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特開2024-133624肥満又は糖尿病治療のためのエレクトロポレーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133624
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】肥満又は糖尿病治療のためのエレクトロポレーション
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20240925BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20240925BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/32
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108605
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2022206883の分割
【原出願日】2016-10-07
(31)【優先権主張番号】62/238,191
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デシモン,クリストファー ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】アブ ダイエ,バーラム ケー.
(72)【発明者】
【氏名】アッシャーバタム,サミュエル ジェイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】肥満及び糖尿病を含む健康状態の治療のために使用できる管腔内デバイス及び方法を提供する。ここに開示する方法及びシステムは、個人のカロリ吸収を減少させることによって、体重を減少させ又は糖尿病を制御できる。更に、本文書は、消化管の一部をバイパスし、栄養摂取を減少させるデバイス及び方法を提供する。
【解決手段】内部を通るルーメンを画定する、近位シャフトおよび遠位シャフトと、1つ以上のアパーチャを規定し、前記近位シャフトと前記遠位シャフトの間に取り付けられるロールアップ部材として構成された中間部分と、前記ロールアップ部材に配置され腸に電気的なエレクトロポレーションエネルギを伝達するために通電されるように構成される1つ以上の電極と、を備えるエレクトロポレーションデバイス。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を通るルーメンを画定する、近位シャフトおよび遠位シャフトと、
1つ以上のアパーチャを規定し、前記近位シャフトと前記遠位シャフトの間に取り付けられるロールアップ部材として構成された中間部分と、
前記ロールアップ部材に配置され腸に電気的なエレクトロポレーションエネルギを伝達するために通電されるように構成される1つ以上の電極と、
を備えるエレクトロポレーションデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2015年10月7日に出願された米国特許出願第62/238,191号に対する優先権を主張する。先願の開示は、本出願の開示の一部とみなされる(及び参照により援用される)。
【0002】
1.技術分野
本文書は、肥満及び糖尿病を含む健康状態の処置のためのデバイス及び方法に関する。例えば、本文書は、内視鏡的なエレクトロポレーションを用いて肥満及び糖尿病を治療するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
肥満は、年齢、民族、社会経済的境界を越えた世界的な問題である。一般に、肥満とは体脂肪が多すぎることを意味する。病的肥満は、呼吸又は歩行等の基本的な身体的機能を妨げる可能性がある深刻な健康状態である。病的肥満である個人は、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症、胃食道逆流症、不妊症、腰痛、喘息、胆石、変形性関節症、心臓病及び癌を含む疾患に罹患するリスクが高い。このような疾患を抱える世界中の何百万人もの人々を治療するために、毎年数十億ドルが費やされている。病的肥満に苦しむ多くの人々は、食事制限と運動によって体重を減らすことがほぼ不可能であると感じている。
【0004】
2型糖尿病は、身体が糖(グルコース)を代謝する方法に影響を与える慢性症状である。2型糖尿病の体は、細胞内への糖の移動を調節するホルモンであるインスリンの効果に抵抗するか、或いは、正常なグルコースレベルを維持するのに十分なインスリンを産生しなくなる。2型糖尿病は、一般的に成人に多いが、小児期の肥満が増すにつれて、子供の罹患率も高まっている。2型糖尿病の治療法は、確立されていない。幾つかのケースでは、この疾患は、健康的に食事をし、運動し、健康的な体重を維持することによって管理される。食事と運動によって血糖値を十分に管理できない場合、糖尿病薬及び/又はインスリン療法が必要になることがある。
【0005】
アブレーション/エレクトロポレーション療法は、様々な症状に関連する組織を破壊するために使用される低侵襲処置の一種である。例えば、アブレーション処置によって、腫瘍を治療し、又は頻脈を引き起こす心臓組織を破壊することができる。アブレーション療法は、皮膚を通して挿入されるプローブ又は体管路を通って挿入される可撓性チューブ(カテーテル)を用いて行ってもよく、エネルギービームを治療対象領域に到達させることによって行ってもよい。アブレーションを誘導するためにイメージング技術を使用できる。組織は、熱(例えば、高周波アブレーション)、極低温(低温切除)、レーザ又は化学物質によって損傷又は破壊される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本文書は、肥満及び糖尿病を含む健康状態の処置のためのデバイス及び方法を提供する。幾つかの実施形態では、ここに開示する方法及びシステムは、個人のカロリ吸収を減少させること、食欲調節及びインスリン分泌にとって重要な腸ホルモンのレベルを上げること、及び/又は小腸の粘膜を再形成することによって、体重を減少させ及び/又は糖尿病を制御できる。例えば、本文書は、エレクトロポレーションを用いて十二指腸粘膜を調節することにより、肥満及び糖尿病を治療するための幾つかのデバイス及び方法を提供する。更に、本文書は、消化管(GI(gastrointestinal)管)の一部をバイパスして栄養摂取を減少させるためのデバイス及び方法を提供する。
【0007】
一側面では、エレクトロポレーションデバイスは、内部を通る第1のルーメンを画定するシャフトと、シャフトの遠位部分の周りに取り付けられた近位バルーンと、近位バルーンの遠位に延びる中間部と、中間部の遠位に延びる遠位バルーンとを含む。中間部は、第1のルーメンと連通する中間部ルーメンを画定する。中間部は、エレクトロポレーションエネルギを提供するように構成された1つ以上の電極を含む。中間部は、中間部の壁を貫通し、中間部ルーメンと連通する1つ以上のアパーチャを含む。中間部は、長手方向に収縮された状態と、長手方向に収縮された状態よりも長い長手方向に拡張された状態とを有する。幾つかの実施形態では、中間部は、長さが固定されている。
【0008】
このエレクトロポレーションデバイスは、以下の特徴の1つ以上を任意に含むことができる。遠位バルーンは、中間部ルーメンと連通する、内部を通る遠位バルーンルーメンを有していてもよい。遠位バルーンルーメンは、遠位バルーンが周りに取り付けられている遠位シャフトによって画定してもよい。シャフトは、近位バルーンと連通する近位バルーンインフレーションルーメンを画定してもよい。シャフト及び中間部は、遠位バルーンと連通する遠位バルーンインフレーションルーメンを画定してもよい。中間部は、長手方向に収縮された状態と、長手方向に拡張された状態との間で中間部の構成を変更させるアコーディオン構成を含んでいてもよい。第1のルーメン及び中間部ルーメンは、内視鏡を受け取り、又は内視鏡の作業チャネルを通ってもよい。このカテーテルは、内視鏡的及び/又は蛍光透視鏡的な案内の下でガイドワイヤ上を通ってもよい。
【0009】
他の側面として、エレクトロポレーションエネルギを患者に提供する方法は、エレクトロポレーションデバイスを患者内の標的位置に展開することと、1つ以上の電極を通電し、エレクトロポレーションエネルギを供給することと、1つ以上の電極を通電しながら、エレクトロポレーションデバイスに導電性液体を供給し、導電性液体が1つ以上のアパーチャを通って流れるようにすることとを含む。エレクトロポレーションデバイスは、内部を通る第1のルーメンを画定するシャフトと、シャフトの遠位部分の周りに取り付けられた近位バルーンと、近位バルーンの遠位に延びる中間部と、中間部の遠位に延びる遠位バルーンとを含む。中間部は、第1のルーメンと連通する中間部ルーメンを画定する。中間部は、エレクトロポレーションエネルギを提供するように構成された1つ以上の電極を含む。中間部は、中間部の壁を貫通し、中間部ルーメンと連通する1つ以上のアパーチャを含む。中間部は、長手方向に収縮された状態と、長手方向に収縮された状態よりも長い長手方向に拡張された状態とを有する。幾つかの実施形態では、中間部は、長さが固定されている。
【0010】
エレクトロポレーションエネルギを患者に提供するこの方法は、以下の特徴の1つ以上を任意に含むことができる。標的位置は、十二指腸又は空腸であってもよい。方法は、エレクトロポレーションデバイスに導電性液体を供給する前に、近位バルーン及び遠位バルーンを膨張させることを更に含んでもよい。方法は、エレクトロポレーションデバイスに導電性液体を供給する前に、中間部を拡張し、中間部を、長手方向に収縮された状態から、長手方向に拡張された状態に再構成することを更に含んでもよい。導電性液体は、1つ以上の電極から患者の組織にエレクトロポレーションエネルギを搬送してもよい。方法は、第1のルーメン及び中間部ルーメンに内視鏡シャフトを取り付けることと、単一チャネル又は二重チャネル内視鏡を用いて、エレクトロポレーションデバイスを展開し、及び/又は導電性液体を注入することとを更に含んでもよい。このカテーテルは、内視鏡的及び/又は蛍光透視鏡的な案内の下でガイドワイヤ上を通ってもよい。
【0011】
他の側面として、エレクトロポレーションデバイスは、内部を通るルーメンを画定するシャフトと、シャフトの遠位部分の周りに取り付けられ、長手方向の長さが5乃至20cmであるバルーンと、バルーンの外面に配置された1つ以上の電極とを含む。ルーメンは、内部に内視鏡を受け取るように構成されている。幾つかの実施形態では、バルーンは、導電性液体を通過させる多孔質材料から形成されている。このカテーテルは、内視鏡的及び/又は蛍光透視鏡的な案内の下でガイドワイヤ上を通ってもよい。
【0012】
他の側面として、患者を治療する方法は、エレクトロポレーションデバイスを患者の腸内の標的位置に展開することを含む。エレクトロポレーションデバイスは、内部を通る第1のルーメンを画定するシャフトと、シャフトの遠位部分の周りに取り付けられた遠位バルーンと、遠位バルーンの近位に延び、エレクトロポレーション電極が取り付けられている中間部と、単一チャネル又は二重チャネル内視鏡を介して送達され、遠位バルーンから独立して膨張及び収縮することができる近位バルーンを有するオーバーチューブとを備える。エレクトロポレーションカテーテルは、単一チャネル又は二重チャネル内視鏡の作業チャネルを通り、標的組織に治療を送達する。エレクトロポレーションカテーテル上の膨張した遠位バルーン及び内視鏡上のオーバーチューブ上の膨張した近位バルーンは、内視鏡の作業チャネルを介して注入された導電性液体のカラムを形成するためのシールを提供する。
【0013】
他の側面として、患者を治療する方法は、エレクトロポレーションデバイスを患者の腸内の標的位置に展開することを含む。エレクトロポレーションデバイス/カテーテルは、内部を通る第1のルーメンを画定するシャフトを含み、このシャフトにはバルーンがなく、単一チャネル又は二重チャネルの内視鏡の作業チャネルを介して電極のみが送達される。組織支持構造によって分離され、十二指腸又は空腸の襞を広げる2つのバルーン(近位及び遠位バルーン)を有するオーバーチューブは、単一チャネル又は二重チャネル内視鏡を介して、標的の小腸セグメントに送達される。内視鏡は、遠位のオーバーチューブバルーンから引き込まれ、オーバーチューブ/遠位バルーンの遠位部分のルーメン内の自己閉鎖バルブが閉鎖される。近位バルーンが膨張した後、導電性液体が内視鏡の作業チャネルを介して注入され、液体カラムが形成される。次に、内視鏡を介してエレクトロポレーションカテーテルを液体カラムに送達し、エレクトロポレーション電流を送達する。一例では、組織支持構造は、折り畳み可能/拡張可能なステント又はメッシュであってもよく、この組織支持構造は、拡張された状態では、粘膜の襞を広げ、導電性液体が接触可能な又は導電性液体に曝される粘膜の表面積を増加させる。
【0014】
他の側面として、患者を治療する方法は、エレクトロポレーションデバイスを患者の腸内の標的位置に展開することを含む。エレクトロポレーションデバイスは、内部を通る第1のルーメンを画定するシャフトと、シャフトの遠位部分の周りに取り付けられた近位バルーンと、近位バルーンの遠位に延びる中間部と、中間部の遠位に延びる遠位バルーンとを含む。中間部は、第1のルーメンと連通する中間部ルーメンを画定する。中間部は、エレクトロポレーションエネルギを提供するように構成された1つ以上の電極を含む。中間部は、中間部の壁を貫通し、中間部ルーメンと連絡する1つ以上のアパーチャを含む。中間部は、長手方向に収縮された状態と、長手方向に収縮された状態よりも長い長手方向に拡張された状態とを有する。
【0015】
患者を治療するこの方法は、以下の特徴の1つ以上を任意に含むことができる。方法は、1つ以上の電極を通電し、エレクトロポレーションエネルギを供給することを更に含んでもよい。方法は、エレクトロポレーションデバイスに液体を供給し、液体が1つ以上のアパーチャを通って腸に流れるようにすることを更に含んでもよい。液体は、薬液又は薬剤を含んでもよい。方法は、腸の少なくとも一部を引き伸ばし、液体と接触する腸の表面積を増加させることを更に含んでもよい。
【0016】
患者を治療するこの方法は、以下の特徴の1つ以上を任意に含むことができる。液体は、可逆的エレクトロポレーションのプロセスによって標的小腸細胞に送達できる薬液又は薬剤を含んでいてもよい。方法は、腸の少なくとも一部を引き伸ばし、液体と接触する腸の表面積を増加させることを更に含んでもよい。方法は、内視鏡を介して送達される2つのバルーンの間の組織牽引構造を有する内視鏡オーバーチューブに亘って、腸表面を引き延ばして、液体カラムを形成し、内視鏡の作業チャネルを通って送達されるカテーテルを介して送達されるエレクトロポレーション電流を効果的に送達することを更に含んでいてもよい。最後に、ここに記載したエレクトロポレーションカテーテルのいずれも、蛍光透視的な案内の下で、ガイドワイヤ上で送達できる。
【0017】
ここに開示する主題の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を実現できる。幾つかの実施形態では、ここに開示する方法及びシステムは、低侵襲性の体重削減及び/又は糖尿病治療を提供する。例えば、幾つかの実施形態では、十二指腸粘膜のエレクトロポレーションが内視鏡的に行われる。このような低侵襲技術は、回復時間、患者の不快感、及び治療コストを低減できる。幾つかの実施形態では、ここに開示する方法及びシステムは、糖を処理する身体の能力を変更し、2型糖尿病患者の血糖管理を改善できる。更に、これらのカテーテル及び/又はオーバーチューブは、化生、異形成等の治療において、表面的な粘膜切除を適用できる消化管の他の部分、又は消化管の表在性新生物及び/又は膵臓の嚢胞性新生物を切除するために使用でき、電極を有するエレクトロポレーションカテーテルは、超音波内視鏡の案内の下で、19ゲージの内視鏡超音波ニードルを介して、嚢胞に送達される。
【0018】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明に関連する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載する方法及び材料と類似又は同等の方法及び材料を用いて本発明を実施することもできるが、ここでは、適切な方法及び材料を開示する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が参照により本願に援用される。これらに矛盾が生じた場合は、用語の定義を含み、本明細書の記述が優先される。更に、材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定を意図するものではない。
【0019】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び本明細書の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】胃及び十二指腸を含むヒトの消化管の一部の断面図である。
図2】ここに開示する幾つかの実施形態に基づく、消化管(例えば、十二指腸)にエレクトロポレーションを施すためのデバイスの拡張された状態を示す平面図である。
図3図2のデバイスの縮小された送達構成の平面図である。
図4】十二指腸粘膜を調節するためのエレクトロポレーション処置を提供できるように十二指腸に展開された図2及び図3のデバイスを示す図である。
図5】ここに開示する幾つかの実施形態に基づく、消化管(例えば、十二指腸)にエレクトロポレーションを施すための他のデバイスの拡張された状態を示す平面図である。
図6】ここに開示する幾つかの実施形態に基づく、消化管(例えば、十二指腸)にエレクトロポレーションを施すための他のデバイスの拡張された状態を示す長手方向断面図である。
図7】十二指腸粘膜を調節するためのエレクトロポレーション処置を提供できるように十二指腸に展開された図5及び図6のデバイスを示す図である。
図8】幾つかの実施形態に基づく、内視鏡のオーバーチューブに取り付けられている近位バルーンを使用し、消化管にエレクトロポレーションを施すための他のデバイスであって、遠位バルーンを備えたエレクトロポレーションカテーテルが、内視鏡の作業チャネルを介して送達されてエレクトロポレーションを提供するデバイスの平面図である。
図9】十二指腸粘膜を調節するためのエレクトロポレーション処置を提供できるように十二指腸に展開された図8のデバイスを示す図である。
図10】幾つかの実施形態に基づく、消化管にエレクトロポレーションを施すための他のデバイスの平面図である。
図11】十二指腸粘膜を調節するためのエレクトロポレーション処置を提供できるように十二指腸に展開された図10のデバイスを示す図である。
図12】幾つかの実施形態に基づく、消化管にエレクトロポレーションを施すための他のデバイスの平面図である。
図13】十二指腸粘膜を調節するためのエレクトロポレーション処置を提供できるように十二指腸に展開された図12のデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、対応する部分には、同様の参照符号を付している。
【0022】
本文書は、肥満及び糖尿病を含む健康状態の処置のためのデバイス及び方法を提供する。幾つかの実施形態では、ここに開示する方法及びシステムは、個人のカロリ吸収を減少させ、食欲調節及びインスリン分泌にとって重要な腸ホルモンのレベルを上げ、及び/又は小腸の粘膜を再形成することによって、体重を減少させ及び/又は糖尿病を制御できる。例えば、本文書は、エレクトロポレーションを用いて十二指腸粘膜を調節することにより、肥満及び糖尿病を治療するための幾つかのデバイス及び方法を提供する。更に、本文書は、消化管の一部をバイパスして栄養摂取を減少させるためのデバイス及び方法を提供する。
【0023】
図1に示すように、ヒトの消化管部分100は、胃110及び十二指腸120を含む。十二指腸120の内層は、十二指腸粘膜122によって形成されている。十二指腸粘膜122は、陰窩と呼ばれる複数の短い管状のくぼみから構成され、ここには、腸の幹細胞(異なる細胞型に分化できる細胞)及びパネート細胞(幹細胞の活動を促進する細胞)が存在する。また、十二指腸粘膜122は、絨毛を含み、ここには、腸細胞(腸からの栄養分を吸収することに関与する背が高い矩形細胞の一層からなる円柱上皮)、杯細胞(小腸を保護するためにアルカリ性粘液を産生する細胞)、及び腸内分泌細胞(消化及びグルコース制御に重要な胃腸ホルモンを産生する消化管の特殊内分泌細胞)が存在する。
【0024】
以下に更に説明するように、十二指腸粘膜122を調節するためにエレクトロポレーションを施すためのデバイス及び方法を提供する。更に、ここに提供するエレクトロポレーションを施すためのデバイス及び方法を使用して、十二指腸粘膜122の陰窩及び絨毛の深さ及び細胞組成を調節することもできる。このようなデバイス及び技術を使用して、消化管ホルモンを増加させることによって、及び/又は個人の罹患した腸粘膜を再構成することによって、体重の減少及び/又は糖尿病の制御を実現できる。
【0025】
図2に示す例示的な粘膜エレクトロポレーションデバイス200は、近位シャフト210a、近位バルーン220、遠位バルーン230、遠位シャフト210b、及び中間部240を含む。近位バルーン220は、近位シャフト210aの円周に取り付けられている。中間部240は、近位シャフト210aに取り付けられ、近位シャフト210aから遠位方向に延びている。中間部240の遠位端は、遠位シャフト210bに取り付けられている。遠位バルーン230は、遠位シャフト210bの円周に取り付けられている。
【0026】
近位シャフト210a、中間部240、及び遠位シャフト210bは、ルーメン212を画定する。幾つかの実施形態では、ルーメン212は、内視鏡シャフトを摺動可能に受け入れるように寸法決めされる。幾つかの実施形態では、ルーメン212は、ガイドワイヤを摺動可能に受け取るように寸法決めされる。
【0027】
近位バルーン220及び遠位バルーン230は、膨張可能な部材である。したがって、近位バルーン220及び遠位バルーン230に膨張媒体(例えば、生理食塩水、水、CO、空気等)を供給すると、これらが膨張する。幾つかの実施形態では、近位シャフト210aの壁は、膨張媒体を近位バルーン220に供給するためのインフレーションルーメン(inflation lumen)を画定する。幾つかの実施形態では、(i)近位シャフト210aの壁、(ii)中間部240の壁、及び(iii)遠位シャフト210bの壁が、膨張媒体を遠位バルーン230に供給するためのインフレーションルーメンを画定する。したがって、幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230の膨張及び収縮を別々に制御できる。これに代えて、幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230の膨張及び収縮は、一体的に制御される。幾つかの実施形態では、バルーン220、230が収縮している間、粘膜エレクトロポレーションデバイス200は、内視鏡の作業チャネルを通過することができる。
【0028】
近位バルーン220及び遠位バルーン230は、可撓性、弾性、及び順応性を有するバルーン部材である。幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230は、シリコーン、又はラテックス、又は他のタイプの適合性を有する材料から形成される。したがって、近位バルーン220及び遠位バルーン230は、膨張したとき、消化管の形状に適合する。したがって、近位バルーン220及び遠位バルーン230は、膨張したときに、消化管の壁を実質的に密閉する。幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230は、同じ材料から作製されるが、他の幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230は、異なる材料から作製される。
【0029】
幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び/又は遠位バルーン230の膨張時の最大外径は、約30mm~約50mmである。近位バルーン220及び遠位バルーン230の膨張時の最大外径は、任意の適切なサイズにスケーリング可能である。例えば、幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び/又は遠位バルーン230の膨張時の最大外径は、約35mm~約45mm、約40mm~約50mm、約30mm~約40mm、約25mm~約35mm、又は約30mm~約60mmである。幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230の最大外径は、互いに等しい。幾つかの実施形態では、近位バルーン220及び遠位バルーン230の最大外径は、等しくない。
【0030】
以下で更に説明するように、遠位シャフト210b又は遠位バルーン230は、ルーメン212内に配置されたバルブ232を含む。バルブ232は、器具(例えば、内視鏡又はガイドワイヤ)の通過を可能にする。但し、このような器具がバルブ232と接触していないときは、バルブ232は、ルーメン212の遠位端の閉鎖部として機能し、ルーメン212は、遠位バルーン230又はその近傍で閉鎖される。
【0031】
中間部240は、長手方向に伸長可能であり、側方への可撓性及び柔軟性を有する。図に示す実施形態では、中間部240は、複数の襞及び複数の柔軟で伸長可能な部分242を有するアコーディオン部材として構成されている。幾つかの実施形態では、中間部240は、縦方向に伸長可能で横方向に柔軟な他の構成を有する。例えば、以下に限定されるわけではないが、幾つかの実施形態では、中間部240は、コイル(例えば、螺旋状)、弾性部材、折り畳み可能な部材、ロールアップ部材、入れ子式の部材、及びこれらの組み合わせ等として構成される。
【0032】
幾つかの実施形態では、中間部240は、長手方向に完全に伸長したときの長さが約30cmである。中間部240が長手方向に完全に伸長したときの長さは、任意の適切なサイズにスケーリング可能である。例えば、幾つかの実施形態では、中間部240が長手方向に完全に伸長したときの長さは、約25cm~約35cm、約30cm~約40cm、約20cm~約30cm、約15cm~約35cm、又は約25cm~約50cmである。
【0033】
中間部240は、エレクトロポレーションを補助するように構成されている。したがって、中間部240は、1つ以上の電極244を含む。電極244は、異なるタイプの電極であってもよく、及び/又は電極244は、エレクトロポレーションデバイス200の異なる実施形態において、異なるタイプのエネルギを送達するように構成してもよい。例えば、図示の実施形態では、電極244は、DC電極である。これに代えて又はこれに加えて、粘膜エレクトロポレーションデバイス200は、例えば、以下に限定されるわけではないが、高周波(RF)、AC、極低温、化学物質等の他の種類のエレクトロポレーションエネルギを送達するように構成してもよい。幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス200の単一の実施形態内でこれらのエネルギ源を組み合わせて使用してもよい(例えば、幾つかの実施形態では、RF及びDCを組み合わせて使用する)。エレクトロポレーションエネルギは、単極性であっても双極性であってもよい。電極244は、患者の外部に位置するエレクトロポレーションエネルギ源(図示せず)に電気的に接続できる。幾つかの具体例では、2つ以上のタイプのエレクトロポレーションエネルギ源を電極244に接続できる。例えば、1つの特定の非限定的な具体例では、RF源、並びにAngioDynamics社製のNANOKNIFE(登録商標)不可逆エレクトロポレーションシステムの両方が電極244に接続され、スイッチボックスを用いて、2つのエネルギ源を選択する。
【0034】
また、中間部240は、1つ以上のアパーチャ246を含む。アパーチャ246は、中間部240の壁を貫通する開口であり、これにより、ルーメン212は、アパーチャ246を介して、エレクトロポレーションデバイス200の外部と流体連通する。これに代えて又はこれに加えて、幾つかの実施形態では、中間部240を含む材料は、多孔質であり、これにより、ルーメン212は、材料の細孔を介して、粘膜エレクトロポレーションデバイス200の外部と流体連通する。以下に更に説明するように、アパーチャ246は、電極244から、エレクトロポレーションデバイス200が存在する組織構造(例えば、十二指腸)の壁にエレクトロポレーションエネルギを搬送する導電性液体のための通路を提供する。
【0035】
図3に示すように、幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス200は、消化管への侵襲を最小にする展開のために、収縮状態に構成できる。例えば、この図に示す構成では、エレクトロポレーションデバイス200は、内視鏡300(図には、内視鏡300の遠位端部のみを示す。)上に配置され、エレクトロポレーションデバイス200は、(図2の半径方向に拡張され及び長手方向に拡張された状態と比較して)半径方向及び長手方向に収縮された状態である。内視鏡300は、ルーメン212内に配置されている。近位バルーン220及び遠位バルーン230は、収縮し、これらの外径は、膨張時の外径に比べて減少する。中間部240は、(図2の長手方向に拡張された状態と比較して)長手方向に収縮される。この構成では、エレクトロポレーションデバイス200は、内視鏡300を使用して、患者の消化管内に内視鏡的に展開されるように構成されている。
【0036】
幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス200は、内視鏡又は腹腔鏡の作業チャネルを介して展開されるように構成される。幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス200は、内視鏡300の代わりにガイドワイヤ上に展開されるように構成される。1つ以上の放射線不透過性マーカ又はエコー源性マーカ、或いはその両方を、エレクトロポレーションデバイス200の1つ以上の場所、或いは1つ以上の部分(例えば、バルーン220及び/又はバルーン230上)に配置してもよい。
【0037】
図4に示すように、エレクトロポレーションデバイス200を十二指腸120内に展開し、患者にエレクトロポレーション処置を提供できる。エレクトロポレーションデバイス200は、エレクトロポレーションを用いて十二指腸粘膜122を調節することによって、肥満及び糖尿病を治療できる。
【0038】
ここでは、内視鏡300(図3)等の送達デバイスの除去後のエレクトロポレーションデバイス200を示している。幾つかの展開技術では、遠位バルーン230を十二指腸120又は遠位小腸(例えば、空腸)内の所望の位置に位置決めするために、内視鏡300を使用する。幾つかの展開技術では、エレクトロポレーションデバイス200は、内視鏡の作業チャネル内で位置決めされる。次に、遠位バルーン230を膨張させて遠位バルーン230を所望の位置に一時的に固定する。次に、内視鏡300を近位に引き戻す。これにより、中間部240は、十二指腸120内で長手方向に延び、横方向に曲がる。近位バルーン220が十二指腸120内の所望の位置に位置決めされると、近位バルーン220は、膨張され、これにより、近位バルーン220を所望の位置に一時的に固定する。次に、内視鏡300を更に近位に引き戻すことができる(エレクトロポレーションデバイス200から完全に外してもよい)。
【0039】
完全に展開されると、近位バルーン220が膨張され、十二指腸120の近位部分を閉塞し、遠位バルーン230が膨張され、十二指腸120の遠位部分を閉塞する。近位バルーン220と遠位バルーン230との間に画定される十二指腸120の内部空間は、消化管100の他の部分から実質的に密閉される。
【0040】
バルーン220、230を膨張させた状態では、ルーメン212及びアパーチャ246(図2を参照)を介する注入によって、バルーン220、230間の内部空間に導電性液体400を送達できる。幾つかの具体例では、導電性液体400として生理食塩水を使用する。幾つかの具体例では、導電性液体400として高張食塩水を使用する。幾つかの具体例では、導電性液体400としてデキストロースを使用する。他のタイプの導電性液体400も使用できる。導電性液体400は、以下に限定されるものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の様々な濃度のカチオンリッチ溶液を含むことができ、例えば、3%塩化ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カリウム、炭酸カリウム等を含むことができる。同様に、標的細胞内、例えば、十二指腸粘膜の細胞内に送達するために、バルーン220、230の間の内部空間に、肥満及び糖尿病のための刺激、再生、及び他の標的化療法の両方のために使用されるイオン化された既知の薬用溶液又は薬剤を注入してもよい。エレクトロポレーション及び/又は電流源は、細胞内送達のためのビヒクルの役割を果たし、エレクトロポレーションエネルギの電子伝達は、これらの溶液のイオン化によって達成される。幾つかの具体例では、異なるタイプの薬剤及び/又は他のタイプの導電性液体400の組み合わせが使用される。
【0041】
電極244は、エレクトロポレーションエネルギの供給源を提供するために通電することができる。バルーン220、230間の内部空間内の導電性液体400は、電極244から十二指腸粘膜122に電気エネルギを搬送する。内部空間内の導電性液体400の圧力は、導電性液体400が十二指腸粘膜122の陰窩に押し込まれるように、十分に高く調整する必要がある。
【0042】
幾つかの具体例では、バルーン220、230の間にエレクトロポレーションエネルギを供給しながら、内部空間に生理食塩水とデキストロースを順次的に循環させる順次的なアブレーション技術(sequential ablation technique)を用いる。これは、脱落(sloughing)を最小にし、出血又は狭窄を実質的に完全に防止する段階的アブレーションを達成する機械的方法である。ここでは、事前にタイミング設定された2つのポンプセットによるタイムシーケンスを用いて、段階的な送達を行う。この設定では、第1のポンプが生理食塩水を連続的に注入し、チューブを介して、第2のポンプがデキストロース又は乳酸リンゲル液の供給量を変化させる。エレクトロポレーション源は、一定に維持してもよく、或いは、エレクトロポレーションデバイス200に沿って2つ以上の電極を設け、より標準的な電子フェージング回路を実現してもよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションエネルギを電気的に搬送するためにヒドロゲルを使用する。幾つかの場合において、ヒドロゲルは、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122とのエレクトロポレーションエネルギの作用をより長期間に亘って持続させることができる。
【0044】
幾つかの実施形態では、近位バルーン220は、膨大部を覆い、エレクトロポレーションの間に膨大部を保護するために使用される。したがって、幾つかの実施形態では、近位バルーン220は、このように膨大部を保護するために高度に適合化される。
【0045】
エレクトロポレーションデバイス200及び導電性液体400を用いたエレクトロポレーションを行った後、エレクトロポレーションエネルギの送達を停止できる。次に、バルーン220、230を収縮させ、エレクトロポレーションデバイス200を患者の消化管100から取り外すことができる。
【0046】
図5は、エレクトロポレーションデバイス500の別の実施形態を示している。エレクトロポレーションデバイス500は、バルーン510と、シャフト520と、1つ以上の電極530とを含む。バルーン510は、シャフト520の円周に取り付けられている。電極530は、バルーン510の外面上に配置されている。
【0047】
シャフト520は、エレクトロポレーションデバイス200のルーメン212と同様のルーメン522を画定する。幾つかの実施形態では、シャフト520は、1つ以上のアパーチャ526を画定する。このアパーチャ526により、導電性液体がルーメン522からバルーン510の内部空間に流れることができる。なお、このような導電性液体は、任意である。すなわち、幾つかの実施形態では、電極530は、導電性液体を使用することなく、エレクトロポレーションエネルギを十二指腸粘膜122に送達する。
【0048】
バルーン510は、例えば、エレクトロポレーションデバイス200のバルーン220、230について上述した材料から作製できる。幾つかの実施形態では、バルーン510の長手方向の長さは約15cmである。バルーン510の長手方向の長さは、任意の適切なサイズにスケーリング可能である。例えば、幾つかの実施形態では、バルーン510の長手方向の長さは、約10cm~約20cm、約15cm~約25cm、約10cm~約25cm、約15cm~約20mm、又は約10cm~約15cmである。バルーン510は、膨張時の最大外径は、エレクトロポレーションデバイス200のバルーン220、230を参照して上述した寸法と同様にしてもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス500は、ウィーピングバルーン(weeping balloon)設計の一例である。すなわち、バルーン510は、部分的又は完全に多孔質又は微孔質材料から形成され、導電性液体が溶出(elute)、浸出(weep)、又は他の方式でバルーン510を透過して、液滴540を形成する。したがって、導電性液体の液滴540は、電極530から十二指腸粘膜122にエレクトロポレーションエネルギを搬送できる。幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションエネルギを電気的に搬送するためにヒドロゲルを使用する。ある場合には、ヒドロゲルは、エレクトロポレーションエネルギと、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122とのより持続的な作用を実現する。
電極530は、上述したエレクトロポレーションデバイス200の電極244と同様のものであってもよい。
【0050】
図6は、別の例示的なエレクトロポレーションデバイス600の実施形態を示している。エレクトロポレーションデバイス600は、ウィーピングバルーン設計の一例である。すなわち、エレクトロポレーションデバイス600は、部分的又は完全に多孔質又は微多孔質材料から形成されたバルーン610を含み、導電性液体又はゲルは、溶出、浸出、又は他の方式で、バルーン610を透過して、液滴640を形成する。エレクトロポレーションデバイス600は、バルーン610によって画定される内部空間内を可視化するため、バルーン610の長手方向断面と共に図示している。
【0051】
エレクトロポレーションデバイス600は、バルーン610と、シャフト620と、1つ以上の電極630とを含む。バルーン610は、シャフト620の円周に取り付けられている。電極630は、シャフト620の外面上に配置されている。電極630は、上述したエレクトロポレーションデバイス200の電極244と同様のものであってもよい。
バルーン610の構造のサイズ及び材料は、上述したバルーン510と同様のものであってもよい。
【0052】
シャフト620は、エレクトロポレーションデバイス200のルーメン212と同様のルーメン622を画定する。シャフト620は、また、1つ以上のアパーチャ626を画定する。このアパーチャ626により、導電性液体がルーメン622からバルーン610の内部空間に流れることができ、導電性液体は、電極630からのエレクトロポレーションエネルギによって通電できる。この後、通電された導電性液体は、溶出、浸出、又は他の方式でバルーン610を透過して、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122にエレクトロポレーションエネルギを搬送する液滴640を形成することができる。
【0053】
図7に示すように、エレクトロポレーションデバイス600は、十二指腸120内又は小腸の遠位側、例えば、空腸に展開でき、これにより、患者にエレクトロポレーション処置を施すことができる。エレクトロポレーションデバイス600は、エレクトロポレーションを用いて十二指腸又は遠位小腸粘膜122を調節して、肥満及び糖尿病を治療できる。エレクトロポレーションデバイス500(図5)にも類似の手法を適用できる。
【0054】
ここでは、内視鏡300(図3)又はガイドワイヤ等の送達デバイスの除去後のエレクトロポレーションデバイス600を示している。幾つかの展開技術では、バルーン620を十二指腸120内の所望の位置に位置決めするために、内視鏡300を使用する。次に、バルーン620を膨張させてバルーン620を所望の位置に一時的に固定する。次に、内視鏡300を更に近位に引き戻すことができる(エレクトロポレーションデバイス600から完全に外してもよい)。
【0055】
バルーン620を膨張させた状態では、ルーメン622及びアパーチャ626(図6参照)を介する注入によって、導電性液体をバルーン620の内部空間に注入できる。幾つかの具体例では、導電性液体として生理食塩水を使用する。幾つかの具体例では、導電性液体として高張食塩水を使用する。幾つかの具体例では、導電性液体としてデキストロースを使用する。他のタイプの導電性液体も使用できる。幾つかの具体例では、異なる種類の導電性液体の組み合わせを使用する。
【0056】
電極630は、エレクトロポレーションエネルギの供給源を提供するために通電することができる。バルーン610の内部空間内の導電性液体は、電極630から、バルーン610の壁を通過して、十二指腸粘膜122の陰窩を含む十二指腸粘膜122に電気エネルギを搬送する。
【0057】
幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションエネルギを電気的に搬送するためにヒドロゲルを使用する。幾つかの場合において、ヒドロゲルは、エレクトロポレーションエネルギと、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122とのより持続的な作用を実現する。
【0058】
エレクトロポレーションデバイス600及び導電性液体を用いたエレクトロポレーションを行った後、エレクトロポレーションエネルギの送達を停止できる。次に、バルーン620を収縮させ、エレクトロポレーションデバイス600を患者の消化管100から取り外すことができる。
【0059】
図8及び図9は、エレクトロポレーションデバイス700の別の実施形態を示している。エレクトロポレーションデバイス700を使用して、エレクトロポレーションによって、例えば、十二指腸粘膜122を調節することにより、肥満及び/又は糖尿病等の症状を治療できる。
【0060】
図に示す実施形態では、エレクトロポレーションデバイス700は、内視鏡710と、近位バルーン720と、遠位バルーン730と、1つ以上の電極742を含むカテーテル740とを含む。近位バルーン720は、内視鏡710の遠位端領域に配置されている。カテーテル740は、内視鏡710の作業チャネル内に摺動可能に配置されるように構成されている。遠位バルーン730は、カテーテル740の遠位端領域に取り付けられている。電極742は、カテーテル740の長さに沿って離間した複数の位置に取り付けられている。
【0061】
幾つかの実施形態では、近位バルーン720は、内視鏡710の遠位端領域に取り付けられる(及び内視鏡710は、インフレーションルーメンを含む)。幾つかの実施形態では、近位バルーン720は、シース(図示せず)の遠位部分に取り付けられ、このシースは、インフレーションルーメンを含み、内視鏡710を摺動可能に受け入れることができるより大きなルーメンを画定する。
【0062】
バルーン720及びバルーン730は、例えば、エレクトロポレーションデバイス200のバルーン220、230と同様に寸法決め及び構成された適合性を有するバルーンであってもよい。電極742は、上述のエレクトロポレーションデバイス200の電極244と同様のものであってもよい。
【0063】
内視鏡710は、導電性液体400が流れることができるルーメン(例えば、灌注ルーメン(irrigation lumen))を含む。エレクトロポレーションデバイス700の使用時(図9)、導電性液体400は、内視鏡710のルーメンを通って流れることができ、これにより、十二指腸120内で近位バルーン720と遠位バルーン730との間に存在することができる。この構成では、通電された電極742からのエネルギは、導電性液体400によって、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122に伝達される。
【0064】
図10及び図11は、エレクトロポレーションデバイス800の別の実施形態を示している。エレクトロポレーションデバイス800は、エレクトロポレーションを用いて、例えば、十二指腸粘膜122を調節し、肥満及び糖尿病等の状態を治療するために使用できる。幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス800は、内視鏡の作業チャネル内に摺動可能に配置されるように構成され、これにより、内視鏡を介して、エレクトロポレーションデバイス800を送達できる。幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイス800は、ガイドワイヤを摺動可能に受け入れることができ、これにより、エレクトロポレーションデバイス800をワイヤ上で送達することができる。
【0065】
図示の実施形態では、エレクトロポレーションデバイス800は、カテーテルシャフト810と、近位バルーン820と、遠位バルーン830と、1つ以上の電極812と、1つ以上のアパーチャ814とを含む。近位バルーン820は、カテーテルシャフト810の遠位端から近位側に任意の適切な距離でカテーテルシャフト810に取り付けられる。遠位バルーン830は、カテーテルシャフト810の遠位端領域に取り付けられる。電極812は、カテーテルシャフト810の長さに沿って離間した複数の位置に取り付けられている。アパーチャ814は、カテーテルシャフト810の長さに沿って離間した複数の位置に開設されている。
【0066】
バルーン820、830は、エレクトロポレーションデバイス200のバルーン220、230と同様に寸法決め及び構成された適合性を有するバルーンであってもよい。電極812は、上述のエレクトロポレーションデバイス200の電極244と同様のものであってもよい。
【0067】
カテーテルシャフト810は、導電性液体400が流れることができる1つ以上のアパーチャ814を画定する。エレクトロポレーションデバイス800の使用時(図11)、導電性液体400は、カテーテルシャフト810のルーメンを通って流れることができ、アパーチャ814を介してカテーテルシャフト810を出て、これにより、十二指腸120内で近位バルーン820と遠位バルーン830との間に存在することができる。この構成では、通電された電極812からのエネルギは、導電性液体400によって、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122に伝達される。
【0068】
図12及び図13は、エレクトロポレーションデバイス900の別の実施形態を示している。エレクトロポレーションデバイス900は、エレクトロポレーションを用いて、例えば、十二指腸粘膜122を調節し、肥満及び糖尿病等の状態を治療するために使用できる。
【0069】
図示の実施形態では、エレクトロポレーションデバイス900は、内視鏡オーバーチューブ910と、近位バルーン920と、遠位バルーン930と、半径方向及び/又は長手方向に拡張可能な中間部940と、1つ以上の電極952を含むエレクトロポレーションカテーテル950とを含む。内視鏡300は、エレクトロポレーションデバイス900と共に、エレクトロポレーションデバイスシステムを構成する。
【0070】
近位バルーン920は、オーバーチューブ910の円周に取り付けられている。中間部940は、近位バルーン920と遠位バルーン930との間に延在する。オーバーチューブ910、近位バルーン920、遠位バルーン930、及び中間部940のそれぞれは、内視鏡300を摺動可能に受け入れることができるルーメンを画定する。
【0071】
遠位バルーン930のルーメン内には、遠位バルブ932が設けられている。バルブ932は、器具(例えば、内視鏡300又はガイドワイヤ)の通過を可能にする。なお、このような器具がバルブ932と接触していないとき、バルブ932は、ルーメンの遠位端で流体閉鎖部として機能し、この結果、ルーメンは、遠位バルーン930又はその近傍で閉鎖される。
【0072】
エレクトロポレーションカテーテル950は、内視鏡300の作業チャネル内に摺動可能に配置されるように構成されている(図13に示すように、内視鏡300は、その遠位端が近位バルーン920内に位置するように引き戻されている)。電極952は、エレクトロポレーションカテーテル950の長さに沿って離間した複数の位置に取り付けられている。
【0073】
バルーン920及びバルーン930は、エレクトロポレーションデバイス200のバルーン220、230と同様に寸法決め及び構成された適合性を有するバルーンであってもよい。電極952は、上述のエレクトロポレーションデバイス200の電極244と同様のものであってもよい。
【0074】
中間部940は、折り畳み可能なメッシュ又は多孔質材料から形成されている。したがって、中間部940は、エレクトロポレーションデバイス900を消化管に送達するために、(図12に示すように)半径方向及び/又は長手方向に圧縮できる。更に、中間部940は、(図13に示すように)半径方向及び/又は長手方向に拡張でき、この間、エレクトロポレーションデバイス900は、エレクトロポレーションを行って、十二指腸粘膜122を調節することができる。
図13に示すように、内視鏡300は、導電性液体400を送達するためのルーメン(例えば、灌注ルーメン)を含む。
【0075】
図13に示すようにエレクトロポレーションデバイス900及び内視鏡300を使用して、エレクトロポレーションを送達することによって、十二指腸粘膜122の陰窩及び絨毛の深さ及び細胞組成を調節できる。このようなデバイス及び技術を使用して、カロリ吸収を減少させ、消化管ホルモンを増加させ、及び/又は個人の罹患した腸粘膜を再構成することによって、体重を減少させ及び/又は糖尿病を制御できる。
【0076】
エレクトロポレーションデバイス900の使用時には、導電性液体400は、内視鏡300のルーメンを流れ、中間部940の多孔質材料を通過し、その後、十二指腸120内で近位バルーン920と遠位バルーン930との間に存在することができる。この構成では、通電された電極952からのエネルギは、導電性液体400によって、十二指腸粘膜122の陰窩内を含む十二指腸粘膜122に伝達される。幾つかの場合、エレクトロポレーションデバイス900によって十二指腸粘膜122に加えられる機械的力によって、十二指腸粘膜122の不規則な壁形状及び/又は陰窩がより平坦になる。
更なる実施形態及び/又は更なる特徴
【0077】
幾つかの実施形態では、ここに開示するエレクトロポレーションデバイス及びシステムは、以下に限定されるわけではないが、患者の心臓及び/又は神経系等、標的化されていない身体構造に対する望ましくない電気刺激を防止又は抑制するための設計上の特徴を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態は、ここに開示するエレクトロポレーションデバイスの1つ以上の部分上に又はこれに隣接して、絶縁要素を含むことができる。このような絶縁要素は、後続する特定の経路から放出されるエネルギを遮蔽し、標的外の身体構造を保護する。幾つかの実施形態では、(例えば、電極がバルーン内又はバルーン上に取り付けられる場合、及び/又は別個の電極が近位十二指腸内に配置される場合)絶縁バイポーラエレクトロポレーションが組み込まれる。このような電極は、反対極であるカソード又はアノードが遠位十二指腸内に配置されたバルーン内、バルーン上又は別個の電極として配置されている場合、アノード又はカソードとして使用できる。例えば、絶縁要素は、バルーンの特定の側の絶縁コーティングであってもよく、絶縁された第2のバルーンであってもよく、バルーンの外面の一方の側を覆い、絶縁要素として作用する気嚢であってもよい。幾つかの実施形態では、このような絶縁技術を使用して、ウィーピングバルーンの外面の片側を覆うことができる。幾つかの実施形態では、エネルギ送達デバイスは、十二指腸の湾曲を利用して、十二指腸を過剰に刺激することなく、所望のエレクトロポレーションを提供する。幾つかの実施形態は、双極電極(例えば、エレクトロポレーションデバイス上の遠位電極及び近位電極)を含む。
【0078】
上述した絶縁要素を含む場合、外面の絶縁のために、絶縁された表面に隣接する十二指腸組織には、更なる処置が必要となることがある。このため、幾つかの実施形態では、近位十二指腸については、胃のより大きな湾曲内の戻り電極を使用し、遠位及び中間の十二指腸用の電極は、消化管の近位空腸又は他の部分に配置する。これらの実施形態は、既に説明した構成の代替形態又は追加形態として、戻り電極を腹部、背部、又は他の外部に配置してもよい。
【0079】
幾つかの実施形態では、心周期全体に亘る様々なタイミングでパルスDC電流を精密に制御して供給する独自のエレクトロポレーション法を使用して、標的化されていない身体構造に対する望ましくない電気刺激を回避又は抑制することができる。幾つかの実施形態では、心周期全体に亘って連続的なエレクトロポレーションを施すが、心臓リズムの偏移又は何らかの変化が認められた場合、そのトリガ(例えば、遠隔心電図(far-field ventricular electrogram))をセンサとして使用することができ、ここで、エネルギ送達は、例えば、検出された遠隔QRSに続く最初の200m秒に限定してもよい。幾つかの実施形態では、エレクトロポレーションデバイスの絶縁表面上に内部ECGセンサ及び電界センサを設けてもよい。心臓の方向を向く電界がない場合、エレクトロポレーションが正常な心臓リズムを妨害する危険性は、実質的になく、継続的エレクトロポレーションを行うことができる。心臓の方向を向く電界がある場合、内部ECGセンサからの信号を、エレクトロポレーションパルス供給のタイミングに使用して、心臓の律動の最も脆弱な段階では、パルスが供給されないようにすることができる。
【0080】
上述の実施形態は、糖尿病及び肥満の管理に関連する十二指腸細胞へのエレクトロポレーションの送達に関連するが、十二指腸及び消化管の隣接する部分は、隣接する構造にエレクトロポレーション及び他のエネルギを送達するために有益な固有の拠点としても機能する。このような隣接する構造は、以下に限定されるものではないが、腹腔神経節及び叢、リンパ節及び叢、並びに腎臓神経及び関連する叢を含む。消化管は、入り組んで湾曲しているので、2点間に形成される電界が消化管の外側の経路上の内臓組織及び器官を覆うように遠位電極及び近位電極を消化管に沿って展開することによって、バイポーラエレクトロポレーションを行うことができる。したがって、ここに開示する幾つかの実施形態を用いて、神経節の可逆的及び不可逆的なエレクトロポレーションにより、以下に限定するものではないが、膵臓悪性腫瘍、膵臓及び深部内臓痛、並びに高血圧等の症状の治療のための治療を送達できる。また、このような高血圧管理は、肥満、糖尿病、及び高血圧の組み合わせから生じるメタボリックシンドロームの管理にも役立つ。
【0081】
幾つかの追加の実施形態では、肥満及び糖尿病を含む健康状態を治療するためのステントデバイスを、十二指腸粘膜の表面を覆う内部導管を配置する利点に、より永続的なエレクトロポレーションに基づく調節の利点を組み合わせた複合型デバイスとして実現できる。この2つ(ステント及びエレクトロポレーション電極)を組み合わせることにより、ステントを固定するシステムが実現する。導管は、実質的には、被覆されたステント(covered stent)であるが、交差するダイヤモンド状の骨組みの代わりに、線状ストラット(linear struts)を含む。線状ストラットの目的は、エレクトロポレーションによってゲルを溶出し、粘膜に付着させ、固定を提供することである。線状ストラット間では、被覆されたステントが十二指腸粘膜に隣接しておらず、したがって、分泌物が出て十二指腸ルーメンに入ることができる。食物はステントを通過し、したがって、この領域を治療するための二面的な手法が実現される。更なる変形例として、線状ストラットの間に配置された一方向バルブ、又は血糖を維持するために理想的な総エネルギ負荷を個体に滴定するエレクトロポレーション放出用の血糖センサ/RFフィードバックを含ませてもよい。
【0082】
ステント導管を使用する別の実施形態では、エレクトロポレーションの利点と、ルーワイ(Roux-en-Y)法の既知の利点とを組み合わせる。ここでは、ワイヤのための内部ルーメンと、中央ワイヤ上でエネルギを提供できるRF電極と、第2のモノレールワイヤとを含む可撓性を有するカテーテルを、近位十二指腸のルーメンの外側に誘導する。次に、カテーテルを、近位空腸に入るように移動させ、初期の侵入部位の方に戻るように曲げ、モノレールルーメンを通して、スネアを用いて、中央ルーメンワイヤを掴む。これにより、実質的にルーメンを出て、再び入り、自らにフィードバックするレールが形成される。このワイヤ上で、以下の少なくとも3つの変形例が可能である。a)遠位ワイヤ上で被覆されたステント/導管を進め、これを固定するために、近位ワイヤ及び遠位ワイヤ上で縫合糸を進め、十二指腸上で引き締める。b)導管を、その経路に沿って近位ワイヤ上に配置し、実質的に外部的に吻合を形成し、同様のロック機構によって、これを適所に維持する。c)上述の2つの組み合わせによって、所与の患者において、導管、被覆されたステント、及びロック機構の全てを使用する。
【0083】
幾つかの実施形態では、ステントは、磁石又は内視鏡的に配置されたステントを含む非侵襲的方法で調整でき、ステント自体は、腹腔鏡的手法によって送達してもよい。
【0084】
更に、ここに開示するデバイス及び技術は、十二指腸のコンテキスト以外の状況にも適用できる。例えば、ここに開示するデバイス及び技術は、遠位の小腸及び大腸、並びに他の管腔組織、例えば、胆嚢、膵臓、及び動静脈系の粘膜のコンテキストに適用できる。
【0085】
更に、ここに開示するデバイス及び技術は、薬剤を十二指腸122の粘膜内の細胞に泳動させて、その機能を変更するために適用できる。例えば、小腸の陰窩内のパネート細胞及び幹細胞の影響を調節することが知られているラパマイシンのような薬剤を、エレクトロポレーションを用いてイオン化し、これらの細胞に泳動させることができる。更に、十二指腸の絨毛内の腸内分泌細胞を刺激することが知られている甘味物質を適用してもよい。同様に、幾つかのケースでは、タクロリムスを使用して、幹細胞を刺激することができる。このように、これらのデバイス及び技術は、肥満及び糖尿病を治療するために、エネルギのみ、薬剤又は物質のみ、又はこれらの組み合わせを循環させてもよい。
【0086】
ここに開示するデバイス及び方法の幾つかには、細胞死又は細胞活性を確認し、又は送達されたエレクトロポレーション療法の温度、電界強度、及び/又は電荷密度を測定するために使用できる刺激電極又は他のデバイスを組み込むことができる。
【0087】
バルーン又はバルーン状の要素を組み込んだここに開示する幾つかのデバイスは、腸を伸展させるために使用してもよく、これにより、陰窩細胞への接触の表面積を増加させるのみでなく、伸展自体の作用によって膜に孔を形成し、アポトーシスを誘発することができる。
【0088】
バルーン又はメッシュ組み込みデバイスの幾つかの実施形態は、注射ポートのような構造を介して送達の電荷密度を増加させるように設計され、これは、鋸歯状の表面又は実際の拡張可能な、表面積が小さい、尖った要素によって達成できる。これらは、エレクトロポレーションレンダリングエネルギを伝達するための電荷又は電解質を多く含む溶液の実際の注射ポートとして機能し、又は電荷密度を高める必要がある領域に対応する形状のために、高電子密度又は他の電気力密度が高い領域として機能し、これにより、非標的部位への電気的又は熱的損傷のリスクを最小限に抑えることができる。
【0089】
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書のいずれかに記載された1つ以上の特徴を、本明細書のいずれかに記載された1つ以上の他の特徴と組み合わせて、ハイブリッドデバイス及び/又は方法を実現できる。
【0090】
本明細書は、多くの詳細事項を含んでいるが、これらの詳細事項は、特許請求している又は特許請求することができる本発明の範囲を限定するものとは解釈されず、本発明の特定の実施形態の特定の特徴の記述として解釈される。本明細書において、別個の実施形態の文脈で開示した幾つかの特徴を組み合わせて、単一の実施形態として実現してもよい。逆に、単一の実施形態の文脈で開示した様々な特徴は、複数の実施形態に別個に具現化してもよく、適切な如何なる部分的組合せとして具現化してもよい。更に、以上では、幾つかの特徴を、ある組合せで機能するものと説明しているが、初期的には、そのように特許請求している場合であっても、特許請求された組合せからの1つ以上の特徴は、幾つかの場合、組合せから除外でき、特許請求された組合せは、部分的組合せ又は部分的な組合せの変形に変更してもよい。
【0091】
同様に、図面では、動作を特定の順序で示しているが、このような動作は、所望の結果を達成するために、図示した特定の順序又は順次的な順序で行う必要はなく、また、図示した全ての動作を行う必要もない。特定の状況では、マルチタスク処理と並列処理が有利な場合もある。更に、上述した実施形態における様々なシステムのコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてこのような分離が必要であることを意図してはおらず、また、ここに説明したプログラム構成要素及びシステムは、包括的に、単一の製品として統合してもよく、複数の製品にパッケージ化してもよい。
【0092】
発明の主題の特定の実施形態を説明した。他の実施形態も添付の特許請求の範囲内にある。例えば、請求の範囲に示す処理は、望ましい結果を達成する異なる順序で実行してもよい。一例として、添付の図に示す処理は、所望の結果を達成するために、必ずしも、ここに示された特定の順序又は連続的な処理を要求するわけではない。幾つかの具体例では、マルチタスキング及び並列処理が有利である場合もある。
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