトLemurチロシンキナーゼ3(LMTK3)の断片510~520、H-DAEFRHDSGYEVHHQKLVFF-NH2(配列番号:5)(P5)ヒトアミロイドベータの断片1~20、H-CKADEVSMHKWYG-NH2(配列番号:6)(P6)研究用に意図されるペプチド配列。
【0248】
ペプチド配列P3、P4、P5及びP6は、標準的な固相ペプチド合成条件下で100μmolスケールで合成し、それによって、合成樹脂は、各アミノ酸カップリングの後に無水酢酸及びピリジンで処理し、未反応のアミノ基をブロックした。1.3mLのDMF中で、2時間、4当量のリンカーX1(301mg)、6当量のオキシマ(86mg)、及び6当量のジイソプロピルアミン(DIEA、105μL)を使用して、リンカーX1を樹脂上のP3、P4、P5、P6にカップリングした。その後、TFA/PhOH/PhSH/H2O/エタンジチオール(EDT,82.5:5:5:2.5)の混合物で合成樹脂からペプチドを切断し、冷ジエチルエーテルにおいて沈殿した。粗ペプチド混合物を4.5mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。アルデヒド修飾アガロースビーズ(1.5mLの沈降ビーズ)を、水及びpH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液でそれぞれ3回洗浄した。ペプチドのDMSO溶液に、8Mの塩酸グアニジウムを有する10vol.%(500μL)のクエン酸ナトリウム緩衝液を加えた。次いで、この溶液をアガロースビーズに90分間適用して目的のペプチドがアガロースビーズに定量的に固定化した。その後、未反応のアルデヒド基をブロックするために、pH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液中のL-システインの1w%溶液を固定化混合物に直接15分間添加した。その後、精製媒体をDMSO、6Mの塩酸グアニジウム、0.1MのNaClを有するEtOH/水(7:3)、水、MeCNでそれぞれ3回洗浄し、いずれのアセチル化末端配列及びその他の不純物を除去した。固定化されたリンカーの切断は、アガロース樹脂を10mLの50mg/mL PPh3のMeCN/AcOH/H2O(90:5:5)で処理することで行った。その後、支持体をMeCN/H2O(9:1)で3回リンスし、2mLのH2O/TFA(60:40)の溶液を60分間で添加した。その後、上清に2mLのTFAを加え、得られた混合物を遠心チューブに濾過し、支持体をTFA/H2O(95:5)で2回、同じチューブにリンスした。Et2OをTFA-水の量に対して5倍加えて沈殿を開始し、チューブの遠心分離と有機上清の処理によってペプチドを取得した。
【0249】
UPLC-MSを使用して各フェーズの純度を検証した。非精製ペプチド(リンカー分子なし)及び精製ペプチドのUPLC-クロマトグラムを
図4に示す。ペプチドの同一性はESI-MSで確認した。凍結乾燥後に得られたペプチド量、計算された回収率、及び精製前後のUV純度を表3に示す。
【0250】
【0251】
タイプ1のリンカーの実施1:研究用ペプチドP2の精製
タイプ1のリンカーを有するペプチドを精製する本発明の方法を、ペプチドH-AKADEVSLHKWYG-NH2(配列番号:2)(P2)(これは研究を意図したペプチド配列である)に適用した。
【0252】
ペプチドは、標準的な固相ペプチド合成条件下で合成し、それによって、合成樹脂は、各アミノ酸カップリングの後に無水酢酸及びピリジンで処理し、未反応のアミノ基をブロックした。タイプ1のリンカーX9を、ジメチルホルムアミド(DMF)中で4当量のリンカー、6当量のオキシマ、6当量のジイソプロピルアミン(DIEA)を用いて樹脂上のP2に2時間カップリングさせた。その後、TFA/TIS/DTT/H
2O(84:2:6:8)の混合物で合成樹脂からペプチドを切断し、ジエチルエーテルにおいて沈殿させた。30mgのリンカー修飾ペプチドを得た。このリンカータイプ1の本発明方法を
図5に示す。粗ペプチド混合物のうち1.9mgを100μLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。アルデヒド修飾アガロースビーズを、H
2O/EtOH(4:1)スラリーの各75μLの50%ビーズ懸濁液を有するカートリッジに加え、その後、ビーズを水及びpH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液で3回洗浄した。ペプチドのDMSO溶液に、8Mの塩酸グアニジウムを有する10vol.%(10μL)のクエン酸ナトリウム緩衝液を加えた。次いで、110μLのこの溶液をアガロースビーズに90分かけて適用し、これにより、所望のペプチドがアガロースビーズに定量的に固定化された(固定化上清のUPLC分析)。その後、固定化混合物を15分で間濾別して未反応のアルデヒド基をブロックし、イミンの形成をリバースした後に、pH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液中のL-システインの2w%溶液100μLをビーズに加えた。その後、精製媒体を0.9Mの塩酸グアニジウムを有するDMSO、0.1MのNaClを有するEtOH/水(7:3)で500μLずつ3回洗浄して、アセチル化末端配列及びその他の不純物を除去した。固定化されたリンカーペプチドの切断は、アガロース樹脂をリアクターごとに200μLのTCEP(25mg/mL)で30分間処理することで行った。その後、支持体を0.1% TFAを含有するH
2Oで3回リンスした。アミンスイッチを使用してペプチドをアガロースから放出させるため、pH9の0.2MのNH
4HCO
3溶液200μLをビーズに15分間かけて添加した。これにより、ピペラジニル部分が脱プロトン化され、ペプチドが放出された。ESI/MSで所望のペプチドの同一性を確認した(
図9、表4)。
【0253】
【0254】
タイプ2のリンカーの実施1:研究用ペプチドP2の精製
タイプ2のリンカーを有するペプチドを精製する本発明の方法を、ペプチドH-AKADEVSLHKWYG-NH2(配列番号:2)(P2)(これは研究を意図したペプチド配列である)に適用した。
【0255】
ペプチドは、標準的な固相ペプチド合成条件下で合成し、それによって、合成樹脂は、各アミノ酸カップリングの後に無水酢酸及びピリジンで処理し、未反応のアミノ基をブロックした。リンカーX13を、ジメチルホルムアミド(DMF)中で4当量のリンカー、6当量のオキシマ、6当量のジイソプロピルアミン(DIEA)を用いて、樹脂上のP2に3時間かけてカップリングした。このリンカータイプ2の本発明方法を
図6に示す。その後、TFA/TIS/DTT/H
2O(84:2:6:8)の混合物でペプチドを合成樹脂から切断した。粗ペプチド混合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。アルデヒド修飾アガロースビーズを、水及びpH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液でそれぞれ3回洗浄した。ペプチドのDMSO溶液に、クエン酸ナトリウム緩衝液中の6MのGdmCl10体積%を加えた。得られた溶液をアガロースビーズに加え、混合物を90分間振とうすることで、所望のペプチドをアガロースビーズ上に定量的に固定化した。上清を除去し、残渣をクエン酸Na緩衝液中の1重量%のL-Cysで15分間処理した。その後、ビーズをDMSO、6Mの水性GdmCl、EtOH/0.1M NaCl(7:3)、水、MeCN、EtOH中0.1体積%のTFAでそれぞれ3回洗浄し、アセチル化末端配列及びその他の不純物を除去した。固定化されたリンカーの切断は、アガロース樹脂をEtOH(0.5M)中の10当量のSnCl2で3時間処理することによって行った。その後、支持体を、EtOH中0.1体積%のTFA、H
2O中0.1体積%のTFA、MeCN/H
2O(9:1)で各3回洗浄した。0.2M水性NH
4HCO
2(pH 8.85)/MeCN(1:1)の溶液を15分間かけて添加した。上清を遠心チューブに濾過し、支持体をH
2Oで2回、同じチューブにリンスした。残渣を凍結乾燥することにより精製ペプチドを得た。
【0256】
UPLC-MSを用いて各ステップの純度を検証した。非精製ペプチド(リンカー分子なし)及び精製ペプチドのUPLC-クロマトグラムを
図9に示す。ペプチドの同一性はESI-MSで確認した(表5)。精製実験にてX13及び50μmolの粗P2を使用することで、最終純度97%(元は77%)の36mg(回収率73%)のペプチドP2が得られた。
【0257】
【0258】
タイプ3のリンカーの実施1:研究用ペプチドP2の精製
タイプ3のリンカーを有するペプチドを精製する本発明の方法を、ペプチドH-AKADEVSLHKWYG-NH2(配列番号:2)(P2)(これは研究を意図したペプチド配列である)に適用した。
【0259】
ペプチドは、標準的な固相ペプチド合成条件下で合成し、それによって、合成樹脂は、各アミノ酸カップリングの後に無水酢酸及びピリジンで処理し、未反応のアミノ基をブロックした。タイプ3のリンカーX22を、樹脂上のP2に、4当量のリンカー、3.6当量の2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウム-ヘキサフルオロホスファト(HCTU)、4当量のオキシマ及びジメチルホルムアミド(DMF)中の8当量のジイソプロピルアミン(DIEA)を用いて2時間かけてカップリンクした。その後、TFA/TIS/DTT/H
2O(84:2:6:8)の混合物でペプチドを合成樹脂から切断し、ジエチルエーテルにおいて沈殿させた。27mgのリンカー修飾ペプチドを得た。このリンカータイプ3の本発明方法を
図7に示す。粗ペプチド混合物のうち2.1 mgを100μLのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。アルデヒド修飾アガロースビーズを、H
2O/EtOH(4:1)スラリーの各75μLの50%ビーズ懸濁液を有するカートリッジに加え、その後、ビーズを水及びpH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液で3回洗浄した。ペプチドのDMSO溶液に、8Mの塩酸グアニジウムを有する10vol.%(10μL)のクエン酸ナトリウム緩衝液を加えた。その後、110μLのこの溶液をアガロースビーズに90分かけて適用し、これにより、所望のペプチドがアガロースビーズに定量的に固定化された(固定化上清のUPLC分析)。その後、固定化混合物を15分で間濾別して未反応のアルデヒド基をブロックし、イミンの形成をリバースした後に、pH 4.5の0.1Mのクエン酸ナトリウム緩衝液中のL-システインの2w%溶液100μLをビーズに加えた。その後、精製媒体を0.9Mの塩酸グアニジウムを有するDMSO、0.1MのNaClを有するEtOH/水(7:3)で500μLずつ3回洗浄して、アセチル化末端配列及びその他の不純物を除去した。固定化されたリンカーペプチドの切断は、アガロース樹脂をリアクターごとに200μLのTCEP(25mg/mL)で30分間処理することで行った。その後、支持体を0.1% TFAを含有するH
2Oで3回リンスした。求核性放出を伴うアミンスイッチを使用することにより、ペプチドをアガロースから放出し、したがって、pH7の水溶液中の0.2MのNEt
3の200μLをビーズに100時間加えた。これにより、ピペラジニル及びアニリン-NH
3
+部分が脱プロトン化され、次いでアニリン-NH
2の求核攻撃によってペプチドが放出された。ESI/MSで所望のペプチドの同一性を確認した(
図9、表6)。
【0260】
【0261】
カルバメートスイッチ(タイプ4)リンカー分子X1とX2の化学合成
2-((2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)カルバモイル)-4-アジド-3-ブロモベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X1)を合成するための合成ステップ
【0262】
6-アミノ-7-ブロモフタリド
THF(80mL)中の6-アミノフタリド(5.13g、34.05mmol)の冷却溶液(0℃)に、N-ブロモスクシンイミド(6.12g、34.05mmol、1当量)を加えた。冷却浴を取り外し、溶液を1時間撹拌し、次いで減圧下で溶媒を除去した。黄色の残渣を酢酸エチル(400ml)に取り混み、水(各200mL)で3回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、6-アミノ-7-ブロモフタリドを褐色の固体として得た(6.53g、28.63mmol、84%)。Rf=0.2(シクロヘキサン/酢酸エチル2:1);UPLC-MS:tR=1.45分(5分で勾配10~90%のB);UPLC純度(210nm)=83.1%;ESI-MS:(計算上のMH+:227.97、229.96,検出:228.01、230.01)
【0263】
6-アジド-7-ブロモフタリド
6-アミノ-5-ブロモフタリド(5.54g、24.17mmol)を0°Cの冷塩酸(1M、100mL)に加えた。冷却した懸濁液に濃硫酸を、固体が完全に溶解するまで(25mL)撹拌しながら滴下し、溶液が再び0℃に達するまでさらに冷却した。水(17mL)中の亜硝酸ナトリウム(3.34g、48.34mmol、2当量)の溶液をゆっくりと加えた(溶液が温かすぎると亜硝酸ガスが形成される)。10分間撹拌した後、水中(20mL)のアジ化ナトリウムの溶液(3.14g、48.34mmol、2当量)をゆっくりと滴下して添加した(注意:アジ化水素酸の形成)。30分後、懸濁液を酢酸エチル(200mL)で抽出した。水相を濾過し、濾過ケーク(filter cake)を水(各100mL)で3回及びシクロヘキサン(150mL)で1回洗浄した。6-アジド-7-ブロモフタリド(6.58g(94%)、24.17mmol、定量的)が黄色の固体として得られた。Rf=0.3(シクロヘキサン/酢酸エチル2:1);UPLC-MS:tR=2.24分(5分で勾配10~90%のB);UPLC純度(210nm)=50.3%
【0264】
N-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)-3-アジド-2-ブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド
6-アジド-7-ブロモフタリド(5.54g(94%)、24.17mmol)をアセトニトリル(150mL)に取り込み、この懸濁液を撹拌しながら50℃に加熱した。エチレンジアミン(23.4mL、350.47mmol、14.5当量)を加え、従って、10分後に固体が完全に溶解した。50℃で1時間撹拌した後、溶媒及び過剰のエチレンジアミンを減圧下で除去して、残渣として赤色の油(8.49g)を得た。飽和塩水(80mL)を加え、得られた懸濁液を30分間超音波処理し、40°Cで30分間撹拌し、濾過した。濾過ケークを飽和塩水(50mL)で1回、シクロヘキサン(100mL)で1回洗浄した。濾過ケークを乾燥させた後、表題の化合物を黄色の固体として得た(3.84g、12.2mmol、50.6%)。生成物3はまた、酢酸エチルで抽出することにより(毎回150mlで6回)濾液からも得られた(4.79g、15.22mmol、63.1%)。Rf=0.1(DCM/MeOH 8:2);UPLC-MS:tR=1.03分(5分で勾配10~90%のB);UPLC純度(210nm)=83.5%;ESI-MS:(計算上のMNa+:336.01、338.01g/mol、検出:335.95、337.96m/z)
【0265】
N-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)-3-アジド-2-ブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド
ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)酢酸((Boc)2AOAc-OH、4.71g、15.86mmol、1.3当量)及びNHS(1.84g、15.86mmol、1.3当量)のアセトニトリル(40mL)中の攪拌溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、3.30g、15.86mmol、1.3当量)を加える。1時間撹拌した後、溶液を濾過により得られた白色沈殿物から分離し、濾過ケークをアセトニトリル(40mL)で洗浄する。濾液をアセトニトリルで120mLに希釈する。N-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)-3-アジド-2-ブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド(3.79g、12.06mmol、1当量)をアセトニトリル(30mL)に取り込み、懸濁液を50分間超音波処理する。次に、(Boc)2AOAc-NHSを有する濾液をこの懸濁液に加え、反応混合物を2.5時間撹拌する。減圧下で溶媒を除去した後、得られたオレンジ色の油(10.47g)に酢酸エチル(150ml)を加え、懸濁液を10分間超音波処理し、50℃で10分間撹拌する。懸濁液を洗浄した後(80mLの5重量%のNaHCO3溶液(pH 8)で3回、80mLの2%のクエン酸溶液(pH 4.5)で1回、80mLの塩水で2回)、有機相を分離して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、黄色の泡を粗生成物(6.84g)として得た。粗生成物を高真空下で乾燥した後、生成物を黄色の固体として得た(6.43g、75.89%純度(UV/可視で測定)、8.31mmol、68.91%収率)。c=0.15(DCM/MeOH 95:5);UPLC-MS:tR=2.60分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(21nm)=79.1%、ESI-MS:(計算上のMNa+:609.13、611.13g/mol、検出:609.03、611.06m/z)
【0266】
2-((2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)カルバモイル)-4-アジド-3-ブロモベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート
N-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)-3-アジド-2-ブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド(6.39g(79%)、8.26mmol)をDCM(20mL)に溶解し、0°Cに冷却した。この溶液に、最初に無水ピリジン(1.00mL、12.48mmol、1.5当量)を攪拌しながら加え、次にDCM(20mL)中のクロロギ酸p-ニトロフェニルの溶液(2.52g、12.48mmol、1.5当量)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、得られたオレンジ色の油(9.99g)を150mLの酢酸エチルに溶解する。懸濁液を濾過し、溶媒を濾液から減圧下で除去して、黄色の泡状固体を粗生成物(8.85g)として得た。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シクロヘキサン:酢酸エチル 2:1~1:1)で精製した後、生成物(3.82g)を100mLのジエチルエーテルに取り込み、超音波で10分間処理し、40℃で30分間撹拌し、次に-20°Cで一晩保存した。生成物を濾過し、100mLの-20℃の冷ジエチルエーテルで洗浄し、高真空後に乾燥して、淡黄色の固体(2.47g、3.29mmol、39.5%)とした。
【0267】
Rf=0.25(酢酸エチル/シクロヘキサン 2:1)、UPLC-MS:tR=3.18分(5分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=88.4%、ESI-MS:(計算上のMNa+:774.13、776.13g/mol、検出:773.91、775.88m/z)
【0268】
1H NMR(500MHz、DMSO) δ 8.71(s,1H),8.32(d,J=9.2 Hz,2H),7.95(s,1H),7.62(d,J=8.3Hz,1H),7.57(d,J=9.2Hz,1H),7.52(d,J=8.3Hz,1H),5.25(s,2H),4.36(s,2H),3.33(m,4H),1.46(s,18H)
【0269】
2-((2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)カルバモイル)-4-アジド-3,5-ジブロモベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X2)
5,7-ジブロモ-6-アミノフタリド
6-アミノフタリド(20.00g、132.75mmol)を、撹拌子付きの1Lの丸底フラスコに入れ、550mLのTHF及び30mLのMeCNを0℃にて加えた。溶液が褐色に変わった後、溶液にN-ブロモスクシンイミドを粉末漏斗を通して固体としてゆっくりと加えた。氷浴を取り除き、しばらくすると溶液が黄色に変わった。室温で2時間撹拌した後、UPLC-MS及びTLCは二臭化物への完全な変換を示した。回転式エバポレーターにて減圧下で溶媒を除去した。残りの固体を600mlの酢酸エチルに溶解し、水で3回洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、蒸発後、39.86g(129.86mmol、98%)の所望の生成物を淡黄色の固体として得た。Rf=0.6(シクロヘキサン/酢酸エチル 2:1)、UPLC-MS:tR=2.36分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(254nm)=87.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:307.95g/mol、検出:307.76m/z)
【0270】
55,7-ジブロモ-6-アジドフタリド
5,7-ジブロモ-6-アミノフタリド(38.50g、124.18mmol)を2Lフラスコ内の200mLの濃H2SO4に溶解し、この茶色の溶液を大きな氷のバケツで冷却し、次いで、235mLの1MのHClをゆっくりと加え、HCl添加中に沈殿物が形成された。NaNO2(17.31g、248.35mmol、2当量)を32mLの水に溶解し、それが5°Cに達した後、懸濁液にゆっくりと加えた。その後、沈殿物は溶解した。溶液をさらに0℃で15分間撹拌し、その後に75mLの水中のNaN3(16.31g、248.35mmol、2当量)をパスツールピペットによって滴下して加えた。ガス(N2、HN3)の強い形成を観察した。泡状の溶液を1時間撹拌し、その後、氷での冷却下で500mlの水を加えた。泡の発生が止まり、溶液が室温に達した後、懸濁液をブフナー漏斗を使用して濾過し、一方で2Lの水を使用して固体を漏斗に移し、それによって固体を洗浄した。湿った生成物を結晶皿中で減圧下で乾燥させた後、生成物はわずかに茶色がかった固体として得られた(36.01g、108.16mmol、87.1%)。Rf=0.45(シクロヘキサン/酢酸エチル 2:1)、UPLC-MS:tR=2.89分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(254nm)=95.3%、
【0271】
N-(2-アミノエチル)-3-アジド-2,4-ジブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド
5,7-ジブロモ-6-アジドフタリド(18.00g、53.52mmol)を酢酸エチル(490mL)に溶解し、不溶性不純物を濾別し、エチレンジアミン(52.73mL、749.32mmol、14当量)を0℃にて加えた。反応物を室温で1時間撹拌し、その後、UPLC-MSは定量的変換を示した。反応混合物を、100mLの塩水が添加された分液漏斗に移した。水相を分離した後、有機相をMgSO4で乾燥させ、回転式エバポレーターで有機溶媒をオレンジ色の固体として蒸発させた後、所望の生成物を得た。(20.50g、52.16mmol、97.4%)。Rf=0.25(DCM/MeOH 8:2)、UPLC-MS:tR=1.80分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(254nm)=84.2%、ESI-MS:(計算上のMH+:393.93g/mol、検出:393.87m/z)
【0272】
N-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)-3-アジド-2,4-ジブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド
ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)酢酸((Boc)2AOAcOH、17.30g、58.18mmol、1.1当量)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS、6.76g、58.18mmol、1.1当量)を350mLのアセトニトリルに溶解した。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、12.13g、58.18mmol、1.1当量)を固体として加え、DCCの溶解後に白色の沈殿物が形成された。反応混合物を室温で1時間撹拌し、そこで(Boc)2AOAc-NHSエステルがUPLC-MSに従って定量的に形成された。その後、混合物を1Lフラスコに濾過して、DCC-尿素を除去した。N-(2-アミノエチル)-3-アジド-2,4-ジブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド(20.5g、52.90mmol)を530mLの酢酸エチルに溶解し、続いて(Boc)2AOAc-NHSの溶液に加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、その後、反応の完了をTLC及びUPLC-MSによって確認した。追加の形成された沈殿物を濾別し、有機相を5%のNaHCO3(各200mL)で2回、ブライン1回及び2%クエン酸溶液(pH 4.5)/塩水1:1(各150mL)で2回洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、従って、有機溶媒を真空で除去し、表題の化合物を淡黄色の油として得た(37.70g、56.58mmol、定量的)。Rf=0.4(DCM/MeOH 95:5)、UPLC-MS:tR=2.97分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(254nm)=54.2%、ESI-MS:(計算上のMH+:667.05、MNa+:689.04g/mol、検出:688.95m/z)
【0273】
2-((2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)カルバモイル)-4-アジド-3,5-ジブロモベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート
N-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセトアミド)エチル)-3-アジド-2,4-ジブロモ-6-(ヒドロキシメチル)ベンズアミド(37.70g(94%)、52.90mmol)をCH2Cl2(170mL)に入れ、(乾燥、分子ふるい上に入れた)ピリジン(4.72mL、58.50mmol、1.1当量)を加えた。その後、4-ニトロフェニルクロロホルミエート(12.03g、58.50mmol、1.1当量)を、水浴の使用により温度を一定に保ちながら、室温にて固体としてゆっくりと加えた。反応により、DCMのフラスコの中央での蒸発が引き起こされる可能性がある。LCMS及びTLCで示されるように、1時間後に完全な反応が示された。ジクロロメタンを真空で除去して52gの粗褐色油を得て、残渣を500mLの酢酸エチルに溶解し、2%のクエン酸溶液(pH 4.5)/塩水1:1(各250mL)で2回及び塩水150mLで1回洗浄した。有機相をMgSO4を用いて乾燥させた。その後、この懸濁液をグラスフリットにおいて50gのシリカプラグで濾過したが、オレンジと赤みがかった不純物はシリカに残留した。有機溶媒を、高粘度のわずかに琥珀色の油が残るまで、減圧下で濾液から除去した。この油に70mlのEt2Oを加え、2相エマルジョンを45°Cで10分間、1つの均一な相が形成されるまで回転式エバポレーターで回転させた。結晶化開始剤として小さなサンドコーン(sand corn)をフラスコに加え、フラスコを冷蔵庫に一晩(16時間)置いた。フラスコの中にはドロドロした沈殿物が形成されていた。さらに200mLの冷(-25°C)エーテルをフラスコに加え、フラスコを穏やかに振とうし、氷浴中で撹拌した。白い星のような結晶を、フィルターを満たしたブフナー漏斗に移し、さらに200mLの冷Et2Oで洗浄した。したがって、表題の化合物を白色の固体として得た(29.95g、36.02mmol、68.1%)。Rf=0.6(酢酸エチル/シクロヘキサン 2:1)、UPLC-MS:tR=2.86分(3分で30~95%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=93.5%、ESI-MS:(計算上のMH+:832.06、MNa+:854.04g/mol、検出:853.87m/z)
【0274】
1H NMR(400 MHz,DMSO) δ 8.73(s,1H),8.33(d,J=9.1Hz,2H),7.93(s,1H),7.57(d,J=9.1Hz,2H),5.24(s,2H),4.36(s,2H),3.40-3.32(m,4H),1.46(s,18H)
【0275】
アジド還元安全ロック(タイプ1)リンカー分子X6及びX9を有するアミンスイッチの化学合成
3-((4-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-4-アジドベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X6)の合成のための合成ステップ
【0276】
4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イルメチル)安息香酸
4-ニトロ-3-メチル安息香酸メチルエステル(5.03g、25.50mmol)を、撹拌子を備えた500mLの丸底フラスコ中の170mLの乾燥ベンゼンに溶解した。N-ブロモスクシンイミド(5.27g、29.33mmol)及び過酸化ベンゾイル(0.62g、2.55mmol)を加え、溶液を加熱還流した。12時間後、UPLC-UV/可視は、臭素化出発材料への変換が10%しかないことを示した。再び、N-ブロモスクシンイミド(3.66g、20.56mmol)及び過酸化ベンゾイル(0.62g、2.55mmol)を加えた。36時間後、UPLC-UV/可視は80%の変換を示した。混合物を真空で濃縮し、85mLのクロロホルムを加えた。それを、撹拌子を備えた500mLの丸底フラスコ中の85mLのクロロホルム中のピペラジン(8.87g、102.00mmol)及びK2CO3(4.63g、33.15mmol)の混合物にゆっくりと濾過した。2時間後、UPLC-UV/可視は、所望の生成物への完全な変換を示した。回転式エバポレーターで溶媒を除去した。残渣に250mLの酢酸エチルを加え、混合物を分液漏斗へ濾過した。有機相を100mLの飽和NaHCO3で3回、100mLの塩水で3回洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、蒸発させた後、7.3g(完全に乾燥していない)の所望の生成物が黄色の油として得られた。UPLC-MS:tR=1.602分(3分で10~90%MeCN)、UPLC純度(278nm)=68.3%、ESI-MS:(計算上のMH+:280.12g/mol、検出:280.11m/z)
【0277】
(4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イルメチル)フェニル)メタノール
4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イルメチル)安息香酸(1.10g,推定3.00mmol)を250mLの丸底フラスコにおいて8mLのTHFに溶解し、磁気攪拌子を用いて室温で撹拌した。LiCl(0.77g、18.00mmol)、NaBH4(0.69g、18.00mmol)、及び16mLのエタノールを順次加えた。12時間後、UPLC-UV/可視は、出発材料の完全な変換を示した。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を60mLの酢酸エチルに懸濁した。混合物を急速に撹拌しながら、25mLの1MのNH4Clを滴下して加えた。2時間後、25mLの1MのNaOHをゆっくりと加え、混合物を分離漏斗に移した。この層を分離し、水相を50mLの酢酸エチルで2回、50mLのクロロホルムで2回抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、有機溶媒を蒸発させた後に、所望の生成物が黄色の固体として得られた(0.59g、2.35mmol、88%)。UPLC-MS:tR=1.27分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=50.4%、ESI-MS:(計算上のMH+:252.29g/mol、検出:252.17m/z)
【0278】
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2-ニトロベンジル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
100mLの丸底フラスコで、Bis-Boc保護されたアミノオキシ酢酸(0.78g、2.63mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(0.31g、2.63mmol)を25mLのアセトニトリルに溶解し、マグネチック攪拌子で攪拌した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.55g、2.63mmol)を加え、混合物を室温で1.5時間撹拌した。滴下漏斗へ濾過した後、それを、250mLの丸底フラスコにおいて25mLのクロロホルム中の4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イルメチル)ベンジルアルコール(0.59g、2.35mmol)の溶液にゆっくりと加えた。1時間後、UPLC-UV/可視は、出発材料の完全な変換を示した。溶媒を回転式エバポレーターで除去し、残渣を100mLの酢酸エチルに懸濁し、分液漏斗へ移した。有機相を50mLの水で3回、50mLの飽和NaHCO3溶液で3回、50mLの塩水で3回洗浄し、MgSO4で乾燥させた。有機溶媒を蒸発させた後、黄色の固体として所望の生成物が得られた(1.8g、完全に乾燥していない)。UPLC-MS:tR=2.24分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=19.8%、ESI-MS:(計算上のMH+:525.14g/mol、検出:525.25m/z)
【0279】
1-(4-(2-アミノ-5-(ヒドロキシメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)エタン-1-オン
丸底フラスコで、2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2-ニトロベンジル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オンを16mLの水/エタノール(1:4)に溶解した。この後、鉄粉(0.23g、4mmol)及び塩化アンモニウム(0.25g、4mmol)を溶液に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。UPLC-MSを介して出発材料の完全な消費を確認した後、反応混合物をセライトで濾過して過剰の鉄を除去した。溶媒を可能な限り真空で濃縮した。50mLのCHCl3を加えた後、有機相を350mLの飽和NaHCO3溶液で3回、50mLの塩水で3回洗浄し、MgSO4上で乾燥させた後、回転式エバポレーターにて減圧下で有機溶媒を除去した。最終生成物(0.19g、0.4mmol)が茶色の油として得られた。UPLC-MS:tR=2.05分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=24.7%,ESI-MS:(計算上のMH+:495.28、MNa+:517.26g/mol、検出:517.29m/z)
【0280】
2-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(2-アジド-5-(ヒドロキシメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
丸底フラスコに、1-(4-(2-アミノ-5-(ヒドロキシメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)エタン-1-オン(0.19g、0.4mmol)を乾燥アセトニトリルに溶解した。攪拌しながら、氷浴でこの溶液を冷却し、tert-ブチルニトリル(236μL、2mmol)、次いでトリメチルシリルアジド(351μL、1.6mmol)をゆっくりと加えた。この溶液を、密閉フラスコ内で2時間、氷冷しながらさらに撹拌した。UPLC-MSが不完全な変換を示した後、tert-ブチルニトリル(572μL、4mmol)、次にトリメチルシリルアジド(702μL、3.2mmol)を再びゆっくりと加えた。この反応混合物をさらに2時間攪拌した。次に、溶媒を回転式エバポレーターで減圧下で除去した。粗生成物を50mLの酢酸エチルに溶解した後、有機相を50mLのNaHCO3で3回、50mLの塩水溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機溶媒を蒸発させた後、所望の生成物(0.14g、0.20mmol)が得られた。UPLC-MS:tR=2.34分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=20.4%、ESI-MS:(計算上のMH+:521.27、検出:521.30m/z)
【0281】
3-((4-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-4-アジドベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X6)
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(2-アジド-5-(ヒドロキシメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(149mg、0.2mmol)を0.2mLの乾燥DCMを使用して丸底フラスコに溶解した。ピリジン(19.2μL、0.24mmol)を加え、氷浴を用いて溶液を冷却した。この混合物に、0.2mLの乾燥DCMにおけるp-ニトロフェニルクロロホルミエート(32.9mg、0.16mmol)の溶液をゆっくりと加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。有機溶媒を真空で除去し、所望の生成物を暗褐色の油として得た(0.21g、完全に乾燥していない)UPLC-MS:tR=10.72分(11分で0~60%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=8.39%、ESI-MS:(計算上のMH+:686.28、MNa+:708.26g/mol、検出:686.38m/z)
【0282】
3-(4-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)-4-アジドベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X9)の合成のための合成ステップ
1-(4-(2-アミノ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)-2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)エタン-1-オン
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(1.00g、1.96mmol)を、丸底フラスコにおいて78mLのメタノールに溶解した。この溶液にマグネシウム粉末(1.28g、19.6mmol)を加えた。攪拌下で、ギ酸アンモニウム(1.23g、19.6mmol)を固体として加えた。この溶液を室温で20分間さらに撹拌すると同時に、ガスの形成が観察された。この溶液を直ちにマグネシウムを除去するために濾別し、回転式エバポレーターにて減圧下で溶媒を除去した。粗生成物を1:1の水/アセトニトリルの溶媒混合物を用いて凍結乾燥した。この粗生成物(2.20g)は、任意のさらなる精製を行わずに使用した。UPLC-MS:tR=2.21分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=53.2%、ESI-MS:(計算上のMH+:481.27g/mol、MNa+:503.25g/mol、検出:477.30m/z)
【0283】
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(2-アジド-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
丸底フラスコに、1-(4-(2-アミノ-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)-2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノオキシ)エタン-1-オン(1.00g、2.08mmol)を乾燥アセトニトリルに溶解した。撹拌下で、氷浴でこの溶液を冷却し、tert-ブチルニトリル(1.37mL、10.4mmol)、次にトリメチルシリルアジド(1.16mL、8.32mmol)をゆっくりと加えた。この溶液を、密閉フラスコ内で2時間、氷冷しながらさらに撹拌した。UPLC-MSが不完全な変換を示した後、tert-ブチルニトリル(1.37mL、10.4mmol)、次にトリメチルシリルアジド(1.16mL、8.32mmol)を再びゆっくりと加えた。この反応混合物をさらに一晩攪拌した。次に、溶媒を回転式エバポレーターで減圧下で除去した。粗生成物を50mLの酢酸エチルに溶解した後、有機相を50mLのNaHCO3で3回、50mLの塩水溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機溶媒を蒸発させ、フラッシュカラム(3:2 EtOAC/シクロヘキサン)で精製した後、所望の生成物(0.2g、0.39mmol)を得た。Rf=0.5(EtOAc/シクロヘキサン 4:1)、UPLC-MS:tR=2.92分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=84.2%、ESI-MS:(計算上のMH+:507.26g/mol、MNa+:529.24g/mol、検出:529.30m/z)
【0284】
3-(4-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)-4-アジドベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X9)
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(2-アジド-5-(ヒドロキシメチル)フェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(76mg、0.15mmol)を1mLの乾燥DCMを使用して丸底フラスコに溶解した。ピリジン(12.2μL、0.15mmol)を加え、氷浴を用いて溶液を冷却した。この溶液に、p-ニトロフェニルクロロホルミエート(20.3mg、0.15mmol)を固体としてゆっくりと加えた。10分後、氷浴を除去し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。有機溶媒を真空で除去し、粗生成物を30mLのEtOAcに再溶解した。次に、有機相を飽和NaHCO3溶液で3回、塩水で3回洗浄し、MgSO4で乾燥し、有機溶媒を再び真空で除去した。粗生成物を、EtOAc/シクロヘキサン(1:1)溶媒混合物を使用するフラッシュカラムによって最終的に精製した。所望の化合物を淡黄色の油(30mg、0.05mmol)として得た。Rf=0.54(EtOAC/シクロヘキサン 1:1)、UPLC-MS:tR=3.53分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=93.6%、ESI-MS:(計算上のMH+:671.66、MNa+:694.24g/mol、検出:694.40m/z)
【0285】
1H-NMR(400MHz,CDCl3,25 °C):δ[ppm]=8.28(d,J=9.0Hz,2H),7.38(d,J=9.0Hz,2H),7.22-7.06(m,3H),5.22(s,2H),4.62(s,2H),3.94(t,J=3.93,2H),3.81(t,J=3.81,2H),3.12(t,J=3.12,2H),3.07(t,J=3.07,2H),1.54(s,18H)
【0286】
他の還元的安全ロック(タイプ2)リンカー分子X12、X13、及びX43を有するアミンスイッチの化学合成
(5-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル(アミノオキシ)アセトアミド)-6-(tert-ブチルジスルファニル)ピリジン-3-イル)メチル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X12)の合成
メチル6-メラカプト-5-ニトロピリジン-3-カルボキシレートの合成
メタノール(25ml)中のメチル6-クロロ-5-ニトロピリジン-3-カルボキシレート(1.6gm、7.037mmol)の冷却溶液に、70%硫化水素ナトリウム水和物(1.115、14.127mmol)を少しずつ加えた。この混合物を撹拌しながら30分~1時間静置する。続いて、この固体材料を濾過した。回転式エバポレーターを使用して、残りの溶液を5mlに減縮した。残りの溶液を、0°Cにて1MのHClをゆっくりと加えることにより、pH 2に酸性化した。得られた黄色の固体材料を濾過により回収し、その材料は精製せずにさらなるステップに使用する。UPLC-MS:tR=1.80分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=95.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:215.01g/mol、検出:215.20m/z)
【0287】
メチル6-メラカプト-5-アミノピリジン-3-カルボキシレートの合成
メチル6-メラカプト-5-ニトロピリジン-3-カルボキシレート(1.00gm、4.537mmol)及び鉄粉1.85gm(32.48mmol)を、75%メタノール及び25%水50mLを含有する反応フラスコに入れた。次いで、塩化カルシウム(0.41gm、3.63mmol)を加え、出発材料が生成物に完全に変換するまで、混合物を油浴上で還流した。還流の終了後、混合物をセライトで濾過して過剰の鉄を除去した。濾液をほぼ乾固するまで濃縮し、続いて水(25ml)を加え、酢酸エチルを使用して化合物を抽出した(3回×25ml)。溶媒を減圧下で除去し、得られた粗残渣は、更なる進行に十分な純度であった(3.49mmol、77%)。UPLC-MS:tR=1.26分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=93%、ESI-MS:(計算上のMH+:185.04g/mol、検出:185.14m/z)
【0288】
(5-アミノ-6-メラカプトピリジン-3-イル)メタノールの合成
メチル6-メラカプト-5-アミノピリジン-3-カルボキシレート(0.7gm、3.68mmol)を乾燥THF(20mL)に溶解し、この溶液を0°Cに冷却した。水素化リチウムアルミニウム(1.42gm、36.89mmol)を、N2雰囲気下で10分間反応混合物に少しずつ加えた。得られた溶液を室温で24時間撹拌した。UPLCで示されるように反応が完了した後、1.4mlの水、1.4mlの10%NaOH、0°Cの4.2mlの水を同時に加えることにより、過剰のLiAlH4をクエンチした。Al塩を濾別し、固形材料を水及びMeOH(1:1、100ml)で洗浄した。溶媒を蒸発させ、イソプロパノール(3回×50ml)を使用して固体ケークから化合物を抽出した。イソプロパノールを減圧下で除去して、純粋な形で所望の生成物(1.92mmol、52%)を得た。UPLC-MS:tR=1.01分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=96%、ESI-MS:(計算上のMH+:157.04g/mol、検出:157.11m/z)
【0289】
(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)(アミノオキシ))-N-(2-(tert-ブチルジスルファニル)-5-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-イル)アセトアミド)の合成
6-メルカプト-5-アミノピリジン-3-カルボン酸(1.3gm、8.03mmol)を入れたシュレンクフラスコに、CH2Cl2(20mL)、2-メチル-2-プロパンチオール(0.91ml、8.03mmol)及びTBHP(1.13gm、8.83mmol、水の70%溶液)をN2雰囲気下で加えた。30秒後、NIS(0.19gm、0.18mmol)を1つのバッチで加えた。次に、シュレンクフラスコを25°Cで1時間反応させた。反応終了後、水(20.0mL)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した(3回×30mL)。有機層を組み合わせて、真空下で蒸発させ、化合物をさらに精製することなく次のステップで使用した。UPLC-MS:tR=1.68分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=93%、ESI-MS:(計算上のMH+:245.08g/mol、検出:245.18m/z)
【0290】
(5-(2-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル(アミノオキシ)アセトアミド)-6-(tert-ブチルジスルファニル)ピリジン-3-イル)メチル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X12)の合成
(5-アミノ-6-(tert-ブチルジスルファニル)ピリジン-3-イル)メタノール(83.5mg、0.156mmol)をCH2Cl2(2mL)に入れ、乾燥ピリジン(0.161mL、0.19mmol)を加えた。その後、4-ニトロフェニルクロロホルミエート(31.9mg、0.154mmol)を加えた。LCMS及びTLCによって反応が12時間後に完了したことが示される。ジクロロメタンを真空で除去して、淡黄色/オレンジ色の粗油を得て、残渣を10mLの酢酸エチルに再溶解し、水と塩水を1:1(各5mL)で洗浄した。最後に、EtoAcを減圧下で除去して、所望の生成物(0.08mmol、75%)を得た。UPLC-MS:tR=12.59分(11.50分で10~60%のMeCN、11.51~13分で60~90%)、UPLC純度(=nm)=70%、ESI-MS:(計算上のMNa+:705.19g/mol、検出:705.41m/z)
【0291】
3-(4-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-((アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)-4-ニトロベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X13)の合成のための合成ステップ
メチル3-フルオロ-4-ニトロベンゾエート
3-フルオロ-4-ニトロ安息香酸(5.00g、27.01mmol)を、攪拌子で250mL丸底フラスコ内で、100mLのメタノールに溶解し、3mLの(54,02mmol)H2SO4を添加した。50°Cで42時間撹拌した後、UPLC-UV/可視はメチルエステルへの完全な変換を示した。回転式エバポレーターで反応混合物を10mLに濃縮した。100mLの酢酸エチル及び100mLのH2Oを加えた後、混合物を攪拌し、続いてK2CO3(7.00g)を少しずつ加えた。混合物を分液漏斗に移し、層を分離し、水相を100mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、蒸発後、4.81g(24.15mmol、89%)の所望の生成物をオレンジ色の固体として得た。UPLC-MS:tR=2.53分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(210nm)=99.4%、ESI-MS:(計算上のMH+:200.14g/mol、検出:-)。
【0292】
メチル4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イル)ベンゾエート
ピペラジン(4.07g、47.20mmol)及びK2CO3(4.24g、30.68mmol)を、攪拌子で250mL丸底フラスコ内の50mLのクロロホルムに懸濁した。50mLのクロロホルムに溶解したメチル3-フルオロ-4-ニトロベンゾエート(4.7g、23.60mmol)を、室温で1時間かけて滴下漏斗からゆっくりと加え、混合物を急速に攪拌した。66時間後、UPLC-UV/可視は、出発材料の10%のみが変換したことを示した。ピペラジン(4.07g、47.20mmol)を加え、2時間後にUPLC-UV/可視は完全な変換を示した。15分後、100mLのクロロホルム及び150mLの飽和NaHCO3溶液を加え、混合物を分液漏斗に移した。層を分離し、有機相を100mLの飽和NaHCO3溶液で2回、100mLの塩水で1回洗浄した。MgSO4で乾燥した後、回転式エバポレーターで有機溶媒を蒸発させた後、所望の生成物を赤色の固体(7.87g、完全に乾燥していない)として得た。UPLC-MS:tR=1.72分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(210nm)=87.2%、ESI-MS:(計算上のMH+:266.27g/mol、検出:266.23m/z)
【0293】
(4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イル)フェニル)メタノール
メチル4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イル)ベンゾエート(5.85g、完全に乾燥していない、推定20.00mmol)を500mLの丸底フラスコで40mLのTHFに溶解し、磁気撹拌子で攪拌した。LiCl(5.09g、120.00mmol)、NaBH4(4.54g、120.00mmol)、及び80mLのエタノールを連続して添加した。15時間後、UPLC-UV/可視は完全な変換を示した。反応混合物を真空で濃縮し、20mLのクロロホルムを加え、30mLの2MのNH4Cl溶液を滴下して加えながら混合物を急速に撹拌した。1時間後、120mLの1MのNaOH及び80mLのクロロホルムをゆっくりと加え、混合物を分液漏斗に移した。層を分離し、水相を100mLのクロロホルムで3回抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、有機溶媒を蒸発させた後に、所望の生成物がオレンジ色の固体として得られた(3.97g、16.73mmol、84%)。UPLC-MS:tR=1.27分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(210nm)=70.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:238.26g/mol、検出:238.24m/z)
【0294】
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン
ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)酢酸((Boc)2AOAcOH、2.96g、9.96mmol、1.2当量)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS、1.15g、9.96mmol、1.2当量)を10mLのアセトニトリルに溶解した。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2.07g、9.96mmol、1.2当量)を固体として加え、DCCの溶解後に白色の沈殿物が形成された。反応混合物を室温で1時間撹拌し、そこで(Boc)2AOAc-NHSエステルがUPLC-MSに従って定量的に形成された。その後、混合物を(4-ニトロ-3-(ピペラジン-1-イル)フェニル)メタノール(1.98g、8.30mmol)を83mLのクロロホルムに入れた丸底フラスコに濾過した。混合物を室温で1時間撹拌し、その後、反応の完了をTLC及びUPLC-MSによって確認した。更なる形成された沈殿物を濾別し、有機相を水で3回、飽和NaHCO3溶液で3回、および塩水溶液で3回洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、従って、有機溶媒を真空で除去し、表題の化合物を黄色の油として得た(4.35g、8.52mmol、定量的、完全に乾燥していない)。UPLC-MS:tR=3.00分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=48.2%、ESI-MS:(計算上のMH+:511.24、MNa+:534.23g/mol、検出:-)。
【0295】
3-(4-(2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-((アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)-4-ニトロベンジル(4ニトロフェニル)カーボネート(X13)
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル-アミノオキシ)-1-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2-ニトロフェニル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(2.06g、4mmol)を撹拌子を有する8mL丸底フラスコ内に入れた。この溶液に、乾燥ピリジンを加えた。その後、4-ニトロフェニルクロロホルミエート(0.86g、4.2mmol)を固体として室温でゆっくり加えた。反応は発熱性であり、DCMの泡立ちを引き起こし得る。室温で2時間撹拌した後、UPLC-MS及びTLCは炭酸塩への完全な変換を示した。回転式エバポレーターにて減圧下で溶媒を除去した。生成物をカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:1)で精製し、黄色の固体(410mg、0.61mmol)を得た。UPLC-MS:tR=3.44分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=92.4%、ESI-MS:(計算上のMH+:676.25g/mol、MNa+:698.23g/mol、検出:698.51m/z)
【0296】
1H-NMR(400MHz,CDCl3,25 °C):δ[ppm]=8.29(d,J=9.2Hz,2H),7.84(d,J=8.3Hz,1H),7.39(d,J=9.2Hz,2H),7.19(s,1H),7.16(d,J=9.7Hz,1H),5.29(s,2H),4.61(s,2H),3.89(t,J=3.90,2H),3.78(t,J=3.78,2H),3.15(t,J=3.15,2H),3.10(t,J=3.10,2H),1.54(s,18H)
【0297】
3-((4-(2-(アミノオキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-4-ニトロベンジル(4-ニトロフェニル)カーボネート(X43)を合成するための合成ステップ
2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)-1-(4-(5-(ヒドロキシメチル)-2-ニトロベンジル)ピペラジン-1-イル)エタン-1-オン(1.27g、完全に乾燥していない、推定1.86mmol)を磁気撹拌子を用いて50mL丸底フラスコ内の5mLクロロホルムに溶解し、氷浴で0°Cに冷却した。乾燥ピリジン(0.23mL、0.23g、2.88mmol)及びp-ニトロフェニルクロロホルメート(0.59g、2.88mmol)を連続して加えた。x時間後、UPLC-UV/可視は、出発材料の完全な変換を示した。回転式エバポレーターで溶媒を除去し、残渣を5mLの酢酸エチル/シクロヘキサン(1:1)に溶解した。酢酸エチル/シクロキサン(1:1)を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した後、所望の生成物(0.02g、0.03mmol)を得た。UPLC-MS:tR=2.96分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=55.6%、ESI-MS:(計算上のMNa+:712.24g/mol、検出:712.41m/z)
【0298】
求核性放出(タイプ3)リンカー分子X22及びX42を有するアミンスイッチの化学合成
2-(2-アジド-5-(4-(2-((2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)オキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)フェニル)酢酸(X22)の合成
【0299】
メチル2-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)アセテートの合成
5-フルオロ-2-ニトロフェニル酢酸(3.00gm、14.92mmol)を、撹拌子と共に100mlの丸底フラスコに入れた。化合物を40mlのMeOHに溶解し、そして1.62ml(29.84mmol)のH2SO4を室温でゆっくりと加えた。得られた反応混合物を6時間還流した。反応の進行は、UPLC-MS及びTLCによってモニターした。反応終了後、回転式エバポレーターにて減圧下でメタノールを除去した。得られた粗製物に、20mlの水を加え、飽和K2CO3溶液(50ml)を用いて溶液を中和した。沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、所望の生成物を白色の固体として得た(129.86mmol、98%)。UPLC-MS:tR=2.41分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=97%、ESI-MS:(計算上のMH+:214.05g/mol、検出:…)
【0300】
tert-ブチル4-(3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-4-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
メチル2-(5-フルオロ-2-ニトロフェニル)アセテート(0.70gm、3.25mmol)を乾燥DMFに溶解した。この溶液に、1-Boc-ピペラジン(0.83gm、4.39mmol)及びNa2CO3(0.71gm、6.5mmol)を室温で加え、得られた反応混合物を一晩、最大80℃で加熱した。反応の進行を、UPLC-MS及びTLCによってモニターした。反応の完了後、溶液を濾過して固体副生成物を除去し、回転式エバポレーターを使用して減圧下でDMFを除去した。粗材料に氷冷水(25ml)を加え、得られた固体を濾過し、水(50ml)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、黄色の固体UPLCの目的の生成物(1.01gm、2.66mmol、82%)を得た。UPLC-MS:tR=3.01分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=96.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:380.18g/mol、検出:324.10(M2H+-tブチル(tbu))。
【0301】
tert-ブチル4-(4-アミノ-3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
ジオキサン/H2O(25mL、3:1)中のtert-ブチル4-(3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-4-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(1.00gm、2.58mmol)の溶液に、室温でNH4Cl(1.23gm、1.01gm、18.50mmol)及び亜鉛末(1.23gm、18.50mmol)を加えた。反応混合物を同じ温度で3時間撹拌し、その後、それをセライトベッドに濾過した。得られた溶液を蒸発させ、粗材料をH2O(100mL)とEtOAc(300mL)の間で区画化した。有機層を分離し、乾燥濃縮して(MgSO4)、黄色の固体(1.75mmol、68%)で所望の生成物を得た。UPLC-MS:tR=2.12分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=94.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:350.21g/mol、検出:350.19m/z)
【0302】
tert-ブチル4-(4-アジド-3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレートの合成
tert-ブチル4-(4-アミノ-3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.35gm、0.99mmol)を乾燥アセトニトリル(25mL)に溶解し、0°Cに冷却した。90%の亜硝酸tert-ブチル(0.837g、7.94mmol)を反応混合物に滴下して加え、次にTMSN3(0.722g、5.95mmol)を10分かけて加えた。得られた赤色の混合物を3時間撹拌した。反応の進行はUPLC-MSでモニターした。反応終了後、過剰のTMSN3、t-BuONO及び溶媒を減圧下で除去し、得られた赤色残渣を50mLの酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した(2回×50mL)。酢酸エチル層をMgSO4で乾燥させ、減圧下で除去してオレンジ色の固体を得た(これをさらに精製することなく進めた)(0.33gm、0.88mmol)。UPLC-MS:tR=3.01分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=95.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:376.20g/mol、検出:376.28m/z)
【0303】
2-(2-アジド-5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)酢酸の合成
tert-ブチル4-(4-アジド-3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.314gm、0.83mmol)、LiOH(0.102gm、4.14mmol)、MeOH(5mL)、及びH2O(0.2mL)の溶液を、室温で3時間撹拌した。出発材料を生成物に完全に変換した後(UPLC-MSでモニター)、反応混合物を蒸発させ、得られた粗材料に、溶液のPHが6に達するまで飽和NH4Clを加えた。得られた溶液をEtOAcで抽出し(2回×25mL)、MgSO4で乾燥し、濃縮して、生成物を黄色の固体(0.65mmol、78%)としてもたらした。UPLC-MS:tR=2.55分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=95.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:362.18g/mol、検出:306.04m/z)
【0304】
4-(4-アジド-3-(カルボキシメチル)フェニル)ピペラジン-1-イウム2,2,2-トリフルオロアセテートの合成
純粋なトリフルオロ酢酸(0.6ml、6.14mmol)を、2-(2-アジド-5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)酢酸(0.22gm、0.61mmol)を含有する丸底フラスコに滴下して加え、得られた溶液を室温で1時間撹拌した。反応の完了後(UPLC-MSでモニター)、冷エーテル(25mL)を加え、得られた固体を濾過し、冷エーテルで洗浄した。得られた薄茶色の固体(0.30gm、85%)を乾燥させ、精製せずにさらなるステップに進めた。UPLC-MS:tR=2.80分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=87.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:262.13g/mol、検出:262.11m/z)間違った質量。
【0305】
2-(2-アジド-5-(4-(2-((((2-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)オキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)フェニル)酢酸(X22)の合成
ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)酢酸((Boc)2AOAcOH、88.4mg、0.30mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS、34.6g、0.30mmol)を2mLの乾燥アセトニトリルに溶解した。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、62.0mg、0.30mmol)を固体として加え、DCCの溶解後に白色の沈殿物が形成された。反応混合物を室温で1時間撹拌し、そこで(Boc)2AOAc-NHSエステルがUPLC-MSに従って定量的に形成された。その後、混合物を、DCC-尿素を除去するために、4-(4-アジド-3-(カルボキシメチル)フェニル)ピペラジン-1-イウム2,2,2-トリフルオロアセテート(100mg、0.20mmol)を乾燥DMF(2ml)及びDIEPA(155μL、0.89mmol)に含有する反応フラスコへ直接濾紙で濾過した。混合物をさらに室温で1~2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を蒸発させ、NH4Cl(25ml)を加えて反応混合物を中和した。化合物をEtOAcで抽出し(2回×25mL)、MgSO4で乾燥し、濃縮して、生成物を暗褐色の固体(0.19mmol、97%)としてもたらした。UPLC-MS:tR=2.80分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=87.0%、ESI-MS:(計算上のMNa+:557.23g/mol、検出:557.28m/z)
1H NMR(400 MHz,)δ 7.06(d,J=8.7Hz,1H),6.90(d,J=8.8Hz,1H),6.83(s,1H),4.60(s,2H),3.90-3.84(m,2H),3.77-3.72(m,2H),3.59(s,2H),3.24-3.11(m,4H),1.54(s,18H)
【0306】
2-(5-(4-(2-((2-ビス-)tert-ブトキシカルボニル)アミノ)オキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)-2-ニトロフェニル)酢酸(X42)の合成
2-(5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)-2-ニトロフェニル)酢酸の合成
MeOH:H2O(21.2mL、16:1)中のtert-ブチル4-(3-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-4-ニトロフェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート(0.50gm、1.30mmol)の溶液にLiOHを加え、室温で一晩撹拌した。出発材料を生成物に完全に変換した後に(UPLC-MSでモニター)、反応混合物を蒸発させ、得られた粗材料に飽和NH4Cl(25mL)を溶液のPHが6に達するまで加えた。化合物をEtOAcで抽出し(4回×25mL)、MgSO4で乾燥し、減圧下で濃縮して、所望の生成物を黄色の固体としてもたらした(0.78mmol、59%)。UPLC-MS:tR=2.36分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=97.0%、ESI-MS:(計算上のMH+:380.18g/mol、検出:310.04m/z(2H+-tbu m/z))
【0307】
4-(3-(カルボキシメチル)-4-ニトロフェニル)ピペラジン-1-イウム2,2,2-トリフルオロアセテートの合成
純粋なトリフルオロ酢酸(0.73ml、7.59mmol)を、2-(5-(4-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジン-1-イル)-2-ニトロフェニル)酢酸(0.28gm、0.76mmol)を含有する丸底フラスコに室温で滴下して加え、得られた溶液を1時間撹拌した。反応の完了後(UPLC-MSでモニター)、冷エーテル(25mL)を加え、得られた固体を濾過し、冷エーテルで洗浄した。得られた黄色の固体(88%)を乾燥し、精製せずにさらなるステップに進めた。UPLC-MS:tR=1.35分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=88.9%、ESI-MS:(計算上のMH+:266.11g/mol、検出:266.11m/z)
【0308】
2-(5-(4-(2-((2-ビス-)tert-ブトキシカルボニル)アミノ)オキシ)アセチル)ピペラジン-1-イル)-2-ニトロフェニル)酢酸(X42)の合成
ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-(アミノオキシ)酢酸((Boc)2AOAcOH、88.4mg、0.30mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS、34.6g、0.30mmol)を2mLの乾燥アセトニトリルに溶解した。この溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、62.0mg、0.30mmol)を固体として加え、DCCの溶解後に白色の沈殿物が形成された。反応混合物を室温で1時間撹拌し、そこで(Boc)2AOAc-NHSエステルがUPLC-MSに従って定量的に形成された。その後、混合物を、DCC-尿素を除去するために、4-(3-(カルボキシメチル)-4-ニトロフェニル)ピペラジン-1-イウム2,2,2-トリフルオロアセテート(100mg、0.20mmol)を乾燥DMF(2ml)及びDIEPA(155μL、0.89mmol)に含有する反応フラスコへ直接濾紙で濾過した。混合物を室温で1~2時間撹拌し、その後、反応の完了をUPLC-MSによって確認した。反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、NH4Cl(25ml)を加えて反応混合物を中和した。得られた溶液を EtOAcで抽出し(2回×25mL)、濃縮して、生成物を暗褐色の固体としてもたらした(0.19mmol、97%)。UPLC-MS:tR=2.74分(3分で10~90%のMeCN)、UPLC純度(278nm)=87.0%、ESI-MS:(計算上のMNa+:561.22g/mol、検出:561.28m/z)。