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特開2024-133643B細胞悪性腫瘍を処置するために、操作されたT細胞を投薬する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133643
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】B細胞悪性腫瘍を処置するために、操作されたT細胞を投薬する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20240925BHJP
   A61K 31/664 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240925BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
A61K35/17 ZNA
A61K31/664
A61K31/7076
A61P35/02
A61K35/17
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109292
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2021526756の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】62/768,844
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/914,303
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】トレデ ニコラウス セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アルバートソン ティナ
(72)【発明者】
【氏名】クリスタン ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨースト レイチェル ケー.
(72)【発明者】
【氏名】カン ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン ライアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】テオ ジェフリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】疾患および状態、例えば、ある特定のB細胞悪性腫瘍がある対象を処置するために、複数の用量の操作されたT細胞の投与を伴う処置および使用のための方法、ならびに関連する方法、組成物、使用、および製造物品を提供する。
【解決手段】操作された細胞は一般的にキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する。一部の態様では、疾患または状態は急性リンパ芽球性白血病(ALL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)である。一部の態様では、対象は、25歳または25歳より若い対象、例えば小児対象などの、特定の範囲の年齢の中に収まる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項2】
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、T細胞組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、T細胞組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項5】
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物が、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される、
請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項8】
対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さない場合、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.1x108CAR+T細胞または約0.1x108CAR+T細胞
より選択される量で、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項10】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項11】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項12】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項13】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項14】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、
0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項15】
(i)対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与され、
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
(i)対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与され、
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される、
請求項14記載の方法。
【請求項17】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該組成物が、
0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、段階。
【請求項18】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、
0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項19】
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若く、かつ体重が6kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階であって、該組成物が、
0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、段階。
【請求項21】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さなければ、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含み、
対象が18歳より若ければ、さらなる用量のT細胞組成物が、
少なくとも0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x108総CAR+T細胞または約0.1x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項26】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
組成物が、
0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
組成物が、
0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
組成物が、
少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21および30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さなければ、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含み、
さらなる用量のT細胞組成物が、
少なくとも0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x108総CAR+T細胞または約0.1x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
組成物が、
少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21および30のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
組成物が、
少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21および30のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
組成物が、
少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21および30のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
組成物が、
少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21および30のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
組成物が、
少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、請求項1~21および30記載の方法。
【請求項38】
対象の体重が、少なくとも6kgまたは少なくとも約6kgである、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞より少ない量
より選択される量で投与される、段階。
【請求項40】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項41】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項42】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項43】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項44】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項45】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項46】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
【請求項47】
総体積が少なくとも0.05mLまたは少なくとも約0.05mLのT細胞組成物が投与される、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
総体積が少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mLのT細胞組成物が投与される、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項49】
総体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mLのT細胞組成物が投与される、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
総体積が少なくとも1mLまたは少なくとも約1mLのT細胞組成物が投与される、請求項1~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
T細胞の濃度が2.5x106細胞/mLであるか、または2.5x106細胞/mLを上回る、請求項1~50のいずれか一項記載の方法。
【請求項52】
総体積が少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mL、濃度が2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物
が投与される、請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
総体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mL、濃度が2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物
が投与される、請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項54】
総体積が少なくとも1mLまたは少なくとも約1mL、濃度が2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物
が投与される、請求項1~51のいずれか一項記載の方法。
【請求項55】
T細胞組成物が、CD4+CAR+T細胞およびCD8+CAR+T細胞を含む、請求項1~54のいずれか一項記載の方法。
【請求項56】
組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの一方を含む第1の組成物と、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの他方を含む第2の組成物とを含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
第1の組成物および第2の組成物が別々に投与される、請求項56記載の方法。
【請求項58】
第1の組成物および第2の組成物が同時投与される、請求項56または請求項57記載の方法。
【請求項59】
第1の組成物および第2の組成物がどの順序でも連続投与される、請求項56または請求項57記載の方法。
【請求項60】
第1の組成物がCD4+CAR+T細胞を含み、第2の組成物がCD8+CAR+T細胞を含む、請求項56~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
第1の組成物がCD8+CAR+T細胞を含み、第2の組成物がCD4+CAR+T細胞を含む、請求項56~59のいずれか一項記載の方法。
【請求項62】
投与されるT細胞組成物の量が、規定された比のCD4+CAR+T細胞:CD8+CAR+T細胞および/またはCD4+T細胞:CD8+T細胞を含み、規定された比が1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、請求項56~61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
規定された比が1:1であるか、または約1:1である、請求項62記載の方法。
【請求項64】
B細胞悪性腫瘍がリンパ腫または白血病である、請求項1~63のいずれか一項記載の方法。
【請求項65】
B細胞悪性腫瘍が再発性および/または抵抗性である、請求項1~64のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
B細胞悪性腫瘍がB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、任意で、CD19+B-ALLである、請求項1~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
B細胞悪性腫瘍が再発性または抵抗性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である、請求項1~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
r/rB-ALLがある対象が骨髄中に疾患の形態学的証拠を有し、任意で、該対象が形態学により5%以上のリンパ芽球を有する、請求項67記載の方法。
【請求項69】
対象が、以下:初回以降の骨髄再発、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性、任意で、完全奏功(CR)も不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)も達成しない初発抵抗性、任意で、2つ以上の別々の導入レジメン後の初発抵抗性; 化学療法抵抗性、任意で、CR/Criを達成しない化学療法抵抗性、任意で、再発性白血病に対する1サイクルの化学療法後の化学療法抵抗性、のいずれかを含むB-ALLを有するか、または同種異系HSCT不適格である、請求項66~68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
B-ALLが微小残存病変陽性(MRD+)である、請求項66または請求項69記載の方法。
【請求項71】
B-ALLがある対象が、
形態学により5%未満のリンパ芽球を有する、および/または
検証されたアッセイにより検出された時に、2ラインの療法後に骨髄細胞中に1x10-4以上の頻度で微小残存病変陽性(MRD+)疾患を有する、
請求項66、69、または70記載の方法。
【請求項72】
対象がフィラデルフィア染色体陽性ALLを有し、1つもしくは複数のラインのチロシン-キナーゼ阻害剤(TKI)療法に対して不耐であるか、もしくは失敗したか、またはTKI療法が禁忌となっている、請求項1~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
B細胞悪性腫瘍がB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)、任意で、CD19+B-NHLである、請求項1~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
B細胞悪性腫瘍が再発性または抵抗性(r/r)B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である、請求項73記載の方法。
【請求項75】
対象が、1つまたは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患を有するB-NHLを有するか、HSCTに失敗したか、またはHSCT不適格である、請求項73または請求項74記載の方法。
【請求項76】
B-NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、またはバーキットリンパ腫(BL)である、請求項73~75のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
組成物を投与する前に、対象がCD19発現細胞を有すると特定されるか、または特定されている、請求項1~76のいずれか一項記載の方法。
【請求項78】
CD19発現が、フローサイトメトリーによって、任意で、末梢血中もしくは骨髄中に検出される、および/または免疫組織化学によって、任意で、骨髄生検材料の免疫組織化学によって検出される、請求項77記載の方法。
【請求項79】
対象が、CAR発現T細胞を含むT細胞組成物の投与を含む以前の細胞療法を受けたことがない、請求項1~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項80】
対象が、CAR発現T細胞を含むT細胞組成物の投与を含む以前の細胞療法を受けたことがある、請求項1~78のいずれか一項記載の方法。
【請求項81】
対象が、CD19を標的とする以前の療法を受けたことがあり、任意で、対象が、CD19を標的とする以前の療法の完了後に、CD19発現細胞を有すると特定されるか、もしくは特定されている、またはCD19陽性疾患を有すると特定されるか、もしくは特定されている、請求項1~80のいずれか一項記載の方法。
【請求項82】
投与前に、対象がフルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、請求項1~81のいずれか一項記載の方法。
【請求項83】
投与直前に、
フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法を対象に施す段階
をさらに含む、請求項1~82のいずれか一項記載の方法。
【請求項84】
リンパ球枯渇療法が、
約200~400mg/m2(両端の値を含む)、任意で、300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミド、および/または約20~40mg/m2、任意で、30mg/m2のフルダラビンを、2~4日間、任意で、3日間、毎日投与すること
を含む、請求項82または請求項83記載の方法。
【請求項85】
リンパ球枯渇療法が、
約300mg/m2のシクロホスファミドを3日間、毎日、約30mg/m2のフルダラビンを3日間、毎日投与すること
を含む、請求項82~84のいずれか一項記載の方法。
【請求項86】
シクロホスファミドおよびフルダラビンが並行して投与される、請求項82~85のいずれか一項記載の方法。
【請求項87】
T細胞組成物を投与する2~7日前にリンパ球枯渇療法が施される、請求項82~86のいずれか一項記載の方法。
【請求項88】
対象がヒトである、請求項1~87のいずれか一項記載の方法。
【請求項89】
CARが、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBであるか、またはヒト4-1BBを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
CARが、任意で、膜貫通ドメインとscFvの間にスペーサーをさらに含む、
請求項1~88のいずれか一項記載の方法。
【請求項90】
CARが、順に、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるか、またはヒト4-1BBシグナル伝達ドメインを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、請求項1~89のいずれか一項記載の方法。
【請求項91】
スペーサーが、
免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョン、任意で、IgG4ヒンジ、またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるポリペプチドスペーサー
である、請求項89または請求項90記載の方法。
【請求項92】
スペーサーの長さが約15アミノ酸またはそれ未満、任意で、12アミノ酸または約12アミノ酸である、請求項89~91のいずれか一項記載の方法。
【請求項93】
スペーサーが、
SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、前述の配列のいずれかのバリアント
を含むか、またはそれからなる;および/あるいは
スペーサーが、式X1PPX2Pを含み、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、請求項89~92のいずれか一項記載の方法。
【請求項94】
共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、そのバリアント
を含む、請求項89~93のいずれか一項記載の方法。
【請求項95】
一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、
前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、SEQ ID NO:13、14、または15
を含む、請求項89~94のいずれか一項記載の方法。
【請求項96】
scFvが、
RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、およびGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列を含む可変軽(VL)鎖と;
DYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、
のCDRH2配列、およびYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む可変重(VH)鎖と
を含むか、または
scFvが、
FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列を含むVLと;
FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むVH
を含む、請求項89~95のいずれか一項記載の方法。
【請求項97】
scFvが、SEQ ID NO:41に示したVHと、SEQ ID NO:42に示したVLとを含む、請求項89~96のいずれか一項記載の方法。
【請求項98】
VHおよびVLがフレキシブルリンカーによって隔てられており、任意で、フレキシブルリンカーが、SEQ ID NO:24に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:24に示した配列を含む、請求項96または請求項97記載の方法。
【請求項99】
scFvが、SEQ ID NO:43に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:43に示した配列を含む、請求項89~98のいずれか一項記載の方法。
【請求項100】
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7、CD27、CD45RA、および/またはCD28について表面陽性である、請求項1~99のいずれか一項記載の方法。
【請求項101】
組成物中にあるCAR発現T、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7について表面陽性である、請求項1~100のいずれか一項記載の方法。
【請求項102】
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7およびCD45RAについて表面陽性である、請求項1~101のいずれか一項記載の方法。
【請求項103】
組成物中にあるCAR発現T、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCD27について表面陽性である、請求項1~102のいずれか一項記載の方法。
【請求項104】
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCD27およびCD28について表面陽性である、請求項1~103のいずれか一項記載の方法。
【請求項105】
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くが活性カスパーゼ3について陰性である、請求項1~104のいずれか一項記載の方法。
【請求項106】
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、請求項1~105のいずれか一項記載の方法。
【請求項107】
T細胞が対象の自己細胞である、請求項1~106のいずれか一項記載の方法。
【請求項108】
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む、細胞療法の1つの組成物または細胞療法の複数の組成物のうちの1つと、
細胞療法を施すための説明書と
を備える製造物品であって、
説明書が、請求項1~107のいずれか一項記載の方法に従ってT細胞組成物を投与することを指定する、製造物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「B細胞悪性腫瘍を処置するために、操作されたT細胞を投薬する方法」という表題の2018年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/786,844号、および「B細胞悪性腫瘍を処置するために、操作されたT細胞を投薬する方法」という表題の2019年10月11日に出願された米国仮特許出願第62/914,303号の優先権を主張するものであり、その内容は、これらの全体が参照により組み入れられる。
【0002】
参照による配列表の組み入れ
本願は電子フォーマットの配列表と一緒に出願されている。配列表は、2019年11月10日に作成された735042019540SeqList.txtという表題の34.0キロバイトサイズのファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットの情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、一部の局面では、疾患および状態、例えば、ある特定のB細胞悪性腫瘍がある対象を処置するために、複数の用量の操作されたT細胞の投与を伴う処置および使用のための方法、ならびに関連する方法、組成物、使用、および製造物品に関する。操作された細胞は、一般的に、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する。一部の態様では、疾患または状態は急性リンパ芽球性白血病(ALL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)である。一部の態様では、対象は、25歳または25歳より若い対象、例えば、小児対象などの特定の範囲の年齢の中に収まる。
【背景技術】
【0004】
背景
疾患および状態を処置するために様々な免疫療法および/または細胞療法の方法を利用することができる。例えば、疾患または障害、例えば、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍を処置する上で、養子細胞療法(関心対象の疾患または障害に特異的な組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え受容体を発現する細胞の投与を伴う養子細胞療法、ならびに他の養子免疫細胞および養子T細胞療法を含む)が有益な場合がある。改善されたアプローチが必要とされる。このようなニーズを満たす方法および使用が提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
B-ALLもしくはB-NHLなどのB細胞悪性腫瘍を、その再発性および/もしくは抵抗性の悪性腫瘍を含めて有するか、または有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳もしくは25歳より若い対象、または場合によっては18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含む方法が本明細書において提供される。このような方法および使用は、治療的方法および使用、例えば、疾患または障害を処置するために有効量の抗CD19 CAR発現T細胞組成物の投与を伴う治療的方法および使用を含む。使用は、このような方法および処置の際に、ならびにこのような治療的方法を実施する目的で医用薬剤を調製する際に、このような抗CD19 CAR発現を使用することを含む。一部の態様では、それによって、前記方法は対象において疾患または状態または障害を処置する。
【0006】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0007】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0008】
任意の態様の一部では、(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、T細胞組成物は0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0009】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0010】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0011】
任意の態様の一部では、(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0012】
任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される。
【0013】
任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1x108CAR+T細胞または約1x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1x108CAR+T細胞または約1x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0014】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0015】
任意の態様の一部では、対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さない場合、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.1x108CAR+T細胞または約0.1x108CAR+T細胞
より選択される量で、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含む。
【0016】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0017】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0018】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0019】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0020】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0021】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象(subjecting)を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞もしくは約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0022】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞もしくは約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0023】
任意の態様の一部において、(i)対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与され、(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0024】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、方法が本明細書において提供される。
【0025】
任意の態様の一部では、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0026】
任意の態様の一部では、T細胞組成物は、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さなければ、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含み、さらなる用量のT細胞組成物は、少なくとも0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x108総CAR+T細胞または約0.1x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、T細胞組成物は、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、T細胞組成物は、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、T細胞組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、T細胞組成物は、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、T細胞組成物は、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0027】
任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0028】
任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0029】
任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さなければ、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含み、対象が18歳より若ければ、さらなる用量のT細胞組成物は、少なくとも0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x108総CAR+T細胞または約0.1x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0030】
任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0031】
任意の提供される方法または使用の一部では、対象の体重は少なくとも6kgまたは少なくとも約6kgである。任意の提供される方法または使用の一部では、対象の体重は少なくとも12kgまたは少なくとも約12kgである。
【0032】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0033】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0034】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0035】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0036】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0037】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1x108CAR+T細胞または約1x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0038】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が6kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0039】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階を含み、前記組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、前記組成物は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0040】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階を含み、前記組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、方法が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、前記組成物は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0041】
任意の態様の一部では、前記組成物は、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、前記組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、前記組成物は、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、前記組成物は、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、前記組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、前記組成物は、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、前記組成物は、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0042】
任意の態様の一部では、総体積が少なくとも0.05mL、濃度が2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物が投与される。任意の態様の一部では、総体積が少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mL、濃度が2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物が投与される。任意の提供される方法または使用の一部では、総体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mL、濃度2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物が投与される。
【0043】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞より少ない量
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0044】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0045】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0046】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0047】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0048】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0049】
任意の態様の一部では、T細胞の濃度は2.5x106細胞/mLであるか、または2.5x106細胞/mLを上回る。
【0050】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.05mLの体積中に、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0051】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.15mLの体積中に、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0052】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.3mLの体積中に、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0053】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0054】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.75mLの体積中に、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。
【0055】
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が本明細書において提供される。任意の態様の一部では、総体積が少なくとも0.05mLまたは少なくとも約0.05mLのT細胞組成物が投与される。任意の態様の一部では、総体積が少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mLのT細胞組成物が投与される。任意の態様の一部では、総体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mLのT細胞組成物が投与される。任意の態様の一部では、総体積が少なくとも1.0mLまたは少なくとも約1.0mLのT細胞組成物が投与される。
【0056】
任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.05mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.1mLである。任意の提供される態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも1.0mLである。任意の提供される態様の一部では、T細胞組成物の濃度は5x106細胞/mLもしくは約5x106細胞/mLを上回るか、または5x106細胞/mLであるか、もしくは約5x106細胞/mLである。任意の提供される態様の一部では、T細胞組成物の濃度は10x106細胞/mLを上回るか、もしくは約10x106細胞/mLを上回るか、または10x106細胞/mLであるか、もしくは約10x106細胞/mLである。任意の提供される態様の一部では、T細胞組成物の濃度は15x106細胞/mLを上回るか、もしくは約15x106細胞/mLを上回るか、または15x106細胞/mLであるか、もしくは約15x106細胞/mLである。
【0057】
任意の提供される態様の一部では、T細胞組成物はCD4+CAR+T細胞およびCD8+CAR+T細胞を含む。任意の態様の一部では、前記組成物は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの一方を含む第1の組成物と、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの他方を含む第2の組成物とを含む。任意の態様の一部では、第1の組成物および第2の組成物は別々に投与される。任意の態様の一部では、第1の組成物および第2の組成物は同時投与される。任意の態様の一部では、第1の組成物および第2の組成物はどの順序でも連続投与される。一部の局面では、第1の組成物はCD4+CAR+T細胞を含み、第2の組成物はCD8+T細胞を含む。他の局面では、第1の組成物はCD8+CAR+T細胞含み、第2の組成物はCD4+CAR+T細胞を含む。
【0058】
任意の提供される態様の一部では、投与されるT細胞組成物の量は、規定された比のCD4+CAR+T細胞:CD8+CAR+T細胞および/またはCD4+T細胞:CD8+T細胞を含み、規定された比は1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である。任意の態様の一部では、例えば、第1の組成物および第2の組成物の投与を伴う態様では、第1の組成物および第2の組成物のうちの一方にあるCD4+CAR+T細胞、ならびに第1の組成物および第2の組成物のうちの他方にあるCD8+CAR+T細胞は1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である規定された比で存在する。任意の態様の一部では、例えば、第1の組成物および第2の組成物の投与を伴う態様では、第1の組成物および第2の組成物の中にある、投与されるCD4+CAR+T細胞およびCD8+CAR+T細胞は、規定された比で存在し、この比は1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である。任意の提供される態様の一部では、規定された比は1:1であるか、または約1:1である。
【0059】
任意の提供される方法または使用の一部では、B細胞悪性腫瘍はリンパ腫または白血病である。任意の態様の一部では、B細胞悪性腫瘍は再発性および/または抵抗性である。
【0060】
任意の提供される方法または使用の一部では、B細胞悪性腫瘍はB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である。任意の態様の一部では、B細胞悪性腫瘍は、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、任意で、CD19+B-ALLである。任意の態様の一部では、B細胞悪性腫瘍は再発性または抵抗性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である。任意の態様の一部では、r/rB-ALLがある対象は骨髄中に疾患の形態学的証拠を有し、任意で、対象は形態学により5%以上のリンパ芽球を有する。任意の態様の一部では、対象は、以下:初回以降の骨髄再発、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性(primary refractory)、任意で、2つ以上の別々の導入レジメン後の初発抵抗性; 化学療法抵抗性(chemo-refractory)、任意で、再発性白血病に対する1サイクルの化学療法後の化学療法抵抗性、のいずれかであるB-ALLを有するか、または同種異系HSCT不適格である。任意の態様の一部では、B-ALLは再発性および/または抵抗性である。任意の態様の一部では、対象は、以下:初回以降の骨髄再発、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性、任意で、完全奏功(CR)も、不完全な血球数回復を伴う完全奏功(complete response with incomplete blood count recovery)(CRi)も達成しない初発抵抗性、任意で、2つ以上の別々の導入レジメン後の初発抵抗性; 化学療法抵抗性、任意で、CR/Criを達成しない化学療法抵抗性、任意で、再発性白血病に対する1サイクルの化学療法後の化学療法抵抗性、のいずれかを含むB-ALLを有するか、または同種異系HSCT不適格である
【0061】
任意の態様の一部では、B-ALLは微小残存病変陽性(MRD+)である。任意の態様の一部では、B-ALLがある対象は形態学により5%未満のリンパ芽球を有する、および/または検証されたアッセイにより検出された時に、2ラインの療法後に骨髄細胞中に1x10-4以上の頻度で微小残存病変陽性(MRD+)疾患を有する。
【0062】
任意の態様の一部では、対象はフィラデルフィア染色体陽性ALLを有し、1つもしくは複数のラインのチロシン-キナーゼ阻害剤(TKI)療法に対して不耐であるか、もしくは失敗したか、またはTKI療法が禁忌となっている。
【0063】
任意の提供される方法または使用の一部では、B細胞悪性腫瘍はB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である。任意の態様の一部では、B細胞悪性腫瘍はB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)、任意で、CD19+B-NHLである。任意の態様の一部では、B細胞悪性腫瘍は再発性または抵抗性(r/r)B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である。
【0064】
任意の態様の一部では、B-NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、またはバーキットリンパ腫である。任意の態様の一部では、対象は、1つまたは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患を有するB-NHLを有するか、HSCTに失敗したか、またはHSCT不適格である。任意の態様の一部では、B-NHLは再発性および/または抵抗性である。
【0065】
任意の提供される方法または使用の一部では、投与前に、対象は、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている。任意の提供される方法または使用の一部では、前記方法は、投与直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法を対象に施す段階をさらに含む。任意の態様の一部では、リンパ球枯渇療法は、約200~400mg/m2(両端の値を含む)、任意で、300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミド、および/または約20~40mg/m2、任意で、30mg/m2のフルダラビンを2~4日間、任意で、3日間、毎日投与する段階を含む。任意の態様の一部では、リンパ球枯渇療法は、約300mg/m2のシクロホスファミドを3日間、毎日投与する段階と、約30mg/m2のフルダラビンを3日間、毎日投与する段階を含む。任意の態様の一部では、シクロホスファミドおよびフルダラビンは並行して投与される。任意の態様の一部では、シクロホスファミドおよびフルダラビンは静脈内投与される。任意の態様の一部では、リンパ球枯渇療法は、T細胞組成物を投与する2~7日前に施される。
【0066】
任意の提供される方法または使用において、対象はヒトである。
【0067】
任意の提供される方法または使用において、CARは、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。任意の態様の一部では、CARは、順に、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。任意のこのような態様の一部では、共刺激分子に由来する細胞質ドメインはヒト4-1BBであるか、またはヒト4-1BBを含む。任意のこのような態様の一部では、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはこれを含む。任意のこのような態様の一部では、CARは、任意で、膜貫通ドメインとscFvの間にスペーサーをさらに含む。
【0068】
任意の提供される態様では、CARは、順に、ヒトCD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと;共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む。任意のこのような態様の一部では、共刺激分子に由来する細胞質ドメインヒト4-1BBであるか、またはヒト4-1BBを含む。任意のこのような態様の一部では、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはこれを含む。
【0069】
任意の提供される態様の一部では、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョン、任意で、IgG4ヒンジ、またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるポリペプチドスペーサーである。任意の提供される態様の一部では、スペーサーは約15アミノ酸またはそれ未満であり、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まない。任意の提供される態様の一部では、スペーサーの長さが12アミノ酸または約12アミノ酸である。任意の提供される態様の一部では、スペーサーは、SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、前述の配列のいずれかのバリアントを有するか、またはそれからなる。任意の提供される態様の一部では、スペーサーは式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1はグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2はシステインまたはスレオニンである。
【0070】
任意の提供される態様の一部では、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、すなわち、共刺激ドメインは、SEQ ID NO:12またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、そのバリアントを含む。
【0071】
任意の提供される態様の一部では、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、すなわち、一次シグナル伝達ドメインは、前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、SEQ ID NO:13、14、または15を含む。
【0072】
任意の提供される態様の一部では、scFvは、RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、およびGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列を含む可変軽(VL)鎖と;DYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、
のCDRH2配列、およびYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む可変重(VH)鎖と、を含む。任意の提供される態様の一部では、scFvは、FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列を含むVLと、FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むVHを含む。任意の提供される態様の一部では、scFvは、SEQ ID NO:41に示したVHとSEQ ID NO:42に示したVLを含む。任意の提供される態様の一部では、VHおよびVLはフレキシブルリンカーによって隔てられている。任意の提供される態様の一部では、フレキシブルリンカーが、SEQ ID NO:24に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:24に示した配列を含む。任意の提供される態様の一部では、scFvは、SEQ ID NO:43に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:43に示した配列を含む。
【0073】
任意の提供される態様の一部では、T細胞は、対象から得られた初代T細胞である。任意の提供される態様の一部では、T細胞は対象の自己細胞である。
【0074】
任意の提供される態様の一部では、組成物を投与する前に、対象はCD19発現細胞を有すると特定されるか、または特定されている。任意の提供される態様の一部では、CD19発現は、フローサイトメトリーによって末梢血もしくは骨髄中に検出される、および/または骨髄生検材料の免疫組織化学によって検出される。任意の態様の一部では、CD19発現は、フローサイトメトリーによって、任意で、末梢血中もしくは骨髄中に検出される、および/または免疫組織化学によって、任意で、骨髄生検材料の免疫組織化学によって検出される。
【0075】
任意の態様の一部では、対象は、CAR発現T細胞を含むT細胞組成物の投与を含む以前の細胞療法を受けたことがない。任意の態様の一部では、対象は、CAR発現T細胞を含むT細胞組成物の投与を含む以前の細胞療法を受けたことがある。任意の態様の一部では、対象は、CD19を標的とする以前の療法を受けたことがあり、任意で、対象は、CD19を標的とする以前の療法の完了後に、CD19発現細胞を有すると特定されるか、もしくは特定されているか、またはCD19陽性疾患を有すると特定されるか、もしくは特定されている。
【0076】
任意の態様の一部では、組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7、CD27、CD45RA、および/またはCD28に対して表面陽性である。任意の態様の一部では、組成物中にあるCAR発現T、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7に対して表面陽性である。任意の態様の一部では、組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7およびCD45RAに対して表面陽性である。
【0077】
任意の態様の一部では、組成物中にあるCAR発現T、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCD27に対して表面陽性である。任意の態様の一部では、組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCD27およびCD28に対して表面陽性である。任意の態様の一部では、組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くが活性カスパーゼ3に対して陰性である。
【0078】
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む、細胞療法の組成物または細胞療法の複数の組成物のうちの1つと、細胞療法を施すための説明書を備える製造物品であって、説明書が、任意の提供される方法に従ってT細胞組成物を投与することを指定する、製造物品も本明細書において提供される。
【発明を実施するための形態】
【0079】
詳細な説明
提供される態様の中には、一般的にB細胞悪性腫瘍もしくは血液腫瘍であるか、またはB細胞悪性腫瘍もしくは血液腫瘍を含む疾患または状態を有する対象を処置するために、操作された細胞(例えば、T細胞)および/またはその組成物を投与する段階を含む方法および使用、例えば、治療的な方法または使用がある。一部の態様では、B細胞悪性腫瘍はB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)またはB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である。一部の態様では、操作された細胞は、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を標的とすることができる、それに結合することができる、および/またはそれを認識することができる、組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する。一部の局面では、対象には、25歳または25歳より若い対象、例えば、小児対象または若年成人対象が含まれる。一部の局面では、前記方法は、対象の特定の群、例えば、25歳または25歳より若い対象、例えば、小児対象または若年成人対象における処置のために投与するために、操作された細胞の量、数、または用量を決定する段階を含む。一部の態様では、対象は小児対象である。一部の態様では、対象は若年成人である。例えば、本明細書に記載の方法および使用に従って、細胞療法において使用するための組成物も提供される。例えば、本明細書において提供される方法または使用において使用するための製造物品およびキットも提供される。一部の態様では、製造物品およびキットは、任意で、本明細書において提供される方法または使用に従って使用するための説明書を備える。
【0080】
養子細胞療法(関心対象の疾患または障害に特異的なキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体を発現する細胞の投与を含む養子細胞療法、ならびに他の養子免疫細胞および養子T細胞療法を含む)は、血液腫瘍またはB細胞悪性腫瘍ならびに他の疾患および障害、例えば、他のがんの処置において有効な場合がある。ある特定の状況では、利用可能な養子細胞療法アプローチは、常に完全に満足のいくものであるとは限らない。状況によっては、療法に対する最適な応答は、輸送するために、対象、腫瘍、およびその環境の内の適切な部位に局在し、首尾良く進入するために、活性化型になるために、拡大増殖するために、細胞傷害性死滅およびサイトカインなどの様々な因子の分泌を含む様々なエフェクター機能を発揮するために、長期を含めて持続するために、分化するために、移行するために、またはある特定の表現型状態へのリプログラミングに関与するために、クリアランスおよび再曝露後に有効かつロバストなリコール応答(recall response)を提供してリガンドまたは抗原を標的化するために、ならびに疲弊、アネルギー、最終分化、および/または抑制状態への分化を回避または低減するために、投与された細胞が標的、例えば、標的抗原を認識し、これに結合する能力に左右される場合がある。
【0081】
一部の局面では、養子細胞療法の治療効果は、このような細胞が投与される対象における毒性のリスクおよび/または発生によって限定される場合がある。この毒性は、場合によっては、投与される細胞のある特定の用量または曝露では重度になる場合がある。場合によっては、高用量のこのような細胞は、例えば、細胞に対する曝露を増やすことによって、例えば、拡大増殖および/または持続性を促進することによって治療効果を高めることができるが、毒性またはさらに重度の毒性を発生するリスクをもっと高める可能性もある。さらに、場合によっては、高い疾患負荷量がある対象も、毒性またはさらに重度の毒性を発生するリスクが高くなる可能性がある。さらに、リスクを高める可能性がある要因の中には、体重に基づいて細胞が投薬されるので、細胞療法(例えば、CAR-T細胞療法)の細胞の用量を投与した後に毒性を発症する相対リスクおよび/または確率は、対象に投与される細胞の数を含み、例えば、体重が重い対象には多くの細胞が投与される。対象に細胞療法を投薬する、ある特定の利用可能な方法は、常に完全に満足のいくものであるとは限らない。細胞の用量を増やすか、または投与される細胞の拡大増殖または増殖を対象において促進することは高い奏効率と関連することがあるが、毒性の発生を増やすこともある。
【0082】
一部の局面では、小児対象または若年成人対象などの特定の対象群は、身体サイズ、循環体積、および/または投与される細胞の活性もしくは機能が異なるために、養子細胞療法に対する応答および/または投与後の毒性の発生が異なる場合がある。一部の局面では、特定の対象群において、対象への細胞療法投与後に処置アウトカム、例えば、好ましいアウトカムもしくは応答および/または永続性のある応答もしくはアウトカムの、高い、または指定された望ましい可能性の程度をもたらし、毒性アウトカムまたは毒性を発生するリスクの、比較的低い、または最小化された、または望ましい程度の可能性ももたらす適切な用量を決定することは難しい場合がある。このような結果を達成することができる方法および使用が提供される。
【0083】
従って、一部の態様では、提供される方法、使用、製造物品、および/または組成物には、養子細胞療法などの処置のための他の利用可能な方法または解決策またはアプローチと比べて利点がある。特に、提供される態様の中には、CAR、例えば、抗CD19 CARを発現するT細胞(CD4および/またはCD8 T細胞)を含有するT細胞療法を、B細胞悪性腫瘍、例えば、B-ALLまたはB-NHLがある25歳または25歳より若い対象、例えば、小児対象または若年成人対象に施す方法を含む態様がある。提供される方法および使用を用いると、応答の可能性を大きくし、毒性を発生するリスクの可能性を小さくすることができるか、またはこれに関連付けることができる細胞投薬が可能になる。
【0084】
本願において言及された、特許文書、科学文献、およびデータベースを含む刊行物は全て、それぞれ個々の刊行物が個々に参照により組み入れられるのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示された定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願、および他の刊行物に示される定義と相違するか、または他の点で一致しない場合、参照により本明細書に組み入れられる定義ではなく、本明細書において示される定義が優先される。
【0085】
本明細書において用いられるセクションの見出しは系統立ててまとめることだけを目的とし、説明された内容を限定すると解釈してはならない。
【0086】
I. 遺伝子操作されたT細胞を用いた細胞療法における方法および使用
概して、B細胞悪性腫瘍もしくは血液腫瘍であるか、またはB細胞悪性腫瘍もしくは血液腫瘍を含む疾患または状態を有する対象を処置するために、操作された細胞(例えば、T細胞)および/またはその組成物を投与する段階を含む方法および使用、例えば、治療的な方法または使用が提供される。一部の局面では、B細胞悪性腫瘍はB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)またはB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である。一部の局面では、前記の方法および使用は、対象の特定の群、例えば、25歳もしくは25歳より若い対象および/または小児対象もしくは若年成人対象を処置するためのものである。
【0087】
一部の態様では、前記の方法および使用は、養子細胞療法において、遺伝子操作された(組換え)細胞表面受容体を発現する細胞を対象に投与する段階を含み、遺伝子操作された(組換え)細胞表面受容体は、一般的に、B細胞悪性腫瘍、例えば、B-ALLもしくはB-NHL、および/またはこれから得られる細胞タイプが発現する、これに関連する、および/またはこれに特異的な抗原に結合するか、またはこれを認識するキメラ受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。概して、前記細胞は投与用に製剤化された組成物の形で投与される。一部の態様では、操作された細胞または操作された細胞を含む組成物は、例えば、養子細胞療法、例えば、養子T細胞療法を介して、B細胞悪性腫瘍を有する対象に投与される。一部の態様では、前記方法は、ある用量の抗原受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)を用いて、B細胞悪性腫瘍を有する対象を処置する段階を含む。
【0088】
一部の態様では、前記方法は、特定の量、例えば、1つまたは複数の用量の細胞を対象に投与する段階を含み、この量または用量は、特定の数もしくは相対数の細胞もしくは操作された細胞、および/または規定された比もしくは組成の、組成物中の2つ以上のサブタイプ、例えば、CD4対CD8 T細胞、または特定の数もしくは相対数の細胞/対象体重(例えば、1キログラム(kg)体重あたり)を含んでもよい。一部の局面では、対象がある特定の最大体重を上回れば、特定の数または相対数の細胞が投与される。一部の態様では、前記方法は、対象の年齢および/または体重に応じて量または用量を対象に投与する段階を含む。
【0089】
一部の態様では、提供される方法および使用は、対象の特定の群またはサブセット、例えば、特定の年齢の対象、例えば、25歳または25歳より若い対象を処置する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、特定の年齢の対象、例えば、18歳より若い対象を処置する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は小児対象または若年成人対象を処置する段階を含む。
【0090】
一部の態様では、前記の方法、使用、および製造物品は、例えば、年齢、特定の疾患タイプ、診断基準、前処置、および/または前処置に対する応答に基づいて、対象の特定の群またはサブセットを選択または特定する段階を含む、対象の処置を含むか、または対象の処置に用いられる。一部の態様では、前記方法は、1つもしくは複数の以前の療法を用いた処置後、寛解後に再発した対象、または1つもしくは複数の以前の療法に対して抵抗性になった対象、あるいは1つもしくは複数の以前の療法、例えば、1つもしくは複数のラインの標準療法後に再発した対象、または1つもしくは複数の以前の療法、例えば、1つもしくは複数のラインの標準療法に対して抵抗性(R/R)の対象を処置する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、対象の特定の群またはサブセット、例えば、標準療法に対してR/RになったB細胞悪性腫瘍を有すると特定された小児対象および/または若年成人対象を処置する段階を含む。一部の態様では、対象は、高リスク疾患、例えば、アグレッシブな(aggressive)、および/もしくは予後不良の、または標準療法に対してR/RになったB細胞悪性腫瘍を有する場合がある。一部の態様では、前記方法は、R/R B-ALL、R/R B-NHL、または微小残存病変を示すB-ALL(MRD+B-ALL)を有する対象を処置する段階を含む。一部の局面では、NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、または原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)を含んでもよい。一部の態様では、対象はR/R DLBCL、R/R BL、またはR/R PMBCLを有する。
【0091】
一部の態様では、抗原受容体(例えば、CAR)は、疾患、障害、または状態に関連する標的抗原、例えば、B細胞悪性腫瘍、例えば、B-ALLまたはB-NHLに関連する標的抗原に特異的に結合する。一部の態様では、疾患または障害に関連する抗原は、CD19、CD20、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。一部の態様では、疾患または障害に関連する抗原はCD19より選択される。
【0092】
一部の局面では、高い奏効率および/または高い奏功永続性、ならびに低い水準および/または発生率の毒性に関連する特定の用量で、規定された細胞療法組成物を投与するための組成物、方法、および使用が提供される。一部の態様では、一部の対象には、前記の組成物または用量は、体重に基づいた用量、例えば、1キログラム(kg)対象体重あたりの特定の量または数の細胞で投与される。一部の態様では、一部の対象には、前記の組成物または用量は、固定した用量および/または決まった用量で、例えば、正確な固定した用量の細胞および/または特定の表現型を有する1つもしくは複数の細胞で、例えば、特定の数のこのような細胞で、あるいは目標数と比較して特定の範囲および/または特定の程度のばらつきもしくは分散の中にある数で投与される。
【0093】
一部の態様では、B-ALLまたはB-NHLなどのB細胞悪性腫瘍を、その再発性および/または抵抗性の悪性腫瘍を含めて有するか、またはそれを有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳もしくは25歳より若い、または場合によっては18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含む方法が提供される。このような方法および使用は、治療的な方法および使用、例えば、疾患または障害を処置するのに有効な量の抗CD19 CAR発現T細胞組成物の投与を含む治療的な方法および使用を含む。使用は、このような方法および処置の際に、ならびにこのような治療的方法を実施する目的で医用薬剤を調製する際に、このような抗CD19 CAR発現T細胞またはこのような細胞を含有する組成物を使用することを含む。例えば、本明細書において提供される方法に従う、このような抗CD19 CAR発現T細胞を含有する組成物、例えば、薬学的組成物も提供される。一部の態様では、前記の方法および使用は、これによって、対象における疾患または状態または障害を処置する。
【0094】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0095】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0096】
一部の態様では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象への、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0097】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。一部の態様では、対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される。一部の態様では、対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0098】
任意の態様の一部では、対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される。
【0099】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞もしくは約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。
【0100】
一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0101】
提供される方法または使用の一部において、対象の体重は少なくとも6kgまたは少なくとも約6kgである。提供される方法または使用の一部において、対象の体重は少なくとも12kgまたは少なくとも約12kgである。提供される方法または使用の一部において、対象の体重は100kg未満または約100kg未満である。
【0102】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。
【0103】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若く、かつ体重が6kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。
【0104】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、18歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階を含み、前記組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、方法が提供される。一部の態様では、前記組成物は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、前記組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0105】
一部の態様では、前記方法は、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0106】
提供される方法または使用の一部において、総体積が少なくとも0.05mL、濃度が2.5x106細胞/mL以上のT細胞組成物が投与される。提供される方法または使用の一部において、総体積が少なくとも0.5mL、濃度が2.5x106細胞/mL以上のT細胞組成物が投与される。
【0107】
任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0108】
任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0109】
任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される。任意の態様の一部では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0110】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。
【0111】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法、が提供される。
【0112】
任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.05mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.1mLである。提供される態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも1.0mLである。提供される態様の一部では、T細胞組成物の濃度は5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約5x106細胞/mLを上回るか、または5x106細胞/mLであるか、もしくは約5x106細胞/mLである。提供される態様の一部では、T細胞組成物の濃度は10x106細胞/mLを上回るか、もしくは約10x106細胞/mLを上回るか、または10x106細胞/mLであるか、もしくは約10x106細胞/mLである。提供される態様の一部では、T細胞組成物の濃度は15x106細胞/mLを上回るか、もしくは約15x106細胞/mLを上回るか、または15x106細胞/mLであるか、もしくは約15x106細胞/mLである。
【0113】
一部の態様では、投与される組成物または用量は、規定された比のCD4+細胞およびCD8+細胞(例えば、1:1比のCD4+:CD8+CAR+T細胞)を含有する、ならびに/またはこのような比から、ある特定の程度のばらつきの範囲内にある、例えば、+10%以下、例えば、+8%以下、例えば、+10%以下、例えば、+8%以下のばらつき、もしくは分散の程度にある比を含有する。一部の態様では、CD4+およびCD8+細胞は個々に製剤化および投与される。一部の態様では、投与される細胞は、一貫した活性および/または機能、例えば、サイトカイン産生、アポトーシス、および/または拡大増殖を示す。一部の態様では、提供される組成物は、組成物中で、または調製物間で、高度に一貫した、かつ規定された活性と、細胞間の少ないばらつき、例えば、細胞数、細胞機能、および/または細胞活性の点で細胞間の少ないばらつきを示す。一部の態様では、活性および/または機能に一貫性があると、例えば、組成物の調製物間のばらつきが少ないと効力および/または安全性が改善される。一部の態様では、規定された組成物を投与すると、不均一性が大きな細胞組成物の投与と比較して産物のばらつきが少なくなり、毒性、例えば、CRSまたは神経毒性が低くなった。一部の態様では、規定された、一貫した組成物は、細胞の一貫した拡大増殖も示す。このような一貫性は、用量、治療可能時間域の特定、用量反応の評価、および安全性または毒性アウトカムと相関する可能性がある、対象の要因の特定を容易にすることができる。
【0114】
一部の態様では、特定の用量レベルの単回注入を与えた、ある特定の対象コホートでは、60%より大きな、6ヶ月後の永続性のある奏効率を達成することができる。一部の態様では、一部のコホート中の対象は、80%より大きな全奏効率(ORR、場合によっては客観的奏効率としても知られる)、60%より大きな完全奏功(CR)率、および/または6ヶ月で高い永続性のあるCR率を達成することができる。一部の態様では、規定された用量を与えた対象は、改善された安全性アウトカムを示し、例えば、対象の2/3超がCRSもNTも全く示さない。一部の局面では、重度CRSまたは重度NTの率は低い。一部の態様では、特定の規定された用量を用いて観察される高い曝露(例えば、CmaxおよびAUC0-28)は、毒性、例えば、CRSまたはNTの増加と関連しない。一部の態様では、対象の特定の要因、例えば、ある特定のバイオマーカーを用いて毒性リスクを予測することができる。一部の態様では、提供される態様を用いて、低い毒性リスクで高い奏効率を達成することができる。
【0115】
一部の態様では、毒性を寛解させる、処置する、または予防する目的で、細胞療法の投与前または投与後に、提供される組成物、製造物品、キット、方法、および使用を用いて処置される対象の25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、または5%以下には薬剤(例えば、トシリズマブおよび/またはデキサメタゾン)が投与される。一部の態様では、操作された細胞(例えば、CAR-T細胞)が与えられる前に、対象には予防的処置が全く施されない。
【0116】
一部の態様では、前記の方法、細胞、および組成物は、ある範囲の患者の特徴および/または腫瘍負荷量(tumor burden)にわたって、高率の永続性のある応答を対象に提供することができる。一部の態様では、前記の方法、細胞、および組成物は、高率の、永続性のある応答を、予後不良の高リスク患者に、低い副作用リスクまたは毒性リスクで提供することができる。一部の態様では、前記の方法および使用は、高い奏効率、および/または永続性のある応答もしくは効力、および/または細胞療法と関連し得る毒性リスクもしくは他の副作用リスク、例えば、神経毒性(NT)もしくはサイトカイン放出症候群(CRS)の低下をもたらすか、または達成する。一部の局面では、提供される観察は低率の重度NT(sNT)または重度CRS(sCRS)と、高率の、毒性、例えば、NTまたはCRSが全くない患者を示した。
【0117】
A. 処置方法
本明細書において提供される方法は、操作された細胞、または、操作された細胞、例えば、操作されたT細胞を含有する組成物を投与する段階を含む処置方法である。操作された細胞および/またはその組成物を投与する段階を含む、操作された細胞(例えば、T細胞)および/またはその組成物の方法および使用、例えば、治療的および予防的な使用も、疾患、障害、または状態、例えば、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍を有する対象を処置するための方法または使用を含めて提供される。このような方法および使用は、治療的な方法および使用、例えば、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍、例えば、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)またはB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)を有する対象に、操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物を投与する段階を含む、治療的な方法および使用を含む。一部の態様では、前記の分子、細胞、および/または組成物は、疾患、障害、または状態を処置するのに有効な量で投与される。
【0118】
一部の局面では、提供される方法は、操作された細胞、または、操作された細胞、例えば、操作されたT細胞を含有する組成物を、対象、例えば、血液腫瘍またはB細胞悪性腫瘍を有する対象に投与する段階を含む。一部の局面では、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍を処置するための、一部の局面では、本明細書に記載の任意の方法に従った、操作された細胞、または、操作された細胞、例えば、操作されたT細胞を含有する組成物の使用も提供される。一部の局面では、例えば、このような治療的方法を実施する目的で、B細胞悪性腫瘍を処置するための医用薬剤を製造するための、操作された細胞、または、操作された細胞、例えば、操作されたT細胞を含有する組成物の使用も提供される。一部の局面では、B細胞悪性腫瘍を処置する際に使用するための、またはB細胞悪性腫瘍を有する対象に投与するための、操作された細胞、または、操作された細胞、例えば、操作されたT細胞を含有する組成物を投与する方法も提供される。一部の態様では、前記方法は、操作された細胞または操作された細胞を含む組成物を、B細胞悪性腫瘍を有するか、B細胞悪性腫瘍を有したか、またはB細胞悪性腫瘍を有したと疑われる対象に投与することによって行われる。一部の態様では、前記方法は、これによって、対象におけるB細胞悪性腫瘍を処置する。B細胞悪性腫瘍を処置するための、本明細書において提供される任意の組成物、例えば、薬学的組成物の使用、例えば、処置レジメンにおける使用も本明細書において提供される。
【0119】
一部の態様では、提供される方法および使用は、例えば、処置対象の特定の群では、ある特定の代替方法と比較して、改善された応答、および/または永続性のある応答もしくは効力、および/または低い毒性リスクもしくは他の副作用リスクを達成することができる。
【0120】
養子細胞療法のために細胞を投与する一般的方法は公知であり、提供される方法および組成物に関連して用いられる場合がある。例えば、養子T細胞療法方法は、例えば、米国特許出願公開第2003/0170238号;米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85)に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0121】
一部の態様では、前記の方法および使用は、例えば、年齢、特定の疾患タイプ、診断基準、前処置、および/または前処置に対する応答に基づいて、対象の特定の群またはサブセットを選択または特定する段階を含む対象の処置を含む。
【0122】
一部の態様では、本明細書において提供される方法および使用に従って処置されるB細胞悪性腫瘍または血液腫瘍は、抗原の発現がB細胞悪性腫瘍または血液腫瘍の原因と関連する、および/またはこれに関与する、例えば、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍を引き起こす、悪化させる、または他の点でこれに関与するどんなものでもよい。一部の局面では、B細胞悪性腫瘍は細胞の形質転換(例えば、がん)に関連する。特定の態様において、組換え受容体、例えば、CARは、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍に関連する抗原に特異的に結合する。
【0123】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍は、腫瘍、がん、新生物、または他の増殖性の疾患もしくは障害に関連する。一部の局面では、このような疾患には、白血病、リンパ腫、例えば、急性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(AML)、慢性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(CML)、急性リンパ球性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、毛様細胞性白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、難治性濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、および多発性骨髄腫(MM)が含まれるが、これに限定されない。一部の態様では、疾患または状態は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)より選択されるB細胞悪性腫瘍である。一部の態様では、疾患または状態はNHLであり、NHLは、アグレッシブNHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(新規もしくはインドレントから形質転換したもの)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、および/または濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される。B細胞悪性腫瘍の中にはB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)およびB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)がある。一部の局面では、NHLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、または原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)を含むことがある。
【0124】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、例えば、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である。一部の局面では、血液および骨髄(BM)のアグレッシブながんであるALLは、主としてB細胞タイプの前駆リンパ悪性腫瘍として世界保健機構(WHO)によって分類され、T細胞が関与する症例の約10%~15%しかない。一部の局面では、前駆B細胞ALL(B-ALL)は、場合によっては、CD79a、CD19、ヒト白血球抗原-antigen D related(HLA-DR)、および他のB細胞抗原を発現し、小児ALLの80%~85%、全小児がんの約30%を占める。ALLは米国において小児および青少年の中で最も蔓延しているがんであり、20歳未満の人で診断される全がんの20%を占める。一部の局面では、前記の疾患、障害、または状態は、骨髄(BM)の浸潤が25%未満である場合にリンパ芽球性リンパ腫(LBL)と呼ばれることがあり、BM病変(involvement)が25%以上であれば前記の疾患、障害、または状態は白血病と呼ばれることがある。
【0125】
一部の局面では、免疫表現型検査(例えば、フローサイトメトリーによる)および/または細胞遺伝学を用いてB前駆ALLとT前駆ALLを区別することができ、それによって、悪性B細胞の分化状態(例えば、プロ-B、コモン(common)、プレ-B、および成熟B細胞)が明らかになる。一部の態様では、本明細書において提供される方法および使用に従って処置される対象はALLを有し、本明細書に記載のように、例えば、表2に記載のように、様々なALLタイプに関連する免疫表現型特徴または細胞遺伝学的特徴を有すると特定することができる。場合によっては、疾患タイプおよび分化状態の決定は治療の選択に不可欠である。一部の局面では、ALLは最も一般的な種類の前駆B細胞新生物であり、血液および骨髄に蓄積する、悪性の、形質転換した、かつ未熟な造血細胞(「芽細胞」)の増殖および蓄積を特徴とする(例えば、Gokbuget et al.,Blood. 2012 Aug 30;120(9):1868-76を参照されたい)。一般的に、骨髄分析がALLの診断に必要とされる。一部の局面では、ALL小児の骨髄分析から、光学顕微鏡によってALL小児の大多数は50%を上回る芽細胞の広範囲の白血病浸潤を示すことが分かる。場合によっては、他のリンパ器官、例えば、リンパ節および脾臓ならびに非リンパ器官、特に、中枢神経系(CNS)も冒されている場合がある。一部の局面では、小児対象の10%未満が症候性CNS病変を有するが、成熟B-ALLの対象では頻度が高くなる(Faderl et al., Cancer. 2010 Mar 01;116(5):1165-76.)。一般的に、ALLを発症するリスク因子には、年齢、化学療法または放射線療法への曝露、およびダウン症候群を含む遺伝的障害が含まれる。一部の局面では、ALLを発症するリスクは5歳未満の小児において最も高い。このリスクは20代の半ばまでゆっくりと低下し、50歳以降に再び上昇し始める。場合によっては、B-ALL患者の約75%が反復性染色体転座または体細胞異数性を有し、その一部を疾患予後に使用することができる。一部の局面では、小児ALL患者のほぼ半分に染色体転座がある。場合によっては、これらの染色体転座は従来の細胞遺伝学的分析によって検出できないが、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出される。一般的に、ALLの最も一般的な染色体転座はt(12;21)転座であり、childhood National Cancer Institute (NCI) standard-risk B-ALLの20%~25%において発生するETV6-runt-related transcription factor 1融合の原因となる。場合によっては、この遺伝子変化がある小児は>95%までの全生存(OS)率を示すことがある。
【0126】
一部の局面では、多剤化学療法が小児ALLの治療選択肢であり、場合によってはファーストライン療法として用いられる。一部の局面では、ファーストライン導入療法は、現れている特徴に関係なく、ビンクリスチン、デキサメタゾン(またはプレドニゾン)、アスパラギナーゼ、およびドキソルビシン(場合によっては、ベルリン-フランクフルト-マンステール(Berlin-Frankfurt-Munster)(BFM)レジメンとも呼ばれる)を含む。場合によっては、ファーストライン療法を受けている小児の95%超が、処置をして最初の4週間以内に完全奏功(CR)を達成することができ、5年全生存(OS)率は90%近くになる(Pui et al.,J Clin Oncol. 2015 Sep 20;33(27):2938-48)。場合によっては、中枢神経系(CNS)疾患を呈している対象では、全身再発リスクを下げるために、導入療法中にくも膜下腔内トリプル療法(intrathecal triple therapy)(メトトレキセート(MTX)、シタラビン、およびプレドニゾロンを投与する)を静脈内(IV)高用量MTXと一緒に使用することができる。場合によっては、特に高いCNS再発リスクがあるが、遅発性の神経認知障害のリスクがあるために放射線療法がファーストライン療法としてまれにしか用いられない限られた状況では、放射線療法とくも膜下腔内MTXを併用することができる。一部の局面では、対象が完全奏功(CR)を達成したら、導入後処置はリスク群の割り当てに応じて変わることがある。一般的に、CR後に、および維持療法を開始する前に全対象が強化療法を受ける。一部の局面では、よく用いられる療法は、シクロホスファミド、低用量シタラビン、およびチオプリンを含む。場合によっては、維持療法は、メルカプトプリン、低用量MTX、場合によっては、ビンクリスチン/ステロイドパルスを含む場合がある。一部の局面では、治療的レジメンは患者のリスクカテゴリーによって決まる場合がある。遅発性毒性のリスクがあるために場合によっては、アントラサイクリンとアルキル化剤への曝露は、標準リスクALLがある小児に限定されることがある。場合によっては、対象が微小残存病変(MRD)を呈するのであれば、アントラサイクリンとアルキル化剤を使用することができる。一部の局面では、ALLの場合、MRDレベルの増加はアウトカムの悪化と関連することがある。場合によっては、12週間目にMRDが存続することは極めて悪い予後因子になることがあり、5年無病生存率(DFS)は約40%である(Borowitz et al., Blood. 2015 Aug 20;126(8):964-71)。場合によっては、ALLの中間BM再発リスクがある対象では、従来の化学/放射線療法を用いた導入後にMRDが少ないことは良好な長期予後と関連することがある。対照的に、場合によっては、応答が不十分な対象は予後が極めて悪い。一部の局面では、ALLの中間BM再発リスクがある小児では、導入後のMRDレベルが長期アウトカムの強力で独立した予後因子になることがある。
【0127】
一部の局面では、世界保健機構の急性リンパ芽球性白血病分類に基づいてALLをさらに分類することができる。一部の局面では、分類は細胞遺伝学検査および分子診断検査によって発見される遺伝子特徴、免疫表現型特徴、分子特徴、および形態学的特徴に基づくことがある(例えば、Arber et al.,Blood. 127(20): 2391-2405; Mrozek et al.,Hematol Oncol Clin North Am. 2009 October; 23(5): 991-vを参照されたい)。一部の局面では、B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫の分類は、以下のカテゴリー:反復性遺伝子異常を伴う;t(9;22)(q34.1;q11.2),BCR-ABL1を伴う;t(v;11q23.3),KMT2A再編成を伴う;t(12;21)(p13.2;q22.1),ETV6-RUNX1を伴う;t(5;14)(q31.1;q32.3),IL3-IGHを伴う;t(1;19)(q23;p13.3),TCF3-PBX1を伴う;高二倍性を伴う;低二倍性を伴う;および他に特定されない(not otherwise specified)(NOS)を含む。一部の局面では、ALLはTリンパ芽球性白血病/リンパ腫を含む場合がある。一部の局面では、ALLは、以下:急性未分化型白血病; t(9;22)(q34.1;q11.2),BCR-ABL1を伴う混合性表現型急性白血病(Mixed phenotype acute leukemia)(MPAL); t(v;11q23.3),KMT2A再編成を伴うMPAL; MPAL,B/myeloid,NOS; およびMPAL,T/myeloid,NOS、のように分類される不明瞭な系列の急性白血病を含む場合がある。
【0128】
一部の局面では、B-ALLは細胞の表現型に基づいて以下:初期プレB-ALL(TdT+,CD19+,CD10-); コモンALL(CD19+,CD10+/CALLA+); プレB ALL(CD10+/-,CD19+,HLA Dr+,細胞質IgM+); および成熟B ALL(CD10+,CD19+,CD20+,CD22+,表面IgM+)、のように細分することができる。
【0129】
一部の局面では、ALLはFAB(French-American-British)方式に基づいて以下:ALL-L1(T細胞またはプレB細胞; 小型かつ均一な(均質な)細胞を伴う); ALL-L2(T細胞またはプレB細胞; 大型かつ不均一な(多様な)細胞を伴う); およびALL-L3(B細胞;空胞がある大型かつ多様な細胞を伴う) 、のように分類することができる。一部の局面では、成熟B細胞ALLはバーキット白血病とも呼ばれることもある。
【0130】
一部の局面では、ALLはALLのフィラデルフィア染色体陽性(Ph+)サブタイプである。このサブタイプは、部分的には、標準化学療法の処置を用いた悪いアウトカムを特徴とする。フィラデルフィア染色体は小児急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)の3~4%、成人ALL症例の約25%に存在する。ある特定の態様では、フィラデルフィア染色体は転座t(9;22)(q34;ql1)を含み、この転座によって、染色体22上にあるBCR遺伝子と、染色体9上にあるエーベルソンチロシンキナーゼをコードする遺伝子(ABL1)が融合した新規のキメラ遺伝子とタンパク質が生じる。結果として生じたBCR-ABL1融合転写物とタンパク質は、様々なシグナル伝達経路を活性化して、造血幹細胞において白血病性形質転換(leukemic transformation)を促進する、恒常的に活性化されたチロシンキナーゼである。一部の態様では、ALLのPh+サブタイプを有する対象には、フィラデルフィア染色体がある1つまたは複数の細胞、例えば、骨髄細胞がある。一部の局面では、ALLはALLのフィラデルフィア様(Ph様)サブタイプである。一部の態様では、Ph様サブタイプは、「クラスターグループR8」、「フィラデルフィア染色体(Ph)様」、「Ph様」、「BCR-ABL1様」、または「活性化チロシンキナーゼ遺伝子発現シグネチャー」と様々に呼ばれる関連する遺伝子発現シグネチャーによって特徴付けられる。これらの遺伝子発現シグネチャーは、一部の局面では、Ph様対象にはフィラデルフィア染色体転座もBCR-ABL1融合転写物も無いという事実にもかかわらず、Ph+ALL対象で測定される遺伝子発現プロファイルと非常に似ていることが示されている。Ph様サブタイプの有病率は小児では約12%、青少年(16~20歳)では21%、40歳を超える成人では20%~24%であり、ピーク(27%)は21~39歳の若年成人において発生する。場合によっては、Ph様サブタイプは男性およびダウン症候群患者ではより多く発生する。Ph様ALLはヒスパニック民族的背景のある対象において大きな比率を占め、GATA3(rs3824662)における遺伝性遺伝子バリアントと関連する。一部の局面では、Ph様ALLは、臨床的および生物学的に不均一なB-ALLサブタイプである。
【0131】
一部の局面では、非ホジキンリンパ腫(NHL)は、様々な臨床経過と処置に対する応答があるリンパ増殖性悪性腫瘍の不均一なグループである。場合によっては、特定のリンパ腫サブタイプを規定するためにWHOリンパ腫分類法が用いられ、リンパ球の起源の細胞(B、T、またはナチュラルキラー(NK))と分化状態に基づいて、これらを細分する。一部の局面では、NHLの80パーセント~90%がB細胞起源であり、CD19を発現する。場合によっては、NHLの予後は組織学的タイプ(インドレント対アグレッシブ)、ステージ、年齢、および処置に左右される。一部の態様では、成人集団および小児集団において発生するNHLサブタイプは類似点と相違点を示す。一部の態様では、小児NHLはアグレッシブな臨床経過を示すのに対して、一部の態様では、成人NHLはインドレント組織型とアグレッシブ組織型を両方とも示す。一部の態様では、成人において発生するNHLインドレントサブタイプには濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、および慢性リンパ性白血病(CLL)が含まれる。一部の態様では、アグレッシブB細胞サブタイプには、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)およびマントル細胞リンパ腫(MCL)が含まれる。
【0132】
一部の局面では、成人において比較的よく見られる、FL、CLL、およびMCLを含むNHLタイプの多くが、小児では、たとえあったとしても、まれにしか発生しない。場合によっては、小児B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)は3つの主要な組織学的サブタイプで構成され、全発生率の降順に、アグレッシブ:バーキットリンパ腫(BL)、DLBCL、および原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)として分類される。一部の態様では、LBL症例はT細胞系列であり、残りはプレBまたは成熟B細胞に免疫表現型決定される。
【0133】
一部の局面では、乳児におけるNHLの発生はまれであり、成人における発生率は年齢と共に増加する。一部の局面では、青少年の死亡率は小児と比較して高い。一部の局面では、一般的な種類の小児B-NHLが全小児NHLの約60%を構成する。一部の局面では、約25%~30%の小児が再発するか、または治癒率が30%未満の抵抗性疾患を経験する(Jourdain et al., Haematologica. 2015 Jun;100(6):810-7)。
【0134】
場合によっては、アグレッシブサブタイプとインドレントサブタイプの両方についてr/r小児B-NHLは治療上の難題を示す。場合によっては再発後の予後は比較的不良のままである。一部の態様では、サルベージ治療は高用量化学療法とそれに続く、自家造血SCTまたは同種異系造血SCT(HSCT)を用いた強化期(intensification phase)からなる。
【0135】
一部の局面では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は小児におけるB細胞リンパ腫の10%~20%を占め、青少年ではもっと頻繁に発生する。一部の局面では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は小児および青少年における一般的な種類のNHLであり、青少年の方が高頻度で発生し、15~19歳の範囲では全NHLの37%までを構成する。
【0136】
一部の局面では、BLは14歳以下の小児における最も一般的なNHLであり、北米および欧州における全NHLの30%~40%を構成する。一部の局面では、NHLは腹部および/または頭頚部領域に生じることがあり、患者の約20%~25%では骨髄および/またはCNSが関与する進行期疾患として現れる。一部の局面では、年齢と共に増加することがある、DLBCLを含む他のNHLサブタイプとは対照的に、BLの発生率は生涯を通じて比較的一定のままである。一部の局面では、BLは、サハラ以南のアフリカに特有の、エプスタイン-バーウイルス(EBV)およびマラリア感染と関連性があるために別個の疫学的パターンを有する。
【0137】
一部の局面では、PMBCLは、全症例の10%以下を構成し、最近まで、DLBCLの一種であると考えられていた。場合によっては、PMBCLは一部の局面では他の組織学と比較して別個の免疫表現型、遺伝子発現プロファイル、および臨床症状を有するので、今ではWHO分類では別個のものであると認められている。一部の局面では、PMBCL発生率は人生の30歳代または40歳代にピークに達し、女性の方がよく見られる。
【0138】
一部の態様では、NHLはLugano分類に基づいて病期分類することができる(例えば、Cheson et al.,(2014) JCO 32(27):3059-3067; Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5を参照されたい)。場合によっては、病期はローマ数字I~IV(1~4)で表され、リンパ系外器官(リンパ節外器官)を冒す限局期(IまたはII)リンパ腫はEで示される。I期は、1つのリンパ節もしくは隣接するリンパ節の集合の病変、またはリンパ節病変を伴わない単独のリンパ節外病変部(IE)を表す。2期は、横隔膜の同側にある2つ以上のリンパ節の集合の病変、またはリンパ節の広がりによる、限局性、連続性のあるリンパ節外病変(IIE)を伴うI期もしくはII期を表す。III期は、横隔膜の両側にある複数のリンパ節病変または脾臓病変を伴う横隔膜の上側の複数のリンパ節の病変を表す。IV期は、さらなる非連続性のリンパ外病変にある病変を表す。さらに、「バルキー(bulky)疾患」は、胸部にある大きな腫瘍、特に、II期の、胸部にある大きな腫瘍を述べるために用いることができる。疾患の程度は、アビッド(avid)リンパ腫の場合はポジトロン放出断層撮影(PET)-コンピュータ断層撮影法(CT)によって、ノンアビッド(non-avid)組織学の場合はCTによって確かめることができる。
【0139】
一部の態様では、本明細書において提供される方法および使用に従って処置される対象はNHLを有し、本明細書に記載のように、例えば、表2に記載のように免疫表現型特徴または細胞遺伝学的特徴を有するか、またはこれを有すると特定されている。一部の態様では、本明細書において提供される方法および使用に従って処置される対象はNHLを有し、ダブル/トリプルヒット(double/triple hit)リンパ腫またはダブル/トリプルヒット分子サブタイプのリンパ腫を有するか、またはこれを有すると特定されている。一部の態様では、リンパ腫は、MYC(myelocytomatosis oncogene)、BCL2(B-cell lymphoma 2)、および/またはBCL6(B-cell lymphoma 6)遺伝子再編成(例えば、転座)の存在を特徴とする、ダブルヒットリンパ腫である。一部の態様では、遺伝子再編成は別の遺伝子再編成と組み合わせてMYC/8q24遺伝子座に影響を及ぼす。例えば、他の遺伝子再編成には、BCL2が関与するt(14;18)(q32;q21)が含まれる。一部の態様では、遺伝子再編成はBCL6/3q27と組み合わせてMYC/8q24遺伝子座に影響を及ぼす。一部の態様では、リンパ腫は、MYC、BCL2、およびBCL6遺伝子再編成の存在を特徴とするトリプルヒットリンパ腫である。例えば、Aukema et al.,(2011) Blood 117:2319-2331を参照されたい。このような態様の一部の局面では、対象はECOG 0-1であるか、またはMZLもしくはCLLから変化したDLBCLを有さないか、またはそれを有すると疑われないか、もしくはそれを有すると特徴付けられない。局面では、このような対象に対して前記療法が指示される、および/または説明書が、このような集団内にある対象への投与を指示する。一部の態様では、2016年のWHO判断基準(Swerdlow et al.,(2016) Blood 127(20):2375-2390)に基づいて、ダブル/トリプルヒットリンパ腫は、MYCとBCL2および/またはBCL6の再編成とDLBCL組織学(ダブル/トリプルヒット)を伴う高悪性度B細胞リンパ腫とみなすことができる。
【0140】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍のタイプは、例えば、本明細書に記載の細胞遺伝学的特徴、例えば、表2に記載の細胞遺伝学的特徴に基づいて、染色体構造に異常があるかどうか評価および/または分析することによって特定することができる。例えば、一部の態様では、染色体は、核型分析、例えば、Gバンディング法によって分析される。Gバンディングによって個体の核型が生じ、ギムザ染色は一連の暗いバンドと明るいバンドを生じ、それぞれの染色体は光学顕微鏡下でユニークなバンドパターンを示す。それぞれの染色体は、そのセントロメアの位置(中部動原体型、次中部動原体型、末端動原体型)によってさらに区別することができ、セントロメアの位置によって、染色体はp(小さい(petite))腕である短い腕とq腕と呼ばれる長い腕に分けられる。次いで、欠失、重複、または他の構造的再編成を含む異常を検出するために染色体は隣り合わせに対になって並べられる。この技法は比較的安価であり、かつ優れた第一選択の異常検査であるが、この技法の制約は小さな欠失も再編成も検出できないことである。
【0141】
一部の態様では、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍のタイプを確かめるのに使用することができる他の技法には、蛍光標識プローブを用いて特定の染色体セグメントまたは遺伝子の有無を検出する蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)およびマルチカラーFISHが含まれる。FISHおよびマルチカラーFISHは小さな欠失、重複、および/またはとらえにくい染色体再編成を検出することができる。FISHおよびマルチカラーFISH分析は、染色体分析用に得られた同じ標本に対して行うことができる。一部の態様では、B細胞悪性腫瘍のタイプはFISHおよび/またはマルチカラーFISHによって特定および/または検出される。
【0142】
一部の態様では、前記方法は、1つもしくは複数の以前の療法を用いた処置後、寛解した後に再発した対象、または1つもしくは複数の以前の療法に対して抵抗性になった対象、あるいは1つもしくは複数の以前の療法、例えば、1つもしくは複数のラインの標準療法後に再発した対象、またはこれに対して抵抗性(R/R)の対象を処置する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、対象の特定の群またはサブセット、例えば、標準療法に対してR/RになったB細胞悪性腫瘍を有すると特定された小児対象を処置する段階を含む。一部の態様では、対象は、高リスク疾患、例えば、アグレッシブな、および/もしくは予後不良のB細胞悪性腫瘍、または標準療法に対してR/RになったB細胞悪性腫瘍を有する場合がある。一部の態様では、前記方法は、R/R B-ALL、R/R B-NHL、または微小残存病変を示すB-ALL(MRD+B-ALL)を有する対象を処置する段階を含む。一部の態様では、対象はR/R DLBCL、R/R BL、またはR/R PMBCLを有する。
【0143】
一部の態様では、提供される方法および使用は、対象の特定の群またはサブセット、例えば、特定の年齢の対象、例えば、25歳または25歳より若い対象を処置する段階を含む。一部の態様では、対象は、25歳、24歳、23歳、22歳、21歳、20歳、19歳、18歳、17歳、16歳、もしくは15歳であるか、または25歳、24歳、23歳、22歳、21歳、20歳、19歳、18歳、17歳、16歳、もしくは15歳より若い。一部の態様では、提供される方法および使用は、特定の年齢の対象、例えば、25歳または25歳より若い対象を処置する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、特定の年齢の対象、例えば、対象18歳より若い対象を処置する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は小児対象または若年成人対象を処置する段階を含む。
【0144】
一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を、体重が6kgであるか、または6kgもしくは約6kgより重い対象に投与する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を、体重が6kg、7kg、8kg、9kg、10kg、11kg、12kg、13kg、14kg、15kg、16kg、17kg、18kg、19kg、もしくは20kg、あるいは6kg、7kg、8kg、9kg、10kg、11kg、12kg、13kg、14kg、15kg、16kg、17kg、18kg、19kg、もしくは20kgより重い、または約6kg、7kg、8kg、9kg、10kg、11kg、12kg、13kg、14kg、15kg、16kg、17kg、18kg、19kg、もしくは20kgより重い対象に投与する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を、体重が12kgであるか、または12kgもしくは約12kgより重い対象に投与する段階を含む。一部の態様では、対象は体重が100kg未満であるか、または約100kg未満である。
【0145】
一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が12kgであるか、または12kgもしくは約12kgより重い。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が6kgであるか、または6kgもしくは約6kgより重い。一部の態様では、対象は25歳または25歳より若く、かつ体重が12kgであるか、または12kgもしくは約12kgより重い。一部の態様では、対象は25歳または25歳より若く、かつ体重が6kgであるか、または6kgもしくは約6kgより重い。
【0146】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象は、組換え受容体によって標的とされる抗原(例えば、CD19)を発現する細胞を有すると特定されるか、または特定されている。一部の態様では、対象または対象に由来する生物学的試料は、フローサイトメトリー(例えば、末梢血もしくは骨髄試料から)または免疫組織化学(例えば、骨髄生検材料)によって確かめられた時にCD19発現の証拠を示すか、またはCD19発現細胞を含有する。一部の態様では、抗原(例えば、CD19)の発現は、末梢血中もしくは骨髄中でフローサイトメトリーによって検出される、および/または骨髄生検材料の免疫組織化学によって検出される。
【0147】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象は16歳以上であれば、50以上のカルノフスキー(Karnofsky)スコア、16歳未満であれば50以上のランスキー(Lansky)スコアを有すると特定されるか、または特定されている。
【0148】
一部の態様では、前記方法は、ALLまたはNHLのある特定の予後またはリスクを有すると選択または特定された対象に細胞を投与する段階を含む。場合によっては、ALLまたはNHLを有する対象は、疾患予後および/または推奨される治療戦略を特徴付け得る群に分類されることがある。場合によっては、これらの群は「低リスク」、「中間リスク」、「高リスク」、および/または「超高リスク」になることがあり、患者は、遺伝子異常および/または形態学的特徴もしくは物理的特徴を含むが、これに限定されない多数の要因に応じて、そのように分類されることがある。一部の態様では、前記方法に従って処置される対象および/または製造物品もしくは組成物を用いて処置される対象はALLまたはNHLのリスクに基づいて分類または特定される。一部の態様では、対象は、高リスクALLまたは高リスクNHLを有する対象である。
【0149】
一部の態様では、前記組換え受容体を発現する細胞が投与される前に、対象は、前記の疾患または状態、例えば、ALLまたはNHLを標的とする療法または治療剤で以前に処置されたことがある。一部の態様では、対象は造血幹細胞移植(HSCT)、例えば、同種異系HSCTまたは自家HSCTで以前に処置されたことがある。一部の態様では、対象は標準療法による処置後に予後不良になったことがある、および/または1つもしくは複数のラインの以前の療法に失敗したことがある。一部の態様では、対象は、リンパ球枯渇療法および/または前記抗原受容体を発現する前記用量の細胞以外の、ALLまたはNHLを処置するための、少なくとも1種類、2種類、3種類、もしくは4種類、または少なくとも約1種類、約2種類、約3種類、もしくは約4種類、または約1種類、約2種類、約3種類、もしくは約4種類の他の療法で処置されたことがあるか、あるいはこれを以前に受けたことがある。一部の態様では、対象は化学療法または放射線療法で以前に処置されたことがある。一部の局面では、対象は他の療法または治療剤に対して抵抗性であるか、または応答しない。一部の態様では、対象は、持続性または再発性の疾患を有する、例えば、化学療法または放射線を含む別の療法または治療介入を用いた処置後に持続性または再発性の疾患を有する。
【0150】
一部の態様では、対象は、移植について適格性がある、例えば、造血幹細胞移植(HSCT)、例えば、同種異系HSCTについて適格性がある対象である。このような一部の態様では、本明細書において提供されるように、操作された細胞(例えば、CAR-T細胞)または前記細胞を含有する組成物が対象に投与される前に、前記対象には適格性があるのにもかかわらず移植を以前に受けたことがない。
【0151】
一部の態様では、対象は、移植について適格性がない、例えば、造血幹細胞移植(HSCT)、例えば、同種異系HSCTについて適格性がない対象である。一部の態様では、このような対象には、本明細書において提供される態様に従う操作された細胞(例えば、CAR-T細胞)または前記細胞を含有する組成物が投与される。
【0152】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象は再発性および/または抵抗性(R/R)B-ALLを有する。一部の態様では、対象はR/R B-ALLを有し、R/R B-ALLは、骨髄中に疾患の形態学的証拠、例えば、形態学により5%以上のリンパ芽球と、以下:(a)初回以降の骨髄再発、または(b)同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発、または(c)2つ以上の別々の導入レジメン後に完全奏功(CR)も不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)も達成しないと定義される初発抵抗性(もしくは再発性白血病に対する1サイクルの標準化学療法後にCR/CRiを達成しない化学療法抵抗性)、または(d)同種異系HSCT不適格である、のいずれかがあると特徴付けることができる。
【0153】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象は微小残存病変陽性(MRD+)B-ALLを有する。一部の態様では、対象はMRD+B-ALLを有し、MRD+B-ALLは形態学により5%未満のリンパ芽球を有すると特徴付けることができる、および/またはMRDは、検証されたアッセイによって、2ラインの療法後にBM細胞中に1x10-4以上の頻度で検出することができる。
【0154】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象はB-NHLを有する。一部の態様では、対象はB-NHLを有し、B-NHLは、1つもしくは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患がある、および/もしくはHSCTに失敗したか、またはHSCT不適格であると特徴付けることができる。
【0155】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象はフィラデルフィア染色体陽性ALLを有し、フィラデルフィア染色体陽性ALLは、1つもしくは複数のラインのチロシン-キナーゼ阻害剤(TKI)療法に対して不耐であるか、もしくは失敗したか、またはTKI療法が禁忌となっている。
【0156】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象は、十分な臓器機能、例えば、十分な骨髄機能、十分な腎臓機能、十分な肺機能、および/または十分な心臓機能を有することが示される。一部の局面では、十分な骨髄機能は、リンパ球枯渇療法を受けるのに十分な骨髄機能と特徴付けることができる。一部の局面では、十分な腎臓機能は、シュワルツ(Schwartz)式を用いて計算したクレアチニンクリアランス、または放射性同位体糸球体濾過量(GFR)>70mL/min/1.73m2と特徴付けることができる。一部の局面では、十分な肺機能は、CTCAE(Common Toxicity Criteria for Adverse Events)によるグレード≦1の呼吸困難と、室内気で酸素飽和度(SaO2)≧92%と特徴付けることができる。一部の局面では、十分な心臓機能は、白血球除去前の4週間以内に心エコー図(ECHO)またはMUGA(multi-gated acquisition scan)によって評価した時に左室駆出率(LVEF)≧40%と特徴付けることができる。
【0157】
一部の態様では、前記の細胞または組成物が投与される前に、対象は、白血球除去処置に十分なバスキュラーアクセスを有することが示されている。
【0158】
一部の態様では、細胞または組成物を用いた処置レジメンの前または間に、対象は効果的な避妊法を使用する。
【0159】
場合によっては、ある特定の対象は、提供される方法および使用に従う処置に不適格であるか、または提供される方法および使用に従う処置から除外される。一部の局面では、提供される方法および使用に従う処置に不適格であるか、または提供される方法および使用に従う処置から除外される対象は、以下:対象には、処置レジメンを受けることを妨げる任意の重大な医学的状態、臨床検査値異常、または精神医学的疾患がある; 前記の方法および使用に従って処置された場合、対象には、容認できないリスクに対象をさらす可能性がある臨床検査値異常の存在を含む任意の状態がある; 対象は、処置による結果を解釈する能力を損なうような任意の状態にある; 前記細胞の投与前には少なくとも2年間、寛解期になかった別の原発性悪性腫瘍の病歴がある対象; 抗原(例えば、CD19)を発現しないことが示されていれば、細胞が発現する組換え受容体によって標的化される同じ抗原(例えば、CD19)を標的とする以前の療法を受けたことがある対象、または以前の療法を終了した後にCD19陰性疾患を示す対象; CAR T細胞または他の遺伝子組換えT細胞療法を含む以前の療法を受けたことがある対象; 活動性B型肝炎、C型肝炎、またはヒト免疫不全症ウイルス(HIV)感染の前病歴がある対象; 白血球除去時または操作された細胞投与時に、適切な抗生物質または他の処置にもかかわらず、管理されていない全身性の真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、または他の感染(結核を含む)がある対象; 対象に急性または慢性の移植片対宿主病(GVHD)が存在する; 免疫抑制療法を必要とする活動性自己免疫疾患がある対象; 白血球除去前または操作された細胞投与前6ヶ月以内に、対象には心臓障害(CTCAEバージョン4.03グレード3または4)がある; ダウン症候群を除いて随伴性の遺伝的症候群がある対象; 活動性中枢神経系(CNS)疾患および重大な神経学的悪化がある対象(CNS-2またはCNS-3病変を有する対象には適格性がある場合がある、または無症状であり、かつ重大な神経学的悪化が無ければ投与が可能である); 臨床的に意味のあるCNS病態の病歴または存在がある対象; 妊娠中または授乳中の対象のいずれか、いくつか、または全ての存在を含む場合がある。
【0160】
一部の局面では、以下の処置にまたは療法の1つまたは複数を受けたことがある対象は、提供される方法もしくは使用に従う処置に不適格な場合があるか、または提供される方法もしくは使用に従う処置から除外される:白血球除去前7日以内の、もしくは操作された細胞の投与前72時間以内の治療用量のコルチコステロイド(>20mg/日 プレドニゾンもしくは当量、と定義される)(生理的交換(physiologic replacement)、局所、および吸入ステロイドを除く);疾患管理を維持するために白血球除去後に行われる低用量化学療法(例えば、ビンクリスチン、リツキシマブ、シクロホスファミド≦300mg/m2)はリンパ球枯渇前に≧7日中断しなければならない;白血球除去前1週間以内の、リンパ球毒性のあるとみなされない細胞傷害性化学療法剤(白血球除去前に少なくとも3半減期が経過している場合、レナリドマイドおよびイブルチニブを含む経口抗がん剤を除く);白血球除去前2週間以内の、リンパ球毒性のある化学療法剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ベンダムスチン);実験的療法時に応答もPDも記録が残されておらず、白血球除去前に少なくとも3半減期が経過している場合を除いて、白血球除去前4週間以内の実験的薬剤;白血球除去前、および操作された細胞の投与前4週間以内の免疫抑制療法(例えば、カルシニューリン阻害剤、メトトレキセート、もしくは他の化学療法剤、ミコフェノール酸、ラパマイシン、サリドマイド、免疫抑制性抗体、例えば、抗腫瘍壊死因子(TNF)、抗IL-6、もしくは抗IL-6R);操作された細胞の投与前6週間以内のドナーリンパ球注入(DLI);白血球除去前6週間以内の放射線(対象は、放射線照射された病変部に進行性疾患(PD)がなければならない、もしくは操作された細胞投与の対象となる、放射線照射されていない別の病変部がなければならない。放射線照射されていない別の測定可能な病変部が存在すれば、一カ所の病変部にだけ、白血球除去前2週間まで放射線を照射することが許可される);または白血球除去前90日以内の同種異系HSCT。
【0161】
一部の態様では、処置の対象、例えば、以前の療法によるパフォーマンスが悪い対象を評価または選択するために、米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス指標が用いられる場合がある(例えば、Oken et al. (1982) Am J Clin Oncol. 5:649-655を参照されたい)。パフォーマンスステータスのECOGスケールは、身の回りのことをする能力、日常活動、および身体能力(例えば、歩行、作業など)の点から患者の機能水準を表している。一部の態様では、ECOGパフォーマンスステータスが0の場合、対象が通常の活動を行うことができることを示す。一部の局面では、ECOGパフォーマンスステータスが1の対象は、身体活動において何らかの制限があることを示しているが、対象は完全に歩行可能である。一部の局面では、ECOGパフォーマンスステータスが2の対象は、50%超で歩行可能である。場合によっては、ECOGパフォーマンスステータスが2の対象は、身の回りのこともできる場合がある。例えば、Sorensen et al., (1993) Br J Cancer 67(4) 773-775を参照されたい。ECOGパフォーマンスステータスを反映した判断基準を以下の表1に記載した。
【0162】
(表1)ECOGパフォーマンスステータス判断基準
【0163】
一部の態様では、前記方法は、0~1または0~2の米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG)を有する対象を処置する段階を含む。一部の態様では、前記方法は、DLBCL患者の予後不良集団、あるいは概して療法または特定の基準療法に十分応答しない、その対象、例えば、1つもしくは複数の、例えば、2つもしくは3つの染色体転座を有する対象(例えば、いわゆる「ダブルヒット(double-hit)」または「トリプルヒット(triple-hit)」リンパ腫を有する対象;転座MYC/8q24遺伝子座を、通常、t(14;18)(q32;q21)bcl-2遺伝子もしくは/およびBCL6/3q27染色体転座と組み合わせて有する対象;例えば、Xu et al.(2013) Int J Clin Exp Pathol. 6(4):788-794を参照されたい)、ならびに/または自家幹細胞移植(ASCT)の投与後に再発した、任意で、12ヶ月以内に再発した対象、ならびに/または化学療法抵抗性であると思われている対象を処置する。
【0164】
一部の態様では、本明細書において提供される方法および使用において用いられる操作された細胞またはこのような細胞を含有する組成物は、B細胞悪性腫瘍または血液腫瘍に関連する抗原を標的とする組換え受容体を含有する。一部の態様では、前記受容体によって標的化される抗原は、一部の態様では、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、多数の既知のB細胞マーカーのいずれかを含む。一部の態様では、抗原はCD19、CD20、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、もしくはCD30であるか、またはこれを含む。
【0165】
一部の態様では、細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、細胞療法を受けようとする対象から、またはこのような対象に由来する試料から細胞が単離される、および/または別の方法で調製される自家移入によって行われる。従って、一部の局面では、前記細胞は、対象、例えば、処置および細胞を必要とする患者に由来し、単離および処理された後に同じ対象に投与される。
【0166】
一部の態様では、細胞療法、例えば、養子T細胞療法は、細胞療法を受けようとする対象、または細胞療法を最終的に受ける対象、例えば、第1の対象以外の対象から細胞が単離される、および/または別の方法で調製される同種異系移入によって行われる。このような態様では、次いで、前記細胞は、同じ種の異なる対象、例えば、第2の対象に投与される。一部の態様では、第1の対象および第2の対象は遺伝的に同一である。一部の態様では、第1の対象および第2の対象は遺伝的に似ている。一部の態様において、第2の対象は第1の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0167】
前記細胞は、任意の適切な手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射(subconjectval injection)、結膜下注射(subconjuntival injection)、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後強膜近傍(posterior juxtascleral)送達によって投与することができる。一部の態様では、前記細胞は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、所望であれば、局所処置の場合、病巣内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与が含まれる。一部の態様では、ある特定の用量が前記細胞の単回ボーラス投与によって投与される。一部の態様では、ある特定の用量が、前記細胞の複数回ボーラス投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって投与されるか、または前記細胞の連続注入投与によって投与される。一部の態様では、細胞用量または任意のさらなる療法、例えば、リンパ球枯渇療法、介入療法、および/または併用療法の投与は外来患者用送達によって行われる。
【0168】
疾患の予防または処置のために、適切な投与量は、治療される疾患のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、細胞が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、対象の病歴および細胞に対応する応答、ならびに主治医の判断に左右されることがある。前記の組成物および細胞は、一部の態様では、一度に、または一連の処置にわたって対象に適切に投与される。
【0169】
一部の態様では、前記細胞は、組み合わせ処置の一部として、例えば、別の治療介入または追加の治療介入、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または薬剤、例えば、細胞傷害剤または治療剤と同時に、または任意の順番で連続して投与される。前記細胞は、一部の態様では、1種類もしくは複数種のさらなる治療剤と共に、または別の治療介入と共に同時に、または任意の順番で連続して同時投与される。一部の態様では、さらなる治療剤は、本明細書に記載の任意の介入もしくは薬剤、例えば、セクションIVに記載の任意の併用療法剤、または、例えば、本明細書に記載の毒性の症状を寛解することができる任意の介入もしくは薬剤、例えば、セクションI.Dの介入もしくは薬剤である。ある状況では、前記細胞は、前記細胞集団が1種類もしくは複数種のさらなる治療剤の効果を強化するような十分に短い期間で別の療法と一緒に同時投与されるか、または逆もまた同じである。一部の態様では、前記細胞は1種類または複数種のさらなる治療剤の前に投与される。一部の態様では、前記細胞は1種類または複数種のさらなる治療剤の後に投与される。一部の態様では、1種類または複数種のさらなる薬剤は、例えば、持続性を強化するために、サイトカイン、例えば、IL-2を含む。一部の態様では、前記方法は化学療法剤の投与を含む。
【0170】
一部の態様では、前記方法は、例えば、投与前に腫瘍負荷量を減らすために、化学療法剤、例えば、コンディショニング化学療法剤の投与を含む。
【0171】
対象を免疫枯渇(immunodepleting)(例えば、リンパ球枯渇)療法でプレコンディショニングすると、一部の局面では養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
【0172】
従って、一部の態様では、前記方法は、細胞療法の開始前に、対象に、プレコンディショニング薬剤、例えば、リンパ球枯渇剤または化学療法剤、例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはその組み合わせを投与する段階を含む。例えば、対象には、細胞療法を開始する少なくとも2日前に、例えば、少なくとも3日前、4日前、5日前、6日前、または7日前にプレコンディショニング薬剤が投与されてもよい。一部の態様では、対象には、細胞療法を開始する前、7日以内に、例えば、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、または2日以内にプレコンディショニング薬剤が投与される。
【0173】
一部の態様では、対象は、20mg/kg~100mg/kg対象体重または約20mg/kg~100mg/kg対象体重、例えば、40mg/kg~80mg/kgまたは約40mg/kg~80mg/kgの用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。一部の局面では、対象には約60mg/kgのシクロホスファミドが投与される。一部の態様では、シクロホスファミドは1日または2日にわたって1日1回投与される。一部の態様では、リンパ球枯渇剤がシクロホスファミドの場合、対象には、100mg/m2~500mg/m2対象の体表面積または約100mg/m2~500mg/m2対象の体表面積、例えば、200mg/m2~400mg/m2または約200mg/m2~400mg/m2、あるいは250mg/m2~350mg/m2または約250mg/m2~350mg/m2(両端の値を含む)の用量のシクロホスファミドが投与される。場合によっては、対象には約100mg/m2のシクロホスファミドが投与される。場合によっては、対象には約150mg/m2のシクロホスファミドが投与される。場合によっては、対象には約200mg/m2のシクロホスファミドが投与される。場合によっては、対象には約250mg/m2のシクロホスファミド場合によっては、対象には約300mg/m2のシクロホスファミドが投与される。一部の態様では、シクロホスファミドは単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または2日おきに与えられてもよい。一部の態様では、シクロホスファミドは、例えば、1~5日間、例えば、3~5日間、毎日投与される。場合によっては、細胞療法が開始する前に、対象には約300mg/m2対象の体表面積のシクロホスファミドが3日間、毎日投与される。一部の態様では、対象には、細胞療法が開始する前に、合計で300mg/m2、400mg/m2、500mg/m2、600mg/m2、700mg/m2、800mg/m2、900mg/m2、1000mg/m2、1200mg/m2、1500mg/m2、1800mg/m2、2000mg/m2、2500mg/m2、2700mg/m2、3000mg/m2、3300mg/m2、3600mg/m2、4000mg/m2、もしくは5000mg/m2のシクロホスファミド、または約300mg/m2、400mg/m2、500mg/m2、600mg/m2、700mg/m2、800mg/m2、900mg/m2、1000mg/m2、1200mg/m2、1500mg/m2、1800mg/m2、2000mg/m2、2500mg/m2、2700mg/m2、3000mg/m2、3300mg/m2、3600mg/m2、4000mg/m2、もしくは5000mg/m2のシクロホスファミド、あるいは前述のいずれかによって規定される範囲が投与される。
【0174】
一部の態様では、リンパ球枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象には、1mg/m2~100mg/m2対象の体表面積もしくは約1mg/m2~100mg/m2、例えば、10mg/m2~75mg/m2もしくは約10mg/m2~75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2もしくは約15mg/m2~50mg/m2、20mg/m2~40mg/m2もしくは約20mg/m2~40mg/m2、または24mg/m2~35mg/m2もしくは約24mg/m2~35mg/m2(両端の値を含む)の用量のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約10mg/m2のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約15mg/m2のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約20mg/m2のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約25mg/m2のフルダラビンが投与される。場合によっては、対象には約30mg/m2のフルダラビンが投与される。一部の態様では、フルダラビンは単一用量で投与されてもよく、複数の用量で投与されてもよく、例えば、毎日、1日おきに、または2日おきに与えられてもよい。一部の態様では、フルダラビンは、例えば、1~5日間、例えば、2~4日間、毎日投与される。場合によっては、細胞療法が開始する前に、対象には約30mg/m2対象の体表面積のフルダラビンが3日にわたって毎日投与される。一部の態様では、対象には、細胞療法が開始する前に、合計で10mg/m2、20mg/m2、25mg/m2、30mg/m2、40mg/m2、50mg/m2、60mg/m2、70mg/m2、80mg/m2、90mg/m2、100mg/m2、120mg/m2、150mg/m2、180mg/m2、200mg/m2、250mg/m2、270mg/m2、300mg/m2、330mg/m2、360mg/m2、400mg/m2、もしくは500mg/m2のシクロホスファミド、または約10mg/m2、20mg/m2、25mg/m2、30mg/m2、40mg/m2、50mg/m2、60mg/m2、70mg/m2、80mg/m2、90mg/m2、100mg/m2、120mg/m2、150mg/m2、180mg/m2、200mg/m2、250mg/m2、270mg/m2、300mg/m2、330mg/m2、360mg/m2、400mg/m2、もしくは500mg/m2のシクロホスファミド、あるいは前述のいずれかによって規定される範囲が投与される。
【0175】
一部の態様では、リンパ球枯渇剤は、1種類の薬剤、例えば、シクロホスファミドまたはフルダラビンを含む。一部の態様では、対象には、フルダラビンも他のリンパ球枯渇剤もなくシクロホスファミドだけが投与される。一部の態様では、投与前に、対象は、200~400mg/m2対象の体表面積または約200~400mg/m2対象の体表面積、任意で、300mg/m2または約300mg/m2のシクロホスファミドを2~4日間、毎日投与する段階を含むリンパ球枯渇療法を受けたことがある。一部の態様では、対象には、例えば、シクロホスファミドも他のリンパ球枯渇剤もなくフルダラビンだけが投与される。一部の態様では、投与前に、対象は、20~40mg/m2対象の体表面積または約20~40mg/m2対象の体表面積、任意で、30mg/m2または約30mg/m2のフルダラビンを2~4日間、毎日投与する段階を含むリンパ球枯渇療法を受けたことがある。
【0176】
一部の態様では、リンパ球枯渇剤は、薬剤の組み合わせ、例えば、シクロホスファミドとフルダラビンの組み合わせを含む。従って、薬剤の組み合わせは、任意の用量または投与スケジュール、例えば、前記の用量または投与スケジュールのシクロホスファミドと、任意の用量または投与スケジュール、例えば、前記の用量または投与スケジュールのフルダラビンを含んでもよい。例えば、一部の局面では、第1の用量または後の用量の前に、60mg/kg(約2g/m2)のシクロホスファミドと3~5用量の25mg/m2フルダラビンが対象に投与される。一部の態様では、フルダラビン(30mg/m2/日、3日間)とシクロホスファミド(300mg/m2/日、3日間)(flu/cy)が並行して静脈内に細胞投与前に対象に投与される。
【0177】
細胞の投与後に、操作された細胞集団の生物学的活性は、一部の態様では、例えば、多数の公知の方法のどの方法でも測定される。評価するパラメータには、インビボでは、例えば、イメージングによる、またはエクスビボでは、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる、操作されたT細胞もしくは天然のT細胞または他の免疫細胞と抗原との特異的結合が含まれる。ある特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、公知の任意の適切な方法、例えば、細胞傷害性アッセイ、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004)に記載の細胞傷害性アッセイを用いて測定することができる。ある特定の態様では、前記細胞の生物学的活性は、1種類または複数種のサイトカイン、例えば、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。一部の局面では、生物学的活性は、臨床アウトカム、例えば、腫瘍負荷量または腫瘍量(tumor load)の低減を評価することによって測定される。
【0178】
ある特定の態様では、操作された細胞は治療効力または予防効力が向上するように任意の数のやり方でさらに改変される。例えば、集団によって発現される操作された組換え受容体は、標的指向部分と、直接的に、またはリンカーを介して間接的に結合体化することができる。化合物、例えば、CARを標的指向部分に結合体化する手法は公知である。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting 3: 111 (1995)および米国特許第5,087,616号を参照されたい。一部の態様では、前記細胞は、組み合わせ処置の一部として、例えば、別の治療介入、例えば、抗体または操作された細胞または受容体または薬剤、例えば、細胞傷害剤または治療剤と同時に、または任意の順番で連続して投与される。前記細胞は、一部の態様では、1種類もしくは複数種のさらなる治療剤と共に、または別の治療介入と共に同時に、または任意の順番で連続して同時投与される。ある状況では、前記細胞は、前記細胞集団が1種類もしくは複数種のさらなる治療剤の効果を強化するような十分に短い期間で別の療法と一緒に同時投与されるか、または逆もまた同じである。一部の態様では、前記細胞は1種類または複数種のさらなる治療剤の前に投与される。一部の態様では、前記細胞は1種類または複数種のさらなる治療剤の後に投与される。一部の態様では、1種類または複数種のさらなる薬剤は、例えば、持続性を強化するために、サイトカイン、例えば、IL-2を含む。
【0179】
B. 投薬
一部の態様では、提供される方法および使用は、組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞、例えば、操作されたT細胞を含有する組成物の全てまたは一部を投与する段階を含む。一部の局面では、特定の量もしくは数の細胞、または特定の量もしくは数の細胞を含有する特定の量の組成物が対象に投与される。一部の局面では、特定の量もしくは数の細胞を含有する1つもしくは複数の用量の細胞、または特定の量もしくは数の細胞を含有する特定の量の組成物が対象に投与される。一部の態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて、ある用量の細胞が対象に投与される。一部の態様では、用量のサイズ、量、またはタイミングは対象の年齢の関数として決定される。一部の態様では、用量のサイズ、量、またはタイミングは対象の体重の関数として決定される。一部の態様では、用量のサイズ、量、またはタイミングは、対象における特定のタイプのB細胞悪性腫瘍または血液腫瘍の関数として決定される。
【0180】
一部の態様では、前記用量中にある細胞の量または数は対象の年齢の関数として決定される。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を、25歳または25歳より若い対象に投与する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を18歳より若い対象に投与する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を小児対象に投与する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を若年成人対象に投与する段階を含む。
【0181】
一部の態様では、本明細書に記載の方法および使用において投与される細胞の量または数は、組換え受容体発現細胞、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核球(PBMC)の量または数に関するものである。一部の態様では、本明細書に記載の方法および使用において投与される細胞の量または数はCD3+T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞の量または数に関するものであり、組換え受容体発現T細胞またはCAR発現T細胞にも関するものである。
【0182】
一部の態様では、前記用量中にある細胞の量または数は対象の体重の関数として決定される。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を、体重が100キログラム(kg)未満の対象に投与する段階を含む。一部の態様では、提供される方法および使用は、CAR発現細胞を、体重が100kg以上の対象に投与する段階を含む。一部の局面では、対象の体重に基づいて、対象には、体重に応じて計算された用量(例えば、細胞/kg対象体重)または固定した用量もしくは決まった用量が投与される。
【0183】
一部の態様では、前記方法は、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0184】
一部の態様では、対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される。
【0185】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0186】
一部の態様では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0187】
一部の態様では、対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される。一部の態様では、対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物は、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1x108CAR+T細胞または約1x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0188】
一部の態様では、提供される態様は、25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、前記組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞もしくは約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞もしくは約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0189】
一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0190】
一部の態様では、18歳より若い対象には、対象の体重に基づいて決定されたが、細胞の最大量もしくは最大数、または細胞の上限量もしくは上限数までの用量が投与される。一部の態様では、用量中にある最大または上限の数または量は決まった数または量でもよい。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ対象体重1kgあたりの、細胞の最大数までの細胞、例えば、CAR発現細胞の用量(細胞/kg)が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量が投与される。
【0191】
一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)未満であり、対象には、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)未満であり、対象には0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)未満であり、対象には1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重が投与される。
【0192】
一部の態様では、体重に基づいた用量の細胞が投与される対象について、前記用量の細胞、例えば、CAR発現細胞は、2x105細胞/kg対象体重(細胞/kg)もしくは約2x105細胞/kg対象体重(細胞/kg)から、2x106細胞/kg対象体重もしくは約2x106細胞/kg対象体重、例えば、4x105細胞/kg対象体重もしくは約4x105細胞/kg対象体重から、1x106細胞/kg対象体重もしくは約1x106細胞/kg対象体重、または6x105細胞/kg対象体重もしくは約6x105細胞/kg対象体重から、8x105細胞/kg対象体重もしくは約8x105細胞/kg対象体重を含む。一部の態様では、前記用量の細胞は、2x105細胞/キログラム対象体重(細胞/kg)以下、例えば、3x105細胞/kg以下もしくは約3x105細胞/kg以下、4x105細胞/kg以下もしくは約4x105細胞/kg以下、5x105細胞/kg以下もしくは約5x105細胞/kg以下、6x105細胞/kg以下もしくは約6x105細胞/kg以下、7x105細胞/kg以下もしくは約7x105細胞/kg以下、8x105細胞/kg以下もしくは約8x105細胞/kg以下、9x105細胞/kg以下もしくは約9x105細胞/kg以下、1x106細胞/kg以下もしくは約1x106細胞/kg以下、または2x106細胞/kg以下もしくは約2x106細胞/kg以下を含む。一部の態様では、前記用量の細胞は、少なくとも2x105細胞/kg対象体重(細胞/kg)もしくは少なくとも約2x105細胞/kg対象体重(細胞/kg)もしくは2x105細胞/kg対象体重(細胞/kg)もしくは約2x105細胞/kg対象体重(細胞/kg)、例えば、少なくとも3x105細胞/kgもしくは少なくとも約3x105細胞/kgもしくは3x105細胞/kgもしくは約3x105細胞/kg、少なくとも4x105細胞/kgもしくは少なくとも約4x105細胞/kgもしくは4x105細胞/kgもしくは約4x105細胞/kg、少なくとも5x105細胞/kgもしくは少なくとも約5x105細胞/kgもしくは5x105細胞/kgもしくは約5x105細胞/kg、少なくとも6x105細胞/kgもしくは少なくとも約6x105細胞/kgもしくは6x105細胞/kgもしくは約6x105細胞/kg、少なくとも7x105細胞/kgもしくは少なくとも約7x105細胞/kgもしくは7x105細胞/kgもしくは約7x105細胞/kg、少なくとも8x105細胞/kgもしくは少なくとも約8x105細胞/kgもしくは8x105細胞/kgもしくは約8x105細胞/kg、少なくとも9x105細胞/kgもしくは少なくとも約9x105細胞/kgもしくは9x105細胞/kgもしくは約9x105細胞/kg、少なくとも1x106細胞/kgもしくは少なくとも約1x106細胞/kgもしくは1x106細胞/kgもしくは約1x106細胞/kg、または少なくとも2x106細胞/kgもしくは少なくとも約2x106細胞/kgもしくは2x106細胞/kgもしくは約2x106細胞/kgを含む。
【0193】
一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)以上であり、対象には、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)以上であり、対象には、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)以上であり、対象には0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ体重が100キログラム(kg)以上であり、対象には1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞が投与される。
【0194】
任意の態様の一部では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0195】
任意の態様の一部では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0196】
任意の態様の一部では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0197】
任意の態様の一部では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0198】
任意の態様の一部では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0199】
任意の態様の一部では、提供される方法および使用は、18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0200】
一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。このような態様の一部では、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量が投与された後に、対象は初回投与後28日目または28日目あたりで、応答も、有害事象、例えば、毒性、例えば、CRSもNTも示さず、対象は別のリンパ球枯渇療法を受け、用量は、0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x108総CAR+T細胞または約0.1x108総CAR+T細胞を超えない量まで増量される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x108総CAR+T細胞または約0.1x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。一部の態様では、対象が18歳より若ければ、T細胞組成物は、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0201】
一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される。一部の態様では、対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物は1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される。
【0202】
一部の態様では、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含む方法および使用であって、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法および使用、が提供される。
【0203】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0204】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0205】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0206】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0207】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1x108CAR+T細胞または約1x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0208】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若く、かつ体重が6kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0209】
一部の態様では、提供される方法および使用は、18歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階を含み、前記組成物は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される。
【0210】
一部の態様では、18歳より若い対象には、組成物の特定の体積に基づいて決定されるが、最大または上限の量または数の細胞までの用量が投与される。一部の態様では、対象は18歳より若く、かつ細胞の最大数までの特定の濃度の細胞を含有する、最小体積の組成物を含有する、細胞、例えば、CAR発現細胞の用量が投与される。一部の態様では、投与される細胞の最小体積は少なくとも0.05mまたは少なくとも約0.05mLである。一部の態様では、投与される細胞の最小体積は少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mLである。一部の態様では、投与される細胞の最小体積は少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mLである。一部の態様では、投与される細胞の最小体積は少なくとも0.75mLまたは少なくとも約0.75mLである。一部の態様では、投与される細胞の最小体積は少なくとも1.0mLまたは少なくとも約1.0mLである。
【0211】
一部の態様では、前記組成物は0.05mLまたは約0.05mLの体積で投与される。一部の態様では、前記組成物は0.1mLまたは約0.1mLの体積で投与される。一部の態様では、前記組成物は0.5mLまたは約0.5mLの体積で投与される。一部の態様では、前記組成物は0.75mLまたは約0.75mLの体積で投与される。一部の態様では、前記組成物は1.0mLまたは約1.0mLの体積で投与される。
【0212】
一部の態様では、2つ別々の細胞組成物、例えば、CD4+CAR+T細胞を含む組成物とCD8+CAR+T細胞を含む組成物が投与され、それぞれの組成物は、少なくとも0.5mLもしくは少なくとも約0.5mL、または少なくとも1.0mLもしくは少なくとも約1.0mLの最小体積で投与される。
【0213】
一部の態様では、総体積が少なくとも0.05mL、濃度が2.5x106細胞/mL以上のT細胞組成物が投与される。一部の態様では、総体積が少なくとも0.5mL、濃度が2.5x106細胞/mL以上のT細胞組成物が投与される。
【0214】
一部の態様では、前記方法は、25歳または25歳より若い対象に、0.25x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0215】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0216】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若い対象に、2.5x105細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0217】
一部の態様では、提供される方法および使用は、25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物は、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される。
【0218】
任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.05mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.1mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.15mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.3mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.5mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも0.75mLである。任意の態様の一部では、投与されるT細胞組成物の総体積は少なくとも1.0mLである。
【0219】
任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は0.5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約0.5x106細胞/mLを上回るか、または0.5x106細胞/mLであるか、もしくは約0.5x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は1x106細胞/mLを上回るか、もしくは約1x106細胞/mLを上回るか、または1x106細胞/mLであるか、もしくは約1x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は1.5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約1.5x106細胞/mLを上回るか、または1.5x106細胞/mLであるか、もしくは約1.5x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は3x106細胞/mLを上回るか、もしくは約3x106細胞/mLを上回るか、または3x106細胞/mLであるか、もしくは約3x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約5x106細胞/mLを上回るか、または5x106細胞/mLであるか、もしくは約5x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は7.5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約7.5x106細胞/mLを上回るか、または7.5x106細胞/mLであるか、もしくは約7.5x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は10x106細胞/mLを上回るか、もしくは約10x106細胞/mLを上回るか、または10x106細胞/mLであるか、もしくは約10x106細胞/mLである。任意の態様の一部では、T細胞組成物の濃度は15x106細胞/mLを上回るか、もしくは約15x106細胞/mLを上回るか、または15x106細胞/mLであるか、もしくは約15x106細胞/mLである。
【0220】
一部の態様では、前記組成物は特定の細胞濃度で製剤化される。一部の態様では、組成物中にある細胞の濃度は、約10x106細胞/mL~約70x106細胞/mL、約10x106細胞/mL~約50x106細胞/mL、約10x106細胞/mL~約25x106細胞/mL、約10x106細胞/mL~約15x106細胞/mL、15x106細胞/mL~約70x106細胞/mL、約15x106細胞/mL~約50x106細胞/mL、約15x106細胞/mL~約25x106細胞/mL、約25x106細胞/mL~約70x106細胞/mL、約25x106細胞/mL~約50x106細胞/mL、および約50x106細胞/mL~約70x106細胞/mLである。一部の態様では、T細胞組成物の濃度は5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約5x106細胞/mLを上回るか、または5x106細胞/mLであるか、もしくは約5x106細胞/mLである。一部の態様では、T細胞組成物の濃度は10x106細胞/mLを上回るか、もしくは約10x106細胞/mLを上回るか、または10x106細胞/mLであるか、もしくは約10x106細胞/mLである。一部の態様では、T細胞組成物の濃度は15x106細胞/mLを上回るか、もしくは約15x106細胞/mを上回るか、または15x106細胞/mLであるか、もしくは約15x106細胞/mLである。一部の態様では、最小体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mLまたは少なくとも1.0mLまたは少なくとも約1.0mLのこのような任意の組成物を投与することができる。
【0221】
一部の態様では、18~25歳(両端の値を含む)の対象には、前記細胞の用量が対象の体表面積とも体重とも結びついていない、または対象の体表面積にも体重にも基づいていないように、固定した用量の細胞または決まった用量の細胞である用量が投与される。一部の態様では、対象は18~25歳(両端の値を含む)であり、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞までが投与される。一部の態様では、対象は18~25歳(両端の値を含む)であり、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞までが投与される。一部の態様では、対象は18~25歳(両端の値を含む)であり、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞までが投与される。一部の態様では、対象は18~25歳(両端の値を含む)であり、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞までが投与される。
【0222】
一部の態様では、投与される細胞の最大(または上限)の量または数は、50kgまたは約50kgから、150kgまたは約150kgなどの特定の体重がある対象の体重に基づいた用量に等しい量または数である。一部の態様では、投与される細胞の最大(または上限)の量または数は、体重が100kgの対象の体重に基づいた用量に等しい量または数である。一部の態様では、投与される細胞の最大(または上限)の量または数は、体重が150kgの対象の体重に基づいた用量に等しい量または数である。一部の態様では、体重に基づいた用量は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重である。一部の態様では、体重に基づいた用量は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細であるか、または0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重である。
【0223】
一部の態様では、対象、例えば、18~25歳(両端の値を含む)の対象に投与される細胞の固定した、または決まった量または数は、特定の体重、例えば、50kgまたは約50kgから、150kgまたは約150kgがある対象の体重に基づいた用量に等しい量または数である。一部の態様では、対象、例えば、18~25歳(両端の値を含む)の対象に投与される細胞の固定した、または決まった量または数は、体重100kgの対象の体重に基づいた用量に等しい量または数である。一部の態様では、対象、例えば、18~25歳(両端の値を含む)の対象に投与される細胞の固定した、または決まった量または数は、体重150kgの対象の体重に基づいた用量に等しい量または数である。一部の態様では、体重に基づいた用量は、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重である。一部の態様では、体重に基づいた用量は、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるか、または1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重である。
【0224】
一部の態様では、固定した、または決まった数または量の細胞が投与される対象については、細胞の用量は対象の体表面積とも体重とも結びついていないか、または対象の体表面積にも体重にも基づいていない。一部の態様では、固定した、または決まった用量の細胞が投与される対象については、用量は、約100万~約1000億個の細胞の範囲、および/あるいは体重1キログラムあたりの細胞の量、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、例えば、約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって規定された範囲)、場合によっては、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、あるいはこれらの範囲の間にある任意の値を含む。一部の態様では、本明細書に記載の細胞の量もしくは数は、組換え受容体発現細胞、キメラ抗原受容体(CAR)発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核球(PBMC)の量もしくは数、またはCD3+T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞の量もしくは数、場合によっては、組換え受容体発現T細胞もしくはCAR発現T細胞の量もしくは数にも関連する。
【0225】
一部の態様では、細胞の固定した、または決まった用量は、1x105~5x108個もしくは約1x105~5x108個の総CAR+T細胞、1x105~2.5x108個もしくは約1x105~2.5x108個の総CAR+T細胞、1x105~1x108個もしくは約1x105~1x108個の総CAR+T細胞、1x105~5x107個もしくは約1x105~5x107個の総CAR+T細胞、1x105~2.5x107個もしくは約1x105~2.5x107個の総CAR+T細胞、1x105~1x107個もしくは約1x105~1x107個の総CAR+T細胞、1x105~5x106個もしくは約1x105~5x106個の総CAR+T細胞、1x105~2.5x106個もしくは約1x105~2.5x106個の総CAR+T細胞、1x105~1x106個もしくは約1x105~1x106個の総CAR+T細胞、1x106~5x108個もしくは約1x106~5x108個の総CAR+T細胞、1x106~2.5x108個もしくは約1x106~2.5x108個の総CAR+T細胞、1x106~1x108個もしくは約1x106~1x108個の総CAR+T細胞、1x106~5x107個もしくは約1x106~5x107個の総CAR+T細胞、1x106~2.5x107個もしくは約1x106~2.5x107個の総CAR+T細胞、1x106~1x107個もしくは約1x106~1x107個の総CAR+T細胞、1x106~5x106個もしくは約1x106~5x106個の総CAR+T細胞、1x106~2.5x106個もしくは約1x106~2.5x106個の総CAR+T細胞、2.5x106~5x108個もしくは約2.5x106~5x108個の総CAR+T細胞、2.5x106~2.5x108個もしくは約2.5x106~2.5x108個の総CAR+T細胞、2.5x106~1x108個もしくは約2.5x106~1x108個の総CAR+T細胞、2.5x106~5x107個もしくは約2.5x106~5x107個の総CAR+T細胞、2.5x106~2.5x107個もしくは約2.5x106~2.5x107個の総CAR+T細胞、2.5x106~1x107個もしくは約2.5x106~1x107個の総CAR+T細胞、2.5x106~5x106個もしくは約2.5x106~5x106個の総CAR+T細胞、5x106~5x108個もしくは約5x106~5x108個の総CAR+T細胞、5x106~2.5x108個もしくは約5x106~2.5x108個の総CAR+T細胞、5x106~1x108個もしくは約5x106~1x108個の総CAR+T細胞、5x106~5x107個もしくは約5x106~5x107個の総CAR+T細胞、5x106~2.5x107個もしくは約5x106~2.5x107個の総CAR+T細胞、5x106~1x107個もしくは約5x106~1x107個の総CAR+T細胞、1x107~5x108個もしくは約1x107~5x108個の総CAR+T細胞、1x107~2.5x108個もしくは約1x107~2.5x108個の総CAR+T細胞、1x107~1x108個もしくは約1x107~1x108個の総CAR+T細胞、1x107~5x107個もしくは約1x107~5x107個の総CAR+T細胞、1x107~2.5x107個もしくは約1x107~2.5x107個の総CAR+T細胞、2.5x107~5x108個もしくは約2.5x107~5x108個の総CAR+T細胞、2.5x107~2.5x108個もしくは約2.5x107~2.5x108個の総CAR+T細胞、2.5x107~1x108個もしくは約2.5x107~1x108個の総CAR+T細胞、2.5x107~5x107個もしくは約2.5x107~5x107個の総CAR+T細胞、5x107~5x108個もしくは約5x107~5x108個の総CAR+T細胞、5x107~2.5x108個もしくは約5x107~2.5x108個の総CAR+T細胞、5x107~1x108個もしくは約5x107~1x108個の総CAR+T細胞、1x108~5x108個もしくは約1x108~5x108個の総CAR+T細胞、1.5x108~2.5x108個もしくは約1.5x108~2.5x108個の総CAR+T細胞、または2.5x108~5x108個もしくは約2.5x108~5x108個の総CAR+T細胞を含む。
【0226】
一部の態様では、前記用量の遺伝子操作された細胞は、少なくとも1x105個のもしくは少なくとも約1x105個のCAR+T細胞、少なくとも2.5x105個のもしくは少なくとも約2.5x105個のCAR+T細胞、少なくとも5x105個のもしくは少なくとも約5x105個のCAR+T細胞、少なくとも1x106個のもしくは少なくとも約1x106個のCAR+T細胞、少なくとも2.5x106個のもしくは少なくとも約2.5x106個のCAR+T細胞、少なくとも5x106個のもしくは少なくとも約5x106個のCAR+T細胞、少なくとも1x107個のもしくは少なくとも約1x107個のCAR+T細胞、少なくとも2.5x107個のもしくは少なくとも約2.5x107個のCAR+T細胞、少なくとも5x107個のもしくは少なくとも約5x107個のCAR+T細胞、少なくとも1x108個のもしくは少なくとも約1x108個のCAR+T細胞、少なくとも2.5x108個のもしくは少なくとも約2.5x108個のCAR+T細胞、または少なくとも5x108個のもしくは少なくとも約5x108個のCAR+T細胞を含む。
【0227】
一部の態様では、前記用量のT細胞には、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはCD4+T細胞およびCD8+T細胞が含まれる。
【0228】
一部の態様では、例えば、前記用量のCD8+T細胞は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む用量の中にあるものを含めて、約1x106~5x108個の総CAR+CD8+細胞、例えば、約5x106~1x108個の範囲のこのような細胞、このような細胞5x106個、1x107個、1.5x107個、3x107個、2.5x107個、5x107個、7.5x107個、1x108個、1.5x108個、もしくは5x108個の全てのこのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。一部の態様では、対象に複数の用量が投与され、前記用量はそれぞれ、または全用量は前述の値のいずれかの範囲内でもよい。一部の態様では、前記用量の細胞は、1x107~0.75x108個または約1x107~0.75x108個の総CAR+CD8+T細胞、1x107~2.5x107個の総CAR+CD8+T細胞、1x107~0.75x108個または約1x107~0.75x108個の総CAR+CD8+T細胞(それぞれ両端の値を含む)の投与を含む。一部の態様では、前記用量の細胞は、5x106もしくは約5x106個、1x107もしくは約1x107個、1.5x107もしくは約1.5x107個、3x107もしくは約3x107個、2.5x107もしくは約2.5x107個、5x107もしくは約5x107個、7.5x107もしくは約7.5x107個、1x108もしくは約1x108個、1.5x108もしくは約1.5x108個、または5x108個もしくは約5x108個の総CAR+CD8+T細胞の投与を含む。一部の態様では、前記用量のT細胞は、5x107個もしくは約5x107個のCAR+T細胞、または2.5x107個もしくは約2.5x107個のCAR+CD8+T細胞を含む。一部の態様では、前記用量のT細胞は、1x108個もしくは約1x108個のCAR+T細胞、または5x107個もしくは約5x107個のCAR+CD8+T細胞を含む。一部の態様では、前記用量のT細胞は1.5x108個もしくは約1.5x108個のCAR+T細胞または0.75x108個もしくは約0.75x108個のCAR+CD8+T細胞を含む。
【0229】
一部の態様では、前記用量の細胞、例えば、組換え受容体発現T細胞は対象に単一用量として投与されるか、または2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、またはそれより長い期間内で1回だけ投与される。
【0230】
養子細胞療法の状況では、ある特定の「用量」の投与は、ある特定の量または数の細胞を単回組成物投与および/またはとぎれない(uninterrupted)単回投与として、例えば、単回注射または連続注入として投与することを包含し、ある特定の量または数の細胞を、指定された期間、例えば、3日以下にわたって複数の個々の組成物または注入の形で提供される分割用量または複数の組成物として投与することも包含する。従って、ある状況では、用量は、1つの時点で与えられるか、または開始する、指定された数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、ある状況では、用量は、3日以下の期間にわたって、例えば、3日もしくは2日にわたって1日1回の複数回の注射もしくは注入の形で投与されるか、または1日に複数回注入することで投与される。
【0231】
従って、一部の局面では、前記用量の細胞は単一の薬学的組成物に入れられて投与される。一部の態様では、前記用量の細胞は複数の組成物に入れられて投与され、複数の組成物は合わさって前記用量の細胞を含有する。
【0232】
一部の態様では、「分割用量」という用語は、何日にもわたって投与されるように分割された用量を指す。このタイプの投薬は本発明の方法に包含され、単一用量とみなされる。
【0233】
従って、前記用量の細胞は分割用量、例えば、経時的に投与される分割用量として投与されてもよい。例えば、一部の態様では、前記用量は2日または3日にわたって対象に投与されてもよい。分割投薬のための例示的な方法は、初日に用量の25%を投与する段階と、2日目に用量の残りの75%を投与する段階を含む。他の態様では、初日に用量の33%が投与されてもよく、2日目に残りの67%が投与されてもよい。一部の局面では、初日に用量の10%が投与され、2日目に用量の30%が投与され、3日目に用量の60%が投与される。一部の態様では、分割用量は3日を超えて広がらない。
【0234】
一部の態様では、前記用量の細胞は、複数の組成物または溶液、例えば、第1および第2の組成物または溶液、任意で、もっと多くの組成物または溶液を投与することによって投与されてもよく、それぞれの組成物または溶液は前記用量のいくつかの細胞を含む。一部の局面では、それぞれが異なる細胞集団および/または細胞サブタイプを含有する複数の組成物は、別々にまたは独立して、任意で、ある特定の期間内に投与される。例えば、細胞集団または細胞サブタイプは、それぞれ、CD8+T細胞およびCD4+T細胞を含んでもよい、ならびに/または、それぞれ、CD8+濃縮集団およびCD4+濃縮集団、例えば、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含んでもよく、それぞれが個々に、組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を含む。一部の態様では、前記用量の投与は、ある用量のCD8+T細胞、またはある用量のCD4+T細胞を含む第1の組成物の投与と、前記用量のCD4+T細胞およびCD8+T細胞の他方を含む第2の組成物の投与を含む。
【0235】
一部の態様では、前記組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は細胞組成物を別々に投与する段階を含む。一部の局面では、別々に投与する段階は任意の順序で同時に、または連続して行われる。一部の態様では、前記用量は第1の組成物と第2の組成物を含み、第1の組成物と第2の組成物は0~12時間間隔を空けて、0~6時間間隔を空けて、または0~2時間間隔を空けて投与される。一部の態様では、第1の組成物の投与の開始と第2の組成物の投与の開始は2時間以下、1時間以下、または30分以下、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔を空けて行われる。一部の態様では、第1の組成物の投与の開始および/または終了と、第2の組成物の投与の開始および/または終了は2時間以下の間隔を空けて、1時間以下の間隔を空けて、または30分以下の間隔を空けて、15分以下の間隔を空けて、10分以下の間隔を空けて、または5分以下の間隔を空けて行われる。
【0236】
一部の組成物では、第1の組成物、例えば、前記用量の第1の組成物はCD4+T細胞を含む。一部の組成物では、第1の組成物、例えば、前記用量の第1の組成物はCD8+T細胞を含む。一部の態様では、第1の組成物は第2の組成物の前に投与される。
【0237】
一部の態様では、前記の用量または組成物の細胞は、規定された比もしくは目標比の、組換え受容体を発現するCD4+細胞:組換え受容体を発現するCD8+細胞および/またはCD4+細胞:CD8+細胞を含み、この比は、任意で、約1:1であるか、または約1:3~約3:1、例えば、約1:1である。一部の局面では、目標比または望ましい比の異なる細胞集団(例えば、CD4+:CD8+比またはCAR+CD4+:CAR+CD8+比、例えば、1:1)がある組成物または用量の投与は、集団の一方を含有する細胞組成物の投与と、次いで、集団の他方を含む別々の細胞組成物の投与を含み、投与は、目標比もしくは望ましい比で、または目標比もしくは望ましい比の前後で行われる。一部の局面では、規定された比で細胞の用量または組成物を投与すると、拡大増殖、持続性、および/またはT細胞療法の抗腫瘍活性が改善される。
【0238】
一部の態様では、対象には、複数の用量、例えば、2つ以上の用量または複数の連続した用量の細胞が与えられる。一部の態様では、2つの用量が対象に投与される。一部の態様では、対象には、第1の用量の約4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、または21日後に、連続した用量、例えば、第2の用量が投与される。一部の態様では、連続した用量の投与後に、さらなる用量が投与されるように、第1の用量の後に複数の連続した用量が投与される。一部の局面では、さらなる用量にある、対象に投与される細胞の数は第1の用量および/または連続した用量と同じであるか、または類似する。一部の態様では、さらなる用量は先の用量より大きい。
【0239】
一部の局面では、第1の用量および/または連続した用量のサイズは、1つまたは複数の判断基準、例えば、前処置、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷量、例えば、腫瘍量、容積、サイズ、または転移の度合い、程度、もしくはタイプ、ステージ、ならびに/または対象が毒性アウトカム、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する可能性もしくは発生率、ならびに/あるいは投与されている細胞および/または組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
【0240】
一部の局面では、第1の用量の投与と連続した用量の投与との間の期間は、約9~約35日、約14~約28日、または15~27日である。一部の態様では、連続した用量の投与は、第1の用量の投与後、約14日より長く、かつ約28日より短い時点である。一部の局面では、第1の用量と連続した用量との間の期間は約21日である。一部の態様では、連続した用量の投与後に、さらなる用量、例えば、連続した用量が投与される。一部の局面では、さらなる連続した用量は、先の用量の投与後、少なくとも約14日、かつ約28日より短い時点で投与される。一部の態様では、さらなる用量は、先の用量の後、約14日未満で、例えば、先の用量の4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、または13日後に投与される。一部の態様において、先の用量の後、約14日未満で用量は投与されない、および/または先の用量の後、約28日を超えて用量は投与されない。
【0241】
一部の態様では、前記用量の細胞、例えば、組換え受容体発現細胞は、第1の用量のT細胞と、連続した用量のT細胞を含む2つの用量(例えば、二重用量(double dose))を含み、第1の用量と第2の用量の一方または両方は分割用量のT細胞の投与を含む。
【0242】
一部の態様では、前記用量の細胞は、一般的に、疾患負荷量の低減において効果を示すのに十分な大きさである。
【0243】
一部の態様では、前記細胞は、望ましい投与量で投与される。望ましい投与量は、一部の局面では、細胞もしくは細胞タイプの望ましい用量もしくは数、および/または細胞タイプの望ましい比を含む。従って、細胞の投与量は、一部の態様では、細胞の総数(または体重1kgあたりの数)および個々の集団またはサブタイプの望ましい比、例えば、CD4+とCD8+の比に基づいている。一部の態様では、細胞の投与量は、個々の集団の中にある細胞、または個々の細胞タイプの望ましい総数(または体重1kgあたりの数)に基づいている。一部の態様では、投与量は、このような特徴、例えば、全細胞の望ましい数、望ましい比、および個々の集団にある細胞の望ましい総数の組み合わせに基づいている。
【0244】
一部の態様では、細胞の集団またはサブタイプ、例えば、CD8+T細胞およびCD4+T細胞は、全細胞の望ましい用量、例えば、T細胞の望ましい用量で、または全細胞の望ましい用量、例えば、T細胞の望ましい用量の許容される差の範囲内で投与される。一部の局面では、望ましい用量は、望ましい細胞数、または細胞が投与される対象の体重の単位あたりの望ましい細胞数、例えば、細胞/kgである。一部の局面では、望ましい用量は、細胞の最小数であるか、もしくはこの最小数より多いか、または体重の単位あたりの細胞の最小数であるか、もしくはこの最小数より多い。一部の局面では、望ましい用量で投与される全細胞の中で個々の集団またはサブタイプは、望ましい出力比(output ratio)(例えば、CD4+とCD8+の比)で、またはその近くで、例えば、このような比の、ある特定の許容される差または誤差の範囲内で存在する。
【0245】
一部の態様では、前記細胞は、細胞の個々の集団もしくはサブタイプの1つもしくは複数の望ましい用量、例えば、CD4+細胞の望ましい用量および/もしくはCD8+細胞の望ましい用量で、または細胞の個々の集団もしくはサブタイプの1つもしくは複数の望ましい用量、例えば、CD4+細胞の望ましい用量および/もしくはCD8+細胞の望ましい用量の許容される差の範囲内で投与される。一部の局面では、望ましい用量は、前記サブタイプもしくは集団の細胞の望ましい数、または前記細胞が投与された対象の体重の単位あたりの、このような細胞の望ましい数、例えば、細胞/kgである。一部の局面では、望ましい用量は、前記集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるか、またはこの最小数より多いか、あるいは体重の単位あたりの前記集団もしくはサブタイプの細胞の最小数であるか、またはこの最小数より多い。
【0246】
従って、一部の態様では、投与量は、全細胞の望ましい決まった用量、および望ましい比に基づいている、ならびに/または個々のサブタイプもしくは部分母集団の1つまたは複数の、例えば、それぞれの望ましい決まった用量に基づいている。従って、一部の態様では、投与量は、T細胞の望ましい決まった用量または最小用量、およびCD4+細胞とCD8+細胞の望ましい比に基づいている、ならびに/またはCD4+細胞および/またはCD8+細胞の望ましい決まった用量もしくは最小用量に基づいている。
【0247】
一部の態様では、前記細胞は、複数の細胞集団またはサブタイプ、例えば、CD4+細胞およびCD8+細胞またはサブタイプの望ましい出力比で、または望ましい出力比の許容される範囲内で投与される。一部の局面では、望ましい比は特定の比でもよく、比の範囲でもよい。例えば、一部の態様では、望ましい比(例えば、CD4+細胞とCD8+細胞の比)は、5:1もしくは約5:1から、5:1もしくは約5:1(または約1:5より大きく、かつ約5:1より小さい)であるか、または1:3もしくは約1:3から、3:1もしくは約3:1(または約1:3より大きく、かつ約3:1より小さい)であり、例えば、2:1もしくは約2:1から、1:5もしくは約1:5(または約1:5より大きく、かつ約2:1より小さい、例えば、5:1もしくは約5:1、4.5:1もしくは約4.5:1、4:1もしくは約4:1、3.5:1もしくは約3.5:1、3:1もしくは約3:1、2.5:1もしくは約2.5:1、2:1もしくは約2:1、1.9:1もしくは約1.9:1、1.8:1もしくは約1.8:1、1.7:1もしくは約1.7:1、1.6:1もしくは約1.6:1、1.5:1もしくは約1.5:1、1.4:1もしくは約1.4:1、1.3:1もしくは約1.3:1、1.2:1もしくは約1.2:1、1.1:1もしくは約1.1:1、1:1もしくは約1:1、1:1.1もしくは約1:1.1、1:1.2もしくは約1:1.2、1:1.3もしくは約1:1.3、1:1.4もしくは約1:1.4、1:1.5もしくは約1:1.5、1:1.6もしくは約1:1.6、1:1.7もしくは約1:1.7、1:1.8もしくは約1:1.8、1:1.9もしくは約1:1.9、1:2もしくは約1:2、1:2.5もしくは約1:2.5、1:3もしくは約1:3、1:3.5もしくは約1:3.5、1:4もしくは約1:4、1:4.5もしくは約1:4.5、または1:5もしくは約1:5)である。一部の局面では、許容される差は、望ましい比の約1%以内、約2%以内、約3%以内、約4%以内、約5%以内、約10%以内、約15%以内、約20%以内、約25%以内、約30%以内、約35%以内、約40%以内、約45%以内、約50%以内であり、これらの範囲の間の任意の値を含む。
【0248】
特定の態様では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の態様では、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞、または末梢血単核球(PBMC)の数または濃度を指す。
【0249】
一部の局面では、前記用量のサイズは、1つまたは複数の判断基準、例えば、前処置、例えば、化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷量、例えば、腫瘍量、嵩、サイズ、または転移の程度、度合い、もしくはタイプ、ステージ、ならびに/あるいは対象が毒性アウトカム、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する可能性または発生率、ならびに/あるいは投与されている細胞および/または組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
【0250】
一部の態様では、前記方法および使用はまた、1つもしくは複数のさらなる用量のキメラ抗原受容体(CAR)発現細胞および/もしくはリンパ球枯渇療法および/もしくは組み合わせ療法を施す段階も含む、ならびに/または前記方法の1つもしくは複数の段階が繰り返される。一部の態様では、1つまたは複数のさらなる用量は初回用量と同じである。一部の態様では、1つまたは複数のさらなる用量は初回用量と異なる、例えば、初回用量より多い、例えば、初回用量の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、もしくは10倍であるか、またはそれより多いか、あるいは初回用量より少ない、例えば、初回用量より多い、初回用量の1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、もしくは1/10であるか、またはそれより少ない。一部の態様では、1つまたは複数のさらなる用量の投与は、初回処置または任意の前処置に対する対象の応答、対象における疾患負荷量、例えば、腫瘍量、嵩、サイズ、または転移の程度、度合い、もしくはタイプ、ステージ、ならびに/あるいは対象が毒性アウトカム、例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する可能性または発生率、ならびに/あるいは投与されている細胞および/または組換え受容体に対する宿主免疫応答に基づいて決定される。
【0251】
C. 応答、効力、および生存
一部の態様では、前記の方法および使用に従う投与によって、対象における疾患または状態の処置が可能になる。一部の態様では、前記の方法および使用に従う投与によって、対象は処置に対する応答(例えば、臨床応答)を示すことができる。一部の態様では、前記の方法および使用に従う投与によって、対象が別の療法に対して抵抗性になったのにもかかわらず対象の処置が可能になる。
【0252】
一部の態様では、前記方法に従って処置された対象の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、もしくは少なくとも50%は完全寛解(CR)を達成する;および/または前記方法に従って処置された対象の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%は客観的奏効(OR)を達成する。一部の態様では、前記方法および使用に従って処置された対象の少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、対象の少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、対象の少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、対象の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、または対象の少なくとも90%もしくは少なくとも約90%がCRを達成する、および/または客観的奏効(OR)を達成する。
【0253】
一部の態様では、処置に対する応答について評価される判断基準には、全奏効率(ORR;場合によっては客観的奏効率としても知られる)、完全奏功(CR;場合によっては完全奏功としても知られる)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、微小残存病変(MRD)陰性率、無再発生存期間(RFS)、無イベント生存期間(event-free survival)(EFS)、操作された細胞を投与した後の造血幹細胞移植(HSCT)率、ならびに/または薬物動態学的パラメータ、例えば、Cmax、Tmax、および曲線下面積(AUC)が含まれる。
【0254】
一部の態様では、評価される尺度または基準は全奏効率(ORR)である。一部の態様では、ある特定の対象のORRは、操作された細胞を投与した後、ある期間が経過した後の、例えば、28日目および/または56日目の、完全奏功(CR)または不完全な血球数回復を伴うCR(CRi)を達成した対象の総数で表されることがある。一部の態様では、前記方法および使用に従って処置された対象のORRは、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%である。
【0255】
一部の態様では、評価される尺度または基準は微小残存病変(MRD)陰性率である。一部の態様では、MRD陰性応答は、操作された細胞を投与した後、ある期間が経過した後の、例えば、28日目および/または56日目のMRD陰性応答を達成した対象の総数で表される。一部の態様では、前記方法および使用に従って処置された対象のMRD陰性奏効率は、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%である。一部の態様では、MRDは、本明細書に記載の任意の判断基準を用いて測定することができる。一部の局面では、処置後のMRD再発は、初回MRD陰性(1x10-4未満)の完全奏功(CR)または不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)後に、BM細胞中に1x10-4以上の頻度での、検証されたアッセイによるMRD検出で表されることがある。
【0256】
一部の局面では、MRD陰性率は、28日目に、MRD陰性BMを伴うCRまたはCRiを達成し、56日目に確定された対象を、この分析に含まれる全対象の数で割った割合で表されることがある。一部の局面では、1回目の評価がCAR発現細胞を投与して28日後に行われる。一部の態様では、対象のCR/CRiが低形成性骨髄(hypoplastic marrow)のために評価できなければ、MRD陰性寛解を評価できるような造血回復の証拠がある時に反復骨髄検査が行われる。場合によっては、最も良い疾患全奏効がMRD陰性CRまたはCriであるとみなされるためには、末梢血、骨髄、脳脊髄液、および骨髄外疾患の評価(該当する場合)によって評価された時に再発の臨床証拠が無く、MRDは骨髄中で検出されない(検証されたアッセイにより検出レベル未満、<0.01%)。一部の局面では、MRD結果は、MRD陰性CRまたはCRiが初めに達成された後、最低4週間(28日)で確定される。一部の局面では、さらなる評価も同じ評価に含まれる。一部の態様では、評価される尺度または基準は全奏効率(ORR)である。一部の態様では、ある特定の対象のORRは、操作された細胞を投与した後、ある期間が経過した後の、例えば、28日目および/または56日目での完全奏功(CR)または部分奏功(PR)を達成した対象の総数で表されることがある。一部の態様では、前記方法および使用に従って処置された対象のORRは、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%である。
【0257】
一部の態様では、評価される尺度または基準は奏効期間(DOR)である。一部の態様では、DORは、第1の応答から、進行性疾患(PD)、疾患再発、または何らかの原因による死亡のどれが最初に発生しても、それまでの期間で表されることがある。一部の局面では、DORは、操作された細胞を投与して約2年後、3年後、または4年後まで測定される。一部の局面では、応答は、操作された細胞の投与を開始した後、前記の方法および使用に従って処置された対象の少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%において、少なくとも3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、または48ヶ月にわって永続する。
【0258】
一部の態様では、評価される尺度または基準は無再発生存期間(RFS)である。一部の態様では、RFSは、第1の応答から、進行性疾患(PD)、疾患再発、または何らかの原因による死亡のどれが最初に発生しても、それが記録されるまでの期間で表されることがある。一部の局面では、RFSは、操作された細胞を投与して約2年後、3年後、または4年後まで測定される。一部の局面では、RFSは、操作された細胞の投与を開始した後、前記の方法および使用に従って処置された対象の少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%において、少なくとも3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、または48ヶ月である。
【0259】
一部の態様では、評価される尺度または基準は無イベント生存期間(EFS)である。一部の態様では、EFSは、注入投与開始から、進行性疾患(PD)、疾患再発、新たな抗がん療法の開始、または何らかの原因による死亡のどれが最初に発生しても、それまでの期間で表されることがある。一部の局面では、EFSは、操作された細胞を投与して約2年後、3年後、または4年後まで測定される。一部の局面では、EFSは、操作された細胞の投与を開始した後、前記の方法および使用に従って処置された対象の少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%において、少なくとも3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、または48ヶ月である。
【0260】
一部の態様では、評価される尺度または基準は全生存期間(OS)である。一部の態様では、OSは、操作された細胞の投与の開始から、何らかの原因による死亡までの期間で表されることがある。一部の局面では、OSは、操作された細胞を投与して約2年後、3年後、または4年後まで測定される。一部の局面では、OSは、操作された細胞の投与を開始した後、前記の方法および使用に従って処置された対象の少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%において、少なくとも3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、36ヶ月、または48ヶ月である。
【0261】
一部の態様では、評価される尺度または基準は微小残存病変(MRD)陰性率である。一部の態様では、一部の対象におけるMRD陰性応答は、操作された細胞を投与した後、ある期間が経過した後の、CRまたはCRiと陰性MRD骨髄を達成したB-ALL対象のパーセントで表されることがある。一部の局面では、MRD陰性応答は、操作された細胞を投与して約2年後、3年後、または4年後まで測定される。一部の態様では、前記方法および使用に従って処置された対象のMRD陰性奏効率は少なくとも20%もしくは少なくとも約20%、少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、40%もしくは約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、または少なくとも95%もしくは少なくとも約95%である。
【0262】
一部の態様では、評価される尺度または基準は、操作された細胞の投与に対する応答後の造血幹細胞移植(HSCT)率である。一部の態様では、HSCT率は、操作された細胞を投与した後に応答を達成し、次いでHSCTに進んだ対象のパーセントで表されることがある。一部の局面では、HSCT率は、操作された細胞を投与して約2年後、3年後、または4年後まで測定される。一部の態様では、前記方法および使用に従って処置された対象の応答後のHSCT率は80%未満もしくは約80%未満、70%未満もしくは約70%未満、60%もしくは約60%、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%もしくは約30%、20%未満もしくは約20%未満、または10%未満もしくは約10%未満である。
【0263】
一部の態様では、本明細書において提供される方法に従って処置された対象の少なくとも40%または少なくとも50%は完全寛解(CR;場合によっては完全奏功としても知られる)を達成し、3ヶ月、6ヶ月、もしくは12ヶ月より長い、または約3ヶ月、約6ヶ月、もしくは約12ヶ月より長い、あるいは13ヶ月または約14ヶ月より長い無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を示し、平均して、前記方法に従って処置された対象は、6ヶ月、12ヶ月、もしくは18ヶ月より長い、または約6ヶ月、約12ヶ月、もしくは約18ヶ月より長い中央値PFSまたはOSを示す、および/あるいは対象は療法後に少なくとも6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月以上、もしくはそれより長いPFSもしくはOS、または少なくとも約6ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月以上、もしくはそれより長いPFSもしくはOSを示す。
【0264】
一部の態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、または少なくとも75%、またはそれより多くが完全奏功(CR)を達成する。一部の態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%が客観的奏効(OR)を達成する。一部の態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれより多くが1ヶ月までに、2ヶ月までに、または3ヶ月までにCRまたはORを達成する。
【0265】
一部の態様では、細胞療法の投与を開始して3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後までに、またはこれを超えて、提供される方法に従って処置された対象、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはそれより多くは応答が続いている、例えば、CRまたはORが続いている。一部の態様では、このような応答、例えば、CRまたはORは、例えば、提供される方法に従って処置された対象の少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれより多くにおいて、あるいはCRを1ヶ月または3ヶ月までにCRを達成した、このような対象において、少なくとも3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、または9ヶ月の永続性がある。一部の態様では、提供される方法に従って、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも約60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくはそれより多く、あるいはCRを1ヶ月または3ヶ月までに達成した、このような対象は、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、もしくは9ヶ月よりも長く、または約3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、もしくは9ヶ月よりも長く生存するか、または進行することなく生存する。
【0266】
一部の態様では、提供される方法に従う処置および/または提供される製造物品または組成物を用いた処置によって、このような対象において観察される、結果として生じる応答は、処置された対象の大部分において低リスクの任意の毒性もしくは低リスクの重度の毒性と関連するか、または低リスクの任意の毒性もしくは低リスクの重度の毒性をもたらす。一部の態様では、提供される方法に従って処置された対象、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の30%超、35%超、40%超、50%超、55%超、60%超、もしくはそれより多く、または約30%超、35%超、40%超、50%超、55%超、60%超、もしくはそれより多くは、あらゆるグレードのCRSも、あらゆるグレードの神経毒性(NT)も示さない。一部の態様では、提供される方法に従って処置された対象、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、もしくはそれより多く、または約50%超、60%超、70%超、80%超、もしくはそれより多くは重度CRSもグレード3以上のCRSも示さない。一部の態様では、提供される方法に従って処置された対象、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、もしくはそれより多く、または約50%超、60%超、70%超、80%超、もしくはそれより多くは重度の神経毒性も、グレード3以上の神経毒性、例えば、グレード4または5の神経毒性も示さない。
【0267】
一部の態様では、前記方法に従って処置された対象および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または少なくとも約45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%は早期発症CRSも神経毒性も示さない、および/または投与開始後、1日、2日、3日、もしくは4日よりも早くCRSの発症を示さない。一部の態様では、前記方法に従って処置された対象、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象の少なくとも45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または少なくとも約45%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%は、投与開始後、3日、4日、5日、6日、または7日よりも早く神経毒性の発症を示さない。一部の局面では、前記方法に従って処置された対象、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて処置された対象間での神経毒性の発症の中央値は、前記方法に従って処置された対象におけるCRSのピークの中央値もしくはピークの中央値の後、または消散までの時間(time to resolution)の中央値である。場合によっては、前記方法に従って処置された対象間の神経毒性の発症の中央値は8日、9日、10日、もしくは11日よりも長いか、または約8日、9日、10日、もしくは11日よりも長い。
【0268】
一部の局面では、用量は、このような細胞(例えば、総CAR+T細胞またはCD8+および/もしくはCD4+CAR+T細胞)の数と、治療的応答を示す1つもしくは複数のアウトカム、またはその持続期間(例えば、寛解、完全寛解を達成する可能性、および/もしくは寛解の特定の持続時間)ならびに/あるいは前述のいずれかの持続時間との相関性(任意で、直線関係)が観察される範囲内にある。一部の局面では、投与される細胞の用量を増やすと、対象における毒性(例えば、CRSまたは神経毒性)の発生率またはリスクにも、毒性、例えば、重度CRSまたは重度神経毒性の発生率またはリスクの程度にもインパクトも影響も及ぼすことなく、または実質的に及ぼすことなく応答が大きくなることが見出される。
【0269】
一部の局面では、提供される方法は、高い、または特定の奏効率(例えば、ある特定の投与後期間、例えば、3ヶ月または6ヶ月の後に評価された時の集団間の奏効率)、例えば、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%または80%もしくは81%、82%、83%、84%、もしくは85%、またはそれより大きいORR(例えば、6ヶ月または3ヶ月ORR)と、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、71%、72%、73%以上、または約75%以上のCR率(例えば、6ヶ月または3ヶ月CR率)を達成することができ、これは、例えば、特定の期間または少なくとも特定の期間にわたって永続性もあり、例えば、療法開始後、1ヶ月超、3ヶ月超、もしくは6ヶ月超またはそれより長く、あるいは9ヶ月もしくはそれより長く持続する。一部の態様では、このような奏効率および永続性は、このような療法のたった1回の投与または用量の後に与えられる。提供される方法によって、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いて、このような対象を処置すると、一部の態様では、対象は高い奏効率を達成するが、高い細胞投与量でも神経毒性またはCRSなどの毒性を示す高い発生率を示さない。一部の態様では、このような応答を達成した対象の約50%、55%、もしくは60%、または50%超、55%超、もしくは60%超は、どんなグレードの毒性も示さず、例えば、どんなグレードのCRSおよび/または神経毒性も示さない。
【0270】
一部の局面では、対象、例えば、ALLまたはNHLがある対象における奏効率はLugano判断基準に基づいている(Cheson et al.,(2014) JCO 32(27):3059-3067; Johnson et al.,(2015) Radiology 2:323-338; Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5)。一部の局面では、応答評価では臨床的方法、血液学的方法、および/または分子的方法のいずれかを利用する。一部の局面では、Lugano判断基準を用いて評価される応答は、適宜、ポジトロン放出断層撮影(PET)-コンピュータ断層撮影法(CT)および/またはCTの使用を伴う。PET-CT評価はFDGアビッド(FDG-avid)リンパ腫についてはフルオロデオキシグルコース(FDG)の使用をさらに含むことがある。一部の局面では、Lugano判断基準を用いて評価される応答は、適宜、画像化評価のためにポジトロン放出断層撮影(PET)-コンピュータ断層撮影法(CT)および/またはCTの使用を伴う。FDGアビッドリンパ腫には、ホジキンリンパ腫(HL)と、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、アグレッシブ形質転換を伴う辺縁帯NHL(marginal zone NHL with an aggressive transformation)、およびFDGアビッド節性リンパ腫(nodal lymphoma)(慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫/ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom macroglobulinaemia)、および菌状息肉腫を除く本質的に全ての組織学的タイプ)を含む、ある特定の非ホジキンリンパ腫(NHL)が含まれる。場合によっては、非FDGアビッド組織学については、CTは好ましい画像化方法である。一部の局面では、処置を投与した後できるだけ長く処置後スキャンが行われる。一部の局面では、処置後スキャンは、療法後、最低3週間、例えば、処置が投与された後、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12、週間、またはそれより長く行われる。一部の局面では、FDGアビッド組織学における応答を評価するためにPET-CTが用いられる場合、5ポイントスケールが用いられる場合がある。いくつかの点では、5ポイントスケールは、以下の判断基準:1、バックグラウンドを上回る取り込みがない;2、取り込みは縦隔以下;3、取り込みは縦隔より高いが肝臓以下である;4、取り込みは肝臓より若干高い;5、取り込みは肝臓より著しく高いかつ/または新たな病変がある;X、リンパ腫と関係している可能性が低い新たな取り込み領域がある、を含む。
【0271】
一部の局面では、FDG-avid組織学において応答を評価するのにPET-CTが用いられる場合、評価またはステージ分類のために5ポイントスケール、例えば、Deauville 5ポイントスケール(Deauville 5ps)が用いられる場合がある。Deauvilleスコアは、2つの参照臓器である縦隔(すなわち、血液プール)および肝臓と比較した、PET/CTスキャンによって視覚化した各病変部のフルオロデオキシグルコース(FDG)取り込みの読影に基づいている。処置前に評価の1つ(初回ステージ分類)が行われ、処置の間および処置後に、(参照臓器におけるFDGアップデート(update)と比較して)残存腫瘤を評価するために二回目のFDG PET/CTスキャンが用いられる。このスケールは1から5まであり、1が最も良く、5が最も悪い。それぞれのFDG-avid(または以前にFDG-avidであった)病変部は別々にランク付けされる。いくつかの点において、この5ポイントスケールは、以下の判断基準:1、バックグラウンドを上回る取り込みなし;2、≦縦隔の取り込み;3、>縦隔であるが、≦肝臓の取り込み;4、中程度、>肝臓の取り込み;5、肝臓より著しく多い取り込み(例えば、最大の標準取り込み値(standard uptake value)(SUVMAX>2x肝臓;5a)、および/またはリンパ腫と関連する可能性がある新たな病変部(応答評価時)(5b);X、リンパ腫と関連する可能性が低い新たな取り込み領域を含む。
【0272】
1または2のDeauvilleスコアは、処置の合間および処置の終了時の完全代謝奏功(complete metabolic response)(CMR)を表しているとみなされる。3のDeauvilleスコアもCMRを表しているが、スコア3の解釈は評価のタイミング、臨床状況、および処置に左右される。合間の4または5のDeauvilleスコアは部分代謝奏功を表しているとみなされる。しかしながら、処置の終了時の4または5のDeauvilleスコアは、取り込みがベースラインから減っていれば残存代謝病変(residual metabolic disease)を表しており、取り込みがベースラインから変化していなければ代謝奏功なし(no metabolic response)(NMR)を表しており、取り込みがベースラインから増加していれば、および/または新たな病変部があれば進行性代謝病変(progressive metabolic disease)(PMD)を表している。処置の合間および処置の終了時でのNMRまたはPMDは処置の失敗を示している。
【0273】
一部の局面では、Lugano判断基準を用いて説明されるような処置終了時の完全奏功は、様々な測定可能な部位での完全代謝奏功と完全放射線学的奏功(complete radiologic response)を伴う。一部の局面では、これらの部位にはリンパ節とリンパ外部位が含まれ、この場合、CRは、PET-CTを使用した時に5ポイントスケールで、残存腫瘤の有無にかかわらず1、2、または3のスコアで表される。一部の局面では、ワルダイエル輪または節外性部位では、多量の生理的取り込みにより、または(例えば、化学療法もしくは骨髄性コロニー刺激因子を用いる)脾臓内もしくは骨髄内での活性化により、取り込みが正常な縦隔および/または肝臓より多い場合がある。この状況では、最初に関与した部位の取り込みが、組織に多量の生理的取り込みがあったとしても周囲の正常組織を超えなければ、完全代謝奏功が推測され得る。一部の局面では、応答はCTを用いてリンパ節において評価され、この場合、CRは、疾患のリンパ外部位はなく、標的リンパ節/節性腫瘤は病変部の最長横径(LDi)が≦1.5cmまで退縮しなければならないと説明される。さらなる評価部位には骨髄が含まれる。この場合、PET-CTに基づく評価は、骨髄にFDG-avid疾患の証拠が無いことを示さなければならず、CTに基づく評価は正常形態を示さなければならず、これらが不確かであれば、IHC陰性でなければならない。さらなる部位には臓器腫脹の評価が含まれる場合があり、臓器腫脹は正常まで退縮しなければならない。一部の局面では、測定されなかった病変部および新たな病変部が評価され、これらは、CRの場合では存在してはならない(Cheson et al., JCO September 20, 2014 vol. 32 no. 27 3059-3067; Johnson et al., (2015) Imaging for staging and response assessment in lymphoma. Radiology 2:323-338)。
【0274】
一部の局面では、Lugano判断基準を用いて表される部分奏功(PR;場合によっては部分寛解としても知られる)は様々な測定可能な部位における部分的な代謝的応答および/または放射線学的応答を含む。一部の局面では、これらの部位はリンパ節とリンパ外部位を含み、PRは、PET-CTが用いられた時にはベースラインと比較して低下した取り込みと、任意のサイズの残存塊(residual mass)がある、4または5のスコアで表される。合間に、このような所見は、応答している病変を示すことがある。処置の終了時に、このような所見は残存病変を示すことがある。一部の局面では、応答はCTを用いてリンパ節中に評価され、PRは、6つまでの測定可能な標的リンパ節と節外性部位のSPDの≧50%減少で表される。病変部が小さすぎてCTでは測定できない場合、5mm×5mmがデフォルト値として割り当てられる。病変部がもはや目に見えなければ、この値は0mm×0mmであり、>5mm×5mmであるが、標準より小さなリンパ節については、実測値が計算に用いられる。さらなる評価部位は骨髄を含み、この場合、PET-CTベースの評価は、正常骨髄での取り込みよりも多いが、ベースラインと比較して低下した残存取り込みを示さなければならない(化学療法からの反応性変化と適合する散在性の取り込みは許される)。一部の局面では、リンパ節応答という面に関して骨髄中で持続的な局所変化があれば、MRIもしくは生検またはインターバルスキャン(interval scan)を用いた、さらなる評価を考慮しなければならない。一部の局面では、さらなる部位は臓器拡大の評価を含む場合があり、この場合、脾臓の長さは通常を超えて>50%退縮していなければならない。一部の局面では、測定されていない病変部および新たな病変部が評価され、PRの場合、存在しない/正常、退縮していなければならず、増加はしてはいけない。PET-CTおよび/またはCTベースの評価を用いて、奏功なし/安定状態(stable disease)(SD)も進行性疾患(PD)も測定することができる(Cheson et al.,(2014) JCO 32(27):3059-3067; Johnson et al.,(2015) Radiology 2:323-338; Cheson, B.D. (2015) Chin Clin Oncol 4(1):5)。
【0275】
いくつかの点で、無増悪生存期間(PFS)は、疾患、例えば、がんが処置されている間および処置された後に対象が病気を抱えているが、疾患が悪化していない時間の長さで表される。一部の局面では、客観的奏効(OR)は、測定可能な応答で表される。一部の局面では、客観的奏効率(ORR;場合によっては全奏効率としても知られる)は、CRまたはPRを達成した患者の割合で表される。一部の局面では、全生存期間(OS)は、診断日またはがんなどの疾患の処置の開始日のいずれかから、疾患と診断された対象が依然として生存している時間の長さで表される。一部の局面では、無イベント生存期間(EFS)は、がんの処置が終了した後、対象に、処置を阻止または遅延することになっている、ある特定の合併症もイベントも無い時間の長さで表される。これらのイベントは、がんの再発、またはある特定の症状、例えば、骨まで広がったがんによる骨疼痛の開始、または死亡を含む場合がある。
【0276】
一部の態様では、奏効期間(DOR)の尺度は、腫瘍応答の記録から疾患進行までの時間を含む。一部の態様では、応答を評価するためのパラメータは、永続性のある応答、例えば、療法開始から、ある期間の後に持続する応答を含むことがある。一部の態様では、永続性のある応答は、療法を開始して約1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、7ヶ月後、8ヶ月後、9ヶ月後、10ヶ月後、11ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、または24ヶ月後の奏効率によって示される。一部の態様では、応答は3ヶ月超または6ヶ月超にわたって永続する。
【0277】
一部の局面では、腫瘍縮小効果(objective tumor response)を確かめるために、一部の局面では、固形がんにおける腫瘍縮小効果を確かめるためにRECIST判断基準が用いられる(Eisenhauer et al., European Journal of Cancer 45 (2009) 228-247)。一部の局面では、RECIST判断基準は標的病変部に対する腫瘍縮小効果を確かめるために用いられる。いくつかの点において、RECIST判断基準を用いて確かめられる完全奏功は全ての標的病変部が消失することといわれ、(標的でも非標的でも)あらゆる病理学的リンパ節の短軸が<10mmまで短くなっていなければならない。他の局面では、RECIST判断基準を用いて確かめられる部分奏効は、ベースラインの直径の和を基準として、標的病変部の直径の和が少なくとも30%減少することといわれる。他の局面では、進行性疾患(PD)は、研究されている最小の和(これは、ベースラインの和が、研究されている最小の和であればベースラインの和を含む)を基準として、標的病変部の直径の和が少なくとも20%増加することといわれる。上記の和は20%の相対的増加に加えて、少なくとも5mmの絶対的増加も示さなければならない(一部の局面では、1つまたは複数の新たな病変部が現れることも進行であるとみなされる)。他の局面では、安定状態(SD)は、研究されている直径の最小の和を基準として、PRの認定を得るほどには十分に縮小しておらず、PDの認定を得るほどには十分に増大していないといわれる。
【0278】
一部の局面では、提供される方法に従う投与、および/または提供される製造物品もしくは組成物を用いた投与は、一般的に、対象における疾患または状態の拡大または負荷量を低減または阻止する。例えば、疾患または状態が腫瘍の場合、前記方法は、一般的に、腫瘍サイズ、容積(bulk)、転移、骨髄中にある芽細胞のパーセント、もしくは分子的に検出可能ながんを低減する、および/または予後もしくは生存もしくは腫瘍負荷量に関連する他の症状を改善する。
【0279】
疾患負荷量は、対象における、または対象の臓器、組織、もしくは体液における、例えば、腫瘍または別の位置、例えば、転移を示す位置の臓器または組織における疾患の細胞の総数を包含してもよい。例えば、腫瘍細胞は、ある特定の血液腫瘍の状況では血液中または骨髄中で検出および/または定量されてもよい。疾患負荷量は、一部の態様では、腫瘍の質量、転移の数もしくは程度、および/または骨髄に存在する芽細胞のパーセントを含んでもよい。
【0280】
一部の態様では、対象は白血病を有する。疾患負荷量の程度は、血液中または骨髄中の残存する白血病を評価することによって確かめることができる。
【0281】
一部の局面では、対象、例えば、CLLがある対象の奏効率はIWCLL(International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia)奏功判断基準(Hallek, et al., Blood 2008, Jun 15; 111(12): 5446-5456)に基づいている。一部の局面では、これらの判断基準は、以下:完全寛解(CR;場合によっては完全奏功としても知られる)、一部の局面では、免疫表現型検査による末梢血クローンリンパ球の非存在、リンパ節腫脹の非存在、肝腫大または巨脾腫の非存在、全身症状の非存在、および満足のいく血球数を必要とする; 不完全な骨髄回復を伴う完全寛解(complete remission with incomplete marrow recovery)(CRi)、一部の局面では、上記のCRで表されるが、正常な血球数を伴わない; 部分寛解(PR;場合によっては部分奏功としても知られる)、一部の局面では、リンパ球数の≧50%の低下、リンパ節腫脹の≧50%の低下、または肝臓もしくは脾臓における≧50%の低下と末梢血球数の改善で表される; 進行性疾患(PD)、一部の局面では、>5x109/Lまでのリンパ球数の≧50%の上昇、リンパ節腫脹の≧50%の増大、肝臓もしくは脾臓サイズの≧50%の増大、リヒター型形質転換(Richter’s transformation)、またはCLLによる新たな血球減少で表される; および安定、一部の局面では、CR、CRi、PR、またはPDの判断基準を満たしていないと表される、のように表される。
【0282】
一部の態様では、対象は、前記用量の細胞を投与して1ヶ月以内に、対象のリンパ節のサイズが20mm未満もしくは約20mm未満、サイズが10mm未満もしくは約10mm未満、またはサイズが10mm未満もしくは約10mm未満であれば、対象はCRまたはORを示す。
【0283】
一部の態様では、CLLのインデックスクローン(index clone)が対象の骨髄中に(または前記方法に従って処置された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、もしくはそれより多くの骨髄中に)検出されない。一部の態様では、CLLのインデックスクローンはIgHディープシークエンシングによって評価される。一部の態様では、インデックスクローンは、細胞を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または少なくとも1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または少なくとも約1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後の時間で評価されない。
【0284】
一部の態様では、例えば、光学顕微鏡により検出された時に、骨髄中に5%を上回るか、もしくはこれに等しい芽細胞、例えば、骨髄中に10%を上回るか、もしくはこれに等しい芽細胞、骨髄中に20%を上回るか、もしくはこれに等しい芽細胞、骨髄中に30%を上回るか、もしくはこれに等しい芽細胞、骨髄中に40%を上回るか、もしくはこれに等しい芽細胞、または骨髄中に50%を上回るか、もしくはこれに等しい芽細胞があれば、対象は形態的疾患を示す。一部の態様では、骨髄中に5%未満の芽細胞があれば、対象は完全寛解または臨床寛解を示す。
【0285】
一部の態様では、対象は白血病を有する。疾患負荷量の程度は、血液または骨髄における残存白血病を評価することによって確かめることができる。
【0286】
一部の態様では、対象は、例えば、光学顕微鏡によって検出された時に骨髄に5%超または5%の芽細胞があれば、例えば、骨髄に10%超もしくは10%の芽細胞、骨髄に20%超もしくは20%の芽細胞、骨髄に30%超もしくは30%の芽細胞、骨髄に40%超もしくは40%の芽細胞、または骨髄に50%超もしくは50%の芽細胞があれば形態学的疾患を示す。一部の態様では、対象は、骨髄に5%未満の芽細胞があれば完全寛解または臨床寛解を示す。
【0287】
一部の態様では、対象は完全寛解を示すことがあるが、少ない割合の、(光学顕微鏡法により)形態学的に検出不可能な残存白血病細胞が存在する。骨髄に5%未満の芽細胞を示し、かつ分子的に検出可能ながんを示せば、対象は微小残存病変(MRD)を示すといわれる。一部の態様では、分子的に検出可能ながんは、少数の細胞の高感度検出を可能にする様々な任意の分子的技法を用いて評価することができる。一部の局面では、MRDは、BM細胞において、1x10-4以上の頻度で、確認アッセイによって検出される。一部の局面では、このような技法には、ユニークなIg/T細胞受容体遺伝子再編成、または染色体転座によって生じた融合転写物を確かめることができるPCRアッセイが含まれる。一部の態様では、フローサイトメトリーを用いて、白血病特異的免疫表現型に基づいてがん細胞を特定することができる。一部の態様では、がんの分子的検出によって、100,000個の正常細胞の中で1個の白血病細胞を検出することができる。一部の態様では、例えば、PCRまたはフローサイトメトリーによって、100,000個の細胞の中で1個の白血病細胞が検出されれば、対象は、分子的に検出可能なMRDを示す。一部の態様では、場合によっては、PCRまたはフローサイトメトリー法を用いて白血病細胞が対象において検出できないように、対象の疾患負荷量は、分子的に検出不可能であるか、またはMRD-である。
【0288】
一部の態様では、対象の骨髄において(または前記方法に従って処置された対象の50%超、60%超、70%超、80%超、90%超、もしくはそれより多くの骨髄において)白血病の指標クローンが検出されない。一部の態様では、白血病、の指標クローンはIGHディープシークエンシングによって検出される。一部の態様では、指標クローンは、細胞を投与して1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後、または少なくとも、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後、4ヶ月後、5ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後、18ヶ月後、もしくは24ヶ月後、または少なくとも、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後、約12ヶ月後、約18ヶ月後、もしくは約24ヶ月後の時間で検出されない。
【0289】
一部の局面では、MRDはフローサイトメトリーによって検出される。フローサイトメトリーは、がん細胞があるかどうか骨髄および末梢血試料をモニタリングするのに使用することができる。特定の局面では、フローサイトメトリーは、骨髄におけるがん細胞の存在を検出またはモニタリングするのに用いられる。一部の局面では、フローサイトメトリーによるマルチパラメータ免疫学的検出が、がん細胞を検出するのに用いられる(例えば、Coustan-Smith et al., (1998) Lancet 351:550-554を参照されたい)。一部の局面では、マスサイトメトリーによるマルチパラメータ免疫学的検出が、がん細胞を検出するのに用いられる。一部の例では、がん細胞を検出するのに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、または50のパラメータを使用することができる。検出に用いられる抗原は、検出されているがんに基づいて選択される(Foon and Todd (1986) Blood 68:1-31)。
【0290】
一部の例では、骨髄が骨髄吸引または骨髄生検によって収集され、分析のためにリンパ球が単離される。単離されたリンパ球上にあるエピトープ、例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)、CD3、CD10、CD11c、CD13、CD14、CD33、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD34、CD45、CD56、CD79b、IgM、および/またはKORSA3544を検出するために、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン、ペリジニンクロロフィルタンパク質、またはビオチン)に結合したモノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を使用することができる。次いで、複数のエピトープを検出するためには、標識された細胞を、フローサイトメトリー、例えば、マルチパラメータフローサイトメトリー、またはマスサイトメトリーを用いて検出することができる。
【0291】
いくつかの態様において、ALLにおけるMRDの存在は、形態学的に5%未満のリンパ芽球を有することおよび/または有効なアッセイ法により2ラインの治療後の骨髄細胞中に1×10-4以上の頻度でMRDが検出されることに基づいて、判定することができる。いくつかの局面において、MRD奏効率は、操作された細胞組成物の投与後24ヶ月以内に骨髄中にMRDが検出されない(例えば、有効なアッセイ法によって0.01%未満)CRまたはCRiを達成する対象の、解析に利用可能な対象数に対する比率から求めることができる。
【0292】
リンパ系細胞は、光散乱ドットプロットに基づいて同定およびゲーティングし、次いで2回目のゲーティングをして関心対象の免疫表現型的特徴を表している細胞集団を同定することができる。例示的なエピトープを下記の表2に示している。白血病およびリンパ腫についての他の免疫学的分類には、例えばFoon and Todd Blood (1986) 68(1): 1-31およびMrozek et al., Hematol Oncol Clin North Am. 2009 October; 23(5): 991-vに記載されているものが含まれる。いくつかの局面において、MRDのフローサイトメトリー評価は、1種または複数種のALL表現型またはNHL表現型を有する生きたリンパ球を定量することによって実現することができる。いくつかの局面において、MRDのフローサイトメトリー評価は、1種または複数種のCLL免疫表現型(例えば、低レベルの前方/側方散乱;CD3陰性;CD5+;CD14陰性;CD19+;CD23+;CD45+;CD56陰性)を有する生きたリンパ球を定量することによって実現することができる。
【0293】
(表2)例示的な免疫表現型および細胞遺伝学的特徴
+: 症例の>90%で陽性
+/-: 症例の50%超で陽性
-/+: 症例の50%未満で陽性
-: 症例の<10%で陽性
Pan-Bマーカー: 例えば、CD19、CD20、CD79a
sIG: 表面免疫グロブリン
cyIg: 細胞質免疫グロブリン
【0294】
一部の局面では、収集されたB細胞の免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子座のディープシークエンシングを用いて微小残存病変(MRD)を検出することができる。特定のIgG再編成のクローンが存在することは、B細胞悪性腫瘍、例えば、ALLもしくはNHLの存在、および/またはその悪性細胞の残存物の存在を検出するためのマーカーとなることができる。一部の局面では、細胞、例えば、B細胞を含む集団またはB細胞を含むと疑われる集団が血液から収集および単離される。一部の局面では、細胞は、骨髄、例えば、骨髄吸引液もしくは骨髄生検材料および/または他の生物学的試料から収集および単離される。一部の局面では、相補性決定領域3(CDR3)のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅が、前記遺伝子座のV領域内およびJ領域内にある高度に保存された配列に対するプライマーを用いて成し遂げられ、前記プライマーは、微小残存病変を評価する目的で細胞のクローン集団を特定するのに用いられ得る。特定の系列の細胞の数に関する情報を提供する、および/または特定の可変鎖、例えば、可変重鎖もしくはその結合部位を発現するもの、例えば、クローン集団を含む、クローン集団を検出するための他の方法、例えば、シングル細胞配列決定アプローチが用いられる場合がある。一部の局面では、IGH DNAは、縮重プライマー、または異なる細胞クローン間で共有される可変鎖の領域を認識するプライマー、例えば、IGH配列のコンセンサスV領域および縮重コンセンサスJ領域を認識するプライマーを用いて増幅される。V領域の例示的な配列は、
である。J領域の例示的な縮重コンセンサス配列は、
である。
【0295】
PCR産物または配列決定結果は、一部の局面では、再編成された対立遺伝子に特異的であり、MRD検出のためのクローンマーカーとして役立つ。CDR3領域のPCR増幅後に、PCR産物を配列決定して、B細胞悪性腫瘍をCAR-T細胞療法、例えば、CD19 CAR-T細胞療法で処置した後のMRDを高感度検出するための対立遺伝子特異的PCR用のプローブとして構築した患者特異的オリゴヌクレオチドを得ることができる。コンセンサスプライマーを用いてPCR産物が生成されない例では、代わりにフレームワーク領域1に対するV領域ファミリー特異的プライマーを使用することができる。
【0296】
一部の局面では、処置後の、PCRによって検出可能な腫瘍細胞、例えば、B細胞悪性腫瘍、例えば、ALLまたはNHLの細胞、例えば、悪性IGH配列またはクローンIGH配列に対応する検出可能なIGH配列の持続性は再発リスクの増加と関連付けられる。一部の局面では、処置後に悪性IGH配列が陰性の患者は(一部の局面では、進行を示すか、もしくは部分奏効を示す、例えば、リンパ節腫脹の持続しか示さない他の判断基準、またはある状況では、疾患もしくは完全奏功の欠如と関連付けられる可能性がある他の判断基準の状況でも)、持続性の悪性IGH配列をもつ患者と比較してPFSの可能性が高いか、またはCRもしくは永続性のあるCRもしくは長期の生存期間に入ると考えられ得る。一部の態様では、このような予後およびステージ分類の決定は、例えば、他の臨床症状の分析、例えば、リンパ節サイズまたは他のステージ分類判断基準と比較して、療法を施した後、短期間で悪性細胞の一掃が観察される処置にとって特に関連した重要性をもつ。例えば、このような一部の局面では、他の利用可能なステージ分類または予後アプローチと比較して、骨髄などの試料中に、検出可能なIGHまたは微小残存病変が存在しないことは、応答、または応答の可能性、またはその永続性にとって好ましい読み取り値(readout)であるかもしれない。一部の局面では、MRDからの結果、例えば、IGHディープシークエンシング情報は、さらなる介入またはその欠如を特徴付ける場合がある。例えば、前記方法および他の提供される態様は、いくつかの状況では、悪性IGHが陰性であると思われる対象が、一部の局面では、提供される、ある用量の療法を用いて、これ以上処置されない場合があるか、もしくは悪性IGHが陰性であると思われる対象に、一部の局面では、提供される、ある用量の療法がこれ以上施されないか、または前記対象に、さらに少ない用量もしくは低減した用量が投与されることを提供する。逆に、IGHディープシークエンシングを介してMRDを示した対象は、例えば、同様の用量もしくはさらに多い用量の最初に施された療法を用いて、またはさらなる処置を用いて、さらに処置されることが提供または指定される場合がある。いくつかの局面において、疾患もしくは病態は、初回用量の投与後にも持続し、かつ/または初回用量の投与は、対象の疾患もしくは病態を完全に治すには十分ではない。
【0297】
いくつかの態様において、方法は、腫瘍細胞の数、腫瘍のサイズ、患者の生存期間またはイベントフリー生存期間の長さなどの疾患または病態の負荷を、同等の方法を用いた場合に観察されるであろう低減よりも、大きな程度まで、かつ/またはより長い期間、低減する。この同等の方法では、代替え投与レジメン、例えば、1種もしくは複数種の代替え治療物質を対象に投与するレジメン、ならびに/または提供される方法に従って、かつ/もしくは提供される製造品もしくは組成物とともに細胞の用量および/もしくはリンパ球枯渇剤を対象に投与することをしないレジメンを用いる。いくつかの態様において、対象における疾患または病態の負荷は、検出、評価、または測定される。いくつかの局面において、疾患負荷は、対象中、または対象の器官、組織、もしくは体液、例えば血液もしくは血清の中の疾患細胞または疾患関連細胞、例えば腫瘍細胞の総数を検出することによって検出され得る。いくつかの局面において、対象の生存率、特定の期間内の生存率、生存の程度、イベントフリー生存もしくは無症状生存または無再発生存の存在または持続期間が評価される。いくつかの態様において、疾患または病態の任意の症状が評価される。いくつかの態様において、疾患または病態の負荷の尺度が指定される。
【0298】
いくつかの態様において、方法により、他の方法と比べて対象のイベントフリー生存率または全生存率が改善する。他の方法とは、例えば、1種もしくは複数種の代替え治療物質を対象に投与する方法、ならびに/または提供される方法に従って、かつ/もしくは提供される製造品もしくは組成物とともに細胞の用量および/もしくはリンパ球枯渇剤を対象に投与することをしない方法である。例えば、いくつかの態様において、方法によって処置された対象の投与後6ヶ月時点のイベントフリー生存率または確率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。いくつかの局面において、全生存率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。いくつかの態様において、方法によって処置された対象は、少なくとも6ヶ月、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年までの、イベントフリー生存、無再発生存、または生存を示す。いくつかの態様において、無増悪期間が長くなり、例えば、無増悪期間は、6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年である。
【0299】
いくつかの態様において、方法または使用による処置後、他の方法と比べて再発確率が低下する。他の方法とは、例えば、1種もしくは複数種の代替え治療物質を対象に投与する方法、ならびに/または提供される方法に従って、かつ/もしくは提供される製造品もしくは組成物とともに細胞の用量および/もしくはリンパ球枯渇剤を対象に投与することをしない方法である。例えば、いくつかの態様において、初回投与後6ヶ月時点の再発確率は、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0300】
いくつかの態様において、評価される尺度または基準は、薬物動態パラメーターまたは曝露に関連するパラメーターである。いくつかの態様において、薬物動態パラメーターは、操作された細胞の投与から一定期間後に対象中に存在する操作された細胞の最大濃度(Cmax)である。いくつかの態様において、Cmaxは、操作された細胞の投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、または24ヶ月目まで測定される。いくつかの態様において、薬物動態パラメーターは、対象中に存在する操作された細胞が最大濃度に至るまでの時間(Tmax)である。いくつかの態様において、Tmaxは、操作された細胞の投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、または24ヶ月目まで測定される。いくつかの態様において、薬物動態パラメーターは、対象中に存在する操作された細胞の曲線下面積(AUC)である。いくつかの態様において、AUCは、操作された細胞の投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、または24ヶ月目まで測定される。
【0301】
場合によっては、薬物動態は、投与後の最大(最高)血漿中濃度(Cmax)、ピークまでの時間(すなわち、最大血漿中濃度(Cmax)が生じる時間;Tmax)、最低血漿中濃度(すなわち、治療物質、例えばCAR+T細胞の投与間の最低血漿中濃度;Cmin)、消失半減期(T1/2)、および曲線下面積(すなわち、治療物質CAR+T細胞の時間対血漿中濃度をプロットすることによって得られる曲線下面積;AUC)などのパラメーターを測定することによって評価することができる。特定の治療物質、例えばCAR+T細胞の投与後の血漿中濃度は、血液試料中の治療物質、例えばCAR+T細胞の濃度を評価するのに適する当技術分野において公知である任意の方法または本明細書において説明する任意の方法を用いて、測定することができる。例えば、定量的PCR(qPCR)などの核酸を用いる方法もしくはフローサイトメトリーに基づく方法、または他のアッセイ法、例えば、イムノアッセイ法、ELISA、もしくはクロマトグラフィー/質量分析法に基づくアッセイ法を使用することができる。
【0302】
いくつかの態様において、投与細胞、例えばCAR+T細胞組成物の薬物動態(PK)が、投与細胞の利用能、例えば生物学的利用能を評価するために測定される。いくつかの態様において、投与細胞について測定される薬物動態パラメーターには、最大(最高)血漿中濃度(Cmax)、例えば、CD3+CAR+細胞、CD4+CAR+細胞、および/もしくはCD8+CAR+T細胞のCmax;Cmaxに達する時点(Tmax)、例えば、CD3+CAR+細胞、CD4+CAR+細胞、および/もしくはCD8+CAR+T細胞のTmax;ならびに/または曲線下面積(AUC)、例えば、CD3+CAR+細胞、CD4+CAR+細胞、および/もしくはCD8+CAR+T細胞のAUC0-28が含まれる。いくつかの態様において、薬物動態パラメーターは、CD3+CAR+T細胞の最高濃度(Cmax CD3+CAR+T細胞)またはCD8+CAR+T細胞の最高濃度(Cmax CD8+CAR+T細胞)である。いくつかの態様において、薬物動態パラメーターは、CD3+CAR+T細胞のAUC0-28(AUC0-28 CD3+CAR+T細胞)またはCD8+CAR+T細胞のAUC0-28(AUC0-28 CD8+CAR+T細胞)である。
【0303】
いくつかの態様において、「曝露」は、治療物質、例えばCAR+T細胞を一定期間にわたって投与した後の、血漿(血液または血清)中の該治療物質に対する身体曝露を意味し得る。いくつかの態様において、曝露は、治療物質、例えばCAR+T細胞の用量を投与した後に薬物動態解析によって測定される、治療物質の濃度時間曲線下面積(AUC)と説明することができる。いくつかの場合において、AUCは、細胞療法によって細胞が投与される場合は細胞数×日数/μLの単位で、またはそれに対応する単位で表される。いくつかの態様において、AUCは、患者集団、例えば、標本患者集団における平均AUC、例えば、1名または複数名の患者から得た平均AUCとして測定される。いくつかの態様において、全身曝露とは、一定の期間内、例えば、0日目から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、28日目もしくはそれ以降、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15週目もしくはそれ以降、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18、24、48ヶ月目もしくはそれ以降までの、曲線下面積(AUC)を意味する。いくつかの態様において、AUCは、治療物質、例えばCAR+T細胞の投与後0日目~28日目までのAUC(AUC0-28)として測定され、すべての測定データおよび測定された薬物動態学(PK)パラメーターから外挿されたデータ、例えば、標本患者集団などの患者集団から得られた平均AUCが含まれる。いくつかの態様において、経時的曝露、例えば、AUC0-28のような一定期間のAUCを測定するために、複数の測定値またはパラメーター、例えば細胞濃度の経時的評価を用いて、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、21、もしくは28日またはそれ以上の日数ごとに測定を行って、治療物質の濃度時間曲線を作成する。
【0304】
いくつかの態様において、組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞を用いる療法のために投与されるCAR発現細胞)の、対象における存在および/または量が、T細胞の投与後、ならびに療法を施す前、施している最中、および/または施した後に検出される。いくつかの局面において、定量的PCR(qPCR)などの核酸に基づく方法が、組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞を用いる療法のために投与されるCAR発現細胞)の、対象の血液もしくは血清または器官もしくは組織標本(例えば疾患部位、例えば腫瘍標本)中の量を評価するために使用される。いくつかの局面において、存続性は、DNA 1μg当たりの、CARなどの受容体をコードするDNAもしくはプラスミドのコピー数として、あるいは試料、例えば血液もしくは血清1μl当たりの、または試料1μl当たりの末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球もしくはT細胞の総数当たりの、受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞の数として、定量される。いくつかの態様において、qPCRまたは他の核酸に基づく方法のために使用されるプライマーまたはプローブは、組換え受容体をコードする核酸ならびに/またはプラスミドおよび/もしくはベクターの他の構成要素もしくはエレメントに結合し、認識し、かつ/または増幅するために特異的である。これら他の構成要素またはエレメントには、調節エレメント、例えば、プロモーター、転写および/もしくは転写後の調節エレメントもしくは応答エレメント、またはマーカー、例えば代替マーカーが含まれる。いくつかの態様において、プライマーは、ウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節エレメント(WPRE)などの調節エレメントに特異的であることができる。
【0305】
いくつかの態様において、細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後4、14、15、27、もしくは28日目、または少なくとも4、14、15、27、もしくは28日目に、対象において検出される。いくつかの局面において、細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後2、4、もしくは6週目、または少なくとも2、4、もしくは6週目に、あるいは3、6、もしくは12、18、もしくは24、もしくは30、もしくは36ヶ月目、または少なくとも3、6、もしくは12、18、もしくは24、もしくは30、もしくは36ヶ月目に、あるいは1、2、3、4、5年目もしくはそれ以降、または少なくとも1、2、3、4、5年目もしくはそれ以降に、検出される。
【0306】
いくつかの態様において、ピークレベルおよび/もしくはAUCが評価され、かつ/または試料が、遺伝子操作細胞の投与開始後、少なくとも8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目、14日目、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目、または21日目である時点に対象から取得される。いくつかの態様において、ピークレベルおよび/もしくはAUCが評価され、かつ/または試料が、遺伝子操作細胞の投与開始後、11~22日、12~18日、もしくは14~16日、または約11~22日、約12~18日、もしくは約14~16日(両端の値を含む)である時点に対象から取得される。
【0307】
曝露、例えば、拡大増殖および/または存続性を示唆する、細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の数または濃度は、対象が曝露される細胞の最大の数もしくは濃度、細胞が検出可能であるかもしくは細胞が一定の比率を上回る期間、細胞の数もしくは濃度についての曲線下面積(AUC)の推移、ならびに/またはそれらの組合せおよびそれらの指標の観点から述べることができる。このような結果は、特定の試料、例えば、血液、血清、血漿、もしくは組織、例えば組織標本の中の核酸もしくはDNAの総量と比べて、組換え受容体をコードする核酸のコピー数を検出するためのqPCR、および/または受容体に特異的な抗体を通常は用いる、受容体発現細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイ法などの公知の方法を用いて評価することができる。細胞ベースのアッセイ法もまた、機能的細胞、例えば、疾患もしくは病態の細胞または受容体によって認識される抗原を発現している細胞に対して、結合能力および/もしくは中和能力ならびに/または応答、例えば細胞障害性応答の誘導能力を有する細胞の数もしくは比率または濃度を検出するために使用されてよい。
【0308】
いくつかの場合において、投与細胞、例えば養子移入された細胞の薬物動態が、投与細胞の利用能、例えば生物学的利用能を評価するために測定される。養子移入された細胞の薬物動態を測定するための方法は、操作細胞を投与された対象から末梢血を採取する段階および末梢血中の操作細胞の数または比率を測定する段階を含んでよい。細胞を選択および/または単離するためのアプローチは、キメラ抗原受容体(CAR)に特異的な抗体(例えば、Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 2013 Mar; 5(177): 177ra38);タンパク質L(Zheng et al., J. Transl. Med. 2012 Feb; 10:29);CAR中の特定部位に直接導入されるStrep-Tag配列などのエピトープタグ(Strep-Tagに対する結合試薬を用いてCARを直接的に評価する)(Liu et al. (2016) Nature Biotechnology, 34:430; 国際特許出願公開WO2015095895)、およびCARポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体(国際特許出願公開WO2014190273を参照されたい)の使用を含んでよい。いくつかの場合において、外因性マーカー遺伝子が、細胞の検出または選択を可能にするため、また場合によっては細胞自殺を促進するために、操作細胞を用いる療法とともに使用されてよい。いくつかの場合において、短縮型の上皮増殖因子受容体(EGFRt)を、形質導入された細胞において、(例えばCARをコードする)関心対象の導入遺伝子と同時発現させることができる(例えば米国特許第8,802,374号を参照されたい)。EGFRtは、抗体セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))または他の治療的な抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含む場合があり、このことを利用して、EGFRt構築物および別の組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を用いて操作された細胞を同定もしくは選択し、かつ/または該受容体を発現する細胞を排除もしくは分離することができる。例えば、米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434を参照されたい。
【0309】
いくつかの態様において、患者から得た生物試料、例えば血液中のCAR+T細胞の数は、例えば細胞の薬物動態を測定するために、細胞療法薬の投与後のある期間に測定することができる。いくつかの態様において、対象の血液中または方法によってそのように処置された対象の大半において検出可能なCAR+T細胞、任意でCAR+CD8+T細胞および/またはCAR+CD4+T細胞の数は、1細胞/μLより多い、5細胞/μLより多い、または10細胞/μLより多い。
【0310】
D 毒性
いくつかの態様において、提供される方法および使用は、例えば、代替えCAR+T細胞組成物などの代替え細胞療法薬の投与および/または所定の比率で投与されない細胞投与などの別の細胞投与と比べて、毒性、毒性の転帰もしくは症状、毒性を促進する特徴、因子、もしくは特性、例えばサイトカイン放出症候群(CRS)もしくは神経毒性に関連するかもしくはそれを示唆する症状もしくは転帰の比率を低くし、かつ/または程度を低くする特徴を含み得る。
【0311】
いくつかの態様において、提供される方法および使用は、高い比率または高い可能性の毒性も毒性転帰ももたらさず、言い換えると、例えば他のいくつかの細胞療法と比べて、毒性または毒性転帰、例えば、神経毒性(NT)、サイトカイン放出症候群(CRS)の比率または可能性を低くする。いくつかの態様において、方法は、重度NT(sNT)、重度CRS(sCRS)、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、3またはそれ以上の日数の少なくとも38℃または少なくとも約38℃の熱、および少なくとも20mg/dLまたは少なくとも約20mg/dLのCRP血漿レベルをもたらしもせず、それらのリスクを高めもしない。いくつかの態様において、提供される方法に従って処置された対象の30%、35%、40%、50%、55%、60%もしくはそれ以上より多く、または約30%、35%、40%、50%、55%、60%もしくはそれ以上より多くは、いかなるグレードのCRSもいかなるグレードの神経毒性も示さない。いくつかの態様において、処置された対象の50%以下(例えば、処置された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)が、グレード2超のサイトカイン放出症候群(CRS)および/またはグレード2超の神経毒性を示す。いくつかの態様において、方法に従って処置された対象の少なくとも50%(例えば、処置された対象の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上)は、重度の毒性転帰(例えば、重度CRSまたは重度の神経毒性)を示さず;例えば、グレード3以上の神経毒性を示さず、かつ/または重度CRSを示さず;または処置後の一定期間内、例えば、細胞の投与から1週間、2週間、もしくは1ヶ月以内に、そのようにならない。いくつかの態様において、ある種の毒性を測定するために評価されるパラメーターには、有害事象(AE)、用量規定毒性(DLT)、CRS、およびNTが含まれる。
【0312】
養子T細胞療法の実施、例えばキメラ抗原受容体を発現するT細胞を用いる治療は、サイトカイン放出症候群および神経毒性などの毒性作用または毒性転帰を引き起こす場合がある。いくつかの例において、このような作用または転帰は、高レベルの循環血中サイトカインと同時に起こり、これらは、観察される毒性の根底にある可能性がある。
【0313】
いくつかの態様において、有害事象(AE)の存在または発現は、操作された細胞の投与後に測定または判定される。いくつかの局面において、有害事象(AE)、重篤有害事象(SAE)、および臨床検査値異常(全体ならびに臨床的、組織学的、および分子的サブグループ)のタイプ、頻度、および重症度が測定される。いくつかの態様において、提供される方法に従って処置された対象の20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%もしくはそれ以上より多く、または約20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%もしくはそれ以上より多くは、いかなるAEもSAEも示さない。
【0314】
一部の局面では、毒性アウトカムはサイトカイン放出症候群(CRS)もしくは重度CRS(sCRS)であるか、サイトカイン放出症候群(CRS)もしくは重度CRS(sCRS)に関連するか、またはサイトカイン放出症候群(CRS)もしくは重度CRS(sCRS)を示す。CRS、例えば、sCRSは、場合によっては、養子T細胞療法後に、および他の生物製品が対象に投与された後に起こることがある。Davila et al., Sci Transl Med 6, 224ra25 (2014); Brentjens et al., Sci. Transl. Med. 5, 177ra38 (2013); Grupp et al., N. Engl. J. Med. 368, 1509-1518 (2013);およびKochenderfer et al., Blood 119, 2709-2720 (2012); Xu et al., Cancer Letters 343 (2014) 172-78を参照されたい。
【0315】
典型的に、CRSは、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、単球、および/またはマクロファージによって媒介される悪化した全身免疫応答によって引き起こされる。このような細胞は、多量の炎症メディエーター、例えば、サイトカインおよびケモカインを放出することがある。サイトカインは急性炎症応答を誘発することがある、および/または微小血管漏出、心不全、もしくは死亡の原因となり得る内皮臓器損傷を誘導することがある。重度の、命に関わるCRSは、肺浸潤および肺損傷、腎不全、または播種性血管内凝固につながる可能性がある。他の重度の、命に関わる毒性には、心毒性、呼吸窮迫、神経毒性、および/または肝不全が含まれ得る。
【0316】
CRSは、抗炎症性療法、例えば、抗IL-6療法、例えば、抗IL-6抗体、例えば、トシリズマブ、または抗生物質、または記載されるような薬剤を用いて処置されることがある。CRSのアウトカム、徴候、および症状は公知であり、本明細書に記載のものを含む。一部の態様では、特定のレジメンもしくは投与が、ある特定のCRS関連アウトカム、徴候、もしくは症状をもたらす場合、または特定のレジメンもしくは投与が、ある特定のCRS関連アウトカム、徴候、もしくは症状をもたらさない場合、特定のアウトカム、徴候、および症状、ならびに/またはその数量もしくは程度が指定されることがある。
【0317】
CAR発現細胞の投与の状況では、CRSは、典型的には、CARを発現する細胞を注入して6~20日後に起こる。Xu et al., Cancer Letters 343 (2014) 172-78を参照されたい。場合によっては、CRSは、CAR T細胞の注入後、6日未満または20日を超える時点で起こる。CRSの発生率およびタイミングは注入時のベースラインサイトカインレベルまたは腫瘍負荷量と関係する場合がある。一般的に、CRSは、インターフェロン(IFN)-γ、腫瘍壊死因子(TNF)-α、および/またはインターロイキン(IL)-2の血清レベルの上昇を伴う。CRSにおいて迅速に誘導され得る他のサイトカインは、IL-1β、IL-6、IL-8、およびIL-10である。
【0318】
例示的なCRS関連アウトカムには、発熱、硬直、悪寒、低血圧、呼吸困難、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳症、ALT/ASTの上昇、腎不全、心臓障害、低酸素、神経障害、および死亡が含まれる。神経学的合併症には、せん妄、発作様活動、錯乱、喚語困難(word-finding difficulty)、失語症、および/または昏迷状態が含まれる。他のCRS関連アウトカムには、疲労、悪心、頭痛、発作、頻拍、筋肉痛、発疹、急性血管漏出症候群、肝機能低下、および腎不全が含まれる。一部の局面では、CRSは、1種類または複数種の因子、例えば、血清フェリチン、d-ダイマー、アミノトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、およびトリグリセリドの増加に関連するか、または低フィブリノゲン血症もしくは肝脾腫に関連する。CRSに関連する他の例示的な徴候または症状には、血行動態不安定、発熱性好中球減少、血清中C反応性タンパク質(CRP)の増加、凝固パラメーター(例えば、国際標準比(INR)、プロトロンビン時間(PTI)、および/もしくはフィブリノーゲン)の変化、心臓機能および他の器官機能の変化、ならびに/または絶対好中球数(ANC)が含まれる。
【0319】
一部の態様では、CRS関連アウトカムには、持続性の発熱、例えば、2日以上、例えば、3日以上、例えば、4日以上にわたる、または少なくとも3日間連続した、指定された温度の発熱、例えば、38℃または約38℃を超える発熱;38℃または約38℃を超える発熱;サイトカインの上昇、例えば、少なくとも2種類のサイトカイン(例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、ならびに/もしくは腫瘍壊死因子α(TNFα)からなる群のうちの少なくとも2つ)の処置前レベルと比較した最大倍率変化、例えば、少なくとも75もしくは少なくとも約75の最大倍率変化、またはこのようなサイトカインの少なくとも1つの最大倍率変化、例えば、少なくとも250もしくは少なくとも約250の最大倍率変化;ならびに/あるいは毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば、低血圧(例えば、少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬(intravenous vasoactive pressor)によって測定した時);低酸素(例えば、90%未満または約90%未満の血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/あるいは1つまたは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および発作を含む)の1つまたは複数が含まれる。
【0320】
例示的なCRS関連アウトカムには、サイトカインおよびケモカイン、ならびにCRSに関連する他の因子を含む1種類または複数種の因子の増大した、または高い血清レベルが含まれる。さらに、例示的なアウトカムには、このような因子の1つまたは複数の合成または分泌の増加が含まれる。このような合成または分泌は、T細胞、またはT細胞と相互作用する細胞、例えば、自然免疫細胞もしくはB細胞によるものでもよい。
【0321】
一部の態様では、CRS関連血清因子またはCRS関連アウトカムには、インターフェロンγ(IFN-γ)、TNF-a、IL-1β、IL-2、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Ra、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージ炎症性タンパク質(MIP)-1、腫瘍壊死因子α(TNFα)、IL-6、およびIL-10、IL-1β、IL-8、IL-2、MIP-1、Flt-3L、フラクタルカイン、および/またはIL-5を含む、炎症性サイトカインおよび/またはケモカインが含まれる。一部の態様では、前記因子またはアウトカムにはC反応性タンパク質(CRP)が含まれる。CRPはCRSの早期に、かつ容易に測定可能な危険因子であることに加えて、細胞の拡大増殖マーカーでもある。一部の態様では、高レベル、例えば、≧15mg/dLのCRPがあると測定された対象はCRSを有する。一部の態様では、高レベルのCRPがあると測定された対象はCRSを有さない。一部の態様では、CRSの測定は、CRPおよびCRSを示す別の因子の測定を含む。
【0322】
一部の態様では、CAR処置の前、間、または後に1種類または複数種の炎症性サイトカインまたはケモカインがモニタリングされる。一部の局面では、1種類または複数種のサイトカインまたはケモカインには、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-1β、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、sIL-2Rα、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、またはマクロファージ炎症性タンパク質(MIP)が含まれる。一部の態様では、IFN-γ、TNF-α、およびIL-6がモニタリングされる。
【0323】
どの患者が、sCRSを発症するリスクがある可能性が高いかを予測するために、CRSの発症と相関するように思われるCRS判断基準が開発されている(Davilla et al. Science translational medicine. 2014;6(224):224ra25を参照されたい)。因子には、発熱、低酸素、低血圧、神経変化、炎症性サイトカイン、例えば、処置によって誘導される上昇が処置前の腫瘍負荷量およびsCRS症状とよい相関を示すことができる7種類一組のサイトカイン(IFNγ、IL-5、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびGM-CSF)の血清レベルの上昇が含まれる。CRSの診断および管理に関する他のガイドラインは公知である(例えば、Lee et al, Blood. 2014;124(2):188-95を参照されたい)。一部の態様では、CRSグレードを反映する判断基準は、以下の表3に詳述した判断基準である。
【0324】
(表3)CRSの例示的なグレード分類基準
【0325】
一部の態様では、本明細書において用いられる場合、対象は、投与後に、(1)少なくとも3日にわたる少なくとも38℃の発熱;(2)(a)投与直後のレベルと比較して、以下の7種類のサイトカイン:インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5のグループの少なくとも2つについて少なくとも75の最大倍率変化、ならびに/または(b)投与直後のレベルと比較して、以下の7種類のサイトカイン:インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5のグループの少なくとも1つについて少なくとも250の最大倍率変化のいずれかを含むサイトカイン上昇;ならびに(c)毒性の少なくとも1つの臨床徴候、例えば、低血圧(少なくとも1種類の静脈内血管作動性昇圧薬を必要とする)または低酸素(PO2<90%)または1つもしくは複数の神経障害(精神状態変化、鈍麻、および/もしくは発作を含む)を示すのであれば、細胞療法またはその用量の細胞の投与に応答または付随して「重度CRS」(「sCRS」)を発症しているとみなされる。一部の態様では、重度CRSは、グレード3以上のCRS、例えば、表3に示したCRSを含む。
【0326】
いくつかの態様において、重度CRSまたはグレード3以上のCRS、例えばグレード4以上に関連する転帰には、以下のうちの1つまたは複数が含まれる:持続的な発熱、例えば、2もしくはそれ以上、例えば3もしくはそれ以上、例えば4もしくはそれ以上の日数の、または少なくとも3日連続の、指定温度、例えば38℃超または約38℃超の発熱;38℃超または約38℃超の発熱;サイトカインの増加、例えば、少なくとも2種のサイトカイン(例えば、インターフェロンγ(IFNγ)、GM-CSF、IL-6、IL-10、Flt-3L、フラクタルカイン、およびIL-5、ならびに/もしくは腫瘍壊死因子α(TNFα)からなる群に属する少なくとも2種)の処置前レベルと比べて、例えば少なくとも75もしくは少なくとも約75の最大変化率、またはそのようなサイトカインのうちの少なくとも1種について、例えば少なくとも250もしくは少なくとも約250の最大変化率;ならびに/あるいは毒性についての少なくとも1種の臨床徴候、例えば、低血圧(例えば、少なくとも1種の静脈内血管作動性昇圧薬を用いて測定した場合);低酸素(例えば90%未満または約90%未満の血漿酸素(PO2)レベル);ならびに/あるいは1種または複数種の神経障害(精神状態の変化、鈍麻、および発作を含む)。いくつかの態様において、重度CRSには、集中治療室(ICU)での管理または看護を必要とするCRSが含まれる。
【0327】
いくつかの態様において、CRS、例えば重度CRSは、(1)持続性の発熱(少なくとも3日間の少なくとも38℃の発熱)および(2)少なくとも20mg/dLまたは少なくとも約20mg/dLのCRP血清レベルの組合せを含む。いくつかの態様において、CRSは、2種もしくはそれ以上の血管収縮薬を必要とする低血圧または機械的人工換気を必要とする呼吸不全を含む。いくつかの態様において、血管収縮薬の投与量は、2回目または後続の投与において増やされる。
【0328】
いくつかの態様において、重度CRSまたはグレード3のCRSは、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの増加、悪寒、発熱性好中球減少、頭痛、左室機能不全、脳障害、水頭症、および/または振戦を含む。
【0329】
様々なアウトカムを測定または検出するための方法を指定することができる。
【0330】
一部の局面では、毒性アウトカムは神経毒性であるか、または神経毒性に関連する。一部の態様では、神経毒性の臨床リスクに関連する症状には、錯乱、せん妄、失語症、表出性失語、鈍麻、ミオクローヌス、嗜眠、精神状態変化、痙攣、発作様活動、発作(任意で、脳波[EEG]によって確認される)、高レベルのβアミロイド(Aβ)、高レベルのグルタミン酸、および高レベルの酸素ラジカルが含まれる。一部の態様では、神経毒性は(例えば、グレード1~5スケールを用いて)重症度に基づいてグレード分類される(例えば、Guido Cavaletti & Paola Marmiroli Nature Reviews Neurology 6, 657-666 (December 2010); National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria version 4.03 (NCI-CTCAE v4.03)を参照されたい)。
【0331】
場合によっては、神経症状はsCRSの最初期の症状でもよい。一部の態様では、神経症状は細胞療法注入の5~7日後に始まることが認められる。一部の態様では、神経変化の持続期間は3~19日でもよい。場合によっては、sCRSの他の症状が消散した後に神経変化の回復が起こる。一部の態様では、神経変化の消散の時間または程度は、抗IL-6および/またはステロイドを用いた処置によって早まらない。
【0332】
一部の態様では、対象は、投与後に、1)末梢運動神経の炎症または変性を含む末梢性運動ニューロパチーの症状;2)末梢感覚神経の炎症または変性を含む末梢性感覚ニューロパチーの症状、ジセステジア、例えば、異常な感覚および不快な感覚の原因となる感覚認知のゆがみ、神経痛、例えば、神経もしくは神経群に沿った激しく痛い感覚、ならびに/またはパレステジア、例えば、刺激の非存在下での刺痛、しびれ、圧力、冷感、および温感の異常な皮膚感覚の原因となる感覚ニューロンの機能障害の中から、セルフケア(例えば、入浴、衣服の着脱、食事、トイレの使用、服薬)を制限する症状を示すのであれば、細胞療法またはその用量の細胞の投与に応答または付随して「重度の神経毒性」を発症しているとみなされる。一部の態様では、重度の神経毒性は、グレードが3以上の神経毒性、例えば、表4に示した神経毒性を含む。
【0333】
(表4)神経毒性の例示的なグレード分類基準
【0334】
いくつかの態様において、方法は、他の方法と比べて、CRSまたは神経毒性に関連する症状を減らす。いくつかの局面において、提供される方法は、他の方法と比べて、重度CRSまたはグレード3以上のCRSに関連する症状、転帰、または因子を含む、CRSに関連する症状、転帰、または因子を減らす。例えば、本発明の方法に従って処置された対象は、説明した、例えば表3で説明したいずれかのようなCRS、例えば重度CRSまたはグレード3以上のCRSについての検出可能な症状、転帰、もしくは因子を持たない場合があるか、かつ/または症状、転帰、もしくは因子が減少している場合がある。いくつかの態様において、本発明の方法に従って処置された対象は、他の方法によって処置された対象と比べて、神経毒性の症状が減少している場合があり、該症状は、例えば、四肢の衰弱または麻痺;記憶、視力、および/または知力の低下;制御できない強迫行動および/または強制行動;妄想;頭痛;運動制御の低下、認知衰退、および自律神経系機能障害を含む認知および行動に関する問題;ならびに性機能不全である。いくつかの態様において、本発明の方法に従って処置された対象は、末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、異常感覚、神経痛、または知覚異常に関連する症状が減少している場合がある。
【0335】
いくつかの態様において、方法は、神経系および/または脳に対する損傷、例えばニューロン死を含む、神経毒性に関連する転帰を減らす。いくつかの局面において、方法は、神経毒性に関連する因子、例えば、βアミロイド(Aβ)、グルタミン酸、および酸素ラジカルのレベルを低下させる。
【0336】
いくつかの態様において、毒性転帰は、用量制限毒性(DLT)である。いくつかの態様において、毒性転帰は、用量制限毒性である。いくつかの態様において、毒性転帰は、用量制限毒性が存在しないことである。いくつかの態様において、用量制限毒性(DLT)は、特定の毒性を評価するための任意の公知または公開された指針によって評価した場合の、グレード3以上の任意の毒性と定義される。このような指針は、例えば前述のいずれかであり、国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.0を含む。
【0337】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともにT細胞の用量を投与した際に観察される、毒性、例えばCRSもしくは神経毒性または重度のCRSもしくは神経毒性、例えばグレード3以上のCRSもしくは神経毒性を発症する比率、リスク、または可能性が低いことから、外来患者扱いで細胞療法薬を投与することが可能になる。いくつかの態様において、提供される方法に従い、かつ/または提供される製造品もしくは組成物を用いる、細胞療法薬、例えば、T細胞(例えばCAR+T細胞)の用量の投与は、外来患者扱いで実施されるか、または対象の入院、例えば一晩の滞在を要する入院を必要としない。
【0338】
いくつかの局面において、外来患者扱いで処置される対象を含む、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに細胞療法薬、例えば、T細胞(例えばCAR+T細胞)の用量を投与される対象は、該対象が毒性、例えば神経毒性もしくはCRSの徴候もしくは症状を示さない限りまたは示すまで、該細胞用量の投与の前または投与とともに、任意の毒性を処置するための介入を受けない。毒性を処置、遅延、減弱、または改善するための例示的な作用物質は、本明細書において説明する。
【0339】
いくつかの態様において、外来患者扱いで処置される対象を含む、細胞療法薬、例えば、T細胞(例えばCAR+T細胞)の用量を投与される対象が発熱を示す場合、該対象は、熱を下げるための治療剤を与えられるか、または摂取もしくは投与するよう指示される。いくつかの態様において、対象の発熱は、特定の閾値温度もしくは閾値レベルまたはそれより高い(またはそう測定される)該対象の体温と特徴付けられる。いくつかの局面において、閾値温度は、少なくとも低度の発熱、少なくとも中度の発熱、および/または少なくとも高度の発熱に関連しているものである。いくつかの態様において、閾値温度は、特定の温度または範囲である。例えば、閾値温度は、38、39、40、41、もしくは42℃または約38、39、40、41、もしくは42℃、あるいは少なくとも38、39、40、41、もしくは42℃または少なくとも約38、39、40、41、もしくは42℃であってよく、かつ/あるいは38℃もしくは約38℃から、39℃もしくは約39℃の範囲、39℃もしくは約39℃から、40℃もしくは約40℃の範囲、40℃もしくは約40℃から、41℃もしくは約41℃の範囲、または41℃もしくは約41℃から、42℃もしくは約42℃の範囲であってよい。
【0340】
いくつかの態様において、熱を下げるように設計された治療は、解熱剤を用いる治療を含む。解熱剤は、熱を下げる任意の作用物質、例えば、化合物、組成物、または成分、例として、NSAID(イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、およびニメスリドなど)、サリチル酸類、例えば、アスピリン、サリチル酸コリン、サリチル酸マグネシウム、およびサリチル酸ナトリウム、パラセタモール、アセトアミノフェン、メタミゾール、ナブメトン、フェナキソン、アンチピリン、解熱薬など解熱効果を有することが公知である任意の数の作用物質のうちの1つを含んでよい。いくつかの態様において、解熱剤はアセトアミノフェンである。いくつかの態様において、アセトアミノフェンは、4時間ごとを上限として、12.5mg/kgの用量で経口または静脈内投与することができる。いくつかの態様において、解熱剤は、イブプロフェンもしくはアスピリンであるか、またはイブプロフェンもしくはアスピリンを含む。
【0341】
いくつかの態様において、発熱が持続的発熱である場合、本明細書において説明するいずれかのような、毒性を処置するための代替え治療剤が対象に投与される。外来患者扱いで処置される対象について、持続的発熱を有し、かつ/または有すると判定される場合、該対象は病院に戻るように指示される。いくつかの態様において、対象は、次の場合に、持続的発熱を有し、かつ/または有すると判定されるかもしくはみなされる:解熱剤、例えば、NSAIDまたはサリチル酸類、例えば、イブプロフェン、アセトアミノフェン、またはアスピリンを用いる治療のような、熱を下げるように設計された治療などの指定治療の後に、対象が、妥当な閾値温度またはそれ以上の熱を示し、かつその際、該対象の熱もしくは体温が下がらないか、または指定の量もしくは指定の量より多くは下がらない(例えば、1℃より多くは下がらない。一般に、約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃より多くは変動しない)、場合。例えば、対象は、対象が、少なくとも38もしくは39℃または少なくとも約38または39℃の熱を示すか、または示すと判定され、この熱が、アセトアミノフェンなどの解熱剤を用いる治療後でさえ、6時間にわたって、8時間にわたって、もしくは12時間にわたって、または24時間にわたって、0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃下がらないか;あるいは0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃より多く、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃より多く下がらないか、あるいは1%、2%、3%、4%、もしくは5%、または約1%、2%、3%、4%、もしくは5%下がらない場合、持続的発熱を有するとみなされる。いくつかの態様において、解熱剤の投与量は、対象が、熱または特定のタイプの熱、例えば細菌感染もしくはウイルス感染、例えば限局性感染もしくは全身感染に付随する熱を下げる際などに通常有効な投与量である。
【0342】
いくつかの態様において、対象は、対象が妥当な閾値温度またはそれ以上の熱を示し、かつその際、該対象の熱または体温が、約1℃または約1℃より多くは変動せず、一般に、約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃より多くは変動しない場合、持続的発熱を有し、かつ/または有すると判定されるかもしくはみなされる。通常、このように特定の量より多い変動または特定の量の変動がないことは、所定の期間にわたって測定される(例えば、24時間、12時間、8時間、6時間、3時間、または1時間の期間にわたる。発熱の最初の徴候から、または指定された閾値を体温が最初に上回ってから測定されてよい)。例えば、いくつかの態様において、対象は、対象が、少なくとも38もしくは39℃または少なくとも約38または39℃あるいは少なくとも38もしくは39℃または少なくとも約38または39℃の熱を示し、体温が、6時間にわたって、8時間にわたって、もしくは12時間にわたって、または24時間にわたって、0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃より多く、または約0.5℃、0.4℃、0.3℃、もしくは0.2℃より多くは変動しない場合、持続的発熱を示すとみなされるか、または判定される。
【0343】
いくつかの態様において、発熱は、持続的発熱である;いくつかの局面において、対象は、持続的発熱を有すると判定された時点に、例えば、そのような判定から、または毒性を誘発する可能性がある初期療法、例えば細胞療法、例えば、CAR+T細胞などのT細胞の投与後の最初のそのような判定から、1、2、3、4、5、6、またはそれ以下の時間内に、処置される。
【0344】
いくつかの態様において、毒性を処置するための1種または複数種の介入または作用物質、例えば毒性を標的とする治療薬は、対象が、例えば、前述の態様のいずれかに従って測定した場合に持続的発熱を示すと判定または確認(例えば、最初に判定または確認)される時点またはその直後に、施される。いくつかの態様において、1種または複数種の毒性標的治療薬は、そのような確認または判定から一定期間内に、例えば、それから30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、または8時間以内に投与される。
【0345】
II. 組換え受容体
いくつかの態様において、提供される方法において使用するための、または提供される方法に関連して投与される細胞は、操作された受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)などの操作された抗原受容体を含むか、または含むように操作される。また、このような細胞の集団、このような細胞を含み、かつ/またはこのような細胞が濃縮された組成物、例えば、T細胞またはCD8+細胞もしくはCD4+細胞など特定のタイプの細胞が濃縮または選択されているもの、も提供される。これらの組成物としては、例えば養子細胞療法の際に投与するための薬学的組成物および製剤が挙げられる。また、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに、対象、例えば患者に細胞および組成物を投与するための治療方法も提供される。
【0346】
いくつかの態様において、これらの細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、そのような核酸の組換え産物または遺伝子操作産物を発現する。いくつかの態様において、遺伝子移入は、例えば細胞を刺激物質と混合することによって、まず細胞を刺激し、続いて、例えば形質導入によって核酸を該刺激された細胞中に導入し、任意で、臨床応用に十分な数になるまでインキュベーションまたは培養によって拡大増殖させることにより、遂行される。ここで、刺激物質は、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現に基づいて測定される、応答、例えば、拡大増殖、生存、およびまたは活性化を誘導するものである。
【0347】
これらの細胞は、通常、組換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)を含む抗原受容体、および他の抗原結合受容体、例えばトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を発現する。これらの受容体として、他のキメラ受容体も挙げられる。
【0348】
A. キメラ抗原受容体(CAR)
提供される方法および使用のいくつかの態様において、キメラ受容体、例えばキメラ抗原受容体は、所望の抗原(例えば腫瘍抗原)に対する特異性を提供する抗原結合ドメインまたはリガンド結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)と細胞内シグナル伝達ドメインとを組み合わせる、1つまたは複数のドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、刺激または活性化する細胞内ドメイン部分、例えば、T細胞を刺激または活性化するドメインであり、一次活性化シグナルまたは一次シグナルを提供する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を促進するための共刺激シグナル伝達ドメインを含むか、または付加的にそれを含む。いくつかの態様において、キメラ受容体は、遺伝子操作によって免疫細胞中に導入された場合、T細胞活性を調整することができ、場合によっては、T細胞の分化または恒常性を調整し、それによって、例えば養子細胞療法の方法において使用するための、インビボでの長命、生存、および/または存続性が向上した遺伝子操作細胞をもたらすことができる。
【0349】
CARを含む例示的な抗原受容体、ならびにそのような受容体を操作し、細胞中に導入するための方法には、例えば、WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75によって説明されているものが含まれる。いくつかの局面において、抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載されているCARおよびWO/2014055668に記載されているものが含まれる。CARの例には、前述の刊行物、例えば、WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、US7,446,190、US8,389,282、Kochenderfer et al., (2013) Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276; Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)のいずれかで開示されているCARが含まれる。WO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、US7,446,190、およびUS8,389,282もまた、参照されたい。
【0350】
CARなどの組換え受容体は、細胞外の抗原結合ドメイン、例えば、抗体分子の一部分、通常は抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えばscFv抗体断片を含むのが通常である。
【0351】
いくつかの態様において、受容体が標的とする抗原は、ポリペプチドである。いくつかの態様において、抗原は、炭水化物または他の分子である。いくつかの態様において、抗原は、正常または標的とされない細胞または組織と比べて、疾患もしくは病態の細胞、例えば腫瘍細胞もしくは病原性細胞において選択的にされるか、または過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常細胞において発現されるか、かつ/または操作された細胞において発現される。
【0352】
いくつかの態様において、受容体が標的とする抗原には、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、公知であるいくつかのB細胞マーカーのいずれかが含まれる。いくつかの態様において、受容体が標的とする抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79b、またはCD30である。
【0353】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含む細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含む細胞外部分および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvを含む。
【0354】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインが標的とする抗原は、CD19である。いくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARの抗原結合ドメイン、および抗原結合ドメインは、ヒトCD19などのCD19に結合、例えば特異的に結合するか、またはそれを特異的に認識する。いくつかの態様において、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様において、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1などのマウス由来抗体である。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、例えば米国特許出願公開第2016/0152723号に記載されているようなヒト抗体である。
【0355】
本明細書において、用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含み、これにはインタクト抗体および機能的(抗原結合性)抗体断片が含まれ、該断片には、抗原に特異的に結合することができる断片抗原結合性(Fab)断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、重鎖可変(VH)領域、単鎖可変断片(scFv)を含む単鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片が含まれる。この用語は、遺伝子操作されたおよび/または他の方法で改変された形態の免疫グロブリン、例えば、細胞内抗体、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば二重特異性または三重特異性の抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、直列型ジscFv、直列型トリscFvを包含する。別段の定めが無い限り、用語「抗体」は、本明細書において「抗原結合断片」とも呼ばれる、その機能的抗体断片を包含するものと理解されるべきである。この用語はまた、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、ならびにIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、インタクト抗体または完全長抗体も包含する。
【0356】
用語「相補性決定領域」および「CDR」は、「超可変領域」または「HVR」と同義であり、抗原特異性および/または結合親和性を与える、抗体可変領域内のアミノ酸の非連続的配列を指すことが公知である。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)があり、各軽鎖領域には3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」および「FR」は、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことが公知である。一般に、各完全長重鎖可変領域には4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)があり、各完全長軽鎖可変領域には4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)がある。
【0357】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列境界は、いくつかの周知の方式のいずれかを用いて容易に特定することができる。これらの方式には、Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (「Kabat」番号付与方式); Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948 (「Chothia」番号付与方式); MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), “Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography,” J. Mol. Biol. 262, 732-745.” (「Contact」番号付与方式);Lefranc MP et al., “IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,” Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77 (「IMGT」番号付与方式); Honegger A and Pluckthun A, “Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool,” J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」番号付与方式);およびMartin et al., “Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm,” PNAS, 1989, 86(23):9268-9272(「AbM」番号付与方式)によって説明されているものが含まれる。
【0358】
所与のCDRまたはFRの境界は、特定のために使用される方式に応じて変動し得る。例えば、Kabat方式は、構造アライメントに基づいているのに対し、Chothia方式は、構造情報に基づいている。Kabat方式とChothia方式のどちらの番号付与も、最も一般的な抗体領域配列長に基づいており、挿入には挿入文字、例えば「30a」によって対応し、一部の抗体には欠失が現れる。これら2つの方式は、ある種の挿入および欠失(「インデル」)を異なる位置に配置するため、異なる番号が付与される。Contact方式は、複合体結晶構造の解析に基づいており、Chothia番号付与方式と多くの点で類似している。AbM方式は、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されているものに基づく、Kabat定義とChothia定義の折衷案である。
【0359】
下記の表5は、Kabat、Chothia、AbM、およびContact方式によってそれぞれ特定された、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的な位置境界を一覧にしている。CDR-H1について、残基の番号付与は、Kabat番号付与方式およびChothia番号付与方式の両方を用いて記載されている。FRはCDRの間に位置しており、例えば、FR-L1はCDR-L1の前方に位置し、FR-L2はCDR-L1とCDR-L2の間に位置し、FR-L3はCDR-L2とCDR-L3の間に位置し、以下同様である。示されているKabatの番号付与方式ではH35AおよびH35Bに挿入を配置するため、Chothia CDR-H1ループの末端は、示されているKabatの番号付与方式の慣例を用いて番号付与すると、ループの長さに応じてH32とH34の間で変動することに留意されたい。
【0360】
(表5)様々な番号付与方式に基づく、CDRの境界
1 - Kabat et al. (1991), “Sequences of Proteins of Immunological Interest,” 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD
2 - Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948
【0361】
したがって、別段の指定が無い限り、所与の抗体またはその領域、例えばその可変領域の「CDR」もしくは「相補性決定領域」、または個々の指定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述の方式のいずれかまたは他の公知の方式によって定められた、ある(または具体的な)相補性決定領域を包含すると理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えばCDR-H3)が、所与のVH領域またはVL領域のアミノ酸配列中に対応するCDRのアミノ酸配列を含むと記載されている場合、そのようなCDRは、前述の方式のいずれかまたは他の公知の方式によって定めた場合に、対応するCDR(例えばCDR-H3)の配列を可変領域内に有していると理解される。いくつかの態様において、具体的なCDR配列が指定される。提供される抗体の例示的なCDR配列は、様々な番号付与方式を用いて説明されるが、提供される抗体は、他の前述の番号付与方式のいずれかまたは当業者に公知の他の番号付与方式に従って説明されるようなCDRを含むことができると理解される。
【0362】
同様に、別段の指定が無い限り、所与の抗体またはその領域、例えばその可変領域のFRまたは個々の指定されたFR(例えば、FR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)は、公知の方式のいずれかによって定められる、ある(または具体的な)フレームワーク領域を包含すると理解されるべきである。場合によっては、個々のCDR、FR、または複数のFRもしくはCDRを特定するための方式は指定される。例えば、CDRは、Kabat、Chothia、AbM、もしくはContactの方法、または他の公知の方式によって定められる。他の場合において、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列が与えられる。
【0363】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体を抗原に結合させるのに関与している抗体重鎖または抗体軽鎖のドメインを意味する。一般に、天然抗体の重鎖および軽鎖の可変領域(それぞれVHおよびVL)は、類似した構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されているフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照されたい)。単一のVHドメインまたはVLドメインが、抗原結合特異性を与えるのに十分である場合がある。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体に由来するVHドメインまたはVLドメインを用いて、相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをそれぞれスクリーニングして、単離することもできる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0364】
提供されるCAR中に含まれる抗体としては、抗体断片が挙げられる。「抗体断片」または「抗原結合断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原に結合する、該インタクト抗体の一部分を含む、該インタクト抗体以外の分子を意味する。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;直鎖状抗体;重鎖可変(VH)領域、scFvなどの単鎖抗体分子、およびVH領域のみを含む単一ドメイン抗体;ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、提供されるCAR中の抗原結合ドメインは、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を含む抗体断片であるか、またはそれを含む。特定の態様において、抗体は、重鎖可変(VH)領域および/または軽鎖可変(VL)領域を含む単鎖抗体断片、例えばscFvである。
【0365】
いくつかの態様において、抗原はCD19である。いくつかの態様において、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含む。いくつかの態様において、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1などのマウス由来抗体である。いくつかの態様において、抗体または抗体断片は、例えば米国特許出願公開第2016/0152723号に記載されているようなヒト抗体である。
【0366】
いくつかの態様において、scFvはFMC63に由来する。一般に、FMC63は、ヒト由来CD19を発現するNalm-1細胞およびNalm-16細胞に対して産生させたマウスモノクローナルIgG1抗体を指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様において、FMC63 抗体は、SEQ ID NO: 38および39にそれぞれ示すCDR-H1およびCDR-H2、ならびにSEQ ID NO: 40または54に示すCDR-H3;ならびにSEQ ID NO: 35に示すCDR-L1およびSEQ ID NO: 36または55に示すCDR-L2およびSEQ ID NO: 37または34に示すCDR-L3を含む。いくつかの態様において、FMC63抗体は、SEQ ID NO: 41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO: 42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0367】
いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 35のCDR-L1配列、SEQ ID NO: 36のCDR-L2配列、およびSEQ ID NO: 37のCDR-L3配列を含む可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO: 38のCDR-H1配列、SEQ ID NO: 39のCDR-H2配列、およびSEQ ID NO: 40のCDR-H3配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 41に示す可変重鎖領域およびSEQ ID NO: 42に示す可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、SEQ ID NO: 56に示される。いくつかの態様において、scFvは、VH、リンカー、およびVLを順番に含む。いくつかの態様において、scFvは、VL、リンカー、およびVHを順番に含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 57に示すヌクレオチド配列、またはSEQ ID NO: 57に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列によってコードされる。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 43に示すアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0368】
いくつかの態様において、scFvはSJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト由来CD19を発現するNalm-1細胞およびNalm-16細胞に対して産生させたマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様において、SJ25C1抗体は、SEQ ID NO: 47~49にそれぞれ示すCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列、ならびにSEQ ID NO: 44~46にそれぞれ示すCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含む。いくつかの態様において、SJ25C1抗体は、SEQ ID NO: 50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO: 51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0369】
いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 44のCDR-L1配列、SEQ ID NO: 45のCDR-L2配列、およびSEQ ID NO: 46のCDR-L3配列を含む可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO: 47のCDR-H1配列、SEQ ID NO: 48のCDR-H2配列、およびSEQ ID NO: 49のCDR-H3配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 50に示す可変重鎖領域およびSEQ ID NO: 51に示す可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって連結されている。いくつかの態様において、リンカーは、SEQ ID NO: 52に示される。いくつかの態様において、scFvは、VH、リンカー、およびVLを順番に含む。いくつかの態様において、scFvは、VL、リンカー、およびVHを順番に含む。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO: 53に示すアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 53に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0370】
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの抗体部分は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、例えば、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、および/またはCH1/CLおよび/またはFc領域をさらに含む。一部の態様では、定常領域または定常部分はヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または定常部分である。一部の局面では、定常領域の一部は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間にあるスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して抗原結合後の前記細胞の応答性を高める長さのものでよい。例示的なスペーサーには、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153、WO2014031687、米国特許第8,822,647号、または米国特許出願公開第US2014/0271635号に記載のスペーサーが含まれるが、これに限定されない。
【0371】
一部の態様では、定常領域または定常部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1の定常領域または定常部分である。一部の態様では、スペーサーは、配列ESKYGPPCPPCP(SEQ ID NO: 1に示す)を有し、SEQ ID NO:2に示した配列によってコードされる。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示した配列を有する。一部の態様では、定常領域または定常部分はIgDの定常領域または定常部分である。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、または5のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:26~34に示した配列を有する。一部の態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:26~34のいずれかと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を有する。
【0372】
一部の態様では、前記抗原受容体は、細胞外ドメインに直接的または間接的に連結された細胞内ドメインを含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはITAMを含む。例えば、一部の局面では、抗原認識ドメイン(例えば、細胞外ドメイン)は、一般的に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分、例えば、抗原受容体複合体、例えば、CARの場合はTCR複合体を介した活性化、および/または別の細胞表面受容体を介したシグナルを模倣するシグナル伝達成分に連結される。一部の態様では、キメラ受容体は、細胞外ドメイン(例えば、scFv)と細胞内シグナル伝達ドメインとの間で連結または融合された膜貫通ドメインを含む。従って、一部の態様では、抗原結合成分(例えば、抗体)は1つまたは複数の膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。
【0373】
一態様では、前記受容体、例えば、CARにおいて前記ドメインの1つと天然で結合している膜貫通ドメインが用いられる。場合によっては、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小にするために、このようなドメインと、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を避けるように選択されるか、またはアミノ酸置換によって改変される。
【0374】
膜貫通ドメインは一部の態様では天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然の場合、前記ドメインは、一部の局面では、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体のα鎖、β鎖、もしくはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来する膜貫通領域を含む(すなわち、少なくとも、これらの膜貫通領域を含む)。または、膜貫通ドメインは一部の態様では合成である。一部の局面では、合成膜貫通ドメインは、主に、疎水性残基、例えば、ロイシンおよびバリンを含む。一部の局面では、フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見られる。一部の態様では、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによるものである。一部の局面では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含有する。
【0375】
一部の態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは直接的または間接的に連結することができる。一部の態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、スペーサー、例えば、本明細書に記載の任意のスペーサーによって連結される。一部の態様では、前記受容体は、膜貫通ドメインが得られた分子の細胞外部分、例えば、CD28細胞外部分を含有する。
【0376】
細胞内シグナル伝達ドメインの中には、天然抗原受容体を介したシグナル、このような受容体と共刺激受容体の組み合わせを介したシグナル、および/または共刺激受容体のみを介したシグナルを模倣するか、またはこれに似せる細胞内シグナル伝達ドメインがある。一部の態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸長のリンカー、例えば、グリシンおよびセリン、例えば、グリシン-セリンダブレット(doublet)を含有するリンカーがCARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に存在し、その間に連結を形成する。
【0377】
T細胞活性化は、一部の局面では、2種類の細胞質シグナル伝達配列:TCRを介して抗原依存的一次活性化を開始する細胞質シグナル伝達配列(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的に二次シグナルまたは共刺激シグナルを供給するように働く細胞質シグナル伝達配列(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明される。一部の局面では、CARは、このようなシグナル伝達成分の一方または両方を含む。
【0378】
前記受容体、例えば、CARは、一般的には、少なくとも1種類の細胞内シグナル伝達成分を含む。一部の局面では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激するように働く一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容活性化チロシンモチーフ、すなわちITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列の例には、CD3ζ鎖、FcRγ、CD3γ、CD3δ、およびCD3εに由来する一次細胞質シグナル伝達配列が含まれる。一部の態様では、CARにある細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、またはCD3ζに由来する配列を含有する。
【0379】
一部の態様では、前記受容体は、TCR複合体の細胞内成分、例えば、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ζ鎖を含む。従って、一部の局面では、抗原結合部分は1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。一部の態様では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。一部の態様では、前記受容体、例えば、CARは、1種類または複数種のさらなる分子、例えば、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16の一部をさらに含む。例えば、一部の局面では、CARまたは他のキメラ受容体には、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γと、CD8、CD4、CD25、またはCD16とのキメラ分子が含まれる。
【0380】
一部の態様では、CARまたは他のキメラ受容体が連結されると、前記受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、ある状況では、CARは、T細胞の機能、例えば、細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えば、サイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。一部の態様では、抗原受容体成分または共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインの切断された部分が、例えば、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、インタクトな免疫賦活性鎖の代わりに用いられる。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはT細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、一部の局面では、天然の状況では、このような受容体と協調して、抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するように働く補助受容体の細胞質配列も含む。
【0381】
天然TCRの状況では、完全活性化には、一般的に、TCRを介したシグナル伝達だけでなく共刺激シグナルも必要とされる。従って、一部の態様では、完全活性化を促進するには、二次シグナルまたは共刺激シグナルを発生させるための成分もCARに含まれる。他の態様では、CARは、共刺激シグナルを発生させるための成分を含まない。一部の局面では、さらなるCARが同じ細胞において発現され、二次シグナルまたは共刺激シグナルを発生させるための成分を提供する。
【0382】
一部の態様では、キメラ抗原受容体はT細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含む。一部の態様では、CARは、共刺激受容体、例えば、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSのシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。一部の局面では、同じCARが活性化成分と共刺激成分を両方とも含む。一部の態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子に由来する細胞内ドメインまたはその機能的バリアントを、例えば、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含む。一部の局面では、T細胞共刺激分子はCD28または41BBである。
【0383】
一部の態様では、あるCARには活性化ドメインが含まれるのに対して、別の抗原を認識する別のCARによって共刺激成分が提供される。一部の態様では、CARは活性化CARまたは刺激CAR、共刺激CARを含み、両方とも同じ細胞上に発現される(WO2014/055668を参照されたい)。一部の局面では、前記細胞は1種類または複数種の刺激CARもしくは活性化CARおよび/または共刺激CARを含む。一部の態様では、前記細胞は、阻害性CAR(iCAR。Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(December, 2013)を参照されたい。例えば、前記疾患もしくは状態に関連する、および/または前記疾患もしくは状態に特異的な抗原以外の抗原を認識するCAR。例えば、オフターゲット効果を小さくするために、疾患標的指向CARを通じて送達された活性化シグナルは、阻害性CARとそのリガンドが結合することによって減弱または阻害される)をさらに含む。
【0384】
ある特定の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ζ)細胞内ドメインと連結したCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内ドメインと連結したキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0385】
一部の態様では、CARは、細胞質部分に、1つまたは複数の、例えば、2つ以上の、共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば、一次活性化ドメインを含む。例示的なCARは、CD3ζ、CD28、および4-1BBの細胞内成分を含む。
【0386】
一部の態様では、前記抗原受容体はマーカーをさらに含む、および/またはCARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞は、代用マーカー、例えば、前記受容体の形質導入もしくは前記受容体を発現させるための細胞の操作を確認するのに用いられ得る細胞表面マーカーをさらに含む。一部の局面では、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮増殖因子受容体の全てまたは一部(例えば、切断型)、例えば、このような細胞表面受容体の切断型バージョン(例えば、tEGFR)を含む。一部の態様では、マーカーをコードする核酸は、リンカー配列、例えば、切断可能なリンカー配列、例えば、T2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、任意で、リンカー配列は、公開された特許出願番号WO2014031687に開示されるような任意のものでよい。例えば、マーカーは、任意で、リンカー配列、例えば、T2A切断可能なリンカー配列に連結された切断型EGFR(tEGFR)でもよい。
【0387】
切断型EGFR(例えば、tEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:6もしくは17に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6もしくは17と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0388】
一部の態様では、マーカーは、T細胞上に天然で見出されないか、もしくはT細胞の表面に天然で見出されない分子、例えば、細胞表面タンパク質、またはその一部である。一部の態様では、前記分子は、非自己分子、例えば、非自己タンパク質、すなわち、前記細胞が養子移入される宿主の免疫系が「自己」と認識しない分子である。
【0389】
一部の態様では、マーカーは治療機能を果たさない、および/または遺伝子操作するための、例えば、首尾良く操作された細胞を選択するためのマーカーとして使用する以外の効果をもたらさない。他の態様では、マーカーは治療用分子でもよく、何らかの望ましい効果を別の方法で発揮する分子、例えば、細胞がインビボで遭遇するリガンド、例えば、養子移入時に前記細胞の応答を強める、および/または弱めるための、ならびにリガンドに遭遇するための共刺激分子または免疫チェックポイント分子でもよい。
【0390】
場合によっては、CARは、第一世代CAR、第二世代CAR、および/または第三世代CARと呼ばれる。一部の局面では、第一世代CARは、抗原が結合した時に、CD3鎖によって誘導されるシグナルしか生じないCARである。一部の局面では、第二世代CARは、このようなシグナルと共刺激シグナルを生じるCAR、例えば、CD28またはCD137などの共刺激受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARである。一部の局面では、第三世代CARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むCARである。
【0391】
例えば、一部の態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分もしくはその機能的バリアントであるか、またはそれを含む膜貫通ドメインと、CD28のシグナル伝達部分もしくはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分もしくはその機能的バリアントを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片と、CD28の膜貫通部分もしくはその機能的バリアントであるか、またはそれを含む膜貫通ドメインと、4-1BBのシグナル伝達部分もしくはその機能的バリアントおよびCD3ζのシグナル伝達部分もしくはその機能的バリアントを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部のこのような態様では、前記受容体は、Ig分子の一部、例えば、ヒトIg分子の一部、例えば、Igヒンジ、例えば、IgG4ヒンジを含むスペーサー、例えば、ヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0392】
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの膜貫通ドメインはヒトCD28の膜貫通ドメイン(例えば、アクセッション番号P01747.1)もしくはそのバリアント、例えば、SEQ ID NO:8に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列を含む膜貫通ドメインであるか、あるいはこれを含む。一部の態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示したアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO:9と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性、またはSEQ ID NO:9と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0393】
一部の態様では、前記組換え受容体、例えば、CARの細胞内シグナル伝達成分は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくは部分、例えば、天然CD28タンパク質の位置186-187においてLL→GG置換のあるドメインを含む。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含んでもよい。一部の態様では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、(アクセッション番号Q07011.1))またはその機能的バリアントもしくは部分、例えば、SEQ ID NO:12に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0394】
一部の態様では、組換え受容体、例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアント、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3の112 AA細胞質ドメイン(アクセッション番号:P20963.2)、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載のCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。例えば、一部の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13、14、もしくは15に示したアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:13、14、もしくは15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはこれより多い配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0395】
一部の局面では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域しか含まず、例えば、IgG4またはIgG1のヒンジ領域しか含まず、例えば、SEQ ID NO:1に示した、ヒンジのみのスペーサーを含む。他の態様では、スペーサーは、任意で、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4由来ヒンジであるか、これを含有する。一部の態様では、スペーサーは、例えば、SEQ ID NO:4に示した、CH2ドメインおよびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、例えば、SEQ ID NO:3に示した、CH3ドメインだけに連結されたIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。一部の態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列もしくは他の可撓性リンカー、例えば、公知の可撓性リンカーであるか、またはこれを含む。
【0396】
例えば、一部の態様では、CARは、抗体、例えば、scFvを含む抗体断片と、スペーサー、例えば、免疫グロブリン分子の一部、例えば、ヒンジ領域および/または重鎖分子の1つもしくは複数の定常領域を含むスペーサー、例えば、Ig-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインの全てまたは一部を含む膜貫通ドメインと、CD28由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。一部の態様では、CARは、抗体または断片、例えば、scFvと、スペーサー、例えば、任意のIg-ヒンジ含有スペーサーと、CD28由来膜貫通ドメインと、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメインと、CD3ζ由来シグナル伝達ドメインを含む。
【0397】
一部の態様では、このようなCAR構築物をコードする核酸分子は、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/もしくはtEGFR配列をコードする配列を、例えば、CARをコードする配列の下流にさらに含む。一部の態様では、前記配列は、SEQ ID NO:6もしくは17に示したT2Aリボソームスキップエレメント、またはSEQ ID NO:6もしくは17と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする。一部の態様では、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、(例えば、同じ構築物から2種類のタンパク質を発現するように、T2Aリボソームスイッチによって分けられたCARおよびEGFRtをコードする構築物を導入することによって)非免疫原性選択エピトープとして切断型EGFR(EGFRt)を発現させ、次いで、このような細胞を検出するためのマーカーとして使用できるように作製することもできる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照されたい)。一部の態様では、前記配列は、SEQ ID NO:7もしくは16に示したtEGFR配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の、もしくはそれより大きい配列同一性を示すアミノ酸配列をコードする。いくつかの場合において、T2Aなどのペプチドは、2AエレメントのC末端におけるペプチド結合の合成をリボソームに読み飛ばさせて(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と次の下流ペプチドの間で分離させることができる(例えば、de Felipe. Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004)およびdeFelipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照されたい)。多くの2Aエレメントは、公知である。本明細書において開示される方法および核酸において使用できる2A配列の例には、非限定的に、米国特許出願公開第20070116690号に記載されている口蹄疫ウイルス由来の2A配列(F2A、例えばSEQ ID NO: 21)、ウマ鼻炎Aウイルス由来の2A配列(E2A、例えばSEQ ID NO: 20)、ゾーシーアシグナウイルス由来の2A配列(T2A、例えばSEQ ID NO: 6または17)、およびブタテッショウウイルス-1由来の2A配列(P2A、例えばSEQ ID NO: 18または19)である。
【0398】
対象に投与された細胞によって発現される、CARなどの組換え受容体は、処置される疾患もしくは病態またはその細胞において発現されるか、それに関連するか、かつ/またはそれに特異的である分子を認識するか、または特異的に結合するのが通常である。分子、例えば抗原に特異的に結合すると、受容体は、通常、ITAM形質導入シグナルなどの免疫刺激シグナルを細胞中に送達し、それによって疾患または病態を標的とする免疫応答を促進する。例えば、いくつかの態様において、細胞は、疾患もしくは病態の細胞もしくは組織によって発現されるかまたは疾患もしくは病態に関連する抗原に特異的に結合するCARを、発現する。
【0399】
B. T細胞受容体(TCR)
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造品、または組成物とともに使用される操作された細胞、例えばT細胞は、標的ポリペプチド、例えば、腫瘍タンパク質、ウイルスタンパク質、または自己免疫タンパク質といった抗原のペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する細胞である。
【0400】
いくつかの態様において、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても公知である)もしくは可変γ鎖およびδ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても公知である)またはそれらの抗原結合部分を含み、かつMHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる、分子である。いくつかの態様において、TCRはαβ型である。典型的には、αβ型およびγδ型で存在するTCRは全般的に構造が類似しているが、それらを発現するT細胞は、解剖学的位置または機能が独特であり得る。TCRは、細胞の表面に、または可溶型で、存在することができる。通常、TCRは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識することに一般に関与している場合、T細胞(またはTリンパ球)の表面に見出される。
【0401】
別段の定めが無い限り、用語「TCR」は、完全なTCRおよびその抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。いくつかの態様において、TCRは、αβ型またはγδ型のTCRを含む、インタクトTCRまたは完全長TCRである。いくつかの態様において、TCRは、完全長より短いTCRであるが、MHC分子に結合した特定のペプチドに結合する、例えばMHC-ペプチド複合体に結合する、抗原結合部分である。いくつかの場合において、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長TCRまたはインタクトTCRの構造ドメインの一部のみを含む場合があるが、それでもなお、完全なTCRが結合するペプチドエピトープ、例えばMHC-ペプチド複合体に結合する能力を有する。いくつかの場合において、抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えばTCRの可変α鎖および可変β鎖を含む。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHC、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含む。
【0402】
C. マルチターゲティング
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造品、および組成物とともに使用される細胞には、マルチターゲティング戦略を使用する細胞が含まれる。マルチターゲティング戦略は、例えば、同じまたは異なる抗原を各々が認識し、かつ典型的には、異なる細胞内シグナル伝達構成要素を各々が含む、2種またはそれ以上の遺伝子操作された受容体を細胞上で発現させることである。このようなマルチターゲティング戦略は、例えば、WO 2014055668(例えば、標的ではない、例えば正常細胞上では個別に存在するが、処置されるべき疾患または病態の細胞上でのみ一緒に存在する2つの異なる抗原を標的とする、活性化CARと共刺激CARとの組合せを記載している)ならびにFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (2013)(活性化CARおよび阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが、正常または非罹患細胞と処置されるべき疾患または病態の細胞との両方で発現される1つの抗原に結合し、阻害性CARが、正常細胞または処置されることが望まれない細胞でのみ発現される別の抗原に結合する、細胞を記載している)に記載されている。
【0403】
例えば、いくつかの態様において、細胞は、第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCAR)を発現する受容体を含み、該第1の受容体は、通常、該受容体によって認識される抗原、例えば第1の抗原に特異的に結合すると、細胞に活性化シグナルまたは刺激シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、細胞は、第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCAR)、例えばキメラ共刺激受容体をさらに含み、該第2の受容体は、通常、該受容体によって認識される第2の抗原に特異的に結合すると、免疫細胞に共刺激シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、第1の抗原および第2の抗原は、同じである。いくつかの態様において、第1の抗原および第2の抗原は、異なる。
【0404】
いくつかの態様において、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCAR)は、細胞に活性化シグナルを誘導することができる。いくつかの態様において、受容体は、ITAMモチーフまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達構成要素を含む。いくつかの態様において、第1の受容体によって誘導される活性化は、細胞におけるシグナル伝達またはタンパク質発現の変化を含み、その結果として、ITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始などの免疫応答の開始、免疫シナプスの形成および/もしくは結合された受容体付近の分子(例えば、CD4もしくはCD8など)のクラスター化、NF-κBおよび/もしくはAP-1などの1種もしくは複数種の転写因子の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現、増殖、および/もしくは生存の誘導が起こる。
【0405】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含む。いくつかの態様において、第1の受容体および第2の受容体は、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。1つの態様において、第1の受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含み、第2の受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含み、またはその逆である。
【0406】
いくつかの態様において、第1および/または第2の受容体は、ITAMモチーフまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメインと共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを両方とも含む。
【0407】
いくつかの態様において、第1の受容体は、ITAMモチーフまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み、第2の受容体は、共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。同じ細胞において誘導される活性化シグナルと組み合わさった共刺激シグナルは、免疫応答、例えば、強固かつ持続的な免疫応答、例えば、遺伝子発現の増大、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞死滅などのT細胞媒介性エフェクター機能を結果としてもたらすものである。
【0408】
いくつかの態様において、第1の受容体のみの連結も、第2の受容体のみの連結も、強固な免疫応答を誘導しない。いくつかの局面において、1種類の受容体のみが連結されている場合、細胞は、抗原に対して寛容化されるもしくは非応答性になるか、または阻害され、かつ/あるいは増殖するようにも因子を分泌するようにもエフェクター機能を果たすようにも誘導されない。しかし、いくつかのそのような態様において、複数種の受容体が連結される場合、例えば、第1および第2の抗原を発現する細胞に遭遇すると、例えば、1種もしくは複数種のサイトカインの分泌、増殖、存続性、および/または標的細胞の細胞障害性死滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような所望の応答、例えば最大限の免疫活性化または刺激が達成される。
【0409】
いくつかの態様において、2種の受容体は、それぞれ、細胞に活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導し、その結果、受容体のうちの一方によるその抗原への結合は、細胞を活性化するかまたは応答を誘導するが、第2の阻害性受容体によるその抗原への結合は、その応答を抑制するかまたは弱めるシグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CARすなわちiCARとの組合せである。このような戦略、例えば、活性化CARが、疾患または病態において発現されるが正常細胞でも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞で発現されるが疾患または病態の細胞では発現されない別の抗原に結合する戦略が、使用され得る。
【0410】
いくつかの態様において、マルチターゲティング戦略は、特定の疾患または病態に関連する抗原が、一過性に(例えば、遺伝子操作に関連する刺激時に)または恒久的に、非罹患細胞で発現され、かつ/または操作された細胞それ自体において発現される場合に使用される。そのような場合には、2つの異なる、個々に特異的な抗原受容体の連結を必要とすることにより、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0411】
いくつかの態様において、複数種の抗原、例えば、第1および第2の抗原は、標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは病態において、例えばがん細胞において発現される。いくつかの局面において、細胞、組織、疾患、または病態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、通常、複数種の抗原のうちの1種または複数種は、細胞療法によって標的とすることが望ましくない細胞、例えば、正常もしくは罹患していない細胞もしくは組織および/または操作された細胞自体でも発現される。そのような態様において、細胞の応答を達成するために多種の受容体の連結を必要とすることにより、特異性および/または有効性が実現される。
【0412】
D. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様において、組換え受容体はキメラ自己抗体受容体(CAAR)である。いくつかの態様において、CAARは、自己抗体に結合、例えば特異的に結合するか、またはそれを認識する。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞は、正常な抗体発現細胞ではなく、自己抗体発現細胞に結合して死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞は、自己免疫疾患などの自己抗原の発現に関連する自己免疫疾患を処置するために用いることができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞は、最終的に自己抗体を産生し該自己抗体をその細胞表面に提示するB細胞を標的とし、これらのB細胞を治療介入のための疾患特異的標的として標識することができる。いくつかの態様において、CAAR発現細胞は、疾患を引き起こすB細胞を抗原特異的キメラ自己抗体受容体を用いてターゲティングすることにより、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的にターゲティングし死滅させるために用いることができる。いくつかの態様において、組換え受容体は、CAAR、例えば、米国特許出願公開第2017/0051035号に記載されているいずれかである。
【0413】
いくつかの態様において、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つまたは複数の細胞内シグナル伝達領域またはドメイン(同義的に、細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを刺激および/もしくは誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)構成要素のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメインもしくは領域またはその機能的なバリアントもしくはシグナル伝達部分)、ならびに/または免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるか、あるいはそれを含む。
【0414】
いくつかの態様において、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに応じて変わり得る。例えば、自己抗原は、特定の疾患状態、例えば、自己抗体媒介性自己免疫疾患などの自己免疫疾患に関連する、B細胞などの標的細胞上の自己抗体をそれが認識することを理由として、選択してよい。いくつかの態様において、自己免疫疾患には尋常性天疱瘡(PV)が含まれる。例示的な自己抗原には、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3が含まれる。
【0415】
E. 細胞を操作する方法
いくつかの態様において、操作された細胞、例えば、本明細書において提供される方法および使用とともに使用される操作された細胞は、1種もしくは複数種のインプット組成物および/または単一の生物試料から、濃縮T細胞のアウトプット組成物を生成するプロセスによって作製される。一定の態様において、アウトプット組成物は、組換え受容体、例えば、抗CD19 CARなどのCARを発現する細胞を含む。特定の態様において、アウトプット組成物の細胞は、自己細胞療法の場合を含む、例えば、本明細書において提供される方法および使用のいずれかに従う治療薬として対象に投与するのに適している。いくつかの態様において、アウトプット組成物は、濃縮CD4+T細胞または濃縮CD8+T細胞の組成物である。
【0416】
いくつかの態様において、操作された細胞を生成または作製するためのプロセスは、以下の段階のうちのいくつかまたはすべてを含む工程による:生物試料を採取もしくは入手する段階;該生物試料からインプット細胞を単離、選択、もしくは濃縮する段階;該インプット細胞を凍結保存し保管する段階;該インプット細胞を刺激条件下で解凍および/もしくはインキュベーションする段階;組換えポリヌクレオチド、例えば、CARなどの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを発現するかもしくは含むように、該刺激された細胞を操作する段階;該操作された細胞を、例えば、量、密度、もしくは拡大増殖の閾値まで培養する段階;該培養された細胞をアウトプット組成物として製剤化する段階;ならびに/または該細胞を輸注のために遊離させ、かつ/もしくは対象に投与するのに適する時まで、該製剤化アウトプット細胞を凍結保存し保管する段階。一定の態様において、このプロセスは、濃縮T細胞の2種またはそれ以上のインプット組成物、例えば、別個のCD4+組成物および別個のCD8+組成物を用いて実施され、これらの組成物は、同じ出発生物試料または初期生物試料から別々に処理および操作され、所定の比率、例えばCD4+T細胞とCD8+T細胞の比1:1で再注入して対象に戻される。いくつかの態様において、濃縮T細胞は、操作されたT細胞、例えば、組換え受容体を発現するように形質導入されたT細胞であるか、またはそれを含む。
【0417】
特定の態様において、組換え受容体(例えば抗CD19 CAR)を発現する操作された細胞のアウトプット組成物は、細胞の初期および/またはインプット組成物から作製される。いくつかの態様において、インプット組成物は、濃縮T細胞、濃縮CD4+T細胞、および/または濃縮CD8+T細胞の組成物(以下、それぞれ濃縮T細胞組成物、濃縮CD4+T細胞組成物、および濃縮CD8+T細胞組成物とも呼ばれる)である。いくつかの態様において、CD4+T細胞が濃縮された組成物は、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.9%のCD4+T細胞を含む。特定の態様において、濃縮CD4+T細胞の組成物は、100%のCD4+T細胞を含み、約100%のCD4+T細胞を含む。一定の態様において、濃縮T細胞組成物は、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満のCD8+T細胞を含むかもしくは含有し、かつ/またはCD8+T細胞を含有せず、かつ/またはCD8+T細胞を含まないもしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、細胞の集団は、本質的にCD4+T細胞からなる。いくつかの態様において、CD8+T細胞が濃縮された組成物は、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは99.9%のCD8+T細胞を含有するか、または約100%のCD8+のCD8+T細胞を含有もしくは含有する。一定の態様において、濃縮CD8+T細胞の組成物は、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満のCD4+T細胞を含むかもしくは含有し、かつ/またはCD4+T細胞を含有せず、かつ/またはCD4+T細胞を含まないもしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、細胞の集団は、本質的にCD8+T細胞からなる。
【0418】
一定の態様において、操作された細胞を作製するためのプロセスは、次のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる:細胞、例えばインプット組成物の細胞を活性化および/もしくは刺激する段階;例えば、形質導入もしくはトランスフェクションによって組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入するために、該活性化および/もしくは刺激された細胞の遺伝子を操作する段階;ならびに/または例えば増殖および/もしくは拡大増殖を促進する条件下で、該操作された細胞を培養する段階。特定の態様において、提供される方法は、細胞をインキュベーション、活性化、刺激、操作、形質導入、トランスフェクション、および/または培養した後に得られたアウトプット組成物を回収、採取、および/または製剤化する段階とともに使用されてよい。
【0419】
いくつかの態様において、提供される方法および使用に沿って使用される操作された細胞、例えば、前述の抗CD19 CARを発現するものは、細胞を選択、単離、活性化、刺激、拡大増殖、培養、および/または製剤化するためのプロセスによって作製または生成される。いくつかの態様において、このような方法には、前述のいずれかが含まれる。
【0420】
いくつかの態様において、提供される方法および使用に沿って使用される操作された細胞、例えば、前述の抗CD19 CARを発現するものは、例えば、WO 2019/089855およびWO 2015/164675に記載されている例示的なプロセスによって作製または生成される。
【0421】
任意の態様のうちのいくつかにおいて、操作された細胞、例えば前述の抗CD19 CARを発現するもの、またはそのような細胞を含む組成物、例えば、同じ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)をそれぞれ発現する操作されたCD4+T細胞および操作されたCD8+T細胞を含む組成物を生成、作製、または製造するための例示的なプロセスは、プロセスの段階に濃縮CD4+細胞集団および濃縮CD8+細胞集団を別々に供する段階を含む。操作された細胞を生成または製造するための例示的なプロセスのいくつかの局面において、CD4+細胞およびCD8+細胞は、例えば白血球搬出によって得られるヒト末梢血単核細胞(PBMC)より別々に選択されて、別々の濃縮CD4+細胞組成物および濃縮CD8+細胞組成物を生成する。いくつかの局面において、このような細胞は、凍結保存することができる。いくつかの局面において、CD4+組成物およびCD8+組成物は、後で解凍し、刺激、形質導入、および拡大増殖のための段階に別々に供することができる。
【0422】
操作された細胞を生成または製造するための例示的なプロセスのいくつかの局面において、解凍されたCD4+細胞およびCD8+細胞は、例えば、抗CD3抗体および抗CD28抗体に結合させた、ポリスチレンでコーティングされた常磁性ビーズの存在下で(例えば、ビーズと細胞の比が1:1で)、別々に刺激される。いくつかの局面において、刺激は、ヒト組換えIL-2、ヒト組換えIL-15、およびN-アセチルシステイン(NAC)を含む培地において行われる。いくつかの局面において、CD4+細胞用の細胞培地は、ヒト組換えIL-7も含むことができる。
【0423】
操作された細胞を生成または製造するための例示的なプロセスのいくつかの局面において、ビーズの導入後、同じCAR、例えば同じ抗CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターを用いて、CD4+細胞およびCD8+細胞に別々に形質導入する。いくつかの局面において、CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv、免疫グロブリンスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3-ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含むことができる。いくつかの局面において、ベクターは、T2A配列によってCAR構築物に結合されている、CAR発現に関する代用マーカーとして役立つ短縮型受容体をコードすることができる。例示的なプロセスのいくつかの局面において、これらの細胞は、10μg/ml硫酸プロタミンの存在下で形質導入される。
【0424】
操作された細胞を生成または製造するための例示的なプロセスのいくつかの局面において、形質導入後、磁場に曝露することにより、細胞組成物からビーズを取り出す。いくつかの局面において、CD4+細胞組成物およびCD8+細胞組成物は、連続的に混ぜ、バイオリアクター(例えばXuri W25バイオリアクター)によって酸素を送りながら、別々に培養して拡大増殖させる。いくつかの場合において、ポロキサマーが培地に添加される。いくつかの局面において、CD4+細胞組成物およびCD8+細胞組成物のどちらも、IL-2およびIL-15の存在下で培養される。いくつかの局面において、CD4+細胞培地はまた、IL-7も含んだ。いくつかの場合において、CD4+細胞およびCD8+細胞は、回収前に、4倍に拡大増殖するまでそれぞれ培養される。いくつかの局面において、閾値に到達後1日目に、各組成物に由来する細胞を別々に回収、製剤化、および凍結保存することができる。いくつかの局面において、操作された細胞、例えば前述の抗CD19 CARを発現するもの、またはそのような細胞を含む組成物、例えば、同じ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)をそれぞれ発現する操作されたCD4+T細胞および操作されたCD8+T細胞を含む組成物を生成、作製、または製造するための例示的なプロセスは、下記の表6に説明することを含む。
【0425】
(表6)CD4+ CAR-T細胞およびCD8+ CAR-T細胞を作製するための例示的プロセス
*概数
【0426】
他の局面において、操作された細胞またはそのような細胞を含む組成物を生成、作製、または製造するための別の例示的なプロセスには、上記の例示的なプロセスとは次の点で異なるプロセスが含まれる:刺激時にNACは培地に添加されないこと;CD4+細胞培地がIL-2を含まないこと;細胞が、ビーズと細胞の比が3:1で刺激されること;細胞が、より高濃度の硫酸プロタミンを用いて形質導入されること;ビーズの取り出しが7日目頃に行われること;ならびに拡大増殖が、静的環境で、すなわち、連続的混合も灌流(例えば半連続灌流および/もしくは段階的灌流)もせず、かつポロキサマーなしで行われること。
【0427】
いくつかの態様において、少なくとも1種の別個の濃縮CD4+T細胞組成物および少なくとも1種の別個の濃縮CD8+T細胞組成物は、単一の生物試料、例えば、患者または健常個体などの同一ドナーに由来するPBMCまたは他の白血球の試料から、単離、選択、濃縮、または入手される。いくつかの態様において、別個の濃縮CD4+T細胞組成物および別個の濃縮CD8+T細胞組成物は、同じ生物試料、例えば、1名の対象から入手、採取、および/または収集された単一の生物試料に由来し、例えば、最初に単離され、選択され、かつ/または濃縮された。いくつかの態様において、生物試料は、CD4+T細胞の選択に最初に供され、その際、陰性画分と陽性画分の両方が確保され、陰性画分はCD8+T細胞の選択にさらに供される。他の態様において、生物試料は、CD8+T細胞の選択に最初に供され、その際、陰性画分と陽性画分の両方が確保され、陰性画分はCD4+T細胞の選択にさらに供される。いくつかの態様において、選択の方法は、国際PCT公開公報第2015/164675号に記載されているように実施する。いくつかの態様において、選択の方法は、国際PCT公開公報第2019/089855号に記載されているように実施する。いくつかの局面において、少なくとも1種の濃縮CD8+T細胞組成物と少なくとも1種の濃縮CD4+T細胞組成物とが、同じ生物試料、例えば、同じドナー患者または健常個体に由来する別個の組成物となるように、生物試料をまずCD8+T細胞について陽性選択して、少なくとも1種の濃縮CD8+T細胞組成物を生成し、次に陰性画分をCD4+T細胞について陽性選択して、少なくとも1種の濃縮CD4+T細胞組成物を生成する。いくつかの局面において、例えば、少なくとも1種は濃縮CD4+T細胞組成物であり、少なくとも1種は同じドナーに由来する別の濃縮CD8+T細胞組成物である、2種またはそれ以上の別個の濃縮T細胞組成物は、別々に凍結、例えば、凍結保存媒体中で凍結保護または凍結保存される。
【0428】
いくつかの局面において、例えば、少なくとも1種は濃縮CD4+T細胞組成物であり、少なくとも1種は同じ生物試料に由来する別の濃縮CD8+T細胞組成物である、2種またはそれ以上の別個の濃縮T細胞組成物は、刺激性試薬と接触させることによって(例えば、T細胞活性化のためのCD3/CD28とコンジュゲートされた磁性ビーズとともにインキュベーションすることによって)、活性化および/または刺激される。いくつかの局面において、活性化/刺激された各細胞組成物は、例えば、組換えタンパク質(例えばCAR)をコードするウイルスベクターを用いて操作、形質導入、および/またはトランスフェクトされて、各細胞組成物のCD4+T細胞およびCD8+T細胞において同じ組換えタンパク質を発現するようになる。いくつかの局面において、方法は、刺激性試薬、例えば磁性ビーズを細胞組成物から取り出す段階を含む。いくつかの局面において、操作されたCD4+T細胞を含む細胞組成物および操作されたCD8+T細胞を含む細胞組成物は、例えば、その中のCD4+T細胞集団およびCD8+T細胞集団を別々に拡大増殖させるために、別々に培養される。一定の態様において、培養に由来する細胞組成物は、例えば、細胞組成物を製剤緩衝液中で洗浄することにより、回収および/もしくは採取ならびに/または製剤化される。一定の態様において、CD4+T細胞を含む製剤化細胞組成物およびCD8+T細胞を含む製剤化細胞組成物は、凍結、例えば、凍結保存媒体中で凍結保護または凍結保存される。いくつかの局面において、各製剤中の操作されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞は、同じドナーまたは生物試料に由来し、同じ組換えタンパク質(例えば抗CD19 CARなどのCAR)を発現する。いくつかの局面において、別個の操作されたCD4+製剤および別個の操作されたCD8+製剤は、所定の比、例えば1:1で、それを必要とする対象、例えば同じドナーに投与される。
【0429】
1. 遺伝子操作のための細胞および細胞の調製
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造品、または組成物とともに使用される細胞、例えばT細胞は、組換え受容体、例えばCARまたはTCR、例えば本明細書に記載のものを発現するように遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、操作された細胞は、細胞療法、例えば養子細胞療法において使用される。いくつかの態様において、操作された細胞は免疫細胞である。いくつかの態様において、操作された細胞は、T細胞、例えばCD4+T細胞またはCD8+T細胞である。
【0430】
一部の態様では、前記核酸、例えば組換え受容体をコードする核酸は異種である、すなわち、細胞または細胞から得られた試料、例えば、別の生物または細胞から得られた試料に通常は存在せず、例えば、操作されている細胞および/またはこのような細胞が得られた生物に普通は見出されない。一部の態様では、前記核酸は天然に存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプに由来する様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸を含む、自然界で見出されない核酸である。
【0431】
細胞は一般的に、真核細胞、典型的には、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞である。一部の態様において、前記細胞は血液、骨髄、リンパ、またはリンパ系臓器に由来し、免疫系の細胞、例えば、自然免疫もしくは適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞を含む骨髄系細胞またはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞には、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性幹細胞および多能性幹細胞が含まれる。前記細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離された、および/または対象から単離され、凍結された細胞である。一部の態様において、前記細胞には、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびその部分母集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、拡大増殖、再循環、局在化、および/もしくは持続の能力、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定の臓器もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、ならびに/または分化の程度によって規定されるT細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセットが含まれる。処置しようとする対象に関して、前記細胞は同種異系および/または自己由来でもよい。前記方法の中には既製の方法が含まれる。一部の局面において、例えば、既製の技術の場合、前記細胞は多能性および/または多分化能性であり、例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の態様において、前記方法は、対象から細胞を単離する段階、細胞を調製、処理、培養、および/または操作する段階、ならびに凍結保存前または凍結保存後に細胞を同じ対象に再導入する段階を含む。
【0432】
T細胞ならびに/またはCD4+T細胞および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび部分母集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または高度に分化したエフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアント(mucosa-associated invariant)T(MAIT)細胞、天然および適応性の調節性T(TREG)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、α/βT細胞、ならびにδ/γT細胞がある。
【0433】
一部の態様において、前記細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の態様において、前記細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄系細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0434】
一部の態様では、前記細胞は、遺伝子工学を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによって、このような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。一部の態様では、前記核酸は異種である、すなわち、細胞または細胞から得られた試料、例えば、別の生物または細胞から得られた試料に通常は存在せず、例えば、操作された細胞および/またはこのような細胞が得られた生物に普通は見出されない。一部の態様では、前記核酸は天然に存在せず、例えば、複数の異なる細胞タイプに由来する様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸を含む、自然界で見出されない核酸である。
【0435】
一部の態様では、操作された細胞の調製は1つまたは複数の培養段階および/または調製段階を含む。トランスジェニック受容体、例えば、CARをコードする核酸を導入するための細胞は、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られた試料または対象に由来する試料から単離されてもよい。一部の態様では、細胞が単離される対象は、前記疾患もしくは状態を有するか、細胞療法を必要とするか、または細胞療法が施される対象である。対象は、一部の態様では、特定の治療介入、例えば、養子細胞療法を必要とし、このために細胞が単離、処理、および/または処理されているヒトである。
【0436】
従って、前記細胞は、一部の態様では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。前記試料には、対象から直接採取した組織、液体、および他の試料、ならびに1つまたは複数の処理段階、例えば、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターを用いた形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションに起因する試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料でもよく、処理された試料でもよい。生物学的試料には、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器試料が、これらから得られた処理済み試料を含めて含まれるが、これに限定されない。
【0437】
一部の局面において、前記細胞が得られる、または単離される試料は血液もしくは血液由来試料であるか、アフェレーシスもしくは白血球搬出法による生成物であるか、またはこれから得られる。例示的な試料には、全血、末梢血単核球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、消化管に関連するリンパ系組織、粘膜に関連するリンパ系組織、脾臓、他のリンパ系組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺、もしくは他の臓器、および/またはこれらに由来する細胞が含まれる。試料には、細胞療法、例えば、養子細胞療法の状況では、自己供給源および同種異系供給源に由来する試料が含まれる。
【0438】
一部の態様において、前記細胞は細胞株、例えば、T細胞株に由来する。前記細胞は、一部の態様では、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
【0439】
一部の態様において、前記細胞の単離には、1つまたは複数の調製段階および/または親和性に基づかない細胞分離段階が含まれる。一部の例では、例えば、望ましくない成分を除去するために、望ましい成分を濃縮するために、細胞を溶解するか、または特定の試薬に対して感受性のある細胞を除去するために、1種類または複数種の試薬の存在下で細胞が洗浄、遠心分離、および/またはインキュベートされる。一部の例では、細胞は、密度、粘着性、サイズ、特定の成分に対する感受性および/または耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0440】
一部の例では、対象の循環血に由来する細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球搬出法によって得られる。試料は、一部の局面では、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球を含むリンパ球、赤血球、および/または血小板を含有し、一部の局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0441】
一部の態様において、例えば、血漿画分を除去するために、および後の処理段階のために前記細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために、対象から収集した血球は洗浄される。一部の態様において、前記細胞はリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。一部の態様において、洗浄溶液には、カルシウムおよび/もしくはマグネシウムならびに/または多くの、もしくは全ての二価カチオンが無い。一部の局面において、洗浄段階は半自動「フロースルー」遠心機(例えば、Cobe 2991 cell processor, Baxter)によって製造業者の説明書に従って成し遂げられる。一部の局面において、洗浄段階はタンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって製造業者の説明書に従って成し遂げられる。一部の態様において、洗浄後に、前記細胞は、様々な生体適合性緩衝液、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSで再懸濁される。ある特定の態様において、血球試料の成分は除去され、前記細胞は培養培地に直接、再懸濁される。
【0442】
一部の態様において、前記方法には、密度に基づく細胞分離方法、例えば、赤血球溶解による末梢血からの白血球の調製、およびPercoll勾配またはFicoll勾配による遠心分離が含まれる。
【0443】
いくつかの態様において、選択段階の少なくとも一部は、選択試薬とともに細胞をインキュベーションすることを含む。例えば、選択方法の一環としての、1種または複数種の選択試薬とのインキュベーションは、1種または複数種の特殊な分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の細胞中または細胞表面での発現または存在に基づいて1種または複数種の異なる細胞型を選択するための1種または複数種の選択試薬を用いて、実施されてよい。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく分離のために1種または複数種の選択試薬を用いる任意の公知の方法が使用されてよい。いくつかの態様において、1種または複数種の選択試薬は、親和性またはイムノアフィニティーに基づく分離である分離をもたらす。例えば、いくつかの局面における選択は、1種または複数種のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞発現または発現レベルに基づいて細胞および細胞集団を分離するための1種または複数種の試薬とともにインキュベーションすることを含み、これは、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合相手とともにインキュベーションすることにより、通常はその後に、洗浄段階と、該抗体または該結合相手に結合していない細胞からの該抗体または該結合相手に結合している細胞の分離が続く。
【0444】
このようなプロセスのいくつかの局面において、ある体積量の細胞が、ある量の親和性に基づく所望の選択試薬と混合される。イムノアフィニティーに基づく選択は、分離される細胞と、細胞上のマーカーに特異的に結合する分子、例えば、粒子などの固形表面上の抗体または他の結合相手との好ましいエネルギー相互作用をもたらす任意の方式または方法を用いて実施することができる。いくつかの態様において、方法は、細胞のマーカーに特異的な選択試薬(例えば抗体)でコーティングされている粒子、例えば磁性ビーズなどのビーズを用いて実施される。これらの粒子(例えばビーズ)は、エネルギー的に好ましい相互作用を促進するのに役立つ一定の細胞密度対粒子(例えばビーズ)比率で、振盪または混合しつつ、チューブまたはバッグなどの容器中で細胞とインキュベーションまたは混合することができる。他の場合では、方法は、選択の全部または一部分が、例えば遠心回転の状態にある遠心チャンバーの内部キャビティにおいて行われる細胞選択を含む。いくつかの態様において、イムノアフィニティーに基づく選択試薬などの選択試薬との細胞のインキュベーションは、遠心チャンバー中で実施される。一定の態様において、単離または分離は、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載されている系、器具、または装置を用いて行われる。一例を挙げれば、系は、国際公開公報第2016/073602号に記載されている系である。
【0445】
いくつかの態様において、遠心チャンバーのキャビティでそのような選択段階またはその一部分(例えば、抗体でコーティングされた粒子、例えば磁性ビーズとのインキュベーション)を行うことにより、使用者は、いくつかのパラメーター、例えば、様々な溶液の体積、加工処理中の溶液の添加およびそのタイミングを制御することができる。このことにより、他の利用可能な方法と比べて利点をもたらすことができる。例えば、インキュベーション時にキャビティ中の液体体積を減らせることにより、選択において使用される粒子(例えばビーズ試薬)の濃度、およびしたがって溶液の化学的能力を、キャビティ中の細胞総数に影響を与えることなく、増大させることができる。この結果として、加工処理される細胞と選択のために使用される粒子とのペア相互作用を強めることができる。いくつかの態様において、例えば、本明細書において説明する系、回路、および制御に関連する場合に、チャンバー中でインキュベーション段階を行うことにより、使用者はインキュベーション中に所望の回数の溶液撹拌を実行することが可能になり、これによっても相互作用を向上させることができる。
【0446】
いくつかの態様において、選択段階の少なくとも一部は、遠心チャンバー中で実施され、選択試薬とともに細胞をインキュベーションすることを含む。このようなプロセスのいくつかの局面において、ある体積量の細胞が、ある量の親和性に基づく所望の選択試薬と混合され、その際、該選択試薬の量は、製造業者の取扱い説明書に従って同じ数の細胞および/または同じ体積の細胞を選択するためにチューブまたは容器中で同様の選択を実施する際に通常使用されるよりはるかに少ない量である。いくつかの態様において、製造業者の取扱い説明書に従って同じ数の細胞および/または同じ体積の細胞を得るためにチューブまたは容器を用いるインキュベーションにおいて細胞を選択するために使用される同じ選択試薬の量の5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、50%以下、60%以下、70%以下、または80%以下である、1種または複数種の選択試薬の量が、使用される。
【0447】
いくつかの態様において、選択、例えば、イムノアフィニティーに基づく細胞選択のために、細胞は、選択試薬とともに選択緩衝液も含む混合物中で、チャンバーのキャビティにおいてインキュベーションされる。該選択試薬は、例えば、濃縮および/または枯渇することが望まれる細胞上の表面マーカーには特異的に結合するが、その混合物中の他の細胞上のものには結合しない分子、例として抗体である。抗体は、ポリマーまたは表面などの足場、例えば、磁性ビーズなどのビーズに結合されていてもよく、例えば、CD4およびCD8に特異的なモノクローナル抗体に結合された磁性ビーズである。いくつかの態様において、前述したように、選択試薬は、振盪または回転しながらチューブ中で選択が実施される場合に同じ数の細胞または同じ体積の細胞の選択についてほぼ同じまたは同様の効率を実現するために典型的に使用されるかまたは必要であると思われる選択試薬の量と比較して、実質的に少ない(例えば、その量の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%以下である)量で、チャンバーのキャビティ中の細胞に添加される。いくつかの態様において、インキュベーションは、例えば10mL~200mL、例えば、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、もしくは200mL、または少なくとも約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、もしくは200mLである、試薬のインキュベーションに伴う目標体積を実現するために、細胞および選択試薬に選択緩衝液を添加して、実施される。いくつかの態様において、選択緩衝液および選択試薬は、細胞に添加する前に予備混合される。いくつかの態様において、選択緩衝液および選択試薬は、細胞に別々に添加される。いくつかの態様において、選択インキュベーションは、定期的に穏やかに混合する条件下で実施され、この条件は、エネルギー的に好ましい相互作用を促進するのに役立ち、それによって、選択試薬の総使用量を少なくし、同時に高い選択効率を実現することを可能にし得る。
【0448】
いくつかの態様において、選択試薬とのインキュベーションの合計期間は、5分~6時間、例えば30分~3時間または約5分~6時間、例えば約30分~3時間、例えば、少なくとも30分、60分、120分、もしくは180分、または少なくとも約30分、60分、120分、もしくは180分である。
【0449】
いくつかの態様において、インキュベーションは、通常、混合条件下で行われ、例えば、通常は比較的低い力または速度、例えば細胞をペレット化するために使用される速度よりも低い速度で、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm、または約600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm、または少なくとも600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm)で、例えば、チャンバーまたは他の容器の試料または壁に対して80g~100gまたは約80g~100g(例えば、80g、85g、90g、95g、もしくは100g、または約80g、85g、90g、95g、もしくは100g、または少なくとも80g、85g、90g、95g、もしくは100g)のRCFでの回転の存在下で行われる。いくつかの態様において、回転は、このような低速度での回転とそれに続く静止期間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒間の回転および/または静止、例えば、約1または2秒の回転とそれに続く約5、6、7、または8秒間の静止という時間間隔の繰り返しを用いて行われる。
【0450】
いくつかの態様において、このようなプロセスは、チャンバーが内蔵されている完全閉鎖系内で行われる。いくつかの態様において、このプロセス(およびいくつかの局面において、1つまたは複数の付加的な段階、例えば、アフェレーシス試料など細胞を含む試料を洗浄する事前洗浄段階も)は、自動化された様式で行われる。この様式では、自動化プログラムを用いて単一の閉鎖系において洗浄および結合段階を完了するように、細胞、試薬、および他の構成成分が適切な時点にチャンバーに引き入れられ、押し出され、遠心分離が実施される。
【0451】
いくつかの態様において、細胞ならびに1種および/または複数種の選択試薬のインキュベーションおよび/または混合後、インキュベーションした細胞を分離に供して、特定の1種または複数種の試薬の存在または不在に基づいて細胞を選択する。いくつかの態様において、分離は、細胞と選択試薬とのインキュベーションが実施されたのと同じ閉鎖系で実施される。いくつかの態様において、選択試薬とのインキュベーション後、選択試薬が結合した細胞を含むインキュベーションされた細胞を、イムノアフィニティーに基づく細胞分離のための系に移す。いくつかの態様において、イムノアフィニティーに基づく分離のための系は、磁気分離カラムであるか、またはそれを含む。
【0452】
一部の態様において、単離方法には、細胞における、1種類または複数種の特定の分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現または存在に基づく様々な細胞タイプの分離が含まれる。一部の態様において、このようなマーカーに基づいて分離するための任意の公知の方法を使用することができる。一部の態様において、分離は親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、単離は、一部の局面では、例えば、このようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとインキュベートし、その後に、一般的に洗浄段階を行い、抗体または結合パートナーに結合している細胞を、抗体または結合パートナーに結合していない細胞から分離することによって、1種類または複数種のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞発現または発現レベルに基づいて細胞および細胞集団を分離することを含む。
【0453】
このような分離段階は、さらに使用するために、試薬に結合した細胞が保持される正の選択に基づいてもよく、および/または抗体または結合パートナーに結合していない細胞が保持される負の選択に基づいてもよい。一部の例では、さらに使用するために両画分とも保持される。一部の局面において、不均質な集団の中にある細胞タイプを特異的に特定する抗体が利用できない場合、望ましい集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて分離が最も良く行われるように、負の選択が特に有用な場合がある。
【0454】
分離によって、特定のマーカーを発現する特定の細胞集団または細胞が100%濃縮または取り出される必要はない。例えば、特定のタイプの細胞、例えば、マーカーを発現する細胞の正の選択または濃縮とは、このような細胞の数またはパーセントが増加することを指すが、このマーカーを発現しない細胞が完全に無くなる必要はない。同様に、特定のタイプの細胞、例えば、マーカーを発現する細胞の負の選択、除去、または枯渇とは、このような細胞の数またはパーセントが減少することを指すが、このような細胞が全て完全に取り除かれる必要はない。
【0455】
一部の例では、複数回の分離段階が行われ、この場合、ある段階に由来する正に選択された画分または負に選択された画分は別の分離段階、例えば、後の正の選択または負の選択に供される。一部の例では、1回の分離段階で、例えば、それぞれが負の選択のために標的とされるマーカーに特異的な複数種の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、同時に、複数種のマーカーを発現する細胞を枯渇することができる。同様に、様々な細胞タイプの表面に発現している複数種の抗体または結合パートナーと細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞タイプを同時に正に選択することができる。
【0456】
例えば、一部の局面において、特定のT細胞部分母集団、例えば、1種類もしくは複数種の表面マーカーが陽性の細胞または高レベルの1種類もしくは複数種の表面マーカーを発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞が正の選択法または負の選択法によって単離される。
【0457】
例えば、CD3+、CD28+T細胞は、抗CD3/抗CD28結合磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を用いて正に選択することができる。
【0458】
一部の態様において、単離は、特定の細胞集団を正の選択によって濃縮することによって、または特定の細胞集団を負の選択によって枯渇させることによって行われる。一部の態様において、正の選択または負の選択は、それぞれ、正に選択された細胞または負に選択された細胞の表面に発現している1種類もしくは複数種の表面マーカー(マーカー+)または比較的高いレベルで発現している1種類もしくは複数種の表面マーカー(マーカーhigh)に特異的に結合する1種類または複数種の抗体または他の結合剤と細胞をインキュベートすることによって成し遂げられる。
【0459】
特定の態様において、生物試料、例えばPBMCまたは他の白血球の試料は、CD4+T細胞の選択に供され、その際、陰性画分と陽性画分の両方が確保される。一定の態様において、CD8+T細胞は、陰性画分より選択される。いくつかの態様において、生物試料は、CD8+T細胞の選択に供され、その際、陰性画分と陽性画分の両方が確保される。一定の態様において、CD4+T細胞は、陰性画分より選択される。
【0460】
一部の態様において、T細胞は、非T細胞、例えば、B細胞、単球、または他の白血球の表面に発現しているマーカー、例えば、CD14の負の選択によってPBMC試料から分離される。一部の局面において、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために、CD4+選択段階またはCD8+選択段階が用いられる。このようなCD4+集団およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ、メモリー、および/またはエフェクターT細胞部分母集団の表面で発現しているか、または比較的多量に発現しているマーカーを対象にした正の選択または負の選択によって部分母集団にさらに選別することができる。
【0461】
一部の態様において、さらに、CD8+細胞は、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞について、例えば、それぞれの部分母集団に関連する表面抗原に基づいた正の選択または負の選択によって濃縮または枯渇される。一部の態様において、効力を高めるために、例えば、長期生存、拡大増殖、および/または投与後の生着を改善するために、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮が行われる。一部の局面において、この効力は、このような部分母集団において特にロバストである。Terakura et al.(2012) Blood.1:72-82; Wang et al.(2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。一部の態様において、TCMが濃縮されたCD8+T細胞およびCD4+T細胞を組み合わせると効力がさらに高まる。
【0462】
態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットおよびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば、抗CD8抗体および抗CD62L抗体を用いて、CD62L-CD8+画分および/またはCD62L+CD8+画分について濃縮または枯渇することができる。
【0463】
一部の態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の正の、または多量の表面発現に基づいている。一部の局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するか、または多量に発現する細胞を対象にした負の選択に基づいている。一部の局面において、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇と、CD62Lを発現する細胞を対象にした正の選択または濃縮によって行われる。一局面において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の負の画分から開始して行われ、この画分は、CD14およびCD45RAの発現に基づく負の選択と、CD62Lに基づく正の選択に供される。このような選択は一部の局面では同時に行われ、他の局面では連続して、どちらの順序でも行われる。一部の局面において、CD4に基づく分離から正の画分および負の画分が両方とも保持され、この方法の後の段階において、任意で、1つまたは複数のさらなる正の選択段階または負の選択段階の後に用いられるように、CD8+細胞集団または部分母集団の調製において用いられた同じCD4発現に基づく選択段階が、CD4+細胞集団または部分母集団を作製するのにも用いられる。
【0464】
特定の例では、PBMC試料または他の白血球試料はCD4+細胞の選択に供される。この場合、負の画分および正の画分が両方とも保持される。次いで、負の画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく負の選択と、セントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカー、例えば、CD62LまたはCCR7に基づく正の選択に供される。この場合、正の選択および負の選択はどちらの順序でも行われる。
【0465】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによってナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は標準的な方法によって得ることができる。一部の態様において、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。一部の態様において、セントラルメモリーCD4+細胞はCD62L+およびCD45RO+である。一部の態様において、エフェクターCD4+細胞はCD62L-およびCD45RO-である。
【0466】
一例では、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。一部の態様において、正の選択および/または負の選択のために細胞の分離を可能にするために、抗体または結合パートナーは固体支持体またはマトリックス、例えば、磁気ビーズまたは常磁性ビーズに結合される。例えば、一部の態様において、前記細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気(affinitymagnetic))分離法を用いて分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol.2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJにおいて概説される)。
【0467】
一部の局面において、分離しようとする細胞の試料または組成物は、小さな、磁化可能な、または磁気に反応する材料、例えば、磁気に反応する粒子または微粒子、例えば、常磁性ビーズ(例えば、DynalbeadsまたはMACSビーズ)とインキュベートされる。磁気に反応する材料、例えば、粒子は、一般的に、分離することが望ましい細胞または細胞集団、例えば、負に選択する、または正に選択することが望ましい細胞または細胞集団の表面に存在する分子、例えば、表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば、抗体に直接的または間接的に取り付けられる。
【0468】
一部の態様において、磁性粒子または磁気ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合される、磁気に反応する材料を含む。磁気分離方法において用いられる多くの周知の磁気に反応する材料がある。適切な磁性粒子には、参照により本明細書に組み入れられる、Molday,米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP452342Bに記載の磁性粒子が含まれる。コロイドサイズの粒子、例えば、Owen 米国特許第4,795,698号およびLiberti et al.,米国特許第5,200,084号に記載のコロイドサイズの粒子が他の例である。
【0469】
インキュベーションは、一般的に、磁性粒子または磁気ビーズに取り付けられている、抗体または結合パートナーまたはこのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば、二次抗体もしくは他の試薬が、もし細胞表面分子が試料中の細胞の表面に存在すれば細胞表面分子に特異的に結合する条件下で行われる。
【0470】
一部の局面において、試料は磁場の中に置かれ、磁気に反応する粒子または磁化可能な粒子が取り付けられている細胞は磁石に引き付けられるか、非標識細胞から分離される。正の選択の場合、磁石に引き付けられた細胞が保持される。負の選択の場合、引き付けられなかった細胞(非標識細胞)が保持される。一部の局面において、同じ選択段階の間に正の選択と負の選択の組み合わせが行われ、正の画分および負の画分が保持され、さらに処理されるか、またはさらなる分離段階を受ける。
【0471】
ある特定の態様において、磁気に反応する粒子は一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、もしくはストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の態様において、磁性粒子は、1種類または複数種のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に取り付けられる。ある特定の態様において、前記細胞はビーズではなく、一次抗体または結合パートナーで標識され、次いで、細胞タイプ特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁性粒子が添加される。ある特定の態様において、ストレプトアビジンでコーティングされた磁性粒子が、ビオチン化した一次抗体または二次抗体と一緒に用いられる。
【0472】
一部の態様において、後でインキュベート、培養、および/または操作される細胞に、磁気に反応する粒子を取り付けたままにしておく。一部の局面において、患者に投与するために、前記粒子を細胞に取り付けたままにしておく。一部の態様において、磁化可能な粒子または磁気に反応する粒子は細胞から取り除かれる。磁化可能な粒子を細胞から取り除くための方法は公知であり、例えば、競合する非標識競合抗体、および磁化可能な粒子、または切断可能なリンカーと結合体化した抗体などの使用を含む。一部の態様において、磁化可能な粒子は生分解性である。
【0473】
一部の態様において、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を介した選択である。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化粒子が取り付けられている細胞を高純度で選択することができる。ある特定の態様において、MACSは、外部磁場が印加された後に、非標的種および標的種が連続して溶出されるモードで動作する。すなわち、取り付けられなかった種が溶出される間に、磁化粒子に取り付けられた細胞は所定の位置に保たれる。次いで、この第1の溶出段階が完了した後に、磁場に閉じ込められ、溶出しないようにされていた種は、このような種が溶出および回収が可能なように何らかのやり方で遊離される。ある特定の態様において、非標的細胞は標識され、不均質な集団細胞から枯渇される。
【0474】
ある特定の態様において、単離または分離は、前記方法の単離段階、細胞調製段階、分離段階、処理段階、インキュベーション段階、培養段階、および/または製剤化段階の1つまたは複数を行うシステム、装置、または器具を用いて行われる。一部の局面において、前記システムは、例えば、誤り、使用者の操作、および/または汚染を最小限にするために、これらの各段階を閉じた、または無菌の環境において行うのに用いられる。一例では、システムは、WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載のシステムである。
【0475】
一部の態様において、システムまたは器具は、統合システム型もしくは自立型システムにおいて、および/または自動的に、もしくはプログラム可能なやり方で、単離段階、処理段階、操作段階、および製剤化段階の1つまたは複数、例えば、全てを行う。一部の局面において、システムまたは器具は、使用者が、処理段階、単離段階、操作段階、および製剤化段階の様々な局面をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、および/または調整するのを可能にする、システムまたは器具と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを備える。
【0476】
一部の局面において、例えば、閉じた無菌のシステムにおいて細胞を臨床規模レベルで自動分離するために、分離段階および/または他の段階はCliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。構成要素には、内蔵型マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチ弁が含まれる場合がある。内蔵型コンピュータは一部の局面では機器の全構成要素を制御し、反復手順を統一された順序で行うようにシステムを命令する。磁気分離ユニットは、一部の局面では、可動性の永久磁石および選択カラム用のホルダを備える。蠕動ポンプはチューブセット全体にわたる流速を制御し、ピンチ弁と一緒に、緩衝液がシステムを制御されて流れ、細胞が絶え間なく懸濁されるのを確かなものにする。
【0477】
CliniMACSシステムは、一部の局面では、滅菌した非発熱性の溶液に溶解して供給される、抗体に結合した磁化可能な粒子を使用する。一部の態様において、細胞は磁性粒子で標識された後に、余分な粒子を除去するために洗浄される。次いで、細胞調製バッグがチューブセットに接続され、そして次にチューブセットは緩衝液含有バックおよび細胞収集バッグに接続される。チューブセットは、プレカラムおよび分離カラムを含む予め組み立てられた滅菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムが開始した後に、システムは分離カラムに細胞試料を自動的にアプライする。標識された細胞はカラム内に保持されるのに対して、標識されなかった細胞は一連の洗浄段階によって除去される。一部の態様において、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団は標識されず、カラム内に保持されない。一部の態様において、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団は標識され、カラム内に保持される。一部の態様において、磁場が取り除かれた後に、本明細書に記載の方法と共に使用するための細胞集団はカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0478】
ある特定の態様において、分離段階および/または他の段階はCliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。CliniMACS Prodigyシステムには、一部の局面では、細胞を自動洗浄し、遠心分離によって分画する細胞処理ユニット(cell processing unity)が付いている。CliniMACS Prodigyシステムはまた、内蔵カメラと、供給源の細胞産物の巨視的な層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する画像認識ソフトウェアも備えている場合がある。例えば、末梢血は赤血球、白血球、および血漿の層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、細胞培養プロトコール、例えば、細胞分化および拡大増殖、抗原添加、ならびに長期細胞培養を行う内蔵型細胞発育チャンバーも備えている場合がある。インプットポートを用いると、培地を無菌的に取り出し、補充することができる。細胞は、内蔵型顕微鏡を用いてモニタリングすることができる。例えば、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660, Terakuraet al.(2012) Blood.1:72-82、およびWang et al.(2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0479】
一部の態様において、本明細書に記載の細胞集団はフローサイトメトリーを介して収集および濃縮(または枯渇)される。フローサイトメトリーでは、複数種の細胞表面マーカーについて染色された細胞は流体の流れに入って運ばれる。一部の態様において、本明細書に記載の細胞集団は、分取スケール(preparative scale)(FACS)選別を介して収集および濃縮(または枯渇)される。ある特定の態様において、本明細書に記載の細胞集団は、FACSに基づく検出系と組み合わせて微小電気機械システム(MEMS)チップを用いることによって収集および濃縮(または枯渇)される(例えば、WO2010/033140, Cho et al.(2010) Lab Chip 10, 1567-1573;および Godin et al.(2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合でも、細胞は複数種のマーカーで標識することができ、それによって、詳細に明らかにされたT細胞サブセットを高純度で単離することが可能になる。
【0480】
一部の態様において、正の選択および/または負の選択のために分離を容易にするために、抗体または結合パートナーは1種類または複数種の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は蛍光標識抗体との結合に基づいてもよい。一部の例では、1種類または複数種の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、流体の流れの中で、例えば、分取スケール(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを備える蛍光標識細胞分取(FACS)によって、例えば、フローサイトメトリー検出系と組み合わせて行われる。このような方法を用いると、複数種のマーカーに基づいて正の選択および負の選択を同時に行うことができる。
【0481】
一部の態様において、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後に細胞を凍結、例えば、凍結保存するための段階を含む。一部の態様において、凍結段階およびその後の解凍段階によって、細胞集団の中にある顆粒球が取り除かれ、単球がある程度まで取り除かれる。一部の態様において、例えば、血漿および血小板を取り除く洗浄段階の後に、前記細胞は凍結溶液に懸濁される。様々な任意の公知の凍結溶液およびパラメータを一部の局面で使用することができる。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を使用することを伴う。次いで、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、これを培地で1:1に希釈する。次いで、細胞は一般的に1分につき1°Cの速度で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相の中で保管される。
【0482】
いくつかの態様において、単離および/または選択によって、濃縮T細胞、例えばCD3+T細胞、CD4+T細胞、および/またはCD8+T細胞の、1種または複数種のインプット組成物がもたらされる。いくつかの態様において、2種またはそれ以上の別個のインプット組成物は、単一の生物試料から単離、選択、濃縮、または取得される。いくつかの態様において、別個のインプット組成物は、同じ対象から採取、収集、および/または取得された別個の生物試料から単離、選択、濃縮、および/または取得される。
【0483】
一定の態様において、1種または複数種のインプット組成物は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%のCD3+T細胞を含む濃縮T細胞の組成物であるか、あるいはそれを含む。特定の態様において、濃縮T細胞のインプット組成物は、本質的にCD3+T細胞からなる。
【0484】
一定の態様において、1種または複数種のインプット組成物は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%のCD4+T細胞を含む濃縮CD4+T細胞の組成物であるか、あるいはそれを含む。一定の態様において、CD4+T細胞のインプット組成物は、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満のCD8+T細胞を含み、かつ/またはCD8+T細胞を含有せず、かつ/またはCD8+T細胞を含まないもしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、本質的にCD4+T細胞からなる。
【0485】
一定の態様において、1種または複数種の組成物は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%のCD8+T細胞であるかまたはそれを含むCD8+T細胞の組成物であるか、あるいはそれを含む。一定の態様において、CD8+T細胞の組成物は、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満のCD4+T細胞を含有し、かつ/またはCD4+T細胞を含有せず、かつ/またはCD4+T細胞を含まないもしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、本質的にCD8+T細胞からなる。
【0486】
2. 活性化および刺激
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作の前にまたは遺伝子操作とともに、インキュベーションおよび/または培養される。インキュベーション段階は、培養、カルチベーション、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。インキュベーションおよび/または操作は、培養容器、例えば、培養または細胞培養のための装置、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または他の容器中で実施されてよい。いくつかの態様において、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベーションされる。このような条件には、集団における細胞の増殖、拡大増殖、活性化、および/もしくは生存を誘導する、抗原曝露を模倣する、ならびに/または遺伝子操作、例えば組換え抗原受容体の導入のために細胞を予備刺激するように設計されたものが含まれる。
【0487】
これらの条件には、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合相手、融合タンパク質、可溶性組換え受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された他の任意の作用物質のうちの1つまたは複数が含まれ得る。
【0488】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激物質には、TCR複合体の細胞内シグナル伝達領域を刺激または活性化することができる1種または複数種の作用物質、例えばリガンドが含まれる。いくつかの局面において、作用物質は、T細胞においてTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動させるかまたは開始する。このような作用物質には、抗体、例えばTCRに特異的なもの、例えば抗CD3が含まれ得る。いくつかの態様において、刺激条件には、共刺激受容体を刺激することができる1種または複数種の作用物質、例えばリガンド、例えば抗CD28が含まれる。いくつかの態様において、このような作用物質および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。任意で、拡大増殖方法は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を培地に(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する段階をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、刺激物質には、IL-2、IL-15、および/またはIL-7が含まれる。いくつかの局面において、IL-2の濃度は、少なくとも約10単位/mLである。
【0489】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されているもののような技術に従って行われる。
【0490】
いくつかの態様において、(例えば、結果として生じる細胞集団が、拡大増殖させようとする初期集団中の各Tリンパ球に対して少なくとも約5、10、20、もしくは40個またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含むように)非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダー細胞を培養開始組成物に添加し;かつ(例えば、T細胞の数を増大させるのに十分な時間)培養物をインキュベーションすることによって、T細胞を拡大増殖させる。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ線照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を防ぐために、約3000~3600ラドの範囲のガンマ線を照射される。いくつかの局面において、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加の前に、培地に添加される。
【0491】
いくつかの態様において、刺激条件には、ヒトTリンパ球の増殖に適している温度、例えば、少なくとも約25℃、通常は少なくとも約30℃、および通常は37℃または約37℃が含まれる。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として添加することをさらに含んでもよい。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のガンマ線で照射することができる。いくつかの局面におけるLCLフィーダー細胞は、任意の適切な量で、例えばLCLフィーダー細胞と初期Tリンパ球の比が少なくとも約10:1である量で、提供される。
【0492】
いくつかの態様において、抗原特異的T細胞、例えば抗原特異的なCD4+T細胞および/またはCD8+T細胞は、ナイーブTリンパ球または抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的なT細胞株またはクローンは、サイトメガロウイルス抗原に対して、感染した対象からT細胞を単離し、同じ抗原を用いて細胞をインビトロで刺激することにより、作製することができる。
【0493】
いくつかの態様において、1種または複数種の刺激条件または刺激物質の存在下でのインキュベーションの少なくとも一部は、例えば、国際公開公報第2016/073602号に記載されているような遠心回転下で、遠心チャンバーの内部キャビティ内で行われる。いくつかの態様において、遠心チャンバー内で行われるインキュベーションの少なくとも一部は、刺激および/または活性化を誘導するための1種または複数種の試薬と混合することを含む。いくつかの態様において、細胞、例えば選択された細胞は、遠心チャンバー内で刺激条件または刺激物質と混合される。このようなプロセスのいくつかの局面において、ある体積量の細胞が、細胞培養プレートまたは他の系において同様の刺激を与える場合に通常使用されるよりもはるかに少ない量の、1種または複数種の刺激条件または刺激物質と混合される。
【0494】
いくつかの態様において、刺激物質は、遠心チャンバー内で混合せずに、例えば、定期的に振盪または回転しながらチューブまたはバッグ中で選択が実施される場合に、同じ数の細胞または同じ体積の細胞の選択についてほぼ同じまたは同様の効率を実現するために典型的に使用されるかまたは必要であると思われる刺激物質の量と比較して、実質的に少ない(例えば、その量の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、または80%以下である)量で、チャンバーのキャビティ中の細胞に添加される。いくつかの態様において、インキュベーションは、例えば10mL~200mL、例えば、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、もしくは200mL、または少なくとも約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、もしくは200mL、または約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、もしくは200mL、または10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、もしくは200mLである、試薬のインキュベーションに伴う目標体積を実現するために、細胞および刺激物質にインキュベーション緩衝液を添加して、実施される。いくつかの態様において、インキュベーション緩衝液および刺激物質は、細胞に添加する前に予備混合される。いくつかの態様において、インキュベーション緩衝液および刺激物質は、細胞に別々に添加される。いくつかの態様において、刺激インキュベーションは、定期的に穏やかに混合する条件下で実施され、この条件は、エネルギー的に好ましい相互作用を促進するのに役立ち、それによって、刺激物質の総使用量を少なくし、同時に細胞の刺激および活性化を実現することを可能にし得る。
【0495】
いくつかの態様において、インキュベーションは、通常、混合条件下で行われ、例えば、通常は比較的低い力または速度、例えば細胞をペレット化するために使用される速度よりも低い速度で、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm、または約600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm、または少なくとも600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm)で、例えば、チャンバーまたは他の容器の試料または壁に対して80g~100gまたは約80g~100g(例えば、80g、85g、90g、95g、もしくは100g、または約80g、85g、90g、95g、もしくは100g、または少なくとも80g、85g、90g、95g、もしくは100g)のRCFでの回転の存在下で行われる。いくつかの態様において、回転は、このような低速度での回転とそれに続く静止期間、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10秒間の回転および/または静止、例えば、約1または2秒の回転とそれに続く約5、6、7、または8秒間の静止という時間間隔の繰り返しを用いて行われる。
【0496】
いくつかの態様において、例えば刺激物質とのインキュベーションの合計持続時間は、1時間~96時間、1時間~72時間、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間、もしくは12時間~24時間、または約1時間~96時間、約1時間~72時間、約1時間~48時間、約4時間~36時間、約8時間~30時間、もしくは約12時間~24時間、例えば、少なくとも6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、もしくは72時間、または少なくとも約6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、もしくは72時間である。いくつかの態様において、さらなるインキュベーションが、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間、もしくは12時間~24時間、または約1時間~48時間、約4時間~36時間、約8時間~30時間、もしくは約12時間~24時間(両端の値を含む)、行われる。
【0497】
特定の態様において、刺激条件には、1種もしくは複数種のサイトカインとともに、かつ/または1種もしくは複数種のサイトカインの存在下で、濃縮T細胞の組成物をインキュベーション、培養、および/またはカルチベーションすることが含まれる。特定の態様において、1種または複数種のサイトカインは、組換えサイトカインである。いくつかの態様において、1種または複数種のサイトカインは、ヒト組換えサイトカインである。一定の態様において、1種または複数種のサイトカインは、T細胞によって発現され、かつ/またはT細胞に内在する受容体に、結合し、かつ/または結合することができる。特定の態様において、1種または複数種のサイトカインは、サイトカインの4α-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、サイトカインの4α-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーには、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)がが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0498】
いくつかの態様において、刺激は、例えば形質導入より前に、細胞の活性化および/または増殖をもたらす。
【0499】
3. 遺伝子操作のためのベクターおよび方法
いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造品、または組成物とともに使用される操作された細胞、例えばT細胞は、組換え受容体、例えばCAR、例えば本明細書に記載のものを発現するように遺伝子操作された細胞である。いくつかの態様において、これらの細胞は、組換え受容体および/または他の分子をコードする核酸配列の導入、送達、または移入によって操作される。
【0500】
いくつかの態様において、操作された細胞を作製するための方法は、組換え受容体(例えば抗CD19 CAR)をコードするポリヌクレオチドを細胞、例えば刺激または活性化された細胞に導入することを含む。特定の態様において、組換えタンパク質は、説明したいずれかのような組換え受容体である。組換え受容体などの組換えタンパク質をコードする核酸分子の細胞への導入は、いくつかの公知のベクターのいずれかを用いて行われてよい。このようなベクターには、レンチウイルス系およびガンマレトロウイルス系、およびトランスポゾンベースの系、例えばPiggyBacまたはSleeping Beautyベースの遺伝子移入系を含む、ウイルス系および非ウイルス系が含まれる。例示的な方法には、ウイルス、例えばレトロウイルスまたはレンチウイルス、形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションを介するものを含む、受容体をコードする核酸を移入するための方法が含まれる。いくつかの態様において、操作により、1種または複数種の操作された濃縮T細胞組成物が作製される。
【0501】
一定の態様において、1種または複数種の、刺激されたT細胞の組成物は、2種の別個の刺激された濃縮T細胞組成物であるか、またはそれらを含む。特定の態様において、濃縮T細胞の2種の別個の組成物、例えば、同じ生物試料から選択、単離、および/または濃縮された濃縮T細胞の2種の別個の組成物は、別々に操作される。一定の態様において、2種の別個の組成物には、濃縮CD4+T細胞の組成物が含まれる。特定の態様において、2種の別個の組成物には、濃縮CD8+T細胞の組成物が含まれる。いくつかの態様において、濃縮CD4+T細胞および濃縮CD8+T細胞の2種の別個の組成物は、別々に遺伝子操作される。
【0502】
いくつかの態様において、遺伝子移入は、例えば細胞を刺激物質と混合することによって、まず細胞を刺激し、続いて、活性化された細胞に形質導入し、臨床応用に十分な数まで培養によって拡大増殖させることにより、遂行される。ここで、刺激物質は、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現に基づいて測定される、応答、例えば、増殖、生存、およびまたは活性化を誘導するものである。一定の態様において、遺伝子移入は、例えば説明した方法のいずれかによって、刺激条件下で細胞をまずインキュベーションすることにより、遂行される。
【0503】
いくつかの態様において、遺伝子操作のための方法は、組成物の1つまたは複数の細胞を、組換えタンパク質、例えば組換え受容体をコードする核酸分子と接触させることによって行われる。いくつかの態様において、接触は、スピノキュレーション(例えば遠心接種)など、遠心を用いて実施することができる。このような方法には、国際公開公報第2016/073602号に記載されているもののいずれかが含まれる。例示的な遠心チャンバーには、Biosafe SAによって製造および販売されるものが含まれ、これにはSepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムとともに使用するためのものが含まれ、A-200/FおよびA-200遠心チャンバーおよびそのようなシステムで使用するための様々なキットが含まれる。例示的なチャンバー、システム、ならびに加工処理用の機器およびキャビネットは、例えば、米国特許第6,123,655号、米国特許第6,733,433号、および米国特許出願公開US 2008/0171951、ならびに公開された国際特許出願、公開番号WO 00/38762に記載されており、各文献の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。このようなシステムで使用するための例示的なキットには、BioSafe SAからCS-430.1、CS-490.1、CS-600.1またはCS-900.2の製品名で販売されている単回使用キットが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0504】
いくつかの態様において、接触は、スピノキュレーション(例えば遠心接種)など、遠心を用いて実施することができる。いくつかの態様において、細胞を含む組成物、ベクター、例えばウイルス粒子、および試薬を、通常は比較的低い力または速度、例えば細胞をペレット化するために使用される速度よりも低い速度で、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm、または約600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm、または少なくとも600rpm、1000rpm、もしくは1500rpm、もしくは1700rpm)で、回転させることができる。いくつかの態様において、この回転は、例えばチャンバーまたはキャビティの内壁または外壁に対して測定した場合に、ある力で、例えば、100g~3200gまたは約100g~3200g(例えば、100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000g、もしくは3200g、または約100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000g、もしくは3200g、または少なくとも100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000g、もしくは3200g、または少なくとも約100g、200g、300g、400g、500g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000g、もしくは3200g)の相対遠心力で、行われる。通常、用語「相対遠心力」またはRCFは、回転軸と比較して空間内の特定の点における、地球の重力と比べた、ある物体または物質(例えば、細胞、試料、もしくはペレット、および/または回転されているチャンバーもしくは他の容器内の一箇所)に加えられる有効力であると理解されている。その値は、重力、回転速度、および回転半径(回転軸からの距離、およびRCFが測定されている物体、物質、または粒子)を考慮に入れて、周知の式を用いて求めることができる。
【0505】
いくつかの態様において、システムは、他の機器とともに含まれ、かつ/または他の機器と連係するように配置される。該他の機器には、該システムにおいて実施される形質導入段階および1つまたは複数の他の様々な加工処理段階、例えば、本明細書においてまたは国際公開公報第2016/073602号において説明される遠心チャンバーシステムを用いてまたはそれに関連して行うことができる1つまたは複数の加工処理段階の局面を作動、自動化、制御、および/またはモニターするための機器が含まれる。いくつかの態様において、この機器はキャビネット内に含まれる。いくつかの態様において、機器はキャビネットを含み、キャビネットは、制御回路網、遠心分離機、カバー、モーター、ポンプ、センサー、ディスプレイ、およびユーザーインターフェースを収容する筐体を含む。例示的な装置は、米国特許第6,123,655号、米国特許第6,733,433号、およびUS 2008/0171951に記載されている。
【0506】
いくつかの態様において、システムは、一連の容器、例えば、バッグ、チュービング、活栓、クランプ、コネクター、および遠心チャンバーを含む。いくつかの態様において、バッグなどの容器は、同じ容器または別々の容器、例えば同じバッグまたは別々のバッグの中に、形質導入しようとする細胞およびウイルスベクター粒子を含む、1つまたは複数の容器、例えばバッグを含む。いくつかの態様において、システムは、チャンバーに引き込まれる希釈剤および/もしくは洗浄溶液などの媒体、ならびに/または方法の実施中に構成要素および/もしくは組成物を希釈、再懸濁、および/もしくは洗浄するための他の構成要素を含む、1つまたは複数の容器、例えばバッグをさらに含む。これらの容器は、システム内の1つまたは複数の位置、例えばインプットライン、希釈剤ライン、洗浄ライン、廃棄物ライン、および/またはアウトプットラインに対応する位置で連結することができる。
【0507】
いくつかの態様において、チャンバーは、例えばその回転軸を中心にしてチャンバーの回転をもたらすことができる遠心分離機と結合されている。回転は、細胞の形質導入に関連するインキュベーションの前、間、および/もしくは後に、ならびに/または他の加工処理段階のうちの1つもしくは複数において、行われてよい。したがって、いくつかの態様において、様々な加工処理段階のうちの1つまたは複数は、例えば特定の力での回転下で行われる。チャンバーは、遠心分離時にチャンバーが垂直に位置し、かつ側壁と軸が垂直またはおおむね垂直であり、端壁が水平またはおおむね水平であるように、典型的には垂直またはおおむね垂直な回転が可能である。
【0508】
いくつかの態様において、遺伝子操作の少なくとも一部、例えば形質導入の間に、かつ/または遺伝子操作の後に、細胞は、遺伝子操作された細胞の培養のため、例えば細胞のカルチベーションまたは拡大増殖のためのバイオリアクターバッグアセンブリに移される。
【0509】
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えば、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を用いて、細胞中に移入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターを用いてT細胞中に移入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25; Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46; Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557)。
【0510】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、または脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)に由来するレトロウイルスベクターは、長い末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類または哺乳類の細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは、典型的にはアンホトロピックであり、これは、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染できることを意味する。1つの態様において、発現させようとする遺伝子で、レトロウイルスのgag、pol、および/またはenv配列を置き換える。いくつかの例示的なレトロウイルス系が説明されている(例えば、米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号、同第5,219,740号; Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990; Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14; Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852; Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109を参照されたい)。
【0511】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701; Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644; Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114;およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0512】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子は、レトロウイルスゲノムに基づくベクターに由来する、例えばレンチウイルスゲノムに基づくベクターに由来する、ゲノムを含む。提供されるウイルスベクターのいくつかの局面において、組換え受容体、例えばCARなどの抗原受容体をコードする異種核酸は、ベクターゲノムの5’LTR配列と3’LTR配列の間に含まれ、かつ/または位置する。
【0513】
いくつかの態様において、ウイルスベクターゲノムは、HIV-1ゲノムまたはSIVゲノムなどのレンチウイルスゲノムである。例えば、レンチウイルスベクターは、病原性遺伝子を複数回弱毒化することによって作製されており、例えば、遺伝子env、vif、vpu、およびnefを欠失させて、治療目的のためにベクターの安全性を高めることができる。レンチウイルスベクターは公知である。Naldini et al.,(1996 and 1998); Zufferey et al.,(1997); Dull et al.,1998、米国特許第6,013,516号;および同第5,994,136号を参照されたい。いくつかの態様において、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の組入れのため、選択のため、および宿主細胞への核酸の移入のために必須な配列を有するように構成されている。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」; 10801 University Blvd., Manassas, Va. 20110-2209)などの寄託機関またはコレクションから容易に入手できるか、または一般に利用可能な技術を用いて公知の供給源から単離することができる。
【0514】
レンチウイルスベクターの非限定的な例には、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、HIV-2、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス1(HTLV-1)、HTLV-2、またはウマ伝染性貧血ウイルス(E1AV)などのレンチウイルスに由来するものが含まれる。例えば、レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を複数回弱毒化することによって作製されており、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpu、およびnefを欠失させて、治療目的のためにベクターの安全性を高める。レンチウイルスベクターは当技術分野において公知であり、Naldini et al., (1996 and 1998); Zufferey et al., (1997); Dull et al., 1998、米国特許第6,013,516号;および同第5,994,136号を参照されたい。いくつかの態様において、これらのウイルスベクターは、プラスミドベースまたはウイルスベースであり、外来核酸の組入れのため、選択のため、および宿主細胞への核酸の移入のために必須な配列を有するように構成されている。公知のレンチウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd., Manassas, Va. 20110-2209)などの寄託機関またはコレクションから容易に入手できるか、または一般に利用可能な技術を用いて公知の供給源から単離することができる。
【0515】
いくつかの態様において、ウイルスゲノムベクターは、レンチウイルスなどのレトロウイルスの5′LTRおよび3′LTRの配列を含むことができる。いくつかの局面において、ウイルスゲノム構築物は、レンチウイルスの5’LTRおよび3’LTR由来の配列を含んでよく、特に、レンチウイルスの5’LTR由来のR配列およびU5配列ならびにレンチウイルス由来の不活性3’LTRまたは自己不活性化3’LTRを含むことができる。LTR配列は、任意の種に起源を持つ任意のレンチウイルス由来のLTR配列であることができる。例えば、それらは、HIV、SIV、FIV、またはBIVに由来するLTR配列であってよい。典型的には、LTR配列はHIV LTR配列である。
【0516】
いくつかの態様において、HIVウイルスベクターなどのウイルスベクターの核酸は、付加的な転写単位を欠く。ベクターゲノムは、不活性3’LTRまたは自己不活性化3’LTRを含むことができる(Zufferey et al. J Virol 72:9873,1998;Miyoshi et al., J Virol 72:8150,1998)。例えば、ウイルスベクターRNAを産生するのに使用される核酸の3’LTRのU3領域における欠失を利用して、自己不活性化(SIN)ベクターを作製することができる。次いで、この欠失を、逆転写の進行中にプロウイルスDNAの5’LTRに移入することができる。通常、自己不活性化ベクターは、3’の長い末端反復配列(LTR)に由来するエンハンサー配列およびプロモーター配列の欠失を有し、この欠失はベクターの組込み時に5’LTRにコピーされる。いくつかの態様において、TATAボックスの除去を含む十分な配列の排除によって、LTRの転写活性を無効にすることができる。これにより、形質導入された細胞における完全長ベクターRNAの産生を防止することができる。いくつかの局面において、3’LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、TATAボックス、Sp1、およびNF-κB部位の欠失を含む。自己不活性化3’LTRの結果として、侵入および逆転写の後に生成されるプロウイルスは、不活性5’LTRを含む。これにより、ベクターゲノムの起動リスク、および近傍の細胞プロモーターへのLTRの影響を低減することによって安全性を高めることができる。自己不活性化3’LTRは、当技術分野において公知である任意の方法によって構築することができる。いくつかの態様において、これは、ベクター力価にもベクターのインビトロ特性およびインビボ特性にも影響を及ぼさない。
【0517】
任意で、レンチウイルス5’LTR由来のU3配列は、ウイルス構築物中のプロモーター配列、例えば異種プロモーター配列で置き換えることができる。これにより、パッケージング細胞株から回収されるウイルスの力価を高めることができる。エンハンサー配列もまた、含めることができる。パッケージング細胞株におけるウイルスRNAゲノムの発現を増加させる任意のエンハンサー/プロモーター組合せが、使用されてよい。一例では、CMVエンハンサー/プロモーター配列が使用される(米国特許第5,385,839号および米国特許第5,168,062号)。
【0518】
一定の態様において、レンチウイルスベクターゲノムなどのレトロウイルスベクターゲノムを組込み欠陥になるように構築することによって、挿入変異のリスクを最小限に抑えることができる。非組込みベクターゲノムを作製するために、様々なアプローチを遂行することができる。いくつかの態様において、不活性インテグラーゼを有するタンパク質をpol遺伝子がコードするように、pol遺伝子のインテグラーゼ酵素構成要素に変異を人工的に作り出すことができる。いくつかの態様において、例えば、一方もしくは両方の付着部位を変異もしくは欠失させることにより、または欠失もしくは改変によって3’LTR近位ポリプリン領域(PPT)を非機能性にすることにより、ベクターゲノム自体を改変して、組込みを防ぐことができる。いくつかの態様において、非遺伝学的アプローチが利用可能であり、これらには、インテグラーゼの1つまたは複数の機能を阻害する薬理学的物質が含まれる。これらのアプローチは相互排他的ではなく、すなわちそれらの複数を同時に使用することができる。例えば、インテグラーゼと付着部位の両方が非機能性であることができるか、またはインテグラーゼおよびPPT部位が非機能性であることができるか、または付着部位およびPPT部位が非機能性であることができるか、またはそれらのすべてが非機能性であることができる。このような方法およびウイルスベクターゲノムは公知であり、利用可能である(Philpott and Thrasher, Human Gene Therapy 18:483, 2007; Engelman et al. J Virol 69:2729, 1995; Brown et al J Virol 73:9011 (1999); WO 2009/076524; McWilliams et al., J Virol 77:11150, 2003; Powell and Levin J Virol 70:5288, 1996を参照されたい)。
【0519】
いくつかの態様において、ベクターは、原核生物宿主細胞などの宿主細胞における増殖のための配列を含む。いくつかの態様において、ウイルスベクターの核酸は、細菌細胞などの原核細胞における増殖のための1つまたは複数の複製起点を含む。いくつかの態様において、原核生物の複製起点を含むベクターはまた、その発現によって薬剤耐性などの検出可能または選択可能なマーカーが与えられる遺伝子を含んでもよい。
【0520】
典型的には、ウイルスベクターゲノムは、パッケージング細胞株またはプロデューサー細胞株にトランスフェクトすることができるプラスミド形態で構築される。様々な公知の方法のいずれかを用いて、ゲノムがウイルスベクターゲノムのRNAコピーを含むレトロウイルス粒子を作製することができる。いくつかの態様において、少なくとも2つの構成材料が、ウイルスに基づく遺伝子送達系の作製に関与している。1つ目は、構造タンパク質およびウイルスベクター粒子を生成するために必要な酵素を包含するパッケージングプラスミドであり、2つ目は、ウイルスベクター自体、すなわち移入される遺伝物質である。バイオセーフティ保護を、これらの構成材料の一方または両方の設計に導入することができる。
【0521】
いくつかの態様において、パッケージングプラスミドは、エンベロープタンパク質以外のすべてのレトロウイルスタンパク質、例えばHIV-1タンパク質を含むことができる(Naldini et al., 1998)。他の態様において、ウイルスベクターは、ビルレンスに関連するもの、例えばvpr、vif、vpu、およびnef、ならびに/またはHIVの主要なトランス活性化因子であるTatなどの付加的なウイルス遺伝子を欠いていてもよい。いくつかの態様において、HIVベースのレンチウイルスベクターなどのレンチウイルスベクターは、親ウイルスの3つの遺伝子:gag、pol、およびrevのみを含み、これによって、組換えにより野生型ウイルスが再構成する可能性が低くなるかまたは無くなる。
【0522】
いくつかの態様において、ウイルスベクターゲノムは、該ウイルスベクターゲノムから転写されたウイルスゲノムRNAをウイルス粒子中にパッケージングするために必要なすべての構成要素を含むパッケージング細胞株中に導入される。あるいは、ウイルスベクターゲノムは、関心対象の1つまたは複数の配列、例えば組換え核酸に加えて、ウイルス構成要素をコードする1つまたは複数の遺伝子を含んでもよい。しかし、いくつかの局面において、標的細胞におけるゲノムの複製を防ぐために、複製に必要な内因性ウイルス遺伝子が除去され、パッケージング細胞株中で別途提供される。
【0523】
いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、粒子を生成するために必要な構成要素を含む1つまたは複数のプラスミドベクターでトランスフェクトされる。いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、LTR、シス作用性パッケージング配列、および関心対象の配列、すなわちCARなどの抗原受容体をコードする核酸を含むウイルスベクターゲノムを含むプラスミド、ならびにGag、pol、および/またはrevなどのウイルスの酵素成分および/または構造成分をコードする1つまたは複数のヘルパープラスミドでトランスフェクトされる。いくつかの態様において、レトロウイルスベクター粒子を生成する様々な遺伝子成分を別々にするために、複数のベクターを利用する。いくつかのそのような態様において、パッケージング細胞に別個のベクターを提供することにより、さもなければ複製能を有するウイルスをもたらし得る組換え事象の可能性が低くなる。いくつかの態様において、レトロウイルス構成要素のすべてを有する単一のプラスミドベクターを使用することができる。
【0524】
いくつかの態様において、レンチウイルスベクター粒子などのレトロウイルスベクター粒子は、宿主細胞の形質導入効率を高めるために偽型化される。例えば、いくつかの態様において、レンチウイルスベクター粒子などのレトロウイルスベクター粒子は、VSV-G糖タンパク質を用いて偽型化され、これにより、幅広い細胞宿主範囲が提供されて、形質導入できる細胞型の範囲が広がる。いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、例えば、シンドビスウイルスエンベロープ、GALV、またはVSV-Gなどのゼノトロピック、ポリトロピック、またはアンホトロピックなエンベロープを含むように、非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミドまたはポリヌクレオチドでトランスフェクトされる。
【0525】
いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、ウイルスの調節タンパク質および構造タンパク質を含む、ウイルスゲノムRNAをレンチウイルスベクター粒子中にパッケージングするためにトランスで必要とされる構成要素を提供する。いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、レンチウイルスタンパク質を発現し、かつ機能性レンチウイルスベクター粒子を産生することができる、任意の細胞株であってよい。いくつかの局面において、適切なパッケージング細胞株には、293(ATCC CCL X)、293T、HeLA(ATCC CCL 2)、D17(ATCC CCL 183)、MDCK(ATCC CCL 34)、BHK(ATCC CCL-10)、およびCf2Th(ATCC CRL 1430)細胞が含まれる。
【0526】
いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、ウイルスタンパク質を安定に発現する。例えば、いくつかの局面において、gag、pol、rev、および/または他の構造遺伝子を含むがLTRおよびパッケージング構成要素を含まないパッケージング細胞株を、構築することができる。いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、異種タンパク質をコードする核酸分子および/またはエンベロープ糖タンパク質をコードする核酸を含むウイルスベクターゲノムとともに、1つまたは複数のウイルスタンパク質をコードする核酸分子で一過性にトランスフェクトされ得る。
【0527】
いくつかの態様において、ウイルスベクターならびにパッケージングプラスミドおよび/またはヘルパープラスミドは、トランスフェクションまたは感染によってパッケージング細胞株中に導入される。パッケージング細胞株は、ウイルスベクターゲノムを含むウイルスベクター粒子を産生する。トランスフェクションまたは感染のための方法は周知である。非限定的な例には、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン法、およびリポフェクション法、エレクトロポレーション、およびマイクロインジェクションが含まれる。
【0528】
組換えプラスミドならびにレトロウイルスのLTRおよびパッケージング配列が(例えばリン酸カルシウム沈殿などによって)特殊な細胞株中に導入された場合、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物がウイルス粒子中にパッケージングされることを可能にすることができ、該ウイルス粒子はその後、培地に分泌され得る。いくつかの態様において、次に、組換えレトロウイルスを含む培地を採取し、任意で濃縮し、遺伝子移入に使用する。例えば、いくつかの局面において、パッケージングプラスミドおよび移入ベクターをパッケージング細胞株に同時トランスフェクションした後、ウイルスベクター粒子を培地から回収し、当業者によって使用される標準的な方法によって力価測定する。
【0529】
いくつかの態様において、レンチウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターは、レンチウイルス粒子の生成を可能にするプラスミドの導入により、例示的なHEK 293T細胞株などのパッケージング細胞株において作製することができる。いくつかの態様において、パッケージング細胞は、gagおよびpolをコードするポリヌクレオチド、ならびに抗原受容体、例えばCARなどの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされ、かつ/またはそれを含む。いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、任意でおよび/またはさらに、revタンパク質をコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされ、かつ/またはそれを含む。いくつかの態様において、パッケージング細胞株は、任意でおよび/またはさらに、VSV-Gなどの非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするポリヌクレオチドでトランスフェクトされ、かつ/またはそれを含む。いくつかのこのような態様において、細胞、例えばHEK 293T細胞のトランスフェクション後約2日目に、細胞上清は組換えレンチウイルスベクターを含み、これを回収し、力価測定することができる。
【0530】
回収および/または作製されたレトロウイルスベクター粒子は、説明される方法を用いて標的細胞に形質導入するために使用することができる。標的細胞に入ると、ウイルスRNAは逆転写され、核内に運ばれ、宿主ゲノムに安定に組み込まれる。ウイルスRNAの組込み後1日目または2日目に、組換えタンパク質、例えばCARなどの抗原受容体の発現を検出することができる。
【0531】
いくつかの態様において、提供される方法は、複数の細胞を含む細胞組成物をウイルス粒子と接触させる、例えばインキュベーションすることによって細胞に形質導入する方法を含む。いくつかの態様において、トランスフェクトまたは形質導入される細胞は、対象から得られた初代細胞、例えば対象から濃縮および/もしくは選択された細胞であるか、またはそれを含む。
【0532】
いくつかの態様において、組成物中の形質導入される細胞の濃度は、1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mLまたは約1.0×105細胞/mL~1.0×108細胞/mL、例えば、少なくとも1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、もしくは1×108細胞/mL、または少なくとも約1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、もしくは1×108細胞/mL、または約1.0×105細胞/mL、5×105細胞/mL、1×106細胞/mL、5×106細胞/mL、1×107細胞/mL、5×107細胞/mL、もしくは1×108細胞/mLである。
【0533】
いくつかの態様において、ウイルス粒子は、特定の比率の、形質導入される細胞の総数当たりのウイルスベクター粒子のコピー数またはその感染単位(IU)(IU/細胞)で、提供される。例えば、いくつかの態様において、ウイルス粒子は、接触期間中、細胞1個当たりのウイルスベクター粒子が0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、もしくは60IU、または約0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、もしくは60IU、または少なくとも0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、もしくは60IU、または少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、もしくは60IUで、存在する。
【0534】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子の力価は、1×106IU/mL~1×108IU/mLおまたは約1×106IU/mL~1×108IU/mL、例えば5×106IU/mL~5×107IU/mLまたは約5×106IU/mL~5×107IU/mL、例えば、少なくとも6×106IU/mL、7×106IU/mL、8×106IU/mL、9×106IU/mL、1×107IU/mL、2×107IU/mL、3×107IU/mL、4×107IU/mL、または5×107IU/mLである。
【0535】
いくつかの態様において、形質導入は、100未満、例えば通常60、50、40、30、20、10、5またはそれ以下より低い感染多重度(MOI)で達成することができる。
【0536】
いくつかの態様において、方法は、細胞をウイルス粒子と接触させるかまたはウイルス粒子とともにインキュベーションすることを含む。いくつかの態様において、接触の長さは、30分~72時間、例えば、30分~48時間、30分~24時間、または1時間~24時間、例えば、少なくとも30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間もしくはそれ以上、または少なくとも約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、36時間もしくはそれ以上である。
【0537】
いくつかの態様において、接触は溶液中で実施される。いくつかの態様において、細胞およびウイルス粒子は、0.5mL~500mLまたは約0.5mL~500mL、例えば、0.5mL~200mL、0.5mL~100mL、0.5mL~50mL、0.5mL~10mL、0.5mL~5mL、5mL~500mL、5mL~200mL、5mL~100mL、5mL~50mL、5mL~10mL、10mL~500mL、10mL~200mL、10mL~100mL、10mL~50mL、50mL~500mL、50mL~200mL、50mL~100mL、100mL~500mL、100mL~200mL、もしくは200mL~500mL、または約0.5mL~200mL、約0.5mL~100mL、約0.5mL~50mL、約0.5mL~10mL、約0.5mL~5mL、約5mL~500mL、約5mL~200mL、約5mL~100mL、約5mL~50mL、約5mL~10mL、約10mL~500mL、約10mL~200mL、約10mL~100mL、約10mL~50mL、約50mL~500mL、約50mL~200mL、約50mL~100mL、約100mL~500mL、約100mL~200mL、もしくは約200mL~500mLの体積中で接触させられる。
【0538】
一定の態様において、インプット細胞は、ウイルスDNAによってコードされる組換え受容体に結合するまたはそれを認識する結合分子を含む粒子で処理されるか、該粒子とともにインキュベーションされるか、または該粒子と接触させられる。
【0539】
いくつかの態様において、ウイルスベクター粒子との細胞のインキュベーションは、ウイルスベクター粒子で形質導入された細胞を含むアウトプット組成物をもたらすか、または生じる。
【0540】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによってT細胞に移入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。いくつかの態様において、組換え核酸は、トランスポジションを介してT細胞に移入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437; Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74、およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞に遺伝物質を導入し発現させる他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載されている)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソームを介したトランスフェクション、タングステン粒子促進微粒子銃(Johnston,Nature,346:776-777(1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))が含まれる。
【0541】
組換え産物をコードする核酸を移入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば、国際特許出願公開WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0542】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞は、拡大増殖中または拡大増殖後のいずれかに、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸で、トランスフェクトまたは形質導入されてよい。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこの形質導入またはトランスフェクションは、例えば、任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて行うことができる。次いで、遺伝子改変された細胞集団を、最初の刺激(例えば、抗CD3/抗CD28刺激)から解放し、続いて、第二のタイプの刺激で、例えば、新規に導入された受容体を介して、刺激することができる。この第二のタイプの刺激には、ペプチド/MHC分子の形態での抗原性刺激、遺伝子導入された受容体の同族(架橋結合する)リガンド(例えば、CARの天然のリガンド)、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)該新たな受容体のフレームワーク内に直接結合する任意のリガンド(例えば抗体)が含まれ得る。例えば、Cheadle et al, “Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy” Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0543】
いくつかの場合において、細胞、例えばT細胞が活性化されることを必要としないベクターが使用され得る。いくつかのこのような事例では、細胞は、活性化の前に選択され、かつ/または形質導入されてよい。したがって、細胞は、細胞培養の前または後に、いくつかの場合においては、培養の少なくとも一部と同時にまたはその最中に、操作されてよい。
【0544】
付加的な核酸、例えば、導入のための遺伝子としては、例えば、移入された細胞の生存力および/または機能を促進することによって、療法の有効性を高めるもの;例えば、インビボでの生存また局在化を評価するために、細胞の選択および/または評価のための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子; Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991)およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)によって記載されているように、例えば、細胞をインビボでネガティブ選択を受けやすくすることによって、安全性を高めるための遺伝子が挙げられる。ドミナントポジティブな選択マーカーをネガティブ選択マーカーと融合することによって得られる二機能性の選択可能融合遺伝子の使用を記載しているLuptonらによる公報PCT/US91/08442およびPCT/US94/05601も参照されたい。例えば、Riddellらの米国特許第6,040,177号のカラム14-17を参照されたい。
【0545】
4. 操作された細胞の培養、拡大増殖、および製剤化
いくつかの態様において、例えば、提供される方法、使用、製造品、または組成物のいずれかに従って、例えば細胞療法のための操作された細胞を作製するための方法は、細胞を培養するため、例えば、増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で細胞を培養するための1つまたは複数の段階を含む。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作する、例えば、形質導入またはトランスフェクションによって細胞に組換えポリペプチドを導入する段階の後に、増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で培養される。特定の態様において、細胞は、刺激条件下で該細胞をインキュベーションし、かつ組換えポリヌクレオチド、例えば、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドで形質導入またはトランスフェクトした後に、培養される。したがって、いくつかの態様において、CARをコードする組換えポリヌクレオチドによる形質導入またはトランスフェクションによって操作されたCAR陽性T細胞の組成物は、増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で培養される。
【0546】
一定の態様において、操作されたT細胞の1種または複数種の組成物は、濃縮T細胞の2種の別個の組成物、例えば、CARなどの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを用いて操作された濃縮T細胞の2種の別個の組成物であるか、またはそれらを含む。特定の態様において、濃縮T細胞の2種の別個の組成物、例えば、同じ生物試料から選択、単離、および/または濃縮された濃縮T細胞の2種の別個の組成物は、遺伝子操作する、例えば、形質導入またはトランスフェクションによって細胞に組換えポリペプチドを導入する段階の後などに、刺激条件下で別々に培養される。一定の態様において、2種の別個の組成物には、濃縮CD4+T細胞の組成物、例えば、CARなどの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを用いて操作された濃縮CD4+T細胞の組成物が含まれる。特定の態様において、2種の別個の組成物には、濃縮CD8+T細胞の組成物、例えば、CARなどの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを用いて操作された濃縮CD4+T細胞の組成物が含まれる。いくつかの態様において、濃縮CD4+T細胞および濃縮CD8+T細胞の2種の別個の組成物、例えば、CARなどの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを用いてそれぞれが別々に操作された、濃縮CD4+T細胞の組成物および濃縮CD8+T細胞の組成物は、例えば、増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で、別々に培養される。
【0547】
いくつかの態様において、培養は、増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で行われる。いくつかの態様において、このような条件は、集団における細胞の増殖、拡大増殖、活性化、および/または生存を誘導するように設計されてよい。特定の態様において、刺激条件には、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合相手、融合タンパク質、可溶性組換え受容体、ならびに細胞の増殖、分割、および/または拡大増殖を促進するように設計された他の任意の作用物質のうちの1つまたは複数が含まれ得る。
【0548】
特定の態様において、細胞は、1種または複数種のサイトカインの存在下で培養される。特定の態様において、1種または複数種のサイトカインは、組換えサイトカインである。いくつかの態様において、1種または複数種のサイトカインは、ヒト組換えサイトカインである。一定の態様において、1種または複数種のサイトカインは、T細胞によって発現され、かつ/またはT細胞に内在する受容体に、結合し、かつ/または結合することができる。特定の態様において、1種または複数種のサイトカイン、例えば組換えサイトカインは、サイトカインの4α-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、サイトカインの4α-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーには、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、および顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)がが含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、1種または複数種の組換えサイトカインには、IL-2、IL-7、および/またはIL-15が含まれる。いくつかの態様において、細胞、例えば操作された細胞は、濃度1IU/mL~2,000IU/mL、10IU/mL~100IU/mL、50IU/mL~200IU/mL、100IU/mL~500IU/mL、100IU/mL~1,000IU/mL、500IU/mL~2,000IU/mL、または100IU/mL~1,500IU/mLのサイトカイン、例えば組換えヒトサイトカインの存在下で培養される。
【0549】
いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物、例えば、操作されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞の別個の組成物は、濃度2IU/mL~500IU/mL、10IU/mL~250IU/mL、100IU/mL~500IU/mL、または100IU/mL~400IU/mlの組換えIL-2、例えばヒト組換えIL-2とともに培養される。特定の態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃度50IU/ml、75IU/ml、100IU/ml、125IU/ml、150IU/ml、175IU/ml、200IU/ml、225IU/ml、250IU/ml、300IU/ml、もしくは400IU/ml、または約50IU/ml、75IU/ml、100IU/ml、125IU/ml、150IU/ml、175IU/ml、200IU/ml、225IU/ml、250IU/ml、300IU/ml、もしくは400IU/mlのIL-2とともに培養される。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃度200IU/mlの組換えIL-2とともに培養される。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃縮CD4+T細胞の組成物、例えば、操作されたCD4+T細胞の組成物である。特定の態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃縮CD8+T細胞の組成物、例えば、操作されたCD8+T細胞の組成物である。
【0550】
いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物、例えば、操作されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞の別個の組成物は、濃度10IU/mL~5,000IU/mL、500IU/mL~2,000IU/mL、600IU/mL~1,500IU/mL、500IU/mL~2,500IU/mL、750IU/mL~1,500IU/mL、または1,000IU/mL~2,000IU/mlのIL-7、例えばヒト組換えIL-7とともに培養される。特定の態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃度100IU/ml、200IU/ml、300IU/ml、400IU/ml、500IU/ml、600IU/ml、700IU/ml、800IU/ml、900IU/ml、1,000IU/ml、1,200IU/ml、1,400IU/ml、もしくは1,600IU/ml、または約100IU/ml、200IU/ml、300IU/ml、400IU/ml、500IU/ml、600IU/ml、700IU/ml、800IU/ml、900IU/ml、1,000IU/ml、1,200IU/ml、1,400IU/ml、もしくは1,600IU/mlのIL-7とともに培養される。いくつかの態様において、細胞は、濃度1,200IU/mlまたは約1,200IU/mlの組換えIL-7の存在下で培養される。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、操作されたCD4+T細胞などの濃縮CD4+T細胞の組成物である。
【0551】
いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物、例えば、操作されたCD4+T細胞およびCD8+T細胞の別個の組成物は、濃度0.1IU/mL~200IU/mL、1IU/mL~50IU/mL、5IU/mL~25IU/mL、25IU/mL~50IU/mL、5IU/mL~15IU/mL、または10IU/mL~00IU/mlのIL-15、例えばヒト組換えIL-15とともに培養される。特定の態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃度1IU/ml、2IU/ml、3IU/ml、4IU/ml、5IU/ml、6IU/ml、7IU/ml、8IU/ml、9IU/ml、10IU/ml、11IU/ml、12IU/ml、13IU/ml、14IU/ml、15IU/ml、20IU/ml、25IU/ml、30IU/ml、40IU/ml、50IU/ml、100IU/ml、もしくは200IU/ml、または約1IU/ml、2IU/ml、3IU/ml、4IU/ml、5IU/ml、6IU/ml、7IU/ml、8IU/ml、9IU/ml、10IU/ml、11IU/ml、12IU/ml、13IU/ml、14IU/ml、15IU/ml、20IU/ml、25IU/ml、30IU/ml、40IU/ml、50IU/ml、100IU/ml、もしくは200IU/mlのIL-15とともに培養される。特定の態様において、濃縮T細胞の組成物は、濃度20IU/mlの組換えIL-15とともに培養される。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、操作されたCD4+T細胞などの濃縮CD4+T細胞の組成物である。特定の態様において、濃縮T細胞の組成物は、操作されたCD8+T細胞などの濃縮CD8+T細胞の組成物である。
【0552】
特定の態様において、操作されたCD8+T細胞などの濃縮CD8+T細胞の組成物は、例えば前述の量のIL-2および/またはIL-15の存在下で培養される。一定の態様において、操作されたCD4+T細胞などの濃縮CD4+T細胞の組成物は、例えば前述の量のIL-2、IL-7、および/またはIL-15の存在下で培養される。いくつかの態様において、IL-2、IL-7、および/またはIL-15は、組換え型である。一定の態様において、IL-2、IL-7、および/またはIL-15は、ヒト型である。特定の態様において、1種または複数種のサイトカインは、ヒト組換えIL-2、IL-7、および/もしくはIL-15であるか、またはそれらが含まれる。
【0553】
いくつかの態様において、培養は、ヒトTリンパ球などの一次免疫細胞の増殖に適した温度、例えば少なくとも約25℃、一般に少なくとも約30℃、および一般に37℃または約37℃を含むのが通常である条件下で培養される。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、25~38℃、例えば30~37℃、例えば37℃±2℃または約37℃±2℃の温度でインキュベーションされる。いくつかの態様において、インキュベーションは、培養、例えばカルチベーションまたは拡大増殖によって所望または閾値の細胞密度、細胞数、または細胞用量がもたらされるまでの期間、行われる。いくつかの態様において、インキュベーションは、24時間、48時間、72時間、96時間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間もしくはそれ以上より長い、または約24時間、48時間、72時間、96時間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間もしくはそれ以上より長いか、あるいは約24時間、48時間、72時間、96時間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間またはそれ以上の間である。
【0554】
特定の態様において、培養は閉鎖系で実施される。特定の態様において、培養は、無菌条件下の閉鎖系で実施される。特定の態様において、培養は、提供される系の1つまたは複数の段階と同じ閉鎖系で実施される。いくつかの態様において、濃縮T細胞の組成物は、閉鎖系から取り出され、培養のためにバイオリアクターに配置および/または連結される。培養用の適切なバイオリアクターの例には、GE Xuri W25、GE Xuri W5、Sartorius BioSTAT RM 20/50、Finesse SmartRocker Bioreactor Systems、およびPall XRS Bioreactor Systemsが含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、バイオリアクターは、培養段階の少なくとも一部の間に細胞を灌流し、かつ/または混合するために使用される。
【0555】
いくつかの態様において、混合は、揺り動かすことおよび/もしくは動かすことであるか、またはそれを含む。いくつかの場合において、バイオリアクターは、動かすか、または揺り動かすことができ、これにより、いくつかの局面では、酸素移動容量を増やすことができる。バイオリアクターを動かすことには、水平軸に沿って回転させること、垂直軸に沿って回転させること、バイオリアクターの傾いたもしくは傾斜した水平軸に沿った揺動運動、またはそれらの任意の組合せが含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、インキュベーションの少なくとも一部は、揺り動かしながら行われる。揺動速度および揺動角度は、所望の撹拌を実現するように調整され得る。いくつかの態様において、揺動角度は、20°、19°、18°、17°、16°、15°、14°、13°、12°、11°、10°、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、または1°である。一定の態様において、揺動角度は6~16°である。他の態様において、揺動角度は7~16°である。他の態様において、揺動角度は8~12°である。いくつかの態様において、揺動速度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40rpmである。いくつかの態様において、揺動速度は、4~12rpm、例えば4~6rpm(両端の値を含む)である。
【0556】
いくつかの態様において、バイオリアクターは、0.01L/分、0.05L/分、0.1L/分、0.2L/分、0.3L/分、0.4L/分、0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、もしくは2.0L/分、または約0.01L/分、0.05L/分、0.1L/分、0.2L/分、0.3L/分、0.4L/分、0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、もしくは2.0L/分、または少なくとも0.01L/分、0.05L/分、0.1L/分、0.2L/分、0.3L/分、0.4L/分、0.5L/分、1.0L/分、1.5L/分、もしくは2.0L/分、あるいは2.0L/分超の定常空気流で、37℃または37℃に近い温度および5%または5%に近いCO2レベルを維持する。一定の態様において、培養の少なくとも一部は、例えば培養の開始に関するタイミングおよび/または培養細胞の密度に応じて、例えば、290ml/日、580ml/日、および/または1160ml/日の速度で灌流しながら実施される。いくつかの態様において、細胞培養による拡大増殖の少なくとも一部は、例えば5°~10°、例えば6°の角度にて、一定の揺動速度、例えば5~15RPM、例えば6RMPまたは10RPMの速度で揺動運動しながら実施される。
【0557】
いくつかの態様において、提供される方法、使用、または製造品に従って細胞療法薬および/または操作された細胞を製造、生成、または作製するための方法は、インキュベーション、操作、および培養、ならびに/または記載される1つもしくは複数の他の加工処理段階の前または後に、細胞の製剤化、例えば該加工処理段階によって生じる遺伝子操作細胞の製剤化を含んでよい。いくつかの態様において、細胞の製剤化を含む加工処理段階のうちの1つもしくは複数は、閉鎖系で行うことができる。いくつかの場合において、細胞は、細胞療法薬を製造、生成、または作製するための(例えば、遠心チャンバーおよび/または閉鎖系で行われる)1つまたは複数の段階で加工処理され、かつ/あるいは操作された細胞は、カルチベーションおよび拡大などの培養ならびに/または記載される1つもしくは複数の他の加工処理段階の前または後に、細胞の製剤化、例えば、形質導入処理段階によって生じる遺伝子操作細胞の製剤化を含んでよい。いくつかの場合において、遺伝子操作細胞は、所与の用量またはその分割量で投与するための細胞数を含む、単位用量形態の組成物として製剤化される。
【0558】
いくつかの態様において、組換え抗原受容体、例えばCARまたはTCRによって操作された細胞を含む細胞の用量は、組成物または製剤、例えば薬学的組成物または薬学的製剤として提供される。このような組成物は、提供される方法に従って、例えば、疾患、病態、および障害の処置において、または検出、診断、および予後判定の方法ならびに使用および製造品において使用することができる。いくつかの場合において、細胞は、投与量投与のため、例えば、単一の単位投与量の投与または複数投与量の投与のための量で、製剤化され得る。
【0559】
いくつかの態様において、細胞は、バッグまたはバイアルなどの容器に入れられた製剤にすることができる。いくつかの態様において、バイアルは注入バイアルであってよい。いくつかの場合において、バイアルは、所与の用量またはその分割量で投与するための細胞数を含むなど、操作された細胞の単一の単位用量を有する製剤にされる。
【0560】
いくつかの態様において、細胞は、薬学的に許容される緩衝液中で製剤化され、該緩衝液は、いくつかの局面において、薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る。いくつかの態様において、加工処理は、薬学的に許容されるかまたは対象への投与にとって望ましい媒体または製剤緩衝液に媒体を交換することを含む。いくつかの態様において、加工処理段階は、形質導入および/または拡大増殖された細胞を洗浄して、1種または複数種の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含み得る薬学的に許容される緩衝液において細胞を置き換えることを含むことができる。薬学的に許容される担体または賦形剤を含むこのような薬学的形態の例は、細胞および組成物を対象に投与するために許容される形態に関連して後述する任意のものであることができる。いくつかの態様における薬学的組成物は、治療的有効量または予防的有効量などの、疾患または病態を処置または予防するために有効な量の細胞を含む。
【0561】
いくつかの態様において、製剤緩衝液は、凍結保存剤を含む。いくつかの態様において、細胞は、1.0%~30%のDMSO溶液、例えば5%~20%のDMSO溶液または5%~10%のDMSO溶液を含む凍結保存溶液を用いて製剤化される。いくつかの態様において、凍結保存溶液は、例えば、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含むPBS、もしくは他の適切な細胞凍結媒体であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、凍結保存溶液は、例えば少なくとも7.5%もしくは約7.5%のDMSOであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、加工処理段階は、形質導入および/または拡大増殖された細胞を洗浄して、凍結保存溶液において細胞を置き換えることを含むことができる。いくつかの態様において、細胞は、最終濃度が12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%、もしくは5.0%DMSO、または約12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%、もしくは5.0%DMSO、または1%~15%、6%~12%、5%~10%、もしくは6%~8%DMSOである媒体および/または溶液中で凍結、例えば、凍結保護または凍結保存される。特定の態様において、細胞は、最終濃度が5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%、もしくは0.25%HSA、または約5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%、もしくは0.25%HSA、あるいは0.1%~0.5%、0.25%~4%、0.5%~2%、または1%~2%HSAである媒体および/または溶液中で凍結、例えば、凍結保護または凍結保存される。
【0562】
いくつかの態様において、製剤化は、培養または拡大増殖された細胞などの細胞の洗浄、希釈、または濃縮を含む1つまたは複数の加工処理段階を用いて行われる。いくつかの場合において、加工処理は、所与の用量またはその分割量で投与するための細胞数を含む単位用量形態の組成物など、所望の濃度または数に細胞を希釈または濃縮することを含み得る。いくつかの態様において、加工処理段階は、体積を減らし、それによって所望に応じて細胞濃度を上昇させることを含み得る。いくつかの態様において、加工処理段階は、体積を増やし、それによって所望に応じて細胞濃度を低下させることを含み得る。いくつかの態様において、加工処理は、ある体積量の製剤緩衝液を形質導入および/または拡大増殖された細胞に添加することを含む。いくつかの態様において、製剤緩衝液の体積は、10mL~100mLまたは約10mL~100mL、例えば、少なくとも50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、もしくは1000mL、または少なくとも約50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、もしくは1000mL、または約50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、もしくは1000mL、または50mL、100mL、200mL、300mL、400mL、500mL、600mL、700mL、800mL、900mL、もしくは1000mLである。
【0563】
いくつかの態様において、細胞組成物を製剤化するためのこのような加工処理段階は、閉鎖系で行われる。このような加工処理段階の例は、細胞処理システムに関連する1つまたは複数のシステムまたはキットとともに遠心チャンバーを用いて、例えば、Sepax(登録商標)またはSepax 2(登録商標)細胞処理システムを用いて使用するためのものを含む、Biosafe SAによって製造および販売されている遠心チャンバーを用いて、実施され得る。例示的なシステムおよびプロセスは、国際公開公報第2016/073602号に記載されている。いくつかの態様において、方法は、遠心チャンバーの内部キャビティからの製剤化された組成物の圧出を行うことを含み、該製剤化された組成物は、説明した上記の態様のいずれかにおいて、薬学的に許容される緩衝液などの製剤緩衝液中で製剤化された結果として得られる細胞組成物である。いくつかの態様において、製剤化された組成物の圧出は、閉鎖系の一部として遠心チャンバーと機能的に連結された容器、例えば、本明細書に記載の生物医用材料容器のバイアルに向けて行われる。いくつかの態様において、生物医用材料容器は、1つもしくは複数の加工処理段階を行う閉鎖系もしくは装置への組込みおよび/もしくは機能的な接続用に構成されており、かつ/または該閉鎖系もしくは装置に組み込まれるかもしくは機能的に接続されている。いくつかの態様において、生物医用材料容器は、アウトプットラインまたはアウトプット位置においてシステムに接続されている。いくつかの場合において、閉鎖系は、入口管の位置で生物医用材料容器のバイアルに接続されている。本明細書に記載の生物医用材料容器とともに使用するための例示的な閉鎖系には、Sepax(登録商標)システムおよびSepax(登録商標)2システムが含まれる。
【0564】
いくつかの態様において、遠心チャンバーまたは細胞処理システムに結合されたものなどの閉鎖系は、製剤化された組成物の圧出のために1つまたは複数の容器を接続できるポートを有するチューブラインの各端部に結合された多方向チューブマニホールドを含む、マルチポートアウトプットキットを含む。いくつかの局面において、所望の数または複数のバイアルを、マルチポートアウトプットのポートのうちの1つまたは複数、通常2つまたはそれ以上、例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8またはそれ以上に無菌的に接続することができる。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数の容器、例えば生物医用材料容器をそれらのポートに、または全部よりは少ない数のポートに取り付けることができる。したがって、いくつかの態様において、系は、生物医用材料容器の複数のバイアル中へのアウトプット組成物の圧出を行うことができる。
【0565】
いくつかの局面において、細胞は、複数のアウトプット容器のうちの1つまたは複数、例えばバイアルに、投与量投与のため、例えば、単一の単位投与量の投与または複数投与量の投与のための量で、圧出され得る。例えば、いくつかの態様において、バイアルはそれぞれ、所与の用量またはその分割量で投与するための細胞数を含んでよい。したがって、各バイアルは、いくつかの局面において、投与のための単一の単位用量を含み得るか、または複数のバイアルのうちの1つより多く、例えばバイアルのうちの2つまたはバイアルのうちの3つが合わさって投与用量を構成するように、所望の用量の分割量を含んでもよい。いくつかの態様において、4つのバイアルが合わさって、投与用量を構成する。
【0566】
したがって、容器、例えばバッグまたはバイアルは、通常、投与細胞、例えばその1つまたは複数の単位用量を含む。単位用量は、対象に投与される細胞の量もしくは数、または投与される細胞の数の2倍(もしくはそれより多く)であってよい。単位用量は、対象に投与される細胞についての最低用量または可能な限り低用量であってよい。いくつかの局面において、提供される製造品は、複数のアウトプット容器のうちの1つまたは複数を含む。
【0567】
いくつかの態様において、バッグまたはバイアルなどの容器のそれぞれは、単位用量の細胞を個別に含む。したがって、いくつかの態様において、各容器は、同じまたはおおよそまたは実質的に同じ数の細胞を含む。いくつかの態様において、各単位用量は、1×106、2×106、5×106、1×107、5×107個、もしくは1×108、または約1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、もしくは1×108個、または少なくとも1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、もしくは1×108個、または少なくとも約1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、もしくは1×108個の操作された細胞、全細胞、T細胞、またはPBMCを含む。いくつかの態様において、各単位用量は、1×106、2×106、5×106、1×107、5×107個、もしくは1×108個、または約1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、もしくは1×108個、または少なくとも1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、もしくは1×108個、または少なくとも約1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、もしくは1×108個の、CD3+、例えばCD4+もしくはCD8+であるCAR+T細胞、または生存能力があるそのサブセットを含む。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、10mLまたは約10mLから、100mLまたは約100mL、例えば、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、もしくは100mL、または約20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、もしくは100mL、または少なくとも20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、もしくは100mL、または少なくとも約20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、もしくは100mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、1mLまたは約1mLから、10mLまたは約10mL、例えば、1mLまたは約1mLから、5mLまたは約5mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4mLまたは約4mLから、5mLまたは約5mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4.4mLであるか、または約4.4mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4.5mLであるか、または約4.5mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4.6mLであるか、または約4.6mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4.7mLであるか、または約4.7mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4.8mLであるか、または約4.8mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、4.9mLであるか、または約4.9mLである。いくつかの態様において、各容器、例えばバッグまたはバイアル中の製剤化された細胞組成物の体積は、5.0mLであるか、または約5.0mLである。
【0568】
いくつかの態様において、製剤化された細胞組成物の濃度は、0.5×106個/mL超もしくは約0.5×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、1.0×106個/mL超もしくは約1.0×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、1.5×106個/mL超もしくは約1.5×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、2.0×106個/mL超もしくは約2.0×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、2.5×106個/mL超もしくは約2.5×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、2.6×106個/mL超もしくは約2.6×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、2.7×106個/mL超もしくは約2.7×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、2.8×106個/mL超もしくは約2.8×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、2.9×106個/mL超もしくは約2.9×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、3.0×106個/mL超もしくは約3.0×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、3.5×106個/mL超もしくは約3.5×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、4.0×106個/mL超もしくは約4.0×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、4.5×106個/mL超もしくは約4.5×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、または5×106個/mL超もしくは約5×106個/mL超の組換え受容体発現(例えばCAR+)/CD3+細胞もしくはそのような生存細胞、である。いくつかの態様において、CD3+細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの態様において、CD3+細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの態様において、CD3+T細胞は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞である。
【0569】
いくつかの態様において、バッグまたはバイアルなどの容器中の細胞は、凍結保存することができる。いくつかの態様において、バイアルなどの容器は、後で使用するまで液体窒素中で保存することができる。
【0570】
いくつかの態様において、方法によって作製されるそのような細胞、またはそのような細胞を含む組成物は、例えば、本明細書において説明する方法、使用、および製造品に合わせて、疾患または病態を処置するために対象に投与される。
【0571】
III. 組成物および製剤
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法および使用に従って対象に投与するための、組換え抗原受容体、例えばCARによって操作された細胞は、組成物または製剤、例えば薬学的組成物または薬学的製剤として提供される。このような組成物は、提供される方法もしくは使用に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに、例えば、B細胞悪性腫瘍もしくは血液学的悪性腫瘍などの疾患、病態、および障害の予防もしくは処置において、または検出、診断、および予後判定の方法において使用することができる。
【0572】
用語「薬学的製剤」は、「薬学的製剤」に含まれる活性成分の生物学的活性が有効になるような形をとり、製剤が投与される対象に対して容認できないほどの毒性がある、さらなる成分を含有しない調製物を指す。
【0573】
「薬学的に許容される担体」とは、対象に無毒な、活性成分以外の、薬学的製剤中にある成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これに限定されない。
【0574】
一部の局面では、担体の選択は、一つには、特定の細胞もしくは薬剤によって、および/または投与方法によって決定される。従って、様々な適切な製剤がある。例えば、薬学的組成物は防腐剤を含有してもよい。適切な防腐剤には、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが含まれ得る。一部の局面では、2種類以上の防腐剤の混合物が用いられる。防腐剤またはその混合物は典型的には全組成物の重量に対して約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般的に、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の糖質;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を含むが、これに限定されない。
【0575】
一部の局面では、緩衝剤が前記組成物に含まれる。適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩が含まれる。一部の局面では、2種類以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は典型的には全組成物の重量に対して約0.001%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)において、さらに詳細に説明されている。
【0576】
前記製剤または組成物はまた、前記細胞または細胞組成物で予防または処置されている特定の適応症、疾患、または状態に有用な複数種の活性成分も含有してよく、この場合、それぞれの活性は互いに悪影響を及ぼさない。このような活性成分は、所期の目的に有効な量で組み合わせられて適切に存在する。従って、一部の態様では、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な薬剤または薬物、例えば、本明細書中、たとえばセクションIVなどに記載された組み合わせ療法のいずれか、化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどをさらに含む。一部の態様では、さらなる薬剤は、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形で投与される。適切な薬学的に許容される酸添加塩には、鉱酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸に由来する塩、ならびに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸に由来する塩が含まれる。
【0577】
薬学的組成物は、一部の態様では、薬剤または細胞を、前記疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば、治療的有効量または予防的有効量で含む。治療効力または予防効力は、一部の態様では、処置される対象を定期的に評価することによってモニタリングされる。状態に応じて数日またはそれより長期間にわたって反復投与するために、疾患症状の望ましい抑止が起こるまで処置は繰り返される。しかしながら、他のレジメンが有用な場合があり、確かめることができる。望ましい投与量は組成物の単回ボーラス投与によって送達されてもよく、組成物の複数回ボーラス投与によって送達されてもよく、組成物の連続注入投与によって送達されてもよい。
【0578】
前記の細胞および/または薬剤は、任意の適切な手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後強膜近傍送達によって投与することができる。一部の態様では、前記の薬剤または細胞は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、所望であれば、局所処置の場合、病巣内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与が含まれる。一部の態様では、ある特定の用量が前記の細胞または薬剤の単回ボーラス投与によって投与される。一部の態様では、ある特定の用量が、前記細胞または薬剤の複数回ボーラス投与によって、例えば、3日以下の期間にわたって投与されるか、または前記細胞または薬剤の連続注入投与によって投与される。
【0579】
疾患の予防または処置のために、適切な投与量は、治療される疾患のタイプ、薬剤のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、薬剤または細胞が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、対象の病歴、ならびに薬剤または細胞に対応する応答、ならびに主治医の判断に左右されることがある。前記組成物は、一部の態様では、一度に、または一連の処置にわたって対象に適切に投与される。
【0580】
前記の細胞および/またはさらなる薬剤は、標準的な投与技法、製剤、および/または装置を用いて投与され得る。前記組成物を保管および投与するための製剤および装置、例えば、注射器およびバイアルが提供される。一部の局面では、細胞および/またはさらなる薬剤は、小さいシリンジを用いて投与される。細胞について、投与は自家投与でもよく、または異種投与でもよい。例えば、ある対象から免疫応答性細胞または前駆細胞を入手し、同じ対象または異なる適合性の対象に投与することができる。末梢血に由来する免疫応答性細胞またはその子孫(例えば、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで得られる)を、カテーテル投与を含む局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子組換えされた免疫応答性細胞、または神経毒性の症状を処置するか、もしくは回復させる薬剤を含有する薬学的組成物)が投与される時に、一般的に、注射用単位剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)の形で製剤化される。
【0581】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、頬投与、舌下投与、または坐剤投与のための製剤が含まれる。一部の態様では、前記の薬剤または細胞集団は非経口投与される。本明細書で使用する用語「非経口」は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、腟投与、および腹腔内投与を含む。一部の態様では、前記の薬剤または細胞集団は、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
【0582】
組成物は、一部の態様では、滅菌した液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液として提供されるか、または粘性のある組成物として提供され、これらは、一部の局面では、選択されたpHまで緩衝化されてもよい。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性のある組成物、および固体組成物より調製しやすい。さらに、液体組成物の方が、投与するのに、特に、注射によって投与するのに若干便利である。他方で、粘性のある組成物は、特定の組織との長い接触期間をもたらすように適切な粘性の範囲内で製剤化することができる。液体組成物または粘性のある組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、およびその適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒でもよい担体を含んでもよい。
【0583】
滅菌注射液は、前記の薬剤または細胞を溶媒の中に取り入れて、例えば、適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合して調製することができる。
【0584】
インビボ投与のために使用しようとする製剤は一般的に無菌である。無菌性は、容易に、例えば、滅菌濾過膜で濾過することによって成し遂げられ得る。
【0585】
IV. 併用療法
方法、製造品、使用、または組成物のいくつかの態様において、細胞療法薬、例えばT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量は、通常は該細胞療法薬または別の細胞療法薬以外、例えばCAR+T細胞療法薬以外の付加的な治療物質または治療薬と組み合わせて、対象に投与される。いくつかの態様において、細胞療法薬、例えば、CAR+T細胞などの遺伝子操作されたT細胞の用量は、提供される方法もしくは使用において、かつ/または製造品もしくは組成物を用いて、併用処置または併用療法の一環として、例えば、1種または複数種の付加的な治療介入と同時、逐次、または間欠的に、任意の順序で投与される。いくつかの態様において、1種または複数種の付加的な治療介入には、B細胞悪性腫瘍、例えばALLもしくはNHLなどの疾患もしくは病態を処置もしくは予防するための任意の作用物質もしくは処置、ならびに/または操作された細胞療法薬の有効性、存続性、および/もしくは活性を増大させる任意の作用物質もしくは処置が含まれる。
【0586】
いくつかの態様において、付加的な治療物質または治療薬は、細胞療法薬、例えばT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量による処置に対して、応答が不十分な者であるか、またはそうである可能性が高いか、もしくはそうであると予測される、ならびに/あるいは該処置に対して、応答しない、応答しない可能性が高い、かつ/または一定期間内および/もしくはある程度までは応答しないと予測されるかもしくは応答しない対象に投与される。いくつかの態様において、付加的な治療物質は、例えば、細胞療法薬の投与開始後1ヶ月以内、2ヶ月以内、または3ヶ月以内に、完全寛解も全体的応答も示さないか、または示さない可能性が高いか、もしくは示すと予測されない対象に投与される。いくつかの態様において、付加的な治療物質は、例えば、細胞療法薬の投与後1ヶ月以内、2ヶ月以内、または3ヶ月以内に、進行性疾患(PD)を示すか、または示す可能性が高いか、もしくは示すと予測される対象に投与される。いくつかの態様において、対象は、そのように処置されるかまたは以前にその細胞療法薬で処置された同様の状態にある複数の対象を基準として、応答もある種の応答も示さない可能性が高いか、または示さないと予測される。
【0587】
いくつかの態様において、細胞療法薬、例えばT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量に対して不十分な応答を示し得るかまたは示す可能性がより高い対象には、以前の療法、任意で化学療法剤を用いる以前の療法による処置後に安定もしくは進行性の疾患(SD/PD)を有していることが確認されているかまたは確認された、ALLまたはNHLである対象が含まれることが、観察されている。いくつかの態様において、付加的な作用物質または治療薬は、細胞療法薬、例えばT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量の投与開始より前に、それに伴い、もしくはそれと同時に、かつ/またはその後に、投与することができる。
【0588】
一定の態様において、細胞療法薬投与後の対象の血液中の該細胞療法薬についての薬物動態(PK)は、該細胞療法薬に応答する(例えばCRまたはORを示す)対象と応答しない(例えばPDを示す)対象とで、同様であるかまたは実質的に違わないことが、判明している。いくつかの態様において、このような観察結果は、細胞療法薬は対象中で拡大増殖したかまたは拡大増殖しているが、最適有効性を示さない場合があることを示唆する。
【0589】
一部の状況において、細胞療法薬の最適有効性は、投与された細胞が標的抗原などの標的を認識し結合して、対象、腫瘍、およびその環境内の適切な部位に移動し、局在化し、首尾よく侵入する能力に依存し得る。一部の状況において、最適有効性は、投与細胞の以下の能力に依存し得る:活性化され、拡大増殖する能力;細胞障害による死滅およびサイトカインなどの様々な因子の分泌を含む、様々なエフェクター機能を発揮する能力;長期間を含む、持続する能力;分化するか、変化するか、または特定の表現型状態(記憶が長続きする状態、分化の程度が低い状態、およびエフェクター状態など)への再プログラミングに関与する能力;疾患の局所的微小環境における免疫抑制状態を回避するかまたは低減する能力;クリアランスおよび標的リガンドまたは抗原への再曝露後に有効かつ強固な想起応答をもたらす能力;ならびに疲弊、アネルギー、末梢性寛容、最終分化、および/または抑制状態への分化を回避または低減する能力。
【0590】
いくつかの局面において、免疫療法、例えばT細胞療法の有効性は、疾患または障害、例えばTMEの局所的微小環境に存在する免疫抑制的な活性または因子によって制限される場合がある。いくつかの局面において、TMEは、T細胞療法のために投与されるT細胞の活性、機能、増殖、生存、および/もしくは存続性を抑制できる因子もしくは状態を含むか、または生じる。
【0591】
いくつかの態様において、細胞療法薬、例えばT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量の投与開始より前に、それに伴い、もしくはそれと同時に、かつ/またはその後に、付加的な作用物質または治療薬を投与することにより、該細胞療法薬の活性、有効性、および/もしくは存続性を改善することができ、かつ/または処置された対象の応答を改善することができる。いくつかの態様において、併用処置または併用療法のための付加的な作用物質は、細胞療法薬、例えば、CAR+T細胞などの操作されたT細胞療法薬の治療効果の有効性および/もしくは安全性を向上させ、高め、かつ/または促進する。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、投与細胞、例えば、CARなどの組換え受容体を発現する細胞の有効性、生存もしくは存続性を向上させるか、または改善する。
【0592】
いくつかの態様において、療法の付加的な作用物質は、抗体または細胞障害性物質もしくは治療物質、例えば化学療法剤である。いくつかの態様において、処置または療法用の1種または複数種の付加的な作用物質は、免疫調節剤、免疫チェックポイント阻害剤、アデノシン経路またはアデノシン受容体のアンタゴニストまたはアゴニスト、およびキナーゼ阻害剤である。いくつかの態様において、併用処置または併用療法は、外科的処置、移植、および/または放射線療法などの付加的な処置を含む。
【0593】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、プロテインホスファターゼ阻害剤、キナーゼ阻害剤、サイトカイン、免疫調節薬、または制御性T(Treg)細胞のレベルもしくは活性を低下させる作用物質より選択される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、投与される細胞療法薬の有害作用を低減するかまたは和らげることにより、安全性を向上させる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、同じ疾患、病態、または共存症を処置することができる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、細胞、例えばCAR発現細胞の投与に関連する1種または複数種の毒性、有害作用、または副作用を和らげるか、低減するか、またはなくすことができる。
【0594】
いくつかの態様において、付加的な療法、処置、または作用物質には、化学療法、放射線療法、外科手術、移植、養子細胞療法、抗体、細胞障害剤、化学療法剤、サイトカイン、増殖抑制物質、抗ホルモン剤、キナーゼ阻害剤、抗血管新生剤、心臓保護剤、免疫刺激剤、免疫抑制剤、免疫チェックポイント阻害剤、抗生物質、血管新生抑制剤、代謝調節剤、もしくは他の治療物質、またはそれらの任意の組合せが含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子薬、細胞、毒素、脂質、炭水化物、もしくはそれらの組合せ、または他の任意の種類の治療物質、例えば放射線である。いくつかの態様において、付加的な療法、作用物質、または処置には、外科手術、化学療法、放射線療法、移植、CARなどの組換え受容体を発現する細胞の投与、キナーゼ阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、mTOR経路阻害剤、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗体、免疫除去剤、抗体および/もしくはその抗原結合断片、抗体コンジュゲート、他の抗体治療薬、サイトトキシン、ステロイド、サイトカイン、ペプチドワクチン、ホルモン療法、代謝拮抗剤、代謝調節剤、カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリンもしくはp70S6キナーゼFK506を阻害するかまたはp70S6キナーゼを阻害する薬物、アルキル化剤、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、プロテオソーム阻害剤、GITRアゴニスト、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、腫瘍溶解性ウイルス、および/または他のタイプの免疫療法が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質または処置は、骨髄移植、フルダラビンなどの化学療法剤を用いるT細胞除去療法、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミド、および/または抗体療法である。
【0595】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、キナーゼ阻害剤、例えば、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の阻害剤、例えばイブルチニブである。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アデノシン経路またはアデノシン受容体のアンタゴニストまたはアゴニストである。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、免疫調節薬、例えば、サリドマイドまたはサリドマイド誘導体(例えばレナリドミド)である。いくつかの態様において、付加的な療法、作用物質、または処置は、細胞障害剤もしくは化学療法剤、生物学的療法薬(例えば、モノクローナル抗体などの抗体、もしくは細胞療法薬)、または阻害剤(例えばキナーゼ阻害剤)である。
【0596】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、化学療法剤である。例示的な化学療法剤には、アントラサイクリン(例えば、リポソームドキソルビシンなどのドキソルビシン);ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン);アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、デカルバジン、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド);免疫細胞抗体(例えば、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ);代謝拮抗剤(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤、例えばフルダラビンを含む);TNFRグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト;プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシン、もしくはボルテゾミブ);サリドマイドまたはサリドマイド誘導体(例えばレナリドミド)などの免疫調節剤が含まれる。
【0597】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、免疫調節剤である。いくつかの態様において、併用療法は、免疫抑制性のシグナル伝達の阻害または免疫刺激性のシグナル伝達の増強などによって、抗腫瘍免疫応答、例えば投与された操作細胞からの抗腫瘍免疫応答を刺激し、増幅し、かつ/またはさもなければ増強することができる免疫調節剤を含む。いくつかの態様において、免疫調節剤は、ペプチド、タンパク質であるか、または低分子である。いくつかの態様において、タンパク質は、融合タンパク質または組換えタンパク質であることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫学的標的、例えば、T細胞、B細胞、または抗原提示細胞などの免疫細胞上で発現されている細胞表面受容体に、結合する。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体もしくは抗原に結合する抗体断片、融合タンパク質、低分子、またはポリペプチドである。いくつかの態様において、結合分子、組換え受容体、細胞、および/または組成物は、抗体またはその抗原結合断片、例えばモノクローナル抗体である付加的な作用物質と組み合わせて投与される。
【0598】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント経路の構成要素を妨害するか、阻害するか、または無効にする。免疫系は、自己寛容の維持に関与し、かつ免疫応答を調整するための、複数の阻害経路を有する。腫瘍は、腫瘍抗原に対して特異的であるT細胞を特に対象とする免疫耐性の主なメカニズムとしていくつかの免疫チェックポイント経路を使用することができ(Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12:252-264)、該T細胞は、例えば、CAR発現細胞などの操作された細胞である。多くのこのような免疫チェックポイントは、リガンド-受容体相互作用によって開始されるため、リガンドおよび/またはそれらの受容体に対する抗体によってそれらを容易に妨害することができる。抗がん剤の大多数とは対照的に、チェックポイント阻害剤は必ずしも腫瘍細胞を直接的に標的とせず、もっと正確に言えば、免疫系の内因性抗腫瘍活性を増強するためにリンパ球受容体またはそれらのリガンドを標的とする。
【0599】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アンタゴニスト分子であるか、または免疫チェックポイント分子を含む分子の機能もしくはシグナル伝達経路を阻害もしくは妨害する能力がある免疫チェックポイント阻害剤である、免疫調節剤である。いくつかの態様において、免疫チェックポイント分子または経路は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM3、VISTA、アデノシン2A受容体(A2AR)、もしくはアデノシン、または前述のもののいずれかを含む経路である。一定の態様において、免疫チェックポイント経路を妨害するアンタゴニスト分子、例えば、低分子、核酸阻害剤(例えばRNAi)、または抗体分子は、がんおよび他の疾患に対する免疫療法の有望な手段になりつつある。
【0600】
いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、1種または複数種のチェックポイントタンパク質を完全にまたはある程度、減少させるか、阻害するか、邪魔をするか、または調整する分子である。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を調節する。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激相互作用または阻害性相互作用に関与している。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容ならびに生理学的免疫応答の持続期間および大きさを調節し、かつ維持する。
【0601】
免疫チェックポイント阻害剤には、免疫系の阻害経路を統計学的に有意な様式で妨害または阻害する任意の作用物質が含まれる。このような阻害剤には、低分子阻害剤が含まれてもよく、または免疫チェックポイント受容体、リガンド、および/もしくは受容体-リガンド相互作用について、結合し、妨害もしくは阻害する抗体もしくはその抗原結合断片が含まれてもよい。いくつかの態様において、特定の受容体の調整、増強、および/または刺激によって、免疫チェックポイント経路の構成要素に打ち勝つことができる。妨害、阻害、調整、増強、および/または刺激の標的となり得る例示的な免疫チェックポイント分子には、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PDL2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG-3(CD223)、TIM3、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD40、OX40(CD134、TNFRSF4)、CXCR2、腫瘍関連抗原(TAA)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、NK T細胞、γδT細胞、およびメモリーCD8+(αβ)T細胞すべての表面で発現される)、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3、および/またはCEACAM-5)、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、CD80、CD86、B7-H3(CD276)、B7-H4(VTCN1)、HVEM(TNFRSF14またはCD270)、KIR、A2aR、MHCクラスI、MHCクラスII、GAL9、アデノシン、およびトランスフォーミング増殖因子受容体(TGFR;例えばTGFRβ)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。免疫チェックポイント阻害剤には、前記分子のいずれかの1つまたは複数について、結合および妨害もしくは阻害し、かつ/またはその活性を増強もしくは刺激する、抗体もしくはその抗原結合断片、または他の結合タンパク質が含まれる。
【0602】
例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、トレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206としても公知のCTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PD-1抗体)、CT-011(抗PD-1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PD-L1抗体)、BMS-936559(抗PD-L1抗体)、MPLDL3280A(抗PD-L1抗体)、MSB0010718C(抗PD-L1抗体)、およびイピリムマブ(ヤーボイ(登録商標)、MDX-010、およびMDX-101としても公知の抗CTLA-4抗体)が含まれる。例示的な免疫調節抗体には、ダクリズマブ(ゼナパックス)、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MPDL3280A、ピディリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(HCD122)、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C(アベルマブ)、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、ARGX-115、エマクツズマブ、CC-90002、およびMNRP1685A、またはその抗体結合断片が含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の例示的な免疫調節薬には、例えば、アフツズマブ(ロシュ(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(登録商標));レナリドミド(CC-5013、レブラミド(登録商標));サリドマイド(サロミド(登録商標))、アクチミド(CC4047);ならびにIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2、およびインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)が含まれる。
【0603】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、プログラム細胞死1(PD-1)に結合し、かつ/または阻害する作用物質である。PD-1は、B細胞、NK細胞、およびT細胞において発現される免疫チェックポイントタンパク質である(Shinohara et al., 1995, Genomics 23:704-6; Blank et al., 2007, Cancer Immunol Immunother 56:739-45; Finger et al., 1997, Gene 197:177-87; Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD-1の主な役割は、感染に応答した炎症時に末梢組織中のT細胞の活性を制限すること、および自己免疫を制限することである。PD-1発現は、活性化されたT細胞において誘導され、その内因性リガンドの1つにPD-1が結合すると、刺激性キナーゼを阻害することによりT細胞活性化を阻害するように作用する。PD-1はまた、TCR「停止シグナル」を阻害するようにも作用する。PD-1は、Treg細胞上に高発現され、リガンドの存在下でそれらの増殖を亢進し得る(Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗PD 1 抗体は、黒色腫、非小細胞肺がん、膀胱がん、前立腺がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、トリプルネガティブ乳がん、白血病、リンパ腫、および腎細胞がんの治療に使用されている(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Lipson et al., 2013, Clin Cancer Res 19:462-8; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:3044-51; Gildener-Leapman et al., 2013, Oral Oncol 49:1089-96; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85)。例示的な抗PD-1抗体には、ニボルマブ(BMSのオプジーボ)、ペムブロリズマブ(Merckのキイトルーダ)、ピジリズマブ(Cure TechのCT-011)、ランブロリズマブ(MerckのMK-3475)、およびAMP-224(Merck)が含まれる。ニボルマブ(オプジーボ、BMS-936558、またはMDX1106とも呼ばれる; Bristol-Myers Squibb)は、PD-1を特異的に妨害する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。PD-1に特異的に結合するニボルマブ(クローン5C4)および他のヒトモノクローナル抗体は、US8,008,449およびWO2006/121168に記載されている。ピジリズマブ(CT-011; Cure Tech)は、PD-1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピジリズマブおよび他のヒト化抗PD-1モノクローナル抗体は、WO2009/101611に記載されている。ペムブロリズマブ(以前はランブロリズマブとして公知であり、キイトルーダ、MK03475とも呼ばれる;Merck)は、PD-1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペムブロリズマブおよび他のヒト化抗PD-1抗体は、US8,354,509およびWO2009/114335に記載されている。他の抗PD-1抗体には、AMP514(アンプリミューン)、特に、US8,609,089、US2010028330、US20120114649、および/またはUS20150210769に記載されている抗PD-1抗体などが含まれる。AMP-224(B7-DCIg;アンプリミューン;例えばWO2010/027827およびWO2011/066342に記載されている)は、PD-1とB7-H1の相互作用を妨害するPD-L2 Fc融合可溶性受容体である。
【0604】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、PD-L1(CD274およびB7-H1としても公知)および/もしくはPD-L2(CD273およびB7-DCとしても公知)に結合するか、または阻害する、作用物質である。PD-L1およびPD-L2は、活性化されたT細胞、B細胞、骨髄細胞、マクロファージ、および数種類の腫瘍細胞上に存在する、PD-1に対するリガンドである。抗腫瘍療法は、抗PD-L1抗体に重点が置かれている。PD-1とPD-L1の複合体は、CD8+T細胞の増殖を阻害し、免疫応答を減少させる(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Brahmer et al., 2012, N Eng J Med 366:2455-65)。抗PD-L1 抗体は、非小細胞肺がん、黒色腫、結腸直腸がん、腎細胞がん、膵臓がん、胃がん、卵巣がん、乳がん、および血液悪性腫瘍の治療に使用されている(Brahmer et al., 2012, N Eng J Med 366:2455-65; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300-9; Radvanyi et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5541; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:13044-51)。例示的な抗PD-L1抗体には、MDX-1105(Medarex)、MEDI4736(Medimmune)、MPDL3280A(Genentech)、BMS-935559(Bristol-Myers Squibb)、およびMSB0010718Cが含まれる。MEDI4736(Medimmune)は、PD-L1に結合し、該リガンドとPD-1の相互作用を阻害する、ヒトモノクローナル抗体である。MDPL3280A(Genentech/Roche)は、PD-L1に結合するヒトFc最適化IgG1モノクローナル抗体である。MDPL3280AおよびPD-L1に対する他のヒトモノクローナル抗体は、米国特許第7,943,743号および米国特許出願公開第20120039906号に記載されている。他の抗PD-L1結合物質には、YW243.55.S70(WO2010/077634を参照されたい)およびMDX-1105(BMS-936559とも呼ばれる、ならびにWO2007/005874に記載されている抗PD-L1結合物質など)が含まれる。
【0605】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、CD152としても公知である細胞障害性Tリンパ球関連抗原(CTLA-4)の阻害剤であるか、またはCTLA-4に結合する、作用物質である。CTLA-4は、T細胞活性化を調節するように機能する共抑制分子である。CTLA-4は、T細胞上にもっぱら発現される免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4はT細胞活性化を阻害するように作用し、CTLA-4はヘルパーT細胞の活性を阻害し制御性T細胞の免疫抑制活性を増強することが報告されている。CTLA-4の正確な作用機序は引き続き調査であるが、CTLA-4はCD80およびCD86への結合に際してCD28に打ち勝ち、かつ阻害シグナルをT細胞に能動的に送達することにより、T細胞活性化を阻害することが示唆されている(Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗CTLA-4抗体は、黒色腫、前立腺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がんの治療のための治験において使用されている(Robert & Ghiringhelli, 2009, Oncologist 14:848-61; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300; Weber, 2007, Oncologist 12:864-72; Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。抗CTLA-4の顕著な特徴は、抗腫瘍効果のキネティクスであり、初回処置後、最長で6ヶ月の遅延期間が生理的応答に必要とされる。いくつかの場合において、縮小が認められる前に、処置開始後に腫瘍のサイズが実際に大きくなる場合がある(Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12:252-264)。例示的な抗CTLA-4抗体には、イピリムマブ (Bristol-Myers Squibb)およびトレメリムマブ(Pfizer)が含まれる。イピリムマブは最近、転移性黒色腫の治療剤としてFDAから承認を受けた(Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。
【0606】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、CD223としても公知であるリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)に結合し、かつ/または阻害する、作用物質である。LAG-3は、別の免疫チェックポイントタンパク質である。LAG-3は、リンパ球活性の阻害、およびいくつかの場合において、リンパ球アネルギーの誘導と関連付けられている。LAG-3は、B細胞、NK細胞、および樹状細胞を含む、免疫系の様々な細胞において発現される。LAG-3は、強力な免疫抑制活性を有するものを含む黒色腫浸潤T細胞において実質的に発現されるMHCクラスII受容体に対する天然リガンドである。例示的な抗LAG-3抗体には、LAG-3を標的とするモノクローナル抗体であるBMS-986016(Bristol-Myers Squib)が含まれる。IMP701(Immutep)はアンタゴニストLAG-3抗体であり、IMP731(ImmutepおよびGlaxoSmithKline)はLAG-3枯渇抗体である。他のLAG-3阻害剤には、LAG-3の可溶性部分とIgとの組換え融合タンパク質であり、MHCクラスII分子に結合し抗原提示細胞(APC)を活性化する、IMP321(Immutep)が含まれる。他の抗体は、例えばWO2010/019570およびUS 2015/0259420に記載されている。
【0607】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン-3(TIM-3)に結合し、かつ/またはそれを阻害する作用物質である。TIM-3は、活性化されたTh1細胞において最初に同定され、免疫応答の負の制御因子であることが示されている。TIM-3を妨害するとT細胞媒介性抗腫瘍免疫が促進され、TIM-3妨害は、ある範囲のマウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を有する。TIM-3妨害と他の免疫療法剤、例えばTSR-042および抗CD137抗体などとの組合せは、抗腫瘍効果を増大するにあたって相加的または相乗的であり得る。TIM-3の発現は、黒色腫、NSCLC、および腎臓がんを含むいくつかの異なる腫瘍型と関連しており、さらに、腫瘍内TIM-3の発現は、NSCLC、子宮頸がん、および胃がんを含む、ある範囲の腫瘍型において予後不良と相関があることが示されている。TIM-3の妨害はまた、いくつかの慢性ウイルス性疾患に対する免疫増大を促進する際にも興味深い。TIM-3はまた、ガレクチン-9、ホスファチジルセリン、およびHMGB1を含むいくつかのリガンドと相互作用することも示されているが、あるとすればこれらのうちのどれが抗腫瘍応答の調節に重要であるのかは現時点では明らかでない。いくつかの態様において、TIM-3を標的とする抗体、抗体断片、低分子、またはペプチド阻害剤は、TIM-3のIgVドメインに結合してそのリガンドとの相互作用を阻害することができる。TIM-3を阻害する例示的な抗体およびペプチドが、US 2015/0218274、WO2013/006490、およびUS 2010/0247521に記載されている。他の抗TIM-3抗体には、ヒト化型のRMT3-23(Ngiow et al., 2011, Cancer Res, 71:3540-3551)およびクローン8B.2C12(Monney et al., 2002, Nature, 415:536-541)が含まれる。TIM-3とPD-1を阻害する二重特異性抗体が、US 2013/0156774に記載されている。
【0608】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、CEACAM阻害剤(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3、および/またはCEACAM-5の阻害剤)である作用物質である。いくつかの態様において、CEACAMの阻害剤は、抗CEACAM抗体分子である。例示的な抗CEACAM-1抗体は、WO2010/125571、WO2013/082366、WO2014/059251、およびWO2014/022332に記載されており、例えば、US2004/0047858、US7,132,255、およびWO99/052552などに記載されているモノクローナル抗体34B1、26H7、および5F4;またはその組換え型である。いくつかの態様において、抗CEACAM抗体は、例えばZheng et al. PLoS One. (2011) 6(6): e21146)に記載されているようにCEACAM-5に結合するか、または例えばWO 2013/054331およびUS 2014/0271618記載されているようにCEACAM-1およびCEACAM-5と交差反応する。
【0609】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、CD137としても公知である4-1BBに結合し、かつ/またはそれを阻害する作用物質である。4-1BBは、TNFRスーパーファミリーに属する膜貫通型糖タンパク質である。4-1BB受容体は、活性化されたT細胞およびB細胞ならびに単球の表面に存在する。例示的な抗4-1BB抗体はウレルマブ(BMS-663513)であり、これは潜在的な免疫刺激活性および抗新生物活性を有する。
【0610】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、OX40およびCD134としても公知である腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4)に結合し、かつ/またはそれを阻害する作用物質である。TNFRSF4は、TNFRスーパーファミリーの別のメンバーである。OX40は、休止期のナイーブT細胞においては構成的に発現されず、二次的な共刺激免疫チェックポイント分子として作用する。例示的な抗OX40抗体は、MEDI6469およびMOXR0916(RG7888, Genentech)である。
【0611】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、制御性T細胞(Treg)集団を減少させる作用物質または分子である。Treg細胞の数を減らす(例えば枯渇させる)方法は公知であり、例えば、CD25枯渇、シクロホスファミド投与、およびグルココルチコイド誘導性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)機能の調整が含まれる。GITRは、活性化されたT細胞において上方調節されているTNFRスーパーファミリーのメンバーであり、免疫系を増強する。アフェレーシス前またはCAR発現細胞などの操作された細胞の投与前に対象のTreg細胞の数を減らすと、腫瘍微小環境において不必要な免疫細胞(例えばTreg)の数を減少させることができ、対象の再発リスクが低下する。いくつかの態様において、付加的な作用物質には、GITRを標的とし、かつ/またはGITR機能を調整する分子、例えば、GITRアゴニストおよび/または制御性T細胞(Treg)を枯渇させるGITR抗体が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質にはシクロホスファミドが含まれる。いくつかの態様において、GITR結合分子および/またはGITR機能を調整する分子(例えば、GITRアゴニストおよび/またはTreg枯渇GITR抗体)は、操作された細胞、例えばCAR発現細胞より前に投与される。例えば、いくつかの態様において、GITRアゴニストは、細胞のアフェレーシスより前に投与されてよい。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、CAR発現細胞などの操作された細胞の投与(例えば、輸注もしくは再輸注)より前に、または細胞のアフェレーシスより前に、対象に投与される。いくつかの態様において、シクロホスファミドおよび抗GITR抗体は、CAR発現細胞などの操作された細胞の投与(例えば、輸注もしくは再輸注)より前に、または細胞のアフェレーシスより前に、対象に投与される。
【0612】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、GITRアゴニストである作用物質である。例示的なGITRアゴニストには、例えば、GITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば、二価の抗GITR抗体)が含まれ、例えば、米国特許第6,111,090号、欧州特許第090505B1号、米国特許第8,586,023号、PCT国際公開公報第2010/003118号および同第2011/090754号に記載されたGITR融合タンパク質、または例えば米国特許第7,025,962号、欧州特許第1947183B1号、米国特許第7,812,135号、米国特許第8,388,967号、米国特許第8,591,886号、欧州特許第1866339号、PCT国際公開公報第2011/028683号、PCT国際公開公報第2013/039954号、PCT国際公開公報第2005/007190号、PCT国際公開公報第2007/133822号、PCT国際公開公報第2005/055808号、PCT国際公開公報第99/40196号、PCT国際公開公報第2001/03720号、PCT国際公開公報第99/20758号、PCT国際公開公報第2006/083289号、PCT国際公開公報第2005/115451号、米国特許第7,618,632号、およびPCT国際公開公報第2011/051726号に記載の抗GITR抗体である。例示的な抗GITR抗体は、TRX518である。
【0613】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、投与される細胞、例えばCAR発現細胞の腫瘍浸潤または血管外遊走を促進する。例えば、いくつかの態様において、付加的な作用物質は、CD40、例えばCD40L、例えば組換えヒトCD40Lを刺激する。分化クラスター40(CD40)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。CD40は、抗原提示細胞上に存在する共刺激タンパク質であり、幅広い種類の免疫応答および炎症性応答を媒介する。CD40はまた、一部の悪性腫瘍においても発現され、そこで増殖を促進する。例示的な抗CD40抗体は、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(Novartis、アンタゴニスト)、SEA-CD40(Seattle Genetics)、およびCP-870,893である。いくつかの態様において、腫瘍浸潤を促進する付加的な作用物質には、チロシンキナーゼ阻害剤であるスニチニブ、ヘパラナーゼ、および/またはケモカイン受容体、例えば、CCR2、CCR4、およびCCR7が含まれる。
【0614】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、サリドマイドの構造的もしくは機能的な類似体もしくは誘導体および/またはE3ユビキチンリガーゼの阻害剤である、免疫調節剤である。いくつかの態様において、免疫調節剤はセレブロン(CRBN)に結合する。いくつかの態様において、免疫調節剤はCRBN E3ユビキチン-リガーゼ複合体に結合する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CRBNおよびCRBN E3ユビキチン-リガーゼ複合体に結合する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CRBNのタンパク質または遺伝子の発現を上方調節する。いくつかの局面において、CRBNは、CRL4CRBN E3ユビキチンリガーゼの基質アダプターであり、該酵素の特異性を調整する。いくつかの態様において、CRBまたはCRBN E3ユビキチンリガーゼ複合体への結合により、E3ユビキチンリガーゼ活性が阻害される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、KZF1(イカロス)およびIKZF3(アイオロス)のユビキチン化を誘導し、かつ/またはIKZF1(イカロス)およびIKZF3(アイオロス)の分解を誘導する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CRL4CRBN E3ユビキチンリガーゼによるカゼインキナーゼ1A1(CK1α)のユビキチン化を誘導する。いくつかの態様において、CK1αのユビキチン化の結果、CK1αが分解される。
【0615】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロス(IKZF1)転写因子の阻害剤である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロスのユビキチン化を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロスの分解を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロスのタンパク質または遺伝子の発現を下方調節する。いくつかの態様において、免疫調節剤を投与すると、イカロスのタンパク質レベルが低下する。
【0616】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、アイオロス(IKZF3)転写因子の阻害剤である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、アイオロスのユビキチン化を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、アイオロスの分解を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、アイオロスのタンパク質または遺伝子の発現を下方調節する。いくつかの態様において、免疫調節剤を投与すると、アイオロスのタンパク質レベルが低下する。
【0617】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロス(IKZF1)転写因子とアイオロス(IKZF3)転写因子の両方の阻害剤である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロスとアイオロスの両方のユビキチン化を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロスとアイオロスの両方の分解を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、イカロスとアイオロスの両方のユビキチン化および分解を促進する。いくつかの態様において、免疫調節剤を投与すると、アイオロスのタンパク質レベルとイカロスのタンパク質レベルの両方が低下する。
【0618】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、選択的サイトカイン阻害薬(SelCID)である。いくつかの態様において、免疫調節剤は、ホスホジエステラーゼ-4(PDE4)の活性を阻害する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CDC25ホスファターゼの酵素活性を抑制する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、CDC25ホスファターゼの細胞内輸送を変化させる。
【0619】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、サリドマイド(2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン)またはサリドマイドの類似体もしくは誘導体である。特定の態様において、サリドマイド誘導体には、同様の生物学的活性を有する、サリドマイドの構造的変種が含まれる。例示的なサリドマイド誘導体には、レナリドミド(REVLIMMUNOMODULATORY COMPOUND(商標);Celgene Corporation)、ポマリドミド(ACTIMMUNOMODULATORY COMPOUND(商標)またはPOMALYST(商標)(Celgene Corporation)としても公知)、CC-1088、CDC-501、およびCDC-801、ならびに米国特許第5,712,291号;同第7,320,991号;および同第8,716,315号;米国特許出願公開第2016/0313300号;ならびにPCT国際公開公報第2002/068414号および国際公開公報第2008/154252号に開示されている化合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0620】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,635,517号に記載されているような、ベンゾ環においてアミノで置換された1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペルジン-3-イル)イソインドリンおよび1,3ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペルジン-3-イル)イソインドリンである。
【0621】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、以下の式の化合物または薬学的に許容されるその塩である:
式中、XおよびYのうちの一方は-C(O)-であり、XおよびYのうちの他方は-C(O)-または-CH2-であり、かつR5は、水素または低級アルキルである。いくつかの態様において、Xは-C(O)-であり、Yは-CH2-である。いくつかの態様において、XおよびYの両方が、-C(O)-である。いくつかの態様において、R5は水素である。他の態様において、R5はメチルである。
【0622】
いくつかの態様において、免疫調節性化合物は、米国特許第6,281,230号、同第6,316,471号、同第6,335,349号、および同第6,476,052号、ならびに国際特許出願PCT/US97/13375(国際公開公報第98/03502号)に記載されているもののような、置換された2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタル免疫調節性化合物および置換された2-(2,6-ジオキソピペルジン-3-イル)-1-オキソイソインドールのクラスに属する化合物である。各文献は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0623】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、以下の式の化合物または薬学的に許容されるその塩である:
式中、
XおよびYのうちの一方は-C(O)-であり、XおよびYのうちの他方は-C(O)-または-CH2-であり;
(1)R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ、独立にハロ、炭素原子1~4個のアルキル、もしくはアルコキシもしくは1~4個の炭素原子であるか、または
(2)R1、R3、R4、およびR5のうちの1つは-NHRaであり、R1、R2、R3、およびR4のうちの残りは水素であり、Raは水素もしくは炭素原子1~8個のアルキルであり;
R5は、水素、もしくは炭素原子1~8個のアルキル、ベンジル、もしくはハロである;
ただし、XおよびYが-C(O)-であり、かつ(i)R1、R2、R3、およびR4のそれぞれがフルオロであるか、または(ii)R1、R2、R3、およびR4のうちの1つがアミノである場合、R5は水素以外であることを条件とする。
【0624】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、米国特許第7,091,353号、米国特許出願公開第2003/0045552号、および国際出願PCT/USOI/50401(国際公開公報第02/059106号)で開示されているイソインドール免疫調節性化合物のクラスに属する化合物である。各文献は、参照により本明細書に組み入れられる。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、[2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル]-アミド;(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル;4-(アミノメチル)-2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-イソインドリン-1,3-ジオン;N-(2-(2,6-ジオキソ-ピペリジン-3-イル)-1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-4-イルメチル)-アセトアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル)-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}シクロプロピル-カルボキサミド;2-クロロ-N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}アセトアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-3-ピリジルカルボキサミド;3-{1-オキソ-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-2-イル}ピペリジン-2,6-ジオン;2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-4-(ベンジルアミノ)イソインドリン-1,3-ジオン;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}プロパンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-3-ピリジルカルボキサミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}ヘプタンアミド;N-{(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)メチル}-2-フリルカルボキサミド;{N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)カルバモイル}メチルアセタート;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)ペンタンアミド;N-(2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル)-2-チエニルカルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ブチルアミノ)カルボキサミド;N-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(オクチルアミノ)カルボキサミド;またはN-{[2-(2,6-ジオキソ(3-ピペリジル))-1,3-ジオキソイソインドリン-4-イル]メチル}(ベンジルアミノ)カルボキサミドである。
【0625】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、米国特許出願公開第2002/0045643号号、国際公開公報第98/54170号、および米国特許第6,395,754号で開示されているイソインドール免疫調節性化合物のクラスに属する化合物である。各文献は、参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,798,368号に記載されている四置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリンである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,403,613号に記載されている1-オキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンおよび1,3-ジオキソ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)イソインドリンである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、どちらも参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,380,239号および米国特許第7,244,759号に記載されているような、インドリン環の4位または5位が置換されている1-オキソイソインドリンまたは1,3-ジオキソイソインドリンである。
【0626】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、2-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-4-カルバモイル-酪酸または4-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-4-カルバモイル-酪酸である。いくつかの態様において、免疫調節性化合物は、4-カルバモイル-4-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-酪酸、4-カルバモイル-2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-酪酸、2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-4-フェニルカルバモイル-酪酸、または2-{4-[(フラン-2-イル-メチル)-アミノ]-1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル}-ペンタン二酸である
【0627】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,458,810号に記載されているような、2位が2,6-ジオキソ-3-ヒドロキシピペリジン-5-イルで置換されているイソインドリン-1-オンまたはイソインドリン-1,3-ジオンである。いくつかの態様において、免疫調節性化合物は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンまたはそのエナンチオマーもしくはエナンチオマー混合物;または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは同質異像体である。いくつかの態様において、免疫調節性化合物は、3-[4-(4-モルホリン-4-イルメチル-ベンジルオキシ)-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル]-ピペリジン-2,6-ジオンである。
【0628】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、Oshima, K. et al., Nihon Rinsho., 72(6):1130-5 (2014); Millrine, D. et al., Trends Mol Med., 23(4):348-364 (2017);およびCollins, et al., Biochem J., 474(7):1127-1147 (2017)に記載されているとおりである。
【0629】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、レナリドミド、ポマリドミド、アバドミド; レナリドミド、ポマリドミド、アバドミドの立体異性体;または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは同質異像体である。いくつかの態様において、免疫調節性化合物は、レナリドミド、レナリドミドの立体異性体;または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物、もしくは同質異像体である。いくつかの態様において、免疫調節性化合物は、レナリドミド、または((RS)-3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン)である。
【0630】
いくつかの態様において、付加的な作用物質には、サリドマイド薬もしくはその類似体、および/またはその誘導体、例えば、レナリドミド、ポマリドミド、もしくはアプレミラストが含まれる。例えば、Bertilaccio et al., Blood (2013) 122:4171, Otahal et al., Oncoimmunology (2016) 5(4):e1115940; Fecteau et al., Blood (2014) 124(10):1637-1644、およびKuramitsu et al., Cancer Gene Therapy (2015) 22:487-495を参照されたい。レナリドミド((RS)-3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン;レブラミドとしても公知)は、サリドマイドの合成誘導体であり、T細胞と抗原提示細胞(APC)の間の免疫シナプス形成の強制を含む、複数の免疫調節効果を有する。例えば、いくつかの場合において、レナリドミドは、T細胞応答を調整してCD4+T細胞およびCD8+T細胞におけるインターロイキン(IL)-2産生を増加させ、Tヘルパー(Th)応答のTh2からTh1へのシフトを誘導し、T細胞の調節性サブセット(Treg)の増殖を阻害し、かつ濾胞性リンパ腫および慢性リンパ性白血病(CLL)における免疫学的シナプスの機能を改善する(Otahal et al., Oncoimmunology (2016) 5(4):e1115940)。レナリドミドはまた、多発性骨髄腫(MM)患者において直接的な殺腫瘍活性を有しており、支持細胞、例えば、リンパ組織の微小環境中に見出されるナース様細胞に影響を及ぼすことによって、CLL腫瘍細胞の生存を直接的および間接的に調整する。レナリドミドはまた、CD3連結を介したT細胞活性化または樹状細胞を介した活性化に応答して、T細胞増殖およびインターフェロン-γ産生を促進することもできる。レナリドミドはまた、CD80、CD86、HLA-DR、CD95、およびCD40などの免疫刺激性分子をより高いレベルで発現するように悪性B細胞を誘導することもできる(Fecteau et al., Blood (2014) 124(10):1637-1644)。いくつかの態様において、レナリドミドは、毎日約1mg~約20mg、例えば、毎日約1mg~約10mg、約2.5mg~約7.5mg、約5mg~約15mg、例えば、約5mg、10mg、15mg、または20mgの投与量で投与される。いくつかの態様において、レナリドミドは、約10μg/kg~5mg/kg、例えば、約100μg/kg~約2mg/kg、約200μg/kg~約1mg/kg、約400μg/kg~約600μg/kg、例えば約500μg/kgの用量で投与される。
【0631】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、B細胞阻害剤である。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、CD10、CD19、CD20、CD22、CD34、CD123、CD79a、CD79b、CD179b、FLT-3、もしくはROR1の阻害剤より選択される1種もしくは複数種のB細胞阻害剤、またはそれらの組合せである。いくつかの態様において、B細胞阻害剤は、抗体(例えば、単一特異性抗体もしくは二重特異性抗体)またはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、B細胞標的、例えば、CD10、CD19、CD20、CD22、CD34、CD123、CD79a、CD79b、CD179b、FLT-3、またはROR1を標的とする組換え受容体を発現する操作された細胞である。
【0632】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、CD20阻害剤、例えば抗CD20抗体(例えば、抗CD20単一特異性抗体もしくは抗CD20二重特異性抗体)またはその断片である。例示的な抗CD20抗体には、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ(GA101またはRO5072759としても公知)、ベルツズマブ、オビヌツズマブ、TRU-015(Trubion Pharmaceuticals)、オカラツズマブ(AME-133vまたはオカラツズマブとしても公知)、およびPro131921(Genentech)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、Lim et al. Haematologica. (2010) 95(1):135-43を参照されたい。いくつかの態様において、抗CD20抗体には、リツキシマブが含まれる。リツキシマブは、CD20に結合してCD20発現細胞の細胞溶解を引き起こす、マウス/ヒトキメラモノクローナル抗体IgG1κである。いくつかの態様において、付加的な作用物質にはリツキシマブが含まれる。いくつかの態様において、CD20阻害剤は低分子である。
【0633】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、CD22阻害剤、例えば抗CD22抗体(例えば、抗CD22単一特異性抗体もしくは抗CD22二重特異性抗体)またはその断片である。例示的な抗CD22抗体には、エプラツズマブおよびRFB4が含まれる。いくつかの態様において、CD22阻害剤は低分子である。いくつかの態様において、抗体は、任意で第2の作用物質、例えば化学療法剤にコンジュゲートさせた単一特異性抗体である。例えば、いくつかの態様において、抗体は、抗CD22モノクローナル抗体-MMAEコンジュゲート(例えばDCDT2980S)である。いくつかの態様において、抗体は、抗CD22抗体のscFv、例えば抗体RFB4のscFvである。いくつかの態様において、scFvは、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素-A(例えばBL22)の全体またはその断片と融合される。いくつかの態様において、scFvは、シュードモナス外毒素-A(例えばモキセツモマブパスドトクス)の全体またはその断片(例えば38kDa断片)と融合される。いくつかの態様において、抗CD22抗体は、任意で毒素にコンジュゲートさせた抗CD19/CD22二重特異性抗体である。例えば、いくつかの態様において、抗CD22抗体は、抗CD19/CD22二重特異性部分(例えば、ヒトCD19およびCD22を認識する2つのscFvリガンド)が任意でジフテリア毒素(DT)の全体または一部分、例えば、ジフテリア毒素(DT)の最初の389個のアミノ酸であるDT390に連結されたもの(例えばDT2219ARLなどのリガンド指向性毒素)を含む。いくつかの態様において、二重特異性部分(例えば抗CD19/抗CD22)は、毒素、例えば脱グリコシル化リシンA鎖に連結される(例えばCombotox)。
【0634】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境におけるサイトカインの発現増大を誘導する作用物質である。サイトカインは、T細胞の拡大増殖、分化、生存、および恒常性に関する重要な機能を有する。提供される方法または使用における併用療法薬、本明細書において提供される組換え受容体、細胞、および/または組成物を与えられている対象に投与され得るサイトカインには、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-18、およびIL-21のうちの1種または複数種が含まれる。いくつかの態様において、投与されるサイトカインは、IL-7、IL-15、もしくはIL-21、またはその組合せである。いくつかの態様において、操作された細胞、例えばCAR発現細胞の投与に対して最適以下の応答を有する対象にサイトカインを投与すると、投与細胞、例えばCAR発現細胞の有効性および/または抗腫瘍活性が向上する。
【0635】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、サイトカイン、例えば別の細胞に対して細胞間メディエーターとして作用するタンパク質である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子αおよびβ;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えばNGF-β;血小板増殖因子;トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えばTGF-αおよびTGF-β;インスリン様増殖因子Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えばインターフェロン-α、β、およびγ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);および顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えばTNF-αまたはTNF-β;ならびに他のポリペプチド因子、例えばLIFおよびKitリガンド(KL)である。本明細書において使用される場合、サイトカインという用語は、天然供給源に由来するタンパク質または組換え細胞培養物に由来するタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。例えば、免疫調節剤はサイトカインであり、サイトカインはIL-4、TNF-α、GM-CSF、またはIL-2である。
【0636】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質には、インターロイキン-15(IL-15)ポリペプチド、インターロイキン-15受容体α(IL-15Rα)ポリペプチド、またはそれらの組合せ、例えばhetIL-15(Admune Therapeutics, LLC)が含まれる。hetIL-15は、IL-15とIL-15Rαのヘテロ二量体型非共有結合性複合体である。hetIL-15は、例えば、U.S.8,124,084、U.S.2012/0177598、U.S.2009/0082299、U.S.2012/0141413、およびU.S.2011/0081311に記載されている。いくつかの態様において、免疫調節剤は、1種または複数種のサイトカインを含み得る。例えば、インターロイキンには、天然サイトカインの組合せである白血球インターロイキン注射剤(Multikine)が含まれ得る。
【0637】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、アデノシンレベルおよび/またはアデノシン経路構成要素のモジュレーターである。アデノシンは、体内で免疫調節剤として機能することができる。例えば、アデノシン、およびアデノシン受容体サブタイプを非選択的に活性化させるいくつかのアデノシン類似体は、好中球による炎症性酸化生成物の産生を減少させる(Cronstein et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 451:291, 1985; Roberts et al., Biochem. J., 227:669, 1985; Schrier et al., J. Immunol. 137:3284, 1986; Cronstein et al., Clinical Immunol. Immunopath. 42:76, 1987)。いくつかの場合において、細胞外アデノシンまたはアデノシン類似体の濃度は、特定の環境、例えば腫瘍微小環境(TME)において高まり得る。いくつかの場合において、アデノシンまたはアデノシン類似体のシグナル伝達は、低酸素症または低酸素症もしくはその調節に関与する因子、例えば低酸素誘導因子(HIF)に応じて変わる。いくつかの態様において、アデノシンシグナル伝達の増大により、炎症誘発性サイトカイン産生の阻害をもたらす細胞内cAMPおよびcAMP依存性プロテインキナーゼが増加する場合があり、免疫抑制分子の合成およびTregの発生がもたらされる場合がある(Sitkovsky et al., Cancer Immunol Res (2014) 2(7):598-605)。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アデノシン、アデノシン類似体、および/またはアデノシンシグナル伝達の免疫抑制効果を低減するか、または取り消すことができる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、低酸素駆動性A2アデノシン作動性T細胞免疫抑制を低減するか、または取り消すことができる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アデノシン受容体のアンタゴニスト、細胞外アデノシン分解物質、CD39/CD73エクト酵素によるアデノシン生成の阻害剤、および低酸素HIF-1αシグナル伝達の阻害剤より選択される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アデノシン受容体ののアンタゴニストまたはアゴニストである。
【0638】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、アデノシン受容体の活性および/または量を抑制する作用物質である。特定の態様では、細胞外アデノシンの阻害剤(例えば、細胞外アデノシンの形成を妨げ、細胞外アデノシンを分解し、細胞外アデノシンを不活性にし、かつ/もしくは細胞外アデノシンを減少させる作用物質)および/またはアデノシン受容体阻害剤(例えばアデノシン受容体アンタゴニスト)による細胞外アデノシンまたはアデノシン受容体の阻害または減少により、免疫応答、例えば、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、T細胞、および/またはB細胞を介した応答が増強され得ることを想定する。さらに、Gsタンパク質媒介性cAMP依存性細胞内経路の阻害剤およびアデノシン受容体によって誘発されるGiタンパク質媒介性細胞内経路の阻害剤もまた、急性炎症および慢性炎症を増大させ得る。
【0639】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、アデノシン受容体のアンタゴニストまたはアゴニスト、例えば、アデノシン受容体A2a、A2b、A1、およびA3のうちの1つまたは複数のアンタゴニストまたはアゴニストである。A1とA3およびA2aとA2bは、それぞれ、アデニル酸シクラーゼ活性を阻害および刺激する。ある種のアデノシン受容体、例えば、A2a、A2b、およびA3は、炎症時の免疫応答を抑制または低減し得る。したがって、免疫抑制アデノシン受容体に拮抗することにより、免疫応答、例えば、CAR発現T細胞などの投与細胞に由来する免疫応答が増強、後押し、または促進され得る。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、細胞外アデノシンの産生およびアデノシン受容体を介するアデノシン誘発性シグナル伝達を阻害する。例えば、免疫応答の増強、局所的組織炎症、および標的を定めた組織崩壊が、次のことによって促進され得る:アデノシンによりもたらされる局所的組織低酸素を抑止もしくは低減させること;蓄積された細胞外アデノシンを分解する(もしくは不活性にする)こと;免疫細胞上のアデノシン受容体の発現を妨害もしくは減少させること;および/またはアデノシン受容体を介したアデノシンリガンドによるシグナル伝達を阻害/に拮抗すること。
【0640】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、アデノシン受容体アンタゴニストである。いくつかの態様において、アンタゴニストは、アデノシン受容体、例えば、A2a、A2b、またはA3受容体に対する低分子または化学的化合物である。いくつかの態様において、アンタゴニストは、アデノシン受容体に結合するがGiタンパク質依存性細胞内経路を始動しないペプチドまたはペプチド模倣体である。このようなアンタゴニストの例は、米国特許第5,565,566号;同第5,545,627号、同第5,981,524号;同第5,861,405号;同第6,066,642号;同第6,326,390号;同第5,670,501号;同第6,117,998号;同第6,232,297号;同第5,786,360号;同第5,424,297号;同第6,313,131号、同第5,504,090号;および同第6,322,771号に記載されている。
【0641】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、A2受容体(A2R)アンタゴニスト、例えばA2aアンタゴニストである。例示的なA2Rアンタゴニストには、KW6002(イストラデフィリン)、SCH58261、カフェイン、パラキサンチン、3,7-ジメチル-1-プロパルギルキサンチン(DMPX)、8-(m-クロロスチリル)カフェイン(CSC)、MSX-2、MSX-3、MSX-4、CGS-15943、ZM-241385、SCH-442416、プレラデナント、ビパデナント(BII014)、V2006、ST-1535、SYN-115、PSB-1115、ZM241365、FSPTP、およびA2R発現を標的とする阻害性核酸、例えばsiRNAもしくはshRNA、またはA2Rを標的とする任意の抗体もしくはその抗原結合断片が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、例えば、Ohta et al., Proc Natl Acad Sci U S A (2006) 103:13132-13137; Jin et al., Cancer Res. (2010) 70(6):2245-2255; Leone et al., Computational and Structural Biotechnology Journal (2015) 13:265-272; Beavis et al., Proc Natl Acad Sci U S A (2013) 110:14711-14716;およびPinna, A., Expert Opin Investig Drugs (2009) 18:1619-1631; Sitkovsky et al., Cancer Immunol Res (2014) 2(7):598-605; US 8,080,554; US 8,716,301; US 20140056922; WO2008/147482; US 8,883,500; US 20140377240; WO02/055083; US 7,141,575; US 7,405,219; US 8,883,500; US 8,450,329、およびUS 8,987,279に記載されたA2Rアンタゴニストである。
【0642】
特定の態様において、アデノシン受容体アンタゴニストは、アデノシン受容体をコードするmRNAに特異的に結合するアンチセンス分子、阻害性核酸分子(例えば、低分子阻害性RNA(siRNA))、または触媒核酸分子(例えばリボザイム)である。いくつかの態様において、アンチセンス分子、阻害性核酸分子、または触媒核酸分子は、A2a、A2b、またはA3をコードする核酸に結合する。いくつかの態様において、アンチセンス分子、阻害性核酸分子、または触媒核酸分子は、アデノシン受容体の下流の生化学的経路を標的とする。例えば、アンチセンス分子または触媒核酸は、Gsタンパク質依存性細胞内経路またはGiタンパク質依存性細胞内経路に関与する酵素を阻害することができる。いくつかの態様において、付加的な作用物質には、アデノシン受容体、例えばA2a、A2b、またはA3のドミナントネガティブ変異型が含まれる。
【0643】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、細胞外アデノシンを阻害する作用物質である。細胞外アデノシンを阻害する作用物質には、細胞外アデノシンを無機能にする(またはそのような機能を低下させる)作用物質、例えば、アデノシンの構造を改変して、アデノシンがアデノシン受容体を介してシグナル伝達する能力を阻害する物質が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、細胞外アデノシン生成酵素もしくはアデノシン分解酵素、その改変型、またはそのモジュレーターである。例えば、いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アデノシンに選択的に結合し、それを破壊し、それによって、内因的に形成されたアデノシンがアデノシン受容体を介してシグナル伝達し、炎症を終わらせる能力を無効にするか、または有意に低下させる、酵素(例えばアデノシンデアミナーゼ)または別の触媒性分子である。
【0644】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アデノシンデアミナーゼ(ADA)またはその改変型、例えば、細胞外アデノシンの局所組織蓄積を阻害することができる組換えADAおよび/またはポリエチレングリコール修飾ADA(ADA-PEG)である。ADA-PEGは、ADA SCID患者の処置に使用されている(Hershfield(1995) Hum Mutat.5:107)。いくつかの態様において、細胞外アデノシンを阻害する作用物質には、細胞外アデノシンの形成を妨害するかもしくは減少させ、かつ/または細胞外アデノシンの蓄積を妨害するかもしくは減少させ、それによってアデノシンの免疫抑制効果を無効にするかまたは実質的に低下させる作用物質が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、核内転写因子のモジュレーターを含む炎症誘発性分子の合成および/または分泌の調節に関与している酵素およびタンパク質を特異的に阻害する。アデノシン受容体発現あるいはGsタンパク質依存性細胞内経路もしくはGiタンパク質依存性細胞内経路またはcAMP依存性細胞内経路の発現を抑制すると、免疫応答が増大/増強し得る。
【0645】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、細胞外アデノシンを生成または産生するエクト酵素を標的とすることができる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、連係して機能して細胞外アデノシンを生成するCD39エクト酵素およびCD73エクト酵素を標的とする。CD39(エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼとも呼ばれる)は、細胞外ATP(またはADP)を5’AMPに変換する。続いて、CD73(5’ヌクレオチダーゼとも呼ばれる)が5’AMPをアデノシンに変換する。CD39の活性はNDPキナーゼおよびアデニル酸キナーゼの作用によって取り消すことができるが、CD73の活性は不可逆的である。CD39およびCD73は、内皮細胞およびTregを含む腫瘍間質細胞上ならびにまた多くのがん細胞上にも発現される。例えば、内皮細胞上でのCD39およびCD73の発現は、腫瘍微小環境の低酸素条件下で増大している。腫瘍低酸素は、酸素送達に障害を生じさせる不十分な血液供給および無秩序な腫瘍血管系に起因し得る(Carroll and Ashcroft (2005), Expert. Rev. Mol. Med. 7(6):1-16)。また、低酸素により、アデノシンをAMPに変換するアデニル酸キナーゼ(AK)が阻害されて、細胞外アデノシン濃度が非常に高くなる。すなわち、アデノシンは、固形腫瘍内または固形腫瘍周囲の腫瘍微小環境(TME)で頻繁に起こる状態である低酸素に応答して、高濃度で放出される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、抗CD39抗体またはその抗原結合断片、抗CD73抗体またはその抗原結合断片、例えば、MEDI9447またはTY/23、α-β-メチレン-アデノシン二リン酸(ADP)、ARL 67156、POM-3、IPH52のうちの1つまたは複数である(例えば、Allard et al. Clin Cancer Res (2013) 19(20):5626-5635; Hausler et al., Am J Transl Res (2014) 6(2):129-139; Zhang, B., Cancer Res. (2010) 70(16):6407-6411を参照されたい)。
【0646】
いくつかの態様において、提供される方法に従って、かつ/または提供される製造品もしくは組成物とともに投与される付加的な作用物質は、化学療法剤(細胞傷害剤と呼ばれることがある)である。特定の態様において、化学療法剤は、がんなどの過剰増殖性障害の処置、予防、または改善に有効であることが公知である任意の作用物質である。化学療法剤には、低分子、合成薬物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、アンチセンスヌクレオチド配列、三重らせん、および生物学的に活性なタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドをコードするヌクレオチド配列を非限定的に含む、DNAポリヌクレオチドおよびRNAポリヌクレオチド)、抗体、合成または天然の無機分子、模倣作用物質、ならびに合成または天然の有機分子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、化学療法薬には、アルキル化剤、アントラサイクリン、細胞骨格撹乱物質(タキサン)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヌクレオチド類似体および前駆体類似体、ペプチド抗生物質、白金ベースの作用物質、ならびにビンカアルカロイドおよび誘導体が含まれる。
【0647】
化学療法剤には、アバレリックス、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン、アミホスチン、アナストロゾール、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生菌、ベバセイズマブ、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルステロン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セレコキシブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シナカルセト、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンα、ダウノルビシン、デニロイキンジフチトクス、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロモスタノロン、エリオットB液、エピルビシン、エポエチンα、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルベストラント、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲフィチニブ、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、イリノテカン、レトロゾール、ロイコボリン、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メトキサレン、メチルプレドニゾロン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ナンドロロン、ノフェツモマブ、オブリメルセン、オプレルベキン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロナート、ペガデマーゼ、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ポリフェプロサン、ポルフィマー、プロカルバジン、キナクリン、ラスブリカーゼ、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾシン、タルク、タモキシフェン、タルセバ、テモゾロミド、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ウラシルマスタード、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、およびゾレドロナートが含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。
【0648】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、低酸素誘導因子1α(HIF-1α)シグナル伝達の阻害剤である。例示的なHIF-1α阻害剤には、ジゴキシン、アクリフラビン、サーチュイン-7、およびガネテスピブが含まれる。
【0649】
いくつかの態様において、付加的な作用物質には、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、例えば、本明細書に記載のプロテインチロシンホスファターゼ阻害剤が含まれる。いくつかの態様において、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤は、SHP-1阻害剤、例えば本明細書に記載のSHP-1阻害剤、例えばスチボグルコン酸ナトリウムなどである。いくつかの態様において、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤は、SHP-2阻害剤、例えば本明細書に記載のSHP-2阻害剤である。
【0650】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、キナーゼ阻害剤である。キナーゼ阻害剤、例えば、CDK4キナーゼ阻害剤、BTKキナーゼ阻害剤、MNKキナーゼ阻害剤、またはDGKキナーゼ阻害剤は、腫瘍細胞に存在する構成的に活性な生存経路を調節し、かつ/または免疫細胞の機能を調整することができる。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、例えばイブルチニブである。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、ホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸3-キナーゼ(PI3K)阻害剤である。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、CDK4阻害剤、例えばCDK4/6阻害剤である。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン、ラパマイシン類似体、OSI-027などである。mTOR阻害剤は、例えばmTORC1阻害剤および/またはmTORC2阻害剤、例えばmTORC1阻害剤および/またはmTORC2阻害剤であることができる。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、MNK阻害剤またはPI3K/mTOR二重阻害剤である。いくつかの態様において、他の例示的キナーゼ阻害剤には、AKT阻害剤ペリフォシン、mTOR阻害剤テムシロリムス、Srcキナーゼ阻害剤ダサチニブおよびホスタマチニブ、JAK2阻害剤パクリチニブおよびルキソリチニブ、PKCβ阻害剤エンザスタウリンおよびブリオスタチン、ならびにAAK阻害剤アリセルチブが含まれる。
【0651】
いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、イブルチニブ(PCI-32765);GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;およびLFM-A13より選択されるBTK阻害剤である。いくつかの態様において、BTK阻害剤は、インターロイキン-2誘導性キナーゼ(ITK)のキナーゼ活性を低減も阻害もせず、該BTK阻害剤は、GDC-0834;RN-486;CGI-560;CGI-1764;HM-71224;CC-292;ONO-4059;CNX-774;およびLFM-A13より選択される。
【0652】
いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、BTK阻害剤、例えばイブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン;PCI-32765としても公知)である。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、BTK阻害剤、例えばイブルチニブ(PCI-32765)であり、イブルチニブは、約250mg、300mg、350mg、400mg、420mg、440mg、460mg、480mg、500mg、520mg、540mg、560mg、580mg、600mg(例えば、250mg、420mg、または560mg)の用量で、一定期間にわたり毎日、例えば21日間を1サイクルとして毎日または28日間を1サイクルとして毎日、投与される。いくつかの態様において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12回またはそれ以上のサイクルのイブルチニブが投与される。いくつかの態様において、BTK阻害剤は、国際出願WO 2015/079417に記載されたBTK阻害剤である。
【0653】
いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤はPI3K阻害剤である。PI3Kは、細胞周期の調節およびリンパ腫の存続に関与するPI3K/Akt/mTOR経路の中心である。例示的なPI3K阻害剤にはイデラリシブ(PI3Kδ阻害剤)が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、イデラリシブおよびリツキシマブである。
【0654】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)の阻害剤である。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、テムシロリムス;リダホロリムス(AP23573およびMK8669としても公知);エベロリムス(RAD001);ラパマイシン(AY22989);シマピモド;AZD8055;PF04691502;SF1126;およびXL765より選択されるmTOR阻害剤である。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の阻害剤、例えば、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、およびトラメチニブである。
【0655】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、アポトーシス促進タンパク質または抗アポトーシスタンパク質を調節する作用物質である。いくつかの態様において、付加的な作用物質には、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤(例えば、ABT-199もしくはGDC-0199とも呼ばれるベネトクラクス;またはABT-737)が含まれる。ベネトクラクスは、抗アポトーシスタンパク質BCL-2を阻害する低分子(4-(4-{[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル]メチル}-1-ピペラジニル)-N-({3-ニトロ-4-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)アミノ]フェニル}スルホニル)-2-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イルオキシ)ベンズアミド)である。アポトーシス促進タンパク質または抗アポトーシスタンパク質を調整する他の作用物質には、BCL-2阻害剤ABT-737、ナビトクラックス(ABT-263);最大有効性のためのMcl-1 siRNAまたはMcl-1阻害剤レチノイドN-(4-ヒドロキシフェニル)レチンアミド(4-HPR)が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質、例えば、腫瘍細胞表面のTRAILデスレセプターDR-4およびDR-5に結合することによってアポトーシス経路を活性化できる組換え腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、またはTRAIL-R2アゴニスティック抗体は、アポトーシス促進性の刺激をもたらす。
【0656】
いくつかの態様において、付加的な作用物質には、細胞傷害剤、例えばCPX-351(Celator Pharmaceuticals)、シタラビン、ダウノルビシン、ボサロキシン(Sunesis Pharmaceuticals)、サパシタビン(Cyclacel Pharmaceuticals)、イダルビシン、またはミトキサントロンが含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質には、メチル化抑制剤、例えばDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアザシチジンまたはデシタビンが含まれる。
【0657】
別の態様において、追加療法は、移植、例えば同種異系幹細胞移植である。
【0658】
いくつかの態様において、追加療法は、リンパ球枯渇療法である。いくつかの態様において、リンパ球枯渇は、例えば、CAR発現細胞などの操作された細胞を投与する前に、対象に対して行われる。いくつかの態様において、リンパ球枯渇は、メルファラン、シトキサン、シクロホスファミド、およびフルダラビンのうちの1つまたは複数を投与することを含む。いくつかの態様において、リンパ球枯渇化学療法薬は、CAR発現細胞などの操作された細胞の投与(例えば輸注)より前に、並行して、または後に、対象に投与される。一例において、リンパ球枯渇化学療法薬は、CAR発現細胞などの操作された細胞の投与より前に、対象に投与される。
【0659】
いくつかの態様において、付加的な作用物質は、腫瘍溶解性ウイルスである。いくつかの態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞内で選択的に複製し、がん細胞の死を誘発するか、またはがん細胞の増殖速度を遅くすることができる。いくつかの場合において、腫瘍溶解性ウイルスは、非がん細胞に対して効果がないか、または最小限の効果を有する。腫瘍溶解性ウイルスには、腫瘍溶解性アデノウイルス、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス、腫瘍溶解性レトロウイルス、腫瘍溶解性パルボウイルス、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、腫瘍溶解性シンビス(Sinbis)ウイルス、腫瘍溶解性インフルエンザウイルス、または腫瘍溶解性RNAウイルス(例えば、腫瘍溶解性レオウイルス、腫瘍溶解性ニューキャッスル病ウイルス(NDV)、腫瘍溶解性麻疹ウイルス、もしくは腫瘍溶解性水疱性口内炎ウイルス(VSV))が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0660】
他の例示的な併用療法、処置、および/または作用物質には、抗アレルギー剤、制吐剤、鎮痛剤、および補助療法が含まれる。いくつかの態様において、付加的な作用物質には、細胞保護物質、例えば、神経保護薬、フリーラジカルスカベンジャー、心臓保護薬、アントラサイクリン血管外漏出の解毒薬、および栄養物が含まれる。
【0661】
いくつかの態様において、付加的な作用物質として使用される抗体は、治療物質、例えば、化学療法剤(例えば、シトキサン、フルダラビン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、脱メチル化剤、ペプチドワクチン、抗腫瘍抗生物質、チロシンキナーゼ阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、もしくは有糸分裂阻害剤)、抗アレルギー剤、制嘔吐剤(または制吐剤)、鎮静薬、または本明細書に記載される細胞保護物質にコンジュゲートされるか、または別の様式で結合される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、抗体-薬物コンジュゲートである。
【0662】
本明細書に記載される付加的な作用物質のいずれかは、提供される方法、使用、製造品、または組成物において記載される併用療法薬として、例えば、併用療法の1つまたは複数の作用物質および薬学的に許容される担体、例えば本明細書に記載されるいずれかのものを含む薬学的組成物の形態で調製され、投与されてよい。いくつかの態様において、提供される方法、使用、製造品、または組成物における併用療法薬は、付加的な作用物質、療法、もしくは処置と同時に、並行して、または任意の順序で逐次、投与されてよく、その際、そのような投与は、対象の体内で各作用物質の治療的有効レベルをもたらす。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、提供される方法、使用、製造品、または組成物における併用療法薬と、例えば、同じ薬学的組成物の一部としてまたは同じ送達方法を用いて、同時投与されてよい。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、細胞療法薬、例えば、操作されたT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量と同時に、ただし別個の組成物の形態で投与される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、CAR発現細胞などの操作された細胞と、該細胞の投与より前にインキュベーションされる。
【0663】
いくつかの例において、1つまたは複数の付加的な作用物質は、細胞療法薬、例えば、操作されたT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量の投与後または投与前に、選択された期間を空けて投与される。いくつかの例では、期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月である。いくつかの例では、1つまたは複数の付加的な作用物質は、複数回投与される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、提供される方法、使用、製造品、または組成物において、細胞療法薬、例えば、操作されたT細胞(CAR+T細胞)の用量の前に、例えば、該投与の2週間、12日、10日、8日、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日前に投与される。いくつかの態様において、付加的な作用物質は、提供される方法、使用、製造品、または組成物において、細胞療法薬、例えば、操作されたT細胞(例えばCAR+T細胞)の用量の後に、例えば、該投与から2週間、12日、10日、8日、1週間、6日、5日、4日、3日、2日、または1日後に投与される。
【0664】
付加的な作用物質の用量は、治療的に有効な任意の量、例えば、本明細書に記載の任意の用量であってよく、付加的な作用物質の適切な投与量は、処置されるB細胞悪性腫瘍または血液学的悪性腫瘍のタイプ、投与される細胞および/または組成物のタイプ、用量、および/または頻度、対象の年齢、対象の体重、疾患の重症度および経過、以前の療法、患者の病歴および細胞療法薬、例えば、操作されたT細胞(CAR+T細胞)の用量に対する応答、ならびに主治医の裁量に応じて変わり得る。
【0665】
V. 製造品およびキット
組換え受容体(例えばCAR)を発現する操作された細胞またはそのような細胞を含む組成物、ならびに任意で、提供される方法および使用に従って使用するための説明書、例えば投与するための説明書を含む、製造品およびキットもまた、提供される。
【0666】
いくつかの態様において、本明細書に記載の操作された細胞の治療的有効量を含む組成物およびB細胞悪性腫瘍または血液学的悪性腫瘍を処置するために対象に投与するための説明書を含む、製造品および/またはキットが提供される。いくつかの態様において、説明書は、本明細書において提供される方法および使用の要素のいくつかまたは全てを明記することができる。いくつかの態様において、説明書は、細胞療法用の細胞を投与するための具体的な指示、例えば、用量、タイミング、投与する対象の選択および/または特定、ならびに投与条件を指定する。いくつかの態様において、製造品および/またはキットは、治療法、例えばリンパ球枯渇療法および/または併用療法用の1種または複数種の付加的な作用物質、例えば本明細書に記載する任意のものをさらに含み、任意で、該療法用の付加的な作用物質を投与するための説明書もさらに含む。いくつかの態様において、製造品および/またはキットは、リンパ球枯渇療法用の作用物質をさらに含み、任意で、リンパ球枯渇療法を実施するための説明書もさらに含む。いくつかの態様において、説明書は、投与用組成物に付随するラベルまたは添付文書として含まれてよい。
【0667】
いくつかの態様において、説明書は、療法のために対象を選択または特定するための基準を指定する。いくつかの態様において、対象には、本明細書のセクションI.Aに記載のもののような療法を実施するための、本明細書に記載の任意の対象が含まれる。いくつかの態様において、そのような基準には、B細胞悪性腫瘍または血液悪性腫を有する対象が含まれる。いくつかの態様において、そのような基準には、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)を有する対象が含まれる。いくつかの態様において、そのような基準には、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)、および/またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、もしくは原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)を含む、その任意の亜型を有する対象が含まれる。
【0668】
いくつかの態様において、説明書は、CAR発現細胞などの細胞を投与するための対象の年齢を指定する。いくつかの態様において、説明書は、25歳または25歳未満である対象への投与を指定する。いくつかの態様において、説明書は、18歳未満である対象への投与を指定する。いくつかの態様において、説明書は、小児対象または若年成人対象への投与を指定する。
【0669】
いくつかの態様において、説明書は、1つもしくは複数の以前の療法による治療後の寛解後に再発したか、または該療法に無反応性になった対象;あるいは1つもしくは複数の以前の療法、例えば1つもしくは複数のラインの標準療法に対して再発したかまたは抵抗性である(R/R)対象を処置することを指定する。いくつかの態様において、説明書は、対象の特定のグループまたはサブセット、例えば、標準療法に対してR/RであるB細胞悪性腫瘍を有することが確認された小児対象を処置することを指定する。いくつかの態様において、対象は、アグレッシブでありかつ/もしくは予後不良であるか、または標準療法に対してR/RであるB細胞悪性腫瘍などの高リスク疾患を有する可能性がある。いくつかの態様において、説明書は、R/R B-ALL、R/R B-NHL、または微小残存病変を示すB-ALL(MRD+ B-ALL)を有する対象を処置することを指定する。いくつかの態様において、対象は、R/R DLBCL、R/R BL、またはR/R PMBCLを有する。いくつかの態様において、処置される対象または集団には、パフォーマンスステータスが不良な対象が含まれる。いくつかの局面において、処置される集団には、例えば、米国東海岸がん臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG)が0~2である対象が含まれる。前記態様のいずれかの他の局面において、処置される対象にはECOG 0~1が含まれ、すなわちECOG2の対象が含まれない。前記態様のいずれかのいくつかの態様において、処置される対象は、1種もしくは複数種、または2種もしくはそれ以上の以前の療法では失敗していた。
【0670】
いくつかの態様において、説明書は、投与される細胞の量、数、もしくは用量、または投与される操作細胞含有組成物の量もしくは体積を指定する。いくつかの局面において、説明書は、例えば本明細書のセクションI.Bに記載するような、本明細書において提供される方法および使用に従う用量を指定する。例えば、いくつかの態様において、説明書で指定される用量には、対象の体重に基づく用量が含まれる。いくつかの態様において、説明書で指定される用量には、一定用量または一律用量である用量が含まれる。いくつかの態様において、説明書は、複数用量の投与を指定する。
【0671】
いくつかの態様において、製造品またはキットは、複数のCD4+CAR+T細胞を含む容器、任意でバイアル、および複数のCD8+CAR++T細胞を含む容器、任意でバイアルを含む。いくつかの態様において、製造品またはキットは、複数のCD4+CAR+T細胞を含む容器、任意でバイアルを含み、かつ同じ容器中に複数のCD8+CAR+T細胞をさらに含む。いくつかの態様において、凍結保護剤が、細胞とともに含まれる。いくつかの局面において、容器はバッグである。
【0672】
いくつかの態様において、バイアルなどの容器は、例えば本明細書のセクションI.Bに記載するような、本明細書において提供される方法および使用に従う投与の用量のために、十分な細胞、例えば十分なCAR発現T細胞(例えば、CD4+CAR+T細胞もしくはCD8+CAR+T細胞または両方)を含む。いくつかの態様において、バイアルなどの容器は、10×106個より多いまたは約10×106個より多いT細胞またはCAR+T細胞、15×106個より多いまたは約15×106個より多いT細胞またはCAR+T細胞、25×106個より多いまたは約25×106個より多いT細胞またはCAR+T細胞を含む。
【0673】
いくつかの局面において、バイアルは、約10×106細胞/mL~約70×106細胞/mL、約10×106細胞/mL~約50×106細胞/mL、約10×106細胞/mL~約25×106細胞/mL、約10×106細胞/mL~約15×106細胞/mL、15×106細胞/mL~約70×106細胞/mL、約15×106細胞/mL~約50×106細胞/mL、約15×106細胞/mL~約25×106細胞/mL、約25×106細胞/mL~約70×106細胞/mL、約25×106細胞/mL~約50×106細胞/mL、および約50×106細胞/mL~約70×106細胞/mLを含む。いくつかの態様において、容器中のT細胞組成物の濃度は、5×106細胞/mL超もしくは約5×106細胞/mL超であるか、または5×106細胞/mLであるか、もしくは約5×106細胞/mLである。いくつかの態様において、容器中のT細胞組成物の濃度は、10×106細胞/mL超もしくは約10×106細胞/mL超であるか、または10×106細胞/mLであるか、もしくは約10×106細胞/mLである。いくつかの態様において、容器中のT細胞組成物の濃度は、15×106細胞/mL超もしくは約15×106細胞/mL超であるか、または15×106細胞/mLであるか、もしくは約15×106細胞/mLである。いくつかの局面において、容器中の細胞の濃度は、容器中の生細胞の濃度である。
【0674】
いくつかの態様において、投与用に指定される複数のバイアルまたは複数の細胞もしくは細胞の単位用量は、それらが合わさって、例えば本明細書のセクションI.Bに記載するような、本明細書において提供される方法および使用に従う任意の用量などの指定された細胞量、細胞数、または細胞用量を含む。いくつかの局面において、物品は、CD4+細胞および/もしくはCD8+細胞の、またはCD4+受容体+細胞および/もしくはCD8+受容体+細胞(例えばCD4+CAR+細胞および/もしくはCD8+CAR+細胞)の、1つまたは複数の単位用量を含む。いくつかの態様において、単位用量は、1×107個もしくは約1×107個から、2×108個もしくは約2×108個のCAR+T細胞;5×107個もしくは約5×107個から、1.5×108個もしくは約1.5×108個のCAR+T細胞;5×107個もしくは約5×107個のCAR+T細胞;1×108個もしくは約1×108個のCAR+T細胞;または1.5×108個もしくは約1.5×108個のCAR+T細胞を含む。いくつかの態様において、物品中の情報は、1つもしくは複数の単位用量および/またはそのような1つもしくは複数の単位用量に対応する体積の投与を指定する。いくつかの態様において、投与用に指定される各バイアルもしくは複数のバイアルまたは複数の細胞もしくは細胞の単位用量は、それらが合わさって、対象の体重に基づいて決定された細胞量、細胞数、または細胞用量を、細胞の最大(または最高)数または量を上限として含む。いくつかの態様において、投与用に指定される各バイアルもしくは複数のバイアルまたは複数の細胞もしくは細胞の単位用量は、それらが合わさって、一律の細胞数、細胞量、もしくは細胞用量、または一定の細胞数、細胞量、もしくは細胞用量を含み、この場合、細胞用量は対象の体表面積および体重に縛られもせず基づきもしない。いくつかの態様において、細胞の単位用量は、対象もしくは患者に単一用量で投与され得る細胞、例えば操作されたT細胞の数もしくは量であるか、またはそれを含む。
【0675】
いくつかの態様において、説明書は、投与の投与レジメンおよびタイミングを指定することができる。例えば、いくつかの態様において、説明書は、細胞の複数用量、例えば2つまたはそれ以上の用量を対象に投与することを指定することができる。いくつかの態様において、説明書は、複数用量のタイミングを指定し、例えば、2回目の用量は、初回用量後約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21日目に投与され;かつ/または説明書は、各用量の投与量を指定する。
【0676】
いくつかの態様において、製造品またはキットは、複数のCD4+CAR+T細胞、および疾患または病態を有する対象に複数のCD4+T細胞の全部もしくは一部分を投与し、かつCD8+CAR+T細胞をさらに投与するための説明書を含む。いくつかの態様において、説明書は、CD8+細胞を投与する前にCD4+T細胞を投与することを指定する。いくつかの場合において、説明書は、CD4+細胞を投与する前にCD8+T細胞を投与することを指定する。いくつかの態様において、製造品またはキットは、複数のCD8+CAR+T細胞、および疾患または病態を有する対象に複数のCD8+T細胞およびCD4+CAR+T細胞の全部もしくは一部分を投与するための説明書を含む。いくつかの態様において、説明書は、細胞投与の投与レジメンおよびタイミングを指定する。
【0677】
いくつかの局面において、説明書は、CD4+T細胞の全部または一部分およびCD8+T細胞の全部または一部分を、0~12時間空けて、0~6時間空けて、または0~2時間空けて投与することを指定する。いくつかの場合において、説明書は、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を、2時間以下、1時間以下、30分以下、15分以下、10分以下、または5分以下の間隔で投与することを指定する。
【0678】
いくつかの態様において、説明書は、細胞もしくは細胞型の用量もしくは数および/または細胞型、例えば、個々の集団またはサブタイプの比、例えばCD4+とCD8+の比を指定する。いくつかの態様において、集団またはサブタイプの細胞、例えばCD8+T細胞およびCD4+T細胞。例えば、いくつかの態様において、説明書は、細胞が、複数の細胞集団もしくはサブタイプ、例えばCD4+細胞およびCD8+細胞もしくはサブタイプについて下記のアウトプット比で、またはその許容範囲内で投与されることを指定する:該アウトプット比は、5:1もしくは約5:1から、5:1もしくは約5:1(または約1.5より大きく約5:1より小さい);または1:3もしくは約1:3から、3:1もしくは約3:1(または約1:3より大きく約3:1より小さい)、例えば2:1もしくは約2:1から、1:5もしくは約1:5(または約1:5より大きく約2:1より小さい)、例えば5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9:1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5、または約5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9:1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5である。いくつかの局面において、許容される差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲間の任意の値を含む。
【0679】
いくつかの態様において、製造品および/またはキットは、本明細書に記載するような、療法、例えばリンパ球枯渇療法および/または併用療法用の1種または複数種の付加的な作用物質、ならびに任意で、該付加的な作用物質を投与するための説明書もさらに含む。いくつかの例では、製造品は、1種または複数種の治療物質もさらに含んでよい。いくつかの態様において、治療物質は、免疫調節剤、細胞障害剤、抗がん剤、または放射線治療薬である。
【0680】
製造品および/またはキットは、容器、および容器表面または容器に伴うラベルまたは添付文書を含んでよい。適切な容器には、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されてよい。いくつかの態様における容器には、単独であるか、または病態を処置、予防、および/もしくは診断するのに有効な別の組成物と組み合わせられた、組成物が保管される。いくつかの態様において、容器は、無菌取出口を有する。例示的な容器には、注射用の針によって突き刺すことができる栓の付いたものを含む、静注液バッグ、バイアル、または経口投与される作用物質のための瓶もしくはバイアルが含まれる。ラベルまたは添付文書は、その組成物が、疾患または病態を処置するのに使用されることを示してよい。製造品は、(a)組換え受容体を発現する操作された細胞を含む組成物がその中に含まれる第1の容器;および(b)第2の作用物質を含む組成物がその中に含まれる第2の容器を含んでよい。いくつかの態様において、製造品は、(a)組換え受容体を発現する操作された細胞のサブタイプを含む第1の組成物がその中に含まれる第1の容器;および(b)組換え受容体を発現する操作された細胞の別のサブタイプを含む組成物がその中に含まれる第2の容器を含んでよい。製造品は、それらの組成物を用いて特定の病態を処置できることを示す添付文書をさらに含んでよい。あるいはまたはさらに、製造品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別のまたは同じ容器をさらに含んでもよい。これは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、および/またはシリンジなどの他の材料もさらに含んでよい。
【0681】
VI. 定義
他に規定されない限り、本明細書において使用されるすべての技術分野専門用語、記号、ならびに他の技術的および科学的な用語または専門用語は、特許請求される主題が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有すると意図される。一部の場合において、一般に理解される意味を有する用語は、明確にし、かつ/または参照を容易にするために本明細書において定義され、本明細書においてそのような定義を含めることは、当技術分野において一般に理解されていることとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈すべきではない。
【0682】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために同義に用いられ、最小の長さに限定されない。提供される受容体を含むポリペプチドと、他のポリペプチド、例えば、リンカーまたはペプチドは、天然アミノ酸残基および/または非天然アミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含んでもよい。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、およびリン酸化も含む。一部の局面では、ポリペプチドは、タンパク質が望ましい活性を維持する限り、自然または天然の配列に対して修飾を含有してもよい。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を介した修飾のように意図的なものでもよく、タンパク質を産生する宿主の変異またはPCR増幅によるエラーを介した修飾のように偶発的なものでもよい。
【0683】
本明細書で使用する、「対象」とは、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。一部の態様では、前記の薬剤、細胞、細胞集団、または組成物が投与される対象、例えば、患者は哺乳動物、典型的には霊長類、例えば、ヒトである。一部の態様では、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は男性または女性でもよく、乳児、年少者、青年、成人、および老人の対象を含む任意の適切な年齢でよい。一部の態様では、対象は非霊長類哺乳動物、例えば、げっ歯類である。
【0684】
本明細書で使用する「処置(treatment)」(およびその文法上の語尾変化、例えば、「処置する(treat)」または「処置する(treating)」)とは、疾患もしくは状態もしくは障害、あるいはこれらに関連する症状、副作用もしくはアウトカム、または表現型の完全または部分的な回復または低減を指す。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の阻止、症状の緩和、疾患のあらゆる直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移の阻止、疾患進行速度の減少、疾患状態の回復または軽減、および寛解または予後の改善が含まれるが、これに限定されない。これらの用語は、疾患の完治、あるいはあらゆる症状、または全ての症状もしくはアウトカムに及ぼす影響の完全な除去を意味しない。
【0685】
本明細書で使用する「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(例えば、がん)の発症を延ばす、邪魔する、遅くする、減速する、安定化する、抑制する、および/または延期することを意味する。この遅れは、病歴および/または処置されている個体に応じて様々な長さの時間になることがある。一部の態様では、十分な、または大きな遅れは、実際には、個体が疾患を発症しない点では予防を含む。例えば、転移の発症などの末期がんを遅らせることができる。
【0686】
本明細書で使用する「予防する」は、疾患の素因がある可能性があるが、まだ疾患と診断されていない対象において、疾患の発生または再発に関する予防を提供することを含む。一部の態様では、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅らせるのに、または疾患の進行を遅くするのに用いられる。
【0687】
本明細書で使用する、機能または活性を「抑制する」ということは、関心対象の条件もしくはパラメータ以外は同じ条件と比較した時に、または別の条件と比較した時に機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、前記細胞の非存在下での腫瘍成長の速度と比較して腫瘍成長の速度を低減する。
【0688】
投与の文脈において、薬剤、例えば、薬学的製剤、細胞、または組成物の「有効量」とは、望ましい結果、例えば、治療結果または予防結果を成し遂げるのに、必要な投与量/量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。
【0689】
薬剤、例えば、薬学的製剤または細胞の「治療的有効量」とは、望ましい治療結果、例えば、疾患、状態、もしくは障害を処置するための望ましい治療結果、および/または処置の薬物動態学的効果もしくは薬力学的効果を成し遂げるのに、必要な投与量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。治療的有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される細胞集団などの要因に応じて変化する場合がある。一部の態様では、提供される方法および使用は、有効量、例えば、治療的有効量の前記細胞および/または組成物を投与する段階を伴う。
【0690】
「予防的有効量」とは、望ましい予防結果を成し遂げるのに、必要な投与量で、かつ期間にわたって、有効な量を指す。典型的には、疾患の前に、または疾患の初期段階に対象において予防用量が用いられるので予防的有効量は治療的有効量より少ないが、必ず治療的有効量より少ないとは限らない。少ない腫瘍負荷量の状況では、予防的有効量は一部の局面では治療的有効量より多い。
【0691】
本明細書で使用する用語「約」は、この技術分野の当業者に容易に分かる、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」のついた値またはパラメータについての言及は、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を含む(およびその態様について説明している)。
【0692】
本明細書で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきり示されていない限り複数の指示物を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。
【0693】
本開示全体を通じて、クレームされた対象の様々な局面が範囲の形で示される。範囲の形での説明は単なる便宜および簡略のためであり、クレームされた対象の範囲に対する融通の利かない限定として解釈してはならないと理解されるはずである。従って、範囲の説明は、可能性のある全ての部分範囲ならびにその範囲内にある個々の数値を具体的に開示したとみなされるはずである。例えば、値の範囲が示された場合、その範囲の上限と下限との間の、間にあるそれぞれの値と、その述べられた範囲内にある他の任意の述べられた値または間にある値が、クレームされた対象に包含されると理解される。これらのさらに小さな範囲の上限および下限は、独立して、その小さな範囲に含まれてもよく、その述べられた範囲内にある、明確に除外されるあらゆる限界を条件としてクレームされた対象に包含される。述べられた範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、クレームされた対象に含まれる。このことは範囲の幅に関係なく適用される。
【0694】
本明細書で使用する組成物とは、細胞を含む、2種類以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはその任意の組み合わせでもよい。
【0695】
本明細書で使用する「濃縮する」とは、1つまたは複数の特定の細胞タイプまたは細胞集団について言及している時には、細胞タイプまたは集団の数またはパーセントを、例えば、組成物中にある、もしくは組成物の体積中にある細胞の総数と比較して、または他の細胞タイプと比べて増やすこと、例えば、前記集団もしくは細胞によって発現されたマーカーに基づく正の選択によって、または枯渇させようとする、前記細胞集団または細胞に存在しないマーカーに基づく負の選択によって増やすことを指す。この用語は、組成物から他の細胞、細胞タイプ、または集団を完全に除去することを必要とせず、このように濃縮された細胞が、濃縮された組成物中に100%もしくは100%近くで存在することを必要としない。
【0696】
本明細書で使用する、細胞または細胞集団が特定のマーカーについて「陽性」であるという記載は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞の表面に、または細胞の中に検出可能に存在することを指す。表面マーカーを指している場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、この抗体を検出することによって検出される時に表面発現が存在することを指す。ここで、染色は、フローサイトメトリーによって、他の点では同一の条件下で、アイソタイプが一致する対照またはFMO(Fluorescence minus one)ゲーティング対照を用いた同じ手順を行って検出される染色をかなり上回るレベルで、および/またはマーカーが陽性であることが分かっている細胞のレベルと実質的に類似するレベルで、および/またはマーカーが陰性であることが分かっている細胞のレベルよりかなり高いレベルで検出することができる。
【0697】
本明細書で使用する、細胞または細胞集団が特定のマーカーについて「陰性」であるという記載は、特定のマーカー、典型的には表面マーカーが細胞の表面に、または細胞の中に実質的に検出可能に存在することが無いことを指す。表面マーカーを指している場合、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体で染色し、この抗体を検出することによって検出される時に表面発現が存在しないことを指す。ここで、染色は、フローサイトメトリーによって、他の点では同一の条件下で、アイソタイプが一致する対照またはFMO(Fluorescence minus one)ゲーティング対照を用いた同じ手順を行って検出される染色をかなり上回るレベルで、および/またはマーカーが陽性であることが分かっている細胞のレベルよりかなり低いレベルで、および/またはマーカーが陰性であることが分かっている細胞のレベルと比較して実質的に類似するレベルで検出されない。
【0698】
本明細書で使用する用語「ベクター」は、連結されている別の核酸を増やすことができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造であるベクター、ならびにベクターが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、機能的に連結されている核酸の発現を起こすことができる。このようなベクターは本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0699】
VII.例示的な態様
提供される態様の中には以下がある。
1.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、前記組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法。
2.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1記載の方法。
3.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、前記組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、方法。
4.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1~3のいずれか一つに記載の方法。
5.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、前記T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
6.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、前記T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
7.
対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される、態様1、2、および5のいずれか一つに記載の方法。
8.
対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与される、態様1~7のいずれか一つに記載の方法。
9.
対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1、2、および5のいずれか一つに記載の方法。
10.
対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物が、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1~6および9のいずれか一つに記載の方法。
11.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、前記組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞または約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
12.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、前記組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重もしくは約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞もしくは約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量;または
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞もしくは約0.5x108CAR+T細胞から、1.5x108CAR+T細胞もしくは約1.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
13.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様11記載の方法。
14.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様11~13のいずれか一つに記載の方法。
15.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、および13のいずれか一つに記載の方法。
16.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、および13のいずれか一つに記載の方法。
17.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、および13のいずれか一つに記載の方法。
18.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
19.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
20.
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
21.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、および13のいずれか一つに記載の方法。
22.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞から、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1~14のいずれか一つに記載の方法。
23.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、13、および21のいずれか一つに記載の方法。
24.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、13、および21のいずれか一つに記載の方法。
25.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1、2、5、7、9、11、13および21のいずれか一つに記載の方法。
26.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1~14、21、および22のいずれか一つに記載の方法。
27.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1~14、21、および22のいずれか一つに記載の方法。
28.
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞の量で投与される、態様1~14、21、および22のいずれか一つに記載の方法。
29.
対象の体重が、少なくとも6kgまたは少なくとも約6kgである、態様1~28のいずれか一つに記載の方法。
30.
対象の体重が、少なくとも12kgまたは少なくとも約12kgである、態様1~28のいずれか一つに記載の方法。
31.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x108CAR+T細胞または約0.05x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
32.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x108CAR+T細胞または約0.15x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
33.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x108CAR+T細胞または約0.3x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
34.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
35.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x108CAR+T細胞または約0.75x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
36.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階を含み、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1x108CAR+T細胞または約1x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
37.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が6kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、1x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
38.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階であって、前記組成物が、0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、段階。
39.
組成物が0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えないで投与される、態様38記載の方法。
40.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階であって、前記組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x108総CAR+T細胞または約1.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、段階。
41.
組成物が、0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重から、1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38~40のいずれか一つに記載の方法。
42.
組成物が、少なくとも0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x108総CAR+T細胞または約0.05x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38または態様39記載の方法。
43.
組成物が、少なくとも0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x108総CAR+T細胞または約0.15x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38または態様39記載の方法。
44.
組成物が、少なくとも0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x108総CAR+T細胞または約0.3x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38または態様39記載の方法。
45.
組成物が、少なくとも0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38~41のいずれか一つに記載の方法。
46.
組成物が、少なくとも0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x108総CAR+T細胞または約0.75x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38~41のいずれか一つに記載の方法。
47.
組成物が、少なくとも1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x106CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x108総CAR+T細胞または約1.0x108総CAR+T細胞を超えない量で投与される、態様38~41のいずれか一つに記載の方法。
48.
総体積が少なくとも0.05mL、濃度が2.5x106細胞/mL以上のT細胞組成物が投与される、態様1~47のいずれか一つに記載の方法。
49.
総体積が少なくとも0.5mL、濃度が2.5x106細胞/mL以上のT細胞組成物が投与される、態様1~48のいずれか一つに記載の方法。
50.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.5x108総CAR+T細胞または約0.5x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x108CAR+T細胞または約0.5x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
51.
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、2.5x106細胞/mL以上の濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、1x108総CAR+T細胞または約1x108総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x108CAR+T細胞または約1.0x108CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
52.
投与されるT細胞組成物の総体積が少なくとも0.05mLである、態様48記載の方法。
53.
投与されるT細胞組成物の総体積が少なくとも0.1mLである、態様48または態様52記載の方法。
54.
投与されるT細胞組成物の総体積が少なくとも1.0mLである、態様48~53のいずれか一つに記載の方法。
55.
T細胞組成物の濃度が5x106細胞/mLを上回るか、もしくは約5x106細胞/mLを上回るか、または5x106細胞/mLであるか、もしくは約5x106細胞/mLである、態様48~54のいずれか一つに記載の方法。
56.
T細胞組成物の濃度が10x106細胞/mLを上回るか、もしくは約10x106細胞/mLを上回るか、または10x106細胞/mLであるか、もしくは約10x106細胞/mLである、態様48~55のいずれか一つに記載の方法。
57.
T細胞組成物の濃度が15x106細胞/mLを上回るか、もしくは約15x106細胞/mLを上回るか、または15x106細胞/mLであるか、もしくは約15x106細胞/mLである、態様48~56のいずれか一つに記載の方法。
58.
T細胞組成物がCD4+CAR+T細胞およびCD8+CAR+T細胞を含む、態様1~57のいずれか一つに記載の方法。
59.
組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの一方を含む第1の組成物と、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの他方を含む第2の組成物を含む、態様58記載の方法。
60.
第1の組成物および第2の組成物が別々に投与される、態様59記載の方法。
61.
第1の組成物および第2の組成物が同時投与される、態様59または態様60記載の方法。
62.
第1の組成物および第2の組成物がどの順序でも連続投与される、態様59または態様60記載の方法。
63.
第1の組成物がCD4+CAR+T細胞を含み、第2の組成物がCD8+T細胞を含む、態様59~62のいずれか一つに記載の方法。
64.
第1の組成物がCD8+CAR+T細胞を含み、第2の組成物がCD4+CAR+T細胞を含む、態様59~63のいずれか一つに記載の方法。
65.
投与されるT細胞組成物の量が、規定された比のCD4+CAR+T細胞:CD8+CAR+T細胞および/またはCD4+T細胞:CD8+T細胞を含み、規定された比が1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、態様1~64のいずれか一つに記載の方法。
66.
第1の組成物および第2の組成物の一方にあるCD4+CAR+T細胞ならびに第1の組成物および第2の組成物の他方にあるCD8+CAR+T細胞が、1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である規定された比で存在する;ならびに/または
第1の組成物および第2の組成物の中にある、投与されるCD4+CAR+T細胞およびCD8+CAR+T細胞が規定された比で存在し、この比が1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、態様59~65のいずれか一つに記載の方法。
67.
規定された比が1:1であるか、または約1:1である、態様65または態様66記載の方法。
68.
B細胞悪性腫瘍がリンパ腫または白血病である、態様1~67のいずれか一つに記載の方法。
69.
B細胞悪性腫瘍がB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である、態様1~68のいずれか一つに記載の方法。
70.
B-ALLが微小残存病変陽性(MRD+)である、態様69記載の方法。
71.
B細胞悪性腫瘍がB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である、態様1~70のいずれか一つに記載の方法。
72.
B-NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、またはバーキットリンパ腫である、態様71記載の方法。
73.
B細胞悪性腫瘍が再発性および/または抵抗性である、態様1~72のいずれか一つに記載の方法。
74.
投与前に、対象が、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、態様1~73のいずれか一つに記載の方法。
75.
投与直前に、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法を対象に投与する段階をさらに含む、態様1~74のいずれか一つに記載の方法。
76.
リンパ球枯渇療法が、約200~400mg/m2、任意で、300mg/m2もしくは約300mg/m2のシクロホスファミド、および/または約20~40mg/m2、任意で、30mg/m2のフルダラビンを、2~4日間、任意で3日間、毎日投与する段階を含む、態様74または態様75記載の方法。
77.
リンパ球枯渇療法が、約300mg/m2のシクロホスファミドを3日間、毎日、約30mg/m2のフルダラビンを3日間、毎日投与する段階を含む、態様74~76のいずれか一つに記載の方法。
78.
シクロホスファミドおよびフルダラビンが並行して投与される、態様74~77のいずれか一つに記載の方法。
79.
シクロホスファミドおよびフルダラビンが静脈内投与される、態様74~78のいずれか一つに記載の方法。
80.
T細胞組成物を投与する2~7日前にリンパ球枯渇療法が施される、態様74~79のいずれか一つに記載の方法。
81.
対象がヒトである、態様1~80のいずれか一つに記載の方法。
82.
CARが、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBであるか、またはヒト4-1BBを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと、任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、CARが、任意で、膜貫通ドメインとscFvの間にスペーサーをさらに含む、態様1~81のいずれか一つに記載の方法。
83.
CARが、順に、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるか、またはヒト4-1BBシグナル伝達ドメインを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインである、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様1~82のいずれか一つに記載の方法。
84.
CARが、順に、ヒトCD19に特異的なscFvと;スペーサーと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインである、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、態様1~83のいずれか一つに記載の方法。
85.
スペーサーが、免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョン、任意で、IgG4ヒンジ、またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるポリペプチドスペーサーである、態様82~84のいずれか一つに記載の方法。
86.
スペーサーが約15アミノ酸またはそれ未満であり、CD28細胞外領域もCD8細胞外領域も含まない、態様85記載の方法。
87.
スペーサーの長さが12アミノ酸または約12アミノ酸である、態様85または態様86記載の方法。
88.
スペーサーが、SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、前述の配列のいずれかのバリアントを有するか、またはそれからなる;および/あるいは
スペーサーが式X1PPX2Pを含むか、またはそれからなり、X1がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X2がシステインまたはスレオニンである、態様82~87のいずれか一つに記載の方法。
89.
共刺激ドメインが、SEQ ID NO:12またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、そのバリアントを含む、態様82~88のいずれか一つに記載の方法。
90.
一次シグナル伝達ドメインが、前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、SEQ ID NO:13、14、または15を含む、態様82~89のいずれか一つに記載の方法。
91.
scFvが、
RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、およびGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列を含む可変軽(VL)鎖と;
DYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、
のCDRH2配列、およびYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む可変重(VH)鎖と
を含むか、または
scFvが、
FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列を含むVLと;
FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むVH
を含む、
態様82~90のいずれか一つに記載の方法。
92.
scFvが、SEQ ID NO:41に示したVHと、SEQ ID NO:42に示したVLとを含む、態様82~91のいずれか一つに記載の方法。
93.
VHおよびVLがフレキシブルリンカーによって隔てられており、任意で、フレキシブルリンカーが、SEQ ID NO:24に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:24に示した配列を含む、態様91または態様92記載の方法。
94.
scFvが、SEQ ID NO:43に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:43に示した配列を含む、態様82~93のいずれか一つに記載の方法。
95.
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、態様1~94のいずれか一つに記載の方法。
96.
T細胞が対象の自己細胞である、態様1~95のいずれか一つに記載の方法。
97.
組成物を投与する前に、対象がCD19発現細胞を有すると特定されるか、または特定されている、態様1~96のいずれか一つに記載の方法。
98.
CD19発現が、フローサイトメトリーによって末梢血もしくは骨髄中に検出される、および/または骨髄生検材料の免疫組織化学によって検出される、態様97記載の方法。
99.
対象が、以下:初回以降の骨髄再発、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性、任意で、2つ以上の別々の導入レジメン後の初発抵抗性; 化学療法抵抗性、任意で、再発性白血病に対する1サイクルの化学療法後の化学療法抵抗性、のいずれかであるB-ALLを有するか、または同種異系HSCT不適格である、態様69、70、および73~98のいずれか一つに記載の方法。
100.
対象が、1つまたは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患があるB-NHLを有するか、HSCTに失敗したか、またはHSCT不適格である、態様71~98のいずれか一つに記載の方法。
101.
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む、細胞療法の1つの組成物または細胞療法の複数の組成物のうちの1つと、
細胞療法を施すための説明書と
を備える製造物品であって、
説明書が、態様1~100のいずれか一つに記載の方法に従ってT細胞組成物を投与することを指定する、製造物品。
【実施例0700】
VIII.実施例
以下の実施例は単に例示目的で含まれ、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0701】
実施例1:
再発性および抵抗性のB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)およびB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)がある小児対象への抗CD19 CAR発現細胞の投与
抗CD19 CAR発現T細胞を含有するT細胞組成物を、25歳または25歳より若い、場合によっては18歳未満の、再発性もしくは抵抗性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)または再発性もしくは抵抗性(r/r)B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)がある処置対象から作製する。
【0702】
r/r B-ALLがある対象は、骨髄中に疾患の形態学的証拠(形態学により5%以上のリンパ芽球)と、以下:初回以降の骨髄再発、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性、例えば、2つ(2)以上の別々の導入レジメン後に完全奏功(CR)も不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)も達成しない初発抵抗性(もしくは再発性白血病に対する1サイクルの標準化学療法後にCR/CRiを達成しない化学療法抵抗性)、のいずれかを有するか、または同種異系HSCT不適格である。
【0703】
あるコホートでは、B-ALLがある対象は形態学により5%未満のリンパ芽球を有する、および/または検証されたアッセイにより検出された時に、2ラインの療法後に骨髄細胞中に1x10-4以上の頻度で微小残存病変(MRD+)を有する。
【0704】
フィラデルフィア染色体陽性ALLがある対象は1つもしくは複数のラインのチロシン-キナーゼ阻害剤(TKI)療法に対して不耐であるか、もしくは失敗したか、またはTKI療法が禁忌となっていれば適格性がある。
【0705】
あるコホートでは、r/r B-NHLがある対象は1つもしくは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患を有する、および/またはHSCTに失敗したか、もしくはHSCT不適格である。r/r B-NHLがある対象は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);バーキットリンパ腫(BL);または原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)がある対象を含む。
【0706】
処置される対象は、フローサイトメトリー(末梢血もしくは骨髄中)または免疫組織化学(骨髄生検材料)によって確かめられた時にCD19発現の証拠を有する; 以前のCAR T細胞療法も他の遺伝子組換えT細胞療法も受けたことがない; および/あるいは以前のCD19標的療法を受けたことがあれば、その後に、以前のCD19標的療法を終了してからCD19陽性疾患が確定されている。
【0707】
CD8+細胞とCD4+細胞のイムノアフィニティーベースの濃縮を含むプロセスによって対象から得られた白血球除去試料からT細胞組成物を作製する。濃縮された組成物の細胞を別々に活性化し、抗CD19 CARをコードするベクターを用いたレンチウイルス形質導入に供する。抗CD19 CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域)と、免疫グロブリン由来スペーサーと、CD28に由来する膜貫通ドメインと、4-1BBに由来する共刺激領域と、CD3-ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。形質導入された集団を細胞の拡大増殖用の刺激試薬の存在下で別々にインキュベートする。拡大増殖したCD8+細胞とCD4+細胞を別々に製剤化および凍結保存し、保管する。
【0708】
CAR発現T細胞を投与する前に(d=0)、対象を30mg/m2フルダラビンで3日間、毎日、300mg/m2シクロホスファミドで3日間、毎日処置する。凍結保存されたT細胞組成物を静脈内投与前に解凍する。リンパ球枯渇の2~7日後に、1:1の目標比で投与されるCD4+CAR発現細胞T細胞組成物とCD8+CAR発現T細胞組成物を対象に別々に投与することによって、自家抗CD19 CAR発現T細胞を、規定された細胞組成物として投与する。
【0709】
ある対象群では、対象は18歳またはそれより若く、かつ体重が12キログラムまたはそれより重い。対象に、(CAR発現CD4+T細胞組成物と、CAR発現CD8+T細胞組成物を別々に投与することによって)T細胞組成物を0.5x106CAR発現T細胞/キログラム対象体重の目標用量で、0.5x108総CAR発現T細胞の最大目標用量で投与する。
【0710】
対象のある一部の群では、対象は18歳またはそれより若く、かつ体重が6キログラムまたはそれより重い。ある群では、このような対象に、(CAR発現CD4+T細胞組成物と、CAR発現CD8+T細胞組成物を別々に投与することによって)T細胞組成物を1.0x106CAR発現T細胞/キログラムの目標用量で、1.0x108総CAR発現T細胞の最大用量で投与する。
【0711】
18~25歳(両端の値を含む)の対象群では、対象には、T細胞組成物が(CAR発現CD4+T細胞組成物およびCAR発現CD8+T細胞組成物を0.5x108または1.0x108総CAR発現T細胞の用量で別々に投与することによって)投与される。
【0712】
あるコホートでは、対象には、0.05x106CAR+T細胞/kgの目標用量、5x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。場合によっては、CAR+T細胞を投与して約28日後に、対象が応答も毒性も示さなければ、これらの対象における用量を0.1x106CAR+T細胞/kgまで増量することができ、この前にリンパ球枯渇化学療法(LDC)が行われる。あるコホートでは、対象には、0.15x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、15x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。あるコホートでは、対象には、0.3x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、30x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。あるコホートでは、対象には、0.50x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、50x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。あるコホートでは、対象には、0.75x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、75x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。
【0713】
処置に対する応答は、骨髄および血液の形態学的判断基準、理学的検査の所見と様々な検査評価に基づいて評価される。一部のコホートでは、用量制限毒性(DLT)が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価される。処置後の治療下で発現した有害事象(TEAE)の有無も評価される。アウトカムはまた、例えば、全奏効率(ORR);微小残存病変(MRD)陰性奏効率;奏効期間(DOR);無再発生存期間(RFS);無増悪生存期間(PFS);無イベント生存期間(EFS);全生存期間(OS);MRD奏効率;およびCAR T細胞注入に対する応答後の造血幹細胞移植(HSCT)率を評価することによっても評価される。対象はまた、例えば、処置後の様々な時点で採取された、対象に由来する試料(例えば、血液または腫瘍試料)中にあるCAR+T細胞の最大濃度(Cmax);ピーク濃度までの時間(Tmax);および曲線下面積(AUC)を含む、抗CD19 CAR T細胞の薬物動態(PK)についても評価される。一部のコホートでは、完全奏功(CR)または不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)を達成した対象を含む全奏効率(ORR)が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価され、CAR発現T細胞を投与して約56日後に確定される。一部のコホートでは、微小残存病変(MRD)陰性奏効率が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価され、CAR発現T細胞を投与して約56日後に確定される。場合によっては、骨髄中にMRDが検出されなかった、CRまたはCRiを達成した対象の割合からMRD奏効率(例えば、検証されたアッセイによって<0.01%)を求めることができる。
【0714】
実施例2:
抗CD19 CARを発現するCD4+細胞およびCD8+細胞の治療的組成物を作製するためのプロセス
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作されたCD4+T細胞と、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作されたCD8+T細胞を、18歳未満の小児対象に由来するT細胞から生成した。実施例1に記載の投与方法に従って、操作された抗CD19 CAR T細胞組成物を対象に投与した。
【0715】
A. 治療用細胞組成物を作製するためのプロセス
それぞれが同じ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する操作されたCD4+T細胞と操作されたCD8+T細胞を、濃縮CD4+細胞集団と濃縮CD8+細胞集団を別々にプロセス工程に供することを含むプロセスによって作製した。CD4+細胞およびCD8+細胞が、2名の18歳未満のヒト対象から、白血球除去によって得られたヒト末梢血単核球(PBMC)から別々に選択され、これによって、別々の濃縮CD4+細胞組成物と濃縮CD8+細胞組成物が得られ、次いで、これらを凍結保存した。その後にCD4+組成物とCD8+組成物を解凍し、別々に刺激、形質導入、および拡大増殖の工程を行った。
【0716】
解凍したCD4+細胞とCD8+細胞を別々に、抗CD3抗体および抗CD28抗体と結合した常磁性ポリスチレンコーティングビーズの存在下で1:1ビーズ:細胞の比で刺激した。刺激は、ヒト組換えIL-2、ヒト組換えIL-15、およびN-アセチルシステイン(NAC)を含有する培地中で行った。CD4+細胞培地はヒト組換えIL-7も含んだ。
【0717】
抗CD3/抗CD28刺激剤で刺激した後に、CD4+細胞とCD8+細胞に別々に、同じ抗CD19 CARをコードするレンチウイルスベクターを形質導入した。CARは、マウス抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域)と、免疫グロブリンスペーサーと、CD28に由来する膜貫通ドメインと、4-1BBに由来する共刺激領域と、CD3-ζ細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。このベクターは、T2A配列によってCAR構築物に接続された、CAR発現の代用マーカーとして役立つ切断型EGFR(EGFRt)もコードした。10μg/ml硫酸プロタミンの存在下で細胞を形質導入した。
【0718】
形質導入後に、磁場に曝露することによってビーズを細胞組成物から取り出した。次いで、増殖のために、CD4+細胞組成物とCD8+細胞組成物を、バイオリアクター(Xuri W25 Bioreactor)によって連続混合および酸素移入しながら別々に拡大培養した。ポロキサマーを培地に添加した。両細胞組成物をIL-2およびIL-15の存在下で培養した。CD4+細胞培地はIL-7も含んだ。収集前にCD4+細胞とCD8+細胞をそれぞれ4倍の拡大増殖まで培養した。閾値に達した1日後に、各組成物からの細胞を別々に収集し、製剤化し、凍結保存した。例示的なプロセスを表E1にまとめた。
【0719】
(表E1)CD4+CAR-T細胞およびCD8+CAR-T細胞を作製するための例示的なプロセスの概要
*概数
【0720】
B. 作製された治療用細胞組成物の細胞表現型の特質
18歳未満の対象から上記のように作製された2種類の治療用細胞組成物における、C-Cケモカイン受容体タイプ7(CCR7)、CD27、およびCD45RAを含む、特定のT細胞サブタイプに関連する細胞表面マーカーの発現を、フローサイトメトリーによって評価した。CD3、CD4、CD8、CD28、およびCAR発現の代用マーカーとして使用した切断型受容体の表面発現レベルも評価した。活性化カスパーゼ3の存在をアポトーシス細胞の尺度として評価した。
【0721】
作製された細胞組成物中にあるCD8+CAR+細胞の中で、細胞の90%超がCCR7+であり、細胞の85%超がCD27+であり、細胞の55%超がCCR7+CD45RA+であり、細胞の75%超がCD28+CD27+であった。これは、操作されたCD8+CAR+細胞組成物の中にある、あまり分化していないナイーブ様細胞のパーセントが高いという観察と一致する。作製された細胞組成物中にあるCD4+CAR+細胞の中で、細胞75%超がCCR7+であり、細胞の75%超がCD27+であり、細胞の40%超がCCR7+CD45RA+であり、細胞の70%超がCD28+CD27+であった。これは、操作されたCD4+CAR+細胞組成物の中にある、あまり分化していないナイーブ様細胞のパーセントが高いという観察と一致する。組成物中にあるCD3+CD8+T細胞の中で細胞の10%未満が(アポトーシス細胞を示す)活性カスパーゼ3陽性であり、組成物中にあるCD3+CD4+T細胞の中で細胞の25%未満が活性カスパーゼ3陽性であった。
【0722】
これらの結果は、上記のプロセスを用いて小児対象から作製された治療用細胞組成物が、あまり分化していないナイーブ様細胞サブタイプに関連する表現型マーカーと、低パーセントのアポトーシス細胞を示したという観察と一致する。理論に拘束されるつもりはないが、操作されたCD4+CAR+T細胞組成物およびCD8+CAR+T細胞組成物の中にある、あまり分化していないナイーブ様T細胞のパーセントが高いことは、低用量、例えば、0.05x106CAR+T細胞/kgと少ない用量の細胞の投与が小児対象に対して実現できる可能性があることを裏付けている。
【0723】
実施例3:
再発性および抵抗性のB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)およびB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)がある小児対象への、様々な用量の抗CD19 CAR発現細胞の投与
抗CD19 CAR発現T細胞を含有するT細胞組成物を、実施例2に記載のプロセスを用いて、再発性もしくは抵抗性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)または再発性もしくは抵抗性(r/r)B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)がある小児対象から作製する。対象には、小児対象にCD19陽性再発性/抵抗性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)およびB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、または原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)を含む)がある小児対象が含まれる。
【0724】
ある対象コホートは、1つまたは複数のラインの化学療法後に再発した/抵抗性になったか、造血幹細胞移植(HSCT)後に再発したか、またはその他の点でHSCT不適格であるCD19+B-ALLがある、18歳未満の対象を含む。
【0725】
ある対象コホートは、1つまたは複数のラインの化学療法後にr/rになったか、HSCT後に再発したか、またはその他の点でHSCT不適格である、CD19+B-ALLまたはB-NHLがある、25歳または25歳より若い対象を含む。18歳未満の対象の場合、対象は、r/r B-ALL;微小残存病変陽性(MRD+)B-ALL;およびr/r B-NHL(DLBCL、BL、またはPMBCL)がある対象を含む。18~25歳(両端の値を含む)またはそれより若い対象の場合、B-ALLがある対象が含まれる。対象は体重が6kg以上であることが求められる。二次中枢神経系(CNS)病変を伴うB-NHLがある対象が含まれる。
【0726】
あるコホートでは、対象は、r/r B-ALLと、骨髄中に疾患の形態学的証拠(形態学により5%以上のリンパ芽球)と、以下:初回以降の骨髄再発; 同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性、例えば、2つ以上の別々の導入レジメン後に完全奏功(CR)も不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)も達成しない初発抵抗性(もしくは再発性白血病に対する1サイクルの標準化学療法後にCR/CRiを達成しない化学療法抵抗性)、のいずれかを有するか、または同種異系HSCT不適格である。前記対象は、このコホートにおいてMRD状態に関係なく適格性がある。
【0727】
あるコホートでは、対象は、MRD+B-ALLと、形態学により5%未満のリンパ芽球を有する、および/または検証されたアッセイにより検出された時に、2ラインの療法後に骨髄細胞中に1x10-4以上の頻度で微小残存病変陽性(MRD+)を有する。場合によっては、任意のブリッジング化学療法がr/r B-ALLをMRD+またはMRD-B-ALLに変えることがある。
【0728】
あるコホートでは、対象は、1つもしくは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患があるr/r B-NHLを有する、および/またはHSCTに失敗したか、あるいはHSCT不適格である。r/r B-NHLがある対象は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL);バーキットリンパ腫(BL);または原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)がある対象を含む。
【0729】
フィラデルフィア染色体陽性ALLがある対象は、1つもしくは複数のラインのチロシン-キナーゼ阻害剤(TKI)療法に対して不耐であるか、もしくは失敗したか、またはTKI療法が禁忌となっていれば適格性がある。
【0730】
処置される対象は、フローサイトメトリー(末梢血もしくは骨髄中)または免疫組織化学(骨髄生検材料)によって確かめられた時にCD19発現の証拠を有する。対象がCD19標的療法を以前に受けたことがあれば、前のCD19標的療法を終了してからCD19陽性疾患が確定されていなければならない。
【0731】
対象は前のCAR T細胞療法も他の遺伝子組換えT細胞療法も受けたことがないか、または活動性CNS疾患および重大な神経学的悪化を有する。
【0732】
CAR発現T細胞を投与する前に(d=0)、対象を、30mg/m2フルダラビンで3日間、毎日、300mg/m2シクロホスファミドで3日間、毎日処置する。凍結保存されたT細胞組成物を静脈内投与前に解凍する。リンパ球枯渇の2~7日後に、1:1の目標比で投与されるCD4+CAR発現細胞T細胞組成物とCD8+CAR発現T細胞組成物を対象に別々に投与することによって、自家抗CD19 CAR発現T細胞が規定された細胞組成物として投与される。
【0733】
概して実施例2に記載のように、CD8+細胞およびCD4+細胞のイムノアフィニティーベースの濃縮を含むプロセスによって対象から得られた白血球除去試料からT細胞組成物を作製し、抗CD19 CARを発現するように操作する。操作されたCD8+細胞およびCD4+細胞を別々に製剤化および凍結保存し、保管する。
【0734】
あるコホートでは、対象には、0.05x106CAR+T細胞/kgの目標用量、5x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。場合によっては、これらの対象はリンパ球枯渇化学療法(LDC)を受けることができ、その後に、CAR+T細胞を投与して約28日後に、対象が応答も毒性も示さなければ、さらなる用量の0.1x106CAR+T細胞/kg(最大用量の10x106CAR+T細胞)を受けることができる。あるコホートでは、対象には、0.15x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、15x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。あるコホートでは、対象には、0.3x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、30x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。あるコホートでは、対象には、0.50x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、50x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。あるコホートでは、対象には、0.75x106CAR+T細胞/kgの目標用量で、75x106CAR+T細胞の最大用量でT細胞組成物が投与される。それぞれの場合で、最大用量は100kg体重用量に等しい。
【0735】
処置に対する応答は骨髄および血液の形態学的判断基準、理学的検査の所見と様々な検査評価に基づいて評価される。一部のコホートでは、用量制限毒性(DLT)が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価される。一部のコホートでは、完全奏功(CR)または不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)を達成した対象を含む全奏効率(ORR)が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価され、CAR発現T細胞を投与して約56日後に確定される。一部のコホートでは、微小残存病変(MRD)陰性奏効率が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価され、CAR発現T細胞を投与して約56日後に確定される。場合によっては、MRD応答の対象の割合からMRD陰性率を求めることができる。一部のコホートでは、完全奏功(CR)または部分奏功(PR)を達成した対象を含む全奏効率(ORR)が、CAR発現T細胞を投与して約28日後に評価される。
【0736】
処置後に、治療下で発現した有害事象(TEAE)の有無も評価される。アウトカムはまた、例えば、全奏効率(ORR);微小残存病変(MRD)陰性奏効率;奏効期間(DOR);無再発生存期間(RFS);無増悪生存期間(PFS);無イベント生存期間(EFS);全生存期間(OS);MRD奏効率;およびCAR発現T細胞注入に対する応答後の造血幹細胞移植(HSCT)率を評価することによっても評価される。場合によっては、骨髄(BM)中にMRDが検出されなかった、CRまたはCRiを達成したr/r B-ALL対象のパーセント(例えば、検証されたアッセイによって<0.01%)が、CAR発現細胞の投与後、24ヶ月の間に評価される。対象はまた、例えば、処置後の様々な時点で採取された、対象に由来する試料(例えば、血液または腫瘍試料)中にあるCAR+T細胞の最大濃度(Cmax);ピーク濃度までの時間(Tmax);および曲線下面積(AUC)を含む、抗CD19 CAR T細胞の薬物動態(PK)についても評価される。
【0737】
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例示するために提供された、特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図していない。記載の組成物および方法に対する様々な変更が本明細書の説明および教示から明らかになる。このような変更は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施されることがあり、本開示の範囲内にあると意図される。
【0738】
配列
【0739】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> JUNO THERAPEUTICS, INC.
<120> METHODS OF DOSING ENGINEERED T CELLS
FOR THE TREATMENT OF B CELL MALIGNANCIES
<150> US 62/768,844
<151> 2018-11-16
<150> US 62/914,303
<151> 2019-10-11
<160> 58
<170> FastSEQ for Windows Version 4.0

<210> 1
<211> 12
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Spacer (IgG4hinge)
<400> 1
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 2
<211> 36
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Spacer (IgG4hinge)
<400> 2
gaatctaagt acggaccgcc ctgcccccct tgccct 36

<210> 3
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<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH3 spacer
<400> 3
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Gly Gln Pro Arg
1 5 10 15
Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys
20 25 30
Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp
35 40 45
Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys
50 55 60
Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser
65 70 75 80
Arg Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser
85 90 95
Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser
100 105 110
Leu Ser Leu Ser Leu Gly Lys
115

<210> 4
<211> 229
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH2-CH3 spacer
<400> 4
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Phe
1 5 10 15
Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr
20 25 30
Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val
35 40 45
Ser Gln Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val
50 55 60
Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Phe Asn Ser
65 70 75 80
Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu
85 90 95
Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ser
100 105 110
Ser Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro
115 120 125
Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln
130 135 140
Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala
145 150 155 160
Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr
165 170 175
Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Arg Leu
180 185 190
Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser
195 200 205
Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser
210 215 220
Leu Ser Leu Gly Lys
225

<210> 5
<211> 282
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> IgD-hinge-Fc
<400> 5
Arg Trp Pro Glu Ser Pro Lys Ala Gln Ala Ser Ser Val Pro Thr Ala
1 5 10 15
Gln Pro Gln Ala Glu Gly Ser Leu Ala Lys Ala Thr Thr Ala Pro Ala
20 25 30
Thr Thr Arg Asn Thr Gly Arg Gly Gly Glu Glu Lys Lys Lys Glu Lys
35 40 45
Glu Lys Glu Glu Gln Glu Glu Arg Glu Thr Lys Thr Pro Glu Cys Pro
50 55 60
Ser His Thr Gln Pro Leu Gly Val Tyr Leu Leu Thr Pro Ala Val Gln
65 70 75 80
Asp Leu Trp Leu Arg Asp Lys Ala Thr Phe Thr Cys Phe Val Val Gly
85 90 95
Ser Asp Leu Lys Asp Ala His Leu Thr Trp Glu Val Ala Gly Lys Val
100 105 110
Pro Thr Gly Gly Val Glu Glu Gly Leu Leu Glu Arg His Ser Asn Gly
115 120 125
Ser Gln Ser Gln His Ser Arg Leu Thr Leu Pro Arg Ser Leu Trp Asn
130 135 140
Ala Gly Thr Ser Val Thr Cys Thr Leu Asn His Pro Ser Leu Pro Pro
145 150 155 160
Gln Arg Leu Met Ala Leu Arg Glu Pro Ala Ala Gln Ala Pro Val Lys
165 170 175
Leu Ser Leu Asn Leu Leu Ala Ser Ser Asp Pro Pro Glu Ala Ala Ser
180 185 190
Trp Leu Leu Cys Glu Val Ser Gly Phe Ser Pro Pro Asn Ile Leu Leu
195 200 205
Met Trp Leu Glu Asp Gln Arg Glu Val Asn Thr Ser Gly Phe Ala Pro
210 215 220
Ala Arg Pro Pro Pro Gln Pro Gly Ser Thr Thr Phe Trp Ala Trp Ser
225 230 235 240
Val Leu Arg Val Pro Ala Pro Pro Ser Pro Gln Pro Ala Thr Tyr Thr
245 250 255
Cys Val Val Ser His Glu Asp Ser Arg Thr Leu Leu Asn Ala Ser Arg
260 265 270
Ser Leu Glu Val Ser Tyr Val Thr Asp His
275 280

<210> 6
<211> 24
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> T2A
<400> 6
Leu Glu Gly Gly Gly Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp
1 5 10 15
Val Glu Glu Asn Pro Gly Pro Arg
20

<210> 7
<211> 357
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 7
Met Leu Leu Leu Val Thr Ser Leu Leu Leu Cys Glu Leu Pro His Pro
1 5 10 15
Ala Phe Leu Leu Ile Pro Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly
20 25 30
Glu Phe Lys Asp Ser Leu Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe
35 40 45
Lys Asn Cys Thr Ser Ile Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala
50 55 60
Phe Arg Gly Asp Ser Phe Thr His Thr Pro Pro Leu Asp Pro Gln Glu
65 70 75 80
Leu Asp Ile Leu Lys Thr Val Lys Glu Ile Thr Gly Phe Leu Leu Ile
85 90 95
Gln Ala Trp Pro Glu Asn Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu
100 105 110
Glu Ile Ile Arg Gly Arg Thr Lys Gln His Gly Gln Phe Ser Leu Ala
115 120 125
Val Val Ser Leu Asn Ile Thr Ser Leu Gly Leu Arg Ser Leu Lys Glu
130 135 140
Ile Ser Asp Gly Asp Val Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr
145 150 155 160
Ala Asn Thr Ile Asn Trp Lys Lys Leu Phe Gly Thr Ser Gly Gln Lys
165 170 175
Thr Lys Ile Ile Ser Asn Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly
180 185 190
Gln Val Cys His Ala Leu Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu
195 200 205
Pro Arg Asp Cys Val Ser Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys
210 215 220
Val Asp Lys Cys Asn Leu Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu
225 230 235 240
Asn Ser Glu Cys Ile Gln Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met
245 250 255
Asn Ile Thr Cys Thr Gly Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala
260 265 270
His Tyr Ile Asp Gly Pro His Cys Val Lys Thr Cys Pro Ala Gly Val
275 280 285
Met Gly Glu Asn Asn Thr Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His
290 295 300
Val Cys His Leu Cys His Pro Asn Cys Thr Tyr Gly Cys Thr Gly Pro
305 310 315 320
Gly Leu Glu Gly Cys Pro Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala
325 330 335
Thr Gly Met Val Gly Ala Leu Leu Leu Leu Leu Val Val Ala Leu Gly
340 345 350
Ile Gly Leu Phe Met
355

<210> 8
<211> 27
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<300>
<308> UniProt P10747
<309> 1989-07-01
<400> 8
Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu
1 5 10 15
Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
20 25

<210> 9
<211> 66
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<300>
<308> UniProt P10747
<309> 1989-07-01
<400> 9
Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn
1 5 10 15
Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu
20 25 30
Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly
35 40 45
Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe
50 55 60
Trp Val
65

<210> 10
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<300>
<308> UniProt P10747
<309> 1989-07-01
<400> 10
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40

<210> 11
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28
<400> 11
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Gly Gly His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40

<210> 12
<211> 42
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> 4-1BB
<300>
<308> UniProt Q07011.1
<309> 1995-02-01
<400> 12
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
1 5 10 15
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
20 25 30
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
35 40

<210> 13
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 13
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
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Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
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Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
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<210> 14
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 14
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Glu Pro Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
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100 105 110

<210> 15
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 15
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
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50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110

<210> 16
<211> 335
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 16
Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly Glu Phe Lys Asp Ser Leu
1 5 10 15
Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe Lys Asn Cys Thr Ser Ile
20 25 30
Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala Phe Arg Gly Asp Ser Phe
35 40 45
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50 55 60
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Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu Glu Ile Ile Arg Gly Arg
85 90 95
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100 105 110
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Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr Ala Asn Thr Ile Asn Trp
130 135 140
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145 150 155 160
Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly Gln Val Cys His Ala Leu
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Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu Pro Arg Asp Cys Val Ser
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195 200 205
Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu Asn Ser Glu Cys Ile Gln
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Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met Asn Ile Thr Cys Thr Gly
225 230 235 240
Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala His Tyr Ile Asp Gly Pro
245 250 255
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Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His Val Cys His Leu Cys His
275 280 285
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Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala Thr Gly Met Val Gly Ala
305 310 315 320
Leu Leu Leu Leu Leu Val Val Ala Leu Gly Ile Gly Leu Phe Met
325 330 335

<210> 17
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> T2A
<400> 17
Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp Val Glu Glu Asn Pro
1 5 10 15
Gly Pro

<210> 18
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
<400> 18
Gly Ser Gly Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Glu Asn Pro Gly Pro
20

<210> 19
<211> 19
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
<400> 19
Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val Glu Glu Asn
1 5 10 15
Pro Gly Pro

<210> 20
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> E2A
<400> 20
Gln Cys Thr Asn Tyr Ala Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val Glu Ser
1 5 10 15
Asn Pro Gly Pro
20

<210> 21
<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> F2A
<400> 21
Val Lys Gln Thr Leu Asn Phe Asp Leu Leu Lys Leu Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
Glu Ser Asn Pro Gly Pro
20

<210> 22
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<221> REPEAT
<222> (5)...(9)
<223> SGGGG is repeated 5 times
<400> 22
Pro Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly
1 5

<210> 23
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 23
Gly Ser Ala Asp Asp Ala Lys Lys Asp Ala Ala Lys Lys Asp Gly Lys
1 5 10 15
Ser

<210> 24
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 24
Gly Ser Thr Ser Gly Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr
1 5 10 15
Lys Gly

<210> 25
<211> 735
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> scFv
<400> 25
gacatccaga tgacccagac cacctccagc ctgagcgcca gcctgggcga ccgggtgacc 60
atcagctgcc gggccagcca ggacatcagc aagtacctga actggtatca gcagaagccc 120
gacggcaccg tcaagctgct gatctaccac accagccggc tgcacagcgg cgtgcccagc 180
cggtttagcg gcagcggctc cggcaccgac tacagcctga ccatctccaa cctggaacag 240
gaagatatcg ccacctactt ttgccagcag ggcaacacac tgccctacac ctttggcggc 300
ggaacaaagc tggaaatcac cggcagcacc tccggcagcg gcaagcctgg cagcggcgag 360
ggcagcacca agggcgaggt gaagctgcag gaaagcggcc ctggcctggt ggcccccagc 420
cagagcctga gcgtgacctg caccgtgagc ggcgtgagcc tgcccgacta cggcgtgagc 480
tggatccggc agccccccag gaagggcctg gaatggctgg gcgtgatctg gggcagcgag 540
accacctact acaacagcgc cctgaagagc cggctgacca tcatcaagga caacagcaag 600
agccaggtgt tcctgaagat gaacagcctg cagaccgacg acaccgccat ctactactgc 660
gccaagcact actactacgg cggcagctac gccatggact actggggcca gggcaccagc 720
gtgaccgtga gcagc 735

<210> 26
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<220>
<221> VARIANT
<222> (1)...(1)
<223> Xaa = glycine, cysteine or arginine
<220>
<221> VARIANT
<222> (4)...(4)
<223> Xaa = cysteine or threonine
<400> 26
Xaa Pro Pro Xaa Pro
1 5

<210> 27
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 27
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10 15

<210> 28
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 28
Glu Arg Lys Cys Cys Val Glu Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 29
<211> 61
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 29
Glu Leu Lys Thr Pro Leu Gly Asp Thr His Thr Cys Pro Arg Cys Pro
1 5 10 15
Glu Pro Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro Glu
20 25 30
Pro Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro Glu Pro
35 40 45
Lys Ser Cys Asp Thr Pro Pro Pro Cys Pro Arg Cys Pro
50 55 60

<210> 30
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 30
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Ser Cys Pro
1 5 10

<210> 31
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 31
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 32
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 32
Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5

<210> 33
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 33
Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 34
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Hinge
<400> 34
Glu Val Val Val Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 35
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L1
<400> 35
Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr Leu Asn
1 5 10

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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L2
<400> 36
Ser Arg Leu His Ser Gly Val
1 5

<210> 37
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L3
<400> 37
Gly Asn Thr Leu Pro Tyr Thr Phe Gly
1 5

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<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H1
<400> 38
Asp Tyr Gly Val Ser
1 5

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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H2
<400> 39
Val Ile Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys Ser
1 5 10 15

<210> 40
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H3
<400> 40
Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly
1 5

<210> 41
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> VH
<400> 41
Glu Val Lys Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Ala Pro Ser Gln
1 5 10 15
Ser Leu Ser Val Thr Cys Thr Val Ser Gly Val Ser Leu Pro Asp Tyr
20 25 30
Gly Val Ser Trp Ile Arg Gln Pro Pro Arg Lys Gly Leu Glu Trp Leu
35 40 45
Gly Val Ile Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys
50 55 60
Ser Arg Leu Thr Ile Ile Lys Asp Asn Ser Lys Ser Gln Val Phe Leu
65 70 75 80
Lys Met Asn Ser Leu Gln Thr Asp Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ala
85 90 95
Lys His Tyr Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser
115 120

<210> 42
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> VL
<400> 42
Asp Ile Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr His Thr Ser Arg Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln
65 70 75 80
Glu Asp Ile Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Thr
100 105

<210> 43
<211> 245
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> scFv
<400> 43
Asp Ile Gln Met Thr Gln Thr Thr Ser Ser Leu Ser Ala Ser Leu Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Gln Asp Ile Ser Lys Tyr
20 25 30
Leu Asn Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gly Thr Val Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr His Thr Ser Arg Leu His Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Tyr Ser Leu Thr Ile Ser Asn Leu Glu Gln
65 70 75 80
Glu Asp Ile Ala Thr Tyr Phe Cys Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Thr Gly Ser Thr Ser Gly
100 105 110
Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr Lys Gly Glu Val Lys
115 120 125
Leu Gln Glu Ser Gly Pro Gly Leu Val Ala Pro Ser Gln Ser Leu Ser
130 135 140
Val Thr Cys Thr Val Ser Gly Val Ser Leu Pro Asp Tyr Gly Val Ser
145 150 155 160
Trp Ile Arg Gln Pro Pro Arg Lys Gly Leu Glu Trp Leu Gly Val Ile
165 170 175
Trp Gly Ser Glu Thr Thr Tyr Tyr Asn Ser Ala Leu Lys Ser Arg Leu
180 185 190
Thr Ile Ile Lys Asp Asn Ser Lys Ser Gln Val Phe Leu Lys Met Asn
195 200 205
Ser Leu Gln Thr Asp Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ala Lys His Tyr
210 215 220
Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Ser
225 230 235 240
Val Thr Val Ser Ser
245

<210> 44
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L1
<400> 44
Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn Val Ala
1 5 10

<210> 45
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L2
<400> 45
Ser Ala Thr Tyr Arg Asn Ser
1 5

<210> 46
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L3
<400> 46
Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr Thr
1 5

<210> 47
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H1
<400> 47
Ser Tyr Trp Met Asn
1 5

<210> 48
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H2
<400> 48
Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe Lys
1 5 10 15
Gly

<210> 49
<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H3
<400> 49
Lys Thr Ile Ser Ser Val Val Asp Phe Tyr Phe Asp Tyr
1 5 10

<210> 50
<211> 122
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> VH
<400> 50
Glu Val Lys Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Val Arg Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Trp Met Asn Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Gln Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Ser Gly Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Arg Lys Thr Ile Ser Ser Val Val Asp Phe Tyr Phe Asp Tyr Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser
115 120

<210> 51
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> VL
<400> 51
Asp Ile Glu Leu Thr Gln Ser Pro Lys Phe Met Ser Thr Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Ser Val Thr Cys Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Lys Pro Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Thr Tyr Arg Asn Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Thr Asn Val Gln Ser
65 70 75 80
Lys Asp Leu Ala Asp Tyr Phe Cys Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr
85 90 95
Thr Ser Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 52
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 52
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
1 5 10 15

<210> 53
<211> 245
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> scFv
<400> 53
Glu Val Lys Leu Gln Gln Ser Gly Ala Glu Leu Val Arg Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ala Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Trp Met Asn Trp Val Lys Gln Arg Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Gln Ile Tyr Pro Gly Asp Gly Asp Thr Asn Tyr Asn Gly Lys Phe
50 55 60
Lys Gly Gln Ala Thr Leu Thr Ala Asp Lys Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Gln Leu Ser Gly Leu Thr Ser Glu Asp Ser Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Arg Lys Thr Ile Ser Ser Val Val Asp Phe Tyr Phe Asp Tyr Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly
115 120 125
Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile Glu Leu Thr Gln Ser
130 135 140
Pro Lys Phe Met Ser Thr Ser Val Gly Asp Arg Val Ser Val Thr Cys
145 150 155 160
Lys Ala Ser Gln Asn Val Gly Thr Asn Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys
165 170 175
Pro Gly Gln Ser Pro Lys Pro Leu Ile Tyr Ser Ala Thr Tyr Arg Asn
180 185 190
Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe
195 200 205
Thr Leu Thr Ile Thr Asn Val Gln Ser Lys Asp Leu Ala Asp Tyr Phe
210 215 220
Cys Gln Gln Tyr Asn Arg Tyr Pro Tyr Thr Ser Gly Gly Gly Thr Lys
225 230 235 240
Leu Glu Ile Lys Arg
245

<210> 54
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR H3
<400> 54
His Tyr Tyr Tyr Gly Gly Ser Tyr Ala Met Asp Tyr
1 5 10

<210> 55
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L2
<400> 55
His Thr Ser Arg Leu His Ser
1 5

<210> 56
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CDR L3
<400> 56
Gln Gln Gly Asn Thr Leu Pro Tyr Thr
1 5

<210> 57
<211> 22
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> IGH primer
<400> 57
acacggcctc gtgtattact gt 22

<210> 58
<211> 19
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> IGH primer
<400> 58
acctgaggag acggtgacc 19
【配列表】
2024133643000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-07-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む、細胞療法の組成物または細胞療法の複数の組成物のうちの1つと、細胞療法を施すための説明書を備える製造物品であって、説明書が、任意の提供される方法に従ってT細胞組成物を投与することを指定する、製造物品も本明細書において提供される。
[本発明1001]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1002]
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、T細胞組成物が、0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞から、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、
本発明1001の方法。
[本発明1003]
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であり、かつ18歳より若ければ、T細胞組成物が、0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であるか、または18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、0.75x10 8 CAR+T細胞または約0.75x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、本発明1001の方法。
[本発明1004]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1005]
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物が、0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物が、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞から、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、
本発明1004の方法。
[本発明1006]
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、T細胞組成物が、0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重の量で投与され、
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、T細胞組成物が、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、0.75x10 8 CAR+T細胞または約0.75x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、
本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1008]
対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さない場合、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.1x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.1x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.1x10 8 CAR+T細胞または約0.1x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含む、本発明1007の方法。
[本発明1009]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.15x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.15x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.15x10 8 CAR+T細胞または約0.15x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1010]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.3x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.3x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.3x10 8 CAR+T細胞または約0.3x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1011]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1012]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、0.75x10 8 CAR+T細胞または約0.75x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1013]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が体重100キログラム(kg)未満であれば、1.0x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.0x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重;および
(ii)対象が体重100キログラム(kg)以上であれば、1.0x10 8 CAR+T細胞または約1.0x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1014]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、
0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x10 8 総CAR+T細胞または約1.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1015]
(i)対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x10 8 総CAR+T細胞または約1.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与され、
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞から、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、
本発明1014の方法。
[本発明1016]
(i)対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x10 8 総CAR+T細胞または約0.75x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与され、
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、0.75x10 8 CAR+T細胞または約0.75x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、
本発明1014の方法。
[本発明1017]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該組成物が、
0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x10 8 総CAR+T細胞または約1.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、段階。
[本発明1018]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若く、かつ体重が12kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、
0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x10 8 総CAR+T細胞または約0.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1019]
対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、T細胞組成物が、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞から、0.75x10 8 CAR+T細胞または約0.75x10 8 CAR+T細胞の量で投与される、本発明1001~1038のいずれかの方法。
[本発明1020]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
18歳より若く、かつ体重が6kg以上の対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む組成物を投与する段階であって、該組成物が、
0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x10 8 総CAR+T細胞または約1.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、段階。
[本発明1021]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x10 8 総CAR+T細胞または約0.75x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x10 8 総CAR+T細胞または約0.05x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さなければ、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含み、
対象が18歳より若ければ、さらなる用量のT細胞組成物が、
少なくとも0.1x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x10 8 総CAR+T細胞または約0.1x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1022の方法。
[本発明1024]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.15x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x10 8 総CAR+T細胞または約0.15x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1025]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.3x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x10 8 総CAR+T細胞または約0.3x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1026]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x10 8 総CAR+T細胞または約0.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1027]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x10 8 総CAR+T細胞または約0.75x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1028]
対象が18歳より若ければ、T細胞組成物が、
少なくとも1.0x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x10 8 総CAR+T細胞または約1.0x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1029]
組成物が、
0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約1.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.5x10 8 総CAR+T細胞または約1.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1030]
組成物が、
0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重から、0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x10 8 総CAR+T細胞または約0.75x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1031]
組成物が、
少なくとも0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.05x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.05x10 8 総CAR+T細胞または約0.05x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021および1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
対象が、T細胞組成物を投与して21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、または約21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、もしくは35日後に、応答を示さずかつ毒性を示さなければ、さらなる用量のT細胞組成物を対象に投与する段階をさらに含み、
さらなる用量のT細胞組成物が、
少なくとも0.1x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.1x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.1x10 8 総CAR+T細胞または約0.1x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1031の方法。
[本発明1033]
組成物が、
少なくとも0.15x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.15x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.15x10 8 総CAR+T細胞または約0.15x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021および1030のいずれかの方法。
[本発明1034]
組成物が、
少なくとも0.3x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.3x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.3x10 8 総CAR+T細胞または約0.3x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021および1030のいずれかの方法。
[本発明1035]
組成物が、
少なくとも0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.5x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.5x10 8 総CAR+T細胞または約0.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021および1030のいずれかの方法。
[本発明1036]
組成物が、
少なくとも0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約0.75x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、0.75x10 8 総CAR+T細胞または約0.75x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021および1030のいずれかの方法。
[本発明1037]
組成物が、
少なくとも1.0x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重または少なくとも約1.0x10 6 CAR+T細胞/kg対象体重であるが、1.0x10 8 総CAR+T細胞または約1.0x10 8 総CAR+T細胞を超えない量で投与される、本発明1001~1021および1030の方法。
[本発明1038]
対象の体重が、少なくとも6kgまたは少なくとも約6kgである、本発明1001~1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、1.5x10 8 総CAR+T細胞または約1.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.5x10 8 CAR+T細胞または約1.5x10 8 CAR+T細胞より少ない量
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1040]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.05x10 8 総CAR+T細胞または約0.05x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.05x10 8 CAR+T細胞または約0.05x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1041]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.15x10 8 総CAR+T細胞または約0.15x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.15x10 8 CAR+T細胞または約0.15x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1042]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.3x10 8 総CAR+T細胞または約0.3x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.3x10 8 CAR+T細胞または約0.3x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1043]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.5x10 8 総CAR+T細胞または約0.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1044]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.1mLの体積中に、0.75x10 8 総CAR+T細胞または約0.75x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.75x10 8 CAR+T細胞または約0.75x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1045]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、2.5x10 6 細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、0.5x10 8 総CAR+T細胞または約0.5x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、0.5x10 8 CAR+T細胞または約0.5x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1046]
B細胞悪性腫瘍を有するか、またはB細胞悪性腫瘍を有すると疑われる対象を処置する方法であって、以下の段階を含む、方法:
25歳または25歳より若い対象に、2.5x10 6 細胞/mLまたはそれを上回る濃度の、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含むT細胞組成物を投与する段階であって、該T細胞組成物が、
(i)対象が18歳より若ければ、少なくとも0.5mLの体積中に、1x10 8 総CAR+T細胞または約1x10 8 総CAR+T細胞を超えない量;および
(ii)対象が18~25歳(両端の値を含む)であれば、1.0x10 8 CAR+T細胞または約1.0x10 8 CAR+T細胞
より選択される量で投与される、段階。
[本発明1047]
総体積が少なくとも0.05mLまたは少なくとも約0.05mLのT細胞組成物が投与される、本発明1001~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
総体積が少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mLのT細胞組成物が投与される、本発明1001~1046のいずれかの方法。
[本発明1049]
総体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mLのT細胞組成物が投与される、本発明1001~1046のいずれかの方法。
[本発明1050]
総体積が少なくとも1mLまたは少なくとも約1mLのT細胞組成物が投与される、本発明1001~1046のいずれかの方法。
[本発明1051]
T細胞の濃度が2.5x10 6 細胞/mLであるか、または2.5x10 6 細胞/mLを上回る、本発明1001~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
総体積が少なくとも0.1mLまたは少なくとも約0.1mL、濃度が2.5x10 6 細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物
が投与される、本発明1001~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
総体積が少なくとも0.5mLまたは少なくとも約0.5mL、濃度が2.5x10 6 細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物
が投与される、本発明1001~1051のいずれかの方法。
[本発明1054]
総体積が少なくとも1mLまたは少なくとも約1mL、濃度が2.5x10 6 細胞/mLまたはそれを上回る、T細胞組成物
が投与される、本発明1001~1051のいずれかの方法。
[本発明1055]
T細胞組成物が、CD4 + CAR+T細胞およびCD8 + CAR+T細胞を含む、本発明1001~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
組成物が、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの一方を含む第1の組成物と、CD4+T細胞およびCD8+T細胞のうちの他方を含む第2の組成物とを含む、本発明1055の方法。
[本発明1057]
第1の組成物および第2の組成物が別々に投与される、本発明1056の方法。
[本発明1058]
第1の組成物および第2の組成物が同時投与される、本発明1056または本発明1057の方法。
[本発明1059]
第1の組成物および第2の組成物がどの順序でも連続投与される、本発明1056または本発明1057の方法。
[本発明1060]
第1の組成物がCD4 + CAR + T細胞を含み、第2の組成物がCD8 + CAR+T細胞を含む、本発明1056~1059のいずれかの方法。
[本発明1061]
第1の組成物がCD8 + CAR + T細胞を含み、第2の組成物がCD4 + CAR + T細胞を含む、本発明1056~1059のいずれかの方法。
[本発明1062]
投与されるT細胞組成物の量が、規定された比のCD4 + CAR+T細胞:CD8 + CAR+T細胞および/またはCD4 + T細胞:CD8 + T細胞を含み、規定された比が1:1であるか、もしくは約1:1であるか、または約1:3~約3:1である、本発明1056~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
規定された比が1:1であるか、または約1:1である、本発明1062の方法。
[本発明1064]
B細胞悪性腫瘍がリンパ腫または白血病である、本発明1001~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
B細胞悪性腫瘍が再発性および/または抵抗性である、本発明1001~1064のいずれかの方法。
[本発明1066]
B細胞悪性腫瘍がB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、任意で、CD19+B-ALLである、本発明1001~1065のいずれかの方法。
[本発明1067]
B細胞悪性腫瘍が再発性または抵抗性(r/r)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)である、本発明1001~1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
r/rB-ALLがある対象が骨髄中に疾患の形態学的証拠を有し、任意で、該対象が形態学により5%以上のリンパ芽球を有する、本発明1067の方法。
[本発明1069]
対象が、以下:初回以降の骨髄再発、同種異系造血幹細胞移植(HSCT)後の任意の骨髄再発; 初発抵抗性、任意で、完全奏功(CR)も不完全な血球数回復を伴う完全奏功(CRi)も達成しない初発抵抗性、任意で、2つ以上の別々の導入レジメン後の初発抵抗性; 化学療法抵抗性、任意で、CR/Criを達成しない化学療法抵抗性、任意で、再発性白血病に対する1サイクルの化学療法後の化学療法抵抗性、のいずれかを含むB-ALLを有するか、または同種異系HSCT不適格である、本発明1066~1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
B-ALLが微小残存病変陽性(MRD + )である、本発明1066または本発明1069の方法。
[本発明1071]
B-ALLがある対象が、
形態学により5%未満のリンパ芽球を有する、および/または
検証されたアッセイにより検出された時に、2ラインの療法後に骨髄細胞中に1x10 -4 以上の頻度で微小残存病変陽性(MRD+)疾患を有する、
本発明1066、1069、または1070の方法。
[本発明1072]
対象がフィラデルフィア染色体陽性ALLを有し、1つもしくは複数のラインのチロシン-キナーゼ阻害剤(TKI)療法に対して不耐であるか、もしくは失敗したか、またはTKI療法が禁忌となっている、本発明1001~1071のいずれかの方法。
[本発明1073]
B細胞悪性腫瘍がB細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)、任意で、CD19+B-NHLである、本発明1001~1065のいずれかの方法。
[本発明1074]
B細胞悪性腫瘍が再発性または抵抗性(r/r)B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)である、本発明1073の方法。
[本発明1075]
対象が、1つまたは複数のラインの化学療法後に測定可能な疾患を有するB-NHLを有するか、HSCTに失敗したか、またはHSCT不適格である、本発明1073または本発明1074の方法。
[本発明1076]
B-NHLが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、またはバーキットリンパ腫(BL)である、本発明1073~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
組成物を投与する前に、対象がCD19発現細胞を有すると特定されるか、または特定されている、本発明1001~1076のいずれかの方法。
[本発明1078]
CD19発現が、フローサイトメトリーによって、任意で、末梢血中もしくは骨髄中に検出される、および/または免疫組織化学によって、任意で、骨髄生検材料の免疫組織化学によって検出される、本発明1077の方法。
[本発明1079]
対象が、CAR発現T細胞を含むT細胞組成物の投与を含む以前の細胞療法を受けたことがない、本発明1001~1078のいずれかの方法。
[本発明1080]
対象が、CAR発現T細胞を含むT細胞組成物の投与を含む以前の細胞療法を受けたことがある、本発明1001~1078のいずれかの方法。
[本発明1081]
対象が、CD19を標的とする以前の療法を受けたことがあり、任意で、対象が、CD19を標的とする以前の療法の完了後に、CD19発現細胞を有すると特定されるか、もしくは特定されている、またはCD19陽性疾患を有すると特定されるか、もしくは特定されている、本発明1001~1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
投与前に、対象がフルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法でプレコンディショニングされている、本発明1001~1081のいずれかの方法。
[本発明1083]
投与直前に、
フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドの投与を含むリンパ球枯渇療法を対象に施す段階
をさらに含む、本発明1001~1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
リンパ球枯渇療法が、
約200~400mg/m 2 (両端の値を含む)、任意で、300mg/m 2 もしくは約300mg/m 2 のシクロホスファミド、および/または約20~40mg/m 2 、任意で、30mg/m 2 のフルダラビンを、2~4日間、任意で、3日間、毎日投与すること
を含む、本発明1082または本発明1083の方法。
[本発明1085]
リンパ球枯渇療法が、
約300mg/m 2 のシクロホスファミドを3日間、毎日、約30mg/m 2 のフルダラビンを3日間、毎日投与すること
を含む、本発明1082~1084のいずれかの方法。
[本発明1086]
シクロホスファミドおよびフルダラビンが並行して投与される、本発明1082~1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
T細胞組成物を投与する2~7日前にリンパ球枯渇療法が施される、本発明1082~1086のいずれかの方法。
[本発明1088]
対象がヒトである、本発明1001~1087のいずれかの方法。
[本発明1089]
CARが、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBであるか、またはヒト4-1BBを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含み、
CARが、任意で、膜貫通ドメインとscFvの間にスペーサーをさらに含む、
本発明1001~1088のいずれかの方法。
[本発明1090]
CARが、順に、ヒトCD19に特異的なscFvと;膜貫通ドメインと;任意で、ヒト4-1BBシグナル伝達ドメインであるか、またはヒト4-1BBシグナル伝達ドメインを含む、共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインと;任意で、ヒトCD3ζシグナル伝達ドメインであるか、またはヒトCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインとを含む、本発明1001~1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
スペーサーが、
免疫グロブリンヒンジの全てもしくは一部またはその改変されたバージョン、任意で、IgG4ヒンジ、またはその改変されたバージョンを含むか、またはそれからなるポリペプチドスペーサー
である、本発明1089または本発明1090の方法。
[本発明1092]
スペーサーの長さが約15アミノ酸またはそれ未満、任意で、12アミノ酸または約12アミノ酸である、本発明1089~1091のいずれかの方法。
[本発明1093]
スペーサーが、
SEQ ID NO:1の配列、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34によってコードされる配列、または前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、前述の配列のいずれかのバリアント
を含むか、またはそれからなる;および/あるいは
スペーサーが、式X 1 PPX 2 Pを含み、X 1 がグリシン、システイン、またはアルギニンであり、X 2 がシステインまたはスレオニンである、本発明1089~1092のいずれかの方法。
[本発明1094]
共刺激分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、
SEQ ID NO:12、またはSEQ ID NO:12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、そのバリアント
を含む、本発明1089~1093のいずれかの方法。
[本発明1095]
一次シグナル伝達ITAM含有分子に由来する細胞質シグナル伝達ドメインが、
前述の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより大きな配列同一性を有する、SEQ ID NO:13、14、または15
を含む、本発明1089~1094のいずれかの方法。
[本発明1096]
scFvが、
RASQDISKYLN(SEQ ID NO:35)のCDRL1配列、SRLHSGV(SEQ ID NO:36)のCDRL2配列、およびGNTLPYTFG(SEQ ID NO:37)のCDRL3配列を含む可変軽(V L )鎖と;
DYGVS(SEQ ID NO:38)のCDRH1配列、
のCDRH2配列、およびYAMDYWG(SEQ ID NO:40)のCDRH3配列を含む可変重(V H )鎖と
を含むか、または
scFvが、
FMC63のCDRL1配列、FMC63のCDRL2配列、FMC63のCDRL3配列を含むV L と;
FMC63のCDRH1配列、FMC63のCDRH2配列、およびFMC63のCDRH3配列を含むV H
を含む、本発明1089~1095のいずれかの方法。
[本発明1097]
scFvが、SEQ ID NO:41に示したV H と、SEQ ID NO:42に示したV L とを含む、本発明1089~1096のいずれかの方法。
[本発明1098]
V H およびV L がフレキシブルリンカーによって隔てられており、任意で、フレキシブルリンカーが、SEQ ID NO:24に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:24に示した配列を含む、本発明1096または本発明1097の方法。
[本発明1099]
scFvが、SEQ ID NO:43に示した配列であるか、またはSEQ ID NO:43に示した配列を含む、本発明1089~1098のいずれかの方法。
[本発明1100]
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7、CD27、CD45RA、および/またはCD28について表面陽性である、本発明1001~1099のいずれかの方法。
[本発明1101]
組成物中にあるCAR発現T、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7について表面陽性である、本発明1001~1100のいずれかの方法。
[本発明1102]
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCCR7およびCD45RAについて表面陽性である、本発明1001~1101のいずれかの方法。
[本発明1103]
組成物中にあるCAR発現T、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCD27について表面陽性である、本発明1001~1102のいずれかの方法。
[本発明1104]
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くがCD27およびCD28について表面陽性である、本発明1001~1103のいずれかの方法。
[本発明1105]
組成物中にあるCAR発現T細胞、CAR発現CD4+T細胞、またはCAR発現CD8+T細胞の少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多く、または少なくとも約75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれより多くが活性カスパーゼ3について陰性である、本発明1001~1104のいずれかの方法。
[本発明1106]
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、本発明1001~1105のいずれかの方法。
[本発明1107]
T細胞が対象の自己細胞である、本発明1001~1106のいずれかの方法。
[本発明1108]
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を含む、細胞療法の1つの組成物または細胞療法の複数の組成物のうちの1つと、
細胞療法を施すための説明書と
を備える製造物品であって、
説明書が、本発明1001~1107のいずれかの方法に従ってT細胞組成物を投与することを指定する、製造物品。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
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