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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013368
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 15/00 20060101AFI20240125BHJP
   B65H 5/12 20060101ALI20240125BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20240125BHJP
   B41F 21/10 20060101ALI20240125BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B65H15/00 Z
B65H5/12 A
B65H9/00 A
B65H9/00 B
B41F21/10
B41J2/01 305
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115412
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】須田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】松山 真也
【テーマコード(参考)】
2C056
3F101
3F102
【Fターム(参考)】
2C056FA14
2C056HA29
3F101CA14
3F101CC07
3F101CC08
3F101LA06
3F101LB03
3F102AA13
3F102AB01
3F102BA11
3F102BB02
3F102BB04
3F102BB05
3F102BB17
3F102EA03
3F102EA08
3F102EB01
(57)【要約】
【課題】従来よりも簡易かつ小型な構成のシート処理装置を提案する。
【解決手段】シートS1の一方の面に対して処理を施すことができる処理部と、シートS1を第1のくわえ爪装置33A~33Cによりくわえて保持しながら当該シートS1を搬送する印刷胴33と、シートS1を待機させる待機部52と、シートS1を印刷胴33から第3のくわえ爪装置により受け取り、当該シートS1をシートデリバリ4へ受け渡すか、あるいは待機部52へ受け渡す印刷胴33と対接した渡胴36と、待機部52で待機しているシートS1の後端を第2のくわえ爪装置40Aによりくわえて保持し、処理部により処理の施された一方の面が印刷胴33と接するように、シートS1を後端から印刷胴33へ再度受け渡す戻し胴40とを備えるようにする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のくわえ爪装置を有しシートの一方の端部をくわえて搬送する第1の胴と、
前記第1の胴で搬送されているシートの一方の面に処理を施す処理部と、
前記処理の施されたシートを排出する排出装置と
を備えたシート処理装置において、
前記処理の施されたシートの前記一方の端部からシートを受け入れて待機させる待機部と、
前記第1の胴からのシートを前記排出装置または前記待機部の一方へ選択的に振り分ける振り分け機構と、
前記待機部で待機しているシートの他方の端部をくわえる第2のくわえ爪装置を有しシートの前記一方の面が前記第1の胴と接するようにシートの前記他方の端部を前記第1の胴の前記第1のくわえ爪装置へ受け渡す反転部と
を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記待機部におけるシートの前記他方の端部の位置を調整する第1調整手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記第2のくわえ爪装置にくわえられる前のシートの幅方向の側端部の位置を調整する第2調整手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記待機部はシートを搬送するベルトを備え、
前記第1調整手段はシートの前記一方の端部が当接しシートの搬送方向へ移動自在に設けられたストッパであることを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記待機部はシートを挟持する一対のローラと前記一対のローラを回転させるモータとを備え、
前記第1調整手段はシートのサイズに基づいて前記モータを制御する制御部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記第1の胴と対接し、当該第1の胴からシートを受け取る第3のくわえ爪装置を有しかつこのシートを搬送する第2の胴と、
前記第2の胴と対接し、当該第2の胴からシートを受け取る第4のくわえ爪装置を有しかつこのシートを搬送する反転前胴とを備え、
前記振り分け機構は、前記第2の胴に備えられ、
前記ベルトは、前記反転前胴で搬送されているシートを受け取る
ことを特徴とする請求項4に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記待機部にあるシートの他方の端部を持ち上げ、前記反転部の前記第2のくわえ爪装置へシートを受け渡す案内部材を備えることを特徴とする請求項1乃至6に記載のシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば反転機構を持ったシート処理装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートの表面を印刷した後に反転して裏面を印刷するためのシート反転機構を持った反転機構付枚葉輪転印刷機がある(例えば、特許文献1参照)。この反転機構付枚葉輪転印刷機は、隣接する印刷ユニットの間にシートを反転させることのできる反転ユニットを備え、片面印刷および両面印刷をすることが可能となっている。
【0003】
この特許文献1の反転機構付枚葉輪転印刷機では、反転ユニットが渡胴(特許文献1の第4図における図番17)と圧胴(特許文献1の第4図における図番16)とからなり、両面印刷を行う場合、渡胴によりシートの先端部をつかんだ状態で搬送されているシートの後端を圧胴によりつかみ、当該シートの搬送方向を変えて搬送することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平03-080108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる特許文献1の反転機構付枚葉輪転印刷機では、表面及び裏面を印刷する構成が分かれており、装置全体としてみても直線上に長い構成であるため大型化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、従来よりも簡易かつ小型な構成のシート処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明に係るシート処理装置は、第1のくわえ爪装置を有しシートの一方の端部をくわえて搬送する第1の胴と、前記第1の胴で搬送されているシートの一方の面に処理を施す処理部と、前記処理の施されたシートを排出する排出装置と
を備えたシート処理装置において、前記処理の施されたシートの前記一方の端部からシートを受け入れて待機させる待機部と、前記第1の胴からのシートを前記排出装置または前記待機部の一方へ選択的に振り分ける振り分け機構と、前記待機部で待機しているシートの他方の端部をくわえる第2のくわえ爪装置を有しシートの前記一方の面が前記第1の胴と接するようにシートの前記他方の端部を前記第1の胴の前記第1のくわえ爪装置へ受け渡す反転部とを備えたものである。
【0008】
本発明は、前記シート処理装置において、前記待機部におけるシートの前記他方の端部の位置を調整する第1調整手段を備えていてもよい。
【0009】
本発明は、前記シート処理装置において、前記第2のくわえ爪装置にくわえられる前のシートの幅方向の側端部の位置を調整する第2調整手段を備えていてもよい。
【0010】
本発明は、前記シート処理装置において、前記待機部はシートを搬送するベルトを備え、前記第1調整手段はシートの前記一方の端部が当接しシートの搬送方向へ移動自在に設けられたストッパであってもよい。
【0011】
本発明は、前記シート処理装置において、前記待機部はシートを挟持する一対のローラと前記一対のローラを回転させるモータとを備え、前記第1調整手段はシートのサイズに基づいて前記モータを制御する制御部を備えていてもよい。
【0012】
本発明は、前記シート処理装置において、前記第1の胴と対接し、当該第1の胴からシートを受け取る第3のくわえ爪装置を有しかつこのシートを搬送する第2の胴と、前記第2の胴と対接し、当該第2の胴からシートを受け取る第4のくわえ爪装置を有しかつこのシートを搬送する反転前胴とを備え、前記振り分け機構は、前記第2の胴に備えられ、前記ベルトは、前記反転前胴で搬送されているシートを受け取ってもよい。
【0013】
本発明は、前記シート処理装置において、前記待機部にあるシートの他方の端部を持ち上げ、前記反転部の前記第2のくわえ爪装置へシートを受け渡す案内部材を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、シートを待機させる待機部と、シートを第1の胴から待機部へ搬送する搬送部とを用いることにした分だけ、胴を用いる個数を減少させると共に、反転した状態のシートに対する処理を第1の胴を再度用いて行うことができるので、その構成を簡素化し、従来よりも簡易かつ小型な構成のシート処理装置を実現することができる。
【0015】
また請求項2の発明によれば、第1調整手段によって待機部におけるシートの位置を調整することにより、シートサイズが変化しても、そのシートサイズに合わせて当該シートを確実に反転することができる。
【0016】
さらに請求項3の発明によれば、反転されたシートの他方の面の処理における、幅方向の見当調整を行うことができる。
【0017】
さらに請求項4の発明によれば、待機部は、ベルトを用いてシートを搬送し、待機部におけるシートの位置を、シートの搬送方向へ移動自在に設けられたストッパにより調整することができる。
【0018】
さらに請求項5の発明によれば、ストッパを用いる代わりにシートを挟持する一対のローラを回転させるモータを制御して待機部におけるシートの位置を調整することにより、シートサイズが変化しても、そのシートサイズに合わせて当該シートを確実に反転することができる。
【0019】
さらに請求項6の発明によれば、第2の胴から待機部へのシートの搬送を反転前胴及びベルトで行い、そのベルトが待機部を兼ねているので、構成を簡素化することができる。
【0020】
さらに請求項7の発明によれば、ガイドローラを介して待機部にあるシートの端部を持ち上げることにより、反転部の第2のくわえ爪装置へ当該シートを確実に受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施の形態におけるデジタル印刷装置の全体構成を示す側面図である。
図2】戻し胴及びガイドローラ近傍を拡大した状態を示す側面図である。
図3】シートの搬送工程(1)を示す側面図である。
図4】シートの搬送工程(2)を示す側面図である。
図5】シートの搬送工程(3)を示す側面図である。
図6】シートの搬送工程(4)を示す側面図である。
図7】シートの搬送工程(5)を示す側面図である。
図8】シートの搬送工程(6)を示す側面図である。
図9】シートの搬送工程(7)を示す側面図である。
図10】第2の実施の形態におけるデジタル印刷装置の全体構成を示す側面図である。
図11】上側ガイド及び下側ガイドの構成を示す側面図である。
図12】シートの搬送工程(1)を示す側面図である。
図13】シートの搬送工程(2)を示す側面図である。
図14】シートの搬送工程(3)を示す側面図である。
図15】シートの搬送工程(4)を示す側面図である。
図16】シートの搬送工程(5)を示す側面図である。
図17】シートの搬送工程(6)を示す側面図である。
図18】シートの搬送工程(7)を示す側面図である。
図19】待機部の他の実施の形態を説明するためのブロック図である。
図20】他の実施の形態における上側ガイド及び下側ガイドの機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
(1)第1の実施の形態
図1において、1はシート処理装置としてのデジタル印刷装置を示し、シートフィーダ2、デジタル印刷ユニット3及び排出装置としてのシートデリバリ4によって構成されている。
【0024】
デジタル印刷装置1のシートフィーダ2は、積載板21に積載されたシート22の最上段にある1枚のシートS1をシート供給装置としてのシートサッカー23により吸着し、当該シートサッカー23によって当該シートS1をフィーダボードFBへ移動して載置させることにより、デジタル印刷ユニット3へ当該シートS1を1枚ずつ順次供給する。
【0025】
シートサッカー23は、図示しない負圧源に接続されており、第1吸23A及び第2吸23Bを介してシート束22のシートS1を吸着しながら水平方向へ移動した後に吸着を開放することにより、当該シートS1をフィーダボードFBへ搬送する。
【0026】
ここで、シートフィーダ2は、シートS1の表面だけを印刷する片面印刷モードが選択された場合、図示しないCPU(Central processing Unit)構成でなる制御部からの命令に従い、シートサッカー23によりシートS1をある一定の時間間隔毎に連続的に吸着し、フィーダボードFBへ搬送することにより連続給紙を行う。
【0027】
一方、シートフィーダ2は、シートS1の表面だけでなく裏面についても印刷する両面印刷モードが選択された場合、制御部(図示せず)からの命令に従い、シートサッカー23により連続給紙の場合と比してシートS1が1枚おきの間隔となる様な時間間隔で間欠的に吸着し、フィーダボードFBへ搬送することにより間欠給紙を行う。
【0028】
このようにデジタル印刷装置1では、シートフィーダ2からシートS1をデジタル印刷ユニット3へ1枚ずつ連続給紙したり、又はシートS1を間欠給紙することができるように構成されている。
【0029】
フィーダボードFBへ搬送されたシートS1は、フィーダボード先端部FB1で見当装置(図示せず)により、天地左右方向の搬送位置が揃えられる。
【0030】
デジタル印刷装置1のデジタル印刷ユニット3は、フィーダボードFBから供給されるシートS1を爪部(図示せず)により受け取るスイング装置31、当該スイング装置31により供給されるシートS1の一方の端部をくわえ爪装置32Aによりくわえ替えした後に第1の胴としての印刷胴33へ受け渡す供給胴32を備えている。
【0031】
デジタル印刷ユニット3には、供給胴32から供給されたシートS1の一方の端部を印刷胴33における3つの第1のくわえ爪装置33A、33B及び33Cの何れかによりくわえ替えし、その周面で当該シートS1の全面を吸着しながら回転搬送する3倍胴でなる印刷胴33、供給胴32よりも搬送方向下流側であり当該印刷胴33と対向するように配置された4色の処理部としてのインクジェットノズル部34、及び当該インクジェットノズル部34よりも搬送方向下流側であり、当該印刷胴33と対接した状態で配置された第2の胴としての渡胴36が設けられている。
【0032】
ここで、供給胴32が1つのくわえ爪装置32Aを有し、その周面で1枚のシートS1を搬送可能な大きさであるのに対し、印刷胴33は、3つの第1のくわえ爪装置33A、33B及び33Cを一定角度間隔で配置し、その周面が想定している最大のシートS1を3枚つなげた場合と同等の円周長を持っている3倍胴である。
【0033】
また印刷胴33は、その周面全体に所定間隔ごとに形成された複数の吸着用孔(図示せず)が形成されており、当該複数の吸着用孔を介して内部から吸引することにより、シートS1の全面を吸着保持しながら搬送するような構造を有している。
【0034】
印刷胴33は、供給胴32のくわえ爪装置32Aにより1枚ずつ供給されてくるシートS1を順番に当該印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A、33B及び33Cでくわえ替えし、矢印方向(反時計回り)へ回転することによりインクジェットノズル部34へシートS1を順次搬送する。
【0035】
インクジェットノズル部34は、黒用のインクジェットノズルヘッド34A、シアン用のインクジェットノズルヘッド34B、マゼンタ用のインクジェットノズルヘッド34C及びイエロー用のインクジェットノズルヘッド34Dが搬送方向下流側へ向かって順番に配置されており、印刷胴33の周面に全面吸着された状態で搬送されてくるシートS1の外周面に対して微滴化したインクを吹き付けるように吐出することにより当該シートS1にデジタル印刷処理を施す。
【0036】
インクジェットノズル部34の各色に対応したインクジェットノズルヘッド34A~34Dと印刷胴33の周面に全面吸着されたシートS1との隙間は、所定レベルの印刷品質を維持するため最小隙間の微少間隔に設定される必要がある。そのため印刷胴33では、その周面に当該シートS1を全面吸着することにより、インクジェットノズルヘッド34A~34Dと印刷胴33に吸着されたシートS1との隙間を最小隙間の微少間隔に維持することができる。
【0037】
デジタル印刷ユニット3では、当該印刷胴33よりも搬送方向下流側に、当該印刷胴33と対接した状態で振り分け機構としての渡胴36が配置され、当該渡胴36よりも搬送方向下流側にシートS1をシートデリバリ4へ搬送するためのデリバリーベルトDBが配置されていると共に、当該渡胴36よりも搬送方向下流側に当該渡胴36と対接した状態の反転前胴39が配置されている。
【0038】
従ってデジタル印刷ユニット3における渡胴36は、片面印刷モードが選択されていた場合、印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A乃至33Cのいずれかによりくわえられ、かつ当該印刷胴33の周面で全面吸着されたシートS1を、当該渡胴36の第3のくわえ爪装置36Aによりくわえ替えした後、ベルトコンベア状のデリバリーベルトDBの上に載置することにより、当該デリバリーベルトDBを介して後段のシートデリバリ4へシートS1を順次排出する。
【0039】
シートデリバリ4は、デリバリーベルトDBを介して搬送されてきたシートS1を積載板41の上に積載し、デジタル印刷後のシートS1を排出する。
【0040】
ところでデジタル印刷ユニット3は、シートS1の裏面を印刷すべき両面印刷モードが選択されていた場合、印刷胴33及びインクジェットノズル部34により当該シートS1の表面をデジタル印刷処理した後、渡胴36の第3のくわえ爪装置36AによりデリバリーベルトDBへシートS1を受け渡すのではなく、当該渡胴36の第3のくわえ爪装置36Aから反転前胴39の第4のくわえ爪装置39Aへ当該シートS1の一方の端部をくわえ替えさせる。
【0041】
反転前胴39は、渡胴36からのシートS1の一方の端部を第4のくわえ爪装置39Aによりくわえ替えした後、当該反転前胴39の搬送方向下流側に配置されたベルト64へ当該シートS1を受け渡す。なお、デジタル印刷ユニット3は、渡胴36よりも搬送方向下流側に当該印刷胴33と対接した状態の戻し胴40が配置されている。戻し胴40は、本発明でいう「反転部」の一部を構成するものである。
【0042】
次に、ベルト64の構成について説明する。ベルト64はその一方の端部が反転前胴39と対接し他方の端部が待機部52を成し、両端に配置された駆動ローラ62、68と、駆動ローラ62近傍に配置された従動ローラ63とを介して巻回されており、反転前胴39から搬送されるシートS1を載置させるように構成されている。
【0043】
このベルト64の上には、シートS1を載置すべき載置面と対向するように薄板状のガイドカバー61が当該ベルト64と僅かな間隔を隔ててほぼ平行に設けられている。これによりベルト64では、駆動ローラ62、68を介してベルト64上を搬送されるシートS1のばたつきを当該ガイドカバー61により抑制しながら搬送することができる。
【0044】
またベルト64では、ベルト64によって搬送されるシートS1の一方の端部を当接することにより停止させるストッパ67が駆動ローラ68の近傍に取り付けられている。従ってベルト64では、ベルト64により搬送中のシートS1がやがてストッパ67に当接し、待機部52に待機することになるが、このとき駆動ローラ62、68が回転継続中であるため、シートS1がベルト64上を滑りながら当該ストッパ67に対してシートS1の一方の端部(前端)を押し付け続けるように構成されており、その結果、当該シートS1の天地方向の見当調整が行われる。
【0045】
このとき、ストッパ67と上側ガイド66A(後述する)との間に設けられた第2調整手段としての横針装置67Aによって当該シートS1の左右方向の見当調整が行われる。 横針装置67Aは、詳細には図示してはいないが、シートS1の一方の側端縁を選択的に挟む一対のローラと、シートS1の側方に位置する横当てとを備えている。一対のローラは、シートS1の搬送方向と平行な方向に延びる回転軸を中心にして回動するとともに、互いに接離するように構成されている。詳述すると、一対のローラは、シートS1が到達する直前に互いに離間し、シートS1がローラどうしの間に入ったときにシートS1を挟み、シートS1が横当てに向けて進むように回転する。
横当ては、シートS1の側端縁の位置を規定するものである。一対のローラによって駆動されて側方に移動したシートS1の側端縁が横当てに当接することにより、シートS1の左右方向の見当が調整される。
【0046】
ベルト64では、ストッパ67によりシートS1の搬送が抑制されたままの状態のとき当該シートS1の他方の端部としての後端と対応する位置にガイドローラ65が配置されており、当該ガイドローラ65の上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65Bとの間にシートS1の他方の端部が位置することになる。
ところで、ガイドカバー61における、上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65Bと対応する部分には、貫通穴が形成されている。このため、上側駆動ローラ65Aと下側従動ローラ65Bとによって、シートS1をベルト61とともに挟みながら搬送することができる。
【0047】
なお、ベルト64では、ストッパ67がシートS1のシート搬送方向における長さに応じ、当該ベルト64に沿って移動自在に取り付けられている。すなわちベルト64は、シートS1が長いほどストッパ67が駆動ローラ68寄りに取り付けられる一方、シートS1が短くなるほどストッパ67が戻し胴40寄りに取り付けられるように構成されており、当該ストッパ67を介してシートS1の待機位置を調整することができる。
【0048】
ベルト64では、ガイドローラ65の上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65Bとの間にシートS1の他方の端部が位置している状態で、当該下側従動ローラ65Bが上方へ自在に移動できるように構成されている。
【0049】
これによりベルト64では、当該上側駆動ローラ65Aと当該下側従動ローラ65Bが当該シートS1の他方の端部を挟みこんだ状態で、当該ガイドローラ65全体がベルト64の載置面よりも上方に持ち上がるため、当該シートS1の他方の端部がベルト64の載置面よりも上方へ離反した状態となる。
【0050】
実際上、ベルト64では、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aに対して当該シートS1の他方の端部をくわえさせるくわえ替えタイミングと合わせるように、ガイドローラ65の下側従動ローラ65BがシートS1の後端を持ち上げるように上方へ移動してシートS1の後端を上側駆動ローラ65Aと挟み込み、シートS1を戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aの方向へ搬送するために上側駆動ローラ65Aが回転する様に構成されている。このとき、上側駆動ローラ65Aは、停止している状態から下側従動ローラ65BとシートS1を挟み込んだ時に回転を開始しても良いし、常時回転している構成としても良い。
【0051】
これによりベルト64は、図2に示すように、上側駆動ローラ65Aと下側従動ローラ65Bとの間に挟み付けられたシートS1の後端を戻し胴40へ導くため、案内部材としての上側ガイド66A及び下側ガイド66Bの間にシートS1の後端を差し入れることにより、当該シートS1の後端が当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aへ導かれて当該第2のくわえ爪装置40Aによりくわえ替えされる。
【0052】
戻し胴40は、第2のくわえ爪装置40Aにより後端がくわえられたシートS1を保持したまま矢印方向の時計回りに回転することにより、当該戻し胴40を介して表面から裏面へ反転した状態のシートS1を印刷胴33へ受け渡す。
【0053】
すなわちデジタル印刷ユニット3は、印刷胴33によりデジタル印刷処理の施された表面が当該印刷胴33と接するように配置された戻し胴40を用いることにより、第2のくわえ爪装置40Aによりくわえられた反転状態のシートS1を後端から印刷胴33へ再度受け渡すことができる。
【0054】
実際上デジタル印刷ユニット3では、当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aと印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A乃至33Cの何れかとが対向したとき、当該戻し胴40から印刷胴33へシートS1をくわえ替えすることによって戻し胴40から印刷胴33へ反転状態のシートS1を搬送することができる。
【0055】
かくしてデジタル印刷ユニット3は、印刷胴33の第1のくわえ爪装置33Aによりくわえ替えしたシートS1をその周面で全面吸着しながらインクジェットノズル部34へ再度搬送し、当該シートS1の裏面に対してデジタル印刷処理を施した後、渡胴36を介してデリバリーベルトDBへ受け渡し、両面印刷処理を終了する。
【0056】
因みに、ベルト64では、駆動ローラ62、68、従動ローラ63及びベルト64によりベルト装置60が構成されており、駆動ローラ62から駆動ローラ68までのベルト64の全範囲のうち、駆動ローラ62からガイドローラ65直前までの範囲の搬送ベルト部分と反転前胴39とによって搬送部51が構成されている。
【0057】
またベルト64では、駆動ローラ62から駆動ローラ68までのベルト64の全範囲のうち、当該ガイドローラ65から駆動ローラ68までの範囲の搬送ベルト部分によって、当該シートS1を戻し胴40から印刷胴33へ受け渡すべく当該シートS1を一時的に待機させるための待機部52が構成されている。
【0058】
ここでベルト64では、搬送部51及び待機部52を論理的に定義するだけであり、必ずしもこれに限るものではなく、例えば搬送部51に反転前胴39を含まないように論理的に定義することも可能である。
本発明でいう「反転部」は、ガイドローラ65と戻し胴40とによって構成されている。
【0059】
以上の構成において、デジタル印刷ユニット3では、両面印刷モードが選択されていた場合、図3に示すように、供給胴32のくわえ爪装置32AによりくわえられたシートS1の前端を、印刷胴33の例えば第1のくわえ爪装置33Aによりくわえ替えする。
【0060】
図4に示すようにデジタル印刷ユニット3では、印刷胴33が反時計回り方向へ回転し、第1のくわえ爪装置33Aにより保持されたシートS1を渡胴36の第3のくわえ爪装置36Aにくわえ替えさせる。
【0061】
そして、図5に示すようにデジタル印刷ユニット3では、渡胴36の第3のくわえ爪装置36Aと反転前胴39の第4のくわえ爪装置39Aとが対向したとき、渡胴36から反転前胴39へシートS1をくわえ替えさせる。このとき同時にデジタル印刷ユニット3は、供給胴32により次に間欠給紙された新しいシートS1が印刷胴33の第1のくわえ爪装置33Cにより保持される。
【0062】
図6に示すようにデジタル印刷ユニット3では、反転前胴39の第4のくわえ爪装置39Aにより保持されたシートS1をベルト64上に載置する。このとき同時にデジタル印刷ユニット3は、さきほど印刷胴33の第1のくわえ爪装置33Cにより保持された次のシートS1を当該印刷胴33の周面に吸着しながら搬送する。
【0063】
図7に示すようにデジタル印刷ユニット3では、ベルト64上に載置されたシートS1を当該ベルト64により待機部52へ搬送し、ストッパ67によりシートS1の前端を当接させ、横針装置67Aを作用させることにより見当調整する。
【0064】
図8に示すようにデジタル印刷ユニット3では、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aが来るくわえ替えタイミングに合わせて、待機部52のストッパ67を介して係止したシートS1の後端を下側従動ローラ65Bが上昇して搬送ベルト64よりも上方に持ち上げて上側駆動ローラ65Aと挟み込み、ガイドローラ65の上側駆動ローラ65Aが回転してシートS1を戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aの方向へ搬送する。
【0065】
これによりデジタル印刷ユニット3では、ガイドローラ65から戻し胴40の第2のくわえ爪装置40AへシートS1の後端をくわえさせた後、当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aから印刷胴33の第1のくわえ爪装置33Cへ当該シートS1をくわえ替えさせる。
【0066】
この場合、図9に示すようにデジタル印刷ユニット3では、戻し胴40から印刷胴33へ受け渡した段階で既に裏面に反転した状態のシートS1を当該印刷胴33が搬送することになるため、表面の印刷を行った印刷胴33により再度搬送されたシートS1の裏面をインクジェットノズル部34によってデジタル印刷処理することができる。
【0067】
以上の構成によれば、デジタル印刷装置1のデジタル印刷ユニット3では、印刷胴33により搬送されるシートの表面をインクジェットノズル部34によりデジタル印刷処理した後、渡胴36及び反転前胴39を介してベルト64へ当該シートS1を受け渡し、ベルト64を介してシートS1を搬送部51及び待機部52へ搬送すると共に、当該待機部52のストッパ67にシートS1の端部(前端)を当接させ、横針装置67Aを作用させることにより当該シートS1の待機位置を調整すなわち見当調整を行う。
【0068】
そして、デジタル印刷ユニット3では、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40AがシートS1の後端に接近する、くわえ替えタイミングに合わせて、シートS1の後端を下側従動ローラ65Bが上昇して搬送ベルト64よりも上方に持ち上げて上側駆動ローラと挟み込み、ガイドローラ65の上側駆動ローラ65Aが回転してシートS1を戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aの方向へ搬送する。
【0069】
これによりデジタル印刷ユニット3は、ガイドローラ65から上側ガイド66A及び下側ガイド66Bを介して戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aに対してシートS1の後端を確実にくわえさせるように導くことができ、当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aから印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A乃至33Cへ当該シートS1をくわえ替えすることができるので、シートS1の見当調整が行われた状態を維持したまま印刷胴33へ再度搬送することができる。
【0070】
かくしてデジタル印刷ユニット3は、当該印刷胴33及びインクジェットノズル部34を介して当該見当調整が行われた状態のシートS1の裏面に対してデジタル印刷処理を施すことができるので、表面に対する印刷結果と裏面に対する印刷結果との間でずれが生じることを防止し得、シートS1の表面及び裏面に対する印刷品質を向上することができる。
【0071】
さらにデジタル印刷ユニット3は、シートS1の表面に対してデジタル印刷処理を行った印刷胴33及びインクジェットノズル部34を再度利用して、当該シートS1の裏面に対してもデジタル印刷処理を施すことができるので、印刷胴33及びインクジェットノズル部34を表面及び裏面双方のデジタル印刷処理に兼用することができる分だけ、装置全体を大型化することなくシートS1の両面印刷を高精度に実行することができる。
【0072】
(2)第2の実施の形態
図1との対応部分に同一符号を付した図10において、100はシート処理装置としてのデジタル印刷装置を示し、シートフィーダ2、デジタル印刷ユニット3及び排出装置としてのシートデリバリ4によって構成されている。
【0073】
デジタル印刷装置100のシートフィーダ2は、積載板21に積載されたシート22の最上段にある1枚のシートS1をシート供給装置としてのシートサッカー23により吸着し、当該シートサッカー23によって当該シートS1をフィーダボードFBへ移動して載置させることにより、デジタル印刷ユニット3へ当該シートS1を1枚ずつ順次供給する。
【0074】
シートサッカー23は、図示しない負圧源に接続されており、第1吸23A及び第2吸23Bを介してシート束22のシートS1を吸着しながら水平方向へ移動した後に吸着を開放することにより、当該シートS1をフィーダボードFBへ搬送する。
【0075】
ここで、シートフィーダ2は、シートS1の表面だけを印刷する片面印刷モードが選択された場合、図示しないCPU(Central processing Unit)構成でなる制御部からの命令に従い、シートサッカー23によるシートS1を所定の時間間隔毎に連続的に吸着し、フィーダボードFBへ搬送することにより連続給紙を行う。
【0076】
一方、シートフィーダ2は、シートS1の表面だけでなく裏面についても印刷する両面印刷モードが選択された場合、制御部(図示せず)からの命令に従い、シートS1を1枚おきの時間間隔で間欠的に吸着し、フィーダボードFBへ搬送することにより間欠給紙を行う。
【0077】
これによりデジタル印刷装置100では、シートフィーダ2からシートS1をデジタル印刷ユニット3へ1枚ずつ連続給紙することや、又はシートS1を間欠給紙することができるように構成されている。
【0078】
フィーダボードFBへ搬送されたシートS1は、フィーダボード先端部FB1で見当装置(図示せず)により、天地左右方向の搬送位置が揃えられる。
【0079】
デジタル印刷装置100のデジタル印刷ユニット3は、フィーダボードFBから供給されるシートS1を爪部(図示せず)により受け取るスイング装置31、当該スイング装置31により供給されるシートS1の一方の端部をくわえ爪装置32Aによりくわえ替えした後に第1の胴としての印刷胴33へ受け渡す供給胴32を備えている。
【0080】
デジタル印刷ユニット3には、供給胴32から供給されたシートS1の一方の端部を印刷胴33における3つの第1のくわえ爪装置33A、33B及び33Cの何れかによりくわえ替えし、その周面で当該シートS1の全面を吸着しながら回転搬送する3倍胴でなる印刷胴33、供給胴32よりも搬送方向下流側であり当該印刷胴33と対向するように配置された4色の処理部としてのインクジェットノズル部34、及び当該インクジェットノズル部34よりも搬送方向下流側であり、当該印刷胴33と対接した状態で配置された第2の胴としての渡胴36が設けられている。
【0081】
ここで、供給胴32が1つのくわえ爪装置32Aを有し、その周面で1枚のシートS1を搬送可能な大きさであるのに対し、印刷胴33は、3つの第1のくわえ爪装置33A、33B及び33Cを一定角度間隔で配置し、その周面が想定している最大のシートS1を3枚つなげた場合と同等の円周長を持っている3倍胴である。
【0082】
また印刷胴33は、その周面全体に所定間隔ごとに形成された複数の吸着用孔(図示せず)が形成されており、当該複数の吸着用孔を介して内部から吸引することにより、シートS1の全面を吸着保持しながら搬送するような構造を有している。
【0083】
印刷胴33は、供給胴32のくわえ爪装置32Aにより1枚ずつ供給されてくるシートS1を順番に当該印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A、33B及び33Cでくわえ替えし、矢印方向(反時計回り)へ回転することによりインクジェットノズル部34へシートS1を順次搬送する。
【0084】
インクジェットノズル部34は、黒用のインクジェットノズルヘッド34A、シアン用のインクジェットノズルヘッド34B、マゼンタ用のインクジェットノズルヘッド34C及びイエロー用のインクジェットノズルヘッド34Dが搬送方向下流側へ向かって順番に配置されており、印刷胴33の周面に全面吸着された状態で搬送されてくるシートS1の外周面に対して微滴化したインクを吹き付けるように吐出することにより当該シートS1にデジタル印刷処理を施す。
【0085】
インクジェットノズル部34の各色に対応したインクジェットノズルヘッド34A~34Dと印刷胴33の周面に全面吸着されたシートS1との隙間は、所定レベルの印刷品質を維持するため最小隙間の微少間隔に設定される必要がある。そのため印刷胴33では、その周面に当該シートS1を全面吸着することにより、インクジェットノズルヘッド34A~34Dと印刷胴33に吸着されたシートS1との隙間を最小隙間の微少間隔に維持することができる。
【0086】
デジタル印刷ユニット3では、当該印刷胴33よりも搬送方向下流側に、当該印刷胴33と対接した状態の振り分け機構としての渡胴36が配置され、当該渡胴36よりも搬送方向下流側に当該渡胴36と対接した状態の補助胴36Bが配置されている。
【0087】
この渡胴36と補助胴36Bとの間には、渡胴36により搬送されてくるシートS1をシートデリバリ4へ導きながら搬送するための水平直線状に形成された薄板でなる上側ガイド71及び下側ガイド72が設けられている。なお、デジタル印刷ユニット3は、渡胴36よりも搬送方向下流側に当該印刷胴33と対接した状態の戻し胴40が配置されている。
【0088】
図11に示すように、渡胴36と補助胴36Bとの間に設けられた上側ガイド71及び下側ガイド72は、その途中から半円状に湾曲した上側ガイド84及び下側ガイド85が一体化された状態で取り付けられており、当該上側ガイド71及び下側ガイド72を介してシートS1をシートデリバリ4へ排出する一方、当該上側ガイド71及び下側ガイド72から当該上側ガイド84及び下側ガイド85を介してシートS1を搬送部151へ搬送する。
【0089】
デジタル印刷ユニット3は、この上側ガイド71及び下側ガイド72の間を通過するシートS1が挟み付けられた状態で当該シートS1を渡胴36からシートデリバリ4へ搬送するためのニップローラ73A及び73Bと、ニップローラ74A及び74Bが設けられている。ここで、下側に設けられたニップローラ73B及び74Bがモータ(図示せず)を介して反時計回りに回転駆動し、当該ニップローラ73B及び74Bと対接したニップローラ73A及び74Aが従動回転する。
【0090】
ところで、上側ガイド71及び下側ガイド72は、一対のニップローラ73A及び73B、74A及び74Bと対応する箇所に貫通穴が形成されているため、当該一対のニップローラ73A及び73B、74A及び74Bと当該上側ガイド71及び下側ガイド72とが干渉することなく、当該ニップローラ73A及び73B、74A及び74BによりシートS1を挟み付けながら搬送することができるように構成されている。
【0091】
上側ガイド84及び下側ガイド85は、半円状に湾曲された後ほぼ直線状に伸びた薄板でなり、上側ガイド84及び下側ガイド85の間を通過するシートS1が挟み付けられた状態で当該シートS1を渡胴36から搬送するためのニップローラ75A及び75Bと、ニップローラ76A及び76Bと、ニップローラ77A及び77Bと、ニップローラ78A及び78Bと、ガイドローラ65(上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65B)とが設けられている。
【0092】
ここで、下側に設けられたニップローラ75B、76B、77B及び78B、上側駆動ローラ65Aはモータ(図示せず)を介して時計回りに回転駆動する一方、当該ニップローラ75B、76B、77B及び78B、上側駆動ローラ65Aと対接したニップローラ75A、76A、77A及び78A、下側従動ローラ65Bについては従動回転する。
【0093】
ところで、上側ガイド84及び下側ガイド85においても、上側ガイド71及び下側ガイド72と同様に、一対のニップローラ75A及び75B、76A及び76B、77A及び77B、78A及び78B、ガイドローラ65(上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65B)と対応する箇所に貫通穴が形成されている。
【0094】
これにより、一対のニップローラ75A及び75B、76A及び76B、77A及び77B、78A及び78B、ガイドローラ65(上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65B)と、上側ガイド84及び下側ガイド85とが干渉することなく、ニップローラ75A及び75B、76A及び76B、77A及び77B、78A及び78B、ガイドローラ65(上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65B)によってシートS1を挟み付けながら搬送することができるように構成されている。
【0095】
上側ガイド84及び下側ガイド85がベルト87の駆動ローラ80、81のうち当該駆動ローラ80近傍まで延設されており、当該上側ガイド84及び下側ガイド85がニップローラ78A、78Bからベルト87へ向かって僅かに下がるように傾斜された状態で取り付けられている。
【0096】
ベルト87は、上側ガイド84及び下側ガイド85の延長線に沿って配置された駆動ローラ80及び81と、当該駆動ローラ80近傍に配置された従動ローラ82とを介して巻回されており、上側ガイド84及び下側ガイド85を介して搬送されてくるシートS1をその上に載置させる。
【0097】
ベルト87では、その上にシートS1を載置すべき載置面と対向するように薄板状のガイドカバー86が当該ベルト87と僅かな間隔を隔ててほぼ平行に設けられている。これによりベルト87は、駆動ローラ80、81を介してベルト87上を搬送されるシートS1のばたつきを当該ガイドカバー86により抑制することができる。
【0098】
ベルト87では、ベルト87によって搬送されるシートS1の一方の端部が当設することにより当該シートS1をその場に留めるためのストッパ67が設けられている。これによりベルト87は、駆動ローラ80、81を介してベルト87が回転することにより搬送されるシートS1がストッパ67に当接し、ベルト87上の待機部152に待機することになるが、このとき駆動ローラ80、81が回転継続中であるため、シートS1がベルト87上を滑りながら当該ストッパ67に対してシートS1の一方の端部(前端)が押し付け続けられ、その結果、当該シートS1の天地方向の見当調整が行われる。
【0099】
このとき、ストッパ67と上側駆動ローラ65Aとの間に設けられた横針装置67Aによって当該シートS1の左右方向の見当調整が行われる。
【0100】
ベルト87では、ストッパ67によりシートS1の搬送が抑制されたときの当該シートS1の後端と対応する位置にガイドローラ65が配置されており、当該ガイドローラ65の上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65Bとの間にシートS1の後端が位置することになる。
【0101】
なお、ベルト87では、ストッパ67がシートS1のシート搬送方向における長さに応じ、当該ベルト87に沿って移動自在に取り付けられている。すなわちベルト87は、シートS1が長いほどストッパ67が駆動ローラ81寄りに取り付けられる一方、シートS1が短くなるほどストッパ67が駆動ローラ80寄りに取り付けられるように構成されており、当該ストッパ67を介してシートS1の待機位置を調整することができる。
【0102】
この場合、上側ガイド84及び下側ガイド85が駆動ローラ80近傍まで延設されているものの、当該ベルト87とは別体であるが、両者の隙間は極めて小さく、ストッパ67にシートS1の一方の端部としての前端が当接した状態で当該シートS1の他方の端部としての後端がガイドローラ65の上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65Bとの間に位置する。
【0103】
ベルト87では、ガイドローラ65の上側駆動ローラ65A及び下側従動ローラ65Bとの間にシートS1の他方の端部が位置している状態で、当該下側従動ローラ65Bが上方へ自在に移動できるように構成されている。
【0104】
これによりベルト87では、当該上側駆動ローラ65Aと当該下側従動ローラ65Bが当該シートS1の他方の端部を挟みこんだ状態で、下側従動ローラ65Bがベルト64の載置面よりも上方に持ち上がるため、当該シートS1の他方の端部がベルト87の載置面よりも上方へ離反した状態となる。
【0105】
実際上、ベルト87では、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aに対して当該シートS1の他方の端部をくわえさせるくわえ替えタイミングと合わせるように、ガイドローラ65の下側従動ローラ65BがシートS1の後端を持ち上げるように上方へ移動してシートS1の後端を上側駆動ローラ65Aと挟み込み、シートS1を戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aの方向へ搬送するために上側駆動ローラ65Aが回転する様に構成されている。このとき、上側駆動ローラ65Aは、停止している状態から下側従動ローラ65BとシートS1を挟み込んだ時に回転を開始しても良いし、常時回転している構成としても良い。
【0106】
これによりベルト87は、上側駆動ローラ65Aと下側従動ローラ65Bとの間に挟み付けられたシートS1の後端を戻し胴40へ向かって搬送し、当該シートS1の後端が当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aによりくわえ替えさせる。
【0107】
戻し胴40は、第2のくわえ爪装置40Aにより後端がくわえられたシートS1を保持したまま矢印方向の時計回りに回転することにより、当該戻し胴40を介して表面から裏面へ反転した状態のシートS1を印刷胴33へ受け渡す。
【0108】
すなわちデジタル印刷ユニット3は、印刷胴33によりデジタル印刷処理の施された表面が当該印刷胴33と接するように配置された戻し胴40を用いることにより、第2のくわえ爪装置40Aによりくわえられた反転状態のシートS1を後端から印刷胴33へ再度受け渡すことができる。
【0109】
なお戻し胴40は、ガイドローラ65と印刷胴33との間であり、当該戻し胴40の周面から僅かに離れた位置に対して当該周面に沿った円弧状のガイドカバー40Bが設けられており、これにより戻し胴40から印刷胴33へ搬送中のシートS1が当該戻し胴40の周面から離れてばたつくことを当該ガイドカバー40Bにより防止している。
【0110】
すなわちデジタル印刷ユニット3では、当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aと印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A乃至33Cの何れかとが対向したとき、当該戻し胴40から印刷胴33へシートS1をくわえ替えすることによって戻し胴40から印刷胴33へ反転状態のシートS1を搬送することができる。
【0111】
かくしてデジタル印刷ユニット3は、印刷胴33の第1のくわえ爪装置33Aによりくわえ替えしたシートS1をその周面で全面吸着しながらインクジェットノズル部34へ再度搬送し、当該シートS1の裏面に対してデジタル印刷処理を施した後、渡胴36を介してデリバリーベルトDBへ受け渡し、両面印刷処理を終了する。
【0112】
因みに、上側ガイド84及び下側ガイド85の範囲を、シートS1を搬送するための搬送部151とし、ベルト87の範囲を、当該シートS1を戻し胴40から印刷胴33へ受け渡すべく当該シートS1を一時的に待機させるための待機部152として論理的に定義するが、必ずしもこれに限るものではない。
本発明でいう「反転部」は、ガイドローラ65と戻し胴40とによって構成されている。
【0113】
ところでデジタル印刷ユニット3では、渡胴36から上側ガイド71及び下側ガイド72を介してシートデリバリ4へシートS1を搬送する場合と、渡胴36から上側ガイド84及び下側ガイド85を介して搬送部151へシートS1を搬送する場合とで、どのようにしてシートS1の搬送先を振り分けているのかについて説明する。
【0114】
図11に示したように渡胴36のくわえ爪装置36AによりくわえられたシートS1を上側ガイド84及び下側ガイド85を介して搬送部151へ搬送する場合、デジタル印刷ユニット3では当該くわえ爪装置36AによりシートS1を開放するタイミングを早めることにより、当該シートS1の自重によって前端が上側ガイド84及び下側ガイド85へ自然と導かれるので、当該シートS1が搬送部151へ搬送されていく。
【0115】
一方、渡胴36のくわえ爪装置36AによりくわえられたシートS1を上側ガイド71及び下側ガイド72を介してシートデリバリ4へ搬送する場合、デジタル印刷ユニット3では当該くわえ爪装置36AによりシートS1を開放するタイミングを極力遅くすることにより、当該シートS1はその自重によって前端が垂れて上側ガイド84及び下側ガイド85へ導かれることはなく、上側ガイド71及び下側ガイド72へ前端が導かれるので、当該シートS1がシートデリバリ4へ搬送されていく。
【0116】
以上の構成において、デジタル印刷ユニット3では、両面印刷モードが選択されていた場合、図12に示すように、供給胴32のくわえ爪装置32AによりくわえられたシートS1の前端を、印刷胴33の例えば第1のくわえ爪装置33Aによりくわえ替えする。
【0117】
図13に示すようにデジタル印刷ユニット3では、印刷胴33が回転することにより、第1のくわえ爪装置33Aにより保持されたシートS1を渡胴36の第3のくわえ爪装置36Aにくわえ替えさせる。
【0118】
そして、図14に示すようにデジタル印刷ユニット3では、渡胴36の第3のくわえ爪装置36Aから当該シートS1を所定のタイミングで開放することにより、図15に示すように上側ガイド84及び下側ガイド85を介して搬送部151におけるニップローラ75A及び75B、76A及び76B、77A及び77B、78A及び78B、ガイドローラ65へシートS1を搬送していく。
【0119】
図16に示すようにデジタル印刷ユニット3では、ニップローラ77A及び77B、78A及び78B、ガイドローラ65を介して搬送部151から待機部152へシートS1を搬送する。
【0120】
図17に示すようにデジタル印刷ユニット3では、待機部152におけるベルト87上に載置されたシートS1を当該ベルト87により搬送し、ストッパ67によりシートS1の前端を当接させ、横針装置67Aを作用させることにより見当調整する。
【0121】
図18に示すようにデジタル印刷ユニット3では、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aが来るくわえ替えタイミングに合わせて、待機部152のストッパ67を介して係止したシートS1の後端を下側従動ローラ65Bが上昇してベルト87よりも上方に持ち上げて上側駆動ローラ5Aと挟み込み、ガイドローラ65の上側駆動ローラ65Aが回転してシートS1を戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aの方向へ搬送する。
【0122】
これによりデジタル印刷ユニット3では、ガイドローラ65から戻し胴40の第2のくわえ爪装置40AへシートS1の後端をくわえさせた後、当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aから印刷胴33の第1のくわえ爪装置33Cへ当該シートS1をくわえ替えさせる。
【0123】
この場合、デジタル印刷ユニット3では、戻し胴40から印刷胴33へ受け渡した段階で既に裏面に反転した状態のシートS1を当該印刷胴33が搬送することになるため、表面の印刷を行った印刷胴33により再度搬送されたシートS1の裏面をインクジェットノズル部34によってデジタル印刷処理することができる。
【0124】
以上の構成によれば、デジタル印刷装置1のデジタル印刷ユニット3では、印刷胴33により搬送されるシートS1の表面をインクジェットノズル部34によりデジタル印刷処理した後、渡胴36を介して搬送部151へ当該シートS1を受け渡し、待機部152のストッパ67にシートS1の端部(前端)を当接させ、横針装置67Aを作用させることにより当該シートS1の待機位置を調整すなわち見当調整を行う。
【0125】
そして、このデジタル印刷ユニット3では、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40AがシートS1の後端に接近する、くわえ替えタイミングに合わせて、シートS1の後端を下側従動ローラ65Bが上昇して搬送ベルト64よりも上方に持ち上げて上側駆動ローラ65Aと挟み込み、ガイドローラ65の上側駆動ローラ65Aが回転してシートS1を戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aの方向へ搬送する。
【0126】
これによりデジタル印刷ユニット3は、戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aに対してシートS1の後端を確実にくわえさせることができ、当該戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aから印刷胴33の第1のくわえ爪装置33A乃至33Cへ当該シートS1をくわえ替えすることができるので、シートS1の見当調整が行われた状態を維持したまま印刷胴33へ再度搬送することができる。
【0127】
かくしてデジタル印刷ユニット3は、当該印刷胴33及びインクジェットノズル部34を介して当該見当調整が行われた状態のシートS1の裏面に対してデジタル印刷処理を施すことができるので、表面に対する印刷結果と裏面に対する印刷結果との間でずれが生じることを防止し得、シートS1の表面及び裏面に対する印刷品質を向上することができる。
【0128】
さらにデジタル印刷ユニット3は、シートS1の表面に対してデジタル印刷処理を行った印刷胴33及びインクジェットノズル部34を再度利用して、当該シートS1の裏面に対してもデジタル印刷処理を施すことができるので、印刷胴33及びインクジェットノズル部34を表面及び裏面双方のデジタル印刷処理に兼用することができる分だけ、装置全体を大型化することなくシートS1の両面印刷を高精度に実行することができる。
【0129】
なおデジタル印刷ユニット3は、搬送部151の上側ガイド84及び下側ガイド85がニップローラ78A、78Bからベルト87へ向かって僅かに下がるように傾斜された状態で取り付けられると共に、ベルト87についてもそのシートを載置する面が同じように傾斜された状態で取り付けられている。
【0130】
これによりデジタル印刷ユニット3は、ベルト87の上に載置されたシートS1が当該ベルト87の回転に対して滑りが生じて搬送されなくなった場合でも、当該シートS1の自重によりストッパ67へ向かって自然と搬送されることになり、当該シートS1が天地方向の見当が調整されないという事態を回避することができる。
【0131】
(3)他の実施の形態
なお、上述した第1及び第2の実施の形態においては、第1の胴として3倍胴でなる印
刷胴33を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2倍胴、4
倍胴、6倍胴等でなる印刷胴を用いるようにしてもよい。
【0132】
さらに、上述した第1の実施の形態においては、搬送部として待機部52と一体となった搬送部51を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、待機部52と別体となった搬送部を用いるようにしても良い。
【0133】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態においては、第2の胴として1倍胴でなる渡胴36を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2倍胴、3倍胴等でなる渡胴を用いるようにしてもよい。
【0134】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態においては、反転部として1倍胴でなる戻し胴40を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、スイング装置31と同様の構成でなり、待機部52、152から印刷胴33へ向かってスイングする反転スイング装置を用いるようにしてもよい。
【0135】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態においては、第1調整手段として移動自在に取付可能なストッパ67を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、シートS1のサイズが固定であれば、所定位置に固定されたストッパ67を用いるようにしてもよい。
【0136】
さらに、上述した第1及び第2の実施例の形態においては、調整手段としてベルト64、87と移動自在に取付可能なストッパ67を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、下記の段落「0138」~「0143」に記載したような構成でシートS1の搬送を停止して待機位置を調整するようにしても良い。
【0137】
ベルト64、87とストッパ67を用いる代わりに、第1及び第2の実施例におけるガイドローラ65の位置にシートS1を挟みこんで搬送する1対のニップローラを備える。ニップローラは回転自在であるとともに軸方向に移動自在となっている。
【0138】
この場合のデジタル印刷装置1(シート処理装置)は、図19のブロック図に示すように、シートS1の搬送方向の長さを検知する光電センサ等でなるシートサイズ検知センサ91と、シートS1の一方の側端の位置を検知する光電センサ等でなるシート側端位置検知センサ92と、シート処理装置の駆動部の位相を検出することができるエンコーダ93とを備えている。
【0139】
シート処理装置は、図19のブロック図で示す、ニップローラを回転させる第1調整手段としてのモータ94と、ニップローラの軸方向の位置を調整する第2調整手段としての調整機構95と、シートサイズ検知センサ91とシート側端位置検知センサ92とエンコーダ93とに基づいてモータ94と調整機構95を制御する第1調整手段かつ第2調整手段としての制御部96とを備えている。
【0140】
これらの構成を用いて行われる待機部52、152におけるシートS1の位置調整について説明する。ニップローラまで搬送されてきたシートS1は、ニップローラの回転によって待機部52、152へと搬送される。ここで制御部96はシートサイズ検知センサ91のシートS1の長さの情報に従ってシートS1の待機部52、152への適した搬送量となるところまでモータ94を回転したあと停止させ天地方向の見当位置を調整する。
【0141】
続いて制御部96は、シート側端位置検知センサ92のシートS1の幅方向の位置の情報に従って、シートS1が正しい幅方向の見当位置となるように調整機構95を作動させる。
【0142】
続いて制御部96は、エンコーダ93の信号に基づいて天地方向と幅方向の見当のあわせられたシートS1の他方の端部が戻し胴40の第2のくわえ爪装置40Aへくわえられるタイミングでモータ94を逆回転することでニップローラを逆回転させてシートS1の他方の端部を第2のくわえ爪装置40Aへくわえさせる。
【0143】
さらに、上述した第2の実施の形態においては、渡胴36から上側ガイド71及び下側ガイド72を介してシートデリバリ4へシートS1を搬送する場合と、渡胴36から上側ガイド84及び下側ガイド85を介してベルト搬送部150へシートS1を搬送する場合とを、当該渡胴36のくわえ爪装置36AによりシートS1の開放タイミングを調整することにより切り替えるようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、図20(A)及び(B)に示すように、上側ガイド71及び下側ガイド72と上側ガイド84及び下側ガイド85との分岐点に設けられた板状の振り分け機構としての切替部101を、上側ガイド71及び下側ガイド72側又は上側ガイド84及び下側ガイド85側へ切り替えるようにしても良く、また、くわえ爪装置36AによるシートS1の開放タイミングを制御すると共に、板状の切替部101の切り替えを併用することにより確実性を増大するようにしても良い。
【0144】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態においては、シート処理装置としてデジタル印刷装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、オフセット印刷装置、検査装置、箔転写装置、及び型押し装置等に適用するようにしてもよい。
【0145】
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態においては、反転部51、待機部52、152で、シートの搬送をベルトで行うと共に、ベルトに沿って設けられたガイドカバーによって、シートS1のばたつきやベルトからの浮きを防ぐ構成を示したが、これに限らず、ベルト表面に吸引穴が設けられ、当該ベルトのシートと対接しない面に負圧を発生させる構成によって、ガイドカバーに代わり、シートS1を吸引することで、ばたつきやベルトからの浮きを防ぎながら搬送する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0146】
1、100…デジタル印刷装置、2…シートS1フィーダ、3…デジタル印刷ユニット、4…シートデリバリ、21…積載板、22、42…積載されたシート、23…シートサッカー、31…スイング装置、32…供給胴、33…印刷胴、36…渡胴、39…反転前胴、40…戻し胴、FB…フィーダボード、DB…デリバリーベルト、S1…シート、51、151…搬送部、52、152…待機部、65…ガイドローラ、67…ストッパ、62、68、80、81…駆動ローラ、63、82…従動ローラ、64、87…ベルト、61…ガイドカバー、71、84…上側ガイド、72、85…下側ガイド、73~78…ニップローラ。
図1
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