(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133644
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインから構成されるキメラタンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240925BHJP
C07K 16/24 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240925BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240925BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240925BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240925BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240925BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240925BHJP
C07K 14/715 20060101ALI20240925BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240925BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240925BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K16/24 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K14/715
A61P25/04
A61K39/395 N
A61K39/395 D
C07K16/24
C07K19/00 ZNA
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024109298
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2022077858の分割
【原出願日】2015-02-02
(31)【優先権主張番号】61/934,828
(32)【優先日】2014-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ダレン・スコフィールド
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アレクサンダー・スリーマン
(72)【発明者】
【氏名】イアン・パトリック・チェッセル
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ハッチャー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ロウ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効性を増大し、疼痛患者に対して投与の量および頻度の両方を低減する潜在性のある、神経成長因子(NGF)および腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)の両方を標的化する併用処置を提供する。
【解決手段】NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストの同時投与を含む、疼痛をコントロールするための方法を提供する。NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストは、別々の分子でも、または多機能性ポリペプチド、例えば、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多特異的結合性分子の一部であってもよい。本開示は、多機能性ポリペプチド、例えば、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多特異的結合性分子も提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む結合性分子。
【請求項2】
TNFαアンタゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する、請求項1に記載の結合性分子。
【請求項3】
NGFアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する、請求項1に記載の結合性分子。
【請求項4】
NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項1に記載の結合性分子。
【請求項5】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、TrkA、p75NRT、またはTrkAおよびP75NRTの両方に対するNGFの結合を阻害することができる、請求項4に記載の結合性分子。
【請求項6】
NGFのp75NRTに対する結合よりも、NGFのTrkAに対する結合を優先的にブロックする、請求項5に記載の結合性分子。
【請求項7】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、約0.25~0.44nMの親和性でヒトNGFに結合する、請求項4から6のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項8】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578と同じエピトープに対して結合する、請求項4から6のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項9】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578のヒトNGFに対する結合を競合的に阻害する、請求項4から6のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項10】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、HCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、該HCDR1は、配列番号4、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有し、該HCDR2は、配列番号5、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有し、該HCDR3は、配列番号6、もしくは最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)、またはSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を有し、該LCDR1は、配列番号8、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有し、該LCDR2は、配列番号9、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有し、該LCDR3は、配列番号10、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項4から9のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項11】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項10に記載の結合性分子。
【請求項12】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項10または11に記載の結合性分子。
【請求項13】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80
%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項10に記載の結合性分子。
【請求項14】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項10に記載の結合性分子。
【請求項15】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、H2L2抗体全体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、または単鎖Fv(scFv)フラグメントである、請求項4から14のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項16】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、ヒト化、キメラ、霊長類化、または完全ヒトのものである、請求項4から15のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項17】
NGFアンタゴニストは、抗NGF scFvフラグメントである、請求項15に記載の結合性分子。
【請求項18】
scFvはSS安定化されている、請求項17に記載の結合性分子。
【請求項19】
抗NGF scFvフラグメントは、N末端からC末端へ、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項17に記載の結合性分子。
【請求項20】
抗NGF scFvフラグメントは、N末端からC末端へ、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項17に記載の結合性分子。
【請求項21】
TNFαアンタゴニストは、細胞の表面上でTNF受容体(TNFR)に対するTNFαの結合を阻害し、それによりTNFα活性をブロックする、請求項1から20のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項22】
TNFαアンタゴニストは、抗TNFα抗体、またはその抗原結合性フラグメントを含む、請求項21に記載の結合性分子。
【請求項23】
抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、該CDRは、インフリキシマブのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、またはアダリムマブのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3と同一である、請求項22に記載の結合性分子。
【請求項24】
完全な抗TNFα抗体、および抗TNFα抗体の重鎖のC末端に融合している抗NGF
scFvを含む、請求項23に記載の結合性分子。
【請求項25】
配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項24に記載の結合性分子。
【請求項26】
TNFαアンタゴニストは、TNFRの可溶性TNFα結合性フラグメントを含む、請求項21に記載の結合性分子。
【請求項27】
TNFRはTNFR-2である、請求項26に記載の結合性分子。
【請求項28】
TNFR-2の可溶性フラグメントは75kDフラグメントである、請求項27に記載の結合性分子。
【請求項29】
TNFR-2フラグメントは、免疫グロブリンFcドメインに融合している、請求項26から28のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項30】
免疫グロブリンFcドメインは、ヒトIgG1Fcドメインである、請求項29に記載の結合性分子。
【請求項31】
TNFαアンタゴニストは、配列番号13に記載するアミノ酸配列、またはその機能的なフラグメントを含む、請求項26から30のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項32】
リンカーを介してTNFαアンタゴニストに融合しているNGFアンタゴニストを含む融合タンパク質を含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の結合性分子。
【請求項33】
融合タンパク質のホモ二量体を含む、請求項32に記載の結合性分子。
【請求項34】
NGFアンタゴニストは抗NGF scFvドメインであり、TNFαアンタゴニストは、そのカルボキシ末端で免疫グロブリンFcドメインに融合している、TNFR-2の可溶性TNFα結合性フラグメントである、請求項33に記載の結合性分子。
【請求項35】
scFvは、リンカーを介して免疫グロブリンFcドメインのカルボキシ末端に融合している、請求項34に記載の結合性分子。
【請求項36】
N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー配列(GGGGS)2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3、(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項35に記載の結合性分子。
【請求項37】
N末端からC末端へ、配列番号13のアミノ酸1~235に相当する配列と同一のアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー配列(GGGGS)2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3、(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項35に記載の結合性分子。
【請求項38】
配列番号14のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項36または37に記載の結合性分子。
【請求項39】
配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項36または37に記載の結合性分子。
【請求項40】
N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー配列(GGGGS)2、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体
を含む、請求項35に記載の結合性分子。
【請求項41】
N末端からC末端へ、配列番号13のアミノ酸1~235に相当する配列と同一のアミノ酸配列を含むTNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー配列(GGGGS)2、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項35に記載の結合性分子。
【請求項42】
配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項40または41に記載の結合性分子。
【請求項43】
配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項40または41に記載の結合性分子。
【請求項44】
請求項1から43のいずれか一項に記載の結合性分子をコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項45】
配列番号99のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一のヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項46】
配列番号99のアミノ酸配列と同一のヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項47】
配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一のヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項48】
配列番号18のアミノ酸配列と同一のヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項49】
配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一のヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項50】
配列番号16のアミノ酸配列と同一のヌクレオチドを含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項51】
プロモーターに作動可能に関連している、請求項44から50のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項52】
請求項44から50のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、または請求項51に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項53】
請求項1から43のいずれか一項に記載の結合性分子を生成する方法であって、
請求項52に記載の宿主細胞を、該結合性分子の発現を促進する条件下で培養することと、
該結合性分子を回収することと
を含む前記方法。
【請求項54】
請求項1から43のいずれか一項に記載の結合性分子、および担体を含む組成物。
【請求項55】
疼痛を処置するための、TNFαアンタゴニスト、NGFアンタゴニスト、および担体を含む組成物であって、
有効量の該組成物の投与は、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストの投与よりも効果的に、処置を必要とする対象における疼痛をコントロールすることができる、前記組成物。
【請求項56】
組成物は医薬組成物であり、担体は薬学的に許容される賦形剤である、請求項54または55に記載の組成物。
【請求項57】
請求項1から43のいずれか一項に記載の結合性分子を含む凍結乾燥組成物。
【請求項58】
請求項1から43のいずれか一項に記載の結合性分子を含む、復元された凍結乾燥組成物。
【請求項59】
請求項1から43のいずれか一項に記載の結合性分子、請求項44から50のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項51に記載のベクター、または請求項54から58のいずれか一項に記載の組成物を含むキット。
【請求項60】
対象における疼痛をコントロールするための方法であって、
有効量の神経成長因子(NGF)アンタゴニスト、および腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)アンタゴニストを、それを必要とする対象に投与することを含み、
前記投与は、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストよりも効果的に、対象における疼痛をコントロールすることができる、前記方法。
【請求項61】
TNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストの同時投与を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
TNFαアンタゴニストは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
NGFアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
TNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストを逐次的または同時に投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む結合性分子の投与を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体またはその抗原結合性フラグメントである、請求項60から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、TrkA、p75NRT、またはTrkAおよびp75NRTの両方に対するNGFの結合を阻害することができる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
NGFのp75NRTに対する結合よりも、NGFのTrkAに対する結合を優先的にブロックする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、約0.25~0.44nMの親和性でヒトNGFに結合する、請求項66から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578と同じエピトープに対して結合する、請求項66から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578のヒトNGFに対する結合を競合的に阻害する、請求項66から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、HCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、該HCDR1は、配列番号4または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有し、該HCDR2は、配列番号5または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有し、該HCDR3は、配列番号6、最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号6、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)、またはSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)のアミノ酸配列を有し、該LCDR1は、配列番号7または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号7のアミノ酸配列を有し、該LCDR2は、配列番号9または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有し、該LCDR3は、配列番号10または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項66から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項72または75に記載の方法。
【請求項77】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号94のアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項78】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項72または77に記載の方法。
【請求項79】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項80】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項72または79に記載の方法。
【請求項81】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、H2L2抗体全体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、または単鎖Fv(scFv)フラグメントである、請求項66から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、ヒト化、キメラ、霊長類化、または完全ヒトのものである、請求項66から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
NGFアンタゴニストは抗NGF scFvフラグメントである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
scFvはSS安定化されている、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
抗NGF scFvフラグメントは、N末端からC末端へ、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
抗NGF scFvフラグメントは、N末端からC末端へ、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
TNFαアンタゴニストは、TNFαのTNF受容体(TNFR)に対する結合を阻害し、それによりTNFα活性をブロックする、請求項60から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
TNFαアンタゴニストは、抗TNFα抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、該CDRは、インフリキシマブのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、またはアダリムマブのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3と同一である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
結合性分子は、完全な抗TNFα抗体、および抗TNFα抗体の重鎖のC末端に融合している抗NGF scFvを含む、請求項88または89に記載の方法。
【請求項91】
結合性分子は、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
TNFαアンタゴニストは、TNFRの可溶性TNFα結合性フラグメントを含む、請求項60から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
TNFRはTNFR-2である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
TNFR-2の可溶性フラグメントは75kDフラグメントである、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
TNFR-2フラグメントは免疫グロブリンFcドメインに融合している、請求項93または94に記載の方法。
【請求項96】
免疫グロブリンFcドメインはヒトIgG1Fcドメインである、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
TNFαアンタゴニストは、配列番号13に記載するアミノ酸配列またはその機能的なフラグメントを含む、請求項92から96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
結合性分子は、リンカーを介してTNFαアンタゴニストに融合しているNGFアンタゴニストを含む融合タンパク質を含む、請求項60から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
結合性分子は、融合タンパク質のホモ二量体を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
NGFアンタゴニストは抗NGF scFvドメインであり、TNFαアンタゴニストは、そのカルボキシ末端で免疫グロブリンFcドメインに融合している、TNFR-2の可溶性TNFα結合性フラグメントである、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
scFvは、リンカーを介して免疫グロブリンFcドメインのカルボキシ末端に融合している、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
結合性分子は、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー(GGGGS)2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項99から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
結合性分子は、配列番号14のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
結合性分子は、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項99から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
結合性分子は、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー(GGGGS)2、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項99から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
結合性分子は、配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
結合性分子は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、請求項99から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
投与は、対象における疼痛を、防ぎ、低減し、軽減し、または除去するのに十分である、請求項60から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
疼痛は、急性疼痛、短期間の疼痛、持続性の侵害受容性疼痛、または持続性もしくは慢
性の神経因性疼痛である、請求項60から108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
投与は、対象における疼痛をコントロールするのに、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%効果的である、請求項60から109のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年2月2日出願の米国仮特許出願第61/934,828号の利益を主張するものである。上記に言及した出願の教示を全て、参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本出願は、ASCIIフォーマットにおいて電子的に提出した配列表を含み、その全文を参照によって本明細書に組み入れる。前記ASCIIのコピーは2015年1月29日に作成したものであり、110421-0054-WO1_SL.txtと命名され、サイズ134,721バイトである。
【背景技術】
【0003】
疼痛は、それに対して医学的支援が探求される最も一般的な症状の1つであり、医師を訪れる全患者の主訴の半数である。疼痛の薬物療法は多数存在し広く使用されているものの、疼痛、特に慢性疼痛の排除は成功していない。よって、社会に対する負担は依然として大きい。様々な研究により、疼痛は、毎年5000万日の就業時間の喪失、および生産力の612億ドルの喪失をもたらすことが推定される。慢性疼痛患者では、利用可能な処方処置の選択肢で疼痛をマネージできるのは約半数にすぎない。また、疼痛の処方薬物療法の市場の合計は、1年あたりおよそ250億ドルである。これらのデータが示唆する通り、安全かつ効果的な新規な鎮痛薬が依然として大いに必要とされている。
【0004】
分泌される神経成長因子(NGFまたはベータNGF)の組織レベルを低下させ、または効果を阻害する治療薬は、まさにこのような新規な鎮痛薬である可能性がある。NGFは神経系の発生においてよく知られている中心的な役割を果たすが;NGFは、動物およびヒトにおける疼痛を引き起こすため、疼痛に対する十分に確証された標的でもある。成人では、特にNGFは、中枢および末梢のニューロンのサブセットの健康および生存を促進する(非特許文献1)。NGFは、これらのニューロンの機能的な特徴の変化の一因ともなり、侵害受容器と呼ばれる疼痛の感覚受容器の感受性または興奮性の緊張性制御を行う(非特許文献2;非特許文献3)。侵害受容器は、疼痛の知覚(侵害受容)を生じる様々な侵害刺激を感知し、中枢神経系に伝達する。NGF受容体は侵害受容器上に位置する。NGFの発現は、傷害を受け、炎症を起こした組織で増大し、ヒトの疼痛状態で上方制御される。よって、侵害受容におけるNGFの役割のため、NGFのレベルを低減するNGF結合性薬剤には鎮痛性の治療法として有用性がある。
【0005】
NGF自体を皮下注射すると、ヒトおよび動物に疼痛を生ずる。注射したNGFは、急速な温熱性痛覚過敏を引き起こし、引き続き遅延性の温熱性痛覚過敏および機械的異痛症を引き起こす(非特許文献4;非特許文献5)。内因性に分泌されるNGFは同様に侵害受容促進性である。組織損傷が誘発するNGFの放出および末梢における後続の作用は、「末梢性感作」のプロセスを介して、温熱性痛覚過敏の誘発において主要な役割を果たす(非特許文献6)。組織損傷は侵害受容促進性および炎症促進性のサイトカインの放出を促進し、これらがひいてはケラチン生成細胞および線維芽細胞からのNGFの放出を誘発する。この放出されたNGFは侵害受容器に直接作用して、侵害性の侵襲から数分以内に有痛性または侵害受容性の状態を誘発する。よって、NGFは間接的にも作用して、侵害受容性/疼痛状態を誘発し、その状態をフィードフォワード放出に維持する。これが肥満細胞の脱顆粒を誘発し、ヒスタミンおよびセロトニンなどの侵害受容促進性薬剤、ならびに重要なことに、より多くのNGFを放出させ、また交感神経末端を刺激してノルアドレナリンなどの侵害受容促進性神経伝達物質を放出させ得る(非特許文献7)。
【0006】
NGFの組織レベルは、完全フロイントアジュバント(CFA)およびカラゲナンを注射した動物で上昇する(非特許文献7;非特許文献8)。NGFは、ラットにおけるDRG(後根神経節)のカプサイシン応答を増強する。NGFレベルの上昇は、関節リウマチ(非特許文献9)または膀胱炎(非特許文献10)に罹患している患者で実証されている。齧歯動物では、末梢神経損傷によりマクロファージ、線維芽細胞、およびシュワン細胞におけるNGFのmRNAの発現が増大する(非特許文献11)。トランスジェニックマウスにおけるNGFの過剰発現は、野生型マウスの上記の神経損傷後の、神経因性疼痛挙動の増強をもたらす(非特許文献12)。数時間および15日にわたるNGFレベルの上昇は、脊髄の侵害受容性経路におけるシナプスでの神経伝達の増強である、「中枢性感作」の促進において役割を果たす。中枢性感作は、持続性および慢性の痛覚過敏および異痛症をもたらす。このプロセスは、NGFとNGFの高親和性受容体であるチロシン受容体キナーゼA(trkA)との複合体の内部移行に関与すると考えられる。これらの複合体の、DRGにおける侵害受容器細胞体への逆行性の輸送は、脊髄の後角において、サブスタンスPなどの侵害受容性神経ペプチドの分泌、またはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、プロテインキナーゼC(PKC)活性化、およびN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体活性化を増強し(非特許文献13)、侵害受容経路の感作を促進する全てのプロセスを増強する。NGFは、ナトリウムチャネルサブタイプおよびカプサイシン受容体、一過性受容体電位陽イオンチャネルサブファミリーVメンバー1(TRPV1)を含めた、電位依存性およびリガンド開口型のイオンチャネルの上方制御および再分布における役割も果たす(非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)。伝達物質、受容体、およびイオンチャネルの活性および/または発現の改変が、神経因性疼痛状態に関連する侵害受容器の感受性および興奮性の増大の根底にある。
【0007】
NGF誘発性の侵害受容/疼痛は、高親和性のNGF受容体であるtrkA(チロシン受容体キナーゼ-A)によって媒介される(非特許文献17)。DRGにおける侵害受容器細胞体の約40~45%がtrkAを発現する。これらは、直径の小さい繊維、すなわちC線維の細胞体であり、分泌される侵害受容促進性ペプチドであるサブスタンスPおよびCGRPも発現する。これらの線維は、後角のラミナIおよびIIにおいて終結し、そこで中枢神経系に、末梢の侵害受容器が感知した侵害刺激を伝達する。trkA遺伝子の変異または欠失は、ヒト(非特許文献18)およびtrkAノックアウトマウス(非特許文献19)の両方で、痛覚の喪失を特徴とする表現型を生ずる。trkAの発現が、関節炎(非特許文献20)もしくは膀胱炎の(cystitic)疼痛(非特許文献21)、またはCFAもしくはカラゲナンの足中への注射によって誘発された炎症痛(非特許文献22)のモデルに供された動物で上方制御されるのは意義深い。
【0008】
NGFは、p75ニューロトロフィン受容体(p75NTR)にも結合する。p75NTRの役割は、その細胞環境に依存的であり、それと一緒に付属的な、または共受容体の機能を果たすと考えられている他の受容体の存在に依存的である。trkAとp75NTRとの相互作用は、NGFに対する高親和性の結合部位の形成をもたらす。NGF媒介性疼痛シグナリングにおけるこのような受容体の相互作用の重要性は明らかではないが、最近の研究は、関連し得る細胞プロセスへのp75NTRの関与を示唆している(非特許文献23)。しかし、p75NTRノックアウトマウスは侵害刺激に対する閾値の上昇を示すものの、NGFの痛覚過敏効果に依然として応答性であり、これらの効果を媒介するのにtrkA受容体単独で十分であることが示唆される(非特許文献24)。
【0009】
NGFの遮断により、慢性侵害受容性疼痛において、例えば、骨関節炎(OA)および慢性腰痛において、NSAIDに対し、段階的に変化する効果を生ずる。NGFを標的化する数々の治療用抗体の候補が、前臨床および臨床開発の様々な段階にある。このような抗体には、例えば、IgG2フォーマットにおけるヒト化抗体であるタネズマブ(PF-
4383119;Pfizer);IgG4フォーマットにおけるヒト抗体であるSAR164877/REGN475(Sanofi-Aventis/Regeneron Pharmaceuticals);IgG2フォーマットにおけるヒト抗体であるAMG403(Amgen/Johnson&Johnson);IgG4フォーマットにおけるヒト化抗体であるPG110(PanGenetics/Abbott)が含まれる。別の治療用抗体の一候補は特許文献1に開示されており、この開示は、NGF抗体、およびNGFが役割を果たす疾患または障害を開示した抗体で処置する方法に関する。MEDI-578はIgG4フォーマットにおけるヒト抗体である。これらの候補が開発されているのにかかわらず、頑強な効果および改善された安全プロファイルを有するNGF結合性薬剤によって、広範囲の疼痛状態に鎮痛性の軽減を提供する必要性が依然としてある。
【0010】
腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)は、カケクチンとも呼ばれ、細胞毒性、免疫細胞の増殖、炎症、腫瘍原性、およびウイルス複製を含めた広範囲の生物学的活性を有する多面的なサイトカインである。非特許文献25。TNFαは、膜貫通型タンパク質(tmTNFα)として最初に生成され、次いでメタロプロテイナーゼによって可溶型(sTNFα)に切断される。非特許文献26。TNFα(約17kDa)は、強固なホモ三量体分子として存在し、細胞表面TNF受容体1またはTNF受容体2に結合し、受容体のオリゴマー形成およびシグナル伝達を誘発する。
【0011】
炎症性サイトカイン、特にTNFαは、痛覚過敏の発生における役割があることが知られている。非特許文献27。いくつかの予備的なデータが、TNFαインヒビターは神経因性疼痛のコントロールにおいて有用であり得ることを示している。例えば、非特許文献28、非特許文献29、非特許文献30を参照されたい。神経因性疼痛の処置における単一の治療法としてTNFαインヒビターを試験する臨床試験からの結果は、依然として結論が出ていない。非特許文献27を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】HuangおよびReichardt、Ann.Rev.Neurosci.24:677~736頁(2001)
【非特許文献2】Priestleyら、Can.J.Physiol.Pharmacol.、80:495~505頁(2002)
【非特許文献3】Bennett、Neuroscientist、7:13~17頁(2001)
【非特許文献4】Pettyら、Ann.Neurol.36:244~46頁(1994)
【非特許文献5】McArthurら、Neurology、54:1080~88頁(2000)
【非特許文献6】MendellおよびArvanian、Brain Res.Rev.、40:230~39頁(2002)
【非特許文献7】MaおよびWoolf、Neuroreport.、8:807~10頁(1997)
【非特許文献8】AmannおよびSchuligoi、Neurosci.Lett.、278:173~78頁(2000)
【非特許文献9】AloeおよびTuveri、Clin.Exp.Rheumatol.、15:433~38頁(1997)
【非特許文献10】Loweら、Br.J.Urol.、79:572~77頁(1997)
【非特許文献11】Heumannら、J.Cell Biol.、104:1623~31頁(1987)
【非特許文献12】Ramerら、Pain、補完6:S111~20頁(1998)
【非特許文献13】Sahら、Nat.Rev.Drug Disc.、2:460~72頁(2003)
【非特許文献14】Mametら、J.Biol.Chem.、278:48907~13頁(1999)
【非特許文献15】Fjellら、J.Neurosci.Res.、57:39~47頁(1999)
【非特許文献16】Priestleyら、Can.J.Physiol.Pharmacol.、80:495~505頁(2002)
【非特許文献17】Sahら、Nat.Rev.DrugDisc.、2:460~72頁(2003)
【非特許文献18】Indo、Clin.Auton.Res.、12巻(補完1):I20~I32頁(2002)
【非特許文献19】de Castroら、Eur.J.Neurosci.、10:146~52頁(1998)
【非特許文献20】Pozzaら、J.Rheumatol.、27:1121~27頁(2000)
【非特許文献21】QiaoおよびVizzard、J.Comp.Neurol.、454:200~11頁(2002)
【非特許文献22】Choら、Brain Res.、716:197~201頁(1996)
【非特許文献23】ZhangおよびNicol、Neurosci.Lett.、366:187~92頁(2004)
【非特許文献24】Bergmannら、Neurosci.Lett.、255:87~90頁(1998)
【非特許文献25】Kimら、J.Mol.Biol.、374:1374頁(2007)
【非特許文献26】Wallis、Lancet Infect.Dis.、8巻(10):601頁(2008)
【非特許文献27】Leung,L.およびCahill,CM.、J.Neuroinflammation、7:27頁(2010)
【非特許文献28】Sommer Cら、J.Peripher.Nerv.Syst.、6:67~72頁(2001)
【非特許文献29】Cohenら、A&A、2013年2月、116、2、455~462頁
【非特許文献30】Genevayら、Ann Rheum Dis、2004、63、1120~1123頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
疼痛の試験にNGF標的化およびTNFα標的化の候補が開発されているのにも関わらず、現在の標準的なケアより有効性の優れた薬剤によって、様々な疼痛状態に対する鎮痛性の軽減を提供することが依然として必要とされている。本開示は、有効性を増大し、疼痛患者に対して投与の量および頻度の両方を低減する潜在性のあり得る、NGFおよびTNFαの両方を標的化する併用処置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、対象における疼痛をコントロールするための方法であって、有効量の神経成長因子(NGF)アンタゴニストおよび腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)アンタゴニスト、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む結合性分子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、投与は、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストよりも効果的に、対象における疼痛をコントロールする。いくつかの実施形態において、本方法は、TNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストを同時投与することを含む。いくつかの実施形態において、TNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストを、逐次的または同時に投与する。
【0016】
いくつかの実施形態において、本方法は、対象における疼痛を、防ぎ、低減し、軽減し、または除去するのに十分である。いくつかの実施形態において、疼痛は、急性疼痛、短期間の疼痛、持続性もしくは慢性の侵害受容性疼痛、または持続性もしくは慢性の神経因性疼痛である。いくつかの実施形態において、本方法は、対象における疼痛をコントロールするのに、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%効果的である。
【0017】
いくつかの実施形態において、結合性分子のTNFαアンタゴニストポーションは、配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する。
【0018】
いくつかの実施形態において、結合性分子のNGFアンタゴニストポーションは、抗NGF抗体、またはその抗原結合性フラグメントである。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、TrkA、p75NTR、またはTrkAおよびp75NTRの両方に対するNGFの結合を阻害することができる。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体は、NGFのp75NTRに対する結合よりもNGFのTrkAに対する結合を優先的にブロックする。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、約0.25~0.44nMの親和性でヒトNGFに結合する。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578と同じエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578のヒトNGFに対する結合を競合的に阻害する。
【0019】
いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、HCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、HCDR1は、配列番号4または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有し、HCDR2は、配列番号5または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有し、HCDR3は、配列番号6、最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号6、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)、またはSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)のアミノ酸配列を有し、LCDR1は、配列番号8または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有し、LCDR2は、配列番号9または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有し、LCDR3は、配列番号10または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号
3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号94のアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、H2L2抗体全体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、または単鎖Fv(scFv)フラグメントである。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、ヒト化、キメラ、霊長類化(primatized)、または完全ヒトのものである。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、抗NGF scFvフラグメントである。いくつかの実施形態において、scFvはSS安定化されている。いくつかの実施形態において、抗NGF scFvフラグメントは、N末端からC末端へ、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態において、抗NGF scFvフラグメントは、N末端からC末端へ、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0021】
いくつかの態様において、本方法は、TNFαのTNF受容体(TNFR)に対する結合を阻害するTNFαアンタゴニストを投与し、それによりTNFα活性をブロックすることを含む。いくつかの実施形態において、TNFαアンタゴニストは、抗TNFα抗体またはその抗原結合性フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、CDRは、インフリキシマブのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3、またはアダリムマブのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3と同一である。
【0022】
いくつかの実施形態において、結合性分子は、完全な抗TNFα抗体、および抗TNFα抗体の重鎖のC末端に融合している抗NGF scFvを含む。この結合性分子は、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、TNFαアンタゴニストは、TNFRの可溶性TNFα結合性フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、TNFRは、TNFR-2またはその可溶性フラグメントである。他の実施形態において、TNFRは、TNFR-1またはその可溶性フラグメントである。いくつかの実施形態において、TNFR-1の可溶性フラグメントは55kDフラグメントである。他の実施形態において、TNFR-2フラグメントの可溶性フラグメントは75kDフラグメントである。いくつかの実施形態において、TNFRフラグメントは、免疫グロブリンFcドメインに融合している。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンFcドメインは、ヒトIgG1Fcドメインで
ある。いくつかの実施形態において、TNFαアンタゴニストは、配列番号13に記載するアミノ酸配列のセット、またはその機能的なフラグメントを有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、結合性分子は、リンカーを介してTNFαアンタゴニストに融合しているNGFアンタゴニストを含む融合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、結合性分子は、融合タンパク質のホモ二量体である。
【0025】
いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは抗NGF scFvドメインであり、TNFαアンタゴニストは、そのカルボキシ末端が免疫グロブリンFcドメインに融合しているTNFR-2の、可溶性TNFα結合性フラグメントである。いくつかの実施形態において、scFvは、リンカーを介して免疫グロブリンFcドメインのカルボキシ末端に融合している。
【0026】
いくつかの実施形態において、結合性分子は、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー(GGGGS)2、配列番号3のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3、(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。いくつかの実施形態において、結合性分子は、配列番号14のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。いくつかの実施形態において、結合性分子は、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、結合性分子は、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー(GGGGS)2、配列番号94のアミノ酸配列を含むVH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4、(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含むVLを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。いくつかの実施形態において、結合性分子は、配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。いくつかの実施形態において、結合性分子は、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、結合性分子は、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、リンカー配列、および抗NGF scFvドメインを含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
【0029】
本開示は、細胞におけるp38リン酸化を阻害するための方法も提供し、本方法は、細胞を、本明細書に記載する任意のポリペプチド(例えば、本明細書に記載するNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む任意の結合性分子)と接触させることを含む。本開示は、細胞におけるERKリン酸化を阻害するための方法も提供し、本方法は、細胞を、本明細書に記載する任意のポリペプチド(例えば、本明細書に記載するNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む任意の結合性分子)と接触させることを含む。いくつかの実施形態において、細胞は神経細胞である。他の実施形態において、細胞は末梢神経細胞である。さらに他の実施形態において、細胞は中枢神経細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は哺乳動物における。いくつかの実施形態において、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態において、細胞は細胞の培養物中にある。
【0030】
本開示は、本明細書に開示する結合性分子をコードするポリヌクレオチド配列、これら
のポリヌクレオチド配列を含むベクター、およびこれらのポリヌクレオチドまたはベクターを含む宿主細胞も提供する。
【0031】
本開示は、本明細書に記載する結合性分子を生成する方法も提供する。
【0032】
本開示は、本明細書に記載する結合性分子を含む組成物、医薬組成物、およびキットも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】TNFR2-Fc融合タンパク質(パネルA)、および抗NGF scFvドメインに融合しているTNFR2-Fcドメインを含む、例示的な多特異的結合性分子であるTNFR2-Fc_VH#4(パネルB)を示す概略図である。
【
図2】
図2Aは、精製したTNFR2-Fc_VH#4のバッチにおける凝集物、モノマー、およびタンパク質断片化のレベルのSEC-HPLC分析の結果を示す図である。
図2Bは、還元および非還元条件下での、精製したTNFR2-Fc_VH#4および精製したTNFR2-Fcタンパク質のSDS-PAGE分析を示す図である。ゲルローディングの順序:1.TNFR2-Fc_VH#4、2.TNFR2-Fc_VL-VH(リバースの可変ドメイン遺伝子の配向で抗NGF scFvに融合しているTNFR2-Fc)、3.TNFR2-Fcに無関係のscFv1、4.TNFR2-Fc、5.TNFR2-Fcに無関係のscFv2。
【
図3】
図3Aは、プロテインAカラム精製後のTNFR2-Fc_VH#4の純度を示す図である。
図3Bは、SPセファロースカラム上で第2の精製工程後のTNFR2-Fc_VH#4の純度を示す図である。
【
図4】示差走査熱量測定を用いたTNFR2-Fc_VH#4の安定性分析を示す図である。
【
図5】ELISAによって決定した、TNFαおよびNGFの単一および一緒の両方に対するTNFR2-Fc_VH#4の結合を示す図である。
図5Aは、NGFに対する結合を示し、
図5BはTNFαに対する結合を示し、
図5CはTNFαおよびNGFに対する同時の結合を示す。
【
図6】TNFR2-Fc_VH#4の表面プラズモン共鳴結合アッセイのセンサーグラムを示す図である。TNFR2-Fc_VH#4多特異的抗体の同時発生的な抗原結合を、BIAcore2000を用いて行った。同時の抗原結合を、センサー表面に結合しているTNFR2-Fc_VH#4を上回る、TNFαおよびNGFの連続的な結合により評価した。センサーグラムの第1の部分は、多特異的抗体に対する飽和量のTNFαの結合を示し、センサーグラムの第2の部分は、再びTNFα(表面が飽和されていたことを示す)、または等モルのTNFαおよびNGFの混合物のいずれかである第2の抗原を適用した場合の結合を示す。共鳴単位の増大は、多特異的分子に対するNGFの結合に、ゆえに同時の抗原の係合に同等であった。アッセイを、逆の順序で抗原を加えてやはり行い、これらのデータを確認した。
【
図7-1】TF-1細胞のNGF媒介性増殖の阻害を示す図である。A.NGFアンタゴニスト添加の非存在下のNGF媒介性増殖。B.TNFR2-Fc_VH#4によるヒトNGF応答の阻害。C.TNFR2-Fc_VH#4によるマウスNGF応答の阻害。NGFの活性は通常RLU-相対発光単位で表され、NGF媒介性増殖の%は、以下の式:100
*(ウエルのRLU-バックグラウンドのRLU)/(合計RLU-バックグラウンドのRLU)を用いてNGFリガンド単独に対する応答%として算出され、式中、バックグラウンドのRLU=培地対照の平均、およびRLU合計=リガンドのみの対照の平均である。D.TNFR2-Fc_VarBおよびヌディマブ(ndimab)VarBによるヒトNGF応答の阻害。E.TNFR2-Fc_VarBおよびヌディマブVarBによるマウスNGF応答の阻害。
【
図8-1】U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性の阻害を示す図である。A.TNFαアンタゴニスト添加の非存在下の、U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性。B.アンタゴニスト添加の非存在下の、応答のパーセントとして示す、U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性の阻害。TNFの活性は通常、相対蛍光単位RFUとして表され、TNF媒介性カスパーゼ3放出の%を、上記
図7Cにおいて記載する式を用いて、TNFリガンド単独に対する応答%として算出した:C.関連の分子TNFR2-Fc_varBおよびヌディマブVarBに対して同様の結果が示される。
【
図9】部分的坐骨神経ライゲーション誘発性機械的痛覚過敏に対する、エタネルセプトおよびMEDI-578での併用処置の効果を示す図である。結果を、同側/反対側比として示す。1群あたりN=9~10。データを、時間および処置を依存性因子として、二元配置のANOVA分析を用いて分析した。引き続き、統計学的有意性をボンフェローニの事後検定を用いて得た。
***Op+CAT-251対照に対してp<0.001
【
図10A】部分的坐骨神経ライゲーション誘発性機械的痛覚過敏に対するTNFR2-Fc_VH#4の効果を示す図である。結果を、同側/反対側比として示す。1群あたりN=10。データを、時間および処置を依存性因子として、二元配置のANOVA分析を用いて分析した。引き続き、統計学的有意性をボンフェローニの事後検定を用いて得た。
***二特異的アイソタイプ対照に対してp<0.001。
【
図10B】関連分子であるTNFR2-Fc_varBと同様の結果を示す図である。
【
図11】MEDI-578およびエタネルセプトの同時投与の、機械的痛覚過敏の関節痛モデルにおける疼痛減少に対する効果を示す図である。1群あたりN=9~10。データを、二元配置のANOVA分析を用いて分析した。引き続き、統計学的有意性をボンフェローニの事後検定を用いて得た。
*p>0.05、
***CAT-251対照に対してp<0.001
【
図12】機械的痛覚過敏の関節痛モデルにおける疼痛減少に対するTNFR2-Fc_VH#4の効果を示す図である。1群あたりN=9~10。データを、二元配置のANOVA分析を用いて分析した。引き続き、統計学的有意性をボンフェローニの事後検定を用いて得た。
***二特異的アイソタイプ対照に対してp<0.001。
【
図13】ラットモデルにおける、5つの異なる用量のTNFR2-Fc_varBの、CFA誘発性痛覚過敏に対する効果を示す図である。
【
図14】ホスホ-p38反応からのHTRF比を示すヒートマップである。
【
図15】TNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せの、p38リン酸化に対する効果を示す用量反応曲線である。
【
図16】ホスホ-ERK反応からのHTRF比を示すヒートマップである。
【
図17】TNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せの、ERKリン酸化に対する効果を示す用量反応曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
「一つの(a)」または「一つの(an)」の実体の語は、その実体の1つまたはそれ以上を意味することに留意されたい。したがって、「一つの(a)」(または「一つの(an)」、「1つまたはそれ以上」、および「少なくとも1つ」の語は、本明細書において交換可能に用いることができる。
【0035】
さらに、「および/または」は、本明細書で用いる場合、2つの特定する特徴または構成成分の各々の、他の特徴もしくは構成成分と一緒の、または他の特徴もしくは構成成分なしでの特定の開示と理解されたい。よって、本明細書の「Aおよび/またはB」などの句において用いる「および/または」の語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」
(単独)および「B」(単独)を含むことを意図する。同様に「A、B、および/またはC」などの句において用いる「および/または」の語は、以下の態様の各々を包含することを意図する:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0036】
態様を「含む(comprising)」の言語とともに本明細書に記載する場合はいつでも、「からなる(consisting of)」および/または「から実質的になる(consisting essentially of)」の語で記載する他の同様の態様も提供されることが理解される。
【0037】
別段の規定がなければ、本明細書で用いる技術用語および科学用語は全て、本開示が関する技術分野における通常の技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology、Juo、Pei-Show、第2版、2002年、CRC
Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology、第3版、1999年、Academic Press;およびthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology、Revised、2000年、Oxford
University Pressは、本開示において用いる多くの用語の全般的な辞書を当業者に提供する。
【0038】
単位、接頭辞、および記号は、国際単位系(Systeme International de Unites)(SI)が認めた形態において記載する。数字の範囲は、範囲を規定する数を含める。別段の指示がなければ、アミノ酸配列は、左から右へアミノからカルボキシの向きにおいて記す。本明細書に提供する見出しは本開示の多様な態様を限定するものではなく、本明細書を全体として参照することによって有することができる。したがって、直下に規定される語は、その全文を本明細書に参照することにより、より全体的に規定される。
【0039】
本明細書で用いる「結合性分子」の語は、その最も広い意味において、抗原決定基、例えば抗原に特異的に結合する分子を意味する。結合性分子の非限定的な例には、抗原特異的な結合を各々保持する、抗体またはそのフラグメント、可溶性受容体融合タンパク質またはそのフラグメント、非免疫グロブリン骨格またはそのフラグメントが含まれる。例示的な非免疫グロブリン骨格には、Tn3(Koideら、J Mol Biol、2012年1月13日;415巻(2):393~405頁)、DARPin(BoersmaおよびPluckthun、Curr Opin Biotechnol.、2011、22巻(6):849~57頁)、アンチカリン(GebauerおよびSkerra、Methods Enzymol.、2012;503:157~88頁)が含まれる。例示的な可溶性受容体融合タンパク質および抗体を以下に提供する。ある実施形態において、結合性分子は、このような抗体またはそのフラグメント、可溶性受容体融合タンパク質またはそのフラグメント、および非免疫グロブリンベースの骨格またはそのフラグメントの組合せを含むように操作することができる。
【0040】
抗原を認識する結合性分子、または結合性分子のあらゆるポーションを、本明細書において「結合性ドメイン」と呼ぶ。天然に存在する抗体などのフルサイズの結合性分子に特に言及しなければ、「結合性分子」の語は、制限なく、フルサイズの抗体または他の非抗体結合性分子、およびこのような結合性分子の抗原結合性フラグメント、バリアント、類似体、または誘導体、例えば、天然に存在する抗体もしくは免疫グロブリン分子、またはフルサイズの結合性分子と同様に抗原に結合する、操作されている結合性分子もしくはフ
ラグメントを包含する。
【0041】
ある実施形態において、本開示は、ある種の多特異的結合性分子、例えば、二特異的、三特異的、四特異的などの結合性分子、またはこれらの抗原結合性フラグメント、バリアント、もしくは誘導体を提供する。本明細書で用いる、多特異的結合性分子は、1つもしくはそれ以上の抗体結合性ドメイン、1つもしくはそれ以上の非抗体結合性ドメイン、またはこれらの組合せを含むことができる。
【0042】
「神経成長因子」(「NGF」)の語は、文献においてベータ神経成長因子とも呼ばれ、本明細書で用いる通り、様々なニューロンの成長および生存において機能する、分泌されたタンパク質を意味する。ヒトNGFはGenbank受入れ番号NP_002497.2と表され、本明細書では配列番号1と表す。本明細書で用いるNGFの語は、ヒトNGFに限定されず、ヒトNGFの全種のオルソログを含む。「NGF」の語は、NGFのプロ型、プロNGF、全長のNGF、および細胞内のプロセシングに起因するあらゆる形態のNGFを包含する。この語は、天然に存在するNGFのバリアント、例えば、スプライスバリアント、アレルのバリアント、およびイソ型も包含する。NGFは、2つの受容体:p75ニューロトロフィン受容体(p75(NTR))および膜貫通型チロシンキナーゼであるTrkAに結合することができる。NGFは、侵害受容器の感作を媒介することが知られている疼痛に対する、十分に確証されている標的である。
【0043】
様々な薬剤が、NGF活性のアンタゴニストとして試験されている。このような抗NGF剤の1つがtrkA-Fcであるが、trkA-Fcは内在性NGFに結合し、それによって内在性NGFを失活させる、囮またはスカベンジャーとして作用する。TrkA-Fcは、IgG抗体の定常ドメインフラグメント(Fc)に連結している、trkAのNGF結合性領域からなる融合タンパク質である。TrkA-Fcは、ナイーブ動物において痛覚鈍麻を生成し、侵害受容器の応答を低減し、無髄の痛覚ニューロンの出芽を低減する(Bennett,D.L.ら(1998)Eur J Neurosci、10:1282~91頁)。
【0044】
NGFレベルは侵害刺激に応答して末梢で増大し、抗体の血液脳関門透過性は低いため、NGF媒介性疼痛は、本明細書に記載する結合性分子での安全で効果的な処置に特に良好に適する。本明細書に記載する治療法および組成物において用いることができる、数々の抗NGF抗体およびその抗原結合性フラグメントは文献において見出すことができ、例えば、PCT公開第WO02/096458およびWO04/032870を参照されたい。
【0045】
「MEDI-578」の語は、NGFに特異的に結合する抗体を意味し、これは、両方ともその全文を参照によって本明細書に組み入れる、国際出願第PCT/GB2006/000238号および米国特許出願公開第2008/0107658 A1号の主題である。MEDI-578の重鎖および軽鎖の配列をそれぞれ、配列番号3および7に示す。
【0046】
NGF-NGの語は、NGFに特異的に結合する抗体を意味する。NGF-NG重鎖および軽鎖の配列をそれぞれ、配列番号24および26に示す。
【0047】
「腫瘍壊死因子アルファ」(「TNFα」)の語は、本明細書において、TNFリガンドのスーパーファミリーではなく、特定のTNFαタンパク質を意味するのに用いる、カケクチン、APC1タンパク質;腫瘍壊死因子;TNF;または腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー2とも、文献において呼ばれる。ヒトTNFαは、Genbank受入れ番号NP_000585.2と表され、配列番号2と表す。本明細書で用いるTNFαの語はヒトTNFに限定されず、ヒトTNFαの全種のオルソログを含む。「T
NFα」の語は、TNFαのプロ型、プロTNFα、全長のTNFα、および細胞内のプロセシングに起因するあらゆる形態のTNFαを包含する。この語は、天然に存在する、および天然に存在しない、TNFαのバリアント、例えば、スプライスバリアント、アレルのバリアント、およびイソ型も包含する。TNFαは、TNFR1(TNF受容体1型;CD120a;p55/60)およびTNFR2(TNF受容体2型;CD120b;p75/80)の2つの受容体に結合することができる。TNFαは、神経炎症における機能など、炎症誘発性サイトカインとして機能する。例えば、TNFαは、神経因性疼痛の産生において機能的に関与すると考えられている(Leung,L.およびCahill,CM.、J.Neuroinflammation、7:27頁(2010))。
【0048】
多数のTNFαアンタゴニストが当技術分野では知られており、多くが治療薬として市販されている。治療において用いることができる市販のTNFアルファアンタゴニスト、および本明細書に提供する組成物の例として、エタネルセプト(ENBREL(登録商標)、Amgen/Pfizer)、インフリキシマブ(例えば、REMICADE(登録商標)、Centocor)、セルトリズマブペゴル(例えば、CIMZIA(登録商標)、UCB)、ゴリムマブ(例えば、SIMPONI(商標)、Centocor)、およびアダリムマブ(例えば、HUMIRA(登録商標)/TRUDEXA(登録商標)、Abbott)が含まれる。
【0049】
「単離された」結合性分子、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物は、天然に存在しない形態における、結合性分子、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物を意味する。単離された結合性分子、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物は、これらが最早天然に見出される形態ではない程度に、変化され、適用され、組み合わされ、復元され、操作され、または他の方法で扱われているものを含む。いくつかの態様において、単離された、結合性分子、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、または組成物は、「組換え」である。
【0050】
本明細書で用いる「多機能性ポリペプチド」および「二機能性ポリペプチド」の語は、2つ以上の抗原を標的化するようにデザインされている、天然に存在しない結合性分子を意味する。本明細書に記載する多機能性ポリペプチドは、2つの異なる所望の生物学的機能を単一の結合性分子にまとめるようにデザインされている、遺伝子操作した融合タンパク質であるのが典型的である。例えば、多機能性ポリペプチドは、多機能性結合性分子であってもよい。本明細書に記載する例示的な多機能性ポリペプチドは、NGFアンタゴニストドメイン(例えば、1つまたはそれ以上の天然のNGF機能をブロックし、低減し、または阻害するペプチドドメイン)、およびTNFαアンタゴニストドメイン(例えば、1つまたはそれ以上の天然のTNFα機能をブロックし、低減し、または阻害するペプチドドメイン)を含む多機能性結合性分子である。
【0051】
本明細書に提供する多機能性ポリペプチドの1グループは、多特異的結合性分子、例えば、1つもしくはそれ以上の抗体結合性ドメインを含む結合性分子、例えば「多特異的抗体」、1つもしくはそれ以上の非抗体結合性ドメイン、例えば囮受容体、またはこれらの組合せである。例えば、1つもしくはそれ以上の抗体結合性ドメイン、1つもしくはそれ以上の非抗体結合性ドメイン、またはこれらの組合せを含む多特異的結合性分子は、少なくとも2つの異なるエピトープを特異的に認識し、結合することができる結合性ドメインを有する分子である。異なるエピトープは、同じ分子(例えば、同じNGF)内にあってもよく、または、例えば、NGFおよび別のエピトープ含有分子(例えばTNFα)を特異的に認識し、結合することができる諸多特異的結合性分子がNGFおよびTNFαを特異的に認識するように異なる分子上にあってもよい。
【0052】
例えば、1つまたはそれ以上の抗体結合性ドメイン、1つまたはそれ以上の非抗体結合性ドメイン、またはこれらの組合せを含めた、多特異的結合性分子を作成するための技術は、当技術分野において入手できる(Dimasi,N.ら、2009、J Mol Biol.、393:672~92頁;Milsteinら、1983、Nature、305:537~539頁;Brennanら、1985、Science、229:81頁;Sureshら、1986、Methods in Enzymol.、121:120頁;Trauneckerら、1991、EMBO J.、10:3655~3659頁;Shalabyら、1992、J.Exp.Med.、175:217~225頁;Kostelnyら、1992、J.Immunol.、148:1547~1553頁;Gruberら、1994、J.Immunol.、152:5368頁;および米国特許第5,731,168号)。2価を超える抗体も企図される。例えば、三特異的抗体を調製することができる(Tuttら、J.Immunol.、147、60頁(1991))。
【0053】
「抗体」の語は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組合せなどの標的を、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で用いる「抗体」の語は、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント)、単鎖Fv(scFv)変異体、二特異的、三特異的、四特異的などの多特異的抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から産生された抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定ポーションを含む融合タンパク質、ならびに抗体が所望の生物学的活性を表すのであれば、抗原認識部位を含むあらゆる他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる重鎖定常ドメインの同一性にそれぞれ基づいた、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)のいずれであってよい。免疫グロブリンの異なるクラスは、異なり、かつよく知られているサブユニット構造および3次元立体配置を有する。
【0054】
いくつかの実施形態において、「ブロック性の」結合性分子、例えば、ブロック性の抗体、または「アンタゴニスト」結合性分子、例えばアンタゴニスト抗体または融合タンパク質は、NGFまたはTNFαなどに結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減するものである。ある態様において、ブロック性の抗体またはアンタゴニスト結合性分子は、抗原の生物学的活性を、実質的または完全に阻害する。例えば、生物学的活性を、0.01%、0.1%、0.5%、1%、5%、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、またはさらに100%低減することができる。本明細書で用いる「アンタゴニスト」および「アンタゴニストドメイン」は、その標的(例えば、TNFαまたはNGF)に結合し、それにより標的が受容体と相互作用するのをブロックまたは阻害するポリペプチドまたは他の分子を含む。NGFおよび/またはTNFαアンタゴニストは、よって、NGFのtrkAもしくはp75ニューロトロフィンとの相互作用を、またはTNFαのTNFR-1もしくはTNFR-2との相互作用をブロックまたは阻害する分子を含む。NGFおよび/またはTNFαアンタゴニストは、p38リン酸化および/またはERKリン酸化を低減する分子も含む。例示的なアンタゴニストには、それだけには限定されないが、抗体またはその抗原結合性フラグメント、および標的特異的な、可溶性の、非シグナリング受容体ペプチド(「囮受容体」もしくはそのリガンド結合性フラグメント)が含まれる。
【0055】
「抗体フラグメント」の語は、インタクトな抗体のポーションを意味し、インタクトな抗体の抗原決定可変領域を意味する。抗体フラグメントの例には、それだけには限定され
ないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、直鎖状抗体、単鎖抗体、および抗体フラグメントから形成される多特異的抗体が含まれる。本明細書の他所に記載する、非抗体結合性分子の抗原結合性フラグメントも、本開示が提供するものである。
【0056】
「モノクローナル抗体」は、単一の抗原決定基すなわちエピトープの極めて特異的な認識および結合に関与する均一な抗体の集団を意味する。これは、異なる抗原決定基に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体と対照的である。「モノクローナル抗体」の語は、インタクトおよび全長両方のモノクローナル抗体、および抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)変異体、抗体ポーションを含む融合タンパク質、および抗原認識部位を含むあらゆる他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、それだけには限定されないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、およびトランスジェニック動物によるものを含めた、任意の数々の方法において作成された抗体を意味する。
【0057】
「ヒト化抗体」の語は、最小の非ヒト(例えばマウス)配列を含む、特異的な免疫グロブリン鎖、キメラの免疫グロブリン、またはこれらのフラグメントである、非ヒト(例えばマウス)抗体の形態を意味する。典型的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、またはハムスター)のCDRからの残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリンである(Jonesら、1986、Nature、321:522~525頁;Riechmannら、1988、Nature、332:323~327頁;Verhoeyenら、1988、Science、239:1534~1536頁)。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FRまたはFW)残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種からの抗体における相当する残基で置き換えられている。ヒト化抗体を、Fvフレームワーク領域および/または置き換えられた非ヒト残基内のいずれかにおけるさらなる残基の置換によってさらに修飾して、抗体の特異性、親和性、および/または能力を改良し最適化することができる。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに相当するCDR領域の全て、または実質的に全てを含む可変ドメインの、少なくとも1つの、典型的には2つまたは3つの実質的に全てを含み、全ての、または実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンのものであるのが典型的である免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくともポーションも含むことができる。ヒト化抗体を産生するのに用いられる方法の例は、米国特許第5,225,539号または第5,639,641号に記載されている。
【0058】
抗体の「可変領域」は、単独または組合せいずれかにおける、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を意味する。重鎖および軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって接続される、4つのフレームワーク領域(FRまたはFW)からなる。各鎖におけるCDRは、FRによって互い非常に接近して保持され、他の鎖からのCDRが抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する。CDRを決定するための技術は少なくとも2つ存在する:(1)異種間の配列可変性に基づく取組み(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、(第5版、1991、National
Institutes of Health、Bethesda Md.));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づく取組み(Al-lazikaniら(1997)J.Molec.Biol.、273:927~948頁))。加えて、CDRを決定するために、当技術分野において、これら2つの取組みを組み合わせたものがときに用いられる。
【0059】
可変ドメインにおける残基に言及する場合、Kabatのナンバリングシステムが一般的に用いられる(軽鎖の残基およそ1~107および重鎖の残基およそ1~113)(例えば、Kabatら、Sequences of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National
Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))。
【0060】
Kabatにおけるアミノ酸位置のナンバリングは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)における抗体の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインの編集に用いられるナンバリングシステムを意味する。このナンバリングシステムを用いると、実際の直鎖状のアミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮、またはFRもしくはCDRへの挿入に相当する、数個またはさらなるアミノ酸を含むことができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)、および重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、および82c)を含むことができる。残基のKabatナンバリングは、「標準の」Kabatナンバリングした配列と、抗体の配列のホモロジーの領域でのアラインメントによって、所与の抗体に対して決定することができる。Chothiaは代わりに、構造上のループの位置に言及している(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.、196:901~917頁(1987))。ChothiaのCDR-H1ループの終端は、Kabatナンバリングの従来法を用いてナンバリングした場合、ループの長さに応じてH32からH34の間で変動する(これはKabatのナンバリングスキームがH35AおよびH35Bの挿入を位置付けるからであり;35Aも35Bも存在しなければループは32で終わり;35Aだけが存在すればループは33で終わり;35Aおよび35Bの両方が存在すればループは34で終わる)。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造上のループとの間の折衷を表し、Oxford Molecular’s AbM抗体モデリングソフトウエアによって用いられる。比較を以下の表1に提供する。
【0061】
【0062】
「ヒト抗体」の語は、天然のヒト抗体、または当技術分野では知られている任意の技術を用いて作成された、天然のヒト抗体に相当するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。ヒト抗体のこの定義には、インタクトもしくは全長の抗体、これらのフラグメント、なら
びに/または少なくとも1つのヒト重鎖および/もしくは軽鎖ポリペプチドを含む抗体、例えば、マウス軽鎖およびヒト重鎖のポリペプチドを含む抗体が含まれる。
【0063】
「キメラ抗体」の語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の種に由来する抗体を意味する。典型的には、軽鎖および重鎖両方の可変領域は、所望の特異性、親和性、および能力を有する1種の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)に由来する抗体の可変領域に相当し、定常領域は、その種における免疫応答を誘発するのを避けるために別の種(通常ヒト)に由来する抗体における配列に相同である。1つまたはそれ以上の抗体結合性ドメイン、1つまたはそれ以上の非抗体結合性ドメイン、またはこれらの組合せ、例えば、本明細書に提供するTNFαアンタゴニストおよび/またはNGFアンタゴニストを含む多特異的結合性分子は、天然の、または非変更の定常領域を含むおよそ同じ免疫原性の抗体と比べ、腫瘍の局在化の増大、または血清半減期の短縮など、所望の生化学的特徴を提供するために、1つまたはそれ以上の定常領域ドメインの少なくともフラクションが欠失され、でなければ変更されている抗体の定常領域(例えば、Fc領域)を含むことができる。本明細書に提供する修飾された定常領域は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2、もしくはCH3)のうちの1つもしくはそれ以上に対する、および/または軽鎖定常ドメイン(CL)に対する、変更または修飾を含むことができる。いくつかの態様において、1つまたはそれ以上の定常ドメインは、部分的または全体的に欠失し得る。いくつかの態様において、CH2ドメイン全体が欠失し得る(ΔCH2構築物)。例えば、Oganesyan Vら、2008、Acta Crystallogr D Biol Crystallogr.、64:700~4頁;Oganesyan Vら、Mol Immunol.、46:1750~5頁;Dall’Acqua,W.F.ら、2006.、J.Biol.Chem.、281:23514~23524頁;およびDall’Acquaら、2002.、J.Immunol.、169:5171~5180頁を参照されたい。
【0064】
「エピトープ」または「抗原決定基」の語は本明細書において交換可能に用い、特定の抗体が認識し、特異的に結合することができる抗原のポーションを意味する。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、近接するアミノ酸、およびタンパク質を3次元的にフォールディングすることにより並置される近接しないアミノ酸の両方から形成することができる。近接するアミノ酸から形成されたエピトープは、タンパク質が変性するときに保持されるのが典型的であり、3次元的にフォールディングすることにより形成されたエピトープは、タンパク質が変性するときに失われるのが典型的である。エピトープは、独特の空間立体コンフォメーションにおける、少なくとも3つの、より通常は少なくとも5または8~10個のアミノ酸を含むのが典型的である。本明細書に記載するエピトープを、エピトープを形成する特定のアミノ酸に対して規定する必要はない。いくつかの態様において、エピトープは、ポリペプチド抗原のペプチドサブユニットに対する結合を調べることにより、または抗原特異的抗体のグループによる抗原に対する結合の競合を調べることにより、同定することができる。
【0065】
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」は、それらに対して診断、予後、または治療が望ましい、あらゆる対象、特に哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象には、ヒト、家畜、家禽、スポーツ動物、および動物園の動物が含まれ、例えば、ヒト、非ヒト霊長動物、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、クマなどが含まれる。
【0066】
「組成物」および「医薬組成物」の語は、有効成分の生物学的活性を効果的にするような形態における調製物、および組成物を投与する対象に対して許容できないほど毒性である付加的な構成成分を含まない調製物を意味する。このような組成物は無菌であり得る。
【0067】
本明細書で用いる「有効量」および「治療有効量」の語は、対象における疼痛をコントロールするのに有効な、1つまたはそれ以上の治療用組成物の量を意味する。「疼痛をコントロールする」の語および文法上等価な語は、本明細書において、疼痛をコントロールする必要がある対象における、あらゆる有益な、または所望の効果を記述するのに用いられる。例えば、本明細書に記載する有効量の1つまたはそれ以上の治療用組成物は、対象において、例えば、疼痛を防ぎ、容認できるレベルの疼痛を維持し、疼痛を軽減し、疼痛を低減し、疼痛を最小にし、または疼痛を排除することができる。
【0068】
本明細書で用いる「投与する」の語は、対象に、本明細書に記載する1つまたはそれ以上の治療用組成物、例えば、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む二機能性ポリペプチド、NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストの組合せを含む治療用組成物、または一方がNGFアンタゴニストを含み、一方がTNFαアンタゴニストを含む別々の治療用組成物を投与することを意味する。「同時投与する」の語は、対象に、例えば、一方がNGFアンタゴニストを含み、一方がTNFαアンタゴニストを含む、2つ以上の治療用組成物を投与することを意味する。本明細書で用いる同時投与は、2つ以上の治療用組成物を対象に同時に投与することを含むが、必要とするものではない。2つ以上の治療用組成物を、対象に、逐次的に、例えば、30分置いて、1時間置いて、2時間置いて、3時間置いて、4時間置いて、または5時間以上置いて投与することができる。本明細書に記載する同時投与の順序およびタイミングは、固定していてもよく、または健康管理の専門家の判断に基づいて変動してもよい。
【0069】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」の語は、共有結合的に連結されているヌクレオチド残基を含む高分子化合物を意味する。ポリヌクレオチドは、DNA、cDNA、RNA、一本鎖、もしくは二本鎖、ベクター、プラスミド、ファージ、またはウイルスであってよい。
【0070】
「ベクター」の語は、宿主細胞において対象の遺伝子(複数可)または配列(複数可)を1つまたはそれ以上送達し、発現することができる構築物を意味する。ベクターの例には、それだけには限定されないが、ウイルスベクター、ネイキッドDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドもしくはファージベクター、陽イオン性縮合剤と会合しているDNAもしくはRNA発現ベクター、リポソーム中に封入されているDNAもしくはRNA発現ベクター、およびある種の真核細胞、例えば生成細胞(producer cell)が含まれる。
【0071】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」の語は、本明細書において交換可能に用いて、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを意味する。ポリマーは、直鎖でも、または分枝鎖でもよく、修飾されているアミノ酸を含むことができ、非アミノ酸がポリマーを中断してもよい。この語はまた、天然に、または介入によって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含し;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、またはあらゆる他の扱いもしくは修飾、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションも包含する。定義内には、例えば、アミノ酸(例えば、非天然のアミノ酸なども含む)の1つまたはそれ以上の類似体を含むポリペプチド、および当技術分野では知られている他の修飾も含まれる。
【0072】
「保存的アミノ酸置換」は、一アミノ酸残基が、同様の側鎖を有する別の一アミノ酸残基で置き換えられているものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において規定されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷の極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニ
ルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。例えば、フェニルアラニンの、チロシンに対する置換は保存的置換である。ある態様において、本明細書に提供するポリペプチドおよび抗体の配列における保存的置換は、アミノ酸配列を含むポリペプチドの結合または他の機能的活性を抑止しない。機能に影響を及ぼさない、ヌクレオチドおよびアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当技術分野ではよく知られている(例えば、Brummellら、Biochem.、32:1180~1187頁(1993);Kobayashiら、Protein Eng.、12:879~884頁(1999);およびBurksら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:412~417頁(1997)を参照されたい)。
【0073】
NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む結合性分子
本開示は、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む二機能性ポリペプチドを提供する。ある態様において、本明細書に提供する二機能性ポリペプチドの有効量の投与は、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストを含む二機能性ポリペプチドよりも効果的に、それを必要とする対象における疼痛をコントロールすることができる。本明細書に提供する二機能性ポリペプチドは、あらゆる順序、構造、またはコンフォメーションにおける、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含むことができる。あらゆる適切なNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストが、本明細書に提供する二機能性ポリペプチドの一部であり得る。例示的なNGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストを、本開示の他所に記載する。
【0074】
ある態様において、NGFアンタゴニストは、NGF活性を阻害することができる非抗体分子またはその結合性ドメイン、例えば、TrkAの可溶性NGF結合性フラグメントである。ある態様において、NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体またはその抗原結合性フラグメントである。適切な抗NGFアンタゴニストは、例えば、TrkA、p75NRT、またはTrkAおよびp75NRTの両方に対するNGFの結合を阻害することができるアンタゴニスト抗体である。ある態様において、抗NGFアンタゴニスト、例えば、本明細書に提供する二機能性分子において用いるためのアンタゴニスト抗体またはそのフラグメント、例えば多機能性結合性分子は、NGFのp75NRTに対する結合よりも、NGFのTrkAに対する結合を優先的にブロックすることができる。
【0075】
二機能性ポリペプチドにおいて用いるための、例示的な抗体またはそのフラグメント、例えば、本明細書に開示する多特異的結合性分子は、その全文を参照によって本明細書に組み入れる、米国出願公開第2008/0107658号において入手できる。ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、抗NGF抗体MEDI-578よりも高い親和性でNGFを競合的に阻害することができ、またはNGFに結合することができるのと同じエピトープに結合する。ある実施形態において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、1、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、または0.2nM以下の親和性でヒトNGFおよび/またはラットNGFに結合する。例えば、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、ヒトNGFに約0.2~0.8、0.2~0.7、0.2~06、0.2~0.5、および/または0.25~0.44nMの親和性で、ラットNGFに約0.2~0.9、0.2~0.8、および/または0.25~0.70nMの親和性で結合し得る。
【0076】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントはMEDI-578である。MEDI-578は、クローン1252A5として、米国出願公開第2008/0107658号に開示されている。他の態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは
、タネズマブ(RN-624)、ヒト化抗NGF mAb(Pfizer;Kivitzら、(2013)PAIN、154、9、1603~161頁に記載されている)、フルラヌマブ、完全ヒト抗NGF mAb(Amgen;Sangaら、PAIN、154巻、10号、2013年10月、1910~1919頁に記載されている);REGN475/SAR164877、完全ヒト抗NGF mAb(Regeneron/Sanafi-Aventis);ABT-110(PG110)、ヒト化抗NGF mAb(Abbott Laboratories)である。二機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子に含まれる抗NGF抗体またはそのフラグメントは、例えば、ヒト化、キメラ、霊長類化、または完全ヒトであってよい。
【0077】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578のHCDR1、HCDR2、およびHCDR3ドメインを含む抗体VHドメイン、保存的アミノ酸置換などのアミノ酸置換を、最高1、2、3、4、5個、またはそれを超えて有するMEDI-578重鎖CDRのバリアントを含む。例えば、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号4である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上、例えば、1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号4であるHCDR1を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号5である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号5であるHCDR2を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号6である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号6であるHCDR3を含むことができる。ある態様において、HCDR3は、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)、またはSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)のアミノ酸配列を含むことができる。
【0078】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、MEDI-578のLCDR1、LCDR2、およびLCDR3ドメインを含む抗体VLドメイン、最高1、2、3、4、5個、またはそれを超えるアミノ酸置換、例えば、保存的アミノ酸置換を有するMEDI-578の軽鎖CDRのバリアントを含む。ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号8である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号8であるLCRD1を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号9である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号9であるLCDR2を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号10である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号10であるLCDR3を含むことができる。
【0079】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
【0080】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7のVLアミノ酸配列を含む抗体VLド
メインを含む。
【0081】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号94のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
【0082】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号95のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
【0083】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、および96のうちのいずれか1つの、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3ドメインを含む抗体VHドメイン、または最高1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換、例えば、保存的アミノ酸置換を有するこれらのバリアントを含む。
【0084】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、および97のうちのいずれか1つの、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3ドメインを含む抗体VLドメイン、または最高1、2、3、4、5個、もしくはそれを超えるアミノ酸置換、例えば、保存的アミノ酸置換を有するこれらのバリアントを含む。
【0085】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、および96のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、および96のうちのいずれか1つのVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
【0086】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、および97のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、および97のうちのいずれか1つのVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
【0087】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、NGF-NGのHCDR1、HCDR2、およびHCDR3ドメインを含む抗体VHドメイン、最高1、2、3、4、5、またはそれを超える保存的アミノ酸置換などのアミノ酸置換を有するNGF-NG重鎖CDRのバリアントを含む。例えば、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号88である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号88であるHCDR1を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号89である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号89であるHCDR2を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号90である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号90であるHCDR3を含むことができる。
【0088】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、NGF-NGのLCDR1、LCDR2、およびLCDR3ドメインを含む抗体VLドメイン、最高1、2、3、4、5、またはそれを超える保存的アミノ酸置換などのアミノ酸置換を有するNGF-NG軽鎖CDRのバリアントを含む。ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号91である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号91であるLCDR1を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号92である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号92であるLCDR2を含むことができる。同様に、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、アミノ酸配列が正確に配列番号93である、またはアミノ酸配列が1つもしくはそれ以上の、例えば、1、2、3、4、5、もしくはそれを超えるアミノ酸置換を有する配列番号93であるLCDR3を含むことができる。
【0089】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号24のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号24のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
【0090】
ある態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。いくつかの態様において、抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号26のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
【0091】
多機能性ポリペプチド、例えば本開示が提供する多特異的結合性分子は、完全な抗NGF抗体、すなわち、H2L2フォーマットにおける2本の完全な重鎖および2本の完全な軽鎖を含む抗体を含むことができる。抗NGF抗体が完全な抗体である場合、1つまたはそれ以上のTNFαアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体の1つもしくはそれ以上の重鎖のN末端もしくはC末端に、または抗NGF抗体の1つもしくはそれ以上の軽鎖のN末端もしくはC末端に融合することができる。あるいは、多機能性ポリペプチド、例えば本開示が提供する多特異的結合性分子は、抗NGF抗体の抗原結合性フラグメントを含むことができる。ある態様において、抗NGF抗体フラグメントは、抗体の定常ドメインの任意のポーションを含むことができ、または可変ドメインだけを含むことができる。多特異的結合性分子などの二機能性ポリペプチドに含まれるための、例示的な抗NGF抗体フ
ラグメントには、それだけには限定されないが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、または単鎖Fv(scFv)フラグメントが含まれる。
【0092】
本明細書に提供するある例示的な組成物において、抗NGF抗体は、scFvフラグメント、例えば、MEDI-578のscFvフラグメント、またはそのNGF結合性バリアントである。本明細書に提供するある例示的な組成物において、抗NGF抗体は、scFvフラグメント、例えば、NGF-NGのscFvフラグメント、またはそのNGF結合性バリアントである。抗NGF scFvポリペプチドは、VHおよびVLドメインを、N-VH-VL-CまたはN-VL-VH-Cいずれかの任意の順序で含むことができる。scFv分子は典型的には、VHおよびVLドメインが柔軟なリンカーを介して接続されるように操作される。様々なリンカーを含めた例示的なscFv構造は、両方ともその全文を参照によって本明細書に組み入れる、Dimasi,N.ら、J Mol Biol.、393:672~92頁(2009)、およびPCT公開第WO2013/070565に見出すことができる。当業者には理解される通り、scFv抗体フラグメントは、標準のFabのコンフォメーションに存在する可変ドメインに比べて安定性が低下し得る。いくつかの態様において、scFvは、安定化の変異を導入することにより、または鎖間ジスルフィド結合(複数可)(例えば、SS-安定化)を導入することにより、構造的に安定化することができる。しかし、安定化の変異および/または鎖間ジスルフィド結合の導入は必要とされず、ある態様においては存在しない。数々の、当技術分野が認める方法が、scFvポリペプチドを安定化するのに利用可能である。
【0093】
本明細書に提供する二機能性ポリペプチドのドメイン/領域を繋ぐのにリンカーを用いることができる。リンカーは、二機能性分子のNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを接続するのに用いることができ、scFvの可変重鎖および軽鎖を相互接続するのにも用いることができる。リンカーの例示的な、非限定的な例として、少なくとも4個の残基を含むポリペプチド鎖がある。このようなリンカーのポーションは、柔軟で、親水性であり、自身(リンカーポーションもしくは柔軟なリンカーポーション)の2次構造を殆どまたは全く有し得ない。二機能性ポリペプチド分子を組み立てた後、アミノ酸少なくとも4個のリンカーを用いて、相互に近く位置付けられるドメインおよび/または領域を繋げることができる。より長いリンカーも用いることができる。よって、リンカーは、残基約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50個であってよい。リンカーはまた、例えば、残基約100~175個でもよい。多数のリンカーを用いて二機能性ポリペプチド分子のポーションを相互接続する場合、リンカーは同じでも、または異なってもよい(例えば、同じもしくは異なる長さおよび/もしくはアミノ酸配列)。
【0094】
二機能性ポリペプチド分子におけるリンカー(複数可)は、所望の構造の形成を促進する。リンカーは、(Gly-Ser)n残基(式中、nは少なくとも1、2、および最高例えば3、4、5、6、10、20、50、100、もしくはそれを超える整数である)を含むことができ、いくつかのGluまたはLys残基が全体にわたって分散されて可溶性を増大する。あるいは、リンカーがO-連結グリコシル化に供される場合など、ある種のリンカーはいかなるセリン残基を含まない。いくつかの態様において、例えば、リンカーの二量体化を用いて二機能性ポリペプチドのドメインを適切にフォールディングされた立体配置にする場合、リンカーはシステイン残基を含むことができる。いくつかの態様において、二機能性ポリペプチドは、ポリペプチドのドメインを繋ぐポリペプチドリンカーを少なくとも1、2、3、4個、またはそれを超えて含むことができる。
【0095】
いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは、残基1~50個、残基1~25個
、残基25~50個、または残基30~50個を含むことができる。いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは、Fc部分のポーションを含むことができる。例えば、いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは、IgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4抗体の免疫グロブリンヒンジドメインのポーション、またはこれらのバリアントを含むことができる。
【0096】
いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは、gly-serリンカーを含むことができ、またはgly-serリンカーからなっていてもよい。本明細書で用いる「gly-serリンカー」の語は、グリシン残基およびセリン残基からなるペプチドを意味する。例示的なgly-serリンカーは、式(Gly4Ser)nのアミノ酸配列を含み、式中、nは、少なくとも1、2、および最高、例えば、3、4、5、6、10、20、50、100、またはそれを超える整数である。いくつかの態様において、ポリペプチドリンカーは、ヒンジ領域(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4分子に由来する)の少なくともポーション、および一連のgly-serアミノ酸残基(例えば、(Gly4Ser)nなどのgly-serリンカー)を含むことができる。
【0097】
多機能性ポリペプチド、例えば多特異的結合性分子がscFvを含む場合、柔軟なリンカーはscFvの重鎖および軽鎖を接続することができる。この柔軟なリンカーは一般的にヒンジポーションを含まないが、むしろgly-serリンカーまたは他の柔軟なリンカーである。scFvのドメインを相互接続する柔軟なリンカーの長さおよびアミノ酸配列は、容易に選択し、最適化することができる。
【0098】
ある態様において、多機能性ポリペプチド、例えば多特異的結合性分子は、抗NGF scFvフラグメントを含むことができ、このフラグメントは、N末端からC末端へ、VH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3、およびVLを含む。ある実施形態において、scFvのVHおよびVLを繋ぐリンカーは、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4である。ある態様において、VHは配列番号3のアミノ酸配列を含む。ある態様において、VLは配列番号7のアミノ酸配列を含む。ある態様において、VHは、配列番号24、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、94、および96のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。ある態様において、VLは、配列番号26、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、95、および97のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。ある態様において、VHドメインは、配列番号3、24、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、94、および96のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。ある態様において、VLドメインは、配列番号7、26、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、95、および97のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のアミノ酸配列を含む。
【0099】
他の態様において、ポリペプチドの安定性は、VHおよびVLドメイン内のある種の残基をシステイン残基に修飾することにより、VHドメインとVLドメインとの間に鎖間ジスルフィド結合を付加することにより改善することができる。例えば、Michaelson,J.S.ら(2009)MAbs 1、128~41頁;Brinkmann,U
.ら、(1993)Proc Natl Acad Sci USA、90、7538~42頁;Young,N.M.ら、(1995)FEBS Lett、377、135~9頁を参照されたい。例えば、VLの100、101、または102位のグリシン残基をシステイン残基に修飾することができ、VHの44位のグリシン残基をシステイン残基に修飾することができる。
【0100】
多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的分子は、TNFαアンタゴニストドメインを含むことができる。ある態様において、TNFαアンタゴニストドメインは、細胞の表面上でTNF受容体(TNFR)に対するTNFαの結合を阻害し、それによりTNF活性をブロックすることができる。
【0101】
ある態様において、本明細書に提供する多機能性ポリペプチドのTNFαアンタゴニストドメインは、抗TNFα抗体またはその抗原結合性フラグメントである。ある態様において、抗TNFα抗体は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、またはこれらのあらゆる抗体の抗原結合性フラグメントである。
【0102】
ある態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、抗TNFα抗体であるインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのうちのいずれか、またはこれらのうちのいずれかの抗体の抗原結合性フラグメントよりも高い親和性でTNFαを競合的に阻害することができ、またはTNFαに結合することができるのと同じエピトープに結合する。ある態様において、抗TNFα抗体は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブ、またはこれらのうちのいずれかの抗体の抗原結合性フラグメントである。これら抗TNFα抗体の構造および配列は、本明細書に記載する通り、必要以上の実験をせずに、当業者には容易に入手でき、多機能性ポリペプチド、例えば多特異的結合性分子に含まれ得る。多機能性ポリペプチドに含まれる抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、例えば、ヒト化、キメラ、霊長類化、または完全ヒトであってよい。
【0103】
ある態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのHCDR1、HCDR2、およびHCDR3ドメインを含む抗体VHドメイン、または最高1、2、3、4、5個、もしくはそれを超える保存的アミノ酸置換などのアミノ酸置換を有する、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブの重鎖CDRのバリアントを含む。
【0104】
ある態様において、抗NFα抗体またはそのフラグメントは、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのLCDR1、LCDR2、およびLCDR3ドメインを含む抗体VLドメイン、または最高1、2、3、4、5個、もしくはそれを超える保存的アミノ酸置換などのアミノ酸置換を有するインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブの重鎖CDRのバリアントを含む。
【0105】
ある態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのVHアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
【0106】
ある態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、インフリキシマブ、ア
ダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのVLアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。いくつかの態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブのVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
【0107】
ある態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、配列番号28のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、配列番号28のVHアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。
【0108】
ある態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一のVLアミノ酸配列を含む抗体VHドメインを含む。いくつかの態様において、抗TNFα抗体またはそのフラグメントは、配列番号29のVLアミノ酸配列を含む抗体VLドメインを含む。
【0109】
多機能性ポリペプチド、例えば、本開示が提供する多特異的結合性分子は、完全な抗TNFα抗体、すなわち、H2L2フォーマットにおける2本の完全な重鎖および2本の完全な軽鎖を含む抗体を含むことができる。抗TNFα抗体が完全な抗体である場合、1つまたはそれ以上のNGFアンタゴニストドメインは、抗TNFα抗体の1つもしくはそれ以上の重鎖のN末端もしくはC末端に、または抗TNFα抗体の1つもしくはそれ以上の軽鎖のN末端もしくはC末端に融合することができる。あるいは、多機能性ポリペプチド、例えば本開示が提供する多特異的結合性分子は、抗TNFα抗体の抗原結合性フラグメントを含むことができる。ある態様において、抗TNFα抗体フラグメントは、抗体の定常ドメインの任意のポーションを含むことができ、または可変ドメインだけを含むことができる。多機能性ポリペプチドに含まれるための、例示的な抗TNFα抗体フラグメントには、それだけには限定されないが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)2フラグメント、または単鎖Fv(scFv)フラグメントが含まれる。
【0110】
いくつかの態様において、多機能性分子はヌディマブvarBであり、これは完全な抗TNFα抗体を含む分子であり、すなわちMEDI-578 scFvが抗TNFα抗体の重鎖のC末端に融合している、H2L2フォーマットにおける2本の完全な重鎖および2本の完全な軽鎖を含む抗体である。ヌディマブvarBは、配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの態様において、二機能性分子は、配列番号20と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号22と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0111】
ある態様において、抗TNFα抗体は、scFvフラグメント、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、もしくはゴリムマブに由来するscFvフラグメント、またはそのTNFα結合性バリアントである。抗TNFα scFvポリペプチドは、VHおよびVLドメインを、N-VH-VL-CまたはN-VL-VH-Cいずれかの任意の順序で含むことができる。scFv分子は典型的には、VHおよびVLドメインが柔軟なリンカーを介して接続されるように操作されており、上記に記載した通り、数々の異なる構造を想定することができる。抗TNFα scFvポリペプチドは、やはり上記に記載した通りに安定化することができる。
【0112】
ある態様において、TNFαアンタゴニストは、TNFR-1またはTNFR-2などのTNF受容体のTNFα結合性可溶性フラグメント、またはそれらのバリアント、またはそれらの可溶性フラグメントである。ある態様において、TNFR-1の可溶性フラグメントは55kDフラグメントである。ある実施形態において、TNFR-2の可溶性フラグメントは75kDフラグメントである。ある態様において、TNF受容体フラグメントは、異種ポリペプチド、例えば免疫グロブリンFcフラグメント、例えばIgG1Fcドメインに融合している。ある態様において、TNFαアンタゴニストは、配列番号13に記載するアミノ酸、またはそのTNFα結合性フラグメントを含む。TNFR-2ポーションは、配列番号13のアミノ酸1から235を含む。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントのバリアントは、配列番号13のアミノ酸1から235と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントのバリアントは、例えば、アミノ酸1、2、3、4、5、10、20、40、または50個の挿入、置換、または欠失を除いて、配列番号13のアミノ酸1から235を含む。IgG1Fcポーションは、配列番号13のアミノ酸236から467を含む。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントは、任意のヒトもしくは非ヒト抗体のFcポーションに、または安定性を提供する任意の他のタンパク質もしくは非タンパク質物質、例えば、アルブミンもしくはポリエチレングリコールに融合していてもよい。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントのバリアントは、配列番号13のアミノ酸236から467と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントのバリアントは、例えば、アミノ酸1、2、3、4、5、10、20、40、または50個の挿入、置換、または欠失を除いて配列番号13のアミノ酸236から467を含む。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントのバリアントは、配列番号13と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を含む。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントのバリアントは、例えば、アミノ酸1、2、3、4、5、10、20、20、40、または50個の挿入、置換、または欠失を除いて配列番号13を含む。
【0113】
ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントは、単鎖融合タンパク質である。ある態様において、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントは、例えば、2つのFcドメイン間のジスルフィド結合を介して会合している2つの融合タンパク質のダイマーである。
【0114】
本明細書に提供する多機能性ポリペプチド、例えば多特異的結合性分子は、様々な異なる構造およびコンフォメーションを有することができる。一態様において、本明細書に提供する多機能性ポリペプチドは、上記に記載した通りNGFアンタゴニストドメインが、上記に記載した通りTNFαアンタゴニストドメインに、柔軟なリンカーを介して融合している、融合タンパク質を含む。リンカーの例を本明細書他所に記載する。ある態様において、多機能性ポリペプチドは、融合タンパク質のホモ二量体を含む。
【0115】
例示的な一態様において、NGFアンタゴニストは、MEDI-578などに由来する抗NGF scFvドメインであり、TNFαアンタゴニストは可溶性であり、TNFR-2のTNFα結合性可溶性フラグメントは、そのカルボキシ末端で免疫グロブリンFcドメインに融合している、多機能性ポリペプチドを提供する。抗NGF scFvは、いくつかの態様において、免疫グロブリンFcドメインのカルボキシ末端に、リンカーを介して融合し得る。ある態様において、この多機能性ポリペプチドのモノマーは、各サブユニットが、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、
ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号3のアミノ酸配列を含む抗NGF VH、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3(配列番号15)、および配列番号7のアミノ酸配列を含む抗NGF VLを含む、ホモ二量体を形成する。一態様において、多機能性ポリペプチドは、TNFR2-Fc_VH#4であり、これは配列番号14のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。いくつかの態様において、多機能性ポリペプチドは、配列番号14と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
【0116】
別の例示的な一態様において、多機能性ポリペプチドは、N末端からC末端へ、TNFR-2のTNFα結合性75kDフラグメント、ヒトIgG1Fcドメイン、アミノ酸10個のリンカー(GGGGS)2(配列番号98)、配列番号94のアミノ酸配列を含む抗NGF VH、アミノ酸20個のリンカー配列(GGGGS)4(配列番号19)、および配列番号95のアミノ酸配列を含む抗NGF VLを含む。いくつかの態様において、多機能性ポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む、TNFR2-Fc_varBである。いくつかの態様において、多機能性ポリペプチドは、配列番号17と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一であるアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドのホモ二量体を含む。
【0117】
ポリペプチド
本明細書に提供するポリペプチド、例えば、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多機能性ポリペプチド、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドは、天然のポリペプチドに由来する組換えポリペプチドでも、または合成のポリペプチドでもよい。当技術分野において、いくつかのアミノ酸配列は、タンパク質の構造または機能の大幅な影響なく変動し得ることが認識されよう。よって、本開示は、実質的な活性を有する、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む、本明細書に提供するポリペプチドのバリエーションをさらに提供する。このような変異体は、欠失、挿入、逆位(inversion)、反復、および型置換(type substitution)を含む。
【0118】
ポリペプチドおよび類似体を、通常タンパク質の一部ではない付加的な化学部分を含むようにさらに修飾してもよい。これら誘導体化した部分は、タンパク質の溶解性、生物学的半減期、または吸収を改善することができる。部分はまた、タンパク質などのあらゆる所望の副作用を低減または除去することができる。これらの部分に対する概要は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第20版、Mack Publishing Co.、Easton、PA(2000)に見出すことができる。
【0119】
ある態様において、本明細書に提供する多機能性ポリペプチドは、抗体ではないNGFまたはTNFα結合性ドメインを含むことができる。タンパク質の標的に対して高親和性で結合する非抗体ポリペプチドを同定し、生成するための様々な方法が、当技術分野において知られている。例えば、各々その全文を参照によって本明細書に組み入れる、Skerra、Curr.Opin.Biotechnol.、18:295~304頁(2007)、Hosseら、Protein Science、15:14~27頁(2006)、Gillら、Curr.Opin.Biotechnol.、17:653~658頁(2006)、Nygren、FEBS J.、275:2668~76頁(2008)、およびSkerra、FEBS J.、275:2677~83頁(2008)を参照されたい。ある態様において、ファージディスプレイ技術を用いて、適切な多機能性
ポリペプチドを同定/生成することができる。ある態様において、多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子は、プロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサスリピートドメイン、およびチオレドキシンからなる群から選択されるタイプのタンパク質骨格を含むことができる。
【0120】
ポリヌクレオチド、ベクター、および宿主細胞
本開示は、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多機能性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を提供する。本開示は、NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子をさらに提供する。ある態様において、このようなポリヌクレオチドは、NGFまたはそのフラグメントに特異的に結合し、TNFαまたはそのフラグメントにも結合する、ペプチドドメインをコードする。例えば、本開示は、抗NGF抗体またはその抗原結合性フラグメントを含むポリペプチドドメイン、およびTNFαアンタゴニスト(例えば、抗TNFα抗体またはその抗原結合性フラグメント、もしくはTNFR2などのTNF受容体の可溶性TNFα結合性ポーション)を含むポリペプチドドメインをコードするポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、RNAの形態でも、またはDNAの形態でもよい。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、および合成DNAを含み;二本鎖でも、または一本鎖でもよく、一本鎖である場合はコード鎖でも、または非コード(アンチセンス)鎖でもよい。
【0121】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する多機能性ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、配列番号16、18、もしくは99のヌクレオチド配列、またはこれらのフラグメント、または配列番号16、18、もしくは99と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一の配列、またはこれらのフラグメントを含む。
【0122】
本明細書に記載する単離されたポリペプチドは、当技術分野では知られている任意の適切な方法により生成することができる。このような方法は、直接的なタンパク質合成方法から、単離されたポリペプチド配列をコードするDNA配列を構築し、適切な形質転換した宿主においてこれらの配列を発現させる方法までの範囲である。いくつかの態様において、DNA配列は、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多機能性ポリペプチド、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするDNA配列を、単離し、または合成することによって組換え技術を用いて構築する。したがって、本開示は、上記に詳しく記載した、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む二機能性ポリペプチドコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドをさらに提供する。
【0123】
いくつかの態様において、対象の多特異的結合性分子などの多機能性ポリペプチド、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成機を用いて化学合成により構築することができる。このようなオリゴヌクレオチドは、所望の多機能性ポリペプチドのアミノ酸配列をベースにし、対象の組換えポリペプチドを生成させる宿主細胞において好ましいコドンを選択して、デザインすることができる。標準的な方法を適用して、対象の多機能性ポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列を用いて、バックトランスレートされた(back-translated)遺伝子を構築することができる。さらに、特定の多機能性ポリペプチドまたは個々のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドのポーションをコ
ードする小型のオリゴヌクレオチドをいくつか合成し、次いでライゲーションすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは、相補性を組み立てるために5’または3’オーバーハングを含むのが典型的である。
【0124】
ある態様において、本明細書に提供するポリペプチドは、コードされたポリペプチドの精製などを可能にするマーカー配列に対して、同じリーディングフレームにおいて融合している、成熟ポリペプチドに対するコード配列を含むことができる。例えば、マーカー配列は、細菌の宿主の場合、マーカーに融合している成熟ポリペプチドを精製するために提供される、pQE-9ベクターによって供給されるヘキサ-ヒスチジンタグであってよく、またはマーカー配列は、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)を用いる場合、インフルエンザのヘマグルチニンタンパク質に由来するヘマグルチニン(HA)タグであってもよい。
【0125】
本明細書に提供するポリヌクレオチドは、コード領域、非コード領域、または両方における改変をさらに含むことができる。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドバリアントは、サイレントの置換、付加、または欠失を生成する改変を含むが、コードされるポリペプチドの性質または活性を改変しない。いくつかの態様において、ヌクレオチドバリアントは、遺伝コードの縮重のため、サイレント置換によって生成される。ポリヌクレオチドバリアントは、特定の宿主に対してコドン発現を最適化する(ヒトmRNAにおけるコドンを、E.coli(大腸菌)などの細菌の宿主が好むコドンに変化させる)などの様々な理由で、生成することができる。
【0126】
本明細書に記載するポリヌクレオチドを含むベクターおよび細胞も提供する。組立て(合成、部位特異的変異誘発、または別の方法による)後、特定の単離された対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、発現ベクター中に挿入し、所望の宿主中でタンパク質を発現させるのに好適な発現制御配列に作動可能に連結してもよい。本開示はこのようなベクターを提供する。ヌクレオチドシーケンシング、制限酵素切断マッピング、および適切な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現により、適切な組立てを確認することができる。当技術分野ではよく知られている通り、宿主において高発現レベルのトランスフェクトされた遺伝子を得るために、遺伝子は、選ばれた発現宿主において機能的である、転写および翻訳の発現制御配列に作動可能に連結していなければならない。
【0127】
ある態様において、組換え発現ベクターを用いて、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多特異的結合性分子などの多機能性ポリペプチド、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードするDNAを、増幅し、発現させることができる。組換え発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫の遺伝子に由来する適切な転写または翻訳調節エレメントに作動可能に連結している、多機能性ポリペプチド、またはNGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインをそれぞれ含む個々のポリペプチドをコードする、合成またはcDNA由来のDNAフラグメントを有する、複製可能なDNA構築物である。転写単位は一般的に、以下に詳しく記載する通り、(1)遺伝子発現において制御の役割を有する遺伝子エレメント(単数もしくは複数)、例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー、(2)mRNAに転写され、タンパク質に翻訳される、構造またはコード配列、ならびに(3)好適な転写および翻訳の開始および終結の配列の組立てを含む。このような調節エレメントは、転写を制御するためのオペレーター配列を含むことができる。複製開始点によって通常付与される、宿主において複製する能力、および形質転換体の認識を促進するための選択遺伝子を、さらに組み入れてもよい。DNA領域は、これらが相互に機能的に関連する場合、作動可能に連結されている。例えば、シグナルペプチドのためのDNA(分泌リーダー)は、ポリペプチドの
分泌に関与する前駆体として発現される場合、ポリペプチドのためのDNAに作動可能に連結されており;プロモーターは、配列の転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結されており;またはリボソーム結合性部位は、翻訳を可能にするように位置付けられる場合、コード配列に作動可能に連結されている。イースト発現系における使用を意図する構造エレメントは、宿主細胞によって翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。あるいは、組換えタンパク質は、リーダーまたは輸送配列なしで発現される場合、N末端のメチオニン残基を含むことができる。この残基は、発現された組換えタンパク質から場合により引き続き切断されて、最終生成物を生ずる。
【0128】
発現制御配列および発現ベクターの選択は、宿主の選択に依存する。広範囲の発現宿主/ベクターの組合せを用いることができる。真核生物の宿主に有用な発現ベクターには、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、およびサイトメガロウイルスからの発現制御配列を含むベクターが含まれる。細菌の宿主に有用な発現ベクターには、知られている細菌のプラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9およびこれらの誘導体を含めた大腸菌からのプラスミド、広範囲の宿主のプラスミド、例えば、M13、および一本鎖DNA繊維状ファージが含まれる。
【0129】
本開示は、本明細書に提供するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞をさらに提供する。本明細書に提供するポリペプチドの発現に適する宿主細胞には、好適なプロモーターの制御下の、原核生物、イースト、昆虫、または高次の真核細胞が含まれる。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性の生物体、例えば、大腸菌または桿菌が含まれる。高次の真核細胞には、以下に記載する通り、哺乳動物起源の確立された細胞株が含まれる。細胞フリーの翻訳系も用いることができる。細菌、真菌、イースト、および哺乳動物の細胞宿主と用いるのに好適なクローニングベクターおよび発現ベクターは、その関連の開示を参照によって本明細書に組み入れる、Pouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual、Elsevier、N.Y.、1985年)によって記載されている。抗体生成を含めたタンパク質生成方法に関するさらなる情報は、例えば、各々その全文を参照によって本明細書に組み入れる、米国特許公開第2008/0187954号、米国特許第6,413,746号および第6,660,501号、ならびに国際特許公開第WO04009823号に見出すことができる。
【0130】
様々な哺乳動物または昆虫の細胞培養系を用いて、組換えタンパク質を発現させることができるのも有利である。組換えタンパク質は一般的に、正確にフォールディングされ、適切に修飾され、完全に機能的であるため、組換えタンパク質の発現を哺乳動物細胞において行うことができる。適切な哺乳動物宿主細胞株の例には、Gluzman(Cell、23:175頁、1981)によって記載されている、HEK-293およびHEK-293T、サル腎細胞のCOS-7系、ならびに例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、HeLa、およびBHK細胞株を含めた他の細胞株が含まれる。哺乳動物発現ベクターは、非転写エレメント、例えば、複写開始点、発現させようとする遺伝子に連結されている適切なプロモーターおよびエンハンサー、ならびに他の5’または3’に隣接する非転写配列、ならびに5’または3’非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合性部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプタ部位、ならびに転写終結配列を含むことができる。昆虫細胞において異種タンパク質を生成させるためのバキュロウイルス系は、LuckowおよびSummers、Bio/Technology、6:47頁(1988)によって概説されている。
【0131】
本開示は、本明細書に記載する多機能性ポリペプチドを生成する方法、またはNGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストをそれぞれ含む個々のポリペプチドを生成するための方法をさらに提供する。本方法は、上記に記載した宿主細胞を、多機能性ポリペ
プチドまたは個々のポリペプチドの発現を促進する条件下で培養し、多機能性ポリペプチドまたは個々のポリペプチドを回収することを伴う。
【0132】
組換えタンパク質を長期に高収率で生成するには、安定な発現が好適である。例えば、多機能性ポリペプチドを安定して発現する細胞株を操作してもよい。ウイルスの複製開始点を含む発現ベクターを用いるよりむしろ、宿主細胞を、好適な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写終結因子、ポリアデニル化部位など)によって制御されるDNA、および選択マーカーで形質転換してもよい。外来のDNAを導入した後、操作した細胞を、濃縮培地(enriched media)中で1~2日間増殖させてもよく、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミドにおける選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞が、プラスミドを細胞の染色体に安定して組み入れ、成長して増殖巣を形成できるようにし、ひいては増殖巣をクローニングし、拡大して細胞株とすることができる。この方法を用いて、多機能性ポリペプチドを発現する細胞株を操作してもよい。
【0133】
ある実施形態において、本明細書に表す多機能性ポリペプチドを、多機能性ポリペプチドを一過性に発現させる細胞株において発現させる。一過性のトランスフェクションは、細胞株中に導入された核酸は、その細胞のゲノムDNAまたは染色体DNA中に組み入れられないが、細胞中でエピソームなどの染色体外エレメントとして維持されるプロセスである。エピソームの核酸の転写プロセスは影響を受けず、エピソームの核酸によってコードされるタンパク質が生成される。
【0134】
安定な、または一過性にトランスフェクトされたいずれかの細胞株は、ポリペプチドの発現および生成をもたらす、当技術分野では知られている細胞培養培地中および条件下で維持される。ある実施形態において、哺乳動物細胞の培養培地は、DMEMまたはHamF12などを含めた、市販の培地製剤をベースとする。いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、細胞の成長および生物学的タンパク質の発現の両方における増大を支持するように修飾される。本明細書で用いる「細胞培養培地」、「培養培地」、および「培地製剤」の語は、多細胞生物または組織の外側の人工的なin vitro環境において、細胞を維持、成長、繁殖、または拡大するための栄養溶液を意味する。細胞培養培地を、例えば、細胞の成長を促進するように調合する細胞培養成長培地、または組換えタンパク質生成を促進するように調合する細胞培養生成培地を含めた、特定の細胞培養の使用に最適化してもよい。栄養、成分、および構成成分の語は交換可能に用いて、細胞培養培地を作り上げる構成要素を意味し得る。
【0135】
様々な実施形態において、細胞株は、流加法を用いて維持される。本明細書で用いる「流加法」は、最初に基本培地でインキュベートした後、流加細胞培養物を、さらなる栄養とともに供給する方法を意味する。例えば、流加法は、所与の期間内の決定された補給計画にしたがって、補充の培地を加えることを含むことができる。よって「流加細胞培養」は、典型的には哺乳動物の細胞および培養培地を培養容器に最初に補充し、培養中に、周期的に細胞および/または生成物を回収し、または回収せずに、さらなる培養栄養素を培養物に、連続的に、また何回かに分けて補給した後、培養を終了する細胞培養を意味する。
【0136】
いくつかの実施形態において、細胞培養培地は、基礎培地、および基礎培地の改変をもたらす、少なくとも1つの加水分解産物、例えば、ダイズベースの、加水分解産物、イーストベースの加水分解産物、または2タイプの加水分解産物の組合せを含む。さらなる栄養素はときに、濃縮基礎培地など、基礎培地のみを含むことができ、または加水分解産物のみ、もしくは濃縮した加水分解産物を含むことができる。適切な基礎培地には、それだけには限定されないが、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、DME/F12、最
小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、RPMI 1640、F-10、F-12、アルファ最小必須培地(α-MEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、PF CHO(例えば、CHO無タンパク質培地(Sigma)、またはEX-CELL(商標)325 PF CHO無血清培地CHO細胞用無タンパク質(SAFC Bioscience)、およびイスコフ改変ダルベッコ培地を参照されたい)が含まれる。本明細書の技術において用いることができる基礎培地の他の例には、BME基礎培地(Gibco-Invitrogen;ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、粉末)(Gibco-Invitrogen(#31600))が含まれる。
【0137】
ある実施形態において、基礎培地は無血清であってよく、これは培地が血清(例えば、ウシ胎児血清(FBS)、ウマ血清、ヤギ血清、もしくは当業者には知られているいずれの他の動物由来の血清)も含まない、または動物タンパク質を含まない培地、または既知組成培地であることを意味する。
【0138】
基礎培地を、様々な無機および有機のバッファー、界面活性剤(複数可)、および塩化ナトリウムなど、標準の基礎培地に見出されるある種の非栄養成分を除去するために、修飾してもよい。このような構成成分を基礎細胞培地から除去することで、残りの栄養成分の濃度が増大し、全体的な細胞の成長およびタンパク質発現が改善し得る。加えて、省略した構成成分を、細胞培養条件の必要性にしたがって、修飾した基礎細胞培地を含む細胞培養培地に戻し加えてもよい。ある実施形態において、細胞培養培地は、修飾した基礎細胞培地、および少なくとも1つの以下の栄養素、鉄源、組換え成長因子;バッファー;界面活性剤;浸透圧調節剤;エネルギー源;および非動物性加水分解産物を含む。加えて、修飾した基礎細胞培地は、場合により、アミノ酸、ビタミン、またはアミノ酸およびビタミン両方の組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、修飾した基礎培地は、L-グルタミンなどのグルタミン、および/またはメトトレキセートをさらに含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、タンパク質の生成は、当技術分野では知られている、流加、バッチ、還流、または持続的なフィードバイオリアクター方法を用いた、バイオリアクタープロセスによって大量に行われる。大規模なバイオリアクターは、容量少なくとも50Lリットル、ときに約500リットルを超え、または1000から100000リットルの容量を有する。これらのバイオリアクターは攪拌機の羽根車を用いて酸素および栄養を分配することができる。小規模のバイオリアクターは一般的に、容積およそ100リットルを超えない細胞の培養を意味し、約1リットルから約100リットルの範囲であり得る。あるいは、単回使用のバイオリアクター(SUB)を、大規模または小規模いずれかの培養に用いてもよい。
【0140】
温度、pH、撹拌、通気、および接種密度は、用いる宿主細胞、および発現させようとする組換えタンパク質に応じて変動し得る。例えば、組換えタンパク質細胞培養物を、30℃から45℃の間の温度に維持してもよい。培養培地のpHを、pHが最適レベルにあるように、培養プロセスの間モニタリングしてもよく、最適レベルのpHはある種の宿主細胞に対して、6.0から8.0のpH範囲内であってよい。羽根車が駆動する混合を、このような培養方法に、撹拌のために用いてもよい。羽根車の回転速度は、尖端速度およそ50から200cm/秒であり得るが、当技術分野では知られている他のエアリフトまたは他の混合/通気系を、培養中の宿主細胞のタイプに応じて用いてもよい。さらにまた、選択した培養中の宿主細胞に応じて、培養物中溶解酸素濃度およそ20%から80%の空気飽和を維持するように、十分な通気を供給する。あるいは、バイオリアクターは、空気または酸素を、培養培地中に直接散布し得る。中空糸膜通気装置を用いるバブルフリー通気システムを含めた、酸素を供給する他の方法が存在する。
【0141】
タンパク質の精製
上記に記載した通り形質転換された宿主が生成したタンパク質を、任意の適切な方法にしたがって精製することができる。このような標準的な方法には、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはタンパク質を精製するためのあらゆる他の標準的な技術によるものが含まれる。アフィニティタグ、例えば、ヘキサヒスチジン、マルトース結合性ドメイン、インフルエンザコート配列、およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼをタンパク質に付着させて、好適なアフィニティカラム上を通過させることにより、容易に精製することができる。単離したタンパク質を、タンパク質分解、核磁気共鳴分析法、およびエックス線結晶構造解析などの技術を用いて、物理的に特徴付けることもできる。
【0142】
例えば、組換えタンパク質を培養培地中に分泌する系からの上清を、AmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニットなどの市販のタンパク質濃縮フィルターを用いて最初に濃縮することができる。濃縮工程後、濃縮物を適切な精製マトリクスに適用することができる。あるいは、ペンダントのジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリクスまたは基質などの陰イオン交換樹脂を用いることができる。マトリクスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、またはタンパク質精製において一般的に用いる他のタイプであってよい。あるいは、陽イオン交換工程を用いることができる。適切な陽イオン交換物質には、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリクスが含まれる。最後に、疎水性RP-HPLC媒体、例えば、ペンダントのメチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲルを用いた1つまたはそれ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)工程を用いて、NGF結合性薬剤をさらに精製することができる。様々な組合せの、いくつかの、または全ての前述の精製工程をやはり用いて、均一な組換えタンパク質を提供することができる。
【0143】
細菌培養物において生成された組換えタンパク質を、例えば、細胞ペレットから最初に抽出し、引き続き濃縮、塩析、水性イオン交換、またはサイズ排除クロマトグラフィー工程の1つまたはそれ以上によって単離することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、最終の精製工程に用いることができる。組換えタンパク質の発現において使用した微生物細胞を、凍結-溶解サイクル、超音波、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含めた、任意の便利な方法によって破壊することができる。
【0144】
組換えポリペプチドを精製するのに当技術分野において知られている方法は、例えば、各々その全文を参照によって本明細書に組み入れる、米国特許公開第2008/0312425号、第2008/0177048号、および第2009/0187005号に記載されているものも含む。
【0145】
使用方法および医薬組成物
本開示は、治療有効量のTNFαおよびNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子を投与することを含み、またはTNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストを同時投与することを含む、対象における疼痛をコントロールまたは処置するための方法を提供する。ある態様において、対象はヒトである。
【0146】
本開示は、TNFαおよびNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子を含む、または本明細書に提供するTNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストの組合せを含む医薬組成物をさらに提供する。ある態様において、医薬組成物は、薬学的に許容されるビヒクルをさらに含む。これらの医薬組成物は、疼痛、例えば、神経因性疼痛および炎症性(例えば、骨関節炎または関節リウマチの)疼痛を処置するのに有用である。
【0147】
本明細書に提供するNGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストを含む、多機能性ポリペプチドおよび組成物は、それだけには限定されないが、神経因性疼痛などの疼痛のコントロールまたは処置を含めた様々な適用において有用であり得る。使用する方法は、in vitro法でも、ex vitro法でも、またはin vivo法でもよい。
【0148】
ある態様において、NGF結合性薬剤(例えば、抗体またはポリペプチド)で処置する疾患、障害、または状態は、疼痛に関連する。ある態様において、疼痛は、慢性の侵害受容性疼痛、慢性の腰痛、神経因性疼痛、癌の疼痛、帯状疱疹後神経痛(PHN)、または内臓痛の状態に関連する。
【0149】
本開示は、対象における疼痛をコントロールするための方法であって、疼痛コントロールを必要とする対象に有効量の神経成長因子(NGF)アンタゴニストおよび腫瘍壊死因子(TNFα)アンタゴニストを投与することを含み、投与は、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストよりも効果的に、対象における疼痛をコントロールすることができる。
【0150】
ある態様において、投与は、NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストの、併用治療としての同時投与である。本明細書の他所に論じる通り、個々の成分は、同時に、または逐次的に投与することができる。個々のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストは、本明細書に提供するいずれかのNGFまたはTNFαアンタゴニスト、例えば、可溶性NGF結合性TrkA受容体フラグメント、抗NGF抗体もしくはその抗原結合性フラグメント、TNF受容体の可溶性TNFα結合性フラグメント、例えば、TNFR-2、または抗TNFα抗体もしくはそのフラグメント、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、もしくはこれらのいずれかの抗体の抗原結合性フラグメントであってよい。
【0151】
同時投与は、疼痛をコントロールするのに必要とされる、様々な投与量の各々のアンタゴニストを含むことができる。いくつかの態様において、同時投与は、個々の治療として通常投与するよりも、より低用量、またはより低頻度の用量の各構成成分を含むことができ、それによってさらなる安定性、利便性、および経済性がもたらされる。
【0152】
ある態様において、本明細書に提供する疼痛をコントロールする方法は、多機能性ポリペプチド、例えば、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多特異的結合性分子の投与を含む。本方法において用いるための例示的な多機能性ポリペプチドは、本明細書に詳しく記載するものである。本開示に基づき、本方法において有用なさらなる多機能性ポリペプチドは、当業者には明らかである。
【0153】
単独で投与する構成成分「よりも効果的に」疼痛をコントロールすることは、併用処置が、個々に投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストいずれかよりも疼痛をコントロールするのに効果的であることを意味する。ある態様において、および以下により詳しく記載する通り、本明細書に提供する疼痛をコントロールする方法は、相乗的な効能を提供することができ、例えば、NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニスト両方を投与する効果は、相加効果を超える効果を提供することができ、またはNGFアンタゴニストもTNFαアンタゴニストも個別には効果的ではない場合に効果的であり得る。ある態様において、併用により、用量を節約することができ、例えば、個々の構成成分を同時投与した場合の有効用量は、いずれかの構成成分の個々の有効用量未満であり得る。
【0154】
ある態様において、本明細書に提供する疼痛をコントロールする方法は、対象における
疼痛をコントロールするのに、単独で投与する等量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%効果的である。ある態様において、対象に同時投与する個々のNGFアンタゴニストもしくはTNFαアンタゴニストの用量、または本明細書に提供する二機能性ポリペプチドの投与時に提供される相対的な用量のNGFアンタゴニストまたはTNFαアンタゴニストの用量は、単独で投与する構成成分に必要な用量より、例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%低くてもよい。
【0155】
疼痛のコントロールの効能は、数々の異なるスケールにしたがって経験される疼痛の質および強度を格付けするよう、患者に頼むことによって測定することができる。言語による疼痛のスケールは、言葉を用いて、疼痛なし、軽度の疼痛、中等度の疼痛、および重度の疼痛からの範囲を、各々に0~3からのスコアを割り当てて記載する。あるいは、患者に、0(疼痛なし)から10(可能な最悪の疼痛)までの数値の疼痛スケールにしたがって患者の疼痛を格付けするよう頼んでもよい。視覚的アナログスケール(VAS)上の垂直線または水平線に、疼痛なしから可能な最悪の疼痛までの疼痛を記述する言葉をつけ、患者に、自身の現在の疼痛のレベルを表す点に、線に印をつけるよう頼む。McGill疼痛指標により、患者は、自身の疼痛を最もよく記述する言葉を、叩打(pounding)、灼熱(burning)、締め付け(pinching)などの一連の短いリストから選択することによって、疼痛の質および強度の両方を記述できるようになる。VAS、もしくはFACESなどの数値スケールを用いるのに困難を経験する成人には、または非言語の患者には、行動評価尺度(Behavioural rating scale)などの他の疼痛スケールを用いることができる。機能的活動スコアは、患者に疼痛のある領域に関する課題を実行するよう頼むことにより、患者が自身の疼痛によってどのように妨げられるかに関する。これらのタイプのスケールを用いた疼痛スコアにおける改善は、鎮痛薬の効能における改善を潜在的に示すものである。
【0156】
本明細書に記載する疼痛をコントロールする方法にしたがって、投与は、疼痛のコントロールを必要とする対象における疼痛をコントロールするのに十分であり、例えば、NGFアンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストの同時投与、または多機能性ポリペプチド、例えば、NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む多特異的結合性分子の投与は、対象における疼痛を防ぎ、低減し、軽減し、または除去することができる。ある態様において、疼痛は、急性の疼痛、短期間の疼痛、持続性もしくは慢性の侵害受容性疼痛、または持続性もしくは慢性の神経因性疼痛であってよい。
【0157】
ある態様において、製剤は、TNFαおよびNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子、または本明細書に提供するTNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストの組合せを、薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体、賦形剤)と組み合わせることによって、貯蔵および使用のために調製される(Remington、The Science and Practice of
Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000年)。適切な薬学的に許容されるビヒクルには、それだけには限定されないが、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの非毒性のバッファー;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、アミノ酸残基約10個未満);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタ
ミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート化剤、例えば、EDTA;糖、例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩形成性の対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEENまたはポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
【0158】
本開示の多機能性ポリペプチドは、分子の物理化学的性質および送達経路に応じて、液体、半流動性、または固体形態において調合することができる。製剤は、賦形剤、または賦形剤の組合せ、例えば:糖、アミノ酸、および界面活性剤を含むことができる。液体製剤は、広範囲のポリペプチド濃度およびpHを含むことができる。固体製剤は、例えば超臨界流体技術による、凍結乾燥、噴霧乾燥、または乾燥などによって生成することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載する製剤はいずれも凍結乾燥製剤である。
【0159】
特定の一実施形態において、本開示の多機能性ポリペプチドは、リン酸ナトリウム20mM、L-アルギニン-HCL50mM、ショ糖150mM、0.03%(w/v)ポリソルベート80、pH6.5中に調合される。
【0160】
本明細書に提供する医薬組成物は、局所処置または全身処置のいずれかのための任意の数々の方法において投与することができる。投与は、局所的(例えば、膣および直腸の送達を含めた粘膜へ)、例えば、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤、ならびに粉末剤(powder);肺(例えば、ネブライザーにより含まれる粉末剤もしくはエアロゾル剤の吸入もしくはガス注入;気管内、鼻腔内、上皮、および経皮によって);経口;または静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射もしくは注入を含めた非経口;または頭蓋内(例えば、くも膜下腔内もしくは脳室内)投与であってよい。
【0161】
本明細書に提供するTNFαおよびNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド、または本明細書に提供するTNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストの組合せは、併用医薬製剤、または併用治療としての投薬レジメンにおいて、抗侵害受容性の性質がある第2の(または第3の)化合物とさらに組み合わせることができる。
【0162】
疼痛の処置では、好適な用量のTNFαおよびNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子、または本明細書に提供するTNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストの組合せは、全て処置する医師の裁量の下、処置しようとする疼痛のタイプ、疼痛の重症度および経過、疼痛の応答性、多機能性ポリペプチドまたはポリペプチドの組合せを治療目的で投与するのか、または予防目的で投与するのか、以前の治療法、患者の病歴などによって決まる。多機能性ポリペプチドまたはポリペプチドの組合せは、一度に投与しても、または効果的な疼痛コントロールを維持するように数日から数か月まで続く一連の処置にわたって投与してもよい。最適な投薬計画は、患者の身体における薬物の蓄積を測定することから算出することができ、個々の抗体またはポリペプチドの相対的強度に応じて変動する。投薬する医師は、最適の用量、投薬方法、および反復速度を容易に決定することができる。
【0163】
多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子またはポリペプチドの併用治療の投与は、「相乗作用」を提供し、「相乗的」、すなわち、有効成分を一緒に用いる場合に実現される効果が、化合物を別々に用いることに起因する効果の和を上回ることを証明することができる。相乗効果は、有効成分が:(1)単一の、多機能性融合ポリペプチドとして投与され;(2)組合せの単位剤形製剤において同時に、同時調
合され、投与され、もしくは送達され;(3)別々の製剤として交互に、もしくは並行して送達され;または(4)いくつかの他のレジメンによる場合に達成することができる。交互療法(alternation therapy)において送達する場合は、化合物を逐次的に、例えば、別々のシリンジ中の異なる注射によって投与または送達する場合に相乗効果を達成することができる。一般的に、交互療法の間は有効用量の各有効成分を逐次的に投与するが、併用治療では有効用量の2つ以上の有効成分を一緒に投与する。
【0164】
疼痛
「疼痛」は、最も広い用法において、それを経験する個体にとって極めて自覚的であり、環境および文化的背景を含めた個体の精神状態による影響を受ける、経験的な現象を意味する。「身体的な」疼痛は通常、実際の、または潜在的な組織損傷の原因となる、非当事者にとって知覚できる刺激に関連し得る。この意味では、疼痛は、国際疼痛学会(International Association for the Study of
Pain)(IASP)によると、「実際の、または潜在的な組織損傷に関連し、このような損傷に関して記述される、感覚的および感情的な経験」とみなすことができる。しかし、疼痛には知覚できる原因がない場合がある。例えば、ときに持続性の心理学的要因または症候群による既存の身体的疼痛の増悪を含めた心因性疼痛、知覚できる疼痛の原因のいかなる証拠のない精神的障害を有するヒトにおいて知覚される疼痛。
【0165】
疼痛のタイプ
疼痛には、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛/神経原性疼痛、突出痛、異痛症、痛覚過敏、知覚過敏、異常感覚、錯感覚、ヒペルパチー、幻肢痛、心因性疼痛、有痛性感覚脱失、神経痛、神経炎が含まれる。他の範疇には、悪性疼痛、狭心痛、および/または特発性疼痛、複合性局所性疼痛症候群I、複合性局所性疼痛症候群IIが含まれる。疼痛のタイプおよび症状が相互に排他的である必要はない。これらの語はIASPによって規定されるものとされる。
【0166】
侵害受容性疼痛は、侵害刺激に応答して、末梢神経における特殊化された感覚性の侵害受容器によって始まり、侵害受容器は侵害刺激を活動電位にコードする。侵害受容器は一般的に、Aδ線維および(ポリモーダル)C線維上にあり、皮膚直下、腱、関節、および身体器官において終結する遊離の神経終末部である。後根神経節(DRG)ニューロンは、末梢と脊髄との間の情報交換の部位を提供する。シグナルは、脳幹および視床部位へ、最終的に大脳皮質へ脊髄を介して処理され、大脳皮質で通常(常にではないが)疼痛の感覚を誘発する。侵害受容性疼痛は、身体組織を刺激または損傷する可能性がある、広範囲の、化学的、熱的、生物学的(例えば、炎症)、または機械的なイベントに起因し得、これらは概ね、侵害受容器における侵害受容性の活動を引き起こすのに必要とされる強度の最小のある閾値を超えるものである。
【0167】
神経因性疼痛は一般的に、末梢神経系または中枢神経系における異常機能の結果であり、それぞれ末梢神経因性疼痛または中枢神経因性疼痛を生じる。神経因性疼痛は、IASPにより、一次病巣、または神経系における機能不全によって始まり、または引き起こされる疼痛と定義される。神経因性疼痛は、特に慢性の場合、神経系に対する実際の損傷をしばしば伴う。炎症性の侵害受容性疼痛は、一般的に、組織損傷、および結果として生じる炎症プロセスの結果である。神経因性疼痛は、組織に対する観察できる損傷が全て見かけの上で治癒したずっと後まで(例えば、数か月または数年後)持続し得る。
【0168】
神経因性疼痛の場合、患部領域からの感覚処理が異常となり得、通常疼痛を起こさない非侵害性の刺激(例えば、熱的、触覚/圧力)も異常となることがあり(すなわち、異痛症)、または侵害刺激は通常有痛性の刺激に応答して誇張された疼痛の知覚を誘発し得る(すなわち、痛覚過敏)。加えて、電気的な刺痛もしくはショック、または「ピンと針」
同様の感覚(すなわち、錯感覚)、および/または不快な特質のある感覚(すなわち、異常感覚)を、正常な刺激が誘発し得る。突出痛は、既存の慢性痛の悪化である。ヒペルパシーは、刺激に対する異常に有痛性の反応に起因する、有痛性の症候群である。刺激は、殆どの場合、疼痛閾値の増大に反復性であり、疼痛閾値は、患者が疼痛と認識することができる疼痛の最小の経験と考えることができる。
【0169】
神経因性疼痛の例には、接触性異痛症(例えば、神経損傷後に誘発される)、神経痛(例えば、ヘルペス後(すなわち帯状疱疹後)神経痛、三叉神経痛)、反射性交感神経性ジストロフィー/カウサルギー(神経外傷)、癌性疼痛の構成成分(例えば、癌自体による、または炎症などの状態に関連する、または化学療法、外科手術、もしくは放射線療法などの処置による疼痛)、幻肢痛、絞扼性ニューロパシー(例えば、手根管症候群)、ならびに末梢神経障害などの神経障害(例えば、糖尿病、HIV、慢性的なアルコール使用、他の毒素(化学療法の多くを含む)に対する曝露、ビタミン欠乏症、および多種多様の他の医学的状態)が含まれる。神経因性疼痛には、例えば、外科手術、創傷、帯状疱疹、糖尿病性神経障害、足または手の切断、癌などの様々な原因による、神経損傷後の神経系の病理学的操作(pathological operation)の発現によって誘発される疼痛が含まれる。神経因性疼痛に関連する医学的状態には、外傷性神経損傷、脳卒中、多発性硬化症、脊髄空洞症、脊髄損傷、および癌が含まれる。
【0170】
疼痛を引き起こす刺激は、それ自体が疼痛の経験の一因となり得る炎症性応答をしばしば呼び起こす。ある状態では、疼痛は、侵害受容性の、および神経因性の要因が複雑に混ざり合うことによって引き起こされると思われる。例えば、慢性疼痛はしばしば、炎症性の侵害受容性疼痛もしくは神経因性疼痛、または両方が混ざり合ったものを含む。神経系が最初に機能不全または損傷し、それが炎症性メディエータの神経性の放出、およびその後の神経因性炎症を誘発し得る。例えば、片頭痛は、神経因性疼痛および侵害受容性疼痛が混ざり合ったものを表し得る。また、筋膜痛は、筋肉からの侵害受容性のインプットにおそらく二次的なものであるが、異常な筋肉活動性は神経障害性状態の結果であり得る。
【0171】
TNFαおよびNGFアンタゴニストを含むキット
本開示は、本明細書に記載する方法を行うのに用いることができる、TNFαおよびNGFアンタゴニスト多機能性ポリペプチド、例えば、本明細書に提供する多特異的結合性分子、または本明細書に提供するTNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストの組合せを含むキットを提供する。ある態様において、キットは、TNFαアンタゴニストおよびNGFアンタゴニストを含む少なくとも多機能性融合ポリペプチド、例えば、配列番号14もしくは17のアミノ酸配列を含むポリペプチドを、1つもしくはそれ以上の容器中に、またはNGFアンタゴニスト(例えばMEDI-578)およびTNFαアンタゴニスト(例えばインフリキシマブもしくはアダリムマブなどの抗TNFα抗体)の組合せ、またはTNF受容体のTNFα結合性可溶性フラグメント、例えばTNFR2-Fcを含む。当業者であれば、本明細書に提供する、開示されたTNFαおよびNGFアンタゴニストは、当技術分野ではよく知られている確立されたキットフォーマットの1つの中に容易に組み入れることができることを容易に認められよう。
【実施例0172】
本開示をここに全般的に記述するが、本開示は以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、以下の実施例は、単に、本開示のある種の態様および実施形態を説明する目的で含まれるものであり、本開示を限定しようとするものではない。
【0173】
実施例1-抗NGF scFv/TNFR2-Fc多特異的結合性分子の構築およびキャラクタリゼーション
多機能性分子、具体的に抗NGF抗体ドメインおよびTNFR2-Fcドメインを含む
多特異的結合性分子を、以下の通り生成した。Dimasi,N.ら、J Mol Biol.、393:672~92頁(2009)、およびPCT公開第WO2013/070565号に記載されるBs3Abフォーマットにしたがって、抗NGF抗体scFvフラグメントを、TNFR2-Fc融合タンパク質(配列番号13)のC末端に、重鎖CH3ドメインを介して融合した。構造図を
図1に示す。TNFR2-Fcポリペプチドおよび多特異的結合性分子をコードするDNA構築物を、GeneArt(Invitrogen)により合成した。多特異的結合性分子には、アミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)
3(配列番号15)を介して1つに連結される、MEDI-578のVHドメイン(配列番号3)およびVLドメイン(配列番号7)を含む抗NGF scFvを構築した。scFvのN末端を、アミノ酸10個のリンカー配列(GGGGS)
2を介して、配列番号13のC末端に融合した。この多特異的結合性分子を、本明細書においてTNFR2-Fc_VH#4と呼ぶ。多特異的結合性分子をコードするDNA構築物を、Bs3Ab発現ベクターにクローニングするために、3’終端に終止コドンおよびEcoRI制限部位を含むように操作した。TNFR2-Fc_VH#4をコードするDNA配列を配列番号16に表し、そのアミノ酸配列を配列番号14に表す。
【0174】
TNF-NGF多特異的結合性分子の熱安定性を、多特異的結合性分子のMEDI-578scFvポーションのVHドメインとVLドメインとの間に鎖間ジスルフィド結合を付加することによって改善した。これは、VHドメイン(配列番号94)のアミノ酸44に、およびVLドメイン(配列番号95)のアミノ酸102にG→C変異を導入することによって行った。このクローンをTNFR2-Fc_varBと名付けた。TNFR2-Fc_varBのアミノ酸配列を配列番号17に表す。TNFR2-Fc_varBをコードするDNA配列を配列番号18に表す。TNFR2-Fc_varBをコードするコドン最適化DNA配列を配列番号99に表す。TNFR2-Fc_varBは、TNFR2-Fc_VH#4と、scFvポーションのVHおよびVLを連結するアミノ酸15個のリンカー配列(GGGGS)3がアミノ酸20個のリンカー(GGGGS)4(配列番号19)で置き換えられている点がさらに異なる。示差走査蛍光定量法(DSF)を用いて、TNFR2-Fc_VH#4およびTNFR2-Fc_varBのTmを測定した。この方法は、蛍光色素であるシプロオレンジ(Invitrogen)の取込みを測定するものであり、シプロオレンジは、高温に曝されると、タンパク質ドメインのアンフォールディングの間に曝露される疎水性表面に結合する。DSFアッセイでは、TNFR2-Fc_VH#4のTmは62℃であり、TNFR2-Fc_varBのTmは66℃であった。したがって、多特異的分子のMEDI-578 scFvポーションにおける鎖間ジスルフィド結合の付加により、分子の熱安定性が4℃改善された。
【0175】
TNFR2-Fcタンパク質およびTNFR2-Fc_VH#4を、CHO細胞懸濁液中、トランスフェクション試薬としてポリエチレンイミン(PEI)(Polysciences)を用いて一過性に発現させた。細胞を、CD-CHO培地(Life Technologies)中に維持した。小規模のトランスフェクションからの培養回収物を、製造元のプロトコール(GE Healthcare)にしたがって、1ml HiTrap MabSelect SuRe(商標)アフィニティクロマトグラフィーを用いて精製し、引き続き1%ショ糖、NaCl100mM、L-アルギニン塩酸塩25mM、およびリン酸ナトリウム25mM(pH6.3)中でバッファー交換した。組換えタンパク質の純度を、還元的条件下SDS-PAGEを用いて、分析用サイズ排除クロマトグラフィー(以下の方法を参照されたい)を用いて分析し、理論的に決定された吸光係数を用いて280nmの吸光係数を読み取ることによって濃度を決定した。
【0176】
TNFR2-Fc融合タンパク質、およびTNF-NGF多特異的構築物、TNFR2-Fc_VH#4の、小規模の一過性発現およびプロテインAカラム精製により、それぞれ収量36.6および79.9mgL-1がもたらされた。
【0177】
より大きなバッチのTNFR2-Fc_VH#4を以下の通り生成した。大規模トランスフェクション(最大6L)からの粗製培養物回収物を、深層ろ過(depth filtration)を用いてろ過し、バッファーA(リン酸緩衝食塩水pH7.2)で予め平衡化した1.6×20cmプロテインAアガロースカラム(GE Healthcare)上にローディングした。次いで、カラムをバッファーAで洗浄し、生成物を、段階勾配のバッファーB(酢酸ナトリウム50mM、pH<4.0)において溶出した。生成物を、バッファーC(酢酸ナトリウムバッファー50mM、pH<5.5)中、予め平衡化した1.6×20cmPoros HS50カラム(Applied Biosystems)上にローディングし、バッファーC中で洗浄することにより、さらに精製し、次いで引き続き生成物を酢酸ナトリウムバッファー50mM、pH<5.5中NaCl 0から1Mの直線状勾配中で溶出した。得られた溶出液を、サイズ排除HPLCによって分析した。タンパク質濃度を、Beckman DU520分光光度計でA280分光光度法により、算出された吸光係数1.36を用いて決定した。
【0178】
TNFR2-Fc_VH#4をキャラクタリゼーションするための方法
ウエスタンブロット分析を、標準のプロトコールを用いて行った。タンパク質を、フッ化ポリビニリデン膜(Life Technologies)上に、Xcell SureLock(商標)システム(Invitrogen)を用いて、製造元の指示にしたがって移した。膜を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中3%(w/v)スキムミルク粉末で、室温で1時間ブロックした。ウエスタンブロットを、標準のプロトコールを用いて、HRPコンジュゲート抗ヒトIgGFc特異的抗体(Sigma)で展開した。
【0179】
サイズ排除HPLCを、Phenomenex BioSep-SEC-S3000(300×7.8mm)カラムを装着したGilson HPLCシステム(Isocratic pump-307、UV/Vis-151 detector、Liquid Handler-215 and Injection Module-819)を用いて、流速1ml/分の移動相D-PBS(life Technologies)で行った。試料25μLをカラム上に注入し、タンパク質種の分離をA280nmでモニタリングした。
【0180】
小規模精製したTNFR2-Fc_VH#4の酵素的脱グリコシルを、EDGLYキット(Sigma Aldrich)を用いて、製造元のプロトコールにしたがって行った。タンパク質を、変性および天然両方の条件下で脱グリコシルした。変性タンパク質に対して、タンパク質30μgを、PNGase F,O-グリコシダーゼ、およびα-(2→3,6,8,9)-ノイラミニダーゼ、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、およびβ-(1→4)-ガラクトシダーゼで、37℃で3時間、脱グリコシルした。天然の条件下、タンパク質35μgを、上記と同じセットの酵素で、37℃で3日間脱グリコシルした。脱グリコシルしたタンパク質を、クーマシー染色したSDS-PAGEにより、およびウエスタンブロットにより標準のアッセイプロトコールを用いて分析した。
【0181】
TNFR2-Fc_VH#4のN末端アミノ酸シーケンシングを、以下の通り行った。TNFR2-Fc_VH#4およそ2μgを、SDS-PAGEゲル上、標準のプロトコールを用いて流した。タンパク質を、Xcell SureLock(商標)システム(Invitrogen)を用いて、製造元の指示にしたがってPVDF膜上に移した。膜を、オービタルシェーカーのプラットホーム上、0.1%(w/v)アミドブラックでおよそ15分間染色し、次いでdH2Oで洗浄して、PVDF膜のバックグラウンド染色を低減した。膜を空気乾燥した後、N末端をシーケンシングした。対象のバンドを切り出し、多特異的結合性分子のN末端の配列決定を、Applied Biosystems 494 HTシーケンサー(Applied Biosystems、San Fran
cisco、CA、U.S.A.)上、Applied Biosystems140AマイクロHPLCを用いたオンラインフェニルチオヒダントイン分析で行った。
【0182】
キャラクタリゼーション結果
精製したTNFR2-Fc_VH#4およびTNFR2-Fcタンパク質を、SEC-HPLCにより、凝集、モノマー、およびタンパク質フラグメンテーションのレベルに対してプロファイリングした(
図2Aおよび2B)。モノマーを含む主ピークは、存在する全タンパク質のおよそ90%を構成し、残りのおよそ10%のタンパク質の質量はカラム保持時間がより短く、より高次の種または凝集物が存在することが示された。しかし、SEC-HPLCからのモノマーのピークには顕著なショルダーが2つあり、このピーク内のタンパク質は単一の種ではないことが示された。クーマシー染色したSDS-PAGE分析は、還元条件下、TNFR2-Fc_VH#4では明確な2本のバンドを(およそ100および75kDに)示し、TNFR2-Fc融合タンパク質でも同様に明確な2本のバンドを(およそ70および45kDに)示した(
図2B)。非還元条件下では、TNFR2-Fc_VH#4ではメジャーバンドが3本存在し(150と250kDとの間)、TNFR2-Fc融合タンパク質ではメジャーバンド1本およびマイナーバンド1本がそれぞれ、およそ150および120kDに存在した。還元条件下の2本のバンド間の分子量の差は、scFvフラグメントのサイズにおよそ等しかったため(約26.5kD)、何の形態の多特異的結合性分子が産生されているかを理解するために、さらなる分析を行った。天然の条件下の質量分光分析により、精製された2つの別々のタンパク質調製物に対して、精製したTNFR2-Fc_VH#4調製物中に、およそ125、152、および176kDの3つの分子量が存在したSDS-PAGEデータが確認された(
図2C)。
【0183】
SDS-PAGEゲルによって観察されたバンドパターンがTNFR2-Fc_VH#4の異なるグリコシル化によるのであれば、脱グリコシルされると、これは単一のバンドに分解される。しかし、TNFR2-Fc_VH#4が、天然のタンパク質または変性したタンパク質のいずれかとして脱グリコシルされた場合、バンドパターンは、還元条件下および非還元条件下の両方で維持された(データは示さず)。グリコシルおよび脱グリコシル両方のTNFR2-Fc_VH#4を、ポリクローナル抗ヒトIgGFc特異的抗体でウエスタンブロット染色すると、予想された全長のバンドおよび低分子量のバンドの両方とも、抗Fc特異的抗体と反応性であったことが示された(データは示さず)。
【0184】
切断した生成物の最終的な同定を、タンパク質のN末端アミノ酸シーケンシングによって行った。これにより、切断したタンパク質のN末端の最初の8個のアミノ酸はSMAPGAVHであり、TNFR2-Fc_VH#4配列(配列番号14)のアミノ酸176から183に相当することが明らかになった。これは、TNFR2-Fc_VH#4のN末端のアミノ酸175個が切断され、このためアミノ酸42個のTNFR2ドメインだけが残ったことを表していた。これにより、本発明者らは、SDS-PAGE、質量分光法、およびSEC-HPLC分析から質量データを正確に解釈することができた。TNFR2-Fc_VH#4ダイマーには可能な組合せが3つ存在し、全て以下の精製したタンパク質調製物中に存在した:(1)全長のホモ二量体、(2)全長および切断された種のヘテロ二量体、ならびに(3)切断された種のホモ二量体。in vitroおよびin vivoの両方の生物学的活性を正確に測定するために、全長のホモ二量体の調製物を、2工程のカラムクロマトグラフィープロセスによって産生した。第1の工程では、プロテインA精製後、生成物はモノマー80.5%を含み(
図3A)、第2のカラム精製工程(SPセファロース)後、モノマーのパーセント値は97.8%であった(
図3B)。全プロセスにわたる収率は7.3%であった。
【0185】
実施例2-示差走査熱量計(DSC)による熱安定性分析
自動MicroCal VP-Capillary DSC(GE Healthcare、USA)を熱量測定に用いた。ヒスチジン/ヒスチジン-HClバッファーpH6.0 25mM中1mg/mLのタンパク質試料を試験した。タンパク質試料およびバッファーを、25℃から100℃まで、1時間あたり95℃の速度の直線状の熱傾斜にかけた。バッファーを、Origin7ソフトウエアを用いて、タンパク質試料からの基準として差引き、熱転移を決定した。
【0186】
TNFR2-Fc_VH#4(
図4)に対する示差熱図は、変性温度(Tm)64℃、67℃、および84℃に3つの明確なアンフォールディング転移を示す。本発明者らは、Tm64℃は、TNFR2ドメインおよび抗NGF scFvドメイン両方の変性に相当し、Tm67℃および84℃はそれぞれ、IgG1のCH2およびCH3ドメインに対する変性Tmに典型的であると推定した(例えば、Dimasi,N.ら、J Mol Biol.、393:672~92頁(2009)、およびPCT公開第WO2013/070565号)。理論に拘泥しようとするものではないが、scFvは一般的に、他の抗体ドメインより変性温度が低く、これらのアンフォールディングは単一の転移のイベントを特徴とする(Robergeら、2006、Jungら、1999、Tischenkoら、1998)。
【0187】
実施例3-TNFR2-Fc_VH#4に対する抗原結合の確認
A.ELISAによる単一および二重の抗原結合
Nunc Maxisorpウエルを、PBS(pH7.4)中5μg ml-1に希釈したTNFα(R&D Systems)50μlで、4℃で一夜コーティングした。翌日、コーティング溶液を除去し、ウエルをブロッキングバッファー[3%スキムミルク-PBS]150μlで、室温で1時間ブロックした。ウエルをPBS中で3回すすいだ後、ブロッキングバッファー中で作成したTNFR2-Fc_VH#4の希釈段階50μlを加えた。室温で1時間後、ウエルを、PBS-Tween20(0.1%v/v;PBS-T)中で3回洗浄した。次いで、ビオチン化NGF50マイクロリットルをウエルに加え、室温でさらなる1時間インキュベートした後、上記の通り洗浄し、ストレプトアビジン-HRP50μlを加えた(1:100)。室温で1時間後、ウエルをPBS-Tで洗浄し、3,3’,5,5’-テトラメチルベンチジン基質50μlを加え、色を発色させた。1M H2SO4を加えることによって反応を止め、450nmの吸光度を、マイクロタイタープレートリーダーを用いて測定した。得られたデータを、Prism5ソフトウエア(GraphPad、San Diego、CA)を用いて分析した。単一抗原結合ELISAに対して、ウエルをTNFαまたはNGF-ビオチンのいずれかで上記の通りコーティングし、抗体の結合を抗ヒトIgGFc特異的HRPコンジュゲート抗体(1:5000)で検出し、色を上記の通り発色させた。
【0188】
ELISAの結果を
図5に示す。TNFR2-Fc_VH#4は、TNFαおよびNGF両方の抗原に結合するようにデザインしたものである。単一抗原の結合を、最初に1つの抗原を96ウエルマイクロタイタープレート上に固定化し、引き続き段階希釈のTNFR2-Fc_VH#4を加えることによって行った。特異的な結合を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗IgGFc特異的抗体を用いることによって検出した。二重抗原結合ELISAでは、第1の抗原であるTNFαをELISAプレート上に固定化し、次いで段階希釈のTNFR2-Fc_VH#4を加え、引き続き固定濃度の第2のビオチン化抗原であるNGFを加えた。次いで、特異的な結合を、HRPコンジュゲートしたストレプトアビジンを用いて検出した。TNFR2-Fc_VH#4は、単一抗原結合ELISAではTNFαおよびNGFに結合した(
図5AおよびB)。二重抗原結合ELISAでは、TNFR2-Fc_VH#4はTNFαおよびNGFの両方に同時に結合した(
図5C)。
【0189】
B.表面プラズモン共鳴法による同時の抗原結合
同時の抗原結合実験を、BIAcore2000装置(GE Healthcare)を用いて、実質的にDimasi,N.ら、J Mol Biol.、393:672~92頁(2009)に記載されている通りに行った。簡潔に述べると、CM5センサーチップを用いて、100nMのおよそ1500共鳴単位のTNFR2-Fc_VH#4を固定化した。次いで、TNFαおよびNGFに対する同時発生的な結合(concurrent binding)に、センサーチップ表面を用いた。抗原を、HBS-EPバッファー[10mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、3mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.005%P20]中で調製した。流速30μl/分を、全ての結合の測定に用いた。多特異的抗体のTNFαおよびNGFに対する同時の結合(simultaneous binding)を決定するために、TNFα(分子量、17.5kD)1μMを、センサーチップ表面上に注入し、注入が完了したら、次いで、ともに1μMのTNFαおよびNGF(分子量、13.5kD)の混合物を注入した。NGF結合段階の間にTNFαが解離してシグナルが喪失するのを防ぐために、NGFとの混合物中にTNFαを含めた。対照として、同様の結合手順を行い、最終の注入時はTNFαだけを加え、この注入に対して共鳴単位におけるさらなる増大がなかったことで、飽和レベルのTNFαが結合したことが示された。TNFαおよびNGFの注入の順序を逆転した、同様の結合および対照実験を行った。
【0190】
TNFR2-Fc_VH#4の同時の抗原結合を、表面プラズモン共鳴法によってキャラクタリゼーションした。結合のイベントを、逐次的に定性分析した。TNFR2-Fc_VH#4をセンサーチップ表面上に、アミンカップリング化学反応を用いて、共有結合的に固定化した。引き続き、第1の抗原を注入してTNFR2-Fc_VH#4の結合を飽和レベルにし、次いで第2の抗原を、抗原1との等モル混合物として注入した。結合のセンサーグラムは、TNFR2-Fc_VH#4がTNFαおよびNGFに同時に結合したことを明らかに示すものであった(
図6)。抗原を注入する順序に関係なく、2つの抗原の同時の結合が生じた。
【0191】
実施例4-NGFにより誘発されるTF-1細胞増殖の阻害
TF-1細胞(ECACCカタログ番号93022307)を、96ウエル組織培養プレート(Corning Costar)において、無血清培養培地50μl中1.5×10
4細胞/ウエルに接種し、5%CO
2、37℃で18時間インキュベートした。組換えヒト(Sigma)またはマウスNGF(R&D Systems)を、TNFR2-Fc_VH#4、MEDI-578 IgG1 TM YTE、MEDI-578に対する非結合性IgG1 TM YTEアイソタイプ対照、または非結合性二特異的アイソタイプ対照R347 Bs3Abの希釈物と、96ウエル丸底プレート(Greiner)中、37℃で30分間、プレインキュベートした。次いで、各試料50マイクロリットルを細胞プレートに加え、37℃で48時間インキュベートした。インキュベーション期間後、細胞TITRE GLO(登録商標)アッセイバッファー(Promega)100μlを加え、プレートを、5%CO
2、37℃で10分間インキュベートした。次いで、発光を、標準の発光プロトコールを用いて測定した。抗体の非存在下の標準のNGF誘発性TF-1増殖を、
図7Aに示す。
【0192】
TNFR2-Fc_VH#4の機能的活性を、NGF誘発性TF-1の増殖を用いて決定した。TNFR2-Fc_VH#4は、ヒトおよびマウス両方のNGF誘発性増殖を完全に阻害することができた(それぞれ
図7Bおよび7C)。
図7B:TF-1細胞を、EC
80濃度に相当する組換えヒトNGFで刺激した。細胞を、希釈段階の抗体とリガンドと48時間インキュベートし、その後、細胞の増殖を、細胞TITRE GLO(登録商標)アッセイバッファー(Promega)と10分間培養することにより定量した。
図7C:TF-1細胞を、EC
80濃度に相当する組換えマウスNGFで刺激した。細胞を
、希釈段階の抗体とリガンドと48時間インキュベートし、その後、細胞の増殖を、細胞TITRE GLO(登録商標)アッセイバッファー(Promega)と10分間、培養することにより定量した。これらのデータは、TNFR2-Fc_VH#4のNGF阻害性ポーションは生物学的に活性であり、MEDI-578に対してIgG1TMと同様の作用強度で、NGF誘発性増殖を阻害することを実証するものである。同様のデータがTNFR2-Fc_varB、および別のTNF-NGF多特異的結合性分子であるヌディマブvarB(
図7Dおよび7E)でも観察された。ヌディマブvarBは、完全な抗TNFα抗体、すなわち、H
2L
2フォーマットにおける2本の完全な重鎖および2本の完全な軽鎖を含む抗体を含み、MEDI-578 scFvは、抗TNFα抗体の重鎖のC末端に融合していた。ヌディマブvarBの軽鎖を配列番号20に示し、ヌディマブvarBの重鎖を配列番号22に示す。
【0193】
実施例5-TNFαによって誘発されるU937細胞アポトーシスの阻害
U937細胞(ECACCカタログ番号85011440)を、96ウエル黒壁組織培養プレート(Corning Costar)において、培養培地50μl中、8×10
5細胞/ウエルの濃度に塗抹した。U937細胞を、EC
80濃度に相当する組換えヒトTNFαで刺激した。細胞を、希釈段階の抗体とリガンドと2時間インキュベートし、その後、カスパーゼ3活性を、カスパーゼ3アッセイ反応バッファーと2時間培養することによって定量した。TNFR2-Fc_VH#4、非結合性二特異的アイソタイプ対照であるR347 Bs3Ab、およびエタネルセプトを、37℃で30分間、細胞とプレインキュベートした。この後、組換えヒトTNFα(R&D Systems)50μlを加えて、20ng/mlの最終アッセイ濃度を得、引き続き37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション期間後、カスパーゼ3アッセイ反応バッファー(0.2%w/v CHAPS、0.5%v/v Igepal CA-630、200mM NaCl、50mM HEPES、20μM DEVD-R110基質(Invitrogen))50μlを加え、細胞を37℃で2.5時間インキュベートした。蛍光を、励起475nmおよび発光512nmにより測定した。TNFαアンタゴニスト非存在下のカスパーゼ活性を
図8Aに示す。
【0194】
TNFR2-Fc_VH#4の機能的活性を、U937細胞におけるTNFα誘発性カスパーゼ3活性アッセイを用いて決定した。TNFR2-Fc_VH#4は、エタネルセプト同様、TNFα誘発性カスパーゼ3活性を完全に阻害した(
図8B)。これは、TNFR2-Fc_VH#4のTNFα阻害ポーションは、生物学的に活性であり、エタネルセプトと同様の作用強度を有することを明らかに示す。同様のデータが、TNFR2-Fc_varBおよびヌディマブvarBでも観察された(
図8Cを参照されたい)。
【0195】
実施例6-in vivoアッセイ
in vivo手順は全て、UK内務省動物(科学手順)法(Animals(Scientific Procedures)Act)(1986年)にしたがって行い、地域の倫理員会によって認可された。C57B1/6メスマウス(Charles River、UK)を一貫して用いた。マウスを、個々に換気したケージ(IVC)中、1ケージあたり5/6の群において収容し、12時間の明暗周期(7:00~19:00照明オン)下、食餌および水を自由に摂取させた。収容し、手順を行う部屋を24℃に維持し、従来の無線局による一定のバックグラウンドノイズを維持した。全てのマウスに、各試験を始める少なくとも5日前に、同定の目的で、麻酔下(酸素中3%イソフルラン)応答器(transponder)の挿入を施した。
【0196】
A.神経因性疼痛のSeltzerモデル
機械的痛覚過敏を、鎮痛作用測定装置(Randall LO、Selitto JJ、Arch Int Pharmacodyn Ther.、111:409~19頁(
1957))(Ugo Basile)を用いて決定した。中止の応答が観察されるまで、順番に各後ろ足の背側表面に増大性の力を適用した。力の適用をこの点で停止し、体重をグラムで記録した。データを、同側および反対側の足に対する中止の閾値としてグラムで表した。ベースラインの読みが確立した後、およそ等しい同側/反対側比でマウスを2群に分け、外科手術を施した。マウスを3%イソフルランで麻酔した。この後、鈍的切開によって中央大腿レベルを切開することにより、左坐骨神経およそ1cmを曝露した。次いで、縫合(10/0 Virgin Silk:Ethicon)を、背側3番目の神経を通過させ、きつく縛った。のりを用いて切開を閉じ、マウスを少なくとも7日間回復させた後、試験を開始した。偽手術マウスに同じプロトコールを施したが、神経の曝露後、傷口をのり付けし、回復させた。手術7日および10日後、痛覚過敏に対してマウスを試験した。10日目の試験後、手術したマウスを、CAT251 IgG1アイソタイプ対照(0.03mg/kg s.c.)、エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)、MEDI-578(0.03mg/kg s.c.)、またはエタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)およびMEDI-578(0.03mg/kg s.c.)の組合せを投与する群にさらに再分割した。偽手術したマウスには全てCAT251(0.03mg/kg s.c.)を投与した。機械的痛覚過敏を、投薬後4時間、1、2、3、4、および7日に測定した。
【0197】
機械的痛覚過敏モデルにおいてエタネルセプトおよびMEDI-578を同時投与することで、偽手術対照に比べた場合、手術後10日目に同側/反対側比における有意な低下が顕在化した(
図9)。単一用量のエタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)またはMEDI-578(0.03mg/kg s.c.)いずれかの投与では、この痛覚過敏を有意に元に戻すことはできなかった。エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)のMEDI-578(0.03mg/kg s.c.)と一緒の同時投与は、投薬4時間後の機械的痛覚過敏を有意に元に戻し、効果は投薬後7日目を通して維持された。
【0198】
第2の試験では、TNFR2-Fc_VH#4の効果を評価した。機械的痛覚過敏を確立した後、手術後13日目にマウスにR347 Bs3Abアイソタイプ対照(0.03mg/kg s.c.)、エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)、MEDI-578(0.03mg/kg s.c.)、またはTNFR2-Fc_VH#4(0.01mg/kg s.c.もしくは0.03mg/kg s.c.)を投薬した。偽準備した動物に、R347 Bs3Abアイソタイプ対照(0.03mg/kg s.c.)を投与した。上記に記載した通り、投薬4時間後、ならびに投薬後1、2、4、および7日目に、マウスを機械的痛覚過敏に対して試験した。
【0199】
TNFR2-Fc_VH#4の投与は、偽手術した対照と比べた場合、手術後10日目に同側/反対側比における有意な低下を生じた(
図10A)。エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)またはMEDI-578(0.03mg/kg s.c.)いずれかを投与しても、機械的痛覚過敏を有意に元に戻すことはできなかった。しかし、TNFR2-Fc_VH#4(0.01および0.03mg/kg s.c.)の投与は、投薬4時間後に機械的痛覚過敏を有意に元に戻し、効果は投薬後6日を通して維持された。R347 Bs3Ab対照の投与後に効果は見られなかった。TNFR2-Fc_varBを投与した場合、同様のデータが観察された(
図10Bを参照されたい)。これらのデータは、非常に低用量のTNFR2-Fc_VH#4は疼痛を有意に元に戻すことができることを示唆しており、この用量と同等の用量のMEDI-578またはエタネルセプトいずれか単独では、無効または最小に効果的であることが示された。
【0200】
B.慢性関節痛モデル
機械的痛覚過敏を、マウスインキャパシタンステスター(incapacitance
tester)(Linton Instrumentation)を用いて決定した
。マウスの後足を別々のセンサー上に載せてマウスを装置に配置し、体重分布を4秒の期間をかけて計算した。データを、同側および反対側の体重保持の比としてグラムで表した。
【0201】
ベースラインの読みを確立した後、マウスをおよそ等しい同側/反対側比で2群に分けた。以下の技術を用いて関節内注射を行った:動物を、酸素中3%イソフルランを用いて麻酔し、左ひざを剪毛し、清浄にした。各マウスのひざ関節に、フロイント完全アジュバント(FCA)(10mg/ml)またはビヒクル(軽油)いずれか10μlを、100μlHamiltonシリンジに搭載した25ゲージニードルを用いて注射した。注射は、ひざ関節の滑膜腔中に直接行った。上記に記載した通り、マウスを回復させ、注射後7日目および10日目に、機械的痛覚過敏における変化を再試験した。10日目の試験後、FCA処置したマウスをさらに群に無作為化し、13日目、マウスにエタネルセプト(0.01mg/kg i.p.)またはビヒクルを投薬し、その後一用量のMEDI-578(0.03mg/kg i.v.)またはCAT251アイソタイプ対照(0.03mg/kg i.v.)を投与した。上記に記載した通り、投薬4時間後、ならびに投薬後1、2、4、および7日目、マウスを機械的痛覚過敏に対して試験した。
【0202】
エタネルセプトおよびMEDI-578の同時投与の効果を、炎症性疼痛の関節内FCAモデルを用いて評価した。FCAの関節内投与は機械的痛覚過敏を引き起こし、これは、ビヒクル対照と比べた場合、7および10日目に同側/反対側比における有意な低下として顕在化した(
図11)。偽処置群では、処置前のベースラインレベルに比べて、同側/反対側比における低下は観察されなかった。エタネルセプト(0.01mg/kg i.p.)+CAT251(0.03mg/kg i.v.)またはPBS(10ml/kg i.p.)+MEDI-578(0.03mg/kg i.v.)の投与は、投薬4時間後、ならびに1、2、4、および7日目にFCA誘発性機械的痛覚過敏をわずかに元に戻したが、これは統計学的有意性に到達できなかった。しかし、エタネルセプト(0.01mg/kg i.p.)+MEDI-578(0.03mg/kg i.v)の投与は、投薬後試験の全ての時間に、FCA誘発性機械的痛覚過敏を有意に元に戻した。
【0203】
第2の試験において、TNFR2-Fc_VH#4の効果を評価した。FCA誘発性機械的痛覚過敏の確立後、FCA後13日目、マウスに:R347 Bs3Abアイソタイプ対照(0.01mg/kg s.c.)、エタネルセプト(0.01mg/kg s.c.)、MEDI-578(0.01mg/kg s.c.)、またはTNFR2-Fc_VH#4(0.003mg/kgもしくは0.01mg/kg s.c.)を投薬した。再び、上記に記載した通り、投薬4時間後、ならびに投薬後1、2、4、および7日目、マウスを機械的痛覚過敏に対して試験した。
【0204】
エタネルセプトおよびMEDI-578の効果と個々に比べた、TNFR2-Fc_VH#4(「二特異的」)の効果を、
図12に示す。エタネルセプト(0.01mg/kg
s.c.)もMEDI-578(0.01mg/kg s.c.)も、投薬後のいずれの時間点でも、FCA誘発性機械的痛覚過敏を有意に元に戻さなかった。しかし、TNFR2-Fc_VH#4の投与は、FCA誘発性機械的痛覚過敏を有意に元に戻した。高用量のTNFR2-Fc_VH#4(0.01mg/kg s.c.)は試験の期間中に有意な活性を示したが、低用量(0.003mg/kg s.c.)は投薬後1日目に有意性に到達し、試験の期間中は高用量と同様のレベルのままであった。
【0205】
C.ラットにおける機械的痛覚過敏の確立されたFCA誘発性モデル
フロイント完全アジュバント(FCA)を足底内(intraplantar)注射すると炎症反応を引き起こし、炎症反応は過敏症および浮腫を誘発し、臨床的な炎症性疼痛のいくつかの側面を擬する。これらの効果は、体重負荷を測定するための機器を用いて調
べることができる。体重負荷方法を用いたTNFR2-Fc_VH#4 FCA誘発性過敏症の、潜在的な抗痛覚過敏性質の評価。ナイーブラットは、自身の体重を2本の後足間に等しく分配する。しかし、注射した(左の)後足が炎症を起こし、かつ/または痛む場合、罹患している足上により少ない体重をかけるように、体重を再分配する(損傷した足上への体重負荷の低減)。各後足による体重負荷を、ラットインキャパシタンステスター(Linton Instruments、UK)を用いて測定した。ラットをインキャパシタンステスターに配置し、後足を別々のセンサー上に置き、両方の後足によって行使された力の平均を4秒かけて記録した。
【0206】
この試験では、ナイーブラット(オス、Sprague Dawleyラット(Harlan、UK)、198~258g)を、ホームケージ中、実験室に気候順応し、食餌および水を任意にとらせた。インキャパシタンステスターへの慣らしを数日かけて行った。ベースラインの体重負荷の記録を取った後、傷害を導入した。FCA(Sigmaより入手、1mg/ml溶液100μl)を左後足へ足底内注射することにより炎症性の過敏症を誘発した。処置前の体重負荷測定を行って、FCA後23時間の過敏症を評価した。
【0207】
次いで、動物をランク付けし、ラテン方格法において、体重負荷FCAウインドウにしたがって、処置群に無作為化した。FCA注射24時間後、動物を、0.003、0.01、0.03、0.3、および3mg/kgのTNFR2-Fc_VH#4(「二特異的」)のi.v.投与、陰性対照の抗体であるNIP228(ハプテンであるニトロフェノールに結合するように産生した抗体)3mg/kgのi.v.投与、ビヒクル(1%メチルセルロース)2ml/kgのp.o.投与、またはインドメタシン10mg/kgのp.o.投与いずれかで処置した。
【0208】
体重負荷を、抗体/薬物処置4時間および24時間後に評価した。各時間点で処置群をビヒクル対照群に比べることによって、データを分析した。統計学的分析には、ANOVAの反復測定の後、InVivoStat(invivostat.co.uk)を用いた計画的な比較検定が続いた(p<0.05を有意とみなした)。結果を
図13に示す。過敏症が有意に元に戻ることが、インドメタシン(10mg/kg)4時間および24時間で観察された。0.3および3mg/kgを投薬したTNFR2-Fc_VH#4では、4時間および24時間両方で過敏症が有意に元に戻ることが認められ、TNFR2-Fc_VH#4の0.003および0.03mg/kg投薬でも過敏症が有意に元に戻ることが認められたが、後者は24時間においてのみであった。アイソタイプ対照であるNIP228は、いずれの時間点でもFCA応答に対する有意な効果がなかった。
【0209】
実施例7-TNFαおよびNGFのp38リン酸化
文献によると、p38リン酸化は、神経因性疼痛の発症において重要な役割を果たすことが示唆される。例えば、p38インヒビターでの処置は、神経部分損傷モデルにおいて(Wen YRら、Anesthesiology、2007、107:312~321頁)、および坐骨の炎症性神経障害モデルにおいて(Milligan EDら、J Neurosci、2003、23:1026~1040頁)、神経因性疼痛の症状の発症を防ぐことが示されている。本実験において、TNFα、NGF、およびTNFαおよびNGFの組合せの、p38リン酸化における役割を、細胞培養アッセイにおいて調べた。簡潔に述べると、Neuroscreen-1細胞(PC-12ラット神経内分泌細胞のサブクローン)を、増加する量のTNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せとインキュベートした。20分のインキュベート期間後、均一時間分解蛍光(homogeneous time resolved fluorescence)(HTRF)アッセイ(Cisbio)を用いてホスホ-p38を定量した。
【0210】
HTRFアッセイ:TNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せで刺激した
後、細胞上清を速やかに除去し、細胞を溶解バッファー中に溶解した。ホスホ-p38MAPK(Thr180/Tyr182)を、2つの異なる特異的な抗体:ユーロピウムクリプテート(ドナーフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗ホスホ-p38抗体、およびd2(アクセプタフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗p38(総)抗体を用いてサンドイッチアッセイのフォーマットにおいて可溶化液中で検出した。抗体を細胞可溶化液とインキュベートし、HTRF比は、EnVision Multilabel Plate Reader(Perkin Elmer)を用いて行った665nmおよび620nmでの蛍光測定から算出した。
【0211】
データを、665nmでの発光と620nmでの発光との間の比として算出したHTRF比として表す。ホスホ-p38反応からのHTRF比を示すヒートマップを
図14に示す。TNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せの効果を示す用量反応曲線を
図15に示す。
図15から見てとることができる通り、高濃度のTNFαおよびNGFの、ホスホ-p38に対する併用効果は、いずれかのファクター単独によって誘発されるホスホ-p38シグナルの合計の予想より大きい。これらのデータは、TNFαおよびNGFは一緒に作用してp38リン酸化を誘発し得、疼痛をまねく分子シグナリングに2つの経路が関与し得ることを示唆するものである。
【0212】
実施例8-TNFαおよびNGFによるERKリン酸化
p38同様、ERKも、神経因性疼痛の発生の間に活性化される(Zhuang ZYら、Pain 2005、114:149~159頁)。本実験において、TNFα、NGF、ならびにTNFαおよびNGFの組合せのERKリン酸化における役割を、細胞培養アッセイにおいて調べた。簡潔に述べると、Neuroscreen-1細胞(PC-12ラット神経内分泌細胞のサブクローン)を、増加する量のTNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せとインキュベートした。20分のインキュベーション期間の後、ホスホ-ERKを、HTRFアッセイ(Cisbio)を用いて定量した。
【0213】
HTRFアッセイ:刺激後、細胞上清を速やかに除去し、細胞を溶解バッファー中に溶解した。ホスホ-p38MAPK(Thr202/Tyr204)を、2つの異なる特異的な抗体:ユーロピウムクリプテート(ドナーフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗ホスホ-ERK抗体、およびd2(アクセプタフルオロフォア)にコンジュゲートしている抗ERK(総)抗体を用いてサンドイッチアッセイのフォーマットにおいて可溶化液中で検出した。抗体を細胞可溶化液とインキュベートし、HTRF比は、EnVision Multilabel Plate Reader(Perkin Elmer)を用いて行った665nmおよび620nmでの蛍光測定から算出した。
【0214】
データを、665nmでの発光と620nmでの発光との間の比として算出したHTRF比として表す。ホスホ-ERK反応からのHTRF比を示すヒートマップを
図16に示す。TNFα、NGF、またはTNFαおよびNGFの組合せの効果を示す用量反応曲線を
図17に示す。
図17から見てとることができる通り、少量のTNFα単独ではホスホ-ERKを誘発しなかったが、大量では、NGF-誘発性ホスホ-ERKを増強した。これらのデータは、TNFαおよびNGFは一緒に作用してp38リン酸化を誘発し得、疼痛をもたらす分子シグナリングにこれら2つの経路が関与し得ることを示唆する。
【0215】
配列表
配列番号1 NP_002497.2|ベータ-神経成長因子前駆体[ヒト]
1 MSMLFYTLIT AFLIGIQAEP HSESNVPAGH TIPQAHWTKL QHSLDTALRR ARSAPAAAIA
61 ARVAGQTRNI TVDPRLFKKR RLRSPRVLFS TQPPREAADT QDLDFEVGGA APFNRTHRSK
121 RSSSHPIFHR GEFSVCDSVS VWVGDKTTAT DIKGKEVMVL GEVNINNSVF KQYFFETKCR
181 DPNPVDSGCR GIDSKHWNSY CTTTHTFVKA LTMDGKQAAW RFIRIDTACV CVLSRKAVRR
241 A
配列番号2 NP_000585.2|腫瘍壊死因子[ヒト]
1 MSTESMIRDV ELAEEALPKK TGGPQGSRRC LFLSLFSFLI VAGATTLFCL LHFGVIGPQR
61 EEFPRDLSLI SPLAQAVRSS SRTPSDKPVA HVVANPQAEG QLQWLNRRAN ALLANGVELR
121 DNQLVVPSEG LYLIYSQVLF KGQGCPSTHV LLTHTISRIA VSYQTKVNLL SAIKSPCQRE
181 TPEGAEAKPW YEPIYLGGVF QLEKGDRLSA EINRPDYLDF AESGQVYFGI IAL
配列番号3 MEDI-578 VH(1256A5 VH)
1 QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGGTFS TYGISWVRQA PGQGLEWMGG IIPIFDTGNS
61 AQSFQGRVTI TADESTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARSS RIYDLNPSLT AYYDMDVWGQ
121 GTMVTVSS
配列番号4 MEDI-578 VHCDR1
1 TYGIS
配列番号5 MEDI-578 VHCDR2
1 GIIPIFDTGN SAQSFQG
配列番号6 MEDI-578 VHCDR3
1 SSRIYDLNPS LTAYYDMDV
配列番号7 MEDI-578 VL(1256A5 VL)
1 QSVLTQPPSV SAAPGQKVTI SCSGSSSNIG NNYVSWYQQL PGTAPKLLIY DNNKRPSGIP
61 DRFSGSKSGT SATLGITGLQ TGDEADYYCG TWDSSLSAWV FGGGTKLTVL
配列番号8 MEDI-578 VLCDR1
1 SGSSSNIGNN YVS
配列番号9 MEDI-578 VLCDR2
1 DNNKRPS
配列番号10 MEDI-578 VLCDR3
1 GTWDSSLSAW V
配列番号11
1 SSRIYDFNSA LISYYDMDV
配列番号12
1 SSRIYDMISS LQPYYDMDV
配列番号13 可溶性TNFR2アミノ酸配列
1 LPAQVAFTPY APEPGSTCRL REYYDQTAQM CCSKCSPGQH AKVFCTKTSD TVCDSCEDST
61 YTQLWNWVPE CLSCGSRCSS DQVETQACTR EQNRICTCRP GWYCALSKQE GCRLCAPLRK
121 CRPGFGVARP GTETSDVVCK PCAPGTFSNT TSSTDICRPH QICNVVAIPG NASMDAVCTS
181 TSPTRSMAPG AVHLPQPVST RSQHTQPTPE PSTAPSTSFL LPMGPSPPAE GSTGDEPKSC
241 DKTHTCPPCP APELLGGPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVVVDVSHED PEVKFNWYVD
301 GVEVHNAKTK PREEQYNSTY RVVSVLTVLH QDWLNGKEYK CKVSNKALPA PIEKTISKAK
361 GQPREPQVYT LPPSREEMTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS
421 DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPGK
配列番号14 TNFR2-Fc_VH#4-アミノ酸配列
【化1】
配列番号15 (Gly
4Ser)
3アミノ酸15個のリンカー配列
1 GGGGSGGGGS GGGGS
配列番号16 TNFR2-Fc_VH#4-ヌクレオチド配列
1 CTGCCCGCCC AGGTGGCCTT TACCCCTTAT GCCCCCGAGC CCGGCAGCAC CTGTCGGCTG
61 AGAGAGTACT ACGACCAGAC CGCCCAGATG TGCTGCAGCA AGTGCTCTCC TGGCCAGCAT
121 GCCAAGGTGT TCTGCACCAA GACCAGCGAC ACCGTGTGCG ACAGCTGCGA GGACAGCACC
181 TACACCCAGC TGTGGAACTG GGTGCCCGAG TGCCTGAGCT GCGGCAGCAG ATGCAGCAGC
241 GACCAGGTGG AAACCCAGGC CTGCACCAGA GAGCAGAACC GGATCTGCAC CTGTAGACCC
301 GGCTGGTACT GCGCCCTGAG CAAGCAGGAA GGCTGCAGAC TCTGCGCCCC TCTGCGGAAG
361 TGCAGACCCG GCTTTGGCGT GGCCAGACCC GGCACCGAGA CAAGCGACGT GGTCTGTAAG
421 CCCTGCGCTC CTGGCACCTT CAGCAACACC ACCAGCAGCA CCGACATCTG CAGACCCCAC
481 CAGATCTGCA ACGTGGTGGC CATCCCCGGC AACGCCAGCA TGGATGCCGT CTGCACCAGC
541 ACTAGCCCCA CCAGAAGTAT GGCCCCTGGC GCCGTGCATC TGCCCCAGCC TGTGTCCACC
601 AGAAGCCAGC ACACCCAGCC CACCCCTGAG CCTAGCACCG CCCCCTCCAC CAGCTTTCTG
661 CTGCCTATGG GCCCTAGCCC TCCAGCCGAG GGAAGCACAG GCGACGAGCC CAAGAGCTGC
721 GACAAGACCC ACACCTGTCC CCCCTGCCCT GCCCCTGAAC TGCTGGGCGG ACCCAGCGTG
781 TTCCTGTTCC CCCCAAAGCC CAAGGACACC CTGATGATCA GCCGGACCCC CGAAGTGACC
841 TGCGTGGTGG TGGACGTGTC CCACGAGGAC CCTGAAGTGA AGTTCAATTG GTACGTGGAC
901 GGCGTGGAAG TGCACAACGC CAAGACCAAG CCCAGAGAGG AACAGTACAA CTCCACCTAC
961 CGGGTGGTGT CCGTGCTGAC CGTGCTGCAC CAGGACTGGC TGAACGGCAA AGAGTACAAG
1021 TGCAAGGTCT CCAACAAGGC CCTGCCTGCC CCCATCGAGA AAACCATCAG CAAGGCCAAG
1081 GGCCAGCCCC GCGAGCCTCA GGTGTACACA CTGCCCCCCA GCCGGGAAGA GATGACCAAG
1141 AACCAGGTGT CCCTGACCTG CCTGGTCAAA GGCTTCTACC CCAGCGATAT CGCCGTGGAA
1201 TGGGAGAGCA ATGGCCAGCC CGAGAACAAC TACAAGACCA CCCCCCCTGT GCTGGACAGC
1261 GACGGCTCAT TCTTCCTGTA CAGCAAGCTG ACCGTGGACA AGAGCCGGTG GCAGCAGGGC
1321 AACGTGTTCA GCTGCAGCGT GATGCACGAG GCCCTGCACA ACCACTACAC CCAGAAGTCC
1381 CTGAGCCTGA GCCCCGGAAA GGGCGGTGGC GGATCCGGAG GTGGGGGATC TCAGGTGCAG
1441 CTGGTGCAGT CTGGCGCCGA AGTGAAGAAA CCCGGCTCTA GCGTGAAGGT GTCCTGCAAG
1501 GCCAGCGGCG GCACCTTCTC CACCTACGGC ATCAGCTGGG TCCGCCAGGC CCCTGGACAG
1561 GGCCTGGAAT GGATGGGCGG CATCATCCCC ATCTTCGACA CCGGCAACAG CGCCCAGAGC
1621 TTCCAGGGCA GAGTGACCAT CACCGCCGAC GAGAGCACCT CCACCGCCTA CATGGAACTG
1681 AGCAGCCTGC GGAGCGAGGA CACCGCCGTG TACTACTGCG CCAGAAGCAG CCGGATCTAC
1741 GACCTGAACC CCAGCCTGAC CGCCTACTAC GACATGGACG TGTGGGGCCA GGGCACCATG
1801 GTCACAGTGT CTAGCGGAGG CGGCGGATCT GGCGGCGGAG GAAGTGGCGG GGGAGGATCT
1861 GCCCAGAGCG TGCTGACCCA GCCCCCTTCT GTGTCTGCCG CCCCTGGCCA GAAAGTGACC
1921 ATCTCCTGCA GCGGCAGCAG CAGCAACATC GGCAACAACT ACGTGTCCTG GTATCAGCAG
1981 CTGCCCGGCA CCGCCCCTAA GCTGCTGATC TACGACAACA ACAAGCGGCC CAGCGGCATC
2041 CCCGACCGGT TTAGCGGCAG CAAGAGCGGG ACTTCTGCTA CACTGGGCAT CACAGGCCTG
2101 CAGACCGGCG ACGAGGCCGA CTACTACTGC GGCACCTGGG ACAGCAGCCT GAGCGCTTGG
2161 GTGTTCGGCG GAGGCACCAA GCTGACAGTG CTG
配列番号17-TNFR2-Fc_varB-アミノ酸配列
【化2】
配列番号18-TNFR2-Fc_varB-ヌクレオチド配列
1 CTGCCCGCCC AGGTGGCCTT TACCCCTTAT GCCCCCGAGC CCGGCAGCAC CTGTCGGCTG
61 AGAGAGTACT ACGACCAGAC CGCCCAGATG TGCTGCAGCA AGTGCTCTCC TGGCCAGCAT
121 GCCAAGGTGT TCTGCACCAA GACCAGCGAC ACCGTGTGCG ACAGCTGCGA GGACAGCACC
181 TACACCCAGC TGTGGAACTG GGTGCCCGAG TGCCTGAGCT GCGGCAGCAG ATGCAGCAGC
241 GACCAGGTGG AAACCCAGGC CTGCACCAGA GAGCAGAACC GGATCTGCAC CTGTAGACCC
301 GGCTGGTACT GCGCCCTGAG CAAGCAGGAA GGCTGCAGAC TCTGCGCCCC TCTGCGGAAG
361 TGCAGACCCG GCTTTGGCGT GGCCAGACCC GGCACCGAGA CAAGCGACGT GGTCTGCAAG
421 CCCTGCGCTC CTGGCACCTT CAGCAACACC ACCAGCAGCA CCGACATCTG CAGACCCCAC
481 CAGATCTGCA ACGTGGTGGC CATCCCCGGC AACGCCAGCA TGGATGCCGT GTGCACCAGC
541 ACCAGCCCCA CCAGAAGTAT GGCCCCTGGC GCCGTGCATC TGCCCCAGCC TGTGTCCACC
601 AGAAGCCAGC ACACCCAGCC CACCCCTGAG CCTAGCACCG CCCCCTCCAC CAGCTTTCTG
661 CTGCCTATGG GCCCTAGCCC TCCAGCCGAG GGAAGCACAG GCGACGAGCC CAAGAGCTGC
721 GACAAGACCC ACACCTGTCC CCCCTGCCCT GCCCCTGAAC TGCTGGGCGG ACCCAGCGTG
781 TTCCTGTTCC CCCCAAAGCC CAAGGACACC CTGATGATCA GCCGGACCCC CGAAGTGACC
841 TGCGTGGTGG TGGACGTGTC CCACGAGGAC CCTGAAGTGA AGTTCAATTG GTACGTGGAC
901 GGCGTGGAAG TGCACAACGC CAAGACCAAG CCCAGAGAGG AACAGTACAA CTCCACCTAC
961 CGGGTGGTGT CCGTGCTGAC CGTGCTGCAC CAGGACTGGC TGAACGGCAA AGAGTACAAG
1021 TGCAAAGTCT CCAACAAGGC CCTGCCTGCC CCCATCGAGA AAACCATCAG CAAGGCCAAG
1081 GGCCAGCCCC GCGAGCCTCA gGTGTACACA CTGCCCCCCA GCCGGGAAGA GATGACCAAG
1141 AACCAGGTGT CCCTGACCTG CCTGGTCAAA GGCTTCTACC CCAGCGATAT CGCCGTGGAA
1201 TGGGAGAGCA ACGGCCAGCC CGAGAACAAC TACAAGACCA CCCCCCCTGT GCTGGACAGC
1261 GACGGCTCAT TCTTCCTGTA CAGCAAGCTG ACCGTGGACA AGAGCCGGTG GCAGCAGGGC
1321 AATGTCTTCA GCTGTAGCGT GATGCACGAG GCCCTGCACA ACCACTACAC CCAGAAGTCC
1381 CTGAGCCTGA GCCCCGGAAA GGGCGGAGGC GGATCCGGAG GTGGGGGATC TCAGGTGCAG
1441 CTGGTGCAGT CTGGCGCCGA AGTGAAGAAA CCCGGCTCTA GCGTGAAGGT GTCCTGCAAG
1501 GCCAGCGGCG GCACCTTCTC CACCTACGGC ATCAGCTGGG TCCGCCAGGC CCCTGGACAG
1561 TGTCTGGAAT GGATGGGCGG CATCATCCCC ATCTTCGACA CCGGCAACAG CGCCCAGAGC
1621 TTCCAGGGCA GAGTGACCAT CACCGCCGAC GAGAGCACCT CCACCGCCTA CATGGAACTG
1681 AGCAGCCTGC GGAGCGAGGA CACCGCCGTG TACTACTGCG CCAGAAGCAG CCGGATCTAC
1741 GACCTGAACC CCAGCCTGAC CGCCTACTAC GACATGGACG TGTGGGGCCA GGGCACCATG
1801 GTCACAGTGT CTAGCGGAGG CGGAGGCAGC GGAGGTGGTG GATCTGGTGG CGGAGGAAGT
1861 GGCGGCGGAG GCTCTCAGAG CGTGCTGACC CAGCCCCCTT CTGTGTCTGC CGCCCCTGGC
1921 CAGAAAGTGA CCATCTCCTG CAGCGGCAGC AGCAGCAACA TCGGCAACAA CTACGTGTCC
1981 TGGTATCAGC AGCTGCCCGG CACCGCCCCT AAGCTGCTGA TCTACGACAA CAACAAGCGG
2041 CCCAGCGGCA TCCCCGACCG GTTTAGCGGC AGCAAGAGCG GGACTTCTGC TACACTGGGC
2101 ATCACAGGCC TGCAGACCGG CGACGAGGCC GACTACTACT GCGGCACCTG GGACAGCAGC
2161 CTGAGCGCTT GGGTGTTCGG CTGCGGCACC AAGCTGACAG TGCTG
配列番号19-(Gly
4Ser)
4アミノ酸20個のリンカー配列
1 GGGGSGGGGS GGGGSGGGGS
配列番号20-ヌディマブvarB-L鎖アミノ酸配列
1 EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASQSVY SYLAWYQQKP GQAPRLLIYD ASNRAIGIPA
61 RFSGSGSGTD FTLTISSLEP EDFAVYYCQQ RSNWPPFTFG PGTKVDIKRT VAAPSVFIFP
121 PSDEQLKSGT ASVVCLLNNF YPREAKVQWK VDNALQSGNS QESVTEQDSK DSTYSLSSTL
181 TLSKADYEKH KVYACEVTHQ GLSSPVTKSF NRGEC
配列番号21-ヌディマブvarB-L鎖ヌクレオチド配列
1 GAAATCGTGC TGACCCAGAG CCCCGCCACC CTGTCTCTGA GCCCTGGCGA GAGAGCCACC
61 CTGAGCTGCA GAGCCAGCCA GAGCGTGTAC TCCTACCTGG CTTGGTATCA GCAGAAGCCC
121 GGCCAGGCCC CCAGACTGCT GATCTACGAC GCCAGCAACC GGGCCATCGG CATCCCTGCC
181 AGATTTTCTG GCAGCGGCAG CGGCACCGAC TTCACCCTGA CCATCAGCAG CCTGGAACCC
241 GAGGACTTCG CCGTGTACTA CTGCCAGCAG CGGAGCAACT GGCCCCCCTT CACCTTCGGC
301 CCTGGCACCA AGGTGGACAT CAAGCGTACG GTGGCTGCAC CATCTGTCTT CATCTTCCCG
361 CCATCTGATG AGCAGTTGAA ATCTGGAACT GCCTCTGTTG TGTGCCTGCT GAATAACTTC
421 TATCCCAGAG AGGCCAAAGT ACAGTGGAAG GTGGATAACG CCCTCCAATC GGGTAACTCC
481 CAGGAGAGTG TCACAGAGCA GGACAGCAAG GACAGCACCT ACAGCCTCAG CAGCACCCTG
541 ACGCTGAGCA AAGCAGACTA CGAGAAACAC AAAGTCTACG CCTGCGAAGT CACCCATCAG
601 GGCCTGAGCT CGCCCGTCAC AAAGAGCTTC AACAGGGGAG AGTGT
配列番号22-ヌディマブvarB-H鎖アミノ酸配列
【化3】
配列番号23-ヌディマブvarB-H鎖ヌクレオチド配列
1 CAGGTGCAGC TGGTGGAAAG CGGCGGAGGC GTGGTGCAGC CCGGCAGAAG CCTGAGACTG
61 AGCTGCGCTG CCAGCGGCTT CATCTTCAGC AGCTACGCCA TGCACTGGGT CCGCCAGGCC
121 CCTGGCAACG GACTGGAATG GGTGGCCTTC ATGAGCTACG ACGGCAGCAA CAAGAAGTAC
181 GCCGACAGCG TGAAGGGCCG GTTCACCATC AGCCGGGACA ACAGCAAGAA CACCCTGTAC
241 CTGCAGATGA ACAGCCTGCG GGCTGAGGAC ACCGCCGTGT ACTACTGCGC CAGAGACCGA
301 GGCATCAGTG CTGGCGGCAA CTACTACTAC TACGGCATGG ACGTGTGGGG CCAGGGCACC
361 ACCGTGACCG TGTCTAGCGC GTCGACCAAG GGCCCATCCG TCTTCCCCCT GGCACCCTCC
421 TCCAAGAGCA CCTCTGGGGG CACAGCGGCC CTGGGCTGCC TGGTCAAGGA CTACTTCCCC
481 GAACCGGTGA CGGTGTCCTG GAACTCAGGC GCTCTGACCA GCGGCGTGCA CACCTTCCCG
541 GCTGTCCTAC AGTCCTCAGG ACTCTACTCC CTCAGCAGCG TGGTGACCGT GCCCTCCAGC
601 AGCTTGGGCA CCCAGACCTA CATCTGCAAC GTGAATCACA AGCCCAGCAA CACCAAGGTG
661 GACAAGAGAG TTGAGCCCAA ATCTTGTGAC AAAACTCACA CATGCCCACC GTGCCCAGCA
721 CCTGAACTCC TGGGGGGACC GTCAGTCTTC CTCTTCCCCC CAAAACCCAA GGACACCCTC
781 ATGATCTCCC GGACCCCTGA GGTCACATGC GTGGTGGTGG ACGTGAGCCA CGAAGACCCT
841 GAGGTCAAGT TCAACTGGTA CGTGGACGGC GTGGAGGTGC ATAATGCCAA GACAAAGCCG
901 CGGGAGGAGC AGTACAACAG CACGTACCGT GTGGTCAGCG TCCTCACCGT CCTGCACCAG
961 GACTGGCTGA ATGGCAAGGA GTACAAGTGC AAGGTCTCCA ACAAAGCCCT CCCAGCCCCC
1021 ATCGAGAAAA CCATCTCCAA AGCCAAAGGG CAGCCCCGAG AACCACAGGT CTACACCCTG
1081 CCCCCATCCC GGGAGGAGAT GACCAAGAAC CAGGTCAGCC TGACCTGCCT GGTCAAAGGC
1141 TTCTATCCCA GCGACATCGC CGTGGAGTGG GAGAGCAATG GGCAGCCGGA GAACAACTAC
1201 AAGACCACGC CTCCCGTGCT GGACTCCGAC GGCTCCTTCT TCCTCTATAG CAAGCTCACC
1261 GTGGACAAGA GCAGGTGGCA GCAGGGGAAC GTCTTCTCAT GCTCCGTGAT GCATGAGGCT
1321 CTGCACAACC ACTACACGCA GAAGAGCCTC TCCCTGTCTC CGGGTAAAGG CGGAGGGGGA
1381 TCCGGCGGAG GGGGCTCTCA GGTGCAGCTG GTGCAGTCTG GCGCCGAAGT GAAGAAACCC
1441 GGCTCTAGCG TGAAGGTGTC CTGCAAGGCC AGCGGCGGCA CCTTCTCCAC CTACGGCATC
1501 AGCTGGGTCC GCCAGGCCCC TGGACAGTGT CTGGAATGGA TGGGCGGCAT CATCCCCATC
1561 TTCGACACCG GCAACAGCGC CCAGAGCTTC CAGGGCAGAG TGACCATCAC CGCCGACGAG
1621 AGCACCTCCA CCGCCTACAT GGAACTGAGC AGCCTGCGGA GCGAGGACAC CGCCGTGTAC
1681 TACTGCGCCA GAAGCAGCCG GATCTACGAC CTGAACCCCA GCCTGACCGC CTACTACGAC
1741 ATGGACGTGT GGGGCCAGGG CACCATGGTC ACAGTGTCTA GCGGAGGCGG AGGCAGCGGA
1801 GGTGGTGGAT CTGGTGGCGG AGGAAGTGGC GGCGGAGGCT CTCAGAGCGT GCTGACCCAG
1861 CCCCCTTCTG TGTCTGCCGC CCCTGGCCAG AAAGTGACCA TCTCCTGCAG CGGCAGCAGC
1921 AGCAACATCG GCAACAACTA CGTGTCCTGG TATCAGCAGC TGCCCGGCAC CGCCCCTAAG
1981 CTGCTGATCT ACGACAACAA CAAGCGGCCC AGCGGCATCC CCGACCGGTT TAGCGGCAGC
2041 AAGAGCGGGA CTTCTGCTAC ACTGGGCATC ACAGGCCTGC AGACCGGCGA CGAGGCCGAC
2101 TACTACTGCG GCACCTGGGA CAGCAGCCTG AGCGCTTGGG TGTTCGGCTG CGGCACCAAG
2161 CTGACAGTGC TG
配列番号24-NGF-NG VHアミノ酸配列
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFWFGAFTWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGLTNLAQNFQGRVTITADESTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCARSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号25-NGF-NG VHヌクレオチド配列
caggtgcagc tggtgcagtc tggggctgag gtgaagaagc ctgggtcctc ggtgaaggtc 60
tcctgcaagg cctctggagg caccttctgg ttcggcgcgt tcacctgggt gcgacaggcc 120
cctggacaag gacttgagtg gatgggaggg attattccta tcttcgggtt gacgaacttg 180
gcacagaact tccagggcag agtcacgatt accgcggacg aatccacgag cacagtctac 240
atggagctga gcagcttgag atctgaagac acggccgtat attattgtgc acgttcaagt 300
cgtatctacg atctgaaccc gtccctgacc gcctactacg atatggatgt ctggggccag 360
gggacaatgg tcaccgtctc gagt 384
配列番号26-NGF-NG VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSDIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号27-NGF-NG VLヌクレオチド配列
cagtctgtgc tgactcagcc gccatcagtg tctgcggccc caggacagaa ggtcaccatc 60
tcctgctctg gaagcagctc cgacattggg aataattatg tatcgtggta ccagcagctc 120
ccaggaacag cccccaaact cctcatttat gacaataata agcgaccctc agggattcct 180
gaccgattct ctggctccaa gtctggcacg tcagccaccc tgggcatcac cggactccag 240
actggggacg aggccgatta ttactgcgga acatgggata gcagcctgag tgcttgggtg 300
ttcggcggag ggaccaagct gaccgtccta 330
配列番号28-ndimab VHアミノ酸配列
1 QVQLVESGGG VVQPGRSLRL SCAASGFIFS SYAMHWVRQA PGNGLEWVAF MSYDGSNKKY
61 ADSVKGRFTI SRDNSKNTLY LQMNSLRAED TAVYYCARDR GISAGGNYYY YGMDVWGQGT
121 TVTVSS
配列番号29-ndimab VLアミノ酸配列
1 EIVLTQSPAT LSLSPGERAT LSCRASQSVY SYLAWYQQKP GQAPRLLIYD ASNRAIGIPA
61 RFSGSGSGTD FTLTISSLEP EDFAVYYCQQ RSNWPPFTFG PGTKVDIK
配列番号30-1126F1 VHアミノ酸配列
EVQLVQTGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDANRQAVPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号31-1126F1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQMVTISCSGSSSDIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号32-1126G5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFTSGLAPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号33-1126G5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSTWVFGGGTKLTVL
配列番号34-1126H5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDAGNSAQSFQGRVTITADESTSTAHMEVSSLRSEDTAVYYCASSSRIYDHHIQKGGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号35-1126H5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号36-1127D9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDYHTIAYYD
配列番号37-1127D9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号38-1127F9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMKVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDYIPGMRPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号39-1127F9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGNSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSRSGTLATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号40-1131D7 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFNSSLIAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号41-1131D7 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDETDYYCGTWDSSLSAWVFSGGTKLTVL
配列番号42-1131H2 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSTVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号43-1131H2 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGTSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号44-132A9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFGTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFEPSLIYYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号45-132A9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号46-1132H9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号47-1132H9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSDIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPTGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号48-1133C11 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号49-1133C11 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号50-1134D9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVAITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号51-1134D9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSGLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号52-1145D1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTSNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFRTLYSTYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号53-1145D1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGISDRFSGSKSGTSATLGIAGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号54-1146D7 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号55-1146D7 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQEVTISCSGSSTNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号56-1147D2 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVRISCKASGGTFSTYGVSWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号57-1147D2 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGVPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号58-1147G9 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSAYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFNTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTV
配列番号59-1147G9 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTVSCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号60-1150F1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQDRVTITADESTSTAYMEVGSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGHGTMVTVSS
配列番号61-1150F1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号62-1152H5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLVWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDMISSLQPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号63-1152H5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKATISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号64-1155H1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAY
MEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFHLANKGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号65-1155H1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKATISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLDITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号66-1158A1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFGTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDHHNHVGGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号67-1158A1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYASWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDGSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号68-1160E3 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSAKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号69-1160E3 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSNSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTV
配列番号70-1165D4 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号71-1165D4 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIENNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号72-1175H8 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQRLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDATTGLTPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号73-1175H8 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLRTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号74-1211G10 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVRKPGSSVKVSCKAYGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWVGGIIPIFDTRNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDMVSTLIPYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号75-1211G10 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号76-1214A1 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEVKKPGSSVRVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDAHLQAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号77-1214A1 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPPGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTRDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号78-1214D10 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAEAKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGRGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVAITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDAHLNHHGYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号79-1214D10 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQAGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号80-1218H5 VHアミノ酸配列
EVQLVQSGAVVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGSSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDLNPSLTAYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号81-1218H5 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNTGNNYVSWYQQLSGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTVL
配列番号82-1230H7 VHアミノ酸配列
EMQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSTYGISWVRQAPGQGLEWIGGIIPIFDTGNSAQSFQGRVTITADESTSTAYMEVSSLRSDDTAVYYCASSSRIYDFNSALISYYDMDVWGQGTMVTVSS
配列番号83-1230H7 VLアミノ酸配列
QAVLTQPSSVSTPPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYDNNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAWVFGGGTKLTV
配列番号84-1083H4 VHアミノ酸配列
QMQLVQSGAEVKKTGSSVKVSCKASGYTFAYHYLHWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQRFQDRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCASADYVWGSYRPDWYFDLWGRGTMVTVSS
配列番号85-1083H4 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGSSSNIGSNTVNWYQRLPGAAPQLLIYNNDQRPSGIPDRFSGSKSGTSGSLVISGLQSEDEADYYCASWDDSLNGRVFGGGTKLTVL
配列番号86-1227H8 VHアミノ酸配列
QMQLVQSGAEVKKTGSSVKVSCKASGHTFAYHYLHWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQRFQDRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCASADYAWESYQPPQINGVWGRGTMVTVSS
配列番号87-1227H8 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTITCSGSTSNIGNNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNSASLDISGLQSEDEADYYCAAWDDSLSEFFFGTGTKLTVL
配列番号88-NGF-NG HCDR1
FGAFT
配列番号89-NGF-NG HCDR2
GIIPIFGLTNLAQNFQG
配列番号90-NGF-NG HCDR3
SSRIYDLNPSLTAYYDMDV
配列番号91-NGF-NG LCDR1
SGSSSDIGNNYVS
配列番号92-NGF-NG LCDR2
DNNKRPS
配列番号93-NGF-NG LCDR3
GTWDSSLSAWV
配列番号94-G→Cを有するMEDI-578 VHアミノ酸配列
QVQLVQSGAE VKKPGSSVKV SCKASGGTFS TYGISWVRQA PGQCLEWMGG IIPIFDTGNS
AQSFQGRVTI TADESTSTAY MELSSLRSED TAVYYCARSS RIYDLNPSLT AYYDMDVWGQ
GTMVTVSS
配列番号95-G→Cを有するMEDI-578 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSV SAAPGQKVTI SCSGSSSNIG NNYVSWYQQL PGTAPKLLIY DNNKRPSGIP
DRFSGSKSGT SATLGITGLQ TGDEADYYCG TWDSSLSAWV FGCGTKLTVL
配列番号96-1230D8 VHアミノ酸配列
QMQLVQSGAEVKKTGSSVKVSCKASGYTFPYHYLHWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTTNYAQRFQDRVTITADESTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCASADYVWESYHPATSLSLWGRGTMVTVSS
配列番号97-1230D8 VLアミノ酸配列
QSVLTQPPSVSAAPGQKVTISCPGSTSNIGNNYVSWYQQRPGKAPKLMIYDVSKRPSGVPDRFSGSKSGNSASLDISELQSEDEADYYCAAWDDSLSEFLFGTGTKLTVL
配列番号98
GGGGSGGGGS
配列番号99-TNFR2-Fc_varB-コドン最適化ヌクレオチド配列
1 CTGCCCGCCC AGGTGGCCTT TACCCCTTAT GCTCCTGAGC CCGGCTCTAC CTGCCGGCTG
61 AGAGAGTACT ACGACCAGAC CGCCCAGATG TGCTGCTCCA AGTGCTCTCC TGGCCAGCAC
121 GCCAAGGTGT TCTGCACCAA GACCTCCGAT ACCGTGTGCG ACTCCTGCGA GGACTCCACC
181 TACACCCAGC TGTGGAACTG GGTGCCCGAG TGCCTGTCCT GCGGCTCCAG ATGTTCCTCC
241 GACCAGGTGG AAACCCAGGC CTGCACCAGA GAGCAGAACC GGATCTGCAC CTGTCGGCCT
301 GGCTGGTACT GCGCCCTGTC TAAGCAGGAA GGCTGCAGAC TGTGCGCCCC TCTGCGGAAG
361 TGTAGACCTG GCTTTGGCGT GGCCAGACCC GGCACCGAGA CATCTGATGT CGTGTGCAAG
421 CCTTGCGCCC CTGGCACCTT CTCCAACACC ACCTCCTCCA CCGACATCTG CCGGCCTCAC
481 CAGATCTGCA ACGTGGTGGC CATCCCTGGC AACGCCTCTA TGGACGCCGT GTGCACCTCT
541 ACCTCCCCCA CCAGAAGTAT GGCCCCTGGC GCTGTGCATC TGCCCCAGCC TGTGTCTACC
601 AGATCCCAGC ACACCCAGCC CACCCCTGAG CCTTCTACCG CCCCTTCTAC CAGCTTCCTG
661 CTGCCTATGG GCCCTAGCCC TCCTGCTGAG GGATCTACAG GCGACGAGCC CAAGTCCTGC
721 GACAAGACCC ACACCTGTCC CCCTTGTCCT GCCCCTGAAC TGCTGGGCGG ACCTTCCGTG
781 TTCCTGTTCC CCCCAAAGCC CAAGGACACC CTGATGATCA GCCGGACCCC TGAAGTGACC
841 TGCGTGGTGG TGGATGTGTC CCACGAGGAT CCCGAAGTGA AGTTCAATTG GTACGTGGAC
901 GGCGTGGAAG TGCACAACGC CAAGACCAAG CCCAGAGAGG AACAGTACAA CTCCACCTAC
961 CGGGTGGTGT CCGTGCTGAC CGTGCTGCAC CAGGATTGGC TGAACGGCAA AGAGTACAAG
1021 TGCAAGGTGT CCAACAAGGC CCTGCCTGCC CCCATCGAAA AGACCATCTC CAAGGCCAAG
1081 GGCCAGCCCC GGGAACCCCA GGTGTACACA CTGCCCCCTA GCCGGGAAGA GATGACCAAG
1141 AACCAGGTGT CCCTGACCTG TCTCGTGAAG GGCTTCTACC CCTCCGATAT CGCCGTGGAA
1201 TGGGAGTCCA ACGGCCAGCC TGAGAACAAC TACAAGACCA CCCCCCCTGT GCTGGACTCC
1261 GACGGCTCAT TCTTCCTGTA CTCCAAGCTG ACAGTGGACA AGTCCCGGTG GCAGCAGGGC
1321 AACGTGTTCT CCTGCTCCGT GATGCACGAG GCCCTGCACA ACCACTACAC CCAGAAGTCC
1381 CTGTCCCTGA GCCCTGGAAA AGGCGGCGGA GGATCTGGCG GAGGCGGATC TCAGGTGCAG
1441 CTGGTGCAGT CTGGCGCTGA AGTGAAGAAA CCCGGCTCCT CCGTGAAGGT GTCCTGCAAG
1501 GCTTCTGGCG GCACCTTCTC TACCTACGGC ATCTCCTGGG TGCGACAGGC CCCTGGCCAG
1561 TGCCTGGAAT GGATGGGCGG CATCATCCCC ATCTTCGACA CCGGCAACTC CGCCCAGAGC
1621 TTCCAGGGCA GAGTGACCAT CACCGCCGAC GAGTCTACCT CCACCGCCTA CATGGAACTG
1681 TCCTCCCTGC GGAGCGAGGA CACCGCCGTG TACTACTGCG CCCGGTCCTC TCGGATCTAC
1741 GACCTGAACC CTTCCCTGAC CGCCTACTAC GACATGGACG TGTGGGGCCA GGGCACAATG
1801 GTCACCGTGT CATCTGGTGG TGGCGGCTCT GGTGGCGGAG GAAGTGGGGG AGGGGGTTCT
1861 GGGGGGGGAG GATCTCAGTC TGTGCTGACC CAGCCTCCTT CCGTGTCTGC TGCCCCAGGC
1921 CAGAAAGTGA CAATCTCCTG CAGCGGCTCC AGCTCCAACA TCGGCAACAA CTACGTGTCC
1981 TGGTATCAGC AGCTGCCCGG CACCGCTCCC AAACTGCTGA TCTACGATAA CAACAAGCGG
2041 CCCTCCGGCA TCCCCGACAG ATTCTCCGGC TCTAAGTCCG GCACCTCTGC CACCCTGGGC
2101 ATCACCGGAC TGCAGACAGG CGACGAGGCC GACTACTACT GTGGCACCTG GGACTCCTCC
2161 CTGTCCGCTT GGGTGTTCGG CTGCGGCACC AAACTGACTG TGCTG
【0216】
本開示は、本開示の個々の態様を単一に説明しようとする、記載する特定の態様によって範囲が限定されるものではなく、機能的に同等であるあらゆる組成物または方法が本開示の範囲内にある。実際、本明細書に記載し、示すものに加えて、本開示の様々な修飾が、当業者には、前述の記載および添付の図面から明らかになろう。このような修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるものとされる。
【0217】
本明細書において言及する刊行物および特許出願は全て、個々の刊行物または特許出願の各々を参照によって組み入れることを具体的に、かつ個々に指定した場合と同程度に参照によって本明細書に組み入れる。
NGFアンタゴニストドメインおよびTNFαアンタゴニストドメインを含む結合性分子であって、NGFアンタゴニストドメインは、抗NGF抗体またはその抗原結合性フラグメントであり、TNFαアンタゴニストドメインは、TNFRの可溶性フラグメントを含み、TNFRの可溶性フラグメントは、TNFαに結合することができる、前記結合性分子。
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、HCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、該HCDR1は、配列番号4、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号4のアミノ酸配列を有し、該HCDR2は、配列番号5、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号5のアミノ酸配列を有し、該HCDR3は、配列番号6、もしくは最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)、またはSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を有し、該LCDR1は、配列番号8、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号8のアミノ酸配列を有し、該LCDR2は、配列番号9、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を有し、該LCDR3は、配列番号10、または最高2個のアミノ酸置換を有する配列番号10のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の結合性分子。
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、HCDR1、HCDR2、HCDR3のCDRのセットを含む抗体VHドメイン、ならびにLCDR1、LCDR2、およびLCDR3のCDRのセットを含む抗体VLドメインを含み、
該HCDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を含み、
該HCDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を含み、
該HCDR3は、配列番号6のアミノ酸配列、SSRIYDFNSALISYYDMDV(配列番号11)、またはSSRIYDMISSLQPYYDMDV(配列番号12)を含み、
該LCDR1は、配列番号8のアミノ酸配列を含み、
該LCDR2は、配列番号9のアミノ酸配列を含み、
該LCDR3は、配列番号10のアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の結合性分子。
システインが、配列番号7の102、103、または104位に対応するアミノ酸位置のVLドメインに存在し、システインが、配列番号3の44位に対応するアミノ酸位置のVHドメインに存在する、請求項2または3に記載の結合性分子。
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号3または94のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有するVHを含み、
抗NGF抗体またはそのフラグメントは、配列番号7または95のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有するVLを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の結合性分子。
疼痛は、神経因性疼痛、急性疼痛、短期間の疼痛、持続性もしくは慢性の侵害受容性疼痛、または持続性もしくは慢性の神経因性疼痛である、請求項17に記載の使用のための医薬組成物。