(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133627
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】単官能性アクリレートを含む硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20240925BHJP
C08F 220/10 20060101ALI20240925BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20240925BHJP
C09D 7/40 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/42 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20240925BHJP
C09D 7/48 20180101ALI20240925BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240925BHJP
C09J 11/00 20060101ALI20240925BHJP
C09D 11/101 20140101ALI20240925BHJP
B29C 64/112 20170101ALI20240925BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20240925BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240925BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240925BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240925BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240925BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F220/10
C09D4/02
C09D7/40
C09D7/42
C09D7/43
C09D7/48
C09J4/02
C09J11/00
C09D11/101
B29C64/112
B29C64/124
B29C64/314
B33Y70/00
B33Y80/00
B33Y10/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108687
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2021003959の分割
【原出願日】2016-07-07
(31)【優先権主張番号】62/190,872
(32)【優先日】2015-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミート・ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】ユイホン・ホー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・クラング
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コーティング、接着剤、シーラント、インクおよびステレオリソグラフィを含む広範な用途に使用可能な、粘度、靭性、引張強度および引張伸びなどの特性が良好な硬化性組成物を提供する。
【解決手段】a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーと、b)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分とを含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーと、を含んでいてもよい組成物とする。組成物は、該組成物を硬化可能にするための開始剤系を含んでいてもよい。組成物は、約30重量%から約70重量%の量で、a)およびb)成分の両方を含んでいてもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー;
b)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー
を含み、
a)およびb)が異なる
硬化性組成物。
【請求項2】
前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーが、トリシクロ(tricycle)-[3,2,1,0]-デカンを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーが、トリシクロデシル基またはジシクロペンタジエニル基またはその誘導体を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーが、トリシクロデカンメタノールのモノメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのモノメタクリレート、ジシクロペンタジエニルのモノメタクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーが、多官能性モノマーの(メタ)アクリレート、多官能性オリゴマーの(メタ)アクリレート、単官能性モノマーの(メタ)アクリレート、単官能性オリゴマーの(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記組成物が、d)少なくとも7個の炭素原子を有する二環式基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル化モノマーをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記組成物が、放射線硬化性、電子ビーム硬化性、過酸化物硬化性、熱硬化性またはこれらの組み合わせからなる群から選択される技術によって硬化可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記組成物が、c)少なくとも1つの開始剤系、特に少なくとも1つの光開始剤または少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーが、トリシクロデカンメタノールモノアクリレート、および任意に3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリアリルイソシアヌレートトリアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーが、前記組成物中に約30から70重量%で存在し、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーが、前記組成物中に約30重量%から約70重量%で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記組成物が、4000mPa.s(cP)未満、または3500mPa.s(cP)未満、または3000mPa.s(cP)未満、または2500mPa.s(cP)未満の粘度を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートオリゴマーが、約1.1から約1.9個の(メタ)アクリレートまたは約1.2から約1.8個の(メタ)アクリレートの平均官能基数を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
単官能性および/または多官能性モノマー、湿潤剤、艶消し剤、着色剤(例えば染料または顔料)、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロピー剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤またはレオロジー剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
硬化性コーティング、硬化性接着剤、硬化性シーラント、硬化性インクまたは硬化性ステレオリソグラフィまたは硬化性3D印象組成物である、請求項1から13のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の硬化組成物を含む硬化物品。
【請求項17】
コーティング、接着剤、シーラント、インク、またはステレオリソグラフィによって作製された三次元(3D)物品、または3D印象によって作製された3D物品から選択される、請求項16に記載の硬化物品。
【請求項18】
請求項1から14のいずれか一項に記載の硬化性組成物から得られる3D印象。
【請求項19】
-請求項1から15のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材に付与する工程;および
-特に可視放射線、UV放射線、LED放射線、電子ビーム放射線への暴露、または化学物質への暴露によって、得られた基材を硬化させる工程
を含む、基材をコーティングする方法。
【請求項20】
前記付与が、噴霧、ナイフコーティング、ローラコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬およびこれらの組み合わせによる基材への付与を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
コーティング、接着剤、シーラント、インク、特にインクジェット印刷用またはマルチジェット印刷用のインク、ステレオリソグラフィ、三次元物品または三次元印象、特にボトムアップまたはトップダウンの3D印刷のための三次元印象、デジタル印刷および添加物製造における、請求項1から16のいずれか一項に記載の硬化性組成物の使用。
【請求項22】
ボトムアップまたはトップダウン3D印刷のための三次元印象における、またはステレオリソグラフィにおける、またはインクジェット印刷用またはマルチジェット印刷用のインクにおける、またはデジタル印刷における(使用)、請求項1から16のいずれか一項に記載の硬化性組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、少なくとも1つの単官能性アクリレートを含む硬化性組成物に関する。本明細書に記載の実施形態はまた:a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー、およびb)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む硬化性組成物に関し、a)およびb)は異なる。硬化性組成物は、成分a)を約90重量%から約10重量%の範囲および成分b)を約10重量%から約90重量%の範囲で含んでいてもよい。本明細書に記載の硬化性組成物は、粘度、靭性、引張強度および引張伸びなどの特性に関して有利である。有利な特性のために、本明細書に記載の硬化性組成物の実施形態は、コーティング、接着剤、シーラント、インクおよびステレオリソグラフィを含む広範な用途に使用可能である。
【背景技術】
【0002】
単官能性アクリレートが架橋密度に寄与しないことは、ポリマー化学において周知である。結果として、組成物中に含まれる場合には、単官能性アクリレートの架橋密度への寄与の欠如は、組成物の粘度、靭性および引張強度の低下をもたらす。単官能性アクリレートの架橋密度への寄与の欠如はまた、組成物の引張伸びの増加をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、このような挙動から逸脱し、粘度、靭性、引張強度および引張伸びなどの特性に関して少なくとも満足する結果を示す単官能性アクリレートを含む組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載の単官能性アクリレートを含む硬化性組成物の実施形態は、単官能性アクリレートを含む既知の組成物に関連する欠点の少なくとも幾つかを克服する。
【0005】
実施形態において、a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびb)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーを含む硬化性組成物が記載されている。実施形態において、成分a)およびb)は、好ましくは互いに異なり、同じではない。
【0006】
実施形態では、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、多官能性モノマー(メタ)アクリレート、多官能性オリゴマー(メタ)アクリレート、単官能性モノマー(メタ)アクリレート、単官能性オリゴマー(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましい実施形態において、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0007】
特定の実施形態では、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、トリシクロデカンメタノールのモノメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのモノメタクリレート、ジシクロペンタジエニルのモノメタクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される。実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、トリシクロ-[3,2,1,0]-デカンを含む。別の実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、トリシクロデシル基またはジシクロペンタジエニル基またはこの誘導体を含む。
【0008】
実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、トリシクロデカンメタノールモノアクリレート(「TCDMA」)、および任意に3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(「TCDMDA」)、2-フェノキシエチルアクリレート、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリアリルイソシアヌレートトリアクリレート(「TAICTA」)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、イソデシルアクリレート(IDA)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0009】
実施形態では、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、組成物中に約30重量%から約70重量%で存在し、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、組成物中に約30重量%から約70重量%で存在する。本明細書で使用される場合には、重量パーセントは、100(または100%)に等しい全組成物における割合/重量パーセントである。実施形態において、組成物は、c)少なくとも7個の炭素原子、または少なくとも10個の炭素原子の二環式基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル化モノマーを含む。
【0010】
本発明の前記硬化性組成物は、放射線硬化性、電子ビーム硬化性、過酸化物硬化性、熱硬化性またはこれらの組み合わせからなる群から選択される技術によって硬化可能である。
【0011】
実施形態において、組成物は、特に少なくとも1つの光開始剤または少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む(包含する)少なくとも1つの開始剤系を含む。
【0012】
実施形態において、組成物は、少なくとも1つの光開始剤を含み、放射エネルギーで硬化可能であり、ここで、前記光開始剤は、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。実施形態において、少なくとも1つの光開始剤は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンであってもよい。
【0013】
実施形態では、組成物はいかなる開始剤も含まず、電子ビームエネルギーで硬化可能である。実施形態において、組成物は、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤および/または促進剤を含み、化学的に硬化可能である。前記少なくとも1つのフリーラジカル開始剤は、過酸化物および/または過酸化水素を含んでいてもよく、促進剤は、少なくとも1つの第3級アミンおよび/または金属塩に基づく他の還元剤を含んでいてもよい。
【0014】
実施形態において、組成物は、回転カップおよびボブ(bob)ブルックフィールド粘度計を用いて、4000mPa.s(cP)未満、または3500mPa.s(cP)未満、または3000mPa.s未満、または2500mPa.s(cP)未満の25℃での粘度を有する。この方法は、実施例の導入部で指定したものと同じである。
【0015】
実施形態では、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートオリゴマーは、約1.1から約1.9の(メタ)アクリレートまたは約1.2から約1.8の(メタ)アクリレートの平均官能基数(average in number-functionality)を有する。本発明の硬化性組成物は、単官能性および/または多官能性モノマー、湿潤剤、艶消し剤、着色剤(例えば染料または顔料)、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロピー剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤またはレオロジー剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物をさらに含んでいてもよい。
【0016】
より詳細には、本発明による上記で定義したこの硬化性組成物は、硬化性コーティング、硬化性接着剤、硬化性シーラント、硬化性インクまたは硬化性ステレオリソグラフィまたは硬化性3D印象組成物である。
【0017】
本発明はまた:
a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー;
b)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー;
および
c)少なくとも1つの開始剤系
を含む硬化性組成物をカバーする。
【0018】
組成物の開始剤系および成分a)およびb)は、より詳細には上記で定義した通りである。
【0019】
これはまた:
a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー;
b)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー;
ならびに
c)任意、光開始剤、フリーラジカル開始剤、促進剤、単官能性および/または多官能性モノマー、湿潤剤、艶消し剤、着色剤(例えば、染料、顔料)、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロピー剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤など、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物
からなる硬化性組成物をカバーする。
【0020】
本発明の別の主題は、上記で定義されたような本発明の前記硬化性組成物を硬化させて得られる硬化組成物である。
【0021】
また、上記で定義された前記硬化組成物を含む物品(または硬化物品)も本発明によってカバーされる主題である。より具体的には、前記物品は、コーティング、接着剤、シーラント、インク、またはステレオリソグラフィによって作製された三次元(3D)物品、または3D印象によって作製された3D物品から選択される。
【0022】
本発明に従って上記で定義されたような硬化性組成物から得られる3D印象も本発明の一部である。
【0023】
実施形態では、本明細書に記載の組成物で基材をコーティングする方法は:
i)本発明に従って上記で定義されたような硬化性組成物を前記基材に付与する工程、
ii)得られた基材を、特に可視放射線、UV放射線、LED放射線、電子ビーム放射線への暴露、または化学薬品への暴露によって硬化させる工程
を含む。
【0024】
特定の実施形態では、組成物は、噴霧、ナイフコーティング、ローラコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬およびこれらの組み合わせによって付与されてもよい。
【0025】
コーティング、接着剤、シーラント、インク、三次元物品のためのステレオリソグラフィ、または三次元印象における、本発明による上記で定義されたような硬化性組成物の使用も本発明の一部である。具体的な特定の使用は、三次元印象におけるものである。
【0026】
実施形態では、コーティング、接着剤、シーラント、インク、三次元物品のためのステレオリソグラフィまたは三次元印象は、本明細書に記載の組成物から調製されてもよい。実施形態において、硬化生成物は、本明細書に記載の組成物から作製され得るか、または調製され得る。実施形態では、コーティング、接着剤、シーラント、インク、三次元物品のためのステレオリソグラフィまたは三次元印象において、本明細書に記載の組成物を使用してもよい。実施形態では、本明細書に記載の組成物は、硬化されて、そしてコーティング、接着剤、シーラント、インク、ステレオリソグラフ、または三次元印象に含まれてもよい。
【0027】
実施形態において、a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー、b)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー;およびc)少なくとも1つの開始剤系を含む組成物が記載される。
【0028】
実施形態において、a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー;b)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマー;ならびにc)任意に、光開始剤、フリーラジカル開始剤、促進剤、単官能性および/または多官能性モノマー、湿潤剤、艶消し剤、着色剤(例えば、染料、顔料)、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロピー剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤など、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物、から本質的になる組成物が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】少なくとも環式基を含む官能性モノマーとエポキシアクリレート樹脂との様々な50/50ブレンドについての粘度(「cps」単位、cPを意味する。)および破断伸び(%)のチャートを示す。
【
図2】少なくとも環式基を含む官能性モノマーとウレタンアクリレート樹脂との様々な50/50ブレンドについての引張伸び(%単位)およびガラス転移温度(℃単位)のチャートを示す。
【
図3】ウレタンアクリレート樹脂と混合された、少なくとも環式基を含む単官能性モノマーについての引裂強度(lbs/in単位)対希釈剤濃度のチャートを示す。
【
図4】ウレタンアクリレート樹脂と混合された、少なくとも環式基を含む単官能性モノマーの靭性(ft-lbs単位での破断エネルギー)対希釈剤濃度のチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書に記載の硬化性組成物の実施形態は、粘度、靭性、引張強度および引張伸びなどの特性に関して有利な特性を有する。本明細書に記載の硬化性組成物の実施形態は、コーティング、接着剤、シーラント、インクおよびステレオリソグラフィ(例えば三次元印刷によって作製された三次元物品、歯科印象のような三次元印象)を含む広範な用途に実行可能である。
【0031】
本明細書に記載される硬化性組成物の実施形態は:a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびb)縮合された少なくとも3つの環を有する多環式部分を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。実施形態において、成分a)およびb)は、好ましくは互いに異なり、同じではない。
【0032】
本明細書に記載の硬化性組成物の実施形態はまた、任意、c)他の添加剤、例えば光開始剤、フリーラジカル開始剤、促進剤、単官能性および/または多官能性モノマー、湿潤剤、艶消し剤、着色剤(例えば染料、顔料)、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロピー剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤などならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含んでいてもよい。
【0033】
-A (メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマー
実施形態において、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、特に限定されず、そして多官能性モノマー(メタ)アクリレート、多官能性オリゴマー(メタ)アクリレート、単官能性モノマー(メタ)アクリレート、単官能性オリゴマー(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。実施形態において、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、ウレタンアクリレートモノマーまたはオリゴマー、エポキシアクリレートモノマーまたはオリゴマー、ポリエステルモノマーまたはオリゴマー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0034】
実施形態において、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーは、組成物中に約90重量%から約10重量%、または約80重量%から約20重量%、または約70重量%から約30重量%、または約60重量%から約40重量%で存在してもよい。
【0035】
実施形態において、前記a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレート中に、約1から約2の(メタ)アクリレート、または約1.1から約1.9の(メタ)アクリレート、または約1.2から約1.8の(メタ)アクリレート、または約1.3から約1.7の(メタ)アクリレート、または2未満の(メタ)アクリレートの平均官能基数を有する。一部の場合には、末端(メタ)アクリロイル基に関する平均官能基数は、全体の官能価の2に対する補数がOH基平均官能価に対応することを意味する。
【0036】
-B 少なくとも1つの環式基を有する単官能性(メタ)アクリレートモノマー
実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、縮合される少なくとも3つの環を有する多環式部分を含み;そしてトリシクロデカンメタノールのモノメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのモノメタクリレート、ジシクロペンタジエニルのモノメタクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、トリシクロ-[3,2,1,0]-デカン、トリシクロデシル基、ジシクロペンタジエニル基またはこの誘導体を含む。
【0037】
実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、2または3つ以上のモノマーを含んでいてもよい。実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、TCDMAを唯一の成分として含み、またはTCDMAは、任意に、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート(TMCHA)、tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(TCDMDA)、2-フェノキシエチルアクリレート(2-PEA)、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、トリアリルイソシアヌレートトリアクリレート(TAICTA)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(EOEOEA)、イソデシルアクリレート(IDA)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)などならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの他の単官能性モノマーと組み合わせられてもよい。追加の官能性モノマーは、TCDMAと約10:1から約1:10の範囲の比で組み合わせてもよい。
【0038】
実施形態において、前記b)少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーは、組成物中に約90重量%から約10重量%、または約80重量%から約20重量%、または約70重量%から約30重量%、または約60重量%から約40重量%で存在してもよい。
【0039】
-C 他の添加剤
実施形態において、本明細書に記載の組成物は、任意、他の添加剤、例えば光開始剤、フリーラジカル開始剤、促進剤、単官能性および/または多官能性モノマー、湿潤剤、艶消し剤、着色剤(例えば染料、顔料)、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロピー剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤などならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を含んでいてもよい。
【0040】
実施形態において、本明細書に記載の組成物は、d)少なくとも7個の炭素原子、または少なくとも10個の炭素原子の二環式基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル化モノマーをさらに含む。実施形態において、少なくとも7個の炭素原子、または少なくとも10個の炭素原子の二環式基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(「TCDMDA」)を含んでいてもよい。少なくとも7個の炭素原子、または少なくとも10個の炭素原子の二環式基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリル化モノマーは、組成物中に、約1重量%から約50重量%、または約2重量%から約35重量%、または約3重量%から約25重量%、または約4重量%から約15重量%、または約5重量%から約10重量%で存在してもよい。
【0041】
実施形態において、任意に、十分な量の開始剤系を本明細書に記載の組成物に含んでいてもよい。開始剤系は、開始剤系を含む組成物を放射エネルギーで硬化させ、電子ビームエネルギーで硬化させ、および/または化学的に硬化させることができる成分を含んでいてもよい。実施形態において、組成物は開始剤系を含む。
【0042】
実施形態において、少なくとも1つの光開始剤を含む開始剤系の十分な量が、組成物を放射エネルギーで硬化可能にするために、本明細書に記載の組成物に任意に含まれていてもよい。好ましくは、組成物は、約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約5重量%から約15重量%の開始剤系を含んでいてもよい。本明細書に記載の組成物に使用するのに適した光開始剤は、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノアシルホスフィン、ビスアシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含んでいてもよい。実施形態において、前記少なくとも1つの光開始剤は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンであってもよい。
【0043】
実施形態において、本明細書に記載の組成物は、いかなる開始剤も含まず、電子ビームエネルギーで硬化可能である。
【0044】
実施形態において、組成物を化学的に硬化させるために、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤および/または促進剤を含む開始剤系の十分な量を本明細書に記載の組成物に任意に含めてもよい。好ましくは、組成物は、約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約5重量%から約15重量%の開始剤系を含んでいてもよい。本明細書に記載の組成物に使用するのに適したフリーラジカル開始剤には、過酸化物および過酸化水素が含まれてもよく、適切な促進剤には、第3級アミンまたは金属塩に基づく他の還元剤が含まれてもよく、このような開始剤の使用は、化学物質への暴露による硬化(cure or curing)または化学的硬化(cure or curing)として定義されてもよい。このような化学的硬化は、促進剤を使用する場合には、より低い温度でも起こり得る。
【0045】
図1は、少なくとも環式基を含む官能性モノマーとエポキシアクリレート樹脂との様々な50重量%/50重量%ブレンドについての粘度(「cps」単位)および破断伸び(%)のチャートを示す。種々の官能性モノマーは、SR420(例えば、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート(TMCHA))、SR217(例えば、tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA))、SR506A(例えば、イソボルニルアクリレート(IBOA))、NTX13193(例えば本発明に従うTCDMA)およびSR833S(例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート-TCDMDA)である。これらのモノマーのうち、SR833Sのみが二官能性であり、他は単官能性である。
図1では、粘度は、粘度に対応するデータに列挙されている。
図1からわかるように、50重量%/50重量%のエポキシアクリレート樹脂とNTX13193とのブレンドは、粘度と破断伸びとの最高の組み合わせを提供する。
【0046】
図2は、少なくとも環式基を含む官能性モノマーとウレタンアクリレート樹脂との様々な50重量%/50重量%ブレンドについての引張伸び(%単位)およびガラス転移温度(℃単位)のチャートを示す。種々の官能性モノマーは、SR339(例えば、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート(TMCHA))、SR531(例えば、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA))、SR217(例えば、2-フェノキシエチルアクリレート(2-PEA))、SR506A(例えば、イソボルニルアクリレート(IBOA))およびNTX13193(例えば、TCDMA)である。これらのモノマーはすべて単官能性である。
図2では、ガラス転移温度は、ガラス転移温度に対応するデータに列挙されている。
図2からわかるように、50%/50重量%のエポキシアクリレート樹脂とNTX13193とのブレンドは、引張伸びとガラス転移温度との最高の組み合わせを提供する。
【0047】
図3は、同じウレタンアクリレート樹脂と混合した、モノマーSR506A(例えば、イソボルニルアクリレート(IBOA))、SR339(例えば、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート(TMCHA))およびNTX13193(例えば、TCDMA)についての引裂強度(lbs/in単位)対希釈剤(モノマー)濃度のチャートを示す。モノマー(希釈剤)の3つすべてが単官能性である。
図3では、データは3つのグループにグループ分けられ、SR506Aは左側に報告され、SR339は中央に報告され、NTX13193は右側に報告されている。
図3からわかるように、NTX13193について引裂強度は希釈剤濃度に応じて増加するが、SR506およびSR339の引裂強度は希釈剤濃度に応じて減少する。
【0048】
図4は、同じウレタンアクリレート樹脂と混合した、モノマーSR506A(例えば、イソボルニルアクリレート(IBOA))およびNTX13193(例えば、TCDMA)についての靭性(ft-lbs単位の破断エネルギー)対希釈剤(モノマー)濃度のチャートを示す。これらのモノマーはいずれも単官能性である。
図4では、データは2つのグループにグループ化され、左側にSR506A、右側にNTX13193が報告されている。
図4からわかるように、NTX13193の靭性は、希釈剤濃度の関数としてのSR506Aの場合よりも、希釈剤(モノマー)濃度の関数として高い。
【0049】
実施形態において、本明細書に記載の組成物は、硬化時に組成物の引張伸び特性を犠牲にすることなく高いガラス転移温度Tgを付与し、一旦硬化したら他の類似材料よりも粘度低下を高め得る。本明細書に記載の組成物は、硬化時に少なくとも約70℃、または硬化時に少なくとも約80℃のTgを有していてもよい。TgはDSCを使用して決定され、ここでは材料の熱容量のシフトがガラス状態からアモルファス状態になるときに識別される。試料を-100℃で平衡にし、次いで10℃/分の上昇速度で200℃まで加熱した。値は、得られた熱流量対温度プロットの変曲点で得られたものであった。本明細書に記載の組成物はまた、引張強度を増大させることができ、拡張により、硬化時の引裂に対する抵抗性が増大し得る。本明細書に記載の組成物はまた、硬化したときに臭いが少ないか、または臭いが全くないことがある。
【0050】
実施形態において、組成物は、周囲温度で、4000cP(mPa.s)未満、または3500cP(mPa.s)未満、または3000cP(mPa.s)未満または2500cP(mPa.s)未満の粘度(実施例の導入部分で定義されるような決定方法)を有する液体である。組成物は、約500cP(mPa.s)から約4000cP(mPa.s)、または約1000cP(mPa.s)から約3000cP(mPa.s)または約1500cP(mPa.s)から約2500cP(mPa.s)の粘度を有していてもよい。
【0051】
コーティング、接着剤、シーラント、インク、特にインクジェット印刷用またはマルチジェット印刷用のインク、ステレオリソグラフィ、三次元物品または三次元印象、特にボトムアップまたはトップダウンの3D印刷のための印象、デジタル印刷および付加製造における、上記で定義されたような本発明による硬化性組成物の使用も本発明の主題である。
【0052】
より詳細には、この使用は、ボトムアップまたはトップダウン3D印刷のための三次元印象における、またはステレオリソグラフィにおける、またはインクジェット印刷用またはマルチジェット印刷用のインクにおける、またはデジタル印刷における(使用)ものである。
【0053】
コーティング、フィルム、シーラントおよび接着剤
このような粘度の特徴は、コーティング、フィルム、シーラントおよび接着剤としての用途のために、例えば基材上に本明細書に記載の組成物の展延を容易にする。組成物は、例えば噴霧、ナイフコーティング、ローラコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬など、およびこれらの組み合わせによって、いずれかの既知の従来の方法で付与されてもよい。転写方法を使用した間接付与が使用されてもよい。基材は、それぞれ金属基材またはプラスチック基材のような、高表面エネルギー基材または低表面エネルギー基材のような商業的に関連する基材のいずれであってもよい。基材は、ステンレス鋼、紙、厚紙、ガラス、ポリオレフィン、複合材および木材を含んでいてもよい。
【0054】
実施形態では、本明細書に記載の組成物を付与する方法は、組成物を例えば基材上にコーティングし、組成物を硬化させることを含んでいてもよい。コーティングは、周囲温度または周囲温度に近い温度、例えば10から35℃の範囲で行われてもよい。付与されると、組成物は硬化され得る。硬化技術は特に限定されず、組成物を重合促進剤に暴露する技術を含んでいてもよい。このような技術は、可視光線、UV線、およびLED放射線のような放射エネルギーへの暴露、または電子ビーム放射線への暴露、または化学物質への暴露を含んでいてもよい。
【0055】
実施形態では、本明細書に記載の組成物の層が、例えば基材に付与されると、この層は、a)少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーおよびb)付与された組成物を硬化させるための少なくとも1つの環式基を含む少なくとも1つの単官能性(メタ)アクリレートモノマーの架橋を引き起こすのに効果的な時間、放射エネルギー(例えば、UV光、可視光および/またはLED光)または電子ビームエネルギーまたは化学物質に曝されてもよい。所望の程度の硬化を達成するために、強度および/または波長を所望に応じて調節してもよい。暴露時間は、組成物を実行可能な物品に硬化させるのに有効な時間であれば特に限定されない。十分な架橋を引き起こすためのエネルギーへの暴露の時間枠は、特に限定されず、少なくとも約2分、または少なくとも約5分、または少なくとも約10分、または少なくとも約15分、または少なくとも約20分であってもよい。
【0056】
インクおよびステレオリソグラフィ
本明細書に記載された組成物は、インクとして、およびステレオリソグラフィ用途において使用するのに適している。本明細書に記載の組成物は、三次元印刷用途においてインクとして使用されてもよい。例えば、本明細書に記載された組成物は、三次元印刷機の適切な容器に配置されてもよく、三次元物品を形成するために三次元印刷方法で使用され得る。本明細書に記載の組成物で三次元印刷を行った後、得られた三次元物品は、本明細書に記載の硬化技術を用いて硬化させてもよい。
【0057】
三次元印象
本明細書に記載の組成物は、三次元印象における使用に適している。例えば、本明細書に記載される組成物は、モールド内に配置され、三次元印象を形成するために使用されてもよい。三次元印象におけるこのような用途の1つは、歯科印象にある。本明細書に記載される組成物は、歯科印象をとるためのモールド内に配置されてもよい。印象が作成された後、本明細書に記載の硬化技術を用いて物品を硬化させてもよい。
【実施例0058】
本明細書に記載の組成物を使用する実施例は、粘度、引張強度、引張伸びおよびヤング率に関連する特性を報告する。実施例について報告された特性は、多くの既知の技術を用いて決定された。粘度は、50rpmで#27スピンドルを有するブルックフィールド粘度計(25℃)を用いて決定された。引張測定は、ASTM D638に従って決定された。実施例の組成物をシートにキャストし、タイプIV型ドッグボーン試験片を打ち抜いた。試験片を、試験前に50%RHおよび70°F(21.1℃)で少なくとも24時間平衡にした。引張強度については、破断前の試料に対する最大応力が観察された。引張伸びについては、破断点での歪みが観察された。ヤング率については、1%ひずみでの応力ひずみ曲線の傾きが観察された。
【0059】
[実施例1]
実施例1の成分およびこれらの割合(重量%単位)を、粘度、引張強度、引張伸びおよびヤング率に関連する対応する特性と共に下記の表1に示す。
【0060】
【0061】
[実施例2]
実施例2の成分およびこれらの割合(重量%)を、粘度、引張強度、引張伸びおよびヤング率に関連する対応する特性と共に下記の表2に示す。
【0062】
【0063】
[実施例3]
実施例3の成分およびこれらの割合(重量%)を、粘度、引張強度、引張伸びおよびヤング率に関連する対応する特性と共に下記の表3に示す。
【0064】
【0065】
みてわかるように、実施例1から3は、粘度、引張強度、引張伸びおよびヤング率に関して良好な特性を示すフィルムを製造した。粘度は、約1350cP(mPa.s)から約2400cP(mPa.s)の範囲であった。引張強度は、約4800psi(33.10MPa)から約6100psi(42.06MPa)の範囲であった。引張伸びは、約6%から約30%の範囲であった。ヤング率は、約65psi(0448MPa)から約130psi(0.896MPa)の範囲であった。
【0066】
図1から4において試験された参照番号NTX13193の製品は、実施例3に開示されているもののような本発明による製品である。
【0067】
本明細書において、「約」という用語が数値と関連して使用される場合には、関連する数値は、記載された数値の周りの±10%の公差を含むことが意図される。さらに、本明細書中のパーセンテージを参照する場合、これらパーセンテージは重量、即ち重量パーセンテージに基づくことが意図される。
【0068】
ここで、新規で、改良された自明ではない組成物が、当業者によって理解されるように十分な特殊性をもって本明細書に記載されていることは明らかである。さらに、本明細書に開示された実施形態の趣旨および範囲から実質的に逸脱しない組成物の特徴について、変更、変形、置換および等価物が存在することは、当業者には明らかである。従って、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に入るこのような変更、変形、置換および等価物のすべてが、添付の特許請求の範囲に包含されることは明確に意図される。