(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133649
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/25 20060101AFI20240925BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20240925BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20240925BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20240925BHJP
C12N 15/47 20060101ALI20240925BHJP
C07K 14/145 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61K39/25 ZNA
A61K35/761
A61P31/22
A61P37/04
C12N15/861 Z
C12N15/47
C07K14/145
A61K39/25
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109372
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2021523773の分割
【原出願日】2019-11-05
(31)【優先権主張番号】1818084.4
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516245900
【氏名又は名称】オックスフォード ユニバーシティ イノベーション リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OXFORD UNIVERSITY INNOVATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート サラ シー.
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン サラ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル エイドリアン ブイ.エス.
(72)【発明者】
【氏名】ランベ テレサ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水痘帯状疱疹ウイルス(VZV,Varicella-Zoster Virus)に対する免疫応答を誘導するのに有用な組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むウイルスベクターに関し、前記ウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。本発明はまた、医学的治療における使用、使用のための組成物及び医学的治療の方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むウイルスベクターを含む組成物であって、前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、前記組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV,Varicella-Zoster Virus)に対する免疫応答を誘導するのに有用な組成物に関する。特に、本発明は、VZV GlyEタンパク質由来のエピトープを含むウイルスベクター、例えばそれを含むアデノウイルスベクターに関する。
【背景技術】
【0002】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV又は「帯状疱疹ウイルス」)は、主に小児において水痘を引き起こす。しかしながら、より重要なことに、同ウイルスは、成人において、通常一次水痘感染の数十年後に再出現し、重篤な疾患である帯状疱疹を引き起こし得る。
【0003】
帯状疱疹は、帯状ヘルペスとしても知られ、神経及びその周辺の皮膚の感染症である。NHS(英国国民保健サービス,theU.K's National Health Service)によれば、およ
そ4人に1人が生涯の間に帯状疱疹の少なくとも1回のエピソードを有すると推定されている。
【0004】
帯状疱疹の主要な症候は疼痛及びそれに次ぐ外見では水痘におけるものと同様の掻痒水疱に進行する発疹である。新しい水疱は、最大1週間現れ得るが、現れて数日後には、黄色がかった色になり、平板化し、乾燥する。次いで、水疱があった場所から痂皮が形成し、これはいくつかのわずかな瘢痕及び皮膚色素の損失が残り得る。疼痛は、恒常的な、鈍い又は灼熱感であってもよく、その強度は、軽度から重症まで変化し得る。患者は、時々鋭い刺痛を有する場合があり、皮膚の罹患領域は、通常敏感である。いくつかの場合において、帯状疱疹は、疼痛性の発疹が最初に現れる数日前に発生するいくつかの早期症候、例えば頭痛、罹患領域の皮膚の灼熱感、刺痛、痺れ又は掻痒感、全体的な体調不良感覚、及び/又は高熱(発熱)を引き起こし得る。
【0005】
帯状疱疹のエピソードは、典型的には約2~4週間持続する。これは、通常、身体の1つの側面のみの特定の領域に影響を及ぼす。通常、身体の正中線にわたることはない。身体のいかなる部分、例えば顔及び眼にも影響を及ぼし得るが、胸部及び腹部が最も多い領域である。
【0006】
英国における平均寿命は現在80歳を超えており、長期間の健康維持は、現在の健康管理の重要な目的である。高齢成人においてより頻繁に発生する影響力の強い病気、例えば帯状疱疹を特異的に標的とする医学の発展は、疾患の負担及び関連する健康管理需要を低下させるのに重要な役割を果たす。
【0007】
90%超の成人が水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に感染したことがあり、そのため、帯状疱疹(帯状ヘルペス)を発症するリスクがある。帯状疱疹は高齢成人(年齢が50歳を超える)において最も頻繁であるが、いかなる年齢においても、特に免疫不全である(免疫系が弱体化している)人々において生じ得る。通常、免疫系はウイルスを制御することができるが、生涯の後期において、VZVが再活性化し、帯状疱疹をもたらし得る。何故これが起こり得るかは明らかではないが、免疫老化(加齢によりもたらされる免疫系の漸進的な劣化)に関連している可能性がある。高齢成人を標的とする病気に対して特異的に防御するワクチンの開発は、重要な健康管理の第一歩である。
【0008】
症候の重症度及び/又は合併症を発症するリスクを軽減することが望ましい。帯状疱疹の合併症としては髄膜炎又は脳炎が挙げられ、帯状疱疹が眼に影響を及ぼす場合、状態が
急速に治療されなければ、永続的な視力の問題を発症するリスクがある。
【0009】
欧州特許第3210631号明細書は、帯状ヘルペスを予防及び治療するためのDNAワクチン組成物及びこれを使用してVZV抗原についてT細胞を活性化する方法を開示している。本文献は、帯状ヘルペスを予防及び治療するためのDNAワクチン組成物であって、VZVタンパク質をコードする水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)由来遺伝子の挿入部位を含有する少なくとも1つの種類のプラスミド及び他の薬学的に許容される成分を含有する組成物を記載している。この文献中に、ウイルスベクターについての言及はない。
【0010】
国際公開第2014/043189号パンフレットは、条件付き複製欠損ヘルペスウイルス及びワクチンにおけるその使用を開示している。ウイルス複製に必須である1又は2以上の遺伝子に1又は2以上の不安定化ドメインを組み込むか又は融合することにより、条件付き複製欠損になったものを含有するバリアント又は変異導入したヘルペスウイルス及び宿主細胞の作成が記載されている。この文献中に、ウイルスベクターについての言及はない。
【0011】
欧州特許第1721981号明細書は、BAC(大腸菌人工染色体)を用いて調製した組換え水痘帯状疱疹ウイルス及びかかるウイルスを含む医薬組成物を開示している。この文献の焦点は、VZVの非必須領域の同定にあり、特に非必須領域は、遺伝子11のORFに隣接する領域であるか、又は遺伝子12のORFに隣接する領域である。この文献中に、VZV抗原を有するウイルスベクターについての言及はない。
【0012】
国際公開第2009/012486号パンフレットは、水痘帯状疱疹ウイルスウイルス様粒子(VLP)及び抗原を開示している。特にこの文献は、VZV gEタンパク質を含むがVZV核酸又は酵母Tyタンパク質を含まない、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)由来の精製ウイルス様粒子(VLP)を記載している。この文献の焦点は感染性剤由来の少なくとも1つのさらなるタンパク質をさらに含むVLPにある。この文献中におけるウイルスベクターについての言及は、一般的な発現ベクターとして段落0048~0049にあるのみである。
【0013】
このウイルスに対する先行技術ワクチンとしては、Zostavax(商標)(Merck社製)が
挙げられる。Zostavax(商標)による防御は、主に抗体応答を介するものである。欧州医薬品庁(EMA, European Medicines Agency)文書WC500053460は、Zostavaxについて議論しており、当技術分野において免疫応答と帯状ヘルペス(HZ, Herpes Zoster)に対する防御との相関は、gpELISA測定により観察されたことが主張されており、一方、VZV IFN-γ ELISPOT試験の結果は、防御に対してより明確ではない相関を有していた。Zostavax(商標)は、典型的には英国において、70歳の全ての成人に投与される。しかしながら、前記ワクチンは完全に有効ではなく、その帯状疱疹に対する有用性は年齢とともに(50~59歳の年齢の成人における69.8%から、年齢70歳以上の成人における37.6%まで)低下する。したがって、有効性は30~40%であり、これは非常に不良である。これは、当技術分野における問題である。さらに、Zostavax(商標)により得られる防御は、典型的には5年以内であり、これは問題を生じる短さである。
【0014】
さらに、ワクチンは、帯状疱疹を発症するリスクが高い、免疫系が弱体化している人々(例えばHIVを有する患者)には推奨されていない。そのため、全年齢にわたって、特に老齢及び免疫不全の集団において改善された防御をもたらすワクチンについての満たされていないニーズが存在する。
【0015】
Zostavax(商標)は、生弱毒化ウイルスである。したがって、ヒトに投与した際、限定
的な感染を引き起こし、帯状疱疹疾患を引き起こすことなく、ヒトにおいて免疫応答を強化する。この製剤がマウスにおいて複製せず、そのため、マウスに投与した場合に、複製欠損ウイルスを投与することにより類似していることは留意すべきである。
【0016】
SHINGRIX(商標)は、年齢50歳以上の成人における帯状ヘルペス(帯状疱疹)を予防するために示されたワクチンである。SHINGRIX(商標)は、GlaxoSmithKline Biologicals社、リクサンサール、ベルギーにより製造されている。SHINGRIX(商標)は、凍結乾燥
水痘帯状疱疹ウイルス糖タンパク質E(gE)抗原成分を、付属のAS01Bアジュバント懸
濁液成分により再構成することにより調製する。したがって、SHINGRIX(商標)はGlyE抗原に基づくタンパク質ワクチンである。これは、有効とするためには、2回投与として投与しなければならない。各投与は、アジュバント、例えばAS01アジュバントとともに投与されなければならない。このアジュバントは反応原性であり、これは患者にとっては不快なものである可能性があり-レシピエントの85%が注射時に疼痛を報告している。生じ得るSHINGRIX(商標)の副作用としては、注射部位の発赤、掻痒感、腫れ、温感、打ち身又は疼痛が挙げられる。頭痛、筋肉痛、疲労感又は発熱も生じ得る。さらに、反応源性はコンプライアンスの二次的な問題を引き起こし得る。これは、ワクチン投与後に経験される応答が、2回目の投与に患者が戻る意欲を無くさせるものであるが、推奨されるレジメン及び関連するレベルの防御を完了するためには、2回目の投与が必要であるためである。これは当技術分野における問題である。
【0017】
先行技術アプローチ、例えばSHINGRIX(商標)ワクチンのさらなる欠点は、保存及び投与時に混合する2つの材料のバイアルを必要とすることであり-SHINGRIX(商標)の場合、これは、アジュバントのバイアル及び抗原のバイアルであり、これらは投与時に単一の混合物に製剤化される。
【0018】
米国では、Zostavaxの定価は民間セクターにおいて用量当たり$196.91であり、CDCワクチン契約については用量当たり$117.12である。返還に関しては、Zostavaxは、米国では年齢60歳以上の成人については、(いくつかのプランは患者自己負担金を必要とする場合もあるが)殆どの個人向け健康保険会社によりカバーされている(98%)。ワクチンはまた、パートD(しばしば自己負担金の必要及び自腹の出費がある)であろうが、年齢65歳以上の成人についてもメディケアによりカバーされている。さらに、評論家は、Shingrixの2用量投与及びその認容性プロファイルが、潜在的に脆弱であると識別している。したがって先行技術アプローチには、持続している問題が存在している。
【0019】
本発明は、先行技術に関連する課題を克服しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】欧州特許第3210631号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/043189号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1721981号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/012486号パンフレット
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】欧州医薬品庁文書WC500053460
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する適切な細胞媒介性免疫(CMI,cell-media
ted immunity)が欠けていることは、帯状疱疹及び関連する疼痛を発症するリスクがより高いことに関連している。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、アデノウイルス-GlyE帯状疱疹ウイルスワクチンを記載している。これにはT細胞応答を誘導することが示されている。これらのベクターは、プライム・ブーストワクチン接種レジメンにおいて使用することができる。本出願で提供されるデータにより、強いT細胞応答が実証されている。したがって、本発明は、有利で強く持続するT細胞応答を提供する。
【0024】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)は、水痘及び帯状ヘルペス(帯状疱疹)を引き起こす。水痘は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の初期感染により引き起こされる高度に接触伝染性の疾患である。水痘は、最も一般的な小児期疾患の1つであり、水疱様の発疹及び発熱を特徴とし、人口の90%超が、生涯の最初の20年間の間に暴露されている。水痘は一般的に軽度の自然治癒疾患であるが、免疫不全対象及び成人においては、重篤になり得る。帯状疱疹(Zoster)又は帯状疱疹(shingle)は、後感覚神経節において潜在性形
態で持続しているVZVの再活性化により引き起こされる。ワクチン接種による水痘の予防は、所望の医学的介入である。
【0025】
本明細書に記載する組成物及び/又はワクチンは、治療用ではない、すなわち、それらはウイルスを除去する/根絶するものとしては教示されていないことは留意するべきである。それらは、VZV感染の制御の維持及び/又は帯状疱疹を引き起こす複製VZV感染の再起の予防において使用するためのワクチン組成物として教示されている。言い換えれば、組成物は宿主生物からの免疫応答の誘導において使用するためのワクチン組成物として教示されており、ウイルスそれ自体に対して直接作用する薬剤としては教示されていない。組成物は、水痘のような初期感染に対する防御を誘導する、及び/又は帯状疱疹のような潜在性ウイルス(「休止状態ウイルス」と称する場合もある)の再活性化に対する防御を誘導するのに有用である。
【0026】
適切には、「既存の感染」に対する言及は、「潜在性感染」又は「静的感染」を意味し、すなわち、ライフサイクルの溶原性期にあるウイルス、すなわち休止状態のVZV感染(活性感染をもはや引き起こさないと定義される)を意味する。
【0027】
適切には、「感染」に対する言及は、当技術分野における通常の意味を有する、すなわち、疾患、例えば水痘又は帯状疱疹、最も適切には帯状疱疹を引き起こす活性な感染又は増殖性ウイルス感染を意味する。「感染」は通常、関連するウイルス血症、すなわち(上述の潜在性感染ではなく)活性な感染を有する。
【0028】
適切には、本明細書に記載する組成物は、再発VZV感染の予防における使用のため、適切には複製VZV感染の予防における使用のため、適切には潜在性VZV感染の再活性化により引き起こされる疾患の予防における使用のためのものである。
【0029】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、成人において帯状疱疹を引き起こすウイルスの再発は、循環しているウイルスに対するT細胞応答の漸減/T細胞数の漸減によるものであり得ると考えている。この理由により、本発明者らは、初めて、既存のアプローチ(主に抗体応答に基づく)がこの目的に適合していない可能性があることを教示する。これらの理由により、本発明者らは、強い細胞免疫応答、例えばT細胞応答を誘導することによりレシピエントを防御するという利点を有する、特許請求の範囲に記載するウイルスベクターコンストラクトを教示する。
【0030】
広範囲の態様において、本発明は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むウイルスベクターに関する。適切にはウイルスベクター及び水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原は異種である、すなわち適切にはウイルスベクターはVZVではないか、又はVZVに由来しない。
【0031】
適切には、本発明は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むウイルスベクターに関し、ここで前記ウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。
【0032】
一態様において、本発明は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むウイルスベクターを含む組成物に関し、ここで前記ウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。
【0033】
適切には、前記少なくとも1つのエピトープは少なくとも1つのCD4T細胞エピトープ及び少なくとも1つのCD8T細胞エピトープを含む。
【0034】
適切には、前記アデノウイルスベクターはヒト又はサル由来のものである。
【0035】
適切には、前記アデノウイルスベクターはChAdOx1又はChAdOx2である。
【0036】
適切には、前記組成物はアジュバント非含有である。
【0037】
適切には、前記GlyE抗原は配列番号1又は配列番号2、適切には配列番号2のアミノ酸配列を有する。
【0038】
適切には、前記ポリヌクレオチド配列は配列番号3又は配列番号4、適切には配列番号4の配列を含む。
【0039】
適切には、前記ポリヌクレオチド配列は配列番号6のbghポリアデニル化シグナルの配列をさらに含む。
【0040】
適切には、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードする前記ポリヌクレオチド配列は長CMVプロモーター(long CMV promoter
)に作動可能に接続しており、適切には、長CMVプロモーターは配列番号7のヌクレオチド配列を有する。
【0041】
適切には、前記ウイルスベクター配列はECACC受託番号12052403(ChAdOx1)のものである。
【0042】
適切には、前記ウイルスベクター配列は配列番号5(ChAdOx2)の通りである。
【0043】
適切には、哺乳類対象への単回容量の投与は、前記対象における防御免疫を誘導する。
【0044】
適切には、上記の組成物は、前記組成物の哺乳類対象への単回用量の投与が前記対象における防御免疫を誘導するように製剤化される。
【0045】
適切には、上記の組成物は、VZVに対する免疫応答を誘導するためのものである。
【0046】
適切には、前記免疫応答は細胞免疫応答である。適切には、前記細胞免疫応答はNK細胞応答及び/又はT細胞応答を含む。適切には、前記細胞免疫応答はT細胞応答を含む。適切には、前記T細胞応答はCD8+T細胞応答を含む。適切には、前記T細胞応答はCD4+T細胞応答を含む。より適切には、前記T細胞応答はCD8+及びCD4+T細胞応答を含む。最も適切には、前記T細胞応答はCD4+T細胞応答を含む。適切には、前記T細胞応答は、三重分泌CD4+T細胞応答を含む。
【0047】
適切には、上記の組成物は、VZVに対する免疫応答を誘導するためのものであり、単回用量が投与される。
【0048】
適切には、上記の組成物は、VZVに対する免疫応答を誘導するためのものであり、1回投与される。
【0049】
本発明は、1回のみ投与した場合に有効であるという利点を有する組成物を有利なように提供する。しかしながら、一実施形態において、対象における免疫応答が経時的に衰退する場合、適切には、組成物は前記対象に投与(再投与)してもよい。例えば、前記組成物は5年ごと、より適切には1年ごとに1回投与してもよい。
【0050】
適切には、上記の組成物は、VZVに対する免疫応答を誘導するためのものであり、前記組成物は5年に1回、より適切には1年に1回投与される。
【0051】
適切には、上記の組成物は、VZV感染を予防するためのものである。
【0052】
適切には、上記の組成物は、帯状疱疹を予防するためのものである。
【0053】
適切には、上記の組成物は、VZV感染を予防するため又は帯状疱疹を予防するためのものであり、単回用量が投与される。
【0054】
適切には、上記の組成物は、VZV感染を予防するため又は帯状疱疹を予防するためのものであり、前記組成物は1回投与される。
【0055】
適切には、上記の組成物は、VZV感染の予防において使用するためのものである。
【0056】
適切には、上記の組成物は、帯状疱疹の予防において使用するためのものである。
【0057】
適切には、上記の組成物は、VZV感染の予防において使用するため又は帯状疱疹の予防において使用するためのものであり、単回用量が投与される。
【0058】
適切には、上記の組成物は、VZV感染の予防において使用するため又は帯状疱疹の予防において使用するためのものであり、前記組成物が1回投与される。
【0059】
一態様において、本発明は、医薬における上記の組成物の使用に関する。
【0060】
一態様において、本発明は、VZV感染を予防するための医薬品の調製における上記の組成物の使用に関する。
【0061】
一態様において、本発明は、帯状疱疹を予防するための医薬品の調製における上記の組成物の使用に関する。
【0062】
一態様において、本発明は、対象においてGlyE抗原に対するCD4+T細胞応答及
びCD8+T細胞応答の両方を誘導するための、又は誘導する医薬品の調製における上記の組成物の使用に関する。適切には、前記医薬品は前記対象においてGlyE抗原に対する抗体をさらに誘導する。
【0063】
一態様において、本発明は、哺乳類対象において水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を誘導する方法であって、前記対象に上記の組成物を投与することを含む方法に関する。
【0064】
一態様において、本発明は、哺乳類対象において帯状疱疹を予防する方法であって、前記対象に上記の組成物を投与することを含む方法に関する。
【0065】
適切には、前記組成物の単回容量が前記対象に投与される。適切には、前記組成物は1回投与される。
【0066】
適切には、前記組成物は、5年に1回、より適切には1年に1回投与される。
【0067】
適切には、前記組成物は、皮下、皮内及び筋肉内からなる群から選択される投与経路により投与される。適切には、前記投与は筋肉内投与である。
【0068】
一実施形態において、適切には、上記の組成物は水痘を治療又は予防するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明者らは、感染性疾患に対する防御のために、革新的な技術である、ウイルスベクターワクチンを使用している。本発明者らは、(標的疾患を引き起こす)異なるウイルスの小部分をウイルスベクター骨格に挿入することにより、ウイルスを「リパーパス(re-purpose)」するためのアプローチを使用している。これらの「組換え」ウイルスワクチンは、複製することができず、疾患を引き起こさないが、挿入した又は外来性のウイルスセグメントに対する強い免疫応答を誘導し得る。本発明者らは、ウイルスベクターワクチンが、ともに帯状疱疹を発症するリスクがある重要な集団である、高齢成人及び免疫不全(HIV感染)個体において安全であり、免疫応答を有効に誘導し得ることを実証している。
【0070】
ここで、我々は、VZV(帯状疱疹における根底にある原因薬剤)に対するウイルスベクターワクチンを教示し、これらのワクチンを試験し、適当なモデルにおいてこれらが免疫応答を誘導し得ることを示している。
【0071】
当技術分野において、近年のデータから、帯状疱疹に対する新規開発ワクチン(Shingrix(商標)-アジュバントタンパク質)が、反復免疫化として投与した場合に、帯状疱疹に対する防御有効性を誘導し得ることが提唱されている。不幸なことに、アジュバントの主要な使用(すなわち強い免疫応答を誘導するため)は、結果として有害応答を引き起こす場合があり、これは、当技術分野における課題である。有利なことに、本発明のウイルスベクターワクチンは、同様に強い免疫応答を誘導することができながら、ワクチン接種後に見られる有害応答は限定的又は最小限である。
【0072】
本発明者らは、VZVに対するウイルスベクターワクチンを作製し、これらのワクチンが適当なモデルにおいて免疫応答を誘導し得ることを試験した。
【0073】
本発明者らは、VZVに対する強い及び長続きする免疫を誘導するための種々のワクチン接種レジメンを教示する。
【0074】
本発明者らは、VZVワクチンを作製し、ワクチン接種試験により、当技術分野において公知の現在認可されているワクチンにより達成されるよりも強い細胞媒介性免疫(CMI)が実証された。
【0075】
本明細書中で使用する用語「約」は、与えられた値±1%を意味する。
【0076】
本発明は、脊椎動物対象(適切には哺乳類、より適切には霊長類、最も適切にはヒト)において、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を誘導する、適切にはT細胞媒介性免疫応答を誘導するのに適切なベクター(適切にはウイルスベクター、最も適切にはアデノウイルスベクター)、組成物及び製剤(例えば医薬組成物、例えば医薬品、例えばワクチン)を提供する。
【0077】
適切には、免疫応答は細胞媒介性応答を含む。
【0078】
適切には、免疫応答は細胞媒介性免疫(CMI)を含む。
【0079】
適切には、免疫応答はCD4+T細胞の誘導を含む。
【0080】
適切には、免疫応答はCD4+細胞毒性T細胞(CTL)応答の誘導を含む。
【0081】
一実施形態において、免疫応答は、体液性応答及び細胞媒介性応答の両方を含む。
【0082】
適切には、免疫応答は防御免疫を含む。
【0083】
適切には、本発明のベクターは所望の抗原の1又は2以上のエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含む。一実施形態において、適切には、本発明のベクターは所望の抗原の1又は2以上のエピトープをコードするヌクレオチド配列の相補物であるポリヌクレオチド配列を有する核酸を含む。
【0084】
適切には、1又は2以上のエピトープはT細胞エピトープである。適切には、1又は2以上のエピトープは、CD4+T細胞エピトープである。適切には、1又は2以上のエピトープはCD8+T細胞エピトープである。適切には、1又は2以上のエピトープは、少なくとも1つのCD4+T細胞エピトープ及び少なくとも1つのCD8+T細胞エピトープを含む。
【0085】
適切には、本発明のベクターはGlyEのCD4T細胞エピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含む。
【0086】
適切には、本発明のベクターはGlyEのCD8T細胞エピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含む。
【0087】
適切には、本発明のベクターはGlyEのCD4及びCD8T細胞エピトープ両方をコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含む。
【0088】
適切には、ベクターは(特にヒトにおいて)GlyEに対するCD4及びCD8T細胞応答の両方を誘導する、最も適切には抗体に加えて(特にヒトにおいて)GlyEに対するCD4及びCD8T細胞応答の両方を誘導するのに使用される。
【0089】
これにより、本発明のChAdワクチンは、先行技術、例えばShingrixからさらに区別
される。さらに、これにより、先行技術に対して特徴的であり改善されている本発明の他の性質が示されている。
【0090】
アデノウイルスベクターはDNAゲノムを有する。そのため、核酸は適切にはDNAであり、最も適切にはdsDNAである。
【0091】
適切には、アデノウイルスベクターは、サル又はヒト由来のものであり、適切には、アデノウイルスベクターは、チンパンジー又はヒト由来のものであり、適切には、アデノウイルスベクターはチンパンジー由来のものである。
【0092】
適切には、ヌクレオチド配列はDNA配列である。
【0093】
一実施形態において、我々は、ChAdOx1ウイルスベクター骨格にクローニングされた主
要なVZV表面抗原の1つである、糖タンパク質Eを提供する。発現は、長CMVプロモーターにより駆動される。VZV gpEに対する免疫応答を増強するためのチンパンジー由来ウイルスベクターワクチンの使用は、本発明者らの知る限り、以前になされたことはない。決定的には、本発明者らはまた、ウイルスベクターワクチンは、ともに帯状疱疹を発症するリスクがある重要な集団である、高齢成人及び免疫不全(HIV感染)個体において安全であり、免疫応答を有効に誘導し得ることを実証した。
【0094】
帯状疱疹(帯状ヘルペス)及び水痘(水疱瘡)
上述するように、帯状疱疹(「帯状ヘルペス」と称する場合もある)は、水痘を引き起こすのと同一のウイルスである、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)により引き起こされる。殆どの人々は、小児期に水痘に罹患するが、疾患が消散した後、水痘帯状疱疹ウイルスは神経系において不活性(休止状態)のままである。免疫系は、ウイルスを阻止するが、VZVは、生涯の後期に再活性化し帯状疱疹を引き起こし得る。
【0095】
理論に縛られることを望むものではないが、何故帯状疱疹ウイルスが生涯の後期に再活性化するのかはよく理解されていないが、殆どの場合は、免疫の低下により引き起こされると考えられている。
【0096】
より詳細には、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、アルファヘルペスウイルスによる感染は、2つの異なる疾患、水疱瘡及び帯状ヘルペスに関連している。一次感染は、水痘(水疱瘡)をもたらし、これは、一般的に軽度の自然治癒する、通常小児期又は青年期に感染し、殆ど全ての個体に発症する疾患である。VZVによる初期の一次感染後、ウイルスは、後根神経節中に潜在性のままである。潜在性ウイルスは、頻繁に再活性化し、無症状で複製し得ると想定されている。一過性の無症状性ウイルス血症のこれらの発症は、疾患の臨床的な症状を伴わない、免疫の反復抗原性刺激をもたらす。しかしながら、いくつかの個体において、潜在性ウイルスの再活性化及び複製は、帯状疱疹としばしば称する、帯状ヘルペス(HZ)の臨床的症状をもたらす。HZは、単一の脊髄又は頭部感覚神経節により刺激される皮膚領域に一般的に対応する皮節性分布を伴う一側性水疱性発疹を特徴とする。典型的には、小水疱は、7~10日間で固い外皮を生ずる(crust over)が、治癒に最大1カ月かかる場合もある。HZの最も顕著な臨床的症状の1つは疼痛であり、これは、VZV誘導神経破壊及び炎症によるものであると考えられる。HZ関連疼痛は、3つの期間:-皮膚発疹の発症前(前駆疼痛、典型的には皮膚病変の出現の3~5日前に開始する):-急性発疹期間の間(急性神経炎)及び急性皮膚病変の治癒後;-長期間の皮膚治癒を超えて(帯状疱疹後神経痛(PHN,postherpetic neuralgia))に生じ得る。PHNは、最も重篤なHZの続発症であり、HZ患者の10~20%で生じ、次のパターン-灼熱性、拍動性又は疼痛性の疼痛として記載される恒常的な疼痛;間欠性の鋭い、刺痛性、電撃性、乱刺性疼痛;-通常刺激期間を超えてよく持続するアロディニアとしての刺
激誘発疼痛を大部分の患者が経験する特徴的なパターンにより記載される。アロディニアは、PHN患者の少なくとも90%に存在し、典型的には、HZの最も窮迫性及び衰弱性の要素として記載されている。
【0097】
HZをもたらす機構はよく理解されていないが、免疫不全な個人においてHZ発症の素因となる因子は、加齢である。HZの発症率及び重症度は、20~50歳の成人における1000人年当たり2.5から、60歳超の成人における1000人年当たり7.8にまで上昇する。さらに、PHNのような合併症は、他の点では健常な小児及び若年の成人では比較的頻度が低いが、高齢個体の殆ど半分で生じる。他の点では健常な高齢対象におけるHZのリスクの年齢関連上昇は、免疫老化によるものであると推定されており、これは、細胞媒介性免疫(CMI)の低下と相関するが、循環VZV特異的血清抗体のレベルとは相関しない。しかしながら、免疫不全患者において行った試験からは、CMIが低い又は存在しないことは、HZの発症の必要条件であるが、十分条件ではないことが示されている。
【0098】
ウイルスベクター
適切には、ウイルスベクター(「ベクター」と称する場合もある)はアデノウイルスベクターである。
【0099】
適切には、前記コード配列は、アデノウイルスベースベクターに存在する。言いかえれば、適切には、前記コード配列はアデノウイルスベクターに存在する。
【0100】
いかなる適切なアデノベースウイルスベクターを使用してもよい。
【0101】
本発明のアデノウイルスベクターは、ヒトにおける使用に適切ないかなるアデノウイルスベクターであってもよい。
【0102】
より詳細には、ヒト使用のためのいかなる複製欠損ウイルスベクター、好ましくは非ヒト由来のアデノウイルスを使用してもよい。獣医学的な使用には、Ad5を使用してもよい。
【0103】
適切には、ベクターはChAdOx1であってもよい。
【0104】
適切には、ベクターはChAdOx2であってもよい。
【0105】
ChAdOx1
ChAdOx1は、国際公開第2012/172277号パンフレットに記載されている。簡
潔には、ChAdOx1は、「Y25」チンパンジーアデノウイルス単離物由来である。Y25
由来の複製欠損ベクターを取得し、E1及びE3遺伝子を欠損させた。収率を改善するために、E4中のいくつかのORFをヒトアデノウイルス5由来の対応するORFに置き換え(3つのかかるORFを置き換えた)、これにより、より良い収率がもたらされる。E4は、ウイルス複製に関連しており、免疫原性/安全性には影響を及ぼさないと考えられている。
【0106】
より詳細には、ChAdOx1は、Dicks MDJ,Spencer AJ, Edwards NJ, Wadell G, Bojang K, et al.(2012)A Novel Chimpanzee Adenovirus Vector with Low Human Seroprevalence:Improved Systems for Vector Derivation and Comparative Immunogenicity. PLoS ONE 7(7): e40385及び国際公開第2012/172277号パンフレットに記載されている。これらの文献はともに、特にChAdOx1ベクターについての具体的な教示、例えばそ
のコンストラクション及び製造について、参照により本明細書中に包含されている。
【0107】
さらに、GFPを含有するChAdOx1のクローンが、ECACC(European Collection of Cell Cultures)に寄託されており、AdChOX1のクローン化したゲノムを含むバクテリア人工染色体(BAC,bacterial artificial chromosomes)(pBACe3.6 AdChOx1(E4改変)TIPeGFP)を含む大腸菌系統SW1029(DH10Bの派生物)、細胞株名「AdChOx1(E4改変)TIPeGFP」)のサンプルが、ブダペスト条約の下で、Health Protection Agency Culture Collections, Health Protection Agency、ポートンダウン、ソールズベ
リーSP4 0JG、英国のECACCに2012年5月24日にIsis Innovation Limited社により寄託され、仮受託番号第12052403と指定される。Isis Innovation Limited
社は、本特許/出願の所有者/出願人の以前の名称である。
【0108】
ChAdOx2
ChAdOx2は、国際公開第2017/221031号パンフレットに記載されている。ChAdOx1と同様に、ChAdOx2は、チンパンジーアデノウイルスのC68単離物に由来する。再
び複製欠損ウイルスが得られ、E1及びE3遺伝子を欠損させた。ChAdOx1に行ったよう
な3つのE4 ORFの置き換えは、ChAdOx2について実施する場合には課題があった。
したがってChAdOx2のE4領域全体を(上記する)ChAdOx1の操作E4領域と置き換えた。
【0109】
より詳細には、ChAdOx2ベクターのヌクレオチド配列(E1位置にGateway(商標)カセットを有する)を配列番号5に示す。これは、チンパンジーアデノウイルスC68に基づくウイルスベクターである(これは、英国特許出願第1610967.0号明細書-国際公開第2017/221031号パンフレットの優先権出願の配列番号10の配列である)。
【0110】
さらに、GFPを含むChAdOx2のクローンをECACCに寄託し、寄託受託番号160
61301が、ブダペスト条約の下で、Health Protection Agency CultureCollections, Health Protection Agency、ポートンダウン、ソールズベリーSP40JG、英国のEuropean Collection of Cell Cultures(ECACC)に2016年6月13日にIsis Innovation Limited社により寄託された。IsisInnovation Limited社は、本特許/出願の所有者
/出願人の以前の名称である。
【0111】
したがって、ChAdOx1及びChAdOx2はある程度異なっているため、異種プライム・ブーストレジメンにおいてともに使用することができる(例えば、ChAdOx1プライム後のChAdOx2ブースト又はChAdOx2プライム後のChAdOx1ブースト)。当然のことながら、これらのベクターのいずれかを慣用的な異種プライム・ブーストレジメン、例えばアデノウイルスによるプライム後のポックスウイルスによるブースト又はポックスウイルスによるプライム後のアデノウイルスによるブーストにおいて使用してもよい。
【0112】
ChAdOx1/ChAdOx2からのワクチン用量の製造は同一である。したがって、ChAdOxベクタ
ーの操作/増幅/調製のための本明細書に記載する技術は、ChAdOx1及び/又はChAdOx2に同等に適用し得る。
【0113】
製造の一般的な原理は同一であるが、ウイルス粒子の電荷のわずかな差により下流のプロセシングの厳密な条件にいくつかの些細な差があるであろう。これは十分に、ウイルス産生の当業者にとって日常的な変動の範囲内にある。
【0114】
簡潔には、本発明の組成物のためのウイルスベクターの製造/採取/精製は、適正製造規範(GMP,GoodManufacturing Practice)条件下で行うのが適切である。本発明の
ウイルスベクターは、ウイルス複製に必要な欠損させた任意の遺伝子の相補物を含む改変細胞株において産生してもよい。本発明によるアデノウイルスベクターは、本発明による
アデノウイルスベクターにおいて機能的に欠損した遺伝子を発現する、形質転換した細胞株、例えばHEK293において、ベクター増殖及び収率を最適化するように設計された1又は2以上の改変をさらに含むのが適切である。アデノウイルスベクターの製造は、当技術分野においてよく知られている。特に、アデノウイルスベクター、例えばChAdOx1及
びChAdOx2ベクターの産生についての正確な条件が、先行技術、例えば国際公開第201
2/172277号パンフレット又は国際公開第2017/221031号パンフレットに記載されている。
【0115】
製剤化
臨床用製品に使用するための、製剤化緩衝液は以下の通りである:
【0116】
製剤化緩衝液成分
1. 10mM ヒスチジン
2. 7.5%スクロース
3. 35mM 塩化ナトリウム
4. 1mM 塩化マグネシウム
5. 0.1%ポリソルベート80
6. 0.1mM EDTA
7. 0.5%エタノール
8. 塩酸(約pH6.6へのpH調整用)
【0117】
欧州薬局方(Ph Eur)用の注射用水中で製剤化した。
【0118】
他の製剤、例えば代替的な緩衝液、例えばMerck社製剤化緩衝液A195(10mMトリス、10mM ヒスチジン、5%スクロース、75mM NaCl、1mM MgCl2、0.02% PS-80、0.1mM EDTA、0.5% EtOH、pH7.4)を使用してもよい。
【0119】
エアロゾルのような他の投与経路用の製剤、技術のある操作者により適切に調整されるであろう。
【0120】
適切には、組成物及び/又は製剤はアジュバントを含まない。適切には、アジュバントは本発明の組成物及び/又は製剤から除かれる。
【0121】
抗原挿入
GlyE抗原をコードするヌクレオチド配列の挿入には、適切にはE1部位を、適切にはhCMV IEプロモーターとともに使用し得る。E1部位への挿入は、当業者である読者の範囲内に十分あるものであり、任意の助言が必要である場合、ChAdOx1及びChAdOx2ベクター(上記参照)についての記載及び/又は国際公開第2012/172277号パンフレット又は国際公開第2017/221031号パンフレットが参照される。適切には、hCMV IEプロモーターの短い又は長いバージョンを使用してもよく、長いバージョンは最も適切には国際公開第2008/122811号パンフレットに記載されており、これは、プロモーター、特に長プロモーターについての教示について、参照により特に本明細書中に包含されている。
【0122】
所望により、E3部位において、又は逆位末端反復配列に近接して抗原を挿入することもまた可能である。
【0123】
抗原発現
抗原はウイルスベクターから恒常的に発現していてもよい。実際、本発明者らは、本明
細書に記載する、抗原を恒常的に発現するウイルスベクターが多数の継代を通じて安定であることを示している。これは本発明の利点である。しかしながら、所望により、抗原の発現は、製造の間抑制してもよく、これにより、より良い収率がもたらされ得る、及び/又は抗原毒性による問題を回避し得る。これは操作者の選択の問題である。
【0124】
本明細書に示すデータは、T細胞応答を示すELISPOTデータを含む。これは、帯状疱疹ウイルスが抗体応答に元々焦点を当てていた先行技術アプローチから発したものである。
【0125】
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
他の態様において、本発明は、VZV感染の治療のための、本明細書に記載するベクター、組成物又は医薬品に関する。「治療」は、再発、例えば休止状態のウイルス(哺乳類、例えば霊長類、例えばヒトにおいて「内在性ウイルス」と称する場合もある)からの再発の制御又は予防を意味する。
【0126】
適切には、本発明のベクター、組成物又は医薬品は、VZVの再活性化を制御するためのものである。
【0127】
適切には、ベクター、組成物又は医薬品は、VZV感染の再発を予防するためのものである。
【0128】
適切には、ベクター、組成物又は医薬品は、帯状疱疹を制御するためのものである。
【0129】
適切には、ベクター、組成物又は医薬品は、帯状疱疹を予防するためのものである。
【0130】
利点
先行技術アプローチ、例えばSHINGRIX(商標)ワクチンの欠点は、保存し、投与時に混合する2つの材料のバイアルを必要とすることであり、SHINGRIX(商標)の場合、これは、アジュバントのバイアル及び抗原のバイアルであり、これらは投与時に単一の混合物に製剤化される。対照的に、本発明は、有利なことに、保存/輸送/操作する単一の材料のバイアルのみを必要とする。
【0131】
さらに、Zostavax又はSHINGRIX(商標)先行技術ワクチンのいずれかと比較して、優れた免疫原性が送達されることは本発明の利点である。
【0132】
単回用量のみが必要とされることは本発明の利点である。
【0133】
免疫応答を誘導するのに単回用量のみが必要とされることは本発明の利点である。
【0134】
ベクターが免疫不全対象において安全であることは、本発明の利点である。
【0135】
先行技術アプローチと比較してより良い応答が観察されることは、本発明の利点である。
【0136】
T細胞応答、特にCD4+T細胞応答が生成されることは、本発明の利点である。
【0137】
いくつかの実施形態において、CD8+T細胞応答も生成されることは、本発明の利点であり、いくつかの実施形態において、強い抗体応答もまた生成されることは本発明の利点であり、最も重要なことに、本発明は、CD4+T細胞応答を生成/増強するという利点を提供する。
【0138】
強いCD8+T細胞応答が産生されることは、本発明の利点である。
【0139】
「良好な」1回注射のAdワクチン接種は、100単位のSFUの応答をもたらし、1,000SFUを超えるためには、一般的にブーストが必要とされる。したがって、適切には「強い」は、1回注射(単回投与)後の、800超のSFUを意味する。当然のことであるが、当業者である読者は、これが用量依存的であり得ることを理解するであろう-これらのコメントは、本明細書中に示す好ましい用量の文脈におけるものである。
【0140】
例えば、ChAdOx1-VZVGpEの1回注射の2週間後であっても、10
6脾細胞当たり1361SFUの平均応答(標準誤差145n=5)の、強いT細胞応答が測定される(N.B.ELISpotは、CD4+及びCD8+T細胞応答を測定する)ことは、本発明の利点である。
これらのウイルスベクターを用いた以前の研究により、バリアント抗原インサートに対する1回注射免疫化後には、より低い免疫応答が示されており、例えば、前臨床モデルにおける一価EBOVによる1回注射ワクチン接種は、200~500SFUのみを誘導し-本発明が先行技術よりもはるかに強い応答を産生することを示している。さらに、先行技術Dicks et al 2015(Vaccine 33(2015)pages 1121-1128「The relative magnitude of
transgene-specific adaptive immune responses induced by human and chimpanzeeadenovirus vectors differs between laboratory animals and a target species」)からの
図1及び
図2は、はるかに弱い免疫原性を示し、このことは、本発明による応答の驚くべき強さを再び実証している。
【0141】
持続するT細胞応答が産生されることは、本発明の利点である。文脈と明らかに異なっていない限り、「持続する」は、少なくとも16週間を意味する。
【0142】
同一のベクターを患者の再ワクチン接種(すなわちブースト)に使用し得ることは、本発明の利点である。これは、ChAdOx1によるプライム及びChAdOx2によるブースト又はChAdOx2によるプライム及びChAdOx1によるブーストにより達成し得る。さらに、ブーストをプライムから少なくとも6カ月の間隔で行う場合、プライムのために使用するものと同一のベクターをブーストに使用してもよい。これは、「同種プライム-ブースト」と称してもよい。
【0143】
アジュバントが全く必要とされないことは、本発明の利点である。これにより、ヒトへの投与の際にアジュバントを使用する場合に経験される疼痛/反応源性という不利益が回避される。
【0144】
組成物がアジュバントワクチンよりも安価であることは、本発明の利点である。アジュバントは複雑な製剤であり、例えば投与ごとに20USDのように高価であり得る。本発明の組成物は、単一の成分のみを必要とする(すなわち、記載する抗原を含むウイルスベクター)ため、より単純及び安価であり、これは、本発明の利点である。
【0145】
生複製欠損ウイルスベクターを使用していることは本発明の利点であり、そのため、本発明は先行技術、例えばZostavax(商標)より安全である。
【0146】
単回用量のみが必要とされることは本発明の利点である、そのため、本発明は、複数用量の先行技術、例えばShingrix(商標)より優れている。
【0147】
単一の組成物/単一のバイアルのみが必要であることは本発明の利点であり、そのため本発明は、アジュバント先行技術、例えば1つは抗原であり、1つはアジュバントである2つのバイアルを必要とし、輸送及び保存され、次いで注射の直前に混合されるShingrix
(商標)よりも優れている。
【0148】
先行技術、例えばZostavax(商標)又はShingrix(商標)よりも免疫原性が優れていることは本発明の利点である。
【0149】
GlyE抗原
「GlyE抗原」(「gE」と称する場合がある)は、VZVの「標準」gE抗原配列を意味する。
【0150】
より詳細には、本発明の組成物を作製するために使用される元のVZV配列(及び系統)は、以下のような公開されているコード配列であるのが適切である:
定義 ヒトヘルペスウイルス3単離物1140VZV 糖タンパク質E遺伝子、完全cds
受託(GenBank)AY253715
バージョン AY253715.1:
1 atggggacag ttaataaacc tgtggtgggg gtattgatgg ggttcggaat tatcacggga
61 acgttgcgta taacgaatcc ggtcagagca tccgtcttgc gatacgatga ttttcacatc
121 gatgaagaca aactggatac aaactccgta tatgagcctt actaccattc agatcatgcg
181 gagtcttcat gggtaaatcg gggagagtct tcgcgaaaag cgtacgatca taactcacct
241 tatatatggc cacgtaatga ttatgatgga tttttagaga acgcacacga acaccatggg
301 gtgtataatc agggccgtgg tatcgatagc ggggaacggt taatgcaacc cacacaaatg
361 tctgcacagg aggatcttgg ggacgatacg ggcatccacg ttatccctac gttaaacggc
421 gatgacagac ataaaattgt aaatgtggac caacgtcaat acggtgacgt gtttaaagga
481 gatcttaatc caaaacccca aggccaaaga ctcattgagg tgtcagtgga agaaaatcac
541 ccgtttactt tacgcgcacc gattcagcgg atttatggag tccggtacac cgagacttgg
601 agctttttgc cgtcattaac ctgtacggga gacgcagcgc ccgccatcca gcatatatgt
661 ttaaaacata caacatgctt tcaagacgtg gtggtggatg tggattgcgc ggaaaatact
721 aaagaggatc agttggccga aatcagttac cgttttcaag gtaagaagga agcggaccaa
781 ccgtggattg ttgtaaacac gagcacactg tttgatgaac tcgaattaga cccccccgag
841 attgaaccgg gtgtcttgaa agtacttcgg acagaaaaac aatacttggg tgtgtacatt
901 tggaacatgc gcggctccga tggtacgtct acctacgcca cgtttttggt cacctggaaa
961 ggggatgaaa aaacaagaaa ccctacgccc gcagtaactc ctcaaccaag aggggctgag
1021 tttcatatgt ggaattacca ctcgcatgta ttttcagttg gtgatacgtt tagcttggca
1081 atgcatcttc agtataagat acatgaagcg ccatttgatt tgctgttaga gtggttgtat
1141 gtccccatcg atcctacatg tcaaccaatg cggttatatt ctacgtgttt gtatcatccc
1201 aacgcacccc aatgcctctc tcatatgaat tccggttgta catttacctc gccacattta
1261 gcccagcgtg ttgcaagcac agtgtatcaa aattgtgaac atgcagataa ctacaccgca
1321 tattgtctgg gaatatctca tatggagcct agctttggtc taatcttaca cgacgggggc
1381 accacgttaa agtttgtaga tacacccgag agtttgtcgg gattatacgt ttttgtggtg
1441 tattttaacg ggcatgttga agccgtagca tacactgttg tatccacagt agatcatttt
1501 gtaaacgcaa ttgaagagcg tggatttccg ccaacggccg gtcagccacc ggcgactact
1561 aaacccaagg aaattacccc cgtaaacccc ggaacgtcac cacttctacg atatgccgca
1621 tggaccggag ggcttgcagc agtagtactt ttatgtctcg taatattttt aatctgtacg
1681 gctaaacgaa tgagggttaa agcctatagg gtagacaagt ccccgtataa ccaaagcatg
1741 tattacgctg gccttccagt ggacgatttc gaggactcgg aatctacgga tacggaagaa
1801 gagtttggta acgcgattgg agggagtcac gggggttcga gttacacggt gtatatagat
1861 aagacccggt ga
【0151】
これは、次の最もよく知られたVZV系統:ヒトヘルペスウイルス3系統Okaワクチン系統と同一のコード配列である。
【0152】
適切には、GlyEは、普遍的遺伝子コードを使用して上記のコード配列(cds)を翻訳することにより生成されるアミノ酸配列、すなわち、次のように公開されているアミノ酸配列を有する:
GenBank:AY253715.1:
MGTVNKPVVGVLMGFGIITGTLRITNPVRASVLRYDDFHIDEDKLDTNSVYEPYYHSDHAESSWVNRGESSRKAYDHNSPYIWPRNDYDGFLENAHEHHGVYNQGRGIDSGERLMQPTQMSAQEDLGDDTGIHVIPTLNGDDRHKIVNVDQRQYGDVFKGDLNPKPQGQRLIEVSVEENHPFTLRAPIQRIYGVRYTETWSFLPSLTCTGDAAPAIQHICLKHTTCFQDVVVDVDCAENTKEDQLAEISYRFQGKKEADQPWIVVNTSTLFDELELDPPEIEPGVLKVLRTEKQYLGVYIWNMRGSDGTSTYATFLVTWKGDEKTRNPTPAVTPQPRGAEFHMWNYHSHVFSVGDTFSLAMHLQYKIHEAPFDLLLEWLYVPIDPTCQPMRLYSTCLYHPNAPQCLSHMNSGCTFTSPHLAQRVASTVYQNCEHADNYTAYCLGISHMEPSFGLILHDGGTTLKFVDTPESLSGLYVFVVYFNGHVEAVAYTVVSTVDHFVNAIEERGFPPTAGQPPATTKPKEITPVNPGTSPLLRYAAWTGGLAAVVLLCLVIFLICTAKRMRVKAYRVDKSPYNQSMYYAGLPVDDFEDSESTDTEEEFGNAIGGSHGGSSYTVYIDKTR
【0153】
例示的なGlyEアミノ酸配列はGenBank受託番号AAP32865.1-配列番号1
である。最も適当なGlyEアミノ酸配列は配列番号2である。
【0154】
適切には、前記GlyE抗原は、配列番号1又は配列番号2を含む。
【0155】
適切には、前記GlyE抗原は、配列番号1又は配列番号2からなる。
【0156】
適切には、前記GlyE抗原は、配列番号1又は配列番号2に示すような、全長GlyE抗原を含むか又はこれからなる。
【0157】
適切には、前記GlyE抗原は、配列番号1又は配列番号2に示す配列と比較して、トランケーション/変異/タグ/リンカー/融合を全く含まない。
【0158】
bghポリアデニル化シグナル
ウシ成長ホルモンポリアデニル化(bgh-PolyA)シグナルは、真核細胞におけるタンパク質発現用の特定化した終止配列である。このDNA配列は、GlyE抗原をコードする核酸配列に作動可能に付加されてもよい。
【0159】
例示的なbghポリアデニル化シグナルは、配列番号6に示す配列を有する。
【0160】
適切には、抗原の発現は、標準的なプロモーター、例えば「長CMV」プロモーターにより制御されている。例示的な「長CMV」プロモーターの配列を配列番号7に示す。
【0161】
使用
適切には、方法は免疫化の方法である。
【0162】
一態様において、本発明は、アデノウイルスベクターを含む組成物に関し、前記アデノウイルスベクターはGlyEを含む。
【0163】
適切には、組成物はアジュバントを含まない。アジュバントは、特に霊長類、例えばヒトにおいて反応源性を引き起こし得る。したがって、本発明の組成物がアジュバントなしで有効であることは利点である。適切には、アジュバントは除かれる。適切には、組成物はアジュバント以外の要素からなる。適切には、アジュバントは本発明の組成物から特に排除される。適切には、組成物はアジュバント非含有組成物である。
【0164】
本発明は、小児及び他の罹患しやすい個体において水痘を引き起こす一次VZV感染の
予防に使用し得る。
【0165】
他の態様において、本発明は、医薬における上記の組成物の使用に関する。
【0166】
他の態様において、本発明はVZV感染用の医薬品の調製における上記の組成物の使用に関する。適切には、前記医薬品はVZV感染を制御するためのものである。適切には、前記医薬品は、VZV感染の再発を予防するためのものである。適切には、前記医薬品は帯状疱疹を制御するためのものである。適切には、前記医薬品は帯状疱疹を予防するためのものである。
【0167】
他の態様において、本発明は対象において免疫応答を誘導する方法に関し、前記方法は、前記対象に上記の組成物を投与することを含む。
【0168】
適切には、免疫応答は細胞媒介性免疫を含む。適切には、免疫応答はT細胞応答を含む。適切には、T細胞応答はCD4+T細胞応答を含む。
【0169】
他の態様において、本発明はアデノウイルスベースベクターを含む第1の組成物及びアデノウイルスベースベクターを含む第2の組成物を投与することを含む方法に関する。
【0170】
他の態様において、本発明は第1のアデノウイルスベースベクターを含む第1の組成物及び第2のアデノウイルスベースベクターを含む第2の組成物を投与することを含む方法に関する。
【0171】
適切には、組成物と第2の組成物とは異なっている。
【0172】
最も適切には、第1のアデノウイルスベースベクターと第2のアデノウイルスベースベクターとは異なっている。
【0173】
適切には、前記対象は哺乳類である。
【0174】
適切には、前記対象は霊長類である。
【0175】
適切には、前記対象はヒトである。
【0176】
本発明はまた、VZV感染を治療するための本明細書に記載するベクター、組成物又は医薬品の使用に関する。
【0177】
本発明はまた、VZV感染を制御するための、本明細書に記載するベクター、組成物又は医薬品の使用に関する。
【0178】
本発明はまた、休止状態のVZV感染を制御するための本明細書に記載するベクター、組成物又は医薬品の使用に関する。
【0179】
本発明はまた、VZV感染を予防するための本明細書に記載するベクター、組成物又は医薬品の使用に関する。
【0180】
本発明はまた、VZV感染の再発を予防するための本明細書に記載するベクター、組成物又は医薬品の使用に関する。
【0181】
組成物
適切には、組成物は抗原性組成物である。
【0182】
適切には、組成物は免疫原性組成物である。
【0183】
適切には、組成物はワクチン組成物である。
【0184】
適切には、組成物は医薬組成物である。
【0185】
適切には、組成物は哺乳類、適切には霊長類、最も適切にはヒトへ投与するために製剤化される。
【0186】
適切には、組成物はその投与経路を考慮して製剤化される。適切には、組成物は特定の投与経路に適切なように製剤化される。適切には、組成物は操作者又は医師が選択する投与経路に適切なように製剤化される。
【0187】
組成物がアジュバントを必要としないことは本発明の利点である。適切には、投与用の本発明の組成物は、有利なことにアジュバントを含まない。適切には、アジュバントは本発明の組成物から除かれる。最も適切には、アジュバントは本発明の組成物から排除される。最も適切には、本発明の組成物はアジュバント非含有である。
【0188】
投与
原則として、いかなる適切な投与経路を使用してもよい。
【0189】
適切には、前記組成物は、鼻腔内、経口、エアロゾル、皮下、皮内及び筋肉内からなる群から選択される投与経路により投与される。
【0190】
より適切には、前記組成物は皮下、皮内及び筋肉内からなる群から選択される投与経路により投与される。
【0191】
最も適切には、前記投与は筋肉内投与である。
【0192】
適切には、本発明の組成物は筋肉内投与される。
【0193】
適切には、本発明の組成物は、筋肉内投与用に製剤化される。
【0194】
適切には、本発明の組成物は単回用量として投与される。
【0195】
用量
アデノウイルスベクターの用量を記載する代替の方法が存在することは留意するべきである。
【0196】
ウイルス粒子-vp/mL。これは、投与する総ウイルス粒子のカウントを指す。
【0197】
感染単位-i.u./mL。これは、投与する感染単位の数を指し、免疫原性とより正確に相関し得る。
【0198】
慣用的に、英国における臨床試験は、ウイルス粒子に関して用量を示す傾向がある。
【0199】
典型的な範囲は、1x107vp~1x1011vp、又は1x108vp~5x1011vpであろう。より適切には、単回用量は成人ヒトについて、投与当たり5×108
~5×1010ウイルス粒子の範囲にあり、より適切には投与当たり5×109~5×1010ウイルス粒子の範囲にあり、より適切には投与当たり2.5×1010~5×1010ウイルス粒子の範囲にある。
【0200】
最も適切には、用量は、成人ヒトについて投与当たり2.5×1010ウイルス粒子であるか、又はおよそこの値である。
【0201】
適切には、小児用量は、成人用量について本明細書に示す助言を参照して医師により決定される。例示的な小児用量=1/2成人用量又は1x1010vp/小児である。
【0202】
感染単位は、当技術分野において公知であるように、いかなる所与の製剤についてもP:I比率(ウイルスゲノム:感染性粒子比率)に依存する。
【0203】
適切には、アジュバントは本発明のウイルスベクターとともに投与されない。
【0204】
適切には、本発明のウイルスベクターは、単純な緩衝液とともに製剤化される。例示的な緩衝液を、「製剤化」の見出しで下記に示してもよい。
【0205】
適切には、組成物は単回用量として投与される。
【0206】
本明細書で使用する「成人」は、少なくとも年齢18歳の対象を意味する。
【0207】
本明細書で使用する「小児」は、年齢18歳未満の対象を意味する。
【0208】
適切には、本発明の組成物は、2歳以上、適切には18歳以上、適切には60歳以上、適切には70歳以上、適切には79歳以上の年齢の対象に投与し得る。
【0209】
用量は、典型的には、要因、例えば年齢、体重、性別又は他の関連する検討事項を考慮して医師により決定し得る。本明細書で示す用量は、例示的な用量である。特に断らない限り、全ての用量は、「成人」対象についてのものであり、小児用量は、そこから決定してよく、例えば、小児用量は、成人用量の50%であってよいか、又はより適切には小児用量は本明細書に記載する通りである。
【0210】
データベースリリース
データベースに寄託した配列は時間により変化する場合がある。適切には、現在のバージョンの配列データベースが信頼される。あるいは、出願時に有効であるリリースが信頼される。
【0211】
当業者が知っているように、受託番号は、バージョン/日付の受託番号であり得る。現在のデータベースエントリについての引用可能な受託番号は上記と同じであるが、小数及び任意の後続の数字は除く。
【0212】
GenBankは、NIH遺伝子配列データベースであり、全ての公開されているDNA配列の注釈付き集合であり(米国国立生物工学情報センター、National Library of Medicine 8600 ロックビルパイク、ベセスダMD、20894 米国; NucleicAcids Research, 2013 Jan;41
(D1):D36-42)、示す受託番号は、特に断らない限りこれに関連する。適切には、参照
するGenBankデータベースリリースは、2017年12月15日のNCBI-GenBankリリース223.0である。
【0213】
UniProt(Universal Protein Resource)は、タンパク質についての情報の網羅的な目
録である(「UniProt: a hub for protein information」、NucleicAcids Res. 43: D204-D212(2015))。疑いを回避するために、UniProtリリース2015_11が信頼される。
【0214】
より詳細には、UniProtコンソーシアムEBI(European Bioinformatics Institute)、SIB(Swiss Institute of Bioinformatics)及びPIR(Protein Information Resource)のUniProtKnowledgebase(UniProtKB)リリース2018_01(2018年1月31日)が信頼
される。
【0215】
適用
本発明の組成物は最も適切には小児において、水痘ワクチンとして使用し得る。したがって、本発明は、水痘を予防するための上記の組成物の使用に関する。この態様において、組成物は、少なくとも1つの用量で、幼児及び/又は小児及び/又は成人に投与され、適切には、前記投与は防御免疫応答を生成するために暴露の前に行う。
【0216】
本発明の組成物は、免疫不全小児においてワクチンとして使用し得る。先行技術において、小児は成人よりも低い用量でZostavax(商標)を投与される。
【0217】
当技術分野において、プライムとしてアデノウイルスを、続いてブーストとしてポックスウイルスを使用できることは時々開示されている。しかしながら、本発明によればVZVに事前に暴露されたことがある個人に対してワクチンを適用することは、前記個人が既存の応答(例えばVZVに対する既存の免疫応答)を有し得ることを意味する。「既存の応答」は、適切には、個体が事前にVZVに事前に暴露されたことがあることを意味し、これは典型的には、VZV表面抗原に対する血清転換を測定することにより評価される。
【0218】
英国国民保健サービス(NHS)は次のように記載している、「疾患に対する抗体を有するかどうかを調べるためには血液試験を受けることができ、それにより以前に水痘に罹患したことがあるか証明される」https://www.nhs.uk/conditions/vaccinations/when-is-chickenpox-vaccine-needed/#how-to-check-if-youve-had-chickenpox-before。
【0219】
したがって、患者が事前にVZVに暴露されたことがある場合、本発明によるワクチンの投与は、ブーストと見なし得る。したがって、本質的に、本発明は、ポックスウイルスベクターがブーストに最適であることを教示する先行技術から発した、ブーストとしてのアデノウイルスベクターの使用を教示していると考え得る。
【0220】
早期の感染(例えば小児期に水痘に罹患する)からのVZVは、患者の身体、例えば神経系において休止状態のままである場合があり、生涯の後期において帯状疱疹として再出現し得る。「休止状態」のVZV感染は、活性感染をもはや引き起こさないものとして定義してもよい。
【0221】
一実施形態において、本発明は、上記のアデノウイルスベクターを含む、哺乳類に投与するための組成物に関する。
【0222】
さらなる適用
一態様において、本発明は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのエピトープをコードするポリヌクレオチド配列を有する核酸を含むウイルスベクターに関し、ここで、前記ウイルスベクターは、ヒト又はサル由来のアデノウイルスベクターである。
【0223】
一態様において、本発明は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)GlyE抗原の少なくとも1つのCD4T細胞及び1つのCD8T細胞エピトープをコードするポリヌクレオチド
配列を有する核酸を含むウイルスベクターに関し、ここで、前記ウイルスベクターは、ヒト又はサル由来のアデノウイルスベクターである。
【0224】
一態様において、本発明は、ワクチン接種した対象において、GlyE抗原に対するCD4+T細胞応答及びCD8+T細胞応答の両方を誘導する医薬品の調製における上記の組成物の使用に関する。
【0225】
一態様において、本発明は、ワクチン接種した対象において、GlyE抗原に対するCD4+T細胞応答及びCD8+T細胞応答の両方を誘導する医薬品の調製における上記の組成物の使用に関し、ここで、前記対象はヒトである。
【0226】
一態様において、本発明は、ワクチン接種した対象において、GlyE抗原に対するCD4+T細胞応答及びCD8+T細胞応答並びに抗体の両方を誘導する医薬品の調製における上記の組成物の使用に関し、ここで、前記対象はヒトである。
【0227】
さらなる利点
本発明の1つの焦点は、アデノベクター、例えばChAdOxベクターの文脈においてgE抗原を提供することである。
【0228】
ここで、我々はChAdOx-gEコンストラクトの有効性を示すデータを提示する。これを、
既存のZostavax(商標)と比較し、我々は、本発明のコンストラクトが優れていることを実証する。
【0229】
これらの優れた結果は、当技術分野におけるChAdOxベクターについての公知の性質及び/又はgE抗原についての情報に基づいて期待し得るよりも優れている(この組み合わせは、当技術分野において開示されたことがない)。
【0230】
特に、本発明者らは、本発明者らのコンストラクトが驚くほど有効であること及び/又は当技術分野における偏見により、このコンストラクトの使用に対して難色が示され、及び/又はこれらのコンストラクトが不明瞭/潜在性/特別であることを教示している。
【0231】
アデノウイルスベクターは、当技術分野において典型的にはプライミング免疫化に使用され、一方、ポックスウイルスベクターは、典型的には、ブーストの適用に使用される。殆どの人は過去の帯状疱疹ウイルス(VZV)による感染からのいくらかの既存のT細胞応答を既に有するために、我々が実際に本発明においてブースト用のアデノウイルスベクターの使用を教示していることが観察できる。これは、帯状疱疹ウイルス(VZV)について以前になされたことはない。したがって、一実施形態において、本発明は、哺乳類に上記組成物を投与することによる、前記哺乳類においてVZVに対する事前の既存の免疫応答を強化する方法に関する。一実施形態において、本発明は、哺乳類においてVZVに対する事前の既存の免疫応答を強化するのに使用するための上記の組成物に関する。哺乳類がVZVに対する事前の既存の免疫応答を有するかどうかは、上記のように、VZV表面抗原に対する血清転換を評価することにより決定し得る。
【0232】
本発明により送達される改善の重要な実証は、本明細書に示す有効性データのようなデータに基づいている。
【0233】
この点において、本発明者らは、本発明のベクターによる優れたT細胞応答を生成している。既存のZostavax(商標)ワクチンは、抗体応答に焦点を当てている。したがって、本発明は、当技術分野にわたって測定可能な改善である。
【0234】
本明細書に記載する単回用量のアデノウイルスは、タンパク質及びアジュバントとして強い体液性応答をもたらすというさらなる(予期されない)利点がある。これは、当技術分野にわたる測定可能な改善である。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【
図5-5】配列比較を示す図である。「インサート」は、配列番号4(すなわち、抗原カセットをコードする例示的なヌクレオチド配列)を意味する。「AY253715.1」は、配列番号3(すなわち、GlyE抗原をコードする野生型ヌクレオチド配列)を意味する。
【
図6-3】配列比較を示す図である(CLUSTAL O(1.2.4)複数配列比較)。「ワクチン」は、配列番号2(すなわち、例示的なVZV GlyEアミノ酸配列抗原カセット)を意味する。「AY253715.1」は、配列番号1(すなわち、野生型VZV GlyEアミノ酸配列)を意味する。
【0236】
[実施例]
【実施例0237】
VZVに対するウイルスベクターワクチン
我々は、VZVに対するウイルスベクターワクチンを作製した。我々のデータは、本発明のワクチンがCMIについて前臨床評価された、従来の認可された先行技術帯状疱疹ワクチンよりも優れていることを提唱している(
図1)。
【0238】
ウイルスベクターワクチンにより日常的に達成されるより高いCMIは、他のワクチン様式と比較した場合、有効性がより高いと解釈される可能性が高く、同時に、公知のアジュバント中タンパク質ワクチンの反復投与とは対照的に、有利なことに1回注射のみのウイルスベクターワクチンには有効性が要求され得る。
【0239】
【0240】
Balb/cマウスの群(n=5)を、1x107IUのChAdOx1-VZVgpE又は1x107IUのChAdOx2-VZVgpE又は1.3x103pfuのZostaxを用いて筋肉内にワクチン接種した。最終ワクチン接種の2週間後に脾細胞を回収し、糖タンパク質E全体にわたるペプチドに対する細胞免疫応答をELISpot分析により測定した。
【0241】
ChAdOx1-VZV-gE後の応答は、Zostavax後よりも有意に高かった。
【0242】
この試験は若齢マウスにおけるものである。週齢は約8週超であった。
【0243】
先行技術Zostavaxワクチンはヒトにおいて複製することができ、理論に縛られることを望むものではないが、部分的な免疫原生がこれに由来して増強し得ることは留意される。しかしながら、非複製Zostavaxワクチンはヒトにおいて測定した免疫原性という点において複製Zostavaxに匹敵するものであり、同等の免疫応答を誘導し得ることが実証されている。
【0244】
いかなる場合においても、これは公正な試験であり、これは使用したワクチンはいずれもマウスにおいて複製しないためである。そのため、本発明は、先行技術Zostavaxよりも優れていることが実証されている。
【0245】
【0246】
8週+齢又は老齢の繁殖後の雌Balb/cマウスを1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEにより筋肉内にワクチン接種した。マウスを約2週間後に選別し、VZV gEインサート全体にわたるペプチドを用いて脾臓ELISpotを行った。
【0247】
ChAdOx1-VZV-gE後の応答は有意に異なっていなかった。
【0248】
この試験は老齢マウスにおけるものである。
【0249】
【0250】
8週+齢の雌Balb/cマウスを以下により筋肉内にワクチン接種した:
ChAdOX1-VZV-gE-群1. 1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEの4週間後、1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEによるブースト、
ChAdOX2-VZV-gE-群2. 1.00E+07iuのChAdOX2-VZV-gEの4週間後、1.00E+07iuのChAdOX2-VZV-gEによるブースト。
Zostavax群3. 1.29E+03のVZV Zostavaxの4週間後、1.29E+03のVZV Zostavaxによるブースト。血清を示す時点で採取し、抗VZV-gpE特異的抗体についてアッセイした。
【0251】
本発明者らは、Dunnの多重比較検定によるクラスカル-ウォリス分析は、ブーストの2週間後において群2と3の間では応答に有意な差があるが、群1と群3の間では有意な差がないことを示していることに留意している。このことは、ベクターがChAdOx1であるこ
の特定の実施形態のさらなる利点を表していてよく、すなわち、本発明者らは、Zostavaxに匹敵する抗体応答を見ることは予期していなかった(群2-ChAdOx2により証明される
)が、群1(ChAdOx1実施形態)は、驚くべきことに、良好な抗体応答並びに良好なT細
胞応答を生成する。
【0252】
本発明者らは、
図4に示すように、1回注射後の2週間又は16週間時点での抗体応答に有意な差が全くないことに留意している。
【0253】
図4を参照し、8週+齢の雌Balb/cマウスを以下により筋肉内にワクチン接種した:
レーン1. 1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEの1週間後、1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEによるブースト(黒四角形)
レーン1. 1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEの1週間後、1.00E+07iu
のChAdOX2-VZV-gEによるブースト(黒丸)
レーン2. 1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEの4週間後、1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEによるブースト(黒四角形)
レーン2. 1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gEの4週間後、1.00E+07iuのChAdOX2-VZV-gEによるブースト(黒丸)
レーン3(ブーストなし). 1.00E+07iuのChAdOX1-VZV-gE(白丸)。
【0254】
マウスを約2週間後に選別し、VZV gEインサート全体にわたるペプチドを用いて脾臓ELISpotを行った。
【0255】
したがって、レーン3(ブーストなし)は、「1回注射」スキームを表し;レーン2及び3「黒四角形」は、「同種プライム-ブースト」スキームを表し;レーン2及び3「黒丸」は、「異種プライム-ブースト」スキームを表す。異種の2回目の注射は、増強を示さないが、より後の時点における増強を期待してもよく-これは応答曲線効果によるものと考えられることは考慮してよい。
【0256】
ChAdOx1-VZV-gE後の応答は、単回投与適用については若齢又は老齢動物では有意に異なっていなかった。
【0257】
プライムとブーストの間の好ましい間隔(プライム-ブースト適用における、全体としては単回投与実施形態が好ましい)は4週間であり、プライム及びブーストがともにAdベクターである場合、間隔は、例えば2、4、6又は8週間であってもよい。
【0258】
マウスモデルシステム
これらのワクチンの試験用のマウスモデルシステムについて、非複製帯状疱疹ウイルスが、ヒトにおいて複製帯状疱疹ウイルスと同等の応答をもたらし得ることは留意するべきである。したがって、本明細書中に示すマウスデータは、実際に公正な比較を表し、これは、先行技術Zostavax(商標)が、免疫応答を強化するのに重要な、ヒトにおける限定的な感染を誘発しないが、本発明のアデノウイルスベクターコンストラクトもZostavax先行技術比較基準もマウスにおいて複製しないためであり、そのため、マウスにおける製剤と比較した、本出願において示すデータは、実際に公正であり、本発明によるベクターの優れた性質を示すものである。