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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133621
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】雑音を低減するための電気装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
H04R3/00 320
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108464
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022523840の分割
【原出願日】2019-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】522161878
【氏名又は名称】ダーク レイン インダストリーズ ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DARK REIGN INDUSTRIES PTY LTD
【住所又は居所原語表記】4 Batten Place,Doonside,New South Wales 2767(AU)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハム,フレデリック ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】ライアン,アンドリュー ジョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】雑音を低減するための電気装置を提供する。
【解決手段】電気装置は、第1マイクロホン110と、第2マイクロホン112と、回路113と、を備える。第1マイクロホン110は、環境雑音によって干渉された音源からの音波を捕捉し、第1電気信号を出力する。第2マイクロホン112は、使用時に音源から離れて配置され、環境雑音を受信し第2電気信号を出力する。第2電気信号は、第2マイクロホン112の負端子から出力され、第1電気信号とは極性が逆である。回路113が、第1電気信号と第2電気信号との和をとることで、第1電気信号における雑音成分を第2電気信号によって低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雑音を低減するための電気装置であって、
音源から音波を受信し、前記音波を雑音成分を含む第1電気信号に変換するように構成された第1マイクロホン(110)であって、第1正端子と第1負端子とを含み、前記第1電気信号が前記第1正端子から出力される第1マイクロホン(110)と、
周囲環境から環境雑音を受信し、前記環境雑音を第2電気信号に変換するように構成された第2マイクロホン(112)であって、第2正端子と第2負端子とを含むエレクトレットマイクロホンであり、前記第2電気信号が前記第2負端子から出力され、前記第2電気信号は前記第1電気信号と極性が逆となる第2マイクロホン(112)と、
前記第1マイクロホン(110)と前記第2マイクロホン(112)とを接続する回路(113)と
を備え、
前記回路(113)は、前記第2マイクロホン(112)の前記第2負端子に接続された第2抵抗器(120)を含み、
前記第2マイクロホン(112)の前記第2正端子は、前記回路(113)の接地に接続され、
前記第2抵抗器(120)は、前記第2マイクロホン(112)の前記第2負端子のための第2バイアスを生成し、前記第2電気信号の極性を逆にすべく、前記第2マイクロホン(112)に流れる電流を低減し、
前記回路(113)は、極性が逆の前記第2電気信号を用いて前記第1電気信号における雑音成分を低減すべく、前記第1電気信号と前記第2電気信号とを合成するように更に構成される
電気装置。
【請求項2】
前記第1マイクロホン(110)は、単一指向性エレクトレットマイクロホンであり、前記第1負端子は、前記回路の前記接地に接続される
請求項1に記載の電気装置。
【請求項3】
前記第2マイクロホン(112)は、全指向性エレクトレットマイクロホンである
請求項2に記載の電気装置。
【請求項4】
前記回路(113)は、前記第1電気信号における高周波電流をフィルタ除去すべく、前記第1マイクロホン(110)の前記第1正端子と前記回路の前記接地との間に接続された第1コンデンサ(114)を更に含む
請求項3に記載の電気装置。
【請求項5】
前記回路(113)は、前記第1マイクロホンの前記第1正端子のための第1バイアス電圧を生成すべく、前記第1マイクロホン(110)の前記第1正端子に接続された第1抵抗器(118)を更に含む
請求項4に記載の電気装置。
【請求項6】
前記回路(113)は、高周波干渉を防止すべく、前記第1抵抗器(118)と直列接続された第1インダクタ(122)を更に含む
請求項5に記載の電気装置。
【請求項7】
前記回路(113)は、前記第2電気信号における高周波電流をフィルタ除去すべく、前記第2マイクロホン(112)の前記第2負端子と前記回路の前記接地との間に接続された第2コンデンサ(116)を更に含む
請求項6に記載の電気装置。
【請求項8】
前記回路(113)は、高周波干渉を防止すべく、前記第2抵抗器(120)と直列接続された第2インダクタ(124)を更に含む
請求項7に記載の電気装置。
【請求項9】
前記回路(113)は、出力端子(201)を更に含み、前記第1電気信号と前記第2電気信号とを合成すべく、前記出力端子(201)において前記第1インダクタと前記第2インダクタとを接続する
請求項8に記載の電気装置。
【請求項10】
前記回路(113)は、電気機械的なフィードバックを防止すべく、前記第1マイクロホン(110)の前記第1負端子と前記第2マイクロホン(112)の前記第2正端子とに接続された第3抵抗器(126)を更に含む
請求項9に記載の電気装置。
【請求項11】
前記回路(113)は、前記第3抵抗器(126)と直列接続されたスイッチ(128)を更に含む
請求項10に記載の電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、雑音除去技術及び雑音低減技術に関し、具体的には、雑音を低減するための電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雑音制御又は雑音除去は、多くの場合、個人的な快適性、環境上の配慮、又は法令遵守のための所望されない音を低減する手段として長く用いられ、携帯電話、双方向ラジオ/トランシーバ(walkie talkie)、マイクロホン、ヘッドセット、スピーカなどの多数の電子装置及び通信装置において実装されている(例えば、特許文献1~3)。当該技術の主目的は、(環境雑音などの)所望されない雑音を除去又は低減して、人間の声などの所望の音のみが聞こえるようにすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0097674号明細書
【特許文献2】米国特許第5448637号
【特許文献3】米国特許第5825897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信中又は音声録音中の、周囲における環境雑音は、通信又は録音の妨害を引き起こし、音の効果的な伝送を不可能にする。例えば、トランシーバを介したユーザ間の通信中において、環境雑音はユーザの声よりも大きい場合、又は、通信を妨害する程度に大きい場合がある。結果として、ユーザは双方ともに明確に聞こえなくなる。
【0005】
したがって、当該技術分野においては、上記の欠点のない雑音を低減するための電気装置を開発する必要があり、少なくとも、有効的かつ効果的な代替物を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、様々な実施形態によって後述される。しかしながら、本開示は、多数の異なる形態で具現化でき、本明細書において説明した実施形態に限定されるものとして解釈すべきではない。
【0007】
雑音を低減するための電気装置が提供される。電気装置は、音源からの音波を受信し、音波を雑音成分を含む第1電気信号に変換するように構成された第1マイクロホンであって、第1正端子と第1負端子とを含み、第1電気信号が第1正端子から出力される第1マイクロホンと、周囲環境から環境雑音を受信し、環境雑音を第1電気信号と極性が逆の第2電気信号に変換するように構成された第2マイクロホンであって、第2正端子と第2負端子とを含むエレクトレットマイクロホンであり、第2電気信号が第2負端子から出力され、第2電気信号は第1電気信号と極性が逆となる第2マイクロホンと、第1マイクロホンと第2マイクロホンとを接続する回路とを備え、回路は、第2マイクロホンの第2負端子に接続された第2抵抗器を含み、第2マイクロホンの第2正端子は、回路の接地に接続され、第2抵抗器は、第2マイクロホンの第2負端子のための第2バイアスを生成し、第2電気信号の極性を逆にすべく、第2マイクロホンに流れる電流を低減し、回路は、極性が逆の第2電気信号を用いて第1電気信号における雑音成分を低減すべく、第1電気信号と第2電気信号とを合成するように更に構成される。
【0008】
環境雑音を表す第2電気信号は、極性が逆であり、第1電気信号と合成されることが利点である。上述によれば、第1電気信号における雑音成分は、顕著に低減し、合成した信号の信号対雑音比(SN比)は、更に高くなる。結果、合成した信号に基づいて受信装置で生成される音は、受信装置を用いるユーザに更に明確となる。
【0009】
第1マイクロホンは、単一指向性エレクトレットマイクロホンであり、第1負端子は、回路の接地に接続される。
【0010】
第2マイクロホンは、全指向性エレクトレットマイクロホンである。
【0011】
回路は、第1電気信号における高周波電流をフィルタ除去すべく、第1マイクロホンの第1正端子と回路の接地との間に接続された第1コンデンサを更に含む。
【0012】
回路は、第1マイクロホンの第1正端子のための第1バイアス電圧を生成すべく、第1マイクロホンの第1正端子に接続された第1抵抗器を更に含む。
【0013】
回路は、高周波干渉を防止すべく、第1抵抗器と直列接続された第1インダクタを更に含む。
【0014】
回路は、第2電気信号における高周波電流をフィルタ除去すべく、第2マイクロホンの第2負端子と回路の接地との間に接続された第2コンデンサを更に含む。
【0015】
回路は、高周波干渉を防止すべく、第2抵抗器と直列接続された第2インダクタを更に含む。
【0016】
回路は、出力端子を更に含み、第1電気信号と第2電気信号を合成すべく、出力端子において第1インダクタと第2インダクタとを接続している。
【0017】
回路は、電気機械的なフィードバックを防止すべく、第1マイクロホンの第1負端子と第2マイクロホンの第2正端子とに接続された第3抵抗器を更に含む。
【0018】
本開示の一実施形態によると、回路は、第3抵抗器と直列接続されたスイッチを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の少なくとも1つの実施例を、添付の図面を参照して説明する:
【0020】
図1図1は、本開示の一実施形態による、雑音を低減するための電気装置の構造図を示す。
図2図2は、本開示の一実施形態による、雑音を低減するための電気装置を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による、雑音を低減するための電気装置を示す。
図4図4は、本開示の一実施形態による、点1.01で測定した第1電気信号の波形を示す。
図5図5は、本開示の一実施形態による、点1.02での第2電気信号の測定値の波形を示す。
図6図6は、本開示の一実施形態による、点1.03で測定した、合成した出力信号の波形を示す。
【0021】
添付の図面及び以下の説明においては、異なる図面における同類又は同一の参照番号は、同じ又は類似の要素を示すことに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本開示の一実施形態による、雑音を低減するための電気装置100の構造図を示す。図1に示すように、電気装置100は、第1マイクロホン(110)と、第2マイクロホン(112)と、回路(113)とを備える。第1マイクロホン(110)は、使用時に音源の近傍又は方向に配置され、具体的には、音源から音波を受信するように構成される。音源は、所望の音波を生成する任意の対象にでき、第1マイクロホン(110)により受信されることを目的とするものである。図1に示した実施例においては、音源は、第1マイクロホン(110)の方に会話中の人である。音源からの音波、すなわち、本実施例における人の声は、伝送媒体、具体的には空気を介して、第1マイクロホン(110)に伝播され、第1マイクロホン(110)によって捕捉される。次いで、第1マイクロホン(110)は、音波を第1電気信号に変換する。実際には、伝送媒体における音波の伝送中に、音源の音波は、環境雑音の少なくとも一部によって干渉され、近傍で動作する機械又は車両などの他の対象、近傍で話す他の人々、又は所望の音波の偶数倍の反響により引き起こされる場合がある。結果、第1マイクロホン(110)により変換された第1電気信号は、人の音声に加えて雑音成分を含む。図1に示した実施例においては、第1電気信号は、第1マイクロホン(110)の正端子から出力される。
【0023】
図1に示したように、第2マイクロホン(112)は、使用時に音源から離れて配置され、周囲環境から環境雑音を受信し、具体的には、環境雑音を表す第2電気信号に環境雑音を変換するように構成される。環境雑音は、周囲環境で発生する任意の所望されない音を含み、例えば、交通、車のクラクション(honking car)、喧騒(yelling)、大音量の音楽、又は任意の他の所望されない雑音を含む。図1に示した実施例においては、第2電気信号は、第2マイクロホン(112)の負端子から出力され、第1電気信号と極性が逆である。
【0024】
回路(113)は、第1マイクロホン(110)と第2マイクロホン(112)を接続し、第1電気信号と第2電気信号を合成するように構成されている。例えば、回路113は、第1電気信号と第2電気信号とを加算する加算回路にできる。結果、回路(113)に生じる出力信号は、第1電気信号と第2電気信号との和となる。第2電気信号は、第1電気信号と極性が逆になる場合、第1電気信号における雑音成分は、第1電気信号及び第2電気信号が加算された後に、第2電気信号によって低減される。したがって、電気装置(100)に生じる出力信号の信号対雑音比(SNR)は、音声と雑音とを含む第1電気信号と比較して高くなる。電気装置(100)の出力信号は、更なる処理が可能であり、例えば、ディジタル化(アナログディジタル変換(AD変換))、変調、及び受信装置への送信ができる。受信装置は、例えば、復調及びディジタルアナログ変換(DA変換)を介して、SNRが更に高い音声信号を受信信号から生成する。音声信号が受信装置のスピーカから再生される場合、受信装置を用いるユーザは、音声信号のSNRが更に高くなるため、人の音声を更に明確に聞くことができる。
【0025】
図2は、本開示の一実施形態による、雑音を低減するための電気装置200を示す。電気装置200における回路(113)は、接地又は負極を有しており、第1マイクロホン(110)と第2マイクロホン(112)との間の接続を確立している。電気装置(200)における第1マイクロホン(110)(すなわち、図2における「音声マイク(voice mic)」)は、第1正端子と、第1負端子とを含む単一指向性エレクトレットマイクロホンである。第1負端子は、回路(113)の接地又は負極に接続され、図2の点1.01で測定可能な第1電気信号は、第1マイクロホン(110)の第1正端子で出力される。単一指向性のマイクロホンは、特定の方向からの音波を捕捉する一方、他の方向からの音を抑制できる。一実施例においては、第1マイクロホン(110)が0度の角度で音声信号を受信する場合、最小限の環境信号が検知され、一方向からの信号のみを受信可能にし、低い帯域幅は、所望されない更に高い周波数をフィルタ除去する。このように、第1マイクロホン(110)が音源に方向づけられる場合、単一指向性のマイクロホン(110)で受信される音波は、環境雑音による干渉が小さくなり、得られる第1電気信号に含まれる雑音は更に少なくなる。最終的に、電気装置(200)の出力信号が更に良好になり、図2の点1.03で測定可能である。
【0026】
更に、電気装置(200)における第2マイクロホン(112)は、第2正端子と第2負端子とを含む全指向性エレクトレットマイクロホンである。図2に示したように、第2正端子は、回路(113)の接地に接続され、図2の点1.02で測定可能な第2電気信号は、第2マイクロホン(112)の第2負端子に出力される。全指向性エレクトレットマイクロホンは、実質的に等しいゲインで、全方向からの音を受信する。このように、得られる第2電気信号は、環境雑音を正確に表すことが可能となる。更に、第2電気信号は、第2マイクロホン(112)の第2負端子で出力され、第2電気信号は、第1マイクロホン(110)の第1正端子で出力される第1電気信号と極性が逆になる。
【0027】
図2に示すように、回路(113)は、第1コンデンサ(114)を含む。第1コンデンサ(114)は、第1マイクロホン(110)の第1正端子と回路(113)の接地との間に接続されている。第1コンデンサ(114)は、第1電気信号における高周波電流をフィルタ除去して、突発的な無線周波数が低周波音声回路(113)に入力されるのを阻止し、回路(113)が閉の場合の電圧のスパイクを防ぐように構成される。第1コンデンサ(114)は、セラミックコンデンサにでき、第1コンデンサ(114)の静電容量は、例えば1μF(マイクロファラド)にできる。回路(113)は、第1マイクロホン(110)の第1正端子に接続された第1抵抗器(118)を更に含む。第1抵抗器(118)は、第1マイクロホン(110)の第1正端子のための第1バイアス電圧を生成でき、第1抵抗器(118)は、第1電気信号に微少な減衰を付加できる。第1抵抗器(118)の抵抗値は、例えば、1.8kΩ(キロオーム)にできる。回路(113)は、第1抵抗器(118)と直列に接続された第1インダクタ(122)を更に含む。図2に図示しないが、電気装置(200)が、空気中での無線周波数信号の送信に用いられる無線周波数送信装置を通常含む無線装置(例えば携帯電話)の一部として、無線装置に統合される場合、第1インダクタ(122)は、送信装置によって生成される可能性のある無線周波数干渉が低周波音声回路(113)に入力されるのを抑制することによって高周波干渉を防ぐ。第1インダクタ(122)のインダクタンスは、例えば0.02mh(ミリヘンリー)にできる。
【0028】
回路(113)は、第2マイクロホン(112)の第2負端子と回路(113)の接地との間に接続された第2コンデンサ(116)を含む。第2コンデンサ(116)は、第2電気信号における高周波電流をフィルタ除去して、突発的な無線周波数が低周波音声回路(113)に入力されるのを阻止し、回路(113)が閉の場合の電圧のスパイクを防ぐように構成される。第2コンデンサ(116)は、セラミックコンデンサにでき、第2コンデンサ(116)の静電容量は、例えば1μF(マイクロファラド)にできる。回路(113)は、第2マイクロホン(112)の第2負端子に接続された第2抵抗器(120)を更に含む。第2抵抗器(120)は、第2マイクロホン(112)の第2負端子のための第2バイアス電圧を生成する。したがって、第2抵抗器(120)により、第2マイクロホン(112)(特に、第2マイクロホン(112)がエレクトレットマイクロホンである場合、第2マイクロホン(112)におけるJFETトランジスタ)は、逆極性で動作可能となる。第2抵抗器(120)は、第2マイクロホン(112)を通る電流と、第2マイクロホン(112)における電圧の振幅とを更に低減する。第2抵抗器(120)の抵抗値は、例えば1.8kΩ(キロオーム)にできる。回路(113)は、第2抵抗器(120)と直列接続された第2インダクタ(124)を更に含む。第2インダクタ(124)は、無線送信装置によって生成された無線周波数干渉が、低周波音声回路(113)に入力されるのを防ぐように構成されている。第2インダクタ(124)のインダクタンスは、例えば0.02mh(ミリヘンリー)にできる。
【0029】
回路(113)は、第1インダクタ(122)と第2インダクタ(124)とを接続する出力端子(201)を更に含む。このように、回路(113)は、出力端子(201)で第1電気信号と第2電気信号とを合成する。第1電気信号と第2電気信号との和である合成した出力信号は、点1.03で測定可能である。上述したように、第2電気信号は、雑音成分を含む第1電気信号と極性が逆である。したがって、合成した出力信号においては、雑音成分は低減される。
【0030】
図2に示した電気装置(200)は、無線装置が元の製造業者によって製造される場合、無線装置の一部として無線装置(例えば携帯電話)に統合できる。例えば、出力端末(201)で合成された出力信号は、更なる処理(例えば、アナログディジタル会話、変調、暗号化、送信など)のために無線装置の他の回路に供給できる。回路(113)の接地は、電気装置(200)を無線装置の他の回路と電気的に接続すべく、無線装置の他の回路の接地と接続される。このように、電気装置(200)は、携帯電話などの全二重方式の用途に用いることができる。
【0031】
図3は、本開示の一実施形態による、雑音を低減するための電気装置(300)を示す。電気装置(300)は、雑音低減機能がない場合、又は更に良好な雑音低減機能が所望される場合に、既存の無線装置の付属品として用いることができる。
【0032】
図3に示したように、図1及び図2に示した要素に加えて、電気装置300における回路(113)は、第3抵抗器(126)を更に含む。第3抵抗器(126)は第1マイクロホン(110)の第1負端子と第2マイクロホン(112)の第2正端子とに接続され、事実上、回路(113)の接地に接続される。更に、回路(113)は、「プレストーク(push to talk)」を目的として第3抵抗器(126)と直列接続されたスイッチ(128)を含む。第3抵抗器(126)は、例えばスイッチ(128)が押下されて閉じられた場合に、電気機械的なフィードバックが低周波音声回路(113)に入力されるのを防ぐように構成されている。電気機械的なフィードバックは、電気装置(300)が半二重通信モードにおいて用いられる場合に生成される場合がある。一実施例においては、第3抵抗器(126)の抵抗は、例えば0Ω(オーム)にできる。更に、回路(113)は、「プレストーク」を目的として、第3抵抗器(126)と直列接続されたスイッチ(128)を含む。電気装置(300)は、コネクタ(130)を更に含み、電気装置(300)、具体的には回路(113)を、雑音低減機能がない場合に、既存の無線装置(例えば、図3には示していないトランシーバ)に付属品として接続するように構成されている。例えば、雑音低減機能が所望される場合には、コネクタ(130)を無線装置に挿入して、電気装置(300)を無線装置に接続できる。
【0033】
スイッチ(128)は、「プレストーク」の目的でコネクタ(130)に接続される。更に、電気装置(300)の出力端子(201)は、第1電気信号と第2電気信号との和である合成した出力信号を、例えば、アナログディジタル会話、変調、暗号化、送信などの更なる処理を行う無線装置に供給すべく、コネクタ(130)に接続される。電気装置(300)は、SNRが更に高い入力信号、すなわち出力端子(201)からの合成した出力信号を無線装置に供給できる。このように、他の無線装置、すなわち、受信無線装置が無線装置から信号を受信し、受信した信号から音声を生成する場合、無線装置を用いる人の音声は、受信無線装置を用いるユーザに更に明確となる。
【0034】
無線装置、例えば、トランシーバ/双方向ラジオは、通常、無線装置によって生成された音声を再生するための内部スピーカを含む。電気装置(300)は、コネクタ(130)に接続されたスピーカ(131)を更に含む場合がある。コネクタ(130)は、コネクタ(130)が無線装置に挿入された場合、無線装置の内部スピーカを無効にし、外部スピーカとしてのスピーカ(131)を介して無線装置によって生成された音を再生するように構成される。
【0035】
図3に示した実施例におけるコネクタ(130)は、2ピンコネクタである。一方のピンは、スピーカー(131)に接続するように構成され、スピーカピンとして表示され、他方のピンは、マイク(110、112)を制御するように構成され、マイクピンとして表示される。コネクタ(130)のスピーカピンは、正端子と負端子/接地とを含み、コネクタ(130)のマイクピンは、マイクロホン端子と「プレストーク」端子とを含む。スピーカ(131)は、正端子と負端子とを含む。スピーカ(131)の正端子は、スピーカピンの正端子に接続され、スピーカ(131)の負端子は、スピーカピンの負端子/接地に接続される。回路(113)の接地は、スピーカピンの負端子/接地に接続される。
【0036】
マイクピンのマイクロホン端子は、出力端子(201)に接続され、SNRが更に高い合成した出力信号を受信する。マイクピンの「プレストーク」端子は、「プレストーク」目的のために「プレストーク」スイッチ(128)に接続される。このように、コネクタ(130)が無線装置(図示せず)に挿入された後、「プレストーク」スイッチ(128)が電気装置(300)を用いてユーザによって押下された場合、回路(113)は閉となる。したがって、第1マイクロホン及び第2マイクロホン(110、112)は、上述したように動作可能であり、SNRが更に高い合成した出力信号は、出力端子(201)で出力され、更にコネクタ(130)に供給され、次いで、更なる処理のために、受信無線装置に送信される前に無線装置に供給される。一方、「プレストーク」スイッチ(128)がユーザによって開とされる場合、合成した出力信号は、コネクタ(130)又は無線装置に供給されない。結果、音源からの音声は、受信無線装置に送信されない。このように、電気装置(300)は、双方向ラジオ又はトランシーバなどの半二重方式の装置で用いることができる。
【0037】
第1電気信号の波形、第2電気信号の波形、及び合成した出力信号の波形は、図4図5、及び図6を参照して以下において説明し、本開示の効果を示す。
【0038】
図4は、図3において示した電気装置(300)における点1.01で測定した第1電気信号の波形を示す。第1電気信号の周波数は約1KHzであり、ピーク間電圧は200 mV、すなわち46DbmVである。上述したように、第1電気信号は、所望の音(例えば、人の音声)と、雑音成分とを含む。
【0039】
図5は、図3において示した電気装置(300)における点1.02で測定した第2電気信号の波形を示す。第2マイクロホン(112)が逆極性で動作する場合、第2電気信号の波形は、第1電気信号と180度位相がずれる。換言すると、第2電気信号は、第1電気信号と極性が逆になる。第2電気信号のピーク間電圧は、100mV、すなわち40DbmVである。上述したように、第2電気信号は、環境雑音を表す。
【0040】
図6は、図3において示した電気装置(300)において点1.03で測定した、合成した出力信号の波形を示す。上述したように、第1電気信号及び第2電気信号は合成され、合成した出力信号は、出力端子(201)で出力される。合成した出力信号は、第1電気信号と第2電気信号との和である。図6において示したように、合成した出力信号のピーク間電圧は、100mV、すなわち40DbmVであり、第2電気信号の極性が逆のため、第1電気信号のピーク間電圧よりも低くなる。
【0041】
試験は、電気装置(300)のSNRが59dBのSNRに到達することを示し、一方、既存の無線装置(例えば、トランシーバ)のSNRは、無線装置の製造業者によって約40dBであると述べられている。したがって、本開示は、既存の無線装置よりも良好な音声効果を達成する。
【0042】
本開示の利点は多様である。本開示は、雑音低減/雑音消去に対する費用効率及びエネルギー効率が良好なアプローチを提供する。本開示は、通信装置を介して雑音低減/雑音除去を提供できる。本開示の装置は、携帯電話、ラジオ、トランシーバ、衛星電話などの多様な通信装置とともに用いることができる。
【0043】
本明細書で用いられる用語及び説明は、例示の目的のみで記載されており、限定を意味しない。本明細書に開示される実施例及び限定は、任意の方法において限定することを意図するものではなく、本開示の精神から逸脱することなく変更可能である。当業者は、本開示の精神及び範囲、並びにその均等物の範囲で多くの変形が可能であり、全ての用語は、別段の指示がない限り、それらの最も広範に推定される意味で理解すべきことを認識するであろう。
【0044】
上述の実施形態に対する様々な変更は、説明及び添付の図面から当業者において明白である。本明細書に記載の様々な実施形態に関連する原理は、他の実施形態に適用できる。したがって、上述の説明は、添付の図面とともに示される実施形態に限定することを意図するものではなく、本明細書において開示又は示唆される原理並びに新規性及び発明性のある特徴と一致する、最も広範な範囲を提供することを意図する。よって、本開示は、本開示及び添付の請求項の範囲の他の全ての代替形態、変更形態、及び変形形態を先行して維持する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6