(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024133673
(43)【公開日】2024-10-02
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240925BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110386
(22)【出願日】2024-07-09
(62)【分割の表示】P 2022551481の分割
【原出願日】2020-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】橋本 利紀
(72)【発明者】
【氏名】澤田 有佳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】住民が手続を行うために複数の窓口を順番に巡ることを補助する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、情報処理装置は、個々の住民が同一の申請手続きを行う場合であっても、住民に応じて手続のために案内する窓口の場所や案内する順序が異なる場合があったことを考慮し、住民が手続を行うために複数の窓口を順番に巡ることを補助するために、ユーザの個人情報を取得する個人情報取得部と、ユーザが行う対象である申請手続を識別する手続識別部と、認識した申請手続及び前記個人情報に基づき、特定した複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択するルート選択部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの個人情報を取得する取得部と、
ユーザ端末に入力された情報を用いてユーザが行う対象である申請手続を識別する手続識別部と、
認識した前記申請手続及び前記個人情報に基づき、特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記巡回ルートに基づき、ユーザに対して前記巡回ルートに関する案内を出力するように出力制御する制御部と、を備える情報処理システム。
【請求項2】
情報処理装置が、
ユーザの個人情報を取得し、
ユーザ端末に入力された情報を用いてユーザが行う対象である申請手続を識別し、
認識した前記申請手続及び前記個人情報に基づき、特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択し、
選択した前記巡回ルートに基づき、ユーザに対して前記巡回ルートに関する案内を出力するように出力制御する、情報処理方法。
【請求項3】
コンピュータに、
ユーザの個人情報を取得する取得処理と、
ユーザ端末に入力された情報を用いてユーザが行う対象である申請手続を識別する手続識別処理と、
認識した前記申請手続及び前記個人情報に基づき、特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択する選択処理と、
選択した前記巡回ルートに基づき、ユーザに対して前記巡回ルートに関する案内を出力するように出力制御する制御処理と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
住民が手続申請を行う場合、手続の種類に応じて受付窓口の場所が異なることがある。また、手続の種類によっては、一カ所の受付窓口で手続きが完結せず、住民が複数の受付窓口を順番に巡ることがあった。また、住民のプロフィールによって、受付窓口の種類や場所が異なることもあった。特許文献1には、ユーザが選択した手続の名称に応じて、その手続きを受け付ける施設の場所を検索し、施設までの経路を案内する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個々の住民が同一の申請手続きを行う場合であっても、住民に応じて手続のために案内する窓口の場所や案内する順序が異なる場合があり、効率的な誘導が困難であった。特許文献1には、手続きを受け付ける施設の場所を特定する技術が開示されている。しかし、特許文献1の技術では施設の場所を特定するのみであり、手続を行うために複数の窓口を順番に巡ることを補助することはできなかった。
【0005】
本発明によれば、上記の課題を鑑み、住民が手続を行うために複数の窓口を順番に巡ることを補助することが可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、
ユーザの個人情報を取得する取得部と、
ユーザが行う対象である申請手続を識別する手続識別部と、
認識した前記申請手続及び前記個人情報に基づき、特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択する選択部と、
を備える情報処理システムを提供する。
【0007】
本発明の一観点によれば、
ユーザの個人情報を取得し、
ユーザが行う対象である申請手続を識別し、
認識した前記申請手続及び前記個人情報に基づき、特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択する、
情報処理方法を提供する。
【0008】
本発明の一観点によれば、
コンピュータに、
ユーザの個人情報を取得する取得処理と、
ユーザが行う対象である申請手続を識別する手続識別処理と、
認識した前記申請手続及び前記個人情報に基づき、特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートを選択する選択処理と、
を実行させるためのプログラムを記憶するプログラム記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記の課題を鑑み、住民が手続を行うために複数の窓口を順番に巡ることを補助することが可能な情報処理システム、情報処理方法及びプログラム記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における情報処理システムの使用例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態における情報処理システムの使用例を説明するための図である。
【
図3】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図4A】本実施形態におけるデータベースの構造を示した一例である。
【
図4B】本実施形態におけるデータベースの構造を示した一例である。
【
図5】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図6】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図7】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図8】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図9A】本実施形態の処理の概念の一例を説明するための概念図である。
【
図9B】本実施形態の処理の概念の一例を説明するための概念図である。
【
図10】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図11】本実施形態における情報処理システムの構成図を示した一例である。
【
図12】本実施形態の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図13】本実施形態における情報処理システムのハードウェア構成の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0012】
[機能の概要]
まず、
図1及び
図2を用いて本発明が実現する機能の概要を説明する。
図1は一連の手続きを行う住民が訪問する施設及び各窓口の配置を示す一例である。通常、住民は一連の手続きを行うため、施設R0に存在する複数の窓口r1~r3のうち、1以上の窓口を所定の順番で訪れる。手続きを行うために住民が訪問すべき窓口の種類や場所、窓口を訪問する順番は住民の行う手続きに応じて変わる。
図2は、住民(以降、ユーザとも称す)がユーザ端末20を用いる状況を説明する図である。例えば、ユーザがこれから行う手続きの名称を発話すると、ユーザ端末20は、ユーザの発話を音声認識し、手続名の入力を受け付ける。また、ユーザ端末20はユーザに対し、本人確認書類の提示を要請する。ユーザ端末20はユーザにより提示された本人確認書類から個人情報を読み取る。ユーザ端末20は、読み取った個人情報と手続名とを情報処理装置10に送信する。
【0013】
情報処理装置10はユーザ端末20から受信した個人情報と手続名に基づき、ユーザが訪問すべき窓口を特定し、特定した窓口を巡る巡回ルートを選択する。情報処理装置10は、ユーザ端末20に対し、選択した巡回ルートに応じた案内を出力するように制御信号を送信する。ユーザ端末20は、情報処理装置10から受信した制御信号をもとに、窓口を巡るための案内情報をユーザに対し出力する。ユーザは出力された案内情報をもとに、適切な順番で窓口を訪問する。
【0014】
ユーザ端末20がユーザに対して出力する案内情報は、ユーザが行う手続名または個人情報に基づき異なる。これにより、手続名によって訪問する窓口や複数の窓口を訪問する順番が異なる場合や、ユーザの身辺状況(個人情報)に応じて対応する窓口が異なる場合であっても、ユーザを効率よく誘導することができる。
【0015】
[第1実施形態]
次に本実施形態における情報処理システム1の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態における情報処理システム1の全体構成例を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、ユーザ端末20とを備える。情報処理装置10とユーザ端末20は、LAN(Local Area Network)やインターネット等に接続され、互いに通信可能である。情報処理装置10と接続されるユーザ端末20の数は少なくとも1以上であり、複数接続されている。
【0016】
情報処理装置10は、個人情報取得部101と、手続識別部102と、窓口特定部103と、記憶部104と、ルート選択部105と、制御部106とを有する。ユーザ端末20は、入力部201と、読取部202と、出力部203とを備える。
【0017】
ユーザ端末20は、手続申請を行うユーザが操作可能な端末であり、ユーザに対しルート案内を出力する情報処理端末である。ユーザ端末20の一例として、スマートフォン、タブレット、AR(Augmented Reality、拡張現実)ゴーグル型のデバイスが挙げられる。他にもユーザ端末20はコンタクトレンズ型、帽子型、サングラス型、メガネ型、時計型等のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0018】
入力部201は、ユーザ端末20を操作するユーザが発した音声の入力を受け付ける。また、入力部201は、受け付けた音声を認識しテキスト情報に変換する。
【0019】
読取部202は、ユーザの本人確認書類から識別番号等の個人情報を読み取る。本人確認書類は、例えばマイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、旅券等である。読取部202が読み取る個人情報は識別番号に限定されず、氏名や性別、年齢等を含んでもよい。読取部202が本人確認書類から個人情報を取得する手段には、内蔵されているIC(Integrated Circuit)チップを読み取る他、本人確認書類の券面に記載されている文字や数字をOCR(Optical Character Reader)等で読み取る手段が挙げられる。本人確認書類から個人情報を取得する手段は上記に限定されない。読取部202は、ユーザ端末20が備える不図示のIC(Integrated Circuit)リーダーや、不図示の撮像部を利用して個人情報を読み取り可能である。
【0020】
個人情報取得部101は、読取部202が読み取った個人情報を取得する。個人情報の一例には、識別番号、年齢、性別、氏名、世帯情報、所得情報、住所等が挙げられる。また個人情報とは、生活保護の有無、介護認定の有無、年金給付の有無、助成を受けるべき所得状況か否か、雇用形態等の情報も含み得る。個人情報取得部101の動作の他の例では、読取部202が取得した識別番号を基に、不図示の外部サーバへアクセスし、識別情報に関連付いた他の個人情報を取得してもよい。その場合、本人確認書類が有する情報以外の個人情報を取得することが可能である。
【0021】
手続識別部102は、入力部201が変換したテキスト情報が手続名を示すものであるか否かを識別し、手続名を示すものである場合、当該テキスト情報が示す手続名を認識する。なお、手続識別部102が認識する手続名は、住民記録業務、印鑑登録業務、税業務、国民健康保険業務、国民年金業務、介護保険業務、保健福祉業務、等の行政手続きが例示される。その他の例では、手続識別部102が認識する手続名は、各種公的施設利用関連、土木・道路維持占有業務、上下水道業務生活保護業務、後期高齢者医療制度業務、納税徴収業務等に関する手続きであってもよい。その他の例では、手続識別部102が認識する手続名は、補償金や助成金の取得手続き、戸籍謄本や身分証明等の取得手続き、マイナンバーカードやパスポート、運転免許証、国民健康保険証等の発行、再発行、更新手続等であってもよい。手続識別部102が認識する手続名はこれに限定されない。
【0022】
記憶部104は、手続名と、ユーザ条件と、当該手続きを案内可能な窓口を示す窓口情報とが関連付いたデータベースを記憶する(
図4A)。ユーザ条件とは個人情報の一部や、個人情報の組み合わせによって定まるユーザの条件である。窓口情報とは、当該手続を完了させるために訪問することが必要な窓口を少なくとも一つ示す。窓口情報は複数の窓口を示す情報であってもよい。例えば、窓口情報は、当該手続きを案内可能な窓口の番号(窓口番号)を単数または複数含む。具体的には、ユーザ条件が「個人事業主」であるユーザが「死亡手続き」という手続に際して、窓口r2、窓口r1、窓口r3の3カ所にて受付を行うことを想定する。この場合、データベースには手続名「死亡手続き」、ユーザ条件「個人事業主」に窓口r1、窓口r2、窓口r3の窓口情報が関連付いて格納される。なお、窓口情報には、転校手続を受け付ける「学務課」、児童手当手続を受け付ける「福祉課」、国民健康保険加入手続を受け付ける「国民健康保険課」等が含まれ得るが、これに限定されない。
【0023】
また、
図4Aに記載の手続名とは、少なくとも一種類の手続きを示す。手続名は、関連する複数の手続名を示すものであってもよい。
図4Aに記載されている「U1001」、「U1002」を用いて一例を説明する。例えば「U1001」は「転入申請」という一種類の手続を示す。また「U1002」は「転入申請」、「乳幼児医療費申請」及び「児童手当拠出金申請」という互いに関連する三種類の手続きの組み合わせを示すものであってもよい。このように、記憶部104が格納する手続名とは、単に所定の手続きを示す他、当該所定の手続きと当該所定の手続きに関連する他の手続きとを関連付けて示すものであってもよい。
【0024】
図4Aに示す手続名、ユーザ条件、窓口情報の他の具体例を示す。例えば、ユーザ条件「世帯に児童有り」には、二種類の手続名「転入手続き」「転校手続き」を含む識別情報と二種類の窓口情報「市民窓口課」「学務課」を含む識別情報が関連付く。転入手続きを行うユーザの世帯に児童が存在する場合、後述する窓口特定部103やルート選択部105の動作により、転入手続きに併せて転校手続を誘導することができる。なお、上記の例は「市民窓口課」が「転入手続き」を、「学務課」が「転校手続き」を受け付けることを想定した説明である。
【0025】
次に「市民窓口課」が「転入手続き」と「転校手続き」の両方を受け付ける場合を想定する。その場合、ユーザ条件「世帯に児童有り」に、手続名「転入手続き」「転校手続き」の組み合わせを示す識別情報と、窓口情報「市民窓口課」を示す識別情報が関連付く。上記は一例であり、手続同士の関連付けを具体例に限定するものではない。例えば、転入手続と児童手当申請手続が関連付く他、転入手続と児童手当申請手続と国民健康保険加入申請手続が関連付いてもよいが、これに限定されない。
【0026】
記憶部104は、窓口番号と窓口位置とが関連付いたデータベースを記憶する(
図4B)。
窓口位置とは窓口の位置情報であり、二次元座標や三次元座標で表現されていてもよい。あるいは、窓口位置は、施設内のフロアや窓口が存在する部屋やブロックの番号で表現されていてもよい。
【0027】
また、記憶部104は、手続ごとに複数の窓口において受付を完了させるべき順番を記憶する。具体的には、「死亡手続き」を行うためには市民課窓口、介護課窓口、税務課窓口、福祉課窓口、国民健康保険窓口等の複数の窓口で手続きを行う必要がある。以下の説明では、上記の複数の窓口について記号を用いて、窓口r1、窓口r2、窓口r3等と簡略表記する。「死亡手続き」を行うためにユーザが窓口r2、窓口r1、窓口r3の順番に受付を完了させる必要がある場合、データベースには手続名「死亡手続き」に順路K1「窓口r1」、順路K2「窓口r2」、順路K3「窓口r3」という順路を示す情報が関連付けて格納される。なお、データベースが格納する順路には、各窓口で受付を行う順番が可変か否かを示す情報を含めてもよい。
【0028】
また、記憶部104は、窓口が存在する建築物内外の通路と窓口の位置を示す地図情報を格納する。また、記憶部104は、地図情報に併せて、具体的に窓口間を経由する経路を複数記憶する。
【0029】
窓口特定部103は、個人情報取得部101が取得したユーザの個人情報及び手続識別部102が認識した手続名を検索条件に、記憶部104が記憶するデータベースを検索し、当該手続名に対応する窓口の一又は複数を特定する。具体的には「死亡手続き」という手続を対象にした場合、手続を処理する3カ所の窓口(「A課」の窓口r2、「B課」の窓口r1、「C課」の窓口r3)を特定する。
【0030】
窓口特定部103が実行可能な他の処理を説明する。窓口特定部103は、手続識別部102が認識した手続名に関連する他の手続名を特定し、当該手続名と他の手続名に関連した複数の窓口を特定するように設計されてもよい。例えば、
図4Aのデータベースにおいて、「U1002」は「転入申請」、「乳幼児医療費申請」及び「児童手当拠出金申請」という三種類の手続きの組み合わせを示すと仮定する。手続識別部102が「転入申請」という手続を認識した場合、窓口特定部103は、
図4Aのデータベースを検索した結果、少なくとも「転入申請」を含む「U1002」を特定し、「U1002」が含む他の手続である「乳幼児医療費申請」及び「児童手当拠出金申請」を特定する。その結果、窓口特定部103は、「転入申請」に関連する他の手続きである「乳幼児医療費申請」及び「児童手当拠出金申請」を特定し、各手続に対応する複数の窓口を特定する。
【0031】
ルート選択部105は、記憶部104を参照し、窓口特定部103が特定した窓口の全てを巡回するルートを生成する。窓口特定部103が「A課」の窓口r2、「B課」の窓口r1、「C課」の窓口r3という3カ所の窓口を特定した場合を例に、ルート選択部105の機能を説明する。ルート選択部105は、記憶部104から各窓口を巡る順番及び地図情報を取得する。そしてルート選択部105は、地図情報と各窓口を巡る順番に基づきルートを選択する。窓口特定部103が特定した窓口が複数である場合、ルート選択部105は、複数の窓口を経由するルートを選択する。
【0032】
制御部106は、出力部203に対し、ルート選択部105が選択したルートに応じた案内を出力させるための制御を行う。ルート案内は、ユーザ端末の現在位置とルートとの位置関係を示すものであってもよいし、ユーザに対してルートに沿った移動指示を促すものであってもよい。
【0033】
出力部203は、制御部106の制御に応じて、ルート案内をユーザに対し出力する。出力部203は音声、画像、映像、またはこれらの組み合わせを出力する。
【0034】
次に、
図5を用いて本実施形態における情報処理システム1の処理の流れを説明する。
図5は情報処理装置10及びユーザ端末20が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
読取部202は、ユーザの本人確認書類から識別番号等の個人情報を読み取る。個人情報取得部101は、読取部202が読み取った個人情報を取得する(S101)。
【0036】
入力部201は、ユーザ端末20を操作するユーザが発した音声の入力を受け付け、音声をテキスト情報に変換する。手続識別部102は、入力部201が変換したテキスト情報が手続名を示すものであるか否かを識別し、手続名を示すものである場合、当該テキスト情報が示す手続名を認識する(S102)。
【0037】
次に、窓口特定部103は、個人情報取得部101が取得したユーザの個人情報及び手続識別部102が認識した手続名に基づき、記憶部104が記憶するデータベースを検索し、当該手続名に対応する窓口の一又は複数を特定する(S103)。
【0038】
ルート選択部105は、特定した窓口の全てを巡回するルートを生成する(S104)。
【0039】
制御部106は、出力部203に対し、ルート選択部105が選択したルートに応じた案内を出力させるための制御を行う(S105)。
【0040】
出力部203は、制御部106の制御に応じて、ルート案内をユーザに対し出力する(S106)。
【0041】
これにより、ユーザは自身の個人情報及び手続きに応じて、複数の窓口を適切な順番で訪問することができ、手続を円滑に行うことができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に第2実施形態における情報処理システム1について説明する。
図6は第2実施形態における情報処理システム1の機能ブロック図を示す。第2実施形態では、情報処理装置10が巡回状況取得部107を備える点で第1実施形態とは相違する。なお、第1実施形態と共通する説明については省略する。
【0043】
巡回状況取得部107は、ユーザ端末20の現在位置または移動履歴を基に、所定の周期でルート選択部105が選択したルートにおける進行状況を取得する。巡回状況取得部107がユーザ端末20の現在位置または移動履歴を取得する手法には、ユーザ端末20のGPS(Global positioning system)情報を取得し、現在位置の移動履歴を参照する手法が例示される。その他には、ユーザ端末20と周囲に設置された不図示のビーコンとの3次元的な位置関係を取得し、ユーザ端末20が位置する3次元座標を取得する手法を用いてもよい。その他には、ユーザ端末20が備える不図示の撮像部が周辺の背景を撮像し、撮像した背景画像とデータベースに登録された画像との比較により現在位置を特定する手法を用いてもよい。現在位置または移動履歴を取得する方法は上記に限定されない。なお、巡回状況取得部107が進行状況を取得する処理は、例えば、ユーザ端末20を携帯するユーザが既に訪問した窓口があるか否かを判定する処理や、既に訪問した窓口自体を特定する処理を含んでもよい。
【0044】
制御部106は、出力部203に対し、巡回状況取得部107が取得した進行状況に応じて出力する案内を変えるように制御する。具体的には、「階段を登って下さい」や「次の通路を右折して下さい」「正面に見える窓口で受付して下さい」等の内容を進行状況に応じて変えるように、出力部203を制御してもよい。
【0045】
次に
図7を用いて第2実施形態における情報処理システム1の処理の流れを説明する。なお、第1実施形態における処理の流れと重複する箇所の説明は省略する。
【0046】
ステップS104(
図5)の後、巡回状況取得部107は、ユーザ端末20の現在位置または移動履歴を基に、所定の周期でルート選択部105が選択したルートにおける進行状況を取得する(S201)。次に制御部106は、出力部203に対し、巡回状況取得部107が取得した進行状況に応じて出力する案内を変えるように制御する(S202)。ステップS202の後、ステップS106(
図5)に進む。
【0047】
本実施形態によれば、巡回状況に応じた柔軟な経路案内を行うことができるという効果が得られる。
【0048】
[第3実施形態]
次に第3実施形態における情報処理システム1について説明する。
図8は第3実施形態における情報処理システム1の機能ブロック図を示す。第3実施形態では、情報処理装置10が混雑度取得部108を備える点で第1実施形態及び第2実施形態とは相違する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と共通する説明については省略する。
【0049】
混雑度取得部108は、施設内に存在する各窓口周辺における群衆の混雑度を取得する。混雑度の一例には、所定の空間ごとに予め設けられた所定の人数に対し、所定の空間に現実に存在する人数の割合が挙げられる。混雑度取得部108が混雑度を取得する手法の具体例を説明する。施設内に存在する各窓口周辺には不図示のカメラが設けられ、窓口周辺(所定の空間)を撮像する。不図示のカメラが有する処理部は、撮像画像に映る人物の人数をカウントする。混雑度取得部108は不図示のカメラから取得した人数と、当該カメラが撮像した空間に予め設定された所定の人数との比を算出する。混雑度取得部108は、不図示のカメラが設けられた窓口ごとに混雑度を算出してもよい。なお、混雑度取得部108が、不図示のカメラで撮像した撮像画像に映る人数を算出するように設計してもよい。また、混雑度取得部108は所定の周期で群衆の混雑度を取得してもよい。この場合、群数の混雑度が時系列的に変化する場合であっても、最新の混雑度を取得できるため、後述するルート選択部105が実行するルート設定の精度が向上する。
【0050】
ルート選択部105は、混雑度取得部108が取得した各窓口の混雑度に応じて巡回ルートを変更する。以下では、ルート選択部105が各窓口の混雑度に応じて巡回ルートを変更する具体例を説明する。
図9Aは、ルート選択部105の機能により巡回ルートが変更される具体例を説明するための概念図である。
図9Aの例では、窓口r1、窓口r2、窓口r3の3カ所が巡回対象であり、各窓口に混雑度が関連付いている。この場合、ルート選択部105は、混雑度が低いr1、r3、r2の順に巡回するようにルートを設定する。このように、ルート選択部105は、窓口特定部103が特定した各窓口の混雑度を参照し、混雑度が低い順に各窓口を巡回するように巡回ルートを変更する。換言すると、ルート選択部105は、複数存在する各窓口において、相対的に混雑度が低い窓口を優先して巡回するルートを設定する。
【0051】
図9Bを用いて、ルート選択部105が各窓口の混雑度に応じて巡回ルートを変更する他の例を説明する。
図9Bでは、
図9Aとは異なり、各窓口に必須条件が関連付いている。必須条件とは巡回ルートの設定に関わるルールを示す情報である。
図9Bの例では、窓口r2の必須条件には「他の窓口よりも最初に受付することが必須である」との条件が付加されている。この場合、ルート選択部105は、必須条件の内容をもとに窓口r2を最初に巡回することを確定させ、窓口r2を除いた窓口r1と窓口r3との混雑度を比較して、混雑度が低い窓口r1の後に窓口r3を巡回するように設定する。結果、
図9Bの場合、ルート選択部105は、窓口r2、r1、r3の順で巡回する巡回ルートを設定する。換言すると、ルート選択部105は、窓口特定部103が特定した窓口の少なくとも一つに必須条件が設定されている場合、必須条件に応じた窓口の巡回順番を設定し、必須条件が設けられていない他の窓口については混雑度に応じて巡回順番を設定する。これにより、手続都合上、例えば必ずユーザが最初に受付を済ませる必要がある窓口が存在する場合でも、混雑度を考慮した最適なルートを提供することが可能である。なお、ルート選択部105が各窓口の混雑度に基づき巡回ルートを設定する例は、上記の具体例には限定されない。
【0052】
次に
図10を用いて第3実施形態における情報処理システム1の処理の流れを説明する。なお、第1実施形態または第2実施形態における処理の流れと重複する箇所の説明は省略する。
【0053】
ステップS102の後、窓口特定部103は、手続識別部102が認識した手続名に基づき、記憶部104が記憶するデータベースを検索し、当該手続名に対応する窓口の一又は複数を特定する(S103)。次に、混雑度取得部108は、各窓口周辺における群衆の混雑度を取得する(S301)。次に、ルート選択部105は、混雑度取得部108が取得した各窓口の混雑度に応じて巡回ルートを変更する(S302)。ステップS302の後、ステップS105に続く。
【0054】
本実施形態によれば、各窓口の混雑度を加味した上で最適な巡回ルートを提供することができる。
【0055】
[最小構成]
図11を用いて本発明における情報処理システムの最小構成を説明する。
図11は本実施形態における情報処理システム4の全体構成例を示す。情報処理システム4は、個人情報取得部401、手続識別部402、ルート選択部403を備える。
【0056】
個人情報取得部401は、ユーザの個人情報を取得する。手続識別部402は、入力部201が変換したテキスト情報が手続名を示すものであるか否かを識別し、手続名を示すものである場合、当該テキスト情報が示す手続名を認識する。ルート選択部105は、手続名から特定した窓口の全てを巡回するルートを生成する。
【0057】
次に
図12を用いて情報処理システムの最小構成に係る処理の流れを説明する。個人情報取得部401は、ユーザの個人情報を取得する(S401)。手続識別部402は、入力部201が変換したテキスト情報が手続名を示すものであるか否かを識別し、手続名を示すものである場合、当該テキスト情報が示す手続名を認識する(S402)。ルート選択部105は、手続名から特定した窓口の全てを巡回するルートを生成する(S403)。
【0058】
これにより、ユーザは自身が行うべき手続きに応じて、複数ある窓口を適切な順番で訪問し、手続を円滑に行うことができる。
【0059】
[変形例]
次に上記の実施形態に適用可能な変形例を説明する。情報処理装置10が備える機能の一部又は全てをユーザ端末20が備えるように設計してもよい。ユーザ端末20が備える機能の一部又は全てを情報処理装置10が備えるように設計してもよい。記憶部104は不図示の外部装置が備えるように設計してもよい。
【0060】
他の変形例を説明する。ユーザ端末20は不図示の撮像部を備えるように設計してもよい。ユーザ端末20は不図示の撮像部が撮影した画像を職員が操作する不図示の端末に送信してもよい。これにより、ユーザは自身の手続きの進捗状況を職員と共有することが可能であるため、職員がその場に居なくともユーザに対して窓口案内の詳細な誘導が可能であり、ユーザの補助をより柔軟に行うことができる。
【0061】
他の変形例を説明する。ルート選択部105は、ユーザ端末20がルートに沿った巡回を進めている途中であっても、未だ訪問していない残りの窓口をユーザが巡る順番を再設定してもよい。この場合、巡回状況取得部107は、取得したユーザの進行状況から、設定されたルート上、ユーザが今後訪問することが確定している残りの窓口を特定する。ルート選択部105は、混雑度取得部108から現時点における当該残りの窓口の混雑度を参照し、当該残りの窓口の中から混雑度が低い順に巡回するようにルートを再設定してもよい。この変形例によれば、各窓口の混雑状況がリアルタイムで変化する場合であっても、空いている窓口から順番に訪問するように促すことができる。これにより各窓口における受付の待ち時間を軽減することができるため、ユーザが全ての窓口を訪問して手続を完了するまでに要する時間を軽減できる。
【0062】
[ハードウェア構成例]
次に、上述した各実施形態における、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)を、一つ以上のコンピュータを用いて実現するハードウェア構成の一例について説明する。情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)が備える各機能部は、任意のコンピュータの少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのメモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納する少なくとも1つのハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェイス等を中心にハードウェアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。この実現方法、装置には種々の変形例があることは、当業者には理解されるところである。なお記憶ユニットは、装置の出荷以前から格納されているプログラムのほか、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納可能である。
【0063】
図13は、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)のハードウェア構成を例示するブロック図である。
図13に示すように、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、通信インターフェイス5A、バス6Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記のハードウェア構成を備えることができる。
【0064】
バス6Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、通信インターフェイス5Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置である。プロセッサ1Aは、例えば、メモリ2Aに記憶された各種プログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0065】
メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリであり、プログラムや各種データを記憶する。
【0066】
入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部ストレージ部、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部ストレージ部等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク、カメラ等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンタ、ランプ等である。
【0067】
プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0068】
通信インターフェイス5Aは情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)が外部装置と相互に通信することを実現する他、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)が相互に通信することを実現する。なお、情報処理装置(10)、ユーザ端末(20)、情報処理システム(1、4)の一部の機能をコンピュータで構成してもよい。
【0069】
なお、前述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしてもよい。また、本発明の構成は前述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、各実施形態や変形例に開示される構成や処理を互いに組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
R0 施設
r1、r2、r3 窓口
K1、K2、K3 順路
1、4 情報処理システム
10 情報処理装置
20 ユーザ端末
101、401 個人情報取得部
102、402 手続識別部
103 窓口特定部
104 記憶部
105、403 ルート選択部
106 制御部
107 巡回状況取得部
108 混雑度取得部
201 入力部
202 読取部
203 出力部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力インターフェイス
4A 周辺回路
5A 通信インターフェイス
6A バス
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
ユーザの属性情報を取得し、
前記属性情報に基づき特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートに関する案内情報を前記ユーザに対して出力するように制御する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記ユーザによって入力された情報を用いて申請手続を識別し、
前記制御においては、前記申請手続及び前記属性情報に基づき、前記案内情報を出力するように制御する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記ユーザが行う対象である申請手続に関連する他の申請手続を特定し、前記ユーザが行う対象である申請手続及び前記他の申請手続に関連する複数の窓口を特定し、
前記特定した複数の窓口を巡回する巡回ルートの案内情報を出力するように制御する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
さらに、前記窓口それぞれの混雑度を取得し、
前記巡回ルートが経由する前記窓口それぞれの混雑度に応じて、前記巡回ルートが前記複数の窓口を経由する順番を変える、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
ユーザの属性情報を取得する取得部と、
前記属性情報に基づき特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートに関する案内情報を前記ユーザに対して出力するように制御する制御部と、を備える情報処理システム。
【請求項6】
前記ユーザによって入力された情報を用いて申請手続を識別する手続識別部をさらに備え、
前記制御部は、前記申請手続及び前記属性情報に基づき、前記案内情報を出力するように制御する
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ユーザが行う対象である申請手続に関連する他の申請手続を特定し、前記ユーザが行う対象である申請手続及び前記他の申請手続に関連する複数の窓口を特定する窓口特定部をさらに備え、
前記制御部は、前記窓口特定部が特定した複数の窓口を巡回する巡回ルートの案内情報を出力するように制御する、請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記窓口それぞれの混雑度を取得する混雑度取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記巡回ルートが経由する前記窓口それぞれの混雑度に応じて、前記巡回ルートが前記複数の窓口を経由する順番を変える、請求項5から7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
ユーザの属性情報を取得する取得処理と、
前記属性情報に基づき特定された複数の窓口を巡回する巡回ルートに関する案内情報を前記ユーザに対して出力するように制御する制御処理と、を実行させるためのプログラム。