(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133651
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】等電点電気泳動デバイスおよび固定具
(51)【国際特許分類】
G01N 27/447 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G01N27/447 315K
G01N27/447 315D
G01N27/447 331E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024109418
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2022508810の分割
【原出願日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】62/885,733
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/893,549
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/909,675
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/799,387
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/808,063
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518187374
【氏名又は名称】インタバイオ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェンタレン
(72)【発明者】
【氏名】スコット マック
(72)【発明者】
【氏名】エリック グヴェルダー
(72)【発明者】
【氏名】ルーク ブッス
(57)【要約】
【課題】等電点電気泳動デバイスおよび固定具の提供。
【解決手段】等電点電気泳動反応を実施するための方法、デバイス、およびシステムが、説明される。本明細書に開示されるシステムまたはデバイスは、膜を有する固定具を備え得る。いくつかの事例では、開示されるデバイスは、等電点電気泳動または他の分離反応を実施するように設計され得、その後に、質量分析を使用する、分離された被分析物のさらなる特性評価が続く。2回またはそれを上回る等電点電気泳動反応が、並行して実施され得る。開示される方法、デバイス、およびシステムは、等電点によるタンパク質被分析物混合物または他の生体分子の高速で正確な分離および特性評価を提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/909,675号、2019年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/893,549号、および2019年8月12日に出願された米国仮特許出願第62/885,733号の利益を主張する、2020年2月24日に出願された米国特許出願第16/799,387号の利益を主張し、本願は、2019年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/909,675号、2019年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/893,549号、および2019年8月12日に出願された米国仮特許出願第62/885,733号の利益を主張する、2020年3月3日に出願された米国特許出願第16/808,063号の利益を主張し、それぞれは、あらゆる目的のために参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、サンプル処理および特性評価のための方法、デバイス、ならびにシステム、およびその種々の使用に関する。第1の側面では、本開示は、被分析物の混合物内の被分析物の分離および特性評価を実施するための方法、デバイス、ならびにシステムに関し、より具体的には、並行して複数の等電点電気泳動反応を実施するためのマルチチャネルデバイス(および関連方法ならびにシステム)に関する。第2の側面では、本開示は、1回またはそれを上回る分離反応(例えば、等電点電気泳動)を実施するように設計され、その後に、質量分析による特性評価のための分離された被分析物の動員およびエレクトスプレーイオン化が続く、マイクロ流体デバイス(および関連方法ならびにシステム)に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に開示されるものは、生物医学研究、臨床診断、および医薬品製造における潜在的用途を伴って、被分析物混合物内の被分析物の分離および分析のための改良された定量的性能を可能にする、方法、デバイス、ならびにシステムである。例えば、生物学的薬物および薬物候補(例えば、タンパク質)の厳格な特性評価が、規制機関によって要求される。本明細書に説明される方法およびデバイスは、タンパク質および/または他の被分析物を特性評価するために好適であり得る。いくつかの事例では、本明細書に説明される方法およびデバイスは、1つまたはそれを上回る濃縮ステップが、被分析物混合物を濃縮被分析物分画に分離するように実施される、被分析物混合物を特性評価することに関し得る。いくつかの事例では、本明細書に説明される方法およびデバイスは、1つまたはそれを上回る濃縮ステップを実施し、サンプルの高スループット特性評価のために多重化形式で被分析物混合物を濃縮被分析物分画に分離することに関し得る。いくつかの事例では、本明細書に説明される方法およびデバイスは、1つまたはそれを上回る濃縮ステップが、被分析物混合物を、続いて、エレクトスプレーイオン化インターフェースを介して質量分析計の中に導入される、濃縮被分析物分画に分離するように実施される、被分析物混合物を特性評価することに関する。開示される方法およびデバイスは、被分析物分離ならびに特性評価の便宜性、再現性、および/または分析性能の改良を提供し得る。
【0004】
ある側面では、本明細書に開示されるものは、電極リザーバと、第1の端部と、第2の端部とを備える、入口流体チャネルと、入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される、第1の端部と、分離チャネルに流体的に結合される、第2の端部とを備える、出口流体チャネルであって、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルは、電極リザーバの表面を画定する、またはそれと平行である平面において、相互と交差し、それに流体的に結合される、出口流体チャネルと、膜が、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部を備える、開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、平面において、またはそれに隣接して、電極リザーバ内に配置される、膜とを備え、膜は、電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と入口流体チャネルおよび出口流体チャネル内に含有される流体との間に高流体力学的抵抗・低電気抵抗の接続を提供する、固定具である。
【0005】
いくつかの実施形態では、膜は、親水性である。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜または開口部の断面積は、約0.001mm2~100mm2である。いくつかの実施形態では、電極リザーバはさらに、電極リザーバ内に配置され、膜に、またはそれに隣接して位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが電解質溶液で充填されるときに、膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進する、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、0.1((N/mm2)/(mm3/秒))を上回る。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、1((N/mm2)/(mm3/秒))を上回る。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、10,000,000オーム未満である。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、100,000オーム未満である。いくつかの実施形態では、動作の間に、電極リザーバは、約1ミリモル(mM)~約500mMの濃度における電解質溶液で充填される。いくつかの実施形態では、動作の間に、電極リザーバは、約10mM~約150mMの濃度における電解質溶液で充填される。いくつかの実施形態では、動作の間に、電極リザーバは、約1.5~約14のpH範囲を伴う電解質溶液で充填される。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、毛細管の管腔を備える。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、マイクロ流体デバイス内の流体チャネルを備える。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、電気泳動を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、等電点電気泳動を実施するように構成される。
【0007】
また、本明細書に開示されるものは、少なくとも1つの流体入口と、少なくとも1つの流体出口と、少なくとも1つの流体入口に流体的に結合される、第1の端部と、少なくとも1つの流体出口に流体的に結合される、第2の端部とを備える、少なくとも1つの分離チャネルとを備え、少なくとも1つの流体入口または少なくとも1つの流体出口は、電極リザーバと、第1の端部と、第2の端部とを備える、入口流体チャネルと、入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される、第1の端部と、少なくとも1つの流体入口または少なくとも1つの流体出口のうちの1つに流体的に結合される、第2の端部とを備える、出口流体チャネルであって、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルは、電極リザーバの表面を画定する、またはそれと平行である平面において、相互と交差し、それに流体的に結合される、出口流体チャネルと、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部を備える、開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、平面において、またはそれに隣接して、電極リザーバ内に配置される、膜とを備え、膜は、電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と入口流体チャネルおよび出口流体チャネル内に含有される流体との間に高流体力学的抵抗・低電気抵抗の接続を提供する、固定具を使用して、高電圧電極に電気的に結合される、流体デバイスである。
【0008】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、少なくとも1つの毛細管を備え、少なくとも1つの毛細管は、少なくとも1つの分離チャネルとして機能する管腔を備える。いくつかの実施形態では、本デバイスは、平面基板を備える、マイクロ流体デバイスであり、平面基板は、少なくとも1つの分離チャネルを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの流体入口または少なくとも1つの流体出口は、平面基板の少なくとも1つの縁上に配置される。いくつかの実施形態では、膜は、親水性である。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜または開口部の断面積は、約0.001mm2~100mm2である。いくつかの実施形態では、電極リザーバはさらに、電極リザーバ内に配置され、膜に、またはそれに隣接して位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが電解質溶液で充填されるときに、膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進する、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、動作の間に、電極リザーバは、約1ミリモル(mM)~約500mMの濃度における電解質溶液で充填される。いくつかの実施形態では、動作の間に、電極リザーバは、約10mM~約150mMの濃度における電解質溶液で充填される。いくつかの実施形態では、動作の間に、電極リザーバは、約1.5~約14のpH範囲を伴う電解質溶液で充填される。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、0.1((N/mm2)/(mm3/秒))を上回る。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、1((N/mm2)/(mm3/秒))を上回る。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、10,000,000オーム未満である。いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、100,000オーム未満である。
【0009】
いくつかの実施形態では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗および電気抵抗の比は、約0.001((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約0.01((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約0.1((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約1((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約10((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約100((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約1,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。いくつかの実施形態では、比は、約10,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オームを上回る。
【0010】
別の側面では、本明細書に開示されるものは、並行して複数の等電点電気泳動反応を実施するための方法であって、a)平面基板を備える、デバイスを提供するステップであって、平面基板は、複数の分離チャネルを備える、ステップと、b)被分析物の混合物を含むサンプルを複数の分離チャネルのうちの少なくとも2つの分離チャネルの中に導入するステップと、c)少なくとも2つの分離チャネルに印加される電圧を制御し、複数の等電点電気泳動反応を実施し、少なくとも2つの分離チャネル内のサンプルの被分析物の混合物を分離するステップと、d)複数の等電点電気泳動反応が並行して実施されるにつれて、少なくとも2つの分離チャネルを通して流動する電流を独立して監視するステップとを含む、方法である。
【0011】
いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルのうちの少なくとも2つの分離チャネルの第1の端部は、膜含有高電圧電極固定具を使用して、陽極液リザーバに電気的に結合される。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルのうちの少なくとも2つの分離チャネルの第2の端部は、膜含有高電圧電極固定具を使用して、陰極液リザーバに電気的に結合される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの分離チャネルに印加される電圧は、独立して制御される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの分離チャネルの中に導入されるサンプルは、同一であり、実験条件の第1のセットは、少なくとも2つの分離チャネルの第1のサブセット内で等電点電気泳動反応を実施するために使用され、実験条件の少なくとも第2のセットは、少なくとも2つの分離チャネルの少なくとも第2のサブセット内で等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、実験条件の異なるセットが、少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれの中で等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、複数の等電点電気泳動反応を実施するために使用される実験条件のセットは、緩衝剤選択、pH勾配選択、電圧設定、電流設定、電場強度設定、電圧設定、電流設定、電場強度設定を変動させるための時間経過、または等電点電気泳動反応時間から成る群の少なくとも1つの構成要素を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの分離チャネルの中に導入されるサンプルは、少なくとも2つの分離チャネルの少なくとも2つのサブセットに関して異なり、実験条件の同一のセットは、少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれの中で等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれの中に導入されるサンプルは、異なる。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、複数の等電点電気泳動反応を実施しながら、少なくとも2つの分離チャネル毎に電流トレースを記録するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、等電点電気泳動反応の完了に続いて、少なくとも2つの分離チャネルを洗い流し、自動様式で別のサンプルを少なくとも2つの分離チャネルの中に導入するステップを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの分離チャネルのうちのいずれかにおける障害の検出は、その分離チャネルの中に導入されていたサンプルに関して、等電点電気泳動反応の自動再導入および繰り返しをトリガする。いくつかの実施形態では、障害は、気泡の導入、気泡の形成、誤って調製されたサンプル、充填不足の試薬リザーバ、またはそれらの任意の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、障害は、分離チャネルを通して流動する電流を監視することによって、または分離チャネルの画像を処理することによって、検出される。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、等電点電気泳動を実施しながら、少なくとも2つの分離チャネルのうちの少なくとも1つにおいて動的光散乱を測定するステップを含む。いくつかの実施形態では、動的光散乱の測定は、1つまたはそれを上回る分離された被分析物に関して、サイズ分布プロファイルの決定、凝集状態の決定、または流体力学半径の決定を提供する。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具は、a)電極リザーバと、b)第1の端部と、第2の端部とを備える、入口流体チャネルと、c)入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される、第1の端部と、分離チャネルに流体的に結合される、第2の端部とを備える、出口流体チャネルであって、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルは、電極リザーバの表面を画定する、またはそれと平行である平面において、相互と交差し、それに流体的に結合される、出口流体チャネルと、d)膜が、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部を備える、開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、平面において、またはそれに隣接して、電極リザーバ内に配置される、膜とを備え、膜は、電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と入口流体チャネルおよび出口流体チャネル内に含有される流体との間に高流体力学的抵抗・低電気抵抗の接続を提供する。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であり、セルロースまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具はさらに、電極リザーバ内に配置され、膜に、またはそれに隣接して位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが電解質溶液で充填されるときに、膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進する、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、約1ミリモル(mM)~約500mMの濃度における電解質溶液で電極リザーバを充填するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、約10mM~約150mMの濃度における電解質溶液で電極リザーバを充填するステップを含む。いくつかの実施形態では、電解質溶液は、約1.5~約14の範囲内のpHを有する。
【0012】
別の側面では、本明細書に開示されるものは、平面基板を備える、マイクロ流体デバイスであり、平面基板は、a)複数の流体入口であって、複数の流体入口の全てまたは一部は、平面基板の1つまたはそれを上回る縁上に位置する、複数の流体入口と、b)複数の分離チャネルであって、i)膜含有高電圧電極固定具を使用して、陽極液リザーバに電気的に結合される、第1の端部と、ii)膜含有高電圧電極固定具を使用して、陰極液リザーバに電気的に結合される、第2の端部とを備え、iii)複数の分離チャネルのうちの各分離チャンネルの第1の端部または第2の端部のうちの1つは、複数の流体入口のうちの異なる流体入口と流体連通する、複数の分離チャネルとを備える。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルは、複数の分離チャネルの全てまたは一部のUV吸光度画像もしくは蛍光画像のために構成される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、複数の分離チャネルを備える、基板の全てまたは一部を包含する、カートリッジを備え、カートリッジは、複数の膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、多重化等電点電気泳動反応を実施するように構成される、システムの使い捨て構成要素である。
【0014】
また、本明細書に開示されるものは、多重化等電点電気泳動反応を実施するためのシステムであって、a)平面基板を備える、マイクロ流体デバイスであって、平面基板は、i)複数の流体入口であって、複数の流体入口の全てまたは一部は、平面基板の1つまたはそれを上回る縁上に位置する、複数の流体入口と、ii)膜含有高電圧電極固定具を使用して、陽極液リザーバに電気的に結合される、第1の端部と、膜含有高電圧電極固定具を使用して、陰極液リザーバに電気的に結合される、第2の端部とを備える、複数の分離チャネルであって、複数の分離チャネルのうちの各分離チャンネルの第1の端部または第2の端部のうちの1つは、複数の流体入口のうちの異なる流体入口と流体連通する、複数の分離チャネルとを備える、マイクロ流体デバイスと、b)多重化電力供給源であって、多重化電力供給源は、i)少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれに印加される電圧を制御し、ii)被分析物の混合物を含む複数のサンプルに関して多重化等電点電気泳動反応を実施しながら、少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれを通して流動する電流を独立して監視するように構成される、多重化電力供給源とを備える、システムである。
【0015】
いくつかの実施形態では、多重化電力供給源は、少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれに印加される電圧を独立して制御するように構成される。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、(i)少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれの全てまたは一部のUV吸光度もしくは蛍光画像を入手し、(ii)等電点(pI)値が、少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれの中の1つまたはそれを上回る分離された被分析物ピークに関して決定され得るように、UV吸光度または蛍光画像を処理し、動作の間に分離チャネル内に含有される1つまたはそれを上回るpIマーカの位置を検出するように構成される、撮像ユニットを備える。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、複数の分離チャネルのうちの少なくとも1つの分離チャネル内で動的光散乱を測定するように構成される、動的光散乱ユニットを備える。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、複数の流体入口を介して複数の分離チャネルに流体的に結合される、サンプル入口ポートの中にサンプルを装填するための自動液体取扱システムを備える。いくつかの実施形態では、本システムは、複数の分離チャネルを洗い流し、その後に、多重化等電点電気泳動反応の完了が続き、自動様式でサンプルの別のセットを複数の分離チャネルの中に導入するように構成される。いくつかの実施形態では、分離チャネル内の障害の検出は、その分離チャネルの中に導入されていたサンプルに関して、等電点電気泳動反応の自動再導入および繰り返しをトリガする。
【0016】
また、本明細書に開示されるものは、並行して複数の等電点電気泳動反応を実施するための方法であって、a)複数のサンプルアリコートを提供するステップであって、各サンプルアリコートは、被分析物の混合物を含む、ステップと、b)複数の分離チャネルを備える、デバイスを提供するステップであって、複数のサンプルアリコートのうちの1つのサンプルアリコートは、各分離チャネルの中に導入される、ステップと、c)多重化電力供給源を提供するステップであって、多重化電力供給源は、複数の等電点電気泳動反応を実施し、各サンプル内の被分析物を分離しながら、複数の分離チャネルのそれぞれを通して流動する電流を独立して制御および監視するように構成される、ステップとを含む、方法である。
【0017】
いくつかの実施形態では、各分離チャネルの中に導入されるサンプルアリコートは、同一のサンプルから採取され、実験条件の異なるセットが、複数の分離チャネルの少なくとも2つのサブセット内で等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、実験条件の異なるセットは、複数の分離チャネルのそれぞれの中で複数の等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、分離チャネルの中に導入される複数のサンプルアリコートの少なくとも2つのサブセットは、異なるサンプルから採取され、実験条件の同一のセットは、複数の等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、分離チャネルの中に導入されるサンプルアリコートはそれぞれ、異なるサンプルから採取される。いくつかの実施形態では、複数の等電点電気泳動反応を実施するために使用される実験条件のセットは、緩衝剤選択、pH勾配選択、電圧設定、電流設定、電場強度設定、電圧設定、電流設定、または電場強度設定を変動させるための時間経過、等電点電気泳動反応時間、もしくはそれらの任意の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、被分析物は、タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本デバイスは、マイクロ流体デバイスを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、4~8つの分離チャネルを備える。いくつかの実施形態では、サンプルアリコートは、自動液体取扱システムを使用して、分離チャネルの中に導入される。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、複数の等電点電気泳動反応を実施しながら、複数の分離チャネル毎に電流トレースを記録するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、撮像技法を使用して、複数の等電点電気泳動反応を監視し、各分離チャネル内の1つまたはそれを上回る分離された被分析物ピークの位置を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、撮像技法は、全チャネル撮像技法を含む。いくつかの実施形態では、撮像技法は、UV吸光度画像または蛍光画像を含む。いくつかの実施形態では、蛍光画像は、固有蛍光画像を備える。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、pI値が、1つまたはそれを上回る分離された被分析物ピークに関して決定され得るように、撮像技法を使用し、1つまたはそれを上回るpIマーカの位置を検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、複数の分離チャネルを洗い流し、その後に、複数の等電点電気泳動反応の完了が続き、自動様式で新しいサンプルアリコートを分離チャネルの中に導入するステップを含む。いくつかの実施形態では、複数のサンプルアリコートを導入し、複数の等電点電気泳動反応を実施し、分離チャネルを洗い流すための自動サイクル時間は、1分~30分である。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルのうちのいずれかにおける等電点電気泳動反応障害の検出は、その分離チャネルの中に導入されていたサンプルアリコートに関して、等電点電気泳動反応の自動再導入および繰り返しをトリガする。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動反応障害は、気泡の導入、気泡の形成、またはそれらの任意の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動反応障害は、分離チャネルを通して流動する電流を監視することによって、または分離チャネルの画像を処理することによって、検出される。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、等電点電気泳動を実施しながら、複数の分離チャネルのうちの少なくとも1つのチャネル内で動的光散乱を測定するステップを含む。いくつかの実施形態では、動的光散乱の測定は、1つまたはそれを上回る分離された被分析物に関してサイズ分布プロファイルの決定を提供する。いくつかの実施形態では、動的光散乱の測定は、1つまたはそれを上回る分離された被分析物に関して凝集状態の決定を提供する。いくつかの実施形態では、動的光散乱の測定は、1つまたはそれを上回る分離された被分析物に関して流体力学半径の決定を提供する。
【0018】
また、本明細書に開示されるものは、a)複数の入口ポートと、b)複数の分離チャネルを備える、基板であって、各分離チャネルの近位端は、異なる入口ポートと流体連通する、基板と、c)複数の出口ポートであって、各分離チャネルの遠位端は、異なる出口ポートと流体連通する、複数の出口ポートとを備え、複数の分離チャネルのうちのチャネルは、全チャネル撮像のために構成される、マイクロ流体デバイスである。
【0019】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、分離チャネル毎に統合された対の電極を備え、各対のうちの一方の電極は、分離チャネルの近位端と接触し、他方の電極は、分離チャネルの遠位端と接触する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、4~8つの分離チャネルを備える。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルは、全チャネルUV吸光度画像のために構成される。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルは、全チャネル蛍光画像のために構成される。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネル内の少なくとも1つのチャネルは、動的光散乱測定を実施するために構成される。いくつかの実施形態では、デバイス上にリザーバまたはウェルが存在しない。いくつかの実施形態では、入口ポートは、
図1Aに図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、出口ポートは、
図1Aに図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、等電点電気泳動反応を実施するためのシステムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、基板、複数の入口ポート、または複数の出口ポートの全てもしくは一部を包含する、カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、等電点電気泳動反応を実施するためのシステムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る入口ポートもしくは出口ポートは、気泡がない電気接続を提供する、膜含有高電圧電極固定具を使用して、高電圧電極と界面接触される。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具は、
図12に図示されるものである。いくつかの実施形態では、膜は、親水性膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の膜で被覆された流体ポートは、約0.5~約2mmに及ぶ直径を有する。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の電極リザーバは、電極リザーバ内に、かつその底部に位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが充填されるときに、膜の表面の気泡がない湿潤を可能にする、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの統合された膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試薬リザーバは、陽極液リザーバ、陰極液リザーバ、または動員試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの流量制限器を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの弁を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの弁は、剪断弁を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Aに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Bに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、遊隙が複数の分離チャネルを撮像するために提供されるように、
図16、17、18、19A、または19Bのうちのいずれか1つに図示されるような側面マニホールド設計である。
【0020】
本明細書に開示されるものは、並行して複数の等電点電気泳動反応を実施するためのシステムであって、a)複数の分離チャネルを備える、マイクロ流体デバイスであって、本デバイスは、i)複数の入口ポートと、ii)複数の分離チャネルを備える、基板であって、各分離チャネルの近位端は、異なる入口ポートと流体連通する、基板と、iii)複数の出口ポートであって、各分離チャネルの遠位端は、異なる出口ポートと流体連通し、複数の分離チャネルのうちのチャネルは、全チャネル撮像のために構成される、複数の出口ポートとを備える、マイクロ流体デバイスと、b)プログラマブル多重化電力供給源であって、多重化電力供給源は、複数の等電点電気泳動反応を実施し、被分析物の混合物をそれらの個々の成分に分離しながら、マイクロ流体デバイス内の複数の分離チャネルのそれぞれを通して流動する電流を独立して制御および監視するように構成される、プログラマブル多重化電力供給源とを備える、システムである。
【0021】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、分離チャネル毎に統合された対の電極を備え、各対のうちの一方の電極は、分離チャネルの近位端と接触し、他方の電極は、分離チャネルの遠位端と接触する。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、共通カソードを共有する。いくつかの実施形態では、分離チャネルは、共通アノードを共有する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、4~8つの分離チャネルを備える。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルは、全チャネルUV吸光度画像のために構成される。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルは、全チャネル蛍光画像のために構成される。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネル内の少なくとも1つのチャネルは、動的光散乱測定を実施するために構成される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス上にリザーバまたはウェルが存在しない。いくつかの実施形態では、入口ポートは、
図1Aに図示されるように、マイクロ流体デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、出口ポートは、
図1Aに図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、システムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、基板、複数の入口ポート、または複数の出口ポートの全てもしくは一部を包含する、カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、システムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る入口ポートもしくは出口ポートは、気泡がない電気接続を提供する、膜含有高電圧電極固定具を使用して、高電圧電極と界面接触される。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具は、
図12に図示されるものである。いくつかの実施形態では、膜は、親水性膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の膜で被覆された流体ポートは、約0.5~約2mmに及ぶ直径を有する。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の電極リザーバは、電極リザーバ内に、かつその底部に位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが充填されるときに、膜の表面の気泡がない湿潤を可能にする、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの統合された膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試薬リザーバは、陽極液リザーバ、陰極液リザーバ、または動員試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの流量制限器を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの弁を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの弁は、剪断弁を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Aに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Bに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、遊隙が複数の分離チャネルを撮像するために提供されるように、
図16、17、18、19A、または19Bのうちのいずれか1つに図示されるような側面マニホールド設計である。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、サンプルアリコートを各入口ポートの中に装填するための自動液体取扱システムを備える。いくつかの実施形態では、自動液体取扱システムは、各分離チャネルの中への同一のサンプルから全て採取されるサンプルアリコートの導入のために構成され、本システムは、実験条件の異なるセットを使用し、複数の分離チャネルの少なくとも2つのサブセット内で等電点電気泳動反応を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、実験条件の異なるセットは、複数の分離チャネルのそれぞれの中で等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、自動液体取扱システムは、分離チャネルの中への異なるサンプルから採取されるサンプルアリコートの少なくとも2つのサブセットの導入のために構成され、実験条件の同一のセットが、複数の等電点電気泳動反応を実施するために使用される。いくつかの実施形態では、分離チャネルの中に導入されるサンプルアリコートはそれぞれ、異なるサンプルから採取される。いくつかの実施形態では、複数の等電点電気泳動反応を実施するために使用される実験条件のセットは、緩衝剤選択、pH勾配選択、電圧設定、電流設定、電場強度設定、電圧設定、電流設定、または電場強度設定を変動させるための時間経過、等電点電気泳動反応時間、もしくはそれらの任意の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、被分析物は、タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、プログラマブル多重化電力供給源はさらに、等電点電気泳動反応が実施されている間に、複数の分離チャネル毎に電流トレースを記録するように構成される。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、複数の分離チャネルの画像を入手し、その中の分離された被分析物ピークを検出するように構成される、撮像ユニットを備える。いくつかの実施形態では、撮像ユニットは、複数の分離チャネルの全チャネル撮像を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、撮像ユニットは、UV吸光度画像を入手するように構成される。いくつかの実施形態では、撮像ユニットは、蛍光画像を入手するように構成される。いくつかの実施形態では、蛍光画像は、固有蛍光画像を備える。いくつかの実施形態では、撮像ユニットはさらに、pI値が、1つまたはそれを上回る分離された被分析物ピークに関して決定され得るように、1つまたはそれを上回るpIマーカの位置を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、本システムは、分離チャネルを洗い流し、その後に、複数の等電点電気泳動反応の完了が続き、自動様式で新しいサンプルアリコートを分離チャネルの中に導入するように構成される。いくつかの実施形態では、複数のサンプルアリコートを導入し、複数の等電点電気泳動反応を実施し、分離チャネルを洗い流すための自動サイクル時間は、1分~30分である。いくつかの実施形態では、複数の分離チャネルのうちのいずれかにおける等電点電気泳動反応障害の検出は、その分離チャネルの中に導入されていたサンプルアリコートに関して、等電点電気泳動反応の自動再導入および繰り返しをトリガする。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動反応障害は、気泡の導入、気泡の形成、またはそれらの任意の組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動反応障害は、不適切に調製されたサンプルを備える。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動反応障害は、空または充填不足のサンプルウェル備える。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動反応障害は、分離チャネルを通して流動する電流を監視することによって、または分離チャネルの画像を処理することによって、検出される。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、動的光散乱測定ユニットを備える。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、1つまたはそれを上回る分離チャネル、1つまたはそれを上回る動員剤チャネル、もしくは1つまたはそれを上回る補助流体チャネルを通して、独立して制御された圧力駆動流を提供するように構成される、流体流量コントローラを備える。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る分離チャネル、1つまたはそれを上回る動員剤チャネル、もしくは1つまたはそれを上回る補助流体チャネルを通した圧力駆動流は、無パルス流である。いくつかの実施形態では、本システムはさらに、一定の温度で複数の分離チャネルを維持するように構成される、温度コントローラを備える。
【0022】
また、本明細書に開示されるものは、a)マイクロ流体デバイス内の分離チャネルを横断して電場を印加し、等電点電気泳動を介して被分析物混合物の分離を実施するステップと、b)分離チャネル全体またはその一部内の分離された被分析物混合物の分離および動員を同時かつ持続的に撮像するステップと、c)エレクトスプレーイオン化を介して、マイクロ流体デバイス上のオリフィスから質量分析計の中に分離および動員された被分析物を排出するステップとを含み、マイクロ流体デバイスの配向は、オリフィスが、質量分析計の入口に向かって下向きに指向されるように、水平面に対して傾転される、方法である。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、分離チャネル内で検出される分離された被分析物ピークを分離された被分析物に関する質量分析計データと相関させるステップを含む。いくつかの実施形態では、分離された被分析物ピークは、吸光度画像によって検出される。いくつかの実施形態では、分離された被分析物ピークは、蛍光画像によって検出される。いくつかの実施形態では、オリフィスは、分離チャネルの電場と電気通信する。いくつかの実施形態では、オリフィスは、エレクトスプレーイオン化によって形成されるテイラー円錐が、完全に陥凹内に配置されるように、マイクロ流体デバイス上の陥凹である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、第1の分離チャネルと、第2の分離チャネルとを備える。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、電場を印加し、第2の分離チャネル内の被分析物混合物の等電点電気泳動分離を実施する前に、第1の分離チャネル内の被分析物混合物をクロマトグラフィで濃縮するステップを含む。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、被分析物混合物の分離の前に両性電解質を分離チャネルの中に導入し、分離チャネル内でpH勾配を発生させるステップと、分離の前に等電点(pI)マーカを分離チャネルの中に導入するステップと、pIマーカが分離されている間に、分離チャネルを持続的に撮像するステップとを含む。いくつかの実施形態では、被分析物混合物は、無傷のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、動員は、圧力を使用して電解質を分離チャネルの中に導入することによって、実施される。いくつかの実施形態では、動員は、電気泳動によって電解質を分離チャネルの中に導入することによって、実施される。いくつかの実施形態では、動員は、分離チャネルの下流の合流領域と流体連通する電解質チャネルから分離チャネルの中に電解質を導入することによって、実施される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、電解質導入チャネルを横断して電場を発生させるための2つの電極を備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス上にリザーバまたはウェルが存在しない。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスのための入口ポートは、
図2に図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスのための出口ポートは、
図2に図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、等電点電気泳動および質量分光分析を実施するためのシステムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、分離チャネルと、オリフィスと、電解質導入チャネルと、陽極液導入チャネルと、イオン化のためのガス送達チャネルとを備える、カートリッジである。いくつかの実施形態では、カートリッジは、等電点電気泳動および質量分光分析を実施するためのシステムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの1つまたはそれを上回る入口ポートもしくは出口ポートは、気泡がない電気接続を提供する、膜含有高電圧電極固定具を使用して、高電圧電極と界面接触される。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具は、
図12に図示されるものである。いくつかの実施形態では、膜は、親水性膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の膜で被覆された流体ポートは、約0.5~約2mmに及ぶ直径を有する。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の電極リザーバは、電極リザーバ内に、かつその底部に位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが充填されるときに、膜の表面の気泡がない湿潤を可能にする、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの統合された膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試薬リザーバは、陽極液リザーバ、陰極液リザーバ、または動員試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの流量制限器を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの弁を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの弁は、剪断弁を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Aに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Bに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、遊隙が複数の分離チャネルを撮像するために提供されるように、
図16、17、18、19A、または19Bのうちのいずれか1つに図示されるような側面マニホールド設計である。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、サンプルアリコートを各入口ポートの中に装填するための自動液体取扱システムを提供するステップを含む。
【0023】
本明細書に開示されるものは、基板を備える、マイクロ流体デバイスであり、基板は、a)1つまたはそれを上回る入口ポート、b)被分析物混合物の分離を実施するように構成される、少なくとも1つの分離チャネル、およびc)分離チャネルの端部と流体連通するオリフィスを画定し、オリフィスは、分離チャネルから溶出される分離された被分析物分画のエレクトスプレーイオン化を実施し、それらを質量分析計の中に排出するように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、少なくとも1つの分離チャネルのための統合された対の電極を備え、各対のうちの一方の電極は、分離チャネルの近位端と接触し、他方の電極は、分離チャネルの遠位端と接触する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの分離チャネルは、全チャネルUV吸光度画像のために構成される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの分離チャネルは、全チャネル蛍光画像のために構成される。いくつかの実施形態では、デバイス上にリザーバまたはウェルが存在しない。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る入口ポートは、
図2に図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、本デバイスはさらに、質量データを較正するための較正溶液を送達するために使用される補助流体チャネルを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、被分析物混合物の等電点電気泳動および質量分光分析を実施するためのシステムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、基板、1つまたはそれを上回る入口ポート、もしくはオリフィスの全てまたは一部を包含する、カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、被分析物混合物の等電点電気泳動および質量分光分析を実施するためのシステムの使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る入口ポートは、気泡がない電気接続を提供する、膜含有高電圧電極固定具を使用して、高電圧電極と界面接触される。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具は、
図12に図示されるものである。いくつかの実施形態では、膜は、親水性膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、剛性材料、例えば、ガラスまたはセラミックを含む。いくつかの実施形態では、膜は、親水性および/または非荷電であるように扱われてもよい。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の膜で被覆された流体ポートは、約0.5~約2mmに及ぶ直径を有する。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の電極リザーバは、電極リザーバ内に、かつその底部に位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが充填されるときに、膜の表面の気泡がない湿潤を可能にする、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの統合された膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試薬リザーバは、陽極液リザーバ、陰極液リザーバ、または動員試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの流量制限器を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの弁を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの弁は、剪断弁を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Aに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Bに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、真空の印加を促進し、オリフィスの外部表面から過剰な流体蓄積を除去するための機構を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、安定したテイラー円錐の形成を促進するためのネブライザ機構を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、遊隙が複数の分離チャネルを撮像するために提供されるように、
図16、17、18、19A、または19Bのうちのいずれか1つに図示されるような側面マニホールド設計である。
【0025】
本明細書に開示されるものは、a)基板を備える、マイクロ流体デバイスであって、基板は、i)1つまたはそれを上回る入口ポート、ii)被分析物混合物の分離を実施するように構成される、分離チャネル、およびiii)分離チャネルの端部と流体連通するオリフィスを画定し、オリフィスは、分離チャネルから溶出される分離された被分析物分画のエレクトスプレーイオン化を実施し、それらを質量分析計の中に排出するように構成され、マイクロ流体デバイスの配向は、オリフィスが、質量分析計の入口に向かって下向きに指向されるように、水平面に対して傾転される、マイクロ流体デバイスと、b)分離チャネル全体またはその一部内の分離された被分析物混合物の分離および溶出を同時かつ持続的に撮像するように構成される、撮像デバイスとを備える、装置である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本システムはさらに、質量分析計を備える。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、分離チャネル内で検出される分離された被分析物ピークを分離された被分析物に関する質量分析計データと相関させるように構成される。いくつかの実施形態では、分離は、クロマトグラフ分離を含む。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、少なくとも2つの電極を備え、少なくとも2つの電極は、分離チャネルを横断して電場を印加し、等電点電気泳動を介して被分析物混合物を分離するように構成される。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、少なくとも2つの電極を備え、少なくとも2つの電極は、分離チャネルを横断して電場を印加し、電気泳動を介して被分析物混合物を分離するように構成される。いくつかの実施形態では、分離された被分析物分画に対応するピークが、吸光度画像によって検出される。いくつかの実施形態では、分離された被分析物分画に対応するピークが、蛍光画像によって検出される。いくつかの実施形態では、オリフィスは、分離チャネルの電場と電気通信する。いくつかの実施形態では、オリフィスは、エレクトスプレーイオン化によって形成されるテイラー円錐が、完全に陥凹内に配置されるように、マイクロ流体デバイス上の陥凹内に位置付けられる。いくつかの実施形態では、オリフィスの外面は、動作の間に過剰な流体蓄積を防止するための疎水性コーティングを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、第1の分離チャネルと、第2の分離チャネルとを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、電場を印加し、第2の分離チャネル内の被分析物混合物の等電点電気泳動または電気泳動分離を実施する前に、第1の分離チャネル内の被分析物混合物のクロマトグラフ濃縮を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、等電点(pI)マーカが、等電点電気泳動分離を実施することに先立って、分離チャネルの中に導入され、分離チャネル内でpI範囲をマッピングするために使用される。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、少なくとも1つの分離された被分析物分画の等電点のための値を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、被分析物混合物は、無傷のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、動員は、圧力を使用して電解質を分離チャネルの中に導入することによって、実施される。いくつかの実施形態では、動員は、電気泳動を使用して電解質を分離チャネルの中に導入することによって、実施される。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、分離チャネルおよびオリフィスの合流において分離チャネルに交差する、付加的電解質導入チャネルを備え、動員は、電解質導入チャネルから分離チャネルの中に電解質を導入することによって、実施される。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、電解質導入チャネルを横断して電場を印加し、動員電解質を導入するように構成される、2つの電極を備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、陽極液導入チャネルと、イオン化のためのガス送達チャネルとを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、光が、光学スリットを通してのみ透過されるように、分離チャネルと整合される光学スリットを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイス上にリザーバまたはウェルが存在しない。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスの1つまたはそれを上回る入口ポートは、
図2に図示されるように、デバイスの1つまたはそれを上回る縁上に位置する。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、装置の使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスはさらに、基板、1つまたはそれを上回る入口ポート、およびオリフィスの全てもしくは一部を包含する、カートリッジを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、装置の使い捨て構成要素である。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る入口ポートは、気泡がない電気接続を提供する、膜含有高電圧電極固定具を使用して、高電圧電極と界面接触される。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具は、
図12に図示されるものである。いくつかの実施形態では、膜は、親水性膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の膜で被覆された流体ポートは、約0.5~約2mmに及ぶ直径を有する。いくつかの実施形態では、膜含有高電圧電極固定具内の電極リザーバは、電極リザーバ内に、かつその底部に位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが充填されるときに、膜の表面の気泡がない湿潤を可能にする、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの統合された膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの統合膜含有高電圧電極固定具を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試薬リザーバは、陽極液リザーバ、陰極液リザーバ、または動員試薬リザーバを備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの流量制限器を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、少なくとも1つの弁を備える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの弁は、剪断弁を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Aに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、剪断弁は、
図19Bに図示されるような弁設計を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、真空の印加を促進し、オリフィスの外部表面から過剰な流体蓄積を除去するための機構を備える。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、真空の印加を促進し、オリフィスの外部表面から過剰な流体蓄積を除去するための機構を備える。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、オリフィスの外部表面から過剰な流体蓄積を除去するためのワイパー機構を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、安定したテイラー円錐の形成を促進するためのネブライザ機構を備える。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、安定したテイラー円錐の形成を促進するためのネブライザ機構を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、遊隙が複数の分離チャネルを撮像するために提供されるように、
図16、17、18、19A、または19Bのうちのいずれか1つに図示されるような側面マニホールド設計である。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、1つまたはそれを上回る分離チャネル、1つまたはそれを上回る動員剤チャネル、もしくは1つまたはそれを上回る補助流体チャネルを通して、独立して制御された圧力駆動流を提供するように構成される、流体流量コントローラを備える。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る分離チャネル、1つまたはそれを上回る動員剤チャネル、もしくは1つまたはそれを上回る補助流体チャネルを通した圧力駆動流は、無パルス流である。いくつかの実施形態では、本装置はさらに、一定の温度で複数の分離チャネルを維持するように構成される、温度コントローラを備える。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、質量データを較正するための較正溶液を送達するために使用される補助流体チャネルを備える。いくつかの実施形態では、撮像デバイスは、分離チャネルからの被分析物分画の溶出の間に点検出器として機能し、時間ベースのクロマトグラムのための改良された時間分解能を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、4~16個の撮像デバイスピクセルが、点検出器として機能するようにビン化される。いくつかの実施形態では、ビン化されたピクセルからの強度データが、少なくとも1Hzのレートにおいて読み出される。
【0027】
本明細書に開示されるものは、a)電極リザーバと、b)平面において交差する入口流体チャネルおよび出口流体チャネルと、c)入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部を備える、開口部を被覆するように、該平面上の電極リザーバ内に位置付けられる、膜とを備える、固定具であり、膜は、高電圧電極と入口および出口流体チャネル内の流体との間の気泡がない電気接続の形成を促進する。
【0028】
いくつかの実施形態では、固定具は、
図12に図示されるような設計を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、再生セルロース膜を備える。いくつかの実施形態では、膜は、親水性であるように扱われた織物ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を備える。いくつかの実施形態では、膜によって被覆された開口部は、約0.5~約2mmに及ぶ直径を有する。いくつかの実施形態では、電極リザーバはさらに、電極リザーバ内に、かつその底部に、および膜の上に位置付けられる、挿入物を備え、挿入物は、電極リザーバが充填されるときに、膜の表面の気泡がない湿潤を可能にする、入口流体経路と、出口流体経路とを備える。
【0029】
本明細書に開示されるものは、
図19Aまたは
図19Bに図示されるような設計を備える、剪断弁である。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
固定具であって、
電極リザーバと、
第1の端部と、第2の端部とを備える入口流体チャネルと、
出口流体チャネルであって、前記出口流体チャネルは、前記入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される第1の端部と、分離チャネルに流体的に結合される第2の端部とを備え、前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネルは、前記電極リザーバの表面を画定するかまたはそれと平行である平面において、相互と交差し、流体的に結合される、出口流体チャネルと、
膜であって、前記膜は、前記膜が、前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネルの交差部を備える開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、前記平面において、またはそれに隣接して、前記電極リザーバ内に配置される、膜と
を備え、
前記膜は、前記電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネル内に含有される流体との間に高流体力学的抵抗・低電気抵抗の接続を提供する、固定具。
(項目2)
前記膜は、親水性である、項目1に記載の固定具。
(項目3)
前記膜は、再生セルロース膜を備える、項目1に記載の固定具。
(項目4)
前記膜または開口部の断面積は、約0.001mm
2~100mm
2である、項目1に記載の固定具。
(項目5)
前記電極リザーバはさらに、挿入物を備え、前記挿入物は、前記電極リザーバ内に配置され、前記膜に、またはそれに隣接して位置付けられ、前記挿入物は、前記電極リザーバが緩衝溶液で充填されるときに、前記膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進する入口流体経路と、出口流体経路とを備える、項目1に記載の固定具。
(項目6)
前記電極リザーバと前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、1((N/mm
2)/(mm
3/秒))を上回る、項目1に記載の固定具。
(項目7)
前記電極リザーバと前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、10,000,000オーム未満である、項目1に記載の固定具。
(項目8)
前記分離チャネルは、毛細管の管腔を備える、項目1に記載の固定具。
(項目9)
前記分離チャネルは、マイクロ流体デバイス内の流体チャネルを備える、項目1に記載の固定具。
(項目10)
前記分離チャネルは、等電点電気泳動を実施するように構成される、項目1に記載の固定具。
(項目11)
流体デバイスであって、
少なくとも1つの流体入口と、
少なくとも1つの流体出口と、
少なくとも1つの分離チャネルであって、前記少なくとも1つの分離チャネルは、前記少なくとも1つの流体入口に流体的に結合される第1の端部と、前記少なくとも1つの流体出口に流体的に結合される第2の端部とを備える、少なくとも1つの分離チャネルと
を備え、
少なくとも1つの流体入口または少なくとも1つの流体出口は、固定具を使用して、高電圧電極に電気的に結合され、前記固定具は、
電極リザーバと、
第1の端部と、第2の端部とを備える入口流体チャネルと、
出口流体チャネルであって、前記出口流体チャネルは、前記入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される第1の端部と、前記少なくとも1つの流体入口または前記少なくとも1つの流体出口のうちの1つに流体的に結合される第2の端部とを備え、前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネルは、前記電極リザーバの表面を画定するかまたはそれと平行である平面において、相互と交差し、流体的に結合される、出口流体チャネルと、
膜であって、前記膜は、前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネルの交差部を備える開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、前記平面において、またはそれに隣接して、前記電極リザーバ内に配置される、膜と
を備え、
前記膜は、前記電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネル内に含有される流体との間に高流体力学的抵抗・低電気抵抗の接続を提供する、デバイス。
(項目12)
前記デバイスは、少なくとも1つの毛細管を備え、前記少なくとも1つの毛細管は、前記少なくとも1つの分離チャネルとして機能する管腔を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
前記デバイスは、平面基板を備えるマイクロ流体デバイスであり、前記平面基板は、前記少なくとも1つの分離チャネルを備える、項目11に記載のデバイス。
(項目14)
前記膜は、親水性である、項目11に記載のデバイス。
(項目15)
前記膜は、再生セルロース膜を備える、項目11に記載のデバイス。
(項目16)
前記膜または開口部の断面積は、約0.001mm
2~100mm
2である、項目11に記載のデバイス。
(項目17)
前記電極リザーバはさらに、挿入物を備え、前記挿入物は、前記電極リザーバ内に配置され、前記膜に、またはそれに隣接して位置付けられ、前記挿入物は、前記電極リザーバが緩衝溶液で充填されるときに、前記膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進する入口流体経路と、出口流体経路とを備える、項目11に記載のデバイス。
(項目18)
前記電極リザーバと前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、1((N/mm
2)/(mm
3/秒))を上回る、項目11に記載のデバイス。
(項目19)
前記電極リザーバと前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、10,000,000オーム未満である、項目11に記載のデバイス。
(項目20)
前記電極リザーバと前記入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の前記電気抵抗に対する前記流体力学的抵抗の比は、約0.01((N/mm
2)/(mm
3/秒))/オームを上回る、項目11に記載のデバイス。
(項目21)
並行して複数の等電点電気泳動反応を実施するための方法であって、前記方法は、
a)平面基板を備えるデバイスを提供するステップであって、前記平面基板は、複数の分離チャネルを備える、ステップと、
b)被分析物の混合物を含むサンプルを前記複数の分離チャネルのうちの少なくとも2つの分離チャネルの中に導入するステップと、
c)前記少なくとも2つの分離チャネルに印加される電圧を制御し、前記複数の等電点電気泳動反応を実施し、前記少なくとも2つの分離チャネル内の前記サンプルの被分析物の混合物を分離するステップと、
d)前記複数の等電点電気泳動反応が並行して実施されるにつれて、前記少なくとも2つの分離チャネルを通して流動する電流を独立して監視するステップと
を含む、方法。
(項目22)
前記複数の分離チャネルのうちの少なくとも2つの分離チャネルの第1の端部は、第1の膜含有高電圧電極固定具を使用して、陽極液リザーバに電気的に結合される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記複数の分離チャネルのうちの少なくとも2つの分離チャネルの第2の端部は、第2の膜含有高電圧電極固定具を使用して、陰極液リザーバに電気的に結合される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記少なくとも2つの分離チャネルに印加される電圧は、独立して制御される、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記少なくとも2つの分離チャネルの中に導入される前記サンプルは、同一であり、実験条件の第1のセットは、前記少なくとも2つの分離チャネルの第1のサブセット内で前記等電点電気泳動反応を実施するために使用され、実験条件の第2のセットは、前記少なくとも2つの分離チャネルの第2のサブセット内で前記等電点電気泳動反応を実施するために使用される、項目21に記載の方法。
(項目26)
前記少なくとも2つの分離チャネルの中に導入される前記サンプルは、前記少なくとも2つの分離チャネルの少なくとも2つのサブセットに関して異なり、実験条件の同一のセットは、前記少なくとも2つの分離チャネルのそれぞれの中で前記等電点電気泳動反応を実施するために使用される、項目21に記載の方法。
(項目27)
前記複数の等電点電気泳動反応を実施しながら、前記少なくとも2つの分離チャネルの各々に対して電流トレースを記録するステップをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目28)
前記方法はさらに、前記等電点電気泳動反応の完了に続いて、前記少なくとも2つの分離チャネルを洗い流し、自動様式で別のサンプルを前記少なくとも2つの分離チャネルの中に導入するステップを含む、項目21に記載の方法。
(項目29)
前記少なくとも2つの分離チャネルのうちのいずれかにおける障害の検出は、その分離チャネルの中に導入されていた前記サンプルに関して、前記等電点電気泳動反応の自動再導入および繰り返しをトリガする、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記障害は、気泡の導入、気泡の形成、誤って調製されたサンプル、充填不足の試薬リザーバ、またはそれらの任意の組み合わせを備える、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記障害は、分離チャネルを通して流動する前記電流を監視することによって、または前記分離チャネルの画像を処理することによって、検出される、項目29に記載の方法。
(項目32)
等電点電気泳動を実施しながら、前記少なくとも2つの分離チャネルのうちの少なくとも1つにおいて動的光散乱を測定するステップをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目33)
前記動的光散乱の測定は、1つまたはそれを上回る分離された被分析物に関して、サイズ分布プロファイルの決定、凝集状態の決定、または流体力学半径の決定を提供する、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記第1の膜含有高電圧電極固定具は、
a)電極リザーバと、
b)第1の端部と、第2の端部とを備える入口流体チャネルと、
c)出口流体チャネルであって、前記出口流体チャネルは、前記入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される第1の端部と、分離チャネルに流体的に結合される第2の端部とを備え、前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネルは、前記電極リザーバの表面を画定するかまたはそれと平行である平面において、相互と交差し、流体的に結合される、出口流体チャネルと、
c)膜であって、前記膜は、前記膜が、前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネルの交差部を備える開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、前記平面において、またはそれに隣接して、前記電極リザーバ内に配置される、膜と
を備え、
前記膜は、前記電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と前記入口流体チャネルおよび前記出口流体チャネル内に含有される流体との間に高流体力学的抵抗・低電気抵抗の接続を提供する、項目22に記載の方法。
(項目35)
前記膜は、親水性であり、セルロースまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記第1の膜含有高電圧電極固定具はさらに、挿入物を備え、前記挿入物は、前記電極リザーバ内に配置され、前記膜に、またはそれに隣接して位置付けられ、前記挿入物は、前記電極リザーバが電解質溶液で充填されるときに、前記膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進する入口流体経路と、出口流体経路とを備える、項目34に記載の方法。
(項目37)
平面基板を備えるマイクロ流体デバイスであって、前記平面基板は、
a)複数の流体入口であって、前記複数の流体入口の全てまたは一部は、前記平面基板の1つまたはそれを上回る縁上に位置する、複数の流体入口と、
b)複数の分離チャネルであって、
i)第1の端部であって、前記第1の端部は、膜含有高電圧電極固定具を使用して、陽極液リザーバに電気的に結合される、第1の端部と、
ii)第2の端部であって、前記第2の端部は、膜含有高電圧電極固定具を使用して、陰極液リザーバに電気的に結合される、第2の端部と
を備え、
iii)前記複数の分離チャネルのうちの各分離チャンネルの第1の端部または第2の端部のうちの1つは、前記複数の流体入口のうちの異なる流体入口と流体連通する、複数の分離チャネルと
を備える、マイクロ流体デバイス。
(項目38)
前記複数の分離チャネルは、前記複数の分離チャネルの全てまたは一部のUV吸光度画像もしくは蛍光画像のために構成される、項目37に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目39)
前記複数の分離チャネルを備える前記平面基板の全てまたは一部を包含するカートリッジをさらに備え、前記カートリッジは、複数の膜含有高電圧電極固定具を備える、項目37に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目40)
前記カートリッジは、多重化等電点電気泳動反応を実施するように構成されるシステムの使い捨て構成要素である、項目39に記載のマイクロ流体デバイス。
(参照による組み込み)
【0030】
本明細書に述べられる全ての出版物、特許、および特許出願は、各個々の出版物、特許、または特許出願が、参照することによってその全体として組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同一の程度に、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。本明細書の用語と組み込まれた参考文献内の用語との間の矛盾の場合、本明細書の用語が優先される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の新規の特徴が、添付の請求項に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のさらなる理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する以下の詳細な説明、および付随する図面を参照することによって、得られるであろう。
【0032】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一側面による、4チャネル等電点電気泳動設計を備える、マイクロ流体デバイスの非限定的概略図を提供する。
【0033】
【
図1B】
図1Bは、本開示のエレクトスプレー先端を備える、例示的マイクロ流体デバイスの流体チャネルネットワークの非限定的概略図を提供する。
【0034】
【
図2】
図2は、エレクトスプレーイオン化が後に続く、1回またはそれを上回る分離反応、例えば、等電点電気泳動反応を実施するためのマイクロ流体デバイスの1つの非限定的実施例の概略俯瞰図を提供する。
【0035】
【
図3】
図3は、エレクトスプレーイオン化が後に続く、1回またはそれを上回る分離反応、例えば、等電点電気泳動反応を実施するためのマイクロ流体デバイスの1つの非限定的実施例の断面図を提供する。
【0036】
【
図4】
図4は、例示的廃棄物管理システムの概略図を提供する。
【0037】
【
図5】
図5は、別の例示的廃棄物管理システムの概略図を提供する。
【0038】
【
図6】
図6は、クランプモジュールを備える、廃棄物管理システムの別の実施例を図式的に示す。
【0039】
【
図7】
図7は、管真空装置を備える、廃棄物管理システムの別の実施例を図式的に示す。
【0040】
【
図8】
図8は、陽圧を使用する廃棄物管理システムの別の実施例を図式的に示す。
【0041】
【
図9】
図9は、例示的ネブライザを図式的に図示する。
【0042】
【
図10A】
図10A-Dは、ネブライザの付加的な非限定的実施例を図式的に図示する。
図10Aは、第2のネブライザ設計の正面図である。
図10Bは、第2のネブライザ設計の等角図である。
図10Cは、第3のネブライザ設計の上面切断図である。
図10Dは、第3のネブライザ設計の側面切断図である。
【
図10B】
図10A-Dは、ネブライザの付加的な非限定的実施例を図式的に図示する。
図10Aは、第2のネブライザ設計の正面図である。
図10Bは、第2のネブライザ設計の等角図である。
図10Cは、第3のネブライザ設計の上面切断図である。
図10Dは、第3のネブライザ設計の側面切断図である。
【
図10C】
図10A-Dは、ネブライザの付加的な非限定的実施例を図式的に図示する。
図10Aは、第2のネブライザ設計の正面図である。
図10Bは、第2のネブライザ設計の等角図である。
図10Cは、第3のネブライザ設計の上面切断図である。
図10Dは、第3のネブライザ設計の側面切断図である。
【
図10D】
図10A-Dは、ネブライザの付加的な非限定的実施例を図式的に図示する。
図10Aは、第2のネブライザ設計の正面図である。
図10Bは、第2のネブライザ設計の等角図である。
図10Cは、第3のネブライザ設計の上面切断図である。
図10Dは、第3のネブライザ設計の側面切断図である。
【0043】
【
図11A】
図11A-Dは、ネブライザ設計の第4の実施例を図式的に図示する。
図11Aは、マイクロ流体デバイスカートリッジ上に搭載された際の部分切断図である。
図11Bは、独立型部分切断図である。
図11Cは、切断側面図。
図11Dは、切断上面図である。
【
図11B】
図11A-Dは、ネブライザ設計の第4の実施例を図式的に図示する。
図11Aは、マイクロ流体デバイスカートリッジ上に搭載された際の部分切断図である。
図11Bは、独立型部分切断図である。
図11Cは、切断側面図。
図11Dは、切断上面図である。
【
図11C】
図11A-Dは、ネブライザ設計の第4の実施例を図式的に図示する。
図11Aは、マイクロ流体デバイスカートリッジ上に搭載された際の部分切断図である。
図11Bは、独立型部分切断図である。
図11Cは、切断側面図。
図11Dは、切断上面図である。
【
図11D】
図11A-Dは、ネブライザ設計の第4の実施例を図式的に図示する。
図11Aは、マイクロ流体デバイスカートリッジ上に搭載された際の部分切断図である。
図11Bは、独立型部分切断図である。
図11Cは、切断側面図。
図11Dは、切断上面図である。
【0044】
【0045】
【
図13A】
図13A-Fは、膜を備える固定具の非限定的実施例を図式的に図示する。
図13Aは、部分切断図である。
図13Bは、電極リザーバの上面図である。
図13Cは、電極リザーバの部分切断図である。
図13Dは、電極リザーバの底部の上面図である。
図13Eは、電極リザーバの底部の切断詳細である。
図13Fは、電極リザーバの底部の切断側面図である。
【
図13B】
図13A-Fは、膜を備える固定具の非限定的実施例を図式的に図示する。
図13Aは、部分切断図である。
図13Bは、電極リザーバの上面図である。
図13Cは、電極リザーバの部分切断図である。
図13Dは、電極リザーバの底部の上面図である。
図13Eは、電極リザーバの底部の切断詳細である。
図13Fは、電極リザーバの底部の切断側面図である。
【
図13C】
図13A-Fは、膜を備える固定具の非限定的実施例を図式的に図示する。
図13Aは、部分切断図である。
図13Bは、電極リザーバの上面図である。
図13Cは、電極リザーバの部分切断図である。
図13Dは、電極リザーバの底部の上面図である。
図13Eは、電極リザーバの底部の切断詳細である。
図13Fは、電極リザーバの底部の切断側面図である。
【
図13D】
図13A-Fは、膜を備える固定具の非限定的実施例を図式的に図示する。
図13Aは、部分切断図である。
図13Bは、電極リザーバの上面図である。
図13Cは、電極リザーバの部分切断図である。
図13Dは、電極リザーバの底部の上面図である。
図13Eは、電極リザーバの底部の切断詳細である。
図13Fは、電極リザーバの底部の切断側面図である。
【
図13E】
図13A-Fは、膜を備える固定具の非限定的実施例を図式的に図示する。
図13Aは、部分切断図である。
図13Bは、電極リザーバの上面図である。
図13Cは、電極リザーバの部分切断図である。
図13Dは、電極リザーバの底部の上面図である。
図13Eは、電極リザーバの底部の切断詳細である。
図13Fは、電極リザーバの底部の切断側面図である。
【
図13F】
図13A-Fは、膜を備える固定具の非限定的実施例を図式的に図示する。
図13Aは、部分切断図である。
図13Bは、電極リザーバの上面図である。
図13Cは、電極リザーバの部分切断図である。
図13Dは、電極リザーバの底部の上面図である。
図13Eは、電極リザーバの底部の切断詳細である。
図13Fは、電極リザーバの底部の切断側面図である。
【0046】
【
図14】
図14は、試薬をシステムの1つまたはそれを上回るリザーバに提供する例示的方法を図式的に図示する。
【0047】
【
図15】
図15は、試薬を1つまたはそれを上回るリザーバに提供する例示的方法を図式的に図示する。
【0048】
【
図16】
図16は、本明細書のある実施形態に説明されるようなカートリッジを備える例示的システムを図式的に図示する。
【0049】
【
図17】
図17は、本開示のマイクロ流体デバイスを備える、カートリッジの例示的実施形態を示す。
【0050】
【
図18】
図18は、本開示のマイクロ流体デバイスを備える、カートリッジの別の例示的実施形態を示す。
【0051】
【
図19A】
図19A-Bは、本開示のマイクロ流体デバイスと、剪断弁とを備える、カートリッジの付加的例示的実施形態を示す。
図19Aは、回転剪断弁を備える、カートリッジである。
図19Bは、ばね荷重剪断弁を備える、カートリッジである。
【
図19B】
図19A-Bは、本開示のマイクロ流体デバイスと、剪断弁とを備える、カートリッジの付加的例示的実施形態を示す。
図19Aは、回転剪断弁を備える、カートリッジである。
図19Bは、ばね荷重剪断弁を備える、カートリッジである。
【0052】
【
図20】
図20は、本開示のマイクロ流体デバイスを備える、カートリッジの別の例示的実施形態を示す。
【0053】
【
図21】
図21は、デバイスをカートリッジに固着させるために使用され得る、固着特徴の非限定的実施例を図式的に示す。
【0054】
【
図22】
図22は、デバイスへのカートリッジの流体シールを発生させるために使用され得る、固着特徴の非限定的実施例を図式的に示す。
【0055】
【
図23】
図23は、デバイスまたはカートリッジのリザーバへの電気接続の非限定的実施例を図式的に示す。
【0056】
【
図24】
図24は、器具とも界面接触するカートリッジに1つまたはそれを上回るリザーバユニットを結合するための搭載プレートの非限定的実施例を図式的に示す。
【0057】
【
図25】
図25は、リザーバ構造を伴う例示的カートリッジを示す。
【0058】
【
図26】
図26は、リザーバ構造を伴う別の例示的カートリッジを示す。
【0059】
【
図27】
図27は、リザーバ構造を伴う別の例示的カートリッジを示す。
【0060】
【
図28A】
図28A-Dは、本明細書に開示される例示的撮像システムの異なる斜視図を示す。
図28Aは、走査(または旋回)ミラーを備える、撮像システムである。
図28Bは、全チャネル撮像のためのミラーを備える、撮像システムである。
図28Cは、
図28Bの撮像システムの詳細図である。
図28Dは、
図28Bおよび28Cに図示される撮像システムの上面図である。
【
図28B】
図28A-Dは、本明細書に開示される例示的撮像システムの異なる斜視図を示す。
図28Aは、走査(または旋回)ミラーを備える、撮像システムである。
図28Bは、全チャネル撮像のためのミラーを備える、撮像システムである。
図28Cは、
図28Bの撮像システムの詳細図である。
図28Dは、
図28Bおよび28Cに図示される撮像システムの上面図である。
【
図28C】
図28A-Dは、本明細書に開示される例示的撮像システムの異なる斜視図を示す。
図28Aは、走査(または旋回)ミラーを備える、撮像システムである。
図28Bは、全チャネル撮像のためのミラーを備える、撮像システムである。
図28Cは、
図28Bの撮像システムの詳細図である。
図28Dは、
図28Bおよび28Cに図示される撮像システムの上面図である。
【
図28D】
図28A-Dは、本明細書に開示される例示的撮像システムの異なる斜視図を示す。
図28Aは、走査(または旋回)ミラーを備える、撮像システムである。
図28Bは、全チャネル撮像のためのミラーを備える、撮像システムである。
図28Cは、
図28Bの撮像システムの詳細図である。
図28Dは、
図28Bおよび28Cに図示される撮像システムの上面図である。
【0061】
【
図29】
図29は、本明細書に説明される実施形態によるマイクロ流体分離デバイス/カートリッジを質量分析計と界面接触させるための例示的システムを図式的に図示する。
【0062】
【
図30】
図30は、本明細書に説明される実施形態による、別の例示的システムを図式的に図示する。
【0063】
【
図31】
図31は、本明細書に説明される実施形態による、例示的システムを図式的に図示する。
【0064】
【
図32A】
図32A-Bは、動員反応および移動度クロマトグラムの例示的データを示す。
図32Aは、UV吸光度対分離チャネルを撮像するために使用される画像センサのピクセル数のプロットである。
図32Bは、
図32Aに図示されるもの等のデータから導出された動員クロマトグラム(UV吸光度対時間のプロット)である。
【
図32B】
図32A-Bは、動員反応および移動度クロマトグラムの例示的データを示す。
図32Aは、UV吸光度対分離チャネルを撮像するために使用される画像センサのピクセル数のプロットである。
図32Bは、
図32Aに図示されるもの等のデータから導出された動員クロマトグラム(UV吸光度対時間のプロット)である。
【0065】
【
図33】
図33は、開示されるシステムの一実施形態のためのソフトウェアアーキテクチャの非限定的実施例を示す。
【0066】
【
図34】
図34は、本開示の一実施形態における統合システムのブロック図の非限定的実施例を示す。
【0067】
【
図35】
図35は、本開示の一実施形態における統合システムのブロック図の別の非限定的実施例を示す。
【0068】
【
図36】
図36は、ESI先端が0Vにおいて保持される、コンピュータ制御電圧フィードバックループの例示的フローチャートを提供する。
【0069】
【
図37】
図37は、ESI先端が+3,000Vにおいて保持される、電圧フィードバックループの例示的フローチャートを提供する。
【0070】
【
図38】
図38は、交差チャネルを伴う例示的チップの概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0071】
詳細な説明
本明細書に開示されるものは、等電点(または他の物理化学的性質)によるタンパク質被分析物混合物もしくは他の生体分子の高速で正確な分離および特性評価のために、並行して複数の等電点電気泳動反応(または他の分離反応)を実施するための方法、デバイス、およびシステムである。本願の主題は、米国特許第10,209,217B2号および第10,401,324B2号のもの、ならびに同時係属米国特許出願第15/363,908号、第16/261,382号、第16/427,767号、および第16/532,955号のもの(それぞれは、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)に関連する。
【0072】
本開示の一側面では、並行して2回またはそれを上回る分離反応を実施するための2つまたはそれを上回る分離チャネルを備える、マイクロ流体デバイスが、説明され、マイクロ流体形式は、極めて小さい入力サンプル体積を使用して、被分析物混合物の高速で正確な分離および特性評価を可能にする。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、平面基板を備え、その平面基板は、2つまたはそれを上回る分離チャネルを備える。好ましい側面では、分離反応は、等電点電気泳動反応である。別の好ましい側面では、被分析物混合物は、タンパク質被分析物混合物を含み、並行した2回またはそれを上回る等電点電気泳動反応の実施は、被分析物混合物内のタンパク質成分の高速で正確な分離およびそれらの等電点(pI)による個々のタンパク質成分の特性評価を可能にする。いくつかの事例では、撮像、例えば、全チャネル撮像の使用は、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配におけるpIマーカの位置を可視化するためのpIマーカと組み合わせて、被分析物混合物の分離されたタンパク質成分のためのpIのより正確な決定を可能にする。
【0073】
本開示の別の側面では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源(もしくは単一の多重化高電圧電力供給源)の使用が、マイクロ流体デバイスの各分離チャネル内の分離反応または実験条件の独立した制御を可能にする、該マイクロ流体デバイスを動作するための方法およびシステムが、説明される。したがって、いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスは、並行して分離または実験条件の同一のセットの下で2つまたはそれを上回る異なるサンプルの分離および特性評価を実施するために使用されてもよい。いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスは、並行して2つまたはそれを上回る異なる反応もしくは実験条件下で同一のサンプルの2つまたはそれを上回るアリコートの分離および特性評価を実施するために使用されてもよい。いくつかの事例では、デバイス上の分離チャネルのサブセットが、分離または実験条件の同一のセットの下で複数のサンプルの分離を実施するために使用されてもよく、代替として、もしくは加えて、デバイス上の分離チャネルの異なるサブセットが、並行して複数の異なる反応または実験条件下で同一のサンプルからの複数のアリコートの分離および特性評価を実施するために使用されてもよい。
【0074】
実験条件は、同一であり得、またはマイクロ流体デバイスの分離チャネルを横断して異なり得、緩衝剤選択、電解質選択、pH勾配選択、電圧設定、電流設定、電場強度設定、電圧設定、電流設定、電場強度設定を変動させるための時間経過、等電点電気泳動反応時間、またはそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。
【0075】
いくつかの事例では、本開示のシステムは、開示されるマイクロ流体デバイスのうちの1つまたはそれを上回るものと、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源(もしくは2つまたはそれを上回るチャネルの独立した制御を可能にする、単一の多重化高電圧電力供給源)とを備える。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源(もしくは2つまたはそれを上回るチャネルの独立した制御を可能にする、単一の多重化高電圧電力供給源)は、各分離チャネルを通して流動する電流を監視および/または記録するように構成される。分離チャネル(例えば、分離チャネルの電流)の監視は、いくつかの事例では、他の分離チャネルの監視から独立して実施されてもよい。いくつかの事例では、各分離チャネルを通して流動する電流は、例えば、等電点電気泳動反応が完了するときを決定するために、および/または障害(例えば、分離チャネル内の導入または気泡の形成、誤って調製されたサンプル、充填不足の試薬リザーバ、もしくはそれらの組み合わせ)を検出するために、診断ツールとして使用されてもよい。いくつかの事例では、障害は、分離チャネルを通して流動する電流を監視することによって、または分離チャネルの画像を処理することによって、検出されてもよい。いくつかの事例では、電圧供給源は、障害の検出に続いて、分離チャネルに印加される電圧を遮断するように構成されてもよい。いくつかの事例では、電圧供給源は、障害の検出に続いて、分離反応を再開するように構成されてもよい。
【0076】
いくつかの事例では、本システムはさらに、複数のサンプルまたは試薬入口ポートの中へのサンプルアリコートおよび/または他の分離反応試薬の自動的な独立して制御された装填のために構成される、オートサンプラもしくは流体取扱システムを備えてもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、(例えば、単独で、もしくは2つまたはそれを上回る分離チャネルに印加される電圧勾配と組み合わせて使用するために)例えば、2つまたはそれを上回る分離チャネルを通して独立して制御された圧力駆動流を提供するように構成される、流体流量コントローラを備えてもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、分離反応(例えば、等電点電気泳動反応)に続いて、2つまたはそれを上回る分離チャネルを洗い流す、洗浄する、すすぐ、または排気するように構成される、オートサンプラもしくは流体流量コントローラを備えてもよい。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る分離チャネルの洗い流し、洗浄、すすぎ、もしくは排気に続いて、オートサンプラまたは流体流量コントローラは、別のサンプル(例えば、異なるサンプルもしくは同一のサンプルの別のアリコート)を2つまたはそれを上回る分離チャネルの中に自動的に導入するように構成されてもよい。いくつかの事例では、オートサンプラまたは流体流量コントローラは、障害(例えば、気泡形成または導入、誤って調製されたサンプル、充填不足の試薬リザーバ、もしくはそれらの組み合わせ)が(例えば、電圧または電流監視を介して)検出される場合、サンプル、反応試薬、またはそれらの組み合わせを1つまたはそれを上回る分離チャネルの中に自動的に再導入するように構成されてもよい。そのような場合において、障害の検出に続いて、オートサンプラまたは流体流量コントローラは、障害が生じた分離チャネルを洗い流し、サンプル、反応試薬、またはそれらの組み合わせを再導入してもよく、分離反応は、(例えば、独立して制御された電圧供給源のうちの1つまたはそれを上回るものによる電場の印加を介して)再開されてもよい。
【0077】
いくつかの事例では、本システムはさらに、2つまたはそれを上回る分離チャネルの一連の1つまたはそれを上回る画像を入手するように構成される、撮像モジュールを備えてもよい。いくつかの事例では、画像の視野は、2つまたはそれを上回る分離チャネルの全てもしくは一部を備えてもよい。いくつかの事例では、撮像は、分離反応が実施されている間の持続的撮像を含んでもよい。いくつかの事例では、撮像は、分離反応が実施されている間の断続的撮像を含んでもよい。いくつかの事例では、撮像は、UV吸光度画像を入手するステップを含んでもよい。いくつかの事例では、撮像は、例えば、固有蛍光または被分析物に付着した外因性蛍光標識の存在に起因する蛍光のいずれか一方の蛍光画像を含んでもよい。いくつかの事例では、撮像モジュールは、例えば、等電点電気泳動反応が完了するときを決定するように、および/または障害(例えば、分離チャネル内の気泡の導入もしくは形成)を検出するように構成されてもよい。
【0078】
いくつかの事例では、本システムはさらに、サンプルおよび/または試薬のための源としての役割を果たす、マイクロプレートを運搬および交換するように構成される、マイクロプレート取扱ロボットモジュールを備えてもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、例えば、障害が検出された後に、本システムで使用されるマイクロ流体デバイスを運搬および交換するように構成される、マイクロ流体デバイス取扱ロボットモジュールを備えてもよい。いくつかの事例では、マイクロプレート取扱およびマイクロ流体デバイス取扱は、同一のロボットモジュールによって取り扱われてもよい。
【0079】
本開示の別の側面では、1回またはそれを上回る分離反応、例えば、等電点電気泳動反応を実施し、被分析物の混合物を含むサンプルをその個々の成分に分離し、その後に、分離された被分析物のエレクトスプレーイオン化が続くように設計される、マイクロ流体デバイスを備え得る、システムが説明される。いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスは、例えば、高電圧電極接続、試薬リザーバ、弁等をさらに備える、カートリッジに収納されてもよい。いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスは、略平面基板を備えてもよく、平面基板は、複数の分離チャネルを備える。いくつかの事例では、複数の分離チャネルのうちの1つまたはそれを上回る分離チャネルの第1の端部が、固定具を使用して、電極(例えば、陽極液)リザーバに電気的および/または流体的に結合され、その固定具は、膜を備えてもよい。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回る分離チャネルの第2の端部が、固定具を使用して、電極(例えば、陰極液リザーバ)に電気的および/または流体的に結合され、その固定具は、膜を備えてもよい。膜は、電極リザーバの表面を画定する、またはそれと平行である平面において、もしくはそれに隣接してリザーバ内に配置される、電極であってもよく、その平面は、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルに交差してもよい。膜は、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部を備える、開口部の全てまたは実質的に全てを被覆してもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、質量分析計等の分析器具を備えてもよい。開示される方法、デバイス、およびシステムは、分離データの再現性および定量的正確度の改良を可能にし、また、分離データと、下流分析特性評価データ、例えば、質量分析計または他の分析器具を使用して取得されるものとの間の改良された相関も可能にする。
【0080】
上記に示されるような開示される方法、デバイス、およびシステムの主要な特徴は、被分析物ピークの存在を検出する目的のために分離チャネル内の分離反応を監視するため、および/または分離反応が完了に到達したときを決定するための画像の使用である。いくつかの事例では、画像が、分離チャネルの全てまたは一部に関して入手されてもよい。いくつかの事例では、分離チャネルの全てまたは一部の撮像は、分離ステップおよび/または動員ステップが実施されている間に実施されてもよい。いくつかの事例では、画像は、分離チャネル内の濃縮被分析物ピークの位置を検出するために使用されてもよい。いくつかの事例では、画像は、分離チャネル内の1つまたはそれを上回るマーカもしくはインジケータの存在、例えば、等電点(pI)標準を検出し、したがって、1つまたはそれを上回る被分析物のためのpIを決定するために使用されてもよい。いくつかの事例では、画像は、分離チャネル内の障害(例えば、気泡形成)を検出するために使用されてもよい。いくつかの事例では、そのような画像から導出されるデータは、(例えば、ピーク速度、ピーク位置、および/またはピーク幅を監視することによって)分離反応が完了したときを決定し、続いて、動員ステップをトリガするために使用されてもよい。
【0081】
いくつかの事例では、動員ステップは、分離チャネルの中への動員緩衝剤または動員電解質の導入を含んでもよい。いくつかの事例では、動員緩衝剤または動員電解質は、流体力学的圧力を使用して、導入されてもよい。いくつかの事例では、動員緩衝剤または動員電解質は、電気泳動を用いて導入されてもよい。いくつかの事例では、動員緩衝剤または動員電解質は、電気泳動および流体力学的圧力の組み合わせを用いて導入されてもよい。いくつかの事例では、一連の1つまたはそれを上回る分離された被分析物帯の動員は、分離された被分析物帯を分離チャネルの出口または遠位端に向かって遊走させるステップを含んでもよい。いくつかの事例では、一連の1つまたはそれを上回る分離された被分析物帯の動員は、分離された被分析物帯を、下流分析器具と流体連通する分離チャネルの出口または遠位端に向かって遊走させるステップを含んでもよい。いくつかの事例では、分離チャネルの出口または遠位端は、遊走する被分析物ピークが、質量分析計の中に注入されるように、エレクトスプレーイオン化(ESI)インターフェースと流体連通してもよい。いくつかの事例では、被分析物ピーク位置を検出し、被分析物pIを決定するために使用される画像データはまた、被分析物分離データを質量分析データと相関させるために使用されてもよい。いくつかの事例では、被分析物ピーク位置を検出するために使用される画像データは、動員反応についての情報を生じさせるために、および/または動員情報を質量分析データと相関させるために使用されてもよい。
【0082】
いくつかの事例では、他の特性評価技法が、1つまたはそれを上回る分離反応を監視するために使用されてもよい。いくつかの事例では、動的光散乱が、分離反応(例えば、等電点電気泳動)を実施しながら、分離チャネルのうちの少なくとも1つで使用されてもよい。いくつかの事例では、動的光散乱が、1つまたはそれを上回る被分析物のサイズ分布プロファイル、凝集状態、もしくは流体力学半径を決定するために、使用されてもよい。1つまたはそれを上回る被分析物は、分離反応(例えば、等電点電気泳動)を使用して分離されてもよい。
【0083】
好ましい側面では、開示される方法は、マイクロ流体デバイス形式で実施されてもよく、それによって、極めて小さいサンプル体積の処理および2つまたはそれを上回るサンプル処理ならびに分離ステップの統合を可能にする。別の好ましい側面では、開示されるマイクロ流体デバイスは、下流分析器具に結合するための統合インターフェース、例えば、分離された被分析物に質量分析を実施するためのESIインターフェースを備える。いくつかの事例では、開示される方法は、より従来の毛細管形式で実施されてもよい。
【0084】
本明細書に説明される開示される方法、デバイス、およびシステムの種々の側面が、下記に記載される特定の用途のうちのいずれかに適用されてもよい。開示される方法、デバイス、およびシステムの異なる側面が、個別に、集合的に、または相互と組み合わせて理解され得ることを理解されたい。
【0085】
定義:別様に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語の全ては、本開示が属する分野内の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
【0086】
本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別様に明確に決定付けない限り、複数の参照を含む。本明細書の「または」の任意の言及は、別様に記述されない限り、「および/または」を包含することを意図している。同様に、用語「comprise(~を備える)」、「comprises」、「comprising」、「include(~を含む)」、「includes」、および「including」は、限定的であることを意図していない。
【0087】
本明細書で使用されるように、語句「限定ではないが、~を含む」および「1つの非限定的実施例は、~である」は、本開示が属する分野内の当業者によって一般的に理解されるように、所与の実施例の変形例および派生語を含むように意図されている。
【0088】
本明細書で使用されるように、用語「約」の数は、その数±その数の10%を指す。範囲との関連で使用されるときの用語「約」は、その範囲-その最低値の10%および+その最大値の10%を指す。
【0089】
本明細書で使用されるように、用語「特性評価」および「分析」は、同義的に使用されてもよい。「特性評価する」または「分析する」ことは、概して、サンプルを査定し、例えば、サンプルもしくはその成分の1つまたはそれを上回る性質を決定すること、またはサンプルの識別を決定することを意味し得る。
【0090】
本明細書で使用されるように、用語「チップ」および「デバイス」は、本明細書で同義的に使用されてもよい。
【0091】
本明細書で使用されるように、用語「被分析物」および「種」は、同義的に使用されてもよい。被分析物は、概して、測定可能な性質において別の分子、生分子、化学物質、巨大分子等と異なる、分子、生分子、物質、巨大分子等を意味する。例えば、2つの種は、わずかに異なる質量、疎水性、電荷もしくは正味電荷、等電点、有効性を有してもよい、または化学修飾、タンパク質修飾等の観点から異なり得る。
【0092】
サンプル:開示される方法、デバイス、システム、およびソフトウェアは、種々の生物学的または非生物学的サンプルのうちのいずれかから取得される被分析物の分離および特性評価のために使用されてもよい。実施例は、限定ではないが、組織サンプル、細胞培養サンプル,全血サンプル(例えば、静脈血、動脈血、または毛細血管血サンプル)、血漿、血清、唾液、間質液、尿、汗、涙、産業用酵素または生物学的薬物製造プロセスから導出されるタンパク質サンプル、環境サンプル(例えば、空気サンプル、水サンプル、土壌サンプル、表面スワイプサンプル)、および同等物を含む。いくつかの実施形態では、サンプルは、統合化学分離および特性評価のための開示される方法およびデバイスを使用する分析に先立って、当業者に公知である種々の技法のうちのいずれかを使用して処理されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、サンプルは、タンパク質または核酸を抽出するように処理されてもよい。サンプルは、種々の源または対象、例えば、細菌、ウイルス、植物、動物、もしくはヒトのうちのいずれかから収集されてもよい。
【0093】
サンプル体積:開示される方法およびデバイスのいくつかの事例では、マイクロ流体デバイス形式の使用は、非常に小さいサンプル体積の処理を可能にし得る。いくつかの実施形態では、デバイスの中に装填され、分析のために使用されるサンプル体積は、約0.1μl~約1mlに及んでもよい。いくつかの実施形態では、デバイスの中に装填され、分析のために使用されるサンプル体積は、少なくとも0.1μl、少なくとも1μl、少なくとも2.5μl、少なくとも5μl、少なくとも7.5μl、少なくとも10μl、少なくとも25μl、少なくとも50μl、少なくとも75μl、少なくとも100μl、少なくとも250μl、少なくとも500μl、少なくとも750μl、または少なくとも1mlであってもよい。いくつかの実施形態では、デバイスの中に装填され、分析のために使用されるサンプル体積は、最大で1ml、最大で750μl、最大で500μl、最大で250μl、最大で100μl、最大で75μl、最大で50μl、最大で25μl、最大で10μl、最大で7.5μl、最大で5μl、最大で2.5μl、最大で1μl、または最大で0.1μlであってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、デバイスの中に装填され、分析のために使用されるサンプル体積は、約5μl~約500μlに及んでもよい。当業者は、分析のために使用されるサンプル体積が、本範囲内の任意の値、例えば、約18μlを有し得ることを認識するであろう。
【0094】
被分析物:いくつかの事例では、サンプルは、複数の被分析物種を含んでもよい。いくつかの事例では、サンプルに存在する被分析物種の全てまたは一部は、分析に先立って、もしくはその間に、濃縮されてもよい。いくつかの事例では、これらの被分析物は、例えば、グリカン、炭水化物、核酸分子(例えば、DNA、RNA)、ペプチド、ポリプチド、組み換えタンパク質、無傷のタンパク質、タンパク質イソ型、消化されたタンパク質、融合タンパク質、抗体・薬物共役、タンパク質・薬物共役、代謝産物、または他の生物学的に関連性がある分子であり得る。いくつかの事例では、これらの被分析物は、小分子薬物であり得る。いくつかの事例では、これらの被分析物は、生物学的タンパク質製剤(例えば、酵素製剤もしくは抗体製剤)および/または培養もしくは生体内から単離される細胞から収集される溶解物等のタンパク質混合物内のタンパク質分子であり得る。
【0095】
マイクロ流体デバイス:本明細書に開示されるものは、並行して、すなわち、複数の分離チャネル内で、複数の被分析物分離反応を実施するように設計される、デバイスである。いくつかの事例では、開示されるデバイスは、並行して、すなわち、デバイス内の複数の分離チャネル内で、複数の被分析物分離反応を実施するように設計される、マイクロ流体デバイスである。いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスは、同一のデバイス内で並行して、すなわち、デバイス内の複数の第1の分離チャネル、第2の分離チャネル、第3の分離チャネル内等で、複数の被分析物サンプルのために、1つまたはそれを上回る異なる分離ステップ、すなわち、第1の分離反応、第2の分離反応、第3の分離反応等を実施するように設計されてもよい。好ましい事例では、分離ステップのうちの少なくとも1つは、等電点電気泳動を含んでもよく、本デバイスは、並行して、すなわち、デバイス内の2つまたはそれを上回る分離チャネル内で、2回またはそれを上回る等電点電気泳動反応を実施するように設計されてもよい。ある事例では、分離チャネルの数、例えば、4、6、または12が、サンプルおよび/または試薬源として使用されるマイクロプレートウェルのレイアウトと一致するように選定されてもよい。
【0096】
いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスは、略平面基板であって、平面基板は、複数の流体入口を備え、その流体入口またはその一部は、平面基板の1つまたはそれを上回る縁に位置する、略平面基板と、(i)第1の固定具を使用して電極リザーバ(例えば、陽極液リザーバ)に電気的に結合される、第1の端部と、(ii)第2の固定具を使用して別の電極リザーバ(例えば、陰極液リザーバ)に電気的に結合される、第2の端部と備え、複数の分離チャネルのうちの各分離チャンネルの第1の端部または第2の端部のうちの1つは、複数の流体入口のうちの異なる流体入口と流体連通する、複数の分離チャネルとを備える。いくつかの事例では、第1の固定具および/または第2の固定具は、膜を備える。いくつかの事例では、第1の固定具および/または第2の固定具は、高電圧電極固定具であり、随意に、膜を含む。
【0097】
図1Aは、下記の実施例1により詳細に議論されるであろうような、本開示の一側面による、4チャネル等電点電気泳動設計を備える、マイクロ流体デバイスの非限定的概略図を提供する。
【0098】
図1Bは、下記の実施例14により詳細に説明されるであろうような、本開示の第2の側面による、エレクトスプレー先端を備える、分離反応を実施するための例示的マイクロ流体デバイスの流体チャネルネットワークの非限定的概略図を提供する。
【0099】
いくつかの事例では、並行して各分離ステップ(例えば、等電点電気泳動反応)を実施するために構成される、デバイス内の分離チャネルの数は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、または20を上回り得る。いくつかの事例では、並行して各分離ステップを実施するために構成される、デバイス内の分離チャネルの数は、最大で20、最大で18、最大で16、最大で14、最大で12、最大で10、最大で9、最大で8、最大で7、最大で6、最大で5、最大で4、最大で3、または最大で2であってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、並行して各分離ステップを実施するために構成される、デバイス内の分離チャネルの数は、約4~約12に及んでもよい。当業者は、並行して各分離ステップを実施するために構成される、デバイス内の分離チャネルの数が、本範囲内の任意の値、例えば、約5を有し得ることを認識するであろう。
【0100】
いくつかの事例では、複数の分離チャネルのうちの各分離チャネルの近位端は、異なるサンプルまたはサンプルアリコートが、各分離チャネルの中に導入され得るように、異なる入口ポートと流体連通する。いくつかの事例では、複数の分離チャネルのサブセット内の各分離チャネルの近位端は、同一のサンプルまたはサンプルアリコートが、分離チャネルのサブセットの中に導入され得るように、同一の入口ポートと流体連通する。いくつかの事例では、複数の分離チャネルのうちの各分離チャネルの近位端は、上流分離チャネルの遠位または出口端と流体連通する。
【0101】
いくつかの事例では、複数の分離チャネルのうちの各分離チャネルの遠位端は、異なる出口ポートと流体連通する。いくつかの事例では、複数の分離チャネルのサブセット内の各分離チャネルの遠位端は、同一の出口ポートと流体連通する。複数の分離チャネルの中の共有出口ポートのそのような実施例は、その中の内容物の除去のため、例えば、廃棄物収集を促進するために有用であり得る。いくつかの事例では、複数の分離チャネルのうちの各分離チャネルの遠位端は、下流分離チャネルの近位または入口端と流体連通する。
【0102】
いくつかの事例では、開示されるマイクロ流体デバイスは、分離チャネルに交差する分離チャネルまたは相互接続チャネルに沿って電圧勾配を印加するように構成される、2つまたはそれを上回る統合電極を備えてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、分離チャネル毎に統合された対の電極を備え、各対のうちの一方の電極は、分離チャネルの近位端と接触し、他方の電極は、分離チャネルの遠位端と接触する。いくつかの事例では、開示されるマイクロ流体デバイスは、分離チャネルあたり少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの統合電極を備えてもよい。いくつかの事例では、開示されるマイクロ流体デバイスは、分離の各段階における分離チャネル、例えば、第1の分離チャネル、第2の分離チャネル、第3の分離チャネル等毎に統合された対の電極を備えてもよい。
【0103】
複数の分離チャネル(例えば、2つまたはそれを上回る第1の分離チャネル、2つまたはそれを上回る第2の分離チャネル、2つまたはそれを上回る第3の分離チャネル等)に加えて、本開示のデバイスまたはマイクロ流体デバイスは、複数の入口ポート、出口ポート、サンプルおよび/または試薬導入チャネル、相互接続チャネル、サンプルならびに/もしくは試薬廃棄物チャネル、リザーバ(例えば、サンプルリザーバ、試薬リザーバ、または廃棄物リザーバ)、マイクロポンプ、マイクロ弁、通気口、トラップ、フィルタ、膜、および同等物、またはそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。
【0104】
開示されるデバイスおよびマイクロ流体デバイスは、当業者に公知である種々の加工技法および材料のうちのいずれかを使用して、加工されてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、一連の2つまたはそれを上回る別個の部品として加工され、続いて、完成したデバイスを形成するように、機械的に締め付けられるか、または恒久的にともに接合されるかのいずれかであってもよい。いくつかの事例では、例えば、流体チャネル(時として、本明細書では「マイクロチャネル」とも称される)は、(例えば、ガラス基板のフォトリソグラフィパターン化および所望の深度までのチャネルのウェット化学エッチングによって)第1の層に加工され、次いで、第2の層を第1の層に接合することによって、シールされてもよく、流体チャネルと交差する第2の層内の貫通孔は、流体チャネルへの外部アクセスを提供する。いくつかの事例では、流体チャネルは、(例えば、好適なポリマーフィルム内のチャネルパターンのレーザ切断によって)第1の層に加工され、次いで、第2の層と第3の層との間に第1の層を挟持および接合することによって、シールされてもよく、流体チャネルと交差する第2の層および/または第3の層内の貫通孔は、流体チャネルへの外部アクセスを提供する。後者の実施例では、第1の層の厚さは、流体チャネルの厚さ(または深度)を画定する。
【0105】
好適な加工技法の実施例は、限定ではないが、従来の機械加工、CNC機械加工、射出成型、3D印刷、レーザ切断またはダイカットポリマーフィルムの1つまたはそれを上回る層の整合および積層、もしくはフォトリソグラフィおよびウェット化学エッチング、ドライエッチング、ディープ反応性イオンエッチング、またはレーザ微小機械加工等のいくつかの微細加工技法のうちのいずれかを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体構造は、エラストマ材料から3D印刷されてもよい。
【0106】
開示されるデバイスおよびマイクロ流体デバイスは、当業者に公知である種々の材料のうちのいずれかを使用して加工されてもよい。一般に、使用される材料の選定は、加工技法の選定に依存し、その逆も同様であろう。好適な材料の実施例は、限定ではないが、ガラス、石英、溶融石英、シリコン、種々のポリマーのうちのいずれか、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS、エラストマ)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフッ素化ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))等の付着防止材料、SU8または任意の他の厚いフィルムフォトレジスト等の種々のフォトレジスト、もしくはこれらの材料の任意の組み合わせを含む。いくつかの事例では、複数の層を備える、デバイスまたはマイクロ流体デバイス内の異なる層が、異なる材料から加工されてもよい。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回る層を備える、デバイスまたはマイクロ流体デバイス内の所与の単一の層が、2つまたはそれを上回る異なる材料から加工されてもよい。
【0107】
いくつかの事例では、デバイスまたはマイクロ流体デバイスの全てもしくは一部は、デバイスの分離チャネルおよび/または他の部分の撮像を促進するように、光学的に透明(例えば、紫外線(UV)、可視、ならびに/もしくは近赤外光に対して透明)であり得る。いくつかの事例では、分離チャネルの全てまたは一部は、撮像、例えば、全チャネル撮像のために構成される。例えば、いくつかの事例では、分離チャネルは、光学的に透明な材料の2つの層の間に挟持される光学的に不透明な材料の層に加工され、それによって、それを通して光が透過および/または集光され得る、「光学スリット」を形成してもよい。
【0108】
一般に、開示されるデバイス内の流体チャネル、サンプル、および/または試薬リザーバ等の寸法は、(i)被分析物混合物を含むサンプルまたはサンプルアリコートの高速で正確かつ再現可能な分離を提供するように、かつ(ii)サンプルおよび試薬消費を最小限にするように、最適化されるであろう。一般に、流体チャネルまたはリザーバの幅は、約10μm~約2mmであってもよい。いくつかの事例では、流体チャネル(またはリザーバ)の幅は、少なくとも10μm、少なくとも25μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも750μm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、または少なくとも2mmであってもよい。いくつかの事例では、流体チャネル(またはリザーバ)の幅は、最大で2mm、最大で1.5mm、最大で1mm、最大で750μm、最大で500μm、最大で400μm、最大で300μm、最大で200μm、最大で100μm、最大で50μm、最大で25μm、または最大で10μmであってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、流体チャネル(またはリザーバ)の幅は、約100μm~約1mmに及んでもよい。当業者は、流体チャネル(またはリザーバ)の幅が、本範囲内の任意の値、例えば、約80μmを有し得ることを認識するであろう。
【0109】
一般に、流体チャネル(またはリザーバ)の深度は、約1μm~約1mmであろう。いくつかの事例では、流体チャネル(またはリザーバ)の深度は、少なくとも1μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、または少なくとも1mmであってもよい。いくつかの事例では、流体チャネル(またはリザーバ)の深度は、最大で1mm、最大で900μm、最大で800μm、最大で700μm、最大で600μm、最大で500μm、最大で400μm、最大で300μm、最大で200μm、最大で100μm、最大で50μm、最大で40μm、最大で30μm、最大で20μm、最大で10μm、最大で5μm、または最大で1μmであってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、流体チャネル(またはリザーバ)の深度は、約50μm~約100μmに及んでもよい。当業者は、流体チャネル(またはリザーバ)の深度が、本範囲内の任意の値、例えば、約55μmを有し得ることを認識するであろう。
【0110】
カートリッジ:いくつかの事例では、開示されるデバイスまたはシステムは、相互に結合されるように構成されてもよい、もしくはカートリッジ等の統合ユニットの一部であってもよい。カートリッジは、マイクロ流体デバイスと、複数の分離チャネル、リザーバ、試薬、膜、弁、固定具(例えば、膜含有高電圧電極固定具等の本明細書に説明されるもの)、固着デバイスもしくは特徴(例えば、ねじ、ピン(例えば、ポゴピン)、接着剤、レバー、スイッチ、溝、ぴったり合うペア、フックおよびループ、ラッチ、ねじ山、クリップ、クランプ、尖叉、リング、ゴムバンド、リベット、グロメット、結び目、スナップ、テープ、真空、シール)、ガスケット、Oリング、電極、またはそれらの組み合わせを備える、基板とを備えてもよい。カートリッジは、モノリシックに構築されてもよい、またはモジュール式であり、除去可能な部品を備えてもよい。例えば、マイクロ流体デバイスは、カートリッジに除去可能に結合するように構成されてもよい。同様に、リザーバ、膜、弁等はそれぞれ、カートリッジから除去可能であり得る。1つまたはそれを上回る構成要素が除去可能であり得る場合において、カートリッジは、個々の構成要素がそれぞれ、ユーザによって十分な公差を伴って定位置に整合され得るように、構成されてもよい。例えば、カートリッジは、マイクロ流体デバイスが、カートリッジが整合のためにピンに到達するまでカートリッジに沿ってデバイスを摺動させることによって、統合され得るように、溝およびピンを備えてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、カートリッジまたはその一部と同一平面内に位置付けられるように構成されてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、1つまたはそれを上回る入口、出口等が、リザーバ、電極、膜、および/または他の有用な界面接触ユニットに(例えば、流体的ならびに/もしくは電気的に)接続され得るように、カートリッジの中に位置付けられてもよい。いくつかの事例では、デバイスおよびリザーバ、電極等の界面接触は、ユーザからのいずれの付加的測定または調節も伴わずに、ユーザによって実施されてもよい。例えば、リザーバは、定位置にスナップ留めする、またはポゴピンを介して固着される、電極を受容し、それによって、電気通信および/または流体連通を確立するように構成されてもよい。カートリッジおよびデバイスのこれらの例示的構成は、限定的であるように意図されておらず、マイクロ流体デバイスまたはカートリッジの他の構成要素の位置付けの多くの異なる構成が達成され得ることを理解されたい。いくつかの事例では、カートリッジは、本明細書に説明されるシステムの使い捨て構成要素であるように構成されてもよい。
【0111】
好ましい実施形態では、カートリッジは、所望の体積の流体を含有するように構成される、1つまたはそれを上回るリザーバを備えてもよい。いくつかの事例では、リザーバは、少なくとも約200マイクロリットル(μL)、少なくとも約300μL、少なくとも約400μL、少なくとも約500μL、少なくとも約600μL、少なくとも約700μL、少なくとも約800μL、少なくとも約900μL、少なくとも約1ミリリットル(mL)、少なくとも約1.5mL、少なくとも約2mL、少なくとも約2.5mL、少なくとも約3mL、少なくとも約3.5mL、少なくとも約4mL、少なくとも約4.5mL、または少なくとも約5mLを含有することが可能であり得る。いくつかの事例では、リザーバは、最大で約5mL、最大で約4.5mL、最大で約4mL、最大で約3.5mL、最大で約3mL、最大で約2.5mL、最大で約2mL、最大で約1.5mL、最大で約1mL、最大で約900μL、最大で約800μL、最大で約700μL、最大で約600μL、最大で約500μL、最大で約400μL、最大で約300μL、または最大で約200μLを含有することが可能であり得る。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、リザーバは、約200μL~約2mLにおよび得る流体の体積を含有してもよい。当業者は、リザーバ流体体積容量が、本範囲内の任意の値、例えば、約1.8mLを有し得ることを認識するであろう。
【0112】
いくつかの実施形態では、カートリッジと、1つまたはそれを上回る試薬と、いくつかの事例では、キットの使用説明書とを備え得る、1つまたはそれを上回るキットが、提供されてもよい。試薬は、液体としてリザーバ内に貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、試薬は、乾燥しており、例えば、凍結乾燥され、溶液または緩衝剤内で再構成されることが可能であり得る。ある場合には、試薬は、カートリッジと別個であり得、キット内に提供されてもよい。
【0113】
いくつかの事例では、リザーバは、マイクロ流体デバイスに(例えば、電気的に、流体的に)制御可能に結合されてもよい。例えば、カートリッジは、デバイス内の流動体積または率を制御するために使用され得る、1つまたはそれを上回る弁を備えてもよい。ある場合には、カートリッジは、1つまたはそれを上回る液体試薬(例えば、動員試薬)の送達の間に制御された流率を可能にし得る、コック栓弁または剪断弁(例えば、摺動弁もしくは回転剪断弁)を備えてもよい。ある場合には、カートリッジは、デバイスの中への液体の流率を制御するために使用され得る、シリンジポンプと統合または界面接触されてもよい。ある場合には、流率は、ピストン、ばね荷重デバイス、または他の機械的アプローチを使用して、制御されてもよい。
【0114】
いくつかの事例では、カートリッジは、異なるタイプまたはモデルのデバイスに適応するように構成されてもよい。例えば、カートリッジは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100個の異なるタイプもしくはモデルのデバイスに適応するように構成されてもよい。ある場合には、カートリッジは、チップのチャネルと界面接触し得る(例えば、チップの入口および/または出口と界面接触する)ポートもしくは接続を備えてもよい。
【0115】
被分析物の分離および濃縮:いくつかの事例では、開示されるデバイスまたはシステムは、混合物内の複数の被分析物が個々の分画において分離および/または濃縮される、1つまたはそれを上回る分離もしくは濃縮ステップを実施するように構成されてもよい。例えば、いくつかの事例では、開示されるデバイスは、サンプル内の被分析物の混合物が、元のサンプルからの被分析物分子のサブセットを含有する被分析物分画(例えば、被分析物ピークまたは被分析物帯)に分離される、および/または被分析物分画として濃縮される、第1の濃縮ステップを実施するように構成されてもよい。いくつかの事例では、これらの分離された被分析物分画は、動員および/または溶出されてもよく、いくつかの事例では、次いで、別の下流分離および/または濃縮ステップを受けてもよい。いくつかの事例では、例えば、最終分離および/または濃縮ステップに続いて、分離/濃縮された被分析物分画は、さらなる分析のためにデバイスから排出されてもよい。
【0116】
いくつかの事例では、開示されるデバイスおよびシステムは、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ、もしくはそれを上回る分離および/または濃縮ステップを実施するように構成されてもよい。いくつかの事例では、分離または濃縮ステップのうちの1つまたはそれを上回るものは、固相分離技法、例えば、逆相HPLCを含んでもよい。いくつかの事例では、分離または濃縮ステップのうちの1つまたはそれを上回るものは、溶液相分離および/または濃縮技法、例えば、キャピラリゾーン電気泳動(CZE)もしくは等電点電気泳動(IEF)を含んでもよい。
【0117】
開示されるデバイスおよびシステムは、当業者に公知である種々の被分析物分離および/または濃縮技法のうちのいずれかを実施するように構成されてもよく、分離または濃縮ステップは、分離プロセスが実施されるにつれて監視され得るように、全体的もしくは部分的に撮像されるように構成される、少なくとも第1の分離チャネル内で実施される。例えば、いくつかの事例では、撮像された分離は、被分析物混合物から1つまたはそれを上回る分離された被分析物分画を産生する、例えば、等電点電気泳動、キャピラリゲル電気泳動、キャピラリゾーン電気泳動、等速電気泳動、キャピラリ動電クロマトグラフィ、ミセル動電クロマトグラフィ、流量均衡キャピラリ電気泳動、電場勾配集束、動的場勾配集束、および同等物を含む、電気泳動分離であってもよい。いくつかの事例では、分離および動員ステップは、分離および動員プロセスが実施されるにつれて監視され得るように、全体的もしくは部分的に撮像されるように構成される、少なくとも第1の分離チャネル内で実施されてもよい。これらの事例のうちのいずれかでは、全体的または部分的な分離チャネルの撮像は、持続的もしくは断続的に実施されてもよく、分離および/または濃縮プロセスに先立って、その間に、もしくはそれに続いて、実施されてもよい。
【0118】
いくつかの事例では、マイクロ流体デバイス形式の使用は、速い分離時間および正確で再現可能な分離データを提供し得る。例えば、マイクロ流体デバイスが電気泳動分離および/または等電点電気泳動反応を実施するように構成される、事例において、マイクロ流体チャネルの高い表面積対体積比は、有意なジュール加熱を負うことなく、高電場強度を使用することを可能にし、それによって、分離分解能の実質的な分散および損失を伴わずに、非常に速い分離反応を可能にし得る。いくつかの事例では、流体チャネル幾何学形状の精密な制御は、サンプル注入体積、電場強度等の正確かつ再現可能な制御を提供し、それによって、検定の1つまたはそれを上回るパラメータの非常に正確な決定、例えば、分離分解能および/またはpI決定を可能にする。
【0119】
検定の1つまたはそれを上回るパラメータは、分離の特性を備えてもよい。例えば、1つまたはそれを上回るパラメータは、分離分解能、ピーク幅、ピーク容量、pH勾配の直線性、および最小の解決可能なpI差から成る群から選択されてもよい。
【0120】
一般に、完全な分離を達成するために要求される分離時間は、利用される具体的分離技法および動作パラメータ(例えば、分離チャネル長さ、マイクロ流体デバイス設計、緩衝剤組成、印加された電圧等)に応じて変動するであろう。いくつかの事例では、開示されるデバイスおよびシステムを使用して達成される分離時間は、約0.1分~約30分に及んでもよい。いくつかの事例では、分離時間は、少なくとも0.1分、少なくとも0.5分、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、または少なくとも30分であってもよい。いくつかの事例では、分離時間は、最大で30分、最大で25分、最大で20分、最大で15分、最大で10分、最大で5分、最大で1分、最大で0.5分、または最大で0.1分であってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、分離時間は、約1分~約20分に及んでもよい。当業者は、分離時間が、本範囲内の任意の値、例えば、約11.2分を有し得ることを認識するであろう。
【0121】
同様に、開示されるデバイスおよびシステムを使用して達成される分離効率ならびに分解能は、利用される具体的分離技法および動作パラメータ(例えば、分離チャネル長さ、マイクロ流体デバイス設計、緩衝剤組成物、印加された電圧等)、ならびに分離の1または2次元が利用されるかどうかに応じて、変動し得る。いくつかの事例では、例えば、等電点電気泳動を実施するとき、分離チャネルの中への動員電解質の電気泳動導入をトリガするための切替可能な電極の使用は、改良された分離分解能をもたらし得る。例えば、いくつかの事例では、開示される方法およびデバイスを使用して実施されるIEFの分離分解能は、約0.1~約0.0001pH単位に及ぶpIが異なる被分析物帯の分解能を提供し得る。いくつかの事例では、IEF分離分解能は、0.1未満、0.05未満、0.01未満、0.005未満、0.001未満、0.0005未満、または0.0001未満のpH単位だけpIが異なる被分析物帯の分解能を可能にし得る。
【0122】
故に、いくつかの事例では、例えば、分離チャネルの全てまたは一部の画像を使用し、等電点電気泳動反応におけるpIマーカの位置を識別し、分離された被分析物のためのpI値を決定するとき、pI値が決定され得る正確度は、±0.1pH単位未満、±0.05pH単位未満、±0.01pH単位未満、±0.005pH単位未満、±0.001pH単位未満、±0.0005pH単位未満、または±0.0001pH単位未満であり得る。
【0123】
いくつかの事例では、開示されるデバイスを使用して達成されるピーク容量は、約100~約20,000に及んでもよい。いくつかの事例では、ピーク容量は、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも15,000、または少なくとも20,000であってもよい。いくつかの事例では、ピーク容量は、最大で20,000、最大で15,000、最大で10,000、最大で5,000、最大で4,000,最大で3,000、最大で2,000、最大で1,000、最大で900、最大で800、最大で700、最大で600、最大で500、最大で400、最大で300、最大で200、または最大で100であってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、ピーク容量は、約400~約2,000に及んでもよい。当業者は、ピーク容量が、本範囲内の任意の値、例えば、約285を有し得ることを認識するであろう。
【0124】
キャピラリ等電点電気泳動(CIEF):いくつかの実施形態では、分離技法は、等電点電気泳動(IEF)、例えば、キャピラリ等電点電気泳動(CIEF)を含んでもよい。等電点電気泳動(または「焦点電気泳動」)は、それらの等電点(pI)、すなわち、分子が正味ゼロ電荷を有するpHの差異によって分子を分離するための技法である。CIEFは、両性電解質(両性電解質)溶液を、アノードまたはカソードを含有する試薬リザーバの間のサンプルチャネルに添加し、それを横断して分離電圧が印加される、分離チャネル(すなわち、電極含有ウェルを接続する流体チャネル、例えば、マイクロ流体デバイス内の毛細管またはチャネルの管腔)内にpH勾配を発生させることを伴う。両性電解質は、溶液相である、またはチャネル壁の表面上に不動化されることができる。負に帯電した分子が、正の電極に向かって媒体内でpH勾配を通して遊走する一方、正に帯電した分子は、負の電極に向かって移動する。その等電点(pI)を下回るpH領域内にあるタンパク質(または他の分子)は、正に帯電し、したがって、カソード(すなわち、負に帯電した電極)に向かって遊走するであろう。タンパク質の全体的な正味電荷は、そのpIに対応するpH領域に到達し、その時点で、正味電荷を有しておらず、したがって、遊走が停止するまで、(例えば、カルボキシル基または他の負に帯電した官能基のプロトン化に起因して)増加するpHの勾配を通して遊走するにつれて減少するであろう。結果として、タンパク質の混合物は、酸性および塩基性残基のそれらの相対含量に基づいて分離し、各タンパク質がそのpIに対応するpH勾配における点に位置付けられた、急峻な定常帯に集束された状態になる。本技法は、タンパク質が別個の帯に分画されている単一の電荷によって異なる、極めて高い分解能が可能である。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動は、電気浸透流(EOF)を排除するように、例えば、中性および親水性ポリマーコーティングで恒久的または動的にコーティングされた、分離チャネル内で実施されてもよい。好適なコーティングの実施例は、限定ではないが、アミノ修飾因子、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)およびポリビニルアルコール(PVA)、Guarant(登録商標)(Alcor Bioseparations)、線形ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ポリビニルピロリジン(PVP)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、トリエチルアミン、プロピルアミン、モルホリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアミノプロパン、エチレンジアミン、キトサン、ポリエチレンイミン、カダベリン、プトレシン、スペルミジン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、セルロース、デキストラン、ポリエチレンオキシド(PEO)、酢酸セルロース、アミロペクチン、エチルピロリジンメタクリレート、ジメチルメタクリレート、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、Brij35、スルホベタイン、1,2-ジラウロイルsn-ホスファチジルコリン、1,4-ジデシル-1,4-ジアゾニアビシクロ[2,2,2]オクタンジブロミド、アガロース、ポリ(Nヒドロキシエチルアクリルアミド)、ポール-323、超分岐ポリアミノエステル、プルラン、グリセロール、吸着コーティング、共有結合コーティング、動的コーティング等を含む。いくつかの実施形態では、等電点電気泳動は、電気浸透流を有意に減少させ、より良好なタンパク質可溶化を可能にし、電解質の粘度を増加させることによって毛細管(例えば、毛細管の管腔内)または流体チャネルの内側の拡散を限定するように、分離媒体内のメチルセルロース、グリセロール、尿素、ホルムアミド、界面活性剤(例えば、Triton-X100、CHAPS、ジギトニン)等の添加剤を使用して(例えば、コーティングされていない分離チャネル内で)実施されてもよい。
【0125】
上記のように、キャピラリ等電点電気泳動技法のために使用されるpH勾配は、両性電解質、すなわち、酸性および塩基性基の両方を含有し、大部分がpHのある範囲内の双性イオンとして存在する、両性分子の使用を通して発生される。分離チャネルのアノード側の電解質溶液の部分は、「陽極液」として公知である。分離チャネルのカソード側の電解質溶液のその部分は、「陰極液」として公知である。限定ではないが、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、グルタミン酸、リシン、ギ酸,ジメチルアミン、トリエチルアミン、酢酸、ピペリジン、ジエチルアミン、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む、種々の電解質が、開示される方法およびデバイスで使用されてもよい。電解質は、0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%等の任意の好適な濃度において使用されてもよい。電解質の濃度は、少なくとも0.0001%、0.001%、0.01%、0.1%、1%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%であってもよい。電解質の濃度は、最大で90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%であってもよい。電解質の濃度の範囲、例えば、0.1%~2%が、使用されてもよい。両性電解質が、任意の商業用または非商業用担体両性電解質混合物(例えば、Servalyt pH4-9(Serva, Heildelberg, Germany)、Beckman pH3-10(Beckman Instruments, Fullerton, CA, USA)、Ampholine 3.5-9.5およびPharmalyte 3-10(両方ともGeneral Electric Healthcare, Orsay, France)、AESlytes(AES)、FLUKA両性電解質(Thomas Scientific, Swedesboro, NJ)、Biolyte(Bio-Rad, Hercules, CA))、および同等物から選択されることができる。担体両性電解質混合物は、密接に離間したpI値および良好な緩衝容量を有する、複数の脂肪族アミノおよびカルボキシレート基を含有する、小分子(約300~1,000Da)の混合物を含んでもよい。印加された電場の存在下で、担体両性電解質は、アノードからカソードまで次第に増加する平滑な線形または非線形pH勾配に分割する。
【0126】
種々のpI標準のうちのいずれかが、分離された被分析物ピークのための等電点を計算するために、開示される方法およびデバイスで使用されてもよい。例えば、概して、CIEF用途で使用されるpIマーカ、例えば、タンパク質pIマーカおよび合成小分子pIマーカが、使用されてもよい。いくつかの事例では、タンパク質pIマーカは、一般的に容認されるpI値を伴う特異的タンパク質であってもよい。いくつかの事例では、pIマーカは、例えば、撮像を介して検出可能であり得る。市販されている種々のタンパク質pIマーカまたは合成小分子pIマーカもしくはそれらの組み合わせ、例えば、Advanced Electrophoresis Solutions, Ltd.(Cambridge, Ontario, Canada)から入手可能な小分子pIマーカ、ProteinSimple、Shimuraによって設計されたペプチドライブラリ、およびSlais染料(Alcor Biosepartions)が、使用されてもよい。
【0127】
キャピラリゾーン電気泳動(CZE):いくつかの事例では、分離または濃縮技法は、印加された電場内の溶液内の荷電被分析物の分離のための方法である、キャピラリゾーン電気泳動を含んでもよい。荷電被分析物分子の正味速度は、異なるサイズ、形状、または電荷を呈する被分析物分子が、遊走速度差を呈し、帯に分離するように、(分子のサイズ、形状、および電荷に依存して)個々の被分析物に関して、分離システムによって呈される電気浸透流(EOF)、すなわち、μEOF、および電気泳動移動度、すなわち、μEPの両方の影響を受ける。他のキャピラリ電気泳動方法と対照的に、CZEは、分離のための溶液である、「単純な」緩衝剤または背景電解質を使用する。
【0128】
キャピラリゲル電気泳動(CGE):いくつかの事例では、分離または濃縮技法は、それらのサイズおよび電荷に基づく、巨大分子(例えば、DNA、RNA、およびタンパク質)ならびにそれらの断片の分離および分析のための方法である、キャピラリゲル電気泳動を含んでもよい。本方法は、ゲルが、印加された電場内の荷電被分析物分子の電気泳動移動の間に反対流および/または篩媒体として作用する、ゲル充填分離チャネルの使用を含む。ゲルは、電場の印加によって引き起こされる熱対流を抑制するように機能し、また、分子の通過を遅らせる篩媒体として作用し、それによって、異なるサイズまたは電荷の分子に関して遊走速度差をもたらす。
【0129】
キャピラリ等速電気泳動(CITP):いくつかの事例では、分離技法は、好適な寸法の毛細管または流体チャネル内の2つの電解質(先行電解質および終末電解質として公知である)の不連続システムを使用する、荷電被分析物の分離のための方法である、キャピラリ等速電気泳動を含んでもよい。先行電解質が、最高電気泳動移動度を伴うイオンを含有する一方、終末電解質は、最低電気泳動移動度を伴うイオンを含有する。分離されるべき被分析物混合物(すなわち、サンプル)は、これらの2つの電解質の間に挟持され、電場の印加は、減少する電気泳動移動度の順序で密接に隣接するゾーンの中への毛細管または流体チャネル内の荷電被分析物分子の分割をもたらす。ゾーンは、検出器、例えば、伝導度検出器、光検出器、または撮像デバイスが、分離チャネルに沿ったそれらの通過を記録するために利用され得るように、印加された電場内を一定の速度で移動する。キャピラリゾーン電気泳動と異なり、アニオン性およびカチオン性被分析物の同時決定または検出は、キャピラリ等速電気泳動を使用して実施される単一の分析では実行可能ではない。
【0130】
キャピラリ動電クロマトグラフィ(CEC):いくつかの事例では、分離技法は、液体クロマトグラフフィおよび電気泳動分離方法の組み合わせに基づく、被分析物混合物の分離のための方法である、キャピラリ動電クロマトグラフィを含んでもよい。CECは、キャピラリ電気泳動(CE)の効率および充塞キャピラリ高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)の選択性ならびにサンプル容量の両方を提供する。CECで使用される毛細管が、HPLC充塞材料で充塞されるため、HPLCで利用可能な多種多様の被分析物選択性はまた、CECでも利用可能である。これらの充塞材料の広い表面積は、CEC毛細管が、比較的に大量のサンプルを収容することを可能にし、続いて溶出された被分析物の検出を、キャピラリゾーン電気泳動(CZE)におけるよりも若干単純なタスクにする。
【0131】
ミセル動電クロマトグラフィ(MEKC):いくつかの事例では、分離技法は、界面活性剤ミセル(擬定常相)と周辺水性緩衝溶液(移動相)との間の差分分割に基づく、被分析物混合物の分離のための方法である、キャピラリ動電クロマトグラフィを含んでもよい。MEKCのために使用される基本的設定および検出方法は、CZEで使用されるものと同一である。差異は、界面活性剤モノマーが、ミセルと平衡状態にあるように、緩衝溶液が、臨界ミセル濃度(CMC)を上回る濃度において界面活性剤を含有することである。MEKCは、典型的には、強い電気浸透流を発生させるように、アルカリ性条件を使用して、開放毛細管または流体チャネル内で実施される。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、MEKC用途における一般的に使用されている界面活性剤の一実施例である。SDSの硫酸基のアニオン性質は、界面活性剤およびミセルに、強い電気浸透流の方向と反対である電気泳動移動度を持たせる。結果として、界面活性剤モノマーおよびミセルは、極めてゆっくりと遊走するが、それらの正味移動は、依然として電気浸透流の方向である、すなわち、カソードに向かっている。MEKC分離の間に、被分析物は、ミセルの疎水性内部と親水性緩衝溶液との間にそれら自体を分配する。ミセル内部で不溶性である親水性被分析物は、電気浸透流速uoにおいて遊走し、緩衝剤の残留時間tMにおいて検出されるであろう。ミセル内で完全に可溶化する疎水性被分析物は、ミセル速度ucにおいて遊走し、最終溶出時間tcにおいて溶出する。
【0132】
流量均衡キャピラリ電気泳動(FCCE):いくつかの事例では、分離技法は、圧力誘発逆流を利用し、毛細管を通した被分析物の動電遊走を能動的に遅らせる、停止させる、または逆転させる、キャピラリ電気泳動の効率および分解能を増加させるための方法である、流量均衡キャピラリ電気泳動を含んでもよい。被分析物を遅らせる、停止させる、または検出窓を横断して前後に移動させることによって、着目被分析物は、通常の分離条件下よりもはるかに長い時間周期にわたって分離チャネルに効果的に閉じ込められ、それによって、分離の効率および分解能の両方を増加させる。
【0133】
クロマトグラフィ:いくつかの事例では、分離技法は、サンプル流体内の被分析物混合物(移動相)が、混合物の種々の構成物質を差分的に留保し、それによって、それらを異なる速度で進行させて分離させる、カラムまたはチャネル充塞材料(定常相)を通して通過される、クロマトグラフィ技法を含んでもよい。いくつかの事例では、溶出または動員の後続のステップが、定常相のための高い結合親和性を有する被分析物を変位させるために要求され得る。開示される方法に組み込まれ得る、クロマトグラフィ技法の実施例は、限定ではないが、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および逆相クロマトグラフィを含む。
【0134】
分離された被分析物種の動員:いくつかの事例では、本明細書で提供されるものは、例えば、逆相クロマトグラフィ等のクロマトグラフィ分離技法を実施するように構成される、デバイスおよびシステムである。デバイスまたはシステムによって実装される方法はさらに、「動員」ステップまたは反応と称され得る、(例えば、各複数の分離チャネルを通して流動する緩衝剤を同時に、または独立して変化させることによって)複数の分離チャネルのそれぞれの中で定常相上に留保される被分析物種の溶出を含んでもよい。いくつかの事例では、デバイスまたはシステムによって実装される方法はさらに、「動員」ステップとも称され得る、同時に、または独立して圧力を複数の分離チャネルのそれぞれに印加するステップ、もしくは同時に、または独立して電解質を複数の分離チャネルのそれぞれの中に導入し、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配を妨害し、したがって、分離チャネルから外への分離された被分析物ピークの遊走をトリガするステップを含んでもよい。いくつかの事例では、分離反応を駆動するために使用される力(例えば、逆相クロマトグラフィのための圧力、または動電分離もしくは等電点電気泳動反応のための電場)は、動員ステップの間にオフにされてもよい。いくつかの事例では、分離反応を駆動するために使用される力は、動員ステップの間にオンのままにされてもよい。開示される方法、例えば、等電点電気泳動ステップを含むもののいくつかの事例では、分離された被分析物帯は、分離された被分析物帯が、別の流体チャネル(例えば、出口、廃棄物リザーバ、または第2の分離チャネルであり得る)に接続される複数の分離チャネルのそれぞれの端部に向かって遊走するように、(例えば、流体力学的圧力および/または化学動員技法を使用して)動員されてもよい。いくつかの事例では、例えば、キャピラリゲル電気泳動、キャピラリゾーン電気泳動、等速電気泳動、キャピラリ動電クロマトグラフィ、ミセル動電クロマトグラフィ、流量均衡キャピラリ電気泳動、または速度差によって被分析物混合物の成分を分離する任意の他の分離技法が、採用される、それらの事例では、分離ステップ自体が、動員ステップと見なされてもよい。
【0135】
いくつかの事例では、被分析物帯の動員は、同時に、または独立して流体力学的圧力を複数の分離チャネルのそれぞれの一方の端部に印加することによって、実装されてもよい。いくつかの事例では、被分析物帯の動員は、重力が採用され得るように、複数の分離チャネルが垂直位置にあるように、デバイスを配向することによって、実装されてもよい。いくつかの事例では、被分析物帯の動員は、EOF支援動員を使用して実装されてもよい。いくつかの事例では、被分析物帯の動員は、例えば、同時に、または独立して、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配における局所pHを偏移させる動員電解質を複数の分離チャネルのそれぞれの中に導入することによって、化学動員を使用して実装されてもよい。いくつかの事例では、これらの動員技法の任意の組み合わせが、採用されてもよい。
【0136】
1つの好ましい事例では、等電性に集束された被分析物帯のための動員ステップは、化学動員を含む。圧力ベースの動員と比較して、化学動員は、圧力の使用を通して誘発される流体力学的放物線流プロファイルを克服することによって、最小限の帯拡大を呈するという利点を有する。化学動員は、電解質(すなわち、「動員電解質」)を分離チャネルの中に導入し、分離された被分析物帯(または双性イオン緩衝剤成分および関連付けられる水和殻)が、印加された電場内で遊走するように、それら(もしくは双性イオン緩衝剤成分)上の局所pHおよび/または正味電荷を改変することによって、実装されてもよい。いくつかの事例では、分離された被分析物帯を動員するために使用される、印加された電場の極性は、被分析物が、分離チャネルの出口または遠位端と電気通信するアノードに向かって遊走するようなものであってもよい(アノード動員)。いくつかの事例では、分離された被分析物帯を動員するために使用される、印加された電場の極性は、被分析物が、分離チャネルの出口または遠位端と電気通信するカソードに向かって遊走するようなものであってもよい(カソード動員)。動員電解質は、分離チャネルまたは毛細管の中への導入のためのヒドロキシル(カソード動員)もしくはヒドロニウムイオン(アノード動員)と競合する、アニオンまたはカチオンのいずれかを含む。アノード動員のために陰極液として使用され得る塩基の実施例は、限定ではないが、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム(「アンモニア」)、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン等を含む。カソード動員で陽極液として使用され得る酸の実施例は、限定ではないが、リン酸、酢酸、ギ酸、および炭酸等を含む。いくつかの事例では、動員は、陽極液または陰極液への塩(例えば、塩化ナトリウム)の添加によって開始されてもよい。いくつかの事例では、アノードが、接地において保持されてもよく、負の電圧が、カソードに印加される。いくつかの事例では、カソードが、接地において保持されてもよく、正の電圧が、アノードに印加される。いくつかの事例では、ゼロではない負の電圧が、カソードに印加されてもよく、ゼロではない正の電圧が、アノードに印加されてもよい。いくつかの事例では、ゼロではない正の電圧が、アノードおよびカソードの両方に印加されてもよい。いくつかの事例では、ゼロではない負の電圧が、アノードおよびカソードの両方に印加されてもよい。
【0137】
いくつかの事例では、分離された被分析物帯の動員は、オン状態とオフ状態との間で切替可能な電極(例えば、複数の分離チャネルのそれぞれの遠位端と電気通信するカソード、および複数の動員チャネル(例えば、各分離チャネルの出口または遠位端の近傍で分離チャネルに交差する流体チャネル)のそれぞれの近位端と電気通信するカソード)をトリガし、分離チャネルの中への動員緩衝剤または電解質の電気泳動導入を制御する、ユーザ規定時点において開始されてもよい。
【0138】
いくつかの事例では、複数の分離チャネル毎にオン状態とオフ状態との間で1つ、2つ、または3つ、もしくはそれを上回る切替可能な電極の遷移を独立してトリガするためのユーザ規定時間は、動員方式のうちのいずれかに関して、約30秒~約30分に及んでもよい。いくつかの事例では、ユーザ規定時間は、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、または少なくとも30分であってもよい。いくつかの事例では、ユーザ規定時間は、最大で30分、最大で25分、最大で20分、最大で15分、最大で10分、最大で5分、最大で4分、最大で3分、最大で2分、最大で1分、または最大で30秒であってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、ユーザ規定時間は、約2分~約25分に及んでもよい。当業者は、ユーザ規定時間が、本範囲内の任意の値、例えば、約8.5分を有し得ることを認識するであろう。
【0139】
いくつかの事例では、本明細書に開示される動員シナリオのうちのいずれかで動員を生じさせるために(またはそのような分離技法が実施される、それらの事例において、動電分離もしくは等電点電気泳動反応を実施するために)使用される電場は、約0V/cm~約1,000V/cmに及んでもよい。いくつかの事例では、電場強度は、少なくとも0V/cm、少なくとも20V/cm、少なくとも40V/cm、少なくとも60V/cm、少なくとも80V/cm、少なくとも100V/cm、少なくとも150V/cm、少なくとも200V/cm、少なくとも250V/cm、少なくとも300V/cm、少なくとも350V/cm、少なくとも400V/cm、少なくとも450V/cm、少なくとも500V/cm、少なくとも600V/cm、少なくとも700V/cm、少なくとも800V/cm、少なくとも900V/cm、または少なくとも1,000V/cmであってもよい。いくつかの事例では、電場強度は、最大で1,000V/cm、最大で900V/cm、最大で800V/cm、最大で700V/cm、最大で600V/cm、最大で500V/cm、最大で450V/cm、最大で400V/cm、最大で350V/cm、最大で300V/cm、最大で250V/cm、最大で200V/cm、最大で150V/cm、最大で100V/cm、最大で80V/cm、最大で60V/cm、最大で40V/cm、最大で20V/cm、または最大で0V/cmであってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、電場強度は、約40V/cm~約650V/cmに及んでもよい。当業者は、電場強度が、本範囲内の任意の値、例えば、約575V/cmを有し得ることを認識するであろう。
【0140】
いくつかの事例では、分離された被分析物帯の動員は、例えば、等電点電気泳動の場合、分離チャネルを通して通過する電流が最小値に到達し得る、複数の分離チャネル毎に電流(または伝導度)を独立して監視することから導出されるデータに基づいて、開始されてもよい。いくつかの事例では、最小電流値、または規定時間周期にわたって一定のままである、もしくは規定閾値を下回る電流値の検出は、等電点電気泳動反応が完了に到達したかどうかを決定するために使用されてもよく、したがって、化学動員ステップの開始をトリガするために使用されてもよい。
【0141】
いくつかの事例では、最小電流値または閾値電流値は、約0μA~約100μAに及んでもよい。いくつかの事例では、最小電流値または閾値電流値は、少なくとも0μA、少なくとも1μA、少なくとも2μA、少なくとも3μA、少なくとも4μA、少なくとも5μA、少なくとも10μA、少なくとも20μA、少なくとも30μA、少なくとも40μA、少なくとも50μA、少なくとも60μA、少なくとも70μA、少なくとも80μA、少なくとも90μA、または少なくとも100μAであってもよい。いくつかの事例では、最小電流値または閾値電流値は、最大で100μA、最大で90μA、最大で80μA、最大で70μA、最大で60μA、最大で50μA、最大で40μA、最大で30μA、最大で20μA、最大で10μA、最大で5μA、最大で4μA、最大で3μA、最大で2μA、最大で1μA、または最大で0μAであってもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、最小電流値または閾値電流値は、約10μA~約90μAに及んでもよい。当業者は、最小電流値または閾値電流値が、本範囲内の任意の値、例えば、約16μAを有し得ることを認識するであろう。
【0142】
いくつかの事例では、規定時間周期は、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも15秒、少なくとも20秒、少なくとも25秒、少なくとも30秒、少なくとも35秒、少なくとも40秒、少なくとも45秒、少なくとも50秒、少なくとも55秒、または少なくとも60秒であってもよい。いくつかの事例では、規定時間周期は、最大で約60秒、最大で約55秒、最大で約50秒、最大で約45秒、最大で約40秒、最大で約35秒、最大で約30秒、最大で約25秒、最大で約20秒、最大で約15秒、最大で約10秒、または最大で約5秒であってもよい。本明細書で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、いくつかの事例では、規定時間周期は、約5秒~約30秒に及んでもよい。当業者は、規定時間周期が、本範囲内の任意の値、例えば、約32秒を有し得ることを認識するであろう。
【0143】
いくつかの事例では、分離された被分析物帯の動員は、分離反応が実施されるにつれて、複数の分離チャネルの画像から(例えば、自動画像処理を実施することによって)導出されるデータに基づいて、開始されてもよい。画像導出データは、1つまたはそれを上回る被分析物ピークの存在または非存在、1つまたはそれを上回る被分析物ピークの位置、1つまたはそれを上回る被分析物ピークの幅、1つまたはそれを上回る被分析物ピークの速度、分離分解能、1つまたはそれを上回る被分析物ピークの存在、位置、幅、もしくは速度の変化率またはその欠如、もしくはそれらの任意の組み合わせを監視するために使用されてもよく、分離反応が完了したかどうかを決定するために、および/または所与の分離チャネル内の動員ステップの開始をトリガするために使用されてもよい。ある場合には、分離ステップの完了は、時間周期にわたって(例えば、10~60秒の周期にわたって)分離性能パラメータ(例えば、ピーク位置またはピーク幅)の変化率を監視することによって決定されてもよい。
【0144】
開示される方法の1つの好ましい側面では、化学動員ステップは、デバイス内の電場を変化させ、動員電解質を分離チャネルの中に電気泳動させることによって、CIEFをESI-MSと統合するように設計される、マイクロ流体デバイス内で開始されてもよい。いくつかの事例では、動員ステップの開始は、分離チャネルの全てまたは一部の画像から導出されるデータに基づいて、トリガされてもよい。いくつかの事例では、電場の変化は、1つまたはそれを上回る電力供給源に取り付けられた1つまたはそれを上回る電極を接続もしくは接続解除することによって、実装されてもよく、1つまたはそれを上回る電極は、デバイス上の試薬ウェル内に位置付けられる、もしくはデバイスの流体チャネルと統合される。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回る電極の接続もしくは接続解除は、動員ステップのタイミングおよび持続時間が、分離ステップと協調され得るように、コンピュータ実装方法およびプログラマブルスイッチを使用して、制御されてもよい。いくつかの事例では、デバイス内の電場を変化させることは、留保された被分析物が、定常相から解放されるように、定常相を備える分離チャネルの中に動員緩衝剤を電気泳動的または電気浸透的に流動させるために使用されてもよい。
【0145】
いくつかの事例では、分離チャネル毎の3つまたはそれを上回る電極が、デバイスに接続または統合されてもよい。例えば、第1の電極が、分離チャネルの近位端に電気的に結合されてもよい。同様に、第2の電極が、次いで、分離チャネルの遠位端に結合されてもよく、第3の電極が、例えば、分離チャネルの遠位端において分離チャネルと交差し、動員緩衝剤を含有するリザーバに接続する、またはそれを備える、動員チャネルと結合されてもよい。画像ベースの方法によって決定されるような分離ステップの完了に応じて、それらの個別のチャネルとの第2または第3の電極の電気結合は、「オン」状態と「オフ」状態との間で切替可能であり得る。1つのそのような実施例では、分離回路のアノードまたはカソードを形成し得る、第2の電極は、「オフ」モードに切り替わってもよく、分離の間にオフであり得る、第3の電極は、(例えば、電気泳動を介して)チャネルの中への動員緩衝剤の導入を開始するように、「オン」状態に切り替わってもよい。いくつかの事例では、「オン」および「オフ」状態は、それぞれ、電極と流体チャネルとの間の電気結合の完全な接続または接続解除を含んでもよい。いくつかの事例では、「オン」および「オフ」状態は、それぞれ、規定電極を通して通過する電流を非ゼロまたはゼロマイクロアンペアに固定するステップを含んでもよい。
【0146】
いくつかの事例では、動員ステップのトリガまたは開始は、上記に説明されるような1つまたはそれを上回る画像導出分離パラメータに関して、変化なしまたは規定閾値未満の変化を検出するステップを含んでもよい。例えば、いくつかの事例では、1つまたはそれを上回る画像導出パラメータ(例えば、ピーク位置、ピーク幅、ピーク速度等)の20%、15%、10%、または5%未満の変化が、動員ステップをトリガするために使用されてもよい。
【0147】
いくつかの事例では、動員ステップのトリガまたは開始は、上記に説明されるような1つまたはそれを上回る画像導出分離パラメータに関して、変化なしまたは規定閾値未満の変化率を検出するステップを含んでもよい。例えば、いくつかの事例では、少なくとも10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、または60秒の時間周期にわたる1つまたはそれを上回る画像導出パラメータ(例えば、ピーク位置、ピーク幅、ピーク速度等)の20%、15%、10%、または5%未満の変化(もしくはこれらの変化率および時間周期の任意の組み合わせ)が、動員ステップをトリガするために使用されてもよい。
【0148】
いくつかの事例では、較正物が、質量分析計からの情報を相関させる、および/または較正するために、動員ステップの間に使用されてもよい。いくつかの事例では、較正物は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または公知の質量を伴う他の分子(天然もしくは合成のいずれか)を含んでもよい。いくつかの事例では、較正物は、動員剤溶液と混合されるであろう。較正物は、質量分析計を較正するために使用されてもよい。いくつかの事例では、較正物は、質量分析計からの情報を動員プロセスまたは分離プロセスに相関させるために使用されてもよい。例えば、較正物は、分離(例えば、等電点電気泳動)または動員の間に監視されてもよい。
【0149】
高および低分離/動員電圧を改変し、ESI先端電圧を一定に保つ:いくつかの実施形態では、質量分析計上のESIイオン源は、質量分析計上の負の電圧を設定することが可能である調節可能な電力供給源を有するであろう。いくつかの実施形態では、質量分析計上のESIイオン源は、質量分析計上の正の電圧を設定することが可能である調節可能な電力供給源を有するであろう。いくつかの実施形態では、質量分析計上のESIイオン源は、接地において保持されるであろう。いくつかの実施形態では、毛細管またはマイクロ流体デバイス上のESI先端は、ESI先端と質量分析計上の荷電ESIイオン源との間に電場を発生させるように、接地において、またはその近くで保持されるであろう。いくつかの実施形態では、毛細管またはマイクロ流体デバイス上のESI先端は、ESI先端と質量分析計上の接地ESIイオン源との間に電場を発生させるように、正または負の電圧において保持されるであろう。
【0150】
図36は、動員の間にESI先端電圧を0Vに保ちながら、アノードとカソードとの間で3,000Vの一定の電圧降下を維持するためのコンピュータ制御フィードバックループの例示的フローチャートを提供する。いくつかの実施形態では、本フィードバックループは、質量分析計ESIイオン源が接地に対して正または負の電圧(例えば、-3,500V)に設定されるときに、実装されてもよい。本実施例では、陽極液ポート108と動員剤ポート104との間のΔVは、最初に、
図1Bにおいて陽極液ポート108を+3,000Vに、動員剤ポート104を0Vに設定することによって、3,000Vに保たれる。いくつかの実施形態では、異なるΔVが、陽極液ポート108を異なる値に設定することによって設定されてもよい。いくつかの実施形態では、アノード動員が、使用されてもよく、ポート108は、例えば、-3000Vに設定される、陰極液ポートであろう。
図36に概説される実施例では、動員の間に、分離チャネル112内の抵抗は、電荷を再獲得する分離における被分析物および両性電解質に起因して降下している。これは、チャネル112を横断する電圧降下を降下させ、方程式1に従って、ESI先端116における電圧の増加につながる。
V
116=(ΔV
108-104)
*(R
105)/(R
109+R
112+R
105)しかしながら、ESI先端電圧116を測定または計算することによって、陽極液ポート108および動員剤ポート104における電圧設定は、調節されることができる。陽極液ポート108および動員剤ポート104設定の両方からESI先端電圧116を減算することによって、ΔV
110-104は、動員が影響を受けないように、3,000Vのままであるが、ESI先端116電圧は、方程式2に従って、0に設定される。
V
116=(ΔV
108-104)
*(R
105)/(R
109+R
112+R
105)+V
104
本フィードバックループは、動員が完了するまで動作し続け、規則的周波数、例えば、ナイキスト率、または約0.2Hzにおいて、ESI先端116電圧を0に調節する。いくつかの事例では、ESI先端116における電圧は、少なくとも0.01Hz、0.1Hz、0.2Hz、0.3Hz、0.4Hz、0.5Hz、0.6Hz、0.7Hz、0.8Hz、0.9Hz、1Hz、10Hz、100Hz、または1,000Hzの率において0に調節されてもよい。ESI先端116において一定の安定した電圧を維持することは、動員プロセスの間に安定したエレクトスプレーを維持するために重要であり得る。
【0151】
いくつかの事例では、フィードバックループは、ESI先端における電圧を事前設定された値の規定割合以内に維持するように動作する。例えば、いくつかの事例では、フィードバックループは、ESI先端における電圧を事前設定された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%以内に維持するように動作する。
【0152】
いくつかの実施形態では、質量分析計ESIイオン源は、接地において保持され、ESI先端116は、ESI先端116と質量分析計との間に電場を生成するために、一定の正または負の電圧において保たれる必要があろう。いくつかの実施形態では、ESI先端電圧(例えば、事前設定された値)は、約+5,000V、約+4,000V、約+3,500V、約+3,000V、約+2,500V、約+2,000V、約+1,500V約+1,000V、約+500V、または約-5,000V、約-4,000V、約-3,500V、約-3,000V、約-2,500V、約-2000V、約-1,500V、約-1,000V、または約-500Vであってもよい。
図37は、動員の間にESI先端電圧電位を3,000Vに保ちながら、アノードとカソードとの間で3,000Vの一定の電圧降下を維持するためのコンピュータ制御フィードバックループの例示的フローチャートを提供する。コンピュータ制御フィードバックループの動作は、陽極液ポート108および動員剤ポート104における電圧が、+3,000Vだけオフセットされ、これが、依然として方程式2に従って、ESI先端116における電圧を+3,000Vにオフセットすることを除いて、
図36と同一である。いくつかの実施形態では、電場強度の制御は、アナログ回路を使用して遂行されることができる。いくつかの実施形態では、毛細管ベースまたはマイクロ流体デバイスベースの分離システムと接触している1つまたはそれを上回る電極における電圧の制御は、1つ、2つ、3つ、または4つ、もしくはそれを上回る独立した高電圧電力供給源を使用することによって、提供され得る。ある事例では、毛細管ベースまたはマイクロ流体デバイスベースの分離システムと接触している1つまたはそれを上回る電極における電圧の制御は、例えば、単一の多重化高電圧電力供給源を使用することによって、提供され得る。
【0153】
いくつかの事例では、フィードバックループは、分離チャネル内の電場強度またはアノードとカソードとの間の電圧降下を事前定義された値の規定割合以内に維持するように動作する。例えば、いくつかの事例では、フィードバックループは、分離チャネル内の電場強度またはアノードとカソードとの間の電圧降下を事前定義された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、または0.01%以内に維持するように動作する。いくつかの事例では、フィードバックループは、ESI先端電圧を事前定義された値の1,000V、500V、100V、75V、50V、25V、10V、5V、または1V以内に維持するように動作する。
【0154】
いくつかの実施形態では、ロックイン増幅器、関数発生器、発振器、または他のAC信号発生器等の交流電流(AC)信号発生器が、一対の電極に電気的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、AC信号発生器は、SR8-30(Stanford Research System)ロックイン増幅器であってもよい。いくつかの実施形態では、複数のAC信号発生器が、複数の対の電極に電気的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、AC信号発生器は、2つの電極の間に設定されるDC電圧上にAC電圧を重畳するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、AC信号発生器によって生成されるAC電流が、測定されてもよい。いくつかの実施形態では、AC信号発生器によって生成されるAC電流は、マイクロ流体チャネル内の抵抗を計算するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの抵抗は、経時的に変化していてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの抵抗は、等電点電気泳動に起因して、経時的に変化していてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの抵抗は、化学動員に起因して、経時的に変化していてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネルの抵抗は、一対の電極の間のチャネルネットワークの中への新しい試薬の導入に起因して、経時的に変化していてもよい。いくつかの実施形態では、AC信号発生器は、分離チャネルの遠位端と電気通信する電極および同一の分離チャネルの近位端と電気通信する電極に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル内の抵抗の変化が、測定されてもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体チャネル内の抵抗の測定された変化が、流体ネットワーク内で一定の電圧電位を維持するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、発生されるAC信号の周波数は、少なくとも0.05Hz、少なくとも0.1Hz、少なくとも0.5Hz、少なくとも1Hz、少なくとも5Hz、少なくとも10Hz、少なくとも50Hz、少なくとも100Hz、少なくとも500Hz、少なくとも1,000Hz、少なくとも5kHz、少なくとも10kHz、少なくとも50kHz、または少なくとも100kHzであってもよい。いくつかの実施形態では、ロックイン増幅器AC電圧の周波数は、最大で0.05Hz、最大で0.1Hz、最大で0.5Hz、最大で1Hz、最大で5Hz、最大で10Hz、最大で50Hz、最大で100Hz、最大で500Hz、最大で1kHz、最大で5kHz、最大で10kHz、最大で50kHz、または最大で100kHzであってもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、発生されるAC信号の電圧は、少なくとも0.1V、少なくとも0.5V、少なくとも1V、少なくとも5V、少なくとも10V、少なくとも20V、少なくとも50V、少なくとも100V、少なくとも500V、少なくとも1,000V、少なくとも5kV、または少なくとも10kVであってもよい。いくつかの実施形態では、ロックイン増幅器信号の電圧は、最大で0.1V、最大で0.5V、最大で1V、最大で5V、最大で10V、最大で50V、最大で100V、最大で500V、最大で1,000V、最大で5kV、または最大で10kVであってもよい。
【0156】
分離チャネルの撮像:いくつかの事例では、開示されるデバイスおよびシステムは、少なくとも1つの分離チャネルの全てまたは一部の撮像を実施し、分離および/または動員反応が実施されている間にそれを監視するように構成されてもよい。いくつかの事例では、開示されるデバイスおよびシステムは、複数の分離チャネルの全てまたは一部の撮像を実施し、複数の分離および/または動員反応が実施されている間にそれらを並行して監視するように構成されてもよい。いくつかの事例では、分離および/または動員反応は、当業者に公知である種々の撮像技法のうちのいずれかを使用して撮像されてもよい。実施例は、限定ではないが、紫外線(UV)光吸光度、可視光吸光度、蛍光(例えば、固有蛍光もしくはフルオロフォアで1つまたはそれを上回る被分析物を標識したことから生じる蛍光)、フーリエ変換赤外分光法、フーリエ変換近傍赤外分光法、ラマン分光法、光学分光法、および同等物を含む。いくつかの事例では、複数の分離(または濃縮)チャネルは、複数の毛細管の管腔であってもよい。いくつかの事例では、複数の分離(または濃縮)チャネルは、マイクロ流体デバイス内の複数の流体チャネルであってもよい。いくつかの事例では、分離(または濃縮)チャネルの全てまたは一部、分離チャネルおよび下流分析器具の端部またはエレクトスプレーオリフィスもしくは先端を接続する、接合部もしくは接続チャネル、またはエレクトスプレーオリフィスもしくは先端自体、またはそれらの任意の組み合わせが、撮像されてもよい。いくつかの事例では、分離(または濃縮)チャネルは、毛細管の管腔であってもよい。いくつかの事例では、分離(または濃縮)チャネルは、マイクロ流体デバイス内の流体チャネルであってもよい。
【0157】
分離された被分析物帯の撮像および検出のために使用される波長範囲は、典型的には、撮像技法およびそこからデバイスまたはその一部が加工される材料の選定に依存するであろう。例えば、UV光吸光度が、分離チャネルの全てまたは一部、もしくはマイクロ流体デバイスの他の部分を撮像するために使用される場合において、(ペプチド結合の固有吸光度に起因して)約220nmおよび/または(芳香族アミノ酸残基の固有吸光度に起因して)約280nmにおける検出は、デバイスの少なくとも一部、例えば、分離チャネルまたはその一部が、これらの波長における光に対して透明であることを前提として、分離ならびに/もしくは動員の間にタンパク質帯を可視化することを可能にし得る。いくつかの事例では、分離されるべき被分析物は、分離に先立って、蛍光画像、UV吸光度画像、または他の好適な撮像技法を使用して、撮像され得るように、例えば、フルオロフォア、発色団、化学発光タグ、または他の好適な標識で標識されてもよい。例えば、被分析物が商業用製造プロセスによって産生されるタンパク質を含む、いくつかの事例では、タンパク質は、蛍光を使用して撮像され得るように、緑色蛍光タンパク質(GFP)ドメインまたはその変異型を組み込むように遺伝子操作されてもよい。いくつかの事例では、タンパク質または他の被分析物分子を標識することは、標識自体が、選定された分離技法が基づく被分析物性質に干渉しない、もしくはそれを摂動しないことを確実にするためのアプローチを使用して、実施されてもよい。
【0158】
いくつかの事例では、画像(またはそこから導出されるデータ)が、例えば、第1の複数の分離チャネルから別の複数の分離チャネルまで、もしくは第1の複数の分離チャネルから第1の複数の分離チャネルの出口端と流体連通する複数のチャネルまでの分離された被分析物分画またはその一部の動員ステップもしくは他の移送をトリガするために、使用されてもよい。例えば、いくつかの事例では、開示される方法は、第1の複数の分離チャネルおよび第2の複数の分離チャネルを含有する、マイクロ流体デバイスの中に被分析物混合物を注入するステップを含んでもよい。第1の複数の分離チャネルは、サンプル被分析物混合物からの被分析物を結合するように構成される、媒体を含有してもよい。故に、サンプル被分析物混合物が、デバイス、例えば、マイクロ流体デバイスの中に装填または注入されるとき、各サンプル被分析物混合物内の被分析物の少なくともわずかが、基質に結合される、および/または第1の複数の分離チャネルを通して流動しないように妨げられてもよい。例えば、マイクロ流体デバイスの中に被分析物混合物を注入するステップは、第1の複数の分離チャネル内でクロマトグラフィ分離を生じさせることができる。溶出剤が、次いで、被分析物の少なくともわずかが、存在する場合、各分離チャネル内の媒体から動員されるように、マイクロ流体デバイスの中に注入されることができる。いくつかの事例では、第1の複数の分離チャネルは、被分析物が動員されている間に撮像されてもよい。いくつかの事例では、第1の複数の分離反応の撮像は、全カラム(例えば、全チャネル)撮像および/または分離チャネルの一部の撮像を含んでもよい。いくつかの事例では、電場は、被分析物分画が、第2の複数の分離チャネルの中に動電学的に注入されるように、撮像が、被分析物分画が第1の複数の分離チャネルおよび第2の複数の分離チャネルの交差部に配置されることを検出するときに、第2の複数の分離チャネルに印加されてもよい。例えば、いくつかの事例では、第1の複数の分離チャネルおよび第2の複数の分離チャネルは、一連のT字接合部を形成してもよい。いくつかの事例では、撮像は、被分析物分画(例えば、着目分画)が一連のT字接合部のうちの1つまたはそれを上回るものにあるときを検出するために、使用されてもよい。電場を印加することは、分離の第2の段階のために、第2の複数の分離チャネルの中に(随意に、一連のT字接合部に位置しない他の被分析物ではなく)着目被分析物分画を動電学的に注入することができる。いくつかの事例では、電場は、着目被分析物分画がT字接合部のうちの1つまたはそれを上回るものにおいて検出されるかどうかに応じて、第2の複数の分離チャネルのうちの1つまたはそれを上回るものに独立して印加されてもよい。
【0159】
いくつかの事例では、撮像は、動員反応を監視するように、動員の間に実施されてもよい。いくつかの事例では、分離反応を監視するために使用される撮像システムはまた、動員反応を監視するために使用されてもよい。いくつかの事例では、チャネルまたは複数のチャネルの一部のみが、動員反応を監視するように撮像されてもよい。いくつかの事例では、チャネル全体または複数のチャネルが、撮像されてもよく、撮像されたチャネルもしくは複数のチャネルの一部のみが、動員反応を監視するために使用されてもよい。例えば、チャネルは、所与のサンプリングレートにおいて撮像されてもよく、発生される画像毎に、1つまたは複数のチャネルの遠位端に対応する画像の一部が、移動度クロマトグラムを発生させるために使用されてもよい。移動度クロマトグラムは、時間の関数として、例えば、あるピクセル幅(例えば、8ピクセル)の平均吸光度についての情報を提供してもよい。いくつかの事例では、(例えば、チャネルの遠位端に対応する)移動度クロマトグラムを発生させるために使用される画像のピクセル幅は、少なくとも1ピクセル、少なくとも2ピクセル、少なくとも3ピクセル、少なくとも4ピクセル、少なくとも5ピクセル、少なくとも6ピクセル、少なくとも7ピクセル、少なくとも8ピクセル、少なくとも9ピクセル、少なくとも10ピクセル、少なくとも15ピクセル、少なくとも20ピクセル、少なくとも25ピクセル、少なくとも30ピクセル、少なくとも35ピクセル、少なくとも40ピクセル、少なくとも50ピクセル、少なくとも60ピクセル、少なくとも70ピクセル、少なくとも80ピクセル、少なくとも90ピクセル、少なくとも100ピクセルを備えてもよい。
【0160】
移動度クロマトグラムは、動員反応のパラメータを決定するために使用されてもよい。例えば、移動度クロマトグラムは、質量分析計を較正し、1つまたはそれを上回る被分析物の飛行時間情報、ピーク幅、ピーク速度、ピーク移動度、ピーク位置等を決定するために使用されてもよい。いくつかの事例では、移動度クロマトグラムは、リアルタイムで発生されてもよい。いくつかの事例では、移動度クロマトグラムは、サンプリングレート(例えば、ナイキストサンプリングレート、1~2Hz、または質量分析計のサンプリングレートに合致する周波数)において発生されてもよい。いくつかの事例では、クロマトグラムは、時間の関数として、チャネルのセグメントの吸光度についての情報を生じさせるために使用されてもよい。
【0161】
動的光散乱:いくつかの事例では、本開示のシステムおよび方法は、動的光散乱(DLS)を含む、1つまたはそれを上回る検出方法を含む。いくつかの事例では、DLSは、被分析物の情報を提供する、例えば、少なくとも1つの分離チャネル内で、分離された被分析物のサイズ分布プロファイル、被分析物の凝集、被分析物の流体力学半径等を決定するために、使用されてもよい。DLSは、被分析物の分離に先立って、その間に、またはそれに続いて、実施されてもよい。DLSは、本明細書に説明される方法のうちの1つまたはそれを上回るものと併せて、例えば、サンプル分離、動員、および/または被分析物サイズプロファイルのインターレース検出のために、使用されてもよい。例えば、DLSは、本明細書に説明される1つまたはそれを上回るプロセス(例えば、分離、動員、排出)の間の1つもしくは複数のチャネルの撮像に加えて、使用されてもよい。
【0162】
システムおよびシステム構成要素:いくつかの事例では、本開示のシステムは、開示されるデバイスのうちの1つまたはそれを上回るもの(例えば、マイクロ流体デバイス)、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る高電圧電力供給源(もしくは2つまたはそれを上回るチャネルの独立した制御を可能にする単一の多重化高電圧電力供給源)、オートサンプラおよび/または流体取扱システム、流体流量コントローラ、撮像モジュール、動的光散乱モジュール、マイクロプレート取扱ロボットモジュール、(例えば、流体液滴の蓄積がエレクトスプレー先端の外部に蓄積しないように除去または防止するための)廃棄物管理モジュール、電極界面接触ユニット、プロセッサもしくはコンピュータ、またはそれらの任意の組み合わせを備えてもよい。
【0163】
高電圧電力供給源:いくつかの事例では、開示されるシステムの2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源(もしくは2つまたはそれを上回るチャネルの独立した制御を可能にする単一の多重化高電圧電力供給源)は、複数の分離チャネルの同時の独立した電気制御を提供するように、例えば、同時に、かつ独立して、規定電圧または電流を複数の分離チャネルまたは補助流体チャネル(例えば、等電点電気泳動反応の完了に続いて、化学動員剤を分離チャネルに送達するために使用される動員チャネル)のそれぞれに印加するように構成される。いくつかの事例では、開示されるシステムの2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源(もしくは2つまたはそれを上回るチャネルの独立した制御を可能にする単一の多重化高電圧電力供給源)は、(全電流だけではなく)複数の分離チャネルのうちの各分離チャネルを通して流動する電流を監視および/または記録するように構成される。本明細書に説明されるように、分離チャネルは、異なるサンプルまたは同一のサンプル(例えば、サンプルのアリコート)を備えてもよい。いくつかの事例では、各分離チャネルを通して流動する電流は、例えば、等電点電気泳動反応が完了したときを決定するため、および/または障害(例えば、分離チャネル内の気泡の導入もしくは形成)を検出するために使用されてもよい。
【0164】
いくつかの事例では、本システムは、2個の独立した高電圧電力供給源、3個の独立した高電圧電力供給源、4個の独立した高電圧電力供給源、5個の独立した高電圧電力供給源、6個の独立した高電圧電力供給源、7個の独立した高電圧電力供給源、8個の独立した高電圧電力供給源、9個の独立した高電圧電力供給源、10個の独立した高電圧電力供給源、11個の独立した高電圧電力供給源、12個の独立した高電圧電力供給源、13個の独立した高電圧電力供給源、14個の独立した高電圧電力供給源、15個の独立した高電圧電力供給源、16個の独立した高電圧電力供給源、17個の独立した高電圧電力供給源、18個の独立した高電圧電力供給源、19個の独立した高電圧電力供給源、または20個の独立した高電圧電力供給源を備えてもよい。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、複数の分離チャネルまたは補助流体チャネル(例えば、等電点電気泳動反応の完了に続いて、化学動員剤を分離チャネルに送達するために使用される動員チャネル)毎に電圧および/または電流の同時の独立した制御を提供する、単一の多重化高電圧電力供給源として、統合もしくはパッケージ化されてもよい。
【0165】
いくつかの事例では、開示されるシステムの2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、プログラム可能であり、例えば、それらは、複数の分離チャネルまたは補助チャネルのそれぞれに印加される電圧および/または電流が、高電圧電力供給源にダウンロードされるソフトウェアによって制御されることを可能にする、内部マイクロプロセッサならびに/もしくはメモリを備えてもよい。いくつかの事例では、開示されるシステムの2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、外部プロセッサまたはコンピュータによる制御のために構成されてもよい。
【0166】
いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、例えば、複数の分離チャネルおよび/または補助チャネルのそれぞれを横断して印加される電圧が、分離反応の持続時間にわたって、もしくは規定時間周期にわたって固定されて保持される、定電圧モードで起動するようにプログラムまたは別様に構成されてもよい。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、1つまたはそれを上回る規定時間において、第1の規定電圧から少なくとも第2の規定電圧までの複数の分離チャネルおよび/または補助チャネルのそれぞれを横断して印加される電圧の段階的変化を生じるようにプログラムもしくは別様に構成されてもよい。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、分離反応の経過にわたって、電圧の2つ、3つ、4つ、5つ、または5つを上回る段階的変化を生じるようにプログラムもしくは別様に構成されてもよい。
【0167】
いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、定電力モードで起動し、例えば、伝導度変化に起因する分離反応の間に電流が降下するにつれて、所与の分離チャネルに印加される電圧を上昇させ、それによって、電圧を増加させ、過剰なジュール加熱を誘発することなく分離時間を最小限にすることを可能にするようにプログラムまたは別様に構成されてもよい。
【0168】
上記のように、いくつかの事例では、電気泳動分離または等電点電気泳動反応(もしくは他の動電注入または分離プロセス)を実施するために使用される電場は、約0V/cm~約1,000V/cmに及んでもよい。故に、いくつかの事例では、開示されるシステムの2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、(例えば、長さ5cmの分離チャネルに関して)約0ボルト~約5,000ボルトに及ぶ調節可能な電圧を提供するように構成されてもよい。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、少なくとも0、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1,000、または少なくとも5,000ボルトの調節可能電圧を提供するように構成されてもよい。いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、最大で5,000、最大で1,000、最大で500、最大で100、最大で50、最大で10、または最大で5ボルトの調節可能電圧を提供するように構成されてもよい。本段落で説明される下限および上限値のうちのいずれかが、本開示内に含まれる範囲を形成するように組み合わせられてもよく、例えば、いくつかの事例では、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源は、約100ボルト~約1,000ボルトに及ぶ調節可能な電圧を提供するように構成されてもよい。当業者は、2つまたはそれを上回る高電圧電力供給源が、本範囲内の任意の値の調節可能な電圧、例えば、約1,250ボルトを提供するように構成され得ることを認識するであろう。
【0169】
電極界面接触ユニット/固定具:いくつかの事例では、開示されるシステムは、1つまたはそれを上回る電極をシステムの1つまたはそれを上回る構成要素(例えば、マイクロ流体デバイスの1つまたはそれを上回る入口)と界面接触させるように構成される、電極界面接触ユニット(例えば、高電圧電極界面接触ユニットもしくは固定具)を含み得る、1つまたはそれを上回る固定具を備えてもよい。本明細書に説明されるように、開示されるマイクロ流体デバイスは、分離チャネルまたは分離チャネルに交差する相互接続チャネルに沿って電圧勾配を印加するように構成される、2つまたはそれを上回る統合電極を備えてもよい。電極は、複数の入口ポート、出口ポート、サンプルおよび/または試薬導入チャネル、相互接続チャネル、サンプルならびに/もしくは試薬廃棄物チャネル、リザーバ(例えば、サンプルリザーバ、試薬リザーバ、または廃棄物リザーバ)、マイクロポンプ、マイクロ弁、通気口、トラップ、フィルタ、膜、および同等物、もしくはそれらの任意の組み合わせと統合される、または界面接触するように構成されてもよい。いくつかの事例では、固定具は、電極およびマイクロ流体デバイスの電気通信および/または流体連通を可能にする、1つまたはそれを上回る膜を備えてもよい。ある場合には、膜は、1つまたはそれを上回るリザーバ(例えば、陽極液リザーバもしくは陰極液リザーバ)および/またはマイクロ流体デバイスと流体連通ならびに/もしくは電気通信してもよい。いくつかの事例では、膜は、マイクロ流体デバイスに結合されてもよい。いくつかの事例では、膜は、1つまたはそれを上回るリザーバとのデバイスの流体連通を確立するときに、マイクロ流体デバイス(例えば、チャネルまたは入口)への気泡の導入を防止するために、使用されてもよい。代替として、または加えて、膜は、マイクロ流体デバイスの中への気泡、例えば、電極における電解によって形成される気泡のさらなる導入を防止するために、使用されてもよい。いくつかの事例では、固定具内の電極リザーバ(例えば、電極が電気接触を行う任意のリザーバ)の容積は、電極における電解に起因する、その中に含有される緩衝剤のpH変化を最小限にする、または排除するために十分に大きくあり得る。いくつかの事例では、固定具の幾何学形状は、膜を位置付け、マイクロ流体デバイスとの流体連通および/または電気通信を確立するように構成されてもよい。膜および/または電極リザーバは、マイクロ流体デバイスに隣接して(例えば、その上に、その隣に、それに結合される、それに直交する等)位置付けられてもよい。ある場合には、膜は、(例えば、嵌合機構を介して)マイクロ流体デバイスに結合されてもよい。いくつかの事例では、固定具の幾何学形状は、膜の屈曲、折畳、または非平面移動もしくは構成を防止するために、例えば、デバイスとの膜の界面接触に応じて、気泡の形成または流体力学的圧力の印加を防止するために、採用されてもよい。例えば、固定具は、挿入物、例えば、膜が、U字形構造の底部(例えば、平坦部分)に設置され得る、U字形構造を備えてもよい。そのような実施例では、U字形構造は、リザーバ(例えば、電極と界面接触し得る電極リザーバ)に結合され、膜およびマイクロ流体デバイスとの流体連通を可能にしてもよい。U字形構造のアームは、入口流体経路と、出口流体経路とを備えてもよい。別の実施例では、固定具は、挿入物、例えば、膜が、Y字形構造の上部に設置され得る、Y字形構造を備えてもよい。そのような実施例では、Y字形構造は、リザーバ(例えば、電極リザーバ)を備え、膜およびマイクロ流体デバイスとの流体連通を可能にしてもよい。
【0170】
いくつかの事例では、膜は、出口流体経路およびポート(例えば、U字形構造の平坦部分)を介して、デバイスと界面接触する。ポートの少なくとも1つの寸法は、種々の幾何学形状を成し、膜の屈曲、折畳等を防止するように構成されてもよい。例えば、ポートは、円形であり得、最大で約5mm、最大で約4mm、最大で約3mm、最大で約2mm、最大で約1mm、または最大で約500μmの直径を有してもよい。膜は、ポートの全てまたは一部を被覆してもよく、任意の有用な寸法を備えてもよい。例えば、膜は、約0.001平方ミリメートル(mm2)、約0.005mm2、約0.01mm2、約0.05mm2、約0.1mm2、約0.5mm2、約1mm2、約5mm2、約10mm2、約50mm2、約100mm2、または約500mm2である断面積を有してもよい。膜は、少なくとも0.001(mm2)、少なくとも0.005mm2、少なくとも0.01mm2、少なくとも0.05mm2、少なくとも0.1mm2、少なくとも0.5mm2、少なくとも1mm2、少なくとも5mm2、少なくとも10mm2、少なくとも50mm2、少なくとも100mm2、または少なくとも500mm2である断面積を備えてもよい。いくつかの事例では、膜は、最大で500mm2、最大で100mm2、最大で50mm2、最大で10mm2、最大で5mm2、最大で1mm2、最大で0.5mm2、最大で0.1mm2、最大で0.05mm2、最大で0.01mm2、最大で0.005mm2、または最大で0.001mm2である断面積を備えてもよい。膜は、例えば、約0.001mm2~約100mm2の面積の範囲内である断面積を有してもよい。
【0171】
いくつかの事例では、固定具は、電極リザーバと、第1の端部と、第2の端部とを備える、入口流体チャネルと、入口流体チャネルの第2の端部に流体的に結合される、第1の端部と、分離チャネルに流体的に結合される、第2の端部とを備える、出口流体チャネルとを(例えば、マイクロ流体デバイス内に)備えてもよく、その入口流体チャネルおよび出口流体チャネルは、電極リザーバの表面を画定する、またはそれと平行である平面において、相互と交差し、それに流体的に結合される。膜は、膜が、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部を備える、開口部の全てまたは実質的に全てを被覆するように、入口流体チャネルおよび出口流体チャネルが交差する平面において、またはそれに隣接して、電極リザーバ内に配置されてもよい(例えば、
図13A-F参照)。固定具が、入口流体経路と、出口流体経路とを備える、挿入物を備える、事例では、膜および/または入口流体経路ならびに出口流体経路は、電極リザーバが(例えば、強電解質、緩衝剤、試薬等で)充填されるときに、膜の表面の実質的に気泡がない湿潤を促進するように構成されてもよい。
【0172】
膜は、所望の材料性質によって選択されてもよい。例えば、膜は、所望の細孔径、親水性、疎水性、両親媒性、親油性、荷電または非荷電、不活性、機械的性質(例えば、剛性、応従性、可撓性、靱性)等のために選択されてもよい。ある場合には、膜は、天然または合成材料を含んでもよい。膜は、1つまたはそれを上回るポリマーを含んでもよい。好ましい実施形態では、膜は、セルロースまたは再生セルロースを含み、親水性である。別の好ましい実施形態では、膜は、ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。ポリマーが使用される場合において、ポリマー(例えば、PTFE)は、有用な性質を取得するように製造される、または扱われてもよい(例えば、織成される、表面を親水性にするように扱われる等)。別の好ましい実施形態では、膜は、剛性材料、例えば、ガラスまたはセラミックを含む。いくつかの実施形態では、膜は、親水性および/または非荷電であるように扱われてもよい。
【0173】
いくつかの事例では、膜は、電極リザーバ内に位置付けられる高電圧電極と入口流体チャネルおよび出口流体チャネル内に含有される流体(例えば、液体、緩衝剤等)との間に高流体力学的抵抗および低電気抵抗の接続を提供する。リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、約0.01((N/mm2)/(mm3/秒))、約0.1((N/mm2)/(mm3/秒))、約1((N/mm2)/(mm3/秒))、約10((N/mm2)/(mm3/秒))、約100((N/mm2)/(mm3/秒))、約1,000((N/mm2)/(mm3/秒))、約10,000((N/mm2)/(mm3/秒))、約100,000((N/mm2)/(mm3/秒))、または約1,000,000((N/mm2)/(mm3/秒))であってもよい。リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、少なくとも0.01((N/mm2)/(mm3/秒)),少なくとも0.1((N/mm2)/(mm3/秒))、少なくとも1((N/mm2)/(mm3/秒))、少なくとも10((N/mm2)/(mm3/秒))、少なくとも100((N/mm2)/(mm3/秒))、少なくとも1,000((N/mm2)/(mm3/秒))、少なくとも10,000((N/mm2)/(mm3/秒))、少なくとも100,000((N/mm2)/(mm3/秒))、または少なくとも1,000,000((N/mm2)/(mm3/秒))であってもよい。リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、最大で1,000,000((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で100,000((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で10,000((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で1,000((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で100((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で10((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で1((N/mm2)/(mm3/秒))、最大で0.1((N/mm2)/(mm3/秒))、または最大で0.01((N/mm2)/(mm3/秒))であってもよい。リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の流体力学的抵抗は、例えば、1((N/mm2)/(mm3/秒))~10,000((N/mm2)/(mm3/秒))の値の範囲内であってもよい。
【0174】
いくつかの事例では、膜の一部(例えば、細孔)の流体力学的抵抗は、ハーゲン・ポアズイユの式、すなわち、方程式3を使用して、計算されてもよい。
RHydrodynamic=8*粘度*膜厚さ/(πrpore
4)
式中、RHydrodynamicは、1つの細孔の流体力学的抵抗であり、粘度は、バルク液体の粘度であり、rporeは、単一の細孔の半径である。膜全体を横断した流体力学的抵抗は、次いで、細孔の数で除算されたRHydrodynamicに等しくあり得る。例えば、3nmの直径細孔および100μmの厚さを伴う膜が、25℃における水溶液の流体力学的流動(粘度=0.89cP)を阻止するために使用される場合、本方程式によって、RHydrodynamicは、8*(0.89cP)*(100μm)/((π)*(1.5nm)4)または4.48*1013((N/mm2)/(mm3/秒))に等しい。膜の表面積が、1mm2であり、細孔面積分画が、5%であった場合、細孔の数は、(1mm2)*(0.05)/((π)*(1.5nm)2)または7.1*109個の細孔に等しく、全流体力学的抵抗は、(4.48*1013((N/mm2)/(mm3/秒)))/7.1*109または6,330((N/mm2)/(mm3/秒))に等しい。
【0175】
いくつかの実施形態では、細孔の電気抵抗は、方程式4を使用して計算されてもよい。
RElectrical=(溶液低効率)*(膜厚さ)/(πrpore
2)
【0176】
式中、rporeは、単一の細孔の半径である。例えば、溶液低効率が、500(オーム)(cm)であり、膜厚さが、100μmであり、細孔直径が、3nmである場合、RElectricalは、(500オーム*cm)*(100μm)/((π)*(1.5nm)2)または7.1*1013オームに等しいであろう。細孔の数が、7.1*109個の細孔であった場合、膜の全電気抵抗は、本実施例では、10,000オームに等しい。
【0177】
電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、約10,000,000オーム、約1,000,000オーム、約100,000オーム、約10,000オーム、約1,000オーム、約100オーム、約10オーム、約1オーム、約0.1オーム、または約0.01オームであってもよい。電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、最大で10,000,000オーム、最大で1,000,000オーム、最大で100,000オーム、最大で10,000オーム、最大で1,000オーム、最大で100オーム、最大で10オーム、最大で1オーム、最大で0.1オーム、または最大で0.01オームであってもよい。電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗は、例えば、約100,000オーム~10,000,000オームの値の範囲内であってもよい。
【0178】
いくつかの事例では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗に対する流体力学的抵抗の比は、約0.001((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約0.01((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約0.1((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約1((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約10((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約100((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約1,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、約10,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オームであってもよい。いくつかの事例では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗に対する流体力学的抵抗の比は、少なくとも0.001((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも0.01((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも0.1((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも1((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも10((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも100((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも1,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、少なくとも10,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム、もしくはそれを上回り得る。いくつかの事例では、電極リザーバと入口流体チャネルおよび出口流体チャネルの交差部との間の電気抵抗に対する流体力学的抵抗の比は、例えば、1000((N/mm2)/(mm3/秒))/オーム~1,000,000((N/mm2)/(mm3/秒))/オームの値の範囲内であってもよい。
【0179】
いくつかの事例では、電極リザーバは、約0.1ミリモル(mM)、約0.5mM、約1mM、約5mM、約10mM、約50mM、約100mM、約500mM、または約1モル(M)の濃度における電解質溶液で充填されてもよい。電解質溶液濃度は、少なくとも0.1ミリモル(mM)、少なくとも0.5mM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも500mM、または少なくとも1モル(M)であってもよい。電解質溶液濃度は、最大で約1M、最大で約500mM、最大で約100mM、最大で約50mM、最大で約10mM、最大で約5mM、最大で約1mM、最大で約0.5mM、または最大で約0.1mMであってもよい。電解質溶液濃度は、例えば、約1ミリモル(mM)~約500mMの濃度の範囲内であってもよい。いくつかの事例では、動作の間に、電極リザーバは、約10mM~約150mMの濃度における電解質溶液で充填される。
【0180】
いくつかの事例では、動作の間に、電極リザーバは、約1.5~約14のpH範囲を伴う電解質溶液で充填される。例えば、分離チャネルの近位端における1つの電極リザーバは、約1.5pH単位の電極溶液を備えてもよく、分離チャネルの遠位端における別の電極リザーバは、約14pH単位の電極溶液を備えてもよい、または分離チャネルの遠位端における1つの電極リザーバは、約1.5pH単位の電極溶液を備えてもよく、分離チャネルの近位端における別の電極リザーバは、約14pH単位の電極溶液を備えてもよい。pH範囲および電極リザーバの間のpHの差異は、被分析物種を分離するために有用であるpH範囲に基づいて調整され得ることを理解されたい。例えば、被分析物の混合物が、狭いpH範囲内の期待pI値を備える場合、電極リザーバのpH範囲または差は、所与の被分析物混合物のためのより高い分離分解能を達成するために、より狭くなるように調節されてもよい。
【0181】
いくつかの事例では、電解質溶液は、強酸、強塩基、または高可溶性塩を含む。強酸の実施例は、限定ではないが、過塩素酸、塩酸、硫酸、および同等物を含む。強塩基の実施例は、限定ではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、および同等物を含む。高可溶性塩の実施例は、限定ではないが、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、塩化マグネシウム、および同等物を含む。いくつかの事例では、弱酸または弱塩基は、電解質溶液として使用されてもよい。弱酸の実施例は、限定ではないが、リン酸、ギ酸、酢酸、炭酸、および同等物を含む。弱塩基の実施例は、限定ではないが、水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ピペリジン、および同等物を含む。ある場合には、電解質溶液のpHは、約1.5pH単位および約14pH単位であり得る。ある場合には、電解質溶液のpHは、約2pH単位および約11pH単位であり得る。ある場合には、電解質溶液のpHは、約3pH単位および約9pH単位であり得る。ある場合には、電解質溶液のpHは、約5pH単位および約8pH単位であり得る。
【0182】
流体流量コントローラ:いくつかの事例では、開示されるシステムは、例えば、(例えば、単独で、もしくは2つまたはそれを上回る分離チャネルに印加される電圧勾配と組み合わせて使用するための)2つまたはそれを上回る分離チャネルもしくは分離チャネルと交差する補助チャネルを通して独立して制御された圧力駆動流を提供するように構成される、1つまたはそれを上回るプログラマブル流体流量コントローラを備えてもよい。いくつかの事例では、圧力駆動流は、分離チャネルから外に分離された被分析物ピークを動員するために使用されてもよい。いくつかの事例では、圧力駆動流は、例えば、分離チャネルの中に化学動員剤(例えば、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配を乱す電解質)を導入し、それによって、分離チャネルから外に分離された被分析物ピークを動員するために使用されてもよい。いくつかの事例では、圧力駆動流は、例えば、分離チャネルの中に化学動員剤(例えば、分離チャネル内に閉じ込められた定常相から被分析物を溶出するための溶出緩衝剤)を導入し、それによって、分離チャネルから外に分離された被分析物ピークを動員するために使用されてもよい。いくつかの事例では、流動は、デバイスの中への流量制限器、例えば、流体力学的抵抗を増加させ、一様な流動プロファイルおよびエレクトスプレー性能を提供するための長い毛細管またはチャネル長さの統合によって、制御されてもよい。
【0183】
開示されるデバイスおよびシステムを通した圧力駆動流体流の制御は、典型的には、ポンプ(または他の流体作動機構)および弁の使用を通して実施されるであろう。好適なポンプの実施例は、限定ではないが、シリンジポンプ、プログラマブルシリンジポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、および同等物を含む。いくつかの実施形態では、システムを通した流体流は、デバイス上の1つまたはそれを上回る流体入口もしくはサンプルまたは試薬リザーバにおいて正の空気圧を印加することによって、制御されてもよい。いくつかの実施形態では、システムを通した流体流は、1つまたはそれを上回る流体出口もしくは廃棄物リザーバにおいて真空に引くことによって、制御されてもよい。好適な弁の実施例は、限定ではないが、逆止弁、電気機械2方向または3方向弁、空気圧2方向および3方向弁、ならびに同等物を含む。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回るマイクロポンプもしくは(例えば、蠕動ポンプ、圧電ポンプ)、マイクロ弁(例えば、計量注入弁、圧電弁、コック栓弁、スライド弁)が、デバイス内に統合されてもよい。ある場合では、開示されるデバイスおよびシステムを通した制御または圧力駆動流体流は、ブラダ、ブリスタパック、ピストン、スクリュ、ガラスフリット、またはそれらの組み合わせを使用して、実施されてもよい。いくつかの事例では、圧力駆動流体流は、無パルスであり得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、システムを通した流体流は、1つまたはそれを上回るデバイスもしくはシステムパラメータを使用して制御されてもよい。いくつかの事例では、流動が、(例えば、デバイスの面積内のガス圧を変化させるように)システムの温度を改変することによって、または温度勾配を導入することによって、デバイス内で発生されてもよい。いくつかの事例では、リザーバ高さは、(例えば、静水圧を介して)デバイスの1つまたはそれを上回るチャネルを通して流動を駆動するように変更されてもよい。いくつかの事例では、デバイスの一部(例えば、入口または出口)が、露出され、蒸発することを可能にされ、それによって、チャネルを通して流体流を駆動してもよい。いくつかの事例では、流体流は、無パルスであり得る。
【0185】
いくつかの事例では、開示されるデバイスおよびシステムを通した流体流が、電気的に実施されてもよい。例えば、デバイスのチャネルのうちの1つまたはそれを上回るものの中もしくはチャネルの外側の電気浸透流が、例えば、電気浸透ポンプを使用して実施されてもよい。
【0186】
流体流制御の異なるモードが、開示される被分析物分離方法の実施の間の異なる時点で利用されてもよく、例えば、(所与のデバイスまたは分離チャネルのための入口および出口に対する)前方流、逆流、発振もしくは拍動流、またはそれらの組み合わせが、全て使用されてもよい。例えば、いくつかの事例では、発振もしくは拍動流派、例えば、デバイス内に閉じ込められ得る任意の気泡の遊離を促進するために、デバイスプライミングステップの間に使用されてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、例えば、流体または試薬の気泡がない導入を促進するように、デバイスプライミングのために真空を受けてもよい(例えば、脱気される)。
【0187】
異なる流体流率が、開示される被分析物分離方法の実施の間の異なる時点で利用されてもよい。例えば、開示されるデバイスおよびシステムのいくつかの事例では、体積流率は、-100ml/秒から+100ml/秒まで変動してもよい。いくつかの事例では、体積流率の絶対値は、少なくとも0.001ml/秒、少なくとも0.01ml/秒、少なくとも0.1ml/秒、少なくとも1ml/秒、少なくとも10ml/秒、または少なくとも100ml/秒であってもよい。いくつかの事例では、体積流率の絶対値は、最大で100ml/秒、最大で10ml/秒、最大で1ml/秒、最大で0.1ml/秒、最大で0.01ml/秒、または最大で0.001ml/秒であってもよい。所与の時点における体積流率は、本範囲内の任意の値、例えば、2.5ml/秒の前方流率、-0.05ml/秒の逆流率、0ml/秒の値(すなわち、停止した流動)を有してもよい。いくつかの事例では、各分離チャネルおよび/または補助流体チャネルを通した圧力駆動流体流モードならびに/もしくは流体流速は、規定時間経過を辿るように、相互から独立してプログラムされてもよい。
【0188】
オートサンプラおよび流体取扱システム:いくつかの事例では、開示されるシステムはさらに、分離チャネルへの複数のサンプルまたは試薬入口ポートの中へのサンプルアリコートおよび/または他の分離反応試薬の自動的な独立して制御された装填のために構成される、オートサンプラもしくは流体取扱システムを備えてもよい。いくつかの事例では、特注のオートサンプラまたは流体取扱モジュールが、開示されるシステムに組み込まれてもよい。いくつかの事例では、市販のオートサンプラまたは流体取扱モジュールが、開示されるシステムに統合されてもよい。好適な市販のオートサンプラの実施例は、限定ではないが、Agilent 1260 Infinity二重ループオートサンプラおよび1260 Infinity高性能マイクロオートサンプラ(Agilent Technologies, Santa Clara, CA)、HT1500L HPLCオートサンプラ(HTA, Brescia, Italy)、Spark Holland Alias(Spark-Holland, Emmen, Netherlands)、ならびにSIL-20A/AC HPLCオートサンプラ(Shimadzu, Columbia, MD)を含む。好適な市販の流体取扱システム(または液体取扱システム)の実施例は、限定ではないが、Tecan Fluent(登録商標)システム(Tecan Trading AG, Switzerland)、Hamilton Microlab STARおよびMicrolab NIMBUSシステム(Hamilton, Reno, NV)、ならびにAgilent Bravo自動液体取扱プラットフォームおよびAgilent垂直ピペット操作ステーション(Agilent Technologies, Santa Clara, CA)を含む。
【0189】
いくつかの事例では、1つまたはそれを上回る流体流量コントローラもしくは流体取扱システムが、1つまたはそれを上回るリザーバを充填もしくは補充するために使用されてもよい。本明細書に説明されるように、リザーバは、マイクロ流体デバイスと界面接触し、デバイス・膜界面における気泡形成を防止し得る、膜(例えば、固定具および/または電極界面接触ユニットに含まれる)と流体連通してもよい。リザーバは、種々の流体コントローラまたは流体取扱システムを使用して充填されてもよい。例えば、流体コントローラが、緩衝剤または試薬を各リザーバに分配するために使用されてもよい。いくつかの事例では、流体コントローラは、ピペット先端(例えば、1,000マイクロリットルピペット先端)を備えてもよく、リザーバは、ピペット先端を受容するように構成されてもよい。いくつかの事例では、リザーバは、底部からリザーバを充填するためのアクセスポートを備えてもよい。いくつかの事例では、リザーバは、気泡形成を伴わないピペット先端のアクセスのための側面ポートを備えてもよい。いくつかの事例では、リザーバは、流体流量コントローラの統合または界面接触を補助し得る、フランジを備えてもよい。
【0190】
廃棄物管理:いくつかの実施形態では、本システムはさらに、マイクロ流体デバイスと統合される(すなわち、それに取り付けられる)、またはそれと別個であり得る、廃棄物管理モジュールを備えてもよい。廃棄物管理モジュールは、マイクロ流体デバイスから廃棄生成物を収集するために使用されてもよい。いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、加えて、または代替として、マイクロ流体デバイスの出口もしくは表面における液滴形成を管理するために使用されてもよい。例えば、廃棄物管理モジュールは、液滴がデバイスの出口(例えば、エレクトスプレー先端)において形成されること、および/またはデバイスの異なるセグメントもしくは部分(例えば、入口、界面接触された電極等)への液滴の吸い上げを防止するために使用されてもよい。いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、陽または陰圧(例えば、真空)の印加を含んでもよい。そのような場合において、真空が、マイクロ流体デバイスの一部(例えば、出口またはエレクトスプレー先端)に印加されてもよい。例えば、フランジまたはアダプタが、チップに適用され、それによって、デバイスの設置または任意の下流分析ユニット(例えば、質量分析計)への最小限の妨害を伴って、真空がデバイスと界面接触されることを可能にし得る。真空は、次いで、液滴または廃棄生成物が出口もしくはエレクトスプレー先端から排出されるにつれて、それらを吸引するために使用されてもよい。
【0191】
真空は、1つまたはそれを上回る形状で形成され得る、種々の装置を通して印加されてもよい。例えば、それを通して真空が印加される装置は、角または漏斗のように成形されてもよい。角または漏斗は、真空を先端に印加するように構成されてもよい。いくつかの事例では、本装置は、異なる位置まで旋回または移動するように構成されてもよい。別の実施形態では、真空は、管形状の装置を通して印加されてもよい。管は、円錐形、円筒形、または任意の他の形状であり得る。いくつかの事例では、管はさらに、真空を印加し、廃棄生成物を廃棄物レセプタクルに指向するために使用され得る、開口部モジュールを備えてもよい。例えば、管は、チップ(例えば、フランジを使用して界面接触される)と質量分析計との間に設置されてもよく、管は、開口部モジュール、例えば、廃棄生成物が質量分析計に到達しないように、エレクトスプレー先端から廃棄生成物を指向する、真空トンネルを備えてもよい。ある場合には、管は、ある角度において、例えば、出口またはエレクトスプレー先端と垂直に配向されてもよい。そのような場合において、真空は、管に印加されてもよく、液滴がデバイスから退出するにつれて、液滴を吸引してもよい。いくつかの事例では、管は、本明細書に説明されるような1つまたはそれを上回る撮像システムが、エレクトスプレー先端を撮像するために使用され得るように、透明であり得る。別の実施形態では、真空は、真空に取り付けられるように構成され得る、モジュール式デバイスを通して印加されてもよい。例えば、モジュール式デバイスは、デバイスの一部を締め付ける、またはそれに取り付けられるように構成されてもよい。いったんモジュール式デバイスがデバイスに固着されると、真空が、モジュール式デバイスに印加され、それによって、マイクロ流体デバイスから離れるように廃棄生成物を指向してもよい。
【0192】
いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、陽圧の使用を含んでもよい。例えば、エアナイフが、エレクトスプレー先端から離れるように液滴を指向するために使用されてもよい。そのような実施例では、エアナイフは、空気(または窒素ガス)圧を発生させ、液滴を排出する、またはデバイスもしくはその一部(例えば、エレクトスプレー先端)から離れるように液滴を指向するように、空気もしくは窒素ガス源および/または加圧器に接続されてもよい。いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、噴霧ユニットを備えてもよい。例えば、ネブライザは、チップに固着するように構成されてもよい。ネブライザは、液滴または廃棄生成物が、エレクトスプレー先端もしくは出口から離れるように(例えば、廃棄物レセプタクルに)指向されるように、チップに向かって空気を指向するために必要な幾何学形状を備えてもよい。ネブライザは、シール機構を備えてもよく、空気圧を発生させ、液滴を排出する、またはエレクトスプレー先端から離れるように液滴を指向するように、空気源および/または加圧器に接続されてもよい。いくつかの事例では、ネブライザは、ノズルを備えてもよい。ネブライザは、ポリマー、金属、またはセラミック材料から成ってもよい。
【0193】
いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、出口またはエレクトスプレー先端から廃棄物および/または液滴を除去するための機械的アプローチの使用を含んでもよい。例えば、1つまたはそれを上回るワイパが、デバイスから液滴を機械的に移動させる(例えば、掃引する)ために使用されてもよい。代替として、または加えて、吸収性材料が、出口またはエレクトスプレー先端から廃棄物材料を吸収する、もしくは吸い上げるように、廃棄物管理モジュールに統合されてもよい。
【0194】
いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、廃棄物管理のための他のアプローチと併せて使用されてもよい。例えば、本デバイスは、出口における液滴形成の制御、および/またはデバイスの異なるセグメントもしくは部分(例えば、電極または入口)への液滴ならびに流体の吸い上げを最小限にすることを可能にする、幾何学形状もしくは化学/材料性質を備えてもよい。いくつかの事例では、コーティングが、デバイスの先端または出口における液滴形成を可能にするために使用されてもよく、デバイスの他のセグメントまたは部分への流体の吸い上げの防止を補助し得る。ある場合には、コーティングは、疎水性コーティングであってもよい。
【0195】
いくつかの事例では、デバイスの幾何学形状または配向は、出口における液滴形成を制御するために、および/またはデバイスの異なるセグメントもしくは部分への液滴の吸い上げを最小限にするために、使用されてもよい。例えば、出口またはエレクトスプレー先端は、最適な液滴形成を可能にするように、三角形の先端に形成されてもよい。いくつかの事例では、デバイスの空間配向は、廃棄物管理を制御するために使用されてもよい。例えば、本デバイスは、出口(例えば、先端)が、下向きに配向されるように、角度を付けられてもよく、廃棄物は、重力流によってマイクロ流体デバイスから外に駆動されてもよい。任意の好適な角度が、マイクロ流体デバイスから外に重力流を指向するために使用されてもよい。例えば、角度は、約30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°、45°、46°、47°、48°、49°、50°、51°、52°、53°、54°、55°、56°、57°、58°、59°、60°等であってもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、廃棄生成物を収集するためのデバイスと別個の廃棄物レセプタクルを備える。
【0196】
いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、デバイス上の廃棄物リザーバの必要性を排除してもよい。例えば、廃棄物は、液滴または流れとしてデバイスから外に排出されてもよく、例えば、真空を使用する吸引を介して除去されてもよい。
【0197】
撮像モジュール:いくつかの事例では、本システムはさらに、2つまたはそれを上回る分離チャネルもしくはその一部の一連の1つまたはそれを上回る画像を入手するように構成される、撮像モジュールを備えてもよい。いくつかの事例では、画像の視野は、2つまたはそれを上回る分離チャネルの全てもしくは一部を備えてもよい。いくつかの事例では、撮像は、分離および/または動員反応が実施されている間の2つまたはそれを上回る分離チャネルの全てもしくは一部の持続的撮像を含んでもよい。いくつかの事例では、撮像は、分離および/または動員反応が実施されている間の2つまたはそれを上回る分離チャネルの全てもしくは一部の断続的または周期的撮像を含んでもよい。いくつかの事例では、撮像は、UV吸光度画像を入手するステップを含んでもよい。いくつかの事例では、撮像は、例えば、固有蛍光または被分析物に付着した外因性蛍光標識の存在に起因する蛍光の蛍光画像を入手するステップを含んでもよい。いくつかの事例では、撮像モジュールは、例えば、等電点電気泳動反応が完了するときを決定するように、および/または障害(例えば、分離チャネル内の気泡の導入もしくは形成)を検出するように構成されてもよい。
【0198】
種々の撮像システムまたはシステム構成要素のうちのいずれかが、開示される方法、デバイス、およびシステムを実装する目的のために利用されてもよい。実施例は、限定ではないが、1つまたはそれを上回る光源(例えば、発光ダイオード(LED)、ダイオードレーザ、ファイバレーザ、ガスレーザ、ハロゲンランプ、アークランプ等)、集光レンズ、対物レンズ、ミラー、フィルタ、ビームスプリッタ、プリズム、画像センサ(例えば、CCD画像センサもしくはカメラ、CMOS画像センサもしくはカメラ)、および同等物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回る光源は、光源のアレイを備えてもよい。例えば、LEDアレイは、デバイスの1つまたはそれを上回る領域を照明するために使用されてもよい。利用される撮像モードに応じて、光源および画像センサは、例えば、吸光度ベースの画像が入手され得るように、マイクロ流体デバイスの反対側に位置付けられてもよい。いくつかの事例では、光源および画像センサは、例えば、落射蛍光画像が入手され得るように、マイクロ流体デバイスの同一側に位置付けられてもよい。
【0199】
上記のように、画像が、分離および/または動員ステップの間に持続的に入手されてもよい、または無作為もしくは規定時間間隔において入手されてもよい。いくつかの事例では、一連の1つまたはそれを上回る画像が、持続的に、または無作為もしくは規定時間間隔において入手される。いくつかの事例では、一連の短時間露出画像(例えば、10~20枚の画像)が、高速で(例えば、ミリ秒時間尺度で)入手され、次いで、改良された信号対雑音比を有する、「単一の画像」を提供するように平均化される。いくつかの事例では、「単一の画像」は、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒毎に、またはより長い間隔において入手される。いくつかの事例では、より長い露出時間が、信号対雑音比を改良するために使用されてもよい。いくつかの事例では、一連の1つまたはそれを上回る画像は、ビデオ画像を備えてもよい。
【0200】
画像処理:いくつかの事例では、上記のように、本システムは、被分析物ピークの存在を検出し、pIマーカまたは分離された被分析物帯の位置を決定し、ピーク幅を決定し、ピーク形状(例えば、ガウス適合または他の曲線適合アルゴリズム)もしくは経時的なこれらのパラメータのうちのいずれかの変化を決定するための画像処理ソフトウェアを起動するように構成される、プロセッサ、コントローラ、またはコンピュータを備えてもよい。いくつかの事例では、画像処理は、2つまたはそれを上回る分離チャネルのうちの1つの中の障害、例えば、気泡の導入または形成の検出のために使用されてもよい。種々の画像処理アルゴリズムのうちのいずれかが、開示される方法およびシステムを実装する際に、画像前処理または画像処理のために利用されてもよい。実施例は、限定ではないが、キャニーエッジ検出方法、キャニー・デリチェエッジ検出方法、一次勾配エッジ検出方法(例えば、ソーベル演算子)、二次差分エッジ検出方法、相合同(相一致)エッジ検出方法、他の画像セグメンテーションアルゴリズム(例えば、強度閾値化、強度クラスタ化方法、強度ヒストグラムベースの方法等)、特徴およびパターン認識アルゴリズム(例えば、恣意的形状を検出するための一般化ハフ変換、円形ハフ変換等)、および数学分析アルゴリズム(例えば、フーリエ変換、高速フーリエ変換、ウェーブレット分析、自己相関、サビツキー・ゴーレイ平滑化、固有分析等)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0201】
マイクロプレート取扱ロボット:いくつかの事例では、本システムはさらに、サンプルおよび/または試薬のための源としての役割を果たす、マイクロプレートを運搬および交換するように構成される、マイクロプレート取扱ロボットモジュールを備えてもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、例えば、障害が検出された後に、本システムで使用されるマイクロ流体デバイスを運搬および交換するように構成される、マイクロ流体デバイス取扱ロボットモジュールを備えてもよい。いくつかの事例では、マイクロプレート取扱およびマイクロ流体デバイス取扱は、同一のロボットモジュールによって取り扱われてもよい。いくつかの事例では、カスタムロボットが、これらの機能を実施するように、開示されるシステムに組み込まれてもよい。いくつかの事例では、市販のロボットシステムは、これらの機能を実施するように、開示されるシステムに適合および/または統合されてもよい。好適なマイクロプレート取扱ロボットシステムの実施例は、限定ではないが、Tecan Robotic Gripper Arms(Tecan Trading AG, Switzerland)およびAgilent Direct Drive and BenchBot Robots(Agilent Technologies, Santa Clara, CA)を含む。
【0202】
障害モード検出および回復:いくつかの事例では、開示されるシステムは、システム障害、例えば、サンプル装填の間の気泡導入または分離工程の間の気泡形成に起因する電流損失、誤って調製されたサンプルに起因する誤った電流プロファイル、サンプルプレート内の空または充填不足のウェルに起因する電流がないことの自動検出のために構成されてもよい。いくつかの事例では、開示されるシステムは、障害にフラグを付け、障害が対応する分離チャネル内で検出された、サンプルを自動的に再起動するように構成されてもよい。いくつかの事例では、例えば、開示されるシステムは、マイクロタイタープレートまたは他のサンプル源から具体的サンプルを再装填し、分離反応を再起動するように構成されてもよい。
【0203】
温度制御:いくつかの事例では、開示されるシステムおよび方法は、温度制御を受けてもよい。いくつかの事例では、システムの一部(例えば、デバイスの一部)が、温度制御を受けてもよい。いくつかの事例では、システムもしくはシステムの1つまたはそれを上回る構成要素が、例えば、ペルチェ、ファンまたは他の放熱器、エアナイフを使用して、冷却されてもよい。いくつかの事例では、冷却システムは、廃棄物管理システム(例えば、エアナイフ)と統合されてもよい。いくつかの事例では、冷却システムは、冷却のための圧縮機を備えてもよい。いくつかの事例では、本システムは、環境または温度制御チャンバを備えてもよい。いくつかの事例では、冷却ブロックまたは予冷されたブロックが、使用されてもよい(例えば、ステージもしくはカートリッジに結合される)。いくつかの事例では、その構成要素のシステムは、環境との熱交換を可能にする材料から構築されてもよい。いくつかの事例では、本システムは、液体熱交換器を備えてもよい。
【0204】
用途:開示される方法、デバイス、およびシステムは、限定ではないが、プロテオミクス研究、細胞研究、創薬および開発、ならびに臨床診断を含む、種々の分野で潜在的用途を有する。例えば、開示される方法を使用して、被分析物サンプルの分離ベースの特性評価のために達成され得る、改良された再現性および定量は、開発および/または製造の間の生物学的ならびにバイオ後続医薬品の特性評価のために大いに有益であり得る。
【0205】
生物製剤およびバイオ後続品は、例えば、組み換えタンパク質、抗体、生ウイルスワクチン、ヒト血漿由来タンパク質、細胞ベースの薬剤、天然源のタンパク質、抗体・薬物共役、タンパク質・薬物共役、および他のタンパク質薬物を含む、薬物の種類である。FDAおよび他の規制機関は、構造、機能、動物毒性、ヒト薬物動態(PK)および薬力学(PD)、臨床免疫原性、ならびに臨床安全性および有効性に関する提案された製品および参照製品の比較を含み得る、生物類似性を実証することへの段階的アプローチの使用を要求する(例えば、“Scientific Considerations in Demonstrating Biosimilarity to a Reference Product: Guidance for Industry”, U.S. Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration, April 2015参照)。タンパク質製品のために要求され得る、構造特性評価データの実施例は、一次構造(すなわち、アミノ酸配列)、二次構造(すなわち、アルファ螺旋またはベータシート構造を形成するための折畳の程度)、三次構造(すなわち、ポリペプチド骨格および二次構造ドメインの折畳によって産生されるタンパク質の3次元形状)、および四次構造(例えば、活性タンパク質複合体またはタンパク質の凝集状態を形成するために要求されるサブユニットの数)を含む。多くの場合、本情報は、X線結晶構造解析等の労力を有する時間集約的で高価な技法を採用することなく、入手可能ではない場合がある。したがって、候補生物学的薬物と参照薬物との間の生物類似性を確立する目的のために、タンパク質構造の便宜的でリアルタイムかつ比較的に高スループットの特性評価を可能にする、実験技法の必要性が存在する。
【0206】
いくつかの事例では、開示される方法、デバイス、およびシステムは、生物類似性を確立する目的のために、生物学的薬物候補(例えば、モノクローナル抗体(mAb))および参照生物学的薬物のための構造比較データを提供するために使用されてもよい。例えば、いくつかの事例では、薬物候補および参照薬物のための等電点の決定は、生物類似性の実証を支持して重要な証拠を提供し得る。いくつかの実施形態では、両方とも同じ反応条件下で部位特異的プロテアーゼを用いて処置された、薬物候補および参照薬物のための等電点データは、生物類似性の実証を支持して重要な証拠を提供し得る。いくつかの実施形態では、開示される方法、デバイス、およびシステムは、生物学的薬物製造プロセスを監視し(例えば、リアルタイムでバイオリアクタプロセスを監視し)、生産プロセスにおける異なる時点で採取されるサンプルまたは異なる生産工程から採取されるサンプルを分析することによって、製品の品質および一貫性を確実にするために使用されてもよい。
【0207】
並行して複数の独立して制御された分離反応を実施するための開示されるデバイスおよびシステムは、現在利用可能な技術と比べていくつかの利点、例えば、より詳細かつ正確なサンプル特性評価(例えば、pIのより正確な決定)のために、(例えば、異なるpH勾配、異なる集束時間、異なる集束電圧等を使用して)異なるチャネル内で異なる等電点電気泳動反応(もしくは他の分離反応)を実施する能力、またはより高いスループットのサンプル特性評価のための分離反応条件の同一のセットを使用して、並行して複数のサンプルを同時に処理する能力を提供する。さらに、分離チャネル毎に使用される電流トレースおよび/または電圧設定の独立した監視ならびに/もしくは記録は、生物類似性等を実証しようとするときに、FDA提出のためのデータ追跡要件を満たすことに有利であり得る。留意されるように、いくつかの事例では、開示されるデバイスおよびシステムは、サンプル工程障害、例えば、マイクロ流体デバイス内の気泡の存在または形成を識別するように、かつ、例えば、マイクロタイタープレートもしくは他のサンプル源からサンプルを自動的に再装填し、分離反応を繰り返すことによって、回復ステップを開始するように構成されてもよい。
【0208】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態は、一例のみとして提供されることが、当業者に明白であろう。本発明が本明細書内に提供される具体的実施例によって限定されることは、意図されない。本発明は、前述の明細書を参照して説明されたが、本明細書の実施形態の説明および例証は、限定的な意味で解釈されるように意図されていない。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。さらに、本発明の全ての側面は、種々の条件および変数に依存する、本明細書に記載される具体的描写、構成、または相対的割合に限定されないことを理解されたい。本明細書に説明される発明の実施形態の種々の代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。したがって、本発明はまた、任意のそのような代替物、修正、変形例、または均等物を網羅するものとすることが検討される。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法ならびに構造は、それによって網羅されることが意図される。
【実施例0209】
これらの実施例は、本明細書に提供される請求項の範囲を限定するためではなく、例証的目的のためのみに提供される。
(実施例1)実施例1-4つの分離チャネルを備えるマイクロ流体デバイス
【0210】
図1Aは、複数の分離反応、例えば、等電点電気泳動反応を実施するためのマイクロ流体デバイスの1つの非限定的実施例の図面を提供する。本デバイスは、幅が210ミクロン、深度が100ミクロンである、流体チャネルが、例えば、エンボス加工、レーザ微小機械加工、またはフォトリソグラフィおよびウェット化学エッチングを使用して加工される、溶融石英を含む、略平面的であり得る下側基板101を備える。流体チャネルは、基板101を透明カバースリップ102に接合することによって、シールされる。いくつかの事例では、例えば、UV吸光度画像が分離および/または動員反応を監視するために使用される場合において、基板101は、光学的に透明な材料から加工されてもよい。例えば、落射蛍光画像が分離および/または動員反応を監視するために使用される、いくつかの事例では、基板101は、光学的に不透明な材料から加工されてもよい。長方形として図示されるが、本デバイスは、任意の有用な形状をとり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、流体が、デバイスから離れるように(例えば、廃棄物レセプタクルまたは分析ユニット、例えば、質量分析計に)指向されることを可能にし得る、(例えば、遠位端における)先端を備えてもよい。
【0211】
デバイス内の流体チャネルへのアクセスが、サンプル入口ポート103、アノードウェル104、カソードウェル106、サンプル出口ポート107、および化学動員剤入口ポート109を通して提供される。1つのアノードウェル104およびカソードウェル106は、それぞれ、各分離チャネル105の近位端および遠位端と流体連通ならびに電気通信する(4つの分離チャネルが、本非限定的実施例に示される)。電極は、いくつかの事例では、アノードウェル104およびカソードウェル106と接触して設置されることができる。分離チャネルは、カソードウェル106を越えてサンプル出口ポート107まで延在する(図に示される4つの分離チャネルのうちの2つに関してのみ標識される)。化学動員剤入口ポート109は、化学動員チャネル108を介して分離チャネル105の遠位端に接続される(図に示される4つの分離チャネルのうちの2つに関してのみ標識される)。
図1Aに図示されるように、入口ポート109および出口ポート107は、デバイスの側面を通して装填されるように構成されてもよく、これは、全チャネルまたは全デバイス撮像を促進し得る。
【0212】
複数の等電点電気泳動反応を実施し、タンパク質の混合物を分離する際の使用のために、タンパク質サンプルが、バイアルの中に設置し、オートサンプラの中に装填する前に、両性電解質pH勾配およびpIマーカと予混合される。サンプルは、サンプル入口ポート103を介してオートサンプラによってデバイスの中に、マイクロ流体デバイス上に、分離チャネル105を通して、サンプル出口ポート107を通して廃棄物までデバイスから外に、連続的に装填される。
【0213】
陰極液流体(例えば、H2O内の1%N4OH)が、カソードウェル106の中に装填され、陽極液(例えば、10mMH3PO4)が、アノードウェル104の中に装填され、動員剤溶液(例えば、49%MeOH、49%H2O、1%酢酸)が、動員剤入口ポート109に接続される。
【0214】
全ての試薬が装填された後、例えば、+600V/cmの電場が、電極をアノードウェル104およびカソードウェル106に接続し、等電点電気泳動を開始することによって、アノードウェル104のうちの1つまたはそれを上回るものから対応するカソードウェル106に印加される。上記のように、分離チャネル105のそれぞれに印加される電圧および/または電流は、独立して制御されてもよく、また、時間の関数として記録されてもよい。いくつかの事例では、アノードおよびカソードのために使用される電極は、デバイスと統合されてもよい。UV吸光度画像に関して、UV光源によって提供される光のコリメートされたビームが、分離チャネル105と整合され、画像センサ(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)が、分離チャネル105のそれぞれを通して透過される光の量を測定し、それによって、それらの吸光度によって集束されたタンパク質(または他の分離された被分析物)を撮像および検出するように、分離チャネル105の反対側に設置される。いくつかの事例では、集束されたタンパク質は、非標識され、220nm、280nm、またはタンパク質が光を吸収するであろう任意の他の波長における固有吸光度を通して検出されてもよい。蛍光画像、すなわち、落射蛍光画像に関して、好適な波長の励起光が、好適なダイクロイック反射体および帯域通過フィルタを備える、光学アセンブリを用いて、分離チャネル105に送達され、放出された蛍光が、同一の光学アセンブリによって分離チャネル105から収集され、画像センサ上に撮像される。いくつかの事例では、集束されたタンパク質(または他の分離された被分析物)は、固有蛍光を使用して撮像および検出されてもよい。いくつかの事例では、集束されたタンパク質は、SYPRO(登録商標)Ruby、クーマシーブルー、および同等物等の非共有結合蛍光性、発色性、蛍光、または発色標識を使用して、検出されてもよい。いくつかの事例では、デバイスの一部は、光が、分離チャネル105を通してのみ透過され、それによって、任意の迷光が、分離チャネル105を通して通過することなく画像センサに到達し、UV吸光度測定の感度を増加させないように阻止し得るように、光学的に不透明な材料から構築されてもよい。
【0215】
分離チャネル105の全てまたは一部内の集束タンパク質の画像は、等電点電気泳動反応が複数の分離チャネル105内で実施されるにつれて、持続的および/または周期的に捕捉されることができる。いくつかの事例では、分離チャネル105の画像内のpIマーカの位置の検出が、分離チャネルに沿った位置の関数として局所pHを決定し、外挿によって、分離されたタンパク質(または他の被分析物)のためのpIのより正確な決定を行うために、使用されてもよい。いくつかの事例では、集束が完了したとき、陽圧が、サンプル出口107に向かって分離されたタンパク質(または他の被分析物)混合物を動員するように、サンプル入口ポート103および/またはアノードウェル104において印加される。いくつかの事例では、集束が完了したとき、カソードウェル106に接続された電極が、接続解除され、動員剤チャネル108と電気通信する電極が、アノードウェル104からの600V/cmの電場を化学動員剤入口109に印加し、動員剤を分離チャネル105の中に電気泳動的に導入するために、使用される。いくつかの事例では、動員剤入口109に印加される軽微な陽圧が、化学動員剤の電気泳動導入の代わりに、またはそれに加えて、使用されてもよい。
【0216】
動員剤の電気泳動導入の場合、動員剤溶液内の酢酸は、電場によって分離チャネル105の中に引き込まれ、そこで、タンパク質および両性電解質をイオン化し、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配を乱す。濃縮タンパク質分画のイオン化は、それらをサンプル出口107に向かって分離チャネル105から外に遊走させる。動員プロセスの間に分離チャネル105を撮像し続けることは、分離されたタンパク質毎にpIの決定を精緻化するために使用されることができる。
(実施例2)実施例2-生物類似性の実証のための開示されるデバイスおよびシステムの使用の予言的実施例
【0217】
開示されるデバイスおよびシステムの有用性の1つの非限定的実施例は、生物製剤および生物類似性の実証の分野内である。上記のように、FDAおよび他の規制機関は、構造、機能、動物毒性、ヒト薬物動態(PK)および薬力学(PD)、臨床免疫原性、ならびに臨床安全性および有効性に関する提案された製品ならびに参照製品の比較を含み得る、生物類似性を実証することへの段階的アプローチの使用を要求する。タンパク質製品のために要求され得る、構造特性評価データの実施例は、一次構造(すなわち、アミノ酸配列)、二次構造(すなわち、アルファ螺旋またはベータシート構造を形成するための折畳の程度)、三次構造(すなわち、ポリペプチド骨格および二次構造ドメインの折畳によって産生されるタンパク質の3次元形状)、および四次構造(例えば、活性タンパク質複合体またはタンパク質の凝集状態を形成するために要求されるサブユニットの数)を含む。タンパク質等電点の正確な決定は、生物類似性を実証するために、参照薬物への生物学的薬物候補の比較のための重要なデータを提供し得る。製造されたバイオ後続候補および参照薬物のサンプルアリコートは、開示されるデバイスまたはシステムの中に装填され、反応条件の1つまたはそれを上回るセットの下で正確なpI値を決定し、バイオ後続薬物候補および参照薬物のための貴重な比較データを提供するように、(例えば、異なる緩衝剤、pH勾配、印加された電圧、および/または電流等を使用して)等電点電気泳動反応条件の1つまたはそれを上回るセットの下で特性評価されてもよい。さらに、個々の分離反応毎の電流トレース(および等電点電気泳動反応を実施するために使用される他の動作パラメータ)の監視および記録は、FDAデータ提出要件へのコンプライアンスを促進する。
【0218】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態は、一例のみとして提供されることが、当業者に明白であろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される発明の実施形態の種々の代替物が、本発明を実践する際に任意の組み合わせで採用され得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法ならびに構造は、それによって網羅されることが意図される。
(実施例3)実施例3-側面ポートを備えるマイクロ流体デバイス
【0219】
図2は、1回またはそれを上回る分離反応、例えば、等電点電気泳動反応を実施するためのマイクロ流体デバイスの1つの非限定的実施例の概略俯瞰図を提供する。本デバイスは、幅が210ミクロン、深度が100ミクロンである、流体チャネルが、例えば、エンボス加工、レーザ微小機械加工、またはフォトリソグラフィおよびウェット化学エッチングを使用して加工される、略平面的であり得る基板201を備える。流体チャネルは、基板201を透明カバースリップ(図示せず)に接合することによって、シールされることができる。いくつかの事例では、例えば、UV吸光度画像が分離および/または動員反応を監視するために使用される場合において、基板201は、光学的に透明な材料から加工されてもよい。例えば、落射蛍光画像が分離および/または動員反応を監視するために使用される、いくつかの事例では、基板201は、光学的に不透明な材料から加工されてもよい。
【0220】
デバイス内の流体チャネルへのアクセスが、チップの側面上に位置し得る、サンプル入口ポート207を通して提供される。チップはまた、電極リザーバ(例えば、アノードウェル206、カソードウェル204)と、サンプル出口ポート203と、化学動員剤入口ポート209とを備えてもよい。1つのアノードウェル206およびカソードウェル204は、それぞれ、分離チャネル205の近位端および遠位端と流体連通ならびに電気通信する。化学動員剤入口ポート209は、化学動員チャネルを介して分離チャネル205の遠位端に接続される。
【0221】
複数の等電点電気泳動反応を実施し、タンパク質の混合物を分離する際の使用のために、タンパク質サンプルが、バイアルの中に設置し、オートサンプラの中に装填する前に、両性電解質pH勾配およびpIマーカと予混合される。サンプルは、サンプル入口ポート207を介してオートサンプラによってデバイスの中に、マイクロ流体デバイス上に、分離チャネル205を通して、サンプル出口ポート203を通して廃棄物までデバイスから外に、連続的に装填される。
【0222】
陰極液流体(例えば、H
2O内の1%N
4OH)が、カソードウェル204の中に装填され、陽極液(例えば、10mMH
3PO
4)が、アノードウェル206の中に装填され、動員剤溶液(例えば、49%MeOH、49%H
2O、1%酢酸)が、動員剤入口ポート209に接続される。膜(図示せず)が、電極とのデバイスの電気通信および流体連通を提供するように、アノードまたはカソードウェル(206および204)のうちのいずれかと界面接触されてもよい。サンプル出口またはESI先端203の等角断面概略図が、
図3に示される。
【0223】
図2を参照すると、全ての試薬が装填された後、例えば、+600V/cmの電場が、電極を電極リザーバ(アノードウェル206およびカソードウェル204)に接続し、等電点電気泳動を開始することによって、アノードウェル206のうちの1つまたはそれを上回るものから対応するカソードウェル204に印加される。上記のように、分離チャネル205のそれぞれに印加される電圧および/または電流は、独立して制御されてもよく、また、時間の関数として記録されてもよい。いくつかの事例では、アノードおよびカソードのために使用される電極は、デバイスと統合されてもよい。UV吸光度画像に関して、UV光源によって提供される光のコリメートされたビームが、分離チャネル205と整合され、画像センサ(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)が、分離チャネル205のそれぞれを通して透過される光の量を測定し、それによって、それらの吸光度によって集束されたタンパク質(または他の分離された被分析物)を撮像および検出するように、分離チャネル205の反対側に設置される。いくつかの事例では、集束されたタンパク質は、非標識され、220nm、280nm、またはタンパク質が光を吸収するであろう任意の他の波長における固有吸光度を通して検出されてもよい。蛍光画像、すなわち、落射蛍光画像に関して、好適な波長の励起光が、好適なダイクロイック反射体および帯域通過フィルタを備える、光学アセンブリを用いて、分離チャネル205に送達され、放出された蛍光が、同一の光学アセンブリによって分離チャネル205から収集され、画像センサ上に撮像される。いくつかの事例では、集束されたタンパク質(または他の分離された被分析物)は、固有蛍光を使用して撮像および検出されてもよい。いくつかの事例では、集束されたタンパク質は、SYPRO(登録商標)Ruby、クーマシーブルー、および同等物等の非共有結合蛍光性、発色性、蛍光、または発色標識を使用して、検出されてもよい。いくつかの事例では、デバイスの一部は、光が、分離チャネル205を通してのみ透過され、それによって、任意の迷光が、分離チャネル205を通して通過することなく画像センサに到達し、UV吸光度測定の感度を増加させないように阻止し得るように、光学的に不透明な材料から構築されてもよい。
【0224】
分離チャネル205の全てまたは一部内の集束タンパク質の画像は、等電点電気泳動反応が複数の分離チャネル205内で実施されるにつれて、持続的および/または周期的に捕捉されることができる。いくつかの事例では、分離チャネル205の画像内のpIマーカの位置の検出が、分離チャネルに沿った位置の関数として局所pHを決定し、外挿によって、分離されたタンパク質(または他の被分析物)のためのpIのより正確な決定を行うために、使用されてもよい。いくつかの事例では、集束が完了したとき、陽圧が、サンプル出口203に向かって分離されたタンパク質(または他の被分析物)混合物を動員するように、サンプル入口ポート207および/またはアノードウェル206において印加される。いくつかの事例では、集束が完了したとき、カソードウェル204に接続された電極が、接続解除され、動員剤チャネル208と電気通信する電極が、アノードウェル206からの600V/cmの電場を化学動員剤入口209に印加し、動員剤を分離チャネル205の中に電気泳動的に導入するために、使用される。いくつかの事例では、動員剤入口209に印加される軽微な陽圧が、化学動員剤の電気泳動導入の代わりに、またはそれに加えて、使用されてもよい。
【0225】
動員剤の電気泳動導入の場合、動員剤溶液内の酢酸は、電場によって分離チャネル205の中に引き込まれ、そこで、タンパク質および両性電解質をイオン化し、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配を乱す。濃縮タンパク質分画のイオン化は、それらを分離チャネル205から外に遊走させる。動員プロセスの間に分離チャネル205を撮像し続けることは、分離されたタンパク質毎にpIの決定を精緻化するために使用されることができる。
(実施例4)実施例4-真空装置を使用する廃棄物管理
【0226】
図4は、例示的廃棄物管理システムの概略図を提供する。いくつかの事例では、廃棄物管理システムは、マイクロ流体デバイス401から離れるように廃棄物を指向するために使用されてもよい。いくつかの事例では、廃棄物管理システムはまた、デバイス401の別の部分への液滴の吸い上げを防止するために使用されてもよい。
図4に示されるように、デバイス401は、ステージ405に結合されてもよい。ある場合には、マイクロ流体デバイス401は、次いで、ステージ405に結合し得る、カートリッジの中に挿入されてもよい。ステージおよび/またはカートリッジは、デバイス401に流体的ならびに/もしくは電気的に接続するための管類および取付部を備えてもよい。廃棄物管理システムは、真空装置407を備えてもよい。真空装置407は、角のように成形されてもよく、真空をデバイス401の先端に印加するように構成されてもよい。いくつかの事例では、装置407は、フランジ403等のアダプタを使用して、デバイス401の一部に取り付けられるように構成されてもよい。フランジ403は、それを通してデバイス401の一部(尖端として図式的に図示される)が嵌合し得る、スリットを備えてもよい。真空装置407は、異なる位置まで旋回または移動するように構成されてもよい。例えば、第1の構成では、装置407は、廃棄物レセプタクルに向かって指向され、それによって、真空409の印加に応じて、廃棄生成物を廃棄物レセプタクルに指向してもよい。第2の構成では、装置407は、サンプルまたは被分析物が、例えば、別個の分析ユニット、例えば、質量分析計に指向され得るように、回転されてもよい。
【0227】
いくつかの事例では、ステージ405は、デバイス401を移動させるように構成されてもよい。例えば、ステージは、デバイス401の1つまたはそれを上回るチャネルと略平行であり得る方向へのデバイス401の平行移動を可能にしてもよい。いくつかの事例では、ステージ405は、1つまたはそれを上回る方向へのデバイス401の平行移動を可能にしてもよい。例えば、ステージ405は、デバイス401の1つまたはそれを上回るチャネルと略平行である方向、ならびにデバイス401の1つまたはそれを上回るチャネルに略垂直もしくは直交である方向へのデバイス401の平行移動を可能にしてもよい。ステージ405は、デバイス401が、下流分析ユニット(例えば、質量分析計)と統合され得るように、デバイス401の位置を調節するように構成されてもよい。
【0228】
図5は、別の例示的廃棄物管理システムの概略図を提供する。
図4に示される実施例と同様に、廃棄物管理システムは、マイクロ流体デバイス501から離れるように廃棄物を指向するために、および/またはデバイス501の別の部分への液滴の吸い上げを防止するために、使用されてもよい。デバイス501は、ステージ505に結合されてもよい。ある場合には、マイクロ流体デバイス501は、次いで、ステージ505に結合し得る、カートリッジの中に挿入されてもよい。ステージおよび/またはカートリッジは、デバイス501に流体的ならびに/もしくは電気的に接続するための管類および取付部を備えてもよい。廃棄物管理システムは、真空装置507を備えてもよい。真空装置507は、シリンダーのように成形されてもよく、真空をデバイス501の先端に印加するように構成されてもよい。いくつかの事例では、装置507は、フランジ503等のアダプタを使用して、デバイス501の一部に取り付けられるように構成されてもよい。フランジ503は、それを通してデバイス501の一部(尖端として図式的に図示される)が嵌合し得る、スリットを備えてもよい。真空装置507は、真空509を印加し、廃棄生成物を廃棄物レセプタクルに指向するために使用されてもよい。例えば、真空装置507は、チップ(例えば、フランジ503を使用して界面接触される)と質量分析計との間に設置されてもよく、真空装置507は、開口部モジュール、例えば、廃棄生成物が質量分析計に到達しないように、デバイス501から離れるように廃棄生成物を指向する、真空トンネル511を備えてもよい。真空509は、真空装置507に印加されてもよく、液滴がデバイス501から退出するにつれて、液滴を吸引してもよい。いくつかの事例では、真空装置507は、本明細書に説明されるような1つまたはそれを上回る撮像システムが、エレクトスプレー先端を撮像するために使用され得るように、透明であり得る。
【0229】
別の実施形態では、真空は、真空に取り付けられるように構成され得る、モジュール式デバイスを通して印加されてもよい。例えば、
図6は、クランプモジュール615を備える、廃棄物管理システムの別の実施例を図式的に示す。クランプは、デバイス601に固着されてもよく、真空609が、クランプデバイス615に印加され、それによって、マイクロ流体デバイスから離れるように廃棄生成物を指向してもよい。いくつかの事例では、デバイス601は、ステージ605に結合される、またはステージ605に結合し得るカートリッジの中に挿入されてもよい。別の実施例では、
図7は、管真空装置707を備える、廃棄物管理システムの別の実施例を図式的に示す。管は、デバイス701の近傍に位置付けられ、それによって、マイクロ流体デバイス701から離れるように廃棄生成物を指向してもよい。真空709が、マイクロ流体デバイスから離れるように廃棄生成物を指向するように、管真空装置707に印加されてもよい。いくつかの事例では、管は、廃棄生成物が、下流分析ユニット、例えば、質量分析計に干渉することなく、マイクロ流体デバイスから離れるように指向され得るように、デバイス701に略直交して位置付けられてもよい。デバイス701は、ステージ705に結合される、またはその上に位置付けられてもよい。
(実施例5)実施例5-陽圧を使用する廃棄物管理
【0230】
いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、陽圧の使用を含んでもよい。例えば、
図8では、エアナイフ807が、デバイス801から離れるように液滴を指向するために使用されてもよい。そのような実施例では、エアナイフ807は、空気圧を発生させ、液滴を排出する、またはデバイス801から離れるように液滴を指向するように、空気源および/または加圧器に接続されてもよい。いくつかの事例では、本システムはさらに、デバイス801から離れるように指向される液滴を収集するために使用され得る、真空ユニット(図示せず)を備えてもよい。
図4-7と同様に、デバイス801は、ステージ805に結合されてもよい、またはステージ805に結合し得るカートリッジに結合されてもよい。
【0231】
いくつかの事例では、廃棄物管理モジュールは、噴霧ユニットを備えてもよい。
例えば、ネブライザは、チップに固着するように構成されてもよい。ネブライザは、液滴または廃棄生成物が、エレクトスプレー先端もしくは出口から離れるように(例えば、廃棄物レセプタクルに)指向されるように、チップに向かって空気を指向するために必要な幾何学形状を備えてもよい。
【0232】
図9は、デバイス901に結合または固着するように構成され得る、例示的ネブライザ907を図式的に図示する。ネブライザ907は、チャンバと、ネブライザ907の内側に空気または窒素ガスを指向し得る入口とを備えてもよい。ネブライザは、加えて、(例えば、ノズル、漏斗等を介して)ネブライザから外に空気または窒素ガスを指向するためのスリットを備えてもよい。ネブライザは、デバイス901の出口に向かって空気または窒素を指向し、それによって、デバイス901から離れるように廃棄生成物を指向するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ネブライザ907は、廃棄生成物をエアロゾル化するために使用されてもよい。
【0233】
図10A-Dは、ネブライザ1007のための設計の付加的実施例を図式的に図示する。ネブライザ1007は、デバイス1001に結合または固着するように構成されてもよい。
図9と同様に、ネブライザ1007は、チャンバと、ネブライザ1007の内側に空気または窒素ガスを指向し得る入口とを備えてもよい。ネブライザは、加えて、(例えば、ノズル、漏斗等を介して)ネブライザから外に空気または窒素ガスを指向するためのスリットを備えてもよい。ネブライザは、デバイス1001の出口に向かって空気を指向し、それによって、デバイス1001から離れるように廃棄生成物を指向するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ネブライザ1007は、廃棄生成物をエアロゾル化するために使用されてもよい。
【0234】
図11A-Dは、別の例示的ネブライザ1107を図式的に図示する。ネブライザ1107は、デバイス1101に結合または固着するように構成されてもよい。
図9-10と同様に、ネブライザ1107は、チャンバと、ネブライザ1107の内側に空気または窒素ガスを指向し得る入口とを備えてもよい。ネブライザは、加えて、(例えば、ノズル、漏斗等を介して)ネブライザから外に空気または窒素ガスを指向するためのスリットを備えてもよい。ネブライザは、デバイス1101の出口に向かって空気を指向し、それによって、デバイス1101から離れるように廃棄生成物を指向するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ネブライザ1107は、廃棄生成物をエアロゾル化するために使用されてもよい。ネブライザ1107はまた、ネブライザ1107をステージ1105に、またはある実施形態では、カートリッジ(図示せず)に固着させるための締結具1113、例えば、ねじを備えてもよい。
(実施例6)実施例6-膜を伴う固定具(電極界面接触ユニット)
【0235】
図12は、本明細書に説明されるもの等の固定具1200の実施例を図式的に図示する。固定具1200は、1つまたはそれを上回る電極をシステムの1つまたはそれを上回る構成要素(例えば、マイクロ流体デバイスの1つまたはそれを上回る入口)と界面接触させるように構成されてもよい。電極は、デバイスを備える弁1205を通した接続を介して、デバイスまたはカートリッジと流体連通および電気通信し得る、複数のリザーバ1203と界面接触するように構成されてもよい。リザーバ1203は、分離および/または動員反応で使用するための試薬ならびに/もしくは緩衝剤を備えてもよい。いくつかの事例では、固定具1200は、弁1205を通した接続を介して、電極およびマイクロ流体デバイスまたはカートリッジの電気通信を可能にする、1つまたはそれを上回る膜(図示せず)を備えてもよい。例えば、膜は、各リザーバ1203の底部に位置付けられてもよく、これは、弁1205を通した接続を介して、デバイスまたはカートリッジへのリザーバおよび電極の流体連通および電気通信を可能にし、弁1205を通した接続を介して、リザーバおよびデバイスまたはカートリッジの界面における気泡形成の発生率を低減させ得る。
【0236】
いくつかの事例では、固定具の幾何学形状は、膜を位置付け、マイクロ流体デバイスとの流体連通および/または電気通信を確立するように構成されてもよい。
図13A-Fは、膜(図示せず)を備える、固定具1300の一部を図式的に図示する。
図13Aでは、固定具1300の一部は、挿入物、例えば、リザーバ1303に接続され、膜およびマイクロ流体デバイス(図示せず)との流体連通および電気通信を可能にし得る、U字形構造1305を備えてもよい。固定具1300は、分離チャネル(図示せず)に結合される、出口流体チャネル1306に流体的に結合される、入口流体チャネル1304を備える。入口流体チャネル1304および出口流体チャネル1306は、リザーバ1303の表面を画定する、またはそれと平行である、平面1308において交差する。平面1308において、またはそれに隣接して、膜(図示せず)が、位置付けられてもよい。膜は、入口流体チャネル1304および出口流体チャネル1306の交差部(例えば、平面1308)を備える、開口部の全てまたは実質的に全てを被覆してもよい。
【0237】
図13Bは、膜が位置付けられ得る、固定具の一部の底部の図を図式的に図示する。
図13Cは、U字形構造1305を備える、挿入物の断面図を提供する。挿入物のU字形構造1305は、膜の実質的に気泡がない湿潤を促進し得る、入口流体経路1310と、出口流体経路1312とを備える。
図13Dは、固定具の一部の底部の図の概略図を提供する。膜は、(例えば、流体入口経路1310および/または流体出口経路1312を介して)固定具1300のリザーバ1303に接続され得る、2つのポート1307を流体的ならびに/もしくは電気的に接続してもよい。
図13Eは、U字形構造1305の別の図を提供する。U字形構造1305は、膜1309を備える、またはそれに結合されてもよい。リザーバ1303および膜1309との流体連通ならびに電気通信が、入口流体経路1310および/または出口流体経路1312を介して、ポート1307を使用して確立されてもよい。
図13Fは、U字形構造1305の別の図を提供する。膜1309は、チャネル1315に接続され得る、ポート1311に結合または接続されてもよい。チャネル1315は、いくつかの事例では、マイクロ流体デバイスまたは分離チャネルに接続し得る、入口流体チャネル(U字形構造にまで至る領域)と、出口流体チャネル(U字形構造に続く領域)とを備えてもよい。接続は、リザーバ(図示せず)およびチャネル1315との流体連通ならびに電気通信を確立してもよい。
(実施例7)実施例7-リザーバ充填
【0238】
図14は、試薬を本明細書に説明されるシステムの1つまたはそれを上回るリザーバ1403に提供する例示的方法を図式的に図示する。固定具(例えば、1200および1300)の一部であり得る、リザーバ1403は、例えば、分離反応および/または動員反応のために、緩衝剤もしくは試薬で充填されてもよい。いくつかの事例では、リザーバの底部からリザーバを充填することが望ましくあり得る。試薬および/または緩衝剤が、入口流体チャネル1404を介して導入されてもよい。いくつかの事例では、リザーバ1403は、リザーバ1403が、上向きの構成に移動され、充填され、次いで、開始構成に戻るようにリザーバ1403を移動させることによって、再度シールされ得るように、(例えば、平行移動を介して)移動するように構成されてもよい。出口流体チャネル1406は、(例えば、ポートおよび/または入口もしくは出口流体チャネルを介して)デバイスまたは分離チャネルと流体的ならびに/もしくは電気的に接続されてもよい。
【0239】
いくつかの事例では、リザーバは、従来の方法を使用して充填されてもよい。
図15は、試薬を1つまたはそれを上回るリザーバ1503に提供する例示的方法を図式的に図示する。そのような実施例では、ピペット(例えば、ピペット、マイクロピペット等)1519が、緩衝剤または試薬をリザーバ1503の中に導入するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、リザーバ1503はさらに、側面ポート1521を備えてもよい。側面ポート1521を介した緩衝剤または試薬の導入は、リザーバ1503の底部における膜の上に気泡を閉じ込めることの防止に役立ち得る。
(実施例8)実施例8-カートリッジ設計
【0240】
図16は、本明細書のある実施形態に説明されるようなカートリッジを備える、例示的システムを図式的に図示する。カートリッジ1600は、複数の入口ポート1602を備え得る、マイクロ流体デバイス1601を備えてもよい。ポート1602は、(例えば、高電圧電力供給源に接続される電極を介して、その電極は、1つまたはそれを上回るリザーバ1603に接続される)高電圧電力供給源に接続され得る、ポート1623と電気通信および流体連通してもよい。ポートは、試薬または緩衝剤(例えば、陽極液、陰極液、動員剤、および背景電解質)を備える、リザーバ1603と流体連通ならびに電気通信してもよい。リザーバ1603からの試薬または緩衝剤の流動は、弁1625を使用して制御されることができる。ある場合には、1つまたはそれを上回るリザーバ1603はまた、リザーバ1603からポート1623への弁1625までの流率および/または流動プロファイルを安定させ得る、制限器1627(例えば、長い管類)に接続されてもよい。リザーバ1603はそれぞれ、異なる試薬または緩衝剤を備えてもよく、例えば、1つのリザーバが、陽極液緩衝剤を備えてもよく、別のリザーバが、陰極液緩衝剤を備えてもよく、さらに別のリザーバは、動員緩衝剤を備えてもよい。カートリッジ1600またはデバイス1601はまた、弁1625を介してサンプルをカートリッジ1600またはデバイス1601に供給するために使用され得る、サンプルラインに接続されてもよい。
【0241】
図17-20は、カートリッジの例示的実施形態を示す。
図17では、カートリッジ1700は、膜1709に結合され得るリザーバ1703と、管1711と、リザーバをシールし、例えば、電極の挿入のため、またはリザーバを充填するための孔を備え得る、プラグ1713とを備えてもよい。カートリッジ1700は、加えて、サンプルを挿入および/または注入するためのチャネル1718を備えてもよい。デバイス1701は、ステーク特徴1715を使用して、カートリッジ1700に固着されてもよい。
図18は、カートリッジの別の実施例を示す。アダプタ1817が、リザーバ1803の容易な充填のためにカートリッジに結合されてもよい。
図19A-Bは、弁を備える、カートリッジの別の実施例を示す。
図19Aでは、コック栓弁1921が、各リザーバ1903と統合されてもよく、これは、流率制御を可能にし得る。
図19Bでは、スライダ弁1923が、各リザーバ1903と統合されてもよい。
図20は、カートリッジの別の例示的実施形態を示す。デバイス2001は、カートリッジ2000に固着され、いくつかのポート2002および/または入口流体チャネルもしくは出口流体チャネルを介して、リザーバ(図示せず)ならびに/もしくはサンプルに流体的および/または電気的に接続されてもよい。流体接続が、ガスケット2030またはOリングを使用して固着されてもよい。
【0242】
図21は、デバイスをカートリッジに固着させるために使用され得る、固着特徴の実施例を図式的に示す。カートリッジ2100は、デバイス2101をカートリッジ2100に締結するために使用され得る、ねじ2129を備えてもよい。カートリッジ2100は、1つ、2つ、3つ、またはそれを上回るねじ2129を備えてもよい。いくつかの事例では、ナイロン先端付きのねじが、使用されてもよい。いくつかの事例では、圧力プレート(例えば、ワッシャ)が、ねじ2129とデバイス2101との間に追加されてもよく、これは、応力を均一に分配し、デバイス2101またはカートリッジ2100の応力集中を防止することに役立ち得る。
【0243】
図22は、デバイスへのカートリッジの流体シールを発生させるために使用され得る、固着特徴の例示的概略図を示す。カートリッジ2200は、デバイス2201をカートリッジ2200に締結するために使用され得る、ねじ2229を備えてもよい。カートリッジ2200は、1つ、2つ、3つ、またはそれを上回るねじ2229を備えてもよい。いくつかの事例では、カートリッジ2200は、ガスケット2231を備えてもよい。ガスケット2231は、デバイス2201と界面接触し、デバイス2201の入口または出口ポート2202の周囲にシールを形成してもよい。いくつかの実施形態では、入口または出口ポート2202は、Oリングを使用してカートリッジ2200に固着されてもよい。
【0244】
図23は、デバイスへの1つまたはそれを上回るリザーバの電気接続を図式的に示す。電極2333は、白金ワイヤを備えてもよく、本明細書の他の場所に説明されるように、例えば、接着剤または他の締結機構を使用して、定位置に固着されてもよい。電極2333は、リザーバ2303と接触し、それによって、本明細書に説明されるように、マイクロ流体デバイスと接触し得るリザーバとの電気通信を確立してもよい。
【0245】
図24は、カートリッジへの器具の結合を図式的に示す。カートリッジ2400は、流体チャネル2435を介して試薬をカートリッジのリザーバに提供するために使用され得る、器具に結合されてもよい。
【0246】
図25-27は、種々のリザーバ構造を伴う付加的例示的カートリッジを示す。
図25は、カートリッジが複数の縦長リザーバ2503を備える、実施形態を図示する。
図26は、カートリッジが縦長リザーバ2603を備える、実施形態を図示する。リザーバ2603は、リザーバ2603がデバイス2601の出口または先端から十分に遠く位置付けられるような角度において傾斜してもよい。デバイス2601は、膜2609を使用して、高電圧リザーバ2605に接続されてもよい。いくつかの事例では、膜2609は、高電圧リザーバ2605とデバイス2601との間で機械的に圧迫されてもよい。いくつかの事例では、デバイス2601は、ガスケット2631を使用して、1つまたはそれを上回る流体チャネルにシールされてもよい。
図27は、カートリッジが付加的マニホールドユニット2735を備える、実施形態を図示する。マニホールドユニットは、リザーバ2703を備えてもよい。マニホールドユニット2735は、本明細書に説明される締結機構、例えば、ねじおよびねじ山を使用して、カートリッジに結合されてもよい。
【0247】
本明細書に説明されるように、カートリッジは、リザーバ、試薬、膜、弁、固着デバイスもしくは特徴(例えば、ねじ、ピン(例えば、ポゴピン)、接着剤、レバー、スイッチ、溝、ぴったり合うペア、フックおよびループ、ラッチ、ねじ山、クリップ、クランプ、尖叉、リング、ゴムバンド、リベット、グロメット、結び目、スナップ、テープ、真空、シール)、ガスケット、Oリング、電極、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。カートリッジは、モノリシックに構築されてもよい、またはモジュール式であり、除去可能な部品を備えてもよい。例えば、マイクロ流体デバイスは、カートリッジに除去可能に結合するように構成されてもよい。同様に、リザーバ、膜、弁等はそれぞれ、カートリッジから除去可能であり得る。1つまたはそれを上回る構成要素が除去可能であり得る場合において、カートリッジは、個々の構成要素がそれぞれ、ユーザによって十分な公差を伴って定位置に整合され得るように、構成されてもよい。例えば、カートリッジは、マイクロ流体デバイスが、カートリッジが整合のためにピンに到達するまでカートリッジに沿ってデバイスを摺動させることによって、統合され得るように、溝およびピンを備えてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、カートリッジまたはその一部と同一平面内に位置付けられるように構成されてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、1つまたはそれを上回る入口、出口等が、リザーバ、電極、膜、および/または他の有用な界面接触ユニットに(例えば、流体的ならびに/もしくは電気的に)接続され得るように、カートリッジの中に位置付けられてもよい。いくつかの事例では、デバイスおよびリザーバ、電極等の界面接触は、ユーザからのいずれの付加的測定または調節も伴わずに、ユーザによって実施されてもよい。例えば、リザーバは、定位置にスナップ留めする、またはポゴピンを介して固着される、電極を受容し、それによって、電気通信および/または流体連通を確立するように構成されてもよい。カートリッジおよびデバイスのこれらの例示的構成は、限定的であるように意図されておらず、マイクロ流体デバイスまたはカートリッジの他の構成要素の位置付けの多くの異なる構成が達成され得ることを理解されたい。
(実施例9)実施例9-撮像システム
【0248】
図28A-Dは、本明細書に開示される例示的撮像システムの異なる斜視図を示す。撮像システムは、全チャネル撮像または全デバイス撮像、もしくはデバイスの複数のチャネルの撮像のために使用されてもよい。いくつかの事例では、本デバイスは、カートリッジ2800に固着されてもよい。カートリッジは、透明である部分を備えてもよい。ある場合には、カートリッジ2800は、照明源、例えば、UV照明器2850の近傍に位置付けられてもよい。本デバイスは、UV照明器2850を使用して照明されてもよく、光が、検出器2857、例えば、カメラを介して収集されてもよい。いくつかの事例では、光は、ミラー2855、例えば、旋回ミラーを使用して、検出器2857に指向されてもよい。撮像システムはさらに、エレクトスプレーを撮像するために使用され得るカメラを備え得る、第2の検出器2859を備えてもよい。いくつかの事例では、撮像システムは、照明リング2861を備えてもよい。本デバイスは、本明細書に説明されるように、エレクトスプレーイオン化を介して、サンプルまたは被分析物を、下流分析ユニット、例えば、質量分析計に指向するように構成されてもよい。
(実施例10)実施例10-システム構成
【0249】
図29-31は、本明細書に説明されるシステムの実施例を図式的に図示する。
図29は、等電点電気泳動、被分析物ピークの動員、および質量分析を介した下流分析を介して、本明細書に説明される1回またはそれを上回る反応、例えば、被分析物の分離を実施するように構成される、器具の実施例を図示する。ある実施形態では、本システムは、等電点電気泳動、動員等のために使用されるデバイスを備え得る、分離ユニット2903内に位置し得る、サンプルを処理および/または検出するために使用され得る、オートサンプラ2901を備えてもよい。本システムは、分離ユニット2903および下流分析ユニット2907内のデバイスの界面接触に役立ち得る、応従性機構2905を備えてもよい。いくつかの事例では、下流分析ユニット2907は、質量分析計である。いくつかの事例では、本システムは、本明細書に説明される構成要素のうちのいずれかを移動させるために使用され得る、電動昇降アーム2909上に位置してもよい。例えば、昇降アーム2909は、オートサンプラ2901、分離ユニット2903、応従性機構2905、および/または分析ユニット2907(例えば、質量分析計インターフェースプレート)を上昇および下降させるために使用されてもよい。
【0250】
図30は、等電点電気泳動、被分析物ピークの動員、および質量分析を介した下流分析を介して、本明細書に説明される1回またはそれを上回る反応、例えば、被分析物の分離を実施するように構成される、器具の別の実施例を図示する。
図29のシステムと同様に、本システムは、等電点電気泳動、動員等のために使用されるデバイスを備え得る、分離ユニット3003内に位置し得る、サンプルを処理および/または検出するために使用され得る、オートサンプラ3001を備えてもよい。本システムは、分離ユニット3003および下流分析ユニット3007内のデバイスの界面接触に役立ち得る、応従性機構3005を備えてもよい。いくつかの事例では、下流分析ユニット3007は、質量分析計である。いくつかの事例では、本システムは、本明細書に説明される構成要素のうちのいずれかを移動させるために使用され得る、電動昇降アーム3009上に位置してもよい。例えば、昇降アーム3009は、オートサンプラ3001、分離ユニット3003、応従性機構3005、および/または分析ユニット3007(例えば、質量分析計インターフェースプレート)を上昇および下降させるために使用されてもよい。ある場合には、本システムはまた、1つまたはそれを上回るコンピュータもしくはコンピュータプロセッサ3011を備えてもよい。
【0251】
図31は、等電点電気泳動、被分析物ピークの動員、および質量分析を介した下流分析を介して、本明細書に説明される1回またはそれを上回る反応、例えば、被分析物の分離を実施するように構成される、器具の実施例を図示する。ある実施形態では、本システムは、等電点電気泳動、動員等のために使用されるデバイスを備え得る、分離ユニット3103内に位置し得る、サンプルを処理および/または検出するために使用され得る、オートサンプラ3101を備えてもよい。第2のシステムは、システムに隣接して、またはその遠隔に位置してもよく、分離ユニット3103と、分離ユニット3103および下流分析ユニット3107内のデバイスの界面接触に役立ち得る、応従性機構3105とを備えてもよい。いくつかの事例では、下流分析ユニット3107は、質量分析計である。ある場合には、本システムはまた、オートサンプラ3101に結合され得る、1つまたはそれを上回るコンピュータもしくはコンピュータプロセッサ3111を備えてもよい。
(実施例11)実施例11-移動度クロマトグラム
【0252】
図32A-Bは、動員反応および移動度クロマトグラムの例示的データを示す。全チャネル撮像は、タンパク質イソ型を含むサンプルの(例えば、等電点電気泳動を介した)分離の間に実施されてもよい。例えば、生物学的治療薬(例えば、抗体治療薬)が、pH勾配(例えば、pH5~pH10.5勾配)に沿った等電点電気泳動を使用して分離されてもよい。分離反応に続いて、動員反応が、(例えば、分離された被分析物を質量分析計等の下流分析ユニットに指向するように)実施されてもよい。動員反応の全チャネル撮像が、経時的に実施されてもよく、各画像の一部が、クロマトグラムを発生させるために使用されてもよい。
図32Aは、チャネルに沿ったピクセル数(または距離)の関数としてのデバイスのチャネルの吸光度測定を図示する。各ピクセルは、分離チャネルの長さに沿った約25ミクロンに対応する。
図32Bは、時間の関数として、
図32Aの画像または吸光度プロットの3ピクセル幅の区分3205の吸光度測定(例えば、平均吸光度)をプロットすることによって発生される、例示的移動度クロマトグラムを示す。そのような実施例では、3ピクセル幅の区分3205をプロットすることは、点検出器として機能し、それによって、時間の関数として、被分析物ピークの動員についての情報を生じさせ、下流分析ユニット(例えば、質量分析計)から取得されるデータのより良好な対応および/または検証を可能にすることができる。
(実施例12)実施例12-コンピュータシステム
【0253】
図33は、例示的ソフトウェアアーキテクチャシステムを示す。ソフトウェアアーキテクチャシステムは、本明細書に開示されるシステムと統合されてもよく、1つまたはそれを上回るコンピュータプロセッサを備えてもよい。いくつかの事例では、1つまたはそれを上回るコンピュータプロセッサは、データを収集および/または分析するように構成されてもよい。ソフトウェアアーキテクチャシステムは、先入れ先出し(FIFO)データベースと通信し得る、コントローラサービスを備える、コンピュータ処理ユニットを備えてもよい。いくつかの事例では、FIFOデータベースは、グラフィカルユーザインターフェースと、サーバデータベースとを備え得る、第2のコンピュータプロセッサと通信してもよい。第2のコンピュータプロセッサは、例えば、クラウドを介して、顧客データベースと通信してもよい。いくつかの事例では、コンピュータ処理ユニットは、(例えば、有線または無線接続を介して)システムの1つまたはそれを上回るハードウェアユニットと通信してもよい。例えば、コンピュータ処理ユニットは、USBハブを介して、ステージ、1つもしくは複数のカメラまたはカメラ、高電圧電力供給源、オートサンプラ、流量制御システム(例えば、マイクロ流体流量制御のためのソフトウェアおよびハードウェア、例えば、Fluigent Inc.)および/または他の研究室機器に接続されてもよい。
(実施例13)実施例13-統合システム
【0254】
図34は、統合システムの例示的ブロック図を示す。統合システムは、本明細書に開示される1つまたはそれを上回るシステムを備えてもよい。本システムは、複数のリザーバ3403と流体連通および/または電気通信し得る、界面接触カートリッジ3407を備えてもよい。例えば、界面接触カートリッジ3407は、陽極液リザーバ、陰極液リザーバ、動員剤リザーバ、およびオートサンプラユニットに接続されてもよい。代替として、または加えて、界面接触カートリッジ3407は、流体駆動機構、例えば、ポンプに結合され得る、圧力制御マニホールド3405と流体連通および/または電気通信してもよい。界面接触カートリッジ3407は、デバイス3401を備え得る、カートリッジ3400に結合されてもよい。デバイス3401は、陽極液高電圧リザーバ、陰極液高電圧リザーバ、動員剤高電圧リザーバ、およびサンプルラインと電気通信および/または流体連通してもよい。陽極液高電圧リザーバ、陰極液高電圧リザーバ、動員剤高電圧リザーバ、およびサンプルラインはそれぞれ、界面接触カートリッジ3407と流体連通および/または電気通信してもよい。デバイス3401はまた、デバイス3401から離れるように廃棄物を指向するために使用され、いくつかの事例では、サンプルを下流分析ユニット3411に指向するためにも使用され得る、廃棄物管理ユニット3409に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、廃棄物管理ユニット3409は、ネブライザを備えてもよい。いくつかの事例では、下流分析ユニット3411は、質量分析計を備えてもよい。
【0255】
本システムはまた、複数の撮像システムを備えてもよい。例えば、本システムは、カメラ、照明器、廃棄物レセプタクル、および/または分析ユニット3411と界面接触するために使用され得る、アダプタとを備え得る、撮像システム3415を備えてもよい。本システムはまた、照明器(例えば、UV照明源)、ミラー、および/またはカメラもしくは他の好適な検出器を備え得る、撮像システム3417を備えてもよい。いくつかの事例では、検出器(例えば、カメラ)は、冷却源、例えば、ファンまたは他の温度制御プラットフォームに接続されてもよい。
【0256】
図35は、統合システムの実施例ブロック図を示す。本システムは、サンプル3501と、サンプルを貯蔵し、サンプルを処理する(例えば、混合する、試薬を添加する、サンプルを吸引または分注する等)ように構成され得る、サンプルならびに試薬ホルダおよび/またはプロセッサ3503と、サンプル注入器3505と、サンプル先端清浄器3507とを備えてもよい。サンプル先端清浄器は、サンプルおよび/またはシステムを洗浄するための機構を備えてもよい。本システムはまた、デバイスを備える、カートリッジを備え得る、分離ユニット3509と、撮像システム(例えば、UV照明器およびカメラ)とを備えてもよい。分離ユニットは、陰圧(例えば、真空)または陽圧(例えば、回転もしくはダイヤフラムポンプ、弁等)を使用する流体制御を含み得る、複数のコントローラ3511に結合されてもよい。コントローラ3511および/または分離ユニット3509は、1つまたはそれを上回る試薬含有リザーバを備え得る、流体マニホールド3513に結合されてもよい。
【0257】
分離ユニット3509は、分離反応(例えば、等電点電気泳動)および/または動員反応を実施するために使用されてもよい。分離ユニット3509は、通信インターフェース3515(例えば、RFID)、高電圧電力供給源3517、廃棄物管理ユニット3519(例えば、真空および廃棄物レセプタクル)、別の撮像ユニット3521、および/または下流分析ユニット3523(例えば、質量分析計)に接続もしくは結合されてもよい。いくつかの事例では、分離ユニット3509は、温度制御単位3525に結合されてもよい。いくつかの事例では、本明細書に説明される1つまたはそれを上回るシステムは、温度制御ユニット3527および/または、例えば、器具制御3529のための他の制御ユニットを備えてもよい。
(実施例14)実施例14-被分析物ピークがマイクロ流体チップから退出し、質量分析計に進入するにつれて、それらの速度を追跡する
【0258】
図1Bに図示されるデバイス内のマイクロ流体チャネルネットワーク100は、不透明環状オレフィンポリマーの厚さ250ミクロンの層に加工される。チャネル112は、250ミクロンの層を通して全体に切断するように、深さ250ミクロンである。全ての他のチャネルは、深さ50ミクロンである。チャネル層は、平面的なマイクロ流体デバイスを加工するように、環状オレフィンポリマーの2つの透明層の間に挟持される。ポート102、104、106、108、および110は、外部リザーバからの試薬導入および電気接触のためにチャネルネットワークへのアクセスを提供する。ポート102は、真空源に接続され、チャネル103が廃棄物チャネルとして作用することを可能にし、「廃棄物」へのチャネルネットワークを通した他の試薬のプライミングを可能にする。酸(例えば、1%ギ酸)が、ポート108を通してチャネル109、112、114、および103に、かつポート102までプライミングされる。サンプル(例えば、4%Pharmalyte3-10で希釈されたペプチドまたはタンパク質、12.5mM pI標準3.38(精製ペプチド、配列:Trp-Asp-Asp-Asp)、12.5mM pI標準10.17(精製ペプチド、配列:Trp-Tyr-Lys-Arg))が、ポート106を通してチャネル107、112、114、および103の中に、かつポート102までプライミングされる。これは、チャネル112を、サンプル被分析物を含有した状態にする。塩基(例えば、1%ジメチルアミン)が、ポート104を通してチャネル105、114、および103の中に、かつポート102までプライミングされる。動員剤(例えば、1%ギ酸、49%メタノール)が、ポート110を通してチャネル111、114、および103の中に、かつチャネル103から出てポート102までプライミングされる。
【0259】
チャネル112内の被分析物サンプルの電気泳動が、4,000Vをポート108に印加し、ポート110を接地に接続することによって実施される。被分析物サンプル内の両性電解質は、あるpH勾配に及ぶチャネル112を確立する。分離の吸光度撮像が、チャネル112に整合され、CCDカメラを用いてチャネル112を通した280nm光の透過を測定する、280nm光源を使用して実施される。ソフトウェアは、被分析物が流される前に集束された被分析物が存在しない場合に得られる「ブランク」参照測定と比較して、分離または動員の間の光透過を比較することによって、吸光度を計算し、次いで、チャネル112の長さにわたってピクセルあたりの吸光度を表示する。標準または被分析物が集束した場所は、画像データから導出される吸光度トレース内のピークとして表示される。
【0260】
いったん被分析物が焦点を完了させると、最終集束吸光度画像が、捕捉される。ソフトウェアは、pIマーカの空間位置を識別し、マーカの間で補間し、集束被分析物分画ピークのpIを計算するであろう。本時点で、制御ソフトウェアは、ポート110において接地を接続解除し、ポート104を接地に接続するリレー、ならびにポート104を通してチャネル105および114の中に、かつオリフィス116においてチップから外に100nL/分の動員剤溶液の流動を確立するように、ポート104に接続される動員剤リザーバ上の圧力を設定することをトリガするであろう。オリフィス116は、-3,500V~-4,500Vの入口電圧を伴って質量分析計ESI入口から2mm離れて位置付けられる。
【0261】
圧力駆動流が、ポート104からオリフィス116に動員剤を指向する一方、動員剤試薬内のギ酸の一部は、チャネル105からチャネル112を通してポート108におけるアノードまで、ギ酸塩の形態で電気泳動するであろう。ギ酸塩がチャネル112を通して進行するにつれて、等電pH勾配を乱し、両性電解質、標準、および被分析物サンプルに電荷を増加させ、チャネル112からチャネル114の中に電気泳動的に遊走させ、ポート110からの圧力駆動流が、それらを、ESIスプレーの中に、かつオリフィス116から外に搬送するであろう。
【0262】
動員が生じるとき、ソフトウェアは、吸光度画像を捕捉し続け、ピークを識別し、撮像チャネル112からチャネル114の中へのそれらの遊走を追跡する。各ピークが撮像チャネル112から退出する時間、その速度、およびチャネル114内の流率を追跡することによって、ソフトウェアは、ピークがチャネル114を横断し、オリフィス116を介して質量分析計に導入される時間を計算し、元の集束されたピークと結果として生じる質量スペクトルとの間の直接相関を可能にすることができる。
(実施例15)実施例15-エレクトスプレーおよびサンプル処理のためのマイクロ流体デバイス
【0263】
図2は、1回またはそれを上回る分離反応、例えば、等電点電気泳動反応を実施するためのマイクロ流体デバイスの1つの非限定的実施例の概略俯瞰図を提供する。本デバイスは、幅が210ミクロン、深度が100ミクロンである、流体チャネルが、例えば、エンボス加工、レーザ微小機械加工、またはフォトリソグラフィおよびウェット化学エッチングを使用して加工される、基板201を備える。流体チャネルは、基板201を透明カバースリップ(図示せず)に接合することによって、シールされることができる。いくつかの事例では、例えば、UV吸光度画像が分離および/または動員反応を監視するために使用される場合において、基板201は、光学的に透明な材料から加工されてもよい。例えば、落射蛍光画像が分離および/または動員反応を監視するために使用される、いくつかの事例では、基板201は、光学的に不透明な材料から加工されてもよい。
【0264】
デバイス内の流体チャネルへのアクセスが、チップの側面上に位置し得る、サンプル入口ポート207を通して提供される。チップはまた、アノードウェル206と、カソードウェル204と、サンプル出口ポート203と、化学動員剤入口ポート209とを備えてもよい。1つのアノードウェル206およびカソードウェル204は、分離チャネル205の近位端および遠位端と流体連通ならびに電気通信する。化学動員剤入口ポート209は、化学動員チャネルを介して分離チャネル205の遠位端に接続される。
【0265】
複数の等電点電気泳動反応を実施し、タンパク質の混合物を分離する際の使用のために、タンパク質サンプルが、バイアルの中に設置し、オートサンプラの中に装填する前に、両性電解質pH勾配およびpIマーカと予混合される。サンプルは、サンプル入口ポート207を介してオートサンプラによってデバイスの中に、マイクロ流体デバイス上に、分離チャネル205を通して、サンプル出口ポート203を通して廃棄物までデバイスから外に、連続的に装填される。
【0266】
陰極液流体(例えば、H
2O内の1%N
4OH)が、カソードウェル204の中に装填され、陽極液(例えば、10mMH
3PO
4)が、アノードウェル206の中に装填され、動員剤溶液(例えば、49%MeOH、49%H
2O、1%ギ酸)が、動員剤入口ポート209に接続される。膜(図示せず)が、電極とのデバイスの電気通信および流体連通を提供するように、アノードまたはカソードウェル(206および204)のうちのいずれかと界面接触されてもよい。サンプル出口またはESI先端203の等角概略図が、
図3に示される。
【0267】
図2を参照すると、全ての試薬が装填された後、例えば、+600V/cmの電場が、電極をアノードウェル206およびカソードウェル204に接続し、等電点電気泳動を開始することによって、アノードウェル206のうちの1つまたはそれを上回るものから対応するカソードウェル204に印加される。上記のように、分離チャネル205のそれぞれに印加される電圧および/または電流は、独立して制御されてもよく、また、時間の関数として記録されてもよい。いくつかの事例では、アノードおよびカソードのために使用される電極は、デバイスと統合されてもよい。UV吸光度画像に関して、UV光源によって提供される光のコリメートされたビームが、分離チャネル205と整合され、画像センサ(例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラ)が、分離チャネル205のそれぞれを通して透過される光の量を測定し、それによって、それらの吸光度によって集束されたタンパク質(または他の分離された被分析物)を撮像および検出するように、分離チャネル205の反対側に設置される。いくつかの事例では、集束されたタンパク質は、非標識され、220nm、280nm、またはタンパク質が光を吸収するであろう任意の他の波長における固有吸光度を通して検出されてもよい。蛍光画像、すなわち、落射蛍光画像に関して、好適な波長の励起光が、好適なダイクロイック反射体および帯域通過フィルタを備える、光学アセンブリを用いて、分離チャネル205に送達され、放出された蛍光が、同一の光学アセンブリによって分離チャネル205から収集され、画像センサ上に撮像される。いくつかの事例では、集束されたタンパク質(または他の分離された被分析物)は、固有蛍光を使用して撮像および検出されてもよい。いくつかの事例では、集束されたタンパク質は、SYPRO(登録商標)Ruby、クーマシーブルー、および同等物等の非共有結合蛍光性、発色性、蛍光、または発色標識を使用して、検出されてもよい。いくつかの事例では、デバイスの一部は、光が、分離チャネル205を通してのみ透過され、それによって、任意の迷光が、分離チャネル205を通して通過することなく画像センサに到達し、UV吸光度測定の感度を増加させないように阻止し得るように、光学的に不透明な材料から構築されてもよい。
【0268】
分離チャネル205の全てまたは一部内の集束タンパク質の画像は、等電点電気泳動反応が複数の分離チャネル205内で実施されるにつれて、持続的および/または周期的に捕捉されることができる。いくつかの事例では、分離チャネル205の画像内のpIマーカの位置の検出が、分離チャネルに沿った位置の関数として局所pHを決定し、外挿によって、分離されたタンパク質(または他の被分析物)のためのpIのより正確な決定を行うために、使用されてもよい。いくつかの事例では、集束が完了したとき、陽圧が、サンプル出口203に向かって分離されたタンパク質(または他の被分析物)混合物を動員するように、サンプル入口ポート207および/またはアノードウェル206において印加される。いくつかの事例では、集束が完了したとき、カソードウェル204に接続された電極が、接続解除され、動員剤チャネル208と電気通信する電極が、アノードウェル206からの675V/cmの電場を化学動員剤入口209に印加し、動員剤を分離チャネル205の中に電気泳動的に導入するために、使用される。いくつかの事例では、動員剤入口209に印加される軽微な陽圧が、化学動員剤の電気泳動導入の代わりに、またはそれに加えて、使用されてもよい。
【0269】
動員剤の電気泳動導入の場合、動員剤溶液内のギ酸は、電場によって分離チャネル205の中に引き込まれ、そこで、タンパク質および両性電解質をイオン化し、等電点電気泳動のために使用されるpH勾配を乱す。濃縮タンパク質分画のイオン化は、それらを分離チャネル205から外に遊走させる。動員プロセスの間に分離チャネル205を撮像し続けることは、分離されたタンパク質毎にpIの決定を精緻化するために使用されることができる。
【0270】
タンパク質分画および両性電解質が、カソードウェル204を越えて分離チャネル205から外に遊走するにつれて、それらは、交差部210においてチャネル208からの動員剤と混合する(
図38参照)。動員剤は、定義された流率(例えば、7.5nL/秒)においてサンプル出口203に送達されており、チャネル208内の本流率は、直線速度(例えば、1.4mm/秒)に対応する。濃縮タンパク質分画および両性電解質が動員剤内で混合するにつれて、新しい環境(試薬)が、それらの電気泳動移動度の変化を引き起こす。これは、動員剤チャネル208と電気通信する電極に向かって、すなわち、先端に向かった動員剤直線速度の反対方向に、両性電解質およびタンパク質分画のための直線電気泳動速度を発生させる。いくつかの事例では、チップネットワークは、濃縮タンパク質分画が、検出のために、サンプル出口(エレクトスプレー先端)203からエレクトスプレーの中に、かつ質量分析計の中に遊走するように、濃縮タンパク質分画の電気泳動速度が、動員剤流速未満であろうように、設計される。いくつかの実施形態では、チップネットワークは、両性電解質のうちのいくつかまたは全てが、動員剤チャネル208と電気通信する電極に向かって遊走し、先端203に導入されないように、両性電解質のうちのいくつかまたは全ての電気泳動速度が、動員剤直線速度を上回るように、設計される。いくつかの事例では、両性電解質濃度は、エレクトスプレー内のイオン化可能材料の量を低減させるように、このように希釈され、これは、濃縮タンパク質分画の改良されたイオン化につながり得る。いくつかの事例では、チャネルネットワークは、エレクトスプレーの中への濃縮タンパク質分画の導入を最大限にするように、かつエレクトスプレーの中への他のサンプル成分の導入を最小限にするように設計されてもよい。いくつかの事例では、チャネルネットワークは、エレクトスプレーの中への濃縮タンパク質分画の導入を最大限にするように、かつエレクトスプレーの中への他の両性電解質の導入を最小限にするように設計されてもよい。
【0271】
例えば、49%水、1%ギ酸、50%MeCN動員剤内のNISTモノクローナル抗体(NIST mAb)標準(pn8671、NIST参照材料)の電気泳動移動度は、1.5×10-4cm2/Vsであると測定されている。強度675V/cmの電場では、これは、動員剤チャネル208と電気接続した電極に向かって、(1.5×10-4cm2/Vs)×(675V/cm)=1.0×10-1cm/秒または1mm/秒の直線速度をもたらすであろう。本実施例では、動員剤チャネル208が、深さ50ミクロン×幅110ミクロンまでエッチングされた場合、チャネル208は、7.5nL/秒の動員剤流率が、1.4mm/秒の直線流率に対応するであろうように、5.5nL/mmの容積を有するであろう。これは、1mm/秒のNIST mAb電気泳動速度を克服し、NIST mAbは、サンプル出口203を通してチップからエレクトスプレーの中に流出するであろう。
【0272】
Pharmalyteブランド両性電解質勾配pH8~10.5は、我々の例示的675V/cm電場では1.8mm/秒の直線速度平均に対応する、動員剤内の平均2.7×10-4cm2/Vsの電気泳動移動度を有することが測定されている。実施例では、上記に説明される、深さ50ミクロンおよび幅110ミクロンであるチャネル208であり、これは、動員剤の1.4mm/秒の直線速度を克服し、両性電解質の大部分は、動員剤チャネル208と電気通信する電極に向かって遊走し、エレクトスプレー先端203を通してチップから退出せず、したがって、エレクトスプレー内の濃縮タンパク質分画のイオン化に干渉し得る両性電解質の量を低減させるであろう。